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1987-08-18 第109回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月十八日(火曜日)     午後四時五十六分開議 出席委員   委員長 石川 要三君    理事 北口  博君 理事 竹中 修一君    理事 戸塚 進也君 理事 船田  元君    理事 宮下 創平君 理事 上原 康助君    理事 竹内 勝彦君 理事 和田 一仁君       内海 英男君    江藤 隆美君       大村 襄治君    河野 洋平君       鴻池 祥肇君    月原 茂皓君       前田 武志君    宮里 松正君       谷津 義男君    田口 健二君       野坂 浩賢君    広瀬 秀吉君       井上 和久君    鈴切 康雄君       浦井  洋君    柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         防衛庁参事官  瀬木 博基君         防衛庁参事官  古川 武温君         防衛庁参事官  児玉 良雄君         防衛庁参事官  筒井 良三君         防衛庁長官官房         長       依田 智治君         防衛庁防衛局長 西廣 整輝君         防衛庁教育訓練         局長      長谷川 宏君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         防衛庁経理局長 日吉  章君         防衛庁装備局長 山本 雅司君         防衛施設庁長官 友藤 一隆君         防衛施設庁総務         部長      弘法堂 忠君         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         防衛施設庁労務         部長      山崎 博司君         外務省北米局長 藤井 宏昭君  委員外出席者         内閣委員会調査         室長      大澤 利貞君     ――――――――――――― 委員の異動 八月七日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   中路 雅弘君     柴田 睦夫君     ――――――――――――― 八月四日  スパイ防止法制定に関する請願平泉渉紹介  )(第一六六号)  引揚者の在外財産補償法的措置に関する請願  (古賀誠紹介)(第二八七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 七月三十一日  国家機密法制定反対に関する陳情書  (  第一号)  国家秘密法制定反対に関する陳情書外三件  (第二号)  防衛費の対国民総生産比一パーセント枠厳守に  関する陳情書外一件  (第三  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出、第百八回国会閣法第三〇号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、第百八回国会閣法第三一号)      ――――◇―――――
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、第百八回国会閣法第三〇号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び第百八回国会閣法第三一号、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。宮里松正君。
  3. 宮里松正

    宮里委員 ただいま議題となりました防衛関係法の改正に関連いたしまして、防衛の基本問題あるいは在沖米軍基地問題等に関して質問を行いたいと思います。  まず、我が国防衛政策基本的枠組みについてお尋ねをいたしたいと思います。  自国の独立と安全を守るために必要な自衛権は、国際法各国に与えられた不可侵の権利であり、また、この自衛権を行使するために必要な防衛力整備して国家独立国民生命財産の安全を保障することは、各国政府に課された崇高な責務であります。我が国国際法上この自衛権を保有し、政府にそのような任務が付与されていることは全く疑う余地がありません。しかし、政府憲法の許容する範囲内で国政を運営すべきであり、防衛政策もその例外ではありません。その上、我が国憲法は、国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し、そのための戦力の不保持交戦権の否認を宣言しているのであります。したがって、政府の推進すべき防衛政策はその範囲内において策定され、運用されなければなりません。  そのような見地に立って、政府は、我が国防衛政策基本的枠組みを次のように設定し、その枠組みの中でこれまで防衛力整備を図ってこられました。  その第一は、我が国自衛隊専守防衛に徹し、しかも自衛のための必要最小限度のものでなければならないということであります。このような観点から、集団的自衛権の行使、自衛隊海外派兵他国に侵略的な脅威を与える装備などは否定されてきました。  その第二は、核兵器問題については、世界唯一被爆体験国として、つくらず、持たず、持ち込ませずの非核原則を遵守するということであります。  その第三は、我が国は平和な文化国家としての道を求め、今後、他国脅威を与えるような軍事大国にはならないということであります。  そして第四は、日米安保体制を堅持し、我が国独立と安全を確保するとともに、自由主義陣営の一員として世界平和の維持発展に貢献していくということであります。  政府がこのように設定し遵守してきた防衛政策基本的枠組みは、今日、大方の国民に支持され、またアジア近隣諸国からも十分に理解と共感が得られていると考えます。  そこで、政府は今後ともこれを堅持すべきだと考えますが、防衛庁長官、この点についてどのようにお考えでございましょうか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 おっしゃるとおり、憲法の枠の中で必要最小限度防衛力整備する、俗に言う専守防衛ということに徹するということでございます。そういう大枠のもとに、御案内のとおり昭和五十一年に「防衛計画大綱」というものをつくりました。その大綱水準達成を期するということで中期防衛力整備計画を今行っておる、それに基づきまして継続的、計画的に着実に防衛力整備する、この方針は今後も変わらないということでございます。
  5. 宮里松正

