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1987-08-27 第109回国会 衆議院 社会労働委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十七日(木曜日)     午前十時六分開議 出席委員   委員長 堀内 光雄君    理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君    理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君    理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       小沢 辰男君    大野 功統君       片岡 武司君    木村 義雄君       古賀  誠君    佐藤 静雄君       自見庄三郎君    高橋 一郎君       戸沢 政方君    中山 成彬君       野呂 昭彦君    三原 朝彦君       持永 和見君    伊藤 忠治君       大原  亨君    河野  正君       田邊  誠君    永井 孝信君       村山 富市君    新井 彬之君       大橋 敏雄君    日笠 勝之君       吉井 光照君    児玉 健次君       田中美智子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君  出席政府委員         厚生大臣官房審         議官      川崎 幸雄君         厚生省健康政策         局長      竹中 浩治君         厚生省保健医療         局長      仲村 英一君         厚生省保険局長 下村  健君  委員外出席者         総務庁行政管理         局管理官    土屋  勲君         大蔵省主計局主         計官      中島 義雄君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十七日  辞任        補欠選任   新井 彬之君    日笠 勝之君 同日  辞任        補欠選任   日笠 勝之君    新井 彬之君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案内閣提出、第百七回国会閣法第一一号)      ――――◇―――――
  2. 堀内光雄

    堀内委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りをいたします。  ただいま、当委員会において審査中の内閣提出労働基準法の一部を改正する法律案審査のため、参考人出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀内光雄

    堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 堀内光雄

    堀内委員長 第百七回国会内閣提出国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。永井孝信君。
  5. 永井孝信

    永井委員 初めに、この医療機関整備ということについて、厚生省基本的な姿勢をお聞きしたいと思います。  ことしの六月、厚生省国民医療総合対策本部中間報告というものを発表しているわけですね。その中に貫かれている認識というのは、我が国医療は、従来の量的拡大から質的充実の時代を迎えたという基本認識に立っているわけですね。国立病院の数を減らして機能を高めようという今度の国立病院再編計画と、その面では共通していると私は思います。しかし、国民の健康を預かる厚生省の立場というものは、単に国立病院質的充実という視点だけではなくて、医療機関全体の機能地域的にアンバランスのないように、医療供給というものを国民に保障するという責任を持っているはずだと私は思うのであります。  確かに、個別的には、ここに私、兵庫県の「地域保健医療計画」というものを持っておりますが、これだけの大きなものを出しているわけですね。出しておりますが、その地域医療計画というものは、都道府県中心になって策定するものだとは思います。しかし、医療機関機能再編とか、あるいは整備を促進するということは、直接国の努力によって、その効果を十分に上げることのできる病院というものも数多く存在しているわけです。それは、例えば国立病院国立療養所以外に国立大学附属病院があります。あるいは各省庁別病院もあります。あるいは社会保険が開設する病院もあります。これらは本来、国の医療政策に直接協力すべきであるし、協力させることができる病院であるはずだと私は思います。これを私的に言うならば、国の政策協力病院と呼んでもいいと思うのですね。この我が国医療というものが量的から質的へ転換という基本認識からいたしましても、国立病院の再編成計画を進める前に、これら関係省庁協力を得て、全体の医療計画をどのようにするのかという検討を進めるべきではなかったのか。国立病院療養所だけを対象にして再編成する以前に、厚生省医療行政というもののあり方を、全般的にその政策協力病院といいますか、そういうところとの兼ね合いで検討すべきではなかったのかと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  6. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 国立病院療養所以外の、例えば大学附属病院を初め各省及び各省関連医療機関についてのお話でございますけれども、これらの医療機関につきましては、その設置目的また沿革というものがそれぞれあろうかと思うわけであります。そういう中で、現在、各県におきまして、地域医療計画策定する際に、それらの医療機関機能役割というようなものが十分発揮できるような、また現在地域においてそれらが発揮されている機能というものを組み入れて、そして医療計画というものが策定されていっておるというふうに考えております。今後もそういった地域医療計画を踏まえて、それらの医療機関が一層機能役割を十分発揮できるように、私どもといたしましても、必要に応じて各省協力を求めてまいりたい、そして地域医療の十分な確保を図っていけるようにいたしてまいらなければならないというふうに考えております。
  7. 永井孝信

    永井委員 今大臣は、協力を求めてまいりたい、そういう前提で医療供給体制を、こういうお話でございますね。間違いございませんね。協力を求めていくのですが、協力を求めて全体の医療のあるべき姿というものをまず基本に置いて、初めて国立病院やあるいは療養所の問題についてどのようにすればいいのかということの検討を加えるべきだと私は思うのです。本来、医療機関が多省庁にわたっていることも私は問題だと思う。同じ国の機関でありながら、厚生省が直接影響を及ぼすことのできない、いわゆる管理運営についても、大学病院は文部省だ、労働省にいけば労災病院がある、あるいは運輸省にいけば船員病院がある。各省庁にずっとまたがっているわけですね。国家公務員共済病院もある。本来、厚生大臣のもとで、年金じゃありませんけれども医療行政そのものは一元化されるべきではないのか、なぜそこに視点が置かれなかったのかということを、大臣、お答えください。
  8. 竹中浩治

    竹中政府委員 お話しのとおり、国立病院あるいはこれに準じたものといたしまして、厚生省所管以外の各病院があるわけでございます。しかし、これらは御承知のように、それぞれ設置目的なりあるいは沿革等がございまして、それぞれの役割を果たしていただいておるところでございます。もちろん、それぞれ国立医療機関設置あるいは増床等をすも場合には、厚生省協議があるわけでございまして、その範囲内で各省庁間の調整に努めておるところでございます。
  9. 永井孝信

    永井委員 大臣、私が言っていることは医療法上の問題じゃないのです。医療行政医療政策上の問題として私は聞いているわけでありまして、いろいろな形で厚生省行政上の考え方あるいは基本的なスタンスを踏まえて、こう言われましても、直接大学病院厚生省として手を届かせることができますか。あるいは運輸省の持っている特定病院あるいは労働省の持っている特定病院に直接影響を与えることができますか。どうですか。
  10. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 地域医療計画策定していただきます際に、国立病院療養所等の再編成方向というようなものも十分取り入れて御計画をいただくし、また他の、今先生の御指摘のあるような公的病院等の性格、また機能役割等も十分に含んで、そして医療計画をつくっていただく。そこで各地域における地域医療計画一つ整合性を持ったものとして組み立てていただくということがまず必要であり、その方向で今やっておるわけでございます。  同時にまた、医療全体の供給体制なりあり方というものについて、先生も御指摘がございましたように、厚生省におきまして、国民医療総合対策本部におきまして中間報告というものをまとめ、これが一つのある意味では提言というような部分もあるわけでありまして、こういう提言に向かって関係の、今先生が御指摘のありますような公的医療機関との協議なり、また検討を進めていくことによって、全体の医療の進め方というものを進めていきたい、そういうような考えで進めておるわけでございます。
  11. 永井孝信

    永井委員 ちょっと議論がかみ合っていかないのですが、私の問いかけていることは、国立病院療養所の再編成という大変な政策を提起する以前の段階で、少なくとも国の関与している、あるいは地方公共団体の関与している病院との全体のあり方というものを土台に置いて検討されるべきではなかったか、こう私は思うのですね。この問題は、私の頭の中で描いているようなきちっとした論争ができませんけれども、次へ入っていきます。  厚生省は、ことしの四月に「病院機能評価マニュアル」というものを都道府県に送っているわけですね。これもまた医療質的充実目的にしているわけですね。そうですね。自治体を通してすべての病院に質的な充実を求めるのもよいのでありますが、今申し上げたように、私の基本認識というのは、国立病院を初めとして政策協力病院と言えるようなところをまず実行すべきではなかったか、こう思うわけであります。  そこで、国立病院を初めとして国の関与しているような病院、そういうところでは、まずモデル的に当面実施すべき課題というのは、例えば当委員会でも何回も問題になってきました差額ベッドを限りなくゼロに近づけるとか、あるいは家族負担による付き添い看護というものは完全に解消するとか、あるいはマニュアルの中にも具体的な項目として挙げているのでありますが、相談苦情処理窓口を必ず設けるとか、あるいは高齢化に対応してリハビリ機能を必ず設けるとか、あるいは研修機能のあるところでは、専門員の養成に偏らずに、多くの科目、いわゆるローテート方式ですね、これを中心にするとか、こういうことを当面緊急的に実施しなくてはいけない、あるいは国が直接関与する病院であるだけにやらなくてはいけないと私は思うのであります。  そういう観点からいうと、国立病院療養所等統廃合する場合に、数を減らすということが果たして医療充実というものを、マニュアルでも言っておりますけれども地域自治体にそういうことを要求すること自体が、片方国立病院療養所を再編成しようというわけでありますから、マニュアルに基づいて、そういう本来国が率先してやらなくてはいけないことを地域自治体に要求すること自体が、ある意味では国の医療責任の撤退につながっていかないのか、私はこう思うのですが、どうですか。
  12. 竹中浩治

    竹中政府委員 「病院機能評価マニュアル」でございますが、これは昨年厚生省日本医師会との共同研究会で作成をいたしたものでございます。その過程におきまして、二百ばかりの病院を選びましてモデル実施を昨年の夏にいたしたわけでございますが、その中にはもちろん国立病院も加えましたし、あるいはまた日赤、済生会等公的医療機関公立病院、そういったものも選びましてモデル実施をいたしたところでございます。  なお、先生お話し差額ベッド等の問題でございますが、差額ベッドにつきましては、ルールに反した差額徴収が行われないよう、その他付き添い看護の問題、基準看護病院において付き添い看護をつけることのないように従来も指導いたしてまいっておりますが、今後ともその徹底を図ってまいりたいと考えております。  それから、相談窓口設置でございますが、患者サービス向上の一環として今後検討をしてまいりたいと思っております。
  13. 永井孝信

    永井委員 このマニュアルの問題については、私はもう一回触れますけれども、要は「病院機能評価に関する研究会報告書について」のマニュアル、これを自治体に送付をしているわけであります。その中身をずっと読んでみると、最前も申し上げましたけれども国立病院療養所が率先して実施をしなくてはいけないことがまだなされていない、そして地方自治体にそういう書面を出して、そのことの実践を求めていく、これは本来本末転倒ではないかと思うのですね。まず国がやって見本を示す、姿勢を示す。これも国立病院療養所地域における指導的な役割からすると大変大事なことではないかと思うのですが、どうですか。
  14. 竹中浩治

    竹中政府委員 このマニュアルに基づきます自己評価の問題でございますが、私どもの予定といたしましては、今年度、国立病院はもちろん、その他の病院も含めて全国の全病院について、このマニュアルに基づきます自己評価を、ことしは試行的でございますが実施をしていただく。その上で来年度以降経常的な形でこの自己評価を続けていきたい、こんなふうに考えておりますので、国立病院だけということではなしに全国的にやりたいということを考えておるわけでございます。
  15. 永井孝信

    永井委員 だから私は言っておるのですよ。全国的にやらせようとする、やってもらおうとするのだから、国立病院療養所がまず率先をしてやるべきじゃないのか。  では、もう一回聞きますが、国立病院で今私が申し上げた差額ベッドの解消であるとか、家族負担による付き添い看護が完全に解消できているとかいうことは言えますか。どうですか。
  16. 仲村英一

    仲村政府委員 病院機能評価につきましては、先ほど健康政策局長からお答えしたようなことででき上がっておるわけでございますが、御指摘のように、国立病院においても、そのような自己評価をするということで私ども通知を出しております。そういうことで、私どもとしては、おっしゃるような観点から、国立病院の提供します医療サービスが質的にも向上するということで、そのマニュアルを使っていただきたいということで各病院にその内容を通知したところでございます。  差額ベッドを例にとりますれば、これは保険局の方で示しておられる指針に基づきまして、特に国立病院は少なくするということで努力をしておりますが、現在ゼロというわけではございませんけれども、一定のルールに乗りましたような方向で、国立病院機能として、そのサービスを提供する際の向上のために、そのマニュアルを使うということで考えております。
  17. 永井孝信

    永井委員 時間の関係で、この問題についてはこれ以上触れませんが、国立病院療養所の国の果たすべき責任役割というものにより積極的に対応してもらいませんと、どんなに厚生省医療行政でいいことを並べてみても、これは地域医療の水準を高めたり本来のあるべき姿に近づけることは非常に難しくなってくる、このことを私はあえて申し上げておきたいと思います。  さてその次に、厚生省が六十年の三月二十八日に、その前年の閣議決定を受けて、五十八年の五月二十四日、五十九年の一月二十五日、五十九年の十二月二十九日の閣議決定を受けて発表いたしました「国立病院療養所の再編成合理化基本指針」というのがございますね。この「基本方針」によりますと、いろいろなことが書いてあるわけであります。     〔委員長退席浜田(卓)委員長代理着席〕  例えば、その中に「再編成推進方策」ということが挙げられています。その「再編成推進方策」の中を、皆さんがつくったのですから、私があえて読み上げる必要はないのですが、あえて申し上げてみますと、「地方公共団体等関係者との協議」という項目がございます。「国立病院療養所の再編成に際しては、関係地方公共団体の長その他地元関係者協議し、統廃合後の地域医療確保経営移譲後の施設経営安定等十分配慮するものとする。」こうなっているわけですね。これは私は計画を立案する上において当然なことだと思うのでありますが、ではこのとおりにこの再編成計画ができるまでに十分に協議がされたのですか。局長、どうですか。
  18. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 昨年の一月に発表いたしました再編成計画につきましては、ただいまおっしゃいました「基本指針」に基づいて、全国的な視野に立って施設のリストアップを行い策定をいたしたものでございます。それに当たりましては、関係都道府県について意向もいろいろ打診を行い、それから「基本指針」に照らし策定をいたしたものでございますが、この計画実施に当たりましては、当然そこに盛り込まれておりますように、関係自治体との話し合い、後の医療確保、それから経営移譲したような場合には、その移譲された施設のその後の経営の安定といったものについて十分配慮をし、地元との話し合いを十分詰めていくといったことで私ども計画実施を進めてまいりたいと考えております。
  19. 永井孝信

    永井委員 最後のところで、進めてまいりたいと言われましたね。それはどういうことですか。
  20. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 進めてまいるつもりです。進めてまいります。
  21. 永井孝信

    永井委員 私が聞いているのは、これから協議をして進めてまいりたいということではなくて、この厚生省が出した「基本指針」というのは六十年の三月二十八日なんです。そのときに、計画策定するに当たって地方公共団体の長や地元関係者十分協議をして策定する、こうなっているわけですね。  閣議決定では、この五十八年の五月二十四日には、「整理合理化を円滑に行うため移譲等に関する条件整備を可及的速やかに行う。」ということをここで決めております。そして五十九年の一月二十五日には、「昭和六十年度中に再編成具体策を立てる。」こうなっています。そして五十九年の十二月二十九日の閣議決定では、「昭和六十年度においては、施設選定等を進める。」こうなっているわけですね。その閣議決定を受けて、六十年三月二十八日、「再編成推進方策」として、この選定作業を進める上においてそのような方針を打ち立てて出していらっしゃるわけです。それが選定するまでになされたのか、こう聞いているわけです。
  22. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 先ほども申し上げましたけれども、具体的な計画策定する、つまり具体的な施設を選定するに当たりましては、ケースによっていろいろやり方は違いますけれども、いろいろな形で地元都道府県等意向打診というものは行ってきたつもりでございます。
  23. 永井孝信

    永井委員 それでは伺いますが、それは再編成対象地域になっていない県もありますが、しかし、全国四十七都道府県の中で、ことしの五月一日現在で国立病院の再編成合理化に対しては反対で、国立病院療養所を残せと決議した都道府県が三十八に上っています。そうして市町村の例で言いますと、もちろんこれは地域的に全然離れた地域もありますから、全部が全部そのことが議会にかかったわけではないと私は思うのですが、市会では六百七十四市のうち五百七十八の市において存続決議がなされています。町においては千九百九十五町のうち千八百二十四、村では六百七のうち五百五十六、それぞれの自治体全部の九〇・二%の自治体存続決議をしているわけであります。今審議官が言われたように、この厚生省合理化の「基本指針」に基づいて、もしも公共団体自治体事前十分協議がされておったとするなら、こんな数字は出てこないはずなんです。いろいろ事前厚生省とも折衝してまいりましたけれども、やられていることは、結果的に厚生省の建物の中で机上計画としてなされたのでしょう。地方団体に十分に説明をし、了解を得て、やむを得ないということになった結果がこの再編成なんですか。これはあくまで机上計画にすぎないのですよ。地方公共団体と十分に意見の交換なんかやっていない。明らかにしてください。     〔浜田(卓)委員長代理退席委員長着席
  24. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 計画策定に当たりましては、ケースによっていろいろ方法は違いますけれども、いろいろな形で意向打診をしつつ計画策定をやったつもりでございます。  ただ、現在ある国立施設がなくなるとかあるいはその後の医療についての懸念、こういったような直接地元懸念意向といったものが反映されまして、そういった自治体の御意見というふうにあらわれてきているのではないかと思います。
  25. 永井孝信

    永井委員 ここが大事なところですから、私は繰り返して言いますが、事前自治体の長、その他地元関係者協議し、関係者の中には医師会も入っているでしょう、あるいは利用団体も入っているでしょう、あるいは地域住民も入っているでしょう。私の地元国立明石病院加古川病院というのがありますが、片方明石統廃合対象加古川移譲対象になっているわけです。先日、明石加古川も――地元のことで恐縮でありますが、一番私がよくわかるわけですから申し上げるわけですが、その国立病院を守る会というのが結成されました。これは労働組合がつくったものでもない、あるいは政党がつくったものでもない、その病院中心とした地域自治会皆さん方中心になって、市にも呼びかけ労働組合にも呼びかけ医師会にも呼びかけ、よしやろうとなって大変な守る会の運動が起きていったわけです。今言われたように、いろいろな形はあっても、事前にそういうことが十分になされておったとするなら、そういうことは起きてこないはずですね。しかも、そこには自治体の首長さんも医師会の代表も、あらゆる階層の人が来て、断固これは守らなければいかぬと決議をされたわけです。一体どこと協議されたのですか。協議されたという実績はどこにもうかがうことはできないじゃないですか。架空の、頭の中での協議だったんじゃないですか、どうですか。
  26. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 計画策定に当たりましては、私ども都道府県中心にいろいろな形で意向打診してまいったつもりでございます。ただ、実際に計画策定されまして、これが実施に移されるということになりますと、国立として現在運営されている施設が再編成対象になっていく、これについては従来どおり国でやってもらいたいといったようなお気持ち、あるいは統合されてより高度な、より広域をカバーするような良質の医療を供給する体制がつくられるんだということでありますけれども、最寄りの我が町の医療施設が遠のく、その後の医療は一体どうなるんだろうかというような御懸念、いろいろな御意見、それが反対、従来どおり国立でやってほしいといったような形で御意見が寄せられているという状況であろうと思います。
  27. 永井孝信

    永井委員 この問題について長時間とることができませんけれども、要は国民のための医療行政を進める上において、国民の声に耳を傾けるということが基本ですね。そうでしょう。全国自治体で九〇%を超えるところが反対決議をする、地域住民皆さんも何とか残すべきだということで大変な運動をしていらっしゃる。これは私どもがそれをつくらせたわけじゃないんだから、自発的にそういう組織ができているわけです。一たん計画ができた以上、法案として出された以上、何が何でもあくまでそれはやり抜くんだということでは、国民医療行政に対する信頼を失うと私は思う。だから私はこのことを厳しく言っているのです。もう一言それに対して答えてください。
  28. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成は、国立病院が果たすべき役割というものを明確にして、統合された場合も、そういった地域を包含して非常に広域対象とした高度あるいは専門的な医療を国が役割分担していこうではないか、ですから、その地域も結果的にはいい医療供給体制ができるんだ、こういったようなことで私どもは再編成を行うわけでございますけれども、こういった点がまだ御理解いただけてないのじゃないかという反省もいたしておるわけでございます。具体的に今度計画実施を進めていく際には、十分地元話し合いをして進めさせていただきたいと思います。
  29. 永井孝信

    永井委員 では、そういう過程の中で地元意向意見というものは十分に取り入れていく用意があるということですか。
  30. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 ただいま申し上げましたように、私どもの今回の再編成の趣旨をよく御理解いただくように、私どもは最善の努力をさせていただきます。しかし、具体的な実施の段階で、やはり地元にもいろいろな御要望、御意見もあろうかと思います。そういったものについても十分調整をさせていただきたいと思います。
  31. 永井孝信

    永井委員 それが厚生省計画を、国の計画を何が何でも押しつけるための理解を求めるということでは私はだめだと思うのですね。そこのところはもう一回私は申し上げておきたいと思います。  さてそこで、国立病院のシェアというんですか、かつて三〇%程度あったものが、今わずかに六%になっているわけです。これは国立病院の扱っている量が少なくなって六%になったわけではないのですね。全体の総量がどんどん膨れ上がっていって、結果的に国立病院のシェアが六%になっているわけであります。そうなりますと、厚生省の今進めようとする再編整備計画厚生省の言われるとおりに完了した時点では、医療全体の総量からいってシェアはどの程度に下がるのですか。
  32. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 ただいまお話がございましたように、かつては我が国医療施設の中で国立に対する依存度といいますかシェアが非常に高かった。それがその他の公私医療機関整備が進んでまいりまして、全体の中に占める国立の割合が現段階では六%になったということでございます。  さて、今度の再編成で一体この国立の占める割合がどういうふうに変化するかということでございますけれども、これはただいまも申し上げましたように、計画の具体的な実施に当たりましては、いろいろ地域との話し合いもしながら、その具体的な内容を詰めて実施をしていくということでございますので、どういうような形になるかということはなかなか申し上げにくいわけでございます。しかし、現在八万八千床国立病院療養所のベッドがございまして、それの全体に占める割合が六%程度になっているわけでございますが、今度再編成計画移譲対象施設に位置づけられております施設が保有しているベッド数は約六千五百床でございます。これを勘案いたしますと、全国のベッド総数が変わらないというふうにして移譲対象分は除いて単純に計算いたしますと、国立の占めるシェアは五・五%程度になろうかと思います。しかし、これはただいまも申し上げましたように、再編成の具体的実施地元自治体との話し合いを進めていく、あるいは地域医療計画との関係も伴います、それによって個別のベッド数も変わってくる、あるいは決まってまいります。また全国のベッド総数も今後変動してまいると思います。こういったようなことも考慮しなければならないと思います。
  33. 永井孝信

    永井委員 現在わずか六%のシェアにすぎない国立病院であるだけに、その持つ役割というものは極めて重要だと私は思うのですね。今言われたように、相対的な数字でありますから、全体がふえれば今のままでも減っていくのですけれども、これ以上六%のシェアを減らすという理由は、国の医療行政に果たすべき役割からいって存在しないと私は思うのです。  この間、この委員会で私の同僚議員の質問に答えて、大臣はピラミッドということを言われました。そのピラミッドというのは頭数を減らさないとできないことなのか。わずか六%にすぎない国立病院療養所だから、それをさらに高度化していって、その地域におけるピラミッドにしていく必要が本来あるのではないか、またそうすることが厚生省の責務ではないかと思うのですが、大臣どうでございますか。
  34. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今回の再編計画が、そのシェアを何%くらいにしなければならないかという観点から出発したといいますよりも、国立医療機関にふさわしい診療内容を備え、そして国民の皆様方の信頼にこたえていけるような、そういう国立病院機能強化をしてまいろう、こういう考えに立っておるわけであります。そういうことを進めていくことによりまして、移譲もしくは統合による人員の配置等によって、今後目指すべき高度かつ専門的な医療を賄える機能強化に十分つながっていける、こんなふうに考えておるところでございます。
  35. 永井孝信

    永井委員 ところで、最近の医療機関における不正事件というのは目に余るものがあると私は思うのですね。その根本的要因は、やはり医療そのものが営利を目的にすることからきていると思うのです。どのように弁明してみようとも、営利を目的とするところからこの不正事件というものは出てきていると私は思うのです。  そこで、この不正な内容というものは、例えば脱税があります、あるいは不正請求もあります。大蔵省にお尋ねいたしますが、脱税でいいますと、昭和五十八年、五十九年、六十年を比較してみて、これは私立の病院でありますが、脱税のナンバーツーは三年連続病院ですね。一件当たりの六十年分の脱税額は千四百十七万円という金額まで出ています。そのほかに整形外科とか小児科とかあるいは産婦人科とか、いろいろな病院がワーストテンの中にずらっと並んでいるわけです。あるいは、これは間違いがあったら正してもらいたいのでありますが、保険医療機関の不正請求による営業の免許の取り消しといいますか、保険医の指定の解除といいますか、これについても、こういう処分を受けるのはよほど悪質な者だと思うのでありますが、昭和六十年で十三件も出ている。あるいは歯科、薬局まで含めると合計で三十件も出ている。この事実に間違いございませんか。厚生省、大蔵省。
  36. 下村健

    ○下村政府委員 国立病院療養所の場合には、国立医療機関として保険診療の面でも適正な運営をやるように十分指導いたしておるところでございます。したがって、現実問題といたしまして、保険医療機関の指定を取り消すというふうなことは、これまでそういう事態に立ち至ったことはございません。
  37. 永井孝信

    永井委員 そういう取り消し件数はないということですか。
  38. 下村健

    ○下村政府委員 そのとおりでございます。
  39. 永井孝信

    永井委員 保険医療機関の不正請求等による取り消し件数、病院で六十年に六件、診療所で七件、合計十三件、歯科十二件、薬局五件、合計三十件。これは一体何の資料ですか。
  40. 下村健

    ○下村政府委員 失礼いたしました。国立以外についてはお話のとおりでございます。先ほど私が申しましたのは、国立については取り消しといったようなケースはございません。申しわけございません。
  41. 永井孝信

    永井委員 私が言っているのは、最前申し上げたように、営利を目的とするところからこういう不正事件が起こる、こう言っているのですね。国立病院国立療養所がそんなことをするわけがないから私は言っているんだから。大蔵省、どうですか。
  42. 中島義雄

    ○中島説明員 医療機関の脱税事案が多いということは遺憾ながら事実でございます。私どもといたしましては、このことは国税の適正な執行という面とあわせまして、やはり医療に対する信頼という観点からも甚だ遺憾なことであると認識いたしております。
  43. 永井孝信

    永井委員 そこで、私は一つ申し上げておきたいのですが、国立病院、公的病院以外ですよ、一般の私立の病院とか開業医の皆さんですが、まじめに、正直にやっている病院や医師の方々がほとんどだと思うのですね。大臣の言葉をかりれば、悪い方のピラミッドなんですよ。そのピラミッドになっているようなものに対して、余りにも処分というものが軽過ぎるのではないかと逆に私は思うのです。これではまじめにやっているものは浮かばれませんよ。一年間の営業停止であるとか二年間の保険医停止ぐらいで済ましたのでは、全体のモラルを高めるための役に立っていかないと私は思うのですが、処分というものはもっと厳しくやれということを申し上げておきたいと思うのです。  そこで、なぜこのことを聞いたかというと、今たまたま答弁が食い違っておったのでありますが、国立病院の果たしている役割というものは、そういう意味では非常に高いと思っているのです。厚生省はそういうことを公言するのははばかってきたと思うのでありますが、不正行為や薬づけ、検査づけというものに対する、民間の医療機関に対するブレーキ役の機能というものを果たしてきていると私は思うのです。その役割は大切にしてもらいたいから私は言っているのです。単に高度の医療機器というものだけではなくて、国の持つそういう医療機関というものは、そういう非常に大切な役割を持っているのだ、だからこそこの国立病院をもっと大切にしてもらいたいと私は思うのでありますが、これからのこのシェアを下げるべきではないという話を最前申し上げたのですけれども統廃合経営移譲というのは、国家財政、保険財政あるいは国家的見地から見てトータル的にマイナスになると私は思うのですが、そういうものも含めて一言でどうですか。
  44. 下村健

    ○下村政府委員 保険財政の立場から考えて、今回の再編成がどういう影響を与えると思うかということだと思うわけでございますが、再編成後の供給体制がどういうふうなことになるかというふうな事情もいろいろございまして、現在の状況で判断いたしますと、財政上いかなる影響をもたらすかという点については簡単に結論は出せない、何とも言えないという感じでございます。保険財政の方から考えますと、医療保険制度を運営していく上で供給体制の問題というのは非常に重要でございますけれども、再編成自体によって直ちに好影響をもたらすかどうかという点については、簡単には判断いたしかねるというふうに思っております。
  45. 永井孝信

