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1987-08-27 第109回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十七日(木曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 伊藤宗一郎君    理事 桜井  新君 理事 笹山 登生君    理事 長野 祐也君 理事 若林 正俊君    理事 新盛 辰雄君 理事 古川 雅司君    理事 滝沢 幸助君       井出 正一君    内海 英男君       大石 千八君    加藤 卓二君       木村 守男君    佐藤 敬夫君       斉藤斗志二君    志賀  節君       園田 博之君    田邉 國男君       武部  勤君    谷  洋一君       虎島 和夫君    宮崎 茂一君       村井  仁君    持永 和見君       粟山  明君    串原 義直君       佐藤 徳雄君    沢藤礼次郎君       浜西 鉄雄君    竹内 勝彦君       武田 一夫君    森本 晃司君       薮仲 義彦君    川端 達夫君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         国土庁防災局長 三木 克彦君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君  委員外出席者         文部省教育助成         局施設助成課長 遠山 耕平君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     遠藤 紀寛君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         気象庁総務部企         画課長     門脇俊一郎君         気象庁予報部予         報課長     山岸米二郎君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         労働省職業安定         局特別雇用対策         課長      野寺 康幸君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     斉藤健次郎君         建設省河川局河         川計画課長   角田 直行君         建設省河川局治         水課長     齋藤 尚久君         建設省河川局開         発課長     山口 甚郎君         建設省河川局防         災課長     苗村 滋克君         建設省河川局砂         防部砂防課長  友松 靖夫君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      岸田  弘君         建設省道路局国         道第一課長   堀  泰晴君         建設省住宅局民         間住宅課長   荒田  建君         建設省建築研究         所企画部長   岡本  伸君         自治大臣官房参         事官      海老 忠彦君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十七日  辞任         補欠選任   佐藤  隆君     志賀  節君   木間  章君     沢藤礼次郎君   馬場  昇君     串原 義直君 同日  辞任         補欠選任   志賀  節君     佐藤  隆君   串原 義直君     馬場  昇君   沢藤礼次郎君     木間  章君     ――――――――――――― 七月三十日  地震の場合における重度障害者避難体制確立  等に関する請願(岩垂寿喜男君紹介)(第一一  三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害等について政府から説明を求めます。国土庁三木防災局長
  3. 三木克彦

    三木政府委員 お手元に配付しております資料に基づきまして、昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害及び八月十六日から十九日の大雨による災害について御説明を申し上げます。  初めに「昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害について」という資料をごらんいただきたいと思います。  まず、1の気象概況について要約して申し上げます。  ことしの梅雨入りは、全国的にはほぼ平年並みで、ございましたが、梅雨明けは平年に比べて遅く、特に九州南部、北陸、東北地方では十日から十九日遅くなりました。七月十四日から二十日にかけては、台風第五号が接近し、また、梅雨前線活動が活発化したため、西日本を中心大雨が続きました。  資料の一ページの下段に説明してありますように、七月十四日から二十日の期間中に、九州四国地方でところどころで五百ミリを超え、特に宮崎県えびのでは一千ミリを超えるなど、各地で大雨になりました。  次に、資料の二ページをお開きください。  Ⅱの被害状況についてでございます。  一般被害につきましては、八月二十日現在の調べで、死者十一人、負傷者二十五人となっております。また、住家被害では、全壊十五棟、床上浸水三百七十二棟となっております。  施設等関係被害につきましては、現在関係機関におきまして鋭意調査中でございますが、建設省関係では、公共土木施設で一千三百八十一億円。農林水産省では、公共土木施設関係で約二十三億円、農林水産業関係で五百三十八億円、合計五百六十一億円。また、文部省関係では、国公立学校施設で約三億五千万円の被害が報告されております。  次に、資料の三ページをお開きください。  厚生省関係では、廃棄物処理施設で三千七百万円。運輸省関係では、港湾施設等で約七億五千万円の被害が報告されております。  次に、交通関係では、鉄道関係でJR九州を初めとして八社二十四線区施設被害が発生しましたが、現在ではすべて復旧しております。  道路関係では、七月二十日現在九十七カ所の全面交通どめがございましたが、復旧作業の結果、全面通行どめは現在三十カ所となっております。  次に、Ⅲの講じました措置等についてでございますが、災害対策本部は、愛媛、長崎の二県及び百五十五の市町村において設置されております。  政府といたしましては、五月二十一日、中央防災会議主事会議を開催し、出水期を迎え関係機関が緊密な連携のもとに防災態勢を推進するよう要請いたしますとともに、五月二十二日、中央防災会議会長名で「出水期における防災態勢の強化について」の通達を関係機関に対して行っております。  七月二十日には、十四日からの大雨を踏まえて、今後の対策等について関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催しております。  以上、昭和六十二年梅雨前線豪雨及び台風第五号による災害について、要約して御説明を申し上げました。  次に、昭和六十二年八月十六日から十九日の大雨による災害について御説明を申し上げます。  「昭和六十二年八月十六日~十九日の大雨による災害について」という資料をごらんいただきたいと存じます。  まず、Ⅰの気象概況についてでございますが、要約して申し上げますと、この期間前線東北地方をゆっくりと南下いたしまして前線活動が活発化いたしました。このため、東北地方では百ミリから二百五十ミリの大雨になりました。特に十七日には、秋田県、岩手県、宮城県、山形県を中心大雨になりました。日雨量百ミリを超えるところが多く、二百ミリ、二百三十ミリに達するところも数カ所ございました。十八日には大雨域関東地方に移り、十九日には前線太平洋沿岸まで南下し、次第に消滅をいたしました。  次に、資料の二ページをお開きください。  Ⅱの被害状況等についてでございますが、一般被害につきましては、八月二十四日現在の調べ負傷者二名、住家全壊一棟、床上浸水七百八十二棟となっております。  施設等関係被害につきましては、関係機関等において鋭意調査中でございますが、建設省関係では公共土木施設で約三百八十五億円、農林水産省関係では約八十億円、文部省関係では公立学校施設約一億円の被害が報告されております。厚生省関係では病院二カ所が被害を受けておりますが、被害額調査中でございます。  資料の三ページ目をお開きいただきたいと思います。  交通関係では、鉄道関係でJR東日本を初め三社三線区において施設被害が生じましたが、現在はすべて復旧しております。  道路では、全面通行め箇所が八月二十四日現在四十六カ所となっております。  次に、講じた措置についてでございますが、災害対策本部は三十一市町村において設置されております。  また、政府といたしましては、八月十九日、関係省庁による災害対策関係省庁連絡会議を開催いたしまして、今後の対策等について協議をいたしますとともに、八月二十日から二十一日にかけて、関係省庁担当官秋田岩手の両県に派遣いたしました。  被災者への金融措置といたしましては、八月二十五日より住宅金融公庫におきまして災害復興住宅資金の融資の申し込み受け付けを開始しております。  以上でございますが、今後とも関係省庁と密接な連絡をとりまして対策に万全を期してまいりたいと思います。  報告を終わります。
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これにて説明は終わりました。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。志賀節君。
  5. 志賀節

    志賀委員 御承知のとおり、私の地元は岩手県の南玄関に位置いたします一関市でございまして、この一関市が今回の水害の中でもとりわけ災害状況が大きかった、こういうことで、本日は伊藤委員長初め同僚委員皆様方のお許しをいただきまして質問機会を得させていただきましたことを、この機会に厚く御礼を申し上げる次第でございます。  この災害は、既に朝日新聞の第一面にも写真をもって報道せられたがごとく大々的なものでございまして、早速現地には、ただいま御説明にもありましたとおり担当のお役所の方からも視察が行われ、あるいはまた政治家の各位も足をお運びいただいたわけでございますが、私も、はやる心はございますものの、国会の本会議委員会等が開かれておりまして、やっと去る二十三日の日曜日を活用いたしまして現地に足を運び、つぶさに視察をしたような次第でございます。  私は、この機会に伺いたいと思いますのは、今回の水害の原因は何であったのか。もとより、ただいま御説明にありましたような大雨がこの災害をもたらしたと言えば、それはそのとおりでございますが、大雨が降ることは世の習いでございまして、されば、この防災のために日ごろからお役所の方では心を砕いておられる。とりわけ国土庁は、この点に関しては担当のお役所として意を用いておられるわけでございますが、この水害を防ぐための御努力、これに対する政府の姿勢について、特にきょうは綿貫国土庁長官の御出席をいただいておりますので、この点を長官御自身から御説明を煩わしたいと思うのであります。
  6. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 まず冒頭に、今回の災害によって多くの被災者が出ておられますけれども、心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  ただいま志賀先生からの御質問でございますいろいろの水害襲地帯に対する対策等につきましては、治水五カ年計画に基づきましていろいろの河川改修を進めておるところでございますが、なお十分行き届いていないということの御指摘のようでございます。私どもといたしましても、建設省その他とよく連携をとりまして、今後さらにこの治水計画が充実されるように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 志賀節

    志賀委員 一関のあたりで一番大きな川は北上川でございますが、この北上川上流には五大ダムがございます。もとよりこのダムは多目的ダムでございまして、かんがい排水あるいは発電等にこれが利用せられていることは申すまでもございませんが、同時に、この五大ダム水量調整ということが大きな目的になっておるわけでございまして、この水量調整について、今回の水害には全く手落ちがなかったのかどうか。特に、私が現地に足を運びまして、被災者方々の中からは、これは天災ではなくて人災ではなかろうか、ダム放流が客観的な条件を十分に踏まえてのものではなかったのではなかろうか、こういうような指摘があったわけでございます。この点について役所の御見解をただしたいと存じます。
  8. 山口甚郎

    山口説明員 ダム洪水調節は、自然現象であるいろいろの降雨洪水を総合的に考慮いたしまして適切に洪水調節を行って、下流洪水の低減を行うことを目的といたしております。  今回の洪水では、北上川の既設の五ダム洪水調節を行いました結果、下流基準点洪水のピークにおきまして、概略の試算値でございますが、約一メーター程度水位低下効果があったものと想定をいたしております。
  9. 志賀節

    志賀委員 私がこの際指摘をさせていただきたいと思いますのは、私ども一関水害を防ぐための大きな計画といたしましては、北上川の流れに狭窄部分がございます、いわゆる幅の狭くなった部分がございますが、そういう狭窄部分を控えている一関市といたしましては、恒久的な水害対策のために、膨大な地域遊水地とすることにいたしまして、この遊水地堤防をめぐらしまして、この堤防から向こうに水の入ることはまずない、あっても百年に一度であろう、こういう建設省の御説明のもとに、この大計画が現在進められておるわけでございます。  ところが一方、この遊水地完成するまでには時間的に相当な期間が必要でございますから、それに先立ちまして、まだ水害になりやすい地域遊水地計画地隣接地にございます、ここの堤防を築くことに現在努力中でございますが、これが完成すれば、十年に一度かそこらの水害はあるかもしれないけれども、しかしそれは一時的なもので、本格的なものはこの遊水地堤防である、これができれば百年に一度水害が起きるか起きないかなんだという、こういう御説明でございます。  しかるところ、この暫定的な水害を防ぐための堤防がまだ完成しておりません。要するに、十年に一度か二度程度水害が起こるかもしらぬというその堤防完成をしていないで、約百五十メーター完成部分がある。この堤防ができていないところから水が流れ込んで、今回の水害を惹起したわけでございます。果たしてその百五十メーター堤防ができていないのだということを前提としてのダム放流であったのかどうか。今回のダム放流は百五十メーター堤防完成している状態を頭に置いての放流ではなかったろうかということが現地民からも疑問視されておるところでありまして、実はこの点を特に伺いたいのであります。
  10. 山口甚郎

    山口説明員 先生お話は、下流一関遊水地がまだ工事中であるので、まだ洪水に達していない段階から調節を始めて、さらに多くの洪水調節ができないかという御質問かと思います。  ダム操作ルールは、自然流量でございます過去のいろいろの降雨洪水を総合的に考慮いたしまして、所定の洪水調節が行われるよう定められております。現在では、降雨洪水の十分な予測が困難でございますので、ダム操作ルールに従って操作することが適切と考えております。もし操作ルールで定められました以上に調節した場合には、さらに降雨が継続したような場合に、早いうちに貯水池が満杯となりましてダム調節効果がなくなり、ひいては大きな被害を引き起こすおそれがあるからでございます。
  11. 志賀節

    志賀委員 いろいろとダム運用操作については難しいことがあろうかと思います。特に、人間のやることでございますから、十分を期しつつも十分でないこともあるわけでありまして、どうかこの点を謙虚に反省せられて今後の資とされたい、このように思う次第でございます。  また、このような御時世であればあるだけに、私特に希望をさせていただきたいのは、何かすぐれたコンピューターのようなものを開発いただきまして、これに雨量とか水量とかいろいろなそういうものの条件をインプットすることによって、自然にダム放流が可能となるような、そういうような仕組みというものは現実のものとしてできないものだろうか、こういうことを考えておるわけでございます。  こういうものが実際にでき上がり、そして運用されるとなると、相当一般方々にも強い信頼感を与えるのではないだろうか。あるいはまた後々、私がただいま質問をしておるようなあれは、天災というよりは人災であったというような非難や勘ぐりを受けないでも済むようなことになるかもしらぬ。どうかそういうことを私は強く期待をいたしておりますので、この点について御配慮いただきたい。この点についてのお見通しなどはいかがなものかも教えていただけるとありがたいと存じます。
  12. 山口甚郎

    山口説明員 現在のダム操作に関しましては、雨量水位のデータを収集、解析したり、洪水予測を行うなどのためにコンピューターを活用いたしております。  お話しの気象情報に基づいてコンピューターによりダム放流量を自動的に制御するシステムにつきましては、今後の研究の方向かと考えております。しかし、降雨予測の問題、洪水予測問題等がございますし、またコンピューター信頼性の問題、コスト等の問題もございまして、現状では実用化にはまだ遠い段階であると考えております。
  13. 志賀節

    志賀委員 昭和二十年代でございましたが、一関市という都市ではキャサリン台風アイオン台風とが相次いで押し寄せまして、その結果、市民無慮六百人になんなんとする人々が死んでおるわけでございます。こういうような惨害は、記録としてはそのときでございますが、恐らく古来頻繁に起こったものではなかろうかと私想像をいたしておりますが、このような惨害を経験してきた一関市民としては、何としてでもこの水害をなくしたいというのが悲願でございます。  今さら申し上げるまでもございませんが、中国堯舜の時代から、治水は帝王、すなわち人々信頼をから得る大きなポイントでございます。どうか、この水害防除につきましては、極力国としては御努力をいただきたいのでございます。  先ほど申し上げましたとおり、遊水地堤防完成されれば、百年に一度の可能性はあるかもしれないが、水害はなくなるんだ、こういう御説明をいただいております。もしこの堤防ができればまことにそのとおりなのであるかどうか、この機会に明確にしていただきたいと思いますので、お答えを願います。
  14. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御質問でございますが、遊水地堤防ができれば百年に一度起こるような規模洪水が守れるか、こういう御質問でございますが、実は北上川には北上川水系工事実施基本計画というのがございまして、全体の計画を決めてございます。その中には、遊水地堤防を完了させることと、同時に上流ダム群をつくりまして、それで百年に一度起こるような規模洪水に対処できるという計画になってございます。したがいまして、遊水地とそれから上流ダム群両方あわせてそのような大きな規模洪水に対処できるということでございます。
  15. 志賀節

    志賀委員 ただいま私から申し上げたとおり、要するに水害をなくすことが一関市民悲願でございます。どうかこの悲願の達成に向けて役所が存分の力を発揮していただきたい。この機会にお願いをしておく次第でございます。  これを具体化していくためにもぜひとも必要なのが、多くを望めば幾らでも望みたいのでありますが、せめて毎年五十億円程度は、それに上積みすることは幾らでも結構でございますが、せめて五十億円程度事業費をつけてほしい、これが現地の切なる要望でございます。これについても建設省当局の御意見を承りたいと存じます。
  16. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 一関遊水地事業は非常に重要な事業でございます。したがいまして、事業費の確保には非常な努力を払ってきておるわけでございます。例えば六十二年度予算は、補正予算を入れまして四十八億円程度を投入しております。昨年に比べて大幅に伸ばしております。また今後もできるだけの努力をいたしたいと考えております。
  17. 志賀節

    志賀委員 ただいま御答弁がございました四十八億円の事業費をおつけいただいたことによって、ただいま指摘をしてまいりました百五十メートルの未完成堤防部分完成をすると私承知をいたしております。そういうことで役所の御努力、御協力に対して私は十分にこれを評価しておるものでございますが、どうかこの補正予算があるなしにかかわらず、今後も五十億円程度はこの事業費を継続的につけていただくように強く希望をするものでございます。  同時に、ただいま申し上げてまいりましたように、この事業は大変大きな規模のものでございます。日本全体を見渡してみても、恐らく一関遊水地事業は一、二を争う大事業であると存ずる次第でございます。  そこで、このような工事規模事業費からしても、この一関市に工事事務所設置をすることはあながちおかしなことではないのではないか。この工事事務所設置につきましては、既に一関市当局から、建設省はもとよりのこと、大蔵省あるいは総務庁方面にも熱心な陳情が繰り返し続けられておるわけでございます。この点につきましても、私も特にこの工事事務所設置方希望するものでございますが、これに対する役所のお考えをただしたいと存じます。
  18. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 先生指摘のとおり、一関遊水地事業は非常に重要な事業でございます。今までこの遊水地事業というのは北上川改修一環でございまして、その中の一つの大きな事業でございます。これまで東北地方建設局岩手工事事務所調査から計画用地買収工事を進めてまいってきております。そして、現地一関には一関出張所がございます。それと、ほかには余り例がないわけでございますが、用地出張所というものを設けております。そして万全の執行体制をしいてるわけでございます。  したがいまして、今後とも一関遊水地建設に当たりましては、北上川全体の改修一環でございますので、岩手工事事務所担当させたいと考えておるところでございます。
  19. 志賀節