    宮里委員 次に、節度のある防衛力整備長官も先ほど若干触れられましたが、そのことに関してお尋ねをしておきたいと思います。  この防衛政策基本的枠組み関連して、政府は、昭和五十一年十一月五日の閣議決定以来、節度のある防衛力整備という見地から、各年度防衛関係経費をGNPの一%枠内に抑えてまいりました。しかし、今年度経済の変動その他諸般の事情によりましてこれを維持することができなくなってきました。  そこで政府は、ことしの一月二十四日の安全保障会議閣議において、今後の防衛力整備に関する方針決定し、その中で、昭和六十年九月十八日の閣議決定された中期防衛力整備計画は、「その期間中の各年度防衛関係経費については、同計画に定める所要経費の枠内でこれを決定する」こととし、 「同計画終了後の昭和六十六年度以降の防衛関係経費の在り方については、同計画終了までに、改めて国際情勢及び経済財政事情等を勘案し、平和国家としての我が国基本方針の下で決定を行う」ことを明らかにされました。  この政府方針のうち、中期防衛力整備計画期間中の各年度防衛費については、同計画期間中の所要総額決定しているのでありますから何ら問題はないと考えます。しかし、同計画終了後の昭和六十六年度以降の防衛費あり方については、その時点における国際情勢経済財政事情等を勘案して改めて方針決定するというのでありますから、国民各界各層から大いに関心の持たれるところであろうと考えます。  そこで、中期防衛力整備計画終了後の防衛費あり方について、政府はどのようなことを考えておられるのか、この際お伺いをしておきたいと思います。長官、いかがでございましょうか。
  6. 西廣整輝

    西廣政府委員 御承知のように、中期防衛力整備計画は、先ほど大臣がお答えしましたように、大綱水準達成ということを目標にいたしております。ただ、大綱水準達成と申しましても、周辺の軍備の動向その他から見ますと、軍事技術等は日々進歩しておるということもございますし、一方、防衛力というものは、できてしまえばそのまま置いておけば維持されるというものではございませんで、装備等が次々に老朽化していくということもございます。  したがって、そういったものを更新、近代化しながら維持していくということにこれまた相当な努力を重ねていかなくてはいけないというものでございますので、あるところで達成したらそのままとまっておるということになりますと、相対的に防衛力というものはどんどん低下をしてしまうということになりますので、引き続き努力というものは必要であろうというように考えております。
  7. 宮里松正

    宮里委員 次に、自衛隊のいわゆる文民統制ということについてお伺いをしておきたいと思います。  自衛隊は、現下の国際情勢のもとにおいて自由と民主主義を基調にした我が国の主権と安全を全うする上で欠くことのできないものであります。しかし、それは武装した国内最強実力集団でありますから、万が一にもそれが本来の任務を忘れて暴走をしたりあるいはかつての軍部のように政治に不当に干渉したりいたしますと、国政に耐えがたい混乱をもたらすことになります。したがって、自衛隊の編成及び運用の面では文民による統制または政治による統制制度として確立をしていなければならないと考えます。  それと同時に、日ごろからそのことに関する教育訓練等を徹底いたしまして、自衛隊の全隊員自衛隊創設の目的を正しく認識して、常に文民による統制に服するように行動させる必要がある、こう思います。自衛隊は、当初から制度的には文民統制または政治による統制に服すべきものとして創設をされました。したがって問題は、自衛隊を構成する全隊員がそのような心構えに徹しているかどうかということであります。この点はいかがでございましょうか。  と同時に、文民統制とも関連することでありますが、自衛隊の場合には、その任務の性質上、あらかじめ有事の際の行動基準手続方法などが明確な形で示されていなければならないと考えます。ただ我が国に対する急迫不正の侵略行為があった場合にそれを排除するのが自衛隊任務だというだけでは、現場に配置された自衛隊員行動基準としては必ずしも十分ではないのではないかと思います。それらの点、どのようになっているか、お伺いをしておきたいと思います。
  8. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 文民統制については私からお答えいたします。  文民統制というのは一番大事だと思います。文民統制の一番の根っこは国会でございます。国民自衛隊をコントロールする、具体的に言うと国会である。しかもその国会構成員によって内閣総理大臣が選ばれる。そういう意味合いでは文民統制というのは、国会、その前に内閣総理大臣、そして統括責任者でありまする防衛庁長官、そういう格好になろうかと思います。したがいまして、自衛隊は常に国民自衛隊である、そういう意識で行動しなきゃならない。  ただ、そういうことは言葉の上では言えるわけでありますが、現実に文民統制が行われているかどうかという問題になりますと、これは防衛庁長官責任、重大であります。どんなに偉そうなことを言いましても、防衛庁長官というものが、ただ単に形式的に力があるとか、上下の関係でやるということではいかないと思います。したがいまして、実体的にそういう制度の中でどう文民統制をするかという場合には、防衛庁長官文字どおり身を持すること厳にして、本当に長官の意思に従う、長官言葉に従うという信頼感がなければいけないと思います。そういう意味合いでは私も果たしてそれに足りるかどうかということを日夜憂えているわけでございます。皆様方の御支援をいただきまして、本当に制度的なものが実質的に動けるようなそういう実体をつくっていきたい、そのために今懸命に努力をしている最中でございます。
  9. 西廣整輝

    西廣政府委員 御質問の後段の、有事に際しましての行動基準といいますか、そういった点についてお答え申し上げます。  御承知のとおり、有事行動基準としては、国際的には戦時国際法が適用されますし、なお国内法的には自衛隊法というものがありまして、自衛隊行動についての基本的な枠組みというものはでき上がっておると私どもは考えております。  しかしながら、個々に見ますと、我々は数年前から有事法制と申しますか、自衛隊関係法あるいは国内のその他の関係法、さらには現在まだ全く整備されてない法律等についても検討いたしております。そういう点で見ますと、基本的な枠組みができておるといえどもなおかつ幾つかの問題があるということは事実でありまして、防衛庁関係法令及び各省庁の既存の関係法令について、機会があれば検討され改正されることがしかるべきものということで、既に答申をもう出しております。  もう一つ、現在全くその種の法制がないもの、例えば、これは自衛隊行動とは直接関係ございませんが、住民の避難とか誘導といった問題につきまして現在その種の法制がございませんので、そういったものについて、我々としてはもっともっと研究しなければいかぬということで鋭意研究しておるところでございます。
  10. 宮里松正

