運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1987-09-18 第109回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月十八日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 伊藤宗一郎君    理事 大島 理森君 理事 桜井  新君    理事 若林 正俊君 理事 古川 雅司君    理事 滝沢 幸助君       井出 正一君    加藤 卓二君       木村 守男君    北村 直人君       佐藤 敬夫君    佐藤  隆君       園田 博之君    田邉 國男君       武部  勤君    虎島 和夫君       村井  仁君    持永 和見君       粟山  明君    木間  章君       佐藤 徳雄君    田口 健二君       馬場  昇君    松前  仰君       武田 一夫君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    川端 達夫君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁防災局長 三木 克彦君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君  委員外出席者         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      嶌田 道夫君         水産庁漁港部防         災海岸課長   坂井  淳君         建設省河川局水         政課長     横田 猛雄君         建設省河川局         災課長     苗村 滋克君         建設省住宅民         間住宅課長   荒田  建君         自治大臣官房参         事官      海老 忠彦君         消防庁消防課長 川崎 正信君         消防庁防災課長 仁科 英麿君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十八日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     北村 直人君   浜西 鉄雄君     田口 健二君 同日  辞任         補欠選任   北村 直人君     斉藤斗志二君   田口 健二君     浜西 鉄雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  今会期中、本委員会に付託されました請願は、地震の場合における重度障害者避難体制確立等に関する請願一件であります。本請願の取り扱いにつきましては、先ほどの理事会において慎重に協議いたしましたが、委員会での採否の決定は保留することになりましたので、さよう御了承願います。      ――――◇―――――
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、閉会審査に関する件についてお諮りいたします。  災害対策に関する件につきまして、議長に対し、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査案件が付託になりました場合の各件についてお諮りいたします。  まず、閉会中、委員会において、参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その人選及び出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、閉会審査のため、委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員人選派遣地、期間、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  8. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、災害対策に関する件について調査を進めます、  この際、昭和六十二年台風第十二号及びその後の低気圧による災害について政府から説明を聴取いたします。国土庁三木防災局長
  9. 三木克彦

    三木政府委員 お手元に配付いたしております資料に基づきまして、昭和六十二年台風第十二号及びその後の低気圧による災害について御説明を申し上げます。  まず、Ⅰの気象概況について要約して申し上げますと、台風十二号は、大型で強い勢力を保ったまま、宮古島の東の海上及び那覇の北西海上を通り、八月三十一日九時ごろには、福江市の南西海上を通って日本海西部に達しました。さらに、三十一日二十一時、秋田市の西方海上で温帯低気圧になりましたが、その後も勢力はほとんど衰えないまま、九月一日九時には北海道北部へと進みました。  台風第十二号及びその後の低気圧により、南西諸島、九州北部、本州の日本海側等広い範囲で強風が観測されておりますが、特に長崎福江では、最大瞬間風速毎秒五十五・六メーターが観測されております。  次に、Ⅱの被害状況についてでございますが、一般被害につきましては、九月十一日現在の調べで、死者六人、負傷者二百八十三人となっております、また住家被害では、強風等によりまして全壊二百二十棟、半壊一千百十五棟、一部破損六万一千五百四十五棟となっております。  資料の二ページをお開きください。  施設等関係被害につきましては、現在関係機関等におきまして鋭意調査中でございますが、建設省関係では、公共土木施設で約百二十五億円。農林水産省関係では、公共土木施設関係及び農林水産業関係で合計千二十億円、文部省関係では、公立学校施設等で約十四億円、また、運輸省関係では、港湾施設等で約八十億円の被害報告されております、厚生省関係では、保育所等で二億七千万円を初め、医療施設水道施設及び廃棄物処理施設被害が発生いたしております。  次に、交通関係では、鉄道及び道路関係で通行どめ等が発生いたしましたが、現在、道路の一部を除きすべて復旧しております。  電力、ガス関係では、停電及びガス供給支障が発生いたしましたが、すべて復旧しております。  次に、Ⅲの講じた措置等についてでございますが、災害対策本部は、福岡、長崎の二県及び五十一の市町村において設置されました。また、一道一県の四市町に対し災害救助法適用されております。  政府といたしましては、九月一日に関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしますとともに、九月八日には関係省庁担当官現地に派遣し、さらに九月十日には、これらの結果を踏まえて、今後の対策等について同連絡会議を開催しております。  財政金融上の措置といたしましては、四道県の二十五市町村に対する普通交付税の繰り上げ交付を行うとともに、住宅被害者に対する災害復興住宅資金融資申し込み受け付けを開始いたしております。  以上、要約して御説明申し上げましたが、今後とも関係省庁と密接な連絡をとりまして、災害対策に万全を期してまいる所存でございます。  報告を終わります。
  10. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これにて説明は終わりました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。虎島和夫君。
  11. 虎島和夫

