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岩佐委員 中曽根内閣のもとで、公的私的を問わず諮問機関を重用して、国会を軽視する
姿勢が非常に目につきます。公害
補償法の問題でも、
中公審の各種
委員会の討議資料また
会議録は、本
委員会で再三要求しているにもかかわらず出てきていません。したがって、私は
委員会の
審議は尽くされたものだということが言えないと思っております。私は冒頭に、このような国会無視の
姿勢は議会制民主主義を守る上から絶対に許されないことであることを厳しく
指摘をした上で、総理に何点か質問をいたします。
私の持ち時間が全部で十五分でございます。短いのでまとめて質問をいたします、まとめてお答えをいただきたいと思います。
第一に、
大気汚染公害はまだ終わっていません。現行
指定地域では毎年九千人もの新たな
患者さんが
認定されています。東京、大阪などの大都市、特に幹線道路沿道ではNO2や粒子状物質による
汚染が改善されるどころか、ますますひどくなっています。このような状態を放置して
指定地域を一挙に
全面解除する、これは現実を全く無視したひどいやり方だと思います。公害は終わった、
大気汚染はなくなった、果たしてそういうことが言えるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
第二に、
指定地域解除の根拠となった
中公審の
答申が出された経過は、
患者さんを初め
国民の声を無視した極めて非民主的なものだったと思います。
中公審には
経団連など財界の
代表が多数、しかも川崎製鉄など公害裁判の被告、加害企業の
代表まで
委員として入っています。しかし
患者の
代表は一人も入っていません。今回
審議の
対象となっている公害
補償法は、四日市裁判などで加害企業集団の賠償責任が明確にされたことを踏まえてつくられた、いわゆる民事裁判における和解を法制化したものと言われています。その法
制度を
改正するのに加害企業だけ
審議会に参加をさせる、
患者を締め出す、こういうやり方は全く不公正であります。
患者さんの
意見を産業界の
意見と同時に聞いたというふうに
環境庁は言っています。しかし、ヒアリングによる聴取と
委員として
審議会に参加をする、これは全く別問題であります。全く別の立場であります。
患者さんを診た
医者が一人入っている、こういうことも言われますが、これは当然
患者さん本人とは違うわけであります。このような不公正な構成のもとでの
審議会の
答申、これはおのずから
結論が決まっていたものだと言わざるを得ないと思います。このような
答申をそのまま
患者さんの
反対を押し切って採用する、これは全くおかしいと言わざるを得ません。いわゆる社会ルールあるいは常識に反しているというふうに思います。この点、どう考えられますか。
第三点。
中公審は、
医者や疫学の専門の
方々が入っているいわゆる
科学的知見に責任を持つ
専門委員会の
結論を故意にねじ曲げたり、資料検討を十分にする時間的余裕を
専門委員会に持たせず、専門
委員みずから不満が出されています。例えば、
指定地域の
患者がふえているといっても、全国的にも
ぜんそく患者がふえているから公害によるものではない、そういう
結論づけの論拠になった厚生省の調査について私は当
委員会で再三
指摘をしました。
専門委員会でこれは検討してないはずであります。それなのに、疫学の
専門家がいない
作業小委員会、保健
部会で勝手に資料を引用して、そして
答申に有利なように採用した、こういうことが行われています。この資料について当
委員会の参考人
質疑で、医師である吉田参考人は、この資料の採用は的外れであると私の質問に対して答えています、
また東京都の
大気汚染、特に道路沿いの
汚染と
患者発生に密接な関係があり、
NOxの影響を認めた
報告も、
専門委員会では最終
報告の三年前に出された中間
報告しか検討する機会が与えられていないのです、
さらに、三十年代、四十年代と
大気汚染が同様のものとは考えられないという部分も、この言い回しが出てきた資料、けさの
理事会でも私は要求しました。しかしこの根拠資料、特定できないから出せません、そういう回答しかないのであります。全くいいかげんであると言わざるを得ません。
このように
答申は非科学的であり、また
専門委員会の
報告をゆがめているという点でも大問題です。このような疑問、疑惑を抱えたまま
指定地域全面解除の
結論を出すということ、これは私は手続的にも大変大きな問題があると思います。この点についてお答えをいただきたいと思います。
第四に、公害
補償法第二条四項に基づき地方自治体の
意見を聴取した。
指定地域反対が二十一あります。慎重にというのが二十四あります。ところがこれらの
意見を全く無視して、わずか六つしかない賛成の
意見を採用する。ことしは地方自治法
制定四十周年であります。憲法に保障された地方自治の本旨を守る、このことは当然行われなければなりません。このやり方は全く反していると言わざるを得ません。
第五に、
指定地域の
全面解除、
新規の
患者さんを
切り捨てると同時に、新しく実施する
環境保健事業は、既存の
患者さんが減ることによって生ずる余剰金を積み立てて行うものであります。
患者さん
切り捨てにもなりかねません。また、他方
大気汚染、特に大都市の空気が汚くなっているのに
患者さんを儀牲にする
指定地域の
全面解除、これを行えば、道路、自動車
対策など公害規制が後退することは明らかであります。
一方、東京では東京湾横断道、首都圏中央連絡道、外環道など空気を汚す道路建設がメジロ押してあります。これでは二度と公害を起こさないでほしい、こういう
患者さんの切実な願いにも反するではありませんか。新たな大規模な被害を引き起こす
可能性をはらんでいるわけであります。こういう事態に対して、一体どう対処をされるのか。
以上、五点につきまして質問をいたします。