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1987-08-25 第109回国会 参議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十五日(火曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員の異動  八月二十五日     辞任         補欠選任      服部 安司君     本村 和喜君      志村 哲良君     上杉 光弘君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村沢  牧君     理 事                 井上  孝君                 石井 一二君                 福田 宏一君                 小川 仁一君     委 員                 井上 吉夫君                 上杉 光弘君                 植木 光教君                 工藤万砂美君                 沓掛 哲男君                 堀内 俊夫君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 太田 淳夫君                 馬場  富君                 上田耕一郎君                 山田  勇君                 青木  茂君    国務大臣        建 設 大 臣  天野 光晴君    政府委員        国土庁計画・調        整局長      長沢 哲夫君        国土庁大都市圏        整備局長     柳   晃君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設省都市局長  北村廣太郎君        建設省河川局長  陣内 孝雄君        建設省道路局長  鈴木 道雄君        建設省住宅局長  片山 正夫君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。天野建設大臣
  3. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) ただいま議題となりました国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  先般閣議決定された第四次全国総合開発計画において約一万四千キロメートルに及ぶ高規格幹線道路網が決定されたところでありますが、その整備を着実に推進していくためには、これら道路のうち、国土開発幹線自動車道とすべきものについては、その予定路線として位置づける必要がありますので、ここに国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案を提出することとした次第であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  北海道横断自動車道等既定路線を一部延伸するとともに、日本海沿岸東北自動車道等路線を新たに追加し、既定予定路線七千六百キロメートルにこれらの三千九百二十キロメートルをあわせた国土開発幹線自動車道予定路線を別表で定めることといたしました。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 小川仁一

    小川仁一君 ただいま趣旨説明をお聞きいたしましたが、その法案に入る前に、実は先日岩手大雨洪水水害調査をしてまいりましたので、印象が鮮烈なうちに一言一関遊水地問題についてお聞きをしたいと思いますから、お許しを願ってそちらの方の質問をさせていただきます。  八月の十六、十七、十八日にかけて岩手、秋田、特に奥羽山系中心にした二百ミリを超すような大雨がございまして、特に岩手県の場合は東に北上山系、西に奥羽山系があって、真ん中の北上川に全部の水量が集まってくるという特殊な条件がございます。他の県にも、例えば長野等にもございますけれども狭窄部下流にございまして、ここの狐禅寺に水が飲み込めないために一関がいつでも冠水被害に遭うという地域でございます。建設省の方は遊水地をつくろう、こういうことでずっと計画をして工事もかなり進んでおりますが、聞くところによりますと十五年ぐらいたっているんですね。十五年もたって実は堰堤も余りできていない。ただ、用地等はかなり買収が進んでおりますが、この現状どうなっておるでしょうか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  6. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 一関地区昭和二十二年、二十三年のキャスリーンあるいはアイオン台風によりまして甚大な被害をこうむっておりますが、その後もしばしば冠水被害が発生しておるところでございます。これに対処するため、昭和四十七年度より一関遊水地建設に着手したところでございます。これまでに第一遊水地内の百二十四戸についてすべて家屋移転を完了しまして、並行して第一遊水地周囲堤用地買収それから築堤を鋭意実施中でございます。また、第二、第三遊水地内の家屋移転につきましても順次実施しているところでございます。
  7. 小川仁一

    小川仁一君 着々進行しているようでございますが、四十七年からというとかなりのやはり年数でございます。その間、雨の方は遠慮なく降ってその都度冠水になるわけですが、その地域人たちはやっぱり大変困っております。未解決として残っている問題がございましたら、問題点を明らかにしていただきたいと思います。
  8. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 一関遊水地につきましては、現在第一調節池中心にして事業を展開しているところでございます、いずれにしましても、第一、第二、第三調節池を完了するまでの総事業費というのは一千三百億円の巨額に達するものでございまして、現在四十七年から六十二年までに三百十二億円を投入して、先ほど申し上げましたような浸水被害を受けるおそれのあるところを中心家屋移転をしてもらっておるところでございます。あわせて、周囲堤をつくるための用地買収、それからその周囲堤建設を行っておるところでございますが、いずれにしましても今後必要な事業費を確保いたしましてこれらの問題を解決していきたいと思っております。
  9. 小川仁一

    小川仁一君 大体一関地区は三年に一遍ぐらいずつ警戒水位を超えて冠水状態水害状態が出ているんです。ですから、着手したからには速急にこれをやらなければ、三年置きに何億円という損害が出てくるわけですからどうしても急がなきゃならないと思うんです。  それで、堰堤用地買収率はどの程度までいっていますか、小堤の方と周囲堤の方、それぞれ御説明願いたいと思います。
  10. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 用地買収進捗状況でございますが、第一遊水地につきましては進捗率が八一%となっております。  それから周囲堤につきましては、これは暫定堤でございますが、二三%でございます。
  11. 小川仁一

    小川仁一君 今回の水害を見ましても、遊水地以外に、大体遊水地の面積以上に冠水しているわけです。遊水地ができますと大体四百ヘクタールぐらいは冠水が防げる、こういう感じもいたしているところでございますが、何で用地買収の、特に周囲堤用地買収がおくれているんですか。それは価格の問題ですか、それとも積極的な用地買収に対する説得の不足、いろいろあると思いますが、何が一番ネックになっておるわけですか。
  12. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 先ほどの発言でちょっと訂正させていただきますが、ただいま用地買収周囲堤にかかわる用地買収ということでございます。訂正させていただきます。  それから、お尋ねの件でございますが、治水事業の全体的な整備状況というのは非常におくれております。私ども直轄事業につきましては、戦後最大の洪水をとりあえず安全にしのごうということで当面の整備目標を掲げておるわけでございますが、これに対する整備進捗率全国で平均して約六〇%程度でございます。  そういう中で、北上川につきましては河川改修ダム事業、砂防と、いろいろな事業を展開しまして治水安全度の向上に鋭意努めているところでございますが、なお御指摘のような状況にとどまっております。やはり事業費を確保するということが事業計画どおりに前進させていくための一番の課題であろうというふうに見ておるところでございます。
  13. 小川仁一

    小川仁一君 遊水地地役権といいますか、こういったようなものの話し合い交渉金額、そういった問題はどのように進んでおりますか。
  14. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 遊水地地役権設定につきましては、現在地元協議中でございます。周囲堤建設と並行して進めてまいりたいと思っております。
  15. 小川仁一

    小川仁一君 用地買収と同時に、地役権というのがやはり大きなネックになっているのじゃないかと感ずるんですが、一体どの程度金額を想定しておられますか。交渉関係があってここで公表できないというのであればいたし方ありませんけれども地域住民、特に遊水地対象農民にとっては、遊水地以外の人たち水害から免れますけれども遊水地内は所有権を持って耕作ができるわけですが、遊水地内は三年に一遍ないし二年に一遍ぐらいずつ水が入る都度農作物は冠水をし、場合によっては収穫がほとんどなくなるという状況がある、こういう地帯ですから、遊水地内の人たち地役権問題というのは、農民にとっては自分生産地をある程度犠牲にしてこういう形が存在するわけですから、非常に大きな関心を持っているわけです。ここが全然進んでいないというふうに聞いてきたんですが、何か提示をしてお話し合いに入ったという状況があるんですか、その辺ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  16. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) これまでの事業の進め方としましては、とりあえず市街地を守るということに重点を置きまして、周囲堤用地買収、それかも周囲堤建設そのものに力を入れてまいってきたわけでございますが、おっしゃいましたようなこともございますので、今後遊水地内の地役権設定につきまして十分地元話し合いを進めてまいりたいと思っております。
  17. 小川仁一

    小川仁一君 周囲堤が八一%用地買収になりました。残る二〇%の問題点は何でしょうか。
  18. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 地元との協議でいろいろ時間がかかっている面も若干ございますけれども、基本的にはやはり事業費の確保を図っていかなければならないと思っております。
  19. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、地域人たちと値段や何かで折り合わないのじゃなくて、事業量予算が足りないために八〇%しかいってない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  20. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 基本的にはそのように御理解いただいて結構でございます。
  21. 小川仁一

    小川仁一君 そうすると、地役権問題というのもその問題にかかわってくるわけでございますが、これをちょっと今計算をしてみました。今まで三百億ぐらい使っている、千三百億かかる、三で十三を割ってみますと、あと四十年ぐらいかかりますね、この計算でいきますと。建設省のお仕事はなかなか遠大な理想的な計画をおつくりになりますけれどもあと四十年もかけて完成させる予定ですか。それともこれを進捗させるための方途というのはお考えのことでございましょうか。
  22. 陣内孝雄

    政府委員陣内孝雄君) 建設省といたしましては、二十一世紀に向けて国土建設長期構想というのをつくっておりますが、その中では、安全で住みよい活力のある地域社会をつくるために治水事業につきましては二十一世紀当初に直轄事業を概成したいというようなことを考えておるわけでございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、残事業を現在の六十二年度の予算で単純に割りますと三十年近くかかることになるわけでございますが、私どもとしましては、国土建設長期構想に少しでも早く近づくような努力を今後傾注してまいりたいと思っております。
  23. 小川仁一

    小川仁一君 どうも完成まで三十年というのは、私にするとちょっとこの目で完成を見るのが不可能な状況でございますが、大臣、今内需拡大あるいは公共事業の前倒し、いろんな形で景気浮揚策が行われております。道路をおつくりになるのもたしかその一環だと思います。遊水地事業を早めることによって同じような効果が出てくると思うんです。  ところが、この遊水地あと三十年かかりますと、その間における非常に多くの水害冠水状態がその地帯に出てまいりますから、国家経済からいっても地域経済からいっても住民からいってもマイナスの連続なんです。そうしてまいりますと、実は遊水地のようなものは、金はかけているけれども、三十年もかかってその都度損害だけ出していくというふうな非効率的なやり方というのはいかがかと思われるんです。何とか三十年の期間をもうちょっと早めるわけにはいかぬでしょうか。そうしなきゃ、幾ら金を注ぎ込んでも、注ぎ込んだ金の分だけ片っ方から財産や何か流失していく、あるいは水害で損をする、全然内需拡大なり経済地域振興なりというふうな意味が存在しなくなるような感じがするんです。ひとつ私は、道路の方をちょっと抑えてもこういう種類のものの方を重大視し先行すべきだ、こんなふうに考えますが、この機会に先見的卓見のある大臣のひとつ御感想をお伺いしたいと思います。
  24. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) それほど先見的なものは持っておりませんが、私随分長い間公共事業を担当しておるのでありますが、三十年ばかりやっているわけですが、一番の悩みは河川行政なんです。それで、どういうものか河川行政に対する予算の獲得が非常に難しいという実態なんです。これは、結論から言えば我が党の中での話し合いでございますが、そういう点で道路の方は何とか特定財源をつくることができました。  それで、特定財源をつくっていいか悪いか非常に問題があるわけです。特定財源一般会計のプラスアルファだという約束でやったのが、今になったら一般会計一銭もなくなっちゃって特定財源ではかりやっているということで、何か大蔵省の下働きを我々がやらせられているような感じがしまして非常に不愉快なんでございますが、それは別として、河川行政を伸ばすのには、縦割行政の中で公共事業の費用の分担も、過去の慣習というか慣例というか、そういうのでなかなか分け合うことが非常に難しいものでございます。  そこで実は、御存じでございましょうが、一昨年、昨年とかかりまして特定財源幾らでも出してひとつこれに回そうというのでやったところが、猛烈な反対を食って廃案になったというような現状でございますが、今おっしゃるとおり、工事を進めれば両方で利益が出るわけでございます。政府にも利益が出るわけでございますから、そういう観点で何らかの措置をして、根本的には河川行政全般ですから、今御意見のある北上川一関地域という問題ではなくて、我が国の河川行政全般に対する要するに力を思い切ってつけるように努力をいたしたいと考えております。  夢のような話をするようでありますが、今調整をして特定財源、何か基金でもつくってなんというところに落ちついているようでありますが、そんななまはんかなことでは仕事になりませんから、それにはやはり特定財源をより多くつくって、そうして始末をするというふうな格好以外は今の段階では始末しようがないんじゃないかと考えております。  ただし、昨年度の補正からずっと今年度の当初あるいは今年度の補正絡んで、河川関係にはできるだけ多く予算を回していることは事実でございますが、そんな小手先だけをちょっと器用にしたぐらいでは根本的な改革には至りませんので、その点につきましては私どもの方でも何とも申し上げられません。一生懸命努力して御期待に添うようにいたしますと言う以外に答弁の結論はないわけでございますが、その点御理解願えればありがたい幸せだと思います。
  25. 小川仁一

    小川仁一君 確かに河川行政は、道路その他あるいは岩手県の海岸の漁港とか、そういうものに比べると大変おくれている。そして、今回の水害調査を行いましても、ほとんど河川改修の問題が各地域で出てきます。災害関係についてはあすの災害特別委員会でお聞きしますから、きょうは遊水地問題に限るわけです。これも災害関係ありますけれども計画事業でございますから、あそこが実は遊水地その他の事業によって水を一定量確保することで、逆に宮城県側の穀物地帯といいますか、農作地帯へ非常に大きな影響も与えるんです。あれをどんどん流しちゃったら宮城県の方が大洪水になって、石巻からあの中心一帯農作地は大洪水になってしまう。だから、逆に言うと日本穀倉地帯である宮城県のササニシキ地帯を守るために一関犠牲になっているみたいな格好なんです。伊達政宗一族ですからあすこは我慢しているかもしれませんが、それはそれとして、ぜひここをやってもらわないと、これは一関だけの問題じゃないんです。下流域宮城県にかかわる大きな問題でもございます。日本の農業という観点から見てもぜひこれは御努力を願いたい。  実は、この仕事が出たころ、私はこれ反対だと言ったんです。狐禅寺ぶち抜いて下へ流せ、こういう意見だったんです。しかし、その後社会党いろいろ調べてみましたら、狐禅寺のところは水底が高いわけですから無理だ、じゃ、これは大堰堤をつくってやらなきゃならないというので、むしろ逆に積極的になったわけです。地元も、仕事を始めたらさっさとやってくれという印象なんですね。もう十五年もたって、あと三十年もかかるというと、大体その時代のことを知っている人が一人もいなくなった時代完成するのじゃ、これはやっぱり幾ら何でものんびりし過ぎる。その間に総理大臣何人がわるだろうかと勘定してみましたら、今までで既に三、四人がわっていますから、もう少したつというと、あと十人程度もかわるかもしれないというような状況では、これでは国民の信頼をつなぎとめる政治にはならないと思います。  大臣お話を聞きました。ぜひ河川関係に対する積極的な御努力を、そして河川改修行政がどんなに大事なものかということをぜひ脚力説願いたいじ、特に一関のこの遊水地の問題は宮城県側に対する大きな影響もございますだけに一層の御努力をお願いいたします。これは地元被害に遭っている一関市民の切なる声でもございますから、大臣並びに河川局長含めて御理解をいただき、御努力を願いたいと思います。  お願いを申し上げるだけで恐縮ですが、次に法案の方に入らせていただきます。  今度の国幹道法、この追加をして路線をおつくりになる高規格道路計画図というのをこの前いただいて、黒い色があってそれが既定、それから新しく高規格道路国幹道になるのを青い道路、それから新たな高規格道一般国道自動車専用道路を薄い緑で色分けをしてもらいましたが、これは国土庁四全総の中に、多極分散型国土の実現、地方圏発展のための全国的ネットワーク形成定住圏構想理念のさらなる発展などと位置づけられておりますが、こういう理念の中で幾つにも分けながら路線を追加していったということの理由といいますか、性格づけといいますか、そういうものをちょっと国土庁の方からお伺いしたいと思います。
  26. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、四全総地域間の分担連携関係の深化を図ることを基本といたします交流ネットワーク構想を推進することによりまして、多極分散型国土形成を目指すということにいたしております。ですから、地域間交流の基盤として交通体系整備は極めて重要な位置づけを与えられておりまして、交流ネットワーク構想幾つかの柱の大きな一つとして、基幹的交通体系整備目標にいたしております。特に交通体系に関しましては、全国一日交通圏構築等整備目標として明示いたしておるところでございます。
  27. 小川仁一

    小川仁一君 こういう高速道路を含む、さらに飛行機鉄道、こういったような全国的な総合的な交通体制といいますか、交通体系といいますか、こういうものがこういう計画の前提にあると思うんです。道路だけをお考えになったわけじゃない、そういう総合的な交通手段総合交通体系というものは、どのような機関でどういう形で検討されて道路問題というふうな形でここへあらわれてきたのか、お聞かせ願いたいと思います。
  28. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 交通体系は、道路網のほかに鉄道網、それから空港整備による空の整備あるいは地域のバス、自動車等を活用した地域交通体系、それらすべてを含めて総合的に交通体系整備しようという考えでございます。その中で各交通機関の特性に応じまして、相互に補完的なシステムとしてそれぞれの役割を位置づけて、道路につきましては中距離あるいは長距離の高規格幹線道路を、これまでの主として国土を縦断的に整備してまいりました道路網に対して、さらに横断的な道路網をつけ加えていくということにして全国ネットワーク化を図っていこう、こういう考え方でございます。
  29. 小川仁一

    小川仁一君 私がお聞きしたのは道路の方じゃない。総合交通体制というものを考えた中として道路が存在する、したがってその総合飛行機鉄道も含めたような交通体制をどういう機関でどのように調整し、どのようにつくり上げられているのか、それの組織あるいはそういうものを話し合うような場所は一体どこなのか。それが国土庁なのかあるいはどこなのか、これをお聞きしているんです。
  30. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) それぞれの交通機関整備はそれぞれの主体問調整により進められていくと考えておりますが、その総合調整機能国土庁にあるというふうに考えております。
  31. 小川仁一

    小川仁一君 じゃ、さらにお聞きしますが、国土庁が責任を持って運輸省鉄道網考え方とか飛行機のこれからの発展のぐあいという総合的なものをおつくりになる場所だとして、運輸省はこの道路網鉄道路線の新幹線整備問題なんかを含めての問題でどういうふうな御見解がございましたか。
  32. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 今回の四全総におきましては、もちろん運輸省あるいは建設省のお考えも取り入れて総合的に調整された結果として構想を示してございます。
  33. 小川仁一

    小川仁一君 私が聞いているのは、運輸省飛行機鉄道関係道路網の接続についてどういう御意見がございましたかと聞いているのであって、あなたの方が調整したということを聞いているのじゃない。あなた方がこれを持っていった運輸省意見を聞かしてください。
  34. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 運輸省所管鉄道あるいは空港整備とそれから道路網とは相互に有機的な補完関係を持って、そうして高速交通体系全国一円を覆うように構築していこう、こういう考え方運輸省考え国土庁考えも一致していると思います。
  35. 小川仁一

    小川仁一君 お答えが余り的確なお返事ではないようですから、そこはやめますが、私考えるに、この道路を見てみましても、四全総が言っているような形ではなくて、東京集中ですな。特に鉄道あるいは飛行機というふうなものはやっぱり都市集中型になっているわけです。同時に、この路線東京へ直通はしていますが、しかしこれはかなり道路の方は地方へネットワーク的なものとしてつくられている。  見てみますと、例えばここに鉄道路線があるから道路は高速化しなくてもよかったのかなと思ってみたり、あるいは空港がこの地区にできるあるいはヘリポートがこの地区にできるからこっちの高規格道路はなくてもいいのかなと、こんなふうに自分なりには考えてみましたので今みたいなお話をお聞きしたのですが、航空会社もそれから鉄道も今や民間で、民間利益中心にした路線で、それは公共性をある程度否定をして、利益が上がらない線はこれは切って捨てていくわけで、地方路線は廃線されているわけです。だから、それを補うためにもこの高速道路というのが必要なのかなと、こう考えたりしながら私なりに聞いている。  私は、実は運輸省は一体地方交通路線なんというものに対するどういう考え方を持ってこの総合体系に臨んでいるのかということを聞きたかったわけです。運輸省をお呼びすればよかったんですけれども調整官庁があなたのところだというから、運輸省意見をと、こう言ったんですけれども、的確な御返事がありませんでしたからやめますが、希望として申し上げます。  今後、道路網あるいは鉄道網あるいは空港、こういったようなものは国土庁が本当に総合的にやろうというなら、一つのプロジェクトみたいなものでもつくって本気になって検討しないというと、何だあっちは鉄道も通り高速道路も通っている、おれの方は何にもないといったような国民の不満も出てくる。あるいはこの鉄道路線が廃止されるかもしれないからここへ高速道を国の費用でつくってくれないか、こういう希望もあるかもしれない。そういうものをやっぱり総合的に検討する総合交通体系の確立機構をぜひお持ち願いたい。きょうは国土庁長官がお見えになりませんけれども、長官にかわるべき人ということでございますから、こういう構想考え方について国土庁はどうお考えになるか、私の希望に対する御感想をいただきたい。
  36. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 相互交通機関が補完的な形でうまく全体として全国土を覆っていくように十分な調整がなされるべきだと考えておりますし、先生のおっしゃる方向で努力してまいりたいと考えております。
  37. 小川仁一

