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山田委員 大臣のお手元にも「相続税の実態
調査」という
資料が行っているかと思いますが、私、都内の三つのポイントといいますか地域を対象にいたしまして、相続税が地価高騰等によりまして一体どの程度はね上がってきているのかという点につきまして、
自分なりに計算をいたしたものでございます。
その一つは、渋谷区松濤一丁目十七という地域でございます。二つ目は、渋谷区鉢山七丁目十五という区域でございます。いま一つは、目黒区の駒場二の一という区域でございまして、この
調査の前提となります条件は一から四までございますが、夫婦子二人で夫が死亡して相続が発生した、こういう条件。そのほかに、いわゆる土地のほかに資産、
負債、葬儀費用等はないものとしてこれは計算をいたしております。配偶者の税額軽減、これは配偶者の
非課税限度額現行四千万円または相続財産あるいは相続額の二分の一、いずれか大きい方の適用を受けることができます。この配偶者の税額軽減で、二分の一が基本的に適用されております。それから小規模宅地の評価減、これは御案内のとおり評価額の三〇%が軽減されて、引かれて適用されるということになっておりますので、これも織り込んでございます。
それで、
昭和六十三年度の正面路線価につきまして、これは側方路線価、すなわち角地につきましては、ちょっと特殊な立地かなということで外してございますからゼロにしてございます。したがいまして、一平米当たりの評価額は正面路線価と同じということにしてありますけれ
ども、六十三年度は六十二年度と同じ上昇率と仮定してみました。一八五%の上昇率、評価額。それから六十四、六十五年度はいろいろな対策を講じまして、正面路線価が鎮静化することを前提に対前年比で一三〇%の上昇率、それから六十五年度にありましては一二〇%の上昇率、こういうふうに計算の基礎を置いたわけでございます。
ここで明らかなことは、例えば松濤一の十七という地域ですが、ここは渋谷区の高級住宅地、昔から居住している人が比較的に多い地域でございます。以下、鉢山、駒場もそれぞれ
資料に記載しているとおりでございますが、松濤一の十七の地域の場合、六十坪、約二百平米の居住用の土地を持っているだけで、正面路線価はこういう形で出ておりますので既に実績でございますが、相続税の総額が六十二年にありましては二千百七十七万円、こういうことになります。それから六十三年でございますが、評価額の上昇率が六十二年度と同じ、こう仮定した場合には五千六百七十一万九千五百円の相続税を納めなければならない。六十四、六十五年につきましては、この評価額の上昇率がかなり鈍るといいますか鎮静化をしたような条件のもとで計算をいたしましても、六十四年度は八千三百二万円からの相続税を納めなければならないということになります。六十五年度は、わずか六十坪、二百平米の居住用の土地を持っているだけで一億七百四十万円からの相続税を納めなければならない、こういうような実情にあるわけでございます。
以下、渋谷区鉢山、目黒区駒場につきましてもこの松濤と同じように、相続税の納めるべき総額は非常にはね上がっていく、こういう
状況があるわけでございます。あるいはまた予想されるわけでございます。それで居住用土地を売却しないと税金が納められない、そういうケースも非常に多く出てくるのではないだろうか。そうなりますと、相続税を納めるために東京で生活することが事実上断念をさせられてしまう。東京に住みたいあるいは住んでいるという、生活権と申しますか、これが非常に厳しいことになってくると思われます。
なお、この表にありましては、配偶者の税額の軽減、配偶者の税金はゼロとしてございますので、仮に配偶者がいない場合、子供が三人、父親が一人で、その父親が死んだ場合にはこの税金の額のほぼ二倍となる、こういうことになるわけでございまして、
先ほど主税局長、そして後から
宮澤大蔵
大臣の御答弁があったわけでございますが、財源との関連ということのお話もわかるわけでございますが、なかなか猶予を許さない
状況にあるのではないだろうか。したがいまして、六十三年度におきましては、やはり相当決断をしていただいて対処、対応をお願いしなければならない、かように思っているわけでございます。
〔
委員長退席、大島
委員長代理着席〕
それで主税局長、
先ほど、六十二年度の相続税
減税の中身等については現在白紙であるというお話でございましたが、日経
新聞には、一紙だけなんですが、八月十六日付で、課税最低限の引き上げを五千万程度に、あるいは配偶者の
非課税限度額、現行四千万円を五、六〇%引き上げるとか、こういうふうに
大蔵省は方針を固めたという形で報道がなされたわけでございます。課税最低限の引き上げあるいは配偶者の
非課税限度額の同じように引き上げということは、改正をする場合にはどうしても基本になるものだと思いますが、これがそのとおりだというように私は決めつけるつもりは毛頭ございませんが、仮にこの
新聞報道に言うように課税最低限を五千万円に引き上げたとしても、私の
調査によりますと、相続税の評価額というところがございますが、六十二年度で見てみますと、一億七千八十万円の中に既に課税最低限、現行分の三千二百万円というのは計算されておりますので、残りの一千八百万円をこの評価額から引き去って税額を計算するということに相なるわけでございますので、五、六〇%の課税最低限の率の引き上げあるいはまた
非課税限度額の引き上げといいましても、実際には算出される相続税の総額というのはここに示しました数字とさほど変わらない、減少しないということになるわけでございます。
それやこれや
考えまして、恐縮ですが、六十三年度の相続税
減税についての
大蔵省の対応、御決意というものをもう一度お伺いしたいと思います。