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1987-08-25 第109回国会 衆議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十五日(火曜日)     午前十時五分開議 出席委員   委員長 玉沢徳一郎君    理事 近藤 元次君 理事 鈴木 宗男君    理事 月原 茂皓君 理事 保利 耕輔君    理事 松田 九郎君 理事 串原 義直君    理事 水谷  弘君 理事 神田  厚君       石渡 照久君    上草 義輝君       大石 千八君    大原 一三君       太田 誠一君    木村 守男君       菊池福治郎君    桜井  新君       田邉 國男君    谷垣 禎一君       中尾 栄一君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    粟山  明君       森下 元晴君    保岡 興治君       柳沢 伯夫君    山崎平八郎君       石橋 大吉君    田中 恒利君       竹内  猛君    辻  一彦君       前島 秀行君    武田 一夫君       玉城 栄一君    藤原 房雄君       吉浦 忠治君    木下敬之助君       藤田 スミ君    山原健二郎君  出席国務大臣         農林水産大臣  加藤 六月君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長官     甕   滋君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         農林水産省経済         局長      眞木 秀郎君         農林水産省構造         改善局長    鴻巣 健治君         農林水産省農蚕         園芸局長    浜口 義曠君         農林水産省畜産         局長      京谷 昭夫君         農林水産技術会         議事務局長   畑中 孝晴君         食糧庁長官   後藤 康夫君         水産庁長官   佐竹 五六君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示監視課長 本城  昇君         外務大臣官房在         外公館課長   折田 正樹君         厚生省生活衛生         局乳肉衛生課長 難波  江君         農林水産委員会         調査室長    羽多  實君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十一日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     大石 正光君   太田 誠一君     坂本三十次君   谷垣 禎一君     加藤 紘一君   森下 元晴君     尾身 幸次君   保岡 興治君     北村 直人君 同日  辞任         補欠選任   尾身 幸次君     森下 元晴君   大石 正光君     上草 義輝君   加藤 紘一君     谷垣 禎一君   北村 直人君     保岡 興治君   坂本三十次君     太田 誠一君 同月二十五日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     粟山  明君   小坂善太郎君     石渡 照久君   佐藤  隆君     桜井  新君   佐々木良作君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   石渡 照久君     小坂善太郎君   桜井  新君     佐藤  隆君   粟山  明君     阿部 文男君   木下敬之助君     佐々木良作君     ――――――――――――― 八月二十日  農業政策の確立に関する請願魚住汎英紹介  )(第五一三号)  米の輸入反対等に関する請願上田哲紹介)  (第五六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提  出、第百八回国会閣法第六〇号)      ――――◇―――――
  2. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これより会議を開きます。  第百八回国会内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。串原義直君。
  3. 串原義直

    串原委員 本日は食糧管理法の一部を改正する法律案に対する審議でありますが、その前に一、二伺いたいことがございます。よろしくお願いいたします。  そこで、まず私は牛肉問題につきまして大臣から御答弁を賜りたいのでありますけれども農林水産省は十三日、六十二年度下期の牛肉輸入割り当て量を決めた。割り当て量は前年同期を三万八千トン上回る十二万一千トン、つまり、前年の同期と比べると四六%増加をさせる。国内生産量が昨年並みもしくはやや下回る見込みなのに対し需要は好調で、日米日豪間で決めた今年度輸入枠は十七万七千トンだったが、今年度上期と合わせた輸入割り当て量は二十一万四千トンとこれを三万七千トン超過をする、こういうのであります。前年に比べて四六%輸入量増加というのはまことに大幅なものであるというふうに私は思うのであります。つまり、日米豪交渉の前にこの増枠日本の側で決める、農林省で決めるということに対して生産者戸惑いを感じているようであります。どのような判断と分析でこの方向をお決めになったのか、大臣からお答えを願いたいのであります。
  4. 加藤六月

    加藤国務大臣 牛肉輸入割り当てにつきましては、需要に対しまして国内生産で不足する分を計画的に輸入することを基本方針として割り当てておるところでございまして、串原委員御存じのとおりでございます。  六十二年度需給見通しは、需要につきましては引き続き安定的に増加が見込まれる一方、国内生産につきましては、乳用種牛肉はほぼ前年度並みと見込まれるわけでございますけれども肉専用種牛肉につきましては、子牛価格が上昇していることに伴いまして雌牛保留意欲が高まっておりまして、屠殺頭数が減少すると見込まれること等の事情がございまして、牛肉全体ではほぼ前年度並みと見込まれております。  また、牛肉卸売価格は、和牛肉につきましては安定上位価格を超えております。それから、乳用種牛肉につきましては安定上位価格をやや下回る水準で堅調に推移しておるところでございます。  以上のような事情を踏まえまして、需給価格の安定を図るため、国内自給不足分輸入枠として割り当てることとしたものでございます。日米日豪牛肉交渉を前にしての配慮といったようなものは一切ございません。
  5. 串原義直

    串原委員 つまり、交渉の前の配慮ではないという答弁があったわけでございますが、そうであればあるほど、大臣、実は輸入枠増加に対する生産者側生産者団体の神経というのはなかなか厳しいものがあったことは御承知のとおりであります。国内生産を高めてまいるためには、輸入枠増加というのは厳しくチェックしてほしいという要請であったように考えるわけであります。  したがって、いま一度大臣から御答弁願いたいのでありますが、そうである生産者側生産者団体の意向を踏まえて考えます場合に、今回の大幅な輸入枠増加、この農林省姿勢というものは国内生産を高めていくということに水を差すことになりはしないか。このことを私は強く危惧をするのでございますが、いかがですか。
  6. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどお答えしたわけでございますが、輸入割り当ては毎年度年二回に分けて国内需給見通した上でその不足分輸入枠として割り当てるとともに、輸入枠の大宗を畜産振興事業団が取り扱い、輸入牛肉販売操作を通じまして国産牛肉価格の安定に努めておるところでございます。  先ほどお答えしましたが、現在牛肉卸売価格は堅調に推移しており、事業団牛肉価格動向を見ながら輸入牛肉売り渡し数量を調整しつつ、価格安定を図っているところでございます。今後とも、国内牛肉生産振興に水を差すことのないよう十分に配慮し、需給操作を行うこととしていきたいと考えておるところでございます。
  7. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、日米交渉がこれから行われるわけでありますが、この増枠を決めたことによって、今後の日米交渉によってまた枠がふえる、こういうことはいたしません、こういうことと受けとめてよろしゅうございますか。
  8. 京谷昭夫

    京谷政府委員 委員指摘のとおり、豪州及びアメリカとの間で結んでおります牛肉輸入についての協定が本年度内に終期が到来をいたしまして、来年四月以降いかがなものにするかということについての交渉が今後に控えておるわけでございます。  この交渉がどのような妥結内容になるかにつきましては、現在の段階では何とも見通し得ないのでありますが、この交渉に当たりましては先ほど大臣から申し上げましたとおり、国内生産基本としつつ、これで不足するものについて輸入を図っていくという基本的な考え方のもとでこの交渉努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  9. 串原義直

    串原委員 したがいまして、私の尋ねておりますことは、国内生産との関連で需要がふえてきたということを踏まえて輸入量をふやすことに決めました、こういうことですね。したがって、そうであるならばこの輸入枠をふやしたことが適正だというふうに農水省判断をしたとするならば、今後の交渉の中でこれ以上ふえるということはない、ふやさない、こういうことでなければいけないじゃないか、こういう判断に立って私は今伺っているわけであります。いかがですか。
  10. 京谷昭夫

    京谷政府委員 交渉に臨む私ども基本的な考え方は、ただいま申し上げたとおりでございますが、具体的に将来の輸入数量をどのように考えていくかという問題につきましては、今後の需要そのもの見通しと、それからこれに対する国内生産についての見通しいかんにかかるところでございまして、私ども十分国内生産動向というものを、またこれを振興していくという立場を保持しながら事に当たってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 串原義直

    串原委員 明年度のことはきょうはちょっと別にして、六十二年度輸入枠の問題を私は伺っているわけですよ。六十二年度の下期の輸入量についてふやすことを農林省は決めた。六十二年度下期の輸入枠の問題について日米交渉をする、その場合に農林省は四六%ふやすことに決めた量以上に日米交渉の中でふえるということはないでしょうね、こういうことを聞いているわけですよ。
  12. 京谷昭夫

    京谷政府委員 六十二年度につきましては今回本年度の下期の数量、それに年度初めに出しております上期の数量合わせまして二十一万四千トンという割り当てをした形になっておりますが、この数量については我が方の需給見通しに基づいて、交渉で決めていくということではなくて我が方が独自に決めたものでございますが、これを日米交渉によってさらに変えることあるべしということは、私ども考えておりません。
  13. 串原義直

    串原委員 いま一つ伺っておきますけれども、今御答弁の中でも比較的牛肉が高値で推移しているのだけれども国内生産が伸びない。大臣答弁のように横ばいないしは一、二%、前年比ことしの方が生産量が少ないのではないか、こういうことであります。まことにうれしくない方向だと思っているのです。余り環境が悪いと思われないのにどうして生産量が伸びないのか、私は問題だと思う。どうお考えになっておりますか。
  14. 京谷昭夫

    京谷政府委員 先ほど大臣から申し上げました国内生産状況でございますが、一つには乳牛からの牛肉生産でございますが、これにつきましては、御承知のとおり牛乳乳製品需給事情反映をいたしまして、御案内のとおり計画生産が行われておりまして、この部門から生産をされる牛肉の量が制約をされておるという状況が従来からあるわけでございます。  それから肉専用種和牛でございますが、御承知のとおり五十七年から五十九年にかけまして子牛価格大変暴落をいたしまして、このことが子牛生産大変減退をさせました。その過程で、実は雌牛をかなり大量に屠殺をした経過がございます。その結果、最近に至りまして資源増強のもとになります繁殖素牛と申しますか雌牛が大変減少しまして、生産される子牛が減少するということで現時点での肉の生産量がかなり大幅な減少を見せている。  ただ、長期的に見た場合に、先ほど大臣の御答弁で申し上げましたが、最近における和牛子牛価格回復反映をいたしまして、繁殖素牛になります雌牛資源を保留する傾向が当面の肉の生産量にはマイナスに働いておりますけれども、長期的に見た場合に和牛資源回復過程に入っているのではないかという現象が出ております。長期的には国内生産資源がそれだけ保存をされておるということで、私ども現在の和牛動向はやむを得ない状況であるというふうに理解をしておるわけでございます。
  15. 串原義直

    串原委員 現時点では昨年比生産が伸びないと思うけれども、ちょっと長期に見ると国内生産は伸びる方向にある、そういうことでいくだろうと思う、こういう御答弁でございましたが、いま一つ、そういう方向を踏まえて畜産振興事業の中で特に重点的に力を入れている農水省として肉牛の生産にはより一層努力をしていく、少なくとも前年比マイナスになるようなことをしない、こういう方向で進むべきだと思うわけでございますが、いかがですか、姿勢について御答弁願いたいと思います。
  16. 京谷昭夫

    京谷政府委員 国内におきます牛肉生産の拡大、経営合理化を図りながら進めていく必要があると私どもは考えております。そういう意味で、酪農部門におきまして、牛肉生産を一部担当する乳肉一貫経営といったような形態、さらには、先ほど来申しております和牛資源増強のための各般の施策をかねてから進めておるところでございますが、そういった方向を長期的に明確にするために、実は現在、酪農及び肉用牛生産振興に関する基本計画、これは五十八年に現在のものがつくられたのでございますが、これを見直すべく畜産振興審議会所要の諮問をいたしまして、本日の午後も審議会での御議論をお願いしておるところでございます。
  17. 串原義直

    串原委員 では、次の問題に移ります。  日本農業新聞の報道によりますと、アメリカオーストラリア牛肉残留農薬が発見されたといたしまして、ことし五月二十五日以前に処理されたすべてのオーストラリア牛肉輸入を禁止するというのであります。我が国オーストラリアからの輸入量は相当多いはずでございますね。アメリカ対比では七対三ぐらいではないですか、オーストラリアの方が多いと思うのでありますけれども、そうであるとするならば、日本の場合この報道を踏まえてどう対処いたしますか。畜産事業団在庫もあると思いますので、畜産事業団在庫の問題も含めて、輸入済み牛肉等々の問題もあわせてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  18. 京谷昭夫

    京谷政府委員 委員指摘のとおり、米国におきまして豪州産の牛肉の少数のサンプルについて農薬残留が検出され、現在両国においてその取り扱いについて協議が行われておるわけでございますが、この状況については逐次私ども情報入手に努めておるわけでございます。我々としましても、オーストラリアあるいはアメリカ政府機関等を通じまして事実関係情報入手を図りながら、所要の対策につきましては現在厚生省検討協議を行っているところであります。  我が国輸入しております豪州牛肉のうち、アメリカ豪州側から当方に伝えられております、いわゆる農薬残留が認められているサンプル牛肉生産された工場も提示を受けておりまして、ここで生産されたものについては事業団在庫として処分を保留して保管しておるところでございますけれども、全体につきましての扱いをできるだけ早く厚生省相談をしまして、その方針に沿って処分の仕方を考え、安全な牛肉供給が図られるようできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  19. 串原義直

    串原委員 今お答えがあったのですけれども、できるだけ早く厚生省相談をして対処したいと言われましたけれども、できるだけ早くという表現も幅が広いわけですね。いつごろまでに処理いたしますか。
  20. 難波江

    難波説明員 お答えを申し上げます。  オーストラリア産の牛肉農薬問題につきましては、私ども情報入手あるいは事実確認に努めてきておるところでございますし、農林水産省とも御相談をいたしておるところでございますが、厚生省といたしましてもこれらの情報を勘案し、既に輸入され在庫中のものあるいは今後輸入されるものも含めまして検査等を実施することにより、食品衛生上安全な肉を供給するということで前向きに検討しておりますし、できるだけ早い時期に結論を得て早急に対処したいと考えております。
  21. 串原義直

    串原委員 その今後の問題についてはきちっとしてもらわなければいけませんけれども輸入済みのものがあるはずでありますから、それに対しても間違いない処理の仕方をしてもらわなければならぬ。したがって、私の言っているのは、できるだけ早くという表現には幅がありますよ、だから輸入されている部分について、該当するような、検討しなければならないような肉があるとするならば、いつごろまでに結論を出しますか、こういうことを聞いているわけです。
  22. 難波江

    難波説明員 お答えをいたします。  在庫中のものが食品衛生上安全であるかどうかということは検査をしなければならないという問題がありますので、検査日数等もかかると思いますが、どういう方向でどういう検査をし、どういう処置をとるかということにつきましては今週中くらいには結論を出すように努力をしたいと思っております。
  23. 串原義直

    串原委員 この際厚生省に伺いますけれどもアメリカの言われるように五月二十五日以前のものは輸入禁止、五月二十五日以降はちょっと別であるというのは私はよくわかりませんが、それはそれとして、オーストラリア産の肉の輸入量増加することは大体見当がつきますね。さっきの大臣等々の御答弁を踏まえて見当がつく。オーストラリアだけでなくてほかの肉も入ってくる、ほかの国からも入ってくる。そうなりますと、この種の問題を踏まえて考えなければいけませんことは、検査体制輸入量がだんだんふえるという状態の中で十分なのかどうか、それに対してお答えを願います。
  24. 難波江

    難波説明員 お答えいたします。  食品安全確保の上で検査体制は非常に重要なのでございますが、行政検査にはおのずから限界がございます。したがいまして、厚生大臣の指定する検査機関による民間ベースの自主的な検査も含めて的確な検査ができるように、しかも効率的なサンプリングによって全体像が把握できるような体制づくりにつきまして現在も検討中でございますが、できるだけ効率的にしかも安全が確保できるような体制をとるように今後とも努力をしてまいりたいと考えているところでございます。
  25. 串原義直

    串原委員 次の問題に移りまして、公正取引委員会に伺いますが、食品表示問題についてでございます。  かつて私は牛乳乳製品表示のあり方について当委員会特別委員会等質疑を行いました。公正取引委員会関係団体等々の間で一定のルールを決められまして今日に至っている経過がございます。ところが、近ごろハムソーセージ手づくり表示につきましての意見をよく耳にするようになりました。手づくりでないのにもっともらしく手づくり表示をすることは不当であるというのであります。私はこの問題を本日の委員会で取り上げたいと思っておりましたところ、昨日中央紙がこれを大きく報道をいたしました。世論も相当大きくなっているな、こんな感じを持つわけでございます。  そこで伺いますけれども、実際は機械でつくる、添加物も使用をしている、それであるのに手づくり表示というのは不当ではないか、使用しないでもらいたい、こういう消費者の声に公正取引委員会はどうこたえようとしておるのか、あるいは今申し上げた消費者の声というものはどういうふうに委員会として受けとめられていらっしゃいますか、お答えを願います。
  26. 本城昇

    本城説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、近年、ハムソーセージ手づくり表示した製品が多数出回ってございます。そのようなことから、消費者団体から手づくり表示するにふさわしい製品ではないのではないかというような指摘が多数寄せられているところでございます。  こうした事情から、公正取引委員会といたしましては、昨年七月、ハムソーセージ手づくり表示につきまして調査を開始いたしたところでございます。その結果、ソーセージにつきましては手づくり表示製造工程一般品のものと基本的に同じでありまして、手作業等関係からいたしましても、表示と実際の商品との間に相違が見られましたところから、こうしたソーセージ手づくり表示当方法律でございます景品表示法上問題があるというふうに考えまして、当委員会は本年八月十九日、業界団体でございます社団法人日本食肉加工協会に対しまして表示是正方を要望したところでございます。同協会におきましては、既に会員のソーセージ手づくり表示について取りやめることといたしまして、速やかに包装紙テレビコマーシャル等表示是正を図ることといたしております。なお、ハムについても現在ソーセージと同様に調査検討を行ってございまして、その結果を取りまとめ中でございます。
  27. 串原義直

    串原委員 そうすると、ソーセージは、八月十九日に、好ましくないということで取引委員会としては加工協会是正方要望をした、業界も了承をほぼしているということでありますね。そういたしますと、ハムにつきまして検討中だと言われましたが、これもできるだけ早く答えを出してきちっとした姿勢を示すべきではないか、こう思うのであります。できるだけ早くという時期はいつですか。
  28. 本城昇

    本城説明員 現在、ハムにつきましても前向きに検討してございまして、時期的にはいつかということははっきりは申し上げられませんけれども、できるだけ速やかに結論を出す予定でございます。
  29. 串原義直

    串原委員 そういたしますと、ハムについてもソーセージと同じように好ましい商品表示ではない、こういう判断に立っているわけですか、お答えを願います。
  30. 本城昇

    本城説明員 そのような認識に立っております。
  31. 串原義直

    串原委員 確かに期限を切ることはなかなか難しいとは思いまするけれども、可及的速やかにという判断は、私の方から申し上げますならば今月中くらいと判断してよろしゅうございますか。
  32. 本城昇

    本城説明員 やはり業界におきますラベリング等関係もございますので、その辺のところは今のところちょっと一概には言いかねるのですけれども、とにかく速やかにその辺のところについては対応を図っていきたいというふうに思っております。
  33. 串原義直

    串原委員 それでは食糧管理法の一部を改正する法律案について伺ってまいることにいたしますが、まず私、初めに大臣にこの基本的なことについてお答えを願いたいと思うわけであります。  この算定方式についてでありますが、現在の算定方式パリティ価格を基準としておるものでありますけれども、それを今回、麦の生産費その他の生産条件二つ目は、麦の需要及び供給動向三つ目は、物価その他の経済事情一この三つ参酌要素とし、あわせて麦作の生産性の向上、麦の品質改善に資することを配慮要素にする新方式に改正するというものであります。  この文言、縦から見ても横から見ましても、まことに考え方、見方によりますと幅が広い、こう受け取られがちなんでございます。したがって、生産者立場に立ちますと、この表現文言ではどんな答えが出てくるのだろう、こういう戸惑いみたいなものを感じている向きがあると聞いております。私は当然だろうと思う。私もこの改正法第四条ノ二からどんなような新算定方式ができてくるのか、いささかちょっと心配をしないわけではないわけであります。  そこで伺いたいことは、その年その年で方式の基礎が変わるがごときことが絶対にあってはならない、一定の期間、少なくとも十年間ぐらいは方式が決まったならば変更がない、こういうことでなければならないと思うのでありますが、この点について伺いたいのでございます。
  34. 加藤六月

    加藤国務大臣 今回の改正法案の中身につきましては、ただいま串原委員がお述べになりましたとおりでございまして、生産費その他の生産条件需要及び供給動向、物価その他の経済事情という三つの参酌事項を示しますとともに、麦作の生産性の向上、麦の品質の改善という二つの配慮事項を明示したところでございます。新しい算定方式につきましては、これに基づいて適切に決定していく考えであります。  この新しい方式につきましては、行政価格算定方式としての安定性にも配慮していく必要があると考えています。そういう点、先般も一部お答えいたしましたが、いずれにしましても具体的な価格算定方式やそのあり方につきましては、改正法の成立後速やかに米価審議会に小委員会を設け、検討していただき、決定したいと考えておるところでございます。
  35. 串原義直

    串原委員 したがって大臣、小委員会をつくってもらって検討する、小委員会というのは米価審議会に小委員会をつくってもらって検討する、こういうことでありますが、私の伺いたいのは、この新算定方式ができて、それが余り短い期間に変動をする、こういうことであってはならない、こう考えているのですけれども、この考え方について大臣考え方をまず聞きたかったのであります。いかがですか。
  36. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいまもお答えしましたのですが、安定性に配慮していく必要があるという言葉をお答えの中で申させていただいたのは、串原委員の御質問の御趣旨を体してのお答えということになるわけでございまして、やはりくるくる猫の目のように変わってはいけないので、そこら辺の価格算定方式の安定性という問題が必要であるという点については相当考慮しておるところでございます。
  37. 串原義直

    串原委員 そこで伺いますけれども、算定に用いられますところのさきに申し上げました五つの要素、見方によると幅が広いということになるわけでありますが、五つの要素によって考えていくのだけれども基本的な方針はこういうふうに考えております、このことをひとつ御答弁を願いたい。
  38. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 今回、麦の買い入れ価格に関する規定を改めまして、従来のいわゆるパリティ価格方式を改めるということを御提案申し上げておるわけでございますが、パリティという一種の物価指数を基準とするあるいはそれで算定をしました価格を下回らないということを改めるといたしますと、この三つの参酌事項のうちの何といいましてもやはり生産コストの問題がまず一つの一番大きな価格算定上の手がかりになるであろうということで、「麦ノ生産費其ノ他ノ生産条件こというのを第一の参酌事項にいたしておるわけでございます。  あわせまして、国内産麦の品質問題ということが顕在化をいたしておりますので、品質別の麦の需要なり供給動向ということを、やはり内麦の価格体系ということを考えます場合に、十分考慮をしていかなければいけない。それと同時に、これはどの農産物価格の行政価格の算定におきましてもほとんど参酌事項になっておるわけでございますけれども、やはり一般物価の動向あるいはまた農家の購入します資材の価格動向というようなことも含めました物価あるいはそれをめぐりますもろもろの経済事情、そういうものを参酌するということでございますが、第一に掲げております「麦ノ生産費其ノ他ノ生産条件こというのが、順番からいたしましても考え方からいたしましてもやはり最初に置かれている参酌事項である、こういう基本的な考え方だと御理解をいただいて結構かと思っております。
  39. 串原義直

    串原委員 この新しい算定方式にパリティ指数というものをどのように、どの程度関連させようと考えていらっしゃるか、お答えを願います。
  40. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 本年六月の麦価を決定いたします際の米価審議会で、法改正の成立後に小委員会を設けて新しい麦価算定方式検討をするということが決まっておりますので、この小委員会での御検討にゆだねられている問題だというふうに考えております。したがって、現時点では私どもといたしましてもどういうふうに考えているあるいは決めているということは申し上げにくいわけでございますけれども、参酌事項の一つに「物価其ノ他ノ経済事情」というのがございます。パリティ指数も物価指数の一種であるということでございますから、この規定からパリティ指数というものが概念的に完全に除外されているということではないわけでございます。  ただ、生産費というものなり生産コストというものをベースに考えるといたしますと、今までのパリティ指数と申しますのは、家計及び経営の両面で農家が購入いたします財及びサービスの物価指数でございます。生産費というふうになりました場合に、家計まで含むような物価指数を参酌事項として考えるのか、あるいは経営部門の財及びサービスの価格動向というようなことを考えるのか、あるいはまた生産費方式の一種でございます生産費所得補償方式において用いられております米価の算定におきましては過去三年間の生産費をベースにして価格算定をいたしておりますが、その際は一年前、二年前、三年前の生産費をそれぞれ米の生産に投入をされます資材なりサービスの価格動向反映いたしますような米生産費パリティ指数というようなものをつくっております。そういうふうな形で物価を参酌することになるか、いろいろな姿が考えられるわけでございます。  いずれにいたしましても、小委員会の御検討を経でどういう形で物価を参酌するかということを決めてまいるわけでございますが、パリティ指数も物価指数の一つという意味で、そこから排除されているものではないということはお答えを申し上げられることだというふうに思っております。
  41. 串原義直