    小川仁一君 これは建設大臣もお聞きになっていたと思いますが、今後ひとつ国土庁さんを助けてと申しますか、総合的な交通体系の確立というものをあらゆる視点からお考えになるようにお願いをしておきます。  さて、この国幹道あるいは高規格道路、こういったようなものが既に予定されている線があるわけでございます。しかし、まだ全然手がついてないと言うと語弊がありますが、計画だけで実施されていない地帯があるんですが、そういう地域に今度新しい路線を加えて進めてまいりますと、大体あと何年ぐらいでこれが全体的に完備していくという計画になるでしょうか。
  38. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 今回全体として一万四千キロメートルの高規格幹線道路網計画を策定したわけでございますが、現在その中で供用しておりますのが高速自動車国道、国幹道として約四千キロございまして、これから一万キロの高規格道路をつくっていく、そういうようなことになります。  現在の道路公団におきます国幹道の整備進捗状況等を勘案しますと、今後やはりそれをかなり努力して年間二百五十キロぐらいのペースにこれを拡大する、あるいは一般国道の自動車専用道路分につきましては直轄で建設省がこれを担当するというふうなことを含めまして考えますと、やはりこの一万四千キロの全体計画完成するのは今後約三十年かかるというふうに見込んでおります。
  39. 小川仁一

    小川仁一君 さっきお聞きしたのも三十年、今度も三十年。遠大な計画、決して悪いことではございませんが、しかし計画倒れになるという可能性もあるわけですから、これはもうちょっと期間を縮めるというふうな努力を一層お願いしておいて、次に具体的な道路問題に入ってみたいと思うのです。  この道路計画図というのを見ておりましたら、ちょっとこれ不自然だなと思うところがあるんです。二つのケースに分けることができます。  一つのケースを申し上げますと、例えばいわゆる四全総で言うところの中核都市あるいは地域振興の拡大という形からいいますと、どうしてもそれぞれの県の県庁所在地というのがその地区の中核都市でございます。ですから、この中核都市、そこへ一つの経済の振興を考えてまいりますと県庁所在地を結ぶことが大事だなと思って見ていたんです。そうしたら、この路線でいいますと、盛岡と秋田、それから熊本と大分、この県庁路線だけが迂回路を通らなきゃ行けないようになっている。あとの県庁所在地間の道路はつながっているんです。これはどう考えたらいいのでしょうか。
  40. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 先生御指摘のとおり、この県庁所在地間をつなぐということは大変重要だということは十分私どももわかっているわけでございますけれども、個々の例としてお答えいたしますと、今御指摘の秋田−盛岡間につきましては、秋田と東北自動車道を結びますいわゆる横断自動車道の秋田線が現在事業中でございます。したがって、若干は遠回りになりますが、少なくとも東北縦貫自動車道を使って盛岡と連絡することができるという点が一点と、それからもう一つは国道四十六号線、これは大変重要な国道でございまして、現在鋭意事業整備をしている路線でございますので、その整備を急ぐということによってこの両県間の連絡を強化したいと考えておるわけでございます。  それから、当然のことながら、先ほど三十年かかるというふうな御指摘も受けましたけれども、やはりこの計画の全体規模の一つの制約条件もございますので、そういった観点からこの秋田と盛岡の場合には今回に限ってはこの計画の対象外とする、そういう理由でございます。
  41. 小川仁一

    小川仁一君 大分−熊本のことも申し上げましたが、まあいいです。お答えは同じようになると思うんですが、しかし非常に不自然さを感じるんです。なぜこの隣県の県庁所在地だけが結ばれないだろうか。あとの県を見てみますと、四国の高知と松山、あれは非常にすごい山がありますから無理だろうと、こう思いますがね。  それで、これは初めから一万四千キロメートルがありきということで引いた地図ですか。それとも、いろいろ考えて引いたのが結果として総計一万四千キロになったのですか。
  42. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) このネットワークを策定する場合に、基本的な考え方といたしましては、現在の七千六百キロの既定の国幹道を計画する場合、これは昭和四十一年に今の国幹道になっておりますから二十年前でございますが、そのときに全国の各地から、半島と島嶼を除いて、二時間ぐらいでその高速自動車国道のインターチェンジに行けるようなというようなことで大まかなそういったネットワークができておるわけでございます。  今回この高規格幹線道路網を策定するに当たりまして、先ほど国土庁の方から御説明ありましたような多極分散型の国土形成するに必要なネットワークにするというようなことから、二時間では一日日帰り圏ができないということで、おおむ ね一時間で日本の各地域から高速自動車国道に行ける、国幹道に行けるというようなことでネットワークを出したわけでございます。それが大体一万四千キロ近い規模になったことが一点と、それから先ほども申し上げましたけれども、やはりこれを将来的に建設する実行可能な規模というようなことから考えまして、それが一万四千キロぐらいだろうということで、両方から持ってきたわけでございます。  つけ加えて説明させていただきますと、実は三全総の場合でございますけれども、これは昭和五十二年十一月に閣議決定されましたが、そのときには一万キロというようなことで提言されておりまして、私どもも一万キロというようなことでいろいろ考えてきましたけれども、今言ったような理由から当然一万キロじゃ足りないということで、それを拡大しまして一万四千キロにしたわけでございますので、最初から一万四千キロありきということじゃなくて、そういったネットワークをつくっている過程から、一万四千キロぐらいが必要だし、それから欧米諸国の方との現在の整備水準とも比較してこの辺が妥当だなということで、両方から一万四千キロというふうな規模が決まった経過でございます。
  43. 小川仁一

    小川仁一君 一万四千キロありきではなくて、計画過程でそういうふうになっていった。  また四全総を引用して大変恐縮ですが、四全総の中に「国内幹線交通体系形成」という中の「(幹線道路)」というところで、「主要拠点間の連絡強化を目標とし、地方中枢・中核都市、地域発展の核となる地方都市及びその周辺地域等からおおむね一時間程度で利用が可能となる」一万四千キロ、こう書いてある。ですから、今のお答えもある程度この中にありますけれども、問題は、東京集中をした四全総第一次試案というのは地方からえらい反撃を受けまして、もう国土庁としても四全総書き直さざるを得ない少々哀れな格好になったわけでございます。こういうのを見てまいりますと、地方に思い切った政府機関、機能あるいは経済機関、機能というものを分散しなければならないというのも、この東京集中に対する批判としてあらわれてきています。  そういうことを考えてまいりますと、東北はまだまだそういう意味における開発の余地がある地帯、そういう地帯で秋田−盛岡間が入らなかったということは、私はそういう幾つかの観点から見て基本的に問題があると思う。  それから、具体的に申し上げますと、秋田−盛岡間の四十六号線、非常に重要な線だとおっしゃっています。非常に重要なんです。これは秋田市内の方々から伺いましたが、新幹線は盛岡でとまっている、夜はもう八時以降はJRはつながらない、朝は秋田から列車で来ると午前九時以降の汽車でなきゃ乗れないという格好になりますから、まず人の交流という部分では、四十六号線を利用している人たちは、秋田市でいえばどうしても九〇%以上こういう状況です。これが大曲から一帯の人たちが盛岡に入ってきますから、非常に利用量が多い路線でございます。  同時に、あの沿線には小岩井農場、田沢湖、こういった観光地がございまして、春夏秋というのは大変な車の列の渋滞が続きます。冬はといったら、田沢湖高原スキー場とそれから雫石スキー場、これはオリンピック招致をしようかというほどの規模のものでございますから、冬も大変な車の列なんです。それだけに私は、ここが高規格道路の対象になって一つもおかしくないじゃないか、地方都市分散から交通事情からいいまして。それで、初めに一万四千キロありきかと聞いたら、そうじゃなくて、いろいろお考えになってここをこういう案をおつくりになったということでございますが、その考えの中には三十年の間に見直しもできるのじゃないかなというふうな印象を率直に感じたわけであります。  したがって、どうでしょうか、この四十六号線、思い切ってここに高規格道路をつくる。これは横手北上線よりも工事は楽だと思うんですが、これは北東北新幹線、現在の最終点盛岡を中心にした、秋田、青森を含めて非常に大事な路線になると思うんですが、この三十年の間の見直しの中でこれを高規格道路あるいは何かにするお考えはございませんか。
  44. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高規格幹線道路網計画は現在つくったばかりでございますけれども四全総計画期間が昭和七十五年となっておるわけでございますから、またそういった時点で全体のそういった見直しもあろうかと思いますし、少なくとも現在まだ秋田線を工事中でございますので、私どもといたしましては、とにかくその秋田線を一日も早く完成させる。それによって今秋田の人が、新幹線ですと今度は花巻から釜石まで延伸することになりますから、花巻インターで当面は新幹線を御利用できるのじゃないかということでございますので、今私どもとしてはそういった見直しも将来のことだろうと思いますので、秋田線の早期完成を目指す。  それから、今御指摘がございました四十六号線につきましては、盛岡西バイパスを初め各地において事業をしておりますので、そういったものの完成を急ぐということで当面対応させていただきたいというふうに考えております。
  45. 小川仁一

    小川仁一君 十五年間の四全総、さらにいろいろ御検討あると思いますが、私は今盛岡−秋田間だけの話をしました。というのは、あそこがよくわかっているからなんですね、正直申し上げて。ただ、少なくとも地方の県庁所在地と県庁所在地を結ぶということが地方の振興ということを考えていただく道路網なら非常に大事だというふうに申し上げまして、三十年の間あるいは十五年終わった後、見直しの可能性があるのか、それはその時点になっていかなきゃわかりませんけれども、一万四千キロというものはきちっと固定したものじゃなくて、そういう過程の中で見直しの可能性があるのかどうか、国土庁からもお聞かせ願いたいと思います。
  46. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) この一万四千キロの構想は、二十一世紀初頭、六十年から約三十年間を見通した長期構想でありまして、そうした展望に立ちながら四全総は二〇〇〇年を目標にした計画でございますので、当然二〇〇〇年時点ではまたその時点の経済社会情勢、諸般の情勢を踏まえて新たな計画策定ということになりましょうし、また二〇〇〇年に至る過程におきましても、実は国土審議会から四全総の案について報告をいただきました際に、実施に当たって留意すべき事項として、「計画の内容を硬直的に考えることなく、時代の変化に対応し中間時点において適時見直しを行うこと。」、こういう御意見をいただいておることでもございます。まだ四全総自体は発足したばかりでありますから現在見直しを云々するのは早過ぎると思いますが、中間時点の見直しの可能性はあると考えております。
  47. 小川仁一

    小川仁一君 もう一つ不自然な点があるんですよ、それは、これも岩手県なんですが、久慈と宮古の間が一般国道の自動車専用道路がとぎれているんです。それから、鳥取と豊岡ですか、この区間もとぎれている。あとのところはみんなつながっているんですが、何でここだけぽつんととぎれたんですか。二カ所、不自然さというものを非常に強く感じるんです。岩手県の場合は、これはやはり政治力の不足がななどという話が出たり、過疎県だからというひがみが出たり、いろいろあるわけですね。何でここだけつながないんですか。ちょっとした距離でしょう、これ。一万四千キロありきじゃないんだから、ここをつないだって何ら不思議はない。極めて常識的な質問です。
  48. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) この日本地図でごらんになりますと確かにそういう感じがするわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この一万四千キロといいますか、この高規格幹線道路網計画する場合に、一時間で高速自動車国道のインターチェンジに到達できるようにしようという観点からまず始まったことが一点と、それから前回の三全総でも一万キロというような規模で提唱されたわけでございますので、これはちょっと御説明が逆になるかもしれませんけれども、一万キロでは到底それが満足できないということで延ばしていって一万四千キロになったという結果が一つございます。  それから、このあいている区間につきましては、現在、高規格幹線道路網以前の国道の改良自身が大変おくれているということで、一次改築と申しますが、まだ未改良なところを国道でバイパスをつくったりあるいは現道を拡幅しているというような状況でございまして、そういう事業をとにかく進展することが先決という考えと、それから将来交通量的にも、高規格幹線道路網で大容量のものをつくるまでは、現在の計画期間の中ではなかなかならないであろうというようなことをいろいろ総合判断をしてやった結果がこうなったわけでございます。  もっとありていに申しますと、一万キロ時代ですともっとあいているところがたくさんあって、何とかこれを詰めていったというようなことが私どもにありまして、結果から見ますと大変先生御指摘のようなことがあろうかと思いますけれども、策定の経過でございますと、もっとあいている区間が大変長くて、何とかしようというようなことでいろいろ各県の方と御相談しながら延ばした結果ということも御理解いただけると大変ありがたいと思います。
  49. 小川仁一

    小川仁一君 理解ちょっとできないんです。ひどく不自然なんです。  さっき申し上げた県庁所在地間のつながりが二カ所ない。今度は切れたところが二カ所、これをつないだらどれくらいのキロ数になりますか。
  50. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) この間は約九十キロでございますが、そういったところは全国まだたくさんございまして、これを恐らくやると一万キロ以上になると思います。例えば北海道ですと、海岸線についてはほとんどそういう考え方ではなくて、国道の整備で御勘弁願っているわけでございます。四国におきましても阿南から安芸の間は、これはずっと国道五十五号線というのがございますけれども、これも今言ったような考え方でここで切らしていただいているようなことでございますので、そういった考え方全国をやらしていただいているわけでございます。  これを全部入れますと恐らく一万四千キロが二万キロぐらいな大台になりまして、先ほど三十年でもかなり先のことだという御指摘がなされまして、実はこんなにたくさんするから三十年だというようになるので、もっと短くといいますか、きちんとした実行可能なものにしろというふうな御意見も実は承っているわけでございますので、そういった観点からこの規模にとどめさせていただいたという実情もあるわけでございます。
  51. 小川仁一

    小川仁一君 いろいろ事務局には御事情もあったと思うんです。ただ、こうやって地図を見ますとこの二つの県庁所在地間がぽつんとあいている。しかも三陸の場合、三陸縦貫道ということで私が考えるのは、福島県の方からずっと上がって仙台に来て、そして八戸に出ているという縦貫道がつながった方がやっぱり行政として常識だろう、こう思うんです。だから、やっぱり逆の行政も、そんなに大したキロ数がなかったら、今回やれと言ってもなかなか法案で出してしまったから難しいだろうと思うけれども、三十年の中でつなげていく、余り不自然さがないという格好で見直していけるような方向で物を考えていただく方がいいじゃないか。  こう見てみますと、裏日本は豊岡と鳥取のところでぷつんと切れている、表日本の海岸の縦貫道がここでぷつんと切れている、こういう不自然さをなくすのがいいじゃないかと思うんですが、大臣、三十年もこんな話をしちゃいけませんが、どうでございましょうか。この不自然さをひとつ解消する方向での御努力はいかがでございましょうか。
  52. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 地元としては当然なことだと思います。  まず、こういうことを申し上げては恐縮なんですが、三陸縦貫道の方はこれだけ入ったのは大成功だと、私はそう思っているんです。私は東北地方に比較的理解があると思っておりますが、そういう点でも三陸は今度の場合、いろんな客観的な状態からいって入れることは難しいのじゃないかと思ったんですが、大体においてある程度御満足のいく程度の線だけは確保できたということでいる段階でございます。  ただ問題は、ここに記載してあるとおり、この三陸の方は建設省直轄でやります。その二千三百キロの中に入っている道路でございます。それですから、弾力性はあると思いますし、工事の進行の状態において何とかできるのじゃないかというような感じもしておりますが、これは来年度の予算で私大臣にとりましては一番大きな問題なんでございます。今の一万四千キロのうち二千三百キロは建設省でやります。それ以外のものは道路公団でやりますから、これの進行を速めるためには、早く言えば財政投融資を多くとればできるわけですから、この方は大体予定どおりいくと思っております。ただ、残りの二千三百キロというのを私は年間百キロずつやりたいと、今の予算、この間暫定予算を組む場合においてもこの問題は最終的の問題にしてございます。  ここで申し上げる段階のものでないかもしれませんが、年間百キロずつやりますと大体三千億になります。この予算が今までの道路特定財源の中から出すということになりますと、一般会計から出ている金ではありませんから、道路に対する仕事がうんと減るわけであります、これを来年度からこの道路の着工をするためには、その二千三百キロ、いわゆる年間百キロずつの予算は、これは当然特定財源以外のものから取るという話し合いをやっております。  そういう関係で、あるいはこの道路の方が進捗率が早くいく可能性もないわけではございません。今ここで積み立て変更すると言えばキロ数に影響も出てきますし、なかなか容易ではございません。三陸海岸の観光資源というものを私は十二分に承知しているつもりでございますから、そういう観点でこの問題をなるだけ早い機会にといっても私の息の続いているうちにできれば大変結構だと思っているのでありますが、御期待に添うような格好に持っていくふうに努力をいたしたいと考えております。
  53. 小川仁一

    小川仁一君 ありがとうございました。  不幸にして岩手県のところが二つともこう問題点が出たわけで、つい地元利益誘導的な質問になりましたが、これが福島のところでぽつんと切れておりますと、これはやっぱり私が同じことを言ってもお答えの印象が違ったり、あるいは群馬県のあたりで切れておったりすると、やっぱりこれは問題になったりするだろうと思うんです。私が申し上げているのは、地元の問題も率直にあります。しかし、不自然さというふうな感じが率直にしたのであえて申し上げましたから、その点いろいろお話があって了解というところまではいきませんが、頑張っていただくというので安心しました。  そこで、今度はこういう事業を始める場合の事業の起点といいますか仮に、岩手の話をして恐縮ですが、一つは釜石−花巻の高規格道路あるいは宮古から仙石のこの高規格道路というふうな場合に、今地方地域経済の非常に落ち込んでいるところがあるわけです。釜石なんかその最たるものです。そうしますと、仙台から事業を始めるという形をとらないで、スタートを釜石からするとか、そういう地帯全国幾つもあると思いますから、不況地帯経済的に非常に困っている地帯仕事の拠点といいますか、スタート地点にしていただいて、そういう地帯からこの道路網の着手をしていただきたい、こう思いますが、これはどうでしょうか。
  54. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 私ども道路整備に限らず、公共事業を執行する場合に、先生御指摘のように、最近の貿易摩擦によります不況地域全国随所に出ているわけでございますので、そういったところに現在重点的に予算配分するようにしているわけでございます。  現在、この高規格道路につきまして、これは大規模でございますから着工に若干の時間がかかりますけれども、特に一般国道の自動車専用道路として着工するものにつきましては比較的弾力的に着工できるという面もございますので、今御指摘のように、不況地域でそういった高規格幹線道路計画があるところは、調査の熟度に応じてそういったところから重点的にやるようなことについて今後十分検討してまいりたいと思います。
  55. 小川仁一

