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1987-08-20 第109回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十日(木曜日)     午前十時三十分開議 出席委員   委員長 石川 要三君    理事 竹中 修一君 理事 戸塚 進也君    理事 船田  元君 理事 宮下 創平君    理事 上原 康助君 理事 竹内 勝彦君    理事 和田 一仁君       内海 英男君    江藤 隆美君       大村 襄治君    河野 洋平君       鴻池 祥肇君    月原 茂皓君       前田 武志君    宮里 松正君       谷津 義男君    角屋堅次郎君       田口 健二君    野坂 浩賢君       広瀬 秀吉君    鈴切 康雄君       森本 晃司君    吉田 之久君       浦井  洋君    柴田 睦夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 倉成  正君         国 務 大 臣         (内閣官房長官後藤田正晴君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 山下 徳夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         内閣官房内閣内         政審議室長   的場 順三君         内閣官房内閣外         政審議室長   國廣 道彦君         内閣官房内閣安         全保障室長   佐々 淳行君         人  事  官 佐野 弘吉君         人事院事務総局         給与局長    中島 忠能君         人事院事務総局         職員局長    川崎 正道君         内閣総理大臣官         房会計課長   河原崎守彦君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         外務省アジア局         長       藤田 公郎君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省欧亜局長 長谷川和年君         外務省経済局長 渡辺 幸治君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君         外務省情報調査         局長      新井 弘一君         通商産業大臣官         房審議官    深沢  亘君  委員外出席者         通商産業省貿易         局輸出課安全保         障貿易管理室長 岩井  篤君         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十日  辞任         補欠選任   井上 和久君     森本 晃司君   川端 達夫君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   森本 晃司君     井上 和久君   吉田 之久君     川端 達夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第百八回国会閣法第三〇号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第百八回国会閣法第三一号)      ――――◇―――――
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  第百八回国会内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 過般、本委員会防衛庁長官から防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案提案理由説明がございまして、火曜日には与党先生の方から質問があり、きょうから本格的に私を初め野党質問が始まっていくわけでございます。  冒頭に、官房長官にも御出席願いまして、総務庁長官等も含めてお尋ねをしたいわけでございますが、御案内のとおり、八月六日に人事院勧告が出ました。これはあすも含めて当内閣委員会で議論が展開されることに相なっております。官房長官はきょう十一時から記者会見ということもございまして、冒頭にこれらの点をお尋ねしながら、記者会見が終わったら引き続き私の質問官房長官にも予定がございますので、年配でございますから息せき切ってというわけにはいきませんけれども、しかるべき時間に引き続き御出席をいただきたいということをお願いしておきます。  中曽根内閣が成立しましてから今日四年九カ月をけみしております。この功罪はここでいろいろ議論するいとまがございませんけれども、佐藤、吉田内閣と並ぶ長期政権ということで今日政権担当しておられるわけであります。殊に後藤田官房長官は終始内閣の中枢の地位にあって中曽根内閣を支えるという重責を果たしてこられたわけでありますが、いよいよ十月には再続投なしで新しい人へのバトンタッチという政治情勢になっておるかと思うのであります。したがって、中曽根内閣を有終の美をもって終わらせるというのが与党気持ちでもありましょうし、殊に内閣を支えた後藤田さんのお気持ちであろうかと思うのであります、  そこで、御案内のとおり人事院勧告が、給与勧告あるいは週休二日制、四週六休制実施、それから土曜閉庁問題ということで出されました。人事院総裁内海さんが今病気入院中というふうに承っておりますけれども、恐らくこれはことしの人勧の問題をどういうふうにするかということで大変御心労されて、それもあって御病気になっているのではないかとも思うのであります。昨年来の経緯もあり、具体的に給与勧告をどういうふうにしていくべきか、あるいは労働時間短縮という国際的な要請の中で四週六休制完全実施というようなものを含めてどういうふうにしていくかということで、人事院としては相当慎重な配慮もしながら勧告に踏み切られた、その点は私は評価をするにやぶさかではございません。  貴重な時間でありますけれども、せっかく国会並びに内閣に対して人事院から御勧告があったわけですから、内海総裁は御出席でありませんけれども人事院の方から今回の勧告ポイントについて簡潔にお話しを願いたいと思います。
  4. 佐野弘吉

    佐野政府委員 ただいまのお尋ねにつきまして概略お答え申し上げます。  本年の勧告は、給与勧告週休二日制の二つ勧告をいたしたことが例年と異なるところでございます。  まず、勧告に当たりまして、ただいまお話もございましたように、最近の経済環境を反映いたしまして企業経営等が厳しい状況にあります。この辺の状況を見まして、私どもといたしましても極めて慎重に勧告の作業に当たりまして、例年になく、各四月一日に行います民間公務員実態調査の中でも、民間企業経営の中でどのようにしてこの不況を乗り切るかというような点で、休業、雇用調整あるいは経営合理化営業活動と、万般にわたりまして詳細に調査をいたしました。その中で、私どもの想像以上に各企業経営努力をいたしまして、賃金改定はおおむねのところで低率ながら行っておるということを明確に把握をいたしました。  また、週休二日制度につきましても、四週五休制から四週六休制へ移行するということにつきましても、公務のあり方等について広く各界の御意見を聴取し、あわせて公務員仕事につきましても御理解と納得を得るような努力が各地方都市等におきましてもございまして、中小企業を含みます経営者あるいは人事管理、労政の専門家学識経験者万般皆様方の世論をお聞きする努力をいたしました。  その結果、六日に勧告いたしましたように、官民の較差一・四七%、三千九百八十五円という数字が出まして、これを正式に給与勧告数字といたしました。勧告実施以来一番の低率のベア率でございます。しかしながら、三千九百八十五円という数字は今日の勤労者の生活の中で軽視し得ない数字と思いまして、これらを勧告をいたして国会並びに政府にお取り上げを願うということにいたしたわけでございます。  これらを俸給表に割り当てるにつきましては、社会的な水準に照らしまして、初任給の周辺に重く意を用い、その他全俸給表万般にわたりまして改善を加えました。  昨年来当委員会でも御指摘があったところでございますが、本年は通勤手当住居手当に絞りまして改善を加えました。  次いで、御指摘週休二日制につきましては、昨年四週六休制試行を提言いたしまして、昨年十一月からこれの試行に入りましたところ、本年の五月、六月の状況調査によりますと八九%の各官庁において試行に入っておりまして、順調な推移を見ております。それで、この十一月にこの試行が大体その時期が来るわけでございまして、今回八年ぶりで週休二日制の問題につきましては改めて四週六休制を本格的に実施するという勧告をいたしたところが特徴でございます。  これに関連いたしまして、国際的、国内的な諸条件、あるいは労働時間を国際水準に合わせるというようなことも背景にございまして、私どもとしては、四週六休制本格実施に照応して、土曜日の閉庁という問題につきましても今回の勧告並びに報告の中で提言をいたしております。私どもは、将来の労働時間の短縮というものと関連して完全週休二日制を目標に掲げた場合には、閉庁主義というものは避けて通れないというふうに認識をいたしております。したがいまして、旧来の四週五休制あるいは四週六休制試行から、改めて完全週休二日制への経過的措置として今回の四週六休制勧告を認識いたしておりますので、この閉庁主義というものもあえて言及いたしております。しかし、これは政府行政サービスの維持という観点からお決めになられることでございますので、政府の方でこの点について真剣な業務改善が行われて踏み切れるということになりましたら、人事院としてもこれに対応する準備をいたす、そのように考えております。  以上が今回の給与並びに四週六休制勧告二つの概要でございます。よろしく御審議の上、勧告どおり実施の運びにさせていただければ人事院としては大変にありがたい、このように思っております。
  5. 角屋堅次郎

    角屋委員 ただいま人事院の方から今回の人事院勧告ポイントについて御説明がございました。山下総務庁長官給与担当大臣でございます。したがって、今回の人事院勧告完全実施の問題については、直接担当責任大臣として非常に大きな役割を持っておられるわけであります。  しかも、総務庁におかれては大臣の御方針に基づいて、四週六休制完全実施をやらなければならぬだろう、土曜閉庁問題も具体的に進めるということで検討しなければならぬだろうということで、土曜閉庁問題については閉庁問題専門部会というのを設置されて寄り寄り関係省庁と御検討されてきた。また同時に、土曜閉庁も含む週休二日制の問題については、サミット加盟先進諸国実態調査もされて、きょうあたり一斉にマスコミを通じてその調査結果が報道されておるわけでありますが、それを見ますと、イタリアを除いて、アメリカにしろイギリスにしろ西ドイツにしろ、そういう先進六カ国関係における週休二日制の問題、これは労働時間も含めて日本よりははるかに進んでおるという調査結果を発表されております。  同時に、人事院週休二日制の四週六休制をとるに当たって四十カ国ぐらいの国々の調査をやりまして、十九カ国では早い時期にもう完全実施をされておる、その他の国においても日本よりははるかに進んだ労働時間の短縮をやっておる。新前川レポートを見るわけではありませんが、また同時に、労働界においても、日本は働き過ぎであるという批判にこたえるためにもなるべく早い機会に千八百時間という労働時間に向けた最大限努力をしなければならぬという強い要請もあります。これは単に労働界だけではなしに、我が国の経済全体から見ても、あるいは政府におかれても国際的水準に前提を置いた労働時間の短縮ということに鋭意努力しなければならぬ客観情勢にあるかと思うのであります。  この機会に、給与勧告週休二日制の完全実施、土曜閉庁問題、こういうことに対して、給与担当大臣として山下総務庁長官から御答弁願いたいと思います。
  6. 山下徳夫

    山下国務大臣 ただいま先生からのお話にもございましたように、人事院総裁初め大変な苦労をなさいまして、慎重御審議の結果の勧告でございます。  そこで、まず給与につきましては、関係閣僚会議においてその取り扱い検討に既に着手したところでございます。私といたしましては、この勧告につきまして給与担当大臣として当然完全実施をやらなければならぬということで、今後とも最大限努力を重ねてまいりたいと思っております。  さらに、週休二日制につきましては、既に御案内のとおり十一月から試行をいたしておりますので、この状況を踏まえながら総務庁中心に現在取り扱い検討いたしておるところでございます。  さらに、閉庁方式の導入につきましては、これもまた専門部会中心に既に検討に入っておりますが、さらに今後具体的にこの検討を進めてまいりたい。  それぞれの問題については、人事院勧告どおりあるいは報告のとおりに完全に行うという担当大臣としての決意に変わりはございません。
  7. 角屋堅次郎

    角屋委員 今、給与担当大臣でございます山下総務庁長官の方から、今回の人事院勧告については完全実施ということで最大努力をしていきたい、こういう御答弁がございました。  そこで、内閣の総元締め後藤田官房長官にお伺いをいたしたいのでございますけれどもマスコミを含め、ことしの人事院勧告の一般の受けとめ方からすれば、労働時間の短縮日本がやらなければならぬ国際的責任である、そういう意味で、諸外国の例から見ても四週六休制は完全に実施していかなければいかぬ。あるいは土曜閉庁の問題、これは内閣検討すべき問題がもちろんございます。病院がございますし、診療所がございますし、窓口業務の問題がございましょう。そういう問題も含めて、広範に土曜閉庁を速やかに実施をするということで最大努力をしていかなければならぬ。去年の十一月から四週六休制試行しておりまして、やがて一年を迎える、そこから完全実施に切りかえるという目途でこれからも鋭意検討していかなければならぬだろうと思います。  公務員共闘等公務員関係労働者が、後藤田官房長官あるいは山下総務庁長官宮澤大蔵大臣等々、平井労働大臣も含めて、人勧が出ました後各大臣との折衝をやられました、その模様についてはレポートを通じて私ども承知をしております。同時に、私ども党といたしましても、官房長官に対してもあるいは山下総務庁長官に対しても、私は山下総務庁長官のところへお邪魔をして要請したわけですが、それぞれ完全実施を速やかに実施してもらいたいという要請を行ったところでございます。  そこで、冒頭に申し上げましたように、中曽根内閣が五十七年十一月二十七日に発足いたしましてから今日四年九カ月をけみしておるわけでございますが、鈴木内閣以来中曽根内閣になりましてから、給与問題については減額があり、凍結があり、減額があり、そして後藤田さんが積み残し分を含めて完全実施という御方針を内外に明らかにされて、去年久方ぶりに完全実施が行われた。人事院は、この完全実施公務員労働者仕事をやっていくところの情熱、熱意、あるいはまた労使関係の安定ということで非常に大きな貢献をした、報告の中にもそういう点に触れておるわけでございますが、私どもとすれば、中曽根内閣守備範囲責任の時期の範囲内で人事院勧告を完全に実施してもらいたいというのが願いでございます。  つまり、去年の場合は、御案内のとおり八月十二日に人事院勧告が出まして、最終的には完全実施されたわけでございますけれども閣議決定は十月二十一日だったわけでございます。ことしの場合は、給与関係閣僚会議という御協議も当然内閣の手続としてやらなければならぬわけですけれども、こいねがわくは八月の終わりごろまでに人事院勧告完全実施ということを閣議で御決定をいただいて、そして九月の早々にはそれに基づいて給与法の御提案をされるということにもし御英断があれば、これは与野党とも給与法の改正についてはそう時間をかけずに処理することができるというふうに思うわけでありまして、中曽根内閣責任において速やかに閣議決定給与法提案というのを今度の国会でぜひ実現をしてもらいたい。  従来、人勧が八月に出ますと、大体十月ごろに、いろいろかんかんがくがくがあってもなくても、その辺のところで閣議決定をして、年末のところで給与法処理するということが一つのパターンのようになっておったわけでございますが、民間は春の段階処理がされておるのを、公務員労働者については十二月まで延々おくれなければならぬという理由は何らないのでありまして、これは人勧が四月の時点における民間給与実態民間準拠ということで、四万の事業所の母集団から約七千七百の標本を抽出して綿密な調査を行った結果に基づいて八月に勧告をする、そういうルールでございますから八月になりますけれども実施は早い方がいいのでありまして、私ども願いとすれば、内閣元締めをやっておられます後藤田官房長官の方におかれても、今度の国会中に閣議決定、そして給与法提案ということでひとつ御努力願いたいと思うわけでありますが、官房長官の御答弁願います。
  8. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 先ほど佐野人事官から御報告がございましたように、ことしの人事院仕事は、大変厳しい客観情勢の中で慎重に御検討をなさった上での勧告であろう、かように私は受けとめておるわけでございます。それだけにまた、人事院勧告の性格から見ましても、諸般の状況を考えなければならぬことは当然でございますけれども最大限人事院勧告を尊重をしてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。  八月六日に勧告がございまして、七日に第一回の給与関係閣僚会議がございました。しかし今回は、給与のみならず四週六休制実施、この二つについての勧告、さらには土曜閉庁方式というものについての、これは勧告というよりは報告とでもいいますかやや含みのあるお扱いでございますが、出ております。こういったことを考えますと、角屋さんがおっしゃるように、できるだけ早く内閣としても給与関係閣僚会議結論を出したい、その努力はしたいと思いますが、果たしてこの御要望のとおりの時期に出し得るかどうかということは、いましばらく、給与関係閣僚会議を何回か開かせていただいた上で決定をしなければなりませんので、今直ちにこの内閣でこの国会中にも早急に云々というのは、角屋さんの強い御要望であるという受けとめ方でひとつお許しをいただきたい、かように思います。
  9. 角屋堅次郎

    角屋委員 官房長官角屋さんのと言ったけれども、私だけじゃないのです。これは公務員労働者全体もそうであります。それから、恐らくこの点は与野党にそう異議はないというふうに基本的には思います。同時に、今回の人事院勧告は、マスコミその他全体の報道を見ても、非常に温かく今回の勧告について受けとめておるというふうに私は判断をいたしておるわけでありまして、大体十月に閣議決定、十二月に片づけるというのじゃなしに、現中曽根内閣でこの問題は処理をするということを基本方針総理がなされ、官房長官がそういう政治判断をされれば、八月の下旬までに何回か給与関係閣僚会議をやることは当然必要だと思いますけれども、今度臨時国会がたまたま八月の勧告も含めて九月まで開かれておるわけでありますから、それから、給与法提案になればこれは片づけるのにそう多くの時間を要しないという問題でありますから、ぜひそういうことで努力をしてもらいたいというふうに思います。  公務員共闘がお会いしたときに、官房長官の御答弁、それぞれの大臣のあれが簡単に出ておりますが、給与勧告についてはこれはやらなければならぬと思うけれども週休二日制、特に土曜閉庁の問題も含めてはよくよく検討しなければならぬと御答弁になったように報道としては出ております。これは今試行が八九%の段階でやられて、実施をされていないところも含めて、土曜閉庁の問題も含めて、どういうふうに四週六休をやっていくかというのは若干やはり検討期間が要ると私は思います。要ると思いますけれども年内に四週六休制完全実施にもちろん切りかえていかなければなりません、土曜閉庁をそれに織り込まなければなりませんということで、これはかすに若干の時間は要りますけれども人事院勧告そのもの閣議決定は、これは閣議として決定をする、とりあえず今度の臨時国会には給与法提案する、こういうプログラムについてはぜひひとつ官房長官取りまとめ役としてさらに努力願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  10. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問のお気持ちはよくわかります。私が先ほどのようなお答えをすれば、必ず角屋さんはきょうは、そんなら二つ分けたらどうや、給与の方だけを早くやれ、あと年内に出せ、こうおっしゃるだろうと思いながら実は出てきたわけでございます。  そのとおりでございましたが、しかし政府として、人事院勧告あるいは報告をなさった以上は、その取り扱い基本は一本として考えなければなるまい、二つに分けて検討すべき筋合いのものではないのではないか、私はかように考えております。やはり閣僚会議で一本の問題として対応を検試しまして、そして、お気持ちはよくわかっておりますから、できるだけ早く結論を出したい、かように努力をいたします。
  11. 角屋堅次郎

