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1987-08-20 第109回国会 衆議院 社会労働委員会 第4号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十日(木曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 堀内 光雄君    理事 稲垣 実男君 理事 戸井田三郎君    理事 長野 祐也君 理事 丹羽 雄哉君    理事 浜田卓二郎君 理事 池端 清一君    理事 沼川 洋一君 理事 田中 慶秋君       粟屋 敏信君    伊吹 文明君       大野 功統君    片岡 武司君       木村 義雄君    古賀  誠君       佐藤 静雄君    自見庄三郎君       高橋 一郎君    戸沢 政方君       中山 成彬君    野呂 昭彦君       三原 朝彦君    箕輪  登君       持永 和見君    伊藤 忠治君       大原  亨君    河野  正君       田口 健二君    田邊  誠君       永井 孝信君    村山 冨市君       中村  巖君   平石磨作太郎君       吉井 光照君    塚田 延充君       児玉 健次君    田中美智子君  出席国務大臣        厚 生 大 臣 斎藤 十朗君  出席政府委員        厚生大臣官房審        議官      川崎 幸雄君        厚生省健康政策        局長      竹中 浩治君        厚生省保健医療        局長      仲村 英一君        厚生省保険局長 下村  健君 委員外出席者        自治省財政局準        公営企業室長  大屋 正男君        社会労働委員会        調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 委員の異動 八月十九日  辞任        補欠選任   片岡 武司君    村上誠一郎君   古賀  誠君    高鳥  修君   自見庄三郎君    山村治郎君   高橋 一郎君    鳩山由紀夫君   戸沢 政方君    斉藤斗志二君   中山 成彬君    木村 守男君   野呂 昭彦君    佐藤  隆君   三原 朝彦君    谷川 和穂君   箕輪  登君    松田 岩夫君   伊藤 忠治君    早川  勝君 同日  辞任        補欠選任   木村 守男君    中山 成彬君   佐藤  隆君    野呂 昭彦君   斉藤斗志二君    戸沢 政方君   高鳥  修君    古賀  誠君   谷川 和穂君    三原 朝彦君   鳩山由紀夫君    高橋 一郎君   松田 岩夫君    箕輪  登君   村上誠一郎君    片岡 武司君   山村治郎君    自見庄三郎君   早川  勝君    伊藤 忠治君 同月二十日  辞任        補欠選任   田邊  誠君    田口 健二君   新井 彬之君    中村  巖君 同日  辞任        補欠選任   田口 健二君    田邊  誠君   中村  巖君    新井 彬之君     ――――――――――――― 八月二十日  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願渡辺美  智雄君紹介)(第四九八号)  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案廃案等に関する請願石井郁子紹介)  (第四九九号)  同外一件(馬場昇紹介)(第五〇〇号)  同(村山富市紹介)(第五〇一号)  同外二件(池端清一紹介)(第六一三号)  同(児玉健次紹介)(第六一四号)  労働基準法の一部を改正する法律案廃案等に  関する請願不破哲三紹介)(第五〇二号)  労働基準法改悪反対等に関する請願藤原ひろ  子君紹介)(第五〇三号)  労働基準法改悪反対等に関する請願藤田ス  ミ君紹介)(第五〇四号)  後天性免疫不全症候群対策充実・強化に関す  る請願児玉健次紹介)(第五〇五号)  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案反対等に関する請願阿部昭吾紹介)(  第五〇六号)  同外九件(稲葉誠一紹介)(第五〇七号)  同外一件(柴田睦夫紹介)(第五〇八号)  同(田中恒利紹介)(第五〇九号)  同外二件(永井孝信紹介)(第五一〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第五一一号)  同(阿部昭吾紹介)(第五四七号)  同(上田哲紹介)(第五四八号)  同(浦井洋紹介)(第五四九号)  同(金子満広紹介)(第五五一号)  同(工藤晃紹介)(第五五二号)  同(児玉健次紹介)(第五五三号)  同(田中恒利紹介)(第五五四号)  同(竹内猛紹介)(第五五五号)  同(永井孝信紹介)(第五五六号)  同外二件(水田稔紹介)(第五五七号)  同(矢島恒夫紹介)(第五五九号)  同(山原健二郎紹介)(第五六〇号)  同外四件(金子みつ紹介)(第五七五号)  同外一件(佐藤観樹紹介)(第五七六号)  同(玉置一弥紹介)(第五七七号)  同外一件(土井たか子紹介)(第五七八号)  同外二件(中西績介紹介)(第五七九号)  同外三件(永井孝信紹介)(第五八〇号)  同外二件(早川勝紹介)(第五八一号)  同外二件(松前仰君紹介)(第五八二号)  同(三野優美紹介)(第五八三号)  同外二件(水田稔紹介)(第五八四号)  同外二件(山口鶴男紹介)(第五八五号)  同外一件(井上泉紹介)(第五九九号)  同外四件(岩垂寿喜男紹介)(第六〇〇号)  同(江田五月紹介)(第六〇一号)  同(小林恒人紹介)(第六〇二号)  同(児玉健次紹介)(第六〇三号)  同外四件(嶋崎譲紹介)(第六〇四号)  同外八件(新盛辰雄紹介)(第六〇五号)  同(関山信之紹介)(第六〇六号)  同外一件(竹内猛紹介)(第六〇七号)  同外六件(永井孝信紹介)(第六〇八号)  同(前島秀行紹介)(第六〇九号)  同外七件(村山喜一紹介)(第六一〇号)  同外一件(安井吉典紹介)(第六一一号)  療術の制度化促進に関する請願外一件(井出正  一君紹介)(第五一二号)  被爆者援護に関する請願田口健二紹介)(  第五四六号)  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案反対等に関する請願遠藤和良紹介)  (第五五〇号)  同(矢追秀彦紹介)(第五五八号)  同(渡部一郎紹介)(第五六一号)  同外一件(石田幸四郎紹介)(第六一五号)  同外四件(遠藤和良紹介)(第六一六号)  同外一件(大久保直彦紹介)(第六一七号)  同(斉藤節紹介)(第六一八号)  同外四件(古川雅司紹介)(第六一九号)  同外一件(吉井光照紹介)(第六二〇号)  労働基準法の一部を改正する法律案反対等に関  する請願川崎寛治紹介)(第五九八号)  国立療養所東高知病院存続等に関する請願  (井上泉紹介)(第六一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法  律案内閣提出、第百七回国会閣法第一一号)      ――――◇―――――
  2. 堀内委員長(堀内光雄)

    堀内委員長 これより会議を開きます。  第百七回国会内閣提出国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案を議題といたします。  本案につきましては、第百七回国会におきまして既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀内委員長(堀内光雄)

    堀内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――  国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法   律案     〔六号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  4. 堀内委員長(堀内光雄)

    堀内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤静雄君。
  5. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 国立病院また国立療養所、これらは旧陸軍病院などを転用して、昭和二十年、戦後間もなく発足をいたしました。当時は医者も少ない、病院もない。そういう中において、国立病院国療のそれぞれの目的に合わせて、その要望にこたえてきたわけであります。当時は病床も少なくて、全国の三〇%を国立が占めていた、そういう状態であったわけであります。しかし、その後疾病構造がすっかり変化をし、最近では公私医療機関全国に非常にたくさんできるようになりました。当時、特に不治の病生言われた結核などを中心とした国立療養所、そういう時代と今とは全く違った状態になってきているわけであります。そういう中において厚生省は、今回この国立病院療養所の再編成計画を打ち出してきているわけでありますけれども、その基本的考えをまず大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  6. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 ただいま佐藤先生からも御指摘がございましたように、国立病院療養所は、戦中戦後の経過を踏まえながら、それぞれ整備をされてまいりました。昭和二十年代におきましては、日本全国ベッド数の中に占める国立病院療養所ベッド数は、御指摘のように約三割、三〇%であったわけでございますが、その後、医療の大変な発展に伴いまして、現在におきましては、全国ベッド数の中で約六%を占めるという状況になっております。それはすなわち、御指摘がございましたように、他の公的医療機関、また私立の医療機関等の非常に大きな整備がなされてまいったということであります。  こういう中で考えますときに、国立病院療養所として全体の医療の中で担ってまいらなければならない分野というものはどこに存するのかということを考え、全体の医療資源の中において分担していかなければならない国立医療機関の果たすべき使命、またその分担すべき分野というものに着目をして、今回の再編成を行おうとするものでございます。そういう考えに立ちまして、これまで以上に広域な範囲の中で、高度または専門的な医療分野国立病院として担って立っていく、こういう必要性がある、このような観点に立って今回の再編成計画というものをまとめさせていただいておるところでございます。
  7. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 ただいま大臣より国立病院役割が昔とは違う、そういう観点に立って見直すのだというお話がありましたけれども、私も当然そういう時期に来ているし、そうすべきである、そう思っております。しかし、現在そういうことが打ち出されたときに、国病国療が数多くあるその地域においては、近隣の住民反対が非常に多くなってきておることも事実であります。特にその付近人たちは、自分達地域から病院がなくなる、そういう漠然とした不安を持っている、そういうことがまず一つであろうかと私は思っております。  確かに時代は変わり、国立病院役割は変わってきたとは言っても、特に辺地ですとか離島、また都市部とは違う田舎においては、国立病院の果たしている役割というのは、地域医療の中に組み込まれているような状態になってしまっているわけでありますから、そういう不安を持つのは当然のことであると私は思っております。特に、一昨年の八月にこの計画の第一次着手分として統合八ケースを公表して、昨年度からその作業を進めているわけでありますけれども、特にそういう地域においても反対意見があるように思います。私のところにもそういう意見が寄せられておるわけでありますけれども、医療確保が難しくなるということが中心であります。これらに対してどのような対策をとろうとしておるのか、お話をお伺いしたいと思います。
  8. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 先ほど申し上げましたような国立医療機関にふさわしい機能を十分発揮させていくという観点から、今回の再編成計画を持ったわけでございますけれども、この再編成計画によりまして移譲される医療機関、または統合され使用されなくなる医療機関については、この地域における医療そのものが必要でないというような考え方を持っておるわけではないわけでありまして、国立医療機関としては必要でないのではないか、他の医療機関によってこの地域医療確保していただくということがあっていいのではないか、こういう観点に立っておるわけでございまするので、その後医療ということにつきましては、私どもも十分慎重にこれを確保していくということが必要であると考えております。そういう場合におきましては、当然ながらその地域自治体やまた関係者皆様方十分話し合いを行い、また御意見をお聞きし、そして慎重に、後医療必要性のある場合には、その後医療確保について最善努力をいたしてまいりたいと考えておるところであります。そういった後医療確保するために、国立病院等資産等を後医療を引き受けていただく公的医療機関等に割引譲渡できるような、そして必要に応じて運営費等の助成も行えるようなことを特別措置として今お決めをいただきたい、こういうようなことで今回のこの法律の御審議をいただいておるわけでございます。この法律の成立を図らしていただきまして、そして円滑な後医療確保ができるように努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  9. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 大臣から今、後医療確保をするというお話もありましたけれども、実際問題として僻地離島においてはなかなか大変な問題だろうと私は思っております。果たして住民の少ないそういう僻地において改めて病院を経営するという方があるのかどうなのか、また地方自治体なども本当にそういうことができるのかどうなのか、たくさんの問題があるように私は思っております。特に離島僻地においては、若い人たちがいない、年寄りばかりが多くなってしまっている、そういうところにおいては、特に病院がなくなることに対しての非常な不安を持っているということであります。それだけに、そのような場所でなかなか引受手が見つからないんじゃないか、そう私は思っているわけでありますけれども、そのようなところは特にどういう考えで進めようとしているのか、お伺いしたいと思います。
  10. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げましたように、この再編成計画は、国立医療機関役割分担といたしまして、一般的な医療は他の公私医療機関にゆだねるという基本的考えに立って行うものでございます。  ただいま御指摘離島僻地等医療確保につきましては、医療政策の重要な課題であるということは間違いございませんが、第一義的には地域に密着した地方自治体等中心となって対応していただくのが適切であろうというふうに考えております。国はその推進が図れるよう、従来から僻地診療所僻地中核病院整備に関します補助等を行ってまいったところでございますけれども、今後ともその充実を図ってまいりたいというふうに考えております。その離島僻地におきまして引き受けることが困難であるとの声も聞きますけれども、地元自治体を初め関係者十分話し合いながら引受手確保が図られますよう最善努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 審議官から今お話がありましたけれども、特に離島僻地においては、国立病院をそのままもう少し続けなければならぬ面もあるでしょう。しかし、基本的にはやはり引受手を探すということが今度の再編計画の一番の目的でもありますから、地元意向を十分に受けながら、地元の事情をよく考えながら進めていただきたいと思っております。  それから、この再編成後の機能類型を見てみますと、私はちょっとこの計画はおかしいんじゃないかと思っているのであります。国立病院の新しい役割が高度、専門医療を行うことにあるならば、その周辺に大学研究機関がないところがたくさんあるわけであります。統廃合して専門化する、高度な専門医療を目指す、そういう目的ではあるけれども、付近大学医局などと結びつけるような状態がなかなかない。そうすると、結局はそれは名前だけであって、高度な医療を目指すということにはつながらないんじゃないだろうか、そういう心配がなされるわけであります。やはりそういう専門化し、高度な医療を目指すとなると、大学医局と相当な連携をとらなければならないでしょうし、また見てみますと、患者の方々が本当にその場所でいいんだろうか、その場所を望んでいるんだろうか、そんなことも私は少し疑問に思うところがあるわけであります。やはり国立病院としての新しい役割を果たしていくとしたならば、専門医が来やすい、またスタッフが集まりやすい、そういう場所につくることが必要なんじゃないか、私はそう思っているわけであります。今回の再編成後の機能類型と配置はどのような考え方に立ってつくったものなのか、考えをお聞かせ願いたいと思います。
  12. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいま御指摘ございました機能類型でございますが、今回の再編成に当たりまして、国立医療機関国立らしい医療施設に質的に整備をしていくに当たって、国立らしい医療機関としてどのような機能づけを行うか、どういうような医療機関での位置づけを行うかといったものを類型化いたしまして、五類型にいたしまして、この類型に当てはめまして、今後の国立医療機関整備を図ってまいるということにいたしたわけでございます。さらに国立医療機関機能を効率的、効果的に発揮させるにはどういったことが望ましいかといったことの考え方をこの類型化に示したものでございますが、ただ、これは白地に描くということでなく、現在ございます国立医療機関現状というものを踏まえながら、これをどのように質的に国立らしい医療機関充実させ得るかというような観点での類型化厚生省考え方をお示ししたものでございます。
  13. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 今のお話のとおり、やはり今は国立病院療養所がたくさんある。どうしてもそういうものを一遍につぶしてしまうわけにいかない。そういうものを利用しながら再編計画の中でそれぞれ特色を持たしていこう、そういう考えは私はわからないでもないわけであります。白地に描くのとは違って、今あるのを何とかしなければ地域医療のためにも大変困ることになるわけでありますから、そのこともよくわかります。しかし、医療というのは玉突き現象のようなものだろうと私は思っております。辺地から中核都市へ移っていく、中核都市からさらに中心都市へと患者が移っていく。重病ならなおのこと難病のようにわからない病気ならなおのこと、やはり中心部中心部と移っていく、国立病院はそういう高度な医療を目指す、だとしたら、患者のそういうような玉突き現象というようなものとはちょっと違ったものになってしまうのではないだろうか、その辺を私は心配しているわけであります。専門病院として広域的に地方に分散させるということが、行政上のサービスにはつながるかもしれないけれども、高度な医療を求める患者家族意向とは異なった方向に行く面もあるのではないだろうか、その辺をちょっと心配しておるのでありますけれども、その辺はどうでしょうか。
  14. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいまの御指摘の点についてはよく理解できるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、国立病院療養所は、他の公的医療機関が担うことが困難な、主として広域対象とした高度または専門的な医療、例えばがんとか循環器病、こういった分野高度先駆的医療、あるいは結核、ハンセン病といった、国が中心的役割を果たすべきことが社会的に要請されるような分野、あるいは難病等医療、こういったようなことを国立病院が担っていくべきであろう、医療機関の中で役割分担をしていくべきであろう、こういうことで再編成を行うわけでございますが、こういった役割を積極的に果たすことができるよう機能充実を図るように今度の再編成をやるということは、確かに現在の国立施設現状を踏まえてという制約はございますけれども、先生指摘患者家族のより高度な医療を求めるという意向にも沿うものではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  15. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 その辺は審議官厚生省側としても、私のそういう意見に対して大体考えは同じだと私は思っております。しかし、実際今、国病国療が全体に昔のままの形で散らばってあるわけでありますから、その役割をまだ果たさなければならぬ面がたくさんありますから、余り理想的なことばかり言っても私はだめだと思います。しかし実際問題、国立の果たすべき役割とは何かということを考えたときに、中心部に大きな、総合的な、高度な医療を目指す機関をつくる、これが国立趣旨であり、目的でありますから、できるだけ早くそういう方向になれるように、これからも一生懸命努力をしていただきたい、そう思います。  それからいま一つ、今度国立が高度な専門医療を行うというのであるならば、先ほど私が申し上げましたとおり、近くに大学医学部医大、そういうものがなければなかなかそういう方向に行けないわけであります。今まで見てみますと、国立病院国立療養所というのがどうも地方の、地域大学との連携がうまくいってないように私には思えてしようがないのであります。大学が文部省の所管であり、病院厚生省所管だからというような行政的な縄張り争いもあるのじゃないかと私は思っております。これからは地方大学と相当うまく密接な関係を持っていかなければならないし、持っていくような努力を一層しなければならぬと私は思っておるわけでありますけれども、その辺はどうでしょうか。
  16. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 大学医学部等国立病院療養所との間で意思の疎通が不十分であるといったことは、時に御指摘のようなことが見られたと思います。国立病院療養所が今後広域対象とした高度または専門的な医療を担い、国立にふさわしい役割を果たしていくためには、地元大学医学部等とのより緊密な連携を図っていくことが極めて重要であることはもちろんでございます。御指摘のことが生じないよう、今後さらに配慮をしてまいりたいと思います。
  17. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 余計なことを言うようですけれども、大学医学部ですとか医大ですとかは、病院同士縄張り争いも非常に激しいところがあります。どこの病院は何々大学系だからといってなかなか医者同士争いもある、そんな状態もあるわけでありますから、相当な努力をしないと、地方においてうまく大学を利用した中において、国立が高度な専門医療を目指すという方向にはなかなかつながらないと思いますから、どうぞひとつ一層のそういう努力をしていただきたいと思います。  おまけに、優秀な医者ほどなかなか大学から出たがらないという面もあるわけであります。大学に残って研究をしたい、そういう医者がますます多くなっていると私は思っております。私の北海道に例をとれば、札幌には北大と医大があるわけでありますけれども、なかなか地方に出たがらない、札幌市内においてもなかなかその大学から出たがらない、そういう面があります。それは医療設備などがほかのところでは不足している、研究費もなかなか足りない、おまけに優秀なケースワーカーなどのスタッフもいない、看護婦もいない、そういうことからだと私は思っておるわけであります。  国立病院療養所が今後より広域対象とする高度、専門医療や高度な研究研修など、その役割を果たしていくということを目標に挙げているわけでありますけれども、十分な医療スタッフ確保施設整備、それに研究費を十分に与えて、その専門家地方に出てもほかの病院に出ても研究に打ち込める、そういう体制をつくらなければ、国立が本格的なそういう方向を目指していけない、そう思っておるわけでありますけれども、どうでしょうか。
  18. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 国立病院療養所がより広域な立場に立って高度または専門的な医療、または研究研修等国立病院としての役割を十分果たしてまいりますためには、その施設整備はもとより、またスタッフマンパワー確保ということも非常に重要なことであるわけでございます。今回のこの再編成によりまして、移譲を行う、また統合を行う、こういうことによりまして一層スタッフ確保なりまた質の厚みというものが出てまいる、そういうことによって、今おっしゃられますように、国立病院としての使命を十分果たしてまいれるようになってくるものというふうに考えております。
  19. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 専門医療を推進するためには、今申し上げましたとおり、地元大学との密接な関係をつくり上げていく、これが何よりも大切だと私は思いますから、どうぞそういう努力をしていただきたいと思うわけであります。  今度の計画の中で、国立病院の統廃合に対して、地域病院としてぜひとも残ってほしい、そういう意見もありますし、もう一つは、先ほどからお話しになっているとおり、専門病院としてさらに充実してほしい、そういう意見もあります。しかし、地域病院として残ってほしいといいましても、今まで国立病院というのは地域医療の中で枠外になっているという面が見られます。どうも地域の医師会や何かどの結びつきが少ない、他の病院とのつき合いも少ない、そんなことが非常に見られるわけであります。ですから、この再編計画を目標どおりに成功させようと思ったならば、先ほどから申し上げましたとおり、よいスタッフをそろえる、大学との結びつきをつける、研究費を十分やる、そんなことももちろんでありますけれども、病院役割はこうだから、こういうことをしなさいという役割をつくったからといって、患者が行くとは限らないわけであります。患者が信頼のおける、あそこの病院なら専門病院として大丈夫だ、そういう信頼をおけるようなものにしなかったら、これはもう患者は行くわけはないわけでありますから、信頼されるような国立病院になれるようにひとつお願いをいたしたいと思っています。  そこで、具体的な例として、私は難病対策についてちょっとお聞きしたいのでありますけれども、ほかの地域は私詳しくはわかりませんけれども、北海道に限ってちょっとお話をさせていただきたいと思います。多分北海道がこうだから他府県にも同じような例もあると思いますので、ちょっとお話をしたいと思うのであります。  今度の再編成で、難病は統合の後は帯広と十勝と合併をしたものにする。もう一つは旭川の道北。この二つに分けてするということになっているわけであります。しかし、実際問題として、この病院には難病スタッフが非常に少ない。難病患者の方々が現在あの病院難病の専門医がいてすばらしい病院だという認識を持っていない。そういうことも私はあると思っているのであります。これは残すとしましたら相当な機能強化を図る必要があると思うわけでありますけれども、どうでしょうか。
  20. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今お話のございました国立療養所道北病院、現在神経筋疾患等の難病に対します医療を限られたスタッフで行っている現状でございます。今後この病院につきましては、神経筋疾患、慢性肝疾患等の難病の基幹施設として位置づけ、整備をすることといたしております。そういった位置づけをしたわけでございますので、その機能が十分発揮できるよう充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。  また、もう一方の国立療養所帯広病院、それから国立十勝療養所の統合後の病院は、精神疾患、それからリューマチ性の心疾患等の難病の高度な専門医療機能を備えた施設として充実整備をするということでございます。同様に機能が十分発揮できるような整備を今後図ってまいらなければならないというふうに考えております。
  21. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 私は、難病のような相当高度な医療を必要とするようなものは、余り地方に置くことを賛成してないわけであります。やはり大学研究機関と近い、相当な専門家の方々が患者とよく接することのできる地域に置くべきである、私はそう思っておるわけであります。地方につくったところで、結局最後には本格的な難病の方々に対応できないんじゃないのか、実はそういう心配をしているわけであります。それだけに地方病院難病病院として指定する場合には、相当十分な対策をとらなければ患者が行かないと私は思っておるわけでありますから、十分にその辺の配慮をお願いしたいと思います。  おまけにもう一つは、帯広と十勝の統合後の機能について、十勝は精神診療所でありますけれども、同じ地域に道立の精神センター、町立の精神のリハビリがあるわけでありますけれども、同じ専門病院国立、道立、似たようなもので町立とある。同じ地域にある。どうもこれは賄に落ちないと私は思っているのであります。これは地域全体としての機能を十分果たした形の中でしなくちゃならぬ。同じ地域にそんなものつくるものじゃない。私はそういう気がしてしようがないのでありますけれども、これはどういうことなんでしょうか。
  22. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今お話がございましたように、帯広病院と十勝療養所の統合後の病院機能は、先ほど御説明したとおりでございますけれども、その最寄りの地に道立の精神センター等がございます。今度の国立医療機関の再編成におきましては、現在の状況というものも踏まえざるを得ないということは、先ほど申し上げたわけでございます。そういった制約もございますが、総合勘案いたしまして、現在の両施設を統合して、先ほどのような高機能医療施設として位置づけをしたわけでございます。  当然、ただいま先生から御指摘ございましたような、この道立の施設との機能の調整を十分行っていく必要があろうかと思います。統合後は精神疾患のうちでも老人性の痴呆症、アルコール中毒症を中心といたしました精神疾患に対します高度医療あるいは臨床研究、教育研修、こういったものを実施するといったような考えを持っております。
  23. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 これは北海道庁や地元とも十分に話し合って、うまく機能分担できるようにしていただきたい、そう思います。  それと、北海道の場合、難病患者の約半分は札幌にいると言われております。人口の四分の一が札幌に集中しているわけでありますから、当然そうなることでありますけれども、そこで神経筋を中心とする難病人たちが一番多く行っているのは札幌にある国立札幌病院であります。ところが今度の計画の中に、難病の精神病院は道東に集中されて、旭川も一つありますけれども、一番患者の多くいる札幌に指定された病院がない。私は非常に片手落ちだと思っているのであります。  先ほどからお話ししましたとおり、札幌に二つの医大医学部があり、一番高度な医療ができる。そこにおいて非常に難しい病気、難病札幌において指定された病院がない。私はどうもそれはおかしいと思っているのであります。そして国立札幌病院を見ますと、非常に優秀なスタッフが今いる。そして難病患者の方々もこの札幌病院を非常に頼りにして行っている。にもかかわらず、ここを指定していない。私はどうもその辺はおかしいと思うのであります。ぜひともこの札幌病院難病を指定して、そして優秀なスタッフがいて、そして大学があるわけでありますし、医局に近いわけでありますから、そういう方向で検討を願いたいと思うのでありますけれども、どうでしょうか。
  24. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立札幌病院につきましては、国立療養所小樽病院と統合いたしまして、胸部の慢性疾患あるいは小児慢性疾患についての基幹施設として整備をしていく方針でございます。  また、その国立療養所札幌病院において、先生が御指摘ございました、現在実施しております神経筋疾患の医療につきましては、同病院においても引き続き行うことにしております。  統合後におきましても、難病団体の意向なども踏まえながら、こういった面の充実も図ってまいりたいというふうに考えております。
  25. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 特に難病の場合には専門のケースワーカーが必要であるわけであります。現状では札幌のような中心都市から離れたところでは非常に優秀なケースワーカーがいるところがほとんどないわけであります。難病のように治療法もまだ見つからないような病気の場合には、専門医またベテランの看護婦、ケースワーカー、そういう人たちがいて総合的に対応しなければならないわけでありますし、患者もそういう優秀な医者にかかり、優秀なケースワーカーがいるということを頼りにしながら、将来その治療策が見つかり、また自分が治ることに希望をつないで行っているわけでありますから、そういうことを考えることがぜひ必要であろうと私は思っております。ただ、難病病院だと指定したからそこへ行けといったって、そういうものがそろっていないところには患者はなかなか行かないであろうと私は思っているわけであります。ですから、十分にそういう患者意見また関係者意見を聞いて実施する必要があるんだろう、そう私は思っているわけであります。  こう考えてみますと、国立病院というのはいろいろな機能を各地に分散させることよりも、もっと専門的機能を一カ所に総合的に集める、そして非常に充実したものをつくり上げていくということが必要だと私は思います。もちろん、厚生省もそういう方向を目指して今度の再編計画を立てているのだと思いますけれども、なかなか現状では、今ある病院も何とか生かさなくてはならない、地域病院としての役割も果たしているところは残さなければならぬ、いろいろな理由があって、そういう理想的な方向には進めないのであろうと思いますけれども、地域病院地域病院としてほかの対応策を早く考えて、そういうような高度な専門医療ができる中心的なものを各県につくり上げていくという方向に向けて努力していただきたいですし、今の札幌病院の問題も、難病の方々が非常に頼りにしている病院でありますから、ぜひともそれをきちっと難病病院として指定してやっていただきたいと私は思っておるわけであります。  次に、このたびの再編特別措置法の内容についてちょっとお伺いしたいのでありますけれども、再編成を進めるに当たって最大の難問は、統廃合によって使用されなくなる施設の活用と経営移譲をどう進めるかということであろうかと思います。  本法案の資産の割引対象者の範囲について伺いたいわけでありますが、資産の割引率を見ると、地方自治体と日赤や済生会や厚生連などの公的医療機関で差を設けているわけであります。自治体は移譲の場合には無償だ、公的医療機関には七割引だ、譲渡の場合には、自治体は五割引、公的医療機関の場合には三割五分引だ、そういう差を設けているわけでありますけれども、その差を設けた理由は何なのか、お伺いをいたしたいと思います。
  26. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 この法案につきましては、再編成に伴う後の医療確保を図るために、国立病院等の資産の減額譲渡といった措置を講ずることにいたしているわけでございますが、移譲先につきましては、公的性格の強い医療機関を安定的に運営できる基盤を有するものが適当であるというふうに考えております。こういった見地から、地方公共団体、日赤、済生会あるいは厚生連、各種共済組合、学校法人、社会福祉法人、県、郡、市医師会、こういったようなところを予定いたしておりますけれども、譲渡の割引率につきましては、地方公共団体につきましては、その公共性の高さに着目いたしまして、他の公的団体よりは割引率を大幅にした、こういった考え方によることでございます。
  27. 佐藤(静)委員(佐藤静雄)

