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1987-09-11 第109回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年九月十一日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 稲葉 誠一君    理事 上草 義輝君 理事 小渡 三郎君    理事 中村正三郎君 理事 町村 信孝君    理事 宮里 松正君 理事 上原 康助君    理事 玉城 栄一君 理事 和田 一仁君       佐藤 静雄君    鈴木 宗男君       武部  勤君    中川 昭一君       鳩山由紀夫君    船田  元君       箕輪  登君    村井  仁君       江田 五月君    小谷 輝二君       藤原 房雄君    林  保夫君       瀬長亀次郎君  出席国務大臣         外 務 大 臣 倉成  正君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      鈴木  杲君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省中南米局         長       山口 達男君         外務省欧亜局長 長谷川和年君         外務省中近東ア         フリカ局長   恩田  宗君         外務省経済協力         局長      英  正道君         外務省条約局長 斉藤 邦彦君         外務省国際連合         局長      遠藤  實君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岡田 康彦君         特別委員会第一         調査室長    木村 俊之君     ————————————— 委員の異動 九月十一日  辞任         補欠選任   北村 直人君     村井  仁君 同日  辞任         補欠選任   村井  仁君     北村 直人君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 稲葉誠一

    稲葉委員長 これより会議を開きます。  沖縄及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小渡三郎君。
  3. 小渡三郎

    小渡委員 倉成外務大臣には、内外大変厳しい時期でございまして、これまで外務大臣として東奔西走をなされ、そして八面六臂の御活躍をなさっておられます。常日ごろから私も大臣の御熱意と御行動に対しまして深く敬意を表するものでございます。本日はまた、大変お忙しい時期ではございますけれども委員会においでをいただきまして、私ども質問お答えをいただく機会を得ましたことに感謝をするとともに、大変うれしく思っておるところでございます。  与えられた時間が三十分でございますから、要点だけ三つに分けまして御質問をさせていただきます。  まず第一点でございますが、大臣も御承知のとおり沖縄復帰して十五年になります。しかし、この十五年間で大きく変化をしないものの一つに米軍車事基地存在がございます。沖縄本島の面積の二〇%を占有しているわけでございまして、その中で特に私がきょう問題にしたい点は、中部と北部の大体境界に属しておるところにキャンプ・ハンセン海兵隊基地がございます。復帰後、復帰の前も同様でございますけれども実弾演習が行われている演習場でございます。これは通常演習の場合には数カ所に砲座を設置いたしまして、約四キロメーター離れた金武岳ブート岳などの恩納岳山系着弾地といたしまして百五十五ミリりゅう弾砲実弾射撃を行っている地域でございます。  復帰後、この演習昭和四十八年三月に開始をされましてから、現在、昭和六十二年八月までの実施状況というのを調べてみましたところ、何とその回数は八十四回に及んでいるわけでございます。特に最近は実弾演習回数が多くなりまして、六十年は六回、六十一年は三回ですが、六十二年になりまして既に十四回の実施が行われているのであります。もちろん公害もありますでしょうし、あるいは事故も起きるでありましょう、いろいろなことがございます。そういうことで地元金武町でございますが、その金武町の議会が復帰後十五回にわたりましてこの実弾演習に関連をした抗議決議あるいは中止決議などを行っております。また、県議会におきましても同様に復帰後十九回にわたりまして実弾演習中止、あるいはその他事故が起きておりますから、その事故に関連した抗議などが採択されて外務大臣のところにも送付されているわけでございます。  まず、今御説明申し上げた件でございますが、大臣、どのように対処していかれようとなされているのか。これだけの県民意思、また地元の人々の意思が反映されないままに、最近になって演習回数がふえているわけでございます。これはどうしたことかなと疑問を持たざるを得ないのであります。いかがなものでしょうか。
  4. 倉成正

    倉成国務大臣 小渡委員お答え申し上げたいと思います。  ただいまお話しのように、沖縄の地区が二〇%にわたり基地によって占められておる、沖縄住民方々にいろいろな意味で御迷惑をおかけしている部分があることにつきましては、私も心から御同情申し上げている次第でございます。  なお、御指摘キャンプ・ハンセン、名護市それから国頭部金武町、宜野座、恩納村、この中を県道の一〇四号線が通っておるわけでございまして、今お話しのような問題が起こっておることも承知いたしておるわけでございます。  ただ、我が国は、我が国安全保障及び極東の平和と安全の維持のために、日米安全保障条約に基づいて米軍駐留を認めているところでございまして、本件施設、区域内における米軍射撃訓練は、何としてもその練度維持の観点より、また米軍駐留目的達成のために必要不可欠と考えておる次第でございまして、政府としてはこの米軍演習中止を申し入れる考えはございません。  他方、今小渡委員がいみじくも御指摘されましたとおり、米軍訓練に際しては、周辺住民生活について十分な配慮をなさるべきと私ども考えておる次第でございまして、米側にもその旨を説明してきておるところでございます。米軍としてもかかる認識を共有して、訓練実施に当たりましては最大限注意を払っているものと承知しておりますが、ただいまのようなお話もございますので、今後とも必要に応じ米軍注意を喚起し、地元住民の方にできるだけ御迷惑がかからないように最大限努力政府としてもいたしてまいりたいと思いますし、その実態につきましても我々はさらに勉強させていただきたいと思っておる次第でございます。
  5. 小渡三郎

    小渡委員 大臣のただいまの答弁でございますが、その中で、中止を求める意思は全くない、こういう御答弁でございました。ですが、十五年前、沖縄県が復帰するときに県民の皆さんと国の方でなされた政治的な約束は一体何であったかをもう一度振り返る必要があるのではないでしょうか。それは、本土並み基地にするために基地の撤去じゃなくて不要不急のものの整理縮小最大努力を払う、これでございました。それを受けて、今回も国の機関でございますが、沖縄振興開発審議会で「第二次沖縄振興開発計画後期の展望と戦略」というものがまとまりました。その中にも、広大な基地存在沖縄振興開発に大きな阻害要件になっているということがいみじくも指摘されているのでございます。  外務大臣、もう復帰して十五年なんです。そして、マリーン隊演習でない場合、公的な訓練以外のときにも私的な犯罪が余りにも多過ぎます。これは、さっきの御答弁にもありましたから、もう既におわかりでしょう。そのたびに県民の怒りは心頭に発しているのです。そして、あの広大な演習場というのは、県道の一〇四号にいたしましても、半分は管理権アメリカにあるのですから、そういう県道でございます。条件つき県道です。そんな状況というのは全国どこにもないはずなんです。沖縄だけに存在している。こんなのも特殊事情なんでしょうね。  こういうことでございますから、言うなれば、ああいう狭い地域実弾演習をするということは今の時代には即応しないと私は思っております。しかし、何も訓練をするなと私は申し上げているわけではありません。また、撤去せよと言っているわけでもありません。ただ百五十五ミリりゅう弾砲実弾演習、こんなものはああいう狭いところでやらなくて、もっと広い、原爆実験のできるようなアメリカ本国でおやりいただいても結構じゃないか、このように思って申し上げているところでございます。再度、御答弁をいただきたいと思います。
  6. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま小渡委員お話は、まことにごもっともな点があろうかと思います。特に本年一月二十八日の射撃訓練中、百五十五ミリりゅう弾砲の一発が空中爆発して近辺の農家の畜舎から砲弾の砲片と思われるものが発見された、そういうことで地域住民の方は非常に不安に思っておられるということもあろうかと思います。  なお米軍は、本事故の以後、滞空中に作動する可変時信管の使用をやめまして、滞空中に作動しない着発信管のみを使用するというふうに、地元に迷惑をかけないように最大配慮を払っておるところでございますし、また御案内のとおり五十一年には、県道を封鎖しても一般の通行に支障のないような産業開発道路地元の方から申されますとこれは不十分と思われるかもしれませんが、政府補助金でこれを開設いたしておるわけでございます。  したがって、我が国安全保障極東の平和と安全の維持ということと地元の民生の安定の調和をどう図るかという問題が非常に難しい問題で苦慮しているわけでございますけれども、ただいま先生お話しの点は十分踏まえまして、米軍に対しましても最大注意を払っていくように私どもの方からも注意をさらに喚起してまいりたいと思っている次第でございます。
  7. 小渡三郎

    小渡委員 大臣、この件はもうこれでよろしいのでございますけれども、ただ、もう一度確かめておきます。それは御答弁要りません。  大臣、私は、実弾演習によって起きている事故に対してその原因究明して、米軍に再びそういうことのないように努力してくださいという質問は一切してないのです。今私が質問しているのは、実弾演習をやらないように中止を申し入れてください。ほかの演習はやっていいのかということになりますが、それは小火器なら結構でしょう、でも百五十五ミリなどというりゅう弾砲をぶっ放すなんということは、もし万一何かが起きると大変なことになるのでこれは中止してほしい、県議会決議回数地元町村の議決の回数を踏まえて申し上げているのであって、どうも質問と食い違っているのであります。大臣の御答弁については十分私も承知をいたしております。  ただ、最初に御答弁をいただきました、中止を申し入れるつもりはないというところに問題があるのです。これは復帰のときの約束と違うじゃないですか。本土並み整理縮小をやりましょうや、こういうことでございますから、振興開発計画後期分につきましても、沖縄振興開発審議会基地整理縮小、これを前面に出しているわけでございます。この点を御認識いただきたい。御在任中にぜひ中止の一言くらいは申し出てもよろしいのではないかな。これは沖縄百万の県民のためにぜひそういうぐあいに行動していただきたいと思うのでございます。  次に、去る七月二十七日の午後八時四十五分ですが、これも米軍演習によるマレーシア船籍貨物船被弾事故でございますけれども、これもおかしいですね。これは米海軍機のFA18戦闘攻撃機がその訓練中に、模擬弾のMK76をマレーシア船籍貨物船被弾いたしまして、操舵室にいました甲板員右手をそっくり切断されてしまった。こんな不幸なことってありますかね。私、聞いただけで本当にびっくりしているのです。もし自分であったらどうなったのだろうかと本当に感じますよ。  安全であるべき公海じゃないですか。そこで模擬弾被弾を受けまして右手がなくなった。「身体髪膚これを父母に受く、あえて毀傷せざるは孝の始めなり」朱子学じゃございませんけれども小学校時代に習いました。それが、自分自分意思で手を失ったんじゃなくて、外部から、事もあろうに米軍模擬弾右手が吹っ飛んでしまった。こんな不幸なことはないと思うのですよ。それで県議会でも決議をいたしまして、外務大臣にもきのうですか要請が行われているはずでございます。それも事故原因を徹底的に究明して再発防止に努めよ、こういうことです。それから漁船の安全操業ができるように船舶の安全航行を保障してくれ、こういう内容です。  その被弾をした地域久米島地域といいまして、本当に漁業の宝庫なんですよ。これはうかうかそんなところへ行って漁業はできませんよ。飛行機が飛んできたらどこかへ逃げようといったって、飛行機速度と船の速度は比較になりませんよね。これは大変なことになると思うのです。ですから、これも、そういう性質の演習ならば、演習中止ですよ。これ以外にないのじゃないですか。本当に危険だと思うのでございます。この件についてはいかがなものでしょうか、お答えください。
  8. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  ポメックス・サガ号被弾事件につきましては、七月二十七日に発生いたしまして、直後に在京米大使館アンダーソン公使外務省に招致いたしまして、遺憾の意の表明とともに原因究明再発防止等について申し入れたわけでございます。さらに、八月六日の日米合同委員会におきまして同趣旨の正式な意思表明を行っております。米側におきましては、このような事件についての遺憾の意を表明すると同時に、現在原因究明について鋭意作業を行っているというふうに承知しております。
  9. 小渡三郎

    小渡委員 時間がございませんから、もう再びこんなことがないように、また地元漁業安全操業できるように格段の努力をお願い申し上げたいのですが、大臣、よろしくお願いします。
  10. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま北米局長からお答えいたしましたが、このような事故が再度起こらないように、米軍に対しまして強く要請をいたすつもりでございます。
  11. 小渡三郎