    小川仁一君 ぜひ今の考え方を実施してもらいたいと思います。  これは岩手県出身だから釜石を引きましたけれども、釜石以外にも不況地域があります。この道路工事起点、スタートをそういう地域にやることによって、そういう地帯の失業者とかあるいは中小の業者というふうな形の人たちに一定の潤いを与えてもらいたい。  なお、つけ加えて要望いたしますと、一つの何々組というのが入ってまいりまして仕事を始めますと、鉛筆から伝票までみんな本社から来るんです。地元からはくぎ一本買わない。これじゃ、せっかく始めてもらっても、地元に何がおりるかといえば野菜を買ったのと米を買ったのだけがおりる、こういう格好になってしまうんです。これは、民間会社に鉛筆を地元から買えと言うわけにはいかないでしょうけれども地元で調達できるものは地元で調達するようにというふうな御指導があれば、こういう不況地帯については大変救いになるのではないか。それは鉛筆一本がどうこうとは言わないけれども、鉛筆一本でも買ってもらいたいというのが現実の不況地帯の気持ちなんです。こういうことはぜひお酌み取りいただきたいと思います。  それで、これを終わりまして、今度は全く地元問題に入りますが、さっき四十六号線のお話がありました。四十六号線、これは大変重要な路線だとおっしゃいました。事実、春夏秋冬、観光地とスキー場の関係で猛烈な渋滞でございます。これを思い切って拡大し、そして渋滞をなくするような拡幅計画というふうなものをお考えいただいておるでございましょうか。
  56. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) それでは、御指摘でございますので、一般国道四十六号線の現在の整備状況について御説明をさせていただきたいと思います。  一般国道四十六号線は、盛岡市から秋田市に至ります約百十三キロの主要幹線道路でございますが、特に今御指摘の交通混雑の著しい盛岡市西部におきまして盛岡西バイパス、稲荷前道路事業を進めているところでございます。  盛岡西バイパスにつきましては、全体四・七キロメートルのうち、現国道から雫石川を渡河し、県道盛岡鶯宿線に至る約一・六キロ区間の用地買収を現在進めております。第十次道路整備五カ年計画内に供用を図るべく努力をしてまいりたいと考えております。それから、残る区間につきましても、盛岡南部地区の都市開発整備計画がございまして、これとの調整を図りながら逐次事業を進めるということにしてまいります。  それから、次の稲荷前道路につきましては、全体四・六キロございまして、昭和六十二年度までにバイパス部三・七キロメートルを供用する予定でございます。昭和六十年代の半ばまでには全線完成を図るように事業を促進してまいる予定としております。  それから、稲荷町から田沢湖付近に至る区間につきましては、先生御指摘のように観光時期に大変交通量が多いという状況もございますので、交通混雑の解消等のために線形改良等、今後調査し、事業を進めてまいりたい、そういった考えで今四十六号線の整備を進めているところでございます。
  57. 小川仁一

    小川仁一君 この道路の渋滞あるいは重要性をおわかりいただければ、高規格道路の方の話をしましたけれども、それはそれとして、これの充実というものをぜひお考え願いたいんです。これが今、宮古から盛岡へ行きます百六号線と市内を通って接続しているんですが、盛岡の稲荷前、いわゆる西バイパスとそれからこの百六号線、これとをつないでいただきますと市内の交通渋滞が非常に緩和するんですが、そういう計画なりお考えはございましょうか。
  58. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) ただいま御説明いたしました盛岡西バイパスは直接百六号とは連結をしない予定になっておりますけれども、御指摘のように、百六号との連結について今後調査検討を進めてまいりたいと考えております。
  59. 小川仁一

    小川仁一君 百六号線はまだ直轄になっていないんですか。国の直轄としてもらわないと、あの道路も大変難しい道路でございますので、まずこの百六号線の直轄という問題についてどうお考えか。それから、今言った百六号線と四十六号線は市内を通らないで接続していく、こういうことについて御検討いただいているそうでありますが、できるだけこの二つを早くやってもらいますと、現在、釜石から花巻、北上そして横手を通る高規格道路以上の交通量を持つ重要路線でございますから、高規格道路の対象には、さっき言ったように盛岡−秋田間は入りませんでしたけれども、今の路線を拡幅し、うまく接続して利用できる、こういう方向へかなり力を入れていただきたい、こう思うわけです。
  60. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 百六号につきましては宮古市と盛岡市を結ぶ重要路線でございまして、これは国が直轄代行を一部やりまして五十三年度に完了している路線でございます。それで今回、先ほど先生も御指摘のように、宮古まで三陸沿岸縦貫が延びているわけでございますので、それと宮古と盛岡を結ぶということでこの百六号の重要性が大変増してきたわけでございます。  この百六号について、これを指定区間に編入しろという御要望は岩手県を初め沿線の自治体の方々から大変強い要望が現在までに出ておりまして、私どもといたしましても指定区間への編入につきまして今後積極的に検討してまいりたいと考えております。
  61. 小川仁一

    小川仁一君 積極的な前向きの検討をしていただいておりますので、四十六号線並びに百六号線の直轄化、四十六号線と百六号線の市街地を通らない接続、こういったようなものが、これは国の一般財源を中心にする路線ですから、御検討をいただければ着手されるだろうということを前提に、ぜひ早期にお願いをしたいと思います。  同時に、この西バイパスを中心に盛岡のいわゆる盛南開発という問題が出ております。盛岡は古い城下町でございまして、都市の中を広げようなんといってももう限界がございます。たしか古いのでは昭和十三年の都市計画ができて、それがまた実施されないなんという、戦前からの都市計画も実施されない。城下町特有の、例えば十字路にいたしましても、かぎ十字みたいな形の十字路になっているあれを直すだけでも大変な話なんです。ですから、思い切って西バイパスのそばにある盛南開発地域をどんと開発をして、ちょうど秋田やなんかのように新しい市街地をつくっていかないと、盛岡という町はお金をかけた割合には開発ができない、こういう状況があると思うんです。この盛南開発の事業主体は地域振興整備公団、これの所管庁は建設省でしょうか、国土庁でしょうか。
  62. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 所管官庁は、私ども建設省でございます。  盛岡南地区、通称盛南地区と申しておりますが、その開発計画につきましては、地域振興整備公団によりまして昭和五十九年度まで調査が実施されてまいりました。その後、地元岩手県、盛岡市、それから都南村におきまして開発計画の詰めを行ってまいりまして、現在、昭和六十三年度事業着手ということで強い要望が地元から出ております。私どもといたしましても、六十三年度の事業化へ向けまして予算要求に取り組んでまいりたいと考えております。
  63. 小川仁一

    小川仁一君 それで、どの程度の六十三年度予算の概算要求をしておられるか、御説明できますか。ある程度の数字、例えば調査費とか用地買収費を含めてどの程度金額をというふうなことをお知らせ願えるでしょうか。
  64. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 初年度は、通常の例で申しますと一億台ぐらいの予算を計上することになっております。ただし、これはこれからのことでございまして、盛南地区の開発規模は三百二十ヘクタール、計画人口二万、事業実施期間は十五年程度を通常ですと予定するわけでございます。これからの積算でございますけれども、当初といたしましては概略設計の事業というものを予定しているわけでございます。
  65. 小川仁一

    小川仁一君 きょうは、自民党の建設部会で概算要求のお話が多分なされておると思いますし、地元紙やなんかでは一億五千万程度調査費と用地買収費が出ていると言っているし、国土庁の政務事官の工藤さんの、六十三年度は確実に物になるだろうなんという談話が出ているわけであります。幸か不幸か、今盛岡市長選挙の真っ最中でございまして、お互いにそれぞれおっしゃっておられるようですから、別に差し支えなければ、来年度の予算もう十一時から自民党やっておられますから明らかになっていると思いますから、この程度の概算要求をしたんだ、こういう内容なんだということを、六十三年度分、きちっとおっしゃっていただく方がつまらない混乱が起きないと思いますので、ひとつお話し願えればありがたいと思います。
  66. 北村廣太郎

    政府委員北村廣太郎君) 正確に申しますと、地域振興整備公団予算一括で調査費を計上いたします。しかし、地元の方でお話が出ておりますように、この箇所といたしましてはほぼ初年度一億五千万ほどの事業予算を必要とするであろうと私どもとしては考えております。
  67. 小川仁一

    小川仁一君 地元紙にこんな記事も出ているんです。(資料提示)むしろ建設省の方がこういうふうにやっていますよと言った方が功名手柄にならないような気もするし、それをだれがやったとかなんとかと市長選挙のネタにならない。また、建設省事業というのは、元来だれがやったからどうなったとかというものじゃなくて、その地域の必要性に応じて一定の予算を組むのだということが前提になるとすれば、一億五千万、調査費、用地買収費も一部入るだろうと思いますが、そういう計画で三百二十ヘクタールの盛南開発が行われるのだというお話があったということで私は一応了解をいたしておきます。そうじゃないと面倒だ。  それと、最後に申し上げますが、道路という問題について大臣はかなり哲学的なお考えを持っているようでありますが、私たちの年代になりますと、道路というのはやっぱり歩くというのが頭の中にあるんですね。今度の高規格道路は自動車専用路線ですからいいですけれども、一般国道その他多く場所がないんです。歩道がついていない部分、これがどれぐらいのキロ数か、どのくらいのパーセントかというものをちょっと調べてみましたら、歩道がついているのが三六%ぐらいというふうに私のところでは計算をしてみたんですが、大体そんなものですか。
  68. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 歩道につきましては、交通安全対策事業等でやっているわけでございますが、歩道の定義によりますが、大体四割ぐらいという、分母にもよりますけれども先生の御理解の程度のオーダーであったと思います。
  69. 小川仁一

    小川仁一君 東北は雪が降ります。車道を全部除雪をしていただきますというと歩道に山のように雪が積もるんです。そうすると、車様は悠々とお歩きになるけれども、人様の方は悪戦苦闘で歩かなければならない、何か本末転倒のような感じが、これは東北の人間として感ずるんです。しかし、ここ数年、歩道の除雪についても非常に建設省御苦労をいただいているということを歩いてみて実感でわかっておりますが、今後とも歩道をつけるということと歩道の除雪ということを特に東北ではやっていただきませんというと、逆に人は車道の方へ入って歩かなければならないという結果になります。ぜひこの点は今後計画の中に入れて執行していただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  70. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 歩道の除雪につきましては、今先生が御指摘のとおり、冬期車道の雪が歩道に上がりまして大変歩行が困難になるということもございまして、かねてから試験的除雪ということで歩道の除雪を行ってきたわけでございます。そういった必要性も大変高まっておりますし、実は第十次の五カ年計画の中で同時に雪寒地域の五カ年計画もつくるわけでございますが、その中で現在までやっております試験除雪、これを試験的じゃなくて、歩道除雪として位置づけてこれを進めていきたいという考え方で今五カ年計画をまとめている最中でございますので、先生の御趣旨に沿う方向で五カ年計画をつくってまいりたいと考えます。
  71. 小川仁一

    小川仁一君 もう一つ除雪と歩道について言いますが、学校通学路に当たる部分の歩道というものは急いでこれは実施をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  72. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) これは当然でございまして、歩道設置の場合には通学路最優先ということで、通学路の方から整備するようにしております。
  73. 小川仁一

    小川仁一君 ぜひ今の点、もし歩道をとる幅がなかったら、ガードレールですか、あれを入れるとか、こういう形で子供たちの保護ということはよろしく御配慮を願いたいと思います。  私たち、これから高齢化社会にもなります。そして、昔のように井戸端会議の場所もなくなればあるいは広場もなくなったものですから、つい道路でお年寄りを含めて、やあこんにちはといったような立ち話が行われているわけです。人間間の交流を含めて、歩道というものが実は人間のコミュニケーションに非常に役立っているという状況を私たち知ることができるわけですから、歩道については第一にお考え願いたい。生命を守る部分もあるし、今言ったように心の触れ合いをつくる部分もある。国道を話し合い場所、コミュニケーションの場所にしてはいけないかもしれませんが、そういう状況もあるということを考えて、歩道の広さその他を考えていただきたい。  それで、最後にお願いしておきますのは、道路建設に当たって自然保護とか文化財保護とか随分お考えをいただいており、ありがたいことだと思いますが、もう一つ、そこに住んでいる人間の暮らしから来る意向というものを非常に大事にしていただきたい。元来人間の生活を豊かにするために道路があるわけです。道路をつくることによって人間の生活が豊かでなくなる場合がある。この点は矛盾しているような感じですけれども、今後の道路行政の中では経済効率ということだけではなしに、人間それ自身の生活を豊かにするという立場からの住民の意向、住民の意思というものを十分聞いて道路建設をしていただきたいということをお願い申し上げて私の質問を終わらしていただきます。
  74. 一井淳治

    ○一井淳治君 今回の高規格幹線道路網が決定されるまでに各地からいろいろと高規格幹線道路に入れてほしいという要望が出ていたというふうに思いますけれども、この高規格幹線道路網から外れたのがどのくらいあるのか。でき得れば、地域ごとに何カ所、合計キロ数というものをお教え願いたいと思います。
  75. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 今回高規格幹線道路網計画の策定に当たりまして全国各地から要望が大変出ておりまして、約九千キロの要望が出ております。それで今回その中から、先ほど来申し上げておりますように、新しく六千二百二十キロを高規格幹線道路としたわけでございます。したがって、その約二千七百キロ分が今回高規格幹線道路の対象から外れたわけでございます。それで、これは要望でございますので、どの路線でき得るかということは非常に問題ございますけれども、何カ所かという御質問に対しまして、一応三十二路線、二千六百五十キロが今回対象から外れたということでございます。  それから地域ごとには、いろいろな地域間も通っておりますので分類をしておりませんので、ここでのお答えは御勘弁願いたいと思いますけれども、全体としては二千七百キロ、三十二カ所というふうに御理解いただければと思います。
  76. 一井淳治

    ○一井淳治君 道路が線引きと同一視していいかどうかわかりませんけれども、線を引くという問題は全体との関係がありまして、どうしても運、不運によりまして外されるというところも出てくると思います。外された地域につきましては、地域の均衡ある発展からのけものにされる、発展が困難になるというふうな非常に憂き目に遭うわけでございますけれども、外れた地域について今後どのように救っていくといいますか、例えばほかの国道の整備を優先するとかいろんな方法があると思いますけれども、どのような救済をなさっておいきになるのか。  それからもう一つは、高規格幹線道路網の法律を現在制定するあたりにもう見直しと言うのは失礼かもしれませんけれども、どういう時期が来れば見直しが可能になるのか、そのあたりの見通しについてもあわせて御回答いただきたいと思います。
  77. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 地元からの御要望にこたえられなかった箇所が先ほど申し上げたような三十二カ所であるわけでございますが、それは必ずしもそこの交通需要が少ないということじゃなくて、現在既に直轄として、先ほど三陸のときにも御説明いたしましたけれども建設省直轄で事業を進めているとか、あるいは他に代替路線があるというような、いろいろさまざまでございますが、いずれにいたしましても、そういった交通需要に対する要望が強いのは事実でございますので、高規格幹線道路網の採択にならなくても、それに代替する一般国道の整備につきましてはむしろ積極的に進めていく考えでございます。  それから、見直してございますが、これも先ほど来御審議がなされているわけでございますけれども、一応これからスタートするわけで、昭和七十五年にどういう状況になっているかというのはなかなか推測しかねるところでございますが、そういった四全総等を見直しするような時期におきましては、建設省といたしましても、そのときの進捗状況とかあるいは交通需要の変化、地域計画の変更等もございますと思いますので、そういうものを総合判断して恐らくそういった見直しも行うことになろうかと考えております。
  78. 一井淳治

    ○一井淳治君 この高規格幹線道路道路網をつくっていくために今後毎年どれくらいの予算を投入しておいきになるのか。そして、この財源確保が将来ずっと可能なのかどうか。特に、三十年というふうなことが言われておりますけれども、これを少しでも早める方向で財源を拡大していくことはできないのかという点につきましてもちょっと御説明を願いたいと思います。
  79. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高規格幹線道路一万四千キロの整備につきましては、現在四千キロ供用しておりますので、約一万キロを今後整備していくことになります。その一万キロの事業費は、現在の総計ですと約三十六兆円ということになります。単純にこの三十六兆を三十で割りますと約一兆二千億円ぐらいの建設費が必要になるわけでございますが、現在、昭和六十二年度におきましても、高速自動車国道、本四あるいは一般国道の自動車専用道路に投資しております事業費が約一兆二千億円ございますので、投資規模といたしましては、現在の規模を守っていけば何とかできるのではないかと考えております。  ただ、財源面につきましては、先ほど大臣がお答えいたしましたような特定財源との関係があることは言うまでもないことでございます。六十三年度の概算要求で今考えておりますのは約一兆四千億円ぐらいということで、ことしよりもふやしております。  それから、この三十年が大変長過ぎるから短くしろという御指摘は、この計画策定以来各所で随時いただいているところでございます。現在、道路公団が行っています国土開発幹線自動車道の年間建設ペースが約二百キロでございます。しかし、これを今後二百五十キロぐらいに上げるように今道路公団で体制を立て直しているところでございますし、また、このほかに先ほど来出ております一般国道の自動車専用道路、これは六十二年度ですと、そういった考えでやっていますのはまだ四十キロぐらいでございますが、これをこういった計画に基づいて年間百キロぐらいのことでやりますと三百五十キロ、これでおおむね三十年ということになるわけでございます。  いろいろ御指摘もございますので、公団の体制二百五十キロをもっと上に上げるとか直轄の百キロを上げるとか、あるいは県の公社等で一般国道の自動車専用道路をやっている例もございますのでそういった公社の力も借りる、あるいは用地買収につきましても地方公共団体に委託するというようないろいろな手法を考えて、できるだけ早くこの全体ができるように今後いろいろと検討していきたいと考えております。
  80. 一井淳治

    ○一井淳治君 岡山と鳥取とを結ぶ国道五十三号線がございますけれども地元では、両県下でございますけれども、この五十三号線に沿った高規格道路をつくってほしいという運動がございまして、非常に熱意を入れてやっておったわけでございますけれども、非常に残念でございますけれども、今回の計画からは外れたわけでございます。しかし、現に大変な渋滞が発生しておりますし、また岡山近辺では新岡山空港が来年早々に開設されるということもございまして、この五十二号線の整備の強化ということが非常に重要ではないかというふうに思うわけでございます。先ほどお話しございましたように、ぜひとも優先的な御配慮をお願いしたいわけでございますけれども、今問題になっておりますのは岡山北バイパス、金川局改、津山バイパス、この三カ所の整備の促進でございますけれども、岡山北バイパスにつきましては南側の岡山市津島周辺の入口付近の買収計画がおくれているというふうな問題や北のルートの決定がまだなされていないというふうな問題もあるようでございます。また津山バイパスにつきましては、新錦橋押入線までの、とにかくそこまで開通するように早くやっていただきたいという強い要望でございますが、さらにその北側のルートの決定がまだなされてないというふうな問題もございます。この五十三号線の整備の促進ということにつきましてぜひともお願いしたいわけでございますが、いかがでございましょうか。
  81. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 五十三号線につきましては、これは岡山から鳥取を結びます主要幹線道路でございまして、今回米子線との関係もございましてこういった幹線道路網の対象にはしないわけでございますが、先生御指摘のように大変交通需要も多く、新岡山空港それからテクノポリスの吉備高原都市等ございますので、建設省といたしましても積極的にこの五十三号の整備を進めることといたします。  今御質問の各バイパスについて整備状況、今後の見通し等について申し上げますと、岡山北バイパス七・四キロメートルにつきましては、昭和五十五年度に起点側から市道大岩小幸田線に至る区間の用地買収に着手して以来、鋭意事業を進めておりまして、新岡山空港の六十三年の開港にあわせまして交通混雑の著しい周山市首部から横井上間一・三キロメートルを供用する予定でございまして、残る区間につきましても、第十次の五カ年計画内に全線の概成を図るように事業を促進してまいる所存でございます。  それから、岡山北バイパスにつきましては、先生御指摘のとおり、今、岡山北バイパスの北部延伸ルートにつきまして現在その調査を進めておりまして、五カ年計画の中で都市計画決定を行い事業に着手していきたいと考えております。  それから次の金川局改、これは一・九キロメートルでございますが、これにつきましては昭和五十九年度から用地買収を進めておりまして、これも同じく次期五カ年計画の中で完成を図るという予定にしております。  それから、津山バイパスにつきましては、これも五十九年度から一・六キロメートル区間につきまして用地買収を行っておりまして、どれも次期第十次の五カ年計画の中で概成を図るよう事業を促進しております。  それから、問題の津山バイパスの北部延伸区間でございますが、これにつきましてもこの岡山北バイパスと同じように現在調査を進めておりまして、これも五カ年計画の中でできるだけ早く都市計画決定いたしまして事業化を図りたいと考えております。  以上申し上げましたように、五十三号全体につきましては、建設省としても重点区間として今後積極的に全線について整備を進めていく所存でございます。
  82. 一井淳治

    ○一井淳治君 ちょっと質問を変えさせていただきます。  県道等の国道昇格の時期でございますけれども、たしか昭和五十五、六年ごろに行われまして、それからなされてないわけでございます。そろそろ一斉昇格の時期が来ているのではないかというふうに思いますが、その時期やそれをなさる場合の進行順序についての御説明をお願いしたいと思います。
  83. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 国道昇格につきましては、前回の昭和五十七年の四月一日に五千五百四十八キロを国道昇格しております。それで、現在、高規格幹線道路網が一応決定をいたしまして、今後具体的に第十次の道路整備五カ年計画でそれが事業に進めるわけでございますので、そういった中で当然全体の道路網の再編成という問題が出ております。来年、六十三年以降、五カ年計画の中で国幹道の拡大あるいは国道昇格を考えているわけでございますので、五カ年計画の前半の時期に、都道府県の要望等をも踏まえまして、今御質問の国道昇格の選定を行いたいと考えております。
  84. 一井淳治

