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1987-08-21 第109回国会 参議院 外交・総合安全保障に関する調査会安全保障小委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十二年八月二十一日(金曜日) 午後一時十六分開会
—————————————
昭和
六十二年七月六日
外交
・
総合安全保障
に関す る
調査会長
において本小
委員
を左のとおり指名し た。
坂元
親男
君
鈴木
貞敏
君
永野
茂門
君
堀江
正夫
君
松浦
孝治
君 村沢 牧君
山口
哲夫
君
和田
教美
君
吉岡
吉典
君 同日
外交
・
総合安全保障
に関する
調査会長
は左の 者を小
委員長
に指名した。
坂元
親男
君
—————————————
出席者
は左のとおり。 小
委員長
坂元
親男
君 小
委員
鈴木
貞敏
君
永野
茂門
君
堀江
正夫
君
松浦
孝治
君
山口
哲夫
君
和田
教美
君
吉岡
吉典
君 小
委員外委員
植木
光教
君
政府委員
防衛庁教育訓練
局長
長谷川 宏君
外務省北米局長
藤井
宏昭
君
説明員
防衛庁長官官房
防衛審議官
宝珠山
昇君
防衛庁教育訓練
局訓練課長
柳澤 協二君
防衛施設庁施設
部施設企画課長
笠原 恒雄君
外務省国際連合
局軍縮課長
宮本 雄二君
—————————————
本日の
会議
に付した
案件
○
安全保障
問題に関する件 (
日米安全保障体制
の
現状
と
問題点
について)
—————————————
坂元親男
1
○小
委員長
(
坂元親男
君) ただいまから
外交
・
総合安全保障
に関する
調査会安全保障小委員会
を開会いたします。
安全保障
問題に関する件を議題とし、
日米安全保障体制
の
現状
と
問題点
について、
外務省
、
防衛庁
から順次
説明
を聴取いたします。 それでは、まず
外務省
から
説明
を聴取いたします。
藤井北米局長
。
藤井宏昭
2
○
政府委員
(
藤井宏昭
君)
日米安全保障体制
の
現状
と
問題点
について、
外務省
から見た御
説明
をさせていただきます。
我が国
の
安全保障
は国の生存を確保するという
意味
におきましてすべての
政策
の
基本
でございまして、国の
安全確保
に憂いなきを期してこそ初めて平和と繁栄を目指した
我が国
の活動が可能であるという
意味
で、
外交
の最も
基本
であるというふうに観念しております。 今日の
国際社会
におきましては、
我が国
が単独でその安全を確保することは困難な
状況
でございまして、そのため
政府
としては、
我が国
が
必要最小限
の
自衛力
を
整備
するとともに、
我が国
にとって
基本
的に重要な価値を共有する
米国
と
安全保障体制
を堅持することによって
我が国
の安全を確保することが最も賢明な道であるということで、
我が国
はそういう選択をしてまいったわけでございます。
米国
の
安全保障政策
の
基本
は
紛争
の抑止にあるわけでございまして、
我が国
としてもこの
米国
と
安全保障体制
の
信頼性
を
維持
向上し、かつ円滑な
運用
を行うことによって、
我が国
に対して行われ得るいかなる
攻撃
に対しましてもこれに対応できる有効な
体制
をとって、侵略を抑止していくことが必要であるというふうに考えておるわけでございます。 その
日米安保条約
のもとにおきまして
日米両国
は、その五条で、「
日本国
の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する
武力攻撃
が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め」て、それぞれの「
憲法
上の
規定
及び
手続
に従って
共通
の危険に対処する」ことを誓約しておるわけでございます。したがって、
我が国
に対して
武力攻撃
が発生した場合には、その
攻撃
がいかなるものであっても、
米国
は同
条約
の
規定
によりまして
我が国
を
防衛
する
条約
上の
義務
があるわけでございます。 また、同
条約
は、
日米両国
が
極東
における
国際
の平和と安全の
維持
に
共通
の関心を有することを宣明しておりまして、第六条で、
極東
における平和と安全の
維持
のために
米軍
が
我が国
における
施設
・
区域
を
使用
することを認めておりまして、このような
意味
で
日米安保体制
の存在が
我が国
のみならず
極東地域
の平和と安全にとって重要な
意味
を持っているということでございます。すなわち、この
関連
で
米国
は、
我が国
に対する
武力攻撃
に対しまして、それに対して
我が国
を
防衛
する
条約
上の
義務
を負っていることに対しまして、
我が国
は
施設
・
区域
を
米国
に提供するという
義務
を負っておるという立て方になっておるわけでございます。 この
関連
で近年、特に
円高
後、
施設
・
区域
が、例えば
沖縄
その他におきまして
当該地域
に及ぼします直接的な
経済効果
というものがやや減退のきみにあるわけでございます。そういうこともございますし、また
沖縄
におきます特殊な
状況
もございます。これは後ほど
防衛施設庁
の方からも御
説明
があるかと思いますけれども、最近の
事故
の多発とか、あるいは後で申し述べます一部要員の解雇というようなことがございまして、
施設
・
区域
を取り巻く環境にやや厳しさが見える面もございます。 ただし、常に我々として忘れてはいけないと私ども思いますことは、
安保条約
の根幹は、
米国
が
日本
を
防衛
するということと引きかえに、
我が国
の
義務
の
最大
の問題が
米国軍隊
に
我が国
の
施設
・
区域
を提供しておるということであり、その
施設
・
区域
の
駐留
の目的に従って、
在日米軍
あるいは
施設
・
区域
を
使用
する
米軍
の円滑なる
運用
の遂行ということが
条約
上の大きな
日本政府
としての
義務
であるということでございまして、これなしには
安保条約
の
一つ
の大きな側面が阻害されることは事実であるというふうに存ずる次第でございます。 このように、
安保条約
に基づきまして
我が国
の安全を確保するという
考え方
をとってきたわけでございますけれども、
日米安保体制
は、
米国
との単なる
条約
上の
権利義務
だけの問題ではなしに、
米国
との
政治経済
上の緊密な
協力関係
ということ、それからそれと並んで、
我が国自身
の
防衛力
の
整備
を行っていくという必要があることは言うまでもございませんが、
防衛力
の
整備
の問題については、私が本日特にこれに言及することは差し控えたいと思います。
我が国
の
安全保障
を確保していくには、
日米安保体制
が
一つ
でございますけれども、同時に節度ある
自衛力
の保持、さらに第三には
国際
平和の
維持
のための
外交努力
、この
三つ
の柱をもって
我が国
の安全を確保していくということが
我が国政府
がとってきておる
立場
でございます。
国際紛争
の解決のための
我が国
の平和的な
外交努力
、
開発途上国
に対する
経済協力等
々含めまして、こういう非
軍事面
での
我が国
の
努力
というものが、
我が国
の
安全保障
を確保していく上で大変に大きな
意味
を持っており、それが
我が国
の責任が増大するに伴ってその
重要性
もまた高まっているということは言うまでもございません。
他方
、
我が国周辺地域
におきまして、ソ連が質的、量的に一貫してその軍備を拡大してきておることは厳然たる事実でございまして、
我が国
を取り巻く
国際情勢
には厳しいものがあるというふうに考える次第でございます。 現在の
日米関係
でございますけれども、
日米関係
は、
経済
、
貿易関係
で多くの問題を抱えておるわけでございますが、
防衛
、
安保関係
については、これまで
基本
的に良好に推移を見ております。
他方
、
アメリカ
の
議会
の一部におきましては、
防衛
、
安保
問題を
経済
、
貿易
とリンクして考える議論とか、あるいは
我が国
の
ただ乗り論
を非難する根強い
動き
があるということもまた事実でございます。特に五月十七日の
スターク号事件
以降、
ペルシャ湾情勢
が緊迫の度を加えまして後は、
アメリカ
の
議会
を
中心
に、かなり広範な世論におきまして
我が国
に対するいわゆる
ただ乗り論
がほうはいとして起こってきておるわけでございまして、例えば
アメリカ
の
議会
に、六月初めの
ベネチア
・
サミット
を控えまして、
上院
の
民主党院内総務
でありますところの
バード上院議員
を初めとする
ハード決議案
が
上院
で成立する。この
決議案
は、
大統領
に、
ベネチア
・
サミット
で
同盟国
に対して、
ペルシャ湾
における西側の
安全保障
の利益を確保するために必要な
外交
的、
軍事的措置
に
協力
するよう奨励すべしというような
趣旨
の
決議案
でございます。 さらに
下院
におきましては、ハンター、
リッター修正案
というような
修正案
が通っておりまして、その
趣旨
は、
日本
はGNPの三%を
防衛
に向けるかあるいは三%に満たない場合には差額の支払いを行うべしというような
修正
、これは国務省の
予算
に関する
修正案
でございますが、この部分だけは六月十八日に
下院
本
会議
で採択されておるというような事実もございまして、類似の
法案等
が多数出ておるということでございます。もっとも、このような前者の
ハード決議案
につきましては、それは
決議案
でございまして、あくまで
法的拘束力
はございませんし、後者の
リッター修正案
につきましては、これが最終的に
上院
の裁可を得まして
法案
になる
可能性
というものは必ずしも大きくはないかもしれませんけれども、そういう
考え方
が出てきておるということは事実でございます。
アメリカ政府
も我が
政府
も、
防衛
問題と
貿易
問題はあくまでこれをできるだけ切り離して論じていくべきであって、
安保
、
防衛
問題を
経済摩擦
との
関連
で取り上げていくということを回避するように
最大
の
努力
をしているわけでございます。 最近発生いたしました東芝機械による
工作機械
の
不正輸出
は、さらに
ペルシャ湾
の
スターク号事件
以降、
アメリカ
の特に
議会
を
中心
といたしまして、
我が国
に対しましての厳しい見方を助長しておるわけでございます。
政府
といたしましては、できる限り早急に外為法の
改正
をお願いいたしまして、これの今後の
再発防止
に全力を挙げていくということを行い、このココムの問題が
安全保障
と
貿易
という
二つ
の問題にまたがっているだけに、この問題をできる限り冷静に
日米
間で早期に処理していくということがただいま申し上げましたコンテクストから言いまして重要であるというふうに考えておる次第でございます。
安保体制
の
運用
について、
幾つ
かの具体的問題について御
説明
させていただきたいと思います。
我が国
は、
安保条約
、
地位協定
に基づきまして、
米軍
の
使用
のために約百三十の
施設
・
区域
を、
共同使用
を含みますけれども提供しております。
我が国
には約五万人の
米軍
が
駐留
しております。約二万人の
駐留軍
の
日本人労務者
を抱えておるわけでございます。
在日米軍
の
駐留経費
につきましては、五十三年及び五十四年以降、
在日米軍
の
従業員労務費
の一部を負担してきております。これがいわゆる
思いやり
でございますけれども、さらにまた
在日米軍
の隊舎とか宿舎の新築、
改築等
を含めまして
在日米軍
の
施設整備
、これにつきましても
思いやり
ということでときどきくくられておりますけれども、というその
二つ
を実施してきておるということでございます。 さらに、
米軍医船
の円滑な寄港など
安保条約
・
地位協定
の
運用
が円滑に行われるように
努力
しておる次第でございます。その
関連
で、昨年末からことしにかけまして
一つ
の大きな進展が
在日米軍
の
労務費
の
特別協定
でございます。 この
協定
は、一九六〇年に
安保条約
・
地位協定
が成立いたしましてから初めて
条約
によりまして
地位協定
の
特例
、
地位協定
の
改正
ということであってあくまで
特例
でございますけれども、初めて
条約
によりまして
地位協定
の一部に
特例
を設けたということでございます。これは、さきおととしから以来の
円高
を
中心
といたします最近の
経済情勢
の変化によりまして、
在日米軍
の
経費
が急激に圧迫されたわけでございます。特に、
在日米軍
の
従業員
につきましては円で支払っておるわけでございますけれども、そのもとは
ドル
でございますので、同じ円を支払うのに五〇%から六〇%近い
ドル
が必要になってくるという当然の理でございますけれども、このために
在日米軍
の
財政
が極めて逼迫いたしまして、
駐留軍労務者
の
雇用
の安定が著しく脅かされつつあるという事態に直面したわけでございます。したがいまして、
日米
地位協定
の二十四条について特別の
措置
を設ける、これは五年間の時限でございますけれども、ということで、本年一月に特別の
協定
を結びまして、
国会
の御
承認
を得まして、本年六月にこれが発効したわけでございます。 これによりまして、
我が国
は社会的諸
手当
、これは
調整手当
、
扶養手当
、
通勤手当
、
住居手当等
でございますが、さらに
季節手当
、これはいわゆるボーナス、
夏期手当
、年末、年度末
手当
でございます。それから
退職手当
について、その二分の一を限度として負担するということを約束いたしまして、六十二年度
予算
におきましては、
日本政府
は新たな負担として約百六十五億円を計上したわけでございます。この
措置
によりまして、
在日米軍
の
経費
は
円高
によりましてそれだけ割高になりまして、要請される
経費全額
を見られたわけではございませんが、それの一部でございますけれども、しかしながら、このような
措置
をとりましたことによりまして、全般的に
米側
も
雇用
の安定に対して大きな前進が見られたということは事実であろうかと思います。
他方
、
在日米軍
の
財政事情
はなお極めて厳しいものがございまして、本年の七月二日に至りまして
米側
から、
沖縄
における
米海兵隊クラブ
の
従業員
三百三名を本年九月末をもちまして退職願うという通知がございました。これが特に
沖縄
の方々にとって大きな問題としてのしかかっておるわけでございまして、現在
防衛施設庁
と
外務省
が一体になりまして鋭意
米側
と折衝しておるところでございます。 それから次の問題といたしまして、対
米武器技術供与
の問題について御報告さしていただきます。
日米安保体制
のもとにおきまして、
日米両国
は
相互
に
協力
してそれぞれの
防衛力
を
維持
、発展させるということが
規定
されておりますけれども、
我が国
は
米国
から
防衛力整備
のための
技術
の
供与
を受け、
各種
の
協力
を戦後得てきたわけでございます。近年、
我が国
の
技術水準
が向上してきたことなどの新たな
状況
によりまして、
我が国
としても
防衛分野
におきまして
米国
との
技術
の
相互交流
を図るということが
日米安保体制
の効果的な
運用
にとって重要となってまいったわけでございます。 したがいまして、
政府
といたしましては、一九八三年の一月に
米国
との間で
武器技術
の
供与
に道を開くということで対
米武器技術供与取り決め
を締結したわけでございます。これは
武器技術
三原則に
関連
いたしまして、
米国
に対してのみは、その
武器
は相変わらず慎むわけでございますけれども、
武器技術
につきましては
米国
に対しては要すればこれを
供与
することができるということの道を開いたわけでございます。もちろん、これを
供与
するに当たりましては、この
取り決め
に明記してございますように、
政府
としてのチェック等々の十分な
体制
をしいておるわけでございまして、
日本政府側
におきましては
武器技術共同委員会
というものの
日本側委員部
というものを設けまして、これは外務、
防衛
、それから通産の三省庁による
委員部
がございますけれども、この審査を経て適当と認める場合には
武器技術
を
米国
に
供与
することができるということを
取り決め
たわけでございます。昨年末にこの
武器技術供与取り決め
に基づきまして具体的な
三つ
の
案件
が初めて
供与
されることになったわけでございます。
一つ
は、
防衛庁
の
技術研究本部
が
研究
をしてきました
携行SAM関連技術
、それから第二が、我が
国民間企業
が保有しております
米海軍
の
武器
たる
艦船
の
建造
のための
技術
、それから
米海軍
の
武器
たる
艦船
の
改造
のための
技術
と、先ほどのは
建造
、こちらは
改造
でございますけれども、
基本
的には非常に似通った
技術
でございますが、この三件について先ほどの
武器技術共同委員会日本側委員部
が
承認
を行って対
米武器技術
の
供与
の道を開いたわけでございます。 第三に御報告申し上げますことは、
SDI
の
研究参加
問題でございます。
SDI
につきましては、八五年の三月に
米国政府
から
参加招請
を受けまして、自来
各種調査団
を派遣いたしますとか、あるいは
関係閣僚会合
を開催いたしますとか慎重な検討を行ってまいったわけでございますけれども、昨年の九月九日に
官房長官談話
という形で
我が国
の方針を決定したわけでございます。 その後、
参加
を希望する
我が国
の
企業
などが
SDI
の
研究計画
に
参加
をする際にはそれを円滑にするというための
枠組み
について
米政府
と
交渉
を行ってきまして、本年七月二十一日、ワシントンにおきまして
SDI
における
研究
に対する
我が国
の
参加
に関する
日米政府
間の
協定
というものに署名したわけでございます。この
SDI
の
研究参加
につきましては、
幾つ
かの点が非常に明確でございます。
一つ
は、
我が国
の
参加
といいますのは
研究
への
参加
であるということでございます。
SDIそのもの
が現在
研究計画
である、将来
開発配備
に移行するという段階においては改めて
同盟国
とも
協議
をする云々ということになっておりますが、今回締結いたしました七月二十一日の
協定
におきまして、さらにこの点を念には念を入れて明らかにするために
SDI構想
、
戦略防衛構想
における
研究
に対する
我が国
の
参加
ということを明記しておるわけでございまして、
我が国
の
参加
はあくまで
研究
に対する
参加
であって、それ以上のものではないということでございます。 それから第二の点は、この
参加
と申しますのは、
民間企業等
が
アメリカ
の
政府
あるいは
アメリカ
の
企業等
と
SDI研究計画
の一部について契約を結んでその一部の
研究
を行うということ、それが
参加
ということでございまして、
日本政府
が何らかの
予算
などをもちまして
SDI研究計画
を推進していく、これに
補助金
を与えたり、あるいは何か
米政府
との間で
協力
をしていくということを想定しているものではございませんで、
国会
におきまして累次
政府側
が答弁しておりますように、
我が国
としては
SDI研究計画
のために
研究予算
を講ずる考えはないということを累次明らかにしておるところでございます。 それでは、何でこんな
枠組み
が必要なんだということが御質問あるかと思います。それは本来、
研究
に対する
参加
は現在の
法体制
におきましても可能でございますけれども、この
枠組み
をつくりますことによって
幾つ
かの点で
民間企業
が
参加
しやすくなるという、その
