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1987-08-28 第109回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年八月二十八日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 堀之内久男君    理事 糸山英太郎君 理事 上草 義輝君    理事 魚住 汎英君 理事 古賀  誠君    理事 近藤 元次君 理事 新村 勝雄君    理事 草川 昭三君       岡島 正之君    古屋  亨君       穂積 良行君    森下 元晴君       谷津 義男君    小川 国彦君       渡部 行雄君    小川新一郎君       古川 雅司君    大矢 卓史君       野間 友一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)         (沖縄発庁長         官)         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  出席政府委員         内閣法制局第一         部長      関   守君         北海道開発庁総         務監理官    中田 一男君         沖縄開発庁総務         局長      勝又 博明君         国土庁長官官房         長       清水 達雄君         国土庁長官官房         水資源部長   大河原 満君         国土庁計画・調         整局長     長沢 哲夫君         国土庁土地局長 片桐 久雄君         国土庁大都市圏         整備局長    柳   晃君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         国土庁防災局長 三木 克彦君  委員外出席者         総務庁長官官房         参事官     坂野 泰治君         北海道開発庁総         務課長     畑  正一君         環境庁水質保全         局水質規制課長 平石 尹彦君         国土庁長官官房         会計課長    佐々木 徹君         大蔵大臣官房参         事官      中井  省君         大蔵省主計局司         計課長     兵藤 廣治君         大蔵省主計局共         済課長     山口 公生君         大蔵省銀行局銀         行課長     高橋 厚男君         通商産業省産業         政策局サービス         産業官     北畑 隆生君         建設省建設経済         局民間宅地指導         室長      高橋 健文君         建設省都市局都         市計画課長   伴   襄君         建設省河川局治         水課長     齋藤 尚久君         建設省河川局開         発課長     山口 甚郎君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         会計検査院事務         総局第三局長  大沼 嘉章君         会計検査院事務         総局第五局長  三原 英孝君         北海道東北開発         公庫総裁    吉岡 孝行君         沖縄振興開発金         融公庫理事長  藤仲 貞一君         参  考  人         (国家公務員等         共済組合連合会         理事長)    戸塚 岩夫君         参  考  人         (地域振興整備         公団総裁)  升本 達夫君         決算委員会調査         室長      大谷  強君     ――――――――――――― 委員の異動 八月二十一日  辞任         補欠選任   野間 友一君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   寺前  巖君     野間 友一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件 参考人出頭要求に関する件 昭和六十年度一般会計歳入歳出決算 昭和六十年度特別会計歳入歳出決算 昭和六十年度国税収納金整理資金受払計算書 昭和六十年度政府関係機関決算書 昭和六十年度国有財産増減及び現在額総計算書 昭和六十年度国有財産無償貸付状況計算書総理府所管北海道開発庁沖縄開発庁、国 土庁)、北海道東北開発公庫沖縄振興開発金 融公庫〕      ――――◇―――――
  2. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより会議を開きます。  昭和六十年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管北海道開発庁沖縄開発庁国土庁北海道東北開発公庫及び沖縄振興開発金融公庫について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として国家公務員等共済組合連合会理事長戸塚岩夫君及び地域振興整備公団総裁升本達夫君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより綿貫国務大臣概要説明会計検査院検査概要説明北海道東北開発公庫当局及び沖縄振興開発金融公庫当局資金計画事業計画についての概要説明を求めるのでありますが、これを省略し、本日の委員会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 堀之内久男

    堀之内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――    昭和六十年度北海道開発庁決算概要説明  昭和六十年度における北海道開発庁決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  北海道開発庁は、北海道総合開発計画について調査・立案し、及びこれに基づく事業実施に関する事務調整推進を主たる任務としております。  当庁に計上されている経費は、北海道開発事業費北海道開発計画費一般行政費等でありますが、このうち開発事業費につきましては、総合開発の効果的な推進を期するため一括計上されているものでありまして、治山治水対策道路整備港湾漁港空港整備農業基盤整備等事業費であります。  これら開発事業執行に当たりましては、関係各省所管一般会計への移替え又は特別会計への繰入れの措置を講じ、直轄事業については北海道開発局が、補助事業については道・市町村などが実施に当たっているものであります。  昭和六十年度の当初予算額は六千九百二十一億三千四百十三万円余でありましたが、これに予算補正追加額四十六億八千三百十七万円余、予算補正修正減少額一億一千二百六十九万円余、予算移替増加額三千八百十四万円余、予算移替減少額二千八百十一億八千四百九十二万円余、前年度繰越額七千五百十二万月余予備費使用額二十三億五百八十四万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は四千百七十九億三千八百八十一万円余となります。  この歳出予算現額に対し、支出済歳出額は四千百六十九億一千二百五十万円余、翌年度繰越額十億二千三百五十三万円余でありまして、その差額二百七十七万円余は、不用額であります。  次に、開発事業執行のため、関係各省所管への移替え及び繰入れの状況を申し上げますと、移替えた額は、厚生省所管へ一億四千六百四十一万円余、農林水産省所管へ二千百億七千八百五十九万円、運輸省所管へ六億四百五十万円、建設省所管へ七百三億五千五百四十一万円余、合計二千八百十一億八千四百九十二万円余であります。  また、特別会計への繰入れとして支出した額は、農林水産省所管国有林野事業特別会計へ百二十四億八千五百十二万円余、運輸省所管港湾整備特別会計へ四百二十一億一千三百万円、運輸省所管空港整備特別会計へ八十七億六千八十六万円余、建設省所管治水特別会計へ八百六十七億八千五百四十一万円、建設省所管道路整備特別会計へ二千十四億一千八百八十七万円、合計三千五百十五億六千三百二十七万円余であります。  次に、その他の経費支出につきましては、北海道開発庁一般行政費百二十七億九百三十三万円余、北海道開発計画費一億四百八十九万円余、北海道開発事業指導監督費三億七千六百七十五万円余、北海道開発事業の各工事諸費五百二十億五千六百十万円余、北海道特定開発事業推進調査費六千三百九十九万円余、科学技術振興調整費一千九百九十七万円余、国立機関公害防止等試験研究費一千八百十六万円余であります。  以上、北海道開発庁決算概要を御説明申し上げましたが、何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度沖縄開発庁歳出決算概要説明  昭和六十年度における沖縄開発庁歳出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  沖縄開発庁歳出予算現額は、一千二百八十五億五千四百四十九万円余でありまして、このうち、支出済歳出額は、一千二百五十三億二千二百八十一万円余、翌年度へ繰り越した額は、三十一億七千六百五十五万円余、不用となった額は、五千五百十二万円余であります。  まず、歳出予算現額につきましては、当初予算額二千百四十三億五千四百六十六万円余、予算補正追加額十一億九千六百二十九万円余、予算補正修正減少額五千六百九十万円余、予算移替増加額九百五十七万円、予算移替減少額九百四億九千五十八万円余、前年度繰越額三十五億四千百四十四万円余を増減しまして一千二百八十五億五千四百四十九万円余となったものであります。  支出済歳出額の主なものは、沖縄振興開発のための財源として、治水特別会計国有林野事業特別会計道路整備特別会計港湾整備特別会計及び空港整備特別会計繰り入れ経費一千二十九億七千四百七十八万円余であります。  次に翌年度へ繰り越した額三十一億七千六百五十五万円余は、道路整備特別会計等において、補償処理の困難、用地の関係計画及び設計に関する諸条件により事業実施に不測の日数を要したため、同特別会計等への繰り入れ年度内に完了しなかったことによるものであります。  また、不用となった五千五百十二万円余は、赴任旅費等必要額予定を下回ったこと等により生じたものであります。  以上をもちまして昭和六十年度沖縄開発庁決算概要説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度歳出決算に関する概要説明                  国土庁  国土庁昭和六十年度歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和六十年度の当初歳出予算額は、二千三百五十四億六千四百七十一万円余でありましたが、これに予算補正追加額四億八千二十七万円余、予算補正修正減少額四億千四百五十八万円余、予算移替減少額千百四十七億九千四百八十五万円余、前年度繰越額二十一億九千五百三十六万円余、流用等減少額四千四百六十七万円余を増減いたしますと、昭和六十年度歳出予算現額は、千二百二十八億八千六百二十四万円余となります。この歳出予算現額に対し、支出済歳出額千二百十一億八百八十万円余、翌年度繰越額九億七千八丁八十九万円余、不用額七億九千八百五十四万円余、となっております。  次に、支出済歳出額のおもなものは、離島振興事業費三百八十九億八千九十八万円、水資源開発事業費二百四十八億二千四百六万円余、揮発油税等財源離島道路整備事業費二百二十一億六千七百万円、国土庁百四十億二千七十四万円余、国土調査費八十八億千二百五十四万円余、国土総合開発事業調整費六十一億四千九百八万円余、小笠原諸島振興事業費二十二億八千百七十一万円余、航空機燃料税財源離島空港整備事業費十五億二千百万円、離島振興特別事業費八億四千百七十二万円余、振興山村開発総合特別事業費五億二千七百五十五万円余、等であります。  さらに、翌年度へ繰り越したおもなものは、離島振興事業費六億二千七百二十三万円、水資源開発事業費三億四千二百八万円等であります。  また、不用額のおもなものは、防災集団移転促進事業費補助金三億三千六百十一万円余、筑波研究学園都市対策特別交付金二億八千八百四十一万円余等であります。  以上が昭和六十年度国土庁歳出決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度決算北海道開発庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度北海道開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算沖縄開発庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度沖縄開発庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算国土庁についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度国土庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算北海道東北開発公庫についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度北海道東北開発公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算沖縄振興開発金融公庫についての検査概要に関する主管局長説明                 会計検査院  昭和六十年度沖縄振興開発金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法又は不当と認めた事項はございません。     …………………………………    昭和六十年度決算概要北海道東北開発公庫  北海道東北開発公庫昭和六十年度決算について、概要をご説明申し上げます。  当公庫昭和六十年度事業計画は、当初、総額一千三百五十億円の出融資うち貸付金一千三百三十七億円、出資金十三億円)を予定しておりました。  これに対し、実績は、貸付金一千三百四十八億九千万円、出資金一億一千万円で、昭和六十年度出融資合計は、一千三百五十億円となり、前年度実績に比較し、三・六パーセントの減少となりました。  これらの出融資の原資といたしましては、政府出資金二十七億円、政府借入金三百八十億円、債券発行による収入七百三十九億九千二百三十万円及び自己資金二百三億七百七十万円、合計一千三百五十億円をもってこれにあてました。  次に、昭和六十年度収入支出状況をご説明いたしますと、収入済額は、収入予算額六百七十二億八千六百九万円余に対し六百六十三億一千四百六十七万円余、支出済額は、支出予算額六百六十億八千七百十四万円に対し六百四十四億九千二百五十四万円余でありました。  また、昭和六十年度損益状況でございますが、貸付金利息収入等益金総額が八百四十一億二千四百八十二万円余、支払利息事務費等損金総額が、滞貨償却引当金繰り入れ前で八百十六億九千七十万円余となり、差額二十四億三千四百十二万月余を、全額滞貨償却引当金繰り入れたため、利益金は生じませんでした。  さらに、昭和六十年度末における資産負債状況をご説明いたしますと、主な資産貸付金八千六百四十億四千六百六十四万円余、出資金百二億一千四百万円、主な負債政府借入金二千八百四十一億七百五万円余、債券発行高五千五百六十三億七千三百八十万円、滞貨償却引当金二十四億三千四百十二万円余であります。また、政府出資金は三百四十億円であります。  なお、昭和六十年度末における貸付金のうち弁済期限を六ケ月以上経過したものは、六十九億九千一百五十万円余でありまして、これは貸付金残高に対して〇・八パーセントになっております。  以上、昭和六十年度北海道東北開発公庫決算概要をご説明申し上げましたが、何とぞよろしくご審議のほどお願いいたします。     …………………………………    昭和六十年度沖縄振興開発金融公庫業務概況  一、沖縄振興開発金融公庫昭和六十年度業務概況につきまして、御説明申し上げます。  沖縄振興開発金融公庫は、沖縄における産業開発を促進するため、長期資金を供給すること等により、一般金融機関が行う金融及び民間の投資を補完し、又は奨励するとともに、沖縄国民大衆、住宅を必要とする者、農林漁業者中小企業者、病院その他の医療施設を開設する者、環境衛生関係営業者等に対する資金で、一般金融機関が融通することを困難とするものを融通し、もって沖縄における経済振興及び社会の開発に資することを目的とするものであります。  二、昭和六十年度事業計画は、当初貸付けとして千二百億円、出資として四億円、合計千二百四億円を予定しておりました。  この計画に対する実績は、出資については実績がなく、貸付契約額が千五十三億九百万円余となっております。  三、次に、貸付残高について御説明申し上げます。  昭和五十九年度末の貸付残高は七千六百三億八千万円余でありましたが、昭和六十年度中に貸付けを千七十八億三千万円余行い、回収が七百五十九億三千万円余ありましたので、昭和六十年度末においては七千九百二十二億八千万円余となっております。  なお、貸付金延滞状況につきましては、昭和六十年度末におきまして弁済期限を六か月以上経過した元金延滞額は百一億一千万円余でありまして、このうち一年以上のものは九十二億六千万円余となっております。  四、次に、昭和六十年度収入支出決算について御説明申し上げます。  収入済額は五百六十一億九千万円余でありまして、これを収入予算額五百六十六億三千万円余に比較いたしますと、四億三千万円余の減少となっております。この減少いたしましたおもな理由は、貸付金利息収入等予定より少なかったためであります。  支出済額は五百六十六億五千万円余でありまして、これを支出予算額五百七十九億六千万円余に比較いたしますと、十三億円余の減少となっております。これは借入金利息等予定より少なかったためであります。  五、最後に、昭和六十年度における損益計算について御説明申し上げます。  貸付金利息等の総利益は六百四十四億八千万円余、借入金利息等の総損失は六百四十二億一千万円余となり、差引き二億六千万円余の利益金を生じました。  この利益金は、本土産米穀資金特別勘定利益金でありますので、沖縄振興開発金融公庫法施行令附則第四条第二項の規定により同勘定積立金として積み立てることとし、国庫納付金は生じませんでした。  以上が昭和六十年度における沖縄振興開発金融公庫業務概況であります。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。     ―――――――――――――
  6. 堀之内久男

    堀之内委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤元次君。
  7. 近藤元次

    近藤(元)委員 四全総ということで、一昨年以来一極主義四全総構想が出るか否かということで大変長いこと議論をされてまいりました。当然のことながら、多極的に日本国土を均衡ある発展をさせなければいけないという四全総構想が出てまいりました。大臣大変指導力を発揮されて、立派な四全総計画が発表されたことについて評価を申し上げたいと思う次第でございます。  しかしながら、そのような四全総計画がなされたにもかかわらず、当面は土地問題ということが緊急的な政治課題となってまいりまして、農村地方、とりわけ国土庁所管をするところの地方振興局によって行政が行われておるところはおおむね地価が下落いたしておるというようなことです。残念ながら、東京中心にする都市は急騰し、また地方における農村土地価格が下落をするということが今日的な状況になっておるわけでありまして、政府の方でもいわば緊急的な土地対策に取り組んでおられるようでありますけれども、当面どのような経過で対処をされる御相談をされておるか。あるいは、その土地対策大臣の談話で時々発表されておるところでありますけれども、具体的には、第一段階、第二段階、第三段階ということで土地対策をされるような感じで実は我々受け取っておるわけでありまして、土地委員会憲法学者が入られておるということでもございますから、土地に取り組む大臣の姿勢を最初に一言御質問申し上げておきたいと思います。
  8. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま四全総の策定について高い評価を与えていただきまして、ありがとうございます。  ただいま御質問の土地の問題でございますが、地価の問題は、今御指摘のように日本国土の中で東京中心にして大変に土地の暴騰しておる地域と、逆に土地が値下がりをしておる地域と両極端があるわけでありまして、日本国土土地政策というよりもむしろ東京中心にした一部の地域土地政策ということが問題になっておると思うわけでございます。  そういう意味におきまして、さきの国会で国土利用計画法改正をお願いいたしまして、今回監視区域その他を設けて個々にそれぞれチェックをすることができるようにしたわけでございます。この八月一日からこれが発効いたしまして、それぞれ各地域において有効な手だてを今準備し、あるいは実施していただいておるところでございます。  なお、今回所得税法の一部改正の中に盛り込んであります短期転がしの利得に対しまして、超重課の課税をするという内容がございますので、これが実施されますることによってある程度の効果が得られるものと考えております。  このように申し上げるように、日本国土土地政策というよりも東京中心にした地域土地政策ということでございまして、いろいろな問題がございますが、さらにきめ細かくこれらの需要供給のバランスが図られるような方向で努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  9. 近藤元次

    近藤(元)委員 土地問題を取り上げると大変長い時間がかかるわけで、限られた三十分という時間でございますが、今土地が値上がりをして大変な社会問題を起こしそうだということで対策をされていることは私は当然のことだと思うのです。しかしそれよりもなお深刻に受けとめていただかなければならないのは、この時期、日本の国の経済が世界的な発展をしながらも土地が下がるというところに一つの焦点を合わせてお考えをいただいておかないと、四全総の多極主義というものは絵にかいたもちになってしまう。結論的には一極主義になってしまうことになりかねないわけでありますから、土地が上がることも問題ですが、このような時期に土地が下がるというところの原因の排除をひとつ強く要望いたしておきたいと思います。  そういう意味合いからして、この四全総の中で離島というのはどんな位置づけをされておるのかということを、離島所管大臣から一言承らせていただきたいと思います。
  10. 長沢哲夫

    長沢政府委員 四全総における離島位置づけについてお答えを申し上げます。  離島は御承知のように地理的な特殊事情に起因する制約によりまして、経済的、社会的諸条件の面で他の地域より不利な条件下にございます。そこで四全総では、特定地域活性化というテーマのもとに、豪雪地帯半島地域と並びまして離島を特別に取り上げておりまして、その開発整備方向を明らかにいたしております。  今後の発展方向としては、従来どおり島内外との交通情報通信利便性の向上あるいは生活環境の改善と安全性の確保を図ってまいることはもとよりでございますが、さらに積極的な意味合いにおきまして、離島の豊かな自然的、歴史的環境を積極的に活用した観光開発推進する、あるいは離島の特性を生かした産業振興を図る。それから、二百海里体制が定着してきておりますが、二百海里体制下における海洋の利用開発拠点としての条件整備といったことを積極的に進めていくことといたしてございます。
  11. 近藤元次

    近藤(元)委員 離島振興法ができて以来ずっと同じようなことを聞いてきておるわけですけれども、現実はそのような姿よりもむしろ後退をしておるのが離島の姿ではないだろうかと思うわけであります。  離島振興法も制定以来余り大きな改正がなされぬままに今日を迎えてまいりました。法律改正をしたいと思う気持ちが離島の町村長にはやまやまあれども、改正時期になると、改正すると補助率を下げられるか、採択基準をまた悪いように条件改正がされるかというようなことを非常に心配をされて、ここ二回ほどの法律期限切れの改正の時期は単純延長ということで過ごしてまいりました。今までの離島振興法というのは、精神は別としても、具体的には補助率アップをし、そしてまた採択基準を、少なくても採択していこうというようなことが公共事業の中で優遇をされてきた条件でございますけれども、実際問題としては公共事業だけのことで離島に生活をする人たちのすべてが救済をされるかというと、そうはまいらない状況であることは言うまでもないことなのであります。  そろそろ国民生活も最高の水準を迎えようとしておる日本の今日の経済事情の中で、公共事業の優遇措置以外に、離島で住むという条件の中ではやはり総合的ないろいろな面を勘案しながら整備をしていくという今の御発言のような形で進めてもらうためには、いろいろな考え方があろうかと思うけれども、ひとつ予算面から考えてみても離島は本土と違って調整費というのがございません。国土庁所管はしておりますけれども、調整費は離島の予算の中にはないのであって、今のような調整費の意味合いからすればあるいは離島には要らないのかもわかりませんが、少なくとももっと総合的に調整をするというようなことを、国土庁自身がお金を持っておるか、そうでなければ一括離島の予算は国土庁がお預かりをして配分をするかという流れにしていかないと、離島の全体の総合的な、今お話しのように、離島といっても佐渡のようなでっかい離島もあれば小さなところもあればという、行政だけでも三百四十ですか、二十ですか、人が住んでおるだけでも四百幾つの島があるわけです。そういう意味合いからすれば、私は、今の場合にはそれぞれ各省が離島の分ですというようなことで、各省の配分の中を国土庁が預かってきて、それの配分を町村にしていくという姿になっておるわけであります。それがいい悪いという前に、今の流れの中で、各省庁間の中で全部離島の予算は幾らと言って受け取って、それを陣容的にいってもまた指導する面でも監督する面でも今の状況では無理でございますので、でき得ればそこを調整する分の予算ぐらいはぜひ新しい時代を迎えるときに離島振興課がお持ちをいただくということが、島全体を総合的に予算面から見たやり方としては一番必要なのではないだろうか、こう思うわけであります。  この考え方についてどのようにお考えいただけるか、一言お尋ねをいたしておきたいと思います。
  12. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 離島振興に係る公共事業等の予算につきましては、今先生のおっしゃるように、第一義的には各省庁が離島以外の部分と離島との仕分けをして、離島部分を国土庁に一括計上するという仕組みで予算の編成が行われているわけでございますが、その配分に当たっては地域の実情を十分考慮して、地域の総合的な振興に資するように、できるだけ各種の事業間の調整に配慮しながら予算の地域的な配分に心がけていくつもりでございます。  今先生のお話にありました一括計上、予算の中に国土庁独自の予算として離島関係調整費を計上したらどうかという御提言でございましたが、私どもとしても、理想としてはそういうような予算を持ちたいと思っております。しかしながら、現行はそのようになっていないわけでございますので、運用上極力そういうような配慮をしながら、同時に国土庁の持っている国土開発の総合的な調整費の効果的な運用の中で対処をするという状況になっておりまして、当面はそういう方向で対処をさせていただきたいと思いますが、将来の課題として十分私どもも検討していきたい、かように思います。
  13. 近藤元次

    近藤(元)委員 賛意を表していただいたことでありますし、またこれがないと、恐らく国土庁自身、離島振興課自身、予算の配分について効率的に効果を上げていくという面ではかなり困難な時期を迎えておるのではないだろうかと思うわけであります。ですから離島の市町村長は、離島振興課へ行っても物は片づかないで、各省の各課に必ず回らなければ、そしてそこの方が、お願いをする政府側の窓口として明快な回答もいただけるということが過去、今まで、今日ずっとそういう姿で推移をしてまいったわけであります。いずれにしても離島行政の責任者あるいは県の責任者が離島振興課で明快に御回答をいただいて離島の仕事、公共事業を片づけていくという姿を早く実現することが一番大事ではなかろうか。これは、私は局長なり担当課長は痛切に感じておることだと思うので、大臣からも特に御配慮をいただくようにお願いを申し上げたいと思います。  もう一つは、何といっても離島でハンディがあることは海上があるということでありますから、海上を国道なり県道なりに認定をされておるわけでありますけれども、これは認定だけの話であって、ここに投資をしていないわけであります。世間一般の人から見れば、何なのか。海上に国道があって、そうしなければ離島の国道ができないというのは、起点から終点に至るまで十万以上の人口を擁する都市都市とを結ぶという国道の条件の中で、ただ海上を間に合わせのために認定をいたしておるということであります。しかし県道その他市町村道を含めても、離島の中の海上というものに対して、基本的には排除していくということになれば、離島のハンディの排除をすることになれば、海上に対して赤字でどうにもならない航路運賃の補助をするということもさることながら、その通うべき船の建造に対してむしろ補助を出してやるのが国道、県道というような公共的な道路の認定をするときの予算上の一つの必要性でないだろうか、こう思うのであります。  それから、離島においでをいただく人というのは、大体夏場の観光期のいいときにしか来ない。どうぞ一回、冬の荒れるときに外からお客さんが来ると、物を言うことが全然変わってまいります。夏に来る人は、いいところに住んでいるね、こんないいところで、空気はいいし、魚はうまいしということで大体お褒めをいただくのです。冬においでをいただく人がたまにあると、よくもこんなところに住んでいるな、大体こんなのが帰りの言葉、印象になってくるわけですから。  そういう意味では、今は飛行機というのが離島に、実はたくさん赤字を抱えながらも、私どもの佐渡ケ島でも、市町村がおよそ二千万くらい県と補助をしながら、九人乗りの飛行機を不定期という名のもとに定期で飛んでいただいておるわけであります。なぜ不定期にするかと言えば、定期にすればスチュワーデスから何から一切乗せなければだめなわけですから、そういう意味では経費の節減というために不定期という定期で飛んでいるのだろうと私は思うのです。それでもなお二千万の赤字が出ておるということでございます。そういう意味合いでは、船は赤字に対して補てんをしていただいておるわけでありますけれども、今まさにエアバスなんというようなことで都市都市との間をげた履きで、あるいは農道空港というようなことが言われておるさなかに、離島ということで赤字を抱えながら財政力の弱い町村が飛行機を飛ばしておるところを見て見ないふりをすることはもうそろそろいけない時期に来ておるんではないだろうか。この空港対策というのは一体どう考えて、離島の飛行機を飛ばせるかということに対して、これは極めて大事なことだと思うのであります。  少なくとも離島振興というのは、島の中で医療も間に合う、高等教育も間に合う、すべてその地域の中で間に合うということが生活の最低条件でありますけれども、やむを得ずそれもできないというところには、それをあえて島の人たちの税で克服しようとしておる飛行機というものは、救急医療の立場からも、いろいろな意味合いで必要欠くことのできない航空路になっておるわけでありまして、この点について、国道、県道に認定をしておるところの航路の船の建造に対しての補助の扱い方、道路整備をするというお考えで扱っていただければ扱いができるんではないだろうか、航空運賃の赤字に対する補てんをどうするかという二点について御返答いただきたいと思います。
  14. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 離島航路に係る船舶の建造費については、御案内のように船舶整備公団による融資制度があるわけでございますが、十分ではないという御意見が非常に強いという状況にございます。それから、離島の空路につきましては、最近における本土と離島とを結ぶ船舶の大型化あるいは高速化に伴って空路の維持が極めて厳しい環境条件にさらされているような状況のもとで、その維持について地元自治体を中心として大変な御苦労をなさっているという実情については私ども十分承知しておるところでございます。  そういう離島航路あるいは離島船舶の整備の促進、さらには離島空港あるいは離島空路の維持、そういう離島と本土とを結ぶ交通体系の総合的なあり方については、交通手段の国民需要の変化に対応したあり方等を中心に基本的に検討しなければならないと思っておりまして、私どもとしては、直接の所管であります運輸省等とも十分検討しながら、今後のあり方を考えていきたいと思っております。
  15. 近藤元次