    ○一井淳治君 前半といいますと、もう少し具体的に言いますといつごろになるのでございましょうか。
  85. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 余り正確に言うのもあれでございますけれども、一応高規格幹線道路網につきましては、五カ年計画で規模等が策定後、恐らく国幹審を開きまして国幹道をやることになります。それに引さ続いてということになりますから、遅くとも六十四年度ぐらいにはやりたいと考えております。これは事務的には詰まっておりませんが、国幹道の方との関係からいきまして、六十四年度にはやらなければいけないというような考えでございます。
  86. 一井淳治

    ○一井淳治君 最後に、せっかく大臣がお見えでございますので、大臣東京の地価を半分にさせてみせるというふうにおっしゃっておられますこのJR線の上の空中利用による土地の造成の件でございますけれども、私も非常に期待しているわけでございます。現在どういうふうな状況でございますのか、お見通し等につきましてお教え願えれば幸いでございます。
  87. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 実際問題として、地価の対策は私の方ではないのでありますが、ずっと前から地価問題を扱っている因果の関係がございまして、そういう点でいろいろ東京都内の地価の対策について考えておるわけであります。税金を重くするとか処罰をするとか、いろんなことを言っておりますが、問題はやっぱり需要供給のバランスをとるということ、もうこれが理論的に一番大切なことだというふうに私はそう信じておるんです。そういう点で政府自体がとれる政策があるのにもかかわらず、それをやらないでいて、そして地価対策をやるなんというのは、これはこっけい至極だと、私はいつも閣議でそう議論しているのであります。  そういう点から、それでは東京の都心の地価の抑制に用いる需要供給のバランスをどうしてとるのだということになりますが、今のところでは辛うじて汐留の国鉄用地の跡地ぐらいきり使える可能性のあるものはありません。あれではやっぱり完璧ではないのでありまして、そういう観点から私は国鉄の線路の上を利用するというあの計画考えておりまして、実はとりあえずやれるのは、東京駅はすぐやれるのじゃないか。これは国鉄の償還問題等を除外してもやれるのはあそこだけじゃないかという考えをいたしまして、これを提案しております。本当に土地問題に対しては中曽根内閣何もやってないんですから、そういう点で、最終的にこの問題だけは取りまとめをするようにきつく申し入れをしております。事務的には相当進んでいるという考え方でございます。  具体的に申し上げていいと思うんですが、例えば中央郵便局は協力しますということになりました。これは郵政省の問題でありますが、あと鉄鋼ビルも協力するというようなことになったようでありますし、観光ビルはもとより土地は国鉄のものでありますから、これは何とかすればできると思いますし、そういう点から私は、できれば中曽根内閣のうちにそれを確実にやるという方針をつくりまして、民間会社をつくりたいと考えております。民間会社は、国家非常事態で土地対策のために実はつくる会社でありますから、利益は除外する。要するに、全然利益のない会社という手はないと思いますが、大体年間一割ぐらいの利益の出る会社ならいいのじゃないかというふうに考えております。  それですから、最初の私の考え方では、大体霞ケ関ビル八棟分ぐらい建ては一棟ぐらい余るのじゃないかというような感じがしたのでありますが、よくその点は調査をいたしまして、できることならちょっと考え方の基礎を変えまして、今変えておるのでありますが、十二棟以上建てたいと思っておるのであります。というのは、本当に地価の抑制をするためには、今既にできて入っておる者どもがこっちが安いからこっちへ来ようということでどんどん移動をするぐらいの余裕のあるものを建てたいと考えております。  何か手ぬるいことを総理は考えている、審議会の議を経てなんてやっているようですが、それは条件つきにしてあります。内閣がやるのに何も審議会の議を経なくたってできることであります。審議会に出ている顔ぶれを見れば私よりは経験の浅い方ばかりだと私は思っております。そういう観点で私は、内閣が仕事をするのにとやかく第三者から言われる筋合いはないので、やったらどうだという意見を出しております。九月いっぱいにめどをつけるということになっておりますから、十月三十日ごろまでこの内閣がもつのじゃないかと思いますから、その間に大丈夫運びつけるのじゃないかと思っております。  ただ、これは事務所だけのビルでございます。御承知だろうと思いますが、今非常にマンションが暴騰しまして億ションだと言われております。この間、三井不動産がやっておる大川端開発で何千倍にも倍率が上っているそうでありまして、大変はやっていいじゃないかと三井不動産の江戸会長に電話したら、いや、そうではなくて、何千倍になっても抽せんでやるからいいんだが、抽せんで当たった者が入るという状態でないと困ります。私のところは民間会社ですから利潤追求のみでいいわけでありますが、そういうことになりますと、今の状態では抽せんに当たっても入らない可能性が非常に多い、少なくとも八〇%ぐらいは入らないのじゃないか、それがイコール値に転売をされるという結果になりますので、三井不動産がやった開発が土地暴騰に応援をしたというような格好になったのでは申しわけないからという話をされておりましたが、それから三日後に三井不動産が総会を開きまして賃貸に切りかえたようでありますから、大変協力していただいていると、私はそう理解しているわけであります。  そういう意味で、どうしてもやっぱりマンションもあんな不便なところで三DK、四DKが六千万だというんです。あの大川端のところ、橋をかけるといっても、橋なんて十年ぐらいかかります。それが今一億二千万もするんです、その地域で。だから、そういう意味でマンションも急がなきゃいけないと思っておりまして、マンションは、これは私の計画でありますが、上野駅から西日暮里の駅までの間一・八キロありますが、あれにふたをかぶせて、あの上に四十階建てのマンションをずらりと並べてみたいと考えております。  これは自動車との関連が出てくるのでありますが、自動車はとても東側から入れませんから、あの上野の山の中に道路つくります。そうして、上野広小路口から西日暮里のいわゆるあの山手線のカーブのあたりまでに道路を出しまして、もう一本は団子坂の方から大きな道路を引きまして動物園の下を通してその伝いに持っていくようにいたしまして、いわゆるマンションと上野の山の間に自動車道路を西日暮里までつくりまして開発すれば十二分にいける。私は、大体何は金かかっても、現在のほかでやる一億とか五千万とか八千万とかと言っておりますが、そういう土地を買収してやっているあの事務所あるいはビルディングの大体三分の一近いくらいの安い価格でできるのじゃないかと考えております。  それですから、思い切って要するに五割以下の価格で貸せるようにしますれば、ほかに入っている者はみんな移ってきますから、そうすれば地価はいや応なしにおさまるというこれは天野論法ですが、うまくいくかどうかはできてみてからのお楽しみのことになるわけでありますが、そういうある信念に燃えておりますから、全力を尽くしてやりたいと思っておりますし、中曽根内閣でやらないと、総理、あなた地価対策何にもやらないことになって恥かくのじゃないかと言っているんですが、御本人大変このごろ気をもんでやる気になっておるようでありますから、その結論だけは出したいと考えております。
  88. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 午後一時再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十六分休憩      —————・—————    午後一時三分開会
  89. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  90. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、ただいま議題となっております国土開発幹線自動車道建設法改正案につきまして質疑をさせていただきます。  最初に、やはり同僚委員からもいろいろと話がございましたが、道路というのは国土構造の骨格としての高速自動車国道から地域社会の生活基盤としての市町村道に至るまで一貫した道路網として体系的に整備することによってその効果は発揮される、これはもう重々大臣もよく御存じの上でやっていらっしゃると思います。そこで、整合性のある効率的な整備というものが求められているわけですけれども、この法案の審議に当たりまして、最初に建設大臣道路整備を推進するに当たりましての基本的な所見を伺っておきたいと思います。
  91. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 法律で決めてある道路に関しましては、それぞれの立場において上中下全部合わせて国民に円滑なる使用が与えられるような形につくり上げなければならないと思います。国道だけがどんなによくできたとしても、末端の市町村道、いわば生活に直結する道路が思うようにいかなかったなんということでは、これはどうにもなりません。それですから、大きい小さいにかかわらず、上から下まで全部の道路それ自体が総合的に改良されて国民の期待に沿えるような格好に持っていくということが一番大切なことであろうと思います。
  92. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この国土幹線自動車道の予定路線としては、昭和四十一年に七千六百キロの区間を決定されて、それから二十年を経過しているわけです。そこで、四千キロ近い区間が供用されている、今後整備すべき区間が三千六百キロあるということですけれども、今回法改正をしまして新たに三千九百キロの区間を予定路線として追加されているわけですけれども、この間の事情はどのようなことですか。
  93. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 現在、既定の国幹道につきましては、先生のおっしゃったとおり七千六百キロのうち約四千キロを供用開始しておりまして、現在工事中のものがそのほかに二千四百キロほどあるわけでございます。今回全国的に一万四千キロの高規格幹線道路網計画を策定いたしまして、その中で、国土を縦貫し横断しという国幹道に適合した路線につきましては、今回お願いをいたしまして法律の改正を行った後、国幹道として整備をするということにしているわけでございます。  それで、現在まだ二千数百キロのものにつきまして事業中なのに今追加するのはどうかということではございますけれども、国幹道の整備を行うに際しましては、国土開発幹線自動車道の審議会を開きまして、それによって基本計画を立てる、それに基づき調査を行い、整備計画を立てて、それから施行命令を行うという、大変時間がかかりまして、現在ですと十数年かかっているわけでございます。それから、これからの全国的にいろいろな各地域で開発計画等を立てる場合に、やはりその中心となります高規格幹線道路さらにはこの国土開発幹線自動車道というものがきちんと計画が定まっておりませんと、そういった地域計画の前提となるものでございますので、今回、四全総の閣議決定後直ちにこの法律を改正して予定路線に入れていただくようお願いしている次第でございます。
  94. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今回決定されましたその四全総計画の大きな柱になっておりますのは全国一日交通圏の実現ということですけれども、そのためにはこの一万四千キロの高規格幹線道路整備が必要である、その主要な部分が国幹自動車道の予定路線を占めておるわけですけれども、それを長期的な展望に立ってあらかじめ法定化していこうということで今お話がありましたけれども、先ほどからお話を聞いていますと、やはり追加された予定路線全部完成するのは相当な先になるのじゃないかと思うんですけれども、三十年も五十年も先にしか完成が見込めないそういう路線や区間も今急いで法定化しなければならない理由はどこにあるのかちょっとわからない点もあるんですけれども、その点はどうでしょうか。
  95. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 確かに、これ全体を完成をいたしますのは、本日御答弁申し上げていますように、約三十年ぐらいかかるわけでございますが、先ほど来も御議論ありましたように、その中でやはりそのときの状況によりまして早期に着工する区間等いろいろございますので、予定路線としてはあらかじめ早くこれを決定しておきまして、あとは、先ほどの例えば不況地帯とかあるいは地域のリゾートの開発があるとか、そういった必要性に応じてその中から適宜審議会等で御審議いただいて建設に移していく、そういう考え方でおりますので、そういった全体の計画だけはやはりできるだけ早い機会にお決め願いたいということで今回お願いしている次第でございます。
  96. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その国土幹線道の予定路線七千六百キロの整備状況、これがどうなっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思うんです。基本計画の段階のものと、あるいは整備計画が決定されて道路公団等に施行命令出されているもの、あるいは既に供用されているもの等があると思いますが、その点どうですか。
  97. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 現在の既定の国幹道七千六百キロメートルのうち、基本計画策定区間が七千百二十二キロ、整備計画策定区間が六千四百十キロ、施行命令区間が五千九百四十キロメートル、現在供用区間は三千九百二十四キロメートルでございます。
  98. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 予定路線七千六百キロがあるわけですが、そのうちの基本計画の段階のものは七千百二十二ですね。  あと、この差枠はどうですか。
  99. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) その差につきましては、現在、基本計画が出ていない区間でございまして、現在、地建によりまして調査をしている区間ということになります。
  100. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この四全総で高幹道路網整備を打ち出しているわけですけれども、この高規格幹線道路という概念はどういうものであるのか、あるいは従来の高速自動車道とはどのように違っているのか、あるいは今回の法改正の対象となっている国土開発幹線自動車道とはどのような関係になっているのか、あるいはまたその高規格幹線道路となる路線の要件はどのような基準になっているのか、説明してもらいたい。
  101. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高規格幹線道路につきましては、第三次の全国総合開発計画、三全総で一万キロの高規格幹線道路網を将来策定していくというときに提言されておりまして、その定義でございますが、私どもといたしましては、全国の各都市間を結ぶ自動車専用道路ということで考えております。したがいまして、現在の国土開発幹線自動車道は当然国土を縦貫し横断している路線でございますから、高規格幹線道路の一つに入るわけでございますし、また、本州四国連絡橋も同じ高規格幹線道路でございますし、また、国土を縦貫あるいは横断をしない路線でありましても、各地域を結ぶ一般国道の自動車専用道路もこの高規格幹線道路ということで私ども定義しておりまして、まとめて申し上げますと、高規格幹線道路の中には、従来の国土開発幹線自動車道、それから本州四国連絡橋、一般国道の自動車専用道路、この三種類があるということになります。  それから、構造的にはどうかということでございますが、いずれも定義のときに申し上げましたように自動車専用道路でございまして、そういった観点からいえば、一般国道の自動車専用道路国土開発幹線自動車道路も自動車専用道路でございますので、構造規格からいえば、一級とか二級とか、その程度の差はありますけれども、同じ自動車専用道路ということで、同じ構造でございます。
  102. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 この一万四千キロの高規格幹線道路につきましては、国土開発幹線自動車道と一般国道の自動車専用道、このいずれかに振り分けて整備されることになっているんですが、この一系統の整備体系にした理由はどのような理由なのか。また、振り分けの基準というのは一体何か。さらに、そのいずれかに振り分けられることによって生ずるメリット、デメリット、こういうものはどういうような状況でしょうか。
  103. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 二つといいますか、国土開発幹線自動車道と一般国道の自動車専用道路の差でございますが、国土開発幹線自動車道の定義といたしましては、国土を縦貫し横断する全国的な枢要な自動車道路網をなすという定義でございまして、今回選びました一万四千キロにつきましては、全国の各地から一時間で高規格幹線道路に達成できるというようなネットワーク的な面から選んでおりますので、必ずしも国土を縦貫しあるいは横断をしている分野に入らないということでございまして、そういう道路につきましては一般国道の自動車専用道路でやるということで、路線の性格に応じてこの両者を分けたわけでございます。  それからもう一つは、国土開発幹線自動車道路になりますと、従来の所掌でございますと日本道路公団で全線プールということでやってきているわけでございますが、先ほど来御審議いただいておりますように、やはり道路公団の施工能力ということにも限度がございますし、国土開発幹線自動車道路で道路公団となりますと原則として有料道路ということになるわけでございますが、今度行うものにつきましては、過疎地帯においては必ずしも有料道路になじまない路線もあるということもありますし、また建設省の直轄の施行主体も大いに活用しようということもこの二つに分けた理由のうちの一つでございます。
  104. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国幹道は全額国費によって整備をし、建設大臣指定に基づくところの高規格道路は一般有料道路等の手法によって一部地元負担を導入しながら毎年度の予算要求によって建設に着手すると、こういうことになるのでしょうか。
  105. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 国幹道につきましてはむしろ逆でございまして、財政投融資を主体に行っておりまして、必要な資金コストに下げるだけの国費を投入しているわけでございます。したがいまして、どちらかというと財政投融資利用型の道路整備ということになります。  それから、一般国道の自動車専用道路として整備するものにつきましては、本来ならば有料道路で、財政投融資を使う方が整備も早くなるわけでございますけれども、今後やるものにつきましては必ずしも最初から有料道路にするというような路線ばっかりでございませんので、むしろ直轄国道として今までの一般道路と同じ整備手法でこの自動車線をつくっていく。それから、最終的に有料道路として採算がとれる限度までいったら有料に切りかえる。あるいは有料道路にどうでもなじまないものはそのまま一般国道の自動車専用道路、無料としてつくるというようなバリエーションでやるわけでございまして、どちらが早くできるということはケース・バイ・ケースではないかと思っております。
  106. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 現在、国幹の予定路線となっている北海道縦貫自動車道などの四路線の一部区間については本年の四月現在まだ基本計画が策定されていなくて、着工の見通しが立っていないというわけですが、これら区間について基本計画策定されていない理由と、将来の計画策定の見通しはどのようになっておりましょうか。
  107. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 基本計画を策定する場合には、やはり地域の開発状況とか交通需要とか、それから特に周辺道路整備状況がどうかというようなことを総合的に判断をいたしまして基本計画を策定しているわけでございます。  特に、先生今御指摘の北海道縦貫道そのほかの区間につきましては基本計画が出ていない区間が五カ所あるわけでございますが、これにつきましては、これに関連する一般国道等の整備がかなり進んでいるというようなこと、特に交通需要との関係で、いまだ基本計画を出して整備計画に出す必要性が低いのじゃないかという区間でございまして、今後交通需要の動向等あるいは地域開発の動向等を見ながら、必要があれば基本計画を策定していきたいと考えております。
  108. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 北海道のほかはどこでしたか。
  109. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 北海道はそういうことでございますが、あと例えば基本計画が出てございませんのは東関東自動車道の木更津線で検見川から浜野区間が出ておりませんけれども、これは現在国道十四号あるいは十六号の有料道路といたしまして京葉道路があるわけでございますので、そこに改めて高速道路をもう一本つくるという必要性は低いという考えでございますし、そのほか潮来−鹿島間が出ておりませんが、これは今回水戸線ということでこれが延伸になるわけでございますので、それとの関連がございまして従来基本計画は出してございませんが、これにつきましては将来そういう方向が出た場合にどうするかということで今後考えたいと思っております。  それから、残りのもう二区間ございまして、近畿自動車道の名古屋大阪線、いわゆる名阪の亀山−天理の間が基本計画出ていませんが、これは国道二十三号線の一般国道の自動車専用道路として、今で言えば高規格道路的なもので現在道路が出ておりますので、ここに改めてもう一本別に国幹道をつくる必要は現在のところないということで出ておりません。  それから、中国横断自動車道の岡山米子線で米子から境港まででございますが、これは現在非常に立派な一般国道ができておりますので、そういったところから見て、まだ基本計画を出す段階に至っていないというような判断でございます、
  110. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 わかりました。  いずれにしても基本計画を策定されていない理由も先ほどお聞きしたわけでございますが、中にはこれからますます需要がふえる可能性を秘めているところもありますので、さらに検討を進めていただきたいと思います。  それから、国幹道の工事着工の前提となります整備計画を策定するに当たりましては、やはり先ほども同僚委員からお話がありましたが、採算性ということを考慮されてその整備区間というのは決定されていますが、今後建設される路線につきましては、多くの交通量は期待できない、山間部のため工事費が高くなる、そういった採算性の悪い区間にだんだんと工事が移行していくように思われるんですけれども、どのような対策をその点で講じられていくのか。また、整備路線の選定順位につきましても、これも単に採算性でなくて、地域開発が与える効果、そういうものを十分勘案して決定されるべきだと思いますが、その点はどのようにお考えですか。
  111. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 国幹道の場合には、先ほど申し上げましたように、財投等借入金を利用いたしましてその建設と管理を行っているわけでございますので、当然その事業採択には採算性というものを無視できないわけでございます。しかしながら、先生が御指摘のように、また国土開発幹線自動車道の性格からいいましても、国土の均衡ある発展を図るために整備するわけでございますので、当然そういった開発的な国幹道についても整備をする必要性がかなり高いわけでございます。  したがって、そういった採算性について問題がある路線について整備をした場合に全体的な採算は悪化するわけでございますので、そういうことがないように、そういう採算性のよくない路線に対しては地域開発効果があるわけですから、国が責任を持つということで国費の助成の強化を五十八年度から行っておりまして、具体的に申し上げますと、国幹道の場合には道路公団の資金コストが六・五%になるようにその差額については国費の利子補給をやっていたわけでございますが、そういった開発型の路線につきましては三%まで資金コストを下げて、国費を導入をしてそういった開発型の路線を採択しやすくしていますし、またそういうものを採択した場合でも全体の採算性が悪くならないようにして整備をしているわけでございます。  今回の新しくつけ加えられる道路につきましてもそういった路線がかなりございますので、今後とも今言ったような手法を適用いたしまして採算性を確保しながら、なおかつそういった地域開発効果の著しい路線整備するような考え方でございます。
  112. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、やはり先ほどからお話がありましたが、国幹道の予定路線として既に法定化されているのが七千六百キロ、そのうちの三千九百キロは供用され、残りの三千七百キロは今後整備されるべき路線であると、こういうふうに残されているわけですが、今回これに追加して三千九百二十キロが整備すべき路線として追加されるわけですけれども、この整備の優先順位というのはどのようにこれから決定をされていくのか。また、今回追加された路線でも必要度の高いところは優先して整備されることになるのか。具体的には第二東名道路あるいは第二名神道路については、これは最優先で整備されるように報道されておりますけれども、その点はどういうふうにお考えですか。
  113. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 新たに追加されました国幹道の採択につきましては、ただいままで御説明いたしましたように、やはり交通需要の問題とそれから地域開発計画との関係、この二点を勘案しながら緊急性の高いところから逐次基本計画を定め、整備計画を定め、施行するということになろうかと思います。  今御指摘のございました第二東名・名神、正確。には第二東海道と近畿道名古屋大阪線でございますけれども、現在東名、名神は非常に混雑状況が激しくなっておりましてサービスレベルが低下をしているわけでございます。一部拡幅等をやっておりますけれども、やはり抜本的な対策が必要ということで、かねてから第二東名・名神ということで調査をしてきたわけでございまして、今回新たにこの国幹道として法律を改正していただけたらということになっておりますが、この路線につきましては東名、名神は非常に利用者が多いということで道路公団の収入のうちの大半を占めております。しかも、今後需要増も期待されますので、こういったものについてはできるだけ早くつくって利用者の便に当てるとともに、そういった収入の増を図りまして全国的なネットワークも進むようにする、そういう観点から、まだこれにつきましては法律改正後審議会等で審議していただく事項でございますが、私どもとしてはこういった第二東名・名神につきましてはできるだけ早期に実現をして利用者の便に当たらすようにしたいと考えております。
  114. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろんな御意見もあろうと思いますが、最優先で整備されるようにお願いをしたいと思います。  今いろいろと論議されておりますところの高規格幹線道路に伴う経済効果についてお伺いしたいと思うんですが、例えば通産省の工場立地動向調査、これを見てみますと、新規の立地工場の高速道路のインターチェンジまでの距離帯別分布ですかこれによりますとインターチェンジから十キロ以内に約四〇%、二十キロ以内では半数以上が立地をしておりますし、沿線各地で工業団地等の開発を促進をして地方での雇用の確保やあるいは地域振興に寄与していることが明らかに出ているわけでございますけれども建設省は高規格道路の開発効果あるいは経済効果をどのように分析捕捉されていますか。
  115. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高規格幹線道路整備による経済効果でございますが、当然、投資によるフロー効果、内需拡大効果があるわけでございます。特に高規格幹線道路の場合には著しいわけでございますが、ストック効果ということで地域経済に大変大きな開発効果を与えるということは、私どもも十分そういったことは認識しておりまして、そういった効果を生かすように整備をしたいと考えております。  ただいま御指摘になりました例えばインターチェンジ周辺の地域開発効果でございますが、御指摘のような東北縦貫自動車道沿線六県の地域開発状況を見ますと、インターチェンジ周辺の十キロ圏の面積を見ますと、十キロで半径を描いて面積を出してみますとその関係の県の一八%ぐらいでございますが、新しく立地されました地域開発の件数は全体の四七%というふうに、半分近くがこの十キロ以内に立地している。そういった面からいいましても、高速道路の沿線における開発状況が非常に他地域に比べて伸びているわけでございまして、そういった効果は十分私どもは認識しておるわけでございます。  それから、地域に与える経済効果につきましても、例えば中央道の沿線の伊那市でございますが、これは例えば昭和四十五年国幹道が開通前の財政力指数は〇・四五でございまして、長野県の平均の〇・五六を下回っておった過疎地帯であったわけでございますが、供用開始後はこの財政力指数が〇・七〇と、長野県の市の平均〇・六六を追い抜くというようなことで、大変高速道路ができることによりまして沿線地域の市町村の経済効果が上がりまして人口の定住が行われたというような例が現在までに供用した高速道路の沿線で著しいわけでございまして、私どもといたしましても、今後そういった高速道路、高規格幹線道路整備地域に与える経済効果を十分認識しながらこの整備を進めていきたいと考えております。