円滑化
のためにこの
枠組み
をっくったものでございます。 それは、第一点は
日本
の
企業
などが
参加
する場合に、既にみずから持っている
技術
、それから
SDI
に直接
関係
なくみずからがつくった
技術
、これは何らその
使用権
あるいは
秘密
の
保護指定等
において影響を受けるものではないということがこの
日米
の
協定
で合意されているわけでございます。したがいまして、
日本企業
はその点については安心して
参加
し得るということは言えるわけでございます。さらに、
参加
した結果
研究
を行いまして生み出されたその果実、その成果につきましては、
最低限使用権
を持ち得るということなど、その
最低限
の
使用権
の
保障
を行っておるわけでございまして、
協定
でこのような
最低限
のことが明記されなければ、
我が国
の
企業
は全くの白紙の状態で
アメリカ政府
あるいは
アメリカ
の
企業
と
交渉
に入るということになりまして、それだけ
我が国
の
企業
が不利になるということでございます。 それから第二に、
SDI研究計画
は高度の
研究計画
でございますので、
秘密指定
のものがかなりあるようでございますけれども、その
秘密
を
米政府
が指定しました場合に、その
保護
のために必要な
措置
をとるということで
政府
が新たな
立法等
は一切行いませんけれども、既存の法制の枠内においてこの
秘密
の
保護
をできるだけとるようにするということでございます。そこで初めて
秘密
の
情報
が
我が国
の
民間企業
に流れてくるわけでございまして、このような
協定
がなければ
秘密
の
情報
は
我が国
の
民間企業
に流れてくることは通常ないということが言えるわけでございます。 それからさらに、この
協定
によりまして
日本企業
は
競争入札
に応札するために必要な
情報
の入手とか、あるいは
説明会
などへの
出席
について
アメリカ
の
企業
と同等に扱われる、つまり当
協定
がありますがゆえに、何か
説明会
があるぞということになりますと、
アメリカ政府
は
我が国
の
企業
にも連絡してくるということでございまして、そういう便宜があるということでございます。 さらに、何らかの
日本
の
企業
と
アメリカ政府
の間で、あるいは
アメリカ企業
との間でいろいろ悶着がありましたときには、場合によっては
日本政府
はそれに関与して
アメリカ政府
に意見を述べることができるということもございます。 以上が
SDI研究計画
に
我が国
の
企業
などが
参加
するに当たって、
参加
を
円滑化
するための
枠組み
と申しておることの内容でございまして、繰り返しになりますけれども、
日本政府
が
SDI研究計画
に対して資金を出したりいたしまして、これを積極的に補助していくということまで
日本政府
が
SDI研究計画参加
に当たって約束しているわけではございませんということでございます。 以上、当面の問題について種々述べたわけでございますが、
日米安保体制
は
基本
的には健全に良好に
運営
されてきておるというふうに考えます。
アメリカ
の
議会
の一部において
我が国
に対する
ただ乗り論
というようなものが最近強まってきていること、それから
経済摩擦
という
状況
の中で、これと
防衛
をリンクしようという
動き
があることはありますけれども、
アメリカ政府
の
立場
は、あくまでこれに対しまして
日米安保条約
を円滑に
運営
しながら、その
運営
はあくまで
経済摩擦
とは切り離していくという
立場
をとっておりまして、この点
日米両国
は一致しておるところでございます。 ただ、その
運営
に当たりまして、基地の問題、最近は先ほど申しました
雇用
の不安定の問題、それから
事故等
の問題、いろいろな問題が派生してきていることもまた事実でございますけれども、これらの問題を着実に解決しながら
日米友好関係
の大きな基礎をなしております
日米安保体制
というものをできるだけ揺るぎない形で保持していくということが、
我が国
の国益に沿うゆえんであるというふうに考えておる次第でございます。 以上、概括でございますけれども御
説明
さしていただきました。
坂元親男
3
○小
委員長
(
坂元親男
君) 次に、
防衛庁
から
説明
を聴取いたします。
宝珠山防衛審議官
。
宝珠山昇
4
○
説明員
(
宝珠山昇
君)
防衛審議官
の
宝珠山
でございます。
日米防衛協力
のための
指針
及びこの
指針
に基づきます
研究作業
の概要について、お手元に
資料
を配付してございますが、その
資料
に従って
説明
をさしていただきます。 最初に
指針
の
作成経緯
について
説明
いたしたいと思います。ちょっとページが飛びますけれども、
資料
の四ページの左側の方をごらんいただければと思います。
先生方
よく御承知のところでありますが、
日米両国
は、万一
我が国
に対する外部からの
武力攻撃
が発生した場合には、
日米安全保障条約
に基づきましてそれぞれの
憲法
上の
規定
及び
手続
に従って
共通
の危険に対処するように行動することとされておるわけであります。しかし、
昭和
五十年代の初期、具体的にはこの
日米防衛協力
の
指針
が合意されますまでは、この
安保条約
に基づき
共通
の危険に対処するための
軍事面
を含めました包括的な
協力体制
に関する
研究協議
というようなものは行われておりませんでした。このような
状況
を踏まえまして、例えば
我が国
に対して
武力攻撃
が発生した際に、
日米両国
は具体的にどのような
措置
をとり、どのような範囲で
協力
していくのかといったようなことについて明らかでなかったのであります。この面で改善を図るために
昭和
五十年八月、当時の
三木内閣総理大臣
と
フォード米国大統領
との会談、それからそれに続きます
坂田防衛庁長官
とシュレシンジャー
米国
防長官との会談におきまして、
日米両国
が
協力
してとるべき
措置
について
協議
しよう、またこのための場を設けるということが了解されたのであります。 この了解に基づきまして、五十一年七月に第十六回
日米
安全保障
協議
委員
会が開かれ、この
協議
委員
会の下部機構として、
日米安全保障条約
及びその
関連
取り決め
の目的を効果的に達成するため、緊急時における自衛隊と
米軍
との間の整合のとれた共同対処行動を確保するためにとるべき
措置
に関する
指針
を含めまして
日米
間の
協力
のあり方に関する
研究協議
を行うという目的のもとに、
防衛
協力
小
委員
会が設置されました。この
委員
会は、同年の八月に第一回会合を開いて以来、二年有余にわたりまして
研究協議
を重ね、五十二年の十月に
日米防衛協力
の
指針
を取りまとめたのであります。この
指針
は、さらに五十三年十一月に第十七回
日米
安全保障
協議
委員
会に報告されて了承されております。 国内的にはこの
指針
は、同じく五十三年の十一月に国防
会議
で審議を行い、さらに閣議において
資料
を席上配付の上、所管大臣であります
防衛庁
長官及び外務大臣が発言をされ、この
指針
の経緯、内容を報告するとともに、
防衛庁
長官から、この
指針
に基づき自衛隊が
米軍
との間で実施することが予定されております共同作戦計画の
研究
その他の作業については
防衛庁
長官が責任を持って当たることといたしたいという
趣旨
の御発言があり、いずれも了承されておるところであります。 このような
手続
を経まして
日米防衛協力
のあり方についての
基本
的
枠組み
が示されたということは、それ以前と比較いたしますと、
我が国
の
防衛
政策
を適切に推進する上で極めて有意義であったと考えられるものであります。 次に、
指針
の概要について
説明
さしていただきます。この全容は
資料
の二ページと三ページに掲げてございますけれども、ここでは
説明
の便宜上、要点をまとめました一ページの
資料
に従って
説明
をさしていただきたいと思います。 左側の方に「前提条件」と書いてございますが、この
指針
が事前
協議
に関する問題、それから
日本
の
憲法
上の制約に関する諸問題、それから非核三原則は対象にしないということ、また、この結論は両国
政府
の立法、
予算
ないし行政上の
措置
を
義務
づけるものではないということを前提条件として策定されております。
指針
の内容について見ますと、侵略を未然に防止するための態勢、
日本
に対する
武力攻撃
に際しての対処行動など、第三に、
日本
以外の
極東
における事態で
日本
の安全に重要な影響を与える場合の
日米
間の
協力
の三項目から成っております。 一番上の第一の、侵略を未然に防止するための
協力
のあり方についてでありますが、ここでは、
日本
は、その
防衛
政策
として自衛のため必要な範囲内において適切な規模の
防衛力
を保有するということ、この
防衛力
を最も効率的に
運用
し得る態勢を
整備
、
維持
するということ、また、
地位協定
に基づく
米軍
施設
・
区域
の安定的、効果的な
使用
を確保するということにしております。
米国
の方は、核抑止力を
維持
するということ、即応部隊を前方に展開するということ、それから来援し得るその他の兵力を保持するということであります。 さらに、
日本
に対して万一
武力攻撃
がなされた場合に、自衛隊及び
米軍
が共同対処行動を円滑に実施できるように、両者の間の作戦、
情報
、後方支援などの分野での
協力
態勢の
整備
に努めることとしております。このための
措置
として、自衛隊及び
米軍
は、
日本
防衛
のための共同作戦計画、作戦上必要な
共通
の実施要領などについての
研究
を行う、また、必要な共同演習及び共同訓練を実施するということにもしております。さらに
情報
についても、
日本
防衛
に必要な
情報
交換を密にする、通信連絡体系の
整備
など所要の
措置
を講ずることによって
情報
協力
態勢の充実を図ることともしております。 二番目でありますが、
日本
に対する
武力攻撃
がなされるおそれがある場合と
日本
に対する
武力攻撃
がなされた場合とに分けてそれぞれの場合における
防衛
協力
のあり方について記述しております。
日本
に対する
武力攻撃
がなされるおそれのある場合については、情勢の変化に応じて必要と認めるときは、自衛隊と
米軍
との間に調整機関を開設することを含めまして必要な準備を実施することとしております。また、それぞれが実施する作戦準備に関しまして効果的な
協力
を確保するための
共通
の基準をあらかじめ定めておく、両国
政府
の合意によって選択された準備段階に従ってそれぞれが必要と認める作戦準備を実施することともしております。 次に、
日本
に対する
武力攻撃
がなされた場合についてであります。
日本
は、原則として、限定的かつ小規模な侵略を独力で排除し、侵略の規模、態様などによりまして独力で排除することが困難な場合は、
米国
の
協力
をまってこれを排除することとしております。自衛隊と
米軍
が共同して作戦を実施する場合については、それぞれの
防衛力
を適時かつ効果的に
運用
することとしておりますが、この場合の作戦構想などについては、次のような五つの点に要約されるかと思います。
一つ
は、自衛隊は主として
日本
の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、
米軍
は自衛隊の行う作戦を支援し、また自衛隊の能力の及ばない機能を補完するための作戦を実施するということであります。
二つ
目は、自衛隊及び
米軍
は、緊密な
協力
のもとに、それぞれの指揮系統に従って行動するということ。
三つ
目は、自衛隊及び
米軍
は、調整機関を通じ、作戦、
情報
及び後方支援について
相互
に緊密な調整を図るということ。四番目は、自衛隊及び
米軍
は、緊密に
協力
して
情報
活動を実施すること。五番目は、自衛隊及び
米軍
は、効率的かつ適切な後方支援活動を緊密に
協力
して実施するという、以上五点に要約されると思います。 三番目でありますが、
日本
以外の
極東
における事態で
日本
の安全に重要な影響を与える場合の
日米
間の
協力
についてであります。 この場合、
日米両国
政府
は、情勢の変化に応じ随時
協議
すること、また、
日米両国
政府
は、
日本
が
米軍
に対して行う便宜
供与
のあり方について、あらかじめ
相互
に
研究
を行うこととしております。 以上のような
指針
に基づきまして、自衛隊と
米軍
が共同作戦計画の
研究
を
中心
とする具体的な
研究
を行いますことは、
安全保障
条約
の持っております抑止効果を高め、
我が国
の平和と安全を一層効果的に
維持
することに貢献するものと考えてお りますが、この
指針
に基づく
研究作業
についての
現状
を
説明
いたします。
資料
の四ページをおあけいただければと思います。
指針
で予定されております主要な
研究
項目は、
指針
の第一項及び二項
関連
と第三項
関連
の大きく
二つ
に分けて考えられます。 第一項及び第二項に基づく
研究
項目としましては、共同作戦計画の
研究
とその他の
研究
とインターオペラビリティーに関する
研究
の
三つ
に分けて考えております。 さらに、その他の
研究作業
と書いてありますところにございますように、その他の
研究
については七つの項目に区分してあります。すなわち、作戦上必要な
共通
の実施要領、調整機関のあり方、作戦準備の段階区分と
共通
の基準、作戦
運用
上の
手続
、指揮及び連絡の実施に必要な通信電子活動に関し
相互
に必要な事項、
情報
交換に関する事項、補給、輸送、
整備
、
施設
など後方支援に関する事項の七つであります。 第三項の
関連
では、
日本
以外の
極東
における事態で、
日本
の安全に重要な影響を与える場合の
米軍
に対する便宜
供与
のあり方の
研究
であります。 これらの作業の進抄
状況
につきましては、一項及び二項に基づく
研究作業
は、
防衛庁
では統合幕僚
会議
事務局、それから
米国
は
在日米軍
司令部が
中心
となってこの作業を実施してきております。共同作戦計画の
研究
につきましては、当初からこれを優先して進めることとしてきておりますが、五十三年末に
研究
を開始しております。これは
我が国
に対する侵略の
一つ
の態様を想定しまして
研究
を行って、
昭和
五十六年の夏には一応概成を見ております。以後、さらにこの
研究
を補備充実する作業を実施いたしまして、五十九年末に一応の区切りをつけたところであります。現在は情勢に応じた見直しなどの作業を実施しているところであります。 この
研究
の主要な項目は、第一に前提となるシナリオの設定、第二に脅威の分析、第三に
日米
の対処能力の見積もり、第四に
日米
の共同作戦要領の検討などであります。その具体的な内容につきましては、事柄の性質上公表を差し控えさせていただいているところであります。共同作戦計画の
研究
については、さらに新たな想定に基づく
研究
についてこれを開始するための準備作業を行っているところであります。 シーレーン
防衛
の共同
研究
については、昨年十二月に
研究作業
が終了しておりますが、後ほど次ページの
資料
を用いて
説明
させていただきます。 その他の
研究作業
のところの七項目でありますが、これらにつきましても逐次
研究
を実施しているところでありますが、まだここで報告できるほどの成果を得るに至っておりません。 インターオペラビリティー、
相互
運用
性に関する
研究
につきましては、
指針
に基づく共同作戦計画の
研究
、その他の
研究作業
の中でも
相互
運用
性の問題に考慮を払ってきておりますし、本年一月に開催されました第十七回
日米
安全保障
事務レベル
協議
においてはこの
研究
を推進していくことで意見の一致を見ておりますが、この
研究
でもここで御報告できるほどの成果を得るに至っておりません。 それから、
日本
以外の
極東
における事態で、
日本
の安全に重要な影響を与える場合の
米軍
に対する便宜
供与
のあり方の
研究
でありますが、五十七年一月に開催されました
日米
安全保障
協議
委員
会において
研究
を開始するということで意見が一致をしております。
外務省
が主管となりまして、
防衛庁
も
参加
して
日米両国
間で
研究作業
を進めておりますが、これもまた報告できる成果を得るに至っておりません。 最後に、シーレーン
防衛
共同
研究
について
説明
いたしたいと思いますが、五ページをお開きいただきたいと思います。 五十七年の第十四回
日米
安全保障
事務レベル
協議
におきまして、シーレーン
防衛
に関する
研究
を
日米防衛協力
のための
指針
に基づいて行おうということで意見が一致しております。これを受けて、五十八年三月に開催された第九回
日米防衛協力
小
委員
会においてこの
研究
を進める
基本
的な
枠組み
について確認をいたしております。このもとで鋭意
研究
を進めて、昨年十二月、
研究作業
が終了したところであります。 この
研究
は、
日米防衛協力
のための
指針
を作成いたしました際の前提条件、先ほども述べたところでありますが、それから
指針
に示されております
基本
的な制約、条件、構想などの範囲内におきまして、
日本
に
武力攻撃
がなされた場合、シーレーン
防衛
のための
日米
共同対処をいかに効果的に行うかということを目的としまして、
日米両国
部隊の作戦能力の検証を行うということでありました。 この
研究
では、脅威、シナリオ、投入兵力などを一定の前提のもとに設定し、同時に
指針
に基づく
基本
的な共同作戦要領などを検討いたしました。 侵略態様といたしましては、船舶、主要港湾、
防衛
施設
、海峡の要域などに対する
各種
の
攻撃
を想定し、これに対して
日米
は共同して哨戒、護衛、防空、洋上阻止、港湾、海峡の防備などの
各種
の作戦を行っております。その累積効果によって海上交通の安全を確保することとして、これらの作戦を実施した場合に
日米
の部隊がどの程度シーレーン
防衛
という目的を達成できるかを検証したこととなります。 内容の細部は事柄の性質上申し上げられませんが、その結果、一定の前提のもとにおける
日米
のシーレーン
防衛
能力の検証ができました。
研究作業
を通じてシーレーンの
防衛
構想、共同作戦要領などに関する
日米
相互
間の理解が増進されました。陸、海、空統合かつ
日米
共同で実施したことから、統合
運用
に関する理解も深まったところであります。作戦能力に係る一層高度な分析手法あるいは
技術
の習得といった面でも
研究
成果を得ることができたものと考えております。 以上、
日米防衛協力
のための
指針
などの概要についての
説明
を終わらせていただきます。
坂元親男
5
○小
委員長
(
坂元親男
君) 次に、柳澤訓練課長に
説明
をお願いいたします。
柳澤協二
6
○
説明員
(柳澤協二君) ただいまごらんいただいております
資料
の六ページに従いまして、
日米
共同訓練の
状況
について若干御報告申し上げます。 まず、共同訓練の意義等でございます。 これはたびたび申し上げてきたところでございますが、自衛隊が
米軍
と共同訓練を行いますことは、それぞれの戦術技量の向上を図る上で極めて有益であること、それから
日米
共同訓練を通じまして平素から自衛隊と
米軍
との間で戦術面における
相互
理解と意思の疎通を促進しまして、インターオペラビリティーの向上を図っておくということは、有事におきますところの共同対処行動を円滑に行う上で不可欠でありまして、ひいては
日米安全保障体制
の
信頼性
から抑止効果の
維持
向上に資するというようにとらえております。こうした観点から、今後とも
日米
共同訓練につきましては機会をとらえまして積極的に実施してまいりたいというところが
基本
的な
考え方
でございます。 次に、実施
状況