    永井委員 簡単に判断しかねると言ってみても、厚生省国立病院療養所を持っていることの価値といいますか、そういう判断をした場合に、本来厚生省はもっと胸を張って、国立病院はこれだけの役割を持っているのだということが言えて当たり前でしょう。そんなことが言えないようなことでは厚生行政なんて前へ進みませんよ。私は別にハッパをかけるわけではないけれども厚生省はそのくらいの自負心は持つべきだし、またその自負心に裏づけられた、そういう医療行政を進めるべきだと私は思います。これはあえて申し上げておきます。  さてそこで、国立病院などに対する信用度の問題ですが、これも私の地元加古川病院のことで恐縮でありますけれども地元の守る会の皆さんがアンケートをとっております。それを見ると、国立病院の信頼感というのは極めて高い。その高い理由というのは、「国立だと安心」だということ、「治療が信頼できる」、「設備がよい」、「看護内容がよい」、これらがずっと大きな数字を占めているわけです。うれしいことです。では国立病院がなくなる、あるいは場合によって民間に移譲されるということを想定した場合にどうかというと、「国立でなくなったら費用負担が多くなる」というのが一番多いのです。治療を受けて健康保険で定められたお金を払うわけですから、本来なら国立であっても私立の病院であっても費用負担に変わりはないはずですね。ところが一般の市民は、圧倒的な人が「国立でなくなったら費用負担が多くなる」ということを思っていらっしゃるということは、最前から申し上げているように、不正事件に見られるように、あるいは薬づけ、検査づけに見られるように、営利を目的とする病院に対して、そういう面での鋭い観察力を市民の皆さんが持っていらっしゃるということなんですね。そしてまた、そういう国立病院の信用度の高いことを裏づける一つの中身として、国立病院特別会計への一般会計からの繰り入れというものが六十二年度でも千四百二十二億円ある。こういうものが保証されているから国民責任を持つ医療ができてきたと私は思う。しかし、臨調答申による行革大綱に盛り込まれて今回の再編成策定されたというのは、言いかえれば、行政のスリム化を図るためのスタンスに立っていると思うのですね。財政再建が行革審の大綱からいって絶対使命のはずだとすると、国の財政から見て、今回の再編成を必要とする基本的な理由は一体何なのか、財政効果をそこから求めるのか、大蔵省答えていただけますか。
  46. 中島義雄

    ○中島説明員 ただいま御指摘のありましたように、国立病院療養所に対しましては千四百二十二億円の予算を投入しているわけでございまして、当然のことながら、私どもといたしましても、この再編成問題については重大な関心を持っておるわけでございます。しかし、関心の内容でございますが、それはこの千四百二十二億円を大幅に削減するとかあるいはそれを削減して何とか予算編成を切り抜けるというような観点ではなくて、これだけの多額のものを投入しております以上は、それが少しでも望ましい方向で生かされるような質的な向上に向けられるべきではないかという観点でございます。  国立病院の再編成に関する私ども認識は、これまで国立病院国民医療確保という点で大変大きな役割を果たしてきたことは十分認識しておりますけれども医療環境の変化等を踏まえまして、今後の果たすべき役割といたしまして、やはり高度先駆的な医療など、国の医療政策上特に推進すべき分野にその役割を見出すべきではないかという観点でございまして、つまりそういった新しい方向に国費が生かされるような形で再編成が進められるのであれば、大蔵省といたしても、この趣旨に賛成であるという立場でございます。
  47. 永井孝信

    永井委員 今の御答弁を私なりに解釈すると、国立病院の再編成に伴って財政効果をあえて求めるものではないというふうに理解します。それで厚生省よろしゅうございますか。――よろしいようであります。  ところで、私が最前からこの不正問題をちょっと取り上げてみたのですが、この閣議決定の中に「民間委託の促進等経営管理を徹底する」こう言われています。民間委託の促進などが経営管理を徹底することになるのかどうなのか、日本の言葉として、あるいは文言上の形態としてどう考えても私は理解ができないのですね。言いかえれば、閣議決定を受けて医療を、これだけ不正や薬づけ、検査づけが問題になっている中で、営利事業に転換することは望ましいとされているのかどうなのか、時間がだんだん迫ってきますから、一言で簡単に答えてください。
  48. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 医療の低下を来さないような範囲内の分野で、民間の委託に譲れる分野というものはございます。清掃とか何とか、そういったような分野につきましては、民間委託にすることによって、病院経営合理化が進められるのだろうというような観点で、私どももただいまの御指摘がございました閣議決定に基づきまして、できるところから進めてまいっているところでございます。
  49. 永井孝信

    永井委員 本来なら、大蔵当局が今言っておりますように、財政効果を求めるためのものではないということになると、国民の健康を守るために、今存在する国立病院療養所をもっともっと国民の期待にこたえるように対応することは何ら問題はないと私は考えるのですね。今までの行政改革というのは、安上がりの政府であるとか、行政全体のスリム化を図るとか、そのスリム化を図るところに、例えばすべての各省庁で定員を一律削減しようとしてみたり実情にそぐわないところがいっぱい出てきているわけです。そういう範疇にこの国立病院の問題も組み込まれているのではないのか、実際の医療行政あるいは国民の健康を守っていくための医療効果というものを国が責任を持って果たしていくということになっていないのではないかと思うのですが、大臣、どうですか。
  50. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 確かに時代の移り変わり、社会経済情勢の変化、そしてそういう中において医療需要が変化を来しておるわけでありまして、そういう中において、他の医療機関においてはなかなかこれを担当しにくい分野、また国立医療機関としてふさわしい分野、こういう分野を真に担当して、そして国民の皆様方の信頼にこたえ、そして医療全体の中における国立医療機関の果たすべき分野をきちっと位置づけをいたしてまいろう、こういうことが今先生指摘の行革の精神のあらわれとして言えるのではないかと思うわけでございます。
  51. 永井孝信

    永井委員 あえてもう一度申し上げますが、一般的に進められてきた民活とか安上がりの政府とか行政のスリム化、そういう範疇に玉石混交するような形でこの医療行政が落ち込んではならない、このことだけは私は厳しく申し上げておきます。  次に、最前私はマニュアルの問題を申し上げました。このマニュアルの中の一つをとらえてみますと、「病院は、地域の期待に応えるよう努力しているか 病院医療は、患者の人間性等を尊重するよう配慮されているか 診療は、医学の学術性に基づいて行われるよう、努力がなされているか 病院の運営では、財務、人事、機器等の管理が合理的かつ効率的に行われているか」、こういう四点が挙げられているわけです。国立病院療養所といえども、当然このことが推進されなくてはいけない。これはだめを押すようで悪いのですが、そのように理解してよろしいですか。
  52. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 国立病院といえども地域医療を担っておるわけでございますから、当然そういった努力をやらなければならないと思っております。
  53. 永井孝信

    永井委員 そこで、このマニュアルから見まして、地域医療計画の上で病床の不足地域あるいは過剰地域がありますね。過日私どもの党が調査団を新潟に派遣いたしました。新潟県の寺泊病院は長岡保健医療圏に所在しているのでありますが、その地域は五百二十四床の病床不足の地域であります。同じく村松病院は三百十三床の不足地域の新津保健医療圏に存在しております。厚生省計画では、この二つはそれぞれ統廃合、いわゆる廃止されて約一千床も病床の過剰地域にある新潟に統合することになっている。どうもこれは整合性に欠けますね。  あるいは、私の地元もそうでありますが、私の地元は兵庫県の加古川明石地区であります。ここは四百十九床の病床不足地域になっています。それは海岸線でありますが、ちょっと山間部に入りますと、さらに五百六十五床の不足、ここらがエリアになっているわけであります。この不足地域から、明石病院統廃合対象で廃止される、加古川病院移譲対象になっている、そして千九百一床も過剰になっている神戸に明石病院を統合する、こんなでたらめな計画があっていいのですか。これで地域の期待にこたえる努力をするように指導する資格があると言えますか。大臣、どうですか。
  54. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 このたびの国立病院療養所の再編成は、これらがより広域対象とした高度あるいは専門的な医療を、国立医療機関としてふさわしい役割を果たしていけるよう、その質的な機能の強化を図るために行うものでございますが、具体的にただいまお話のございましたように、原則的にはオーバーベッドの地域につきましては増床はできないのでございますけれども、特殊な診療機能を有するベッドの場合につきましては、また増床を認められる余地はございます。ただいま申し上げましたように、かなり広い地域対象といたしまして高度、専門的な役割を分担していこうという意味での統合でございます。しかしベッドの問題につきましては、ふえる場合につきましても減る場合につきましても、地域医療計画との整合性を図るために、計画実施を進めるに当たりましては、地元、県当局と意見を十分調整して進めさせていただきたいと思います。
  55. 永井孝信

    永井委員 広域医療を目指すということでありますけれども、現に厚生省医療法に基づいて定めさせた医療圏の中で、過剰ベッドを持っている地域に、病床、ベッド数が不足している地域病院をなくして持っていくということが、果たして医療圏の構想に基づく地域医療充実ということになるのかということなんですよ。こんなものはだれがどう考えてみたって理屈に合わぬですよ。理屈に合わぬことを無理やりにやられようとしている、これが実態ではないのですか。  さらに、具体例を挙げてお聞きしたいと思うわけであります。  私の地元加古川病院を例に挙げさせていただきます。私が一番よくわかっている病院だから言うのです。この国立加古川病院昭和五十五年に療養所から国立病院へ転換いたしました。そのときにリューマチ、ぜんそく、がん、アレルギー疾患という難病対策の医療中心に、免疫医療センターということを目標にして発足いたしました。当時十八億円からの国費が投入されているわけであります。五十五年ですからまだ十年たっておりません。そのときに地域医師会はもとより地元の代表者との間で協議がされまして覚書が結ばれました。その覚書を見ますと、国立加古川療養所は、更新築に伴う施設特殊機能として、今申し上げたリューマチセンター、難病、呼吸器、循環器診療施設、がん診療施設機能連携病院臨床検査センター、医療従事者の養成病院、教育研修病院として、その中核的な役割を果たします、したがって、それを中核にして地域医療圏における医療体制というものを相互協力関係で進めていきましょうという覚書まで交換しているわけですね。これがわずか十年もたたぬうちにほごにされる。これは一体どういうことなんですか。  しかも、昭和六十一年一月十日に発表されました統廃合病院選定作業をした際の対象の中に、国立加古川病院――明石病院も私の地元ではあるのですが、時間がありませんから加古川病院を集中的に申し上げますけれども厚生省が発表した「主な診療機能等」というのには、ここに現物を持っておりますけれども、総合病院、医学的リハビリテーション、輪番制の救急、この三つが挙げられている。もしこの認識国立加古川病院移譲問題が出てきたとすると、これは大変な間違いでしょう。現に加古川病院のこのリューマチセンターなどについては、近畿圏から西日本にまでそのエリアは及んでいるのです。まさに全国でも有数の難病のリューマチセンターとしての役割を持っている加古川病院の診療機能について、厚生省の発表したものは全く触れられていない。単なる総合病院、医学的リハビリテーション、救急病院、こんなことを対象にして選定されたとすると、これは選定のやり直しですな。そういうわずか八年ぐらい前の国立病院に転換するときの経緯からいって、一つの例でありますが、これでも加古川病院をあくまでも移譲対象にいたしますか、どうですか。
  56. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 昭和五十五年当時に加古川療養所の建物を更新いたしましたときに、地元医師会との間で今お話のございました覚書が交わされていることは、私どもも承知いたしております。これは建物が新しくなりました加古川療養所地元医師会との機能分担といいますか、そういったようなことで覚書が交わされたということだと思います。それでまたそういった趣旨を尊重いたしまして、その後運営をされてきたと思います。  しかしながら、現在の加古川病院を見ますと、先生今おっしゃいましたように、リューマチという面において非常な特性を持ちまして、高い評価をいただいたわけでございますけれども、ただ全般的に見ますと、やはりあの地域中心といたしました一般的医療というものが加古川病院機能中心になっておると見られます。そういった診療機能とか診療圏といったものを総合的に勘案いたしまして、やはり地元の適当な方に経営していただいた方が望ましい、そういうことで移譲対象に選んだわけでございます。しかし、今先生がおっしゃいましたような点も十分踏まえまして、移譲先の選定に当たりましては、後の医療ということに十分意を用いまして、地元関係者と話をしながら進めてまいりたいというふうに考えております。
  57. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなってきましたけれども、あえて申し上げますと、これは前の委員会の質問のときにも大臣が答えていらっしゃるわけですが、国立病院が高い機能を持たなければいかぬといって、難病の特に大変なそういう患者さんを扱うだけではなくて、当然総合病院的に一般の診療もしなくてはいけない、それは国立病院といえどもその役割は同じだ、こういうことを言っていらっしゃるわけですね。だから加古川病院でいうと、リューマチという特殊治療をやっている患者の数は、全体の入院愚者や受診患者の数から見ると、総合病院でありますから相対的には比較的少ないかもしれない、だからリューマチという大変な病気に対応していろいろな医療を行っているのだけれども、だからといって残す必要はないという理屈にはならぬと私は思うのです。どこの病院だってそうですから。とりわけリューマチというのは大変な病気で、一遍加古川病院に行ってごらんなさい。私は何回も行きましたけれども、西日本からでも来ているのです。加古川病院で初めて手術を受けて難病が治ったという患者さんもたくさんいらっしゃいます。まさに極めて信用度が高いのです。もしもそういう病院について、厚生省が出している移譲対象で、仮にこれからいろいろな作業を進められて、そういう高度の治療技術を持った病院、あるいは広域的な医療圏を持っている病院公共団体を初めとして移譲を受け入れるところがなかった場合はどうするのですか。
  58. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 私どもは、再編成の趣旨を理解をいただき、できるだけ移譲が行われますよう最善の努力を進めてまいるつもりでございますが、移譲が実現いたしますまでは、国立医療機関として運営を続けてまいるということにいたしております。
  59. 永井孝信

    永井委員 それは、例えばこの法律案によりますと十年を目途にしているわけですね。仮に十年を超えた場合どうなるのですか。
  60. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成はおおむね十年を目途に作業を進めてまいるわけでございます。私どもはそういった計画にのっとり、最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  61. 永井孝信

    永井委員 突き詰めていえば、私は移譲がいいと言っているのじゃないですよ。私は移譲反対ですから。こんな病院移譲することはけしからぬと思っているのですが、仮に移譲のための作業が進められたとして、移譲を受け入れるところが結果として見つからなかった、その場合はその病院存続するのですね。一言で答えてください。
  62. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 移譲は相手が見つからなければ実行できませんので、それは国立医療施設として運営を続けます。
  63. 永井孝信

    永井委員 時間が来ましたから、最後に大臣にもう一言お聞きしますが、このような質問をせざるを得なかったというのは、国立病院療養所に対する国民の信用や評価が極めて高いのに、国立病院療養所経営者、あえて言うならば、経営者の立場にある厚生省がその信用と評価の根拠がどこにあるのかということを本当はよく理解していないのではないかと私は思うから、もっと自信を持って胸を張って理解しておれば、私はこの法律案の中身も変わってきただろう、こう思うのです。したがって、この計画立案に当たって、国立病院経営分析及び機能評価というものが、極論すれば机上のものとなっていかないようにしなくてはいけないし、今回のものはまさにそういう面では政策的には誤りが基本的にあったと断ぜざるを得ません。  そこで、こんなことで再編成をされたらたまったものではないわけでありますが、国民の納得のいく客観的指標あるいは基準についてお示しいただけますか。
  64. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 病院機能評価につきましては、常に見直しを行い、その自己採点といいましょうか自己評価を行っていかなければなりませんし、国立病院療養所といえども当然でございます。  今、先生国立医療機関が非常に信用が高いと言っていただけることは大変うれしく思っておるところでございます。しかしながら同時に、この再編計画の趣旨、すなわち国立医療機関として、日本全体の医療供給体制の中でどの分野を真に担当し、国民の皆様方により信頼を置いてもらい、また期待を寄せていただけるか、こういう国立病院療養所に再編成をしていかなければならない、こういう観点で行っておるわけでございます。  先生が具体的な例としてお示しをいただきました加古川病院につきましても、加古川病院医療は不要であるという考えに立っておるわけではないわけでございまして、その地域医療は必要である。ただ、国立病院として担当しなければならないのかどうかということになれば、他の医療機関においてもこれを担当していただけるのではないか、こういうことから移譲対象にさせていただいておるわけでありますが、その移譲に当たりましては、まさに今地域で果たしている医療機関としてふさわしい、すなわち地域の皆様方が今信頼を置いていただいているような、その信頼にもまさるような医療機関が後を受けてやってもらうということが必要であろうと思います。そのためには、その移譲を受けるべき医療機関地域の皆様方に御納得のいただけるものであるかどうかということについて十分検討し、お話し合いをし、そういう地域の皆様方の御納得の上で、これを進めていくということがどうしても必要なことである、私どもはそういう基本的な考え方に立って、これからの実施について取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。
  65. 永井孝信

    永井委員 もうこれでおきますが、要は、今まで私が質問申し上げてきたことは、厚生省はいろいろ言われているけれども、じゃこの病院を残して、この病院をなくするとか移譲するとかというその指標、基準というものはどう考えてもあいまいなままであって、数さえ減らせばいいということで、適当に地域で割ったのではないかとさえ私は思うのです。ですから、この審議終了までに、私どもが納得できるような、だからここの病院は残すのだ、だからこれは排除するのだ、移譲するのだという、どういう物差し、基準なのか指標なのか、それはできたら書面で出してほしいのですが、審議終了までに出していただけますか。これだけお尋ねして終わります。
  66. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 それはこれまでにも申し上げてまいりましたように、国立医療機関にふさわしい医療機関として再編成をしていく、すなわち、これまでよりも一層広域対象とした医療機関として専門的または高度な医療を担当する、また治療研究とか研修施設としての役割を発揮できていくような施設に再編成をしていく、こういう基本的考えに立っておるわけでございます。
  67. 永井孝信

    永井委員 あとは同僚委員に引き続き譲りまして、これで終わります。
  68. 堀内光雄

    堀内委員長 河野正君。
  69. 河野正

    ○河野(正)委員 端的にこの国立病院再編計画法律案に対する感想を言わせていただくならば、これはまさしく天下の悪法と申し上げても過言でないと思うのです。というのは、きのうの参考人意見を聞きましても、非常に意外に思いましたのは、元来、参考人意見開陳の中には、政府案に対して賛成である、そういう意見がかなりあったということを私どもは経験をしておる。ところがきのうの参考人意見の開示におきましても、もうすべてが基本的には反対ですね。その中身は、一部については賛成という方がいらっしゃったが、基本的には反対だ。そういう国民の声といいますか、あるいは地域の声といいますか、そういうことがだんだんと明らかになってまいったわけでございまして、結論的に申し上げますならば、まさしく天下の悪法である、こういうふうに申し上げましても過言ではなかろうと思うところでございます。  そこで、なるほど大臣もたびたびおっしゃっているが、国立病院の果たすべき役割を明らかにする、そういう計画を推進するんだ、こういう御発言があっておるわけでございますが、その国立病院の果たすべき役割、その認識について非常に大きなずれがあるのではないかと思うのですね。政府は政府としての、国立病院の果たすべき役割というのがあるでしょう。しかし、一般国民から申し上げますと、医療関係者の立場から申し上げますと、その間に非常に大きな見解のずれがあるのじゃないか、こういうふうに実は考えるわけでございます。そして御存じのように、現在の二百三十九カ所の国立病院療養所を再編成いたしまして、結果的には十年間で七十四カ所が削減される。これは約三割に相当するわけでございますが、そういった国立病院の再編成に対して大なたを振るう、それが国民が期待するような、あるいは地域住民が期待するような、そういう方向でやられるならば、これは私どもも必ずしも反対するものではない。ですけれども、今申し上げますように、それぞれの関係者がことごとく問題がある、こういう意見を言っております。要するに移譲する、これは済生会とか日赤とかいろいろな団体がございますから、それぞれ違いますけれども、無償あるいは七割引きで施設もあるいは土地も移譲する。しかし、その移譲するものは国民の財産ですよ、我々の財産なんですよ、これは。それを我々の納得しない形でやられることについては、私どもはどうしても納得するわけにはいかぬ、こういう気持ちが非常に強いわけでございまして、そこでマスコミの論説によりましても、これはまさしく国鉄の赤字ローカル線切り捨ての病院版だ、こういうことが言われておるということは御存じのとおりです。  そこで、いろいろ大臣から慎重なお答えをいただいておるけれども、今度の再編計画を行う真の目的は一体どこにあるのか、この辺がどうも私どもは納得がいかないのですね。例えば財政上の問題だ、臨調の答申その他によって――それならそれなりに、賛成ではございませんけれども、なるほどという点があるでしょう。しかし、財政上の問題はないと大臣は言っていらっしゃるわけですから、そうすると、何を目的再編計画を遂行しようとおっしゃっているのか、その辺が全く私どもは納得いかないというのが率直な意見でございます。ですから、非常に基本的な問題でございますから、大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
  70. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今回の再編計画は、まさに赤字対策とか財政対策ということではなく、言うならば、もっと前向きな再編であるというふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。  私が申し上げるまでもなく、国立病院療養所は戦中戦後の歴史的経過をたどりながら整備されてまいりました。昭和二十年代には国立病院療養所のベッド数の占める割合は全体の中で三割であったわけでございますけれども、その後、他の医療機関等が急速に整備充実をされてまいりました現在におきましては、全体の中で国立病院療養所が担当いたしておりますベッド数として言えば約六%という状況になってきております。こういったことを踏まえてみますと、国立病院として真にふさわしい国民の皆様の期待にこたえられるような分野を担当していく、そういう国立病院でなければならないということをもう一度見直していかなければならないと考えるわけであります。そういう観点に立ちまして、これまで以上に広域対象とする中において、専門的または高度な医療を担当し、他の医療機関においてはなかなか担当しにくい分野、こういったような分野を担当していく必要があるであろう。また臨床研究の分野とかまた研修の分野、こういったような分野を担当し、地域医療向上に役立てていくというようなことにも努めていかなければならないであろう、こういうような観点に立って今回の再編計画を進めさせていただいておるところでございます。
  71. 河野正

    ○河野(正)委員 なるほど大臣はこれこれのためというようなお話でございました。しかし、その意見が現状とマッチしているのかどうか、その辺私どもは納得いかない点があるわけです。そこで、これは私ども意見を言いますと、私どもの立場ということで誤解されるおそれがありますから、ある著名な医事評論家の意見がございますので、一応ここで御披露させていただきます。その全体の文章を申し上げるわけにはまいりませんけれども、「国立病院は現実には地域病院となっており、その機能充実して住民の信頼を得るよう努力したらどうか。なにも大病院にしなくてもムダは排除できる。へき地医療や難病患者の治療など、もうからないから民間がやりたがらない日常の医療に力を入れるのも国立責任だ。」――後ほど私見を申し上げますが、「経営移譲と言うが採算があがらない病院を引き受ける自治体や民間がそれほどあるとは思えない。」これは常識的な判断だと思います。そういうように、現在も国立病院療養所地域医療として定着をしておる。ですから、それなりに国立病院の任務は遂行されておるわけです。それをあえて統合して大病院にするのだとか、そしてまた一般の人がやりたがらない難病対策とか僻地医療、そういうものをこの際切り捨てようということですから、大臣の御発言はもっともであるような気がするけれども、現状とかなり認識がかけ離れておると私は思うのです。ですから、私が今披露いたしましたこの医事評論家の発言というものは、そういう意味では非常に傾聴に値する発言だと思っておるわけです。国立病院・診療所というものは、私ども国民の財産です。国民の納得いかぬ形でそれをただで移譲したり七割引きで移譲したりする。我々の財産ですから、国民、我々が納得するという形なら結構ですよ。そういう意味でこれはどうしても私ども納得がいかない。  それから、先ほど国鉄の地方赤字路線の切り捨ての問題を申し上げましたが、僻地とか離島とかいうところでは、実際これは経営からいったらなかなか思うように経営ができぬことも明らかです。ですから離島、僻地には開業医が行かぬですよ。今は医師過剰時代だと言われておる。医師過剰時代だと言われておるけれども、都市集中ですよ。僻地には行かない。離島には行かない。無医村というものはまだたくさん残っておる。それは採算がうまくいかないから。ですから、そういうところは国が責任を持ってやるということが、やはり国の責任ではなかろうか、こういうように私は思うのです。そういうことを考えてみますと、何もここに事改めて医療改革に大なたを振るわなければならぬということではなかろう、こういうように私どもは判断をするわけですが、その点については、これは基本的な問題ですから、大臣の方からお答えいただきたいと思います。
  72. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 地域の一般医療について撤退をするということでは決してないわけでございまして、それといいますのは、現在の国立病院におきまして、地域の一般医療として非常に信頼を置いていただいているというお話がございましたが、そういう部分についてはまさに国立病院でなければ担当できないかどうかということを考えますと、必ずしもそうではないのではないか。先ほど申し上げましたように、全体の医療機関が急速に発展充実をいたしてまいり、六%になってきたということを申し上げましたことは、裏返して言えば、他の公的医療機関においても地域の一般医療は十分担当し得る状況になってきておる、こういうふうに思うわけでございます。そういう意味におきまして、地域の一般医療についてのみ担当しているところについては、他の医療機関にゆだねてもいいのではないか。そのかわり国立病院としては、他の公的医療機関その他で受け持ちにくい部分について、すなわち高度な、または専門的な医療について真に担当し、より一層国民皆さんの期待にこたえていくという必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  この再編成の趣旨、総論としてはおおむねの方に御理解が今深まってきておるというふうに私ども認識をいたしておりまするけれども先生おっしゃるように、地域の実態と合っていないというお話は、具体論になりますと、それぞれの地域の御事情、またいろいろな沿革等もありまして、いろいろな反対の御意見もございます。そういう中では、その地域の一般医療が今後どのようになっていくのかという不安等もあるわけでございまして、そういった点の不安のないように十分な話し合いを行って、地域の皆様方の御理解を得て、国立病院でなくなっても、他の病院移譲されて経営されても、この経営主体ならば大丈夫だというふうに御理解をいただくというようなところまで話し合いを詰めて、今後できる新しい医療機関はどんな診療が行われるのか、そして今までとどう変わってくるのか、今まで以上によくなるのかならないのか、こんなことを十分この地域皆さん方に理解をしていただく、そういうことをやりつつこれを実施をいたしてまいりたいというふうに考えております。  また、僻地とか離島等について、まさにこういうところを国立医療機関が分担しなければいけないではないかというお話でございましたが、先日の御審議のときにもそういう御意見がございまして、私もその後いろいろ調べさせていただいたわけでございますが、例えば離島をとってみますと、離島関係の四つの特別措置法に基づく離島とされるところにおける診療機関というものは、全国で今八百五十ほどございます。そのうちで国立病院のらい療養所等を除きますと、わずかに三つの国立病院療養所が担当しているという状況でありまして、全体からいえば八百五十を上回る中で三つの機関が担当しておるわけでございます。それはまた逆に言えば、大部分は地方自治体等の御努力によって離島等の診療が確保されているということでございます。離島の医療確保していくということは非常に大事な、重要なことであると考えておりますので、私どももそういった地元自治体の御努力を力強くバックアップしていく、これをいろいろなことで手助けをして、離島の医療を十分に確保していけるようにしていくということは、これまでもやってまいりましたが、今後もやっていかなければならない、こんなふうに考えておるところでございます。
  73. 河野正

