○
金子(み)
委員 引き続いて同じ問題に
関係するのですが、
専門委員会の
報告の中で私は
一つこだわることがあるのです。ずっと
報告していらっしゃる
中身、それでわかるのですが、一番最後に留意
事項というのをつくっていらっしゃるでしょう。私はこの留意
事項というのにひどくこだわるのですけれ
ども、なぜ留意
事項にされたんだろうかということが非常に気になっておりました。本来ならば留意
事項なんということにしないで本文の中に、本論の中に入るべきものだったのではないかなと思ったりもするわけです。これを留意
事項にされた
理由というのがわがらなかったのですが、いろいろ調べてみましたらこういうことのようでございます。
これは東京都の調査と絡んでくるのでございますね。私はここからそのことを
考えつくんですけれ
ども、四月八日、
専門委員会は
報告をまとめて公表しました。同じ日に引き続き
環境保健部会が開かれたわけですね。その席上で鈴木
委員長が説明をしておられるわけです、
委員会の
報告を。そしてその説明をしていらっしゃる
報告の中でこういうことがあるんですね。今まで
大気汚染対策というのは面として
考えてきたけれ
ども、ここまで来たら重点的な問題、例えば線なりポイント、点なりという面で細かい配慮が必要になってくるんじゃないかというふうに忠告していらっしゃるのです。それについて
専門委員会報告では、「局地的汚染」という言葉を使った。それが留意
事項の中に入ってくるわけですね。「局地的汚染」という言葉であらわしておきましたが、そういう「局地的汚染」の
影響は非常に考慮を要します。ただ、私たちはその
資料を持っていなかった、細かい
資料を持っていなかったので「局地的汚染」という言葉を使ったのですというふうに言っておられるのです。私たちはその
資料を持っていなかったということなんですけれ
ども、それは
専門委員会でそれをなさったということでなくて、ここで言っていらっしゃるのは東京都の調査のことを
意味しておるというふうにわかるわけです。
東京都は
環境庁の依頼を受けて、複合
大気汚染健康
影響調査
検討委員会、こういうものを設置されて、そしてずっと
検討をしてこられた。そして、このことについては五十三年から五十九年度にかけて調査を進めてきて、症状調査と
疾病調査と
患者調査と死亡調査と、基礎的、実験的研究という五つの分野に分けて、主として幹線道路に関した調査研究を行ってきた。六十一年三月には
報告書がまとまっておりましたということなんですが、この
専門委員会が
報告を
環境保健部会に出されて、そして
専門委員会を終了したのは四月のうちなんですね。それでこの東京都の
報告はまだその時点では届いてきていなかった。それでその
検討委員会の東京都の
報告、ですから私は、鈴木
委員長がここで言外に含めていらっしゃることは、
資料を持たなかったということは東京都の
資料を見ることができなかったということなんだろう、私はそう推察したわけです。
東京都の
資料というのはその後
環境庁へ出てきているのですね、五月に出てきている。三月にできているのになぜ五月に出てきているのか、その辺のことは東京都の手続の問題であるのかもしれないと思っておりますけれ
ども、新聞なんかによりますと、
環境庁が東京都に圧力をかけて、
報告はおくらせてくれよと言われたというようなことが新聞報道では出ています。これを一〇〇%信用するかどうかというのは別問題ですけれ
ども、そんなことがないこともないのかなと思ったり、いろいろ勘ぐったりもいたします。というのは、もしこの
報告が早く出てきていて、
専門委員会がそれを
検討することができたならば、
専門委員会の
報告の
内容は変わっていたかもしれないというふうに
考えられるからなんですね。そうするともっと
充実したと申しますか、キーポイントに触れた、琴線に触れた
報告ができていたんじゃないだろうか。留意
事項として残さなければならなかった、あるいは「局地的汚染」という言葉で表現しなければならなかったという
専門委員会の悔しさというのか残念さがここに出ているような気がするのです。私はその点は非常に残念だった、遺憾だったと思う。
どういう
関係で、手違いか知りませんが、
専門委員会というものがあるのだから、その
専門委員会に重要な専門的な
資料を
検討させるべきだったと思うのですね。ところがそれをやってないのですよ。むしろその専門的な
資料は
専門委員会に出されないで、その後開かれている作業
委員会の方へ出されている。作業
委員会は、さっき御説明もありましたけれ