でございます。 大変細かい図で見にくくて恐縮でございます。中ほどにごく大まかな
資料
を備えておりますが、その頭にございます統合幕僚
会議
につきましては、スタートが最も遅うございまして、
昭和
六十年度から実施をいたしております。六十年度には
日米
共同統合指揮所演習という形で実施をいたしまして、六十一年度におきましては統幕事務局と陸、海、空、三自衛隊、それから
米軍
の陸、海、空、三軍が
参加
いたします形で初の
日米
共同統合実動演習を実施したところでございます。 それから六十二年度につきましては、去る七月に、これは
日米
共同統合指揮所演習という形で演習をいたしております。 次の陸上自衛隊につきましては、
昭和
五十六年度に通信訓練、それから指揮所演習を開始しております。六十一年度につきましては、米陸軍との間でこれまで実施してまいりました方面隊レベル、それから師団レベルの指揮所演習を行っておりますが、あわせて米陸軍及び海兵隊との総合的な実動訓練、それから
各種
の機能別訓練なども実施しております。 六十二年度におきましても、昨年度六十一年度とほぼ同様程度の訓練を実施する予定でおります。 次に海上自衛隊でございますが、海上自衛隊は自衛隊の中では最も早く
昭和
三十年度から共同訓練を実施しております。
昭和
六十一年度につきましては、これまでと同様でございましたが、対潜、掃海等の訓練を行いますとともに、海上自衛隊演習の際に、同時に
日米
共同訓練を実施しております。 また、この表で飛び飛びに表記してございますのは、いわゆるリムパックでございますが、リムパックにつきましては
昭和
五十四年度以降これまで四回
参加
しておりまして、逐次その規模等を充実させてきたところでございます。
昭和
六十二年度につきましては、リムパックは実施を予定されておりませんけれども、そのほかはおおむね昨年とほぼ同程度の訓練を実施する予定をしております。 航空自衛隊につきましては、
昭和
五十三年度から米空軍との共同訓練を実施しておりまして、五十三年には戦闘機戦闘訓練、それから五十四年度からは救難訓練をそれぞれスタートしております。また、五十八年度からにつきましては、指揮所演習を開始したところでございまして、
昭和
六十一年度はこれまで同様戦闘機戦闘訓練、これはおおむね月一回のペースで実施しておりますが、そのほか防空戦闘訓練などを実施しておりまして、六十二年度におきましても六十一年度とほぼ同程度の訓練を実施することといたしております。 また、共同訓練実施の
基本
的な
考え方
といたしましては、個々の共同訓練を実施していくかどうかの判断につきまして、まず第一点として当該訓練の目的、内容が
防衛庁
の所掌事務の遂行に必要な範囲内のものであるかどうかということ、それから当該訓練を実施することが
政策
的に妥当であるかどうか、さらに教育訓練上の効果がどの程度あるかといったようなことを個々具体的に検討いたしまして判断するということにしておるわけでございます。 なお、
日米
共同訓練につきましては、これまでの経過については簡単に御報告申し上げましたが、近年、陸、海、空自衛隊におきまして、それぞれ着実に進展してきているところと考えておりまして、さらに統合訓練につきましても今後とも充実を図っていくなどいたしまして、今後各般にわたりますところの
日米
共同訓練をさらに充実発展させてまいりたいと考えておるところでございます。 以上で簡単でございますが
説明
を終わらせていただきます。
坂元親男
7
○小
委員長
(
坂元親男
君) 次に、笠原
施設
企画課長に
説明
をお願いいたします。
笠原恒雄
8
○
説明員
(笠原恒雄君) お手元の
資料
の七ページ以下におきまして、
在日米軍
施設
をめぐる問題について御報告いたします。 まず、
在日米軍
施設
の推移でございますけれども、七ページに書き上げておりますが、平和
条約
発効時、
昭和
二十七年四月二十八日現在におきまして二千八百二十四
施設
、土地の面積で約十二億五千三百万平方メートルありました。その平和
条約
発効後整理統合の実施あるいは
昭和
三十二年六月の、いわゆる岸・アイク共同声明を契機とします米陸上部隊の撤退に伴いまして大量の返還があり、
昭和
三十五年六月の、いわゆる
日米
安全保障
新
条約
の締結の前には、平和
条約
発効時に比べまして
施設
の数で十分の一以下、面積で四分の一という数字、つまり
昭和
三十五年三月三十一日現在、占用
施設
は二百四十一
施設
、面積にしまして約三億三千五百万平方メートルに減少を見たところであります。その後、
昭和
四十三年十二月二十三日開催の
日米
安全保障
協議
委員
会第九回会合におきまして約五十の
施設
の調整計画が了承され、同計画を
中心
に整理統合を進めたところ、
昭和
四十七年三月三十一日現在の占用
施設
は百三
施設
、面積にしまして約一億九千七百万平方メートルでありました。そのほかに、
地位協定
第二条第四項同適用の、いわゆる
米軍
に一定期間の
使用
が認められる
施設
が二
施設
、面積にしまして約九千四百万平方メートルございます。
昭和
四十七年五月十五日、
沖縄
復帰に伴いまして
沖縄
県所在
駐留軍
施設
八十七カ所、約二億八千六百六十一万平方メートル、これは
地位協定
第二条第四項回の
施設
を含みますけれども、これが新たに提供され、その後
昭和
四十八年一月二十三日開催の
日米
安全保障
協議
委員
会第十四回会合におきまして了承されました関東平野における米空軍
施設
、それと
沖縄
におきます
米軍
施設
の整理統合計画、並びに
昭和
四十九年一月三十日の第十五回会合及び
昭和
五十一年七月八日の第十六回会合において了承されました
沖縄
における
米軍
施設
の整理統合計画が進められまして、
昭和
六十二年一月一日現在の占用
施設
は百六
施設
、面積にしまして約三億三千百万平方メートルでありました。このほか、
地位協定
二条四項回の適用ある
施設
が二十五
施設
、面積約五億四千二百万平方メートルのものがございます。 このように
在日米軍
に提供しております
施設
につきましては、
我が国
の土地の有効利用、都市計画等との調整を図りつつ、その整理統合を実施してきたところでありまして、現在では七ページの下段に書き上げてありますように、
沖縄
に所在する
施設
につきまして、
安保条約
の目的の達成と
沖縄
振興開発計画との推進の調和を図りつつ、かつ土地所有者等の意向にも配慮しまして整理統合計画を推進しているところであります。 次に八ページに移りますが、
駐留経費
の
日本
側負担でございます。 先ほど
外務省北米局長
から御紹介がありましたとおり、
在日米軍
の
駐留
に
関連
しまして
米側
が負担する
経費
の問題につきまして、
在日米軍
の
駐留
が円滑かつ安定的に行えるようにするため、
地位協定
の範囲内でできる限りの
努力
をするという方針のもとに
昭和
五十四年度から提供
施設
の
整備
を行い、また
日本
人
従業員
の
雇用
の安定を図るため
昭和
五十三年度から
労務費
の
経費
の一部を負担してきているところであります。 次に九ページに移らせていただきますが、いわゆる周辺対策でございます。
米軍
施設
は、
米軍
の活動の基盤として必要不可欠なものでありますけれども、他面、その設置、
運用
や特定の行為により周辺の住民の生活や事業活動に障害を与える場合があります。もちろん、
米軍
は周辺住民に障害を与えないよう
努力
はしておりますけれども、その任務の遂行上このことはある程度避けがたいところだと思います。しかし、これを放置することは周辺の住民にのみ負担をかけることとなり適当ではありませんので、国としましては、
関係
住民の生活の安定と福祉の向上に寄与するため、
防衛
施設
周辺の生活環境の
整備
等に関する法律等に基づきまして種々の施策を講じてきております。
一つ
は、障害防止工事の助成であります。地方公共団体等が、戦車その他重車両の頻繁な
使用
、射撃、爆撃等によりまして生ずる障害を防止、軽減するため、農林漁業用
施設
、道路、河川等の
施設
について必要な工事を行うときは、その費用の全部または一部を補助することとしております。次に、航空機の離陸、着陸等の頻繁な実施あるいは機甲車両等の頻繁な
使用
によって生ずる騒音を防止、軽減するため、学校、病院等について防音工事を行うとき、国はその費用の全部または一部を補助することとしております。 二番目の施策は、飛行場及び空対射爆撃場周辺における生活環境の
整備
であります。飛行場または空対射爆撃場の周辺におきまして、
米軍
の航空機の騒音に起因する障害の度合いを基準といたしまして、飛行場等を取り巻く外側から第一種
区域
、第二種
区域
及び第三種
区域
の指定を行いまして、国民第一種
区域
に所在する住宅については防音工事の助成を行う。第二種
区域
から外に建物等の移転を希望する者に対しましては移転の補償。そして第二種
区域
内の土地の買い入れを行いますとともに、移転が円滑にいきますよう移転先地における公共
施設
の
整備
について助成を行っております。さらに、第三種
区域
に所在する土地につきましては、緑地帯その他の緩衝地帯として
整備
するよう所要の
措置
をとるほか、国が買い入れた土地を地方公共団体が広場等の用に供するときはこれを無償で
使用
させてきております。 三番目の施策は、
施設
周辺における損失の補償であります。
米軍
による航空機の頻繁な離陸、着陸、射爆撃の頻繁な実施により、従来適法に農林漁業等の事業を営んでいた者がその事業の経営上の損失を受けたとき、その損失を補償しております。 四番目の施策は、民生安定
施設
の助成であります。
米軍
施設
の設置や
運用
によりその周辺地域の住民の生活や事業活動が阻害されると認められる場合において、地方公共団体が、その障害の緩和に資するため、生活環境
施設
や事業の経営の安定に寄与する
施設
、例えば道路、消防
施設
、公園、農林漁業
施設
等でありますけれども、その
整備
について必要な
措置
をとるときは、その費用の一部を補助することとしております。 五番目の施策は、特定
防衛
施設
周辺
整備
調整交付金の問題でございます。飛行場でありますとか演習場、港湾等の一定の
米軍
施設
のうち、その設置や
運用
により周辺地域に及ぼす影響等を考慮しまして、
当該地域
を管轄する市町村が行う公共用の
施設
の
整備
について特に配慮する必要がある
米軍
施設
を特定
防衛
施設
、そしてその
関連
する市町村を特定
防衛
施設
関連
市町村としてそれぞれ指定しまして、国は当該市町村に対して公共用
施設
の
整備
に充てる費用として特定
防衛
施設
周辺
整備
調整交付金を交付しております。 最後でありますけれども、十ページになりますが、最近におきます
米軍
基地をめぐる諸問題についてお話し申し上げます。
一つ
は、艦載機着陸訓練場の確保の問題であります。現在、空母艦載機の着陸訓練が主として行われております厚木飛行場は、周辺が住宅密集地でありまして、飛行規制及び夜間照明等のため必ずしも円滑な訓練ができる
状況
になく、
米側
から代替
施設
の確保を要請されているところであります。一方、我々といたしましても同飛行場周辺における騒音問題は早期に解決しなければならない問題と認識しております。このため種々検討の結果、立地条件から三宅島を適地と判断しまして同島に設置をお願いしているところでありますけれども、現在
状況
がわかる
資料
がないために、気象調査等の適地選定にかかわる
資料
収集のための事前調査を進めているところであります。 次に、池子住宅地区及び海軍補助
施設
に係る
米軍
家族住宅の建設問題であります。横須賀地区におきます
米海軍
家族住宅の深刻な不足を解消するため、住宅建設適地を調査検討しました。その結果、横須賀海軍
施設
に通勤し得る範囲の既存の
米軍
施設
のうち、約一千戸程度の住宅がまとまって建設でき得る池子住宅地区をいわゆる適地と判断いたしまして、長期間にわたり地元と調整
協議
してまいりまして、池子に九百二十戸の住宅を建設することを決めました。その後、神奈川県条例に基づく環境アセスメントの
手続
を進める中で、地元において種々の
動き
がありましたけれども、当庁といたしましては五月八日に神奈川県知事から提示されました調停案を受諾する方向で尊重することとし、現在アセスメント、評価書の作成
手続
を鋭意進めているところであります。 次に、
沖縄
におきます
従業員
のいわゆる人員整理の問題でありますけれども、先ほど北米
局長
から御紹介がありましたので省略いたします。 二番目に、
米軍
の
駐留
に伴い発生する事件、
事故
の防止につきましては、機会あるごとに
米側
に申し入れているところでありますけれども、今後ともその都度、
状況
に応じましていろいろなレベルにおきまして
米軍
に注意を喚起し、原因を究明し、
再発防止
をとるよう求めてまいりたいと考えております。 以上で終わります。
坂元親男
9
○小
委員長
(
坂元親男
君) 以上で
説明
聴取は終了いたしました。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
堀江正夫
10
○
堀江
正夫
君 私は、まず
外務省
にお尋ねをいたします。 ただいまの御
説明
の中で、
軍事面
では
日米
間は
基本
的には緊密な
関係
にはあるものの、最近になって
議会
筋を
中心
にきしみが生じつつあるとの懸念をお持ちのように承ったわけであります。私もこのような
日米
間の
現状
に深い憂慮を持つものでありまして、何とか
関係
の改善充実を図って、その信頼
関係
を一層確かなものにしてこれを強化しなきゃならないと信じております。このようなスタンスに立って二点についてお尋ねをし、かつ意見を申し述べます。 第一は、
外務省
が主管されております
極東
有事
研究
の促進の問題であります。これにつきましては、私は過去二回ほど
関係
の
委員
会で
研究
の促進を要望いたしました。これは
日米安保条約
に基づく
日本
の果たすべき当然の責任であり、この
研究
の遅滞というものが
日米
間にきしみを生ずる一因ともなることを恐れているからであります。しかし、五十七年一月に
研究
開始に合意してから既に五年半を超えてしまいました。この具体的な
研究
は恐らく広く
関係
各省の
協力
を得なければならない問題であって、あるいは事務的にはこの点に大きな障害があるのではないかなと推測をするものであります。もしそうだとするならば、その
協力
をもっと高いレベルに上げて
協力体制
を確立するといったような
措置
も講じて、積極的に推進する必要があるのじゃないかと思っておりますが、この
研究
の
現状
と対策、見通しについて伺います。 第二は、
ペルシャ湾
の現在の情勢に対応する
日本
外交
の
基本
姿勢であります。
政府
が従来からイラン・イラク戦争の終結に
努力
をし、この地域の安定に尽力をして腐心しておられることを評価するのにはやぶさかではありませんけれども、現在の情勢はこれを引き続いて推進するだけでは
日本
がその責任を果たしているということにはならないのではないかと思われてなりません。
日本
が所要とする五五%の石油をこの地域に依存し、現に
日本
向けのタンカーを
米海軍
が直接護衛をし、
米国
だけじゃなくて、イギリス、フランスの海軍がこの海域の安全の確保のために掃海活動を行っております。私は、このような
米国
を
中心
とする各国の軍事行動に対して、
日本
も
憲法
の許す範囲においてこの海域の公海で直接的な護衛行動をすべきことを積極的に検討すべきじゃないかと思うわけです。この
ペルシャ湾
の問題は、言うまでもなく
日本
自身の問題であると思います。そしてこれは金銭であかない、あるいは
外交努力
だけで済まし得るという問題ではないのじゃないかと思われてならないわけであります。私が今提言をしましたような行動をとらない限り、
日本
は
関係
各国から
説明
をしようとしても
説明
しようもない非難を浴びて、この点で特に
日米安保体制
に大きな禍根を生ずることになるのではないかとひそかにおそれるものであります。 以上二点をまず
外務省
から承りたいと思います。
藤井宏昭
11
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) いずれの二点も大変に
政策
問題として
基本
的な問題であるというふうに考えます。 第一点の
極東
有事
研究
でございますけれども、御指摘のように
昭和
五十七年一月以来、審議官レベルで始めたわけでございますけれども、たしか三回の会合を持ちまして、それ以来
研究
は続いてはおりますけれども、実際問題といたしまして、
関係
各省含めてのインテンシブな作業というものは事実上中断状態になっているというのが
現状
でございます。その点については、毎年、例えば一月のSSC等におきましても報告をしておりますし、
米側
もその事態を存じております。困難はいろいろなところにございますけれども、まさに御指摘のように、この問題は
関係
各省に大変に広くまたがる極めて複雑な問題でございまして、いろいろな
意味
での事務的な障害、法制的な障害を含めまして大変に大きな問題がございますので、なかなかこれが進展していないということでございます。我々といたしましては、これは
日米
間で約束をした以上、さらにそれのみならず、やはり
日米安保体制
を円滑に
運用
していく上で、いずれにしましても
我が国
の便宜
供与
のあり方ということをきちっとしておくことは非常に大切なことであるというふうに思っておりますので、できる限りの
努力
を今後とも傾注していきたいと思います。御指摘の点は大変に貴重な御意見といたしまして、今後とも我々もできる限りの督励をいたしまして、みずからの
努力
をしていきたいと思います。 第二の
ペルシャ湾
の件でございますが、私の所掌の範囲を超えておりますので、本件につきまして残念ながらただいま先生の御指摘の点について有権的な意見を述べるわけにはまいりませんけれども、先生の御指摘の
アメリカ
においてこの問題が非常に
日米関係
との
関連
で大事な問題になってきているということは、先ほどもちょっと触れましたけれども、この点につきましては私も全く同感でございます。我々が
日本
で新聞報道等を見ております以上に、特に
スターク号事件
以来の
ペルシャ湾
における緊張というものに対する
アメリカ
国民、これは
議会
のみならずでございますけれども、一般の国民を含めての関心の度合いというものは高いわけでございます。これは当然のことでございますけれども、
アメリカ
のテレビ等では大変にこれを大きく取り上げておる、国民もそれを注視しておるという事態でございますし、さらにその中で大変に
日本
との
関連
が注目されているということは現実であろうと思います。 例えば先般、
米海軍
が護衛しましてガスプリンス号というのが
ペルシャ湾
から出てまいりましたけれども、これは
一つ
のドラマと申しますか、ということで
アメリカ
国民が手に汗握ってテレビなどで見ておったわけでございます。その
アメリカ
のテレビなどを見ますと、我々は時々それをモニターしているわけでございますけれども、このガスプリンス号は
日本
に行くんだ、
日本
に行くんだということを非常にアナウンサー等は強調しているわけでございます。
アメリカ
国民は非常にそういう意識を持ってあのガスプリンス号の護衛、それが無事
ペルシャ湾
から公海に出たという情景を見ておるわけでございまして、そういうことが、先ほども触れました
ペルシャ湾情勢
を契機として、特に最近
我が国
の
防衛
努力
に対していろいろな
決議案
等の形で出てきているということの背景にあるのかと思います。それは確かに
一つ
の事実として申し述べる点ではないかというふうに考えます。 さらにその上に突っ込んで先生の御指摘は、非常に
基本
的な点でございます。その点について
日本政府