    宮里委員 自衛隊は、我が国の貴重な防衛力として政府がこれまで積み重ねてこられましたように順次整備を図っていくことも大変肝要でございますが、同時にこれは文民統制という形で絶えずそれに服していく、国家政府のために、国民のために尽くしていく、自衛隊すべてがそのようになっていくことが非常に肝要であろうかと思います。先ほど栗原長官のお話を伺いまして、非常に真摯な気持ちでその問題と取り組んでおられる姿に感銘をいたしました。これからも、ぜひひとつそのような形で御指導願いたい、こう思います。  それから、自衛隊現場における行動基準というものは、なるほど有事立法という形で大げさに考えますと、かなり国論が対立をするといいますか二分する形になることもあるのでありますけれども、例えば、我が国領空侵犯をする外国の飛行機に対してスクランブルをかけていくといったような場合などになってまいりますと、現場自衛官あるいは指揮官にそのときの状況を判断して行動をとれ、こういうことはかなり酷な面があるいは出てこようかと思います。そういうものも勘案をされまして、制度的に整備すべきものは整備をしておく必要がある、私はこういうふうに考えます。これからもひとつ御検討を願いたい、こう思います。  それでは次に、米ソ間の今進行しておりますINF交渉行方我が国の立場についてお尋ねをしておきたいと思います。  一時決裂をしておりました米ソ間のINF交渉が再開をされ、最近は両国が中距離ミサイル全廃に向かって交渉を進めているとの報道がなされております。まことに結構なことであります。  そこで、政府はこの米ソ間の今回のINF交渉行方についてどのような見通しを持っておられるのか、そしてまた、政府はこれに対してどのような態度で臨んでおられるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  11. 瀬木博基

    瀬木政府委員 先生御存じのとおり、本件の交渉は紆余曲折を経まして長期間行われてきたわけでございますが、この七月になりまして、ソ連がグローバルのベースでINF全廃に同意するということを言っております。この結果、INF交渉というものに大きな望みが出てきたというのが現状であると思います。  我が国はかねてより、この問題はグローバルに扱うべきであって、ヨーロッパアジアとを区別して考えるべきでないということを主張してきたわけでございますが、かかる我が国の主張を踏まえまして米国が極めて粘り強く交渉を続けてきた結果こういう形が進みつつあるということは、我が国としても非常に高く評価すべきことであると思います。かかる段階になりましたところで、効果的な検証というものを伴った形で早期にこのINF交渉が妥結するということに進むべきであると日本政府としては考えております。
  12. 宮里松正

    宮里委員 INF交渉関連をいたしまして、先般私ども沖特委から東ヨーロッパに行きましたときに、ポーランドあたりで、日本にも核兵器があるんだということをしきりに言っておりました。また、最近の新聞でも、ソビエトが三沢基地核基地という形で位置づけをいたしまして、これはやはり問題だという指摘どもありました。我が国は本来非核原則を持っておって国内核兵器はないはずでありますけれども外国からしきりにそのようなことが指摘をされる。  そこで、この際改めて、果たして我が国の中に核兵器が持ち込まれて存在するのかどうか、この点をINF交渉との関連においてお尋ねしておきたいと思います。
  13. 瀬木博基

    瀬木政府委員 政府は、この非核原則を堅持するということはもう歴代内閣のかたい方針でございまして、この点については一点の疑いもないところでございます。
  14. 宮里松正

    宮里委員 本来国の国是であるべき非核原則がそのような形で疑いを持たれたりしたのではたまったものではないのでありまして、その点ははっきりと確認をしておきたいと思います。  次に、米国SDI研究への我が国参加問題についてお尋ねをいたします。  政府は去る七月二十一日、我が国SDI研究への参加に関する日米政府間協定の締結について閣議決定を行い、翌二十二日、ワシントンにおいてこれを調印いたしました。この政府間協定は、我が国企業等米国SDI研究参加する場合の手続枠組みを定めたものでありますが、これによりますと、参加を希望する我が国企業等米国国防省または参加米国企業等との個別の契約を締結し、これに基づいて個々SDI研究プロジェクト参加するものとされております。  そこで問題となるのは、我が国企業等がこの研究参加する以前から持っていた技術や情報の所有権、主として工業所有権になるはずでありますが、また使用権はどうなるのかということと、我が国企業等参加によって創出された研究成果については我が国企業等はどのような権利または利益を取得できるのかということであろうかと思います。特に、参加企業等に課されることが予想されます秘密保護義務との関係でこれらのことを懸念する向きもあるようであります。この際、このようなことについて明確な御説明を願っておきたいと思います。
  15. 山本雅司

    山本(雅)政府委員 SDIにつきましては、今先生指摘のように、七月二十二日に協定を結んだわけでございます。この協定は、全体としては大まかな枠組みをつくっておりまして、具体的な運用につきましては、今先生指摘の三点、非常に重要な問題があるわけでございます。  第一点につきましては、企業SDI参加する前に持っていた工業所有権とかノーハウとかそういうものにつきましては、このSDI企業参加することによって一切影響を受けないということがはっきり確認されておるわけでございます。  それから、第二点の成果につきましては、これもやはりSDI交渉の中の重要な項目であったわけでございますが、このSDI研究成果から出た例えば特許権のようなものにつきましては、日本企業にその使用権を認めるという形にはっきりなっております。ただ、使用権につきましては、取り消し可能なものであるとかいろいろ細かい条件はございますが、具体的にアメリカとしてそういう取り消し権を行使するというようなことはないものということで私どもは確認しておるわけでございます。  それから、第三番目の秘密保持につきましては、これは実は具体的な個々の取り決めに基づきまして、今私どもが想定しておりますのは基本的には民間企業アメリカ企業と結ぶあるいはアメリカ国防省と結ぶということを考えておりますが、その場合には、具体的に民間企業の場合には通産省と個々参加企業との間で契約を締結して、秘密保護については、あるいは秘密の漏えいしないという形については十分な策をとるというシステムを考えておるわけでございます。
  16. 宮里松正