    角屋委員 官房長官は十一時に記者会見がございますが、私は誤解があってはいかぬので、一言だけちょっと指摘をしておきたいと思います。  私は、分けてと言うのではない。人事院勧告については二つ出ておりますが、これは、閣議としてこれを完全実施することを決定する、給与勧告については給与法として提案をしてくるという手法になります。これは今度の国会に出してもらいたい。土曜閉庁問題というのは、完全実施といってもどの程度にできるかというのは若干やはり検討しなければならぬという意味で私は言ったのであって、あとの四週六休制あるいは土曜閉庁の問題は閣議決定をおくらしていい、そういうつもりで言ったのではございません。誤解のないように受けとめていただきたいと思います。官房長官、退席結構であります。  そこで、防衛庁長官、きょうはグローバルな外交、防衛問題ということで、同期生の倉成外務大臣もやがて御出席になると思います。その際にグローバルな問題についてはお尋ねをいたしたいと思うので、外務大臣の直接関係のない問題から入らせていただきます。  御案内のとおり、昨年の段階で私は防衛庁長官の訪中問題というのを取り上げました。十五年戦争が中国との間で不幸にして行われたわけでございますけれども、その中国防衛庁長官として初めて御訪問なさったわけであります。日程によりますと、五月二十九日に成田を出発して北京に著かれて、それから中国の国防関係の要人に会われる、五月三十日には万里副総理との会見もやられるということで、中国の陸海空軍のそれぞれのところを視察されまして、恐らく隔意ない意見交換をされて帰国されたものと思います。  ちょうど栗原防衛庁長官が訪中をされた後、公明党の矢野委員長も訪中をされるというようなこと等がございまして、矢野委員長と鄧小平さんとの会談問題、これで雲の上の人発言というようなことで外務次官が辞任をせざるを得ないという事態が御承知のようにございました。同じような時期に防衛庁長官として訪中をされる、矢野委員長が一党委員長として中国へ行かれる、前後したわけでございます。前後しましたが、そういうかかわり合いについて私は触れるつもりはございません。  ただ、日本中国との関係というのは、やはり大切な隣国として子々孫々に至るまで日中の友好と親善ということは不動のものにしなければならない。最近の日中関係というのは、防衛費のGNP一%突破問題あるいは靖国神社の公式参拝問題あるいは光華寮問題等々がございまして、非常にきしみが出ておることは事実であります。日本の主体的条件から見てこれらの問題をどう考えるかということは、あるいは政党により政治家により、また国民の側でもいろいろな意見がある。日本は民主国家でございますから、そういうことは当然あり得るわけでございます。しかし、基本的に忘れてはならないのは、日中はお互い大切な隣国であり、もう数千年来隣国としてずっとお互い深いつながりを持っておるわけであり、同文同種の国であり、またお互い不幸な戦争の体験をしたという歴史がございます。  そういう点で、初めて防衛庁長官中国を訪れられて、万里副首相あるいは国防関係の要人と会われ、部隊の視察等もやられた。国防関係の陸海空ということからいけば、中ソの国境という問題が一つ中国としては控えております。また、ベトナムとの間の国境での問題もございましょう。さらに、中国とアメリカ関係あるいは中国日本関係、あるいは考え方からいけば中国と近いソ連との関係といったような問題も含めて、いろいろ隔意ないお話をされたと思うのでありますが、この機会に重点的な所見をまず栗原防衛庁長官からお伺いしたいと思います。
  12. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今度の訪中は、日中の防衛関係からすると大変重大な意義を持ったと私は思います。  その一つは、これは私の方から中国の方にぜひ行きたい、こう言ったことではない。前に私が防衛庁長官をやりましたときにも非公式に御案内をいただきましたけれども、その後、加藤前長官のときに中国日本との防衛関係のいろいろな行き来がございまして、前長官に対しましても中国からの招聘があった。そして私が再び防衛庁長官になりまして、今度は向こうから御招聘があった。私は、御招聘がありますれば、正式にそういうふうなお話がありますれば参りましょうと言ってお受けしたのです。ですから、これは私に関する限りは中国側から再三にわたる御招聘をいただいた、大変ありがたいことだと思います。そういう意味中国に参ったというところに一つの意義があったと思います。  それから、会談内容につきましては若干後で所見を申し上げますが、会談は率直かつ極めて友好的でございました。所定の予定時間よりも大体三十分ないしは一時間というように超えております。それから、中国の陸海空の施設なり訓練も見せていただきましたが、同行の記者の方々に対しましても大変便益を図っていただいたというようなことから見ますと、中国側は最大の接遇をしてくれたのではないか、こういうように思いまして、私は中国側の好意に対しまして心から感謝をしているところでございます。そういうことで帰ってまいりましたので、総体的に見ますとよかったと思っております。  なお、中国の要人と私との会談の要旨について若干触れさせていただきますが、当然、防衛庁長官でございますから我が国の防衛政策の基本について中国側にお話をするということでございます。我が国は憲法の枠の中で必要最小限度の防衛力を整備する、そのために「防衛計画の大網」というのをつくりまして、またその大綱によりまして中期防衛力整備計画というのをつくっていろいろやっているのです、昭和六十二年度の予算につきましてはこれこれこういうような格好からやりまして一%を超えることになりました、こういう話をした。  そして、一%を超えるということについていろいろと国会で議論がございます、一%を超えると軍事大国になる、こういうような議論がございますが、私はそれらの議論に対してはこう言っております。軍事大国とは一体どういうことなのか、まずこの定義をはっきりさせなければなりません、軍事大国という意味がもし軍事が政治を牛耳るという意味であるならば、過去の日本におきましてはまさに軍事が政治を牛耳った、壟断をした、しかし現代はそれとは全く違います、民主的に選挙されました国会議員の中から内閣総理大臣というのが選ばれるのです、したがいまして内閣総理大臣というものは国民の民意を離れて政治はできないのです、もし内閣なりあるいはそれを支援するところの与党というものが国民感情から離れたようなことをすれば、必ず次の選挙において審判を受けるということになっておる、そういうような意味合いからしますと、政治が軍事をコントロールするのであって、軍事が政治を壟断をする、そういうような仕組みになっておりません、こういうふうに私は国会で答えておるのですという話をしたわけであります。  そうしましたところが、向こうの張愛萍部長の方から、その点についてはよくわかりましたけれども日本は制度としてはそういうふうになっているけれども、軍国主義的な傾向があるのではないかこういう話がありました。その中には、いわゆる「大東亜戦争肯定論」あるいは「南京大虐殺の虚構」、あるいは最近は「光復」というような右翼的な雑誌も出ているじゃないか、それに靖国神社の問題もあるじゃないか、あるいは教科書問題もあるじゃないかまた光華寮問題があるじゃないか、こういうことを考えてみると、制度としてはわかるけれども、思想というようなものから見ると日本には軍国主義的なものが出ておるのではないかこういうお話がございました。  私は、それに対しましては、こう答えたのです。日本とあなたの国との基本的な違いは、我が国は議会制民主主義なのです、自由に物が言えるのです、そういうことからいきますと――あなた方の方で心配する、あなた方の危惧するような言動が日本にないとは言いません、あなた方が危惧するような言動がないとは言わないけれども、護会制民主主義、自由主義、民主主義というのは、いろいろな議論を押し合いへし合いしている間におのずからそのるつぼの中で定まっていくものだ、これが議会制民主主義の非常に強いところであるので、その点については我が国の体制というものについて御認識を、ぜひ御理解を賜りたいという話をしたのです、  それからもう一つは、靖国神社の問題につきましても、これは皆さんの方ではそうやっておりますけれども、我が国の遺族の方々の気持ちというのは純粋に戦没者を追悼するという気持ちと私は理解しておる、しかしながら、政府としてはいろいろのことを考えながらこの点については重大な配慮をいたしておる、ことし八月十五日に靖国神社の公式参拝の問題がまた出ると思いますけれども総理大臣は公式参拝をしない、こういうふうに言っております。また、したがってそれなりに総理大臣政府としては配慮をしておると私は確信をしておる。  それから、教科書問題につきましても、これまた制度の違いであって、検定制度あるいは審議会いろいろございまして、ここが問題だからすぐにどうというようになかなかできないのである、若干時間もかかるし、いろいろの経過も経るものである、しかし、政府としては教科書問題についても隣国の誤解を招かないようにひとつしっかりやっていこうというように最善を尽くしておると私は思います、  光華寮の問題については、これまた私が有権的に言うべきことじゃないけれども日本では、あなたの国と違って、とにかく行政というものが全部やれるか、政治がすべて支配できるかというとそうはいかないのだ、例えば……(角屋委員「長官、外務大臣がお見えになったから、なるべく」と呼ぶ)それでははしょります。外務大臣が来るまで少し長いと思ってやっていたのです。  光華寮問題については、中曽根総理大臣は力がないわけじゃない、力があるけれども、司法の問題については触れられないのです、これらの点についてもよく御理解をいただきたいという話をしましたら、おたくの言うことは理解できるけれども、我が国の方の気持ちもよく御理解いただき善処していただきたい、こういうことでございますから、それはよくわかりましたと言って終わったのです。  そして、張愛萍さんとの話の帰結は、日本が自国を守るために必要最小限度防衛力を持つことは当然であります、また日米安保というものについては私どもはこれを評価いたします、こういうことでございました。そういうことでございまして、防衛問題に関する限りは、防衛政策について理解を深めたと思います。翌日の人民日報には、張愛萍と栗原との会談によって日本の防衛政策について理解が進んだという記事が出ておる。  万里副首相との会談でも、防衛政策につきましては張愛萍さんとあなたとの話については私は全く合意である、こういうことでございました。なお、我々の考え方と鄧小平首席の考え方には違いはないということまで念を押されたのでございまして、そういう意味合いでは、先ほど申しましたように、会談も極めて率直かつ友好的に腹蔵なく話し合ったということで、私は満足をしておるわけでございます。
  13. 角屋堅次郎

    角屋委員 倉成外務大臣、お忙しいところありがとうございました。  外務大臣も御出席になりましたので、若干外交、防衛上のグローバルな問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず外務大臣お尋ねをいたしたいのでありますが、前任者である安倍外務大臣の後御就任になりましてから、東奔西走、大変御努力をされておる点には敬意を表します。この間もインド等御訪問になって、まだ帰って間もない時期であります。  まずお伺いしたい第一点は、特に大きくクローズアップしております中距離核戦力の全廃問題、そしてまた核軍縮へのこれからの展望といったような問題であります。  きょうの報道によりますと、九月の国連総会のときに、外務大臣はもちろん御出席をされ演説をされるわけですが、レーガン大統領の要請によってサミット加盟の首脳プラスNATOの諸国、また日本も含めて、国連総会の際に、恐らく九月の中旬を想定されておるかと思うのですけれども、集まろうじゃないかという報道が出ております。  これはそういう形でこれから検討される段階に行くのかどうか私はまだ定かに判断はできませんけれども、このINF交渉の問題は、一九八五年十一月にジュネーブで米ソ首脳会談が行われ、そして核軍縮をひとつやっていこう、中距離核戦力の問題についても全廃の方向で相談をしていこうという雰囲気の中で、一九八六年十月に例のレイキャビクの米ソ首脳会談が持たれたわけでありますが、残念ながらソ連の方からSDI問題ということでセット論等の強い意見等もありまして、戦略核の半減あるいは中距離核戦力の全廃の方向というものについては幻の合意というふうに言われましたけれども、そういう底流がきちっとありながら、結局レイキャビク首脳会談は実りがなかったという結果に終わったわけであります。  しかし、倉成大臣は長崎で、まさに八月の九日に原爆投下せられた直接の該当県でありますし、私自身のことを申し上げれば、中国から本土決戦部隊で帰ってまいりまして、福岡で命令をもらって五島の現地に行く途中で長崎の原爆の惨たんたる惨状を味わった一人であります。したがって、核廃絶といったような問題については当初からあるいは政治の舞台に出ましてからも、強い政治信念のもとにこれをやっていかなければならぬという気持ちを強く持っております。  そこで、ジュネーブ会談からレイキャビク会談へ、そしてゴルバチョフ書記長の提案あるいはそれに対するレーガン大統領の対応というふうなことで、つい最近の報道では、レーガン大統領はマスコミとの会見を通じて、INFの全廃問題については数カ月以内にも合意できるという、極めて明るい楽観的なお話報道されておるわけであります。しかし、このINFの全廃というものを目指すためには、シェワルナゼ外務大臣指摘しておりますように、西ドイツの手持ちのパージングIaの問題をどう取り扱うのかということが、シェワルナゼ外務大臣はこれが最後の障害になると言ったようなこともありまして、検証問題その値ももちろん含まれてまいります。  こういった情勢の中で国連総会への中曽根総理の訪米問題が、まだ報道されておる段階であってこれからの問題で検討されると思いますが、もしそういうことが要請されておるとすれば、どの程度にサミット加盟国あるいはNATO諸国が集まるのかという模様も判断をしなければならぬであろうと思いますけれども、そこは御答弁の中で触れていただくとしても、いわゆる核軍縮、特にINFのダブル・ゼロオプションというものの展望、プログラムという問題について、我が国政府の態度を御答弁願いたいと思います。
  14. 倉成正

    倉成国務大臣 お答えをいたします。  今、角屋委員からるるお述べになりましたとおりでございますが、最初の、一部新聞に報道されておるような、総理が拡大サミットに出席するかどうかというような問題については、具体的にまだ何も聞いておりません。したがいまして、現在総理が訪米する予定はございません。  そこで、INFダブル・ゼロオプションの問題でございますけれども、米ソ間に行われているINF交渉、中距離核戦力の問題でございますけれども、これにつきましては我が国としては非常に重大な関心を持っておるわけでございまして、SS20そのほかの核兵器がなくなるということが最も望ましいことでございます。もちろんICBM、戦略核の問題もございますけれども、同じカテゴリーに属するINF交渉というのが今焦点になっておることは、今委員の御指摘のとおりでございます。  この問題につきましては、委員お話しのとおりいろいろな過程を経まして今日に至っておるわけでございます。西側の主張しておりますINFのグローバル・ゼロ、これは我が日本の主張でもございました。我々は、グローバル・ゼロにしよう、アジアが不利になってはならないということを絶えず主張してまいりましたけれども、幸い、これを踏まえた米側の粘り強い交渉努力が実を結び、またソ連側も一応受け入れたという形になっておるわけでございます。  しかし、これが本当に実を結ぶということになりますと、今ジュネーブでいろいろ専門家の間でこの問題を検討しておるわけでございますけれども、ただいまお話しの西ドイツにおけるパージングIaの問題、核弾頭は米国が所有し、パーシングの方は西ドイツ政府のものである、これがこのINFの交渉の中に入るか入らないか。西側、アメリカ側は入らないと言っておるけれども、ソビエトの方は入れるべきだというようなことをかねてから主張しておりました。したがって、この問題が完全に片づくことが必要でございますし、また、ゼロにするといっても、検証が効果的にしっかりしないといけない。やはりちゃんとそういうものが撤去された、また撤去されるところの場所を相互で検証し合うということが合意されなければ、このINF交渉というのは実を結ばないということでございますので、やはり過度の楽観は慎むべきだと思うわけでございます。  しかし、いずれにしましても、米ソが歩み寄ってこういう問題について話し合いが進展してきたということにつきましては、我々としては大変歓迎をいたしておるわけでございます。九月中旬には米ソの外相会談が行われるということが伝えられております。シュルツさんとシェワルナゼさんとの会談が行われると思いますので、この時点では恐らくもう少し具体的にいろいろな進展があるものだと思っておる次第でございます。  先般、私がジュネーブに参りました際にも、いろいろと各方面の方々と御懇談しましたけれども、ただいま私がお答えしましたとおり、また委員が御指摘になりましたとおり、いろいろ前途については非常に明るい見通しは出てきたけれども、しかし過度の楽観はできないというのが大方の見方であったようでございます。
  15. 角屋堅次郎

    角屋委員 特に日本のように広島、長崎に原爆の惨禍を受けた世界唯一の被爆国の立場からすれば、核を廃絶するというのは国民的悲願であることはもとよりであります。  しかし同時に、国際的に見ますと、広島級の百万発に相当するような核が現実に米ソでほぼ九五%、あとイギリス、フランス、中国等ございますけれども、米ソが核超大国としてそれらのものをほとんど保有しておる。  戦後四十数年を考えてみますと、一九四五年から五二年の段階ごろまではアメリカは核の独占時期であった、一九五三年から五七年までは核の絶対的優位の時代だった、一九五八年から六六年までは核の相対的優位の時代だった、一九六七年から米ソはパリティの時代に入ったというふうに、年次は学者の見るところあるいは専門家の見るところで若干違いますけれども、いずれにしても戦後四十数年の間に、アメリカは核の独占期から核の絶対的優位、核の相対的優位、現実は六〇年代の後半からはパリティの時代に入っておる。ソ連は、原爆の開発が一九四九年の段階だったし、また水爆はソ連の成功が一九五三年の段階だったし、それから一九五七年には大陸間弾道ミサイルの実験に成功といったようなことで、独占期から絶対的優位、相対的優位、それから今日のパリティ時代。  そうなりますと、何といったってアメリカの場合には、日本と違って第一次世界大戦、第二次世界大戦を見ても、アメリカ本土自身が戦禍をこうむったことは、ハワイへの日本の攻撃を別とすればなかったわけであります。しかし、大陸間弾道弾等をもってすれば、核の攻撃というのは十分米本土も覚悟しなければならぬという時代であり、しかも人類全滅が何十回もできるというほどの核が保有されておる、核戦争になれば勝者もなければ敗者もない、まさに人類が破滅する、そういう恐怖の時代に今日我々は生きておると言っても過言ではないと思うわけであります。  したがって、国際世論に基づいて、米ソが首脳会談を通じてとにもかくにも中距離核戦力をダブル・ゼロオプションでやろう、これは核超大国として当然のことだと思います。さらに、戦略核の半減というふうなことで、なるべく早い機会に核廃絶に向けてのプログラムが進むということを日本政府としても、あるいは我々国民としても推進しなければならぬ立場にあると思います。明るい見通しは出てきたけれども楽観はできない、国際政治情勢というのはそういうこともあろうかと思いますけれども、とにかくアメリカと深いかかわりを持っておる日本政府の立場からすれば、核廃絶に向けて無条件でプログラムを進めるという強い姿勢でやはり努力してもらいたいと思うわけであります。  外務大臣に、これらの問題についての政府の確固たる基本的な考え方について、再度簡潔に御答弁願います。
  16. 倉成正

    倉成国務大臣 私も長崎の出身でございまして、原爆の惨禍につきましては十分承知しておるつもりでございます。今私の住んでいるところも原爆の中心地でございました。したがって、長崎、広島に落ちました原爆の何十倍、何百倍という原爆が何万発と今日世界に存在するということになりますと、これは本当に人類を何百回も皆殺しできるような核兵器が存在するわけでございまして、こういうばかげたことをやめていかなければならない、核は廃絶されなければならないというのが私ども基本的な考え方でございます。  他方、残念なことでございますけれども、今日の世界の平和が、核兵器が誕生いたしましてから核の均衡というもとに成り立っている、もちろん通常兵力の問題等がございますけれども、核の均衡ということが今日の世界の平和のバランスをとっておるわけでございますから、核における超大国であります米ソが、こういうばかげたことを何とかしてやめようということについて相互に話し合いをしていただくということが一番大事なことであろうかと思うわけでございまして、そのためには、相互の信頼ということと、具体的に現実的に一歩一歩この核の量を減らしていくということが一番現実的じゃなかろうか。一遍に全部なくしてしまえ、一方だけが全部なくしてしまえばあとはなくなるのじゃなかろうかという御意見の方も一部にはございますけれども、それは非現実的であって、双方が安心しながら核の水準をできるだけ下げていくということが現実的な姿ではなかろうかという感じがいたしておるわけでございまして、そういう意味におきまして、INFがゼロという問題につきましては、我々は歓迎し、これからの成り行きを注意深く見守っておるというのが現実の姿でございます、  それと同時に、米ソのみならず、委員も仰せになりましたように、フランスやイギリス、また現在は保有しておりませんけれども核を保有する可能性のある国、場合によっては隣の国が核を開発すれば直ちにこれに応ずる、そういう国々があることも事実でございますし、核爆弾をつくることはそれほど難しいことではございません、したがって、そういう国々があわせてこれらの問題について真剣に取り組んでいくということが必要であろうかという感じがいたすわけでございますので、我々も諸外国を回りますときには、そういう核開発の可能性を持った国々に対しては、そういう核開発についての問題について自制を促し、そして核不拡散条約に参加するということを勧奨してまいってきておるような次第でございますので、委員と志を同じゅうして、核廃絶のために現実的に具体的な方策をこれからともに努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
  17. 角屋堅次郎