としてどうすべきかということにつきまして、個人的な意見は別といたしまして、まことに申しわけございませんけれども、私の担当の範囲を超えるものでございますので、その点についての
考え方
の開陳は差し控えさせていただきたいと思います。
堀江正夫
12
○
堀江
正夫
君 今、
藤井
局長
の申されましたまず第一の
極東
有事
研究
の問題でありますが、
局長
も言われましたようにまさに
日米
間の正式な約束そのものでございます。したがって、
日本
が当然果たさなければいけない。これが従来の各省間のいろいろな問題で五年半たっても進まないと、これではもう済まされないと思います。最近のココムの問題なんかも、これはやっぱり各省の
安全保障
というものに対する認識の欠如というものが
一つ
の大きな要因になったと思うわけです。これをひとつ他山の石としてぜひともこの問題についても
政府
を挙げて、各省挙げてやれるようにこの上とも
努力
をしていただきたい。我々与党としてもこの問題についてできるだけバックアップしたいと思っております。
ペルシャ湾
の問題は、これは本当に政治そのものであり大変な問題だと思います。そのことは私もよくわかっております。同時に、これは軍事能力の問題も当然あると思います。また
外交
そのものの問題でもあります。
一つ
の私の提案を真正面から受けとめていただいて御検討願いたいということを重ねて申し上げておきます。 次は
防衛庁
に二点だけお尋ねをし、意見を述べたいと思います。これは
日米安保体制
下における
日本
の
防衛
を一層確実のものとしたいという私の念願、熱望を踏まえてする質問でございます。 その第一は、
米国
の第二五師団の軽師団編成化の問題であります。先ほどの御
説明
で共同演習が回を重ねて行われ、かつその内容が逐次充実していることを頼もしくお聞きしたわけでありますが、陸上自衛隊と
米軍
の共同演習の
米側
参加
部隊には必ずハワイにおりますところの二五師団がおるというふうに承知をしております。ところがこの二五師団が最近軽師団に編成替えをされました。一方、
昭和
五十三年の十一月に先ほど御
説明
がございましたが決定されたガイドラインでは、増援
米軍
には反撃作戦、すなわちさらに具体的に言いますと攻勢力を持った戦力を期待することになっておる、このように私は理解をするわけであります。また、共同演習を何度かいろいろやられました。その中で、侵攻国の陸軍を撃破するためには重装備の師団、重戦力が絶対必要であるといったびたびの成果が出ているようにも仄聞をしておるわけであります。そのような中で
米国
の二五師団が軽師団化された。これは重大な問題だと私は思うわけであります。 そこで、
米国
の二五師団の軽師団化について事前に相談があったのかどうか。あったとすればその場合に
防衛庁
はどのような対応をしたのか。さらに、既にこの二五師団は軽師団化しておるわけです。こういった現実を踏まえて具体的にどのような対策をとっておられるのかということについて伺いたいと思うわけであります。私はガイドラインの申し合わせに従いかつ二五師団の軽師団化を認めるという前提に立つならば、ここで真剣にポンカスという問題を考える以外に解決の方法がないのじゃないか、このようにも考えておるということを、この点については申し添えておきます。 第二は、
米軍
の来援の基盤の確保の問題であります。今日までいろいろと作戦
研究
が行われてきましたが、来援
米軍
の基盤を確保しておくことが来援
米軍
がその能力を
日本
の
防衛
のために有効に発揮するために絶対に必要であることは申すまでもないところであります。今日までの
米軍
基地の整理統合の中ではこのような観点からの配慮はなかったと思います。それはそれでやむを得なかったと思います。しかし、今後の整理統合の中ではこのような視点を加えた再検討をしなけりゃならないのじゃないか、私はそのように思うわけであります。 以上二点についてお伺いをして私の質問を終わります。
宝珠山昇
13
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 御
説明
いたします。
米国
の第二五師団の軽師団化についていつごろ
防衛庁
は知ったのかということでありますが、ハワイの二五師団の軽師団化を検討しているということにつきましては八四年三月ウィッカム陸軍参謀総長、これは当時でありますが
議会
証言を行いましたのによって知ったという
状況
でありました。事前に
日本
に
協議
をするというような性格の問題でもないものかと理解しておりますが、そういうことがあったということはございません。 このような軽師団化という改編を
米国
がなぜ行うかという点についてでありますが、これは全般的にあるものは重装備あるものは軽師団化することによって機動力を持たせるというようなことで改編を行っているように理解しておりますが、軽師団化の
一つ
の目的は戦略機動性にすぐれて高い展開能力を持つものに改編しようということであります。そのねらいはやはり原則の抑止をより一層確実なものにするということのようでありまして、通常戦力を充実近代化する一環であると理解しております。それに対して何か
防衛庁
として意見を述べたりあるいは対策を講じているかということにつきましては、そのようなことは私の承知している限りございません。
日米
間には
各種
の
安保条約
に基づく
協議
機関がございますが、それぞれの機会に来援をより確実なものとするように種々の
協議
あるいは意見交換を行っていることによってこの二五師団のみならず全体的な来援能力の向上あるいは来援をより確かなものにするための
努力
をしているところでございます。 それから、ポンカスについての御指摘でございますが、軽師団化することと直接は
関連
がないかもしれませんが、重装備なりを
我が国
に事前備蓄しておくことがどうかという御指摘であろうかと思います。これは一般論として申し上げますと、
日米安全保障体制
の抑止力の効果的な
維持
という観点から見まして、
我が国
に対する
武力攻撃
が発生した場合の対応において
米軍
の来援をどうするかということの
関係
で
研究
あるいは検討を行っておくということは大変有意義なことであろうとかねてから考えておるところであります。現在までのところこれは数年前でございますが、
防衛庁
長官が
米国
に参りましたときワインバーガー長官にお話しをしたところでありますけれども、
米国
が現在欧州で行っているような事前集積の
考え方
を
日本
について持っているということはないということを明言されておりまして、仮にそのようなことをするとしても、それは
米国
議会
の
承認
が必要であるというようなことも付言されておりました。 では、
我が国
として積極的に検討してはどうかという御指摘かと思いますが、現在の
我が国
の
防衛
努力
の面では事前備蓄以前にいろいろとやらなければならないことがたくさんあるわけでございまして、具体的に今検討しているということはございません。しかし、今後情勢あるいは
防衛力整備
の進展を踏まえて検討すべきではないかという御指摘であろうかと思いますが、この点は十分頭に置いてこれから検討してまいりたいとは思いますが、今すぐにどうということはとてもとり得る
状況
でないことを御理解いただければと思います。 来援基盤の問題について従来
防衛庁
はおろそかにしているのではないかという御指摘があったかと思いますが、先ほども申し上げましたように、
米軍
の来援というものをより確実なものとすることが抑止力を高めるという
我が国
の
防衛
政策
の
基本
に立ってみますと、大変重要であることは御指摘のとおりと認識しております。そういう観点から、一般的なものではありますが、
日米
間の
相互
理解の促進というようなことでみずからの
防衛力
の
整備
に努めるとともに、
米国
との間断のない対話を通じて
信頼性
の強化に努めるというソフトの面での
努力
が
一つ
ございます。 それから、
日米防衛協力
のための
指針
に基づきまして共同対処行動を円滑に実施し得るようにいろいろの分野で
協力体制
の
研究
を進めておりますし、共同訓練などを通じての
努力
をしているところであります。さらには、
我が国
に
駐留
しております
米軍
の活動の基盤となる
施設
・
区域
の安定的な
使用
の確保にも努めているところであります。それをさらに拡大して余裕を持っておくべきだというような御指摘でございますれば、将来的には検討すべき課題であると思いますけれども、なかなか今のところそこまで手が回っていないという
状況
でございます。
堀江正夫
14
○
堀江
正夫
君 第一の問題は、ガイドラインで陸上作戦について反撃力を期待しているわけでしょう。二五師団は反撃力になっていないじゃないですか。それを私は指摘しているわけです。もしもそれを是認するならば、それにかわる何かをしなければ
日本
は反撃力を持ち得ないじゃないか、どうするんだということを私は言っておるわけですから、その点についてもうここでお答えいただこうと思いませんけれども、穴のないようにやっぱりしなきゃならぬのじゃないかということを指摘したつもりですから、お考えいただきたい。 第二の問題で、今までそういう配慮がなかったことについては、それは私は当然だと思っているんです。しかし今のお答えでは、これからの来援基盤のいろんな
研究
成果ができても、大事だと思うけれどもなかなかできないというお話ですけれども、それはおかしいので、そのままずっと整理統合をやっていったならば、これはもういよいよいざというときにどうするんですか。全然来援基盤を確保するなんということは不可能になってくる、
日本
の実態からいうと。そうなると、まだ残された整理統合の中で私はやはり今言ったような視点を加えながら再検討をするべき時期じゃないかということを提言申し上げたんであって、その点をひとつもう一度よく踏まえて今後検討していただきたいということを要望申し上げておきます。御返事は要りません。
永野茂門
15
○
永野
茂門
君 最初に
外務省
にお伺いいたします。
日米安全保障条約
は、御
説明
がありましたように、
日本
の
防衛
に関すること並びに
日本
の安全に極めて重要な
関係
を持ってあろう
極東
に事態が起きた場合の
米軍
の活動を容易にするための便宜
供与
等についていろいろと
規定
されておるわけでありますが、
日本
の安全に重要な影響を及ぼす事態というのは、この
安全保障
条約
をつくった事態においては、まさしく
日本
周辺だけを考えておれば大体重要なことは済んだ時代であったかと思います。もう既にそうでない時代に入っていたと見てもいいのですけれども、しかしあの六〇年、それから七〇年の時代においてはその程度に限定してもよかったかもしれません。しかし、情勢がさらに変化しておりまして、御承知のように、まさに世界のどこの事案でも
日本
の
安全保障
に非常に大きな影響を及ぼす。 特に、例えば、現在心配になっております
ペルシャ湾
のような地域における事態がさらに拡大した場合には、大変に
日本
の
安全保障
に大きな影響を及ぼすことになると思います。私は、改めて
日米安全保障条約
をそういうような方面まで拡大しろとかそういうようなことを今申し上げるつもりはございませんけれども、今のような事態が仮に発展をして、
日本
に
駐留
しておる例えば海兵隊あたりが直接
ペルシャ湾
海域、地域あるいはディエゴガルシアを中継して、あるいはその他の地域等を中継してでもいいのですけれども、転用されるというような場合に、直接、間接の便宜
供与
が必要になると思います。また、その中には移動前の便宜
供与
もあるでありましょうし、それから向こうに着いた後にいろいろと障害が起きて、それも
整備
支援、あるいは補給支援というようなことを
日本
から欲しいということも起こると思いますけれども、こういうことに対して
日本
はどういうような便宜
供与
をするのがいいのでしょうか。また、それはどういうような現在の
条約
上その他障害があるんでしょうか。それが第一点です。 それから第二点は、その
ペルシャ湾
の
状況
と
関連
してでございますけれども、
ペルシャ湾
海域には多くの
日本
の船舶が行動しておる。そして、既に損害を受けた船舶もあります。それから
日本
の船員は、
日本
の船舶だけではなくてほかの外国船籍の船舶にも搭乗しておって、大変に危険を感じておるわけでありますけれども、これの安全をいかにして確保するかということは、やはり国としても極めて大事な
措置
をとらなきゃいけないことではないかと思うわけてあります。
アメリカ
側においては、例えば本日の新聞によりますと、中東のこの地域の艦隊司令官の上に特別司令部を設置することを決定しておりますが、そういうところにおいて船舶の航行を安全にするための管制をする、あるいは少なくともそういうところ等から十分な安全に必要な
情報
を流してもらうというような
措置
がとられなければならないと思いますが、現在までそういうものはどういう
措置
がとられておるか、あるいは今後どういう
措置
をとったらいいであろうかということについてお承りしたいと思います。
藤井宏昭
16
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) まず第一点でございますけれども、
日米安全保障条約
の枠というものはやはり堅持しながら、
我が国
としてこの円滑な
運営
に当たっていくということが必要かと思います。
日米安全保障条約
の枠でございますけれども、これは例えば第六条にございますけれども、「
日本国
の安全に寄与し、並びに
極東
における
国際
の平和及び安全の
維持
に寄与するため、」云々ということがあるわけでございまして、あくまで
日本国
の安全と
極東
における
国際
の平和と安全ということが
日米安保条約
におきまして
我が国
が
施設
・
区域
を提供している目的でございます。ということは、
アメリカ
の軍隊が
我が国
に
駐留
しあるいは寄港しあるいは通過するというような場合に、
日米安全保障条約
の
趣旨
に沿っているか、すなわち
極東
における
我が国
の安全はもちろんでございますし、
極東
における
国際
の平和、安全の
維持
に貢献するという実態があるかということでございます。そういう実態がある以上、この基地を
使用
することができるし、かつ先ほど申し述べましたように、
我が国
としてはその円滑な遂行に
協力
すべきであるということになるかと思います。 それがあくまで
中心
でございまして、その
日本
におきまして、
極東
の
国際
の平和と安全に貢献しておる実態を有しておる
艦船
あるいは航空機などが
ペルシャ湾
あるいはその他の地域に移動して活動を行っているからといって、それ自体が
日米安保条約
に違反しているということではございませんが、それはまた逆に言えば可能であるということになるかもしれません。 いずれにしましても、
日米安保条約
が
規定
しておりますことは、そういう
極東
という限定がある中で、それにそういう実態があるかどうかということでございます。もちろん、直接的に
日本
の
施設
・
区域
からいわゆる戦闘作戦行動に出まして、直接
ペルシャ湾
なりどこか外国に行きましてそこの戦闘に
参加
するということについては、事前
協議
をするということがあるわけでございまして、事前
協議
なしにそれはできないという制約がございますが、それ以外の点におきましては、何度も繰り返して恐縮でございますが、
極東
における
国際
の平和と安全の
維持
に貢献するという実態があるその
艦船
等が
ペルシャ湾
等に行きまして移動するということは可能であるということでございます。したがいまして、
我が国
といたしまして、
ペルシャ湾
等の
米軍
に対して何らかの軍事的な
協力
を行うということは全く想定していないわけでございます。 それから、先ほどの第二の御指摘の点でございますが、恐縮でございますが、これも私の範疇をやや超えることになりますが、聞くところによりますと、
政府
といたしましては、海上保安庁がハイドロパックという
米国
の水路通報、これは世界的なもののようでございますが、その
情報
を得て、さらに米英
艦船
向けに
米軍
が流しておるスペシャルウォーニング
情報
というのがあるそうでございますが、それを入手いたしまして、短波、無線及び共同通信を通じまして、
我が国
の船舶に
情報
を流しておるということを
政府
は行っておるというふうに承知しております。
永野茂門
17
○
永野
茂門
君 今御質問申し上げました第一点につきましては、私は別に
日米安保条約
を改定しろとか、
日米安保条約
の解釈を拡大しろとか、そういうことを申し上げたわけではありませんので、とにかく
ペルシャ湾
の安定、平和というものは
日本
の
安全保障
にとって極めて重大である、したがって、それなりの何らかの
日米
協力
あるいは自由陣営全体の
協力
、あるいはさらにもっと広い
協力
が必要であろう、その中に軍事的な何らかのものが含まれてくることも考えておかなきゃいけないのじゃなかろうかということを申し上げただけでございます。 次に、
防衛庁
にお伺いいたします。 最初に、きょう御
説明
あった中に関することで
一つ
二つ
御質問申し上げたいのですが、
一つ
は、この
防衛
協力
のための
指針
によっていろんな
研究
がなされているわけですけれども、共同作戦計画というものを最終的にはつくらなきゃいけないわけですね。これはいつごろを目途にしてやろうとしていますか。どうも今までのところ
研究
は
研究
としてずっと続けていく、これは意義がないことはない、非常に重大な意義があるわけでありますけれども、最終目的がいつ達成されるのかさっぱりわからないのじゃないかという感じを持つわけでありますが、これはどうでしょうかということ。 それから、インターオペラビリティーについて最近非常に
アメリカ
側は強くいろいろな要望を出しておる、また重視しておるようであります。そしてまた、これは実態的に大変に重要なことであると思います。しかしながら、これも最近我々の耳に入ってくるのは度が過ぎたインターオペラビリティー、つまりもう何でもかんでも
アメリカ
の装備を使え、
アメリカ
の戦術的なあるいは作戦的ないろいろなプロセデュアーをそのまま
日本
側にも適用しないとインターオペラビリティーは確保できないという、そういう感じの言葉が伝わってくるわけであります。これはそういうことがあってはならないと思うのでありまして、その件について正式にはどういうことになっているかということを簡単に御
説明
願います。
宝珠山昇
18
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 第一点の共同作戦計画はいつつくるのかという点でありますけれども、一般論としてはそのようなものを作成することはあり得ると私どもは考えてはおります。しかし、現在までのところその具体的な内容でありますとか、形式でありますとか、
手続
でありますとか、そういうものを検討するという
状況
には至っておりませんで、いつだということについては
日米
双方ともに具体案を持っていないというのが実情であります。 第二点のインターオペラビリティーについて、人によっては非常に拡大をしているのではないかという御指摘かと思います。そういう議論があることは確かに私どもも承知しておりますけれども、
日米
すなわち統合幕僚
会議
事務局と
在日米軍
との間で検討しておりますインターオペラビリティーといいますのは、そういう非常に広い
意味
のものではございませんで、
相互
に持っております現有の装備を、あるいは後方支援面も含みますけれども、それらの
共通
性あるいは両用性というものを確保するという観点からどういう施策を講ずればいいのかといった限定的なものでありまして、
我が国
の主権にかかわるような問題をこの言葉の中に包含して
研究
をするというようなことは全くございません。
永野茂門