    小渡委員 次に、二番目の点でございますが、これももう政治的な問題、社会的な問題になっておりますけれども米海兵隊クラブ従業員大量解雇でございます。最初発表されたのは三百三名でございましたけれども、うち亡くなった方が一人、そして妊娠中の方が一人、それから御高齢の方が一人、転職された方が二人おられまして、実質は二百九十八名に解雇予告が出て、九月いっぱいで解雇だということになっております。県民はみんな心配をいたしております。今の時点でどうなっておりますか、また見通しについてはどうですか、お答えください。
  12. 倉成正

    倉成国務大臣 本問題につきましては、沖縄雇用情勢全般から考えまして、米駐留軍大量解雇という問題は非常に深刻な問題であると受けとめております。政府としては従来から在日米軍従業員生活の安定と雇用安定維持努力してきたところでございますが、今回の沖縄における米海兵隊クラブ従業員人員整理の通報については、残念なことであり、深刻に受けとめておる次第でございます。  政府としては、あらゆるレベル米側に対して本件問題についての重大な懸念を伝えるとともに、米側本件についての立場を再検討し、人員整理影響を最小限にするように強く要請をいたしております。具体的には、私からウエッブ海軍長官にも東京に参りました際にお話をしましたし、またマンスフィールド大使に対しましてもこの問題の重要性指摘をいたしている次第でございます。  これに対しまして、米側としても本件の問題の深刻性については十分認識して再検討を行っておりまして、現在日米間で鋭意折衝中、詰めておる段階でございます。現在交渉中のことでもございますから、話し合いの内容をここでつまびらかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、我が方としては、本件の実質的な人員整理数を極力圧縮するよう努めてまいりたいということで最大努力を合いたしておるところでございます。
  13. 小渡三郎

    小渡委員 全員が解雇されないように全力を挙げてください。従業員の手当なども半分は労務費として国が負担しているというではございませんか。ごね得をして日本の国からもっと金を出させようという魂胆がありありと見えるような気がしまして、何とも言えない物寂しさを実は感じているのです。努力してください。  最後に、もうちょうど六分しかございませんから、外務大臣施設部長にお願いいたします。  沖縄県内には、米軍向け貸し住宅昭和三十四年から現在に至るまで米軍要請によって巨額な建設資金を投入して建設されました。その住宅というのは、米軍住居基準あるいは定期検査を受けて、当事者の間で賃貸契約が結ばれて使用されているのです。五十四年、復帰後です。五十四年の十月二十三日には米軍側から沖縄県の西銘知事に対しまして、米海兵隊基地司令官キリーンという方から貸し住宅建設要請がなされております。この建設要請のときにどの程度不足しているのかというと、千五百棟ぐらい不足している、だから協力してほしい、こういう申し入れがあったのです。それを受けて基地周辺は極端なアパート建設ブームが起きたということもきのう、おとといのように私の網膜に残っているのです。そんな状態がありました。  ところが他方で、米軍住宅建設計画というものを作成いたしまして、昭和五十七年から昭和七十一年まで十五年間で一万一千四百二十四戸建てようと考えているわけです。その中で、牧港地域を初めとして基地外にあるものを基地内におさめるということは、リロケーションと普通言っていますけれども、その分は二千八十三戸なんです。それは結構です。ところが、新規の分が四千三百三十八戸あるわけです。これが今建設がずっと進んでいるわけです。それももう基地内に収容しようということならば、それで結構でしょう。別に私はそれについて強い反対はいたしません。  ただ、復帰前も復帰後も米軍要請によって、厳しい基準を経て、そして五百億余りの巨額な資金を投じて建物を提供したあげく——米軍は五十四年には建設してくれと要請している、そして五十七年から、今度は思いやり予算で五十八年からは米軍住宅がつくられているわけです。これで現在貸し住宅アパート関係が約千二百戸空になっているわけです。これは大変ですよ。生活の基盤を失うわけです。転業しようにも転業資金がないのです。融資、税制、転業資金、この面で特別な配慮をしてもらわないと困る。  同時に、円高ドル安のためにとても兵隊では負担をしかねるような状況に実はあるわけです。円高不況業種の最たるものなんです。こんな状況で、所得復帰のときの振興開発計画全国を一〇〇として八〇%達成というのはとてもじゃないができません。今七四%ですから、空き家が続出した、所得がなくなったといったら、所得の向上の足を引っ張るだけであって、何の意味もありません。どのようにお考えですか。外務大臣並びに施設部長お答えをいただきます。
  14. 倉成正

    倉成国務大臣 詳細については施設庁からお答え申し上げますが、本来、米軍がつくるべき住宅民間の方にお願いしてつくってもらった、ところが、今度は米軍施設の中につくったのでそれが要らなくなったということで、非常に空き家が出てきているという問題だと思います。  この点につきましては、やはりそういう経過を頭の中に入れてできるだけ影響が薄くなるようにやっていくというのが本来の建前ではないかと思いますけれども、これは担当施設庁でやられていることでございますので、施設庁からお答えをしていただきたいと思いますが、基本的には影響ができるだけ少なくなるようにするのが当然だと思っております。
  15. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 沖縄におきます基地内の米軍家族住宅でございますけれども、これは海兵隊家族同伴基準が変わったというようなことから、米側は今住宅の数が数千戸不足しているのだということを言っております。  防衛施設庁はいわゆる思いやり提供施設整備住宅建設しているわけてございますけれども、この建設に当たりましては、米軍がどれだけの数の住宅を必要としているか、どれだけの数が不足しているかということにつきまして、常時日米実務担当者の間において毎年度の住宅建設戸数を調整しております。これは実務担当者レベルだけでございませんで、私どもレベル、またそれ以上のレベルでもやっておるわけでございます。  この住宅戸数を調整するに当たりまして、防衛施設庁といたしましては民間貸し住宅の活用を図るように米側に申し入れております。できるだけ民間貸し住宅への影響が及ばないように努力しているところでございまして、今後とも民間貸し住宅の現状に配慮しながら慎重に対処してまいりたいと思っております。
  16. 小渡三郎

    小渡委員 もう時間ですから終わりますけれども復帰して十五年たちました。大臣、もう国体でもございます、もう一度沖縄をじっくり見直してみてください。お願いいたします。ありがとうございました。
  17. 稲葉誠一

  18. 上原康助

    上原委員 せっかくきょうは外務大臣に対する質問ですので、かねて報道されておりますように、ペルシャ湾米軍経費負担問題について、最初お尋ねをさせていただきたいと思います。  承るところによりますと、外務省ペルシャ湾米軍経費負担問題について特別作業班を設置して検討を開始したと聞いております。どのようなことをお考えなのか、まず外務省のお立場なりその構想を明らかにしていただきたいと存じます。
  19. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま外務省の中で、ペルシャ湾安全航行をめぐって我が国がどういうことができるかということについて検討のチームをつくって検討中でございます。  まず第一には、委員承知のとおり、我が国外交努力にまつべきであるということでございまして、私自身テヘランに参りまして、イラン指導者方々とお目にかかりましたし、またジュネーブにおいてもイラン外務大臣ともいろいろお目にかかるということで、そういう安全航行についての注意喚起をいたしております。また現地の大使館を通じまして、また在日イランイラク双方大使に対しましても自制を促す。  また、私先般イランのみを訪問しておりますから、今回はイラクを含めまして湾岸諸国を若干回りまして、この問題について直接当事者に対する働きかけをいたしたいと思うわけでございますし、御承知のとおり、国連の事務総長のデクエヤルさんが十一日にはテヘランに入り、十三日にはバグダッドに入るということでございますので、これらの情勢を踏まえながら、最大外交努力を中心としてやっていこうというのが私どもの基本的な方針でございます。  その他の諸問題につきましては政府委員からお答えをさせたいと思います。
  20. 恩田宗

    恩田政府委員 先生お尋ね外務省における検討でございますが、現在ペルシャ湾安全航行最大受益国という我が国立場から、安全航行の確保のためにどういう貢献を行うことができるかということを検討しているわけでございます。ただ、全く部内限りの検討でございますので、いかなる検討が行われているか、あるいはいかなる組織がというようなことについては、御説明することを差し控えさせていただきたい、かように思います。
  21. 上原康助

    上原委員 これは非常に重要な問題であると同時に微妙な面もあろうかと思うのです。確かにペルシャ湾航行の安全を確保することは我が国にとってもまた国際的に見ても非常に重要であり、そういう環境をつくるというのが必要だとは思うのですが、米側軍事介入を、介入というか、航行自由ということで第七艦隊その他派遣をしている。いわゆる紛争地域ですね、いうところの中東のイランイラク、そういうところに外交努力を、今外務大臣おっしゃるように、第一義的に優先して考える、それはごもっともであり、またぜひそういう努力をより強めていただきたいわけですが、直接的な財政負担であろうが、あるいは間接的な財政負担であろうが、一方に肩入れをしたというふうにどちらかに見られるということは、私は、日本外交としてのあり方という面から大変問題を残す危険性があると思うのです。  今大臣おっしゃいましたように、この二十日過ぎからイラクを御訪問なさるという御計画のようですが、しかしけさの報道を見ても、イラク在日大使は、日本は双方にパイプがあるということではいいかもしらぬけれども、どうも偏っているという批判的発言があったという報道もなされているのは御案内のとおりです。そういう面を含めると、内容は明らかにできないという政府委員答弁ですが、直接的な財政援助をお考えなのか、あるいは間接的な面で何かやろうとするのか、そういった点くらいは明らかにしていいと私は思うのですが、いかがですか。
  22. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいま上原委員からお話がございましたけれども、先ほど政府委員からお答えしましたとおりに、日本の石油輸入の約五五%がホルムズ海峡を通ってきておるという、日本はペルシャ湾から出てまいります石油、ペルシャ湾の安全に対するいわば最大受益国であると申しても差し支えないわけでございます。  今お話しのように、クウェートがソビエトに船籍を借りるというようなことでクウェートがソビエトに援助を求めたことをきっかけに、今度アメリカの方がこの方に入ってくる、あるいは英国あるいはフランス、そういう地域が掃海艇を派遣するというような形で、このペルシャ湾に関係する国々、日本よりもはるかに受益は低い地域の国々がこれらの地域に、そのよしあしは別といたしましても、この安全確保のためにかなりの対応を図っているときに、日本が何もしないでただ外交努力だけで、とにかくおやめなさい、おやめなさいということで済むかどうかということについては私は多少疑問なしとしない。  やはり何らかの形でこのペルシャ湾の安全についてイランイラク双方の自制、そして最終的にはイランイラク戦争の終結ということを目指して努力をするけれども、少なくとも日本の船籍あるいは日本の船籍を持たないけれども日本の船員が乗っている船が常時十杯から十五杯程度ペルシャ湾に入っているという現実を考えてまいりますと、これは何らかの対策をしなければいかぬなという思いでいっぱいでございます。  しかし、それを具体的にどうすることが日本の置かれている立場の中でできるかということになると、いろいろデリケートな今委員お話しのような問題もございますので、今省内で鋭意それらの問題、あらゆる問題を含めて検討しておるところでございまして、大変苦慮しているというのが実際の状況でございます。
  23. 上原康助

    上原委員 何らかの援護措置というか対策をお考えにならなければいかぬという点はこれは否定できないことだと思うのですが、ただややもすると対米摩擦なりあるいはいろんな米側の対日要求の中にこの種の問題が入ってきて、非常に深入りをした形でやるというのは私は好ましい外交姿勢でないと思いますので、いろいろあると思うのですが、その点は特段の御配慮を願いたいと存じます。  たくさんお尋ねしたい点がありますので次に進みますが、先ほども小渡先生の方からもお尋ねがありましたように、外務大臣初め防衛庁、防衛施設庁、あるいは沖縄開発庁もそうでしょうが、去る七月二日に発表になった在沖米海兵隊クラブ従業員の三百三名の解雇問題についていろいろと御努力をなさって、相当いい線までこぎつけているということについては敬意を表したいと存じます。  しかし、私はこの問題が明らかになって以降、どう見ても米側解雇通告というのは筋が通らぬ、余りにも理不尽なやり方だということで、全面撤回の線でぜひ対米交渉をやっていただきたいということを再三再四公式、非公式に大臣にも、関係省庁にも要請をしてまいりましたが、もう既に九月もきょうは十一日ですね。九月三十日の解雇期日ですから、いまだに鋭意交渉中であるとか鋭意努力中であると言うだけでは、御努力は多としながらも、ちょっと納得しがたい面があるわけですね。  しかも、きょうは万やむなく全駐労の皆さん、全国的に二時間の時限ストを決行せざるを得なかったという。また一部マスコミ等で報道されておりますように、どこからリークされているかわかりませんが、いろいろな情報が錯綜している状況であって、ある面では混乱を来しているんですね。該当者初め私たちも、一体どうなっているんだろうか、ミステリーじみたことさえ起きていると言っても言い過ぎでない面もあるわけで、外務大臣この件については真剣におやりになっていることは重々わかりますが、いま少しこれまでの交渉経過と見通し、いわゆる公式にはいつ発表なさるのか、その点をぜひもう一度明確にしていただきたいと存じます。
  24. 倉成正

