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1987-09-07 第109回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月七日(月曜日)     午後零時五十一分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 愛野興一郎君 理事 金子原二郎君    理事 古賀  誠君 理事 野田  毅君    理事 中西 績介君 理事 藤原 房雄君    理事 小渕 正義君       自見庄三郎君    鳩山由紀夫君       松田 九郎君    三原 朝彦君       岡田 利春君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    鍛冶  清君       吉井 光照君    青山  丘君       児玉 健次君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         労働大臣    平井 卓志君  出席政府委員         北海道開発庁計         画監理官    大串 国弘君         通商産業政務次         官       中川 秀直君         通商産業省産業         政務局長    杉山  弘君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁長官     浜岡 平一君         資源エネルギー         庁石炭部長   鈴木 英夫君         労働大臣官房審         議官      野崎 和昭君         労働省職業能力         開発局長    野見山眞之君  委員外出席者         農林水産省構造         改善局計画部資         源課長     遠藤竹次郎君         農林水産省構造         改善局計画部事         業計画課長   末松 雄祐君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       甘粕 啓介君         建設省住宅局住         環境整備室長  羽生 洋治君         自治省財政局交         付税課長    小滝 敏之君         自治省財政局調         整室長     二橋 正弘君         参  考  人         (石炭鉱害事業         団理事長)   佐藤 兼二君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ――――――――――――― 八月七日  石炭産業等の安定及び雇用確保並びに特定不  況地域振興に関する請願(野田毅紹介)(  第四二二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 九月一日  三井砂川石炭鉱の存続に関する陳情書外一件  (第一五〇号)  三池石炭鉱四山石炭鉱閉山合理化等に関する  陳情書外三件  (第一五一号)  石炭鉱業の安定及び産炭地域振興に関する陳  情書外三件  (第一五二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、第八次石炭政策実施状況等について政府から説明を聴取いたします。田村通商産業大臣
  3. 田村元

    田村国務大臣 本日の御審議に先立ちまして、第八次石炭政策実施状況について、一言ごあいさつ申し上げます。  第八次石炭政策につきましては、昨年十一月、石炭鉱業審議会から、地域経済雇用への影響を緩和しつつ、円滑な生産体制集約化を図ることが適当である旨の答申がなされました。本年に入り、石炭企業各社は、答申趣旨を踏まえて合理化計画を相次いで策定し、現在、鋭意その実施に努めているところであります。  政府といたしましては、このような石炭企業の円滑な生産体制集約化に向けての努力支援するため、先般の第百八回国会における石炭鉱業合理化臨時措置法等石炭関係四法の改正を受けて、本年度から過剰貯炭対策生産規模縮小円滑化対策などの各般施策を講じているところであります。特に、本年四月に発足いたしました新共同石炭株式会社におきましては、本年度上半期分として三百万トンの過剰貯炭買い入れ実施し、貯炭の累増に伴う石炭企業経営上の負担を軽減しているところであります。  こうした状況の中、本年七月に三井砂川炭鉱閉山し、一部職員等を除く全従業員が解雇されました。当省といたしましては、石炭企業及びその親会社に対し、地域経済雇用面に適切に配慮するよう指導するとともに、産炭地域振興関係省庁等連絡会を開催し、現在、関係各省庁挙げて、その対策実施全力を尽くしているところであります。  国内炭引き取りにつきましては、第八次石炭政策基本的合意に基づき、去る八月末の石炭鉱業審議会において、本年度引き取り数量を約一千三百九十万トンとすることが了承されたところでありまして、これに伴って、鉄鋼業界電力業界等需要業界において本年度国内炭引き取り実施されることとなっております。  また、先般、昭和六十三年度予算概算要求を行ったところでありまして、引き続き集中閉山の回避を基本としつつ、地域対策雇用対策に万全を期してまいる考えであります。  我が国石炭鉱業の歩むべき道には依然として厳しいものがあると思われますが、このような状況のもとにおいて、私といたしましては、今後とも第八次石炭政策の着実な推進全力を挙げて取り組んでまいる所存でありますので、委員各位におかれましても、一層の御理解、御協力をいただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  4. 竹内黎一

  5. 平井卓志

    平井国務大臣 本日の御審議に先立ちまして、炭鉱離職者発生状況及びこれに対する炭鉱離職者対策の現状につきまして御説明申し上げます。  昨年十一月の三菱高島礦閉山により約一千七百人の離職者が発生したところでありますが、これに加えまして、本年度におきましても、各炭鉱における合理化及び本年七月の三井砂川鉱閉山により、現在まで約四千三百人の離職者が発生しているところであります。  これら合理化により離職を余儀なくされた炭鉱離職者につきましては、炭鉱離職者臨時措置法及び特定不況業種関係労働者雇用の安定に関する特別措置法に基づく炭鉱離職者求職手帳及び特定不況業種離職者求職手帳の発給による生活の安定と再就職援助施策実施現地での臨時職業相談所の設置、機動的な職業訓練実施地域雇用開発等促進法に基づく地域における雇用機会開発等により再就職促進に取り組んでいるところであります。  また、三井砂川鉱閉山に際しましては、石炭企業及びその親会社に対し、雇用面に適切に配慮するよう指導したところであります。  炭鉱の所在する地域は、長年にわたり専ら炭鉱のみに依存してきた地域が多く、現段階においては多くの雇用の場は見込めない状況にある等、離職者の再就職をめぐる環境には大変厳しいものがあります。  このため、労働省といたしましては、このような状況を踏まえまして昭和六十三年度予算概算要求を行ったところであります。今後とも、全国的な規模での求人の確保及び必要な住宅確保等による広域職業紹介並びに効果的な職業訓練を積極的に実施するとともに、炭鉱離職者臨時措置法等に基づく各種援護措置を活用し、炭鉱離職者の再就職促進全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。委員各位におかれましても、一層の御理解、御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
  6. 竹内黎一

  7. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま大臣からごあいさつがありました第八次石炭政策実施状況について、補足して御説明申し上げます。  まず、石炭企業各社合理化状況及び政府支援についてであります。  石炭企業各社昭和六十二年度生産規模につきましては、現在までの各炭鉱生産状況及び合理化計画内容等から見て、高島炭鉱を除く大手十炭鉱ベースで、前年度比約百七十五万トンの減少となるものと見込まれております。  政府といたしましては、このような石炭企業の円滑な生産体制集約化に向けての努力支援するため、特に、過剰貯炭対策につきまして、本年四月、石炭会社親会社及び新エネルギー総合開発機構共同出資により設立された新共同石炭株式会社を通じ、本年度上半期分として、本年七月末までに三百万トンの貯炭買い入れを行いました。また、本年度から石炭鉱山規模縮小交付金制度石炭鉱業安定補給金における減産加算制度創設するなど、生産規模縮小円滑化に努めているところであります。  次に、本年七月の三井砂川炭鉱閉山に伴う地域対策雇用対策について申し上げます。  まず、三井グループによる対策といたしまして、関連会社設立、町への地域振興基金の拠出、土砂川振興公社への出資、社有地の町への無償譲渡等が講じられることとなっております。また、土砂川町により企業誘致が鋭意行われておりまして、現在、四企業同町への進出を決定しております。  さらに、国による対策につきましては、去る八月三十一日、産炭地域振興関係省庁等連絡会において対策取りまとめを行ったところでありまして、今後、関係省庁挙げてその実施全力を尽くすことといたしております。  当省といたしましては、第一に閉山対策といたしまして、約三十一億円の閉山交付金交付、第二に地域振興対策として、産業構造転換円滑化臨時措置法に基づく土砂川町地域指定及び工業用機械等特別償却対象地域指定、第三に中小企業対策といたしまして、特定地域中小企業臨時措置法に基づく同町地域指定、第四に地方財政対策といたしまして、産炭地域振興臨時交付金交付など各般施策を講じることとしております。  次に、本年度基準炭価及び国内炭引き取り数量について申し上げます。  本年度基準炭価及び引き取り数量につきましては、去る八月三十一日の石炭鉱業審議会において了承されたところであります。基準炭価については、原料炭一般炭ともに六十一年度基準炭価と同一としております。また、引き取り数量につきましては、原料炭百六十四万トン、一般炭千二百二十一万トン、合計千三百八十五万トンとなっております。  最後に、先般提出いたしました昭和六十三年度石特会石炭勘定予算概算要求について申し上げます。  今回の概算要求におきましては、本年度からスタートした第八次石炭政策の着実な推進を図るとの考え方に立って、石炭鉱業合理化安定対策費鉱害対策費産炭地域振興対策費等、総計千三百六億円を要求しております。  その内容といたしましては、石炭鉱業合理化安定対策につきまして、引き続き生産体制の円滑な集約化を進めるため、生産規模縮小円滑化対策充実等を図ることとしておりまして、炭鉱整理促進費補助金四十八億円のうち石炭鉱山規模縮小交付金十六億円、石炭鉱業安定補給金百十四億円のうち減産加算分六十八億円、新エネルギー総合開発機構需給安定化融資利子補給金二十九億円等、所要の経費を要求しております。  また、鉱害対策につきましては、前年度と同額の五百六十五億円を要求しております。  さらに、産炭地域振興対策につきましては、炭鉱閉山または大幅な減産等により特に疲弊の著しい産炭地域を活性化するため、新たに地元実施する大規模民活プロジェクトへの支援を行う等、地域振興対策を積極的に推進することとしておりまして、産炭地域振興調査委託費六千八百万円のうち特定炭地域拠点開発基礎調査創設に五千万円、産炭地域振興臨時交付金三十九億円のうち、大規模プロジェクト事業化促進調整額創設に一億五百万円を要求しているところでございます。  簡単ではございますが、以上をもちまして私の説明とさせていただきます。     —————————————
  8. 竹内黎一

    竹内委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子原二郎君。
  9. 金子原二郎

    金子(原)委員 田村通産大臣並びに平井労働大臣におかれましては、日ごろから石炭行政に多大な御尽力をいただいておりますことにまずもって深甚の敬意を表する次第でございます。また、通産大臣におかれましては明日より訪米されるとお伺いしておりますが、大変御苦労さまでございます。  ただいま通産大臣並びに労働大臣から第八次石炭政策実施について御報告がありましたが、私は、この八次政策では、地域経済に与える影響が大きいことから、雪崩閉山防止基本として、生産体制のなだらかな縮小集約化に向けて、地域対策雇用問題に万全を期していくことが最も重要であると考えております。  そこで、まず八次政策における雪崩閉山防止についてお伺いしたいと思います。  雪崩閉山防止して石炭各社合理化を円滑に進めるためには、まず第一には、政府過剰貯炭対策並びに縮小円滑化対策の成否が大きなポイントになると思います。また一方では、国内炭需要確保、つまり電力業界鉄鋼業界などによる需要確保が重要な要素であると考えておりますが、これらの点について、政府の具体的な取り組み状況並びに需要見通しについて詳しくお聞かせ願いたいと思います。
  10. 浜岡平一

    浜岡政府委員 まず、過剰貯炭対策でございますけれども、御高承のとおり、本年四月、新共同石炭株式会社設立をされたわけでございます。五月の終わりまでに、六十一年度末の過剰在庫のほぼ全量に当たります二百六十万トンの買い入れを行いました。また、七月末にはさらに四十万トンの追加買い入れを行ったところでございます。  次に、生産規模縮小円滑化対策でございますけれども、本年度から貸付利率の引き下げを行いました経営改善資金につきまして九十七億円の貸し付けを行いました。また石炭鉱山規模縮小交付金制度、さらに石炭鉱業安定補給金減産加算制度実施を行っているところでございます。  さらに、本年度国内炭引き取り量でございますけれども、去る八月三十一日の石炭鉱業審議会におきまして、需給業界の交渉結果を踏まえまして、最終的に関係者合意が形成されるに至っているところでございます。具体的な引き取り量といたしましては、原料炭合計百六十四万トンでございます。内訳といたしまして、鉄鋼百二十万トン、ガス二十九万トン、コークス業界十四万トン、その他一万トンとなっております。また、一般炭合計千二百二十一万トンでございまして、対象電力で一千六万トンということになっております。一般産業その他におきましてさらに二百十五万トンの引き取り期待をされているところでございます。  以上のような諸施策を今後とも着実に推進をしてまいりまして、雪崩閉山防止に意を用い、力を尽くしていかなければならないと思っているところでございます。
  11. 金子原二郎

    金子(原)委員 昭和六十一年度内外炭の格差は、手元の資料で見ますと、原料炭が約一万五千五百九十円、一般炭が約一万二千五百十円となっております。ちなみに、これをもとにして計算いたしますと、今説明がありました鉄鋼業界並びに電力業界の本年度負担額は、鉄鋼が約百九十億円、電力では約千二百六十億円も負担することになっております。八次石炭政策では、こうした民間需要業界のぎりぎりの協力を前提として一千万トン生産体制に向けてなだらかな縮小集約化を行うわけでありますので、需給調整機能を持つ新共同石炭株式会社の果たす役割は非常に大きいと私は考えるわけでございます。  そこで、過剰在庫買い上げ六カ月後の買い取り時に石炭会社にまだ過剰在庫がある場合に、再度買い上げ策を行うなど貯炭管理制度を拡充強化されるお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  12. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生質問の新共同石炭株式会社におきます貯炭買い上げでございますけれども、これは原則といたしまして、四半期ごと石炭企業から過剰貯炭買い上げました後、六カ月後に売り戻すという仕組みになっております。売り戻しの後においてなおる炭企業過剰貯炭を抱えている場合でございますが、さらに買い上げ対象とするということは制度的に否定されているわけではございませんで、そのときの石炭企業経営状況等を勘案いたしまして、弾力的かつ適切に対応してまいりたいと考えております。
  13. 金子原二郎

    金子(原)委員 その点、よろしくお願いいたします。  次に、来年度通産省石炭関係予算概算要求について、その基本的な考え方についてお聞かせ願いたいと思います。あわせて、労働省には、閉山炭鉱離職者対策について来年度はどのような施策考えておられるのか、予算措置も含めてお伺いしたいと思います。
  14. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 昭和六十三年度予算概算要求におきましては、本年度からスタートをいたしました第八次石炭政策の着実な推進を図ってまいるという考え方に立ちまして、生産体制の円滑な集約化を進めるとともに、これに伴います地域経済社会への影響緩和を図るための石炭鉱業合理化安定対策費あるいは鉱害対策費産炭地域振興対策費等を盛り込みまして、総額一千三百六億円を要求しているところでございます。特にこの中で、先ほども触れましたが、産炭地域振興対策につきましては、炭鉱閉山または大幅な減産等によりまして特に疲弊の著しい産炭地域を活性化いたしますために、新たに地元実施いたします大規模民活プロジェクトへの支援を行うということで施策の一層の充実を図ることといたしております。具体的には、産炭地域振興調査委託費約七千万円のうち、特定炭地域拠点開発基礎調査という制度創設いたしますべく五千万円を要求いたしております。さらに、産炭地域振興臨時交付金を三十九億円ほど要求いたしておりますが、そのうち、大規模プロジェクト事業化促進調整額創設に一億五百万円を要求しているところでございます。  いずれにいたしましても、第八次石炭政策趣旨に沿って施策が展開できますよう所要概算要求を行ったところでございます。
  15. 甘粕啓介

    甘粕説明員 私ども労働省といたしましては、石炭産業からの離職者の方々に対しまして、炭鉱離職者臨時措置法及び特定不況業種労働者雇用安定法に基づきまして、生活の安定と就職援助施策推進、それから第二番目に地域雇用開発促進法に基づきます地域雇用機会開発、この二つを大きな柱といたしまして、その再就職に万全を期したいと考えているところでございます。  来年度予算の問題につきましては、私ども、雇用保険会計あるいは一般会計石炭特会、こういう三つの会計別対策充実を図りたいと思っているところでございますが、今述べました施策等につきまして離職者発生状況等に対応した格好での財源の確保、それから特に中身的には、職業訓練が非常に重要でございますので、そういう点の充実を含めまして万全を期したいと考えているところでございます。
  16. 金子原二郎

    金子(原)委員 大規模民活プロジェクト推進していただくことは、著しく疲弊しております産炭地域にとりましては大変明るい知らせでございますので、通産省におかれましても、このプロジェクトが具体化するようにしっかり取り組んでいただきたいと思う次第でございます。  次に、炭鉱閉山に伴う地域対策の問題についてお尋ねしたいと思います。  第八次石炭対策答申が出されました昨年十一月に、私の地元長崎県におきましては三菱高島炭鉱閉山いたしましたが、今後の閉山に伴う地域対策あるいは産炭地域振興の問題を考えます際に、八次策に先駆けて閉山されましたこの高島炭鉱は極めて重要な先例であると考えられます。私も本委員会国政調査委員派遣団の一員として去る六月九日に高島現地を訪ね、閉山後の町の実情をつぶさに視察してまいりました。  私たちが高島を視察しました後も高島町の人口の流出は続いておりまして、八月二十日現在、高島町の人口は二千二百四十人で、閉山時から九カ月で三千二百三十一人も減り、かなり速いピッチで減少しております。また求職者千四百九十一人のうち、内定または決定している人はわずか三百五十四人しかいないと聞いております。地域振興策として、現在までにセメントの二次製品の製造販売会社ヒラメ養殖会社など三社が立地されましたが、どれも人員二、三名の規模であり、即雇用力増につながるとは思えません。さらに、このたびの台風十二号で出荷前の養殖ヒラメが全滅するなどの被害を受けております。また海を渡った長崎市でも、造船不況水産業の不振から新たな雇用力創出期待薄状況でありまして、ひとり県地方公共団体での対応では既に限界に達していると考える次第でございます。  そこで、本委員会調査団に対しましても地元高島町及び町議会から高島振興対策につきましていろいろ御要望がありましたことは国におかれましても御案内のことと思いますが、国におかれましてこれらの要望に対してどのように対処していただけるものでありましょうか、まずお伺いしたいと思います。
  17. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生お話しのように、高島町で出荷寸前ヒラメが全滅したというようなことは非常に残念でございますけれども、私ども、この高島炭鉱閉山に伴う雇用地域対策につきましては、本年一月三十日に地元要望も踏まえまして、産炭地域振興関係省庁等連絡会において取りまとめを行ったところでありますけれども、この取りまとめを行いました対策実施につきましては、今後とも引き続きフォローをしていくことといたしております。  また、高島町からは、振興対策、町の財政対策あるいは炭鉱離職者問題等各般にわたります御要望をいただいております。当省といたしましては、高島町の振興に当たって新しい産業興し、それによる雇用創出、こういうものが特に重要であると考えておりまして、まず地元の発意でいろいろな新しいプロジェクトをつくっていただくことが何よりも大事ではないかというふうに考えております。高島町の要望にございました産業基盤整備あるいは海洋開発関係の御要請その他さまざまな要望につきましても、機会をとらえまして、関係省庁とも連絡をとりつつ可能な限り検討、支援を進めてまいりたいというふうに考えております。
  18. 金子原二郎

    金子(原)委員 特にお願いしたいことは、閉山によりまして不用になりました炭鉱住宅についてでありますが、実は高島町が一島一町一企業の町でありましただけに一般住宅としての転用もできません。また、周囲六・四キロメートルの小さな離島という地理的条件考えますに、今後地域振興策を進める上でも、また防災や防犯の上からも、早急に解体して取り除く必要があります。  現在、建設省所管老朽住宅除却促進事業という制度がございますが、全般的な生活環境の向上を事業目的としています関係から老朽度の判定が大変厳しく、特に高島の場合は鉄筋コンクリートづくりのアパートが多くて塩害などで非常に傷みが進んでおりますが、建築年との関係でこの認定が非常に困難であると考えられます。また、仮に認定されましたとしても、現在、高島除却所要費用の見積もりが約十六億円と言われておりますが、町の負担割合が非常に大きく、約四〇%で六億四千万円の負担と言われております。今の高島町の財政力からしてこれは非常に困難なことであります。  そこで私は、国と石炭企業負担による不用炭鉱住宅除却促進事業のような制度創設されるお考えがないかどうか。その点、大臣に特にお願いをしたいということでお伺いをしたいと思います。
  19. 羽生洋治

    羽生説明員 先生今御質問老朽炭鉱住宅除却促進事業というのは、構造的に老朽度が著しい老朽炭鉱住宅が一定数以上存在する場合に国がその除却費用について補助を行うものでございまして、五十八年度より実施しているところでございます。高島町におきます炭鉱住宅につきましては、木造等老朽度が著しいことが現段階で明確になっておるものにつきましては、今年度既に対象としているところでございます。今御指摘のように、鉄筋コンクリート造炭鉱住宅の場合、外見では老朽度を容易に判定しがたいというような面がございますが、本事業の採択要件は住宅建設後の経過年数というものが基準ではなくて、住宅の老朽の度合いが基準になりますので、地元の詳細な調査等も今後よく伺いながら、県とも協力しながらさらに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  20. 金子原二郎

    金子(原)委員 先ほど私が質問したとおり、建設省の今の制度でありますと企業が二〇%、町の負担が四〇%、国の負担が四〇%ということでございまして、今の町の財政力からいってその負担をすることが非常に難しい。特に、先ほど申しましたように、これを全部除却するとしますと約十六億円かかる。そのうち四〇%ということになりますと約六億四千万円でございます。したがって、特殊地ということで、何か不用炭鉱住宅除却促進事業のような制度を設けるお考えがないかどうか。その点、再度御質問したいと思います。
  21. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 老朽炭鉱住宅炭鉱の今まで持っておりました施設の除去につきましては、基本的には炭鉱自体で処理していただくのが一番いいわけでございますけれども、いろいろ費用がかかるということでございまして、現在の行財政改革下で新しい制度をつくり得るかどうかということにつきましては私も自信がございませんが、ただ、この老朽住宅等の除去につきましては、別の観点からその跡地の再利用といいますか、その跡地を何に利用するかということによりましてまたいろいろ各省庁の制度等も適用になるというようなこともございますので、具体的な実態等について高島町からの御要望があれば、それに即してまたいろいろな検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  22. 金子原二郎

    金子(原)委員 わかりました。  それで、先ほど御説明がありました中で、六十三年度創設予定の大規模プロジェクト事業化促進地域というものがございましたが、この地域高島町を指定されるお考えはないか。よろしくお願いしたいと思いますが、その点どのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
  23. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先ほど御説明を申し上げました昭和六十三年度予算概算要求におきまして要求を行っております産炭地域総合支援事業でございますけれども、これは産炭地域の活性化を図るということのために国あるいは地域振興整備公団等の関係機関が強力な支援体制を組んで、例えば、国際リゾートといったようなものの建設等大規模民活プロジェクト推進しようという考えで現在予算要求をいたしておるわけでございます。  本事業の対象プロジェクトにつきましては、昭和六十三年度予算に計上をさせていただくことがまず先決でございまして、それが認められました段階で速やかに選定作業に着手したいというふうに考えておりますので、その段階で具体的にどこに適用するかというのは決めさしていただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、関係市町村が積極的にこういった大規模プロジェクトの発案あるいは推進に当たられることを期待しておるわけでございます。
  24. 金子原二郎

    金子(原)委員 もし予算実施されるようになりました暁には、高島町についても御配慮のほどをよろしくお願いいたしたい次第でございます。  また、特に高島町というのは離島という特性を生かした観光レジャー地といたしまして、フリーゾーン指定とかカジノなどの設置といった思い切った要望が町当局からなされているわけでございます。またその後、地元では競艇とかオートレースなどの誘致の話が出てきておるというようなことも聞いておるわけでございますが、国におかれましては、今後高島町の振興に関してどのような施策を講ずべきであると考えておるのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
  25. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 高島町の振興考える場合には、当然高島町の置かれました地理的条件というものも十分念頭に置きまして考えていかなければいけないと思うのですけれども、やはり最大の特色は離島ということでございまして、逆に言いますと周囲を海に囲まれておるということで、高島町からもこの間いろいろ御要望をいただきましたけれども、その中に海洋開発ビジョンというのを高島町がおつくりになりまして、海洋資源の活用あるいは各種の観光レジャー施設、スポーツ施設等の誘致が地域振興のために非常に有力な柱になるのだということを御指摘なさっているわけでございます。私どもといたしましても、先生今おっしゃいました例えばオートレースのようなスポーツ施設も含めまして、御指摘の観光あるいはレジャーを通じました高島町の振興につきまして、例えば、産炭地域振興臨時交付金というものを活用しながら積極的に支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 金子原二郎

    金子(原)委員 近いうちに町よりいろいろな話があると思いますので、その節にはよろしく御配慮のほどをお願いしたいと思います。  また、この高島炭鉱閉山に伴う厳しい雇用情勢に対応する離職者対策として、また地域振興対策の一環といたしまして、ナガサキ・テクノポリス開発計画の中心であります佐世保市の内陸部の三川内地区に工業団地を造成することについて国及び地域公団に対しまして要望がなされておるわけでございますが、現在どのような状況になっておるのか、お尋ねしたいと思います。
  27. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 佐世保市の工業団地造成事業につきましては私どももかねがね伺っておりまして、特に地域振興整備公団によりまして工業団地の造成がなされますと、高島炭鉱離職者対策等にも非常に貢献をするのではないかという基本的な認識を持っております。しかしながら、工業団地の造成に当たりましては、私ども、この候補地につきましては国道等にも非常に近いということで良好な地理的条件だと伺っておりますが、なおそういう地理的な条件も含めまして、採算性につきまして事前に十分な調査をするということを建前にいたしておりまして、現在県及び地元の御協力も得まして、地域振興整備公団におきましてこの工業団地の造成に関します各種の調査を行っているところでございます。今後この調査結果を踏まえまして、あるいは本年度末くらいになるかもしれませんけれども、工業団地造成事業の実施の是非について方針を決定したいというふうに考えておるわけでございます。
  28. 金子原二郎

