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小澤(克)
委員 午前中に続きまして、
質問をさせていただきます。
常時携帯義務の運用実態について伺っていたところで時間が来たわけでございますが、その際に、常時携帯義務については弾力的な運用をなすべきである、常識的かつ柔軟な姿勢で適正妥当に行われるようにという閣議での口頭の了解があったということまで教えていただいたわけでございます。かつ、交通検問などの際に免許証によって
居住関係、
身分関係が明確になっているにもかかわらず
外登証の
提示を機械的に求めるというようなことはしない、そのように指導しているという回答もいただいたわけでございます。ところが、実際の運用はそうではない、第一線の警察官による運用というのはそのような御
説明とは全く違った運用がなされているということを指摘したいと思います。
先ほど一つだけ
紹介したのは、この閣議での口頭了解以後の
ケースについて
紹介したのですけれども、この閣議了解以前がもも、弾力的な運用をする、いつも話に出るのがふろ屋に行くのまでは
外登証の携帯を求めないというような
説明がずっとなされてきたわけですけれども、これまでの
事例を調べてみますと、まさにおふろ屋さんに行くところをふろ屋の前で待ち受けていて逮捕されたなどという例があるのですよ。
これは少し時代がさかのぼりますけれども、本当にこういう極端な例があります。一九六七年十一月、北海道の
ケースですが、近所のおふろ屋さんへ出かけたところ、入り口で張り込んでいた滝川警察というところの警察官に呼びとめられて、不携帯だということで逮捕され、深夜まで取り調べを受けたというような
ケースが現実にあるのです。
もう枚挙にいとまがありませんので、一九八〇年以降に限ってこちらの方で調べたものを
紹介いたしますと、一九八〇年一月、水戸市内まで自動車で帰る途中に交通違反を
理由に呼びとめられて免許証を
提示した。免許証を
提示したわけですから
身分関係、
居住関係はすべて明らかになっているにもかかわらず、不携帯ということで麹町警察署に連行されて逮捕されたという
ケースがございます。
それから八〇年の三月、この方は朝鮮大学校に行っておられる二十の学生さんですが、自転車に乗って大学の寄宿舎からわずか三百メートル離れた路上を通行中にパトカーに呼びとめられた。すぐ近くに寄宿舎があるからそこへ行ってとってくると言ったにもかかわらず小平警察署に連行され、これは逮捕ということにはなっていないようですが、警察の解釈では恐らく
任意同行ということなんでしょうけれども、連行されて取り調べを受ける。寄宿舎から三百メートルですよ。寄宿舎へ行ってちょっととってくるから待ってくれと言っているのに、こういうことをしている。
それから八〇年の四月、これは私が弁護士として実際に相談を受けた
ケースですのでよく記憶しているのですけれども、同じく朝鮮大学校の大学前に移動交番というのですか、大型のパトカーをとめておいて、ある集会に参加した寄宿生が三々五々帰ってくる、その学生に片っ端から
外登証の
提示を求めた、こういう
ケースがあるのです。
それから八〇年の六月、これはまたふろです。ふろ屋に行くのにまで
外登証の携帯を要求するのは過酷であるというのは、いろいろな著書や国会の議論などでもなぜかおふろ屋さんというのが常に出てくるのですけれども、まさにふろです。しかも、中学校三年生、十五歳の少年がおふろ屋さんに行っての帰り道に、自転車に乗って三河島駅前を通行していたところ荒川警察署の警察官に呼びとめられて、不携帯を口実に三河島派出所に連行された。お父さんが
登録証を持ってくるまで事実上そこにとどめ置かれた。これは、まさに自宅近くのふろ屋に行ったという
ケースなんです。
八一年の四月、これはわずか十六歳の女の子ですけれども、ミニバイクを運転していて呼びとめられた。免許証を
提示したが、結局熊谷警察署中央派出所に、これは連行されたということではないようですが、いろいろ取り調べを受けております。
それから八一年の五月、山梨の金さんの件、これはいろいろ問題となった
ケースでございます。警察官を告訴したりとか、山梨県の弁護士会が山梨県警あるいは塩山警察署にこういう人権を無視した扱いをするなという要望書を提出したりした
ケースでございますけれども、知人の車に同乗していたところ交通検問に遭って、
登録証を持っていなかったということで調べられ、後日塩山警察署に出頭を命じられて顔写真を撮られ、十指の
指紋をとられ、掌紋もとられ、なぜか足型まで
採取される、こんなことが行われております。
八一年八月、富山でございますが、十五歳の高校一年生の少年三人が自宅から三百メートル離れた自動販売機にジュースを買いに行った。そうすると、顔見知りの警察官の職務
質問に遭った。そして、不携帯を
理由に富山警察署に連行されて深夜までとどめ置かれた。家族には何の連絡もできなかったために、家族が、帰ってこないということで大騒ぎになった。自宅から三百メートルのところにジュースを買いに行った、こういう
ケースです。ふろ屋に行く
ケースや近所に買い物に行くような場合にまで携帯を要求するのは酷だと言われておりますが、これなどまさに近所に買い物に行った
ケースです。まだまだいっぱいあります。
十四歳の男の子、中学校三年生です。これは八二年三月の
ケースですが、自転車で帰宅するところ、久米川駅前で呼びとめられた。
外登証を持っていないということで派出所に連れ込まれて、その上パトカーに乗せられて東村山警察署まで連行され、取り調べを受けた。わずか十四歳の少年です。もう数限りなくあります。
八二年十一月には大阪で、ミニバイクをとめて友達と立ち話をしていたところ、警察官に免許証の
提示を求められた。免許証を
提示したにもかかわらず、
外登証不携帯ということで逮捕されています。この
ケースなどでは警察署へ連行しようとしたため、それは嫌だ、何でそんなことをするんだと言ったところ、
登録不携帯でも逮捕できるんだぞと言われた。それは
法律上まさにそのとおりです。そして、手錠をかけられて派出所まで連行された。枚挙にいとまがありません。
途中はしょりますけれども、閣議での口頭了解のあった後については、先ほど
紹介した例のほかに、ことし八七年四月東京で、これは三十一歳の男性の会社員ですが、自宅近くを自転車で帰宅途中、無灯火だということで小平警察の警察官に呼びとめられ、
登録証の
提示を求められた。会社に置き忘れていたために、あす交番に持参すると答えたけれども、二人の警察官に腕をねじ上げられたりして逮捕され、小平警察署まで連行される、こういう
ケースがあります。これなど、
外登証は会社に置き忘れたとしても自宅付近なんですから、ちょっと自宅まで行けば家族や近所の方によって幾らでも身元の
確認はできる、こういう
ケースまであるわけです。
こういう運用実態を見ますと、先ほどのお話が実際の第一線の警察官によって全く守られていないということが明らかだろうと思うわけです。こういう点について、警察庁としてはどのようにお考えですか。