    佐藤(静)委員 どうしても厚生省考えとしては、国立だったのだから、やはり地方自治体が引き受けるのが一番無難である、その方がいいのではないかという考えてありますが、私はそこに問題があると思っているのであります。  私は、以前北海道議会議員をやっているときに、北海道立病院の統合問題がありました。これも自治体に移譲しようという問題でありました。ところが、これは七、八年前に始まったことでありますけれども、依然として今解決されておりません。財政援助をするからといっても、各自治体がなかなか引き受けてくれない、そういう状態になっております。  これはなぜかといいますと、自治体病院というのはほとんど赤字だということであります。引き受けたとしても赤字になってしまうということが考えられるわけであります。ですから、今度の法律案を見ましても、移譲の場合は運営費の補助をする、赤字の場合は二分の一の補助を五年間続けるということを言われておるわけでありますけれども、赤字になることを前提として移譲する、そういうようなことが見られるわけであります。地方自治体病院というのはどうしてもやはり赤字になってしまう、親方日の丸的な考えにどうしてもなってしまう傾向にあります。病院ばかりじゃなくして、スキー場ですとかいろいろなホテルですとか、こういうものなんかも地方自治体がやるものはうまくいかないわけであります。  国立病院療養所を合わせてみますと、二百四十のうち赤字病院が百八十九ある。黒字は五十一しかない。地方自治体病院は今非常に赤字病院が多い。しかし、厚生連などの公的医療機関は黒字病院が非常に多いわけであります。私は、この国立の後の医療の担い手として地方自治体に引き受けさせるよりも、積極的にそういう公的病院に引き受けさせるのがいいのではないかというふうに思うのです。国鉄もJRとして民営化した。電電公社もNTTとして民営化した。日本航空も今また完全な民営化をしようとしている。これはやはり民間の力を利用した方が経営がうまくいく、運営がうまくいくということであろうかと私は思うのです。そういう時代のときに、地方自治体に移譲する、譲渡するという考えは、ちょっと今の時代考えが違うのではないかと思うのであります。  ですから、資産の割引率も、自治体は無償だ、団体は七割引だ、そんなことではなくして、積極的に公的医療機関に移譲していく、譲渡していくという考えに立って割引率などは同じくすべきだ、無償でいいのではないかと私は思うのです。そしてまた赤字が出た場合には運営費を五年間補助するなんということはおかしな話だと私は思うのです。赤字を前提としてやるなんということはおかしな話だと思うのです。国鉄だって、JRにするときには持参金をつけて、あとはもう自分たちの力で一生懸命頑張れということでやったわけでありますから、そういうようなことをすることが今の時代に正しい方向ではないだろうか、私はそう思うわけであります。  私は、冒頭述べましたように、時代の流れ、昔国立病院療養所をつくったという時代からは、今の時代は全く変わってきている。そういう時代に合わせて高度な医療を求めて国立病院が再編成を進めていく、これは私は非常に正しいことだと思っております。しかし、そのときに、先ほど申し上げましたとおり、優秀な医者をそろえ、優秀なスタッフをそろえて、研究費も思う存分やって、患者の皆さんを初め国民の多くが国立病院としてふさわしい頼りになる病院になることをみんな望んでいるわけでありますから、そういう病院に一日でも早くできるように努力をしていただきたい、そう思っております。  そしてまた同時に、そういうことをするときに、まだ地域病院としての役割を果たしてきているところもあるわけであります。先ほど申し上げましたとおり、辺地離島、またはそのほかの地域においても、まだまだそういう役割を果たさなければならない部分もあるわけでありますから、それはそれとして十分に考慮して、地元意見も聞き、患者意見も聞いて、ぜひともその辺を配慮しながら再編成を進めていただきたいと思うわけであります。  最後に、そういう再編成に取り組む姿勢、同時に、私が先ほど申し上げましたとおり、この特別措置法の中における移譲の割引率の問題、そんなことも含めて大臣に取り組む姿勢についてお話をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  28. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 これから本格化する高齢化社会に向かって良質な医療を十分確保していくことは、ますます重要な問題になってきておると考えております。そういう中で良質な医療を、効果的に、しかも適正に、限られた医療供給資源を分担、配分し、そして日本全体としての医療確保していくことは非常に重要なことであると考えておるわけであります。今回の再編成も、そういう考え方に立って、国立医療機関が果たすべき役割というものに着目して再編成を行おうといたしておるわけでございまして、ぜひこの再編成を強力に進めてまいりたいと考えておるところでございます。  同時に、そういう際には、地域における医療に支障を来さないように十分配慮していくことも重要でございます。そのために今回のこの特別措置法が後医療確保という観点で大いに機能していけるものと確信をいたしておるところでございます。  割引率の点について御指摘がございましたけれども、国有財産の譲渡、そしてその割引譲渡というようなことから考えますると、より公共性の高い自治体等に高い割引率を付さざるを得ないということについては御理解をいただけるものと思うわけでございますけれども、今後の後医療確保等につきましては、自治体のみに限らず、御指摘のございましたような公的医療機関等中心とした民間の力を大いに活用し、そして後医療確保をしていけるようにいたしてまいることも十分心してまいりたいと考えておるところでございます。
  29. 堀内委員長(堀内光雄)

  30. 池端委員(池端清一)

    池端委員 今回の特別措置法案はさきに厚生省が発表しました国立病院療養所の再編成、すなわち全国二百三十九カ所の国立病院療養所の約三分の一に当たる七十四の施設を統廃合もしくは経営移譲するという極めて大規模な再編合理化でございます。この再編合理化を実施するために特別措置を講じようとしているもののようでございますが、まず最初に、この再編合理化のねらいは那辺にあるのか、端的にお尋ねをしたいと思います。
  31. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 国立病院療養所昭和二十年代に整備をされましたときには、全国ベッド数の中で約三割を占めておったわけでございますが、その後他の公的医療機関、また私立の医療機関等の非常な整備、向上、発展が見られまして、今日におきましては、全体の中でその占めるベッド数は約六%という状況になってきております。今後将来にわたって日本全体としてより一層良質な医療確保し、そして限られた医療資源を適正にかつ効率的に分担し、そして供給体制をつくっていかなければならない。そういう中で国立病院の果たすべき役割というものを考えまするときに、これまで以上に広域的な観点に立ち、そして専門的また高度な医療機関を目指し、または臨床研究という分野または研修という分野、そういったような分野にも役割を発揮していかなければならない。そういう観点に立って今回の再編成計画というものを立てさせていただいたところでございます。
  32. 池端委員(池端清一)

    池端委員 今いろいろ大臣から言われましたが、その一つのねらいとして、国立病院療養所は、他の医療機関が担うことが困難な高度で先駆的な医療施設とすることにあるようでございますが、私はこれは国立医療機関地域の一般医療から撤退をする、そして国立医療機関役割を高度、専門医療に限定するという、いわゆる縮小再編成の道をたどるのではないかと考えるのでありますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  33. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院療養所は、基本的には広域対象といたしました高度な専門医療役割を果たすべきであり、これらの役割を果たしながら、あわせてその地域にとって必要な一般的な医療も行っていくというふうに再編成を進め、整備を進めていきたいと考えております。
  34. 池端委員(池端清一)

    池端委員 どうも答弁になっておらないようでありますが、先ほども厚生省自体も認めておるように、国立病院療養所昭和二十年の発足以来国民医療確保に大きな役割を果たしてきたわけでございます。そしてまた長年にわたって地域に親しまれ、一般医療機関としての役割を十分に果たしてきており、その地域住民にとってはまさにかけがえのない医療機関として活用されてきたわけでございます。厚生省の資料によっても、ベッドの利用率も平均すると他の医療機関よりも高くなっております。このことを無視して再編成という名の合理化を行うということになれば、これは地域への配慮を全く欠くと言っても決して言い過ぎでないと私は思うのであります。現に、この計画が発表されるや、昨年の一月十一日、マスコミが期せずして、これは国鉄の赤字ローカル線廃止の医療版である、国鉄病院版であると一斉に指摘をした事実によっても明らかでございます。これは端的に言って地域医療住民医療を切り捨てる以外の何ものでもないと考えますが、改めて厚生省の見解を承りたいと思います。
  35. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成は、国立病院療養所の果たすべき役割を明確にする、そして国立医療機関にふさわしいより広域対象とした高度あるいは専門的な医療、政策医療、臨床研究、教育研修、こういったことを重点的に実施していくことのできるよう、その機能強化を図ることを目的としているものでございます。決して財政赤字対策のために実施するものではございません。  ただ、再編成実施に当たりましては、地域住民医療に重大な支障が生じないよう、地方自治体等地元関係者十分話し合いながら進めていく、そういうふうに作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
  36. 池端委員(池端清一)

    池端委員 財政赤字のためではないと言っておりますが、この基本方針には財政的にもいろいろ問題があるということを指摘しているではありませんか。財政上の観点からもこれは考えていかなければならないとあなた方の基本方針にうたっているじゃないですか。どうですか。
  37. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 もちろん財政上の問題も大事な問題でございます。ただ、今回の再編成は、ただいまも御説明申し上げたように、そういう観点からでなく、国立施設機能強化、国立らしい医療施設にするための質的強化を図る、こういうことを目的とするものである、こういうふうに御説明を申し上げているわけでございます。
  38. 池端委員(池端清一)

    池端委員 非常に矛盾した物の言い方をあなた方はされているわけであります。  それで、具体的に申し上げますならば、今度の再編成計画によりまして、北海道には現在十五の国立病院療養所がございますが、これが今度十の施設に減らされる、こういうことになっております。全道には二百十二の市町村が存在をし、その面積は東北六県プラス新潟県を加えた広さよりも大きいのであります。このような北海道の広域性を一つ考えてみましても、この統廃合によって十に縮減をされるということになれば、私は、文字どおりこれは地域医療中心を失うことになる、こういうことは火を見るよりも明らかであると思うわけであります。したがって、北海道議会を初め全道二百十二の市町村すべてが統廃合反対の決議をしております。二百十三の道議会、市町村議会の反対決議が上がっているというこの事実。いや、単に北海道だけではなくて、全国的にも九割以上の地方議会、本日現在二千九百九十七の議会が国立医療の存続、拡充を求める決議を行っている、この冷厳たる事実を厚生大臣はどのように受けとめておりますか。その点、所信を承りたいと思うのであります。
  39. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成地域の一般医療からの撤退ということでは決してないわけでございまして、ただ、御説明を申し上げるときに、その特色といいましょうか考え方といたしまして、専門または高度な医療機関を目指してということを申し上げておるわけでございまして、高度で専門的な医療機関となるべきには、そこに至るまでに地域の一般医療の積み重ねというものがあって初めて高察門医療というものが成り立ってまいるということは、先生も御理解いただけるものと思うわけでございます。  例えが適当かどうかと思いまするけれども、例えば山に例えてみますると、通常の地域の一般医療を低い丘のようなものに例えますと、その上に大きな山を積み上げていくということで、大きな背の高い山すなわち高度、専門医療機関である。そしてそのすそ野は地域の一般医療の積み重ねによって成り立っていく、こういうことであるわけでございまして、そのような観点から御理解をいただきたいと思う次第でございます。     〔委員長退席、長野委員長代理着席〕
  40. 池端委員(池端清一)

    池端委員 大臣はそうおっしゃいますけれども、昭和六十年の三月二十八日に出されました基本指針では、「国立病院療養所の果たすべき役割」として、「地域における医療供給体制の中で基本的・一般的医療の提供は私的医療機関及び地方公共団体並等の公的医療機関に委ねるものとし、国立病院療養所は、」その機能として「政策医療」を初め先ほど言われたようないろんな機能を列記してあるわけであります。ですから、あなた方、口では地域医療の撤退ではない、こう言いますけれども、現実にはそういう方向を目指しているのではありませんか。  特に私は、今回の移譲対象病院の中であるいは療養所の中で、山間僻地離島に移譲対象病院が集中している、これも極めて特徴的だと思います。これは後ほど同僚の田口議員も離島問題について取り上げますけれども、例えば新潟の佐渡療養所、兵庫淡路の明石病院岩屋分院、これは離島振興法による離島ではないそうでありますが、まあ島としてお考えをいただきたい。あるいは長崎の対馬病院、長崎の壱岐病院等の離島所在地の病院あるいは療養所はことごとく移譲の対象になっているのであります。このことは明らかに地域医療からの撤退ではありませんか。地方自治体では維持できない、ましてや私的医療機関では経営が成り立たない。だからこそそこに国立医療機関が存在しておったわけであります。しかし今度の方針は、国のこのような設置責任と、住民の命と健康を守る国の責任を放棄したものであると私はどうしても思わざるを得ないのでありますが、改めて見解を承りたいと思います。
  41. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 離島僻地対策につきましては、医療政策の極めて重要な課題だと思います。その医療確保につきましては、やはり地方自治体等中心になって対応するのが適切であるというふうに考えるわけでございます。国もその推進が図られるようにいろいろな助成措置を講ずる等の推進策を進めているところでございますし、今後もそれに力を入れてまいらなければならないと思うわけでございますが、再編成の実施に当たりましては、確かに離島僻地医療につきましては大きい問題を抱えておりますので、こういった地域医療に支障が生じないように、特に慎重に配慮をし、県当局初め地元関係者十分話し合いながら作業を進めさせていただきたいというふうに考えております。
  42. 池端委員(池端清一)

    池端委員 川崎審議官はそのようにいろいろ弁明をしますけれども、これは明らかに国の責任の放棄でありますよ。国立病院療養所は、戦後四十年余にわたって結核難病等の不採算医療を初め地域住民に密着した医療に大きく貢献している。重ねて言うまでもございません。しかし、今度の計画はどこから見ても全くこれに逆行するものである、こう思うのであります。この点、マスコミ各社も鋭く指摘をしておる。  その一、二の例を申し上げてみますると、例えば毎日新聞の六十一年一月十一日号の社説では、「国民の健康を守る、という国の責任を、ソロバン勘定だけで考え、赤字病院やへき地・離島医療を切り捨てでいいはずはない。」「現実には、国立病院・診療所も、地域医療を担ってきたし、現に担ってもいる。高度先進医療充実だけでなく、地域医療水準の向上も、国の責任であるはずだ。」こういう社説を掲げておるわけでございます。  同様に、東京新聞、日本経済新聞あるいは北海道新聞と、これは地方医療切り捨てであって、財政悪化の説明だけでは住民の理解は得られない、こうまで指摘をしておるわけでございますが、これらの論評、これらの批判、これらの疑問について厚生省はどう答えるつもりなのか、改めてお尋ねをしたいと思います。
  43. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の再編成は、先ほどから申し上げておりますように、我が国の医療機関における役割分担として、国立で担うべき医療はどうあるべきかという基本的な考え方に立って計画を立案いたしておるわけでございまして、ただいま御指摘がございましたように、各社の社説等におきまして、そろばん勘定だけであってはいかぬとか、また財政事情だけが先行するようなことであってはいかぬというような御指摘がなされておりますが、しかし、私もその社説を読ましていただき、全体のトーンとしては、再編成考えております方向というものについては御理解をいただけておるものと思うわけであります。そういう計画を進めていくに当たっては、今のようなそろばん勘定になってはいけないなどなどというような点について十分配慮をしてやっていくべきであるという御注意をいただいておるというふうに私どもは受けとめさしていただき、そういったことを十分念頭に置かしていただいて、本当の意味での国の医療機関としてふさわしい医療供給体制がとっていけるように再編成を実施いたしてまいる際に十分配慮をいたしてまいらなければならない、肝に銘じておるところでございます。
  44. 池端委員(池端清一)

