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1987-10-16 第109回国会 参議院 決算委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年十月十六日(金曜日)    午前十時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         穐山  篤君     理 事                 井上  裕君                 石井 道子君                 大島 友治君                 杉山 令肇君                 菅野 久光君                 峯山 昭範君     委 員                 井上  孝君                 板垣  正君                 河本嘉久蔵君                 斎藤栄三郎君                 鈴木 省吾君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 福田 幸弘君                 松尾 官平君                 宮崎 秀樹君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 久保  亘君                 佐藤 三吾君                 山本 正和君                 片上 公人君                 刈田 貞子君                 佐藤 昭夫君                 橋本  敦君                 関  嘉彦君                 抜山 映子君    国務大臣        建 設 大 臣  天野 光晴君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)        (国土庁長官)  綿貫 民輔君    事務局側        常任委員会専門        員        小島 和夫君    説明員        公正取引委員会        事務局審査部第        一審査長     菊池 兵吾君        総務庁人事局参        事官       河野  昭君        総務庁行政監察        局監査官     吉田 俊一君        経済企画庁物価        局長       冨金原俊二君        沖縄開発庁振興        局長       塚越 則男君        国土政務次官   工藤  厳君        国土庁土地局長  片桐 久雄君        国土庁大都市圏        整備局長     北村廣太郎君        法務省民事局参        事官       細川  清君        大蔵大臣官房参        事官       浜中秀一郎君        大蔵大臣官房参        事官       中井  省君        大蔵省主計局主        計官       武藤 敏郎君        大蔵省主税局税        制第一課長    杉崎 重光君        大蔵省主税局税        制第三課長    野村 興児君        大蔵省理財局国        有財産第二課長  上野 憲正君        大蔵省銀行局銀        行課長      高橋 厚男君        文部大臣官房審        議官       中島 章夫君        文部省初等中等        教育局企画官   大澤 幸夫君        文化庁文化財保        護部建造物課長  吉田  靖君        林野庁林政部林        産課長      高橋  勲君        林野庁指導部計        画課長      杉原 昌樹君        通商産業省産業        政策局調査課長  江崎  格君        通商産業省産業        政策局物価対策        課長       平林 英勝君        通商産業省基礎        産業局鉄鋼業務        課長       中尾 舜一君        中小企業庁小規        模企業部参事官  市川 祐三君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部清算業務指導        課長       岩村  敬君        労働省労働基準        局賃金福祉部企        画課長      渡邊  信君        建設政務次官   東家 嘉幸君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房総        務審議官     田村 嘉朗君        建設省建設経済        局長       牧野  徹君        建設省都市局長  木内 啓介君        建設省住宅局長  片山 正夫君        自治省行政局公        務員部公務員第        二課長      柘植 一郎君        自治省税務局長  渡辺  功君        自治省税務局固        定資産税課長   佐野 徹治君        会計検査院事務        総局第三局長   大沼 嘉章君        会計検査院事務        総局第五局長   三原 英孝君    参考人        住宅金融公庫総        裁        河野 正三君        北海道東北開発        公庫総裁     吉岡 孝行君        沖縄親交開発金        融公庫理事長   藤仲 貞一君        首都高速道路公        団理事長     淺井新一郎君        日本国有鉄道清        算事業団理事   前田喜代治君        日本銀行総裁  三重野 康君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和六十年度一般会計歳入歳出決算昭和六十  年度特別会計歳入歳出決算昭和六十年度国税  収納金整理資金受払計算書昭和六十年度政府  関係機関決算書(第百八回国会内閣提出) ○昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百八回国会内閣提出) ○昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書  (第百八回国会内閣提出)     —————————————
  2. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和六十年度決算外二件を議題といたします。  本日は建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。     —————————————
  3. 穐山篤

    委員長穐山篤君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  5. 穐山篤

    委員長穐山篤君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 一井淳治

    一井淳治君 地価高騰、これに対する対策が急務であるということは言うまでもないことでありますけれども、今回の地価高騰不動産業者の好ましからざる動きが一つ原因になっているということも否定できないところでございます。そういうことで、投機的な土地取引排除、そして地上げ屋暴力行為などの悪質な行為をなくす等のために、不動産業者に対する指導の徹底、さらには宅地建物取引業規制見直しが必要ではないかと思うのですが、建設省の方ではこれに対してどのような対策をお持ちなのか、まずお尋ねしたいと思います。
  7. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 先生がただいまお話しになりましたような悪質な地上げ行為については、これは私どもは断固許すわけにはまいらない、今までも厳正に対処をしてきたつもりでございますが、今後ともそのような方針対処してまいりたいと思います。  若干具体的に申し上げますと、このような事態を考えまして、昨年の十一月にも建設経済局長名で、いやしくも国民に疑惑を招かないように厳重な注意をしてほしいという指導通達をしたところでございますが、さらに今年に入りましての諸情勢を踏まえまして、去る九月十八日に不動産業関係団体、九団体ございますが、それに対しまして悪質な地上げを行わないように厳しく指導通達をしたところでございます。それに関連して、ただいま先生から宅地建物取引業規制見直しをするべきではないかというおただしでございますが、これについても私どももそのように考えております。現在、住宅宅地審議会で御審議をいただいておりますが、資質の向上、あるいは業務適正化等見地からいろいろ御答申をいただける予定でございますので、御答申をいただけば、すぐ所要措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  8. 一井淳治

    一井淳治君 悪質な行為、それから宅地建物取引業法に違反する行為については、免許取り消しとか、あるいは告発まで進まないと実効性がないのではないかと思いますが、十月十二日の新行革審審議会答申におきましても、その点の指摘があるわけでございますが、そういうふうに進むとすれば具体的な実情把握というのが非常に困難ではないかと思いますけれども、厳密に監督を進めていく上でどのような進め方をお一考えなのか。それから、今後相当厳重に不動産業者不動産業界に対する指導をしてもらわなくちゃならないというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  9. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 御指摘のとおり悪質な地上げ屋を懲らしめるとして、その事実認定をきちっとするということはそう簡単なことではないと思います。なかなか難しい点があるというのは御指摘のとおりでございます。でございますが、私ども関係行政機関と申しますか地方自治体なりあるいは警察当局等との一層の緊密な連携プレーをとる、あるいは不動産業関係団体からの情報収集等によりまして事実をキャッチした場合には即座に適切な対処をとりたいと、かように考えております。  それから業界への指導、先ほども申し上げましたが、私どもから通達しただけでなしに業界団体の方でもみずから九月二十一日付で「適正な事業活動推進について」という取り決めを行っておりますし、さらに、これは九団体で行っておりますが、それぞれの団体で具体的な対処方法等考えておるようでございますので、そのようなことで今後とも対処したいと考えております。
  10. 一井淳治

    一井淳治君 悪質な業者がおるのはみんなわかっておりながら野放しになっているというのでは、この規制の実が上がらないと思いますので、一罰百戒ということもございますので、とにかく厳重な御指導あるいは場合によっては告発とか免許取り消しとかいうことをぜひともお願いしたいと思います。  それから国土庁の方にお尋ねいたしたいんですけれども土地譲渡所得税に対する居住用財産買いかえ特例でございますけれども、これが地価高騰波及原因になっているということは明らかであると思います。この際、地価の抑制を第一に考えて臨時的にでも思い切った対策が必要ではないかと思いますけれども、何か方針をお持ちでございましょうか。
  11. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 居住用財産買いかえ特例制度につきましは、これが不必要な安易な高価買いかえを促進しているのではないかという問題があるわけでございます。また一方、この特例はライフスタイルに応じた住みかえの促進とか再開発を促進するという、住宅政策の面からは非常に有用な制度であるわけでございます。そういうような観点から、いろいろこの特例制度見直しにつきまして建設省国土庁、相談をしながら案を固めている次第でございますけれども、現在のところ六十三年度の税制改正要望といたしまして、地価高騰の著しいような地域、例えば規制区域とか監視区域のようなところにおきまして、そういうところで買いかえをする場合に限って高額な買いかえについて一定部分課税対象とすること等を内容とする改善案を、現在大蔵省に提出している次第でございます。  なお、本日の閣議におきましても地価高騰波及を抑制する見地から必要な見直しを行うということにつきまして、税制調査会に諮るなど所要措置を講ずるという閣議決定をされる予定になっております。  このような改正要望実現されますと、安易な高値買いかえにある程度のブレーキがかかるものではなかろうかというふうに考えておりまして、今後私ども要望実現に向けまして関係省庁とともに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  12. 一井淳治

    一井淳治君 ただいまのお答えによりますと、買いかえの対象土地規制区域とか監視区域場台に限るということてございましたけれども、高額の売買代金による買いかえの場合には規制区域等以外でも買うことによってその地に火がつくということがありますので、この規制区域監視区域に限るということについては、できれば再考をお願いしたいというふうに考えます。  また、高額の場合、最近ちょっと聞いたところによりますと、二億円を超える部分についてその二割をこの特例から外すんだというふうなことをちょっと漏れ聞いておりますけれども、その点についてもこの二億円というのは相当大きな金額で、地価高騰を巻き起こすおそれが十分あると思いますので、その点についても再検討をお願いしたいというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  13. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) この居住用財産買いかえ特例見直しにつきまして、どういう地域でこの見直しを行うかどうか、それからまた、高額というのをどの辺で線を引くかどうか、それからまた、一定部分課税対象というのをどの程度の課税対象にするかということにつきましては、今後とも私ども関係省庁及び政府税調等十分議論をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 一井淳治

    一井淳治君 もう一つ地価高騰の大きな原因ですけれども銀行の好ましからざる土地融資であるということは明らかであるというふうに思います。大蔵省の方ではこれまで投機的な土地取引に対する融資自粛ということで、銀行等に対して特別ヒアリングを実施されておるということでありますけれども、これをぜひともさらに強化してもらいたいというふうに考えますが、例えば基準を設けるとか、審査体制確立するとか、もう少しこの内容効果あらしめるために今後どのように対処しておいきになるのかという点についてお尋ねしたいと思います。  そして、悪質な融資案件とか、資金使途調査を手を抜いておると、怠慢があるような場合には、事案によっては銀行名等を公表したらいいんじゃないかというふうなことも考えますけれども、そのあたりのことについて今後の進め方についてお尋ねいたしたいと思います。
  15. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) 特別ヒアリングについてでございますが、ただいま先生指摘のように、大蔵省といたしましては七月の末以降特別ヒアリングというものを実施いたしまして、東京等地価高騰の激しい地域に主たる営業基盤を有するような金融機関というものを選定をいたしまして、個別融資案件にまで踏み込んでその審査体制でありますとか、融資実行後のフォローアップ体制の強化あるいは確立という点につきましてヒアリングをし、また指導をしてまいったところでございます。  このような特別ヒアリングを通じまして金融機関土地関連融資適正化につきましては、着実に指導趣旨が浸透してきたものと考えておりますが、先般発表されました国土庁都道府県地価調査によりますと、地価上昇都心周辺部あるいは隣接県、あるいはさらには一部地方中核都市というところにまで波及する傾向が見られる。また、国土利用計画法に基づきます監視区域の指定が拡大するというようなこともございましたので、これを受けまして大蔵省といたしましても金融機関土地関連融資の一層の厳正化を図る観点から、特別ヒアリング対象といたします地域をこうした地方中核都市にまで拡充をして対応をしてきているところでございます。  申し上げましたように、このこうした特別ヒアリングを通じまして土地関連融資に関します問題点把握に努め、またその融資態度適正化という、あるいはそのための体制づくりということを指導してきたわけでございますが、今後も先般行革審の御答申をいただきましてこれを踏まえまして、先生ただいまおっしゃいましたように効果的な基準の設定あるいは審査体制確立等を図ってまいりたい。そうしたものを通じまして今後の不適正な融資排除ということにつきまして、より確実なものとするように特別ヒアリングを通じて指導をしてまいりたいというふうに考えております。  不適正融資の場合の銀行名の公表をしたらどうかという御指摘でございますが、ただいま申し上げましたように、私どもはこの個別に審査体制あるいは融資後のフォローアップ体制というものを十分つくってもらうことによって、金融機関自粛効果というものは上がっているものと考えております。銀行名を公表する等によりまして、信用不安の問題でありますとかあるいは預金者保護問題等、種々の問題等もございますので、当面私どもはこの特別ヒアリング効果というものを発揮していくということで、その効果を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  16. 一井淳治

    一井淳治君 お話もありましたけれども、例えば新聞等に出ておる提案によりますと、審査を本社に一本でまとめてやれとかいろいろございますけれども、要するに融資の際の稟議では都市の再開発とか美名のもとにこの融資が決定される。現実には地上げを行っておるということがあるので、厳重なヒアリングをぜひともお願いしたいというふうに思います。また、地価高騰が現在地方に及んでおりますけれども大都市以外の中小都市まで及んでいくおそれもある中で、このヒアリングをなさる範囲についても今後適切な配慮をお願いしたいというふうに思います。  ところで、現在この特別ヒアリングを行っておられる部局でございますけれども大変お忙しいのにかかわらず新しい仕事が加わってきた。現在の小人数では十分な効果は上げ得ないのじゃないかという心配がございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  17. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) 特別ヒアリングでございますが、特別ヒアリングは私ども銀行局におきまして銀行課、これは都銀、地銀、長期信用銀行信託銀行等を所管しておりますが、その銀行課だけではなくて、銀行局各課総務課でございますとか中小金融課でございますとか保険一課、保険二課あるいは検査部さらには財務局を通じまして、当銀行局といたしましてはあるいは大蔵省といたしましては全組織を挙げてこれに取り組んでいるところでございます。またそうした観点から、その連携を密にいたしますために局内に関係各課あるいは検査部から成りますプロジェクトチームをつくって、その状況把握に努めつつこの特別ヒアリング推進しているところでございます。そうした体制組織を挙げて取り組んでおりますので、今後ともその効果あるいは特別ヒアリングの効率的な実施というものにつきまして、現在の体制推進ができるものというふうに考えております。
  18. 一井淳治

    一井淳治君 非常に大切な業務でございますので、今後とも一層効果を上げるようにお願いしたいというふうに思います。  ところで国土利用計画法による県知事への届け出でございますが、届け出に際して土地購入資金等資金調達方法、これが融資を受ける場合には金融機関等をあわせて届け出るように行政指導はできないだろうかということを考えますけれども、その点国土庁の方にお聞きしたいのですが、いかがでございましょうか。
  19. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法届け出制は、地価の安定とか合理的な土地利用実現を図ることを目的といたしまして、一定面積以上の土地取引について価格とか利用目的について審査をしているわけでございまして、取引価格が著しく適正を欠くものについては価格引き下げ等指導監督を行っておるわけでございます。したがいまして、土地取引についての融資の有無にかかわらず、取引価格の厳正なチェックということで適正化を図っているところでございます。  御指摘金融機関融資のあるなしの問題につきましては、従来から大蔵省連携を保ちまして銀行指導をお願いしている次第でございまして、国土利用計画法届け出の段階でそれをチェックするというよりは、銀行指導によってそういう点を適正化していくということの方が適切ではなかろうかと考えておる次第でございます。
  20. 一井淳治

    一井淳治君 今後監視区域が拡大され、そして小口の不動産取引についても届け出が義務づけられるというふうになっていくと思いますけれども、投機的な取引を抑え込むためには、国土庁を中心といたしまして、大蔵省、それから届け出を受ける地方公共団体等が一層連絡を緊密にしていかなければならない、情報の交換を密にしていかなければならないというふうに思うわけでございますけれども国土庁の方ではその点どのような対策をお持ちでございましょうか。
  21. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 先生指摘の件につきましては、私どもも現在大蔵省といろいろ検討をいたしております。それで、届け出のあった件につきまして、不適正であるというような判断をされるようなものにつきましては、金融機関融資自粛していただくような方向で今後指導してはどうかということで現在検討を進めているところでございます。
  22. 一井淳治

    一井淳治君 それからもう一つ土地の値上げで注意されなくちゃならないことは、国有地処分のことでございますけれども、本日も閣議でその点御検討だと思うんですけれども一般競争入札によって地価高騰があらわれているという状況が否定できないわけでございまして、この国有地処分について今後どのようなお考えをお持ちなのか、大蔵省の方にお尋ねいたします。
  23. 上野憲正

    説明員上野憲正君) お答え申し上げます。  国有地処分するに当たりましては、公用公共用優先の原則のもとに、地方公共団体に優先的に処分しておりまして、地方公共団体等から買い受け要望が出されなかった土地のうち、民間処分することが適当と認められるもののみを一般競争入札により民間処分しているところでございます。このような処分につきましては、地価動向に十分配慮しつつ行っておりまして、地価高騰地域においては特に慎重に対処することとしてきておりましたが、やむを得ず実施する場合には、投機的要因による不当な地価高騰を招かないよう厳しい条件を付することとしてきたところでございます。  今回の臨時行革審答申におきましては、当面の地価対策国家的緊急課題であることに配慮し、現に地価が異常に高騰しつつある地域内の用地の売却については、公用公共用の用途に供する場合等を除き、その地域地価の異常な高騰が鎮静化するまでこれを見合わせるというふうにされているところでございます。国有地処分につきましては、先ほど申し上げましたように慎重に対処してきておりまして、本答申内容につきましては現在の地価高騰状況にかんがみれば適切なものと考えております。したがいまして、私どもといたしましては、今後はこの答申趣旨に沿って対処してまいりたいと考えておるところでございます。
  24. 一井淳治

    一井淳治君 それからもう一つ、旧国鉄用地処分がこれまた大きな問題であるというふうに低いますが、運輸省の方ではどのようなお考えでございましょうか。
  25. 岩村敬

    説明員岩村敬君) 旧国鉄といいますか、国鉄清算事業団用地処分でございますが、従来より地価高騰地域におきます公開競争入札による処分につきましては、転売禁止等の条件を付しまして投機的取引を防止するなど、地価対策にも配慮して行ってまいったところでございます。  しかしながら、最近の地価の異常な高騰によりまして、地価問題が国家的緊急課題として解決することを迫られているという点にかんがみまして、去る十二日に出されました臨時行政改革推進審議会答申を尊重いたしまして、用地処分につきましては今後一層慎重に取り組んでまいるよう清算事業団を指導してまいる所存でございます。この場合、国鉄清算事業団には二十五兆五千億余の膨大な長期債務があるわけでございまして、この処理をきちんといたしまして国民負担をできるだけ減少させるということで、用地は適正な時価で公正に処分するという従来からの国鉄改革の方針、これとの整合性にも十分留意をいたしまして、また先ほどの答申の中にも指摘されておるところでございますが、地価を顕在化させない土地処分方法の検討を進めるなど、適切な対応を進めてまいりたいと思っております。
  26. 一井淳治

    一井淳治君 ことし発表されました建設白書を見ますと、変革期に当たり、内需振興を図り、豊かな国土空間と国民生活の実現に結びつけていくということが重要であるという指摘がございます。  また、参議院の国民生活調査会がこの夏の八月に中間報告をまとめましたけれども、そこでも内需振興を国民生活の質の向上に結びつけていこうということが指摘されておるわけでございまして、国内経済を内需振興型に、そして豊かな国民生活の実現のためにということは現在一致した国民の要望であるというふうに思います。  そういう中におきまして、行革審でも七月十四日の答申で、予算の効率的、重点的配分ということを言っておるわけでございますけれども、そういう方向に向けて建設省の方では予算配分について何か根本的に変えていくお考えはないのか。特にこれまではいろいろと各方面からの要望が強いものですから、どうしても前年度実績掛ける何%というふうな予算配分になりがちだと思うんですけれども、今後のお考えについてお尋ねいたしたいと思います。
  27. 高橋進

    説明員高橋進君) 今先生指摘のように、これからの建設行政に期待されているものは、内需主導型の経済構造への転換を円滑に進めながら、豊かな国土空間と国民生活を実現する、こういうことかと思います。  そういう基本的な観点に立ちまして、事業の配分あるいは地域への配分というものを考えていかなきゃならぬと思っております。  ただ、それぞれ建設省の所管している事業いずれもが、国民生活に非常に密接な関連がございまして、どの事業が相対的に余り必要ないとかそういうことは基本的にございません。ございませんが、その中でも特に国民生活を実際豊かにするための事業というものを考えていかなきゃならぬ。今までは実はここ数年来非常にマイナスシーリングあるいはゼロシーリングということで、何といいますか、シェア配分といいますか、そういったものがなかなか変更しにくかった面がございますが、来年度の概算要求基準は従来と変わりまして公共事業関係費の増も認められることになっておりますし、また今後そういったこともある程度続くことが期待されておるわけでございます。そういった中で、今言った基本的な観点に立って、できるだけ重点的あるいは効率的な考え方のもとで事業の配分等を進めていきたいと考えております。
  28. 一井淳治

    一井淳治君 通産省の方でもこの七月に「経済社会活性化構想」というものを発表しておられます。その十五ページあたりを拝見いたしますと、内需振興をやる、これを国民生活の質の向上に向けていくということが建議されておるわけでございますけれども、予算配分などにおいて具体的な政策実施においてどのような見直しをなさっておいきになるのか、その点について通産省の方からお尋ねいたしたいと思います。
  29. 江崎格

    説明員(江崎格君) お答えいたします。  内需主導型経済構造への変革というものは、経済成長の成果を活用しまして国民生活の質の向上を実現していく過程というふうに私ども理解しておりまして、国民生活の質の向上を図るというためには現在の日本の実情を考えますと、良質な住宅の建設あるいは社会資本の形成に努めるということが非常に重要だと思っておりますし、また今後経済が自律的に発展していくための基盤をつくるという意味で技術開発の促進ということも大変重要かと考えております。このため具体的には、政府全体としましては住宅の建設あるいは増改築を促進するとかいうことのために、住宅関連の税制とかあるいは金融等の措置を充実する、あるいは技術開発推進するということも必要ですし、また社会資本充実のために、欧米との水準を考えながら、下水道ですとか公園といったようなものを整備していくということが非常に重要だと思っております。  また、従来社会資本の枠に入ってないような新しいタイプの社会資本、情報化ですとかあるいは人口の高齢化といったようなことに対応する社会資本といったようなものの整備も必要かと思っております。ただ、私どもの所管の範囲でございますと、予算要求中でございますので断定的なことはまだ申し上げられませんけれども、産業の高次の機能、これは生産機能だけではなくて、研究開発の機能ですとか商品開発の機能といったようなものを地方に分散させて、地方地域経済の発展の基盤をつくるとか、あるいは研究開発基盤の整備事業をするというようなことを重点に置きまして、来年度の予算要求あるいは税制等の要求を行っておるところでございます。
  30. 一井淳治

    一井淳治君 同じ問題につきまして、大蔵省の方のお考えについてお尋ねしたいと思います。
  31. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 公共事業の配分につきましては、長い歴史の中でいろいろなバランス、均衡を考えながら配分をしてきたということがあろうかと思います。昭和二十年代あるいは三十年代の初めごろにおきましては、国土の保全ということに重点的に配分をしておったわけでございますが、その後四十年代にかけまして生産基盤の充実といったようなことが課題となり、現在はどちらかといいますと生活基盤の整備といったようなことが言われておるわけでございます。そういう意味で、現在の配分はそれなりに我々バランスがとれておると考えておるわけでございますけれども、先般六十二年度の補正予算におきまして、御承知のとおりNTTの株式の売却収入を財源といたします新たな社会資本整備策が設けられたわけでございますけれども、こういうものの配分に当たりましては、特に地域の整備開発の核となるような事業を中心に配分するということで、公共事業の配分の重点化、効率化に留意したわけでございます。今後におきましてもそういう基本的な考え方に立ってやってまいりたいと考えております。
  32. 一井淳治

    一井淳治君 ことしの建設白書の二十三ページを見ますと、いわゆる民間の余り資金、土地の値上げや財テクに向かう民間の余ったお金を内需振興、国民生活の向上に向けて引き戻すことを考えねばならないと、国内の国民生活の豊かさの実現のために活用していかなければならないということを訴えておられるわけでございますけれども、この具体的な方策、方法があれば、あると思うんですけれども、それについて御説明をいただきたいというように思います。
  33. 田村嘉朗

    説明員(田村嘉朗君) 先生指摘のとおり、国内に生じた余剰資金を国民生活の向上に振り向けることが非常に重要でございまして、その具体策を我々としても鋭意検討し、また実施に移しているというつもりでございます。その例といたしまして、一つには建設国債の適切な増発とか、広い意味での受益者負担方式によりまして特定財源を充実する。あるいは低利融資、税制等を用いまして民間資金を積極的に導入する。こういった方法等を使いまして多様な財源調達を図りながら可能な限り公共事業量の財源の確保に努める必要があるというふうに考えておるわけでございます。また、住宅金融公庫の貸付条件を改善するとか住宅減税を拡充する、こういうことによりまして住宅建設の促進を図ってまいる。また、都市計画、建築規制の適切な見通し等によりまして都市整備の促進を図る。こういったことで民間活力が活用されるように条件を整備してまいる。こういった方法もあわせ用いながら、豊かな国民生活の向上に向けての資金の誘導あるいは民間活力の活用に向けて努力をしているところでございますが、さらに一層検討を進めてまいりたいと思います。
  34. 一井淳治

    一井淳治君 通産省の方でも経済社会活性化構想の中で、七ページにございますけれども、同じ問題について実物経済に国内の余剰資金が回るようにしなくちゃならないというような御指摘をなさっておられますし、また、十二ページに社会資本の整備の分野において、民間の資金を誘導することが重要であるという指摘をしておられるわけでございますけれども、具体的に公共事業にそういった余裕資金が循環してくるような方策についてどのようにお考えでございましょうか、通産省のお考えをお聞きしたいと思います。
  35. 江崎格

    説明員(江崎格君) 過去二年ほどの円高の急激な進行ということで、御指摘のように金融経済と実物経済のアンバランスということが大変顕著になったわけでございますけれども、実物経済面の不振というのが国内での投資の不足とか、あるいは技術開発の停滞ということを招きまして、将来の我が国の経済の成長力を減退させるのではないかということで非常に心配をしておるわけでございますが、日本の潜在成長力を発揮することによりまして実物経済の活力を回復していくということのためには、住宅投資ですとかあるいは設備投資といったような民間の設備投資を促進するということと、それから公共投資の促進という二つの対策があろうかと思います。特に民間の方につきましては、内需拡大策の継続とかあるいは為替の安定ということを通じまして、経済の先行きに対する民間の信頼感を回復するということが基本的に重要だろうと思いますし、それから各種の地域活性化対策ですとか、あるいは技術開発対策というようなことを通じまして、国内に民間の人たちが投資をしたくなるような環境をつくるということが一番肝要かと思っております。それから公共投資の方は財政再建というようなこともございますが、そういう中で兼ね合いを考えつつ最大限国民の生活基盤の質を充実するということで、政府としても努力する必要があろうかと思います。来年度、通産省におきましても今申し上げましたような観点から、つまり投資環境を極力整備するというふうなことで高次機能の集積による地域経済発展基盤の構築の問題とか、あるいは研究開発基盤整備のための新たな施策ですとか、あるいは内需型の新しい新規産業の育成策ですとか、あるいは住宅関連の技術開発等、こういったことに重点を置きまして現在予算とか、税制改正等をお願いしておるところでございます。
  36. 一井淳治

    一井淳治君 同じ問題について大蔵省の方にお尋ねいたしたいと思います。  大蔵省の方でもこの夏、民間活力活用プロジェクト推進のための新しいファイナンス方式についてというふうなものも御研究のようでございますけれども、お考えをお聞きしたいと思います。
  37. 浜中秀一郎

    説明員浜中秀一郎君) お答えいたします。  ただいま御指摘いただきました民間活力活用プロジェクト推進のための新しいファイナンス方式について、試案というそのものにつきましては、大蔵省の官房の審議官室、財政金融研究所の研究部の若手職員等が、今後各界における一層の議論のためのたたき台として取りまとめたものでございまして、大蔵省としての見解を取りまとめたものではございませんが、その試案の中には、御指摘のような新しいファイナンス方式としてレベニュー・ボンド、民活プロジェクト・ファイナンスのための転換社債の発行等七つの方式が考えられるとしているところでございます。  繰り返すようで恐縮でございますが、大蔵省としての見解ではなく、各界における一層の議論のためのたたき台として取りまとめたものでございますが、私どもといたしまして、民間資金の活用により社会資本を充実していく、そのような基本的な考え方は適切なものと考えているところでございます。
  38. 一井淳治

    一井淳治君 総合保養地域整備法に関連して質問さしていただきたいと思いますが、国の基本方針も決まったようでございます。そして、リゾート地域を充実させるためには地域開発だけではなくて、あわせて勤労者の方々の休日の増加、時間短縮の確保も必要であるというふうに思います。  そこで労働省にお尋ねしたいんですけれども、最近労働基準法の一部改正が成立いたしましたけれども、週四十時間制の大目標に向けて、来年度はどのような施策を重視してやっていかれるのかということについてお尋ねしたいと思います。
  39. 渡邊信