    倉成国務大臣 前国会でお願いいたしましたいわゆる特別協定の締結について御承認をちょうだいしまして、予算もつけていただいたという経過もございまして、その直後の人員整理ということでございますので、先ほどの小渡先生、また先生お話はよく我々わかるわけでございます。ただ米軍の方から言わせますと、現在の円高状況からしてまだ非常に財政的には苦しいという状況にあるということもまた理解できるわけでございます。したがって我々としては、先ほどの小渡先生また上原先生のお気持ちと全く同じような気持ちで、本当にぎりぎりもう最大限努力をいたしておるわけでございまして、決しておざなりの交渉をしているわけではございません。  ただし、御案内のとおり交渉のそういう大詰めの段階に今来ている段階でございますから、その詳細について申し上げるということができないのは非常に残念でございますけれども、御期待に沿うような最大努力をぎりぎりまでやっているということで御理解いただけば幸いだと思うわけでございます。
  25. 上原康助

    上原委員 いつごろ内容は明らかにできるのですか。
  26. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたとおりでございまして、現在まさに大詰めの交渉をしておるということでございまして、いつごろというような時期的なめどを立てがたい状況にございますが、もちろん時間が切迫しておるということは重々承知しております。
  27. 上原康助

    上原委員 外務省とか、特に外務省そうでしょうが、政府機構というのはなかなか公式には言わないですね。しかし、これはもう大体明らかにされているような感じもしてならないわけですが、いつごろということも、まあ大詰めに来ている。  では、いろいろなマスコミで報道されておるように、解雇者の数を大幅に圧縮をしている。私は、全面撤回という基本姿勢、基本線は絶対崩してはならぬということであくまで撤回を求めますが、一つは、解雇者の数は大幅圧縮、マネジャークラス十数名程度。二点目に時間短縮も若干考えられておる。あるいはまた三点目に、これはいかがかと思うのですが、先ほどの大臣の御答弁もありましたように、ついこの間新しい労務協定が結ばれた直後だけに、しかし、報道されているように、三点目に労務費の追加負担、クラブ経営の累積赤字の日本側の肩がわり、大体こういう方向でほぼ日米間で合意をしているとの報道なり、きのうも何かゴッドフレー四軍調整官が離任あいさつの中で知事に言ったとか言わなかったとか、既にこういうことで一般的に流されているし、明らかにされているわけですね。今私が言ったことは当たっているのか当たっていないのか、その程度は言えるんじゃないですか。
  28. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいま委員指摘の報道でございますが、私も初めて聞く部分もございますが、ただいま委員指摘の中の第一でございましょうか、に関連いたしまして、できるだけ多く人員整理の数を減らしていきたいということは、そういう方向で努力をしていることは事実でございますが、それ以外の点、正確に聞き取りましたかどうかあれでございますけれども、二点、三点というような点につきましては私は初耳でございます。
  29. 上原康助

    上原委員 初耳といいましても、もうこういうふうに、政府が県に通告したとか、政治判断で決着へ、全面撤回とか、あるいはきょうの新聞なんかにも、これは現地の報道でこういうふうに出ているのですよ。初耳なら初読みでもやってみたらどうですか。恐らくこういうのは皆さんだってその都度とっているわけでしょう。どうも真剣にやっているという割には若干いろいろな疑問を持たざるを得ないのですね。しかも当事者にはこの点何ら報告されてない。施設庁も来ていると思うのですが、全駐労には一切内容を明らかにせずに、断片的にリークをして何か世論操作をしているような感じを受けるのです。  大臣、真剣にやっておられて、九月三十日という時期からしても、一両日ないしは来週早々にも政府のコメントというか、公式にこの問題に対しての米側との交渉内容を明らかにせにゃいかない時期に来ていると私は見ておりますが、ただ改めて念を押しておきたいことは、御承知のように、この二十日から国体、夏季大会が始まります。来月の二十五日からまた秋季大会、十一月にかりゆし大会というふうに引き続いているのですね。  国体を乗り切るだけのいわゆるカムフラージュ的な解決策であってはいかぬと思うのですね。騒々しいから、うるさいから、何とかその二、三カ月くらいは、しのごう、もしも外務省なり防衛庁に、そういう立場でこの問題を当面何とか、言葉は悪いかもしれませんが、糊塗しようというようなお考えがあるとすると、これはむしろ問題を将来に残して、より解決を困難にさせる結果になりかねない要因があるということを特にお含みをいただきたいのですが、よもやそういうお考えでやっているわけじゃないですね。
  30. 倉成正

    倉成国務大臣 上原委員が御懸念になるような考え方ではやっておりません。真剣にこの問題に取り組んでおるわけでございまして、本当にぎりぎり最大努力をしておるために、なかなか皆様に今御報告申し上げる段階に至っていない、本当にぎりぎりまで最大努力を私物め事務当局、関係者一体となりましてやっているというのが現状の姿でございます。したがって、気持ちの上においては沖縄出身の諸先生方のお気持ち、御質問上原委員のお気持ちと全く同じでございますから、この点はひとつもうしばらくお待ちをいただきたいと思うのでございます。
  31. 上原康助

    上原委員 そこまで大臣が真剣な御答弁をなさる、誠意ある御答弁をなさるなら、私もそれを信頼したいと思います。また、いろいろ内容が大体どういう方向で落ちつくかというようなことについてもわかるような気もします。私もいろいろな面から情報はとっております。しかし、さっきも申し上げたように、まだ大変不安定な面もあるので、最後の詰めを誤らないように、関係者なり我々が今日まで要望申し上げたことが結果として十分反映された中身になるように、特段の御努力を重ねて要望しておきたいと思います。  次に、先ほども質問がありましたが、最近の米軍事件事故というのは、沖縄はあれだけ基地の密度が高いから多いのは当然といえば当然とも言えるわけですが、全国的に米軍演習による事件事故というのは多くなっていますね。しかし、時間も限られておりますので沖縄のことについてお尋ねをするわけですが、一つは、さっきもありましたように、ことしになって一〇四号線を挟んで既にたしか十四回行われている。そのほかポメックス・サガ号あるいは第一一徳丸等々いろいろな事件事故、また、米兵の酔っぱらいが金武小学校に乱入するとか、それで、一〇四号線を挟んでの実弾射撃演習というものが、従来は一日程度だったのが二日、最近に至っては三日連続で行われているわけですね。なぜこうなっているのか、まずその点を明らかにしてください。
  32. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 ただいま御指摘のように一〇四号を挟んでの射撃訓練が、本年四月だったと思いますが、三日続けて行われたということで、新聞等におきましてもあらわれておりますように、沖縄の皆様が不安な気持ちを持っておるということは承知しております。しかしながら、射撃訓練が三日続けて行われたということ、あるいは本年十四回行われているということ、これは数え方にもよりますけれども、これらのこと等がなぜかということについては、これは米軍の運用上の問題であるということでございまして、それに特定の理由を付すということは困難かと思います。
  33. 上原康助

    上原委員 米軍の運用上の問題ですか、本当に。一説によると、一説というか私がいろいろ調べたりあるいは聞いているところによりますと、秋の沖縄国体を控えて天皇訪沖もある、米軍に対し演習の自粛を外務省筋なり政府関係が求めた、だから、その間のものを圧縮してというか前倒しでやっているんだ、あるいは沖縄県知事がそれを求めた、両方の見方があるわけですが、その事実について、一体米側とそういう話し合いをやったのか。これは極めて重大な問題なんです。前倒しで演習をさせておって運用上の問題というような、北米局長、それほど我々もあなた方が言うことだけをうのみにする立場じゃないのです。そういった点、ぜひ明らかにしてください。
  34. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 沖縄国体があるからしたがって演習を早くやってくれというような趣旨の、あるいは沖縄国体の間に演習をしないでくれ、そういう趣旨の申し入れを行った事実はございません。
  35. 上原康助

    上原委員 そうしますと、国体中もやりますか。ほぼ毎月やっていますね。それはあなたが言うように運用上だったらスケジュールがあるはずなんだ、米軍演習、月に何回とかね。これから九月、もう九月に入っていますが、九月、十月、十一月までずっと従来どおりやるのですか。
  36. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 米軍がいつ、どのような演習をするかということは米軍の運用のことでございます。ただし、その運用におきまして、一般的に米軍周辺住民に迷惑をできるだけかけないようにという配慮をしていることは当然でございます。したがいまして、沖縄国体の間に演習をするのかしないのか、それについて私が答える立場にございませんけれども、一般的な配慮は行うということは当然であろうというふうに推測いたします。
  37. 上原康助

    上原委員 今の答弁を聞くと、皆さんがどういうことを裏でやりとりしたか大体想像がつきますな、普通の常識を持っている人なら。問題は、先ほどもありましたような百五十五ミリとか二百三ミリという、ああいう射程距離からしてもあるいは重量からしても、キャンプ・ハンセン、一〇四号線を頭越しにやるような場所でない。これはもう何回も議論をしてきた。不適当であるということもいつかの内閣か沖特かどこかで答弁なさっているはずなんだ。これだけのことをやれば被害を受けるのは当然なんですよ、何回やっても事故が起こらないようにとおっしゃいますが。  したがって、こういうことについてはもう少し考えなければいかないし、同時に、国体だから国体の前倒しを三日もさせて、また国体が終わったらその穴埋めをやるとか、そんなばかげたことはもうよしなさいよ。我々はそういうやり方は納得できませんよ。本当に沖縄の現状を知らすというなら、国体をやっている中で弾をどんどん撃ってみたらいいじゃないか。いかに沖縄というものが基地の重圧で苦しんでいるかということを全国の国民に明らかにさせなさい。天皇が行くときにわざと弾を撃ってごらん。そういうインチキ外交はよしてもらいたい。大臣、今我々は納得できませんよ、そんなやり方は。御感想を聞いておきましょう。
  38. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 上原委員の強い御指摘でございますけれども、先ほど御答弁申し上げておりますとおり、国体との関連で演習について日本政府米軍に申し入れた事実は一切ございません。したがいまして、国体の間に演習をするかどうかということについて私が答弁する立場にないということを明確に申し上げておるわけでございます。  キャンプ・ハンセンにつきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げたとおりでございまして、百五十五ミリのりゅう弾砲演習につきましては本年一月に事故がございまして、その後米軍も空中における信管を変えるというようなことをいたしております。この点について、周辺住民に対して被害を与えないように十分な配慮を行うようにということは米側に対して、この事故の際にも、また一般的に常々申し述べているところでございます。
  39. 上原康助