    串原委員 慎重な御答弁であったのですけれども、つまりお話がありましたように、米審の小委員会で具体的には検討するのだけれども、物価指数、経済事情等々を勘案するということになるわけであるから、パリティ指数というものも結論としては参酌するということになるであろう。パーセントはわからぬけれども、ある部分はパリティ指数も配慮するということになるでございましょう、こういう御答弁であったというふうに解してよろしゅうございますか。
  42. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 そのところはこれからの小委員会での御検討の結果にまつということでございますが、パリティ指数というものが法文上参酌事項から完全に外れたということではないということを申し上げておるわけでございます。
  43. 串原義直

    串原委員 生産者麦価は改正法案に「麦ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ走ム」、こう明記されておるのでありますが、再生産が図られる麦価については基本的にどんな認識をお持ちであるのか。  過日の本案審査のため参考人として出席されました山田孝夫さん、これは自分で麦作農家として頑張っておられる北海道の方でありますけれども、この答弁を議事録に基づいてここで読み上げる余裕はちょっとありませんけれども、これ以上麦価を下げられると私ども農家はやっていけません、一言で申し上げるならそういう意味の御答弁をなさいました。それからさらに生産者団体の代表という立場で述べられた参考人の松本登久男さんも、法の改正後、政府買い入れ価格水準は少なくとも現行程度であることが必要です、こう述べられました。  伺いますけれども、再生産が図られる麦価とはいかなるものであるか、どういう認識をお持ちになっているか、お答えを願います。
  44. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 このお尋ねも具体的にはどういう算定方式を考えていくかということと直接に関連をしてまいる問題でございます。したがいまして、基本的な考え方ということで申し上げますれば、一つは、例えば小麦について申しますと、我が国生産されます小麦の用途というのはどうしてもめん用中心ということにならざるを得ないということでございまして、小麦全体といたしましては、今後ともその相当部分を輸入に依存せざるを得ないということでございますけれども、農政審報告におきましても、生産性向上を基本として、国内基本的な食糧供給力の確保を図るというふうにされていることを踏まえまして、国内生産輸入の適切な組み合わせにより供給をしてまいりたい。したがいまして、小麦について申しますと、できるだけ日本めん用の原料というものは国内産で賄うような方向努力をしてまいりたいということでございます。この場合、価格政策と申しますのは、どうしても地域によって生産事情もかなり、特に麦の場合多様でございますが、品質別の需要動向等を踏まえまして、地域の条件に即した合理的な土地利用方式の展開によります水田農業の確立と、転作作物としての位置づけなりあるいは輪作作物、裏作物としての位置づけということに配慮をしながら、国民が期待をする生産性をもって麦作に取り組んでいただく担い手なり地域において安定的な土地利用型作物として麦の生産が継続的になされるというように運営をしておく必要があるのであろう、こういう基本的な考え方で私ども今後の麦価算定を考えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  45. 串原義直

    串原委員 次に伺いますけれども、現在の生産者麦価はパリティ指数プラス生産振興奨励金ということで決められているわけでありますね。新算定方式によりますところの算定の場合に、パリティ価格ということを配慮することがちょっと従来と変わってくるわけでありますから、その意味で伺うわけですけれども、この調整金の取り扱いはどうなるわけですか。
  46. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 昭和五十二年から価格に織り込まれました生産振興調整額につきましては、昭和五十六年以降、生産性向上の成果の一部を反映するという形で、徐々に削減をされてきたところでございます。この調整額部分と申しますのは、パリティ価格方式のもとで取り入れられてまいったものでございまして、この調整額部分をどうするかという今後の取り扱いにつきましては、やはり米審の小委員会における新たな算定方式検討にまつことになるというふうに思っております。  串原先生お尋ねのお気持ちは、恐らく法改正のもとで算定方式が変わる場合に、例えば生産調整額というものがすとんと落ちてしまって、行政格として連続性がなくなってしまうというような非常に急激な変化が起きるのではないかというお尋ねではないかというふうに思いますけれども、私ども生産振興調整額を含めました現行価格と新算定方式によります価格との関係につきましては、行政価格としての連続性ということにも当然考慮がなされるべきものであろう、そしてまた、米価審議会というところには、消費者の代表の方、生産者の代表の方、中立の方が入っておられますので、そういうことも当然頭に置いた御検討がなされるものというふうに考えておるところでございます。
  47. 串原義直

    串原委員 前回の参考人の皆さんのお話のときにも出ましたけれども国内産の麦の品種、まことに良好だとは言えないということでありますが、時間がありませんから端的に申し上げますけれども、この品種改良、いささか研究がゆっくりし過ぎていたのではないかというような感じすら持つ昨今でございます。急いで外国産に負けないような品種の改良、研究を進めなければいかぬ、どう対応いたしますか。
  48. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 私どもで、麦の品種改良の場合ですと、大体国と県の指定試験を中心にしてやってまいったわけでございますが、陣容としては稲作と同じぐらいの規模でやっておるわけでございますが、何せ日本の場合には条件的に非常に高温多湿であるというようなことで、麦の産地から比べますと、なかなかつくりにくいというような事情もございます。そういうことから病気も多いものですから、いわゆるつくりやすさというようなところに重点を置いてかなり過去試験をやり、新しい品種をつくってきたわけでございますが、先生御指摘のように、最近では品質問題ということ。が大変大きな問題になりまして、そういったいい品質の麦でなければなかなか製粉会社も使えないというようなこともございますので、最近では品質に重点を置いて、さらに六十二年度からは新しいプロジェクトをつくりまして、お話しのようにできるだけ早く新しい品種を出すように努力をしているところでございます。
  49. 串原義直

    串原委員 麦の自給は全体で見て、六十二年の場合、まことに自給率が低い。数字を申し上げる時間がありませんから申し上げませんが、自給率がまことに低い。この自給率では何ともお寒い限りですね。将来を展望する場合、心配です。政府は、今後、中長期的に見て国内産麦の自給率をどの程度まで高めようと考えているのか、基本的な考え方をこの際伺っておきます。
  50. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御指摘のとおり、麦の自給率につきましては、昭和二十年代、小麦につきまして四〇%台ということでございましたが、その後需要増加する一方で国内生産が減少した結果、四十八年では小麦は四%という最低の姿になったところでございます。これに対しまして四十八年以降、麦生産対策の強化あるいは転作の実施等に伴いまして国内生産増加しておりまして、六十年の数字でございますけれども、小麦について一四%、大・裸麦について一五%まで回復したわけでございます。農林水産省といたしまして、昭和五十五年に公表されました「農産物の需要生産の長期見通し」の中で、この点につきましては、目標年次である昭和六十五年におきまして、小麦につきまして一九%、大・裸麦につきまして一七%というふうに見通したところでございます。この具体的な数字の前提と申しましょうか、これに関連いたします数字といたしまして、作付面積及び生産量というものを掲げておりますけれども、これにつきましては、六十二年の予想収穫量におきましてもかなりの達成率というところまで来ているわけでございます。  先ほど来お話し申し上げておりますように、麦につきましての国内生産増加という中で品質の問題等に直面しているわけでございますが、こういった点につきましては、今申し上げました長期見通し、あるいは昨年十一月に公表された「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」という趣旨に沿いまして、総需要一定程度の国内生産を確保するということを旨として生産振興を図ってまいりたいというふうに考えております。
  51. 串原義直

    串原委員 時間が参ったようですから、最後に大臣、一言伺いたいと思っております。  今御答弁をいただいてまいりまして、そのとおりであろうと受けとめるわけでありますが、具体的なことは米価審議会の小委員会検討してもらうということでありますから、それはそうでございましょう。したがって、大臣に伺っておきたいと思いますことは、そうであればあるほど米審の小委員会の任務、責任は非常に大きい、重いと考えておりますので、この小委員会審議は慎重の上にも慎重であらなければならないし、さらに小委員会審議を政府としては最大限尊重しなければいけない、こう考えます。米価のときには政府で決めておいて、どこかの批判じゃないけれども、米審に諮問しただけじゃないか、米審の形骸化じゃないかという批判がありましたが、そんなことでない相談を小委員会の中でやってもらわなければいかぬ。このことに対して、大臣考え方をきちっとお聞きしておきたいと思います。
  52. 加藤六月

    加藤国務大臣 米審の御意見を十分尊重してやっていきたいと考えております。  なお、小委員会の中に、ある面で言うと、専門的な立場の人も加えて一緒に議論していただいたらどうかといった点等も検討いたしておるところでございます。
  53. 串原義直

    串原委員 終わります。
  54. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 田中恒利君。
  55. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 食管法一部改正につきましていろいろ議論されておるわけでありますが、もう大体三十五、六年になると思いますが、長い間麦価算定の基礎をなしてまいりましたパリティ方式が新しい価格決定方式に変わる、こういう法改正が提案されまして、先ほど串原委員の方からも基本的な考え方などについて若干の御質疑がありましたが、お聞きしながら、なお私の心配をしておる点を中心に大臣や行政当局のお考えを、この際、委員会を通して麦作農民の不安にこたえるような御答弁をいただきたいと思うわけであります。  先ほどもお話がありましたように、三つの参酌事項というのですか、そして二つの配慮事項と、五つあるわけですが、重なっておる面もあるのですが、こういうものを総合的に考えて新しい価格算定方式を編み出していくということでありますが、法律審議し、しかもその焦点は価格算定方式の変更ということでありますから、単に米価審議会の小委員会にお任せをするということではこの委員会の責任を果たせないと私は思うのですよ。もう少し、サーベイ的な問題はさておいて、やはり食管法、そうは言ってもこれは農政の中心の法律でありますし、畑作物全体の価格形成に関連をする要素が非常に深いわけでありますから、農林水産省としては、この委員会考え方をお示しをいただくべきだ、こう私は思います。そういう意味で、まず大臣にお尋ねをいたします。  先ほども話がありましたが、このままでいくと、行政権の裁量が非常に大き過ぎて、その都度、その都度になっては困るというような意見もございますが、これまでの麦価の決定価格、つまり六十二年産の小麦は一万四百二十五円というのが決定されておるわけでありますが、これに至る間には多少いろいろあります。米価との差をあるときは開き、あるときは、最近は大分縮めてきております。余り変わらないようになっておる面もございますが、いずれにせよこういう長い歴史で続けられてきた現行の麦価水準というものが、大臣は安定性という言葉を使われましたが、長官は継続性という言葉を使われましたが、いずれにせよ安定性、継続性ということは価格政策を行使する場合の基本的な考えでなければいかぬと思いますから、そういう意味で、小麦でいえば、ことしの一万四百二十五円という政府決定麦価というものがいずれにせよ一つの目安になるであろう、こういうふうに私どもは考えておりますが、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  56. 加藤六月

    加藤国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、改正法の成立後、速やかに米価審議会に小委員会を設けて検討していただいた上で決定したい考えであり、現段階では何も決めていないわけでございます。ただ、算定方式の変更によって麦作の安定的、継続的発展に支障が生ずることのないよう行政価格としての連続性にも配慮する必要があると考えております。こうした点も踏まえながら、算定方式や具体的な麦価水準について検討してまいりたいと考えているところでございます。
  57. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 支障が生じないことをということでございますが、支障を生じないということは、大変な価格の引き下げなどによって農家に重大な影響を与えたり不安を大きくしていくということのないように、価格の継続性、安定性を十分配慮していくというように理解してよろしいでしょうか。
  58. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 今大臣がかなりはっきりお答えになったところでございますが、一つは算定方式について何年ということを今の段階で限定的に申すことはできませんけれども、毎年くるくる変わるような算定方式では生産者の方々も安心して生産に取り組めないということがあると思いますので、方式についての安定性ということを考えなければいけない。それから麦価、食管法上の買い入れ価格と申しますのも一つの価格でございますから、生産費動向あるいは物価その他のいろいろな経済事情によってこれは変わり得るものでございます。ただ、法改正が行われ、算定方式が変更されたことによって、現行の価格水準と非常に大きな変更があって行政価格としての連続性が失われるというようなことは避ける必要があるだろう、こういうことで行政価格としての連続性にも配慮する、こういうことをお答え申し上げているわけでございます。具体的に米価審議会でも小委員会で御検討いただきます際にも、私ども行政の立場としてはそういうことを念頭に置き、また必要に応じて私どもの意見としてそういうことも申し上げながら御検討をいただくつもりでございます。
  59. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこで、これはなかなか答えにくいような気もするが、もう少しお尋ねしておきますが、麦価の体系が今は全国一本の体系をとっておりますね。ところが、地域別に、特に北海道と都府県は非常に生産費などで差がある。こういう要素を加味して地域価格といったようなものが出てくる心配がないかどうか。これは私のひとりぼっちの心配でありますけれども、まさかそんなことはないと思うが、そういう問題あるいは麦価のほかに今は生産奨励金というものがあって、これを最近少し調整をとられてきておるわけでありますが、米価には非常に、その都度いろいろなものが入って、これが政治米価だと言われる原因になっておるわけでありますが、そういうようなアルファというか附帯的な要素というか、そんなものが価格体系の中に含まれていくようになるということもこれまた問題だと思うのでありますが、その辺については、算定委員会がどこかでいろいろと言うことだろうが、余り算定委員会で逃げられるというわけではないがやられても、算定委員会で出される資料や議論の中心やまとめの方向農林水産省、食糧庁の方で大体諸準備が整ってやられるというルールをとっておるわけですから、大体の法律改正案を出されておるわけですから、その辺についてお答えできる範囲で結構ですが、私の心配についてお答えいただきたいと思います。
  60. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 価格政策を考えます場合に、価格と申しますものは地域別に設定をすることはなかなか難しいものでございます。もちろん麦の場合には間接統制といいますか、自由流通前提での無制限買い入れという仕組みをとっておるわけでございますから、例えば需要地と生産地との間の運賃の差を価格の設定の際に勘案することもできないことはないと思いますけれども、せいぜいできてもそういう範囲のものでございまして、価格と申しますのは一つの我が国の国境の中では、もちろん品質によります銘柄の格差ですとか等級別の格差というものはございますけれども基本的にはその中で一本の価格ということで考えていくのが基本ではないだろうかと思っております。  それから、価格の算定に当たって年々いろいろなものが米価の場合には入ったり出たりしているという御指摘もございましたけれども先ほど申し上げましたように価格算定方式そのものが毎年目まぐるしく変わることは好ましいことではございませんし、価格算定方式というのはある期間、生産なり需要動向というものがほぼ安定的だと見通される一定期間については少なくとも安定的な算定方式で運用していくというのが望ましい価格政策のあり方だと思っておるところでございます。
  61. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 一物一価の法則は価格形成の基本ですから、政策としてそんなことはとるべきじゃないと私は思いますが、大体のお考えの粗筋は承知いたしました。  そこで、価格問題については後でも具体的に一つ二つまだお聞きしたいことがあるわけですが、まあいろいろな要素があるでしょう。生産費あり、需給事情あり、財政事情あり、あるいは品質格差、銘柄格差、生産性向上分をどうするかといった問題があるでしょうが、要はこの法案の中でも述べられておるように、再生産を旨とするというふうに集約をされるべきだと思いますが、この場合に再生産を旨とするというその旨とするという意味はどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。
  62. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 「再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ」という用語例は、農産物価格政策に関する諸法令にいろいろ見られるところでございます。こういった文言を使っております諸法令を見てみますと、その算定方式も米とか加工原料乳のように生産費方式をとるもの、それから今までの麦、大豆、菜種、サトウキビ等々のパリティ方式をとるもの、それから食肉のように需給実勢方式をとるもの、いろいろございまして、その具体的な運用ということになりますと、対象作物なり制度の趣旨、目的あるいは政策的な生産誘導の方向、そういったものによって異なってまいるものだと存じます。  「旨トシテ」というのはどういう意味がというお尋ねでございますが、価格決定に当たってそういうことを目標にして、そういった方向で考えるというのが「旨トシテ」ということの意味だというふうに考えておるところでございます。では麦価について具体的にどうかというお尋ねでございますれば、先ほどもちょっとお答えをいたしましたように、我が国の小麦需要の中で国内麦が充足し得る部分は全部ではございません。小麦について申しますれば、輸入麦と内麦との適切な組み合わせが今後とも必要なわけでございますが、我が国の国民経済的に必要とされる量及び質の麦につきまして、我が国の置かれている制約条件のもとで効率的な生産を行える担い手なり地域によって安定的な土地利用型農業としての麦作の生産が継続的に行われ、発展が図られるような価格政策を運用していくというふうに理解をいたしておるところでございます。
  63. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 再生産の確保というものが価格決定の一番大きな部分だと思うし、先ほど串原委員の質問にも、生産費を第一に置いたというふうに長官は答弁をされておるわけでありますから、やはり生産費を確保していくというところが基本的には中心だと思うのです。生産費の中の要素、特に賃金の評価をどうしていくのかというような問題になっていくといろいろ意見が出てくるでしょうが、要ったものは全部払わなければいけませんし、評価がえをしなければいけない部分についての生産費計算についてはいろいろあると思いますが、いずれにせよ生産費を中心にしなければいけないという点については政府の考えもそんなに違っていないと思います。  ただ問題は、麦の生産費というのは御承知のように非常にアンバラがある。品種、地域、時期によってまことにさまざまである。したがって、どういう農家の生産費をとっていくのかということが一番大きな問題だと思います。あるいはどの地域の生産費を抜き出してくるのか。あるいは時期、特に豊凶というものが麦作には決定的な収穫量の変動を与えるわけでありますから、いつごろの時点のどの地域の特にどの農家層の生産費といったものが俎上にのって中身の検討がなされるのか、こういう問題があるわけでありますが、この点についての政府のお考えをお聞きしておきたいと思うのです。
  64. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 算定方式についての考え方の中身にも大変触れるお尋ねでございます。法案を提出している以上何か考えがあるのであろう、場合によっては少し米審で議論した上で提出してもいいじゃないかというような御意見もあろうかと思います。他方、現行の法律のもとでそういった検討を米価審議会でやりますと、法律が変わってないのにそういう検討をするのはいかがか、こういう議論もまたあるわけでございます。そういう意味で、私どももこれから米価審議会の小委員会での御検討をお願いするわけでございますけれども先ほどお答えをいたしましたように、パリティという考え方を廃止いたすことになりますれば、やはり生産費を第一の参酌事項ということで考えるという考え方をとり、またそういう法文の書き方にいたしておるわけでございます。  ただ、田中先生御指摘のとおり、麦につきましては、一戸当たりの作付規模で申しますと、田作の麦で〇・九ヘクタール、畑作麦で一・六ヘクタール。他方、北海道について申しますれば、畑作のかなり規模の大きな経営が現に存在をしておりまして、平均で四・三ヘクタールということで、規模の差も相当ございます。それから、経営形態で見ましても、米のような意味での主業経営というものは見出しにくいということもございます。生産経営の形態が極めて多様でございますので、麦価算定方式検討に当たってこうした点を十分念頭に置く必要があるのではないかというふうに考えております。  では、どういう地域のどういう階層の、またいつの時点をということになりますと、これはかなり具体的な算定方式の中身の問題になりますので、明確なことをお答えは申し上げにくいわけでございますが、私ども麦価算定ということを考えます場合に、御指摘のとおり我が国の場合は麦の収穫期が雨にやられる可能性というのはかなりございまして、年々の作柄変動はかなり大きゅうございます。そういったことで、算定方式の上でそれが直に価格の非常に大きな年々の振れになるというようなことにならないような何かの配慮というものは必要ではなかろうかということを思っております。  それから、田麦、畑麦、そしてまた都府県と北海道でかなり規模が違うというようなこと、あるいは主業経営というものがなかなか見出しがたいというようなことを考えますと、米価の場合には米価審議会の御議論の中で、一定の作付規模以上の、長きにわたって今後米の生産を担っていってもらえるような人のところに着目をして価格の算定をしたらどうかという議論があるわけでございます。これは米価審議会でも御議論をいただかなければいかぬ点でございますが、麦の場合には一定の規模というのを、輪作体系の中の一作物あるいは二毛作の中の裏作というような位置づけもございますので、規模階層というものをとるというよりは、どちらかといいますと、今主産地化というものが非常に進んでおりますので、主産地域における生産費というものを何らかの形でベースにしまして、そういうところの生産シェアを高めて、これによって麦作全体の生産性の向上の底上げということを頭に置きながら価格政策の運用を考えていくのかなという気持ちを持っております。
  65. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 なかなか難しい問題がたくさんあると思います。これは麦作のこれからの技術力、技術体系、主産地形成、いずれにせよ米作のような均質化の体制がもっと前進しないと、難しい点はあると思いますから、いろいろな手法等をお考えになっておると思いますが、長い歴史の価格算定が変わってくるわけでありますから、麦作関係者や諸団体にとっては非常に注目をされるわけであります。やはりこの麦だけではなくて、こういう価格支持政策というものと対応して、農政審答申も指摘をしておるように構造というものがどういうふうになっていくのか、あるいはどういうふうにさせるのかという問題が示されないとそれらの問題の接近がなかなか思うようにならないと思うのですね。そういう意味では麦作の経営像というか、今長官は御自分の所見として生産地帯というか主産地というかそういうものの形成を軸にしてということを言われたようでありますが、そういうふうになると、やはり土地の問題などが非常に大きな経営改善の中心になっていくと思うのです。そういったものについての方向づけがどうも私ども正直言ってまだわからないのですよ。それを示していただかないと、これからの麦作の位置づけとかそれに対応する価格の水準とかといったものがなかなか描き切れぬ、こう思うのです。たしかことしの米価審議会の附帯意見の中にも、政府は速やかに麦作についての生産性の向上とか品質の改善とか需要の拡大とか経営像のあり方というものを示すべきだ、こういう附帯意見も出ておると思うのです。こういう点についての考え、あるいは内部の検討は始まっておるわけですか。
  66. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生御指摘の、麦作経営の位置づけあるいは将来見通しについてどういうような検討が行われておるかということでございます。  従来この場におきまして申し上げておりますように、農業生産におきます麦作の位置づけにつきましては、これまでの土地利用型の代表的な作物である、あるいは転作の有力な作物であるということで麦の位置づけを促しているところでございますが、特に水田農業確立対策という事業をこの六十二年度から発足するに当たりまして輪作農法の確立というものをその中に一項目入れたということでございまして、ますます麦作の位置づけというものは強まってくるというふうに考えているわけでございます。  具体的な各地域、地域におきましてのただいま先生の御指摘のような米価審議会における御提言といったようなものも私ども受けまして、これからも鋭意具体的な形でつくっていかなければならないというふうに考えておるところでございますが、現時点におきましては昨年の十一月におきまして高水準の水田農業確立関連ということで、大豆あるいは愛あるいは米といったようなものの輪作体系の中で一つの試算というものを御提言をいただいているところでございます。これは現行におきます機械の性能、例えば汎用コンバインであるとかあるいは側条施肥であるとかあるいは具体的なライスセンターあるいはカントリーエレベーターというものを前提にしてでの七十年見通してございますが、地域、地域におきます先生御指摘の構造的な問題、あるいは地域の条件に従う問題というのはこれから鋭意詰めていかなければならないのではないかと考えておりまして、農蚕園芸局といたしましてもその技術的な点からのアプローチといったものを鋭意進めていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  67. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 いずれにせよ、この価格政策と構造政策というかこの関連が、これまでのさまざまな農政の道筋の中に非常に不明確である。価格政策、価格の支持の方は、いろいろ言ったって、日本の農産物は七割が何らかの形で政府の価格支持体系の中に組み込まれているわけでありますから、いずれにせよこの二、三年来の傾向としては、数字でいえば引き下げの方向にどっと傾斜をしておる。それに対応して、そうしたら構造政策、つまり価格を引き下げてもやっていけるというようなものをつくっていく方向が何かよく私はわからない。だからみんなが迷って、一体どうなるのか、これでは後退、後退ではないか、こういうことになると思うのですね。  農林水産省でも、価格の方は食糧庁がやっておる、そういう関係の方は今のようなことで、麦の場合は農蚕園芸局がやっていらっしゃる、畜産は畜産局がやっておる、こういうことになっておるものですから、その辺の組み合わせがうまくいってないから、価格政策と構造政策との関連、文章にはよく書かれるし、話もよくお聞きをするわけですけれども、実態としてどうしても構造政策というものが私どもの頭にはなかなかすっきり入ってこない。そこに一つの大きな問題があると思うのですよ。むしろ構造政策が前進をして、いわゆる条件整備ができて、そして価格が下がっていく、この筋道が正しいと思うのですけれども価格を下げて零細な麦作農家が切り捨てられてなくなって、そこで土地が動き出すし、その中心の経営者というのが出てくる、こういう形でお考えであるとすると、これは農民を切り捨てて残るものだけ残っていくということになっていくじゃないか。その辺がやはり食管法改正のこの法案の中で私どもが一番心配しておる点であります。そのことについて大臣の御意見がございましたら、ちょっと聞かせていただきたいと思うのです。
  68. 甕滋