    宮里委員 このSDI研究に関しましては、いろいろな意見があるわけでありまして、軍事面からこれに賛成をするあるいは強硬に反対をするという議論もあるわけであります。  先進工業国になりました我が国が、あるいはいろいろな技術を持っている我が国がこれに参加をしていくということになってまいりますと、その後のアフターケアと申しますか、民間権利、権益を守るということも非常に大事になってこようかと思います。とりわけ国防省なりあるいは参加米国企業なりとの個別契約を締結した上で個々プロジェクト参加していくということになってまいりますと、それとそれによってつくり出された成果との間の、いわば貢献度というものもかなり評価がそれぞれ異なってくるというようなこともあろうかと思います。そこで、最終的には、それに参加をしていく我が国企業等利益が果たして確保できるのかどうか。とりわけ、そこで使われる機材あるいは原材料といったものが秘密保護という形で使えないというようなことにでもなってまいりますと、これはゆゆしきことであろうというふうに思います。  先ほど御質問申し上げたのはそういう趣旨で申し上げたわけでありますが、その点もひとつ念頭に置かれて、これから私どももこれの成り行きを見守ってまいりたいと思うところでありますが、政府におかれてもその点十分配慮をしておいていただきたい、このように思います。  次に、これからは沖縄にございます米軍基地問題に対する政府対応策いかんということでお尋ねをしてまいりたいと思います。  去る七月二十三日午後一時過ぎごろ、那覇市の南東約百三十キロメートルの海域で、たまたまそこで操業中のマグロはえ縄漁船、第二徳丸の船尾近くに演習中の軍用機から落下したと思われる正体不明の爆発物が落下、爆発をし、あわや大惨事になるところだったという報道がありました。漁業関係者を初め地元人々に大変な衝撃を与えましたが、その余波のおさまらないうちに、それから四日後の七月二十七日午後八時四十五分ごろ、久米島の北北東約三十五キロメートルの海上を航行中のマレーシア船籍貨物船サガ号、五千九百二十二トンに、演習中の米軍機FA18ホーネットから投下された模擬爆弾MK76二個が命中いたしまして、乗組員フィリピン人右腕切断の重傷を負わせるという極めてショッキングな事件が発生いたしました。今、地元人々は、こんなことでは安心して船を走らせることもできなければ漁業に従事することもできないと、やり場のない怒りと不安におののいております。  第二徳丸の場合は沖縄南部訓練空域の地区内で起こったということであり、サガ号の場合は近くにある鳥島射爆場の区域外で起こった事件であります。  そこで、防衛庁並び防衛施設庁お尋ねいたしますが、沖縄の近海に設けられているこれらの訓練空域または訓練水域で、自衛隊米軍が射爆訓練をする場合、これらの海域航行する船舶安全確保は一体どうなっているのか。これらの訓練海域では、そこに航行中または操業中の船舶がいても、これに構うことなく射爆訓練をしていいということになっているのかどうか。もしそうだとするならば、これは地元にとってとても容認できることではありませんから、この際、即刻訓練空域そのものを撤回してもらわなければなりません。そのことを念頭に置かれて、訓練中の船舶安全確保についてどうなっているのか、また、どうあるべきなのか、明確にお答えを願いたいと思います。
  17. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 お答えいたします。  自衛隊が今般ミサイル等射撃訓練を行っておりましたその場所の近傍で起こりました最初の事案でございますけれども、これにつきましては直ちに防衛庁のものであるということは断定できないのが現状でございます。  事情につきまして少し御説明いたしますと、もともとミサイル等射撃訓練につきましては、防衛庁の告示によりまして期間、区域あるいは訓練時間等を公示いたしまして、そして射撃訓練を実施する旨を明らかにいたしますとともに、航空機に対する情報であるノータムとか船舶に対する情報であります水路通報、こういうふうなものの発出を関係機関に依頼いたしますほか、漁船の安全確保のために水産庁に通知することもちゃんとしておりまして、射撃訓練の実施については周知徹底を図っているというのが第一点であります。  それから第二点は、具体的な射撃の実施に当たりまして、まず主要区域の海面におきます船舶の状況を事前に航空機で確認いたします。今般もT33で午前中にちゃんと確認してあります。次に、二番目に、区域内で実際に射撃を行います海面、ここに船舶等が存在しないことを射撃参加機がレーダーや目視で確認しながら実施するということにしております。さらに今回の場合には、海面に到達しましたミサイルについて、付近には船舶が存在しなかったことをパイロットが確認しております、以上のような安全対策を確実に励行し、事故防止に努めているところでございます。  以上のように、防衛庁といたしましては事前の周知徹底と、それから実施時の入念な確認の両面にわたりまして十分な安全確保を図ってきたわけであります。そういう事情でございます。
  18. 鈴木杲