    金子(原)委員 三川内工業団地につきましては、県北地域振興プロジェクトとして地元も非常に熱い期待を持っておりますので、ぜひとも早期着工をしていただくように強く要望しておきたいと思います。  それから、時間がございませんが、最後に、石炭対策のもう一つの重要な柱であります鉱害対策についてお尋ねしたいと思います。  鉱害復旧の十年計画も後半に入りまして、これまでの進捗状況から見まして、鉱害二法の期限内での鉱害復旧の完了見通しはいろいろと考えられるわけでございますが、特に鉱害復旧が六十七年七月で切れるわけでございますね。六十七年の七月に切れるまでの間に期間内に完了することができるのかどうか、その辺の見通しについてまずお尋ねしたいと思います。
  29. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 昭和五十七年度に策定をいたしました鉱害復旧長期計画、これは五十七年から十年間で五千九百億円程度の鉱害復旧を行うという計画になっておりますけれども、その進捗状況につきましては、これまでのところおおむね順調に推移をしているというふうに私どもは認識しております。厳しい財政事情のもとではありますけれども、今後とも必要な予算額は確保いたしまして、昭和六十七年七月の鉱害二法の期限内に復旧を完了させるよう最大の努力を払っていく所存でございます。
  30. 金子原二郎

    金子(原)委員 昭和五十七年の延長時の鉱害復旧事業計画の後で新たに発生した鉱害もかなりあると思うわけです。そういった認定物件などの事業費の見通しも必要かと考えるわけでございますが、政府はどのように対応するのか、最後にこれをお尋ねしたいと思います。
  31. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま鉱害は大分安定化しております。ただ、部分的に浅所陥没等先生御指摘の新たな追加鉱害が起こる可能性もございます。このために、五千九百億円の中にはそういう将来発生するであろう鉱害量についてもある程度積算をしておりますので、私ども、これまで五年間鉱害復旧をやってまいりましたその経験からいきますと、今後の浅所陥没等の新たな発生鉱害に対しては十分対処し得るものというふうに考えております。
  32. 金子原二郎

    金子(原)委員 時間が参りましたので、質問を終わります。
  33. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中沢健次君。
  34. 中沢健次

    ○中沢委員 石炭問題につきましては、私もこの委員会で何回か質問をさせていただいておりますけれども、後ほど具体的に指摘をいたしますが、残念ながら九月九日、私の出身の夕張にあります北炭真谷地炭鉱閉山提案が必至ではないか、こういう状況でございます。北海道あるいは夕張、空知中心の産炭地にとりましてまた大変な問題をクリアしなければいけない、こういう状況でございます。きょうは、傍聴席に真谷地の関係者の皆さんあるいは北海道のそれぞれの関係者の皆さんも多数お見えでございまして、北海道サイドでいいますと大変な社会的な問題にもなっておりますので、マスコミも注目をされております。具体的には後ほどお尋ねをいたしますけれども、通産大臣あるいは労働大臣関係政府委員も決意をしっかり固めていただいて、答弁としては最大限可能な答弁を積極的に出していただきますように。冒頭まずお願いを申し上げたいと思います。  まず第一番目の問題でありますが、八次政策は今日、スタートしてまだ半年程度しかたっておりません。先ほど部長の方から全国的な谷山の縮小あるいは閉山の実態の数字が出されました。部長はあえて高島を除いて百七十五万トンという数字を言われたのでありますが、高島は昨年の十一月閉山、六十一年度のそういう実績を持っているわけでありまして、その分を上積みいたしますと、今日まで既に全国的に三井砂川が閉山、そして谷山の大変な合理化が結果として出て、トータルいたしますと二百十万トンに及んでいる。そして残念ながら真谷地が閉山になりますと、年間生産量は五十四万トンでありますから、トータルをすると第八次の初年度で二百五十万トンを優に超える大型スクラップになってしまう。これが現実の姿ではないか、数字はその事実を立証していると思うのです。そうなりますと、六十二年度の石炭会計では、閉山縮小についてはおよそ二百万トンという予算上あるいは政策上の一つの目安があったのでありますが、今指摘しましたように、真谷地を含めてあえて言えば二百五十万トンを超える。したがって、どう考えましても雪崩的な危険性、縮小の問題でいうと雪崩縮小になっている、こういう現実は否定のしようがないと私は思うのです。そうなってまいりますと、少なくとも六十二年度中にこれから具体的な雪崩縮小的な歯どめをどうかけるか、ここのところがまず緊急の大きな政策的な課題としてあるのではないかと思いますが、そのことにつきまして通産当局の見解をお尋ねいたします。
  35. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、大変厳しい状況にあることは私どもも強く認識をいたしているところでございまして、事態の成り行きを重大な関心を持って見守っているところでございます。雪崩閉山防止というような観点からは、先ほど来御説明申し上げておりますように、国内需要確保あるいは貯炭対策の適切な運用等々の措置を細心の注意を払いながら十分行っていかなければならないと思っているところでございます。なお、予算面の運用につきましては、事態の成り行きを見ながう適切な対応を図っていく必要があるわけでございますけれども、もし仮に不幸にいたしまして予算が不足するというような事態が見込まれますような場合には、財政当局とも十分協議を行いまして、予算の移用あるいは流用等必要な手当てを講ずることもあろうかと思っておるところでございます。  いずれにいたしましても、重大な関心を持ちまして事態の推移を十分見守ってまいりたいと考えております。
  36. 田村元

    田村国務大臣 今長官が申したとおりでございますが、通産省といたしましては、もちろん労働省も同様でございましょうが、雪崩閉山というものに極端に警戒心を持っております。これは御承知のとおりです。そういうときに数字をどういうふうに予測するか。内々での予測はいろいろな角度からできますが、外にその数字を大きく出せば出したで社会不安を引き起こします。また少なければ少ないで現地を悲観的にさせます。そこいらが非常に難しい問題でございまして、やはり生じてくる現実に速やかに対応して救済策を講じていくために、いつでも財政当局と改めて話し合うという準備をしておく、しかし数字としては待ってましたというような数字は出せませんから、その点はどうかひとつ御理解をいただきたいのであります。
  37. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方から極めて政治的な立場での御答弁もございまして、私自身も決して雪崩的な閉山だということを大きく言うことが目的でも何でもない。つまり、そうならないように予算の問題あるいは政策の問題についてしっかりやってもらいたい、こういう意味でありますので、ひとつ今後ともよろしくお願いしたいと思うのです。  次に、二つめの問題でありますが、六十三年度の石炭会計概算要求を既に大蔵省に提出をされている。私も立場上具体的なレクチャーもいただいているのでありますが、その内容について二つほど指摘をしてお答えをいただきたいと思います。  その一つは、今の質問とも関連をするのでありますが、六十三年度概算要求で、六十三年度一年間で引き続き縮小撤退の方向、これは私どもとしては原則的に容認はできないのだけれども、八次政策がスタートをしているという現状においては忍びないと思うのです。問題はその数字なのでありますが、百四十五万トンの縮小撤退の数字になっている。もっと言うと、雑炭を入れると百六十万トンの縮小という予算の編成になっているわけです。そうしますと、先ほど指摘をしたように、結果として六十二年度の目標をはるかにオーバーをするということがはっきりしている段階で六十三年度も引き続きそういう傾向で一つの予算編成、政策目標を持つこと自体、現実問題として問題がある。したがって、この際、六十三年度については概算要求は提起をされましたけれども、今後の問題としてもう少しこの枠についてスローダウンを図るべきではないか、これが質問の第一です。  もう一つは、関連をして貯炭買い上げの問題であります。先ほどの金子委員質問にもお答えがあったのでありますが、既に上半期で三百万トン買い上げをしている。そうすると、六十二年度予算の枠で言うとあと六十万トンしか余裕がない。これはだれが考えましても、六十万トンの余裕ということでは六十二年度買い上げ自身がショートをしてくるのではないか。私も非公式にいろいろお話をさせていただいて、当局の話では、買い上げの最終的な枠については四百二十万トンぐらいという一つの腹は持っている、大蔵とこれから渡り合わなくてはならない、こういう話があったのでありますけれども、ひとつその辺の具体的な内容とそれから貯炭買い上げの見通しについて、本委員会でも通産省として明確にお答えをいただいておきたいと思います。
  38. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま先生御指摘の六十三年度概算要求の前提でございますけれども、これは先生御承知のように、実は六十二年度需給自体がいまだに流動的な面を持っております。といいますのは、鉄鋼を初めといたします需要業界の六十二年度引き取り数量というのが決まったばかりでございますので、六十二年度需給計画自体についてさらに詰めさせていただく必要があるのではないかというふうに考えております。そういう流動的な中で今度はさらにその先の六十三年度予算を要求するということでございまして、先生今おっしゃいました閉山七十万トン、規模縮小七十五万トンという数字は六十三年度概算要求の積算ということで、言葉は悪いのですけれども機械的な想定といいますか、一応の想定であるというふうにお考えいただければいいのではないかと思います。御指摘の減産七十五万トンにつきましては、私ども、各炭鉱が一律に五%程度の減産を行ったということを想定いたしまして五%と置いております。また閉山規模の七十万トンにつきましては、本年度予算上の想定百四十万トンの半分ということで、この面ではスローダウンをした要求にしております。  なお、これらに伴いましていろいろ貯炭が発生をいたします。先ほど申し上げましたように、私ども、本年度需給見通しが最終的にどうなるのか、貯炭がどうなるのかということについては今申し上げる立場にはございませんけれども、一応予算上は先生御指摘の三百六十万トンの貯炭のほかに二割程度の運用枠を持ちまして、四百三十万トン程度の買い上げは可能なように措置をしてございますので、私ども、まあまあこの予算の範囲内で本年度やっていけるのではないかというふうに今のところは想定をいたしております。
  39. 中沢健次

    ○中沢委員 今部長の方から、百四十五万トンの内容についてはやや機械的に想定をして数字をはじき出したということで、立場をかえて言うとわからぬわけじゃないのです。しかし、石炭業界あるいは労使としては、結局百四十五万トンという数字が明らかになった以上、結果的にまたことしも、つまり来年度も山がつぶされ、相当大幅な合理化が通産の方から指導されてくるのではないか、そのように深刻に受けとめているわけです。ですから、数字そのものが既に概算要求段階で公表されておりますから事実上修正をするということまでは私は言いませんが、今部長が答弁されましたように相当弾力的にこれから配慮をするということでありますので、きょうは余り時間がありませんからこれはまた別な機会に議論したいと思いますが、ぜひひとつそういう心構えでやっていただくように特に指摘をしておきたいと思います。  それから三番目の問題ですが、原料炭需給問題は、八月三十一日の部会で原料炭が百二十万トンに最終的に決着を見た。私は正直に言ってほっといたしました。各委員も御案内のように、三百四十万トンの六十年度実績が六十一年度その半分の百七十万トンになる、業界も労使ももう大変犠牲をこうむる、このままの線でいくと、六十二年度も結果的に鉄鋼連盟の力に押されまして百七十万トンの半分くらいになりはしないか、こういう話が巷間伝わっていたわけであります。しかし、そこのところは恐らく通産大臣も相当頑張っていただいて、石炭業界の側に立っていただいて、いろいろな綱引きがあったと思うのでありますけれども百二十万トンということで、まあ、もろ手を挙げては賛成できませんが、私どもとしては一定の評価をしなければいけない。その辺の努力は心から感謝を申し上げます。しかし、それ以降の、原料炭問題で言うと六十三年度以降、つまり、八次政策では最終年度をゼロにするという政策基本があるわけでありまして、仮に六十二年度百二十万トンであっても六十三年度は一体どうなるか、見通しはなかなか大変だと思うのです。そこのところはひとつ大臣に今の段階からお願いをしたいと思うのでありますが、原料炭問題につきましても本年度決着と同じような政治的なスタンスを持っていただいて、最終的にゼロということについては現実問題やむを得ないにしても、そこにいくまで本当に緩やかに、できるだけスローダウン、スローペースでやっていただきますように、この機会大臣にもお願いをしておきたいと思います。
  40. 田村元

    田村国務大臣 いつも申し上げておりますように、こういう問題につきましては、もちろん相手の立場、内容等考えなければなりませんが、いかにして炭鉱で働く人々を救済するかということを考え、それを第一義的にとらまえて交渉すべきものと思います。でございますから、今御意見がありましたが、御質問をもって答弁とするのもおかしいのですけれども、私も全く同感でありまして、全力を挙げたいと思います。
  41. 中沢健次

    ○中沢委員 ひとつ、今後ともよろしくお願いをしたいと思います。  次の問題は三井砂川の閉山後の対策問題でありますが、先ほど来報告もありましたように、残念ながら七月十四日をもって閉山決定、労働組合の立場でいうと今月の十三日に組合の解散式をやる、山も閉山式をやる、こういう日程に既になっております。  そこで、労働省の方には後ほどまとめてお尋ねをいたしますが、通産省にお尋ねをしたいと思うのであります。この土砂川町、つまり三井砂川の炭鉱を抱えていた土砂川町地域振興対策について、確かに今日まで各省庁の連絡会議というのを四回ほど開催された。私の経験でいえば極めて異例であって、通産省を中心にして、産炭地対策あるいは雇用対策について非常に熱心に北海道や地元の町長を呼んでいろいろ意見交換をして、そして八月三十一日の四回目にいろいろ話を聞いたのでありますけれども、補正予算絡みの問題あるいは来年度予算要求絡みの問題等々を含めて、時間がありませんから各論にわたりませんが、内容的には、地元要望も受けて相当具体的に政策的な課題の解決が進んでいる、このようにも聞いております。しかし、まだ依然として大変な問題を含めてたくさん課題が残っておりますので、これは引き続き通産当局を中心にして頑張ってもらいたいと思うのです。  それで、一つだけ質問をしたいと思うのでありますが、直接石炭部の担当ではないのでありますけれども、通産省の工業技術院担当の産炭地振興事業絡みの問題であります。  新聞報道等若干の情報しか持っておりませんが、あそこの炭鉱は立て坑を残して、三井グループ企業がその立て坑利用のいろいろなノーハウを開発する、こういう計画を既に持っていらっしゃる。最近の新聞報道によりますと、通産省サイドとしては、そのことに関連してあそこに無重力実験あるいは無重力の試験場というのを国の試験研究機関としてやるか、あるいは関連の事業団に出資して民間活力を含めてやるかまだ構想が決まっていないようでありますけれども、しかし六十三年度概算要求に、伝えられる数字でいうと三十億円程度これに関連して予算要求もされている。私どもはかねてから、産炭地の後対策として、企業の大量進出あるいは政府のいろいろな出先機関を現地に配置されるようにということを機会のあるたびに言ってまいりましたけれども、なかなか実現をしていない。しかし今日、今言うような構想が練られて大変結構なことだと思うのでありますが、その中身あるいは見通し等につきまして簡単にお答えをいただきたいと思います。
  42. 飯塚幸三

    ○飯塚政府委員 昨今の科学技術は高度化かつ融合化が著しく進んでおりまして、新しい技術開発のために大型の設備あるいは特殊な設備が必要になる場合が多くなっております。しかし、そのような大型の設備あるいは特殊な設備と申しますものは、個々の研究場所が独自に持っておりますよりは同じ分野の研究所が共同して活用するということが適切な場合が非常に多うございます。そのため、通商産業省といたしましては、そのような研究施設を産業構造が知識集約化する中で新たな技術開発のための社会資本の一つであるというふうにとらえまして、日本電信電話株式会社の株式売却益を活用して整備をしていくことを昭和六十三年度予算要求の中に含めておるわけでございます。御指摘の炭坑を利用した無重力実験装置につきましても、そのような事業対象の候補の一つとして現在検討を加えているものでございまして、その採算性あるいはプロジェクトの可能性というものを検討中のところでございます。
  43. 中沢健次

    ○中沢委員 現状においては、所管の責任者としてはそういう御答弁だと思うのでありますけれども、産炭地に関係する者といたしましては大変な期待を持っている、このことをしっかり受けとめていただいて、これからもぜひ全力を挙げて頑張っていただきたいと思います。  さて、今度は問題を北炭の真谷地炭鉱閉山が必至であるということを前提にして、通産大臣労働大臣あるいは担当の政府委員の方から答弁をいただきたいと思うのであります。  当委員会としては、竹内委員長を団長といたしました北海道調査団を六月に派遣いたしまして、私ももちろん行ってまいりましたが、あのとき夕張にも入りまして、真谷地の会社の幹部あるいは組合の皆さん、市長以下関係者から、閉山に恐れおののいている状況を踏まえてつぶさに率直な意見を聞いて帰ってまいりました。実は残念ながら、今月の五日に会社側から組合側に、九月九日に特別労使協議会を開いて事実上の真谷地の閉山提案をしたい、こういう文書による連絡がございまして、九月九日ということになってまいりますと明後日であります。私どもは、もちろん第八次の石炭政策基本的に縮小撤退であるということで反対をする、それに関連いたしまして閉山という事態については容認はできない、そういう立場は不変であります。しかし、また現実問題として、九月九日に閉山提案がされるという現実については軽視するわけにいかぬ、無視するわけにいかぬ、このように受けとめざるを得ないわけであります。  実は社会党として五日に対馬参議院議員を団長にいたしまして、中西先輩にも御同行いただいて急遽現地に行ってまいりました。会社グループ、労働組合グループあるいは市民グループの三グループに分けまして率直な意見を聞きました。普通の陳情、要請と違いまして、延べにして三百人ぐらいの関係者に私ども会っていただいて、つぶさにいろいろな実情の説明があったわけであります。  実は、私はこの五日に行った際に、団長の対馬さんと一緒にあえて真谷地の墓地にお参りに行きました。通産大臣も御承知のように、残念ながら退職者会の加藤事務局長が閉山に関連する労務債の問題をめぐって自殺されるという非常に痛ましい事態が発生いたしました。先月の二十一日、私のところにもお見えになりました。突然自殺をされた。私も正直に言ってびっくりいたしました。具体的にはまだ閉山提案がされていないそれ以前に、退職者会の責任者の一人としてこの問題に相当思い悩んでみずからの命を絶った。それだけに本当に悲惨な事態だと私は思うのです。墓前に立ちまして万感胸に迫ったわけでありますけれども、前後いたしまして大臣には二十七日でしたか、緊急申し入れに行きまして、加藤さんが自殺をされた。確かに労務債問題でいいますと労使問題だ、これは当たり前の話だと思うのです。労務債を返済するのは会社の責任だ、したがって労使問題だ、これは当たり前の話でありますけれども、しばしば私も大臣と会って、この委員会でも何回か質問をしてお答えをいただいた。私が言うには、労使問題を完全に越えて社会問題であり、しかも人道問題であり、そして政治問題だ。大臣も恐らくそういう見解を今日でもお持ちだと思うのであります。あのとき大臣は加藤さんの自殺につきまして、大変悲惨なことである、人間が自分で自分の命をはっきり言いまして自殺に追い込むということは並み大抵な話ではない、こういう悲惨なことは二度と繰り返してはならない、通産大臣としてとにかく労務債の問題処理について全力を挙げる。これは私だけじゃなくてエネ庁の長官や石炭部長も含めて同席されておりましたけれども、官僚の責任者にこの問題の解決について全力を挙げるようにという指示も改めてされた、こういう話がございました。  そこで大臣、ああいう緊急申し入れの際はごく少人数でありまして、関係者にしか事実問題は余りよく知られておりません。あえて私がこの委員会でそういう話をするのは、この委員会におきまして通産大臣として私どもにお話をされました。つまり、真谷地の閉山に関連をして労務債の処理について言うと、大臣として最大限の努力をする、参議院の場合は、超法規的に、こういう話もないわけではございません。そういう大臣としての政治決断、政治力に私は一二〇%期待をいたしまして、大臣のこの問題についての基本的な所見を改めてお尋ねをしたいと思います。
  44. 田村元

    田村国務大臣 加藤さんのことはまことに胸痛む思いであります。さきの高島炭鉱の件といい、しかも私がお目にかかったことのある方々であるだけに、何ともやるせない気持ちでいっぱいであります。心から御冥福を祈り上げますとともに、その死をむだにしないように頑張る所存でございます。  それで、九日というお話がありましたが、まだ合意に達していないと伺っておりますから、九日にあるかどうか確定的にまだ私は承っておりません。北炭真谷地炭鉱、それから親会社の北海道炭礦汽船、極めて逼迫した資金事情のもとで真谷地炭鉱の今後の経営のあり方について検討を行っておると聞いておりますが、具体的な結論を得るに至っていないという報告を受けております。通産省としましては重大な関心を持って経営動向を注視しているところでございますけれども、労使間の十分な話し合いによって結論が見出されるべきものと基本的には考えております。  それから、これまでに発生した退職金が多額の未払いの状況にあるということを承って大変遺憾な出来事であると認識しておりまして、親会社それからグループ企業挙げての自己努力によりましてこの問題の解決が図られますよう、労働省と提携をとりつつ会社側を強力に指導してまいる所存でございます。  実は、先般いらっしゃった後で、私は自分で道庁へ電話をいたしました。私がお電話申し上げました中身は、一言にして要約すれば、政府としても考えられる限りの強力な指導をやるつもりだが、また同時に一生懸命に努力をするつもりであるが、道庁におかれても可能な限りの御支援を賜りたい、努力と知恵を出していただきたい、こういうことを私からお願いをいたしました。横路知事はたしか外遊か何かでお留守でございましたが、担当の副知事さんに私からそのことをよくお願いを申し上げた。国務大臣が地方の県に自分で電話をするということは異例かもしれませんけれども、背に腹はかえられませんし、とにかく助けたい、助けたいの一念で電話をいたしました。後刻道庁から返事がありまして、自分たちとしても、つまり道庁としてもでき得る限りの御努力をお約束をいたします、こういうことであったことをつけ加えておきたいと思います。
  45. 中沢健次

    ○中沢委員 今大臣の方から、特に横路知事を中心にして大変水面下といいましょうか、大臣の立場で、余り今まで前例のないことも含めて道に対しても協力要請された。裏返しをすると、それだけ通産大臣として国の責任を痛感されている具体的なあらわれではないかと私は思う。今後ひとつ大臣全力を挙げてお願いしたいと思います。  あと、これに関連をして、これは政府委員の方からの答弁で結構でありますが、具体的にお尋ねをしたいと思うのであります。  この閉山問題をめぐりましてマスコミ関係からいろいろ報道がされておりまして、そのたびに現地が大混乱をしているという事実も無視できません。私ども五日に調査に行ってまいりましたときに実はこういう言い方をしております。真谷地炭鉱はいろいろな負債がありますけれども、仮に最悪の事態の閉山ということになってくると、小口の債権者に対する支払い、小さな借金を踏み倒すなんということは社会的にも通用しない、これは当たり前の話だ。そして働いた人の退職金の未払い二十三億も完全に完済をする、これも当たり前の話だ。閉山時に発生するいわゆる新労務債、これについても人によってはいろいろな見方がありますよ。ありますけれども、ここのところの一つのラインぐらいは最低完全に責任を持つ、これは当たり前だ。そういうものを積み上げると、閉山のどうしても最低必要な経費とでもいいましょうか、約九十億の資金が必要だ。問題はこの九十億の資金について、国の閉山交付金あるいはさまざまな国の制度上の援助、そして最大限ぎりぎりの援助を含めてどうなのか。もちろん本体は労使問題という関係がありますから、北炭は本社を含めて北炭の企業グループでいわゆる企業努力を相当やってもらわなければならない。それから道絡みでいいますと、電源補償費という九億円の問題があります。皆さん御承知だと思うので改めて言いません。あるいは閉山時の貯炭買い上げの問題、閉山後も露天坑は残す、こういうことでありますから、これも財源的にそれなりの見通しは立つ。しかしいろいろそろばんをはじいても、今のところ九十億のめどは少なくとも私のそろばんではまだ出てこない。通産当局も恐らくそうだと思うのです。  きょうひとつお答えをいただきたいのは、私が指摘をいたしました閉山に伴う必要最低限度の内容について、九十億という試算について通産当局としてはどういう判断をお持ちか、これが一つ。もう一つは、財源捻出についてこれからまだいろいろ努力をしなければいけませんけれども、通産当局としての、少なくとも官僚の責任者としての腹づもり、めどについて、きょうお答えできる内容で結構でありますからお答えをいただきたいと思います。
  46. 浜岡平一

    浜岡政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおり、あの不幸な事態を踏まえまして、まさに粛然とした気持ちで問題に取り組んでいかなければならないというぐあいに思っております。  ただいま先生から御指摘のございましたもろもろの動きあるいは数字につきましては、私どももそれぞれ思い当たるところはあるわけでございます。最終的な所要額につきましてはなお当事者間の数字の詰めが必要かと思いますけれども、多分御指摘の数字とそう大きく違ったものではないのではないかというような感じも持っているわけでございます。もちろん、第一次的には当事者間の問題でございますので、私どもが細部に立ち入って云々するのはいかがかと思っているわけでございますけれども、事態の円満な解決のためには、私どもの方に用意されております諸制度、諸施策を円滑に運用いたしますと同時に、親会社あるいはグループ企業の社会的責任というような観点に立ちまして、この債務処理の問題が円滑に行われますよう可能な限りの強力な指導をしていかなければならないと考えているところでございます。
  47. 中沢健次