19
○
永野
茂門
君 最後に、ココム規制の問題について
防衛庁
にお伺いいたします。 ココム規制というのは御承知のように、世界の平和あるいは
国際
の安全のために極めて重要な手段であります。したがって、
日米安保体制
を確実に機能させるためにもこれは妥当な線で守られていかなきゃいけないというふうに考えます。最近、東芝機械事件を契機にして
政府
はいろいろな対応策を立て、
再発防止
について外為法等の
改正
を今
議会
に提案しておりますが、そういうものを含めていろいろなことを図ろうとしておることは大変結構なことだと思います。そしてまた
防衛庁
もそれに積極的に参画するという態度があるやに承っておりますが、これはもう当然
安全保障
の重要な問題であって、
防衛庁
が
一つ
の重要など申しますか、もっと言えば中核的な存在としてこのココム規制についていろいろと
関係
省庁と調整していくことが必要だと思います。 たたしかるに、新聞等を読んでいますと、どうも
防衛庁
が表面には全然出てまいりません、
防衛庁
がこういうふうにやるというところは。そこで、一体
防衛庁
はココム規制について通産省あるいは
外務省
とどういうふうに
協力
してやろうとしておるのかということを承りたいと思います。
宝珠山昇
20
○
説明員
(
宝珠山昇
君) ココム規制という点に関しますと、
防衛庁
は従来も所掌しておりませんし、今回の法
改正
でもそれに関与するという形の
改正
を盛り込んでいるわけではございません。しかし、現在ココムにつきましては、御指摘のように東芝機械事件を契機にいたしまして
政府
として極めて積極的に取り組んでいると理解しております。そういう中で
防衛庁
としてもこういう
状況
を踏まえて、現在持っております所掌事務の範囲ではありますけれども、適切に関与すべきであるという
考え方
で臨んでおります。 例えば、ココム問題について
関係
閣僚
会議
を設置してはどうかというようなことが検討されております。重要な事項について審議しようとするものと思いますが、それらの検討に際して
防衛庁
も
関係
省庁とともに
参加
しているところであります。 外為法の
改正
に
関連
して報道されました御印象をお述べになったのかと思われますけれども、今回の外為法の
改正
の中で
国際
的な平和及び安全の
維持
というものが入ったのが
一つ
の大きな特徴だと理解しております。この意義は全く当然のことでありますけれども、
我が国
の平和及び安全を包含するということは当然でございます。
他方
、
防衛庁
は
我が国
の
防衛
をその
基本
的な任務としているわけでありますから、
防衛庁
長官が
我が国
防衛
上の見地から通商産業大臣などに意見を述べるということは既に法律によって十分確保されているわけでありまして、この権限のもとにできる限り
協力
をしていくべきであるというコンセンサスはございます。今も
努力
をしているところでありまして、例えば
防衛庁
がどういう点で貢献できるかということになりますと、
武器
の国内における多くの調達者として、あるいはその開発でありますとか
運用
でありますとか、そういう知識あるいは周辺における軍事情勢についてもいろいろの知識と経験を持っているわけでございまして、これらによって養成された人間も他の省庁にはない特徴であろうかと思いますが、これらの人たちを一時的に、あるいは相当長期的に割愛するということも
防衛庁
の
一つ
の貢献であろうかと考えたりしております。いずれにしましても、今後
関係
省庁とよく調整をしながら進めていくことであろうと思います。
永野茂門
21
○
永野
茂門
君 ありがとうございました。 以上をもって私の質問を終わります。
山口哲夫
22
○
山口
哲夫
君 今の
永野
議員から御質問がありましたココムの問題で
外務省
の方にお尋ねしたいと思います。 私は全く逆な
立場
で質問するわけですけれども、これはフランスのル・モンド紙の二年前の記事だそうです。私は直接読んでおりませんけれども、こんなふうに書いてあるそうです。 フランス
政府
が
秘密
にソ連筋から入手した
資料
に基づいたものだそうですけれども、ソ連は一九七九年に百五十六件の
技術
サンプル、それから三千八百九十六件の
技術
論文を収集した。そのうち、
技術
サンプルの約半分ちょっと、八十七件、それから
技術
論文のうちの約一割、三百四十六件を兵器の
研究
開発に応用したんだそうであります。そのために、航空
関係
だけで約一億五千万
ドル
の
研究
費を節減することができた、こういう内容だそうですけれども、私が今問題にしたいのは、こういったものを収集した国別の問題なんです。その国の一番多いのは
アメリカ
で、六一%だそうです。西ドイツが一〇・五%で、
日本
はわずかに三・〇%にすぎない。 そこで質問なんですけれども、
日本
をこのココムで締めつけてみても、今言ったように
アメリカ
や西ドイツからも
技術
は非常にたくさん輸出されているわけです。
日本
は三%ですけれども、その二十倍以上が
アメリカ
なんですから、このように
アメリカ
や西ドイツからも
技術
は輸出されているわけです。ですから、ココムで
日本
を締めつけてみても
日米
の
安保体制
の強化には私はならないのじゃないだろうか、そんなふうに思うわけです。どうも
日本
が一番貧乏くじを引くような
可能性
が非常に大きいというように思うのです。このようにココムの加盟というものは
日米
の
安保体制
には余り役に立っていないと考えるんで、私はむしろココムなんというのは脱退するべきでないのかなと考えているんですけれども、その点についてどうでしょうか。 そして、今回外為法で
安全保障
条項が設けられておりますけれども、これなんかもそういう点からいけばあ極めて無
意味
でないだろうかというように思うのですけれども、
外務省
の見解はいかがでしょうか。
藤井宏昭
23
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) ココムの問題を本日のテーマでございます
日米
安全保障
ということ、そこから派生する問題であるというふうに必ずしもとらえる必要はないのではないかというふうに存じます。
一つ
は、やはり西側の十六カ国がココムというものをつくりまして、そこで話し合いをしておるわけでございますし、そのシステムに基づきまして
日本
では外為法があり、その
規定
があるという中で、現実にその違反が起こったということ、それが
アメリカ
等で問題になっているということが
一つ
の問題でございまして、これに対してはやはり違法な行為によりまして
一つ
の事態を惹起しておるわけでございますので、それを是正していくというか将来に対してこのようなことがないように、その防止を行っていくということであろうかと思います。 同時に、もちろんそれが
日本
自身の
安全保障
にどういう
意味
を持つのかということに思いをめぐらすということも必要であると思いますし、それが
日本
と
アメリカ
のみならず、西欧を初めココム加盟国との
経済
関係
、友好
関係
一般にどういう影響をもたらすのかということも思いをめぐらすべきであると思いますけれども、いずれにしましても
日米安保条約
あるいは
安保体制
の
運用
強化のためにココムの規制を強化するという
考え方
ではなしに、今申し上げたような
考え方
で、ココムにつきましてはできるだけ早期に将来の防止のための外為法の
改正
についでこれが
国会
の御
承認
を得まして、
日本政府
としての一連の施策が実効性をもって行われることが大切ではないかというふうに感じる次第でございます。
山口哲夫
24
○
山口
哲夫
君 結局最終的には
日米安保体制
の強化ということを考えて、そういうことから外為法の今度の
改正
ということになるんではないかと私は思っているんです。 それでもう
一つ
、今フランスのル・モンド紙の話をしましたけれども、例えば今のこの
情報
からいきますと、ソ連側の
情報
収集の中では
日本
がたった三%しか占めていないという。それよりももっともっと大きい西ドイツとか
アメリカ
がある。そうすると
日本
だけ規制してみたところで、いわゆる西側
体制
の
安全保障
ということには何ら役に立っていないのじゃないだろうか。確かに今おっしゃるように
日本
でそういう事件が起きたし、ココムに加盟している以上はそういう
一つ
の制裁
措置
をきちっととらなきゃならないことは
現状
の段階ではわかるけれども、しかし根本的に考えてみたら、それは何も意図しているような
意味
は持っていないのじゃないのだろうか。その辺諸外国との
資料
の流出とかということとの
関連
の中でどういうふうに位置づけたらいいのか、
考え方
を聞きたいわけです。
藤井宏昭
25
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) ただいまの御指摘の点でございますけれども、ただいま我が
政府
が目指しておりますことは、ココムという
一つ
の紳士
協定
と申しますか、そういうものがありましたらそれを
日本政府
としてきちっと守れるようにと、現に事件があったわけでございますので、
再発防止
ということを目指すものでございまして、ほかの国との
関係
で特に
日本
だけがココムについて余計な規制を行う、余計な規制と申しますのは品目なんかにつきまして多くなる、そういうことではないことは明確であると思います。そういう
意味
におきまして、
日本
の場合には
国際
的にココムの場で一定の了解が成り立ちましたらそれをきちっと守っていくということが今の問題でございまして、どの程度とういう品目に規制をかけていくのかいろいろレビューもしているようでございますし、そういうことを含めましてそれはまたおのずから別な問題であろうかというふうに思うわけでございます。
山口哲夫
26
○
山口
哲夫
君 論争の場でないようですから、私は最後に意見だけ申し上げておきたいと思うのですけれども、こういうことをやっていれば結局
日本
の
経済
活動を
政府
みずから規制してしまう危険性もあるんじゃないかなと思うのです。結局は最後に
日本
だけが貧乏くじを引いてしまうというさっき言ったような結果になりかねないと思うので、そういうことからいけば、どうもココムに加盟しているということは余り
日米
の
安全保障
の問題からいっても無
意味
だなと、そんなふうに考えているということだけを申し添えておきたいと思います。 その次に、
安全保障
の問題で質問するのは私は初めてなものですから、極めて
基本
的な問題についてまず
防衛庁
のお考えを聞いておきたいと思うわけです。 先ほど来いろいろお話を聞いておりますと、
日米安全保障条約
に基づく
日米安保体制
が
日本
を非常に守っているという印象を強く受けるわけですけれども、そういう点でこの
日米安保体制
というもの自体が
一つ
の敵国を想定した脅威に基づいた
体制
をつくっているものだというふうに理解するわけです。具体的にはソ連脅威論ということになるんでしょうけれども、一体ソ連脅威論は存在するのかどうなのか。栗原
防衛庁
長官はこういうことを言っているんだそうですね。
日本国
民にソ連の脅威を認識させるのが政治家としての私の任務であるということを長官がお話しされているようですけれども、私はこのソ連脅威論というのは極めて意図的につくられてきたものだというように思うのです。 今はもう亡くなられた玉置総務長官が、かつて参議院の
予算
委員
会で北海道の地図を示しまして、
防衛庁
長官に北海道の地名を書いたものを渡して、これは何と読むかなんという質問をされていました。私もたまたまその議事録をちょっと読ませていただいたことがあるんですけれども、あの話なんかずっと聞いておりますと、何か今にもソビエトがオホーツク沿岸から北海道に侵入してくるんでないかというような印象を非常に受けて、
国会
の中というのはこういう論議をしているのかなと思って実はびっくりしたんです。 そういった中で、何年前でしょうか、統幕議長に矢田さんという方がいらっしゃいましたですね。たしか四、五年くらい前だったと思うのですけれども、東京で財界人を集めて講演されたんだそうですが、その中でこういうことをおっしゃっているということを何かの本で読んだんです。それは、
日本
が何にもしないときにソ連は攻めてくることはないのだ、ソ連が
日本
を攻めてくるときは米ソが激突した場合そのあおりを受けて攻めてくるであろう、こういうふうにおっしゃったそうですね。私は非常に驚いたわけです、統幕議長がそういうふうにおっしゃっているということは。私も全くそのとおりだと思いますので、そういうことをお考えになっている
防衛庁
の幹部がいらっしゃるんだなと思ったんです。それと同じように
アメリカ
の元太平洋軍司令官ガイラーさんというのですか、この方は、北海道に対する水陸両用の強襲
攻撃
の脅威はないに等しいのだ、こんなふうにもおっしゃっているわけです。私は、どうも
日本
が何ら軍事行動を起こさないというときにソ連が果たして
日本
を攻めてくるというふうに、そういうソ連脅威論ということをまともに考えていらっしゃるのかなと思っているんですけれども、そういう点についていかがでしょうか。
宝珠山昇
27
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 第一点は、世界の軍事構造についての理解にかかわるかと思います。世界で現在、金額はちょっと記憶しておりませんが、およそ六〇%の軍事力を米ソで年々支出しております。軍事力は二十年ぐらいの耐用命数があるわけでございますから、その蓄積量の差というのは巨大なものでございます。この両国は民主自由主義と共産主義ということで、これは
基本
的に対立し抗争していると私ども理解しているわけであります。
我が国
はそういう中で国防の
基本
方針に
防衛
の
基本
的な
考え方
を示しておりますが、民主主義を基調とする
我が国
の独立と平和を守るということでございます。その方針のもとに内政諸施策をいろいろ進めるということは当然でありますが、国力、国情に応じて自衛のため必要な限度において効率的な
防衛力
を漸進的に
整備
するという方針が示されております。この効率的な
防衛力
の漸進的な
整備
の目標を明らかにしておりますのが
防衛
計画の大綱でございます。 この
防衛
計画の大綱は特定の国を敵視するというような
考え方
に立つものではございませんで、現実に
我が国
周辺にかなり大きな軍事力が存在し、かつ行動しているという事実を踏まえております。放置する場合にどうなるかということで言いますと、
我が国
の軍事力がほとんどなかった時代において、
我が国
領空を航空機なりが自由に飛び交った時代もあるわけでありまして、そのような主権が侵されることのないような軍事的な警戒
体制
をとり得るということを
一つ
の目標にしております。その他
幾つ
かの
考え方
というのが示されておりますが、その
考え方
は限定的かつ小規模な侵略に対しては独力で対応し得るような
防衛力
を平素から備えておくことによって、軍事的な侮りを受けることなく侵略を未然に防止し、あるいは主権を侵されるようなことのない状態というものを保ち続けることができると考えているわけであります。もちろん、これは
日米安全保障条約
を前提としての話でありますけれども、そういうことで
防衛
計画の大綱というものは、特定の国がどういう侵略をするからというような
考え方
に立つものではありませんで、今の世界の
状況
の中で
必要最小限
の
自衛力
というものの
整備
を目標にしているわけであります。 これを可能にしておる条件といいますのは、世界を二分しております
他方
の、
我が国
と政治、
経済
あるいは社会制度を同じくします
米国
との
安全保障
条約
でつながっているということで理解しております。それは、
我が国
の
防衛力
は小さいけれども、これに手をかけるといいますか
我が国
を侵略するときには、
安全保障
条約
のきずなによって巨大な
米国
の力を引き出すことができるという状態が
維持
されることによって、
我が国
に対する侵略がそもそも防止できるという
考え方
に立つものでございます。そういう
意味
で、先ほどいろいろのお名前を挙げての御指摘がございました。そのような御議論が戦後ずっと続いているように理解しております。 しかし、これとは逆の
考え方
もあるわけでありまして、もし
日本
に
防衛力
がない状態があったとしたならば、侵略が起こらないというようなことは言えないという
考え方
は十分成り立つわけでありまして、私どもはむしろそちらの方をとっているということでございます。
防衛庁
のかつての高官が、
日本
が何もしないときに攻めてくることはないというようなことをどういう文脈でおっしゃったかわかりませんけれども、これは適切な規模の
防衛力
を持っている状態が前提になっての御議論であろうと思います。その適切な規模の
防衛力
とともに、
日米安全保障条約
がやはり有効に機能していることも、あわせて恐らくどこかで指摘になっているはずだと私は理解いたします。 それから、
米国
の中に北海道に対して強襲するようなことはないというような御議論をする方のおられますことも承知しておりますけれども、これは逆の見方をする方もおられるわけでございます。それは、
日本
のこの地域における
防衛力
が弱かった場合には極めて魅力ある地域だという指摘をすることによってなされております。
山口哲夫
28
○
山口
哲夫
君 今、審議官が最後の方で、
日本
が仮に
防衛力
を持っていない場合には侵略されるという前提に立っている、そういう
考え方
があるということをおっしゃったんですけれども、具体的にどういうことが考えられますか。過去にそういうことというのは考えられますでしょうか。その辺が私よくわからないのです。
宝珠山昇
29
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 具体的にどういう侵略があるかということは、詰めていきますると千差万別という言葉が当たるほどにいろいろ考えられると思います。しかし、
我が国
周辺について見ますとかなり大きな軍事力が展開されているわけでありまして、これを大まかに分類いたしますと、潜水艦も含みますけれども、艦艇、航空機による海上補給路に対する
攻撃
というものが
一つ
は類型的に考えられます。それから爆撃機による
我が国
の重要
施設
などに対する
攻撃
も考えられます。 それから、
我が国
は地理的に北の宗谷海峡、津軽海峡あるいは対馬海峡という重要な海峡にかかわっておりますけれども、これらの海峡の自由通航を確保するということが
重要性
を持つ戦略
体制
といいますか、軍事構造にあることを考えますと、自由通航の確保をねらいとした地上
攻撃
というものも考えられないわけではありません。もちろん、陸、海、空の複合した侵略というものも十分考えられるわけであります。 これらをいずれということではなく、効率的に
防衛
しようという
考え方
に立ちますと、
我が国
と
政治経済
体制
などを同じくする
米国
と手を結ぶということを
一つ
の柱にし、みずからも適切な規模の
防衛力
を
整備
する、またいざという場合に
我が国
に
米軍
が来援をする基盤をつくっておくというようなことによって、安全と平和が
維持
されていくというふうに考えているわけでございます。
山口哲夫
30
○
山口
哲夫
君 この問題でもうちょっとお尋ねしたいのですけれども、
日本
の周辺にいろいろな軍事力が存在する、艦艇がある、あるいは航空機がある、そういうことが
日本
として脅威だということなんですか。ということが即
日本
に対する侵略という
可能性
があるんだと、
防衛庁
の方としてはそういうふうにお考えになっているわけでしょうか。
宝珠山昇
31
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 能力が存在するから即