    池端委員 次に、財政問題についてお尋ねをしたいと思うのであります。  国立病院療養所整備のために、今日まで財政投融資からの借入金の総額、残額といいますか、六十一年度末でどうなっておりますか、その金額を示してもらいたいと思います。
  45. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 財投資金の借入高は六十一年度末で五千三百億でございます。
  46. 池端委員(池端清一)

    池端委員 五千三百九十二億ですね。
  47. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 五千三百九十二億でございます。
  48. 池端委員(池端清一)

    池端委員 先ほどもちょっと触れたのでありますが、厚生省は「国の財政状況は長期にわたる厳しい状態にあり、財源を国庫に求めるには限度がある。」こういうことを基本方針でうたっているわけでございます。そう言っていながら、例えば今回統廃合の対象になっている新潟県の村松病院は、昭和六十年の十一月に十八億円をかけて老朽施設を建て直したばかりでございます。また三重県の静澄病院は、この五年間に十七億円の設備投資をしてきた病院でございます。また私の郷土北海道の帯広病院と十勝療養所、これは統合の予定でございますが、この十年間に帯広病院には十六億五千百万円の整備費が、十勝療養所には八億六千六百万円の整備費が投入をされてきたのであります。しかも今明らかになったように、今日まで国立病院療養所整備のために財投から五千三百九十二億円の借入、現在は残高、残額がある、こういうような状況にもなっている。  このように、整備したばかりの施設を統廃合する、また不当な値段で譲渡をする、これはまさに国民の共有財産である国立病院療養所のたたき売りではないか、こう言っても決して言い過ぎではないと私は思うのであります。そしてまた膨大な借入金で新たに土地を購入する、そして病院を新築するというのであります。この間ようやっと十八億円のお金をかけて病院を改築した、それを今度はまた新しい病院に建てかえるというのであります。率直に言って、こんな税金のむだ遣いはないのではないか。あなた方が言う行財政改革に全く逆行するやり方ではないか、私はそう思うのであります。どうですか。
  49. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 医療施設につきましては、逐次その内容の充実整備を図っていかなければならないというのは、先生も御承知のとおりでございます。私どももこれまで国立病院療養所についてはいろいろ努力をしてきたつもりでございます。ただ、現在の姿のまま、こういった状態で今後整備を続け、その内容をすべて強化していくということは非常に困難でございますし、非効率的である。近接している施設につきましては、統合すべきものは統合する、移譲すべきものは移譲する、そして強化すべきものは強化するというようなことで、国立病院としての機能を明確にし、国立らしい医療施設として整備していくために今度の再編成を行ったわけでございまして、そういう今後の国立らしい整備を図るためには、こういったやり方が極めて効率的でありますし、また必要なことであるというふうに考えているわけでございます。  そしてまた、この再編成の円滑な実施を図りますためには、経営移譲を行います施設につきましては、移譲後の経営が成り立つように土地、建物を割り引きして譲渡をする、あるいは統合されました結果、使用されなくなった施設につきましては、地元の実情に応じまして、後の医療確保のために活用できるよう土地、建物等もまた割り引き譲渡をする、こういった措置を講ずるものでありますから、これは決して不当な割り引き譲渡でもございませんし、行財政改革に逆行するものでもないというふうに考えているわけでございます。
  50. 池端委員(池端清一)

    池端委員 さっきも言いましたが、新潟県の村松病院、六十年の十一月に十八億円かけて建てかえたばかりですよ。これを統廃合するというんだが、これがむだ遣いではないんですか。
  51. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもも従来から国立施設につきましては、その整備充実についてはいろいろ努力をしてまいりました。確かに最近整備した新しい施設も統合対象施設になっている場合もございます。ただ、ただいま申し上げましたような見地から、今後の整備につきましては、やはり統合すべきものは統合して、そうして重点的にその整備を図っていく、こういうことが適切であるというふうに考えたわけでございますし、またそういった施設につきましては、時期の問題もございますけれども、地元の活用といったことで生かされるという場合もあろうかと思うわけでございまして、新しい国立病院としての展望を開くためにも、こういった措置が必要であるということをぜひ御理解賜りたいと思うわけでございます。
  52. 池端委員(池端清一)

    池端委員 何ぼ御理解を賜りたいと口を酸っぱくして言われても、理解できますか、こういう事態を。  斎藤厚生大臣、あなたの時代にこの計画が策定されたものではない、前任者の時代につくられたものでありますが、あなたもこういう計画を受けて、これは大変困ったものだと内心苦り切っている、苦々しく思っているんじゃないですか。こんな計画を本当に実施されますか。まさに机上の空論、官僚の作文にすぎない、地域の実態を全く無視したものである、こう思うのですが、どうですか。
  53. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 先ほど来、近年に整備された国立病院もしくは療養所等についても再編成計画にあるではないかという御指摘でございますが、それがまさに今回の再編成計画が赤字の国立病院療養所をどうするかとかいう問題ではない、また整備されてない国立病院療養所を手放すという意味ではない。そして先ほど来お話を申し上げておりますように、国立医療機関として将来を見据えた中で、その果たすべき役割を十分担って立てるような国立病院療養所にしていかなければならないという観点に立って再編成計画を出させていただいているということであるわけでございまして、そういった点を御理解いただきたいと思います。  また、私自身が大臣に就任する前からこのような計画が進められておりましたが、私は大臣に就任する前から、このような計画はぜひ実行すべきであるというふうに考えて、これの推進に一議員としても当たってまいったつもりでございます。私自身の地元にもこの計画はございますが、これの推進には一議員としても推進に当たってまいりましたし、また現在、厚生省大臣として、この計画の推進は将来の日本の医療供給体制を適正に分担、強化していくという点においてどうしても果たさなければならない役割を果たしていくために、これを実施、実行していかなければならないと強く決意をいたしておるところでございます。
  54. 池端委員(池端清一)

    池端委員 大臣のお言葉ではございますけれども、私には全く理解できないということをあえて申し上げておきます。  次に、今回の再編成対象施設で養護学校、養護学級が併設または隣接しているものが四十四カ所もございます。このような養護学校や養護学級はどのように対処するおつもりなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  55. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいま御指摘のように、国立病院療養所の中には、入院中の児童生徒の教育のために、施設に隣接して養護学校が設けられたり、あるいは養護学校から教員が派遣されているといった場合がございます。これらの病院療養所の統合の実施に当たりましては、関係地方公共団体等の理解と協力を得まして、入院中の児童生徒の治療、教育に支障が生じないように努めてまいりたいというふうに考えております。
  56. 池端委員(池端清一)

    池端委員 どんな理解と協力を求めるのですか。
  57. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 病院療養所の統合に伴いまして、養護教育に支障のないように、地方公共団体、教育委員会、そういった関係者に御理解と御協力をいただいて支障のないように配慮してまいりたいと思っております。
  58. 池端委員(池端清一)

    池端委員 全く抽象的、観念的、空疎。そんな答弁ありますか。これが全体計画と呼べるものですか。
  59. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 この再編成計画を進めてまいりますためには、その地域におきます関係者皆様方の十分な御理解をいただいていくために努力をしなければならないと考えておりますが、そういう幾つかの努力の中には、今御指摘のような養護学校の問題等についても、その設置をされる教育委員会等について、それが統合後もしくは移譲後においても必要な場合にあっては、その存続もしくは場合によっては移転等ということについて十分な御理解を、この再編成計画趣旨というものから踏まえて御理解をいただくように努力をいたしてまいるということがどうしても必要なことであるというふうに考えておるところでございます。     〔長野委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  60. 池端委員(池端清一)

    池端委員 全く教育的な観点というものが欠落しているのですね。児童生徒のことなど全然顧みていないわけであります。私はかつて教師をしておりまして、こんな無謀な、むちゃな計画を見まして本当に怒りにたえない、こういう気持ちでいっぱいであります。これらの養護学校や養護学級には、御案内のように重症の心身障害児や重度の重複児が多くおります。統合されますと、移動やそれに伴う気候や環境などのわずかばかりの変化でも生命と健康に大きな影響を与えるのです。また教職員の通勤の問題、転勤の問題、校舎の新築問題、こんな問題も発生するのです。これらの問題については何ら顧みられておらない、全然触れられておらないのです。何ら配慮されていないと言っても決して言い過ぎではないのです。こういう児童や生徒に対してどのような対策を講ずるのか、重ねて真剣な答弁を求めます。
  61. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今先生が御指摘のように、そういった配慮を十分していかなければならないと考えております。児童や生徒が治療とともに教育を、新しくなった施設において、従前どおり受けられるような配慮をしていく。そのためには、関係皆様方の御理解をいただいて、必要に応じて新しく建てていただくとか、また場所を変えていただくというようなことについて御理解をいただき、その実行方のために努力をいたしてまいる覚悟でございます。
  62. 池端委員(池端清一)

    池端委員 大臣、新しく建てていただくとかなんとかと簡単に言いますけれども、地方自治体は財政状況が大変なのですよ。国の財政状況も厳しいけれども、地方も大変なのです。そんなときに、新しく建てていただきます、そういうようなことでは、この問題は解決しないのであります。  私はここに具体的な例を申し上げますが、例えば西札幌病院札幌病院、小樽病院、これが今度統廃合されることになっております。これが実施をされますと、西札幌病院の小児科の慢性疾患、小児整形外科が札幌病院に移るのではないか、こういうふうに一般的に危惧されているわけであります。そうすると、併設されております札幌市立山の手養護学校も移転せざるを得ない、こういうことに相なるわけであります。山の手養護学校は、小学部十三学級、中学部八学級、高等部六学級です。在籍児童生徒の数は現在百六十八名。この児童生徒の方々が移転ということになれば、これは大変な問題であります。設置者である札幌市とこの問題についてどういうふうに今まで話し合いをされてきたのか、その経緯についてお尋ねをしたいと思います。  この子供たちのために、父母の皆さんはやむを得ず学校の近くに、子供の介護ということから自宅を新築されたというようなケースもあるやに聞いているわけであります。同じ札幌市内といえども西区山の手と南区白川では最短距離でも二十三キロメートルあります。大変な距離であります。この移転ということになれば、これは教育の面でも父母の負担の面でも大変な影響を与えることは必至であります。こういう問題について本当に具体的に検討されたことがあるのか、検討されたとすれば、その具体的な方法をひとつ示していただきたい、こう思います。
  63. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成計画におきまして、国立療養所札幌病院と小樽病院を統合いたしまして、胸部慢性疾患、小児慢性疾患の高度、専門医療の実施あるいは臨床研究あるいは教育研修などの中心機関としての機能を備えた施設として整備するという方針でございます。また一方、西札幌病院と小樽病院を統合いたしまして、総合診療施設として整備する方針であります。  ところで、この西札幌病院で現在実施しております小児医療につきましては、引き続きこの西札幌病院において診療機能を担当するということにしております。  いずれにいたしましても、この養護学校の取り扱いにつきましては、統合の具体的な実施に当たりまして十分配慮いたしまして、関係地方公共団体を初め関係者と十分な話をしながら対処してまいりたいと思います。
  64. 池端委員(池端清一)

    池端委員 重ねてお尋ねしますが、そうすると、市立山の手養護学校は移転の心配は全くない、こういうことですね。
  65. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 西札幌病院は現在に引き続き小児医療を担当いたします。したがって、養護学校の移転が病院の統合によって必要になるということはないのではないかと思います。
  66. 池端委員(池端清一)

    池端委員 次に、六十一年度に着手予定とされていた八カ所の統廃合、この整理統合について、現段階でどういう状況になっているか、その箇所ごとに具体的に示していただきたいと思います。
  67. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成につきましては、昨年の一月に統合または移譲の対象とする施設を盛り込みました全体計画を策定いたしたところでございまして、六十一年度よりその計画の具体的な実施に取り組んでおるわけでございますが、そのうち、全国の八ケースにつきまして六十一年度から重点的に取り組んでいるといった状況でございます。  これらの進捗状況を申し上げますと、北海道の帯広病院と十勝療養所につきましては、現在その統合後の新病院の設置場所が問題になっております。今後これらの地元自治体関係者十分話し合いながら、円滑な計画の実施を図ってまいりたいと考えております。  また、この北海道以外のケースにつきましては、高知、千葉、和歌山の三ケースにつきましては、県等地元関係者の話し合いを経まして、新病院の建設に向けて具体的な作業に入っているところでございます。その他につきましても、地元関係者と鋭意話を進めながら作業を進めてまいりたいと考えております。
  68. 池端委員(池端清一)

    池端委員 八ケース、具体的にそれぞれについてお尋ねをすることはできませんが、例えば帯広病院と十勝療養所、当初の構想では、これは第三の地点に新設をするというふうに私どもは承知をしておったのですが、その考え方には現在もなお変わりはないのですか。
  69. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今お話ございましたように、統合の場所は当初第三の地ということを一応想定いたしておりましたけれども、現段階で考えますと、両施設のいずれの地かというのが現実的で妥当な方法ではなかろうかというふうに考えておりますが、どこにするかということは、これから地元自治体等といろいろ詰めてまいりたいと考えております。
  70. 池端委員(池端清一)

    池端委員 今度の統合により四十の施設が廃止されるということになっております。公式的にはまだ具体的にどこの施設が廃止になるのかさっぱり見当がつかない。二つの病院療養所を統廃合する、あるいは三つの統廃合、こういうことだけ示されているわけでありますが、厚生省は検討を進めるに当たって、やはりどこというふうに一応見当をつけて計画を立てているのではないかと思うのでありますし、また第三の地点に病院整備されるケースについてもあるやに聞いておりますので、どの施設が今廃止の対象として考えられているのか、検討されているのか、ひとつ具体的に示してもらいたい。
  71. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今度の再編成計画におきましては、統合により四十施設を減ずるという計画になっております。これは三施設を統合して二施設にするといったケースあるいは二施設を一施設に統合するといったケースがあるわけでございます。これらの計画のすべてにつきまして、どの施設をどちらの場所で統合するのか、あるいはまたどちらでもない別個の場所で統合するのか、こういったことにつきましては、やはり再編成計画をこれから具体化していく過程で地方自治体等関係者と十分話し合った中で決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、私どもがいろいろ作業をしている過程でおおよその見当がつくというものもないわけではないわけでございます。実際、先ほどお話ございました重点的に取り組んでいるケースでも、場所は決まっていない場合もございますし決まったものもございますが、そういったものを参考までに申し上げるとすれば、先ほどの御質問でも出ました国立療養所小樽病院札幌の二つの病院の方に統合されると私ども考えております。それから岩手県の花巻温泉病院国立療養所盛岡病院は、盛岡の方へ統合するというふうに私ども一応想定いたしております。それから作業が進行しております千葉県の柏病院と松戸病院の統合につきましては、柏市内の第三の土地。それから東京の王子病院、立川病院の統合につきましては、防災病院として整備いたしますものですから立川の方の第三の土地。それから神奈川県の小児病院二宮分院と国立療養所神奈川病院の統合は、一応神奈川病院ということになっております。それから三重県の津病院、静澄病院、三重病院関係につきましては、今第三の地というのを描いております。それから兵庫県の明石病院と神戸病院につきましては、神戸病院の方へ統合いたすというふうに想定いたしております。それから和歌山県の田辺病院と白浜温泉病院につきましては、田辺市内の第三の地というふうに決めております。それから福岡県の福岡中央病院、久留米病院につきましては第三の地。こういったようなところが現在私どもが、場所を正式に決定しているわけではございませんけれども、一応想定しているケースでございます。
  72. 池端委員(池端清一)

    池端委員 それで、昭和二十七年に立法化されまして、大規模な地方移譲計画が行われたわけでございますが、そこでは移譲計画は六十の病院ということであったわけであります。しかし、実際やった場合、これが実行されたのはわずかに十病院にすぎなかった。六十の予定のところが実施率はわずかに一七%にすぎない、こういう一つの歴史的な経過もございます。  また、先般は、御案内のように、群馬県の長寿園と西群馬病院の統合問題についても、いろいろ地域の皆さん方の反対が非常に強かった。その結果、今長寿園については西群馬病院の分棟として運営をされている、こういう事実もあるわけですね。中曽根総理のおひざ元ですらこういう状況であります。しかも、かつて計画が完全に実施されたことはない、こういう歴史的な経緯は十分考えていかなければならないと思うのであります。何ゆえにこの計画が実施されなかったのか、どこにその問題があったのか、それを私は謙虚に受けとめる必要があると思うのでありますが、那辺に理由があるというふうに理解をされているか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。
  73. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 昭和二十七年の地方移譲が当初の予定したほど進まなかった理由でございますけれども、当時の地方財政の窮迫化あるいは当時は国に対する依存度というものも強かった、こういったような事情もあって地方自治体サイドの理解が得られなかった、こういったようなことが事情にあったのではなかろうかというふうに考えます。  また、長寿園と西群馬病院の統合につきましては、長寿園に入院中の患者さんの病状等を考慮いたしまして、統合後も当分の間は西群馬病院の分棟として残しているものでございます。
  74. 池端委員(池端清一)

    池端委員 私は今度の質問の機会にいろいろ過去における国会の論議を調べてみました。例えば昭和二十四年、国立病院特別会計が創設されたときの国会の論議でありますが、このときは、国立病院の特別会計というものは、他の特別会計とは異なり、独立採算制をとるべきではない、したがって、当然赤字が出るのだから、赤字は一般会計より補てんするのが当然である、これは党派を超えた与野党の共通した意見であったのであります。また昭和四十三年の国立病院特別会計法、特会法の一部改正のときの衆議院大蔵委員会の附帯決議、何と出ているか、「国立療養所の大幅な整理統廃合、地方移譲を行なわないこと。」委員会こそ違え、本院の大蔵委員会でこういう附帯決議がなされておるわけでございます。こういうような附帯決議等があるにもかかわらず、今回このような計画をする。私は、これは立法府の精神を全く無視するものであり、この精神に逆行するものでないか、こう思うのですが、その点はどうですか。
  75. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 四十三年の国立病院特別会計法の改正の際に、御指摘のような附帯決議が付されていることは私どもも承知いたしております。  今回の国立病院等の再編成は、近年におきます医療を取り巻く諸情勢の変化を踏まえまして、国立病院療養所について、国立医療機関にふさわしい機能強化を図るために行うものでございまして、そういった観点からぜひ行われなければならないというふうに考えている課題だと私どもは思います。
  76. 池端委員(池端清一)

    池端委員 何を言っているのか、さっぱり理解に苦しむのでありますが、私はここにこういう資料を持っております。これは北海道における地方医務局長あるいは施設長、病院長の上申書あるいは確認書のたぐいでございます。これは私が厚生省からちょうだいをした資料でございますが、厚生省の出先機関である北海道地方医務局長が十一月二十八日、文書をもって、「管内十五施設は充分機能しており、単独整備機能強化することが地方局の不変の方針である。管内十五施設地域医療に貢献しており、一般医療を含めすべてを守る姿勢に変わりはない。」また「一月九日発表の全体計画を受け入れることは困難である。」こういう二月十八日の文書もありますが、この事実を厚生省はお認めになりますか。
  77. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 北海道地方医務局長が労働組合との間で、従来の交渉の経緯あるいは確認事項を尊重する立場から、そのような確認を行ったということにつきましては、極めて遺憾であるというふうに考えております。
  78. 池端委員(池端清一)

    池端委員 極めて遺憾であるとはどういうことですか。職員団体との交渉の確認事項を遺憾であるとあなたは言えるのですか。その発言は撤回しなさい。重大ですよ。
  79. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 厚生省の方針である再編成計画に対して、そのような確認をするということは、厚生省の幹部として私どもは遺憾なことではなかろうかと思うわけでございます。
  80. 池端委員(池端清一)

    池端委員 明らかに法に認められた職員団体との交渉の確認事項、これを遺憾だと審議官が言い切ることは大変な問題だと私は思う。交渉否定じゃないですか、どうですか。
  81. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 私は労使交渉を否定するものでございません。ただ、厚生省の幹部の立場にありながら、そういったことを確認するということは極めて遺憾なことではなかろうか、こういうことを申し上げたわけでございます。
  82. 池端委員(池端清一)

    池端委員 これははっきりしているのですね。厚生省の出先機関の長である地方医務局長すらも、全体計画を受け入れることは困難だ、こう態度をはっきり表明している。このことからも、いかにこの計画が出先にも受け入れられないずさんなものであるか、そのことを立証していることにはなりませんか。  単に医務局長ばかりではございません。ここに各施設施設長、病院長から上申書が多く出されている。一、二申し上げてみます。  私の地元国立登別病院の院長さんから昨年二月十日付で当時の今井厚生大臣に対して、こういう上申書が出ております。前略しますが、憲法第二十五条の精神に基づき国立医療機関が国民の生命と健康を守るため、それぞれの地域における一般医療についても、積極的役割を果していくことは極めて重要なことであり、国民の要望に反して、地域一般医療の切り捨ての縮小、再編成目的とする基本方針の具体化はあ  ってはならないことです。   圧倒的な地方自治体の決議が示すように、国民は国立医療機関の存続、強化を要望しています。  特に当院は、温泉医療を主体とした総合的メディカルリハビリセンターを目指し、今日まで地域に根差した医療を遂行してまいりました。  こうした当院の医療遂行の使命達成と、施設運営に責任を持つ施設長として、「国立登別病院の経営移譲」に反対であり、むしろ今後充実強化のため単独整備を強く望むものであります。 こういうふうに上申をされているのであります。これは一登別病院だけではありません。道内のほとんどの病院の院長からもこういうような上申書が出ておるわけでございます。  こういうふうに、肝心かなめの出先の長、当該施設の長のまさにこぞっての反対意見の上申が端的に示しておりますように、今度のこの全体計画というものは、大方のコンセンサスを得られないものである。まさに実態を無視した机上の空論であるということを重ねて申し上げ、撤回を強く求めるものでありますが、その点についてはどうですか。
  83. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の再編計画がまとめられましてから、その趣旨等がなおまだ十分に徹底、理解されない段階で、いろいろな御意見があったということを承知をいたしております。同時にまた、これをそのまま直ちに実行するということについて、いろいろな困難があるということも承知をいたしております。それらの困難を十分関係の皆さんに御理解をいただき、御協力をいただける状況に努力をしていくということが我々の最大の使命であるというふうに考え、その努力を積み重ねて、そして理解を得つつ、これらの再編成計画を実施いたしてまいらなければならないというふうに考えております。  また、職員の皆さん方につきましても、その処遇等について十分理解を得られるよう努力をやっていくことも当然のことであるというふうに考えております。  冒頭から申し上げておりますように、今回の再編成計画というものが今後、将来、日本の医療全体の供給体制ということを考え、そういう中における国立病院療養所として果たすべき使命、これを遺憾なく発揮していけるような、そういう再編成をいたしてまいりたいと考えております。ぜひともそういった努力を積み重ねながら実行に移すべく取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。
  84. 池端委員(池端清一)