    志賀委員 お話の趣旨はわかるのでございますけれども、これは事業費規模というただいま私が指摘をしたこととあわせて、もう一つ一関水害をなくそうという市民悲願にも合致することでありまして、もとより心理的、精神的な影響を無視することができない。そういう意味からも、市当局としては今後も粘り強くこの工事事務所設置についてこれを求めていく考えを私に示しておりますので、ただいまのようなお考えはお考えとして、市当局にもそういう考え方があるんだということで対処、対応、そしてできるだけこれが実現するように御協力を願いたいと考えておる次第でございます。  また、この機会に申し上げておきたいことは、今回私が視察をいたしました被災地のある一部分では、水が引くときに流れ出ていく勢いでございましょうか、堤防が壊れておる部分もございました。それからまた、一関市から若干離れたところでございますが、お隣の郡の東磐井郡川崎村というところにも水害がございまして、相当部分の農地も被災をしておるわけでございます。これらの地域につきましてもやはり手厚い配慮が必要だと思います。声を大きくすればそこだけが得をする、自立ではそこだけが利益を得るということではなくて、存外知られていないようなところにもこのような被災地被災箇所があるわけでございますから、こういうことについてもきめの細かいできるだけの御配慮を煩わしたいと存ずる次第でございます。  一関市以外のことについて当局でつかんでおられるようなことがあり、特に一関周辺で御披露願えるようなことがありましたら、この機会に承りたいと思いますが、いかがでありましょうか。
  20. 苗村滋克

    ○苗村説明員 岩手県全体の災害箇所が七百二十カ所、約四十五億円でございます。これら被害箇所のうち民生安定上緊急に復旧の必要のある箇所につきましては、既に応急工事を実施しております。また、八月二十一日には査定の準備に入っておりますし、今月の末にも査定に査定官を派遣する予定でございます。災害事業予算につきましても、十分確保するように努力してまいりたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  21. 志賀節

    志賀委員 私がかつて当委員会理事を務めさせていただきました時代に、鹿児島の姶良カルデラの視察をしたことがございます。鹿児島というところは雪崩のような土砂崩れ現象があって、何人かの人の命が失われない限り夏がやってこないんだ、こういうような梅雨季の悲劇話を当時間かされて、大変胸を痛めた記憶がございます。  岩手県では、今回幸いなことに死傷者がなかったわけでございますけれども、ただ、政治家の忘れてはならないことは、先憂後楽という言葉にあらわされると思うのであります。要するに、どなたよりも先に物事を心配しておいて、どなたよりも一番最後に楽しみを持つのだ、これだと思うのであります。しかるに、私顧みて甚だ恥ずかしい思いをいたしておりますのは、私どもの同じ仲間の一関市民が、水害になるのだ、自分の家にも水が押し寄せるんだ、こういうおびえと心配の中で眠れない夜を過ごしておられたときに、私は東京で眠っていたのではないだろうか、こういうことを考えますと政治家として本当に恥ずかしい。こういうことがないような社会を、そういう地域をつくり上げてまいりたい。そのための本日の災害対策特別委員会の同僚議員各位、そしてまた役所の皆さんの特段の御努力と御配慮をここにお願いをいたしまして、私の質問を閉じたいと思います。  ありがとうございました。
  22. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、佐藤敬夫君。
  23. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 きょうは秋田県の問題につきまして御質問をする時間を与えていただきましたことを、心から御礼申し上げます。  昨日、笹山先生を団長といたします私ども現地もつぶさに視察をいたしたわけでございますが、時間が二十分ということで余りございませんので、具体的な問題について御質問をさせていただきたいと思います。  委員長のお許しを得まして、できれば長官にこの現地の写真等々を質問の間じゅう見ていただいて、最後に御所見を賜りたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
  24. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 はい。
  25. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 旧盆明けの十六日から秋田県を波状的に襲っておりました集中豪雨は、結果といたしまして昭和四十七年の七月に次ぐ戦後二番目の被害額になっております。まだ断続的に雨が降り続く日にちがございまして、この後のいわゆる第二次災害を大変に憂慮しているわけでございますが、八月二十日には、国土庁建設省、農林省、警察庁、消防庁、担当災害担当官五名の皆さんが早速に現状を視察をいただきまして、大変心温かい御指示、御指導を賜りましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。  この中で、百八十一億の中身の中で特に被害額の大きなもの、現地視察をいたしまして、実際にその水の去った後はそんな大きな被害なのかなと思うような感触を受けておりましたが、小さな河川のはんらん、小さな橋の崩壊あるいは道路の冠水等々を含めますと、実際に現地へ参りますと、想像以上にその被害額は大きいものだなということを実感してまいりました。特に各省庁にわたりましてそれぞれ被害額の大きいと予測されておる場所について御質問を申し上げたいと思います。  まず、公共土木施設関係被害額が千十三カ所、約百二十億六千万と想定されております中で、これにつきまして、今志賀先生からもお話がございましたように、実際にいろいろな五カ年計画あるいはこれまでの長期にわたる国土の改善、改良計画というものは行われてきたのでありましょうが、私ども秋田県といたしましては、まだ断続的に降り続く雨の中でございますので、今後復旧や将来に向かっての基本的な改修をするために時間的にどんな作業がなされているかということに重点を置いて御質問申し上げたいと思います。  まず、一応の二十日現在で締め切りの被害額予測が出たわけでございますので、災害復旧早期実施の査定について、いつごろなされるのかということにつきまして御質問申し上げたいと思います。
  26. 苗村滋克

    ○苗村説明員 今回の災害につきましては、八月二十日から二十一日にかけまして現地災害査定官を派遣しておりますし、八月末には査定官を派遣しました応急復旧工法等の技術指導を行う予定でございます。  査定の日でございますが、九月二十一日から二十六日まで、二回目が十月二十六日から三十一日まで査定官を派遣する予定でございます。
  27. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 ありがとうございました。  現地にも実際これに対応、査定に間に合うように極力御指導申し上げまして、現地の現状をもう少し詳しく調査し、まだこれからの協力的な作業を進めるように努力をいたしたいと思います。  二番目には、災害復旧についてはもちろんいろいろな作業があるんだと思うのでありますが、ただ単なる改良を加えてそれで済むという状況ではなくて、将来にわたる抜本的な政策を持って進めていただきたい。その辺の基本的なお考え方、どういうふうなお考え方を持っておられるのか、御答弁いただきたいと思います。
  28. 苗村滋克

    ○苗村説明員 ただいまの御質問でございますが、今回発生いたしました河川災害等につきまして、被害が激甚な箇所につきましては、再度災害防止を図るために積極的に災害関連事業等で対処してまいりたいと思っております。
  29. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 今度の河川を中心とするこの集中豪雨の場合に、私はやっぱり三つぐらいの問題が同じように起きているような感じがするわけでございます。  例えば、仙北の淀川のはんらんというのは、その背後にあります協和ダムという工事が懸案になっておるわけでありますが、なかなかこれが進まない。来年度から道路改修を進めよう、こういう状況にあるわけでありますが、その上流、中流のところで河川改修が全く遅々として進まない状況の中でそういう問題が起きてきている。やっぱりこれは相当計画的に、毎年毎年災害というものは必ずあるんだということを根本に置きながら計画的な進め方が一つあるんじゃないかな。  もう一つは、いわゆる雄物川のすぐそばの、昨日も参議院の方で御質問があったようでありますが、芦沢川、土買川というところの周辺の問題は、そんなに雄物川の増水は多くないのでありますが、堤防改修工事、百二十メーターぐらいの距離が遅々として進んでいないということから、たまたま増水をしたものが入ってきて浸水家屋、あるいは水田等を浸水してしまったという状況です。こういうものは毎年毎年、災害が起きるたびごとに同じ箇所が同じような浸水の状況になってくる。こういうものに対して従来何の新しい発想もなく進められてきているというのが第二点。  第三点は、これは新興住宅地域秋田市を中心とするそういう中で、小さな川の河川改修がやっぱり手当てが遅いために、そういうところに同じような都市のもろさというものを感ずるわけであります。  この三つのパターンというのは、ほとんど変わらない。計画的ではない。あるいは本来、従来の常襲水害地なんというところには、そこに雨が降れば必ずこういうふうになるんだというところへ何の手も加えられていない。  第三番目は、新興開発というところで都市化現象がどんどんなってきて、これは一面に全部政治の責任だ、行政の責任だとは言えない部分もあるわけでありますが、そういうところに、従来当然水を上手に処理するという自然の機能があったものを、開発が進められている中でそれに対する知恵が十分でないために、都市現象としてそういうことが起きている。この三点が非常に感じられるわけであります。  こういう問題について、やはり国土庁にしても、各担当省庁が抜本的な改良改善計画というものを持っていただきたいなということで今の御質問を申し上げたわけであります。  そういう意味で、秋田県全体を流れる雄物川の改修というものを、どうかひとつ今後も力を入れてできるだけ早急に完成をしていただき、集中豪雨が始まりますと必ず常襲地域に同じような現象が起きるということを一日も早く改良改善をしていただきたい。その促進がどうなっているかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
  30. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 雄物川の改修の問題でございます。河川改修のやり方といいますか考え方といいますか、それは河川の上流下流のバランスをとりながら、さらには支川と本川の間のうまいバランスをとりながら、しかも背後地の市街地の形成の状態その他を考え、さらにはやはり過去どんな災害がどういうふうに起こっておるかというようなことを総合的に勘案いたしまして、河川改修をやっておるわけでございます。  で、雄物川の場合で申し上げますと、まずは下流部の秋田市周辺から改修を始めまして、次には上流の大曲市周辺の改修をやってきておるわけでございます。現在は上流の方に重点が移っておるわけでございますが、さらにはその間の中流部には無堤地区あるいは小さい堤防の地区が多うございます。これも何とか改修を進めたいということで、先ほど先生の御指摘の土買川周辺その他のところについても、最近では重点的に改修を進めております。  こういうふうなことで順次段階的に安全度を上げていこうということで、鋭意努力をしておるところでございます。今後とも無堤地区あるいは小さい堤防のところは、堤防を大きくしてやるあるいは掘削をしてやりまして洪水が流れやすくするというようなことに鋭意努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  31. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 ありがとうございました。  次には、この淀川を中心とします秋田の米どころ、水田が冠水したところが非常に多いわけでございまして、これは秋の収穫期を終わってその実がどうなっておるかということが実際にわからないんじゃ、総被害額というものは出てこないわけでありますが、ことしは例年とは違いまして、生産者米価の切り下げあるいは転作あるいは減反というものが大変多く占めておりまして、この淀川を中心とします地域、二百四十世帯は農家所得が相当大きく減ずるという地域になっているわけです。  たまたまこの場所へ参りまして、皆さん方の御意見といたしましては、農業災害の場合の補助あるいは共済の仕組みについて従来どおり一つの型にはまった決め方をされた場合には、とても今年度の農家経営が成り立たないだろう、こういう御意見でございました。全くそのとおりだという感じがするわけであります。  これらにつきまして、例えば三十万以下は一切この補助がないんだというような仕組みもあるようでございますので、この辺の仕組みにつきまして、既存の融資制度やあるいはあらゆる制度の組みかえ、例えば条件緩和とかあるいは利子補給とか、そういうものを組み合わせながらきめ細かな御指導を農水省の皆様方にしていただかなければならぬと思うのでありますが、この辺についてのお考え方、御意見をお伺いしたいと思うのであります。
  32. 青木敏也

    ○青木政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害によりまして秋田県下におきます水稲等の被害状況につきましても、例えば浸水、冠水に及んだ面積は約七千ヘクタール、また畑作関係、大豆等の被害も生じているわけでございます。  ただいまお話ございました共済制度関係につきましては、やはり一つのきちっとした保険設計で仕組まれているわけでございまして、先生指摘されたような事情を配慮いたしましても、その災害ごとに共済金の査定等を動かすということは、原則としてできないわけでございます。  私ども共済金のお支払い等につきましては、できるだけ早期に被災された農家の方々の手元に届きますように、農作物共済の場合ですと、原則といたしましてはやはり収穫期の収穫の状況、水稲等につきましては今後かなり植生の回復ということもございますので、収穫期におきまして損害額をきちっと評価するということが前提になるわけでありますけれども、圃場等によりましては農地と一緒に流失してしまったというようなことで、現時点で客観的に全損的な認定ができるというようなものにつきましては、もう現時点で仮払いをするとか、そういうことも含めて、できるだけ早く被災者のもとにそういう共済金が届くように配慮したいと思っております。  いろいろ農地復旧等につきましても、小災害等の問題もありますけれども、今後そういう交付金だ何だという、そういう側面で災害復旧事業、小規模の三十万未満等のものにつきましても、制度的には対応いたすことになっております。  また、資金面のお話がございましたが、今回のような規模災害の場合ですと、天災融資法の発動を私どもいろいろ検討はいたしておりますけれども、なかなか難しいんではなかろうか、こういうふうに考えておりますが、先生も御案内のとおり、現在自作農維持資金という非常に低利の資金がございます。この辺の資金につきましては、具体的な被災農家の資金需要に積極的に対応したい、こう思っております。  それから、既に借り入れている分ですね、これまで借り入れをしている分についての償還、その重さにつきましても、被災農家からの具体的な申し出を承りまして、金融機関等を指導いたしまして償還条件の緩和等について積極的に対応したい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  33. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 本当に時間がございませんので、もう少しお聞きしたいこともたくさんあるのですが、秋田県は御存じのとおり林業地帯でもございます。今度の集中豪雨のためにかなりの林野の部分で表面の地すべりという箇所が多くにわたっているわけでございまして、簡単に最後にちょっと大臣の御所見もちょうだいいたしたいと思いますので、林野庁の被害状況と今後のこれに対する復旧の対策がどのような状況になっているか、一言御答弁いただきたいと思います。
  34. 岡本敬三

    岡本(敬)説明員 今回の豪雨に伴いまして、林地崩壊が数多く発生いたしております。八月二十五日現在でその被害額は約四十億円に達しております。これらの崩壊箇所の中で、次にまた雨が降りますと再度災害の発生のおそれのある箇所もございますので、こういう箇所につきましては、災害関連緊急治山事業等によりまして早急に対応を図ることといたしております。  秋田県及び岩手県につきましては、既に一次協議も終わっておりまして、関係省とも協議をいたした上で早急に事業費等の決定に当たりたい、こういうふうに考えております。  なお、林道、治山施設の被害につきましても、九月中旬に災害査定を行うことといたしておりまして、再度災害の防止に努めてまいりたいと考えております。
  35. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 最後になりますが、また繰り返しになると思いますが、先ほど基本的に申し上げました災害の内容の三つのパターン、これは私どもずっと何十年振り返ってみても、余り変わってないなという気がいたします。こういう基本的な問題につきまして、単に復旧だけを急ぐというのではなくて、河川改修を含めた抜本的な問題につきまして、最後に綿貫大臣の方から一言所見をいただきたいと思います。
  36. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどからいろいろ秋田県の被害の写真も見せていただきましたし、またいろいろと今回の災害についての御質問を承っておりました。台風が来たり雨が降るたびに国土のことを心配しなければならない、大変にもろい日本の国土でございますが、災害から生命財産を守るということは国の政治の基本でございまして、計画的に治水計画等も立てながらやっておりますが、なかなか追いつかないという状況でございます。これからもさらに一段と防災体制について十分意を用いていかなければならないと思います。何とぞ災害対策委員会皆様方にもいろいろと応援をしていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  37. 佐藤敬夫