我が国
に対して侵略をする意図を持っているという
考え方
に立つものではありません。一般的に
防衛力整備
を考えます場合には、能力と意図とに分けて考えることができると思っておりますが、侵略が現実に発生するのは能力と意図とが結び合わさったときに生ずるものと理解しております。 意図といいますものは比較的容易に変化し得るものと理解しておりますが、能力は、例えば艦艇一隻を製造するだけで数カ年の期間を要しますし、これを戦闘できる状態の艦艇群などにしますには恐らく十数年という期間を必要とするわけであります。また、このような軍事力というものは外から比較的容易に観察することができるという特性もございます用意図がどうあるかは別にいたしまして、存在する周辺の能力というものを念頭に置いて
防衛力整備
は行っているということであります。
山口哲夫
32
○
山口
哲夫
君 よくわからないですね。その意図と能力が必要だということは、これはわかるんですが。 それではもう少し具体的にお尋ねします。特定の名前を挙げるのはどうかとおっしゃいますけれども、事実、
防衛庁
長官が、ソビエトが最も脅威であるということを国民に知らせることが自分の政治家としての任務だとおっしゃっているわけですから、あえてソ連ということでお聞きしたいのですけれども、それじゃソ連が
日本
に対して
攻撃
を加えるという場合はどういう場合なんですか、そのソビエトの意図ということを解釈した場合。例えば、今お話の中で三海峡の自由通航の確保という問題も挙げました。そんなことも含めながら、それではソビエトが
日本
を
攻撃
する意図というのはどういうことが想定できるのか。その点いかがでしょうか。
宝珠山昇
33
○
説明員
(
宝珠山昇
君)
我が国
が地理的にアジアのこの地域にいるということからどうしても国名が挙がってくるわけでございますけれども、そういう国を敵性国家だというようなことで
防衛力整備
を行っているということではございません。では、どこの国が侵略をする
可能性
があるかということになりますと、能力の面に着目せざるを得ないということでありまして、意図が変わり得るということを前提にいたしますと、能力をしっかり見ておいて対策を立てることによって、そのような軍事力が
我が国
に現実に脅威になって降りかかってくるということを未然に防止できると考えているわけであります。 能力はあっても意図がないではないかという御指摘であろうかと思いますけれども、あるいは意図はどんなものが考えられるのかという御指摘であろうかと思いますが、これは先ほど申し上げました世界の軍事構造の中ではゼロだとは言えないというのが私どもの
考え方
でございます用意図がゼロであるということが証明できない限り変わり得るものであるという前提に立ては、能力に着目して適切な
努力
をすべきものと考えるところであります。
山口哲夫
34
○
山口
哲夫
君 さっきお話しになった三海峡の自由通航権の問題ですけれども、米ソが激突した場合に、ソビエトの艦艇というのは当然太平洋に打って出るためには三海峡を通ります。そのときに、
日本
が
日米安保条約
に基づいて三海峡封鎖に
協力
を要請された場合、これは当然自衛隊としては
協力
をするわけですね。その点はどうなんでしょう。
宝珠山昇
35
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 自衛隊が
我が国
の自衛権の行使として行動するかどうかということは、
我が国
に対して侵略があるかどうかというような自衛権発動の三要件が満たされるかどうかにかかわると思います。今御指摘の
状況
が必ずしもその点で明らかではありませんが、仮に
我が国
に対する侵略がない状態においていずれかの海峡なりあるいはすべての海峡なりについて防備をしろというようなことでありますれば、それは恐らく
我が国
としては受けることはないものと理解しております。
山口哲夫
36
○
山口
哲夫
君 侵略があるかどうかということは非常に難しい判断ですね。直接
日本
の本土に対して
攻撃
を加えてきている場合にはこれは侵略というふうに考えられるでしょうけれども、しかしソビエトの艦艇が
日本
の海峡を通過する、その通過の意図というものが侵略に結びつくかつかないかというのは非常に判断が私は難しいと思うわけです。その辺はどういうふうに解釈したらいいのですか。
宝珠山昇
37
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 自衛権発動の三要件について御
説明
することによってそれも御理解いただけるかと思いますが、自衛権の行使につきましては、第一に
我が国
に対する急迫かつ不正の侵略、これは
武力攻撃
の発生があることが
一つ
であります。第二にこれを排除するために他に適当な手段がないこと、第三に
必要最小限
度の武力行使にとどめるべきことという三要件を備える必要があるということが、従来といいますか、
政府
が一貫してとってきているところでありまして、今、船が海峡を通るということだけでこの要件に合致するとはとても考えられないところであります。
山口哲夫
38
○
山口
哲夫
君 そうしますと、今の
三つ
の要件というのは、
日本
の領土に何らかの形で
攻撃
がない場合にはこれは
日本
に対する侵略とはみなされないわけですね。ということは、もし
三つ
の要件というものが、今言ったように直接本土に
攻撃
を加える場合以外のものはこれは直接の侵略にはならないということになると、本土に対する
攻撃
がない限りは
日本
の自衛隊というのは三海峡封鎖を要請されても出ることはあり得ないと解釈していいわけですか。
宝珠山昇
39
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 本土といいますか、本土、領域も含む概念でございますし領空も含む概念でありますが、かつ
我が国
の艦艇などが計画的かつ組織的な
武力攻撃
を受ける場合についても、自衛権行使の要件の場合には考慮されると考えます。しかし、今おっしゃる海峡を通過するということだけでは明らかに
我が国
に対する侵略と認めることはできないであろうと思われますが、そのような理解に立ちますれば、
我が国
が
防衛
行動に出るということは、私の理解では考えられません。
山口哲夫
40
○
山口
哲夫
君 もう
一つ
、
日本
の自衛隊が三海峡封鎖に仮を手をかさなくとも、
日本
を基地とする
米軍
が何らかの形で三海峡封鎖に発進するというのですか、
日本
を基地として三海峡封鎖を行うということはあり得るわけですね。
宝珠山昇
41
○
説明員
(
宝珠山昇
君)
在日米軍
は、
極東
の平和と安全のために
我が国
の基地、
施設
を
使用
する権限は持っておりますが、
我が国
の基地から戦闘行動に出るに際しては事前
協議
の対象になっております。したがって、そのような場合についてはしかるべきルートを通じて
我が国
に対し
協議
があるものと考えます。その場合に、
我が国
が侵略されていないにもかかわらず、三海峡であれその他の
我が国
の領域であれ、何らかの戦闘行動をするということについてイエスと答えるというのは非常に考えにくいように理解いたします。
山口哲夫
42
○
山口
哲夫
君 後で質問しようと思ったんですけれども、たまたま事前
協議
のお話が出ましたのでちょっとお聞きするんですけれども、その事前
協議
というのは拒否権はあるんですか。
藤井宏昭
43
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 拒否権という言葉は正確でないかと思いますけれども、
日本政府
の意図に反して行動しないということを
アメリカ
は誓約しております。
山口哲夫
44
○
山口
哲夫
君 それで、事前
協議
の問題についてもうちょっとお尋ねしたいのですけれども、例えば、核の持ち込みは事前
協議
事項だから事前
協議
がない以上心配ないというふうに
政府
は言ってきたわけですね。ところが、一九六〇年に
秘密
合意があることが判明したというふうに伝えられていますね、新
安保条約
締結のころですけれども。それは一九六六年の二月二十四日に、当時のラスク
米国
務長官がライシャワー駐日大使あてに極秘電報を打って、それが明らかになっているわけです。その中で
日米
間で核兵器を持ち込める
秘密
取り決め
をしていたというように言われているわけです。 それからもう
一つ
は、ベトナム戦争のときに
沖縄
が
米軍
の重要根拠地になったけれども、そのときにも事前
協議
というのはなかったわけです。そういうことを考えますと、本当に事前
協議
というものが行われるんだろうかどうなのかちょっと疑問を持つわけですけれども、その事前
協議
の範囲というのは一体どういうことなんでしょうか。
藤井宏昭
45
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 二点全く別の問題だと思いますけれども、第一の問題でございますが、今御指摘の
秘密
合意なるものは存在いたしません。それは
アメリカ
のラスク国務長官から在日の大使館にあてた電報のことかと思いますけれども、これにつきましては、
米政府
がこの電報で言っておりますことは全く不正確であるということを述べております。 それから、核の持ち込みにつきましては、これが事前
協議
の対象になるということは岸・ハーター交換公文、藤山・マッカーサー口頭了解から極めて明瞭でございまして、この点について
日米
間で意見の相違はないと思います。
アメリカ
がいかなる形であれ
日本
に核を持ち込む場合には事前
協議
を行う必要がございますし、その場合には、
日本政府
は必ずノーと言うということを宣明しておりますし、その場合に、
アメリカ政府
は
日本
の意図に反して行動しないということでございます。 それから、ベトナム云々につきましては、これは岸・ハーター交換公文におきまして事前
協議
というのは
三つ
の場合を想定しておるわけでございます。
一つ
は合衆国軍隊の
日本
への配置における重要な変更、それから第二は同軍隊の装備における重要な変更、ちなみに、この装備における重要な変更に
関連
いたしまして、先ほども触れました藤山・マッカーサー口頭了解、核について述べておるわけでございますけれども、さらに
日本国
から行われる戦闘作戦行動というのが第三番目でございます。この
日本国
が行う戦闘作戦行動と申しますのは、先ほど
宝珠山
審議官が触れましたように、
日本国
から直ちに戦場に行くことであるということでございますので、仮定の問題でございますけれども、
日本
の海峡などで戦闘が行われまして、
在日米軍
が
日本
の基地から直ちに発進するという場合はこの戦闘作戦行動に該当するやに思われますが、
日本国
から直ちに戦闘に臨むわけではなくて、軍隊の特性としてどこかに移動いたしまして、そこから戦場に臨むというような場合には戦闘作戦行動に該当しないということが長年のこの事前
協議
における定義でございます。したがいまして、ベトナム戦争の場合に、
日本国
から直ちに戦場に飛んでいったということではございませんので、ベトナム戦争の場合に事前
協議
が行われなかったということでございます。
山口哲夫
46
○
山口
哲夫
君 ちょっと先に進みますけれども、それでは
日本
にこの事前
協議
に対する発議権というのはあるんでしょうか。何か一説によりますと、
アメリカ政府
の申し入れによってのみ行われるものであって、
日本
にはそういうものはないのだというふうにもおっしゃる方もいらっしゃる。その点どうなんでしょう。
藤井宏昭
47
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 事前
協議
と申しますのは、
在日米軍
が
日本
の領域内におきまして本来自由に行動できる、その自由を一定の範囲に限るという制約でございまして、この制約は
アメリカ政府
に与えられた
義務
でございます。したがいまして、
アメリカ政府
がこの
義務
を遂行するために
日本国
に対して、今の
三つ
の場合につきまして事前
協議
の要請をしてくるべき筋合いでございまして、
日本政府
からこれを事前
協議
という形で
アメリカ政府
に要請するということは、その
アメリカ政府
の
義務
違反をあたかも前提として行動するということに等しいわけでございます。このように一番
基本
的な
日米
の間に存在します
安全保障
にかかわる
条約
におきまして
アメリカ
の
義務
違反をあたかも前提として
日本政府
が行動するということは、この
条約
の最も大切な信頼
関係
に
基本
的な影響を与えるということでございまして、この点は従来からも
国会
で種々議論のあったところでございますけれども、
政府
は一貫して事前
協議
は
アメリカ
の
義務
であり、それは
アメリカ
が遂行すべきものであるというふうに解釈し、そのように
国会
で述べてきておるところでございます。
山口哲夫
48
○
山口
哲夫
君 そうしますと、当時、安倍外務大臣、一九八五年の四月十七日に衆議院の外務
委員
会で、
日本
に発議権は
条約
上の権利として位置づけられていない、これが
政府
としての統一見解というふうに解釈していいわけですね。
藤井宏昭
49
○
政府委員
(
藤井宏昭
君)
政府
としては、ただいま申し述べましたように、
条約
上
日本政府
が発議をすべきものじゃないという見解をとっております。
山口哲夫
50
○
山口
哲夫
君 わかりました。 その次にお聞きしたいのは、
日米安保条約
と非核三原則との
関係
なんですけれども、一九八五年十一月六日の参議院の
予算
委員
会で、これは田英夫さんが質問をしているんですね。どういう質問をしているかというと、「
日米安保条約
と非核三原則というこの対比の中で言うと、
日本政府
のやり方は
日米安保条約
の側に重みがかかり過ぎているんじゃないだろうか、こういう気がしてなりません。」、こういう質問に対して中曽根総理が、「私はやはり
日米安保条約
というものが
一つ
の
基本
である、その
運用
の
一つ
のやり方というものに非核三原則というものがあるんだと、そういうふうに考えております。」と、こうお答えしているんですけれども、これから考えますと、
日米安保条約
というものが主であって非核三原則は従であるという解釈に、これを読みますとそういうふうに私は思うわけです。それなら非核三原則は、
日米安保体制
上、核の持ち込みが必要だと、必要ならば変更してもいいんだ、そういうふうに解釈してもよろしいのでしょうか。
藤井宏昭
51
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 今の質疑の点は私も正確に記憶していないわけで恐縮でございますけれども、私の記憶で、もし間違っておれば恐縮でございますが、申し上げさせていただきますと、たしか中曽根総理は、その御発言だったかと思いますけれども、についてさらに
国会
で追及がございまして、たしか私の記憶では、中曽根総理は、非核三原則は
日本
の国是であるということで、自分の意図しておるところは、非核三原則が
安保条約
の従にあるということではない、そういうつもりで言ったんではないという
趣旨
のことをおっしゃったやに記憶しております。ちょっと私の記憶でまことに申しわけございませんが、いずれにしましても非核三原則は
日本
の国是としてこれを貫いていくということは、さらに
日米安全保障条約
と矛盾しないということにつきましては
政府
が一貫して
国会
等で答弁もし、明らかにしておるところでございます。
山口哲夫
52
○
山口
哲夫
君 ということは、こういうふうに確認してよろしいわけですか。
日米安保体制
上、核の持ち込みはどうしても必要なんだということがあったとしても、
日本
には非核三原則がある。それを
中心
に考えて、一切そういうことは行わせないというように解釈していいわけですね。
藤井宏昭
53
○
政府委員
(
藤井宏昭
君)
政府
は累次
国会
で明確に述べておりますように、
米軍
が核を
日本
に持ち込みます場合には事前
協議
がある。事前
協議
がない以上、核は持ち込まれていないし、非核三原則は
日本
が堅持しておるということでございます。
山口哲夫
54
○
山口
哲夫
君 最後に
日米安保体制
と集団自衛権の問題でちょっとお聞きしたいと思うのですけれども、千海里シーレーン
防衛
について、一九九〇年度までに
日本
が完遂するかどうか監視する
法案
というものが
アメリカ
の
議会
で可決されたというように聞いているわけですけれども、それでは
アメリカ
が有事であって
日本
が平時でも、
日本
の自衛隊は
日本
の国土の領外で
アメリカ
の艦隊を護衛するという責任が出てくるんではないかと思うのです、こういう
アメリカ
の
考え方
からいきますと。こういう集団自衛権というのは
憲法
の解釈からいってどうなんでしょうか。私は
憲法
違反になるんじゃないかなと思うのですけれども。
藤井宏昭
55
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) ちょっと申しわけございません、最初の部分が、
アメリカ
の決議というのは、完遂というふうに承りましたが……。
山口哲夫
56
○
山口
哲夫
君
アメリカ
の
議会
で可決をされたというふうに聞いているんですが。
藤井宏昭
57
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) どういう
趣旨
の、失礼ですが。
山口哲夫
58
○
山口
哲夫
君 一九九〇年までに
日本
が千海里のシーレーンを
防衛
する
体制
をつくるべきであると。
藤井宏昭
59
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) そのような
趣旨
の
法案
などが出ておることは存じておりますけれども、
アメリカ
の
議会
でそのような
決議案
ないし法律が成立したということは事実として存在いたしません。しかしいずれにいたしましても、物の
考え方
といたしまして、集団的自衛権と
安保条約
の
関係
については、一般論で申し上げますれば、
憲法
の解釈といたしまして、
我が国
は集団的自衛権を行使することはできない、その解釈にのっとりまして
日米安保条約
ができておるわけでございます。したがいまして、先ほど冒頭に私が述べましたように、
日米安保条約
第五条におきまして、
我が国
の施政権下における
攻撃
に対して
米軍
は
日本
を守る
義務
が生じるわけでございますけれども、
アメリカ
に対する
攻撃
あるいは
米軍
に対する
攻撃
に対して
日本
が
安保条約
上これを守るという
義務
は全くないということでございます。
山口哲夫
60
○
山口
哲夫
君 そういうことから申しますと、先ほどもちょっと出ておりました
ペルシャ湾
の
防衛
問題について、確かに
日本
の船舶も航行しているわけですけれども、極めて集団
防衛
態勢に
関係
してきはしないかという心配も出てくるんですけれども、その辺の解釈は
防衛庁
はどういうふうにされていらっしゃるんでしょうか。あるいは
外務省
でも結構ですが。
宝珠山昇
61
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 先ほど
ペルシャ湾
の
関係
で、
自衛力
を
ペルシャ湾
に派遣するというようなことは申し上げたつもりはございませんが、もしそういうことにとられておりますれば、後ほど
修正
させていただきたいと思います。
山口哲夫
62
○
山口
哲夫
君 質問の方で出たんです。
宝珠山昇
63
○
説明員
(
宝珠山昇
君) もしそういう仮定といたしまして、どのような
防衛力
を派遣するかということにかかわると思いますが、例えば先ほどもございましたように、イギリス、フランスなど掃海艇などを派遣しているわけでございますけれども、そういうものを派遣することが