    説明員(渡邊信君) さきの臨時国会で労働基準法を改正さしていただきまして、我が国もいよいよ週四十時間労働に向けて進み始めるわけであります。私どもも労働時間の短縮は行政の最重点課題の一つというふうに位置づけて取り組んでいきたいと思っております。  具体的に申しますと、当面の法定労働時間として予定されております週四十六時間を、猶予期間中の三年間のうちに徹底させることが週四十時間への最初のステップとして重要ではないかと思っておりまして、来年度におきましては全国に指導員を配置いたしまして、時短のおくれております中小企業の集団に対しまして就業規則の改正でありますとか資金単価の再計算とか、こういったきめ細やかな指導をしていきたいというふうに考えております。  それから、労働時間の短縮は産業界が自主的に取り組んでいくことが一番肝要であると思っておりまして、来年度は業種別の、産業別の会議を幾つか設けまして、その研究会におきまして自主的に時間短縮のための努力をしていただく、こういった研究をしていただきたいと思っております。  来年度は、以上申しましたような施策を中心にして、時間短縮のためのキャンペーンを太いに繰り広げていきたい、こういうふうに考えております。
  40. 一井淳治

    一井淳治君 厳しい経済情勢でございますので、時間短縮は非常に困難な壁があるんじゃないかというふうに思いますけれども、強力な御指導をぜひお願いしたいと思います。  それから、この夏、八月の六日の人事院勧告で四週六休の本格実施と、そして土曜閉庁について勧告文に載っておったわけでございますけれども、新前川レポートの趣旨からいたしましてもこの休暇の前進ということは国策だと思いますけれども、そういうことで可能な限り推進していただきたいと思うわけでございますけれども、総務庁の方の、国家公務員の状況について、今後について総務庁の方のお考えをお聞きしたいと思います。
  41. 河野昭

    説明員河野昭君) ただいまの御指摘のありました四週六休制の本格実施と閉庁方式の導入でございますが、四週六休の本格実施につきましては、この試行を既に昨年の十一月からやっておりまして、現在の状況を申しますとほぼ全員が試行をやっている、そういう状況でございます。  なお、土曜閉庁方式の導入につきましては、この六月から各省庁の課長クラスが集まりまして、閉庁問題専門部会というものを設けまして、事務的に検討している段階でございます。  ただ、週休二日制の推進あるいは特に閉庁方式の導入といいますのは、国民生活に影響を及ぼす問題でございますし、また国会等各方面とのかかわりもある問題でございます。そういうことで先月、週休二日制・閉庁問題関係閣僚会議というものを開催をお願いいたしまして、現在その閣僚会議で御協議をお願いしているということでございます。ただ、いずれにしましても、今後時短を進めていく上で週休二日制の推進が必要であると考えておりますし、また週休二日制を推進するためには閉庁方式の導入ということを考えなきゃいけないということでございまして、今後この閣僚会議でなるべく早く結論を出していただくようにということで、現在検討を進めているところでございます。
  42. 一井淳治

    一井淳治君 国家公務員の中でも郵政省に御勤務の方については、銀行の週休二日制とも関係がありますので一段の御配慮をお願いしたいと思います。  それから銀行の完全週休二日制に向けての推進でございますけれども、できる限り前進してもらいたいというふうに思いますが、どういう状況になっておりますのか、大蔵省の方にお尋ねしたいと思います。
  43. 中井省

    説明員(中井省君) 銀行の週休二日制でございますが、現在月二回、第二土曜日、第三土曜日におきまして週休二日制、土曜休日制を実施しております。現在金融界におきましてはこれをワンステップ進めまして完全週休二日制にするという問題につきまして、内部でいろいろ議論されているところでございますが、当面公務員の週休二日制の拡大や閉庁問題の取り扱いについての検討状況を見きわめた上で、正式に検討を行うべき課題であると考えているようでございます。大蔵省といたしましても週休二日制の拡大につきましては時代の流れと考えているところでございまして、今後とも週休二日制の一層の拡大についてその環境整備に努めてまいりたいと考えております。
  44. 一井淳治

    一井淳治君 公立学校の教職員の土曜閉庁でございますけれども、教育課程審議会審議とも関係があると思いますけれども、閉庁への推進を進めていただきたいというふうにお願いしたい次第でございます。聞くところによりますと、年末に教育課程審議会の結論が一応出るということも聞いておりますが、そしてその前提として秋ごろにはその内容について一部公表して論議をまつということも聞いておったわけでございますけれども、そのあたりがどうなっておるのか。できるだけ公立学校の土曜閉庁問題というのは日本の将来の休暇問題に非常に大きなかかわり合いを持っておると思いますので、閉庁の推進ということをお願いしたいわけでございますけれども、そのあたりのことにつきまして文部省のお考えをお聞きしたいと思います。
  45. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) お答えいたします。  今御指摘がございましたように教育課程審議会におきましてただいまこの問題について慎重な検討が進められてございます。基本的には週休二日制の普及、拡大ということが社会一般に広がってまいりまして今後もこれが進んでいくであろうということ、それから学校や子供の生活をこれらの社会変化から切り離して考えることは適切でないであろうということ、それから五日制の問題はしたがいまして子供の生活に配慮しながら基本的にはこのような社会的な趨勢に従う方向で検討すると、こういうことで今日まで非常に慎重に検討が進められてきているところでございます。今御指摘がございましたように今最終のまとめの段階に入ってございまして、今年末をめどに答申予定でございまして、その約一カ月前には審議のまとめを公開すると、こういうことになっているところでございます。  文部省といたしましては、この学校五日制の問題というのは、教育水準の維持や授業時間の確保というような教育課程のあり方の基本問題、それから教員の勤務形態などの学校運営のあり方、それから子供の家庭、地域における受け入札態勢とか生活行動の問題等と深くかかわっているということでございますので、審議会審議の結果をまちまして慎重に検討をしていくということに考えているところでございます。  なお、公立小中学校の教員の二日制に向けての問題でございますが、御承知のように現在では現行の教育課程が週六日ということを前提に編成されておりますし、また一方で御承知の、教員には夏季等の長期の休業があるものでございますから、現在ではこれを長期休業期間中にまとめ取りをするという方向で実施をするようにしているわけでございますが、先ほど申しました教育課程審議会答申も近く出ることでございます。また、国民の教育に対する要請など諸般の状況を勘案しながらこれについて慎重に検討をしてまいりたい、こういう基本的な姿勢でございます。
  46. 一井淳治

    一井淳治君 地方公務員の方々でございますけれども、少なくとも県庁段階では閉庁を早期に実現していただくということをお願いしたいわけでございますけれども、土曜閉庁に向けての推進について自治省のお考えをお尋ねしたいと思います。
  47. 柘植一郎

    説明員(柘植一郎君) 地方公務員につきましても、週休二日制の促進、またそのための閉庁方式の導入は重要な課題であると認識をいたしておりますが、市町村だけでなく都道府県におきましても窓口事務等住民サービスに直結する業務を多く抱えておりますため、土曜閉庁につきましては国の場合以上に検討すべき課題も多いと考えておりますし、また住民の十分な理解を得る必要もあるというふうに考えております。したがいまして、都道府県を含めまして地方自治体の土曜閉庁につきましては、国の検討状況を踏まえつつ、閉庁した場合の行政サービスのあり方や法令等の整備の必要性等の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  48. 一井淳治

    一井淳治君 三十日に都道府県基準地価調査が公表されましたけれども、それを見ますと地価高騰がとめどなく続いておるわけでございます。東京都心部から周辺へ、郊外住宅地へということで、横浜、川崎、鎌倉あたりでは年に三倍の地価上昇という地域も見られます。地方都市波及いたしまして、福岡市では二・三倍、神戸や広島でも五〇%ぐらい値上がりがあるようでございます。まさに異常な事態でございまして、これに対する緊急の処置が必要ではないかと思いますけれども国土庁長官は昨年の夏にこの地価騰貴の中で御就任になったわけでございますけれども、この地価の暴騰について予測をなさっておられたのかどうか、そのあたりのことについてまずお尋ねいたしたいと思います。
  49. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 昨年の同じ時期に地価調査がございまして、そのときにある程度の地価上昇が見られたということで、この問題につきましては内閣としてもぜひ真剣に取り組んでもらいたいということで、その後官房長官や総理とも御相談をして地価対策閣僚会議というものを設置していただきまして、その後地価対策に取り組んできたところでございます。
  50. 一井淳治

    一井淳治君 国土庁の見解をずっと見ておりますと、公示価格とかあるいは地価調査のたびごとにかなり楽観的な御意見、コメントをつけておられるわけでございます。これは将来地価高騰したらいけないということで、楽観的な見解をわざと発表されるのではないかという気もするわけでございますけれども、本当に楽観的なお考えであるのなら頭を切りかえていただかなきゃいかぬという趣旨で、予測をなさっておられたのかどうかということをまずお尋ねをしているわけでございます。
  51. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 楽観などはいたしておりませんし、もちろん真剣に取り組んでまいったところでございます。  既に御承知のように、国土利用計画法の改正も国会でお願いをして、いわゆる小規模の取引に対するチェックもお願いして、これは現在実行しておるところでありますし、特に金余り現象から来る土地転がしを封じなきゃならぬということで、短期所有の譲渡に対しては超重課税を課するという法律を、税制を国会に提出をさせていただいて、この春からぜひこれを早くと申し上げておったところでございまして、真剣に私どもは取り組んでまいったと思っております。
  52. 一井淳治

    一井淳治君 地価対策はまさに政治の問題である、地価高騰は政治の怠慢の結果だ、人災だということ、この点は新聞論調初め世論が一致しておるんではないかというふうに思います。そして、十月六日の自民党の緊急土地問題協議会におきましても、土地問題は今や政治が勇気を持って取り組むべき緊急かつ最重要課題であるという指摘をされておるわけでございますけれども、これまでの対策では余り効果が上がってないので、これを踏まえて今までにない実効性のある強力な対策をとっていただかなくちゃならぬではないかというふうに思います。そして、国土庁長官も任期が残りわずかではございますけれども、任期中に早急な対策を立てていただかなくちゃいかぬのじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。長官の御決意を伺いたいと思います。
  53. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 御指摘のように私ども任期ということがございますけれども、これは大臣の任期とは関係ありません。政府として真剣に取り組んでいく問題でございまして、既に十三日には関係の知事あるいは政令都市の市長さんにもお集まりをいただきまして真剣にこの問題について懇談、討議をしてまいっておりますし、さらにけさは、自民党案とかあるいは新行革審のいろいろの御答申を踏まえて閣議におきましても土地に対する要綱が決定されまして、これから各省庁におきましてできるものはこの内閣の中において早急に実現をするし、さらに引き続いて次の内閣においても土地対策に取り組むということを決定しておるところであります。
  54. 一井淳治

    一井淳治君 現在の地価高騰は非常な強い底力を持っておりますし、範囲的にも全国的に広がっている、とめどもない騰貴が続いておるわけでございますので、この際、思い切って規制区域の指定に踏み切るべきではないかというふうに思いますが、この点いかがでございましょうか。
  55. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) ただいまも申し上げましたように、十三日に関係の地価高騰地域の知事さん方あるいは市長さん方と御懇談を申し上げたわけでありますが、おのおのの地区についてはそれぞれ真剣にお考えをいただいておりまして、この規制区域の問題につきましてもこれは最後の手段であるということで、しかし地価高騰がおさまらない場合には伝家の宝刀としてこれもやむを得ないけれども、十分準備をしなければならないということで、これに対する準備だけは万全を期するべく実務者会議を設置することで合意をしておるところでございまして、この規制区域の発動その他は別といなしまして、準備だけは十分にしてまいりたいと考えております。
  56. 一井淳治

    一井淳治君 地価高騰というものは、一度もう上がってしまいますと下がることはないわけでございます。伝家の宝刀を抜けというのでもう世論が一致しているんじゃないかというふうに思いますけれども、結局、地方自治体と国とがもたれ合いといいますか、お互いに相手方の責任にするというふうな嫌いが非常に強いように思います。そういう意味で、地方自治体の方でなかなか進まないいろいろ事情があるんであれば、国の方で相当思い切った指導なり対処をしていかなければ、現在の地価高騰に対してはどうにもならぬではないかという気が強いわけでございますけれども、いかがでございましょうか。特に国土法所定の要件、これは十分整っているというふうに思うんですけれども、その点はいかがでございましょうか。
  57. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) ただいま大臣からも御説明、御答弁ありましたように、私どもといたしましては現在のところ監視制度の運用強化を図りまして、できるだけ現在の地価の急激な上昇を抑えたいということで努力をしている次第でございます。ただ、こういう監視区域の運用強化によって努力をしても、なお地価高騰がおさまらないというような場合には、速やかに規制区域の指定が行えるようにあらかじめ所要の準備を進めておきたいということで、私ども、都道府県の事務担当者とそれから国土庁の担当者でその辺の具体的な準備につきましていろいろ議論を始めたいというふうに考えている次第でございます。
  58. 一井淳治

    一井淳治君 国土利用計画法に一応その規制区域を発動する要件が書いてあるわけでございますけれども、この要件が整っているというお考えなのか、整っていないというお考えなのか、その点はいかがでございましょうか。
  59. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 規制区域の発動の要件といたしまして法律には二つ書いてございまして、一つは投機的な土地取引が相当範囲にわたって集中しているということ、及び地価の急激な上昇があるということ、またそういうおそれがあるかどうかというようなことが要件というふうになっているわけでございます。これの要件につきましてはかなり幅のある解釈が可能なわけでございまして、社会経済情勢もいろいろ判断しながらこの区域の指定の発動を検討するということになるかと思います。
  60. 一井淳治

    一井淳治君 地価問題は連日新聞に書かれておりますけれども、要件が整っていないなどと書いている新聞も世論もないわけで、要件が整っているということは、現段階よりも前に、一年ぐらい前にもう皆さん認めておったんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。  この参議院の国民生活調査会で参考人の意見を聞いたことがありましたけれども、余り強力な手が打てないのは、こういったことを言うのは控えたいわけでございますけれども、政治献金のせいではないかということを言われるまでになっているわけでございます。私は、要件が整っていることは間違いない、だから政治情勢を見ながらいろいろ待っているというふうな状況ではないと思うんですが、要件が整っていることは間違いないと思うんですが、いかがでございましょうか、もう一遍お聞きしたいと思います。
  61. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 先ほど申し上げましたように、要件につきましてはかなり抽象的に書いてございますので、これが整っているかどうかということをびしゃりと判断することは非常に難しい面があるかと思います。私どもといたしましては、現在、監視区域の運用強化ということで監視区域の指定の拡大、それから届け出面積の面積基準の引き下げ、そういうことでいろいろ努力をしてまいりまして、それでなおかつ地価高騰がおさまらないという場合には、速やかに規制区域を発動するように考えたいということで、いろいろその具体的な準備を進めている段階でございます。
  62. 一井淳治

    一井淳治君 国土利用計画法の十三条の二の関連もありますので、規制区域の指定の要件等に関して国土利用計画審議会で論議してもらってはどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。  また、きのうですか、この審議会が開かれたというふうなことも聞いておるんですけれども、そこではどんな論議がされたのでしょうか。
  63. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法の十三条に基づく内閣総理大臣の指示代行権につきましては、私どもとしましては、地方自治の本旨にのっとりまして都道府県知事の権限を最大限に尊重いたしたいということで、この指示代行権の行使は非常例外の場合に限定されるものと考えている次第でございます。また、規制区域の指定につきましては、すべての土地取引が許可制になるため審査件数が膨大となるというふうなことから、知事さんが納得しないまま総理大臣が指示権を行使するということは事実上困難なのではないかというふうに考えている次第でございます。そういうことで、私どもとしましては、都道府県と私どもで十分に連絡調整を図りながら、その規制区域の指定の準備について検討を進めたいというふうに考えている次第でございます。  昨日、国土利用計画審議会の全員懇談会を開きまして、このような情勢につきましていろいろ説明をいたしまして、審議会の委員さんの意見を非公式にいろいろお聞きした次第でございます。
  64. 一井淳治

    一井淳治君 ただいまも御説明がございましたし、また恐らくきょうの閣議でもそのような方向が出たんじゃないかというふうに思いますけれども規制区域指定のための準備をするということでございましょうが、具体的にはどのような作業を進めておいきになるのか御説明をいただきたいと思います。
  65. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 具体的に準備といたしましては、まず指定の区域のとり方についての考え方をどういうふうにするかとか、それからまた、規制区域を指定いたしますと、不許可になった場合にその土地買い取り請求というものが知事さんに出てくるわけでございますけれども、その場合にどのように処理するか、その財源手当てをどうするかとか、そういうようないろいろな具体的な問題につきまして検討したいと思っております。
  66. 一井淳治

    一井淳治君 まあ、遅かれ早かれ規制区域の指定に踏み切らざるを得なくなるというのが共通の見通しではないかというふうに思いますが、今後どういう状況になったら規制区域の指定に踏み切られるのか、具体的な時期についてお尋ねしたいと思います。
  67. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法を改正していただきまして監視区域という制度が実施されましたのはことしの八月一日からでございます。これも本格的に区域拡大を行いましたのがことしの十月一日からと。また東京都等では、この届け出面積を、従来三百平米とか五百平米というふうに決めておりましたものを、今度もう少し強化いたしまして百平米というようなことも検討しているわけでございます。したがいまして、こういう監視区域制度の運用の強化というものをある程度見定めてから、規制区域の発動というものについても具体的に考えたい、判断をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
  68. 一井淳治

    一井淳治君 地価高騰がとめどもなく続くという状態が継続されるならば、これはもう必ず規制区域の指定に踏み切られるんでしょうか。
  69. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 私どもといたしましては、この監視区域制度の運用ということはかなりの効果があると思いますし、それから、先ほど大臣から説明がありました超短期重課制度、これもこの十月一日から実施されておりますし、また金融機関に対するいろいろな指導の強化ということも、かなりの効果を発揮しつつあるのではないかというふうに思っておりまして、何とかこういう手段で地価が鎮静化するということを期待している次第でございます。しかし、こういういろいろな手段を講じてもなお地価高騰がおさまらないという場合には、やはりこの規制区域の発動ということも決断しなければいけないという事態も考えられると思います。
  70. 一井淳治

    一井淳治君 東京都ではかなりの届け出についての実籏を積んでいるようでございますけれども届け出件数、審査終了件数、勧告件数などの実施状況がどのようになっているのか、わかる範囲で結構でございますから御説明をいただきたいと思います。  そして、これらによって効果が具体的にどうなのかという点についても御説明願いたいと思います。
  71. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 監視区域の実績につきましては、八月一日から実施いたしまして八月、九月と二カ月ぐらいの実績でございますので、まだ判断をするに足らない資料しかないわけでございますけれども、ただ東京都では、昨年の十二月からことしの七月までの間に東京都の条例でもって監視区域と同様のことを実施しておりました。それにつきましての実績を見ますと、届け出の受理件数が全部で千三百七件ございます。その中で届け出とおりというのが八百九十二件ございまして、また価格を変更させたものが百六十二件、それから取り下げをしたものが二百四十七件、それから勧告をしたものが五件ということになっておりまして、価格変更、取り下げ、勧告、こういうものを全体の届け出受理件数で割りますと、大体三二%程度の指導率というものが出てまいるわけでございます。全国一律に実施しております届け出勧告制の場合には、大体この指導率が一〇%前後というふうになっておりますけれども、東京都の条例に基づく届け出の場合には三割強の指導率ということでございますので、かなりの効果があったのではなかろうかというふうに思っている次第でございます。
  72. 一井淳治

    一井淳治君 先ほどのこの都道府県の基準地価調査でも、地価高騰が周辺に及んでおるわけでございます。それで、この監視区域の大幅な拡大が必要ではないかと思うんですが、その点はいかがでございましょうか。  それからもう一つは、東京都心五区でも、先ほどもかなりのパーセントがあるというふうに言われましたけれども、実際には三百平米以上の取引になっておりまして、割合からいけば全体の一〇%ぐらいで、狭い土地が高く売れているというふうなことも聞いておりますが、届け出面積を大幅に引き下げる指導が必要ではないかというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。
  73. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 監視区域における届け出面積でございますけれども、東京都は現在特別区二十三区と武蔵野、三鷹市が三百平米以上、それから多摩地域の二十四市四町では五百平米以上ということで、一五%から二〇%ぐらいの捕捉率になっているのではないかというふうに判断している次第でございます。先ほど説明いたしましたように、これを東京都の場合には十一月一日から全域について届け出面積を百平米に引き下げるということを現在予定をしているというふうに聞いております。百平米に引き下げた場合には、土地取引の件数におきまして五割を超える捕捉率になるかと思いますし、また、取引の面積で見ますと八割程度の捕捉率になるのではないかというふうに考えている次第でございます。  それからまた、監視区域の指定の拡大の動きでございますけれども、東京都は既に十月一日に、東京都の市街化区域全域について監視区域を指定しておりますし、また神奈川県横浜市、川崎市等でも十月一日にはかなりの広範囲にわたった監視区域を指定しております。また千葉県につきましては、十一月からかなりの区域の拡大を現在予定しているというふうに聞いておりますし、また埼玉県でも区域の拡大を検討しておるというふうに聞いております。それからまた地方の中枢都市におきましても、札幌市、熊本県、福岡市等でこの監視区域を、札幌、熊本では既に指定しておりますし、福岡市では十一月二日から監視区域を指定するという予定でございます。そのほか大阪等関西の各方面の都市でも、できるだけ早急に監視区域を指定するという方向で検討を進めておられるというふうに聞いております。
  74. 一井淳治

    一井淳治君 これ以上高騰が続かないように、監視区域の指定の拡大と届け出面積の引き下げを強力にお願いしたいというふうに思います。  そこで、そういうふうな施策を公共団体がとりますと人件費等の予算がふえるというふうに思います。六十二年度の概算要求を見ますと、たしかこの関係の交付金の額は前年度と同じというふうになっておるんですが、それではとてもとても地価高騰は抑え切れないというふうに思いますが、その点はいかがでございましょうか。もっと交付金をふやす必要があるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  75. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法の施行事務に要する経費につきましては、従来から都道府県に対しまして交付金を交付しておるわけでございますけれども、今回の監視区域の指定とか拡大、それからまた場合によっては規制区域の指定というものを行った場合等におきましても、地方公共団体の事務量の増加に的確に対応するため、必要な措置を講じてまいりたいと考えております。
  76. 一井淳治

    一井淳治君 最近の建設資材の値上がりでございますけれども、ごく一部ではございますけれども、品物によっては三カ月で五〇%から一〇〇%上がるという、まさに狂乱物価並みの値上がりが起こっているわけでございます。流通過程では余り問題がないようなことも聞くんですけれども、しかし、末端の建設業者の段階では資材の入手は困難であるとか、契約金額を変えなくちゃいけないとかいろいろ重要な問題が起こっているようでございます。そこで建設省の方に最近の建設資材の価格や供給動向の実情について御説明をお願いいたしたいと思います。
  77. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 建設資材の需給あるいは価格の推移でございますが、建設投資との関係もございましてここ数年は供給も非常にスムーズでございましたし、価格も横ばいないしは若干下落という状況を続けてまいりました。そうした中で、ただいまもお話がございましたが、全体の状況認識として、まず、そういう今までの安定した状況が続いているものとそうでないものと二つございます。  まず、続いているものとしてはセメント、アスファルト、骨材、生コンクリート等、これらは需要に見合って十分供給されておりますし、価格も非常に安定的な推移でございます。  一方、変化が見られたものは、端的に言って木材と鋼材だと思います。その木材について申し上げますと、まずその需給でございますが、夏ごろ一部で逼迫が伝えられました後、型枠用の合板でございますが、これは農水省等の御指導もあって備蓄合板の売り渡しが進みましたし、あるいは輸入合板の増加等で現在では需給面では大きな問題にはなってはおらないと思いますし、その他の木材も供給面は大体大丈夫だと思います。  ただ価格でございますが、お話しのように夏といいますか七月ごろから上昇したわけですが、これも農水省等の御指導で輸入、生産、流通の確保のための措置が講じられたこと等によりまして、ここに来て比較的落ちついた動きをとっておると思っております。特に型枠用合板なども前月に比べて値下がりということでございます。  一方、鋼材の方でございますが、これにつきましては、私どもも先月ユーザーである建設業団体を通じまして需給調査等を実施いたしました。その結果、工事に直接支障を生じるという状況までは至っておりませんが、お話しのように品物の納入にこれまでに比べるとやや長い時間かかる、あるいは場合によると価格の上乗せを求められるというふうなこともあって品薄の状況でございます。また価格の面につきましても、底値であった六月に比しましてH形鋼なりあるいは小棒でかなり上がっておりますが、ただ、ごく最近の十月の初めの状況を見ますと、いろいろ御指導の成果もあって完全横ばいになっておるというふうに、ただ、まだこの十月の初めだけですから正確な情報ではございませんが、完全に横ばいになっておるというふうに認識しております。これはやはり、通産省等が先般増産方針を決定されました。これを踏まえてメーカーで増産態勢に入っていることなどによるものと見込まれますが、私どもとしては、今後さらに価格が落ちつくということを期待しているものでございます。
  78. 一井淳治

    一井淳治君 便乗値上げや買い占め、売り惜しみがあるのかどうかという点でございますけれども、通産省と農水省の方にその点をお尋ねしたいと思います。
  79. 高橋勲

    説明員高橋勲君) 木材につきましては、関係団体等からの事情聴取の結果、それから最近における生産、出荷の動向等から見まして、流通の各段階で在庫の増加というふうな状況はあるものの、いわゆる買い占めとか売り惜しみというふうな事実はないものと考えております。
  80. 平林英勝

    説明員(平林英勝君) 私ども通産省では、九月の中旬に主要な建設資材十一品目につきましてメーカー、流通業者、ユーザー約千社から調査をしたわけでございますが、先ほど建設省から御説明がありましたように、小形棒鋼、H形鋼は価格が上昇しておりましたけれども、セメント等につきましては価格は総じて安定ないし横ばいという結果が出ております。小形棒鋼やH形鋼につきましても実需の増加、それにメーカーの夏季減産ということが背景になって需給が引き締まった、それで値上がりが生じたものと理解しております。また、卸やユーザーの方々から納期のおくれとか品薄といった懸念する声がございましたけれども買い占めとか売り惜しみとか、そういったことは私ども調査した限りでは見当たらなかったわけでございます。  また、私どもで九月の末に建設資材につきまして相談窓口を設けたわけでございますが、これまでのところ、その相談窓口に便乗値上げとか買い占め、売り惜しみといったような苦情は寄せられていないというのが実情でございます。
  81. 一井淳治

    一井淳治君 今回の値上がりにつきましては、農水省あるいは通産省が四半期ごとになさっておられます需要の予測が、やや実際に出てくる需要よりも低かったのではないかという嫌いが非常に強いというふうに思います。  そういうふうになってくる一つ原因とすれば、農水省について言いますと、木材需給対策中央協議会というのがそこで木材の需要についての予測をなさっているというふうに聞いておりますけれども、流通過程の方は入っておられますけれども、末端の需要家である建設業者が加わっていないために、現実の需給の状況がよく把握できていないんじゃないかという気がいたします。そういう観点で、木材需給対策中央協議会に建設業者の代表を加えていただいた方がいいんじゃないかというふうに思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
  82. 高橋勲

    説明員高橋勲君) お答えいたします。  木材需給対策中央協議会の構成員につきましては、学識経験者、関係業界の代表それから関係行政機関の職員の中から、木材の需給等に関しまして豊富な知識、経験を有する者を選定しておりまして、またその運営に当たってはこれらの者の意見が十分反映されるよう配慮をしているところでございます。特に需要サイドの点につきましては、建設省のほか住宅金融公庫等の関係機関の参加も得ておりまして、十分その意見は反映されているものというふうに考えております。
  83. 一井淳治

    一井淳治君 鋼材につきましてもこの七、八、九月の四半期の必要数量の予測を低目に見積もり過ぎたということがあると思います。それが今回の値上がりに非常に大きな影響を及ぼしているというふうに思うわけでございますけれども、やはり末端の需要家の事情を聴取するとか建設業者の代表から実情を聞くということが、鋼材の需給の状況を正確に把握するために必要ではないかというふうに思うわけでございますけれども、通産省の方ではどのようにお考えでございましょうか。
  84. 中尾舜一

    説明員(中尾舜一君) お答え申し上げます。  鋼材の問題につきまして、私ども通産省といたしましては、四半期ごとに需給見通しを粗鋼ベースで策定いたしまして公表して、これが鉄鋼業界の生産計画作成の目安となっているわけでございます。需給見通しを策定するに当たりましては、私ども、土木、建築を含みますところの建設部門と造船、自動車等の製造業部門につきまして需要の積み上げを行いまして、これに在庫調整あるいは輸出入見通しを加えまして生産数量を発表しているところでございます。需給見通しの策定に当たりましては、建設部門につきましては、策定の段階で建設業所管の建設省ともいろいろと意見交換をいたしまして、今回の場合ですと内需拡大策によりますところの公共事業の前倒しの発注あるいは旺盛な住宅建築等を見込んだ上で需要予測を行ったつもりでございます。需要予測に当たりましては、今御指摘でございますが、従来からも建設業所管の建設省担当部局から十分意見を聞かしていただきまして、これを参考として策定しているという状況でございます。
  85. 一井淳治