    ○河野(正)委員 今大臣のお答えの中で、既に地域医療役割というものは果たしおおせた、だから移譲してよろしいという面ですね。それはそういう面もあるでしょう。しかし、先ほどからいろいろ議論が出ておりますように、これはどうしても採算を無視して、例えば難病対策とかあるいは離島-離島は非常に少ない、僻地は少ないというお話でございましたが、少ないにしても、採算が立たぬわけですから、それは当然国がやって、そこで赤字が出たから国民がとやかく言うような筋の問題でも決してない。ですから、私ども総じて考えてまいりますと、国民地域住民が、特に私ども参考人意見開陳も聞いてまいりましたが、どうも政府に対する不信感がある。いろいろそういう作業をやったとおっしゃるけれども、これは後ほど具体的な問題を挙げて御指摘申し上げますから、その際に的確にお答えいただきたいが、今は総論的なことですから、事前住民との接触あるいは地方自治体との接触というものがどうも一方的に政府が考えておるだけの話であって、そのことが現実に行われていない。したがって、政府が何と言っても政府に対する不信感というものが払拭できないというのが私は現状ではなかろうかと思うのです。限られた時間でございますから、多くを申し上げることはできませんが、そういうことを前段に申し上げて、後具体的な点について逐次質問をしてまいりたいと思います  というのは、一つ私が感じましたのは、今大臣からもるる御説明ございました。しかしながら国民が納得しないあるいは自治体が納得しない、それはやはり説得力に欠けていると思うのです。そこで、具体的には後ほど申し上げますが、例えて申し上げますならば、説得力に欠けているというのは前回の委員会でも出てまいりました。これは私の出身地でございます福岡県でもあるわけですが、とりわけ新潟の村松病院では、先年十二億円の巨費を投じて改築をした。ですから、今さら統廃合する必要はないではないかというような議論があることも一つです。それから説得力に欠ける第二点は、例えば福岡の中央病院のごときは、大体外来患者が五百を超しているわけです。院長に言ったら八百にしたいといって努力しているのですね。そういう意味では、地域医療に果たしている役割というものが非常に大きいわけですよ。それをなぜ今度統廃合しなければならぬのか。これも説得力に欠けておる一つの理由ですね。それから一応私が取りまとめてまいりました第三の理由というものは、例えば先ほど兵庫県の加古川の問題が出てまいりましたが、福岡県にもございます。リューマチの難病対策として今まで努力してきた、その努力がどんどん実りかけてきた。ところが今度それが統廃合の範疇に入る。こういう点、厚生省のお考えというものはどうも筋が通らぬじゃないですか。私、三つだけを取りまとめて申し上げましたけれども、あと具体的に申し上げます。  こういうように厚生省が、こういうふうな再編成をやるのです、その目的はこうですとおっしゃっても、はいそうですかと納得しがたいような不信感、矛盾性というものがたくさん横たわっておる、そういうふうに思うのです。やはり地方住民なり地方自治体が非常に不満を持っておる、あるいは反発をしておるという理由は、私が今言うように、政府が説得しても、説得力が薄い。だから、はいそうですかと言わないという状況もあって、今日全国的にほうはいとして反対運動が起こっている、こういうことに相なっておると思うのです。  ですから、その点については一応大臣からお答えいただいて、あと具体的な問題については、局長その他からお答えいただくとしまして、とにかく幾らおっしゃっても、政府の発言については矛盾が多いから、説得力が非常に薄い。それらの点について、一応の見解だけを承っておきたいと思います。     〔委員長退席、戸井田委員長代理着席
  74. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 御答弁申し上げます前に、先ほど御答弁申し上げた離島の問題でございますが、正確な数字が少し違っておりまして、離島関係の四法に基づく離島三百三十八とあるわけでございますけれども、そこにございます診療機関は八百五十を上回ると申し上げましたが、八百四十七でございます。訂正させていただきたいと思います。  それから、ただいまの政府に対する信頼が持てないではないかというお話でございます。具体的に三つのことをお挙げになられましたが、まず第一の、近年整備をした機関についても、統合とか移譲という対象になっているのはおかしいと。これがまさに財政対策とか赤字であるとかいうことに基づいて今回の再編を行おうとしておるものではないという逆のあかしにしていただければ、大変御理解が深まるのではないかというふうに思います。  また、第二の地域医療に貢献しているという点につきましては、先ほど申し上げましたように、一般的な地域医療については、国立病院でなくてはならないということではなく、他の公的医療機関でも十分果たし得るのではないか、またそういうところにきちっと移譲をするように心がけたいということを申し上げさせていただいたところでございます。  第三番目の、例えば加古川病院お話の場合、リューマチの専門的な部分につきましては、移譲後の医療機関においてこれを引き続き取り扱っていただくか、もしくは、それがなし得ない場合には、他の国立病院療養所に移管をするかということについては、地元の皆様方との今後のお話の中でひとつ対応をいたしてまいり、リューマチの診療について確保をしていけるようにいたしてまいりたいと考えております。  この再編計画の総論として御理解をいただきながら、なかなか具体論になると政府のやることが信頼できないという部分につきましては、やはり地元のいろいろな御事情もおありだろうとは思いますし、またその再編計画が具体的な地域で進められた場合に、どのようなことになっていくのかということについて、まだはっきりしてない部分もあるわけであります。というのは、すなわち地元の皆様方とも十分お話し合いをさせていただき、意見を聞かせていただきながら、いろいろな枝葉の部分について整理をしていくという姿勢を持っておりますので、その該当地域におきましては、時を追うてお話し合いの中で具体化をし、その問題についての御理解なり御評価を賜りながら進めてまいりたいと思っておりますので、その点は大丈夫であろうというふうに思います。
  75. 河野正

    ○河野(正)委員 そこで、今総論的なことはいろいろ各委員からも御指摘がございましたから、具体的な問題を提起しながらお答えをいただいた方が結構だと思いますので、申し上げます。  例えば、福岡県でも大体九十八議会の中で九十七議会がその存続拡充を決議しておるわけですね。そしてその際、九州知事会議では、この存続を求める、そして一方的にやられると混乱が起こるので、ぜひ事前協議というものを図ってもらいたい、こういう要望が実は決議されておるわけですね。ところが一体そういう事前協議というのはなさったわけですか、どうですか。     〔戸井田委員長代理退席委員長着席
  76. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 例えば福岡中央病院と久留米病院との統合、こういったような問題につきましても、私ども先ほどから御説明申しておりますように、計画実施に当たりましては、地元自治体等と十分話し合いをしながら、その中で作業を進めさせていただくということでございます。したがいまして、このケースにつきましても、県、市あるいは医師会、こういった方々と意見の調整を進めながら作業を進めていっているところでございます。
  77. 河野正

    ○河野(正)委員 しかし、現実問題として、県下では衛生部長というのが行政の最高責任者ですよね。こういう方が、国の医療改革に対しては一応理解できるけれども、そのしわ寄せが地域に一方的に及ぶことについては納得できないと言う。一般的に行政責任者がこういうコメントを発することは、これは異例のことですね。普通言わないですよ。  これらを見てまいりましても、今事前に中央病院と久留米病院についてはという話がありましたが、しかし福岡県の場合は、福岡中央病院と久留米病院だけじゃないですね。大牟田もあれば筑後病院もあれば、先ほど出ております久留米の病院もある。それぞれあるわけですね。  そういうことですから、知事会議でも、先ほど申し上げますように、ぜひ事前協議はさせていただきたい。しかし今審議官がおっしゃったのは、中央病院と久留米病院統廃合については、何かお話し合いをしたという話ですが、部分的になさるから、結果的には今度は一方では反発をする、こういう状況も出てきておるのではなかろうかと、今答弁を聞いてそういう感じを持ったわけですが、そこはいかがですか。
  78. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今おっしゃっておられますのは、福岡中央病院と久留米病院。ところが久留米病院は、久留米病院と筑後病院、大牟田病院、こういったところにも関連しておるじゃないか、そういったのを全体で話をしないと混乱を生ずるのじゃないか、そういう御趣旨だろうとは思いますけれども、確かにそういうようなことであろうかと思います。私どももこの関連病院の再編成につきまして、それぞれお話をしております。それぞれ地域も違うというようなこともございますので、それぞれの関係医師会あるいは自治体といったようなところと話し合いを持たせてもらっております。  ただ、福岡中央、久留米の問題と筑後の問題につきましては、話の進み方といいますか、話の密度がちょっと違っておりますけれども、程度の差はございますけれども関係方面との話し合いはさせていただいております。
  79. 河野正

    ○河野(正)委員 どうも納得できないのは、例えば久留米にいたしましても、第二次臨調答申の議論の中で国立病院統廃合の動きが出てきた、その節にもう既に久留米病院存続充実強化の意見書を提出しておるわけですね。ところが突如として久留米病院統廃合が提案された。それでこれは話が全く違うじゃないかと言って久留米市議会が非常に反発をしておるのですね。審議官はここで適当におっしゃっているけれども地元の不信がある、住民の不信がある、行政厚生省に対する不信感を持っているというようなことを私は総論的に申し上げたが、そういった片手落ちの点があるから、今言われている話が殊さら紛糾する、こういうことになっておると思うのですね。ですから、第二次臨調答申の議論の最中に、そういう動きがあって、そこでこれに対する意見書を提出したならば、そこから話が出てこなければいかぬ。それに対して対応もしないで、突如として久留米病院統廃合の中に入るのですよ。こういうところに今久留米市議会が非常に反発しておるわけですよ。ですから、どちらかというと、ここでは委員会ですから適当に答弁をされておるけれども、実態としては厚生省が独善的に物事を進めておる、それが住民の反発になっておるというふうに指摘をしても言い過ぎではないと私は思うのですよ。いろいろございます。ございますが、今十分連携をして話し合いをしてきましたとおっしゃいますから、私はそれに対して反論するわけです。これに対してあなた方は反論できますか。
  80. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 先ほども御答弁いたしましたけれども計画策定の段階でもいろいろな形で県を中心とした地元の御意向というものも打診しながら、私ども計画策定させていただいた。ただ、いざ計画が明らかになり実行されるという段階になりますと、先ほど大臣からも申し上げましたように、地元医療は一体どうなるんだろうか、あるいは現在ある国立施設が最寄りから遠のく、こういったようなことが、もろもろの利害も絡みまして、反対といったような形になってきておるんだと思います。ですから、今後計画を実行するに当たりましては、地元の市も含めまして、あるいは地元の郡、市医師会も含めまして、さらに関係者と話を進めながら、その中で私どもは作業をさせていただきたいと考えております。
  81. 河野正

    ○河野(正)委員 実行する段階でそういう話し合いをされても遅いのですよ。実行する前に、政府としてはこういう見解を持っておる、したがって地元にはどういう考え方があるのか、そういう事前調整という段階を踏まなければ、決まったら相談する、決まって相談して話がうまくいくはずないじゃないですか。私の持ち時間が一時間とすれば、正直言って、ここではとにかく一時間適当に答弁しておけば、それで済むという気持ちでしょうけれども地元住民はそういうことでは納得できませんよ。もう第二臨調の議論の中でそういう動きが出て、久留米では心配をして意見書を出しておるわけですから、その辺から、いや、これはこうですよというふうな意見の調整というものが行われてしかるべきだ。それを一切やらないでおいて、いよいよ久留米というものが――これもおかしな話で、私の知っておる範囲では、最初は福岡中央病院と久留米が一緒になるという話だった。それがどういうことかよくわからぬけれども、久留米病院が二つになるのかどうなるかわかりませんけれども、分割をして、一方では大牟田と筑後病院と一緒になる、一方では福岡中央病院と一緒になる、こういうことでしょう。これは全く政府としての真の目的というものがどこにあるかわからぬ。もし福岡中央病院と久留米が一緒になるなら、それはそのまま実行さるべきであるけれども、実行することだって私ども必ずしも賛成じゃないが、それが変わっておるのですよ。だから、これは非常に政治的な配慮で、久留米が反対をする、何とか浅さにゃいかぬということから久留米の一部が残る。しかし久留米病院と筑後病院、大牟田病院、これはどこに建設されるかも定かでないわけでしょう。定かになっていますか。
  82. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 大牟田、筑後、久留米の三病院の統合の場所はまだ未定でございます。
  83. 河野正

    ○河野(正)委員 しかし、私どもの聞く範囲では、三潴郡の三潴町ということを仄聞しておるわけです。けれども、それを公にすれば、久留米が残してくれと言った、それが三潴郡に行ってしまうのですね。そうすると、久留米の市民の要求にこたえることができない、そういうことで、さっきの話じゃないけれども、実行する段階においては相談するとおっしゃっていた。実行する段階では久留米病院を残しますという約束をしておきながら、実際にはこれはよそに行くわけですね。久留米に残るわけじゃないでしょう。そういうふうな政治的な配慮ばかり行われ、小手先だけのことばかり考えられるからますます住民は政府に対する不信感を募らせるという結果になっておると思うのですよ。その点はどうでしょうか。
  84. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 ただいま先生がおっしゃいました三潴町でございますか、これは私も初耳でございまして、この場所については全く見当もついておりません。全くの未定でございます。
  85. 河野正

    ○河野(正)委員 そうおっしゃりながら、例えば久留米病院については、もう紙上いろいろ報道しておりますが、久留米大学に移譲したいというような事前折衝がもう行われておるでしょう。それも未定ですか。
  86. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 確かに久留米大学の関係者から、今回の久留米病院の統合問題についていろいろ事情を聞かれたこともございました。ただ、久留米病院が統合された後の医療をどうするかということを考えるのは、まずは地元自治体、久留米市、あるいはその他医師会とかそういった関係者の方々の御意向を聞いて、それで私どもがそれに対してできるだけ後医療に支障が生じないように配慮をしてまいるということだろうと思うのです。したがいまして、私どもが久留米病院の後を積極的にどなたかにどうこうするというような問題ではないわけでございまして、本当に後の医療が必要なのかどうか、さらにはどんな医療が必要なのかといったようなことは、これはやはり地域がまず御判断なさることでありまして、それに対して私どもも最大の配慮をしていかなければならないというように考えております。
  87. 河野正

    ○河野(正)委員 全く審議官の答弁には納得できません。それぞれどうしたらよろしいかという話は、それはそのとおりで結構ですよ。しかし、具体的に話を進めていかなければ、実際、当初は六十一年度から実施です。これは法案が廃案になりましたから、それでは間に合わぬのでそういう作業をやったということは、この委員会でも申し述べておるわけですね。きょうは答弁が変わっているのですよ。ですから、とにかく今これだけこの統廃合、問題について非常に全国的にいろんな意見が出てきた。そこで何とか慎重に、スムーズにやりたいということで、ここでとにかく時間つぶしでそういう答弁をしてもらっては困るのですよ。やはりやられたことはやられたということで正々堂々とやりましたと、そう明らかにしなければ、例えばさっきの久留米病院だって、一部は残します、久留米病院の何が残るのですか。地元は不安がありますよ。久留米病院を二つに割って、一つが福岡中央病院と一緒になって、半分が大牟田、筑後病院と一緒になるということじゃないでしょう。そうすれば必ずしも機能の一部ということにならぬ。ですから、どうもそういう一応目先だけの、小手先だけの話をとにかくして、ある程度地元反対運動を鎮静化していこうというような戦術をとられておるというように見る以外にない。だからますます住民が不満を持つし、不安を持つし、反発をするという結果になっておると思うのですよ。ですから、大体久留米病院をどういうように分割されるのですか。
  88. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 現在の久留米病院の状況は、循環器病の診療に特色を持ちました総合病院であろうかと思います。病床規模あるいは周囲の医療機関の状況から見ますと、単独でこれを機能強化するということは極めて困難である。そこで国立久留米病院の循環器機能中心とする機能を近接の国立福岡中央病院に統合いたすことによりまして、この福岡中央病院を九州ブロックを主たる診療圏とする高度な総合的診療を行う施設として、さらには臨床研究あるいは教育研修というものを行えるような高度な総合診療施設として整備をいたそうということで、統合の計画を立てたわけでございます。  また一方、国立療養所の筑後病院国立療養所大牟田病院につきましては、それぞれ神経、筋疾患と結核、慢性呼吸器あるいは肺がん、こういった点に特色を持っている施設でございますけれども、この両施設も近接しておりまして、統合することによりまして、より機能充実を図ることができるということから、これを統合することにいたしたものでございますが、この場合、この専門機能充実を図るために、総合的診療機能を付与するために、近接する国立病院の先ほどの循環器病部門以外の総合的な診療機能を付与することによりまして、この三病院の統合によりまして、広域機能の高い医療施設整備いたそうとしているものでございます。
  89. 河野正

    ○河野(正)委員 それでは、当初福岡中央病院と久留米病院が統合するという話だったけれども、今の話では循環器だけが福岡に行くわけですね。そしてその他の部分は全部大牟田、筑後と一緒になって統合される、こういうことですね。間違いないですね。
  90. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 久留米病院を福岡中央病院、それから一方では筑後地区に統合して、それぞれ機能強化をして強力な病院整備しようということでございますが、ただいま御説明しましたように、それじゃ久留米病院のどういった点をということになりますと、循環器病の機能を福岡中央へ、その他を筑後地区へ、おおよそこういったような見当で統合を考えております。
  91. 河野正

    ○河野(正)委員 今比較的具体的にお答えいただいたわけですけれども、ただ、いろいろ一般的に言われておるのは、とにかく久留米病院の一部が福岡に行って、一部があれだと、中身が定かでないではないか、明確でないではないかというような批判があった。しかし、それは今おっしゃったように、定かになったわけでしょう。ですから、それはそのとおり実行されるわけでしょうがね。  ところが御承知のように、大牟田病院は大牟田病院として今までいろいろ中枢的な機能を発揮してきたといういきさつがあるわけです。でございますから、それらと一体どういうふうに結合されるのか。特に私ども指摘をしておきたいと思いますのは、大牟田の国立病院は結核の指定病院ですね。結核は非常に減りました。減りましたけれども、今の結核は難病ですよ、耐性菌になって結核はなかなか治らぬというようなことで。結核患者が出ましても入れる病院というものは指定されていますから、どこにでも入れるわけにはいかぬ。そういうふうな特殊な使命を持っておるわけですね。ですから、大牟田の保健所長も言っているじゃありませんか。今大牟田の保健所は大牟田の国立病院から専門医を派遣してもらって行政というものが成り立っておる、あっちへ行ってもらったら困るのですと。住民じゃないんですよ、そういう行政までがみんなとにかく今の再編計画についてはいろいろな異論を言っておるわけです。とにかく医師会相談いたしましたとか、どこどこと相談いたしましたとおっしゃるけれども、やはり一番大事なことは、住民代表というのは地方議会じゃないでしょうか。一応地方議会というのは住民を代表しているわけですから。ところがそれらはどっちかというとそでにされている。だから今日反対運動というものが全国で、地方議会の九〇%以上が反対決議をしているという実情でしょう。そういう意味からいえば、国民の意思というものは反対だ、こういうふうに断定しても私は言い過ぎではないと思うのですよ。住民の意思はだれが代表するのか。それは観念的にはやはり地方自治体ですよ、議会ですよ。  ですから、もう時間がございませんから、多くを申し上げることはできませんが、例えばこの福岡中央病院が設立をされた経過は御存じでしょうか。
  92. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今先生のおっしゃっている福岡中央病院が設立した経緯でございますが、ちょっと私そこまでについては知識がございません。
  93. 河野正

    ○河野(正)委員 福岡の中央病院ができるとき、これは県の教育委員会を初めとして、あそこは文化財ですから、お城の中ですから、それで非常に大きな反対があったんですよ。それを強行したんですよ。そして今申し上げましたように、再編計画があったらさっさと今度はよその方に移築をするということでしょう。やはり少なくとも再編計画をなさるんだったら、それをどうするこうするは別としても、そういう市民の反対運動を押し切ってやったという経過があるわけですよ。そういうものも当然頭に入れてとにかく福岡中央病院と久留米の病院との統廃合というものは考えなければならぬ。それを進めておる、推進の中心である審議官が知らぬで、そしてまたぞろこの問題が再燃したら一体どうしますか。
  94. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 設立当時のそういった経緯については残念ながら私もちょっと承知いたしませんでしたけれども、現在の福岡中央病院の敷地が極めて狭隘である、しかも病院施設もかなり老朽化しておりまして、かねてから建てかえといったような要望も施設からなされている状況でございます。しかし、その際、現在地が狭隘でありますし、それから今先生が御指摘になりましたような特別な場所のようでございますから、現在地で建てかえすることはもうできないといったことは私どもも十分認識しております。ですから、今後統合いたしました新病院は、現在地で整備をするというようなことは考えておりません。
  95. 河野正

    ○河野(正)委員 この現在地が狭隘なのは、当時の反対の中でも、狭隘じゃないですか、しかも福岡城ですから文化財ですよ、そういうことで県の教育委員会を初めとして絶対反対だという行政側の判断ですよ。それをあなたの方は強行したのですよ。今さら狭隘でございますから移るのですと言ったって、それは話が合わぬでしょう。  それから、老朽化しておるとおっしゃるけれども、最近だけでも福岡中央病院は十億の金をつぎ込んで整備をやっておるわけです。特に筑後病院は、三潴地区じゃないとおっしゃっておるから、今度どこへ行くかわかりませんけれども、これだって二年前に二十億の金をつぎ込んでおるわけでしょう。これはさっき新潟の村松病院が出てきたが、同じケースですよ。しかも福岡中央病院ができ上がったときの経緯も知らぬ、狭隘でございます。それは最初から狭隘だからだめですよという意見が市民の中で強かったのです。それを押し切ってやったわけでしょう。今さらそれを理由にされたって我々は納得できませんよ。今福岡中央病院がどう考えておるのか、あるいは久留米国立病院がどう考えておるのか、私どもは直接承っておるわけじゃないけれども、そういう歴史的な経過があるのです。ですから、狭隘だというのは理由にならぬでしょう。初めから狭隘ですよ、あんなところにつくったってむだですよ、しかも文化財じゃないですか、そういうことで行政、県が反対をしたといういきさつがある。だから理由にならぬ。  それから、老朽化したとおっしゃるけれども、この十年間に既に整備費として十五億の金がつぎ込まれておる。筑後病院は二十億の金が二年前につぎ込まれておるのです。そういう中でやるのですから、国の方針というのは説得力がないですよ、税金のむだ遣いじゃないですか、そういうことを言われても仕方がないじゃないですかと言って私が指摘しておるゆえんというのはそこにあるわけです。  そして、推進する審議官があの中央病院がどういう経過でできたのかということも知らぬで、今ぬけぬけと、狭隘でございますと。当時から狭隘だからだめですよという市民の声があったわけでしょう。県が反対したわけでしょう。それは理由にならぬでしょう。老朽化しました、それだってもうこの十年間に十五億の金がつぎ込まれておるのです。最近一番大きな工事をやったのは数年前ですよ。ですから、あなた方はとにかくここで適当に時間が来るまでああこう言っておけばよろしいということでしょうけれども、それでは説得力がないですよ。私が言いたいのはそういうことです。  時間がございませんから、これ以上申し上げませんが、もう少し説得力のある答弁をしてくださいよ。その答弁がない限りは了承するわけにはいきません。ですから、あとは留保します。
  96. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 ただいまいろいろ福岡中央病院の経緯についておっしゃられましたけれども、福岡中央病院の現状は、やはりこれを建てかえなければならないという要望もありますし、そういった状況も認められます。それで今回の再編成で新病院を建設する際には、現在地は不適当だから、別個の土地を見つけまして、そこで整備をいたしたいと思うわけでございます。  また、先生専門でよく御承知だと思いますけれども医療施設といいますのは、随時整備を継続していかなければならないということはおわかりいただけると思います。私どもも不十分ながら国立病院整備についてはそれぞれ努力してきたつもりでございます。しかしながら、そういった中で今回の再編成は、やはり統合すべきものは統合する、経営の肩がわりをしていただくものは経営移譲する、それから整備するものは整備するということをはっきりして、そうしてそれぞれの整備を進めてまいるということが効率的でもあり合理的であるというふうに考えているわけでございます。
  97. 河野正

    ○河野(正)委員 もう時間が来て恐縮ですが、今おっしゃったことでとにかく納得がいかない面がもう一つ出てきた。  というのは、将来のことも展望してあの地域ではだめですよと我々は指摘したわけです。けれどもあなたは、今はどんどん医学医術が進歩して先端技術になった、だから狭隘な土地では困るんだと言う。我々はそういうことを見越して、とにかくああいう狭いところにつくったってだめですよ、しかも文化財だから文化財保護委員会反対をする、そういうことを指摘して言ったのです。ですから、私どもも将来のことを展望して言ってきたわけであって、別に将来のことを展望しないで単に反対をしたわけじゃないのですよね。それを何か我々が展望をしないで今さら言っておるような話であるけれども、ひとつそれは取り消してください。
  98. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 決して先生がそういうふうに御理解されているような意味で申し上げたつもりはございません。
  99. 河野正

    ○河野(正)委員 納得いかぬところは留保しておきますので、委員長よろしくお願いします。
  100. 堀内光雄

    堀内委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十六分開議
  101. 堀内光雄

    堀内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  102. 日笠勝之

    日笠委員 私は本来は大蔵委員会でございますけれども、私の地元国立療養所津山病院のことが今回の法案で大きな影響を受けますので、差しかえではございますけれども、若干の時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、国立病院療養所の再編成を促進しようとされる斎藤厚生大臣にお伺いをいたします。  基本的な再編成あり方、特に、いわゆる地域医療の乏しいような地域、過疎地等を含めたこういうところへの医療行政というものは、やはり厚くなくてはいけない、このように思うわけでございますが、基本的な再編成の見解について、まずお伺いをいたします。
  103. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 我が国医療機関が、公立、私立を通じて近年大変発展的に整備充実をされてまいりました。その結果、国立病院療養所が占めるウエートというものが、昭和二十年代でございますと、ベッド数において約三割でございましたのが、現在におきましては、全体の六%を担当する、こういうような状況になってきておるわけでございます。  これからの将来へ向けて日本の医療供給体制あり方を考えますときに、国立医療機関が果たすべき役割国立でなければ担当しにくい分野、こういった分野に国立病院療養所がしっかりと力を発揮していくことが今後必要であろう、こういう観点に立って再編成に取り組んでおるわけでございます。そういう観点に立ちますと、国立病院療養所がこれまで以上に広域対象とした範囲において、高度または専門的な医療において国立医療機関がその使命を果たしていく、こういう必要があろう、こういう観点に立って再編成を進めておるところでございます。
  104. 日笠勝之

    日笠委員 今回の計画によりますと、再編成計画では統合による減が四十カ所、移譲による減が三十四、合わせて七十四カ所というふうになるわけでございます。これについてはどうも数字のごろ合わせが非常によろしゅうございまして、国立病院の統合による減、移譲による減が三十四、移譲による減は国立病院療養所を合わせて三十四、数字がぴったりなんですね。それから国立療養所の統合・移譲の減が四十、国立病院療養所の統合による減が四十、これもぴったり合うわけですね。おまけに国立病院の統合・移譲後の施設数が六十九、国立療養所の統合・移譲後の施設数が九十六と、何か数字がぴったりぴったり合うのですね。そこでごろ合わせじゃないけれども、本当にだれかが現地へ行ってつぶさにその地域医療、また地域住民のニーズ、声、いわゆる交通体系であるとかいうものを見て計画されたものかどうなのか。先日、実は大臣の先輩であります塩川文部大臣のところに予算要望の陳情に参りましたときに、これからの官庁というものは統計資料だけではなくて、いわゆる今度の教育改革についても、君はフランスの小学校のことを見てきなさい、君は中学校、君はイギリスの小学校、君は中学校と、このように文部省もどんどん若手の第一線のお役人を一週間、二週間じゃなくて三カ月、半年単位で送り込んで、いわゆる先進国の教育事情というものをまずお役人ががっちり掌握した上での政策官庁に転換していかなければいけない。私もそのお話を聞いて本当に感激いたしました。そういうことから見ても、今度のこの再編成移譲・統合というもの、具体的にどういう方々が計画を組み、現地へ行ってそういうところまでの調査をした結果なのかどうか、これをまずお聞きしたいと思います。
  105. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 先生指摘のように、机上計画であってはならないと考えております。国立病院療養所を所管いたします保健医療局、また医療政策全体を所管いたします健康政策局、これらを中心にいたしましていろいろ議論をいたしたわけでございますが、同時に国立病院療養所を監督いたしております各地方地方医務局が常に現場を把握をいたしておるわけでありますので、地方医務局、また各施設病院長等々の意見も聴取をし、総合的に判断をさせていただいたということでございます。
  106. 日笠勝之

    日笠委員 例えば厚生大臣地元の三重県でございます。私、岡山県でございますが、三重県は人口百七十七万、我が岡山県は百九十二万、面積はちょっと三重県の方が小そうございまして五千七百平方キロ、岡山県は七千九十平方キロ、岡山県の方が人口、面積も広い。再編成になれば、我が岡山県はどうなるかと申しますと、岡山病院と南岡山病院と二つしか残らなくなってまいります。国立療養所津山病院移譲対象でございます。二つしか残らない。それに比べて厚生大臣のおひざ元の三重県は三つ残るのですね。厚生大臣は前から、いわゆる厚生行政のプロということでございますので、どうもそういう意図的なこともあるんではないか、このように勘ぐらざるを得ない。群馬県でも一カ所、中曽根総理のおひざ元で整理しなければならないのが残っております。こういうようなことを考えますと、そこに統廃合の意図的なものがあるのじゃないか。先ほど申し上げましたように、いわゆる地域医療の現状はどうなのか、ニーズはどうなのか、本当にそういうことを聞いてやっておられるのか、それとも恣意的に数のごろ合わせ、それからこういうように偉い大臣がいらっしゃるところは、人口も少ない面積も小さいのですけれども、それ以上の県よりはなおかつ一つも多く残る、どうもそういう意図的なことも感じるのですが、本音のところはどうなのですか。
  107. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 御指摘でございますが、そのようなことはございませんで、岡山県は今三施設がございますが、そのうち一つ移譲いたしたいと考えております。そして三重県の方は現在六つの施設がございまして、そのうち二つを統合し、一つ移譲したい、こういうことでございますので、まあ数もしくは比率からいいますと、大体同じような状況じゃございませんでしょうか。
  108. 日笠勝之

    日笠委員 残る数を私は言っている。残るのは岡山県が二つ、三重県が三つ、こういうことでございます。意図的なことはない、先輩でもありますから、それ以上は言わないことにしますけれども。  では、今度は具体的な我が津山病院のことについてお伺いをしたいと思うわけでございます。存続の陳情はたびたび厚生省の方にも地元津山市を中心に行かれておることは御承知のとおりだと思うわけでございます。津山圏域と申しますか十五万二千名の署名も集まりまして、ぜひとも存続していただきたい、こういう強い強い要望があることは御承知のとおりであります。国立療養所津山病院移譲対象となった理由でございますね、まずこれについてお願いしたいと思います。
  109. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成の具体的な形態といたしましては、一つ経営を肩がわりしていただく移譲と、それから複数の施設を統合する統合というのがございます。この統合する場合の施設の選定に当たりましては、病床数等から見まして、国立としての機能を果たすことが難しい、さらに近接している二つの施設を統合した方がより機能を高めることができる、こういったような場合に統合を行う。それから施設機能を見ますと、地域の一般的な医療中心にその医療施設役割を果たしている、こういったような場合は、国が直接運営するよりは、他の適当な方が経営する方が適当である、こういったような考え方から、いずれも病床数や診療機能、診療圏、こういったものを総合的に勘案いたしまして、統合あるいは移譲というようなことを選定いたしたわけでございます。  さて、今お話のございました津山病院につきますと、病床規模が二百三十床、また地元の入院患者の方々がたくさん利用しておられるいわゆる地域の一般的な医療中心とした医療機関である、こういったようなことから、こういった医療機関は国が直接運営するよりは、地元の他の適当な方が経営していただく方が適当である、こういったようなことから経営移譲する、こういうふうにいたしたわけでございます。
  110. 日笠勝之