    ○中沢委員 もう一つ真谷地関連で質問をいたしますが、実は三菱高島にいたしましても三井砂川にいたしましても、もちろん会社の企業責任をぎりぎり追及した結果、自治体に対しまして、いろいろな形はありましたけれども、十億円の産炭地振興基金の財政的な協力が結果として出たわけです。私も夕張の出身でありまして、市長や知事ともいろいろ話をしているのでありますけれども、それと同じように最悪の事態になったら、北炭本社に夕張の産炭地振興ということで十億円くらい何とかならないかと話は持っていきたいとは市長も言っています。しかし、現実問題としてだれが考えてもそれは不可能な話であって、そうなると、この十億円を通産なり政府のいろいろな直接の資金援助をすれという意味では決してないのですけれども、今日いろいろな制度が出ている、改めてNTTの無利子貸し付けの制度もできている。そういう内容を含めてこれから先恐らく真谷地問題に関連して各省庁の連絡会議が持たれると思うのでありますけれども、そういうことも一つ念頭に置きまして、閉山予定の夕張市に対して産炭地の振興策、とりわけ今言った問題と、六十三年度予算要求絡みでの具体的な考え方があれば改めて聞いておきたいと思います。
  48. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 真谷地問題については別といたしまして、いずれにいたしましても、夕張市の産炭地域振興につきましては非常に大切であると私どもも考えております。特に夕張市におきましては、かねてから夕張メロンでありますとかあるいは歴史村でありますとか、いろいろなアイデアをお出しになりましていろいろなプロジェクトが実現されているということでございます。また、近く民活プロジェクトを含めまして開発計画をいろいろな角度から検討しておられるというふうに伺っておるわけでございます。一方、私ども、先ほど来申し上げておりますように六十三年度におきましては、産炭地対策充実したいということで産炭地域総合支援事業のようなものを行いまして、プロジェクトシーズの発掘から事業化あるいは事業資金の確保、関連開発確保等まで幅広く一つの産炭地政策としてとらまえていこう、こういうような予算要求も行っておりまして、いずれにいたしましても、地元からのいろいろな開発プロジェクトの成案が出てまいりました段階で十分検討させていただきたいというふうに考えております。
  49. 中沢健次

    ○中沢委員 時間がありませんので、それでは次に、北海道開発庁お見えでございますので、産炭地振興と公共事業の関連について少し具体的にお尋ねをしたいと思うのです。  例えば、土砂川の町長と私も一緒にしばしば北海道開発庁にお訪ねをいたしまして、具体的な公共事業の問題について要請をしてまいりました。閉山関係なしに、夕張についてもあるいは他の産炭地についても、同じような行動を私なりに関係市町村長とやってきたつもりでございます。そこで、土砂川関係については、先ほど言いましたように各省庁の連絡会議で公共事業についても大分具体的な結論が出ている。しかしまだ課題が残る。問題は、夕張を中心に考えますと、やはり相当重点的に公共事業を配分していただかぬとまずいのではないか。といいますのは、労働省にも関連をするのですが、これは後で質問しますけれども、真谷地だけで下請を含めて優に一千三百人の離職者になりそうなんですよ。今直ちに地元雇用機会があるかというとなかなかない、どうしても公共事業を緊急的に持っていってそこで何年間か雇用の場をキープしなければならぬ、こういう問題があると思うのです。  具体的にお尋ねをしたいのでありますが、例えば夕張の公共事業関連でいいますと、少し規模の大きな話でいうと道路で芦別夕張線、これは近々に開通式も行われる。あるいは大夕張ダムのかさ上げ問題も予定がされる。千歳−夕張間の高速道路も既に整備計画の中に入っている。しかし、こういうものは二年後、三年後の計画でありまして、黙っていたのでは今の離職者対策との絡みでいうとなかなか効果が上がらぬ、こういうことが懸念されるわけです。ですから、私としてはこの際、そういうこととも関連をして前倒し、重点配分、このことにつきまして北海道開発庁としての基本的な具体的な見解をお尋ねしておきたいと思います。
  50. 大串国弘

    ○大串政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、公共事業というのは地域経済の活性化の推進地域の将来の発展に不可欠なものであると同時に、当面の地域雇用対策に重要な役割を果たすものだというふうな認識をしておるところでございます。そういう観点から北海道開発庁におきましては、産炭地域についての公共事業の重点配分を、これは関係省庁とも関係ございますので、連絡をとり合いながら重点的に傾斜配分をしてまいりたいと考えております。特に、夕張地域につきましては二百七十四号線について、これは物理的にそんなに一時的に金をつぎ込むということはできないところでございますけれども、これも促進してまいりたい。さらに夕張厚真線という開発道路等もございます。これも調査にかかった段階でございましてすぐには促進はできないかもしれませんけれども、先行的にやらせていただきたい。特に夕張ダムにつきましては、若干技術的な問題もございましてすぐというわけではございませんが、調査促進に努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
  51. 中沢健次

    ○中沢委員 どうもわざわざ石特までお越しをいただきましてありがとうございました。  もう時間がありませんので、最後に、労働大臣以下労働省の皆さんにお尋ねをしたいと思うのであります。  先ほど労働大臣から、ごあいさつあるいは決意を含めてお話がございました。今申し上げましたように真谷地が閉山になると、下請の約三百を含めて一千三百という大量の離職者の発生になる。そうでなくても空知の産炭地が集中的に離職者が発生して、今のところまだ就職相談、部分的に職業訓練の準備という状況でありますけれども、時間を追って大変な問題になってくると思うのです。具体的に言いますと、例えば、三井砂川の場合は千四十人の雇用対策の必要な離職者が出ているわけでありまして、企業努力によって二百七十人の地元就職機会確保をする、また土砂川町長の努力によって地元雇用が二百人ぐらい何とかめどがついたけれども、あわせてまだ五百人がなっていない。私どもの調査によると地元就職をしたいという人は離職者のおよそ八割ぐらいで、これは現実のギャップは非常に大きいわけです。真谷地の問題はそれに輪をかけまして、もちろんまだ閉山提案はされていない段階なのでありますけれども、千三百人の雇用問題についてほとんどプランがつくられていない。企業責任もやろうとしてもなかなか難しい、地元の夕張でもそうおいそれと雇用機会をつくるということは難しい、こういう問題もあります。大臣もその辺の実態は十二分に御承知でありますけれども、そういう実態を踏まえて、大臣としての基本的な所信をぜひ伺いたい。  それからもう一つ、時間がありませんから、政府委員の方から具体的にお答えをいただきたいのでありますが、緑の手帳に関連をいたしまして、三井グループ、北炭グループ、場合によっては系列会社も離職者を発生しかねないという状況です。しかし、今の制度からいうと、マル炭手帳の三年間は御案内のような対象者、緑の手帳もそういう対象者です。しかも、一年間の就職促進手当というのは炭鉱関連についての上積みなわけです。しかし系列会社というのは、石炭に余り関係のない系列会社でも場合によっては部分的に離職者を発生しかねない、こういう状況でありまして、この辺を制度制度として、ひとつ労働省サイドで弾力的にいろいろ知恵を絞ってやっていただきたい。具体的な会社の名前を挙げるなんということになると支障がありますので申し上げませんが、関連会社ということではそういう危険性を抱えているのは事実でありますので、そのことを踏まえて、もしきょうお答えいただけるのであればひとつ政府委員の方からもお答えをいただきたい、このように考えます。
  52. 平井卓志

    平井国務大臣 お答えいたします。  御案内のように、今年度に入りましてから三井砂川の閉山を初めとして、石炭各社合理化計画実施に伴いまして、現在約四千三百人の離職者が発生いたしておるわけでございます。これら離職者の方々を取り巻く環境は、これも率直に申し上げまして雇用情勢全般が非常に厳しい上に加えまして、炭鉱の所在するこの地域は長年にわたって専ら炭鉱のみに依存をしておったという地域が多いわけですから、これは非常に厳しいものがある。そのような意味では深刻に受けとめておるわけでございます。労働省としましては、雇用対策にできる限りの万全の策を講じなければならぬということでございまして、先生今お触れになりましたような手帳制度の活用によって、生活の安定と再就職援助施策実施ということをやっておるわけでございます。さらに、御案内のような現地での臨時職業相談所の設置とか機動的な職業訓練等を実施いたしております。  地域雇用開発等促進法、これも御案内のとおりでございまして、これに基づく地域における雇用機会開発等全力を挙げてまいる。また予算面におきましても、本年度当初予算に比べて二十五億円の増を要求いたしておるわけでございます。  また、これは政府委員の方にお尋ねかと思いましたけれども、特定不況業種離職者求職手帳でございますが、これは緑の手帳と言われております、これは御案内ども思いますが、昨年十二月に特定不況業種関連下請事業主に関して、親事業主への依存度にかかわる認定要件を三分の二から三分の一に緩和したところでございまして、これに該当する関連下請事業主からの離職者につきましては、特定不況業種離職者求職手帳の発給等を通じて再就職促進に努めておるところでございまして、それの運用については特に機動的、弾力的にということで各安定所に申しておるところでございます。  今後とも雇用失業情勢の推移を十分に見守りまして、下請からの離職者を含め、石炭鉱業等不況業種の関係労働者の雇用の安定のためには、適切、機動的、かつ弾力的に全力を挙げてやらなければならぬ、かように考えております。
  53. 中沢健次

    ○中沢委員 時間が参りました。終わります。ありがとうございました。
  54. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中西績介君。
  55. 中西績介

    ○中西(績)委員 高島から始まりまして、第八次政策推進によってその後三井砂川あるいは芦別、三池、三菱南大夕張など、挙げていきますとたくさんの炭鉱におきまして合理化が進められてまいりました。労働省の資料によりますと四千三百人を超える数になっておると言われております。今問題になりました真谷地まで含めると五千五百をはるかに超える数になる。ということになってまいりますと、この数については私たち雪崩現象としてとらえなくてはならぬのではないか、こう考えております。この点、労働省はどのように把握をしておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  56. 平井卓志

    平井国務大臣 先ほど来お話が出ておるわけでございますが、第八次の石炭政策は、生産規模段階的に縮小しましておおむね一千万トンとすることといたしておるわけでございます。今後とも閉山合理化が行われまして離職者が発生することはまことに残念でございますが、避けられないと考えておるわけでございます。これに際しまして、特に地域経済雇用に及ぼす影響を極力緩和していくことが私はぜひとも必要だと認識いたしております。労働省としましては、御承知のような雇調金制度の活用、まず一番これによってでき得る限り失業の予防に努める。同時にまた、閉山合理化により離職者が発生いたします場合には、石炭業に対する再就職援助の努力の強力な指導、また、各般施策推進によって再就職促進全力を挙げて取り組まなければならぬというふうに考えております。
  57. 中西績介

    ○中西(績)委員 今出ておる数を全体の数に比較してみますと、確かに案分していけば一定のストップの状況だというような認識なり、あとの対策をある程度加えていけばこれが維持できるというような考え方でおるだろうと思いますけれども、すべての基礎的な数があって、その上で今度は生産を継続していくということになれば、この数は、むしろ基礎的なものを含めて考えてまいりますと、雪崩の現象がこの中に明らかに出ておるとしか言いようがないのではないかと私は考えています。  したがって、通産省にお伺いいたしますけれども、この第八次政策によって私たちが一番危惧したのは雪崩の現象です。ところが、先ほどからの論議を聞いておりますと、新共同石炭の貯炭買い取りあるいは基準炭価あるいは国内炭引き取り量、こうした決定によって一応雪崩現象をとめることができたというような感じで私は答弁を聞いておりましたけれども、本当に真谷地の問題等を含めて、この緩やかな減少という当初から言われておったものを維持できるだろうかということを大変危惧しておるわけであります。この点、どのような見通しに立っておられるのか、お答えいただければと思います。
  58. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 現在の各炭鉱の生産縮小あるいは人員の縮小の問題でございますけれども、私ども当初、雪崩にならないようにということで、第八次政策をつくりましたときに審議会でいろいろ御検討をしていただきました内容につきましては、例えば鉄鋼原料炭が急速に、当初鉄鋼業界が言っておりましたようにもうほとんどゼロになるというような状態でありますと一挙に七、八山が雪崩的に閉山をする、そういう状態になっては大変であるということで審議会の方でもいろいろ御検討いただきまして、千七百万トンの需要規模を最終年度に一千万トンにするというペースでの縮小過程というものを想定していただいたと考えております。  したがって、雪崩であるかどうかというのはいろいろ御議論があろうかと思いますが、私ども、仮に千七百万トンを一千万トンに縮減するということを想定いたしますと、四年間でございますので大体年間二百万トン程度、あるいはそれに見合う人員の縮小というのはある程度あり得る姿ではないか。しかし、それ以上といいますか、冒頭申し上げましたように、数多くの炭鉱が連鎖的に雪崩的に閉山するような状況はぜひとも避けたいというのが御答申趣旨であろうかというふうに理解をいたしておりまして、いずれにいたしましても、この第八次策の方向に沿いまして適正な生産規模確保段階的にやっていくということが大切であろう、それに際します地域開発等について万全の施策を講じていくことが大切ではないかと考えておるわけでございます。
  59. 中西績介

    ○中西(績)委員 問題は、先ほども同僚の中沢委員の方から指摘がありましたけれども、北炭真谷地問題のうまい解決ができなければ北炭三山全体の問題に拡大する可能性があるわけですね。そうなってまいりますと、今お答えいただいたように、全体的な雪崩現象というのがこれを引き金として出てくる可能性だってあるわけですね。こうした問題等について一定の解決策なり、これからこれの歯どめをするためにどのような対策を持っておられるのか、この辺をやはり明らかにしておく必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。
  60. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 北炭問題につきましては、いろいろ御指摘もございますように、真谷地炭鉱を中心にいたしまして非常に資金事情が逼迫しておることは事実でございます。私ども、真谷地炭鉱を含めまして、北炭各社の合理化計画につきまして最終的な成案を早急に得るように北炭の方を現在指導しておるところでございまして、真谷地炭鉱対策、未払い労務債の問題等も含めまして、指導につきまして各般努力を続けているということでございます。北炭全体の合理化計画につきましては、そういったことでまだ最終的に会社から出てまいりませんけれども、私どもは八次策の答申の御趣旨に沿って、この北炭の合理化計画も相応の指導をしてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  61. 中西績介

    ○中西(績)委員 大臣、もう時間がありませんから答弁は要りませんけれども、こうした全体的な動きというのは、私たちが危惧する雪崩の現象にならないという最終的な見通しと、そうした政策をこれからどうするかということを継続して考えていかない限り、これは一つ間違えると雪崩現象に直接つながっていくことにもなるわけです。またそのことが雇用とのかかわりの中で大変な内容を持っておるわけでありますから、ぜひこの点は、先ほどお答えいただきましたようなことを含んで十分対応していただきたいと思います。  時間がございませんから、産炭地問題で一つだけ大臣にお答えいただきたいと思います。  五月二十五日の本委員会で、産炭地振興対策の中で大臣は、特に筑豊に隣接する北九州の景気を回復することが筑豊を救済する対策である、内需拡大策を北九州に持ち込むことで体質改善し効果あるようにしたいということをお答えいただきました。まだ期間が余りたっていませんから、十分な時間的余裕がなかったためにどうであろうかと思いますけれども、何らかの政策的なもので具体的に提示いただけるものがあったかどうか、この点どうでしょう。
  62. 田村元

    田村国務大臣 我が国の経済は、確かに景気は回復基調にございます。しかし、その足取りはまだ緩やかでございまして、雇用地域経済等の面では依然として厳しい状況も残されております。当面、先般決定されました緊急経済対策を着実に実行することによって、内需を中心とした景気の積極的拡大を図っていくことが重要であると認識しております。  申すまでもなく、内需の拡大といいますのは需要のバランスを変えることでございますから、つまり、日本や西ドイツにおいては供給に対して需要が冷え込んでおるから内需の拡大が必要であり、アメリカにおいては需要に対して供給が冷え込んでおるからああいう景気状況になります。でございますから、我々としては、内需を拡大することによって供給を活発にせしめる必要があろうと思います。  通産省としましては、今後とも地域の活性化、また創造的飛躍を目指した技術開発推進、それから内需型産業のニューフロンティアの拡大、また内外環境の変化に対応した中小企業施策の展開というものを広く手がけて、持続的に内需拡大を図りながら内需主導型の高めの経済成長を図っていかなければなりません。しからばどのように内需拡大とジョイントしていくか、あるいは内需拡大を刺激していくか。これは、各地域地域の自治体を中心として、産業界あるいは労働界、皆様方が協議されてよき政策をお出しになる、それに対して政府が可能な限りの御協力をする、つまり、金融機関も含めて政府並びに政府関係機関が可能な限りの御協力を申し上げていくということが必要であろうと思います。  いずれにいたしましても、特定地域指定その他いろいろな施策を講じましたが、まだそれほど日がたっておりませんから、今それに対して我々が胸を張ってどうこうと言うわけにはまいりませんが、景気にたとえ緩やかな足取りであっても着実に回復基調が見られるという点で、先般来の緊急経済対策あるいは我々がとりました産業政策は成功しておるのではなかろうかというふうに考えております。
  63. 中西績介

    ○中西(績)委員 いずれにしましても、北九州などにおける求人倍率などを見ましてもまだまだ十分な状況が見えておりません。したがって、今言われた事柄についても十分理解はいたしますけれども、今後そうした問題についてさらに推進をしていただければと思います。  労働大臣にお聞きをしようと思っておりましたけれども、時間が参りましたので、希望を一言だけ申し上げておきたいと思います。  それは高島離職者対策であります。これは第八次政策の中における一つのモデルとして大変重要だということを私たちは認識をし、何回となく問題視してきたわけであります。ところが高島における状況というのは、三井砂川の状況と比較しますとまだまだ企業側の責任が不十分ではないかということをいただいた資料だけから推察しますと私は感じ取れるわけであります。したがって、こうした問題につきましては、今後ともある問題でありますから、ぜひ企業責任という点をやはり重視していただいて、そこでどれだけ確保できるかということを一つの目安にして八次政策の中においてこれをまた生かしていただきたいということを強く要望いたしまして、時間が参りましたので終わります。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  64. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、藤原房雄君。
  65. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 同僚委員からお話がございましたように、八次策以後まだ日は数カ月でございますが、非常にいろいろな問題が山積をいたしております。それらの問題について順次御質問を申し上げたいと思います。  通産省また労働省、それぞれ大臣にきょうは御出席を賜りまして、また、各省庁間の連絡会議等で積極的なお取り組みをいただき、それなりの施策を進めていらっしゃる現状については敬意を表する次第でありますが、何せ短期間の中に、そして石炭産業しかないという地域閉山または合理化という産炭地の現状は非常に厳しいものがある。こういうことから、各省庁連携をとりながらさらにまた強力な推進をお願いしたいと思うのであります。  最初に、エネルギー全般の問題としまして、通産大臣もいらっしゃることでございますのでお聞きをしておきたいと思うのでありますが、最近、ペルシャ湾におきまして我が国のタンカーが被弾をしたという状況の中で、何そうかちょっと航行を見合わせようじゃないかという業界でのお話もあったようでございます。現在、ホルムズ海峡を渡って日本の国へ石油を持ってまいりますのがおよそ六割ぐらいの量であろうと言われておるわけでございますが、ペルシャ湾でこういう事実があるということだけではなくして、これは日本のエネルギー情勢にも非常に大きな関心を持たなければならない問題であろうと思います。当面すぐに何があるということではないかもしれませんが、この行く末というものは。そういうことで、通産当局といたしましてはこの状況についてどのように分析をし、お考えをお持ちになっていらっしゃるのか、まずその点についてお伺いをしておきたいと思います。
  66. 田村元

    田村国務大臣 ペルシャ湾情勢の緊迫化によりまして石油の安定供給に不安が生じていると思うがどうかというお尋ねについてちょっと申し上げますと、御指摘のように、最近、日本関係のタンカーの被弾、それも相次ぐ被弾事件も含めましてペルシャ湾の情勢が緊迫の度合いを強めてきていることは事実でございます。石油供給のホルムズ依存度が高い我が国でございますから、その動向について当然重大な関心を持って見守っているところでございます。  現在の国際石油情勢を眺めてみますと、OPEC諸国の最近の増産によりまして供給過剰となっていると言われております。つまり、在庫増になっていると言われております。また、湾岸以外のOPEC諸国、また非OPEC諸国にも供給余力があることなどから、引き続き情勢を注視する必要がございますけれども、直ちに石油供給上の問題を惹起することはないと考えております。  それから、例の七月三十一日に起こりましたメッカ事件でございますが、あの後に石油価格動向は非常に急騰を見せましたけれども、その後OPECなどの過剰生産、例えて申しますならば、八月は千九百七十万バレル・パー・デー前後と生産上限を約三百万バレル程度上回っているとの情報もございますが、そういう過剰生産による供給過剰感も出てきたこともございまして、市況はやや軟化の兆しを見せております。また、我が国の主要輸入原油であります中東原油のスポット価格も、固定価格を下回るケースが多くなってまいりました。これも、例えて申しますならばドバイの原油は固定価格がバレル十七・四二ドルでございますが、九月四日には十七ドル十八セントというふうに固定価格を下回っております。  今後の価格動向につきましては、OPECの今後の生産動向や固定価格遵守状況、それからペルシャ湾状況、また今後の需要動向等のさまざまな不透明要因がございまして、現時点では確固たる見通しを述べることは困難であろうと思います。当面は、現在の過剰生産状況を是正すべく、何かOPECの二つの委員会が九月十日に開催されるそうでございますが、その検討状況を注目いたしたいと思っております。
  67. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 長期的な見方、短期的な見方、いろいろな角度から大臣からも今お話がございました。確かに石油情勢というのは、需給の緩和、また円高の進行という状況の中で大幅な値下がりといいますか、最近も需給動向は緩和基調にあるということでありますが、それに伴いまして石油関税という問題でございます。従価税であります石油関税、これが石油消費の伸び悩みということで原重油関税に影響が出てまいりますと、石炭勘定は原重油関税に依存しておるわけでありますから、八次策の遂行、今もいろいろな施策を進めなければならない課題は山積いたしておりまして、またこの八次策を推進するに当たりましても当然膨大な財源を必要とするだろうと思いますが、財源問題、これらのことについては概算要求等、明年度いろいろ施策をなさっておりますけれども、現在の石油の緩和基調の中で通産省ではどのようにこれを受けとめていらっしゃるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  68. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、石油につきましてはドル建ての輸入価格が下がっております上に円のレートが高くなっております関係で、特に従価税の仕組みによっております石油税収が大きく落ち込んでいることは御指摘のとおりでございます。いわゆる石特の中の石油及び石油代替エネルギー勘定につきまして非常に大きな収入不足が見込まれておりまして、概算要求では資金運用部からの千六百六十億強の借入金によりまして収入を確保しておるわけでございますけれども、今後何らかの形での対応を迫られているということは御指摘のとおりでございます。ただ、いろいろと状況は動いておりますけれども、石油の消費量あるいは石油の輸入量はほぼ横ばいで推移をいたしておりますし、多分今後とも量的にはほぼ横ばいというような状況ではなかろうかと考えております。現在、石炭対策の財源になっております原重油関税は、御高承のとおり従量税でございますので、今申し上げた前提に立ちますと、今後税収に大きな変動が起きることはないのではなかろうかと思っております。従来から原重油関税の十二分の十を石炭対策に充当してきておるわけでございますし、第八次対策におきましても基本的にはその考え方を踏襲いたしているところでございます。  第八次対策の立ち上がりの前半期におきましてはかなり資金需要が大きくなりますので、資金運用部からの借り入れの制度創設していただきましてこれを活用いたしております。六十三年度におきましてもこの考え方を踏襲いたしているわけでございますけれども、八次対策の後半期、資金需要がやや落ちてまいりますところでこの借り入れを返済するという考え方をとっているわけでございますが、現在のところ、この考え方に大きな支障が出るような要因は起きていないのではないかというぐあいに考えているわけでございます。石油及び石油代替エネルギー対策の財源問題は、これはこれで別途切り離して検討していくというぐあいに考えたいと思っております。
  69. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 八次策はスタートしたばかりでございまして、これからのいろいろな施策がございます。今お話がございましたが、万遺漏なきよう諸対策が遂行できるように、この財源対策についてはひとつ十分に御配慮いただきたいと思います。  さて、この八次策が推進になって、私どもも心ならずも今日までの推移を見守ってまいりましたが、この四月から発足いたしまして、六十二年度の各社の合理化計画の全体像、六十二年度の様相というのは大体どういう姿になるとお考えになっていらっしゃるのか。六十二年度基準炭価とか需給計画はようやく決まったようでありますが、これらのものを踏まえまして六十二年度の各社の合理化計画がそれぞれ出ておりまして、進められたものもございますけれども、今後またどういう姿に進むような経緯をたどるのか。まだ五カ月しかたっておりませんから全体像はつかめていないわけでありますけれども、エネ庁あたりでは今日までの各社の様相等を御検討なさってどのように受けとめていらっしゃるか、まずその点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  70. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 お尋ねの六十二年度の各社の合理化計画でございますけれども、これにつきましては、現在のところまだ一部企業について確定していない面もございますし、先ほども申し上げましたけれども、需要業界引き取り数量がごく最近決まったばかりでございますので、そういう面ではいまだ非常に流動的であるというふうに私どもは考えておりますけれども、これまでの生産実績も踏まえて推計をいたしますと、本年度の大手炭鉱の生産量は、先ほども申し上げました高島炭鉱を除きますと、大手十炭鉱ベースで前年度比約百七十五万トンの減少になるものというふうに私どもは考えております。  同様に、鉱山労働者につきまして、昨年に比べまして退職者は、自己都合による退職者、定年退職者というものも含めましておおむね四千人程度になるのではなかろうか。この四千人の中に、ごく大ざっぱに申し上げますと、定年退職あるいは自己都合の方が千人ぐらい含まれておりますので、実質的に三千人ぐらいの減少になるのかなというふうに考えております。
  71. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 先ほど通産大臣からもお話がございましたように、最近景気がやや上向き傾向にある、指数といいますか、全国の統計を見ますと全体的にそのような傾向に進みつつある、こういうことで、一昨年来の低迷状態からやや上向きの傾向に進みつつあるということでございます。そういうことからいいまして、鉄鋼を初めとしまして各企業におきましてはそれなりに生産活動、需要といいますか、こういうものが伸びつつある、ややそういう傾向にあるのかと思うわけでありますが、貯炭管理会社、今までの生産実績と最近のそういう経済動向というものを踏まえまして、先ほどもちょっとお話ございましたけれども、貯炭買い上げ状況と、また今年の予算の中でこれが十分に需給バランスを維持していけるのかどうか、さらにまた、明年度についてこれはどのように概算要求そのほかで見積もっていらっしゃるのか。これは四月から発足いたしましたが、この新会社ができまして貯炭買い上げということが、合理化をし、また貯炭に悩んでおりましたそれぞれの炭鉱にとりましてはとても有効な手だてであったと思うのでありますけれども、ことし、それにまた明年、この辺につきまして、全体の経済動向もあるかもしれませんが、どのように通産省としてはお取り組みになり、お考えになっていらっしゃるか、お伺いしておきたいと思うのです。
  72. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 景気の問題等も含めまして若干の上向きということでございますが、依然として需要業界も非常に厳しい状況に置かれておりまして、その中で先般決まりました六十二年度の石炭の引き取りについては、需要業界としてもぎりぎりの協力をしてもらえたものというふうに私どもとしても評価させていただいているわけでございます。  貯炭買い上げでございますけれども、本年五月までに六十一年度末の過剰貯炭のほぼ全量に当たります二百六十万トンの買い上げを行いまして、さらに七月末には、これに追加いたしまして四十万トンの追加買い入れを行っております。本年度予算につきましては、需給の変動によりまして過剰貯炭の増減もいろいろあり得るということでございまして、年度平均で見まして三百四十五万トン、金額にいたしまして約五百三十億円分の貯炭買い上げ予算を計上しておりまして、この貯炭管理制度の適切な運営に必要な予算額は一応確保させていただいているというふうに考えておるわけでございます。六十三年度貯炭買い上げにつきましては、これはまたさらに流動的になるわけでございますけれども、段階縮小を図っていくという観点から、一時的な需給ギャップによる貯炭の存在、特に過剰貯炭の存在はあり得るということでございまして、六十三年度予算要求におきましては、年度平均で大体三百六十六万トン程度の貯炭買い上げということを予測いたしまして予算を要求しておりまして、今のところの見通してはこれも十分対応していけるのではないかというふうに考えているわけでございます。
  73. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 八次策の遂行に当たりましていろいろな問題がございますが、今一番問題になっておりますのは、同僚委員からもちょっとお話ございました北炭の真谷地炭鉱の動向であります。私ども視察に参りましたときにそれぞれの立場からいろいろ問題提起がございましたが、労務債の処理問題については深刻なお話がございました。先ほどもちょっとお触れになっておりましたが、現在、この真谷地炭鉱の労務債の処理につきましては通産省もそれなりに指導をし、そしてまた地元でもそれなりの諸施策を遂行しておりますが、どういうふうにこれを進めていくかということは、非常に難しい諸問題が山積しておることも私ども十分存じております。しかし、これは大臣に今お聞きをいたしておきたいのでありますが、原則としてやはり働く者たちにしわ寄せをするような形で物事が処理されるようなことではならない、こう思うのです。そのためには何といっても資金が必要になってくるわけでありますが、今日まで営々として石炭産業に従事をしてまいりました方々を犠牲にするような形でこれが処理されるようなことがあってはならぬという原則の上に立って最大限の努力をすべきだ、こう思うのでありますけれども、大臣、いかがでしょう。
  74. 田村元