    ○鈴木(杲)政府委員 沖縄周辺の米軍が使用します訓練水域及び空域でございますけれども我が国の領海、領空にあるものにつきましては施設及び区域として、また公海、公空にあるものにつきましては、一般の船舶、航空機等の航行の安全を確保するために、それぞれその区域、使用条件等について官報で告示をしております。また、先ほど御説明がありましたように、海上保安庁及び運輸省から水路通報あるいは航空情報として周知が図られております。  また、水域につきましては、在日米軍の水面の使用に伴う漁船の操業制限法により漁船の操業の制限が行われておりまして、その旨告示がされております。また、これらの水域のうち米軍が日時を限って使用するというものにつきましては事前に通報するという合意がありまして、米軍から演習通報の発出を受けまして、その都度関係省庁及び関係地方公共団体を通じまして漁船等に演習に関する情報提供をしているということでございます。
  19. 宮里松正

    宮里委員 もう一度確認をしておきますが、これらの訓練空域もしくは訓練水域訓練をする場合、そこに船舶がある場合には、その安全を確保し、その上で訓練を実施する、このようにお聞きしてよろしいのですね。要するに、事前に通告をしてそれで訓練をするよ、公示をし、通告をし、その周知徹底を図った上で、ここに船舶がいようといまいと訓練をするということではなくて、その上さらにその地域に船舶がある場合には、その安全を確認して、それに被害を与えないように配慮した上で訓練は実施するのだ、このようにお聞きしてよろしいのですね。
  20. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 先ほど御説明しましたけれども、射撃海面と申しまするのは実際に使用される区域よりもうんと狭いわけであります。例えば、今回の場合では四十数キロ四方のものであります。そこには船舶がいないことを確実に確認し行います。しかし、南方区域、これ自身は非常に広いものでございますので場合によってはその中に船舶がおることもございますが、そのときにはそこを十分避けまして、結局安全を確保し得るに足るだけの、射撃海面と称しておりますが、そこにおいて訓練を行う、そこには船舶等がいない、こういうことであります。  航空機につきましては、区域そのものの中にも入っていないことを確認して行います。  以上です。
  21. 宮里松正

    宮里委員 次に、この二つの事件はいずれも現実に起こった動かすことのできない事実であります。そこで、この二つの事件につきまして、原因の究明あるいは損失の補償、再発防止などにつきましてどのような措置をこれまで講じられて、またこれからどのような措置を講じようとしておられるのか、この際御答弁を願っておきたいと思います。
  22. 友藤一隆

    友藤政府委員 具体的にわかっておりますマレーシア船の被弾事故について私どもの方からお答え申し上げたいと思います。  七月二十七日、御質問のございましたように鳥島射爆撃場付近でマレーシア商船が被弾したわけでございまして、その際乗組員一名が右腕ひじ切断の重傷を負い、同船は航行不能という状況になっておりました。  この事故に対しまして、私どもは事故の状況を米側等に問い合わせまして状況を把握いたしました上、七月三十日私ども防衛施設本庁は在日米軍司令部に対しまして、それから七月三十一日には那覇防衛施設局長から在沖米海軍艦隊活動司令部に対しまして、遺憾の意を表明いたしますとともに、事故原因の究明それから再発防止策の確立等を要請いたしております。  米海軍でございますが、とりあえず事故に関する詳細がはっきりいたしますまでは嘉手納に滞在をいたしておりましたFA18の航空機によります夜間の武器訓練を中止するということにしておりまして、現在事故調査委員会におきまして米側で詳細を調査中というふうに聞いております。  それから、損害賠償の方でございますが、海上保安庁等の調査によりますと、本件事故は我が国の領海内で発生したということがほぼ確実でございますので、この場合、地位協定の十八条の規定によりまして原則として我が国が処理する、こういうことに相なりますので、被害者側に対しましては防衛施設庁が請求の制度等の説明を行っております。被害者等は現在沖縄の中部病院で治療中でございますが、賠償請求等の具体的措置につきまして、施設庁において被害者側の意向を踏まえながら遺漏のないように取り進めていきたいと考えております。
  23. 長谷川宏

    長谷川(宏)政府委員 最初の方のケースについて御説明いたします。  今回の事案の原因は、もちろん関係機関の協力によりまして早急に解明されなければならないわけでございますが、漁船から回収されました金属片あるいは付着物につきまして、現在当庁が海上保安庁から鑑定の嘱託を受けておりまして、厳正に分析を実施中でございます。  いずれにいたしましても、自衛隊任務を遂行いたしますためには不断の訓練がどうしても必要でございますので、そのためにも、海上の船舶安全確保のために事故防止について今後とも万全を期し、地域住民の皆様方の御要望との調和を図りながら各種訓練の円滑な実施に努めていくべきものと考えております。
  24. 宮里松正

    宮里委員 第一一徳丸の船尾付近で落下、爆発したものは、まだ正体がはっきりしていないわけですね。それを今防衛庁において、回収された鉄片と破片の解析、分析を行ってその原因究明に当たっている、こういうことに伺ってよろしいのですね。ぜひひとつ、できるだけ早目にそれを究明していただきたいと思います。  同僚の前田議員から関連質問が出ておりますので、私は一特質問を中断いたしまして、この席を前田議員に譲りたいと思います。
  25. 石川要三