    池端委員 単に地方自治体反対決議、あるいは施設の長、出先機関の長が反対しているということだけではなしに、例えばここに全日本国立医療労働組合の週刊紙がございます。この中にも出ておりますように、与党の先生方の中にもこの計画には反対であるとはっきり意思表明されている方が多く出ているわけでございます。具体的なお名前を申し上げるのは差し控えますけれども、例えば「統廃合計画は再検討が必要である。」かつて総理まで務められた人がこう言っておられるのであります。「慎重に討議するよう言う。」この方はかつて厚生省の高級幹部でもございました。「推進する立場に立たない。党内で反対していく。」こういうことを表明されている与党の先生方の良識を私は高く評価したいのであります。  こういうように、与党の内部からも多くの反対意見が続出しているという事実を厚生大臣は無視してやってはいかぬ、私はそう思うのです。本当にこの問題は、国民の生命と健康を守り、そして国民の共有財産を守り、そこに働いている職員の皆さん方の御苦労にこたえるということ、患者の皆さん方の立場も考えていく、そういう極めてきめ細かな配慮がなければならないと私は思うのです。そういう観点からも、私は率直に言って、この計画は撤回し、そしてこの法案も撤回すべきだ、こういうふうに重ねて申し上げますが、どうですか。
  85. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 お言葉ではございますが、撤回というわけにはまいらないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、これからの国立病院にふさわしい姿にぜひとも再編成をいたしてまいりたいと考えております。  この再編成計画趣旨につきましては、まずほとんどの方々が総論としては御賛同いただけるものと思うわけでございますが、それぞれの地域、それぞれの問題になりますと、それぞれ地域の事情というものがおありであるということも理解をいたしております。でありますから、その地域皆様方関係者皆様方十分話し合いを積み重ね、真摯な態度で慎重にこれを取り運んで、そして最終、でき上がった段階においては、関係者皆様方がなるほど前よりもよくなったな、いいものができたじゃないか、こう言っていただけるような再編成に結びつけていくように努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
  86. 池端委員(池端清一)

    池端委員 時間が参りましたので、私の質疑はこれで終わりますが、私は最後に、あくまでも撤回を強く求めて、きょうの質疑は終わります。  以上です。
  87. 浜田(卓)委員長代理(浜田卓二郎)

    ○浜田(卓)委員長代理 田口健二君。
  88. 田口委員(田口健二)

    田口委員 私は、昨年十月二十三日、一〇七国会の本院本会議におきまして、日本社会党・護憲共同を代表して、本案について質問をいたしました。中曽根総理並びに厚生大臣関係大臣から基本的な点についてお答えをいただきましたが、きょうは少し具体的な中身について、限られた時間の範囲でありますが、お尋ねをいたしたいと思います。  まず第一に、離島僻地に関する問題であります。  本会議における中曽根総理の御答弁でも、「離島僻地等医療確保については国としても十分配慮すべきであり、」こういうお答えをいただいておるわけでありますが、そこで厚生大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  先月の二十八日に、参議院社会労働委員会で我が党の糸久議員が質問をいたしております。僻地離島国立病院を統廃合の対象にするのはおかしいのではないか、こういう質問に対して大臣がお答えになっておられるわけでありますが、私も議事録を読ませていただきまして、どうも大臣のお答えは的確なお答えになっておらない、こう実は感じておるわけであります。  要約をしますと、一般的な地域医療国立以外の公私機関で十分に対応できる、僻地離島国立医療機関を譲渡する際は、他の譲渡よりも優遇した割引率である、こうお答えになっております。糸久議員が質問した中身は、離島僻地国立病院療養所は、今度の統廃合の対象から除外をすべきではないか、こう質問をしておるのであります。私たちも当然この離島僻地医療というのは一般的な地域医療とは言えない、このように実は理解をしておるわけでありますが、厚生省が言われておる一般的な地域医療というのは一体どういうことなのか、このことをまずお伺いをいたしたいと思います。
  89. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院療養所が担うべき役割といたしまして、がん、循環器病等の高度先駆的な医療結核難病に対する医療、こういった他の医療機関が担うことが困難な広域対象とした高度あるいは専門的な医療、こういったものを国立医療機関が担っていくべきである。その他のいわゆる一般的な医療につきましては、基本的にその他の公私医療機関にやっていただく、こういう役割分担というものを今後考えていくべきではなかろうかということでございますが、ただ、今お話がございましたように、離島僻地医療確保するということは極めて重大な問題でございます。極めて重要な政策課題でございます。したがいまして、これは国が直接行うというよりは、地域に密着した地方公共団体などが中心となって対応していくというのが適切である、こういうふうに考えておるわけでございまして、離島僻地医療確保するということは、国民医療の立場からいきましても極めて重要な政策課題であるということは、もう十分承知していることでございます。
  90. 田口委員(田口健二)

    田口委員 そうしますと、厚生省考えている一般的な地域医療というのは、別な言い方をいたしますと、どうあっても国立病院でなければならない、そうではなくて、他の公私立の病院で十分対応できる、こういうものを一般地域医療というふうにお考えになっておられるわけですか。
  91. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 医療内容からして他の医療機関では担うのがなかなか難しいであろうというような、そして政策的に推進していくような医療、これを国立が担っていくべきである、こういうふうに考えております。
  92. 田口委員(田口健二)

    田口委員 私はこの二十数年間離島医療にかかわりを持ってきておるわけでありますが、厚生省はどうも実態をよく御存じないのではなかろうか、こんな気がしてならないのであります。ただ、全然とは申しません。なぜならば、今あなた方のお答えの中にも矛盾があるわけですね。離島僻地の移譲については特別の優遇措置を実は設けておるわけですから、多少は違うということはお考えになっておられるのだろうと思います。  私の出身県であります長崎県には、今六つの国立病院療養所がございますが、その三つが実は移譲対象になっています。そのうちの二つは実は離島でございます。対馬、壱岐、この二つは離島に存在をするわけであります。これは本会議でも申し上げましたけれども、この移譲対象施設が発表されてからというものは、それぞれの地域では自治体はもちろんのこと、青年団や婦人会あるいは農協、漁協、商工会、あらゆる地域住民団体がまさに身ぐるみの反対運動、存続運動を展開をしておるのであります。  それは一体なぜか。離島医療は御存じだと思いますが、全国水準から比べても今大変な状況にあるわけであります。医師の数一つをとってみても、全国平均の半分以下という、言うならば医療過疎といいましょうか、そういう状況に置かれておるわけでありまして、今まで国立病院が果たしてきた役割、それはまさに地域住民と密着をして地域医療の中核として役割を果たしてきておるわけですね。ですから、これがなくなるということは、ただ単に不便になる、そんなことではない。ますます地域医療に格差が生ずる、地域医療の低下を招いている、そういうことからこのような現実的な運動が起きておるわけであります。  ですから、あえて私は申し上げたいと思うのでありますが、この離島僻地における国立病院療養所については、今回の対象から除外すべきである、このように思っておるわけでありますが、いかがでしょうか。
  93. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 先ほども審議官がお答えをいたしましたが、そしてまた参議院の糸久議員に対する御答弁を先ほどお取り上げになられましたが、私はその際の質疑の前後の様子等について今ちょっと正確に記憶をいたしておりませんけれども、改めて答弁をさせていただきますと、離島僻地における医療確保ということは非常に重要な課題であると考えております。しかしながら、その確保につきましては、第一義的には地域により密着した地方自治体等中心になってこれに対応していただくということが望ましいのではないか。そしてそれらに対して国としては、その推進、充実についてできるだけの助成をいたしてまいることが重要であると考えておりまして、これまでにも僻地診療所とか僻地中核病院等の整備について努力をいたしてまいりましたし、また僻地の医師等の確保、また教育、研修というような立場からも大いに力を注いでまいったところであり、これからも十分これに配慮をして大いに力を入れてまいりたいと考えておるところでございまして、国立病院の果たすべき使命という観点から今回の再編成計画をお願いいたしております。そういう観点に立ちますと、国立病院でないとなかなか他の病院では受けられにくい部門について国立病院療養所が担っていくという観点に立って、今回の再編成計画を進めさせていただきたいと考えているところでございます。
  94. 田口委員(田口健二)

    田口委員 実は、移譲先のことでお尋ねしたいと思うのでありますが、これは本会議における厚生大臣の御答弁の中にも「移譲先としては、公的医療機関のほか、後医療確保を図る見地から、安定的に運営できる基盤を有する公的性格の強い法人に限定する考えでございます。」とお答えになっておられるわけであります。法案によれば、このことは政令にゆだねるという形になっておりますが、それでは具体的にどういうところを移譲先として、今厚生大臣の言われた公的性格の強い法人、こういう立場から今お考えになっておられるのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。
  95. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 本法の適用を受けまして移譲を受ける相手方といたしましては、今申されました公的性格が強くて医療機関を安定的に運営できる基盤を有するものが適当であると考えておるわけでございます。具体的には、本法案にもございますように、地方公共団体、それから日赤、済生会、それから厚生農業協同組合連合会、厚生連といったような医療法三十一条に規定されております公的医療機関、さらに政令で各種共済組合といった医療法第七条の二に規定されております団体、さらには学校法人、社会福祉法人、それから県、郡、市医師会、これを対象にいたしたいというふうに予定いたしております。
  96. 田口委員(田口健二)

    田口委員 今お答えがあったように、医療法三十一条に基づく公的医療機関のほかに、今度今お話があったような機関対象にするというお考えですね。これは昭和二十七年の場合と随分変わってきておると思うのですね。拡大をされてきておると思うのですが、その拡大をされた理由はどういうことでございましょうか。
  97. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 再編成を円滑に実施いたします場合に、やはり重要な問題は、国立施設が移動した後の、統合された後の後医療の問題、あるいは移譲が実際に相手方に受け入れられるといったようなことが容易に行われることを考えてまいりました場合に、地方自治体のほか公的団体までを想定して対象先にいたしたわけでございますが、これはあくまで国立病院の再編成に伴って地域医療に支障が生じないようにといったことを十分配慮したためでございます。
  98. 田口委員(田口健二)

    田口委員 今のお話ですけれども、私どもも現実に公的病院の統廃合、いろいろな問題を経験してきておるわけでありますが、医療法第三十一条に規定する公的医療機関以外に、今お話がありました学校法人であるとか福祉法人であるとかあるいは県、郡の医師会であるとか、そういうところに移譲して十分地域医療確保できるのか、安定した医療体制が維持できていけるというふうに思っておられるのか。どうも私どもは自分自身の経験からいって大変問題があるところじゃないかというふうに思うのですけれども、その辺は御自信がおありなんでしょうか。
  99. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいま申し上げたような団体、公的性格の強い団体であれば十分移譲の対象になり得るというふうに考えておりますが、しかし、具体的なケースについて移譲するかどうかということは、こういう団体であっても、それにふさわしいかどうか、さらには地元が本当にそういった団体を地元として受け入れるかどうか、こういったようなことも十分勘案いたしまして、単に受入先の意向だけではなくて、地元地方公共団体といった関係者意向も十分勘案をした上で、地域医療をやって貢献していただけるかどうかといった観点から移譲するかどうかということを判断してまいりたいというふうに思います。
  100. 田口委員(田口健二)

    田口委員 自治省お見えになっていますか。自治省にちょっとお尋ねをいたしたいと思いますが、本会議の中で私が御質問をいたしましたところ、葉梨大臣の方からこのような御回答をいただいております。「再編成に伴う移譲の相手方の一つといたしまして地方公共団体も挙げられておりますが、該当する地方公共団体におきましては、公立病院を取り巻く厳しい経営環境、地方財政の厳しい現状等にかんがみ、経営移譲の問題につきましては慎重に対処することが必要であろう」という実はお答えてありますが、これは現在も自治省の考え方として変わっておりませんか、ひとつ確認をさせていただきたいと思います。
  101. 大屋説明員(大屋正男)

    ○大屋説明員 公立病院を取り巻きます厳しい経営環境、地方財政の現下の現状等にかんがみまして、経営移譲の問題につきましては、地方団体として慎重に対処することが必要である、こういった考えは変わっておりません。
  102. 田口委員(田口健二)

    田口委員 端的に申し上げますならば、地方公共団体としては、現下の今お話がありましたような状況から、移譲の対象としては引き受けることはできない、恐らくこれが全国地方自治体現状であろうと私は思っています。  そのことはさておきまして、ひとつ大臣にも聞いていただきたいと思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、長崎県では三つの国立病院療養所が移譲の対象になっておりまして、二つが先ほども申し上げました離島にございます。もう一つは国立小浜病院という、島原半島に存在しておるわけでありますが、島原半島は一市十五町約十八万人の人たちが居住しておる地域であります。私も十日ほど前、現地に行ってまいりました。町役場の前の国道に面したところには大きな看板が立っておりまして、あくまでも国立病院を存続させていこう、こういうことが書いてありました。周辺の自治体の町長さん、住民の方あるいは国立小浜病院に働いておる職員の方とも話し合ってきたのであります。今申し上げましたように、島原半島には公的医療機関と言えば、この国立小浜病院を除きますと、島原市に県立の島原温泉病院というのがただ一カ所あるわけであります。この島原温泉病院は、名前のとおりリハビリを中心にした病院でございまして、開業医の紹介がなければ受診することができない、こういう特殊な病院であります。まさにこの小浜病院というのは、島原半島一帯における唯一の公的な病院であるといって差し支えないと思うのであります。  この小浜町というところは、御存じのように、雲仙国立公園の中にあるわけでございまして、観光客も修学旅行を初めとしてたくさんの方が毎年お見えになっています。そこでいろいろな救急患者の問題もございます。言うならば、国立小浜病院でもってそれらを一手に引き受けておるということで、観光関係の皆さんからは大変感謝をされておる。私が参りまして、関係自治体の町長さんや住民の皆さんからお聞きをいたしますと、まさに廃止などということはとんでもないことだ、私どもが考えておるのは廃止どころかもっと拡充強化してほしい、これが実は皆さん方の御意見なんですね。まさに地域医療の中核として今日まで重要な役割を担ってきておるわけであります。  先ほど来お話を聞いておりますと、国立病院の今後のあり方として、広域的あるいはより高度な専門的なそういう医療機関として役割を担わせていくという考え方もございましょうけれども、ただ、私どもこの計画を見てみるときに、これは私の独断かもわかりませんが、極端に言うならば、三百床以下の病院療養所は、それだけで切ってしまう、地域の特性とかいうものは全然無視して、画一的に切ってしまう、切り捨てていく、こういうことがやられておるのではないかと思うのでありますけれども、その辺、いかがでしょうか。
  103. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほども申し上げましたように、国立広域対象とした高度ないしは専門的な医療をやる、そういった役割を担っていくということになりますと、必ずしも大規模な医療施設でなければならないということもございませんが、それ相応の規模がなければ高度な水準も維持できない。そういった観点から考えますと、三百床に満たない医療施設の場合は、これを国立らしい医療施設として強化するのは非常に困難である、不適当であると考えているわけでございます。
  104. 田口委員(田口健二)

    田口委員 どうしても私は理解ができないのですよ。あなた方が言われておるような、より広域的な、より高度で専門的な、そういう医療機関として国立病院にこれから一つの大きな役割、任務を持たせていきたい、そのことはそのこととして一つ理解できるのですけれども、だからといって、今まで地域医療の中で重要な役割を果たしてきたそれぞれの国立病院療養所を一遍に断ち切ってしまう、ここに私は大きな問題があると思うのですね。この再編計画の一番の問題点だというふうに私は思うのです。その辺はどうなんでしょうかね。そういった地域医療関係のある重要な意味合いを持っておるところについては十分配慮をしていく、そういうお考え方は一体ないのか。そのことをひとつ具体的にお尋ねをしてみたいと思います。
  105. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 確かに国立小浜病院地域におきましては極めて重要な役割を果たしていると思います。従来地域医療に貢献をしてきたと思います。ただ、国立小浜病院現状が、医学的なリハビリテーション機能に特色は持っておりますが、病床数とかあるいは診療機能とか診療圏、こういったものを総合勘案いたしますと、国が直接経営をするというよりは、他の適当な経営主体が経営することが適当である。決してこの医療施設が不要だ、不必要だというものではなくて、国が直接やるよりは、他の方が経営する方が適当である、こういうようなことを判断いたしまして移譲対象施設にしたわけでございます。ただ、繰り返しますけれども、この病院地域において重要な役割を果たしているということは間違いないことでございます。具体的な計画の実施に当たりましては、地元関係者自治体との話し合いを進めながら地域医療に支障がないように進めさせていただきたいというふうに考えております。
  106. 田口委員(田口健二)

    田口委員 それでは端的にお尋ねをいたしますけれども、先ほど自治省の方からも考え方をいただきました。私も自治体の出身でありますからずっとこれらの問題についても長い間取り組んでまいりました。率直に言って今あなた方が一番頼りにしておる地方自治体というのは全部ノーなんです。現状の中でどういう自治体が、それでは国立病院の移譲を受けて病院経営をやりましょう、そういう自治体が一体現状としてありますか。どこを聞いて回ってもそんなところはないのです。これは当然のことだと私は思うのです。  そこで、端的にお尋ねをいたしますが、引受先がないときには一体どうするのですか。
  107. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 移譲先につきましては、お言葉でございますけれども、地元自治体を初め関係者と十分の話し合いをやって、国立病院の再編成趣旨をよく御理解をいただき、引受手が得られるよう私どもとしては最善努力をしてまいりたいと思います。  ただ、移譲先が決まりますまでは、それは従来どおり国立医療機関として運営をしてまいるつもりでございます。
  108. 田口委員(田口健二)

    田口委員 わかりました。それでは移譲先がない場合には、従来どおり国立病院として運営を続けていく、こういうことでありますね。
  109. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 相手先を見つける努力は続けますが、それまでの間は国立医療機関として運営を続けてまいります。
  110. 田口委員(田口健二)

    田口委員 そこで、余り時間がありませんので、少し細かい問題になるかもわかりませんが、ちょっとお尋ねをしてみたいと思うのです。  先ほども離島僻地医療の問題で、例えば後医療の問題について大臣などからいろいろお考えが示されました。私は離島関係医療問題については十分承知をしておるつもりでありますが、まず医師の国立病院に対する派遣といいますか人事交流、特に離島僻地における医師の配置については、厚生省としては一体何かの基準を持ってそういう離島僻地病院療養所に対する医師の配置を行っておるのか。そういう基準があればお示しをいただきたいと思います。
  111. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 特段基準はございません。
  112. 田口委員(田口健二)

    田口委員 基準がないということでありますから、それでは現実に離島僻地におけるこうした病院に勤務する医師の勤務年数というのは、平均的に言っても結構でございますから、どういう状況になっていますか。
  113. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 現在国立病院療養所で勤務されております医師の平均の在職年数という形で申し上げさせていただきたいと思いますが、離島施設の場合は一年半、それから山村、過疎、特別豪雪地帯といった施設ですと約五年、こういった状況になっております。
  114. 田口委員(田口健二)

    田口委員 今一年半というようにおっしゃられた。私が随分長い間離島医療関係で頭を悩まし続けてきたのは、医師を初めとした要員確保の問題なんです。ですから、現在でも全国平均の半分以下というような数になっているわけです。そして勤務年数一年半でしょう。国立病院でこういう状況なんですよ。長崎にはもちろん長崎大学医学部がございます。あるいは近隣の福岡県にもございます。いかにして優秀な医師を確保していくかというのが大変な問題なんですよ。これが国立病院でなくなった、そうなった場合に、後医療云々と言われますけれども、国は責任を持って医師の確保が一体できるのでしょうか。私はこれは大変な問題だと思いますよ。地方自治体も大変このことで頭を痛めておるのです。その辺はどうでしょうか。自信ございますか。
  115. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院におきましても、例外なく医師の確保というのは従来苦労をしてまいったところでございます。僻地医療の問題は、いかに医師を確保するか、これが非常に大きな問題であります。したがいまして、国が直接経営をしなくなった場合でも、国としても僻地医療対策の一つの大きな柱として医師の確保対策を進めてまいらなければならないと思います。まあ国立だから医師の確保が容易かどうか、そういった面もあるかもしれませんけれども、それは僻地医療対策の重要な柱として、今後国もその推進に努力していかなければならないというように考えております。
  116. 田口委員(田口健二)

    田口委員 関連をいたしまして、これは自治省にお聞きした方がいいのかもわかりませんが、自治医大の卒業生、これが今日離島僻地にどういう就職の状況になっておるのか、おわかりであれば教えていただきたいと思うのであります。
  117. 大屋説明員(大屋正男)

    ○大屋説明員 いわゆる僻地等病院・診療所等に勤務しております自治医大の卒業生は四百六十三名でございます。これは昨年七月の調査でございます。その勤務先別の内訳を申し上げますと、診療所に百三十七人、僻地中核病院に八十七人、それ以外の病院に二百二十人という内訳になっております。
  118. 田口委員(田口健二)

    田口委員 その自治医大の卒業生の中で、国立病院または療養所に現在勤務されておられる方はいらっしゃいますか。
  119. 大屋説明員(大屋正男)

    ○大屋説明員 現在三名の者が国立病院・診療所に勤務をしております。
  120. 田口委員(田口健二)

