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千種政府委員 まず、
民法の
改正に関する全体の動きとでも申しますか、そういうことでございますが、
特別養子の問題が今
審議されておりますので身分法
関係について特に
お尋ねかと存じますけれども、婦人問題の関連で新しい家庭あるいは
夫婦のあり方というものがいろいろと
指摘されております。そういう問題の中に、ただいま
先生御
指摘のように
夫婦の氏の問題とか財産の問題とかという問題も
指摘されていると私ども
理解しておりますが、特に氏の
関係についてはいろいろな請願などもございますので、いろいろと現実の問題として検討はしておるところでございます。
ただ、
民法というものが、特に身分法につきましては
国民すべての者に
関係がある深い問題でございますので、
審議の形態といいますか、方法といたしましては、どうしてもやはり法制
審議会を中心に御議論をいただいているわけでございまして、法制
審議会も
一つずつ問題を片づけていくという点からいいますと、まずこの
特別養子が済みましたら、次なる問題は何かということに取りかかるであろうと思います。これは
委員長以下
委員の方々の御判断にもよるわけでございまして、私どもが御提案を申し上げてどういうふうに御
審議いただくかということをこれから
考えなければいけない。そういうことから、今特別にこういう順序で、こういうテーマというところまではいっておりません。
それから次に、
民法の
関係でいいますと財産法の問題にもなってまいりますけれども、財産法に関しましては、特別法ではございますが、現在土地問題とも関連いたしまして借地・借家法の
改正問題というのが
割合大きな問題として議論されております。これは既にいろいろな御
意見を各界からちょうだいしておりまして、それを集約し、今
審議が続行中でございます。例えば今の社会、特に都市の社会情勢にマッチさせるためには、借地・借家の期間は今までどおりでいいか、また、新しい需要に応ずるために定期の借地権をつくったらどうかとか、賃料、家賃地代、そういうものの紛争をもう少しスムーズに解決する方法はないか。
一つの例で言いますと、そういうものを非訟事件にして解決する方法はないかというような提案もございます。
それから、そういう定期借地権や何かの
関係で議論になるのですが、正当事由というものが余りにも抽象的であるからもう少し具体的にする方法はないかとか、あるいは期間が来たときに金銭的な解決をする方法はどうかとか、途中でそれを買い上げるというような
意味で、これは下手をすると地上げ屋の問題にも関連してまいりますけれども、それを買い取る方法はないかとか、そういう借地権の評価、売買というようなものをどうするかというような議論もございます。さらには、これから先
審議していくテーマではございますけれども、自分で借地権をつくって設定する、そういう借地権を本当に財産化してしまうというようなことはどうかとか、いろいろな問題がございまして、これはちょっと利害の対立する問題でございますから、
審議はしておりますが、ちょっと時間を要する問題かと思います。
民法以外の問題になってまいりますと、ここで
民法に
割合に近い問題といたしましては国際私法というのがございまして、これは
外国の人と
日本の人との間で契約なり身分
関係が生じたときにどの法律を準拠法として適用するかということを決める法律でございますが、特に身分
関係は、男女差別撤廃条約の批准の
関係で、従来夫の本国法であるとか父の本国法であるとかいうような基準を定めておりました法律を男女平等にすべきではないかということで、特に身分法
関係においてそういう
規定が多うございますものですから、国際私法の
改正を今進めておりまして、これはもうすぐ結論を出すような時期に来ております。ということは、来年早々には案がまとまれば要綱案をこしらえて、早い時期に国会に
提出したい、こういう段取りになっております。これが
民法に一番近い問題でございます。
次に、民事訴訟法
関係でございますが、御承知のように民事執行法というのが
昭和五十五年のころにできたわけでございますけれども、保全処分の
手続がそのまま放置されておりまして、その整理が急が札でいたわけでございます。これは古い法律で条文も少なく、解釈に任せられる部分が非常に多かったものでございますから、これを整理して、執行法と並んで新しい法律にしようという動きがございまして、これが現在進行中でございます。これも来年の三月ぐらいをめどに何とか要綱にこぎつけたいということで鋭意努力をしておりますが、うまくいけばそういうことで来年に間に合うわけでございますが、何しろこの保全というのは実体法と
手続法の非常に絡んでいるところでございまして、難しい問題が非常に出ておりまして、果たして順調にいくかどうかということもこれからの作業を見ないと断言できない情勢にございます。
それから、もう少し大きな問題としましては、商法の
改正がずっと進行中でございます。これは前の
改正のとき以来の附帯決議もございまして、会社の大小区分についての検討を鋭意進めております。これもちょっと長く時間のかかりそうな問題でございます。あわせて、会社の方の必要から社債についての法律、これを何とか改善できないかということで、別な小
委員会をつくって、並行的な作業を進めております。
法制
審議会の
関係のあるものは大体それだけでございますが、ほかに、私ども
民事局といたしまして、不動産登記法の
改正という作業が
一つございます。これは登記のコンピューター化ということに絡みまして、これをコンピューター化いたした場合、最低限何らかの法的手当てが必要ではないかということで、とりあえずは最小限の手当てを今
考えておりまして、今実験しておりますコンピューター実験庁が来年稼働できる状態になる場合には、その手当てとして最小限の手当てが必要なものでございますから、できましたら来年に不動産登記法の一部を
改正する法律を出したいと思って作業を進めております。
大体以上のとおりでございます。