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1987-08-19 第109回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月十九日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 池田 行彦君    理事 大島 理森君 理事 熊川 次男君    理事 笹山 登生君 理事 中川 昭一君    理事 中村正三郎君 理事 野口 幸一君    理事 宮地 正介君 理事 玉置 一弥君       新井 将敬君    井上 喜一君       石破  茂君    今枝 敬雄君       江口 一雄君    遠藤 武彦君       金子 一義君    小泉純一郎君       古賀 正浩君    笹川  堯君       自見庄三郎君    杉山 憲夫君       高鳥  修君    高橋 一郎君       戸塚 進也君    鳩山由紀夫君       二田 孝治君    村井  仁君       山中 貞則君    山本 幸雄君       伊藤 忠治君    上田 卓三君       沢田  広君    中村 正男君       堀  昌雄君    武藤 山治君       中村  巖君    日笠 勝之君       冬柴 鉄三君    森田 景一君       矢追 秀彦君    山田 英介君       安倍 基雄君    正森 成二君       矢島 恒夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         大蔵政務次官  中西 啓介君         大蔵大臣官房総         務審議官    角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       斎藤 次郎君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 足立 和基君         大蔵省銀行局長 平澤 貞昭君         大蔵省国際金融         局長      内海  孚君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局職員課長 山崎宏一郎君         総務庁恩給局恩         給問題審議室長 鳥山 郁男君         経済企画庁総合         計画局計画官  立石 久雄君         国土庁土地局地         価調査課長   森   悠君         外務大臣官房審         議官      赤尾 信敏君         外務大臣官房儀         典官      松井 靖夫君         外務省経済協力         局政策課長   林   暘君         厚生省薬務局経         済課長     佐藤 隆三君         農林水産技術会         議事務局振興課         長       高橋  修君         通商産業省通商         政策局総務課長 関野 弘幹君         通商産業省産業         政策局産業資金         課長      森清 圀生君         通商産業省機械         情報産業局情報         処理振興課長  近藤 隆彦君         工業技術院総務         部技術開発企画         調整官     工藤 冨之君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画課長     小島 迪彦君         建設大臣官房会         計課長     市川 一朗君         建設省道路局有         料道路課長   松延 正義君         参  考  人        (日本銀行総裁) 澄田  智君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 委員の異動 八月十九日  辞任         補欠選任   高鳥  修君     古賀 正浩君   鳩山由紀夫君     高橋 一郎君   藤波 孝生君     自見庄三郎君   村上誠一郎君     二田 孝治君   早川  勝君     伊藤 忠治君   日笠 勝之君     冬柴 鉄三君   山田 英介君     中村  巖君 同日  辞任         補欠選任   古賀 正浩君     高鳥  修君   自見庄三郎君     藤波 孝生君   高橋 一郎君     鳩山由紀夫君   二田 孝治君     村上誠一郎君   伊藤 忠治君     早川  勝君   中村  巖君     山田 英介君   冬柴 鉄三君     日笠 勝之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本電信電話株式会社株式売払収入活用  による社会資本整備促進に関する特別措置  法案内閣提出第一号)  日本電信電話株式会社株式売払収入活用  による社会資本整備促進に関する特別措置  法の実施のための関係法律整備に関する法律  案(内閣提出第二号)      ――――◇―――――
  2. 池田行彦

    池田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法実施のための関係法律整備に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田英介君。
  3. 山田英介

    山田委員 NTT法案質問に入ります前に、二、三ちょっと為替相場動きにつきまして蔵相の御所見等をお伺いをしたいと存じます。  御案内のとおりでございますが、ここにまいりましてまた円が再び急伸をする、こういう状態でございます。十八日、昨日午前、ニューヨークの市場における円相場は、一時前日終わり値に比べまして三円六十五銭高の円高ドル安という展開でございまして、一ドルが百四十五円五十五銭から六十五銭、六月の上旬以来はぼ二カ月ぶりの高値をつけたということでございます。ロンドン市場にありましても、十八日、一時前日の終わり値比で四円近くも円高ドル安の一ドル百四十五円七十銭ということでございます。  それで、昨日の東京市場における終わり値が百四十八円五十五銭ということで、前日と比較いたしまして一円六十五銭円高、けさは初値百四十五円九十銭で始まりまして、現在は百四十六円前後で推移をしているというふうに承知をいたしております。  ここに来て再び円が急伸をしてきたわけでございますが、この背景あるいは原因等につきまして大蔵大臣はどのようにごらんになっておられるのか、伺いたいと存じます。
  4. 内海孚

    内海(孚)政府委員 為替市場状況はただいま委員指摘のような状況で推移しておりますが、これは、六月の米国の貿易収支が百五十七億ドル赤字ということで、前月よりも赤字幅拡大したわけでございます。で、そのときに、円とドル関係では大体二円近く円が強くなったわけでございますが、貿易収支の数字が出た割には比較的平静だったなという感じマーケットで受け取られておりまして、その原因は、委員御存じのとおり、アメリカの四半期に一度の国債入札が大変順調にいったということもあって、貿易収支赤字のリアクションがややおくれたという感じがあったわけでございます。その後を受けて、例えば入札をした人がそこでその後の貿易収支状況を見てヘッジをつけるというような動きがあり、またそれに伴いましていろいろな投機的な動きもあり、このようになっているわけでございますが、基本的には中東情勢等なかなか不透明な問題もあるものですから、そういった要素がどういうふうに働いてくるかということを現在、マーケットはもちろんそうでございますが、我々も注視しながら、為替市場状況をウォッチしているということでございます。
  5. 山田英介

    山田委員 宮澤大臣は、本年の二月二十五日だと思いますが、パリにおけるG5、G6に御出席をなされましてお帰りになったたしか直後の当委員会だと記憶しておりますが、一ドルが百五十円を突破した、そういう状況ごらんになりまして、これは警戒水位に達しているという御認識を示されておられたわけでございますが、ここに来まして再び百五十円を突破するという、突破するといってもかなり大きく突破をしているという状況でございますが、今回のこの局面をどうごらんになっておられるかということ、その点につきまして先に御答弁いただければと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 円ドル関係というのはここへ来てかなり落ちついておりますし、我が国経済もかなりいわば底離れをしたというような大局観を持っておりますので、この一両日のことは、相場のことでございますから、それはいろいろ説明はあると思いますが、相場のあやといったようなものかなと、大局的にはその程度に考えております。
  7. 山田英介

    山田委員 六月のアメリカ貿易赤字拡大をしているということと、九月に入りますとアメリカの議会がまた再開されるというような一つ流れというものが今回の円高ドル安に大きな影響を与えているんではないかと私は考えるわけでございますが、今蔵相の御答弁を伺っておりますと、さほど気にすることはないんじゃないかなという感じの御答弁でございますが、そのような流れを考えますとなかなか予断を許さないのではないかという気もするわけでございます。現在の局面はそうごらんになっておられるといたしましても、今後の見通しにつきまして二言お願いしたいと思います。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大きな見通しで申しますと、我が国経済はこれからまあまあよくなっていくと思って間違いなさそうであります。内需が相当出てくると思いますので、長期的には極端な輸出依存体質から内需の方へ動いていこうという動きは具体的に始まったと見てよかろうと思うのであります。  アメリカ国際収支回復がなかなか思ったとおりでないということはおっしゃるとおりでございますけれども、プラザ合意からもう来月の末にはそろそろ二年になりますので、これだけドルが安くなりますとアメリカ輸出力というものはかなりふえておるに違いない、恐らく最近の貿易収支予想外によくなかったのは、原油価格あるいは原油輸入量等々が直接の原因ではなかったかと思いますが、アメリカ当局者自身輸出力鏡争力回復ということには自信を持っておるようでございますので、そういう意味では私はまあまあ長期的に余り心配なことはないというふうに考えております。
  9. 山田英介

    山田委員 それでは為替相場の関連では最後に質問させていただきますが、二月二十二日のパリ合意、各国の協調介入合意をされたわけでございます。その直後における百五十円台突破という事態を受けて、その当時はいわゆる急激な円高ドル安に歯どめをかけるべく協調介入をされたと承知しておりますが、ただいまの大蔵大臣の御答弁からいきますと、今回のこの百五十円再び突破という事態を受けてはおりますが協調介入はなさらない、こういうことでございましょうか。
  10. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は何とも申し上げるべきことでは本来ないわけでございますけれども、基本的には私は今申し上げましたように大した出来事ではないと思っておりますが、それでも、短時日の間に乱高下というような、そういうふうに見られるようなことがございましたら、これはよろしくございませんので、それには対応いたさなきゃならぬと思いますけれども、それはそのようなことがもし起こりましたらということでございます。
  11. 山田英介

    山田委員 それでは、NTTの二法案に関連した質問に移らせていただきます。  まず、NTT株式活用の仕方につきましては、御案内のとおりその三分の二が国債整理基金帰属をいたしまして、そして国債償還に原則的には充てていく。もう一つは、政府義務保有分の三分の二はこれを産業投資特別会計産投特会帰属をさせまして、その配当金をもっていろいろと投資やあるいは出資などを行う、こういうフレームといいますか枠組みがあるわけでございます。それで、今回の二法案によりまして、社会資本整備NTT株式売却金の一部を活用できるように道を開こう、こういうことになっているわけでございますが、蔵相が常々おっしゃいますように、国民の努力の結晶であるこの貴重な財産を有効に生かしたいのである、こういう観点から考えてみまして、それではこの二法案が出されてくる以前のNTT株式配当金がどういう形で使われているのかなということを見ておくことも大変意味のあることだろうと存じまして先にそちらから質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、NTTが六十年の四月一日から株式会社として民営化スタートを切ったわけでございますが、その時点以降今日に至るまで設立をされました産業投資特別会計機関、及び、その民営化後に、機関の名称は変わっておりませんが、事業部門をふやして、そして産投特会資金を受け入れて、そして投融資活動を行う、そういう機関が幾つあるのか。それはもう少し端的に申し上げれば、NTT株式配当金一つ原資としてというか、それを十分念頭に置いてそして特会資金を受け入れるようになったそういう機関、それから、新たに、スクラップ・アンド・ビルドの原則からいいまして、ある機関をつぶしてスクラップにして、ビルドとしてこの産投特会資金を受け入れるに至った、こういう機関が幾つあるのか、大蔵省としてどう御認識をされておるのか、まずそこを伺いたいと存じます。
  12. 足立和基

    足立政府委員 産投財源でございますが、従来の輸銀、開銀の納付金に加えまして、先生指摘のように、NTTあるいは日本たばこ産業の株の一部が産業投資特別会計帰属することになりましたので、その配当金産投会計原資として使われる、こういうことになり、産投会計といたしましては、技術開発等中心といたしまして国民経済発展あるいは国民生活向上、こういう観点で大変なウエートを持つようになったことはただいま先生の言われたとおりでございます。  そこで、具体的に申しますと、産投会計NTT株式が所属するということになりました以降、昭和六十年度基盤技術研究促進センター設立され、そして六十一年度におきましては生物系特定産業技術研究推進機構というものが新しく設立され、さらに六十二年度におきまして医薬品副作用被害救済研究振興基金、こういうものも設立をされたわけでございます。  そこで、NTT株式配当でございますが、これはあくまでも特定財源という性格のものではございませんが、これが産投会計帰属するということの経緯で、技術開発等に使用されるのだということが政府党合意あるいは国会でも合意をされてございますので、私どもはそれを踏まえましてこのような技術開発等中心といたします新しい機関産投会計出資を行っておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、今年度計画におきましては、NTT株式配当、これは八割と見て八掛けをいたしてございますから、特別会計予算上は二百八億というぐあいに計上いたしてございますが、現在ではその一〇%配当丸々が恐らく帰属されるであろうと考えてございまして、実績見込みといたしましては二百六十億ございます。それから、たばこの株式配当といたしましては、同じように本年度四十億の配当金収入が見込まれてございます。これに対しまして、先ほど申しました基盤センターへの出融資は本年度二百五十億計上いたしてございますほか、医薬品救済研究基金への出融資が十億、生物系研究推進機構への出融資が三十八億、配当金収入念頭に置きながらこのような新しい技術開発等に対しての出融資を考えでございます。
  13. 山田英介

    山田委員 二百六十億ほど配当金が見込まれるということで今御説明いただいたわけでございます。きょうは厚生省の方にも来ていただいておると思いますが、今の御答弁の中に出てまいりましたところの一つ医薬品副作用被害救済研究振興基金(仮称)でございますけれども、これは今のやりとりでも明らかなように、NTT民営化された後にこの産投資金を受け入れる、こういう形で設立をされておるわけでございますが、この貴重な財産配当金、それがどういうふうに使われているかという点で、この基金設立の目的、それからちょっと外れるかしれませんが、スクラップ・アンド・ヒルド関係からいきますとどういうことになっているのか、それから端的に国民にとってどういうメリットが出てくるのか、私の質問時間が一時間でございますので、あとほかの省庁の方もおいでいただいておりますから、今の三点、簡潔にお願いできればと存じます。
  14. 佐藤隆三

    佐藤説明員 ただいま御質問のございました医薬品副作用被害救済研究振興基金でございますが、これはさきの国会法律改正をお認めいただきまして、この十月から医薬品あるいは医療機器等研究開発に対する出融資制度スタートさせることとなったものでございます。この制度趣旨でございますが、これからの活力ある長寿社会を実現していくために、最近非常に目覚ましい進展を遂げておりますバイオテクノロジー等先端技術活用いたしまして、国民保健医療上の重要課題でございますがんやあるいは老人性痴呆等を克服できるような画期的な新薬あるいは医療機器等につながります研究開発民間の活力を結集して進めていこうとするものでございます。事業対象といたしましては、民間において行われます医薬品医療機器等に関する研究開発対象としておるわけでございまして、産業投資特別会計からの初年度、今年度予算額は総額十億円ということになっているわけでございます。  それからスクラップ・アンド・ビルド関係ということで御指摘ございましたが、この制度の創設に当たりましては、行政改革趣旨も十分配慮いたしまして、厚生省の既存の法人でございます医薬品副作用被害救済基金を改組してこの医薬品副作用被害救済研究振興基金という形にして実現することとしたところでございまして、従来の医薬品による副作用被害救済、これには影響を与えないよう効率的な運用に努めるということにいたしているところでございます。
  15. 山田英介

    山田委員 NTT株式が、一例でございますが、今御答弁いただいたような形で使われておる、活用されておるということでございますが、これは他の資金と比較をしてどちらが重要でどちらがより重要でない、こういうことは当然言えないわけでございます。いずれにいたしましても、今これだけの大きな関心を集めているNTT株式活用についての問題でございますので、なお一層、かけ声倒れとか計画倒れに終わらないように、真に国民の福祉の増進にただいま申されましたそういういろいろな研究が実を結ぶよう頑張っていただきたいと思っております。  ただ一点、スクラップ・アンド・ヒルド関係でいきますと、今までは、こちらの基金にありましては、救済給付業務とか拠出金徴収業務とかあるいは既発生被害関係業務、大きく言ってこういう業務がなされていたわけでございますが、業務追加ということで今御説明があったような非常に大きな部分が同じ一つ基金という屋根の中に追加をされてきている。この辺はいろいろと御苦労されて考えたところなんだろうと思いますけれども、そういう点これはちょっと注意を喚起しておきたいな、こんな気がいたします。  それから次に、生研機構と略称されておりますが、生物系特定産業技術研究推進機構、これは農水省と大蔵省共管機関というふうに承知をいたしておりますが、ここにもNTTの株の配当金あるいはまた日本たばこ産業株式会社株式配当金等が当然使われているわけでございます。したがいまして、将来これが国民にとってどういうメリットをもたらすものであるのか、そのねらい等につきまして、あるいは業務実績等につきまして、それからスクラップ・アンド・ヒルドではどういうことになっているのか、この三点につきまして簡潔な御報告をお願いできればと思います。
  16. 高橋修

    高橋説明員 ただいま御質問のございました生研機構についてお答え申したいと思います。  先生もよく御案内のとおり、最近バイオテクノロジーを使いました技術開発が盛んに行われているわけでございますけれども、農林漁業飲食料品製造業等産業分野におきましてこういった先端技術を使いました技術開発を積極的に進めていきたいという民間動きが活発化してまいっておるわけでございます。このような民間動きを支援していくことが大変重要だと考えておりまして、このような民間における生物系特定産業技術に関する試験研究を幅広く推進いたしていくために、特殊法人農業機械化研究所を改組いたしまして、従来の農業機械化促進業務とあわせまして民間試験研究支援業務を行います機関といたしまして特別認可法人生物系特定産業技術研究推進機構、略しまして生研機構と言っておりますが、これを昨年の十月に設置いたしたところでございます。  この生研機構民間への支援活動は、お話のございましたとおり産投特別会計からの原資を充てておりまして、民間企業等共同して研究をいたします共国技術開発法人に対しまして出資をいたす仕事、それから民間企業等につきまして融資を行う仕事をいたしております。六十一年度におきましては、出資事業といたしまして七件、五億の出資をいたしております。融資につきましては、三十四件に対しまして十三億の融資を行っております。このようなバイオテクノロジー等先端技術開発によりまして、新しい技術領域拡大、また地域振興に役立つ技術開発、こういったことを推進しておるわけでございます。
  17. 山田英介

    山田委員 こちらの生研機構につきましては、これが昨年の十月一日に設立登記されていますから、ここで新たな装いで再スタートを切っておられるわけです。今いろいろバイオテクノロジーとか研究をされているということでございますが、その研究成果は今後国会にもあるいは国民にもよくわかるような形でぜひ御報告をいただきたい、こういうふうに存じます。  それから今度は通産省郵政省共管基盤技術研究促進センターにもNTT株配当金などが入っているわけでございますが、どういう形でこの配当金等活用されておるのか、今の前二つの省庁に対して質問しましたのと同じパターンで簡潔に御報告をいただきたいと思います。
  18. 工藤冨之

    工藤説明員 通産省でございますけれども、御説明申し上げます。  御承知のとおり、基盤技術研究促進センターにつきましては、鉱工業及び電気通信に関しまして民間において行われる基盤技術に関する試験研究促進するための機関として六十年の十月に設立されたわけでございます。同センターの主な業務といたしましては、民間企業共同で行います基礎または応用段階からの研究事業に対しての出資及び個別企業応用段階から実施する研究に対して融資を行うことが主な事業内容でございます。  御指摘NTT政府保有株式配当金収入につきましては、六十一年度事業資金といたしまして百八十二億円、また六十二年度におきましては二百五十億円の予算をちょうだいしておりまして、これまで四十七件の共同研究プロジェクト出資いたしまして、また九十件のプロジェクト融資をしている次第でございます。  成果につきましては、センター設立以来ようやく二年を迎えようとしておるわけでございますけれども、他方、出資事業などを見ますと、試験研究期間は七年から十年という大変長期にわたるわけでございまして、その成果はまさに今後に期待されているわけでございます。当省といたしましても、こうした研究開発事業が今後着実な成果を生みまして、国民全体の貴重な財産としまして国民経済発展それから国民生活向上等を通じまして国民の方々に広く還元されることを強く念願している次第でございます。  なお、スクラップ・アンド・ヒルド関係につきましては、六十年十月に設置したのに伴いまして通産省所管特別認可法人である貿易研修センターを廃止した次第でございます。
  19. 山田英介

    山田委員 次に、大蔵、通産共管の産業基盤整備基金、これは民活法に基づく認可法人ということでございますが、六十二年度は五十億円の配当金を含めた産投特会から資金の受け入れをしているわけでございます。事業実績等使われ方はどうなっておりますか、簡単に御報告を願います。
  20. 森清圀生

    森清説明員 産業基盤整備基金は本年の五月に発足いたしたばかりでございますが、主たる目的は、先生案内のとおり、一つは鉄鋼とか造船とかそういう不況産業で非常に打撃を受けておる地域、特定地域と申しておりますが、現在二百十六ございますけれども、その特定地域の経済の再活性化を進めていこうという特定地域対策が一つ。もう一つは、同じくある意味では構造的な不況に苦しんでいる特定業種につきまして、過剰設備の廃棄とか、あるいはさらには新しい分野へ転換をしていくとか、そういう事業転換、あるいは他の企業といろいろな形での提携をいたしまして苦境を乗り越えていこうという、個別事業者の再建努力をいろいろな形で支援していこうという、地域対策と個別事業対策の二つが大きなねらいでございます。  それから、事業の実績でございますが、この基金の大きな事業分野といたしましては三つございまして、特定地域、その不況地域の浮揚を図っていこうということで、基金からの出資という業務と利子補給という業務がございます。これが二つです。それからもう一つは、特定の事業者のいろいろな企業努力に対して事業者が借り入れをするときの保証をやっております。メーンはこの三本立てでございますが、前の二つはこの五月一日に発足してから始めたばかりでございまして、いろいろなプロジェクトが準備段階にはございますけれども、現在まだ出資とか利子補給の実績はございません。ただ、保証につきましては、残高ベースで現在四十八億円くらいございます。  それからスクラップの関係でございますけれども、先生先ほどおっしゃられましたように、既存の機関を衣がえして事業拡大するというタイプに属するわけでございまして、産業基盤信用基金というのがあったんでございますけれども、これを産業基盤整備基金といたしまして先ほど申し上げましたような出資、利子補給を追加した次第でございます。
  21. 山田英介