    上原委員 それは公式に国体があるからその間は控えてもらいたいということを言ったと言うわけにはいかぬでしょう。しかし、現場の状況なり今までやっていることを見ると、私が指摘していることは当たっていると思う。  そこで、大臣、そういった一〇四号線を挟んでの砲撃演習あるいは特に爆音被害、嘉手納空軍基地を中心にタッチ・アンド・ゴーだけじゃない、曲芸までやっているわけですね。幾ら安保条約で基地の提供をしなければいかぬという取り決めがあるにしても、何十万という住民周辺に住んでおって、その飛行場を一つの航空母艦か何かに見立てた形でああいう演習を平気でやるということは、常識上も人道上も許されないと私は思うのです。そういった爆音被害なり軍事演習によってどれだけ県民生活が破壊され、日常的な精神的な面からもいろいろないら立ちがくるか、それは本当にたまったものじゃないですよ。  なぜ沖縄はいつまでこういう環境に甘んじる、甘んじるというより呻吟しなければいけないのかと思いますよ、本当に。これは未来永劫続くかもしらぬ。一生そういう環境で生活をするというのは耐えがたい屈辱なのです。だから、皆さん、提供するあるいは安保を容認なさるというお立場立場の違いがあるからある程度理解をいたしますが、しかし、そういった本当に生活破壊なり常識を逸脱した曲芸まがいの演習というようなものについては、爆音の被害あるいは深夜、このくらいのことは日米間で話し合って本当にできないですか、大臣の決意を聞いておきましょう。
  40. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 累次答弁申し上げておりますとおり、米軍がその駐留の目的でございます極東の平和と安全、日本の安全に対しまして有効に貢献するためには、訓練を含めましての諸活動が必要不可欠でございます。他方周辺住民に対して不安を与えたりあるいは騒音その他の被害を加えるということについては十分な配慮を行わなければいけない。飛行機につきましてもそうでございます。展示飛行というようなことも軍隊の一層性といたしましてこれは当然のことでございますが、同時に、それが周辺住民に与える影響を最小限にして行うようにということでございまして、その兼ね合いの中でいろいろな苦心を重ねながら行っていく、こういうことかと思います。  沖縄につきましては、本年におきましていろいろな事故あるいは事件というのが起きておりまして、これにつきましては、累次御答弁でも申し上げておりますとおり、米側に対してそれぞれ十分な注意の喚起、原因究明等を申し入れているところでございます。
  41. 上原康助

    上原委員 あなた、そんないつも同じ答弁じゃ納得できませんよ。極東の平和と安全のために米軍演習が必要不可欠、オウム返しにそうお答えになるのだが、極東の安全と平和のためには沖縄県民はどういう環境に置かれてもいいというのですか、爆音被害やそういった基地被害について甘んじなさいというのですか。何が十分な配慮が行われていますか。十分な配慮が行われていないから私は指摘しているのじゃないですか。極東の平和と安全のためには沖縄県民生活の安全も環境保障も同時になされて初めて極東の平和と安全があるのじゃないですか。いつまでも捨て石じゃこれはだめですよ。大臣、こういった目に余る米軍演習については、まず第一義的にやめさせるべきです。いかがですか。
  42. 倉成正

    倉成国務大臣 米軍練度の向上のためにいたしている演習は、それなりに日本の安全、極東の安全のために役立っていると思いますけれども、一方、基地を有する方々住民生活に重大な影響を及ぼしているという点についての御指摘は私もよく理解できるわけでございます。そしてまた、基地そのものが地域住民の御理解と協力なくしては十分な機能を発揮できないという点もあるわけでございますから、いろいろな問題が起こっておることも承知いたしておりますが、最大限努力をして、そういう基地住民方々生活に支障がないような努力を我々としてはいたすべきだと思っております。しかし、現在のところ、またそれが十分でないという点があろうかと思いますので、これらの点についてはさらに我々も勉強いたし、また先方ともよく話し合っていきたいと思っておる次第でございます。
  43. 上原康助

    上原委員 ですから、努力ということは、当然米側とそういうことを協議するなり、余りにもひどいと思われるという指摘に対しては、それを解消できるかどうかはやらなければいかぬわけでしょう。ただこういうところで尋ねられて、努力しています、最大限やるということだけでは、相手があるのです、相手が。それは米側とやりますね。
  44. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 本年におきましても具体的な事案、事件がありますたびに具体的に、例えば先ほどのキャンプ・ハンセンにおきます砲弾の破片が民家に入りました件とか、それから催涙ガスの件、いろいろな件がございますけれども、その一件一件ごとに我々も全部現地の事情を調べまして、米側とも十分話し合ってアメリカ注意を喚起し、原因究明等々を行っているわけでございまして、一般的な御質問でございますので一般的に答えておりますけれども外務省といたしましても施設庁と協力いたしまして、個々の案件、事案に従いまして米側にそれぞれ対処しているところでございます。
  45. 上原康助

    上原委員 事件事故が起きた案件だけじゃないんだ。私が言っているのは爆音被害なんです。そのことについて協議をしますね。
  46. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 どのような爆音の被害でどのような問題があるかということについて具体的にそれが提示されました段階で、どのようにアメリカと協議をするのかを含めまして検討いたしたいと思います。
  47. 上原康助

    上原委員 爆音というのは、飛行場があればしょっちゅうあるわけです。あなた、じゃ向こうに行って一週間でもいいから、二、三日でもいいから住んでみてくださいよ。具体的に提示された段階でと言ったって、さっきもありましたが、今まで何回決議とかいろいろなことをやっていますか、B52が飛来するときとかそういうときに。それは具体的にやったって、一向に解消していないから指摘しているのですよ。それをぜひやってくださいよ。我々いつまでも、国会で尋ねてもその都度のらりくらりとしたことでやられるのは嫌ですよ、正直申し上げて、本当にばかばかしい。もうそういう中身のない答弁は要りませんよ。あなた、行って向こうで二、三日経験してください。自分で実体験をやってごらんなさい。  それで次は、今の爆音公害のものについてお尋ねしますが、これも例年のことなんですが、ことしの六月十八日に嘉手納町議会、八月十三日北谷町議会と、「住宅防音空調施設維持管理費に関する決議」を行っておりますね。これは本当にひどいですよ。あんな空調、防音対策やってみたって実際用をなさないですよ、環境からしても。  その決議内容は、一つは空調施設にかかる電気料金を全額国庫負担にすること、二点目に空調施設の修理、耐用年数経過後の取りかえはすべて国庫負担で行うこと、三点目は区域指定告示後の新築家屋についても住宅防音の対象にすること、こういう要請、要求というものは毎年毎年なされてきているのです。だが、一向に前進しないですね、全くのれんに腕押しというかナシのつぶてというか。こういう要請について施設庁も大蔵省もあるいは外務省もどういうふうに解決しようとするのか。しかも、町独自で被保護世帯であるとか生活困窮世帯であるとか、そういうところに補助を出してまで爆音被害による電気料金というものを補てんしている。まさに踏んだりけったりの状態ですね。  私自身が嘉手納の一番うるさいところに住んでいるからよくわかる。この間、国会がお盆休みで十日ぐらいうちにおりましたが、とてもじゃないがまともな生活じゃない。家族にいつもこうなのか、いや、父ちゃんは東京だから余り気づかぬかもしらぬがそうだよ、最近ひどい。全くひどいですよ。今、具体的に提示をされた場合に検討してやる。毎年具体的に決議をし、全会一致で、しかも、何も社会党だけが言っているのじゃない、自民党も公明党も民社党も共産党もそうでない人々も、全部こういうことは強く要求しているじゃありませんか。どうしますか、こういうことについて。具体的にお答えください。
  48. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 お答えいたします。  まず、住宅防音工事を施工いたしました世帯に対してクーラーの電気代を補助する問題でございます。自衛隊、駐留軍の飛行場、この周辺におきます住宅防音工事の対象となる世帯数は非常に膨大であるということから、防衛施設庁といたしましては、まず一世帯でも多くの防音工事を実施することを目標として現在努力をしておるところでございまして、この補助の問題は今後の検討課題と考えているところでございます。しかしながら、このうち生活保護世帯につきましては、維持費を国が負担するという必要性も十分理解できますので、従来よりこの予算計上については努力してきたところでございますが、財政事情等諸般の事情によりましてこれまで予算計上するに至っておりませんが、今後ともこれについては努力していく考えでございます。  次に二番目、老朽化したクーラーの取りかえという問題でございます。これにつきましては、検討資料を得るために昭和五十九年度から、塩害による腐食の影響が強いと言われております嘉手納飛行場、それから本土の小松飛行場、これらの飛行場の周辺におきまして空調機がどのような稼働状況にあるかという実態調査を進めてきたところでございます。これらの調査結果を踏まえまして、特に老朽化等が進んで防音機能を維持していないという場合の適切な措置について、今後財政当局とも十分調整を図ってまいりたいと考えております。  それから三番目、御指摘の告示後に新築された住宅の問題でございます。これはやはり膨大な対象世帯に対しまして、まず区域指定告示のときに所在しましたまだ実施していない住宅に対する工事の助成が先決問題と考えておりますので。告示後に建設された住宅の防音工事の助成につきましては、今後検討すべき課題であると考えております。今すぐ対象とすることは困難だということでございます。
  49. 上原康助

    上原委員 大蔵省が来ていると思うのですが、この間もお答えはいただいたわけですが、時間がちょっとしかなかったので……。  特に困窮世帯、生活保護世帯に対する電気料金というか、そういう面は防衛施設庁立場上、予算化の要求、要請はずっとしているようですが、しかし、これも余り熱意は示していないですね、正直言って。その程度はやってみたらどうですか。これは改めて六十三年度からはそういう面についても、全部画一化せぬでいいです。沖縄は夏も長いし、基地の被害も大きい、そういう面から優先順でやっていくのが政治じゃないですか、行政じゃないですか。沖縄をやればみんなあっちもこっちもやらなければいかぬといって問題を画一化するから、余計予算もかさんでできない面があるのです。テストケースとしても少なくとも改善、解決すべきだと思うのですが、改めて御見解を聞かしてください。
  50. 岡田康彦

    ○岡田説明員 お答えいたします。  先ほど施設庁施設部長の方からも御答弁いたしましたように、私ども財政当局といたしましても、目下早急に措置しなければならない住宅防音工事にまだ未着手の戸数が随分残っております。限られた財源の中で、極力早くにまずその工事を進捗させたい、こういうつもりで私どもとしてもできる限りの努力をしておるところでございます。  先ほど施設部長答弁にもありましたように、私どもも一戸でも二戸でも早くにまず住宅防音工事そのものを進めたい、こういうことをまず第一義的に考えております。先般そういう御答弁を申し上げましたところ、それは性格が違うというふうに御指摘いただいたわけでございますが、確かに性格が違うという面はあると思います。その点は私もよくわかりますが、ただ、限られた財政事情の中で現実にまだ非常に多くの戸数が残っておる、住宅防音工事をしなければならない戸数が残っておるということも御理解賜りたいと思います。
  51. 上原康助

    上原委員 ぜひそういった面は、関係市町村なり住民の強い要求ですから、限られた財政といっても、軍事費にはどんどんふやすんじゃないですか。それから見るとあなた、全くの少額ですよ。  あと一点聞いておきます。  米軍基地の共同使用料の問題ですが、これも嘉手納町、沖縄市、読谷村、北谷町あたりから要請が出ていると思うのですが、共同使用の九〇%は該当自治体に負担せしめるというのは一体どういう根拠なんですか。これも全く理屈通らぬですね、合わぬですね。これは共同使用でしょう。ある面ではそこは基地の遊休化しているところもあるわけだ。それを該当自治体に九割も持たすというのは筋が通らぬ話で、むしろそれは逆にしなさいよ。しかも一〇%は国が持つわけでしょう。アメリカが出すんじゃないんだろう。これも早急に検討してもらいたい。いかがですか。
  52. 鈴木杲

    鈴木(杲)政府委員 御指摘米軍施設の一部を公共施設などのために共同使用しているという例が多いわけでございます。この共同使用する場合の使用料でございますが、これは国有財産の場合には、国有財産について定められております諸法規に従って使用料を納めていただくということになるわけでございますけれども沖縄におきましては御案内のとおり、民公有地を国が賃借しているという例が多いわけでございます。  先生指摘のケースは、地方公共団体等が米軍施設の一部を占用的に使用している場合に、私どもが地主に払っております賃借料の九〇%相当額を使用料として徴収しているということでございますが、これは違った見方で見ますと、大体地価の四%程度の使用料になっているということで、これ自体は高いと言えるのかどうか、妥当ではないかという見方もできるのではないかと思います。ただ、これは使用の実態その他いろいろなケースがあると思いますので、また御指摘の点はよく勉強してみたいと思っております。
  53. 上原康助