    虎島委員 八月三十日から三十一日にかけまして、台風十二号が長崎県初め関係県等に甚大な影響災害をもたらしたのであります。いち早い国土庁中心とします政府現地視察に感謝を申し上げる次第でありますが、特に、茫然自失しておりました農漁民自治体関係者にじかに接した体験を踏まえられまして、今後の災害対策の中でぜひ視察の成果を上げていただきたいと思うわけであります。  そこで、まずお伺いいたしますが、第一には、激甚災害法適用さるべきであると考えておりますけれども、このことについての御所見なり審議の経過等々について承りたいのであります。  二番目は、漁港被害が甚大であります。特に、日々の生産にも支障を生ずるような現況にありますので、災害復旧三カ年という従来の手法を踏まずに、二カ年程度をもって早急に復旧していただきたいのであります。同時にまた、六十メートルになんなんとする風速を記録したわけでありますが、要するに、体験したことのない災害被災地がこうむったわけであります。したがって、その復旧につきましては、それらに耐え得るような設計基準に改めまして、改良復旧原則として行っていただきたいということを要望する次第であります、  三番目は、農林水産関係共同利用施設早急復旧の方途であります。特に共同利用施設補助の対象になるものが極めて少ないのであります。しかしながら、このことの復旧なくしては地域の生産の実効が上がらないわけでありますので、補助制度適用あるいは融資対策に万全を図られるように切望するものであります。特に生鮮食料品流通施設被害につきましては査定を簡便にするなど、応急復旧工事指導、実施されるよう要望するものであります。  四番目には、個人農作物水産被害についてでありますが、これにはもうほとんど直接の補助はないわけであります。したがって、頼るのは共済であり、保険であり、融資であるわけであります。したがいまして、共済金保険金支払いを早急に行っていただきたい。と同時に、次の資金対策を講じられるよう要請するものであります。第一は、天災融資法発動であります。第二番目は、自創資金国金等中小企業金融の枠の確保であります。さらにまた、貸付限度額あるいは償還等につきましても、それぞれ特例措置をとっていただきたいというふうに思うわけであります。特に償還につきましては、その条件緩和に温かい配慮を期待するものであります。  五番目は、多岐にわたる個々の災害でありますから、その対策のおおむねは、また地方自治体の自発的で積極的な措置がなければ期せられないわけであります。したがって、それらの措置をとるような指導を促進するとともに、交付税交付運用面自治体財政を補完、救済されるよう切望するものであります。  以上、五点を挙げましたので、時間が極めて限られておりますから、簡明に簡潔にそれぞれ主管省庁の御答弁をお願いしますとともに、最後には包括して長官の決意のほどを承っておきたいと思うのであります。  以上であります。
  12. 三木克彦

    三木政府委員 最初の激甚災害適用の問題でございます。  十二号によります被害状況につきましては、現在関係省庁において鋭意調査を進めているところでございます。指定の問題につきましては、局地激甚災害も含めまして、この調査結果を待って適切に対処してまいりたいと思います。
  13. 坂井淳

    坂井説明員 長崎県の漁港関係被害につきましては、全国の約八〇%に当たります百七十八億円の被害となっておりまして、大変被害が甚大かつ広範囲にわたっておりますので、現地体制が整い次第早急に災害査定を行い、早期災害復旧に着手いたします。また、災害復旧の進度につきましても、できる限りの万全を期してまいりたいと思います。  なお、災害の再度被害防止のための観点から、復旧断面につきましても万全を期してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  14. 青木敏也

    青木政府委員 農林水産業関係共同利用施設被害長崎県下等におきましてかなり甚大な被害が生じております。私どもの県からの報告によりましても、長崎県、北海道中心に、特に養殖施設関係約十五億の被害が発生している、こういうふうに承っているわけであります。これらの施設災害、これは農協とか漁協あるいは森林組合が整備したものもございますが、かかる施設でございますので、これらの施設につきましてはいわゆる農林水産業関係施設災害復旧に関します暫定措置法というのがございます。この暫定法に基づいて災害復旧事業が実施できることになっております。私ども現地の準備が整った箇所から順次査定を行い、早期査定早期復旧に努めてまいる考えであります。特に先生から御指摘のありました生鮮食料品流通関係施設につきましては、その緊急な、早急な復旧が望まれるわけでありまして、応急工事査定着工等によりまして施設の使用に支障が生じないよう関係県とも連絡をとって万全を期してまいりたい、こう考えております。  それから、共済金等早期支払いの問題がございましたが、農作物被害にかかわる共済金支払い等につきましては、この共済制度原則収量の減を補てんする仕組みになっておりますので、建前はその収穫期を待ってということでありますけれども、しかし、農作物被害態様に応じましても、現時点で明らかに全損であるというようなケースにつきましては、そういうことを待たずに仮渡し等措置もできますので、そういう実務的な運用を含め、早期支払いに努めたいと思います。  水産関係につきましても、漁業共済金支払い漁船保険保険金支払い等につきまして、あわせてそういうことで努めてまいりたいと思います。  特に融資関係天災融資法発動お話がございましたが、今回の台風十二号災害農作物被害関係だけでも、県報告ベースで五百億に達する被害報告を受けているわけでございまして、私どもその被害状況を現在精査し、かつ被災農家資金需要等についても調査を進めているわけでありますが、今回の被害の規模また態様等からいたしますと、天災融資法発動が強く望まれるケースではなかろうか、こういうふうに存じておりまして、今後天災融資法発動について十分前向きで対応していきたい、こう考えております。  自作農維持資金につきましても、天災資金と相補完しながら、災害の際の被災農林漁業者資金対策に重要な資金でございますので、枠の確保等々について十分の対応をしてまいりたい。  また、既貸付金についての償還の問題につきましても、被災農林漁業者のその償還の重さに配慮いたしまして、具体的に被災農家からお申し出があれば、関係融資機関指導いたしまして償還条件緩和等について積極的に対応してまいる考えであります。
  15. 海老忠彦

    海老説明員 今回の災害に見舞われました地方団体に対しましては、災害対策事業災害復旧事業災害関連事業等々に要します経費につきまして、実情を十分調査の上、被害状況及び財政状況等を勘案して、当該団体財政運営上支障が生じないように、地方債あるいは地方交付税配分を通じまして適切な措置を講ずることといたしておるところでございます。  災害対策にかかわります地方交付税措置につきましては、災害復旧事業債元利償還金普通交付税算入措置を行い、また、災害をこうむりました団体におきます種々の財政需要につきましては、災害復旧事業事業費あるいは死者行方不明者数農作物被害面積等々に応じまして特別交付税を算定いたしまして配分を行うことといたしておるところでございます。  なお、先ほど御報告がありましたように、今回の災害によります地方団体財政需要状況を勘案いたしまして、去る九月十四日、地方交付税の繰り上げ交付措置を行ったところでございます。
  16. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたびの台風十二号の被害はただいま調査中でございますが、かなり被害が甚大であるという認識のもとに調査を進めております。鋭意査定を急がせまして、激甚災害その他については前向きで取り組んでまいりたいと思っております。
  17. 虎島和夫