    一井淳治君 わずかな間に大変な建設資材の値上がりが起こったわけでございます。新聞記事で拝見したわけでございますけれども、天野建設大臣の場合によっては公共事業の発注を見合わせようかというふうな談話もお聞きいたしております。私どもにとりましては、とにかく内需を振興する、これを相当期間継続することが非常に大事ではないかというふうに思っておるわけでございますけれども、公共事業との関係で建設資材の物資の安定的供給に関して、建設大臣の今後のお考えについてお尋ねしたいというふうに思います。
  86. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) この問題は実は昨年度にさかのぼりますが、御承知のように集中豪雨がありまして、その地域の災害復旧を急速に進めるために相当パーセントを多くいたしました。大体八〇%ぐらいの復旧を出したわけであります。それとの関連性があって、その地域に対して一部建設資材関係あるいは技術労働者の賃金等の値上げがあったということを聞いておりましたので、今年度は御承知のように当初予算を八〇%以上前倒しする、そしてあまつさえ五兆円という膨大な補正予算を執行する、これはもう必ずこの二の舞がくるだろうと思いまして、私は建設資材の値上がりは今まで落ち込んでおりますからある程度のところは我慢できると思うんですが、それももとへ戻すにしても、急に上げられたのでは予算どおりの執行ができなくなるわけでありまして、設計変更をしなきゃならないような状態になってきますと、とても予算どおりの、予定どおりの工事は進行いたしません。それと同時に、日本の請負の仕組みとでも申しましょうか、大企業から中小企業へ何段階かの下請でやるようになっておりまして、最終の末端の零細企業が全部赤字を背負うというような結果になる可能性もないわけではない。  そういう点でどうしても物価の値上がりが抑制できないというのなら、発注を中止するほかあるまいという発言をしたんでありますが、各関係省庁に対しては追加補正を決めた段階で私はこの問題の申し入れをしておるんです。ともかくも、少なくとも物価の値上がりにならないように需給のバランスのとれるように準備態勢をしいてほしいという強力な申し入れをしたんでありますが、ちょっとそこのところ甘かったとみえまして、現在のような段階になってきまして、落ちついているといいますが、やっぱり上がった値段そのままで落ちついているのではないか、低くなったのはほんのわずかなものだけじゃないかというような感じをしているんでありますが、鉄鋼業は特に私、自分の考えでは鉄鋼業の値上がりは許すわけにいかないという考え方を持っておりました。  これは御存じだと思いますが、昨年度まで鉄鋼業は生産を縮小しました。そのために政府が協力したことは数多くあるわけです。まず失業対策の問題、そうしてその地域経済が容易でないだろうというので、公共事業の傾斜配分をするとか、いろいろなことをやっておるのにもかかわらず、増産体制に入る気なら幾らも増産できるわけでありますから、それをやらないで、値上がりをしたのをそのまま業界がもうけているというんではこれ了承できない。それではやむを得ないから輸入も必要ではないか。今は北海道から運ぶより韓国から運ぶ方が簡単な時代ですから、そういう意味で輸入したらどうだという発言をしたんでありますが、ようやく最近になって増産体制にも入ったようでありますし、何とか落ちついているということですから、これは一応そのままにしておくわけでありますが、私も大した任期はありません。そうですから、その短い任期の中でこの始末だけつけたいと思っておったところでありますが、各省庁とも一生懸命協力してくれるものですから、このままで推移してもどうにか執行上には支障ないんではないかという感じをいたしておりますから、より多くの公共事業を来年度に向けて要求して執行する予定でおります。
  87. 山本正和

    ○山本正和君 一井委員からも冒頭に指摘するわけでございましたけれども、大臣が閣議でおくれてお見えになるということであったものですから、私の方から会計検査院の検査の概要に関する主管局長の説明に絡んで若干お伺いしておきたいと思うわけです。  建設省とそれから住宅金融公庫についてだけ指摘がありまして、あとは良好である、こういうふうな会計検査院の報告になっております。  そこで、私は、建設省の方のこの部分で、私の質問に入る前に建設省側としての対応を少しお伺いしたいわけでありますが、一つは、不当と認めた事項五件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、こういうのがあります。そしてその中で特に、これは補助事業の実施あるいは経理等の不当の問題がありますけれども、恐らく庶民が一番関心を持っている住宅問題で指摘があるわけです。それは公営住宅の新築空き家等に関するものであると。その指摘の中で、「今後の公営住宅の建設に当たり立地条件等を検討するなどしてその需要を的確に把握して需要に応じた事業計画の策定に努めるように指導するとともに、事業計画の審査の充実を図り公営住宅建設事業の適切な実施を期するよう」と、こういう指摘があります。  これは恐らく東京ばかりじゃありませんけれども大都市圏では庶民は公営住宅に大変関心が高いわけでありますから、こういう指摘に対して今後どういうふうな考え方を持って対処されようとしているのか、その部分をまずお伺いしておきたいと思います。
  88. 高橋進

    説明員高橋進君) 建設省といたしましては、今御指摘の会計検査院の趣旨を踏まえまして住宅局長通達を発しまして、現在、新築空き家等が発生している団地につきましては、当該新築空き家等を速やかに解消するように所要措置を講じ、また今後公営住宅建設に当たりまして、地域の住宅需要をより一層慎重に把握した上で建設計画を作成する、そういったように需要に適合した建設に努めるように指導いたしております。今後そういう方針でもって万全にやってまいりたいと思っております。
  89. 山本正和

    ○山本正和君 こういう問題は、本当に庶民の住宅に対する要求というものと、それから政府機関がこれに的確に対応しているかどうかということの一つのバロメーターになりますので、今後とも格段の御配慮をお願いしておきたいと思います。  そこで、私がきょう質問を申し上げたい内容は、実はこの前、国民生活調査会で東京都の副知事の御説明をいただきながら東京湾をずっと回ってまいりました。調査会長の長田裕二先生以下、二十名ぐらいの議員でみんなで一緒に回ってきたんですけれども、東京湾の変貌というものをまざまざと見せつけられまして、私は特に、ちょうど休会中にヨーロッパの国民生活の事情を視察に参りまして、テムズ川の河畔の新しい開発、それからシティーを移動するというふうなことがあって、大変大きなプロジェクトをやっているわけですけれども、それよりももっと大きな、しかも非常に近代的な感じがしたわけです、東京湾の副都心構想あるいは有明、晴海等の状況を見まして。一体これは日本の国はこれからどういうふうな姿になっていくんだろうか、日本の国土はこれからどういうふうに変わってくるだろうかというふうなことも含めて、いろいろな感慨に浸ったわけであります。  確かに今、四全総以来の議論として、東京に一極集中というふうな格好で、特に地方からはいろいろな議論があります。私もそれは地方開発といいますか、地方の振興なしに我が国の国土づくりはないと思うのですけれども、しかしそうかといって東京の現状をどういうふうに変えていくかといったら、やっぱり東京湾構想というのは大変重要な意味があるというふうな感じを持ったわけであります。  そこでひとつ、関係省庁五省庁でしょうか六省庁でしょうか、合わせまして東京都と一緒になって、このほどこの構想についての中間報告みたいなものができたということを聞いたのですけれども、まずそれについてお聞かせいただきたいと思います。
  90. 北村廣太郎

    説明員北村廣太郎君) お答え申し上げます。  昨年の十一月でございますが、東京臨海部の総合的整備を行うために、内閣官房、国土庁、通産省、運輸省、郵政省、建設省及び東京都から成ります東京臨海部開発推進協議会が設けられまして、以降、地域整備の基本方針検討してまいったところでございます。十月の二日でございますが、この協議会におきまして東京臨海部における地域開発及び広域的根幹施設の整備等に関する基本方針の中間取りまとめを行ったところでございます。  この中間取りまとめの主なポイントといたしましては、まず第一番に、最近の東京都を中心といたします地価高騰に対しまして、土地の供給対策の大きな一環といたしまして、その大量供給を図るという点が一つでございます。  それから、東京都の国際化、情報化の進展に対しまして外資系の企業等が相当入ってまいりますし、また国内の金融経済体制も国際的な通信情報体系を整えて受け入れ態勢を整備する必要があるということで、そのようなテレポートあるいは国際金融センター等を中心といたします事務所、設備需要に対応するというようなことでございます。そのために、東京都港湾局で埋め立てました十三号地のその一、その二、十号地その一等を中心といたしまして、既に業務用にある程度使われながら、現在経済情勢が変化いたしまして、その転換を図られようとしております有明、豊洲、晴海埠頭地区等を総計面積六百五十ヘクタールにつきまして、ただいま申しました国際的なあるいは金融的な業務等を中心といたしました業務用地、それからそれに関連し、または都内居住の拡大を目指すための住居地域、それから文化、レクリエーション地域等、複合的な機能をあわせて整備しようということでございます。  この整備のスケジュールといたしましては、昭和六十八年を中間の目標といたしまして、昭和七十五年、これは今世紀と来世紀の世紀がわりでございますが、それを目途に全地区の基盤整備を概成するということを考えておりまして、あわせましてこの整備に必要な根幹施設の整備の方針と、それから開発者負担の考え方を示したところでございます。
  91. 山本正和

    ○山本正和君 実は、東京都から私どもにもらった資料を見ますと、大変わかりやすくて、こういうきれいな色刷りで、かなり夢を与えるような格好で出ているわけです。非常にわかりやすいのですね。  この中間取りまとめをよく読ましていただきますと、確かになるほどと、いろいろなところに配慮されて、今局長から御説明がありましたような趣旨が理解されるのですけれども、どうもやっぱりこれは国民の間にもっと関心を持ってもらう、いろいろ議論してもらう材料を提供すべきじゃないかという気がいたします。  また、あわせてこれ大変な事業だと思うのですけれども、今後一体どういうふうにこれを進めていかれようとするのか、その辺を引き続いて御説明いただきたいと思います。
  92. 北村廣太郎

    説明員北村廣太郎君) まず第一番の国民に対するPRの点でございますけれども、確かにこの基本方針そのものは非常に詳しく書き込んでございまして、かなり一読してそう明確なイメージがわくというような形にはなっておらないかもしれません。  したがいまして私ども、報道機関等も強い関心をもって取材に当たっておりますので、いずれそういう東京湾臨海部の開発のイメージがわくような映像的な面での資料の提供、例えばPRのパンフレットというふうなもの、そういうものを東京都及び関係の地権者等の民間の御協力も得て、広く国民の皆様に提供したいというふうに考えておるところでございます。  それから、この開発の具体的な進め方でございますが、ただいま建設省あるいは運輸省等が中心となられまして、まず現在ございます港湾機能の移転及びその後の臨港地区の具体的な開発のための基幹的な施設でございます例えば道路、例えば鉄道あるいは東京港の港湾機能の移転先の整備というようなものについて、具体的な検討に入っていただいておるところでございますが、その検討の結論も年内あるいは年度内等を目標にある程度の取りまとめが出ると承っておるところでございます。  一方、民間の地権者の方々を中心に、晴海地区、豊洲地区あるいは有明地区等を中心に、それぞれ地権者等を中心といたしました協議会を開かれまして、それぞれの開発構想を民間サイドで練っていただいておるところでございます。  また東京都におきましては、十三号地、十号地等を中心にテレポートあるいは晴海にございます国際展示場の移転、あるいは具体的にもう既にできておりますが、公園とか、それからテニスの森公園とか、そういうものの整備というようなものを具体的に御検討いただいておりますので、それぞれその取りまとめぐあいを見た上で、私ども国土庁が中心となりまして、より具体的なスケジュールに基づく開発構想及びその費用負担の方法等というものをこれから至急詰めまして、来年度あたりに具体的な事業の全体像が見渡せるような形に仕上げたいと存じます。  なお一言つけ加えさせていただきますと、既に十三号地のその一、その二、テレポートを中心といたしました地区につきましては、首都高速道路十二号線及び臨港道路等を中心といたしまして、また新交通等を中心といたしまして既に事業の具体化に取りかかっておりまして、それぞれ昭和六十七年度、六十八年度完成が見込まれております。  以上でございます。
  93. 山本正和

    ○山本正和君 ロンドンに参りましたときに、ロンドンの市当局、またそこのプロジェクトの責任者の方からお聞きしたんですが、日本のいろいろな企業等に対して盛んに誘致運動をやっている、国際的な場にする、こういうことですね。国際化の中での東京のあり方、国際都市東京としてのこれからの役割というのがいろいろあるわけですから、そんなものも含めて十分、御如才ないことと思いますけれども、いわ渉るこの新しい副都心の都市としての役割はどういう役割なのかということを明確にしていただいて、それを国内外にやっぱり明らかにしていただくことをしておかなきゃいけないんじゃないか、こんなことを思いますので、これは御如才ないと思いますが、私の方から意見として申し上げておきたいわけです。  それから、実は国土庁の仕事というのは、私もまだ議員になってわずかでありますけれども、見てまいりますと大変な仕事だと、国民にいろいろな意味での夢を与える大変なまた責任のある仕事だというふうにも思ったわけです。ところがその国民の中に、我々日本国民として今から十年後、二十年後あるいは三十年後に日本の国はどういうふうになるんだろうか、我々の住んでいるこの国はどうなるんだろうかというふうなことをなかなか議論する材料がない。ときどきテレビ等で報道されますけれども、これもごくたまの機会しかない。そういう中で私が思いますのは、きのうの決算委員会は防衛問題でいろいろ議論がございました。国を守らにゃいかぬ、こう言うんですけれども、その守る国というのはこんな国なんですよというイメージがなければなかなかよくならない。  西ドイツあたりは、例えば先ほど地価の問題がありましたけれども土地は絶対値上がりさせないという国の方針がある。子供たちの遊び場はある、老人はもう職がなくてもちゃんと生活できる、そういう立派な国をつくっているわけですね。その国を守ろうという防衛の発想と、我が国のように何か知らないけれども土地がどんどん値上がりしてしまって、環境は破壊されてめちゃくちゃになってしまう、夢がないという中での国を守ろうという意識とはやっぱり違ってくると思うんです。それはまさに政治の責任だろうと、特に国土庁がこれからいろいろな意味での国土開発という問題を考えられるに当たっての一番基本の部分だろうというふうに私は思うわけです。  ところが、我々大人社会もそうなんですけれども、じゃ日本の第二の国民になる今の子供たちが国の問題、国土の問題、どういうふうになっているかというのをちょっと調べてみようと思いまして見てみたんですけれども、どうもはっきりしないので、文部省は子供たちに国土の問題をどういうふうに扱って教えておられるのか、ちょっとその辺をお聞かせ願いたいと思います。
  94. 中島章夫

    説明員(中島章夫君) お答えをいたします。  学校教育におきまして、国土の開発や利用につきましては、小学校、中学校、高等学校の各学校段階を通じて指導をしているわけですが、特に社会科におきましてその指導をいたしております。  例えば小学校におきましては三学年、四学年あたりで自分の住んでおります市町村あるいは都道府県といったようなところへの目が開かれていきました上で、第五学年におきましては、国土の問題につきまして、国土の特色について理解を深めさせる、こういうことにいたしているところでございます。また中学校におきましては地理的分野というのがございまして、そこで日本の諸地域開発の様子などの学習を通しまして国民生活の安定と向上を図る立場から、国土の合理的な利用と保全が大切であるということを理解させるようにしているわけでございます。また高等学校におきましても地理というのがあるわけでございますが、特に中学校におきまして、目標の中では広い視野に立った我が国土に対する認識を養うということを非常に大きな目標に掲げているところでございます。
  95. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっと指導要領その他も見せていただいたんですが、何となく子供に日本の国の未来というものについての夢、そういうものがどうも材料が少ないような気がするわけです。これは我が国でもそういうことをやっている学校もありますが、要するに郷土の今から十年後、二十年後あるいは五十年後の姿とかいうようなことで取り組んだりもしていますし、外国でも、大体外国で社会科といいますとまずそういうことをやる、ところが我が国の学校教育の中ではどうもきちんとした、正確な事実をきちっと教えるというところにどうしても重点がいくものですから、なかなかそういう夢の話までいかない。  それからあわせて、どうも私は教育の最高責任者、これは文部省ですけれども、その文部省に対する政府機関、各機関の連係プレーと言ったらおかしいんですけれども、お互いに協力し合って、実はおれのところはこういう夢があるんだよというようなことを提供していただいているのかいないのか、この辺がどうもちょっと気になるんですが、国土庁長官、どうでしょう、日本の国の未来づくりというようなことで文部省に、おい、こういう案があるんだぞというふうな資料を提示していただいて、日本の国の未来ということについて国土庁として文部省といろいろ話し合いもしていただく、こういうことはいかがでございますか。
  96. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) このたび四全総ということで第四次の全国総合開発計画を策定いたしまして、これは国の方針として六月三十日に閣議決定もしていただいたわけであります。この方向に向けて二十一世紀に向かっての日本の国土づくりを進めてもらいたいということであります。  いろいろとこの問題については教育の場でも十分御理解を得て今後取り上げていただけるだろうと思います。特に国土の健全な発展というところに、健全な肉体に健全な精神が宿るということでありますから、未来を背負う青少年の皆様方も四全総の中身をよく酌み取っていただければ健全な日本の担い手ができるのではないかという期待をいたしておりますし、さらに教育関係においても、このようなことがさらに理解されるように努力はさせていただきたいと考えております。
  97. 山本正和

    ○山本正和君 それで、実はこれ、文部省の審議官がお見えでございますからぜひまたお取り寄せいただいて御検討願いたいと思うんですけれども、東京都の出しておりますこのパンフレットの中に、これは子供が見たら本当に夢を描くようなものがたくさんあるわけですね。そして、子供たちが一番関心を持つのはSF物ですね。空想科学と、こういうふうに言いますけれども、実は空想科学はどんどん実現しているわけです。我々が子供のときの例えば見えない飛行機だとか殺人光線とか、これは余りいいことじゃありませんけれども、そんなものが実際現実にもう出ているわけです。  ですから、やっぱり我が国の科学技術でもってこの美しい国土をどういうふうにすばらしくしていくんだというふうな夢を今後立てていくというようなことについては、ぜひともひとつ文部省も教材の中で扱っていただきたい。本当に自然を生かしながら、そして科学技術を十分に駆使して本当に世界に誇る日本の国土づくりをしているんですよ、こういうふうな、子供たちにこの国に生まれてよかったという気持ちにさせるような、そういう方向をぜひともこれは文部省にお願いしたいと思いますし、国土庁あたりはいろいろなそういう新しい知識をお持ちでございますから、ぜひとも文部省に対する協力をお願いしておきたいというふうに思います。  次いで建設省にお伺いしたいんでありますが、その前に天野大臣がお見えでございまして、実はこの前私三重県に帰りまして、婦人団体の会合でちょっといろいろな話し合いをしておりましたら、建設大臣の話が出てまいりました。テレビで大臣がいろいろ談話された、特に先ほど一井委員からありましたけれども、非常に歯切れのいいお話をされておられて、三重県ですからこれは票になるかどうかは別でありますけれども、天野建設大臣大変すばらしいですね、お名前のように光晴と、ああいうふうにやってもらったら政治が非常に明るくなって、光り輝いて晴れやかになるんだけれどもというふうなお話がございました。これは別に私はうそを言うんじゃないですよ、そのままお伝えしておるんですけれども。  大臣の言われた中で、政治の責任として土地問題がある、ところが土地問題を、何か知らぬけれども審議会の結論が出るをでは云々とか。確かに審議会は必要だと私も思うんです、いろいろな意見を聞くということは。しかし、やる責任は政治であるし、政府であるし、また政府が相談する場所は本来国会である。となると、緊急の問題があるにもかかわらず、審議会の結論が出ぬことには云々というのはおかしいじゃないか、こういうふうなお話がたしか大臣の御発言の趣旨だろうというふうに思ったんですけれども、私も大変それはもう同感いたしております。  決算委員会等で、国の政治についてのさまざまな問題を決算の場で最後にこうやって議論するわけですけれども、そういう意味からいっても、ひとつ大臣がテレビで言われたような形で、特に我が国の建設問題というのは大変なお金がかかりますし、政治的な大変な力が要ると思うんです。ひとつ大臣、いつまでも建設大臣のつもりで頑張っていただきますように、これは冒頭に要望いたしておきます。  それから、今の東京湾の問題に絡みまして建設省に少しお伺いしていきたいわけであります。  実は東京湾の海岸、これ臨海部の開発をしてまいりますと、確かにすばらしいものができるという計画ができつつある。しかし、それに対して一番大切なことは、その交通基盤がなければどうにもならない。これはもう建設省が当然背負わなければいけない大変な責任だろう。またしかし、実は東京に道路をつくるとかいうふうなことは大変な事業でございますから、その辺のことについて建設省としてはどうお考えなのか、まずちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
  98. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 東京の臨海地域は、先生御承知のように、現在では交通基盤施設が大変十分でないという状態でございます。都心へのアクセスあるいは東京湾岸地域全体の連携強化等を図るためには、交通基盤の施設の整備が必要。欠かせないことでございます。  現段階におきましては、環状二号線あるいは晴海通りの延伸、それから都市高速道路等の幹線道路の整備あるいは新交通システム、鉄道の整備等が必要であると考えられております。これらの交通施設の整備に当たりましては莫大な費用と長い年月を要します。それからまた、海上部の船舶の航行等がございますので、トンネルか橋かというような問題もございます。それから、景観に対する配慮等も必要でございます。このために建設省としましては、東京都と密接な連絡をとりながら、これらの施設の詳細な技術的検討及び整備手法につきまして調査検討を実施しているところでございます。
  99. 山本正和

    ○山本正和君 この前、東京都の副知事さんの説明をいろいろと聞いておりまして、大変道路問題、今の御説明がありましたけれども、緊急、必要不可欠な幹線道路、この問題の緊急性を盛んに言っておりましたけれども、そういう必要不可欠な幹線道路をまず当面もう少し具体的に、今の御説明でアウトラインはわかるんですけれどもね、具体的にどういうふうに取り上げようとされておられるのかですね。できましたら、大体副都心にいつごろになったら道路が通じていけるのか、その辺をもう少し御計画をお聞かせいただきたい。
  100. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 現在の状況、取り組み方でございますけれども、具体的には先ほど国土庁の方からもお話がありましたけれども、首都高速道路十二号線は、芝浦から有明に至るやつでございますけれども、六十一年度既に着工してございます。それから、臨海部の新交通システム、新橋から十三号埋立地に至る新交通システムでございますけれども、今年度事業化の予定でございまして現在設計をやっている段階でございます。それから、そのほか環状二号線の延伸とかその他の一般道路、それから十二号以外の都市高速道路につきましては、現在詳細な検討を行っているところでございますけれども、今後関係者との調整を図りましてできるだけ早目に都市計画決定にかかるよう諸手続を進めているところでございます。  いつごろと申しましても、現在着工に入りました首都高速道路十二号と東京湾岸道路専用部につきましては、六十八年ごろを一応めどにしております。それから、その他環二とか晴海通りの延伸あるいは都市高速道路等につきましては、六十八年ごろまでに事業の着手を始めたいというふうな予定でございます。
  101. 山本正和

    ○山本正和君 この東京都からもらった図面があるんですが、現在通っているのはこれなんですけれどもね。(資料を示す)一番上の、海の上をこう通すやつですね、それはいつごろできますか。芝浦のところから海の上を通すやつですね。
  102. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 十二号線でございますけれども、これは六十八年ごろをめどに完成させたいと考えております。
  103. 山本正和

    ○山本正和君 それじゃ、計画の策定とそれから実施ということで、いろいろな大変な御苦労が今からあるんだろうと思うんですが、ただその一方、こうやって東京をより近代化し、あるいは都心の混雑をある程度緩和する、そういうふうないろいろなメリットがあるわけですけれども、と同時に、この臨海部の開発によってその土地の所有者あるいは土地の使用者が仮にそこにいろいろ投資をして、企業ですから当然利潤を追求すると思うですけれども。ところがこの場合、この種の問題をやったら必ずかなり莫大な利潤を生む人と、そうでなしに、どっちかといったら公共のために奉仕するような格好でやる人と、こういうふうなものまでいろいろ出てまいりますですね。そういうふうな、今後のそういう多大な開発利益が生じた場合のそういう開発利益の還元等の問題についてはどういうふうにお考えでございますか。
  104. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 先生指摘のように、このプロジェクト、開発利益の還元というのは、大変重要な問題になるかと思うわけでございます。この問題につきましては現在いろいろ各省とも相談しながら、国土庁を中心に検討しているところでございますけれども開発利益の還元を図る上で、基本的な考え方としましては、第一には、それぞれの地区で土地または施設の拠出による負担が最も有効であるというふうに一つ考えております。  それからもう一つは、開発者と公共側の負担区分というのは、施設の性格と開発利益の程度を勘案して決めなければいけないんじゃないか。  それから三つ目は、各地区ごとの負担は、例えば全体を大きな区画整理をやったような感じで見まして、区画整理方式で土地の価値の増進分に応じて負担を配分したらどうかというふうなことが考えられます。  それから四つ目は、その負担の配分に当たりましては、商業・業務、住宅などの土地利用を勘案して調整しなきゃいけないというふうな方針で、具体的には、さらにこれをどういうふうにもっと詰めて、具体的な開発方法、工法を考えてまいりたいという方向で検討しているところでございます。
  105. 山本正和

    ○山本正和君 この視察のときに、一体これはどのくらいの工事費が坪当たりかかりますかということをお聞きしたら、原価として計算すると三十万ぐらいでできると、坪当たりですね。東京の都心から見ると夢みたいな話なんですね。そういうものができ上がります。もちろん個人の所有の分も今もう既にあるわけですね。ですから考えてみて、東京湾の中にこういう新しい国土ができるわけですから、今度こそ理想的な土地制度のあり方を、この今の関係省庁会議の中では議論をすべきじゃないかというように思うんです。  というのは、例えば土地の利用権は認めるけれども私有権は認めないとか、土地の売買による利益は一切これはもう認めないとか。これは、もちろん今の我が国の憲法の制度の中ですから、そんなことは無理やりにはできぬと思うんですね。しかし、いろいろな方法があるんじゃないか、法律上は。ですから、新しい国土ができるんだと。その新しい国土についてはもうせめて、今までのように土地さえ持っておればどんどん金もうけするんだというふうな発想は、新しいところには今後はしないというぐらいの問題をここはやっぱり考えてもらわなければいけない、それが今日の土地問題の解決の一つの材料にもなるんじゃないかという気が私はするわけです。  そうかと思いますと、実際は土地を何ぼ持っておっても、一銭にもならない土地を持っておる人たちも田舎にはたくさんおるわけです。ところが、東京都のように一坪で一億円というふうな莫大な価格のものもある。ですから一遍、モデルケースとしてこの臨海部の新しい国土、これについては建設省も大変なエネルギーとお金を使って取り組まれる、東京都も大変なエネルギーを使う、あるいは国土庁を初め関係省庁も大変な協力の中でこれはでき上がるわけですから、何か新しい国土のあり方というものを検討していただいたらどうだろうと。これは私の意見として申し上げておきますから、ひとつ関係省庁の中での議論でもし取り上げていただけたら大変ありがたいと、こう思っております。  それから、この東京の臨海部開発についてのかなり誤解がございます。この誤解というのは、四全総で言っている事柄が東京中心主義にどうしてもとられた。ところが実際は、この臨海部の開発というのは、私なりにいろいろと勉強させてもらいますと、我が国の科学技術あるいは建築工学、都市工学、そういうあらゆるものを駆使した一つの壮大な実験じゃないかという気がするわけです。ですから、そういう意味での役割として、この臨海部開発についての国民への理解というものをしていかなければ、田舎は置き去りにされたんではないか、私どもの県はこれは新幹線も通りませんから余計そんな気がするわけですね。ですから、やっぱりこれは我が国の科学技術、我が国の国土のあり方というものを含めて、壮大な実験ですよというぐらいのことで考えてもらう必要があるんじゃないか。また、実はそうなりますと、世界のすべての国に対して、我が日本は何もエコノミックアニマルじゃありませんよ、金もうけばかりするのじゃありませんよと、こういうふうに自然をちゃんと改造していって、未来の人類の生活の形態についても考えていますよということを見せていくんですよというふうな、大変な仕事だろうというふうに私は思うんです。  まあこればかりじゃなしに、今からいろいろな計画があるようでございますから、例えば日本海では海洋都市構想ですか、もうこれは坪百二十万ぐらいかかるらしいんですけれども、四層建てで、どんな荒波が来ても大丈夫なような浮き船といいましょうか、そんなものも考えられている。あるいは下関の沿岸にもそういうふうなものが考えられている。いろいろなことが出ているわけです。そうすると、そういう我が国の国土という問題についての理解を得るということが何よりも大切じゃないか。  また、実はこの前の決算委員会でも申し上げたんですけれでも、我が国の社会資本のあり方が七十五年には欧米というか、ヨーロッパの先進国には追いつきますよと、こういうふうなことを建設省としては計画を出しておみえになる。そういうふうなことを含めて、私はやっぱり夢を持って、もっと国民の中に国土の問題としての夢を持った議論がされるべきだろうというふうに思うんですが、ひとつ二十一世紀を展望して我が国の国土づくり、そういうものを特に、先ほど子供たちの問題を申し上げましたけれども、これはひとつ天野建設大臣、御所見をお伺いしておきたいと思うんです。
  106. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) いや、いろいろ御構想を拝聴しておりましたが、私は、将来の理想像ということよりも、当面の東京の対策というものが非常に急がれているんではないか、そういう考え方で私は東京湾沿岸開発というのを提唱した責任者でもありますが、今先生がおっしゃったように、あれを完全に使うためには、完全に交通問題を解決しない限りこれはだめなのでありまして、今政府考えている十二号線とかいろいろあるようでありますが、そんな程度のものではとてもあそこで満足な生活はできるはずがありません。非常に大規模なものになってまいりますから、現在のままよりもふやさないというんなら、あるいはその程度のちょっと手をかければできるかもしれませんが、もう最近は鉄道とか電車という時代ではなくて、やっぱり自動車なんです。そうですから、自動車で東京都心から臨海部の開発地帯まで少なくとも十分以内で行けるような状態にならないと、これは完全開発、私は難しいと思っておるのであります。  そういう観点から当面の問題としては容易でないと考えておったんでありますが、先生のように将来夢のような開発を、ということになりますと、そうちょっと簡単にはお話をするわけにはいかないと思うんでありまして、今緊急事態に対処するにしてもなかなか容易じあありません。特に今の官僚機構の中ではとてもじゃないがこれこそ夢物語で、随分楽しい話になっているような状態ではないかという感じをいたしております。そうですから、これはもうちょっとしっかりした考え方で、別途の方策でやらなきゃこの問題の完遂は難しいんじゃないかと私はそう思っております。  私も一番最初、もう何年か前なんですから、これを提唱したのは。それがきっかけになって各省庁とも動いているようでありますが、まだとても夢のまたそのまた夢ぐらいの話でありまして、実質的に執行するという段階までにはとてもちょっと時間がかかるんではないかと思っておりますし、今国土庁並びに建設省で話し合いをしているのは、現在の時点でどうするかということ、それだってとても満足のできるような措置ではないと私は思っておりますから、これこそ国を挙げて画期的な考え方でやらなきゃ解決のできない問題だと思いますし、私自体東京を余りやること賛成ではありません。そうですから、何か特定な問題でもないと、この問題とてもちょっと本気になってやる気には今なっていないというところであります。  以上であります。
  107. 山本正和