    田村国務大臣 先ほども申し上げましたようにこの種の対応というものは、やはりそこで働く人々が職を失う、その対応が最優先されなければなりません。経営者はどうにか食っていくでありましょう。けれども、労働者にとってはあすの不安がつきまとうわけであります。でありますから、私どもなおさらのこと、平井労働大臣とともに協調しまして懸命の努力をいたしておるところでございます。もちろん、基本的には民間企業のことでございますから親会社等が世話をするのが当然でございましょうけれども、あくまでも民間企業の問題として傍観するということは、政府として血も涙もない態度になります。でございますから、私はあえて北海道庁にも自分で電話をして協力をお願いし、政府としてもできるだけの努力をするから、どうか北海道当局におかれてもお助けをいただきたいとお願いをしたわけでございますが、そういう基本的な考え方の上に立って、真谷地のみでありません、この種の問題について私どもは最善の努力をいたす所存でございます。
  75. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 真谷地問題も地元にとりまして、また働く方々にとりましては非常な問題であるし、また、その責任ある方がみずから命を絶たなければならないというせっぱ詰まったそういう状況にある。先ほど大臣がいろいろお話ししておりましたのを私も拝聴いたしておりましたが、それに伴いまして同じ北炭経営の幌内炭鉱もこれまた大変な労務債務がございまして、炭質がいいとか幌内の石炭の需要はあるとはいいながら、会社の経営ということで働く人たちが大変な不安の中でお仕事をしなければならぬ。また、もう今は一市一山ということでございますから、その山がどうなるかによって町の経済も大変に大きく影響を受けるということで、企業誘致や新しい町の方向性を見出すというのはそう二年や三年でできることではございません。いろいろ努力をしておるわけでありますけれども、そういう非常に厳しい状況にある中で、このたびのこの真谷地炭鉱の処理が当局の指導、そしてまた御努力でどういう形で進められるかということは、ほかの山々にとりましても重要な課題でございます。大臣が涙を流さんばかりに真剣にお取り組みいただいている御様子、この解決のためにさらに一層の御努力をぜひ賜りたい、こう思う次第であります。中曽根内閣ももう幾ばくもないわけでありますが、大臣はまたどういう立場になるかわかりませんけれども、今日まで八次策をまとめ上げ、実施に踏み出した担当の大臣としまして、また北海道に深く縁をお持ちになる大臣として、この解決にぜひ御努力をいただきたいということだけ申し上げておきたいと思うのであります。  次に、地域の問題でございますが、産炭地域の諸問題につきましては、産炭地域振興関係省庁等連絡会でいろいろ御検討になって、四回会議を開かれたようでございますが、ここで国としてこうしようということでお決めになりました問題について、時間もありませんから項目的で結構ですが、お述べいただきたいと思うのであります。
  76. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 砂川炭鉱閉山対策の一環といたしまして、地域雇用対策等につきまして産炭地域振興関係省庁等連絡会で、いろいろな対策について地元からの御要望を踏まえて鋭意検討を進めてまいったわけでございます。その結果、八月三十一日、四回目でございましたけれども連絡会を開かせていただきまして、一応当面の国の対策取りまとめをさせていただいたわけでございます。  時間もございませんので、簡単に申し上げますと、第一に閉山対策につきまして、約三十一億円の閉山交付金交付することになっております。それから離職者対策につきましては、労働省さんを中心といたしまして、現地説明会の実施であるとか職業訓練所におきます再就職促進、そういった対策をいろいろ講じていただいておるというふうに理解をいたしております。中小企業対策につきましては、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づきます地域指定をいたしました。あるいは民生、教育対策、特に高校生の転校の円滑化等についても努力をいたしておるわけでございます。それから、特に地域振興対策につきましては、先ほども申し上げました産業構造転換円滑化臨時措置法に基づきます土砂川町地域指定を行ったところでございます。そのほか、地方財政対策の一環といたしまして、通産省といたしましても産炭地域振興臨時交付金交付するということでございます。  三井グループにつきましても、地域対策のための施策をいろいろ講じております。また、先ほど来話題になっておりました公共事業の促進等につきましても、関係省庁で積極的に取り組んでいただいておるというふうに私ども理解をいたしておりまして、この連絡会で取りまとめました諸般の対策を着実に実施をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 自治省の方いらっしゃると思いますが、財政力のない地方自治体でしなければならないこともたくさんございまして、しかしながら、そういう中で交付税というのはいろいろ物差しがございまして、それに当てはめてなさるわけであります。交付税につきまして一つずつお聞きする時間もございませんのであれですが、一番問題なのは不用になりました炭鉱住宅また施設、こういうものの除去、解体とかいろいろなことをしなければならぬわけです。こういう問題については事前に十分にその実態等を把握してお考えいただかなければならないということ。それから民生関係のことでありますけれども、上水道は会社の上水道を使っているということで、当面はいろいろ対策を講じたようでありますけれども、これはいつまでもそういう形ではできないわけでありますからやがては恒久的な形にしなければならぬということで、差し迫って住民のためにしなければならない諸施策というのはあるわけでありまして、自治省としましても、こういう現実的な問題については十分にひとつお考えいただいて諸施策を進めなければならぬ、こう思うのですけれども、今回の問題についての特に自治省としてのお考え、そしてまたお決めになったこと、それから今後の課題、こんなことについてお伺いしておきたいと思います。
  78. 二橋正弘

    ○二橋説明員 御指摘ございましたように、炭鉱閉山に伴いまして、関係地方公共団体では人口の減少等によりまして財政収入が減ってくるという反面で、ただいまお話がございましたようにいろいろな財政需要がまた出てくることも事実でございます。私どもといたしましては、これまでも特に産炭地域の市町村につきましては、地方交付税あるいは地方債の配分につきまして特別な配慮を加えてきたところでございます。今お話のございました土砂川町につきましても、今後町の財政事情あるいはどういうふうな仕事がこれから必要になってき、またそれに伴ってどういう町の財政負担が出てくるかということを十分お聞かせいただきながら、北海道当局とも連絡をとり、私どもといたしまして持っております手段、地方債あるいは地方交付税の配分を通じまして適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
  79. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 時間もありませんので一々お聞きすることはできませんが、今お話がございましたように、現状に即してぜひ御配慮を賜りたいと思います。  それから、産炭地域振興に当たりまして各町村でいろいろ計画を立てておるわけでありますが、各町村の考え方といいますか、一義的には観光を中心にしてとかいろいろな施策を組まれております。この地域振興というものを効率的に図っていくためには、一義的には地元が自発的にいろいろな計画を立て、地元に合ったそういう形を進めるということは大事なことだろうと思いますが、ある程度広域的に物を見てこれを進めていくということも大事なことだろうと思います。  各町村ではそれぞれ必死になっていろいろな計画を進めておりますが、石炭産業が一つの大きな曲がり角にあるということは念頭にありましても、こういう施策は相当時間をかけて進めなければならないという制約的なこともございまして、現地へ参りますと、計画を立てる段階から、さらにまたそれを進める段階からいろいろ問題があるようであります。明年度概算要求、そしてまた事業として通産省でもいろいろそういう問題については強力にバックアップしようというようなお考えもあるように聞いておりますけれども、長い説明はちょっとあれですけれども、どういう基本的な考え方なのか。それぞれが財政規模とか、また役場の事業とかいろいろなことがございますが、それは地元状況は最大限に尊重するとしましても、立案から計画から、これを進める資金的な問題から相当なバックアップがなければ、そしてまたある程度広域的に物を考えていくような施策が必要だろうということで私は申し上げておるわけでありますが、ぜひひとつお聞きをしておきたいと思います。
  80. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、広域的な見地に立ちましたアプローチが必要不可欠かと考えております。産炭地域振興実施計画あるいは道県の取りまとめます産炭地域発展計画等におきましても、地域経済生活圏という考え方基本に置いていくというような考え方がとられているところでございます。この生活圏の中で分担と連携、さらにはネットワークというような考え方が確立されていくことが望ましいというぐあいに考えているわけでございます。お話のございました観光事業等につきましても、六十三年度概算要求では、産炭地域総合支援事業という名称のもとでこうした動きを支援していく措置を考えているわけでございます。広域的な観点に立ちました例えば国際リゾート建設といったものを、国際コンペ等の考え方も取り入れながら積極的に支援をしていくというような考え方をとっているところでございます。
  81. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 労働省にお伺いをいたしたいと思います。  三井砂川鉱を初めとしまして、北空知といいますか滝川職安関係離職者の再就職の求人内容、またこの再就職あっせんの状況、この辺のことをちょっとお伺いしておきたいと思います。  それから、前に労働省のアンケートをいろいろいただいておりますが、地元志向が非常に強いということがデータなんかに出ておるわけであります。そういうことから道内、地元での雇用創出ということについていろいろ御努力なさっていらっしゃるようでございますが、労働省として、この雇用創出の見通し等については現在どのようにお考えになっていらっしゃるか。  また、職業訓練の教科内容、これもよく言われることでありますが、年齢別とかいろいろな差異がありますが、求職動向のアンケート等を見ますと、警備員とか管理人、それから建設関係の運転手とか、教科種目というものも現在職訓にあります教科内容とはちょっと異なったような状況があるのではないか。閉山してもう一月、二月ということでありますから、将来この職訓で何を身につけようかというお考えもそろそろ固まっていらっしゃるのじゃないかと思いますが、このアンケート等を見ますと、現在ある職種ではなくて現場に合ったものを考えていかなければならない、こんな感じもしてならないのであります。この滝川の職安関係につきまして今どういう御検討をなさっていらっしゃるか、ぜひひとつ現実に即した形で進めていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  82. 甘粕啓介

    甘粕説明員 私の方からは、再就職状況と道内における雇用開発状況について御説明したいと思います。  三井砂川の滝川ですが、三井砂川に限定してお答えさせていただきますと、三井砂川の離職者の方につきましては、援護制度説明ですとか手帳、雇用保険の手続あるいは総合的な生活相談というものを当面行わせていただいておるところでございます。そういうことでございますので、再就職状況については、現在申し込まれている求職者三百六十七名のうち十七名にとどまっているところでございます。今後、本格的な現地職業相談その他を通じまして、再就職促進全力を挙げたいと考えているところでございます。  それから第二番目の、地元志向が非常に強いということの中での雇用機会開発の問題でございますが、一つは三井砂川等の企業に対しまして、私ども、創設いただきました地域雇用開発促進法に基づきます助成を通じまして各企業の新増設等につきまして強く指導いたしまして、今年度末につきましては二百三十人に及ぶ企業開発等の実現の運びにほぼ至っているのではないかと思っているところでございますが、地域雇用開発促進法を通じまして、北海道全体につきましては事業所の新増設等が二百四件、それからこれに伴います予定労働者数三千二百名というのが現在の段階でございます。こういう助成措置を通じまして、できるだけ今後とも企業の新増設及び雇用機会開発についての推進を図りたいと努めているところでございます。
  83. 野見山眞之

    ○野見山政府委員 離職者の再訓練につきましては、現在、産炭地域関係の公共職業訓練施設におきまして、約二百人の方々について建設あるいは運転、金属機械等の訓練を実施いたしておりますが、必ずしも訓練校の職種に見合わない方々もおられますので、既に関係業界に訓練を委託するという形で、施設外における訓練も含めまして実施しているところでございまして、今後私どもといたしましては、離職者の訓練ニーズあるいは再就職機会の多い職種を中心にいたしまして、さらに関係業界等に訓練を委託するというような形で、ニーズに合った訓練を機動的、弾力的に進めてまいりたいと考えているところでございます。
  84. 藤原房雄

    ○藤原(房)委員 時間もございませんので、最後に大臣に。情報処理関連の職種というのはこれから非常に大きい雇用の場として言われておるわけでありますし、また、労働省の三十万人雇用創出の大きな一つの柱でもあるのだろうと思うのです。産炭地域という特殊事情の中でありますけれども、新しい雇用創出ということで、職訓の中でも、さらにまた今後のあり方としても新しい時代に即した形のものができないのかどうか、これはぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  さらに通産大臣、過日の委員会のときにも申し上げ、また大臣からも力強いお話がございましたが、周辺の産業活動のしやすい、また観光のための道路網といった公共事業、それはまた長期的には産業活動や観光とかいろいろな形に生きてくるわけでありますけれども、当面そこが一つの雇用の場となるような公共事業の推進地元からも道道、国道、さらにまた夕張と芦別を結ぶとかいろいろな道路網について御提起があって、大臣もよく御存じのことだろうと思います。今度の概算要求の中にも一部取り入れられたところもあるようですが、大きな機械で公共事業がどんどん進むという現状の中でどれだけの雇用創出になるかという問題もございますけれども、できるだけある期間、そこが雇用創出のできるような公共事業というものもぜひひとつお進めいただきたい。これは建設省に言わなければならないのかもしれませんが、所管の大臣という立場で、また国務大臣という立場でぜひお進めをいただきたい。  いずれにいたしましても、急激にこれだけのこういう状況があるわけでありますから、各省庁それぞれ力を合わせて、その地域のために何ができるかということで御努力いただかなければこの地域の活性化というのはないのだろうと思います。その点を両大臣に一言ずつお聞きいたしまして、終わりたいと思います。
  85. 田村元

    田村国務大臣 公共事業を産炭地で行う、これには大きく分けて二つの意義があると思います。その一つは、言うまでもなくその地域の不況対策であります。いま一つは、同じやるならばその公共事業が中長期的にもその地域に役に立つものということになると思います。それで、今我々は各省庁に傾斜配分を中心としてお願いをしておるわけでありますが、今おっしゃいましたような道路網の整備等はその最たるものであります。例えば道路とか水関係とか、いわゆる生活関連は優先さるべきであろうと思います。今、道路に焦点を絞ってお話がございましたが、その地域をとにもかくにも活性化を図るという意味においても、道路工事はすばらしい経済波及効果を上げると思います。と同時に、その地域に観光施設をつくるにしても、あるいはそれが仮に未来産業であろうとその他の産業であろうと、工場誘致をするにしてもアクセスというものがまず何よりも必要になりますから、道路というものは当然最優先をされます。それによって利便を図り、輸送コストを下げていくということが何よりも必要であろうと思いますので、私どもこういう点は最優先で考えております。  御参考までに申し上げますと、産炭地域振興関係省庁等連絡会というのがございますが、中央連絡会の構成メンバーでございますけれども、北海道開発庁、経済企画庁、環境庁、国土庁、大蔵省、文部省、厚生省、農林水産省、通産省は申すに及びませんし、それから運輸省、郵政省、労働省、そして建設省は建設経済局の事業調整官、都市局の街路課長、河川局の河川計画課長、道路局の道路総務課長と企画課長というふうに建設省だけで実に五部門参加をいたしておりますし、それに自治省、これは財政局でございますが、そして地域振興整備公団、このようにして手が打てるものはほとんどすべて動員しようというのでこの連絡会が持たれておりますので、必ずやよき効果を生み出してくれるであろうと期待をいたしておる次第でございます。
  86. 平井卓志

    平井国務大臣 委員がおっしゃいますように、就業の内容が今後非常に高度化、多様化する中でございますので、北海道等の不況地域における職業訓練等も、その訓練科目等については、常時ニーズの高いもの等々を目標とするように見直しを行わなければならぬと考えております。特に、御指摘のございました情報処理関連でございますが、北海道においては既に室蘭に設置を決めておりまして、またその他の地域につきましても、今後御要望を十分にお聞きした上で、ひとつ前向きに検討を続けてまいりたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、やはり有効に効果的に稼働していかなければならぬし、中長期的に見ましてそれそのものが雇用促進につながっていくということでなければなりませんので、今後とも一層努力を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  87. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、小渕正義君。
  88. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 まず、大臣にお尋ねいたします。  通産大臣は、特にココム規制違反問題等で大変な状況の中で、あしたは早速またアメリカに出張なさるということで大変御苦労さまでございますが、きょうの大臣のいろいろなやりとりをお聞きしておりまして、こういう非常に重要な現状の中で、実は大臣が正確に言うとあと一カ月でかわられるかわからない、こういう状況ですね。内閣がかわれば、長い間の今の流れを見ますと大体大臣は一年で交代していく。しかも今回はもう十月いっぱい、十一月に恐らく新しくまたかわられると思います。そのときに重要閣僚としてお残りになるかとも思いますが、いずれにいたしましても、こういう貿易摩擦その他非常に大変な、第八次石炭政策にしてもいよいよ軌道に乗せる今一番重要なときに大臣が一年でかわるような状況は果たして好ましいことなのかどうか。先ほどからお聞きしておって私非常に疑問に思うし、この委員会も結果次第では何かしらむなしいものになるんじゃないかという気さえするほどの感じがしておるわけであります。  かつて、名前は申し上げませんが、実はある炭鉱閉山のときに非常に前向きな積極的な発言をなさった大臣がある事情で交代なさった後は、取り組みといいますか考え方がかなりニュアンスの違った形に移行していったということがございます。政策の永続性ということにおいては変わりないといいながらも、担当大臣がかわることによって、具体的な政策の展開の中での行政の対応が非常にいろいろと変わってくる可能性があるわけでありますので、そういう点考えまして、大臣も何回も閣僚の経験をなさっておるわけでありますが、少なくとも大臣は任期二年ぐらいやるということが好ましいことじゃないかと思うのですけれども、その点に対する大臣の所感をお尋ねします。
  89. 田村元