    ○甕政府委員 現状についての私どもなりの御説明をまず申し上げたいと思います。  価格政策につきましては、さきの農政審報告におきましても、その方向づけが、先生御指摘の構造政策との関連、生産性向上との関連においてその見直しを図るべきであるといった指摘があるわけでございます。私どもとしましても、これまでもこういった線に沿って構造政策の推進には鋭意努力をしてまいっておるわけでございまして、また、そういったものの中におきます生産性向上の成果も反映をしながら、米にいたしましても、麦にいたしましても、畜産物にいたしましても、それらの行政価格の決定を行ってまいっておるところでございます。  一方、しかしまだ十分な構造改善が図られない、生産性の向上も一層進めるべきであるといったことから、また農家所得の確保を図るという観点からも、この際構造改善を可能な限り加速する必要があるということで、それに焦点を合わせた諸施策の運営に努めるということを考えておるところでございます。具体的には予算措置等も補正予算その他今後の概算要求に向けてもいろいろ検討しておるわけでございますけれども、圃場条件あるいは営農条件等、農業生産の基礎的条件の整備、規模の拡大、生産組織を含む担い手の育成、技術の開発普及、こういった点に今後さらに力を入れまして、構造政策の一層の推進に努めてまいる考えでございます。
  69. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 ちょっと方向を変えます。  ことしの麦価ですが、小麦でマイナス四・九%、大麦はマイナス五・三%、裸麦はマイナス四・八%、こういう形で相当思い切った引き下げを行いました。特に、実需者の期待が良品質麦への生産誘導ということもこれあり、麦の銘柄格差、等級間格差がこれまでになく大きく拡大をしてまいりました。この品質格差の問題はこの法改正の大きな柱ですね。この法案を提案する理由の一つは、将来需要に対応する生産性の向上といわゆる高品質の需要に求められる麦をつくっていくのだ、こういうことでありますから、品質格差というものがこの法案提案の一つの理由であります。審議は始まっておりませんでしたが法案は国会に提案されて、今審議されているわけでありますが、ことしの麦はもう既に相当思い切った銘柄格差と等級間格差が決まった麦価が出現しておるわけです。これでは我々審議するといったって、既に実態は先行しておるじゃないか、こういう声もあるわけでありますが、この点については国会に法案を提出して、こういう趣旨の新しい麦価の算定方式に変えたいという提案をしておるときに、その趣旨に沿った麦の価格決定をやるということをなぜやらなければならなかったのか、もう少し待てなかったのか、その点いかがですか。
  70. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 お答え申し上げます。  今回改正案を御審議いただいております基本的な考え方の中に、法文の中にも書いてございますように生産性向上、品質の改善ということが大きな考え方として入っていることは御指摘のとおりでございます。ことしの生産者麦価にもう既にそういう考え方が含まれているではないかということでございますが、ことしの生産者麦価の算定に当たりましても、今申し上げましたような生産性向上の反映なりあるいはまた品質問題への対応ということは極めて緊要な課題になっておりますので、当然のことながら従来どおり現行法の規定の枠内で、つまりパリティ価格生産振興のための調整額を加えて決定をするという方式の枠の中におきまして、その算定に当たって生産性向上の成果を的確に反映をするということで、銘柄区分のⅡの一等で四・九%の引き下げを行ったということでございます。それから同時に、今お話のございましたような銘柄間格差の導入なり等級間格差の拡大を行ったところでございますが、このような本年産の麦価の決定は、現行法の枠内において極力現下の緊急な課題に対応しようという考え方から行ったものでございます。  今回の改正は、いわばそういった考え方食糧管理法の麦の買い入れ価格の規定の文言にも盛り込むようにいたしまして、量的な拡大を志向した麦作振興から生産性の向上と品質の改善を基本とした麦作振興への移行という現下の課題に対処するために、パリティ価格を下限とし、かつこれを基準とするという麦価算定の規定の見直し改善をやりたいということで御提案申し上げておるものでございます。
  71. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 格差の設定に当たっての根拠になったものは何ですか。
  72. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 この点につきましては、御案内のとおり今、内麦については大変大きな売買逆ざやがございまして、米には自主流通米というものがございますが、麦の世界では事実上自主流通麦というものがない状態でございます。そういうことで、市場評価による品質格差を客観的にとらえる手がかりが今存在をしないということがありまして、この点が私ども非常に悩んだところでございますけれども、そういった麦管理の実態の中で、できるだけ生産サイドと実需サイドを結びつけるということで麦管理改善というものをやっております。  具体的に申しますと、買い受け者側が一定の積み立てをいたしまして、自分たちがより強くつくってほしいと思っております評価の高い麦につきまして生産奨励金を出すというふうなことでAランクからCランクまで、本年産麦につきましてはDランクまでということに改正いたしましたが、そのランク区分というのが一応実需者と生産サイドとの間で合意をされました一つの区分でございますので、それを手がかりにいたしまして、かっこういった銘柄グループごとの都道府県の農業試験場におきます栽培試験等を見ますと、品質が好まれる麦の方が単位当たりの収量が低いという傾向がございます。つまり、いい麦をつくりますと、同じ価格だとかえって十アール当たりの収入としてはマイナスになってしまうというような不利は少なくとも補正をする必要が価格政策としてあるだろう。そういうベースがあるならば、その上で麦管理改善で支払われます実需者側からの生産奨励金の奨励的な効果というものもより一層効いてくるだろう、こういったことで、いわば銘柄グループ間の十アール当たりの農家手取り額の均衡を図るという考え方で銘柄間格差を設定いたしたところでございます。
  73. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 現行法の枠の中で行政的にはやろうと思えばやれないことはないわけなのでやったということでありましょうし、今の実需者との間の品質の契約事項に沿って、確かに一類を伸ばせと言うけれども二類の方がずっと数字が伸びておる、こういうのがありますね。この辺の是正もやりたかったということもよくわかります。しかし、これは大臣にお聞きしておかなければいかぬが、大きな立場から見て、品質格差を設定する、麦価を新しく考えていくのだ、こういう法案がまさに国会に出ておるときに、一方的に行政の枠の中でやれることをやっていくということでどんどんやっていくということは、行政的にはやれるが政治的な判断としては余り好ましいことじゃない、こういうふうに私は思いますが、こんなことをしばしばやられたのではこれは後追いの審議をしておることになるわけでありますが、この際大臣のこの問題についての今後の考え方を含めてお考えをお聞きしておきたいと思う。
  74. 加藤六月

    加藤国務大臣 法案は第百八国会に出させていただいたわけでございます。また片一方、麦価を決定しなくてはならない時期が当然来たわけでございまして、そこで米価審議会の御意見を承り、決定したわけでございます。  御意見、御質問の御趣旨は、こういう改正案を国会に出しておきながら改正案の前取りのようなというか、同じようなことをしておるのではないかという御趣旨にとれるわけでございますけれども、米価審議会におきましても今までは、先般来の御意見でいろいろ御議論がありましたように、麦作の奨励ということが大きな流れ、中心でありまして、さらに、最近の情勢等を見ていくときに、生産性の向上ということと品質の改善、特に実需者のニーズに合ったものにしていくということがここ数年相当顕著になってきておるわけでございまして、そういった流れはあるわけでございますが、今お答えしましたように米価審議会の御意見を聞いて決定しました。そして、今回の法改正は、今までのパリティ方式を中心とするものを、先ほど来のお答えで申し上げておるようによりはっきりさせる、そして生産性の向上と品質の改善ということを主眼目としてやるわけでございますので、そこら辺に先取りであるとか前もってそういうことで行ってけしからぬではないかというお考えもあるいはあるかもわかりませんが、麦作に対しあるいは麦の需要に対する一つの国内の大きな変化というものが具体的にあらわれてきておるのではないかと考えておるところでございます。
  75. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 多少の品質格差の設定というかあれならいいですけれども、今度の場合は決して小さな幅ではないわけですよ。米価審議会の意見を聞いたと言われるわけですが、米価審議会はやむなしということでしょうが、その審議経過の中には、これは米価審議会の答申の中にもきちっと書いておりますけれども生産者側委員は余りにも銘柄区分の幅及び導入の時期に問題があるので賛成しがたい、こういうことがあるわけです。だから、完全によろしゅうございますという状態になったものではなかったと思うのです。それよりも国会審議というものをさして、法案が出てきてそこで真正面からそういう内容についての議論や価格が算定されるべきであって、国会審議の内容の半分、品質差というものを設定するというのは、品質向上というのはあなたの提案理由にも書かれた、補足説明にも言われておる、そういう状況の中でやるというのは政治的には余り好ましいことではないと思うのですよ。これは注意してもらわないと、今後考えてもらわないと、こういう前例をつくっていったらこんなことがまた起きないという保証はないと思うのですよ。だから、この委員会で、そのことについては国会の立場からすると国会の審議権というものが十分に認められない、行政先行だ、こういう批判が出てくると思います。ですから、あえてこのことについての大臣の見解を求めておるわけでありますが、もう一度お答えいただきたい。
  76. 加藤六月

    加藤国務大臣 国会の審議権はこれを最大限尊重し、そして十分な審議をしていただくことが、憲法上もまた政府の立場としても最も大切なことでございます。また、同じく米価審議会の御意見を承るということも政府としては重要な行政の一つでございます。そして、先ほどお答え申し上げましたように、今回の法改正の実施は来年度産麦からこれを行うということにいたしておるわけでございまして、国会で御審議いただくものの阻害になったり、これを先取りしたりするというような立場ではなくして、今日の我が国内における麦作並びに麦需要の実情そのものを米審にお諮りし、今附帯意見その他の中身の問題にもお触れになりましたが、米審から大多数の御意見をことしの麦価問題についていただいたと解釈をしておるところでございます。
  77. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 私は、今の大臣答弁に不満足であります。一度決めたことですからどうこう言われないのでしょうが、政治的な配慮としてはこういうやり方は今後やらない、厳に慎んでもらわなければいけない、私はこんなふうに思います。そんなちょっとした今までの慣行上の価格の内容じゃなくて、今までなかったものまで、新しく格差をつくっていくということでありますから、パリティから新しい方式へ変わっていくという切れ目のときでありますから、私は時期的には少し慎重でなかったような気がしてなりません。このことを私の意見として記録にとどめさせていただきます。  そこで、麦の管理問題でありますが、現在の管理方式国内麦の会計上の赤字を輸入麦で賄うという内外麦のコストプール方式というものをとっておるわけでありますが、このコストプール方式というものは今後とも継続して取り扱っていくということだと思いますが、いかがですか。
  78. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 麦の政府売り渡し価格につきましては、五十五年以来、内麦と外麦のコストをプールして、内麦の管理に要する費用と外麦の管理によります収益との収支を合わせたものに赤字が発生しないように売り渡し価格を設定するということを基本的な考え方としまして、いわゆる内外麦コストプール方式考え方に立って決定してきておるわけでございます。またこの考え方につきましては、五十六年七月の臨調の第一次答申においても認められておるところでございます。ただ、内麦の財政負担は近年の生産拡大に伴いましてかなり急速な増加傾向にありまして、その中で昭和五十五年から五十八年まで麦の政府売り渡し価格の引き上げでそれを賄ってきたということでございますが、近年、麦の内外価格差が拡大をしてまいってきておりますこと、それから二次加工品の輸入が増大をしておりますこと、さらに麦輸出国との安定的な関係配慮する必要があること等から、内麦の財政負担の増大を外麦の利益に安易に求めるということにつきましては難しさも出てきている情勢になってきております。こういった中で、今後、国民に納得させるような麦管理を推進をしてまいるためには、麦作の生産性の向上を図りまして、これを政府買い入れ価格にも反映をさせ、内麦の売買逆ざやの縮小に努めていくということがやはり重要ではないかと考えておるわけでございます。したがいまして、私ども五十五年以来とってまいりました内外麦コストプールの考え方基本はこれからも維持をしてまいりたいと考えておりますけれども、この方式に安易に依存することなく、生産対策、構造政策との密接かつ有機的な連携のもとに適切な価格政策を講じていくということが大事だと考えておるところでございます。
  79. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 そこで、きょうの新聞を今ちょっと見せてもらったのですが、六十二年産四麦が八%増の百三十二万トン、北海道は史上最高、こういう見出しできょうの農業新聞に大きく出ております。麦の生産が比較的堅実にふえてきているわけでありますが、一方では需要が減退しておる麦もある、こういうことになっておりますが、中でも転作の影響でこれまで麦作をやらなかった地域が表への転作に相当力を入れ始めてきておる。これは経営方式としても地方の保全という意味でも、いろいろな意味で麦作が有効であるといったような視点もこれあり、東北、北陸などでは六条大麦が急増しておるということであります。一方、大麦、裸麦の需要は全体としては減退しておる。こういう需給関係、小麦については日本めん用を中心に二十万トンくらいですか、食用に大分接近をしてきておるが、考え方によっては品質改善などで相当幅広い需要があるといえばあるわけでありますが、品種によってはことしから来年にかけては大変厳しい、こういう状況が考えられる状況にあるのではないかと思うのですが、そういう中で麦の流通についての基準数量というものがあって、この基準数量が実質的な買い上げ限度量のような性格を示しておるのかどうか。買い入れ制限といったようなものは、これは食管法上は無制限買い入れと書いておるわけでありますが、実質的に基準数量を上回るといったような状態が起きた場合にどういうふうに対処していくのか、こういう点についての麦管理上問題になる点がこの一、二年どうも想定されるわけでありますが、どういう考えで臨まれるのか。特に、大麦、裸麦についてはことしごろから少しこういう問題が具体的に出てきやしないかと心配するわけでありますが、いかがですか。
  80. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 御案内のとおり、麦の管理につきましては、小麦につきましても大・裸麦につきましても食糧用について申しますと、国内生産されたものを優先的に利用する、そしてそれと需要全体との差をいわば輸入をするという感じでやってまいってきております。今そういう中で、小麦につきましては品質改善の問題が大変大事になっているということで今回のような改正案も御提案申し上げているわけでございますが、大・裸麦につきまして、ただいま最近の需給事情から今後の管理について心配なことはないのかというお尋ねでございます。大・裸麦の需要は、近年大幅に増加を見ましたしょうちゅう用の需要が昨年から急激に減少を見ているということがございまして、精麦用の需要も依然として、かつてのような大幅ということではございませんけれども、減少を続けております一方、供給の方は、転作面積の増加のもとで東北、北陸の小粒大麦の生産増加しておるというようなことで、需給の不均衡が心配されるという状況が見られることは事実でございます。  こういった需給事情生産者初め関係者の方々に十分御理解をいただくということについて全力を尽くしますと同時に、六十三年産麦の麦の管理改善対策の運用に当たってもこういった需給事情を考慮してまいる必要があろうと思っております。一方、大・裸麦の需要の拡大につきましても、私どもいろいろ努力をしなければならぬと思っておりますし、需給の不均衡が今表面化しつつあるということがあるからといって直ちに買い入れ制限という考え方ではなくて、今後とも需要動向に即した大・裸麦の生産振興を図るという観点に立ちまして、生産者、実需者、双方関係者がいろいろな努力を払ってまいるということが何よりも重要ではないかと考えておるところでございます。
  81. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 これは生産者と実需者との間の話し合いで、こういう麦をこういうふうな出荷の荷姿をして、こういうふうにいつごろにどこでという相談をして、それに基づいて数量どもやっておりますね。やっておりますが、ビール麦などは代表的だけれども、買う方にすれば、自分のところの出した要求というか事項に該当したものを買って、落ちこぼれが相当出ますね。商品というのはそういう性格がどうしてもあるので、そういうようなものをどういうふうにすればいいのか。実際は農協と業者の間でやっておりますが、これは相当苦労して、来年、ことしどうなるかという心配なんであります。しかし、全体的に見れば食管のこの制度というものは堅持をしなければいけませんし、今はたしか一〇五%を上回った場合のは豊作麦といったようなことで小麦などは生産者が負担をしておるし、その他のものについても、生産者もある程度資金を出して共済のような程度の形で処理をしておりますけれども、事の動き方によってはなかなかそんなことで済むような状況ではなくなる心配もあると思う。一方では生産性を高める、技術水準も高まっていくでしょうし、産地化も進んでいくでしょう。ですが、全体としては麦の需要は自給率から見ても大変低い。これを高めなければいけないということは農政の大きな眼目でありましょうから、そうなると、管理の方式というものについて相当見直さなければいけない面が出てくるような気がいたします。特にえさ麦、これが需要としては決定的に大きい、ほとんど依存しておるわけでありますから。しかし、価格差の問題が円高でこれほど大きくなっていくと、財政上の問題が一つ大きな壁になってきておるのだと思います。米ですらえさ米といったようなことを言っておるわけでありますが、需要創造の施策として、飼料麦を含めた食用なりその他の需要増といったようなものをくるめて、管理方式の中にも十分要素が取り入れられるようなものを考えなければいけない時期に来ておるように思います。  個別のいろいろな問題が多少あるわけでありますが、時間が参りましたから小さな個別問題まで入りません。そういう意味で、政府に聞けば、飼料麦はえさ麦の対策事業、これはもう今以上はやれぬ、あれだけ補助金詰めというかやられたのでやれぬ、こういう声があちこちから聞かされるわけであります。しかし、それでもやはりえさ麦対策というものに大きな眼目を置きながら麦の管理の合理的な組み合わせというものを考えていかなければいけないのではないかと私は思っております。  最後に、この点についての長官の御答弁をお聞きいたしたいと思います。
  82. 京谷昭夫

    京谷政府委員 国内産の飼料用麦につきましては、先生御指摘のとおり従来から大変限られた規模でございますが、六十年度以降で見ますと年間約四万トンを生産目標数量にしまして、一般会計それから実需者団体等の負担等を財源にいたしました価格差補てんを行って実施をしておるところでございます。ただ、この補てん金の財源につきましても、先生御指摘のとおり限界がありますので、現在のシステムのもとではこの数量の拡大というのは至難なことであろうと思っておるわけでございます。  いずれにいたしましても、各種の観点からこの問題について慎重な検討をしていくべき課題であるというふうに考えておる次第でございます。
  83. 田中恒利

    ○田中(恒)委員 大臣、このえさ麦の問題は、今話が出た四万トンぐらいで、これは見通しが余り立たないわけですね。しかし、えさという問題は、場合によっては米も含めて我々は考えなければいけない最大の課題だと思うのです。だから、管理方式もそうでありますが、相当思い切った需要拡大の方向を打ち出す必要がある、こう思います。  この点を特に強く意見として申し上げて、この問題について大臣の御意見をお聞きして終わりたいと思います。
  84. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 麦のえさ化の問題でございますが、御案内のとおり、現在輸入飼料の価格というものは非常に安くなっております。これと、国内の麦は、食糧管理法の体系の中にあるということからも当然御理解いただけますように、食糧ということでやっております。  穀物について、食用以外の用途としてえさということを世界各国それぞれ考えておるではないかという御議論はよくあるわけでございますけれども、一つは、やはりそのコストの問題をどう乗り越えるかという非常に難しい問題がございます。それともう一つは、管理制度との関係にお触れになりましたけれども、一方におきまして麦につきましては百数十万トンのえさ用の需要があるわけでございますが、これは今は食管とは別の世界で、輸入飼料の問題として扱っておるわけでございます。食管の中でその問題を取り扱うということになりますと、むしろ食糧用の需要よりも大麦をえさ食糧を通じて考えるということになりますと、大麦が食管法の世界の中にとどまれるのかどうかという問題、あるいは飼料需給安定法との問題等々制度的にも非常に難しい問題が出てまいります。  田中先生のお尋ねのお気持ちなり問題意識は私どもも十分わかるわけでございますけれども、対応につきましては、今申し上げましたような価格、実態面での問題あるいは制度面の問題、非常に難しい問題がございます。そういった検討課題として考えていかなければいけない問題だというふうに受けとめております。
  85. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 辻一彦君。
  86. 辻一彦

    ○辻(一)委員 残り時間が必ずしも多くありませんが、最後の質問を麦について、また関連して米について若干伺いたいと思います。  まず大臣にお尋ねしますが、減反が強化される、そういう中で麦をつくる、ようやく麦が定着しかかったと思うと今度は麦の価格が引き下げになる、そういう意味では農家としては非常に不安を持っているわけですね。麦作はこれからどうなるのだろうか、こういう不安が随分と農村にあります。こういう不安感があると、生産性を上げたり規模を広げたりということもなかなか容易ではないと思いますが、麦作に対する中長期的な展望というか位置づけ、日本の世の中で麦作はどういう位置づけをなされるかという点について、まずお尋ねしたいと思います。
  87. 加藤六月

    加藤国務大臣 麦は土地利用型の代表的作物でございます。また、転作の有力作物でもございます。六十一年産において、作付面積割合で転作二八%、水田裏作四一%、畑作三一%になっております。  麦は、水田作におきましては冬作物として稲作と有機的に結びつけ得る作物、また畑作におきましては、連作障害の皆無の観点から、イネ科作物として豆類、根菜類等と組み合わせた合理的な輪作体系を構成する作物として、土地、労働力、機械、施設の有効利用を図る上で重要な作物でございます。また、地域の条件に即した合理的な輪作体系のもとで、農業経営の柱となる基幹作物として農業所得の維持確保を図る上で不可欠な作物でもございます。  さらにつけ加えさせていただきますと、麦は今省力化が進展しており、生産の組織化、中核農家への土地利用の集積等による作業単位の大型化を図ることによりまして、生産コストの低減を図り得る作物であること等から、我が国の土地利用型農業の健全な発展を推進する上で、今後とも重要な役割を果たしていくものと考えております。
  88. 辻一彦

    ○辻(一)委員 全般の麦作の位置づけということは今伺いましたが、その中に触れられてはおりますが、転作麦の将来ということ。この転作は、北海道の麦、畑作の麦と水田転作の麦はかなり違う面があります。北海道も転作が随分多いわけですから、麦をやっていらっしゃれば共通する点がありますが、畑作麦とかなり違う点がある。  それは生産構造もそうであるし、品質の点でも、この間参考人等の意見の中にもいろいろと指摘をされておりました。転作の麦が必ずしも品質の点で高くはない。しかし、今大臣答弁のとおり、転作の重要な作目である。こういう点を考えた場合に、転作麦の将来はどうなのかということをもう一度お尋ねいたしたいと思います。
  89. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま大臣から、基本的な麦全体についての位置づけというのをお話し申し上げましたので、補足的に私の方から、今先生御指摘の転作麦につきまして、事務的に答弁させていただきます。  転作麦につきましては、これも大臣お話し申し上げましたとおり、六十一年産におきまして作付面積のうち二八%を占めておるわけでございます。今後とも稲作と有機的に結びつけ得る作物といたしまして、ことしから発足をしております水田農業確立対策の中に重要な位置づけをされておりますし、今後の確立ということで推進する重要な作物という認識がますます強くなってくると考えます。  こういうことでございますので、安全般の振興対策に当たりましては、一つは加工適性の高いわせの多収の品種の育成というのがどうしても必要になります。さらに、地域の条件に即した麦作技術の改善もまた必要でございます。さらに、共同乾燥調整、ばら流通の推進によります品質の均一と物流の合理化というものも必要でございますし、また構造政策的に、中核農家を中心といたしました生産組織の育成を推進することが必要だということで、諸施策を推進いたしているところでございます。  特に、先生御指摘の転作麦につきましては、以上のほかに、特に排水条件の改善ということから、土地基盤の整備を図るということがどうしても必要になってまいります。また、田畑輪換ということを行います場合に、集団的、計画的な土地利用を推進していくということがどうしても必要になりますので、こういった生産性の向上及び品質の向上というものに重点を志向いたしまして、今後転作麦の振興を図ってまいりたいというふうに考えておるものでございます。
  90. 辻一彦