    ○山本正和君 私も正直言って、東京ばかりよくなるのは余り賛成じゃございませんので、ぜひ地方がもっとよりよくなるようにと思っております。  そこで、実は東京の臨海部の問題ばかりで議論するような格好でおったんでございますけれども、ちょっと関連してまいりますし、先ほどの一井委員の御質問とも関連してまいりますので、少し土地問題、あるいは住宅問題等、ちょっと御質問をしておきたいと思います。  住宅地がどんどん値上がりする、なかなか庶民の手に入らなくなってくる、こういうことの原因の一番けしからぬのは投機だろうと思うんですけれども、と同時に政治等の立場からいって、そんなことをしてももうかりませんよと、こうやって宅地はどんどん提供しますよというふうなことをやっぱりやっていただく必要があるんだろう。正直言って、もうかるから連中やるわけですから、もうからなかったらやらぬわけですから。  それからもっと言いますと、私ある経済評論家の方と雑談しておるときに聞いたんですが、もしも今の日本の土地の値段を半分に下げたら、金融界は大騒動でどうにもならなくなってくる、倒産銀行が次から次へと出てくるんじゃないかというぐらいの問題だと、今や経済の根幹にかかわっている。ですから、そうなりますと、庶民の今の宅地が欲しいという要求に対しては、宅地供給策というものがやっぱり立てられていかなきゃいけない。その辺について今までも御説明ありましたけれども、一遍整理した形で我々が有権者の皆さんに説明するのに、政府としてはこう考えていますよということを端的に言えるような形で簡単にひとつお答えいただけませんか、宅地の供給政策について。
  108. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 私どもも、ただいま大臣が申し上げたような今回の地価高騰とは必ずしも直接の関係はないかもしれませんが、第五期の住宅五計に見合って宅地を計画的に供給する必要があると考えております。五カ年マクロで言いますと、ちょっと数字で恐縮ですが、五万九千二百ヘクタールが新規に宅地供給が必要だろうという推計になっております。そのために、先生の御指摘は何をやっておるのかということですが、まず一つは住宅・都市整備公団を初めとする公的機関による直接の宅地供給がございます。それからもう一つは、住宅金融公庫等を初めとして、政策的に金融をして民間デベロッパーの宅地造成を促す、これが二番目でございます。  それから、先ほどからもお話ございますが、いわゆる宅地だけあっても何にもなりませんので、いわゆる都市基盤の整備をしなければ環境の良好な宅地は供給できないわけでございますから、それはそれぞれの予算でも御努力いただいていますが、特に数年前から住宅宅地関連公共事業という。特別のものをつくって、これはここ数年国費で千五十億でございます。事業費で二千二、三百億のオーダーになりますが、それは住宅宅地関連に限ってさらに重点的に投資する。こういう三本柱の施策を展開しておりますが、これらを今後とも強力に展開することはもちろんでございますが、現下の情勢から見ますと、さらに二つのことを追加したいと考えております。  その一つは、いわゆる開発の適地を拡大する、なかなか開発しようにも土地がないよというお話もいろいろございますので、開発適地を拡大するということでございます。その関連で申し上げますと、例えば都市計画法のいわゆる線引きでございますが、線引きの見直しをするなりあるいは調整区域でもいいプロジェクトであれば開発許可を出すというシステムになっておりますが、その開発許可について、例えば現行政令で二十ヘクタール以上となっておりますものを改めまして、県の規則で決めれば五ヘクタール以上であればいいというふうなことにしております。この運用状況を見ますと、その規則の制定は分母が五十七でございますが、現在までに五十の県、政令市で既に五ヘクタール規則を制定済みでございます。残りの七つのうち、一番問題は東京、神奈川でございますが、これも多分今の状況からいきますと、今年度中には五ヘクタール規則を制定していただける、そういう見込みでございます。  それから、二つと言いましたが、残りの一つは、いわゆる開発コスト、やっぱりコストを下げなければなかなか売れないわけでございますから、コストの軽減という意味では、例えば宅地開発指導要綱がもし行き過ぎているのであれば、まあ行き過ぎはかなり自治省との共同調査でわかっておりますから、それを是正していただく、あるいは許可をするにも手続になかなか時間がかかるという御指摘もございますが、この辺は可能な限り迅速化を進めるというふうなことによってコストを軽減する。大体、そういうことによりまして宅地供給をしてまいりたいと考えております。
  109. 山本正和

    ○山本正和君 それでは、もう時間が参りましたので、最後に要望だけ申し上げておきたいのですが、東京湾の海岸開発といいましょうか、新しい国土の建設というのは、先ほど天野大臣おっしゃっておみえでございましたが、大変な当初は夢物語であったと、しかし今やそれが現実に東京の土地問題とあわせて緊急かつ非常に重要な目前の解決しなければならない課題になってきている。ところが、障害は道路問題、いわゆる基盤整備の問題がたくさん出てくる。しかし、これはやらなきゃいけないんだろうと私は思うんですね。  そうすると、中曽根内閣の任期はあともう少してございますけれども、一%枠を突破するような大変な決意でもって閣議決定をおやりになった、それぐらいの重みでもって土地問題、住宅問題、さらには新しい国土づくりというようなことについて、やっぱり最後の閣議ぐらいでどんと決定してやり抜くぞと、これぐらいのことをしてもらわぬことには、これは各省庁間のいろいろなそれぞれの権限といいましょうか、所管事務のそれぞれの分担の違いといいましょうか、ことがあってなかなかできないんじゃないだろうか。  ですから、この東京湾の開発問題は、閣議でもって、これは閣議決定でなくてもいいですから、何か申し合わせても何でもいいですから、これだけやりましょうというぐらいの重さを持ってやっていただく。それからあわせて、冒頭に一井委員の方から申し上げました土地の値上がり防止あるいは土地の投機抑制ということについても、政府の毅然とした方針が示されるということがなければ、庶民は安心して暮らしができないことになるんじゃないか、こういうふうなことも思うわけです。  ですから、中曽根内閣のきょうは重要閣僚、実力閣僚二人お見えでございますから、ひとつこれは私、要望にとどめますが、何とか緊急のこういう庶民が要求している問題に対して、政府の最高責任者として格段のひとつ御配慮、御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  111. 穐山篤

    委員長穐山篤君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十年度決算外二件を議題とし、建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  112. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 両大臣にお伺いいたしますが、けさの閣議決定を見られた緊急土地対策で今度の狂乱土地がおさまりますか、もしくは下がるとお考えでしょうか。
  113. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) このたびの地価の問題は、御存じのように全国的な問題というよりも東京都を中心にした一部の地区の問題でありまして、これの鎮静化のために今までいろいろと努力をしてまいったところでございまして、たびたび申し上げますように監視区域というようなものを設けまして、そのエリアの中を何とか鎮静化させようとやっておるわけであります。  今回決定されました要綱は、当面の問題としていろいろの問題を示唆いたしておりますが、既に国土庁といたしましてはそれらの中身につきまして前向きに対策を講じております。特に今金余り現象を背景にいたします短期の譲渡による転がしというものが大きな土地高騰原因になっておるというふうに見ておりましてい私どもも国会に対しましてそれらに対して重課税を課する税制をお願いしておりましたところ、ようやく先般の国会でこれが成立いたし、十月一日から施行されております。  こういう諸般の情勢から、地価というものはある程度頭打ち現象を起こしておるのではないかということで、ただいま実態調査について早急にこれを調査するように示達をいたしておるところでございます。
  114. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 私はそう簡単に下がらないと思います。やり方をこれから検討したいと思っておりますが、私は正直言って経済的な方は余り勉強している方じゃありませんからよくわからないんですが、先生はよく御理解願っておると思うんですが、この土地狂騰になってからの金融機関の貸し出しは一体どれぐらい貸しておるんだろうか、パーセントで。私の田舎では最近七〇%ぐらい貸すようになったようでありますが、一〇〇%あるいは一〇〇%以上貸しているという話も聞いております。もし、かりそめにもそうだとすれば、例えば土地を下げるということで七〇%に下がれば三〇%の赤が出てきます。そういう関係で非常にデリケートな問題をはらんでいると思いますし、特に金融機関がのっぴきならなくなると思えば金融は緩めないでしょうから、貸したものについては。そうすればそう簡単には下がらないと思いますが、これはある程度下げなきゃだめだと思っております。まだけさの閣議の直後ですから所感だけ述べておきます。
  115. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 日本は昭和十四年九月十八日に、シナ事変に入って物価が狂騰する、そのときに有名な九・一八令というものを出しました。その正式の名前は昭和十四年九月十八日現在の水準にとどめるというんで九・一八停止令と言っています。しかし効果はわずか三カ月しかなくて、その後物価が狂騰状態になったことは両大臣御存じだろうと思う。このきょうの閣議決定を見てすぐ早く監視区域及び規制区域をやりませんと私はだめだと思うんですね。そういう意味において天野大臣の意見に全く同感であって、どうも役所に任じておいたんじゃいけませんから、両大臣とも一生懸命にその点を督励して早くやっていかなきゃいけない。ところが、両大臣の御意見をけさから聞いておりますると、もう中曽根内閣の寿命もあとわずかだからと言う。それでやめられたんじゃしようがないんであって、やっぱりだれが一番被害者かということを考えなきゃいけない。今度の土地狂乱で一番もうけたのは金融機関ですよ、これは。大体、去年一年間に土地融資が三十五兆円と言われる。それだけの金が出なきゃこれだけの狂乱状態になりません。しかも今土地を担保にしてやっているんだから、貸し倒れの心配は全くない。こんなことをうっちゃっておいていいんだろうかということを私はしみじみ感ずるんです。そして、最大の被害者はサラリーマンです。  実は、今度の審査に当たっていただきました資料を全部読みました。その中に国土庁が発行なされたパンフレットの中に、これです、「国土の利用に関する年次報告」、この中にアメリカのサラリーマンは年収の三年分でうちが持てる、ところが日本の東京や大阪では六年分だと、宮城県では三年分だと書いてある。こういう認識、まだ私非常に甘いと思うんです。これをお書きになったのがもう大分前、半年ぐらい前だろうと思いますけれども、今六年分で東京でうちが持てますか、一体。全然私はだめだと思う。こういう認識で、六年分のサラリーでサラリーマンがうちを持てるという考え方だからのんびりとやるんです。そうじゃなしに、サラリーマンはうちが持てませんよ、それは。やはり、政治というものは最大多数の最大幸福を図るのがねらいなんで、今の日本の最大多数というのはサラリーマンなんですから、サラリーマンが少なくとも年収の六年分でこの白書に書いてあるとおり持てるようにすることが私は当面の目標でなければならぬと思いますが、国土庁長官いかがでしょうか。
  116. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) おっしゃるとおりだと思います。
  117. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それがためにはよっぽどしっかり両大臣にお願いしなきゃいけませんのは、法律がないんじゃないんですね。いろんな法律があって、日本には法律が二万もあるんだ。それが活用されてないということですよ。しかも、じゃなぜ活用されないかというと、緊張感が足りないと思うんです、私は、今日の役所は。  その一つの例として申し上げたいと思うのは、私は去年の八月二十二日にこの委員会で聞いたんです。環状八号線で羽田空港へ行こうと思うと。ところが、残念ながら昭和四十二年に着工してから二十年たってなおかつまだ開通しない。そこで去年も申し上げたんです、一体いつ開通するんですかと。最大の努力をしていますと言う。ところが私きのうまた見てきたんだが、全然まだ開通していないんだ。そういうようなただ委員会さえうまく通せばいいというような態度ではだめなんであって、本当に納税者の立場になって行政をやってもらうことを要望したいと思います。この環状八号線の問題について去年からどのぐらい進捗しているかを御説明いただきたいと思います。
  118. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、環状八号線は一生懸命工事をやっておりますけれども、供用に至ったものは去年一年ではございません、残念ながら。それで工事の状況でございますけれども一つは羽田沖の展開で工事費二十一億程度の工事をやっております。それから大鳥居というところでこれも、これは京浜急行の羽田線との地下化を伴う工事でございますけれども、十七億ほどの工事をやってございます。それからあとちょっと北の方に上がりますけれども、練馬区の春日町−北町の間で用地買収が十一億七千万、工事が一億ほどの工事をやってございます。それから板橋の相生町−坂下の間で、これも用地費が十一億二千万、工事費が九千万程度でございます。
  119. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 私の質問はその金を聞いているんではないんですよ。進捗状況はどうかと聞いているんです。
  120. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 先ほど申しました羽田沖につきましては、六十一年度最初の着工でございまして、これは工事予定で申しますと六十六年度ぐらいに完成する予定でございます。それから二番目の大鳥居のところは、六十年以前から着工していますけれども、これも立体交差を伴いますので六十八年の完了予定でございます。それから、北の方はまだ始まったばかりでございまして、それぞれ六十七年完成予定というふうな予定でございます。
  121. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 では、今の状態で御当局は計画どおり予定どおりいっているという御意見なんですか。
  122. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 当初予定どおりよりは、先生指摘のように、光明寺のところあるいは大鳥居、その他の点でぼつぼつと事業がおくれておりますので、鋭意努力しようと思っておりますけれども予定どおりとは申せないと思います。
  123. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 じゃ、どのぐらいおくれていますか。私は田園調布に住んでいるものだから、毎日工事の現場を通っているんですよ。したがって、あなたより私は現場は詳しいだろうと思うんだ。  そこで、私はもしも来年もまた命があればこの決算委員会でこの問題を取り上げますけれども、もう少し情熱を持って問題を処理しないとはかどりませんよ。相手がお寺だとか坊主だからというだけでは我々は納得できないんですよ。土地の買収値段が既にもう六倍も七倍にもなっちゃっている。今、あの近所で買えば坪一千万ですよ。そういう点になると、ごね得を認めているんじゃないだろうかという気がしてならない。お寺の住職を私は決して悪く言うんじゃありませんけれども、役所自身が六十六年にできればいいんだとか六十八年にできればいいんだと。今の調子でいけば七十年になったってできやしませんよ、それは。かけてもいいと思う。どうか、そういう意味においてもう少し責任を持った仕事をしていただきたいということを環状八号線問題については要望しておきたいと思うんです。  それから、両大臣にまたお伺いいたしますが、けさの閣議決定の中で非常に私わからない点が二つあるから教えていただきたいと思います。  第一は情報の登録義務ということを言っていますが、これはどういうことをおやりになるのか。もう一つ規制区域土地買い上げと言うが、どういう機関がどの程度の値段でどうやって買い上げるかということをお示しいただきたいと思います。
  124. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 前半の情報というのは、先生の御指摘は不動産の売買に当たっての情報の提供という御趣旨だと思いますが、それにつきましては、現在でも私どもは、不動産業界で秩序ある取引を行うためにはなるべく多くの正しい情報が、業界の流通機構整備を進めていますが、そこに登録されることが望ましいと思って行政事務的には進めておるわけでございます。  ただ今回の御指摘は、媒介契約の一種としての専属媒介契約、ちょっと専門的で恐縮ですが、専属媒介契約の導入とあわせて、それを実りあるものにするためには、不動産業者が得た情報一つの流通機構なら流通機構にすべて届けて、業者間で正しい情報が的確に、迅速にキャッチできるようにする、そういうことの検討をしなさいという指示があったというふうに受けとめております。
  125. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 規制区域の件につきましてお答え申し上げます。  規制区域が指定されますと、すべての土地取引が許可を受けなければならないということになりまして、しかもその許可の基準でございますけれども利用目的に関する基準とそれから価格審査に関する基準がございます。それで価格審査基準につきましては、規制区域指定時点での公示価格ないし地価調査価格基準にいたしまして、その後の時間の経過は物価修正率で修正をして、その価格基準にして審査をすると。その価格よりも高い場合には許可をしない、こういうことになっているわけでございます。  それで、その土地取引が不許可になったときは、土地所有者は、都道府県知事に対しましてその土地買い取りを請求することができるわけでございます。その場合、都道府県知事は当該土地規制価格でもって買い取るものとされているわけでございます。この買い取った土地につきましては、できる限り公用公共用の用途、またはこれらの代替地としての用途に供したり、また適切な利用目的を有するものがほかにありました場合には、その者に処分するというようにして、その有効利用を図るということになっている次第でございます。
  126. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 そういうもう準備といいましょうか、通知は出してあるんですか、これからおつくりになるんですか、省庁間に対して。
  127. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) ただいま私が申し上げましたことは、法律なり政令なり、それから既に出してある通達の中に書いてございます。  これからもし規制区域を指定するということであれば、その買い取りのための財政措置等につきまして準備をする必要があるかと思っております。
  128. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 わかりました。どうぞ手抜かりのないようにやっていただくようにお願いをします。ややもすると、お役所は法律さえつくればうまくいくものと思っておられる傾向があると思うんですね。なかなか財界人というのはしたたかですから、ちょうどみつに集まるハチのようなもので、金をもうけるとなればどんなことしたって集まってくる。お役所の方は法律をつくることが仕事なもんだから、法律さえつくればそれでうまくいくと思っている。その間隙に乗じてこういう狂乱状態が起こるのでありますから、どうぞひとつ、くどいようですけれども、よろしく御配慮のほどをお願いしたいと思うんです。  それで、両大臣にちょっと自分の私見を申し上げますが、どうも土地問題というのは非常に難しいけれども、この解決に失敗すると革命が起こると思うんです。  日本の土地制度の歴史を調べてみると、かつては氏族が持っていた。その弊害、土地権柄が行われて非常に広大なる氏族の勢力が強くなって、生産性が上がらなくなる。そのときに行われたのが大化改新であった。従来の氏族の私有であったものを固有にしたわけであります。それが大化の革新であり、班田収授の制であります。ところが、これもまたやがて弊害を生じて、頼朝の鎌倉幕府ができますと、これを武家の手に全部取ったわけです。従来天皇の手にあったやつを武家の手に取って、これが徳川幕府のつぶれるまで続いたわけです。明治維新になって今度私有制度が認められたということです。  このような歴史を簡単に振り返ってみても、今私は日本の土地制度というのは非常に大きな転換期に立っているんじゃないだろうか。今の日本の土地を我々個人がもう持つことは不可能になったと思うんです。固定資産税、相続税は重い、いやでも応でもそれを納めなきゃ持てませんから、どんどん手放さなきゃならない。手放したものをだれが買うかというと、法人が買うんであります。だから、日本の土地というのは法人所有制になっちゃっているんじゃないだろうかと思う。これをお認めになるかどうか。もしも認めるとすれば、このままでうっちゃっておいていいのかどうか。両大臣からお伺いしたいと思います。
  129. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 最近都心部の土地取引につきましては法人が譲り受け人になるというケースが非常に増大している次第でございますけれども、これは旺盛なオフィスビル需要等を背景にしたものであるというふうに考えられます。一方、例えば江東区とか江戸川区とかそういうところでは逆に、法人が所有しております工場用地とかそれから資材置き場とかそういうものが、住宅地にかわりまして個人所有にかわっているというケースもございまして、東京都の全体の土地所有のウエートで見ましても、必ずしも法人の所有が年々ふえているというような情勢ではないというふうに認識いたしております。ただ、いわゆる都心部の土地につきましては法人所有がふえているというような状況でございます。  それから、個人が相続税等の関係で土地を手放さなきゃいけない、こういう問題でございますけれども、これにつきましては、地価高騰に伴う相続税負担の急増につきまして、国民生活の安定確保の見地から、政府といたしましても本日閣議決定いたしました緊急土地対策要綱の中で、相続税については最近における異常な地価高騰に伴う税負担の急増に対し、必要な措置を講ずることにつきまして税制調査会に諮る等所要措置を講ずるということを決定いたしてございます。
  130. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 斎藤先生のおっしゃるとおりだと思います。  要するに、国土庁調査しておる公示価格というものの算定基本は、前年度の地価を持ってくるのが一番有力な方法ですから、今のようにべらぼうに高くなれば当然固定資産税は上がらざるを得なくなるわけであります。そして、これと同時に、相続する場合も高くなりますから個人ではなかなか持てなくなるというのが常識だと思っております。しかし、これが法人に全部移行するかどうかという問題についてはもうちょっと問題があると思いますが、私は土地税制全般について、このような狂乱地価をこのままにしておくとすれば、考え直すというか見直しをする必要があると私は考えております。  しかし、とりあえずはやっぱり地価をどう抑えるかということとどう下げるかということに、全力集中をしなきゃいけないんじゃないかなという感じを持っております。
  131. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 局長ね、言挙げするようでおかしいんですが、あなたの統計はとり方がおかしいですよ。例えば僕が病気になった場合、足に少しぐらいけがしたって死にゃしません。心臓に針一刺し刺されたら死にますよ。東京の都心部、経済の中心部を問題にすべきであって、北海道の山の中や日向の山の中の土地が幾らあったってそんなものは何の価値もないんですよ。だから、統計のとり方をもう少し経済的に見ないと私はあなたの議論には説得されないですね。もう少し考えたらどうですか、その点は。  一連の土地対策を背景にしますと、さきの国会で超短期の土地転がし、二年以内に売ると個人で九六%、法人で九八%取っちゃうということで、これで土地転がしは抑えられるだろうと当時国会で説明なさった。ところが、ここに非常に大きな問題は、銀行に信用のある方だったら銀行から幾らでも金を借りられるんですね、今金が余っていますから。したがって二年間じっと持っていますよ。金をなぜ借りるかというと、借金の利息は経費として落とせるからですよ。だから、少なくとも土地転がしを禁じよう、封じようと思ったらば、土地に対して融資した金の利息は経費として認めないということが真剣に取り上げられなかったら、私は税法はざる法になっちゃうんじゃないかと思いますよ。しかし、この点については、税の神様である前国税庁長官がいらっしゃいますから後でまたお教えを受けなきゃいけないと思いますけれども、その点を経費として認めてもらえば、銀行に信用のある方だったら借りておいて二年間じっと持っていますよ、それは。そしてそれから先、金利の分まで高くしてまた売るということをやられますからね、どうも今度の土地政策を見ると総合性がないんじゃないか。結局、縦割り行政の欠陥がここにも出ているんじゃないだろうかという気がしますが、両大臣、いかがでしょう、その点。
  132. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 土地税制につきましては、いろいろと各省庁、建設省国土庁もちろんございますが、いろいろと協議をして法案を提出させていただいたわけでございます。この二年という期限とかあるいは税率とかいろいろなことを検討しながら、ただいま成立いたしました税制で土地対策にある程度有効な手だてになるだろうという確信を持って今これを施行させていただいておるところでございます。
  133. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 長短の区分というの、これ私の多年の持論だったんです、これは先生も御存じだと思いますが。ようやく今度の国会で実現をしたわけですが、これは逃げる気なら、二年持つ持たないの問題でなしに、登記をしなけりゃわからないんですから、登記をしないで、あんた、一、二、三、四と渡って歩いていりゃ全然表に出てこない、税金なんか取りようありませんよ。そうですから、もうちょっとこの問題は、具体的に執行完全に可能である、そして国民も少なくとも八〇%ぐらいまでは協力できるような格好にするなり、今の段階では、表に出てきたのは処分しますけれども表に出てこないものはそのままですから、全然そんな問題なしに、登記なしに歩いているのが現状じゃないでしょうか。それは地上げ屋の本職はそうじゃないかと私は思うんです。そういう点でこれはこれからでありますが、この問題についてもうちょっと真剣に取り組んで検討する必要があると私はそう思っております。
  134. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ありがとうございました。  次に、物の値段は需要、供給の関係によって決まるんで、土地の絶対量が足りないという考え方だったら買っておきゃ得だということになるでしょうね。しかし、今問題になっている東京を中心にして見ると、これは私は事務所が足りないというのはうそだと思うんです。統計があります。二十一世紀の初めまでに事務所がどのくらい要るかという調査がちゃんとできている。それによると余るんですね。だから、事務所が足りないぞ足りないぞと言ってさらにラッパを吹いたのは不動産屋が吹いたんです。それに踊って銀行が金を貸して、そしてしこたまもうけたのは銀行と大手建設会社がもうけたのである。そしてえらいとばっちりを受けちゃったのがサラリーマンと中小企業だったと思うんです。中小企業は土地が高くなって地上げ屋が来て嫌がらせをやられたりなんかして、店をやめた人も随分おりますね。こういうことを考えてみると、一体中小企業、これはどうなるのか、これをどう処置しようとしているのか、中小企業庁の担当官から御説明をいただきたいと思います。
  135. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) まず、地価高騰によりまして土地を売却し経営をやめるというような商店あるいは中小企業のケースというのは、現実の問題としては相当出てきているということは事実かと思います。その場合、経営をさらに続けていくか、あるいは経営をやめるかということの判断自身は、その経営の現状なり将来の見通し、さらには後継者の問題というようなことを総合的に判断した上で各事業者が判断するということだと思いますので、それ自身につきましての政策的な対応の余地というのは若干少ないんじゃないかと思いますが、先ほど国土庁の方からも御説明ありましたように、まず相続税の問題といいますか、税制の観点から思わざる土地価格の上昇ということによりまして、事業の承継ということが困難になるということの危惧は非常にあるわけでございます。そのような立場から、現在におきましても承継税制という形で、小規模の事業用の土地につきましては、それを承継する場合に一定の軽減措置が講じられているわけでございますが、これが最近の地価高騰ということを踏まえまして、さらに所要の軽減措置を講すべきではないかということで税制上の要求をしておるところでございます。また、そのようなことを踏まえまして、きょうの閣議決定におきましても、相続税につきましての所要措置ということが税制調査会検討されるというような規定が入っているわけでございます。
  136. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ちょっとそのままいてください。大蔵省にどういう要求をしているか、その内容を教えてください。今までの承継税制は二階から目薬で、こんな狂乱状態のときにあの程度のことでは中小企業は成り立ちません、それは。
  137. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) 御説明申し上げます。  小規模事業用宅地、これは二百平米でございますが、その場合におきまして評価減額率が現在四〇%ございますが、それを六〇%とするような要望を出しているわけでございます。
  138. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それは事業用ですね。居住用の方はどうですか。
  139. 市川祐三

    説明員(市川祐三君) これは小規模事業用の土地でございます。これは事業用として使っている土地につきまして二百平米を限度といたしまして今申し上げましたような評価減額率の適用ということを要望しているわけでございます。
  140. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 わかりました。  次、国土庁の方にお願いいたしますが、一体、東京におけるオフィスビルの需給状況について数字で説明をしていただきたいと思います。
  141. 北村廣太郎

    説明員北村廣太郎君) 先の国会において私どもで御説明申し上げた都心五区でございますが、五区の事務所需要は一千百ヘクタールと見込んでおるということが今まで私どもで外へ出して御説明している数字でございます。そのほか東京都二十三区という区域をとりますと、これはまだある程度作業の段階でございますけれども、二千ヘクタール前後ということが現在、昭和七十五年の需要予測として想定されております。
  142. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 そうすると、それを要約すれば逼迫してないんだと、こういうことですね。
  143. 北村廣太郎