    石川委員長 関連して、前田武志君。
  26. 前田武志

    ○前田委員 それでは、宮里委員の御発言に関連いたしまして、私、発言させていただきます。  実は奈良県吉野郡十津川村の山合いにおきまして、この十二日の午前、米軍機が低空で飛来いたしまして、林業用のワイヤを切断するという事故がございました。当村は実は私の出身の村でございまして、一歩誤れば大惨事になりかねない、このような危機に瀕して村民は不安におののいておるわけであります。  本件の飛行の実態、そして事故のありさまなど、事実関係並びにその役とられた処置について御説明をお願いいたします。
  27. 弘法堂忠

    弘法堂政府委員 お答え申し上げます。  現在までに入手しております情報によりますと、八月十二日の午前十時十五分ころ、米海軍第五空母航空団、これはミッドウェーでございますが、所属の艦載機EA6Bプラウラーが厚木基地を飛び立ちまして、岩国を経由して厚木基地に向かって飛行中に、奈良県吉野郡十津川村の山岳地帯、これは神納川流域の出谷郷谷におきまして、谷底から約二百メートル程度上方に架設してあった材木運搬用のテール線、ワイヤロープ、太さ約十二ミリメートルですが、これに接触して切断をいたしました。なお、人身被害は生じておりません。現在、米海軍は事故調査委を設置しまして調査中でございます、  この事故に接しまして、大阪防衛施設局におきましては、八月十四日に被害者に対しまして遺憾の意を表明しますと同時に、損害賠償の手続等について御説明をしてございます。それから十七日には、十津川村長に対しましても事情を御説明し、遺憾の意を表しました。この十五日には事故現場を局の担当官が訪れまして、被害状況の調査を行っております。  以上でございます。
  28. 前田武志

    ○前田委員 十津川村は、林業あるいは製材業など、山を手入れして生計を立てておる山村であるわけですが、一見人家の見当たらないようなこういう山合いでも、人々が働いて生計を立て山の手入れをしておるわけでございます。  国土の七〇%近くが山村である我が国の実態というのはおおむねこういったものではないかなと思うわけでございますが、このような場所で、一歩間違えば、その切ったロープは実は索道の補助支線だと聞いております。ちょっとその上に本線があったわけでございまして、この本線にでも引っかかったら、これはもう大惨事でございます。このような一歩間違えば大惨事に至るような飛行を行ったということはまことに非常識きわまりないと言わざるを得ないわけでございます。  実は、この十津川村というのは勤皇の志が非常に厚くて、国事を大事にしてきた古い歴史を持っておる村でございます。そういう独特の歴史に誇りを持っており、純朴な村民も日米安全保障体制というものについては理解をしておられるわけでございますときに、こういう事態を起こしたということが非常に残念でならないわけでございます。米軍に対して、かかる事態を二度と起こさぬように、また、我が国のこういった特性を踏まえて社会的常識を守るように厳重に申し入れていただきたい。外務省なりの御返答を伺いたい。
  29. 藤井宏昭

    ○藤井(宏)政府委員 ただいまの事故につきましては、防衛施設庁から通報を受けまして、外務省といたしましても直ちに在京米大使館に対しまして、第一に本件は遺憾であるということ、それから第二に事故原因の調査を早急に行ってほしいということ、第三に今後の再発防止について十分話し合っていきたいということ、この三点につきまして申し入れた次第でございます。  アメリカ政府及び在日米軍といたしましても、現在事故原因につきまして鋭意真相を究明中ということを本日も確認いたしたところでございますので、この原因の究明、さらに今後の事故の再発の防止等につきまして万遺漏なきように米側とも話し合っていきたい、かように存じます。
  30. 前田武志

    ○前田委員 先ほどの宮里委員の御質問といい、最近、米軍自衛隊において類似の事故が発生しておるわけでございます。我が国の領土的な安全あるいはシーレーン等経済活動上の安全、そういったものを日米安全保障体制に頼っておる現実にかんがみまして、国民の理解をますます深め、万全の安全措置を講じて、例えば訓練区域の調整など、安保体制の実効を上げるように政府におかれましてもさらなる努力をしていただきたいとお願いする次第でございます。  終わりに長官の御所見を承りたいと思います。
  31. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 日米安全保障体制というのは、日米間の基本的なというか非常に大事な仕組みであります。これは大切にしていかなければならない、そのために国民の皆さん方にも御協力をいただきたいということできておりまするけれども、いろいろと事故があるということ自体がこの安全保障に対する信頼性に対して疑惑を招くというおそれがないわけではございません。  したがいまして、アメリカ側に対しましても、この日米安全保障が大切であればあるほど、米側においても十分気をつけてやってもらいたい、事故を起こさないようにと機会あるごとに申し入れをしていきたい、こう考えております。
  32. 前田武志