  116. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 高速道路を初めとして、今後とも計画的に道路整備を推進するためには財源的な裏づけが極めて肝要ですけれども、一万四千キロメートル完成させるためにはどのぐらいの財源を見込んでいますか。
  117. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 現在四千キロできておりますから、残りの一万キロを完成させるには約三十六兆円の建設費が必要というふうに積算しております。
  118. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど提出されました道路審議会の建議の中にも、この道路整備のための財源施策の一つとして、開発利益の還元ということを掲げているわけです。  これは、道路整備が推進されますと、沿道やインターチェンジ周辺地域においては交通の利便性が向上することによって、道路を直接利用する人だけではなくて、地価が上昇し周辺地域の土地所有者にも利益を及ぼす、このように道路利用者以外の地主さんが受ける道路整備に伴ういわゆる開発利益、これについて受益者負担の原則の観点からも道路整備財源に充当すべきだと、このように審議会は指摘をしているわけです。  例えばアメリカでは開発利益吸収方策として特別の税の創設、負担金の徴収等を実施して関係者に使用負担を求めていくと、こういう紹介もしているわけでございますが、この開発利益吸収方策については、建設省としてはどのようにお考えでしょうか。
  119. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 開発利益の吸収につきましては、御指摘のように、例えば大都市圏で計画されておる大規模プロジェクトのようにアクセス道路整備が非常にプロジェクトの成否を決めるというような場合には、道路整備とその開発によります利益の因果関係から考えて、その利益の一部を道路整備費へ還元するということは道路整備費用の負担の公平から見ましても妥当なものでございますし、ひいてはその開発の早期実現につながるものだというふうに理解をしております。しかしながら、その開発の負担をどの程度とするかというような、実際の実施に当たってはまだいろいろ詰めなければいけない問題も多いわけでございますので、今後これらを含めて開発利益の問題について検討してまいりたいと思っております。
  120. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 建設大臣は、道路財源の確保につきましては、道路特定財源のほかに一般財源からの投入の必要性、これについてこの委員会でも積極的な姿勢を披瀝されているわけでございますが、六十三年度の予算編成に当たりましてはどのような基本方針で道路財源を確保されようとしていらっしゃるのか、再度お聞きしたいと思います。
  121. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) この問題は、まず第一に特定財源は全額充当する、今度の概算予算決定する段階において、最終的に私と大蔵大臣との話し合いで残してある問題が道路についてあります。それは、もともと特定財源一般会計に対するプラスアルファだという考え方で、まずガソリン税の創設をしたわけであります。ところが、なかなか一般財源が思うように導入されないものですから、融通のきかない大蔵省を相手にしては道路も困ると思いまして、続いていわゆる自動車重量税という税金を創設しました。ところが、今になってみますと、いつの間にか一般会計は雲散霧消してしまいまして、その特定財源だけになっているという、あまつさえ特定財源の増加した収入分を今度他の方に持っていって、証文書いて、日本人だからあれでいいのかもしれませんが、大蔵省が借用証書を書きましてはかに使う——これも私のそらごとですからひとつ御理解願いたいと思うのでありますが、やってきたのが今までの現状でございます。  今度の場合、この法律を通していただきますと、高規格幹線道路建設省が直接やる道路が二千五百キロばかり出てくるわけでございます。この新たなる財源を他から求めないで今までの財源どおりでやるということになりますと、今までのその他の道路に与える影響が非常に大きくなるわけでありますから、自民党式ですが、我々与党としてはこの機会にひとつ何とか始末をしなきゃやる時期がないと思いまして、そういう点で今度の高規格幹線道路を三十年計画でいけば大体年間百キロ近くになるわけでありますから、百キロ分の道路建設費は今までの特定財源以外から出す、言うなれば別途一般会計から出せという主張をしております。  野党の皆さんにとやかくどうも申し上げていいか悪いか、これちょっと問題なんですが、十二月の予算編成のときにはそういうのをきちっと始末をするという約束で今度の暫定予算を組んだわけでございます。それですから、どんなことがあろうとも六十三年度からは、いわゆる新たに着工する高規格自動車専用道路の分だけは、とりあえずその分だけは一般会計から取るという考え方でやっております。それですから、今までの貸し借りとか何とかという問題は全部返してもらいますし、そして新たに一般会計から導入をする、それで年々何とかふやしていくような格好で相当の量を一般会計から導入すべきだ。  日本ばかりではありませんが、全世界で公共事業といえば道路が一番大きな問題であります。その公共事業道路に対して、これは私の持論なんですが、特定の国民から集めた金だけで道路をやるということはとんでもない間違いだという考え方を持っておりますが、そういう点で大蔵官僚というのはなかなか上等にできておりまして、なかなか容易な代物ではありませんよ。ですから、この問題を始末するためには突破口としてちょうどいい機会だから、今年度のこの高規格自動車専用道路を突破口の材料に使って始末をしたいと、こう考えております。どんなことをしてでも実現をしようと思っております。
  122. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 大いに頑張っていただきたいと思います。  それで、あと財源の問題もありますが、今度は先ほどちょっとお話がありました道路公団の施工能力の問題ですけれども、これは建設省は一万一千五百二十キロの国幹道を三十年以内に整備するためには、現在年間二百キロ程度整備で推移している道路公団の施工能力を大幅にアップして、年間二百五十キロベースで整備し終わると、こう言われていますが、それは間違いありませんか。
  123. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) そのとおりでございます。
  124. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そのためには日本道路公団の組織とか人員をどの程度の規模まで高めればいいのかという問題もあろうと思いますし、また施工能力を高めるためには、用地の取得とか、あるいは設計工事監督等、いろいろ関係地元の自治体あるいはコンサルタント等に委託あるいは外注していく必要がそこで生じるのじゃないかと思うんですが、その点、道路公団の施工能力を向上するための対策についてどのようにお考えですか。
  125. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) ただいま御指摘のように、日本道路公団の施工能力を高める場合には、当然その組織とか人員の機動的なあるいは効率的な配置を行うことがまず重要だと思いますし、先生御指摘のように、現在も用地買収については地方公共団体に委託をしているわけでございますが、さらにその委託の連係プレーにつきましても、それを強化する、あるいは監督につきましても民間委託等をやっているわけでございますけれども、そういったものにつきまして拡大をするというような各種方策をとりながら事業執行能力の向上に努めてまいりたいと考えております。
  126. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次は高速道路の通行料金についてでありますけれども、これは四十七年十月に全国の各路線を一体化する全国プール採算制を採用した、それによって料金を設定して償還計画を立てているということですが、高速道路は縦貫道が概成をして今度は横断道の時代に入る。そうしますと、山地部を通過するためにトンネルとか橋が多くなったりあるいは建設費が割高になる、そういうことでありますし、一方で交通量もそうはたくさん望めないというのが今の実情ではないかと思うんですが、この通行料金の設定と採算性の確保についてどのような方策を講じようとされているのか、その点お伺いしたいと思います。
  127. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高速自動車国道につきましては先生御指摘のように全国プール制ということで、全体の建設費、管理費を全国でプールして償還するということになっておりまして、この償還年限三十年で償還するための必要な料金を設定することになっているわけでございます。しかしながら、全国的にこれがプール採算になっておる関係上、比較的利用の多い路線の利用者、具体的に申せば東名とか名神の利用者から、サービスが向上しないのに料金が上がるのはけしからぬ、地方道路整備するために自分たちのサービスが上がらないにもかかわらず料金が上がるのはけしからぬというような声がかなり大きくなったわけでございます。したがいまして、そういった状況に対して、五十五年に道路審議会の方にそういった問題について御審議をお願いいたしまして、先ほど申し上げましたけれども地域開発効果の大きいような路線についてはやはり国費の助成をして、そういった採算性のいい路線からそ ういうところに回す、いわゆる内部補助と申していますけれども、そういったものが少なくなるような手段も行っておりますし、また橋梁、トンネル等、非常にコストの高い道路がこれからの横断道路に出てまいりますので、当面交通量の少ない場合にはとりあえず二車線でそれを施行するというような暫定施行をとりましてコストを安くするというようなことも考え、そういうことをしながら、全体の料金が高くならないような手段を講じながら現在まで進めているわけでございます。  なお、六十年の答申におきましては、この先発路線、採算性のいい路線が全体のプールのために料金が過度に上がることがないような条件につきましても臨調からの指摘もございまして、それに対応する答申を得ていまして、全体の料金が余り上がらないよう、今申し上げましたような方策をとりながら進めていく。しかし、三十年で償還するのに必要なものにつきましては、どうしても上げないわけでございますので、そういった場合にはやはり開発効果の高い路線、採算性の悪い路線については国費の導入が今後とも必要ではないかと考えております。
  128. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そこで、六十年四月十八日の道路審議会の中間答申、いわゆる「高速自動車国道の整備と採算性の確保についての中間答申」、この中で現行三車種区分の見直しが指摘されているんですけれども高速道路の現在の車種区分は普通車、大型車、特大車の三種類の区分が採用されていまして、その車種間の料金比率はそれぞれ一対一・五対二・五、こうなっているわけですけれども、この見直しが指摘されているところから見まして、現行のこの車種区分を利用実態に合わせて検討するときが来ているのじゃないか、こう思うんですが、その点どうでしょうか。
  129. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高速道路の車種区分につきましては、先生御指摘のとおり普通、大型、特大というふうに三車種になっております。特に普通車の中で二輪車から総重量八トン未満の普通貨物自動車まで同じ料金になっておりまして、この辺が非常に不公平を生じているという批判が強いわけでございます。料金徴収機械が従来はパンチカード方式であったわけでございますが、これを磁気カード方式に今切りかえでおりまして、これによりますと、車種区分がふえても料金徴収上大きな支障がないようになってまいるわけでございますので、そういった料金に対する不公平感に対する配慮もございまして、現在適切な車種区分と車種問の料金比率につきまして道路審議会に検討をお願いしておりまして、その結果を待って、できればこの車種区分について変更をしていきたいと考えております。
  130. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 また東名、名神に返りますけれども、東名、名神は、これは高速自動車国道として重要な役割を果たしているわけですが、交通量も毎年増加の一途をたどっておりますし、区間とかあるいは時間帯によっては相当の混雑状態が発生しておりまして、いわゆる高速道路としての高速性あるいは定時制というのを維持確保するのが非常に困難になっている場合もあります。こうしたことは国土の均衡ある発展をおくらせるばかりでなくて、国民生活や経済活動に多大の損害を与えているわけです。  先ほどちょっとお話がありましたが、混雑区間の拡幅等の整備を推進しているのだというお話もありましたけれども、さらにこれを積極的に推進する必要があるのじゃないかと思います。東名、名神の混雑状況の把握と、六車線に今改善工事を進められておるようですが、その計画等について説明をしていただきたいと思います。また、さらにできれば、第二東名あるいは名神ですか、この計画概況についても説明をしていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
  131. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) まず東名、名神の混雑状況について申し上げさせていただきますが、現在、東名、名神におきまして設計基準交通量、いわゆる容量以上に交通量が多い区間が八五%ございまして、ほとんどの区間が交通容量以上の車が通っているという状態でございます。それで、こういう状況に対しまして、特に混雑のひどい区間については当面改築をしようということで改築事業を進めでございます。  現況を申し上げますと、まず東名高速道路につきましては厚木インターから御殿場インターまで四十八キロ、それから名神高速道路につきましては栗東のインターから瀬田東インターまでの九キロ及び京都南インターから吹田インターまで二十七キロ、これは現在四車線でございますが、これを六車線に改築している状況でございます。このうち東名高速道路の大井松田インターから御殿場インターの二十五キロと名神高速の京都南インターから吹田インターの二十七キロにつきましては用地買収を行っておりまして、既に一部区間につきましては工事を発注しておりまして、次期五カ年計画の中にはこの両区間につきましては六車化を終了させたいと考えております。それから、残る東名の厚木インターから大井松田インターの区間、名神高速道路の栗東インターから瀬田インター間につきましては昨年の一月に整備計画が策定された状況でございますので、現在拡幅の地元協議を行っておりまして、できれば六十年代中にはこの拡幅を完了させたいと考えております。  それから、第二東名・名神でございますが、これは今回御審議をお願いしている道路でございまして、そういう拡幅とは違って、抜本的に将来の交通需要の増大に対応しようということで検討しているわけでございまして、現在、路線計画とかあるいはその開発計画、それからそれのインターチェンジ等の関連する道路計画等につきましていろいろ地方公共団体と御相談しながら調査検討を進めている段階でございまして、できるだけ早く計画を固めて事業に取りかかるよう準備しているところでございます。
  132. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国土庁もお見えになっておりますのでお聞きしておきますが、我が国の社会資本のストックの水準というのは、今までもずっと議論がありましたけれども、欧米先進国に比べますと非常にこれが低い水準にあるわけです。道路について言いますと欧米の約半分だ、現在の欧米の水準となるには高規格道路一万四千キロの概成が必要である、こう言われておりますが、道路整備というのは二十一世紀に向かって重要な命題ですけれども国土全体をバランスよく整備するためには、高速道路あるいは新幹線、空港等を均等に配置して、複数の交通手段の整合性、役割分担を明らかにして国土の骨格網を整備することが肝要であると考えられるわけです。四全総においてもこのような考え方が若干取り入れられておりますけれども国土庁は、このような総合交通体系、先ほども同僚委員からお話がありましたけれども、どのように考えておるのでありましょうか。
  133. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) ただいま先生がお述べになりましたとおりでございまして、四全総におきましても交通体系整備総合的に推進すべきであるということで、かつ各交通機関の特性が生かされた交通体系の実現を目指すことといたしております。そのために、交通体系整備に当たっては、既存の手段に加えまして、新しく磁気浮上式鉄道とかあるいは高規格幹線道路を利用するバスといったさまざまな手段を地域の特性に応じて選択的に導入いたしまして、各種の交通機関がそれぞれの特性を十分発揮できる相互に補完的なシステムとして体系整備がなされるように考えております。また、空港、港湾と高規格幹線道路あるいは高速鉄道との接続といった交通機関相互の連絡あるいは各地区、各都市からの各交通施設へのアクセスをあわせて強化していく、こういう考え方に立っております。
  134. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 今後、高規格道路網を整備していくに当たりましては、空港、港湾、新幹線の駅など、その他の交通手段とのアクセスを重要視していくことが必要じゃないかと思いますが、どうですか。
  135. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 御指摘のように、また、国土庁が御答弁いたしましたように、新幹線、空港、港湾等の交通機関との連携というものは今回の高規格幹線道路網計画の策定に当たっても十分配慮しているところでございまして、具体的に申し上げますと、今回策定いたしました高規格幹線道路網によりまして、新幹線の駅、これは供用区間が五十二駅ありますが、そのうち五十一駅、九八%、ジェット空港につきましては、予定空港を含めまして四十九港のうち四十八港、九八%、それから港湾、これは重要港湾百二十二港のうち百十五港、九四%の区間がそういった諸施設の三十分以内に高速道路のインターチェンジができるような計画になっております。今後、高規格幹線道路整備に当たりましても、こういった新幹線、空港、港湾等、他の交通機関との連絡強化に十分配慮しながら整備を進めていきたいと考えております。
  136. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、首都高速道路の通行料金問題でございますが、建設省は、ことしの九月に開通予定の葛飾川口線、それから葛飾江戸川線の建設費の負担増加等による首都高公団の経営状況の悪化を理由に、通行料金を現行の五百円から百円アップして六百円にする方針だと、こういうことが報道されておりますが、事実ですか。
  137. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 御指摘のとおりでございます。
  138. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 首都高速の利用者も順調に伸びておりますし、料金収入も着実にふえている実情からしまして、今回のこの首都高速の通行料金の値上げというのは我々として理解しがたいんですが、現時点で値上げをしなきゃならないその理由はどのような理由ですか。
  139. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 首都高速道路の場合でも各線全体をプールいたしまして、三十年でこれを償還できるような料金を設定することになっております。今回、葛飾川口線十六・五キロ、それから葛飾江戸川線十一・二キロが新しく供用されるわけでございますが、これに要しました費用が約四千二百四十三億円ございまして、これを含めて三十年で償還をするようにいたしますと、先ほど先生が御指摘のように、普通車については百円、大型車については二百円、料金をアップしなければいけない状況になっているわけでございます。
  140. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、これは通告してありませんが、大臣に一言。  長期プライムが利上げになるので住宅金融公庫の利率が上がるようなことを聞いておりますが、大臣、これについては反対をされているということですが、私どももこれについては反対の意向です。どうしてもこの点につきましては、内需拡大の重要な一翼を担っています住宅建設に対してやはりいろんな点で影響を及ぼすのではないかと思いますが、最後に大臣の御所見を承って質問を終わりたいと思います。
  141. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 一つの政党、一つの政府が公約をしたことに逆行するような手段は許せません。私はそう思うんです。ですから、あえて金利の関連から金融公庫の貸付金利を上げたいということそれ自体については何ら異論を挟むものではありませんが、今年度は御承知のように自民党が立てたいわゆる緊急経済対策に基づきまして現在の経済運営やっているわけでありますから、そういう点で私は、緊急経済対策を変更するのならば了解する、変更しないのならこの利率の改正は応ずるわけにいかないと、〇・二%上げることにはしたんですが、住宅金融公庫の金利だけはだめですと断ってあります。  これの発議権は担当大臣ですから、私が発議しない限り、これは上がりません。そういう意味から、私の大臣が継続しているうちは絶対上げないということでございます。大変大蔵省、ここ二、三日、いろんなことを言っているようでありますが、私の考え方は、中曽根内閣がこの間決めた緊急経済対策は変更する、住宅問題については二万五千戸なんかやらなくてもよろしいというのなら私はあえて利上げを拒むものではないが、それをやれというのならこれは絶対だめですという私の考え方は変えません。
  142. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 本法案に盛られている一万四千キロの高規格幹線道路網整備計画は、四全総が三全総の定住構想発展させるために打ち出した全国交流ネットワーク構想、これと結びついておりますので、まず国土庁四全総問題についてお伺いしたいんです。  私、おととしの十月の本委員会で四全総問題取り上げまして、中心は集中型の社会にするのか、それとも分散型の社会にするのかということだ、国土庁の中の首都改造計画を発表した大都市圏整備局とそれから計画調整局との意見が大いに違うじゃないかというので、当時の河本国土庁長官、本部建設大臣にお伺いしたところ、お二人とも、定住圏構想でいくべきなんだ、基本は分散型の方向だという答弁をされたことがあるんです。ところが、その後周知のような経過で、中曽根首相まで口を出したりして四全総の発表が延びて、その間、やはり東京一点集中かどうかということが大論議になりました。昨年十二月の四全総の審議経過報告、いわゆる中間報告、これは東京重視、東京集中容認だといって、地方自治体を初め、また世論からも厳しい批判が相次いで、それで四全総になったわけですね。ところが、よく読んでみますと、どうもやはり東京一点集中は変化がないと思うんですが、国土庁としてはどうなんですか。この経過報告の東京問題の位置づけと最終の四全総と変化したんですか、していないんですか。
  143. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 昨年十二月の経過報告は国土審議会計画部会が中間的に取りまとめたものでございまして、これが公表されて以降、大変国民の各界各層から活発な御意見をいただいたという経過がございます。  この中間報告が東京重視というふうに受け取られているわけですが、実は一極集中が進んでいる東京東京なりに重要な問題をはらんでいる、その東京問題をもう少し検討しなければいけない、こういう意見が一方にあり、またさらに各地方からは、もう少し地方振興の施策について具体的な記述が必要である、こういう御意見があり、そうした両方の御意見を踏まえてさらに検討を加えて最終案として取りまとめを行ったものが今回の四全総でございます。
  144. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 地方の要望にこたえていろんなプロジェクトが盛り込まれたことは確かですが、東京の位置づけは変化がないと思うんです。一々引用しませんが、例えば五ページ、東京の世界都市機能を書いて、「世界都市機能が常時円滑に機能するよう、東京圏の地域構造の改編を進める」、こういう思想が貫かれているんです。ですから、この四全総が発表されてから一般の新聞、雑誌などもこぞって東京集中問題に懸念を表明しています。  二、三挙げますと、読売新聞の見出しは「東京集中加速の恐れ」、加速ですよ、加速されるおそれというんです。朝日は「東京集中にはずみ?」と、皆そこを懸念しているんです。朝日の六月二十七日にはかなり卓抜な表現がありまして、「いってみれば「多極分散の皮でくるんだ一点集中計画」」だ、皮でくるんでいると、こう言っているんです。それで、朝日のこの解説は、昭和三十七年の全総、昭和四十四年の新全総、昭和五十二年の三全総、この三つは「トーンの強弱、計画の成否はともかく」、「過密、過疎のアンバランスを正し」、「過度の集中で東京がかかえこんでしまった巨大都市特有の数々の問題を解決しようとの熱意がみられた。」と評価しているんです。  それぞれ失敗しましたよ。新産都市も失敗しましたし、巨大プロジェクトも失敗はしたけれども、しかし熱意はあった。「ところが四全総は違う。」と書いてあるんです。今までの全総、新全総、三全総、それぞれ問題があったけれども、それぞれ東京への過度集中を直そうという熱意はあったが、四全総は違うというんだ。まるっきり方向を変えてしまったという厳しい指摘をしています。ただ指摘しているだけじゃないんです。具体的な分析をしている。みんな国土計画に関心を持っている。この四全総ぐらい関心が集中した国土計画はありませんよ。それで、みんなそこを心配しているわけです。  私も東京選出の議員として非常にこの問題を心配して、それできょうはこの問題のかなめとして私は二つの問題を取り上げたい。かなめはもっとあるでしょうけれども、とりあえず取り上げたいのは二つです。  東京への内外の企業の集中をどう抑制するか。二十一世紀の世界都市東京ということでうたわれておりますけれども、そういうアメリカを含む海外の企業、日本の企業のこれ以上の東京集中をどう抑制するかというのが一つ。  もう一つは、本法案に盛り込まれている交流ネットワーク構想東京が過密にならないような形でどう実現していくかということが当面私は二つのかなめだと思うんです。  抑制問題も、これはなかなか大変な問題。私はこの問題でも、これも古いことですけれども昭和五十四年の予算委員会で具体的な問題を取り上げたことがある。これは当時の経済白書で出た数字で、都心にビルが建って千人の勤める人、就業者がふえると新規の社会資本が三十四億円要るというのを経済白書が出した。内訳は、地下鉄六・一億円、地上鉄道二・九億円、道路三・二億円、住宅及び周辺の社会資本二十一・四億円、計三十四億円というのが当時の経企庁の計算なんです。これは昭和四十七年。じゃ、五十四年に一体幾らになるのかというのを私がこの予算委員会の質問で取り上げたら、まだ時間がかかるので計算してない、機械的な計算をしまして国民所得統計の政府投資デフレーターが約一・八倍になっているから、それを掛けますと約六十一億円になりますというのが経企庁の当時の答弁。これは昭和五十四年の答弁。  今度また経企庁にきのう聞きました、国土庁にこれを計算しているかと言ったら、していないと言うので、やはりしてないんでしょう。してないんで経企庁に聞いたら、デフレーターだけ言ってくれました。デフレーターは昭和四十七年に比べて二・一五倍だというんです。そうしますと、機械的に計算して三十四億に二・一五を掛けると七十三億円になる。これは僕は、最近地価暴騰がありますから、これぐらいじゃ済まぬと思うけれども、僕が計算するといろいろ言われるから、きょうは政府のデータで僕の試算を言います。千人ふえると約七十三億円なんです。  今度の四全総で、西暦二〇〇〇年までに東京圏でどのくらいの事務所がふえるか、四千ヘクタールという事務所の床面積が書かれてあります。東京圏で四千ヘクタール事務所の床面積がふえると何人人がふえるか、これも計算をしてみました。六十一年度の国土利用白書、これに一人当たり一九六〇年で十八・二平方メートルという数字がある。一九七五年には一人当たり二十一・七平米、ちょっとふえているんですね。やっぱり桃やそれからパソコンや何かふえるからでしょうけれども、一人当たり二十一・七平米だそうです。で、一応この一人当たり約二十平米とすると、四千ヘクタールふえると二百万人ふえる。東京圏に四千ヘクタールの事務所の床面積がふえると二百万人ふえる。さっきの七十三億掛けますと十四兆六千二百億円という数字が出る。  これは二年前の数字ですし、この二年間に地価暴騰しましたから、恐らくここから先は怪しいけれども、やっぱり二十兆内外の社会資本が、交通とか道路その他に、この四全総東京圏に事務所が集まってくるとかかるのではないか。これは国と自治体が持たなきゃならないから、我々国民にこれだけの金がかかる。じゃ、一体この金をどうするのだという問題を、一体国土審議会や国土庁は検討しているのかという問題。ですから、私は東京集中をいつも批判するけれども、これは東京圏の住民の生活や何かが崩壊するだけじゃなくて、こういうことを放置しておいたのでは、産業活動だって危なくなりますよ。こういう問題を検討していますか。
  145. 柳晃