    虎島委員 ありがとうございました。
  18. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 それでは次に、田口健二君。
  19. 田口健二

    田口委員 私の地元長崎県は、去る七月十五日に台風五号及び梅雨前線影響を受けまして大変な豪雨災害を受けました、総額百四十二億円という被害を受けたわけでありますが、さらに追い打ちをかけますように、今御説明がありました今回の台風十二号によりまして、被害総額七百八十四億円というこれまでの台風史上かつて例がないような大変な災害を今受けておるわけであります。  そこで私は、先ほどのお話にもありましたが、ぜひ国土庁長官に、今回の長崎県における災害において激甚災害指定を私からもお願い申し上げたい。さらに、今後の災害復旧に取り組む政府としてのお考えも御所見を承りたいと思います。  限られた時間でありますから、先ほど虎島委員の方から全般的について御質問もありましたので、少し具体的な問題について一、二お尋ねをいたしたいと思います。  実は、今度の台風災害で大変な被害を受けました新長崎漁港の問題であります。これは来年の夏に供用開始をされるという段取りになっておりまして、これまでも地元ではいろいろな問題があったのでありますが、今回の災害によりまして、新漁港防波堤全長一千九十メートルのうちの九百五十メートルが無残にも破壊をされておるという状況であります。さらに、内防波堤あるいは船だまり防波堤、これらも損傷を受けまして、地元では大変な問題になっておるわけであります。九月五日には、遠洋底曳網協会が、これは欠陥漁港である、こう言ってこの新漁港に対する移転の反対の決議も行われておる、実はこういう状況にあるわけであります。この問題について、水産庁は直接現地調査においでになったということをお聞きをいたしておりますが、調査状況、それから今後の復旧の見通し、これらについてお尋ねをいたしたいと思います。  それからもう一つ、厚生省関係であろうかと思いますが、今回の被災者の中で、特に低所得者更生というものは一刻もゆるがせにできないわけでありますので、災害援護資金貸し付けの問題、あるいは世帯主貸し付け等の問題についてひとつ十分な御配慮をお願いをいたしたいというように考えておりますが、この点についてもお答えをいただきたいと思います。  以上です。
  20. 坂井淳

    坂井説明員 長崎には私が調査に参りまして、被災直後でございましたので正確には全部見切れませんでしたが、改めて自然の力の大きさというものを感じた次第でございます。  新長崎につきましては、県の体制の整い次第早急な災害査定等を行いまして、予算の確保に努力いたしますし、早期開港につきましては、県と緊密な連絡をとりつつ進めてまいりたいと考えております。
  21. 福田孝雄

    福田説明員 災害援護資金及び世帯更生資金関係でございますけれども、これらの資金被災世帯の立ち直りに重要な意味を有するものでございまして、被災者被害状況を勘案しつつ、貸し付け支障のないよう速やかに対処してまいりたいと考えております。  また、世帯更生貸付補助金の増額につきましても、資金需要に応じまして適切に対処してまいりたいと思っております。
  22. 田口健二

    田口委員 先ほどの水産庁の御答弁ですけれども、あなたは現地に行って記者会見をされまして、来年夏までの復旧は困難である、このように表明をされておるわけですね。県当局としては、来年の夏までには何とかして供用開始をしたい、こう言っておるわけです。これはだれが考えてみても、これだけ膨大な防波堤がずたずたに寸断をされておるわけですから、災害復旧に当たっては従来と同じような設計基準でもって復旧をされようと考えておられるのか、さらにもう一度基準を見直して復旧をするというふうにお考えなのか。一般的に言えば、災害復旧は三年間でということになっていますが、県は未年の夏までに供用開始すると言っているのですが、一体そういうことが可能であるのかどうなのか、その辺を少し詳しくお知らせをいただきたいと思います。
  23. 坂井淳

    坂井説明員 まず第一点の災害復旧工事についてでございますが、施工のいろいろ技術的な問題といたしまして、来年の夏までにすべての災害復旧工事を終わらせるということは、まず不可能に近いことではないかと思います、そういう意味長崎でそういうふうに申し上げました。ただ、六十三年度中には全部終わらせることはあるいは可能かもしれませんので、その点につきましては、ただいま長崎県と水産庁で協力して検討を進めているところでございます。  また、復旧断面につきましては、当然再度災害防止観点からただいま災害復旧断面考えて検討しているところでございます。
  24. 田口健二

    田口委員 よくわからないのですが、災害を受けまして、来年夏までは無理かもわからないが六十三年度中には何とかしたい。しかし、現在の設計基準で施工されたものが今度の台風によってずたずたに寸断されているわけですよ。そのまま復旧したのでは安心して使えないと地元の人はみんな言っているのです。だから、設計基準の見直しをやってその復旧をやるのか、原形どおり復旧するのか、その辺のお考えはどうなんですか。  同時に、そういうふうに手直しをするとすれば、六十二年度中に完成できるのですか。
  25. 坂井淳

    坂井説明員 設計基準と申しますのは、防波堤をどのようにつくるかという設計手順といいますかそういうことでございまして、これについてはこれまでも正しい手順を踏んで設計しておりますし、見直す考えはありませんが、今度の波は非常に大きい波でございましたので、この被災した波に対して災害復旧をするということでございますので、当然皆様方に安心していただけるような復旧断面といいますか、そういうものになっていくと思います。  それから、三カ年の復旧原則なのでございますが、できるだけ六十三年度中に復旧いたしまして、私個人としては工事が途中であっても開港ができるのではないかというふうに考えておりますが、この辺につきましては、県ともう少しきちっと緊密な連絡をとりながらお話を進めてまいりたいと考えております。
  26. 田口健二

