○小谷輝二君 私は、公明党・
国民会議を代表して、何点か
質問をいたします。
最初に、昨夜八時過ぎ、皇居に向けて迫撃砲が撃ち込まれるという
事件が発生いたしました。この件についてお伺いをいたします。
これは、天皇陛下の沖縄御訪問に
反対する過激派集団の行動と言われておりますが、この
事件の背景、真相等をどう把握しているのか。また、この種の
事件はこれまで何回か発生をしておりますが、いまだ
事件の解決には至っておりません。
国民の安全、国際的見地からも重大な問題であると思っております。こうした
事件に対する今後の対応について、
総理並びに国家公安
委員長に御
答弁を願います。
次に、ただいま
趣旨説明のありました
地方自治法の一部を
改正する
法律案につきまして、
総理並びに
関係大臣に
質問をいたします。
地方自治法は、言うまでもなく、日本国
憲法とともに
昭和二十二年五月三日に施行され、本年はちょうど四十周年の佳節を迎えるに至りました。我が国
憲法は、平和、人権、民主の三原理を基本としております。また、
憲法のもう一つの特色は、
地方自治を
規定していることであります。
地方自治が発足して今日まで、我が国の社会経済情勢は、戦後の復興期、高度経済成長期、また安定成長期と、それぞれの段階を経てまいりました。この中にあって
地方自治体は、
国民生活の安定、産業基盤の
強化、人口の移動に伴う
地域社会の
整備等を進めてまいりました。また、国に先駆けて福祉行政を
推進してまいったのであります。いつの時代にあっても
国民生活や経済
発展の実質的
推進を行ってきたのが
地方自治体であったことは言うまでもありません。
現在、内需拡大政策の遂行が求められ、経済や
地域の活性化など、重要な役割を担っております。さらに、今後、高齢化、国際化、情報化時代を迎えるに当たって、その役割はますます重要になり、よりきめ細かな施策の
推進が求められておりますが、
地方自治体の主体的役割は、あくまでも住民の生命の安全、住民福祉の向上にあることは言うまでもありません。このような重要な役割を持つ
地方自治体が遺憾なくその任務を果たすためには、まず
地方自治体の力をより強固にすることでありますことは申し上げるまでもありません。
しかしながら、今日の
地方自治体の実態を見たとき、
都道府県では
事務の八割が、また
市町村では五割が
機関委任事務で占められているのであります。また、
自治体の
事務の大半が
補助金行政によっていることなど、
現行の国、
地方間の行財政は、従来のまま画一的構造になっております。これまで
地方制度調査会や臨調等から幾多の指摘がありましたが、基本的構造は何ら変わっておりません。
地方自治体が住民本位の行政を実施し、豊かで活力ある
地域社会をつくるためには、これまでの中央集権的な構造を思い切って転換することが最も重要であります。活力ある
地域をつくるためには、今日の
地方自治制度をどのように改革すべきなのか、
総理の見解をお伺いしたいのであります。
また、二十一世紀の国土づくりの指針として四全総が策定されましたが、現在はすべての
権限や財源、また情報が東京に集中していることが問題であります。その弊害を解決し、均衡ある国土づくりを図っていくことが重要であります。しかし、四全総には
権限や財源の
地方移譲を進めるという視点が欠落しているのではないかと考えるものでありますが、この点についての見解もあわせてお伺いをいたします。
さて、今回の
法改正についてお伺いいたします。
法律案では、
機関委任事務に対して、
議会が
検査、
検閲し、また
監査委員が
監査できるように
改正しようとするものであります。今日の
機関委任事務の大半が住民生活に密着しており、住民の代表である
地方議会が関与できないこと自体、
地方自治の原理から見ても不合理であり、その
改正を強く要求してきたところであります。むしろ遅きに失したという感を受けるものであります。
しかしながら、今回の
改正案で最も重要な点は、
職務執行命令訴訟制度の
改正であります。いわゆる
裁判抜き代
執行を可能にしようとすることであります。これは
地方自治制度の根幹にかかわる問題を含んでおり、極めて重大であります。