    田口委員 時間が間もなく参りますので、最後に小さいことでありますが、厚生省のお考えをこの際聞いておきたいと思うのであります。  先日、私が申し上げましたように、国立小浜病院に参りましていろいろ状況をお聞きした中で、ちょっと気がついたことがございます。それは他の国立病院療養所にも共通しているのではないかと思うのでありますが、職員の中に賃金職員というのが年次別に見てまいりますとだんだん増大をしてきておる。しかもそれが定着化をしつつある。言うならば、例えば産休の代替要員のような臨時的な雇用関係ではなくて、どうも内容からいって定数内職員とほぼ同様な業務についているのではないかという気がしておるわけであります。これは事前に連絡をしておりませんでしたから、数とか何とか詳しいことは結構ですが、実態について把握をしておられれば、あるいはその賃金職員というものが実際どういう職種に勤務をしておるのか、その程度でもわかれば、この際お知らせをいただきたいと思います。
  121. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 看護婦あるいは調理といった職種においてそういう実態がございます。
  122. 田口委員(田口健二)

    田口委員 そういうケースというものは、例えば国家公務員法からいってどうなのでしょうか。別に抵触はいたしませんか。
  123. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 抵触をいたさないと思います。
  124. 田口委員(田口健二)

    田口委員 それは間違いありませんか。確認しておきますよ。そういう長年にわたって賃金職員として、その業務の内容は定数内職員とほぼ同じような仕事に従事しておる人たち、これは国家公務員法に抵触しませんね。
  125. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 抵触いたさないと思います。
  126. 田口委員(田口健二)

    田口委員 時間がありませんから、この問題はそれではまた後ほど機会を見てやりたいと思います。  最後に、本会議の中で中曽根総理がお答えになっている中で、私が理解できない点がありますので、これは厚生省の方からお答えをしていただきたいと思いますが、目標数については別に決めてはおりません、機能中心によって適正配置をこれからつくっていきますということは、今厚生省が発表しておる統廃合、移譲対象施設は必ずしもこれは数にはこだわらないんだ、今後機能中心によって内容的には具体的に決めていくんだ、こういうふうに私は理解をしておるのでありますが、それでよろしいでしょうか。
  127. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 御質問の趣旨は、再編成の統合対象施設、その実行の施設数にはこだわってないかということでございましょうか。――私どもは、昨年一月に策定した全体計画というものがございますので、その全体計画の実施に向けて作業を進め努力をしてまいりたいという考えでございます。ですから、対象数は全体計画に示されたものでございます。
  128. 田口委員(田口健二)

    田口委員 そうしますと、今発表されておるこの数は、この内容に従って今後進めていくけれども、この数は決して固定的なものではない、こういうふうに理解をしていいのですか。
  129. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 数が固定的とかといいますよりも、およそ十年を目途に国立病院の再編成を行うに当たりまして、移譲はかれこれの施設、統合はこれとこれをやると、具体的に箇所を指定して計画を策定いたしたわけでございますから、これに基づいて実施を図っていくということでございます。  ただ、その実施に当たっては、先ほどから申し上げておりますように、いろいろな努力、手続といったものをやった上で円滑な実施を図ってまいらなければならないということは考えておりますが、どういう施設をやるかというのは、この計画に示してあるとおりでございます。
  130. 田口委員(田口健二)

    田口委員 時間が参りましたが、先ほどからいろいろお尋ねをして、また私も申し上げましたが、確かに今度の再編計画が一方においては国立病院の新たな役割としてより広域的、より高度で専門的、そういう使命を担った国立医療機関に再編成をしていく、それは一つの考え方であるかもわかりません。しかし同時に、四十余年たって、今日おそらく全国どこでもそうだろうと思いますけれども、とりわけ離島僻地において国立病院療養所の果たしておる役割は、まさに地域に密着をして、地域の中核的な医療機関としての重要な役割を果たしてきておる、この現実ですね。それが今回の再編成計画によって切り捨てられていく。これはもう地域住民にとっては、とりわけ離島僻地住民にとっては、まさに生活権の侵害にかかわってくると私は思うのであります。ですから、このような法案には絶対承服することができません。先ほど先輩の池端議員も申し上げておりましたが、私もあくまでもこの法案は撤回すべきであるということを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  131. 浜田(卓)委員長代理(浜田卓二郎)

    ○浜田(卓)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後三時四十六分開議
  132. 長野委員長代理(長野祐也)

