○後藤政府
委員 大変数多くのお尋ねのうち、まず私
どもに
関係をいたします部分を
お答えさせていただきたいと思います。
流通研究会あるいはまた米の
需給、集荷、消費各般にわたるお尋ねがございまして、それを貫く一つのお尋ねの
基本的な
考え方の中に、最近食管制度に市場原理とか競争原理を導入するということがあるけれ
ども、それと食管堅持という一方のポリシーとの整合性というのはどうかというお考えが
基本に流れているように私、承ったわけでございます。
食糧管理法は昭和十七年に制定されまして、以後、米の
需給事情なり経済環境の変化に即応しまして自主流通制度を創設するとか、あるいはまた、昭和五十六年には法そのものを改正するというようなことを通じまして市場原理を取り入れたかなり弾力的な管理の仕組みに変わってきているというふうに思います。
私
ども、食管の
基本でございます政府が米を管理することによりまして
価格と
需給の調整を図るというためには、食管制度が本来持っております一種の計画原理といいますか、そういう大枠をやはり堅持していかなければいけない。ただ、その中で
需給事情なり社会経済情勢の変化、そしてまた、最近は特に
消費者のニーズというふうなものが非常に多様化をしてまいっておりますので、そういった
状況に対応するための市場原理の導入、いわば本来食管制度が持っております計画原理と社会経済情勢の変化によりまして必要とされてくる市場原理との適切な調和を図りながら、やや八万美人的な言い方になりますけれ
ども、
生産者にとっても
消費者にとっても、そのニーズにこたえられるような、そして同時に、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによりまして、必要な米の再
生産を
生産者には保障し、
消費者には家計の安定あるいは
供給責任を果たしていくという
基本を守っていくということが一番いい姿ではないかというふうに考えておるわけでございます。
問題は、そういった制度の
基本を守りながら、その中で国民各界各層の御理解と協力が得られるような市場原理をどういうふうに計画原理の中に調和的に取り込んでまいるかという、その仕方にあるわけでございます。
昨年の農政審報告では主として四点を挙げておりまして、
生産者米価の適切な決定とか自主流通米の拡大等による米流通の活性化、集荷、販売の両面にわたる流通
体制への競争条件の導入、それから米の
需給調整等政府米の過剰
在庫発生防止のための
生産者、集荷団体の主体的な取り組み、こういった食管の運営改善が必要であるということを挙げております。
現在、そのうちの特に米の流通に
関係をいたします問題、自主流通米の拡大と流通
体制への競争条件の導入の問題につきまして米流通研究会を私
どもで開催をいたしまして
検討を進めておるところでございます。この研究会におきましては現在二つの部会を設けまして、自主流通の拡大の問題、それから集荷、販売を通じます米の流通への競争条件の導入の問題について、先週までかかりまして一とおり討議すべき項目の議論を終えましてこれから論点整理に入り、その論点整理を流通研究会に上げまして十月中に報告を取りまとめるという段取りで現在進めている
過程でございます。
お尋ねの中に、自主流通米の拡大をする中で政府米はどの程度持つことが必要と考えるかということがございましたが、この問題につきましても、現在部会そしてまた研究会で
検討をしておるところでございます。ただ単に政府米が引っ込むということではございませんで、自主流通米をどのように拡大していくかという手法なりあるいはまた政府米の担うべき役割、そのためにどの程度の政府米を持つことが必要かというようなことをめぐって今種々御議論をいただいておるところでございます。
それから、ことしの秋の集荷対策の問題でございますが、これにつきましては六十年産米から特別集荷制度というのを導入いたしまして、予約限度を超過して出荷されます米につきまして結びつきの登録
生産者以外からも集荷ができるという道を開きまして、また区域も市町村の区域を越えて隣接ぐらいのところまで広域に集荷ができるということで、六十年産米は初
年度でございまして余り実績が上がりませんでしたが、昨年は十七万トン近い実績も上げておるわけでございます。しかし、ことしの場合、作柄等によりましては、
価格関係も現在順ざやの状態になってまいっておりますし、さらに転作目標面積の拡大ということで、その達成率につきましても地域的にでこぼこが出てまいりますと、全体としての作柄のほかに地域的に超過米が出るというような事態も予想されるわけでございますので、そういったことから不正規流通が増大をするおそれも十分あるということで、適正なルートに超過米の集荷を確保するという観点から、今集荷制度の見直し
検討を行っておりまして、私
どもの内部でも
検討いたしておりますと同時に、
関係団体ともいろいろなお話し合いを申し上げておるところでございます。
それから、今
年度三度目の過剰となった場合、
需要と
供給のバランスをどういうふうにとっていくのかというお尋ねでございます。
この点は
先ほどの売却につきましての特別対策の際にもちょっと申し上げたところでございますが、政府米の売却が必ずしも順調に進展をしていないということは事実でございますが、今計画的な
在庫形成なりあるいは売却というものをできるだけ達成するために全力を挙げておるところでございますし、ことしの作柄についていろいろ新聞等でも取りざたはされておりますけれ
ども、まだまだこれから九月ないし十月の初めにかけての気象条件ということまで
見通しませんと、それがどうなるかということまで考えませんと、作柄について云々をし、それに基づいてまたいろいろな事態を考えるということは時期尚早ではないかと思っております。
日ごろから私
どもの
大臣が申されておりますように、三度の過剰が発生をする、あるいは三度目の大量の過剰米処理というようなことが必要な事態になりますれば、食糧管理制度の存立自体にも及ぶ問題だというふうに認識をいたしておりますし、今後、六十二年産米の作柄なりあるいはまた消費の動きも含めた
需給動向を十分に見きわめながら、米の
需給均衡の確保に向けまして、水田農業確立対策の推進と食糧管理制度の円滑な運営に努めていかなければいけない、こういうふうに考えておるところでございます。