    日笠委員 この津山病院は非常に特徴がございまして、救急医療ということで地域の方々には命の綱といいましょうか命のともしびとも申すべき存在価値があるわけでございます。私、厚生省さんのいろいろな資料を見ますと、今回統廃合をしていく中で、基幹施設として、例えばがんであるとか循環器であるとか難病であるとか防災、国際医療協力、いろいろな項目がございますね。この中に救急医療というのはないのですね。これはどうしてですか。
  111. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 非常に高度な三次救急医療といったようなのは別といたしまして、救急医療というのはいわば地域の一般的な医療というふうに私どもはとらえているわけでございます。
  112. 日笠勝之

    日笠委員 ですから、第三次の救急医療ということで、基幹施設の、防災もあります、国際医療協力もありますが、そこの中に第三次救急ということで項目をつくって津山病院を残す、こういうことは全然考えられないか。この中に救急という一番大切な医療でございますけれども、ないわけですね。防災はありますよ、立川の方でやろうということでしょう。国際医療協力も熊本の方でやろうということでございますが、これは第三次救急ということで、我が岡山県を見渡しまして、百九十二万の人口でございますが、南の岡山とその隣の倉敷市というところでございますが、日赤とそれから川崎医科大学とが第三次救急ということで二カ所ございますが、県北の地域じゃないわけです。おまけに中国縦貫道路がそのそばを走っておるわけです、県北に。この縦貫道路は高速道路でございますから、一朝事あるとき、もし交通事故が起これば、これはいわゆる救急医療とすれば受け入れていかなければいけない、そういう特徴のある地域でもあるわけでございます。そういうことを考えますと、ぜひこの基幹施設の防災、国際医療協力、その次に第三次救急ということではっきりと津山病院と、これは療養所の方でございますけれども、残していただいてもいいのではないか。難病だとかいろいろございますけれども、この点いかがでしょうか、第三次救急ということで。
  113. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 第三次救急を受け持つためには、相当高度な診療機能を持った病院でないとできないわけでございますが、残念ながら津山病院を単独でそういった高度な診療機能を持たせる、整備をするというてとは非常に困難である、やはりこれは地域の一般的な病院として他の適当な方が運営していただいた方がよろしいと判断をいたしたわけでございます。
  114. 日笠勝之

    日笠委員 それはわかるのですよ。だから残して、さらに拡充、充実をしていけばいいのじゃないかと思うのです。というのは、例えば岡山市の場合、日赤だけと申しましたが、岡山大学附属病院にも蘇生科というのが今度新設されまして、救急患者に備える、こうなっているわけですね。そうなってきますと、いよいよ岡山県全体を見渡しますと、地域医療計画ということを見渡しましても、県南の倉敷、岡山というのは、日赤以外にもなおかつ岡山大学医学部附属病院がさらに救急的なものも最新鋭の機器を備えてやる、県北の方はいよいよ、第三次じゃございませんが、先ほどから申し上げておりますように、この津山病院地域のともしびとして非常に存在価値があるわけです。中国縦貫道もある。今この津山病院は月のうち十六日間も救急を受け入れるということで非常に頑張ってくださっているわけであります。市内のほかの救急病院がいっぱいのときでも、国立がいっぱいのときでも、どうしても受入手がないときは、もう持っていらっしゃい、ここまでおっしゃっていただいて、大変に地域の方々の医療面における安心感というものもある。国立だからだと。それをぶった切って、お金がないから移譲の受入手はありませんかと。もう津山市なんか恐らく受入手どころか赤字団体じゃないかと言われるくらい大変厳しい財政状態でございますし、なかなか受入手を探すといったって厳しいと思うのです。ですから、この際、さらに充実、拡充をして、広域のいわゆる救急第三次ということで、中国縦貫道路も走っておる、そういうことで再編成後の機能類型の中に、基幹施設――精神だとか脳血管、難病云々ありますが、この後に第三次救急ということでぜひ入れていただきたい、かように思いますが、これは大臣からどうでしょう。
  115. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今の先生のようなお考えもあろうかと思いますけれども、三次救急は県下全域を見渡して一カ所ないし二カ所というようなことで設置されてきているわけでございまして、岡山県には幸い三次救急を担当していただく医療機関があるわけでございまして、確かに中国縦貫道の交通事故というようなことも考えられますが、津山病院が二次救急としてこれを果たし、そしてその後方である三次救急が県全体を見渡す中で設置されておる、こういう状況でいいのではないかと私は思わせていただきます。でありますので、津山病院がこれまでのような二次救急を担当していただくということになるとすれば、国立医療機関でなくても、他のこれを担当できる公的な医療機関移譲をして、そこで立派にやっていただくということでいいのではないかというふうに思わせていただいております。
  116. 日笠勝之

    日笠委員 ですから、先ほど申し上げましたように、この地図を見て、いろいろな統計を見てやれば、大臣のおっしゃるようなことも、それは答弁としてはわかるのですけれども、では一度津山に来て視察していただきたいですね。先ほど二カ所あるとおっしゃいましたけれども、津山からの国道五十三号線、今非常に渋滞しております。一時間半から二時間かかるのです。今年間百二十人ぐらい第三次救急の方へ回しておりますが、それが一時間半から二時間ぐらいかかるので大変なんです。そういうことから見ても、県北の第三次救急というふうに充実、拡充をして格上げして残す、ひとつぜひお考えいただきたいと思うわけでございます。特に南厚北薄といいまして、どうしても岡山県の南の方が手厚い行政、北の方が過疎地帯もありますので、どうしても薄くなっていく。そういう中にあって国立療養所まで移譲国立という名がなくなってしまう。まさに南厚北薄そのものにますますなっていってしまう。こういう地域住民の切なる願いもあるということでございます。  では、ちょっとほかの観点からお伺いをしたいと思うわけでございますが、岡山市にございます国立岡山病院の移転の話があるというふうに聞いておりますけれども、具体的にどこまで進んでおりますか。
  117. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 国立岡山病院の改築につきましては、施設側から強い要望が出されておりまして、いろいろな内部的検討が行われておりますが、場所とか内容等については、まだ具体的に詰まっている段階ではございません。
  118. 日笠勝之

    日笠委員 ほかの方のちらほら聞こえてくる話もあるのですが、岡山病院国立療養所南岡山病院とを統合する。倉敷-岡山間といいますと、バイパスで三十分もあったら行くような近接都市でございます。そういう話もちらほら耳に聞こえてきますが、この点の計画はどうでしょうか。
  119. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成計画の中にそのような計画はございません。
  120. 日笠勝之

    日笠委員 ですから、将来的に移転をする可能性もある、そのときにあわせて南岡山病院も一緒にしてしまって、スクラップ・アンド・ビルドで、もう少しアウフヘーベンして、もっと大きな立派なものにするという計画は、将来的な話で一切ないということですか。
  121. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 現在私どもはそういうような計画は考えておりません。
  122. 日笠勝之

    日笠委員 そうなってきますと、岡山病院は確かに駐車場も狭い、建物もだんだん古くなってきた、そこで移転をするとなれば、当然今以上の立派な施設になるわけでありましょう。それだけの費用があるならば、何とかして津山病院存続してもらえないか、こういうふうな地元皆さんのお考えもあるようでございます。それだけの費用があるならば、県北の今の病院をそのまま残す。津山病院は六十年度で二億八百万円の赤字が出ておるそうでございます。それはいろいろと大変な財政事情ということはわかるわけですが、一つは赤字があるから行政改革の一環で統廃合する、それからまた病床数が足らないから統廃合する、こういういろいろな理屈があるわけですけれども、それだけのお金があるならば、もう少し県北の方にも、先ほどからたびたび申し上げておりますようないろいろな理屈づけがあるわけでございます。津山病院存続させるというお考えはもう一切ございませんか。
  123. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成は、今先生お話がございましたように、現在の施設をそれぞれ存続させ、充実させていったらどうかという御意見もたくさんあるわけでございます。  ただ、現在のままの形ですべてを整備充実していくということは非常に困難でありますし、効率的でもない。やはり統合すべきものは統合し、経営の肩がわりをすべきものはしていただく、そうして国立病院国立らしい内容の充実したものにしていきたいというようなことでございます。  それで、今お話がございました国立岡山病院は、中国ブロックの高度診療機能を持った総合病院として位置づけておりまして、そういった方向整備を進めるわけでございますが、国立療養所津山病院につきましては、せっかくのお話でございますけれども、これを今後整備し、高度な広域利用を目的とした施設整備していくということは極めて困難である。むしろ地域の一般的な医療対象として、地元の他の方にこれを経営していただいた方が適当である、こういうふうに考えておるわけでございます。
  124. 日笠勝之

    日笠委員 地元のどなたかに経営をしていただければということですが、ではおおむね十年ぐらいの長期計画実施をしていくということでございますが、だれも受け手がない、全然なかったという場合はどうなるのでしょうか。
  125. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 移譲というケースにつきましては、相手がなければ実現をしないわけでございます。  私どもとしましては、先ほどから申し上げておりますように、国立施設の再編成という趣旨を御理解いただき、何とかして津山病院を引き取っていただく方を最善の努力で見つけることをいたしたいとは思いますが、見つかるまでは国立施設として経営を続けてまいることにいたしております。
  126. 日笠勝之

    日笠委員 本当に今厚生省さんが国家権力を使ってやろうと思えばできないことはないのですね。兵糧攻めという手があるわけです。お医者さんが例えば定年でやめた。もう医者はいませんから派遣しません。定員の問題がありますなどと言う。看護婦さんがやめた。もうこれも採用しません。建物も改築してもらいたい。いや、もうこれはこのままでいいのです。新しい医療機器を買ってもらいたい。いや、そういうこともできません。これは兵糧攻めでやろうと思えばできますね。そういうことは一切しないで、もし存続している限りは、今までどおりのいわゆる予算の基準、それにのっとってやる。例えば今津山の病院は四科ございますが、四科の医者が欠けても、存続している間は、国立としてお医者さんが退職だとかなんとかでやめられた後でも必ず補充して、四つある科はそのまま存続する。ベッド数があれば、当然基準看護か何かで看護婦さんの数も決まるわけですが、それもやめられた後は必ず補充する。存続している限りですよ、国立の名前で。こういうふうにされるのですか。それともまた兵糧攻めでもやろうということですか。
  127. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 国立施設として運営をしていく以上は、必要な措置は引き続き講じてまいるつもりであります。
  128. 日笠勝之

    日笠委員 最後に、こういうふうな再編成をやっていくわけでございますが、七十四カ所という国立療養所病院がおおむね十年ぐらいでなくなっていくということでございます。昭和二十七年でございましたか、一応計画は立てられましたけれども、結局は六分の一しかできなかったのでしょう。今回も、賛成という地域も若干あるかのように聞いておりますけれども、ほとんどの地域は恐らく以下倣えで、津山病院と同じような反対陳情に行っていると思います。二千九百九十幾らですか、約三千近い自治体からも残してくれ、四百万人からの反対の署名も届いていると思いますね。これは相当強力な反対もあるわけでございます。  そうなってきますと、どこか一抜けたでうまいこと理屈をつけて残るという可能性もあるわけですが、今回だけは、この七十四カ所については、厚生大臣、十年間で必ずやっていく、そういうふうなお考えでしょうか、努力目標なんでしょうか、それともできればやってみたいというくらいの考えなんでしょうか。どの程度の御決意なんですか、この七十四カ所統廃合するということは。
  129. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成の趣旨から考えまして、現在計画しております再編成は、ぜひとも実現、完成をいたしたいと考えております。しかしながら、その道のりの中では、常に地元関係の皆様方の十分な御理解を得ながらやっていくということも、もう一つの大きな前提でもございますので、粘り強い努力を積み重ねて、そして実現をするようにいたしたいというふうに思っております。
  130. 日笠勝之

    日笠委員 では、いよいよ最後の質問でございますが、厚生省側が粘り強くやっていく、地域住民は粘り強くそれに対抗していく、こういうような売上税みたいな構図になってくるわけでございますが、私も一つ考えますことは、例えば移譲のところ、統廃合のところを全国から何カ所か厚生省さんがモデル的に特に力を入れてやってみる。そこにまたいろいろな所要の助成というのは、赤字の二分の一見るとか割引で譲渡するとかいろいろありますけれども、そのほかにもいろいろな厚生省本省として手当てができると思うのですね。予算の範囲、新たな予算をとる、いろいろな方法がありますが、モデル地域で、例えばどこそこの療養所移譲したけれども国立療養所だった以上にものすごくよくなった、スクラップ・アンド・ビルドで二つを一つにした、かえってものすごく地域住民の信頼を得た、こういうモデル的なものを全国何カ所かつくりながら七十四カ所、十年計画でやっていくのか、そういうふうなお考え、構想はあるのかどうか。全く並行で、別にそんなモデル地域もつくらず、もう横一線でやっていくのだ、こういうお考えなのか、これは最後にちょっとお聞きしたいと思います。
  131. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 例えば具体的に御指摘のございました津山病院の場合をとってみましても、現在多くの地域の方々の反対の御意見があるということは承知をいたしておるわけでございますが、この再編成の総論的な趣旨については御理解をいただきながらも、地域の実情を見ると反対である。またその津山病院移譲されるときに、どのような引受手の移譲機関が来るのか、またどのように変貌していくのか、こういうことについて非常に不安であるということが大きな反対の要素になっておるのだろうというふうに思うわけでございます。移譲先の候補が決まってまいりまして、そしてそれを地域の皆様方が見ていただいて、その医療機関ならば信頼できる、またこれならば今後、将来の津山の地域医療確保していくのに十分だという認識をお持ちいただくというようなことがあれば、これは移譲が進むということになると思うわけでございますので、そういうような観点移譲先等を選定をし、そして地元の皆様方とそういうような意味で十分話し合い、御理解をいただいていくという不断の努力が必要であると考えております。  そして、今先生の御提言のように、幾つかのモデルをつくって、そしてあのモデルのところではこんなにうまくいったじゃないか、前の国立病院よりもよかったよ、こう言っていただけるようなことが出てくるとすれば、これを見ていただいて、我々の、自分の地域もよくなるかもしれない、こういうようなことにもなろうと思いますので、先生の御提言は高く評価をさせていただき、そういったモデルもひとつ進めてみたいというふうに思う次第でございます。
  132. 日笠勝之

    日笠委員 もう一遍お願いだけしておきます。  粘り強くやっていただきたいということ、それからもし引受手がない場合は兵糧攻めにしないということ、この二点を最後にお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。
  133. 堀内光雄

    堀内委員長 沼川洋一君。
  134. 沼川洋一

    ○沼川委員 ただいま審議されております国立病院療養所の再編成についての法案でございますけれども、中身を見ますと、これは非常に簡単な法案だと私は思うわけです。というのは、一つは、現在の国立病院役割分担を明確にする、要するに、高度、専門医療という点で役割を明確にし、いわば医療の先駆的な役割を果たせるように機能整備する、そういう問題が一つでございます。もう一つは、その統廃合によって生ずる後医療という問題で、民間あるいは地域公的医療機関移譲または譲渡する、言ってみれば、それだけの法案なんですが、実際これを本当に実行に移すという段階から考えていきますと、この二つのことを同時にやるということは極めて難しい、私はこの法案を見ながら率直にこのように感じるわけでございます。  御存じのように、確かに今の国立は問題がございます。これを充実強化していくためには、この委員会でも審議の中でいろいろと出てまいりましたけれども、今の国の財政状況から見て、これは確かに多額の国費を要します。また要員の投入を考えても非常に困難な問題がございます。そういう中でやっていかなければならぬ。そういうことから、実はきのう参考人の方もおっしゃっておりましたけれども、スクラップ・アンド・ビルド、どうしても地域を統合させて、そこから要員にしても財源等にしても投入させたい、そういうことですが、心配しますのが、地域医療から国が撤退するということです、わかりやすく言いますと。しかし、地域医療から国が撤退するといっても、後の医療がきちっとした体系を整えるということについては、あくまでも国の責任でございますので、ただ国立統廃合という名のもとに、その辺がおろそかになってはいけないという、どちらとも問題を抱えております。  そういう観点から、的を二つに絞りまして、それぞれの問題点を何点か御質問いたしたい、このように思います。  そこで、まず大臣にお尋ねをしたいわけでございますが、今回の再編成に当たりまして、全国的に反対が非常に強い、これはよく御存じのとおりでございます。きのうも参考人の方がいろいろ申されておりましたが、三十九の県議会が反対をしている、二千九百九十八の市町村議会が反対をしている、言ってみれば、約九割の地域反対がある、こういう法案でもございます。  こういう中で、厚生省があえて再編成を進めていこうと苦労されておるわけでございますけれども、この反対の声について、大臣は一体どうお考えになっておりますか。率直な考えを聞かせていただきたいと思います。
  135. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成の趣旨につきましては、もう何回か申し上げさせていただいておりますので、重複を避けさせていただきまするけれども、その趣旨について、総論としては多くの皆様方に御理解をいただけておるものというふうに思うわけでございます。しかしながら、各論として具体的事例になりますると、それぞれの地域の実情、また例えば統合ならば統合した姿がどのようになるのか、移譲したならば移譲した後の姿がどのようになるのかということについて、必ずしも具体的にそれぞれ今明確にはなってないわけでございまして、そういうことからくる御心配というものが非常に多いであろう。  もう一つは、国立医療機関が不必要となった場合に、後医療をどのような形で確保できるのかという御不安もあろうか、こういうようなことが現時点におけるそれぞれの地域における反対という御意見につながっておると思うわけでございまするので、そういった点について、それぞれの箇所箇所について、先ほどから申し上げますように、粘り強く地域の皆様方に語りかけ、御理解をいただく、そのことによって、今まで反対であったけれどもわかったというふうにだんだんになっていただけるものと確信いたしておりまするので、そのような態度で対応いたしてまいりたいと考えております。
  136. 沼川洋一

    ○沼川委員 この反対意見の中には、国立病院がすぐ近くにあった、それがなくなると困る、こういった利便性からくる反対のものもございますけれども、やはり国立病院に対する信頼感、国立病院地域医療に果たしている役割が非常に大きかった、こういうことにあるのじゃないかと私は思うわけでございます。  今回のこの再編成は、特に地域住民にとりましては、何でこの際統廃合するのか、いろんな方とお話ししても、非常に率直な疑問がはね返ってまいります。また同時に、今大臣もちょっとおっしゃいましたけれども、非常に不安がございます。余りにも唐突な感じで受けとめていらっしゃる方も非常に多うございます。したがいまして、国の医療に対する考え方に一種の疑惑を持っていらっしゃるんじゃないか、そういうことをいろんな方とお話をして非常に感ずるわけでございます。  改めて、またお尋ねしますけれども、なぜ今再編成を行わなければならないのか、その理由を明確にお答えいただきたいと思います。
  137. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 まず最初に、先生指摘住民の不安という点については、なお我々として努力が足りない部分がたくさんあると思いますので、一層努力を積み重ねてまいりたいと思います。  それで、今回のこの再編成をなぜ今やらなければいけないのかという点につきましては、これから日本も非常に速いスピードで高齢化が進んで、そして本格化する長寿社会を迎えようといたしておるわけであります。そういう長寿社会にありましては、国民の皆様方すべてが健康で幸せな生活を送っていきたい、そのためには医療機関というものが適正に配置され、高度なものから一般医療まで、そういった医療供給体制が整っていくことが非常に大事なことであると考えております。  そういう今後の医療供給サービス体制の中で国立医療機関が果たすべき、分担する分野というのはどこであるかということを考えてまいったわけであります。そういうことを考えますると、これまで以上に広域的な地域対象とし、高度または専門的な医療を担当していく、同時にまた、他の医療機関でできない診療、臨床研究、研修といったような方面にも責任を果たしていく、こういうことが必要であろう、そういった観点に立って今回の再編成を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
  138. 沼川洋一

    ○沼川委員 今大臣がいろいろとお述べになった理由、これは私なりに理解はできるわけでございますが、ただ、こういう問題が出てくる背景をずっと突きとめていきますと、それはそれなりの理由があると思います。しかし、本当の理由というのは、結局、国の定員事情とか財政事情が厳しい、だからどうしてもやらざるを得ない、これが実情じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  139. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 これは何遍も申し上げておりますように、財政事情とか赤字であるからという観点からでは決してございませんで、国立医療機関にふさわしい良質な医療を提供していくということを考えるときに、限られた国立医療供給体制の中で行っていくとすれば、このような再編成を行っていく以外にないという考えに立っておるものでございます。
  140. 沼川洋一

    ○沼川委員 あえてお尋ねしますけれども、先ほどスクラップ・アンド・ビルド、こういうお話を申し上げました。結局、では地方統廃合が進まない限りは機能充実しないわけですから、その辺にこれは非常に大きな期待がかかっていることは事実ですね、今の財政的にも。
  141. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 ただいま大臣から説明がありましたように、財政的な事情あるいは赤字があるから再編成を行う、こういったことではない。新しい国立医療機関役割を明確にして整備をしていくという考えに立ったものだということでございますが、ただ、再編成を進めていくに当たりましては、やはり統合すべきものは統合して、集約されたスタッフの要員あるいは移譲されました結果浮いた定員、こういったものが整備すべき医療機関に充当される、こういうことは再編成を通じて当然期待をし、より国立らしい医療機関整備のためにはこういったことをやらざるを得ないというようなことは事実でございます。
  142. 沼川洋一

    ○沼川委員 現在の国立病院の現状を見ましたときに、大部分の病院が医師不足なのですね。看護婦が不足しております。中には医師が四、五人しかいないような病院もございます。一般の医療法人にあっても医師は三人は必要とされている中で、確かに国立病院の現状というのは、見る限りお寒い限りだ、こう言えるのじゃなかろうかと思います。だからといって、地域で信頼されている国立病院まで犠牲にして、高度先駆的な医療国立が担っていかなければならないという必然性があるのか、この辺について重ねてお伺いしたいと思います。
  143. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 これからの新しい社会情勢に対応いたしましての我が国医療供給体制を考えましたときに、国立医療機関というものは、他の医療機関と同じものをやっていくというのではなくて、これからの医療供給体制の中で国は一体どういう役割を果たしていくのかということを明確にし、そういった国の役割に沿った整備充実を図っていく必要があろうかという考え方に立っておるわけでございます。  ただいま御指摘ございましたように、我々も現在の国立施設、与えられた条件のもとでは精いっぱいの努力をしているつもりではございます。それでまた地域医療に対して貢献をいたしているつもりではございますが、御指摘にございましたように、なかなかその現状というものは不十分と申しますか、問題の多い状態でございます。これらをすべて整備充実をしていくということは非常に困難である。むしろ今回の再編成を通じて、重点的な、国としてやるにふさわしい医療施設として整備をやっていく、そういうことが適当な方法であろうかというふうに考えておるわけでございます。
  144. 沼川洋一

    ○沼川委員 国として一体何をやるべきか、それにふさわしいものは何か、そういう答えの中で、国は高度、専門医療、いわば政策医療、こういうものに取り組むんだ、また臨床研究とか教育研修を行う、そういうものに明確に役割分担を定めて、そのかわり地域の一般医療は他の公的医療機関にゆだねる、そうおっしゃるわけですが、それならばお尋ねしたいのですが、既に地域において高度な医療を行っている自治体病院あるいは大学病院、さらには私的医療機関役割との関係は一体どうなるわけですか。そういうものは地域に既にあるわけですよ。その辺との関係というのは、どのようにお考えですか。
  145. 竹中浩治

    竹中政府委員 今の御質問でございますが、それぞれの地域によりまして状況が非常に異なってくるかと思いますけれども、一般的と申しますか、基本的な私どもの考え方でございますが、まず自由開業制のもとでございますので、民間病院が一般的に中心的な役割を担っていただく、その一方で、例えば公立病院あるいは公的病院、こういう性格の病院につきましては、当該地域医療供給体制の中で、例えば僻地医療といったような採算性などの面で民間病院が進出することが困難な分野、そういうものを公立病院、公的病院実施をする。大学病院はもちろん医学生等に対する教育、医学研究に携わっているわけでございます。そういった既存のいろいろな病院がある中で、国立病院としては、地域における一般的な医療の提供は、基本的には今申し上げましたようなことで民間病院あるいは公立病院にゆだねる、そしてより広域的な、広域対象といたします高度、専門医療あるいはらい、難病等の政策医療を主として担うというのが国立病院の性格でございます。したがいまして、今お話しのように、それぞれの地域の実情を踏まえながら、国としての役割分担を果たしていくということであろうかと思います。
  146. 沼川洋一

    ○沼川委員 役割分担とおっしゃいますけれども国民医療確保という観点に立って考えますときに、単に国立病院についてのみ役割分担の明確化を図るというのでは片手落ちじゃないか、このように私は思うわけです。いわば、今回のこの統廃合計画を見ますと、国病、国療で現在二百三十九ある施設が統合による減が四十、移譲による減が三十四、計七十四、結局統廃合後は百六十五になる。いってみれば、これは大がかりな国立病院の再編成を行っていく、このようなことであれば、公私医療機関を含めて、そういうものも含めて総合的なビジョンに立った改革が必要じゃないか。国立役割分担、そこだけにこだわらないで、これはもっと総合的な医療ビジョンの中で考えるべき問題じゃないか、このように私は思うわけですが、いかがでしょうか。     〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席
  147. 竹中浩治

    竹中政府委員 国民医療ニーズに適切に対応してまいりますためには、公的な機関あるいは民間の医療機関、そういったものを含めました医療施設相互間の連携を密にいたしまして、それぞれの医療施設が果たしている機能が十分発揮されるよう地域医療のシステム化を図ることが必要でございます。そういう観点に立ちまして、現在各都道府県において地域の実情に即して地域医療計画の作成あるいは推進が図られておるところでございます。  その場合に、先ほど申し上げましたように、民間病院、これが中心的な役割を担ってもらう、国立公的医療機関は民間病院が果たせないような分野をやる、国立病院はさらに都道府県を越えた広域医療需要に対応していく、こういう基本的な考え方のもとに都道府県が総合的に地域医療計画を作成、推進するということでございますので、全体としてはそういうバランスのとれた医療供給システムをつくり上げていくということを考えておるわけでございます。
  148. 沼川洋一

    ○沼川委員 今おっしゃった考え方についてわからぬわけでもないわけですが、例えば今地域医療計画との問題をいろいろとお述べになりました。これは午前中ここにいらっしゃる永井委員指摘なさっておりましたけれども、確かに地域医療計画との調整を無視しては成り立たない、当然そういう問題も考慮の上進めていくという答弁が何回もここであっております。  けさも指摘があっておりましたように、新潟の保健医療圏の中で、いわばベッド不足地域からベッドが余っているところに統合がなされる。今厚生省はガイドラインをつくって、医療法が国会で成立以来、このベッド規制というのがそれぞれの医療圏において厳しく行われておるわけです。これは地方においてそういう問題は大問題ですよ。あるところはそういう例外を認めるんだったら地域医療計画は成り立ちません。そういうものを総合的に考えていくという答弁はされますけれども、一方では、統廃合の中でいわばベッドが不足するようなところから平気で国立病院が消えていく。非常に目的がはっきりして、広域の高度先進医療に取り組むとかいろいろおっしゃる割には、だんだんそういう問題を拾い上げていきますと、これは例えが悪うございますけれども、赤字ローカル線の廃止と同じじゃないか。そうなると、これはもはや切り捨てとしか表現しようがないわけですよ。ですから、午前中の御指摘を聞きながら、私も非常におかしいな、そういう思いで実は聞いておったわけでございます。したがいまして、厚生省が再編成実施するに当たって、この点についてだれが聞いたって十分納得できる、整合性を実証するようなものでなければならないと私は思うわけです。  きのうの参考人の方もおっしゃっておりました。実はもう地域において相当圧力がございます。厚生省が圧力をかけております。ここでお聞きになったかと思いますが、きのう参考人からそういう御意見もございました。こういう点について私はもっと明確な御答弁をいただきたいと思います。
  149. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成の考え方といいますのは、国立病院というのは相当広範囲をカバーするような高度なあるいは専門的な医療施設整備していきたい。ただ、今医療計画との関係で、確かに病床不足地域からまたさらに移っていく、こういった事態も起こるではないか。確かにそういったことも今回の計画の中のケースにはございます。ただ、そういった場合に、ベッドの規模といいますか量そのものは、やはり不足のベッドをどうやって整備していくか、まただれがどうやって整備していくかということは、我々も一緒になって考えていかなければならぬことだと思います。つまり現在地域医療に参画をしている国立病院が統合で場所を動く、そういった場合に、さらに不足するベッドをどうするか。あるいは後の医療が不安な場合に、後の医療をどう確保していくかということにつきましては、十分私どもも配慮していかなければいかぬ。実際の作業を進めていく場合に、地元意見をよく聞いて事を進めていかなければならないというふうに考えでおるわけでございます。  そこで、当然各都道府県策定いたします地域医療計画との整合性というものは保たれなければならないわけでございます。十分連絡の上、調整を図っていかなければならないわけでございますが、圧力というのは大変残念でございます。国立病院設置者、これは何も国立病院に限ったことではなくて、医療施設設置者と十分調整の上、計画策定すべきものとなっております。私どもも十分意見をすり合わせて事を進めてまいりたいと考えております。
  150. 沼川洋一