    ○辻(一)委員 転作の麦にも随分とウエートを置くという点は理解しますが、そうなりますと、きのう閣議後、おとといですか、一日前の新聞ですが、大臣のあれとして、ことしの米の作況のいかんによっては減反が強化されるかもしれないというようなニュアンスの記事をちょっと拝見したのですが、減反はもうこれ以上は非常に無理であると思いますが、小麦を中心とした麦の自給率をこれからさらに高めていくつもりなのか。今大体一二とか四、五というところにありますが、小麦は一二%くらいになっておりますが、さらに自給率を高めるということを考えておるのかどうか、そこらについての考え方はいかがでしょうか。
  91. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御指摘のように、麦の自給率については昭和二十年代、かなり高うございました。ただ、四十八年に小麦につきましては四%、あるいは大・裸麦で一〇%まで低下したという事態があったわけでございます。四十八年以降、麦生産対策の強化あるいは転作対策の展開等に伴いまして、国内生産増強がされまして増加に転じたわけでございまして、六十年の数字でございますが、小麦につきましては一四%、大・裸麦につきましては一五%まで回復をいたしました。  この麦の自給率につきましては、昭和五十五年に公表されました「農産物の需要生産の長期見通し」というものの中で、目標年次であります昭和六十五年につきまして、小麦について一九%、大・裸麦につきまして一七%、トータルいたしまして一八%の目標を掲げて見通しをしているところでございます。これにつきましては、作付面積あるいは作付規模等々、生産量につきましても同じような数字を掲げております。面積について五十一万ヘクタール、それから生産量百八十万トンということを掲げておりますが、こういったものにつきまして、昨日発表されました数字等を見ましても七〇%台の達成率ということでございまして、今後いろいろの品質の問題等々ございますけれども国内生産の中におきまして品質の向上あるいは生産性の向上等を図りまして、こういった公表された目標等に即しまして対策を講じていかなければいけないというように考えております。  また、「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」というものが昨年の十一月に公表されまして、その中にございますように、日本めん用等を中心として、総需要一定程度の国内生産を確保することを旨として生産振興を図っていかなければいけないということが書かれておりますが、そういった報告あるいは見通し等に従いまして対策を講じていきたいというふうに考えております。
  92. 辻一彦

    ○辻(一)委員 今も大臣、また局長答弁にも触れられておりますし、過日の参考人の意見等を伺ったり読んでみますと、いろいろ触れておりますが、やはり質のいい麦をつくらなくてはならないという、国内に麦を需要する消費者等々の希望に合うようなものをつくっていかないと、量があっても、もしもなかなか売れていかないようになった場合に非常に問題が起こる。こういうことを考えると、質のいい麦、言うならば日本のめん類ではオーストラリア産のASWという品種が非常に向いておるということを言われております。こういう品種をつくらなくてはいかぬじゃないか。米に力を入れたために、畑作の方の品種改良はある面では非常におくれておったと思うのですが、麦もその例に漏れないのではないか。こういう点でオーストラリアのASWクラスに匹敵するような質の品種をつくり得るめどはあるのかどうか、それをひとつ伺いたい。
  93. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 麦の品種改良につきましては、多収性、早熟性、耐病性というような、つくる方の技術といいますか、そういう要因と、それから品質面で製粉適性とか製めん適性とか、そういうことが非常に大事なわけでございまして、そういう面で国の試験場も一生懸命にやってまいりまして、チホクコムギとかニシカゼコムギというような新しい品種をつくっておるわけでございます。  今お尋ねの、オーストラリアのああいった品種と同じようなものができるかという御指摘でございますが、小麦はもともと非常に冷涼で乾燥したところにできるという、原産がそういうところでございまして、日本のような高温多湿、冬は極端に寒くて夏は急に暑くなる、その間に梅雨がある、そういったところではなかなかつくりにくいわけでございまして、オーストラリアの同じ品種を日本へ持ってきてつくりましてもなかなかできない。それは熟期が遅くなって梅雨にかかってしまうとか、あるいは赤カビ病とかそういう湿り気の多い状態で出てくる病気が多いとか、いろいろな面で同じ品種を持ってきてもなかなかできないわけでございます。品質のいいといいますか、そういう性質だけを日本の麦に取り込むというようなことで私ども努力をしているわけでございまして、農林六十一号というのは今の品種の中では比較的に使いやすいということで、とりあえずはそういった六十一号並みの品質でつくりやすい麦というようなことに重点を置いて最近ではやってまいっております。さらに、今申し上げたようなオーストラリアとかいろいろなところの品種の特性を取り入れてそれ以上の品質を持った麦をつくっていこうということで、六十二年度から新しいプロジェクトを発足させておるところでございます。
  94. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間、中国の雲南省に行って、日中でやっている稲の品種改良をちょっと見てきまして激励をしてきましたが、そのことは後に触れることにして、外国と品種改良をやる場合には、向こうから遺伝子というか品種を入れる、こちらもそれに対応するだけのものを向こうに出さないと、一方的だけではなかなかうまくいかない、こういう感じがします。この麦の場合に、日本は品種がたくさんあって、それを外国に渡し、向こうにも何か役に立ち、向こうの優秀品種を入れて相互に役に立つというような可能性は麦についてはいかがなんですか。
  95. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 麦の場合には国際品種比較試験というのがございまして、相互に品種を取りかえて、それぞれの土地で品種の比較試験をやるということにも日本側は参画をしております。  私どもも、麦の原種あるいは栽培している品種などを向こう側のいろいろな各国の試験場と交換をしたりして、かなり蓄積を持っております。また、日本の麦の中で農林十号という、これは戦前につくられた品種でございますけれども、これがメキシコに渡りまして、麦の国際的な試験研究機関でいろいろな品種に交配をされて、非常に短い品種でございますけれども、各国の麦というのは非常に長い品種が多いのですが、短稈のそういう農林十号という品種がもとになりまして、緑の革命のインドとかいろいろな国での原動力になった品種もございます。そういう意味では私どもの品種も役に立っておるわけでございますが、もともと原産でございませんし、そういう短稈とかあるいは耐病性とか、そういうつくりやすさという点では一生懸命改良をしてまいりましたので、かなりお役に立つ品種があるのですが、パン用の品種とかあるいはめんでも色が白いものとか、そういう日本の麦の特性になかなか入りにくいというようなものもありますので、これからは品種交換等を通じてそういったものを日本の麦の特性の上に乗せていくということをやっておるわけでございます。
  96. 辻一彦

    ○辻(一)委員 稲の場合には随分力を入れてきた。麦も一時は随分力が入っておったのですが、かなりの期間、麦の場合は品種改良の力が弱まった時期が相当あったと思うのですが、このおくれを取り戻して、日本のハイテクであるとかいろいろな高度の技術、育種技術等を使えば、今までのように長期を要しなくてもかなり短縮して品種改良を図る道もいろいろあると思うのです。そういうものを政策的に力を入れれば、今の日本の技術をもってすればかなりこたえ得るのではないか。そういう点で麦の品種改良に今一段の力を入れるということが大事だと思いますが、所管大臣として、これは大臣いかがでしょうか。
  97. 加藤六月

    加藤国務大臣 私は、ある面でいいますと、実需者のニーズに合った、そしてまた加工適性のすぐれたものをつくらなければならない、そういう意味におきまして品質改良は焦眉の急である。先ほど畑中局長お答えいたしましたが、わせで多収穫で品質のいいものを大いに研究して、早期に開発していただきたいということで、実は補正予算の前にも大変督促をいたしたところでございます。
  98. 辻一彦

    ○辻(一)委員 予算がなければ仕事は具体的に進まぬわけですから、大臣、これはひとつ大いに頑張ってやっていただきたいと思います。  品種改良の問題に触れましたので、麦の問題はまだあるのでありますが、ちょっと関連して、この機会に一、二伺っておきたいと思います。  先ほどちょっと申し上げた中国と日本の合作によるところの稲の品種改良です、七月三十日から昆明の方に私行きましたものですから。ちょうど農林省から二人、それから宮城県から一人来て、三名の研究官が雲南省の科学技術院農業試験場で現地の中国の皆さんと協力をして、日中台作の稲の品種改良をやっておる。その実態を一日見せてもらいました。この雲南省の稲は、穂が百五十粒くらい、非常に大きい。しかし稈が長くて分けつが少ない。我が国の場合は、穂の数は少し少ないけれども、短稈多分けつ、こういう特徴を持っておる。これらをかけ合わして、今中間型のかなり有望な二つの品種をつくり上げておりまして、近く、今度は地方の相当な面積にわたる試験に出すところまでこぎつけた、こう言っておったのです。その中で、日中台作二号と五号という二つの耐病性、耐冷性、多収性、この三つを兼ね備えた品種がようやくでき上がってきた。現地で三人の方々は大変頑張っておりまして、その御苦労には心から敬意を表した次第であります。  これからの稲については、雲南省は稲のルーツとも言われますが、今まで日本から三百種の品種を持ち込み、向こうからも三百品種を日本に送って、相互に交換をして品種改良をやっておる。向こうは稲の原産地ですから品種はもっと多いと思うのです。我が国は近親交雑をずっと繰り返してもう残りはだんだん少なくなっているかもわからないと思うのですが、国際的にいうと、これからは対等に数を交換して進めていかなければならぬ。こういう状況の中でさらにこれを進め得る可能性、手持ちの品種とかをもってさらに進め得る可能性、そのめどはどうなのか。これをちょっとお尋ねしたい。
  99. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 中国との間でずっと品種改良をやってまいったわけでございますが、御指摘のように雲南省が稲の発祥の地というふうに言われておりまして、私どもとして非常に期待をいたしておりますのは――大変高い標高のところで稲をつくっておりまして、耐冷性の強い稲の遺伝子を持った品種というのはかなりありますので、そういったものを中心にして私どもの方へいただいて育種に使ってきているわけでございます。日本からは、原種といいますよりはむしろ改良種で、日本でいろいろ改良をして、今のお話のような短稈多けつ型でできるだけ収量の高い、そういったものを向こうに送って、向こうの稲と交配をする。  それからもう一つは、向こうの方に筑波に来ていただきまして、私どもの試験場の中に入って、育種技術というのはまだ私どもの方がかなり高い水準のものを持っておりますので、そういうものを勉強していただくという技術の方の提供もございますので、品種は三百種以上出せるかどうかということもございますけれども、むしろ育種の手法といいますか、そういったものを含めて私どもでかなりまだ蓄積がありますので、この次、今第二期をやっておりますけれども、第三期についても近々打ち合わせをして、私どもとしてはできるだけ中国との間でそういった問題を進めていきたいと思っておるわけでございます。
  100. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この点もう詳しくは申し上げませんが、中国には在来のやり方で大変有効な方法がいろいろあるのですね。例えばスズメを追うのに、我々はよく子供の時分にあぜ道に立ってスズメを大声を出して追った記憶があるのですが、中国の雲南省あたりの水田地帯では、非常に広いところですが、やはりスズメをあぜ道に座って追っておるのですが、この試験場ではスズメがおらぬのですね。聞いたら、タカをこぶしに乗せて一人の人がずっと試験場を回っておるのですね。スズメはそれに恐れをなして全然寄りつかないというのです。これは天敵をうまく使っているなという感じがしたのですが、どういう分野でもそれぞれ土着のやり方でいろいろないい方法があると思うのですね。タカの話は別として、ひとつ大いに日中でそういう面のいいところを吸収してやってもらうことが大変大事ではないか。日中関係はいろいろな分野で今前進しております。昨年は松くい虫に強い松を育てようというような日中間の協力もありましたし、今進められているこういう品種改良等々、ぜひこれから継続して力を入れていただきたい。政治的にはぎくしゃくする時期がよくありますが、そういうことは別として大いに努力してほしいと思うのです。  それともう一つは、現地で単身赴任に近いような状況で、一人の方は御家庭もありましたが、なかなか苦労していらっしゃる。外地に行った研究員や専門家の人が十分安心して研究を続け、そして成果が上がるような配慮もぜひしてほしいと思うのですが、日中のこういう協力も含めてひとつ力を入れていただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。
  101. 加藤六月

    加藤国務大臣 六月に日中定期閣僚会議がありました。私も参加したわけでありますが、全体会議の席上で中国側の農牧部長さんあるいは対外経済貿易部長さん等が日本農林省に対して感謝するという言葉を触れられまして、他の役所からも随分行っておったのでありますが、農林省はどうしてあんなことを言われたのだろうといって、北京滞在中にもその感謝という言葉が出た原因についていろいろ私に御質問があったわけであります。私は、先輩や同僚、あるいはまた農林省関係の皆さん方が誠心誠意、真摯に取っ組んでいただいた結果である、こういう説明を実はいたしたわけでございます。  そして、木材関係においてもあるいは豚関係、稲関係においても、あるいはそれ以外の農業貿易面におきましても、今後幅広く親交を深めていく。特にバイオに伴うそういう問題につきましては、国柄が広いわけでございまして、いろいろな原種の遺伝資源というものを持っておられると思うわけでございます。先ほどちょっとお答えしたのですが、実は補正予算におきまして、これからバイオの時代が来る、そこで世界の原種の遺伝資源を思いつく限り、金で買えるならばドル減らしと政府調達ということで出すようにと私は官房長や局長にも随分言ったのでありますけれども、辻委員指摘のように原則としてバーターということなので、そこら辺がなかなかうまくいかないものだなということを実は痛感したわけでございます。  中国との間は、いろいろな面において、農業、林業、畜産業、水産業等を通じて誠心誠意接することによって今後協力、友好を深め、拡大していかなくてはならないと考えております。
  102. 辻一彦

    ○辻(一)委員 麦の問題に返ってあと一、二点伺いたいと思います。  この内外の価格差の是正といいますか、そういうものが今度の中身の大きなねらいにもなっておるようでありますが、日本の国の土地条件とかいろいろな点から考えて、一体価格水準はどれくらいのところに置こうと考えておるのか。農家の皆さんも、麦をつくるとすると、これからどんどん下がっていくのか、あるいは上がっていくのか、これは困難でしょうが、あるいはここでとどまっていくのか、そこらの見通しがつかないと、規模を広げようといってもなかなか踏み切りがつかない、農地を拡大しようといっても踏み切りがつかないと思うのです。そこらの価格水準を日本状況の中でどのくらいのところに置こうとするのか、これについてひとつ伺いたいと思います。
  103. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 大変難しいお尋ねでございます。既にお答え申し上げておりますように、改正法成立後に米価審議会算定方式検討をしていただくということになっておりますし、さらにその際、現行の価格との行政価格としての連続性ということも当然配慮すべきだという御意見も当委員会で出されており、また私どももそういうことに配慮しなければいかぬというふうに考えておるわけでございますので、米に比べまして非常に多様な麦作のあり方ということを踏まえて、どういう価格算定方式をとっていくかということはこれから小委員会の中で十分議論を尽くしていただかなければいかぬ問題だと思っております。  ただ、お尋ねの冒頭にございました内外価格差の問題でございますけれども、私ども内外価格差の是正のための努力をできるだけしていかなければいけないという考え方は持っておりますが、この内外価格差を何年後になくすとか、あるいはまた内外価格差というものを一つの算定方式の中に織り込んでそれに向かって何か縮小のための機械的な目標を立てるというようなことは難しいと考えております。  それは理由は二つございまして、一つは、今日時点での麦の内外価格差というものを小麦について見ますと、輸入麦の六十一年産の私ども食糧庁が買い付けております平均の買い付け価格国内産麦の六十二年産の政府買い入れ価格を比べてみますと、六倍というようなかなり大きな開きがございます。ただ、これを過去二十年くらいとってみますと、六十一年の平均の外国産の買い付け価格がトン当たりで二万八千八百円というのが水準でございますが、穀物価格が国際的に高騰いたしました昭和四十九年あたりを見ますと七万二千五百円というようなことで、倍以上の差があるわけでございます。国際価格と申しますのは、各国とも国内価格安定政策をとっておりまして、それのしわが国際価格に寄ってくるという性格を持っておりまして非常に変動が激しいということが一つございます。もう一つが、我が国の国土条件の制約等がございますので、そういった制約のもとでできるだけ効率的な生産に努めていただくにしましても、この国際価格と完全に一致させるというようなことはなかなか困難であろうと思っております。  私どもも、やはり麦の生産性をできるだけ高めるような努力価格政策、生産政策あるいは構造政策、連携をとりながらやってまいり、それを価格にも反映させていくということを考えておるわけでございますけれども、国際価格と直接にリンクした価格算定というふうなことは難しいだろうということを考えているということだけは申し上げさせていただきたいと思います。
  104. 加藤六月

    加藤国務大臣 この内外価格差の是正ということを農政審議会も、あるいは我が農水省も、あるいは政府全体も言っておるところでございますけれども、これは誤解があってはいけないから申し上げておきたいわけでございますけれども、まず第一の生産者価格の内外価格差の是正という問題、消費者価格での内外価格差の是正というものがあり、私は閣議でも大分きつく言ったのでありますが、農産物個々についての内外価格差はそれぞれまた違う問題がある。そしてまた、先ほど長官がお答えいたしましたように、我が国の自然、地形というものを考えた場合に、土地利用型農業というものと施設型農業というものについても違いがある。そういった問題で、生産者、すなわち農業関係者が、内外価格差の是正ということを政府があるいは農政審の報告でよく言うんだけれども、一体どこまで是正していくんだ、全く横並びにするのかという不安感もあるわけでございます。先ほどちょっと申し上げましたように、生産者価格、あるいは麦の場合なら麦を使ったパンであるとかあるいはマカロニであるとか、こういう製品になった場合の消費者価格の内外価格差があるという問題、これは国民全般として今後大いに議論してコンセンサスを求めていかなければならない問題であるということを、農産物については特に注意を要する必要があるということを閣議でも相当強く言ったことがあるわけでございます。  今は食糧管理法の麦価の改定問題を議論していただいておるわけでございますけれども、そういう点を考えて内外価格差の是正はぜひ図っていき、消費者あるいは納税者に対して理解と納得をしてもらわなければならないという大変重要な仕事がありますが、しからば、その差をどこまで、どうやってやるんだということについての問題については、さらに国民的コンセンサスを今後深めていく必要があるわけでございます。そういう点、大いに各界各方面の御議論をいただいて今後やっていく。何もかも一律に内外価格差を是正し、横並びにするわけではありません。特に農産物のようなものは、先ほど長官もお答えしましたが、ちょっとした気候、天候、その他によって大変暴騰暴落もあるわけでございます。そこら辺も配慮し、そしてまた日本の自然、土地の条件というものも配慮し、消費者にどの程度の価格差まではいいというようなこと等も今後御判断をいただくというものが、ある面ではこれからの我が国の農政においても非常に重要な問題になってくると考えておるわけでございますので、一律横並びなんというようなことを考えておるわけではございません。
  105. 辻一彦

    ○辻(一)委員 いずれ麦の算定方式等々が論議されると思いますから、詳しくは、具体的にはまたそのときに譲りたいと思います。  あと一、二点でありますが、この前、米審のときに開かれた七月三日の委員会でもちょっと触れたのですが、大臣いらっしゃらなかったのでちょっと重複しますが、大臣に一言お尋ねいたしたい。  それは、OECDで今国際的な物差し、基準としてPSE、CSE、生産者保護基準、それから消費者保護基準等々がつくられておりますが、詳しいことは別として、ピアット農業局長にこの間OECDに行って会ったときに、我が国状況からすると、日本の農業の、災害がいつもあるということだとか農業共済とか土地基盤整備等々、全部保護基準に入れたのでは日本の農業の特殊性を全く無視することになる、こういうものは改善すべきだということをいろいろ意見を申し上げて、それについて改善のための検討をする必要があるということをピアット農業局長答えておりますが、しかしそれについては日本から具体的にこういう点を考えてもっとこう改善しようというものを出さないと、やはりああやってつくられた物差しはひとり歩きをすることになるのではないか、こういう懸念も持ちますので、農林省としてはこれらの改善に向けて具体的にどういう手順でどうするのか、これをひとつ、大臣向こうにも行っていらっしゃったし、伺いたいと思うのです。
  106. 眞木秀郎

    ○眞木政府委員 先般のOECD閣僚理事会のコミュニケにおきましては、OECDで開発されまして着手され始めた分析手段、すなわちただいま委員指摘のPSE、CSEを用いまして各国の農業の保護の程度を計量的に計測をする方法、この手段は最新のものとし、またさらに改善することにより多くの点で有益なものとなるであろうと言われているわけであります。このPSE、CSEの値の算定方法等の改善につきましては、この秋からOECDの場で検討が始まることになっております。我が国といたしましては、その改善につきまして現在検討を進めておるわけでございます。まだ具体的な案は固まっておりませんけれども、PSE、CSEの数値を新しい時点のものにするのはもちろんでございますけれども、これまで我が国がOECDの場等で主張してまいりましたこれらのPSE等の問題点をできる限り改善をいたしまして、各国の農業の実情が適正に反映され、また輸入国及び輸出国双方にとってできる限り公平なものになるように努力していきたいと考えております。  この場合、今申し上げましたように、その作業中でございまして、具体案は固まっていないわけでございますけれども、特に念頭に置いておりますのは、内外価格差の算定に当たりまして、需給事情の変化などによりまして国際市場価格が変動いたします。また、為替レートの変化に伴う変動も大変大きなものとなっております。こういう要因をできる限り除去いたしますし、あるいはまた平準化して実態に近いものにどうやったら改善できるだろうかという点、あるいはまたこのPSEは国内生産量といったものを基礎とした数値でございますので、貿易の実情なり我が国で問題にいつもされております自給率の問題等が反映されておりませんので、これらの点でやはり改善を考慮する必要があるだろう。それからただいま辻委員が御指摘になりましたように、すべての政策、措置、農業共済でありますとか基盤整備でありますとか災害対策に係るものでございますが、これがその効果とは関係なくすべて一括してとらえられておりますので、こういう点もやはり問題であろうと考えております。こういう点を十分吟味いたしまして、我が国といたしましても具体的な案を用意してOECDの場に臨んで適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  107. 辻一彦

    ○辻(一)委員 最後に構造改善局の方にちょっとお尋ねするつもりだったけれども、時間の点から割愛させてもらいますから、また次の機会にお願いします。  外務省、来ていただいておりますが、この間農林省と外務省で一遍協議をしてほしいと言って注文をつけておいたことがあります。それは、海外大使館、公使館に行くとアメリカの加州米が出て、いつも、食べられますかということになってしまう。やはり日本の一番いい米を在外の大使や公使が会食等には使うような状況をつくる必要があるのではないかと思うのですが、法的に余り問題がないというふうにこの前食糧庁の答弁も聞きましたので、外務省、そういう要望があれば具体的にやれるのかどうか、簡単で結構ですからちょっとお尋ねしたいと思います。
  108. 折田正樹

    ○折田説明員 在外におきまして大使等が設宴をいたしますときに、その材料を何にするかということでございますが、どのような行事のためのものであるか、あるいは招待者の顔ぶれはどういうものであろうかとか、それから招待者の好みはどういうものであろうか、それから現地でどのようなものが入手できるであろうか等々いろいろ勘案いたしまして、現地の事情に照らしまして最大限の効果が得られるよう各在外公館においてその予算の範囲内で判断し、決めているわけでございます。一般的に申しますと、材料につきましては、経費等の問題もございますものですから現地調達のケースが非常に多いわけでございますが、在外公館の方から要望があれば本省で材料を購入の上、現地の方に送っております。六十一年度におきましては、日本米について在豪州大、在スウェーデン大ほか五十四公館から日本米を送ってくれという要望がございましたものですから、こちらから送っております。  我々といたしましては、在外公館の方で日本米をぜひ利用したいあるいはそれを利用することが外交活動上非常に有効であるということで要望がありました場合には、積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。
  109. 辻一彦

    ○辻(一)委員 大臣にも要望しておきますが、コシヒカリ、ササニシキ、そのほか日本の有名な銘柄米がありますから、せめて大使がほかの人に勧めるときにはこういう米が日本にはあるんだということを紹介できるように具体化するようにひとつお願いしたい。  時間の点から、ほかのことはまた次回に譲ります。終わります。
  110. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分開議
  111. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。武田一夫君。
  112. 武田一夫