    田口委員 どうしてもわからないのですよ。今度の防波堤を建造するに当たって、過去三十年間のデータを基礎にして設計したから大丈夫だ。ところが、今度の台風で一遍にそれがいかれてしまったわけですね。ですから、今度の台風による被害、その高波というものを想定してやり直すということになれば、私はそんなに簡単にできないと思いますよ。来年の夏までに一部供用開始ができるなんて、そんなことにはならないと思うのですが、それは自信があるのでしょうか。
  27. 坂井淳

    坂井説明員 ただいま、そういう復旧ができるように、頑張って検討しているところでございます。
  28. 田口健二

    田口委員 時間がありませんので、最後国土庁長官お尋ねをいたしたいと思いますが、大変な災害を受けておりますので、ぜひとも激甚災害指定をしていただくようにひとつ御配慮をいただきたい。それから、大変な状況でありますから、各種災害復旧に当たりまして、ぜひとも政府の格段の努力をこの機会にお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います、
  29. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほど虎島議員の御質問にもお答えいたしましたように、相当被害がひどいという認識をして今調査をいたしておりますので、激甚災害の問題につきましては、鋭意査定を早めて、前向きに検討したいと思います。  なお、今回被災されました方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。我が国は災害を受けやすい国土でございますが、この災害から国民の生命財産を守るというのが国の政治の基本でございますかも、今後とも一生懸命取り組みたいと思っております。
  30. 田口健二

    田口委員 どうもありがとうございました。
  31. 伊藤宗一郎

  32. 薮仲義彦

    薮仲委員 今回の長崎台風に関しましては、我が党も現地長崎本部対策本部をつくりまして、権藤衆議院議員本部長にしまして、被災された方の現地調査並びに住民の方の激励等を積極的に行ってまいったところでございます。また、災害復旧を早急に行うよう関係機関に要求を重ねてまいりましたけれども、きょうは時間が限られておりますから、その中から特に何点か建設省、農水省にお伺いしたいことを絞って質問いたしますので、明快に簡潔にお答えください。  建設省の問題ですと、今度の台風は風浪、波高が非常に高かったということでございます。この波浪による被害の中で、特に長崎県は海岸線が二十六カ所、約十七億の被害が出ておる。この中でも釜浦海岸、形上海岸、香焼西海岸、これらは早急に復旧してほしいという現地の強い要望は、建設省も十分御承知だと思います。この査定災害復旧の見通しについて明確にお願いいたしたい。全般的にこの十二号の被災については、現在、公共事業等の前倒し等もございますので、三年と言わず、災害復旧には早急な対応をしていただきたいと思いますが、その辺をお伺いしたい。  それから農水省、これは漁港に限って質問させていただきます。漁港長崎県に限って言いますと、九十五の港、二百一カ所が被害を受けております。金額にして百七十七億を超えると聞いておりますが、この中で特に今問題になりました新長崎漁港、これは来年の供用開始ということでございます。きょうは時間がありませんから細かいことは言いません。  しかし、私が検討していただきたいのは、先ほども御指摘がありましたように、設計基準というものがあるわけです。設計基準というのは、静岡県の場合ですと、東海大地震について最高波高大メーターなら六メーター、それに見合った強度というものを設計しているわけですが、設計に誤りがあって崩れたのか、それとも未完成で破堤したのか、この点は十分注意していただきたい。貴重な国民のとうとい財源を使っての公共事業でございますので、何だあれはと言われるような事業だけはやっていただきたくない。  特に、ケーソンについてもいろいろ地元では言われております。ケーソンの設計やケーソン自体もう少し考え直すべきじゃないか。我々が聞いているだけでも、一基が九千百トンと相当大きなケーソンでございます。それが約千メーター近く倒壊したとなりますと、これはケーソンそのもの、あるいは設計基準、あるいは未完成であったのか等々を含めまして、地元の要請はせっかく外港防波堤――外港防波堤というのは外波に当たるわけですから、それだけの強度は要求されてしかるべきであります。この事態を十分勘案なさいまして災害復旧、しかも改良を加えまして、地元の来年度供用ということについての強い期待もございますので、万遺漏のない対策をここでお願いをいたしておきます。  それからもう一点は、建設省の民間住宅の関係でお伺いしたいのですが、今回は特に風が強かった、雨よりも風の被害で、例えば家屋の屋根の破損であるとかそういう被害が、世帯数の上では六万戸を超えていると聞いております。やはりこういう災害復旧は、低利の公庫融資というものが被災なさった方々にとって非常に重要な資金源でございますので、これは低利でしかも使いやすい形で融資をしていただきたい。  この三点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  33. 苗村滋克

    ○苗村説明員 台風十二号によります長崎県内の建設省所管海岸災害被害は、先生がおっしゃいました海岸を含めまして七十二カ所、約十九億円でございます。これら被災箇所のうち、民生安定上緊急に復旧する必要がある箇所につきましては、既に応急工事を実施しておりますし、本復旧につきましては、緊急に復旧する必要のある箇所から、県の準備ができ次第、早期災害査定を実施することとしております。災害復旧事業は、原則として三カ年で完了することとしておりますが、民生に与える影響も大きいので、早期復旧するよう努力してまいりたいと思っております。
  34. 坂井淳