    近藤(元)委員 ぜひ空路についても御検討いただきたいと思いますし、また御検討も長くかからないように、できるだけ早く御回答いただければありがたい、そう思います。  最後に、ここ数年来、佐渡ケ島に永六輔さんやいろいろな人が来て佐渡独立論というものをときどき話をして、これが一回ならず夏のシーズンになると来て、若い人を集めたり地域の人を集めてそういう話をずっと毎回繰り返されたときがございます。別に佐渡の人が独立したいということではございませんが、そういういわば知名度の高い人がそういう話をずっとされてくると、一体独立というのはどんなときにどうやってできるのかということを一回聞いてくださいというお尋ねが私にあって、私は能力がなくて回答ができませんでしたけれども、離島所管大臣に聞けばお答えをいただけるかと思って、佐渡が独立をするときには住んでおる島民の意思によって決定されるものか、手続が要るものか、戦争を起こさなければだめなものか、どうなのかということを博識の大臣から、そして所管でありますから、ひとつ御回答がいただけたら大変ありがたいと思います。
  16. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先日、私も佐渡を訪れまして、すべての市町村を回らせていただきました。今おっしゃいましたように気候のいいときでよく見えたのかもしれませんが、一遍冬も訪れてみたいと思っております。  独立をするとかしないとかいうことは、つまりそこに住む住民の皆様方がより高いレベルの生活水準を望む、こういうことだと思いますので、独立をするとかしないということは別にいたしまして、さらに佐渡の住民の皆様方のすべてのレベルアップができるように今後一生懸命努力をさせていただきたいと思っております。
  17. 近藤元次

    近藤(元)委員 その程度なら私もわかるのであえてお尋ねすることはないのですけれども、これ以上恐らく、大臣のそのような御回答は通告をされての御回答でありますから、法的手続その他ということはないということで、物騒なことが起こらない限り独立というのはなかなか困難だというふうなことではなかろうかと推察を申し上げておきたいと思います。  今大臣がいみじくも、そういうような同じ国の中にあって生活水準の格差が著しくなったり、冒頭申し上げたように片や坪当たり一億何千万というような坪単価になっておるかと思うと、私ども佐渡における全島の山を売却しても東京に来て一坪買えないというようなそんな気違いみたいな土地価格の格差があるということを緊急的に改正をしていかないと、そういう話が数年まかり通ってまたそれに興味を持って佐渡の島民なり離島の人たちが集まってくるというようなこと自体は、私ども政治家として心に決めておかなければならない出来事ではないだろうかと思うわけであります。そういう意味合いでは、離島というようなことで、もう老人の島というような姿にだんだん変わりつつあるわけであります。  私は、二百海里が起きたとき、ある意味では日本国土というのは四方海でありますから、二百海里をしたことによって海底資源を含めて、海底の面積を含めて日本国土も広くなったかなという印象を受けたわけであります。二百海里のハンディをどうやって克服していくかということになれば、海底資源というものに対してどこの省の所管になるのかわからないんでありますけれども、国土庁ではないのかと思うわけであります。それは鉱物ならば通産省かもわかりません、あるいは水産物ならば農林水産省かもわかりませんけれども、国土という立場全体を考えれば、日本の国の海底のいわば資源、調査状況というようなものに対して国土庁所管をされておるのではないだろうかと思うので、この辺の調査というものは二百海里以来十年たって一体どういうふうに進んでおるのか、どういう位置づけをされておるのか、どう取り組もうとしておるのか、もし所管でありましたら所見を承らせていただきたいと思います。
  18. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 離島が二百海里問題との関連で占める役割というのは極めて重要でございまして、日本の陸地面積は世界でも極めて狭い方の地位にあるわけでございますが、経済水域面積になりますと世界でも上位から第七位というようなところにありますので、経済水域、それだけの水域を持つに至った離島の果たす役割は今後重視していかなければならないと思います。  そこで、離島周辺の海底資源の開発というのは今後の大きな課題でございまして、四全総の中でも今後離島振興の一つの重要な施策の方向として離島の持つ恵まれた海洋資源を活用する、その中にはいわゆる海底資源も含むわけでございますが、そういう海洋資源の開発に努めることによって離島の持つ全国民的な意義を果たすことが必要であるというような思想から四全総が記述されているわけでございます。直接には農林水産省とか科学技術庁とがそれぞれの立場から資源開発のあり方について研究を進めているというふうにお聞きしておりますが、私ども国土庁の立場としても調査調整費というような手段を持っておりますので、必要に応じてそういうことも含めて対処していきたいというふうに考えております。
  19. 近藤元次

    近藤(元)委員 これで終わりにいたしたいと思います。  今の海洋開発四全総の中に位置づけられておることは承知をしておるわけですが、二百海里が起きて以来という海底調査は、三全総の後半からの二百海里問題でありますから無理な点もあったと思うのですけれども、今度は具体的に国土庁あたりでひとつ所管をして、日本国土としてこの二百海里問題というのは位置づけておかないと、世界の海は日本の海と言われて世界の漁場を開発してきた日本が、二百海里で非常に厳しい環境の中で締め出しを食っておるわけでありますから、いやが上にも二百海里経済水域の中のところで日本のあらゆる産業がこれからふくそうしながら生活の基盤としていかなければならないところでありますので、ぜひ国土庁から新しい取り組みとして具体的に行動を起こしていただきますように強く要望を申し上げて質問を終わりにいたしたいと思います。
  20. 堀之内久男

    堀之内委員長 小川国彦君。
  21. 小川国彦

    小川(国)委員 最初に国土庁長官にお伺いしたいのでございますが、先日、ある報道機関から全国会議員に地価高騰の問題について、東京から始まった地価の高騰が首都圏全体からさらに地方の大都市に広がっているということで、いろいろな設問のアンケート調査が配られたわけです。  その中の質問の一つに、「地価の高騰に対して行政が有効な手立てを打てない一因として、国土庁の権限の弱さや各省庁の縦割りのバラバラ行政が指摘されています。あなたは、この現状をどう思われますか。」その中の一つとして、「土地利用計画地価対策を一元的にやれるように、たとえば国土庁国土省に昇格させるなど、行政組織を改革すべきだ。」あるいは「ある程度の縦割りはやむをえないが、国土庁にもっと強い権限を持たせて、対策を実行しやすいようにすべきだ。」こういうようなことをアンケートで丸印をつけて選ぶようにという中に書かれているわけです。これは、期せずして今日の土地問題に対する、特に地価の高騰に対して有効な手段として国土庁の権限強化ということが必要だということを設問の中にして、これは非常に権威のある報道機関がやっている調査の中の項目なんですが、これは恐らく長官の手元にもこういう調査が参ったと思いますが、長官はこれについてどういうようなお答えというかお考えを持っていらっしゃるか、まずそれをちょっとお伺いしたい。
  22. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御存じのように国土庁昭和四十九年にできまして、ことして十三年目の役所でございます。その国土庁ができました背景に国土利用計画法という法律があるわけでございまして、この国土利用計画法を背景に土地政策を今まで行ってまいりまして、それ以来、日本地価というものが非常に安定をしてきたと言われておるわけでございます。  今回の地価高騰と言われますものが、御存じのように東京の一極集中、国際都市としてのいろいろの条件から派生したと言われておるわけでございまして、これに対しまして国土庁といたしましてもいろいろの施策を今考えております。特に、先ほどからも申し上げましたように、日本地価対策というよりも東京中心地価対策ということでございますので、東京都その他周辺の自治体ともいろいろと御相談をしながら監視制度をつくるとか、あるいはさらに需要供給を満たすための施策を行うとか、さらに最近の金余り現象から、これに対する投機的な投資が多いということから、これを規制する意味の法律を提出させていただいたり、いろいろやっておるわけでございます。  なお、国土利用計画法の中には十二条、十三条に規制区域を設けて土地をすべて許可制にするというような強権発動のできるような法律もあるわけでございます。しかし、これらを発動するということにつきましては諸般の混乱が予想されますので慎重にしておるわけでございますが、ただいま行っておるような国土庁中心にしたいろいろの地方自治体あるいは関係機関との協議によって総合的な施策が行われておると思っております。庁を省にしたからさらに行政的にうまくいくというものではないというふうに考えております。
  23. 小川国彦

    小川(国)委員 今お答えの中でありました国土庁の権限強化ということは、確かに庁を省にしたからというものではない。しかし問題は、今の各省庁のぱらぱら行政を、やはり少なくも土地問題については一点突破でいくなら、国土庁がこれに対しての有効な手段を発動できるようでなければならないということでありますが、それについて十二条、十三条の発動についての要件というものをどういうふうに国土庁としては判断をしておられるのか、私どもはもう既にその条件が成熟している、こういうふうに判断するわけでありますが、この点についてはいかがでありますか。
  24. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 土地は御存じのように憲法二十九条で財産権というものを保障しておるわけであります。それに対しまして私権の制限をするという法律はいろいろあります。土地収用法もその一つでございます。農地法もそうです。都市計画法もそうです。そしてまた国土利用計画法もその一つでございまして、私権の制限をやれやれと言われますが、これをさらに強力にやるときは、例えば土地収用法ももっと強力にやれという御意見もありますし、いろいろやることによって、プラスの面も出てくると思いますが、マイナスの面も出てくるということでございまして、今の十二条は行政の自治体の長がこれは判断をしてやることになっておりますし、十三条は総理大臣がこれを判断することによってできることになっておるわけでございますが、これらの私権制限というものについては、今行っておりますような諸施策がうまくいかない、さらに土地暴騰が続いていくというような状態のときには自治体とよく相談をしてみなければならないという問題だと考えております。
  25. 小川国彦

    小川(国)委員 その中で、今度の第四次全国総合開発計画というものがつくられておりまして、その中で東京圏の整備の問題として多極分散型国土形成により過密化防止、このまま放置すれば現在の三千万人の人口がさらに五百万人以上増加するが、三百万人程度にとどめるということをうたっているわけでありますが、これを具体的に歯どめをかける施策というのはどういうことでお考えになっておりますか。
  26. 長沢哲夫

    長沢政府委員 先生おっしゃいますとおり、四全総では東京一極集中の是正をうたっているわけでございますが、そのために具体的には交流ネットワーク構想という開発構想を推進していくことにいたしておりまして、三つ柱がございます。第一は地域が主体となった個性豊かな地域づくり、第二は地域間の交流を支える高速交通体系等の整備、第三はいろいろな交流の機会を発展させていく、こういう施策でございます。また、より具体的な東京一極集中是正策といたしましては、工業の分散・再配置政策の推進、あるいは政府機関の移転、再配置等の検討、推進、それから全国的な意味を持ちます文化、研究施設の東京外立地の促進、事務所立地の地方都市等への誘導措置の検討、さらに幅広い観点から遷都問題、展都問題、分都問題、これらについても検討を進めていくということを示したところでございます。
  27. 小川国彦

    小川(国)委員 現在先端産業や業種ビルがどんどん首都圏に集中してしまう、この点については、四全総の中でこれを抑え込む力というものはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  28. 長沢哲夫

    長沢政府委員 産業構造が非常に大きく激しく変化している中で先端技術産業が伸びているわけでございますが、これを抑え込むというよりは、むしろ東京以外の各都市におきましてそれぞれの地域の特性に応じた形で件付していく、振興していく、こういう考え方をとっております。
  29. 小川国彦

    小川(国)委員 なかなかそれのための有効な手だてがないと私ども思うわけでありますが、もう一つは業務ビルの問題です。この業務ビルに対しては税金をかけたらどうか。ヨーロッパでは業務ビルに税金をかけるという方法がとられているわけですが、我が国ではこういうものを取り入れる考えはないのですか。
  30. 長沢哲夫

    長沢政府委員 四全総の策定過程におきましても特別事業所税という問題が検討の素材に上がりまして、大変いろいろ各方面の御議論をいただいた問題でございまして、四全総の最終報告をいただきますときに、単純に東京都心部から追い出しを図るという狭い考え方でなくて、税制、財政、金融政策全体の観点、あるいはさらに首都機能のあり方といった幅広い観点から検討を進めるようにということを留意事項として国土審からも報告をいただいておりますので、私どももそのような幅広い観点から検討を進めていきたいと考えております。
  31. 小川国彦

    小川(国)委員 これについては四全総の中には、東京中心部等に立地する事務所に対しその便益の享受に応じて負担を求める等の措置を検討する、こういう文言で入っているわけですが、今お話しのように四全総策定の過程でこれは非常に論議があった、そして国土政策懇談会の中では特別事業所税構想という形で論じられた、ところが財界や東京都の反発で今のような文面に後退した、こういうふうに言われているのですが、この点はいかがなんですか。
  32. 長沢哲夫

    長沢政府委員 大変いろいろ御議論をいただいたことは事実でございまして、当初考えられていた構想より、より幅広い観点からの検討が必要である、こういうふうに最後は落ちついたものでございます。後退したわけではございません。
  33. 小川国彦

    小川(国)委員 私どもヨーロッパのいろいろな仕組みを見ますと、イギリスあたりでは事務所及び産業開発規制法というものがありまして、例えばロンドン市内で二百八十平米の敷地を超えて新規に事務所を建設、増設するときには許可が必要ということで、これは環境庁が認可権を持ったということですが、かなり厳しい許可条件で対処した。あるいはフランスでも、一九六〇年に、工場では千五百平米、事務所では千平米以上の敷地に工場、事務所を新設する場合はやはり許可が必要、これは都市住宅省が認可し、タタールという国土庁に当たるところも書類の審査をやった、こういうような事例を伺っているわけであります。  首都東京については、少なくも業務ビルに対しての対応についてはかなり思い切った施策を講じなければこれを抑え切ることはできないのじゃないか。こういうヨーロッパのような思い切った規制法というような考え方とかあるいは事業所税というような考え方でいかないと、人が住まなくなる東京、そして空間のなくなる東京ということになって、将来の災害の発生時等を考えてみても、今のままの首都圏東京というものは一大災害時には死滅都市になるだろうというおそれさえ抱かれるわけでありますが、そういう点についてはいかがお考えですか。
  34. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 突然の御質問で、ヨーロッパの制度につきましては私の記憶ですから多少不安なところがございますが、イギリスは、先生おっしゃいますように分散の時代に事務所等の許可制度をとっておりましたが、圧縮して申しますと、一九六七年を境に大ロンドンの経済活動の低下の傾向が始まりまして、特に一九七九年のサッチャーになりまして先生のおっしゃいましたような仕組みを修正いたしまして、例えばロンドンのドックランドの再開発とか、そういうものを始めております。それからフランスでは、先生おっしゃいますように一九六〇年に事務所と工場を大パリ圏と申しますか、パリ首都圏で規制を始めまして賦課金を取る仕組みをやりましたが、やはりインナーシティー問題と申しますか、パリの活力の低下の問題が指摘されまして、賦課金を時価に合わせて上げるようなことを控えておるというようなことで、ヨーロッパその他は、フランスとイギリスの例でございますが、いずれもインナーシティ問題とか活力の低下で少し軌道修正をしておるように思います。したがいまして、我々勉強しておりますが、日本でどういうふうにやったらいいかということについては幅広い観点から今後も検討しなければいかぬ課題だ、かように考えております。
  35. 小川国彦

    小川(国)委員 幅広い観点といいつつも、現実には東京の三千万人の人口がさらに膨れ上がっていくということの有効な決め手がないというところが問題じゃないのか。そこのところに新たな立法措置なり、規制措置なり、都市計画的な観点の規制なり、そうした思い切った施策がないと、さっき申し上げたようにばらばら行政の中でいつまでたってもけじめがつかない。欧米の場合と日本の首都東京の場合の膨れ上がり方、日本の場合はこれはもうまさに異常としか言いようのない首都圏の膨れ上がり方ではないかと思うのです。ここへの幅広いと言うのですが、ではその中で何を最も有効な手段としてお考えになっているのか、その点はいかがですか。
  36. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 四全総の中でもほとんどの問題が東京一極集中ではなくて、多極分散型といいますか、地方にものを分散させようという考えでいろいろな政策が提案されております。と同時に、東京の大都市圏、一都三県で約三千万の人が住んでおるわけでありますが、そこも多極型の構造に変えようということで、東京都でいえば都心中心主義ではなくて副都心、臨海部を入れますと今七つありますが、それから三県の中で、私どもの言葉では業務都市と言っておりますが、千葉、成田、木更津、横浜、川崎、筑波、浦和、大宮、そういうところに東京の一部の機能を分散させて、そこのコアと申しますか、業務都市を育成することによって一点に集中するものを再改造しょうというような政策をとろうということをうたっております。
  37. 小川国彦

    小川(国)委員 その具体的な取り組みについてはまだ次の機会に伺いたいと思いますが、私ども一番懸念しますのは、そういう方策が講じられるにせよ、現状の膨れ上がった首都において今日例えば関東大震災程度の、あってはならないことですが、そういう災害が発生した場合、東京の人口の半分がだめになる、あるいは国の出された文書の中で四百万人の人々が避難場所にたどりつけないというような見方もある、政府の資料もあった、こういうふうに聞いているわけでありますが、こういった災害発生の事態に備えての国土計画、首都圏計画はどういうふうになっておりますか。
  38. 三木克彦

    ○三木政府委員 我が国は過去に多くの地震災害を経験しております。そういったことで、大都市の震災対策は災害対策の中で最も重要な問題であると考えておるわけでございます。  大都市震災対策といたしましては、災害対策基本法の趣旨にのっとりまして大都市震災対策推進要綱というものを決めております。この中で、三本柱と言っておりますが、一つは都市防災化の推進、二つ目が防災体制の強化と防災意識の高揚、三つ目が地震予知の推進でございますが、この三つを基本として推進しているところでございます。ただいまの避難地、避難路といった問題につきましては、都市防災化の推進の中の大きな柱でございまして、関係機関と十分調整をしながらその整備を進めているところでございます。
  39. 小川国彦

    小川(国)委員 東京都内には地下街から高層ビル、首都高速道路、ゼロメートル地帯、非常にさまざまな危険性を持った場所がたくさんございまして、一朝有時の際に、かつて美濃部時代の東京都の資料あるいは政府の資料等でも、首都圏の人口の半分がこういう災害時に救済できないような状況の起こり得るということが伝えられているわけですが、今現在もしそういう災害が起こった場合、それを回避し得るという有効な手だては今の国土庁のお考えの中であるのかどうか、簡潔に御答弁願いたいと思います。
  40. 三木克彦

    ○三木政府委員 ただいま震災対策概要について申し上げましたが、東京都においても地域の防災計画をつくりまして、この中で仰せのような災害が起こった場合にどう対処すべきかということについてきめの細かい施策を講じておるわけでございます。  ただいま仰せられました被害想定についてはいろいろな見方がございますが、大きなものになりますとやはり関係の罹災者が三百万人を超えるというような想定もあるわけでございます。こういった罹災の状況に対応いたしまして、きめ細かく都市の防災化の推進、また応急体制の整備というものを図っていくことにしております。
  41. 小川国彦

    小川(国)委員 この三百万人をゼロにするという御計画はおありなんですか。そして、そのめどはどうなっていますか。
  42. 三木克彦

    ○三木政府委員 できるだけ罹災者が少なくなるようにいたしてまいるのが震災対策の基本であると思っております。
  43. 小川国彦

    小川(国)委員 東京の公有地等は、こういうことを考えて払い下げてはいかぬということになっているのですが、自民党でも昭和四十三年に、田中角榮さんが会長の自民党都市政策調査会の報告の中で、「公有地の拡大と活用」という中で「国および自治体が都市改造を強力に進めるためには、自由に利用できる公有地を大量に確保する必要がある。とくに工場・学校の跡地などは、できるだけ公有地として取得し、都市改造のために活用する。」それから、「財政のやりくりのために都市内の公有地を売却することは、原則として」やめるべきである。「国有地は財政的見地から処分するよりも、政策手段として利用することのほうが重要である。」こういう大綱を出しているのですが、今日はこういう方針が全く放置されて、公有地は国鉄を初めどんどん払い下げられてしまう。ですから、一朝有事の際に都民が避難する場所がない。したがって、避難場所がどんどん遠くなる。そのために、先ほどのように災害が起こっても四百万人の人が避難地にたどり着けないという状況が起こっているわけなんです。  こういうことからいうならば、人間一人の今も大切だと考える観点からいけば、関係の罹災者が三百万人と想定されるものをゼロにするめどというか計画というものがなければならぬと私は思うのですが、これについて国土庁としてそのめどをどういうふうにつけてこの解消を図っていくのかという御計画はないのですか。
  44. 三木克彦

    ○三木政府委員 罹災者は必ずしも直ちに死者や負傷者につながるというものではございません。そういうふうな被害を直接第一次的に受けるという方々の数を想定しているわけでございます。しかし、この方々が少ない方がいいわけでございまして、そのために先ほど申し上げたようないろいろな施策を講ずるわけでございます。  そういった意味で、都市の防災化の推進という観点から申しますと、不燃化を進めるとか防災拠点をつくるとか避難路、避難地を整備するとか、そういうきめの細かい施策をいろいろとやって万全を期してまいりたい、こういう考え方でございます。
  45. 小川国彦

    小川(国)委員 首都圏で災害が発生した場合三百万人の罹災者というものを想定している、それに対してどれだけこの罹災者がそういう死傷病のような事態を避けられるのか、それについての具体的な計画についてちょっと質疑している時間がありませんので、これは委員長、後ほど文書でいただけたらと思います。
  46. 堀之内久男

    堀之内委員長 善処いたします。
  47. 小川国彦

    小川(国)委員 最後に私は埋め立ての問題について伺いたいのですが、今、首都圏のそういう状況の中から、東京湾埋め立ての構想はもう二十幾つも出てきているという状況なのであります。確かに狭隘な国土の中では東京湾の埋め立て利用ということが一つの方向として出てくるのは当然であろう。それからさらに、今首都圏でこの地価高騰の中では、若い働くサラリーマンが職場は東京にあっても住宅を求めることができない。首都圏に住んだらもう住宅は持てない。若い人たちは自分の住まいを持つことを放棄せざるを得ない。東京大学のある有名な工学博士のお話だと、災害があったときに一番安全な方法は自分の庭に穴を掘ることだ、そして避難することが一番安全だ、こういうことをおっしゃった先生がおられたそうでありますけれども、残念ながらマンションの十階に住んでは穴を掘る場所もない、こういう状況があって、もし埋め立てということも一つ考えられるならば、それこそ庶民の住宅地としてそこが活用されるようなことが第一義的に考えられてもいいのではないか。職はあっても住はなしというのが今の首都圏の事態、こういうふうに考えると、その辺のところを結びつけてどういうふうに国土庁としてはお考えになっているのか、その辺をちょっと伺いたいと思います。
  48. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 東京湾の水面あるいはその周辺の臨海部につきましては今いろいろな動きがございまして、先生のような御提案からいろいろな御提案が各方面から出ております。私どもとしましては、個々の問題につきましては公有水面埋立法の問題かと思いますが、やはり東京湾全体が大変貴重な空間でございますし、かけがえのない空間でございますので、今後の利用と保全のあり方につきまして二、三年かけましてガイドラインと申しますかマスタープランと申しますか、そういうものをつくっていこうということで今予算要求をしておる最中でございます。
  49. 小川国彦

    小川(国)委員 実はこの埋め立ての問題も、私は東京湾岸の埋め立て問題についてはずっといろいろ研究をしてまいりましたけれども、実にばらばらでありまして、例えば江戸の河川の河口敷につける埋め立ては建設省がやるあるいは海岸部分は運輸省がやる、それからその埋め立てをあれしている埋立法も片仮名の法律で非常に古い法律である、そして統一的な国としての指導理念はそこにはない、埋立地は一たび埋立許可を与えたらその利用計画は全部地方自治体にゆだねられている、しかも地方自治体はそれを恣意的に都市計画もないままに土地の処分が行われている、埋立地の行政というものには国土計画なしというふうに私ども思っておるわけであります。しかも、東京湾の埋め立て自体は、お話しのように、今住んでいる人たちの干潟をなくしてきたというような大きな環境問題もある、まさに国土庁がこの問題を一元的な問題として東京湾の利用というものをどう考えるか、これは早期の仕事だというふうに考えるわけであります。そういう意味で、国土庁が、二、三年と言わずもっと積極的に取り組む方途というのはどういうふうにお考えになっているか、その点を最後に伺いたいと思います。
  50. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 大変難しい問題でございますし、説得力のあるものをつくり上げなければいけませんので、やはり必要な費用と時間はかかるのではないかと考えておりますが、東京湾につきまして、利用と保全のあり方について先生の御指摘のような点を含めまして積極的に取り組んでまいりたい、かように考えております。
  51. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  52. 堀之内久男

    堀之内委員長 新村勝雄君。
  53. 新村勝雄

    ○新村委員 まず初めに、土地の払い下げの問題について伺いたいのです。  国家公務員等共済組合連合会の所有する土地を西本願寺に払い下げたという払い下げの問題があるわけですけれども、この問題について既に参議院で我が党の議員が質問をいたしておりまして、それに対する回答がありましたけれども、なお釈然としない点がありますので、それに関連してお伺いをしたいと思います。  まず、この土地の払い下げについては国有地に準ずる扱いを促すべき土地であると思います。そこで、原則としては一般競争入札にすべきものであると思いますけれども、国土利用計画法との関係があって随意契約にしたという説明でありますが、この問題についてまず現在の規定によりますと、会計法の二十九条を準用するという原則があると思いますけれども、それでよろしいわけですか。
  54. 戸塚岩夫

    戸塚参考人 お答えいたします。  先生お話しのように、国有地に準ずるというような扱いには連合会の土地についてはなっておらないのであります。国土利用計画法のもとで連合会は、その適用の範囲内で取り扱っていかなければならないという立場でございます。
  55. 新村勝雄

