○野沢太三君
各社は四月に
発足して以来いろんな施策を講じまして
努力をしてきたわけでございますが、ホームラン級のヒットもあれば、どうもちょっと空振りだったなということもあろうかと思います。その面で気のつくところを見てみますと、営業の面では
各社ともにオレンジカードを工夫いたしまして、各
地域、各
会社の特性に合ったものを工夫して出しておられる、これなんぞはいわばホームラン級のヒットではないか、かように思うわけでございます。
さらには、多少フリクションもございましたが、定期券の一括発売であるとか、あるいは各種記念切符の発売であるとか、あるいは競争相手として今まではタブーであった航空券まで窓口で売る、こういうことまで踏み込んでやっていただいております。一万円で乗りほうだいというEE切符なんというのも大変意欲的なものであったかと思いますが、こういった施策、今後とも大いに工夫をして続けていただければありがたい、かように思うわけでございます。
ただ、この中でかねてから分割の
一つの
問題点として
指摘されておりました新幹線の清算問題につきまして、いわゆる新幹線振替票なるものをお客様に持っていただいて、その回収によって清算をしようということで
スタートをしたわけでございますが、伺いますると、どうも回収率が七、八割である。これによって例えば東海
会社は月々四億近い未清算金が出てしまう。このままいくと年間五十億くらいのどうも収入不足になるのではないか、こういった声があるわけでございます。私も振替票なるものをいただいてみますと、とにかく乗車券に特急券、それを買って改札口を通り、さらに新幹線改札口を通り、中で一遍見に来て、出るときにまた二回通っていく。大変煩わしくてかつまたこの趣旨がよくわからないためにポケットの中に忘れたり急ぐときにはなくても通してもらえる。こんなことでどうも疑問に思っていたわけでございますが、やっぱりこれは余りいい施策ではなかった、いわば空振りのケースではないかと思うわけでございますが、いずれにいたしましてもこれだけコンピューターが発達し、統計、確率業務も勉強が進んでいる時代でございます。余りお客様に迷惑をかけない方法で早急にこれは改善をしていただいて的確な清算業務ができるように期待をいたしておるものでございます。
輸送の面で施策を見てみますると、これは分割・民営の
一つの大きなねらいでありました
地域の密着、すなわちホームライナーとか、朝晩の通勤の改善とか、あるいはデータイムのお買い物列車であるとか、きめの細かい接続の改善、こういったことが各地で図られておりましてそれぞれ成果を上げておられる。これなんぞは非常にうれしいことであろうかと思います。
また、甲子園の応援団の臨時列車が適時適切に出る。御承知のとおりあの試合はくじ引きでございます。いつ何日に
自分のところの学校が試合になるかわからない。くじを引いたら途端にしかし列車が出せる、こういうことができるようになりましたのは、
地域の密着に加えまして意思決定が早くなった。これは分割の
一つのメリットとして過日も
指摘をしたものでございますが、これが名実ともに実現ができるようになったということは、この趣旨が早くも生きてきたかなと思っているわけでございます。
また、レール事業に加えまして
関連事業というものがこれからの一番の
希望でございまするけれ
ども、これにつきましても旅行業への参入あるいは損害保険代理店への参入、園芸施設、スポーツクリニック、さらには
職員みずからちょうネクタイを締めまして直営店舗へ出ていってお客様にコーヒーのサービスをする、こういったケースが至るところで行われるようになっております。これらの事業を見ますると、まだまだ経営効果という点ではまだしの感がございますし、それほどのまだ収入にはならないかと思いますが、意欲としては十分な
感じではないか。さらにこれをいろいろと工夫を重ねましてノーハウを蓄積し、その道その道のベテランの
職員を養成、育成をしていただく、これがやはり
関連事業発展の一番のかぎではないかと考えるわけでございます。
貨物につきましても、ピギーバックというような形で共同一貫輸送の工夫をされまして、これも評判よろしくてさらに増車をしようとかあるいはスライドバンという形でコンテナを円滑に横取りをする、こういったことも工夫をし、これまでとかく硬直的だと言われました国鉄の貨物輸送に
JR貨物が一歩踏み出した、壁を破って便利な使っていただける貨物の輸送業者ということに脱皮しようという
努力もしていただいているわけでございます。いずれにいたしましても、
地域の特性に合わせ適時適切に需要にこたえていく。そして収入を上げ
会社の基盤を確立するということがこれからの発展のもとになるのじゃないかと考えるわけでございます。
収入に関しましてはそのような
努力がいろいろと見られますが、一方経費の節減
努力の方でございまするけれ
