○
参考人(
坪井東君)
坪井でございます。
ただいま
竹内先生から、
日本の貿易
黒字が巨大で
アメリカが巨大な赤字になった、あるいは
日本の
国民所得が
世界で最高の
水準になった、それにもかかわらずいろんな面で
日本の豊かさが
感じられないというようなお話もございましたが、そういうような
日本の豊かさをどういうふうに増すかというところに
内需振興の問題が出てくるのでありまして、これは必ずしも貿易収支とは
関係なく、
内需拡大によって
国民生活を豊かにすべきであるというのは、もう当然のことでありまして、そういうことができる状況であるのにもかかわらずなぜできないんだというところにむしろ問題があるのではないかという
感じがいたします。
今、社会資本の整備のあり方というものは、御
案内のとおり
日本はかなり貧弱でありまして、下水道だとか水洗便所とか
道路だとか、一人当たりの公園の量だとかいうものは欧米に比較してもう格段に悪いわけでございますし、また
住宅にいたしましても、
住宅の
資産を
国民所得で割りますと
日本は欧米の約半分、いわゆる
ウサギ小屋と言われるような余り良質でない
住宅に住まざるを得ない。これほど豊かな
国民所得を持っている国の
国民がなぜこういうような貧弱な状況の中に住まなきゃならないかということは、かつて恐らく、そういうような金が
産業基盤のために使われて、社会資本とか
国民の
生活基盤のために余り使われなかったというのかもしれません。しかし現在は、逆に言うと、そういう
国民生活の基盤を充実させるべき余地がもうかなり大きいということで、適当な
方法をとればこういうようなことが可能であるし、またしなきゃならない。
ただ、
財政面でそれを補うということがなかなか困難であるということは、公共事業その他が大変限られておるということで、問題になると思いますが、逆に言いますと、最近民活というようなことで、民間の金ないし力、あるいはそういった企業力をそういう社会資本整備の分までどういうふうにして誘導できるかということが大変大きな問題になっておるわけでありまして、やり方をうまくすればそういったことが可能であると私
どもは思っておるわけであります。
それで、二つ問題がございまして、一つは、御承知のとおり、最近の
東京を中心とする
地価の暴騰でございます。かつて
住宅地が非常な勢いで上がりました。これは当然上がったわけでございます。と申しますのは、非常に大量に急速な人口集中が行われたわけでありまして、昭和四十年から五十年にかけましては、御承知のように毎年百万人の人間がふえ、十年間で一千万人の人間が三大都市圏に集中した。
東京で言いましても、四十年から五十年の間に約六百万人の人間が
東京圏に集中したということであります。こういうようなかつて
世界的に経験したことのない急速にしてかつ大量な民族移動、人口集中が大都市に行われたということが
地価、
住宅地の高騰を招いたわけであります。
問題は、確かに行政的に対応できない面があったと思いますけれ
ども、どういうふうに行政が対応したかと申しますと、結局、その集中する人口をいかに抑制するかということに多大の努力が払われたということであります。当然人口が集中すべき
経済情勢にあったにもかかわらず、過度に人口を集中すべきでない、むしろ
地方に分散すべきだというような政策が行われたために、逆に供給力がかなり抑制されたという苦い経験が過去にあるわけであります。
例えば、
住宅地にいたしましても、大変な
価格で暴騰したわけですが、戦後、最初衣食の値段がどんどん上がりまして、
住宅地がおくれて上がったわけですが、昭和三十年になりまして、戦前に比して約三百倍というところで衣食住の指数が大体一致したわけであります。それからはもう
土地だけが独歩で高くなりまして、現在に至るまで大体賃金が約二十倍、
物価が五倍、
土地に至っては
東京では百五十倍。これは六十年のデータでございますので、恐らく最近は大体三百倍ぐらいになっていると思います。要するに、賃金が二十倍になっているにもかかわらず
土地が三百倍になっているというような大変なアン
バランスになったわけでありますが、こういったようなことは、増大する
需要に供給が追いつかなかったというようなことで、必然的に起こった現象であろうかと思うわけです。
例えば、一番私
どもの印象に深いのは、私
どもが宅造するような場合に、農地は宅造してはだめです、農地は宅地に転換してはだめですというのがかなり長くございまして、私