    ○新村委員 大蔵省見えていますか。――大蔵省の御見解をお伺いします。
  56. 山口公生

    山口(公)説明員 お答え申し上げます。  国家公務員の連合会の場合は、先生御指摘のとおり、会計法二十九条の三というものの規定とほぼ同じような施行規則を持っておりまして、施行規則の二十六条の二で同様の趣旨を規定しておるわけでございます。
  57. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、国家公務員等共済組合連合会土地については原則としては今御答弁のように、会計法二十九条の適用ですか、準用ですか、するということですね。それで一方では国土利用計画法があるわけですけれども、原則はやはり競争入札でやるということになるわけですが、今理事長さんのお答えによりますと、そういう立場にはないという御答弁でありましたけれども、それはどちらが正しいのですか。
  58. 戸塚岩夫

    戸塚参考人 お答えいたします。  ただいま山口済課長がお答えになったのは契約の原則といいますか、一般的な契約をする場合の競争原則をうたったものでありまして、土地について国土利用計画法という法律がございますので、その法律の適用をもろに受けるのが連合会の立場でございますので、その範囲内で国に準じて、その法律の適用のない国に準じての一般競争的なことは連合会としてはできない立場でございます。
  59. 新村勝雄

    ○新村委員 大蔵省にお伺いしますけれども、一方には土地利用計画法がある。そこでは、これは市街化区域ですか、二十平方メートル以上については特別の扱いをしなければいけないということでありますが、そうすると、その二千平方メートル以上の土地については会計法の原則は適用できない、機能しないということですか。
  60. 山口公生

    山口(公)説明員 お答え申し上げます。  国家公務員の共済組合連合会の場合、要するに売却の方法といたしましては、会計法と同じような考え方でやりなさい、こういうふうな規定をしておるわけでございます。その場合に、国土利用計画法の、要するに網がかかるか、かからないかという問題がもう一つあるわけでございます。ただ、国家公務員等共済組合連合会の場合は、売り方といたしましては、一般競争を原則とし、それで非常に不利になるような場合は随契でいいよというふうなやり方でやっております。その場合の価額はどうこうという場合の、つまり国土利用計画法の規制がかかるか、かからないかという問題につきましては、現行の国土利用計画法の法律及び政令を見ますと、連合会の場合は例外になっておらないということですから、原則が適用になる。したがいまして、二千平米以上の場合は法律の適用があるという形になっておるわけでございます。
  61. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、会計法二十九条はこの場合には適用できないということになりますか。
  62. 山口公生

    山口(公)説明員 それはあくまで会計法の二十九条の趣旨を体しました施行規則にのっとって売買はやるわけでございます。ただ、その行った売買の価額について国土利用計画法の網がかかるか、かからないかという問題がありまして、例えば国が直接やるような場合には国土利用計画法の網がかからないという構成になっております。ただ、連合会の場合には政令の指定になっておりませんので網がかかる、したがって、売る価額についてはあくまで届け出をして御審査をいただくという形になっておるわけでございまして、会計法の趣旨を体した施行規則にのっとって売却を行うことは、何ら変わるものではございません。
  63. 新村勝雄

    ○新村委員 そうすると、連合会がそれを売ることをお考えになった場合に、一般競争にはできない、これは随契以外にないんだという判断は、一般競争にした場合には国土利用計画法に抵触をする結果になる、その値段がそうなっちゃうおそれがある、だから、その前に随契で処理するんだということなんですか。その場合に、一般競争にしてもなおかつ国土利用計画法の精神に違反しない、抵触しないということもあり得るわけですね、適当な値段で落札をすればそういうことはないわけですから。そのところの判断というのはどうしてお決めになるわけですか。
  64. 戸塚岩夫

    戸塚参考人 私がお答えするよりも国土庁の方に御答弁いただいた方がいいのかもしれませんが、御案内のように、国土利用計画法の第二十三条では、そういう私契約について都道府県知事に届け出なければならない。二十四条に、届け出の契約価額といいますか、それが「土地に関する権利の相当な価額に照らし、著しく適正を欠く」というように都道府県知事が判断されますと当事者に勧告をするというような一連の手続がございまして、競争入札にかけた場合には、その土地に関する権利の相当な価額に照らして、著しく適正を欠くという答えになるというように私は判断したわけでありまして、そうしますと、競争入札外で適正な価額と認めてもらえるであろう一番高い価額を考えたわけでございます。
  65. 新村勝雄

    ○新村委員 国土利用計画法二十三条ですか、届け出、この条文で別に競争入札を禁止はしていないわけですね。競争入札でもいいわけでしょう。問題は、その値段はどうかということなわけですね。ですから最初から、競争入札はしないんだ、随契でいくんだという判断はその段階では適当ではないように思うのですが、どうでしょうか。
  66. 戸塚岩夫

    戸塚参考人 私が処分する場合には、共済組合法の規定によりまして、連合会に置かれております評議員会という機関にかけて、重要な財産の処分について、処分するんだけれども、それを承認してもらえないかと評議員会にかけるわけであります。その際、評議員会で出ました条件が、一括売却、即金、公正、できるだけ有利にという条件であったわけであります。できるだけ有利にということで処分をする場合には、私は一般競争入札で国土庁の適正だと認める価額以上のものが出てきても、これは届け出をしても認めてもらえないというように判断し、現行法令の範囲内で一番高く売る方法を考えて、随意契約の道を選んだわけでございます。
  67. 新村勝雄

    ○新村委員 公共的な財産について、特に土地の場合には原則競争入札ということはもう明らかなわけですよ。それは自治省さんも認めておられる、大蔵省も認めておられるわけですね。ですから、この場合には、競争入札で一番高い値段で公明正大な方法で売り払いをする、しかも、その値段が国土利用計画法の精神にも違反をしていないということが一番望ましいんです。そういうことはあり得ると思うのですよ。競争入札をするから必ずしも法外な値段がつくというわけではないんですからね。競争入札をしても、なおかつ適正あるいは適正に近い、地方自治体からクレームがつかないような値段がそこでつく。そういう値段に落ちつくということもこれは十分考えられるわけですから、前もって随契と決めることは早計ではないかというふうに考えるわけなんです。しかも、この土地については、私の知る限りでもいろいろの曲折あるいは問題が過去にあって、現在もその問題が後を引いておるということもありまして、できる限り公明正大に売り払いをすべき土地であったと思うのです。もちろん公明正大におやりになったんでしょうけれども、随契ということがどうもひっかかるわけですよ。この問題について既に参議院でも問題になり、その後のその土地をめぐる状況も、その点をめぐっていまだに釈然としない点があるというふうに言われております。しかもこの土地は、連合会がお買いになってからそれ以降も、その間いろいろと経過があって訴訟問題が相次いだという事情もあります。  それから、この払い下げをめぐって、例えば本願寺元総長の豊原大潤氏という方がおりますけれども、この人の手記の中でも、実はこの土地については日本国寺と西本願寺が話し合いをして、分けて払い下げをする約束がで省でいたのだ、こういうこともこの手記の中には言われておるわけです。そしてその間、西本願寺へ一括して売ることについていろいろと、例えば大蔵省の高官が介在したとかあるいは政界の大物が介在したというようなうわさもありまして、随契で売るということについてのいろいろな裏面の問題あるいはそれに対する憶測が行われておるわけですけれども、そういったことについて理事長としては全く問題ない、公明正大、どこをどう聞かれても絶対間違いのない売り渡しをしたというふうに断言できますか。
  68. 戸塚岩夫

    戸塚参考人 お答えします。  私も一番高く売るという条件で売る場合に、国土利用計画法の適用除外の法人として政令を何とか直していただけないかということを国土庁の担当の方にお願いしたのでありますが、国その他の法人が自由競争で非常に地価のつり上げにつながっているような売り方自体もいろいろ社会的に問題になっている際に、指定する法人をふやすということは現状においては考えられないという回答を得まして、一般競争では売れないならば、今の法令の範囲内でできるだけ高く売る方法として西本願寺さんへの随契という形で処分したわけであります。  私は連合会の理事長を拝命して二年でございまして、この土地を取得しましたのは四十年でございました。その間とういうことがあったかということは聞いてはおりますけれども、いろいろないきさつがあってこの土地を買って、十一も訴訟が出て争われたという大変難しい土地でありますので、その間のことは書類でしか見ておりませんが、私在任二年の間、この処分をめぐって今お話しのような某高官が動いてどうだとかあるいはもとの総長とどうだとかいうような話は、私は全く関知してはおりません。公明正大にやりまして、どこに出ても問題のない堂々たる処分であったというように確信しております。
  69. 新村勝雄

    ○新村委員 理事長さんと大蔵省の方、結構です。ありがとうございました。  次に、国土の環境保持、国土状況を常に良好な状態に保持するということについては国土庁としてもその責任があろうと思いますけれども、公害の問題については国土庁としては責任はおありなのですか。――それでは、建設省にお伺いしますが、私が今お伺いしようとするのは河川の水の管理についてですけれども、建設省としては河川の水質の維持管理ということについては責任ございますか。
  70. 齋藤尚久

    ○齋藤説明員 御説明申し上げます。  建設省といたしましては、直轄河川の水質その他について調査を行っております。河川法にも冒頭に流水の正常な機能の維持というようなことをうたっておりまして、直轄河川の水質の調査その他を行っているところでございます。
  71. 新村勝雄

    ○新村委員 今お伺いするのは、利根川に放流しておる、これは企業の放流水でありますが、その放流水が著しく悪い状況にあるわけです。ここに資料がありますけれども、利根川に放流しておる工場排水であります。この企業の名前はレンゴー株式会社という大企業です。この企業の排水が、今写真を見ていただけばわかるのですけれども、甚だしく悪い状況なわけです。この現場は千葉県野田市の対岸、茨城県岩井市の地先であります。私もそこに実際に行ってみましたけれども、その付近は水の透明度はほとんどゼロです。その水が流れていくその下の川の岸にはかなりの範囲にわたってスカムがいっぱい水面に固まっているという状況なわけです。こういう河川の水質の管理保全あるいは監視については建設省でおやりになっているわけですね。
  72. 齋藤尚久

    ○齋藤説明員 先ほど申し上げましたように、直轄区域の水質については水質調査その他を行っておるところでございますが、先生御指摘のように工場からの排水その他の問題につきましては、環境庁あるいはその出先としての都道府県が責任を持っておると聞いております。
  73. 新村勝雄

    ○新村委員 環境庁にお伺いしますけれども、環境庁としてはどのような指導監督をなさっていらっしゃいますか。
  74. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  工場、事業場からの排水につきましては、水質汚濁防止法によりまして排水基準というものが決まっておりまして、この排水基準の適用、立入検査等の具体的な規制の実務というものは、水質汚濁防止法に基づきまして都道府県、政令市に機関委任されておるわけでございます。  本件につきまして、茨城県からこれまでのところその水域で特に大きな水質汚濁問題があるということは聞いておらなかったわけでございますけれども、先生の御指摘もございますし、今写真を拝見したところでございますので、環境庁といたしまして、本件を所管しております茨城県を通じまして至急汚染の実態などを調査いたしまして、必要がありますれば適切な対応をとるように指示していきたいと考えております。
  75. 新村勝雄

    ○新村委員 排水基準、水質基準等についてはもちろん基準があるでしょうけれども、その近所の状況を視察した結果によると、これは全く問題外というふうに考えます。あなたもそうお感じになったと思います。ですから、それは環境庁、機関委任といっても基本的には環境庁の責任でおやりになるのでしょうから、機関委任しているその委任先に指示をして至急に実態調査をしていただきたい。それからまた、水質等についても調査をし、その結果をできれば報告をいただきたいと思いますけれども、よろしいですか。
  76. 平石尹彦

    ○平石説明員 御説明申し上げます。  私もただいま写真を拝見したばかりでございまして、法律上の基準の問題と写真の外見の問題というようなところの問題もございますので、直ちにどうこうできるというようなことは申し上げられない立場でございますけれども、とにかく茨城県を通じまして実態調査などをいたしまして、後ほど御説明に伺うということでよろしゅうございましょうか。
  77. 新村勝雄

    ○新村委員 ひとつ至急に調査を願いたいと思います。  次の問題は、既に問題提起されております地価の問題でありますが、今回の地価の問題が大都市、特に東京特殊事情によって発生したということが言われておりますし、恐らく事実でありましょうけれども、東京都、特に二十三区内の土地状況についての分析あるいは統計、その資料をいただきたいということが一つです。それから、東京の三十キロ圏内にある市街化調整区域、これがどのくらいあるのかということです。  土地の問題については、国土利用計画法等権力的に地価を抑えるという道が既に立法されておると思いますし、そういう方法があると思いますけれども、土地問題を解決するのは、自由主義経済の今の体制ですから、何といっても供給をふやすということが基本的な解決策ですね。供給をふやし仮需を減らすということが基本的な問題であって、それを解決しなければ、権力的にやってみたところでなかなか成功しないということですね。  ですから、そういう面から考えた場合に、大都市周辺、特に東京周辺の市街化調整区域について思い切った規制の緩和ができないものかどうか。三十キロ圏あるいは四十キロ圏には相当の市街化調整区域があるはずであります。その市街化調整区域については、いわゆる線引きをした当時の事情は、私も末端で仕事をした経験がありますけれども、必ずしもあらゆる角度から検討して合理的に線引きされているとは限らないわけでありまして、ある程度便宜的にやった、政府あるいは都道府県からの指示によって市町村が便宜的というか、この市町村は何割市街化区域をつく九、それ以外は全部調整区域だという、そういう枠によって便宜的に線を引いたということが実際にかなりあるわけなんです。これは当時とすればやむを得ない事情があったのでしょうけれども、ほとんど二十年ぐらいそういう状況で推移してきたわけです。  しかし、その後の地域状況の変化もありますし、市街化調整区域の中には、優良宅地になる、しかもそこを開発してもほかにそれほど悪影響がない、そういう地域が相当あると思うわけでございます。これは我々の身辺を見てもそういうことが言えるわけなんですね。ですから、そういう地域については線引きを大幅に見直すか、あるいは開発規制を大幅に緩和する。あるいはまたその許可をする場合に、開発許可というのは一件一件行政庁の許可をもらうわけですから、その許可をするときにスプロールの弊害あるいは開発の弊害を最小限に抑えるような条件をつけることができるわけです。そういう条件をつけて、いろいろ方法はあると思いますけれども、とにかく大都市圏の周辺の宅地の供給をふやす、そういう面からふやすことがどうしても必要な段階だと思いますけれども、そういう点について御見解を伺いたいと思います。
  78. 伴襄

    ○伴説明員 お答え申し上げます。  首都圏の特に根強い宅地需要に対応して線引きの方も的確に対応することは、先生の御指摘のとおりだと思っております。市街化調整区域も確かにたくさんございますが、ただ先生御案内のとおり、現在市街化調整区域になっておりますのは直ちに市街化区域になれないようなところが多いわけでございまして、例えば鉄道等の基盤整備ができてないところとか、溢水、湛水のおそれのあるような低湿地であるとか、あるいは保全しなくてはいけないような緑地とか優良農地とか、そういうものがあるわけでございます。私どもの基本的な態度は、そういったところでは公共施設の整備の見通しが立ったところをやるということで、やはりみだりに編入すべきものではないと考えているわけです。  先生お話しのように、当初便宜的な線引きをやられたというお話でございましたけれども、そのためにかなり大幅に市街化区域を編入し過ぎたという意見がないわけでもないわけです。そこで、現在とっております態度は、まず五年に一度という線引きの見直しを随時必要なときには編入するということで、将来の人口保有フレームを見まして、この人口の増加の範囲内では随時必要に応じて市街化区域へ編入していくという方策をとっておるわけでございます。その際、その編入するところにつきましては、土地区画整理事業とかあるいは公的機関なり民間事業者による計画的な開発ができるという見通しが立ったところにつきまして、線引きをして随時編入していくという方針でやっておるところでございます。現在第二回の線引き見直しをやっておるところでございますが、そういう対応をさせていただいております。  なお、線引きの見直しの際に市街化区域の設定要件も非常に重要でございますので、市街化区域の設定要件で例えば人口規模の要件だとか人口密度の要件がございますので、それはある程度の緩和措置を講じましたし、それから開発許可につきましても、市街化調整区域の中の開発許可につきましてある程度弾力的に開発許可ができるような方策も講じたところでございます。
  79. 高橋健文

    高橋(健)説明員 開発許可の観点から御説明申し上げます。  市街化調整区域は無秩序な市街化を抑制すべき区域とされているわけでございますけれども、市街化調整区域であっても一定の条件さえ整いますと開発が可能となるような開発適地があるわけでございまして、そういうところにつきましては、計画的な市街化を図る上で問題がないと認められる一定規模の開発については開発を認めてきているわけでございます。この趣旨に沿いまして、昭和五十八年には、地域の実情を考慮しながら都道府県の規則で市街化調整区域の中で認められる計画開発の規模の要件を、従来二十ヘクタールでございましたが、それを五ヘクタールまで引き下げでございます。そういったことから、計画開発についての開発規制の弾力的な運用を図っているわけでございます。  しかしながら、御指摘ありましたように、特に大都市圏周辺の都府県では人口抑制の観点から開発について非常に消極的でございますし、特に住宅系の開発について消極的な姿勢を見せてございますので、建設省としましても優良な宅地供給促進の観点から開発規制の適正な運用が図られるよう都道府県を指導しているところでございます。  また、市街化調整区域におきます個別の開発行為に対する規制につきましても、都市計画法制定当時から最近までいろいろ調整区域の状況も、経済社会の状況の変化と相まって変わってきてございます。そういうような事柄から判断しまして、いろいろな既存集落におきます自己用住宅とか分家住宅とかそういった市街化調整区域においていろいろ出てまいります必要な開発についても開発を認めるよう、開発許可基準の緩和等の通達を行いまして都道府県を指導しているところでございます。
  80. 新村勝雄

    ○新村委員 開発基準についても、都道府県によってかなり差があるのですね。ある県では前向きに寛大に処理している、ある県は非常に厳しいという差があるのですけれども、そういう差があることは決して好ましいことじゃないので、ぜひ建設省の方から各自治体に指導というか要請というかして、格差のないようにしていただきたいと思います。  それから今お話しの、開発区域の制限を緩和したということでありますが、区域の緩和についてももっと緩和をしてもいいのではないか。ただ、その場合に野方図にスプロールすることは好ましくないので、開発をする場合には将来の排水計画あるいは道路計画、そういったものと対応する個人としてやるべきことがあるわけですよね、幹線の排水路の方に一定の排水管を自分で敷設をするとか、そういう都市計画全体の中で個人が負担をすべき部分があると思うのですが、そういったものについて一定の条件を付して、将来の構想のもとに小規模の開発にも許可をする、そういった考え方があってもいいのではないかと思うのですが、そういった点はいかがでしょうか。
  81. 高橋健文

    高橋(健)説明員 開発許可の運用につきまして、各県で多少の違いがございます。これは運用の幅という感じでございますけれども、ただ建設省としましては、良好な町づくりと宅地供給促進の観点からできるだけその運用の幅を一定の目的に合致するような形で統一がとれるように指導してまいりたいと思います。しかしながら、その地域の実情、それぞれありますので、完全に一本化していくには難しい問題があるかと思います。  それとあと、市街化調整区域で認められます計画開発の規模要件をもっと下げたらどうかという御指摘でございますが、面的にある程度計画的に市街化を図る場合には、五ヘクタールくらいのまとまりがありませんとどうしてもいろいろな公共施設整備の面でも無理が出てくるかと思います。ただ、計画開発とはまた違った観点から、あるいは市街化調整区域にUターンしてきた方のいろいろな住宅とか、あるいは小規模な、工場であってもその周辺に市街化の影響を与えないような、そういった工場立地とか、そういう個別の開発規制の緩和あるいは弾力化によってそういう問題に対処してまいりたいと思っております。     〔委員長退席、魚住委員長代理着席〕
  82. 新村勝雄

    ○新村委員 線引きのような制度が地域政策として一遍定着をしますと、行政当局というのは極めて保守的と言っては失礼ですけれども、今までの体制を守ろうとする姿勢になってきますので、やはり一遍線引きができますと、それを崩すことについては大変な抵抗があるわけですよ、行政の方に。しかし、例えば市街化区域があってその市街化区域の中に、例えば下水道であるとか道路であるとか基幹的な社会資本が一応整備されておる、そして市街化区域に隣接して開発したい、そこは調整区域なんですが、隣接して開発したいという場合には、一定の条件さえつければスプロールの心配は全くないのですね。そうでしょう、市街化区域に隣接して、市街化区域の部分の都市計画に調和をするような条件をつければ、道路にしても排水管にしても、つければスプロールの心配はないはずなんですよ。都市計画上も有害ではない、スプロールの弊害もない、そういう形での調整区域の開発というのは相当できるはずなんですよ。  ところが、制度的に線引きというものがあって、市街化区域と調整区域が画然と分かれているという状況のもとでは、なかなかその壁を破ることができない、あるいは行政の側でもそれを守ろうとする。したがって、何ら有害ではない、むしろ利益になる、小規模であっても利益になる開発が抑えられているということがあるのです。ですから、そういう点についてはできる限り弾力的にやることによって安い宅地の供給を相当に促進することができる、そのことによって地価の高騰も抑えることができるということなんですがね。そこらをもう少し大胆におやりになるお考えはないですか。
  83. 高橋健文

    高橋(健)説明員 市街化区域と市街化調整区域の線を引きましたのは、虫食い的な市街地の拡大を防止する、そういうスプロール現象の防止という観点がございます。そういったことから、市街化区域の隣接部で市街化区域と合わせて一定の広がり、まとまりがあった形で開発する場合には計画的な町づくりが可能なわけですので、場合によりましたら線引きの変更ということもあるでしょうし、あるいは市街化調整区域の開発許可の弾力的な活用もあり得るかと思います。しかしながら、調整区域としてあくまで調整区域の中で例外的に一定のまとまりを持ったところが独自に計画的な市街化をするという前提で調整区域の計画開発の許可がなっておりますので、そういったことを踏まえながら弾力的な対応を図っていきたいと思います。
  84. 新村勝雄

    ○新村委員 次の問題は東京湾の開発ということですけれども、東京地価の問題に関連して、東京湾の開発ということが今脚光を浴びようといたしております。東京湾の開発というのは、東京だけの問題ではなくて東京、千葉、神奈川の三都県にわたる問題だと思うのです。東京湾の開発というと、今まで千葉県側がむしろそういうことがあったと思うのですけれども、その場限りの場当たり的な埋め立て、土地造成が行われてきて、東京湾全体の開発構想というものがないまま、いわば虫食い的に海が埋められていったということがありますね。そういうことではなくて、やはり将来の東京湾の開発について一体としての構想をまず策定して、それに基づいて埋め立てなり開発なりをすべきではないかと思うのですけれども、そういう点についてどういうお考えを持っていらっしゃるか。  それから、東京開発についての諮問機関、東京臨海部開発推進協議会というのが設置されているようでありますけれども、この協議会は国と東京都だけなんですね。しかもこれは局長室長しベルの、お役人さんだけの協議会ですけれども、さらに全体構想としての東京開発についてのお考えはいかがですか。
  85. 柳晃

    ○柳(晃)政府委員 お答えいたします。  東京開発に関します国土庁の考えはどうだ、こういう最初の方のお尋ねでございますが、先生御指摘のとおり、工業だとか港湾機能を中心としまして、物流とか産業とか生活とかいろいろな方面にわたった大変貴重な空間でもありますし、同時に自然環境としてもかけがえのないものを持っておるわけでございます。  したがいまして、第四次の首都圏基本計画、これは昨年の六月に策定いたしたものでございますが、東京湾の地域の整備に当たりましては四つの観点、すなわち、限られた貴重な空間であって、内湾として、内港としてすぐれた価値を有しているという認識のもとに利用を図る、それから二番目としまして、国際化、情報化と申しますか、そういう社会の事態に対応した新しい日本の玄関口にふさわしい機能を備えたところとして整備をする、三番目としまして、国内あるいは国外の交通ネットワークを形成し、湾岸域の諸機能を効率的に発揮させるための交通機能の整備を図る、これから四番目としまして、市民の多様なレクリエーションのニーズにこたえるとともに、臨海部におきまして生活環境の質を高めるために快適な水際環境と海洋レクリエーションの場を創造することというようなことを首都圏基本計画では定めております。  先ほど小川委員の御質問でもお答えしたとこるでございますが、東京湾はこういういろいろな機能で大変重要な場でございますので、マスタープランと申しますか、東京湾の開発だけではなくて、保全を含めました利用と開発のあり方について調査費を要求して、二、三年のうちにあり方をまとめてまいりたい、かように考えております。  御質問の後半の方で、東京臨海部開発推進協議会があるが、これが東京都に偏ってないかという趣旨の御質問でございましたが、別に偏っているわけではございませんで、東京湾臨海部の中では今産業構造の転換と申しますか、いろいろな転換の動きがございまして、またいろいろな開発構想も出てまいっております。その中で東京都の臨海部が計画、構想の熟度がほかのものに比べまして一番進んでおりますので、東京港の臨海部と申しますか、東京都の臨海部と申しますか、そこにつきましての開発に当たっての基本的な事柄を調整するために関係各省と東京都の代表を入れまして協議会を設置しておるわけでございまして、東京だけに偏っているわけではなくて、そこが一番計画開発構想の熟度が進んでおりまして、なかんずくその開発をするためには地域全体の青写真も必要でございますが、同時に広域的な、根幹的な、特に交通施設の整備、いわゆるインフラ整備等につきまして何らかの特別な考え方を打ち出す必要がございますので、関係者が寄って協議会をつくり、国土庁がその取りまとめ役になっておるものでございます。
  86. 新村勝雄