    佐藤(敬夫)委員 時間がないものですから、かなり急いでいろいろなことについて不十分な御質問を申し上げたと思いますが、ことしの秋田のような農業を主体とする地域は、ある意味における政治不信を持っておるわけでございまして、どうぞひとつ、こういう一つ一つの御指導について、各担当省庁のきめ細かな連絡や助成、そしてきょうお約束いただきました査定日などは、決して長引くことのないように、現地にも急がせますので、きちっと中身も整えておきますので、大臣の方からもまた御指導、御鞭撻をよろしく賜りたいと思います。  ありがとうございました。質問を終わります。
  38. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、沢藤礼次郎君。
  39. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 八月十六日から十八日までの大雨による災害について御質問申し上げたいと存じます。質問時間が短うございますのではしょって申し上げることもあるかもしれませんが、ひとつ御賢察の上、御答弁をお願いしたいと思います。  私ども日本社会党は、災害が起こりました直後、八月二十日に、井上泉先生を団長とする災害調査団を秋田岩手に派遣をしまして、つぶさに現地の状況を視察してまいったところでございます。秋田におきましては、秋田市周辺、仙北郡周辺、岩手県におきましては、ダム調査を含めまして、北上市周辺、一関市周辺、それぞれ調査をしてまいったところでございます。その調査を行いました結果あるいは地元の要望等を土台にしながら、幾つかの点について御質問を申し上げたいと存じます。  今回の大雨災害の特徴は、私は突発的であり局所的であったという点ではなかろうかというふうに感じております。出だしの部分でございますから、若干私の意見を交えて申し上げますが、和辻哲郎の名著と言われている本に「風土」というのがございますが、この中に日本列島の風土について幾つかの特徴ある規定をしております。  その中で、日本という風土は、夏の大雨と冬の大雪との「二重の現象において日本はモンスーン域中最も特殊な風土を持つ」「それは熱帯的・寒帯的の二重性格と呼ぶことができる。」というふうに言っております。そして、同じく大きな海から水分をたっぷり吸ってそれを吐き出すという気候におきましてはインドと似ているけれども、インドと日本の根本的な違いがある。それは、インドの場合は非常に規則的な乾季、雨季の繰り返しがあるけれども、日本の場合は、台風というごとき季節的ではあっても突発的なしかもその猛烈さにおいて世界に比類のない形をとっているんだということを指摘しておるわけであります。  日本列島は、どなたかが言っているように航空母艦ではありませんから、位置を変えるわけにはいきません。我々はこの風土で生きていかなければならない。とすれば、今申し上げたこの和辻哲郎の言葉をかりればモンスーン地帯、最も特徴のある気象風土の中で我々は災害に対面をし、そして災害を克服していかなければならないということをしみじみ感ずるものでございます。  そして、突発的なというところに注目をしたいわけでありますが、今回の秋田岩手における災害も非常に突発的であり、局所的であった。しかし、これは局所的であったということは必ずしも規模が大きいというわけではありませんから、規模の大小からいえばあるいはそう大きくないという論もあるかもしれません。しかし、災害に当たった部分方々、土地からすれば、災害をこうむった痛みは、これは大きかろうが小さかろうが、地域的に広がろうが狭かろうが、同じであります。  したがって、今回の水害に対する手だてというものも、本当に政治の温かみを感じさせる行き届いたものであってほしいということを冒頭に祈念をしておきたいと存じます。  質問に入ります。  私ども調査した段階では、秋田県が八十七億二千五百万という損害額、岩手県が、地域は狭かったのですけれども、三十三億五千万という数字が現地で示されました。そして異口同音に各市町村自治体から要請されてまいりましたことを整理して、四つの項目について質問を申し上げたいと存じます。  一つは、激甚災害、局地激甚災害の指定をしてもらいたいという点であります。この点についての国土庁の見解をお聞きしたい。  二つ目は、公共土木施設災害復旧事業に係る災害査定の早期実施並びに予算枠の確保をお願いしたい。同様の問題が農水省にも向けられるわけでありますが、農地、農業用施設等の災害復旧事業に係る災害査定の早期実施並びに予算枠の確保をお願いしたい。この点についての建設省、農水省の御所見を賜りたいと存じます。  特に両県とも農業県でございまして、農業面における災害というのは大変深いものがあります。今後災害が去った後大きな課題を背負うわけでありますが、葉いもちや種いもち、いもち病の防除をしなければならない。あるいは生育の回復の見込みのない圃場では、青刈り作物あるいは秋野菜の代作を考えなければならぬ。病気の発生が懸念されるので殺菌剤を使わなければならぬ。そういった作業なり出費が続くわけでありますけれども、それらを含めまして、先ほど申し上げました面についての今後の対策について御所見を賜りたい。これが二つ目であります。  三つ目は、これは自治省になると思いますが、災害復旧のための経費が自治体においては大きくかぶさってくるわけでありますが、災害復旧事業の起債枠の確保をしていただきたいという点と、特別交付税の増額配分をお願いしたいという要望が強いわけであります。この点についての自治省の御見解をお聞きしたい。  まず、その点をお願いしたいと思います。
  40. 三木克彦

    三木政府委員 先生最初に仰せられました東北災害に対する激甚災害、局地激甚災害の指定の問題でございます。  今回の東北豪雨災害に関する被害の状況につきましては、現在関係省庁において鋭意調査を進めているところでございます。指定の問題につきましては、これらの調査の結果と深くかかわっておりますので、この結果を待ちまして適切に対処いたしたいと考えております。
  41. 苗村滋克

    ○苗村説明員 査定の実施の日でございますが、緊急に復旧する必要のある箇所につきましては既に応急工事を実施しておりますし、残りの被災箇所につきましては、緊急に復旧する必要のある箇所から、県等の準備ができ次第早急に災害査定を実施することにしております。先ほど申し上げましたが、秋田県につきましては九月二十一日から二十六日、二回目が十月二十六日から三十一日、岩手県につきましては九月二十八日から十月三日に査定に入る予定になっております。  また、災害復旧事業予算につきましては、早期復旧を図るべく十分確保できますよう努力してまいりたいと思っております。
  42. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  今回の東北地方中心とした大雨により被災した農地、農業用施設につきまして、県及び市町村におきまして災害査定に必要な準備が整い次第緊急査定を行い、早期復旧に努めてまいる所存でございます。なお、緊急を要する箇所につきましては、営農に支障のないように応急工事等の実施についても指導してまいりたいと思っております。  災害復旧事業につきましては、通常三カ年完了を目標に予算措置がなされているところでございますけれども、近年は、早期復旧を図るため初年度の進度率を大幅にアップしておりまして、六十一年災につきましては、初年度の進捗八五%相当の財源が確保されているところでございます。本年災につきましても、同程度の進捗率が確保できるよう努力してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  43. 海老忠彦

    ○海老説明員 お答え申し上げます。  このたびの災害によりまして被害を受けられた地方公共団体が行います災害復旧事業等の事業に要する経費につきましては、実情を十分調査の上、被害状況及び財政状況等を勘案いたしまして、当該団体の財政運営上支障の生ずることのないよう、地方債上の措置あるいは特別交付税等の配分を通じまして適切に対処するよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  44. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 それぞれ御答弁をいただいたわけでありますが、非常の事態でございますので、最善の努力をお願いしたいと思います。  特にこれは御答弁要りませんが、先ほど申し上げた農業県であるということから、被災地の農民は、今はやりの言葉で言えば非常に落ち込んでいるわけであります。減反面積が、岩手の場合は約四分の一、二五%という大きな減反面積の割り当てが来ている、生産者米価が引き下げられた、転作助成金が二分の一ないしは三分の一に削られている、そういった先行き不安から、耕作放棄しようかなんという非常にデスペレートな発言も出ているという状況もあります。そこに水害でございますから、農民は希望を非常に失いかけているというのが実情だろうと思います。したがいまして、第一線の指導陣を十分激励をいただきまして、事後の対策、特に被災地、冠水した田畑の管理、復旧あるいは事後の転作等につきまして十分な御指導、御配慮をお願いしたいということを、特に農水省にはお願いをしておきたいと思うわけであります。  次に、岩手県の一関遊水地について、私もこの問題について触れたいと思います。  一関の特徴というのは、岩手県の総面積の半分以上の地域から集まった川の水、それが一カ所に集中するという非常に特殊など申しますか、災害発生の可能性の非常に高い地域であります。北は岩手山の付近から東は釜石の近くまで、広い地域から水を集めた各河川が北上川一本に集中する。そしてそれが県南、宮城県との県境に近い部分で、狐禅寺という非常に狭窄地に差しかかって、結局はそこでせきとめられる格好になりますから、洪水になりますと一関地域災害の常襲地帯である。先ほども出ましたように、アイオン、カスリンの災害というのは本当に目を覆うばかりの惨状でございました。そういった土地に遊水地計画ができた、これは全く適切な計画だと思うのであります。  ただ、これが非常に長くかかっている。もう既に事業開始してから十数年経過しておるのです。あそこの構造は、周囲堤と小堤、周囲の人家を水害から守る周囲堤と、それから河川の水を守るというのですか、押さえる小堤と二重の堤防、二線堤方式になっているわけでありますが、何といっても、人家に影響のあるのはこの周囲堤であります。この周囲堤が完成してませんと、二年に一度、三年に一度という頻度で洪水を迎える一関市民は、その都度床上、床下浸水に悩まされるということになるわけであります。  先ほども触れられましたように、百五十メートルほどのところの周囲堤、暫定の堤防完成してないために、どうしてもその背後にある人家、住居地帯に浸水が起こる、こういうことが繰り返されるわけであります。十六から十九までの水害の後、三日ほどたちました二十二日の深夜から二十三日未明にかけてまた大雨がありまして、そして遊水地の周囲堤の百五十メートルだけ未築堤、築堤になってなかったために床上浸水などの大きな被害が出た。これは中里の前堀地区というところであります。つまり、一週間のうちに二度水害、水の襲来を受けた。堤防がもう百五十メートル完成していればということになるわけであります。  水の習性からいって、一〇〇の堤防を九九完成したから完成度は九九だと言うことはできません。残りの一でもって災害が起こるわけでありますから、九十九里をもって道の半ばとすという言葉がありますけれども、それさえも当てはまらない。とにかく完成しない限りは完成しないわけであります。そういった意味で、何としても最低限周囲堤の完工を急いでいただきたいと思うのです。  そんなに大きな予算じゃないと思うのですけれども、ぜひこのくらいの予算をつぎ込んで大体このくらいの期間完成させる、小堤はその次といたしましてもまず周囲堤だけは速急に完成することが必要だ、こう私は思うのですが、この点についての御見解をお願いしたいと思います。
  45. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 一関遊水地事業の件でございますが、先生指摘のとおり、周囲堤の建設、それからその前には遊水地の中にあります家屋移転等をやり、さらには小堤をつくるということで順次実施していっておるところでございます。  ところで、先生指摘の周囲堤、第一遊水地の周囲堤の問題でございます。その中でも前堀地区といいますか、そこの未施工の部分の今後の予定でございますが、同地区には下流部のところで水路が入っておりまして、そのためにそこの始末をした後に締め切ろうということで施工を考えておったわけでございますが、その途中でああいうふうな水害に遭ったというのが実態でございます。したがいまして、この百五十メーターの周囲堤につきましては今年度じゅうに完成させたい。さらには、JR線付近のところにも低いところがあるわけでございますが、この地区につきましても築堤、開門の設置をやりまして、前堀地区につきましては本年度中に何とか暫定の高さでやっていきたい、こういうふうに考えております。
  46. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 ぜひそうしていただければ、地元民としては来年の台風襲来の時期までには安心させていただけると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。  なお、これに付随しまして、全体事業費が千三百億円ということでスタートしたわけでありますが、これは恐らく物価の高騰等で膨れていると思うのです。それに、現在大体平均して年額三十ないし四十億の予算が投入されている。この計算でいけば二十年、三十年かかるということになるわけでおります。  水害対策の緊急性からいいまして、水害襲地帯に二十年、三十年かけるということについては、私は大変問題があろうと思うのですが、この見通し、全体計画完成させる、そのためにはどのくらい必要なのだ、千三百億円にさらに大きくこの上積み分があって、そしてそれについてこのくらいずつは投入したいのだ、しなければならないのだという意気込みみたいなものを含めまして、御見解を賜りたいと思います。
  47. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 お答えいたします。  一関遊水地の全体事業費は、先生指摘のように約千三百億でございます。現在までに三百十二億円を投入しておりまして、用地買収の八一%、築堤の二三%を完了しております。  今年度予算につきましては、補正予算を含めまして昨年度より大幅に増額いたしまして事業の進捗を図ろうとしております。しかしながら、かなりな事業費でございますので今後相当な年月を要そうと思いますが、できるだけ早期に完成するように、予算の確保その他に我々としても努力してまいりたいと思います。
  48. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 一関遊水地の問題についてもう一つ追加して、次に移りたいと思います。  御承知のとおり、この一関遊水地周辺は、一関市、花泉町、平泉町、史跡で有名な平泉もこの地域に含まれるわけでありますが、その被実状況は、水田、畑の冠水が千六百八十五ヘクタールというふうに、河川決壊箇所、道路決壊箇所、浸水世帯数、大変大きな災害をこうむっております。その実態を真正面から見据えていただきまして、工事の進捗を急いでいただきたいということをお願い申し上げておきます。  一つだけ簡単にお聞きしますが、この遊水地は、遊水地のみならず上流ダムの機能と相まって効力を発揮すると理解しておるわけでありますが、ダム操作については時間がありませんからあとの機会に回しますけれども、今具体化しております新しい石渕ダム建設についての見通しを一言お願いしたいと思います。
  49. 山口甚郎

    山口説明員 新石渕ダムでございますが、これは現在実施計画調査といたしまして、地質調査とかいろいろの調査をいたしております。新石渕ダム北上川治水上非常に重要なダムでございますので、来年度概算要求におきまして建設着手ができるよう要求をいたしたいと考えております。
  50. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 一関遊水地の周辺あるいは狭窄部のさらに下流には、川崎村あるいは千厩川、砂鉄川というまだ改修が十分じゃない河川を抱えておりまして、あの地域水害襲地帯になっております。こういった点についてもあわせて今後十分な御配慮を賜りたいということをお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきたいと存じます。  一関の約四十キロ上流に北上市という都市がございます。この地形上の特徴は、北上川本流とそれに注ぎ込む和賀川というかなり水量の変動の激しい一級河川、その合流地点に北上市は存在しております。しかも、その合流地点の三角地帯というのでしょうか、二つの河川に狭まれた三角形の地帯というのは、北上川及び和賀川の堤防本堤によって守られてはおりますが、北上川の増水あるいは和賀川の増水時には水門を閉鎖する。これは建設省の管理下にありますから、建設省の指導によって水門を閉じるわけであります。  その水門を閉じたことによって、北上川本流に注ぎ込んでおります広瀬川という普通河川、それから大曲、これは下水路になりますか、そういった二つの川が水門によって閉鎖される。そうしますとおか水があふれまして、その地帯一帯が水浸しになるという、これは人為的とは言いませんけれども、人間の住む土地利用空間のある意味では欠陥と申しましょうか、それによって今まで、終戦後四十何年たつわけでありますけれども、二十回くらいの洪水と申しましょうか、溢水で床上、床下浸水の常襲地帯になっている。バックウオーターがありますから水門をあけるわけにいかない。閉じますと内水がたまる、内水による洪水が起こる、こういうことを繰り返してきておるわけであります。  なお、若干補足しますと、この地帯というのは川岸地区と申しますが、この川岸地区はJR北上駅の駅舎がございます。そして新幹線のホームと在来線のホームとが一緒になっておりまして、その地下を地下道が通っている。その北と南には、市にとっては動脈とも言える非常にでっかい広い道路が、立体交差で地下道でもってJRをくぐっているわけですが、今申し上げたように、水がたまるたびに水浸しになってしまう。その地下道の水を排水する装置があるのだけれども、その排水したやつが堤内に排水しますから結局同じことになるということで、重要な道路が結局は数日間途絶する、あるいは駅構内に水が入る危険性があるという、全く北上市にとっては、毎年といいますか、二、三年に一度のど元にやいばを突きづけられるような現象が起こってきております。  なお、その地域は今後開発が予定される東口が出ておりまして、そこの開発が阻害されるということとか、いろいろな問題をはらんでおるわけですが、この内水による水害被害を救うと申しますか、解決する手だてというものはないのでしょうか。この点について御見解をお聞きしたいと思います。
  51. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 北上市の市内の内水排除の問題でございますが、我々といたしましては、まずは北上川本川並びに大きな支川の洪水を防ぐことが、北上市等の洪水防御の面で一番重要な事項であろうというふうに考えておりまして、本川のまだ堤防のないところその他の築堤を重点的にやっておる段階でございます。したがいまして、これらの堤防の進捗の度合いに合わせまして、内水処理につきましては堤防の進捗を見ながら検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  52. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 河川局としてはそういう答えが出てくるのかなという感じがないわけでもありませんが、現実に二年に一遍あるいは三年に一遍水害で悩んでいる住民がいる、工場の施設がある、道路がある、そういったものはとにかく本川の改修、本堤防ですか、それが終わるまで待てというふうに聞こえるのですが、それはまたちょっと冷たい言い方じゃないか。真意じゃないと思うのですが、もう一度どうぞ。
  53. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 今申し上げたところで言葉足らずがあればお許し願いたいのですが、本川の方の堤防の進捗度合いと調整をとりながら内水処理も行っていくというのが基本でございますので、そういう面から検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  54. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 刻々と時間が迫っているので私もちょっと焦っているのですが、私は局に質問しているつもりはないのです。本当は建設省質問しているわけです。ですから、建設省として、トータルとしてのいろいろな分野なり機能なりシステムなりがあると思うのですよ。こういうケースについては建設省としてはこう対応したい、そういう答えが、局長が無理だったら建設大臣でしょう。何かありませんか。
  55. 斉藤健次郎