    ○沼川委員 先に進めたいと思いますが、今回の再編成一つの問題点として、採算性の点はもちろんのことでございますけれども、医師の確保もままならない離島あるいは僻地の国立病院移譲対象にしている、こういう問題がございます。     〔丹羽(雄)委員長代理退席、長野委員長代理着席〕 これらについて現実に本当に引受手があることを想定して考えられたのかなという思いなんです、それを見る限り。あるいは厚生省がおっしゃる役割分担の哲学からして、地域の一般的医療しか行っていないということで割り切ってこういう計画を出されたのか、この辺いかがでしょうか。
  151. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 特に離島のようなケースの場合、私どもは具体的に引受手というものを想定してこの計画策定したわけではございません。先ほどから御説明いたしております役割分担、国立の果たすべき役割という観点から、これは国立よりは他の方に運営していただくことが適当であるという基本的な考え方に立って計画策定しております。個々のケースについて具体的な受け手を想定して立てたものではございません。
  152. 沼川洋一

    ○沼川委員 ですから、その辺に問題があるわけですね。一方では国立役割を明確にして、国立はこれから他の民間の病院あるいは公的病院が担わないような高度先進医療をやるのだ、その方向づけはさっさとやっている。この辺は非常に明確なんですが、それによって生ずる地域のいわば医療の低下といいますか住民の不安といいますか、そういう問題に真剣にこたえていこうという姿勢のないところに、こんな何かあやふやな、できもしないようなことがただ並んでいる。両方読みますと、何かいかにもできるようだけれども、実際に当てはめて実行という面でそれを詰めてまいりますと、これは甚だ心もとない。  そういう点で今申し上げたわけでございますけれども、現実を直視した場合に、このままでは実行を期しがたい。これは単なるデスクプランといいますか、そういうのに終わってしまいはしないのかという心配がございます。少なくとも引受手が安心して経営していくことができるような十分な配慮が私は必要ではないかと思います。また引受手が見つからない場合には、地域医療に支障を来さないように国が責任を持ってやっていくという、そういう面で非常に不安があるわけですから、この点を明確にしていただきたいと思います。
  153. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 御意見をいただいておりますように、離島、僻地というのは医療確保そのものが大変困難な地域でございます。そういったところでの国立病院移譲といった問題はなかなか難しい問題であるということは、私どもも承知しているわけでございます。移譲に当たりましては、その後の経営主体ができるだけ経済的負担が軽減されますように、資産を譲渡いたす場合には割引率をかさ上げするとか、あるいは移譲後の経営が軌道に乗りますまで運営費の助成措置を講ずるとかといったようなことも本法案に特別措置としてお願いをしておるわけでございます。  実際に計画実施の場合にはいろいろ地元自治体協議してまいると申し上げておりますけれども、特にこういった地域につきましては、十分こういった事情も勘案し、地元自治体あるいは関係者との十分な話し合いをし、引受手の確保につきましては最善の努力をしてまいりたい。もちろんそれまでは国立医療機関として運営を続けてまいることにいたしております。
  154. 沼川洋一

    ○沼川委員 これは結局のところ、やはり離島とか僻地のいわば一般に過疎医療、こう呼ばれておりますところの地域の対策が不十分であるということが言えるのじゃないかと思います。ですから、なかなか引受手がございません。今も申し上げましたように、大体もともと僻地のそういう医療という問題は、一般医療でさえ非常に厳しいわけですから、まして移譲とか譲渡の対象にするのだったら、少なくとも国が予算なりあるいは人員なりいろいろな面でもっとバックアップして、もっと充実したものにして引き受けられるような状況にして、初めて地域に引受手を探すといいますか、そういう譲渡の問題を出す、そういう配慮がなければならぬと思うのですね。いきなり今のまま引き受けるということ自体が、これは審議官聞いておってくださいよ。今のままで引き受けろと言ったって、これは恐らく一〇〇%難しいわけですから、今かさ上げとかいろいろなことをおっしゃいましたけれども。過疎医療地域に対して特段の配慮、本当に引受手が出てくるような、そういう条件整備、国がある程度やって後、移譲という話が出てくれば、幾らか私も納得いきますけれども、今のままでは引受手は恐らくないと思います。ですから、そういう過疎地域に対して、そういう配慮というのを今後考えられるのかどうか、この辺お聞かせください。
  155. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 実際にこういった地域で引き受けていただきます場合には、できるだけ引き受けやすく、できるだけ利用しやすくする、そういったような意味で、現在の国立施設の内容につきましても、できるだけの努力をやっていくことを考えてみたいというふうに思っております。今御指摘がございましたように、こういった地域移譲というものに対しましては、いろいろな工夫を凝らしまして、引き受けやすい配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
  156. 沼川洋一

    ○沼川委員 これはもう病院の場合、もちろん採算性ということも考えなければならぬ。経済性もわかるわけですが、国立病院の本来の趣旨というのは、やはり公共性が高いわけですから、赤字が出てくるのが当然じゃないか、そういう論もございます。そういう考え方は私もなるほどと思うのです。ですから、ましてこういういわば僻地とか離島に対しては、国が国立として、その辺の地域医療に対して責任を持つ。そこら辺まで撤退するという考え方はちょっとおかしいのじゃないかと思いますが、この辺いかがですか。
  157. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 先ほどから僻地とか離島における医療について先生から御指摘でございますが、先生の御指摘もごもっともであるというふうに思います。まさに引き受けられるような体制を整えて引き受けていただくことを考えるということは、もう当然のことでありまして、ただいま御審議をいただいております特別措置も、その大きな役割を果たしていくものと思うわけでありまするし、また僻地、離島等の医療確保していくということは、これはもう全体に向けて大変重要なことであり、厚生省としても積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。地域、僻地中核病院整備とか、またマンパワーの確保のための研修事業とか、また医師等の確保のいろいろなあっせんとかいうようなあらゆる角度から僻地、離島の医療確保するために、今後とも全力を挙げてまいりたいというふうに思います。
  158. 沼川洋一

    ○沼川委員 時間が余りございませんので、先に進みたいと思います。  次に、再編計画の目玉としてナショナルセンターこそ国立にふさわしいものであると厚生省では考えていらっしゃるようでございますが、ナショナルセンターとしてどのようなものを国立として運営していくということとされておるのか、お伺いしたいと思います。
  159. 仲村英一

    仲村政府委員 再編後の機能類型といたしまして、私どもナショナルセンター、基幹施設、高度総合診療施設、総合診療施設専門医療施設ということで位置づけておるわけでございます。  今お尋ねのナショナルセンターでございますが、これは目玉と申しますか、全国中心機関となるような機能を付与してまいりたいということでございまして、既に御承知のことと存じますけれども国立がんセンター、それから国立循環器病センター、さらに六十一年の十月からは国立精神・神経センターを設置いたしておるところでございまして、来年度予算におきましては、母性・小児医療に関しますナショナルセンター、さらには国際協力関係につきましての国際医療協力センターと申しますか、そのようなことを現在のところ考えております。
  160. 沼川洋一

    ○沼川委員 再編成計画では高度、専門医療を行う分野として腎不全を掲げてあるわけですが、腎不全患者のうち腎移植を希望している患者が大変大勢いらっしゃる、このように聞いております。国立病院を含めて、国は腎移植にどのように取り組んでこられたのか。さらに、実はさきの国会で腎不全に関するナショナルセンターの設立を要望する趣旨の請願が採択されておるわけでございまして、私も紹介議員の一人になっております。この腎不全対策の一層の強化を図っていくという上において、これについてどうお考えになっているか、あわせてお聞かせいただきたいと思います。     〔長野委員長代理退席委員長着席
  161. 仲村英一

    仲村政府委員 腎不全対策でございますけれども、かつては公費負担もなく、透析を行います機械の普及も十分でなかった時代があったわけでございますけれども厚生省といたしましても、そういう事態が来ないようにということで、昭和四十七年度から人工腎臓装置の整備、補助金をもって整備をする等、あるいは専門技術者の養成、研修あるいは医療費の公費負担というふうな政策実施してきてまいっております。人工腎臓の透析患者さんがどんどん累積をしてきておるという実態もございます。  そこで、私どもといたしましては、唯一の根治療法といたしましては、腎臓移植ということを考えなくてはいけない。外国でも既に多数行われておるわけでございますので、死体腎の移植についてさらに普及を図るということで、昭和五十二年から腎臓提供者の登録制度、いわゆる腎臓バンクでございますが、そういうものをつくっていただくようにお願いすると同時に、必要な情報のネットワーク化を図るために、国立佐倉病院を腎臓移植センターの中核的施設といたしまして整備したほか、ただいま全国で十四カ所ですが、地方腎移植センター、このうちに国立病院が三つございますけれども整備しております。さらに六十一年の六月からは腎不全対策推進会議というものを設置いたしまして、今後の腎移植の推進策でございますとか、腎臓疾患そのものの予防対策等腎不全対策のあり方検討をいただいておるところでございます。また昨年、六十一年の十月から初めての試みといたしまして、腎移植推進月間というのを設けまして、全国大会を持ちましたり、全国各地でいろいろなキャンペーン等を行っていただくというようなことで、腎移植に関します理解と協力を呼びかけておるところでございます。六十二年の七月現在で腎提供登録者、いわゆるドナーは約十六万人ということで、非常に国民の皆様方の理解も深まってまいっておるところでございます。  そういうところでございますけれども、私どもといたしましては、さらに外国、特にアメリカなどに比べますと、死体腎移植の普及がおくれておりますことも考え合わせまして、さらにこの腎不全対策に力を入れてまいりたいと思うわけでございまして、その一環といたしまして、先ほど申し上げましたような国立の佐倉病院あるいは国立医療センター等におきまして診療、臨床研究、研修等の各機能をさらに整備していきたいということで考えておるところでございます。  お尋ねの腎不全に関するナショナルセンターについての請願の採択については承知しておるところでございますが、今後そういうふうな現在までの施策との関連におきまして、ナショナルセンター化については、将来の方向として検討すべきではないかと考えておるところでございます。
  162. 沼川洋一

    ○沼川委員 実はきのう厚生省が痴呆性老人対策推進本部の報告書を発表されたわけでございます。きょうの新聞を見ましても、「〝恍惚の人〟三十年後は百八十五万人」、こう大きく報道されておるわけですが、六十年の時点で五十九万三千人という数が十五年後は約二倍、三十年後は百八十五万人に達する、こういう報告がなされておるわけでございます。国自体がこの痴呆性老人に関する総合対策を発表されたということは初めてのことであり、非常に注目されておるわけでございますが、今後この対策をどのように進めていかれるおつもりなのか、お聞かせいただきたいと思います。
  163. 仲村英一

    仲村政府委員 ただいまおっしゃいました数字のように、高齢者ほど痴呆の発生する率が高いという学者の推計もあるわけでございますし、日本全体が急速な高齢化に向かっておるということから考えまして、私どもといたしましても、痴呆性老人対策は非常に重要なことではないかということで、昨年の八月に痴呆性老人対策推進本部を省内に設けて種々検討を進めてまいりまして、昨日御指摘のように報告を取りまとめて発表させていただいております。  この中で、要点だけ申し上げますと、痴呆に関しましては、発生メカニズム、原因その他究明を急ぐべき問題がまだたくさんあるわけでございまして、特に著しい精神症状を呈する方あるいは問題行動などで周囲に迷惑をかける方等いろいろあるわけでございます。そういう方たちの随伴症状の解消に努めるというふうなことも重要な柱でございますし、実際問題といたしましては、そういう方が発生した家族は非常に介護に御苦労なさるわけでございますので、その介護の心構え等がわからないというふうなことがあって、かえって患者さんの症状が悪化するというふうなこともございますので、そのような取り扱い方等のノーハウと申しますか、そういうものをさらに広めていくということも非常に重要なことだと考えております。  それから、痴呆性老人を受け入れていただきます施設の側の問題でございます。もちろん適切な施設とマンパワーが必要なわけでございますけれども、必ずしも確保されておらない部分もあるということから、そういう面についての対応を考えるべきではないか。あるいはそのような問題の所在に関して、精神保健あるいは老人保健、老人福祉など幅の広い分野にこの対策はわたるわけでございますけれども、その相互の連携が必ずしも十分でないという点も考え合わせまして、国なり地方公共団体を通じまして、総合的な取り組み体制の確立を図るというふうなことを重点的な内容として今後も取り組んでまいりたいと考えております。
  164. 沼川洋一

    ○沼川委員 そこで、国立病院役割ですけれども、今申し上げた痴呆性老人対策について国立はどういう役割を担っていくわけでございますか。
  165. 仲村英一

    仲村政府委員 国立病院療養所は、先ほどから御説明申し上げておりますように、シェアとしては六%という病床でございますので、すべてのアクティビティーをカバーするわけになかなかいかないわけでございますけれども、この痴呆性老人対策のようなものにつきましては、できれば先駆的と申しますか、他の機関よりより中心的な役割を果たすべきではないかということがございますけれども、実際問題といたしましては、昭和六十二年度から全国二カ所の国立の精神療養所を選定して、痴呆性老人のうち、特に徘徊とか興奮状態とかという異常行動をお持ちの方、あるいは妄想とか幻覚、不眠等の精神症状を有する方等に対する専門医療を行うとともに、痴呆性老人の治療でございますとか看護に関します技術あるいはケアのシステムの開発というふうなこと、さらにはマンパワーの研修というようなことをモデル的に実施いたしたいと考えております。  痴呆性老人対策についてはそのようなことで、国立療養所役割といたしましては、ただいま申し上げましたようなモデル医療実施でございますとか臨床研究の実施でございますとか医師、保健婦等専門従事者の研修、このような活動を続けてまいりたいと考えております。
  166. 沼川洋一

    ○沼川委員 今おっしゃったモデル的実施を行う国立病院としてはどこを考えていらっしゃいますか。
  167. 仲村英一

    仲村政府委員 六十二年度から運営いたします施設は、熊本の菊池病院を想定しておりまして、もう一カ所は、先ほど申し上げました機能を十分担える条件ということで、今選定を急いでおるところでございます。
  168. 沼川洋一

    ○沼川委員 広大な敷地を持っている国立病院については、小規模なモデル的実施などにとどまらないで、敷地を十二分に活用して、痴呆性老人専門施設をつくっていくぐらいの雄大な構想を持ったらどうかと私は思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  169. 仲村英一

    仲村政府委員 おっしゃいますように、かなり十二分の土地を持っておる療養所もあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、現在、先ほど申し上げましたような二カ所の療養所についてモデル的な運営を図ってまいりたいと思っております。  御承知のように、痴呆性老人の処遇をする場所といたしましては、そういう精神病院のほかに老人病院でございますとか一般の病院あるいは新しい形の老人保健施設でございますとか特別養護老人ホームとかいろいろの施設が活用されるべきだというふうにも考えておりますので、療養所につきましては、先ほど申し上げましたような専門医療でございますとか臨床研究、研修などモデル実施を行うようにいたしたいと考えておりますが、今御指摘のような構想につきましては、私どもといたしましても、モデル事業の結果を踏まえながら、今後さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  170. 沼川洋一

    ○沼川委員 もう一点だけお尋ねしておきたいと思いますが、六十二年度概算要求の中で、この痴呆性老人のための施策としてどのような内容を盛り込んでいらっしゃいますか。
  171. 仲村英一

    仲村政府委員 痴呆性老人対策の六十三年度の概算要求の内容でございますけれども、五本ほど柱を立てておりまして、一つは、先ほども申し上げましたけれども、本体究明その他に関します調査研究の推進。二番目の柱として発生予防対策。これは御承知のように、脳血管障害でも発生するということもあわせ考えまして、発生予防対策。三番目の柱といたしまして、在宅で保健福祉対策を行うということの工夫をするための施策。それから施設へ収容する場合の施設対策の推進。それから痴呆性老人の方々を取り扱っていただくマンパワーの確保。こういうことで五つの柱を立てておりまして、要求額といたしまして総額三百二億円余の予算要求を盛り込む予定にしております。  その中でも、来年度特に重点を置きたいものといたしましては、原因解明を初めといたします種々の研究費の大幅な増額でございますとか、社会局の方で行っておりますデイサービス事業、ここで特に痴呆性老人をお取り扱いいただく方については増額を図るとか、あるいは家族も一緒に滞在していただいて、介護技術の研修をやっていただくとか、そういう形でのホームケアの促進というふうな在宅サービス充実する方向、あるいは先ほど申し上げました国立療養所とは別に、精神症状や問題行動の著しい痴呆性の老人の方については、専門的な精神的医療と十分な介護を行うためのモデル病棟と申しますか、十五カ所ばかり整備いたしたいということで要求をいたしております。さらにマンパワーの確保のための研修の充実、このようなことが重点的に計上されておるところでございます。
  172. 沼川洋一

    ○沼川委員 時間がありませんので、先へ進みたいと思います。  次に、結核について、これは引き続いて政策医療として国立病院が担っていくということになっておるようでございますが、結核の後遺症による低肺機能患者が御案内のように全国で五万人もいると言われております。先日もこの質問をいたしまして、大臣から非常に前向きの御答弁をいただいたところでございますけれども、このような患者の方々に対してIRCU、いわゆる集中呼吸器監視装置の整備とか在宅酸素療法の充実など、医療充実が患者団体から強く求められているわけでございますけれども、現状はどのようになっておりますか。
  173. 仲村英一

    仲村政府委員 御指摘のように、結核の後遺症の方々が高齢化とともに肺機能が十分な回復をされておらないということで、おっしゃられますように、五万人程度の方々がおられるわけでございまして、こういう方々に対して、私どもといたしましては、この再編成計画の中でも、国が優先して行うべき対象疾患の一つとして結核を取り上げているわけでございますが、そういう観点からいたしまして、国立療養所におきまして、結核を主体といたします慢性呼吸器疾患の専門医療というのを担当してまいりたいということで考えておりますけれども、その一環といたしまして、御指摘の低肺機能者の方々の診療機能あるいは臨床研究の充実を図ってまいってきております。  具体的に申し上げますと、国立療養所におきまして重篤な患者さんにも対応できますように、現在二十六カ所のIRCUを整備しております。また国立病院でございますけれども、これは一般の患者さんと一緒でございますけれども、ICU二十六カ所が整備されておるところでございまして、こういう形で対応いたしてまいりたいと考えております。また六十年の三月から在宅酸素療法につきまして健康保険が適用されるようになりましたので、逐次その実施施設の拡大を図ってきたところでございまして、現在国立療養所では六十六施設国立病院では三十施設でこの在宅酸素療法を実施しております。
  174. 沼川洋一

    ○沼川委員 国立の再編成の中で、この低肺について非常に重点的に政策医療として取り扱っていく、そういうことでございますので、期待をしたいと思います。  在宅酸素療法の実施医療機関を今おっしゃったわけですが、この実施医療機関国立病院がなっていない県が実は六カ所あると聞いておるわけでございますが、実施を把握して、これはすべての県で在宅酸素療法が実施できるように早急に考えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  175. 仲村英一

    仲村政府委員 六県、国立医療機関が在宅酸素療法をやっておらない県があるようでございますけれども、そのうちの二県につきましては、現在準備を進めておるところでございます。残る四県につきましても、御指摘のような重要性にかんがみまして、今後他の医療機関におきます実施状況等勘案しながら整備を進めてまいりたいと考えております。
  176. 沼川洋一

    ○沼川委員 以上、二点の観点から、いわば国立として、今後機能充実して統合して、より国立らしい、国立にまたふさわしい、そういう病院にしていく、そういう観点からの御質問と、国が地域医療から手を引くことによって、後追い医療をどうするか、こういう点から何点か問題を指摘したわけでございますが、再編成によって担うこととなる政策医療の内容、いろいろとこれもまた今後充実を図っていかなければなりませんけれども医療というのは患者の実態に即してきめ細かな対応が不可欠である、私はこのように考えております。  そういう観点から見ますと、今回のこの再編成案というものは、マクロ的な視点から我が国国立医療を大きく転換させようとしているわけでございますから、その具体的な推進に当たっては、あくまでもこれは細心の配慮が必要である、これがなければ進まないと私は思うのです。机上のプランでは困ります。より細かいそういう配慮が必要であるということを重ねて申し上げておきたいと思います。  この法案の目的は、言うまでもございませんが、統合後の地域医療確保を図るということでありますから、原案に盛り込まれていますところのこの措置、内容を見る限りにおいては、先ほどから何回も指摘しましたように、法案の目的を達成するためには極めて不十分ではないか、こういう気が率直にいたします。  そこで、重ねてお尋ねしておきたいのですが、例えば厚生省から出された国立病院等の資産の割引、譲渡という内容を見ますと、自治体の場合が移譲の場合は無償、譲渡の場合は五割引き、特例地域は七割引き、こうなっていますが、一方、いわば地域公的医療機関、例えば日赤、済生会、厚生連等の公的医療機関に対しては、自治体は無償だけれども、七割引き、非常に格差がつけてあるわけですね。特例地域は無償、譲渡の場合は三割五分引き。第一私に言わせれば、自治体が幾らただだといっても、今の自治体病院経営を見てもわかりますように、地方自治体病院経営懲り懲り、とてもじゃないがやっていけない。国がやっていけないものがどうして自治体がやっていけますか。ただだってお断わり、こういう声をいろいろのところから私もお聞きするわけです。ですから、自治体無償というといかにもいい条件でというふうに聞こえますけれども、実態を見ると、これだってどうかと思います。私がどうもおかしいと思うのは、日赤とか済生会には七割引き、どうしてこんな差がついているのですか。
  177. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 地方公共団体の公共性の高さということに着目をいたしておるわけでございます。
  178. 沼川洋一

    ○沼川委員 おっしゃる意味はわかります。確かにそういう考え方は私もわかるわけですが、国が地域医療地域の公的機関、民間、そういうのにゆだねる、もっと悪い言葉で言うと、もう国は撤退いたします、地域でやってください、こういうわけでしょう。しかし、私が冒頭に指摘しましたように、きちっとそれがやはり地域住民のための医療機関として成り立つようにする責任は残っているわけですから、逃げてだけもらっては困るわけですよ。そういう面で見ると、いい引受手を探す、国にかわって肩がわりしてきちっとやってくれる人を探すという段階から考えますと、できもしないようなところだけに無償というようなことで、何とかできるんじゃないかというところだって、もっと枠を広げて、そういう引受手が出てくるような施策を考えることも、むしろ大事じゃないかと思うのですね。確かにこれは国有財産でございますので、大蔵省あたりからも非常に厳しい注文があるのじゃないかと思いますが、極端なことを言いますと、国がお金を出してもいいからひとつ後の医療はしっかりお願いします、それくらいの考え方がないと、どこでどういう線引きをして、こんな七割引きとか無償とか、何によって出てきたか知りませんけれども、国有財産ですからきちっとした処分をしなければならぬということもわかりますが、医療を後も後退させないようにやっていくという観点から考えると、こういうのはちょっとおかしいのではないか。この辺ももっと現実に合わせて考え直す必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  179. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 本法案におきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、地方公共団体につきましては、その公共性の高さに着目をいたしまして、割引率を高くしたものでございますけれども公的医療機関につきましても、割引率が高ければ高いほど円滑に進むことは確かでございまして、ただいまの御提言につきましても理解できるところでございます。政府部内の調整につきましてはなかなか難しいところがございますが、できるだけ努力をいたしてみたいと思います。
  180. 沼川洋一

    ○沼川委員 結局そういうふうに、今私が指摘しましたような譲渡、移譲の条件もどうもあいまいである。ですから、地域住民の方々が、やはり国立が撤退すると地域医療がだめになってしまうという不安を持っていらっしゃるのも当然だと思いますし、そういう反対の声が起こってくるのも当然じゃないかと私は思います。その辺地域皆さんにわかるような、本当に後医療もぴしっとできるという見通しがもっとはっきりするような細かい配慮の上に立って、もうちょっと見直しができるものならば、ぜひ見直していただきたい、このことを重ねて申し上げておきます。  それからもう一つ、これはまた地域住民皆さんの合意を得なければならぬ問題で、私が勝手にいろいう言うべき問題じゃないと思いますけれども、今回の法案では、要するに統廃合移譲または譲渡の対象になる箇所は、あくまでも医療機関でなければならぬということになっているわけですね。ところが、これは私も幾つか聞いたのでございますけれども、近くにきちっとした医療機関があって、そこが統廃合になっても、そういう医療面の低下ということについては心配ないのじゃないか、むしろ地域自治体あたりがそういう施設を何か地域の公共の施設として活用したい、こういうところもございます。これは全国それぞれの箇所において全部違うわけです。こういう問題もあわせて検討する必要があるのじゃないかと思いますが、この辺いかがでしょうか。
  181. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 確かに移譲もしくは統合後の後医療について、今回の法律で特別措置をお願いいたしておるわけでございますが、地域によりましては、後医療は必要がない、そしてその跡地を地域住民のために有効に活用いたしたいという地域も出てこようと思うわけでございます。もちろん地域の皆様方のできるだけのコンセンサスによってそういった計画が進んでいくことだとは思うわけでございますが、そういう場合におきましても、地域の御希望ができるだけかなえられるように、私どもは最善の努力をしてまいらなければならないというふうに感じております。
  182. 沼川洋一

    ○沼川委員 いろいろ申し上げましたけれども、一言で言うならば、国の一方的な都合だけで再編成を幾ら進めても、これは無理があるということは申し上げておきたいと思うのです。やはり地元の不便とか不利益、すなわち患者の処遇あるいは職員の勤務条件などの諸問題がきちっと片づかないと、幾ら国が叫んでみたって再編成は絶対進みません。そういう観点から今までの厚生省の対応を振り返ってみますと、私は決して十分であったとは言えないと思います。まだまだ話し合う余地があるというお話もきょう盛んに出ております。しかし、これは非常に大事な問題ではなかろうかと思うわけです。  これは私が常に考えておる自分の意見でございますが、政策というのは決して一〇〇%のものはないと思います。どの政策を見たって、やはりどこかに欠陥がございます。厚生省がもしこの統廃合を自信を持ってお進めになる、そういう政策としてとらえていらっしゃるのだったら、それを実践に移す面でマイナス面をどうフォローし、どうカバーするかという対策は、むしろそれを進める以上に細かい配慮の上に立って考えなければならぬのじゃないか、こういう感じがいたします。それでなきゃこれはもう政治じゃありません。私はそれが政治だと思うのです。自分の気に入った政策だけ掲げて、だれが文句言おうがさっさと進めていくというのだったら、それこそ切り捨てで、これは政治じゃないと思うのです。そういう観点に立って今後この問題を取り扱っていただきたいと思いますし、そういう点で非常に不十分であるがゆえに、私は反対だということも申し上げておきたいわけでございますが、大臣のお考えを最後に一言お聞きしたいと思います。
  183. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 先生の御指摘の点はまことに同感でございます。そのような気持ちに立って地域の皆様方の御理解を十分得られるように最善の努力を粘り強く積み重ねてまいり、細心の配慮を払いながら、この再編計画実施に移していきたい、このように考えております。
  184. 沼川洋一

    ○沼川委員 以上、時間が来ましたので、終わりたいと思います。
  185. 堀内光雄

  186. 田中慶秋

    田中(慶)委員 国立病院統廃合の問題で考え方を若干お伺いしたいわけであります。  実は、昭和二十七年、国立病院地方公共団体に譲渡されるという法律ができて、六十の病院がこの計画対象になったわけであります。しかし、現実には十の病院しか移譲できなかった、こういうことが事実だと思います。また昭和六十一年度の予算で八カ所の予算が現実にはついている、しかしきょう現在で三カ所しか進んでいない、こういうことが明確だと思いますが、この辺、まず冒頭に確認をしておきたいと思います。
  187. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今お話がございましたように、昭和二十七年当時、やはり国立病院移譲計画策定されまして、その際、六十の国立病院地方公共団体等に移譲する計画でございました。実際に移譲いたしましたのは十の施設でございます。  さらに、今回の再編成計画のうち、まず重点的に六十一年度から取りかかった八ケースがございます。現在いろいろ地元との調整等を進めているところでございますが、具体的に進捗が見られているものにつきましては、今お話がございましたように三カ所という状態でございます。
  188. 田中慶秋