ども、作業
委員会の中に科学者は一人しかいませんよね。一人入っていらっしゃることは見ましたけれ
ども、でも彼は公害の
専門家じゃない、疫学の
専門家でもない
行政官です、
公衆衛生の医師ではありますけれ
ども。そういうふうに私
どもは理解しますが、そこへ出されて、そして結論が出されてしまったということはいかにも残念だと思います。常識から
考えても、こういうものは
専門委員会があるのだから、
専門委員会が一応
報告を出した後だったかもしれないけれ
ども、そういうときは別にもう一遍開かしてもいいんじゃないですか。そして
専門委員会の
意見を得て、作業
委員会がそれを
制度的にあるいは
法律的に
考えて
報告を出すというふうにするべきであったのじゃないかなと私は思いました。
そしたら、やはり同じようなことを思っていらっしゃる方があるのですね。東京都の調査
委員会の座長をやっておられる吉田亮
先生、この
先生は千葉大の
医学部長さんです。この千葉大の
医学部長さんが、御自分でおっしゃっていらっしゃるのですね。この
先生がおっしゃっていることは、
東京都の「健康
影響調査」は、
二酸化窒素・浮遊粉じんを
中心とする複合
大気汚染の人体への健康
影響をかなり明白に示唆したものである。
中公審報告には、「
専門委員会報告後現時点に至るまでの間にも、更に、
大気汚染と
健康被害との
関係に関する知見について、東京都における複合
大気汚染健康
影響調査等新しいものが出てきているが、それらの知見を考慮しても
専門委員会の結論として示された現時点での
大気汚染と
健康被害、特に
慢性閉塞性肺疾患との
因果関係の評価を変えるものではないと判断される」とあるが、
ここでだれが判断したかということをこの吉田座長は懸念していらっしゃるのです。というのは、作業
委員会の中に、東京都のこの純粋に専門的な
資料を
検討し、解明し、評価して判断できる人がいたのだろうかという疑問が吉田
先生の頭の中にはあるわけですね、おかしいぞ、だれが判断したんだと。非常に強く
指摘をしていらっしゃるようでございます。
こういうような人間の健康に深いかかわり合いを持つ公害問題を担当し、先ほど冒頭に大臣が人間の健康を守り促進するための
環境を、
状況を
改善していく仕事をするとおっしゃっていらっしゃいますが、その立場から
考えたら、
基本になるのはやはりこういった専門的な、
医学的な、科学的な
資料だと私は思うのですよ。それを、こんな立派な
資料があるのに活用できなかったというのは本当に残念でなりません。それだけじゃなくて、それを活用しないで、言葉は悪いですけれ
どもネグっちゃったわけですね。無視したというのでしょうか、そういうふうにしか受け取れない。これは、この吉田座長の発言を読んでみても、いかにも吉田
先生は残念だと思われたでしょうし、残念どころのものじゃなかったんだと思うのです。そういう態度では最初の大臣の御発言の意図には沿わないですね、こういうことをやったんでは。私は全く同じ
考え方をここで持ちます。確かにこのとおりだと思うのです。こういうことは絶対にあってはならないと思うのです。
なぜこういうことをしてしまったのか。私は常識ある役人だったらこんなことはしないはずだと思うのですが、強い圧力か何かがかかってきて、それがこのような結果になってしまったのかもしれないとすら憶測をいたします、そんなようなことがあったのかなかったのかもちろん知りませんよ。ですけれ
ども、あってはならないことだと思います。大臣の御発言から
考えて
環境庁がそんなことをするはずはないと思うのにこういう結果を出してしまった、なぜそういうことになったのだろうか、私は大変に残念でなりません。
ですから、こういうことを
考えますと、やはりこの
制度は、都道府県の
意見も九〇%以上
反対しているし、それから沿線の住民ももちろん
反対しているし、それだけではなくてお医者さんたちも
反対していらっしゃるし、弁護士さんも
反対しておられるし、いろいろ
反対している人たちが多くて、これをこのままいかせたら大変じゃないかと言っていらっしゃる方が多いその中で、あえていくその
意味は何ですか。私はこの際
環境庁は勇気を持って、割り切ってという言葉をよくお使いになりますが、ここでこの
制度は今回はもう一遍見直すために据え置いて、改めて再
検討するという
考えをお持ちにならないでしょうか。ぜひそれをやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
〔
委員長退席、戸沢
委員長代理着席〕