    坂井説明員 新長崎防波堤につきましては、過去三十年間の台風を調べまして、そのうち最大の台風、新長崎に来る波といたしまして最大の台風としてバブス台風を取り上げまして、それによって設計をいたした断面でございます。ただし、この防波堤被災したことにつきましては率直に我々も反省いたしまして、これから皆様方に安心して使っていただけるような漁港づくりに精を出さなければいけないと考えております、今回の災害復旧につきましては、先ほども申し上げましたように、被災台風を考慮いたしまして、丈夫な断面といいますか、皆様方に安心していただけるような断面復旧してまいりたいと考えております。  なお、この復旧につきましては、先ほどお話がございましたように、現地体制といいますか、調査が済み次第査定を行いまして、早期復旧してまいりたいと存じますが、開港を控えておりますので、これにつきましては県と十分に連絡をとりながら、できるだけ県の当初の開港を目標にいたしまして、円滑にいくように努力してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  35. 荒田建

    ○荒田説明員 先生お話の住宅金融公庫の融資でございますが、九月五日から災害復興の融資受け付けを開始してございます。十七日現在で十四件、二千八百万余の融資が受け付けられておりますが、先生御指摘のように、通常の改良融資に比べまして金利も交うございます。また、審査に当たりましては特に優先的に迅速に扱うような形で指導しておりますが、なお一層被災者の便宜に貸すように指導してまいりたいと思っております。
  36. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは本当に時間がないので、もっと細かく具体的にやりたいのですが、それだけにしておきます。  私は、長崎と聞くと、この委員会で、五十七年の長崎の集中豪雨、三百名を超す方が亡くなられた、あのことをずっと思い起こしながら、私は十年間この災害対策委員を続けてまいりました。今でも年間二百名からのとうとい人命が失われる、非常に心の痛む残念な思いでおるわけでございますけれども、私はあのときを思い起こしましてその会議録を読んでみました。  これは当時の長崎の地域防災計画ですが、この五ページには雨について書いてあります、長崎は年間雨量が二千ミリだ、そして二百ミリ降るとがけ崩れ、三百ミリで河川はんらん、地すべり、四百ミリの雨で大地すべり、山津波の大災害が予想される、五ページにこう書いてあります。さらに、百四十五ページには警戒体制の取り組み方が書いてあります。  これはそのときやりましたのできょうはやめておきますけれども、何を言いたいかというと、このように立派な地域防災計画は、災害対策基本法で日本全国の県、市町村に全部形だけはあるのです、一ところが、なぜ三百名の方が亡くなってしまったか。あのとき私は気象庁に雨量の合計を聞きました。その雨量の合計は、この災害対策の計画の中では二百ミリを超えればというのに、それじゃ災害対策本部ができたのはどうなんだ、千ミリを超えたときにできたのです、これはわずか一カ月の半分の十五日間で、長崎県に一年間二千ミリ振るものが千ミリを超える雨が降ったのです、それなのに災害対策本部ができたのは、千ミリを超えて初めて夜の二十時三十分にできたわけです。これで十分な災害対策が対応できるか、できないじゃないか。  私は、紙の上でこんな地域防災計画をつくっても意味はないとは言いません。しかし、これが生かされて、避難命令も書いてあっても避難命令も出せなかった、こういうことを二度と起こさないでほしい、生きた地域防災をつくってほしいと、あのとき当時の消防庁長官の砂子田さんに言いました。長官はこの中で、人命をたっとばなければならないし、見直しをいたします、しかも厳しく見直しをするということで、その後何回かごの地域防災計画は見直しをしてくださっておられます、  しかし、私は果たしてこれで大丈夫なのかなと、いつも心が痛んでおるわけでございまして、特に気象庁から長崎の十日からの雨量を私はもらっているわけでございますが、わずか三日間で二百三十八ミリ、二百ミリを超えているのです。それでも災害対策本部はできなかった。しかも十日間過ぎたときにはもう六百ミリ近い。それでも災害対策本部はできなかった。書かれることと現実の対応とは余りにも違い過ぎる。  このことで消防庁は、今の関根長官も非常に御苦労なさって見直しをするということでおられましたけれども、この地域防災計画をしっかり見直していただくことと、長年私は国土庁長官に、今我々国民は、気象庁のあの気象衛星の情報とアメダスの雨量だけで災害に対応しなければならない、しかし、建設省を初め各省庁の持っている山腹崩壊であるとか土石流危険渓流とか、全部データを集積して国土庁が防災についてのペンタゴンになってほしい、時々刻々わかるようにしてほしいとお願いをしてまいりました。  きょうは時間がありませんからこれでやめますけれども、消防庁、どうか地域防災計画をしっかり見直していただきたい、一カ所でも二カ所でも、責任を持ってしっかりとやっていただきたい。その決意と、国土庁長官に、国土庁が本当の意味での防災の中枢機能を果たしていただくような防災局といいますか、中心とした国土庁であってほしい。この防災マップ等についての御決意を伺って、質問を終わりたいと思います。
  37. 仁科英麿