    田中(慶)委員 まず、このような状態になったその理由はどこにあるんでしょう。
  189. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 二十七年当時の問題でございますけれども、聞き及びますところ、当時の地方自治体の財政状況が非常に逼迫しておった、あるいは当時の医療施設におきます国立施設の依存度といいますか、そういったような状況、こういったようなことからなかなか移譲が進まなかったというふうに聞いております。  それから、今回でございますけれども、実際私どもが重点的に取り組んだ八ケースにつきましても、十分地元関係者との話し合いを進めながら進めているところでございますが、実行の段階におきましては、国立医療機関が現在あるものがなくなる、そういったことに伴います地元のいろいろな利害、あるいは統合後の後の医療の問題、こういったような問題について話がなかなか容易に進行しないといったようなことがございます。私どもといたしましては、もろもろの地域事情を勘案しながら、現実的な解決策を見出すべく努力を続けてまいりたいと思っております。
  190. 田中慶秋

    田中(慶)委員 昭和二十七年当時、少なくても全国的に見て医療施設は十分でなかったと私は思うのです。今日では医師が大分確保されている面もあるわけですけれども、その当時六十の病院計画がされて十しかできなかった、こういう事例と今回も同じように私は思うのです。今お話がありましたように、地域皆さん方の賛同を得られなかった問題あるいはまた医療に対して全体的なこの計画にも無理があるのではないか。全国画一に投網をかけて、こんな形でやっては、現実問題、例えば山間僻地や離島の問題、日本の福祉や医療という、大臣はよく新しい福祉とか医療の問題についても当然国としてやると言われるが、昨日も参考人皆さんといろいろな話をさせていただいたわけでありますけれども、山間僻地の病院地方自治体なり第三セクターに移譲される、こんな形をとったところで、現実問題として地方自治体は赤字経営病院を受け取るわけはないですし、また大変無理があるわけであります。こういうことを画一的にやるというところに大きな問題があって、過去にも六十の計画をしても十しかできなかったというところがあるのだろうと私は思うのです。ですから、私は今回もその二の舞を踏むような気がしてならないわけであります。今回本当に過去の二の舞を踏まないという理由がどこにあるのか、その辺を明確にしていただきたいと思います。
  191. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今お話がございましたように、今度の再編成は確かに移譲あるいは統合という形態をとっておりますが、実際にはこれはケースごとにすべて違った対応であろうかと思います。今御指摘もございましたように、私ども作業を進めていくに当たりましても、これは確かに画一的に進められる問題ではございません。七十四ケースあれば七十四通りのような実態であろうかと思います。これはやはり地元のいろいろな実情を勘案しながら一つ一つ違ったケースのように対応していかなければ、事はなかなか進まないというふうに私も実感をいたしております。  二十七年当時との比較の問題もございますけれども、当時と比べますれば、医療をめぐる諸般の情勢も変わっております。しかし、だからといってこういった移譲とか再編成が容易に進むというようにも必ずしもいかないだろうことは、御指摘のとおりだと思いますが、そうは言いつつ、こういった現在の医療環境の中で、さらに今後の国民医療供給体制整備確保していくということについて根気よく理解を求めて、ケースケースに応じた努力を積み重ねて計画実施を進めてまいりたいと考えております。
  192. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私とあなたとの相違点がその辺にあるわけです。二十七年当時だったら逆に理解を得て統廃合はできたのだと思います。ということは、医療施設そのものが十分じゃなかったわけですから、それぞれの地域医療施設を欲しがっていたわけです。現実にはそれができなかったというのは、大変な無理があったのでしょうし、今回もまた同じようにケース・バイ・ケースだと言っているわけですけれども、私は今回も、十年計画であるにしても、必ずこれはできないと思いますね。また地域皆さんからそういう形で要望の多いことは、それぞれの施設にみんな特徴、生い立ちがあるわけですから、強引にやること自体が私は難しいと思うし、やってはいけないと思います。  例えば、私の住んでいる横浜には国立横浜東病院があります。あれは今度の計画の中に入っているのです。なぜ入ったのですか。恐らく赤字経営だったからでしょう。しかし、その赤字経営も当然過去の歴史からするとわかるのです。あそこは結核療養所だったから地域の人たちは余り来なかったわけです。ところが今総合病院に変わり、循環器を中心としてやられているわけです。この三年来、皆さん努力もあったでしょうし、地域皆さんもそういう点で国立病院に対しても地域医療として非常に評価をされて、今日では黒字経営に変わってきていると思います。  ですから、私は何も統廃合しなくても、財政的な問題なり厚生省方針が明確であれば、それぞれ努力もするでしょう。例えば黒字になったところで、その黒字になった財政はどうするのですか。恐らく全部厚生省のトータル国立病院として吸い上げてしまう。それじゃ目標も何もなければ、それぞれの個々の病院としてなかなか努力もしないと思うのです。しかし、現実にはそういう一つ一つをみんな積み重ねて今努力されているわけです。こんなことを考えたときに、もっともっと今回の計画そのものを見直しをする必要があるのではないかと思うのですが、いかがでしょう。
  193. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今具体的な事例としてお出しいただきました横浜東の例でございますけれども、これに限らず、必ずしも経営が悪いから統合するとかあるいは他の人に経営をゆだねてしまうとか、そういったような観点から私どもは再編成を行おうと言っているわけではありません。率直に申し上げまして、やはりこれからの国立医療機関といったものを本当に国立らしい内容に整備していくためには、近接している医療機関は統合することによって、より機能が高められ、高度なかつ広域をカバーするような医療機関として整備していける、こういう判断をした、このケースもこれに当たるわけでございます。  それからもう一点、確かに病院の各施設におきます経営努力といいますか、経営の結果が何らかの形で報いられるというようなことも、今後経営合理化向上していくためには何らかの工夫を私どももやっていかなければならぬ、そういう問題意識は持っております。ですから、こういった点については、再編成とは別にいたしましても、国立医療施設においても何かそういった方法、工夫というものはないか、いろいろ検討させていただきたいと思います。
  194. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私が申し上げているのは、それぞれ個々の生い立ちもあるでしょうし、いろいろなケースもあるでしょうから、今ある計画を見直しをする必要があるだろうということを申し上げているわけです。例えば先ほど申し上げました離島や山間僻地の問題、どこが受け入れてやるのですか。しかし、僕はそこには医療というものが必要だと思う。ですから、そういう問題を含めて、今皆さん計画されている再編計画について、当然それぞれの質疑をされてきたのですから、見直しは見直しとして謙虚に受けとめてやるべきではないか、こんなふうに考えます。  また、山間僻地等については、より医療充実が要求されているわけであります。ところが医療充実を要求するどころか、今のように行き先がどうなっていくかわからないというのは不安でしようがないでしょうし、着陸地点がどうなっていくのかわからなければ、それも大変難しいだろう。今の計画そのものが総体的に幾らスクラップ・アンド・ビルドと言ったところで、医療、福祉というものは国民の生命、財産に影響することなんですから、そういうことも含めて計画そのものに対する基本的な見直しが必要であろうと私は思うのです。  再度この辺を大臣から答弁してください。
  195. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 この再編成計画はおおむね十年を目途としてやってまいるということにいたしておりますが、現在決めました計画が不磨大典のものであるということではないわけでございまして、計画基本は守りながらも、いろいろな部分において地域の皆様方の御意見やまた医療状況の変化、そういったことを勘案をしながら、見直すべきときは見直していくべきものであるというふうに考えております。
  196. 田中慶秋

    田中(慶)委員 私がなぜ昭和二十七年の例を申し上げたか、なぜ昨年の予算措置、一年経過されたその進行状態を申し上げたか。やはり無理があるものは無理なんです。そしてまた医療というものに対して、それぞれの国民が心配をしているわけですから、そういう点を含めて、再編計画をしたから、それを強引に進めるということ自体問題があるであろう、こんなふうに思うのです。ですから、基本的には医療というものはだれのためにあるのか。厚生省のためにあるのじゃないでしょう。国民のためにあるのでしょう。国民の健康や医療という生命財産の問題も含めてあるわけですから、やはりそういう点を十二分に、その辺の考え方をもう少し頭の中で整理してやらないと、今回の計画――それでは十年後できなかったらどうするのですか、大臣。あなた責任をとるのですか。明確にしてください。
  197. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げましたように、現在決めておるものが不磨大典のものではございませんと申し上げておるわけであります。基本の部分は守りながらも、いろいろな部分について、そのときの状況に応じて見直されるべきものであると考えております。  ただ、きょう現在におきましては、一昨年に八カ所発表し、昨年に全体計画を発表したばかりでございまして、まだ十分な御理解を得るための努力もしておるとは言い切れないわけでございますので、当面は現在の状況の中で努力を積み上げていくということが大事であるというふうに思っております。
  198. 田中慶秋

    田中(慶)委員 やはりもっとその辺は素直に言ってもらいたいのだね。ということは、山間僻地等の問題も含めて、あるいはまたいろんな諸問題を含めて、じゃ去年のものは一歩譲ったって、昭和二十七年当時のことはどうなんですか。六十カ所計画して現実にできたのは十カ所でしょう、悪いけれども。だからそういうことは、今申し上げたようなことを含めて、無理なものは無理なんですから、全体的に、個々にもっと調査をされて、再編計画の見直しをしてもらいたい。その辺どうですか。
  199. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 先ほどからの御議論の中にもございました二十七年当時につきましては、当時と様相は一変しているというふうに私は思っております。二十七年当時におきましては、移譲されるべき主体は地方自治体のみでございました。そしてその地方自治体の財政事情というのは決して十分なものではなかったと思います。また当時の国民の多くの皆様方の国立医療機関を頼りにする部分というものは、今よりも数段多かったと思います。そういう中で、御理解がなかなかいただけなかったようにも思います。また医療供給体制も、その他の医療機関供給体制も二十七年当時と今日では全く違う。それに応じてマンパワーの確保等についても全く違う状況であると思っております。でありますので、今回の再編成は、今回の状況の中で、環境の中でひとつやらしていただきたいと考えておりますが、今直ちに計画の全面的な見直しということは、先ほど申し上げましたように、一昨年に八カ所発表し、昨年全体計画を発表し、それをそれぞれの地域の皆様方に御理解を得んと今努力をしつつあるわけでございますので、その努力をなお現段階におきましては積み上げていく必要性が十分にあると考えております。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、十年間といいましょうか、将来にわたってももう不磨大典のものとして、今考えた計画を一切変えないんだということではないわけでありまして、基本の部分は守りつつも、そのときどきのいろいろな情勢に合わせて枝葉の部分について見直しをしていくということは当然必要なことであるというふうに考えております。
  200. 田中慶秋

    田中(慶)委員 当時と地方自治体の財政事情変わったと言っておりますけれども、決して楽になっているわけではありませんよ。例えばそれぞれの大都市においては、超過課税まで取って地域整備をやったり、起債まで発行しながら、それぞれ学校やいろいろな整備もやっているわけです。そういう中で、地方自治体病院は絶えず赤字で悩みながら一般会計から補てんをされている、こういう実情があるわけです。あなた方が幾らプランニングしたところで、受け入れられる人たちがいないわけです。そういう点では、そういう問題を含めて、今回はたまたま地方自治体だけじゃなく他の団体ということもありますから、それらの問題も前よりは進むと思いますけれども、無理は絶対に禁物だ、私は医療というものはそうあるべきだと思っております。  もう一つ大臣、これだけはぜひ約束してもらいたい。ということは、それぞれケース・バイ・ケースであろう。しかし、その地域の人たちがやはり納得しない場合、理解を示さない場合、それは強引にやらない、その辺を明確にこの席上で約束していただけませんか。
  201. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 地域関係者の皆様方の大方のコンセンサスを得て進めていくということは当然であります。
  202. 田中慶秋

    田中(慶)委員 次の問題に入りたいと思いますが、いずれにしても、その辺はぜひ約束をしてやっていただきたいと思います。  特に国立病院あるいはまた療養所等で、昨日も参考人から指摘をされましたけれども、スタッフあるいは施設等々の問題について非常に不足をされている。これでは赤字経営が当たり前だということであろうと思います。私も幾つか施設を回らしていただきましたけれども、例えば近代的な医療施設が欲しい、医療機械が欲しい、予算要求をします。なかなか自分のところに来ない。ところが三年後ぐらいになって来ますと、その機種は古くなっている、あるいはまた同額の予算では買えない、こういう悩みを持って、現実に現場は高度医療に対する役割といいますか、そういうことを果たすために努力をされているわけですけれども、この辺も、片方においては切り捨てなんというようなことばかり考えないで、逆に充実をして、より近代医療国立病院なり療養所として役割を果たしてやっていただきたい、こう思いますけれども、いかがでしょう。
  203. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 今度の再編成基本的考え方におきましても、国立はやはりやるべきものはやる、国立らしい高度な医療内容として整備をしていくんだということでございますので、先生の御意見のように、内容の充実については、今後とも精いっぱい頑張ってまいりたいと思います。
  204. 田中慶秋

    田中(慶)委員 ぜひお願いいたします。  また、余り触れたくないのですけれども、センター病院として指定をされても、やはり経営というものは院長やそれぞれのスタッフの配置によって変わるということを、きのう参考人にそれぞれ私ども教えていただきました。そういう点では、それぞれの立場で人間関係があるのかもわからないですけれども、人心一新を要求されるところは、やはりこの際人心の一新も要求されてしかるべきではないか。あるいはまた地域医療医師会やいろいろな人の話もよく聞いて、初めて国立病院のセンターとしての役割が果たせる。あなたがおっしゃっているように、幾らここを充実しようとしたところで、意識改革がなければ絶対に病院はよくなりませんよ、はっきり申し上げて。それは物理的に統廃合したかもしれません。しかし、そこで経営をされるのは人なんです。意識改革がない限り、そういうものは絶対によくならない。これは現実にそういうところが何カ所かあるわけですから。そういう点はどのように考えられているのか。これは大臣で結構ですから、はっきりと――。
  205. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 先生がおっしゃいますように、医療機関は人によって成り立つものであります。でありますから、国立医療機関におきましても、人の配置なりまた人間関係、そのあり方というものについて常に心して指導監督をいたしてまいりたい。また地域医療機関医師会等と連携をとって地域医療に貢献をしていくということも当然のことでありますので、そのように指導監督をいたしてまいりたいと思います。
  206. 田中慶秋

    田中(慶)委員 せっかくこういう形でいろいろなことを検討しているのですから、ぜひその辺も逆に見直しをすべきであろう、こんなふうに私は思いますので、個々の例を言いますと差しさわりがありますから、そういうことは申し上げませんが、その辺はぜひお願いをしたいと思います。  先ほども議論をされておりましたけれども自治体と民間に移譲する場合の格差の問題、この格差は当然やがて医療費やそういう形ではね返りがされるのだろう、私はこういう心配もしております。特にまた、先ほど来申し上げたように、地方自治体では、今赤字経営で何とか病院を受けとってもらいたいといったところで困るというところもある。しかし、第三セクター的な要素で公共的なところが移譲を受ける、こういうところについては、もっと現在検討されている格差というものが、先ほどの答弁でもいろいろ御検討されるような形でお話があったわけですけれども、実はこの問題について大蔵省ともそれぞれ内々いろいろな形でお話を聞かせていただきました。理財局等々については、これは当然そうあるべきであろう、こんな話もしておりました。しかし、最終的には方針厚生省が決めることであるから、こんな話も出ているわけであります。そういう問題を含めてもっとこの辺の格差というものは詰めておく必要があるだろう、私はそういうことを含めて、同僚議員が質問しましたけれども、重ねてお尋ねしたいと思います。
  207. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 移譲または譲渡に関する割引率の問題でございますが、地方公共団体にっきましては、その公共性の高さに着目をし割引率を高くしているものでございますが、先生指摘のように、公的医療機関につきましても、割引率が高ければ高いだけ円滑に進むことも確かであろうと思います。ただいまの御提言につきましては理解できるところでございますので、政府部内の調整については大変難しい問題がありますけれども、できるだけ努力をいたしてみたいと思います。
  208. 田中慶秋

    田中(慶)委員 できるだけ努力をすると言って、大臣大臣も政府の要員なのですから、閣僚ですから、やはりこれだけの計画を出して、そして今過去の例を見てもいろいろな問題がある、そしてまた医療というものが格差があってはいけない、こんなふうに考えますと、こういう地方自治体あるいはまた公共団体や民間、第三セクターというものについて、確かに国民の財産かもわかりませんけれども医療というものは国民の生命財産を守るためにあるわけでしよう。そんなことを考えたときに、そんな格差があること自体僕は納得がいかないわけです。ですから、障害物があるからそういうものができないのじゃないか、こんなふうに思うのですね。ですから、真剣にそれぞれ検討するということでありますから、もっと本当は突っ込んで大臣からこれに対する明快な回答を求めたいわけであります。やはりそのくらいの意気込みがないと、十年で決してできませんよ。あなたはそういう点で確かに今厚生行政を預かっているわけですから、その点を本当に前向きにやっていかないと、次はまたメンバーがかわったらできないなんというようなことでは困ってしまうわけですから、大変失礼な言い方でしょうけれども、今のうちにあなたとしての方針を明確にしておけば、次にまたやりやすい面もあろうと思いますので、ぜひこの辺だけはちゃんと明確に答弁をしていただきたい。
  209. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 その辺は大変難しい問題でございまして、ただいま御審議をいただいております原案は、私どもが最良と思って御提出を申し上げておるものでございますが、議会におけるいろいろな御審議によって、このようにせよとおっしゃられれば、これに従わざるを得ないというのが大前提であろうと思います。そういう中で、私どももいろいろな努力もいたしてみたい、こういうことでございます。
  210. 田中慶秋

    田中(慶)委員 それ以上答えろと言っても酷でしょうから、あとそれぞれ議会の中で検討させていただく、こんなふうにさせていただきたいと思います。  各病院を歩いたときに一番問題になっていたのは、本当に一生懸命頑張っていらっしゃる、こういうところが見受けられたのですが、その中でどうしても総定員法という問題があってなかなか地域皆さん方に御期待をいただいてもできない、こんな問題もこの目で確認させていただいたわけでありますが、そういう点では、この定員法の枠外として増員をさせることはできないかどうか、こういうことを痛切に感じました。これらについて、総務庁との問題もあろうかと思いますが、総務庁を含めて、この辺の見解を述べていただきたいと思います。
  211. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 この問題はいろいろと長い御議論のあるところでございますけれども国立病院療養所というものが国立機関である以上、総定員法の枠内で行うべきである、総定員法の趣旨を尊重して行っていかなければならないというふうに考えるものでございます。
  212. 田中慶秋

    田中(慶)委員 そこで、総務庁にお伺いしたいわけでありますが、総定員法の枠外という問題について、今大臣から答弁はいただいたのですが、総枠を検討されているのは総務庁ですね、総務庁の見解をお伺いしたいと思います。
  213. 土屋勲

    ○土屋説明員 総定員法の目的としておりますところは、国の各行政機関のそれぞれの業務の実情に応じまして、行政需要の減少した部門から行政需要の増加する部門に定員の合理的再配置を弾力的、機動的に行うというところにございます。したがいまして、その適用範囲そのものはできる限り広いことが望ましいわけでございまして、国立病院療養所につきましても、総定員法のもとで運用をしていくのが適切であろうと考えております。
  214. 田中慶秋

    田中(慶)委員 先ほど来申し上げたように、現場の悩みというものを率直に感じたものですから私は申し上げたわけであります。きのうの参考人意見でもそれらの話も出ておりました。やはり医療充実するに当たって、こういう問題も一考を要するのではないかな、こんなふうに率直に申し上げておきたいと思います。  特に、国立病院事業で見られるときには、センターにした場合においても、これからの救急医療等の不採算性の問題が出てくるわけでありまして、こういう点では、やはりセンターにしたから赤字経営を解消できる、こういうことではないと思うのです。こういう一連の問題についてどのように経営効率の改善をされるための努力をされているのか、その辺の考え方をお伺いしたいと思います。
  215. 仲村英一

    仲村政府委員 御指摘のように、国立病院といえども公共性と同時に効率性との両立を図っていくということが非常に重要なことだと思いますけれども、いわゆる不採算的な医療というものはどうしてもあるわけでございまして、そういう際には、私どもといたしましても、一般会計からの繰り入れをお願いするということで、そこで賄う。その他の経費につきましては、基本的には診療収入等で賄うというふうなことで、今後経費の負担区分の明確化と申しますか、そういう方向でさらに明確にしてまいりたいと思いますが、同時にやはり経営効率と申しますか経営改善と申しますか、いろいろの患者サービス向上へ向けての創意工夫と申しますか、いろいろのことを国立医療機関といえどもやっていかなくてはいけない。その部分については、さらにスタッフの研修その他を通じましても、あるいは私ども経営指導の面を通じましても、いろいろ向上を図ってまいりたいと考えております。
  216. 田中慶秋

    田中(慶)委員 今統廃合の問題が大変俎上にのって、現場も相当自分たちが地域の人たちとして病院を守るために努力をされ、経営も改善されているやに承ってまいりました。そんなことを含めて、民間と比べて経営改善の方針が具体的に行き詰まるところがどうしてもある。それは例えばコンピューターの導入をするとか事務の合理化を図るとか、機械的な問題の処理等々含めて、こういう問題について改善をしてやるべきだな、こんなふうに考えました。一つでできなければ二つ、三つループにすれば、現実にはコンピューターを各病院とも入れなくたってできるわけでありますから、そういう点を含めて、全体的な経営合理化等々を含めてやる必要があるだろう。あるいはまた設備改善等についても、先ほど来申し上げているように、全体的に皆さんがぺーパープランニングではなくして、それぞれ分担をされて現場の事情をよく視察されて、皆さんの目で確認をされて、この病院は何が必要である、こういうものは要らぬ、こういうことを明確にしてやれば、もっともっと効率的な経営もできるだろう、こんなふうに思うのです。中央ですからどうしてもぺーパープランニングの面があろうかと思いますけれども、そういう点はできるだけ、私ども全部回ってきたんじゃないわけですけれども、四カ所、五カ所回った中でもそんなことを痛切に感じているわけでありますから、そういう点を含めて、この辺に対する考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  217. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 国立病院とはいえ当然公共性と同時に効率性も追求しなければいけないということでございます。経営の改善については、絶えざる努力を続けてまいらなければならないわけでございますけれども、現在行っております経営改善の例を申し上げますと、業務の能率の向上患者サービスの改善あるいは診療費請求事務の正確化、迅速化、こういったような観点から共同利用型の病院情報システムというものを導入しております。  それからもう一点は、本六十二年度からでございますけれども、本省と地方医務局と全施設をオンラインのネットワークで整備いたしまして、報告業務の能率化とか経営管理情報の迅速化、高度化、こういったようなことによりまして、まだ一部でございますけれども経営の改善とか機能の強化、こういったような努力をしているところでございます。
  218. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、どうしても経営状態が悪くなれば、今のような計画が出てくるのだろうと私は思うのです。  そもそも確かに医療充実ということもあったでしょうし、中には逆に赤字経営を初めとするこういう問題も含めて、国立病院統廃合問題というのは、率直に言って、大臣は採算だけの問題じゃないというようなことを答弁されていたわけですけれども、しかしそればかりじゃない、やはり不採算性の問題やら統廃合の問題を含めて何とかしようということだった。私はそれぞれ審議の経過をこんなふうに聞かせていただいているわけであります。ですから、経営改善というものも、当然赤字が募れば募るほどそういう問題が出てくるわけですから、そういう点での効率化を今後ともやっていただきたい。それが逆に今度の統廃合が少なくても現状のままで済むようになるのじゃないかと期待はしておるわけでございますので、そんなことを含めてやっていただきたいな、こんなふうに思っております。  そこで、逆にこの統廃合計画がそれぞれ昨年から具体的に予算を執行されているわけでありますけれども、例えば地方公共団体等に経営移譲する場合、どうしても経営主体がかわったからといって経営が一挙によくならないと思いますし、また経営状態がすぐよくならない、こんなふうに思うわけであります。きのうの参考人の話でも、確かに病院長がかわり、全体的に経営状態がよくなったという話はありますけれども、すぐよくなることはないと思うのですね。だから、そういう場合において、この全体的な経営に対する補助金等々は、現実にはこの法律で規定をされて、この補助金も明確に出せるのではないか、こんなふうに思いますけれども、これらについて受け入れる側だって今後どうなるかわからないものは心配でできないわけですから、そういう点は、また地域の人たちから公共団体移譲されたら医療費が高くなるのじゃないか、負担が高くなるのじゃないかという話まで出るわけでありますから、この辺に対する考え方を明確にしていただきたいと思います。
  219. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 御審議いただいております本法案も、経営移譲をできるだけ受け入れやすくしていただくための特別措置をお願いしているわけでございます。もちろん土地、建物の施設の譲渡、さらには引き受けた後の経営をなさる場合に、軌道に乗るまではこれもなかなか大変であろうと思います。そこで運営費の補助についても特別措置として規定を盛り込んでいただこうと思っておるわけでありますけれども、具体的にどういうことを考えておるかということを御説明させていただきますと、引き受けられた医療機関経営が軌道に乗るまでの間一定額の補助をやっていこう、こういうような考え方を持っているわけでございまして、具体的には政令で定めることにいたしておりますけれども、五年間赤字が出ましたら、その二分の一程度は調整をしてまいりたい、こういうことを予定いたしております。
  220. 田中慶秋

    田中(慶)委員 いずれにしても、これらの一連の中で、少なくてもそのことによって医療負担が増大するようなことであってはいけない、こんなふうに思いますから、ぜひ今後ともそういう問題もきめの細かい形で、五年間二分の一、こんな形ではなくして、もっともっときめの細かい検討をされることが望まれる、こんなふうに思います。  そこで、今度の統廃合問題と最も密接な関係のあるのは地域医療計画、私は前回の質問でも申し上げました。現在地域医療計画策定されているのは全国で五県しかない、こういうことであります。こういうことを含めて考えてみますと、地域医療計画とあわせてこの医療供給体制というものの現状把握をしながら、現況の国立病院のベッド数等々をこの中に、配置の中に現実に入れていけば、無理した統廃合はしなくて済むのじゃないか、こういう形である学者は言われていたわけであります。私も全くそのとおりではないか、こんなふうに思うのですけれども、今後この整備計画は、先ほども申し上げたように五県しか出ていない。それが最終的に、六十四年まで七〇%、八〇%と言われておるわけですけれども、その辺が今の見通しとしてどのくらいまで本当にできるのか。むしろ私は、そのできた時点で統廃合計画ということをもっと推進していいんじゃないか、こんなふうにも思うわけです。その辺はいかがですか。
  221. 竹中浩治

    竹中政府委員 地域医療計画策定の状況及びその見通しでございますが、実は既に医療計画が公示されておる県は、今月二十日以降に一県、宮崎県がふえまして六県でございます。現在のところ、昭和六十二年度末までに約七割、三十三の県が医療計画を完成をする予定でございまして、なお六十三年度中というのが十二県、六十四年度以降にまでまたがるというのが二県ございます。しかしながら、私どもこれでは必ずしも十分ではないと思っておりまして、もっと時期を早めることが必要であるということで、各都道府県に強力にお願いをし、指導いたしておるところでございまして、現在の見通し以上に早く医療計画の作成ができるようにしてまいりたいと思っております。
  222. 田中慶秋

    田中(慶)委員 医療計画の作成ができるだけ早くということでありますが、私は、この地域医療計画国立病院統廃合問題、その中で考慮をしながら進めてもいいんじゃないかなというふうに思いますけれども、どうなんですか。
  223. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 国立施設といえども地域医療計画との整合性は保っていかなければならない、これは当然のことでございます。したがいまして、国の医療機関というものはこういう役割を果たすんだぞというようなことは、私ども既に発表しておるところでございます。そういったことも念頭に置いていただいて地域医療計画策定を進めていただく。それで個々につきまして私どもと十分の意見調整を行いまして、整合性を持った地域医療計画等の策定をしていただきたい、そういうふうに考えております。     〔委員長退席、長野委員長代理着席
  224. 田中慶秋

    田中(慶)委員 地域医療計画の問題は、まさしくこれからの高度医療機器の役割分担のような気もいたしますね。センターにはこういうものがある、この病院はこれが特徴だという形で、やはり役割分担もこういう形で出てくるのだろうと思います。そういう点では確かに医療圏としての設定をしながら、そこでは地域医療充実ということが最終目標であろうと思いますけれども、何か全体的に見て格差が少しあるんじゃないかな、また出るんじゃないかなと心配するわけですね、地域格差といいますか。医療圏としてそれぞれマップで全部やるわけですけれども、ここにはどういうベッドが必要だ、全体的にこういうものが必要だといっても格差が出るような気がしますけれども、その辺はどうなんでしょう。
  225. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回の医療計画の作成及びその推進の一番大きな目的は、これまで医療供給体制あるいは病院、病床等々が非常に地域的に格差があったということ、これをひとつ不足地域については拡充をし、そして過剰地域については増加を抑えていくということで、地域アンバランスをなくしていくというのが一番大きな目的でございます。したがいまして、私どもそれを医療計画作成の際の中心の課題に据えて、これから進めていきたいと考えておるわけでございます。
  226. 田中慶秋