    ○新村委員 以上で終わりますが、東京湾については開発だけではなくて、もちろん開発も必要ですけれども、開発と同時に環境を維持するという総合的な立場から東京湾の将来像を、一日も早く構想を固めていただきたいということをお願いして、終わります。
  87. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 渡部行雄君。
  88. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 最初に、国土調査の問題についてお伺いいたします。  今国土調査は、国土調査法、国土調査促進特別措置法、こういうものに基づいてそれぞれ計画されて今日まで来ておるわけでございます。しかも、この国土の実態を科学的かつ総合的に調査することによって高度にかつ合理的に利用する基礎資料を整備するということになっておるわけでございます。したがって、これは国土開発を進めていくためにはどうしてもこの基礎調査を完了しなければならないと私は思うのでございます。しかも、この国土調査は地籍調査土地分類調査、水調査という三つの柱によって進められて、それぞれそれが具体的な細かな施策になってきておるわけでございますが、今日まで国土調査の進められておる実績を見ますと、昭和二十六年から進められておるわけです。しかも、これは第一次、第二次、第三次計画というふうに継続して行われてきたわけですが、その中でも特に地籍調査について申しますと、これは今日わずか三二%の進捗率でしかないわけでございます。このようなことでは大切な国土の利用がなかなか進まないと考えるわけです。しかも、現在この状態ではこれから先何十年かかるかわからないような実態で、所期の目的が達成されないばかりか、このような状態を放置するとこれは国費の大変なむだ遣いになるおそれがあるわけでございます。そして、さらに各ブロックごとにこれを比較してみますと、これは昭和五十五年三月五日の国土調査促進特別措置法の一部を改正する法律及びこれに対する附帯決議に反しておるのではないか、せっかくこういう法律をつくり、国会で附帯決議までしておるものを何ら尊重していないのではないか、こういう点があるわけでございます。  まず、そういうことについてどのようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  89. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように国土調査は各種公共事業実施とかそのほか登記行政とか税務行政等、資料として極めて重要なものであるというように私ども認識しております。ただ、この国土調査、特に地籍調査実施状況につきましては、先生御指摘のように国土面積の中で約三割ちょっとの進捗状況、それから第三次十カ年計画におきましては、五十五牛から六十四年までの十カ年計画でございますけれども、既に五十五年から六十一年まで七カ年たっているわけでございますけれども、六十一年までの進捗状況で四一%というようなことで、進捗状況はおくれている状況でございます。私どもといたしましても予算の確保等いろいろ努力をしているわけでございますけれども、近年の厳しい財政事情を反映いたしまして事業量が抑制されているという傾向にあるわけでございます。  特に、地域別に地籍調査の進捗状況を見ますと、大都市圏の地域が進捗率が悪いわけでございますけれども、これは大都市圏の地域におきましては地価水準が非常に高い。したがいまして、地権者の権利意識も強く、土地が非常に細分化されている、関係権利もふくそうしているとか売買移動が非常に激しいとかそういうような事情がございまして、地籍調査を進める上においての困難な事情がいろいろございまして、大都市圏での進捗がはかばかしくないというのが実情でございます。  私どもといたしましては、予算の獲得もさることながら、さらに大都市地域での市町村の実施体制を整備いたしまして、何とか推進をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  90. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 今あなたの答えたのは、第三次計画の達成率が四一%、これだと思います。ところが、ずっと全計画を見ますと、第一次計画では達成率が四五%、第二次計画でも達成率四五%、そして第三次計画が六十一年度までに四一%、五〇%を超えたときは一回もないわけです。そうすると、この計画は一体何だろうか、こう思わざるを得ないわけですよ。例えば第一次計画の中でなぜ四五%しか達成できなかったのか。そういう反省があれば、次の計画では少なくとも八〇%以上は達成できるような計画がそこから反省として出てこなければならない。ところが現実には全然その反省の経過がここからはうかがえない。そして予算がないからということで四五%そこそこでいって、全体では三二%しか進んでいない。こういうことでは私は、いいかげんな計画じゃないか、こう言わざるを得ないと思うのです。  しかもこのブロック別の進捗状況を見ますと、北海道が四七%、東北が五〇%、関東が二〇%、北陸、甲信越が一九%、そして東海、これが七%、近畿が五%、中国三三%、四国が三六%、九州が四一%、こういうふうになっておるわけですよ。この重要な東海、近畿が一体なぜこんなに進捗率が悪いのか。東京を含む関東の方がいいのですよ。こういうことについてちっとも反省されていないのではないですか。  しかも、この国土調査の成果については非常に重要な成果が期待されておる。例えばその中でも特も言うならば地籍調査の効果についてでありますが、これは一つは町づくりのために、二つ目には公共事業の円滑化のために、三番目に不公平課税の是正のために、そして住民間や官民間土地にかかわるトラブルの防止、五つ目に行政財産の管理の適正化、六つ目に災害等の復旧、七つ日に土地情報管理システム、こういう重要な問題についてその基礎的な資料を与えるわけです。このような利活用が図られていなければならないわけですが、その地籍調査にいたしましても思うように進んでいない。これではせっかく四全総が動き出そうとしておっても、四全総の中でやられる測量やその他のために調査資料そのものが全く役に立たない。つまり、同じところを何回も重複して測量したり労力を費やしたり資材を費やしたりして国の金のむだ遣いになっていくのではないか。この点についてはどういうふうに思いますか。
  91. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 地籍調査の特に大都市地域、近畿とか東海の地方において進捗がはかばかしくないということにつきましては、私どもも何とかこれを進めたいということでいろいろ工夫をいたしておるわけでございます。特にこの地籍調査を担当いたします市町村、それを指導いたします都道府県、こういうところへいろいろこの地籍調査の効用についてのPRを徹底するとか、担当の市町村の実施体制を強化する。特に専門に地籍調査に従事するような職員の資質を向上するための研修会をやるとか、また、都市部で必要とされる高精度の測量方式、そういうものを推進いたしたい。それからまた、地籍調査実施方法につきましてもいろいろ合理化を図りたい。特に権利関係が非常にふくそういたしておりまして、例えば二線引き畦畔というようなものが登記簿上あるわけでございますけれども、こういうものを簡易合理的に処理できるような方式とか、そういうものをいろいろと導入いたしまして推進してまいりたいと考えている次第でございます。  それから、各種公共事業で地籍調査が行われる前にいろいろな測量をするというお話がございましたけれども、これにつきましては、各種公共事業での測量につきましても国土調査と同一同程度の精度があるといいますか、そういうものにつきましてはこれを一定の手続を経まして国土調査の成果というふうに認定ができる制度がございまして、私どもは、例えば土地改良法に基づく圃場整備事業とか、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業、こういうものの測量につきましては積極的に国土調査として認定をするということを現在推進している次第でございます。
  92. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 西欧諸国ではこの種の調査は既に完了していると聞いておるわけです。そしてそれが非常に幅広く利用、活用されておる。こういうことで、やはり歴史の重みと申しますか、ヨーロッパに行ってみるとつくづく感心するものがあるわけですが、今政府はこの第四次全国総合開発計画を作成して、これをいよいよ今度実行に移す段階でありまして、二十一世紀の準備として進めなければならない責任が政府にあると思います。したがって、そのためにも早く国土調査を完了して、それを資料として進めることが最も経済的でかつ能率的であると思うわけであります。今お答えの中に、土地改良区の事業とかあるいは公共工事のために測量したその成果を国土調査の成果として認めるという制度があるからというお話でありましたが、それはそれでいいといたしましても、やはり計画というものがある限り、それが半分もできないままで次から次へと順送りに先に送られていったんではこれはどうしようもないので、もっと立てた計画は完璧に実行するというその決意が必要だと私は思うわけですよ。  ところがそういうものがあらわれていない。ここでもしこの四全総国土調査と別個に進められた場合を想定すればこれは大変なことになるのですよ。例えば今言われた二線引き畦畔にいたしましても、こういう古い帳簿にぶつかって動きがとれなくなる。しかし、この二線引き畦畔はかつて国有財産として取り扱って民間に有料で払い下げをやっていた時期があったのです。これは大変な間違いで、私は何回かこのことについて質問をして、渡辺大蔵大臣のときに初めてこれを通達によって時効取得というような方法で無償で取得する手続が確立されているのです。だからそういうことをどんどんと進めていけば、こんな七%とか五%なんということはあり得ないのですよ。もしそれが障害になっているのならば、もっと積極的に障害を取り除く努力があってしかるべきだと思うわけであります。したがってこのような不経済的な、そして労力も資材も全くむだ遣いになりがちな調査のあり方というものは強く反省をしなければならないと思うわけです。これを放置すると大変な国費の乱費ということになりますので、これについては大臣、一体どういうふうにお考えですか。
  93. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 地籍調査の重要性については先ほどからいろいろ論ぜられておるところでございまして、その進捗率が非常に遅いということでございます。自由民主党の中などからもこれを公共事業として推進すべきだというような強い声もございましたので、そのようなことでただいま検討もさせていただいておるようなところでございます。
  94. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 大臣、余り簡単に取り扱ってもらっては困るのですよ、結局あなたがこの国土調査事業に関しては最高責任者なんだから。だから今までの反省を十分した上でこの問題点をはっきりと把握して、この点をこういうふうにするから今度は進みますよ、こういうふうにならなければ答弁にならないじゃないですか。そういう点でひとつもう一度お願いします。
  95. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今お尋ねの点につきまして私は簡潔に申し上げたわけでございますが、私どもは今まで限られた財政の中でなかなか予算がつかないというようなもどかしさを持っておるわけでございまして、これについては皆様方のバックアップのもとにさらに予算をふやし、そしてこの行政の中でよりスピードアップさせてこれを実施しなければならない非常に重要な事業だということはよく認識しておるわけでございまして、またよろしく御支援のほどをお願い申し上げたいと思っております。
  96. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これは予算がつかないからやむを得ないと言うかもしれませんが、そういうことがたび重なっていくと計画と予算というのが分離されて、計画だけがどんどん先に進んで、予算はその計画に追いつくこともできない。こういう状態はまさに政府の責任ですし。だからそういう点で、大臣は今度の六十三年度の予算要求では大臣の手腕を十分発揮していただきたいと思います。私は注視しておりますから、よろしくお願いします。  さてそこで、次は建設省の方にお願いしますが、先ほども新村委員からお話がありましたが、今や大都市、小都市を問わず土地の高騰は言語に絶するものがあるわけでございます。この現象はつまり土地の需要に対して供給の不足から来ておるものと思うのでございます。そこで私は土地の供給を少しでも多くしていくことを考えるべきであると思うわけでございますが、それには現在まず最も手のつけやすいところはどこにあるか、こういうことでございますが、今市街化区域と市街化調整区域の区分がなされて線引きがされておるわけでございます。ところがこの調整区域の中にはいろいろな制約事項がありまして、地目が宅地となっておってもそれが十分に利用できないでおる部分があるわけでございます。そこで、この市街化調整区域の宅地というものは、線引き以前の宅地であれば自由にこれに建物を建てることができるわけですが、線引き以降に宅地となったところは規制があって、その条件を満たさないとなかなか建物が建てられない。ところが、土地の売買とかそういうものは登記簿によって大体把握されるわけでございまして、登記簿に宅地という地目があればそれは自由に売買もできるし、またそのとおりに登記になっていくわけですが、そういう所有権の移転をしてみて、さあいざそこに自分の家を建てようとしたら、今度は調整区域の中ですから建てられませんよ、こういうふうになるわけでございます。そうなるとこれは明らかに私権の拘束であるわけです。そういうふうになると憲法にうたわれておる財産権の保障の問題、こういうものが一体どこでそれじゃ私権に制限を加えた代償が支払われているのか、こう考えると、その代償は全然支払われていないわけです。国民はそういう一つの法律ができたから仕方ないんだなということで泣き寝入りをしておるのが実情でありまして、これは法律上全く根拠のない制限ではなかろうか、いわゆる憲法違反の制限のおそれがあるのではないかと私は考えるわけでございますが、その点について一体どのようにお考えですか。  最近、いろいろ開発の規制を縮小して緩和の姿勢は見えますが、しかし現実にはそういうことが起きて、そのためにかえって全然都市計画上の制限のない、いわゆる農振地域もかかってない、調整区域にもない原野あるいは雑地、そういうものを宅地にして、そこにどんどんとうちが建っていく、そうすると、今は車がありますから相当遠くの市外の方に生活の拠点を持ってもそれほど不便ではなくなっておりますから、逆にこれが計画と別な非常なスプロール化へ進んでいる向きさえあるわけです。この点について、ひとつお答えを願いたいと思います。
  97. 高橋健文

    高橋(健)説明員 市街化調整区域内の既存宅地の取り扱いでございますが、御指摘ございましたように線引きの際に既に宅地であった土地につきましては、その旨の都道府県知事の確認を受ければそこで建築が可能なわけでございます。しかしながら、線引き後に宅地になったという点、あるいは登記で宅地となっている土地についての取り扱いでございますが、登記そのものにつきましては登記の地目の変更と、あとその登記の原因といいますか、いつ地目が変更されたかという二つの要素がありますが、どうもその既存宅地の確認につきましては通常その土地登記簿とか固定資産税課税台帳等によって確認しておるわけでございますが、市街化調整区域にされた時点で土地の現況が宅地であったかどうかの確認が大事でございます。  それで、形式的にその市街化調整区域とされた時点前に宅地となっている土地でありましても、例えば特殊な例ではございますが、農地転用の許可を受けることなく土地の現況を宅地とした上で、それで土地の登記簿上の地目を市街化調整区域とされた時点以前の日付までさかのぼって変更登記を行う、そういう例もございます。そういったことから、線引きの時点での確認といいますのは登記簿だけではなくて、疑問がある場合には裏づけ資料等も必要となるわけでございます。  それともう一つ、線引き後に宅地となったものについての御指摘でございますが、これは線引き後になるケースとしては、例えば不正にやったケースが一つ考えられます。あと合法的にやるケースでも市街化調整区域の開発規制で農林漁業の用に供するものとかあるいは公益上必要なものとか、そういう一定のものに限っては認めているわけでございまして、そういう段階を踏みまして、まずそういう合法的に一定のものに限って認める、そうしますと、地目上は、一定のものに限って建築は可能ですが、宅地となるわけでございます。ただ、別途都市計画上の規制としては市街化調整区域の線引きをした都市計画上の趣旨にのっとりまして一定の行為規制がかかりますので、それらのものをすべて登記簿上が宅地であるからといって認めることになりますと、現在の市街化調整区域の開発規制のしり抜けになってしまう、そういう面がございます。しかしながら、そういう既存宅地の面につきましては線引き前ということで厳しく運用してございますが、そういった既存宅地の取り扱いをしなくても、市街化調整区域において必要なものにつきましては個別に開発規制の弾力的な運用、規制の緩和等をいたしまして、それぞれ地域の実情に応じた開発規制の対処をしていきたいと思っております。
  98. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 これはさかのぼって宅地にするなんということはできませんよ。登記というのは申請した日をもって地目変更でも何でもされるのですから、そんなことはできないのです。ただ、この場合は線引きが終わって後に宅地という現況で登記申請をしたようでございます。その現況を証明するには、いわゆる納税証明書によってその証明としたようでございますが、一つはそういう形で宅地になる。  それから、不正な手続で宅地になるというのはどういうことでしょうか。こういうことはあり得ないと思うのです。登記所は一定の法律要件を備えないものは却下するわけですから。不正の条件で登記ができるなんということはあり得ないことです。そういうことは公的な場で言われるのはちょっと問題じゃないかと私は思いますよ。  ただ、私が言わんとするのは、せっかくスプロール化を防ぐために都市計画法をつくって、そして市街化区域、市街化調整区域という形で進めてきたわけですが、例えば農業倉庫を建てるということで市街化調整区域の中に宅地をつくった、そうすればその宅地は農業倉庫が建たなければあとそれ以外に利用してはならないといっても、それにどれだけの利益があるかということですね。宅地に一たんなってしまったんだから、そこに農業倉庫が建って、やがてその周辺が市街化が進んで市街化区域に編入されたときに、その農業倉庫が逆に今度は都市の美観を損ねたり環境を悪くしたりいろいろするんじゃなかろうか。私は、公然と公簿面で宅地というのであれば、これに規制を加える必要はないと思うのです。これに規制を加えて損害を与えているとすれば、その損害を国はちゃんと補償すべきである、それが憲法の精神ですよ。そういう点ではどういうふうに思いますか。
  99. 高橋健文

    高橋(健)説明員 先ほどの登記の件でございますが、登記の年月日は確かに申請した時点でございますが、登記の原因となる行為、それで宅地になったということが登記簿上出てくるわけですが、その原因となる行為はかなりさかのぼって登記原因日が記載される例がございます。  それとあと、農業用倉庫等で建った後、宅地になっているんだから住宅用として利用させるべきではないかというお話でございますが、そういったケースをすべて認めてまいりますと、市街化調整区域でいろいろな開発規制をやっております規制そのものがすべて脱法的に、農業用倉庫等を経過することによって住宅が建ってしまうということになりかねませんので、その点につきましては、既存宅地の規制としては厳格にやらざるを得ない。ただ、先ほども申し上げましたように市街化調整区域で必要となるであろう分家住宅ですとかあるいは子弟がUターンして帰ってきた場合の自己用住宅とか、そういうような開発規制につきまして弾力的に対処していきたいと思っております。
  100. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 このことはひとつよく検討していただきたいと思います。地価に関することでもございますし、実際にそういう点で大変問題が出ておることでございますから、よろしくお願いします。  時間がありませんのでちょっと順序が狂いますが、次にはこの四全総とは別に、百八国会で総合保養地域整備法の成立によって、これからこの具体的な推進がされるわけでございますが、まずその構想について、そしてその中で一体この法律の具体化をするのに、大体第一回はどのくらいの県の申請の指定を図っていくのか、その時期はいつごろをめどにしておられるのか、こういう点についてお伺いいたします。
  101. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 総合保養地域整備法、いわゆるリゾート法は、御案内のように近年の社会的、経済的環境の変化に対応して、リゾート地域の整備を図ることによって、ゆとりある国民生活の実現とあわせて地域振興を図るということを目的とした法律でございまして、六月九日に公布、施行されております。  現在、この法律の主務省庁の間で、都道府県が基本構想をつくる際のガイドラインとなるべき基本方針を作成しているところでございまして、今後関係省庁との協議を経て、九月をめどに公表したいと考えております。これを受けて、関係都道府県は基本構想を策定して主務大臣へ承認の申請をするということになります。これはいわゆる地域指定方式ではございませんで、県がリゾート地域の整備に関する基本構想をつくって国へ申請し、その内容の審査を経て国が承認をするというものでございます。  したがって、全体として何カ所ぐらいになるか、また、第一陣としてどのくらいの箇所数が出てくるのかということを今の段階で、あらかじめ国の段階で想定しているわけではございません。
  102. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、これは大体十五万ヘクタールが一つの範囲の基準になっておるようですが、場合によっては十七万あるいは十四万五千でも、その地域状況によっては別に厳重にこれを守るというものではないのでしょうか。その辺は、相当幅があると解釈していいでしょうか。
  103. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 現在基本方針を作成中でございますが、今のところ原則としておおむね十五万ヘクタール以下というようなことを検討しております。これは原則でございますので、自然的経済的社会的条件の一体性を損なわない範囲において、その基準以下であってもあるいはそれを若干超えるというような場合もあろうかと考えております。
  104. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 そこで、それでは具体的にお伺いしますが、今福島県から会津高原リゾート建設構想についての陳情が出ておると思います。これは福島県の中ではまさにこの法律の精神を生かす絶好の地域だと考えるわけでございます。ただ面積が、十七・七万ヘクタールというふうになっておりますが、この内容が法律に適合した場合、十七・七万ヘクタールという、十五万ヘクタールより二・七万ヘクタール多いわけですが、こういう場合はこれを削らせる意向ですか、それとも状況によってはこれでもいいというお考えですか、その辺はどうでしょうか。
  105. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 会津高原リゾート構想については地元の方も大変熱心でございまして、何度も御陳情を伺っておるところでございますが、その構想の内容については、今先生が十七・七万ヘクタールというお話をされましたが、別の面積の資料も地元から出ておりまして、現段階でどのくらいの面積になるのか、私ども正確には承知しておりません。  いずれにしても、県が関係市町村と十分協議して、自然的経済的社会的条件の一体性を確保するという法律に規定している要件を具備する、そういう範囲での妥当な面積をリゾート地域として設定するであろうというように思いますし、それが出てきた場合には内容が適当であれば認めることになろうかと思います。  もちろん、承認する場合にはその面積だけで物事は決まるわけではございませんで、民間事業者による地域の整備が現に行われあるいは行われることが確実であるということが極めて重要な要件であり、法律に書いてあるそういう五つの要件を総合的に勘案して審査をするということになるわけでございます。
  106. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 ここは本当に法律の趣旨に合っておりますから、私からもよろしくお願いしておきます。  さてそこで、きょうは法制局が来ておるのですが、実際は、土地の最近の暴騰についてこれは今いろいろな議論がなされておるようでございます。税制の中で土地の高騰を抑えるとかその他いろいろな方法が考えられておるようですが、私はこれは所有権と利用権というものを分けて考えるのが一番至当じゃないか。大体土地というのは地球の一部分であって、これはもともと地球と一体となって知るものでございますから、これを人間が所有するというのは余りにも勝手過ぎるのです。人間なんか最近地球上に出てきた動物でございまして、しかも所有権の確立なんというのはもう本当に最近の最近の最近なんですよ。そういうものでこのように世界的に問題が起きるようでは私は困ると思うのです。  そういう点では、日本の憲法にその点は余り明確にされていない。ところが、憲法草案のときにマッカーサー草案が示されたわけでございますが、これは非常に明確に書かれているのです。ちょっと参考までに読みますと、マッカーサー草案の第二十八条、時間がありませんから、簡単に読みますが、  土地及一切ノ天然資源ノ究極的所有権八人民ノ集団的代表者トシテノ国家二帰属ス 国家ハ土地文ハソノ他ノ天然資源ヲ英ノ保存、開発、利用文ハ管理ヲ確保又ハ改善スル為二公正ナル補償ヲ払ヒテ収用スルコトヲ得 そのほかにまた、ワイマール憲法から引き継いだようなものも二十九条に出ておりますが、こういう考え方をこれからしていく必要があるのではないか。  そういう点で、私は、利用権と所有権というものを分離した一つの法体系を確立すべきだと思うのですが、そういうふうにするためには、そういうことが今の憲法下でできるでしょうか。
  107. 関守

    ○関政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生のおっしゃった所有と利用の分離というお話が、具体的にどういう形のものになるのか、その辺がちょっとわかりませんので、的確なお答えがしにくいわけでございますけれども、その所有権は国に帰属させるんだ、それから利用権は国民が持つんだというお考えだといたしますと、そういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。一といたしますと、現に土地の所有権というものは各人が持っておるわけでございます。したがいまして、それを国に帰属させる、国が所有権を取り上げるということになりますと、御承知のようにもともと憲法二十九条三項で「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」というふうに書いておりまして、その前提といたしましては「財産権は、これを侵してはならない。」という二十九条の一項の規定がございます。  したがいまして、どういう方法でそれを国に帰属させるかという問題もございますし、この規定では公共のために用いるという一つの具体的な目的あるいはそれに従った計画と申しますか、そういうものがありまして、その必要性あるいは合理性があるかどうかということを判断した上でこれを国のために用いる、公共のために用いるということになるかと思います。  ただ、一般的かつ包括的に、そういうことがなくて土地の所有権は国に召し上げるんだというようなことでございますと、これは憲法二十九条一項あるいは三項の規定からしてできないのではないかというふうに考えられます。
  108. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお願いします。まず、大臣は現状において一つの区域を設定して監視する、こういうお話が先ほどあったようですが、私は、それではとてもこれを抑え切れるものではないと感じておるのですが、この問題についてはどういうふうにお考えなのか。  それから、四全総の多極分散型として進められるわけですが、その原動力として、いわゆる牽引的な役割を果たす意味での遷都、分都あるいは展都、こういうものが考えられておるようですが、しかし、これは三つ皆並列に並べられても国民の側ではわからないので、このうちどれを大体主体として考えていかれるのか、その辺についてお伺いいたします。
  109. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどの土地監視区域を設けるということについて、それで十分かということでございますが、先ほどから御論議のありますように、憲法二十九条の基本をわきまえながら、私権制限というものがどこまで踏み込めるのかということでぎりぎりの線で今いろいろと対策を練っておるところでございまして、ある程度の効果が得られるものだと考えておる次第でございます。  なお、この憲法二十九条に絡みまして、財産権は侵してはならない、しかし社会の公共福祉のためにある程度の私権の制限は許されるということでございまして、例えば土地収用法などにつきましても、大方の皆様方が御賛同いただいておっても、なかなか一部の方々の収用ができなくて公共の福祉が図られない、こういうような現実もあるわけでございまして、私どもとしては、公共の福祉のために私権というものがスムーズに制限できるということであれば、もっと踏み込めるのではないかと思いますが、その辺が難しいところで、今苦労をしながらやっておるわけでございます。  なお、四全総の中におきます遷都問題あるいは展都、分都、こういう問題でございますが、これにつきましては、東京一極集中と言われます諸機能が地方に展開され、あるいはその機能を各地方で受け持ってもらえるような基盤整備というものも必要ではないかと思うわけでございます。  その意味におきまして、各地方においてこれを受け入れるような、吸引力をつけるような基盤をつくってもらいたいということとあわせて、東京等にあります機能の分散というものをいろいろの関係の省庁と協議をしながら、今後移しかえていくような方向を強力に展開してまいりたいと考えておるところでございます。
  110. 渡部行雄