    山田委員 ちょっと飛び飛びになるような感じで恐縮ですが、産業基盤整備基金、こちらについては、今回のNTT株売却益の一部を国債整理基金から一般会計を通して産投特会に入れてそれで社会資本整備に使うというその対象になっているのですか。この基金はそれの対象にはなるのですね。それで、なるとしましたら、今日までの施策といいますか仕組みの中では、ただいま御答弁ありました特定地域の活性化措置の中で日本開発銀行等が最優遇金利四・六%で既に融資をされているわけですが、仮に今回この法律が成立したとして、無利子貸付制度が誕生したと仮定した場合に、これがもしこちらの基金が利用していただいて結構ですよという対象として選ばれているというかそういうことになれば、この関係はどういうことになるのでしょうか。四・六%の有利子の貸し付けのシステムと、まだ成立していないのにこういう言い方は失礼でございますが、仮に無利子貸し付けの適用を受けられるということになると、これはどちらかというか、利子がつく方は当然なくなるということですか。
  22. 森清圀生

    森清説明員 先生指摘の二つの制度が重複するということでございますが、一つはこういう仕切りになるわけでございます。私ども今政府部内で考えておりますNTTの無利子融資の費途についての案におきましては、円滑化法関係の無利子融資は、あくまでも特定地域における出資適格事業であって、かつ第三セクターで行われるもの、その第三セクターが無利子の融資を受けられるという仕切りでございますが、一方、既存のといいますか開銀の方からの四・六%の特利融資、こちらの方は必ずしも第三セクターには限られておりませんで、個別の事業者が特定地域で新増設をするというときに対象になっておるという仕分けでございます。
  23. 山田英介

    山田委員 もう一つ通産省所管の情報処理振興事業協会というのがございます。これは衣がえじゃなくて、これはもう昭和四十五年に設立されて以来情報処理振興事業協会という名前で今日に至って、六十一年度からですか、産投特会資金を受け入れるようになりましたのは。これもそういう意味で当然NTT株式配当金を使っておられるわけですが、その以前は一般会計から資金を受け入れて所期の事業を行っていた。そこに一つ新しい事業拡大しまして六十一年度から産投特会資金を受け入れるようになった。そういう意味ではNTT株式配当金などを使ってそして事業をしようという典型的な機関一つである、こう見ておるわけでございますが、こちらの情報処理振興事業協会の目的及びそれらの配当金等をどのように国民のために使っておられるのか、御説明をいただきたいと思います。簡潔で結構でございます。
  24. 近藤隆彦

    ○近藤説明員 お答え申し上げます。  昭和四十五年に情報処理振興事業協会等に関する法律によりまして設立されたわけでございますけれども、情報処理の振興を図るための先進的なプログラムの開発普及等の事業をしておるわけでございます。  産投出資は六十年度から一部調達しておりまして、これによりまして行っております事業は二つございます。一つはいわゆるソフトウェアの生産の工業化事業でございます。もう一つが先進的あるいは高度なプログラムの安定供給事業というものでございます。いずれも、今日のような情報化というものが産業のみならず社会経済全般に進展してきました場合の非常に大きな問題点でありますソフトウエアの供給不足、いわゆるソフトウエア危機とさえ言われておりますようなソフトウェアの供給不足といったものに対しまして対処をするといったことでございまして、ソフトウエアの生産工業化の方は、いわゆる人手に頼っておりますソフトウエアの生産事業というものをできるだけコンピューターを使いまして自動化をし、機械化をしていくということでございます。先進的なプログラムの安定供給事業の方は、これもソフトウェア危機に対応するためでございますけれども、汎用プログラムといいますものをできるだけ普及をしていきたいということで、先進的なそういったプログラムを民間とともに研究して開発して普及をしていくという事業でございまして、いずれも今後の非常に大きな問題であります情報化といいますものを健全な形でスムーズに発展させていきたいということで行っておる事業でございます。  おっしゃいますとおり、この産投出資をちょうだいします前は一般会計でやっておりましたけれども、この事業の基盤性あるいは長期的には収益性があるものでございますから、そういう意味産投出資を得まして一層の事業拡大をさせていただいたという次第でございます。
  25. 山田英介

    山田委員 少し長々となりましたけれども、今五つの機関につきまして、そこにNTT株式配当金が投入されどのように使われているかということの一端がわかったような気がするわけでございますが、もともとございますこの産投機関のいろいろ商工組合中央金庫とかあるいは金属鉱業事業団とか合わせて、どうでしょう、十五かそこらあるわけですが。全く同じでございますけれども、先ほど申し上げましたように、かけ声倒れ、看板倒れに終わらないようにぜひしていただきたいと思いますし、その成果は速やかに国民に知らしめ、あるいはまた還元できるような御努力をお願いしたいと思っております。  大臣には、今五つの機関につきまして御説明いただいたわけでございますが、この活用のされ方についての御印象など、一言承りたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いろいろ長い経緯がございまして、関係省庁の中でただいまお聞き取りのような将来に向かってのいろいろな研究等々を必要とされる、そういう場合に、NTT株式配当金をもってこれらに充てるというようなことは、考え方としてはしかるべきことであろう、NTTは過去の国民の努力の蓄積でございますから、将来に向かってそういうことに充てていくということは適当なことであろうと考えてまいりました。各省庁でそのような各機関が今日まで順調にその目的に向かって仕事をしておられるという印象を持っております。
  27. 山田英介

    山田委員 次に、この法律、今回の改正法案で新しい無利子貸付制度をつくろうとしているわけですが、その関係で何点かお伺いいたします。  まず公共事業のAタイプ。このNTT株式売却金の一部、四千五百八十億円を投入をして社会資本整備に充てよう、こういうことでございますが、そのうちのAタイプが八十二億円、とりあえず投入されようとしておるわけでございます。これは収益が生じる公共事業で、その上がった収益で返済をするということですが、なかなかわかるようでぴんとこないところも実はあるわけでございます。ひとつ具体例をもって簡単に御説明をいただきたいと思います。
  28. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 それでは簡単に具体的な例を申し上げますと、例えば高速道路等の周辺地域で行われる都市開発とか工業団地の造成等の開発プロジェクトと一体的に整備されることにより地域経済の安定及び発展に効果のあるインターチェンジとか連結道路等の新設または改築、そういうもので、それに要する費用に、これは開発プロジェクトの収益が充当されるような道路事業、こういうのが一つでございます。  それからまた他の例を申しますと、都市整備観点から、駐車場を核としてこれに関連する施設を当該駐車場設置者の負担において一体的に整備することによりまして駐車場の利用効率を高めて都市機能の増進に寄与するような駐車場の整備事業、そういったようなものを考えておるわけでございます。
  29. 山田英介

    山田委員 これは返済期間が二十年でございますかね、二十年以内で上がった収益をもって返済をするということですが、仮にこれが予期に反して定められた返済期限の中で投入した資金の額に収益が満たなかった、その意味では返せないということですね、収益では返せない、足りないということになるのですが、そういう場合はどういうことになるのか。借金してでも返すのかあるいは返させるのか。  そういうことで、今御説明いただきましたが、具体的にこのAタイプの事業ということでぜひ利用させてもらいたいという、こういう見通しについてはどんなふうに展望なさっておられるのか。
  30. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 これは今回法案を通していただきましてから初めてスタートする事業でございます。したがいまして、今後具体的にそこら辺についてどうなるかというのは、具体的に所管官庁とよく相談をしながら進めていかなければならぬと思っておりますけれども、基本的には、これは無利子の貸付金でございますので、国の債権管理法の対象になりますので、債権管理は厳正に行われて、それから貸し付けの対象となるのも道路四公団あるいは道路公社等のきちんとした機関でございますので、その点の返済について心配ないというぐあいに私どもは考えておるわけでございます。また、そういう返済がきっちりとできるようなプロジェクトを慎重に審査をして省庁とよく相談をしながら決めていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  31. 山田英介

    山田委員 次にBタイプの事業ですけれども、これは、今回の売却益の一部を充てるというそのほとんどすべて、四千億円ほどここにつき込むわけでございますが、この事業を集中的に行う、事業の前倒し、事業の集中化というようなところに大きなメリットがあるのだという御説明を従来いただいているわけでございますが、具体的に補助金の分割交付されるものをもってその返済をするということですね。  例えば、私の方から例を出して恐縮ですが、これから十年かかるという流域下水道でも何でもいいのですが、そういう通常の公共事業があるとします。そうすると、従来のやり方でございますと、毎年毎年補助金が一定の割合で来るわけですね。ところが、この無利子貸し付けタイプBタイプを使うと、例えば一年ごと平均十億で百億補助金がこの十年間で出るとします。それを前倒しで集中的に事業を行えるということですから、その百億を最初の一年か二年のここのところで出してくれるということなんですか。  仮にそうだとすると、極端な例かもしれませんが、あとの八年間とか七年間は補助金がないわけですから、先に使っているわけですから、もし本当に完成年度を十年を五年あるいは六年に縮めようと思えば、それは各地方が負担しなければならないわけですね。財政事情が非常に裕福なところであれば別でしょうが、通常国の補助金交付を前提にして地方の予算を組み上げているということになれば、通年の二倍とか三倍の事業費をそこに突っ込むことができるのかどうか。もし突っ込むことができなければ、結局完成事業年度というのは十年なら十年やはりかかってしまうのではないか。その辺ちょっと危惧しておるのですが、簡潔で結構ですから御説明をいただきたい。
  32. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 いわばBタイプの公共事業の今度の無利子貸付金というのは、将来債還時に国が補助金を交付する形で償還の負担をするということですから、地方公共団体にとってみますと、例えば十億ずつのものが十年間で百億国の補助金が出るという、一年度で出るという点は御指摘のとおりでございます。したがいまして、それは通常の公共事業費が例えば二割、三割伸びる、特定の地方公共団体にとっては例えば十億であったものが百億になるということと同じでございまして、いわば通常の公共事業費が飛躍的にふえるという地方公共団体もある。したがって、その場合の裏負担等については、その地方公共団体に施行能力があるかどうか等を勘案しながら実施計画等の段階で調整していく。通常の公共事業費が非常にふえたという姿としてお考えいただければ、それで異なるところはないというぐあいに考えております。
  33. 山田英介

    山田委員 次に、Cタイプについて一点だけ伺います。  これは民活対象事業に第三セクターということで五百八十億でございますかこの資金を手だてしようとされているわけでございます。実は、六十一年に民活法が成立しまして、たくさんのプロジェクトが各省庁別に吸い上げられまして、それらが一定の基準に従って選別をされて、これが対象事業だということで、例えば幕張メッセとかテレトピアとかテレコムプラザとか電気通信開放型研究開発施設とかいろいろなプロジェクトが出てきている。それは御案内のとおり税制の措置は大変しっかり手厚く講じられておる。それから、財政投融資も開銀とか北東公庫とかそういうところから支援体制がとられておる。さらに、先ほどちょっと話に出ましたが、改組する前の産業基盤の信用基金からも支援がある。  それで、たくさんあるプロジェクトの中で一体民活対象事業というのが現時点で幾つあるのか。そしてまたそこに今度は五百八十億を無利子貸し付けということでさらにインセンティブを与えるのだという御説明になっておるわけですが、何か見方というか感じ方によっては、これでもかこれでもかという感じもしないでもないということから、この辺を御答弁いただきたいと思うのです。
  34. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 いわゆるCタイプの貸し付けでございますけれども、確かにおっしゃるとおりにそういう民活法等の既存のいろいろな措置を講じておる対象事業についても貸し付けを行うわけでございますが、地域の活性化に資するもので公共性の高い施設を整備する事業対象ということで、具体的には七つの事業分野を考えておるわけでございます。  これらの事業分野についてこういう新たな無利子貸し付け制度対象にした理由は、実は民活法の事業が一部の事業を除きましてやはり収益性が低いものでございますからなかなか進まないということがありまして、この制度活用することによって民活法等のいわば政府が考えておる公共性の高いいろいろな事業を一層促進しようということで、確かにおっしゃるように従来の制度に上乗せをする形で融資を行うものでございます。
  35. 山田英介

    山田委員 大臣に二点ほどお伺いしたいのですが、まず一点は、減税問題との絡みなんですけれども、一時的な財源であるから減税で食ってしまうのはいかがなものか、社会資本として残すのだ、これが一貫した蔵相のスタンスでございますが、国債の償還に充てるということが本旨ですね。無利子で貸し付けても、結局償還させて、それで国債償還に最終的に充てる、こういうことでございますが、国債償還という場合の国債の中には赤字国債も当然含まれて、混然一体のものとしてこれを減債していくということだろうと思うのです。そうすると、国債の償還財源だというその中には、過去において社会資本という影も形もないそういう赤字国債というものも含まれている。それに対しては償還財源で使うんだ、将来に向けては減税だと形に残らないからだめだ。そうなると、どうなんでしょうか、赤字国債を含めた国債償還NTTの売却益を使う。赤字国債には形も何もないわけですね、社会資本としての形が。それにはNTT財源を使いますよ、減税は形が残らないからやめた方がいいのじゃないか、ここのところはどういうふうに御理解なされておるのでしょうか。
  36. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そこのところの整理は、このNTT株式国民が過去に努力をして積み上げた資産でございますから、これは今後そのような資産の形成に用いたい。あるいはまた、同じような意味において負の資産の償還に使いたい。資産という意味で整合性を求めておるわけでございまして、減税ということになりますと、そういう観点からは、私は減税の意味も決して軽く考えておるわけではございませんけれども、減税そのものは国費の立場から言えば一種の使い切りということでございますから、資産の形成あるいは負の資産の償還ということで整合性を求めておるつもりでございます。
  37. 山田英介

    山田委員 いろいろまだ申し上げたいこともございますが、いずれかの機会がまたあるかと思いますので。  もう一つは、六十一年度に補正予算を組まれております。公共事業関係費を見ると、五千四百九十億二千百万、約五千五百億円ほどの六十一年度の補正予算の中の公共事業関係費の追加額でございますね。約五千五百億追加をしておる。これは当然内需拡大のためである、あるいは当然関連して貿易摩擦の解消だ、こういうことでございます。ところが、六十二年度の当初予算を見ますと、これは補正後の額よりか大幅に下回った当初予算で公共事業関係費を組んでいる。補正後比較では八千六百三十九億円のマイナス。六十一年度の当初比較でも一千四百九十億円というマイナスの公共事業関係費でございますが予算を組んでおる。せっかく去年の六十一年度の補正予算でもって内需喚起のそういう手だてをしておきながら、六十二年度でまた発射台を下げてしまう。こういう予算の編成の仕方というか、それからまた継続性とか連動性のないやり方というのは、やはり大きな問題があるのだろうと思います。せっかく効果が出始めたときにこれがちゃんといかないわけですから、またがくっと落ちてしまうというやり方についてはやめていただきたいなということと、六十三年度はそういう意味ではどうなさるのか、伺いたいと存じます。
  38. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は、経済動き方、殊にプラザ合意以後円高が起こってまいりましたことに関連いたします動きに財政がどう対応するかということとも関連をいたしますのですが、ただいま御指摘になりましたような御指摘もごもっともなところがあると思います。これはやはり経済動き方にも即応しつつそうなりましたのでございますが、ただ、そうは申しますが、六十二年度予算編成に当たりましては、確かに一般会計の公共事業費は当初当初でも減っておるわけでございますが、事業量としては五・二%の事業量をいろいろ工夫をしながら確保をいたしまして、事業量としてはプラスになっておるという点は申し上げることができると思います。  今後の問題でございますけれども、こういうことでNTT株式の売却代金を活用するということをお認めいただけるということになりますと、少なくとも六十二年度の公共事業の水準は、このたびの補正予算で達成いたしました水準、本予算プラス補正予算でございますが、その水準を割り込むことはないように配慮をいたしてまいりたいと思いますし、NTT株式がそこそこの値段で今後とも売却できるということになりますと、まずその方針は貫いていけるものというふうに考えております。
  39. 山田英介

    山田委員 外務省の方にも来ていただきましたが、時間でございますので、次の機会にぜひまた議論さしていただきたいと思います。  以上で終わります。ありがとうございました。
  40. 池田行彦

    池田委員長 正森成二君。
  41. 正森成二

    ○正森委員 まず最初に技術的な問題から伺わしていただきます。  同僚議員がいろいろお聞きになったのですが、なるべく重複しないように伺いますが、まず第一にNTT株の売却方法についてであります。  理財局の方が来ておられると思いますのでお伺いいたしますが、たしか昭和六十二年六月十二日の第四十四回国有財産中央審議会の答申というのがありまして、「昭和六十二年度以降における日本電信電話株式会社株式の処分について」という題名になっております。それは約二枚にわたる長いものですから要約だけを申しますが、一が「基本方針」であります。「売却実施に当たり留意すべき事項」というのが2にございまして、そのうちの(1)に「売却方法」として、「売出しの方法としては、基本的には一般企業の時価発行増資等において採用されている引受け方式が適当であるが、市場状況いかんによっては、円滑に消化を進める観点から売出しの取扱い方式を併用することについても考慮する必要がある。」というようになっておると承知しております。  それで、私も詳しく知りませんので御説明いただきたいと思いますが、巷間伝えられているところでは、買い取り引き受け方式というのは、これは後で申しますが、一定のディスカウントをいたしまして証券会社が一括で買い取る。もし売れなければ証券会社の負担になる。ところが、併用すると言われている売り出しの方式になりますと、これは売れなければその危険負担は大蔵省が行うということで、それは極めて異例の方式であるというように言われているのですね。なぜこういう両方式を併用するのですか。ただでさえもうかっている証券会社にそれほどまで手厚い保護を与える必要があるのかどうか、お答えを願います。
  42. 足立和基

    足立政府委員 NTT株式の処分につきまして、売却方法、中央審の答申は先生が言われたとおりの答申をいただいておるわけでございます。  そこで、答申にもございますけれども、通常の一般企業の時価発行増資等の場合でございますと引き受け方式だけでございますが、今回この答申では、「市場状況いかんによっては、円滑に消化を進める観点から売出しの取扱い方式を併用することについても考慮する必要がある。」こう言われておるわけで、これはどうしてかとこういうことでございますけれども、現在私ども、どういうような売却方法を行うかということは、この答申を踏まえまして市場関係者等といろいろ検討を行っておる段階でございます。いずれにいたしましても、五兆というようなことが言われでございます前例のない巨大な規模の売却であるということでございまして、通常の引き受け方式だけでございますと大変に引き受けリスクが大きいというようなことがございますので、売り出しの取り扱いというようなことも併用することが適当でないか、こういうことでございます。  それで、今先生の言われましたディスカウントの問題、ただでさえこれだけもうかっている証券会社にさらに利益を与える必要はないではないかというような御趣旨かと思いましたが……
  43. 正森成二

    ○正森委員 ディスカウントが利益を与えるということじゃないのですよ。併用方式で……
  44. 足立和基

    足立政府委員 併用方式の方ですか。  実は、このディスカウントにつきましては通常の一般企業の増資の場合につきましても行われておるものでございます。これは今回のNTTの売却の場合におきましてもそのような方式をとることが適当でないか、そしてそのディスカウントにつきましては、引き受けの方式でございましても、あるいは売り出しの方式におきましても、同じでございます。したがいまして、それを併用するから特にそのディスカウントが変わるということではございませんで、引き受け方式だけでありましても一般に行われているディスカウントを行い、あるいは併用するにいたしましても行う、こういうようなことでございます。
  45. 正森成二