    田中(慶)委員 実は、昨日も参考人皆さんとの質疑の中で、三十九の府県あるいはまた二千九百九十八の市町村が今度の国立病院統廃合については何らかの形で反対をしている、こういうことであるわけです。これが現実ですね。先ほど大臣から地域の理解や無理のないような形で進めるという決意が述べられたわけであります。これらを考えてみますと、三十九の府県が反対をされている、議会が反対されるということを考えてみますと、国立病院統廃合問題というのは、必ずしも喜んで受け入れようとしてない。あるいはまた国立病院統廃合問題というものは、少なくとも今のような環境からすると余り強引にやるべきではない。もっともっと慎重に、話し合いをしながらこれを進めるべきではないか、こんなふうに思うのですけれども、その辺について再度お尋ねをしたいと思います。
  227. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成につきましては、その趣旨につきまして、総論として多くの皆様方にそれなりに御理解をいただけておるものと思っております。  しかしながら、それぞれの個別ケースになりますと、それぞれの地域の事情やらまた関係者の皆様方にいろいろな御意見があるということも事実でございます。その個々のケースの進め方等について十分御理解をいただき、また御意見をお伺いをし、そしてそういう話し合いの上に立って、よりよき個々のケースをつくり上げていくという努力がどうしても必要であるわけでございます。決めたことを一方的にやってしまうというようなことでは、この再編成はとても実現できないことでありまして、文字どおり十分な話し合いの上に慎重な態度をとって臨みたいというふうに思っております。
  228. 田中慶秋

    田中(慶)委員 時間が参りましたけれども、最後に、いずれにしても、これだけ国民の健康と、さらにまた国民の関心のある問題でございますから、この一連の問題というものは、今大臣から述べられておりますけれども、今後十年という日限は区切ったにしても、慎重にしながら、いずれにしても国民の不安のないように、国立病院として今日までそれぞれ高く評価をされてきているわけですから、そのことを大切にして、むしろ経営改善その他について万全な努力と対策を要望して、私の質問を終わります。
  229. 長野祐也

    ○長野委員長代理 児玉健次君。
  230. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、これまで七カ所の国立病院療養所へお邪魔しまして、そして今度のこの法律についての私たちの調査をさせていただきました。そのとき院長さんや総婦長さん、そして事務長さんを初め職員の皆さん方が非常に温かく迎えてくれて、そして率直な意見を述べてくれた、この機会にお礼を言いたいし、それから医務局を初め私たちに便宜を図ってくれた関係者にも私は感謝します。  そこで、私はこれが最初の質問ですが、事柄は非常に重要だし、十分に時間をかけて審議を尽くさなければなりません。それが国民の負託にこたえる議会の道です。  そこで私は、医療要求と国立病院役割について、僻地、離島の場合はどうか、大都市圏の場合はどうか、そして中都市の部分ではどうか、まずそのことからお尋ねをしたいと思います。  先日、私は九州の壱岐、国立療養所壱岐病院にお邪魔いたしました。大臣、壱岐という島を御存じですか、人口は四万一千人、六十五歳以上の方々が全人口の一四・五%を占めています。老齢化という点では全国より十年速く進んでいます。そこで今どのような障害が島民にとって直面する大きな問題となっておるか、それは脳血管障害です。昭和六十年の場合、脳血管障害は、全国は十万人当たり百十一・五人、壱岐では二百二十七・七人です。院長さんがこの四年間のデータをわざわざみずからグラフにしてコピーをとって私に下さった。  そこで、厚生省に申したいのですが、医療要求と国立病院療養所役割ということに関連して、ここではどうなっているかというと、脳卒中のリハビリの方々が国立壱岐病院に入院されているのですが、その方々の実に七割までがこの島の開業医の皆さんからの御紹介なんです。そしてリハビリをやってかなり症状が軽減する、その場合に、この壱岐ではかなりの入院患者の方は再び開業医のところにお戻りになるのです。非常に強い信頼関係ができております。そしてよく御存じの壱岐公立病院を四つの町村が組合立でつくっています。ここと壱岐病院と開業医との関係は非常にうまくいっている、私はこう思います。  例えば、少し古い話ですが、昭和五十五年三月の壱岐地域広域市町村圏計画というのがありまして、その中の「国に対する要望」で、昭和五十五年三月に地域医療計画が文字どおり先進的にも出ているのですよ。「国立療養所壱岐病院の成人病センターとしての施設々備の整備と診療部門の強化」、これが明記されています。そして厚生省皆さんの御努力もあって、その方向でこの病院は拡充強化されておりますよ。私はお邪魔したついでに郷ノ浦の町長さんである徳田久武さんに役場でお会いいたしました。そのとき町長は、壱岐の病院国立としてもっと機能充実させていただきたい、自治体で引き受けるつもりは全くありません、こう言われたのです。大臣、去年の十月三十一日にこの人たちが大臣のところに伺ったと思います。そのときの報告のチラシを私はここへ持ってきています。島民の九割の二万五千人の方が斎藤厚生大臣に陳情署名を提出しております。そしてそのとき大臣も含めた厚生省皆さん方は、地元十分協議をする、その点で誠意を信じてほしい、受入先がなければこういうことは実行できない、こうも言われているのです。  私は壱岐で果たしている病院役割について強い印象を受けたから、厚生省自身のこれまでの努力を調べてみました。昭和二十九年十月にこの病院は不幸にも放火によって焼失しています。ちょうどそのころは、先ほど田中議員が議論されていた昭和二十七年のいわゆる国立病院移譲法が出たときです。皆さんが何とか国立病院移譲しようとしているときに、地元皆さんの熱意と率直に言って厚生省の誠意が実って、焼けたのは昭和二十九年十月だが、翌昭和三十年四月にはとりあえず七十床で診療を開始しております。国立病院移譲しようというときに、壱岐病院を再建することを皆さんがお決めになって、直ちにそれを実行されたのですよ。昭和六十年二月一日の国立病院療養所編成問題等懇談会の意見の中で、私はこの懇談会が今回の法案を導き出していますから根幹において賛成しません。非常に深刻な中身を持っていると思うけれども、「国立医療機関役割」という場所に「救急・へき地医療等の分野における不採算医療を率先して担当し、」と書いてあるじゃないですか。そうであれば、壱岐を初めとする、対馬もそうだし、佐渡もそうだし、北海道にもありますが、そういった僻地、離島における国立療養所については、まさしく率先して国が担当すべきじゃないでしょうか。この点については、まず大臣のお考えを伺いたいと思います。
  231. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 離島における現在あります国立病院療養所が果たしている役割というものを私は否定するものではありません。また離島における医療を十分に確保していくということも厚生省医療行政の中で非常に重要な事項であるということをも認識いたしております。しかしながら国立病院療養所として離島の診療そのものを担当しなければならないかということを考えますときに、他の医療機関でもこれは担当し得るものではないか。でありますので、今移譲を考えております先については、医療が必要がないからもうやめてしまうということでは決してないわけでございまして、国立医療機関以外の医療機関において今以上の医療確保できる先に移譲いたしてまいるということでいいのではないかと考えております。  同時に、離島の医療を振興するために、私どもといたしましては、それなりに力を尽くしておるところでございまして、僻地の診療所とか僻地中核病院整備、そしてそういうところからの支援、またマンパワーの確保等についてのあっせん、こういったようなあらゆる角度から離島の医療振興のために力を注いでまいる、こういうことで進めてまいりたいと考えております。  現に、先日、私も長崎の長崎中央病院を視察いたしました。今お話にあります壱岐の療養所、またその他周辺の離島、僻地等の医師の確保、また医師の資質の向上、また医療確保のために大変努力をしている姿をこの目で見てまいりました。このような形で進めていけば、離島そのものにおいて国立医療機関がどうしても担当しなければならないということはないのではないかというふうに意を強くいたしたところでございます。
  232. 児玉健次

    ○児玉委員 私はそれぞれの典型的な地域における典型的な病院を取り上げて議論をしますが、しかし大臣、いずれにしろ、先日来皆さんがこの委員会で繰り返し御発言になっているように、明確にお答えになっているように、地元意向を十分尊重して進める、その点については変わりがありませんね。一言だけお願いいたします。
  233. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 変わりはございません。
  234. 児玉健次

    ○児玉委員 次に、大都市圏の場合です。社会労働委員会国立病院についての質疑はきょうが二日目ですが、最初の日のとき、厚生省のお答えの中に、国立小樽病院について、その機能を分離して札幌の西と南に統合する、そういう趣旨のお答えがありました。  そこで、道央圏、北海道の人口は五百六十万ぐらいですが、その中の三分の一強が札幌、小樽、石狩、後志に過度に集中しています。その場所には国立札幌病院国立札幌西病院、同じく南病院そして小樽病院、この四つがございます。四つがその一定のエリアの中でなかなか見事な地域的バランスを持って存在している、非常にいい役割をしております。  そこで、これも余り長く申し上げませんが、私は端的に言いたいのです。この国立養療所小樽病院、ここに対する地域の期待が最も強いのは何か。それは重症心身障害児ないしは障害者、現在百二十名の入院患者がいらっしゃいます。そして最近では先天性代謝異常に対する療育という点で北海道で非常に重要な役割を果たしております。北海道の中央児童相談所、札幌児童相談所、そういったところと緊密に連携をとり合って、小樽病院医療スタッフは道央圏の巡回医療もやっております。そういう中で、小樽市地域医療協議会というのがありまして、小樽病院に対して、重症心身障害、脳卒中リハビリ、これについては機能を強化するように、そして養護学校をこの病院に併設するように、これが小樽市民の強い願いになっております。  小樽病院では、ちょっと私調べてみたのですが、昭和五十一年の六月に放射性同位元素を使用する特殊臨床検査施設皆さんの御努力でつくられました。そしてそのことが先天性代謝異常の取り扱いを飛躍的に強めた。昭和四十八年以来小樽病院に投入された予算は八億三千七百四十六万円です。私は多いとは思わないけれども、しかし皆さんがこれまで一貫して努力されてきたということは、私はあえて多としましょう。  そういう中で、前回の社会労働委員会で、ここの廃止が云々されたために、小樽で今何が起きているか。八月二十四日、小樽市は臨時市議会を招集いたしました。これはすべての党派が参加いたしました。そこで地方自治法九十九条に基づく意見書が全会一致で採択されました。私のところにも市の理事者と議会を代表しておいでになった方が持ってきてくださった陳情書が届けられました。そしてその中で、先ほど私が申したこの小樽病院機能強化についての具体的な中身が繰り返し触れられている。  私が聞きたい二つ目の点は、次のことです。先ほど大臣は、田中議員に対して「大方の」地元意見をと、「大方の」とおっしゃった。私はあそこで「大方の」というのは余計だと思って聞いていました。小樽市議会と小樽市長が臨時市議会で全会一致で地方自治法九十九条に基づいて意見書をつくった。二十日の社労委で論議になったら、二十四日市議会、二十六日皆さんのところにもおいでになっている。こういう意見に対して厚生省は耳を傾けるのかどうか、そこをお聞きしたい。
  235. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 地元小樽市あるいは市議会の意向につきましては、私どもも率直に耳を傾けるつもりでございます。ただ、小樽市と札幌の両施設との統合問題につきましては、関係自治体あるいは関係方面との話し合いというのはまだほとんどやっておらない段階でございます。まだまだ私どもの再編成の内容あるいは趣旨といったものについて御理解を得られていない段階ではなかろうかと思うわけでございますので、地元の御意見は御意見として、私どもは率直に耳も傾けつつ、私どもの考え方も率直に述べて、これからいろいろお話し合いをさせていただきたいと思っております。
  236. 児玉健次

    ○児玉委員 いつもお答えの中の後半のフレーズが余計なのですよ。耳は傾けるとおっしゃった。傾けてくたさい。そして小樽に対して皆さん計画がまだ十分伝えられていないと言うけれども、この八月二十日の社会労働委員会厚生省が小樽病院の今後についてあえて他の幾つかとともに発表するということについて、厚生省は小樽病院関係者事前に御連絡ありましたか。
  237. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 先般小樽病院の名前が出ましたのは、先週の当委員会の御審議の中で、統合とは言うけれども、どっちの方向で統合するのか、そういうものを説明してもらいたいというような御質問がございまして、それは現在検討中ではございますけれども、そうは言っても計画策定の中でおおよその見当をつけたものもあるだろう、こういったようなお話もございましたので、現在想定してという段階ではございますけれども、小樽のケースにつきましては、札幌の両施設に統合するというふうに想定いたしております、こういうふうにお答えをしたわけでございまして、先般御質問がございましたので御答弁させていただいたわけでございまして、あらかじめ施設に連絡するとか、そういったようなことは一切しておりませんし、予期しなかったことでございます。
  238. 児玉健次

    ○児玉委員 最後がわかればいいのですよ。あらかじめなさっていないのですよ。  そして私それを多少調べてみたら、皆さん方は、もしかしたら国会の審議の過程で小樽病院のことが論議されるかもしれないから、急な電話のときに直ちに資料が提示できるように用意しておいてくれ、こういう連絡があっただけですよ。審議官のような幹部がその電話はなさらないだろうけれども、あなたのもとで仕事をしている人たちはそうしているのです。そしてあなたも今率直に認められたように、この点について特別な連絡はしたことはない。まあ、耳を傾けると言うのだから、そのようにしてください。  次、三つ目です。先ほどから多少議論になっている初年度着手の問題。高知のこともあるし、千葉のこともあるし、和歌山のこともある。それで私は地域を類型的に見ていく場合に、大都市圏、離島、僻地、そして中規模の都市で初年度着手のところを議論することがこの審議をさらに深めるために必要だ、こう考えましたから、和歌山県の田辺と白浜にお邪魔した。そして以下について皆さんにお尋ねします。  ことしの二月三日に保健医療局は「田辺・白浜統合病院機能等について」こういう案をたしか御発表になったと思うのですが、いかがでしょうか。
  239. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 田辺、白浜の統合のケースにつきましては、統合の構想をまとめまして発表いたしました。
  240. 児玉健次

    ○児玉委員 そのとき私はそれぞれの二つの病院病院長に、多少聞きにくかったけれども、率直に伺ったのですよ。これが出されたとき何らかの意見を徴されたことがありますか。そうしたら、ないとおっしゃった。それからこの案が発表された後、その病院長たる職責にふさわしい何らかの説明が事後においてあったかと聞いたら、それはまだない、こう言われているのですよ。  そこで、私はお聞きしたいのですが、皆さんが出された文書を今ここへ持ってきています。その中で、国立田辺病院国立白浜温泉病院を統合する、がんについて高度かつ集学的診療機能整備する、救急医療云々、そう書いてあります。標榜診療科が十九ですね。それで厚生省にお伺いしたいけれども、十九診療科をどのくらいのドクターのスタッフでなさろうとしているのでしょうか、お伺いします。
  241. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 現段階で発表しました構想では、そういった診療科を予定いたしておりますが、具体的にどれくらいの規模のスタッフをそこへ配置するかといったようなことは、これからさらに細かい内容を詰めていく段階で、逐次そういった点も詰めてまいりたいと考えておりますので、現段階で何人のドクターをそこへ配置するかといったようなことは、ちょっと私どもまだ予定いたしておりません。
  242. 児玉健次

    ○児玉委員 ちょっとそれは何ともうなずけませんね。今田辺にいらっしゃるお医者さんは十二人です。白浜は七人で、計十九人です。私は医療について本当の意味で素人ですから、院長さんにこの十九の診療科をやる場合にどのくらいのお医者さんが要るのだろうかとお聞きしたら、それぞれの方がこうおっしゃった。内科、神経科と書いてあるわけだけれども、内科系でどんなに少なくとも五、六人、外科系で二ないし三人、少なくとも三十四、五人以上の医師が必要だというのです。  先日、私は皆さん方の言い方で基幹施設という名がついている国立札幌病院にお邪魔いたしました。あそこの標榜診療科は、この田辺・白浜統合病院よりずっと少ないですよ。そこにいるドクターは五十人以上ですよ。レジデントがたしか十一人か十二人いらっしゃる。研修医が三人でしたか、そういう数ですね。それで私は多いと思わないわけです。厚生省、どうでしょうか。  「田辺・白浜統合病院機能等について(案)」これが二月三日に発表されたら、皆さん方の関西の医務局は抜く手も見せず、それまで反対決議をしていた自治体、田辺市も白浜町もそうです、直接町長さん、市長さんにアタックして、そして第三地点における用地造成を、その段階では確約せずに始めさせて、先日お伺いすると、やっておけと言っておいて、それについて言ってみれば厚生省は裏打ちをなさった、こう聞くのですよ。そうなってきますと、地元意向を十分に聞くと言われているけれども、そこの院長さんに事前にも事後にも意見は聞かない、一片の紙切れを出しておいて、これをどういうふうに具体化していくかということについても何も言わない。しかし、この紙切れは田辺、白浜でばく進していますよ。今よりいいのができるのだったらそれでいいだろう、そういう形で皆さんの初年度着手は――私は時間があれば高知の場合も千葉の場合も詳しく申し上げたいのだけれども、こういうやり方だったら地元意向を聞くことになりませんし、むしろ厚生省の権威を失墜させていくことになりますよ。  そういう中で、地域医療を良くする会・準備会というのがあります。非常にまじめな会です。ここが田辺と白浜のそれぞれの病院について、どうすれば国立病院としての機能を強化できるか。田辺病院について言えば、高次の救急医療、がん、循環器の専門機能の強化。白浜の病院については、大臣、ここの前の院長を私は尊敬するが、関節が痛い人、そしていわゆる山でチェーンソーで世間一般に白ろう病と言われる振動障害の方々、こういう方々は関西全域から白浜温泉病院に集まられる。皆さん方の予算によってクアハウスがつくられ、森林浴が患者によって喜ばれていますよ。その白浜病院では、老人医療への対応とリハビリ機能の強化、そしてスタッフの増員もしてほしい。ここに中間都市における国立医療機関のあるべき姿が住民の側から提起されているのじゃないでしょうか。その提起に真剣にこたえるのが厚生省の責務だと思うが、どうでしょうか。
  243. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 私どもは統合した新病院の構想を発表いたしましたけれども、その内容につきましては、各施設の長にも随時意見を聞きながら、私どももそういうものをまとめていったつもりでございます。それからこの統合問題につきましては、和歌山県を初め関係自治体ともいろいろ話し合いながら事を進めてきたつもりでございます。そういうことを進めてきた結果、いよいよおおよその予定地も内定いたしまして、その買収方をお願いし、引き受けていただくような状況になっている段階なのでございます。
  244. 児玉健次

    ○児玉委員 私は、中央の官庁が住民といろいろ協議をするというとき、ボタンをかけ違えたらまずいと思いますね。だって、白浜そして田辺、その二つだけでなくて、周辺の全部の町が二つの国立病院を存置してほしいという決議を上げていますよ。そしてあなたは今関係者医療についてのいろいろな計画を聞いたとおっしゃるけれども、まずだれから聞かなきゃいけないかといったら、そこの病院長じゃないでしょうか。寝耳に水だという話ですよ。これでは厚生省の進めているやり方は地元の支持が得られません。  国立医療機関あり方ということについて、先日来のこの委員会における審議、かなりの部分については慎重に審議を尽くせばかみ合っていく、展望が開ける、私はそう思うのですが、そういう立場でもう一つの問題に入っていきたい、こう思います。  七つの国立病院療養所にお邪魔をいたしまして、そこで私が痛感したことは何だったか。それは院長さんにしろ事務長さんにしろ、応対してくださる総婦長さんにしろ、不思議にいつもその三人の方が応対してくださいました。そしてその後お会いした多くの看護婦さんや職員、時にはお医者さん、その方々から異口同音に言われたのは何だったか。大臣、ここは大臣によく聞いてほしいのです。国立医療機関あり方国立病院の展望について、その衝に当たっている我々の意見を十分に酌み尽くしてほしいという希望をこの方々は持っています。そして私たちは医療活動に献身したい、その自発性を引き出すためにも我々の意見を十分に聞いて酌み尽くしてほしい、こう言われていますよ。私は当然のことだと思います。  今、国立病院療養所、ここには差額ベッドがありません。国会議員の先輩の諸先生差額ベッドのない病院に入院されたことがないかもしれませんが、国立病院には差額ベッドがありません。原則として付き添いを要求されません。付き添いをつけることを求められません。非常によくやっています。けさからの論議の中で、厚生大臣、うれしかったでしょう、みんなが国立病院はよくやっていると言っている。どこかの官庁の施設のように出ていってくれと言われることがないのですよ。私の札幌には自衛隊の基地が町のど真ん中にある。近所の人がみんなで場所を変えてくれと言っている。これは彼らにとってはどうなのか。厚生省はその点幸せですよ。大臣は幸せだと思う。みんなから守ってくれと言われている。  そこで聞きたいのです。武田信玄という昔の武将が「人は石垣、人は城」と言いましたね。「人は石垣、人は城」私はけだし名言だと思う。先ほど大臣病院は人だと言われた。その発言を聞いていて、僕はこの言葉を連想したのです。まさに病院は人ですよ。国立病院にとって職員は石垣、職員は城ですよ。そういう方々の意見国立医療機関あり方国立病院の望ましい展望について、院長さん、事務長さん、総婦長さん、関係職員、職員団体、こういう人方の意見を十分に聞くべきだと思うがどうでしょうか。医療をよくしたい、医療を通して国民に奉仕したい、このことで必ず一致点が見つかると私は確信いたします。その点について、皆さん方努力をさらに進めていただきたいと思うので、これは大臣のお答えをいただきます。
  245. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 医療は人であるということは、私も先ほど申し上げたとおりでございますし、国立病院療養所地域の皆様方に高い信頼をおいていただいているということは大変うれしいことだと感じます。  しかしながら、なおこれで十分だと言って胸を張って言えるとまでは私自身思っておらないわけでありまして、なおマンパワーの確保等今回の再編成を通じて行っていき、そしてこの再編成の趣旨にのっとった医療の質の向上、これに向けて努力をいたしてまいらなければならないというふうに考えております。  なお、この再編成を進めるに当たりまして、関係の皆様方と十分話し合いをしていくということを常々申し上げておりますが、その中には当然医療施設長、院長を初め関係の皆様方とも御相談をして話し合っていくということは必要であるというふうに考えております。
  246. 児玉健次

    ○児玉委員 余りにも当然のことで、これまでどちらかというと地元との協議の問題が出てきていますから、今大臣が言われたように、病院長を初め関係の方々、関係の職員などそういう人と十分協議をしていく。そうすれば、国立病院の将来、どういうのが望ましいか、その点で必ず一致点が見つけられるはずですから、この点の努力は私は重ねて強く求めます。いいですね。  さて、そこで三つ目の問題に入りたいと思います。  国立病院国立療養所、このあり方についてさまざまな議論がされております。そしてきょう二回目ですが、その中で私流に理解をすれば、厚生省皆さん方は、基本的、一般的医療は他にゆだねて、より広域対象とする高度、専門医療に重点を移したい、そのときそのときで若干のニュアンスの違いはありますが、大体そういうふうに言われてきたと思うのですが、ちょっと確かめたいのです。その理解でいいでしょうか。
  247. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 私もそのように申し上げてまいりました。
  248. 児玉健次

    ○児玉委員 そこで、この先日来の議論の中で私は幾つかの新しい発見をしたのです。それは大臣もおっしゃったし、審議官も繰り返しおっしゃった。財政問題だけがこの問題の動機ではない、そういうふうに言われた。先ほどはその効率性の問題もちょっと言われましたが、しかし財政問題だけがこの問題の主たる動機ではないという趣旨のことを言われている。これは私自身が厚生省に対して抱いていた見方をちょっと変えました。これはさらに議論を尽くすとなかなかおもしろいことになる、そう思っております。  そこでお伺いしたいのですが、今病院の生き残りが声高に議論されております。医療機関が特殊診療機能の強化に血眼になっております。それが病院医療機関のサバイバルだと言われる。もし皆さん方国立医療機関の仕事を高度、専門医療に特化するとすれば、このサバイバル競争をあおることにならないでしょうか。その点について伺います。     〔長野委員長代理退席委員長着席
  249. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 各種医療機関が漸次整備をされてきた中で、国立病院というのは一体どういう役割を分担すべきかというのを明確にしていかなければ、これからの国立医療機関整備といったことについても一般の理解を得がたいのじゃないだろうか。また臨調からもそういったような役割の明確化ということの御指摘を受けたわけでございます。そういう場合におきまして、今後の国立病院というのはいろいろな医療機関の中でどういった分野を分担していこうかといったことになりますと、国が直接医療サービスを提供するということになりますと、やはり一部の限られた普通の医療を提供するのではなくて、かなり広範囲な――(児玉委員「恐縮ですけれども簡潔なお答えをお願いします」と呼ぶ)はい。広範囲な地域対象にする、つまり高度あるいは専門的な医療を分担する、こういうのが国立医療機関としての役割分担であろう、これが妥当な役割分担の方法であろう、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  250. 児玉健次

    ○児玉委員 非常に鋭敏な審議官のお答えとしては、やはり若干苦渋に満ちていると思いますね。だって、私が聞いているのは、民間の医療機関を含めて高度医療にどんどん集中していく、それがサバイバル、生き残り競争で勝つ道だと言われているときに、皆さんがなさろうとしておることはそれをあおることにならないのかと聞いているのですよ。私はなぜ国立病院が高度医療に特化するのかとお尋ねしているのじゃないのです。あおることになるのじゃないでしょうか。  そして、もう一つ関連してお聞きしたいのは、離島、僻地の医療過疎化、大都市への医療機関と医師の過度の集中、これが社会問題になっていますよ。私のいる北海道の根室なんという管内は、全国の中で人口当たりの医師の数が極度に低いところですよ。そういう中で、皆さんの今度の高度、専門医療への特化というのは、医療機関と医師の大都市への集中に厚生省自身が拍車をかけることにならないだろうか。私は医療法の三十条の五を読んでみました。そこにこう書いてあります。「国及び地方公共団体は、」――「国及び」ですよ、「地方公共団体は、医療計画の達成を推進するため、病院又は診療所の不足している地域における病院又は診療所の整備その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」と書いてあるじゃないですか。なぜ厚生省はこの道を歩まないのですか。
  251. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 その医療法の規定の趣旨は、国が直接医療の提供を行うという場合のほか、そういったような医療施設整備を推進する、そういったようなことも含めて規定されているというふうに理解いたしております。
  252. 児玉健次

    ○児玉委員 国立医療機関の戦後の発足の経過についてもこの委員会で議論が始まりました。それで私いろいろ調べてみたら、こういう大変興味深いことにぶつかりました。国立療養所化学療法共同研究班、いわゆる略称国療化研といいましたが、全国百数十カ所の療養所、そこで結核の化学療法、そのことについて見事なコントロール、見事なデータの集積をなさって、昭和三十年代の初めから約十年かかり、ヒドラジッド、ストレプトマイシン、こういった化学療法の効能、効果、副作用、用法、用量、こういったものについて一つ一つの臨床例を細かに正確に追跡され、そしてそれを国療化研に集中され、どの薬とどの薬をどのように組み合わせて、毎日投与するのがいいのか、週二日投与するのがいいのかなどなどについて集団的な研究をなさって、ついにその中で、日本人とアメリカ人の結核化学薬品に対する反応の違いまで導き出された。日本国内だけでなく国際的にも非常に高い評価を受けた。今度のこの懇談会の意見書を見ていますと、意見書の冒頭にこういう言葉が出てくる。「国民病といわれた結核の撲滅等に残した足跡は大きい。」ああこのことを言っているんだなあと私は思ったのです。この国療化研の業績について、厚生省の評価を聞かせてください。
  253. 仲村英一

    仲村政府委員 国療化研は今も続いております。結核に限らず、現在は呼吸不全でございますとか肺がんとか対象の疾病を変えつつも、国立病院のネットワークとして、いろいろの医療を総括的に見られるという国立病院の特性を生かして、今おっしゃったような偉大なる成果を生み出したことを、私ども非常に評価すると同時に、当時の国立療養所先生方に非常に御苦労をかけたことを感謝しておりますけれども、結核につきましても、現在は、もちろん最大の伝染病でございまして、注意を怠るわけではないわけでございますけれども、当時の国立療養所の病床のシェアと現在のシェアはかなり違っておるということから、やはり視点を変えて、国立病院機能をるる御説明しておりますような方向で再編成していきたい、このようなことで私どもは考えております。
  254. 児玉健次