    田村国務大臣 一番答えにくいことをお尋ねいただいて私もちょっと困っておりますが、大臣の任期をある程度長く続けさして思う存分のことをさせるか、あるいは機会均等でどんどんと若い人たちを登用していくか、これは考え方だろうと思うのです。私は大臣をやめることになりましょう。内閣がなくなるのですから、これはやめることになると思いますが、通産省の連中にはこう申しております。僕は恐らく大臣をやめることになろう、なろうけれども商工族としては残るよ、そうして私が述べたことは必ず守ってもらいたいし、私が答弁をして速記録に残っておる内容を短時日で変更するようなことは絶対にさせないよ、どのような大臣が新しく着任されてもその政策変更は私がさせないよ、これだけははっきり申しております。そういうこともありまして、私は重要な御質問に対しては、特に任期がだんだんと短くなってまいりましてからは、意識的に、政府委員の答弁の後で求められないでも手を挙げて立ち上がって速記録に私の言葉を残すように努めております。これはあるいはお気づきかもしれません。そういう心境でございます。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 非常に頼もしい御答弁をお聞きしまして、そういう中で質問を展開したいと思いますが、よく考えてみましても、大臣、ひとつこれからの我が国の国政の内容充実させるという意味でも、機会均等主義もいいでしょうけれども、やはり画一主義にならぬで要所要所はぴしゃりと、そういう長期的な中で問題を取り扱うようなことも私はぜひ必要だと思いますので、そういう意味で、今後とも党内においてぜひそういう立場で御努力なさることを期待いたしまして、せっかくの大臣のわずかの時間でございますので、政府委員関係する部分についてはなるべく省略いたしまして、二、三点御質問申し上げたいと思います。  まず第一に、先ほどからもいろいろ議論されておりますが、今回の第八次石炭政策基本は、何といいましても第八次政策の終わりのところでは一千万トン体制にするということで、なだらかな閉山の中で逐次縮小傾向をとっていくというのが基本になっているわけであります。その場合、これらの第八次政策を有効に展開するためには、まず何といいましても需要の裏づけがないことにはできないわけでありまして、そういう意味では、第八次政策の期間中における需要見通しというものをつくって、そういう中で政策を展開していくことが一番肝要であるし、基本じゃないかと私は思います。第八次政策の四月から今日までの展開を見ておりますと、そういう長期的な第八次政策の裏づけ的なものが何らないのではないかという感じさえするわけでありますが、ひとつこの第八次政策の期間中の長期的な見通しの中での政策の遂行、こういう立場で現在どのようにお考えなのか、その点をお尋ねいたします。
  91. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 第八次期間中の需要見通してございますけれども、第八次の答申では、原料炭並びに一般炭につきまして、第八次期間中の国内炭引き取りに関する基本的枠組みが提言されているわけでございます。例えば原料炭一般産業一般炭につきましては今後漸減して六十六年度にはゼロとなるわけでございますが、電力一般炭につきましては当面現行水準、すなわち一千万トンを確保いたしまして、その後漸減して六十六年度には八百五十万トンにする等々の合意がそれに当たります。八次期間中のお尋ねの引き取り数量につきましては、毎年度需給業界の話し合いによって決めていかれるということになっておりますので、私どもここで的確な数字を申し上げる立場にはございませんけれども、当省といたしましては、需給業界の話し合いを見守ってまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、基本は第八次策のいわゆるなだらか閉山縮小確保といいますか、雪崩閉山にならないようにという八次策の基本がございますので、それに沿って需要、生産両面について検討してまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、古賀(誠)委員長代理着席〕
  92. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今の説明からいって、それぞれ年度ごとに需給業界の話し合いによってそれぞれの年度引き取りを決めるということは一応それなりに理解はいたしますが、そういう意味で考えますならば、本年度、六十二年度国内炭需要引き取り見通しについてはやっと八月三十日に大体千三百八千五万トンですか、決まったわけであります。しかしながら、先ほどからいろいろ論議に出ておりますように、本年、八次策の始まりに当たりまして、わずか六カ月近くの中で各炭鉱においては、六十二年度に対する需要見通し等がつかないために貯炭がどんどんふえていく中で各社はそれなりに必死の経営的な合理化努力をしてかなりいろいろやってきているわけでありまして、そういう意味におきますならば、今政府が言われたようなことであるならあるでそれは否定いたしませんが、やはり年度初めにそういう需要見通しというものをきちっと早くつけてそれを明らかにしていかないことには、四カ月も五カ月もたってから初めてその年の引き取りの見通しが出てくるということではそれぞれの生産現場においては非常に不安を持つし、企業としてはそういう意味での経営努力ということで少しでも合理化をせざるを得ないという形になりまして、それが結果的には、あらゆる意味において最終的ないろいろなしわ寄せが働いている人たちにすべてかぶさってくるという結果になっておるわけでありますので、長期的な見通しが立てられないとするならば、それぞれの年度別の需要見通しというものを少なくとも年度初めにきちっとするということで担当エネ庁としてはぜひ指導してもらいたい、かように思うわけでありますが、その点いかがですか。
  93. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 今年度需要見通しにつきましては、先生御指摘のように八月の末にようやくと言ってよろしいかと思いますが、ようやく決めさせていただいたわけでございます。この問題につきましては、需要業界も非常に厳しい立場に置かれておるということで、一時当委員会でも、もしかしたら鉄の引き取りの百七十万トンが半分ぐらいになるのではないかというような御議論も闘わされたというふうに私記憶をいたしておりますけれども、そういう中で需要業界にぎりぎりの協力をしてもらいまして、ようやく百二十万トンを鉄鋼業界に引き取ってもらう、そういうものを中心にいたしまして、合計千三百八十五万トンの需要規模がようやく八月末日に決定されたということでございます。需要業界の立場というのもございまして、こういう交渉というのはなかなか時間を要しますけれども、来年度以降、先生の御意向も体しまして、私ども、なるべく機動的に対応していけるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 実は、新貯炭機構が設立されていよいよ四月からスタートした、結果的にはそういう機構をつくったがゆえに、本当に緊急的な感覚で物事を決めていくということについて需要見通し等に対する作業の進行度といいますか緊急度といいますか、そういう点で気分的にもそういう切迫感が若干薄らいだのじゃないかという、これは皮相的な見方かもしれませんが、そういう指摘も一部あります。したがって、行政当局としては、もちろん需要業界の厳しい状況はわかりますけれども、しかし、片っ方の今日までの長い歴史の中で今日このような政策が出てきておるわけでありますから、そういった片っ方の生産側の苦しい状況も十分理解されながら、来年度からは年度初めにはそういうものが明らかに出せるような努力をひとつぜひやっていただきたいということを特に強くお願いしておきたいと思います。  それから、先ほどからも話が出ておりますが、雪崩閉山の回避ということで、今回の初年度から来年度予算概算要求の中での出炭量等を見ていきますならば、八次策の終わる年度前にもう一千万トン体制ができ上がってしまうのではないか、今のようなピッチでいけば三年ぐらいでそういう状況になってしまうのではないかという感じがするわけでありますが、雪崩閉山を回避するためには何といいましても需要業界協力なしにはできないわけでありますから、そういう点では、雪崩閉山回避のための需要業界協力という面についてはどのようにお考えになり、これからもどのような努力をなさろうとされておるのか、この点、ひとつ大臣の所信をお尋ねいたしたいと思います。
  95. 田村元

    田村国務大臣 鉄鋼業界電力業界を中心としまして各需要業界に対しましては、八次策策定時の需給業界基本合意に基づきまして、両方でよく歩み寄ってくれたと思うほど御努力をいただいて歩み寄りをしていただきました。これを受けまして本年度国内炭引き取りにつきましても、各需要業界からは、炭価を据え置くとともに引き取り量につきましても、鉄鋼がたしか百二十万トン、電力が一千万トンの水準を確保するなど、文字どおりぎりぎりの協力が得られる見通してございます。
  96. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今申し上げましたように大変難しい問題、要素をはらんでおりますが、そういう意味では、今後ともぜひ一層の努力期待する次第であります。  それから、先ほどから石炭会計の財源問題についての御質問があり、一応長官としては、現在借入金で運用し賄っておるけれども、何とか確保はできる、支障はないというようなことを言われたわけでありますが、最近のいろいろな動きを見ますと、一部業界を中心にいたしまして、また石油特会といいますか、石油の国家備蓄問題等とも絡みまして、どうしても財源不足ということから石油税の値上げ等も一部出されるかといえば、そういうことに対して猛烈な反対と同時に、石炭財源に回すこと自体おかしいのじゃないかというような議論とか、いろいろ税制改正等の問題とかエネルギーの備蓄の問題とも絡みながら非常ににぎにぎしくなっているようであります。そういう意味では、少なくともエネ庁としては必要な財源については最後まで支障ないように絶対確保するということで理解していいかどうか、もう一度念のためにお尋ねいたします。
  97. 浜岡平一

    浜岡政府委員 御指摘のとおり、石特の主たる財源といたしましては、原重油関税と石油税があるわけでございます。原重油関税につきましては、これは従量税でございますので、現在のところ石油価格の変動の影響は余り受けていないわけでございます。原重油関税の十二分の十を石炭対策に充当し、残りの十二分の二を石油対策あるいは石油代替エネルギー対策に充当いたしているわけでございます。石油税につきましては、これは全量を石油対策と石油代替エネルギー対策に充当いたしております。  現在問題が起きておりますのは石油税でございまして、従価税でございますから、最近の石油価格あるいは為替レートの影響を非常に大きく受けておりまして、これによる大きな目減りにいかに対処していくかというような問題が提起をされているわけでございます。概算要求段階では目減りを借り入れによってカバーするということにいたしておりますが、今後何らかの対応が必要であるという声が各方面に強いわけでございまして、現在、多角的な勉強をいたしているところでございます。原重油関税につきましては、先ほど申し上げましたような状況でございますので、基本的には、第八次対策を御検討いただきましたときと大きな変化はないと思っております。ただ、八次対策前半期の時期におきましては資金需要がかなり大きゅうございますので、一部資金運用部からの借り入れを行うというようなことにいたしておるわけでございますが、これはもともと対策を立案いたしましたときからビルトインされているものでございます。  いずれにいたしましても、石炭対策あるいは石油対策、さらには石油代替エネルギー対策の財源問題につきましては、十分検討をいたしまして、大きな禍根を将来に残すことのないようにいたしたいと考えております。
  98. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、時間が参りましたので、労働大臣に一つお尋ねというよりもお願いしたいと思いますが、円高不況その他非常に大変な時期で、雇用対策でも大変前向きにいろいろな政策努力されていることに対しましては心から敬意を表するものであります。ただ、一つ、こういった離職者が再就職をした場合の住居の問題ですけれども、それぞれ自分の従来の地域の中での再就職であれば問題ないわけでありますが、これはなかなかそういうわけにはいかない。ミスマッチもございまして、そういう意味では非常に広域にわたっての再就職ということにならざるを得ない面がありますが、そういう場合に一番問題になるのはどうしても住居の問題でございます。雇用促進事業団のそういった施設へ入居できるような地域であればいいわけでありますが、必ずしもそういうところばかりじゃない。そういう点で、再就職したいと思っても最後はどうしても住居の問題で決断が鈍るというケースを再々私どもは聞いておるわけでありますが、雇用促進事業団のそういう施設の活用ができないような地域で再就職なさった人たちに対して、ある一定の期間、政府として何らかの面倒を見るようなことを政策的に考えられないかどうか。その辺を前向きに考えていただくことによって再就職者の雇用の範囲が非常に広がっていくのじゃないか、そういう感じを非常に強く持つものでありますが、それに対する大臣の御所見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  99. 平井卓志

    平井国務大臣 御案内のように、今全国に建設されております十三万戸の雇用促進住宅を積極的に活用していただく。さらに、御案内かとも思いまするが、六十二年度補正予算において、先般、札幌周辺の二百戸を含む七百戸をさらに設置決定したわけでございます。それで、今委員のおっしゃいました、この雇用促進住宅等に入居ができない場合には結果的には民間の賃貸住宅に入らざるを得ない、そのときに何らかの措置が必要でないかというお話でございますが、その場合に、入居時に必要な費用負担の軽減を図るために、その一部、これは三十万四千円といたしておりますが、これを助成する制度を本年度より創設いたしております。  以上であります。
  100. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  101. 古賀誠

    ○古賀(誠)委員長代理 次に、児玉健次君。
  102. 児玉健次

    ○児玉委員 最初に労働大臣にお尋ねをしたいのですが、北炭真谷地の未払い退職金を完済させるために労働省は随分長い間努力をされてまいりました。私もこの委員会でほとんど欠かすことなくこの問題を取り上げてきたわけですが、この未払い退職金は本来退職時にまとめて支払われるべきものであって、それが真谷地について言えば二十一億円いまだに払われていない。これは全く異常とも言うべき事態だと思うのです。そこで、労働省としてはこの面の努力をさらに強化されると思うのですが、未払い退職金を完済させるための努力というのは、間違っても北炭真谷地鉱山閉山の前提条件をつけるためのものではないと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  103. 平井卓志

    平井国務大臣 その点は委員が御指摘になりましたように、これはもうおっしゃるとおりでございまして、やはり優先して支払うべき会社側の債務であるというふうに考えております。  一言付言をいたしますと、先ほど来未払い問題についていろいろ御議論ございましたけれども、基本的には、委員も御案内のように労使間の問題であるという認識が一つ。いま一つは、見る角度を変えればこれはもう社会的問題としてとらえなければならぬ一面もある。そういう中では関連親会社等もでき得る限りの援助等はしなければならぬ。もう一つ、見る角度によりましては、まさしく御議論いただいておりますように政治的な問題であるというふうな一面もある。そこらあたりで、先ほど通産大臣からもお答えございましたように、各省庁いろいろ各持ち場、持ち場において十分に協議をいたしまして最大限のことをなすべきではないか、私はそのように考えております。     〔古賀(誠)委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 児玉健次

    ○児玉委員 真谷地閉山の前提条件をつくるための努力ではない、当然の努力を今しているんだ、未払い退職金を払わせるための努力をさまざまな角度からなさっている、その点はわかりました。  そこで、通産大臣にお伺いしたいのですが、ことしの七月に通産省としては御努力をなさって、その点私たちもいろいろ要請することがあったわけですが、五億五千万円の支払いをこの未払い退職金の支払いという形でなさいました。今でも二百八十人、二十一億一千万円の部分が残っている。そこで私たちはこの点を強調したいのですが、北炭真谷地炭鉱は明治三十八年、一九〇五年に創業しまして、これまで八十年以上北炭三井グループのために貢献してきました。私たちは、この未払い退職金を完済させる努力というのは、現在ある諸制度を最大限に活用して政府としてあとう限りの努力をしなければならない。これは当然のことですが、三井北炭グループに対してみずからの社会的責任を果たさせる、そこに向けての政府の指導が肝要かと思うのですが、この点いかがでしょうか。
  105. 田村元

    田村国務大臣 それはもうおっしゃるとおりのことだと思います。当然、民間の企業でございますから、突き放して言えば労使の問題ということになりましょうけれども、政府も懸命に努力をして、特に親会社を初めとして関連グループに対する強い指導をしなければなりませんでしょうし、また北海道当局にも、当然何くれとなく御援助を願わなければならぬことは申すまでもありません。
  106. 児玉健次

    ○児玉委員 では通産省にお伺いしたいのですが、北炭夕張新鉱が閉山したあの時点での三井北炭グループの自助努力といいますか、企業としての社会的責任の果たし方、それをこの機会に改めて確認をしたいのですが、三井銀行、三井物産、三井信託などこれらのグループが北炭夕張新鉱閉山時にどの程度の資金の拠出を行ったか、それから狭い意味での北炭グループ、その中には三井観光など多くの会社がございますが、これらのグループはどの程度閉山時に資金の拠出を行ったのか、その点をお伺いします。
  107. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま詳細な資料が手元にございませんので後ほどまた御報告させていただきたいと思いますけれども、私ども、三井グループに対しましては、閉山といいますか北炭の資金対策、特に未払い問題等非常に深刻な状況になっていることにかんがみまして、グループとしても最大の努力をするように引き続き要請をしているところでございます。
  108. 児玉健次

    ○児玉委員 私たちが通産省を通して承知しておりますところによれば、三井銀行、三井物産、三井信託、これらがあの段階で拠出をした資金は総額約三百億円です。それから北炭グループの場合は七十五億円、このように皆さんを通じて承知しておるのですが、その点いかがでしょうか。
  109. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 私の記憶しておりますところではおおむねその程度のことだろうと認識いたしております。
  110. 児玉健次

    ○児玉委員 先ほども申しましたように、現在ある諸制度を最大限に政府としては活用して、そして真谷地の未払い退職金の完済のためにあとう限りの努力をする、それが閉山の前提条件をつくるためのものでないとすれば、当然その視点で幌内の未払い退職金六十六億、九百五名の関係者、これはことしの八月七日現在の数字ですが、そちらの方にも努力を行うべきだと私たちは考えておるわけです。さしあたってきょうは真谷地の問題に絞りますが、この三井北炭グループに対し企業としての社会的責任をとらせる、その点での通産省努力の現在の到達点、この後の見通しについてお伺いしたいと思います。
  111. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 現在、真谷地炭鉱問題も含めまして北炭の問題、特に真谷地が抱えております未払い労務債の問題その他いろいろな債務がございます。そういうものの資金対策をいかに解決していくのかということにつきましては、私どもとしても重大な関心を持って北炭を指導していることは事実でございます。しかし、この問題は基本的に企業及びグループの問題でありまして、我々といたしましては、北炭それから北炭グループがまず最善の努力をすることが基本であるという観点から、原資の調達のあり方も含めて諸般の指導をしておりますし、また今後ともしてまいりたいと思っております。しかしながら、その内容につきましては、債権者との関係等いろいろ微妙な問題もたくさんございますのでこの場で申し上げることは適切ではないかと思いますけれども、いろいろな原資対策につきまして、先ほど申し上げました自己努力がまず大前提であるという立場から引き続き指導をしてまいりたいと私ども考えております。
  112. 田村元

    田村国務大臣 先ほど私が御答弁申し上げましたことと食い違ったような感覚をお持ちだと困りますのであえて申し上げますが、今部長が申しましたように、民間の問題でございますから民間が努力をする、グループ、親会社努力をするということが大前提であることは間違いございません。それに対して、通産省がそういう大前提を果たすように強く指導をするということが必要なのでありまして、だからといってこれを放置する、あるいは温かく見守るのならいいですけれども冷たく見守るということはいかがなものであろうか。これはやはり通産省がそれなりに、言葉が悪い表現になるかもしれませんが、しりをたたくというような努力は今後も続けていかなければならぬ。これは単に真谷地だけではありません。一般論としても言えると思います。
  113. 児玉健次

    ○児玉委員 私が先ほど言った意味も、これは誤解はされてないと思うのですが、北炭夕張新鉱の場合も一つは強い世論がありました。特に北海道ではそれは圧倒的な世論になった。そういう中で通産省も御努力をなさり、労働省も御尽力なさって、そして先ほど述べた企業の社会的責任の遂行、私はそれが十分だったとは思わないけれども、そういった結果になった。だから私はあのときの金額をあえて今持ち出したのです。今大臣のお話でもありますけれども、私が社会的責任と言っている意味をつかんでいただいて、その努力をこの後も強く進められることを期待したい、そう思うのです。  そこで、この後の国内の石炭産業の問題で、今まで第八次石炭政策のときにも随分論議をいたしましたが、私はあえて内外炭の価格差の問題に立ち返ってみたいと思うのです。  これは五月二十五日のこの委員会でも多少論議をした点でありますが、通産省に五月二十五日の段階で私が伺いましたら、北海道の内陸火発における炉前価格を例にした場合に、北海道の空知を中心とした山の山元手取りが一万三千円前後で、運賃を含めて炉前価格は約一万三千五百円、このように当時の石炭部長からお話がありました。そして、輸入の一般炭をもし使うとすればCIF価格が約五千二百円、諸掛かりについては大まかな提示しかありませんでしたが、その後者さんとしても調査を進められていると思いますし、私たちも現地で随分精力的に調査をしたのですが、当時石炭部長がおっしゃった約五千円の輸入一般炭を北海道の内陸で使う場合の諸経費、その内訳を一歩踏み込んでお答えいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  114. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘の海外炭を内陸部に持っていった場合の諸経費でございますけれども、これは前提の置き方によって随分計算の方法が変わってまいるというふうに私ども認識しておりますが、おおむねの数字で申し上げますと、恐らくコールセンターの経費が二千五百円程度、輸入の諸掛かりが四百円程度、内陸の輸送費が千九百円から二千円ぐらいだと考えておりますので、極めて大ざっぱに言いますと三千五百円内外ではないかというふうに認識をいたしております。ただ、これは過去に輸入といいますか内陸に運んだ例がございませんので、あくまでも仮定の計算であるというふうにお考えいただければと思います。
  115. 児玉健次

    ○児玉委員 私たちの調査によれば、コールセンターの使用料、これは滞留期間によってもちろん違いますが、常識的な滞留期間で一トン当たり二千五百円、輸入諸掛かりが約五百円、内陸輸送費は、先日通産省から承った数値は恐らく苫小牧から江別までであろう、今新鋭の北電の火発がある砂川まででいけばそれに約九百円から千円を上積みさせる必要がある。そうすると、今部長が言われたように、これまで海外一般炭を使ったことはないけれども、もし使うとすればその金額は一万一千円をちょっと頭を超す程度になる。そうすると、炉前価格で輸入一般炭と北海道の内陸炭を比較した場合に、よく基準価格で輸入炭は六千三百八十円、国内炭は一万九千七百四十円、三対一という数値がひとり歩きしておりますが、実際はその価格差はたかだか二千五百円前後に大幅に縮小される、これは政策的にカバーできる範囲だ、私たちはそう受けとめておるのです。  そのことを前提にして端的に伺いたいのですが、ことしの四月の末に中曽根首相がアメリカにいらっしゃいまして、そしてレーガン大統領と首脳会談をなさった。八七年五月一日にワシントンのナショナル・プレス・クラブで中曽根首相が演説をなさっている。その中にこういう一節があります。「本年も日本の主要企業に緊急輸入の増加を要請し、計約六十億ドルの追加輸入増の見通しを得ました。」こういうくだりがあるのですが、この約六十億ドルの追加輸入増の中に原料炭が入っているのかどうか、その点をお伺いします。
  116. 浜岡平一

    浜岡政府委員 あの数値の中には原料炭は入ってなかったと私は理解いたしております。
  117. 児玉健次

    ○児玉委員 それでは重ねてお伺いしますけれども、その後、米国の特に原料炭、弱粘結、中粘結いろいろありますが、日本の高炉各社がアメリカからどのくらい引き取るか、その点でアメリカと日本の高炉各社とのさまざまな折衝があったようですけれども、この折衝の経過に通産省はどのようにコミットされているのか、その点をお伺いします。
  118. 浜岡平一

    浜岡政府委員 従来から石炭の国際取引につきましては、基本的には当事者間の商業ベースの判断を尊重するという姿勢をとっているわけでございます。日本とアメリカの間におきましてはエネルギー協力の申し合わせがございまして、その中で国際的な比較をいたしまして、価格面あるいは品質面、さらには供給の安定面等におきまして合理性がある場合には米国炭の引き取りを積極的に考えるよう関係業界に勧奨する、英文で言いますとエンカレッジするというくだりがあるわけでございますけれども、基本的には商業ベースの判断ということになっているわけでございます。
  119. 児玉健次

    ○児玉委員 ぜひそうでなければならないと思うのですが、今長官の御答弁の中で触れられた部分は、恐らく八三年十一月の日米首脳会談のときのコメントを指されているのだと思うのです。  そこで、もう少しこの点お伺いいたしたいのですが、ことしの三月の日米エネルギー・ワーキング・グループ、このとき日本側は、第八次石炭政策内容についてアメリカに御説明なさいませんでしたか。
  120. 浜岡平一

    浜岡政府委員 今手元に確認できる資料がございませんけれども、タイミングといい、また従来からの協議の流れからいいまして、石炭対策の検討状況につきましての説明は行われていると思います。
  121. 児玉健次

    ○児玉委員 時間が来たようですから、あとは後刻の政府委員に対する質問で述べますが、この際、両大臣に私は最後に申し上げたいのです。どうも私たちがさまざまな資料を勘案すると、第八次石炭政策の中でことしの引き取り量が百七十万トンから百二十万トンに削減されていった。国内炭の削減分、これは八次政策が終わる段階にはゼロになるわけですが、そこの部分をそのままアメリカはアメリカからの原料炭輸出、日本の側からは輸入、そこに置きかえようとする動きが非常に強いんじゃないか、その点を危惧するのです。今エネルギー庁長官がおっしゃったように本来これはコマーシャルベースで進めるべきであって、何らかの政治的圧力が介在されることがあってはならない。そういう中で今度の真谷地の閉山計画が巷間伝えられているわけですから、私たちはぜひ通産省労働省として、真谷地炭鉱に対してもし彼らが本気で閉山計画を考えているのであればそれを思いとどまらせ、政府の指導によって適切な再建計画を進めさせるように指導援助すべきだ、この点についての私たちの希望を強く述べて質問を終わります。     —————————————
  122. 竹内黎一

    竹内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として石炭鉱害事業団理事長佐藤兼二君の出席を求め、御意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 竹内黎一

    竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  124. 竹内黎一

    竹内委員長 質疑を続行いたします。中西績介君。
  125. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がございませんから簡単に質問を申し上げたいと思いますが、産炭地振興対策について二点ばかりお答えをいただきたいと思います。  一つは、今進められております大規模プロジェクト事業化促進調整額なるものを産炭地交付金の中で設置をいたしまして、これを交付するような概算要求が組まれております。これとの関係で、総合保養地域整備法により立地計画を立てることになるわけでありますけれども、この中におきまして、関係からいたしますと産炭地問題を最優先して措置されるべきではないか、こう考えるわけでありますが、この点についてどのように措置されておるのか、お答えいただきたいと思います。
  126. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘のように、ただいま私ども六十三年度予算要求の中で、新たに産炭地域総合支援事業というものを、これは概念でございますけれども、そういう概念に立ちまして必要な予算要求をさせていただいているところでございます。片一方で総合保養地域整備法ということで、国民が広くスポーツあるいはレクリエーション、教養文化活動等々の活動を行うことができる総合保養地域整備を民間能力の活用に重点を置きながら促進をしていこうという構想があるわけでございます。具体的な手続といたしましては、これにつきましては都道府県が地域の設定も含めまして基本構想をまず策定して、主務大臣に申請をいたしまして、主務大臣がそれに基づきましてそれに適するかどうかというような判断をすることになっております。したがいまして、産炭地域の中で特にこの法律の趣旨にのっとりましたいろいろな整備計画が取り上げられるということであれば、十分な検討が行われるというふうに私どもは期待しているわけでございます。
  127. 中西績介

    ○中西(績)委員 その際に、産炭地問題はやはりこうした計画の中に組み入れで、先ほどから答弁いただいておりますように、各省庁の連絡会議なりの中でこうした問題に総合的にどう対応するかということを検討していただかないと、ただ単に産炭地問題だけでこれをやったといたしましても限定される内容になってくるわけですから、この点はぜひこうした大規模な計画の中においてどうするかということを、各県段階におきましても、産炭地を抱えておるところとあわせてこの点についての立案なり計画を早急に立てるようにぜひ指導すべきではないかと思うのですけれども、この点お願いしたいと思うのです。  それからもう一点は、昭和三十六年以来、産炭地域振興臨時措置法を中心にいたしましてずっと対策が練られできたわけでありますけれども、まだまだ不十分な面がたくさんあるわけです。五十六年から地域経済生活圏を設定いたしまして、自来五年になるわけであります。しかし、先般調査をいたしたその結果等を見ましても、特に地域振興整備公団あたりから出されておる報告等からいたしましても、まだ十分な成果を上げたとは言いがたいということが述べられております。これは何が主たる原因なのか、そこいらについて追及したことがございますか。この点、お答えいただきたいと思います。
  128. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 昭和五十六年五月であったと思いますが、産炭地臨時措置法の十年延長に際しまして、産炭地域基本計画あるいは同実施計画を見直すという作業を行ったわけでございます。そのとき、二十の経済生活圏におきまして人口あるいは生産所得、産業部門の出荷等について、六十一年、それから六十六年の見通しを行っております。御承知のように本年四月にいわき地域が産炭地から外れましたけれども、その後の推移につきましては、現在各面からのレビューを行っているところでございます。  ただ、暫定的な比較をしてみますと、見直しを行ったかという御指摘でございますけれども、各経済生活圏におきます工業出荷額の伸びを仮にレビューいたしますと、ある程度の成果は上げておるのではないかと私ども考えております。その根拠は何かといいますと、全国の鉱業生産額の伸びの平均値と産炭地の経済生活圏の生産額の伸びを比較してみますと、十九の経済生活圏の中で約半数が全国の伸びを上回っておるということでございまして、そういう面では相応の成果を上げてきておると考えております。しかしながら、片方におきまして、この産炭法を延長しました当時の見通しと比較をいたしますと、残念ながら、我が国経済の成長率が当時推定いたしましたものよりも大幅にダウンをしたということがありまして、そういう目標値から見ますと格段の開きがあるという状況でございます。現在、産炭地域振興審議会を開催いたしまして、今後の地域振興のあり方についていろいろ検討を行っておるところでございますけれども、こういう点も含めましてさらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  129. 中西績介