憲法
上できるのかどうかという御質問になろうかと思います。一般的に
我が国
が自衛権を行使できる地理的範囲というのは、公海部分であれば可能であるというのが
憲法
の解釈でございます。 では、
ペルシャ湾
の公海部分に自由に行けるかと、それは
憲法
に反するものではないかということかと思いますけれども、実際には具体的な
状況
というものをまだ私ども詳細に詰めておりませんので、反するのかどうかというのはここで申し上げるのは御勘弁願いたいと思います。
和田教美
64
○
和田
教美
君 まず、
外務省
の北米
局長
に質問をいたします。大体
防衛庁
も
外務省
もここに
説明
されたことに沿って質問をしたいと思います。 まず第一に、今の
説明
を聞いておりましても、
日米安保条約
についての解釈なり
運用
というものが、私は岸
安保
のごろからその
状況
をフォローしておる一人ですけれども、非常に変わってきているという印象を持つわけです。 第一に
安保条約
には、先ほど北米
局長
もちょっと触れられましたように、単に軍事的ないわゆる同盟
関係
といいますか、
協力関係
というもののほかに、政治的、
経済
的
協力関係
の条項があるわけです。当時は岸総理も、
経済
的
協力関係
というものを非常に強調いたしまして、具体的に言えば第二条ですね、それから前文にも書いてありますが、それがあるから単にこれは
日米
間の軍事的同盟
関係
だけではないのだということを強調されたわけです。ところが、今の
状況
を見ておりますと、この第二条の後半にあります「締約国は、その
国際
経済
政策
におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の
経済
的
協力
を促進する。」という条項は完全に死文化しているというか、とんざしてしまっているという感じがするわけです。つまり、先ほどの
説明
にもありましたように、それは具体的には
経済摩擦
ということで、
アメリカ
が
経済
的敵対国という言葉を使って、
アメリカ
の
議会
が
日本
を批判するという
状況
にまでなっておる。 それで、北米
局長
の
説明
にもありましたように、軍事的
関係
だけは良好だということは、つまり
経済
的
関係
の部分はもう全然うまくいっていなくて、軍事的同盟
関係
といいますか、それだけが健全に機能しているということだと思うので、そういう
意味
では
安保条約
というものの軍事色というものがますます強くなってきているということだと理解できるわけですけれども、そういうことは果たして健全なのかどうか。また、それを是正する
努力
を
日本政府
としてはすべきではないか。極端に言えば、今の
アメリカ
議会
などの
日本
たたき、ジャパンバッシングというものは、この条項から見て第二条違反ではないかとさえ思うわけですけれども、その点についてのまず見解をお伺いしたい。
藤井宏昭
65
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 第二条は確かにそういう条項がございまして、この
安保条約
というものはいわゆる狭義の軍事
条約
と申しますか、
安保条約
は
日米
間のやはり根底にある
一つ
の
基本
的な
条約
であるというふうに我々は考えておる次第でございます。 先ほど御指摘になりました敵対国云々でございますけれども、英語で言うアドバーサリアルトレードという表現を
上院
の包括
貿易
法案
の中に入れるという案がございました。
日本
語では我々は阻害
貿易
と約しておりましたけれども、これが結局は
上院
で外されまして、その言葉は削除されたわけでございます。そういうときにも
日本
という
同盟国
、友好国に対してそういう言葉を使うのは適当じゃないじゃないかという議論が
アメリカ
の
上院
で大勢を制したということでございまして、やはりいろいろ
経済
の分野では、
日本
に対するいわゆるジャパンバッシングといいますか、
日本
に対する非難という声が大きく聞こえてまいりますけれども、
基本
的には
米国
の
議会
を含めて
米国
の一般の皆様はもちろんのこと、
日本
に対して非常に親近の情を持っておる。それから
日本
が
同盟国
であるということを大前提にむしろ最近では、
日本
は本当に
同盟国
がというような時々論評があらわれておりますけれども、そういう
日本
が
アメリカ
にとって極めて近い
同盟国
であるという意識は根底にあるわけでございます。そういうわけで
日米安全保障条約
が
軍事面
だけが走っておるということは必ずしも言えないのではないかと思います。 なお、一言つけ加えさしていただきますれば、現在の
日米
経済
関係
が全く悪いということでは必ずしもございませんで、いろいろな問題が
議会
等で起きているということでございます。しかし、その
議会
も
日本
に対して非常に親近感を
基本
的には持っているということが
一つ
と、冒頭にも陳述申し上げましたように、
アメリカ政府
は
日本政府
と一緒に
保護
貿易
主義に問題が走らないようにということに
努力
しておるわけでございますし、さらにもっと根底にこの
経済摩擦
の根城を見ますれば、
日米
間で
経済
的な
関係
が非常に密接の度を加えておるというその現実から派生してきておるわけでございまして、必ずしも
経済
問題は非常に悪いけれども、
防衛
だけはいいというような話ではないのではないかというふうに思う次第でございます。
和田教美
66
○
和田
教美
君 そうすると、
日本
としてはこれ以上何も別に
努力
をしなくてもいいということになりますか。
藤井宏昭
67
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) まさにいわゆる
日米
経済摩擦
というコンテキストにおきまして、
日米
両
政府
、それから
議会
人まじりましていろいろな各層が
努力
をしておりますことは、ここの二条の後段にありますような、先ほど先生御指摘のように両国間の食い違いを除くことに努めるということ、まさに関西空港であるとか、次はココムの問題、いろいろそういう問題につきまして食い違いを除くことに努めておるということではないかと存じます。
和田教美
68
○
和田
教美
君 次に、先ほどの
局長
の
説明
にもありましたように、
アメリカ
の特に
議会
が
経済
と軍事のリンケージをやってきているということをお述べになりましたけれども、まさにそのとおりだと思うのです。しかし、
アメリカ
の
政府
はそのリンケージはいけないということでずっと進むように
努力
をしているという御
説明
もありました。しかし必ずしもそうではないのではないか、
アメリカ政府
も
議会
のそういう空気を背景としてだんだんリンケージの
考え方
になってきているんではないか。 その一例として、例えばFSXの問題を考えてみました場合に、まさにリンケージ作戦の
一つ
の典型ではないかというふうに思う。つまりワインバーガー国防長官でさえ口ではリンケージはしないということを言いながら、実際には、つまり東芝事件以来非常に
アメリカ
の
議会
の空気が悪いから、このFSXの問題についても非常に困難な情勢になっておるというふうなことを言っておりますし、それで端的に言えば
アメリカ
の兵器を買え、あるいはまた
アメリカ
の兵器を
中心
とする共同開発、共回生産ということを実質的には要求をしているという形になってあらわれておる。これはまさに私はリンケージだというふうに思うわけなんだけれども、その辺はどういうふうに判断をされておるか、
防衛庁
の見解もあわせてお聞きしたいと思います。
藤井宏昭
69
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 先ほど冒頭で、
アメリカ
の
議会
の一部には
防衛
と
貿易
問題をリンクさせようという
動き
がある、これは憂慮すべきことであるというふうに申し上げましたけれども、私はそういうふうに思うわけでございますが、
アメリカ
議会
の大勢に至っているというふうには必ずしも存じておりません。
政府
につきましては先ほど
委員
御指摘のように、必ずしもそういう態度は今とっていないということでございます。 FSXについて申し上げますれば、総理が訪米なさいましたときもその後もいわゆる栗原三原則ということでございまして、第一にFSXは
防衛
の目的で選定するということ、第二に当然のことでございますが、
日米
のインターオペラビリティーを考えるということ、第三に
日米両国
の産業のインタレストに拘泥しないということ、この
三つ
の原則を中曽根総理は
米政府
に対しても申し述べましたし、さらにナショナルプレスクラブあるいは
議会
においての質問で明らかにしておるわけでございます。その後も
日本政府
はその態度をもちまして
アメリカ
と話をしてきております。したがいましてその原則から明瞭なように両方の産業の考慮ではなしに、すなわち
貿易
の考慮ではなしに
防衛
の考慮でこれを選んでいくという
立場
を堅持しているというふうに存じます。
和田教美
70
○
和田
教美
君
防衛庁
の見解は。
宝珠山昇
71
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 同じでございますけれども、加藤
防衛庁
長官の時代あるいは栗原
防衛庁
長官の時代にもワインバーガー長官との会談がございますが、その際以来一貫しておりますことは、FSXの問題は
日本
が自主的に決定すべきものであるということ、
貿易
の問題とは別のものであるということを強調しているところでございまして、先ほど
藤井
局長
が言われました三原則、これは私ども栗原三原則と呼んでおりますけれども、この三原則についてワインバーガー長官自身が異存がない、同意できるものだというような評価をしておるわけでございまして、今私どもも純粋に
防衛
上の観点からたくさんの選択肢について鋭意検討を進めているところでございます。
和田教美
72
○
和田
教美
君
安保条約
の解釈が非常に変わってきたという印象を持つ次のポイントは、いわゆる
極東
の範囲という問題について、これは
条約
の
国会
審議のときには随分問題になったことなんですけれども、いわゆる適用範囲です。そのときの答弁では、「大体においてフィリピン以北並びに
日本
及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれる」というのが岸総理の答弁であったわけです。 ところが、最近の
政府
の見解を聞いておると、まず
極東
の範囲そのものがどんどん私は実質的には広がっていっているんではないかということと、もう
一つ
は、
極東
の範囲が仮にこの岸答弁に近いようなものと解釈しても、
米軍
の行動は必ずしも
極東
の範囲に限定されないということによって、事実上
米軍
の行動の範囲をどんどん広げていっている。先ほどの北米
局長
の答弁によっても
ペルシャ湾
の情勢についての
関連
で、
ペルシャ湾
に出動するという米産船が仮に
日本
の基地を使っても、それが要するに
極東
の平和と安全に
関係
があるということであればそれは許されるし、
日本
はまた
施設
提供だけでなく、便宜
供与
してもいいのだという
趣旨
のお話がありました。そうなるともうこの
極東
の範囲、いわゆるこの
条約
範囲というものは全く実質的には
意味
がなくなるという感じがするわけなんですけれども、どこに歯どめが置かれるのか、それが
一つ
。 もう
一つ
は、
ペルシャ湾
の問題について今のお話ですと、基地の提供、便宜
供与
ということだけなのか、あるいは自衛隊が
ペルシャ湾情勢
に行動するということはないというお話でございましたけれども、例えば
経済
的な何らかの負担をする、米
議会
で最近言っている
安保
料を払えとか、そういう
考え方
に沿って何らかの
経済
的なコストを負担するということは
考え方
としては可能なのかどうか、その辺もあわせてお聞きしたいと思います。
藤井宏昭
73
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) まず第一の
極東
の範囲でございますが、
極東
の範囲についての
政府
の
立場
はただいま
委員
御指摘のとおりでございまして、その
考え方
に変更があるわけではございません。 それから第二の御指摘の、
極東
の範囲は範囲として
日本
の
施設
・
区域
が非常に広範な目的のために
使用
されるのではないかという御指摘、これは
国会
で特にベトナム戦争のとき以降非常によく出てきておるわけでございます。いろいろ議論がなされているところでございますが、
政府
が一貫して言ってきておりますことは、先ほども私、
永野
委員
の御質問に対してお答えしたとおりでございまして、やはり
安保条約
の
施設
・
区域
を
日本
が提供いたします目的は、六条に明記されておりますように、
我が国
はもちろんでございますが、さらに
極東
の平和と安全の
維持
に資するということでございますので、その実態が存在することが
我が国
の
施設
・
区域
を、特定の
艦船
、航空機等でございますが、
米軍
が利用する大前提でございます。
他方
、そういう実態が存在いたしますれば、
艦船
、航空機等軍隊の特性からいいまして、
我が国
あるいは
極東
のみをその行動の範囲として縛りつけるということは不可能でございます。したがいまして、
極東
の範囲を超えて行動をすることは可能であるということを
政府
は一貫して言ってきておるわけでございます。 先ほど便宜
供与
云々というお話がございましたけれども、
日本政府
が
施設
・
区域
等を通じまして、例えば
ペルシャ湾
あるいはそれ以遠というようなところでの
米軍
の活動に直接の便宜
供与
を与えるということは、必ずしも
安保条約
が想定しているところではないというのが先ほど私が
永野
委員
の御質問に答えたゆえんでございまして、あくまで
極東
の平和と安全の
維持
という目的に沿ってその実態を持っておれば、
他方
、行動の範囲はそれよりも広がっても構わないのだということでございます。 それから第二点でございますけれども、
我が国
は
ペルシャ湾
におきまして、もしイラン・イラク戦争が終息いたしますれば、その後にその復興援助などを行うことが考えられるということを表明しておりますし、国連等で何らかのスキームができれば、それに対して応分の資金的な寄与をすることが考えられる、それを検討してもいいということを
日本政府
は述べておるわけでございます。それが現在の
日本政府
の
立場
でございます。さらに一般的な理論的な問題といたしまして、先生の御質問がそこを包含しているのかどうか、ちょっと私も確かではございませんけれども、理論的に言って
日本政府
が
アメリカ
の例えば軍事行動というようなものに対して直接的なと申しますか、金銭的な何か寄与ができるのか、そういう御質問であろうかと思いますけれども、それは過去において
国会
で答弁がございます。 それは理論的には
我が国
の
憲法
上その他の
立場
から申して可能である。すなわち、先ほど問題になりました集団的自衛権ということが
日本
の理論的な制約でございますが、集団的自衛権というものは実力の行使であって、実力の行使に至らない金銭的な寄与ということは理論的に可能であるという答弁がございます。ただ、その答弁でも明確に申し述べておるとおり、理論的に可能であるということと、それから
政策
的にそういうことをやるかどうかというのは全く別の問題であると申しておりますけれども、その点も私も改めてまた申し述べておきたいと思います。
和田教美
74
○
和田
教美
君 次に、
防衛庁
にお聞きしたいのですけれども、先ほどから
日米
共同
研究
のテーマとしてインターオペラビリティーの問題が出ておりました。一体このインターオペラビリティーというのはどういうことなんですか。つまり、先ほど
永野
委員
の質問にもございましたけれども、
アメリカ
と同じ兵器を使わなきゃいかぬということなのか、あるいは兵器だけではなくてどの程度の範囲のことをインターオペラビリティーと言うのか。その辺の概念が難しい横文字で盛んに言われるから国民はよくわからないだろうと思うのですけれども、どういうふうに定義されておるんですか。
宝珠山昇
75
○
説明員
(
宝珠山昇
君) インターオペラビリティーというのを私ども
相互
運用
性と
日本
語では訳しておりますけれども、これについて確立された定義があるというわけではございません。しかし一般的には戦術、装備、後方支援などに関しまして
共通
性、それから両立性を確保するということで
日米
間では
相互
に理解しているところであります。 若干具体的に申し上げますと、戦術面ということでは作戦に関する
協議
あるいは手順などの
共通
性ということがございます。それから装備品などに関する
共通
性あるいは互換性というものも含まれます。それから補給
関係
で言いますと、これらの基準あるいは
手続
などの
共通
性、互換性というものがあります。その他では通信あるいは
情報
面でも
共通
性、互換性ということを確保するということでありますが、このような
共通
性、互換性を確保するということが
日米安保条約
の、あるいはそれらに基づく
取り決め
の効果的な
運用
に寄与するということで両国ともこれを促進したいと考えているわけであります。 今申し上げたようなことで明らかではないかと思いますが、御指摘の装備品などに関する
共通
性、互換性ということは同じものを
意味
するのかといえば、必ずしもそのようなものとは理解しておりません。それはむしろ
共通
性、互換性というよりも同一性ということで表現されるべきであろうと思います。あえて
共通
性、互換性ということは同一でないものについての
共通
性、互換性ということで私どもは理解しております。 これらを
研究
するに当たりまして、同じものでなければインターオペラビリティーが保てないということでありますと、向こうのものを買うよりほかなくなるわけでございますし、
防衛力整備
で何かを選ぶ場合にも
米国
のものを買ってこなければならないということを認めるようなことにもなりかねませんので、そのような理解ではなくて、自主的に選んで持つことを決定している
我が国
の装備などにつきまして
共通
性、互換性を持たせるにはどうするのがいいのかということをおのおのについてよく知っている専門家がおのおのの分野で
研究
をしているという
状況
であります。
和田教美
76
○
和田
教美
君 もう時間が来ましたから、最後に
米軍
基地の問題、先ほどから
安保
ただ乗り論
の話も出ておりました。それから
安保
科を払えなんという話も米
議会
の間にあるということですけれども、私は
日米安保条約
というものは、先ほども北米
局長
の御
説明
のように、
米側
は要するに
日本
に対する
防衛
責任を持っている、それのバランスをとるためにつまり基地を提供している、こういう形によって特殊な形ではあるけれども、
相互
性といいますか、バランスがとれているというふうに思うわけで、特に
日本
の基地を
米軍
が自由に使えるということは大変なメリットだというふうに思うのです。最近は特に東京圏の首都の周辺に横須賀のようなあるいは厚木のような広大な基地を持っておる、しかもそこにはいろいろな問題も起こっているという
状況
なので、土地の値上がりというような
状況
から見て、この基地を仮に
日本
のあれで計算した場合に一体どれくらいの価値なのかということを一回
施設
庁あたりで計算してみたらどうかと思うのです。そういう発想に基づいて、いかに
日米安保体制
というものが
アメリカ
にとってもメリットがあるんだということをデータを示してもっと積極的に言うべきではないかというふうに思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