    ○武田委員 食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして質問いたします。  本題に入る前に二つばかり、農家の皆さん方が非常に関心を持って注目している問題がありますので、その点をまずお尋ねしておきたいと思います。  まず第一点。言われるところによりますと、政府が今、超過米の臨時特別集荷制度についていろいろ考えられているということでございますが、この中で新規参入の問題についてお尋ねをしたいと思うわけであります。  もしこのようなことを政府が考えているとすると、農業者あるいは団体の皆さん方は二つの点から非常に心配している。一つは、生産者と農協の皆さん方がいわゆる主体的な努力によりまして水田農業確立対策を行おう、こういうことでありますけれども、その対応に混乱をしかねないという心配をしている。もう一つは、それと関連するわけでありますが、転作目標の達成にも悪影響を及ぼすという心配をしているということでございまして、この点については恐らくきょうあたり、東北、北海道の農協の代表が食糧庁あるいは政府の方に何らかの要望に来るのじゃなかろうか、こう思うのでありますが。慎重に対処しなければならぬと思うのであります。このようなことにつきましてどういうふうにお考えなのか、その点をひとつ簡潔にお聞かせをいただきたいと思います。
  113. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 予約限度の超過米の問題につきましては、競争条件の導入によりまして的確な集荷を図るという趣旨で、六十年産米から、一次集荷業者が時期及び地域を限っていわゆる登録生産者以外からも集荷できる道、これを特別集荷制度と呼んでおりますが、その道を開いておりまして、六十年産米では約八千トンでございましたが、六十一年産米では十七万トン近くということで、一定の成果を上げてまいってきております。  しかしながら、まだ予約限度超過米の集荷状況は必ずしも十分ではないというふうに考えられるところがございますし、本年産米につきまして、作柄等によって予約限度数量を超える超過米がかなり発生するというような場合には不正規流通が増大をするおそれもござ、いますので、集荷活動の活性化によります適正集荷の確保を図るという観点から、六十年産米から行ってまいりました特別集荷制度の見直し検討を内部的にも行い、そしてまた関係の諸団体とも現在協議をいたしておるところでございます。  今、武田先生御指摘のございましたような転作の推進、あるいはまた水田農業確立対策の推進というようなことに悪影響が及ばないようにという点は、当然のことながら私どもも念頭に置いてこの問題の検討をしているまだ途上という状態でございます。
  114. 武田一夫

    ○武田委員 この問題については、農協等は一生懸命やろうということで、しかもそのシェアは大体平均で九五%ですか、宮城県などは九八%だ、ほとんど農協さんが一生懸命やればできる問題じゃなかろうか。そういう点の指導をきちっとしながら、そういうやみ米が発生しないようにということを積極的にやること、これが前提条件になってくるのじゃないかということで、新体制の農協中央会もこの問題については全国レベルでそのことに力を入れて、とにかくことしは特にそういうやみ米が発生する条件がかなりあるというようなことで対応しているということでございますし、そういう皆さん方の主体的な努力に大きな期待をして信用して仕事をしていってもらった方が、農家、農協という皆さん方の主体的な取り組みということを大きな課題と掲げているだけに、一つの試金石として、こういう大変なときに一生懸命生産者と団体とが力を合わせてそういうものを未然に防ぐという中から食管というものをしっかり守るのだという一つの方向を打ち出すというか、そういう行き方が必要だろう、こう私は思うのです。  この点そういう指導をしっかりして、こういう新規参入、特に特定米穀集荷業者というのは、聞くところによると、くず米の流通にはかなりいろいろと暗躍した連中もいるということでありまして、そういう連中が減反をしないような農家に行って買い込むようなことがもし起こったらえらいことだということで警戒をしているということですから、そういう不安や心配を一掃するような対応を私は期待しているのですが、この点どうでしょうか。できれば大臣からもこの点については大事な問題なのでお答えいただきたい。
  115. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 お話しございましたように、地域によりまして既存の集荷制度、そしてまた過去二年やってまいりました特別集荷制度を通じまして集荷が非常によく行われているところ、それから必ずしもそうでもないところ、私どもいろいろ買い入れをやっております中で、かなり地域差があるという認識も持っております。お話しございましたように、まずは既存のそういう体制の中でできるだけ適正な集荷をし、正規のルートに米を乗せていくというための努力に万全を尽くすということは当然のことでございます。さらに一歩進めて、これまでの集荷のやり方に競争条件を入れてまいるということにつきまして検討をいたしておるわけでございますけれども、その際もそれがかえって流通の乱れになるということがないように、その仕組みなりあるいはまた集荷に携わる者の活動の仕方につきましても、私ども十分にその点は配慮してまいりたいと考えております。
  116. 加藤六月

    加藤国務大臣 本年より順ざやになりまして、不正規流通米の横行が激しくなるのではないかという懸念を持って、何としても食管制度の基本を守るためにそういうものを防いでいかなくてはならない、そういう点で系統の皆さん方も必死で頑張り、努力していただいております。先ほど長官からお答えしましたように、またある面では競争原理の導入もし、特別集荷業者もきめの細かいところに目が届くようなことをやってくれるかもわからないと思うわけでありますが、要は食管制度の基本を守り不正規流通を防ぐ、正しい流通をあくまでも守るという立場で我々考えておるということを申し上げておきます。
  117. 武田一夫

    ○武田委員 関係者との話し合いの中でひとつ慎重に、そしてまた混乱のないような対応をお願いしておきたいと思います。  もう一つは、良質米奨励金の削減の話がちらちら出てきたということでございまして、これは今の日本の米穀政策の中で守るべき一つの根幹ではないかと私は思うのであります。良質米の志向が消費の拡大等に相当な貢献度がある。特に大消費地におきます良質米の消費量は結構消費拡大に大きな力を発揮している。しかも、農家自体も御苦労が大変ある。東北などの例を見ますと、最近は良質米の方を多く作付しようという傾向がふえているわけでございます。先々月でしたか北海道へ参りましたが、北海道でもそういうおいしい米をつくろうと一生懸命で、ホクレンの皆さん方の代表と会ったときも、北海道の米はおいしくないという汚名を返上ということで大変なPRをしてまた努力もしている。そういう良質米生産の意欲や消費者の良質米志向に水を差すようなことは米穀政策上まことに遺憾なことではないかと思うにつけ、関係の皆さん方は現行の確保はどうしてもしていただきたい、これまで米価の問題でも引き下げがあり、またいろいろと苦労している中で、これが一つの大きな我々の今後の闘いの焦点になるのではなかろうかということで、良質米奨励金の問題については全国的にも関心を持っているということでございまして、どうかそういう大きな観点から今後の対応をしかとしてほしいと思うわけでございます。削減などと新聞等に書かれていることについて、政府としてはそういうことはあり得ないということを期待しつつこの問題について私は一言お聞きしたいと思うわけであります。
  118. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 良質米奨励金につきまして、先般、新聞紙上に財政当局が削減の意向を持っているということがかなり大きく報道されましたこと、また財政当局としてそういうお考えをかねてから持っておられるということは私ども承知をいたしておるところでございます。私ども食糧庁といたしましては、この良質米奨励金を含めまして自主流通助成のあり方につきましては、これまでもそうでございましたけれども、良質米の生産、流通の状況を十分見きわめながら自主流通の健全な発展を図るという観点に立って考えていく立場をとっております。  その際、御案内のとおりまず第一には、良質米奨励金の取り扱いにつきまして、五十九年産米、六十年産米の政府買い入れ価格のあり方とあわせていろいろな議論が行われまして、六十年十二月の予算編成時期に六十一年産の良質米奨励金の縮減合理化が決定をされたことは御存じのとおりでございます。第二には、その後、行革審答申が六十一年の六月にございました際に、自主流通米助成の縮減合理化が重ねて指摘をされているということ、それからまた第三には、食管制度の運営改善の一環としまして、今私どもで米流通研究会を開きまして、自主流通米制度の運営の見直し充実あるいは自主流通の拡大等につきまして本年十月末を目途に検討を行っておるわけでございますが、その中で自主流通米拡大のための自主流通助成全体の体系あるいは水準のあり方ということについても今検討が行われているところでございます。これらの事情を十分念頭に置きまして、この問題につきましては各方面大変御関心の強い問題でもございますが、そういうことも踏まえて慎重に検討をしてまいりたいと考えております。
  119. 武田一夫

    ○武田委員 このようなことが新聞やその他で出てきたことによって農家自体が、それじゃもう別な方向へというようなあらぬ心配をかけることは私は非常に遺憾だ。それでなくても毎年のように農業というものは御苦労ばかりが連続して出てまいります。食糧庁長官農林水産大臣も大変御苦労をされるその何倍もの苦労が現場の皆さん方には覆いかぶさってくる。ということは、精神的にも肉体的にも経済的にもあらゆる面から大変な問題でございますから、慎重な対応を私はお願い申し上げたい。以上二点をお願い申し上げます。  さて、本題に入ります。  まず、大臣に政府の麦作振興について伺いたいわけであります。六十二年度以降の新たな水田農業確立対策の取り組みに当たりましては、転作対策、農地の高度利用対策のかなめとなるものと考えられているわけでございまして、そういう意味で麦作振興は非常に重要な課題ではなかろうかと思うわけであります。そういう意味で、今後の政府の対応を多くの関係者は期待をして見守っているのではなかろうかと思うわけでございまして、こうした麦作振興に対する基本的な方向をひとつお示しをいただきたいと思います。
  120. 加藤六月

    加藤国務大臣 午前中にもお答えいたしたところでございますけれども、麦は土地利用型の代表的な作物でございます。また転作の有力作物でもあるわけでございます。六十一年産につきましての作付面積割合で、転作が二八%、水田裏作四一%、畑作三一%となっておるわけでございます。  水田作におきましては、冬作物として稲作と有機的に結びつけ得る作物として、また畑作におきましては連作障害の回避の観点から、イネ科植物として豆類、根菜類と組み合わせた合理的な輪作体系を構成する作物として、土地、労働力、機械、施設の有効利用を図る上で重要な作物でございます。また、地域の条件に即した合理的な輪作体系のもとで、農業経営の柱となる基幹作物として農業所得の維持、確保を図る上で不可欠な作物でございます。  さらに申し上げますと、麦は省力化が進展しており、生産の組織化、中核農家への土地利用の集積等による作業単位の大型化を図ることによりまして生産コストの低減を図り得る作物であること等から、我が国の土地利用型農業の健全な発展を推進する上で今後とも重要な役割を果たしていくものと考えておるところでございます。このため、今後の麦生産振興に当たりましては加工適性の高いわせ、多収品種の育成、普及等による加工適性の向上ということと、それから次には地域の条件に即した麦作技術の改善による収量、品質の高位安定化ということ。あるいは三番目には共同乾燥調製、ばら流通の推進等による品質の均一化及び物流の合理化という問題。あるいはその次の四番目の問題としては、期間借地、作業受委託等による中核農家への土地利用の集積問題等、中核農家への土地利用の集積及び中核農家を中心とした生産組織の育成等々を図ることによりまして生産性の向上、とりわけ生産コストの低減、需要のニーズに即した品質の向上、物流の改善を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  121. 武田一夫

    ○武田委員 そこで今回の食糧管理法の一部改正というのは、量的拡大のみを志向した麦作振興から、生産性の向上と品質の改善を基本とした麦作振興に速やかに移行するという緊要の課題に対処するものである、こういうことをうたっているわけであります。これはこのとおりでございますか。一応確認をしておきたい、こう思います。
  122. 加藤六月

    加藤国務大臣 今も申し上げましたが、麦につきましては、近年国民各界において農産物の内外価格差に多大の関心を持たれている中で、現に進展しつつある生産性の向上を価格反映させていくことが必要でございます。また、麦は近年量的には生産が拡大してきておりますが、品質面で外国産に劣るとされるものが多く、また国内産麦の品質問題が顕在化しつつあります。しかしながら、現行規定によるパリティ価格算定方式は、このような課題に適切に対応することができないものとなっているため、今回の法改正により、今も武田委員おっしゃいましたが、いわば量的拡大を志向した麦作振興から生産性の向上と品質の改善を基本とした麦作振興に速やかに移行するという緊急、緊要の課題に対処しようとするものでございます。
  123. 武田一夫

    ○武田委員 それでは確認をしたとおりでございます。  ところで、この量的拡大のみを志向した麦作振興、こういうのでありますが、小麦と例えば六条大麦ですか、この二つを例にとって昭和五十七年から六十一年、私は全国と一応東北を取り出してみたのでありますが、五十七年金国平均十アール当たり三百二十六キログラムです。五十八年が三百三、五十九年が三百十九、六十年が三百七十四、六十一年は三百五十七キロと十アールの収量が出ております。  東北をちょっと見てみました。五十七年二百七十八、五十八年三百四、五十九年、これは何かあったのでしょう、百二十八、六十年二百七十六、六十一年は二百五十と、全国平均から比べるとかなり東北が悪い、収量が少ない。  各県別にちょっと見てみましたら、例えば五十七年に福島県が二百八十五キロ、これが一番収量が多かった。山形県が百六十六キロ、我が宮城県が二百三十四キロ、随分差があります。五十八年は秋田が東北平均の三百四に対して三百七十六、これは平均をぐっと上回っている。全国平均よりも高い。ところが宮城県がこのときは最低で二百五十キロ。五十九年が百三十八キロ、このときはやはり十アール当たり福島百九十四キロ、青森は八十三キロ、宮城県も八十五キロ。六十年が平均二百七十六に対して岩手県が三百五、宮城が最低で百八十三。それから六十一年は平均二百五十に対して岩手が二百九十八、秋田が二百、一番最低。全国平均よりも非常に低い上にばらつきがかなりある。  それから六条大麦の場合も見てみますと、五十七年、全国平均が三百十二、そのとき東北が二百六十二の平均で秋田が三百九十七、これはかなりいいわけであります。山形が百八キロ。それから五十八年が全国平均が三百四十三キロに対して東北が三百三十四、秋田が四百五十一、かなりいい。わけです。青森が二百三十八。それから五十九年が二百四十一、これはまたがくんと全国平均よりも減っております。このとき東北は百八十五キロ、そして秋田がこのときでも三百三十二、非常にいい。ところが山形はわずか九十七キロです。六十年は全国平均三百三十一キロに対して東北が三百二十四、秋田がまた伸びまして四百七十。ところが青森はその半分以下、二百二十。そして六十一年、全国平均が二百九十五、それに対して東北が二百九十、そのときも秋田は格段にいい成績で三百九十二キロ、ところが山形は百二十九キロ。地域によって、例えば秋田などは全国平均上位十傑の中で、六十一年度は第四番目に入っていた。このデータを見るとわかるわけでありますが、宮城も秋田も福島も全国十の中に入っているわけで平均よりもいい、あるいはかなりいい。ところが、かなり悪い地域もたくさんあって、量的な面において非常に不安定である。  こういうような状況で、これはわずか五年間のデータでありますが、今後またこれから三年、四年、五年といったときに、こうした低い生産の、要するに収量の低い地域等に対するてこ入札というのはどうしなければならないのか。これは気象条件とか技術の問題とか土地の条件とか、あるいはまた担当者の、いわゆる農家の皆さん方の対応の仕方とかいろいろあるのかということを考えますと、量的な問題では、まだまだ量的拡大というのも必要な箇所が相当あるんじゃないかということについて、量的拡大のみ志向した麦作振興から生産性の向上と品質の改善を基本とした振興に移るということも結構なんでありますが、こういう地域に対する量的拡大、しかも安定した拡大志向といいますか、この対応も考えなければならないのではないか、こういうふうに思っているのでございますが、この点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  124. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 ただいま先生は東北の各県の事例等につきまして、麦作の生産状況についてのお話をされたわけでございます。  先生おっしゃるように、収量水準というのを見ました場合に、全国的にあるいは地域的にかなりの高低があるわけでございます。これまでいろいろな対策をしてまいりましたけれども、干寒害あるいは収穫期の雨の害、湿害等の気象変動によります年度間の豊凶の差が大きいという点がございます。また、繰り返すようでございますが、地域間におきましても、関東、四国では比較的収量水準が高くて安定をしておりますけれども、北海道等、今先生は東北の例を引かれたわけでございますが、収量水準は高いものの、変動が大きいという事例もあるわけでございます。また九州におきましては収量水準が低くて不安定な状況にあることも事実でございます。そういう意味で地域間格差の是正、収量水準の高位安定化というのが重大な課題になっておるというように考えております。先ほど大臣から御答弁申し上げましたときに、今後の生産振興考え方といたしまして、第二番目の地域の条件に即した麦作技術の改善による収量、品質の高位安定化というものも重要だということを申し上げた点はその点を指しているというふうに考えておるわけでございます。
  125. 武田一夫

    ○武田委員 それを取り上げたのは、これから進む方向と、今局長答弁した方向の両面作戦でいかなければならぬ。何か一つのものが出ますと、どうもそちらの方が影が薄くなっていく。やはり地域によってはまだ量的な拡大の方向へのてこ入れをしながら、できればそれと同時に品質の向上と生産性の向上というものが一緒にやれればこれにこしたことはないわけですから、こういうおくれている地域がまた減反の対象としてかなり苦労している地域でもあるということを考えると、そういう両面のてこ入れというのは次かしてはならぬということで、そういうことの方に目もしっかと向けながら対応してほしい、私はこういうことをひとつお願いしたいわけであります。  そこで、生産性の向上と品質の改良、この間の参考人の皆さん方の話の中でもいろいろとこの問題については御意見がありました。  まず第一に、生産性の向上の問題でございますが、現状からいいまして、今後大体何年をめどにどのくらいの生産性向上の効果が期待できるか、またそれを期待できるような方向へ持っていくかということも重要な課題じゃないか。何十年かかってやるなんというのは、とてもそういうことはいかぬという現実問題がございます。そういう意味で、この生産性向上につきまして今後どのように対応をされまして、どのくらいの間にどのくらいの生産性向上というものを期待してそれに取り組んでいくのかという問題についてひとつ具体的に聞かせていただきたい。  それからもう一つは品質の問題でありますが、この間製粉協会の代表の方が指摘しておりましたが、残念ながら内麦の品種が改善よりも悪化の方向に行っているとさえもこの資料の中で言っているわけでございまして、その原因がどこにあるか、こういう問題をしかと解決する手だて、この問題についてどのように取り組まれるのか、ひとつ御見解を聞かせていただきたいと思います。
  126. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御指摘の麦作の生産性向上と麦の品質改善の問題でございます。  麦につきましては、最近におきましてドリルまき等の省力多収栽培法というものの普及が見られます。また排水対策の徹底が行われなければならないとして、基本技術の励行等が叫ばれているところでございます。一方、高性能の機械施設の整備も逐次なされておりまして、例えばコンバインの収穫におきまして、五十二年産におきましては約五五・九%であったものが、六十一年におきましては九一・二%というふうに向上しているわけでございます。また、圃場整備の進展というものも見られるわけでございます。また、麦作規模の拡大、生産の組織化の進展というものもあわせて行われておりまして、最近時点、六十一年までを十カ年という形でとりますと、平均単収でも二百八十三キロから三百二十八キロというふうな約一五%を超える生産性の向上が見られるわけでございます。また、労働時間につきましても、十アール当たりでこの時期におきまして二十三・四時間から十二時間ということで五割程度の減少ということでございまして、そういう意味では、全国平均的な数字でございますが、生産性は着実に向上してきております。  最近におきます対策といたしまして、先ほど大臣から数項目申し上げましたけれども、やや繰り返しになりますが、地域の条件に即した合理的な土地利用方式の確立及び施肥技術等の麦作技術の改善による生産の高位安定化、あるいは作業単位の拡大に応じました高性能機械施設を導入していこう、さらには排水条件の整備等土地基盤整備の推進を図っていこう、こういったような施策を総合的に行いまして麦作の生産性の向上を図っていこうというふうに私ども考えておるところでございます。  現在、六十五年の長期見通しという数字があるわけでございますが、それによりますれば、平均的な一つのターゲットといたしまして、小麦の場合でございますが、六十五年には三百五十五キロ、大・裸麦については三百五十八キロというような数字を掲げているわけでございます。一方、昨年の農政審の御報告にもございました高水準水田農業における生産性水準の試算というのが示されているわけでございます。ここにおきましては、ややオーダーが違いますが、一応七十年を見通しまして、例えば一毛作で耕地規模が四十四ヘクタールとかなり大きいわけでございますが、そういう単位で見た場合の単収を四百三十キロ程度というものを目途に掲げているわけでございます。そういったターゲットなり一つの見通しなりというものを前提にいたしまして、一つは生産性の向上を先ほど申し上げましたような諸施策の総合的な推進のもとで行っていきたいというふうに考えるものでございます。  続きまして品質の改善でございます。これは実需者サイドからの強い要請もございまして、連携のもとで加工適性品種の育成といったものを図っていこう、あるいは育成されたものをなるべく早く普及によりまして良質品種の作付を拡大していこうという方向が一つございます。それから適期収穫、適正な乾燥調製の実施によりまして品質の高位安定化という問題も挙げられようかと思います。あるいは大型のカントリーエレベーター、乾燥調製施設、ばら保管施設等の整備によりまして案出荷単位の大型化を図り、産地として品質の均一化を図るという方向もあるわけでございまして、そういった各般の施策を強力に推進して、現下の課題であります品質の改善を図っていきたいというふうに考えるものでございます。
  127. 武田一夫

    ○武田委員 今答弁いただいた中で、六十五年長期見通しで小麦が三百五十五キロということですね。こういうことからいうと、六十一年の三百五十七とか六十年の三百七十四というのはそういう目標に既に到達をしているわけです、全国平均で見れば。となると、農政審が指摘しているような試算というのは規模がかなり大きいということでありますが、四百三十という見通しもまんざらな試算ではないというふうに思うわけであります。この見通しは三百五十五そのままでいくものか、農政審の四百三十あるいはまたその中間とかどの辺でいくのか、そういうこれからの見通しも農家の皆さんにとっては必要ではないかと思うのですが、その点についてはどうお考えになりますか。
  128. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御指摘のように、現在六十五年見通しという形で全国的に掲げております単収につきましては、平均単収ということではございますけれども、六十二年におきましてかなりのところまで接近してきている、生産性の向上が見られるところでございます。大体九五%ぐらいの水準でいいと思います。  それで、今先生も御指摘のように、共励会とかあるいは先進農家におきましては、当然この水準を超えているところも輩出してきているわけでございます。そういう意味で、先ほども見ていただきましたような農政審の報告によります高水準水田農業の生産性の指針の中で、四百二十キロというのはかなり射程距離の中に入っているものであろうと考えるわけでございます。共励会等、やや繰り返すようでございますけれども、六百キロといった、個別の事例ではございますが、EC諸国にも比肩して負けないような水準も出てきているわけでございますので、農政審の御報告の中で示されたような、これは七十年見通してございますが、一つのターゲットというものが現実的なものとしてあるのではないかと考えるものでございます。
  129. 武田一夫

    ○武田委員 それで品質の問題ですが、この間ASWという品種が非常にいいということでございました。こういうような品種、いい品質のものを我が日本でもいろいろ育種の研究等によりまして開発ができる可能性があるものかどうか、その点はどんなものでしょうか。
  130. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 ASWの可能性でございますけれども先ほど来先生が麦作が大変不安定な地域があるというふうにおっしゃっておったわけでございますが、例えば東北でいいますと、冬の雪腐れが一つの関門になりまして、雪の降り方、それから解ける時期が遅い場合は大変雪腐れ病がたくさん出るわけでございまして、相当な被害が出る。それとまた、収穫のときにどうしても梅雨がございますので、その梅雨の時期と収穫の適期といったものがどういうふうにずれるのか、当たってしまうのかというところでもまた大きく収量が変わってくる、そういう日本での気候上の特性があるわけでございまして、その辺が日本の麦作の一番難しいところでございます。  そういう面からいいますと、例えば大変たくさん雪の降るところで麦をつくっているのは日本だけでございまして、オーストラリアにしても西欧にしても大体冬の気温は日本ほど低くない、それから夏の気温も日本ほど高くないという状況のもとでつくられておりますので、どうしても日本の場合には雪腐れの抵抗性だとか、あるいは穂発芽しないような性質とか赤カビ病が出ないような性質とかいったものを品種の中に取り入れていかなければいけないわけでございまして、そういうものと、それから品質面ではいいものをつくっていかなければいけない。私ども、目標にしているわけですが、良質多収、安定多収ということを皆兼ね備えれば大変いいものができるわけでございます。一つを入れますとなかなか収量が伸びないとか、品質を重視してきますと今度はつくりにくくなる、いろいろな問題がございますので、総体的にいろいろな性質のものを取り込みながら育種をしていくということになりますと、ASW並みのものをつくっていくというまでにはやはり時間がかかるというふうに申し上げざるを得ないと思います。当面は農林六十一号が、この間の参考人の方のお話でもございましたけれども、品質的にはかなり認められておりますので、そういったものを当面の目標として、今育種のかなりいいものができております。今交配しておりますのは当然ASWを目標にして交配をしておりますけれども、これは世に出るまでにまだ相当時間がかかるわけでございますが、そういった素材を入れながら現在やっておるということでございます。
  131. 武田一夫

