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倉成国務大臣 宮澤大蔵
大臣がどういう御意図でどういう中身をおっしゃられたか詳しく存じ上げておりませんので、私はコメントする
立場にございませんけれ
ども、私は、中曽根外交は失敗であったという評価はいたしておりません。私が
外務大臣であるから申すわけではございませんで、日本のステータスを高めた。今回のベネチア・サミット等におきましても、私も中曽根総理とともに参りましたけれ
ども、やはり堂々と日本の
立場を主張し、
ペルシャ湾の問題についてもあるいは
アメリカの経済政策についても、あのサミットの宣言をごらんになればわかりますように、言うべきことはちゃんと言い、そしてこれらの国々の中にあって日本のステータスは十分高まってきた。日本を無視しては世界の政治経済というのはなかなか動いていかないというところまで高まってきた。これはもちろん、国民の皆様方の大変なお力添えの結果でありますけれ
ども、私は、やはり中曽根外交の一つの大きな得点であったと
考えるわけでございます。
それから、
日米関係につきましては、やはり
日米関係は競争と協調の関係にあるかと私は思います。いわば
アメリカが非常に巨大な国であり、そして技術的にもすべての面におきましても非常に日本をリードしておった
時代から、だんだん日本がキャッチアップしていく。例えて申しますと、コンピューターを例に挙げますと、十数年前は、クレイのコンピューターが高速のコンピューターとしては唯一のものでありまして、日本にはこれに匹敵するものはございませんでした。しかし今日では、高速のコンピューターについても日本におきましても数社、一々名前を挙げるのは省略いたしますけれ
ども、十分匹敵するだけの高速のコンピューターが日本でできるようになってまいりました。自動車にしてもしかり、その他のエレクトロニクスにしてもしかりということになってまいりますと、基礎研究においては劣っておるけれ
ども、いずれにしましても、
日米にそういう競争関係が生まれてきたということになると、当然摩擦が起こってくるわけでございますから、競争をやりながらどうやって協調をしていくかということが、これからの
日米の経済問題に関して一つの課題ではなかろうかと思うわけでございます。
親しくなり、そして関係が深くなればそれぞれ、兄弟の間でも議論が起こったり親子の間でも議論が起こるのは当然のことでございまして、その間をどうやってうまくハンドルしていくかということが大切なことではないかと思うのでございます。これだけ複雑な、これだけ入り組んだ国際
情勢の中で、摩擦もない、問題も起こらないで何でもうまくやっていくということは、将来にわたってよほどユートピア的な世界ができない限り
考えられないと私は思うわけでございますから、いろいろな
事件が起こったり摩擦が起こることは決して歓迎いたしませんけれ
ども、私は、現在の時点で、この程度のことがあったからといって、中曽根外交の評価をそういうふうに一方的におっしゃられるについては、ちょうだいするわけにはいかないと思います。