    説明員北村廣太郎君) 多少時点の差で事務所需要がある程度逼迫したり、あるいは供給が間に合ったりするという点はございましょうが、長期見通しとしては、私どもとしては十分事務所需要に供給が対応可能である、このように考えております。
  144. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 それならば、去年からことしにかけてあの狂乱状態になったときに、何回でも言わなきゃ大衆はわからないんですから、そういう需給の数字をもっと何回でも発表すべきだと思うんです。そうすれば、地上げ屋が言う足りないんだから足りないんだからと言ってあおって、一年間に二倍にも三倍にもなるというのはある程度防げたと思うんです。ところが前の国会で説明したから知っているはずだというんでは、それが専門の人じゃないんですから、だからもっとそういう点ははっきりと数字を基礎にして説明する責任が私は国土庁にあると思いますが、その点どうお考えになりますか、大臣、まずお伺いいたします。
  145. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) ビルの需要供給につきましてはいろいろの予測がございますけれども、本当の的確な需要予測、供給予測というものをさらに精査するように今国土庁の中でも作業を進めておりますが、ただいま大都市局長からお話しいたしましたように、需要供給の面についてある程度のバランスがとれておるというような予測をただいまいたしておるところであります。
  146. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 長官、私がお伺いしたのは、そういう数字ができておっても、それをもっと活用しないと政治じゃないんじゃないかと言ったんですよ。地上げ屋や不動産屋は、足りないんだ、だから買っておけとこうやる。銀行もそれにうまいぐあいに乗せられちゃったというか、乗っちゃったんですね。したがって、私が言いたいのは、数字があることはもうわかっておる、国会で私も聞いているから。そういうことをもっと広くPRして、地価抑制に国土庁としてやるべきことがあったんじゃないかと聞いているんです。
  147. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 確かにおっしゃるようにこの仮需要というようなことによって地上げ行為が行われるということはまことに遺憾なことでありまして、そのようなことがないように努力をすべきだというふうに考えています。
  148. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 一応きょうの閣議決定の問題についてはこのくらいにしておきまして、次の問題に移ろうと思います。  非常に私が心配なのは、インフレだと思いますね。建設資材の値上がり。午前中の質疑応答を聞いておりますと、もう安定したんだというような意見もありますが、この間、私竹中工務店に行きまして調べたところが、やはりもう三割ぐらい上がっておって、一月の見積もりではもう仕事はできませんと言っています。したがって、どうもここで聞いている説明だと、インフレの心配は全くないような気になる。しかし、現実に町へ出て聞いてみると、どうもインフレの心配が非常に濃いと思うんです。この点、経済企画庁、どうお考えになっているか教えていただきたいと思います。
  149. 冨金原俊二

    説明員冨金原俊二君) 最近の物価動向につきまして全体としての判断は月々の月例経済報告で示しておるわけでございますけれども、私たちの認識といたしましては、卸売物価については強含みで推移をしているという考え方でございますが、一方消費者物価については安定的に推移しているというのが基本的な考え方でございます。  その中で卸売物価につきましては、特に国内物価の動向が関心が持たれるわけでございますが、その中で対前月の上昇の推移を見てまいりますと、確かにここのところ国内卸売物価の動向は、例えば九月ですと対前月で〇・四%上昇しているというようなことで、騰勢がかなり月々の中で強いことは事実でございます。この原因を見てまいりますと、いわゆる建設資材関連の資材の値上がりがかなり効いているというか、ほとんどそれが寄与しているという状態でございまして、そういった意味では建設資材の関連物価の上昇につきまして強い関心を持っておるわけでございます。  私どもといたしましては、去る九月の二十四日に物価担当官会議を開催いたしまして、関連する省庁にいろいろ意見を交換をいたし、それでまた当面の対応策についても議論をしたわけでございますけれども、基本的な考え方は、確かにこの七−九月はかなり建設資材の上昇が見られておりますけれども、幾つかの特殊要因もございます。例えば夏季の電力料金が割り高になるものでございますから、その間の鋼材の生産が少し落ちているというような状況とか幾つかの要因があるわけでございますけれども、十−十二月期につきましては、各関係省庁において供給の増加策についていろいろな手を打っていただいている。例えば、鋼材につきましては、特にH形鋼とかあるいは小棒といったものにつきましては、メーカーに対して通産省を通じて生産の増加要請をしていただいているということは御承知のとおりだと思いますし、それから木材の問題につきましても需要に見合った供給の増加がとれるかどうかについて検討いたしておりますけれども、少なくとも実需という問題については、それに見合った供給、輸入を含めまして、量的には、マクロとして見ればそれに見合ったものが入ってくるというふうに私ども考えているわけでございます。したがって、七−九のような騰勢が今後も続くとは私ども考えておりませんで、実際にしっかりした供給の増加策が今後実効をあらわしてくるということを期待をしておるわけでございますので、そういう意味ではこれまでのような騰勢が続くということではないという判断をしているわけです。  そういうことで、いわゆるこれが全般的な物価の上昇につながるというような情勢では現在はないというのが基本的な認識でございますが、他方で幾つか火種がないわけではございません。これは、いわゆる通貨供給量の増加がかなり数カ月にわたって一〇%を超えているという状態もございますし、それから景気が着実に回復をしている、このこと自体はいいわけでございますが、そのことがやはり需給関係においては価格にある程度プレッシャーをかけてくるということも事実でございます。こういったようなことで、私どもとしましては現段階では全般的な物価上昇につながる懸念は持っておりませんけれども、今後の動向については十分注意をしていく必要があるという考え方を持っておりまして、物価担当官会議の下部機構として建設関連の資材の連絡会というものをつくっておりまして、随時開催をしながら意見交換、情報交換をし、分析をした上で必要な手は打っていきたいというふうに考えております。
  150. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 日本銀行総裁は、大変突然のお願いにもかかわらず御出席いただいてありがとうございますが、このボトルネックインフレーションについて日本銀行はどう考えておられるか、承りたいと思います。
  151. 三重野康

    参考人(三重野康君) 卸売物価につきましては、先生それから今企画庁から御説明があったとおり、特に国内物価につきまして最近じり高傾向を続けております。今月まだ半分しか終わっておりませんけれども、私どもの見込みによりますと久方ぶりに前年比プラスに転ずるんじゃないかと。これは国内物価につきましては二年九カ月ぶりでございますし、総合指数で申しましても二年五カ月ぶりでございます。ことしの初めが国内物価がマイナス七%、総合がマイナス一〇%でございましたがら、かなりのテンポで物価は上昇しているということだと思います。  その内容は、これも先生並びに企画庁の御説明にもありましたように、木材あるいは鋼材という建設資材が主でございますが、ごく最近になりましては、たんす、タオル、ティッシュペーパーというようなものでやや値上がりの範囲が拡大しております。  しかしながら、私どもといたしましてはこれが直ちに狂乱物価的なインフレーションにつながるというふうには考えておりません。しかしながら、これから物価をめぐる環境ということを考えますと、引き続き非常な注意を要するんじゃないかと思います。環境と申しますのは、これも今企画庁から御説明がございましたが、第一はやはり景気でございます。景気はこの春から急速に回復、上昇過程をたどっておりまして、これから先さらに、先ほど政府が実施を発表されましたいわゆる緊急経済対策効果が出てまいりますので、景気は確実に上昇過程にあると思います。これはやはり需要を高めると同時に生産が上がってまいりますので、非常に操業度も逐次上がってまいります。そういう意味で供給の幅を少しずつ縮めていくというふうに思います。  それからもう一つは、これも企画庁が御指摘になりましたけれども、マネーサプライの動きでございます。M2プラスCDは昨年十−十二月は八・三%前年比、それが八月は一一%になりまして、九月はまだ数字が今固めておりますが、恐らく一一%をわずかながら上回ることになると思います。これは金融が十二分に緩んでいるということと同時に、いまだまだ仮需要がそう起きているわけじゃございませんが、将来仮需要が起きている場合にはそれをファイナンスすることができるという素地をつくっているわけでございます。そういう意味で、これからの物価動向についてはインフレになるかならないかという議論をするのも必要でございますが、それよりもインフレにしないようにするにはどうすればいいかというような目で引き続き注視してまいりたいと、こういうふうに私ども考えております。
  152. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 では、公定歩合の問題はどうお考えになりますか。
  153. 三重野康

    参考人(三重野康君) ただいま御説明申し上げましたような情勢においての金融政策でございますけれども先生は特に、とっくに御承知のとおり、金融政策というのは景気、物価、国際収支、マネーサプライ等の総合判断でございますけれども、今すぐにここで公定歩合を上げるという考えは私どもにはございません。しかしながら、先ほど申し述べたような事情でございますので、従来と同様引き続き為替レートの動きには十分注意をしてまいりますが、より物価に重点を配慮した慎重な金融政策を今後行いたい、かように考えております。
  154. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 ありがとうございました。  次に、公正取引委員会、これもまた急のお願いで恐縮でしたけれども、どうも建設資材の動きを見ておりますと、カルテルの疑いが濃いんじゃないだろうかと思います。  そこで、一体公取はこの建設資材の値上がりをどう見ておられるか、お答えいただきたいと思います。
  155. 菊池兵吾

    説明員(菊池兵吾君) 御説明いたします。  ただいま先生指摘の建設資材の価格上昇につきましては、公正取引委員会といたしましては、事業者の競争制限的行為によりまして不当に価格が引き上げられることのないよう監視及び情報の収集に努めているところでございます。  現在までのところ価格カルテルなどの独占禁止法違反行為が行われているとの具体的な端緒には接しておりませんが、事件の端緒となる事実に接しました場合には、所要調査を行いまして、違反事実が認むられました場合には厳正に対処していくというのが公正取引委員会方針でございます。
  156. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 非常に型にはまったような優等生的なお答えで、わかったようなわからないような気がしますが、どうもこの急激な騰貴を見てますと、カルテルでもやってなきゃあんなに上がるはずないと思うんですね。したがって、何か具体的な証拠があったら調べるというんじゃなしに、やはり公正取引委員会のお立場から見れば、もっともっと神経質になってふだんから調べておかれることがカルテルを防ぐ道じゃないだろうかと思いますよ。上がっちゃってから証拠を突きつけられてからやったって死んだ子の年を数えるようなものなんで、もう少しその点考慮していただかないといけないんじゃないだろうかと思いますね。  次に、税と土地の問題に移りたいと思います。  私、最近読んだ本の中に大澤正男博士の「土地所有権制限の理論と展開」という本があります。これは、欧米先進国が皆土地の値上がりの問題で非常に苦労している、どうやったら私的所有権のもとにあって土地を大衆に安く供給できるか、土地を持っている人だけが不当に利益を得るのをどうしたら防げるかということを研究したものです。これは大澤博士の博士論文です。私は非常な名著だと思います。ぜひひとつこれを関係の方々はごらんになっていただいて、真剣にもっと、土地所有者だけが金持ちになっちゃって、昔は土一升、金一升と言ったが、今は土地を持っている人が莫大な金持ちである、土地を持たない人は幾ら働いたって、一生働いたってうだつが上がらないというような状態では、社会的な公平の原則に反すると思うんです。もう少し土地所有権制限の問題を真剣に考えてみる必要があるんじゃないかと思うんですね。もちろん、憲法に所有権の尊重がうたわれているわけですから、わけもなしにそれを制限しようというんじゃないんで、憲法でもあらゆる法律は国民の生活の安定と進歩のためにあるんですから、それを阻害するようなことを平気でうっちゃっておくんでは政治ではないだろうということを感ずるんです。  そこで、例えば土地収用法という法律があっても一向にこれが活用されない、私的所有権を侵すからだ、こうおっしゃるんだが、果たしてそれでこの難しい時期を乗り切れるだろうか。  私は戦争中三年間シンガポールにおりました。陸軍報道班員であります。当時のシンガポールは汚い漁村だった。淡路島の大きさと同じです。そこに二百万人の人がいた。ところが、今行ってごらんになるともうよくおわかりのように、世界一立派な町です。空港も世界一立派なものです。それというのは、実に土地というものは公共の用に供するものだという観念が住民に広く行き渡っていることと、法律もそれを実行しているからだと思うんです。  具体的に言うと、例えば、この数値は仮ですけれども、飛行場をつくるときに百万で売ってくれと言う。ノーと言ったら帰ってきちゃう。二年目には九十万と言う。ノーと言ったら、また帰ってきて、三年目には八十万と言う。そこでまたノーと言ったら収用法を発動して収用する。ごね得がなくなったら、やっぱり最初言われた百万で売らなきゃ損だということがわかる。ところが今日本はどうだろうか。ごねていればだんだん高くなっていくんですから、これではごね得奨励みたいなものですよ。少なくとも公共の用に供する場合には、ある程度まで私権の制限はやむを得ないんじゃないだろうかと考えます。この点、両大臣の御所見を伺いたいと思います。
  157. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) それは、日本の憲法に照らしてみて、今できている法律との関連性を見て慎重に取り扱いすべきものだと思います。公共の用のために土地はあるという考え方には私は賛成です、個人的には。
  158. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 建設大臣と同じ考えであります。
  159. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 学者のグループであるアービット・グループが、この土地狂乱状態を抑えるために土地保有税とか固定資産税などのような土地税制を重くしたらいいだろう、そうすれば持ち切れなくなって手放すだろうという意見を述べておりますが、大蔵当局、これどうお考えになりますか。
  160. 野村興児

    説明員(野村興児君) お答えいたします。  現在保有税につきましては、地方税といたしまして固定資産税があるわけでございます。したがいまして、国税といたしまして現在特段のものは考えてないわけでございますが、これに今先生指摘のような形で保有税を課すということは、その間に調整もございます。屋上屋を重ねるという議論もございます。そういう現状にあることを御説明させていただきました。
  161. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 次に、宅地の供給に関する行政査察というパンフレットをいただいております。これです。(資料を示す)それの二十一ページに、農地の宅地並み課税も考慮すべきだとうたわれておりますが、この点についてどうお考えでしょうか。農地の宅地並み課税であります。
  162. 佐野徹治

    説明員(佐野徹治君) 農地の宅地並み課税の問題につきましては、このたびの臨時行政改革推進審議会におきます地価等の土地対策に関する答申におきましても、「長期営農継続農地制度の厳正な運用を図ることとし、長期営農継続農地の認定に際しての営農計画等の提出、現地調査の実施等に関する昭和六十二年九月の自治省通達に基づいてとられた措置の報告を徴収する等地方公共団体に対し積極的な指導を行う。」とされておるところでございますし、本日の緊急土地対策要綱におきましても「長期営農継続農地制度の厳正な運用について地方公共団体に対する指導の徹底等を図る」とされておるところでございまして、この通達に盛り込まれました事項に沿った運用がなされますように、自治省といたしましては指導を徹底させたいと考えておるところでございます。
  163. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 次に法務省にお伺いいたしますが、借地・借家法の改正は今法制審議会審議中と承っていますが、どの程度進行しておりますか、御説明いただ。きたいと思います。
  164. 細川清

    説明員(細川清君) お答え申し上げます。  借地・借家法の改正の問題につきましては昭和六十年の六月から法制審議会の民法部会財産法小委員会で審議しております。本日の閣議決定にもございましたように、この見直しにつきましては「早期に結論を得るように努める。」ということになっております。私どもといたしましてはこの方針に従いまして早期に結論をいただけますよう御審議をお願いしているところでございまして、順調に審議が進みますれば明年中にも改正の試案、これを公表いたしまして各界の意見をいただき、その上で改正の最終案をまとめたい、このように考えている次第でございます。
  165. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 明年のいつぐらいですか。
  166. 細川清

    説明員(細川清君) 今審議中でございますので確たることは申し上げられませんが、明年後半になるというふうに考えております。
  167. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 建設省及び国土庁からいただいたこれらのパンフレットを読みますと、非常に感ずることは実に英語をいっぱい使ってありまして、私のような学のない人間にはわからぬところが非常に多い。もう少し国民に読ませるものならば英語から脱却してだれでもわかるようにお書きになったらどうかということを考えるんですけれども、最近官庁出版物は、若いときに海外留学してきた人が多いからでしょうけれども、どうも英語に我々は悩まされます。もう少しこの点をお考えいただかなきゃいけないと思いますが、両大臣いかがですか、この点。
  168. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 先生の意見大賛成です。
  169. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 私もそのように考えております。
  170. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 この点だけはもう御賛成を得て、ぜひひとつ来年から白書とか官庁出版物の中から英語を駆逐するように努力していただくことを望みたいと思います。英語でなきゃわからぬものは仕方がないですけれども、立派な日本語があるのに自分の学殖を誇るがごとく書いて、一体大衆はわかるだろうかということを書くときにお考えになるべきじゃないだろうかと思います。マスターベーションですよ、官庁のこんなことは。もっと税金を納めている納税者にわかりやすいように考えていただかなきゃいけないと思うんです。  それから最後の問題ですけれども、遷都論について両大臣はどうお考えになられるか、率直な御意見を承りたいと思います。
  171. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 遷都論、どの程度のどういう領域の遷都をやるかということでありますが、私のお師匠さんになるわけですが、河野一郎先生の持論ですと、東京都は七百万が精いっぱいだという話をされておりました。遷都することは簡単だと思います。国会議事堂を中心に動けばいいんですから簡単だと思いますが、その目的は、一体過密東京からそれに付随して人口を多く移動をさせるという目的であるにしてはそれほど高い価値のものではないんではないかという感じをいたしております。  これはもう既に先進都市であるアメリカのワシントンのごときそうじゃないかと思うのでありますが、遷都して現在人口どのぐらいあるのか。七十万ぐらいそれでもあるんですか。アメリカが遷都して七十万。日本で遷都して七十万持っていったところで東京都内の過密人口は解消するものではありません。それですから、遷都する意味といいますか、目的によると私は考えております。
  172. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) さきに策定いたしました四全総でも多極分散型の国家を目指そうといたしておるところでございまして、遷都論は今までもいろいろ議論がございましたし、ただいまも遷都についていろいろと検討も加えられておるようでございます。さらに分都、展都という考え方もあるわけでありまして、この一極集中をなるべく分散させるという方向について今後とも努力していくべきものだと考えております。
  173. 斎藤栄三郎