    政府委員(柳晃君) 先生御指摘のような数字での検討は合しておるわけではございませんが、東京にいろんな企業が集中し、なかんずく本社が集中しております。それを少し、都心だけじゃなくて、広い意味で分散させられないかということで、本社の機能を例えばアメリカの幾つかの市でございますように、フロントオフィスとバックオフィスと申しましょうか、都心部に立地しなきゃいかぬ例えば経営の意思決定をする部門とかそれを支える部門とか、あるいはトップセールスをやらなきゃいかぬ部門とか、そういうものは都心になければならぬと思いますが、研究開発だとか研修だとか経理の一部だとか、あるいは人事・給与管理とか、そういうようなものについてはもう少し副都心なり業務核都市に分散しても十分やっていけるのではないかということで今調査を始めておるところでございます。
  146. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今、大都市圏整備局長が言われた問題は、国土庁がいかに後退してしまったかということの典型的なあらわれなんです。今言われたことは日経の八月十日号に報道されている。つまり、本社を地方に移すのじゃなくて、東京の郊外に移そうというわけです。そのために固定資産税や法人税の軽減を考えている。そうでしょう。大企業に税金まけてやろうというのだ。郊外に研究施設その他を移したら低利融資もしてやる、税金も軽減してやるというところに国土庁は非常に後退していったんです。  国土庁が当初考えていたのはそうじゃなくて、ここに四全総国土庁の試案がありますが、「東京中心部等に立地する事務所に対しその便益の享受に応じて負担を求める等の措置を検討する。」、いわゆる事務所負担ですね、これを考えている。これが国土庁の試案の原案です。ところが、財界から猛反対が起きて結局、四全総でどういうことになったかというと、「事務所の費用負担の在り方も含め幅広い観点から、適切な措置を検討する。」に変わったんです。つまり、企業に負担を求めるという原案は、財界の反対で「幅広い観点から、適切な措置」ということにあいまい化された。  それだけじゃ済まないんです。この四全総には冒頭に国土審の会長安藤太郎さんの意見が一ページ書いてある。「特に留意すべき事項」の4で「東京中心部等に立地する事務所の費用負担のあり方等の検討に当たっては、いたずらに東京からの事務所の追い出しをねらいとすることなく、また我が国の国際的役割の発揮を阻害することのないよう十分配慮すること。」と、こういう歯どめを国土審議会の会長がつけちゃったんです。これで閣議決定したんでしょう。安藤太郎さんというのは住友不動産の会長でしょう。住友不動産の会長が自分の資格で言うのなら——まあ言うだろうと思うけれども、こういう人物を国土審議会の会長にしておく審議会なんて、僕は一体何だと思いますよ。  我々前に追及したことあるけれども、今政府のもとにある審議会の過半数は本当に財界代表が入っているんだ。国土審議会の会長に住友不動産の会長を乗せて、それが国土庁がつくった事務所負担のあり方をひっくり返してあいまいにしておいて、あいまいじゃ足りないから、「東京からの事務所の追い出しをねらいとすることなく」、「国際的役割の発揮」をやれと、ここまで歯どめをかけられたら、もう国土庁やることないから、せめて東京の郊外へと、税金は重くするのじゃなくて軽くしてあげましょうというのを言い出したわけです。  肩をすくめてお笑いになっているけれども、この経過を僕らよりもあなた方よく知っているはずだから、こういうふうなことがまかり通っていたのでは東京の一点集中を是正するということはできなくて、これは朝日が言うように多極型の衣をまとった東京一点集中計画だと厳しく言われても一言もないのじゃないかと思いますね。何か言うことありますか。
  147. 長沢哲夫

    政府委員長沢哲夫君) 東京一点集中の抑制というのは四全総の基本的なねらいでありまして、現実に五十年代の後半以降、国際化、情報化等のトレンドの影響を受けまして、かなり東京一極集中の傾向が現実のメカニズムとしては出てきていることは事実でございます。この動きに対していわば抵抗をして、抑制を図っていくということで、一都三県東京圏の昭和六十年現在の人口が約三千万でございますが、これを放置しておけば、七十五年、二〇〇〇年には三千五百万になってしまう、それを何とか三千三百万のラインに抑えていこうというのが四全総のねらいでございます。そうした一極集中抑制の一環として、事務所等についても「地方都市等に誘導するための適切な措置を検討する」、この方針は何ら変わっておらないわけでございます。  ただ、国土審議会におきまして単純に、いわば懲罰的に東京都心から追い出しを図る、そういう考え方ではなくて、財政、金融、税制あるいは首都機能のあり方といった幅広い観点から検討する必要がある、こういう御指摘があったことから所要の記述の変更がなされているのでありまして、基本的な考え方は変わっておりません。
  148. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そこはしっかり一応受けとめておく。  ただ、追い出し税という言葉は、ただ追い出すというのじゃなくて、東京に集中しないように、さっき私が言ったような十四兆にも及ぶ社会資本の負担を当然負ってもらう。ビルさえ建てはあとは全部国民の税金に任せておくというのでは困るんですよ、その点だということを言っておきたい。  それから、この朝日の記事には、平松守彦大分県知事が「都心の事業所を対象にした「追い出し税」のような制度的な裏付けが必要だと思うが、実現は期待薄だ。」と言っているわけです。地方はこういうことを望んでいるんです。東京都知事は追い出し税には反対というのがやっぱり載っていますけれども、このぐらい違ってくるわけですね。  それから、大臣お笑いになっているけれども東京駅に十二棟もビル建ててごらんなさい。先ほど私が言った社会資本の負担が物すごく出てくるし、そういう問題の検討なしに言っていますと、やっぱり東京一点集中に、大臣の地価抑制の念願に反した結果も出かねませんから、その点も広く考えていただきたいと思います。  第二の問題は、本法案に関連する全国ネットワーク構想なんですが、やっぱりこの問題も今私が言った本当に東京一点集中を抑制するのか、それとも多極分散型国土に本当になるのかということにかかわっている。  一月十二日に、福田さんをキャップにして私ども本四架橋それから四国などを調査に行きまして、五月十四日の本委員会の会議録にその報告書が載っています。私は、出身は高知なんです。だから四国の問題には大変関心があるんですけれども、行ってみて非常に驚きました。瀬戸大橋ができても四国の受け皿のつまり高規格幹線道路はほとんどできていない。山陽道の方だってまだできていません。三本も橋をかける計画だけ通しておいて、受け皿の方も送り皿の方もできていないというのじゃ、国土計画って一体どういうことなのかと、私そのとき、香川の知事さんを加えたときだったか、一つ強く言いましたよ。三本橋がかかったのは、考えてみますと、三木さんとか大平さんとか後藤田さんとか宮澤さんとか、どうも政治家の力もあったと思うんです。そういうことで、これはもう三本ルートはできたけれども、実際にはでき上がっても受け皿も送り皿もない。どうにもならない。  この報告書にも四国についてこう書いてある。四国の高速自動車国道は、縦貫道、横断道合わせて延長二百七十四キロ、しかし供用延長はわずか十一キロ、他の地域に比べ大きく立ちおくれている。「本四架橋の結節点となる坂出インターを含む高松−善通寺間は、中心くいの打設が完了したにとどまり、供用開始までにはまだ数年を要します。」、こういうふうになっているんですね。  四国の縦貫道、横断道はまだ整備計画もできてないところが三カ所もありますよ。こういう状況でしょう。こういう点を見ますと、私は今四国のことを取り上げたけれども、恐らく九州も中国地方も東北地方も、ましてや北海道などは非常におくれていると思うんです。そういうところに早急に高規格幹線道路をつくろうというのなら話はわかるけれども、けさほどから鈴木道路局長の答弁聞いていますと第二東名、第二名神でしょう。これを早くやりたい早くやりたいという話。岩手の話も大分出ましたけれども、やっぱりそこにあなた方は重点を置かれる。  私、衆議院の議事録も読みました。天野建設大臣も、東名というのは最初特別会計でやったが、そのままだったらもう二本分ぐらい金ができておる、余っておるはずだが、それをプール制にしてしまった。それで、要望が強いから、採算上の関係からいっても当然これは優先的にという答弁をされている。そうしますと、第二東名、第二名神ができますと、やはり東京−大阪間の、関西と東京の交通がますます太くなるという結果になると思う。  三全総、ここに持ってきましたが、三全総にはこう書いてある。九十四ページです。「これまでの幹線交通体系は、いわば、東京一点集中型の体系であり、東京−大阪を軸とする体系である。」、「この東京一点集中型の体系を改め、」、新しい全国幹線交通体系再構築が必要だと、こういうことだと思う。しかし、三全総から今までの間に東京一点集中はますます強まってしまって、首都圏、阪神、それから名古屋圏、三つあるのじゃなくて、東京圏対その他国だというぐらいになっちゃったわけでしょう。これが現実でしょう。  それを、今度の四全総、またその中に書かれている多極分散型国土形成するための全国の交流ネットワーク、これをやろうというのだったら現実を変えなければいかぬのですよ。現実を放置しておいたら資本の論理でますます進む。それなのに、皆さん方は口では、現実を変える、分散型国土形成を願うというふうなことを言われながら、さあ具体的に国幹道問題になりますと、要望も強い、ここが一番採算ももうかる、全国の採算の五〇%がここで上がっておると先ほど鈴木局長言われましたし、だからここを先にやると。そうすると結局現実に押されて、私が先ほど言った四国の問題とかあちらこちらの問題より、第二東名、第二名神、これ優先ということになって、結局これができてもほかができていないんだから、やはり東京集中を加速する交通道路ですよ。ほかがもっとできてからバランスをとってつくるのなら別ですよ。これを優先的にやってごらんなさい、東京集中を加速する以外にないと思うんだけれども、いかがですか。
  149. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 上田先生と議論する考えはございませんが、四国で私一番気になっているのは、いわゆる高松へ出る道路の問題です。これはきのうきょうの問題ではないんです。私、四国に行ってこれを協力要請してからもう十年以上たちます。膨大な金をかけて橋をかける、そのかけた橋が四国へ行って利用ができないようでは困るじゃないか。架橋の地点から最も近い大きな都会といえば高松である、その高松にも通じないようでどうなるのだという話をしました。残念なことに、そのときの知事さんは共産党の知事さんでございました。そういう障害でなかなか進まないんだということでございました。だから、それとこれとは違うのじゃないかというのを力説してきたんですが、何とかするというわけでしたが、私が今度就任して、もう来年の四月にあればオープンします。一体どうなっているのか、まだできないと言うんです。  それじゃ、東京−大阪の間はやって、そして四国をやらないのはどうだと言われればそのとおりなんですが、やっぱり道路だけは土地の問題が解決すれば九〇%はできたということに、私はそう常識的に考えておるのであります。土地の協力があれば十二分これはできますが、地権は、国民個人個人が持っている土地ですから、そう簡単にはいかない。個人との折衝はとても公団自体がやるわけにはいきませんから、先ほどから話のあったように各地方自治団体にこれを委任して、お願いをしてやってもらっているわけですが、その能率次第であるということを申し上げて私は差し支えないと思うんです。それが一点です。  それから、今の状態でいきますと、道路公団は国鉄の二の舞になる可能性もあるのじゃないかという心配もしております。そういう関係で、採算の十二分とれるものも考えてやる必要があるのじゃないか。これは東京から大阪の間だけに集中してやると言っているのではありません。どんな過疎地域でもやります。やりますが、やるためには収入源の大きなところもやってやる必要がバランスの上からいって非常に大切だということだけはひとつ御理解願えればありがたいと思うわけであります。  自分のことを言って変なんですけれども、私、それほどへんぱ的に考えてはいませんで、私自身ぐらい建設行政を円満に円滑に至るところを心配してやっている者はいないのじゃないかと思っているんですから、お気づきの点がありましたら、ひとつ御注意願えればありがたい幸せだと思いますが、今の問題だけではちょっとひとつ御理解願えればありがたいと思います。
  150. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 もう時間がなくなりましたので、あと僕は圏央道や外環道路もお聞きしたいことをいろいろ通告もしてあったんですけれども、またの機会にします。  今、共産党のという話もありましたけれども、私ども交通手段を近代化すること、これは賛成です。だから、全国的な交通のネットワークを整備することには賛成なんだけれども、同時に、それを進めるに当たってさまざまな問題点が、例えば外環道路や圏央道についても私これまで取り上げてきたような住民との関係その他その他で大きな問題があるわけです。  ですから、私ども地域住民生活や経済活動の発展に寄与する路線、一般道路です。そういう一般道路も含めて路線整備を大いに優先すべきだ、それで地方地域道路網整備、これを大事にしてほしいということが第一点。  それから第二点として、路線設定道路構造、これも自治体や地域住民の合意に基づいて民主的に進めてほしいということが第二点。  それから三点目に環境、それから公害問題、これを引き起こさないようにしてほしいということ。  四点目に、自治体財政に過大な負担をかけないこと。今大臣は第二の国鉄のお話をされましたが、朝日の六月二十七日の大きな特集にはその問題も触れて、このままいきますと、国の財政難が続くと地方負担と引きかえにということになりかねない危険もあるということまで指摘しているんです。これも大きな問題だと思うんです。  それで、こういうことを要望しながら、我々はネットワーク整備そのものに賛成しますけれども、個々の道路建設路線とか計画についてはこういう観点から具体的に対処していくつもりです。以上述べた我々の幾つかの、生活道路優先、それから地方財政に過重な負担をかけない、環境破壊をさせない、それから住民の合意に基づくという点について建設大臣の姿勢をお伺いして質問を終わりたいと思います。
  151. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) それはもう上田先生のおっしゃることがそのとおりで、理想論でございますから、それに沿ってやらないところがあればこれは問題ですが、ただ、線を最初引く段階において、なかなか全住民の了解を得るということは非常に困難だと思いますが、その点も十二分踏まえてこれからの計画にはやる所存でございますから、その点御理解願えればありがたいと思います。  ありがたい御発言ありがとうございました。
  152. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  153. 山田勇