どもは山林を宅造せざるを得なかった。山林を宅造すれば非常にコストがかかるし、それからいわゆる上下水道とか
道路とか学校だとかいうものは、それ自体宅造の中で賄わなければならないということで、公共公益負担が非常にふえまして、コストが高くなり、それが
地価をつり上げたということもあったと思うわけです。
しかも、農地は使えないのみならず、御承知のように都市計画法というものがございまして、都市計画区域が決定されたわけですが、全国で約五百万ヘクタールの中で
住宅を建ててもよろしいという市街化区域というのが約百三十万ヘクタールですか、あとの残り三百七十万ヘクタールというのは調整区域で、ごらんのとおり
住宅を建ててはいけませんというところなんです。さなきだに少ない宅地予定地がさらに限定されて百三十万ヘクタールに限定された。私
どもの持っている
土地のうちの相当部分が調整区域に編入されまして凍結されたということであります。こういうふうに供給の源泉も大分細ってまいったようなことであります。
それから先ほどの、農地は宅地化できなかったわけでありますが、現在に至ってもその農地が宅地化できないというのは今でも残っております。御承知のように
東京圏の中に農地がたくさんございまして、当然これは宅地並み課税をすべきだということで一たん宅地並み課税が決定されましたが、御
案内のとおりしり抜けになって、今、
東京圏において農地が約二万八千ヘクタールぐらいありますが、そのうちの二万四千ヘクタールが
農業用地として認定され、農地の宅地並み課税を逃れているような状況でございます。この数字というものはかなり大きな数字でありまして、私
どもがざっと計算しましても、そこに大体百万戸ぐらいの
住宅が建ち得る農地でございます。何もそれを宅地並み課税したからといって全部が全部
住宅地になるとは限りませんけれ
ども、しかし、かなり大きな
土地が宅地並み課税を免れているために宅地化しないでいるという状況は厳然としてあるわけでございます。このように
住宅地につきましてもかなり供給を絞っておるということが現況でありまして、これは当然
需要がふえれば供給をふやすべきだということとは、全く逆の現象になっているのではないかと思うわけです。
それから最近の
地価の暴騰というものは主として御承知のように
東京都の問題でありますし、業務用地の問題でございまして、業務用地が五十七年ごろから大変暴騰いたしました。
私
どもの感覚で、五十七年ころからなぜ業務用地が上がってきたかといいますと、このころから極端にオフィスのスペースが足りなくなってきた。それの直接の原因は、どうもオフィスオートメーションといいますか、情報機器が非常な勢いで採用されまして、そのためのスペースが非常に多くなった。いわゆる情報化といいますか、それがハードであれソフトであれ、いずれにしてもオフィススペースを非常に増加させたことは事実であります。
それから最近に至りましては、御承知のとおり
金融の国際化と申しますか、あるいは
日本の
経済が非常に大きくなりまして、そのエネルギーが
東京に集中していることもあります。それから、そのエネルギーが国外に向けて開かれ、国外からまた入ってくるというような国際化を迎えまして、たくさんの外国の企業が
東京に参入してまいりました。殊に
金融機関につきましては非常な勢いで膨張しておるわけでありまして、御
案内のとおり、この間できました森ビルさんのビルは大体六〇%が外国企業で占められておりますし、最近の都心地区の新築ビルの約四割は外国企業で占められておるような状況であります。
このようなことで、情報化とか国際化というものは現実にオフィススペースの
需要を非常に増大させておるわけでありますが、それに対して供給が急にふえるかというと、決してそういうことになっていないわけであります。供給も確かにふえつつありますけれ
ども、それは膨大なそういう
需要に対してとても追いつかないし、その結果
土地が暴騰してきた。もちろん、
土地の暴騰のメカニックの中には単なる
需要だけでなくて仮
需要も含み、投機的な要素も含んでいると私は思いますけれ
ども、いずれにしましても、直接の原因は需給のアン
バランスだということは間違いないわけです。
住宅地につきましても、業務用地につきましても、増大する
需要というものは防ぎ得ない要素を持っているわけであります。幾ら
地方分散するという政策を立てましても、実際問題として、
経済、人口というものは
東京に集中しつつあるわけでございまして、これはもう否定できないわけです。これから二十一世紀にかけまして