    ○正森委員 理財局長は若干私の質問を、言い方が悪かったのかもしれませんが、誤解しているようです。私は、ディスカウントが証券会社に利益を与える、こう言っているんじゃないですよ。それは普通の新株発行とかそういうときでも行われることであって、そういうことが全くなければ株というのはなかなか売れないのですから、それは知っているのです。私が言っているのは、引き受け方式と売り出し方式を併用するということが異例ではないかということを言っているわけなんです。それはなぜなら、その違いは、引き受け方式というのは自己の負担で売却するんだけれども、既にディスカウントの利益があるわけですし、そのほかに取り扱いの販売手数料もあるわけです。それなのに、売り出し方式ということで、もし売れなければこれは大蔵省へリスクがいくわけですから、いい値段でなければこれは売れませんといって返せば大蔵省がまた時期を見て売り直すということになるわけですから、そういうことをなぜやるのかということを聞いているので、あなたの答弁は必ずしも私の質問に答えていないということなんです。  もう一度聞き直しますと、売却価格については、今言いました答申の中に、「売出期間中の価格変動に伴い生じる投資家のリスクや証券会社の引受リスクを軽減させ株式の円滑な消化を図るため、過去の政府保有株式売却や一般企業の時価発行増資の場合と同様に、市場価格を基準価格としそれを若干割り引いた価格を売却価格とすることは差し支えないと考える。この場合の割引率については、原則として一般に行われているものと同程度とすることが適当である。」こうなっていますね。そのこと自体は別に、非常に不公正だ、こういうわけではないわけなんで、それについてもし一般に行われているものと同じというこの答申のたてまえからいきますと、これは一般のディスカウント率というのは大体三・四%ないし三・五%というように言われているのですね。恐らくそういうことになるのじゃないか。それからまた、よく言われておりますけれども、売り出し日がXデーといたしますと、その三日前ぐらいから安定操作というのが開始されまして、そして株の特定の事由以外の売り買いが自粛させられて株価の安定が図られる。その株価の三・回ないし三・五%のディスカウントしたもので一斉に売り出される、こういうことになるのでしょう。
  46. 足立和基

    足立政府委員 先ほど申しましたように、今回のNTT株の売却に当たりまして引き受け方式のみならず売り出しの取り扱い方式を併用したらいかがか、こういう答申をいただきました趣旨、背景といたしまして、やはり巨大な売却である、こういうことでありますので、引き受け方式だけでございますと、これは引き受け方式の場合ですといわば引き受け責任というのが証券会社に生じますので、もし売れ残りがございましてもそれは証券会社の責任になってしまう。そういうことで、本来私どもは今までの経緯を考えますと引き受け方式でかなりの部分が消化できるのではないかと考えておりますが、しかしこれは市場動向いかんによりますので、やはり念のために安全を考えて売り出しの取り扱い方式を併用する、こういうことでございます。したがって、その場合に、先ほど私ちょっと誤解をいたしましたけれども、若干の割引率、これは一般に行われている割引率を採用するということは、引き受けの場合でございましても売り出しの場合でも同様にいたすわけでございます。
  47. 正森成二

    ○正森委員 その場合に、私どもは資料がございますが、かつて三百十八万円から十六万円ぐらいしていましたね。今は大体二百五十万円前後で、きょうの新聞を見ますと引け値が二百五十三万ぐらいですか。だからほぼ二百五十万ぐらいだろう。三百万を超えたのは、新聞報道などによりますと、証券会社が売買実績、シェアで引き受けの割当が決まるので大いに買わなければならないというので買いあさったからそれで値段がびゅっと上がった。今は、ぼつぼつと引き受けなければならない、そのときに余り上がっておるとこれは損するからなるべく下げておいた方が得であるというようなことだろう。私が証券会社の首脳でもそれぐらいのことは考えるわけですけれども、うまいことやっているのですね。それで、引き受け方式の場合に十分もうかるようになっているのですけれども、それでも不安だというので売り出し方式を併用するということなんですが、その場合には引き受け方式に参加した特定の数少ない証券会社は含まれるのですか、それとも含まれないのですか。巷間伝えられるところでは、その場合は含まれないで中小証券を中心にやるんだという説がありますが、いかがですか。
  48. 足立和基

    足立政府委員 引き受け方式で引き受けを行います証券会社も、もしそれで十分でない場合には売り出しの取り扱いに参加することが可能でございます。売り出しの取り扱いの方に参加することもできます。
  49. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、わずか二十ぐらいの大手の引き受け方式の企業はそれをやって、それで大蔵省としては十分に売りさばけるという程度のものを引き受けてもらうのですけれども、市場が軟化して今度は引き受けじゃなしに売り出しの方になったら、中小企業を押しのけて、引き受けでいいかげんもうけた大企業がそこへまた参入してくるのですか。報道されているところよりも一層大証券会社に有利ですね。少しは中小証券会社のことを考えてやらぬといかぬのと違いますか。本当にそんなことを考えているのですか。
  50. 足立和基

    足立政府委員 引き受けをいたします場合に、元引き受け会社というのが実は二十一社ございまして、そしてその下にいわゆる引き受け会社としてさらに五十八社ございます。いわゆる地場の中小証券会社も、その元引き受け会社を通じまして初めから引き受けることができるわけでございます。それで大体すべて済めばよろしいわけでございますけれども、もし残余が出るような場合には売り出しの方式を併用する、これはまたどの会社も参加できるわけでございます。
  51. 正森成二

    ○正森委員 それではそういうぐあいに承っておきますけれども、しかし、いろいろ論評されているところでは、引き受けと売り出しと両方式を併用するというのは、幾ら二百五十万円で百九十五万株、常識的には五兆弱ですね、それだけの巨大な資金が動くということであるにしても、異例のことであるというように言われていることは事実なんですね。  しかも、この答申を読みますと、売り出しの方法は、一括にしろ、その方が価格の非常な乱高下がなくていいのじゃないか。それからまた、売り出しの時期については、例えば日本航空の株式売却とか銀行の増資とかそういうのと重ならないようにやるようにということで、このNTTの売却の時期はそれらを非常に配慮した時期になるというように報道されていますね。それから、銀行の増資などがその一、二カ月前に集中するのですけれども、それで資金が非常に枯渇するのじゃないのかというのに対しては、日本経済新聞などの報道によりますと、大蔵省当局は、この融資がなかなか困難なときに銀行の増資やあるいは株の発行によった資金は一体どこへ行くのか、結局回り回ってNTTでも買わなければしょうがないのじゃないかということで、五兆円の消化については非常に楽観的であるというように報道されているのですね。恐らく宮澤大蔵大臣にもその見解を報告していると思うのですけれども、それぐらい楽観しているのに、なおかつ引き受けと売り出しと両方式を採用して、それに対して大証券はどちらにも参入できるということになれば、これはウハウハ笑いがとまらないのじゃないですかと私は思いますが、理財局長は天井向いて考えているようですからこれ以上聞きませんけれども、巷間そういうぐあいに言われているということだけは指摘をしておきたいと思います。  そこで、宮澤大蔵大臣に伺います。二百五十万円台で安定しているようですから、三百万円を超えたときは大分こうなりましたけれども、仮に二百五十万円で売れるとして約五兆円弱になりますが、それを本来は国債整理基金に入れて国債償還財源に充てるということになっておりましたね。御承知のように特例公債、赤字公債を出しますときには、十年を限度でございます、十年だては必ず償還いたします、こう言っておりました。それが、当委員会でも審議をされましたけれども、結局のところ十年ではとても返せないということで、特例公債についても借換債を発行する。しかも、最初は十年十年と言っていたのだから、二十年、三十年というような説もございましたが、えいというわけで建設国債と同じ六十年ということになって、それだけ国債残高がふえて国の財政の対応力が失われているということは、もう大蔵省がたびたび言うことですね。そういうように無理に無理を重ねて今残高が百五十二兆円ということになっている。そして、定率繰り入れの停止は、主計局に聞きませんけれども、六年連続これでやめていますね。そういう状況の中で、国民の貴重な財産を売ったNTTの売却益について、さらに民活ということで公共事業に出していく。それには、臨時緊急でしたかな、というようなお言葉をおつけになりましたけれども、そうなって財政再建は一体どうなるのでしょうか。  考え方として挙げますと、今六十二年度赤字国債の発行が大体四兆九千八百十億円ということになっています。これを六十五年までになくそうと思えば、一年間に一兆六千六百億円ぐらいになりますか、減らしていかなければならない。六十二年度赤字国債の減らされたのはたしか二千億円。三千億円に足らない額ですね。NTTNTTと頼りにしていますが、NTTの売却も六十五年でもう終わりですね。そうしますと、ここに大蔵省予算委員会に出した資料を持ってまいりましたけれども、国債整理基金は枯渇して、毎年毎年約三兆円入れなければ国債の償還ができないということになるわけなんですね。NTT株は無限にあるわけじゃないですから。  そこへもってきて、加えて民活で、斎藤主計局次長はよく御存じでしょうが、A、B、Cの三つのタイプがありますね。それはタイプによって違いますが、通常は五年据え置き二十年返済ですね。だから、本来なら六年目からは返済が入ってくるのですが、たしかB型の地方公共団体の方に行くものについては、これは返ってくるはずの額は本当は返ってこないんで、逆にそれを補助金として出さなければならないということになっているのでしょう。そうしますと、後で聞きますが、六十七年度は二百六十一億円、六十八年度からは六百八十億円余り、七十年度以降は毎年二千三百億円強、これが返済額と言われているのですが、実際は返らないで国が補助金で相殺するという格好になっているわけでしょう。そういうものはふえてくるわ、そして国債整理基金は枯渇するから大体三兆円はお金が要るわということになれば、大体昭和六十五年ぐらいから以降は一体どうなるのですか。民活で非常に景気がいい、無利子融資だ、こうなりますけれども、実際上はそういうことになって、財政再建なんていうのは非常に困難なことになるのじゃないですか。  こういうお金は減税に回すという野党の御主張もございましたが、私はこういう金は減税に回すべきではないという主張であるということを申し上げておきたいと思うのです。だから、そういう点では立場は全然違うのですけれども、しかし、こういうのを景気よく、本年度は四千幾らですが、来年からは一兆二千億とか三千億とかどんどん公共事業へ回していくということになりましたら、宮澤大蔵大臣、それはNTTが売れている間だけであったなんと言ったって、経済は生き物ですから、三年も四年もそういうことになったものを、NTTの株が尽きだから、金の切れ目は縁の切れ目、公共事業の切れ目ということで二〇%もいきなりダウンするわけにはなかなかいかないのですよ。そうしたら、その会もまたどこかから出してこなければならないということになれば、国債整理基金には三兆円入れなければならないわ、最低一兆二千億円NTTを当てにして公共事業をしてきたのは手当てしなければいけないわ、Bタイプで返ってくる金は実際は返ってこないで国の補助金と相殺だからその手当てはしなければならないわということで、三重苦になって、いかな宮澤大蔵大臣も、あるいはそのときは総理になっておられるかもしれませんが、一重苦ぐらいなら何とか切り抜けられても、三重苦というとなかなか困難なんじゃないですか。御意見を承りたいと思います。
  52. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 要は、国の財政再建というのはいつまでできるかということでございますけれども、今の点で技術的に一つだけ申し上げますと、返ってくるのに補助金を交付しますと、返ってきたお金はそのまま国債整理基金に戻るといたしますとその分は国債償還に充てられるわけですから、その分は、三重苦のうちの一つはないのじゃないかというぐあいに考えます。  あと、公共事業費をNTT株がなくなったときにどう手当てするかというのは、これからの経済情勢、社会資本整備状況、それから電電株がこれからどういうぐあいに売れていくかというのはすべて未定でございます。それから、無利子貸付金を幾らにするかというのは、毎年予算の編成の段階で決めていただいて国会の御審議をいただくということでございますので、そういう将来の状況を勘案しながら今後毎年決めていくことになるのではないかということでございます。したがいまして、なくなったときに一挙に減るかどうかというのは、今後の推移を見ながらやっていかなければならぬのじゃないかということでございます。  それから、国債ネット債還額が三兆円ぐらいになっていくというのは確かでございますが、この無利子貸付金は、そういう意味ではそういう形で確かに目減りの問題がございますけれども、将来国債償還に充てられるということで、そういういろいろなことを考えますと、確かに先生がおっしやるように大変困難な道ではございますけれども、全く解決不能の道ではないというぐあいに考えておるわけでございます。
  53. 正森成二

    ○正森委員 どんなことも困難なことではあるけれども全くできないことではないなんという答弁をやれるのなら、どんなサラ金苦であっても困難ではあるけれども何とかできないことはないと言えばいい。しかし、それではサラ金業者は堪忍してくれないですよ。国会も、私は斎藤さんの人柄をよく知っていますからまじめな御答弁だということはよくわかっていますけれども、納得するわけにはいかないのですね。  今ちらっと言われましたが、そのときそのときの努力ということですけれども、宮澤大蔵大臣、ずばり言いますと、私がなぜこういうことを言いたいかと言えば、NTTが売れるあと三年ぐらいは今の政策を続けても何とかもつかもしれないけれども、それ以後は、今言うたように、国債整理基金が毎年三兆円穴があくからこれは入れなければならない。そのほかに今十兆円とか十一兆円という国債の利払い、今予算に対して大体二〇%でしょう。それが徐々にふえながら別にあるわけです。そのほかに国債整理基金の三兆円というのがほんと加わって、そのほかに一たん味をしめた公共事業の一兆二千億円、別の枠組みというのは、金はないけれども手当てしなければならない。今言いましたBタイプの償還額、その分は、それはなるほど国債整理基金には入ってくると思いますよ。そうだけれども、同時に補助金として渡さなければいかぬわけでしょう。その金は別のところからひねくり出さなければいかぬじゃないですか。そうすると、どうしてもやっていけなくなる。  そこで、宮澤大蔵大臣が目で笑いながら私の方をごらんになっていますが、それは正森さん、そのときには直間比率見直しで大型間接税ができておるからそれで心配ないのだということにならざるを得ないのじゃないですか。まあ、そういうところだという自民党の非常に理解のある応援の声がございますけれども、そういう筋書きを考えなければ、三年やそこらで尽きてしまうNTTを売ったお金を景気よく公共事業に回して償還は二十年先だというような政策はとれないと思うのですね。だから、あと三年か四年はあれとして、だれが何と言おうと直間比率の見直したということで、マル優廃止を突破口に各個撃破で、この前は百貨店なんかが大分騒いだけれども、今度はマル優だから余り騒がないようだからまずこれを突破して、次いで今度売上税、あるいは売上税という名前が悪いから直間比率見直し、新大型間接税という路線を考えなければとてもとれない政策がこのNTT法案じゃないですか。それは単純な小学生程度の数字の問題なんです。これが二千億や三千億なら、それは、斎藤主計局次長、どこかからひねくり出してくるかもしれないけれども、三兆円プラス一兆二千億プラス二、三千億となると四兆五千億円、どこかから財源を持ってこなければいかぬわけですから。宮澤大蔵大臣の心の底の戦略はそういうところですか。
  54. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 思わぬところに飛び火をいたしました。それは、いわゆる直間比率の見直しという問題は、議長のごあっせんにもありますとおり、私はあると思っておりますけれども、しかし、その話はちょっとここで切り離して考えなければならないと思います。  今おっしゃいましたことは、私はこういうことだと思っているのでございます。いわゆる前川リポートに述べられておりますような我が国経済構造の調整であるとかあるいは社会資本整備であるとかいうことは、私はまあここ五年ぐらいの間に解決しなければならない課題だというふうに思っておるわけでございます。そこで、幸いにしてNTTの株がそこそこに今売れておる。正森委員も、自分が証券会社の経営者であってもというお立場から、どうやら割に売れるように見ていただいておるようでございますので、そうといたしますと、国債整理基金特別会計はかなり余裕があることになります。その年々の償還の国債を引きましても、そして産投会計へこの程度のものを出しましても、かなり残っていきます。残っていきますので、それはあるったけ全部公共事業に使わなければならぬことはありませんし、またそんなことはいいことでもございませんから、かなり国債整理基金産投の間で私は恐らく繰り延ばしていける、そこそこの値で売れましたらかなり繰り延ばしていけるものと考えております。それで大まかに五年ということを申し上げておるわけでございますけれども、そういうところでNTTの売上代金が、日本経済が今持っております産業構造の調整だとか社会資本の充実だとかいうところに何年間か働いてもらえるだろう。先ほどこれは算術でだれでもわかるとおっしゃいましたが、その間に日本の経済の成長が、石油危機とかプラザ合意というものから大変今難しいところになりましたが、だんだん正常化していく。今の日本の経済のこれだけ大きな雇用不安があるような姿は私は本当の潜在力が出ていないという見方をしておりますものですから、経済成長がもう少し正常になってまいりますと、国も税収という形で、それは増税でございません、自然増収という税収の形で国も利益を受けるということは別に不思議なことではございません。今回のような自然増収が毎年毎年出ると言っておるわけではございませんけれども、もっと正常な形で自然増収が出ていきますから、そうなりましたら、先ほど言われました六十五年に赤字国債依存の体質を脱却するということもまんざら夢でもないという感じもいたしております。  つまり、ただいまのお話と私が考えておりますことの一つの差は、まず五年ぐらいで日本経済あるいは財政の体質を直せないだろうかということと、その間に施策よろしきを得れば日本経済自身がそういうものを生み出してくれる、そういう点で私は比較的前途を悲観していないものでございます。
  55. 正森成二

    ○正森委員 今のお説については後ほどもう一度議論させていただきますが、ここでもう一度技術的な問題をお聞きしたいと思います。  今度のA、B、C型の融資は無利子貸付制度ですが、現行の国の無利子貸付制度にはどういうようなものがあるか、簡単でいいから答弁を願います。
  56. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 ざっと数えまして二十本くらいの無利子貸付制度があるわけですが、主なものを申し上げますと、文部省の育英資金の貸付金、厚生省の母子、寡婦の福祉貸付金、農林省の農業改良資金の貸付金あるいは通産省の石炭及び石油並びに石油代替エネルギー関係の貸付金、建設省の一般有料道路の無利子の貸付金というようなものでございます。
  57. 正森成二

    ○正森委員 今お答えがございましたが、ほかに幾つか例示いたしますと、法務省の矯正医官修学資金貸与金、あるいは自衛隊だったら自衛隊の学資貸与金、外務省だったら帰国費貸付金とかいうものがございます。我々は決して自衛隊を認めているわけではございませんけれども、学資の貸与金とか帰国費の貸付金なら、これは育英資金と同じようなものですから無利子も当然であろう。そういうようなものしか無利子というのはないのです。それが今度は、A、B、C型と分けまして、それはいろいろなところが受益はするでありましょうけれども、公共事業などでは大手の建設業者なども多く参入すると思いますが、その背後にはまたいろいろな企業があるわけです。そういうところへ無利子で貸し付けられるというのは、これは優遇の上にも優遇ではなかろうかという気がするのです。  なぜそういうことを言うかといいますと、例えば中小企業に対してはどういうようになっているかといえば、時間の関係で詳しくは申しませんが、不況業種元利返済資金緊急融資制度というのがございますけれども、これは一年据え置きの五年以内というのが大体通常でございまして、その利率はたしか四・九%です。それから中小企業国際経済調整対策等資金貸付制度、いわゆる円高融資というのがありますが、これも利率は四・〇五%とか四・九%ということになっております。あるいは特定地域中小企業特別融資制度というのがございますが、第一種と第二種と違いますけれども、これも利率は三・五%とか四・五%ということで、据え置き二年の七年以内返済とか、運転資金の場合だったら据え置き一年の五年以内返済とか、細かくは違いますけれども、そういうことになっております。だから、円高不況で今非常に苦しんでいる中小企業でも四%なり五%弱の金利を払い、その据え置き期間は一年か二年、返済期間は五年から七年というのが非常に多い状況の中で、無利子で、しかも据え置きが五年、締めて二十年で返済というのは余りにも破格だ。そうであれば、円高不況に悩む中小企業がせめて三%にしてくれないか、あるいは前に借りたものの返済期間が来たのでその返済期間を据え置きを少し延ばしてくれないかという切実な声が今あるわけですが、それに対しても商業ベースだからとかなんとかということでそれがなかなか実施されないという点から対比いたしますと、こういう制度をつくって、今年度は四千五百億くらいですけれども、来年度からは一兆二千億とか三千億を何年も続けていくということになりますと、国民感情からしてせめてそのうちの数十億くらいを回してもらえれば利率は三%くらいになるのだがなという声が起こってくるのは当然だと思うのです。それについての御見解を承りたいと思います。
  58. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 基本的に今度の無利子貸付金が従来のそういう貸付金と違いますのは、従来公共事業費でいわば国のただの補助金であったものを無利子貸し付けにしようということでございます。特にAタイプにつきましては、従来公共事業はすべて返済の必要がない、いわばコストゼロの補助金でやっていたものを、無利子の貸付金で将来返済をしていただく、少なくとも元本は返済をしていただくということでございますから、そういう意味では、私どもは、従来の公共事業費に比べればむしろ画期的に返済のめどをつけた補助金という意味で前進した制度だと実は思っておるわけです。それからBタイプの公共事業貸付金は、先ほど先生御議論がありましたように、将来国が補助金で返す、いわば補助金の前倒し交付のようなものでございますから、そういう意味では補助金と変わるところはないということで、いわば従来の公共事業費を無利子貸付金という形で実現をしているということでございますので、先生の御議論は、せんじ詰めれば、公共事業に補助金を出していることと中小企業に貸付金をしていることとの政策の対比だろうと思うのです。それにつきましては、やはり公共事業、社会基盤の整備というのは、広く一般国民に均てんするという意味で、国の基本的な施策という意味で補助金を出していくのが適当な施策ではないかというぐあいに考えておるわけでございます。
  59. 正森成二