    ○長野委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村厳君。
  133. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 今回の国立病院等の再編成に伴う特別措置に関する法律案でありますけれども、法案の中身自体は大変に単純明快でありまして、要するに、自治体には国立病院等の資産を無償で譲渡する、その他の資産については五割引きで譲渡する、あるいはその他の公的医療機関に対しては、それぞれ相当額の値引きをして移譲あるいは譲渡するという単純なことでありますが、法案それ自体の題名にもあらわれておりますように、国立病院等の再編成がその前提にあるわけでありまして、提案趣旨の説明の中でも、国立病院療養所については、今後他の公私医療機関連携しつつ国立医療機関にふさわしい役割を積極的に果たしていくために、今後おおむね十年を目途に、相当数の施設の移譲または統合を行うなど再編成を進めていくこととしており、このためにこの法案を提出するのだ、こういうことになっているわけであります。  そこで、何よりもまずこの法案の前提となります国立病院療養所の再編成の方針なり計画が妥当なものであるかどうかということが論議の対象にならなければならないのだろうと思うのでございます。私どもは厚生省がおつくりになられましたこの再編成計画というものは大変妥当性を欠くものである、到底同意をいたしかねるという立場でありますけれども、まずこの計画がどのようにして策定をされるに至ったのかという経過からお聞きをしてまいりたいと思います。  私どもが理解しておりますところでは、当初は、臨調答申というものがありまして、臨調の五十八年三月十四日の最終答申以来、この計画厚生省の中でだんだん策定され始めた、こういうことのようでありますけれども、その詳細について御説明を承りたいと思います。
  134. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成につきましては、昭和五十八年三月の臨調答申及びこれを踏まえた行革大綱に基づきまして、昭和六十年三月に「国立病院療養所の再編成・合理化の基本指針」を策定いたし、国立病院療養所の果たすべき役割、統合、移譲の指標等を明らかにいたしたところでございます。その後、同指針に基づきまして、統合、移譲対象施設の選定作業を進めまして、昨年一月九日に公表いたしたものでございます。
  135. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 その間に審議会その他に語るというようなことはなかったのでしょうか。
  136. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ただいま大臣が御説明をいたしましたように、昭和六十年には再編成の基本指針を策定いたしましたが、この基本指針を策定いたします場合に、学識者によります懇談会を設けまして御意見をいただき、これをもとにいたしまして基本指針を策定いたしております。
  137. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 その懇談会というものは法律上の諮問機関ということではないのでしょうか。またそれと同時に、その懇談会なるものの構成、さらにはその懇談会で出されましたところの答申の内容等について御説明をいただきたいと思います。
  138. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 この懇談会は正規の審議会といったようなものではございません。学識者にお集まりいただきまして御意見を拝聴したという懇談会でございまして、国立病院療養所編成問題等懇談会といった名前で呼んでおりました。中尾医療審議会会長、自治医科大学学長が座長を務められておりまして、十二人の方々にお集まりいただいて御懇談いただいたというものでございます。  それから、懇談会で出ました意見をまとめましたものが、大体この厚生省がまとめました基本指針の内容になっているわけでございます。
  139. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 六十年の三月に厚生省が基本指針というものをおまとめになられた、こういうことでありますけれども、これは要すれば、この臨調答申及び行革審の答申というものを具体化するというためにのみなされたものでございましょうか。
  140. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 臨調の答申も受けまして、また厚生省といたしまして、社会経済情勢の変化に対応した国立病院のあり方というものを考えまして、将来の国立病院療養所のあり方を再編成を通じて内容を充実整備していくというような観点から基本指針を策定し、その指針に基づいて再編成計画をつくったということでございます。
  141. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 この臨調答申あるいは行革審の答申というもの以前には、厚生省としてはそういうような国立病院の再編成・統合というようなものは考えておられなかったのかどうか。やはり臨調答申でやらざるを得ないという立場からおやりになったのかどうかということを伺いたいわけであります。
  142. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院の移譲とか統合というのはかってもございまして、特に昭和二十七年にはやはり特別措置法といったようなものも制定されまして、地方自治体等に対する移譲といったようなことも行われたこともございますし、その後幾つかにつきましては、統合とかいったようなことが実際に行われてまいりましたが、今般は確かに臨調答申から御指摘をいただいたということもございますけれども、それも受け、行革の一環と同時に、厚生省としても国立病院療養所国立らしい機能整備といった観点から、現在のままの姿を引き続きそれぞれを整備していくことは非常に難しい、やはりこの際、統合すべきものは統合し、移譲すべきものは移譲し、整備すべきものは整備する、そういったようなことが必要であるという観点から再編成というものを実施するということにいたしたわけでございます。
  143. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そこで、厚生省がつくられた基本指針と申しますか、この統合再編成の方針というものでありますけれども、まず、これはどういう考え方でできているのか、それを御説明いただきたいと思います。
  144. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の国立病院療養所の再編成につきましては、国立病院が果たすべき役割に立脚をし、国立病院らしい、その目的に沿うた国立病院にいたしてまいるということでありますが、この国立病院療養所昭和二十年代から整備をされ、当時は全ベッド数の約三割を占めておりましたが、その他公的医療機関また私立の医療機関等が飛躍的に整備をされ、全体としては医療機関の量的な整備が行われてまいりました。そして現在におきましては、国立病院療養所の占めるベッド数の割合といたしましては約六%という状況になっておる。そういう状況を考えますときに、これから将来へ向かって限られた医療資源というものを適正にまた効率的に配分をし、そういう中において国立病院として担当していかなければならない分野について、真に国立病院らしい医療機関としてこれから立っていく、そういうために今回の再編成を行ってまいる、こういう考え方でやらしていただいておるものでございます。
  145. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 国立病院らしい医療を行っていかなければならない、こういうふうにおっしゃいますけれども、国立病院がどういうあり方でなければならないのか、国立病院らしいあり方というのは一体何なのかということについでは詳しい御説明を伺えないわけでありまして、その点について再度お尋ねを申し上げます。
  146. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今申し上げましたように、全体の量的な面におきましては医療機関整備をされてまいりましたが、そういう中で他の公的病院やまた民間の医療機関において担当しにくいような分野、そして国立病院としてなお広域的な分野をカバーするようなこと、こういうことを念頭に置きまして高度また専門医療的な医療機関としてまいるということが第一であろうと思います。  また、臨床研究というような分野についても、また教育研修というような分野についても国立医療機関がその任に当たっていくということも必要であろうというようなことも考え、こういったことを中心といたしまして、国立病院療養所にふさわしい医療機関に改革をいたしてまいろう、こう考えておるところでございます。
  147. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 それではまだ私どもは理解ができないわけでありまして、確かに国において高度医療機関を創設するということは、それ自体必要であるということは別に否定をいたしませんし、あるいはまたそのほかのいろいろな専門病院を国が設置をしなければならないということは理解をするわけでありますけれども、そうだからといって、現実に今行われている地域医療を国が放棄してしまわなければならないのだということがどこから出てくるか、それを伺いたいのです。
  148. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の再編成で、例えば移譲というふうに考えておるところにおきましても、その医療機関が今後必要がないというふうに考えておるわけではございませんで、その必要な医療国立でなければならないのかと考えた場合に、国立でなくても他の公的医療機関や私的な医療機関においてもこれを十分担当していただけるのではないか。そういう意味におきまして移譲をさせていただくということでありまするし、また統合をいたします場合に、統合いたしまして、一方の施設を使用しないということになりました場合におきましても、地域の実情に応じて後医療が必要であるという場合には、その後医療確保を図っていくということを私どもは十分念頭に置いておるわけでございます。そういう後医療等の円滑な確保ができるために、今回のこの特別措置法を御提案し、御審議を願っておるわけでございまして、決して地域の一般的な医療はもう不必要であるというふうに私どもは考えておるわけではございません。国立病院がどうしても担当しなければならないのかどうかということについて、今回いろいろ議論をさせていただいた結果、このようなことにさせていただいた、こういうことでございます。
  149. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 大臣の御説明だと、国立病院病院全体の中に占めるパーセンテージというものは大変低くなってきた、こういうふうにおっしゃられる。それはそうでありましょうけれども、そうだからといって、国がその一般的な地域医療分野から撤退をしなければならない、こういうことにはなってこないのだろうと思うわけであります。確かに後医療のことはおっしゃいました。後医療というものは厚生省が責任を持つのだというようなおっしゃりようだと思いますけれども、それは国自体ではなくて、自治体なり他の公的医療機関に後医療はやらせるのだ、こういうことであります。だから、医療全体としては減少しないという言い方かもしれませんけれども、そうだからといって、後医療を担当するのは、国が直営するわけではありませんで、何で国がその分野から、直営をするというその状況の中から撤退をしなければならないのだということを改めてお伺いをしなければならない。その辺が私どもはちょっと理解ができないところでございます。
  150. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 国立病院療養所の占める割合が先ほど申し上げたように三〇%から六%になってきたということは、裏返して申しますならば、他の医療機関においても通常の場合医療を十分確保していくことができるようになってきたということになるわけでございます。でありますので、今回、再編成でねらっておりますような国立医療機関にふさわしい分野以外におきましては、他の医療機関において十分これを確保していけることに時代的にもなってきた、こういうふうに御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  151. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 戦争直後に比べれば医療機関が非常にふえたということは事実でありましょうけれども、そうだからといって、地域住民の側からするならば、国立病院が提供をしてくれる医療と私立の病院が提供してくれる医療は内容的に違いがあるというふうに理解をしているわけであります。国立病院の場合にあっては、差額ベッドの問題であれ質的な問題であれ何であれ、やはりそれなりに大変いいものがあるだろうというふうに思っているわけです。したがって、そういうものを他の私的な病院等によって代替ができるのだ、それほど私的な病院というものがふえてきたのだ、だから撤退するのだという話は私は理解ができないところであります。  そうしてみますと、先ほど来のお話からして、臨調答申というものがあったから、行革を進めなければならなかったから国が撤退をするのだ、あるいはまた財政が大変に困難であるから撤退をしなければならないのだ、こうとしか受け取れないのでありますけれども、今回の再編成の主たる眼目は財政的な問題にあるのではないかという点はいかがでございましょうか。
  152. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 大臣からも説明がございましたように、決してこの再編成を通じて赤字対策をやるとか財政対策をやるといったようなものではございません。これからの国民医療を賄っていく中で国立は一体何を果たすべきか、こういったことを明確にして、それに沿ってやるべきことはやる、そのための整備はやる、充実をしていくということを明確にして、そのためには再編成というものが必要だというふうに考えたわけでございます。
  153. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そうならば、先ほどから私が申し上げているように、高度医療あるいは専門医療、こういう分野、あるいは難しい医学的な研究等々について国立病院が従事をしなければならない、それと同時に、従来地域に定着をしているところの一般的な医療も国が御担当になればいいじゃないですか、こういうことを申し上げたいわけでありますけれども、それができないというゆえんは、やはり財政的にこれ以上金を投入することはできない、限られた原資の枠内でやるためには統合が必要になるのだ、こういうことになるのじゃないですか。
  154. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 大臣お話もございましたように、今日におきまして公私通じまして各種の医療機関というものが整備されてまいりました。そういった各種の医療機関の中で国立医療機関というものは何をすべきか、ただ他の医療機関と同じようなことをやっているのではなくて、国が直接医療サービスを提供するということであるならば、それなりの意義は一体どこにあるのか、やる以上は、先ほどお言葉ございましたけれども、やはり国立らしい医療施設というものにすべきではないか、そのためには国は一体何をすべきかということを明確にして、その線に沿って必要な整備をやっていくということでございます。  ですから、先生の御指摘の、今やっていることもやりつつ、それも充実しつつ必要な高度、専門医療もやっていけばいいじゃないかということでございますけれども、それは確かに財政上の問題もなしとは申しませんが、医療資源の効率的な使用、それから医療機関の内部の役割分担を明確にしていく、あるいは連携をしていく、こういった観点から見ますと、こういった国としての役割を明確にするということが必要ではないかということでございます。
  155. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 まあ言ってみれば、きつい言い方ですけれども、そういうような今の厚生省考え方では、国なるものは地域住民に対する一般医療なんというくだらないものをやることはできないのだ、そんなくだらないものは国が担当すべきものじゃないのだというような思想で貫かれているように思われるわけですけれども、そういう考え方はないわけですか。
  156. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 医療供給体制を確保していく中で、地域の一般医療というのは、これまた非常に重要な分野でございます。ただ、これを各種の医療機関が競合しながらやっていくというよりは、医療資源の効率的な活用という意味からも、国がやるなら国は一体どの分野をやるのか。国がやる以上は、非常に限られた一部の地域じゃなくて、もう少し広い範囲の方に利用されるようなもの、それは非常に高度なものかあるいは専門的なもの、しかも他の医療機関ではなかなかやりにくい分野、そういった分野を国が受け持つ、こういうことがこれからの医療供給体制を賄っていくという意味で非常に有効な方法であり、それが国のやるべき分野ではないか、こういう考えに立っているわけでございます。
  157. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そういう医療機関が今日では相当に充実をしてきた、こういうことをおっしゃられますけれども、それはマクロ的に見れば相当充実をしてきたということはあるかもしれませんけれども、それぞれの地域というミクロの分野で見れば、やはり国立病院が撤退をされてしまえば、その地域医療が大変に薄くなる、あるいはまた地域に必要な病床数その他を満たすことはできなくなる、こういうようなところもあり得るわけでありまして、それにもかかわらず、そういうことを無視をして、そこから国が手を引いてしまうというのは、余りに無責任であるというような気がしますけれども、その点はいかがですか。
  158. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 現在の国立医療施設は、その内容が不十分とはいえ、それぞれの地域においてはそれなりに重要な役割を果たしていると私どもも思っております。したがいまして、今回の再編成によりまして、その地域から統合されることによって国立病院がなくなるというようなことは、確かに地域医療に対しまして大きな影響があろうかと思います。したがいまして、私どもは、統合といった場合には、十分地元自治体などの御意見も聞きつつ、地元地域医療に重大な支障が生じないように十分配慮しながら、こういった統合というのを進めていきたい。したがいまして、後の医療というものが、地元から見てどうしても後を補う必要があるということであれば、ひとつこういった国立病院施設を活用できるように、特別措置を講ずるといったようなことを今回盛り込んで法律案の御審議をお願いしているわけでございます。
  159. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 先ほどのお話で、六十年の三月に「国立病院療養所の再編成・合理化の基本指針」というものをおつくりになった。その後六十一年の一月に「国立病院療養所の再編成について」というより具体化した方針をおつくりになった。その上でこの統廃合の対象である病院を選定をされた、こういうことになるんだと思いますけれども、この統廃合の対象になる病院を選定をされるに当たっては、地方公共団体あるいは地方住民の御意見というものを聴取をした上でそういう選定を進められたのかどうか、それは全く関係がないとして、一定の基準でおやりになったのか、その辺はいかがですか。
  160. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 私どもは、近接した国立施設を統合することによってより機能強化が図られるといったような場合に統合し、むしろ地域に密着した適当な方が経営をかわってやっていただく方が適当なものは移譲するといったような観点で、統合あるいは移譲という施設をリストアップしたわけでございますけれども、この対象施設の選定に当たりましては、それぞれ関係都道府県などに意向を打診しつつ、申し上げましたような観点から再編成計画というものを策定したわけでございます。
  161. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 打診しつつとおっしゃるけれども、どういうところにどういう方法で打診をしたのか、具体的に明らかにしていただきたい。
  162. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ケースによって違いますけれども、都道府県の関係部局などにいろいろ御意見を伺いながら、私どもで計画を立てさせていただいたということでございます。
  163. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 例えば、その病院がどこかへ統合されてしまって、その地域にあった病院施設が譲渡されてしまうようなところについて、例えば市であるとか市議会あるいはまた東京の場合でいえば特別区の区長であるとか区議会、そういうところにお話をする、あるいはまたその周辺の町会あるいは町会連合会というようなところにお話をする、こういうことは全然なすっておらないんじゃないでしょうか。
  164. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ケースによって違いますけれども、あらゆる関係者に全部意向を聞いたというわけでは必ずしもございませんし、その意向の聞き方も、ある程度の打診といったような形である場合もございますし、正規に意見を求めたという形にはなっていないことも多かろうと思いますけれども、実際そういったようなある程度の意向を打診しつつ私どもの方で計画を立てさせていただきましたけれども、ただ、この計画の実施に当たっては、進める場合には地元自治体関係者意見を十分聞きながら進めさせていただくということにしております。
  165. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 厚生省がお決めになった「再編成・合理化の基本指針」、こういうもの、さらにはその後につくられましたところの六十一年一月の「再編成について」というものには、それぞれ経営移譲というか統廃合というか、それを行う施設の選定の基準というようなものがあるわけでありますけれども、今回の七十四カ所でありますか、そういう統合あるいは移譲する施設の選定というのは、この基準というものを機械的に当てはめてできた、こういうようなものでございましょうか。
  166. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほど申し上げましたように、近接した国立施設を統合した方がより機能の強化が図られるものは統合し、それから地域に密着した施設として、他の適当な方に経営をしていただいた方がより適当であるといったものは移譲するといったような観点から選定をいたしたわけでございますけれども、現在の国立病院療養所の置かれている状況等も総合勘案いたしまして、こういった施設の選定をさせていただいたわけでございます。
  167. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 再編成の指針によりますと、「次に掲げる要件のいずれかに該当するものは、統廃合の対象として検討するものとする。」というのがありまして、①として「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある場合で、病床数等からみて国立病院療養所としての機能を果たすことが難しいもの。」②として「近接して国立病院療養所があり、統合したほうがより機能充実が図れるもの。」こういうふうになっているわけでありますけれども、こういう基準であるとして、さらにまたそれを「検討するものとする。」というふうにあるわけで、この中から選定をしたとすれば、それは専ら厚生省の主観的な考え方によったのだということになろうかと思いますけれども、その点はいかがですか。     〔長野委員長代理退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  168. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほどから話が出ておりますように、懇談会の意見も聞き、基本指針というものをつくりまして、その基本指針というものを見ながら計画厚生省で策定をした、また関係方面の意向も打診しつつ計画を策定するというようなことでございます。
  169. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 私が伺っているのは、対象病院の選定そのものがある意味では主観的なものであって、はたから見ればかなり厚生省が恣意的におやりになったのではないか、こんな感じがするわけですから、その点についてはいかがでしょうかということを伺っているわけです。
  170. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 主観的とか恣意的というのではなくて、このように指針というものを策定しまして、これに照らして計画を策定したということでございます。
  171. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 例えば、新聞の報ずるところによりますと、新潟県の村松病院というものは、昭和六十年に十二億もかけて改修をして立派なものにしたのだ。せっかくそうしておりながら、それを統合病院に指定して、そういう施設を売ってしまうということは、売ったらそれだけ収入があるかもしれませんけれども、むだにしてしまうことにほかならない。こういうような病院を統合対象に選定をするということは、ある意味では大変でたらめではないかというふうに思うわけですけれども、指針に基づいて選定をいたしましたといっても、機械的な基準があるならば話はわかりますけれども、機械的な基準がないのだとすると、やはり主観的というふうに許せざるを得ないのではないでしょうか。
  172. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 繰り返すようでございますけれども、基本指針というものに照らしまして、厚生省として総合的に判断して計画をつくったというものでございます。
  173. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 では別の角度から伺いますけれども、これこれ病院というものが移譲の対象だ、これこれ病院というものが統合の対象だという具体的な病院の選定は、厚生省の中のだれがどういうふうにおやりになったのですか。
  174. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 厚生省の中の国立医療機関を担当している部局が中心となって作業をいたしたということでございます。
  175. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 その妥当性を担保するために学識経験者等の第三者の選定機関というものを全く設けることなく、厚生省の担当者が一方的に机の上で決めた、こういうことなんですか。
  176. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 どういった再編成をするかといったような指針をつくるに当たっては、先ほども申し上げましたように、学識者の御意見も承って策定したわけでございます。それを具体的に計画をつくる、施設をリストアップするという場合には、学識者の御意見を聞くという形はとっておりませんが、そういった過程を経て、私どもは総合的に判断して計画を策定させていただいたわけであります。
  177. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 学識経験者あるいは第三者の意見も聞かないあるいは地域地方公共団体の意見も聞かない、厚生省の担当官が机の上で勝手に決めたというのであれば、大変に恣意的に選定をさせられたというふうにしか私には理解ができないわけでありますが、その点はともかくとして、次に、国立病院がこういった統廃合をされるということについては、先ほどの御答弁の中でも、国立病院特別会計の累積赤字あるいはまた借り入れ、累積赤字の場合には一般会計から繰り入れするわけでしょうけれども、そういうような状況は今日までどういうふうになってきておりますか。
  178. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院療養所におきましては、特別会計の中で運営しているわけでございますけれども、実際の運営におきましては、国立病院・養療所の性格からしまして不採算的な要素も多うございますので、かなり経常収支が赤字というものも多うございます。ただ、そういった経常収支といいますか、赤字に対する対策のために、この再編成を行うというわけではなく、財政上の問題も確かに重要なことではございますが、これからの国立病院はどうあるべきか、そのためにはこういった再編成というものをやらざるを得ないのだといったような観点から計画を策定し、再編成を実施しようということになったわけでございます。
  179. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そうなりますと、厚生省としては、これまでの毎年度の一般会計からの特別会計への繰り入れあるいはまた借り入れ、累積の借入金額というものについては、今日の時点においても、それはまことにやむを得ないものであるというふうに理解しておられるわけですか。
  180. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 いろいろ御意見はあろうかとは思いますけれども、私どもといたしましては、国立病院療養所の運営につきましても、与えられた条件のもとで最善努力を尽くしてやってきたつもりでございます。
  181. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 しかしながら、厚生省御自身も認めでおられるように、今日まで国立病院施設とかスタッフというものが大変不十分であったのは事実ですね。
  182. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 現在ございます国立病院療養所といたしましては、医療スタッフその他国立病院としては内容的に非常に不十分な状態なものがあるということは否定できないことだろうと思います。
  183. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 その施設スタッフが不十分であるということが今回の統廃合に結びついておるのでしょうか。
  184. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 不十分といいますか、個々の施設医療スタッフとか医療機能をそのままに何がしかの整備を進めて充実をしていくというよりは、複数の施設を統合することによって充実強化を図った方が適当である。したがいまして、統合すべきものは統合するし、先ほどのように、適当な方に経営を移譲するといったようなことで、浮いた要員も本来やるべきところに充当することによって国立病院を強化できる、こういった観点で再編成を行うという趣旨でございます。
  185. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そうなりますと、今日まで厚生省自身が施設スタッフを不十分のままに放置しておいた、それを充実させなかったという結果が今日の統廃合を招くようになってしまったのだということになりますか。
  186. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、与えられた条件のもとで国立病院療養所の内容の充実については最善努力をしてきたと思っております。
  187. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 では今度は別のことを伺いますけれども、今日、新聞に厚生省のこの統廃合計画、再編成計画が発表されて以来いろいろな反応があろうかと思いますけれども、厚生省に寄せられた自治体あるいは住民、そういうものからの反対の意思表示、こういうものは非常に強いと思うのですけれども、どういうようなものが、例えば陳情あるいは決議という形で上ってきておりますか。
  188. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 一般的に申しますと、現在の国立病院療養所というものが、地域から見れば、地域におきまして医療確保に貢献しておるのでぜひ存続してほしいというのが一般的な言い方ではなかろうかと思いますけれども、統合とか移譲とかいう場合に、後の地域医療に支障がないだろうかといった懸念、こういったようなこともあっての御意見ではなかろうかというふうに理解いたしております。
  189. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 厚生省はそういう状況の中で、御自身が策定された今日のこの再編成の指針は、地域住民またひいては国民全般に大変受け入れられていない、大変不評であるというふうに認識はされておらないのでしょうか。
  190. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成計画あるいは再編成趣旨につきましては、かなりの理解が得られていると私どもは思っております。しかしながら、具体的なケースについて地域の問題となった場合に、現在の施設が云々ということになりますと、ただいま申し上げたような形の御意見が出てくるといったようなことでございます。  したがいまして、私どもも、今回の再編成趣旨、こういうことをどうしてもやっていかなければ国立施設としての展望が開けないのだといったようなことを、今後とも御理解を求めてまいりたいと考えておりますし、また計画の具体的な実施の段階では、地域とも十分お話し合いをして進めさせていただきたいと思っております。
  191. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 現実には厚生省は全然御努力をなさっていないわけですよ。今回、ここの国会で、法務の関係では簡易裁判所の統廃合問題というのが起こっておりますけれども、最高裁判所当局は、この統廃合を進めるについて、地域自治体等々とかなり熱心に、法案を提出される以前から、この統廃合を理解してもらいたいという活動をおやりになっておった。ところが厚生省は突如として、これこれを統廃合しますよとばんと出されて、それで地域住民に今後理解してもらいたい、こういうことを言っても、これはなかなか無理なんだろうと私は思っております。  そこで、今お話にありますように、廃止後に、その後医療はどうなるのかということに、やはり地域住民にとっては大変大きな関心があるわけでありまして、統合されてなくなってしまう方の病院、これについては、今回の法案によって、これを地方自治体なりあるいは公共医療機関に移譲あるいは譲渡するということになっているようでありますけれども、この後医療というものは、結局引き受けるところの、あるいは買い受けるところの医療機関というものがなければ成立しないわけです。必ずそれを引き受けて、その後そこで病院公的医療機関がやっていけるんだという見通しを厚生省はお持ちになって今回のことをおやりになったのでしょうか。
  192. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 医療施設を移譲いたすわけでございますから、おっしゃるとおり相手がなければできないことでございます。私どもも、この計画の実施のためには、これから全力を挙げてこの引受手をつくる努力はしなければならないかと思いますが、こういった移譲が円滑に行われるためにも、今回御審議いただいている法案をぜひお願いいたしたいというわけでございます。
  193. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 六十一年一月にこのことが発表になってから今日まで、私どもが仄聞する限りにおいては、統合する方はいいですよ、国立病院同士統合するのですから。統合されてしまった後に残った方ですね、あるいは移譲するもの、そのものについて具体的に地方公共団体なり、いうところの地方公共団体を除く公的医療機関から、私の方で引き受けたいということで申し出があった例は一つもないんだ、こういうことでありますけれども、それは事実でございましょうか。
  194. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回お願いしております法案もまだ御審議中でございますし、そういったことのために引き受け条件というものも未確定なところもございますので、まだ正式に引き受けたいという申し出を受けた例はございません。
  195. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 先ほど来のお話のように、言ってみれば、国立病院の経営そのものがやはりどうしてもそれ自体独立で成り立っていかない。つまり今までの国立病院特別会計を見ましても、一般会計からの大幅な繰り入れをしなければやっていけない。そういうものでありますから、そういうものについていかに低廉な譲渡価額というものを決めましても、地方公共団体にしろ公的医療機関にしろ、それを引き受け得るところはほとんどないのではないかと考えられますけれども、厚生省としては引き受けるところがあるんだという自信を持っておられるのですか。
  196. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 現在我が国の医療施設におきましても、国立施設のベッドの占める割合は六%ということが先ほど大臣からも申し上げたところでございますけれども、そういった観点から見ましても、大多数は国立以外の方が施設を運営しておられるわけでございます。したがいまして、地域医療という観点に着目した医療施設としてこれをやっていただける方もあり得るのではないか。しかし、そういった移譲を円滑に進めるためには、引き受けやすくしていただくためにも、割引譲渡といったような特別措置を講ずるよう本法案をお願いいたしておるわけでございます。
  197. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 そこでお伺いしますが、厚生省はこの再編成というものを十年計画でやりたい、こういうようなお考えのようでありますけれども、今七十四カ所と申しますか、このすべてについて十年間でこれを移譲、譲渡まで終えてしまいたい、こういう考え方でいるわけですか。
  198. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 この計画の実施はおよそ十年を目途に実施をいたしたいと考えております。ただ、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、この実施に当たっては、関係者とのいろいろな意見の調整とか話し合いといったものを踏まえてやっていかなくてはなりません。したがいまして、いろいろな困難も予想されると思いますけれども、私ども現在十年間でこの計画をやりたいと思います。そういったつもりで今後も最善努力をしていくというつもりでございます。
  199. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 それと後追い医療との関係でありますけれども、恐らく譲渡あるいは移譲というものが実現をしなければ、現実的に統合等ができないということ、また厚生省もそうやるおつもりがないということだと思いますけれども、仮に十年の間に移譲を受けたいとか譲渡を受けたいという人があらわれてこなかったら、十年間で統合をするという計画も、これは全然できないことになってしまう、こういうことになりますか。そしてその十年間で引受手があらわれなかったら、なおも国立病院としてそのまま経営していく、こういうことになりますか。
  200. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 私どもといたしましては、あくまでこの計画を具体的に実施するという最善努力を続けてまいるつもりでございます。したがいまして、移譲の相手先を見つけるという努力を続けていくつもりでございますが、ただ、移譲といいますものは、先ほどお話がございましたように、相手がなければできないことでございますので、それができるまでは国立施設として運営を続けてまいるということにいたしております。
  201. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 それでは、まあ仮定の話ですけれども、せっかくの指針にもかかわらず、今後二十年も三十年も国立病院として従前のまま経営を続けなければならないという事態も生じてくる、それは覚悟の上である、こういうことですね。
  202. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 そういうことのないように全力を挙げて努力をいたしたいと思います。
  203. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 ちょっと具体的なことでお伺いをしたいのでありますけれども、実は私の選挙区の東京都の北区には国立王子病院というものがございまして、これが統合の対象になっているわけでございます。それで、この国立王子病院が何で統合をしなければならないのか、こういうことについて具体的な必要性をまずお聞かせをいただきたいと思います。
  204. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 今回の再編成計画におきましては、都道府県域内におきまして三百ベッド未満の小規模な施設につきましては、近接する施設と統合して、国立医療機関としてふさわしい機能を備えた病院として整備するということにしているわけでございますが、東京都内におきます国立病院を見ますと、王子病院については病床規模が二百六十一ベッドと小さく、また地域の一般医療中心であるといったような診療機能も勘案いたしまして、同じく規模の小さい立川病院、これは二百九十一ベッドでございますが、これと統合することにして、統合後は防災の基幹施設として整備するということにいたしたわけでございます。
  205. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 統合の指針によりますと、「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある場合で、病床数等からみて国立病院療養所としての機能を果たすことが難しいもの。」こうあるわけですね。②は、もう一つ別途に、「近接して国立病院療養所があり、統合したほうがより機能充実が図れるもの。」こういうことになっておるのでありますけれども、王子病院の場合に「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある」ということは現実にはないわけであります。それでベッド数については二百六十一床だ、こうおっしゃいますけれども、それについても現実に開設をされているのは二百六十一床かもしれませんけれども、それはたまたま施設スタッフが足りないためにそういうふうになっているのであって、そういうことからすると、いわゆる厚生省御自身がお決めになった再編成の指標そのものに国立王子病院は合致をしていないのではないか、こういうふうに私どもは考えますが、いかがでしょうか。
  206. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立王子病院につきましては、ただいま申し上げたように、病床規模とかあるいは一般医療中心とした病院であるといったような観点から見て、またこの王子病院単独でこれを整備していくということは極めて困難であります。やはり規模の小さい立川病院と統合することによって、国立らしい高度な機能が発揮できる病院として整備ができる、こういった観点から統合するということにいたしたわけでございます。
  207. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 二百六十一床ということでおっしゃいますけれども、「病床数等からみて」というこの指標というものは、これは三百床というものが目安だということでございまして、二百六十一床といったら三百床にほぼ近いわけですね。それと同時に、私が今御指摘を申し上げましたように、たまたま今開設されているのは二百六十一床かもしれませんけれども、それはスタッフの不足のためにそういうふうになっているんじゃないか。現実にはあそこの施設におきましては、もっとベッド数を持てるのに、今日まで厚生省がその充実を怠ってきたためにそういうような状況になっているのではないか、こういうふうに思われますけれども、その点についてはいかがですか。
  208. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 ベッド数も、今おっしゃったように、単に建物の大きさだけでなくて、スタッフの内容も含めまして、現在王子病院が果たしている機能というのは、やはり小規模の地域病院である。これを単独で強化していくということはなかなか諸般の情勢から困難である。立川病院と一緒になって、統合することによって、この方が今後国立らしい医療施設として内容を充実強化していくことができるのではないか、そういった観点から統合をいたしたわけでございます。
  209. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 独立して経営するのが適当でないというようなことをおっしゃいます。あるいはまた地域の一般医療を行っているから、こういうことをおっしゃいますけれども、それは厚生省御自身が定めた、先ほど来私が申し上げている再編成の指標というか統廃合の対象の指標というものと全く関係がない。そんなことはその指標の中には書いてないわけだ。     〔浜田(卓)委員長代理退席、長野委員長代理着席〕 「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある」とかあるいは「近接して国立病院療養所がある」ということが統廃合の要件であるというように書かれてあるわけです。その辺はどうなんですか。
  210. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほども申し上げましたように、東京都内を見た場合、王子病院、それから一方では似たような状況にある立川病院、これを統合した方が機能の強化ができる、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
  211. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 恐らく指標を見る限り、近所にそういう十分医療を果たし得る病院があるから、だからそれをなくしてもいいんだというような考え方で指標自体がつくられておると思いますけれども、近所と言ったって、この統合対象であるところの立川病院、立川と北区の赤羽とは大変離れているわけで、それをあえてくっつけてしまおうというのはどういうことなのか、私は理解ができないのですけれども、何で立川病院との統合対象になるのですか。
  212. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほどから申し上げましたように、東京都内におきます国立病院の状況を見ますと、病床規模が小さいのが王子病院と立川病院である、ですから、これを統合することによって機能の強化が図られる、こういったような観点から行ったわけでございます。
  213. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 さらに、この国立王子病院というものは、地域に大変定着をして一般医療というものを行っていると言いますけれども、一般医療地域住民から大変に期待をされているという状況にあるわけですね。  具体的に申し上げますれば、外来でも毎日三百人から三百五十人の人が来ておりますし、また病床がいっぱいに埋まって入院のベッド待ちというような状況がある。それと同時に、この北区の赤羽という地域には、他に有力な病院は全然ないんだ。こういう状況にもかかわらず、そういう状況というものを全部ネグってしまって、捨象してしまって、ただベッド数がどうだ、こういうことで統合をしてしまう、こういうことなんですか。地域住民意向は無視をしてもいい、こういうことなんですか。
  214. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 現在の国立病院は、それぞれ地域において医療確保のために貢献しているということは、私どももそのように考えております。ただ、今後の国立病院療養所のあり方として、統合すべきものは統合し、移譲すべきものは移譲し、整備すべきものは整備するといったようなことで、先ほどから申し上げておるようなことでございますが、やはり問題となりますのは、そういった定着した病院の後の医療確保をどうするかということが最重要な問題だと思うわけでございます。したがいまして、この統合計画の実施を進めていく場合には、地元自治体を初め関係者の御意見を十分聞きながら進めてまいるということにいたしております。
  215. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 この国立王子病院をめぐっては、その所在地である東京都北区の区議会が二度にわたって統廃合反対という決議をいたしておること、あるいはまた私ども政党単独でも、地域住民から二万からの反対の署名を集めている、他の政党さんもおやりになっている、またこの地域の自治会あるいは自治会連合会というようなものも多数の反対署名を集めている、こういうような実情にあるわけでございまして、そういう地域を挙げての猛反対運動の中で、なおこれを強行されるということは、私どもとしては納得ができないところでございまして、質疑の持ち時間がなくなりましたので、この国立王子病院の問題も含めて、国立病院の再編問題、統廃合問題については再度考慮を煩わしたい、もう考え直してもらいたい、こういうふうに思うわけでございまして、その点について最後に大臣にお伺いをいたします。
  216. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 これから本格化いたします高齢化社会に向かいまして、医療を良質に、適正に確保していくということは非常に重要な問題であると考えております。日本全体の医療供給体制というものを適正かつ効率的に分担をし、そして連携をとっていくということが必要でありまして、そういう観点に立って国立病院療養所がより広域的な範囲において、そして高度かつ専門的な医療、通常他の医療機関においては担当しにくい分野について、国立医療機関としてふさわしいその役割を立派に果たしてまいろう、こういう考え方に立って今回の再編成を行わしていただこう、こう考えておるところでございます。  ただいま御指摘のございました王子病院と立川病院の件につきましても、そういう観点から統合さしていただく。しかしながら、今御指摘がございましたように、王子病院における一般医療の果たす役割というものは非常に高いものがあり、また反対の皆様においては、その医療がなくなってしまうのではないかということからいろいろな御意見があるわけでございまして、そういう場合におきまして、その後医療を十分に確保し、そして一般地域医療としてこれまで国立病院が担当してきたと同様、もしくはそれ以上の担い手となるべき後医療を担当できる医療機関を私どもは誠意を持って選定をし、そして後医療確保していく、こういうことにつなげてまいらなければならないというふうに考えておるわけでありまして、最終的に地域住民皆様方が御納得をいただき、また国立病院病院として信頼に足るものになる、こういうような姿にぜひ努力をいたしていきたいと考えておるところでございますので、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
  217. 中村(巖)委員(中村巖)

    中村(巖)委員 終わります。     〔長野委員長代理退席、委員長着席〕
  218. 堀内委員長(堀内光雄)