    ○前田委員 終わります。
  33. 宮里松正

    宮里委員 次に私は、米軍基地周辺地域住民に対する防衛施設庁が行っております援護措置について若干お尋ねをしておきたいと思います、  町域のほとんどを米軍基地に接収され、しかも極東最大の航空基地を抱えた嘉手納町を初めとして、米軍用機の発する爆音公害に今悩まされているところであります、復帰後は、施設周辺整備資金によって防音装置あるいは冷房装置がなされまして、町民もやっと静かな夜を取り戻すことができました。  しかし、生活保護世帯などでは、当然のことながらこれらの冷房装置の維持管理費を負担することができずに、かといって生活保護費を増額するというわけにもまいりませんので、これらの経費は町役所が負担しているというのが現状であります。これはもともと嘉手納航空隊の航空機騒音が原因でありますから、これをいつまでも町役所が負担するというのは筋の通らない話であるというふうに思います。そこで嘉手納町では、せめてこの生活保護世帯の分だけでも国において維持管理費を負担してほしいということをこれまでしばしば要請をしてきたところであります。私も当然そうあってしかるべきだと思いますが、その点いかがでありましょうか。  同時にまた、この施設周辺整備資金で防音装置や冷房装置をしてもらえるのは、たしか昭和五十二、三年でございましたか、それを始めましたこるまでに建てられておった住宅に限られておりまして、その後に建てられた建物につきましてはこれが適用されないことになっているわけであります。いわゆる危険接近の理論というものがここでも適用されているわけであります。しかし、嘉手納町は町域のほとんど全部が騒音地域に入っているわけでありまして、町民は、例えば親元を離れて独立して、自分で独立した生計を営もうというような場合には、町内にある自分の土地に建物を建てるしか方法はないわけであります。他町村に住んでおった者がわざわざこの騒音のある嘉手納町に移住してくるというような場合ならともかくといたしまして、もともとから嘉手納町に住んでおった町民が、嘉手納のこの町域の中に、しかも自分の土地に建物を建てるという場合には、この危険接近の理論というものは私は適用すべきでない、こう思います。  そうでないと、嘉手納町はもうほとんどが米軍基地でありますから、しかもそこに自分が家を建てても防音装置をしてもらえないということになってまいりますと、若い者が全部外へ出ていってしまって、しまいには嘉手納町は年寄りばかりが残ってしまう、こういうことにもなるわけであります。嘉手納町の方々はそのことまでも今心配をしているところであります。  その点、防衛施設庁はどのようにお考えか、また、これまでどのように努力をしてこられたのか、今後どのような対応を考えておられるか、お尋ねをしておきたいというふうに思います。
  34. 友藤一隆

    友藤政府委員 まず、住宅防音工事済みの住宅の嘉手納の特に生活保護世帯に対します維持費の補助についての問題についてお答えを申し上げたいと思います。  御案内のとおり、現在住宅防音工事につきましては、密閉をいたします関係上、どうしても風通しが悪くなって気温の高い場合には困るということで、空調機器の設置を補助をいたしておるわけでございますが、御質問にもありましたように、現在維持費は国においては補助をいたしておりませんので、生活保護世帯の場合には、維持費に関して大変困難な状況にあるということについては私どももよく承知をいたしておりまして、従前から維持費の国庫負担について予算計上に毎年努力をいたしてきておりますが、残念ながら現在まで財政事情と諸般の事情によりまして具体的に予算についてくるという状況には至っておりません。しかしながら、先生指摘のように、状況は私どももよく承知をいたしておりますし、必要性も十分わかっておりますので、この実現には努力を続けていきたいと考えております。  それから次は、特に嘉手納地域のような特殊な場合には、分家をされたような場合に危険接近の理論で住宅防音工事がやってもらえないというのはいかがなものか、こういう御指摘でございます。  これについては、確かにおっしゃることはよくわかるわけでございますが、実は現在、自衛隊米軍関係の飛行場を含めまして住宅防音工事の対象の世帯数と申しますのは約三十八万世帯ございまして、現在まで実施をいたしておりますものは相当ございますが、まだまだ一室防音だけのものとかそういうものも相当残っておりまして、これから相当程度力を入れて新規に防音工事をやらなくてはいかぬというところもたくさんございます。そういうことから、告示のときに所在をいたしておりました未実施の住宅をまず私どもとしては当面の先決問題ということで現在努力をいたしておりますし、予算も鋭意充実するように考えておるわけでございます。  そういったものがある程度一巡をし住宅防音について実施状況を今後考えるというような状況になりました場合には、告示の後で特殊な事情で入られるような方については検討をしていかなければいけないのではないかと考えておりますが、現状では住宅防音の実施状況等にかんがみましてなかなか困難であるという状況も御理解を賜りたいと思うところでございます。
  35. 宮里松正

    宮里委員 実情はよくおわかりのはずでありますから、ひとつこれから特段の御努力をお願いいたしたいと思います。  次に、米海兵隊基地のクラブで働く従業員が去る七月二日に三百三名解雇の通告を受けました。九月三十日で解雇されることになっております。これは海兵隊のクラブに働く全従業員のざっと八四%に当たるもので、しかもいきなりこういう大量解雇の通告が来ているわけであります。ただですら失業率の高い沖縄の労働市場におきまして、これが大変な反響を呼び県民に大きなショックを与えているところであります。しかも、これは百六十億に及ぶ労賃の肩がわりを政府決定した、そのやさきに起こった事柄であります。手元にあります資料によりますと、この海兵隊のクラブに働くほとんどの従業員、ほとんど全職種にわたっている。理由としては、円高・ドル安という形でクラブの経営が非常に困難になったということが理由になっているようでありますが、恐らくは長年勤務を継続してきた給料の高いクラブ従業員をここで解雇して、賃金の安いパートタイムに切りかえるということがそのねらいではなかろうかというふうに思われます。  そこで、防衛施設庁はこのことについてこれまでどのような対応をしてこられたのか、そしてまたこれからどう対応していかれるのか。少なくとも沖縄現地ではこれが大変な問題になって、今大騒ぎを起こしているところであります。できることなら全面的な撤回を願って、そこで働く従業員が安心して今後とも働けるようにしていただきたいと思います。と同時に、私が推測をしておりますように、これが大量に解雇され、そして直ちにパートに切りかえられるということになってまいりますと、米軍基地そのものに対する不信や反感も地元で増大するはずであります。その点も念頭に置かれて、ひとつ御説明を願っておきたいと思います。
  36. 友藤一隆