    ○中西(績)委員 半数の地域においてある程度平均値よりも高い伸びを示したと言いますけれども、もともと基盤になるものが低いわけですから、その上での伸びがあったというように理解をしなくてはならぬのではないかと思うのですね。したがって、これから後の対策になってくるわけでありますけれども、今整備公団あたりで筑豊あるいは空知の地域の活性化を目指すマスタープランを試案として提示してきております。例えば筑豊サンバレー構想だとか空知のスカイトピアだとか、こういう内容のものが出されておりますけれども、そのこともさることながら、やはり審議会等で、これらとの関係で今までの反省の上に立って、そしてさらにこれから後五年間どのような内容でやるかについて、この生活圏設定とあわせてどう見直しをしていくかということがこれから重要です。ですから、これは短期間のうちに一定の方向性を出していくべきではないかと思っておりますけれども、この点はどのようにお考えですか。
  130. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 地域開発の問題につきましては、基本的に三つほど重要な点があるのじゃないかというふうに私は考えておりまして、一つはやはり地元の発意と工夫あるいは努力というようなものがまず基本にありまして、しかもそういう発意、工夫が、広域的な発展を図るというような方向での努力がなされる必要があるだろう。それに基づきまして、国としても、各省庁がその発意、工夫に対しましていろいろな面での協力をしていくというような形が望ましいというふうに考えております。  御指摘のこれからの産炭地域振興のあり方につきましては、現在、産炭地域振興審議会でいろいろ検討をしていただいております。御指摘のような方向も踏まえまして今後とも研究をいたしまして、地域の実情に合った計画の重点化といいますか、そういうものを国としても支援できるような体制をつくり上げていきたいというふうに考えているわけでございます。
  131. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がございませんから細かく論議をするわけにはまいりませんけれども、いずれにしましても、こういう中間的な総括の上に立ってどうするかということを、限られた五年間という期間の中におけるそうした具体的な問題等もございますので、ぜひ御検討いただければと思います。  それから、私、きょう石炭鉱害事業団の佐藤理事長にお越しいただいておりますので、鉱害問題で一、二の点についてお答えいただきたいと思います。時間がなければ、この次の機会にまた政府委員なりには詳しく御質問を申し上げたいと思います。  そこで、三年前から問題になっておりましたあの不幸な産炭地域における鉱害事件、事象、こういう中で、委任状の問題あるいは価格の査定の問題、見直し工事、復旧費、通知、さらには縦割り工事、認定業務なとたくさんの問題がございました。こうした問題がその後一定の年限経過をいたしまして正常化されてきたというように言われておりますが、具体的には、例えば認定業務等については六十年度の一万五千件が三分の一程度、その当時問題になってから約五千件程度しか判定作業が終了しておらないということが言われておりました。これらについて今作業状況はどのようになっておるのか、あるいは縦割り工事等がどのようになっておるかという点について、簡単でよろしいからお答えいただきたいと思います。
  132. 佐藤兼二

    ○佐藤参考人 御案内のように、五十九年のあの事件を契機といたしまして、その反省に立ちまして、私ども、通産省当局の御指導のもとで特に業務面の改善計画を策定しまして、地元関係の方々の御協力、御理解を得ながらその実施に努めてまいったわけでございます。その結果、その成果は着実に上がりつつあると考えております。ただし、これで十分かということにつきましては、決してこれで十分ではないので、改善の上にさらに改善を重ねてまいりたいというのが現在の気持ちでございます。  なお、具体的にお尋ねの件でございますが、特に、当時問題になりました窓口面における業務の乱れというものがあったわけでございまして、その一つといたしましては陳情のやり方、それから先ほど御指摘になりました鉱害の認定の取り扱い、その辺がどうもはっきりしないということでございますので、私どもは具体的に陳情ルールというものを定めまして、その徹底、それから陳情される方々に対するその辺の御理解も得ながら着実にその成果を挙げまして、かってありましたような徹夜陳情等々のことはもはや過去のことになりました。  また、鉱害の認定の件でございます。これは鉱害屋が大きく介入しておった問題でございますが、その点につきましても、私どもといたしましては必要なものについては現地調査もし、被害者の方々の直接の声もお聞きして、内部的には事業団内部に審査会をつくりまして、そこで合議制によってこれを整然と処理するという格好にいたしております。  それから業者の選定という問題、これまたかつて非常に問題になった点でございますが、その点につきましてもはっきりした登録制度を設定しまして、かつまた、具体的な業者の指名等については業者選定会議というのをつくりまして、そこの合議制によって適切にこれを選ぶというような格好で、全体的に業務は整然と行われるような状況になったと考えております。
  133. 中西績介

    ○中西(績)委員 今、陳情ルールなりいろいろな措置の仕方等が確立され、その結果、正常化が相当進んでおるということを言いますけれども、ところが問題は、この鉱害復旧については、御存じのようにあと残るところ五年間という限定された期間内でやられるということになり、今確立されたということでもって問題がないかというと、私は、この時期が一番鉱害について正念場に来たのではないかということを感じるわけであります。なぜなら、一番の問題は、被害者の立場に立ったときに、これがどのように措置されておるかということが一つ問題になって残るわけです。行政の側から一定のルールを決め、それに沿って全部ローラーをかけていくというようなやり方でもってすれば、行政の側はそれで正常化され、すべてが終わったというふうな認識になるかもしれませんけれども、被害を受けた側は、被害の側に立っての正常化が本当になされたかどうかということが一番の問題になるわけなんですね。この点がこれから後の鉱害行政に当たっての一番の問題になるのではないか。特に、この事業団というのは先端部分において対応しておるわけでありますから、これから後、そういう点についてより具体的にどうなのかということを真剣に考えていかなくてはならぬと思うのですね。きょうは討論する時間がもうございませんからそこまで深くは触れませんけれども、私は、この次時間が許されるならば、そうした問題等についてより具体的に提起をしてまいりたいと思います。  そこで一点だけ、私は鉱害関係でエネ庁の方に聞きたいと思うのですけれども、認定をする際に、非常にこの事業のおくれが目立っておるということを多くの被害者の皆さんから盛んに私たちは聞くわけなんです。特に、ルールが確立されたとか、いろいろな面におきまして一定の前進があったというようなことを聞きますけれども、そのためかどうか知りませんが、被害者の方からすれば相当ないら立ちが目立ってきています。  例えば認定について、これは佐賀県の一つの例でありますが、あるいは福岡県の例でありますけれども、幾つかそういう問題が出ています。それは、条件が全く同じ例えばAという地区とBという地区がございまして、A地区は認定が済んで既に復旧済み、ところがB地区では、農地は認定をするけれどもその囲まれておる宅地は認定をされないという状況が出ている。今度は宅地の中でも、本家屋は認定されずその隣の倉庫は認定をされておるというような事態が発生しておるということを聞きます。あるいは浅所陥没が出ても全く無視されておる。その地域を科学的調査をやられたことによって、科学的調査でそういう事態はありませんという一言でもってこれが処理されずにおるというような状況等挙げると幾つかの問題が出てまいります。  こうなってまいりますと、確かに、行政の側なりあるいは今御答弁いただいた先端部におる事業団の皆さんはルールが確立され前進をしたということになっておるかもしれませんけれども、被害者の側から見ると決してそういう状況にはなっていない。こういう状況等があるということを実際に御存じですか、この点をお答えください。
  134. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生が御指摘になられました例の中で、例えば家屋等におきまして、構築物の一部が鉱害認定されるというようなケースがあり得ると承知をしております。
  135. 中西績介

    ○中西(績)委員 今の答弁、簡単過ぎてちょっとわからないのですけれども、注釈をつけていただけませんか。
  136. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 最近の鉱害におきましては、大部分の炭鉱閉山後かなりの期間を経過しておりますので、基本的には私ども鉱害の安定期に入っていると認識しておりますけれども、先生も御指摘になりましたように、例えば五十メートル以浅の浅所採掘に伴う浅所陥没というような二次鉱害が発生をするのが最近大部分になっておるわけでございます。そのときに、鉱害の現象といたしまして陥没等が局所的に生じますためにその影響範囲が局所的になることもございまして、そういう意味では、例えば同じ宅地内で倉庫は認定されるけれども住居は認定されないとか、そういうケースがあるということについて承知をしておるわけでございます。
  137. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、今浅所陥没ということのかかわりの中で申し上げておるのではなくて、例えば、一定の棟割り長屋があると仮定いたします。そうすると、両サイドは認定しておってもその中は認定しないという事象が具体的にあるわけですね。あるいは、今言うように農地なりに囲まれておる宅地の中において、農地は認定されておっても宅地は認定されないとか、なおかつ、今度は同じ宅地の中でも、今言うように本家屋は認定されずに倉庫が認定されておるというような状況が出ておる。周囲が全部やられておってもこういう状況が出ておるということは、浅所陥没とのかかわりなしに、従来からある鉱害によって具体的に鉱害現象が出ておるにもかかわらずそれが認定されておらないというような状況等がいまだに残っておるとするならば、先ほどから安定という言葉を使っておりますけれども、このことが必ずしも安定をしておらないからこそそうした問題が依然として残っておるということ、そして従前から認定作業の過程における差があったということ、そうしたことが依然として残っておるのではないかと思うわけであります。  時間が参りましたのでやめますけれども、こうした問題等含めてもう少し被害者の側に立った鉱害行政、そして、それを今度は確立されたということでもってすべてを拒否するという体制でなくて、開かれた鉱害行政というものはいかにあるべきかということをこれから追求していかないと、本当に民生安定という目標のある鉱害行政が行われておるかどうか疑問視しなくてはならぬようなことがあの事件以来出てき始めておるのではないか。そのために、一言だけ言っておきますけれども、近ごろまた再び鉱害ボスという人たちの蠢動が出てき始めておるのではないか、このことを私は一番恐れております。ということになると、鉱害行政そのもののあり方が極めて重要な段階に今来ておるということを申し上げて終わりたいと思います。もう時間がございませんから打ち切ります。
  138. 竹内黎一

    竹内委員長 答弁はなくていいのですか。
  139. 中西績介

    ○中西(績)委員 ええ、いいです、この次に時間をとってやりますから。
  140. 竹内黎一

    竹内委員長 佐藤参考人にはまことに御苦労さまでございました。退席されて結構です。  次に、細谷治嘉君。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間が三十分でございますので、質問の方も簡単にやりますから答弁の方もひとつ正確にお答えいただきたいと思います。  今、有明海、そしてそれを囲む福岡県側においては大牟田市、高田町、大和町、柳川、そして大川、佐賀県側の方も含めてかなり激しい地盤沈下が起こっております。この地盤沈下は五十一年ぐらいから始まって、年間平均して二、三十センチぐらいずつ沈下しているだろうと言われております。今私が申し上げました地域には三井石炭の有明坑というのがございますが、この鉱害ではないか、いや鉱害じゃない、しかし現実には沈下に対する埋め戻し等がかなり行われておるわけです。時間があれば詳しく申し上げますけれども。それから、あの地域には干拓地がございます。この干拓地もひどいところは二メーターぐらい、少ないところで五、六十センチ、平均して一メーターから一メーター二十ぐらいの陥没がある。農地をやっておりましても、陥没していますから段々ができてしまって水路をつくっても意味がない、こういう状況になっているので、農林省なり通産省なり県なり農地局なりでこの調査を始めました。最近その結果が出たわけですけれども、その結果については、私の手元に福岡県あるいは有明漁連、こういうところから陳情書が来ております。それから地元の町村からも陳情が来ております。これについて、推進された農林省なり通産省なり、あるいは県がありますけれども、主として農林省でしょう、この報告をどう評価しているのか。地元ではこの報告はなっておらぬ、こう言っております。ひとつそれをお答えいただきたいと思います。
  142. 遠藤竹次郎

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘いただきましたように、この大和干拓地盤沈下等原因調査委員会の報告書は、地盤沈下は旧大和干拓を含みまして広域にわたる現象である。それから、地盤沈下のその規模から見まして、通例であればいわゆる第四紀層といいましょうか、そういうところからの相当量の揚水がなければならない、しかしながら第四紀層から水をくみ上げているという実績はそれほどにはない。それから三番目は、有明坑から年間一千万ないし二千万立方メートルの排水がありますけれども、有明坑というのは第三紀層でございまして、先ほど申し上げました第四紀層の水とではどうも水質が違うというようなことを研究結果で述べているわけでございます。その結果、この地区の地盤沈下について学問的にはどうも因果関係といいましょうか、原因が特定できないということを申しているわけでございます。  私どもといたしましては、この委員会が、採鉱ですとか地質ですとか、干拓とか軟弱地盤とか地下水についての大学の専門の、いわば我が国の第一級の先生方によってなされたその立場からの科学的な総合調査でありますので、その結論はそれなりに非常に意義があるものだろうと思っているわけでございます。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 権威ある学者等が精神を込めて検討したから権威あるものだ、こう思っておるとお答えでありますが、このお名前を拝見いたしますと権威ある方々でありますけれども、この結論の総合意見というのはどうも権威あるものと思えないのです。  例えば申し上げましょう。総合意見のうちの一つに、「沈下現象は当干拓のみでなく隣接する旧干拓においても発生しており、したがって広域の地盤沈下現象である。」これはもう間違いない、そのとおりです。ところが、「この地区の沈下体積は百七十三万m3におよび、その沈下の規模から推測すると通例であれば相当量の揚水が第四紀層中の帯水層から行われたものと考えざるをえない。しかし、当地区の井戸による揚水実績は、この規模に達するとは推測できない。」大体どのくらい揚水しているかというと二百万立米だ、こう言うのですよ。それから、この総合意見にもありますけれども、三池炭坑の排水はどのくらいかといいますと、大体一千万立米ないし二千万立米の坑内排水の実績がある。いってみますと揚水の大体十倍ぐらいあるわけです。しかし、今お言葉にありましたように、四紀層からとった水と三紀層からとった水を分析いたしますと、両者の水質は型が相違しておって両者の間に水質から見た関連性はない、こう言っております。そして結論としては「その原因については特定できない。」炭鉱のためか揚水のためか、あるいは何か、特定できない。特定というのはどういうことか知りませんけれども、炭鉱じゃないという意味でしょう。あるいは揚水でもないということでしょう。そしてその最後には、「原因究明のためには各関係機関においても継続した調査が必要であるが、しかし、その原因究明には困難性が予想される。」これから調査しなければいかぬけれども原因究明は困難である、こう言っているのですよ。  これが五十七年ぐらいから始めてやっと出た権威ある学者の調査の結論でしょうか。農林省はそうお思いですか。私は、科学的に見てもこれは権威あるとは言えないと思う。報告は出ている、しかし現実に地盤沈下が起こっていることは間違いない。その地盤沈下についての原因は特定できない。今日の段階ではそうかもしれませんけれども、三紀層、四紀層といいましても、水を揚げれば間違いなく地盤沈下するのですよ。私の住んでいる大牟田市は、熊本県に行きまして大体二万立米地下水を上げているのですよ。かなりの地盤沈下が起こっていますから、それについての補償をしております。ここも同じですね。二百万立米の地下水の揚水、そして炭鉱の方で一千万立米ないし二千万立米の揚水をしますと地盤が変わってくることは間違いない。どういう割合とかなんとかは別として、これは幾ら調べても原因が特定できないというのはおかしいんじゃないか、こう思いますが、簡単にひとつ基本的な考えをお答えいただきたい。
  144. 遠藤竹次郎

    ○遠藤説明員 一般的に地盤沈下というのは、先生がおっしゃいましたように、土の中から水を抜くことによって地盤が凝縮していくという現象によって起こるというふうに学問的に言われているわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたようにこの委員会におきましては、また先生御指摘になりましたように、しからば何が原因であるのかということを特定できないというふうに申しているのではないかと思います。また私どももこの報告書は、先ほど申し上げましたように、先生方の御研究によりまして素直にそういうふうに読むべきではないかと考えているわけでございます。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それではお尋ねしますが、私も素直に解釈しているのですけれども、それではこの調査は後引き続いてやりますか、もうやめますか、どちらですか。
  146. 遠藤竹次郎

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど御質問の中で申されましたように、この調査会の結論の部分で、原因を特定するのはかなり困難であるというようなことを書いてあるわけでございますけれども、非常に大切なことでございますので、関係の省庁ともよく連絡をとりながら検討をしてまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  147. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほど中西委員からもありましたが、鉱害の認定というのは一体どうなっているんだ。海底の沈没についてはまだ後で議論しますけれども、農地があるわけですね、農林省がつくった干拓地が。その干拓地が地盤が大きく沈下しているのですよ。これが農地鉱害であるのかないのかどうして決めますか。起きていることは事実に立脚して土地改良か何かで片づけるという意味ですか、あるいは農地鉱害の復旧でやるということになるのですか、ならないのですか。いつまでたっても、いや特定できないから農地鉱害じゃありません、こうなったら地元の人はたまったものじゃないですね。どうなんですか。
  148. 末松雄祐

    ○末松説明員 先生の御指摘のように、原因の問題は別にいたしまして、農家の皆さんが現実にお困りになっているという事態はあるわけでございます。土地改良事業で客土なんかをいたしまして地盤のかさ上げをやることはできるわけでございますけれども、土地改良事業の場合には地元からの申請というものが原則になっております。例えば県営事業で申しますと、地元の土地改良区なり土地改良法に定める資格者が県に申請をいたしまして、県が一定の計画をつくりまして国に申請をして事業を実施する、地元の発意で、地元の同意を得て事業を実施するという仕組みになっておるわけでございます。そこで、土地改良事業で対処するという方向になりまして具体的に県なりから土地改良事業の申請等が出てまいりましたら、我々といたしましても前向きに対処してまいりたいと思っております。
  149. 細谷治嘉

    ○細谷委員 農地が鉱害だろうか、そうでないだろうか、ないとするならば土地改良で何らか農業ができるようにしてもらわなければいかぬ、これがこの地元の陳情書の中に書いてあることです。そうすると、これまでやって原因がわからぬ、鉱害と特定はできない、特定できないから認定はできませんでは地元の方だってどうにもならぬでしょう。地元の方が鉱害かもしらぬ、こう言っているわけですよ。ところがそうはできないと言うのだから、対応の仕方がないですよ。  ですから、私はこの段階では、現実的には地元の実情を考えて、あの干拓地については土地改良ということに力点を置いてやる。新聞によりますと、鉱害でありませんけれども入植した農民は困っておりますから、石炭会社の方で年間五百万円の手数料というか慰謝料というか、とにかく埋め戻しとかいろいろやっているのです。そういう金をやっていると新聞には書いてあります。しかし、本来ならこれは鉱害復旧で効用回復か原形復旧してやるべきですよ。それを知らぬふりして特定できないというのは、科学者の報告としては完璧な報告じゃない。人間は権威ある人がやったのですけれども、中身は権威がない。こうなりますとどうしますか。土地改良に集中してやるお考えですか。この一点をお聞かせいただきたい。
  150. 末松雄祐

    ○末松説明員 ただいま申し上げましたと同じことになるかと思いますけれども、土地改良事業は地元の申請に基づいてやる事業でございます。調査委員会の報告でも、沈下の原因は水をくみ上げることによって圧密沈下をしたのは明確であるということは明記してあるわけでございますけれども、その点は別にいたしまして、現実に農家の皆様がお困りになっている件について対処するためには、県なりと十分相談いたしまして、土地改良事業としてするという県、地元の判断がなされまして申請が出てまいりましたら、私どもとしては前向きに取り組んでまいりたいと思います。
  151. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地元から申請がないからだめだ、学者の調査特定できない、だからほっておけ、これではせっかくの干拓をやった意味がないですよ。地元ではそんなことを言いませんよ、そのために権威ある報告を待っておったわけですから。陳情書にはこう書いてある。「昭和五十七年十月福岡通商産業局長名で専門家による「大和干拓地盤沈下等原因調査委員会」が設置され、調査がなされてきましたが、昭和六十二年六月三日、福岡通産局、九州農政局、福岡鉱山保安監督局、福岡県の四者連絡会から報告が行われました。報告によると、原因究明には継続した調査が必要であるが、その原因究明には困難性が予想されるとし、事実上、この問題に対する調査の打ち切りを示唆されています。」調査する意思はないと地元は読んでおります。読んでおりますけれども、何とかしてくれぬだろうかというわけで、農地の復旧について早急に対応してほしいと言っておるわけです。どうですか、通産省。かかわり合いがありますね、これは主として農地でありますから。部長答えたいらしいから、ひとつはっきりしてください。
  152. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 この大和干拓の問題につきましては、先ほど来先生もおっしゃっていますように、五十一年から福岡の通産局あるいは九州の農政局、福岡の鉱山保安監督局それから福岡県の四者でいわゆる四者会議といいますか、いろいろな原因究明のための打ち合わせ等を行ってきたわけでございます。それで、五十六年九月にこの四機関によりまして大和干拓地盤沈下問題連絡会が設立されておりまして、さらに、これは技術的な調査が必要であるということで、五十七年十一月に原因調査委員会設立していただいたわけでございます。この中のメンバーは、先生も御存じの鉱害問題、地盤沈下あるいは農政問題等の非常に権威のある先生方が入っておられまして、私どもといたしましてもこの調査結果について非常に注目をしておったわけでございますけれども、今先生の御指摘がありましたように、これは水のくみ上げによります地盤沈下ということはほぼ確定したようでございますけれども、ただその原因についてははっきりしない、明確ではない、特定できないと結論されておるというふうに理解をされております。  したがいまして、この観点からいきますと、私どもの担当は鉱害行政というのはございますけれども、なかなか鉱害認定ということにはならないのではないかと考えておりまして、しかし、問題はやはり先ほど先生がおっしゃっていますように、被害者の立場というものも十分考慮いたしまして何とか現実的な解決方法がないかということで、私どもといたしましては、この四者会議の成り行きを注意深く見守ってまいりたいと考えております。
  153. 細谷治嘉

    ○細谷委員 四者会議を見守っていくというのではなくて、積極的に指導してやってくださいよ。地元の申請がないから土地改良も地盤沈下に対する対応もできない、鉱害の認定もできない、そして地元の動きを見守っております、これではどうにもならないと思うので、政務次官もいらっしゃいますが、指導するならひとつ積極的に指導していただきたい、私はこう思います。  これは干拓地の問題ですが、海底が落ち込んでいるわけですよ。日本のノリの四割ぐらいは有明海でとれるわけですね。ことしは孟宗の大きい竹を持ってきて差すと大体ひび竹がちゃんと間に合っていた。ところが翌年そこへ差すと孟宗竹はずんずんともぐってしまって、もうそこに網を張れない、こういう事態がありまして、それに対して土で埋めておるわけですが、それを調べてみますと、今までに千三百三十九万立米海底の陥没量があって、それに対して四百三十八万立米の埋め戻しをした。三分の一埋め戻しをしているわけですね。ずっと見ますと、そのうち二割ぐらいが佐賀県分で八割が福岡県分です。そうすると、埋め立てというのも必ずしも十分じゃない。  そしてそのほかに、漁業をやっている人は手数がかかりますから補償金が出ております。六十一年度は大体十四億円ぐらい、これは会社の方から出ておるようであります。そしてその十四億円の金の工面に通産省の方も一生懸命やっていただいて、大体十二億程度の低利の融資をしておるようであります。このこと自体はなかなか親切にやってもらっておるようでありますけれども、陥没量に対して埋め戻しの量が大体三分の一では、これはなかなか効用回復はできないのではないか。海底鉱害というのはありませんけれども、現実に石炭産業をやって日本の産業に寄与しているわけですから、この辺も対応をしていただきたいと思うのです。政務次官、いかがですか。
  154. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘のように有明海の海底沈下につきましては、三井鉱業所といたしまして地元の有明海漁業協同組合との間でいろいろな補償を行い、あるいは沈下の埋め戻しをやっているわけでございます。この沈下量等につきましては、私ども伺いましても、会社側の測定値と漁連側の測定値と若干違いがあるようでございますけれども、いずれにいたしましても、現在、毎年大体百万立米ぐらい埋め戻しを行っておりまして、そのうち約二割が先生御指摘のように佐賀県側であると承知いたしております。  それで、鉱害復旧費用等の低利、長期の融資をもちまして会社側の支出に対応しているわけでございますけれども、なお、基本的には漁連と会社側の話し合いでこの埋め戻し量等が決定され、着実に進んでいくことが必要だと考えておりまして、そういう意味で三井鉱山の経営が安定化することが一番大事であると考えておりますので、三井鉱山の経営の安定化ということにつきましては、合理化対策等を通じまして私どもも必要な支援をしてまいりたい、それによって鉱山が漁連との話し合いを通じて着実に賠償していく、あるいは埋め戻ししていくということが大切ではなかろうかと考えておるわけでございます。
  155. 細谷治嘉