    ○正森委員 中小企業への融資と公共事業との対比だというまとめ方をされたのですが、しかし、それにしろ、そういう方向に、いずれは二十年たったら全部返ってくるのですよね。別の議員も議論されたように、それは半分目減りするのと一緒だという議論を昨日来されておりましたけれども、そういう利益を与えることになるわけですから、中小企業から見れば、これは我々にもそういう、無利子にしろとは言わないけれども、もっと考慮されるべきが当然じゃないかという議論があることはもっともなことであるというように私は思います。  先ほどの宮澤大蔵大臣の御議論の方に返りたいと思いますが、これは七月二十九日の日経でございますけれども、吉野事務次官と西垣主計局長が総理を訪ねたときに、総理が、赤字国債の発行額を今年度より必ず減らす、国債依存度を引き下げるというように指示したというのが出ております。恐らくこういう趣旨のことを言われたとは思うのですけれども、今私が言いましたように、非常に厳しい財政状況の中でそういうことができるであろうかという危惧を我々としては持たざるを得ないわけであります。  宮澤さんは、予算委員会等で、赤字国債依存六十五年度脱却の財政再建目標について何回か質問があった場合に、経済運営をうまくやれば「展望と指針」に盛られた名目六から七%成長はできる、そうすれば六十五年度脱却も夢ではないということで、日本の経済の潜在力というのはまだまだあるのだという意味答弁を何回かされましたことを私は伺っております。きょうの御答弁もほぼその趣旨のラインに沿った御答弁ですね。  しかしながら、約五兆円近く、毎年度一兆六千六百億円の削減はなかなか困難だと思うのですね。それも今の御答弁で、やりようによってはできる、そういう努力をしたいという趣旨のことなんですけれども、経企庁、来ておられますか。御苦労さまです。ここに六十一年十二月にあなた方がお出しになった経済審議会の報告「「一九八〇年代経済社会の展望と指針」昭和六十一年度リボルビング報告」というのがございます。そういうものを見ますと、各年度の名目成長率、五十八年から六十一年までおっしゃっていただけませんか。
  60. 立石久雄

    ○立石説明員 お答えいたします。  五十八年度から六十一年度、名目成長率ですけれども、五十八年度四・三、五十九年度六・七、六十年度五・九、それから六十一年度がたしか、四・一だったと思います。
  61. 正森成二

    ○正森委員 だから今の数字を平均すると約五%であります。六十一年度政府見通しは五・一%だったのが四・一%に下がっているわけですね。六十二年度はたしか四・六%でしたね。うなずかれました。そうしますと、宮澤大蔵大臣が言うような名目成長率というのはなかなか困難じゃないのですか。いかがですか。
  62. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先ほどから正森委員のおっしゃっていらっしゃることは、私、大筋でそういうふうに申し上げているのですけれども、実は「展望と指針」で六とか七とかいうことを言っておったそのものをと申し上げたことは、あるいはあるかもしれませんけれども、とにかく少なくとも今よりかなり高い名目成長率ということはいつも頭に置いておるので、今おっしゃいましたこの名目成長率でございますね、六・七なんというのもあります。これは五十九でございますか。六十は五・九ですか。五十七、五十八、四%台の名目成長率というものは少し低過ぎるのではないか。やはり国際経済にも円にもいろんなことがございまして、日本の経済成長率というのはもう少し出てもいいのではないか。これは多少微妙な問題にも関係をいたすのですけれども、今、税収を正森委員が御議論になっておると思いますので、その場合に、したがって名目成長率を問題にしていらっしゃるのだと思うのですね。でございますから、実質成長率と名目成長率との間の問題というのは御承知のようにいろんなことがございまして、私としては、名目成長率が四%である、六十一年度は四・一になったわけですね、これなどは一種の物価の非常な安定ということを背景にしておりますから決して悪いことだと思っておらないのでございますけれども、しかし、例えば昨今のように卸売物価がマイナス一〇%までいったというようなことは異常なことであろうと思いますので、つまりデフレーターのことを申し上げておるわけでありますが、そこから見ますと名目的にはもう少し高い値が出てもおかしくはないのではないかということを、私は、専門家ではございませんけれども、実はひそかに思っております。
  63. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣が微妙な問題だと言われたのは、確かに微妙な問題なんですね。  それで、宮澤大蔵大臣、まことに申しわけございませんが、予算委員会でも使わしていただいたんですが、どういうわけか大蔵省の資料が私のところへ入るようになっておりまして、またここに、今度は、六十一年十二月に、「宮調」と書いてありますから官房の調査企画課ですか、それがお出しになりました「「展望と指針」の昭和六十一年度リボルビング報告について」という文書があるのです。それに、いろいろ書いておられるのですが、こう書いているのですね。1が「経緯」、それから2が「報告案の概要」、その(2)の中に、「今年度のリボルビング報告について主な争点は 下記のとおり。」争点とあるのですね。ポイント・アット・イシューですね。「①名目成長率」、こうなっております。経済企画庁、よく聞いておいてくださいよ。経済企画庁のことをEPAというのですね。大蔵省はMOFというのですか、ミニストリー・オブ・ファイナンス。   EPAは為替レート、原油価格の変動等により、「展望と指針」が想定している「六%程度から七%程度」という数値をかなり引下げざるを得ないと主張。 こう言っているのです。これは経済企画庁ですね。以下はMOFの考えです。   他方、財政の中期展望は名目成長率が下げられると「展望と指針」自体が政策目標としている六十五年度特例公債脱却の姿を示すことができなくなる惧れが強い。 これはそうですな。租税弾性値一・一を掛けたりなんかするわけですから。そこで、   EPAとの折衝の結果、名目成長率の引下げと六十五年度脱却の姿の明示という二つの要請の接点として、名目成長率については こう書いてありまして、つまり「接点として」というのは恐らくEPAとMOFとが妥協したんですな。大蔵省がコントローラビリティーを発揮したわけです。そして、  「六十二年度は引き続き低い姿となり、また六十三年度以降も平均六%程度になると見込まれ、今後の平均的な姿としては「展望と指針」が想定した「六%程度から七%程度」を幾分下回る五%程度から六%程度になるものと見られる。」との報告文となった。 EPAは本当はもうちょっと低いと思っていたんですね。だけれども、余り低くすると租税弾性値を掛け合わせた税収のつじつまが合わぬから、それは困るとMOFがまたこの間暴露しましたコントローラピリティーを発揮して、それで引き上げたわけです。そこでまたこう言っているのですな。「財政・金融政策」で、   報告のEPA原案では、財政改革に対する認識がうすく、 こうしかりつけているのです。  直面する円高デフレ等に対して財政・金融政策の発動を求めるかの如き表現がみられたため、 つまり財政をもっと出動して公共事業をふやさなければいかぬというようなことでも言うたんですかな。  行財政改革の推進を重要政策課題としてとりあげさせるとともに、あくまで財政改革の基本路線の下で、必要に応じ、適切かつ機動的な財政・金融政策の運営を行うという表現に改めることとした。 こう書いてあります。それで、そう改めているかなと思ってこの報告を見ますと、まさにこの宮調の表現のとおりに二十ページ及び二十三ページで改まっているのです。  宮澤大蔵大臣は、予算委員会で私が申しましたときに、こういう大きな問題になりますと官僚というものは、どない言われましたかな、水の下と言われましたか、裏面でいろいろ動くものでございますと言って理解を示されましたが、何も売上税という大きな問題でなくても、通常の名目成長率を幾らにするかということでもいろいろコントロールしているわけなんですね。その結果いろいろな数字が出てきているということになりますと、初めにまず財政再建の公約ありき、そこでそのつじつま合わせのためには名目成長率を何%にしなければならぬかという議論の発想が大蔵省であって、そのために経企庁の一応は科学的な、一応はなんて言ったら失礼ですけれども、宮調ですから一応はと言わなければいかぬのですが、その科学的な予測さえしばしばねじ曲げられるというのが姿ですね。私は、大蔵省の文書をたまたま入手して読んで一番関心を持ちましたのは、結局経済官庁とかなんとか言うけれども、それは政策官庁ですから当然のことかもしれませんが、経済の本当の実態、ある姿から政策を出すのじゃなしに、自分がこうあってもらわなくては困る姿から逆に数字を引き出すという逆のことをやっておられるというように見ざるを得ないのです。  そこで伺いますが、堀田という人は大蔵省出身の人ですか。
  64. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 私からお答えするのは適当かどうか知りませんが、大蔵省の出身でございます。
  65. 正森成二

    ○正森委員 この堀田さんというのはどうやら今官房長官の秘書官をしておるようですね。
  66. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 先日秘書官をかわりまして、今主計局給与課長でございます。
  67. 正森成二

    ○正森委員 大蔵省へまた帰ってきたわけですね。
  68. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 さようでございます。
  69. 正森成二

    ○正森委員 この堀田という人が、これは申しわけないのですが、またこういう資料が手に入っているのです。「取扱注意」と書いてある。「六十一年十一月十日 堀田」となかなか達筆ですよ。「リボルビング問題」となっております。それで、ここで官房長官といろいろやりとりしたいきさつが載っているのです。実におもしろいのですね。こう書いている。  いずれお耳に入るかもしれぬということで現段階のEPA、MOFの考え方を説明。 今言うたこれですね。これは十二月ですけれども、はるか前の十一月十日段階で説明しているわけです。  (官房長官)実態がズレを生じているということなら、名目成長率、物価の計数改定もそれはそれでやむを得ないのでないか。人件費等歳出面への影響もあろう。 官房長官はなかなか正論ですね。それに対して、堀田秘書官が大蔵省の要望を体して、  「中期展望」「仮定計算例」は税収を弾性値で成長率からダイレクトに算定しているので、成長率が落ちると「六十五脱却」の画が書けなくなる。単なる計数修正にはとどまらない基本問題。こう言って大蔵省の意見を代弁しているのです。歳出はお話のような面もあるが、総じて枠で抑え込むことができたり、個別に実態勝負のできる話。 つまり、説明のしようはあると言っておるのです。そうすると、官房長官が、  内閣としては「六十五脱却」の旗は下ろせないが、時期をのばすのは、本当のところは、どんなものか。 もうそろそろ時期を延ばしたらどうか、宮澤大蔵大臣のように六十五年脱却は夢ではない、できないことはないと無理言わずに、やはり時期を延ばしたらどんなものかと言っている。それに対して、堀田秘書官はまた押し返して、  一挙に雰囲気がゆるんでしまうし、実態としてもその間に公債が累増する。国会等ではとりえない方向として言い込んできている。 「言い込んできている。」とはいい言葉ですね。もう我々に対して言い込んできているのですよ。だから、今さら変えられない。そうしたら、官房長官のそのまた答えが振るっておるのですな。後藤田さんの人柄の躍如たるものがある。本当は後藤田さんにそこに座っておってもらわなければいかぬですね。  (官房長官)本来は、増税して六十五脱却を実現するのが、政治としてのあるべき姿か。 本当は売上税を導入したいと思ったのでしょうね。  しかし、それは無理。 野党がおるから。「結局ここの後が大事なんです。  結局、ウソをつきつづけていくのかな。 こうなんですね。そうしたら、堀田秘書官いわく、  どこまでホオカブリをしていくかという問題。十二月はじめに向けて、政府部内の話も詰まっていくと思うので、あらためでご相談する。こうやって終わっておるのです。  「ウソをつきつづけていくのかな。」とこう言えば、官僚は官僚で「どこまでホオカブリをしていくかという問題。」とこう言っておるのですね。だから、理財局長や主計局次長も、一見まじめな顔をしているけれども、皆ほおかぶりして出てきておるのですね。大蔵省の内部文書を見ると実におもしろい。しかし、これでは国民は困ると思うのです。そろそろ本音をお話しになって政治をなさるということが必要なんじゃないですか。何でしたら部屋へおいでになればまたお見せしますけれども、間違いないものだと思います。いかがですか。
  70. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 承りますと「取扱注意」と書いてございます。そうでございますので、私のお返事も注意をしてお返事を申し上げないとならないんでございますが、それは、確かに予算編成とかそういう時期には、大蔵省経済企画庁、それから各省庁、いろいろなことをおのおのの立場においてベストを尽くして精緻にいたします。それは自分の役所のためというよりは、結局各省庁がそういうことで総合されたときに日本全体としてのまあ適当と思われる結論が出ていくということなんだと思いますけれども、今それだけ精緻な議論をいたしましても、六十一年度で一兆七千億円も歳入剰余が出ちゃったというようなことは、実はだれもその段階で見えていないわけですね。それでございますから、そういう精緻な議論は精級な議論といたしまして、やはり経済全体の動き、動かし方というものは、私はまたこれが政治の役割かと思いますが、あるのではないかと思っております。
  71. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  72. 池田行彦

    池田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  73. 池田行彦

    池田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両案審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  75. 池田行彦

    池田委員長 質疑を続行いたします。沢田広君。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 大変お忙しいところ、御苦労さまでございます。  質問に先立ちまして、委員長にちょっと要望を含めてお願いもしておきたいと思うのです。  きょうは若干天候がいいのですが、大変暑い。職員等は今聞いたら、朝、上着は持ってこないのだそうであります。こっちに置いておいて来てから着るのだそうでありますが、そこまで配慮しなくてもいいのじゃないのかというふうに思いますし、委員会の方も、傍聴席、答弁席、職員席を含めましてその辺ははつらつとやろうという意味では、何も暑苦しく構えているだけが能じゃないというふうに思いますので、委員長において、各ほかの委員も同じですが、質問者とか委員長とかそういうものはこれは見識の立場から別ですが、それ以外は一応解放する、速記者も同じですよ、そういうことで配慮していただきたい、こういうふうに思います。大蔵委員会がそうなればほかの委員会も右へ倣えでなる。これは委員長の権限だそうでありますから、ひとつよろしく。後でお答えをいただきたいと思います。
  77. 池田行彦

    池田委員長 ただいまの御要望に関しましては、国会全体の慣行とか、それからその他万般の事情を勘案しながら、御趣旨を十分踏まえて理事会等で御相談してまいりたい、検討してまいりたい、このように考えます。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 では、日銀さんには今の金融情勢、極めて流動的な段階でおいでをいただきました。日銀の報告、銀行政策委員会の月報を拝見いたしましても、いわゆる失業者も五月の段階で約二百万、百九十四万を数えるというような状況もありますし、同時にまた、一-三月期における実質GNPの消費とかあるいは住宅、設備等々の傾向を考えましても、特にマネーサプライも五月段階からずっと二けた台が続いておるということで、極めて憂慮する状況にあるというふうに思います。一方、国債、証券を含めてでしょうが、売買総額は、これは兆を超えて二局というのですか、六月段階にも既に達しておる。それだけ金が動いている、こういうことだと思うのです。あと、ほかの問題も若干ありますが、そういう展望を秘めながら、これからの日本経済のインフレ的な傾向あるいは投資傾向あるいはマネーゲーム傾向、そういうものに対して日銀さんとしてはどのように対応されようとしておるのか、その見解のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  79. 澄田智

    ○澄田参考人 ただいまお話のありましたように、マネーサプライの動きで見ますと、その中心的な指標として我々が常に注意を払っておりますM2プラスCDという数字がございます。これの平残の前年比で見ますと、年初来徐々に伸び率が高まってきておりまして、七月の速報では一〇・三%、五、六、七の三カ月は一〇%を超えている、こういうような状況でございます。このこと自体につきましては、四月以降の大口定期預金の預入最低単位が引き上げになったというような制度的な要因、いわば金融の自由化を進めている、やはりそういうものが影響しているということは否定できませんが、しかし、基本的にはやはり今までの金利引き下げ、金融緩和ということが徐々に進展してきていることが大きな背景になっている、こういうふうに思っているわけであります。  また先ほど、最近の金融機関の貸し出しあるいは債券運用等、資産面の運用等の傾向等についてもお話があり、あるいはいわゆるマネーゲーム的な、土地、株式、債券等に対する一般の投資というような、そういう点についての御指摘もあったところでございますが、物価面におきましては、幸いにいたしまして消費者物価は極めて落ちついた動きでございます。  それから国内卸売物価、このところ若干上昇ぎみでございますが、前年に比べるとなおマイナスである、こういう状況でございます。国内の需給動向や賃金コストの動き、さらには現在の供給余力というような状態から見て、当面こうした基調が大きく崩れるというふうには予想していないわけでございます。しかしながら、原油を初めとする国際商品市況の価格がひところに比べてかなり上昇している、また、住宅建設の増加の影響等から一部の建設資材や化学製品等について値上がりが目立つ、そういうようなことも事実でございます。  さらには、今後は緊急経済対策の効果もございまして、景気の持ち直し傾向が明瞭となってくるというようなことが期待されるわけでありますが、その一方において、これまで物価安定に大きく寄与してきた円相場の持続的上昇という事態は必ずしも期待しがたい。このところ、先週末の海外市場から円高傾向がまた見られているところではございますが、しかし、持続的な円相場の上昇ということは、今後の情勢上必ずしも期待し得ないところでございます。そういうようなところから、マネーサプライの高目の伸びを含めて今後の物価情勢には十分注意をして見守っていく必要がある、金融政策の姿勢といたしまして一層慎重な政策運営を行ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 若干補足をしながらさらにお聞きをしたいのでありますが、全国銀行の主要勘定を見ますと、五月末残高でいきますと実質預金二百五十七兆、貸出金が二百七十六兆、この数字は何を意味しているのであろうかということが一つなんであります。  それから月にいきますと、五月では預金が五兆二千億で貸し出しが二兆六千億でありますが、四月は二千七百億の預金で一兆三千億の貸し出し、こんな数字で、あと細かい数字を読み上げるのは省略します。  それからもう一つ気になることは、通貨の流通速度であります。六十一年の四月-六月の時期においては一・一三の数字で動いていたものが、この六十二年の一月から三月までは一・〇八と極めて流通が鈍いという数字が出ております。これを今の経済に合わせてみると、何を意味していると日銀さんはとらえておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  81. 澄田智

    ○澄田参考人 基本的には金融緩和が浸透をしている、そうして金利が非常に低下をしてきているという状態のもとにおいて、マネーの保有コスト、やや技術的な言い方でございますが、資金の保有コストというものが低くなっているという状態の中において、市場に広義における経済主体全体の保有する資金が滞留をしているというような現象である、こういうふうに考えておる次第でございます。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 大変恐縮ですがもう一つ。主要銀行の低金利時代を迎えての運営といいますか、経常利益を上げていく正常な運営については、日銀さんとしてみると今の状態は、低金利で普通の金融機関は大変厳しいのだろうと思うのですね。厳しい状況の中にあって果たしてどうなのであろうか。こういうふうにインフレになる心配があることによってかえって金融機関は助かるということになるのか、あるいはそのことによって影響を受けるとお考えになっておるのか、その点をお聞かせいただいて、日銀さんの方の質問は終わりたいと思います。
  83. 澄田智