    上原委員 地価相場からすると、確かにそれは今の見方もあるかもしらぬが、しかし、それはあなた、遊休化しているところを共同使用するとか、本来なら十分に利用できる、活用できるところを基地が占めているからできない。むしろ、その程度は無料で貸与していいんじゃないですか。そこは早急に御検討をいただきたいと強く要望しておきます。  時間が参りましたので、外務大臣、最後に、これはさっきの与党議員の御質問を聞いてもおわかりのように、本当にこれじゃいけませんよ。幾ら安保があるからといって沖縄だけに集中化をさせて、年がら年じゅうこういった被害を受けるというのは我慢ならぬですね。じゃ、本当にもう沖縄基地を平等に日本全国に分散化しなさいよ。解決できる面はもっと真剣に、やっていらっしゃるということはわかるけれども、もっと効果が出るように、ひとつ日米間で基地被害の問題等いろいろな沖縄側の要求について解決をしていただきたい。改めて大臣の所感というか、決意を聞いて終えたいと思います。
  54. 倉成正

    倉成国務大臣 ただいまの上原委員の御指摘、貴重な御意見としてちょうだいいたしておきたいと思います。
  55. 上原康助

    上原委員 終わります。
  56. 稲葉誠一

    稲葉委員長 玉城栄一君。
  57. 玉城栄一

    ○玉城委員 倉成外務大臣にお伺いをいたしますが、私は、長い間外務委員会に所属をさせていただいた経過もこれありまして、久方ぶりに外務大臣に御質問をさせていただくわけであります。  中曽根内閣誕生しまして五年、いよいよ来月いっぱいでその幕を閉じようという段階にあるわけです。大臣も御存じのとおり、中曽根総理は外交の中曽根ということをキャッチフレーズにして積極的に外交問題に取り組んできましたし、日米関係においてもロン・ヤスという関係を構築する。そういうことからして、いよいよ来月でこの内閣の幕を閉じるという段階で、外務大臣とされて中曽根外交をどのように総括をされていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  58. 倉成正

    倉成国務大臣 大変広範な問題でございますので、一言で言うことはできないと思いますけれども、私は、日本の国際的な地位の向上、特に、経済力がこれほど充実してまいりました際に、日本が受け身の立場ではなくして積極的に世界の中の日本として世界に貢献していく、単に経済的な面だけではなくして政治的な面でも世界に対する発言をしていくということが大事だと思うわけでございまして、そういう意味におきまして、日米間のみならず世界のいろいろな問題について中曽根総理が発言をしてまいりまして、また、サミットの場におきましてもいろいろなリーダーシップを発揮してまいったということは大変意義深いことだと考えておる次第でございます。
  59. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう大変甘い総括ではちょっと。  実際にこの五年間の中曽根外交というものを今の時点で考えましたときに、これはもう本当に御存じのとおり、日米関係においても貿易摩擦問題であるとかあるいは東芝の問題であるとか、あるいは日中関係についても中曽根内閣以来おかしな関係になっている。いろいろな点でこれは今おっしゃるようなことだけでは済まされない、あるいは日米関係でもロン・ヤス関係だけでは解決できない問題が山積しておりますね。  それから、東西関係においてもヨーロッパでは首脳同士の交流が活発化して大きく動こうとしている。日ソ関係については、依然として今の我が国の外交というものは米国の顔色をうかがう外交しかやっていらっしゃらない。ある意味では、オーバーな言い方になるかもしれませんが、日本はアメリカを中心とした外交しかない。いわゆる本来的な意味の外交が非常に限られている、そのような感じがしてならないわけですが、外務大臣、いかがでしょうか。
  60. 倉成正

    倉成国務大臣 ちょっとお言葉を返すようで恐縮でございますが、日米関係は、日本の防衛を中心とし、また経済関係につきましても非常に日本の外交の基軸になるということは論をまつまでもございません。したがって、日米関係を防衛の面におきましてもあるいは経済の面におきましても円滑にやっていくということは日本の外交の一つの大きな柱でなければならないと思うわけでございますが、中曽根外交は何も日米外交だけではなくして、やはり多くの地域に対する目配りをいたしてきたと思います。  今いろいろ、日中関係について御指摘がございましたけれども、日中関係についても、私は、基本的には日中関係は、一、二の問題はございますけれども、全般としては友好的な関係にあると信じておりますし、私自身中国に参りましても、先方の指導者との認識はそういう意味では一致しておると思います。  また、日ソ関係については御案内のとおり、北方領土というとげが刺さっておりまして、この問題がやはり日ソ関係についての大きな障害になっていることは御承知のとおりでございます。しかし、これらの問題を解決して隣国であるソビエトとの間で友好関係を結んでいく、平和条約が締結できるということを我々は念願しているわけでございます。その他、ヨーロッパあるいは南太平洋あるいはアジアの諸国、その他アフリカ関係等、非常に日本の外交の幅が広くなってきた。  やはり日本は、単に欧米諸国だけを相手にしておくのではなくして、世界のすべての地域の出来事に対しましても関心を持ち、かつ責任を持たなければならないということで努力をしてこられたと思いますし、私もその一翼を担ってまいったと思うのでございまして、私は、現在そういう意味でいろいろな点で——確かにこれだけ一割国家になり、そして国際的にこれだけ複雑な状況になってくれば、摩擦がなしで何でもめでたしめでたしというふうにはいきません。しかし、そういう中でどうやって日本の国益を守っていくかということで最善を尽くしてまいってきておると思うわけでございまして、これは、どなたが将来政権を担当し、指導者になられましても、同じく負わなければならない課題であろうかと思うのでございます。
  61. 玉城栄一

    ○玉城委員 ソ連のいわゆる改革と公開というのを掲げて誕生しておるゴルバチョフ政権、東西外交は躍動感が出てきたというように評価をする声もあるわけですが、外務大臣としてはどのように見ていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  62. 倉成正

    倉成国務大臣 他国の外交について余り立ち入ったコメントをすることはいかがかと思いますが、ゴルバチョフという新しい指導者が出てこられまして、今お話しのグラスノスチ、ペレストロイカということで新しい改革に取り組んでおられる。そしてまた今、当面の問題といたしましてはINFの交渉が、いろいろな曲折を経ましたけれども、いわゆるパージングIaの問題を含めまして、いわばこの交渉が妥結の方向に向かっているということは、大変私は結構なことだと思って歓迎する次第でございますので、このINF交渉が一日も早く最終的な決着を見ることを期待いたしているわけでございます。  さらに、これから先ソ連がどういう形で内政、外交を進めていくかという問題になりますと、これはいろいろ評価が分かれるところであろうかと思いますし、もし焦点を絞っていただいて何か御質問がいただければ、私なりの御意見を申し上げることができると思いますけれども、新しい指導者が新しい政策のもとに改革に真剣に取り組んでおられるという事実だけは認識しておるつもりでございます。
  63. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのゴルバチョフ改革というものは今緒についたばかりであり、これが成功しまして、東西のいわゆる冷戦の壁というものが一日も早く取り除かれていくということは当然望むわけであります。  そういうことで、先日もありましたように、西ドイツのコール首相も、ゴルバチョフ改革というものは一つの転換点であるという立場から積極的に対ソ外交、対ソ政策を見直していこう、そのあらわれとして、東ドイツのホーネッカー大統領の西ドイツ訪問とかそういうことだと思うのですが、翻って、我が国として対ソ外交を積極的に見直していく。今いろいろなお話がありましたけれども、そういう段階からさらにまた政策を見直していくのかいかないのか、それとも、防衛庁の出しています防衛白書的な、いわゆる潜在的対ソ敵視政策的な、そういう防衛白書的な外交をとり続けるおつもりなのかどうか、その辺いかがでしょうか。
  64. 倉成正

    倉成国務大臣 私も防衛白書をよく読ませていただきましたけれども、これは客観的なファクトを書いてあるだけでございまして、決してソ連敵視政策をとっておると思っておりません。やはり事実は事実として客観的に国会の皆様方に御報告し、国民の皆さんに御報告するのは当然の任務であろうかと思うわけでございます。  なお、日ソ間においての最大の課題は、国会でしばしば御決議いただいておりますように北方領土の問題でございます。したがって、この問題の解決ということが日ソ間における最大の課題であるという認識を私どもは持っておるわけでございまして、この領土問題を差しおいてただ経済だけを前進させていこうという態度は、我々はとっていないわけでございます。  しかしながら、御案内のとおり、いろいろな面で、文化交流の面あるいはその他の技術交流の面等で、先般、日本の歌舞伎がモスコーあるいはレニングラード等に参りまして、大変先方の方々の歓迎を受けたということもございますし、また来年は、モスコーの方から歌舞伎に匹敵するようなそういう芸術団の一行が来ることになりますし、いろいろな意味で相互に知り合うということは非常に大事なことではないかと思っておりますし、また、できることは相協力していくことが必要であると思っております。  しかし、今先生お話しになっているのが、歴史的な転換とか何か特別な具体的な内容を、どういうことをお考えになっているのか私はまだよく承知いたしておりませんけれども、何か御構想があればお聞かせいただいて、それなりに私の考えを申し上げたいと思います。
  65. 玉城栄一

    ○玉城委員 日ソ関係は米ソ関係の投影といいますか影のようなものである、そんな感じもするわけですね。先ほどもおっしゃいましたINFの問題等、これからある意味で好転していくことも期待もしているわけですから、そういう意味ではやはり我が国としても、領土問題は大事です、それも含めて、日ソ間の外交問題については積極的に改善の方向でひとつやっていただきたい、このように要望いたしておきます。  それで、先ほどから申し上げています中曽根外交はこの五年間本当に、まあ大臣のお立場からそうしかおっしゃれないと思いますけれども、ある意味で失敗であった、これは皆さん方自民党の複数の方々からそういうお話を私も聞いているわけです、いろいろな見方があろうと思うのですが。それで、先月の三十一日ですか、ニューリーダーと言われる宮澤蔵相が、ポスト中曽根に向けての政権構想の中で、いわゆる外交問題についてこういうふうなことをおっしゃっています。日米関係を再構築すべきだ、さらに、日中関係は日米関係と並んで重要であり、より強化すべきだと述べているわけであります。  このことは、私先ほどちょっと申し上げましたが、日米関係にしましても日中関係にしましても、今本当に正常な状態であるかどうかというと多くの疑問がまだあるわけです。そういうことを念頭に置かれましてこの宮澤発言というものはされたのではないかというふうにも私は理解できるわけです。倉成外務大臣とされて、この宮澤蔵相のポスト中曽根に向けての政権構想の外交の部分について、どのように評価されますか。
  66. 倉成正

    倉成国務大臣 宮澤大蔵大臣がどういう御意図でどういう中身をおっしゃられたか詳しく存じ上げておりませんので、私はコメントする立場にございませんけれども、私は、中曽根外交は失敗であったという評価はいたしておりません。私が外務大臣であるから申すわけではございませんで、日本のステータスを高めた。今回のベネチア・サミット等におきましても、私も中曽根総理とともに参りましたけれども、やはり堂々と日本の立場を主張し、ペルシャ湾の問題についてもあるいはアメリカの経済政策についても、あのサミットの宣言をごらんになればわかりますように、言うべきことはちゃんと言い、そしてこれらの国々の中にあって日本のステータスは十分高まってきた。日本を無視しては世界の政治経済というのはなかなか動いていかないというところまで高まってきた。これはもちろん、国民の皆様方の大変なお力添えの結果でありますけれども、私は、やはり中曽根外交の一つの大きな得点であったと考えるわけでございます。  それから、日米関係につきましては、やはり日米関係は競争と協調の関係にあるかと私は思います。いわばアメリカが非常に巨大な国であり、そして技術的にもすべての面におきましても非常に日本をリードしておった時代から、だんだん日本がキャッチアップしていく。例えて申しますと、コンピューターを例に挙げますと、十数年前は、クレイのコンピューターが高速のコンピューターとしては唯一のものでありまして、日本にはこれに匹敵するものはございませんでした。しかし今日では、高速のコンピューターについても日本におきましても数社、一々名前を挙げるのは省略いたしますけれども、十分匹敵するだけの高速のコンピューターが日本でできるようになってまいりました。自動車にしてもしかり、その他のエレクトロニクスにしてもしかりということになってまいりますと、基礎研究においては劣っておるけれども、いずれにしましても、日米にそういう競争関係が生まれてきたということになると、当然摩擦が起こってくるわけでございますから、競争をやりながらどうやって協調をしていくかということが、これからの日米の経済問題に関して一つの課題ではなかろうかと思うわけでございます。  親しくなり、そして関係が深くなればそれぞれ、兄弟の間でも議論が起こったり親子の間でも議論が起こるのは当然のことでございまして、その間をどうやってうまくハンドルしていくかということが大切なことではないかと思うのでございます。これだけ複雑な、これだけ入り組んだ国際情勢の中で、摩擦もない、問題も起こらないで何でもうまくやっていくということは、将来にわたってよほどユートピア的な世界ができない限り考えられないと私は思うわけでございますから、いろいろな事件が起こったり摩擦が起こることは決して歓迎いたしませんけれども、私は、現在の時点で、この程度のことがあったからといって、中曽根外交の評価をそういうふうに一方的におっしゃられるについては、ちょうだいするわけにはいかないと思います。
  67. 玉城栄一