    ○斉藤(健)説明員 私、公共下水道課長でございますが、下水道の立場での考えをちょっと述べさせていただきますけれども先生指摘のように、この地域につきましては、北上市の市街地の雨水を排除するための水路が二本、三十七年から四十四年までかかりまして、都市下水路事業ということで整備されております。先生指摘の水路はそのことかと思います。  この水路は、いずれも自然流下で北上川に排水をするというような計画になっておりまして、ポンプ場の計画は今のところございません。今後地元から事業要望等がございますれば、関係機関と協議の上、検討してまいりたいというように私ども考えておるところでございます。
  56. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 なお地元の対応も若干おくれておると思いますが、聞くところによると、きのう確かめたのですが、ごく最近建設省の盛岡工事事務所の方に市としての要請を出したというふうにお聞きしています。いずれは地建を通していろいろ相談なりがあると思います。これは繰り返すようですが、二十年来、というよりは歴史始まって以来の懸案でございますので、ぜひ温かい御指導、御配慮を賜りたいということをお願いしておきます。  時間が二十六分までということです。最後に長官、私は最初の部分で和辻哲郎の「風土」の一文を引用したわけでありますが、日本列島という非常なモンスーン域における特殊な地帯、夏は大雨、冬は豪雪というこの日本列島の国土保全を預かる長官として、これらの問題を含めて、目の前に起こりました十六、十九の災害を含めて今後の取り組みについての一つの決意のほどをお願いして、終わりたいと存じます。
  57. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御指摘のように、我が国の風土はまさに災害に弱い基盤と申しましょうか、そういうところに位置しておりまして、台風や雨が降るたびに国土のことを心配しなければならぬ、まことに残念なことでございます。しかも、災害の防除にいろいろと手を尽くしておりますが、まだまだ手が届かないということも事実でございまして、今後、防災体制についてはさらに一層力を入れていかなければならないと考えておるところでございます。またいろいろと御支援賜りますように心からお願い申し上げます。
  58. 沢藤礼次郎

    ○沢藤委員 終わります。
  59. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、串原義直君。
  60. 串原義直

    串原委員 長野県諏訪地方の地震対策について伺いたいのでございます。  関係者より強い要請を受けまして、私たちは過日、社会党諏訪地方地震対策調査団を編成、現地調査を行いました。その結果、対策は急がなければならないということを調査団一行は確認したところであります。  これは前になりますけれども昭和十九年十二月七日、諏訪地方を襲った大地震は大きな被害をもたらしたわけであります。その地震は、実は同年同日名古屋を初め東海地域に大被害をもたらしたマグニチュード八・〇と言われる東南海地震であったことを、東南海地震体験者の会を初め関係住民はあれから四十年を過ぎて知ることになりまして、以来大変なエネルギーを費やして調査の結果、改めて東南海地震被害の甚大さに驚き、関係機関に訴え、総理大臣あてにも嘆願書を出したようでございます。  ここに資料が大変いろいろございますけれども、時間がありませんからその辺の内容について触れることはできませんけれども、問題は、当時戦時中でありましたために、軍部と警察の報道管制は殊のほか厳しく、当時住民は全体的な被害を知らされなかった。聞くところによりますと、役所でも敗戦のときに全部関係書類を処分したというふうに言われているわけであります。当時、気象庁の観測所の職員が写真を撮ろうとしておったときに、カメラを警察に没収されたという話すらあるわけでございます。私の手元にありますところの当時の中央気象台の概報というのにも「極秘」という大きな文言が書かれているほどであります。国家機密法の恐ろしさというものを、私はこの地震の体験者の会の皆さん等々を通じて聞いて、改めて知った次第であります。  そこで、伺います。  政府は東海地震を想定をいたしまして各種の対策を立てているのでございますが、当時の東南海地震被害状況、実態というものを、関係者が生存をしているということもある今日、関係機関ともよく打ち合わせ、調査をするということは、これからの東海地震対策はもちろん、今後の地震対策にとりましても極めて重要なことだと私は思うのでございますが、いかがでしょう。
  61. 三木克彦

    三木政府委員 御指摘の東南海地震は、仰せのとおり昭和十九年十二月七日、熊野灘を震源域とするマグニチュード八クラスの大規模地震でございました。この地震被害状況でございますが、戦車中のことでもございますし、また戦後の混乱期を経るなどの事情によりまして、資料的には非常に実態把握が困難な状況になっております、過去の大規模地震被害実態につきまして調査いたしますことは地震対策上大変重要なことでございますので、いろいろと調査をいたしてまいりたいと思っております。  被害の状況につきましては、愛知、静岡、三重の各県を中心に死者約千人、住家全壊二万六千戸、半壊四万七千戸、流失約三千戸という被害があったと言われております。しかし、いろいろと御研究をなさっている方々もいらっしゃいますし、関係市町村、それから関係団体、気象庁等の関係機関とも相談をいたしまして、できるだけ実態把握に努めたいと考えております。
  62. 串原義直

    串原委員 かつての東南海地震によりまして中部地方でも被害の大きかったこの諏訪地方が、昭和五十四年八月七日決定をいたしました東海地震対策強化地域の指定区域にならなかったことに関係住民は強い不満を持っています。これはどうして指定されなかったのか、経過を含めて若干御説明をいただいておきたいと思います。
  63. 三木克彦

    三木政府委員 ただいまの地域指定でございますが、大規模地震対策特別措置法第三条によりまして内閣総理大臣が指定することになっております。五十四年八月に指定をいたしておりますが、この指定に際しまして地震専門家から成ります中央防災会議専門委員会の報告に基づいて行っており、かつまたその結果を関係県知事に意見を聞きまして決めたものでございます。  この場合の地域指定の考え方、専門委員会からちょうだいをいたしております報告でございますが、いわゆる東海地震が起こった場合に、木造建築物または低層建築物が著しい被害を受けるおそれがある震度六以上の地震動を受けると予想される市町村の区域を対象とする、こうなっておるわけでございます。この結果、六県百七十市町村につきまして指定が行われたわけでございますが、このときにはただいま申し上げました専門委員会考え方の区域に入っておりませんので、諏訪市におきましては指定区域に指定されていない、こういう状況でございます。
  64. 串原義直

    串原委員 私の手元にございます先ほど触れました中央気象台の「昭和十九年十二月七日東南海大地震調査概報」「極秘」という文書ですね。このごろ関係者は手に入れたというふうに言っておるわけでございますが、その中にこう記載されているわけですね。  「異常震域。震度分布図を一見すれば解る事であるが、処々に震度が異常に大きい処がある事に気が付く。これらは異常震域と呼ぶべきものであって、」中略をいたしますけれども、「敦賀市、福井市、甲府市、諏訪市を挙げる事が出来る。」こう記載されておるのであります。  そこで諏訪の被害状況について触れておりまして、さらに後段に至りまして「歴史的考察」というところに、「此の方面に起った既往大地震の中安政元年十一月四日の大地震規模は異るが今回の地震に酷似して居ると思れる。殊に異常震域の項でのべて置いた福井、諏訪の震度や」云々と書いてあるのであります。当時の文献にまでこれが出ているということは、あの地域の震度の高さというものを示しているものであろうと私は考える次第であります。  なお、ついこのごろ、私たちは木曾地震、御岳地震というふうに言っておるのでございますが、  「諏訪湖周辺の盆地は震源から比較的離れていたにもかかわらず震動が強かった」――長野県地学教師グループは「長野県における一九八四年長野県西部地震の震度分布」をまとめた。県西部地震発生直後から約二カ月にわたり県下生域二百八十一小・中・高校の児童・生徒・家族へのアンケートや直接面接による聞き取り調査を行い、集めた九千四百十四件のデータから割り出した貴重な震度分布。である。その中で、諏訪盆地は震源から五十-六十キロと比較的離れていたにもかかわらず震動が強かった。盆地中央部(諏訪市―茅野市南部)は震度三-七とバラツキが大きく他地域にない特徴を示した。震度六―七の強い揺れは諏訪市の市街地から中州、豊田に集中し湖南や同市東部-茅野市に点在。云々と報道されているのであります。  あのときの、つまり昭和十九年の地震のときより弱かったと言われる今度の御岳地震でも七ほどあったとこのところ報道されておるのでございますが、それくらい諏訪盆地というのは、地震のあるたびに大きく揺れることは事実のようでございます。  したがって、ただいま局長御答弁のように、検討の結果あそこは指定をすることにならなかったということだけのお答えでは、どうも私は理解できないわけでございます。この長野県西部地震のときの実態を踏まえて、もう一回見解をお答え願いたいし、地元から指定の問題について強い要請が再度あった場合にはどう対応いたしますか。
  65. 三木克彦

    三木政府委員 先ほど申し上げましたのは、東海地震に関する強化地域でございます。ただいまの東南海地震あるいは先生が御指摘になりましたいろいろな地震がいわゆる東海地震の体系に属する地震かどうかという点については、いろいろ検討しなければならぬ問題がたくさんございます。  ただ、仰せのとおり、地震対策はあらゆる可能性を想定して実施していく必要がございますので、今仰せられましたような科学的知見が、言葉は悪いのですが熟したものでありますれば、専門委員会に御相談申し上げる必要があろうかと考えております。  なお、市町村から要望が参りました場合には、制度的にはそういった前提ではございませんが、専門委員会レベルの検討課題であろうと考えております。
  66. 串原義直

    串原委員 時間がございませんから、次に建設省の方に伺うことにいたします。  東南海地震被害の八〇%近くは軟弱地帯と言われているのであります。名古屋などはまことに被害甚大であったと聞いておるのでございますが、もし想定される東海地震ありとするならば、同様被害の再現、いや、そんなものではなくて、むしろ近代建築物が密集する今日でははかり知れない大被害をこうむるであろうと専門家は指摘をしているわけであります。  諏訪地方は、諏訪湖周辺に長い年月を経て造成された典型的な軟弱地盤であります。今我が国の軟弱地帯の建築工法、地震対策は、確立しているとは言いがたいのではないかと私は理解をしているわけです。現在どの程度研究がなされておるのか、伺いたいのであります。  関係者によりますと、いかだ工法、くい打ち工法による基礎工法が有効と言われております。殊に住宅の場合効果ありと言われるのでありますが、この軟弱地帯の工法については国において研究対策をより積極的に進めるべきではないか、こう思うのでありますが、いかがでしょう。
  67. 岡本伸

    岡本(伸)説明員 お答えいたします。  軟弱地盤地帯では、今お話がございましたように、地盤、地形などに関しまして極めて不利な条件が重なった場合には、地震時におきまして地盤の液状化ですとかあるいは地震動の増幅などが起きることが指摘されておりまして、過去の地震におきましても、比較的大きい地震の場合にはこれによって建築物に被害が生じた例がございます。  このために、建設省の附属研究所でございます建築研究所におきましても、地盤の液状化等の研究を行うとともに、今御指摘ございました建築基礎の耐震性向上に関する研究を今まで鋭意行ってきたところでございます。また、大学、民間等の研究機関におきましても、軟弱地盤における基礎工法の耐震性向上に関する研究が数多く行われてきておりまして、これらの研究成果を踏まえまして、より十分な耐震安全性を確保できるような基礎工法の改良が行われてきております。  今後とも建築研究所を中心にいたしまして、建築物の安全性向上のための軟弱地盤地帯におけるより合理的なあるいはより安全な基礎工法の研究を積極的に進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  68. 串原義直

    串原委員 今、積極的に研究するという御答弁をちょうだいしたから、私は大いに期待をしていますが、一言でいいですけれども、今年度その研究に要する研究費は予算上どれくらいあるのですか、教えてください。
  69. 岡本伸

    岡本(伸)説明員 今年度あるいは来年度予算の絡みもございますので、数字的な御答弁はちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、現在、建築研究所の方で軟弱地盤地帯の震害対策及び基礎工法に関する研究を近い将来積極的に開始しようという計画がございますことをつけ加えさせていただきたいと思います。
  70. 串原義直

    串原委員 重ねて建設省に伺いますが、基礎工法によっては、その分、住宅建設費の増高が想定されます。したがって、軟弱地帯における耐震基礎工事部分に対し、人命尊重、安全性の立場から特別な低利融資の方法、つまり住宅金融公庫の割り増しと表現していいんでしょうか、割り増し融資など奨励策を講じていくべきではないか、こう思うのであります。考え方をお示しください。
  71. 荒田建

    ○荒田説明員 住宅金融公庫の融資の件でございますが、従来より安全性ですとかあるいは衛生上の観点、耐久性の観点から建設基準を設けまして、良質な住宅ストック、災害に強い住宅というものを低利の負担で建設できるように配慮しております。  今年度におきましては、今年度から新しく地域政策割り増しというようなことでございますが、特定の軟弱地盤対策住宅につきまして五十万円という割り増し融資、これは低利でやりますけれども、新しくそういう融資を始めたところでございまして、今後とも都道府県の方の融資とあわせてやることが前提でありますから、都道府県の方とも連絡を密にして、その制度の普及に努めていきたいと考えております。
  72. 串原義直

    串原委員 重ねて伺いますが、この軟弱部分の基礎工事、基礎工法に割り増し五十万という話がございましたが、それ以上要するということになった場合には検討いたしますか。
  73. 荒田建

    ○荒田説明員 一応私ども調査によりますと、軟弱地盤対策でいろいろな工法がございますけれども、七、八十万あるいは百万というようなことがございます。実は公庫の融資体系上、建設費の八割というのが法律上上限として定まっておりますので、建設の工法に必要な工事費の八割ということを目途に、ただいま五十万ということで設定しておるわけでございます。したがいまして、工事費が非常に高くかかるというようなことになれば、その八割の限度内で引き上げももちろん検討しなければならぬと思いますが、当面五十万で大丈夫ではないかと考えております。
  74. 串原義直

    串原委員 諏訪地域には、建築後二メートル近くも地盤が沈下をいたしまして段差ができたところ、あるいは工法によりましては、地震が来ても全然びくともしないという建造物等々参考になる物件が随分あるわけですね。地域住民の要望も強いことでもございまして、国土庁現地に出向いていって、調査をしながら関係者の意見も聞くと同時に、軟弱地帯における地震対策等々についてぜひ前向きに取り組んでもらいたいと思うのでございますが、いかがですか。
  75. 三木克彦

    三木政府委員 地震対策の推進のために各地の実情を把握することは極めて重要なことでございます。ただいま仰せの諏訪市につきましても、関係の県あるいは市町村とよく相談いたしまして、必要に応じまして調査をさせていただきたいと思っております。
  76. 串原義直

    串原委員 時間が参りましたから、最後に大臣に一言お答えをいただきますが、ただいままで質疑をしてまいりました内容は、大臣、御理解いただいたとおりでございます。  この諏訪地方は大変に軟弱な地域である、地震が来るたびに大きく揺れる、皆さん非常に心配をしているということを踏まえて本日質問をするという格好になったのでございますが、国土庁の局長さんから答弁がありましたように、東海地震地域に指定をするということで関係者から要請がありましたならば、ぜひ積極的に取り組んでもらいたい。これが一つ。  いま一つは、地震というのはいつ来るかわからない、予想がつかないわけですね。したがいまして、備えあれば憂いなしという言葉どおりに常に大臣の手元で取り組んでいただかなければならない重要な課題だと考えています。改めて所信をお伺いをして、質問を終わることにいたします。
  77. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどから質問の内容をつぶさに聞かせていただきました。住民の皆様方の御不安が募らないように最大の努力をしてまいりたいと思います。また、地震に対する対策につきましては、今まで以上に一生懸命取り組ませていただきたいと思っております。
  78. 串原義直

    串原委員 終わります。
  79. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、武田一夫君。
  80. 武田一夫

    ○武田委員 私は、五点についていろいろと質問をさせていただきます。  最初に、七月の十四日から二十日に、台風五号の接近で西日本に大雨が降りまして被害が発生いたしました。さらにまた東北、岩手秋田両県を中心に八月の十六日夜から降り続いた雨も、土砂崩れ、河川のはんらん等により多大の被害を出したわけでございます。ここで被害者の皆さん方に対する御見舞いを心から申し上げると同時に、二度とこういうことのないように万全を期していかなければならないという思いでございます。  そこで、まず第一点は被害につきましての対策、恐らく各県、市町村関係者からの要望はもう既に大方出そろっていると思うわけでありますが、その要望に対する早急なる万全な対応をお願い申し上げたい、そして復旧に全力を尽くしていただきたいと思うわけであります。特に公共土木施設、それから農林地、農業施設の災害復旧事業にかかわる災害査定の早期実施というのが要望されているわけでありますし、また特別交付税の増額配分の問題が秋田岩手県等の関係者から私のところにも参っております。この問題につきまして、今後の対応、現在の対応につきましての御見解をお聞きいたします。  特に、こうした大雨被害を見ていくときに、水魔の持つ強大な恐ろしさをまた改めて思い知らされたわけでございまして、災害を克服するまでにはまだほど遠い治山治水対策の現状だなということが浮き彫りにされたわけでございます。この問題につきましては、本格的な台風シーズンもやってくるわけでございますので万全を期していただきたい、このことをあわせてお願いし、この問題についての御答弁を長官からいただきたいと思うわけであります。
  81. 三木克彦

    三木政府委員 今回の東北災害対策につきましては、災害直後から被害状況の把握に努めますとともに、現地担当官を派遣いたしましてつぶさに実情を調査しているところでございます。  ただいまお話のございましたようないろいろな地元の要望につきましては、それぞれ十分にお伺いいたしまして、きめ細かく対応してまいりたいと考えております。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
  82. 武田一夫