すなわち、
知事、
市町村長は、
地方自治体の固有
事務を行うとともに、国の
機関委任事務の
執行も義務づけられております。このため、
現行法では、
知事等が住民の代表としての立場で公共性に反すると判断し
機関委任事務の
執行を行わなかったとき、
主務大臣は第三者機関である
裁判所に判断を求めることになっているのであります。これは
憲法で保障された
地方自治の自主性を尊重するものであり、過去においても、
最高裁の判決でも
地方自治体の
自主独立性の尊重を明らかにしているのであります。
ところが、今回の法
改正案では、
知事等が
委任事務を
執行しなかったとき、
主務大臣は
裁判抜きで代
執行をすることができるというものであります。もし代
執行に対して
異議がある場合は
知事等が
裁判に訴えてもよいという、全くこれまでと逆の
制度になっているのであります。これは
機関委任事務の本質を無視し、
地方を国の従属機関として扱うものであり、国の身勝手さをむき出しにした改悪であり、時代に逆行した中央集権的な姿勢をますます強めるものであります。なぜこのような
地方自治制度の根幹を覆すことになる
改正を行おうとするのか、明らかにしていただきたいのであります。この際、
職務執行命令訴訟の
改正は撤回すべきであると考えるものでありますが、見解をお伺いいたします。
次に、
機関委任事務の整理についてお伺いいたします。
機関委任事務は、戦後の
地方自治制度の
改正の際、国の統一的
事務の
執行についてその実施を
地方に
委任する
制度でありますが、近年、国の
事務が時代の要請とともにふえてまいりました。その大半は
機関委任事務によって行われておるわけであります。こうした実態に対して、行革審や
地方制度調査会からその整理の必要性が強調されてきたのでありますが、これまでの改革を見ると、実質的な整理は行われておらず、既に役割を終えたもの、事実上効果がなくなったものなどについて法文上の整理をしたにすぎません。国、
地方を通ずる行政改革といっても、しょせんはこの
機関委任事務を整理するということに尽きると思うものであります。今後、
機関委任事務の整理についてどのように
推進するのか、見解をお伺いいたします。
また、
地方の活性化を果たすためには、
現行の
機関委任事務を
地方の固有
事務とすることや各種の国の必置規制、関与をいかに排除するかが
地方行革の大きな課題であります。この点についてどのように改革するのか、あわせてお伺いをいたします。
さて、今日の我が国の生活関連施設
整備は著しく立ちおくれております。私どもは、これを
整備充実し、生活
大国を目指すべきであると主張してまいりました。この充実は、結果的には我が国経済が今求められている内需中心の経済への転換にも通じるものであり、今こそ生活関連施設を
整備する絶好のチャンスであると考えるものであります。しかし、その主体的役割を担う
自治体に対する国庫補助率は年々
削減されて、国の負担も
地方に転嫁されているのが実情であります。これで果たして十分な施設
整備ができるかどうか憂慮するものであります。大蔵大臣も生活
大国ということを政策の重点目標としておられるようでありますが、今後の生活関連施設
整備を進めるためには、
地方自治体に対する
補助金の
削減や負担転嫁を行うべきではないと考えるものであります。これらに対する御見解をお伺いいたします。
最後に、
中曽根総理は、今日まで五年有余にわたっての政権担当もあと残りわずかになりました。大変御苦労さまでありましたと申し上げます。
総理は、政権担当に当たって、行政改革の断行を大きな目標に掲げてきたのでありますが、日本の内政の担い手である
地方自治体の行政改革は、何ら見るべき成果は上がっておりません。今後
地方行革をどのような
方向に持っていくべきか、御見解をお伺いいたします。
以上、
地方自治の重要な問題に絞って
質問をいたしましたが、
総理並びに
関係大臣の率直な御見解をお伺いいたしまして、
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣中曽根康弘君
登壇〕