ども、人件費で見てまいりますと当初必要とされました二十一万三千五百四十人、これに対しましていろんな
努力、工夫、さらには関係方面の多大なる御協力がございまして現在員二十万五百三十二名ということで、その差約一万三千人の
要員が少ないままで
スタートをしておるということでございます。四月一日から計算するともっとこれは多かったわけでございますが、
JR側の
採用ということで現在そういう
状況で推移をしておって、
欠員といいましょうか、いわば予定人員の数に達してない、これは
一つ大きな事実であろうかと思います。
加えまして、この春のベースアップにつきましても、定昇、ベア
合計しまして三・一七%というのが労使協議の上でいわば現在の相場としては控え目なところで決まっておるということも人件費の節減にあずかって力があるのではないか、かように考えるわけでございます。
また、物件費につきましても、資材の購入あるいは工事の発注単価等につきまして
JRSという規格を廃止してマーケットを一般のJISに拡大するという自由化、さらには最低落札者に仕事をお願いするという競争の原理の導入、こういった面で格段の御
努力をなさっておる、このこともやはり大事な仕事と考えられるわけでございます。
そこで、
一つこれはお願いでございますが、現在この
欠員相当分の経費減を資産で返却をしろというような
お話もあるやに伺っておりますけれ
ども、この点につきましては関係方面の
努力並びに当事者である
JRの皆様の
努力も含めまして、人がこれだけ少なくて済んでいるということが事実でもございますし、切符を売る
努力も
努力でございますが、こういった少ない人間で仕事をするというのもこれも大事なことであろうかと思います。今後の合理化意欲を損なうことがありませんようこの問題については慎重な取り扱いをお願いし、あるいは再検討ができればよろしいんではないかと思うわけでございます。できるだけ
政府は干渉せず
各社の自主性を尊重という点からいたしましても、どうかひとつ
各社の経営基盤が一日も早く確立をする方向でこういった問題の処理が行われることが望まれるところでございます。
さて、そうは言いながら
JR各社はいわば赤字を含め、あるいは
余剰人員を含め、債務を含めすべて
清算事業団に問題がしわ寄せをされているという
状況にあるわけでございます。一番心配をされました雇用の関係でございますけれ
ども、午前中も議論が出ておりましたが、四月一日
発足当初、再
就職の未
内定者が七千六百二十八名いたわけでございますが、その後の
努力によりまして八月一日には五千七百二十二名、千九百六人もこれを減少することができた。これは関係の皆々様の御
努力のたまものと感謝を申し上げるわけでございます。今度の
国鉄改革はこの雇用問題が明朗に
解決できるならばいわば半分成功したも同然だと言われた中で著しい成果を上げてこられたことについて重ねて御礼を申し上げ、今後とも引き続きこの調子で三年といわず二年あるいはそれ以下の時点で本問題の抜本策が施され、お約束どおり一人たりとも路頭に迷わせないといった
政府の公約が実現いたしますよう期待をいたすものでございます。さりながら、いまだに
北海道で二千九百九十人、さらには
九州では千七百五十九人、
合計五千七百二十二名という
就職未
内定の方がいるという事実は極めて重いわけでございます。再三再四の
本州各社への
配置転換のお誘いにも乗れないといういろんな
事情があろうかと思いますが、この点につきましては今後とも窓口を閉じることなく繰り返し繰り返し説得を重ね、また話し合いを重ねまして円滑な
解消ができることを
希望するものでございます。
この問題の処理には先ほ
ども穐山委員からの御
指摘がございましたように、
一つの
不信感が前提にありまして、話の土俵に乗ってもらえないというのが私が歩いた範囲でも
幾つか実はうかがえたわけでございます。何よりもまずそういったわだかまりを解きまして、開かれた
気持ち、温かい心を持ちまして
お話を進められるということで道が開いていくのではないかと考える次第でございます。
清算事業団のもう
一つの大事なお仕事として資産処分、用地処理の問題がございます。
現在
事業団に課せられた課題は、二十五兆九千億円という大きな負債を国民の皆様に十四・六兆、土地の売却に七・七兆あるいは保有機構からの収入で二・九兆、株式で〇・七兆、
合計二十五・九兆というものを処理せねばならない、大きなこれは負担であるわけでございますが、そのうちの有力な
一つの手段として土地の売却が課題に上がってきておるわけでございます。これまでの流れでは、売却の可能用地としては三千三百五十ヘクタール、こういうことに相なっておるわけでございますが、このほかにさらに売却困難地が相当あるというふうに伺っております。
そこで
一つお伺いをいたしますが、六十二年度
計画として売却を予定しておりまする予定の件名あるいは面積はどのくらいになりましょうかお伺いをいたしたいと思います。