    ○仁科説明員 地域防災計画を実効あるものとするために見直しをせよ、指導を強化せよという御指摘でございますが、御指摘のとおり、地域防災計画が実効あるものとなるためには、その内容そのものが地域の実態に即したもので、具体的かつ実践的になっていなければならないということでございまして、常々消防庁といたしまして地方団体に対しまして見直しの指導をしてきているところでございますけれども、特に御指摘をいただきましてから、改めていろいろ研究あるいはマニュアルの作成等をしてきております。  例えば五十八年から、災害危険性の総合的、科学的把握方法に関する研究ということで、どういう状態になったら災害につながっていくかというようなことを客観的に把握する方法を研究していく、あるいはまた、これが終わりました後に引き続きまして、地方団体が応急対策計画を策定するために手引となるように、極めて具体的、詳細に記載いたしましたマニュアルをつくるということをやってまいりまして、ことしの三月にこれらの結果が出てまいりました、これを受けまして、改めて地域防災計画の見直しを積極的に行うように現在指導しているところでございまして、特に災害対策本部あるいは警戒本部の設置基準、あるいは迅速的確な情報収集あるいは伝達体制の確立といったようなところにつきまして、十分再点検するように指導しているところでございます。
  38. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 薮仲先生いつも御指摘の防災マップの問題につきましては、各機関が有しております防災情報を有機的にまた有効に活用するという意味で大変有用な方法であるというふうに考えております。国土庁におきましても、防災マップの在り方に関する検討会というのを設けましていろいろ専門家の意見を今広く聞いておるところでございまして、前向きに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  39. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。ありがとうございました。
  40. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、滝沢幸助君。
  41. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さま。長官以下政府の皆さん、御苦労さまです。  さて、いわゆる十二号台風につきまして、被害者の皆様に心からお見舞いを申し上げ、特に六名のお亡くなりになった方々の御冥福をお祈り申し上げます。さらに、被災地の皆さんが勇敢に立ち上がって復旧に当たられますよう、また政府がこれに温かい対策をされまするように要望する次第でおります。  ところで、私は今回の御報告を承りまして、二十二日の九時にグアム島付近に起きました台風が、三十日、三十一日に至りまして、那覇を通りかつ長崎付近に達したと、こうなっておるわけであります。しかも、我が国土を見ますると、いわゆる台風、津波その他の常襲地帯というのは決まっているわけですね。私は雪国でありますが、雪も雪崩の常襲地帯というのは決まっているのであります。しかも、雪崩や地震と違いまして、今申し上げましたように、台風というのは徐々にやってくるわけでありますから、この予知と予報と予防の三つが徹底しているならば、こういうことは少ないのではないか。特に今は昔と違ってテレビ等がありまして、いろいろの情報を伝達し、指令をすることに決して事を欠くわけではありませんから、このことが徹底していなかったのではないか。  私は、政府のたびたびの災害に対する御報告対策のことを聞きますると、きのう岸元総理大臣のお葬式がありましたが、お葬式のごあいさつ状みたいに、最初の文章は決まっていて、途中何のたれそれというのがあって、あと最後の文章が決まっていると思うのですよ。途中ちょっと場所とがあって、今後かかることのないよう万全を期して、こうなっているのでしょう。その点は私は問題だと思うのです。つまり、さっき申しました今回のことについて、予知と予報と予防、この三つは各省がどう対応されたか、まずお伺いしたいと思います。どこでもいい、答えてちょうだい。  今、答えが出てこないでしょう。だから、それが各省庁のセクト主義じゃありませんか。その責任はおれだ、我が省だという責任感がないじゃありませんか。質問をなにしますると、何を聞きますかと来まして、それはだれがどう答えますかということまで全部ちゃんと相談をして、これは課長でようございますか、局長でようございますかというふうにして、議会を一つのお芝居ごっこにしなければ行政は進まぬというところに問題があるのですよ、どこでもいい、私が責任だというのが出てこなくちゃいかぬじゃありませんか。
  42. 三木克彦

    三木政府委員 先生御承知のとおり、災害対策体制につきましては、災害対策基本法その他各法令によりまして準備されております。また、各専門機関それぞれ自分の権限と責任を持ちまして、対処する準備をしているところでございます。したがいまして、今回の災害につきましても遺憾なくその機能を発揮したと思いますが、個々の部分につきましていろいろ御指摘もあろうかと思います、そういった意味で、決して仰せのごとく体制ができてないとか手を抜いているということでございませんで、政府全体として一生懸命やっているということでございます。
  43. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 時間がなんでありますからこれ以上の議論はどうかと思いまするが、私は、何も手落ちがあったと言っているわけではない。しかし、十年前、二十年前、五十年前、百年前と同じようなことの繰り返してはいかぬのではないか、つまり、これだけ科学も設備もまた経済の体制も整うているときに、やっぱり壊れました、やっぱりお亡くなりになりました、今後は遺憾なきを期しますでは、これはいかぬのではないか、こう言うのですよ。  そこで、今回のこの災害につきましても、一つには消防団の皆さんが大変苦労されていると思うのであります。しかし、東京周辺にだけ人口が集中して過疎地ができてくる現象の中で、消防団が団員も確保できない、そのために婦人消防隊なんというものまで結成されて苦労されている。しかし、消防団には、公務員を初め大きな仕事に安定して働いていらっしゃる人は参加されない。そして農家、中小企業、またあきんど等の皆さんのような日々の生活の苦労に耐えていらっしゃる方々が消防団を一身に背負うていらっしゃるじゃありませんか。  そういう意味で、私は、特に婦人消防隊をも含めて、消防団が今日いかなる体制のもとに運営され、政府が今後にどのような対策を持たれているか、承りたいと思います。
  44. 川崎正信