    斎藤栄三郎君 最後の問題です。  私は、今日本は表面的には非常な繁栄をしていますけれども、実際はそう楽観できるような体質ではないだろうと思うんですね。  そこで両大臣にお伺いしたいのは、かつて松代藩の財政再建を任された恩田木工は妻を離縁し、本当に粗衣粗食に甘んじて松代藩の財政再建を全うすることができたのであります。私は今の日本の、私たちなんかは末席でありますけれども、政治家にかけられた責任というのは、この土地問題をどう解決するかということを全国民は期待していると思うんですね。そういう意味においては、両大臣にきょうは大変暴言を弄したことをおわびいたしますが、同時にこれから全力を挙げて、やっぱり土地問題の安定、そして民をとうとしとなすという気持ちで政治をやっていただくよう心からお願い申し上げて私の質問を終えます。どうもありがとうございました。
  174. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 建設大臣、御高齢にもかかわらず長時間にわたりまして大変御苦労さんでございます。まず、大臣にしょっぱなにお伺いしたいと思います。  当決算委員会におきまして、先般大臣が中曽根内閣の土地政策に対する失政ということをおっしゃいました。これは確かに大臣ずばずばおっしゃっておりますので、私は本音をおっしゃったんだろうと思っておりました。早速六十年度決算の参議院の本会議の質問に当たりまして私はこの問題を取り上げました。そうしたら大臣は、私が決算委員会で言ったのは、あれは間違っていたようでありますと訂正をしました。そしたら自民党席から大変な拍手が沸きました。その後大臣は、失敗だったというのは、何かやって、やったんで失敗とか成功とかいうのがあるんであって、中曽根内閣は何にもやらなかったから失敗じゃなかったんだと、こう大臣がおっしゃいましたら、自民党席はしゅんとなりました、覚えていらっしゃると思いますが。この問題、私は非常に重要な問題でありますし、中曽根内閣終わりに近づきまして土地問題真剣に取り組んでおられるわけでございますが、やはり私はどちらかというと遅きに失したという感もするわけであります。そういうふうな意味で、大臣のこの発言の真意をここで明確にしていただきたいと思います。
  175. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 私の発言は先生の今お話しになられたとおりであります。土地問題、完全な手おくれですよ。これは私、個人的な話をしてまことに恐縮なんですが、まず登場のころ、おととしですが、おととしの十月に私は党の政策委員会の中でこの問題を指摘しまして、これを何とかしようという決議をしております。自民党という内閣、なかなか上等な内閣ですからなかなかやってもらえなかったわけでありますが、たまたま私が今度入閣することになりましたので、継承してこの問題を提唱したのでありますが、後ほど国土庁長官も発言されると思いますが、届け出制にしようという程度のものではこれほど深入りしちゃった土地の狂騰はおさまりません。そうですから、私は素っ裸になって、ふんどし一本になってひとつ頑張るぐらいの勢いでやらなきゃこの問題は解決しないという考え方を持っております。そうですから、率直に言ってきょう閣議決定された問題につきましても私は不満なんです。これはもう閣議での話をここでするわけにはまいりませんから話はいたしませんが、閣議で私も強力な発言をしているつもりであります。やる気があるのかないのか。一体土地は下げるのか、どうするんだという話をしているんですが、明快なる答弁はありません。そうですから、といってこれを投げておけば日本の経済が破壊する大きな原因になるわけでありますから、そういう観点でこの問題は引き続きやっぱりやらなきゃいけないと思っておりますし、寿命がなくなってから一生懸命やるような話をしたりしているものですから、それをひとつ継続して本当にやるのかどうかというのできょうもちょっと話をしたんですが、私たち国会に席のある者として、閣僚の席にあるのと同じでありますから、そういう点で我々の寿命もあと三週間ないわけでありますが、この問題は次の内閣にも引き続きさせるし、そういう話になっておりますから、厳重にやろうということになっております。これは自民党だけでなくてみんな手を打てなかったのかと思うんです、マスコミであろうが何であろうが、皆ここまで来るとは思っていなかったんですから。だからそういう点で、再出発をするという意味でこの問題に真剣に取り組むつもりでもありますし、今余された日程の中でこの問題の片づけを相当やろうということで私たちは関係閣僚間で話し合いをしておりますので、御期待に沿うかどうかわかりませんが、ある程度の結論は出るんじゃないかと考えております。
  176. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今、大臣がおっしゃいましたように、私は完全な手おくれだろうと思います。ところが、大臣はそういうふうに認めておられましても、ほかの方は余りそこまで認めておられないわけです、実際問題として。  そこで、大臣は本会議の答弁の中でもおっしゃっておりました、私は土地問題の専門家であると。そういう立場からすれば、確かに私は中曽根内閣何もやったとは思わない、ともおっしゃっておりました。そういう点からいきまして、確かに私は中曽根内閣も前段と後段と、少なくとも土地問題、民活問題に対しては内閣の態度は変わってきている、特に国公有地の売却の問題等も含めまして、これはもう変わってきているのは明らかであります。そういうことはこれから細かく指摘をするといたしまして、きょうは両大臣、それこそ中曽根内閣のこの問題に対する重要な位置を占めておられる二人の大臣がお見えになっておりますので、余り時間も長くございませんので端的にお伺いをしたいと思います。  それでは、まず初めにこの緊急土地対策、これはきょう閣議決定をされたわけでございますが、私は実は先ほどこの委員会が始まりましてからこれを読ませていただいているわけであります。詳細にチェックをいたしますと、先般の臨時行政改革推進審議会答申の中身が、特にこの「当面の地価土地対策」というところが大体九九%そのまま閣議決定になっているようであります。これで、実際問題として地価高騰という問題、こういうふうな問題がおさまるのかどうか等含めまして、この閣議決定に対する両大臣の御所見を初めにお伺いしたいと思います。
  177. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 緊急土地対策要綱ということで本日閣議決定されたわけでございまして、これは新行革審のいろいろの御答申等も背景にしながら中長期的なものはさらに引き続いて検討するということでありまして、当面この施策を実行することが土地対策に対して有効な手だてであるということで決定されたと思っております。  なお、国土庁といたしましてもこの中身につきましては既に実施したものもございますし、この内容の中で、今御指摘のように国公有地について当分見合わせるというようなことは私ども国土庁としても強く望んできたところでございまして、今日これが決定されたことは有効な手だてになるのではないかと考えております。
  178. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 私はどうも極論する方なんですが、この中で、今国土庁長官が言われた国公有地の暫定的な処置だけじゃないかと思います。そのほかの問題は、これからこれを事務的に取り扱っていくわけでありますから、具体的な取り扱いの中で始末をするということになると思う。とりあえず国公有地は、私も国鉄法の改正をやる段階からこの問題を議論したんですが、ああいう格好で法律ができてしまった手前もありましたが、私は国公有地は当分このままストップにしておいて、そして適当な時期になったらこれは出せばいいわけですから、国公有地を処分することによって地価の暴騰を追い打ちをかけるような格好はやるべきじゃないという主張をしておるが、これは一発だけは効くと思っております。  ただ、問題は、これみんな文章を体裁よく書いてありますから、この文章どおりに実行すれば私はいけると思っております。そうですから、きょうも閣議で余りわあわあやるものですから、余り体裁よくないから、きょうは、綿貫大臣に大体届け出制も百平米とは何事だとさっきも言っているんです。これは全部やるべきなんです。東京で、百平米といえば三十坪です、三十坪の商店を持っておる者は、古くからの商店なら別ですが、これはほとんどそれ以内になる店が多いんじゃないかと私は思います。そうですから、それを放しておいて、あと大きいのだけやったってそれはちょっとやっぱり問題じゃないか。だから、これは施行上で坪数制限なしにしたらどうだと今言っております。やるんならその程度きり今の段階ではできないと思いますが、やっぱり問題は需要供給のバランスをつくるということです。だからそういう意味で、何坪要るのだとか、事務所用にどれぐらい要るのだとか、宅地用にどれぐらい要るのだということよりも、少しでもまず早くそれに対応するには措置を講ずるということが土地暴騰を鎮静させる一番大きな問題じゃないか、私はそう思っております。それについてまだあと二週間ある間有効にひとつ動きまして、その問題の結論を出したいと思っておるところであります。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 緊急対策の中身をいろいろ読んでみますと、大臣おっしゃるとおりだろうと思います。これらの一つ一つの問題はかねがねいろいろなところで指摘をされてきた問題ばかりであります。そういうようなものをいわゆる集大成して出したわけでありまして、実は行政改革推進審議会の「今後の検討課題」というところにつきましては、今回の閣議決定の中には全くうたわれていないわけでありますが、これは国土庁長官、「今後の検討課題」というのが全部で一項目から八項目までありますね。この問題については大体どういうふうにお考えなのか、今後の対応等も含めて一遍御所見をお伺いしておきたいと思います。
  180. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 本日の閣議の取り仕切りは官房長官がやったわけでございまして、この要綱を踏まえまして各役所におきましてできるものは早急にこれを実施するということで示達がされたわけであります。したがいまして、この「検討課題」というものにつきましても、それぞれの部署におきまして十分検討していく課題であるというふうに考えております。
  181. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは建設大臣にも多少関係はあるわけでありますが、やっぱり土地問題の解決は、一つは確かに大臣も先ほどおっしゃいましたように自民党だけの問題ではないと思います。これは野党にもそれぞれ責任があると思っております。したがいまして、それぞれ野党の皆さん方もこの問題については真剣に取り組んでいるところであります。特に今回の新しい内閣になりましたならば、ただ総理大臣を選ぶというだけではなしに、土地問題についてもそういう問題をテーマにしていわゆる委員会等をつくって、緊急にこういう問題の解決のために頑張るべきである、こういう主張が現実にあるわけです。  そこで大臣、この今回の緊急対策の中身をよく見ますと、いわゆる規制とか、先ほどの国公有地の売却を一時ストップするとか、そういうことが本当に土地問題の解決のための一番の対策なのかどうか。本当はそうじゃなしに、やはり土地という問題を解決するためには、やっぱり土地の供給をふやして、そして土地の値段を下げると。  先ほど午前中からもいろいろな議論がございまして、私も皆さん方の答弁を聞かせていただいておりましたが、土地の値段が下がらないと、土地の値段は上がるものだという神話みたいなものがあるわけですね。そういうような点を考えますと、土地の値段をやっぱり何らかの形で引き下げる努力をせにゃいかぬ。これは私は非常に大事なことだと思うんですが、こういう問題については、これは少なくとも国土庁長官の担当だろうと私は思いますが、そういうふうな意味でのこの政策、対応策というのは今回の緊急対策の中にはないわけでありますが、これは非常に大事な問題でありますので、両大臣の土地の値段を安定させると同時に引き下げると。東京都内で土地の値段が幾らかでも下がったなんていう議論が出てきますと、今みたいな問題は一遍におさまる。そのための対応策というのをいろいろな知恵を働かせて考えなくちゃいけないと私は思うんですが、ここら辺のお考えをお伺いしておきたいと思います。
  182. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) どうも国土庁長官と共演をやっているようでまことに恐縮なんですが、私は地価はやっぱり下げなきゃいけないと思っておるんです。下げるのにはやっぱりどんな規制をやることよりも需要供給のバランスを保たせるということが大切だと思っておるのでありますが、ここまで来ると簡単な対策ではとても下がらないと私は思います。  それは、がっちり金融機関が手を組みまして融資しておりますから、金融機関が自分の城を守るためにもそう簡単に引き下がれるものではないと思いますが、これを下げるためには、これはもう本当に強力な手段を用いなきゃいけないと思っております。  これは一つの例でありますが、どういくかわかりませんが、長い間私の提唱している東京駅再開発という問題があります。これは、今までは必要な坪数だけのものにしようと考えておったのでありますが、これを必要坪数の倍、大丈夫あそこを利用できれば建てられそうですから、倍建てる必要があると思っております。これは地価を下げるためにです。というのは、必要だというのが皆入っちゃって、そしてあと余ったのにどんどん今入っているものが皆移動してくるようにならないと地価は下がらないと思います。今の入ったものが入ったままでいたらば、これはとても地価は下がらない。だから、そういうふうにしてそのビルの経営ができなくなるというような状態になってくれば地価は下がるんじゃないかと思う。そうですから、手おくれの状態の中にあっては必要坪数だけをつくったのではだめだと、これはとりあえず暫定的な緊急措置ではありますが、私は必要量の倍ぐらいやっぱりつくって、そしていわゆる後が、土地代が要りませんから、空中権だけでありますから、相当格安に私はできると考えておりまして、これは民間会社にやらせるとすれば、利益は二%以上出さないという会社にしてやれば大丈夫いけるんじゃないかと今考えておるんでありますが、いずれにしろ何らかの措置を講じない限り地価は高値安定になります。  そこで私は、国土庁長官もおりますからおわかりのはずでありますが、私はもう閣議で三回ぐらいこの問題を大蔵大臣に質問しているんであります。そうなった場合、地価が下がった場合、まあ不動産業者はこれで倒産するだろう。それはいいが、その金を出しておる金融機関が異常な状態になったときには一体日本の金融状態はどうなるんだと、それに対する責任のある対策はあるのかと聞いたんですが、全然なくて、けさの閣議でこれまたやったら心配ないような話していますから、随分悠長なものだなというような感じを有しております。
  183. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 今回の地価高騰原因は二つあるわけでありまして、一つは急激なビル需要というものが起こったということと、もう一つは、金余り現象を背景にして土地転がしが起こったと。この二つでありまして、この前者のビル需要に対しましては、御指摘のように需要供給の原則から供給をふやしていくという施策がぜひ必要なわけでありまして、それはただいま天野建設大臣からもお話がございましたし、国土庁といたしましても先般来各省庁と連絡会議をつくりまして、東京湾の開発あるいは東京駅の開発のプロジェクトにつきましてこの中曽根内閣の間に前進の方向を出そうといたしまして、先般来経過報告としてこれを既に報告をいたして、この問題は積極的に進めることを各省庁で確約をしておるところであります。  なお、この土地転がしというものについての問題は、金融をまず厳正に規制していただくということでは大蔵省を通じてこれは今行われづつあるところでありますが、もう一つは超短期の所有に対する重課税の税制が国会でようやく成立をいたしまして、これが有効にこれから働いていくと思っております。私は、実はこれはさきの百八国会に提案されておりまして、これが一日も早く成立することが非常に大きな土地鎮静化の手だてだということを主張いたしまして、あの売上税関連、特に所得税法の中にこれは入っておりましたから、これを抜き出してでもやってもらいたいということを建設委員会その他でもお願いしたわけですが、国会の中でもこれは取り上げられなかったわけでありまして、先ほどから土地に対する認識が皆甘いのじゃないかと言われますが、国会の中においても認識が私は甘かったのではないかと思っております。
  184. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確がにそういう点では大臣おっしゃるように我々も認識が甘かったという点はあるかもしれませんね。お互いに反省はしなくちゃいけないと思います。  そこで、大臣おっしゃるように、土地の高値安定という現在の情勢のまま鎮静するというだけではこれはもう本当に困るわけです。特に、やっぱり庶民やサラリーマンの皆さん方の住宅にいたしましても、これは東京都内にもう今のままでは住むことできませんよね。そういうような意味では、何とかこの問題を解決するために、それこそあらゆる方策を講じて解決しなきゃいけないなと思っております。  そこで、細かい問題になりますが、順番に幾つか聞いていきたいと思います。  一つは私権の制限の問題なんですけれども、この問題、これ中曽根総理が多少やむを得ないんじゃないかというふうな発言をしましてから、いろいろなところで私権制限の問題が出てくるわけであります。ニューリーダーの皆さん方も何回かごの問題に対して発言をしておられます。しかしながら、実際問題としてそれじゃどういうふうに私権の制限をうるのか、中身の論争になってくると中身何もないわけです。具体的にそれじゃどういう制限をするかということになると、もうどうしようもなくなってきているような感じがいたします。  そこで、先般後藤田官房長官がテレビの討論会でこの問題をおっしゃっております。それによりますと、後藤田さんは、田中内閣当時土地政策の処方せんはつくった、しかし三千万地主の時代、国民の反対があり実行できない、したがって私権の制限というのはとてもそう簡単にできる問題じゃない、こうおっしゃっているわけであります。  こういうふうな問題を考え合わせてみますと、実際問題として土地政策に何らかの私権の制限が介入してくるのは公共事業やいろいろな問題から見ればやむを得ない点があるかもしれません。そういうような意味で、特にこういう問題について高い見識を持っておられるという天野建設大臣に、これは大体どういうふうにすべきなのか、という点を配慮してやるべきなのか、あるいはこういう点が一番心配なんだという点を率直にお聞かせいただければ幸いと思います。
  185. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 本来ならば国土庁長官の方で説明しなきゃいけないんじゃないかと思いますが、あの法律、私がつくったものですから、それで今問題になっておるんですから、私の私見を述べておきたいと思います。  これはもう最終の段階でなけりゃ私権の制限は今の憲法の建前から非常に難しいと思います。そこで、今仮に私権の制限をするという、販売停止とか売買取引停止をするというようなことをやるとすれば、何らかの条件をつけてやらなきゃいけないと思います。いつまでも無制限でやるというわけにはいきませんし、途中でいつかわからないときに解除するなんというわけにもいきません。それですから、これはこれこれの措置をするまで私権の制限をするということであります。私はそう考えております。  ただ問題は、私権の制限をしても地価が下がらない場合どうするか。売買しなくてもそのまま銀行に缶詰になっているんですから、地価は私は下がりっこないと思うんです。だからそこらあたりの扱いが非常に難しいんではないかなというような感じをしているわけでありまして、私は私権の制限をやらなければいけないということはまだ一言も発言をしておりません。しかし、私のつくった法律でこれが動いていることですから、一応私の見解を申し上げておきます。  これは国土利用計画法をつくるときに最後の段階で入れた条項なんです。万が一ということもあるんじゃないか、ひとつ考えたらどうだろうということで入れてあるものですから、今使う気なら使えるようにもなったということにもなるわけでありますが、しかしこれは、これこそ本当に憲法に違反するようなことのないような格好で使わなければいけないんじゃないかというような感じをいたしております。
  186. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この私権の制限の問題に対して、これは国土庁長官にお伺いしたいんですが、国土庁当局でも結構ですが、前の法制局長官の林修三さんが特にこの私権の制限という問題についていろいろな発言をしておられるわけでございますが、私権の制限というのは非常に難しい問題ですと、したがって実際にこの私権を制限するということになると相当の準備と検討が必要である、こういうふうにおっしゃっております。そして、私権の制限を盛り込んだ法律も現在幾つもある、しかしながらその法律が有効に機能していない、こうおっしゃっておるわけです。もう現在既に法律はある、あるにもかかわらずその法律は有効に機能しておらない、その理由がどこにあるかということをやっぱり調べることが先じゃないか、こういうふうな発言もしておられますが、こういう点を含めまして、この私権の制限という問題について国土庁としてこういうふうに考えているということを教えていただければ幸いでございます。
  187. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 先ほど後藤田長官の御発言の引用もございましたが、現在三千万人の方が地主だと言われておるわけでありまして、これを四人家族ということで世帯割りにいたしますと八二%が地主ということになります。東京圏だけをとりましても約五百万人の地主がおると言われておりますので、これも世帯割りにいたしますと約五割ということで、土地を持っている人が五割、持たない人が五割ということになると言われておるわけでありまして、この土地の問題につきましてはいろいろと私権制限その他が言われておりますが、この所有しておる方、しない方、いろいろそれぞれ考え方が違うと思います。  そこで、この規制区域をつくるとかどうとかいうことは、今天野建設大臣からもお話がございましたが、非常に今まで抜いてはならない伝家の宝刀と言われておりましたけれども、今回はこれは抜けるような準備だけはしようということで、関係の知事さんや政令都市の市長さんとも先般お話をいたしまして、実務者会議においてこの対応をすることに決めたわけでございます。  この規制区域ということを適用する前に、先ほど天野建設大臣からお話がございましたように、監視区域というものである程度のチェックをしながら、さらにこれが百平方メートルということで東京都は十一月一日から全面的に採用するようでございますが、この規模をゼロにしたらどうかという御意見もございますように、規制区域というものをつくる前にさらにいろいろの最善の手だてをしながら、この私権制限というものの最後のことについては十分考えていかなければならない問題だと考えております。
  188. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この監視区域とそれから規制区域の問題でございます。この問題、先ほどから大臣にお伺いしておりますと、綿貫長官の方は、とりあえず監視区域をどんどん五百から三百、東京都が五百、三百、百平米というふうにだんだん小さくしていく、そして監視区域をがっちり広げて、そしてそこら辺のところからやっていこうというふうな雰囲気の答弁をお聞きしているわけでございますが、これはやっぱり規制区域の指定の問題というのは非常に大事な問題で、これは今まで国土利用計画法という法律の中にうたわれておりながら、一回も実際実施されたことはない。しかも、今回の行革審の弁申に対する論評、新聞の論評いっぱい出ているわけでございますが、これは何も都道府県知事だけのあれじゃなしに、総理もやれるんだぞ、何も都道府県知事だけの責任じゃないんだということも明らかになったというふうなことが新聞の論調の中にもあるわけでございますが、そういう点からいきますと、やはり規制区域の発動、いわゆる発動に至る手続、そういうふうなものが一体どういうふうなことになるのか。先ほどその要件は二つあるというふうにお伺いいたしましたが、この手続等も含めまして今の国土庁長官の御発言だと、監視区域というのをだんだんやっていって、それでもどうしようもないときに規制区域というものをするのか、あるいはもういろいろな観点から見て規制区域というものをきちっとはめてしまうのか、そこら辺の手続等も含めましてどういうふうになっているのかお願いしたいと思います。
  189. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 先ほど大臣から答弁いただきましたように、国土利用計画法の改正をいたしまして八月一日から監視区域という制度を実施しているわけでございます。各地方公共団体は八月一日から早速この監視区域制度を実施しておりまして、また最近十月一日には、これを広範に区域を拡大するとか、それからまた十一月一日からは、面積の基準をかなり引き下げるというようなことで、現在この監視区域制度の運用の強化というものを図っているわけでございます。私どもといたしましては、とりあえずこの監視区域の運用の強化ということで現在の地価高騰の抑制に努めたいということで全力を挙げている次第でございます。  しかし、こういうことでやっておりましてもまださらに地価高騰が続くというような場合には、規制区域を発動しなければならないということも予想いたしまして、私どもといたしましては、規制区域発動についての具体的な準備を始めるということで、各都道府県の実務担当者との検討会というものを近く持ちたいということで考えている次第でございます。  それで、その準備といたしましては、まず何といいましても、規制区域を指定する場合の区域のとり方をどうするか、それからまた、規制区域を指定した場合には、不許可になった場合には土地買い取り請求というものが出てまいるわけでございますけれども、それに対してどういうふうに具体的に対応するか等、そういう具体的ないろいろな問題をこれから準備をしていきたい、それで、監視区域の実施状況を見ながら必要に応じ速やかに規制区域が指定できるように準備を整えておきたいということで考えておる次第でございます。
  190. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは二つお伺いしたいと思うんですが、国土庁には土地局長さんがいらっしゃるわけですね。今御答弁していらっしゃるわけですね。土地局長さんが僕はずっと昔からあったということは知りませんで、最近土地局長さんがいると聞きまして、土地局長さんというのは土地が上がらないようにすることを専門に寝ても覚めても考えるところですね、これ。本当にずっと起きとったんですかな。いや、そのことを私はしみじみと考えているわけです。そういうような意味では、ぜひこれは土地がもう少し下がるように、あるいは規制区域の問題についてもいわゆる発動の準備のために、都道府県の担当者を呼んでこれからいろいろやるというわけですね。どういう規制区域をやろうかとか、あるいは不許可になった場合は買い取り請求に対してどう国が予算を組んで対応するかという問題がある、そんなことはもう法律ができたときからわかっておるわけですよ。しかも、現在土地高騰を始めまして狂乱の地価という問題、この一、二年の間にきゅうっとなっておるわけですから、既にもう土地局の皆さん方のところには地域もきちっと決まって、大体お金がどのくらいかかって、もう全部これできているんでしょう。これはどうなんですか。地域も大体どの程度のところで、打ち合わせもほぼ終わって、全部大体もうできてないと私はいかぬと思うんですよね。これからなんというのは本当はもう手おくれじゃないか。もっと早く私はその手当てをちゃんとすべきじゃないかと思うんですけれども、この点はいか、がでしょうか。
  191. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法規制区域につきましては、当初この規制区域を設けるときにはこういう東京のような既成市街地が広範に連檐しているところでこの制度を発動するということは余り予定しておりませんで、新たに工場団地とか住宅団地を開発するという予定のところで土地が思惑で値上がりするようなときにはこの規制区域を発動しまして、それで地価を凍結している間にそういう開発を完了する、完了したところでこの規制区域を解除するというような、そういう考え方でこの制度はできているわけでございます。  私ども、二年ほど前から東京の神田あたりが非常に地価の上昇が激しいということで、そういう神田のようなところでこういう規制区域を発動できるかどうかということを、東京都の職員と私どもで相当詳細にいろいろ議論したわけでございますけれども、やはりなかなかこの制度を既成市街地の広範に連檐しているところで導入するというのは、いろいろ問題があって難しいというような議論になりまして、それで東京都の方で小口の土地取引届け出規制というものをまずやりましょうということで、昨年の十二月から東京都の条例でもって届け出面積五百平米ないし三百平米という措置をいたしまして、それでことしまた監視区域制度というものを法律を改正して実施に踏み切ったということでございます。  そういうことで、私どもといたしましてはまず監視区域の運用強化ということで対応いたしたい、なおかつまだまだ地価高騰が続くという場合には、非常に難しい問題でございますけれども、この規制区域の発動ということも最後には決断をしなければいけないかどうかということで、現在準備を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  192. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結構です。東京みたいなところは予定してなかった、それがいわゆる二、三年前からの急激な高騰によって、先ほど具体的におっしゃいましたが、二年ほど前から東京都の皆さんと打ち合わせをしてこれは何とかせにゃいかぬということになってきた、それはそうでしょうね。そしてことしになってから監視区域の運用を強化していきたい、そういうことですね。それは当然そういうふうに取り組んでいただきたいと思います。  しかし、これは実際問題としてそういうふうないろいろな手続を見ておりますと、早くやろうと思ったらできるわけですよ。今回の緊急答申審議会がこの答申政府に出してから四日目に閣議決定していますね、四日目ですよ、きょうは。こういうこともできるわけですから、やっぱりやろうと思ったらできるわけです。そういうような意味でぜひこれから真剣に取り組んでいただきたいと思います。  それでもう一つは、今の監視区域の問題につきましても、東京都が五百平米から三百平米、いわゆる監視区域取引面積を下げることによっていろいろな費用もどんどんかかるようになってきている。そして、しかもそんな中でいわゆる規制区域を発動したりすると、これは大変な費用がまた地方自治体にもかかるようになるんじゃないかと私は思うんですけれども、そこら辺に対する対応ですね、また予算的な措置、そういう面も含めましてこれはぜひがっちり取り組んでおいていただきたいと思うんでありますが、この点に対する国土庁の御見解をお伺いしておきたいと思います。
  193. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 国土利用計画法の施行事務に要する経費につきましては、従来から交付金の交付を行ってきておりますけれども規制区域の指定とか、それからまた監視区域の指定とか、そういう形で地方公共団体の事務量が増加したり、また、場合によっては土地買い取りというようなことも起こるわけでございますけれども、このような経費につきましては、的確に対処するために必要な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  194. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。  時間がございませんので次に進みますが、先ほどの同僚委員の質問によりますと、土地を担保にしての銀行融資残高が三十五兆円だそうですね。建設大臣、頭をひねっていますから、もっと余計にあるのかもしれませんが、これは本当に大変な金額になっているんだろうと私は思います。  そこで、きょうは大蔵省当局にお伺いをいたします。  先ほど国土庁長官もおっしゃいましたが、今回の高騰原因一つに金余り現象というのがある、こうおっしゃいました。確かにそのとおりだろうと思います。そこで、大蔵省金融機関に対しまして自粛の通達を前後四回にわたって出されているそうでございますが、実際問題としては余り効き目がないように私は思うわけであります。その点、大蔵省はどういうふうに考えていらっしゃるのか。きょう大蔵省の皆さんに出席していただくようにお願いしておりましたが、お見えになっていますか。
  195. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) 金融機関土地関連融資でございますが、先生今御指摘いただきましたように、かねてより通達を発出いたしまして、その厳正かつ適正な運営ということで厳しく指導をしてきたところでございます。  しかしながら、最近におきましてなお土地高騰が激しいこと、あるいは地価問題ということが非常に大きな社会的な問題にもなるという実情にかんがみまして、本年七月以降はさらに金融機関土地関連融資に係ります自粛の通達が確実に守られますように、一層厳正な融資態度の徹底を図ってもらいますために、特別ヒアリングというものをいたしております。この特別ヒアリングと申しますのは、個別の融資案件にまで踏み込みましてヒアリングを実施いたしまして、不適正な融資を厳に排除するような強力な指導をするということでございます。こうしたことをやってまいりまして、金融機関土地関連融資適正化ということは、着実にその指導趣旨というものが現在徹底しているというふうに考えている次第でございます。  さらに、本日の要綱でも指摘されておりますし、臨時行政改革推進審議会答申でも指摘されておりますことにもかんがみまして、この特別ヒアリング等を通じまして、金融機関に対する指導を一層強力に推進して、その厳正化というものに努めてまいりたいというふうに考えております。
  196. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 金融機関土地関連融資残高、これは大体どのくらいあるんですか。
  197. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) 全国銀行ベースで申し上げますと、全国銀行の不動産業向けの融資でございますが、これは日本銀行の統計でございますが、本年七月末で三十二兆五千九百八十四億円でございます。
  198. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今のは銀行だけですか。それで信金とかそういうようなものを全部含めますとどの程度になりますか。
  199. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) ただいま申し上げました数字は全国銀行の数字でございまして、いわゆる都銀、地銀、信託銀行長期信用銀行の数字でございます。信用金庫まで含めた数字は手元にただいまございません。そういう統計があったかどうか、ちょっと調べてみますが、私ども把握しておりますのは全国銀行の数字でございます。
  200. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、全国銀行ベースで、先ほどの三十五兆円ですな。そのほか、農協とか信用金庫とかいろいろなものを全部含めると相当なものになるということは、これは推測できます。銀行課長さん、厳正かつ適正に実施されているとあなたはおっしゃっておりますが、そう実施されていないからこれだけ四回も指導せにゃいかぬことになったんだと私は思うんです。  それじゃ、例えば具体的に申し上げてみます。ことしの三月に旧国鉄の蒲田貨物駅跡地の競争入札というのがありました。ここでは、地元の大田区を中心にいたしまして第三セクターができまして、競争入札をやったわけです。そうしたら、ある貸しビル業者に圧倒的な大差で負けたわけですよ。貸しビル業者が落札をしたわけです。これは、銀行課長さん、あなた御存じだと思いますよ。ところが、大田区役所を中心にした第三セクターに加わっているある大手銀行がこの落札した貸しビル業者に、自分の競争相手に土地の買収資金を融資していた。これは一体どういうことなんですか。こんなばかなことはないでしょう。これは具体的に名前を申し上げてもいいんですよ、みんな。あなた方、これが厳正かつ適正に指導した結果ですわ。これが結果ということになれば、今まで一体何をしていたんだということになるわけです。  まだありますよ。言いましょうか。資料はいっぱいあるんです。それじゃ時間がありませんが、もう一つだけ言いましょうか。これはある信託銀行ですけれども、大手の信託銀行が神田で地上げをやった業者に三百十二平方メートル、百坪ないんです。その土地に四十億円を融資しておりまして、このことも非常に大きな問題になった、こういう具体的事実があるわけです。  これはいっぱい資料があるんです。あるから私は申し上げているわけでございますが、銀行ですから、お客さんからお金を預かっているわけですから、やっぱりその預かったお金に対しては利息を私わにゃいかぬ。だから、お金を借りてくれるところがあれば、それは貸さなきゃいけないと私は思います。しかしながら、こういうふうなことを考えておりますと、どこでも自由に貸していいというわけにはいかない。こういうようなことは本当に厳正かつ公平に、反社会的な行動、行為にならないように私はやっぱりがっちり指導をすべきだと思いますが、いかがですか。
  201. 高橋厚男

    説明員高橋厚男君) 個別案件につきましての点につきましては御答弁を差し控えさせていただきたいと存じますが、基本的に銀行あるいは金融機関土地に対する融資というものは、内需振興でありますとか民間活力の活用あるいは住宅の振興ということで、非常に必要な融資であるというふうに考えております。土地に適切に向かうべきものが投機的な取引に向かう、あるいは投機的な取引を助長するような形で向かうということは、これは国民経済的にも公共的機関であります銀行がぜひ避けなければいけない問題ということであろうかと存じます。  そこで私どもは、先ほど申し上げました七月末以来の特別ヒアリングを通じまして、個々の銀行土地関連融資につきましての判断が適正に、また厳正に行われますように、その融資選定基準でありますとか、あるいは融資後のフォローアップでありますとか、あるいはその融資につきましてどのように本部でそれを掌握できるかというような仕組みづくりにつきましてヒアリングをし、また厳正な指導をしてきたところでございます。したがいまして、こうしたような仕組みづくりというものができておりますので、いやしくも投機を助長するような金融機関融資というものがこの指導の過程を通じまして排除されているというふうに判断をしているところでございます。
  202. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。  それから、次に市街化区域内の農地の宅地並み課税という問題についてお伺いをしたいと思います。  この問題は決して新しい問題ではございませんで、大分古くからこの問題は取り上げられておりますし、参議院の予算委員会等でも随分議論が行われました。きょうは、そういうような中で、先般総務庁の行政監察局ですかが行政監察をこの問題についてやったように聞いております。その中で、営農の認定をする自治体がもっと厳格にやればちゃんとできるはずだというふうな意味のことがうたわれておりますし、勧告した場合、できるはずだとは言っても自治体にそれだけのいわゆるチェックをする人間がいるかどうかという問題にもかかわってくるわけでございますが、実際に行政監察を行った総務庁は、この問題についてどういうふうにお考えがお伺いをしたいと思います。
  203. 吉田俊一

    説明員吉田俊一君) 市街化区域内の農地の宅地並み課税のあり方につきましてはそのあり方を検討するように今回勧告したわけでございます。ただいま先生御質問のそれに伴う体制についていかがかと、これにつきましては、現在の長期営農継続農地の認定、これにつきましては農業委員会を経由して市町村に申告する、つまり現状におきましても第一次審査は農業委員会を通して行うという体制になってございます。さらに、これについて厳正な運用をやる場合には、例えば現地調査をするとか、それから営農計画を出させるとかということになれば、それなりの業務量は従来に比べると増大することもあり得るかと思います。しかしながら、この問題は、周辺の宅地にとっても税負担の均衡の問題、それから宅地化を促進するための問題から指摘されていることでございまして、当該制度の厳格な運用を行うことに伴う業務量のある程度の増大はやむを得ないものじゃないかと考えております。この調査に関しまして、どのぐらいふえるかといった定量的な調査は行っておりません。  なお、このような観点から、本日の緊急土地対策要綱でもその方針が確認されたところでありまして、かつ所管の自治省におきましても九月十二日におきまして、長期営農の認定に際しましては各種の資料をとることといった中身の厳正な執行について指導を行っていると伺っております。
  204. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これはきょうの閣議の決定をしました緊急対策の中にもあるわけでありますが、これは私たちもこの問題随分党内でも議論をいたしております。非常に大事な問題であると思いますが、やはり駅前とか、いわゆる周りにはビルがいっぱい建ち並んで、そこだけクリの木一本あったり梅の木が生えておったり、本当にそれだけでそれが営農と言えるかどうかというふうな、いわゆる宅地並み課税を逃れるためにやっているというのが明らかでありながらちゃんと指導してないという部分が随分あるわけです。そういうような意味では、そういうところは税の公平という点からもそれなりにやっぱりがっちり指導をすべきである、私はこういうふうに思うんですが、この問題についていかがお考えでしょうか。これは担当の大臣からお答えいただければ幸いだと思います。
  205. 渡辺功

    説明員(渡辺功君) 先ほど総務庁の方から御答弁がありましたように、私どもの方で先般この問題につきまして調査を実施いたしまして、通達も行っているところでございます。この中で、この問題につきましては先般も総理が国会でも御答弁になりましたけれども、真剣に営農を行っている、そういう方々は尊重しなければいけない。しかし、ただいま委員が御指摘のようなそういう世によく言うような偽装農地と申しましょうか、そういったようなものにつきましてはしっかり指導して宅地並み課税、本来の趣旨に沿うような運用がされなければいけない、こういう趣旨で私どもとしましては通達をしたところでございます。  なお、そこでいろいろ私どもがその調査の中で調べてみますというと、今特定市街化区域農地、いわゆる宅地並み課税が行われているその範囲でございますが、百八十九市ございます。その中で約六千ヘクタール余りの農地が宅地並み課税の適用を受けて、つまり宅地並みの税金を払いながら宅地化しないで農地という形になっているものもあるわけでございます。そういうものの中にただいま御指摘のようなクリ一本とかそういったようなものが両方にまたがってある場合があるというようなことがあったようでございます。  そこで農業協同組合中央会などもそういったちゃんと税金を払って置いている農地であるにもかかわらず、何か非難をされるということは自分たちとしても本意でないというふうなことで、できるだけ自分たちで看板を立てようというような運動も起きているようでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そこはきっちりあくまで営農を継続するというような形のものとそうでないものとを分けていく、そういう観点で関係市がしっかりそれを指導していくということに持っていきたい、こう考えまして、営農の内容ども計画書などを出させるというようなことも含めまして今回の通達の指導でやっていこう、こういうことにしているわけでございます。これによって適正な運用が図られていくようになる、こういうふうに考えているところでございます。
  206. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今回の地価の狂騰、これは先ほど国土庁長官は急激なビル需要、そして金余り現象、土地転がし等をおっしゃいましたがね、こういうようなものに類する、最後の方に類するかもしれませんが、居住用住宅の買いかえ特例というやつですね、これはやっぱり今回の地価高騰に少なからず影響を与えているんじゃないか、そういうふうに思います。そういうような意味でこの問題についてはこの特例制度見直しが議論されているというふうに報道されておりますが、この点に対するお考えをお伺いしたいと思います。
  207. 片桐久雄

    説明員片桐久雄君) 居住用財産買いかえ特例制度につきましては、この特例制度住宅政策観点から極めて有用な面があると思いますけれども、私ども土地対策観点から考えますと、安易に高価な買いかえを促進するという面もあるのではないかというふうに判断している次第でございます。  そういうことで、六十三年度の税制改正要望といたしまして、建設省国土庁いろいろ相談いたしまして、一つの案をまとめて現在大蔵省に提出している次第でございます。その案といたしましては、規制区域とか監視区域のような非常に地価高騰の激しい地域において居住用資産の買いかえを行う場合には、特に高額な買いかえについて一定部分課税対象にするということを内容といたしております。それで、またこの場合にも適正な価格買いかえをするという場合には従来どおりの特例を適用するというようなことでございます。  本日の閣議におきましても、緊急土地対策要綱の中で、「地価高騰波及を抑制する見地から必要な見直しを行うことなどにつき、税制調査会に諮るなど所要措置を講ずる。」ということが決定されている次第でございます。  私どもといたしましては、この私ども要望案を何とか実現して地価高騰の抑制に努力したいというふうに考えている次第でございます。
  208. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それから、これは先ほど建設大臣もおっしゃいましたが、今回の緊急対策の中での国公有地の問題ですね。これは大臣、ことしの三月の予算委員会の当時と大分変わってきましたね。実はことしの三月の予算委員会のときに、中曽根総理のいわゆる民活ということで、西戸山の公務員住宅跡地の払い下げの問題とか、あの予算委員会の当時は特に林野庁の六本木の庁舎の売却の問題、あのとき随分議論になりまして、区役所の区長さんもこれはもう何とか競争入札をやめてもらいたいと。あのとき長官にも随分我々予算委員会でも申し上げましたが、あれが結局、今から考えてみるとああいうやり方は失敗だったなという反省が私もあるような気がするんですが、そういう点は、これは現在から考えてみますと、やっぱりそれなりのきちっとした対応策をきちっと打った上でああいうのをやったらよかったんですけれども、対応策なしでやったものですから地価高騰に拍車をかけた、ある程度の役割を果たしたという大臣の御答弁にもなるんじゃないかなと私は思うんですが、この点について、ちょっとしつこいようでありますが、大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。  それから国土庁長官、国公有地の売却というのは国土利用計画法からいえば枠外ですね。そういうような意味からいえば、これは枠外ではありますが、この国公有地の売却という問題について国土庁としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、それぞれお伺いしておきたいと思います。
  209. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 私の考え方はちっとも変わっておりません。野放しに競売すれば高くなるのはわかっているわけですから、高くなればそのときの売買した単価が来年度の公示価格にあらわれてくることは当然でありますから、いわゆる国公有地を売って公示価格に影響がない、地価高騰にちっともつながっていないなんということは絶対ありません。私はほとんどつながっている、それが大きな原因だと。個人の土地の、例えば十坪や二十坪が坪一億円で売り買いされたなんということよりも、あの集団的な大規模な土地を売買するんですから、大きな影響のあることは当然でありますから、私はその当時から売却に対しては反対でありました。
  210. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) さきの国会で改正をお願いいたしました国土利用計画法の中におきまして、国等が土地処分するときには適正な価格の形成に配慮するという配慮規定が入ったということで、皆さん方からは配慮だけではないかという大変な御指摘をいただいておりますが、この配慮規定を入れるだけでも私は物すごくいろんな役所の抵抗を排除してやったつもりでございます。その裏として、今までは国公有地を処分するときは国土庁に何にも連絡はございませんでしたが、今後はいろいろと連絡や情報が入ることになりまして、協議をするということにしたわけであります。  実は、国公有地を処分する場合には、会計法の中に一般競争入札でこれを処分するという規定がございまして、この会計法を改正しない限り国土利用計画法の中にこれを全面的に取り入れるということはなかなか難しいということもわかったわけでございます。今後国公有地が地上げの引き金になるようなことは厳に慎むべきことだと思いますし、もしそのようなことが今後も続くようであれば、会計法の改正までもお願いしなければならないのではないかと考えております。
  211. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは大変お忙しいところ、首都高速道路公団の理事長さん、それから国鉄の清算事業団の理事の前田さんにおいでいただきましたが、時間がなくなりましたので、本当はがっちり質問させていただくつもりだったんですが、まことに申しわけございませんが、高速道路公団の理事長さんに一言だけお伺いして質問を終わりたいと思います。  それは、まず一つは、最近のこの首都高速道路公団のいわゆる経営状態はどういうふうな状態にあるのかということですね。先般、料金の値上げがあったわけでございますが、にもかかわらず、相当混雑状態も続いているわけであります。そういう点から考えまして、きょうは細かく申し上げませんが、そこら辺のところはどういうふうになっているかということが一つ。  それからもう一つは、道路料金の値上げの仕方ですね。これは場合によったら、今利用者の意見を聞くという制度がないわけでありますが、公聴会を開くなり、あるいは利用者の意見をもうちょっと聞いてもらったらどうかなという考えがあります。  それからもう一つは、高速道路に上がってから混雑しているのがわかるというんじゃ困るので、上がる前に、もうこれは上がらぬ方がいいよというのが何とかなりませんかと。その三点だけ、簡単で結構です、お答えいただきまして、私の質問は終わりたいと思います。
  212. 淺井新一郎