    角屋委員 これは外務大臣防衛庁長官両方にかかわる問題で、外務大臣が御出席になったらグローバルな問題の前に取り上げたいということでおった問題に触れたいと思います。  火曜日に、奈良県十津川での第七艦隊の偵察機のワイヤロープ切断事件の問題については、与党の前田先生の方から地元のゆえをもって特別に取り上げられて御質問がなされたわけであります。もちろんこれは関係委員会でも取り上げられておることだと思います。それで私も、防衛三法については冒頭質問でありますので、この点に触れたいと思います。  きょう質問段階になりましたら、きのう自衛隊のニアミス問題というのが報道されておるわけであります。さかのぼれば、同じく第七艦隊の七月二十七日の久米島沖におけるサガ号被弾事件というのが御承知のようにあったわけでございまして、第七艦隊の搭載機の問題、あるいは自衛隊機のニアミス問題にいたしましても、およそ今日の平時においてこういった米軍なり自衛隊なりの事故あるいはニアミスが起こって日本の一般国民の安穏を脅かすというふうなことは断じてあってはならぬことであります。  奈良県は、私も戦後郡山で高等学校の先生をやった関係で非常になじみが深いところでありますけれども、地元では朝日から毎日から読売から奈良新聞、大きく取り上げられて、それは今日も続いておるわけでありますけれども、読売によれば十四日に、「米軍機、山中で”曲芸” 木材運搬ワイヤくぐり切断 伐採住民びっくり 県警が捜査へ 地上二百メートル訓練空域外」、こういう見出しで報道されておりますし、また十五日にかけても報道がありますし、朝日は、「米軍機、林業ワイヤ切断 奈良県十津川 谷へ突っ込み接触訓練空域外県警「危険飛行」を追及」というふうなことで報道されております。毎日もほぼ同様に大々的な報道をしておりますし、地元奈良新聞の場合は引き続きこれが報道されておるという状況にございます。さらに報道の中では、昨年の秋には米軍機の低空飛行は和歌山の方にも飛んだというふうなことで、朝日の夕刊になりますか、そういうところで取り上げたりしておりまして、これは、日米安保条約なり地位協定に基づいてやられる訓練空域以外のところで空を我が物顔にこういうことをやっておるとすれば断じて許せないわけであります。  その点において、特に奈良県の十津川におきます運搬用ケーブルの切断問題、火曜日に引き続いて私からの質問についてもお答え願いたいと思います。  奈良県の党の県本部としては、早速抗議声明を出し、そしてまた知事への申し入れあるいは在日アメリカ大使に対する申し入れ等々所要の手続をとり、現地調査等も他の党と同じように行って、これに対しては、こういう空を我が物顔の第七艦隊の艦載機の演習は絶対にやるべきでない、これは即時中止すべきであるということで強い要請が出ておるわけでありますが、これについて、外務大臣が初めの方でしょうか、どちらからでも結構でありますが――じゃ、外務大臣の方から。
  18. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、本件につきましては、八月十二日午前十時十五分ごろ、米海軍空母ミッドウェーの艦載機EA6Bプラウラー、第五空母航空団の所属でございますが、この飛行機が航法訓練のため奈良県吉野郡十津川村の山岳地帯を飛行中、谷間に架設された材木運搬用のワイヤロープに接触して同ロープを切断したものと承知しておる次第でございます。したがいまして、これは大変遺憾なことでございますので、事故の原因と事実関係の詳細について現在調査が進められておると承知しておる次第でございます。  そこで、安保条約上これらの問題がどう取り扱われているか、またどう対処するかという問題についての後段のお尋ねでございますけれども、安保条約は、特段の定めがある場合を除くほか、米軍が同条約の目的のため飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としておりますが、米軍の軍隊としての機能に属する個々の活動について、これが施設、区域外において認められるかどうか区域と区域外で認められるかどうかについて、個々の活動の目的、態様等の具体的な実態に即し、安保条約及びそれに基づく地位協定に照らして合理的に判断されるべきものであろうと考えるわけでございます、もちろんその中で、米軍による実弾射撃等が区域外で行われるということはとんでもないことでありますけれども、そういうことを伴わない飛行訓練であれば、地位協定上、施設、区域内に限定して行うことが予想されている活動には当たらないと考えられる次第でございます。  しかし、今回の事件で明らかになりましたように、米軍はどこでも自由に飛行訓練を行ってよいというものではございません。そこにはおのずから常識もあろうかと思いますし、我が国の公共の安全に妥当な考慮を十分払って行動すべきことは当然のことでございます。したがって、本件についてはかかる観点から事故原因を徹底的に究明する、また、かかる事故の再発防止及び飛行訓練の際の安全確保について既に米軍に申し入れをいたしておるところでございますけれども、今後とも我が国の公共の安全が十分に図られ、住民の方に御不安がないように最善を尽くしてまいりたいと思う次第でございます。
  19. 角屋堅次郎

    角屋委員 昨日のニアミス問題も含めて、防衛庁長官の立場から関連して御答弁願います。
  20. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今の米軍の問題でございますが、これは外務大臣がおっしゃったとおりです。ただ、私が考えますのに、この地域の方々は日米安全保障体制について大変深い御理解をいただいているというお話がこの前の質問のときにございました。そういう日米安全保障の重要性を考えておる地域でございますだけに、アメリカ側の方も日米安全保障というものについて細心の注意をもっていろいろ行動を願いたい、こう思っております。したがって、機会あるごとにアメリカ側に対しても、日本側も日米安全保障に対して忠実にこれを実行するけれども、おたくの方でもこの問題についてひとつさらに慎重な御配慮を願いたい、こういうふうに言うつもりでございます。  それからニアミスの問題は、実は今調査中でございますからこの段階では何とも申し上げられませんけれども、いかにしても、これはどっちが本当なんだ、ですからそういう意味合いでは極めて緊急に原因を究明して、そして処置をしなければいけないと思っております。私は、自衛隊の諸君には、これについては積極的に対応しなければいかぬ、何か自衛隊だけが虚勢を張っているとかなんとか、そういうように見られないように、悪いことがあったら認めなければならぬし、悪くなかったら悪くございません、そういうことでいかないと国の安全に対して国民の不信を招く、こういうことで言っております。いずれにいたしましても、早急な調査の結果、真実が明らかになることを期待いたしたい、こう思っております。
  21. 角屋堅次郎

    角屋委員 外務大臣防衛庁長官の御答弁を聞いておると、特に倉成外務大臣答弁を聞いておると、奈良の十津川におきます米軍第七艦隊の搭載機の訓練というのは、私が言っておるように、こういうものは中止して絶対再度起こらないようにすべきだということで質問しておるのに対して、絶対にそこではやらせない、こういうことはあってはいかぬという明確な答弁ではなかったと思うのですね。これは明確にしてもらいたい。
  22. 倉成正

    倉成国務大臣 私がお答えしたのが舌足らずであったかもしれませんけれども、米軍が訓練する場合には、当然公共の立場を考慮して、また、こういう事故が現実に起こったわけでございますから、したがって注意をするが上にも注意をしてほしい、またこういうことがあってはならない、そういうことを米軍にも申し上げておるということを申し上げたわけでございまして、前段で申し上げましたことは、少し理屈っぽくなりましたけれども、地位協定との関連での問題を法律上の見地から申し上げたわけでございます。
  23. 角屋堅次郎

    角屋委員 現地の奈良県知事もこういう行動については厳重抗議ということですし、地元の村並びに村議会もこういう問題については強い見解を持っておりますし、労働界はもちろんでありますし、各政党の中でもそれぞれ、社会党はもちろんでありますが、公明党にいたしましてもあるいは共産党にいたしましても現地調査あるいはしかるべき各政党の措置をとっておる。これは奈良県における一つの世論の中での問題でありますので、不明確なままでこういう問題を終わっては断じてならない。ルールに基づいてやられておる以外のところで空を我が物顔でやるというようなことがもしあるとすれば、これは許されないわけであります。今回の奈良県におけるこういうことが絶対再び起こらないように、厳重な措置をしてもらうことを要請しておきたいと思います、  次に、ココム、関連してSDI問題について少しく触れたいと思います。  ココム問題については衆参両院の予算委員会でも随分議論がなされ、きょう午後の本会議では外国為替及び外国貿易管理法の問題についての提案説明があり、議論がなされて、該当委員会で慎重議論がなされていく問題であります。ただ、なぜ防衛三法の中で取り上げるかといえば、言うまでもなく、政府が外為関連の法案の中で安全保障条項というのを新たに起こしてくる、また規制その他も強化する。  いわゆる自由貿易の基本原則、我が国は資源の少ない国でありますから、海外から資源を入れてこれを製品にし、貿易立国をもって成り立っておるわけであり、今日の経済の繁栄もそういうことの中で成功しておるわけであります。通商は西側だけでやるという問題ではなしに、東西貿易も含めて当然貿易はなされなければならぬ、またそのことが、緊張激化の方向でなくて、東側も含めてデタントの基礎条件を醸成していくという有力な方法になるわけでありまして、そういう中で今回東芝機械の不正輸出問題が出たことはまことに遺憾であります。我々もそういうこと自体については厳しく批判をされなければならぬと思います。  しかし、それを契機にして安全保障の面を強化する、あるいは規制その他を強化する、ソ連等いわゆる共産圏諸国に対する通常の貿易を厳しく規制していくということになったのでは、例えば、冒頭栗原長官と取り上げました中国問題、中国は非常にきしみを生じておる、日本中国に対する経済協力その他は消極的であるというようなことを言っております。やがて上海で見本市をやろう、こういう準備を進めておりますけれども、この東芝問題が出てから業界では冷え込みが出てまいるということで、中国とのこれからの貿易、経済協力という面でも今回のこういう措置を通じて大きな支障が出るのじゃないか。  また、ソ連との関係を見てまいりますと、去年からことしの春ごろまで、日ソの首脳会談をやろう、ソ連からゴルバチョフ書記長いらっしゃい――私も日ソ友好議員連盟の事務局長を十年ばかりやっていろいろ苦労して、また九月にはソ連に行かなきゃならぬという用務を持っているわけですけれども、最近の東芝問題を契機にした非常な冷え込み、一体こういう点で、日ソの関係にせよ日中の関係にせよ、隣国として我が国の立場から手段方法を誤ると決して国益に沿わないという事態が出てくる、そういうことでいいのだろうかという深い危惧を持っているわけであります。  そこで、引き続き御出席になりましたから後藤田官房長官にまずお尋ねいたします。  衆議院予算委員会における与野党質問を通じて、倉成外務大臣答弁される、あるいは私と同じ選挙区の田村通産大臣答弁される。それで官邸で記者会見をやると、あの答弁はけしからぬ、なっとらぬというようなことで盛んにマスコミとの間でいろいろ記者会見をやる。これは官房長官としての見識に基づいてやられることだと思うのですけれども、そういうことで、内閣の統一見解と言っているけれども、統一見解の手順を踏んどらぬじゃないかという気持ち記者会見の底意にはあったかと思うのです。予算委員会における関係大臣答弁等で官房長官はどういう見識に基づいていろいろ意見を吐かれたのかそれをまずお伺いしたいと思います。
  24. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 端的に最初にお答えしたいことは、スクリュー音の低音化ということと東芝機械の工作機械輸出との因果関係については確たる証拠を私どもとしては持っていない、しかしながら諸般の状況から見て極めて嫌疑は濃厚である、こういう意味合いで私としてはお答えをし、政府の統一見解はさように相なったと私は理解をいたしております。  この事件を通じて感じておることを率直に申しますと、やはり安全保障というものがどれほど重大なものであるかといった点について、必ずしも業界の皆さん方あるいはまた関係官庁の皆さん方も、私どもが考えておるだけの十分なる配慮をしていただいておったとは残念ながら私は理解ができないわけでございます。遺憾な事態である。本件については、申し上げるまでもなく、いわゆる外為法によって規制をせられておるココムの対象のものでございますから、ならば、きちんとした認可を受けて輸出すべきところには輸出したらよろしい。それをいわばごまかした形でこういったものを出したということ自身は、これは私は絶対に認めることはできない。やはり西側の安全保障、特にまた何よりも日本自身の安全保障にも重大な影響を与えることである、したがって、決められた手続に従ってきちんと処理をすべきではないのかと、私はさように考えるわけでございます。  早い話が、多少言葉に誤解を受けてもいかぬかなと思いながら率直に申し上げますと、日本の一つの行き方は、いわゆる商人国家というのが一つの大きな方向でもあろうかと私は思わざるを得ない面を感じておるのですが、しかし、商人国家といえども、守らなければならない根本のルールというものはきちんと守ることによって初めてそれが成り立ち得るのだということを、私は本当に今度の事件を見て感じるわけでございます。  当然のことながら、アメリカ側からも厳しい要求がございます。これは当たり前な話でございます。ただ、アメリカ側が厳しい申し入れをする以上は、アメリカ側はアメリカ側なりの確証を持って、申し立て側に挙証責任というものは当然あるわけでございますから、しっかりした証拠は持っていらっしゃると思いますが、受け取る側の私どもとしては、必ずしも消音と工作機械との間に直接の因果関係ありや否やということについての確証がありません。しかしながら、諸般の状況から見て、これは極めて疑惑が濃厚である。しかし、その疑惑が濃厚であるということは、安全保障にとって極めて重大な問題ではありますが、これの処理は、日本の外為法という法律違反ということについての構成要件を十分に満たしておる、ならば刑事事件としてきちんと処理をする。そして同時に、外為法の中に役務については安全保障の規定がありますけれども、物資についてはない、これはおかしい、こう言われればまさにそのとおりであろうと私は思います。ならば、やはりこういうものについてはきちんと法律を整備すべきものであろう。それによって私は日本のいわゆる商売というものの妨げになるとは思わない、きちんと手続を踏んでやるならば、それなりの立派な商売はできる、私はさように考えて、今回のこの国会に法律の改正案を政府としてはお願いをしておる、これが私の所感でございます。
  25. 角屋堅次郎

    角屋委員 後ほどまだ予定をしておる防衛関係質問がございますし、それと同時に、ココム問題はきょう本会議の後、該当委員会でなされていくという問題でございますが、通産省からも御出席を願っておってそのままというわけにいきませんので、少しく通産省側からお答えを願いたいと思います。  私は、ソ連の関係の日ソ貿易協会その他からの要請も、日ソ友好五団体ということでいろいろお聞きしておるわけですけれども、今回のこの東芝機械の問題を契機に、通産省あたりが中国関係とかあるいは特にソ連の関係とかいうようなところで過剰反応を示すということになると、これは大変なことじゃないか。  御案内のとおり、ゴルバチョフ書記長がいわゆる経済改革ということを新しく打ち出して、日本に対してもあるいは西側に対しても合弁事業をやろうということを打ち出しているわけです。アメリカのレーガン大統領あたりは、一方ではINFのダブル・ゼロオプションということを進めながら、他方では米ソの軍事的問題、それに経済的な今言ったソ連側の経済改革、西側への合弁事業という呼びかけに対して、日本の東芝機械の事件を一罰百戒としてココムを名存実亡からもう一回締め直そう、こういう政治的意図があるのではないかとも、率直に言って思っておる一人であります。  そういう点で通産省は、今回の改正は外務省との協議とかいろいろなものがありますけれども、これからの改正案を通じて、過剰反応を示した形で、ソ連や中国その他対象国は十二と言い、あるいは十四と言ったりしておりますけれども、どういうふうに自由貿易の原則、安全保障からの限定された問題に対するコントロールをやっていかれるのかお答えを願いたいと思います。
  26. 深沢亘

    ○深沢政府委員 お答え申し上げます。  先生、今御指摘が多々あったかと思いますけれども、今回の法改正の趣旨、詳しくは控えさせていただきますけれども、東芝機械事件、その違法輸出の影響の重大性にかんがみ、今後の再発防止をいかにしていくかという中で、今回外為法の制裁のところを強化していく、こういう対処ぶりでもって今後進展をさしていただければと思っておるところでございます。  ただ、法律の改正の内容といたしましては、中心は制裁の強化でございます。対象品目を拡充するとか拡大するとか、それから対象技術の範囲を拡大するとか、そういうことが中心になっておるわけではございません。いずれにしましても、違法な手続に従ったような輸出というものにつきましては厳しく対処しなければならない。しかしながら、適法な取引につきましては従来と同じような方針でもってやっていこうというところでございます。  ただ、先生指摘のように、今審査の案件等々かなりございますけれども、こういう事態、いろいろ人手不足なんというのもございますが、その辺のところは、これから審査の人員等拡充してまいりますけれども、現在審査の時間等が若干延びているという点はございます。この辺のところをそごのないように今後ともいろいろ対処してまいりたい、こう思っております。
  27. 角屋堅次郎