    ○武田委員 集中型の雨に太刀打ちできるだけの防備体制が十分でないということは大きな問題でありますから、抜本的な対策も真剣に考えていただきたいし、なすべき最大の課題ではないかというふうに思っております。この問題についてできれば長官からお答えを、御見解をいただきたいなと思うのですが。
  83. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今後の豪雨災害対策についての決意ということでございますが、我が国のもろい国土の中にあって防災対策にはいろいろ取り組んでおりますけれども、まだまだ不十分な点もあると思います。災害から国民の生命財産を守るのは国の政治の基本でございます。今後も一生懸命取り組んでまいりますので、何とぞ予算獲得その他にはまた御支援を賜りますように、よろしくお願いしたいと思っております。
  84. 武田一夫

    ○武田委員 昨年の八月五日、私の宮城県は、鹿島台という穀倉地帯を中心に、台風十号による大変な影響がございました。長官を初め関係当局の皆さん方の大変なる御支援をちょうだいし、当委員会委員長である伊藤先生中心として、我々一生懸命その対応に努力いたしまして着々復旧成りまして、町長初め皆さん方格段に喜んでおるところでございます。特に建設省農林水産省の皆さん方には格段の御配慮をいただいたということで、御礼をしていただきたいという感謝の念を申し受けてまいりました。一言御礼を申し上げるわけでございます。  そこで、鹿島台の場合も今回の一関の場合も、川が大きな災害を起こす原因になっている。河川改良、護岸工事あるいは築堤工事のおくれというのが大きな被害を及ぼしているわけでございます。全国の直轄河川が一万三千五百九十四カ所、そしてそれが全部いわゆる改修整備が必要だということでありますから、建設省等は大変な御苦労を抱えているわけでございまして、その御苦労は察するわけでございますが、現在のこの整備状況が大河川で六〇%、中小河川についてはいまだ二〇%であるということであります。  こういうことで、鹿島台では鳴瀬川が、岩手県は北上川が大きな災害を起こす元凶になっているということで着々と整備は行われているわけでありますが、それが随分時間がかかっている、予算がなかなかつかない、そういうことで御苦労もあるわけであります。しかしながら、こういうところの重点的な対応、しかも常襲地帯のように被害が起こるようなところの工事の進捗が非常に悪いということはやはり考えなければならない問題じゃなかろうか。国土庁としましてもあるいは建設省等々にしましても、やはり住民の生活の安全と生命財産を守るという大きな課題を背負っている大事な部門でございますから、こういう地域に対する、またこういう低い河川改修等の実態をもう少し深刻に受けとめて、万全の体制を整えていただきたいと思うわけであります。  これはシーリング予算による予算の抑え込みに起因しているということであろうと思うのであります。また政府側もそれを答弁の中で認めて、厳しい環境の中で頑張っているということでありますけれども、どうかこの厳しさを乗り越えて、今大臣からお話がありましたように、我々も一生懸命御協力しながら万全の体制をとるための頑張りをしたいと思うわけでありますけれども、今後こういう地域が二度と災害を繰り返すことのないような十分な対応を要望して、その努力をお願いをしたい。特に内需拡大という面から考えますと、この仕事は積極的に進め、予算の確保も頑張らなければいけないと思うわけでございます。再度長官から決意のほどをお伺いしておきたいと思うわけであります。
  85. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御指摘のように、今内需振興という大きな命題がございますが、その中で国土の基盤をさらに強化していくということは、極めて重要な課題だと考えております。この機会にさらに国土基盤の充実のために全力を挙げてまいりたいと考えております。
  86. 武田一夫

    ○武田委員 第六次治水事業五カ年計画が五十七年から六十一年、それから六十二年から六十六年ですか、第七次治水事業五カ年計画、これが進められるわけでありますが、そのおのおのの計画予算額、それから第六次につきましては進捗率、ちょっと数字を聞かしていただきたいと思うのです。
  87. 角田直行

    ○角田説明員 御説明いたします。  第六次の治水事業五カ年計画事業費でございますが、治水事業は八兆二千五百億円、災害関連・地方単独事業費が一兆九千六百億円、調整費が九千九百億円で、総額十一兆二千億円であります。  六次の五カ年計画の進捗率でございますが、治水事業計画額八兆二千五百億に対しまして実績は六兆五千五百億でして、七九・四%ということでございます。  また、七次の五カ年計画でございますが、本年六十二年から始まるわけでありますけれども、総額が十二兆五千億でありまして、そのうち治水事業は八兆円、災害関連・地方単独が二兆一千四百億円、調整費が二兆三千六百億円ということになっております。
  88. 武田一夫

    ○武田委員 まず、第六次が七九%、目標のまだ二〇%近く不足のままに第七次に移行しなくてはならなかった。それから、総事業費が十一兆二千億が十二兆五千億だから一兆三千億の伸びだ。これは恐らく一生懸命頑張ってこのくらいになったのだというのでありますが、長官は六十一年の八月二十日のこの委員会で、第七次治水五カ年計画におきましても、十分対応を盛り込んだものにしていただくよう期待をしている、こういう御答弁、その期待にこたえたものと思うかどうか、御感想をひとつ伺いたい。
  89. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま建設省から御説明申し上げましたように、治水事業そのものの計画につきましては八兆二千五百億円から八兆円と減ったようでございますけれども、第六次の実績は六兆五千四百九十八億円でございまして、この目標の八兆円のさらに充実のために今後努力しなければならないということを考えております。  また、先ほど申し上げましたように、調整費を二兆三千六百億円ということで大幅に盛り上げておりますので、これらを十分消化するように努力をさせていただきたいと考えております。
  90. 武田一夫

    ○武田委員 この計画額が第六次八兆二千五百億円、第七次は八兆円。数字で云々言うわけではないですけれども、やはりこういう重要なところが、同じ五カ年計画でありながら、前より少なくなっていくということは関係者にとっては非常に心配なことでございまして、その他のもので埋め合わせをするなんといっても、やはり心配の度合いというのは解消できない。こういうことを思うと、長官は心の中では期待どおりいかなかったなという反省はしているのではないか、率直に言いますと。  そういう意味で、こういう何カ年計画というのが大体計画どおり終わらないというのが定着するというのは、我々農林省なんか担当している場合もときどきそのことを指摘するのでありますけれども、非常に努力しているという言葉、それがそのまま率直に受け取れない。やはりそれは九割以上というふうになればまたあれですが、まだ二〇%近くも計画が未達成のまま次に移るというようなことが当たり前のような空気にしてはならぬと思う。  そういう意味で、第七次計画におきましては、どうかひとつ計画どおり事業がすすむように格段の努力をしなければならない。また五年間の中にいろんな災害等が起こって、そのための手当てに多大の対策費を講ずるというようなことは、反面からいうと非常にむだな金を使うということになりかねないわけでありますから、その点は十分にひとつ腹の中におさめながら今後の対応をお願い申し上げたい、こういうふうに思っております。  三番目に質問いたします。  河川情報センターの設置の状況でございますが、現況どういうふうになっているか、この問題についてひとつ説明をいただきたいと思います。
  91. 角田直行

    ○角田説明員 情報センターの関係でございますが、現在、関東、中部、近畿、九州の四ブロックにおきまして六十一年六月から情報提供を行っておりまして、中国ブロックと四国ブロックにつきましては、本年の六月から同様情報提供を行っている状況でございます。  それで、端末機の設置状況といたしましては、本年八月一日現在で千五百台となっておりまして、おおむね当初の計画どおり順調に普及しておるというふうに思っております。  この端末機の活用状況でございますが、レーダー雨量情報、河川の水位ダム等のテレメーター情報等が一端末につき一日当たり二十から三十画面、全体として一年間に一千万画面利用されておる状況でございます。  状況報告させていただきます。
  92. 武田一夫

    ○武田委員 東北の場合はどういうふうにこれからなっていくわけでしょうか。
  93. 角田直行

    ○角田説明員 東北地方につきましては、レーダー雨量計が情報センターの情報提供の基本になるわけでございまして、岩手県の気仙郡住田町というところに物見山というところがございまして、ここにレーダーを建設しておるわけでありますが、六十一年十月に建設が終わりまして、本年の六月から建設省としてといいますか地方建設局といたしまして、活用といいますか利用に入っております。これはまだ情報センターに活用してもらうまでにいろいろ詰めなければならぬ調整等ございますので、今地建がいわば建設省内部として利用しながら調整を進めておるというところでございまして、六十三年の六月から情報センターからの情報サービスをしてまいりたいというふうに計画しております。
  94. 武田一夫

    ○武田委員 六十三年の六月ごろからは、東北全地域に対する活用といいますか、対応はできるというふうにとっていいですか。
  95. 角田直行

    ○角田説明員 来年度早々から情報センターの仙台支局を設けまして、三カ月後の六月一日から東北六県全域に情報提供してまいりたいというふうに計画しております。
  96. 武田一夫

    ○武田委員 ひとつよろしくお願いします。  四番目。この間鹿島台町長が私のところに来まして、いろいろと災害対策のときの体験といいますか思い出を語っておりました。その中で、たまたま避難命令を出す陣頭指揮をとっていたときに防災無線が故障してしまった。雨に打たれまして機械が故障してしまった。それで、その避難命令がどれくらい地域住民に徹底して住民が安心して避難したかどうかあるいはどうなっているのか、一般の住民あるいは周辺の住民に伝わっているかどうかということで非常に焦りを感じたときに、正確な情報ほどこういう場合に大事なことはないのだなということを改めて痛感いたしました。それにつけても、いざという場合にどこにおっても正確に、確実に情報を伝えることができるメディアが欲しいものだということを話しておったわけであります。地域住民に不安を与えないで、災害が起これば安心して避難をし、混乱が起きないように災害対策、救助対策をするということを考えたときに、正確な情報の収集と伝達は大事な問題だろうと私も思うわけであります。  そこで、例えば道路の渋滞とか道路情報というのは、逐次カーラジオを通しまして我々は聞いているわけでありますけれども、あるいはまた携帯ラジオ等にも入ってくる。こういうふうに、常時そういう大雨あるいは水害等々の問題についての逐次適切なる状況というのが入手できるような対応を、そうしたものを通してできないものかどうかということをひとつ伺いたいと思うのであります。
  97. 三木克彦

    三木政府委員 御指摘のように、災害が発生した場合あるいは発生するおそれがある場合に、地域住民の方々に正確な情報を提供することは、防災対策上極めて重要なことでございます。  ただいまお話もございましたが、市町村防災無線網は大分整備されてまいりまして、市町村災害の状況を住民に伝えたり、あるいは避難について連絡をしたりという意味での無線網は、ある程度整備が進んでおるわけでございます。また、それとは別に、今先生指摘のように、ラジオ、テレビ等を通じて一般的に災害情報を提供できないかというお話でございますが、現在それぞれの報道機関におきまして、災害が起こりました場合、緊急報道ということで、例えば地震のときテロップが出るとか、こういった意味での活用は十分されているというふうに考えておりますが、個別地域におきまして個別の方にそういったラジオ、テレビを使って連絡をするということは、なかなか難しい問題でございます。  ただ、極めて最近でございますけれども、NHK初め各報道機関の御協力をいただきまして、緊急放送システムというものができております。緊急警報放送システムというのが正式な名称でございますが、これは、地震、津波等の災害情報を放送しますために、あらかじめセットされた受信機にピッピッピッという音がいつでも入るようになっておる、そして、その場合に、セットしておきますと、それで災害情報が受信できるというものでございます。まだ実用化に入ったばかりでございまして、コストも比較的高うございまして、十分に活用されているとは言えませんが、今後一つの大きな課題であろうというふうに考えております。
  98. 武田一夫

    ○武田委員 最初はいろいろ金もかかるでしょうけれども、これは早急に実行してもらいたい問題です。  気象業務法の第十一条には、「気象庁は、気象、地象、地動、地球磁気、地球電気及び水象の観測の成果並びに気象、地象及び水象に関する情報を直ちに発表することが公衆の利便を増進すると認めるときは、放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関の協力を求めて、直ちにこれを発表し、公衆に周知させるように努めなければならない。」とはっきり明記しているわけでありますから、これは何も大きなことにぶつかっただけでなくて、ぶつかる前からの状況が大事だと私は思うわけです。  特に、モータリゼーションの時代でございますから、自動車を通しての動きというのはもう生活のほとんどでございます。後で五番目に質問する幹線道路の浸水等の問題なんかも含めて、これはやはり重要な課題として、早急な対応をしながら、予算もどって取り組むことが必要である。特に農村地帯等々というと広範囲にわたります。そういうところに、一人の犠牲者もなく、安心して避難をさせる、あるいは事前に避難をさせるという徹底した対応は特に必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございまして、この問題については、今後の大きな課題として取り上げ、早急な対応をひとつお願いしたいと思うのであります。長官からこの点についてひとつ御見解と決意を聞かしてもらいたいな、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  99. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま防災局長からもお答えいたしましたが、正確な情報が的確に伝わるようおシステム、こういうものの開発とか、さらにそれらが周知徹底されるような、また実施されるような方向に向かって一段と努力をしてまいりたいと考えております。
  100. 武田一夫

    ○武田委員 あわせて、防災無線の開発、交信もかなりの範囲にわたって十分にできるものとかというような、そういうものの整備状況というのはどうなっているのか。  実は、国土庁からいただいた「災害に強い町づくりについて各種施策」の中で、「中央防災無線網の整備」という項目の予算を見ますと、これは余りふえてないのです。昭和六十一年度が五億五千五百万ですか、六十二年度が五億五千六百万というようなことでありまして、そこには「災害時の情報収集・伝達機能の一層の充実強化を図る。」と書いてあるわけですが、これは百万ですか、ちょっと寂しいじゃないですか、この点はどうなっていますか。
  101. 三木克彦

    三木政府委員 中央防災無線網は、国土庁を初め各関係省庁を中央で結ぶ防災無線網でございます。それぞれの各防災関係機関は、独自の無線網をまた地方なり関係機関と持っているわけでございます。そういった意味で、中央防災無線網の整備というものはほぼ概成に近い状態に現在入っております。先生お話しのものは、五億五千五百万円で差し引きが百万円、こういう数字だと存じますが、固定系、移動系、衛星通信系を通じまして、いろいろと整備の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。     〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 武田一夫

    ○武田委員 災害対策というのは、中央地方両方相まって国土の安全が図られるわけですから、地方にもっともっと対応をしてほしいという要望をしておきます。  五番目に、道路の安全確保というのも非常に重要である。いざというときの避難、救助というのは、特に主要幹線道路を確保しなければならぬということでございます。きのうでしたか、白老町が雨でやられて、主要幹線道路が水をかぶって非常に大変だったというのをちらっとテレビのニュースで聞きました。こういうことで、これからの災害対策上の配慮道路については非常に重要ではないかと思うのでありますけれども、そういう主要幹線道路をつくるとき、水に強い道路というものを考えるときに、どういう基準でもってこれをなさっているのかということを聞いておきたいなと思うのでございます。御答弁をいただきたいと思います。
  103. 堀泰晴

    ○堀説明員 御説明申し上げます。  冠水に対してどういう基準かということでございますけれども道路の路面の高さを決定する場合に、冠水について配慮することは当然でございますけれども、画一的に決定するという基準は定めておりません。しかしながら、先生指摘のように、水害に対して道路交通の安全と円滑を確保することは極めて重要なことでございますので、道路の新設、改良に当たりましては、河川改修の状況であるとか地形の状況あるいは沿道の土地利用の状況等を配慮いたしまして、路面の高さを決定することとしております。また、道路周辺の排水の解決のために避溢橋等の整備を進めておるところでございまして、今後とも、地域の状況等を勘案いたしまして、災害に強い道路の整備に努めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  104. 武田一夫

    ○武田委員 九月一日は防災の日であります。我が党の薮仲議員が当委員会を通し何回も熱心に推進方をお願いしてきた防災マップ、これがいよいよ実現を見るようになってきたということで、六月の中間報告を見させていただきました。この推進と予算の確保に全力を挙げて、一日も早く実現を期してもらいたい、私はこう思っております。この点について長官の決意をひとつ聞かせていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
  105. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいまの防災マップにつきましては、国土庁といたしましても十分検討いたしておりまして、来年度の概算要求の中にも盛り込ませていただきたいというふうに考えております。
  106. 武田一夫

    ○武田委員 以上で私の質問を終わらせていただきますが、どうか、また台風がやってくるわけでございまして、いろいろと問題を起こした地域に対するフォローは、ひとつ十分に各関係機関の御配慮をいただいて、万全を期しながら早急な復旧と安全対策努力をしていただきたいな、こういうふうにお願い申し上げます。  多少時間も早いようでありますけれども、以上で質問を終わります。どうもありがとうございました。
  107. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十四分開議
  108. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。滝沢幸助君。
  109. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 長官初め執行部の皆さん、御苦労さまです。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕  先ほど来、今度の東北豪雨というのでしょうか、その被害についての御報告、また先輩議員よりの質問、また御答弁もあったことでありますが、この東北豪雨というのを、私も土曜日に現地に参上しまして、お見舞いかだがた実情を拝見してまいろうと思っているのでありますが、見ないうちの話でありますが、どうも浅くて広いのではないか、したがって激甚災の指定等がなかなか得がたいのではないかと思っておるのでございますが、見当違いかもしれません。  しかし、いずれにしましても、私が常々考え、また申し上げておりますのは、災害までも大きいことはいいことだ、まあ企業は大企業、政党は大政党、これはよろしいのでありまして、至るところで我々苦労しておりますが、災害も、つまり長官、一千世帯も焼け出されたとなったら、これは大変な国家も地方も社会も救援体制ですわな。しかし、一世帯が焼けても、あれはどうも日ごろ火の用心が足りぬからということで終わるんですね。だけれども、家が焼けて住まいがなくなった、大事な人が焼け死んでその遺族が困る、一緒なんですよね。  そういう意味では、私は激甚災の指定そのものが基準を見直されてしかるべきだと思うし、あるいはまた指定されないものについても、よりもっとかゆいところに手の届く、むしろ災害はかゆいじゃなくて痛いところに手の届く施策が必要かと思うのでありますが、いかがでありましょうか。
  110. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 災害による被災者方々にはできるだけの手当てをしなければならないと思いますが、いろいろの災害の形態等もございますので、現在ございますようないろいろの施策を十分に駆使して、できるだけのことをしてまいりたいと考えております。
  111. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 できるだけというのはとてもいい言葉で、できないときは仕方がないということですが、私が申し上げたいことは、激甚災の指定の基準を見直すべき時期ではないのか、そして一つには、激甚災に指定されないものについても、今日以上によりもっと温かい手が差し伸べられるための具体的な施策はないものかと申し上げておるのでありますが、もう一歩踏み込んだお答えをちょうだいできますかな。
  112. 三木克彦

