○鍛冶
委員 これはあるいは先刻御
承知でもあろうと思いますが、私も、セカンドスクールを
最初に日本で始めたとき、残念ながらそのときは
文部省はやっておりませんでした。だから私は多少皮肉を言ったのでありますけれ
ども、わきの方がやって肝心の方がやらないというのはおかしいじゃないかと言ったことがあるのですが、これは神戸の川池
小学校というところが、町中の
小学校でございますが、あのときはたしか六泊七日だったと思いますけれ
ども、国土庁の呼びかけに応じて全国で三校、
公立学校では一校だけが、やろうということで、五十三年でございますから随分前です、大方十年になるのですけれ
ども、実施をいたしました。私はその事実を、ちょうど質問しようと思っていろいろ資料を調べておるときに、たまたま目にしまして、非常に感動したことを覚えているわけです。今とまた違いますから、十年くらい前ですと、ああいうふうに六泊七日も
学校を離れて、そして泊り込みで、しかも授業もその中でやりながら、田舎のいろいろなところも実地に勉強しながら、体験学習をやりながらやるということについては極めて反対が多かったと思うのです。特に
先生がやりたがらない、組合が反対する、父母が反対する、いろいろなところの反対がある。
教育委員会ももちろん反対。とにかく事故が起これば危ないからやめろ。こういう中を、やるということで取り組まれた。私はそれに感動いたしましたので、どなたがどういういきさつでこういうことに取り組んだのだろうということで、実は
現地に行っていろいろお聞きしてみたわけですが、結局は、そこの当時の校長
先生が大変勇気のある方で、すばらしい決断力を持っていらして、まず
先生方に呼びかけ、二カ月、三カ月かけてコンセンサスをつくりまして、そして、その当時は五学年の子が全部行ったのですけれ
ども、担当する
先生方が本当に力を合わせて半年間、秋に行きましたが、四月に入りましてから半年間、秋のその六泊七日を、極めて有効に本当に楽しく、しかも効果あるものにするために、表現が大げさになるかもしれませんが、それこそ必死で取り組まれたというお話も伺いましたし、いろいろなところでそういうことを聞いて感動した覚えがあるわけです。
結果をいろいろお聞きしてみますと、先ほど
局長の御
答弁の中で八割以上が三泊四日で実施しているようでございますけれ
ども、三泊四日というのが一番変わるところだそうですね、泊まり込んでやっていると。
先生もくたびれる、子供もくたびれる、そしてもう帰りたい、やめたい、しかしやらなければいかぬという微妙なところだそうでありまして、それを乗り越えてやってみて初めて子供との真のつながりができたし、自分たち自身も本当にその中から学ぶことができたし、本当に
教育といいますか、いい形での効果あるものが実を結ぶことができたというふうに、これは実感としてしみじみおっしゃっておったわけです。
だからそういうことからいきますと、三泊四日だけでやめてしまうということは、費用の面があるからそうだとかいう次元の話ではないであろう。やはり日本の将来をどう担っていくかという子供の、しかも心の面を含めて非常にいい形で
教育ができるわけですから、素人の私がこういうふうに申し上げるのは恐縮かもわかりませんが、そういう点にしっかり着目をして、単なる
指導するということではなくて、同じやるのならば五泊六日以上でぜひやれ、必ずやるという形で推進をしていただきたい。また費用の点で多少問題があるなら、これはひとつ
文部省の方でお考えいただいて、多少なりとも
補助する金額もふやすとかいう
努力はぜひしていただきたいと思うのです。
あのとき僕はもう
一つ感心したのは、餓鬼大将ができましたね。やはり自然の中にほっておきますと子供というのは自然にそうなるらしいですね。その姿を見ておりましたら、成績の悪い、いつも小さくなっておった子が、おれの出番が来たと言わんばかりに出てきまして、みんなを集めて号令をかけて、頭のいい子もそこではかなわないというようなことで、非常に好ましい形ができておったような気がするのです。聞きましたら、当時その学年は川池
小学校の中で一番手数のかかる学年だったそうですが、帰ってから一番手数のかからない学年になった。私は昨年でしたか、七年ぐらいたってからでございますが、その子供たちが今ちょうど
大学に試験を受けて入ってまるまる一年、二年ごろにたしかなっていると思いますが、そういう
状況も実は聞いてみたのです。そうしましたら、私はびっくりしましたけれ
ども、たった一週間でしたけれ
ども、子供たちがそのときに得た教訓なり思い出なり培ったものを
大学に入るまで持ち続けておるということなんですね。その
一つの例は何かというと、