    ○川崎説明員 消防団につきましては、現在全国で百二万人の団員を有してございます。その中で婦人の消防団の団員といいますものは、これは六十一年段階でございますが、一千二百二十五名、六十団体となっておる状況でございます。  御指摘のとおり、私ども、消防団は地域の防災の中核的な役割を果たすものとして位置づけて、現在その活性化、さらに回への加入促進等の施策を進めておるところでございます。特に、御指摘のありましたような過疎地、また都市化の進んでおりますところにおきまして、生業を持っておられる方の都合でどうしても隊員の確保が困難という事態が見られます。そういった事態をどのように克服して地域の守りを固めていくかというのが私どもの現在の課題というふうにわきまえてございます。  そのために、現在入っておられる方がより充実した活動ができるような体制、装備の面、また処遇の面も配慮していかなくてはいけないというふうに考えてございますが、しかし同時に、御婦人の方はサラリーマンのような制約も少ないわけでございますので、そういった方がぜひ守りについていただきたい。それからさらには、若い方が消防団に入ってきていただくように、やはり魅力のある消防団をつくっていかなくてはいけないという考えのもとで、ぜひ、地域としてのほかの団体との交流なり文化・レクリェーション活動とか、そういった魅力を高める措置もとっていかなくてはいけないというふうに考えてございます。  そういったいろいろな施策の積み上げによりまして、団の活性化を図り、地域の中核として今後も活躍していただくよう、私どもとして施策を進めてまいる考え方でございます。
  45. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 議論をする時間はありませんけれども、魅力のある消防団みたいな話は、とてもこれは夢物語ですよ。そんな認識じゃだめじゃないですか。私が申し上げたいのは、地域の消防に当たるんでしょう。公務員を初め、これはどうして地域じゃないんですか。農家とあきんどだけがどうして地域をみずから守るんですか。やはり政府全体が大変な体質改善、発想の転換をされて、学校の先生も役場の職員もみずから率先して地域の消防団に入る。これらの者が先頭に立たなくて、だれが立つ人がありますか。そういう意味で、消防団というものを今後とも継続していくというならば、そのほどの発想の転換と体質の改善が必要だ、こう申し上げているわけであります。御参考にしてください。  なおまた、今回の災害につきまして漁協、農協がいろいろと御苦労されたと思いますが、農協、漁協も含めての今日までのあり方はいかがお考えであり、今後どのようにこれを指導といいますか、されるお考えであるか、承りたい。  と申しまするのは、農協は、昭和二十二年に農協法が国会を通りまして、しかし全然、農協は日本には最初からなかった。今日なおない。ロッチデールの、あのイギリスの紡績工場の方々が、資本主義のもとに生まれました矛盾を革命によらずしてみずからの力でこれを団結して修正をしようというところに出発した農協が、戦後天下り式に、全国の農業会が一晩のうちに看板を塗りかえて農協になって、村の顔役が役員になって、でありまするから、全然農協精神がございませんわな。そこで特定の政党の選挙下請機関等に成り下がっている今日は、私はまことに遺憾なことだと思う。こんなことで、これから大変を農業の将来、農村の将来を担っていくことができますか。そういうことをもひとつ反省の課題とされて、御答弁を願いたいと思います。
  46. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 農協につきまして、最近事業運営とか組織活動のあり方等につきまして種々指摘がなされていますこと、我々承知しておりますけれども、総じて農協は、組合員農家の自主的な協同組織といたしまして、組合員農家の営農でありますとか生活向上のためにいろいろな事業を行っておりまして、組合員農家のニーズにかなりそれ相当こたえているというふうに考えております。しかしながら、昨今農業及び農協をめぐる情勢は非常に厳しくなっておりまして、このような情勢の中で、農協が組合員農家のニーズにより一層こたえた事業運営を行いますとともに、経営の効率化を図っていくことが重要であるというふうに考えております。  最近、農協系統組織におきましても、地域農業振興に主体的に取り組むということのほかに、農協の農政運動の重点を価格対策から構造対策へ転換するなど、組織を挙げまして事業活動の強化を図っているというふうに承知しております。農林水産省といたしましても、このような農協がその機能を十分発揮できますよう、必要な指導を今後ともしてまいりたいというふうに考えております。
  47. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、どうも御苦労さま。長官以下皆さん、御苦労さま。長官最後に一言決意をおっしゃってちょうだい。
  48. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 いろいろと先ほどから災害対策についての御意見をお聞かせいただきましたが、いつも申し上げておりますように、災害に極めて弱い国土でございまして、少しでも災害が少なくなるように、今後とも防災体制に一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
  49. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、藤田スミ君。
  50. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、実はきのう農水委員会で、十二号台風被害に対する天災融資法発動並びに利子の引き下げなど取り上げさせていただきましたので、きょうは多摩川水害問題についてお尋ねをいたします。  まず最初に、大臣にお尋ねいたします。  八月三十一日、東京高裁で多摩川水害訴訟の判決が下されました。あの判決の直後、原告団の事務局長吉沢四郎さんは、「まるで十三年目の濁流です」、こういうふうに言われました。私は、この一言には被害者の皆さんの万感の思いが込められていると思うのです。  「まるで十三年目の濁流です」。大臣、大臣はこの言葉をどう聞かれますか。私は、この判決に対する見解というようなものではなしに、原告団の皆さんの生の声に対する大臣の生の答弁をお伺いしたいわけです。――大臣にお願いしているのです。
  51. 三木克彦

    三木政府委員 裁判のことでございますので、私から御答弁させていただきます。  八月の末に多摩川の水害訴訟の判決がございました。被災者の方にはまことにお気の毒でございますが、御指摘の判決は、特定の河川の管理という具体的な問題に関します司法機関の判断でございます。国土庁としては御意見を申し上げる立場にないということでございます。  国土庁といたしましては、今後とも災害対策の推進に努力してまいりたいと考えております。
  52. 藤田スミ