    三木政府委員 激甚災の指定につきましては現行制度が構築されているわけでございまして、これによりまして災害復旧員その他の応急隊の派遣につきまして従来からやってきたわけでございます。今回の東北災害につきましては、現在被害の状況を調査中でございます。この被害の状況の調査によりまして、激甚災の指定問題に適切に対応してまいりたいと考えております。
  113. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 みんな大学を出なさってその道の経験豊かな方ですから、私の質問が悪いのでございましょう。私が申し上げているのは、東北豪雨につきまして調査が不十分だなんても言っておりませんし、申し上げたいことは、今度の東北だけではなくて、激甚災の指定の基準そのものを見直すべき段階に来ているのではないか。見直す必要は全然ありませんと言うならそれでいいですよ。そして、激甚災に及ばざるものといえども、これを温かく保護する施策がよりもっと確立されていいのではないか、こう申し上げているのですよ。
  114. 三木克彦

    三木政府委員 激甚災の指定の見直しにつきましては、従来経緯があるわけでありまして、その都度社会経済の変化に対応いたしまして必要な見直しは行ってきたということでございます。現在その状況にあるかどうか、これは災害の状況その他を勘案いたしまして検討すべき課題であると考えております。
  115. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 これほどやりとりしても仕方がありませんが、どうか議会は議会の立場、執行部は執行部の立場で、国を憂い世を改めんとする熱意には変わりないわけでありますから、お互いに垣根を越えた討論といいますか協議が必要だと思いますよ。なるべく垣根の外を通って行けばいいというような答弁の姿勢では、私たちなじめないのでございます。  さて、去年の八月五日を中心としましたあの関東、東北を襲いました災害につきましては、その後各省庁対策よろしきを得て順調に復旧作業が進んでおると思いますが、御報告いただけるものがございましたら、御報告を賜りたいと思います。
  116. 苗村滋克

    ○苗村説明員 御説明申し上げます。  六十一年八月災害によります建設省の所管公共土木施設被害は、補助災害が一万九千四百八十カ所で千二百六十四億円、直轄災害が五百九十四カ所で六百四十三億円、これは東北地方でございます。災害復旧事業につきましては、直轄災害は今年度で完了することとしておりますし、補助災害は六十三年度で完了いたしますが、六十二年度でほぼ概成いたします。今後とも早期完成を目指しまして鋭意努力してまいりたいと思います。  激甚な六十一年八月災害の教訓から、再度災害の防止に関しましても激特事業が行われておりますけれども、これにつきましては治水課の方から御説明申し上げます。
  117. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 激特事業につきまして御報告いたします。  昨年八月の台風十号にかんがみまして、激特を合計十六河川、そのうち直轄は大河川、補助十河川につきまして採択しておりまして、六十一年度から着手しております。おおむね予定どおり順調に事業は推移しております。  以上です。
  118. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  六十一年八月四日から六日の間の災害による農地、農業用施設の査定額は二百三十三億円に上っておりますが、早期復旧を図りますために初年度の進度率を大幅に引き上げることといたしました結果、現在の復旧進度は九〇%を超えております。今後、大規模工事の一部等残された事業箇所につきましても、営農に支障を生じないよう早期復旧に努めるよう指導してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  119. 岡本敬三

    岡本(敬)説明員 昨年の台風十号によります林野関係被害でございますが、被害総額で二百六十三億円でございました。これらの中で緊急に復旧を要する百四十カ所につきましては、六十一年度中に復旧を完了いたしております。また、治山施設及び林道施設の復旧につきましては、復旧進度を大幅に引き上げまして、現在の復旧進度は九〇%を超しております。今後とも残事業につきましても早期に復旧に努めてまいりたいと考えております。
  120. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 一応御報告いただきまして、ありがとうございました。  そこで、これらの復旧工事等を今反省しますときに、地方公共団体等との対応の中で、特に財政面等を中心としまして、それぞれ苦労の話を聞いておるわけでありますが、本省サイドで理解をされておる面は何かございますでしょうか。あるいはまた、住民との間にトラブルと申しますか理解がなかなか得がたいものはなかったでしょうか。私たちが現地の目で見ると数々得るものがあるのでありますが、いかに理解されておりますか。あるいはまた、もう少し抽象的に言うならば、今後の課題というものを何かつかみながら今の対策を講じていらっしゃるのでしょうか。常にそれがあってこそ向上があろう、私はこう思うものですからお尋ねするわけであります。  あわせまして、私は福島県でありますが、郡山を中心とした地区におきまして特に何かおっしゃっていただけるようなことがありましたら、お漏らしを願いたいと思います。
  121. 苗村滋克

    ○苗村説明員 御指摘の点でございますが、現在事業が円滑に実施されておりまして、先ほども申し上げましたように、補助災害等はほぼ概成しております。災害復旧には用地等の確保が不可欠でございますが、そのための住民の理解と協力が必要でございますが、関係市町村協力も得まして順調に進んでおりまして、特に先生指摘のトラブルというようなことは生じておりませんで、順調に進んでおります。  郡山の点につきましては、治水課長から御説明申し上げるそうでございます。
  122. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 まず、激持事業全般でございますが、御存じのように、出水がありました後、激持に採用し、それから事業が始まるわけでございますので、年末近くになる場合がございますので、当初はなかなか得られにくいというような河川もございますが、全般には順調に進んでおります。  先生指摘の郡山関係の河川につきましては、逢瀬川、谷田川につきまして両方合わせて約百十五億、五カ年間の予定で事業を進めるわけでございますが、順調に進んでおるというふうに聞いております。
  123. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 福島県内の復旧状況でございますけれども、大規模なため池が一カ所ございますが、それを除きまして今年度内に順調に完了する予定でございます。
  124. 岡本敬三

    岡本(敬)説明員 林野関係事業の進捗につきましては、特に問題があるというふうには私ども聞いておりません。  以上でございます。
  125. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 去年の災害は非常に大きなものでありましたから、ひとつ今後も努力をしていただきまして、本省にいろいろと御苦労のあることでありましょうが、しかし地元のその衝に当たっていただいている県、特に市町村当局は、皆さんのところに苦情が届かないように届かないようにとして大変な御苦労をされているわけでありますから、どうぞひとつ各省庁はその末端の苦労を了とされて今後とも対策をされるように要望させていただきます。  さて、去年の暮れから春にかけましての伊豆大島の地震は、我々も現地を拝見したりしたところでありますけれども、その後のいわば復旧と申しまするか対策と申しましょうか、いかがになっているものか、御報告を願いたいと思います。
  126. 三木克彦

    三木政府委員 伊豆大島につきましては、活動火山対策特別措置法によりまして、一月二十三日に避難施設緊急整備地域に指定されております。一月三十日に承認されました避難施設緊急整備計画によりまして、現在整備事業を実施されております。事業規模は百四十億円でございますが、六十二年度の補正予算後の全体の進捗率は二三%の予定でございます。  個々の事業について若干申し上げますと、波浮港の整備につきましては、六十一年度に調査を実施しておりまして、本年度より本格的整備に向けて作業を進めているところでございます。  また、都道三路線、町道三路線の改良等の事業は、本年度着工に向けまして作業を進めているところでございます。  島内二カ所に整備するヘリコプター離着陸用の広場につきましては、六十一年度に差木地地区のものが完成いたしました。泉津地区のものにつきましては、年度中に完成が予定されております。  島内七カ所に整備する退避こうでございますが、現在四カ所が整備中でございます。残り三カ所は、六十三年中に整備される予定でございます。  小学校四校の体育館及び公民館一棟の不燃堅牢化につきましては、小学校一校の体育館と公民館一棟が現在整備中でございまして、さらに小学校一校の体育館について今年中に整備される予定でございます。  以上のように、事業は全体としておおむね順調に進んでおりますが、今後とも関係省庁及び東京都と密接な連絡をとりながら、事業の早期実現に努める所存でございます。
  127. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 去年も申し上げたことでありますが、災害が起きて初めて、「おお、これはしまった」という「おおしま」ではなくて、安全な大島になりますようにひとつ対策をお願いしたいと思います。  ところで、最近の新聞を見ますると、この二十日ごろから今日まで数回にわたりまして富士山も何かいろいろと物を申しているそうでありまして、やはり世の中が変わる大きな節目になりますとこのようなことだと、何か日蓮上人もおっしゃっていたというのでありますけれども、冨士山までが爆発することになれば、これはやはり日本も革命状態ということでございましょうか。富士は日本一の山というのでありますが、これはどういうものでありましょうか。これは大きな地震ないしは噴火につながる可能性があるものなのかどうか。あるいはまた、そうであるならば、いずれにしましても測候、観測の施設の強化ということも必要でありましょう。  あるいはまた、これは別な話でありますが、その富士山も何歳になったのか知りませんけれども、少しずつ頭がはげたりなんかするんでしょうが、大沢というあたりが大変土砂崩れをしておるそうでありまして、こういうのはやはり整形に出したり毛生え薬を振ったりする必要があるわけでありますから、ひとつうまく立派な富士山を守っていただきたいと思いまして、ちょっと大ざっぱでありますけれども、お伺いするわけであります。いかがでしょうか。
  128. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 御説明申し上げます。  富士山の活動についてでございますが、ただいま先生指摘のとおり、今月の二十日、それから二十三日、二十四日、それから本日早朝でございますが、それぞれ一回ずつ有感地震がございました。これは山頂測候所の有感でございますが、有感地震に関しては今申し上げた四回でございます。結論を申し上げますと、現時点におきましては、これらの地震が直ちに噴火活動に直接結びつくというようには考えておりません。  それから、今後の問題でございますが、気象庁といたしましては、この有感地震が発生いたしまして直ちに火山機動班を山頂測候所へ派遣いたしております。二十五日に山頂に地震計を設置いたしまして、現在監視中でございます。また、富士山の周辺には、気象庁を初めといたしまして大学あるいは研究機関の地震計が配置されておりますし、また傾斜計等も配置されております。そういう観測機器が展開されておりますので、これらで観測を行っております関係機関とも十分連絡をとりまして、注意深く今後監視を続けてまいりたいと思っております。  最後にもう一度申し上げますが、山頂周辺に現在展開されております各種の観測機器には、先ほど申し上げました有感地震以外特に火山噴火に直接結びつくと思われるような異常現象は認められておりませんので、今後なお一層注意深く監視していきたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  129. 友松靖夫

    ○友松説明員 ただいま大沢崩れの御指摘があったわけでございますが、大沢崩れといいますのは、ちょうど富士山の西側の斜面にございまして、頂上付近から標高二千二百メーターあたりにかけましての大きな崩壊地をいうわけでございまして、千年ぐらい前からこういった崩壊が発生したというふうに言われておるわけでございます。  今回の地震におきまして新たな崩壊が発生をした、あるいは崩壊が拡大したというような報告は入っておりません。ただ私どもといたしましては、地震のみならず、むしろ今後の降雨によりまして崩壊の拡大といったようなことも予測されますので、従来から行っております土砂変動調査といったような調査を今後とも引き続き行いまして、その状況の把握に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。  なお、大沢崩れの対策につきましては、最近は年平均にいたしますと約二十万立方メートルの土砂がその大沢の崩壊地から下流の方に出てまいっておるわけでございますが、これにつきましては、扇状地におきますいろんな計画によりまして、下流被害を与えないような対策を講じておるところでございますし、さらに大沢崩れそのものに対しましても、源頭部対策ということで対策を、現在試験工事をあわせまして検討中のところで。ございます。  以上でございます。
  130. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 これは桜井先生からも御同様におっしゃっていただけるものかなと思いますが、そろそろもう秋になりまして、たちまちに雪の季節がやってまいります。実は私も昔雑誌を出したことがありますが、雑誌の編集者というのは、もう半年前には、いや、ことしの新年が終われば来年の新年号をどうつくるかということなんですよね。ましてや、半年過ぎたらもう新年号のきちんとした方針が出なくてはなりません。もちろん役所の概算要求なんというのも早く始まっておるようでありますから、来年の準備は着々できておると思います。そういうような意味では、雪が降らないうちに雪の対策、備えがなくてはなりません。  そういうふうに考えますと、ここ数年間大きな雪害等が比較的少なかったことを思うと、ことしあたりはちょっと心配の年でありますが、雪を迎える前の覚悟としまして、交通確保の問題、あるいはまた特に危険箇所を今から点検しておいてこれに対する万全の備え、備えあれば憂いなし、これはどうなのかということをまずお伺いさしていただきたいと思います。
  131. 岸田弘

    ○岸田説明員 雪崩の危険箇所についてお答え申し上げます。  建設省では、雪崩による災害から国民の生命を守るために、集落を保全対象といたします雪崩防止施設を整備するいわゆる雪崩対策事業を実施しておるところでございます。この事業計画的に推進するために、雪崩の発生によりまして人家の被害の危険が予想されるいわゆる雪崩危険箇所でございますが、この把握、点検を豪雪地帯におきまして現在実施いたしておるところでございまして、ことしじゅうに結論を出したいというふうに考えております。  以上でございます。
  132. 岡本敬三

    岡本(敬)説明員 林野庁でございますが、雪崩の危険箇所につきましては、林野庁といたしましては昭和五十八年、五十九年度に調査を行ってきておりました。六十一年度におきましても、豪雪地帯の指定市町村におきまして雪崩の危険箇所点検調査を実施をいたしたところでございます。その結果、山地にかかわります雪崩の危険箇所につきましては、約六千四百カ所と把握をいたしておるところでございます。  雪崩災害の未然防止につきましては、従来から指導に努めているところでございますけれども、やはり豪雪地帯におきましては多くの災害が発生を見ております。そういうことの防止のために、施設の点検なりあるいは積雪期の危険箇所の巡視といったようなことを周知徹底させる必要があろうかと思います。今後とも雪崩の対策につきまして一層努めてまいる所存でございます。
  133. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 なお、大変申しおくれましたが、御答弁の終わられた省庁からひとつ御自由にお帰りちょうだいして結構でありますから、よろしくどうぞ。  そこで、雪国のことはもはや即過疎問題、それは要するに出稼ぎ問題、こうなっておりますわな。そこで、私は長い間こうしたことをしておりまするうちに、いろいろといわば有権者の方々の相談を申し受けます。どのような相談をどのような階層から承るかということは、これは世相の移り変わりの大きなバロメーターですよね。最近非常に悩んでおりまする一つは出稼ぎです。その出稼ぎの場所が、出稼ぎしなくてはならぬのだけれども使ってくれるところがない。ひとつ首都周辺に出稼ぎさせてくれるところを見つけてちょうだいという御相談が最近非常に多い。しかし、これをしてみましても、なかなかうまくいかぬということであります。  それはいろいろと役所対策もあるのでしょうけれども、しかし私は、一番大事なのは、各市町村市町村長さんが、自分の町に何人の人がことしは出稼ぎをしなくてはならぬか、その年齢層等を把握していただいて、これを政府のしかるべき官庁との間に情報交換をしまして、そして雇用の場を確保していただくということが必要ではないかな、こういうふうに思うのです。それとまた一つは、出稼ぎをされた後の留守宅の、いろいろと安全もあります、経済もあります、教育もあります、数々あります。こういうことについていかなる対策を持っておいでなのか、承りたいと思います。
  134. 野寺康幸

