○中西珠子君 私、裁量
労働というものは、例えばジャーナリスト、そういう方々の多くが裁量
労働に入るのではないか。殊にテレビ、ラジオ、それから新聞記者の中でも編集
委員のような方、そういう方は裁量
労働に入るのではないか。もちろん研究者それから研究開発、RアンドDですね、そういうものに従事している方々、そういうものは裁量
労働に入るのではないかと
考えますけれども、そこにちょっと、
労使協定で十把一からげに、大体これくらいの時間
労働したものとみなすというみなし
労働というものになってきますと、これはやはり個人の、個々の利害の調整も難しい。そしてこういった仕事に従事している方々は、非常に個人差がある仕事の仕方をしていらっしゃるでしょうし、それからまた自主的な判断だとか、創造性のようなものが必要とされる仕事に従事している方ですから、集団的にこの業務に全部入ってしまって全部この時間働いたものとみなされるという、それがたとえ時間
外労働も含んだみなし方であっても、なかなかこれは個人個人のそういう裁量
労働に従事していると
考えられる方の権利とか保護ということに欠けるということになるのではないかという心配が非常にあるわけなんですね。
それで、私はいわゆるジャーナリストという、新聞記者とかテレビ、ラジオ、雑誌記者、それから編集者、そういった方々の
労働条件を調べることをILOのジュネーブの本部から依頼されまして、これ私ごとになって大変恐縮なんですけれども、私がまだILOの
日本の支局におりましたときに調査したわけです。それで新聞社も大体全部回りましたし、それからテレビ、NHKはもちろん民間放送も回ったし、それから雑誌関係も回りましたし、いろいろなところに行きまして
労働協約とか
労使協定とか、そういったものをそれぞれいただいてきまして分析をしました。それから
労使の方にもお会いしていろいろ問題を聞いたわけです。
そのときの、一九七八年の調査でございますけれども、その少し古くなったところをアップ・ツー・デートにしたものが一九八四年にILOが出しました「ジャーナリスト」という本なんですね。これは「プロフェッション ジャーナリスト」と書いてありまして、初めの方に、ILOの本部が世界じゅうに散在していますILOの支局だとか駐在員事務所だとかそういったところに
質問書を出して調査してもらった結果をこれにまとめたものだというふうに書いてあるわけですね。それで分析いたしました協約の
内容とか
協定の
内容もここに多少入っております。
私はそのときにいろいろ
労使の方から問題も伺いまして、非常にそういったジャーナリストの方々、民間放送とかそれから新聞関係の記者の方、報道記者の方、取材記者の方、編集
委員の方々、そういった方々とかラジオで働いていらっしゃる方々、そういった方々の
労働条件に依然として関心を持ちまして、そのころ言われていたことが果たしてどうなったかなという思いがしているわけなんです。それでとにかく私はそのころに言われていたプロデューサー、ディレクターあたりの
残業手当がすごく多くて困るんだ、それで何か
協定のようなものを結んで大体
残業に見合うようなお
手当という形にしたいんだというお話も聞いていたわけでございます。
それで、
昭和四十九年あたりにも
労働大臣に民放連から要請を出されておりますけれども、また最近も五十七年八月、五十八年九月ごろにもそういう
労働大臣あての要請を出されて、とにかく
残業手当が余りにもかさみ過ぎて、そして所定内
労働は割と時間としては短いわけですから
残業がかさむというふうなことで、これはやはり
労使協定に基づいてそして何らかの
手当を与えるというふうな方向で検討していただきたい、何かそれが可能になるようなことを
考えていただきたいという要請が出されていると聞いているんですが、これは事実ですか。