    参考人淺井新一郎君) お答えいたします。時間がないということですので、いろいろお答えしたいと思うんですが、それでは簡単に申し上げます。  このたび、御指摘のように通行料金を二〇%値上げさせていただいたわけでございますが、首都高速道路の料金の額というのは、御承知のように、従来から経済事情が変動したり、あるいは新線の供用なんかで料金の額の算定の基礎となる償還費用が大幅に変わった場合に、料金の額とか料金の徴収期間について見直すことにいたしておりまして、その都度、必要な額を値上げしてまいってきたわけでございます。  このたび、御承知のように、高速川口線それから葛飾江戸川線、合わせて二十八キロの区間が東北道につながる形で新たに供用されたわけでございます。この区間につきましては、首都公団としては十六年かかってようやく仕上げた区間でございまして、東北道につながったことによりまして非常に大きな便益が発生するというふうに考えております。  しかし、こういう便益に見合う形で建設費も大変かかっております。これからやりますいろいろな改築関係の費用を入れまして四千六百億という金額が加算されておるわけでございまして、これまでの事業費一兆六百億にさらに四千六百億、約五割の経費の償還すべき対象額がふえてきておるわけでございます。そのために、やはり妥当なベースでお預かりした料金で償還していくというためには三十年以内に償還期間を抑えるという必要がございまして、そのためにはどうしても百円程度今上げておかなければ、先へ行って大きな後年度の利用者の負担になるということで上げさせていただいたわけでございます。  御指摘の公団の経理状況ということでございますが、公団の経理の流れといいますのは、首都高速の道路を施設として利用していただいた利用者に使用料という形でいただいておるわけでございまして、この料金は、お預かりしてこれをすべて償還に回すということで、一般企業の会計に見られますような利益という項目は一切ないわけでございまして、これは全部償還に回す。償還に回すということで、経営がいいか悪いかは、この償還のペースが、三十年以内にできるかどうかということがこの有料道路制度の経営の一つの目安になっているわけでございまして、そういうことから、今回値上げしませんと、五百円のままでいきますと、四十五年の償還期限がかかるわけでございまして、これを百国会上げておくことによりまして三十年に抑えることができる。後年度に至って十五年間後年の人が引き続き負担するようなことのないように、今のうちに妥当な料金を上げておく必要があるということで、こういう形の料金値上げをお願いしたわけでございます。  それから、渋滞問題等について御質問がございました。  首都高速の渋滞、御承知のようなことでございますが、私どもは渋滞の抜本策としてどうしても首都高速のネットワークを早く完成することによって首都高速本来の機能を完全なものにしたい。こういうような都市の中ではやはり交通の需要というものが四万八万、千差万別な形で起こりますので、やはりネットワークを早くつくる、高速道路という網でかぶせてこれに対応していかなきゃならぬわけでございまして、そのためには早くネットワークを完成する。ネットワークができれば、首都高速はもっとルートを選んで全体として非常にスムーズな流れになるわけでございます。そのネットワークの途中の段階ですから、今日のような渋滞状況が起きておるわけでございます。  そういうことから、早くネットワークの完成ということで、新線の建設を抜本策としてやっておるわけでございますが、そう言っても新線の建設はかなり日時を要するわけでございます。今ある二百キロの高速道路をいかに効率的に使うかということを考えていかなきゃならない、渋滞状況でうまく使っていかなきゃいけないということで、御指摘のように上がっちゃったけれども、渋滞でもう出られないというような形は何とか避けなきゃいけないということで、首都高速が今どういう状態で使われているかという情報についてはできるだけきめの細かいものをこれからつくり上げていきたい。従来とも交通管制システムは逐次年を追ってレベルアップしております。昭和六十年には平河町の管制システムが完成しまして、システム60の今立ち上がりの途中でございますが、これによりましてかなりきめの細かい情報が流せるようになりました。けれども、この情報に対する一般のニーズといいますのは非常に切りのないものがあるわけでございまして、私ども粘り強くこの交通管制網といいますか、情報システムのレベルアップに努めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  そのほかいろいろ申し上げたいことがありますが、時間もありませんので、この程度で。
  213. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  214. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私も、まず当面の地価土地問題で質問をいたしますが、十二日の臨時行政改革推進審議会の当面の土地対策答申、それを受けて政府が本日対策要綱を閣議決定をしたところでありますが、まず国土庁長官に率直なところを尋ねますけれども、この答申なり、公式には政府としての対策要綱は本日決まったことではあるけれども、大体もうその内容は前々から報道もあったということで、一体国民やマスコミがこうした答申なり政府の方向についてどういう気持ちを持って受けとめておるか、どういう御認識でしょうか。議論の前提ですよ。
  215. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 国民がどういうふうに受けとめるかということですが、今、地価対策に一生懸命取り組んでおるということをお認めいただけると思います。
  216. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 一々挙げるまでもありませんけれども、いろんな新聞の報道なんかを見ましても、従来言われてきたことの羅列ではないかと、さっきもあった対策は遅きに過ぎたのではないか。いろいろ書いてあるけれども、中曽根内閣としての今日までやってきたことについての反省が出ていないという、こういうことが多々出ているというふうに思われませんか。  一つだけ紹介をしておきますと、先日、これは十三日付ですけれども答申の出たその段階ですが、こういう評論が出ています。   地価高騰に泣き、税の負担増に怒る一般国民の目から見ると、なんとも不思議である。   地価狂乱は二年前から始まり、大都市圏では周辺住宅地までがほぼ一巡、土地投機で大もうけをした個人、法人は、いまニンマリしている。   「何をいまごろ……」というのが実感であろう。しかも、答申をもらわないと、政府は機動的に有効な対策を打ち出せないのだろうか。これでは、なんのための政府がということになる。   疑問は、まだある。こんなデタラメな土地転がしや投機的取引で年間に二倍以上も暴騰した地価に対し、これ以上の値上がりを抑えたいというだけですまし顔をされたのでは、たまったものではない。元の水準に戻そうという強い姿勢と決断が政府にあるのかどうか。二年前の地価水準ですら、限界を超えた高地価であったのだ。  先ほど来の論議で、天野建設大臣は、かねがね私の持論だけれどもということで、今度の政府のこの要綱についても不満があると、閣議でも何回か、一体高値安定じゃなくて地価を下げるというところまで踏み込んでいく、そういうつもりはあるのかという発言もしてきたというふうにおっしゃっておったわけですけれども、もう一遍念のため確かめるようですけれども、建設大臣の真意はどうなんでしょうかね。
  217. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) そのとおりですよ。絶対間違っておりません。高値安定で済むことではありません。地価を下げることが目的なんですが、手ぬるい手段では下がらない、本気になってやるんなら全力を尽くしてやるべきではないかと主張したんですが、末期的になってから、中曽根内閣ですよ、一生懸命やろうということになって今やっているようですから、何ぼかはひとつ形をつけて私たちも退陣したいと考えております。
  218. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは国土庁長官は今の核心の問題、この高値安定で安定すればいいということにとどまらず、異常な高値、これをもっと下げると、ここへ国として踏み込んでいくべきだというこの問題については、国土庁長官はどういうお考えですか。
  219. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) まず大前提といたしまして憲法の第二十九条に国民の財産権というものを保障しております。これは我が国は共産主義の国じゃございませんから、そういうことになっておるわけですね。  それで、今、地価高騰したというのは、先ほどからも申し上げておりますように、急激にしかも一部のところで起こったと。それはなぜ起こったのかというのは、ビル需要が急激にふえた、国際化、自由化、情報化、こういうことなんですね。だから、これに対して需要を追いつかせなきゃならぬのですが、なかなか急には追いつきませんけれども、これはもう最大限の努力をして、国公有地等のさらに有効な活用だとか、さらにはこの周辺における横浜とかあるいは千葉においても新しい受け皿になる業務都市も今育成しつつあります。そういうことでございますし、もう一つは、金余り現象によって土地を商品として転がすことによって利益を得ようというふうな一部行為がございましたから、これを封ずるためにいろいろ監視区域とか、それから重課税を課するとか、こういう方向を打ち出してただいまやっておるところでございます。
  220. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで、私がずばり問題の核心ということでお尋ねをしておるこの高値安定で安住するんじゃなくて、下げるというこの方向へ政府としては踏み込んでいくべきだというこの問題について、国土庁長官はどういうお考えですか・
  221. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) もちろん高値安定ということではなしに、下げるような方向に、供給面とさらに規制面と両方あわせまして最大限の努力をしてまいるつもりであります。
  222. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで両大臣、表現はそれぞれの個性の違いはありますけれども、高値安定にとどまらず下げるという方向へ踏み込んでいくべきだということは共通して申されるわけでありますけれども、具体的にそれを進めていく当面のかぎとして何が大事かというふうにお考えになるのでしょうか。
  223. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、当面の対策と言われても、きょう閣議決定した答申案ではなかなか時間がかかります。そうですから、私今個人的に主張してきた問題が、国土庁中心で取り上げておる東京駅周辺の再開発という問題を早く手がけて、どんなに遅くとも来年は着工できるような段階に持っていく。その発表をこうやるんだという確実に発表すれば、地価の動向は一応停止すると私はそう思っております。そうですから、これを発表して急速に動いて、ここ一両年のうちに不動産屋が建てるビルディングよりもこっちのビルディングの方が早く建つような格好に持っていけば、大丈夫相当の期待ができるんじゃないかと考えております。
  224. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 国土庁長官、どうでしょうか。
  225. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 先ほどからお答えしたとおり、地価対策としては供給とある程度の規制ということと両面によって対策は立てられると思っております。  特に、地価を引き下げるためには供給面についても十分これから努力をしてまいらなきゃならぬというふうに考えております。
  226. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 その供給面はどうやってつくり出していくのが当面のかぎとお考えですか。
  227. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 供給面といいましても、ビル需要あるいは住宅需要、いろいろあるわけであります。中長期的にはさきに発表いたしました四全総によりますように、多極分散型の国家というものを目指して余り一極に集中しないように、こういうことを目指していくのが本当の姿だと考えておりまして、ぜひこの四全総の姿に日本の国土を持っていきたいというふうに考えております。  なお、一部集中しておりますこの現象に対しての対策は、先ほどから申し上げたとおりであります。
  228. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私は、今両大臣がおっしゃるような、これが地価引き下げへ踏み込んでいく、またそのことをつくり上げていくかぎだということでおっしゃっておるその内容で、果たしてそういう方向に日本の土地政策は進んでいくんだろうかということで大いに疑問を持たざるを得ないんです。  実は、私ども共産党としては九月の二十五日、地価問題への緊急提言、五つの柱でありますけれども、これを発表しておりますので、当然関係の深い両大臣初めとして両省の幹部の皆さん方、ごらんをいただいておることと思いますが、一つはきょうもいろいろ出ております、土地投機を禁止し、地価を凍結する問題ということで、東京都心を直ちに国土法の規制区域にする、悪質地上げ行為への厳しい対処土地融資規制土地転がしに一〇〇%課税をする問題などを含めた、こうした土地投機の禁止、地価の凍結。第二の柱として、国公有地の民商売り払いをやめ、都市での国公有地・生活用地を拡大をする。第三の柱、民活・東京集中政策をやめ、オフィスビルの集積を規制する。第四、固定資産税の評価がえを凍結し、宅地にかかる相続税を軽減する。第五、土地委員会を創設し、土地利用の民主主義を打ち立てるという五つの柱でありますが、とりわけ二番目の柱に関係をして、もちろん言われておりますようにこの国公有地、それを民間に高ければよいということで大売り出しをする、こういうやり方はきっぱりやめなくちゃならぬというのはもちろんのこととして、先ほどの議論で天野建設大臣は、需要と供給のバランスというか、供給を豊富にする必要があるということを言われました。どこにそれを求めていくのかということで、それはなかなか簡単ではないんだとおっしゃるのだけれども、しかし、やろうと思えば今こそ目を向けるべき問題があるんじゃないかというのを私どもはこの政策で提言をしてきたつもりであります。  具体的には、大企業が保有をしております遊休地、私ども調査では、三井不動産、首都圏に四百万平米、三菱地所、同じく三百万平米、大林組が五百五十万平米、大手の私鉄各社合計で三千万平米、こういう広大な未利用地がある。この問題にこそ今目を向けて、もちろんただで取り上げるというようなそんな乱暴なことを言うものではありません。それを適正な価格で、そして自治体に対してもそれの先買い権、こういうものを保証をして、そのことによって土地の供給をふやして地価の引き下げの条件をつくっていくという問題とか、あるいはこれはとりわけ建設大臣の権限と指導下の問題になろうかと思いますけれども、いかにして低家賃住宅をふやすか。ところが戦後の推移を見ますと、むしろイギリス五九%、西ドイツ四二%に対して日本は九%というこういう戦後の公共住宅、ここから出発をして、まあ一定の努力がやられた時期はありますけれども、近年はどっちかというと住宅金融公庫融資に依存をしてマイホーム建設、ここに偏っていく、こういう傾向が出ている。この問題にももう一遍目を向けて低家賃の公共住宅、これをいかにふやすかという問題にこそ目を向けるべきではないかとか、あるいはさらに用地の問題に関係をして、東京、神奈川、埼玉、この三都県だけで米軍、自衛隊の関係で三百九十八カ所、五千六百九万平米、これだけの用地を持っておるわけでありますけれども、一部米軍から返還をされた場合にそれが本当に国民の生活用地に転換をされるんじゃなくて、その跡にどっかりと自衛隊が居座るという例がもうほとんどであります。こういう問題にも目を向けて、本当に国民のためのそういう生活要求をいかにつくり出すかという、ここに本当に地価の引き下げに向かつて我が国の政策の前進を図っていくということであれば、どうしてもその問題を一つ検討の俎上に上せるということが避けられないんではないかというふうに私は思うんですけれども、両大臣、御見解はどうでしょうか。
  229. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) まあ共産党さんの御意見として承っておきます。
  230. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) なかなか、例えば一つの例として、大企業が持っておる土地といったその土地がどんな土地であるか、これは私の知っている範囲内では、東京都内の中にすぐ使えるという土地は少ないんじゃないかというような感じがしているんです、これはよく調査しないとわかりませんがね。それだって、私権の問題がありますから、なかなか使いたいと言ったってそう簡単に使えるものじゃないと思うんです。そうですから、そこらあたり非常にいろいろ御意見もございましたけれども、皆私権との関連が出てきますからそう簡単にできるというものではないと思いますが、できるものについてはできるだけ勉強して努力をいたしたいと思います。
  231. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 先ほど私が大企業について数字的な例も挙げて申し上げたのは首都圏に保有をしておる遊休地と、こういうことで私どもの調べに基づく数字を申し上げたんでありますからよく御参考にしていただきたいというふうに思うわけであります。  それでこの私権云々の話がありますけれども、しかしこれ先日も建設大臣も御出席でありましたので御記憶と思いますが、NHKで放映をされましたヨーロッパの住宅土地政策、この問題でも出ておりましたように、ヨーロッパの国々ではもう六〇%、七〇%、半分以上はこれは公有地として確保すると、大都市においては、という原則で押しなべてそれらの国々ではやっておるというのに比べて、日本の場合には非常におくれた姿になっているというここの問題を大いに今こそ反省をして、大臣は東京再開発構想と、こうおっしゃいましたけれども、やっぱり東京集中主義、これが地価ラッシュをつくり出した一つ原因にもなってきたので、私は大臣のその考え方においそれとちょっと賛成するわけにはいかないということで、ぜひ御提案を申し上げておるそのことをよく検討の俎上にひとつ上せていただくように改めてお願いをしておきたいというふうに思います。
  232. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) いや、東京集中になるというような話ですけれども、今先生の言っている土地全部取り上げてやったら、それ東京集中ではないんですか、何もここで反論するわけではありませんが。そこはどうなんですか。
  233. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 私の言っている東京集中は大企業の手による東京集中政策、ここが今日のこの異常な事態を生み出したわけで、ここを改める必要があるということを申し上げておるんだということで御理解を願いたいと思います。  さてそこで、この問題だけやっておるわけにはいきませんので次の問題へ進みますけれども、こうした地価暴騰と連動して昨年末の地代家賃統制令廃止に便乗した地代家賃の大幅値上げ問題が今起こってきています。昨年十二月十二日の当決算委員会で私の質問に対して建設省の住宅局長は、統制令撤廃を理由に非常識な大幅値上げは許されない、当事者間の十分な話し合いによる結論を望むと答えられているんでありますけれども、現実には京都では十三倍の家賃値上げ、五十倍の地代値上げ、こういうものが起こっておるということを昨日当局にも資料をお渡しをしておきました。事実であります。これは明らかに非常識な値上げであり、こうした点についての是正方を指導をしてもらいたいというふうに思うんですが、どうでしょうか。
  234. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 地代家賃統制令関係につきましては、統制令廃止以後地方公共団体におきまして相談体制をつくっております。その相談の状況につきましては、統制令が廃止された直後、六十二年の一月から三月にかけましては月当たり件数が大変多うございまして、月当たり五百件前後ということで推移してまいりましたけれども、その後件数は減少してまいりまして、八月では百五十八件というふうに減っております。この相談件数の中身でありますけれども、その相談者の属性を見ますると、借り主関係が六割、それから貸し主関係が四割、六対四という関係で相談が来ております。相談の内容はやっぱり賃料相談というのが圧倒的に多うございまして七五%、こういう状況でございます。  それで、具体的なその相談の中身でございまして、その賃料の質問につきましては、具体的相談の件数から見ますると、二倍から三倍程度のものが圧倒的に多いと。中に京都府におきまして倍数が七倍という相談があり、市におきましては二十倍という相談がございました。しかしながら、これらはいずれも当事者間の協議によって決まるものでありますので、当初の相談が来た以後、その後どうなったかということについて継続的な形でもってトラブったという話はどこも聞いておりません。ただ、先生指摘の十二倍と五十倍につきましては、電話でそういうことがあったという連絡があっただけで、具体的な相談案件にはならなかったと、相手がよくわかりませんと、こういうことで途絶えたそうでございます。  なお、こういう便乗値上げが、昨年のときにも御答弁申し上げましたが、やはり当事者間で相談をして協議して決める性格のものでありますので、適正にすべく私ども地方公共団体の窓口を通じまして指導をしているところであります。
  235. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 電話で苦情の申し込みあったけれども、相手の方が言うならば居所不明なんですね。家主がたな子に言うたのではもう余りにもちょっと非常識だというのであろうか、日本家主協会というところを代理者にして、そこが文書でお渡しをしておるように十三倍と五十倍の値上げの通告書を送り届けてきておるわけです。とにかくそういうのが文書で出ておることは事実なんですから、十三倍、五十倍というこの値上げというのは余りにも非常識じゃないか。  それからもう一つ、あの決算委員会で確認をされた値段の問題は、当事者間でよく話し合って結論を出すというこの方針に照らしても、ちょっとおかしいんじゃないかという、ここらの問題についてよくひとつ調べてもらって、必要な指導をしていただきたいというふうに思います。
  236. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 十分調査をいたしたいと存じます。
  237. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次の問題は、ずっと議論ありますように、市街地では地価高騰、ビルラッシュ、こういうことによって破壊をされていく。一方山間部では、過疎地振興に名をかりた乱開発が今日いろいろ起こっているんです。その典型が今京都市で言いますとその最北端、滋賀県の西北の県境、そこに近い大見という地域で進められている開発事業であります。確かに道路の整備とか医療、教育施設の充実などは過疎地地域住民の強い要求でありまして、それを基本にした開発構想を当初は京都市もかつてはつくっていた。それが近年、大量の土砂投棄、盛り土をして谷間を埋めて、そこに公園をつくろうと、こういう計画が一方的に打ち出されて、今住民の間で問題になっているわけでありますが、そこで、林野庁おられますか。昭和五十六年六月この大見開発に関連して京都市から保安林解除の申請が出されていますけれども、それは今言いました大量の残土投棄をする搬入道路建設が目的ということで明記をされておったんでしょうか。
  238. 杉原昌樹

    説明員(杉原昌樹君) お答えいたします。  昭和五十六年の六月、道路用地のための保安林解除申請が京都市長からなされております。私どもその案件につきましては、その後解除申請が取り下げられております。当時の申請内容は京都市の市道の建設整備のためのものであったというぐあいに承知しております。
  239. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そういう大量の残土投棄をするということは、申請が出たその段階では明らかにされてなかったと。そして一方、保安林解除の申請が出て、その決定以前に着工が始まると、道路の。それが森林法違反だということで昨年の十一月大阪の高裁でそういう判決が出ているわけですね。
  240. 杉原昌樹

    説明員(杉原昌樹君) 先生指摘のとおり、京都市案件でございますが、昨年の十一月大阪高等裁判所で判決がなされた事実につきましては、京都府を通じて承知しておるところでございます。
  241. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 だからこそ京都市昭和五十七年の二月この保安林解除の申請書を取り下げているわけでありますけれども。このほかにも申請書では残土投棄について住民の同意を得ているとかの虚偽の記述、それから一方的な地目変更がやられたなど多々違法性が明白になっていると思いますけれども、こうした京都市の強引な開発行政、建設省御存じでしょうか。
  242. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 御指摘の大見公園につきましては、京都市が市北部の過疎化に対処するために計画した北部周辺地域整備事業、その一環としまして昭和五十五年に大見公園の都市計画決定が行われております。したがいまして、その内容というか問題点等はおおむね聞いております。
  243. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、おおむね聞いている、それを妥当と思っておられるんでしょうか。それとも内容は余り子細に知らないということでしょうか。
  244. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) 都市計画決定されておりますけれども、例えば具体的に補助金の申請とかまだそういう段階に至っておりませんから詳細にはわかりませんけれども、今お聞きしている範囲内では先生指摘のような問題がございまして、当人見公園につきましては、昭和五十七年度から市が学識経験者等から成ります調査委員会を設けまして環境影響調査を行ったと聞いております。  その環境影響調査ではその周辺の自然環境だけでなくて、安曇川と申す川でございますね、安曇川とか琵琶湖の水環境並びに今お話しありました運搬車通行にかかわる沿道の生活環境というふうなものも調査対象になった。その結果に基づきまして現在市は文化財の保全、水質の確保等々の対応策を検討しておるというふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、建設省としましてもその市の検討しておられることを見守っておるということとか、あるいは必要に応じまして報告を得まして指導してまいりたいと考えておる次第でございます。
  245. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 この当初の計画よりエリアも縮小をする、それから文化財保護についてもいろいろ対応を検討していくというふうに聞いているということでありますけれども、縮小をするといってもこれは相当のものなんですね。十一トンダンプが一日八百台往復、これ大まかに夜中や早朝は動かさないということで十四時間一日動かすと計算しますと、一時間に五十七台、一分間に一台という速度でダンプが行き来するんですよ。そして四十五メートルの谷に盛り土をするということでやるわけですけれども、その通過地域というのは御存じの三千院とか寂光院等々国宝クラスの文化財多々ある地域、ここをがあっと往来をするということで住民からの強い不安が出てくもというのはこれは当然であります。  また、今も言われたように、この地域というのは滋賀県民の生活に大きな影響のある安曇川の源流。深刻な汚染のおそれがあるということで高島郡の六つの町村議会、これが挙げて反対決議をしているということで、先日私も現地を見たんですけれども、公園をつくるのになぜこんなに大量の盛り土をしなくちゃならぬのか。むしろ自然を生かして、山並みを生かして公園の建設をやろうと思ったらそれで十分できるのじゃないかというので、なぜそういう大量の残土投棄までやって無理な工事を進めるのかという、ここが住民の中で疑問になっているわけですね。  ですから、いずれ公園ということになりますと、その段階で国の補助をどうするのかということで検討の機会が出てくるかと思うんですけれども、その時期ではもう事が相当進行して手おくれになるということになってもいけないと思いますから、本当に自然の環境とそれからそうした文化財保護、こういう角度から十分住民合意の上に事が進められるように、建設省としてひとつ注意を向けていただいて、必要な助言指導を自治体側にやってもらいたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
  246. 木内啓介

    説明員(木内啓介君) ただいまのところ市が環境アセスメントに基づきまして市独自でいろいろ対応しております。それを見まして、報告をお聞きした結果もし不十分な点等がありましたら、私どもの方でも注意してまいりたいと思います。
  247. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 次の問題は、この機会に文化財の関係でもう一言ただしておきたいと思いますが、文化財保護法によって伝統的建造物群保存という制度があります。これは例えば秋田の角館町とか原木曾の妻籠の宿、京都の祇園新橋あるいは萩市の武家町等々、全国に著名なところがあるわけでありますけれども、全国で七十八地区を調査をして現在二十五地区が重要伝統的建造物群保存地区ということで選定をされております。  乱開発から日本民族の文化財を守っていくという点で意義のある事業だというふうに思うわけでありますけれども、そうした角度から、先日全国で三十市ほどの自治体が加わった歴史的景観都市連絡協議会、ここの名前でも要望書が国に対して出ております。この伝統的建造物群保存事業のより一層の充実ということで対象の拡大、補助金の増額など。それから税制の改善ということで固定資産税に見合う交付税措置や相続税の減免ということなど出ているわけでありますけれども、こうした問題について文化庁として基本的にどう対応する意思が、まずお尋ねをします。
  248. 吉田靖

    説明員吉田靖君) お答えいたします。  対象の拡大につきましては、重伝達の保存地区を今後もふやしていって保存すべきものはそれに加えるよう努力いたす所存でございます。  それから税制につきましては、御指摘のように今のところは何も優遇措置はございませんが、これも有利な取り扱いを重伝達地区につきましては受けられるよう検討中でございます。これは御承知のように住民の合意というもとで地元の市町村が私どもに選定を申し出いただいて、私どもはそれを受けて選定をするという制度でございますので、とにかく向こうからのアクションがあれば私どもはできるだけその保存に努めるように努力いたす所存でございます。
  249. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それで具体的にお尋ねをしますが、京都市について言いますと既に三つの地域が重要保存地区として指定をされて、さらに調査中というのが上賀茂、鞍馬、伏見の酒蔵地域というのが調査が行われているわけでありますけれども、そのうち上賀茂の地域については、かなり重要保存地区として選定する条件も成熟しつつあるというふうにも聞くんでありますけれども、今のお話の京都市側から要請があれば文化庁としてはひとつ積極的にそれに対応をするという努力をしてもらえるでしょうか。
  250. 吉田靖

