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森脇参考人 全国公害患者の
会連合会の
森脇君雄です。
私は、
公害被害地域の最もひどい西淀川で三十五年から住み、そして四十六年の十一月に旧
措置法、前の
公害に係る
健康被害の
救済に関する
特別措置法というのがあったときに
認定された
新法以前の
患者ですが、それから
新法になって現在まで
認定状況は続いております。
私たちの方からひとつ皆さん方にぜひお願いしたいことを率直に言いますと、
患者の苦しみは、
先ほどいろいろ館先生も言われましたけれども、本当に
患者というものは毎日毎晩二十四時間連続苦しんでいるのであります。特にどういう
状況かといいますと、水面に顔をつける、そしてさらに息をとめて三分か五分じっと我慢する。そのときに、健康人なら思い切って息が吐けると思います。
公害患者はそのとき息が一気に吐けない。そして、唇が真っ青になり、チアノーゼになり、手がしびれ、全身にけいれんが起こってくる
状況が続いています。このときに
患者はどう思うか。口で空気を吸っているわけですが、できれば口と胴を離して、そこから息をしたい、そういう感じが本当に
患者の中にあります。そういう
状況が率直に言って
公害患者の苦しみだろうというふうに私は思っています。こういう中で、二十歳の若い人たちが死んでいくとか、さらに、部屋に入らないでほしい、この部屋に入ったら空気が減ると言って
患者さんは母親さえその部屋に入れない、そういう切実なものがやはり
患者の苦しみをはっきりあらわしているだろうというふうに思います。
苦しみと同時に、今回の
中公審の
答申については、私たちは
中公審の中に入れてもらうことはできませんでした。最初から最後まで、
公害被害者の代表を入れてほしい、加害者の代表が入ればせめて私たちも一緒になって、この中に入って討議したいということを言い続けてきました。残念ながら密室
審議の中、それでも
委員の先生以上に私たちは
環境庁の前には立ったと思います。そして、その都度
訴えていったと思います。その
訴えの中では九十二号ほどビラをその都度出しました。きょう、館先生もそのことで
報告されましたけれども、
専門委員会の
報告の見方、これについては、シロなのかクロなのかという点では、館先生の
報告ではシロという判断をしたというふうに私は思っております。私らは
専門委員会の
報告はクロだと思っているが、経団連はシロだと思っている。中間に入る人がなぜそれをシロにしたのか。これは、明らかに
専門委員会の
報告ではなくて作業小
委員会の
報告だろうと私は思っております。それは、道路を含めてその周辺に住む人たちの
疫学調査が余りにもない、そういう中で
割り切りをやった、しかも、損害賠償という性格を割り切って、個人のものでなく、そして集団で今後は予防をやっていくということに切りかえていったと思います。ここのところを本当に
審議して
中公審の資料を徹底的に暴露してはっきりするならば、これはクロとして判断し、そして
認定状況は、以前どおり
地域指定を解除することはないという方向になることは、明らかにそうだろうと私は思っております。
そういう点で、
中公審で討議された全資料、これは公開して、本当に正しいのかどうなのか、今後
公害認定患者を切っていいのかどうなのか、そのことをやはり正しく
評価することを、
環境委員会の先生たちは当然そのことをやっていただけるということで、私たちも先生たちを本当に心から信頼し、皆さん方にそう願うというふうに思ってきょうまできています。これからも
国民の命と健康、特に
公害被害者が二度と出ないためにどうしたらいいのかということについて真剣な御討議をいただきたいというふうに冒頭にお願いしておきたいと思います。
それから、三十年代、四十年代ということでいつも出てくるところですが、三十年代のときに本当にNO2の資料があったのかどうなのか、
疫学資料があったのかどうなのか。出てきたのは四十年代の後半じゃないか。確かに感覚的にはそう言って
訴えられても、本当に学者の先生たちがそのことを討論するなら、僕は三十年代、四十年代が汚くて今がきれいだということにはならないというふうに思っています。そういう点では、
疫学調査を道路沿道で徹底的にやる、その結果出てきたものがシロなら、私たちは本当に科学的にはっきりさせてもらったということで喜んでこのことに賛成する。きれいになることについて私たちは本当に心から願っている。だれよりも願っている私たちなんです。私たちは
公害をなくすること、そしてもとの体に戻すこと、そして被害者の完全
救済を求めて運動してきている。それは命がけで運動してきた私たちですから、きれいになることについて決して反対するものではありません。ただ、本当にきれいか、汚いのかということをもっと明確に私たちに知らせてほしい。これはやはり今の中ではそういうふうになっていないということを私たちは皆さんに
訴えておきたい。特に
環境庁との中ではたびたびこのことについて交渉しました。三十年代、四十年代のところはどうなのかということを私たちは
訴えましたけれども、その中ではどう言ったかといったら、やはりその中ではっきりしな言葉が出てきません。やはり明らかな
調査ときちっとしたものを私たちの前に
環境庁も出していただきたいというふうに思っています。
それから健康回復の問題ですが、少なくとも健康回復は今後の課題だと言われてますけれども、
患者の中で健康回復ぐらい進んでないものはありません。どう治療していいのか、さらにその一人ずつについて的確な
医療及び治療
方法が確立しているのか。その辺でもおざなりの健康回復
事業がやられる。民主的にやられているところの方が行政よりはるかによくやられています。特に、いまだに健康回復
事業をやってない、そういう
都市もまだあります。こういう点では一日も早く健康回復を願っている私たちにとっても健康回復
事業というのは大きく発展させていただきたい。
最後に言いますが、今の
状況で
公害患者は守るとおっしゃっておられます。本当に守られるのかどうなのか、私たちは不安でたまりません。なぜ守られないのかといいますと、
制度は残る、その中で今の
患者を守ると言っているわけですが、運営、運用上
一つ何かを入れると、そのことで
患者は一挙に減るという事実があります。今まで何回となしそういう
状況になっています。法律があるときだって
新規認定患者を三分の一ほど平気で切り捨てることを今までやってきた中で、
現行患者を本当に守ってもらえるかどうかという点では、私たちは信用できるという
状況じゃありません。この点についても、また後ほど御質問願えば時間の範囲内でやりたいと思います。
最後になりましたけれども、もう一点だけ、やはり
国民の命にかかわることについては慎重
審議を、討議を願って、本当に納得できる
方法でやっていただくことを皆様に要望して、
全国の被害者として私自身をここへ呼んでいただいたことを皆さんに深く敬意を表しまして、私の発言を終わります。(
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