    角屋委員 過剰反応でこれからソ連その他の共産圏諸国に臨むということがないようにぜひ、この法改正そのものには我々は決して賛成してないという基本的立場はございますけれども、今いろいろ関係団体から聞いてみますと、通産省あたりは、まだ改正もなされていない段階から過剰反応が出てきて、非常にいろいろな申請について、特認事業その他についても停滞をしておるというふうな実態がありますが、そういうことにならないような対応をぜひやっていただきたいと思います。  あと三十分でありますけれども、この間防衛大学校の視察に上原先生と私、参りました。これは、「調査なくして発言なし」ということを言いますけれども、やはり自衛隊に対してどう考えるか、憲法上の問題からどうか、こういうかんかんがくがくの議論はもちろんあっていいわけでありますし、またあるわけでありますけれども、しかし同時に、日本の陸海空の三自衛隊が一体どういう状況なのか、あるいは幹部自衛官を養成する防衛大学校は一体どういう教育をやっておるのか。この間、決算委員長のときに防衛医科大学校を私、現地調査してきたのですけれども、一度防衛大学校に行ってみたいということを考えておりまして、七月二十九日の日に防大視察をやりました。夏目校長以下大変お世話になってきたわけであります。これは時間がなくなるといけませんので、FSXの問題に後、入りますけれども、この問題から入らせていただきます。  防衛大学校に初めて行って私が感じたのは、大学の設置基準に基づくいわゆる大学としての教育というのがメーンとしてある、もちろん幹部自衛官の養成をやるわけですから、千時間を超える訓練課程の訓練がある、講義の中でも防衛学というものが二十八単位カリキュラムの中に入ってくるという編成になっておるわけであります。場所は丘の上で、天気のいい日は富士山が仰げるし海にも面しておりますし、なかなか環境のいいところであります。ただ、大学としての教育といわゆる幹部自衛官の養成という立場からの訓練を含む防衛関係の教育というものとをどの程度の配分でやるかということが、カリキュラムの問題では非常に重要な問題だ。防衛大学校の説明では、そういうものをいろいろ検討しておる。現状の大学設置基準に基づく単位、これは一般大学の水準よりもプラスアルファしておる、それに防衛学が入る、それに千時間を超える訓練時間が入る、それで全寮制でとにかく詰め込みであるというふうな環境から言うと、やはり改善をしていかなければならない問題が幾つかあるだろう。  一つは、やはり過重な大学の関係の、理科系と人文系の教育と分かれておりますけれども、そういう教育、それから防衛関係からのいわゆる防衛学、それから訓練、こういうカリキュラムの問題を具体的にこれからどう考えていくか。一部には勇ましいのがございまして、海兵、陸士式にやはり切りかえていかなければいかぬという議論が出る、これはとるべきではないと私は思います。今の防衛大学校の姿の中で、過重なカリキュラムになっておる点は工夫改善をもう少しする必要がある。まああらましの数字で言えば、大学の教育というのを力の配分上七割ないし八割、幹部自衛官としてのあれに三割ないし二割、これくらいのところで、やはり情操豊かなバランス感覚を持った教育をやっていくというのが基本ではなかろうかという感じを持ちます。  それから夏目さんが、あしたマスコミの会見があるのだけれども、女子学生を防衛大学校へ入れるのかどうかという質問が出ることが予想される、これには頭が痛い、こう言っておったのですね。御案内のとおり、防衛医科大学校の方は女子学生を採っておる。これはお医者さんの養成でありますから女子学生を採っておる。防衛大学校の方は女子学生を採らない。将来とも防衛大学校は女子学生は入れないという方針でいかれるのかまだ検討中であって、しかるべき時期に女子学生も入れようという考え方があるのか、その辺のところは防衛庁、検討中だと思いますけれども、いわゆる女子学生採用問題というのをどう考えられるか。  それから、まとめて聞きますけれども、現地へ行って教室を見たり図書館を見たり、あるいは遠泳の訓練をやっておるところ、船で学生がちょうど帰ってくるところも見ました。  それで、十八歳以降の年齢にしては教室のいすが非常に狭い、それから教室も採光の関係で、あれで教育を受けるときいいんだろうか、階段教室といっても実に狭苦しい、もっと大学並みの理科学系の教育をやろうとすれば、通常の大学でやるような階段式教室の特別教室もやはりもう少し新設をしてはどうかというふうなことを考えました。  殊に、波止場のところに走水海上訓練場というのがあるのですが、ここは狭い暗いところに四段ベッド、これはもう前世紀のものですね。あれは、厳しい訓練をするというイズムで四段ベッドにしておるのかどうかわかりませんけれども、防衛白書を見たって、一般の部隊のところは二段ベッドに少なくとも改善をしていくということは触れておるのですね。ところが、狭い暗いところに四段ベッド。夜、とてもじゃないが寝られるものじゃない。いびきがあるだろうし、うわ言があるだろうし、とにかく、それはとても寝られるものじゃない。こういう点では、これはすぐ改めなければならぬ。  そして、私から言わせれば、ベッド生活なんですけれども、ああいう海上訓練の合宿所は、半分はベッド、半分は畳と両様でやった方がいい。防衛大学校だけれども、久方ぶりに畳の間で二週間訓練ができる。これは半々ぐらいでもいい。畳の間というのがない。  それから、今の学生舎のベッドというのも四人、勉強部屋とそれから寝る部屋となっておる。あれはどうするかは学生の意見も聞かなければなりませんけれども、二人で勉強部屋と寝るところという方がいいんじゃないかという感じがする、しかし、これは私が見ただけの直感でありまして、四人の勉強部屋それから四人の寝る部屋というふうに、原則としてはそういう形になっておるのですけれども、余りようけの人数で勉強し、ようけの人数で寝るよりも、二人一組ぐらいの方が学生舎としてはいいんじゃないか。  それから、ここは全寮制ですから、したがって学生舎の周りには芝生があったり木もあったりして環境は非常にいいんですね。だから、せめて学生舎のところの前にベンチぐらい置いたらどうか。夕涼みぐらいにちょっと出られる。もうぎっしり朝から授業、訓練、それから夜になったら前段、中段、後段の自習、それで消灯、これでは大変だと思う。  入学すると間もなくにやめていく、それからだんだんやめていく者があって、そして卒業のときになると任官拒否といってマスコミが大きく報道する問題がある。この任官拒否問題というのは、報道をいろいろされておりますが、約一割前後あるときが数字として出てまいったりします。ところが、アメリカでは大体海兵なんか上がって十年もたつと、九百人上がったうちの三百人ぐらいしか現役は残っていないというような数字が一九六〇年、それが七〇年はどうだとか、いろいろな数字があったり、あるいはフランスやイタリーでは、大体半分ぐらいは軍務の方に行き、半分はシビリアンの方に行くというふうな考え方をとっておると言われたりしておる。  私は、任官拒否という問題で厳しくマスコミからも出ておりますけれども、ただ手当をもらって、防衛大学校を出たら大学院に行けるという資格をもらうわけですから、そのままでいいのかという問題は議論として私は十分あり得ると思います。防衛医科大学校は、国家試験に合格して九年間、これは当然だと思いますが、勤務しない場合は御承知のように金を払うということになっていますね。防衛大学校の場合に任官をしないという者にどうするのかということは検討問題だと思うのだけれども、防衛庁の中には五年間は引き続き軍務に服させて、後は場合によっては認めようという考え方もあると言われているのですけれども、この任官拒否問題というのを一体どう受けとめ、これからどうやっていこうとするのか、私は余りしゃくし定規な考え方をとるべきでないんじゃないか、しかし、かといって現状のままでよろしいということにはならないだろう。  場合によれば、防衛大学校を卒業するときに体が悪くなったという者がいる、家庭の事情でどうしても引き続き行けないという者がいる、また他の者は、ちょっと自分の性格に合わぬような感じがするから大学へ行くとか社会に出るとかいろいろあるわけですけれども、こういう人たちは、一定の年限に幾ら納めよということじゃないのだけれども、ある程度の金額を、防衛大学校で大変お世話になった、手当をもらって教育を受けたという気持ちから、一定額といいますかそういうものを一定の年限内、出してくる。そしてそれは図書の購入費に充てる、さっき学生舎の環境整備を言ったけれども、そういうところに充てる、余り画一的な考え方でこうするというのではなしに、その辺のところを検討していく必要があるのではないか。  まとめて申しましたけれども、それぞれ担当のところ、最後に防衛庁長官からということでお答えを願いたいと思います。
  28. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  防衛大学校におきます教育は、先生が先ほどおっしゃいましたように、創設以来大学設置基準に準拠いたしました教育課程、これは防衛学を含むわけでありますが、そういうものと、さらに幹部自衛官になりますためにどうしても必要な特色のある訓練課程、そういうふうなものを加味することを基本として実施されてまいりました。さらに、陸海空別々の幹部自衛官になっていくわけでありますが、この防大におります期間だけは合同教育ということでみんなで学生舎で生活をする、そういうことから相互の理解あるいは協力の気風を育成していきたい、そういう考えに立って実施されてきているわけであります。この基本方針は今後とも継承していくことに変わりはございません。  なぜならば、防大が目標としておりまするのは、三つありまして、まず、強健な心身を持ち豊かな人間性を持った自主的で積極的な気風を培うとともに、二番目には、基礎的な学力、技能を習得させ、もって三番目には、社会の一員としてふさわしいことはもとより幹部自衛官としてふさわしい人材を養成するということが目標だからであります。  しかるに防衛大学校では、規律ある団体生活の中で各種の分野にわたりますかなり欲張った履修を義務づけているという面がございますために、学生生活の現状は東京工業大学その他一般大学に比べまして極めて時間的拘束の多いものとなっております。そこで、今般人材確保研究会の方で、学生生活のゆとりを確保し、学生の自学研さんのためにこれを活用させることによって自主自律の精神の涵養を図るという観点から、教育課程、カリキュラムについても見直しをするということにしておるわけであります。  その主な内容は何点かございますが、具体的に申しますと、まず履修単位、これは百八十五単位ということであります。このうちに防衛学が二十八単位入っておりますが、これを防衛学は二十三単位にし、全体で百五十七単位ということにしたい。それから、訓練時間は、先生おっしゃいましたように一千百七十六時間というものでありますが、これを大体一千時間程度にしたい。それから、今百八十五単位と申しましたうちの十四単位はほとんど義務的な選択制になっておりますが、これを本当に自主的な選択制度のものに変えていきたい。それから、理工学専門区分が六区分しかございません。すなわち、電気工学とか機械工学、土木工学、応用化学、応用物理学、航空工学という六専門分野でありまして、今日の非常に細分化された科学技術の時代にはマッチしませんので、これをさらに細分化されたものにしていきたいということを考えております。さらに、日米防衛協力の観点、あるいは広い視野を身につけるための手段としての話学力、英会話能力等の向上にも努力をして時代の進展に沿った教育にしたい、今こういうふうに考えておるところであります。  それから、防衛大学におきますいろいろな問題点を……(角屋委員あとはまた大臣が総括して答えるから」と呼ぶ)でも、その前にちょっとお願いいたします。  防大の教場は確かに難しい問題を含んでおります。階段教室も一つありますが、大変狭い。狭いのですが、そのいすは実は東工大の固定式のいすと同一の基準になっております。それからベンチの問題は、先生のおっしゃいました方向で設置するように検討しております。  それから、畳の部屋は学生会館に一つ大きなものがございますが、居室と自習室とはうまいぐあいに二人制にできないかということを今考えておりまして、畳までは入らないとは思いますが、やりたい。  それから訓練場、これは艦艇におきます居住訓練をするための部屋でありまして、艦艇が三段ベッド、古いものでは四段あったわけでありますが、それになれさせるために艦艇の居住区に近似した環境をつくっているわけであります。その起居する期間といいますのは、二年生になりまして海上要員になりましてから百名前後の者に対して夏と春の計三週間だけてあります。そういうことで、これはやはり大事だと思っておるわけであります。  しかしながら、学生舎その他生活関連施設については逐次逐年今までに改善をやってきておりまして、この方向で今後も進みたい。既に三十年たって古くなっておりますので、そういう努力を続けたいと考えております。  それから最後に、自主的な拠出金のテーマでありますが、確かに防衛大学校は防衛医科大学校の場合と違いまして、医大では医師国家試験の受験資格といいます社会的に有用な特別の公的資格の取得ができることになっておりますし、そういうことから、公平といいますか受益の公平の見地を取り入れて償還金を取るようになっておりますけれども、防衛大学校の場合にはそれかございません。したがいまして、さらに二つぐらい理由はあるのですが、将来指揮官になる者が進んで防大で勉学するということが必要であり、やめるための償還金がないから嫌々勤めるということではまことにぐあいが悪いということもあります。それから、金さえ払えばいいのだということになっても大変いけないと思うものであります。そういうことから、現在勤続に関する義務はありませんし、償還金の制度は設けておりませんが、将来どういうことになりますのか、この点はもう少し検討させていただきたいと思っております。  ただ、先生がおっしゃいますような自主的に拠出金でという方向はいかがなものかと思われる面がございます。やはり一定の基準に従いまして定額を償還義務に基づいて国庫に納入する、そういうことが必要ではないかと現在では考えているわけであります。  いずれにいたしましても、任官拒否の問題は非常に遺憾な問題であります。今後一人でもこういうことがないように今まで同様の努力を推進してまいる所存であります。
  29. 角屋堅次郎

    角屋委員 大体十分ぐらいかと思ったら随分長くて……。私は半日で終わるつもりで、防衛大学校はこの間行ったから、まずそれを総括して済まして、大臣の御答弁も仰いで、最後に一点、時間の関係もあるからFSX問題の大臣答弁で終わりたいと思っていた。ポイントをぺたっと答えれば五分でできたんだ。  そこで、これで締めくくりにしたいと思います。  来年度防衛予算の問題があったり、それから、従来のGNP一%の堅持から総額明示方式にことしから切りかわった。我々はそれには反対である。総額明示方式で来年の予算要求をどうするのか。宮澤さんと栗原さんは同じグループだから、去年と違って割合に時間をかけずに六・二%で決まった。マスコミは「にじむ〝対米配慮〟」とかいうことでいろいろ報道しておりますけれども、それは別として、そういう問題も基本的にはある。あるいはエイジス艦を来年度一艦入れるとか、あるいはOTHレーダーの調査費を組むとか、いろいろなことも言われておる。  こういう問題ももちろんありますが、特に次期支援戦闘機問題というのが最近は大きく報道されておるわけです。こういう問題で、一体自主開発をやるのか、アメリカとの間で共同開発をやるのか。その場合に、アメリカの機種を主体にするのか、あるいは共同開発と言っても新しいものをつくる共同開発なのか、いろいろ方式があるわけですね。これに対して、栗原三原則と言われるその二番目を見ると、特に日米安保体制の関係から見て、アメリカの国防総省の理解が得られることというのが入っています。これでいくと、自主開発という場合は、アメリカは西側の兵器廠みたいに思っておるから、そんなものはなかなか了解が得られるはずがないということがあるだろうと思うのです。  いずれにしても、このFSXの次期支援戦闘機問題で、九月に臨時国会が終わったら訪米して決着をつけると言っておったけれども、ココム問題でアメリカの空気が非常にせわしい、だから十月にさらにずれてもいいんじゃないかとか、あるいは政治的に棚上げ論というようなことでいろいろ外部の空気について調整をするとか、そんなことが観測されたりするんだけれども、そういう問題は別として、次期支援戦闘機の問題について、アメリカの機種を主体にして、それで日米合同の共同開発をやろうということに大勢が進んでおるというようなことも言われたりする。  しかし、自衛隊を我々がどう考えるということは別にして、エイジス艦であろうとOTHレーダーであろうと、何でも相当な部分はアメリカ物であるというので、日本の防衛というようなことを自衛隊の諸君にその意識でやれということもまたいかがであろうかというような議論も当然出てくる。戦闘機というふうな一つのメーンになるところは日本の自主開発でいくんだというぐらいの気概を見せたらどうだ、こういう意見も当然あり得るわけですね。  ただ、そうかといって、アメリカからすれば、そういうことで日本が力をつけると、武器輸出三原則があって、アメリカには例外を設けたけれども、他のところには武器は出せないという、紛争その他の地域の問題があるけれども、力を持って、将来政治情勢でも変われば、米ソに次いで日本が武器輸出の競争国になってはいかぬ、あくまでもこういうメーンの問題についてはアメリカ主体の共同開発だという意見が強いのではないかと観測するわけだけれども、いわゆる次期支援戦闘機、FSXの問題は、栗原三原則ということを言っているが、これからの訪米の問題も含めてどういう考え方を今持っておられるのか。  それから、防衛大学校の問題については、女子学生を入れるかどうかという問題もある。ただ、あの四段ベッドの問題は、訓練のためと言っているが、事務当局は事務だからこれはしようがないのだけれども、あんな前近代的なものを残さなくても、通常の訓練をやっておけば、潜水艦に行けばちゃんと潜水艦の対応をしますよ。潜水艦だって居住区は改善されてきているわけでしょう。あれはもう前近代的なものだから速やかにやめることが必要である、こういうふうに思っておりますが、それらを含めて締めくくりの御答弁願いたい。
  30. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 防衛大学校の問題につきましては、いろいろの御意見なり御提示をいただきましてありがとうございました。既に防衛大学校並びに防衛庁でそれぞれ検討しておる事項もございます。今御提案、御提示の中で我々として処理しなければならぬものは適切に処理をいたしたい、こう考えております。  ただ、この際にお礼を申し上げておきます。今まで防衛大学校とか自衛隊の現場に野党、特に社会党の皆さん方に行っていただくということはそう多くなかったと思うのです。今回はそのことをやっていただいて、現地で見ていただいた。今お話を聞いておりますと、やはり百聞は一見にしかず、実際見られたからこういう意見が出たのではないかと思いまして、敬意を表します。今後もよろしくお願いをいたします。  FSXにつきましては、栗原と言うのは少し僭越でございますが、俗に言う栗原三原則は堅持をしております。御案内のとおり、FSXにつきましては、軍事的に、あるいは防衛的に客観的に見てすぐれているものでなければならない。もう一つは日米安全保障という関係がありますから、少なくとも米国防総省の理解を得られるものでなければならない、理解を得なければならない、こういうことですね。もう一つの問題は、日米の防衛産業の影響を受けない、えてしてこれらの問題につきましては防衛産業の影響を受けて、政界そのものが大変醜態を演じたこともございますので、これは日米ともに防衛産業の影響を受けない。この三原則を堅持いたしまして今検討なりいろいろなことが行われているわけでございまして、この点についてはしばらくお任せいただきたい。  私が訪米してどうこうするかということは、いろいろ記事が出ておりまするけれども、まとめなければならぬというときには参りましてまとめたいと思っております。
  31. 角屋堅次郎

    角屋委員 来年度の防衛予算の問題についても、当然ある程度時間を割いて議論するつもりでございましたけれどもあと五分でございますので、これは同僚議員が引き続き慎重審議をされますから、その方に任せたいと思います。  ただ、防衛費とかこういうものというのは、基本的に自己増殖をする性格を持っておるわけであります。古い時代にアメリカの大統領でありましたアイゼンハワー大統領が、八年間の任期を終わって辞任をするときに、上下両院の合同会議の中で離任に当たっての演説をされております。その中で、私は軍人出身だけれども、大統領になって軍縮をぜひやりたい、こういうことで一生懸命やるつもりだったけれども、事実上これはできなかった。できない理由は、一つは軍産複合体の圧力が非常に強かった、もう一つは科学技術関係のエリート集団といいますかそういうもののプレッシャー、これは具体的にはSDIにおいてそういうプレッシャーが大きな要因の一つになっておると思いますけれども、この二つは予想外に強い圧力で、そういうことで自分の軍縮をやろうというのは結局できなかったということを離任の演説の中で述懐しておられるわけです。  防衛費というのは、今まではGNP一%の枠内という三木内閣の五十一年十一月五日の閣議決定がこれまで続いてきておったのですけれども、元来これをやめたいというのが年来の中曽根総理の念願なのだから、それをことしの予算で破った。これに防衛庁が我が世の春来れりということでこれから臨んでいこうとすると、中国とのお話し合いの中で日本が軍事大国になるのではないかということでの話等も出た、栗原さんはそれに対して我が国の態度を説明されたということがございましたけれども、これはやはり自己増殖をしていく、軍産複合体の問題あるいはその他のいろいろな力の問題、そういうことがあって。  後藤田官房長官の御答弁は求めませんけれども、予算委員会の中でも、いわゆる五十一年十一月五日の閣議決定の精神は引き続き尊重するというのと、総額明示方式の新たな方針を出したという関連は議論がなされて、総理もお答えになり、大蔵大臣もお答えになり、特に後藤田官房長官からお答えがあったわけだけれども後藤田官房長官は、この精神を引き続き尊重するという意味は、抑制的に防衛予算は取り扱っていくという考え方を示したものだ、こう言われたわけであります。  これはまだ概算要求基準の六・二%ということでありまして、これから最終的に新しい内閣の手でどう決まるかというのは今後の問題であります。したがって、防衛庁が我が世の春来れりというふうなつもりでこれから防衛予算の増額に進むとするならば、これは日本の進路を誤ることになる、あるいは防衛問題に対する政党間の共通広場というのはますますギャップを拡大していくということにもなりかねないと思うのであります。そういうことも心してこれからの問題に当たってもらいたい。エイジス艦の購入とかOTHレーダーとかいろいろなものを買いたい、こういう、子供のおもちゃを買うのとはちょっと違いますけれども、そういう点もやはり全体の国民の気持ち、国際的ないろいろな動き、そういうものの中で、一方では核軍縮は進んでいこうという態勢ですから、デタントに日本が国際的に協力する姿勢の中で日本の防衛予算をどう考えるかという姿勢でやってもらいたい、こう思うわけであります。  後藤田官房長官、最後までおられましたので、ちょっと今の点について内閣としてのコメントをいただいて終わらしていただきます。
  32. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私どもの防衛力整備についての考え方は、今、角屋さんがおっしゃったとおりでございます。やはり五十一年の閣議決定の精神を尊重するつもりは、抑制的な態度で必要最小限のものを整備をさせていただく。  現在やっておることは、例の五カ年計画、中期業務計画がございますから、この中期業務計画の早期達成ということに向けて努力をしていきたい、かように考えております。
  33. 角屋堅次郎