    ○細谷委員 石炭部長が答えるようにそのとおりでしょう。海底はこれは法律にないわけですけれども、両者話し合いの上で十五億円に近い補償と、それから埋め戻しの費用十五億円、それから隣接する農地、これは関係ないとおっしゃるけれども、農地についても一戸当たり五百万円の迷惑料、こういうものを出しておる。大変な負担ですよね。そういう金を出していくためには石炭産業が安定していくことが重要でありますけれども、残念ながら石炭産業がこれから安定するというのはなかなか厳しいと思います。それで、通産省は待っておるとかそういうあれじゃなくて、介入とは申しませんけれども、ひとつ積極的に指導をして問題が早急に解決するようにしていただきたい、こういうことをお願いしたいと思うのです。次官、いかがですか。
  156. 中川秀直

    ○中川政府委員 いろいろ御論議を伺っておりまして、私も先般大牟田へ参りまして、御指摘のあった有明海海底の沈下の状況、また、三井石炭において坑内から出るズリといいましょうか、骨材を一生懸命積み上げてノリ漁場の海面に埋め戻しておるというような努力状況も見てまいりました。  大和干拓の問題は、原因が特定できないという非常に難しい問題でございますが、通産省としても現実問題として現実の対応策をとるということが重要だと思っておりますし、重大な関心を引き続き持って地元の調整をできるだけ早くやっていただく、そしてその上で我が省としてもできる限りのことはしてまいりたい、こう思っておるわけであります。  海底の沈下の点につきましても、引き続き三井石炭側の御努力、埋め戻しの御努力も我々としてお願いをしてまいりますし、また同時に、補償等についてはこれまでも満額、会社の希望する金額を貸し付けてきておるわけでございまして、引き続きこういう努力は積み重ねてまいりたいと思っております。
  157. 細谷治嘉

    ○細谷委員 かつて三井石炭の社長がこの特別委員会の参考人として来た際に、目に見えませんけれども海底を掘っているために陥没が起こっておる、それの復旧とは言いませんけれども、その手当てに当時の金で十億円ぐらいの支出をしております、この辺のことをひとつ国会の方でも御考慮いただきたい、通産省よ、考慮してくれということを要請しておりますよ。隠しておるわけでも何でもないのですからひとつ公然と対応していただきたい、こういうことであります。  そこで、自治省見えておりますから、時間がありませんのでお聞かせいただきたいのですが、今の鉱害に関連いたしまして、鉱害復旧というのはできるだけ早く認定してきちんと復旧してやるのは当たり前のこと、私はこれを前提にして申し上げますけれども、石炭産業には、鉱害をやった原因者である者が無資力の場合と有資力の場合とがある。有資力というのは、今労務債も処理できないくらい息絶え絶えにやっている困難な環境にあります。ところが、その鉱害復旧に対して有資力の場合は負担金があるわけですよ。ちょっと現行法を見ますと、農地鉱害の場合には一五%福岡県が持つわけですね。それから公共施設に対しては、上水道とか工業用水では三分の二県が持つ、下水道では六〇%県が持つ、その他の公共施設は五〇%持つ、こういう形で莫大な地方公共団体負担があります。福岡県はどのぐらいかというと、有資力鉱害でありますから、毎年毎年百億円の鉱害復旧に対する負担をしておるわけですよ。石炭は、仮に一万五千円として年間一千万トンとっても千五百億ですよ。千五百億の中で百億以上の負担金を出すというのは容易ならぬ地元負担だと思うのです。ですから負担の仕方について、まだ石炭が隆々としておったときの負担区分でありますが、検討をし直すべきではないか、これが私の意見の一つであります。  もう一つは、この委員会でも出ました産炭地域の補正についてですが、これはことし六十三年度からはだんだん減っていくのです。今までのものは石炭の離職者とかなんとかの対応、三事業に対する対応でそれを物差しとして交付税が計算されておりました。ところがあと四年間で経過措置は終わりになります。そこで、何とか産炭地の財政を考え、特に今まで対象になりました北海道等も考えたらどうかということを私もこの席で申し上げました。ほかの委員からも出ました。ところが最近、八月二十四日の官庁速報に、「人口激減市町村に普通交付税重点配分最近二年間の減少率五%以上が対象 一人当たり四万円措置・自治省方針」と出ております。人口が五%以上減ったところに対しては、五%を上回ったその人口一人に対して四万円ずつ交付税で需要額に計入しようというわけです。高島あたりは随分助かるでしょう。この中身の四万円がいいか悪いか、五%がどうかということは別として、自治省もここでいろいろ議論になったことを聞き届けていただいた。官庁速報に出ております。まだ言う段階じゃないと言っても、出ているのですから。今の件について通産省と自治省からそれぞれお答えをいただきたい、こう思います。
  158. 小滝敏之

    ○小滝説明員 先生一点目の御指摘は、石炭鉱害復旧事業についての地方負担が大変多額であるということでございましたが、この地方負担額につきましては、自治省におきましては地方債の措置を講じますとともに、その地方債の元利償還金につきましては、交付税の基準財政需要額に算入するということで地方財源措置をいたしておるところでございます。  それから第二点目は、産炭調整に絡んだ交付税措置の御指摘でございました。現在、交付税法が参議院におきまして審議中でございまして、交付税法の改正あるいは地方税法の改正法が成立いたしました段階で今年度の具体的な普通交付税の算定作業をいたすわけでございますが、先生かねてより御指摘のございました産炭地における新規閉山等に伴います交付税措置につきましては、私ども、先生の御趣旨等も踏まえまして、今年度より新たな補正の方式を設けまして算入すべく検討しておるところでございます。具体的に炭鉱あるいは非鉄鉱山の新規閉山あるいは有力企業規模縮小とか、そういったようなことに伴いまして地域経済環境が激変する、具体的に人口が大幅に流出をして新たな市町村の財政負担が生じてくる、こういうことにかんがみまして、新たな補正の係数を設定いたしまして算入すべく検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  159. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 ただいま先生御指摘の都道府県の鉱害復旧にかかわる負担でございますけれども、確かに先生おっしゃいましたように、私の記憶でも福岡県は約百億円鉱害復旧に負担をしてもらっているというふうに考えております。  ただ、鉱害復旧費用につきましては、私どもの理解ではかなりの部分が地方債の発行あるいは普通交付税の交付により手当てをされておりまして、自治省の方での手当てによりましていろいろ実質負担の軽減が図られていると理解をしております。地方の国土の保全あるいは民生の安定という観点からも、県には引き続き鉱害分の負担をお願いせざるを得ないのではないかと考えているわけでございます。
  160. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二点、要望といいますか、申し上げておきたいと思うのです。  鉱害復旧については地方債でやっている、手当てしていると両方お答えになった。確かにそのとおり、八〇%は地方債が充当される。残りの二〇%は特別交付税で、どの程度か知らぬが見る。それから八〇%の償還については元利の五七%を見る。しかし、まだ随分県は負担が残っているわけでしょう。何だって県に莫大な責任を負わせるのですか。見てみますと、六十年度は全国で百二十八億円、そのうち福岡県が百三億円、五十九年度は全国で百三十億円、福岡県が百五億円、大部分の事業が福岡県に集中していますが、福岡県は大変な負担ですよ。ですから、見てやっているからもう御の字だなんということじゃなくて、今日の状況では地方財政の実情からもっと力を入れてやるべきではないか。  鉱害復旧については、今日の石炭産業の実態から、有資力、無資力、日本語はわかりますけれども、実態は何ですか。そんな区別はあるわけはないですよ。鉱害復旧をどんどん進めるという意味において、負担をどうすべきかという検討をし直して事業を積極的に推進したらいかがか、私はこう言っているわけですから、ひとつ十分検討して善処されるよう要請して、質問を終わります。
  161. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、鍛冶清君。
  162. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は、産炭地域振興の問題、鉱害復旧の問題について幾つか御質問を申し上げます。多少ダブるところがありましたら御容赦をいただきたいと思います。  お昼から今までいろいろと議論されてきておりますが、私が申し上げるまでもございませんで、本年四月から第八次の石炭政策実施をされまして、これに伴って、第八次策の最終年度生産規模をおおむね一千万トンにするという政策のもとで各炭鉱は非常に厳しい対策を迫られておるわけでございます。こういう中で閉山が相次いております。七月十四日には三井石炭砂川炭鉱閉山したわけでありますけれども、炭鉱閉山、それから生産規模の大幅な縮小というものは炭鉱への依存度の高い地域経済雇用にはかり知れない影響を与えるわけでございまして、我々はこれを大変憂慮しているわけでございます。現実に、今申し上げた砂川、さらには高島炭鉱あたりの閉山でそういう状況がもう起こってきております。これまでのやりとりの中でもそれが浮き彫りにされているわけでございますが、これらについても、対策には万全の措置を講ずるように現在強く求められておる、これは言うまでもないことでございます。  また一方には、筑豊地域は私の郷土でございますが、旧産炭地域におきましては炭鉱閉山影響はまだ根強く残っておりまして、現地に行っていただくとわかりますけれども、これを何とか浮揚しなければならない、こういう状況がございます。ところが、昨今の産業構造調整によりまして地域経済雇用というものが深刻な影響を受けておりまして、重大な問題になっているわけです。特に、筑豊地域振興については北九州のポテンシャルの活用というものが重要なてこになってきておる。ところが、その北九州自体が産業構造調整の荒波をまともに受けまして、経済活力というものが今非常に地盤沈下している。特に、私のおります北九州市などは鉄を中心に今まで生きてきたと言っても言い過ぎではないわけでございますけれども、その鉄鋼が極めて地盤沈下しておる。新聞報道等によりますと、全国的に景気が上向いてきておるというお話もあるわけでございます。現実に東京、神奈川とかこの地域は、建設関係にしましても大変活況を呈してきておる。むしろ、人手不足を仕事のないところから補ってきておるという状況がありますが、その人手不足を北九州方面から求めて東京に人をやっているという現実もございます。先日も、私の近しい友達が言っておりましたが、北九州ももう鉄から解放されなければいかぬのじゃないか、鉄という字を見てみろ、金を失うと書いておるぞ、そろそろ脱却を考えぬかということで強い指摘もいただいたくらいでございまして、筑豊のてこ入れの核にならなければならない北九州がそういう状況下にある。  また、現在、産炭地域振興臨時措置法が継続中でございますけれども、昭和五十六年、十カ年の延長をされたわけでございます。その折にはこの十カ年が最後になるであろうというふうな話も伝わっておりまして、特に、石炭六法の中核になる産炭地域臨時措置法の期限切れまでにはちょうどあと五年で、現在その折り返し点にかかっておるわけでございます。こういった状況等を総合して考えまして、現在、産炭地域振興というものは極めて重要な地点に差しかかっておるし、また重要な施策が強力に押し進められなければならない状況下にあると思います。特に、問題が地域によって多様化いたしておりますから、これに対応するためにはいろいろと配慮が必要であろう、こういうふうにも痛感しておるわけでございます。  こういったことを前提といたしまして、まず最初にお尋ねいたしたいわけでございますが、第八次策の期間におきます産炭地域振興基本的な方向と対策の重点についてどういうふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。     〔委員長退席、愛野委員長代理着席〕
  163. 中川秀直

    ○中川政府委員 先生お尋ねの根本にございます認識あるいは趣旨については、我々も基本的に同感でございます。  そこで、通産省としましては、今後の産炭地域振興のあり方につきまして、現在、産炭地域振興審議会において鋭意検討を進めていただいておるわけでございますが、産炭地域振興臨時措置法の施行から約四半世紀を経ております今日、産炭地域のそれぞれが抱える現状あるいはまた課題というものは極めて深刻かつ多様なものがございます。したがいまして、それらの地域の実態に即した対策について中長期的な観点から検討していただこうということでございまして、とりわけ八次策の期間においては、大幅な減産や閉山といったようなことからくる地域経済疲弊という問題が懸念をされるわけでございまして、今後の産炭地域対策についてはこうした地域に対する対策について十分配慮することが重要である、こう考えておるわけでございます。  そういうことで、既に他の委員からのお尋ねについてお答えを申し上げておると存じますが、六十三年度概算要求においては、産炭地域総合支援事業というものを取り上げてまいりたい。通産省全体の六十三年度の新政策の一丁目一番地といいましょうか、第一の柱が地域の活性化でございまして、単なる従前の工業再配置だけではなくて、現状の経済の動きあるいは産業構造の転換という中で、産業全体、ソフトを含めた、サービスを含めた産業の再配置を図っていく必要があるということも考えておりますし、また研究開発基盤、こういったものも地方に展開をしていく必要がある、こう考えておるわけでございます。  産炭地においても、地元の自治体が中心になりましてそういった地域の活性化を図る、そして地域経済雇用への影響を緩和するために、例えば、国際リゾート建設等の大規模民活プロジェクト等を推進する場合においては、国、地域振興整備公団等の関係機関が強力な支援を行うことにしたい。例えて言うならば、アイデアはあるのでありますけれどもその具体化がなかなか難しいということがございますので、そういったプロジェクトシーズを育成するためにインキュベーションの制度創設しまして、地域公団に基礎調査あるいは高度化調査、夕張等で例があるようでございますが、場合によっては国際地域開発コンペの開催といったようなものにも取り組んでまいりたいと存じます。また、いろいろな事業化に当たりましては促進調整額を現行の産炭地域振興臨時交付金に新たに創設をいたしまして、対象経費の二分の一ぐらいは助成をしてまいりたいと思っておるわけでございます。また、そういった上に立ちまして、第三セクター等が設立された場合には、産業基盤整備基金あるいは地域公団からかなりの額の出資もしていくような形にしていきたい。事業資金の確保につきましても、おおむね七割について開銀あるいは北東公庫のNTT株式売却による無利子融資をする、あるいは地域公団の低利融資を組み合わせて資金の確保もしてまいりたい、こんなことを六十三年度予算要求いたしておるわけでございます。  いずれにせよ、六十三年度においては、そういった大幅な減産あるいは閉山地域を中心にしまして産炭地域振興対策を抜本的に強化をしたい、こう考えておるわけでございます。
  164. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 産炭地域振興基本というものは、今私、現地におりましていろいろ痛感することがあるのですが、今までの何となく政府に依存ということから脱却して前向きに自助努力というものが始まる、その一番根本は人心にあるだろうと思うのですけれども、そのためにも基盤整備というものは、基本的に言われておりますことをしっかりと政府において施策を着実に実行していっていただきたい。それがないと人心を新たにしてやろうというせっかく起こっているものの芽を摘むということにもなりますので、そういったことを配慮しながら基盤整備を進めていただきたいわけでございます。言うまでもなく、この基本となるものは産業、生活環境基盤の整備、それから雇用創出のための企業誘致地域での産業興し等による地域経済の活性化といったものが大切であろう、こう思っております。特に基盤整備では、筑豊のどの地域をとりましても真っ先に交通ネットワークというものを整備しなければならぬ。そのためには道路整備が大切だというようなことを言っておりまして、これらにつきまして着実に進めなければならぬわけですが、この問題はまたの機会にしっかりと取り上げていろいろとお尋ねしていこうと思っております。  その中で一番オーソドックスに考えられております企業誘致という問題があるのです。この企業誘致につきましては、これまで地域振興整備公団による工業団地の造成等によって進められてきておるわけですけれども、これまでに地域振興整備公団によってどのぐらいの企業が誘致をされまして、何人ぐらいの雇用創設されてきたのか、また最近の傾向はどういうふうになっているのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  165. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 地域振興整備公団は、石炭鉱業の不況によりまして疲弊の著しい産炭地域におきまして鉱工業等の計画的な発展を図るということを目的といたしまして設立されたわけでございますけれども、この産炭地域におきまして、特に工業団地の造成、分譲及び進出企業への融資、こういうものを産炭地関係の主要な業務といたしておるところでございます。  地域振興整備公団がこれまで努力をいたしました結果、昭和六十一年度末現在の数字でございますけれども、千九百十九社の企業産炭地域に誘致されたというふうに考えております。この千九百十九社の内訳でございますけれども、地域公団が造成いたしました団地を分譲することによって誘致されました企業が三百六十五社、それから、地域公団の低利、長期の融資制度によりまして産炭地域に誘致されました企業が千五百五十四社というふうに理解をしております。合計千九百十九社の企業産炭地域に誘致されまして、これによりまして十一万七千人の雇用創出されたというふうに私どもは計算をいたしております。  なお、先生のお尋ねの今後の動向でございますけれども、近時、円高の急速な進展等によりまして、公団の誘致企業あるいは雇用の増加という面では若干鈍化する傾向になっておりまして、その辺が心配でございますけれども、引き続き万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  166. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今後とも企業誘致は積極的に進めていかなければならぬ、こう思います。ただ、今御答弁の中にありましたような傾向というものは確かにあるのではないかなという心配がありますし、あるいはまた新たな発想で今まで造成された土地を含めて使うという方向も考えなければならぬのかとは思いますけれども、しかし、やはり企業誘致というものが一番基盤になるであろう、こういうふうに思います。そういう意味で、地域振興整備公団の役割というものは極めて重要だと思うわけです。重ねてのことでございますが、企業誘致についての強化策はぜひ講じていただきたいわけです。これについてどうお考えか、重ねてお尋ねをいたします。
  167. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 地域整備公団の企業誘致の役割でございますけれども、先ほども申し上げましたように、昨今の円高等によりまして我が国経済が著しく変貌しておるわけでございます。そういった点で、これは産炭地域だけではございませんで、全般的に企業立地が低迷しておるという傾向が見られるわけでございますけれども、私どもといたしましては、こういうときだからこそこの企業誘致に一層力を入れるということが大事であると考えております。例えば、PR活動の強化でありますとか需要者のニーズに応じたサービス、これは今までもやっておりますけれども、さらにこの密度を濃くいたしましてサービスの強化というものを一層充実したい。それから、公団みずからも地域活性化事業へいろいろなソフトの面で取り組んでいくというような公団機能の弾力化といいますか、そういうものも通じまして企業誘致促進をさらに図ってまいりたいと考えております。
  168. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この取り組みは積極的にやっていただきたいと御要望申し上げておきます。  現在、筑豊地域におきましても、地元の自発的な努力によりまして地域の産業興し、活性化事業への取り組みというものが積極的に進められるようになりました。これは私は大変いい傾向が出てきておると喜んでおるのでございます。こういったことに対して通産省では、昭和六十一年度から産炭地域活性化支援事業制度創設いたしましてこれらの地域の取り組みを大変バックアップされているようでありますけれども、これまでの産炭地域活性化支援事業制度の筑豊地域への適用、これらのプロジェクト事業化に当たっての支援策等はどういうふうになっているのか、お聞きをいたします。
  169. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 お尋ねの産炭地域活性化支援事業制度でございますけれども、これは先生御高承のとおり昭和六十一年度創設させていただいたわけでございます。この制度によりまして筑豊地域におきましては、昭和六十一年度には添田町及び飯塚市においてこの制度の適用でビジョンの作成が行われましたし、さらに六十二年度には、その他四市町村においてビジョンの作成が行われているというふうに考えております。さらに、六十二年度からは新たに企業調査のためのいろいろな助成制度が追加されておりまして、事業段階におきます地域振興整備公団の出融資制度とあわせまして、今後とも地域の活性化事業への支援というものを強めてまいりたいと考えております。
  170. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今御答弁にもありましたように、活性化を図る上での動きは一つの市、一つの町等に現在のところは限られているような感じではありますが、地域活性化を図る上ではそれではならぬという空気が今底流として出てきているのも事実でございまして、各役所関係も若手の方では、場合によっては各市町村の若手がプロジェクトをつくって取り組んでやろうかというふうな空気も一部出てきております。そういった意味で、広域的な観点というものは極めて重要だと私は思うのでございます。今申し上げたように、各市町村で最大限の努力を図るということが前提であるとは思いますけれども、プロジェクトによっては市町村の枠を越えて広域的な協力を行う、こういう方向が必要でありますし、このために国や県においてもこのような努力についてはひとつ評価をいただいて、地元で円滑にこういったことが行われるように政策的にも財政的にも配慮をしていくというふうにしなければならぬ、こう思うのでございますが、こういった点についてどのように考えておられるのか、またこのための具体的な対策がどういうふうになっているのか、お尋ねをいたします。     〔愛野委員長代理退席、委員長着席〕
  171. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 御指摘のとおり、産炭地域振興を図るためには、先ほども申し上げましたように、まず地元の方の自発的な発意、発想、そういった面でのプロジェクトづくりというのが非常に大切でありまして、加えて、そういうプロジェクトをつくっていきます際に、やはり広域的な考え方、役割分担といいますか、地域特性に応じた機能分担というものを行っていくことが非常に重要であるというふうに私ども考えております。このために、産炭法におきます実施計画あるいは道県の発展計画におきましても、経済生活圏ごとに具体的な計画を策定して、広域的な見地から地域振興を図っていくという方向でいろいろなアイデアづくりが行われているというふうに承知をしておりますし、私どもといたしましても、今後産炭地の活性化のために支援をしていく事業につきましては、基本的に、広域的な観点から機能分担あるいは役割分担といったようなものを十分に頭に入れたプロジェクトを取り上げていくといいますか、そういう面での広域的発展の促進ということに十分留意をしてまいりたいというふうに考えます。
  172. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そういった点にはむしろうんと指導力を発揮してプッシュをしていただきたいし、財政的な裏づけも今後とも強力に推進をしていただきたい。御要望を申し上げておきます。  それとまた、産炭地域振興を図るにはやはり総合的な観点が重要でございまして、きょうもこれまでの各委員の御質問の中で各省にわたる問題がございますものですから、各省からおいでをいただいて答弁をいただいておるという現実がございます。これは、この産炭地域振興というものが通産省だけでできるわけでもありませんし、また多岐にわたっておるということも現実あるわけでございまして、せっかく振興を図っていくという方向にあっても、それぞれの省庁がばらばらに行政を行っているという現実も若干あるんじゃないかというような気もするのですが、こういうことをやっておったのでは、せっかくお金を使ってもそれが効果的に効力を発揮しないということも考えられるわけでございます。こういう意味から考えましても、産炭地域振興を図るためには、関係機関で緊密な協力を行いつつ対策を講じていく必要があると私は思います。この点につきましてはどういう努力をなさっていらっしゃるのか、一番中心となって動いていらっしゃる通産省はどういうふうに動いていらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  173. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 地域の関発におきまして各省庁の連絡ということが非常に重要でありますことは、ただいま先生御指摘のとおりでございます。こうした観点から、実は昭和四十四年に「産炭地域振興対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、関係各省庁、政府関係機関等による協力体制の確立に努める」べきであるという閣議決定をいただいておりまして、これを受けまして四十四年に、産炭地域振興関係省庁等連絡会というのが設置をされているわけでございます。当省といたしましては、これまでこの連絡会におきまして、産炭地域振興実施計画の推進あるいは炭鉱閉山に伴います諸問題あるいは地域開発全般につきまして、関係各省庁との密接な連携のもとに対策を講じさせていただいているところでございまして、特に私ども最近強く感じておりますのは、高島炭鉱あるいは砂川炭鉱地域開発のケースを通じまして各省庁さんのこの産炭地域振興に対します御理解も一段と深まって、御協力をいただいているというふうに考えておりますので、今後ともこの連絡会の活用に努めてまいりたいというふうに考えております。
  174. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これもぜひひとつ緊密に連携をとりながら通産省を中心にお進めをいただきたい、こういうふうに思います。  それから、筑豊の振興を図るということについては、各地域の特色を生かした全体的な計画が必要である。これは再々申し上げておりますように、このためにはどうしても国、県の協力が必要なのでありますが、昨年、地域振興整備公団で筑豊の振興のビジョンづくりを行ったというふうにお聞きをしております。ここで言われておりますサンバレー計画はどういう内容のものか、またこのビジョンを今後どのように生かしていくお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  175. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生今御指摘の筑豊サンバレー構想につきましては、昭和六十年、六十一年の両年、地域振興整備公団が九州の筑豊地域対象といたしまして実施しました地域活性化に関する調査研究の成果であるというふうに私ども承知しております。  この構想でございますけれども、中身につきましては、九州の筑豊地域を総合的に振興するためには、直鞍地区、嘉飯山地区、田川地区の三地区のそれぞれの特性を生かした中心テーマを設定して、これを有機的に結合して推進することが重要であるという認識のもとにいろいろなアイデアが出されておる、そういったものであるというふうに承知をいたしておりまして、まさに先生御指摘の、広域的発展という観点からの一つの注目すべき調査結果ではないかというふうに私ども考えております。私どもといたしましては、この構想が、今申し上げましたように、産炭地域振興のあり方に関する貴重な試案の一つであるというふうに認識しておりまして、今後筑豊の振興を図る上での国の施策の参考とさせてもらいたいというふうに考えております。
  176. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 最初から今までずっと述べておりますように、産炭地域振興臨時措置法の有効期限はあと五年を残すだけになりました。この期間内に国としても最大限の努力を払って法の目的を達成するように、またいろいろ御要望を申し上げましたことを達成するように御要望を申し上げておきます。  最後に、鉱害問題について一点だけお尋ねいたしますが、鉱害復旧につきましては、昭和五十七年に作成いたしました鉱害復旧長期計画の後半になっているわけでございますけれども、昭和五十六年の石炭鉱業審議会答申におきましては、政府が累積鉱害の最終的解消に積極的に取り組むように、こういうふうに指摘されているわけでございます。累積鉱害は現地をごらんになればまだまだたくさんあるわけでございますし、先ほども第二次的な鉱害も含めていろいろ議論されておったわけでございますが、最終的にはこの後五年間でまずこれは解消するという方向でやっていただく必要があると思いますけれども、その見通し、それから取り組む姿勢等についてお聞かせをいただきたいと思います。
  177. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 石炭鉱害の復旧につきましては、昭和五十六年に石炭鉱業審議会答申を受けまして、昭和五十七年からさらに十年間の期間をかけて残存鉱害の復旧を行う、こういう方向で鉱害二法の延長が行われたわけでございます。その後、鉱害復旧の進捗状況は、これまでのところおおむね順調に推移しているというふうに私ども考えております。具体的には、五十七年から約五千九百億円の鉱害量が長期計画として掲げられているわけでございますけれども、半分以上は進んでいるのではないかというふうに考えております。  今後でございますけれども、非常に厳しい財政事情のもとではございますが、所要予算額を確保いたしまして、六十七年に鉱害二法の期限が参りますけれども、それまでに復旧を完了させるために最大の努力を傾注してまいりたいと考えております。
  178. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 要望でございますが、今まで申し上げましたような旧産炭地域振興並びにこういった鉱害の復旧等につきましてしっかりとした施策と着実な前進がある、そしてそういう地域の方々が本当に政府もよくやってくれたという中で復興されていくこと、それが即今度は一千万トン体制の中での閉山が続く地域の方々にも、こういうふうに申し上げていいかどうかわかりませんが、ある意味で御安心といいますか、方向転換をしても何とか生きていけるぞという活力を与えていくことにもつながっていくだろうというふうにも思います。そういう意味で、短い時間の中での質問でございますが、ひとつ今申し上げた各政策については強力に推進をして、旧産炭地域の活性化を図っていただくようにお願いをいたします。  若干時間が残りましたが、先輩諸委員が多少時間が延びておりますので、その分をカバーするという意味で終わらせていただきます。
  179. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、小渕正義君。
  180. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私も問題を四つに絞って簡潔に質問をいたしますので、よろしく御配慮ください。  六十三年度石炭対策予算概算要求をこの前まとめられておりますが、担当省庁として、新規施策として目玉になるようなものはあるのかどうか、その点どのように考えられておるのか、まずこの点をお尋ねいたします。
  181. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 今回の概算要求でございますけれども、本年度スタートいたしました第八次石炭政策の着実な推進を図るという考え方に立って、総額千三百六億円を要求いたしたわけでございます。その内容でございますけれども、主要なポイントだけ申し上げますと、石炭鉱業合理化安定対策につきましては、引き続き生産体制の円滑な集約化を図るという観点から、炭鉱整理促進費補助金のうち石炭鉱山規模縮小交付金十六億円あるいは安定補給金のうちの減産加算分六十八億円、それから新エネルギー総合開発機構の利子補給二十九億円等を含めまして所要の費用を要求しておるわけでございます。鉱害対策につきましては、前年度と同様の五百六十五億円を要求しております。  先生から目玉という御指摘でございますけれども、特に産炭地域振興対策につきまして、炭鉱閉山または大幅な減産等により特に疲弊の著しい産炭地域を活性化するという観点から、新たに地元等が実施をいたします大規模民活プロジェクトへの支援を行う、そういう観点で産炭地域振興調査委託費のうちに特定炭地域拠点開発基礎調査というものを設けまして、これを創設すべく五千万円の要求をいたしております。それから、産炭地域振興臨時交付金が三十九億円ほど要求してございますけれども、そのうち、特に大規模プロジェクトの事業化促進調整額というものを新たにつくってまいりたいということで一億五百万円を要求しております。  以上が来年度予算概算要求内容でございます。
  182. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。またいつかいろいろ意見を述べる機会があると思いますので、次に移ります。  高島町が閉山になってかなりになりますが、あの高島閉山に伴っての高島町の振興策について、今日何か具体的な支援策に取り組んでおられるのかどうか、その点はどのようになっているかをお尋ねいたします。
  183. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 高島町の振興につきましては、これも各省庁会議でいろいろ御検討いただきまして、公共事業の重点的な配分を中心といたしましていろいろな施策を講じているところでございますけれども、なお、今後高島町につきましては、その置かれました地理的条件といいますか、離島海洋環境にあるというようなことも十分頭に入れまして町の方では海洋開発ビジョンというものをおつくりになっておるということでございまして、そういった関連の海洋資源の活用あるいは各種の観光レジャー施設、スポーツ施設等の誘致が地域振興の有力な柱になるのではないかというふうに考えております。このため、当省といたしましても、観光やレジャーを通じた高島町の振興につきまして、臨時交付金等も活用いたしまして、町の要望もよく伺い、積極的な支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  184. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今の件は、先ほどから来年度施策の中で特に産炭地域振興策として新たにいろいろな項目別に述べられましたが、そういうものの中に含めて特にこの高島町の振興策については当然考えていけるものだというふうに理解しますが、その点どうですか。
  185. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 新たに予算要求をいたしております産炭地域振興対策につきましては、地元でのプロジェクト創出というようなものを十分踏まえまして、地元のつくられます計画等を慎重に検討いたしまして、必要なものについては支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  186. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。  次に、本年度新しく貯炭買い上げ機構がスタートしているわけでありますが、今後懸念される問題としては、貯炭機構で買い上げ対象の中でどこかの山が閉山になる、そのために貯炭機構としては閉山になったところの貯炭をそのまま抱え込まなければいかぬような状態が発生することが十分考えられるわけであります。その場合にその対策としてはどのようにお考えなのか。貯炭機構としてはある一定の枠がありますから、その貯炭の全体的な枠の中で解決策を考えようとすれば、結果的には、なお稼働中の炭鉱貯炭買い上げの分がそれだけ削減されることにもなりかねないというふうな懸念もあります。要するに、閉山によって買い戻しができないような貯炭をそのまま貯炭機構が抱えた場合に、そのツケといいますか、しわ寄せが既存の生産をしておるところの炭鉱にはね返ってくるのではないかという懸念が非常にあるわけでありますが、もしそうなると、結果的には、既存の現在稼働中の炭鉱はある程度出炭を制限しなければならぬという事態にも場合によっては立ち至るような状況も想定されるわけであります。少なくともそういうことになってはならないと思いますので、そういう閉山になった貯炭買い上げの分の解消策については、既存のもの等へのしわ寄せにならぬような形での解決策を考えてもらわなければいかぬと思いますが、そこらあたりはどのようにお考えか、お尋ねいたします。
  187. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 仮に、過剰炭を売り渡しました石炭企業閉山いたしまして買い戻しが困難になった場合にどういうふうにするかという御質問であろうかと思いますけれども、私ども基本的には、石炭企業間のいろいろな協力を得て、そういう過剰炭についてはなるべく早くその需要業界に引き取ってもらうというようなことが必要であろうかと思いますけれども、なお、御心配のように残った会社に対して負担になるのではないかという点につきましては、合理化法を適用いたしまして石炭企業の買い戻しを猶予することができることになっておりまして、閉山の場合には、そういう措置も弾力的に適用いたしながら、他の石炭企業に著しい悪影響を及ぼすというようなことは何とか回避できるのではないかと考えております。いずれにいたしましても、こういう買い戻しの猶予ということも政策の一環として考えながら、円滑な過剰炭の荷さばきを考えてまいりたいと思います。
  188. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 著しい影響がないようにするということですが、著しくなくても、ある程度の影響はやむを得ないということで理解されておるのかどうか。私の方から言わせれば、少なくとも既存の出炭している、現在維持されている炭鉱にそういうものが少しでも影響としてはね返ってこないような措置をぜひ考えていただきたいということで申し上げておりますので、そういう点で御努力をお願いしたいと思います。この点は今の御答弁を一応了解しますが、そういう意味でぜひひとつ努力いただきたいと思います。  最後ですが、今出炭されているそれぞれの炭鉱では、貯炭の増に伴って貯炭場の確保のために大変苦労しているわけでありますが、それは御存じのとおりだと思います。新しい貯炭機構での買い上げはできましたが、それは品物が動くわけでございません。ただ、そういう点で品物だけはそれぞれの出炭された鉱業所の中で処置されているわけでありますから、貯炭の場所が非常にふえて、私が知る範囲でも、池島鉱でも毎月二万トンぐらい貯炭がどんどんふえていく。もう場所がなくなって、グラウンド、運動場等をつぶしてそこに貯炭する。それぐらいまではいいわけですが、島内では貯炭する場所がなくて隣の大島というところまで船で運ばなければならぬということで、そういう貯炭増に伴う余分な経費等が出ているわけであります。また三井三池でも、お話を聞きますと物すごい貯炭になりまして、現在、社宅を壊してまで貯炭場を確保せねばならぬということで、何かそういう提案を会社がされておるようでありますが、貯炭増に伴ってそういう意味でのまた経営を圧迫するような経費が増大しているわけであります。  これについて何らかの対策ができないものかといろいろ苦慮はされているようでありますが、一つの解決策としては、貯炭買い上げ機構で買い上げ貯炭は、現実に品物が動いていないわけですからそれぞれのところにあるわけでありますが、そういう買い上げされた貯炭の炭を新しくどんどんふえる貯炭とともに一緒に保管するというような形がもし可能ならば、そういった貯炭場の確保についてももう少し解消されるわけであります。貯炭機構で買い上げた品物はもう帳簿上からいっても別の会社のあれになるから、それに品物は石炭だから同じでありますが、それを積み増しして一緒に貯炭することについてはできない。そういったことで、要するに買い上げがされたにしても場所の確保だけはどんどんしなければいかぬということがありますので、そういう意味で、非常に脆弱な経営体質の経営をますます圧迫するような要因が重なっているわけでありますから、何らかの解決策として、頭の切りかえをひとつすれば、例えば今私が申し上げましたように同じ積み増しの中で貯炭としては確保しておって、このうちの保管する分において、共同機構が買い上げた分はこの中で幾らあるという区分さえきちっと明確にしておけば、何も、積み増ししてまだ貯炭できる場所にそれはできないからほかの場所に置けというようなことでなくてもいいのではないか、そこらあたり考え方を少し変えてやってもいいのではないかと思います。貯炭場を確保するという意味ではそれぞれが大変苦労されておりますので、そういう意味で、よりそういった出費が伴わないためにも、一つの解決策として今私が申し上げたようなことが考えられないのかどうか、その点はどのようなお考えかをお尋ねいたします。
  189. 鈴木英夫