    ○野寺説明員 お答え申し上げます。  出稼ぎ労働問題でございますが、最近建設関係では若干の好況でございまして、求人が増加しておりますが、一方でやはり円高等の深刻な影響によりまして、製造業を中心に大幅な求人の減が見られております。したがいまして、全産業で見ますと、出稼ぎ労働者に対します求人倍率でございますけれども、これは六十一年度実績でその前年度に比べて〇・〇七ポイントの城となっておりまして、この傾向は残念ながら今後も続くのではなかろうかというふうに考えられます。  そこで対策でございますが、先生指摘のとおり、求職者の出稼ぎに行かれる方の希望を十分に酌み上げて求人を紹介するということが必要でございまして、労働省におきましては、全国の公共職業安定所、これを使いまして、出稼ぎ労働台帳というのをつくっております。この台帳に出稼ぎ希望者の年齢、希望職種等を書き込んでおりまして、これを送り出す地域の安定所から受け入れる地域の安定所に連絡をとりまして、その上で出稼ぎ者のための求人開拓をやっているわけでございます。  今後ともこういった施策を中心に、労働条件の確保を考えながら、事業主に対する啓発、指導等を十分に行って、出稼ぎ労働者のための安定した就労を確保したいというふうに考えております。
  135. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変苦労されておりますことを歩といたします。  しかし、その安定所同士の話がなかなか安定しないのですよね。ですから私は、これは職安というあのお役所ができた当時の発想では、今日の農村の、特に過疎地の出稼ぎ等を――出稼ぎのない農村ということを演説をしましたけれども、こんなのはとてももうはるかに遠き夢となりまして、今は出稼ぎをスムーズにさせてあげることが大変なんですから、その悩みの度合いは全く違ってまいりました。そう思いますとき、私は、やはり自治省が先頭に立たれて市町村段階で、市町村長さんが一番よくわかっているのですから、どこの村の阿部落のだれさんの息子はどうしても行かなくてはならぬ、どこどこはおふくろが弱いのでどうだということはみんなわかっているのですから、このものを中心として対策を進められるように工夫されるべきだと私は思いますが、いかがですか。
  136. 野寺康幸

    ○野寺説明員 重ねてお答えいたします。  自治省が見えていないようなので、市町村のことにつきましてお答え申し上げたいと思います。  労働省は、一応安定所の単位が最小でございますけれども、実際にはそれ以外に市町村単位に地域相談員という制度を設けまして、これを出稼ぎ労働者が居住いたしております市町村に配置いたしております。この者たちは、その地域の出稼ぎ労働者の全体の把握、それからその方々に対する求人の情報の提供、さらに重ねまして、出稼ぎに行かれた後の留守家族の方の面倒というのを見させていただいているわけでございます。
  137. 海老忠彦

    ○海老説明員 出稼ぎに係ります各市町村におきますところのいろいろな対応策というものは、その地域の実情に応じて種々行われておることと思うわけでございます。ただいま労働省さんの方からお答えがありましたような、そういった国の施策とも相まって適切な施策が行われるよう、私どもといたしましても、例えば財源面等で何か御相談がございましたら、また相談に応じてまいりたいと考えておるところでございます。
  138. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そのようなことでひとつ現状認識を深められまして、自治省、労働省あるいはまた通産省も必要かもしれません。各省庁協力のもとに、ひとつ出稼ぎの雇用の場が確保され、しかも有利な条件で出稼ぎされ、しかもその留守宅が安全に生活ができますよう、ひいては農村の荒廃と窮乏に対して一つの救済の道が講ぜられるように工夫してちょうだいしたいということをまずお願い申し上げまして、各省庁の御協力をお願いしたいと思います。  さて、桜島が活動がどんどん活発になってきているというわけでありますが、きのう、いろいろと御陳情を承りました。数々ございますが、その中で、きょうは特に文部省さんと農水省さんでしょうか、お伺いさせていただきます。  承れば、何か文部省さんの方で、グランドなんかでしょうか、そういうものに対して灰が二センチですか降らなければ、灰を取るための援助の対象にならぬ。しかし、これは困ったものだと言っておりました。こういうものについてもっと温かい施策ができないものか、これが一つであります。  そして、また農水省さんの方で、これはいろいろと機材、資料も持ってきてちょうだいしましたけれども、ミカンなんというのは、小さいのは全然実らずに終わっているのですね。そして、灰が降るのを防ぐためのいろいろ野菜その他のビニールハウスの鉄柱ですね、鉄がどうか知りませんけれども、これが腐食をいたしまして、何かこれも聞きますると、これは全国的単位でありますが、八年たたなければ再補助の対象といいますか、あるいはまた融資の対象にならぬ。だけれども、三年でだめになってしまうと訴えておりました。ですから、二回目のときは、ひとつ災害ということで何か手助けの方法はないか、こう言っておりましたが、そういうことにつきまして、国として何か新しい方法が考えられぬかどうか、ひとつ承っておきたいと思います。
  139. 遠山耕平

    ○遠山説明員 お答え申し上げます。  従来、公立学校施設の降灰除去に関する軽費のうち、降灰が一時的に多量にあるなど被害程度が大きいものについては、災害復旧としまして、公立学校施設災害復旧費国庫負担法を適用してきたわけでございますが、先生お話しのように、地元の方から強い要望もございまして、採択基準の改正につきまして六十年に財政当局と折衝を行いまして、基準を緩和をして、六十年から新しい基準を適用したわけでございます。  内容をちょっと御説明申し上げますと、従来は七日間に降灰厚が二・三センチで採択をしていたわけでございますが、この七日間という期間を、十日ごとに一回以上降灰がある場合には三十日ということで、四倍以上に延ばしたわけでございます。それから、二・三センチは二・〇センチということで緩和をしたわけでございます。こういう基準の改正によりまして、それまで五十三年に三校災害復旧で採択しただけだったわけでございますが、六十年に八校、六十一年に一校ということで、採択の数はかなりふえているわけでございます。今後ともこの採択基準に基づきまして、できるだけ採択可能な学校については災害復旧費の国庫負担法の対象としていきたい、このように考えております。
  140. 青木敏也

    ○青木政府委員 桜島周辺の防災営農対策につきましては、御案内のとおり、計画を策定してこれまでも鋭意努めてまいったわけであります。六十二年度から新たに計画を設定し直しまして、事業内容も拡充したところでございます。  ただいま御指摘の降灰防止あるいは除去施設関連の骨材の腐食の問題、ただいま申し上げました営農対策事業によりまして一度国の二分の一の補助により設置をいたしているものでございます。地元からの要望は、その再整備についてさらに再び補助をしてくれないかということでありまして、私ども地元の要望につきましては十分認識をいたしているわけであります。  御案内のとおり、先ほどの計画の中で事業費、国費等も拡充したとはいうものの、この関連事業という広範なメニューにわたる事業でございまして、その効率的な執行ということを私ども念頭に置きます際に、また計画全体の進度も恐らくまだ五〇%を超えた水準でございますので、むしろこの種の降灰防止等の施設につきまして新規に設置する、そういうことに対する助成の方が政策的には緊急度が高いと考えているわけであります。  かてて加えて、同一の形態の施設についての国の再補助については、補助のあり方の問題として論議があり得るということもございますので、現在のところ、一度補助を受けた骨材についての再整備の再補助ということについては、遺憾ながらなかなか難しいのではなかろうかと存じております。
  141. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そこで私は、日本の今日の政治の大きな問題は、本四架橋もいいでしょう、また東京湾に橋をかけることもいいでしょう。しかし、そのような大きな輝かしい部面と、一面からいうと本当に惨めな話、さっきの出稼ぎの話もそうです。この桜島の降灰の問題もそうですよ。本当に涙ぐましい惨めな話があるわけです。この明暗について政治はどうこたえるか、こういうことだと私は思うのです。  そのようなことで、今文部省さんおっしゃったようなことも、それはそのとおりでしょう。しかし、あれは神様が降らせるのですから、何センチ、はい、そこでストップなんて、うまいぐあいに降るわけではないのですから、一つは、基準は基準として、実態に応じて生きた取り扱いができるように、お役所さんの頭を転換していただかなければならぬということだと思います。  そして、今の骨材の腐食の話でも、大体どういうところにその骨材を使うかということはわかるのですから、三年間で腐食するようなものではなくて、最近はビニールで包むとかなんかしているのだそうですが、そのようなものを進めて補助さすことが必要なので、これから新しくする方が優先するとおっしゃるから、そうかもしれませんが、新しくつくるときは三年や四年で腐食しないようなものを進めていただく。むしろ木の方がよかったのじゃないですか。むしろ木製の方が長もちしたのでしょう。  そういうふうに新しいものについては腐食しがたいものにしながら、役所現地も不勉強で腐食おびただしいものを使ったのですから、これはやはりもう一回見直して、三年でだめになっちゃっているのですから、特別に救済していただくということについて前向きな検討をいただくというぐあいにお願いをしたいと思います。重ねてこのことについて念を押したいと思いますが、いかがですか。
  142. 青木敏也

    ○青木政府委員 ただいまの点につきましてはいろいろ歴史がございます。この関連施設につきましては、実は骨材の前にビニールの張りかえ問題がございまして、その再整備についての補助ができないかという懸案がございました。その点につきまして、私どもとしましては先ほどお答えしたような視点からの難点があったわけでありますけれども、ただいま先生からもお話がありましたようなまさにアングルでございまして、従来のビニールと質的に違う耐久性の非常にある新たな資材の開発ということを踏まえて検討しようということでアプローチをしてまいりまして、実質的にはその問題が解決をしたわけであります。  ただいま先生の骨材の問題につきましても、従来の骨材と質的に変わる耐久性のある資材の開発とかそういう問題を含めて、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
  143. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 時間がなくなりましたが、三年、二年で腐食するので困っているというのは、そう数が多いものではないのですよ。今はもう少しましなものをお願いしているというのですから、限られたものでありますから、これは一奮発して救済していただくということにまげてお願いしたい。議会の意思は、各党決して御異存のないことと思いますよ。これはひとつ議会の総意として再検討していただかなければ一何ほどの価格になりましょうや。先ほど申し上げました国の大きな輝かしい面に使う金から見れば、これは全く些少な金だと思いますので、ひとつこれは議会の総意ととらえていただきまして再検討をしていただきたいと思います。要望しまして、私の質問を終わります。  委員長、ありがとうございました。長官を初め皆さん御苦労さまでした。
  144. 桜井新

    ○桜井委員長代理 安藤巖君。
  145. 安藤巖

    ○安藤委員 まず最初に、気象観測の問題についてお尋ねをしたいと思います。気象庁の方、見えておりますね。  昭和二十四年からでございますが、我が国の台風の予報業務にデータが使われてまいりました米軍の航空機による台風観測、これが米軍当局の通告によりまして、ことしの九月いっぱいで打ち切られるということになりました。ところが、これに対して気象庁の方では六月十七日に声明を出しまして、台風予報業務に特段の支障はない、こういうふうに見えを切っておられるわけです。本当に支障がなかったならば結構なことだと思うのです。  例えば一九八二年、昭和五十七年六月二十七日、これは台風五号による大しけで、宮城県の金華山沖でございますが、漁船二隻が転覆をして、二名の死者、行方不明者も出るという事故が発生しました。その際の気象庁の台風進路予想が外れていたということで、当時これは問題になったのです。それから一九八〇年、昭和五十五年十月に、これは本土へ接近してまいりました台風十号、このときに、日本の観測衛星「ひまわり」の観測に基づく進路、これが間違っておったというので、米軍の航空機による観測データによって急遽修正をした。だから、その当時ほとんど全部の新聞が、「上陸目前、異例の進路修正」と。だから「ひまわり」の台風の進路予想が間違っておった、こういうようなことになっておるわけなんです。  だから、支障がない、これは本当に支障がなければ結構なんですが、大丈夫なのかどうか、これをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  146. 山岸米二郎

    ○山岸説明員 お答え申し上げます。  台風の進路予報につきましては、かねがね努力いたしておるところでございますが、ただいま御指摘がありましたようなこともあるわけでございます。  なお、米軍の飛行機観測の中止の件についてでございますけれども、米軍の航空機による台風観測は、台風が洋上にありましてはかのデータが少ないときに、台風中心位置、中心気圧あるいは最大風速等を求めるのに使われてきたことでございます。  しかしながら、近年になりまして、気象衛星の観測データからこれらの情報を抽出する技術が開発され、既に実用化されてきている次第でございます。また、気象庁におきましては、静止衛星「ひまわり」が今年三月から毎時観測を実施するというふうになっております。  こういう次第でございますので、今後も衛星資料等を用いた解析技術をさらに向上を図るというふうにいたしまして、航空機による台風観測が打ち切られても、台風監視業務には防災情報を作成する上で支障のないように対処できる、そういうふうに考えた次第でございます。
  147. 安藤巖

    ○安藤委員 今伺いますと、支障のないように対処できる、こういうことのようですね。  ところで、そういうふうにおっしゃるのですが、昨年の十月二十八日から十一月三日にかけましてタイのバンコクで行われました第十九回の台風委員会、これは日本とか韓国とかマレーシアとか香港とか九カ国が参加しておる委員会なんですが、そこの日本代表団からの会議の報告によりますと、この委員会はそのときに、「米国に対して航空機気象観測業務を通じて多くの貴重な気象情報を提供していることに謝意を表明し、今後も同一の業務を遂行するよう要望した。」こういうことになっているわけです。  となると、日本も参加してというよりは、こういう会議は日本が相当イニシアチブを発揮することができる会議だそうですが、そういう会議で、引き続き今後とも米軍による気象観測のデータを提供してほしいと要望しているわけなんですね。こうなりますと、これはやはり米軍の気象観測のデータをもらわないと、正確な台風の予想進路等々についてデータが出ない、予報ができないということを認めているからこうなっているのじゃないかというふうに思うのですが、どうですか。
  148. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘いただきました昨年十月の台風委員会でございますが、その報告によりますと、米軍がやっております台風観測につきまして謝辞を呈する、今後の観測の継続についても希望する、そういう記録はございます。しかしながら、これは委員会の決議事項とかあるいは勧告、そういった性格のものではないというふうに理解しております。  確かに、戦後間もなくから長期間にわたって継続をされてまいりました台風の飛行機観測と申しますのは、かつては大変有効なデータでございましたけれども、最近は、先ほど予報課長から御説明申し上げましたように、気象庁といたしましては、衛星利用技術がどんどん進展しているということでございますので、現時点で台風の飛行機観測が中止されましても、気象庁のやっております台風予警報業務には特に支障はないというふうに考えておる次第でございます。
  149. 安藤巖

    ○安藤委員 決議ではないというふうにおっしゃるのですが、そういうふうに要望したということは、今お聞きしましたように事実であります。これが、先ほど申し上げましたように、昨年の十月から十一月にかけての話。それから、この六月十七日に気象庁は、特段の支障はないというふうにおっしゃった。となると、一年足らずの間に、そういうデータを欲しいといって要望する、それにちゃんと参加しておきながら、なくたっていいんだということになると、これは本当に納得できない。  これは何もそういうような態度がけしからぬというふうに申し上げておるのではなくて、正確な予報をきちっと出していただかぬと大変だからということから申し上げておるわけなんですが、この関係については、もちろん衛星センターと本庁の予報部との間で、衛星だけでちゃんとやっていけるのかどうかということについていろいろ検討なさったというふうに聞いております。しかし、大丈夫だ、支障はない、こういうふうにおっしゃるだけで、どういうふうに検討を加えた結果こうこうこうだから支障がないのだというような中身が全く知らされていないわけなんです。だから、その中身をきちっと明らかにすべきだと思うのですが、明らかにしていただけますか。きょうは時間がないからあれですが、別の機会に、あるいは私のところに持ってきていただくなりなんなりで、していただけますか。
  150. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話は非常に専門的、技術的な話でございますので、もし先生のお時間をいただけますれば、後日御説明に上がりたいと存じます。
  151. 安藤巖

    ○安藤委員 ぜひともそうしていただきたいと思います。  そこで、これは一つ提案があるのですが、先ほど申し上げました台風委員会、それからもう一つあるのだそうですね。今度は七カ国で、やはり日本とかベトナムとか香港とかが参加している地域特別気象センター、RSMCと略称しておるそうですが、例えばこういうところで共同で気象観測用の飛行機を持つ、そして気象観測を行う、こういうようなことを日本の方から発議をして、航空機観測をずっと続けていくというようなことができたらいいのじゃないかなというふうに思うのです。  航空機観測でなくてもやっていけるとおっしゃるけれども、やはり今までそれで正確なデータがもらえたし、「ひまわり」のあれだけでは、先ほど申し上げましたように、間違っておったことがあったわけですから、本当はそういう飛行機を日本が独自で持つということを考えたらもっといいかもわかりません。そしてデータを共同で使っていただくということもいいと思うのですが、そういうようなことも含めて、一遍検討していただけぬものかなと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  152. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話のございましたRSMCでございますけれども、これはごく最近、世界気象機関、気象庁も加盟しておりますが、その中で、こういったふうに世界の気象業務を整備していこうというふうな話がようやくまとまった段階でございます。  それで、現在も気象庁は、東アジアの地域予報中枢といたしまして、各国がそれぞれの国の必要に応じて気象予警報業務をやるために必要な基本的な材料でございますが、例えば数値予報の結果でございますとか、そういったものをサービスするということをやっております。これをさらに効率的にやるために、それぞれの地域に応じまして特色を持たせていこうというのがRSMCの計画でございます。  さしあたり気象庁に非公式に要望されておりますのは、さらにその数値予報の力を強化いたしまして、例えばフィリピンでございますとか韓国、そういったところが防災の万全を期するために、台風予警報業務をやるためいろいろ数値予報のデータというものが必要でございますけれども、そういったものをさらに精度を向上させまして、適時適確にサービスしていくということ、こういうことが求められているわけでございます。気象庁といたしましては、そういったことでございますのでこの計画協力いたしまして、そういう基本的な情報を提供するという面で国際協力を強化していきたいというふうに考えている次第でございます。
  153. 安藤巖