    ○武田委員 厳しい環境の中で麦作に取り組んでいる。東北の場合は、今話があったような状況の中で苦労しております。苦労しながらでもやらなくてはいけないという宿命的な課題を背負っているだけに、研究開発、そういう育種の問題を含めて、品質の改良また収量の問題についても相当バックアップする体制が必要だと私は思うのです。  アメリカが農業の面で優位産業と言われる立場を今日確保したのはどこにあるかということについては、一つは育種の研究に一生懸命取り組んだ成果が出ていると言われております。すなわち高収量の品質改良の成果があった。それから高収量品種をよく栽培管理できる農民の水準の高さもあった、農業者側の問題でもございますが。栽培技術要員も収穫向上にそういう意味で大きく貢献している。それから効率的な施肥の方法、すぐれた土壌管理方法についての高度の知識を持っている。農業の普及活動の成果でもある。そのほかに、機械化が進んで資本集約的産業としてきた、あるいは経営規模の拡大が大きくできているというところがありますが、重要な点は、育種の問題とか、あるいは肥培管理の問題とか技術的な問題とかいうものが、相当大きく収量を上げたり品質の改良等に貢献をしているという事実は間違いないことでございますから、日本はその点でまだまだ努力をする必要もあるし、予算的な措置を含め、あるいは技術陣の対応を含めて一生懸命頑張ってもらいたいと私は思うわけでございます。この点はひとつ大臣から、今後の大きな課題としてお願いをしたいわけでありますが、いかがでございましょうか。
  132. 加藤六月

    加藤国務大臣 委員の言われる主張をよく外し、今後大いに検討いたしてまいりたいと思います。
  133. 武田一夫

    ○武田委員 次に移りまして、今回パリティ方式を変更するというわけであります。なぜ変更しなければならないか、具体的な理由を聞かせていただきたいと思います。
  134. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 パリティ方式の変更の問題でございますけれども、御案内のとおり、現行規定では、昭和二十五、二十六年当時というかなり過去にさかのぼった時点の価格を農業パリティ指数で延ばしました価格を基準とし、かつこの額を下回らないということを法律できちっと書き込んでいるわけでございます。このため現行の算定方式につきましては、二十五、二十六年当時と今日と麦作の生産構造が全く変わっております。かつては日本の農家はほとんどすべて麦をつくっているという時期があったわけでございますけれども、現在麦作農家数は六十一年で申しますと四十三万五千戸ということで、主産地化が非常に進んでいる。そして一戸当たりの作付規模も当時に比べると二倍半ぐらいに増加をしているというような、生産構造も変わってきております。農業総産出額に占めます麦の産出額の割合も二十五、二十六年ごろに比べますと、当時は一〇・七%でございましたが、近年では二%程度という姿になっております。そういったことからいたしまして、当時の実質購買力を今もなおパリティ指数という形で保持しなければいけない、維持しなければいけないという根拠に乏しくなってきている。それから、かなりの生産性の向上が見られますにもかかわらず、パリティという方式だけでやってまいりますと、生産性の向上を価格反映する上で限界がございますし、それから品質差を価格反映する上。でも限界があるわけでございます。  二十五、六年当時と今日とで栽培されております麦の品種ということを見てみましても、農林六十一号というようなものは残っておりますけれども、上位十品種ぐらいとりましてもほとんど変わっております。もし銘柄ごとの価格というようなことを考えます場合に、当該銘柄についての二十五、六年の価格というのがあるのかというと、そういう品種が当時存在しなかったというようなことにもなるわけでございます。そういったことがございますので、この際、現在の麦作が当面をしております生産性の向上、あるいはまた品種の改善といった観点を取り入れました価格の規定に直した方がよかろうということで御提案申し上げているわけでございます。  なお、先日の参考人質疑の際に、荏開津参考人から、農業経済学者としてのお立場からのお話もございましたが、もともとこのパリティ方式と申しますのは、アメリカで大恐慌のときに、いわば緊急避難的に案出された一つの方式ということでございまして、アメリカ本国におきましても、一九七三年の農業法からパリティ価格というような方式が制度としても消えているというようなお話もあったわけでございまして、そういった点も踏まえまして今回の改正を考えた次第でございます。
  135. 武田一夫

    ○武田委員 その際、農家の皆さん方が大変御心配なのは、果たして今後行われるであろう新しい方式での価格水準というのは現行水準程度のものなのか、あるいはこれを契機に低い水準の中で抑え込まれるのかということによって、生産農家の営農設計といいますか、経営に大きな影響を与えるということは当然のことでございまして、この問題が大きな関心事であろうということでございまして、この点はどういうふうに見られているか。私たちは、願わくは現行水準程度の価格水準であってほしいという参考人の皆さん方の声は無視できないし、要望は聞き届けてほしいという願いを持っているわけでございます。そういう意味で御見解をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  136. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 この改正法案が成立をいたしました暁には、できるだけ早期に米価審議会で小委員会を設けて算定方式検討をされるということになっておるわけでございますが、ただいまお尋ねがありました行政価格の水準としての連続性と申しますか、そういう点につきましても、これは価格政策の一つの役割として価格の激変化を避けるということが当然入っておるわけでございますから、そういった価格の連続性ということを配慮した算定方式検討が行われるであろうと思いますし、また私どもとしても、そういう点に配慮する必要があるだろうという認識に立ってこの検討に臨んでまいりたいというふうに考えております。
  137. 武田一夫

    ○武田委員 そこで、先ほど麦作の生産構造が大きく変化しているということで、規模拡大、主産地形成等の問題について長官は触れられました。これはまだまだ今後考えなければならない問題を含んでいる、こう思うわけでありますが、この問題につきましては、要するに構造政策の推進効果と整合性を持った運用が必要だということを、今後新しい価格を出す場合の方式の中で十分に配慮しなければならないんではないか、私はこういうふうに思うわけでありますが、この点についてはどういうふうにお考えをなさっているのか。
  138. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 今後の価格政策の運用につきましては、昨年の農政審議会の報告の中でも言われておりますけれども、構造政策なり生産政策と価格政策と有機的な、そしてまた密接な連携を持って運営をされなければいけないということでございます。したがいまして、価格政策におきましても、進行しつつある生産性の向上、あるいはまた、今お話にもちょっと出ましたような生産の組織化でありますとか主産地形成といったような点にも当然配慮をし、そういうものの実態も見ながら、それがまた価格反映されるということと同時に、また価格政策の面からもやはり生産性の向上が図られるような配慮ということもしてまいる必要があるというふうに考えておるところでございます。
  139. 武田一夫

    ○武田委員 生産の団地化とか麦作集団の育成というのは非常に重要な課題です。特に水田農業確立対策ではこの問題を一つの大きな核として今後の六年間を進むということで、転作の奨励金等につきましてもそうした配慮をして、誘導政策としての方向を打ち出した。しかしながら、なかなか規模め拡大というのは進まない、これは米の場合も同じでありますが、麦作の場合もそういう傾向がある。主産地の形成というのがなされているけれども、まだまだそういう点での取り組みといいますか対応が十分なされていないというのは残念であろう。農林水産省も一生懸命努力をしているし、また農協も農家も一生懸命努力をしているのですが、私もあちこち歩きまして、特に先ほど取り上げた東北などのああいう低い収量というのはそういうところからも来ている、気象条件もありましょうが。  そう考えますと、生産の団地化、麦作集団の育成による規模拡大の推進というのは今後の麦作振興の大きなかなめであろう、こういうふうに私は思うわけでありますが、この問題について、特に当局として今後取り組まなければならない課題として掲げている問題というか方向といいますか、それはどういうことか聞かしてもらいたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、保利委員長代理着席〕
  140. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 先生御指摘の麦生産の団地化あるいは麦作集団の育成の問題でございます。  麦につきましては、省力化が図りやすくて作業単位の大型化メリットが発揮し得る作物であります。そういう意味におきまして今後生産性の向上、とりわけ生産コストの低減を図る上で生産の組織化を一層推進することが喫緊の課題となっているわけでございます。一つの大きな方向といたしまして麦自体の規模の拡大ということもございますが、あわせて麦生産の団地化、麦作集団の育成というものは一つの施策として今後推進していかなければならない点だというふうに考えるものでございます。  ところで、麦の生産組織でございますが、主に麦作に取り組んでおります組織の数でございますけれども、五十一年に四百十五集団ございましたが、六十年の数字ではこれが五千十一集団というふうな数字でございまして、いわば十倍強にふえております。また、基幹作業であります収穫作業におきましての生産組織のカバー率も、水稲の場合は七%と言われておりますけれども、麦作の場合には三二%というかなりの水準に達してきていると私ども見ているわけでございます。また、生産の団地化でございますが、団地化転作のシェアというもので見ますと、転作全体で二九%でございますが、麦については五九%を占めております。そういう意味で麦におきます団地化あるいは集団化がある程度進んできているわけでございます。  今後の麦作振興に当たりましては、こういった方向をさらに伸ばすべく、田畑輪換ということを水田農業確立対策にも盛り込みましたし、集落単位での集団的、計画的な土地利用によりますまとまった作業単位を形成していくことが今後も重要になっていこうと思っております。また、繰り返すようでございますが、地域の条件に即した合理的な輪作体系の確立、定着化というものも必要だと考えます。さらにあわせまして、共同乾燥施設を核とした効率的生産体制の確立といったものも追求していかなければならないと思いますし、作業単位に見合った高能率の機械化一貫作業体系というものも確立をしていかなければならないと思っております。そういった諸施策の総合的な推進によりまして、麦生産の団地化、麦作集団の育成を今後とも進めてまいりたいと考えております。
  141. 武田一夫

    ○武田委員 今、田畑輪換の問題が出てまいりました。これは私たちも年来強力に進めるべく主張をしてきまして、農林水産省も徐々にそういう方向で水田の汎用化という問題を考慮して、減反とのかかわり合いもございますし、進めてきているところでございます。  それと関連しまして土地基盤整備の問題が大きな課題として出てきた。場所によっては、田畑輪換方式といってもとても金がかかってそれでは対応できないという地域等もあるわけでございまして、そういう地域等における問題、また山間僻地などにおける問題等土地基盤整備の問題は非常に複雑になってきているし、また困難な状況を迎えているということであります。  麦の場合、平地あるいはまた傾斜地でも、集団的に転作をしながらかなり高収量を上げている地域も見受けられますが、土地基盤整備はこれからかなり大きな課題を占める。これが結局生産性の向上と価格の問題、コストの問題につきましても大きく貢献してくる。また作業の上においても非常にやりやすく、しかも希望に満ちた方向への動きを支えていく問題であろうと思うわけであります。この間もこの問題につきましては非常に金がかかり過ぎる、高い、そういうことも含めて生産農家、団体にとっては頭の痛い、農林水産省も頭が痛いわけでありますが、いい知恵者を得て、しかも早くやらなくちゃいけない。長くかかるとかかるだけ苦労、困難を伴うのが土地基盤整備の問題でございます。こういう問題につきまして今後どういうふうに効果ある推進をされるお考えなのか、お聞きをしておきたいと思います。
  142. 鴻巣健治

    ○鴻巣政府委員 麦の作付面積のうちで畑が約三二%で水田がおおむね六八%になっております。したがいまして、今お話しのように麦作の振興を図る場合には畑地の土地基盤整備あるいは水田の汎用化が大切だと考えております。  まず、畑の方ですが、畑の土地基盤整備は農道の整備と排水改良を中心に実施いたしておりますが、畑の整備率は六十一年三月現在で全国で四二%となっております。それから水田で麦作をやる場合には、今お話しのように排水改良を主とした水田の汎用化を促進する必要がございますが、冬の間に地下水位が七十センチよりも低い水田というと、これは水田にも畑にもなるわけですが、汎用化された水田の面積は約百九十万ヘクタール、これは全体の水田の六六%でございまして、このうち大中型機械の導入が可能な区画整備済みの面積、昭和六十一年三月末で約百九万ヘクタール、全水田の三七%の水田と推定されております。  今回成立いたしました補正予算。でも、水田の汎用化に関連いたしました予算として八百二十億円、うちNTTの株の売却益による関連の財源が二百六十五億円ございますが、これを六十二年度の当初予算と合わせますと四千三百四十億円となっておりまして、六十一年度の補正後の予算に対して一一八%と格段の拡充を図っております。  特に今の水田の汎用化に関連して、できるだけコストを安く土地基盤整備をするようにおよそ三つほど考えておりますが、一つは、できるだけ新規を抑制をして継続地区をできるだけ早く完成に導くことが大事だと思っております。このために新規地区の採択はできるだけこれからも抑制せざるを得ないと考えております。それから第二は、つい最近ですが、補助残融資としての公庫資金の金利も下げておりまして、できるだけ現在の低金利のもとでの時代の趨勢に合わせて、安い金利コストで土地基盤整備ができるようにいたしております。それから三つ目は、六十二年度以降に新規に採択する地区について考えておりますが、農道あるいは用排水路にしても、舗装をするかしないかで大分違うわけです。幹線水路を舗装するか、あるいは幹線水路は舗装しても末端水路は舗装しないで砂利だけにしておくとか、用水路も幹線水路は舗装しない、あるいは舗装しても末端の小排水路は舗装しないで素掘りのままにしておくというような形の組み合わせによりまして、償還金が最高のピークに達するときでも、十アール当たりの負担額が片や二万円程度の場合に片や一万円程度、半分くらいにもなるわけです。  したがいまして、これは兼業化がどの程度進んでいるか、あるいは老齢化がどの程度進んでいるか、あるいは中核農家がどの程度いるかによって整備水準の選択の仕方にもいろいろあろうと思いますけれども、地元の土地改良区ができるだけ安上がりにつくっていきたいといえば、それはなるべく安上がりにできる工法を選択することもできるし、逆に中核農家がたくさんいまして、あるいは兼業農家なんかも日常道普請とか用排水路の整備に部落、集落総出で出てきて、みんな力を合わせて整備をするというような条件が整っているところであればかなり高い水準の整備もできるというように、それはその地区地区の土地改良区の事情によって選択できるようにするということで、七月早々でございますが、構造改善局長通達で、今申し上げた圃場整備等につきましてはどの程度の整備水準を選択するか、それによって十アール当たりどの程度の事業費になり農家負担になるかということを明示して、その中から選択することを考えて早速実施をいたすように今地元で進めているところでございます。
  143. 武田一夫

    ○武田委員 この問題について、今局長が話されたような方向は私は非常に結構な方向だろうと思います。先ほどの中で整備状況がまだまだ四二%とか三七%という数字があるということ、これは早急に進捗率を高めることが大きな課題であろう。これは金も相当必要な事業でございますし、土地の基盤整備をしっかりなさったところはそれだけ先進的な農業としての対応ができていくわけであります。農家の皆さん方も、そういう意味で短い期間の中に効率的な対応をしていただくことが後継者にとっても必要でございますし期待していることでございますから、十分にひとつ今後とも配慮をしてほしいと思うわけであります。  そこで、最後にもう一回技術の問題でお尋ねをしたいのでありますが、高水準技術の開発普及、要するに今これから考えられることは、例えば米で言えばハイブリッドの問題が一つの問題として、高収量、超多種収量というものがある。麦の場合、先ほど気候の問題が出てきました。気候のいろいろな条件を克服できる、寒冷に耐え得る品種の研究開発と、もう一つは食味の問題で非常においしい、消費者の嗜好に合う品質のものを生産するという両面から、今当局が進めている開発普及はどういうものがあるのか、その研究開発の普及の状況をひとつ聞かせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  144. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 一つは品種の問題でございまして、先ほど申し上げましたように、農林六十一号を当面の目標にして従来から育種してまいったものでぼつぼつその成果が出てまいりまして、チホクコムギとかそういった品種になったものもあるわけでございますが、そういうものより少し色が白くて、喜んでいただけるような品種のものを系統番号として今私どもでつくりまして、それぞれ関係の県に配付をしたりしてテストをしているものもかなりございます。まだ系統でございますけれども関東百号という品種もございますし、そういうものを当面早く品種に仕立て上げていくことが第一だろうと思います。  それから長期的には、水田利用高度化のための高品質・高収量畑作物の開発と高位安定生産技術の確立という大変長い名前のプロジェクトを、六十二年から一年で大体三億以上の金をかけて十年計画ぐらいでスタートさせております。それは麦とか大豆とかを中心にして育種なり栽培法なりを研究する、勉強していくという予算でございますが、これの目標としては、今一般の農家の方の栽培ですと三百キロ台ということでございますが、既に奨励会とかいろいろなところでは五百キロぐらいの収量というのがかなり出ております。ですから今の技術をうまく使って、気候が普通の状態であれば五百キロぐらいのものはとれるという技術があるわけでございますが、そういったものを土台にして五年間ぐらいでその二割増ぐらいの収量、それから十年で四割増ぐらいの収量にしていく計画を立てて、交配をしたりということを始めております。  ただ、先ほども申し上げましたように、量だけとるということではこれからはだめなものですから、そこで品質との兼ね合い、品質をよくすれば重なり耐病性なり耐冷性なりどこかの部分で犠牲を出さないと、才色兼備というのはなかなか難しいわけでございます。どうしてもどこかを犠牲にして品質の方に持っていくことになるものですから、みんながみんな満足するというものはなかなか難しゅうございますけれども、将来に向かってきちっと目標を持った体制をつくりながら今育種をやっているところでございます。その中には、当然従来からの交配育種というやり方もございますけれども、最近大変進歩の激しいバイオテクノロジーも使いながら、できるだけ育種年限を縮めるとか、今まで交配できなかったものの交配をするとか、そういうことも考えてこの十年の計画を実現していきたいと思っておるわけでございます。
  145. 武田一夫

    ○武田委員 そのための例えば研究費とか人員とかいう問題で、いろいろなところを回りますと、非常に御苦労しておるのはどの部分も割と共通しておるわけでありまして、特にそういう大変なところほど本当は予算的にも人材的にもきちんと取りつけてやるのが当然なんですが、これがなかなかうまくいっていないことは残念であります。これは今後の大蔵等とのやりとりの中で重要な課題の一つとして頑張ってほしいと思っておりますので、大臣、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
  146. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 大臣お答えになる前に、今の研究費の問題でございますが、農林省の中でもマイナスシーリングはいろいろございますけれども、研究費についてはいろいろなところで余り減らないようにというようなこともしてやっておりますし、また、先ごろ御審議をいただきました補正予算でもかなり十分なといいますか、今までそういう技術面で補正予算をいただいた経験は余りなかったわけでございますけれども、そういうところからすればかなりたくさんの予算をちょうだいして、今、各地の試験研究施設の改修なり新しい機械を設備するとかいうことに回させていただいて、全体として整備が相当できていくものというふうに考えております。
  147. 加藤六月

    加藤国務大臣 一生懸命頑張って、日本の農業の振興の大きなかぎにしていきたいと考えておるところでございます。
  148. 武田一夫

    ○武田委員 最後に、今回の改正によりまして、どうか生産農家の経営の安定がきちっとできるような方向をお考えいただきたい。これが今後の中長期展望のもとにおける国内産麦の自給力の向上を目指す上での生産振興の上で非常に重要な課題になってくる。生産農家が意欲と希望を持って農業をやれるという方向を考える、こう決意をいつも力強くお述べになる大臣でございますので、この点を重ねてお願いし、決意をお聞きして、時間も少し余るのではなかろうかと思いますが、私は質問を終わらせていただきたいと思います。
  149. 加藤六月

    加藤国務大臣 麦作農家における位置あるいは麦作の将来展望等についていろいろ辛さしていただいてきたわけでございますが、要は農業の振興、農家の所得確保、向上につながるものとして今後大いに奨励し、また実需者のニーズにこたえられるものをつくっていただくことによって発展、振興を図りたいとさらに頑張ってまいる決意でございます。
  150. 武田一夫

    ○武田委員 どうかその決意をどういう立場になろうともひとつしっかりと守っていただいて、生産農家への大きな励ましとしていただきたい、とのことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  151. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 神田厚君。
  152. 神田厚

    ○神田委員 食管法の改正問題で、引き続きまして御質問を申し上げます。  まず最初に、この改正案ではパリティ方式をあえて廃止をするということでありますが、このパリティ方式を廃止するという考え方、それについてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  153. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 現行のパリティ価格の規定によりますと、昭和二十五年、二十六年当時というかなり遠い過去の時点の価格を農業パリティ指数で延ばしました価格を基準にしまして、かつこの額を下回らないというかなり固定的な規定になっておるわけでございます。二十五、二十六年当時と今日との間では、麦作の生産構造も非常に大きく変わっております。それからまた、パリティ指数という一種の価格指数によって価格を計算するということでございますと、長期の間の生産構造の変化に伴いまして生産性の向上もかなり見られておるわけでございますけれども、それを価格反映する上でなかなか限界がある。それからまた、品質差というようなものを価格反映していく上でも限界があるというような基本的な問題を現行のパリティ価格の規定は持っておるというふうに考えております。  かたがた、もともとパリティ価格方式と申しますのは、アメリカで一九三〇年代の大恐慌の時期、農業も大変な不況に陥ったわけでございますが、そのときに、価格の変動と申しますか、暴落を調整をいたしますための緊急避難的に取り入れられた一つの方式ということであったわけでございます。もちろん戦後にもこのパリティ方式というのはアメリカの農産物価格政策の中で使われてまいりましたけれどもパリティ価格を一五%以上下回らないとか二〇%以上下回らないというような運用がなされ、そして一九七三年、これもかなり前でございますが、その時点で農業法からも姿を消したというような性格のパリティ方式でございます。  過去数年来、食管におきましてのいろいろ各方面での御議論がございました中で、やはり現下の麦作が抱えている問題、それからまたパリティ方式がそもそも持っている性格というような点から見て、今の規定を改めるべきではないかというような問題点の御指摘を、昨年の農政審の報告が一番最近でございますけれども、また米価審議会の答申でも附帯意見として見直しの御意見も何回かいただいておるということがございましたので、今回改正法案という形で御審議をお願いいたしたわけでございます。
  154. 神田厚

    ○神田委員 次に、売却促進対策費の交付の問題であります。卸売業者に対しまして売却促進対策費を交付するということでありますが、一つには、これは何のためにこういうことを必要とするのか。二つには、九月、十月の二カ月間に卸業者への売却促進対策費の交付によりまして何万トンの政府米売却が促進されるというように考えているか。三つには、売却促進対策費の総額をどの程度に見込んでいるのか。そして四つ目に、今年産生産者米価が引き下がったことによりまして、消費者米価引き下げというムードの中で買い控えの進行がある程度予想される、こういう中で新米の縁故米、やみ米流通が加速されるような状況にもあるわけでありまして、今年七月以降の売却実績と、十月末に百五十万トンの在庫とするための必要売却量、これを述べていただきたいと思います。  また、政府米売却促進のため、今回の交付金と並行してさらに対策を講じる必要があるのではないかと思うが、この点はどうか。このまま推移した場合、十月末政府米持ち越し在庫は何万トンになると見込んでいるのか。  以上、御説明をいただきたいと思います。
  155. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 売却促進対策費の交付という、いわば私ども米の売却の仕事を業務としてやっております中でも初めての措置を今回とったことにつきましてのお尋ねでございますが、ことしの十月に終わりますところの六十二米穀年度と申しますのは、水田農業確立対策とあわせて決定されました食管の運営改善大綱の実行初年度にも当たっておりまして、三年連続の豊作という事態の中で、三度の過剰の発生を回避いたしますために政府米の持ち越し在庫を、回転操作のいわば上限でございます百五十万トンにとどめるといいますか、その計画にできるだけ合わせていくということが重要な課題になっておるわけでございます。  しかしながら、これまでの政府米の売却状況を見ますと、何分にも三年豊作が連続をしておりまして、各段階で在庫もかなりたっぷりした状況にございます。それからまた昭和五十年代の後半、若干これまでの米の消費の減退、消費の下げ足が鈍ってきたかに見えたわけでございますが、六十年あたりから消費が少しまた落ち込みの兆しを見せている、こういったこともございまして、地域によって、あるいはまた卸売業者によりましてかなりの在庫を抱えているというようなことから、政府米の買い受けに消極的になるというような状況もあらわれておりまして、率直に申しまして、当初計画どおりの政府米の売却と持ち越し在庫を達成するということについてはかなりの努力が要るだろう、こういう判断に私ども立ったわけでございます。  私ども四カ月を単位にして需給の実行の計画を立てておりますが、六十二米穀年度の最後の四カ月というのが七―十月期でございます。六月末と申しますか、七月初めに私どもが持っておりました在庫は二百九十万トンということでございますから、百五十万トンの持ち越し在庫ということになりますと、四カ月で百四十万トンというものの売却を行いませんとその数字に合ってこない、こういう形になっております。そういった状況から私ども、積極的な買い受けを行った卸売業者に対しまして、六十二米穀年度の最後の二カ月、九月及び十月に限定をいたしましてその買い受けの程度に応じまして売却促進対策費を交付するという措置をとることといたしたわけでございます。交付対象数量なり総額がどの程度になるかということにつきましては、九月、十月の政府米の売却実行量がどの程度の水準になるか、卸売業者が一定の基準目標数量と申しますか、そういうものを超えて買い受けを積極的にしてくれました場合に対策費を交付するということになっておりますので、現段階ではこれから九月の売却のめどがついてくるという段階でございますので、はっきりした数字として申し上げるにはまだもう少し実績を見させていただきたいと思っておるわけでございます。  それから、政府米の売却促進のためにこういった対策費の交付と並行してさらに対策を何か講じる必要があるんではないかというお尋ねでございますが、この促進対策は交付金の交付だけではございませんで、いわゆるボーナス方式によります――対策費の交付とあわせまして積極的に買い受けをしてくれました卸売業者に対しまして卸の買い受け希望の強い銘柄なり類のお米を弾力的に供給していく、あるいは新米につきましてもそういった卸売業者に対しまして一定の手当てをしていくということもあわせて考えておりますほか、六十二米穀年度につきましては自主流通米等の自主調整保管ということを団体に取り組んでいただいておるわけでございますが、これの的確な実行を図るということも他方では団体ともいろいろ御協議をしながらやっておるわけでございます。これらの措置全体を通じまして、計画に即した政府米の在庫形成に努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  156. 神田厚