    ○山田勇君 第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総が去る六月三十日に決定され、その中で新たに四十九路線の高規格幹線道構想が示されておりますが、この四全総は多極分散型の国土づくりを目指したものとなっており、その柱として高速交通体系の中でも高速道路網の一層の整備促進の重要性について述べています。  そこで、まずお尋ねいたしますが、国土の均衡ある発展を進める上で、高速道路網を単に整備するだけでは十分ではないと思います。道路とともに、企業もあわせて地方移転してこそ多極分散につながると考えますが、この方策について、インターチェンジ周辺の企業誘致とそれに合わせた開発の方法を取り入れることが必要ではないかと思いますが、この点、建設省はどのようにお考えになっておられますか。
  154. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高速道路経済効果は大変大きく、特にインターチェンジの周辺におきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、企業立地が大変集中的に行われるということは申し上げたとおりでございまして、私どもといたしましても、単に高速道路建設するということだけじゃなく、インターチェンジの位置の設定等に当たりましては、周辺の開発計画を担当している地方公共団体と十分調整をとりながらそういう計画を煮詰めているわけでございますので、その結果として、高速道路が周辺の開発計画に整合をとったような形で進むことになるように努力してまいりたいと思います。
  155. 山田勇

    ○山田勇君 今回の法改正におきましては、四全総に示されました四十九路線のうちで二十二路線、三千九百二十キロを国土開発幹線自動車道に新たに追加すべきものとなっておりますが、なぜこの二十二路線だけを国幹道とするのか、その理由をお聞かせください。  また、国幹道として指定されなかった道路建設はどのような扱いになるのか。着工時期、財源、整備水準などの点で不利な扱いになることはないか。この点をあわせてお尋ねをいたしておきます。
  156. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 高規格幹線道路網につきましては、これは全国的な都市間を連絡する自動車専用道路というふうに定義しておりまして、その中は、いわゆる国土開発幹線自動車道路、これは高速自動車国道でございますが、国土開発幹線自動車道路と本四連絡橋並びに一般国道の自動車専用道路、この三つの整備手法で進めることにしているわけでございます。  今回、その中から国幹道として二十二路線を選んだわけでございますが、これにつきましては、この国幹道の法律の趣旨に沿った、国土を縦貫し横断をし、全国の枢要な自動車道路網をなすという考え方から、一万四千キロの中から今回御審議の対象としている路線を拾ったわけでございます。その残りの部分につきましては、一般国道の自動車専用道路ということで整備をすることにしているわけでございます。  それで、その整備のプライオリティーに差があるかないかということでございますが、採択といたしましては高規格幹線自動車道路ということでくくっておりますから、どちらに入った方が有利とか不利ということはないと考えております。  ただ、実際に整備をする場合に、国幹道法に基づきます国土開発幹線自動車道路の整備は、この法律の改正後、当然国土開発幹線自動車道建設審議会を経て基本計画つくり、その後、整備計画を経て道路公団にこの施行命令が出るというような諸手続が要るわけでございます。  それから、もう一つの一般国道の自動車専用道路につきましては個々のその道路調査の熟度に応じてやっていくわけでございますので、事業の着工のしやすさからといいますと、とりあえずは一般国道の自動車専用道路の方が取りつきやすいという面もあろうかと思いますけれども、よりプライオリティーでどちらが有利とかどちらが不利ということはないように、私どもとしても十分配慮していきたいと思っているわけでございます。  それから、財源でございますが、国土開発幹線自動車道路は、先ほども申し上げましたように、日本道路公団によります有料道路としてやっておりますので、財源の主体は財投でございます。採算性を確保するために一部国費が入るわけでございますが、主体は財政投融資でございます。それから、一般国道の自動車専用道路につきましては、その道路の性格によりまして有料道路とすることもあり得ますけれども、やはり原則としては直轄の一般国道として整備をしていく。それから、整備を促進するため、あるいは将来この維持管理費の地元負担を軽くするという観点から、有料道路に取り入れられるところは将来有料道路にするということを考えておりまして、この二つの手法をもって高規格幹線道路網を今後整備していきたいという方針でございます。
  157. 山田勇

    ○山田勇君 既定の国幹道七千六百キロメートルのうち、供用予定は六十二年度末で四千二百八十キロ、整備計画の策定済みの路線が六十一年度末で六千四百十キロメートルとなっております。現在の第九次道路整備五カ年計画昭和五十八年度から六十二年度で千四十八キロでございます。およそ年に二百十キロのペースであり、それにまだ整備計画が策定されていないのもあると考えますと、七千六百キロメートルの供用が完全に行われるのはいつごろとお考えでしょうか。  また、高速道路による物流については、日本経済に与える影響、役割は大きなものがあると考えます。しかし、だからといって安易に将来の負担を考えず、つくればよい、整備すればよいというものではないと思います。  そこで、高速道路の採算面という点についても、これは当然利用者が払う料金にも関係してくると思うんですが、付点がお聞かせをいただきたいと思います。  まず、路線別の採算の明確化という点はどうなっておりましょうか。その点ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  158. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) まず、七千六百キロメートルの完成の見込みでございますが、現在のところ、昭和七十五年までに概成させる、暫定施行のところもありますから、七十五年までに七千六百キロについては概成をしたいと考えております。  それから、採算性の問題の中の路線別の収支の明確化でございますが、これにつきましては、昭和六十一年の六月の行革審の答申におきまして、「日本道路公団の高速道路については、長期的健全経営の確保の観点から、路線別収支を明確化した上で、新規事業につき、収入見通しの的確化を図り、内部補助割合の適正化等厳格な採択基準を設定するものとする。」と、こういうふうに行革審の答申で指摘を受けておりまして、これを受けまして、この路線別の採算の明確化をどういうふうにするか、現在道路公団で検討しておりまして、できるだけ早期に結論を出す方針で今検討を進めているところでございます。
  159. 山田勇

    ○山田勇君 建設費の内部補助、これについて今後の予算面でも大変厳しくなると思われます。本州横断道などの建設については六十年四月の道路審議会の答申の中でも触れられておりますが、具体的に建設省の取り組みはどのようになっていますか。  また、高速道路建設が我が国の経済発展、国民生活の向上にプラスになるものでなければならないことは言うまでもありませんが、総務庁の行政監察でも指摘されているように、採算性も重視することを忘れてはならないと思いますが、その点についてどのようにお考えでございますか。
  160. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) ただいま御質問の六十年の四月の答申でございますが、これは道路審議会の中間答申ということで建設大臣になされたものでございまして、先ほどの行革審の答申の中にもございましたように、内部補助の限界について、採算性のよくない路線で内部補助はある程度やむを得ないけれども、その償還するための二分の一は内部補助によるのもいいけれども、それ以上の内部補助がないような措置をとれということと、もう一つは、プール制になっておりますから、今度は全体をプールすることによって採算性の良好な路線の料金が必要以上に高く過度になるというのを防ぐために、もし単独でその道路をやっていれば既に採算がとれているような道路、これは先ほど来議論が出ております例えば東名でございますけれども、そういった道路については、その東名をつくったときに必要な料金以上に上げるのはおかしい、いわゆる現在の価格でそれをつくった場合の料金が当然出るわけで、それより高い料金にしてはいけないというような答申を道路審議会からいただいておりまして、私どもといたしましてはそういった答申の趣旨に沿って、今の二点を守りながら建設整備を進めているところでございます。  具体的には、採算性で当面問題のあります箇所につきましてはとりあえず交通量がふえるまで二車線の暫定施行をやっていく、トンネルはとりあえず一本掘っていく、交通量がふえたらまたそれをうってかえしてやるというような暫定施行の問題とか、あるいは東北横断道等、先ほど申し上げましたけれども、採算性をよくするために国から利子補給しているわけでございますが、一般の道路は六・五%になるように利子補給しているわけでございますが、そういった横断道路につきましてはやはり地域開発の観点から整備をしていかなければいけない必要性があるわけでございまして、そういったものの内部補助が先ほど言った答申を上回らないようにするために、資金コスト三%、そのために国費は余分にかかりますけれども、そうやって採算性を確保しながら必要な箇所についてはやはり進めていくというようなことを行っています。  それから、その答申を得ましたその後、料金改定九・八%でございますけれども、先ほどの答申に該当しない程度の料金改定を六十年四月に行わせていただきまして、そういったことによって全体の採算性を確保しながら必要な箇所を整備するように今まで努めてきたところでございます。今後もそういう方針でこれからの新しい路線整備も進めていきたいと考えております。
  161. 山田勇

    ○山田勇君 高速自動車国道におけるサービス面について若干お尋ねをしておきます。  これは、高速道は閉鎖された特殊な構造を有していることから、一般道路の沿線における店舗などの状況と異なる面もあり、難しいところもあると思いますが、サービスエリアなどにおける食堂の料理メニューについての不満が多く聞かれます。また、高速道路に乗り入れて渋滞の中に巻き込まれたときのいら立ちは多くの人々が経験していることですが、先日も大阪−京都間で平常の三倍以上の時間を費やしたということがありましたが、情報は料金所入り口に渋滞と表示が出ているだけで、どの程度の渋滞かもわかりませんし、情報板や道路側にありますラジオあるいは道路案内所などの利用者に対する渋滞や工事の実施状況など一応の情報提供もあるわけですが、ほとんどの場合、渋滞の列の中で何の情報もなくいらいらとしながら待っているだけであります。食堂に対する不満の解消、渋滞時期における情報提供など、まだまだ改善の余地が随分あるのではないかと思います。  快適なドライブは事故防止にもつながるわけでありますから、十分とそのサービス面においてもお考えをいただきたいと思いますし、この委員会でもたびたび質疑をさせていただきました大阪の阪神高速道路、騒音防止という大きな見地から全部の道路に壁面ができてしまう、そうすると外の景観が見られない、それに対するドライバーの心理状況、そういうものももう一度お考えをいただいて、騒音防止板そのものを若干透明度あるものにするか、何かずき間をあけて多少外の景観が見られるとか、そういうような工夫もドライバー心理にとって非常に大切なことだと思いますので、これから技術面的にもぜひ御努力いただきたいと思いますのと、最後の質問、これは大臣にお願いしたいんです。  道路という社会資本の持つ機能は非常に広範囲にわたっております。したがって、道路建設は単に建設省道路局のみの仕事ではなく、省内の他局はおろか、他の省庁にも関係ある問題が多く、横との連絡協議がスムーズに行われなければ能率は上がらないと思います。この点、縦割り行政の弊害を指摘する声が多くありますが、いかがなものでしょうか。  また、道路建設に伴う土地の確保、そのために大きな障害となっている土地の私権の問題があります。大臣は、合理的な土地利用、道路計画などに関して土地の私権の制限などについてどのような御所見をお持ちでしょうか。あわせてお伺いいたしまして私の質疑を終わります。
  162. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) それでは、ただいまの御質問、順にお答えいたします。  まず、高速道路のサービスエリアの食堂のメニューについての不精の問題でございますが、現在、高速道路の食堂等の道路サービスにつきましては、日本道路公団がその大部分を財団法人の道路施設協会に建設、管理をさせておりまして、施設協会においてその経営を行っておるわけでございます。その経営に関しましては、従来からアンケート調査を実施いたしまして、あるいは投書箱等の設置によりまして利用者のニーズを把握しているところでございますし、またサービス向上懇談会というのを設けまして、専門家の意見を聞いてサービスの向上に努めているわけでございます。  御指摘のサービスエリアのメニューにつきましては、今おっしゃったような苦情が割合とあるわけでございます。施設協会としてはサービスに努めているわけでございますけれども、なかなか満足いただけるような状態ではないというように、御指摘の面が多々あろうかと思っております。御指摘のようにそういった食堂サービスを向上することによってまた道路利用者がふえるということもありますので、今後ともそういう利用者サービスの改善向上につきましては、十分施設協会を指導するよう、私ども道路公団には指示してまいりたいと考えております。  それから二番目は、高速道路の渋滞情報等について現状はどうなっているか、もっと改善をしろということでございますが、高速道路におきます情報提供につきましては、非常電話あるいは車両検知器、気象観測機器及び道路パトロール等によりまして、時々刻々の変化します交通状況とか気象状況のデータを収集いたしまして、これらの情報を高速道路上、あるいは御指摘がございましたインターチェンジの入り口に設置した情報板、あるいはハイウエーラジオ、それから道路案内所において利用者に情報を提供しているわけでございます。また昭和六十年からは、新通信システムといたしまして、東名、名神等に光ファイバーの敷設を進めておりまして、これは非常に容量がございますので、こういったものを利用して一層の道路情報の収集とか提供を迅速化するあるいは広域的に行うということについても今後大いに努めてまいりたいと思っております。  それから、首都高速道路あるいは阪神高速道路等、そういった都市高速との接続も最近はオンライン化するようになりまして、まだまだ東名では首都高速情報が薄いわけでございますが、そういった道路交通情報が相互にできるようなシステムについても研究しています。いずれにいたしましても、御指摘のように高速道路はクローズしたところでございますので、情報がないということは非常にドライバーの方に不安を与えますので、御指摘の情報の提供については一層努力をしたいと思っております。  それから三番目の、防音壁があって外が見えないで大変運転しづらいということでございます。防音壁につきましては、周辺の方に騒音の公害を少しでも低減させようということでやっているわけでございますけれども、御指摘のように、確かに走行車にとっては塀のそばを走っているような感じで運転もしづらい面がございます、したがいまして、そういう観点から現在でも何カ所かについては、ガラス類といいますか、透明な防音壁をつくりまして、そういった弊害を少しでもなくすように努力しているわけでございます。ガラス製もございますから、破損の問題とか清掃の問題いろいろございまして、全面的にということにもなかなかなりがたいと思いますけれども、最近、公団等につきまして、お気づきかと思いますが、ところどころやるようにしておりますし、今後もそういった材質がよくなってきた場合にはむしろ積極的にそういうことをやって、サービスそしてあわせて環境対策もやろうというような方向で努力をしてまいりたいと思っております、
  163. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 道路をつくるのは建設省関係でございますが、利用する方は全国民でございます。そういう関係から、その関連する省庁間とよく連携をとりまして、国民の期待に反するようなものではなく、国民が期待できるような建設を仕上げるように努力いたします。  それから、土地の所有者に対する私権制限の問題ですが、これはいろいろ問題点がありますが、今の段階では建設省あるいは地方自治団体等がやると方針を決めれば、一番簡単なのは収用法でございますが、それほど難しくなく、スムーズに手続がとれて結論をすぐ出せるようなところまで来ておりますので、この点についてはそれほど心配はしていないのでありますが、先ほど申し上げましたように、四国の高松の問題だけはちょっと異常なものですからちょっと申し上げたのでありますが、地方自治団体で十二分に御配慮願えればやっていけると思っておりますし、現在の段階では、道路行政を進める上において、そのために大きな支障を来しているというような事態はございませんので、今後とも留意して取り扱いをいたしたいと思います。
  164. 青木茂

    ○青木茂君 まず一万四千キロから伺うわけなんですけれども、この一万四千キロというのは、この道路で何キロ、あっちの道路で何キロというふうなものを総合計したというのか、積み上げ計算によって一万四千という数字が出たわけですか。
  165. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) この高規格幹線道路網の策定に際しましてまず基本的に考えましたことは、それまでの高速道路計画七千六百キロにつきましては、全国の各地から半島と島嶼を除いて二時間ぐらいで行けるような網の目にしよう、そういったことで考えられたネットワークでございますが、最近のそういった自動車交通の進展等に伴って、それでは到底不足でございますし、また国土庁で言っております多極分散型の国土形成する上には交流ネットワークの形成が必要ということで、二時間もかかって高速道路に達成するのでは到底道路網としては不足であるということがございまして、私どもといたしましては国土庁と御相談いたしまして、一時間でこの高速道路のインターチェンジに行けるようなネットワークをつくろうということでいろいろ絵を描いてみますと大体一万四千キロぐらいになる。  それからもう一つは、先ほど来申し上げておりますけれども、やはり現在の欧米、アメリカはちょっと大きいですけれども、ヨーロッパ等の高速道路ネットワークなんかを見てみますと、それの原単位、人口とか面積で日本に移してみますと、大体日本も一万四千キロぐらいでやってもいいじゃないかということが国際比較からも出ますし、それから一万四千キロですとちょっと三十年ということで大変長いんですけれども、三十年ぐらいの計画なら将来これを具現化できるのじゃないかというようないろんな観点から考えまして一万四千キロという規模になったわけでございまして、個々の積み上げと全体のブレークダウンとの両方がそういう規模になったというふうに御理解いただければと思います。
  166. 青木茂

    ○青木茂君 積み上げて一万四千キロというならわかるんですけれども、どうも日本は国際比較というのか外国並みというのが好きなんで、外国に行った場合、やっぱり地形も違いますし、それから世界に冠たるJRがあるかないかと、これによっても違うわけなんで、どうも外国と比較してというのは感心しないのだけれども、一つ外国との比較であえて伺うならば、例えばアメリカ、イギリス、西ドイツ、そういうところの高速道路の料金はどうなっているわけですか。
  167. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 料金の問題でございますが、我が国の場合には全線有料でございますけれども、アメリカの場合のインターステートハイウェーは無料でございます。それから、西ドイツのアウトバーンも無料でございます。それから、フランスにおきましては一部有料、一部無料ということで、フランスは比較的有料道路制度の採用が大きいわけでございます。それから、イタリアにつきましては、北部については有料、南部については無料。それから、イギリスにつきましては全線無料でございまして、全部有料は我が国だけでございます。
  168. 青木茂