  219. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 私は、今回の国立病院統廃合の問題、これは行政改革の一環としての再編成計画と位置づけられているように承って今日までまいりました。  そこで、大臣にお伺いしたいのは、今度の特別措置法と言われるものは、政府においてはこれを行革関連法案として具体的な位置づけをされているというふうに私は考えているわけでありますが、行政改革の意義と理念、まずこの辺からやっていかないと、――あなたたちはただ財政を中心として、お金がかかるからとかいろいろな形でこの問題に取り組んでいるようでございますので、この辺をひとつ明確にしていただきたい。
  220. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 時代の変化、社会経済情勢の変化に伴いまして、行政に対する需要、ニーズというものが変化をいたしてまいります。このニーズに対応いたしていくためには、その行政の範囲というものをいたずらに広げるということだけではなくて、行政の規模というものはできるだけ拡大しない中で、もしくは縮小できるものは縮小していくというような中で、そのニーズに十分こたえて対応していくようにしてまいる、こういうことが行政改革の理念、考え方であるというふうに考えておるわけでございまして、今回の国立病院療養所の再編成につきましても、そういう理念に立脚をして再編成を行わしていただきたいというふうにも思っておるわけでございます。
  221. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 そこでお伺いしたいのが臨調の基本答申、ここに行革の問題について、一つには「変化への対応」、二つ目には「総合性の確保」、こういうことだと思います。三つ目には「簡素化・効率化」ということがありました。四つ目には「信頼性の確保」という、こういう四つの観点から進められるべきであるということを言われているわけであります。すなわち、このことを要約しますと、国民のためのよき行政体制づくりである、こういうことにつながるのではないかと思います。国民のための行革をするという、こういう理念に立ちますと、今回の行革関連法案が福祉の後退につながるような中身であってはならない、このように考えておりますけれども、この辺をどのようにお考えですか。
  222. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 まさにそういうことでございまして、国立病院療養所に対する国民の皆様方の信頼、そしてまたその期待というものに、その時代の変化に即応して、そのニーズにこたえていくという必要性があるわけでございます。そういう必要性に立って、今回の再編成というものを考えさせていただいたということでございます。
  223. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 いずれにしても、今回の国立病院の統廃合の問題というのは、長い日本の医療における歴史がありますし、ただ単に財政を考えて、それだけでやってはいけないのではなかろうかと思います。そういう点では、医療と福祉というものがこれからの国民のニーズにどのように対応していくか、その中で具体的な位置づけが必要であろう、こんなふうに思うわけであります。  確かにむだな経費の削減も必要であろうと思います。あるいはまた必要なところ、すなわち私は少なくとも福祉や教育には予算というものが十二分に必要であろうと思います。特に医療施設整備については、十分な逆に予算をつけていかなければ真の医療の体制はできないであろう。今日のように、複雑多岐にわたる病気といいますか、医療というものを考えたときに、このような体制づくりを本当に国立病院が現在しているかどうか、私は大変疑問に思っておりますし、この辺を含めてもう少し新しい医療体制に対応できるような位置づけというものをどのように考えているのか、明確にしていただきたいと思います。
  224. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今回の再編成計画というものが、決して赤字のため財政のためということのみではないということはしばしば申し上げておるところでございますし、また何回も申し上げて恐縮でございまするけれども、国立病院療養所というものが昭和二十年代から整備をされ、その当時には日本の全体のベッド数の三割を占めていたということが、今日に至りまして、他の公的医療機関やまた私的な医療機関等の飛躍的な整備によりまして、全体としては量的には確保されてまいったわけでございます。  そういう中で、国立病院療養所の占めるベッド数というのはわずかに六%という状況になってきておるわけでありまして、そういうことを考えまするときに、国立病院療養所がいわゆる一般の他の医療機関では担えない分野についてしっかりと担当をしていかなければならない。そしてまた国立病院療養所として広域な範囲を対象として高度医療また専門医療というような分野に責任を果たしていかなければならない、こういう観点で行わしていただいておるわけでございます。  財政上の問題というのも、それは当然限られた財政の中でやっていくということはございまするけれども。赤字のために統合する、移譲をするということではなくて、あくまでも今申し上げましたように、国立医療機関にふさわしい国立医療機関をつくり上げていくという観点から再編成を行っていく、そしてマンパワー確保等についても、移譲、統合をすることによって、目指しますより高度、専門的な医療を担っていく厚いマンパワー確保ということにもつながってまいる、こういうふうに考えておるところでございます。
  225. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 統廃合したから充実できるという保証はないと思うのです。全体に占める割合が六%、逆に言えば喜ばしいことじゃないかと思うのです。少なくともそれだけ地域医療というものが整備をされる、そういう観点で言うならば、全体的に六%ということは、国立病院なり療養所として下がってきたこと自体が負担が軽減をされているわけですから、逆に言うならば喜ばしいことじゃないでしょうか。  そういう点で考えますと、今回の再編成計画大臣、例えば昭和六十一年度予算で編成された計画に基づいて八カ所の予算を計上されておりましたね。現在とのようになっておりますか。こういう一連の問題もありますね。やはりそれは計上されたから一〇〇%できるものでないと思うのです。こういう一連の問題で、先ほどの質疑の中でも、何か今強引に計画したからやらなければいかぬ、これであっては何か少し乱暴じゃないかな、こんなふうに考えているわけです。ですから、例えば申し上げた八カ所のものは現実にはどうなっているかとか、統廃合がうまくいってない地域、その原因は何なのか、やはりそういうことも明確にして具体的な取り組みというものが必要じゃないかと思います。地域の実情と無関係なのかどうか、やはりこういう一連の一つの流れというものがあると思うのですね。ですから、そういうことを明確にしてください。
  226. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 今先生も御指摘いただきましたように、国立病院療養所が全ベッド数の六%になってきたということを逆に裏返してみれば、いわゆる通常の一般医療というものについては、国立病院療養所以外においても十分担当し得る状態になってきたということでもあるわけでございます。でありますので、そういった通常の、他の医療機関で担当し得ない、しにくい分野について国立病院がしっかりやっていくということが必要であろうということであるわけでございます。  また、八カ所の部分につきましても、具体的にまだきちっと決まって進んでおるという状況ではございませんが、しかし、それぞれの地域におきまして、この再編成趣旨、またその該当する医療機関がどのように変わっていくのかということについて十分なお話し合いをさせていただくことによって、徐々にではありますけれども、一歩一歩進んでおるということも事実でございますので、地域関係皆様方に、今後とも私どもといたしましては、全力を挙げて御理解をいただき、御協力をいただけるように努力を積み重ねていくということが一層必要であるというふうに考えておるところでございます。
  227. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 いずれにしても、今回の厚生省のやり方、大変乱暴だと思うのです。ブロックごとに決めて、そして投網でやるような形でやってはいけないと思うのです。やはり一つ一つその病院あるいは療養所には生い立ちなり地域での医療役割なりあると思うのですね。そういうものを尊重しながらちゃんとやっていかなければいけないと思うのです。  ですから、今回こういう、今大臣が――六十一年度予算の執行に当たっても、現実にはまともにいっていないわけですから、はっきり申し上げて。そうでしょう。これがクリアできでないこと自体、そこに問題があったわけでしょう。例えば八カ所ずつ十年間やったって八十カ所。しかし、現実にはできてないでしょう。できないというところに大きな問題があるわけですから、やはりそれはブロック単位とかいろいろなことではなくて、そういういろいろな事情を踏まえながら取り組んでいかなければいかぬ、私はそうだと思うのです。例えば地元で猛反対するのを強引にやったってどうすることもできない。それでは厚生省が単なるスケジュールをつくってスケジュール闘争をしているようなものであって何にもならないと思うのです。何のための医療なのかさっぱりわからぬ。ですから、今後ともそれぞれの病院の生い立ちなりいろいろなことを考えてやっていかなければいけない。ブロック単位とかそういうことは少し――東京都の中でも、先ほど出た立川と王子、考えてみなさいよ、それぞれの運搬がヘリコプターと新幹線、新しくついてやっていくわけではないでしょう。全体的にいろいろなことを配慮してやっていかなければいけないわけですから、いろいろなことを含めて一つ一つをもう少し慎重に真剣にかつ親切に、私はその計画をもう一度やり直す必要があるだろう、こんなふうに思うのですけれども、どうでしょう。
  228. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 ブロックに一つずつ八カ所というのは乱暴ではないかというお話でございますが、第一次の取り組みといたしまして八カ所を決めさせていただきましたのは、それぞれのブロックにおきまして、できるだけ皆さんの御理解をいただくための努力を集中させていくという意味におきまして、その力を各ブロックごとに分散をさせていただいて取り組ましていただいている、こういう状況でございます。この再編成趣旨につきましては、かなりの皆様方が全体としては御理解をいただけるものであるというふうに考えております。  しかしながら、具体論として個別問題になりました場合には、先生も御指摘のように、それぞれの地域の事情というようなものがございまして、それぞれの御意見が出てまいるということでございます。それだけにそれぞれの地域についての御理解を十分いただくように努力をしなければならないと考えておりますが、私も就任いたしましてから、この八カ所につきまして、それぞれ省内にプロジェクトチームというようなものをつくりまして、担当者を決めまして、そして各地方医務局とも十分連絡をとって、一つ一つの進みぐあいについて具体的にお話し合いの努力を積み重ねていくということを続けてまいったわけでございます。八カ所のうちで幾つかにつきましては、かなりお話し合いが進んで、再編成なり統合に向かって進み出しておるというところも現にあるわけでございます。今後とも粘り強く努力を積み重ねてまいりたい、このように思っております。
  229. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 病院医療を機械的、算術的にやるというようなことは、僕はどうしても納得いかないんですね。例えば三百床に満たないとか、そういういろいろな形でやるということ自体が納得いかない。人の生命を金や、極端なことを言えば、今申し上げたような形の中で割り切っているような感じなんですね。そういうものじゃないと思う。もっと生命のとうとさ、あるいはまた医療や福祉のとうとさというものを考えておく必要があるのではないかな、こんなふうに思っております。  例えば、百歩譲って再編成後の機能型のナショナルセンターという問題について考えてもそうだと思うのですね。対象疾患ごとに一カ所ずつ、基幹施設はブロック一カ所ごと、こういうものが機能別に数の基準が設定されておりますけれども、再編成後、これらの基準が本当に満たされるかどうかと言ったって、はっきり申し上げて恐らく満足いく回答はできないと思うのですね。あるいはまた基準を満たすめどが現実にどのような形で計算をされているのか、そういうことを考えてみますと、単なる整理統合という形だけではなくして、基幹病院というものは、全体的にその中に新しく病院をつくりながら、そして逆に整理統合というものをもっと明確にしていく必要があると思う。まず新設をして、そしてブロックごとにこれはどういう病院であるとか、具体的にはそういうものをもっと明確な位置づけをしてからやるべきじゃないかな、こういうふうにも考えられるわけであります。少なくとも医療そのものが単なる行政の体制づくりあるいは行革というだけではなくして、国民のための医療であり、国民のための病院であり、それが国民のための整理統合に最終的にはなるということであるならば、もっともっと理解もできると思うのです。  その辺が、今やっていることについては、あなたたちもPRも下手でしょうし、もっと積極的にいろいろなことを含めて――我々が納得しない、皆さんが納得しないから猛反対されているわけです。そういうことについて、ただ官僚的に、役所だから、こんな形でやられてはいけないのじゃないか。受け入れ態勢だってそうです。地方自治体病院みんな赤字なんですから、喜んで受け入れる、だれもいないですよ、悪いけれども。そんなことを考えたら、あなたたちこういう計算では十年後に計算違いが大きく出ますよ。私はその辺を今のうちから警告しておきます。現実に地方自治体病院というのは、一般会計から赤字分を補てんしているのですから、来られると、逆に喜んで引き取ってもらうような話をさっきされておりましたけれども、そんなところは幾ら頼み込んだってどこも出てこないと思うのです。それが現実ですね。ですから、その辺をどのように認識されているのか、お考えをお聞かせいただきたい。
  230. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほどから大臣からも御説明申し上げておりますように、再編成趣旨は、国立医療施設機能を明確にして、国がやるべきことはやる、きちっと整備していこう、そういう形で現在の国立医療施設機能づけをし、位置づけをするために、ああいった類型化をし、それに機能づけして、あの類型に当ではめ、それに沿った整備を今後進めていく、こういうことにいたしたわけでございます。  ただいま先生からいろいろな御示唆をいただきましたけれども、そういったことも十分勘案しながら、私どもは、それは機械的に実施するということのないように、いろいろなことを総合勘案しつつ、またいろいろな御意見も聞きつつ計画の実施に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  231. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 審議官は今まで御苦労されておると思いますけれども、病院の実態あるいはまたそれぞれの地域の実態というものをどのくらいあなたは把握されておりますか、お伺いしたいと思います。
  232. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 私なりに医療施設の実態については勉強させていただいているつもりではございますけれども、まだまだ足らざるところもあろうかと思います。いろいろ御指導をいただきたいと思いますが、具体的にどういうことかわかりませんが、今後とも私なりに実態も踏まえて、国立病院がよりよくまた将来の展望が開けるように努力をしてまいりたいと思っております。
  233. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 北海道から鹿児島までそれぞれの病院の生い立ちがあると申し上げました。そういう中で、地域人たちとの関係やそういうことを含めて、例えば今度の地域医療計画国立病院編成計画、こういう問題だってもっと親密にやっていなければできないと思うのですね。  あなたは現在国立病院、すべての病院、診療所、回っていますか。
  234. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 それほどたくさん回っておりません。
  235. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 ですから、あなたの理論的なことと現場、地域とそこに隔たりがあるわけですね。もっともっと医療というものは、だれしもがすぐそばにあってほしい、だれしもが困ったときに飛び込める、こんな形で安易なことも要求されていると思うのです。逆に言えば、また地域のお医者さんから、国立病院は私たちが診て手に負えないものを受け取ってほしい、こういう要望もある。地域に応じて、それぞれ今までの病院というのは、その要求を一〇〇%と言わなくても、今満たしつつあるのだろう。またそういうことできょうまでやってきたと思うのです。  そこで、この地域医療計画というものは厚生省中心として各都道府県に出させていましたね。この地域医療計画国立病院の再編成計画、その関係を明確にしていただきたいと思います。あなたたち同じ厚生省の中で、地域医療計画をさせているものと国立病院の統廃合計画をしているものと、やっていることがまちまちですよ、悪いけれども。一貫性がない。その辺を明確にしていただきたい。
  236. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 地域医療計画とこのたびの再編成計画との関係でございますけれども、既に再編成計画は昨年一月策定し、国立病院療養所が果たすべき機能というものはお示しをしたところであります。地域医療計画の作成の際には、御指摘のように、再編成計画との整合性が保たれるよう国と関係地方公共団体が十分連絡調整をとって行うということにしているわけでございます。  なお、特定の病院が果たすべき機能につきまして、地域医療計画に記載するといった場合には、当然設置者との間で十分意見の調整も行われるべきものとされております。したがいまして、国立病院療養所につきましても、具体的な位置づけが行われるといったようなことがあります場合は、厚生省に協議がなされるということになっておりますので、十分両者の調整を行いまして、両計画の間にそごが生じないようにしてまいりたいと思います。
  237. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 皆さんの指導でそれぞれ地域医療計画というものを都道府県が一生懸命になってつくっているところ、つくられたところ、これからつくるところ、こういうことだと思うのです。そういう中で、国立病院療養所等々を含めて、現実には全体的なマップの中にベッド数を含めて位置づけられております。つくられたところはそうですね。そして今ここにたまたま二つ病院があるとします。それを厚生省が統廃合、あなたたちは機械的にしようとしております。あなたたちが出している地域医療計画にはきれいにマップになって、Aという病院はここに三百床なら三百床、Bという病院はここに六百床なら六百床あるわけですよ。ところがこれを単なる物理的に、赤字だかどうか知らないけれども、AをなくしてBにくっつけてしまおう、こういうことが現実に検討されているということ。そうしたら何のために地域医療計画地方自治体が一生懸命皆さんの指導に基づいてやっているかわからないわけであります。そういうことも含めて、地域医療計画と今回の国立病院の再編成計画がもっと整合性のあるものになっていかなければいかぬのではないか、こんなふうに思うのですけれども、その辺についてもっと具体的に納得のいくように説明していただきたいと思います。
  238. 竹中政府委員(竹中浩治)

    ○竹中政府委員 地域医療計画でございますが、現在既に五つの県で公示がされております。その他の県につきましても、できるだけ早く作成するよう私どもお願いをしておる段階でございます。地域医療計画につきましては、もちろん国立病院国立療養所も含めそれぞれの都道府県で計画を作成していただくということでございます。御承知のように、二次医療圏、三次医療圏、それぞれの医療機関機能によりまして、三次医療を担当する病院あるいは二次医療を担当する病院、そういうものが医療計画の中で書き分けられていくわけでございます。  具体的には、それぞれの地域におきまして、個々の国立病院なり国立療養所機能に応じまして、今申し上げましたように二次医療を担当するあるいは三次医療を担当するということで各県の医療計画の中に組み込んでいくということでございます。
  239. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 さっぱりわからないね。地域医療計画のあり方と考え方については理解をしておる。今言っているのは、地域医療計画国立病院役割、整合性というものをどのようにランクをつけて今回の統廃合計画をされているかということを聞いているのです。精神を聞いているのじゃないのです。もう一回答弁してください。
  240. 竹中政府委員(竹中浩治)

    ○竹中政府委員 医療計画の作成の考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。そしてまた国立療養所国立病院の再編成計画は御承知のとおりでございまして、それは個々の国立病院あるいは療養所の所在いたします都道府県あるいは医療圏におきまして、個別に都道府県で検討していただいて、それぞれの医療計画に組み込んでいくということでございます。
  241. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 個別にそれぞれの医療計画に組み込んだという、そこに統廃合計画――この病院が二次、三次医療として国立病院病院としての機能を十二分に満たすという前提で地域はそこを計画されている。地域医療計画の中でベッド数も、そして重点の施設として二次、三次医療、そしてまたこの病院は、例えば心臓病とかいろいろな形を含めてそれぞれ計画をされる。ところが今計画をされている計画というのは、そんなことは関係なく物理的に統廃合しよう、こういうことも今回の統廃合計画の中には現実にあるということ。川崎さん、その辺そうですね。
  242. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 先ほども御説明いたしましたけれども、国立病院療養所というものは、こういう役割を果たします、それからこういう機能を持たせますといったようなことを、今度再編成計画に私ども盛り込みましてお示しした。したがいまして、地域医療計画を都道府県で策定いただきます場合も、その点を十分御勘案いただいて、私どもとよく意見をすり合わせ、調整して計画を策定していただく、私どもも地方自治体の御意見を聞きながら再編成計画を進めていく、そういうふうに考えておるわけでございます。
  243. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 これから地域医療計画を立てる県の方が多いわけですね、現在五県ですから。そうですね。そうすると、現在の国立病院あるいはまた療養所、こういうところを全体的にその医療計画の中に全部入れておやりになったら、国立病院の統廃合なんてしなくても、具体的に地域中核医療なり地域専門医療として役立つのじゃないでしょうか。その辺を――。
  244. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 そこで、私どもも国立病院療養所というものがどういう役割を果たすのかということをお示しして、それでそういった個々の国立病院療養所が果たすべき、あるいはこれから持つべき機能というものも私どもの考え方もお示しして、そういったことを念頭に置きながら地域医療計画にも取り組んでいただきたい。それで随時私どもと意見の交換をし、整合性を保っていく、こういうようなことでございます。
  245. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 きょうは時間がありませんから、まず前段です。これから本格的に次々とやっていきますから。時間が参りましたので、きょうはこの程度にしますけれども、ただ一つ、幾らあなたたちが立派なプログラムをつくり、立派な計画をつくっても、医療現場が違っていたらどうにもならない、そういう例が幾つもあるでしょう。例えば――例は失礼になるから挙げません、もう皆さんわかっているでしょうから。そういう点も含めて考えてみますと、国立病院として二次、三次応需、そういう役割もしなければならないにもかかわらず、あなたたちが赤字だから赤字だからとけつをたたけば、一般の患者をぼんぼん請け負う、そういうことも現実にはある。ですから、そういう点でこれからの国立病院役割あるいは国立病院地域医療との問題、地域におけるそれぞれのランクづけ等々というものはちゃんとしていかなければいけないのではないかと思います。  特に病院というのは、私が言うまでもなく、単なる機械づけにしてもいけない、検査づけにしてもいけない。ましてや医術と言われるくらい、お医者さんがそれぞれ言葉をかけることも必要でしょう。ところがそういうことも現実になされてないところもある。ですから、いろいろな問題が出ている。だから、この際はそういうことを含めて本当の医療というものをもう少し真剣に考えながら、単なる物理的、機械的にそういう統廃合をするということだけを考えずに、国立病院としての医療国立病院としての役割、それが国民の生命、財産をどのようにお守りするか、こういうことをもう一度真剣に考える必要があるだろう、こんなふうに思うのですけれども、大臣、まとめて答弁をいただきたいと思います。
  246. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 先生が御指摘のように、国立病院療養所の再編成を機械的に行うというようなことではなくて、国立病院療養所として今後担って立たなければならない、それにふさわしい医療機関として再編成をしていく、そしてそれについては関係地域住民皆様方に十分な御理解をいただいて、そして国立医療機関にふさわしい、国民の皆さんの期待とそして信頼にこたえていけるような医療機関に改革をいたしてまいります。
  247. 田中(慶)委員(田中慶秋)

    田中(慶)委員 時間が参りましたので、以上で終わらせていただきます。
  248. 堀内委員長(堀内光雄)