東京圏の人口はますますふえ続けまして、大体四百万人ぐらいふえるだろうというようなことが想定されておりますが、オフィスにつきましても、一千百ヘクタールぐらいのオフィススペースの
需要が見込まれるというような数字が出ておるわけであります。
さらばといって、その増大する
需要に対してどういうような供給があるかということは必ずしも明確になってないわけであります。むしろ、いかにしてそういうような増大する人口ないし
需要を抑制するかということについてはかなりいろいろ研究されておるわけでありますし、殊に
土地が高くなることは社会的な不安要素もかなり持っています。と申しますのは、御承知のように
地価の高騰が業務用地にとどまらないわけでありまして、これは
住宅用地にどんどん波及している状況でありますので、
国民が必要とする
住宅というものはどんどん上がっていく。ことしより来年、来年より再来年と毎年毎年上がっていかざるを得ないような状況になっておりますので、これはかなり大きな社会問題だと言わざるを得ないわけであります。
そこで、どういうような政策が今とられているかと申しますと、これもやはり抑制、規制ということが主眼であります。例えば私も、国土法を強化しまして
土地の監視を強めるということも、これはやむを得ないことでありますし、それから短期の譲渡
所得に対する超重課といいますか、大体九八%ぐらい売買差益を召し上げるというようなことも、これもやむを得ないことだと思うわけです。これらの政策はそれぞれやむを得ないことでございますけれ
ども、それだけの政策だけで果たして問題が解決するかというと、そうではないことはもう御承知のとおりでありまして、そういうような規制と同時に、いかにしたら供給を増加させるかということも
最大の問題であるわけであります。
それでは、例えば
東京に
土地があるのかないのかということになると、私
どもはあるというふうに申し上げるわけであります。と申しますのは、今
住宅地に使えないでいる
土地がかなりあるということは、今農地の問題でも申し上げたと同時に、調整区域の問題で申し上げましたが、要するに、当然
住宅地として使うべき
土地が使えないでいる、使われないでいるというような状況がかなりあるわけでございます。
それから業務用地にいたしましても、御承知のように
東京の平均階高というのは二・五階でございます。二十三区の階高が二・五階だというのは、
世界じゅうこういう大都会ではかなザ珍しいことでありまして、もしこれが一階プラスになれば四割ふえるというようなことでございますので、要するに
東京都の
土地の有効利用ができれば業務用地の供給はかなり可能だということが言えるわけであります。これにはいわゆる建築基準法、都市計画法、そういったものの抜本的な改正が必要でありますが、それと同時に、新しい供給、例えば今、
東京の臨海部の開発が問題になっておりますが、この辺におきましてもかなり膨大な供給源があるわけです。
大体、
東京の臨海部の湾央地区だけで見ましても、今インナーハーバーと申しますが、豊洲、有明、晴海ですか、あの付近だけを見ましても、大体一千ヘクタールぐらいの
土地がさらに有効的に転換できる、
土地の相当部分は業務用地になり、相当部分は
住宅用地になるだろうということであります。一千ヘクタールと申しますと、半分有効にしましても五百ヘクタール、例えば五〇〇%としますと二千五百ヘクタールという膨大なスペースが出てくるわけでありまして、ただいま申し上げました
東京の二十一世紀までのオフィスの
需要、約千百ヘクタールぐらいですか、こういったものを十分カバーしてなお余りあるというようなスペースはあるわけであります。
東京の現存する
土地あるいはこれから利用する
土地も、十分に
土地はあるわけでありまして、問題は、そういった
土地をいかにして早く有効利用化するか、そのテンポの問題だと思うのです。今までの行政あるいはその法制の中でやりますとなかなか時間がかかる。例えば、
東京の
住宅地ないし業務用地のボリュームをアップする、例えば斜線制限をもっと緩やかにするとか、容積を上げるとか、そういった問題がありますと、必ず
東京都がより過密になり、そのためにインフラが間に合わないという
意見が常に出てくるわけです。
東京の臨海部におきましても、あれを開発するためには膨大なインフラが必要であります。そういったインフラを在来の形で整備しようとなると、これは何年かかってできるかわからないわけでありまして、そういうタイムラグというものは非常に問題なわけです。
ですから、タイムラグさえなくて、