    鈴木(英)政府委員 先生御指摘のようにただいま石炭業界では、新共同石炭の買い上げました過剰炭も含めまして、一時的に過剰炭の保管場所に非常に困るというような状況が一部に出ていることは承知しております。特に、炭鉱住宅等もある程度は整理しながらそこに貯炭場所を確保していくとか、あるいは従来グラウンドであったところに貯炭を積まざるを得ないというような状況になっていることは承知しております。ただ、こうした状況の中で、ことしの春以降石炭企業のいろいろな合理化努力も進んでおりますし、それから、一時的に発電所の定期検査というようなことで一般炭の荷さばきがちょっとおくれておりましたのが、定期検査が終わってまた順調にさばけ出したというようなこともありまして、今後恐らく過剰炭は徐々に減少していくのではないかと私ども見通しを立てております。  しかしながら、なお貯炭買い上げ制度自体につきましては、やはり財政資金といいますか、私ども国民の貴重なお金をお預かりして運用しているということでありますので、会社側の通常在庫分と明確な管理区分がなされるという、そういった面でのいろいろな制約もありまして、貯炭の方法あるいはどうやって区分するかということについてはなかなか難しい問題もあろうかと考えております。ただ、せっかく先生の御指摘でございますので、私どもといたしましても、管理区分の具体的方法等につきましては、実態の把握に努めまして、改善の余地があるのかどうかということについて研究させていただきたいと思います。
  190. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ぜひ知恵を絞って、そういう要らざる出費等ができるだけないような努力をお互いにしなければいかぬと思いますので、そういう意味での研究方をお願いいたして、私の質問を終わります。
  191. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、児玉健次君。
  192. 児玉健次

    ○児玉委員 ただいまも概算要求のことがちょっと議論になりましたが、来年度に向けての通産省概算要求の中で、石炭直接利用製鉄に対する補助の問題が含まれているとお聞きしているのですが、この石炭直接利用製鉄、溶融還元製鉄法という言い方もあるようですが、その概略についてちょっと承りたいと思います。
  193. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 おっしゃいました石炭直接利用製鉄技術でございますけれども、現在、鉄鋼業は非常に厳しい局面にございまして、何とかコストダウンをしたいということでいろいろな技術開発努力をしておりますが、その一環といたしまして、いわゆる新製鉄法ということで、現在、石炭直接利用製鉄技術の開発につきまして来年度予算要求を検討中でございます。具体的には、従来は石炭をコークスにいたしまして使うわけでございますが、この技術は石炭をそのまま活用するというところが特色でございますし、あるいは鉄鉱石も焼結しないでそのまま使うというような点、さらにはエネルギーの面で余り油を使わないということ等々、一般的にコストの面でいきますと私ども二〇%前後のコストダウンを期待するというような技術でございまして、私ども、今後の新しい次世代製鉄法といたしまして技術開発に取り組みたいという課題になっているわけでございます。
  194. 児玉健次

    ○児玉委員 今の製鉄法だと、その年の銑鉄の生産量によって多少のでこぼこはありますけれども、原料炭の年間の使用量が大体六千万トンないしはそれ以上と私たちは理解しているのです。もしこの製鉄法が実用化されていくということになると、使用する石炭は原料炭ではなくて一般炭で可、そういうふうになるんじゃないかと思うのですが、御説明いただきたいと思います。
  195. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 おっしゃるとおり、この石炭直接利用製鉄技術の特色は、現在原料炭という形で石炭を活用しておりますが、それを一般炭が活用できるという面で大きな特色がございます。
  196. 児玉健次

    ○児玉委員 重ねてお尋ねしますが、この次の世代の製鉄法ということですが、大体実用可能めどをどのくらいに設定されていらっしゃるのでしょうか。
  197. 鈴木直道

    鈴木(直)政府委員 私どもはできるだけ早く開発をしたい、かように考えているわけでございますが、財政の事情等々ございます。今回、私ども計画しておりますのは一応十年間というレンジを考えております。
  198. 児玉健次

    ○児玉委員 この後どのようになっていくのか慎重に見なければならない、私たちとしてもにわかに是非を論ずるところまではまだ至らないのですけれども、この石炭直接利用製鉄法がどのように開発され、実用化されていくか、その点に私たちは非常に強い注目をしているということは述べておきたいと思うのです。十年ぐらいのレンジというお話でしたが、それと現在計画されている石炭火力発電所の建設計画がこれまた一九八五年から大体十年間ということで、十の発電所、二十の発電炉、総計千五百十万キロワット、それが必要とする一般炭の量は大体三千万トンを超す。そうなってくると日本の石炭の需要というのがますます上がっていく、この点は非常に明確ではないか。この点の議論は私たちはこの後も続けていきたい、そう思っております。  さて、先ほど大臣に対する質問の中で時間の関係でどうしてもできなかった部分がありますから、恐縮ですが、ちょっと一、二そのときの質問を継続させていただきたい、こう思うのです。  その一つの点は、先ほどエネルギー庁長官は、ことしの五月一日の中曽根首相のワシントンにおける記者会見の中で、約六十億ドルの追加輸入増の見通し、それには石炭は含まれていない、こういうふうにお話しでした。そして石炭の取引というのは合理的な内容を持たなければならない、これまでの政府の介入について私がコミットと言ったらエンカレッジという言い方で述べられたことがある、こういうふうにお話がありました。そのことを踏まえて私は先ほどの質問の中で、本来そうあるべきだ、こういうふうに述べました。まさに本来そうあるべきだ、こう思っているのですが、昨年のアメリカからの原料炭の輸入量はどのくらいだったか、そしてことしの見通しはどうか。アメリカからの原料炭は豪州炭に比べて、銘柄によってさまざまですが、一般的にはトン当たり十ドル高い、物によっては十五ドル高い、こういうふうに言われておりますが、昨年のアメリカからの原料炭の輸入量とことしの見通しについてお答えいただきたいと思います。
  199. 浜岡平一

    浜岡政府委員 手元にございます数字が年度別の数字でございますけれども、五十九年度から申し上げますと、五十九年度が千四百三十六万トン、それから六十年度が千二百八十七万トン、六十一年度が一千七十九万トンでございます。今年度の輸入量につきましてはまだ確たる数字は固まっておらないというぐあいに理解いたしております。
  200. 児玉健次

    ○児玉委員 アメリカと日本との石炭の取引、あえて私は多少限定したいのですが、日本の高炉各社とアメリカの原料炭を生産しているところとの輸入取引ですが、この点でことし七月、アメリカの下院で採択された包括貿易法案石炭関連条項、いわゆるフィリッポ条項、それから上院におけるワーナー条項、これらが現実の日米の原料炭の取引にどのような影響を与えているか、または影響を与えようとしているか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  201. 浜岡平一

    浜岡政府委員 包括貿易法案そのものがこれから両院協議会の調整に入ろうというような段階でございますし、またそれぞれの条項の取り扱いにつきましても、日本はもちろんでございますけれども、まさに世界各国からさまざまの働きかけが行われておりますので、各条項について予断をすることはなかなか難しいのではないかと思っております。  御指摘の条項でございますが、それぞれ強制力というよりは、政府に対しまして、日本からの鉄鋼の輸入と日本への原料炭の輸出につきましてしかるべきリンケージといいますか、相関関係を念頭に置いて対応すべきだという一種の決議条項的なものであるというぐあいに理解をいたしております。しかし、基本的には先ほど申し上げました市場原理といいますか、あるいは商業ベースの判断というものに対しましていささか違ったプリンシプルが持ち込まれているわけでございますので、私どもとしましては、やはりこうした条項は存在をしない方が望ましいのではないかというぐあいに基本的には思っているわけでございます。
  202. 児玉健次

    ○児玉委員 フィリッポ条項にしろワーナー条項にしろ、私は不当な内容を含んでいる、こういうふうに考えているわけですが、その点をはっきりさせた上で、今浜岡長官がお話しになった一定のリンケージという場合、原料炭の日本の輸入とリンクするのは主として日本からの輸出製品の中の何でしょうか。
  203. 浜岡平一

    浜岡政府委員 鋼材等いわゆる鉄鋼類というぐあいに理解をいたしております。
  204. 児玉健次

    ○児玉委員 新聞報道なんですが、ことしの八月十三日の日本経済新聞の報道の中にこういう部分があるのですね。日米の貿易摩擦と、そして米国炭の輸入交渉を高炉各社が精力的に進めているという経過の中で、以下の部分をちょっと私引用して読みますが、「高炉各社は貿易摩擦を回避するため、当初の計画を修正、百万トン程度上乗せし、」云々、こういう報道があるのですが、この経過について通産省はどのように御理解でしょうか。
  205. 浜岡平一

    浜岡政府委員 私どもの理解をいたしておりますところでは、基本的には、各企業の自主的な判断に沿いまして各企業が米国の石炭企業と交渉を進めているというぐあいに理解をいたしております。もちろん、先生御指摘のような動きというものがある程度各企業の念頭にあったかもしれませんけれども、供給源の多角化とか、そういったファクターもあろうかと存じますが、基本的には価格合理性あるいは供給の安定性、品質の面での優良性、そういったファクターを踏んまえながら個別に判断をしていったものというぐあいに理解をいたしております。
  206. 児玉健次

    ○児玉委員 日本の高炉各社にとってはフィリッポ条項のこの部分、「米国原料炭の占めるシェアが米国に輸出される全ての鉄鋼製品のうち日本の占めるマーケット・シェアと等しくなるよう日本と交渉し、合意を得るよう」云々、ワーナー条項ではそれがひっくり返されて「米国が輸入することができる鉄鋼製品等の水準を決定する場合に、日本が米国から購入する石炭の量を勘案するよう要請」する、まさしく極めて厳しいリンケージですね。そういう中でこれを進められていったときに日本の高炉各社がアメリカとの鉄鋼輸出に関連すれば非常に窮地に追い込まれる。トン当たり十ドル、十五ドル高くてもアメリカから引き取らざるを得ない。こういう形で、本来コマーシャルベースで進められるべき原料炭の取引について政治的な圧力が加えられる、これは許せない、私はそう思うのです。  そこで、重ねてお聞きしたいのですが、先ほど私が引用したのは八月十三日の日本経済ですが、八月十五日の朝日はそのことについてさらにこう言っています。新日鉄など鉄鋼大手各社は、年度当初に計画していた七百五十万トン弱のアメリカからの原料炭の輸入を昨年度並みまで引き上げる見通しが出てきた。そうすると一挙に二百数十万トン乗せるということになります。そして、そのことで日本の鉄鋼業界は厳しい対応を迫られている、鉄鋼大手首脳のコメントとして、通産省からの要請もあったというふうに朝日は報道しておりますが、浜岡長官、これはどういうことなんでしょうか。
  207. 浜岡平一

    浜岡政府委員 先ほど先生が御指摘になりました日米エネルギー・ワーキング・グループといういわば協議の場があるわけでございまして、この場でのいろいろな協議あるいは議論、意見交換等を踏んまえまして、八三年に日米エネルギー共同声明というものが出ていることは先ほど御指摘のとおりでございます。この声明の中身あるいはエネルギー・ワーキング・グループでのいろいろな意見交換、討論等の場におきまして、米国側が米国炭の対日輸出の拡大を非常に強く望んでいるということは事実でございます。さっき申し上げましたように、商業的合理性があれば、日本政府としても日本側業界引き取りに努めるようエンカレッジするというような文言もあるわけでございまして、そういう米国側の非常に強い関心あるいは熱意といったものは折に触れまして関係業界に伝えておりますので、そういった面の動きがあるわけでございますけれども、しかし、先ほど来申し上げておりますように基本的には商業ベースの判断で決めてまいりませんと、これは釈迦に説法でございますけれども、日本は非常にたくさんの国と石炭の取引をしているわけで、ごさい良すから、あっちを立てればこっち立たずというようなことにもなりかねないわけでございますので、基本は商業ベースの判断ということを踏み外していないつもりでございます。
  208. 児玉健次

    ○児玉委員 もうそろそろ時間が来ましたから、最後にもう一つだけお聞きしたいのです。  今通産省がお答えになった八三年のものですが、その一つとして、八三年十一月十日のレーガン大統領が日本においでになった際の記者発表があります。いろいろありますが、日本に対してアメリカが石炭の信頼し得る長期供給国である、その点について中曽根総理も同じ見解を抱いておられることを知ってうれしく思った、エネルギー貿易の拡大、すなわち日本に対してアメリカがより多くの石炭を輸出する、これはアメリカ人により多くの雇用確保させる、こう言っていますね。今それが地でいき出して、アメリカ人により多くの雇用というのは、日本の炭鉱労働者に対してとりもなおさず失業を生み出す、そういうものとして今真谷地の問題が残念ながら俎上に上がってきている、私はその点を指摘せざるを得ないのです。  そして、先ほど大臣が同僚議員の質問に対して、ペルシャ湾の問題について極めて楽天的なことを言われたけれども、私はそうは思わない。南アフリカに対する各国の制裁の問題や鉱山ストライキの問題もある。オーストラリアについては、今いみじくも長官がおっしゃったように、日米の原料炭の取引に対して最もぴりぴりした緊張状況でそれを見詰めているのはオーストラリアじゃないですか。そういった中で通産省としては本来あるべき姿、ある国の政治的圧力に屈することなくあくまでコマーシャルベースで物事を進める、私はその点を貫いてほしい。残念ながら朝日の報道はそうでないことを示唆しておりますが、もう一回長官の答えをいただきたいと思います。
  209. 浜岡平一

    浜岡政府委員 第八次石炭対策を策定するに当たりまして、内外の石炭価格の格差というものが非常に大きな判断要因になっていることは改めて申し上げるまでもないわけでございます。しかし、ここで言っております内外格差というものは、基本的には合理的なコマーシャルベースの選択によって行われました輸入炭と国内炭の価格の比較であることは当然であると思うわけでございまして、繰り返し申し述べて恐縮でございますけれども、やはり輸入炭の取引というものは商業ベースの判断に立脚をして行われていくということであるべきだと思いますし、また、今後の石炭政策、エネルギー政策考えます際にもそうした判断が必要かと思っております。  なお、蛇足でございますけれども、第八次石炭対策の中でも、先生御指摘のようなファクターを踏んまえまして、国内炭の存在意義につきましてもそれなりの評価を与えておりますことは御高承のとおりでございます。
  210. 児玉健次

    ○児玉委員 終わります。
  211. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、明八日午前十一時理事会、午前十一時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十分散会