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山田(隆)
政府委員 国際
航空運賃の決め方と申しますのは、
基本的には原価に適正な利潤ということで決めるわけでございますけれ
ども、個々の
路線ごとの
運賃を見てみますと、ただいま先生おっしゃいましたように、必ずしも
国民の皆さんから見て納得しがたい面があることは確かではなかろうかと思います。
国際
運賃の場合非常にふくそうしておりまして、同じ目的地へ行く場合にいろいろな
路線が考えられる。今お話がありましたように、仮に
日本からヨーロッパへ行くとした場合に、南回りで行くルートもございますし、それから北回りで行くルート、それから最近はシベリア直行便というルートがございまして、確かに南回りで行く場合とシベリア直行で行く場合とは非常に距離も時間も短縮されております。ところが、
運賃は
日本からヨーロッパへ行く場合に同一の
運賃になっております。
もともと沿革的な経緯もございまして、当初、飛行機が長距離飛べないような
時代にはすべての方々が南回りを利用していた、南回り経由をもとにして
日本とヨーロッパの
運賃が決められたという経緯がございます。その後、アンカレジ経由ができ、さらにモスクワ経由あるいはシベリア上空直行というのができて、だんだん距離は短縮されたわけでございますけれ
ども、それではその間、
運賃の方はそれに応じて下げられたかというと、決して下げられておりませんで、ほぼ横ばいではなかったかと思います。もちろん、他方ではその間経費がかなり増大しておりますので、そういう経路の短縮もあっていわば値上げは免れていたということが言えるのではなかろうか、そういうことも考えられるわけでございます。
他方、今アンカレジ経由の場合には確かに着陸料等の余分のコストがかかるわけでございますけれ
ども、シベリア直行の場合も、これは無制限にシベリア直行ができるというわけではございませんで、ソ連との間の協定に基づいて
一定の権利を得てそれを行使して飛べるというような
状況になっております。しかもその権利の行使に当たってはそれなりの対価を払わざるを得ない。そういうことで、シベリア直行便の場合にアンカレジ経由に比べて燃料代とか着陸料そのまま安くなるということではない。それからソ連に支払う対価というものを差し引きますともちろんシベリア直行の方が経費的に安くなりますけれ
ども、その差はそんなに大きくはないということでございます。
そういったいろいろな事情がございますので、国際
運賃の場合、単純に短い、直行
路線をそれだけ安くするということは非常に難しいわけでございますけれ
ども、最近はまた直行
路線についてはそれに見合った
運賃を
設定するという
状況もございますので、私
ども、今後そういう問題も含めていろいろ検討はしていきたいと考えております。
次に、コモンレートの問題でございますけれ
ども、コモンレートもいろいろな過去からの経緯がございまして、ヨーロッパの場合ですと、
先ほども申し上げましたように、東京から南回りを経由してヨーロッパに行くという関係で、その経路の途中にあった
日本国内の地点からヨーロッパに行く場合には同一
運賃で行けるということになったわけですけれ
ども、それよりも遠い、昔で言えば札幌から東京を経由して南回りでヨーロッパに行ったわけで、その場合に札幌と東京の
運賃というのは余分にいただいたわけです。ただし、その後アンカレジ経由になると逆になったわけでございますけれ
ども、IATAの調整の場でそういう調整がなかなかつかないというようなこともございまして、確かにおっしゃるような問題点ということでは私
ども認識を持っております。この点も
運賃問題懇談会でいろいろ御審議いただきまして、その御審議を踏まえて今後検討を進めたい、かように考えております。