需要がコンスタントにあるわけですから、そのコンスタントな
需要に応ずるような供給ができれば、インタイムに供給ができれば、需給のアン
バランスというのは起こらないわけであります。そういうような可能性があるということだけでも、こういう考えられないような
土地の非常な暴騰というものは防げるわけであります。つまりインタイムにできないというところに問題があると思うわけです。いろいろな規制緩和がなぜインタイムにできないか、あるいはインフラがなぜインタイムにできないかということになると、在来の行政並びに在来の
財政のあり方ではなかなかできないということであります。
したがいまして、時間がございませんものですから、私は結論的なことを申し上げますが、
地方に分散すべきだという議論も確かにあるわけであります。首都圏の機能を分散することは一つの
方法ではありますが、これはまずその首都の分散といいますか、一種の極端に言いますと遷都ということに相なろうかと思います。これは欧米では御承知のようにもうしょっちゅうあることでありまして、
アメリカではワシントンでありますし、カナダではオタワでありますし、豪州ではキャンベラでありますし、それからブラジルはブラジリアであります。そういうような首都と在来の巨大都市との機能分離というものは相当な国で行われておるわけであります。最近はアルゼンチンですら首都を分離しようという話があるそうでございますが、このように首都を分離するということは各国が行っているわけでありますので、
日本もできないわけではありませんし、また分離するということは膨大な金を必要としますから、そういったものは
内需振興にかなり役立つわけです。
その財源をどうするかということになれば、それは移転した後の
土地を売れば大分賄えるんじゃないかという
感じがするわけでありますし、また首都機能が移転しましても、
東京の
経済的な役割というものはますます充実されこそすれ、減ることはないというふうに思うわけです。ニューヨークは首都でありませんけれ
ども、ニューヨークの
経済力というものは
アメリカでは断然すぐれておりますし、そこにまた
経済力が集中しつつあることも事実であります。例えば
東京都が分都、遷都、展都、まあいろんな形式がありますけれ
ども、どういうような
方法をとっても、
東京都の
経済的機能あるいは国際的地位については余り大きな変化はないと思うわけです。しかし、そういう遷都とか言っても、これはなかなかできることではございませんので、まずできる
方法を考える必要がある。それには手っ取り早い
方法は、インフラの金を民間が負担するというシステムを導入する必要がある。これは我々も、民間側でもそれはもう世論化しておるわけです。当然にはそういう社会資本の整備というものは公共団体がすべきだというのが常識でありますけれ
ども、そういうことをやったんでは間に合わない。これにはやっぱり民間側が積極的に参加し負担すべきだということであります。
それには一つ条件がありまして、民間に相当なインセンティブを与える。先ほど申し上げたようなことで、建築基準法あるいは容積率あるいは
道路の制限とかいろんな制限がございまして、かなりボリュームが実際問題として制約されているわけですが、そういったとこみを、ある地区を規定する必要があるのかもしれませんが、その地区内では少なくとも相当なボリュームアップをしてやる、あるいは港湾用地を業務用地あるいは
住宅用地に用途変更するとか、そういうようなことをすると同時に、それに対する一種の賦課金を取るわけです。こういう
方法は外国ではしょっちゅうやっていることでありまして、用途変更をすれば、ただで用途変更できない。
私
ども実はフランスで
住宅を買いましてオフィスに変えましたところが、オフィスユースにすることは認めるけれ
どもその差額を市に納めろということでありました。そういうふうに用途変更とか容積変更というものはただではないはずであります。ただでやったんでは、それでは余りに一方的に
地主を均てんさせるだけでありまして、そういうようなもろもろのインセンティブは当然負担が伴うべきであります。負担のルールができていないというところに問題があるわけですが、こういったものは臨海部と言わず内陸部と言わず、相当なインセンティブを与えた場合は、インセンティブに対応する賦課金を徴収するという
方法を確立する必要があると思うんですね。そうしますと、かなりのインセンティブを与え、かなりのボリュームアップをしても、社会資本が同時に充実できるということに相なるわけであります。