    ○玉城委員 よく存じ上げていまして、大臣が東奔西走されて大変な御努力をされていらっしゃる。総理もまた当然です。ただ客観的に見まして、結果として例えば日米関係にしましても、細かくいろいろあるでしょうけれども良好な状態とは言えないし、また日中関係はおかしな感じを受けますし、そういう意味で私は申し上げておるわけであります。  そこで、我が国にとってはアメリカとの関係がこれまた極めて重要であることは当然なことだと思うわけでありますが、外務省方々は、日米関係は基軸ということ、これは言葉はそうであったにしても、実態は先ほどの答弁にもありましたとおり、日米安保条約を基軸とした——これは何も沖縄の問題に限らず、神奈川の池子の問題にしてもあるいは三宅鳥の問題にしてもしかり。先ほど出ましたが、私は本当にペテンだと思いますよ、沖縄大量解雇の問題等。関係地域住民抗議に行くと、日米安保条約の枠の中にみんな閉じ込められる。いわゆる極東、日本の安全のためにはやむを得ないから我慢してください、これは私はどうかと思うのですね。ですから、本当の外交というものはそういうものでいいのかどうかという疑問を私も前から持っておるわけであります。  それで、先ほども上原先生がおっしゃいましたけれども、爆音のお話ですね。例えば嘉手納基地、例えば三宅島につくろうとしておるタッチ・アンド・ゴー、米軍に提供する飛行場、それをもし仮に先生の選挙区の長崎一区につくろうじゃないかと言った場合、大臣としてはもろ手を挙げて賛成されるわけですね。
  68. 倉成正

    倉成国務大臣 まだ仮定の問題でございますから、私がもろ手を挙げて賛成するとかしないとかいう問題ではございませんが、そういうお話があれば、十分まじめに検討すべき問題であろうかと思う次第でございます。
  69. 玉城栄一

    ○玉城委員 これはいきなりですからぶしつけで恐縮なんですが、我々は現実に、そういう実態で沖縄で百二十万近い人間が生活しているわけです。騒音とかそういう中で暮らそうなんて思う人はだれもいないのです。静かな、基地のない平穏な生活を当然望んでいるわけですから、もし大臣が、我が長崎一区に持ってきて構わないよ、こんなことをおっしゃられても、これは当然地元の選挙民の総反発を買いますよ。  ですから私が申し上げたいのは、外務省の官僚の皆さん方のお話は、アメリカ人の心をつかんで、私から見ればちょっと方向違いの心をつかんだ形に沿うような外交をしていらっしゃるようですけれども、本当に日本人の心、例えば基地の中に沖縄があると言われている沖縄の人々の心になって外交というものをまずやっていただけないか。国民を泣かすようなそういう外交としか目に映らないわけですね。一体どこのための何の外交が、それは大義名分ですぐ、極東、日本の平和と安全、こういうことだけではもう解決できないわけですね。大臣、いかがでしょうか。
  70. 倉成正

    倉成国務大臣 私のところも大変離島が多いものですから、実は沖縄については比較的——皆様のように現実に生活され、そして沖縄の歴史、またいろいろなことをよく御存じの方の前で申し上げるのは大変じくじたるものがございますけれども沖縄についてどうしたらよいか。産業の面についても、台風が来るから結局サトウキビとかパイナップルとか、また水が少なくていいものを中心として作物をつくっているとか、大きな会社といえば電力会社とビール会社があるというようなことで、沖縄の産業をどうしたらよいかなと。それからまた、基地についても、いろいろな意味において日常生活に大変御苦労されているということを承知いたしております。したがって、沖縄を南太平洋なりあるいは太平洋地区の一つのセンターとして考えるとか、いろいろ私なりには沖縄に対する愛情を持って、それなりの関心を持っておるつもりでございます。  しかし、基地の問題に関しましては、るる諸先生方からお話しのようにいろいろ問題がございますので、これらの問題については最大限努力をして、現地の住民の方に御迷惑がかからないように最大限努力をいたしたいと思っておる次第でございます。
  71. 玉城栄一

    ○玉城委員 今大臣、非常にやはり大臣らしいお人柄で、愛情の問題とか、非常に関心を持って御努力もしていらっしゃる。私は、さっき申しましたように、十年ぐらい外務委員会に所属させていただきまして、具体的な問題はこのたび大臣にも申し上げたり、また外務省にもけしからぬ、何とかしてくれということでやってきた。それは、こういう状態が積み重なると、いわゆる反外務省的にあるいは反米感情的になっていったらこれは大変なことになるという一つの憂いもあってやってきているわけです。  それで、実は前の前の外務大臣をしておられた伊東先生、今政調会長をしていらっしゃるのですか、伊東先生鈴木内閣の外務大臣のときに突如外務大臣をおやめになるということがありました。いろいろな事情があったのでしょうが、その朝早くに私の宿舎に伊東先生から電話がありまして、私、こんな早くどなたから電話があったのだろうと思って、そうしたら伊東ですということで私はびっくりしました。ある意味で感激もし、感動もしたわけです。といいますのは、玉城さんと何回も約束してあった沖縄を現職の大臣としてぜひ自分の目で見たいし、いろんな話も直接聞いておきたかった。けれども、事情がこういうことであしからず理解してくれということで、私は、行く行かないにかかわらず、やはりそういう誠意といいますかそれが一番大事だと思うのです。  ですから、そういうことで今度は倉成外務大臣にお伺いしたいわけです。任期は十月いっぱいかどうかわかりませんが、今度国体があることを御存じですね。陛下もいらっしゃるわけですね。中曽根総理も行きたいと意思表明をしておられるわけです。いかがですか、大臣、日程をやりくりされて行かれるということをお考えになったら。
  72. 倉成正

    倉成国務大臣 大変難しい御質問でございまして、私も大変微力でございますけれども、土曜日曜なしで時間があればいささかなりとも日本の外交に役立つために努力をいたしているつもりでございまして、六月のごときは二十日以上外国に出ていったわけでございます。今月も十七日から来月の二日まで中東から国連総会、さらに中南米というところに出ていく予定でございます。  いずれにしましても、今先生お話を聞くと本当に私自身何かここでよいお返事を申し上げたい気持ちでいっぱいでございますけれども、物理的に私の日程をこれからどういうふうにセットするかということについてはなかなか自信がございませんので、ただいまの先生お話を十分参考にさせていただきたいと思うわけでございます。
  73. 玉城栄一

    ○玉城委員 そして、前の大臣の安倍先生も、大臣のときにこういうことを、これは六十年の外務委員会会議録です。「沖縄につきましては、沖縄の県当局を初めとして多くの有志の皆さん方からも、「一日外務省」をぜひ開いてもらいたいということですが、沖縄は今おっしゃるように、我が国の外交の面あるいは安全保障の面で非常に重要な地域でありますし、また東南アジアとの関係で、東南アジアを中心とするいわゆる人材センター等も立派にでき上がったわけでありますから、そうしたことも踏まえて、これは積極的に開催するという考え方でこれからいろいろと相談してみたいと思っております。」  これは六十年に委員会で当時の安倍外務大臣がおっしゃったわけですが、倉成大臣はいかがでしょうか。
  74. 倉成正

    倉成国務大臣 沖縄をASEANとか南太平洋のそういう一つのセンターとしての活用という意味でございますれば、具体的な中身についてはいろいろ検討する必要があろうかと思いますけれども、基本的には私は、沖縄発展の一つの方向ではないかと思っておる次第でございます。
  75. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、今私が申し上げておりますのは、大臣がいろいろ日程の都合があってちょっと参考にしてこれから検討したいということでありますから、「一日外務省」のお話です。「一日外務省」を外務省はずっとやっていらっしゃるわけですね。何か最近はまた農村地域も回っていらっしゃるようですが、いずれにしても、その「一日外務省」について安倍外務大臣は積極的に沖縄で開催したいということを表明していらっしゃるわけです。これについて大臣はいかがでしょうか。
  76. 倉成正

    倉成国務大臣 実は「一日外務省」、富山と神戸を既に開催いたしました。「一日外務省」を開くということになりますと、かなり時間的な関係等がありますので、現実の問題として十月いっぱいに開くということは大変難しいと思います。しかし、いずれにしましても外交は継続性があるわけでございますから、私がなし得なかったことは次の外務大臣に申し送っていきたいと思っておる次第でございます。
  77. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは藤井さんの方にお伺いした方がいいのでしょうけれども、あのときに、これは会議録にはそうおっしゃっていませんけれども、そのことはちゃんと申し送りをしておきますということをおっしゃっていた。この問題には「ミニ外務省」の問題も含めておっしゃっているわけですが、今の、「一日外務省」を沖縄で開催する、ちゃんとお聞きになっていらっしゃって検討はされていないのですか。
  78. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 安倍前大臣の御答弁等につきましては十分よく承知しております。ただ、この問題は、本日は見えておりませんけれども外務省官房長のところで所掌しておりまして、現在どのような検討状況にあるかということについては残念ながら私からお答え申し上げる立場にございません。
  79. 玉城栄一

    ○玉城委員 大臣、私十月とかなんとかと申し上げているのではなくて、早いにこしたことはありませんけれども、今るる申し上げておりますことをひとつ前向きに考えていただくことをお答えいただきたいわけです。
  80. 倉成正

    倉成国務大臣 今の御趣旨を十分関係当局に伝えたいと思います。
  81. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がありませんので、もう一点。  御存じのとおり、国土庁の四全総の中に、二十一世紀に向けての全国総合開発、沖縄の位置づけについて、さっきもありました東南アジアとか太平洋諸地域、そういうところとの国際交流拠点として開発すべきであるという方向づけ、これは閣議でも決定されているわけです。そういう意味で、さっきの会議録にもありました沖縄国際センターであるとか、最近コンベンションホールといいまして県の大きな国際会議場等そういう受け皿もどんどんでき上がってきております。そういう国際交流拠点としての開発。そういう意味から、おとといも外務省の太平洋地域担当している課長さんのお話を伺いまして、今後そういう地域我が国との交流は非常に大事である、そういう意味では沖縄あたりを拠点として使うということは当然考えられるというお話があったわけですが、いかがでしょうか。
  82. 倉成正

    倉成国務大臣 沖縄の活用につきましては、第四次全国総合開発計画、ただいまお述べになりましたが、この精神を踏まえまして何ができるかということを検討したいと思いますが、問題は、やはり受け入れ態勢と、そして実施可能な構想が必要じゃないかと思いますね。これは漠然といろいろなことを提案しましても実際問題としてなかなか実現が難しいわけでございますから、具体的にこういうことをどのくらいの規模でやったらという、そういう構想をやはり現地の方々も十分御検討いただいて、そしてまた総合開発計画の担当者、また我々もそれに参画いたして考えていくことが必要ではなかろうかと思いますので、いずれにしましてもそういう場合には私はどのような立場にあろうとも多少のお力添えができればいたしたいと思う次第でございます。
  83. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、大量解雇の問題です。  今大詰めの段階という話があったのですけれども、これは一時しのぎ的な解決策であってはまた問題は繰り返すわけですし、沖縄に限らずまた別の面で出てくる可能性があるわけですから、長期的に納得のいくような解決をぜひしていただきたいと要望しておきたいのですが、大臣、いかがでしょうか。
  84. 倉成正