    ○児玉委員 非常に大きな業績であったと率直にお認めになったし、そしてそれを皆さん方は誇りに感じていらっしゃるようです。しかし、局長の頭の中にはどうしてもこれをやりたいものだから、これについての言葉をつけ加えざるを得ないというのが今のお答えでした。  私は率直に言いたいのですよ。高度先駆的医療、これを日本の適当な医療機関がますます国民の期待を背に受けて前に進めることに私は大賛成ですよ。その際、高度先駆的医療というのは国立病院の独占物ではありません。大学病院、そして民間の病院、それぞれが優秀なスタッフと多くの研究蓄積を持って仕事をしています。何が問われなければいけないのか、それは高度先駆的医療を目指す医療機関協力、共同の関係ですよ。力を合わすことですよ。今局長おっしゃった、今もやっているというそのデータを、私は先日いただきました。そこでは国立病院だけでない、相当なところがネットワークに入っているということを私も確認いたしました。  そこで言いたいのですよ。大学病院や民間病院とも協力して進めなければいけない。そのとき国立病院療養所の持っている特性は何だろうか。大学病院にもなく民間の大病院にもない国立病院療養所の特性は一体何だろうか。そこで私は昭和三十二年から十年間繰り広げられた国療化研のすばらしい業績に思いをいたさざるを得ないんですよ。  国立病院の特性は何か。全国に存在している国立病院療養所がそれぞれの地域地域の方々の厚い信頼を受けて、皆さんの言葉を使えば基本的、一般的医療、私たち流に言えば地域医療を展開している。それが国の医療機関として混然たるネットワークたり得る。これは大学病院や民間病院が逆立ちしてもできないことですよ。国立病院療養所だけがこの道を進むことができるんです。ぜひこの後のこの委員会の論議で、そういった方向国立医療機関あり方について論議が進むことを私は希望しますし、十分な時間をかけて論議をしていけば、私はさまざまな一致点が求められると思う。そういう立場から私のきょうの第一回目の質疑を終わりたい、こう思います。
  255. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 ただいま先生から結核医療についての国立病院療養所が果たしてきた使命について高く評価をいただいたわけでございます。まさにそれが昭和二十年代後半そして昭和三十年代前半の国民の最も関心の高い、また取り組まなければならない、今で言えば専門的もしくは高度医療の分野であったと思うわけでございます。それを遺憾なく国立病院が果たしたわけでございます。  きょう現在から将来にかけて、また果たさなければならない目的というのは時代の変遷に伴って当然変わってきておるわけでありまして、新しいこれから将来へ向けての国立病院として取り組んでいかなければならないことに取り組み、そしてまたこれから二十年、三十年たったときに、やはりよくやったと言っていただけることを今目指しておるわけでございます。  そして国立病院療養所が高度、専門的な医療を行っていく、こう申し上げておりますが、確かに先生が御指摘のように、国立病院療養所だけでこれをすべてやり切っていくというふうに思っておるわけでは当然ないわけでございまして、他の医療機関におきましても、大学病院を初めそういった専門医療を行っている医療機関と調和をとりながら、そういった分野における使命を果たしていく。同時に国立病院療養所だけのネットですべてが解決できるものではないと考えております。他の公的医療機関、そしてそういった高度または専門的な医療を担当する医療機関とともに力を合わせて行っていく、またある場合にはそのリーダー的役割を果たしていく、こういうことで国立病院が使命を果たしていく必要があるというふうに考えております。
  256. 児玉健次

    ○児玉委員 最後に一言。三十年、四十年振り返ってみて、そしてあのときどうだったかというそういう発想は私は大賛成です。三十年、四十年見てどうだったか、そのとき二つの道があるのですよ。一つは、私がさっき言いましたように、高度医療という日本の医療機関が生き残り競争をかけるとき、国が先頭になってそれをプッシュする。医療過疎から大都市にどんどん医療の集中が行われているとき、それを厚生省がみずからの傘下にある国立病院で拍車をかける。この道は後世の評価を受けませんよ。やはり今もお話があった昭和二十年、三十年、それを私は今機械的に繰り返せと言っているのじゃないですよ。歴史的教訓として謙虚に学ぼうと言っているので、その立場にお立ちになることを強く求めまして、私の質疑を終わります。ありがとうございました。
  257. 堀内光雄

    堀内委員長 伊藤忠治君。
  258. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私はこれまでの委員諸氏の議論を聞いてきまして幾つかの疑問などもございますし、ただいまから順を追いまして質問をさせていただきたいと思います。  まず、今回の特別措置法案ですが、これは厚生省が進めようとしております国立病院の再編成実施するためにどうしても財政措置を講じなければできない、それを裏打ちする必要性から措置法案が提起をされているものだ、こう理解をしているわけでございます。計画だけ決めましても、さまざまな議論がございますとおり、実行に移そうと思いますと、財政措置あるいはどのようにそれを処理していくかということで、このことを抜きにしては到底考えられないわけですから、再編成計画と財政措置とは一体的な関係にある、このように考えているわけでございます。ところが、現在委員会で審議が行われているさなかなんですが、それと同時並行的に、厚生省としては地方自治体等に一方では話を進められて、再編計画というものが実施に移していけるように水面下を含めて着手をされているということなんでありまして、八月二十日ですか、前回の委員会の審議の際に川崎審議官が発言をなさいまして、当面再編計画統廃合の箇所は県別に申し上げればこうだ、新聞報道にもきちっと載っておりますが、統廃合で四十施設地方自治体などへの経営移譲で三十四施設の削減をそれぞれ目指している、記事にも具体的な箇所が載ったわけでございます。そうしますと、地元皆さん、それぞれの当該の皆さんにしてみれば、国会では今再編計画実施可能にするための一体的な関係にある法案審議がやられているのに、その結論が出ていない一方で、そういう厚生省としての具体的な折衝が進められているということになれば、国会審議との関係は一体どうなるのか。こういう素朴な声が今非常に起こっているわけでございます。  そこで、質問申し上げるわけですが、机上プランではなかなかいかない、ですから実施可能な計画にしたい、そういう意味で箇所を設定するための事前の当該自治体を含めた関係者との折衝を先行的に厚生省がやられたのかどうかという点をまず一点質問いたします。
  259. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 この問題は先生も十分御承知のとおりでございますので、あえて申し上げるのも失礼に当たるかと思いますけれども、かなりの皆様方におきましては、そこを混同されて誤解されている方々もあるし、また意識的にそのように混同しておっしゃっておられる方もあるわけであります。といいますのは、再編成計画実施、これはこれで進めていくべきものであって、この法律の、非常に極端なことを申し上げれば、成立の有無とは別に再編成計画は進めてまいりたい、まいるべきものであるというふうに考えております。しかしながら、その再編成計画を進めるに当たって、移譲もしくは統合をして、その後医療をどう確保するかということにおいて、今回の特別措置法をもって一層円滑にさしていただきたいという趣旨でございまして、あくまでも今回の特別措置と再編成計画の進行とは別問題と申しますと、ちょっと言い過ぎになりますけれども、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  260. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 厚生省が再編成計画をやられるというその責任ある立場というのですか、今大臣が御答弁いただいた考え方でやられるのですが、しかし、この措置法が日の目を見る、財政措置を具体的にやっていく、再編計画を実行可能なものにする条件を非常によい条件をつくるというのですか、そういう意味では私はこれは不可欠のものだと思うのです。そういう財政措置が、もし措置法案がなければ再編計画がそんなにすいすいいくはずがございませんし、それほど問題のないことであれば委員会でもこれほどの審議にはならぬわけです。私はそういう意味で一体的関係というふうにとらえてやっておられるのではなかろうかと質問しているわけですから、いや、直接関係ないんだ、別々にいったっていいんだ、そういう物のとらえ方には絶対ならない、こういう理解をしておりますけれども、その点は気持ちがあるのでしょうかね。
  261. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 まさに先ほど申し上げましたように、この再編成計画を進行させてまいる場合に、移譲または統合をした、その後医療をどう確保するかということについて一層円滑にこれを進めていけるための特別措置法であるわけでございます。関係がないというようなことを私が先ほど申し上げましたのは、この審議がまだ決着を見ない段階で再編計画の箇所等について述べるのは問題ではないかという御趣旨のお話がございましたので、再編計画をどのような形でやっていくかということについては、既に検討をし、地域の皆様方の御理解を得るための努力、そしてその実施に向かっての努力というものについては、もう既に始めさせていただいておるところでございます。     〔委員長退席浜田(卓)委員長代理着席
  262. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 続いて質問申し上げますが、審議官の答弁で明らかになりました全国の箇所がございます。二十日の御答弁で明らかになった中身と当初出されました計画、資料をいただいているわけですが、私、これを比較対照いたしました。  それで、北海道に例をとりますが、当初の計画では、統合のケースで米印のついているところは、国立療養所帯広病院国立十勝療養所になっていたわけですね。二十日に審議官が明らかにされました計画内容では、小樽病院を廃止し札幌南病院と西札幌病院に分散統合、こういうことになったわけです。当初計画と二十日の審議官の御答弁とは箇所が変わっているわけですね。これはどうして変わったのでしょうか。
  263. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 その点について若干御説明をさせていただきたいと思います。  先般の当委員会の審議で池端先生から御質問がございまして、それに対して御答弁申し上げたわけでございますが、私の御説明が不十分であったというかちょっとわかりにくかったせいかもしれませんけれども、池端委員からの御質問は、今度の再編成計画で統合が四十ケースある、その四十ケースの統合について、一体その統合によってなくなる施設はどの施設なのか説明してもらいたいという御質問があったわけでございます。それにっきまして、若干でございますけれども、作業が進行しておおよそ内定しているものもある、しかし大半は――統合といいますと、いずれかの施設の方に寄せて統合するか、あるいは両施設とは別個の場所に統合施設を新しく設けるか、そういったような場合があるわけでございますけれども、これはこれから作業を進めていく中で統合の場所というものは決まるのであって、まだいずれの場所かというものは決まっておりませんと。しかし、そうは言っても、計画を作成した段階において何らか見当をつけているものもあるだろう、こういったような御質問がございまして、それに対しまして、この四十ケースのうちここここにつきましては、おおよそこういった場合を想定いたしております、こういうふうにお答えいたしましたのが新聞報道に出ました具体的な箇所名でございます。したがいまして、現在着手するとか作業を行っている施設だとか、具体的な見通しが立ったとか、そういったような意味での施設名ではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
  264. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 いろいろそういう事情はあるのでしょうけれども、実際に答弁なさって、当初の計画でいけば帯広病院と十勝療養所対象になっていたわけです。初年度はそうですね、米印ですから。それが引っ込んで、新聞でも明らかになっておりますように、札幌の病院関係が出てきたというのは、これはどういうことなんでしょうか。ほかの箇所はほとんど当初と変わっていないのですよ。
  265. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 北海道の例で申し上げますと、帯広と十勝を統合するのを現在重点的に手がけているということについては、当初から変わりはございません。  ただ、統合する場合の場所がおおよそ想定しているものがあるだろうというその一つの例といたしまして、小樽と札幌の二つの施設を統合する場合に、小樽療養所が札幌の二つの施設の方に統合されます、こういう場合の例として申し上げたわけでございまして、率直に申し上げまして、小樽と札幌の両施設の統合につきましては、具体的な作業はほとんど行っておりませんし、進展もございません。
  266. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。当初計画の統合はいろいろ地域事情があってなかなか難しかろう、それで札幌の統合のケースが出てきた、そういうふうに入れかわったんだ、このように理解をさせていただいていいのですか。私、変わったことをどうのこうの言っているのではないのです。変わったことをけしからぬではないか、けしかるではないかとは言っていないのです。なぜ変わったのでしょうかとその理由を聞いているわけでして、どうもやりとりがすれ違っておるものですから、私は逆にそういう御事情でこの当初計画とは変わったんでしょうかね、こう聞いているわけです。そのことを私は責めているのではないのです。
  267. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 重点的に取りかかっているケースとして、帯広と十勝のケースは変わっておりません。ただ、帯広、十勝について、その場合に例として取り上げなかったのは、帯広と十勝を統合して、どこで統合するか、あるいはどちらで統合するかということは現在決まっていないので、申し上げなかったわけでございます。
  268. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、そちらの方は決まってないのですが、札幌の方は決まっているから発表されたのですか。
  269. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 見当がついているものがあるだろうというような御質問でございましたので、そういったつもりがございますという例で小樽を申し上げたわけであって、取りかえて小樽の方を先行させて作業をやろうというわけではございませんで、北海道の例で申し上げますと、帯広、十勝を当初から、現在も、今後も重点的に取りかかっていくということには変わりはございません。
  270. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 そうすると、小樽の方は見当がついている、当初計画の方は現時点では見当がついてない。見当がついているということは、それだけ再編成計画実施に移しやすい条件がある、常識的に考えたってこういうことなんでしょう。そう理解していいですね。     〔浜田(卓)委員長代理退席委員長着席
  271. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 必ずしもといいますか、そういうようなことではございません。見当がついているというのは、小樽療養所と札幌の二つの施設とを統合する。一体それはどういう内容かと申しますと、小樽療養所機能を札幌の二つの施設へ分割して統合するという形になっているわけでございます。したがいまして、小樽療養所が両方の施設、札幌の二つの施設の方へ機能が移行していくということについては見当がついているわけでございますから、見当がついている例として、その例を申し上げたまでなんでございます。
  272. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 結局、見当がついている箇所を挙げられたということですね。当初計画から二十日の時点までの間に見当がついたところは、初年度計画として答弁で明らかになさった。その時点で見当のついてないところは、当初計画に載っていたけれども、それは外れた、こういうことなんですね。答弁をまとめますと、そういうことですね。  それでは聞きますが、ほかのところは全部見当がついているわけですな。
  273. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 したがいまして、他のところは見当がついてないわけでございまして、まだ場所は未定なわけでございます。  それで、見当がついておりますのはどういうところか。見当がついている中の一つとして小樽と札幌の二つの施設の統合を申し上げたわけでございます。
  274. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 北海道は当初計画で帯広が出ておりまして、見当がついた小樽の統合を発表なさったわけですね。そういう答弁だったのですね。そうでしょう。それじゃほかも見当がついておるからほかの件も発表になったのですかと言ったら、ほかのところは見当がついていない。どういう意味ですか。全然通じない。
  275. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 私のお答えがまずかったようでございますが、そのとき申し上げました具体的ケースは見当がついているケースでございます。
  276. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 これは初年度のことですから私は問題にしているわけですよ。そうですね。十年構想でやられるわけですから。初年度で米印がついていまして、そこのところが北海道関係だけたしか変わっているものですから、どういう理由だろうかというので私はお聞きしたわけです。お答えいただいてわかりました。  でも、そういうやり方でいきますと、これは事情があって見当がつかなければ、初年度計画からは変更可能なんだというふうに見ていいのではないですか。
  277. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 具体的な作業を進めていきます場合には、私は大変難しい問題があると思っております。  といいますのは、もう地元皆さん関係者の皆様方の御意向は余り聞かないでどんどん独善的にやっていくということであれば、例えば私どもが考えました統合の場合で言えば、統合の場所、また診療内容等も決めてどんどんかかっていけばいいわけでございまするけれども、あくまでもこの再編成実施については、地元の皆様方の意向を十分お聞きしながら進めていくということでありまするので、いろいろなお話し合いの中で、そういった場所の問題、また内容の問題等についてそれぞれ修正なりがなされ、また御意向によって組み立てがなされていく、そういう段階を経ながらいろいろなことが徐々に決定されていくという性質があると思いますし、またそうでなければならないと思うわけでございます。  でありまするので、見通しが完全に立っておるということがなかなか申し上げにくい。しかしながら、この国会の審議の場で率直にどういう意向を持っているか言ってみると言われた場合には、こういった意向を持っておりますということを申し上げるという場合も出てくるわけでございまして、その辺が、この再編成実施、推進をしてまいりますために、地元の皆様方の御意向を酌み、十分な話し合いをしていくという観点から大変難しい問題でございますので、ひとつその点は御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  278. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 大臣の御答弁をお聞きしていますと、答弁では理解ができます。つまり計画を決めたって、そのように計画どおりいくものじゃない、それぞれ地域の事情もあり、病院は条件が区々でございますから、そういうものはしんしゃくするというか、本当に地元としっかり話し合いができて、一致点が見出せなければ、何ぼ計画を決めたって、それは実効を伴わないものだという御答弁の趣旨だったと私は思いますから、その御答弁はよくわかります。  それで、この米印のところ、初年度計画というのは何年度中にやろうという計画ですか。
  279. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 昨年の一月に再編成の全体計画策定し、発表したわけでございますけれども、それに先駆けてでございますけれども、全体計画のうちの八ケースを発表いたしたのですが、それをまず重点的に作業を進めていくケースとして取り組んでいるというのがその八ケースでございます。  したがいまして、いつまでにやるというのではなくて、そういうふうに重点的に取り組んで、その作業の進め方につきましては、地元自治体とのいろいろな意見調整とか、その具体的な統合の新病院の内容とかあるいは統合後の医療の問題とか、そういったことを一つ一つ地元との話し合いの中で詰めていくといったような作業を着実に進めていかなければならないわけでございますので、当初の八ケースを何年までにやるというようなものではございません。また八ケースすべてが足並みをそろえてできるものでもございません。
  280. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私の地元のことを言って恐縮ですが、初年度統廃合ケースに当たっております。審議官に聞くのですが、見通しついているのですか。先ほどの答弁をこれにはめますと、見通しはついているのですか。
  281. 川崎幸雄

    川崎(幸)政府委員 統合の場所についてどういう意向かということにつきまして、それは両施設と別個の第三の地点で整備することを考えております。それで津、静澄の統合につきましては、今関係方面との話し合いをしながら進めているところでございます。そういったところでございます。
  282. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 何か非常に歯切れの悪い答弁でして、私は具体的に申し上げますけれども、静澄病院ケースなんです。静澄病院が廃止をされて、国立病院へ統合される側なんです。病院がなくなるケースなんです。  御承知だろうと思いますけれども、非常に立派な面積、坪数が三万二千五百十六坪。病院の建屋、これは改修をされたばかりでございます。増改築が頻繁に行われまして、かけられた経費が、私、一覧表を持っていますけれども、締めて十七億六千八百七十四万八千円です。これはほぼ五年間を中心に重点的に建設がやられました。改修ではございませんで、新築がほとんどなんです。  この病院は重度身障者、肺結核、もともと肺結核から出発しているのです。この病院の増改築に使われました十七億六千万のうちの大宗を占める建築は何であったかということなんですが、重度身障者用の新築が一億三千四百万、それから病棟の新築が五億三千四百万、さらに治療棟の新築が三億九千八百万、大きいのはこういうところなんです。それからあとは専門的な診療棟新築経費というのが三億です。という中身を見てもわかりますとおり、相当な経費を使ったわけですね。ですから、非常に立派な病院に衣がえ、拡充をしまして、町民の皆さんの健康と命を守る、そういう大きな役割を果たしてきているわけです。  この一連の、言うならば、新築に等しい改造計画が全部終わりました。仕上がったわけです。機器の搬入もされたわけですが、それの完成を見たのが六十年七月で、この再編計画の出されたのが六十年の八月ですね。これはどうお考えですか。十七億六千八百万もお金を使いまして、これは税金ですよ、そうして立派な病院に拡充をなさった。よくなったなというので、さあこれから頑張ろうと、職員の皆さんも非常に意気込み盛んなわけですね。地元の利用者の皆さんにしてみれば、その病院で私たちの健康が管理していただけるというので、大変関心が高まった。その翌月に廃止という発表ですよ。これはどうお考えですか。これを見て、ああ政府はよくやっているな、そんなふうに考える人がいたら、ちょっと頭がおかしいのじゃないですか、私はそう思っているのです。こういう常識では考えられないような経過をたどっているわけですね。  今回、再編成計画では廃止をするんだということで、しかも初年度でそれが出てきているわけですから、町民の皆さん反対するというのはむしろ当然だと私は思っていますよ。やはり反対の声というのは、静まるどころか非常に根強いものがございます。そういう中でこの再編をやっていかれる、初年度計画だ。審議官の話によれば、どこまで進んだかは別にして、それなりに手ごたえがあると言われると、これは住民医療関係皆さん方の気持ちとはかなりかけ離れているんじゃないか、私はこう思っているわけで、その辺はきちっと現地の状態あるいは住民皆さん医療労働者の皆さんの気持ちというのをわかってもらわないと、いかに十年計画でやろうと思ったって、そうはいかぬと思うのですよ。  それで、今回の審議がいつかは打ち上がっていくでしょう。それじゃさらに財政措置もできたんだから計画を進めようと言われましても、それぞれ個々にこういう問題を抱えているわけですから、実行の段階でなかなかそういかないという問題を持っていると私は思うわけであります。  この再編計画を見て考えてみました。どういう格好になるんだろうか。強引にやられるということになれば、静澄病院は津病院に統合されてしまいます。後の施設は、厚生省方針によりますと、何も使わないわけです。そうすると、ペンペン草を生やしておくのか、それはもったいない、じゃ、地元地方自治体医療機関としてそれを引き継いでいただきたいといっても、もう自治体は、関係者皆さんの声が出て、私も直接聞いたことがございますけれども、そんなものとてもじゃないが当該の町が引き継いでやれるはずがない、赤字が出るのに決まっているかちお断りと。第三セクターに道を探すにしても、私はなかなか展望が開けていかないと思うのです。これは仮定の話ですが、そういうふうに暗い見通ししか立たないと思うわけです。  そうなりますと、国有財産として三万何千坪、十八億近いお金をかけたその施設は、ペンペン草を生やしておくか、それとも民間の進出を政府の方から、どうか進出していただけませんかと、どこかの会社ございませんかというふうに言わなければいかぬ。会社だってそろばん勘定で入ってくるわけですから、会社が入ってきたときに、特別措置の例でいきますと、それじゃ割引しましょうかというケースにこれは入らないでしょう。移譲にも当たらない、譲渡にも当たらぬと思うのですね、病院として引き継がないのですから。すると、その国有地として保留されます静澄病院の跡地はどのようにされるつもりなのか、こういうことです。御答弁ください。
  283. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 私の地元でもございますので、私から特にお答えをさせていただきたいと思います。  先生おっしゃいますように、静澄病院がこれまで整備をいたしてまいりましたことも事実でございます。これは国立病院療養所として運営をしていく以上、そのときどきの必要性に応じてニーズに合った整備を常に怠ってはならないということは当然でありまして、これまでも整備をいたしてまいったところでございます。  しかしながら、今回の再編成の、先ほどから何回か申し上げておりますような趣旨に立ちまして、国立病院療養所全国的な規模から見て再編成をいたしてまいろう、そして三重県の場合におきましても、津病院と静澄病院を統合し、なお一層、高度、専門的な医療機関として広い地域の皆様方の信頼にこたえていこう、こういうことで進めようといたしておるわけでございます。  私は、ことしの五月に、津病院の久居市長、また静澄病院の白山町長に対しまして、それぞれこの再編成の趣旨を十分お話し申し上げ、御協力を賜りたいということをお願い申し上げました。そしてちょうど先週の十九日に両市町の市議会、町議会におきまして、それぞれ対策特別委員会が設けられておりまして、この委員長以下委員の皆様方、久居と白山町、両市町の議員の皆様方が、もちろん議長もおいでになりましたけれども、おいでになられました。  そこで、私は厚生大臣としての資格半分、地元出身議員の資格半分という立場から話を聞いてもらいたいということで、この再編成の必要性をるるお訴え申し上げたわけでございます。皆さんこれをお聞きいただきまして、これは何とか考えなければならないということでお帰りをいただいておるところでございまして、これから何らかいい方向へ向かっての動きがあるのではないかと期待をいたしておるところでございます。  また、この統合の仕方等につきましては、先ほど審議官から申しましたように、第三の地点、すなわち、それも久居市内においてできるだけ白山町の便宜のいい場所を第三の地点として見つけて、そこで整備をいたしたいということを私から申しました。その場合に、静澄園の後利用についてでございますけれども、またこれは後医療が必要かどうかということについてコンセンサスが得られてないわけでございますが、今先生もいみじくもおっしゃられましたし、私もそのような個人的な見解を持っておりますのは、あの静澄園の場所において後医療は必要ではないのではないかというように思っております。もちろん地域の皆様方の御相談によってお考えをいただくことでありまするけれども、後医療が必要がないとなった場合に、これを白山町なりまた地域がどのように医療以外のものに活用していくかということについて、るる御検討をいただけるものと思うわけでございます。  そのことも私からお願いいたしまして、そして地域の皆様方がこんなふうに後を利用して地域の福祉向上のために使いたいという御計画ができましたならば、厚生省といたしましても、また私自身、地元議員といたしましても、その実現のために最善の努力を払わしていただきたい、こういうことを申し上げたところでございます。
  284. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 私の質問しないことまで大臣はしっかりお答えになったのですが、かなりアピールされたんでしょうけれども、こういうことですよ。時間の関係がありますから、これは恐らくはっきりできないと思うのですが、民間が進出してきたときに、その跡地を売るわけにいかぬでしょう。現行のこの特別措置では適用されません。そうしますと、厚生省が国有財産を扱う場合に、厚生省の判断で処理できる問題なのかどうなのかというのが残るでしょう、大蔵省の関係で。そういうことも含めて私は聞いているわけで、民間が病院の跡地に進出してくるなんという、そんなことがちらほら地域に出て、この再編計画がまともに進むとお考えですか。そんなこと絶対――かえってだから反対だということになるわけです。  私が聞きたいのは、ペンペン草を生やしておくんですか、あんな立派な施設を。そこまでして廃止をしなければいかぬのでしょうか。近いところにあるわけですよね、久居との関係は距離は近いんですから。統合されて廃止をするのじゃなくて、それは地元関係でお互いに一致点が見出していける、こういう努力を精いっぱい検討されてしかるべきじゃないかということを私は強調しておきます。跡地の問題をどうのこうの言っているんじゃないのです。それは大臣大臣の立場で言われるでしょうけれども、今の地元感情の中で、引受手がないから医療機関としてはやっていけないのだから、じゃ民間に買ってもらおうじゃないか、そんな話が簡単にいくような状況ではないと私も思っております。いずれにしたって、それは機械的に画一的に統廃合をやる、無理があってもやる、そんなことはあきらめていただいた方がいいだろう、こんなことを私は言っているわけでございます。  それから、津病院関係を申し上げますが、これは今回の再編計画があろうがなかろうが統合する側に今立っているわけですけれども、それだけの規模を持っておりますから非常に黒字経営でございます。従来から出ております要求というのは、建屋が非常に老朽化していますこと、さらに高度医療を実現するということであれば、診療科目をふやしてほしい、土地も狭い、それから関係職員の要員増や労働条件の問題だって、これまでずっと長い期間地元を含めて厚生省に対して要求が出てきたと思うのですね。ですから、私が強調したいのは、再編計画があろうがなかろうが、津病院としては、これの充実策、高度医療体制を確立するための物質的な条件も含めて、きちっと整備をされなければいかぬでしょうということを私は言っているわけです。そうすれば、今ある病院の建屋は古いものですから、これを新築に建て直すということは現在の場所ではできないでしょう。当然これはほかへ移らなければいけませんね。そうしたら第三の場所は当然必要になる。そういう意味に対して大臣はお答えになったと思いますから、第三の場所を探すために厚生省はこれからも精いっぱい努力をしていく、こういう御答弁に対しては私は高く評価をしたいと思っております。その場合には、再編計画ですら診療科目の増設の問題だとかあるいは今の土地が狭いぐらいですから、第三の場所を確保いただくときには、広い便利な場所を確保いただきたいということは当然地元が強く要求することでございましょう。  さらに加えて、それでは今まで使ってきた既設の病院の跡地、この跡地があきますけれども、これは地価で約二十億するだろうと言われております。そうしますと、これは一体どうなるのでございましょうか。厚生省としては、お金のない中でやるのだから、新たな第三の場所を確保する代金の埋め合わせに使われるのか、いろいろございましょうが、跡地は当該自治体が有効に利活用したいと思うのは当然でございまして、そういうことを含めて、ちょっと時間が延びましたが、大臣の方から御答弁をいただければ私はありがたい。これは再編成があるなしにかかわらず要求してきたことでございますから、その点を含めて御答弁を賜りたいと思います。
  285. 斎藤十朗

    斎藤国務大臣 津病院の跡地につきましても、後医療が必要なのか必要でないのかという問題もあろうと思いますけれども、これも私の見方からすれば後医療は必要ないであろうと思うわけであります。  そうなりますと、医療以外の施設に何らか利用するという方向になるであろう。その場合にどのような利用方法が一番いいのか。あの地点は久居市の駅裏でございまして、久居市のまさに中心、よくなるも悪くなるも久居市の将来を決定づけるような場所でございますので、久居市の皆様方が十分御検討いただいて、跡地の利用をどのようにしたい、こんな計画でいきたいというようなことをひとつ皆さんの英知を絞ってつくり上げていただきたい。そしてこれが実現のために厚生省も、また私自身地元の議員といたしましても最善の努力をいたします、こういうことを申し上げておるところでございます。
  286. 伊藤忠治

    ○伊藤(忠)委員 最後に一言。いずれにしましても、統合する側とされる側というのは決定的に条件が違います。静澄病院は統合される方ですから、この立場に立てば、再編成計画の中で廃止されてしまうということ、吸収されてしまうということは、地元皆さんにとってみれば大変なことでございますので、再編計画の中にそのことが入っている限り、これはどんなことがあっても私らとしては納得することができない、こういう立場でございます。その点をしっかり踏まえていただいて、これからの問題解決のために対処いただきたい。このことを強調しまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  287. 堀内光雄

    堀内委員長 次回は、来る三十一日月曜日午後零時四十五分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十六分散会