    ○青木茂君 まねするなら、そこら辺のところをまねしてほしいと思います。  それはともかくとして、今度は、三十年ということなんですけれども、三十年というのは我々も大臣も恐らくだめですね。非常に気の遠くなるような期間なんですけれども、今この時点で三十年計画というものを発表なさった何か根拠はあるわけですか。
  169. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 最初の御質問とも関連するわけでございますが、弁解ではございませんが、国際比較してみたら大体一万四千キロということで、どちらかというと、いろいろやってみますと一万四千キロ必要だということになってまいりまして、それを今の状況でやるとどうしても三十年かかるということでございまして、最初から三十年計画でスタートしたわけではないわけでございます。  きょうも答弁させていただきたいと思いますけれども、三全総のときには一万キロぐらいということで始まったわけでございますが、今言ったようないろいろな積み上げ等の結果やりますと、どうしても三十年というのは、これはどちらかといいますと計画の限度きりぎり。今の七千六百キロが今から二十年前の四十一年に決めたわけでございますけども、そういうことから見ますと、もう三十年というのは計画としては御指摘のとおりぎりぎりでございますが、今言ったような計画策定の過程からいって、三十年ぐらいはどうしてもかかるような計画になったという面もあるわけです。
  170. 青木茂

    ○青木茂君 三十年と現時点で言ってしまいますと、計画全体が何か絵にかいたもちのように見えてくるんですよ。  と申しますことは、我々の過去の例からいって、経済というのは十五年単位で激変しているわけですね。昭和五年の大恐慌、後十五年プラスするとその大恐慌の後遺症の戦争の敗戦、昭和二十年に十五年を足して昭和三十五年、それまで戦後復興がかかって、それで三十五年に高度成長に入っていって東京オリンピックと東海道新幹線、その三十五に十五足して五十年、石油とアメリカの双子赤字に振り回される十五年間、これからのまた十五年を足していきますと、今度は一ドル百二十円に振り回される可能性と危険性なしとしない。つまり十五年単位で経済の体質というのは大きく動いているという過去を我々は経験を持っている。その経験に照らして、三十年計画ということになるともう何が起きるかわからないわけなんですね。だから、何が起きるかわからない状況の中で、ここで三十年計画をこのとおりいくぞというようなことを、国民に一種の幻想的なものを与えるということは果たしてどうであろうかということを大変心配しているわけなんです。
  171. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 確かに御指摘のように三十年長いわけでございますが、やはり社会資本の整備というのは大変懐妊期間が長いプロジェクトでございますし、本州四国連絡橋につきましても明治からそういう構想があったということで、それが現在実ってきたわけでございます。  特に、この高規格幹線道路というのは、トータルとしては確かに三十年でございますが、そのプロセスといたしましては百キロ、二百キロ、三百キロというふうに順番につくっていくわけでございますので、三十年たたなければ、全部できなければこれが全く機能しないというわけではございませんので、一応、先ほど申し上げましたけれども、そういった計画は早く決めておいて、いろいろその後の状況変化、地域開発計画とかあるいは大きな社会経済の変動が起こった場合に、それに対応した整備の進度を調整するというようなことで進めていけば必ずしも大き過ぎる計画だとは思いません。  やはりこういう目標を立てて整備をしていくということをしませんと、現在の例えばバイパス等をつくる場合にも、将来そこに高規格道路あるいはそういった高速道路計画があるのとないのとでは大分つくり方が違いますし、二重投資になるということもございますので、やはりそういうネットワークとして必要のある路線もございますけれども、当面とりあえずはそこの町のバイパスとして必要だというようなところもあるわけでございますので、そういうときには長期的な目標を見ながら現実的な対応をするということもございますので、三十年先、かなり長いとは思いますけれども、そういう計画を立てさせていただいたわけでございます。  これにつきましては、きょうも出ておりましたけれども、また四全総の見直しのときにはそのときの進捗状況に応じて中を見直すということがあろうと思いますし、また最近、三十年は長いということを言われていまして、現在ではまだ体制が整っておりませんから、これを二十年でやるというふうに申し上げる状況には至っておりませんけれども、私どもといたしましては、御審議の過程でいろんなところから御指摘されているこの長期間の建設については短くするような努力もしていきたい、そういったことで、先生の御懸念の点について少しでも少なくするようにしたいと考えております。
  172. 青木茂

    ○青木茂君 ぜひお願いしたいんですけれども、今政府が発表なされるということは国民に期待を与える、その期待が幻想に終わると、これは非常に国民の不精が大きくなってよくない。ひとつ青函トンネルの二の舞にならないようにぜひお願いをしたいと思っております。  それから次に、こういう計画がぼんと出てしまいますと、これは選挙と一緒で、当選した道路はいいですよ。ところが、選に漏れた道路周辺、これはかなり過疎化が進むのじゃないか。その過疎化が仮に促進されるとするならば、やはり政治全体としては、その選に漏れた道路周辺の過疎化というものに対する何らかの対策を考えなければならないのじゃないかと思うわけなんですけれども、その点何か具体的な対策はお持ちでございましょうか。
  173. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 選定に漏れた道路ということでございますけれども、この一万四千キロは。一応高速道路には一時間で達成できるようなネットワークになっておりますが、仮にそこは高規格道路がないところでも、一時間あれば高速道路のインターチェンジには行けるようなネットワークになっているわけでございます。  ただ、高規格道路というような要望の強い路線につきましては、それなりのいろいろな理由があるわけでございますので、これは高規格幹線道路以外の一般道路整備あるいは地方道の整備等もかなりやっているわけでございますので、その中で当面の交通需要あるいは地元の要望に対応できるように、これは現在もそういう方向でその他の道路整備も行っていきたいと考えております。
  174. 青木茂

    ○青木茂君 大変御答弁としては優等生なんですけれども、現実の問題としては、これは各地元選出の方々からいろいろな異論が出る問題じゃないかと、私なんかはいわゆる全国区ですから余りそういうことはわからぬけれども、あるのじゃないかという気がいたします。  それはともかくとして、今度は三十年という長期の問題じゃなしに、現時点の問題について伺いますけれども、とにかく三十年で一万四千キロ、二十一世紀までに約九千キロですね。そうすると、今まで四千キロあるのと新規着工は五千キロ、二十一世紀までに十三年ですか十四年ですか、それを単純平均いたしますと年間三百五十から三百七十つくらにゃならぬですね。現在が二百平均でしょう。現在二百キロ平均のものを三百五十から三百七十にこれは引き伸ばしていかなきゃならない。その具体的なマスタープラン、これは財政問題も含めてマスタープランというようなものをお持ちなんですか。
  175. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) その施工能力のアップの問題でございますが、まず現在の道路公団の施工実績ですと、年間二百キロちょっとでございます。これを二百五十キロ体制に持っていくように、二五%アップになりますけれども、現在道路公団で検討していただいております。  それから、一般国道の自動車専用道路で行う道路につきましては直轄の事業を主体としてやるわけでございますので、これは今まで直轄道路でそういった高規格幹線道路をやるという方針はなかったわけでございますが、今後一般国道の自動車専用道路につきましては直轄の各地方建設局の力も結集して行って、現在それに類似の道路というのは四十キロぐらいは今でも自動車専用道路をやっておりますけれども、これを長期的に百キロに上げたい。そのほか地方道路公社の有料融資事業なんかもございますし、こういったものにつきましても自動車専用道路でございますから、この高規格幹線道路網路線に使えるものについては、これは大きなシェアにはならないと思いますけれども、そういった公社の力もかりたい。  それから、現実的に用地買収等におきましては、現在も道路公団については大半を地方公共団体あるいは公社に委託しておりますけれども、そういった委託の問題につきましてもこれをもっと手広くやるというようなことをやりまして、今御指摘の二百キロから三百五十キロの体制にできるだけ早くこれを持っていくように今後進めていく方針でございます。
  176. 青木茂

    ○青木茂君 いわゆる概論はわかるんですけれども、もう少し、これはもうこういう数字が出たのだから、具体的などれについては何キロというようなマスタープランが出ないと、これまたちょっと幻想に終わって、何年度までに赤字国債依存体質をゼロにするというのがずるずる延びちゃったと同じことになってしまうんじゃないか、これはお答え要りません。そういう心配をしているということです。  それからもう一つは、横断道路がかなりこれは多くなる。横断道路だと橋やトンネルが多くてかなり建設費も高くなるんじゃないか。幹線の方は今度は土地代が物すごくばかにできないものになるんじゃないか。これへの処方というのですか対策というんですか、これもいわゆる数字的にというのか、具体的に何か御計画をお持ちですか。
  177. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) まず、これからの新しく取り入れる路線につきましては地域開発効果の多いような横断道路が主体をなしているわけでございまして、この横断道路につきましては日本列島を横断するわけでございまして、非常にトンネルとか橋梁が多くなるので、今まで以上にコストがかかることは当然でございます。しかし、そういったものについては、いわゆる多極分散型の国土をつくると申しますか、そういった地域開発計画からも必要でございますので、やっていかなきゃならない。そういった面で、まずコスト面では、当面は交通量が少ないわけでございますから、暫定で二車線でつくらしていただく。用地は四車線買いますけれども、二車線でつくってコストの軽減を図ると同時に、やはり国策、国のネットワークをつくるという観点からそういうものを整備するわけでございますから、現在既に資金コストが三%になるように国から利子補給をしておりますけれども、そういうものを拡大して、そういった横断道路が着手をしやすいようにしていきたい。また、そういう手段を講じて横断道路等について整備を進めていきたいと考えるわけでございます。  それから、用地費が非常に高くなるかということでございますが、高速道路につきましては全くの都心を通っている区間というのは少ないわけでございまして、道路全体でも二〇%ちょっとが用地費比率でございますし、高速道路についてもその程度状況でございますし、むしろ横断道路ともなりますと比較的山地部が多いものでございますので、用地費についてはそうかからないんじゃないか。特に大都市周辺の高速道路については確かに用地費が高い区間もまだかなり残っておりますけれども、全体としては高速道路に関しては用地費の心配は比較的少ない。むしろ、御指摘の建設工事費が高くなっていくことにどう対応して採算性を確保しながらやっていくかということじゃないかというふうに考えます。
  178. 青木茂

    ○青木茂君 ずっと今まで御答弁を聞いておりまして、構想としては非常に結構なんだけれども、どうもそこに経済の視点というのか、これをやるに当たって一体財政負担がどれだけふえるのか、財投がどうなるのかというような経済的な具体性というものが、何かちょっと失礼な言い方をすれば、甘いような気がする。また、そこが一番重要なところなんですから、今後そこら辺のところを煮詰めていただくようにお願いをしたいと思います。  今度はひとつぜひ大臣に伺いたいんですけれども、とにかく三十年計画であの図ができた、逐次やっていくんだと。そうすると、問題はどこから始めるのか、いわゆるプライオリティーというんですか、その優先順位の問題、これが出てきますね。この優先順位でいわゆる政治的なごちゃごちゃが起きるんじゃないか。下手すると、何か実力者の選挙区から出てくる。まあ福島県は知りませんけれども、そういうようなことになって政治的混乱が起きるんじゃないか。優先順位のつけ方というものは、かなり難しい政治的判断が必要だ。これに対して大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  179. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 今始まったわけではありませんし、過去二十年間において大したトラブルもあったわけでもございません。そういう点で、優先順位の決定についてはそれほど大きなトラブルがあるとは思っていませんし、今までのような状態でやっぱりやっていけるのじゃないかなと考えております。甘いと思われるかもしれませんけれども、これは大体において大丈夫ですよ。
  180. 青木茂

    ○青木茂君 大丈夫ですか。僕はこの問題は大きな問題になりそうな気がします。しかし、責任者が大丈夫だとおっしゃれば、大丈夫だということをしっかり受けとめて、混乱のないようにお願いをしておきたいと思うわけなんです。  次に進みまして、道路公団自体の問題になってくるわけですけれども、どうもこれが公社、公団になって、できるだけ親方日の丸意識から脱却していくように公社、公団になったと思うんだけれども、僕は道路公団の経営体質というのか、これは大変危険なものがあると思いますね。今度の六十二年度予算で見ましても、料金収入が大体一兆円ちょっと、それから借入金の償還金が同じ以上にあるわけなんですよ。こういう経営というものが健全と言えるかどうか。さっき第二の国鉄というような話も出ましたけれども、第二の国鉄の運命をたどっていく予想がつくならば、早いうちにそこのところはきちんとしなきゃいけない。だから、料金収入と借入金償還金額がもうニアリーイコールであるとするならば、これから道路使用の料金はどんどん上がっていくものと見なきゃならない。それが果たして国民を納得させるものになってくるかどうか、この点いかがでしょうか。
  181. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 先生御指摘の借入金と料金収入の問題でございますが、借入金の返済に当たりましては、それは現在工事中のいわゆる仮勘定と申しますか、現在つくっているものも含めてトータルで出ていますので、現在建設中の仮勘定と申しますか、建設中のものを別にいたしますと、収入とそれから経費を差し引いたもの、これは道路事業損失補てん引当金ということで結局プラスになっておりまして、そのプラスのお金が千五百億ほどございますけれども、それが償還に回るということで現在のところ道路公団の高速道路の採算性につきましては国鉄のようにはまだなっていないわけでございます。ただ、仮勘定と今申し上げましたけれども、これから建設中のものにつきましては先ほど御指摘のような区間もかなりあるわけでございますので、そういった道路公団の財務につきましては常に私どもも注意しますし、道路公団におきましても特に経営改善委員会みたいなものをつくりまして、そういうことがないように常に財務を見守りながら、採算性を確保しながらやっていくということで今後とも進めていきたいという考えでございます。
  182. 青木茂

    ○青木茂君 それでも、先ほど話が出ましたように、特に横断道路が多くなってくるということになりますと建設費は非常にふえてくる。そうすると償還金の比率というものもますます高くなってくる。だから、そういう意味においては、道路公団の経営体質というものは、よくなる方向に行くよりも、悪い方向に行く可能性と危険性の方がむしろ大きい。やっぱりそれは単に見守るだけではなしに、きちっと予測貸借対照表、そういうものが提示されなければいけないのじゃないかと思うわけなんです。とにかくこういうふうによくなるであろう、見守るという言葉の問題ではなしに、具体的、資料的に、こういう予測貸借対照表でいけるんですよ、あるいは予測収支計算書でいけるんですよと、これは企業会計はみんなそうやっているわけですから、そういう発想というもの、まだきょうは道路公団の方をお呼びしなかったんですけれども、それが特に公団には私は必要なんじゃないかと思うんです。予測貸借対照表、予測収支計算書、こういうものを具体的に進めていただきたいと思うんですけれども、どうなんでしょうね。
  183. 鈴木道雄

    政府委員(鈴木道雄君) 予測の問題につきましては、道路公団の場合には全体が三十年で償還できるようないわゆる償還表をつくっているわけでございまして、現実的には新しくプールに取り入れるごとに償還検査を行いまして、それが三十五年を超えるようになった場合には必要ならば料金改定をする、必要なそのほかの措置をとるということになっておりまして、それについては常に償還表を交通量の見直し等をやりながら計算をして採算を確保することが必要だと思います。  それから、財務諸表につきましては、若干これは全部償還しますと国に帰属するというふうなことで一般の企業会計と違うという面もございますけれども、基本的には一般の民間と同じような見方もあるわけでございますので、この財務諸表の問題につきましても先ほど山田先生の御質問にお答えしたと思いますけれども、そういった路線別の表示について検討しておりますので、そういったものをあわせながら採算を十分に確保するようにしていく。先生の御指摘のように、これはよくなることはないわけでございますから、よくなるということは料金取り過ぎということになるわけで、普通のことでございますとどうしても未償還がふえてくる方向になるわけでございますので、そういう点十分考慮をしながら、道路公団ともども採算の確保に注意して高速道路整備をしていきたいと考えております。
  184. 青木茂

    ○青木茂君 最後に、大臣にお伺いいたします。  今局長さんとの一問一答を聞いていただいてどういう御感想を持ったかということなんです。さらに具体的に申し上げますと、どうしても親方日の丸というとかなり語弊があるのだけれども、財投に寄っかかるあるいは国家財政に寄りかかる、そういう経営体におきましては合理化努力というものに対して緊迫性が出てこないというのが、これはある意味においては当たり前のことだ。それから、料金プール制と申しましても、これにはやはりたくさんの限界があって、たくさん利用したもの、少ししか利用しないもの、あるいはトラック利用のもの、乗用車利用のもの、いろいろな差が出てくるのじゃないかと思うんです。  そうすると、経営の合理化努力とか料金プール制におのずから一つの壁があるとするならば、行き着くところ国費の投入があるいは料金の恒常的引き上げが、そっちへ行かざるを得ない。それは国民生活にとっては非常に大きな私はプレッシャーをかけるものだと思います。ここのところをクリアするのがこの三十年計画が成るか成らないかの基本線だと思うわけなんです。そのことについての大臣の御見解を伺いまして質問を終わります。
  185. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 先生がおっしゃるとおりなんです。それですから、この対策は三十年ではなしに、二十五年なり二十年に仕上げるということが一番大切なことなんです。三十年かかって仕上がるものが五年前に仕上がれば、それはもう大したプラスになるわけですから、そういう点で私は、三十年計画を事務当局から出されたときに、だめだと言ったんです。断ったんですが、過去の実績からいうとやっぱりやむを得ないんだというような話をしておりますから、私、公団の総裁を呼びまして、現在の体制でどの程度できるかということを聞いたんですが、とりあえず六十三年度は二百五十キロやります、逐次ふやすように努力いたします、こういうことでした。  結論から言うと、行革をやっておるものですから、不思議な行革を自民党内閣はやっており、忙しい役所も暇な役所も皆五分五分に頭を切るという公平な行革をやっているんですが、明治二十年代にできた役所も最近できた役所も同じに一局削減だなんというようなことをやっている行革ですから、とても話になりません。そういう点で、道路公団の陣容がそれほど運営上に支障を来すような削減をされているとすれば、これは当然復活しなきゃいけませんので、とりあえずの段階としては二百五十キロを来年度からやるということに対して、三百キロに近づくようにしてほしいという意見だけを述べておいたのであります。  今先生のおっしゃるとおり、ごもっともでございまして、調子のいい答弁はできませんですが、そこらあたり私も、さっき国鉄になるのじゃないかというような私の発言ですから、心配していないわけではないのでありまして、できるだけ内部調整を行いまして、大きな足を出さないような格好でいけるならいく。どうしてもだめなときには、今言ったとおりに料金の値上げも限界でありますから、そういう観点で、やっぱりこの際道路は一〇〇%国がつくって無料ですよ、それが先進国がやっている見本どおりでありますから、そういう観点で、それ以上のことが出てくるようなことになりますれば、やっぱり国費を投入するという以外に方法がないのじゃないかというような考えもいたしておりますが、そこまでまだ心配しなくてもここちょっとの間は大丈夫だと思いますから、十二分踏まえて御期待に添うように努力いたすつもりでございます。
  186. 青木茂

    ○青木茂君 やや私の質問とちょっとずれますけれども、約束ですから終わります。     —————————————
  187. 村沢牧

    委員長村沢牧君) この際、委員の異動について御報告いたします。  服部安司君及び志村哲良君が委員を辞任され、その補欠として本村和喜君及び上杉光弘君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  188. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  189. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります、  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  190. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小川君から発言を求められておりますので、これを許します。小川君。
  191. 小川仁一

    小川仁一君 私は、ただいま可決されました国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党一国民会議、日本共産党、民社党・国民連合及びサラリーマン新党・参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、国土開発の基盤となる高規格幹線道路網については、その緊要性に鑑み、早期整備に努めること。  二、路線計画の策定及び事業採択に当たっては、地域の実情を勘案し、国土の均衡ある発展地域社会の活性化に寄与するよう十分配慮すること。  三、高規格幹線道路網整備を促進するため、道路財源の充実・確保を図るとともに、国土開発幹線自動車道については、国費の活用も含め健全な経営体制を確立すること。  四、アクセス道路整備等を積極的に推進し、地域の生活環境の改善に資するとともに、安全で円滑な交通の確保に努めること。  五、事業の実施に当たっては、地域住民の合意の形成に配慮するとともに、自然環境の保全、埋蔵文化財の保存及び交通公害の防止等に積極的に対応し、環境影響評価の適正な実施に努めること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします、
  192. 村沢牧

    委員長村沢牧君) ただいま小川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  193. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 全会一致と認めます。よって、小川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、天野建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。天野建設大臣
  194. 天野光晴

    国務大臣天野光晴君) 国土開発幹線自動車道建設法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいま議決になりました附帯決議の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。  ここに委員長初め委員各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。ありがとうございました。
  195. 村沢牧

    委員長村沢牧君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 村沢牧

    委員長村沢牧君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会      —————・—————