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国務大臣(
天野光晴君) 今我が国の国民にとりまして生活になくてはならないものは、まず第一に水、次に電気だと、私
どもそう思っておるんです。その水について
日本でどうしても完全な始末をしなきゃならない水系が三本あります。一本は利根川水系、一本は琵琶湖水系、一本は筑後川水系であります。この
地域以外はたとえどのような水飢饉があろうとも
相当こたえられる力を持っておりますが、この三水系だけは、一体五年目に来るのか、十年目に来るのか、二十年目に来るのか、三十年目に一回来るのかわかりませんが、その河川流域の住民の生命を脅かすような水飢饉があると私は想定しておるのであります。
そういう
関係で、この水資源
対策というものにつきましては随分長い間努力をいたしておるのでありますが、災害が来れば堤防を直すというようなこと、水飢饉が来れば水の大切さがわかるというような状態なものですから、なかなか
予算を獲得するのに非常に苦労をしている、
建設省の中で一番
予算獲得のおくれているのがこの河川
関係でございます。
御承知だろうと思いますが、
道路には
特定財源を二つもつくったものですから、実は河川にも水資源
対策をやっぱりやらないと、最近の山事情が非常に悪くなったものですから、そういう
観点で特別な金が欲しいと思いまして、一昨年、昨年と二年続けて、水資源の特別会計をつくろうと思って努力したんですが、これはあえなく敗戦となりまして、これは現在もだめであります。
しかし、今八ツ場
ダムの話をされておりますが、この
ダムは現地である群馬県のその居住者にとりましてはとんでもない御迷惑なことでございます。先祖代々何百年と住みなれた
地域を離れて他に移住をするわけでありますから、そして自分が使うのではなくて、川下の者が使うわけですから、もう少し河川の下の方は理解があっていいのじゃないかと思うんです。
植木
先生もおるから琵琶湖の話をちょっとしますが、琵琶湖だってあれは滋賀県の財産であります。あの琵琶湖で飯を食っている者は
相当滋賀県にはおるわけです。あの
ダムに水がなくなったら特に観光なんというのはだめでありますね。それを何メーター、何メーターも水も下へ下げますから、琵琶湖に水があるうちはいいというように京都、大阪、神戸の人たちは思っているんだろうと私はいつも思うんですが、その観光資源で生活している
相当の数がいる滋賀県のためにあの
ダムにいつも水を蓄えておくためには、その上に
ダムの
予定を数多くしなきゃ、それは京阪神のためにならないわけでありますが、これも水がなくなったときは京都、大阪、神戸は大変本気になりますけれ
ども、水があるようになりますところっと忘れちゃって、やらないというような状態であります。
そういう点で、昨年からの
補正予算等の
関係を含めまして、急にことしは五兆円も
公共事業を取ったものですから、そういう
意味で金の使いをちょっと緩やかにして、その方に多目に使うように今努力をしているのでありますが、いざとなるとなかなか容易ではありません。
この八ツ場
ダムだって、これは二十年は完全にかかるでしょう。今水が足りないという準備には、二十年かかってはどうにもならないと私は思うんです。私の
地元にも大きな
ダムが
一つあるんです。一億六千万トンためる
ダムでありますが、これもようやく三十年かかって着工の運びになってきました。とてもじゃないが、その
地域の何百戸という大勢の方々の移住をしてもらうためにもとんでもない御迷惑をかけるわけでありますから、その下流の方々は災害が出ると困ると大騒ぎしますが、そうではなくて、もう少し水のとうとさを知っていただきたいと
考えております。
何らかの措置と思いまして、私今の立場についてちょうど一年たったのでありますが、なかなかそこら
あたりが非常に難しくて思うような
対策ができないのでありますが、
一つの
ダムをつくるのにも三十年もかかるという今日の状況から踏まえてみて、
相当大急ぎでやらないとその
地域がお手上げになるような格好になるのじゃないかと思います。そういう
観点から、私は一応
ダム建設、水資源
開発というものについて重点的にひとつやっていきたいと思っております。
この点はいつも申し上げることなんですが、この
委員会はいいことにはイデオロギーなしの
委員会ですからこういう好き勝手なことを申し上げるんですけれ
ども、そういう点でひとつ各派の協力を願って、
ダム建設のために御協力をひとつお願いを申し上げておきたいと思います。私は、この立場にあるとなかろうと、一生懸命ともかくも体を張っても努力いたしますから、ひとつ御極力を願えればありがたいと思います。