    説明員吉田靖君) 上賀茂地区につきましては、これは京都市都市計画決定のもとで地区を決定するわけでございます。それはまだ私どもの方に届いておらないわけですが、そのような地区を決定し、さらに保存計画を立て、私どもに選定の申し出があれば、それの内容検討し、妥当であれば保存を前向きに検討したいと思っております。
  251. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 それでは最後に、沖縄開発庁決算審査対象に入っておりますので、沖縄の教育の問題で、この九月の三十日から三日間、日本共産党として教育調査を行ってまいりました。若干の質問をしたいと思います。  沖縄では戦後広大な土地を米軍に占有されてきたことによる用地不足から、マンモス校が非常に増大をしている。特に小学校について言えば、三十一学級以上のマンモス校が最高時全学校の一四・五%、昨年五月現在でなお八・〇%ということで、全国平均の三・四%の二倍以上という姿になっています。このマンモス校解消のために重要なのが用地取得でありますけれども政府としてはどういう対策をとっているんでしょうか。
  252. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) 過大規模校の問題でございますが、先生指摘のとおり、沖縄県の場合には過大規模校、小学校の場合に現在、現在といいますか、昭和六十一年五月一日時点で小学校二十一校、全体の八%、中学校の場合には七校、四・五%でございます。小学校の場合には全国平均の三・四%をかなり上回っておりますが、中学校につきましては全国平均五・八%でございますので、それを下回っている状況にございます。復帰時に比べますと、復帰時点では小学校では三十四校、一四・五%、中学校で十五校、一〇・一%でございましたので、それから比べまして復帰後、県及び市町村の御努力によって過大規模校の解消が着実に進んでいるというふうに考えられます。  過大規模校の分離新設でございますが、従来から建物につきましては沖縄振興開発特別措置法に基づきまして高率の補助をいたしております。また、用地につきましては児童生徒急増市町村等公立小中学校規模適正化特別整備事業費補助という形で、その対象として整備を促進してきたわけでございますが、今後とも県、市町村の計画に十分配慮しながら過大規模校の解消にできる限り努力してまいりたいというふうに考えております。
  253. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そこで、現在沖縄に対しては校舎建築、義務制、高校を含めまして校舎建築については本土の場合の補助率よりも少しかさ上げをした補助を沖縄に対しては、他の事業の分野でもそういうものが幾つかありますけれども、やっている。ところが、マンモス校解消のために非常に決め手になります用地取得費、これについてはそういう補助率のかさ上げ措置がないという、ここがなかなか財政的に県や市が難渋をしている問題なんですね。ですから、この問題について校舎建築の場合と同じような、沖縄の戦後たどってきた特殊事情、これからの特別の措置というものは考えられないものか、この点どうですか。
  254. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) 学校用地でございますが、非償却資産でございますことから、その取得には起債等による設置者負担が原則となっております。ただ、過大校、過大規模校の分離に伴う新設校の用地取得費につきましては、過大規模校が教育上さまざまな問題を有していること、それから児童生徒急増の市町村等におきましては財政負担が一時的に集中するということに着目をいたしまして、四十六年度、復帰の直前でございますが、全国的に時限的な臨時特例の補助制度として設けられたものでございます。このような制度趣旨から申しまして、御指摘のような沖縄の特殊事情ということで特別に補助率を引き上げるということはなじまないものと考えております。  なお、この補助制度の裏負担分でございますが、その九五%について全額政府資金による地方債が充当されております。残りの五%分と元利償還分の六〇%について地方交付税の基準財政需要額に算入されることになっておりますので、実質的な市町村の負担は用地等の三割程度ということになっておりまして、市町村の負担軽減に十分配慮された内容になっているというふうに考えております。
  255. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 そんなことは長い説明をしてもらわなくても、あれじゃないですか、起債の後の交付税の裏打ちのそういう保証の問題なんかは沖縄だけにやっているんじゃなくて、ほかの本土の関係についてもやっているわけでしょう、過大規模校解消のときの用地取得費について。だから、それは同じことなんで、建物について沖縄については少し高率の補助を出すと、こういうことをやっているんだから、校地についても、用地についてもそういうことができないものなのか、そこを検討してみたらどうだという、ここを聞いているんです。  そこで、沖縄の本土復帰対策第三次分として、昭和四十六年の九月三日の閣議決定によって米軍の用地接収、ここにかかわって提供施設代替借用校地購入費補助制度二分の一国庫補助、こういう制度がつくられてきたわけです。しかし、米軍の直接接収ではないけれども、沖縄の戦後の、戦場となったあの直後の混乱しておるああいう状況のもとでは、一々地主との了解もないままにとにかく学校をつくらんならぬということで学校がずっと始まったというところが歴史的に幾つかあるわけですね。だから、こういうところについては、さっきの代替用地に対する補助制度、これとひとつそういう角度からこの問題を考えていくことができないのかという問題などがあるんです。私は何もこれでやりなさいということで限定的に言うものじゃありませんけれども、ぜひこの沖縄の過大学級解消促進の方策について、それを今何とかという答えを出すということは難しいにしても、将来に向けての勉強課題として、ひとつ研究をしてみることができないかという点についてはどうでしょうかね。
  256. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) 御質問の点でございますが、御質問にありましたように、確かに提供施設代替借用校地購入費補助という制度がございますが、これは米軍に学校用地を接収された学校で、代替として校地を借用している学校について……
  257. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 ちょっと時間が迫っておりますので、それ私言うたんだから、私の言うたことは繰り返さぬでもいいです。わかっている。
  258. 塚越則男

    説明員(塚越則男君) はい、関連いたしますので。  その関係で設置者が校地を買収するというときに使われるものでございますが、御質問のように米軍により接収されたものじゃなくて、ただ戦後の混乱期に学校を急いでつくらなければならないというようなことで設置者が地主の承諾を得ないままに学校用地にしておって、それを後から賃貸借契約を結んで借用校地として使用している学校がございます。これにつきましては、かつて那覇市等から用地取得費の国庫補助について要望が出たというふうに聞いておりますけれども土地の所有関係が明確になった後では通常の賃貸借契約に切りかえられておりまして、本土各県の一般の借用校地と同じ形になっているということでございます。  それからまた、沖縄の中でも、従来から単独事業でもってこうしたものを買い上げてきた市町村がありまして、それとの権衡上問題があるというようなことから、特別の補助制度を設けることは適当でないという結論が出たところでございます。  用地費の取得につきましては、いずれにしましても非償却資産ということで、原則として設置者が起債等によって取得するという原則がございまして、それに対して教育上の配慮から特別に分離新設の場合に特別の制度が設けられているということでございますので、沖縄の場合、沖縄の特殊事情ということでやることにはなじまないというふうに考えております。
  259. 佐藤昭夫

    佐藤昭夫君 もう時間が迫っておりますので、最後に沖縄開発庁の責任者でもあります綿貫長官にまとめてお尋ねをしたいと思いますが、私は、例えばという一つ考え方として言ったわけで、何もそれに限定をして言っているわけじゃないが、建物に対して高率補助をやっているんだから、用地についても全くできないわけじゃないだろうと。それを何とか方法を研究するわけにはいかないのかということを言っているんです。  それからもう一つは、沖縄での重要な問題は、基地周辺の軍用機の爆音による騒音問題。ひどいところに行ったら、四十五分授業の間で七回爆音で授業が中断する。だから学力の低下は起こるわ、情緒不安定になるわと。で、もうやむを得ず二重窓による防音装置。そうすると、暑いわけですから冷房を入れる。こうなると今度はもう冷房で風邪ばかり引いて、虚弱化する。冷えを防ぐためにじゅうたんを敷けば、そこにダニやシラミが多発するということで、その点からも基地を撤去する以外に根本解決はないということですけれども、そういう中で難行苦行の学校の姿になっているわけですね。  そういう中で、普天間基地のすぐ横手に、滑走路の横に第二小学校がありますけれども、もういっそのこと学校を移転しようというような問題が持ち上がっているんですけれども、なら移転した跡地は米軍の基地としてまた使うよということで、住民との間の完全な合意ができない。そうであれば、とりあえずそこは防音装置が今ついていませんから、せめて当面の対策としての防音装置をつけんかということについて防衛施設庁は、そんなのはお金のむだになるからということで、そんなことはできませんと、こう言っているということで、なら移転の問題が仮に決まっても、そんなもの早くて二年ぐらいかかるでしょう、学校つくるのに。その間子供が騒音で四十五分に七回も授業が中断しなくちゃならぬと。そんなこと言ったって知るかと、構っていないということで、果たして子供の問題は済むだろうかということで、もともと日本の学校であったそれをアメリカに接収されたと、それを返してもらうためにということで、日本国民の税金で、アメリカ軍の子供のための学校を基地の中につくっているわけですね。二十億これでお金をつぎ込んでいるんですよ。このごろは二十五人学級です。アメリカの子供にはこんなにサービスをして、日本の子供に何と冷たいのかという気持ちが起こっておるわけですよ。  だから、もう時間迫っていますので、申しわけないんですけれども長官、大きく二つの事例といいますか、過大学級の問題、学校の問題とそれから防音対策の問題と、こう申し上げたけれども、よくひとつ研究して、知恵集めて何とか、日本の子供には何と冷たいかということで政府に苦情が向かないような温かい援助策を、ひとつ長官ぜひ御努力を願いたい。どうでしょうか。
  260. 綿貫民輔

    ○国務大臣(綿貫民輔君) 普天間第二小学校の問題は、設置者であります宜野湾市その他で前向きにいろいろと御努力いただいておるところでございまして、それを十分サポートしていきたいと思っております。  その他の御意見につきましては、共産党さんの御意見として承っておきます。
  261. 抜山映子

    ○抜山映子君 最近、東京都の地価暴騰に伴いまして、公団住宅やマンションを購入するに当たりまして、抽せんでなければ購入できないという事態が生じております。ちなみに東京都における住・都公団の分譲住宅の募集倍率ですね、その高い団地の例を申し上げますと、第一が光が丘パークタウン春の風公園街、これが倍率が平均で二百七十八倍でございます。次に小山田桜台、これが二百五十一倍、エステート大南公園、これが百七倍、こういうような状態になっております。  で、トップに位しました光が丘パークタウンでございますけれども、それでは過去はどういうことになっておるかと申しますと、光が丘パークタウンにおける分譲住宅の応募状態の推移でございますが、大通り南、これが六十年五月三十一日から六月九日、この募集期間で倍率がゼロでございます。次いで大通り南の三次募集ですが、これが六十年七月十二日から七月二十一日の募集で倍率がゼロでございます。次いで、いちょう通り八番街、これが六十年十一月二十三日から十二月二日までのが三・三倍、次いで、いちょう通り八番街二次募集、六十一年一月十八日から一月二十七日、これが三・三倍、その次、四季の香弐番街、いよいよこれが地価暴騰のシーズンに入ってくるわけですが、六十一年十二月六日から十二月十五日、これが十五倍でございます。そして一番最近の春の風公園街が六十二年七月四日から七月十二日、これが二百七十八倍と、こういうような数字になってきておるわけです。  こうなってきますと、これは恐らく業者もまじっての応募になってきておるんではないかということが疑われるんですけれども、建設大臣にお伺いしますが、過去いわゆる本当の需要者でない者が応募するのを排除できるようにどのような対策を講じてこられたのでしょうか、お伺いいたします。
  262. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 公的住宅、公庫融資住宅あるいは公団分譲住宅等の申し込みに当たりましては、みずから居住というのが条件でございまして、そのためには住民票をまず添付させて、それの審査をすることによって、みずから居住の人になるように配慮をしてきたところであります。  最近特に応募倍率が上がってまいりまして、そういうみずから居住の方々に的確にいかないのではないかというような御指摘もありましたので、今回、最近に至りまして、特に申し込みに当たりましては、案内書にまずみずから居住が条件であるということ、またみずから居住しない場合につきましては、公庫融資につきましては繰り上げ償還、それから分譲住宅につきましてはこれは買い戻し特約づきであると、こういう条件がついていますよと、こういうことをまず事前に十分周知いたしまして、さらに申し込み書に当たりましては住民票等を通じまして厳重に審査をする、特に名寄せを行う。例えば不動産会社の同一企業の方々が、社員の中にあってそれぞれが申し込むというようなこともありますので、そういうことの防止のために名寄せを行う等のことを行いまして厳重に審査をする。そういうことを行いますとともに、また融資後におきまして、あるいは分譲後におきまして必要に応じまして実態調査を行いまして、そういう違反者に対しましては必要な措置を行う、こういうふうなことにしているところであります。
  263. 抜山映子

    ○抜山映子君 この傾向は単に公団だけではなくて、一般民間業者が売り出しておるマンションについても、不動産業者がアルバイトなどを雇って申し込みをしているという事例が大変多いように思います。これは電話問い合わせによるものですが、スカイシティー南砂というのは、これが募集しましたところ百四十倍でございます。新松戸というマンションが二十一倍、こういうようになっております。このような、今おっしゃったようなことだけで本当に効果が上がっているのかどうか、この倍数を見ただけではやはり私は疑わしいのではないかと思いますけれども、大臣にぜひお答えいただきたいのですが、今後どのように対処していただけるのか、大臣としてのお考えをぜひお願いいたします。
  264. 天野光晴

    ○国務大臣(天野光晴君) 私、個人的な話になりますが、ある人に頼まれまして、三井不動産が建設を、もう大体できたんじゃないかと思いますが、大川端開発、石川島播磨造船所を中心としたあの地域開発でありますが、なかなか倍数が多いので何とも困るから、ひとつあなたの顔で何とかならないかといって頼まれました。頼まれたのを断るわけにはいきませんから、私は三井不動産に電話をかけて、当時の社長坪井さんにどうなっているんだいと聞いたら、いや、悩みの種で困っているんだよと。どうしたんだいと言ったら、いや、何百倍だか見当がつかないと。そして、私の方では抽せんて決めるんだから問題はないが、抽せんに当たった人が住んでもらわれるならば結構だが、それでない者が住むということになると、これは非常に問題であると。どうも同じ業界の者が大学等の学生を動員して、そして申し込んでいるやの向きも相当あるようだと。私のところで、今政府の協力を得てやっている団地が値上がりの競争に参加するような格好では困ると思うので困っていますという話でした。  だから、とても頼みようも何もないから私はそれで打ち切ったわけでありますが、分譲しないといったら、それは賃貸きりないんじゃないかと、私はそう言ったんですがね。そのちょうど五日目ぐらいに、三井不動産の当時の会長の江戸さんと坪井社長ですが、きょう実は株主総会がありまして、我々皆交代しましたと。私は相談役になって、私は会長になって、新しい社長の田中さんという人を連れて私にあいさつに来ました。そこでの話では、きょうの株主総会で分譲を取りやめて賃貸にしたという報告を受けました。これは、佐藤さんに言わせると罪悪の根源みたいなものだけれども、大企業、大変理解のある始末をしたなという感じをいたしております。がしかし、これは合法的であります、日本の法律では。合法的ではありますが、決して結果からいっていい措置ではないと考えております。  こういう点について、マンションをやる業者に対しての扱い等もございまして、それに対しより指導をするというような格好もありますので、それは事務当局の方に命じてあるのでございますから、詳細な点については局長から答弁をひとつお願いいたします。
  265. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 私どもは、公的住宅は住宅局長からお答え申し上げましたように制約がぴしっと法律でもございますが、一般の何の制約も一応ないものについて、およそ営業の自由との関係で不動産業者を全部営業から排除するということはなかなか難しいと思いますが、大臣がただいま申し上げましたように、明らかに転売目的で投機的に取得する、その結果直接に必要とする最終需要者の手に届かない、これは遺憾なことだと思います。  そこで、大臣の強い御指示もありまして、去る六月でございますが、私の方で業界団体に対しまして、このような行為を行うことのないように強力に指導をいたしまして、その際に、もし目に余るようなことがあれば厳正に措置するということもつけ加えでございます。それに対しまして、不動産業界の方でも対応していただきまして、去る九月の二十一日でございますが、関係九団体で適正な事業活動推進についてというお取り決めをなさいましたが、その中で、我々が供給する土地、住宅が不正な行為により転売目的で投機的に取得され、直接に最終需要者の手に届かない事実があることを憂慮し、このような投機的取引排除するというふうに業界みずからの方でも言っておられます。  さらに、これは九団体の申し合わせでございますが、その後、その中でも最も大手でございます不動産協会、社団法人でございますが、さらに今の取り決めを具体化するということで、これは十月一日付でございますが、いろいろ決めてございます。  先ほど住宅局長の方から公的住宅についての手法が説明されましたが、この方につきましても具体的には転売差益の確保を目的とする特定の業者等の介入を排除するよう万全の努力を払うということで、状況に応じ次のような措置を講ずるというような、いっぱいございますが、例えば申し込みの条件を明示して法人名義の申し込みは受け付けないとか、同居世帯については一住戸の申し込みとかいろいろあり、あるいは登録、申し込み、契約の段階で申込者の資格を確認する、いろいろ細かいことを決めて、先生のおっしゃるようないわゆるマンション転がしと申しますか、そういうことのないようなことを業界もみずからを正していくというふうな措置を講じておるところでございます。
  266. 抜山映子

    ○抜山映子君 大臣、長時間ありがとうございました。お引き取りいただいて結構でございます。  先ほど公団の方の御説明につきまして住宅局長が実態調査をして必要な場合に適当な措置と言われたか、必要な措置と言われたか、とりますと、このように言われました。その必要な措置とは、内容はどういう措置をおとりになるのでしょうか。
  267. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 購入者がその後におきまして、例えば個人の事情でもって、やむを得ない個人の事情、転勤でありますとか、そういうことでみずからが居住できないような場合につきましては、これはやむを得ないことでございますので、必要な手続をとっていただきましていろいろな措置を行うんですけれども、そういう悪質なものにつきましては、これ全悉皆調査は件数が大変多うございますのでできませんですけれども、必要に応じまして事務能力を最大限生かしながら必要数調べまして、違反をしている事実のある者がありましたならば、買い戻し特約というのを即金払いの場合については五年間つけておりますし、それから割賦償還の場合は十年間つけてございますので、買い戻し特約を執行する、こういうことでございます。
  268. 抜山映子

    ○抜山映子君 急な質問ですのでお答えいただけるかどうかわかりませんが、その買い戻し特約を発動された件数などはおわかりになりますでしょうか。
  269. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 数は把握しておりませんけれども、実例がございます。
  270. 抜山映子

    ○抜山映子君 恐らく件数としてはそれほど発動されていないのではないかと思われますので、そういうような措置についても今後厳しく発動されて、不正な業者などが入ってこないようにひとつよろしく御配慮をいただきたいと思います。  さて、最近非常に宅地が、土地が上昇したことから、売り出し価格はそんなに高くできないので建設資材の質を落として、特に一発屋と称せられるマンション業者が粗悪なものを建設している、こういうことを聞くわけです。こうした事態を防止するための建設業行政及び建設省としてこれまでどのような対策を講じてこられたか、お伺いいたします。
  271. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 建設業者が契約内容に従って建設工事を適正に施工するということは、これはもちろん大事な責務でございます。  そこで、私どもは従来から建設業界等を通じて指導を行っているところでございますが、特に先生がただいま御指摘の分譲マンションの建設に関しましては、かつてオイルショックの後にも似たような現象が実はございました。その際に業界団体に対して厳しい指導をしておりますが、その内容をかいつまんで申し上げますと、一つは強度、性能、精度等の品質を確保するよう十分な品質管理を行うなど施工管理を適正に行いなさい、それから下請業者に対する指導監督を適正に行いなさい、それから工事監理を行う建築士と十分な連絡調整を行うことなど、具体的な措置をとることを指導をしておるところでございます。
  272. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 建築行政関係につきましては、建築基準法におきまして建築物の構造でありますとか、材料の品質等につきまして技術的な基準を定めまして、これを遵守していただくことによりまして建築物の安全性の確保を図っているところでありまして、その運用に努めているところであります。
  273. 抜山映子

    ○抜山映子君 その工事現場に置かれる主任技術者とか建築基準法上建築物の検査を行う建築主事、そういうものの役割に期待しただけで今後そういうことの事態の発生を防止できるとお考えでしょうか。
  274. 牧野徹

    説明員牧野徹君) 主任技術者のお話がございましたが、これは建設業法上で明文の規定で定められておりますが、「工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの」だということになっております。任務の範囲は技術上の観点から建設工事の適正な施工を確保するということにあるわけでございます。  そこで、御指摘の安くて悪いということですが、これは念のためでございますが、やっぱり品質というのは、約束したどおりのものであればこれはしようがないと思うんですね。みんなヒノキで無節でつくりたいところを、お金がないから松とか杉とかというのは、これはやむを得ないと思うんですが、そうではなくて、契約した内容をさらに粗悪にするといいますか、そういう意図的に価格等で不誠実な行為をする、これはそういう現場に置かれる主任技術者だけでやるというよりは、むしろ請け負った建設業者全体に課された問題だと思います。  ですから、そういう意味で従来からも、先ほども申し上げましたが、建設業者に対してはそういう不誠実な行為がないように、もしやれば、これは建設業法違反ですから監督規定の発動になります。そういうことで、主任技術者も含めて請負業者全体として厳正な執行を図るべきだ、かように考えております。
  275. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 建築物の計画が建築主事によります建築確認をされました以後、その設計図書どおりにできているかどうかということを担保するすべとしまして二つございまして、一つは建築主が工事監理者を置かなければいけないことになっております。また工事監理者は、建築士法によりまして、その内容を設計図書どおりできているかどうかということを建築主に報告しなければいけない義務になっておりまして、その筋によりまして設計図書どおりできているかどうかということがまず一つ担保されます。  また、行政庁としましては、建築物の安全性を確保するということを担保いたしますために、一つは検査の時点におきましてきちんとできているかどうかということを調べるわけでありますけれども、通常の検査は目視でありますので、材料の品質等につきましてはなかなかと判断するに限界がございます。  そこで、これは建築基準法の十二条三項の規定によりまして、建築主事あるいは特定行政庁の方は必要に応じまして施工者などにその材料の品質あるいは強度等につきまして報告を求めることができる規定がございます。したがいまして、そういう建築物の安全性を侵すような疑いがあります場合は、この規定を使いまして施工者などに報告を求めまして、安全な建築物ができていくように、するよう指導してまいりたいと思っております。
  276. 抜山映子

    ○抜山映子君 従来その規定が発動されたことはあったでしょうか。
  277. 片山正夫

    説明員(片山正夫君) 構造関係につきましての違反の状況でありますけれども、六十年度におきまして構造関係では千二百七十一件の違反がありまして、それぞれ必要な措置をとっております。
  278. 抜山映子

    ○抜山映子君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。  さて次に、単身赴任の問題に絡みましてちょっとお伺いしたいんでございますが、単身赴任は非常に非人間的な生活を強いるものとしてマスコミなどでも大変今取り上げられておりますけれども、単身赴任せざるを得ない理由は主として住宅と子弟の教育、こういうことにあると思います。  ところで、その単身赴任でどうしても家を売却しなければいけないという場合ですね、これ当然売却いたしますと譲渡税という問題が起こります。今、最近大変に不況でございまして、会社の事情で広域的に異動を余儀なくされるような転勤が多うございます。そういう方たちに対して何らかの形で特別な住宅についての減税を考える必要があるんじゃないか、このように思うんですが、大蔵省さんの方で何かお考えはありませんか。
  279. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 単身赴任した場合に住宅を処分しなくちゃいけない、それについて何か税制上の措置考えられないかというお話でございますが、御案内のとおり、居住用の財産につきましては、十年超えて持っているような財産であれば、それを買いかえるということが一つありますのと、もう一つは、仮に十年持っていなくても、自分の住まいを売らざるを得なくなった場合に、三千万円の特別控除といった措置は現在あるわけでございます。したがいまして、すべての場合がこのような措置に該当するかしないかはともかくといたしまして、現在居住用財産についてそのような措置がとられているということを申し上げさしていただきます。
  280. 抜山映子

    ○抜山映子君 今、大蔵省は二つの恩典があると言われました。一つ買いかえの恩典であると、このように言われましたが、異動のほとんどが現在地方から都会地が多いわけでございます。したがいまして、住宅を売りましても都心部におきまして買いかえができる勤労者はまずほとんどいない。したがいまして、買いかえの恩典というのはほとんど役立たずになっておるわけでございます。  そこで、もう一つの三千万円の控除があると。この方をもう少しさわって、金額が、あるいは短期と長期の課税がありますけれども、ここのところの要件を何か緩和できないかと、このように思うんですが、大蔵省いかがでしょうか。
  281. 杉崎重光

    説明員(杉崎重光君) 一般に土地家屋等の譲渡をした場合に、従来であれば十年超の保有であるかどうかによってその課税関係が変わっていたわけでございますが、それを五年に短縮いたしまして、五年超持っていた場合には一般的に課税が優遇されるというふうに制度がこのたび見直されたわけでございます。したがいまして、そういうことも含めてあるいはお考えいただければと思います。ただ、この制度は単に居住用財産ということだけではありませんで、居住用財産につきましては、そうした措置に加えまして三千万円の特別控除があるということでございます。
  282. 抜山映子

    ○抜山映子君 なかなか大蔵省の担当の一人がここで具体的な構想を出すわけにはいかないと思いますけれども、例えば特定の不況業種で転勤を余儀なくされるというようなものは、この五年というものを満たしておらなくても課税上の優遇措置を与えるべきでないか。そういうものについては、会社が証明書を出せばはっきりすることですし、私はできるのではないかと思うんですね。ひとつ今後とも御考慮いただきたいと思います。  そこで、文部省見えておられますか。  この単身赴任を余儀なくされるもう一つの理由は、子弟の学校の転校がままならないということが大きな理由になっております。これについて、従来文部省がおとりになった対策をちょっと御披露ください。
  283. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 先生指摘のとおり、保護者の転勤に伴います高等学校生徒の転入学の問題は、かねて一つの大きな社会問題として指摘がなされておるところでございまして、文部省といたしましては、昭和五十九年からもろもろの指導を重ねているところでございまして、特に昭和五十九年に各都道府県の教育委員会に対しまして、例えばできるだけ転入学試験の実施の個数をふやしていただきたい、あるいはまた、受験に伴いますところのもろもろの手続をできるだけ弾力的に取り扱うことができるようにしていただきたいと、そういう可能な限り転勤に伴います転入学について各都道府県教育委員会が配慮を行いますように、文書によりあるいは口頭により指導をいたしておるところでございます。  特にこの五十九年には、欠員のある場合に限らず、教育上支障がない場合には転学を許可することができるようにということで、具体的には学校教育法の施行規則という、省令でございますけれども、その制度の改正も行い、またその趣旨について各県に対して御指導も申し上げておるという次第でございます。
  284. 抜山映子

    ○抜山映子君 現在、その転入学の試験の回数はどのようになっておりますか。
  285. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) ただいま申し上げました五十九年度におきます指導の際に、高等学校は御案内のとおり学期が三学期制ということでございますので、少なくとも年に三回程度は転入学試験を行うようにという考えのもとでの指導をいたしておるところでございます。
  286. 抜山映子

    ○抜山映子君 指導の結果どのようになっておるか、現状を把握しておりますか。
  287. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 各都道府県におきましては、申し上げましたような文部省の指導趣旨を踏まえまして、転入学試験の実施の回数をできるだけふやす、つまり各学期ごと三回は少なくてもやるようにということで、転入学試験の実施の回数をできるだけふやすとか、あるいはまた受験に関しての手続でございますけれども、三月の時期の転勤が非常に多いわけでございますけれども、一般の受験の場合の手続よりもできるだけ柔軟に弾力的に行うようにとか、場合によっては特別に定員の枠を設定いたしまして、転勤に伴う転入学に対してできるだけ便宜を取り計らうようにと、そういうことで各都道府県の教育委員会で対処をしつつあるというふうに理解をいたしてございます。
  288. 抜山映子

    ○抜山映子君 恐らく文部省としては、実際にそれじゃ年三回程度行っているのかどうか、その後の把握をしていらっしゃらないんじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
  289. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 指導についての各教育委員会の取り組みがどうかということは私どもも強く関心を持ってございまして、ただいま先生のお話しの転入学試験の実施の回数に関しましては、本年、昭和六十二年におきましても四十七都道府県の実態を調査いたしたことございますけれども、それによりますと、年三回程度実施するようにということで各高等学校を指導をしておるという県がほとんど全部の県であるというふうに掌握をいたしてございます。
  290. 抜山映子

    ○抜山映子君 私がお伺いしたいのは、そのように指導しているかどうかじゃなくて、実際に年三回各高等学校で受け入れのためのテストを行っているかどうかの把握をしていらっしゃらないんじゃないでしょうかとお伺いしているんです。
  291. 大澤幸夫

    説明員(大澤幸夫君) 先生御案内のとおり、転勤はどうしても都市部を中心とした転勤が多うございますので、したがいまして、四十七都道府県の中でもかなり県によって実情は差異があるわけでございますけれども、あるいはまた同じ県の中でも御案内のとおり学校によってかなり差異がございますので、そういうことで必ずしも悉皆的な意味での実情の把握はいたしてございません。
  292. 抜山映子

    ○抜山映子君 これ、いろいろな方のお話を伺いますと、やはりもう公立の高等学校ではまず転校は無理だというのが実情のようでございます。ひとつそういうわけで、文部省の方におかれましても、指導のみにとどまらず、その後の実情も指導の結果どういう実情になっているのか、それを把握して、不十分な場合には再度対策を講じていただきたいということを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  293. 穐山篤

    委員長穐山篤君) 他に御発言もないようですので、建設省北海道開発庁沖縄開発庁国土庁住宅金融公庫北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫決算についての審査はこの程度といたします。  次回の委員会は来る二十六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会      —————・—————