○
西廣政府委員 大変多くの御質問があったと思いますが、若干
答弁漏れがあるかもしれませんが、後にまた補足させていただきたいと思います。
まず
洋上防空、洋上における防空の問題でございますが、私は、この問題が最近非常に深刻な問題になってきたというのは、やはり航空機の技術あるいは航空機に搭載するミサイル等の技術というものが進歩してきたということが非常に大きな
理由であるというように
考えております。御承知のように、航続距離の長い爆撃機等は一時期だんだん減っていく傾向にありましたけれども、それが最近になって、またハイスピードの航続距離の長い爆撃機がふえてきておる。しかも、それらに搭載するミサイルというものが非常に精度がよく、しかも射程の長いミサイルというものが搭載されるようになり、多用されるようになったということであります。
したがいまして、従来であれば、例えば洋上にある船舶というのは、そこに到達する航空機そのものが少なかった。仮に長距離の爆撃機等があって頭上にあらわれたにしても、船舶の上まで来て爆弾を落とすというような方法で攻撃をしておったわけでありますから、頭上にある敵機を撃破する方法さえあれば防空が可能であったわけであります。しかしながら、今申し上げたように、技術の進歩によって百キロ、二百キロと非常に離れた空中からミサイルを発射する、それが船舶に飛んでくるということになりますと、そのミサイルを何とかして防がなければいけない。ミサイルを防いでいただけでは相手は余り痛痒を感じませんので、その発射する母機に対応しなければいけないということになりますと、現在艦艇が
装備しておりますミサイルなり対空火砲というものでは全く対抗手段がない、つまり、おりの中にいる動物が屠殺されるように自由自在にやられてしまうという
状況が出現しつつあるということであります。
これはまた、船舶だけでなく、地上のレーダーサイト等についても同様な問題があるわけでございますが、いずれにしろ、そういった問題を何とか解決しなければいけないというのが最近
洋上防空についていろいろと論じられているゆえんであろうと思います。
そこで、
お尋ねの幾つかの具体的な問題について申し上げますと、OTHという問題がございます。OTHは、御存じのように、非常に広い範囲についての航空機の運航
状況とかあるいは船舶の行動というものが把握できるレーダーということで私どもは
理解をいたしております。そういった、かなり離れたところにある航空機なり艦艇がどちらを向いているかということが早期に把握できるということは、それに対して我が方の船舶等がそういった航空機からの攻撃から回避をするチャンスが出てくるということが第一点にあろうと思います。第二番目には、そういう
時点で発見できれば、それに対して戦闘機等を急派して、途中で船舶が攻撃を受ける前に要撃することも可能ではなかろうかということで、OTHはそういう早期の広域の監視機能としては非常に有効なものであろうというように
考えております。
エイジス艦でございますが、従来から、御承知のように船舶、艦艇には対空火砲、それからCIWSといったような対空機関銃、さらにはターターといったような対空ミサイルを搭載して、船舶あるいは船団等の防空に当たっておったわけでございます。しかしながら、先ほど申したように、ミサイルが船舶に対して攻撃をしかけてくるという
状況になりますと、現在のターター艦、ターターシステムのように、レーダーの覆域が狭い、あるいは射程が短い、さらには発射速度が遅いといいますか、リアクションタイムが比較的長いということになりますと、飛んでくるミサイルを撃ち落とすチャンスというものは非常に少ない、確率が低いということになります。
それでは、
現状のように洋上における防空に対して特段の要撃措置ができないような
状況では船舶は全く無防備で航行せざるを得ない、それを何とかしてやりたい、最終段階の相手の発射したミサイルに対応するための手段として、より高性能なミサイルシステムを積んだ艦艇が必要ではないかということで現在検討をし、エイジス艦、エイジスシステムというものが適当ではなかろうかという結論を得つつあるところであります。
それから、F15については
洋上防空とは離れて御質問がありましたが、御承知のようにF15はかつて我が方の主力戦闘機でありましたF4あるいはその前の104、そういったものの退役に応じまして逐次補充をしていくということで、十三個飛行隊というもので
平時からの領空侵犯措置を行うとともに、有事、小規模限定的な
事態に対応するという飛行部隊の
基軸をなすものでありまして、周辺諸国の航空機というものが第三世代、第四世代にかわっていくのに対応して、我が方としてもF15に逐次かわりつつ既存の飛行隊というものを維持していこうというものであります。最後に、P3Cの近代化の問題でございますが、ただいま先生、ココム事件に関連してというお話がありましたが、我々としては周辺の国の潜水艦の高性能化、音などが小さくなることも含めまして、そういった
状況は過去ずっと続いております。そういったことに対応するために、対潜能力として探知機材あるいは魚雷、そういったものを含めて逐年近代化というものを研究しながら図ってきておるわけでございます。
そういう
意味で、建造する護衛艦というものは、たとえ同じDDならDDということであっても、搭載している対潜探知機材なりそういったものについては、開発等が終われば新しいタイプのものをつけていくということで進めてきております。
P3Cにつきましても、P3Cは
昭和五十三年に確か
最初の発注をしたと思いますが、その後五年ぐらい
たちました五十八年に、一度、近代化をするために新しく幾らか近代化したものに五十八年以降かえております。さらに五年ほど
たちまして、今回、来年度は新しい音響分析の処理についてより能力の高いものにかえたいという希望を持っております。
これは、
アメリカで大分前に開発されまして、
アメリカ海軍は既に使用しておるものでございますけれども、我々としてかねがね早く
日本にもリリースしてくれということを申し入れており、幸いにしてそれが可能になったということで、来年度からアップデートⅢという新しいタイプのものに移っていきたいということでございますが、これらは中期
計画あるいは
年度年度の業務
計画の中で既定の
計画としてやりたいということで進めておったもので、先般のココム事件とは特段に直接的には関係がないというものであることを御
理解いただきたいと思います。