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貝沼委員 大変難しい問題だと思いますが、ひとつ力を入れていただきたいと思います。
それから、反面、実は
日本というのはすばらしい、
日本に学ばなくてはいけないということもまたたくさん出ておりまして、
日本語の
勉強もさせようとか、それから
日本人をどうやって自分の
企業に引っ張り込むか、こういう動きも活発なようでございます。一年間で何百人という人が外資系の
企業に移ったとかいろいろなことが報道されておるわけでございます。こういうことを考えできますと、
研究の国際化あるいは人的交流それから共同
研究とか情報交換、こういったものが非常に重大になってくると思います。これは当然のことであります。ところが、例えば欧米の方々の考え方は物事を南北的に考える、それから
日本の場合はとかく東西的に考えるというようなことで、いろいろな問題はありますけれ
ども、とにかく国際化というものが非常に重大になってきたときに、人的交流については今後どういうふうに進めようとされるのか。
日本から、例えば頭脳流出というのかどういうのか知りませんが、
アメリカの方に行っておられる科学者がたくさんおられます。これは留学を除いてもたくさんおられます。何でそんなに多いのかということを先般も
アメリカへ行かしていただいたときにいろいろお尋ねしたわけでありますが、いろいろなことを言いますが、結局のところ同じ金額で優秀な人間を使うなら
日本人が一番安い。我々
日本人は優秀だから
アメリカへたくさん行くんだろう、こう思っておりましたら、そうではなしに同じレベルの人間を安く使うなら
日本人が一番安い、どうもこういうことなんですね。そうすると今度は逆に、
日本の方に
アメリカからそういう優秀な人は来るのかということを考えると、来ないのです。なぜなればそれだけの環境、待遇というものがないからなんです。そういうところに行き着いたときに、私
どもはその環境なり待遇というもの、しかも家族がついてこなければ科学者は来ないということのようですから、そういう家族の環境までも考えた手を打たないと本当の人的交流あるいは共同
研究というのは大変難しいのではないかというような感じがするわけでございます。
それから、今度は例えば発展途上国の方々と共同にいろいろな
研究をやろうといたしましても、そこにいろいろ問題がありまして、訓練だとかそういうことは中心になっておるようですけれ
ども、どういう形の共同をやらなくちゃいけないのか。さらに、東南アジア等から
日本に来る人
たち、留学生などを見ましても、ナンバーワン、ナンバーツーというのはほとんど
アメリカ、英国の方に行く。
日本にはなかなか来ない。なぜなのかということを考えると、
一つは言葉もありますが、
大学における学位がなかなか取りにくいというようなことで、彼らは帰って箔がつかないことには留学した
意味がないと言う。その辺のところは、
日本は
日本なんだからどうしようもないということで頑張っておったのでは、これはなかなか難しい。この学位の問題につきましても、先般ちょっと手直しはあったようですけれ
ども、なかなか難しい問題がある。
というようなことで、人的交流あるいは技術交流、あるいはお互いにつかんだ技術というもの、知識というものをお互いに交換し合い、それをオープンにしながらやっていくにはどうしたらいいのかというようなことが私は大事なんじゃないかと思っているわけであります。したがって、そこから先は人間の問題になってくるわけでありますが、とにかくそういう交流を進めるにしても、あるいは科学技術というものを、これから新しいものを見つけ出そうとして頑張っていくにしても、根本になるのは、やはり知識から出発するのではなくてそれは知恵から出発するのではないか。知恵が根本になってそこに知識が出てくる。そしてその知恵の知識化したところにいわゆる文化というものができ上がって初めて完成した技術というものができるのではないかと私は考えておるわけであります。したがって一番根本的には、ただ手練手管あるいは方法のみを模索するのではなく、
日本人の持っておる知恵というものをどうやって間違いない方向で結集していくかというのが非常に大事だと思いますが、この辺のことについてもし所感がありましたら、教えていただきたいと思います。