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田中(慶)
委員 私は、
民社党・
民主連合を代表して、
政府提案の
国立病院等の再
編成に伴う
特別措置に関する
法律案及び自民党提案による同法
修正案に反対の立場から討論を行うものであります。
政府は、今回の
国立病院・
療養所の再編合理化は、近年における疾病構造の変化、医学技術の進歩等による医養内容の高度化、多様化、また公私の
医療機関の
整備充実といった情勢の変化を踏まえ、適切かつ効率的な
医療供給体制の確立という
国民的課題の中で、今後
国立病院・
療養所が
国立医療機関にふさわしい
役割を積極的に果たしていくために行うものであると位置づけておられます。我が党もこの
趣旨には全面的に
賛成のものでありますが、今回の法案は残念ながらその
趣旨を満足させる内容になっているものではないと考えられるものであります。
以下、反対の理由を申し上げます。
まず第一は、
国立病院を
計画的にどのように
整備していくのか明らかにしないままこの法案を提案したことであります。再
編成後の
機能類型では、ナショナルセンターは
対象疾患ごとに一カ所、基幹施設はブロックごとに一カ所など
機能別に数の基準が設定されたものの、これらの基準をどのように充足させていくのか、そのビジョンが全く明らかになっていないわけであります。基準を満たすめどが立たないのでは、基準を示す
意味がありません。
政府は、この法案が成立する前に、新設を含めた再
編成後の
国立病院等の
整備計画をまず
国民の前に明らかにすべきであろうと思います。
第二は、この法案は、行政改革の名のもとに国の歳出削減の観点から提案されたものであると考えざるを得ない点であります。中曽根内閣は、行政改革は財政再建、すなわち歳出削減であるという誤った認識のもとに政策を推進し、当面する財政事情によって福祉の後退、
国民負担の増加を安易に進めてまいりました。多くの赤字を抱える
国立病院を地方公共団体等に
移譲、譲渡しようとするものであり、この一環にほかならないものと思います。
これに関連して、第三に、地方公共団体等への経営
移譲が円滑に進むとは考えられず、むしろいたずらに混乱を招くおそれが強いという点であります。
国立病院の現在の経営状況からして、経営主体がかわったといっても経営がよくなるとは考えられないのであります。これらについては
移譲後の運営費を補助するというものでありますが、法律上の規定は「補助することができる。」とされており、補助の
対象も補助率も何ら明らかにされておらず、効果は期待できないという点も明確にしておかなければいけないと思います。
以上、主な理由を申し上げましたが、これ以外にも離島や山間僻地への助成
措置の
充実、
地域保健
医療計画との
関係、
医療関係者の定員の確保などについて対策が不十分なままこの法律を成立させるべきではないと考えるものであります。
なお、自民党
提出の
修正案につきましては、
国立病院等の資産等の割引譲渡について
充実を図ろうとするものであり、一歩前進と評価をし、提案された自民党に対し深く敬意を表するものでありますけれ
ども、なお地方公共団体に対する条件に照らして不十分であり、
政府原案を大幅に
修正するものではないとの観点から、これらについても
賛成するわけにはまいりません。
最後に、我が党は行政改革については積極的に推進する立場をとっており、この法案がいわゆる行革関連法案の一環として提案されたことに遺憾の意を表明するものであります。
国民のための行政
体制づくりでなければいけませんし、今後とも
医療という面から努力をしていくことを申し添えて、私の討論を終わります。(拍手)