    友藤政府委員 在沖縄米海兵隊クラブの人員整理についてのこれまでの交渉経過と今後の見通し等について御質問がございましたので、お答えを申し上げます。  七月二日に、御質問ございましたように三百三名の解雇の予告がございました。これに対しまして、私ども直ちに米側に対しまして人員整理についての再考を求めたわけでございます。理由といたしましては、その直前に発効したばかりの特別協定というものの存在もございますし、やはり安定的な従業員の雇用の維持というようなことを考慮いたしまして、米側で何とか努力はできないかということで交渉を開始いたしたわけでございまして、外務省からもこういった観点からの申し入れ等も行われております。  私どもとしましては、なぜこういった三百三名の人員整理が必要なのか、部隊を畳んでどこかへ行ってしまうというわけではございませんので、その理由についてもっと具体的によくわかるように説明を願う必要があるということで、そういった資料の提供等について労務関係の担当者レベルで折衝を続けてきております。一部は数字等については提供を受けておりますが、必ずしも私どもの検討と申しますか、必要性を十分説明できるかどうかについてはやや資料の足りないところもございまして、現在もそういった資料の補足的な提供というものについても折衝いたしておりますが、そればかりやっておるわけにもまいりませんので、現地に労務部長等も派遣をいたしまして、直接の職場を抱えております在沖米海兵隊の責任者にも会いまして、現在強力に折衝を行っております。私どものいただいております米側の資料等を使いまして、解雇の必要性等について現在再考を申し入れている最中ということでございまして、それに対して米側でも責任者相集まっていろいろ相談をしておるという状況でございます。近く何らかの第一次的な回答が出るのではないかと思いますが、現在まだ回答には接しておりません。  以上でございます。
  37. 宮里松正

    宮里委員 時間がなくなりましたので、最後に一、二分だけ時間をいただいて、防衛庁長官に在沖米軍基地の今後のあり方について一言だけお尋ねをしておきたいと思います。  御承知のように、沖縄には極東最大の航空基地として知られる嘉手納航空隊を初め、宜野湾市にある普天間飛行場、金武町にありますキャンプ・ハンセン、名護市にありますキャンプ・シュワブ、国頭の山岳地帯に設けられた演習場、近海に設置されました訓練空域あるいは訓練水域など、今なお広大な米軍基地があります。  これは、本土各地にあります米軍基地のように、もともと日米安全保障条約やその関連協定によってつくられたものではありません。沖縄米軍基地は、第二次大戦末期の昭和二十年六月末ごろ米軍が約九十日間にわたる激戦の末に沖縄県の全域を軍事的に占領いたしました。これに引き続いて予定されておりました対本土作戦を遂行するためにつくられたものであります。昭和二十年八月十五日に政府がポツダム宣言を受諾いたしまして無条件降伏をいたしましたので、米軍の対本土進攻作戦は中止されましたが、昭和二十五年の朝鮮動乱を契機といたしまして、米占領軍は沖縄米軍基地を米国の極東軍略体制のかなめとすべく本格的な航空基地としてこれを整備するようになりました。米軍がこれを使って朝鮮動乱あるいはベトナム戦争などを戦ってきたことは広く知られているところであります。  沖縄が十五年前に復帰いたしましたとき、核抜き本土並みという形で沖縄米軍基地にも日米安全保障条約並びにその関連協定が適用されることになりましたが、米軍基地そのものはほとんどそのまま残されました。その後、那覇の海軍航空隊、上之屋の米軍住宅、具志川市にありました登川の海兵隊基地など幾つかの基地が返還をされましたが、それでも沖縄には今でも全国の七五%に当たる米軍専用基地が残っているのであります。  しかも、この沖縄米軍基地は、もともと去る大戦末期に米占領軍が対本土作戦を遂行するためにつくったものでありますから、最初から地域住民の生活の安定などに全く配慮がなされておりません。したがって、これと両立できるような形にはなっていないのであります。その上我が国は、防衛政策基本的枠組みの中でも日米安保体制の堅持をうたっているのでありますから、沖縄人々は好むと好まざるとにかかわらず今後とも長期にわたってこの米軍基地とおつき合いをしていかなければならないわけであります。そうだとするならば、沖縄米軍基地は可能な限り整理統合あるいは機能統合を図って地域住民の生活と両立できるような形で整備をしてまいらなければならぬと思います。  私は、ハワイに参りまして、そのことをつくづく痛感をするわけであります。あそこには太平洋軍の司令部がありまして強大な基地機能があるわけでありますが、地域住民とまさに平和的に共存できるような形でつくられているのであります。もとよりこれは一朝一夕にできることではないと思います。しかし、ある程度時間をかけ日米間で真剣にこの事柄を討議していきますならば、十分に解決できることであろうと私は思います。この点について、最後に防衛庁粟原長官の御所見をお伺いしておきたいと思います。
  38. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 これはこの委員会あるいはほかの委員会でもよく御指摘を受けることでありまして、沖縄の皆さんの大変な御苦労のもとになっておるということはよく承知をしております。  こういう問題は、一つには日米安全保障という問題がありますし、一つには地域の振興という問題、そういう問題をどうかみ合わせていくかというところに非常に難しさがございます。したがいまして、おっしゃるようなことにつきまして、政府としても今後アメリカ側と協議を粘り強く続けて打開をしていかなければならぬ、こう考えております。
  39. 宮里松正

    宮里委員 終わります。
  40. 石川要三

    石川委員長 次回は、来る二十日木曜日午前十時十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします     午後六時五分散会