    角屋委員 どうもありがとうございました。
  34. 石川要三

    石川委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十三分開議
  35. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  36. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず、栗原防衛庁長官にお伺いいたします。  長官が去る六月、ワインバーガー米国防長官と会談した際、FSXの選定問題、この政治決着に関してどういうふうになっていったのか、その状況、それからまた、このFSXに関しては、いよいよ六十三年度概算要求が決定する段階でございますけれども、それまでに決まっていくのか、それと同時に、このFSXの選定問題に関しては日米経済摩擦との完全な切り離して考えておると思いますけれども、その点をまず最初に確認しておきたいと思います。
  37. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ワインバーガー長官と私との会談の際に、FSXの話が出ましたが、そのときに私の方が申し上げたのは、これは毎々申し上げてありますとおり、この問題は純軍事、防衛的な見地から最もいいものを選ぶ、それから、日米安保という関係がございますので、少なくとも米国防総省の理解を得なければならぬ、もう一つは、内外の防衛産業の圧力はこれを排除しなければならぬ、そういう観点で自分は選考していきたいと思っておる、今、その選定の過程であるけれどもということでお話をしたわけであります。  ワインバーガー長官の方からは、その点については私も全く同感である、ただ、この問題については、アメリカの現有機をもととしていろいろ考えることができないかというようなお話がございました。それに対しまして、そういう点については検討をしてみましょうということを申し上げると同時に、私は、日米間で非常に重大なことは、FSXだけに限らず、日本の高度の技術とアメリカの高度の技術、こういったものをどうアジャストしていくか、それが非常に重要なことではないか、こういう話をしたわけであります。それについても全く同感であるという話がございました。現在は、先ほど申しましたとおり、俗に言う栗原三原則でいろいろと検討を進めておるという段階でございます。  この問題と日米貿易摩擦との関連についてお話がございましたけれども、いわゆる状況としましては、大変いろいろと面倒なことが起きておる状況でございます。しかし、基本的には今申しました三原則に基づきまして決断を下したい、こう考えております。
  38. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 さらに、防衛庁長官は九月の下旬か十月の初め、ワインバーガー米国防長官の招請を受けて訪米する意向のようでございますけれども、この目的は何なのか、そしてまた、はっきりした日程はどうなっておるのか、また、そこでFSX選定について決着するのかどうなのか、そういった面も含めて、この訪米問題、わかる範囲で御答弁いただきたいと思います。
  39. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 ワインバーガーさんから、彼が六月の末に来たときに、今度は防衛庁長官ぜひアメリカへ来てください、できることならば八月ごろいかがでございますかというお話がございましたが、私は、大変ありがたいけれども国会もあることだし、国会の都合が許せば別だけれども、そうでないと行けないので、国会の都合等を考えて配慮いたしたいというふうに申し上げたわけであります。  そのときには特段の、あなたにおいでいただいて、そしてそのことについて討議をしましょうなどという特定の問題はございませんでした。しかし、その後、御案内のとおりFSXの選定の問題等も来ておりまするし、また、いわゆる潜水艦の探知能力等の問題につきまして日米間でいろいろの安保条約の枠の中で検討するという問題も出てきておりますので、もし私がアメリカの方へ参るということになれば、当然のことながら、FSXの問題あるいは今言った潜水艦の探知能力等の問題について意見交換をする、話し合いをするということになろうかと思いますが、今のところ、こちらの方は国会開会中でございまするし、また、アメリカさんの方から、いつごろ来ていただきたいというようなこともまだ来ておりませんので、現在のところにおいては確たることは申し上げられない、そういう状況でございます。
  40. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、外務省来ていただいておると思いますが、SDIに関してお伺いいたします。  まず、SDI研究参加。七月二十二日、日本は米国のSDI研究への参加に調印したわけですね。中曽根総理はSDIは平和主義に違背しないと述べたそうでございますが、国会決議の中に宇宙の開発利用は平和目的に限る、こういう国会決議もあるごとく、このSDI研究参加はこの国会決議の形骸化にならないかどうか。また、SDIはエネルギー源に核が使用される可能性がございます。そういう意味から、非核三原則の関係からも大きな疑問があるわけですが、政府としてこの問題に関してどうとらえられておるのか、御答弁いただきたいと思います。
  41. 新井弘一

    ○新井政府委員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、SDIの基本理念につきましては、レーガン大統領さらにアメリカの政府関係者が累次述べておりますとおり、非核の手段によって弾道弾を無力化し、究極的に核廃絶を達成する、そのための研究構想である、この基本理念は平和国家である我が国の方針とも合致するものであるというのが私どもの認識でございます。
  42. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 SDIに関する中心的シンクタンク、ローレンス・リバモア研究所が、一九九四年までに宇宙配備予定の第一世代SDI兵器である運動エネルギー兵器は、ソ連が今後十年間に配備を完了すると見られている最新鋭の戦略核ミサイル、そういったものに対する完全な防御とはなり得ないというような分析をした、そういう報道がございますね。この点、SDI研究に参加した我が国の立場から、この問題に関してどのような報告を受け、どのように対処しておるのか伺いた  同時に、ソ連が現在配備しておるSS18あるいはSS19、これに対しては運動エネルギー兵器を使用することによって有効である、だが、今配備してあるのを全部撃墜するには、この運動エネルギー兵器を十万個極軌道に打ち上げる必要があるそうなってくると余り現実的ではなくなってきますし、そんなことが可能なのかどうなのか、どういうような報告を受けておるのか、あわせて御答弁いただきたいと思います。
  43. 新井弘一

    ○新井政府委員 SDIにつきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、いわゆる戦略防御を達成するための構想であり、現在アメリカが行っているのはこういう兵器体系が果たして可能かどうか、これを見きわめるための研究構想であるというふうに承知しております。  実際にアメリカ当局等の説明を聞きますと、これは恐らく先生案内と思いますけれども、ブースト段階あるいはポストブースト段階、さらにミッドコース、さらにはターミナルと、三重四重の層を設けまして、その間に飛来してくる弾道弾をその要所要所で撃ち落とす、そういう構想である。さらに、これを具体的に実施するに当たっては、恐らくは初歩的な段階としては運動エネルギー兵器とセンサーシステムの組み合わせ、さらに究極的には粒子ビーム等とより高度なセンサー、そういう非常に長期にわたる構想であると考えております。さらに具体的には、当面、運動エネルギー兵器の開発に重点を置いているということは承知しております。  ただし、何分にも現在の段階では研究段階である。いろいろな研究所がいろいろな構想を発表しておりますけれども、これが果たして妥当かどうかについては、今の段階では私ども予断は差し控えざるを得ない、そういう状況でございます。
  44. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、外務省にさらにお伺いすると同時に、防衛庁にあわせて見解を伺っておきたい点がございます。  それは、昨日倉成外相が衆議院の外務委員会におきまして、国際緊急援助隊への自衛隊員の参加問題について、災害救助を目的とした自衛隊員の将来の海外派遣に含みを残したやの発言がございますね。この真意をもう一度御答弁いただくこと。それから、自衛隊法では海外派遣は認めておりません。いかなる目的にせよ海外派遣は行わないとの立場をとってきた経緯がございます。したがって、自衛隊法の改正を念頭に置いたものであるというように受け取るとこれまた問題でございますし、外務省及び防衛庁の御所見をあわせてお伺いしておきたいと思います。
  45. 英正道

    ○英政府委員 本日の衆議院本会議で可決いただきました国際緊急援助隊の派遣に関する法律案、この法案の別表に関係の行政機関が掲げられております。その中に防衛庁は含まれておりません、自衛隊がこの法律に基づいて国際緊急援助活動を行うことはできることになっておりません。
  46. 西廣整輝

    西廣政府委員 今、外務省からお答えがありましたけれども、今回の緊急派遣隊の法律の中に我が方が入っていない、つまり自衛隊が持っておるような技術というものを必ずしも現在のところ必要とされるというようにお考えになっていないように思われますので、私どもとしては特段御相談も受けておりませんし、お話も聞いておりません。
  47. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度外務省に。くどいようですが、将来のことまで考えて全然考えていない、そうすると報道は間違いである。あるいは外務委員会での答弁のニュアンス、そういったものを正式にわかりやすく詳しく答弁してください、大事なところだから。
  48. 英正道

    ○英政府委員 報道はつまびらかにいたしませんけれども、緊急援助隊の活動にかかわる人員派遣の問題につきましては、これまで両三年幾つかの経験があるわけでございますが、そういうこれまでの経験にかんがみまして、都道府県警察、市町村消防等の協力によって機動的かつ効果的に事態に対応し得る、こういう判断をしております。そういうことで、本法案では自衛隊の参加を予定していないということでございます。  将来の点についての御質問でございましたけれども、自衛隊の参加について万一それが必要と判断されるようなことになれば、その時点で改めて検討されるべきこととなると認識しておりまして、その意味では将来の検討課題だ、このように考えております。
  49. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、昨日並びにその前にもそうでございましたが、ニアミスが頻繁に起きて、午前中の本委員会におきましても御質問がございました。これは自衛隊機と全日空機の異常接近ですが、運輸省に報告があったものが双方が大分距離がございますね、食い違いが。これは全日空がわざわざうその報告をするということは何のメリットもございませんよね。だから私ども見ておっても、この前のニアミスのときもそれから昨日のニアミスのときも、余りにも食い違いがある。昨日の分はまだはっきりしたものはわかっていないと思いますが、先般のものと両面で、本当にどうだったのかということをどこまでつかんでおるのか、それを最初に状況説明してください。
  50. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 御説明いたします。  八月十一日の事案の概要でございますが、十時四十五分ごろ四国の南方の、リマ区域といっておりますが、L訓練空域におきまして海上自衛隊の厚木にあります第五一航空隊の岩国の分遣隊のU36Aという飛行機と全日空のB767とが異常な接近をしたという報告が、全日空機の機長の方から上がったわけであります。  この際、海上自衛隊機は水平飛行及び旋回性能試験のために十時十二分に岩国を離陸しておりまして、宿毛経由で十時四十分ごろにリマ区域に到着いたしました。そうしまして海自機は第一回目の旋回試験を終了いたしました後、十時四十五分ごろにL空域を維持いたしますために左旋回中、鹿児島から名古屋に向かっておりました全日空機を左六十度の方位約七マイルで視認いたしました。同機を視認しながら緩徐な、緩やかな左旋回によりまして同機の後方を離れた、離隔したという報告を受けておるわけであります。ただ、細部につきましては、現在調査中であります。  海上自衛隊機機長の証言によりますれば、最近接時というのですが、距離は左後方約三マイルであったということでありまして、現時点で直ちにいわゆるニアミスに該当するとは断定できない状況でございます。海自機の機長は、いわゆるニアミスという不安は感じておりませんでしたために、その後、試験を継続いたしまして十二時三十七分に岩国に着陸いたしました。  この事案につきまして全日空機の機長から運輸省に対しまして、いわゆるニアミス報告がなされておりますことは運輸省から連絡を受けておりますが、全日空機機長の見解の細部については承知しておりません。  いずれにいたしましても、現在まだ運輸省におきまして海自機及び全日空機双方の機長から事情を聞く等の調査が行われているところでありますので、防衛庁といたしましてもこれに協力しながら事案の解明に努めてまいりたいと考えているわけであります。
  51. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これだけ科学技術が進んで、防衛庁としても最新のものを幾つもそろえ、例えば――ちょっともう一度はっきりさせておきたいのですが、記録はレーダーに残っているのですか。残っていないような空域訓練ではおかしいし、この辺で全部はっきりさせてくださいよ。
  52. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 当日の性能試験飛行は有視界飛行状態で行われまして、海上自衛隊機は特別に航空自衛隊のサイト高畑山にモニターを依頼しておりませんので、航空自衛隊の方のレーダーのビデオというものには残っておりません。ただ、ポジションレポートは逐一航空自衛隊に通報してあります。そういう関係でございます。民航機の方につきましては、民航機の方の東京ACCのレーダーで把握しておられるということであります。私どもの方は有視界飛行であったということであります。
  53. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 くどいようですが、もう一度済みません。ポジションレポートというものがあると、その位置ははっきりするわけですね。そこだけはっきりさせておいてください。民航機の方は、これはわかると思います。だからそれがはっきりすれば――報告を受けたとかそういう感じだったとかというのでは、これは解決しませんよ。その点がはっきりするのかどうか、これをちょっと答弁してください。
  54. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 土佐清水のボルタック及びタカンとの関係でのポジションのレポートを大事な時点で五分置きに入れております。
  55. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長官にお願いしておきます。  まずこんなニアミスが、普通に聞いておっても、これは全日空機のパイロットが二度も続けて、今の報告では自衛隊の方の報告ではもうこんなもの全然大したことない、そんな心配はないという感じですが、うそをつくはずは絶対にないと思います。長官だってそれはわかると思います。  そこで一つは、訓練空域を今後どう考えるのか。それからまた、雫石での例がございますね。ああいうような大事故になっては大変でございますから、もう二度も最近においてこんなにニアミスが出てきておる状況から考えてどう対処するのか、長官の御所見をお伺いしておきます。
  56. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 率直に言って、全日空機の方でうそを言っているということは絶対ない、こういう御主張がありますけれども、私の方もいわゆる報告がうそを言っている、そういうようには思わぬわけです。そこが問題でして、したがって、この問題については実態を徹底的に調べる、真相を究明する、その上で対処する、これが現在私の考え方であります。
  57. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは委員長、関連質問がございますので、我が同僚議員にやっていただきます。よろしくお願いします。
  58. 石川要三

    石川委員長 関連して、森本晃司君。
  59. 森本晃司

    森本委員 私は、先般奈良県の十津川村で発生いたしました米軍機が林業用ワイヤロープを切断した事故に関する抗議及びその事故の真相について関係各位にお尋ねを申し上げたいと思うところでございます。  去る八月十二日の朝に、奈良県の十津川村で米軍機が低空飛行中ワイヤロープを切断するという事故が発生いたしました。早速我が公明党の奈良県本部で視察団をつくりまして、十四、十五の両日現地を視察し、またその状況を把握してまいりました。その状況によりますと、米軍機がたびたびその十津川村を飛んでいたということでございます。一昨年夏にも、私の友人がちょうどその下にあります神納川に魚釣りに行っておりましたら、ちょうど米軍機が飛んできて、釣っていたアユ等をその場にほうり出して地に伏したというふうなことも、私も直接私の友人から聞いております。これは人身事故を含む非常に大変な、今回は人身事故には至りませんでしたが、一つ間違えればもう完全に人身事故になっている問題でございます。  先日、十八日に、私と外交委員長の渡部委員等を含めまして、防衛施設庁並びに北米局に飛行の中止と事故再発防止を申し入れたところでございますが、まず栗原長官にお尋ね申し上げたいわけでございます。  今回の事故について、どのように掌握し、どのような所感を持っておられるのか、また、今後いかなる対策を講じようとされておるのか、その点をお尋ね申し上げたいと思います。
  60. 友藤一隆

    友藤政府委員 私の方からまず御答弁申し上げます。  今回の米軍機によります事故につきましては、先ほどお話がございましたように、地域住民に多大の不安感を与えたということは私どもも大変に遺憾に存じております。施設、区域におきます訓練と申しますのは、当然公共の安全を十分考えてやる必要もございますし、ましてやそれ以外のところでの行動については、当然公共の安全に留意して行動する必要があるわけでございまして、こういった観点から、私どもとしましては、在日米軍司令部に対しまして原因の究明それから再発防止策等の確立について申し入れを行っております。  それとともに、被害に遭われました事業所に対しましては、早速担当の防衛施設局から補償等についての御説明を行い、遺憾の意を表しまして、今後補償関係について遺漏がないように措置をしておるところでございます。
  61. 森本晃司

    森本委員 防衛施設庁は、先日も申し入れをさせていただきましたとき、あるいはまたこの事故が起きたときにすぐに対応していただいておりまして、その素早い対応に我々も非常によきかなというふうに思っておるところでございますが、防衛庁長官お尋ねしておるのです。  今回の事故、当然御承知かと思いますが、防衛庁長官の所感をお尋ね申し上げたいのです。
  62. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私の所感は、先ほどの御質問にもお答えいたしましたけれども、日米安全保障条約ということについて、我が国がこれを着実に守っていかなければならない、そのために住民の方々にも御協力いただくということをしておるわけでございます。したがいまして、米軍機の今回のことにつきましては、いろいろ事情等を調査しておりますけれども、しかし全般的に言えることは、日米安全保障条約どこの問題につきましては、アメリカ側も十分その趣旨を理解して慎重な行動をとってもらいたい、このことを機会あるごとに米側に伝えたい、こう思います。
  63. 森本晃司

    森本委員 決して私は、反米ということあるいはまたいたずらに反米意識を盛り上げようというものでも何でもございません。  長官の今の御答弁の中に、住民の方々に御協力をいただくというふうにありますが、これは当然日本国も協力すべきところは協力をしなければならない。しかし、協力しなければならないのですが、突然そういう飛行機が飛んできて、山林で仕事をしておる人たちに起こした今回の事故については、防衛庁長官はいかがに考えておられるのか、お尋ね申し上げます。
  64. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 これは大変遺憾なことでございまして、先ほど施設庁長官から米側に申し入れているということでございます。
  65. 森本晃司

    森本委員 外務省にお尋ねを申し上げたいわけでございますが、当該米軍機の飛行目的は何であったのか。要するに訓練だったのか、それとも、新聞によりますと航法訓練ということだったわけでございますけれども、その目的は一体何だったのでしょうか。
  66. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 本件につきましては、累次御答弁申し上げておりますとおり、外務省といたしましても、施設庁と連絡をとりながら在京米大使館に対しまして原因の究明、再発防止等につきまして話し合いをしている最中でございます。したがいまして、あらゆる事実が今現在あるというわけではございませんので、この事実関係についての言及は現段階におきましては控えざるを得ないわけでございますが、今までのところ、米軍から参っております情報によりますと、この飛行機は航法訓練を行っていた、すなわち地図に基づいて低空で飛行してパイロットの練度向上を図るという訓練を行っていたということでございます。
  67. 森本晃司

    森本委員 米軍機の航法訓練については先日も申し入れのときにお尋ね申し上げましたが、もう一度この場をおかりして御答弁いただきたいわけでございますが、米軍機の航法訓練であればいかなるところでも全く通告も何にもせずに突然飛んでいいものなのかどうか、その辺をお願いいたします、
  68. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 訓練につきましてはいろいろな訓練があるわけでございます。例えば、明らかに実弾の射撃あるいは模擬弾の射撃を行うという射爆のための訓練というようなことにつきましては、これは一定の海域、空域、地域に限られるということでございますが、他方の極端な例でいきますれば、例えば飛行そのものの訓練ということ、これは一定の施設、区域等に限られる必要はないということでございます。したがいまして、航法訓練というものそれ自体につきまして、地位協定の上でそれが禁止されているとか、あるいはそれはそれだけで可能であるということを地位協定からのみ云々することはできませんで、その個々の訓練の態様を具体的に見まして、それが合理的に地位協定の許容するところであるかどうかというところが問題になるかと思います。  そういう見地から問題になりますことは、一方におきましては、米軍の駐留の目的、すなわち施設、区域を提供しております以上、米軍がこの日本におきましてそれなりの軍隊としての有効性を維持する、そのために訓練というものは必須でございますので、その目的ということがありますけれども、他方に我が国の公共の安全ということがございまして、当然のことでございますけれども、米軍の我が国における訓練は、その我が国の公共の安全に対して十分な適切な配慮を行った上で行うべきであるというのが我々の考えでございます。
  69. 森本晃司

    森本委員 さらに外務省にお尋ね申し上げたいわけでございますが、申し入れのときには、早速米大使館に遺憾の意をあらわされて、事故再発防止をお願いされたというふうに私たちは伺っておるわけでございますけれども、その後、米軍の方から今回の状況について、あるいはあの十津川上空における事故再発防止について何らかの回答があったのでしょうか。
  70. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 先ほど申し述べましたように、本件の事故の報に接しまして、在京の米大使館に対しまして、本件の器物に対する破損等につきまして遺憾の意を表明いたしました。さらに、原因の究明、それから事故再発の防止ということについて十分米側と話をしたいということを申し述べまして、その後もいろいろなレベルで米側と本件について話をしておりますけれども、先ほどちょっと申し上げましたような断片的な説明は幾らか聞いておりますけれども、いまだまとまった説明結論というようなものには接しておりません。
  71. 森本晃司