    ○神田委員 そうすると、十月末で百五十万トンの在庫に抑えることができるというふうに見通しをお持ちでありますか。
  157. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 この点は先ほど申し上げましたように初めての試みでございますし、今九月分の売却の仕事に取りかかっておるわけでございますが、地域によりましていろいろな反応が予想されます。そういうことで、私どもといたしましては、政府米の売却の促進あるいはまた計画的な在庫形成のためにできるだけの知恵も絞り、また財政当局とも御相談をした措置をいわば提示をいたしまして、それにできるだけ卸売業者の方々が反応をしてくださることを期待しているということでございまして、実績がどの程度になるかということにつきましては、初めてのことでもございますし、現段階でこういった場で確たる数字をもってお答えを申し上げられるという状況にはまだ至っておらないということでございます。
  158. 神田厚

    ○神田委員 それでは次に特別栽培米について御質問申し上げます。  一つは、これを通達とする、こういうことが予想されますが、食管法と矛盾する点はないのかどうか。それから二番目には、具体的にはどのような内容のものとしようとしておるのか。三番目に、現在一万九千百トン程度生産される、こういうふうに言われておりますが、今後特別栽培米の生産拡大のための行政上の措置を検討していく考えがあるのかどうか。四番目に、マル白米のルートとして特別栽培米を流通させた場合問題が生じることはないのかどうか、この四点について御説明をいただきたいと思います。
  159. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 私どもで今検討中でございます、特別栽培米という名前で呼んでおりますが、措置につきましてのお尋ねでございます。  御案内のとおり、近年健康食品志向を背景にしまして、通常の栽培法とは著しく異なった、農薬なり化学肥料等を使用しない、あるいはまた、全く使用しないという例はむしろ非常に少ないと思いますが、出穂期前二回農薬を使うだけで後は農薬の使用を抑える、そして土づくりなどに重点を置いた米づくりをやっていくというような有機米とか低農薬米といったようなものに対します消費者の関心が高まっております。これらの米は特殊な栽培方法によって生産されるものであるので直接取引をさせてほしいという希望が主として消費者から、そしてまた一部の生産者からも出されております。  今お尋ねの中にもございましたように、こういったものにつきましても、自主流通ルートを通して既に一定の量のものが流通をいたしております。私ども、今後とも自主流通と政府米というこの二つの基本的な米の流通ルート、これを基本として大事にしていきたいと思っておるわけでございますけれども、こういった消費者の方々あるいは生産者の方々の御希望というのは、通常のそういう自主流通ルートに乗っているものよりももう少し小口のもので、いわば生産者消費者の方がグループで直接に接触をされて米の生産なり流通についての計画をつくる、そういったかなり契約栽培的な形の強いものを自主流通ルートに乗せようといたしますと、一次集荷業者、二次集荷業者それから指定法人、卸、小売、この辺に全部話をつけないとなかなかできないということで、星もそれほど大きくないものについては直接取引の道を開いてほしい。  そしてまた生産者サイドにおきましても、平場のように大型機械でもって合理化してコストダウンしていくのがなかなかしにくいような中山間地というようなところの稲作の一つの生き残る道として、せっかくそういうお米について消費者サイド、都市サイドで、いわゆる自主流通米の値決めに必ずしもとらわれないで、ある価格、高い価格評価をして買ってもいいという人たちがいる場合にはひとつそういう道も認めてもらいたいというような要望もございますので、こういったものにつきまして食糧事務所長の承認というような形で、食管法上は食糧管理法施行規則に基づく食糧事務所長の承認という形になろうかと思いますが、米の流通の規制の解除を、一定の計画の承認というようなことを前提にして道を開いてもいいのではなかろうかということで今検討いたしているわけでございます。この場合生産者消費者が集荷とか保管とか運送とか搗精、あるいはまた配達というようなことをみずから直接行うことはなかなか容易でないと思いますので、農協等の一次集荷業者とかあるいはまた小売、販売業者が生産者消費者の委託を受けましてこれらの業務が行われるように私どもとしても誘導をいたし、そういう中で適正、円滑にそういった米が流れるように確保する手段をとりたいというふうに思っておるわけでございます。  したがいまして、自主流通ルートを通じて、今お話のございましたようなかなり量のまとまったものでの既存の自主流通に乗っているものの流通というのは今後とも当然あるわけでございまして、それに追加をしまして、生産者消費者との間の生産流通計画に基づく小口なものについて事務所長の個別承認を受けて流通をさせるということを検討いたしておるということでございます。私どもとしましても、先生お話のございましたような食管制度の運営全体との整合性というようなことについて十分な注意をしながら検討をいたしてまいりたいと思っております。
  160. 神田厚

    ○神田委員 それでは次に、米の流通改善の問題について御質問をいたします。  昨年の農政審報告を受けまして政府は種々の食管改革案を検討していると言われておりますが、一つには、今なぜ食管法の改革が必要なのかという大きな問題があります。また、どのような食管制度が理念上最善のものだと考えられるのか、この点が第一点であります。  第二点は、一類一等でありますが、六十二年産米より千七百四十四円前後の純ざやが予想されるわけでありますが、全量集荷のためどのような改善策を検討しているのか。また、政府がそのための臨時特別集荷制度を提案しているわけでありますが、どのような内容のものとなるのかどうか、この点をお知らせいただきたいと思います。  三番目に、農政審報告にある市場の原理をどのような形で具体化しようとしているのか、これをお示しいただきたい。  四番目に、本年度三度目の過剰在庫となった場合、食管に対する国民の目が厳しいものになると考えられますが、今長官から御答弁がありましたけれども需要供給のバランスをどのような形でとっていくのか。さらに、これ以上減反面積をふやさなくて済む施策の出現が重要であると考えますが、この点についてどういうふうに考えるのか。  五番目に、マル白米の拡大を検討しているようでありますけれども、食管の根幹堅持のため最低限マル政米をどの程度持つことが必要かつ適正と考えているのか、その点をお示しいただきたい。  六番目に、食管堅持と市場原理の導入は対立するポリシーと考えられなくもないが、どのように調和をさせていくのか。  七番目に、米価が下がり米の消費が落ちた場合、稲作農家に甚大な悪影響が加わると予想されるが、米の需要拡大のための抜本的な施策を講じる必要があると考えているが、この点についてどのように考えているか。また、意欲的な稲作農家、農政審報告では規模拡大を図っている農家に焦点を当てているようであるけれども、今後政府は、稲作を営んでいる飯米農家や兼業農家、この位置づけをどのように考えているのか。  八番目に、米の流通研究会の作業状況、日程、内容及び現在の主な検討課題は何か、お示しをいただきたいと思います。
  161. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 大変数多くのお尋ねのうち、まず私ども関係をいたします部分をお答えさせていただきたいと思います。  流通研究会あるいはまた米の需給、集荷、消費各般にわたるお尋ねがございまして、それを貫く一つのお尋ねの基本的な考え方の中に、最近食管制度に市場原理とか競争原理を導入するということがあるけれども、それと食管堅持という一方のポリシーとの整合性というのはどうかというお考えが基本に流れているように私、承ったわけでございます。  食糧管理法は昭和十七年に制定されまして、以後、米の需給事情なり経済環境の変化に即応しまして自主流通制度を創設するとか、あるいはまた、昭和五十六年には法そのものを改正するというようなことを通じまして市場原理を取り入れたかなり弾力的な管理の仕組みに変わってきているというふうに思います。  私ども、食管の基本でございます政府が米を管理することによりまして価格需給の調整を図るというためには、食管制度が本来持っております一種の計画原理といいますか、そういう大枠をやはり堅持していかなければいけない。ただ、その中で需給事情なり社会経済情勢の変化、そしてまた、最近は特に消費者のニーズというふうなものが非常に多様化をしてまいっておりますので、そういった状況に対応するための市場原理の導入、いわば本来食管制度が持っております計画原理と社会経済情勢の変化によりまして必要とされてくる市場原理との適切な調和を図りながら、やや八万美人的な言い方になりますけれども生産者にとっても消費者にとっても、そのニーズにこたえられるような、そして同時に、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、必要な米の再生産生産者には保障し、消費者には家計の安定あるいは供給責任を果たしていくという基本を守っていくということが一番いい姿ではないかというふうに考えておるわけでございます。  問題は、そういった制度の基本を守りながら、その中で国民各界各層の御理解と協力が得られるような市場原理をどういうふうに計画原理の中に調和的に取り込んでまいるかという、その仕方にあるわけでございます。  昨年の農政審報告では主として四点を挙げておりまして、生産者米価の適切な決定とか自主流通米の拡大等による米流通の活性化、集荷、販売の両面にわたる流通体制への競争条件の導入、それから米の需給調整等政府米の過剰在庫発生防止のための生産者、集荷団体の主体的な取り組み、こういった食管の運営改善が必要であるということを挙げております。  現在、そのうちの特に米の流通に関係をいたします問題、自主流通米の拡大と流通体制への競争条件の導入の問題につきまして米流通研究会を私どもで開催をいたしまして検討を進めておるところでございます。この研究会におきましては現在二つの部会を設けまして、自主流通の拡大の問題、それから集荷、販売を通じます米の流通への競争条件の導入の問題について、先週までかかりまして一とおり討議すべき項目の議論を終えましてこれから論点整理に入り、その論点整理を流通研究会に上げまして十月中に報告を取りまとめるという段取りで現在進めている過程でございます。  お尋ねの中に、自主流通米の拡大をする中で政府米はどの程度持つことが必要と考えるかということがございましたが、この問題につきましても、現在部会そしてまた研究会で検討をしておるところでございます。ただ単に政府米が引っ込むということではございませんで、自主流通米をどのように拡大していくかという手法なりあるいはまた政府米の担うべき役割、そのためにどの程度の政府米を持つことが必要かというようなことをめぐって今種々御議論をいただいておるところでございます。  それから、ことしの秋の集荷対策の問題でございますが、これにつきましては六十年産米から特別集荷制度というのを導入いたしまして、予約限度を超過して出荷されます米につきまして結びつきの登録生産者以外からも集荷ができるという道を開きまして、また区域も市町村の区域を越えて隣接ぐらいのところまで広域に集荷ができるということで、六十年産米は初年度でございまして余り実績が上がりませんでしたが、昨年は十七万トン近い実績も上げておるわけでございます。しかし、ことしの場合、作柄等によりましては、価格関係も現在順ざやの状態になってまいっておりますし、さらに転作目標面積の拡大ということで、その達成率につきましても地域的にでこぼこが出てまいりますと、全体としての作柄のほかに地域的に超過米が出るというような事態も予想されるわけでございますので、そういったことから不正規流通が増大をするおそれも十分あるということで、適正なルートに超過米の集荷を確保するという観点から、今集荷制度の見直し検討を行っておりまして、私どもの内部でも検討いたしておりますと同時に、関係団体ともいろいろなお話し合いを申し上げておるところでございます。  それから、今年度三度目の過剰となった場合、需要供給のバランスをどういうふうにとっていくのかというお尋ねでございます。  この点は先ほどの売却につきましての特別対策の際にもちょっと申し上げたところでございますが、政府米の売却が必ずしも順調に進展をしていないということは事実でございますが、今計画的な在庫形成なりあるいは売却というものをできるだけ達成するために全力を挙げておるところでございますし、ことしの作柄についていろいろ新聞等でも取りざたはされておりますけれども、まだまだこれから九月ないし十月の初めにかけての気象条件ということまで見通しませんと、それがどうなるかということまで考えませんと、作柄について云々をし、それに基づいてまたいろいろな事態を考えるということは時期尚早ではないかと思っております。  日ごろから私ども大臣が申されておりますように、三度の過剰が発生をする、あるいは三度目の大量の過剰米処理というようなことが必要な事態になりますれば、食糧管理制度の存立自体にも及ぶ問題だというふうに認識をいたしておりますし、今後、六十二年産米の作柄なりあるいはまた消費の動きも含めた需給動向を十分に見きわめながら、米の需給均衡の確保に向けまして、水田農業確立対策の推進と食糧管理制度の円滑な運営に努めていかなければいけない、こういうふうに考えておるところでございます。
  162. 鴻巣健治

    ○鴻巣政府委員 七番目のお尋ねの、農政審の報告では意欲的な農家の規模拡大に焦点を当てているが、構造政策を推進するに当たって飯米農家、兼業農家の位置づけをどう考えるのかというお尋ねでございますが、要するに中核農家あるいは兼業農家、飯米農家のその村での共存というものが一番大事だと思っております。これは釈迦に説法ですけれども日本の村、つまり集落は中世あるいは近世に成立をいたしまして以来、よく一味と言われるのですけれども、一つの味、一味といって、要するに法の前では、仏様の教えの前ではみんな平等だという意識で育ち、またそういう歴史を四百年ぐらい続けて今日に至っているわけですから、その村の中で兼業に傾斜しても平等であり、中核農家と共存しなければならないという原則を確認しながら構造政策を進めていくことが大事だと考えております。  そういう意味で考えますと、兼業農家の中には、第二次産業や第三次産業に従事している間に身につけた組織原理というものを非常に巧みに、例えば退職後に活用いたしまして地域リーダーといいますか地域のマネジャーとして活躍されていらっしゃる方が数多くございますが、そういう兼業農家の地域リーダーとしての活躍も期待できるわけであります。それから地域全体の生産性の向上を図るために、中核農家と兼業農家が一緒になって一つの生産組織といいますか営農集団をつくって、そして地域全体の生産性を上げていくというよい例も各地に展開するようになってきているということが二つ目でございます。  それから三つ目は、こういう兼業農家あるいは飯米農家というのは、農外所得なり年金なりで生計を維持する安定兼業農家がほとんど大部分でございますから、生きがいとか楽しみのために農業をおやりになるというのは大変結構だと思っております。ただ、私どもの希望するのは、その人が日本流で言えば三反歩とか五反歩とか、三十アールとか五十アールとか持っているときに、生きがいや楽しみのためにつくるのはせいぜい二反歩ぐらいにとどめていただいて、残りの三反歩などをむしろ中核農家のために貸してやってもらえないか、それが中核農家に対する規模拡大にとって一番大事な構造政策の道だと考えているわけであります。  そういう意味で多様な組み合わせがその地域地域によってあると思いますが、いずれにしても、形成されてから三百年もあるいは五百年もたつ中世以来の集落の中で兼業農家と中核農家が共存しながら、一方で規模拡大をしていくという、ちょっと一見矛盾して大変難しい問題なんですけれども、そういう矛盾を乗り越えられる方法もあると思います。その矛盾を乗り越える方法としての地域リーダーの活躍も期待できると思っておりますので、私ども、これから構造政策を、単に一方的な規模拡大ではなくて兼業農家との共存ということを考えながら、その命題に沿いながら、かつ中核農家の規模拡大を図るというやり方を進めていきたいと考えております。
  163. 神田厚

    ○神田委員 時間がありませんので、本当はもう少し詳しい御説明もいただきたいわけでありますが、後の機会に譲りたいと思います。  最後に大臣に御質問申し上げますが、このような形で、米の流通あるいは在庫問題等々をめくりまして非常に大事な時期になっております。我々は、食管法の根幹は守るべきだ、しかしながら、食管法においてはなお改善を要さなければならない事態にも来ているような状況だという認識に立っておりますので、その点について一言最後にお考えをお示しいただきたいと思います。
  164. 加藤六月

    加藤国務大臣 食管法の基本、根幹は守りながら、集荷、販売、両方面において競争原理を導入し、全般を通じまして日本国農業の進展、発展のために尽くすように運営してまいりたいと考えておるところでございます。
  165. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  166. 保利耕輔

    ○保利委員長代理 山原健二郎君。
  167. 山原健二郎

    ○山原委員 食管法一部改正法案について最初に質問いたします。  麦類の需要生産の長期見通しについて伺いたいのですが、昭和五十五年の農政審答申で「農産物の需要生産の長期見通し」が出されまして、需要生産あるいは自給率等の見通しが数字で示されました。ところが、昨年十一月に出されました農政審答申「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」では「主要品目の需給見通し」が付されてはおりますが、そこでは具体の数字に基づく見通しは出されておりません。先日の参考人による意。見陳述の中でも、全中の常務理事の松本さんから、中長期の需要見通しに基づく生産基本方向を明示していただきたいとの要望が出されておりますが、一年に一度の作であり、比較的長期にわたる生産基本方向というものが明示されないと安心して生産に携わることができないという理由によるものでございまして、至極当然の意見であろうと拝聴したわけでございます。どうして数字による見通しが示されないのか、私はこれは示すべきだと思いますが、この点についてまずお答えをいただきたいのです。
  168. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま御指摘ございましたように、現在私ども、昭和六十五年の見通しを農業基本法に基づく長期見通しとして持っておるわけでございます。これにつきましては、先般の農政審議会の報告の審議の中におきましても論議になりまして、その六十五年見通しのフォローアップが行われたわけでございます。それで、そのフォローアップの中におきましては、一九九〇年代の食生活あるいは農業生産がどう見通されるのかといった検討が行われたわけでございまして、その検討結果が農政審報告の最後の方に示されておりまして、これは定性的な見通し数量ではございませんで、これから需要並びに供給がどういうふうにいくかといった状況を文章で描いておる、こういうことでございます。  実は、そういうことになりましたについては、農政審の検討の中にもいろいろ論議がございまして、まず、農政審報告を受けて本年度から水田農業確立対策が発足しておりますけれども、これも今後の日本農業のあり方にとりましては非常に大きなかかわりを持つ事業でございます。これがどういう帰趨になるか慎重に見きわめる必要がある、こういう意見もございました。また、特に生産見通しにつきましては、生産性向上がおくれている品目については今後の生産性向上の努力にかかっているという面も大きいわけでございます。また、今後、当面の価格政策の見直しといったものがどういうふうに関係してくるかということもございまして、そういう当面解決を要する要因も多いということで、その際は大まかな需給方向だけを示す見通しになっておるわけでございます。  私どもとしても、こういった農政審での検討の経緯を踏まえまして、現段階で農業基本法に基づく数字をあらわします長期見通しというものは策定することはいたしませんで、なお今後若干時間をかけて検討していきたいと考えているところでございます。
  169. 山原健二郎

    ○山原委員 数字による明示がなされていない理由というのは、少しわかりにくいのですけれども説明をいただいたわけですが、五十五年の農政審答申では人口増による需要増に触れております。例えば「人口増が総需要量に与える影響は、基準年に比べて約一割の増と見込まれる。」と明記しているわけでございます。ところが、昨年の農政審答申ではそのことさえ触れておりません。この答申では基準年を昭和五十九年とし、見通し対象年次を昭和七十年に置いているわけですが、人口は五十九年に一億二千二十三万人、七十年の推定が一億二千七百五十六万人で、約六・一%の増となると推定されております。そうしますと、麦類についての国民一人当たりの消費量は全体として横ばいであるという見通してございますから、人口増による影響等にも触れてどの程度の需要増となるか数字が示せるはずだと思いますが、この人口との関係においてはどのような論議がされているのでしょうか。
  170. 甕滋

    ○甕政府委員 これは麦類には限りませんで、全体を通じての問題でございますけれども先ほど申し上げましたように、六十五年見通しのフォローアップという形で一九九〇年代の姿を定性的に描いたという性格でございまして、人口の影響あるいは需給動向等を数量的に検討したものではないわけでございまして、そういった関係で麦についても、数字について需要供給生産、そういったものを明確に示してはおらないものでございます。
  171. 山原健二郎

    ○山原委員 ちょっとわかりにくいのですが、時間の関係がありますので。米の自給率についてですが、需要見通しについて数字で示すのは比較的容易なはずだと思います。問題は、国内生産量見通し及びそれからはじき出される自給率の見通しをどう立てるか。この見通しを立てるには何らかの政策的判断に立脚しなければならないと思います。例えば五十五年農政審答申の見通しの中で、米の自給率について唱和六十五年度においても一〇〇%という見通しを立てているわけですね。これは米はすべて国内厘米で賄う、輸入は考えていないとの政策的判断に基づくと見られるわけでございます。昨年の農奴審答申の見通してはこの数字が示されておりません。さすがに米については「需要に見合った生厘を見込む。」と書かれております。この意味は見通し対象年次である昭和七十年の時点においても、米の場合は一〇〇%国内生産で賄うというのが農政審答申としての政策的判断であると理解していいのではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  172. 甕滋

    ○甕政府委員 ただいま先生御指摘のように、米について今回のフォローアップの中で具体的な需要量あるいはその生産等につきまして数字で年次を定めてこれを示すことはいたしておりませんが、これは先ほど申し上げましたように、米に限らず全体の品目についてそういうフォローアップになっておるわけでございます。  ただ米につきましてこの需給見通しで書かれておりますのは、「米の一人当たり消費量は引き続き減少するとみられる。」一方「生産は規模の拡大寺によるコストダウンを図りつつ、生産者団体等の自主的取組みを中心として需要に見合った生産を見込む。」こういうことで「水稲の要調整面積は、今後のがい魔の動向等にもよるが、大きく増加すると見込まれる。」という記述でございまして、要するに米については需要に見合った計画生産を行っていくことになっておるわけでございます。国内で必要とする量については国内でこれを供給するという基本的な考え方がここに示されておるわけでございまして、これまでの基本的なラインがその点で踏襲されておるものでございます。
  173. 山原健二郎

    ○山原委員 要するに数字で自給率一〇〇%と書かれておれば大変明瞭でございますけれども、「需要に見合った生産を見込む。」という一般的な表現になりますと解釈に幅が出てくる可能性があるわけですが、今の御答弁によると、米については自給率一〇〇%という意味だと解釈してよろしいわけですね。
  174. 甕滋

    ○甕政府委員 需要に対しては国内生産で対応する、国内で自給を図るという考え方が示されておるものでございまして、私どももそのような考え方でございます。
  175. 山原健二郎

    ○山原委員 麦の場合、自給率はどの程度引き上げるかという問題ですが、麦の国内生産量及び自給率について昭和五十五年の農政審答申の見通しによりますと、小麦について見ますと、申し上げる必要もないと思いますが、国内生産量が三十七万トンから昭和六十五年には百二十二万トン、自給率は六%から一九%、それぞれ三倍強の増大となる見通しを立てているわけです。  ところが、昨年の農政審答申の見通しては、「生産量増加すると見込まれる。」とあるだけでございまして、どの程度生産量と自給率を高める見通しなのかはっきりいたしません。この点についてお聞きしたいのですが、全国町村会は、昭和六十三年度政府予算編成施策に関して取りまとめた要望の中にこう指摘しております。「転作面積が前年度に比べ三割近く増加していることに伴い、いずれの地域においても転作作物の選定には苦慮しているところであり、目標面積の達成は容易ならざる状況にあることは否めないところである。そこで、国は過剰と過小が二極分化を起こしつつある我が国の農産物需給構造を踏まえ、過小なものについての生産拡大については勇断を持って取り組むべきであり、このため過小な作目については積極的に自給率の向上を図るべく農産物の需給生産の長期見通しを早急に策定し、明示すべきことを強く要望する。」こういう強い要望は、裏を返せば、昨年の農政審答申が明確な見通しを示さなかったことに対する強い不満と受けとめるべきだと思うのでございます。この要望に沿って、麦についても、生産拡大については勇断を持って取り組み、積極的に自給率の向上を図るべく具体的な見通しを策定すべきであると考えるのでございますが、この点についてのお考えを伺いたいのであります。
  176. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 麦の自給率の問題でございますが、これはただいま先生が御指摘のとおりでございまして、昭和五十五年に公表された「農産物の需要生産の長期見通し」の中におきましては、目標年次であります昭和六十五年におきまして、小麦について一九%、大・裸麦については一七%、結果論でございますが、両方合わせまして一八%と見通しているところでございます。これにつきましては、先ほどのお話にもございましたように、水田農業確立対策の発足に関連いたしまして、麦の振興という問題につきましてはますます重要性が高まっていると我々は考えておりまして、四十八年に小麦で四%、大・裸麦で一〇%まで低下したという問題でございますが、四十八年度以降この国内生産増加に転化しているわけでございます。六十年度については小麦一四%、大・裸麦一五%まで回復しております。この問題につきましては、さらに昨日におきまして、転作等々を含みまして小麦、大・裸麦等々四麦の面積も拡大をしておりまして、先ほど触れました昭和五十五年に公表されました見通しの達成率といいますか、そういったようなものにつきましても作付面積五十一万ヘクタール、あるいは生産量百八十万トンの約七〇%台に来ているということでございます。  今後の問題については、これは先ほど先生御指摘の「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」と題します農政審の報告においては具体的な数字を掲げておりませんが、ここにおいても総需要量の一定程度の国内生産を確保することを旨として生産振興に努めていくという態度においては変わっておりません。
  177. 山原健二郎