    ○澄田参考人 長期にわたります金融緩和のもとにおきまして、金融機関の資産面における貸し出し、株式や債券等の運用、これが増加をしているということは争えないところでございますが、こうした形の資産運用が必ずしもすべて不健全であるというわけではございません。しかしながら金融機関の行動自体をとってみましても、緩和が長期に持続するということをいわば暗黙の前提としている面があるように思われるわけであります。そういう前提で金融機関が行動をしているというふうに考えられるだけに、私どもといたしましては、金融機関融資あるいは有価証券の運用に当たって節度のある態度を維持することが重要であるというふうに考えておりまして、こういう考え方に立って日本銀行といたしましては、金融機関に対してあらゆる接触の機会を通じて、節度ある態度を維持するように繰り返し要請をしてきているところでございます。金融機関におきましてもこうした趣旨を踏まえられまして、融資や有価証券投資に当たって節度を持っていかれるように、強く期待をしている次第でございます。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 どうもありがとうございました。国民生活を守る立場から十分御配慮を賜りますようお願いいたしまして、終わりたいと思います。  あと、大臣はまとめてお答えをいただくことにいたしまして、貿易摩擦について、今我々がこの法案を審議しておりますけれども、東風、西風、いずれにしてもその風の吹く向きに応じながら、今度は東向いた、今度は西向いたということで、大臣はおろおろしてないかもしれませんが、おろおろしているふうにも思えるわけです。そこで、貿易摩擦に対応する日本の国論の一致といいますか、与野党の意見の一致を含めて、国民にどう対応していったらいいか、その明確な指針を示す必要があるのではないかと思います。貿易摩擦問題について一つの意見をまとめていく、国民の意思を吸収しながらどう対応していったらいいのか。相手からかかってくるものですから、先に読むことはできませんが、今出ている問題だけでも少なくともその指針を示していくべきではないか。言っている意味わかりますか。貿易摩擦問題が存在しているかどうか、存在しているとすればそれに対応する措置を講ずるべきでしょう、こう言っているわけですから、まずそれだけ一点お答えいただきたいと思います。
  85. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 国民の多くが、いわゆる貿易摩擦問題があるということは知っておられると思いますけれども、我が国が過去四十年の間に瓦れきから自由社会第二の経済大国になったという非常に急速な変化そのものが、国民自身にそれだけの心構えの変化を伴わなかったとでも申しますのでしょうか、そういううらみが非常にあるであろう。したがいまして、昨今こういう海外からの批判にこたえて、社会資本を初めとする国内の充実を図らなければならない、あるいは前川レポートに述べておられますように、産業、経済構造の変革をしなければならないといったような形で、国民が問題を徐々に理解しつつあるというのが今日の現状ではないかと思います。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 結果的に、きょう出ているNTTもあえて言えば、予算委員会で一カ月前に通っている支出なんですね。今我々があれに使ったら、これに使ったらと言ってみても、実は死んだ子の年を数えているようなもので、予算委員会では既に使い道は通過していっているわけですね。二十八件かの項目に分けて、それぞれ使ってしまっておる。ただ、我々は次を期待しながら、そうであってほしいということを言っているわけであって、歳入委員会の権威は果たしてどこに行ったのかということが言われているくらいなんです。本来、歳出は予算委員会ですから、予算委員会で支出は決めてしまった、そのかわり四千五百八十億の歳入はいつのことだかわかりませんが、入る方だけは大蔵委員会でやりなさい、こういった仕組みに大臣疑問を持ちませんか。だれが悪いとは言いませんが、とにかくどこかに欠陥があるからこういうことになっているのだろうと思うのです。  我々も、極めて冷たい感じがしますよ。執行できないという建前はあるかもしれませんが、予算は通過してしまっているし、いずれにしてもそれが組まれて社会に出ているわけです。そして、我々が一生懸命何に使え、あれに使えと言ってみたって、それは法案を修正するものではない。要すれば、期待を込めての要望を述べているにしかすぎないのですね。何か委員会中心の民主主義の基本に触れる問題にもなっているのじゃないのかという気がします。委員長を含めて反省してもらいたいのでありますが、これは委員長への質問じゃありませんから、大臣にひとつお答えいただきたいと思います。
  87. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 しかし、ただいま御審議をいただいておりますこの法案にいたしましても、これが成立いたしませんと予算の執行、今回の補正予算の問題ばかりではなく、これから将来に向かいまして、昭和六十三年度予算編成を初めとするそれらの予算編成の方針を全く改めなければならないと申しますか、今まで私どもが心の中でこれをお認めいただくことを前提にして考えておりますことは全部やり直さなければならないことになりますので、そういう意味では、事実上の予算のあり方を左右する権限を当委員会が現実にお持ちであるというふうに考えております。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 ちょっとそらぞらしく感じますけれども、とにかく建前はそういうことだと思いますが、実質が伴っていただくようにひとつそれぞれお願いをしておきます。  貿易摩擦問題は、いろいろ各般にわたっています。とりあえず通産省と労働省、人事院、これは労働時間の働き過ぎという問題と貿易の収支全体を一応とらえて申し上げているわけです。その中には米の問題もあるでしょうし、牛肉の問題もあるでしょうし、それ以外のそれぞれ自動車の輸出の問題もあるでしょう。しかし、日本の経済はいずれにしても、鉄にしても船舶にしても非鉄金属にしても、それぞれが皆今冷えのどん底に落ち込んでおるという状況の中で、失業者も今言ったようにだんだんふえていっている傾向にある。そういう中で貿易摩擦をどう解消して国民の生活の安定を図るか、こういう問いに対してどう答えるかというのが私は今の政府の責任だと思う。  それで、きょうは全部総理大臣に来てもらうわけにもいきませんでしたので、結果的には一部をお呼びしました。だから、貿易摩擦の解消についてどういう処方せんを国民の前に出そうとしているのですか、働き過ぎについてはどうなんですか、貿易収支についてはどうなんですか、米や牛肉についてはどうなんですか、こういうことについてひとつ概括的で結構ですから……。  それから、人事院さんにおいでをいただきました。これは人事院さん、いろいろ新聞の報道では、夏休み休暇の問題、この前提案しましたらけんもほろろに近いお話であったので、労働省に重ねて来てもらいましたから、人事院の方ではどうなのか、年末年始の休暇についではどうなのか。もう夏のことを言っても終わりに近いですから、今から上げますなんて言われたってこれは手おくれですから、今度は年末年始についてはどうなのか。百何十時間を二千時間からオーバーしている分、あるいは西ドイツあたりから比べればさらに二百時間オーバーしている分、それをどのような手順で詰めていくかひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。それぞれ概括的に、もうレクチャーしてしまって言ってあるわけですから、余り私の方でここで発言する要はないと思うので、それぞれの分野からひとつお答えをいただきたい、このように思います。
  89. 関野弘幹

    ○関野説明員 貿易摩擦問題につきましては、現在各省がそれぞれの所掌事務の範囲内におきまして責任を持って対処していくという態勢になっているわけでございます。貿易摩擦問題ということになりますと、これにつきまして一番ポイントは、やはり日本の輸入を拡大する、あるいは市場アクセスを改善していくという点に一番ポイントがあろうかと思います。この点につきましては、アクションプログラムを中心といたしまして、政府としても関係各省協力し合いまして努めている次第でございます。  さらに、中長期的な問題といたしましては、先ほど大蔵大臣の御答弁にもありましたような産業構造の転換ということも考えていくべき問題だというふうに考えております。
  90. 小島迪彦

    ○小島説明員 労働省は、労働時間短縮につきまして一生懸命やっているわけなんでございますが、特にその視点は、もちろん労働者の福祉ということでございますけれども、最近の内需拡大観点あるいは国際的な並びの問題がございます。それで、西欧先進国に劣らないような労働条件といいますか労働時間にしたいということで、一生懸命やっているわけでございます。特にその中身といたしましては、やはり週休二日制の問題、それから年次有給休暇、これをもっとたくさんとってもらうという問題、あるいは時間外労働を削減しようということでやっております。  それで、手法でございますけれども、やはりどういたしましても考え方を変えていただくということで、いろいろキャンペーン活動、啓発活動をやっております。それからまた、中小企業等、横並びとかあるいは下請の問題というようなことがございますので、中小企業につきましては、集団をとらまえまして指導をするというようなことをやっております。そのほか、労働基準法を改正するということで今国会に提出しているわけでございます。四十時間を目標といたしまして、段階的に短縮していこうという内容を持った労働基準法の改正も提案しているところでございます。  それから、夏休みの問題がございましたけれども、これも先生から前にも御指摘がございましたので、私ども大いに力を入れてやりたいということで、昨年から「ほっとウイーク」というキャッチフレーズでキャンペーンをやっているわけでございますが、ことしはそれに「休むのだって、実力のうちさ。」という副題をつけまして、どちらかといいますと特に中間管理者から上の方が率先してとっていただくことが望ましいのではないかということで、そういう副題もつけたわけでございます。これにつきましては、関係業界あるいは労働団体にもいろいろなパンフレット、ポスター等を配布いたしまして、あるいはいろいろ駅の構内等にも張り出してキャンペーンをしたわけでございます。特に、ことしは労働大臣が各業界の幹部の方に直接要請をするということで、労働省に各業界の幹部の方々、百余りでございますが来ていただきまして、面接要請をするということもやったわけでございます。これで、かなり社会的に反響もございましたので、ことしはかなり進んだのではないかと思いますが、これはなお大いに頑張ってまいりたいと思います。  それから、夏休みにかかわらず年末年始にもということがございますが、もとより労働省も年末年始あるいはゴールデンウイークということでやっているわけなんですが、特に日本の気候その他を考えますと、夏休みだけに集中するというのもなかなか難しいわけでございますので、四季折々それぞれの事情に応じて連続した休暇をとることを考えたらいいのではないかというふうなことで、時折にやっているわけでございます。なお力を入れてやってまいりたいと思います。  それから、特に夏休みにつきましては、年休の完全消化ということでやっているわけでございますが、今回の労働基準法の改正法案の中でも、年次有給休暇の最低付与日数を六日から十日に引き上げるという内容と、どうしても使うには、現在消化率が五〇%でございます。全体で十五日ぐらい持っておるのですが、半分しか使っておらないというのがございます。それで、これを計画的に消化することも労使協定によってできるような法文も盛り込んだのでございます。そういう点でかなり進んでいくのではないかと思いますが、まだ私ども大いに力を入れてまいりたいと思います。
  91. 山崎宏一郎

    ○山崎説明員 人事院といたしましても、時間短縮は重要な政策課題と考えまして、積極的に対処しておるところでございます。  八月六日に御報告させていただきました人事院勧告におきましても、当面週休二日制の拡大を重点課題にしたいということで、四週六休制の本格実施あるいは閉庁システムの導入あるいは完全週休二日制についても、具体的日程にのせたいというような報告なり勧告を申し上げております。  さらに、全体の総労働時間を短縮していく必要があるということで、超過勤務時間の問題あるいは年次有給休暇の完全消化の問題等についても、若干の提言をさせていただいております。さらに今後引き続いて、勤務時間あるいは休暇制度全般にわたって検討を進めたいと思っております。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 あと質問したいのですが、要望だけしておきます。  ただ、余り慎重にやっておると、今言ったように貿易摩擦というのはきょうあしたの問題なんですよ。それによって産業構造の転換も進み、あるいは輸出が停滞をするということで迫られている。それが、片っ方は十年ぐらい先を見ながらのろのろと歩んでいたのではテンポが合わない。そこで、緊急措置というものが今必要、求められているゆえんであるということを認識していただいて、後の二十一世紀に備えての対応は対応としても、当面のこの貿易摩擦に対応してどうするかということに対して今度の質問でも、きょうはこれ以上言いませんが、それに対応した諸策をもって出てきてもらいたい。要すれば、ここ一、二年の対応についてどうするかという問題なのであります。その後、また労働時間が延びるか延びないかの問題ではなくて、ここ一、二年何とかそうした方法をとらなければ日本の産業全体に与える影響は大きい、こういう認識で対応していただくことをお願いして、通産、労働、人事院、御苦労さまです。そういう視点をお願いを申し上げて、お帰りをいただきたいと思います。  あともう一人、よそ者と言っては悪いのですが、よそから来ていただいているのが総務庁でございます。やはりこの際、一緒にお話ししてお帰りいただいた方が気持ちも安らぐでしょうから、御質問だけしておきます。  先般も私質問いたしましたが、軍人恩給についても、これは臨調もそう言っているわけですが、共済年金並びにすることが望ましい、こういうことで言われておりましたが、先般の報道を見ますとそうではなくて、これは物価・公務員給与スライド方式なんというインチキなものを見出して、物価スライドも見るけれども賃金スライドも足をそろえる。そして、足して二で割ったよりももっと上の方へ行きそうですが、この場合は三・二、片方は〇・六ですから二%に抑えだというのが前年度の実績でありますが、そういう形をとるというふうに決めたように八月十日の日経には載っているわけであります。果たしてその中身も、自民党さんのいろいろな圧力もあってというようなことも新聞には書いてあります。遺族会などの恩給受給団体が反発をして、政府・自民党の政治折衝の結果二%となった、これはこれからも定着をさせることが必要である、こういうふうに言っているわけです。  それはどういう理由があるかわかりませんが、そういうエゴだけで公平とか公正を論ずることはできないだろうと思うのです。我々も痛さを痛さとしてかみしめますが、それと同じように、その辺は謙虚に対応してもらわなければ公正の原則が崩れてしまう、こういうふうに思いますので、我々共済年金等扱ってきた者にとってみれば、この点は共済組合の職員だけが泣かされたのではないかという恨みも言いたくなるし、冗談じゃないといった気持ちもなくはない、そういうことを考えて御答弁をいただきたい。これは直すというなら殺されても直すというぐらいな気持ちで、ひとつお答えをいただきたい。
  93. 鳥山郁男

    ○鳥山説明員 先般の公的年金改革に関連した恩給制度の見直しにつきましては、ここ二年有余真剣に私どもも検討を続けてまいりました。しかしながら、これも何度か申し上げたとおり、恩給制度は基本的に性格が公的年金制度とは違う面がある、また実態面におきましても非常に特殊性があるということで、スライドのあり方につきましてもすべて公的年金と同じ方法にするのがいいかどうか、これは非常に疑問であろうということで、恩給の改定につきまして基本的な姿勢を示しました恩給法の二条ノニという規定がございますが、ここには国民の生活水準、国家公務員の給与、物価その他の諸事情を総合勘案して決めろ、このように書いてございますので、私どももその原点に立ち戻りまして、物価、公務員の給与その他の諸事情を総合勘案した結果、本年は二%の改定をさせていただくことにしたわけでございます。先国会でもしばしば申し上げましたが、今後の恩給年額の改定に当たりましては基本的にこのような考え方に沿って行ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 回答は極めて不満でありまして、それは文官恩給も同じであるし、この説明では国家補償的な考慮を入れてということも言っているわけでありますが、だから、こういう不公正をつくればあとの台湾の軍人の問題あるいは朝鮮の軍人の問題、北、韓国、それはそれぞれあっても同じで、そういう問題が出るし、あるいはまた樺太の問題も出てくる、こういうことになっているわけであります。  私は、出てくることが不当だとは思いませんが、愛すればその中の公平の原則をどう保っていけるか。それは単にそこの分野だけの問題ではないということを、鳥山さんというの、そういう答弁をされたということは私も忘れませんから、今後いつの日か、また重ねてお聞きしますが、あなたの答弁が変わることを期待しながらきょうは終わりたいと思います。そういう視点を構えて公平の原則が守られるように、しかも一般の職員は今二分の一負担ですね、国民年金以外は二分の一負担。軍人恩給そのものは丸がかりに国家の税金で払っている。そういう点も、いわゆる発想の原点を変えてもらって見直してもらわなければならない、このように思いますので、これは要望してお帰りをいただいて結構です。終わります。  では続いて、現在も与野党の国対委員長の会談で減税問題が問われております。この間質問したように、ことしも二兆五千億に近いいわゆる決算からは余裕金といいますか、名目は別にいたしまして予算を超えた金額があった、だから今年度の減税はできます、こういうことですね。今年度の減税はその範囲内は可能である。問題は、それが制度につながった場合は翌年度の担保が必要である、こういうことで大蔵省としては、今年度制度の改正に伴う分は一兆五千億できのうも本会議で答えておりましたが、一兆五千億は制度改正としての減税をやります、それに伴う制度改正は一緒に決めてほしい、こういうことで提案をされた、こう解釈してよろしいですか。
  95. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府として御提案いたしましたのは、一兆三千億の所得税減税を御提案したわけでございます。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 きのうの本会議では、二千億上積みをして一兆五千億にしました。それ以上の上積みはできませんが、一兆五千億にしたとは言ったでしょう。言ったでしょう。
  97. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨日本会議で申し上げましたのは、八月七日に与野党の幹事長・書記長会談がございました節に、四つの点につきまして自民党の幹事長が意見を申し上げた、それが契機になりまして国会の御審議が始まることになったわけでございますけれども、その中におきまして与党の幹事長からは、二千億円の所得税減税の上積みをいわば御提案をいたした、そのいわゆる四項目の自民党からの御提案につきましては、今後国会の御審議を経てそのような、いわば修正でございますが行われるということになりますれば、もとより政府はその国会の御意思を尊重いたします、ちょっと回りくどい言葉でございますが、昨日そのように申し上げたわけでございます。したがいまして、そういう意味ではそのような経緯を経た後に所得税の減税が一兆五千億円になりますことにつきましては、私どももそれは尊重せざるを得ないということは考えておるわけでございます。
  98. 沢田広

    ○沢田委員 一兆五千億を尊重するのではなくて、一兆五千億の減税をしますと答えたでしょう。二千億上積みをして一兆五千億の減税をします、それ以上は上積みはできません、そう本会議でお答えになったのじゃないですか。今になって一兆三千億の案だなんて言われたのでは、おかしくなってしまうのですが。
  99. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 平たい言葉で申しますと、そうなることは覚悟をしておるわけでございますが、実はこれは政府提案がそうなっておりませんものでございますので国会の御修正ということにならざるを得ないわけで、それであのように申し上げております。
  100. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、修正案を政府からは出す意思はない、いわゆる議員の方で提案をすることを頭の中に入れて答弁した、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  101. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのとおりでございまして、既に御提案をいたしました政府案は動かさずに、院の御修正があるというふうにあの四項目は言っておられるものと考えておるわけでございます。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 四項目ばかり言われるのですが、政府の見解が、中曽根総理大臣もそう答えた、宮澤大蔵大臣もそう答えた、だからその二千億に対する責任の所在は既に政府帰属するものではないのかと私は解釈しました。しかし今のお話では、二千億上積みをされたのは幹事長・書記長会談で決めたことで私は渋々それに従っているだけで、その対案は議会がつくってください。そういう意味にあのときの答弁は聞こえなかったですね。もっと勇気りんりんで答えておられたと思う。だから一兆五千億についても、政府責任の減税を行いますという意味に私は解釈したのですが、そうではないのですか。一兆三千億が政府責任であって、二千億は国会の中で決めるということで確認してよろしゅうございますか。
  103. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのとおりでございまして、政府は、当初いたしました政府提案を出し直しをして御審議を仰ぐということはいたしませんで、当初の提案のままで御審議を仰いでおる。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 早く出してくれという何か世論もありますが、とにかくこれはそういうことで確認しておきましょう。  続いて、六十一年度の決算でいきますと、二兆四千三百六十八億が増減の増として残っております。これが六十一年度決算残額ということになるわけでありますが、いわゆる制度改正でない減税ならば可能な数字だと思います。これは当局からで結構ですが、今考えておられる二兆四千億の使途は何になっているのか、お答えをいただきたい。
  105. 水野勝

    ○水野政府委員 六十一年度の決算といたしましては、税収が二兆四千三百六十八億の増加がございました。一方、税外収入、公債金の減額、予備費残額その他もろもろを合わせまして二兆三千三百七十億円の剰余金となったわけでございますが、この中におきましては、地方交付税の精算分として地方に交付いたします分が五千七百億ございます。そうしたものを引きました残りが一兆七千億になってございます。ただし、この中では既に四千三十億円は、先般の補正予算におきまして計上されてございます。それから財政法の規定によりますと、交付税等の精算分を除きました金額の半分以上は国債整理基金に計上することとなっておりますので、そのとおりでまいりますと、その半分の九千億弱のものが純剰余金ということになり、そこからさらに剰余金として既に補正予算に計上された四千億を除きますと、五千億弱のものが残っておるということかと思いますが、この点につきましては、従来から二分の一以上を国債整理基金に繰り入れるという点につきましては、国会でいろいろ御審議いただいて、その二分の一規定を排除いたしたりされた例は少なくないわけでございますけれども、これは今後の財政運営の中でまた決定をいたしまして、国会で御審議を願うということに相なろうかと思うわけでございます。
  106. 沢田広

    ○沢田委員 整理基金の方に繰り入れることを操り延べたりすることは今まで再三あったわけですから、それをあえてこの場合に適用することは、事務官僚としての範囲内においてはできないことですから一応了といたしますが、そういたしますと、端数は別ですけれども、大体一兆三千億が残り得る金だというふうに解釈していいわけですか。
  107. 水野勝

    ○水野政府委員 先般の四千三十億を引きますと、機械的には一兆三千五百八十五億という数字はございます。ただし、先ほど申し上げました財政法上の規定からいたしますと、これからさらに八千億は国債整理基金の方に回る、現行制度としてはそういうふうになっておるわけでございます。
  108. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、これは制度の問題とかそういうことは切り離して、中曽根さんが行って決めてきた、減税をやると言った分は、果たしてどの分を減税すると言って決めてこられたのですか。いわゆる対米折衝等の経過から、日本で減税をやりますと言ってきた分は何を財源としてやろうとされたわけですか。
  109. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいまおっしゃいましたのは、ベネチア等々で一兆円を下らざる所得税の減税、あの段階におきましては実はまだ政府の税制改正案を国会で、いや国会は済んだのかな。――失礼いたしました。ベネチアで申しましたのは、もともと政府・与党間で定めました緊急経済対策に基づいたものでございますが、その段階におきましては剰余金等々の見当がついておりませんで、政府の税制改正についての提案を国会が御審議をしておられたという段階であったと存じますので、したがいまして、どうしても一兆円の減税を前倒しになりましてもいたさなければならない、そういう状況の中でこれという財源をはっきり考えてのことではなかったと存じます。
  110. 沢田広