    森本委員 今入っている断片的なことだけでも御報告いただけませんか。
  72. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 例えば、この当該の米軍機は、厚木を出発いたしまして、岩国を経由いたしまして厚木に帰着したということでございまして、その目的は、先ほど申しましたように航法訓練であるということなどでございます。
  73. 森本晃司

    森本委員 事故再発防止について、あるいは十津川上空を飛ばないようにということで我々も申し入れをいたしましたし、また、奈良県知事からも昨日事故再発防止についての強い抗議が防衛施設庁の方にもあったようでございますけれども、防衛施設庁の方にお伺い申し上げます。  米軍が事故再発防止に対していかようにやるということを、今の段階で何らかの回答があったのでしょうか。
  74. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答えします。  現在、米海軍において事故調査実施しておりますけれども、その調査の結果が出るまでの間、同地区における同種の飛行は行わない、米海軍としては行う計画はないというふうな情報を得ております。
  75. 森本晃司

    森本委員 今後行わないということでしょうか。
  76. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 現在私どもが得ている情報は、調査の結果が判明するまで同種の飛行を同地区で行う計画はないと伺っております。
  77. 森本晃司

    森本委員 調査の結果が判明するまで飛行は行わないということですが、調査の結果が判明するまで飛行は行わないということは、調査が終われば場合によっては飛行が行われるということですか。
  78. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  調査の結果が出るまではということにつきましては、その調査の結果いかんによって米軍側が改めて判断をするということであろうと私どもは理解しております。
  79. 森本晃司

    森本委員 具体的な米軍の調査が何か行われているようですか。
  80. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  米軍としましては、当面同地区の上空にヘリコプターを飛ばして調査をしたいというお考えを持っているように聞いております。
  81. 森本晃司

    森本委員 ヘリコプターを飛ばす時期等々についてはまだ報告はありませんか。
  82. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 もし天候が許すならばあるいはきょう飛行しているかと思います。それから、必要に応じて地上調査をやることもあり得ると聞いております。
  83. 森本晃司

    森本委員 時間がございませんので、いずれにいたしましても、今回静かな山合いに突然起きた事故でございまして、奈良県民あるいは十津川村に住んでいる人たちにとって大きな不安が広がっているところでございます。事故再発防止に強い申し入れを外務省からもまた防衛施設庁からもお願い申し上げたいとともに、この被害については十分なる交渉をしていただき、また十分なる被害補償をしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 引き続き質問をさせていただきます。  まず、三宅島NLP用気象施設に関して。米空母艦載機夜間離着陸飛行場建設問題で三宅島住民の八割以上が反対しておるわけですが、このNLP用飛行場建設のための気象観測施設工事を、これだけの反対があるのですから白紙撤回する考えがないかどうか、お伺いしておきます。
  85. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  三宅島におきます艦載機着陸訓練場に関します事前調査を白紙撤回しないか、こういう御質問でございますが、私どもとしましては、空母の艦載機の着陸訓練の意義は、日米安保条約上も我が国の重要な責務でございますし、我が国自身の安全保障のため欠くことができないものだと考えております。  現在、こういった着陸訓練は厚木で実施しておるわけでございますが、御案内のとおり人口の稠密なところでございますし、訓練条件も大変厳しゅうございます。そういった観点から代替の訓練場を探しておりまして、この過程で、立地条件が非常に三宅島がよろしゅうございまして、例えば厚木からの距離も百五十キロ程度で非常に短い、さらに、訓練場の設置を海岸側にとれば騒音の影響も非常に少ない、あるいは住宅地域の上空を飛ぶことがほとんどございませんので、万々が一のときの安全性も十分確保できる、さらに、周辺は海でございますので、訓練の効率も非常によい、こういったような観点もございまして、立地条件として三宅島が非常に好ましいということで、厚木飛行場の基地機能のうち、着艦訓練の部分だけを分担をしていただきたいということで何とかお願いしたいと考えておるわけでございます。  三宅島におきまして、現在、お尋ねのように、大変村民の方の反対が強いということは私どもも承知いたしておるわけでございますけれども、よく伺ってみますと、この反対のかなりの部分と申しますのがいろいろな憶測に基づく誤解が原因となっている部分が相当ございますし、私どもとしても我が国の安全保障上ぜひ必要だというようなこともございます。そういった国側の十分な説明を聞いていただいて設置については御判断をいただきたいということで、現在も村民の方々等につきまして説得を続けておるわけでございます。  設置につきましては、私どもとしては当該自治体あるいは地元の村民の方々、関係地方公共団体等々の御理解を得ながら進めていく必要があると考えておりますが、ただ、そのための事前のいろいろな準備とか調査につきましては、事務的に、候補地ということでもございますので、実際のデータ等をとる必要がございます。そういう観点から粛々と事務的に進めさせていただきたいということで開始をいたしたところでございます。したがいまして、現在、八月いっぱい観測塔を設置いたします工事は中断をいたしておりますが、その間も設置についての話し合い等を続行いたしまして、何とか私どもとしては早くこういった調査のための観測柱が建設できるように努力をいたしたいというふうに考えております。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、島民の理解が得られなければこれは進めていかないと、私は今そういうふうに理解したのですが、まあいいです、これは。時間がちょっとあれですから。  その前にお伺いしておきますが、まず、理解が何か憶測に基づくというようなことを今お述べになりましたが、例えば厚木基地周辺、厚木もこの夜間発着訓練、これに伴っての滑走路に見立てて行っていますね。ここの被害の住民の苦情、多いですね、これはつかんでおると思いますけれども。だから、理解といってもそう簡単にできないと思いますよ。これは、今、八月いっぱいは観光シーズンなので一応中止というかそういう状態になっていますが、九月に入るとまた島民としても反対行動に出ざるを得ないと思いますよ。  そこでまず、政府として考えておかなければならないのは、当初、既成の飛行場につくるかあるいは新しい飛行場をつくる、それからまたもう一つは洋上に浮体構造工法によって飛行場をつくるというような三つの案が考えられましたね、そういう方向でということで。そうなると、一番、二番はこれはちょっと難しいですよ。そこで、ここで三番の洋上に浮体構造工法によってつくっていくというような、そういったところも含めて検討し直すというようなところへ来ているんじゃないかと思います。そういった面も踏まえて、ひとつ見通しを明らかにしていただきたい。  それと、厚木の状況というのをどの程度までつかんでおるか、それは概略で結構です。御答弁いただきたいと思います、
  87. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 まず厚木の状況についてお答え申し上げます。  厚木飛行場におきまして夜間着陸訓練を開始いたしました昭和五十七年二月から現在までの着陸訓練の状況でございます。まず回数でございますけれども、昭和五十七年には日数にして七十五日、着陸回数約三千百回、五十八年七十日、回数にして三千四百回、五十九年三十二日、回数にして約二千百回、六十年四十日、回数にして約三千回、六十一年六十二日、約三千百回という実績になっております。訓練はおおむね日没から始まりまして、遅くとも午後十時までに終わるという状況でございます。また、これまで周辺住民から電話で当庁あるいは国の機関または米軍に対して寄せられた苦情電話の件数は、トータルにいたしまして約四千八百回ございました。  以上でございます。
  88. 友藤一隆

    友藤政府委員 引き続きまして私の方からお答えを申し上げます。  騒音の苦情等についてはただいま関係政府委員からお答えを申し上げたとおりでございますが、三宅島が私どもとして非常に条件がよいと申しましたのは、こういう騒音の苦情という点につきましても、非常に人口稠密のところの上空を周回するということでございませんで、海岸のわきにランウエーをとりました場合、訓練を行いますパターンを海側にとることが可能でございますので、そうした場合には騒音の影響を受ける部分がほとんど海上に来てしまうということでございます。一部陸上にかかる部分もございますが、そこの影響度を厚木と比べますと相当大きな差もある、こういうことで全体としての騒音の影響が極めて少ないという判断をいたしておるのでございます。  それから、浮体工法等についてお尋ねがございました。私どもでは関東周辺で適地を調査検討いたしました際に、既存の飛行場あるいは飛行場新設と並びまして浮体の飛行場というものの可能性、有効性等について調査をいたしております。その結果、現在、三宅島にぜひともお願いしたいという形になっておるわけでございますが、浮体飛行場につきましては技術的に未知の分野が大変多うございます。特に、ランウエーの長さにいたしまして二千メートルを超えるような長い浮体を構築するということは世界に例がございませんで、そういった未知の分野があるということが一つでございます。こういった技術的な面がございます。  それから、設置場所といたしまして、海洋の上に浮かべるわけでございますが、周辺を含めまして広大なやはり海域が必要となってまいりますし、漁業でございますとか航路等に影響を及ぼすところも多うございます。こういった設置場所にかかわる問題がございます。  それから、お金の面でございますが、建設費それから特に維持管理費等につきまして、やはり人工のものでございますので、大変これも膨大、高額にかかるというような点もございます。  さらに、肝心の使用者でございます米軍の方では、そういった浮体の飛行場というものについて希望しない、こういう点がございまして、私どもとしては浮体飛行場は採用できない、こういうような結論を得ておりまして、現在、現時点においてもう一度よく検討してみたらどうか、こういうお話でございますが、私どもとしては、状況としては以上申し上げた諸点については変わりはございませんので、何とか三宅島の村民の皆さんあるいは関係地方公共団体含めまして、これからやはり建設についての御理解を賜るよう努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  89. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それじゃ、時間も余りありませんので、官房長官にもおいでいただいておりますし、それから通産省、来ていただいていますね。  ココムの規制の違反事件に関連して若干御質問をさせていただきたいと思います、  まず、通産省にお伺いしておきます、東芝機械のココム規制違反事件を引き金にして、本日本会議でもああいうような形で法案が出てまいりました。我が国のこのココム規制強化の動きは激しくなっております。この事件が発覚したのが四月末、その約二カ月後には東芝首脳が辞任し、七月十一日には田村通産大臣が米国へ飛び再発防止策を約束した、そして本日というような、そういう経過になり、異例のスピードもさることながら、このココム規制強化の中身について、これは危険な方向を示す幾つかの疑義がございます。  そこで通産省に最初にお伺いしておきたいのは、ココム体制を推進してきたこの協議官庁は米国のどの省なのか。それから、日本の場合のココム規制品目については今後の考え方というのはどうなっていくのか、あわせて御答弁ください。
  90. 岩井篤

    ○岩井説明員 お答え申し上げます。  アメリカにおきましては商務省が一義的にココムの関連物資の規制を担当しておりまして、必要に応じまして国務省並びに国防省が協議を受けるという形でココム物資の輸出に関連した規制を行っているというふうに承知しております。
  91. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは官房長官にお伺いしておきます。  まず、七月十六日の衆議院予算委員会で、東芝機械のココム規制違反とそれからソ連原潜のスクリュー音低下との因果関係、これをめぐっての政府内部の見解の不統一というか、官房長官の因果関係に関するお考えはどうであったのか。ココム規制の強化の事実的な引き金となったこの東芝機械のココム規制違反とソ連原潜のスクリュー音低下問題の本質はどこにあったのか、官房長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  92. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まず一つは、今回のココム違反事件というのは、我が国のいわゆる外為法に違反しておるという事実、これはもう間違いのない、捜査の結果明らかになっておることである。もちろんこれから裁判ということになるわけでございます。  もう一点は、ココム違反と言われておる東芝機械の工作機械がソ連潜水艦の消音に直接的な因果関係ありや否や、こういう問題になるわけでございますが、これについては関係省庁の間で協議をいたしました結果、政府として最終的に、直接的な因果関係については、先方が言っている以上はこれは確証を持って厳しい申し入れをしてきていることは当然でございますが、日本側としては必ずしもその点についての明確な証拠があるというわけではありませんけれども、しかし諸般の状況から見て極めて疑惑は濃厚である、こういう観点でお答えをいたしておるわけでございます。  なお、つけ加えて申しますれば、潜水艦の消音は別段スクリュー音だけではありませんし、いろいろな複合的な改良によって減っていることは事実であろうと思いますが、しかし、スクリューの改善によって消音効果が上がってくるということも、これはまた否定をし得ない事実であろうと思います。  それからもう一点は、ああいったいい工作機械を使用することによって優秀なスクリューの生産力が向上をするということはこれまた事実であろう、こういうようなことを安全保障上の観点から我々としては踏まえて対応をしておる、かように御理解をいただきたいと思います、
  93. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点官房長官にお伺いしておきます。  今回提出されました外為法改正案におきまして、通産省、外務省両省による法定協議事項が盛り込まれた点については、輸出承認官庁である通産省、そこと外務省との協議を法定化している国はどこにもございません。この結果、我が国のココム規制は米国に次いで厳しいものになったと思われます。なぜここまで強化しなければならないのか、規制は自由貿易体制に本当に逆行しないだろうかという危惧もあるわけでございます。  そこで官房長官に伺いたいが、外為法運用に関して関係閣僚会議を設置する動きがあるようでございますが、それはどうするのか。防衛庁が加わるとすれば各省庁に対する同庁の発言権強化というような問題が出てくるのではないか、そういうような面もあわせて官房長官の御所見を伺っておきたいと思います。
  94. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 外為法の運用に当たって政府としてはどういった体制を組んでやっていくつもりか、こういう御質問であろうと理解するわけですが、今、とにもかくにも現行の外為法が、今回の事件に徴して考えますと――外為法それ自身はおっしゃるように原則自由、制限例外ということでたしか五十五、六年でございましたか、改正があったはずでございます、その基本は私は守らなければならない、こう思いますが、しかし他方、今度の事件に徴して、国の安全といいますかあるいは西側全体の安全ということは、私はそれにも増して重要な事柄であろうと思います。  そういう意味合いにおいて、その制限の中の一部として今回法律の改正をとりおえず国会にお願いをしておるわけでございますから、その法律の改正ができ上がる前に関係閣僚会議等を設けるということを明確にここでお答えすることは、国会に対する政府の態度としてかえっていかがなものであろうかな、こういう気持ちを実は率直に持っておりますが、御質問でございますから、これはやはり関係各省がたくさんございますから、関係各省の意見を一致させるとかあるいはときどきの必要な連絡をするという意味合いにおきまして、政府関係閣僚会議を設け、その下に幹事会も設けるといったようなことで遺漏のない体制をとらなければならないのではないかということの検討を今いたしておる、かように御理解をいただきたいと思います。
  95. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、時間がございませんので、あとはまとめて通産省とそれから最後に防衛庁長官に所見を伺っておきます。  まず、アメリカのスマート商務次官から八月十七日、ココム輸出審査官をもっとふやせというような要望があったようだが、具体的には一体何人にせよと言っておるのか、また、通産省の輸出審査官のみならず、防衛庁等も加えて増強せよと言うのか、そういった面も明らかにしてもらいたい、  さらに八月七日、米国防総省は、「日本電気、三菱重工、住友重機の三社は、報じられたような不正輸出に関与していなかったことを明確にしておきたい」という声明も発表しました。同時に同声明は、「ココム規制の輸出審査強化に防衛庁が加わることになった点を「ココム加盟各国の国家安全保障を守るうえで積極的な一歩」と評価」しており、また、「中曽根首相が発揮した指導力を我々は大いに称賛している」とも述べていますね。そしてさらにまた、アメリカは、「日本とノルウェーが輸出管理強化のためにこれまでとった措置は模範的であると特に強調したい」と日本を絶賛している。ここでココム規制の輸出審査強化に防衛庁が加わることを評価するとアメリカが言っておるが、防衛庁が具体的にどのように加わるのか、日本の国民に明らかにしてもらいたい。それが一点。  外為法改正案には工場までの審査介入が盛り込まれておりますけれども、この防衛庁の審査官が立ち入ることもあるということなのかその面もあわせて御答弁をいただきたいのと、ペンタゴン、国防総省が防衛庁に輸出審査を強化せよと言ってきた事実は今までにもしばしばあったのかどうか、それも御答弁いただきたい。それから、ワインバーガー長官から栗原長官にこうした具体的な要求は過去にあったのかそういった面も明らかにしていただきたい。そして、全般、このココム問題に関して防衛庁長官としての御所見をお伺いしたいと思います、
  96. 岩井篤

    ○岩井説明員 まず通産省の関係の方についてお答え申し上げます。  スマート商務次官が来られまして通産大臣といろいろ話したわけでございます。その節に、先生お話がありましたように我が国のいろいろな再発防止のための努力に非常に満足しておる、こういう発言があったわけでございますが、一つ、議会側から出得る批判ということで、通産省が来年度も増員を計画しておるわけでございますが、その数が少な過ぎるのではないかというふうな意見が出る可能性があるという御指摘があったわけでございます。具体的に防衛庁に対して何人要求するかという話は私どもとしては特に聞いているわけではございません。  それから、外為法改正に伴いまして防衛庁の職員が立入検査ということで工場に入ることがあるのかという点につきましては、法令上、ココム規制に係る第六十八条で立入検査を決めているわけでございますが、そこで検査をなし得るのは通産省職員ということになっておりまして、今回改正によりまして防衛庁職員が立入検査を実施するということは考えておりません。  以上でございます。
  97. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 今度のココム違反の問題につきましては、西側陣営の安全保障という問題よりも、その前に日本の安全保障という観点から重大な関心を私は持っております。  それから、ワインバーガー長官から私に対して具体的にいろいろ要請があったかというと、そういうことはございません。ワインバーガー長官から私に私信が参りましたのは四月の末でございましたが、それは、この東芝のココム違反事件を契機として具体的にはソ連の潜水艦の音が非常に小さくなってきている、そういう問題について安全保障上の観点から大変憂慮しておる、貴長官は直接の担当大臣ではないけれども、これについてどういうお考えであるかいろいろお聞かせいただきたいというような意味の話がございました。私はそれに対しまして、こういうようなワインバーガー長官からの私信が来ておるということを関係省庁に伝えて、これはそれなりの適切な処置をとるべきではないかという意見を加えたわけでございます。  防衛庁が今後どうするかという問題については、私は形式論をとやかくは言いません、実際に安全保障上の問題で防衛庁がお役に立てるということについてはお役に立たなければならない、しゃしゃり出る必要はないけれどもお役に立つことはやらなければならぬ、こう思っております。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  99. 石川要三

    石川委員長 和田一仁君。
  100. 和田一仁

    ○和田委員 今回の自衛隊法改正案で、予備自衛官の増員が改正案の中にございます。千五百人ふやして四万六千四百人に改める。その内訳は、陸が千、海が二百、空が三百、こういう増員案でございますけれども、このふやす趣旨、目的、必要性についてまずお伺いしたいと思います。
  101. 西廣整輝

    西廣政府委員 今回お願いしておりますものにつきましては、陸上自衛隊の千人は、有時、現在の師団等が前線の方に出た場合の後の警備を担当する警備部隊の要員としてお願いをいたしております。また、海空のものは、海につきましては主として港湾等の警備その他後方支援のための要員、空につきましては航空基地であるとかレーダーサイトといったところ、有時になりますとそこを守るための防空要員というものが要るわけですが、それの要員として考えておるものをお願いしておるわけであります、
  102. 和田一仁