    ○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  111. 魚住汎英

    ○魚住委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時十六分開議
  112. 堀之内久男

    堀之内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  113. 古川雅司

    ○古川委員 去る六月三十日に閣議決定をされましだ第四次全国総合開発計画、いわゆる四全総でございますが、二十一世紀に向けての国土づくりの指針となるものでありまして、策定に当たられましな国土庁のスタッフの方々、ともに国土庁長官も大いに苦心をなさったことと思います。  そこで、長官にまずお伺いをいたしますけれども、殊に生活基盤の整備をさらに重点的に進めていくという意味で、三全総の総括をどのように検証されて四全総に進まれたか、まずその点にお答えをいただきたいと思うのであります。  四全総の内容につきましては、多極分散型の国土形成を通じて均衡のある国土発展を図ることを基本目標としているとうたわれておるわけでございますが、非常にいろいろな意見が出ておりますけれども、現状追認的で総花的な内容はやむを得ない。しかもその具体化に当たってはいろいろな課題が指摘されているわけでございます。殊に、東京重視か、地方重視かということでは国土庁としても非常に御苦心をなさったところでございますけれども、第一点としてお伺いをしたいのは、そうした東京集中是正というものがいわゆるかけ声だけで終わったのではないか、これは今後、具体化に当たっては非常に困難な障害として残っていくのではないかということが心配をされるわけでございます。この肝心の東京集中の是正策がなければ四全総そのものが非常にナンセンスになってきてしまう、厳しい言い方かもしれませんけれども、これは大事な問題であると思います。  この四全総の作成の段階で、例えば都心への企業の過度な集中を排除するためにいわゆる特別事業所税の創設構想なんかもありましたけれども、これは経済界から猛烈な反対があって見送られたわけでありますし、また大震災の際万が一に備えて、災害時の代理首都として仙台に東京の代理機能を持たせようといういわゆる仙台第二首都構想もあったわけでありますが、これはまた関西の方から大変な反対があって、引き続き検討をするという後退した表現になっているというのが事実でございます。  こうして見てまいりますと、いろいろな機能が東京に集中せざるを得なくなった現状、この現状を改めなければいけないということをこの四全総の中で目指しながら、地方自治体も活性化ということを求める、特色ある地域をつくろう、そういうことを志向しているわけでありますけれども、実際としてはなかなかそれが四全総の中では明確に示していけない。これはやはり民間企業に対しても地方分散を進めておりながら、問題は、政府みずからがそうしたことに対して範を示していないということが、この東京集中是正という大事なテーマをかけ声だけに終わらせたことになっているのじゃないか、このような感想を持つわけでありますが、大臣、この点についてはいかがでございましょうか。
  114. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 三全総から四全総に移り変わった状況について説明しろということでございまして、三全総は御存じのように定住構想ということで、安定経済成長に入った時分に、それぞれの地区が住みやすい場所になるようにということで策定をされておるわけであります。今回の四全総は「定住と交流」、こういうことでございまして、よく考えてみますと、各地方東京に向かっての交通アクセスというものは皆さん非常に努力をしておられますけれども、地方地方との間の交通ネットワークというものは極めて貧困な状況でございます。やはり、いろいろの均衡ある発展を図るためには、地方圏がそれぞれさらに団結をいたしまして大きな力をつけて、吸引力を持って東京あるいは都市圏に対抗できるような地方をつくらなければならない、こういうのが一つの大きな基本になっておるわけであります。したがいまして、今回は高規格幹線自動車道あるいはコミューター航空、また、地方に十五の国際空港を展開するということで、地方もそれぞれ開かれた国際的な核都市をつくる。こういうようなことで、情報の発信基地が東京のみに偏重しておる、あるいは大都市圏に偏重しておるというのを、地方にも情報の発信基地ができるような日本国土をつくっていくべきである、こういう方向づけをさせていただいたつもりでございます。  今回の四全総方向の中で、大都市圏と地方圏という対比がなされておるわけでございますが、均衡ある国土発展でございまして、東京には東京の集中をして、世界の情報やいろいろのものを集中しながらメリットを生み出しておるわけでございますから、その点は是認をしないわけにはいかないわけでありますが、そのデメリットを防ぐためには地方圏の振興ということでこれを裏打ちされるというふうに考えておるわけであります。
  115. 古川雅司

    ○古川委員 首都にはいろいろまた大きな課題を抱えているわけでございますけれども、地方もそれぞれ昨今の経済事情のもとで産業の停滞、経済の不振、そういったことで今後の開発計画というものが大きく見直されているときであります。三全総までをいろいろその実績、またそれぞれの役割を総括しながら、なおかつ、これを四全総が引き継いでいくということも今の大臣の御答弁の中にうかがえるわけでございますけれども、例えば、目下造船、鉄鋼あるいは繊維、あらゆる産業が構造的な不振、あるいは円高による打撃、そういったもので非常な不振をきわめているわけでございます。  例えば、昭和三十九年に地域指定をいたしまして以来、国の財政援助のもとに開発構想が進められてまいりました工業整備特別地域事業、こういったものの位置づけでありますけれども、こういったものは今後地方振興の上で、この四全総の中にどう位置づけられていくのか、そうした役割をまだこの四全総の中に生かしていくのか、あるいは従来以上にこれは強力に推進をしていくべきものなのか、多くのいろいろな課題を含んでおりますだけに、その点も一つ気にかかるところでありますけれども、その点のお考えについてお示しおきをいただきたいと思います。
  116. 長沢哲夫

    長沢政府委員 先生御指摘の第一次全国総合開発計画の時代に発足いたしました工業整備特別地域あるいは新産業都市、これらの地域はそれなりの産業都市集積を有しておりまして、地域開発上、依然重要な役割が期待されているところでございます。  しかしながら、石油危機以降、大きな経済構造の変化、環境変化の中で構造不況的な業種に陥って、それに伴い、そうした地域経済が停滞して活性化が求められているという実情にあるということもまた事実でございます。こうした事実認識に基づきまして、四全総におきましては、工業整備特別地域等につきましても新たに高付加価値産業の誘致・育成、また、それらを支える研究開発機能等の高次都市機能の強化、それから、人々が住んで魅力ある都市づくり、こういった点に配慮した整備をさらに推進することといたしております。
  117. 古川雅司

    ○古川委員 さて、この四全総の具体化に際しての幾つかの問題を順次お伺いしていくわけでございますが、非常に大きなプロジェクトプランを持ちながらも、一番気になることは財政的な裏づけということになるかと思います。したがいまして、これは大臣もいろいろ御苦心になったと思うのでありますが、一つには、民間の活力をどこまで生かしていくのか、いわゆる官民の分担について、この構想を策定していく段階である基準といったものをお考えではなかったか、そういうことをひとつお伺いをしていきたいと思います。  それと同時に、民間の活力をこれから太いに生かしていく、活用していく上において問題になるのが、現状にそぐわないいろいろな種類のたくさんの規制でございまして、そういったものを緩和していく、これもきちんとしたスケジュールを持って具体的に項目を挙げて示していかなければならない、あわせてその許認可の手続等の簡素化、合理化等も民間活力という上では大きな意味をなすというように思われるわけでございます。そういったことがこの四全総の作成の段階においてきちんと検討され、方向を示されたのかどうか。  さらに、もう一つの問題でございますけれども、これはいわゆる環境問題、あるいは関係住民の合意を得る問題、これも事業実施に際して非常に重要になってくるのではないか。そうしたこのプロジェクトを展開していく上において環境アセスメントといったものをきちんと盛り込んでいく、その手法においても十分に考えていくということは、策定の中で十分お考えだったと思いますが、その点、大臣の御決意を伺っておきたいと思います。これは一つの例でありますけれども、最近関西新空港の埋め立ての工事に着手をいたしまして、その現地の公害問題、環境問題だけではなくて、これがいわゆる海砂を採取する瀬戸内海、広島県の三原市の沖の問題として、いわゆる生熊系に変化を与えるとか、あるいはまた環境に異状を来しているということで問題になっているわけでございまして、そういう新しいケースの事態も招来をしてくる。そういう意味で、この環境問題というのは四全総の中でまた一つの大きな課題になっていくと思うのでありますが、その二つの点について大臣のお考えをお示しいただきたいと思います。
  118. 長沢哲夫

    長沢政府委員 まず、二つの前の方の民間活力をどのようにして活用していくかということでございますが、四全総におきましては目標年次までの間に公共、民間合わせて一千兆円の基盤投資分行っていくことを目安に国土基盤の整備を進めでまいることになっております。また、計画の中で「多様な主体の参加による国土づくり」ということが強調されておりまして、民間活力を活用して四全総推進していくという考え方に立っております。そのために、法制度の充実あるいは民間投資を促進するための規制緩和を図る、あるいは関係主体者間の円滑な連絡調整を図るための組織づくりを進めるということを考えております。  それから第二の、四全総事業を進めるに当たり環境アセスメントあるいは環境保全をどのように考えていくかという点でございますが、もちろんこの点につきましても、環境影響評価を重要な施策の一つとして四全総の中で示しております。また、実際に計画の効果的な推進を図るためには各種計画との連携が重要でありますので、当然その中で、公害防止計画等環境保全に関する計画との調整も図ってまいります。実際の事業実施に当たって、適切な環境影響評価等を実施しながらあらかじめ事業主体者間の調整を図る、こういう進め方をしてまいることといたしております。
  119. 古川雅司

    ○古川委員 大臣のお考えは、恐らく今局長が御答弁になったとおりだということだと思います。  いずれにいたしましても、民間活力の活用あるいは環境問題にいたしましても、四全総を具体化していく、事業を進めていくについての一つの大きなかぎであるわけです。しかも、これは各省庁にかかわるわけでございまして、四全総のリーダーシップにとっていく国土庁長官としては、やはりこれから歴代大臣が強力にこういった点を各省に対して指示をしていかなければならない、推進をしていかなければならないと思うわけでございますが、大臣の御決意を一言ここで伺っておきたいと思います。
  120. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 民間活力を利用した国土活性化とかあるいは環境問題を重視していく方向であるとか、いろいろ御示唆に富んだ御発言でございますが、私どももそのようなことを四全総の中で十分盛り込んでいきたいと考えております。  なお、四全総推進につきましては、来年度の予算概算要求の中にも、それらが推進できるような予算を要求させていただいておるところでございます。
  121. 古川雅司

    ○古川委員 次に、この四全総推進について具体的に一つ、水資源対策を強化しなければならないという問題に触れておきたいのです。定住あるいは住みよい国土をこれから進めていくためには、やはりどうしても水の確保ということが大事になってくると思います。  先般、東京中心とした水不足に大いに悩まされたわけでございます。またきのうの災害対策特別委員会では、その反対に大雨が降ってその被害対策がいろいろ議論をされたわけでございますけれども、この水不足の直接の原因が、ことしの場合には、殊に昨年からことしにかけての異常気象にあったということ。これは水源地域の利根川上流域を例にとりますと、雪の量が平年の四分の三しかなかった、菜種梅雨の四月の降雨量が六分の一であった、そういう異常さもありますけれども、首都圏の大渇水というのは、こうした気象条件とともにまた、水の使用の実態、そういったことも非常に大きな関係があるわけでございます。しかも、気象庁の調べでは、昭和三十年ごろをピークにして全国的に少雨傾向になってきている。そういった意味でも、具体的な数字は省略をいたしますけれども、この夏、幸いにしてその危機は脱したとはいえ、今後渇水対策というのは、この四全総の構想の中でも重点事項として取り組んでいかなければならないということになると思います。  水資源白書によりますと、生活用水の利用は近年、年約三%ずつふえているということでありまして、ダム等の水資源の開発というのは、もう既に開発適地が非常に制約されておりますし、建設のコストも非常に膨大にわたっております。そういったことで非常に厳しい状態にあるわけでございますが、国土庁の資料によりますと、昭和七十五年までに東京都の区部だけでも、サンシャインビル二百五十棟分、約五千ヘクタールの広大なオフィスビルの需要があるというように言われておりまして、ここからも、膨大な水の需要と下水道施設の拡大整備が不可欠になってくるわけでございます。  そういった事態をずっと並べ上げてまいりますと、一体これに今後どう対応していくのかということになるわけでございますが、先般、いわゆる関越水資源開発構想なるものが公になりました。これは、首都圏の異常渇水を契機にいたしまして、御承知のとおり、日本プロジェクト産業協議会というところがこの構想を発表したわけでございます。  内容は、三カ所のダム、八カ所の発電所、大規模の揚水ポンプ三つと八十四キロメートルの水路トンネルを建設して、三国山脈を越えて信濃川の余剰水を利根川に回そうという、これは大変な大規模プロジェクトでありますけれども、総工費約一兆円、十年がかり、建設をすれば約十億トンの水を確保できる、年間十八億五千万キロワット時の発電も可能であるというところまで試算をしているわけでございます。  これは当然新潟の方にも大いなる拒否反応もあるでありましょうし、いろいろ議論のあるところでありますけれども、国土庁としてはこういった構想をどうお考えでございますか。
  122. 大河原満

    ○大河原政府委員 ことし渇水に見舞われました首都圏、まあ関東地域でございますけれども、この関東地域の水資源開発につきましては、従来から、関係機関がいろいろ協力いたしまして、各種の施設を積極的に設置していこうということで取り組んでおるところでございます。  二十一世紀当初へ向けての水需要でございますが、これにつきましては、従来の計画基準に基づきますと、関東地域内の水資源開発施設、そういったようなものの建設の促進を図る、あるいは水の有効利用を促進する、そういったようなことで十分に対応できるというふうに考えられますので、とりあえずはこれらの事業を促進することが緊急であるというふうに考えております。
  123. 古川雅司

    ○古川委員 これは、のど元過ぎれば熱さを忘れると申しますけれども、今になってほっとしている状態でございますから、まあ大丈夫だという感じは出てくるわけですけれども、そういった幸運はいつも訪れるわけではございませんで、やはり今後の水資源の確保ということを、あらゆる方法を講じて推進をしていかなければならない。今、関越の問題についても触れたわけでございますが、そういった大胆な、極端な考え方も検討し、採用していくという方向が必要だと思います。  さらにもう一つ、そうした上水道を引き入れるということのほかに、発想の転換として、水資源のリサイクルシステムというものを考えていかなければならないのじゃないか。これは昨年の十一月に、第百七国会に我が党から中水道の整備の促進に関する法律案として御提案しているところでございまして、目下建設委員会で継続審議中でございます。こういった中水道の構想、ここで一つ一つメリットを挙げるまでもございませんけれども、一つには、補給水量を減少さして水不足の地域における緩和策の一つになり得るということ、あるいは排水量、汚濁負荷を減らして下水道施設の負担の軽減になるということ、あるいは節水型社会の形成に大きな影響があるということで、都市整備に伴って、また水需要の増大に伴って、どうしてもこれは今後検討していかなければならないという意味で私たちも提案をしているわけでございます。上水道は厚生省、下水道は建設省、工業用水は通産省というふうになってまいりますけれども、こうした水資源のリサイクルシステムという考え方に基づく中水道ということになりますと、所管は一体どこになるのか、あるいはこういった中水道の考え方について大臣みずからどうお考えになっていらっしゃるか、今後どう取り扱っていくお考えか、お示しをいただければ幸いでございます。
  124. 大河原満

    ○大河原政府委員 まず、どこの所管がということでございますが、いわゆる中水道、雑用水の利用の促進につきましては、雑用水利用促進関係省庁協議会というのがございます。これは構成メンバーが国土庁、建設省、厚生省、通産省というふうになっておりまして、雑用水利用にかかわりますいろいろな課題あるいは雑用水の利用にかかわります指針等につきまして現在協議検討を進めておりまして、今後ともこのような体制の中におきまして、国土庁としては関係省庁と十分連携をとりながら適切に対応をしてまいりたい、かように考えております。  それから、中水道法案についてのお尋ねでございますが、こういった雑用水、いわゆる中水道の利用は、今後とも、逼迫する水需給対策及び公共水域の汚濁負荷の軽減という立場から、地域の実情に応じましてその円滑な導入を図っていくべきであるというふうに考えておりまして、中水道の整備に関する法律案要綱を提出された趣旨も同様であるというふうに理解しております。これの法制化に向けましては、御承知のように、水質の基準あるいは施設の設計基準、それから維持管理基準等の衛生的なあるいは技術的ないろいろな問題、課題があるわけでございますし、それからコスト等の問題もありますので、これらの課題につきまして関係省庁とも十分連絡をとりながら早急に検討してまいりたい、かように考えております。
  125. 古川雅司

    ○古川委員 各関係の省庁の間の連絡会議というようなことで今検討を進められているようでありますが、当然これは、四全総を進めていく上で国土庁のリーダーシップが問われるわけでございまして、大臣も、ひとつ政府の法案提出に至るまでの御努力を、ぜひここで御決意のほどをお示しおきをいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  126. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 水の需要ということは、文化生活が高まるにつれてますます多くなるわけでありますし、供給面につきましては、一つのダムをつくるにいたしましても十五年、二十年かかりますし、また適地がだんだん少なくなっておるということで、需給のバランスの上からも中水道の利用ということは非常に重要なことだと思います。特に公明党さんはこの問題に大変熱心に取り組んでいただいておるということで、私ども敬意を払っておるところでございます。  ただいま水資源部長からお答え申し上げましたように、技術的にあるいはコスト的にいろいろまだ問題があるようでございます。しかし一方では、アクアルネッサンスということでいろいろな技術革新の波に乗ってこの問題を研究しておる向きもあるようでございますし、私どもも、さらに一層この問題に取り組んで、近い将来これが立法化の段階に至るように努力をさせていただきたいと考えております。
  127. 古川雅司

    ○古川委員 時間が迫りましたので、最後に土地対策でございますが、四全総を具体化していく上に、その成否は土地対策にかかっていると私は思います。  けさほどから土地対策についてはいろいろ議論がございました。この後同僚議員からもこの土地対策には触れることと思いますけれども、一つには、特に首都圏、東京の最近の土地の高騰がいろいろ問題になっているわけでございます。最近少し鎮静化したというようなことも聞かれるわけでございますが、この土地の暴騰に対して、東京都あたりは次々といろいろな対策をしてきた。総理が新行革審に対して諮問をするというようなことがございました。しかし、これも答申が出るまでにはかなりの時間がかかるのじゃないかと考えております。少し鎮静化してきたということは、政府として、国として何ら手を打ついとまのない間に東京都あたりの努力によってこういう一応の傾向が出てきたということも考えられるわけでありまして、これは厳しく言えば、一体国は何をしていたのか、全く打つ手がなかったじゃないかという批判にも変わると思います。  特に首都圏におきまして最大のネックは、農地問題というものが一つ挙げられるわけでございますけれども、四全総推進の上におきまして、農地の扱い方、農地のあり方についてきちんとしたお考えを持っていらっしゃるのかどうか。総理が新行革審に諮問なさったその答えを待たなければならないのか。その農地のあり方について矛盾した点は、枚挙にいとまがございません。一例でありますけれども、都内では、千代田、中央、港の三区の合計面積の、八千二百ヘクタールの市街化区域内農地がある。この九割の七千三百ヘクタールが長期営農継続農地として、周辺宅地の八十分の一の税金しか負担していない。課税逃れの偽装農地も多いというような指摘もあるわけでございますし、その農地の扱いが今後の土地問題の一つの大きなかぎである。と同時に、本格的に農業を行う人に対しては、生産緑地制度というものを有効に活用して保護していく、そういった配慮は当然必要でございますけれども、この農地の取り扱いに対してどうお考えになっていくのか。  もう一つは、これはけさほどからもございまして、重複をいたしますので省略をしたいところでありますが、いわゆる国公有地の払い下げの問題でございます。特にこれで民間活力を引き出そうとしておるわけでございますけれども、問題は価格でございます。高価格で財政の補強をするということには、一つのメリットはありましょうけれども、長い目で見れば、今度は公共事業地を取得する上において、大きなマイナスとして今後負担が残ってくるわけでございます。そういった点では、先般国土利用計画法改正されまして、新たに監視区域制度が導入をされたということは、一歩前進で評価をしたいと思うのでありますけれども、国公有地がこの対象から除外をされているわけでございます。これは首都圏の土地対策の上では一つの大きな欠陥になっているのじゃないか。そうしてみると、この規制の対象に加えるように再度法改正をする必要があるのじゃないかということを考えるわけでございますが、この点どのように国土庁としてはお考えになっているか、これは大臣の御答弁だけで結構でございます。  そのほかきょうは桜島の火山噴火の被害に対しまして質問の通告をいたしておりましたが、時間がございませんでしたのでこれは省略をさせていただきます。ただ、きのう衆議院の災害対策特別委員会でこの問題が幾つか出されました。その中で、それぞれ各省庁から御答弁があったわけでございますが、その答弁がありながらなおかつ、その答弁で対策がされていると言われておりながら、現地からは全くまだそのとおりにはなっていないという声があるわけでございまして、今後ともその対策の強化を心からお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  128. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 都内の農用地の諸問題についていろいろお尋ねでございますが、この問題は何回も委員会でも御質疑があり、また我々も答えてきたところでございまして、この問題につきましてはただいまいろいろと研究会をつくって取り組んでおるところでございます。  なお、この国公有地の処分の問題につきましては先般の国土利用計画法の中に、国等が土地を処分いたしますときには適正な土地の価格形成に配慮するという配慮規定になっておりますが、この配慮規定の裏には地価対策閣僚会議におきまして、今後はこの処分につきまして十分情報の交換とか連絡をし合いながら処分をしていくという打ち合わせになっておりますので、十分今後地価の問題に留意をしながら事に当たっていきたいと考えております。
  129. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  130. 堀之内久男

  131. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に土地問題について、時間がたくさんございませんので、また例によって例のごとく少ない時間の中でやるということでございますから、簡単にひとつ御答弁いただきたいのですが、その簡単というのはきちっと中身の濃い簡単でお願いします。  大臣、中曽根内閣で土地対策がなかった結果土地が値上がりした、失敗だというような意味を衆議院建設委員会、七月三十日の参議院建設委員会において天野建設大臣が御発言になっていることをお聞きになっておりますか。
  132. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 聞いております。
  133. 小川新一郎

    小川(新)委員 この土地問題の責任担当相はどなたでございますか。
  134. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 一応国土庁でございます。
  135. 小川新一郎

    小川(新)委員 国土庁ということは、長官のことでございますか。
  136. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 一応行政の長に立っておりますから、そういうことになろうかと思います。
  137. 小川新一郎

    小川(新)委員 同じ中曽根内閣で、日本国土日本土地の問題についての責任は国土庁であり、その最高責任者である長官であることを今お認めになっておりますが、活用面において、利用面において、また国土開発について、再開発について、すべての面についての行政面においては建設省も責任なしとは言えない、そういう住宅問題や土地政策、私はこの問題については中曽根内閣の中央公論における例の問題について、天野建設大臣に御堂の法務委員会委員長様がこの問題についての責任追及の論文を発表したことについては当委員会で質問いたしました。しかし、中曽根内閣の土地の失敗が、土地対策がなかったからその結果なったんだ、一体対策とは何だ、土地政策とは何だ、こういう問題になるわけでございます。私は、このような問題を建設大臣が公的な国会の場において御発言になっていることについては冗談では聞いておけない。この問題について長官の御決意、御反論また御批判、反省等々ございましたら、簡単で結構ですからお願いします。
  138. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 私は、この地価問題につきましては何回も何回も委員会でも御答弁申し上げておりますが、今回の地価の問題は日本国土地価の問題というよりも東京中心にした一極問題だというふうに考えておるわけであります。したがいまして、東京都などとも今まで十分連絡をとりながら対策を講じてきたところでございまして、御存じのように昨年は国土利用計画法改正に先立ちまして東京都に条例の創設をお願いして、いわゆる監視区域の前哨でございます五百平方メートル以上の市街地のチェックをお願いしたところであります。  また、今回は国土利用計画法改正して監視区域を設けるということで、既に八月一日から発効して各地でこの問題を取り上げていただいております。  また、この国会でというよりも、百八国会に、特に短期の転がし、資金の余剰から財テクの材料に土地が使われておるということでございまして、二年以内の転がしというのが一番多いわけですから、これには九六%の超重課税を課するという法案を提出させていただきました。しかし、これは売上税関連法案ということで先国会で廃案になったわけでございます。私はこれがもっと早く成立しておれば非常に大きな効果があったと思っておるわけでありますが、遅まきながら今回もまた提出をさせていただきまして、既に衆議院は通過いたす予定で、今後この国会で成立をさせていただくということを信じておりますので、一日も早くこれが成立いたしますと相当の鎮静効果があると考えております。しかも天野建設大臣は、供給面をもっと促進しろというお考えが非常に強いわけでありまして、私どももこの供給面についてはJR用地の問題とか湾岸開発とかいろいろ長期的にも検討をさせていただいておるわけでございます。  ただ、天野建設大臣の御発言は、まあ内輪で申しますと派閥的に中曽根派でございますから、中曽根総理しっかりしろ、こういう激励の言葉だと私は受け取っておるわけで、閣内不統一というふうには私は受け取っておりません。なお、その後の委員会におきましても再度天野大臣にこの御質問があったときに、この問題についての修正の御発言があったように記憶はいたしております。
  139. 小川新一郎

    小川(新)委員 これはまことに異なことをお聞きしたわけでございますが、この国会は何も中曽根派がどうだとか福田派がどうだとか、派閥で議論をするところではなくて、あくまでも建設大臣という日本大臣の立場、土地政策の立案者である国土庁とお互いに協力し合う立場にある建設省の最高責任者の国会における答弁でございますから、中曽根派であって中曽根総理を激励するなどというような御発言はひとつ訂正していただきたい。私どもそのような気持ちで、そんな安易な問題でここで質問しているわけじゃございません。これはあくまでも大臣として聞いているのであって、それは長官に対しては非常に不愉快だと思います。そこまで長官に嫌な思いをさせているのは、これはあなたの部下である政策担当官であるとか、また建設の担当官がしっかりしないからこういうことになったんだと言いたいのでございますが、もっとはっきり言えば、最高指導者である総理大臣の責任でもあるということを踏まえて発言しておりますので、この中曽根派がどうだとか、激励だ、どうだとかいう御発言はひとつ訂正していただきたいと思います。
  140. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 御存じのように閣内不統一ということになりますと、大臣が意見が違うということになると、これは大変な問題なんです。私はそのことは十分留意をしてまいりまして、そのことは天野さんにもよく申し上げて、内々土地対策については私とは十分連絡をとっておるということでございます。
  141. 小川新一郎

    小川(新)委員 わかりました。失礼しました。これだけ大臣が苦しい御答弁をしていることは、私も同じ国会議員の立場をよく理解しますので、それは理解をしますが、ひとつその辺の御配慮をよろしくお頭いしたいと思いまして、この土地問題については厳しくひとつやっていかなければならぬと思っています。  臨時行政改革推進審議会の答申を今総理が求めておりますが、その中で、憲法第二十九条における私有財産権の保護というものは我が憲法の柱でありますが、土地対策の中で私有権の制限もやむを得ないということを言われております。国土庁としては私有財産、要するに土地の私有権につく問題の、侵害と言ってはあれですが、制限もしくは規制、そういう問題に立ち入るというお考えがおありですか。
  142. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 私権の制限ということにつきましては、憲法二十九条の中でも社会、公共福祉のためにはある程度それを認めておるわけでございまして、それを受けまして、例えば土地収用法あるいは都市計画法、その他農地法また国土利用計画法いろいろの法律が今定められておるところでございます。特に、国土利用計画法の中の第十二条、十三条では規制区域を設けて、この中の土地はすべて許可制というようなことができる条文もあるわけでございます。  問題は、こういうものを利用するかどうかということでございまして、私どもはその辺は慎重にやっておりますが、その前段といたしまして。ただいま申し上げました監視区域等を設けてチェックをしながら、あるいは過剰流動性を背景にした転がし等を規制するようなことをやりながら、なお高騰現象がやまない場合にはいろいろとまた次のことを特に自治体の皆様方と御相談をしていかなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。
  143. 小川新一郎