    ○沢田委員 それでは、得べかりしというか、全然想像しない一兆円を中曽根さんはそのとき頭の中に考えた、それが一つある。今度は実績を見ると、一兆三千億は実際に生金として出てきた。合計して、中曽根さんができる範囲は二兆三千億の減税が可能になる。こういうことに論法としてはなるわけです。論法としてはそうなるわけですね。
  111. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 いや、それは同じ金を二度勘定できないというようなこととの関連でございまして、最初に緊急経済対策が一兆円を下らざると言いましたときも、この六十二年度予算運営の歳出歳入の中から捻出せざるを得ないということであったわけでございますので、確かにそのときにこれだけの前年度の剰余金があるということはわかっておりませんでしたけれども、しかしその両方加えて二兆何千億円というふうには実は考えておったわけではございません。
  112. 沢田広

    ○沢田委員 考えてなかったことはそうだと思います。考えてはいなかったけれども、一兆円はゼロであってもしなくちゃならぬものであったということですね。例えば一兆三千億生まれなくても、これはしなければならない約束事であったということですね、一兆円は。ただ、ここで考えていなかったけれども一兆三千億剰余金が生まれたということになれば、だれが考えても二兆三千億は中曽根さんの約束事になる、論理的にです。実際にどうなうか、これは別問題として、論理的にはそうなると思うのです。今も一つ大蔵大臣が言ったことで、前倒しの一兆円減税ということを言われました。だから、もし一兆三千億がなかりせば、中曽根さんは前倒しの一兆円で減税を実施しなければならなかった、こういうことですね。そういう形になると思うのです。  ただ、偶然ここに今一兆三千億金が出ちゃったから、さあそれを充てちかおうかという気持ちになることはむべなるかなとは思いますよ。思いますが、考え方としては、論理的には最悪の場合はしようがない、一兆円前倒しでもやるかという覚悟の上で発言されたのだと、これは政治家としては当然そうだと思うのですね。大臣も、恐らくその論理は否定なさらないと思う。なくなったら、そのときは約束破ってやらないよとは言わないだろうと思う。そういう解釈は間違いないだろうと思うのですけれども。
  113. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ちょっといろいろな経緯がございましたもので、はっきり申し上げることができませんで失礼でございましたが、緊急経済対策をいたしましたときに、一兆円を下回らざる減税というのは、おっしゃいますようにどうしても前倒しでもしなければならないと思っておりまして、そのときに確たる財源見通しがあったとは申しにくうございます、歳入剰余金がわかっておりませんので。したがいまして緊急経済対策としては、もしやむを得なければ、それはそれだけの歳入補てんの公債を発行することもまたやむを得ない、とことん詰めて申しますればそのような条件のもとにああいう決定をいたした、こういうことかと存じます。
  114. 沢田広

    ○沢田委員 仮定の議論であるかもしれませんが、論理的にはそうなるということですね。  それで、一応次へいきますが、二千億、与野党の幹事長が決めました。二千億については議院の方で決めてくれと言うのですが、大蔵省としては何も考えてない、白紙なんですか。それとも、もしこの二千億を国会の方から質問をされたならば、二千億の上積み分をどういう減税にしたいか答える意思はあるのですか、それをお答えください。
  115. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一兆三千億のところまでは、案を添えまして御提案をいたしたわけでございます。  そこで、四項目の二千億円というもののお話でございますが、これが最終的に国会の御修正という形で出てまいりました場合には、それをどのような累進構造なりあるいはその他の要素で実現するかということは、その段階においてやはり私どもで申し上げなければならない。――申し上げなければならないというのはちょっと信越な言い方で、それは撤回いたします。国会が二千億円というふうに御修正になられると仮にいたしますか、そのときに国会の方でこういうふうにとおっしゃるのが本筋であろうと思いますが、おまえたちはどういうふうに考えるかと言えば、それはかくかくの案がいろいろございますということをお求めに応じて申し上げることかと存じます。しかし、本来的に申せば、国会が御修正になりますときに、それは法案の形で御修正になられるわけでございましょうから、それは本来的には国会の方の御意思ということになると存じます。
  116. 沢田広

    ○沢田委員 時間的に若干制約がありますので……。今までなぜこういうことで議論してきたかと言えば、NTTの株の利用の方法というものの意見が非常に各般にわたって述べられました。我々の同僚議員からも、これはどうだろうか、あれはどうだろうかという模索を含めて提言もあったわけです。今までこういう議論が予算委員会で十分行われていれば、ここで再度やる必要はなかったわけであります。それを考えますと、やはり今後もあることですが、今まで述べてこられた同僚議員の意見を十分参酌して今後の運営には当たってほしい、こういうふうに思いますが、その点だけ総括的にお答えをいただいて、あと残った時間で二、三追加して申し上げます。
  117. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御発言の趣旨はよくわかりました。
  118. 沢田広

    ○沢田委員 次には、今の金額でいくと残念ながら一兆三千億、あと特別に何かほかで考えない限り出てきそうもないのでありますが、例えばこれは大臣に一つお伺いしますが、今度扶養控除が上がります、共稼ぎをやっている奥さん、ここにも女性の方おられますが、専業の方は十六万五千円ということで今考えている。共稼ぎをやっておる人は、やはり生活の苦労は同じなんですね。だから、せめてその二分の一くらいは考えてやっていいのじゃないかという気がするのです。そうすると、パートの収入も百六万五千円から八万二千五百円を加えた金額くらいに上がる、こういう連動があります。これは一つの例ですが、金額が上がると格差が広がりますから、共稼ぎをしている人の方がかえって苦労が多いんだという実態を考えると、若干配慮していいんじゃないかという気がします。今は、するなんという答えを求めているんじゃない。そういう気がしませんかというお答えを合いただこうかと思っているわけです。大臣は、そういうことに対して矛盾はお感じになりませんか、気がしませんか。気がするか、しないかの程度でお答えください。
  119. 水野勝

    ○水野政府委員 今回の配偶者特別控除は各世帯、共稼ぎ世帯、一人働き世帯、それから事業所得者、特に青色申告を行っておりまして奥さんに給料をお払いになっている世帯、そういったもろもろの世帯の間の負担の調整を図るという意味もあるわけでございまして、現在共稼ぎ世帯と一人働き世帯とで所得税の負担を比較いたしますと、共稼ぎ世帯の方が例えば同じ五百万の世帯収入でございますと、六割程度の、むしろ共稼ぎ……(沢田委員「気がするか、しないかでいいんだよ」と呼ぶ)でございますので、そういうことからいたしますと、そんなに幅広く共稼ぎ世帯にまで認めるという必要性はいかがか。しかし、今回そこは若干の配慮をいたしまして、九十万円を超えましても十六万五千円までは、所得がある場合におきましては配偶者特別控除を部分的に認める、適用さしていただくということでやっておりますので、若干その気はする。しかし、完全にそこまでいくのはいかがかという感じがいたします。
  120. 沢田広

    ○沢田委員 きょうの段階はその程度で……。ただ、まだほかにもあるんですよ。たくさんあるんですが、私が今挙げたのは一応一例として挙げたわけです。大臣、一応念頭に置いておいてください。  次に、この前相続について、大臣はわかりませんと答えましたね。これは大臣の名誉のために、総理になる人が相続については知りませんということで、そのまま事が済んだのではゆゆしき大事であるというふうに思いまして、あえてここで質問して相続等を今、今日の段階でどう考えるか、土地を売り払って遠くの方へ落ち武者のように行かなければならぬという実情をどう判断されているか、相続税というものはどうあるべきとお考えになっておるか、原則論で結構ですが、きょうの段階はお答えをいただきたい。
  121. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは大変難しいことと思っておりまして、やはりただいまでも余り明快にお答えができないというのが本当の気持ちでございますけれども、やはり相続といういわば自分の、何と申しますか、自己努力によらない原因によって財産を取得をした、偶発的な原因で、言葉は悪うございますが、いわば不労所得のような状況に担税力を求める、こういうことが一つであろうと思います。また、しかし社会的には、その結果として巨額の財産を相続した者と全くそうでない者との間のバランスをこういう形でとる、そして宮の過度の集中を抑える、そういう機能も有するということであろうかと存じます。
  122. 沢田広

    ○沢田委員 終わります。
  123. 池田行彦

    池田委員長 安倍基雄君。
  124. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 同僚議員がいろいろの話をされた後でございますから、いささか重複の気味もあり得るかと思いますけれども、私なりにいろいろ御質問をしたいと思います。  まず第一に、今度の法案、これは減税か公共投資が、一種の選択を迫られた場合に、公共投資をとったというような理由は今理解されるわけでございますけれども、この公共投資の性格について後でじっくりお話をしたいと思います。  今まで繰り返された論議でありますけれども、もともと我が党は、行革を通じて減税をすべきだという話をずっと主張してきたわけです。実は、この間党と瀬島さんとの打ち合わせか何かのときにもNTTの話が出まして、これは一種の行革の成果だというような話も出たわけです。中曽根さんも以前から、前回の本会議でも我が党の岡田委員が、中曽根さんは減税財源としてNTTを挙げたではないかというような質問をいたしまして、それは選挙中だということなんですけれども、それに対して確たる話はなかった。時々中曽根さんは、選挙のときには適当なことを言ってもいいと言わんばかりの言い方をするのでございますけれども、この二点からいたしまして、NTTのもので要するに国債の償還をするんだ、その間いわば一時的に流用するんだというような議論は一つの議論かと思いますけれども、もともと行革の成果という観点からいいますと、これを減税財源に充てられない理由はない。  この辺につきまして、さっきしきりと、ベネチアではNTTのことは頭にあったのだよとかいろいろな話が出ましたけれども、基本論といたしまして、行革の成果というのをじゃだれがどう均てんするんだということにつきまして、この法案が減税財源に全く使えない、国債の償還に充てる。この国債の償還に充てるというのは、後からまた問題があるのでございますけれども、その点についてちょっと私は行革の関連で、なぜこれが減税財源に充てられないのかということをまずお聞きしたいと思います。
  125. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 冒頭に減税か公共投資かという選択云々と言われまして、そういう面があるしとは確かでございますが、ただもう少し欲張っておりまして、実は公共投資をしてそれを出し切りにしないて、無利子ではございますがまた回収をして、やがては国債償還財源にしておこう、こういうのでございますので、そのエントベーダーオーダーのところが少し欲張っておるということは、申し上げておきたいと思います。  それで、確かにこれは私は行革の成果であると思っております。行革の成果で、いわば先人の残した財産を私どもがお互いがもらったということでございますから、何でもかんでもこれを減税にして使ってしまう、それが大変にまた大事なことであるということであれば、それはできないという理屈はございません。  ただ、私どもが思いましたのは、先人の残した財産であるから、それがさらに将来に向かっての財産としての投資、あるいは過去の負債の、負の財産の処理に使いたいと思ったわけでございますし、これを減税の財源にいたしましたときには、申すまでもない、安倍委員がよく御承知でございますから、くどいことは必要のないことですが、財産というものはいっときのものでございますから、そのいっときの財源によって恒久的な施策である減税の財源にできるかという、そのことはやはり問題があるというふうに思っておるわけでございます。
  126. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 行革というのが、今のNTTは一回限りというお話でございますけれども、いずれにせよ、今度は民営に移管することによってこういった含み資産が出ているわけで、過去の長い蓄積でございますね。それが最後には公共投資と減税とどっちがいいかという話になるのでございますが、最後に私も公共投資の神話というものについて後から――案は、たまたま私は来週に「エコノミスト」に論文を出しまして、それが掲載されることになっております。その中で、公共投資の受益者負担の問題をちょっと取り上げているのでございますけれども、もう一つぐらい別の論文を書こうと思っておりますが、最終的には公共投資というものが、本当にプラスの面と同時にマイナスの面があるよということを指摘したい。これはちょっと耳新しい議論でございますから、短い時間で言い切れないわけでございますから、これは後に回してお話しいたします。  そこで私は、まず第二点で、同僚議員の正森議員、私と党は違って右と左と全然違うのですけれども、なかなか議論が合うところがございまして、私も実は、まずこの法案を見たときに、なるほどこれで一遍最後には国債を償還するために使うんだなと思って、見た途端、よくよく見ると、その大宗を占めるところのBタイプというものは、最終的には交付税で償還すると書いてあるわけですね。ということは、最後には税金で払うという話になるわけです。  となりますと、一体、この余剰財源でもっていわば国債を償還するのか税金でもって償還するのか、そのポイントは、そうすると、これが最後に、Bタイプでいろいろ事業を行った、それを返してもらうというときに、交付税を増額するつもりか、交付税を据え置いて、その分だけ減らした分の交付税として渡すのか、そこははっきりしていただかないと、一体それでもって返したことになるのかならないのか。もし、その余剰財源でもって最後に国債を償還するという考えであれば、交付税を増額してはいけないはずですね。交付税を増額するおつもりですか、それとも交付税をカットしていかれるおつもりですか。
  127. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 今回の法案で御提案しておりますBタイプの無利子貸付金は、その無利子貸付金の償還時にその同額を補助金として交付するという形をとりますので、交付税の議論とは直接関係はないということでございます。
  128. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ということは、補助金を増額して返させるわけですね。今のお話はそうですね。ということは、いわば税金でその分だけ補助金をふやしてそれで返させるということですね。
  129. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 今回のBタイプの無利子貸付金は、従来の公共事業の補助金を無利子貸付金という形で貸し付けという形をとるということでございますので、償還時の補助金につきましては、その財源問題はございますけれども、確かにその分は別途面倒を見るというか、別途国が負担をしてその償還費を補助することになるわけでございます。
  130. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ということは、その財源はやはり税金で賄うというだけの話ですね。でございますから、NTTの譲渡益で最終的に国債を償還するのじゃなくて、補助金を渡して、その補助金を返してもらってそこから返すというだけの話で、やはり新たな財源がなくてはできないわけですね。  と申しますと、これは一時的に流用してそれで国債を償還するというのは表面の形であって、内実はその分の新たな財源を見つけて、あるいは新たな補助金を渡してそれで返すとなったら、譲渡益で償還することにならぬのじゃないですか。
  131. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 今回の法案でA、B、Cタイプございますが、そのBタイプにつきましては、収益性のない公共事業にいわば無利子貸し付けをすることになりますので、その点は御指摘のように、後年度で国が新たな負担をしてそれを償還費補助という形で償還していただくということでございます。
  132. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 でございますから、大臣、これは譲渡益、売却益で国債を償還するのじゃないのですよ。基本的には一時流用して、流用してその収益で返すならまだわかりますけれども、最後には補助金を増額して要するに返させる。やはり税金で返すことになるのですね。と申しますと、いわゆる売却益で国債を償還するというのは表面の形面であって、内実はそうではないということになるのです。いかがでございますか。
  133. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 さあ、それはそう考えるかどうか、いずれは負担しなければならない補助金であったと考えていいのじゃないかと私は思います。
  134. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それはちょっとおかしな話で、従来の補助金と別個にそれを考えざるを得ないのですよ。この辺、ちょっと細かい議論になりますけれども、これは非常に重要な問題でございまして、譲渡益で国債を償還するというのであれば、交付税を将来において下げるか、あるいは新たな補助金を起こさないか、いずれかでなければならない。新しい補助金を加えて、自治体からそれて返させて国債を償還するのであれば、まさに譲渡益で国債を償還することにならないのですね。いかがですか。
  135. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 いわばその意味では補助金の前渡し交付みたいなことでございまして、後年度に償還費が生じるときにそれについてその同額を補助するという形でございますので、その意味では、財源につきましては、その段階での検討を要するというのは御指摘のとおりだと思います。
  136. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 その分だけ補助金をカットするのならまた論理は成り立つけれども。ということは、結局ツケ延ばしにしたということだけにすぎないので、本当の意味の譲渡益による国債の償還ではなくなるわけです。それが大部分であるということは、非常に問題であると思います。この点は、この法案の大きな欠点であると私は思います。この点、大臣、お認めになりませんか。
  137. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私は必ずしもそう思っておりませんで、先ほども前の前の御質問政府委員がお答えしておりましたが、仮に毎年十億円ずつの下水道なら下水道の補助金を、十年たてば百億円でございますけれども、ある面的な開発がありますときにこれを一時にやらなければならない、そこで百億円ここから支出をする、その償還時に、十年たちましてその百億円で埋めてやるということであれば、その百億円というのは十年間にはいずれは支出すべかりし補助金であった、それをまとめて前に出しておるということでありますから、新たな負担にならないと考えていいのではないかと私は思うのであります。
  138. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ちょっとその辺は、そうすると、補助金は当然出すべきものであったからその分断たなものではないという議論ですけれども、それはちょっとおかしいのじゃないかと思うのです。  本来なら、こういった資金がなければやれなかった事業まで始める、その結果最終的に補助金を増額せざるを得ない形になって、それで返すというわけですから、私は、大臣の御意見は私の意見としてはツケを後世に残すだけの話である、一時的に早くできることであるということが第一点だと思います。この点私は、大臣もう一遍この辺落ちついて考えて論理づけてもらいたいと思います。  二番目に、もしそうであれば、私は公共事業が、私もかつて役人をしておりまして、そのとき公共事業の前倒し前倒しということでさんざんやったことがございます。その結果、非常に不急不要と言っては悪いけれども、そういったところまで予算がついて、それをどんどんと使ったという経験がございます。今度の場合、財源が相当ぱんと出てきてやれるということになりますと、効率化が非常に問題となる。本当に効率的な用途に使われるかどうか。もし、これが将来その分は補助金で賄われる、最後には見てもらえるという話になれば、効率化についてシビアな審査なくして事業を始める可能性さえある。もし、自分らが本当に最後には返さなければいかぬという話であれば、それなりの効率化を考えると思いますけれども、最後は補助金で面倒を見てもらえるんだという話であれば、その効率化、いわばその経済効果についての審査は非常にルーズになる可能性がある。この点、私は非常に心配しているわけです。この点について果たしてその審査が行われるのかどうか、経済効率についてどう考えておられるのか、大蔵省の意見を承りたいと思います。
  139. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 私どもとしては、今度の無利子貸付制度というのは、従来の公共事業の補助金以上により効率的、重点的な投資ができると実は期待しているわけでございます。これは法律にも書いてございますように、面的開発に伴うような一体的緊急整備を要するプロジェクトに重点投資をするということでございますので、従来の公共事業のタイプと違った新しい公共事業をこれでつくり上げていけるという期待を私どもは実は持っているわけでございます。
  140. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 繰り返すようですけれども、最後は自分たちが負担せねばならないと考えれば、それだけシビアに物を考えるのです。いつかは補助金でやってもらえるということになれば、そのシビアさは消えていきます。今の効率的に使えるという判定はだれがするのですか。
  141. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 誉言葉を返すようでございますけれども、無利子貸付金は国の補助負担の分だけ無利子貸し付けでございます。それに伴って、当然地方にも裏負担というものはあるわけでございます。したがいまして、地方はそれだけの裏負担をしつつ事業実施するわけでございますから、国の分につきましては、確かに後年度償還費の補助がございますが、地方が負担する地方負担分については地方が負担をしていただかなければならぬという問題もあるわけでございます。  それから、事業の適正な執行計画につきましては、法律の要件に従って事業官庁が適正に執行してくれるものだろうと思いますが、私どもも実施計画の承認等の事務を通じて、そこは慎重、厳正に採択をしていきたいと考えておるわけでございます。
  142. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、地方も負担があるからどうにかきちんとやるだろうという一つの見方もあるかと思いますけれども、国に最終的に相当の部分を負担してもらえるという安易さがある限り、シビアさに欠ける面が大分出てくるのではないか。しかも、当初の売却益で国債を償還するという話が結局すりかえられているというこの点について、この法案は非常に問題であると私は考えております。  その話はひとつおきまして、民活に今度使うという話が出ておりますね。民活に使う話が、量は大した量じゃないわけでございますし、さっき同僚委員からどういう民活が考えられているかという質問がございましたけれども、これは例えば東京湾横断道路みたいなことを頭の中に描いているのでございますか。
  143. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 Cタイプの公共事業というのは、開銀等を通じて行う民間能力活用施設整備事業貸付金ということでございまして、経済社会の基盤の充実に資する施設を整備する対象事業分野のうち、地域の活性化に資するもので公共性の高い施設を整備する事業ということで、具体的には七つの事業を考えております。  民活法対象事業民間都市開発推進機構事業、リゾート法対象事業、テクノポリス法対象事業、産業基盤整備基金出資事業、関西文化学術研究都市整備事業、テレトピア、ニューメディアコミュニティー事業ということでございますので、横断道は対象に入っておりません。
  144. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、東京湾横断道が入っているかということではなくて、ああいうタイプのやり方のものを頭の中に描いているのかということを言っているわけです。
  145. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 具体的には、地方公共団体が出資している第三セクターが行う今挙げました七つの分野の事業のうちの公共性の高い施設の整備をする事業に、無利子の貸付金を開銀等を通じて行うということでございます。
  146. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、一つの例で東京湾横断道路についてちょっと取り上げたいと思うのです。今、第三セクターでやるというのはそれの小型版というような考え方かと思いますが、東京湾横断道路についてちょっと建設省にお聞きしたいけれども、これはどのくらい費用がかかって、その購入費は最終的にだれが負担するのですか。
  147. 松延正義