    ○和田委員 予備自衛官については昨年の第百七国会の改正のときにもふやしました。そのときに質問もいたしましたけれども、予備自衛官に民間からの採用も検討しているという答弁がございました。この点については栗原長官もそういう発言をされております。それをその後どういう検討をされたのか。防衛庁の業務・運営に関する検討事項にも、予備自衛官制度については自衛隊未経験者の採用問題が挙げられておりまして、六十二年の四月、ことしの四月までに基本的な考え方についてその検討を終えよう、こういうふうになっておりますけれども、それがその後どうなっておりますか、まずこの点からお聞きしたいのです。
  103. 松本宗和

    ○松本政府委員 お答えいたします。  予備自衛官を民間から採用するという問題につきましては、防衛庁で検討しております予備自衛官の適用業務の拡大の問題との関連で、その拡大の程度によりましては、採用の数からいいまして現在のようにいわゆる自衛官を経験した者から採用しておるということだけでは足りないではないかということから、自衛官未経験者からも採用するという方法を考えてはどうかということで検討を始めたものでございます。  この検討につきましては、これも含めて検討いたしております業務監査小委員会の方でこの六月にそれまでの検討結果を全般的に公表いたしました中で、予備自衛官の適用業務範囲の拡大につきましてなお引き続いて検討していくということを報告しておりまして、ただいま先生指摘民間からといいますか、自衛官を経験していない者からの予備自衛官の採用につきましては、この検討とあわせてなお検討を引き続いて行っていくというぐあいに報告いたしております。  なお、それまでに具体的に検討いたしました中身といたしましては、実はニーズの方が具体的に決まってまいりませんので、言うなれば法的な側面も含めまして項目的に整理をしたと申していいかと思いますが、例えば、応募資格あるいは採用区分の問題でありますとか、訓練招集期間をどうすればいいかとか任用期間の問題でありますとかその他管理体制、処遇等々について一応整理をしたという段階でございます。
  104. 和田一仁

    ○和田委員 その「適用業務の拡大」という項目の検討として、「諸外国において即応性等に差を設けていることを参考とし、即応度等に応じたカテゴリー化についても検討するものとする。」というような文言があるのですが、これは一体どういう意味なんですか。ちょっとこの中身、この言っている文章の意味を教えていただきたい。これは「業務・運営に関する改善検討事項の検討結果について」という文書の中にあるのですね。
  105. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、日本の場合は徴兵制度というのがございませんので、現役と申しますか自衛隊員そのものによる部隊編成というものが中心になりますし、それ以外のものについては予備自衛官制度というものをいかに活用していくかということが、有事の必要な防衛態勢をとるための手段としては残された手段であろうと思います。  その際に、御承知のように、現在例えば陸上自衛隊でございますと、平時における経費の節減その他を考慮して、訓練のぎりぎりの人数あるいはその他の防衛上の態勢としての基幹的な要員ということで、充足率等も八十数%ということでやや低目に抑えているというようなことがございます。そういった欠員といいますか、平時計画的に欠員を抱えておる、そういったものをいかにして埋めるかということも考えなければいけませんし、将来のことも考えますと、そういった欠員がただ一律にあるということではなくて、やはり地域的な要素なり職種なり、あるいはその職種によって必要な技能なりに応じた充足の度合いとかあるいはそれの補充の方法を考えていかなければならないのではないかということも考えておるわけでありまして、そういった点についても、各国の例は先ほど申したように徴兵制のない日本とは違う点もございますが、そういったことも参考にしながら検討を進めていきたいというように思っておるわけであります。
  106. 和田一仁

    ○和田委員 足らなくても地域や職種によって一律でない、そういうものを勘案しながら検討していこう、こういうふうに理解してよろしいですね。  今、予備自衛官の訓練というのは一体どういうふうに行われているのか、在官時の経験を生かしていけるようなそういう訓練をやっているのかどうか。現に一部自衛官のOBの声として、訓練が非常に画一的であって従来の経験を生かしたものになっていないというような声も聞かれるのですけれども、この点とういうふうにお考えになっているか。今後拡大を図るというその中で、今おっしゃったように、地域や職域についてのそのカテゴリー化というような中でこういうことを考えていこうとしているのかどうか。訓練の現状と展望についてお伺いいたします、
  107. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  予備自衛官に対します教育訓練は、各自衛隊の予備自衛官に対しまして、自衛官として在職中に持っておりました練度を保持することを主眼として実施しております’  具体的には、招集期間五日間、四十時間の訓練、いわゆる五日訓練と申しますものと、自衛官を退職して一年未満で予備自衛官に採用されました者につきまして初年度のみに適用されます招集期間一日間、八時間のいわゆる一日訓練とがございます。  この訓練内容でありますが、五日訓練におきましては、共通の訓練といたしまして、小銃の射撃、体育、それから使命感を高めるための精神教育などを実施しております。また、独自の訓練といたしましては、陸上自衛隊におきましては主として小銃小隊規模以下の戦闘訓練を、海上自衛隊におきましては各人の特技に応じました術科の実習を、また航空自衛隊におきましては特技保有者の補助者としての訓練をそれぞれ実施しております。  こういうことで、海空では各人の特技を尊重してやっておるわけでありますが、陸上自衛隊におきましても訓練内容の充実を図るという観点から、既に四つの支援職種、すなわち武器、需品、輸送、衛生につきましては八時間の職種別訓練を行っております。さらに、各方面隊の一個地連分だけにつきましては、陸上自衛隊におきまして職種別訓練を拡大し、音楽以外の全職種について二十時間をやってみようという拡大を一部試行しております。  また、一日訓練では、各自衛隊とも予備自衛官としての使命感を高めますための精神教育及び服務指導を地方連絡部等において実施しているところであります。
  108. 和田一仁

    ○和田委員 予備自衛官の存在理由というのは、何といっても有事の際の人員確保。先ほどおっしゃったように、後方警備とか港湾の防衛あるいは基地、レーダーサイト、こういったものの防衛のために有事の際に働いてもらおう、こういうことだと思います。そういうときの人員確保に予備自衛官を持っておりながら、有事法制というものが私らが見ていてどうもきちっとできていない。これは、私は前回もこの問題についてくどく質問したわけでございます。  きょうは官房長官もおいででございますけれども、特にこの予備自衛官の問題がそういう意味でこれから拡大されていくというときに、法的な不備を残したままで拡大するということはおかしいのではないか。特に、有事の災害補償という問題をきちっとしてもらわないといけない、こういうふうに増員をするならするように、その裏づけになる補償もきちっとしてもらいたいと私は思うのですが、その点はいかがですか。
  109. 松本宗和

    ○松本政府委員 お答えいたします。  この問題につきましては再々お答え申し上げておりますが、予備自衛官に限りませず、自衛官につきまして有事に際しましてどのような待遇をするかということにつきましては、防衛庁職員給与法の第三十条におきまして有事における取り扱いを定めることになっております。  ただ、この問題につきましては、いわゆる有事法制の研究ということでその第一分類の中に分類されておりまして、そこで検討の対象として挙げられておるわけでございます。防衛庁といたしましては、これもたびたび申し上げておりますように、できるだけ早い時期に整備すべきものは整備をする、立法措置を講ずるということは好ましいと考えておりますけれども、政治的に非常に難しい問題も含んでおるということから、現在なお中身について検討を進めておるという状況でございます。
  110. 和田一仁

    ○和田委員 定員の増員のたびに私は言っているわけですけれども、今おっしゃっていた防衛庁職員給与法第三十条では、防衛出動が下令されたら、そのときの特別措置については「別に法律で定める。」こうはっきり言っておきながら、「別に法律で定める。」というところが何もないという現状のままではいけない、こういうことを私は言っておるわけでございます。それはどうするんだと言えば、高度の政治的な問題でございますという答弁に事務当局は終始している。そういうことではいけないと思うので、国会でその都度その都度私は取り上げておるのです。  高度の政治的な問題を一体どこで解決すればいいのか、防衛庁長官官房長官にお聞きしたいと思います、
  111. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 御指摘の趣旨はよくわかります。  実は、私はこの前の防衛庁長官のとき、有事法制の第二部をまとめたわけです。問題は有事法制の第三部、これは内閣全体にかかわる問題である、したがって、内閣においてしかるべき措置を講ぜられるべきであるというふうに考えております。  そういうものを総合的に見て、足らざるところは逐次補っていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  112. 和田一仁

    ○和田委員 官房長官、この問題いかがですか。
  113. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今、防衛庁長官が答えたとおりです。
  114. 和田一仁

    ○和田委員 高度の政治判断というものは、これは本当に官房長官の意見もぜひ伺わないといけないと思います。  それでは次の問題に入りますが、官房長官、今度の六十二年度補正予算に政府専用機の購入費が計上されております。これは一体使用目的は何なのか、政府要人だとかあるいは皇族だとかの海外訪問、国賓の輸送、緊急時における海外在留邦人の救出等が考えられておりますけれども政府政府専用機の使用目的についてはどういう使い方をしようとしてこの方針を決めたのかをお伺いいたします。
  115. 河原崎守彦

    ○河原崎政府委員 お答えいたします。  今回購入を予定をいたしております政府専用機は、ただいま御指摘ありましたような総理大臣の輸送あるいは緊急時における在外邦人の救出のための輸送等を主なる使用目的と考えております。
  116. 和田一仁

    ○和田委員 ついでに、二機購入ということになっておりますが、これは二機でいいのかどうか。今、使用目的をおっしゃられましたが、そういう目的に使うのに二機でいいのか。前回、ヘリコプター、スーパーピューマ、あれは三機お買いになった、こういう専用機なんというのは諸外国を見ても大体三機単位なんです。今度の二機は懐ぐあいからそうなったのか、二機で十分なのか機種はどんなものをお考えになっているのか、それから運用管理はどうするのか、これについてお伺いしたいと思います。
  117. 河原崎守彦

    ○河原崎政府委員 何様が適当かということにつきましては、二機でございますと、一機が修理に当たるとかあるいは何かの用事に使っておるときでももう一機で用が足せると思っておりますので、二機で当面運航可能であるというふうに私ども考えております。  それから、機種の選定あるいは運用についてとうなっているのかという御質問でございますが、私ども関係省庁から成ります政府専用機検討委員会というものを設けまして検討いたしておるわけでございますが、その検討に当たりまして、使用目的から見まして、航続性能、輸送能力、安全性とかあるいは支援体制というようなものにつきましてどういう条件を備えるべきかということを検討してきておりまして、さらに現在、具体的に会議室等でありますとかあるいは通信室というようなものがどういういわゆる特別仕様を必要とするかというようなことについても検討を行っているところでございます。  なおまた、管理体制でございますが、現段階では総理府で管理するということを考えておりますけれども、その管理運営体制のあり方につきましては、専門的にわたる点もございますので、今後関係省庁とも十分相談して遺漏のないようにしてまいりたいというふうに考えております、
  118. 和田一仁

    ○和田委員 これの実際の運用については、どういう人が操縦し、そしてまた日常どういう管理をしようとしているのですか、もう一回答弁してください。
  119. 河原崎守彦

    ○河原崎政府委員 実はその辺の具体的な運用のやり方につきましては、ただいま関係省庁と協議をしているところでございますので、今明確にこうだと申し上げられる段階にないわけでございます。
  120. 和田一仁

    ○和田委員 官房長官、そういう事務局の答弁ですが、前回、スーパーピューマも最初はそのような方法で、やがてこれは防衛庁に移管されました。現に防衛庁が運営管理をしておりますね。これも私はそうなるのではないかと思うのです。諸外国を見ましても、ほとんどこういう今言われたような目的に使われる政府専用機というのは空軍ないし国防省が管理運営しているのではないか。ほとんどそうでございますね。そういうことから見ても、これはスーパーピューマと同じように総理府からやがて防衛庁に移管される、私はこう見ております。官房長官、そうなるのじゃないでしょうか。
  121. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 専用機の購入の目的、維持管理の方法あるいは機種の選定、こういったような点についての御質問には今会計課長がお答えしたとおりでございます。  ただいま少しく私の立場なりにお答えをすれば、今回は二機、とりあえずということでございます。本来は、私の考えとしましてはこの種のものは三機が一番適正である、かように理解をしますが、これは予算の関係その他等もございまして、とりあえず二機ということに決めたわけでございます。  使用目的は先ほどお答えしたとおりでございますが、それだけに限るのかということになりますと、私はそこまで窮屈に考える必要もない、乱用は許すわけにはまいりませんけれども、多少のゆとりというものはやはり考えておく必要がありはせぬのか。  それから維持管理は、これはちょうどヘリコプターを購入いたしましたときに同じような問題がございまして、さしあたりは総理府の所管ということにいたしまして、パイロット等については自衛隊の専門の方を併任とする、総理府の技官ということにして処理をして、そしてしかるべき時期に、たしか法律の改正もお願いしたのじゃなかったかと思いますね、そして自衛隊に管理をお願いした、こういう経緯がございますが、今回のこの専用機を一体どうすべきかということは、先ほど課長がお答えしたように検討中でございますから断定的なことは申し上げられません。しかし、常識的に考えれば同じような経過を経るのではないかな、こう思います。  しかし、その際に私どもとして絶対に考えてあげなければならないのは、防衛庁の予算というものについては本当に厳しい論議といいますか、もう少し言えば枠とでもいいますか、こういうものがあるわけですね。そこへこういう別の任務をお願いするということになれば、総理府として別に考えていかなければならぬ。ただ、管理運用は場合によれば専門家にお願いをするというようなことになるのではないか、金は別ですよ、ということはお答えをいたしておきたい、こう思います。
  122. 和田一仁

    ○和田委員 アメリカなんかでもやはり費用はホワイトハウス持ちというように聞いておりますし、実際の運用管理は空軍がやっている、こういうふうでございますね。今長官のおっしゃるように、そういう方向に行くということを私は予想しておるわけです。これは前回自衛隊法百条の五を改正いたしまして輸送できるようになったわけですから、それでやったらよろしいと思います。  そうなることを前提にいたしましてもう一点お聞きいたしますけれども、さっきも目的の中に緊急時における海外在留邦人の救出というのがございました。この前自衛隊法百条の五の改正をいたしまして、海外にも行ける、こういう解釈になっておるわけでございますので、こういった今度の専用機を海外における在留邦人の救出、こういう緊急時にはぜひ使っていただきたい。今までのように民間機をチャーターしていくということでなく、これは政府の専用機があるのですから、今言ったように、そういう使用にも、目的をもっと弾力的に考えるとも官房長官おっしゃっていましたけれども、ぜひそういう方向でやっていただきたいと思いますが、そう解釈していてよろしいでしょうか。
  123. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 この問題は、自衛隊の海外派兵というものとは絶対に混同をしてはならぬ、私はこう思います。そういう観点から、現行法の解釈でいけるのかいけないのか、そこらはいま少しく検討させていただきたい、かように思います。
  124. 和田一仁

    ○和田委員 自衛隊法にそういう任務が与えられていないからできないということであれば、せっかく官房長官はそこまでこの専用機の活用を考えておられるのですから、私は自衛隊法にはっきりその点を明記して、派兵ではないのだ、派遣であるということで、これは任務のうちに加えていくべきである、こう考えております。防衛庁長官、いかがでしょうか。
  125. 依田智治

    ○依田政府委員 ただいまの百条の五でございますが、ここで、「自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することができる。」こういうことで、スーパーピューマの場合には国賓輸送が主として任務ですので持てておるわけでございます。  ただ、海外邦人の救出ということになりますと、武力行使なんという場合にはもちろん海外派兵で、これは憲法上認められませんが、平和的手段で救出するという場合においても現在自衛隊法では任務が与えられてない、したがいまして、この百条の五でもそこまでは読めないというように考えておりますので、その場合には自衛隊法の改正が必要であると考えております。
  126. 和田一仁

    ○和田委員 ですから、その自衛隊法の改正をして、これを有効に活用していただきたいと私は思うわけです。  官房長官、お時間のようですが、もう一問だけ、済みません。  きょう国際緊急援助隊の法案が可決をいたしました。この法案審査の中で外務大臣は、この援助隊の実績を見ながらこれに自衛隊が参加することも検討課題にしたらどうか、検討したい、こういう御答弁がございました。武力行使を伴わないときは憲法上許されないわけではないが、自衛隊法は海外派遣を認めていない。これもそこにひっかかっておるわけです。ですから私はそういう意味で、日本の国際社会の中での責任を果たしていくという意味においても、ぜひこの点について前向きに取り組んでいただきたいと思っておりますけれども官房長官、いかがでしょう。
  127. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 和田さんの御意見としては承らせていただいておきたいと思いますけれども、これはよほど慎重なる検討を必要とすると私は思います。  例えば純粋に今おっしゃったような例のときでありさえすれば何ということはないと私は思いますけれども、果たして事態が緊急事態といった場合に、当該緊急事態がいかなる性格のものかということによって、うっかりすると海外派兵と間違えられるおそれもある、あるいはまた、国連の平和維持軍であるならば平和の目的だからいいではないかといった短絡的な議論と結びつくおそれもある。これについては賛否両論あると思います。  しかし私は、いずれにせよ日本の自衛隊というものは憲法九条に基づいて日本の専守防衛という観点ででき上がっておるものだ、この基本は絶対に守らなければならない、いやしくも海外派兵と紛らわしい、誤解を受けるような扱い方であってはいけないというのが私の考え方でございます。
  128. 和田一仁

    ○和田委員 官房長官、非常に慎重な言い回しの御答弁でございました。  今いろいろな貿易摩擦その他たくさんの問題を抱えている我が国が、国際社会の一員として果たしていく役割はますます重くなっていく、自分の国の安全保障に対して責任を持つということももちろんですが、何かのときによその国で災害等があって、困ったときに助けを求められた、それは今法律で決められたものによって助けに行く。よその国は丸腰の軍隊がどんどん行く、日本でも国内の災害なら自衛隊はどんどん出ているわけです。人命救助あるいは災害復旧というようなときには、自衛隊員は本当に平和のためにどんどん働いている、それをよその国でもほかの国はやっている、日本ではできない。これはもう日本の憲法の言っている海外派兵では全然ないのです。そういう意味での前向きの検討がないと、国際社会の中における日本の立場はますます軽視される。私はそう思うからそのことについて官房長官の御意見を伺ったわけなんです。  官房長官は非常に慎重な言い回してはございますが、私はそういった思いについては変わりないと思います。官房長官、いかがですか。
  129. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 和田さんの大変な御見識として承らせていただきます。
  130. 和田一仁

    ○和田委員 官房長官、お時間が過ぎて済みませんでした。もっとお時間があればあわせて聞きたかったわけですが、別の問題に参ります。  先般の本会議でこの法案の質疑が行われました。その際に我が党の代表質問で、有事の際の来援米軍の装備を事前に蓄積をしておく、これはよその国ではやっていますね、米国はそういう便宜を図っておりますが、このことについて御質問したのに対しまして、中曽根総理は、今後情勢に応じて検討課題とすべきだ、こうはっきり答弁されました。この御答弁を踏まえて、いろいろ聞いておりますと、既にそういったような検討も行われつつあるようにも伺っておるのですが、防衛庁長官、どうでしょうか。
  131. 西廣整輝

    西廣政府委員 ポンカスにつきましては、ヨーロッパの状況なりそういったところの状況について私どももある程度把握しておりますし、調査もしております。  また、一般論として、アメリカならアメリカの支援を受ける場合に、来援してくれる部隊の装備が事前に集積されているということは、支援を受ける我々にとって非常に都合がいいということは間違いないことでございますけれども、問題は、ポンカスをするためには、一個師団分なら一個師団分としても、その装備品として相当な金がかかるということでありますので、アメリカ自体がその気にならないとなかなか置いてくれないということであろうと思うのです。現在のところ、アメリカのポンカス計画には日本に対してポンカスをするという計画は全くないという状況であります。
  132. 和田一仁