要するに、こういうような再開発にしても、なかなか自治体が積極的になり得ないということは、そういうことを進めるに従って自治体の負担が重くなる、社会資本の整備を公共体がやらなきゃならないという
仕組みそのものに問題があるわけでありまして、もしもっと優良な都市計画、もっとよりよい効率的な
土地の利用というものを図るのであれば、そういうインセンティブを与えるかわりに当然な応益負担をさせるということはもう当然なことだと私
ども思うわけであります。そうしますと、
東京都の容積がさっき申し上げたように平均二・五階という非常に低い形になっておりますが、そういったものがちょっと高くなるということだけでも膨大なスペースが
住宅地にしろ業務用地にしろできるわけでありますし、それから、そういうような容積アップできますと結局、需給の
バランスができるわけですから、
地価の鎮静化も行われる、また、それによって社会資本の整備、公共事業の整備も行えるというような
仕組みですね、そういった
仕組みができないといけないと思うわけです。
それからもう一つ、
住宅についても一言触れたいと思うわけですが、
住宅は最近御承知のように大変好調でございます。恐らくことしの
住宅の着工は百五十万戸をかなり超えるんではないかと思います。去年が百三十九万戸、約百四十万戸でございましたので、十万戸から十五万戸ぐらい去年よりふえる。そうしますと、一兆五千億から波及効果を入れますと三兆ぐらいの
経済効果があると思いますし、十万戸ふえますと税収が五千八百億ふえるという計算があるそうでございますが、いずれにしましても、かなりの
内需拡大には役立っていくんではないかという
感じがいたします。
そこで最後に、
住宅が今御承知のようにかなり高くなりまして、なかなか
国民の手に入らなくなりつつあるわけでありますので、この際せめて欧米並みの
住宅に対する減税を考えていただきたいと、かように思うわけであります。
日本の
住宅政策というものはかなり福祉的な性格を持っておりまして、貧乏人が
住宅を建てて借金すれば借金の利息を少し減免してやろう、あるいは
住宅金融公庫に安い
金利を賄ってやるということでありまして、かなり
住宅政策としては社会福祉的な性格を持っているわけですが、御承知のように外国、殊に
アメリカではこういったものは、あらゆる
所得、あらゆる規模の
住宅について全面的に借入金の利息を
所得控除しているわけであります。
日本は恐らく
東京あたりで平均八十三平米ぐらいの
住宅でありますし、
アメリカは百三十五平米ぐらいの
住宅でありますから、
アメリカがはるかに豊かな住
生活を送っているわけですが、それにもかかわらず
アメリカの
住宅に対する税制的なインセンティブというのは
日本に比べるとはるかに大きいわけです。
日本の
住宅減税額というものは歳出に比較して御承知のように〇・三%ということになっておりますが、
アメリカは四・九%ということになっております。一九八六年における
アメリカの
住宅減税は三百七十億
ドルということになりますから、恐らく五兆とか六兆とかいう数字になります。
日本は、いわゆる
住宅促進減税というのは六百七十億ぐらいですか、けたが二つばかり違うわけでありますが、
アメリカに比較することは困難にしましても、せめて英国の三・八%とか西独の三・一%とか、そういうようなヨーロッパ並みの
住宅減税、これは歳出規模に対する減税の比率でありますけれ
ども、それが
日本は〇・三%だというのは余りに貧弱ではないかというような
感じがするわけであります。確かに、一方、
住宅金融公庫に対する補給金があるにしましても、それを全部足しましても、
住宅対策費というものは減税以外にあるわけでありますけれ
ども、そういったものを足しましても
日本は一・六%であり、
アメリカは五%であり、英国は五・七%であり、フランスですら五・八%である。
日本のそういう
住宅対策費というものは国際的にかなり貧弱なものと言わざるを得ないわけであります。今度こういう減税問題がかなり大きな国会の問題として出てくるわけでありますけれ
ども、いまだかつて
住宅減税に対して余り大きな声が聞かれないというのは甚だ私
ども残念でありますが、この際諸先生方のお力を得まして、
国民が
住宅に対して、何とかそれを獲得できるような力を与えていただくことに御協力をいただきたいと思うわけでございます。
時間になりましたので、これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。