    ○松延説明員 お答えいたします。  東京湾横断道路の建設費は一兆一千五百億円でございます。それから、東京湾横断道路の完成時に道路公団が購入する購入価格でございますが、これは昭和七十年度の完成を予定しておりまして、支払われます引き渡し価格は九千三百九十七億円でございます。     〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
  148. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大体一兆円くらいの規模の購入費ですね。これは最終的には道路公団が買うのですよね。要するに道路公団が全額買ってしまうわけです。となると、民活といっても、どの部分までが民活かということが非常に問題になる。これからの民活はいろいろなタイプがあると思いますね。この判定、これは一体何の役に立つのだとか、どのくらいの収支採算があるのだとか、その辺がそれぞれのいろいろな型がある。例えば東京湾横断道路の場合には、最終的には道路公団が丸々面倒を見るわけです、大体建設費相当額でございましょうけれども。となれば、一体何の民活かねと。  私はここでお聞きしたいのだけれども、この横断道路の建設の法律もできました。どういう基礎研究というか、委員会をつくって内部でも研究した、それを私はちょっと読んでみましたけれども、それは一体国土庁とか内閣とか、その辺がどの程度タッチしてやったのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  149. 松延正義

    ○松延説明員 東京湾横断道路は、道路整備特別措置法に基づきまして日本道路公団が行う一般有料道路でございまして、同法第三条に基づき、七月十日に建設大臣が道路公団に対し許可を与えたところでございます。  東京湾横断道路の事業方式につきましては、民間資金、経営能力及び技術的能力等、民間活力を活用して建設を行うこととしておりまして、さきの第百四国会におきまして、東京湾横断道路の建設に関する特別措置法が制定され、決定されたところでございます。  具体的には、道路公団と東京湾横断道路株式会社との間で締結されました建設協定に基づきまして、道路公団が基本的な調査及び設計、敷地の取得、対外調整等を行い、東京湾横断道路株式会社が建設及び監理を行う方式となっております。  路線につきましては、川崎市を起点としまして、木更津市を経由しまして成田市に至る一般国道四百九号の海上部……
  150. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 そんな細かい話を聞いているんじゃなくて、これをつくるのについて国土庁とか国土開発、つまり要するに全体的な枠組みの中に――建設省とあれがつくったと言うけれども、国全体の国土開発関係の国土庁は関係しているのですか。
  151. 松延正義

    ○松延説明員 国土庁は関係しておりません。
  152. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣、これは民活の目玉だといって行われた大計画ですけれども、国土庁とは全然無関係にやっているんですよ、一兆円に及ぶ工事が。しかも、それは道路公団が丸々買い取ることになっているわけです。それを聞きまして、何の民活であろうかなと。私は、実は今度の論文の中に、土地政策を論じているのではございますけれども、メガロポリスをこれ以上巨大化することは問題である、大災害もあり得るしと。そういう一兆円に及ばんとする大きな計画が、国土開発全体の見地から十分検討されないままに、ここに車を走らせばペイするだろう、そしてその周辺が大きなプラスになるだろうという程度の研究で実行されている。しかも、最後は道路公団が買い取る。もし、これが民活の一番の目玉であれば、これから行われる民活というのは一体どういう形で行われるのかなということが私は非常に疑問でございますけれども、いかがでございますか。
  153. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 東京湾横断道路と国土庁の関係につきましては、私、実はつまびらかにいたしておりませんのでお答えができませんが、この御審議いただいております法案のいわゆるタイプC、先ほど政府委員から御説明申し上げておりましたが、いわゆる公共性のある事業、公共性の高い事業の中で、それは社会資本もその一つでございますけれども、あるものは完全に市場経済の中で供給できるものがあると思います。それは、受益者がそれだけの負担ができる種類のものでございますが。また、ある種のものは全く市場経済の中ではできない、それは受益者負担がゼロの場合であろうと思います。これは国、公共団体がやるしか仕方がない。  その中間に、非常に公共性は高い、しかし全く民間の資本でできないというわけでもない、ある種の手助けを国がするならば、非常に公共性の高い社会資本であっても、あるいはそれに類似の施設であっても民間の資本でやり得る、そういう部分があると思います。それが、私どもがここで民活と考えて、いわばタイプCの融資対象にしようとしている部分でございますが、まさに安倍委員のおっしゃいますように、それは解釈いかんによっては無限に拡大をする可能性があります。公共性がある、ないということは判定が必ずしも容易なことでございませんから、したがいまして、このタイプCの対象になる民活の仕事、タイプは七つでございましたか、限定的に考えることにいたしておりまして、それによってこの無利子の資金がいわば全く私企業の私的利益のみに使われるということは防がなければならないと思っております。
  154. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ちょっと今の話に関連しまして、あるいはそこまでの調査ができてないかもしれませんけれども、例えば横断道路ができますれば、千葉のその辺に土地を持っている連中は非常な利益を得るわけですが、現状はあの辺の地価はあれで動いていますか、動いていませんか。
  155. 森悠

    ○森説明員 お答えします。  ことしの四月一日に公表いたしました昭和六十二年地価公示によりますと、千葉県側の東京湾横断道路取りつけ部付近の市町の全用途平均の対前年変動率でございますが、木更津市で三・〇%、君津市で二・一%、袖ケ浦町で一・三%でございまして、一年前の対前年変動率と比べますとそれぞれ若干上回っておるという状況でございます。これは木更津市や君津市の特に商業地におきまして、それぞれ六・七%、九・八%とやや高い変動率になっていることによるものでございまして、木更津市におきます駅前再開発の進展あるいは君津市における大型店舗の進出等がその要因であると思われます。  また、最近の地価動向でございますけれども、地元の不動産鑑定士等の意見を聞いたところによりますと、これらの都市では、商業地を中心に引き続き上昇傾向は見られるということでございますが、その原因は今申し上げましたもののほか、東京の地価上昇の周辺地域への波及等によるものとする見方が多いところでございます。
  156. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 まあ、これは細かい話はいいです。要するに、もしこの橋ができたころには当然相当上がるわけですよ、大分先の話だから。ということは、公共投資というものは周辺にいろいろな利得をもたらすのです。  この間実はある週刊誌に、光が丘あたりの何か住宅公団のマンションに六千倍ぐらいの人が殺到したという話がございます。なぜかといいますと、そこに地下鉄ができる、それだけでもってすごい値上がりを示す。したがいまして、公共事業というものは、必ずその周辺に相当の利益をもたらす。それは、場合によって大なり小なりあると思います、それはどの辺までが利得がどうかという問題はあるかと思いますけれども。公共事業、公共事業といっても、すべて公共事業は国のためだと言いますが、本人が自分たちで負担してできるものであればそれだけ効率もシビアに考えるけれども、いわば一般の納税者の負担でそういうことがあると、その公共事業が行われた地域だけが非常に利得して、しかもその周辺の人間が利得するという問題があるのですね。  でございますから、税の上でいわゆるクロヨンとかいろいろ言っていますが、こういった公共事業におけるいわば所得差の発生、例えば田中さんの鳥屋野潟事件というのがございますね。何か堤防をつくった、提防をつくった後はその辺の土地が非常によくなるので、田中元首相のいわば関連企業がそこを買った、それでまた大きな金脈であるという問題が起こったわけですけれども、もし田中さん系の企業が買わなくても、堤防ができればその辺の人々はすごい利得を受けるわけです。たまたま、それを事前に知って買ったということでもって問題となっているだけであって、そこに堤防をつくる必要があって堤防をつくったならば、その周辺の人間はべらぼうな利得を受けるわけです。それは否定し得ない事実です。さっきの地下鉄の駅ができれば、それだけでその周辺の価値が暴騰するということと同じなわけですね。したがいまして、公共事業というものは今までプラス面ばかり考えられておった。  確かに、それに関連する公共資産といいますけれども、本当は、一番の原点は、その周辺の人間が儀性を払い、金を出し合ってつくるのが原点であるべきなんですね、本来は。それでなければ、公共事業を行ったときにそれによって個人的に得る果実というものは、何らかの形で吸収してもしかるべきである。現在は、最後には土地を売るときにすごい税金を課するじゃないかという話が生じますけれども、土地を売るのは随分先の話だし、しかも、そのときの土地税制というのはそのときで変わる。したがいまして、私が公共事業に考えるべきことは、効率的な運用ということがまず第一。そのためには、やはり親方日の丸ではいけない。親方日の丸の面があるにしても、それはそれなりの受益者負担というものがなければ、公共事業を受けるところだけが得をする。例えば新潟県だけ得をするとか、まあそれは語弊があるかもしれませんけれども、そういう要素がどうしてもあるのですね。私は、何も貧乏なところに金を持っていってはいかぬと言うのじゃないけれども、これからは、公共事業がいいという公共事業の神話というか、その面ももう一遍吟味すべきなんだ。  公共事業か減税かというときに、減税はいかにも恒久財源がない、そういうような言い方をしますけれども、減税の場合には非常に広くそれで益を受ける者が多いわけです。公共事業の場合には資産と言うけれども、その資産をもらうところは限定されるわけです。そのために、その地区の者が得をする。だからこそ、陳情合戦あるいは集票のために政治家が公共事業を持っていくというシステムにならざるを得ない。公共事業のプラス面というのが非常に大きく言われておりましたけれども、さっき私は、公共事業か減税かというときに公共事業はすべて善である、減税は後の財源がないから悪であるというような考え方はおかしいのじゃないか。今度のNTT、これを一時的に公共事業に流用するといいますけれども、一つには、さっきいみじくも正森委員指摘しましたように、一度始めた事業というのはそう簡単にやめられない。そのときになって大きなツケが回ってくるということが一つございます。     〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つは、安易なやり方であればどうしても効率性が無視される。東京湾横断道路をつくって、最後には大地震か何かあって、メガロポリスが相当ひどい目に思うということも私は考えていますけれども、そうう本当の意味の長期的な効率を考えているのかどうか。それぞれの公共事業において、果たしてこのNTTの売却益を、公共事業だからいい、公共事業だからいいという言う方で考えでいいのだろうか。  非常に基本論になりますが、私は実地いろいろなところでアメリカのある一都市の例を言ったのですけれども、あるところで新しい発電所をつくる、そのときに、要するに新しい負担をみんながしょってつくるか、あるいは今のままで我慢するか、地方自治体はかんかんがくがく議論して、そのあげく昔のままで我慢した。自分たちが負担すれば、それだけシビアに物を考える。  私は、何も貧乏な地方自治体と富裕な自治体と格差がそのままでいいということじゃ絶対ないのです。やはりこれは財源の地方配分の問題も起こりますし、私は今度の論文の中で、これは前から指摘しているところですけれども、メガロポリスに財源が集中し過ぎている、ですから幾ら土地が上がっても、そして固定資産税が上がっても、それはメガロポリスに集中するばかりだ、ですから土地税制に手をつけても意味がない、譲渡だけに目をつけると、そこがやはり土地政策の大きなネックになっておるということを私は指摘しましたけれども、今度のNTTの考え方が、基本的には公共事業なら資産が残るというだけの話で、だけというのは言い方は悪いけれども、その辺に重点を置いて、減税は恒久財源がないからだめだという思想がある。  公共事業が非常に波及効果があった時代ならまた別なんですが、公共事業の場合にもいい公共事業意味のない公共事業とがある。これをいかにして選別していくかというシステムがない限り、これはむしろ非常に富の不公平を生んでくる。その意味で、今度のNTTのいわば剰余金を使って一挙にどんどん公共事業をふやすという話が、ルーズな公共事業をむしろふやしていくのじゃないかという懸念を大きく持つわけです。この話はかり余り長くなりますとあれでございますけれども、この辺私は公共事業についてのいわば反省が要るのじゃないかと思います。  これと関連しまして、過日私の同僚議員が、今度の公共事業は土地の取得費を減らした、二〇%くらいが平均値であって、あとは波及効果を考えて、要するに土地の取得のない場所でやるというような言い方をされました。それは一つの考え方かもしれませんけれども、逆にしかし土地の取得が必要のない公共事業というのは、ある意味からいうと経済効率の悪い、つくってみても余り大した意味のない公共事業かもしれないのですが、土地の取得を減らしたところの公共事業というのはどういうことを言っておられるのですか。
  157. 斎藤次郎

    ○斎藤(次)政府委員 例えば一般的に申しますと、典型的な例としては下水道の環境事業などがございまして、これは土地の取得を要しないという意味で非常に経済効率性も高いかというようなことがございます。  それから、今般の補正で土地取得費を極力抑えた処置をとっておりますのは、やはり緊急の経済対策でございますので、土地の取得費に金が流れますと、それは経済刺激効果が少ないという観点も当然に考慮したわけでございます。
  158. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 下水道なんかは非常におくれている面ですから、これは大いに力を入れていってもいいと思いますけれども、いずれにいたしましても、公共事業が善である、減税の場合には、財源がない場合には要するに問題であるということはちょっとおかしいのじゃないか。逆に、公共事業の場合に、これが永続的に行われるためには、それによって益を得るところからやはり物を吸い上げることを考えなければならない。例えばさっきの横断道路であれば、対岸の千葉の辺がいわば非常な利益を得るわけです。さっきの光が丘の例でも、地下鉄の駅が一つできればその周辺の人間がどっと得をする。これは捕捉のしようがないじゃないかという話になるかもしれませんけれども、私はそこで言っておりますのが、固定資産税、土地保有税を考えなければならない。それがまた、いわば地方税なるがために手をつけられていない。  私はこの論文でも指摘しましたけれども、地方財政における固定資産税の割合は、昭和三十五年が住民税とほぼ同じパーセンテージだったのが、今や法人住民税、個人住民税が大きく伸びて、固定資産税が非常に下がっているわけです。ということは、一般サラリーマンにしわ寄せされておって、そういう保有者に対する税が安くなってきている。ということは、公共投資の果実が一部の土地所有者の手に温存されているということでございます。この点、今度のNTT法案一つのあれにいたしまして、公共事業というものと減税とのバランスをどう見るのか。単に資産資産といっても、本当に援助を受けた人間だけが得をして、その利益が一つも税として反映されない。売上税とかいろいろなことを言う前に、この膨大な公共事業によってウインドフォール・プロフィットを受けた人間、そこからいわば吸収すべきである、財源を求めるべきである。そうじゃなくて公共事業財源を一般の財源に求めていくと、これはどうしてもサラリーマンに対する重税になると私は考えます。  でございますから、私は今ちょっと大蔵省の人に資料として頼んであるのですけれども、直間比率だけじゃなくて、国税、地方税を通じた資産税と所得税の比率、そういう面からのアプローチが必要じゃないかと私は考えています。まだまだ主税局の担当の課長に言った程度ですから、そのデータをもらった上で検討したいと思いますけれども、私はその論文でも書いたのですが、結局国の負担がどんどんふえていく、ところが地方税に一つも手をつけられない、そのために非常に富裕自治体においては本当に財源のことを考えないでもどんどんできる。財源と機能の再配分というのは、本当に真剣に考えていく時期になっているのではないか。直間比率とか売上税と言う前に、国税、地方税全体を通じての所得、資産税の比率、その辺に着目して税制体系を見直していくべきじゃないか。マル優問題とかいろいろございますけれども、マル優の問題も、もっともっとこういう全体の税制の再検討の中で考えるべきなのであって、国税はこの部分だ、だから取りやすいところから取るという考えはおかしいのじゃないかと思いますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  159. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 大変に広範なことを言われましたのであれでございますが、開発利益、それは確かにそういう問題がございますことは私どももよく気がつきますが、ただ、それを利益を取るといいましても、実際に売買が行われて担税力があるという場合はともかくといたしまして、保有そのものについての課税はおのずから限度がある、いわば実現されない所得ということになりますから、おのずから限度があるのではないかというような感じが私はいたします。  しかし、それにいたしましても、地方富裕団体とそうでない団体との関係、殊に東京のようなメガロポリスとそうでない団体との関係、あるいはまた資産、所得、消費の三つの間の課税のバランスをもう少し考えるべきではないかといったような点につきましては、いろいろな問題を含んでおりますことは御示唆のとおりであろうと思います。
  160. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 問題がいささか大ぶろしきの話になりましたけれども、これからまたマル優問題が討議され、所得税の問題が討議されます。私どもの基本的な考え方は、本当はそういう税体系全体を見直す、その一環としてやるべきなのであって、減税をやるためには財源が要るということでマル優を持ち出す。一方において、本来は減税財源とまで一時は考えられておったNTTのいわば余剰を、本当の意味国債償還に充てるのではなく、結局はツケを先に延ばす形で公共投資に流用する。公共投資も、その過程におきまして恐らくは相当、ルーズと言っては悪いけれども、経済効率に対して必ずしも十分な審査がし切れない形の公共投資になるおそれさえある。  我が党はこのNTT法案、形は何となくあれだけれども、やはり基本的にはおかしいぞという態度で臨んでおりますと同時に、マル優問題、これから審議される所得税法案の問題につきまして、減税のためには財源だ、けれどもマル優はこうだ。私はもともと、当初出た途端に、一人当たりの非課税貯蓄は幾らだ、一人当たりが大体二百万ぐらいだという話を引っ張り出して、それを随分つっついた一人ですから、このマル優問題については是正すべきだという議論はしておりました。  しかし、今の皆さんの提案、これはこの次の委員会になると思いますけれども、一世帯一口くらいはいいじゃないか、そういう形でむしろ考えていくべきじゃないかという議論でありますけれども、そういったマル優問題というのは、売上税の問題にしましても、もっともっと税制体系全般、国税、地方税の枠をどうするか、公共投資とその受益晋負担をどうするのかという、全体の枠組みの中でむしろ考えるべきであって、それだから私どもとしては、NTTの売却益があるところでまず減税を行って、その間に行革あるいは税制の再検討という、じっくりと腰を落ちつけた議論をすべきなんじゃないかと思っておるし、私どもの党の方もこの問題を考えているわけです。私が今ここで提案いたしました、直間比率だけじゃなくて所得税がどうあるべきか、資産税がどうあるべきか。  さっき土地を売るまでは具体化しないとおっしゃいましたけれども、もし非常にいい場所を占拠していれば、それを例えば高層化して効率的に運用する、そして年々ある程度は負担するけれども最後の譲渡のときには税金が余りかからないという、いわば期間的にならした負担がむしろ正しいのではないか。そういう形をしていけば公共投資における果実も早い時期に吸収される。現在、公共投資における果実が熟れるときになってぼんと入ってくる。しかも、そのときになると、やはり高過ぎるとかいってすぐ減免が問題になるわけですから、少しずつ払っておればそういう問題は起こらないわけです。そして、それがメガロポリスの地方税という形になっておりますから、ますます地方団体の格差を高める税制になっているわけでございます。  この辺を全部トータル的に考えた上の税制改正、その一環としてのマル優というのが正しいアプローチであって、NTTにおける売却益は当面減税財源に充てて、その間に十分検討するというのが私は正論だと思います。この辺について、恐らく所得税のときの議論としてまた出てくると思いますけれども、まだ時間がございますから、もう一度最後に大蔵大臣の見解を承りたいと思います。
  161. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはお話が結局冒頭に返ったわけだと思いますが、我が国社会資本がもともと極めて貧弱であって、老齢化社会になりません間に先進国らしい社会資本の充実をしておくべきだと私はかねて思っておるわけでございますけれども、たまたまそういう先輩の残してくれました資産の蓄積がございますので、それはそういうことに使うのが本来の筋ではないかという気持ちを強く持っておりました。ただ、これはもともと国債という負の財産を償却する、償還するのが大事な仕事でございますから、終局的にはそこへ向けるようにして、その間恐らく何年間か、やはり社会資本の充実に使っていくことがよろしいのではないかと思っております。  減税の必要がないと考えておるわけではございません。ございませんが、減税をしてしまうということはこれを使ってしまうということであって、国債償還をすることと相反することでありますし、またくどいようでございますが、一遍始めました減税は恒久施策でございますから、この財源がなくなったときにはそれに見合うものを考えておかなければならないという問題がございます。それに反して、資産を取得する、社会資本をつくることはいわば一遍限りのことでございますから、それがつくられてしまえばこの金はその目的を達する、こういうこと等々を考えまして、こういう御提案をいたしたわけでございます。
  162. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 水かけ論になりますけれども、さっきの負の債務を消すということには実態上なっていない。実際上は、最後に要するに補助金でもってやらざるを得ないという話。それから、社会資本の充実と申しますけれども、公共投資における果実を吸収して公共投資を行っていくというのならわかりますけれども、その資金がたまたま流れ込んでいくところだけが社会資本が充実される。しかも、そこにおいて富の不均衡が生じるという面を、公共投資に対する神話ではなくて、公共投資もいい公共投資と悪い公共投資がある、いわば富の不均衡をふやすような公共投資、しかも余り経済効率のない公共投資、いろいろな種類の公共投資があるということを我々はもう一遍反省すべきじゃないかと思います。  そこで、私は次にココム問題を取り上げたいと思っておったのでございますが、時間もございませんので、五分程度では十分な議論もできませんから外為法の審議のときにまたやりたいと思いますけれども、五分ございますから、せっかく外務省の方が来ておられますのでお聞きしたいと思います。  こういうココム問題というのはこれから一つの大問題になるわけでございますが、確かに今度の東芝機械はああいうことをすべきでなかったと思いますけれども、ほかの国との例がどのくらい、どうなっているのか、それに対してほかの国は今までどう対応してきたのか。私は学生として海外におったのですけれども、アメリカというのは一遍謝るとかさにかかってくることがありまして、ある弱い、ちょっと薄のろの友人がみんなから寄ってたかっていじめられているのを私は何回か見ておりますので、そういう点で、ほかの国の対応、ほかの国の状況だけでもお聞きしておいて、この次に聞くときの参考にしたいと思います。外務省、どうでございますか。
  163. 赤尾信敏