    倉成国務大臣 今の先生お話の精神を踏まえて努力をいたしているところでございます。基本的には、やはり異常な円高というようなことがこれからもずっと続いていくということになりますと米軍の経済状態も非常に苦しい状況になりますので、いずれにしましても、これらの問題を含めてただいまの先生お話しになった精神で最善の努力をいたしたいと思います。
  85. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  86. 稲葉誠一

    稲葉委員長 和田一仁君。
  87. 和田一仁

    ○和田委員 私、きょうは大臣にたくさんの事柄についてお尋ねをし、お答えをいただき、また確認したいこともあるわけでございますけれども、何せ大変限られた時間でございますので単刀直入に数点についてお尋ねいたしますから、ひとつよろしくお願いしたいと存じます。  一番初めに、当委員会の大事な所管の問題でございます北方領土問題について大臣の御見解を伺いたいと思います。  まず初めに、大臣はこの九月の初めに北方領土の視察を予定されていたようでございましたが、これを中止されたという問題につきまして、なぜ中止をされたのか、特に大きな理由がおありになったのかどうか。この北方領土問題を解決しなければ日ソの真の友好はあり得ないんだというお気持ちで北方視察をしたいと願っておられた大臣が、おやめになったということの与える影響は大変強いと思うわけでございまして、そのおやめになったのはもうこれで行かないということなのか、あるいは延期されて任期中に行かれる御意思があるのか、その辺もあわせてまずお伺いしたいと思います。
  88. 倉成正

    倉成国務大臣 先生お話の中で中止したというお言葉がございましたけれども、これはちょっと正確でないと思うわけでございます。私の念頭には絶えず北方領土の視察というのがございまして、絶えず検討を続けてきた。ただ、御案内のとおり国会の審議日程その他考えてまいりますと、本当に私に与えられた時間というものは、そういう期間を利用してできれば一番大事なところをずっと、諸外国も回るというようなことでいわば綱渡り式に仕事をしてきておるものでございますので、残念ながら北方領土の視察二日間の日程がとれないでいるというのが今の実情でございます。まだ検討を続けておるというのが実態でございますので、そのように御理解いただきたいと思います。
  89. 和田一仁

    ○和田委員 国会も含め日程的には大変多忙であることはよくわかりますが、近々国連にもおいでになる、ソ連の外務大臣との会談も予定されておるというふうになっておりますので、遠いところではありますけれどもできるだけ早い時期に視察をされることが大事ではないか。もう間もなくやめてしまう大臣なんだから行ってもしようがないというようなことは絶対にないと私は考えておりますので、この点はぜひ大臣の御意思として、見てからシェワルナゼに会うという状態をおつくりいただきたいなと思っております。  それで、これに関連をいたしまして、実は中曽根総理も国会終了後直ちにニューヨークに飛ばれて国連総会においでになる、そして二十一日ですか、演説をされるというふうに予定されておりますね。この総理の国連総会における演説内容につきまして、INFを中心にして大事な問題のある総会でございますが、私どもはその演説の中にぜひとも北方領土問題について言及をしていただきたいと考えております。  このことは、かつて歴代の総理は国連の場にあって演説の機会があればそれぞれ触れられてまいりました。ところが、六十年の中曽根総理の国連出席の際に、私どもも北方領土問題に触れてほしいとお願いをいたしました、総理は触れるという御意向を聞かされたわけでございますけれども、残念ながら結果としては一言も触れてない。今度行かれて触れられないでもしこのまま総理の座をお引きになるということになると、在任中二回も国連総会に行って演説の機会がありながら北方領土問題についに触れなかったという、このことが実績として残るわけでございまして、私は今度の中曽根総理の国連での演説の中にはどうしても北方領土問題に言及していただかなければならないと考えております。外務大臣としてぜひこのことについての御見解をいただき、どうぞひとつこの方向で総理にも御進言をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  90. 倉成正

    倉成国務大臣 中曽根総理の国連演説の内容については、今鋭意検討中のところでございます。ただいまの先生の御意見は、貴重な御意見として承らせていただきたいと思います。
  91. 和田一仁

    ○和田委員 私ども先般政府の方に申し入れをいたしましたので、このことは官房長官のお耳にも入っておりますので、ぜひひとつ外務大臣とあわせまして総理に北方問題に触れていただくような方向でお願いをしたいと思います。  それからもう一点、今日本外交の大きな方向といたしまして、貿易摩擦その他大変なジャパン・バッシングのある中で、日本が国際社会の中で経済大国として列国からいろいろな責任分担を求められる、そういう中で何としても国際社会の中での持てる地位をきちっと確立していく、このことが非常に大事だ、日本外交もそういう方向で動いていると私どもは見ておるわけでございまして、そういう国際国家日本という方向づけの中で何点か大臣の御見解を承りたい、こんなふうに思います。  まず第一点は、先般外務省の方から出されまして全会一致で成立いたしました国際緊急援助隊派遣法でございます。これはもう大臣つとに御案内のとおりに、途上国その他の国にあって災害その他が起きたときに要請を受けて救助隊を派遣するということのために整備された法律でございますけれども、かつてコロンビアとかメキシコとか、そういったところで実際に派遣した場合に、日本が国際社会の中で、経済大国日本は金は出すけれどもなかなか人は出さないな、こういう批判にこたえて今後はそうでないようにしようという思いでこういう法律が通ったわけでございますね。  私は、この法律の中でそれぞれ専門部署の各省庁を網羅して救助隊を派遣するということは大変結構だと思います。レスキューであるとか医療であるとか、あるいは衛生上の防疫の問題であるとか再建の問題であるとかそれぞれ専門部署の省庁があるわけでございますから、そういうところを動員して救助隊をつくって派遣する、このことは大変大事でよいことだと思いますが、十六の関係省庁があるわけですが、この中に防衛庁が入っていないのはどういう理由かをまずお尋ねしたいと思います。
  92. 倉成正

    倉成国務大臣 国際緊急援助隊につきましては、大変国会の諸先生方の御協力を得まして無事成立させていただいて、本当にありがとうございました。  この点につきましては、今お話しのように大体十六省庁、都道府県の警察、市町村の消防、それから民間の参加ということで考えておるわけでございますけれども、現在までの経験その他からいたしまして、自衛隊の参加なくしても現在の災害の緊急援助には十分対応できるという判断のもとでいたした次第でございまして、現在救助人員につきましては、消防、警察、海上保安庁を合わせまして約五百名以上の登録者がございます。今後また登録される方の数もふえると思いますので、当面のところこれは十分対処できるということで自衛隊の参加は求めていないわけでございます。
  93. 和田一仁

    ○和田委員 私は、こういう緊急の災害の救援ということはやはり間髪を入れずに対応していくことが大事だと思っておりまして、そのためには今大臣がおっしゃったような人数の救助隊がすぐ編成できるということかもしれませんが、それだけではまだ画竜点睛を欠いているような気がしてなりません。やはり機動力を持ち、通信機能も持ち、こういう専門部署の方々のバックアップをしていく体制があって初めて救助隊というものは生かされてくると思うのです。その輸送手段とか通信手段を一番よく持っているのは自衛隊ではないか。  そのことは各国でも同じでございまして、先進列国もそういう意味でそれぞれの国の軍隊を救援のために派遣し、使っているという実例が多いわけですから、これは大臣はやがては検討課題とするという答弁をされておりますけれども、私はぜひひとつ急いでやっていただきたい。これは自衛隊法で海外に自衛隊が行けない、派遣もできないというふうには私ども考えておりませんで、現に南極観測のためには自衛隊法百条の四できちっと規定して、ああいう平和目的のためには自衛隊の協力があって成果を上げているわけです。  ましてや平和主義を訴え、人道上の立場で国際社会の中で日本は責務を果たす、国際国家である、こう位置づけていこうというからにはその看板が泣かないように、画竜点睛を欠かないようにしていかないと、国際社会の中で日本は少々勝手過ぎるぞと言われてしまうのではないかと思いますが、その辺大臣いかがでしょうか。
  94. 倉成正

    倉成国務大臣 和田委員承知のとおり、今世界で自然災害あるいは人為災害を入れまして十日に一度ぐらいの割合で災害が起こっているわけでございます。例えば南太平洋に例をとりますと、サイクロンがしょっちゅう来てほとんど島が半分壊滅状況になるとかいうようなことがしょっちゅう起こっているわけでございます。したがって、日本がこういう援助隊を派遣する際に、どの程度どういう対応で参加するかということは十分考えておかないと、全部に対応するということは到底できないわけでございます。  そういう意味におきまして、メキシコの大地震のようなときの対応は、地震の専門家を送るとかということで一番緊急な問題について日本は貢献できたと思っておるわけでございますが、例えば隣国など日本に非常に近いところで多くの人手が要るということもあるいは起こるかもしれません。いろいろな対応があろうかと思いますが、現在起こっておる自然災害あるいは人為災害、例えばチェルノブイリの原子力発電の事故に対する調査というような問題については、現在の体制で十分ではないかと思っておるわけでございます。  しかし、将来の問題についていろいろなことが考えられましょうから、自衛隊の参加についてそれが必要と判断されるようなことになれば、その時点で諸般の事情を十分慎重に考慮して検討されるべきものであると認識しております。将来の検討課題であるというふうにしばしば委員会お答えしているのはそういう意味お答えしているわけでございまして、委員の御質問に対しましても全く同様の考えであるということを申し上げたいと思います。
  95. 和田一仁

    ○和田委員 この問題についてももう少しお尋ねしてまいりたいのですが、それではこれに関連いたしまして、国連のいわゆる平和維持活動、PKOがございますね。この国連の平和維持活動についても、国際社会の中の一員として、お金を出すだけではもう済まない状態になっておると思うのです。国連軍というと朝鮮動乱のときのようなイメージもまだ残っておりますけれども、今のPKOの活動というものはそんなものではありませんで、中身も変わってきておりまして、本当に世界の平和のための、あるいは人道上の立場からのいろいろな活動がされておるわけでございますが、こういった平和維持活動について、今までと違って非自衛隊員の要員を派遣するということを検討されているというふうに私は聞いております。そういう要員の派遣であるとか資材、機材の供与であるとか、こういうことに活発に参加していくことによって日本の国際社会での貢献度と信頼度というものが高まってくるのではないかと思うのです。これについてどんなふうに検討されつつあるのか、大臣の御見解を含めてお聞きしたいと思います。
  96. 倉成正

    倉成国務大臣 国連のピース・キーピング・オペレーション、いわゆる平和維持活動、略称してただいま先生おっしゃったPKOと呼んでおるわけでございますけれども、この活動は、国際の平和と安全の維持及び国連の強化育成に資するものとして高く評価いたしているところでございまして、日本は財政的な面では積極的に協力をいたしております。しかし我が国としては、従来から実施している財政面の協力に加えまして、現行法令下で可能な要員の派遣、また関連資材の供与による協力も検討していきたいと考えておる次第でございます。  また具体的には、例えば南アフリカの不法統治下にあるナミビアを国連監視下の選挙を通じて平和裏に独立させるという役割を有する国連ナミビア独立支援グループ、UNTAGがございますけれども、同グループが活動することとなった場合には、同グループへの選挙監視要員の派遣、関連資材の供与を行うことを積極的に検討することにいたしておる次第でございます。
  97. 和田一仁

    ○和田委員 これはぜひ前向きに検討を進めていただいて、金は出すが人は出さないというような非難は受けないようにしていただきたいと思います。この問題も、救援部隊と同じようにやはり世界平和のために貢献していくんだという立場からいえば、ほかの国は例えば停戦監視団であるとか、こういうところに軍隊を出しておりますけれども、聞くところによれば全く丸腰で出ていく。本当に何の武器も持たずに兵員を派遣して、監視団の要員として使っている。こういうことであれば、私は、南極観測やら救援隊と同じように、日本もそれぐらいの対応は将来していかなければいけない、こういうふうに考えますが、大臣いかがでしょうか。
  98. 倉成正