人間関係が極めてよかったというのです。その行った連中とは違う人で
高校時代に友達になっておった人がおりまして、そういう人の話なんか聞きますと、そのときに行ったグループというのは、まあ勉強の方はいまいちであった、こういうことでございますけれ
ども、
人間的なつながり、また人に対する気配り、そういう点では自分がほかでつながっておった友達と違って
気持ちよくつき合いができた、いまだにずっとつき合いをしておるというようなことがあります。
全体を一人一人追跡
調査したというわけじゃございませんけれ
ども、そのときに本当に
先生が一生懸命になった、必死になった、それが子供に伝わって、そして事故があったらどうしようかというようなことがあったけれ
ども乗り越えて、むしろ無事故で終わることができた。
話が前後して恐縮ですが、そのときに
先生方が、子供を親から切り離すということで、特に親にそこの
研修場先には絶対に面会に来させないということを前提にやったというんですね。これは私は非常に見識だったと思います。そのときに、親に子供さんのことを、持病が我々の知らないところであるのではないか、何か癖があるのではないかというようなことで、父母の方々に子供一人一人の注意事項を出してもらいましたら、全員が、一番少ない人で四項目ぐらい、多い人は八つも九つも親の注意書きがあった。すぐ風邪を引きやすいとか、偏食があるとか、夜おねしょをするとか、夜は突然起きて夢遊病者みたいに歩くとか、とにかくいろいろなものが重なっておって、それを見たときはもうやめようかと思ったというんですね。事故が起こったらどうするか。しかし、ここまで来たのだからやめるわけにいかぬ。とにかく真剣な取り組みで、現場にも何回も足を運んでやられておったということを後からお聞きしました。それでまた新たな決意で、起こったときは起こったときだ、とにかくここまで来たんだから後戻りできない、頑張ろうというので
先生方が本当に本気で頑張った。ところが、後で言っておられましたけれ
ども、不思議に事故が
一つもなかったというんですね。やはり一生懸命になると子供にもそういうものが伝わるし、事故がないということにつながった。そして、今申し上げたように何年かたって何人かに私はいろいろとお聞きしてみたのですが、今申し上げたようなことは
一つの例でございまして、ほかにもいろいろあったんだろうと思いますが、
学校の中で余り
人間関係がよくないと言われておったクラスがその一週間で変わってしまった、それが持続しておったということですね。私はそれを聞いて大変うれしい思いがしたんです。そのときの
先生にもお会いしたりしましたけれ
ども、大変喜んでおられました。
そういう
意味で、私があえてこれをまた再び取り上げてここで申し上げておるのは、私、昨年もお聞きしましたら三泊四日が多いということでございました。そういう
意味では非常に残念だったわけです。せっかくやられていい効果が出るものであるなら、もう
一つ踏み込んでそこまでどうしてやれないのか。財政的な面なら何とかしてひとつそれは考えてあげていいのではないかということが
一つございます。
さらには、さっき私は仄聞するというふうにも申し上げましたけれ
ども、
先生方がどうもそれ以上は耐えられないとか、長いとどうもしんどくてしょうがないとか、そういうことが大分あるというようなお話もお聞きします。これは極めて残念です。だとするならば、私の方では、しりをたたいてでもとにかく行け、行ってみればまた喜びが出て帰ってこられるのだろうと思うのです。そういう取り組む姿勢が、
学校の
先生方もたくさん仕事を抱えて大変だと思いますけれ
ども、わずかの期間でも
人間が一生懸命になったときには、本当にそれがお子さんにとりましては一生につながる重大な影響を与えるのだということ、だからそのとき担当した
先生は、この前お会いしたときも断言していましたけれ
ども、そういうことにしっかり
先生が腹を据えて取り組んで、子供と一緒にそれをクリアしますと、いじめとかなんとか起こるわけはないとまで言われておりました。それくらい
先生方が一生懸命になる。その中で子供が一緒になるときに偉大な
教育的効果があらわれるものだなと私は今痛感しているがゆえに、あえてまたここで取り上げて申し上げておるのでございますので、そういう
意味で、三泊四日とか余りけちけちせずに、ひとつ思い切ってそういうことにしっかり取り組んでみる。普通の日は時間に追われて大変だということもあるかもわかりませんが、これに取り組むときはとにかくこれに集中してやってみるということがまたほかの面で大きく開けていくことにつながるのではないかなというふうな思いで申し上げておるわけでございますので、この点についてもう一度御
答弁をいただきたいと思います。