  249. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 今度の厚生省国立病院療養所の再編成計画によりますと、現在ある二百三十九施設のうち――厚生大臣、ちゃんと聞いていてください。統廃合で七十四施設を切り捨てて百六十五施設にする。残る百六十五施設地域医療から撤退して高度、専門医療を担うものにする、機能分担をさせるのだ、こういうわけです。そうしますと、この残る百六十五施設の高度、専門医療をするためには、非常に多数のスタッフと財源がかかると思うのですけれども、その計画というのは今どこら辺まで進んでいるのでしょうか。――なるたけ厚生大臣、お答え願いたいと思います。     〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
  250. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院療養所国立医療機関にふさわしい機能を発揮できるように、再編成を通じまして医療スタッフ等の強化を図っていきたいと考えております。このためには移譲に伴い生ずる職員定員の余裕あるいは統合に上る職員の集約化によって対応することになります。こういったような観点から、これからの新しい国立医療施設スタッフにつきましては、再編成の進捗に伴いまして、計画の具体化に伴いまして、その内容を詰めてまいるということでございます。
  251. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 そうしますと、統廃合をするという計画はやるのだ、そして高度医療をやるのだと言いながら、まだ全くそれに対する財源もスタッフ増ということも考えていないということがはっきりいたしましたけれども、そんな計画がありますか。個人が家をいろいろ動かすときにだって、この家を売れば幾らになるから、これでもってどこにどうしようということは大体想定して考えるのですね。それがそういう全国にたくさんある施設を統廃合するときに、新しくつくるものについては財源もスタッフも何にもない、それを考えていない、やる段階で考えるんだ、こんな無計画なことというのは聞いてあきれてしまいます。  そちらの方では地域医療計画ができてからとよく言われましたけれども、地域医療計画というのはどこの県ができましたか。――時間がありませんから、早くお答えください。わからなければわからなくて結構です。
  252. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 神奈川、兵庫、鹿児島、新潟、広島の五カ所でございます。
  253. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 日本には都道府県四十七あるのですね。そのうちの五カ所しかこの地域医療計画というのはできてない。その中でも、新潟などではできていても、この統廃合に対しては絶対反対地域医療計画をしたけれども、これはなくしてもらっては困る、こういうふうに言っているわけですから、地域医療計画なんというのはほとんどできでないのですね。ですから、地域医療計画というものがほほでき上がったところで、それに相応してどうするか、こういうのが順序としては――これは順序が逆立ちしている。今のお話を聞いただけで、細かいことは聞かなくても、第一スタッフ増も費用も財源も何にも考えないし、地域医療も今ほとんどできていない。そういう中で統廃合だけやってしまうということですから、これはもう明らかに、先ほどからいろいろきれいごとを言っていらっしゃいますけれども、最初から七十四施設切り捨てありきというところから出発している。これはもうだれが見ても、そのように考えられると思います。御返答を伺いましても、先ほどからいろいろのお答えを聞きますと、いや、そうじゃないんだということできれいごとを言いますけれども、具体的なことが出ないことには人間は信用できないんですよ。男の人がよく女の人に愛している愛していると言ったって、これは具体的に本当に愛しているのかどうかということはわからないのですよ。それと同じじゃないですか、大臣の言っていることは。具体性が全くないんですね。  例えば、新潟県の場合、厚生省のガイドラインに基づいてベッドが多過ぎるから削るというのだからね。厚生省のガイドラインで新潟県にはベッドが不足しているか余っているか、千六百六十床不足しているのですよ。不足しているのにここを統廃合する、こういうのでしょう。これはあなた方の論理から言ったっておかしいのですね。  それから、高知県の場合もそうですね。高知県の場合なんか私見に行きましたらひどいものです。これは朝倉にある国立病院と池にあります療養所、行きましたら皆全く知らないのですね。実際にちゃんとした話し合いなんかされていないというのですね。第一どうしてこれは統廃合になったのかというと、県が非常に進んでいるというので、県に行って聞いたのです。そうしたら、高知県は造船不況で経済的に非常に逼迫してきている、だからあそこら辺の地域地域開発しようという形で線を引いたわけですね。そうしたら、その真ん中に療養所があったから、これは邪魔だというのですね。だから朝倉の方にくっつける、こう言うのですね。こんなばかな計画がありますか。これが今大臣がおっしゃったような、統廃合して効率よく国民のためにもっといいものに段階的に上がるんだ――県自体がそんなこと言っていないのですよ。たまたまそこに療養所があったから、邪魔だからなくす。高知県には療養所一つしかないのですね。ですから、これがなくなったら日本で最初の療養所がない県になるというので、高知県の人はもう愛郷精神というのかすごいですからね。それだけでも土地の人たちは物すごく怒っていますね。ですから、そういうことで先ほどおっしゃったように、高知県の場合話し合いができていてもう作業に入っている、こんなひどいことはないと私は思うのですね。ですから、こういうことはすぐにやめてもらいたい。もっと地元の人と話し合って、あなた方が口で言っているようになるのかどうか――これはすぐにやめていただきたいと思いますが、厚生大臣、どうでしょうか。
  254. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 国立高知病院国立療養所東高知病院につきましては、それぞれの病床数は二百十床と二百三十床という小規模でございまして、また両施設は二十三キロというふうに近接をしていること等から、これを統合して機能の強化を図りたいと考えておるものでございます。  統合後の新病院は、現在の両病院機能に加えて、国立医療機関にふさわしい広域を診療圏とする高度な診療機能を備えた医療機関として整備するとともに、看護婦医療従事者の養成及び研修施設をあわせて整備いたしたいという考えを持っておるわけでございます。  今御指摘のございました高知県の開発計画というものについては、私どもは十分承知をいたしておらないところでございますが、先生お話をお聞きをいたしますと、高知県側も、そういうこととあわせて、妥当なことであると、これを歓迎するというようなことになっておるのではないかというふうに聞かせていただいたところでございます。
  255. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 そうしたら、県の一部の人に厚生省がだまされていると言わざるを得ないと思うのですね。そして厚生省は国民をだまかしている。ということは、この池にあります国立療養所、これは終戦の直前に軍隊にとられたのですね。その後敗戦になりまして、国民に一部分返したのですけれども、そのときに病院以外には使わせないということで国民から取り上げた土地なんですね。念書も入れているのですね。ですから、それをほかの開発に使う、そこに療養所があって開発するのに邪魔だから、統廃合がちょうどあるからそれにくっつける、こういうやり方では全く許せないというふうに思います。私は今大臣にこれを取りやめてくれというふうに聞いたわけですけれども、それのお答えではなくて長々とおっしゃったわけですが、まさにそれが本当ならば、大臣が県からだまされている、県も厚生省も国民をだまかしているということになるのではないか。こういうことをしたら後々までも禍根が残るのですよ。こういうことはすべきことではないということを強く申し上げておきます。  それからもう一つ、午前中からいろいろ問題になっておりましたむだ遣いの問題ですね。  この資料は、「過去十年間の施設整備費」というので、厚生省が届けてくださったものです。ところがこの資料、たったこれっぽっちのものを、今国会の初めから、予算委員会のときから出してほしいと幾ら頼んでも厚生省は持ってこない。そしていよいよきょう質問するというきのうの夕方になって、三回催促してやっとこれを持ってきたのです。そういうところを見ましても、能力がないのか、秘密主義なのか、これは本当に理解に苦しむのですね。  ですから、きのうの夕方もらったのですから十分に検討できなかったのですけれども、幾つか検討してみましたら数字が大分違うのですよ。非常に少なくなっているのですね。これは正しいかなと私は不思議に思います。厚生省の名前も何も書いてないのですね。どこが出したという名前も書いてないのですね。ですから、何年か後になって知りませんと言われたら、だれがつくったかわからないような資料を持ってきているのです。これはやはり信用できないという感じがするのですね。  それで、けさ質問になっておりました新潟県の村松病院のことですけれども、わずか二年前に十八億円の金をかけている、そうしたものをつぶすというのですね。ところがこれによりますと、十二億二千七百万円、こういうふうになっているのです。数字が違うのですね。この十八億という数字はどこから出てきたかというと、病院側から出ているのですよ。厚生省は十二億幾らで、病院の当局が全医労の交渉の中で、十八億円の金をかけた、こう言っているのです。それから寺泊の方でもそうです。これによりますと十五億幾らです。病院側は二十億。十億円も違っているのですね。こういう合計すれば三十八億円もの金をかけたものをつぶしてしまうというのですね。こういうむだ遣いをするということは、私は、これはどう考えたって、理解できるどころか、もうけしからぬと思うのですよ。これはみんな国民の払った税金でやっているのですからね。ですから、こういうむだ遣いをして、そしてみんなつぶしてしまう。国民の健康に対する責任を国がとらなければならないのに、その責任をどんどん後退させていく。最初に七十四施設切り捨てありきから出発しているということは、先ほどから、良心が痛んでいるかどうかわかりませんけれども、赤字だからやるのだというのではないのですと何回も何回も言っていらっしゃいますけれども、これは初めから、国民の健康に国が責任を持つのは嫌だ、はっきり言えば、なるたけ国民の健康のために国が使うお金を減らしていこうという目的であるということは非常に明らかだと思います。こういうことをやっているのです。ですから、計画のどこを見てもずさんなわけですね。高知の場合にしても新潟の場合にしてもずさんだ、この出してきた資料もいいかげんだ、こういうことです。  これはもう伺いましても、また同じように国民のために国民のためにと言いますので、わかり切っていますので、次の質問に移ります。  先ほどから、国立病院のあり方というものについていろいろな先生方からの話がありましたけれども、高知の朝倉にあります国立病院などは、十五年間に医者が一人しかふえていないのですね。そして看護婦さんたちの二・八、これも全然やられていないのです。それなのに、こなす患者数というのはだあってふえていっているのですね。どんなにそこに働く医療従事者というのは大変な状態になっているかということもいえますし、患者に対するサービスというものにも影響が出てくるのではないかというふうに思います。  それでお伺いしたいと思うのですが、厚生省の出しました、昨年の十月に全国調査をしました国立病院療養所の二・八状態がどうなっているかということです。  この二・八は、大臣御存じのように、人事院判定で二十二年前にやれと――人事院の勧告じゃないですよ。これは判定ですよ、それでこういうことをやれと。二十二年たってもまだ国立病院は二・八はできていない。平均で九・六日。療養所は九日ということです。  それから、全医労の調査、これはやはり去年の十月に、同じときに看護婦さんの調査をしています。これは二万人の看護婦さんの調査をしたところが七五%が二・八はやられていないと言っているのですね。  これに対して、厚生大臣、二・八はどうしていただけますか。あなたは、自分のときに一生懸命いろいろなことをやるんだやるんだと、御決意だけは非常に立派にやるんだやるんだと言う。お若いし、御決意は立派ですけれども、二十二年間人事院の判定を守っていない。そうでしたら、あなたにぜひ守らせていただきたいと思うのです。これについては、あしたからすぐにできるというわけじゃありませんからね。御決意を聞かせていただきたい。
  256. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 御承知のように、国立病院療養所も国家公務員の総定員の中に入っておるわけでございまして、国民多くの皆様方の総定員をふやすというよりも縮小していくようにという全体の課題があるわけでございます。  そういう中で、毎年毎年削減を行いますが、しかしながら、国立病院療養所については、その必要に応じてなお増要求をいたしまして、純増をいたすというようなことで、毎年毎年の定員について、置かれておる状況の大変厳しい中で努力をいたし、十分とは言いがたいとは思いまするけれども、増員を図って充実に努めておるところでございます。今後もそういう努力をいたしてまいるつもりでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、国立病院療養所が果たさなければならない、高度、専門的な医療機関にふさわしい質的な機能の強化を行っていくためには、やはり移譲を行う、また統合を行うというようなことによって、一層マンパワーの厚みを持った機能強化ということにもつなげてまいるということを考えておるわけでございます。
  257. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 私の質問にお答えになれないので、二・八をどうするかということを聞いているのに、統廃合の話をするというのは禅問答みたいで、こちらで聞いてもあっちへ答えている、そういう感じですね。今自体、人事院判定さえ二十二年間も守れないで、これをどうするという決意も言えないで、そして高度の医療マンパワーをちゃんとやってなんて、そんなことができますか。――できますかとは言いません。やるかもしれません、政権が自民党でなくなったらやれるかもしれません。それは言い過ぎかもしれませんけれども、私はそう思うんです。だから、一生懸命やるという決意も言えないで、統廃合して今度よくなるんだ。今自体二十二年間もできないで、事人命に関することですよ、看護婦さんが健康でぴちぴちと十分に働けるということは。人事院判定で最低二・八、こう言っている。これを守れないでおいて、これからマンパワーの厚みのある、高度の何とかかんとかと言って、だれが信用できるでしょうか。  次の質問に移ります。  ことしのついこの間です。八月六日の人事院の勧告に従って、厚生省が四週六休を来年の四月から実施するという報道が新聞に出ておりましたけれども、これについての職員増ということはどの程度になるのでしょうか、お答えください。
  258. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 四週六休制の施行に当たりましては、昨年十月の閣議了解によりまして、現行の予算定員の範囲内で実施するということになっております。厚生省としても、このための特別な増員は考えておりません。
  259. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 増員をしないで四週六休制をやるということは、ほかの日の労働時間を延ばすということですか。
  260. 川崎(幸)政府委員(川崎幸雄)

    川崎(幸)政府委員 国立病院療養所の場合は、職務の特性から、四週六休制の施行は、実施に当たって困難な問題を抱えております。今後、業務の見直し等の工夫とか改善を講じながら実施してまいりたいというふうに考えております。
  261. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 四週六休は早急にすべきことだと思いますけれども、必ず職員増も一緒にやっていただくということを強く要求しまして、次の質問をいたします。  国民医療総合対策本部の中間報告、これが六月二十六日に出ておりますけれども、この中にはほとんど触れられていないのですが、この原案になったものを見てみますと、特定病院、一般病院、慢性病院機能役割分担をするに当たっての診療報酬を検討するということが書いてあるのですけれども、この診療報酬というのはどういうものをお考えになっていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  262. 下村政府委員(下村健)

    ○下村政府委員 中間報告で書いてありますのは、今後の病院のあり方として、基本的な方向として、一般病院、慢性病院あるいは専門病院というふうな方向考えていってはどうかという基本的なアイデアのようなことが書いてあるわけでございます。したがって、これに向かってそういうものができてくれば、当然それに合ったような診療報酬を考えなければならないということになってくるわけでございますが、これは、こういう議論の推移を見ながら、中医協での議論を当然に要する問題になってまいりますので、これからの議論の進行状況を見ながら私どもとしては具体的な対応を考えてまいりたい、このように考えております。
  263. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 老人保健法によって特掲の診療報酬がつくられたわけです。これはなぜそんなことをしたのかといえば、過剰診療がなされるのじゃないかとか、七十歳以上の方は治療よりもケアの方が大事なんじゃないか、こういうふうに役人の方はおっしゃるのですけれども、その理屈が合っているかどうかは別として、もともと医療というものは、医療従事者が主体になって、患者の立場に立って治療をし、ケアをするものです。それなのに別の診療報酬をつくって、こうしなさいああしなさいと言うことはおかしいと思うのですね。特定病院にも慢性病院にも、そして老人保健法でもみんな特掲というものができますと、結局医療従事者は自分の主体性をなくして、役人によってこうやれああやれとなってしまうのです。これは医療が逆立ちしているのですね。医療というものは、医療従事者がもっと誇りを持って、彼らの独自性で患者の立場に立ってやるものだと思います。そういう点からして、今までの厚生省医療政策というのは、根本的に逆立ちしているのじゃないか。役人が医療従事者をコントロールしていく、こういうことは非常におかしいと私は思うのです。ですから、一言御注意申し上げておきたかったわけです。  時間がありませんので、大急ぎで次の質問に移ります。  もう一つ、低肺機能者が今非常にふえておりますし、これからますますふえていく傾向にあります。NHK、民放などで何回も低肺患者の問題や機能者の問題が放映されました。そのたびに全国から物すごい問い合わせがあるのです。ついこの間もあったときにはどっと殺到しているのですね。これを見ても、低肺機能者が急性増悪を起こすんだということがまだ国民に十分理解されていない。これは今どんどん理解されてきているところですね。これには厚生省の御協力もあったことは認めております。  それで、そのときにテレビに出てくるのは、必ず国立の東名古屋病院であるわけですね。そこは三輪太郎先生を初め七、八人の先生やたくさんの看護婦さんが当たっていらっしゃるわけですが、低肺機能の方たちに聞きますと、あそこはまさに神様なんですね。非常にいい仕事をしておられるように思うわけです。そういう中から低肺機能者たちは、名前は仮に低肺ホームというふうに言っておきますけれども、こういうものをつくってほしいという声を出しているわけです。清瀬にあります希望園のようなああいうものをつくってほしいということです。それで、今県や市に話しかけて、その東名古屋病院に非常に広い土地がありますので、できればその中に建てさせてもらえないか、そうすればオンコール方式ですぐ病院との関係もつくしということを言っているのですね。今市や県と低肺機能者たちが話し合っているのです。話が出たところですが、できれば、この話を少しでも進める意味で、東名古屋病院の土地を、そういうものができたときには何らかの形で協力をするというお考えをぜひ大臣に持っていただきたい。これはお願いです。
  264. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 過日の当委員会におきましても、低肺機能者の問題が取り上げられました。私はそのときにも申し上げましたように、低肺機能者の皆様方の置かれている実情について十分承知をいたしておるつもりでございますし、これらの方々に対する施策を一層充実をさせてまいるように努力をいたしたいと考えておるところでございます。  ただいま御指摘の問題につきましても、これから県、市の皆さんと御相談が進み、県、市の方々から正式な御要望が具体的にございました場合には、私どもとしても十分検討をさせていただきます。
  265. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 大変前向きの回答で、これはぜひ話が進みましたときに御協力をしていただきたいと思います。  最後になりましたが、これは「国立病院療養所の再編成・合理化の基本指針」ですが、「昭和六十年三月二十八日」「厚生省」これはさっきの資料と違ってきちっと「厚生省」というふうに書いて指針が出ております。先ほどからの話を聞いておりますと、この指針によってやったんだと言う。他の先生たちが、この指針のどこでやったんだ、こういういろいろな話が午前中からなされていたわけですけれども、この中に、「労使の理解」と七番目に書いてあるのですけれども、「労使の理解と協力の上にたった計画の推進」というところがありまして、そこにこのように書いてあります。「施設の管理者及び職員団体に対し再編成・合理化の必要性について理解を求め、計画の円滑な遂行に双方の協力が得られるよう努めるものとする。」こういうふうに指針にきちっと書いてあるわけですね。ですから、この指針にのっとってやっていると言うならば、当然施設の管理者や職員団体との話し合いがあるべきです。ところが百八国会と百九国会の間一カ月ありました。この間に共産党・革新共同の議員団は数カ所にわたってこういう国立病院療養所をずっと視察してまいりました。  そこの結論なんですけれども、第一驚きましたことは、院長さんが知らないのですね。統合する、受け入れる方の院長さんが知らないのですね。知らないということは、正式に話がないということです。うわさでは知っているのです。しかし、正式にきちっと話し合いがないと言うのですね。それで何だか設計図ができておったようだったから、ああいうふうになるのかなと思ったけれども、正式に話がない、こういうふうに院長さんは言っているのですね。それから職員団体に聞いたら全く話はないと言うのですね。それから患者さんのところへ行って患者会の人たちに聞いても全く知らないと。知っているというのはうわさなんだ。こっちが向こうに行くんだよとか、この二つともつぶれてどこかにつくられるんだよという話は盛んに新聞にも載るし聞くと。しかし、この指針にあるように、必要性についての理解を求める、こういう努力をする、こういうことは全くなされていないのですね。特に高知の場合なんかもう本当に知らないのですね。正式には知らない。県に行ったら、さっき言ったように、たまたま開発しようと思ったら、その真ん中に療養所があったから、ここの場所が邪魔だから向こうに移ってもらうんだという言う方です。これを見ましても、この指針にさえも沿っていない。  だから、最初から言いましたように、七十四施設切り捨てありきであってね。あくまでももう国民に対する健康、この責任をどんどん後退させていくという国の姿勢が今度のこの統廃合の問題について非常にあらわれている。だからこそ、その関係者だけでなくて国民全体が心配しているのですよ。単なる一つの病院と一つの病院が統廃合するとかいう心配よりも、そこに国がだんだん国民の健康から手を引いていくのじゃないか、いわゆる民活にしていって国はもう知らないと、どんどん金を削っていくのじゃないか、こういう姿勢を感ずるから、これは驚くべきほどの国民の反対が大きいのです。私自身びっくりしました。私は絶対反対ですからね。これは絶対廃案ということですから。  ですから、私の周辺だけじゃないんですね。調べてみましたら、四十七都道府県のうち三十六の道府県議会がこれに対して反対の決議を上げているはずです。それから二千九百九十八地方議会、これが反対決議を上げているんですね。ということは、九〇%の地方議会が、それから都道府県議会は七七%ですね。これが反対決議を上げているんですね。これは私自身もびっくりいたしましたよ。これほど多くの国民が反対しているということは、単なる統廃合だけに反対しているのではなくて、そこの底にあるものですね。統廃合には絶対反対。そしてそこの底にあるもの、地方が将来高度のスタッフの重み、厚みのあるものをということを信用していないという証拠ですね。まさにオーバーに言えば、一億二千万の国民のうち約一億の人たち反対するほど大きな反対運動になっている。これはどんどん大きくなっていきますよ。ですから、幾らやろうと思ったって、大臣、できやしませんよ。絶対させない。きょう見てごらんなさいよ。東京駅の前には白衣を着た看護婦さんたちが百何人も集まって宣伝していますよ。厚生省の前には白衣の看護婦さんたちが座り込みしていますでしょう。きょうは傍聴の方たちも次々と交代してこんなに遅くまで来ていられますよ。これは本当に全国からですからね、汽車賃かけて遠くから来ていらっしゃいますから。あなたから見ればこれだけの数かと思われるかもしれませんが、これを見ましてもすごい反対ですね。ですから、長寿園のようなことが起きるのですよ。ああいうことが起きるのですよ。もう村ぐるみ、地域ぐるみ、町ぐるみの反対、県ぐるみの反対ということが起きるのです。ですから高知のように、県が開発するのに邪魔だからと、そういうところは県は賛成するでしょう、だけれども、当事者は正式には聞かされてない、こういうことです。このままもし強硬に実施をするとすれば、厚生省はこの指針にも反するやり方で、まさにだまし討ちをやるということですので、これはやられたら後大変な禍根を残すというふうに私は思いますので、この法案は絶対におろしていただきたい。これは絶対に廃案にさせるために私は最大の努力をします。これは絶対に通してはならない。厚生大臣も、それくらいの決意が国民の中にあるのだということを、国会の中だけで動いているのじゃないですよ、国民が見ているのですよ、そういうことも考えて、厚生省はもうちょっと国民の健康に対して責任を持つ態度をしっかりとってほしいのです。大蔵が何と言おうと、あそこは単なる金を動かしているところです。それはちょっとオーバーですので、訂正いたしますけれども、それに屈しないでいただきたいと思います。  最後に、大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わります。
  266. 斎藤国務大臣(斎藤十朗)

    斎藤国務大臣 この再編成計画を具体的に個別に進めてまいります場合には、その地域自治体やまた関係者皆様方の御理解を得ていくということはどうしても必要なことでありまして、その理解の上に立って、これを進めていくということは基本方針でございます。  この計画が発表された段階では、それぞれの地域において反対というようなことがまず決議されたりそういう御意見が多いわけでございますが、再編計画のその趣旨、またその後具体的にどうなるのかということについてるる御説明を申し上げ、また地域皆様方の御意見もお聞きしながら、いろいろ枝葉の部分について地域の皆さんの御理解をいただけるように審議していくということによって、当初反対であっても、これが理解を受けられるというふうになってくるものであると考えております。でありますので、そういう努力を積み重ねていくことが何よりも必要でありますとともに、また御指摘のございましたような労使の協力と理解というものも得ていかなければならないわけでございまして、こういったものもいろいろなそういう御理解の深まり、段階を経まして、そういった御理解をいただいていくように努力を積み重ねてまいりたいと考えております。そうすることによって、冒頭から何回も申し上げておりますように、国立病院療養所として、国民の皆様方のその期待と信頼にこたえられるような立派な国立病院療養所に再編成、改革をしてまいれるものというふうに考えておりまして、ぜひともこの実現に向けて努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  267. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 最後に委員長に一言――
  268. 浜田(卓)委員長代理(浜田卓二郎)

    ○浜田(卓)委員長代理 田中美智子君、予定の時間を超えておりますから、早急に質問を打ち切ってください。
  269. 田中(美)委員(田中美智子)

    田中(美)委員 議事運営について申し上げますが、今は委員会をやっている最中です。立場は違っても、この委員会に全議員は全力を挙げて論争をするのが国会というところではないでしょうか。そういう最中に、きょうの委員会に関することでないのですね、あしたからの計画を進めるという意味で理事会を今やられている。これは非常に不謹慎なことで、議会制民主主義を破壊することだと思いますので、委員長に対して強い抗議をいたしまして、私の質問を終わります。     ―――――――――――――
  270. 浜田(卓)委員長代理(浜田卓二郎)

    ○浜田(卓)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 浜田(卓)委員長代理(浜田卓二郎)

    ○浜田(卓)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十五日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十一分散会      ――――◇―――――