    ○山原委員 要するに何をつくっていいのかという農民の苦境に対して誠実にこたえる必要がありますし、その態度が大事だと思いますが、今のお答えによりますと、当面五十五年に出しました見通しである昭和六十五年度の小麦の国内生産量百二十二万トンを実現するために取り組むというお答えであったと思いますが、その点確認してよろしいですか。
  178. 浜口義曠

    ○浜口政府委員 具体的な先生御指摘の長期見通しというものが六十五年見通しという形で掲げておりまして、その後農政審のレビューという問題もございますが、私ども現状に持っております五十五年見通しにつきましては、これまでの生産対策といったようなものもこの線に沿いつつ達成率を向上してまいったわけでございます。私どもといたしましては、この長期見通しのもと、さらに先ほどの農政審の報告の精神、そういったようなものをあわせて実施をしていきたいというふうに考えるものでございます。
  179. 山原健二郎

    ○山原委員 現在八十八万トン、達成率としては七〇%でございますから、そういう意味でこれから努力をされることと思います。  次に、麦の品質改良の対策についてお伺いしたいのです。試験研究の充実の問題です。  麦の生産拡大を図る上で品質改善が非常な重要性を持っていることについては、この前の当委員会における参考人の意見陳述をお聞きしましたが、四人全員が強調されておられました。その意味ではお互いの認識は同じだと思います。我が国の農業の生産性向上を強調する政府の立場からいいましても、そのための生産技術の改良、開発の重要性は強調してもし過ぎることはないと思うわけでございます。この点で国が果たすべき役割について非常に大きなものがあると思います。この点での認識を伺いたいのです。これが一つです。  同時に、当然のことながら、国の試験研究機関において予算上、体制上の制約で十分な試験研究ができないというようなことがあってはならないし、試験研究機関の充実がいよいよ求められている時期であると思うのでございますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
  180. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 麦の品種改良についての国の役割でございますが、麦につきましては、ビール麦はビール会社等一部の民間会社で取り扱っておられるところがございますけれども、普通のいわゆる精麦なり製めんにする、そういうものについては、国の試験場あるいは国から研究費を出しまして県に指定試験というのを設けておりますが、そういうところで国公立が中心になって育種をやっております。民間でいろいろな作物の育種に対する関心というのは非常に高まっておりますけれども、一般の麦については、今後もやはり国の果たす役割というものが大変大きいものというふうに私ども考えておるわけでございます。  それから体制の問題でございますが、従来の麦の育種研究室といいますか、直接的に育種の研究をやっている研究室というのも国にかなりあるわけでございますけれども、これからだんだん育種のスピードを速くしていかなければいけない、あるいは遺伝資源を各国に求めて、そういったものを交配して麦の品種がつくれるようなものならいいんですけれども、そうではなくて、ハイテクを利用して日本の麦の品種の中に何か特性を入れたいというような場合には品種研究室というような、いわゆる品種をすぐつくるという応用的な研究室だけではなくて、やはりその基礎にあります育種工学というような研究面というのも大変大事でございますので、そういった形での研究室を地域農試にふやしてきております。  また、御指摘がございました品質問題というのはなかなか難しゅうございまして、うどんならうどんにして消費者の方が召し上がってこれはどうだ、ああだというようなことになるまでの間に育種者というのは先取りをしていかなければいけないわけでございまして、わずかな交配をいたしました種の品質分析をやってうどんになったときの特性などを知る、そういうような必要がございますので、そういう品質評価の研究室というようなものも最近はいろいろなところに拡充をいたしております。現在、六十三年度の組織改定に向かって省内で検討いたしておりますけれども、そういう検討方向としても、今申し上げましたような育種の根っこになるハイテクの研究室、あるいは育種の中で大事な品質面をきちっとしていくための研究というようなことに重点を置いて検討しているところでございます。
  181. 山原健二郎

    ○山原委員 試験研究機関の再編問題が起こっておりますね。その点で私は心配をしておるわけですが、現在総理が議長である科学技術会議において試験研究機関のあり方に関する答申の取りまとめが進められております。近いうちに答申されると聞いているわけですが、十三号答申というのが八月二十八日ですが発表の予定ということでございます。これは第二臨調答申や昭和六十年七月の行革審答申の試験研究機関の見直し提言を受けて、その具体化を図るために科学技術会議に諮問されたもので、端的に言って試験研究機関のスクラップ・アンド・ビルド方策が打ち出されているわけでございます。  そこで、第二臨調や行革審の答申の基調からしまして、農業関係の試験研究機関はスクラップの方向での再編ということになるのではないかという危惧の念を持っております。私は科学技術の委員会にしばらくおったのでございますが、農林省関係の研究者からもいろいろ要請をお聞きしたことがあるわけでございますけれども、農業生産性の向上のための技術研究開発はいよいよ重要性を増してきているときでございます。生産者の要望や研究者の意向が無視されるような試験研究機関の再編などはなされてはならないのは当然のことでございます。そういうことは絶対にやらせない、再編に当たっては農業関係者や研究者の意向を十分に踏まえてやる、こういう点について御見解を伺いたいのですが、この点について農林水産大臣、何かお考えがございますでしょうか。
  182. 畑中孝晴

    ○畑中政府委員 ただいまの十三号の諮問のお話でございますが、今週にも答申が成るということでございますけれども、私ども仄聞をいたしておるところによりますれば、いわゆる民間の研究機関あるいは県の研究機関、そういった国以外の研究所というものもかなり充実をしてまいりましたので、そういうものと国の研究機関との関係をどういうふうにするか、あるいは国の試験研究をやっておられる方を活性化していくためにはどういうふうにしたらいいかというようなことが中心に議論をされておりまして、特に国がやるべき分担として基礎的、先導的な研究、あるいはそういういろいろな研究が民間でも進んでまいっておりますので、産学官の連携をどういうふうにしていくかとか、もっと国際協力をやるべきではないか、そういうような内容のものが今検討されておるというふうに聞いております。  私どもとしては、毎年かなりいろいろな形で試験研究機関の再編等もやってまいっておりますけれども、それはいずれも農林水産業の発展ということのためにどういう形の試験研究の組織をつくったらいいかという観点から検討して実行してきたものでございまして、それはただ単に農林関係の試験研究を縮小するというようなことではなくて、新しく研究を発展させなければいけない領域にはそちらの方に研究勢力を振り向ける、全体として大いにふやすというわけにはなかなかまいらない情勢でございますけれども、そういった新しい分野に大いに振り向けて、農林水産業の発展のために試験研究のいい結果が出るようにというような観点で検討しているわけでございます。
  183. 山原健二郎

    ○山原委員 ややもするとこういう試験研究機関に対しては、いろいろ理屈はつけるのですけれども、やはり縮小の方向に向かっている。これは行革の考え方がそうですからね。その中で農林水産などというものに対するしわ寄せというのは当然考えられるわけでございまして、その点についてはやはり断固として生産者あるいは研究者の立場を貫くという姿勢農水省としてお持ちいただくように特に要請をしておきたいと思うのです。  次に、この品質改良に関連しまして穂発芽対策の問題でございますが、多雨多湿という日本の気候風土のもとで、現時点では麦の生産においてさまざまな困難が伴っています。その一つが穂発芽という問題でございます。麦の刈り取り時期に雨が三日続くと穂発芽が発生してしまうとも言われておりますが、ことしも北海道などで一部発生していると聞いております。この点について政府としても実情を調査し、農業災害として特例措置をとってもらいたいという要望も出ておることをお聞きしているわけですが、この点について農水省としてどういう態度をとられようとしておるか、伺っておきたいのです。     〔保利委員長代理退席、委員長着席〕
  184. 青木敏也

    ○青木政府委員 お答え申し上げます。  本年の麦につきまして穂発芽の問題でございますが、現在私ども農業共済の関係団体から報告を受けておりますが、北海道におきましてちょうど収穫期に当たります八月上旬の降雨によりまして比較的広域にわたって穂発芽の被害が発生しているというふうに聞いておるわけでございます。現在、関係団体におきまして被害の地域的な広がりなり被害の深さ等につきまして調査をいたしておるところでございます。  これの対応の考え方でありますが、御案内のとおり農業共済制度というのは原型は収穫収量保険でございます。さはさりながら、こういう穂発芽の発生によりまして麦の品質低下が招来されるわけでございますので、この種の品質低下につきましてはこれを必要に応じまして一つの損害評価に置きかえるということをやっておりまして、その損害評価に置きかえた分を収穫量から減ずるという形で共済金の支払いについて適正を期しているわけでございます。私どもこの扱いを損害評価の特例措置、こう言っておりますが、今回の北海道の麦作につきましても、この損害評価の特例措置につきまして適切を期してまいりたい、こう考えておるところでございます。
  185. 山原健二郎

    ○山原委員 審議官からのお答えは、北海道において広がりつつあるという認識をされておることと、もう一つは、やはり前向きの姿勢で取り組むというお考えだと思いますが、そう理解してよろしいですね。――わかりました。  次に、麦価の問題について質問いたしたいと思います。  本法案の審議に当たりまして、私の党の藤田議員が北海道の麦作地帯の実情の調査に参りましたが、そこでこういう訴えを受けたことを聞いたわけです。その方が言うのには、三十ヘクタールという大規模経営で麦を生産しており、その生産量は三千人分の食糧に当たる、けれども、それに従事する七人の家族が食べていけない、こんなばかな話があるだろうか、こういうお話を承って帰ってこられているわけですが、この点について大臣よく御承知だと思いますが、この現実の話を理解しておられるでしょうか。
  186. 加藤六月

    加藤国務大臣 私も北海道の農業を随分勉強いたしておるつもりでございますが、食べていけないと言われた現状ということなんでしょうか、どういう現状と理解しておるかという御質問なのでしょうか、ちょっと御趣旨がよくわからぬものでございますから……。
  187. 山原健二郎

    ○山原委員 私は簡単に言いましたのでおわかりにくいかもしれませんが、これは現実に聞いてきた声なんですね。私自身も、お会いして聞いたわけではありませんのでその認識は直接的なものではありません。でも、生産性の向上、そのための農業経営規模の拡大、これが政府が繰り返しておられる強調点でございます。その理想に近い大規模農業の担い手が、紹介した話のような現実に置かれているとするならば、これは重大な問題だと思うのです。  農水省が行った「中核農家の意識とニーズに関する調査」、これはきのうですか日経新聞に出ておるわけでございますが、この結果によってもこの問題点が浮き彫りになっていると思います。これによりますと、十年後の農業の担い手について主に専業農家と答えた人が二四・一%だったのに対し、主に兼業農家と答えた人が三〇%を上回るという結果になっているのでございまして、昨日、二十四日の日経の記事によれば、「同省は」、農水省ですね。「専業農家を担い手として描いていたので、ショッキングな結果だ」、これは構造改善局の談だと思いますが、こういうふうに新聞は報じております。また、経営規模を拡大する上での障害については、農産物価格の不安定がトップで二二・一%も出ている。価格引き下げによる打撃は専業農家ほど深刻なのは当然でございます、農業以外の収入に頼るわけにはいかないわけですから。  そういう点から考えますと、経営を大規模にしてつくった農産物の価格生産費と真っ当な所得さえ償えないものなら、だれが好んで規模拡大に取り組みますでしょうか。そういう点から考えまして、生産性向上のかけ声のもとでの低価格政策の採用が、実は農業生産性向上の担い手として期待されている中核専業農家の営農意欲さえ失わせる危険を伴っている、このことを直視すべきだと私は思うのでございます。したがって、麦価を算定するに当たっては、農家の生産費と所得を正当に補償することが基本に据わらなければならないと思うのでございますが、今私が申し上げた例は別にしまして、そういう声があるということをお伝えしておきたいと思います。農家の生産費と所得を正当に補償することが麦価算定の基本に据わらなければならないと思うのですが、この点は農水大臣としてお答えできると思いますが、これはどうお考えですか。
  188. 後藤康夫

    ○後藤政府委員 御提案申し上げております改正法案でパリティ方式を廃止する内容といたしておりますが、そうなりました場合に、では、価格の算定の場合の参酌事項としてどういうものを考えるかということで、ただいまお尋ねの中にもございましたように、やはり麦の生産費その他の生産条件ということでまず第一に生産コスト、生産費というものが一つの手がかりになるだろうということで、参酌事項の第一に挙げておるところでございます。  ただ、何分にも米に比べますと麦作の場合には生産の構造といいますか、それが同質的では必ずしもございません。田麦と畑麦、また都府県と北海道というようなところでかなり作付規模も違ってまいりますし、それから経営形態で見ましても、裏作物ないし輪作物という位置づけでございますので、米のような意味での主業経営というようなものは考えにくいということがございますので、こういった点を念頭に置きながら米価審議会の小委員会算定方式を御検討いただくことになろうかというふうに思っております。法律の条文からもお察しをいただけますように、当然生産費というものにかなり着目をした算定方式の議論になろうかと思っておりますが、今お話のございました生産費と所得を補償するということで、もし米価算定方式におきます生産費及び所得補償方式というようなものをお考えであるといたしますと、今申し上げましたような裏作物、輪作物というような性格、作付規模なり経営形態が非常に多岐であり、また主業農家というような位置づけが米のような意味でしにくいというようなことがございますので、米価と同じような意味での所得補償というような考え方は、麦の場合はとりにくいのではないかなというふうに思っておるところでございます。
  189. 山原健二郎

    ○山原委員 最後に、委員長のお許しをいただきまして、緊急な問題でございますから一問だけお伺いしますが、日韓漁業問題です。  きょう新聞を見ますと緊急集会が開かれておりますし、また我が党の藤田議員が先日長崎を訪れましたときに、長崎市の茂木町の茂木漁協の組合長からいろいろの要請をいただいております。それは韓国漁船による不法操業に対します強い怒りの声でありますが、長崎県の漁業取り締まり班の調査によりますと、八月十日時点ですが、韓国船の不法操業は、一九八四年は百七十一件、八五年に二百四十九件、八六年に四百二十九件、八七年は五月までで二百十一件と毎年倍加の一途をたどっております。組合長は、県内の漁船がやれば罰金も操業禁止処分も受ける底びきをやってごっそり持っていかれる、クルマエビなどの養殖稚魚まで持っていかれると怒っておられるわけでございます。こういう無秩序が放置されますならば、韓国に接する日本沿岸漁業は立ち行かなくなり、資源はますます枯渇してしまいますが、そういう意味で大変な問題です。政府としてもこの問題の打開のために断固たる対策をお考えのことと思います。  韓国船の操業問題は九州沖だけでなく、山陰沖、北海道沖でも重大な問題となっているわけですが、結局この問題の抜本的解決のためには、日韓間も含めた二百海里全面適用が避けて通れない課題となっておると思います。本日もそのために全漁連主催の緊急集会が開かれておるわけですが、その中心スローガン、要求も、まさにこの二百海里全面適用の早期実現というところにあるわけです。この漁業関係者の強い要求に対して農水省としてどういう御決意を持っているか。  日韓協議が簡単に進むものではないことはわかります。しかし、二百海里法の適用が難しいとして四十海里、五十海里の漁業資源管理水域設定という妥協案をとり、さらにそれも難しいとなると、一昨日の日経新聞によりますと、日韓漁業協定の改正は先送りして、当面韓国側監視船に日本のオブザーバーを搭乗させて日本周辺水域での韓国漁船の操業を監視するという内容の妥協案を提示する考えだとも報じておるのでございますが、この点の真偽はいかがでしょうか。同時に、報じられているようなことが事実ならば、問題の根本的解決はまさにたなざらしになるとの危惧を持たざるを得ません。こうした無原則的な妥協はすべきでないことを要求いたしまして、大臣の決断をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。どなたでも結構ですが、最後に大臣に一言お答えいただきたいと思います。
  190. 佐竹五六

    ○佐竹政府委員 確かに二百海里制度の全面適用が問題解決の根本的な方策であることは事実でございますけれども、他面、日本側がこれを一方的に施行するためには日韓漁業協定を破棄しなければならないという問題があるわけでございます。これは、いろいろ問題点があるにせよ、二十年間韓国周辺で日韓漁業協定に基づいて平穏、静ひつに操業してきた我が国の漁船の操業が確保できないことを意味することになるわけでございますので、直ちにはとれないところでございます。そのため、協定改定という方針等を選び韓国側と交渉したわけでございますが、これにつきましてもいろいろ問題点がございまして、韓国側は現在その時期でないということを言っているわけでございます。  一方、十月三十日に現在の自主規制措置が切れるわけでございます。ただ、私どもとしては、最小限北海道周辺海域における国内操業秩序の遵守、それから山陰沖、九州沖における国内漁業秩序、特に今の日韓漁業協定では相互に守る義務を法律的には負っていないことになっております四十年以降に新しく設定されました漁業秩序を韓国側に守らせること、第三点といたしましては、最近特に船名隠ぺい船がふえておるわけでございまして、これでは現在の旗国主義をうまく活用づける前提条件がないわけでございますので、これに対して取り締まり権の確立のための何らかの方策ということを模索しているわけでございます。そのためにいろいろな方法を検討しているわけでございますが、新聞で報道されているのは正確ではございませんけれども、いろいろな方法を研究していることは事実でございます。
  191. 加藤六月

    加藤国務大臣 山原委員御認識のとおり、この日韓間における問題解決のアプローチには大きな相違があります。そして、その解決は非常に困難が予想されておるところでございます。しかしながら、両国の認識として、今長官がお答えしましたような問題で何とかしなくてはならないという点における認識はだんだん近づいてきておるのではないかと思っております。したがいまして、基本的な問題は今後とも協議を続けていく一方、当面の問題につきましては、十月末までの問題解決を目指して全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
  192. 山原健二郎

    ○山原委員 終わります。
  193. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  194. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  195. 辻一彦

    ○辻(一)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、食糧管理法の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行うものであります。  最近の我が国農業、農村は内外ともにまことに厳しい状況に直面しております。すなわち、内にあっては厳しい減反と相まって農産物価格が低迷し、加えて円高等に起因する雇用条件の悪化等により農家経済はかつてない不安定な状態に置かれております。また、外にあっては、米を初めとする農産物の市場開放要求が激化し、農家は農業の将来に対し強い不安を抱いているのが実情であります。  こうした中で、政府は、今後の農政の進め方について、農政審の報告等に沿って、国際化に対応した農業体質の強化を図ることを主眼とする施策を積極的に推進すると表明しております。しかし、その内容は、農産物価格の内外格差の縮小を図るための農業保護政策の大幅な見直しであり、言いかえれば、構造政策の推進に名をかりた価格政策からの後退にほかならないのであります。  近年、各種農産物価格は抑制的に決定されてきましたが、本年に入り、米価を初め麦価、乳価等の大幅な引き下げが行われ、これが農家及び農村の疲弊に一層の拍車をかけておりますことは御承知のとおりであります。  構造政策は長い期間を要する地道な政策課題であり、この間性急に価格の引き下げを強行することは農業、農村の健全な発展にとって、なかんずく中核農家の育成等にとっても決して好ましい施策でないことは明白であります。また、現在政府が国政の最重要課題として取り組んでいる内需の拡大につきましても、農村における購買力の付与は大きな課題の一つであり、そのための農産物価格の安定と、これにより農家の所得確保を図ることが何よりも重要なことであります。  次に、今回の食管法改正は、端的に言えば価格引き下げのための一連の措置であり、我々としては断じて賛成しがたいのであります。  以下、反対の具体的理由を簡単に申し上げます。  第一点は、改正案による麦価の算定方式が必ずしも明確でないことであります。このため、価格が国の財政事情等により恣意的に決定されることが懸念されるのであります。こうしたことは農家の長期にわたる確固たる営農計画の樹立を阻害し、また減反政策の推進にも悪影響を及ぼすことは明白であります。  第二点は、生産性の向上を価格反映させることを法改正の最重要課題としていることであります。生産性向上メリットの大部分を価格の引き下げ要素として反映させることは、農家の生産意欲を著しく阻害し、麦作の健全な発展にとって決して好ましい方法とは言えないのであります。  第三点は、麦価算定方式の変更に伴う麦作振興の関連対策が確立されていないことであります。すなわち、政府は、今回の法改正に関連し、基盤整備の円滑な推進に必要な農家負担の軽減、あるいは生産資材価格の引き下げ措置等について具体的な施策を明示する必要がありますが、質疑を通しては残念ながらこれら施策が必ずしも明確にされなかったのであります。  以上が食管法の改正に反対する主要な理由であります。  これをもちまして反対討論を終わります。
  196. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 藤田スミ君。
  197. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、食糧管理法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  改正案は、パリティ方式は物価上昇に合わせて価格が上昇するため生産性向上が価格反映しないとして、パリティ方式そのものを廃止し、一方、麦の需給動向価格算定の参酌事項とし、さらに生産性の向上と品質改善に資するよう配慮するなどという、これは農政審報告に基づく価格政策、内外価格是正と財政負担の軽減を具体化したものであり、強く反対するものです。  そもそも現行のパリティ方式についても、昭和五十六年来、臨調行革の食管合理化攻撃が行われる中で、生産性向上分の調整を口実に、基本価格に織り込まれた奨励金部分を毎年削減し、価格を抑制、据え置きし、昨年、六十二年産は四・九%の引き下げを強行しました。このことに見られるように、再生産の確保を旨とするという規定があるにもかかわらず再生産を確保し得ず、生産費を償わない低価格押しつけの算定方式となっていました。  改正案は、価格算定に生産費を参酌することとしてありますが、米価の生産者所得補償方式とは根本的に異なり、この低価格押しつけのパリティ方式をさらに改悪したものであり、財界の空洞化攻撃のおどしのもとで食管法を財界の意のままに改悪しようとするものであります。  さらに、水田農業確立対策は、水田再編対策における麦増産のため水田転作の重点作物とするという方針を転換し、麦を一般作物並みに格下げしましたが、この法改正による麦価算定の見直しは、これと連動して麦増産、自給率向上を放棄する役割を果たすものであり、強く反対するものです。  以上、日本共産党・革新共同の反対討論を終わります。
  198. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  199. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 これより採決に入ります。  第百八回国会内閣提出食糧管理法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  200. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  201. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 この際、本案に対し、月原氏皓君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を聴取いたします。前島秀行君。
  202. 前島秀行

    ○前島委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、食糧管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     食糧管理法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   麦は、畑作における合理的な輪作の基幹作物として、また、水田における重要な転作及び裏作作物として農地の高度利用と農家の所得確保を図るうえで大きな役割を果たしている。   よって政府は、中長期展望の下に国内産麦の自給力の向上をめざした生産振興を図るとともに、本法の施行に当たっては、左記事項の実現に努め、生産農家の経営安定に遺憾なきを期すべきである。       記  一 麦の政府買入価格については、生産者の理解が得られる算定方式を確立するとともに、その算定に当たっては、従来の価格算定の経緯、麦作の生産実態等をも十分勘案し、再生産の確保が図られる価格を実現すること。    なお、生産性向上の反映については、農家への還元にも十分配慮して行うこと。  二 品質格差については、需要動向と併せ、良品質麦の開発普及の実情等にも十分配慮した運用を行うこと。  三 麦作の生産性向上を図るため、土地基盤の整備、農地流動化の促進、麦作集団の育成、機械化一貫作業体系の確立、栽培技術の改善等に必要な施策の拡充に努めること。  四 国内産麦の品質改善とこれによる需要の一層の拡大を図るため、加工適性に優れた早生・多収品種の開発普及に努めるとともに、地域の条件に即した良品質麦の作付け及び適切な栽培管理等に対する指導を強化すること。  五 麦の品質向上と流通の合理化を図るため、共同乾燥調製・ばら流通施設の整備等広域的な案出荷体制の確立を積極的に推進すること。   右決議する。  以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑経過等を通じて委員各位の御承知のところと思いますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
  203. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  月原氏皓君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  204. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤農林水産大臣
  205. 加藤六月

    加藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処してまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  206. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  207. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  208. 玉沢徳一郎

    玉沢委員長 次回は、来る九月一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会