藤井宏昭
77
○
政府委員
(
藤井宏昭
君)
我が国
の提供している
施設
・
区域
というものは確かに
アメリカ
にとって大きな
意味
を持っていると思います。ただ、それは同時に、
我が国
の
防衛
そのものにとっても先ほど来るる御
説明
申し上げておりますように、
安保条約
と
我が国
の
自衛力
の
二つ
で
我が国
の
防衛
が成り立っておるということでございますので、大変に
意味
を持っているわけでございまして、
施設
・
区域
というものは
我が国
が
アメリカ
に与えている恩恵というわけでは必ずしもないのではないかと思います。しかしそうは言いましても、
委員
御指摘のように、
日本
の基地を
維持
していくということのいろいろな
意味
のコストが非常に高くなってきているという側面はございます。そのような側面についてはできるだけ
アメリカ
の人々に知らせるようには
努力
しております。しかしながら、やはり何といいましても
我が国自身
も基地を
維持
していくということが、コストはいろいろ高くかかる面があるけれども、それは
我が国
の
防衛
にとっても大事である、
日米関係
という
意味
では必ずしもございませんでも、
我が国
にとって大事なんであるという認識がやはり
基本
的には必要なんではないかというふうに考えます。
吉岡吉典
78
○
吉岡
吉典
君
外務省
、
防衛庁
から詳しい
説明
を聞きましたけれども、
山口
委員
らからも述べられましたけれども、私は
日米安保条約
についての評価の点では意見を異にするということだけ最初に述べておきたいと思います。 その上でですけれども、
安全保障
問題を考える場合に重要な問題の
一つ
は、今日の情勢を大局的にどう認識するかということがあると思います。その点で今日の世界はやっぱり核兵器の大幅削減、さらには核兵器を全面的になくそうという方に向かっている、それが世界の大勢ではないかと私は思っています。そういう点で我々が
安全保障政策
を考える場合にも、そういう世界の大勢をどう促進するかということが
最大
の問題ではないかと思いますけれども、その方策は別として、世界のそういう大局的な認識についてどういうふうにお考えになっているかという点を
外務省
にまずお伺いします。
藤井宏昭
79
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) 今、
委員
御指摘のように、現在のところ戦後初めて、核兵器が現実に削減されるかどうかという真剣な
交渉
が行われておるわけでございます。その
意味
は大変に大きいと思います。しかしながら、それは米ソ間の軍事的なあるいは
安全保障
面での確執が終わるということではなしに、レーガン
大統領
が最近も指摘しておりますように、これは
アメリカ
が
財政
赤字を抱えながら着実に
防衛力
を増強してきたその成果であるということを言っております。
アメリカ
の抑止と同時に
交渉
を行うということ、それからソ連の側におきましてもそれなりのいろいろ考慮があったかと思いますけれども、そういうことが
基本
にある。すなわちお互いの米ソそれぞれの軍事力というものが厳として存在しておる、その中で今の喜ぶべき現象でございますけれども、核兵器の削減ということが一部についてではございますけれども、行われるかもしれないという
状況
に立っているというふうに判断いたします。
吉岡吉典
80
○
吉岡
吉典
君 これまでの議論でもソ連の脅威論が相当論議になりました。私は、その点でも
外務省
、
防衛庁
の認識は変えるべきだと思います。というのは、ブレジネフ時代と違ってゴルバチョフのもとでのソ連は非常に大きな変化がある。その変化を全く見ないでソ連の脅威論だということではやっぱり
現状
に合った
安全保障政策
というものは成り立たないと思います。これは質問じゃなくて私の意見だけ時間の
関係
で述べておきたいと思います。 その上で、来年はそういう世界が軍縮の方向に向かう上で第三回国連軍縮特別総会が開かれるという年で、私はこの国連軍縮特別総会自身を
政府
あるいは
外務省
は歓迎されるかどうかということとあわせてお伺いしたいのですけれども、第一回国連軍縮特別総会の最終文書、この中の十三項です。「永続する
国際
の平和と安全は、軍事同盟による兵器の蓄積の上に築き得るものではなく、また、不安定な抑止力の均衡又は戦略的優越の教義によって支えられるものでもない。」、こういうふうに、これは
日本
も賛成したはずですけれども、うたっている。私は今の世界の中でこういう方向、これまでの議論でも抑止力論ということが盛んに唱えられました。しかしそうではなく、あといろいろ書かれていますけれども、やはりそういう認識に立った核兵器をなくす、あるいは軍縮への
努力
ということこそが必要ではないかというふうに思います。
外務省
、この第一回国連軍縮総会の十三項、今読み上げたところについての見解とあわせて意見を聞きたいと思います。
宮本雄二
81
○
説明員
(宮本雄二君) お答えいたします。 まず最初に、第三回軍縮特総でございますが、ことしの春開かれました第一回準備会合におきまして来年の開催というのがさらに確認されております。
政府
としましても第三回軍縮特総の開催に向けてこの積極的意義に着目して鋭意準備を進めでおるという
状況
でございます。 御指摘の第一回軍縮特総で採択されました最終文書でございますが、これは経緯から申し上げますと、特に
安全保障
の
基本
認識につきまして東側、西側それから非同盟それぞれのよって立つところが異なっておりまして、こういう違いをいかにして調整するかということで最後の最後まで最終文書の採択自体実は危ぶまれたものでございます。最終的にいろいろ
努力
をして最終文書をつくらなけりゃいけないということででき上がったものでございます。したがいまして、
一つ
の
考え方
で首尾一貫しているということではなくて、実はいろいろな
考え方
がこの中に入ってきておるのが最終文書ということでございます。 ちなみに御指摘の第十三項につきましては、これも国連の中でよくあることでございますけれども、
一つ
の言葉を言うにしても若干形容詞をつけてみたり、順序を変えてみたり、そういうふうにいたしましてお互いの
立場
が妥協できるものならば妥協するということで、ここで「不安定な」という形容詞がついておるがためにNATO諸国も含めた西側の大部分の国がこのコンセンサス、
手続
の採択に入ったということでございまして、恐らく
我が国
も含めまして、
我が国
はそうでございますけれども、それ以外の国も含めまして、このところによって従来のそれぞれの国の
基本
的な
立場
ないし
考え方
が害されるものではないという判断のもとにこの採択に
参加
したというふうに理解しております。
吉岡吉典
82
○
吉岡
吉典
君 そういう
説明
ですけれども、そもそも軍事ブロックの対抗というものが第一次世界大戦、第二次世界大戦のやはり重要な要因になった。したがって、戦後の世界では軍事ブロックの対抗そのものを本来は否定しているというのが世界政治の流れだと私は思います。そういう点で、国連軍縮総会の最終文書でもそういうふうに言っていることは非常に重要だと思います。特に最近、非同盟諸国のみならず、ワルシャワ
条約
機構でもNATOとワルシャワ
条約
機構の
相互
解消というふうなことをうたっている。そういうときだけに、我々はどういう意図で加わったかは別として、
日本
も含めて西側も加わった最終文書がそういうふうにうたっている方向、これがそこへ至る過程をどのように目指すかという点についての、それは恐らく私と
外務省
との間に大きい意見の食い違いはあると思いますけれども、しかし目指すべき目標としては、そういうものはやっぱり我々は認めてかかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
宮本雄二
83
○
説明員
(宮本雄二君)
国際
の平和と安全のために軍縮が必要である、なかんずく核軍縮を進めなければいけないというのがいわば
国際
的なコンセンサスでございます。そのための実現の手段、やり方をどうするかということで実は各国意見を異にしております。私どもはもう
国会
等で大臣等何度も御
説明
いたしておりますように、やはり軍備の水準を十分な検証
措置
を伴った形で一歩一歩下げていく、こういう道しかないのではなかろうかということで
努力
しておる次第でございます。
吉岡吉典
84
○
吉岡
吉典
君 私が今言いたかったことは、特にその軍縮一般じゃなくて、軍事ブロックの対抗を解消するという方向を目指すべきだということでしたけれども、これは時間の
関係
がありますから答えは結構です。 もう一点
外務省
に質問したいのですが、最初の報告の中でも触れられておりました
アメリカ
における
日本
に
防衛
費増額を求める
動き
です。報告にもありましたように、ハンター、
リッター修正案
というもので
防衛
費GNP比三%を要求する、満たない部分は差額を
アメリカ
に払えと、これは米
下院
で全員一致で可決されたという報道になっております。
アメリカ
議会
ではいろいろなそういう
法案
が出ているということでしたけれども、
日本
に
防衛
分担を求める
法案
もあるということをもこれまでの議論の中でも述べられました。その中で、特に軍事費の増額を求める
法案
あるいは
決議案
というものではどういうものが出ていて、今どういう
状況
になっているかということと、それから
アメリカ
以外の世界のどこかの国の
議会
で
日本
にそういうことを求める決議を採択したとか、あるいは
法案
が出たという例があるかないか、おわかりでしたらそれとあわせてお答え願いたいと思います。
藤井宏昭
85
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) まず、
アメリカ
以外の方を先にお答えさせていただきますが、
アメリカ
以外の国で
日本
の
防衛力
増強を求める決議、
法案等
が
議会
に出たということは承知しておりません。 それから、
アメリカ
ではそういう
法案
、決議が従来から提出されております。ことしはそれが
下院
で可決されておるということが現在の特徴でございます。主なものは例えばハンター
修正
条項、これは六月十六日
下院
本
会議
で可決、四百十五対一でございますが可決されておりまして、国務長官は
日本
の
防衛
費が少くともGNP比三%まで増大するよう本法律成立後百八十日以内に
日本政府
との
交渉
に入る
努力
をしなければいけない、こういうことでございます。 それからリッター
修正
条項は、先ほど申し上げました六月十八日に
下院
本
会議
で発声投票で可決されておりますけれども、これは国務長官は、
日本
の
防衛
費を少なくとも対GNP比三%までの増大、もしくは同三%に満たない場合は差額の支払いを求めるべく、本法律成立後百八十日以内に
日本政府
と
交渉
に入る
努力
をしなければいけないということでございます。
上院
では、先ほど申しました、一般的にこれは
日本
だけではなくて同盟諸国に対し、
大統領
は
ペルシャ湾
における西側の
安全保障
の利益を確保するために必要な
外交
的、
軍事的措置
に
協力
するよう要請すべしというバード
決議案
が六月四日に可決されておるというようなことが主な
動き
でございます。
吉岡吉典
86
○
吉岡
吉典
君 私の聞いているのでは、そのほかにもまだあるようですけれども、後で結構ですから、そういう
アメリカ
に出ている
法案
の
動き
のわかる
資料
をいただきたいと思います。 それから、
アメリカ
でだけこういう
法案
あるいは
決議案
が出ているというのは、そこに
日米安保条約
の問題があると私は思います。
安保条約
の産物、特に
日本
が西側の一員としての責任を果たすというふうなことを言い出すから、西側の一員であれば西側並みの軍事費を分担せよということになってきていると思います。その点で議論しようとは思いませんけれども、仮にこういう
法案
が成立した場合にはどういうことになるんですか。
藤井宏昭
87
○
政府委員
(
藤井宏昭
君) このような
法案
がそもそも成立するかどうか、御報告申し上げましたように、
アメリカ
の場合には
下院
で可決されても
上院
で両院協
議会
というものがございます。その過程でどうなるかということがございますし、さらに
大統領
が拒否権を使うかどうかという問題がございます。したがいまして、現在のところこのような
法案
が成立するという見通しにはなっておりません。したがいまして、全く仮定の問題でございますので、仮に成立したらどうなるかということは、ちょっと余り過度に仮定過ぎてお答えしにくいような感じがいたします。
吉岡吉典
88
○
吉岡
吉典
君 それじゃ答えにくいようですから、それはそれでおくことにしましょう。 次に、
防衛庁
にお伺いします。 私、テレビで聞いて非常にびっくりしたんですけれども、元
外務省
の高官だったはずですけれども、曽野明氏ですか、この人がTBSのテレビで、
日本
が
ペルシャ湾
の機雷掃海に出かけたらどうか、朝鮮戦争のときにもやったが、海上自衛隊の専門官を自衛隊をやめさせて
外務省
の技官として五十人ぐらい出したらどうか、こういう提案が行われました。これは先月の二十六日の朝のテレビです。私はこれは、これまでもあった
ペルシャ湾
にどういう対応をするかということともかかわるわけですけれども、朝鮮戦争のときには実際にやられた例があるだけに、ちょっとこれはただしておかなくちゃならないと思いました。というのは、朝鮮戦争のときに、私は質問主意書も出して、明確な答弁もらえませんでしたけれども、千二百名の旧海軍軍人がやっぱり四個の掃海隊を編成して朝鮮戦争で実際に掃海に当たった。これはもう海上保安庁史にもきちっと出ている事実で、否定できない事実ですね。これは全面占領下だったということではありますが、今日例えば海上保安庁であれ何であれ、そういう掃海隊に編成して
参加
するということはできるのかできないのか、まず法的にひとつ明確にしていただきたい。 それから私は、
ペルシャ湾
に自衛隊をやめたことにしてこういう形で掃海隊を派遣するということはあり得ないと思いますけれども、
日本
が掃海
技術
がすぐれているという世界的評価があるというわけですから、あるいは来ている
可能性
もなきにしもあらずかとも思います。そういうことを含めて、こういう提案に対して
防衛庁
としてはどういうふうにお考えになるか、お答え願いたいと思います。
宝珠山昇
89
○
説明員
(
宝珠山昇
君)
防衛庁
として、現在
ペルシャ湾
というところまでの遠いところに機雷掃海などのために自衛隊を派遣するということは考えておりません。したがって、先ほども申し上げましたように、法律面で十分な検討などは行っていないところであります。 ただ、せっかくのお尋ねでありますから一般論として申し上げますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土あるいは領海あるいは領空に派遣するということは、一般に自衛のため
必要最小限
度を超えるから、そういうものは
憲法
上許されないというのが統一的な見解であります。 では、そうであればできないかということとの
関連
でありますが、
他方
、自衛権行使の範囲というのは
我が国
の領域内に限定されているわけではありませんで、公海及びその上空に及ぶということもかねがね申し上げているところであります。したがいまして、
ペルシャ湾
に限らずいかなる海域でありましても、公海部分において自衛隊の部隊が行動するということが
憲法
上あるいは法律上許されないという理解には立っておりません。本件の問題は、むしろ法律というよりもこの
紛争
地域に派遣するということについて国としてどう考えるかということであろうと思います。慎重に検討をすべきものであろうというふうに考えられるところであります。 第二の海上自衛隊は能力的にはどうかという御質問でございますが、これは現在三十隻ほどの掃海艇あるいは四機の掃海ヘリコプターなどを持っておりまして、これは
我が国
の重要港湾あるいは主要海峡などの掃海を実施し得るようにということでかねてから
整備
し、訓練をしてきているものでございます。したがって、周辺海域における掃海能力としてはまだ
防衛
計画の大綱で目標としている能力には達しておりませんけれども、かなりな能力を持っているものと思います。しかし、周辺海域を越えて、例えば
ペルシャ湾
ということになりますと、およそ六千海里も離れるわけでございますし、この海域に比較的小型の艦艇を派遣することができ、かつおよそ未知の海域において機雷などの掃海を行うことができるかということになりますと、上空における脅威あるいはその他の艦艇、航空機からの
攻撃
がないような場所であればできないということはないかと思いますけれども、御指摘になっている海域というのは、既に今現在非常にホットな
紛争
地域であることを考えますと、そういう場合に、すなわち機雷以外の脅威にどう対応するかということについても配慮せざるを得ないわけでございまして、
我が国
周辺における能力があるからといって数千海里も離れた海域で掃海なりの行動ができるかというと、にわかには判断しがたいものでございます。いずれにしましても、現在派遣するというようなことを検討しているということでもございません。
吉岡吉典
90
○
吉岡
吉典
君 法的には可能だということはとんでもないと私は言わなくちゃなりませんが、これも議論は置きます。 結論的にもう一問させていただきたいのですが、私はこれまでのきょうの論議を聞いていて、
安保
が締結された当時と変わったという問題も含めて、西側の一員としての
防衛
面での役割ということがこのごろ強調されますけれども、そのことと専守
防衛
ということとの
関係
は一体どういうことになるのか。そもそも専守
防衛
ということと西側の一員としての
防衛
役割の分担ということは、これは私は矛盾対立する、あるいはそれこそ
安保
拡大、軍事分担の拡大の結果いろいろな諸矛盾も生まれているというふうに思います。この点
防衛庁
の見解をお伺いしたいと思いますけれども、最後の質問ですから一言だけ
外務省
に。 核密約はないとおっしゃいましたけれども、これはとんでもないことで、核密約ですから、それがあるということを言うはずはないわけです。ですけれども、これはもうれっきとして公文書に描かれていることだということだけ私は一言つけ加えた上で、
防衛庁
のさっきの質問、お答え願います。
宝珠山昇
91
○
説明員
(
宝珠山昇
君) 専守
防衛
という
我が国
の
安全保障
の
基本
的な姿勢を表現した言葉、これは
我が国
が行動しようとする場合の基準に関すると理解してよろしいのではないかと思います。そのような専守
防衛
という
枠組み
の中で
努力
する
防衛
努力
というものが、世界的に見た場合にどのような効果を持つかということで見ますと、西側の一員としての負担といいますか、そういう効果があるということではないかと思います。それは、専守
防衛
の
努力
は
我が国
の
防衛
を全うするための
努力
というとらえ方もありますでしょうし、それを別の観点から見ますときに、西側の一員としての
努力
という見方が成り立つのであろうと理解しております。 いずれにしましても、
防衛庁
は国防の
基本
方針や大綱のもとで
防衛
努力
を続けているわけでございまして、西側の一員としての
努力
をするために、何かをしようという発想のもとにそれを基準として
努力
をしているものではないということであります。
吉岡吉典
92
○
吉岡
吉典
君 時間ですから終わります。
坂元親男
93
○小
委員長
(
坂元親男
君) 以上で質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会