    小川(新)委員 私有権の制限、私有権の侵害という問題については憲法上の議論になりますので、長くなりますからいたしませんが、現存している法律の中におけるそういった制限、規制というものをさらに強めていくというおえ考が、今お伺いした中でかいま見えるわけでございます。  そこでお尋ねしたいのでございますが、市街化調整区域と市街化区域の線引きという問題は、中曽根総理は、規制を緩和しろ、要するに、そういう制限区域があるがゆえに土地の放出ができなくなって需要と供給のバランスが崩れているんだから規制を緩和した方がよろしい、これは地方公共団体の長である知事に一任されておるのですが、大臣としては、この調整区域、市街化区域の線引きの強化の方向に、方向と言うよりもそのままなのか、その問題をさらに一歩緩和の対象の方に持っていくのか、この姿勢というものは大臣としての御識見、お考えの中にはどのようにおありなのですか。
  144. 堀之内久男

  145. 小川新一郎

    小川(新)委員 委員長、ちょっとこれは大臣のお考えだけ聞きたいのだから。政策的なことはいいから……。
  146. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 この問題につきましては、建設省の方でもいろいろと今研究しておりますので、事務的にちょっと一遍答えさせます。
  147. 伴襄

    ○伴説明員 お答え申し上げます。  線引き制度につきましては、都市への急激な人口集中が起こらないようにということで、そのときに無秩序な市街化が拡大しないようにということで決められた制度でございます。一方、先生御指摘のとおり非常に根強い住宅宅地需要がございますので、それにこたえる必要があろうかと思っております。  そこで、我々としましては、線引きの見直しを実態に即して適切かつ弾力的に行われるようにやるということにしております。特に、最近の制度としましては、保留人口フレーム制度と申しまして、線引きを五年間に一度ずつやっておりますけれども、それをもっと随時見直そう、将来の想定人口枠を決めまして、その中で随時市街化区域に拡大していこうというようなことでやっておるわけでございます。特に、その際、余りむやみに広げまして投機的な土地取引が行われないように、あるいは地価が余り上がらないようにということで、市街化区域に随時入れる場合には、例えば区画整理事業とか、あるいは公的機関や民間事業計画的な開発が確実に行われる、確かに宅地になるといったところだけを入れていくというようなことでやっておりまして、そういう方針で見直しも行っておりまして、現在のところ大体九割ぐらいのところを見直しを終わっておりますが、その結果、六万四千ヘクタールほど市街化区域を拡大しておるところでございます。
  148. 小川新一郎

    小川(新)委員 これは、昭和四十四、五年の都市計画法、都市開発法の改正のときに、当時は保利建設大臣でございましたが、私どもの質問の中で、この見直しというものは弾力的にやらなきゃならぬだろう、あくまでもこれに固執することはない、その時代時代の環境、変化、土地政策全体の見直しの中からということで私の質問にも答えていただきましたので、あえて私申し上げるわけではありませんが、埼玉県のように首都圏のところで一番人口が急増し、集中した土地政策を求められておるところは弾力的に扱っていただいて、この土地対策の緩和という問題については十二分なる配慮をお願いしたいと思います。  そこで、国公有地の売却問題、前国鉄の土地の売却だとか、いろいろ切り売りをやって財政のつじつま合わせをやろう、これは個人も国も公共団体も変わらない姿勢でありますが、このことによって、売る側については一銭でも高く売りたい、また買う方は一銭でも安く買いたい、これは当然でありますが、国の財産、公共団体の財産というものは憲法上の問題もこれあり、また法律の中から生じた財産として当然安くは売れない、それらがもとになって地価が高騰していくという例もございますのであえて申し上げますが、国公有地の売却問題は余りせいてやるべきではない。これは野党でも売れ売れと言ったり、いろいろなことを言った場合もございましたが、今こうして反省している中で物を考えてみますと、これは一遍頭を冷やさなきゃならぬときが来ているんじゃないかと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  149. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 いろいろケース・バイ・ケースだと思います。やはり高度に利用して大変に貴重な土地が生かされる場合もありますし、今おっしゃるように国公有地というものをさらにふやせというような御議論もございますが、そのときそのときの情勢だというふうに理解をいたしております。
  150. 小川新一郎

    小川(新)委員 それはさておきまして、今の土地の高騰の原因の一つとして私どもはそれを見ているわけでございます。この問題も、長くなりますが、今ケース・バイ・ケースということで、余り頭を冷やしてもいけないし熱してもいけない、そのときそのときの環境によって、政治判断または主観的、客観的な立場の中からその問題を取捨選択しろという御意見だと思います。  そこで、そういった国土庁の考え方の中でスーパー防災基地構想というものが浮かんできておって、今、埼玉県大宮市が名乗りを上げております。これも土地問題に絡んでおりますが、国土庁は、平時はスポーツだとかイベントの会場、災害時には避難場所や防災対策施設に早変わりするようなスーパー防災基地構想を進めているように報道され、聞いておりますが、具体的にはどのような構想なのか、これはいつ事業化するのか、また、モデル候補地として何カ所ぐらい考えているのか。本件について埼玉県の大宮市、浦和市、川口市が今もろ手を上げて要請いたしておるように聞いておりますが、この三市についてはどのようなお考えがございますか。まとめてお尋ねいたします。
  151. 三木克彦

    ○三木政府委員 国土庁では防災無線、備蓄倉庫等を兼ね備えました、災害時には災害対策の拠点となり、平常時には防災教育等に利用するいわゆる防災基地の建設に対して助成をしてまいりました。現在までに五カ所が完成し、ただいま静岡県で、また来年度では大宮市で建設する予定になっております。  ただいま検討しておりますスーパー防災基地構想でございますが、平時的利用をさらに発展させまして、防災的利用にとどまらず研修施設、レクリエーション施設、イベント会場等に多角的に利用いたしまして、周辺の住民に日常基地になじんでいただく、そして災害時に避難基地等として活用する場合に十分に活用できるような形にしたい、こういう考え方でございます。この基地の建設に当たりましては、平常時の利用につきまして民間活力を導入して第三セクターでやったらどうかという考え方もございます。そういった意味で、資金について、NTT株式会社売却益を財源とする無利子融資等を考えてみたらどうかということでただいま検討しているところでございます。  構想を出したばかりでございますので、お尋ねはいろいろございますが、まだ候補地として確定したものはございません。大宮市につきましては、これをどう受け入れるかということは大宮市が事業主体でございますので判断される問題でございますが、融資制度の創設が実現した場合に、大宮市の方でやりたいということであれば優先的に検討させていただきたいと考えております。
  152. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございました。  そこで、時間がありませんので、大臣、水問題で二点ほどお伺いしたい。  雨が足りない、水がない。これは大きな国民の生活問題、産業問題、日本の国の大きな政策として国土庁の負う責任は重大であります。私もいろいろと考え、提案を持っておりますが、その一つは、荒川の河川敷とか利根川の河川敷に大きな地下プールをつくって常時水をためる、貯水プールをつくる。これをひとつ推進していただけないだろうか、これが一つ。  二点目は、河口ぜきを拡大して余剰の水を、緊急のときに取水しなくてもいいだけの面積を河口ぜきにとれないかどうか。これが二点目です。  三点目は、現在建設省が進めておりますダム計画が民有地、私有権の問題、または民間の財産保障等において非常にデッドロックに乗り上げていることを思うとき、新潟県境にあるこの大きな信濃川の水の利用というものがいろいろと計画されております。財界においてもこの信濃川の分水計画は二十一世紀を目指しての大計画であると言っております。約一兆円の金があればできるやにも聞いております。それとまた同じく只見川、これは有名な尾瀬の分水でございますが、この只見川の分水と今言った信濃川の分水計画というものを国土庁がそれなりの構想、計画の中で水需給に対する、二十一世紀に対する大きな問題として取り上げるお考えがあるだろうか。建設省はこれに対して反対の御意見のように聞いておりますが、独自な立場に立っていかがなお考えかということで、この三点をお尋ねいたします。
  153. 大河原満

    ○大河原政府委員 最初の河川敷に水を貯留する先生の構想でございますが、いわゆる渇水時にそういった貯留した水を補給して活用しよう、こういうお考えというふうに承ります。いろいろ、生活水準の向上あるいはそういった社会の水利用の高度化に伴いまして、渇水による影響が非常に従来より大きくなっております。したがいまして、そういったような経済社会の高度化に対応するためにそういう渇水時の水の備えというのは必要だと思います。各種の施策の一つとしてその具体化について検討すべきである、かように考えております。  それから導水の問題でございます。信濃川の問題と尾瀬の計画のお話がございましたが、二十一世紀当初の関東地域の水需要に対しましては、従来の計画基準に基づきますと、関東域内の水資源開発及び水の有効利用の促進を図って対応できる、バランスがとれるというふうに考えておりますので、そういった事業を促進することがむしろ緊急であるというふうに考えております。  以上でございます。
  154. 小川新一郎

    小川(新)委員 考えておりますでなくて、これは実行に移す方途として検討を進めるのかどうかということなんです。  それから、河口ぜきの問題がちょっと抜けておりましたが、その点もう一遍お尋ねしておきます。
  155. 山口甚郎

    山口(甚)説明員 河口ぜきは、塩分の遡上の防止の問題、洪水の安全流下の問題、水資源開発の問題等多目的な効用を持つ施設でございます。このような観点から、建設省では河口ぜき建設事業を促進しておりまして、これまでに利根川河口ぜきを初め五事業を完成させております。そして現在紀ノ川大ぜき等四事業を進めております。また、昭和六十二年度からは江戸川の河口部におきまして河口ぜきの実施計画調査に着手しておるところでございます。  今後とも、河川の特性、水利用の特性等を考慮いたしまして、治水事業とあわせまして水資源開発を行う河口ぜきの計画を進めてまいりたいと考えております。     〔委員長退席、糸山委員長代理着席〕
  156. 小川新一郎

    小川(新)委員 大臣、今の私の質問でございますが、二十一世紀を目指しての大きな構想の中で信濃川、只見川の分水と利根川、荒川の貯水プールの問題、河口ぜきの問題の質問をいたしました。そのほかまだたくさんございますけれども、これに対して長官の御決意をお聞きいたしまして、ちょうど委員長もおかわりになったようでございますから、ここで私もかわらせていただきます。
  157. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 いろいろと水の問題について御提言がございまして、先ほどからいろいろとお答えをいたしておりますが、経済問題だけで水の問題は解決できないというようないろいろな複雑な問題もございますが、非常に貴重な御意見として私どもは受けとめさせていただきます。
  158. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 草川昭三君。
  159. 草川昭三

    ○草川委員 草川昭三でございます。  まず最初に、長官にお伺いをいたしますけれども、四全総において多極分散型国土、先ほどから何回か言われておりますけれども、その方針の一つとして政府機関の一部移転ということが打ち出されています。今度の国土庁の概算要求を見ておりましても、そのために各省縦割りを横に横断をしてプロジェクトをつくって研究をしよう、そのための予算が要求をされておるやに聞いておるわけでございますが、たまたまそういう問題に呼応いたしまして東海銀行が、今月二十四日でございますけれども、首都圏構想をぜひ名古屋地区で受け入れようではないかという大変壮大な一つの方針というよりも調査レポートを出しておるわけであります。  それを簡単に見ますと、構想一、構想二、構想三というふうに分かれておりまして、費用効果についても構想一でいくならば一兆八千億程度、あるいは構想二でいくならば六兆五千億程度、構想三でいくならば二兆八千億円程度で移転構想ができるのではないか。しかも首都から名古屋に三十一万人の流入を予定することができるというような、極めてクイックアクションというのですか、早いアクションを起こしてこの問題についての評価をしておるわけでございますが、その点についての長官の御見解をまず賜りたいと思います。
  160. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 東海銀行のレポートは、私も非常に興味を持って読ませていただきました。かつて昭和三十九年に河野さんが遷都の問題で浜松地区というようなお話があったようでございますが、今回のレポートは非常に詳細にいろいろ試算をしてございまして、今さらに詳細に読ませていただこうと思っております。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 私が今なぜこの問題を取り上げたかといいますと、四全総というものが打ち出されますと、それなりに中間発表があった段階から何回か議論が出まして、国土庁の総合的な計画に対する地方の期待というのは非常に大きいものがあるわけです。だから非常に素早い反応をする。それに対して打ち出しっ放しの構想であっては相ならぬわけであります。  またこれも地元の方に国土庁審議官の馬場さんが、私は首都圏、近畿圏、中部圏の三国を担当しておるけれども、中部圏が最も二十一世紀にふさわしい都市づくりができる場所ではないかという気がしている、二十一世紀中部圏構想というようなことを申されまして、将来的には自然と共生する、エコロピアという言葉で、新しい時代を展望しようではないかというようなことも言っておみえになるわけでございますが、私は、国土庁が本当に将来首都圏までを移す気でこういうものを打ち出したのかどうか、将来の展望についてどれだけの実行力があるかという決意をもう一回お伺いしたいわけでございます。  たまたま、これもある評論家が、「誇り高い霞が関(中央官庁)がおいそれと地方に動くとは思えない。」というような意見も言っておるわけですが、そういうものを踏み越えても、首都圏を移しながらあるいはまた多極分散という大きな命題を実行できるのかどうか、その決意をいま一度お伺いしたい、こう思います。
  162. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 遷都論、展都論、分都論、いろいろあるわけでございまして、つまり東京に集中し過ぎた機能をもっと他に移せ、こういう議論が最近非常に盛んになってきたわけでございます。今回、行革審の方に土地問題というものを諮問いたしておるわけでございますが、私どもは、その中の方向づけとして、やはりそういう大きな機能の一部移転等を位置づけていただければ非常にいいのではないかというように期待もしておるわけでございまして、私どもも今後東京の機能分散ということについては十分考えていきたいと考えております。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 国土庁にもう一問。これは若干、今の答弁を引き出して皮肉の意味で申し上げるわけではございませんが、いろいろな方針を打ち出しておみえになりますが、国土庁には顧問制度というのがあるわけであります。  国土庁顧問というのは国土庁組織規則の第十一条にあるようでございますが、この顧問制度があって、顧問会議というのを開くために大変立派な事務所がある。いわゆる会議室が国土庁の中にあるということが言われておるわけですが、その顧問会議が五十二年九月以降開かれていない。大変立派な会議室だけれども、あかずの扉で全然利用されていないということが言われておるわけでありますし、今度の四全総でもこの顧問会議というのは開かれていないし、働きかけもなかったというようなことが言われておるわけでございます。  この顧問制度というものと、今言われた別な審議会で国土庁がいろいろな立案をされていく、この顧問制度というものをどのように今後利用されるのか。あるいは、かなり名誉職的な顧問制度であるようでございますが、それを抜本的にどう改善をされるのか、この際お伺いをしたいと思います。
  164. 清水達雄

    ○清水(達雄)政府委員 顧問制度につきましては、先生もおっしゃいましたように、国土庁ができたのが四十九年でございますけれども、大体国土庁の内部体制も固まった五十年六月にこの制度をつくったわけでございます。  この制度は、必要に応じて有識者の意見を行政に反映させたいと。いう趣旨でつくっておりまして、これは各省庁ともこういう制度を持っております。国土庁の場合も、当時金丸国土庁長官のときでございましたが、六人の顧問をお願いして、五十年七月から五十二年の九月、特に五十二年の段階では三全総についての御意見をいろいろ伺った、こういうようなことになっております。  今度の場合も、四全総の場合にも内部的には顧問の方々の御意見も伺ってみようかという議論もしたのですけれども、何分非常に高齢になっておられますし、最近健康もすぐれていないというふうなことも伺っておりまして、見送ったわけでございます。  私どもの今の考え方といたしましては、大変御高齢でございますので、適当な機会に現在の顧問の方々にはおやめをいただいて、今後どうするかということはまた改めて検討いたしたいというように考えております。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 言いづらいことを言いますけれども、そういう制度そのものも問題でございますが、四十八平米にわたる立派な顧問室の活用がなされていないということは、国有財産の効率的な使用とは言いがたいわけでございますので、この際改めてその旨だけ申し上げておきたいというように思います。  そこで第二番目に移りますが、第二番目はゴルフ場をめぐるトラブルの問題を申し上げたいと思うわけであります。ゴルフというのは昔は金持ちの遊びだということでございましたが、今はもう七千万人近いゴルフ人口があるわけでございまして、サラリーマンも健康のためにも大いに利用しているわけであります。ところがプレーをするというには大変広大な敷地が要するわけでありますし、それの費用というのも大変なことになるわけでありまして、一般的には社団法人の会員制あるいは株式会員制、預託会員制、その他パブリックというのがあるわけでありますが、そのパブリックというのは非常に数が限られておるわけでありまして、しかも公営のパブリックというのはわずかであります。  そんな意味で、勢い多少専門的になりますけれども、預託会員制というシステムのゴルフ場が開設をされるわけでありますが、これに伴いまして、せっかく会員権を買ったけれどもプレーができないのではないか、あるいは会員権を買ったけれどもゴルフ場に対する発言権はゼロで、ゴルフ場が会員権を持つ方々に何ら相談なく転売をされていく、あるいはまた後で追徴金を請求される。実はさまざまな不満が私どもにたくさん投げかけられてきているわけであります。  そこで、きょうはこのゴルフ場の問題をめぐるトラブルの事例について、これは担当が通産省のようでございますが、本質的にこのゴルフ場の問題を解決するには、かつてのように、議員立法でゴルフ場規制法案というのが出たことがあるわけでありますが、そういう規制の法案でもつくらなければいけないことになるかもわかりません。そういう意味も含めまして、きょうは通産省にまずゴルフ場をめぐるトラブルの事例について若干お伺いをして対策をお聞きしたい、こう思います。
  166. 北畑隆生

    ○北畑説明員 ゴルフ場のトラブルでございますが、先生の御指摘のあったような事例があることは事実でございます。  トラブルの事例としましては、会員数が多くてなかなかプレーができないとか、あるいはセールスマンのセールストークに遭って判こを押してみたけれども、後で解約しようと思ったが解約ができないとか、それから預託金の返還請求の期間が過ぎても理事会の方で一方的にその期間を延長されたとか、こういうトラブルが私どもへ寄せられておるという事実はございます。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、トラブルの事例の件数ですけれども、通産省の方に挙がっておる例で結構でございますが、五十八年、五十九年、六十年、最近の会員権取引関係についての苦情が通産省の方にどの程度出ておるのか、お伺いしたいと思います。
  168. 北畑隆生

    ○北畑説明員 私どもの消費者トラブルの苦情窓口に来ておる苦情件数で申し上げます。  ゴルフ場につきましては五十八年度が九件、五十九年度が三十八件、六十年度が九十四件、六十一年度が十件でございます。五十九年度、六十年度の件数が多いのは、豊田商事絡みの件数で急増をしたということでございます。  以上でございます。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 さらにまたもう少し、私今ゴルフ場の利用者が大体六千万から七千万だと言いましたけれども、施設数というのは今かなりふえてきておると思うのです。全国のゴルフ場の施設数、会員数あるいは利用者数の推移というようなものがわかればこれもお聞かせ願いたい、こう思います。
  170. 北畑隆生

    ○北畑説明員 ゴルフ場数でございますが、私どもの統計では昭和六十年現在で千四百九十六カ所、それから延べ利用者数は同じく六十年度で六千八百十五万人、ゴルフ場の会員数が百九十万人、こういう数字になっております。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 今のお話がありますように、全国で大体千五百の施設、それから会員数も百八十万でございますか、百九十万ですか、大変ふえてきておるわけですし、利用者も七千万近い六千七百万ですかという今の答弁でありますが、今そういう会員の中で、会員権を買って、せっかく会員権を買ったけれどもプレーができないのではないかというような意見があるというトラブルの事例を御報告になりましたが、例えば一つのゴルフ場で会員数というのはどの程度のメンバーが平均的なのか、あるいはそのトラブルの事例の中では一体どれくらいの会員権を発行しているのか、お聞かせ願いたいと思うのです。
  172. 北畑隆生

    ○北畑説明員 ゴルフ場でどの程度の会員数が適正かというのは一概には申せません。コースの状況とかゴルフ場の運営方針、経営方針、そういうものを総合的に勘案する必要があると思います。  ただ、参考で申し上げますと、昭和六十年に一ゴルフ場当たりの平均の会員数という調査をしておりますが、それによりますと、約千七百名というのが日本の全国のゴルフ場の平均会員数でございます。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 平均千七百名といえば、常識的に言うならばこれはかなり楽なプレーができるということになると思うのでございますけれども、これは本当は委員長から聞いた方が早いと思うのですが、それはさておきまして、例えば一万人も会員権を発行しておるというようなことがあってプレーができないというトラブルがある、解除をしてもらいたいという苦情があるというならば、それを事前に規制する方法はないのだろうかという議論を少ししたいわけであります。  事前に会員権は大体何千名だとか、あるいはそういうことができなければ思い切って会員数というのを公表できないのか、会員名簿を。会員名簿を公表するということをさせるには一体それはどこの役所なのか。通産省なのか、あるいは都道府県の知事なのか、あるいは開発許可を与えるそれぞれの省庁がありますね、農林省も建設省も国土庁も、これは関与する法律を二つか三つ国土庁も抱えておるわけですから。あるいは環境庁もあるかもわかりませんね。ですからそれをどこか知恵を出して、少なくとも事前の規制ということをさせるにはどういう方法があるか、これはとりあえず苦情の窓口である通産省にお伺いしたいと思います。
  174. 北畑隆生

    ○北畑説明員 ゴルフにつきまして、会員数が多いためにプレーができないというトラブルがあるというのは先ほど申し上げたとおりでございまして、先生の御指摘のとおりでございます。  それで私どもは、ゴルフ会員権、ゴルフ場、こういう会員システムを含めましたサービス取引の適正化問題という点につきまして、省内に役務取引等適正化研究会というのを設けまして、昨年その取りまとめをいただいたところでございます。その中で、ゴルフ会員権につきまして先生の御指摘のような問題につきましては、会員名簿の公表とか少なくとも最終の目標募集会員数、こういうものをゴルフ会員権の販売の際に明示をすることが望ましいというふうな指摘を受けております。その実効を担保する方式としましては、事業者による自主規制という方式が弾力的で望ましい、こういう取りまとめになっております。この検討結果を受けまして、ゴルフ事業者の組織でございます社団法人日本ゴルフ場事業協会というところに自主規制の働きかけをやっておる、こういうところでございます。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 その自主規制はそれでいいんですけれども、現実には、豊田商事事件のときもそうであったわけでありますけれども、かなり悪質な業者がいて会員に迷惑をかけたことは事実であります。でありますから、今の中にもありますけれども、少なくとも知事が開発許可を与えた以後会員権の募集をすべきではないだろうかという、その時差の問題ですね。新聞ではでかく非常にいいことを言って募集をする。ところがきずものというのですか、なかなか地主の承諾を得ないとかあるいは国有地が中に入っているとかいろんな条件がある。それで後でトラブルが起きる。ところが、買った会員の人たちはもう棚上げになってしまって利用できないというような問題もあるわけですね。  そもそも預託会員制というものの法律関係は一体何なのかということも余り一般の方には知らされていないんですね。だから私どもよく苦情を聞くんですが、Aという人からBというところに会員権が譲り渡された。たまたまAが倒産をした。債権者がそれを押さえてしまう。ところが、Bは既に貸借関係は終わりましたから自分のものだと主張しても、それは効力はない。一体これは有価証券なのか、いやそうじゃないとか、単なる紙切れの約束事にすぎないとかということもあるわけでありますから、少なくとも会員の方々が大変ふえてきておるような現状から何らかのもう少し権威のあるものにしなければいけませんし、あるいは権威がなくて単なる紙切れだとするならばそういうことを周知をしなければいけない、こういうように思うわけですね。もう一度、私のような今の意見にどうこたえられるのか、お伺いをしたいと思います。
  176. 北畑隆生

    ○北畑説明員 裁判所の判例によりますと先生の御指摘のとおりでございまして、ゴルフ会員権というのは有価証券性はなく債権関係である、こういう判例になっております。預託式のゴルフ会員権制度というのは日本で普及をしておる特殊な制度でございまして、消費者が、消費者といいますかゴルフ会員権を買おうとする方がその仕組みを十分に理解しないで買われるという場面があるようでございますので、私ども先ほどの役務取引適正化研究会の報告を受けまして通産省の消費者への広報の中でそういう預託式のゴルフ会員権の仕組みについてPRをしておるというところでございます。  それから、私どもの消費者保護の法律の中に訪問販売等に関する法律というのがございます。先生御指摘のとおりゴルフもお金持ちの遊びではなくて、一種消費者保護的な観点からの検討が必要だということでいろいろと検討しておるわけでございますが、現在この法律は商品のみを規制対象にいたしております。商品の訪問販売などのときに先ほど先生言われましたような重要事項の明示のような義務がかかってきているわけですけれども、これをゴルフも含めてサービス取引全体に規制対象を広げる必要があるかどうかということを現在省内に研究会を設けまして検討しておるところでございます。年内には結論が出ようかと思いますので、その結論を待って対応したい、かように考えております。
  177. 草川昭三

    ○草川委員 通産省の中での商務サービス室だと思いますけれども、議論の中で私どもが今問題提起をしたことを含めてぜひ検討していただきたいと思うのです。ですから、少なくともやれることは会員名簿の発行を義務づけする、こんなことは簡単にできることだと私は思うのですね、別に予算が要るわけじゃないわけですから。せめてそういうことをするとか、あるいは私が先ほど申し上げましたように知事の開発許可後その会員募集ができるとか、何らかの規制をやっていただきたいと思うのであります。  実は私の手元にもたくさんゴルフ場の地図が来ておりまして、この地図の中には国有地が随分入っておるじゃないか。私も二、三問題提起をしたことがあるのでございますけれども、実際はこれは公図土地図が入っておるだけで現物は国有地の体をなしていないわけですね。昔の用水路なんかがそのまま埋め立てられてしまって使っているというような例が全国からもたくさん来ております。あるいは経営が非常に行き詰まって倒産をした会社の仕切り伝票が私のところに来まして、その内訳を見ますと、名前を出せばはばかるような方々のところにも後援会の金が行っておるとかいろいろな例があるわけでありまして、ゴルフ場の経営というものはかなりずさんではないかと思うわけであります。そういう意味では、きちっとした運営をし、そして本当に大衆的な、利用者が安心をするゴルフ場の経営をしていただきたいと私は思うわけであります。  時間が来ておりますので最後に国土庁にお伺いをしますが、今私が申し上げたような趣旨を踏まえまして、国土庁も首都圏近郊緑地保全法あるいは近畿圏近郊緑地保全法、こういうものにかかわっておみえになるようでございまして、多少なりともゴルフ場の問題については省としても関係があるわけでございますので、大臣の見解を賜りまして質問を終わりたいと思います。
  178. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ゴルフは国民的スポーツになりつつあるわけでございまして、ゴルフ場の整備ということは大変重要な問題だと思います。またゴルフ場のあり方も含めてのことだと思います。自然との調和の上に、ゴルフ場が今御指摘のような欠点のない形で位置するように今後とも努力をしていかなければならないと考えております。
  179. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。
  180. 糸山英太郎