    ○和田委員 一部伝わってくるところでは、昨年の秋の日米統合実動演習を通して、そういう経験を経てペンタゴンの方からそういった事前集積の検討要請がされているようにも報道がございます。そうではないという御答弁でしたが、そういう報道も一部ございます。  長官が先ほど御質問にも答えておられましたけれども、訪米をされる御予定がある。その訪米の中で、先ほどは特定の問題があったわけではなかったけれども、その後の情勢でFSXの問題とか対潜探知能力、こういった問題は話し合わなければならないだろうというようなお話がございました。私は、ワインバーガーとのこの秋の会談、渡米の際の最大テーマの一つに、やはり事前蓄積の問題、これは出てくる、このように思っております。これは現にこの間の本会議質問答弁を踏まえて、非常に関心が高まっているように私どもは感触を持っておりますが、長官、この訪米の際にこの問題に触れられる気はございませんか。
  133. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は元来こちらの方から特別積極的に問題を持ち出すということはよくよくやらぬわけであります。向こうさんの方からいろいろ出たものについて、それは必要なものは受けて、そうしましょう、あるいはそれはできません、こういう格好でいきます。  したがいまして、この問題だけを取り上げて、これは向こうへ行って必ず言うというつもりはございません。しかし、今のお話は頭の中にとどめておきます。
  134. 和田一仁

    ○和田委員 それでは、向こうから触れられたらどうされますか。私は触れられると予想しております。これはやはり日米安保条約を本当に機能的に有効ならしめていくためには、当然アメリカはポンカスについても関心を持っております。現にNATOやらその他でそういうことをやっておる。費用の問題とか蓄積の場所とか、こういう問題に入ってくるのではないかとすら思っておりますが、もし聞かれたときはどうされますか、持ち出された場合には。
  135. 西廣整輝

    西廣政府委員 この問題につきましては、もう前々から申し上げているのですが、現に出たこともあるわけであります。加藤長官が訪米されたときにもその問題が出ましたけれども、アメリカから、アメリカで用意した装備品を置いてくれというような話があれば、我々としてはそれは非常に都合のいいことであるし積極的に考えたいわけでありますけれども、現在のところアメリカが置く気がない。例えば、在日米陸軍司令部としては自分たちが十分な支援を行うためにぜひ置いてほしいという気持ちは持っておりますけれども、アメリカの参謀本部なり国防総省としては、日本のために現在ポンカスという形で余分の装備を購入して日本に置く気がないわけであります。  そこに我が方から置いてほしいというお願いをするということになりますと、それじゃ日本はアメリカの装備を買いますかという話になりますので、そういうことは私どもは現在としては、自衛隊の装備はもっとよくしたいけれども、アメリカの装備まで買うこともできませんし、そういう考えもありませんので、こちらからお願いをする立場にないということを申し上げているわけでございます。
  136. 和田一仁

    ○和田委員 今の御答弁は、ちょっとそれはおかしいですね。ポンカスは別に西ドイツでもどこでも買っているわけじゃないですね。維持管理の費用はそれぞれその国で負担をしておりますが、そういう性質のものではない。日米安保条約の基本には、そういう精神でこれが取り決められているとは私は思わないですね。いよいよ有事の際に来援を求める、そのときに、武器はどうするんだ、米軍の武器はないよ、日本の武器でやるよ、そんなものではないはずです。それと同じように、来援をしてくれるという約束があるならば、その来援をしたときの武器だけを事前に蓄積しておこうというのは、これはポンカスの精神であって、そのときにこっちから言ったら武器を買わされるのではないかなんという、そんな危惧を持っている関係ではないと私は思いますが、長官どうでしょう、これはそんなものなんですか。
  137. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 私は別に逃げてどうこうしているのじゃないのです。向こうでそういうお話があったときには、向こうの話をよく聞いた上で適切な処理をいたしたい、こう思います。
  138. 和田一仁

    ○和田委員 今、向こうからそういう話が出れば聞いて適切に処理するという御答弁でございましたので、この問題はぜひそのようにしていただきたいと思います。  それから長官、さっき触れられましたFSXの問題、対潜探知能力の向上の問題、こういう大事な問題を踏まえて訪米されるわけでございますが、ゆっくりまたお聞きしたいと思いますが、きょうは時間がありません。関連で吉田先生質問していただきますので、最後に一つだけ。  このFSXの問題で棚上げ論が新聞に出ております。中曽根総理と長官との間の会談の中で、栗原長官に任せるような会談の内容で、その後の記理会見で長官は棚上げ論に近い発言をされておりますが、そうなんでしょうか。
  139. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 中曽根総理と話をして、もう最終的には栗原長官の判断でやってもらいたいと言ったことは事実であります。その後の記者会見で、それぞれ言葉をとらえるニュアンスが違ってああいう記事が出たと思います。論理的可能性の問題として、必ず結ぶのか、こういうことになりますと、必ず結ぶとは言い切れませんからね、そういう意味合いで言ったのでありまして、特に論理的可能性の方に重点を置いたわけじゃございません。
  140. 和田一仁

    ○和田委員 時間的な問題もあって、この問題はそろそろ煮詰まってくる問題だとみんな考えておるものですから、そういう意味で、長官の発言一つ一つで非常に影響するところも大きいと思っております。  また別の機会に、あるいはお帰りになったころにでもまたゆっくり聞かせていただくことにいたしまして、きょうは関連して質問がございますので、私の質問は一応これで終わります。
  141. 石川要三

    石川委員長 関連して、吉田之久君。
  142. 吉田之久

    吉田委員 突然関連質問する時間を与えていただきまして、大変感謝をいたしております。  お尋ねしたい点は、既にこの委員会におきまして各委員から質問されております米軍機による林業用ワイヤロープの切断の事故についてでございます。事の経過は既に皆さん方も本委員会におきまして答弁によって御承知だと思いますので、なるべく答弁の重複は避けていただいて結構でございます。  ただ、この機会防衛庁長官、施設庁長官あるいは外務省の北米局長初め皆さんに聞いていただきたいのは、奈良県における十津川村、これは御承知のとおり本州における面積最大の村でございます。村がほとんど山と谷からでき上がっておりまして、全村林業を営んでおると言っても過言ではございません。伐採した木材は、こういうところではワイヤロープを使って大小それぞれ張りめぐらしてこれを搬出する、こういう仕組みになっておることも御承知でございます。  この平和な村に、実は十年くらい前から、年に決まって二、三度、大変な轟音がする。耳をつんざくような音がして、しかし音はすれども姿は見えず、一体何が飛んできたのかな、我が国の自衛隊機だろうかあるいは民間の航空機だろうか、そんな不安な思いで過ごしておったこの村民たちが、今度の事故で、思いもかけずこれがミッドウェーの艦載機で、しかも電子戦専用の偵察機であったということを知って、しかも、十二ミリ、一センチ二ミリのワイヤロープを引きちぎって、かつ無事に厚木まで帰ったというのですから、すごい飛行機だな、同時に、本当にびっくり仰天というのはこのことかと思うほどみんなが驚いておる事情でございます。  こういうことが今後も繰り返されるならば、これはもう村民たちは安心して仕事に従事することができない。だんだんそれが怒りとなって、既に御承知のとおり知事や村長らが、何とかこういうことが再び起こらないようにと強い抗議の姿勢をとっておるわけでございます。  したがって、この機会防衛庁長官にお伺いしたいのでございますけれども、今度のこのEA6Bなる偵察機の飛行は、我々日本人の常識として、いかに軍用機であろうとも私どもは極めて異例な飛行だと思うのでございますが、長官は、この飛行は通常なものと思われるか、あるいはあってはならない異例なものとお考えになるか、その辺お聞かせをいただきたいと思います。
  143. 友藤一隆

    友藤政府委員 私の方から先に御答弁申し上げます。  この飛行自身の意義とかそういうものは、米側の見解によりますと、必要な訓練を行っておるということでございます。先ほども申し上げましたが、安保体制を維持していきますために米軍が必要な訓練をやるということは当然ではございますけれども、我が国におきます米軍の活動というものが何でもできるということではございませんで、仮に提供いたしております施設、区域内でございましても、公共の安全には妥当な考慮を払って行うことが当然であると言われておるくらいでございます。いわんや施設、区域外にございましては、国民の生活やら事業活動に影響を及ぼすようなことがあってはならないわけでございまして、公共の安全が十分図られるような活動をすべきであるというふうに私どもも考えております。  こういうような観点から、私どもとしましては、今回の事故につきましてはまことに遺憾なことであるというふうに考えておりまして、先ほども申し上げましたように、米軍に対しては、事故原因の徹底的究明と有効な事故防止対策を早急に講ずることを申し入れたところでございます。  以上でございます。
  144. 吉田之久

    吉田委員 我が国の自衛隊の場合も米軍の場合も、訓練に精出していただくことは当然であります。同時に、国民の安全を図らなければならない、この問題が絶えず両立しなければならないと思うわけなんでございますが、そういう点で、今度のこの飛行は、我々日本人の常識からいえば非常識きわまる飛行であると言わざるを得ないと思うわけなんでございます。  そこで、一番の問題は、今度のこのような事故を起こした飛行が、果たして訓練中の飛行なのか、あるいは基地から基地への移動中の飛行なのか、その辺が大変問題になってくると思うのでございますが、どのようにお考えでございますか。
  145. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 この米軍機は、先ほどもお答え申しましたとおり、航法訓練を行っておる訓練中の飛行であると存じております。
  146. 吉田之久

    吉田委員 そこで、航法訓練を偵察機がやるのは当然でありますが、だとするならば、既に定められておる訓練空域と申しますか、それは偵察機の場合には全く無縁のものになるということを是認していいのでございましょうか。
  147. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 訓練空域でございますけれども、地位協定に基づきまして、合同委員会の了承を経まして二十三ほど、いわゆる米軍の訓練空域というものを設けております。いずれもこの性質は、地上に直接の影響を及ぼす種類の訓練、主として射撃、射爆等でございますけれども、これを設けております。  それ以外の地域において、これは先ほども答弁した点でございますけれども、それでは全く訓練というものを行ってはいけないかということでございますが、事の性質から見て合理的であれば、それ以外の地域、施設、区域の上空以外、それからただいま申しました二十三の訓練空域以外においても訓練を行うことは可能である。しかし、それが合理的であるという判断の大きな基準は、やはりそれが訓練として正当であるということのみならず、わが国の公共の安全に十分な配慮を払ってそういう訓練が行われているかどうかということであるというのが我々の立場でございます。
  148. 吉田之久

    吉田委員 訓練空域以外の訓練、それも合理的なものであるならば認めざるを得ないというような御答弁のようでありますが、合理的であるかないかというのは、判断がそれぞれ成り立つわけでありまして、そういうふうに拡大解釈してまいりましたら、訓練空域二十三カ所、日米合同委員会において設定いたしておりますけれども、ほとんど意味を持たなくなってくるのではないですか。私どもの考えでは、しかるべき訓練空域というものがある、そこで戦闘機などの場合には、空中戦や特殊飛行をやる、あるいは爆撃機などの場合には爆撃、射撃の訓練をやる、そしてそれが終わったら基地へ整々と戻っていく、こういうふうに思っておったわけでございますが、今の発言では、その辺の限界というものが大変崩されてきておるように思います。  まして今度のこの偵察機、偵察機というのはそういう射撃訓練をするわけでも空中戦をやるわけでもありません。いわば飛ぶことが仕事でありまして、いかにいろいろ低空飛行をやったり困難な空域を飛ぶか、そしていろいろ電子戦に備えるかというようなことをやるわけですね。そうしたら、偵察機についてはこれはことごとく合理性を持つ訓練だ、航法訓練をやる偵察機は、日本列島の上空はいつどこを飛んでもいいということになってまいりませんか。
  149. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 二十二の訓練空域でございますが、これは先ほど申しましたように、戦闘機とか偵察機とか、そういう機種によって区別しているわけではございませんで、一々それぞれの空域によって目的が明記されておりますけれども、例えば射爆というようなことがその目的によって区別されているわけでございます。  先ほども申し述べましたけれども、その訓練空域以外ですべての訓練が許されるということではもちろんございませんが、合理的な範囲内でそれは許されるはずであるということで従来からまいっておるわけでございまして、例えば、先ほど申しましたように単純なる飛行機の飛行の訓練というようなこと、極端な場合でございますけれども、そういうことは常識の範囲内で当然許されることであるわけでございます。それで、国民の福祉とかあるいは安全、そういうものに害を与えない範囲内で、施設、区域の外におきましても、飛行機というものの特性上、無害な訓練というものは当然許されるということで地位協定を運用してまいっておるわけでございます。
  150. 吉田之久

    吉田委員 ところが、ただ飛んでいるだけの訓練、それならばわかりますけれども、今度のこの偵察機の訓練は、現に公共の、そして住民に被害を与えてしまったわけなんですね。ならば、もう明確にこれは合理性を持たない地域での飛行訓練だと言えますね。そう判断なさいますか。
  151. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 今回の米軍機はワイヤロープを切断したわけでございまして、我が政府といたしましては、この切断した、損傷を与えたということに対して遺憾の意を表明しておりますし、原因の究明、それから再発防止ということを米側に申し入れて、これから事実関係を詳細に調査するところでございます。  そういうことから申しまして明確なように、今回の訓練が、先ほど申しました意味で我が国の国民の安全に妥当な考慮を払ったかどうかということについては疑念を持っておるわけでございます。
  152. 吉田之久

    吉田委員 防衛庁長官にお聞きいたしますが、我が自衛隊も偵察機を持っておりますね。我が国の自衛隊が偵察訓練、航法訓練をやる場合、こんな低空で、こんな山間部で訓練なさったことはありますか。
  153. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  自衛隊の偵察機の姿勢あるいは高度また速度を急激に変化させて行うような訓練を行いまする場合には、訓練空域で行うことにしてあります。ですから、偵察機であっても戦闘機と同様に訓練空域で行うわけであります。  他方、通常の形態で飛行します場合、例えば航法訓練飛行のような場合でございますけれども、これは飛行態様が通常の民間機の飛行と何ら変わりないものでありますので、そういう場合には空域的な制約というものはありません。ありませんが、私どもの偵察機はもちろんのこと、航空法に定められておりまする最低安全高度を守って、それ以上の高度を保ちながらその種の訓練を行う、こういうことでございます。
  154. 吉田之久

    吉田委員 ただ基地から基地に飛んで帰る場合、戦闘機であろうが偵察機であろうが、それは安全に飛ぶならばしかるべきところを飛んでいただいて結構でございますけれども、今度のミッドウェー艦載機の場合には、これはもう明らかに計画的にこの地帯を選んで再三訓練をしておるわけなんでございます。しかも危険きわまる訓練をしておるということで、よくきょうまで事故が起こらなかったものだ、今度の事故もよくこの程度で済んだものだと思わざるを得ない、慄然たるものがあるわけでございます。  一つの国に自衛隊機とそして米軍機が存在する。我が国の自衛隊機は、今お話しのとおり、偵察機といえども定められた訓練空域でしかそのような特殊な訓練はしない、にもかかわらず、米軍機に関しては、好き候に、傍若無人にどこを飛んでもいい、こんなことが混在する国家というのはあるのでしょうか。私は、いろいろ日本防衛のためにアメリカが果たしておる役割に対しては深く感謝と敬意をささげておる者でございますけれども、一つの国家の中で二つの全く異なった軍用機がそれぞれの訓練をやる、これは国民に理解できるでしょうか。防衛庁長官、ぜひ長官からお答えいただきたいのです。
  155. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 航法訓練につきましては、先ほど防衛庁からお答えがございましたので、それについてそのとおりだと思うわけでございます。  米軍の航法訓練については、空域は先ほど申しましたように限定されておらぬ。それから、高度につきましては航空法の特例法によりまして、事実関係でございますけれども、米軍機にはこれは適用されないということはございますけれども、事実上米軍はそれを守っているということであるというふうに了解しております。  しかしながら今回、現在事実関係調査中でございますけれども、これは米軍に適用されませんが、航空法等に照らしまして、一体今回の飛行はどういう状態であったのかというようなこと、一般的には百五十メートル以上ということでございますが、ワイヤロープとの関係等については、まさに今回の原因、事実関係の究明、その範囲の中でいろいろ検討されていく問題だ、そういうふうに考えております。
  156. 吉田之久

    吉田委員 時間がございませんので最後の質問にいたしますけれども、地元村長のお話によれば、十津川の本流の上を米軍機が通ったためしは一回もない、必ず神納川の支流のところでやっておる。本流の方では送電線も随分ありますし、住宅もありますから、そこは通らない。ということは、明らかに彼ら米軍の方では、その山間部の一地域を彼ら流の特定訓練地域に位置づけてやっておる。しかも、ミッドウェーがやってくる回数とほとんど符合しておるわけでございます。  こういうことが続けられれば、私は、この国のシビリアンコントロールそれ自身がおかしくなりはしないだろうか。シビリアンコントロールは、もちろん兵器、装備のいろいろな論議あるいはその運営の方法、しかし、こういう公共の安全のためになすべきいろいろな手法が完全に議会であるいは防衛庁長官自身の主宰される機関において検討されるのがシビリアンコントロールであると思うのです。我が国の自衛隊にはシビリアンコントロールはきくけれども、米軍に対しては注意を言ったり、あるいは要請をするだけであって、向こうが向こう流に判断すればこれからもこのようなことがあり得る。現に、地図にいろいろと障害物をインプットして、そして、それを確かめながら飛んでおる。ところが、木材搬出のワイヤロープなんかはどんどん移動していくわけですから、このような状況の中でこのような飛行が続けられれば必ず事故は起こると思うのです。そういうことが十分に推察できる以上、私はこの国のシビリアンコントロールを達成し、米軍にもその辺の理解を得るということなくしては我が国の防衛は成り立たないのではないかと思います。  外務省がいろいろこの辺の折衝に当たっていただいておることはわかりますけれども、我が国の防衛の責任を担う栗原防衛庁長官として、私の言うことを本当にそうだとお考えになるかいや、それはおまえは余計な心配をしておるんだというふうにお考えになるか、この私どもの疑問に何か答えていただきたいと思うのでございますが。
  157. 栗原祐幸

    ○栗原国務大臣 米軍機が偵察飛行をするという問題について、決められた空域以外のところでできるのかできないのか、こういう問題については、地位協定の解釈といいますか、そういうところに問題があるようでございます。しかし、現実に日米安全保障上、地位協定の解釈をめぐってどうこうという問題、これも重要でありますけれども、同時に、日本側も日米安全保障に対してこれを忠実に守る、そして、国民の皆さんに御協力をいただくという姿勢でやっておるわけでございますから、米当局におきましても、この精神を十分に理解をして、それぞれ適切な慎重な態度をとってもらいたいというのが私の基本的な考え方でございます。  今お尋ねのありましたことについては、再三申し上げているとおり、アメリカ側にもよく話をして、事故の原因究明、それから補償というものを含めまして、適切な、誠意あるアメリカ側の行動を期待いたしたい、こう考えております。
  158. 吉田之久

    吉田委員 特に、こういう問題を契機に、ひとつ長官に、日米双方のこれからの運営というものが本当に国民に理解されるような、そういう条件を確立していただきたい。  最後に、被害補償を早急に解決していただきたい。それから、被害は補償されるでしょうけれども、県民や村民の精神的な苦労、不安、本当にこの問題で悩んでおりますので、そういうことに対しまして政府としても特段の配慮がなされるべきだということを申し添えまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  159. 石川要三

    石川委員長 次回は、明二十一日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を閉会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時散会