    ○安藤委員 いや、そういう国際協力をこれからやっていきたいという御説明はありましたが、今私が提案をしました非常にユニークな提案については、全然そんなものはだめなのかね。一遍検討してみましょうかということになるのか、その辺のところを聞かせていただきたいのですよ。
  154. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 失礼いたしました。  先ほどの先生の御提案でございますけれども、確かに従来台風の飛行機観測というものも非常に威力を発揮したものでございます。しかしながら、従来台風の飛行機観測で観測されましたデータは、ほぼ衛星で観測できるという時代になってきております。しかも衛星につきましては、これからさらにいろいろと新しいセンサー、測定器でございますか、そういったものが将来搭載される可能性があるということでございまして、ますますその利用技術は拡大していくというふうに考えております。  といったことでございまして、現在例えば台風委員会の加盟国の中でも、連合してそういった飛行機観測をやっていこう、あるいはそういうことについて日本ではどうかというような働きかけは私どもは伺っておりません。といったことでございまして、今後その衛星利用をさらに進めるということでこの問題に対処したいというふうに考えている次第で。ございます。
  155. 安藤巖

    ○安藤委員 伺っておりませんというお話ですが、もっと偉い人にも、今共産党の安藤巖がこういう提案をした、これはなかなかいけそうだということで、きちっと提案をしていただきたいと要望いたしまして、この関係質問は終わります。気象庁の方は、もうお帰りいただいて結構でございますので。  続きまして、午前中からいろいろ議論をなされました、今月の十六日からの局地的な豪雨によって被害を受けました秋田県、それから岩手県の水害関係についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、国土庁長官、それからこれは農水省にも関係があるのですが、お尋ねしたいのですが、御案内のように、秋田県では旭川、太平川、新城川、雄物川、淀川、幾つかの川が、これはみんな一級河川ですが、はんらんをした。被害総額は百六十八億円。岩手県では北上川、磐井川がはんらんをして、被害総額三十三億円を上回るという大きな被害を受けております。そして、これは昭和二十二年のカスリン台風による大水害以来のものだという地域もあるわけです。  だから、こういうような大きな被害を受けておるわけですから、激甚災の指定ということも検討していただくべきではないかということ、それから農水省の関係では天災融資法の適用をすべきだというふうに思うのですが、どういうふうに考えておられるか、お尋ねします。
  156. 三木克彦

    三木政府委員 今回の水害につきましては激甚の災害の指定を適用すべきではないかということでございます。今回の東北豪雨災害に関する被害の状況につきましては、現在各省庁において鋭意調査を進めているところでございます。この指定の問題につきましては、この調査結果を待ちまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  157. 青木敏也

    ○青木政府委員 天災融資法につきましては、御案内のとおり、被害が著しく、かつ国民経済に及ぼす影響が大であると認められる際に、特に政令等で天災を発動、指定いたしましてということで対応してまいっております。  今回の秋田岩手両県等に発生しました水稲等の被害につきましては、現在県ベースからの報告におきましても私ども手元に十三億ということでございまして、かなりその後植生の回復もありますから、最終的に被害額等を詰めてまいりますとこれを下回ることが見込まれるわけでありまして、この種の規模災害の場合につきましては、過去におきます天災融資法の発動のケース等からかんがみまして、天災融資法の発動については現状のところ困難ではないか、こういうふうに考えております。
  158. 安藤巖

    ○安藤委員 もちろん被害は少なければ少ないほどいいわけですが、さらに調査の結果を待って検討していただきたいと要望しておきます。  それから、災害査定と復旧の関係につきましては、午前中いろいろ議論がありまして答弁もありましたので、この関係については私も伺っておりましたから省略をします。  そこで問題は、お聞きした日程によりますと、災害の査定は十月いっぱいに終わりそうなんですかということ。それからもう一つは、台風シーズンといいましても、もう目前に近づいておるわけですが、災害が起きたところの復旧、これはやはり災害を受けたままになっていると、そこにまた来たということではいけないと思うのですね。だからそれに間に合うようにこれは早急にやる必要があると思うのですが、その関係については万遺漏なきようにやっていただけるかどうか、お尋ねします。
  159. 苗村滋克

    ○苗村説明員 査定の日程につきましては、午前中秋田県、岩手県等も申し上げましたが、改良復旧等は少し時間がかかりますので十一月にもかかると思いますが、早急に努力したいと思っております。
  160. 安藤巖

    ○安藤委員 今改良復旧ということもおっしゃったのですが、そうしますと、河川災害関連緊急事業、これは改良復旧ですね、これも積極的に採択をして適用してやっていくというお考えだと伺っていいですか。
  161. 苗村滋克

    ○苗村説明員 今回発生しました河川災害等につきまして、被害が激甚な箇所等につきましては、再度災害を防止するために積極的に災害関連事業で対処してまいりたいと思っております。
  162. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、秋田県では田畑に冠水して土砂が相当田畑に流れ込む、あるいは二メートルから三メートルあるいはそれを超すような流木が流れてきて、稲の上にどさっと乗っているとかいう状況が出ているわけです。私も写真を撮ってきたのですけれども、先ほど回覧をしていただきました写真の中にもっといい写真がありました、しかもカラーで。秋田県の上新城地区の写真がありました。拝見しました。  だからごらんいただけたと思うのですが、ああいうような状況ですと、それぞれの個々の農家の人だけの力では、とてもじゃないがそれを除去することはなかなか至難のわざだと思うのです。それから、かぶさった土砂、これを取り除くのも大変だと思うのです。そういう点について、これは農地の災害復旧として補助すべきだと思うのですが、何か方法ありますか。
  163. 遠藤紀寛

    ○遠藤説明員 お答えいたします。  田畑に流入した土砂等につきましては、流入土砂が一定の厚さを超える場合に、暫定法に基づきまして災害復旧事業で除去できることになっております。
  164. 安藤巖

    ○安藤委員 土砂の方はわかったのですが、土砂だと七センチ以上というのはわかるのですが、流木の場合は何トン以上ということになるのかどうか知りませんが、土砂だけということに限定せずに、土砂と一緒に事故ということにもなると思うものですから、その辺は融通無碍に適用していただきたいということを要望しておきます。  そこで、これは秋田市の戸野中町というところで旭川の護岸が崩壊をした件でございます。  これは、崩壊したのは昭和五十八年の日本海中部地震、あの災害で復旧工事したその箇所が崩壊しているのです。あの中部地震のときに崩壊しないで残ったところはもちろん復旧工事をしていないのですが、そこは全然今度の水害では影響がなかった。復旧工事をしてしっかりしたはずのところだけが崩壊している。ですから、これは秋田さきがけ新報の記事なんですけれども、県の当局も、「中部地震に伴う災害復旧工事でさらに強固にしたばかり」、そしてしかも、「川の水位が護岸を下回っていたのに被害が出たことに強い衝撃を受けている。」こういうような状況なんです。そして、この原因につきましては、相当な雨なものですから川の外の道路の方にたくさんの水がたまって、その水圧で、川の方からの水でなくておかの方の水圧で補強工事をしたその堤防が壊れたのだ、こういうようなことを県当局も言っておられるようです。  私もこれは写真を撮ってきたのですが、これはみんなにちょっと回してください。こういうふうなかみそり堤防みたいなものがぱしっとくっつけられておったにすぎない。だから、県当局の話によると、おかの方の水、道路の方の水、住宅地の水、これが堤防のコンクリートを押して壊してしまった。だから川の中の方へがばっと崩れているのです。  こうなりますと、言いたくはないのですが、手抜き工事があったのかな、設計のミスがあったのじゃないのかなというようなことも考えられる。だから、この辺についてはきちっとその原因を徹底的に究明すべきだということをやっていただけるかどうかということと、その壊れたすぐそばに住宅があるわけです。このままほうっておけば、また雨でも降ったらたちどころにその住宅は一階全部水につかってしまいます。だから応急な手当ても必要だというような状況にあるのですが、そういうようなことはやっていただけるのかどうか、お尋ねいたします。
  165. 苗村滋克

    ○苗村説明員 ただいまの件でございますが、今回被災しました旭川の護岸は、昭和五十八年の日本海中部地震によって被災しまして、五十九年度に災害復旧を施した箇所でございます。今回の被災の状況から判断いたしますと、異常豪雨によりまして市街地からあふれました水が旅館の地下室を含む低い地盤に湛水いたしまして、このために背後からの水圧によって護岸に力が加わりまして被災したものと考えられると報告を受けております。  なお、原因につきましては調査するよう指導してまいりたいと思いますし、被災箇所につきましては既に応急工事を実施済みでございますけれども、本工事についても早期に実施するよう県を指導してまいりたいと思っております。
  166. 安藤巖

    ○安藤委員 続いて、これも午前中同僚委員の方から質疑があった点でございますが、岩手県の一関市と隣の平泉町にまたがる一関遊水地改修計画関係でございます。  予算関係お話がありましたから省略しますが、これは国の事業なんですが、毎年毎年の予算の支出のぐあいからいきますと相当長期にわたるというお話があったのですが、六十五年から七十年、これからまだかかる。全部周囲堤を計画どおりに三十メートルの高さにするには、予算の支出のぐあいからしますと六十五年から七十年かかるということになってしまうのです。しかもこれは昭和五十六年当時の千三百億が総経費だ。だから、貨幣価値の下落等々によってこれはもっと上がっているわけですから、もっと延びるのではないかと思うのです。  それでお尋ねをしたいのは、まず、暫定的な二十三・五メートルの周囲堤を第一遊水地、第二遊水地、第三遊水地にずっとめぐらすという計画があるのですが、もう現地では、昭和六十四年、ですから二年後までには暫定堤というのをまず完成させてほしい、そして少しでも早く三十メートルのそれをつくってほしいという要望があるのですが、まず暫定堤についてはいつまでにやれるのか。  それから、相当長期にわたるなんて、六十五年から七十年、八十年ぐらいかかるのでは、先ほどもお話があったのですが、そんなものは災害対策じゃないですよ。だからこれはもっと大いに早めていただく必要がある。予算国土庁長官の方であるいは建設省の方でしっかりとってきていただく必要があると思うのですが、その辺はどうですか。
  167. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 一関遊水地事業についてでございますが、概要は午前中申し上げましたので省略するといたしまして、当面の対策でございますが、計画規模でございますが、暫定の高さは、五十六年八月の出水規模に対応できるようにという高さで暫定の堤防計画しておるところでございます。そのうち、第一遊水地につきましては、前堀地区のところについては百五十メーター堤防が残っております。さらには二、三カ所、水門あるいは開門で締めなければいけないところがあるわけでございますが、これは今年度中にやってしまいたいというふうに考えております。それに引き続きます暫定堤防一関市あるいは平泉町を守る部分でございますが、これにつきましてもなるべく早く、数年のうちにやってしまいたいというふうに考えております。  残りの第二遊水地、第三遊水地につきましては、なお相当の事業費を要します。予算の確保については我々も努力いたしまして、なるべく早期に完成できるように努力したいと思っております。
  168. 安藤巖

    ○安藤委員 この遊水地の上を新幹線が走っているのですが、新幹線はちゃんと三十メートル上を走っているんですよ。だから、それ以下では危ないんだということがそれによってもはっきりしているのですが、今おっしゃったようにせいぜい御努力をお願いしたいということを要望しておきます。  それから、その遊水地関係で、遊水地の中は全部買収して遊水地にするわけではなくて、圃場になっているわけですね。だから田んぼです。しかし、その田んぼが今回のようなこういう状況のときには遊水地として利用される、そのことによって付近の住宅の被害を防ぐ、こういう役割を果たすことになるのですが、田んぼは水浸し、こういうことになります。だからそういう関係で、その遊水地内の圃場の所有者に対して、農家の人に対して何らかの補償をするということは考えてもいいのではないかと思うのですが、この点はどういうふうに考えておられますか。
  169. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 遊水地の土地となりますものに対する補償についての考え方でございますけれども、今先生おっしゃいましたように、将来遊水地にいたしますと、その中に水をためることになるわけでございます。また、遊水地にためて、それによって下流洪水を軽減するわけでございますが、その遊水機能を阻害するような工作物その他をつくっていただくとちょっとぐあいが悪いわけでございますので、地役権というものを設定したいというふうな方向で考えております。その代償といたしまして補償を行うということを今検討中でございます。  以上でございます。
  170. 安藤巖

    ○安藤委員 それから、これは自治省にお尋ねしたいと思うのですが、一関市、秋田市、ほかにもあろうかと思うのですが、今回のこの水害関係で、消毒をするとか、し尿のくみ取りで特別な作業をしなければならなかったとか、あるいは炊き出しをするとか、あるいは田畑に空中防除の薬をまくとか、いろいろなことをおやりになって特別に出費が重なったと思うのです。だから、これに対して例えば特別交付税についてもきちっと面倒を見るというようなことも考えるべきだと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  171. 海老忠彦

    ○海老説明員 お答え申し上げます。  災害をこうむりました地方団体におきまして、ただいま御指摘ありましたようなもろもろの財政需要が生ずるわけでございますが、そういった需要につきましては、災害復旧事業事業費、あるいは死者、行方不明者数、罹災世帯数、農作物の被害面積等といったような種々の指標を用いまして一定の額を算入するといったような方法によりまして特別交付税を算定をいたしまして、当該団体の財政状況をにらみながら適切に配分をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  172. 安藤巖

    ○安藤委員 もう一つ、早く改修工事をやってほしいという要望をしてお尋ねをしたいのは雄物川、これも秋田県ですね。雄物川は上流下流の方では一定程度改修工事が進んでいるというふうに伺っておるのですが、真ん中のところがまだ抜けている、だから早くこれを改修してほしいという地元からの強い要望があるというふうに聞いているのですが、この改修はいつごろまでに全部やっていただけるのか、お尋ねします。
  173. 齋藤尚久

    齋藤(尚)説明員 雄物川の改修についてでございますが、午前中御説明申し上げましたので詳しいことは省略いたしますが、下流から順次やってまいりまして、上流の大曲市その他を重点的にやってきております。そして最近では中流部、雄和町とか神岡町の間でございますけれども、この地区に予算的に重点を置いて最近から改修を始めてきております。区間の延長が相当長いものですから、鋭意努力してなるべく早く改修できるようにというふうに努力したいと思っております。
  174. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、これは大臣にお尋ねしたいんですが、もちろん建設省全体にもお尋ねしたいんですが、今回のこの水害の原因を具体的に見ていきますと、例えば先ほどの雄物川の関係では、これは芦沢川と合流するところから下流へ約数百メートル左岸、そしてその合流地点からすぐ近くにJR線が走っておるのですが、そこまでの約百二十メートル、これが一つのセットになった改修工事が行われておるのですね。ところが、芦沢川の合流点からJR線までの区間百二十メートルがまだ工事が未完成であった。で、今回の水害、雄物川の水流がたくさん雨が降ったものだから逆流をして、その支流である芦沢川の方へ逆流をしてきて、JR線との間の百二十メートルの未完成のところから水がざっと入ってきた。これが西仙北町刈和野地区というところなんですよ。この一つのセットになっている計画からしますと、この百二十メートルの部分は大体二割ぐらいの見当、これが未完成だったためにこうなった。  それから、先ほどもお話ししました北上川遊水地関係でも、これは午前中にも議論がありましたけれども、あの前堀地区もちょうどその部分がやっぱり未完成であって、そこから流れていっておるのですね。それもその第一遊水地のワンセットになった改修工事というよりは、これは建設工事ですが、全体から見ると大体二割ぐらいのところが未完成だったもので、そこから流れておるんだ。  考えてみますと、第六次治水五カ年計画、これは御案内のように達成率七九%。これが一〇〇%完成しておったら、今申し上げましたようなところもできておったんではないか。そうなったら今回のようなこういう被害は出なかったのではないのかな、こういうふうにも思えてくるわけです。ですから、第七次治水五カ年計画が始まっておるわけですけれども、第六次よりも第七次の方が国の方からの支出の分は二千五百億円も減っているという状況にありますから、これはおかしなことだと前々からいつも申し上げてきておるのですが、もっとこれは増額すると同時に、治水五カ年計画の達成率、未達成ということではなくてきちっと計画を立てて、今も早期に達成します、災害のないように努力しますといろいろおっしゃるけれども治水五カ年計画をせっかく立ててもそれが未達成、こういうようなことではいかぬと思うのですね。  今私が具体的に申し上げましたように、こういうふうにそのために被害が出るんですから、そういうようなことのないようにしっかり国土庁頑張っていただきたいし、建設省もしっかり頑張っていただきたい、このことを強く要望し、しっかりやっていただけるのかどうかということをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  175. 角田直行

    ○角田説明員 御説明いたします。  六次の五カ年計画お話しのとおり八〇%を下回るところにとどまったわけでございます。七次五カ年計画の直接公共事業八兆円は六次の計画よりはやや下回っておりますが、六次の実績よりは二割増でございますので、これをもとにして鋭意今後の進捗に努めてまいりたいということを考えておりますし、また先生お話のように治水施設の整備がまだ低い状態でありますので、補正予算等今年も大変な額をいただいたりしておりますが、こういった機会をとらえまして事業の進捗に全力を挙げてまいりたいというふうに建設省考えておるところでございます。  以上、御説明いたしました。
  176. 安藤巖

    ○安藤委員 大臣にもお尋ねしたんですから、大臣一言、元気のいいところをひとつぴしっとお答えいただきたいのです。
  177. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま建設省から答えたと同じでございます。
  178. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  179. 桜井新

    ○桜井委員長代理 御苦労さまでした。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時八分散会