    ○糸山委員長代理 大矢卓史君。
  181. 大矢卓史

    ○大矢委員 午前中から、土地の高騰問題について各委員からもいろいろと御意見がございました。先ほどから大臣のお話を聞いておりますと、土地問題は東京一極の問題なんだという御認識のようであります。しかし、御承知のように東京から発しまして、東京の業者の感覚で大阪の土地を買いあさる。私は選挙区が大阪でございますので、いろいろな実情等は大阪の問題以外なかなか入手しにくいので、大阪の地価問題を中心に御質問を申し上げたいのでございます。  国土庁におきまして、八月四日に地方の府県の方たちをお集めになって、第一回の大阪・名古屋圏地価対策連絡会議を開催して土地問題を協議したようでありますけれども、まず土地の高騰に対しての大臣の認識をお聞きいたしたいと思います。
  182. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほど東京一極の問題を申し上げましたが、実はこの七月一日、各都道府県において地価調査をしていただいておりまして、これを今集計する段階でございます。その中で大阪、名古屋等の都市圏はどうなっておるのだろうということを私ども心配をして見ておるわけでございますが、まだ東京ほどひどくない。しかし、大変心配をするような要素もございますので、この大都市圏と言われるところの土地問題も含めて私どもは言っておるわけでございます。先ほど東京東京と申し上げましたが、その中にはそういう大阪とか名古屋のことも心配をしながら申し上げておるというふうに理解をしていただきたいと思っております。
  183. 大矢卓史

    ○大矢委員 先ほどから言われておりますように、政府がこれに対する無策のゆえに土地の高騰問題が起きたというように指摘をされておるわけでありますけれども、本来国土庁がその任に当たらなければならぬ、にもかかわりませずそれが十二分に行われておらないということで、総務庁で土地対策の検討委員会を持たれておるようであります。鳴り物入りで、非常にいい結果が出るようなこともございますけれども、これはスケジュールを見せていただきますとなかなかそうもいかないのではないか。この十月十二日に中間報告があるということでございますけれども、いただきましたものによりますと、十二月までかかるのではないか、来年に入ってからこの方針がある程度出るのではないかということでありますので、総務庁の方からその点の御説明をいただきたいと思います。
  184. 坂野泰治

    ○坂野説明員 新行革審の土地対策検討委員会のスケジュールにつきましては、今先生からお話がございましたとおり、十月十二日に審議会に対して中間経過報告を行うことを予定いたしております。その中間経過報告において検討課題などの設定を行いまして、検討課題について順次ヒアリングなどを重ねながら、年内を目途に論点整理まで行いたいという目標を立てております。その後につきましては、年末の検討委員会においてその後のスケジュールが検討される予定になっておりまして、現在のところまだ何も決まっておりません。
  185. 大矢卓史

    ○大矢委員 総務庁の方でも何も決まっておらないようであります。既に遅きに失したと言われております中でまだ何も決まっておらない。そこで、これは政府の問題ではなくして党の問題なんだ、また総裁選挙に向けての各総裁候補の政権構想の問題なんだということで、やはり土地対策が一番クローズアップされておるわけであります。特に長官はこの責任者として党の、また各総裁候補の土地対策につきましても見識を発揮されたと思いますけれども、けさの新聞によりますと、竹下氏政権構想として業者間の土地転がしの禁止、公示価格以内の土地譲渡への課税軽減というのがございます。恐らくこの政策につきましても長官は御関与になっていらっしゃると思いますし、また俗に言われております私権の制限、これは既に建ぺい率、容積率、一部高さ制限、いろいろな問題がありますけれども、これから言われる私権制限というのはどういうものか、そのことについてお尋ねいたしたいと思います。
  186. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 けさからもお答えしておりますように、私権制限と言われるものは既に法律で制定されております。土地収用法とか都市計画法とか国土利用計画法とかいろいろあるわけであります。その中で、私権制限をもっとやれという意見とか私権制限は緩めるという意見とかいろいろあるわけでございまして、土地問題に対する見解というものは各方面の御意見がたくさんあります。今回の行革審に御諮問申し上げておりますのも、それらの意見を踏まえて一つの方向づけをしていただければまことにありがたいというふうに考えておるわけでございます。
  187. 大矢卓史

    ○大矢委員 長官、私がお尋ねいたしました。業者間の土地転がしの禁止、公示価格以内の土地譲渡への課税軽減ということにつきまして、当然これは長官、御関与になっておる政策だと思いますので、お答え願いたいと思います。
  188. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 けさの新聞のことですか。――その問題は私も先ほど読みましたけれども、きょう、ここで法制局が所有権と利用権とどうだという話、質問が出ておりましたが、そこの中にもそんなようなことが書いてありますので、これはだれがつくったのかなと、先ほど考えておったところでございます。
  189. 大矢卓史

    ○大矢委員 自民党の中でも、党の重要な問題だということで、土地対策緊急措置法までつくってやらなきゃならぬということで、またそれの最も本命と目されております竹下氏の政権構想、この原案、先ほどから言われておる派閥次元の話まで出てまいりましたら、当然長官もこのことについて十二分に御相談にあずかっていることと思いましてお聞きいたしましたけれども、御存じないということでございましたら、それはそれで結構でございます。  そこで、この国土利用計画法の中で、特にお尋ねをいたしたいのは、土地関連融資の適正化ということがございます。このことにつきまして御説明を願いたいと思います。
  190. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 お答えいたします。  土地取引に関する融資につきましては、国土利用計画法には何らの規定はございませんで、私どもといたしましては、金融機関の指導につきましては大蔵省の方にいろいろ要請をいたしておるわけでございます。投機的な取引とか、それから著しく価格の高い取引、そういうものに対する融資は金融機関の方で自粛するように指導していただきたいということを大蔵省の方に要請いたしておりまして、大蔵省の方はそれを受けましていろいろ御指導をしていただいているという状況でございます。
  191. 大矢卓史

    ○大矢委員 八月四日の第一回の大阪・名古屋地区の地価対策連絡会議におきましても、監視区域を従来は東京中心に指定をされておりましたけれども、大阪市におきましても適正地価問題研究委員会(仮称)を設けまして、監視区域の指定について検討するということのようでございましたけれども、既に冒頭申しましたように、東京の業者の感覚で大阪に殴り込みをかけられました。大したことはないのではないかとおっしゃいますけれども、これは大臣の感覚でどこまでが大したもので大したものじゃないのかわかりませんけれども、私どもといたしましては、非常に地価が高騰して、やはりそこに住まいをする人、また事業所を持つ人、またそれを借りる人等、非常に激変がございますので、この監視地区の指定につきまして、これから検討するということでございますけれども、少なくとも大阪市内、東西南北の各区ぐらいは、早急に監視地域の指定に繰り入れるなり、また繰り入れられるものとしてこれからのいろいろな監視に努めていくということについて、前向きで御検討願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  192. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 先生御指摘のように、八月四日に第一回の大阪圏・名古屋圏の地価高騰対策連絡会議を開きまして、種々情報交換、検討を行いました。大阪におきましても、最近の地価調査状況を見ますと、特に先生御指摘の東西南北の各区におきましては、商業地ばかりではなく、住宅地についてもかなりの地価上昇の傾向が見られるということがわかってきているわけでございます。  私どもといたしましては、この監視区域の指定は、既に地価が相当程度上昇した時点で指定するということではなく、できるだけその前段階で指定をして地価上昇をできる限り未然に防止することが極めて重要であるというふうに考えておりまして、大阪市ないし大阪府の方々にもできるだけ積極的にこの監視区域の指定に取り組むようにということをいろいろ御指導を申し上げた次第でございます。その結果、大阪市の方でも委員会を設けて、その監視区域の指定について検討を始めるという動きであるというように聞いております。  この監視区域の指定をいたしますと、届け出の件数が非常に増大いたしまして、事務の分量が急激にふえるということでいろいろ問題があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できる限り地方公共団体の方を御支援するという形でこの監視区域の運用を積極的にやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  193. 大矢卓史

    ○大矢委員 土地の急騰について東京東京なりのいろいろと特殊な事情があるようであります。しかし、私が常に申し上げておりますのは、金融関係土地にしか金を貸さない。事業なり人なり、そういうものに金を貸すというシステムになっておりません。どんな立派な方がどんな立派な事業をされるということになりましても、まず不動産、土地はございますかということから始まるわけであります。それがただ単に事業に使う金でなくて、土地転がし、また地上げに使われるような金の融資をしていくというところに今回の急騰の原因がある。せんじ詰めれば、おのおのが持っております自分の金で自分の事業をやるために土地を取得していくということではございませんので、すべてこれに金融がついておるわけである。そういうことで土地の高騰がなされておるというふうに私は見ておるのであります。  それについて、国土庁の方から、六十一年の十二月十八日に、大蔵省銀行局長の方に「土地関連融資の取扱いについて」という、申し入れと申しますか、そういうものが出ておるようでございますけれども、それについて御説明を願いたいと思います。     〔糸山委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 最近の地価上昇の原因といたしまして、金融の緩和によります金融機関の積極的な土地融資というものがかなりの程度影響しているというふうに私ども判断している次第でございます。そういうことで、金融機関土地融資というものを自粛していただきたいという趣旨で、特に短期間で転売するような投機的な土地融資、それから著しく価格の高い取引に対する融資、そういうものについては自粛していただきたい、そういう指導を金融機関にしていただくように大蔵省の銀行局長の方に要請した次第でございます。
  195. 大矢卓史

    ○大矢委員 それを受けられまして、その翌日の十九日に大蔵省の銀行局長の名前で「土地関連融資の取扱いについて」ということで、これまた御決定を願っておるようでありますが、これにつきましては、どのような内容で、どのようなところへそれを通達されましたのか、お知らせを願いたいと思います。
  196. 高橋厚男

    高橋(厚)説明員 金融機関土地関連融資につきましては、地価高騰が重大な問題となっている状況のもとで、金融機関の公共性に対しまして、厳正かつ適正に行われる必要があるということを私ども常々認識しているわけでございます。  そこで、先ほど先生御指摘ございましたように、昨年も十二月十九日に銀行局長名であらゆる金融機関に対しまして土地投機を助長するような融資を自粛するようにという趣旨の通達を発しまして、銀行の自粛を求めるとともに指導を強めてきているわけでございます。これに基づきまして、その後ヒアリングを重ねるなど、その通達の周知徹底を図っているところでございます。
  197. 大矢卓史

    ○大矢委員 その結果、すぐに対応するのではなくして、半年ほどたちました七月におのおのの業界がそれに対する見解を発表されたようでございますけれども、それはいかがでございますか。
  198. 高橋厚男

    高橋(厚)説明員 昨年その通達を発しまして指導してきたわけでございますが、さらに最近におきまして地価高騰の重大性が社会的にも大きな問題となってまいりました。そこで従来の指導から一歩踏み込みまして、大蔵省といたしましても、実践的に指導の徹底を図るという趣旨から特別ヒアリングを開始したわけでございます。これと時を同じくいたしまして、金融機関の側でも全国銀行協会、信託協会初め各金融団体におきまして投機的土地取引に係る融資を自粛する旨それぞれ確認をしたところでございます。
  199. 大矢卓史

    ○大矢委員 自粛をされました以前に、新聞報道によりますと大蔵省と国土庁が連携をして強い自粛指導を始めた。そして国土庁が登記簿などを確認した具体的な融資データを大蔵省に提供して、大蔵省がこれを証拠として銀行に突きつけて説明を求めるやり方を、これまでは年に一度だけ銀行からの土地売買の融資についての報告を受けていたが、効果が少なかったから、この両省が協力体制を固めて行うことになったということでございますが、いかがでございますか。
  200. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 地価高騰対策の一環といたしまして、地価が急激に上昇しているような地域につきまして特に土地の取引動向を監視する必要から、不動産登記簿に掲載されている事項をもとにしまして網羅的に土地の売買状況を把握しているわけでございます。これは実際の作業は、都道府県を通じてそういう作業を実施しているわけでございます。こういう調査状況を踏まえまして大蔵省、日銀、それから国土庁、この三省庁が連絡を密にいたしまして金融機関の指導の参考にしていただいているということでございます。
  201. 大矢卓史

    ○大矢委員 これは都道府県の協力を待ってということでございますけれども、そうなりますと、現在監視区域のないところも協力していただいて、それを上げていただいてやっていく、そういうことでございますか。
  202. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 東京都につきましては、監視区域制度が始まる前にこういう調査実施いたしまして、私どももある程度資金的な援助もして調査をやったわけでございますけれども、今度監視区域が発足いたしましたので、今後、監視区域を指定したところ、それから指定しようとしているところ、そういうところにつきまして詳細な調査をいたしまして、地価動向を監視していきたいというふうに考えております。
  203. 大矢卓史

    ○大矢委員 それでは、東京都につきましては監視区域のないときにも費用を出してやった、ですから、これから監視区域を設けようとするところにつきましても、都道府県の協力を得ながらその届け出を待って大蔵省と協力をしてこれの指導に当たっていく、こういうことでよろしゅうございますね。
  204. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 先生御指摘のとおりでございます。
  205. 大矢卓史

    ○大矢委員 そこで各金融機関が、全国銀行協会連合会、または生命保険協会、そして信託銀行、これらがすべてこういうものには金を出さないんだ、場合によっては金を引き上げるんだというような強力な申し合わせをしていらっしゃるようであります。その実、これまた新聞でも御存じのように八月十日にサンケイ新聞が書いておりますように、大阪船場の超一等地でAという信託会社がある会社に二十億で自分の信託銀行の金を貸して、そして仲介手数料を取ってあっせんをしておる。そして一年後に同じ信託銀行が別の不動産会社に二倍の約四十億でまたあっせんをしておる。そして手数料をとっておる。片一方ではこういう申し合わせをしながら堂々とそういうことをしておる。こういう実例が挙げられておるわけであります。今聞きますと、そういうことではないんだと言いますけれども、その信託会社が堂々とそこに管理地として看板を掲げ、また次のもしこれを必要とする人があるなら管理地の責任において処分できるんだというような看板を掲げておる、このようなことをしておるわけであります。これについて、エンドユーザーであるというはっきりした申しあかしがなければこれは土地転がしに金を出した、そういうことになると思いますけれども、いかがでございましょうか。
  206. 高橋厚男

    高橋(厚)説明員 金融機関土地関連融資につきましては、先ほど来申し上げておりますように通達を発出するなり、厳しいヒアリングのもとで指導するなりをしているわけでございます。特定の金融機関の特定の取引につきまして言及することは差し控えさせていただきたいわけでございますが、一般的に金融機関が融資等を行うに当たりましては、金融機関としての公共性にかんがみまして、いやしくも社会的批判を受けることがないよう留意すべきことは当然でございまして、仮に通達の趣旨に反すると見られるような融資が行われたという事実が判明した場合には、当該金融機関に対しまして厳正な指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  207. 大矢卓史

    ○大矢委員 現実にこういう問題がサンケイ新聞で報道されたわけでありますから、これについても十二分な今後の――これがエンドユーザーであるのかどうか。これがもし転売されたということになりますと、やはり土地転がしに金を貸したのだということになりますから、十分な監視をしていただきたいと思います。  ただそこで、この信託銀行の業務の中で不動産売買の中介をすることが本業となっております。しかし、御承知のように銀行と一般のユーザー、これは対等でなければなりませんし、また対等な中での貸し借りでなければなりませんけれども、その立場を利用いたしまして、不動産の売買業務ということでその土地金融をつけて、そしてそれを抱かせる。そしてまた今申しましたように次の売り主を探してきて、またそこへ金融をつけて抱かせるということでどんどん土地転がしをやっていく、そういう体質があるわけであります。それは報道にもございますように、場合によっては、これは短期間でございますから担保も何もつけません。ですから表面上は上がってまいりません。しかし、金利はちょうだいをするわ、そこへまた不動産の手数料は取るわということで、非常に高い負担をさせながらそれを抱かせていく。そしてそれを抱かなければ、不動産業者としても、次どうしても欲しいところがございましても、そのときに金を貸してもらえないということで、信託銀行本来の業務とはいいながら、この不動産の仲介という仕事が銀行業務と一緒になって土地転がしに拍車をかけていくという状態になっておる。こういうことは大阪においてはざらなことであると言われておる。  そこで、この不動産業務の取り扱い状況というものを、銀行ですと非常に多くございますけれども、八行だそうであります。この八行の取り扱い件数を見ましても、五十九年、六十年、六十一年と余り差異はないのでありますけれども、金額的には六十年から六十一年にかけて大きく増加をいたしております。六十年は四万一千百件で、取り扱い額が三兆九百七十三億円でございますか、それが六十一年では四万七千二百件、金額は五兆二千七百四十七億円と大きく増加をいたしておるわけであります。これはおたくの方からもらった資料でありますけれども、こういうふうにいたしまして、仲介とみずからの金を貸すということでどんどん土地の値段を膨らませていく。けさもNHKで、大阪の西区ではどんどん空地ができていって、地上げ、そしてそれに金がどんどんついていくという形の報道がございました。  このような実態のある中で、申し合わせをせっかくしていただきましたけれども、実際はそういうことが守られておらないのでは、信託銀行を中心に厳しく、積極的に調査をしていただきたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  208. 高橋厚男

    高橋(厚)説明員 先生の御指摘にございましたように、信託銀行は信託業法に基づきまして不動産の媒介という業務が行えることになっているわけでございます。一般的には媒介を行う業務と融資を行う業務というのはきちっと峻別されて行われているように聞いております。  先ほどから申し上げておりますように、金融機関土地関連融資につきましては、投機的な土地取引を助長することのないように通達を発出し、指導を強めているということを申し上げたわけでございますけれども、信託銀行の媒介につきましても全く同様の観点から通達の趣旨の徹底を図っているところでございます。現在、先ほど申し上げました特別ヒアリングという形で指導を強化していると申し上げたわけでございますけれども、この信託銀行の媒介という業務についても、この通達の趣旨がより一層浸透が図られますように厳正な指導をしているところでございます。
  209. 大矢卓史

    ○大矢委員 信託銀行がこの土地の高騰に大きな役割を果たしておるということは業界での常識であります。そして今申しましたように、本来別々の業務であるべきところが、金を貸してやるからこの土地を抱け、そしてその土地を抱いたときに手数料を取られて、またそれを次の業者に売っていくという転がしをやっていく。これは業者自身が決して好まないところであっても、それにおつき合いをしないと、目的の自分の金融に対してやってもらえないということがあるようでございますので、その点十二分にチェックをしていただいて、御指導を願いたいと思います。  そこで、時間がございませんので、急激な高騰によりましての来年一月一日の固定資産税の評価がえでございますけれども、この間から私どももいろいろとお聞きをいたしておりましても、かつて一度ございました評価がえの一年延期については非常に難しいようでございますけれども、この点いかがでございますか。
  210. 佐野徹治

    ○佐野説明員 来年度昭和六十三年度土地評価がえの年度でございます。現在課税団体である市町村におきましてこの評価がえの作業を行っておるところでございます。  御指摘のように、今までいろいろなお話がございましたように、大都市中心といたします一部の商業地等におきまして異常とも言える地価の高騰も見られるところでございまして、私ども現在各都道府県の基準となる地点につきましての評価額の調整につきまして課税団体と話を進めておるところでございます。  それから、固定資産税の今後の方向の問題についてでございますけれども、これは昨年十月の政府の税制調査会の答申が出ておりまして、その中で固定資産税についてはその評価の適正化を図ることによりまして、今後中長期的には充実を図っていくべきであるということ。それから、その場合に固定資産税の性格と申しますか、これはやはり相当大勢の納税者に対しまして毎年度課税される、こういった固定資産税の性格にかんがみまして、その税負担がなだらかとなるような配慮が必要である。こういった答申が昨年の十月に税調で出されております。私どもこの答申の趣旨を踏まえまして今後検討してまいりたいと考えておるところでございます。
  211. 大矢卓史

    ○大矢委員 「固定資産評価基準の取扱いについて」ということで、昭和三十八年十二月二十五日、自治省から各都道府県の知事あてに通達が行っております。そういうことで適正な価格を設定しなさい。そのために、売買実例は買い急ぎ等による割高の価額の売買があるので、この場合には適正にやりなさいとか、また期待価格が含まれている場合にはこれを含めないようにしなさいとか、いろいろ細かい注意がなされております。これは昭和三十八年でございますので、今改めてこれら、今土地の高騰の原因をつくっておりますことについても、これは恐らく来年一年待ちますとまた、あるところではばばつかみと言われておりますように鎮静化する場合もあるわけですから、そういうものも含めながら価格を決めていくということの通達をお出し願いたいと思いますけれども、いかがでございますか。
  212. 佐野徹治

    ○佐野説明員 先ほど申しましたように、現在市町村において固定資産税の評価がえの作業がなされております。これは先ほど先生の方からお話がございましたような固定資産評価基準、これは昭和三十八年十二月に定められ、告示をされておりますけれども、この評価基準に基づきまして現在課税団体で作業をいたしておるところでございます。  したがいまして、先ほどお話がございましたような、例えば現在の大都市の商業地等におきます異常な地価の高騰、これらとの関連で将来の期待価格があった場合だとか買い急ぎだとか、そういうようなものがございました場合には、これは不正常な要素ということで評価額から排除していく、こういった現行の固定資産評価基準の規定に従いまして、現在課税団体において作業を進めておるところでございます。
  213. 大矢卓史

    ○大矢委員 以前にそういう通達がございましたけれども、今もう一度そういう通達を出していただいて、徹底をしていただきたいということを希望いたしておきます。  そこで、また先ほどの各金融機関の自粛に戻るわけでございますけれども、これも前にサラ金融資について問題になりましたときに金融機関が関与しておったり、また、そういうようなところにつきましてはいろいろな各関連の会社を通じての融資、これを行っておるという事例があるわけであります。そこで、いろいろなファイナンス、リース会社、銀行が持っております、また、各金融機関が持っておる子会社、そして各金融機関関係をいたしております抵当証券、これらが大きく関与をいたしております。御承知のように、抵当証券につきましてもいろいろと問題がございます。昭和六年に銀行の取りつけ騒ぎが起きた、それに対処するためにできた法律だと言われておりますこの抵当証券が、逆な意味で今脚光を浴びておるわけであります。それはそれで時代のニーズがあろうかと思いますけれども、これについて抵当証券のあるべき姿を御説明を願いたいと思います。
  214. 中井省

    ○中井説明員 我が国の抵当証券は、先生先ほど御指摘ございましたように昭和六年三月に制定されました抵当証券法によりまして、不動産抵当債権を抵当権とともに証券化した有価証券で、抵当権者が債務者の同意を得て登記所に交付申請し、その申請に基づいて登記所が発行するものでございます。発行された抵当証券は、裏書によって譲渡ができるものであり、抵当証券の購入者は不動産抵当債権を取得し、元利金の支払いを受けることとなっております。近年。抵当証券を小口化した販売が活発化しまして、また、これが金利が預金等に比し高いことから、有利な金融資産として急速にその取引が拡大しているところでございます。  ところが、そのような有利性を利用いたしまして空売り等を行う悪質業者があらわれ、昨年よりそのような業者による被害が問題となっておるところでございます。そのため、本年六月の抵当証券研究会の報告に基づきまして、購入者の保護を目的とする規制法案を現在大蔵省で検討中でございます。
  215. 大矢卓史

    ○大矢委員 土地でもって金融をするというのは、当然いろいろな金融機関があるわけでありますけれども、特にこの抵当証券が必要だという理由についてお答え願いたいと思います。
  216. 中井省

    ○中井説明員 具体的には、抵当証券の対象となる物権は不動産、土地、建物及び地上権でございますが、これに関します長期、極めて超長期の融資を抵当証券会社が行う、融資を行った対象に抵当をつけまして、その抵当証券を登記所で発行していただきまして、それをまた投資家に売って債権の流動化を図る、こういう取引になってございます。
  217. 大矢卓史

    ○大矢委員 今の御説明でもわかりますように、非常に長期な金が銀行から出にくい、ですから、土地、建物を含めまして長期に貸し出すんだと言っている。しかし、現実にそれが今果たしておる役割は短期のものにつけておりまして、二年、三年、それらがまた一つの土地を高騰をさしてきた地上げ屋の片棒を担ぐような形でなされておるというのがこれまた現状であります。銀行等につきましてはチェックできますけれども、こういう土地に関して金を貸し出しておりますこれらがいまだどこの監督機関にも属さないところは、野放しにしておきますと、先ほど申しましたように、各銀行等は自粛をしたような顔をして、そしてその実はそういうところを通じてどんどん金を貸していく。それは、やはり私が指摘をいたしましたように金余り、そしてこの金余りを解決するためには、株等のいわゆるマネーゲームをやるか、それとも土地に金を貸すか、これしかないわけでおります。先ほど申しますように、事業なり人に金を貸すというシステムがないわけである。これを根本的に考えて直しをしなければ、土地問題の解決もあり得ないと私は思うのであります。  その点、最後に大臣、この土地問題が一番緊急事だとされておりますし、また、大臣も非常な決意で臨んでいらっしゃるこのことにつきまして、私が申し上げましたように、ただ単に表通り、金融界の表づらだけ見ておりますと、その裏でいろいろなダミーが動いて、そしてその金がそこからまた土地に流れておるという現状を、余り時間がございませんので具体的には突っ込んだことは申せませんでしたけれども、お聞きになったことだろうと思います。最後にこれについての決意を述べていただきまして、私の質問を終わらしていただきます。
  218. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 金融機関土地の値上がりを助長するようなことをやるということがあればまことに遺憾なことでありまして、いろいろ先般の通達を通じまして厳正にそれが自粛される方向に行っておると私は信じておりますが、さらに、実態についてはなおよく調べてみたいと思っております。
  219. 堀之内久男