    ○赤尾説明員 お答えいたします。  諸外国には日本と同じように輸出管理関係法律あるいは体制がもちろんあるわけですけれども、それに違反した事例あるいは違反した場合の処罰等についての御質問かと思いますが、各国とも、特にアメリカ、イギリス等は比較的厳格に違反の事件を取り締まっているとの説明を受けております。  具体的に申しましょうか……。
  164. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私が聞いておりますのは、取り締まり法規がどうなっているかじゃなくて、どういう具体的な例があって、そのときにどう対応したか。日本はすぐ謝ってしまってあれしているけれども、日本以上に悪質なものも随分あるのじゃなかろうか。アメリカ自身でも、今度の機械なんかにつきましても、ある意味からいえばいい大工道具というだけの話であって、一番の設計図は全然違うのだという議論もありますし、ほかの国と比較して本当に日本がこれだけ――私は、このココム事件について、東芝機械あたりをそうそう弁護しているつもりはないですけれども、ただ、日本の対応としてほかの国に比較して、言われたらははあというところが余りにもあり過ぎるのじゃないか。だから、ほかの国にどんな例があって、どう対応したのか。ノルウェーの場合は聞いておりますけれども、その前に、過去にこれに類似なケースが一体どの程度あったのか、そしてそれに対してそれぞれの政府はどう対応してきたのかということを聞きたいわけです。
  165. 赤尾信敏

    ○赤尾説明員 例えばアメリカの例を申し上げますと……(安倍(基)委員アメリカよりもむしろほかの国を、アメリカは本人だから」と呼ぶ)はい。例えばアメリカを簡単に申し上げますと、例年二十件前後の違反事件が摘発されておりまして、法律に基づいて処罰を受けております。イギリスの例を申し上げますと、私たちが伺っておりますのでは、過去二年余りの間に十五件について起訴されております。
  166. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 ちょっと時間がないかな。きょうはしり切れトンボになってしまうから、ココム事件は後回しにしましょう。私がせっかく呼んだ関係者もおられますけれども、余りあっちこっちの話になってもしょうがありませんから、一応それは外為法のときの問題といたします。  いずれにいたしましてもこのNTT法案は、今私は忙しいものですから書いていませんが、「公共事業の神話」という表題でまた論文を書いてみたいと思っておりますが、月曜日に出ます「エコノミスト」に土地政策の問題を私は書いておりますけれども、それを読んでいただきまして、今度の減税問題あるいはマル優の問題にどう対処するかについてひとつ御参考にしていただきたいと思います。  私は、このNTT法案というのは、これから非常に大きな額がそこに蓄積される、そのためにどっと公共事業が始まる、後で収拾しょうがなくなる可能性がある。減税どころではない。一たん始めた公共事業はストップしない、そちらの方が怖いよ。昔、公共事業と減税と言ったときに、減税は一度やったらもとへ戻らぬ、公共事業は伸縮自在であるという考えで、公共事業にむしろ重点を置いたわけです。しかし、こういった形の公共事業がどんどん始まりますと、かえって減税よりも、後でとまらないよ、とまらないよというような話が出てくる可能性がある。その意味で私は、このNTT法案は決して賢明な法案ではないと思います。  これは話の言い合いになりますから、最後に、これから総理を目指される宮澤大臣が、税制のいわば基本的な大枠の中で、しかも国税、地方税を含めた中で、個々のマル優にしても公共事業にしても考えていただきたいということをお願いして、その御感想をお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  167. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 政府といたしましても、税制につきましては、国税、地方税を通じまして、シャウプ以来の改正の必要を感じているものでございますが、御承知のような経緯がございまして、税制改革協議会等の御議論も伺いながら、やはり老齢化社会に入りますことを考えますと、長期にわたっての税制改正を地方、中央にわたって考えなければならないというふうに思っております。
  168. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 終わります。
  169. 池田行彦

    池田委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  170. 池田行彦

    池田委員長 これより両案を一括して討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。村井仁君。
  171. 村井仁

    ○村井委員 私は、自由民主党を代表して、議題となっております日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法実施のための関係法律整備に関する法律案に対し、賛成の意見を述べるものであります。  申し上げるまでもなく、我が国としては、現下の経済情勢を踏まえ、主要国との政策協調を推進しつつ、内需中心とした景気の積極的な拡大を図るとともに、対外不均衡の是正、調和ある対外経済関係の形成に努めることが急務となっております。  このため、政府は、先般、六兆円を上回る財政措置を伴う内需拡大策及び対外経済対策等についての緊急経済対策を決定するとともに、これを受けての補正予算も去る七月二十四日に成立したところであります。  他方、国債整理基金状況を見ますと、昭和六十一年度と同様に日本電信電話株式会社株式の円滑な売り払いが行われれば、国債の償還等国債整理基金の円滑な運営に当面要する資金を上回る資金が同基金に蓄積される事態も想定されるところであります。  このような状況にかんがみ、両法律案は、建設国債の増発を可能な限り抑制しつつ、現下の経済情勢に緊急に対処するため、日本電信電話株式会社株式の売り払いによって国債整理基金に蓄積された資金の一部を活用して無利子の貸付制度を創設し、社会資本整備促進を図ることとするものであります。  これにより、国民のニーズに応じた社会資本整備促進が図られるとともに、地域の活性化にも資するところ極めて大なるものがあります。  さらに、国民共有の貴重な資産である日本電信電話株式会社株式の売り払い収入は、最終的には、国民共有の負債である国債の償還財源に充てるという、既に確立されている制度趣旨は、これを堅持することとしており、両法律案はこの点からも十分な配慮がなされているところであり、私はこれを高く評価するものであります。  しかしながら、財政が依然として極めて厳しい状況にあることは言うまでもありません。政府においては、これまで続けてきた財政体質改善のための努力を水泡に帰せしめることのないよう、今後とも財政再建のための努力を引き続き傾注されるよう強く要請いたしまして、両法律案に対する賛成討論を終わります。(拍手)
  172. 池田行彦

    池田委員長 上田卓三君。
  173. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、ただいま議題となりましたNTT株売り払い益による社会資本整備に関する二法案について、反対の立場から討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、本法案提出が売上税法案提出に続く中曽根首相の公約違反だということであります。  中曽根首相は、昨年の衆参同日選挙において、選挙公約として大幅減税の実施を明らかにしました。  その財源としては、行政改革の推進、NTT株や日航株の売却収入、国有財産の売却収入などを例に挙げ、国民が反対するような大型間接税は導入しない、マル優は廃止しないと明言したのであります。  にもかかわらず、第百八通常国会には、大型間接税である売上税導入、マル優廃止を含む税制改革法案を提出し、公約違反を犯したのであります。国民の大反対の結果、自民党は統一地方選挙で大敗し、税制改革法案は廃案となったのはまだ記憶に新しいところであります。  その後、税制改革協議会で与野党協議が進められ、減税の先行実施については合意されたものの、その財源については与野党合意がないまま現在に至っているのであります。  我が党を初め、公明、民社、社民連の野党四党は、一致して二兆円以上の所得税減税の実施を要求しており、その財源としてNTT株売却益の利用、不公平税制の是正を掲げています。  しかるに政府・自民党は、本法案審議の過程を通じても、NTT株売却益の減税財源としての利用をかたくなに拒み、他方でマル優廃止をたくらむという公約違反をまたやろうというのでしょうか。  売上税法案提出に続く中曽根首相の公約違反、これが我が党が本法案に反対する第一の理由であります。  また、本法案の提出理由として、緊急経済政策に基づく内需拡大の実現、そのための社会資本整備が挙げられていますが、その効果について大きな疑問があります。  内需拡大のためには、まず何よりも国民の購買力を向上させることが重要であり、そのためには大幅な所得税減税こそが最も有効であります。NTT株売却益を利用した二兆円以上の大幅所得税減税の先行実施が問われているのであります。  さらに、仮に内需拡大のための社会資本整備をするにしても、その場合はこれまでのけちけち緊縮財政をやめ、積極型拡大均衡財政へと大胆に政策転換することが必要であります。しかも、公共住宅建設や学校建設、社会保障関係施設など、国民の購買活動に直結する生活関連施設に傾斜配分することが、海外からの批判が高まる中で最も重要な課題であります。  しかるに、本法案が想定している社会資本整備とは、民活導入による巨大プロジェクトや収益が予想される公共事業などが中心で、大都市周辺の一層の地価高騰、乱開発を招くおそれすらあります。また、補正予算や来年度予算概算要求の状況を見ましても、本格的な社会資本整備事業による内需拡大を実行しようという意気込みは読み取れません。  宮澤大蔵大臣の提唱する「二十一世紀国家の建設」「国民資産倍増計画」を実行するためにも、長期的視野に立った社会資本整備計画、そのための積極財政への大胆な転換こそが問われているのであります。  本法案に反対する第三の理由は、地方自治体への一層の負担しわ寄せの危険性が強く存在することであります。  確かに、地方自治体が無利子で借りた資金の償還は、五年後の償還時に国の補助金という形で免除されることになってはいます。しかしそれは、結局のところ補助金の先食いにほかならず、五年後に本当に償還分を国が補助金で面倒見てくれるかどうかは、そのときになってみないとわからないのが実情であります。事実、補助金一律カット法案やたばこ消費税など、導入時には一年限りと言っておいて、その役なし崩しで続けていくのは大蔵省の常套手段でもあります。償還時になってほかの補助金がカットされ、自治体が悲鳴を上げるという事態が非常に心配されるのであります。  最後に、財政再建の絡みで見ても、昭和六十五年度をめどとして赤字国債償還に固執し、社会保障など国民生活関連を切り捨ててきた行革路線自身の見直し、積極財政への大胆な転換が必要になっています。  中曽根首相のけちけち財政が内需の停滞を招き、輸出依存型の経済体制をつくり上げた、また同時に財テクに象徴されるマネーゲームを加速させたのであります。さらに、民間活力導入による大都市乱開発が、都心の地価の異常な高騰を招き、サラリーマンからマイホームの夢を奪い、公共事業実施を一層困難にしたのであります。  財政再建を優先させ、NTT株売却益を国債償還財源に縛りつけるのではなく、内需拡大をこそ最優先させ、そのための積極的な財政出動、大幅な所得税減税こそが問われていると考えます。  その意味からも、本法案は、内需拡大のための社会資本整備と言いながら、実際には極めて中途半端なものであり、せっかくの貴重な財源が生かされていないと言うほかないのであります。  以上述べた理由により、本法案に対して反対し、あわせて再度NTT株売却益の利用などによる、二兆円以上の大幅減税の実施を重ねて強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)
  174. 池田行彦

    池田委員長 宮地正介君。
  175. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりましたNTT株売払収入活用による社会資本整備促進に関する二法案につきまして、反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、現在、国民が期待している六十二年度所得税減税二兆円規模について、財源対策の道を切り開いていないからであります。  大幅な所得税減税は、現在、重税感に苦しむ中堅サラリーマンにとっても、また、我が国が国際公約した内需拡大経済効果のためにも緊急な課題であります。  政府が提案している所得税減税一兆三千億円では余りにも力不足であり、八月七日の与野党幹事長・書記長会談で二千億円の上積みで一兆五千億円になったものの、国民の期待にこたえ得るものではございません。六十一年度決算剰余金の残り一兆三千五百億円に、NTT株売り払い収入の一部を充てれば、二兆円規模の所得税減税が可能なのであります。  大幅な所得税減税は、シャウプ税制以来、長い間蓄積されてきた現行税制のゆがみ、ひずみ、不公正の手直しにも役立つのであります。本来、税制改革は二年から三年かけて、国民のコンセンサスが得られるような形で進めていかなければなりません。  その間の減税財源として、暫定的にNTT株売り払い収入を充てることがどうしてできないのでありましょうか。この際、NTT株売り払い収入を減税財源として運用できるための道を開くことを強く求めるものであります。  反対の第二の理由は、通常の公共事業に対する無利子貸し付けの制度が、建設国債の発行の後ろ倒し程度にすぎないからであります。  政府は、本法案で、本来国債の償還に充てることになっているNTT株売り払い収入の一部である四千五百八十億円を、公共事業、民活事業財源として無利子融資の形で活用することを提案しております。そのうち三千九百十七億円は、地方公共団体等の通常の公共事業に向けられるのであります。  この制度は、無利子貸付金の地方公共団体からの返済額に見合って、国が六十七年度以降の補助金を交付するようになっているのであります。国民共通の資産であり、内需拡大の重要な財源であるNTT株売り払い収入が、このように建設国債の発行を後ろ倒しした程度のことにしか使われないのは、まことに残念であります。  反対の第三の理由は、NTT株売り払い収入の運用に当たって、その配分に十分な配慮がなされていないからであります。  我が国は、今や世界一の金持ち国と言われるまでになりました。長い間、世界史の中心にあった欧米諸国が、一斉に注目をするほどのものであります。しかしながら、現実に見る我々の生活実態は、決して欧米先進国並みとは言えないのであります。まさに戦後の急激な発展の中で、生活関連社会資本整備の立ちおくれが際立っているからであります。  公共事業内需拡大の重要な柱であり、その配分に当たっては生活関連資本整備の拡充に重点を置くべきであります。  以上をもちまして反対討論を終わります。(拍手)
  176. 池田行彦

    池田委員長 安倍基雄君。
  177. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は、民社党・民主連合を代表して、今回提案されましたいわゆるNTT株式売却収入の活用に関する法律案及び関係諸法令の整備に関する法律案について、反対の立場から一括して討論するものであります。  反対の理由の第一は、NTT株の売却収入が公共投資に一時的に流用されるのみで、減税財源として使用される道が全く閉ざされていることであります。  もちろん、我々は、国の財政が非常に困難の状況にあることは知っており、累積する債務の処理のために財政当局がこの資金を充てようとする気持ちを理解しないのではありません。しかし、我々は、減税財源を行革に求めてまいりました。NTT民営化行政改革成果一つであり、これを減税財源とすることは理にかなうことであります。今後売却益が相当額見込まれることを考えれば、公共事業一本やりの考え方は大きな問題であると考えざるを得ません。  第二の理由は、今回の投資への流用が、基本的には売却益を最終的に国債の償還に充てるという形式を踏みつつも、実態は新たな国債を発行するかわりに売却益を公共投資に充てるという内容であり、財政再建に役立つものではないことであります。  すなわち、今回の投資の大宗であるBタイプ、すなわち自治体への補助金の前倒しとも言うべき投資は、基本的には国の補助金の増額によって償却されるものであって、将来の増税なしには回収できないものであります。したがって、売却益を国債の償還に充てるというのは形式であって、結果的には公共事業の規模を拡大するのみであって、将来に禍根を残す可能性があると言わざるを得ません。  第三の理由は、公共事業の持つ意味について十分の検討がなされないまま、公共事業優先の立場が貫かれていることであります。  公共事業内需拡大に役立つというのは一時的なものであり、特に地価が高騰し、土地取得費に相当部分が費やされる現状において、その波及効果等に問題が生じているのであり、減税と投資の選択について再検討の時期に来ていると考えられます。また、公共投資経済効果についてより厳しい姿勢で臨むべきときに、巨額の公共投資財源を設けることは、むしろその非効率な使用を促す可能性さえあります。  以上の理由から、我が党として本法案に対し反対の立場をとらざるを得ないことを明らかにして、討論を終わります。(拍手)
  178. 池田行彦

    池田委員長 矢島恒夫君。
  179. 矢島恒夫

    矢島委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、日本電信電話株式会社株式売払収入活用法案について、反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、財政再建の緊急性、重要性を軽視する無責任なやり方にあります。  そもそもNTT株売却益は国民共有の資産であり、国民共有の負債である国債の償還財源とするとして、一昨年中曽根内閣自身の提案によって法改正を行い、これを義務づけたのであります。しかも、国債償還財源として最低必要な定率繰り入れを六年間も停止し、赤字国債の借り換えの道を開き、今年度も四兆九千八百十億円もの赤字国債を発行し、国債残高は今年度末百五十二兆円にも達しようとしており、政府の財政再建計画はまさに破綻のきわみにあるのであります。にもかかわらず、政府は、この責任を何ら明確にしないまま、過熱した財テクブームのもとでNTT株の売却益が大幅に膨張することが確実になったからと言ってこれを他に流用するというのでは、二重、三重に国民を欺くやり方であり、到底認めることができないのであります。  第二は、NTTを大企業に売り渡すばかりでなく、売却益を大企業中心の民活型公共事業に流用しようとしていることであります。  電気通信事業は今日ますます公共的性格が強まっており、安企業形態に戻すべきであります。しかるに、政府は特殊会社の民営化促進し、国民共有の財産を財界、大企業に売り渡し、新たなもうけ口と利権を提供しようとしています。政府は、内需拡大のための社会資本整備と称していますが、テクノ法やリゾート法や民活法等によって、税、財政、金融挙げて活力策を与えてきた大企業に、さらに円高不況の中小企業と比べて破格の無利子融資による事業を推進させようとするものであり、断じて容認できないのであります。  第三に、財界の要求にこたえた大企業本位の積極財政策への転換を図るものであり、国債の大増発をもたらすからであります。  NTT株売却益の流用は補正予算で公共事業関係費を大幅に伸ばすこととなり、国債発行も十一兆八千六百十億円と、六十一年度補正後発行額をも上回り、財政再建とは逆行の姿に至りましたが、これを突破口に、本措置による公共事業別枠扱いは来年度以降公共事業関係費の一層の増大、国債大増発となることは明らかであります。これは、結局財政危機のますますの深化、国民への大増税となってはね返ることにならざるを得ず、反対の声を大きくせざるを得ないのであります。  最後に、本二法案は極めて重要な内容を含んでおり、なお慎重審議をすべきで、いやしくもマル優廃止法案成立のための道を開くべきでないことを強く表明し、反対討論を終わります。(拍手)
  180. 池田行彦

    池田委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  181. 池田行彦

    池田委員長 これより順次採決に入ります。まず、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  182. 池田行彦

    池田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法実施のための関係法律整備に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  183. 池田行彦

    池田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  184. 池田行彦

    池田委員長 ただいま議決いたしました両案に対し、中村正三郎君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨説明を求めます。玉置一弥君。
  185. 玉置一弥

    ○玉置委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨説明といたします。     日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法案及び日本電信電話株式会社株式売払収入活用による社会資本整備促進に関する特別措置法実施のための関係法律整備に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について十分配慮すべきである。  一 わが国の置かれている現下の内外社会経済情勢にかんがみ、引き続き適切かつ機動的な財政金融政策の運営等により、均衡かつ調和ある経済発展に努めること。  一 今後とも公債の償還に支障なきよう、所要の償還財源の確保に努め、もって公債に対する国民の信頼の保持に万全を期すること。  一 日本電信電話株式会社株式売払収入の一部を原資とする貸付金については、内需拡大・地域活性化という目的に資するため、真に緊急かつ必要な事業に対して重点的に配分するとともに、その回収に当たっては万全を期すること。  一 六十二年度以降の日本電信電話株式会社株式の売払いに当たっては、上場後における巨大な規模の株式売却となることにかんがみ、既存の株主に対する影響及び株式市場全般に対する影響を考慮の上、市場価格に準拠した適正な価格で売却するよう努めること。 以上であります。  何とぞ御賛成を賜りますように、よろしくお願い申し上げます。(拍手)
  186. 池田行彦

    池田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  187. 池田行彦

    池田委員長 起立多数。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。  本附帯決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。宮澤大蔵大臣
  188. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ、配慮いたしてまいりたいと存じます。     ―――――――――――――
  189. 池田行彦

    池田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 池田行彦

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  191. 池田行彦

    池田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時二十八分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