    ○藤田委員 私は、大臣に生のお気持ちを聞かせていただきたいと、あえて念を押して御答弁をお願いしたわけです。  多摩川の水害というのは、国が予想した範囲内の計画高水流量の規模で発生をしました。判決の骨子を見ますと、せき本体及びその取りつけ護岸の構造は安全基準に適合せず、改善の余地があった、こうしながら、片方では、具体的かつ明白に予測される場合でなければ賠償しない、こういうことを言っているわけです。危険が具体的かつ明白に予測される場合となれば、例えば堤防に穴があいている、そして水が出てきている、そういう状況でしか救済しないということになるんじゃないでしょうか。  そもそも私は、この判決というのは、もう法治国家を裁判所自身が掘り崩すようなものだ、大変非常識な判決だと言いたいわけでありますが、国家賠償法の二条では河川は明らかに規定されています。この法律ができました昭和二十二年当時の議事録を振り返ってみますと、この第二条は「無過失賠償責任を認める趣旨であります。」と、政府は明確に答弁をしております。  七四年のこの災害は、首都圏を流れる多摩川で、雨が峠を越した後被害がゆっくりと発生をしていきました。時間をかけてのこの災害をテレビは実況中継し、そして岸辺の家が濁流にのみ込まれていくのを、息をのむような思いで見ていたわけであります。したがって、当時の亀岡建設大臣も、人災と言われても抗弁する気になれないと、七四年の九月九日、参議院の建設委員会で答えておられます。建設省災害技術調査委員会も、形式構造が適当でないというふうに報告をしているわけです。建設省は、被害者に対して賠償の程度、基準がはっきりしない、裁判で決めてもらえばいいと言い、むしろ国に促された形で裁判を起こしたのだ、そもそも裁判に至ったいきさつを被災者の皆さんはこういうふうに言っておられるわけであります。だから、七九年の一審判決で被災者が勝訴したときに、国がこの判決を率直に認め、被害者にわび、そして緊急に賠償を支払うべきだ、朝日新聞の当時の社説に象徴されますように、まさにこの声が圧倒的な世論の声としてありました。にもかかわらず、政府はそれに背を向けて控訴したわけです。  今度は大臣答えてください、私は、本来の国家賠償法の基本に立ち返って、今からでもいいから被災者を救済すべきだと考えますが、いかがですか。
  53. 横田猛雄

    ○横田説明員 建設省所管の訴訟に関する事案でございますので、私からお答えさせていただきたいと思います。  多摩川水害の被災者につきましては、まことにお気の毒だと思う次第でございますが、この災害そのものがかつて我が国が経験したことのない大変異常なメカニズムで発生したということでございまして、本来的に危険を内在する自然公物である河川、そして道路のように緊急的な通行どめのような回避措置をとることができない、そのような河川の性格から、おのずと国家の責任というものは道路等の人工公物とは違うのであるということを常々国として主張してきたところであるわけでございます。  今回の判決は、大東水害訴訟の法理を踏まえましてそのような河川の管理に対します特殊性が認められたということでございまして、本件の多摩川の状況は、同種、同規模の全国の他の河川に比べまして特段瑕疵のあるものではないということ、さらに今回の異常なメカニズムというものは事前に予見をすることができなかったということが認められたわけでございまして、今回の判決におきまして国の管理の瑕疵はなかったということが認められました以上、賠償金を支払うということはできませんので、御了承をお願いしたいと思います。
  54. 藤田スミ

    ○藤田委員 そんなことは御了承できませんが、まさに司法は行政をかばい、行政は司法を利用してみずからの責任を放棄する。救いのないのは、国民だけじゃありませんか。  国は道路と河川は違うとおっしゃいます。実際の賠償でも、道路だけはよく補償している。しかし、もともと国家賠償法では道路と河川は何ら差別をつけていないのです。何が違うのか。昭和二十二年に治水事業、道路事業ともに予算は六億円台だったのです。六十二年は道路が五兆円台に対して治水は一兆円台、一法理論でも技術論でもなく、河川の被災者を救済しないのは、全く国の都合によって行われているというふうに言わざるを得ません。  私の地元でも、今回の問題は切実な関心を呼びました。そこで、私はこの機会に一言だけ要望しておきますが、今大阪南部の阪南町で関西新空港の土取り地になっているところがあります。この土取りのために関係する茶屋川、飯ノ峯川という小さな河川の改修が行われるわけです。この地域は、三十五年前に四百三ミリの豪雨の大水害がありました。ところが、今回の改修計画では日雨量百七十五ミリ対策ということで、過去の災害の実績が全く生かされていない。山を削り、保水力を奪い、そして危険が大きくなっているのに、調整池もあくまでも仮のものだと譲らない。住民はこの改修計画の見直しと調整池の永久保存を要望しています。このことについてここで私からも強く要望しておきたいと思います。  大臣、最後ですから答えてください。防災の日を前にしてあの逆転判決が下されました。この判決を聞いて、多くの人々は国が防災の手を抜いていくのを恐れる、こういうふうに言っているわけです。水害対策というのはまさに国民の切実な願いであります。治山治水対策に今後とも万全を期するよう、きょう問題になっております十二号台風災害復旧は言うに及びませんが、大臣のこの問題に対する決意のほどをお伺いして、質問を終わります。今度は大臣が答えてください。
  55. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどからいろいろお答えをいたしておりますように、訴訟の問題はいろいろな要件が入って今争われておる問題でございまして、ただいま一審、二審と進んでまいりまして三審で結審する問題だと考えております。  先ほど法治国家というお話がございましたが、法治国家ということを是認されるならば、裁判所を批判することは法治国家ということを言われるあなたにしてはちょっと言い過ぎではないかと思います。
  56. 藤田スミ

    ○藤田委員 裁判批判のことを聞いていませんよ。今後の災害対策、治山治水、それに対する大臣の決意をお伺いしているのですよ。最後にもう一言つけ加えてください。答弁になってないです。
  57. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 あなたへの答弁は、係争中の問題ですからそれにお答えしたわけです。防災の基本問題は、先ほどから皆さんにお答えしておりますように、国は災害から国民の生命財産を守るというのが基本ですから、当然これは一生懸命やるということであります。
  58. 藤田スミ

    ○藤田委員 終わります。
  59. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 時間が来ましたので、藤田スミ君の質疑は終わりました、  以上で、本日は質疑が終わりました。  一切の案件審議を終了いたしました。したがって、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時七分散会