  220. 野間友一

    野間委員 午前中に近藤先生から佐渡の独立論の話がありましたけれども、私も同じ新潟でありますが、長岡のニュータウンの問題、それから新産都、特に東港の問題等を中心に、国土の均衡ある発展とは何かというようなことについて質問をさしていただきたいと思います。  地域振興整備公団、来られていますね。――御苦労さまです。略称地域公団といいますが、ここで行う仕事の重要な柱の一つに地方都市開発整備事業というのがあります。これを見ますと、この勘定ですが、六十二年度が四百五十六億九千四百万、そのうち事業費が二百十三億、残りの二百四十三億円は利息とかあるいは公団債発行の経費等ということになっておりますね。こういう点から考えますと、予算のうちの半分以上が元利償還や債券発行経費ということになりますと、その進められておる事業の、特に宅地造成について言いますと、その分譲収入計画的にちゃんと入ってこないと、ほかの事業にとりましても非常に大きな支障が出てくると思うのですけれども、その点についてまず確認を求めたいと思います。
  221. 升本達夫

    升本参考人 先生よく御承知のとおり、もとより我々採算事業を行っております団体でございますので、当然計画に準じた資金回収が行われることが必要になってまいろうかと考えております。
  222. 野間友一

    野間委員 長岡のニュータウンといいますと長岡ニュータウン開発ですね。これは地域都市開発整備事業の第一号ということですね。ここについて私もこの間いろいろと調査に行ってきたのですが、この長岡について言いますと、信濃川の左岸千八十三ヘクタール、計画人口が一万戸・四万人。才津あるいは雲出、これは流通団地あるいは工業団地ですね、こういうものの計画もあります。昭和五十年の十一月に事業の認可、十二年前ですね。昭和六十四年が完成の目標、これは再来年になっております。総事業費が約一千億。六十年度末までに幾ら使ったかと調べてみますと、公団が四百十七億、国が百十一億、新潟県が十億、長岡市が四十八億、合計しますと五百九十一億円というのが六十年末までに投下されたお金の総額であります。この点については間違いないと思いますが、いかがでしょうか。
  223. 升本達夫

    升本参考人 おっしゃったとおりでございます。
  224. 野間友一

    野間委員 そこでお聞きするわけですが、これは今いろいろな点で大変困難な状況にあると思うのです。既設の長岡工業導入団地、これは開発公社がやっておりますね。ここの分譲率が九九・二%、これはいいと思います。それから、公団がやっておられます長岡の新産業センター、才津地区ですね、これは同じく分譲率は三七・七%。これは県からも資料をいただきましてそうなっております。それから、これも開発公社がやっております南部の工業団地、これの分譲率が二七・九%。雲出はこれから造成工事を始められるわけですけれども、先ほど申し上げた、当初の、六十四年完成のいわゆる計画人口、一万戸・四万人、これが残念ながら、予定二年を残すだけである今日、相当大きく狂ってきておるというのが現状だと思うのです。  新潟県からいただいた「高度技術に立脚した工業開発に関する計画 長団地域開発計画」というのがあります。これを見ますと、いわゆる居住機能、中央地区ですね、あのニュータウン、一万戸・四万人、これは「当圏域における工業開発の促進に伴う主要な居住機能の受け皿を長岡ニュータウン中央地区」と位置づける。つまり、先ほど言いました四つばかりの工業団地あるいは流通団地、こういうような産業、工業の居住機能の受け皿というのが県の計画の中に明確に位置づけられておるわけですけれども、この一万戸、四万人、この中で今どれだけ分譲し、家が建っておるというふうに認識されておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  225. 升本達夫

    升本参考人 ただいまおただしの長岡ニュータウン開発整備事業は、地域的に申しますと、今おただしの工業用地用の雲出地区と流通業務用地用の才津地区と、それから住宅を主といたしました中央地区、こう三つに分かれているわけでございます。  中央地区についての直接のおただしかと思いますので、中央地区について申し上げますと、中央地区は全体で九百四十二ヘクタールを整備対象といたしておりまして、その現在までの進捗状況でございますが、分譲状況を申し上げますと、昭和五十八年十月から分譲開始いたしておりまして、現在までに売り出した対象面積が十三ヘクタール、このうち七・八ヘクタール、率で申しますと六〇%が譲渡済みということになっております。このうちいわゆる独立の住宅敷地用として売り出したものは三百五十一画地ございまして、このうち百五十九画地、率で申しまして四五%が譲渡済みという実績でございます。  なお、これに伴いまして、現在、入居世帯数が百六世帯、入居者三百九十七名ということになっております。
  226. 野間友一

    野間委員 だから、一万戸・四万人計画で、今もお話がありましたように、百六世帯、三百九十七人、昭和五十八年から始めた分譲がこういう状況なんですね。これは地元でも皆、どうしたらいいのかと大変頭を抱え心配しておるわけですね。一万戸分の百六ですから、もう全然話にならない。  これは事業計画を大幅に変更せざるを得ないんじゃないかということが言われておりますが、公団としては、具体的にいつごろどういう事業の縮小計画をなさるのか、構想をお聞かせいただきたいと思うのです。
  227. 升本達夫

    升本参考人 先ほど申し上げましたように三地区に分かれておりますので、それぞれについて実績を勘案いたしながら、これからの計画の要すれば変更を考えていかなければならないというふうに承知をいたしておりますが、まず、流通業務用地用の才津地区につきましては、これはもう工事は完了いたしております。分譲状況を見ましても、約七割が譲渡済みになっておりまして、私どもの認識としては順調に推移をしておるかと思いますので、これはもう時間の問題だろう。  それから次の、工業用地を予定しております雲出地区……
  228. 野間友一

    野間委員 居住用のニュータウンについてお伺いしているのです。
  229. 升本達夫

    升本参考人 ニュータウンですか。――それではニュータウンについて申し上げますと、いわゆる中央地区でございますが、これは、先ほど申し上げました今日までの分譲状況等から判断いたしまして、工期は、御承知のように六十四年度いっぱいまで現在の計画では決まっておりますが、六十四年度末まで頑張りましても計画どおりの実現を期するわけにはまいらない。したがいまして、当然にまず工期の延長を考えなければなりません。  しかしながら、単に工期を延長していただきましても、これをもって十分に納得できる成果を期待できるというわけではなかろうかと思っておりますので、やはり土地利用計画の内容をかなり根本的に見直す必要があるのではないかというふうに考えております。  この中央地区の土地利用計画の見直しに当たりましては、住宅用地にこだわらずに、もっと広くいろいろな土地利用を求めてまいりたい、健全な市街地の形成に資するさまざまな施設等の立地を考え、幅広く検討してまいりたいとい考えております。このために、地元の県、市とともに、まず計画人口の規模、それから立地可能性のある施設等の検討に入った段階でございますけれども、今後、この事業の要請者でございます県、市の意向も十分に尊重しながら土地利用計画の検討を進めてまいりたいということで、現計画の工期が切れます六十四年度末までに変更計画の認可を得るように努力をいたしております。
  230. 野間友一

    野間委員 冒頭にも申し上げたように、皆非常に心配していますし、私も心配しているわけですね。つまりこれは、分譲して元を回収してまた事業をしなければならぬ。ところが、一万戸分の百六世帯というようなことではどうにもその回収ができない。  今副総裁が言われましたけれども、もう一つ難しい問題というのは、仮に大幅に事業計画を変更するにしても、それじゃかわりに何を、そしてそれが実際に売れるのかどうか、分譲できるのかどうか、大変困難な問題があると思うのです。雲出も見てまいりました。今造成を始めました。これも若干おかしいと思うのは、水がないのです。工業用水の計画が全然ないのです。工業団地というか、工業を導入するのに水がない、そういう計画は一体いかがなものかというようなことも私考えたわけです、研究開発云々と言いますけれども。これはこれとして、今申し上げたように、実際にどういう計画変更をするのか、うんと縮小しても後に何が考えられるのか、これはありとあらゆる知恵を出し合いながら、県と市と十分協議した上でやっていただきたいと思う。  と同時に、これはやはり早くする必要があると思うのですね。つまり、期待できないものをいつまでもほっておくと、それだけまた大変なロスがふえるだけの話ですからね。その点で本当に早期にいろいろな点で英知を集めて、ぜひ十分な、適切な措置をとられたいと思いますが、いかがですか。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  231. 升本達夫

    升本参考人 御指摘のように、具体的に土地利用を予定することはなかなか難しい問題でございます。計画立案時、五十年時点におきましては、住宅の需要がかなり伸長するのではないかという見込みを持っておったわけでございますが、今の時点におきましては、住宅ももちろん一部必要でございましょうけれども、より需要は、例えば研究用、教育用の施設でございますとかあるいは娯楽用の施設、あるいは環境保全といいますか好環境をつくり出すための施設、そういった方向に全体の土地需要の方向は向いているのではないかというふうに考えておりますので、そういう方向に向かいまして具体の利用需要をどういうふうに開拓し、把握していくか、これからの努力だと思いますが、そういう方向に努力をしてまいりたいと思っております。
  232. 野間友一

    野間委員 私も見てきたのですが、この中央地区は、最新式のパイプラインでごみを収集する設備とか、環境も非常にいいところですよね。そういう点で、副総裁も大変苦労されておると思いますが、今の時点でこれは失敗は許されませんので、ぜひ新しい角度から、しかも本当に真剣に取り組んでいただきたい、このことを強く要請をしたいと思います。  公団の方、結構です。ありがとうございました。  同じ新潟なんですが、新潟東港について次にお伺いをしたいと思います。  これは新産都、昭和三十九年から今日まで二十二年間続いております。国土庁は常に、均衡のある国土発展、工業等の地方分散、今度の四全総の中にも、一極集中から分散へということが書かれておりますが、私は、単にそれを紙の上で字を書くだけではだめだと思うのですね。今までのいわゆる地方分散、これは、新産都というのは工業の再配置で、地方に分散するという役割でできたわけですね。これが一体どうなっているのかということを十分検討して、その上で教訓を得て、失敗を二度としないという姿勢ですね、これが国土庁としては最も大事な点ではなかろうかというふうに思うわけです。  この東港の臨海工業地帯ですが、これも私つぶさに見てきたのですが、計画工業用地面積は九百九ヘクタールですね。そのうち買収済みは七百六十八ヘクタールであります。それで造成済みが五百六十六ヘクタール、売却済みが五百八ヘクタール、こういうことになります。その買収した土地のうち売却した割合を調べてみますと、六六・一%、未買収の面積が百四十一ヘクタールと非常に多いのですね。しかもこれは、二十二年かかってこういう状況なんですね。  大臣、これは、県から私もらってきたのですが、いろいろな色がついていますね。未買収の土地状況を見たら、びっくりしたのですけれども、かすりの模様のようにあちこちに点々とこういう未買収の土地があるのです、かすり状というふうに現地では言っておりますが。こういう手法というのは全くでたらめなんですね。だから今困っておるわけです。造成しても売れないし、しかも、こういうようなことで造成もできない。こういうことが果たして許されるのかどうか、私は本当にびっくりして見てきたのですね。しかも申し上げたように、買収した土地のうちで売却した面積の率が六六・一%、こういうことなんです。  まず、数字だけ国土庁に確認しておきたいと思います。
  233. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 今先生が述べられた数字におおむね近いのでありますが、多少私どものつかんでいる数字とは異なるところがございます。  私ども、六十二年三月末時点で県から資料をとっているわけでございますが、工業用地の計画面積は、おっしゃるように九百九ヘクタールでございます。そのうち、買収済みの面積については私どもとしてはデータをつかんでおりません。造成済みの面積は、五百九十五ヘクタールとなっております。そのうち売却済みの面積が五百十八ヘクタールで、売却済みの面積が造成済みの面積に対する比率は八七・一%という数字になっております。造成済みの面積、売却済みの面積の比率は、工業用地部分の面積というのはデータがございませんので確かな率は出ませんが、今言われたような率に大体近いのではないかというふうに思います。
  234. 野間友一

    野間委員 これは正確な数字なんで、大体ということでお認めになりましたけれども、こういう状況なんですね。  しかも、立地企業を見てみましたら、六十年度末ですが、日本海上NG株式会社を初め四十四社が立地しておるのですが、実際に操業しておるのは二十二社なんですね。その利用面積は四百六十八ヘクタールということです。この二十二社の四百六十八ヘクタールの中で一番大きな規模のものは、日本石油の買収地なんですね。これがまた大変深刻でありまして、日本石油は百四十七ヘクタール買っておりますが、これが今、新潟サンライズゴルフという子会社をつくりまして、ゴルフ場になっている、御承知だろうと思うのですけれども。一番いいところの一番広いところがゴルフ場なんです。これはいわゆる工業立地、用途違反ということになるのですね。まあしかし、暫定的ということでこういう状況が今続いておるようです。これを前提にしていろいろ計算したのですが、本来の目的外の利用のゴルフ場を除きますと、企業立地面積が三百二十一ヘクタール、造成面積に対して五六・七%、買収面積に対して四一・八%ということですね。日本石油が精製工場を予定しておりましたが、どうするのかといいますと、今のところ石油がこういう状況ですから当面ゴルフ場にしかしようがない。しかも、これは十年間の暫定的な措置ということになっておるようですが、一体どうしたらいいのか、これまた大変深刻な問題ですね。  だから、二十二年間続けて実際にどういう状況かといいますと、こういうことなんです。長官にも私申し上げたいのは、これは一つの例ですが、苫小牧初め深刻な事態が全国でもたくさんありますよね。こういうものをやはり十分総括をして、その中で新たな計画を組んでいく。先ほど言った長岡のニュータウン、これは今テクノの指定がかかっているのですね。だから、新産都も大変な深刻な状態だし、それでまたテクノも公団参考人も言われたような状況で大幅な計画変更をせざるを得ないということになっておるわけですね。だから、これは紙の上で四全総を書くだけじゃなくて、綿貫さん、本当にこういうようなのを全部今の時期で総括してもらって、それでその上でひとつ十分な教訓を得てほしいと思うのです。一言その点について。
  235. 澤田秀男

    ○澤田(秀)政府委員 新産都市の全国的な状況を見ますと、造成済みの面積に対する実際の売却の率は、率といいますかまだ未売却の状態になっている面積がかなりございます。  新産都市の建設が始まりましてから今日まで長い時間がたっているわけでございますが、全体としては人口及び工業出荷額の全国に占めるシェアも上昇しておりますから、新産法がねらいとしておりました大都市への人口と産業の過度の集中の防止、地域格差の是正、雇用機会の増大等の目的は、おおむねかなりの成果をそういう面では上げているというふうに思っております。ただ、二度にわたる石油危機あるいは円高不況による社会経済情勢の変化等がございましたので、そういう中で、各新産都市発展の核をなしておりました基礎素材型産業に低迷が見られるというようなことから、全般的には低滞ぎみのところがかなり多いわけでございますが、しかし、新産地区、工特地区はいずれも何といっても今まで既に地方圏において大きな産業集積や都市集積を有している地区でありますから、こうした既存の集積を環境変化に的確に適用して地域振興の中核拠点として今後も引き続いて整備を図っていくことが必要であろうと思います。  そこで、先般第四次基本計画を策定したわけでございますが……(野間委員「それは後から聞きますからいいです」と呼ぶ)そういうことで、私どもとしては今までの過程ではそれなりの成果を上げているというふうに考えております。
  236. 野間友一

    野間委員 それは全然私と意味が違います。  会計検査院にお聞きしたいと思います。  この新産都、調査をされた区域は九カ所でしたかね。その調査の理由とその結果について簡単に御報告いただきたいと思います。
  237. 大沼嘉章

    ○大沼会計検査院説明員 お答えを申し上げます。  先生ただいま御指摘のように、昭和五十八年に新産都市の十五地区のうちの七地区、それから工特地区六地区のうちの二地区、合計九地区につきまして事業効果の観点から事業実施状況について検査実施したわけでございます。  その結果でございますけれども、調査した地区の中には計画と実態、実行とは乖離していたり、あるいは未処分の工業用地が存在したりと、そういった事態が一部見受けられたわけでございますけれども、その原因が何かということを私ども随分詰めてみたわけでございますが、基本的には二度にわたる石油ショックによるものというふうに認められまして、それ以外特に全地区に通じます傾向的な問題というものが見出せなかったことと、それから当局におきましてもこうした情勢の変化に対応した処置について検討されておられる過程でもございましたものですから、今後の推移を見守るということで処理をしたものでございます。  以上でございます。
  238. 野間友一

    野間委員 大変遠慮した答弁でありますが、全部について時間の関係で言えませんが、長官、今東港の例を出しましたが、二十二年たってもこんな状況ですね。だから、通り一遍の今の局長のお返事ではなくて、やはりこの中から十分の教訓を得ていく、これは非常に大事だと思うのですが、いかがでしょう。
  239. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 それぞれいろいろ生産拠点あるいは定住拠点として計画されたものでございますが、世界の経済の流れの中あるいはオイルショック、いろいろの中で停滞しておるような事態もありますが、しかし重厚長大産業が今後絶対だめということではなしに、新しい新素材時代とかいろいろまた展望されるわけでありまして、それらの土地の新しい展開を私どもは期待できると考えております。  ただ、それまでの間にいろいろ財投資金を使ったりして金利で土地が上がるようなことのないように、多少の用途変更をしたりいろいろ暫定的に土地を利用するとかいうようなことは先ほどから御指摘のようにあると思いますが、十分その点は今後土地の値上がりに通じないようにしていかなければならないと考えております。
  240. 野間友一

    野間委員 東港についてもう一言言いますと、これは借金財政です、借金の依存率が八二%です。これは大変なことなんです。新潟県の一般会計、ここからもう毎年やっておるわけですね。大体二百数十億というふうに私聞いたのですが、地方財政をそれだけうんと圧迫して、つまり土地を造成したって売れない、しかも虫食い状況というかかすり模様ですから土地が十分買収できない、もちろん金もない、だからまさに自転車操業というかマラソン金融みたいなことで、大変深刻な事態がここで生まれているわけです。だから、これだけ地方財政が大変な時期に県が一般会計からどんどん投入していかなければならぬ。それでもその方途、めどがつきにくい。これが長官、率直な状況なんですよ。これはここだけではなしに大なり小なりたくさんあると思うのです。だから、それだけ県民に全部負担がまたかぶさってきますので、抜本的にはきちっとやらなければ、局長余り大したことないような答弁、評価もいいような評価をしましたけれども、本当に深刻なんですよ。ぜひ新たな角度からそういう財政の問題を含めて一体どうしたらいいのかということを、全体のバランスある発展というのは、国土庁所管でもありますから、ぜひその点についても気をつけて研究そして是正をするようにお願いしたいと思います。  時間が余りありません。私はきょうは主として地価の問題をお聞きしたいと思って来たのですが、やむを得ず端的にはしょりながらひとつお伺いしておきたいと思います。  午前中からの論議でもありましたが、国土法の改正でなるほど例の監視区域、これが設定される。こういうことの中で届け出あるいは勧告、公表というようなことで一定の民有地についてのチェックにはなろうということ、これも私はそのとおり期待をしたいと思うのですが、問題はやはり国公有地もそうだと思うのです、これが。これはもう長官も既に御承知のとおりいろいろな人がいろいろなところでいろいろなことを書いております。とりわけ今度の国土法の改正の中でも国公有地については民有地と等しく監視区域の中において規制しろという要望が非常に強かったわけですが、これもああいう訓示規定で終わってしまったということですね。これは三井不動産の江戸さんを初めいろいろなインタビューで答えておりますし、三菱総研のこれは既に御案内の「国土利用計画法に基づく土地取引規制制度について」という昨年五月二十三日付の中間報告、これを見ましても「国公有地等の取引、特にその売却については国土法の届出制度の対象とすることないしはそれに準ずる取扱いにすることを検討すべきである。」ということが言われていますね。これはもう大体そういうような方向でやらなけれは、国公布地だけを離して民有地だけというのは片手落ちだ、私もそうだと思うのですね。だから、民間については厳しく厳しくという姿勢を示しながら、片方、国公有地については全く規制の網をかぶせない、これでは民間に対する説得力がないと思うのですね。なぜ、ああいうおざなりの訓示規定に終わったのか。これは、大蔵あるいは運輸は少しでも高い価格で売りたいというような意向でつくられたというようにも聞いておるのですが、しかし、高く売ることと、それから物価の高騰、国公有地の時価の高騰による周辺に対する悪影響、さまざまなデメリットを考えますと、私はやはり、国公有地についてはきちっと規制をしなければ、一般的な競争でこれを高値で売るということは許されないと思うのですね。この点について長官の見解をまず聞かせていただきたいと思うのです。
  241. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたび国土利用計画法の中に国有地の処分の問題についての配慮規定を入れたということで、配慮だけじゃ物足りないじゃないかという御指摘でございますが、これを入れさせていただいたということは、同時に地価対策閣僚会議におきましても、従来よりもさらにこれらの処分の問題につきましては各省庁が連絡をし、情報を提供し合って十分チェックをしていくという体制も組ませていただいたわけでございまして、その後、国有地の処分がございませんから、この成り行きを十分見ていただければこの配慮規定がある程度発動していくというふうに考えております。
  242. 野間友一

    野間委員 ある程度ではだめなんです。今度は旧国鉄用地をこれからずっと順次売却していくわけでしょう。かなりのものですね。七百件、二百ヘクタール、総額三千億円を見込む。特に、総裁公館を初めこれから超一等地も含めてかなりのところが売られていく。今まででも国公有地の売却は、例の蒲田駅の構内のあれでも盛んに大きな問題になったわけですけれども、これはやはり本当に厳しく、単に地価の凍結とか価格の凍結だけじゃなしに、下げるというようなことも含めてトラスチックに考えていかなければ、実際に国鉄用地がどんどん売られていくということがさらに土地の時価の狂乱に拍車をかけるということも、多くの専門家を含め皆さんが言っているわけですね。そうすると長官、ああいう簡単な訓示規定で、実際にこれからどんどん売りが進むのですけれども、歯どめがかかって心配するなど胸を張って言えましょうか。
  243. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 私は、今回の国土利用計画法改正は、まずその改正をしたことによって実効が出ると確信をいたしております。国土利用計画法の中に国公有地をきちっと明記しろということでございまして、そういう御意見もあったわけでございますが、私どもは第一弾の様子をまず見て、それが十分効果があるというふうに確信をして、今回矛をおさめておるわけであります。
  244. 野間友一

    野間委員 第一弾の様子を見て、あのような規定で効果が必ずあるということでああいう形になった、こういうことですか。それとも、今後の推移を見守って、その上で効果がなければ新たな規制を考える、こういうことも含めて言われたわけですか。
  245. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 効果があるようにやります。
  246. 野間友一

    野間委員 マンションについて、規制の方法はありますか。今、マンションの転がしが随分出ています。いかがですか。
  247. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 マンションの転売問題につきましては、現在、監視区域制度の届け出面積は三百平米とか五百平米ということでございますので、マンションの場合には土地の所有権が三百平米未満とか五百平米未満というケースが多いと思いますので、現在実施しております監視区域制度の届け出の対象にはほとんどなっていないというふうに思うわけでございます。私どもといたしましては、このマンションの転がしにつきまして、不動産業界に対して、投機的な取引を厳に慎むようにという要請をするとか、それから、現在この国会で審議をお願いいたしております超短期重課制度によりまして投機的な取引の防止に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  248. 野間友一

    野間委員 新聞報道等によりますと、総理の指示で、「不動産業者が学生を大量に動員して分譲の抽せん権を独占し、一般の購入が困難となっている。」要するにマンションの転売で価格をつり上げておって非常に重要な問題だ、これについて転売規制などを行政指導しなきゃならぬというようなことが出ておりますが、こういう指示はちゃんと来ておるのですか。
  249. 片桐久雄

    ○片桐政府委員 総理の指示に基づきまして、建設省の方で業界に指導したというふうに聞いております。
  250. 野間友一

    野間委員 一つ新聞報道がありますが、「転売七回、十倍の九億に 二十一億円の部屋売り出し」、これは広尾ガーデンヒルズですね。こういうのがいっぱいある。土地について一定の縛りがかかるとすればまた別のところにどんどん出てくるということ、これまた大変です。  これもまた新聞報道ですが、「公庫融資申し込み 地価高騰でダウン 昨年の六割」。まさに狂乱地価がこういうようなところにまでどんどん浸透しているわけですね。庶民からすれば本当に深刻なんですね。坪一億円以上というような土地もあるそうで、一生働いても一坪も買えない。これでは本当にまじめに働く気がしないというのが庶民の率直な気持ちだろうと私は思うのです。効果が出るようにしますと長官はえらい見えを切られましたけれども、それにはやはり具体的な手だてがなきゃだめなんですよ、口で言っただけでは。だから、国土庁の方としてもやはり一つ一つ十分な検討を、そういうような口でなくてやっていただきたいと思います。  大蔵省にお伺いしたいと思います。  先ほど大矢委員の方からもお話がありましたが、中央信託銀行、これは土地に対する融資の問題だけではなくて、中央信託銀行のある幹部が土地をあっせんして、しかも転がしまで指示する、その都度取引の手数料を受け取る、いろいろな、ぐるみのことがあったということで新聞報道に出ております。ですから、単に土地に対する融資、これの銀行に対する規制だけじゃなしに、この件について言いますと、むしろ銀行が不動産業者とぐるになって転がしをやっておったということになろうと思うのですね。報道では大蔵省はこれを調査されたというふうに聞いておりますが、具体的な中身について、そしてまたどういう指導をされたのか、その点も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  251. 高橋厚男

    高橋(厚)説明員 特定の金融機関の具体的な取引に係る事柄につきまして言及することは差し控えさせていただきたいわけでございますが、一般的に大蔵省といたしましては、金融機関が融資を行う場合、今先生が御指摘になりました信託銀行の場合は媒介という業務ができるわけでございますが、媒介等を含めまして、金融機関としての公共性にかんがみましていやしくも社会的批判を受けることがないよう留意すべきは当然のことと考えておりまして、先ほど来申し上げておりますように通達を出して指導している。さらに特別ヒアリングということで、融資対応のメカニズム等につきましてもヒアリングという手段を使いながら現に厳しい指導をしているわけでございます。その過程で仮に通達の趣旨に反すると見られる融資が行われたという事実が判明したような場合につきましては、当該金融機関に対しまして厳正な指導をしていきたいというふうに考えております。
  252. 野間友一

    野間委員 終わります。
  253. 上草義輝

    上草委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会