○内藤功君 そうすると、二千人の監督官、現場の方が四千万人、まある長みたいな偉い人を除いて二千人が四千万人を見る、一人が二万人見るという勘定になりますね。私はそういう点からいって、安易に指導とかいろいろおっしゃるけれ
ども、これは大変なことだと思いますよ。大変なことだ。ですから、私は指導いたしますということでは引き下がらないつもりでおるんです。
次に伺いますが、女子労働者の問題については同僚
委員からもいろいろ突っ込んだ御質問がありました。現在女子労働者の七割の方が既婚の方でいらっしゃる、そして、もちろん家事、育児の責任は男もありますけれ
ども、しかし、事実上日本では多くの御負担は女子労働者の方に負わされているのが実情だと思います。
私のところにたくさんいろいろのお手紙が女子労働者あるいは男子労働者の方から
基準法で来ておりますが、中でも退社時間が夜の八時、九時、十時というふうになったらとても保育園へ子供を預けて働くことはできませんという切々たるお手紙は、私は本当に変形労働時間制の及ぼす
最大の害悪だというふうに思うわけであります。特に、公的な保育所では、これはとても対応ができないというふうに思うんですね。
それで今、私は東京都心部のあるベビーホテルにその実態はどうであるのかということをお聞きしてみたんです。そうしますと、これは東京都心部のあるベビーホテルでありますけれ
ども、私が初めちょっと予想しておったいわゆる水商売といいますか、そういうところにお勤めの方は一人もいないんです。それで、例えば生命保険の指導員の方、デパートで監督をしている方、みんな女の方です。オペレーター要員、歯科医師、証券会社の方、ある民放テレビにお勤めの方、美容師の方、看護婦さん、養護学校の教員の方、プログラマーの方、それから旅行社の添乗員の方、同時通訳の方、ホテルの
従業員の方、それから鮮魚商、お魚屋さんというような、ほかにもたくさんありますが、本当に今まででしたらベビーホテルというところとどのくらい縁があるかと言われる方も含めて、こういう職業になっております。
そして、子供さんを迎えに来る時間、午後十時、十一時、あるいは翌日の一時、場合によっては午前四時という方も、魚河岸なんかへ行かれる関係でございましょう、あるという、まだ詳しい資料いっぱいありますけれ
ども、時間の関係でこのくらいにとどめますが、こういう実態がやっぱり出てきていますね。大変な高いお金を払ってこういうことをする、こういう深刻な実態が今出ておるわけであります。
さらに、飯田橋の公共職業安定所の所長が作成しました本年三月現在の求職者の就職意識調査というのを見ますと、昭和六十二年版ですが、就職先を選ぶ基準というのを、男の方と女の方の昭和五十七年の調査と今回六十二年の調査を比べてみた数字があります。これは安定所の窓口にも置いておる文書ですけれ
ども、これによりますと、
自分の能力が生かせるところというのが今まで男の方も女の方も一番多かったんですが、今回の調査は五年前と違って女の方の中に、休日、祝祭日、就業時間のはっきりしているところというのがふえてきている。二五・五ポイントから三二・四ポイントにふえているというのが非常な特徴です。皆さん何とか残業のないところに行きたいと、しかし残業のないところは今度は安定所の方からいうと基本給が安い、残業のないところを選ぶのは非常に難しい、こういう実態が一方職業を求める窓口ではある。
それから、
労働基準法と雇用機会均等法があるから大丈夫だと、この間私の質問に対して本会議で中曽根総理は
お答えになって、私はもうとんでもない話だと、いろいろ聞いている話は大変です。
例えばここで今日本の一流
企業ですが、東京海上というところでどういう実態が起きているか。この雇用機会均等法ができてから、ある職場ではタイピスト四人のうち三人までが体を壊している。これは「全損保」という機関紙に出ている実態であります。それから、連日夜八時までは当たり前、打合会も八時を過ぎて九時になっても女性に先に帰りなさいの一言もない。ある女性労働者は、やめるときに元の職場にあいさつに行ったのは夜六時過ぎ、制服のまま行った、普通は多少おしゃれをした格好で最後の日はお別れをするのだが、こういう
状況で、しかも六時に別れのあいさつに行ったときに、これから八時まで仕事をしなくてはならない、こういうことを言っておられた。
勤続三十二年のある女子労働者の方は、昨年末に週三回夜八時までの残業をやり、それでも間に合わないで八時半、九時になったこともあったと。まだいっぱいありますが、こういうのが雇用機会均等法が成立をして、妊娠中の方に対する時間外の規定、これはいい規定が入ったんですけれ
ども、今までありました一日について二時間に限るという残業の規定はとられてしまった。
私の直接聞いたある方は雇用機会均等法ができてかえって私たちは損をしている、それは今まで時間外労働一日二時間というのが削除されて長い残業が命ぜられるので、この均等法のおかげでやめなければならないと言っている方が私の
お話を聞いた中にございました。
いろいろ私は申しましたけれ
ども、私はこういう実態から見て、これはぜひとも、妊娠中の女子労働者についての
基準法六十六条の適用除外、こういう御配慮は当然であります、これは当然です。しかし、妊娠中の方に限らず、また女の方に限らず男でもそういう負担を負っている人がいるわけですから、幼児を抱え、あるいは病気の両親を抱え、あるいは寝たきりのお年寄りなど要看護の方を抱えている、面倒を見なければならない立場の労働者については、これは最低限適用除外等も含めた変形労働時間制の弊害を押さえるということがなければ、これはもう弊害をもたらすばかりだと私は思うんですね。
婦人
局長がおられれば婦人のお立場で聞きたいと思うんですが、お姿が見えませんので、政府のこれについてのひとつお
考えを伺いたいと思うんです。