    倉成国務大臣 日本はお金を出すけれども人は出さない、そういう国際的な批判がないように、現行の憲法、現行の法令のもとで可能な協力がどのような形でできるかということを踏まえながら、ただいま先生お話しのような線で努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  99. 和田一仁

    ○和田委員 時間がもう終わりになりましたので、最後にもう一つだけ大臣お答えいただきたいと思います。  現在の憲法に反しない範囲で可能な方途がある、こう私は思っております。それは、私どもは絶対に海外派兵はしない、しかし派遣は可能であるという解釈の中で、ぜひひとつこの問題、今大臣の御答弁、大変前向きな御答弁をいただきましたが、私どもも憲法の範囲の中でやれるということで、この問題に前向きに対処していただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
  100. 倉成正

    倉成国務大臣 憲法その他関係法令の遵守はもちろんのことでございますけれども、同時に、国権の最高機関である国会の御論議、そういうもの、また国民の世論の動向、こういうものを十分配慮に入れながらやらしていただきたいと思っておる次第でございます。
  101. 和田一仁

    ○和田委員 時間が来ましたので、また続きは別の機会に譲りまして、大臣よろしくお願いいたします。終わります。
  102. 稲葉誠一

  103. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、嘉手納RAPCONの返還問題について、それに絞って大臣にお伺いします。  政府は、昭和四十九年四月五日、衆議院内閣委員会で私の質問に対して、技術的に可能な状態になれば、三つの空港の進入管制は「当然、日本側が行なうべき性質のものであって、米軍が行なわなければならないという理由は、何らない」というふうな説明をしております。三つの空港というのは、もちろん大臣承知のように嘉手納、普天間、那覇です。これは、復帰の時点で暫定的にアメリカが管理するというのは、大臣既に御承知だと思います。  ところが、今年八月二十一日の衆議院外務委員会で我が党の松本議員の質問に対し、外務省は「嘉手納飛行場が米軍にとって非常に重要な施設、区域であるという状況でございますので、この進入管制業務を含みますこの一帯の広域的な進入管制業務の移管というのは相当困難な問題ではないかというふうに考えております。」というふうな答弁をなさっておりますね。端的に申し上げまして、大臣、「相当困難な」というのはどういう意味であるのか。この問題について、大臣なら大臣が、外務大臣としてアメリカに当たるとか、あるいは合同委員会事務レベル協議とかというふうなことで、いつ感触を得たかどうかわからぬが、相当困難な問題ではないかと思うという問題について、どういうことであるか、具体的に説明をお願いしたい。
  104. 倉成正

    倉成国務大臣 私から基本的なお答えをいたしまして、技術上の問題があれば政府委員から補足することにいたしたいと思います。  今先生お尋ねのRAPCON、レーダー・アプローチ・コントロール、レーダーを使用して行う進入管制業務に関してのお話でございますが、嘉手納飛行場において実施されているRAPCON、進入管制の業務は、那覇空港、嘉手納飛行場等、複数の飛行場にかかわる広域的なレーダーの進入管制業務であることはもう先生つとに御承知のとおりでございまして、嘉手納飛行場と那覇飛行場は非常に近い関係にあるわけでございますね、これは飛行機速度から考えますと。そこで、那覇空港と嘉手納飛行場が近接していることから、これらの区域における航空交通の安全を確保する上で、それぞれの進入管制を分離して行うということが技術的に困難である。したがって、この広域的な進入管制業務の移管は、嘉手納飛行場の進入管制業務移管を意味するところでございますが、嘉手納飛行場は米軍にとって極めて重要な施設、区域であることにかんがみますと、本件の移管は相当困難な問題であると考えられるところでございます。  本件の移管問題に関しましては、運輸当局を中心に事務レベル米側の意向を打診したところ、米側は慎重に検討すべき問題であると回答いたしてまいりましたが、右は本件返還が困難であるとの考え方を示したものであると思っておるわけでございます。  しかし、以上のような事情が今までの経過でございますけれども政府としては諸般の状況や要素を十分勘案して、米側との接触を含めて今後とも適切に対処してまいりたいというのが政府の基本的な姿勢でござへます。
  105. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大臣、相当困難な問題だというのはどういう意味か、まだはっきりわからないのですよ。私きょうおくれましたのは、きのう那覇の空港長に会いました。管制部長にも会っております。さらに運輸大臣自身が、もう技術的にはいつでも返還しても大丈夫、できると。ただ問題は、すぐできるかというと、要員それからいろいろな技術関係、施設、これを入れれば、三つあれば十分できる。これは橋本運輸大臣がこの前答弁しているんですよ。問題は合同委員会あたりで、これは外務大臣のことなんですが、運輸大臣にお会いになったかどうかわからぬですが、向こうは自信を持っているんですよ。相当困難だということを全然言っていないんだな。外務省が、相当困難だ。なぜ相当困難かということがわからないのですよ。なぜ困難か。
  106. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 お答え申し上げます。  事実関係を整理して申し上げた方がよろしいかと思いますけれども、先ほど大臣がおっしゃいましたように、昭和四十七年の五月十五日の日米合同委員会の合意におきまして、二つのことを言っておるわけでございます。一つは那覇空港の航空管制業務は日本側が持つということ、それからもう一つは米軍施設、区域の航空管制業務は米軍が行うということでございますが、嘉手納空港、那覇空港が近接しておりますので、その地域の進入管制につきましてはこの二つの原則がダブってしまう。それで、その五月十五日の合同委員会の合意におきましては「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで暫定的に米国政府が那覇空港の進入管制業務を実施する」、こういう合意になっておるわけでございまして、この点につきまして運輸大臣は、この昭和四十七年当時はいずれにしても日本側にレーダー進入管制業務を行う能力がなかった、しかし今はある、こういう御答弁をなさっておるわけでございまして、それはそのとおりでございます。  それでは次に、その能力があれば直ちに日本側が那覇空港のレーダー進入管制業務を行うことになるかと申しますと、ただいま引用いたしました合同委員会の合意におきまして「日本国政府がこれら飛行場のレーダー進入管制業務を行なうまで」ということになっておりまして、もちろん能力は一つでございますが、同時にこの二つの原則を調整するということが必要でございます。  先ほど大臣がお述べになりましたように、昭和五十八年に日本側から実務レベル米側にこの問題を提起したわけでございます。米側はこれに対して慎重な態度を示しておりますが、その後の日常の接触等におきましてこれは相当困難なことである、すなわち、米側にとりましてはこの嘉手納飛行場が大変に重要な飛行場であるということで、嘉手納飛行場と那覇空港の進入管制業務が技術上分離できるならいいけれどもそれが分離できない現在、日本側に進入管制業務を行う能力があっても嘉手納飛行場に対する進入管制業務を日本側が行ってしまうということは困るという立場だろうと思いますが、いずれにいたしましても相当困難であるという見通してございます。  なお、この点につきまして相当困難であるということは、本年五月の上原議員の質問主意書に対しまして政府が正式に閣議の議を経まして御答弁申し上げていることでございまして、そのときに使っておる文句が全く同一の「相当困難」ということでございまして、これは運輸大臣を含めまして閣議の議を経た政府の正式な見解でございます。
  107. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これでも相当困難だということがわからないのですよ。そうでしょう。相当困難ということが具体的にわからぬでしょう。例えば管制業務が日本に移りますね。そうなると一括するわけですよ。きのうもちょっと聞いたのですが、嘉手納あたりが国頭村のずっと北の方にある場合にはそうはいかぬが、嘉手納、普天間、那覇は近いのだから広域的に一括してやるということは技術的にも何ら支障はない。むしろ胸を張って言っているのですよ。ところが、相当困難だということはいつ、だれが、どういうふうに言ったのか、具体的にはどうか。  例えばこうですか。ここに移りますと、嘉手納にKC135なんかおりできますね、SR71、御存じでしょう、スパイ機だ、これも入ってくる、暴風雨があるかどうかは別として、時々暴風雨の名目でB52がやってくるのですよ、これは全部こっちでわかるわけです。ははあ、やってきた。SR71が飛んだ、おりた。わかるわけですね。これがあるから相当困難だということを言っておられるのか。具体的に大臣、言ってください。これは係でなくて大臣、言ってください、もう時間がないようですから。私の言ったのを含めて、嘉手納基地はそういったような基地なんですよ、戦略基地ですから、嘉手納は横田と違って。それは知っております。知っておりますから私は聞くのです。相当困難とは何か、大臣に答えてもらいたい。もう時間がないでしょう。委員長は十分ぐらい延長してくれればいいのですが。
  108. 藤井宏昭

    藤井(宏)政府委員 簡単にお答え申し上げます。  申しわけございませんけれども、ただいまの瀬長先生質問私十分理解したかどうかあれなんでございますけれども、相当困難と申しておりますのは、日本とアメリカの調整が困難である、アメリカは返還するということは極めて困難であるということを言っておる、そういう態度であるという趣旨でございます。  技術的な問題を御提起なさっておりますけれども、技術的には御存じのとおり、進入管制というのが先にございまして、それは通常の飛行から進入の態勢に移る、そこから飛行場管制ということでございます。進入管制の時点で嘉手納飛行場と那覇空港の間は約二十キロくらいでございますが、それを技術的にどっちかへ統一しないと進入管制ができないというのが現在の技術のレベルであって、したがいまして進入管制については、その二つの飛行場は近接しておりますから、日本側がやるのかあるいは米軍がやるのかどっちかしかないというのが現実であるということでございます。
  109. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは寺井運輸省航空局長なんですが、私は聞いたのですよ。暫定的とは何か、永久にか、そうではないとはっきり言っているのですよ。「永久に続くという意味の暫定ということではございませんで、あくまでこれは、経過的な措置として存在をしておるというふうに御理解をいただきたいと思います。」そういう答弁なのです。もう何年になりますか、十五年になるのですよ。相当困難、いわゆる困難に相当がついている。  相当困難というのはまだ折衝の余地がある、外務大臣が折衝をすればその困難は解決するのではないかというふうに理解していいのかどうか。困難であるというふうに言い切らないで相当困難だというのは、大臣が合同委員会その他で、十五年も暫定というわけにはいかぬから、詰めれば可能であると理解していいのか。運輸大臣その他の関係者は胸を張ってああ大丈夫、できるとはっきり言っているのだから、これは合同委員会の取り決めなんだから大臣がもう少し積極的に、暫定というのは永久じゃないということも言っておるのだから、アメリカと接触して何か可能性があるというふうに理解していいのですか、大臣どうなんですか。
  110. 倉成正

    倉成国務大臣 困難という言葉の上に相当というのがついているということは、やはり容易でないということを意味すると思うわけでございますが、今先生おっしゃることも理解できますので、日米合同委員会で十分これらの問題は、やはりこれは協議ですから、相互に納得がいかなければうまくいかないことでございますから、政府委員お答えしましたとおり、相当困難であることは間違いないと思いますが、さらに委員会等でよく検討をさせます。
  111. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので締めますが、もう時間ですから終了してくださいという委員長からのあれだから守りますが、私は希望したいのです。  議事録を見ればわかるのですが、運輸大臣なんかも技術的には大丈夫だと言う。私がきょうおくれたのはそのためにきのう行ったのですよ。ちっとも困難じゃない。技術的にも大丈夫。問題は今アメリカ側にある。だから大臣おっしゃったように嘉手納飛行場はアメリカにとっては重要だということは私もわかっています。私にとっては余り重要ではないのです、あれは全部撤去した方がいいから。しかしすぐ撤去できないとすれば、そういった努力はされぬといかぬでしょう。だから、私、これは保留しますが、後でまた大臣に、外務委員会で差しかえで質問いたしますが、その間相当困難を取って、こうやればやはりできるんだなというぐらいの糸口だけは見つけるように努力してもらいたいな。大臣いいですか。努力されますか。
  112. 倉成正

    倉成国務大臣 先生の御意見、貴重な御意見として承らせていただきました。
  113. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  114. 稲葉誠一

    稲葉委員長 次回は、来る十七日木曜日、午前十一時理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十分散会