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1987-01-26 第108回国会 参議院 本会議 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十二年一月二十六日(月曜日) 開 会 式 午前十時五十八分
参議院議長
、
衆議院参議院
の副
議長
、
常任委員長
、
特別委員長
、
参議院
の
調査会長
、
衆議院参議院
の
議員
、
内閣総理大臣
その他の
国務大臣
、
最高裁判所長官
及び
会計検査院長
は、
式場
に入り、所定の位置に着いた。 午前十一時
天皇陛下
は、
衆議院議長
の前行で
式場
に入られ、お席に着かれた。 〔
一同敬礼
〕 午前十一時一分
衆議院議長原健三郎
君は、
式場
の中央に進み、次の
式辞
を述べた。 式 辞
天皇陛下
の御臨席をいただき、第百八回
国会
の
開会式
を行うにあたり、
衆議院
及び
参議院
を代表して、
式辞
を申し述べます。
現下
、
わが国
をめぐる
内外
の諸
情勢
は、まことにきびしいものがあります。 このときにあたり、われわれは、
わが国
の現状と将来を広く展望し、外に対しては、諸
外国
との
相互理解
と
協力
をいつそう深め、
世界
の平和と
繁栄
に寄与するとともに、内にあつては、
政治
、
経済
の
各般
にわたり、時局に即応する適切な
施策
を強力に
推進
して、
国民生活
の
安定向上
をはかり、もつて国運の伸長に一段の
努力
をいたさねばなりません。 ここに、
開会式
にあたり、われわれに負荷された重大な
使命
にかんがみ、
日本国憲法
の
精神
を体し、おのおの最善をつくしてその任務を遂行し、もつて
国民
の委託にこたえようとするものであります。 次いで、
天皇陛下
から次のお
ことば
を賜った。 お
ことば
本日、第百八回
国会
の
開会式
に臨み、全
国民
を代表する諸君と親しく一堂に会することは、私の深く
喜び
とするところであります。
現下
の
内外
の諸
情勢
に対処し、
国民生活
の
安定向上
と
世界
平和の
実現
に努めることは、極めて重要であると思います。 ここに、
国会
が、国権の
最高機関
として、その
使命
を遺憾なく果たし、
国民
の信託にこたえることを切に望みます。 〔
一同敬礼
〕
衆議院議長
は、お
ことば書
をお受けした。 午前十一時六分
天皇陛下
は、
参議院議長
の前行で
式場
を出られた。 次いで、
一同
は
式場
を出た。 午前十一時七分式を終わる
—————
・
—————
昭和
六十二年一月二十六日(月曜日) 午後三時一分
開議
━━━━━━━━━━━━━
○
議事日程
第二号
昭和
六十二年一月二十六日 午後三時
開議
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
━━━━━━━━━━━━━
○本日の
会議
に付した案件
議事日程
のとおり
—————
・
—————
藤田正明
1
○
議長
(
藤田正明
君) これより
会議
を開きます。
日程
第一
国務大臣
の
演説
に関する件
内閣総理大臣
から
施政方針
に関し、
外務大臣
から
外交
に関し、
大蔵大臣
から
財政
に関し、
近藤国務大臣
から
経済
に関し、それぞれ
発言
を求められております。これより順次
発言
を許します。
中曽根内閣総理大臣
。 〔
国務大臣中曽根康弘
君登壇、拍手〕
中曽根康弘
2
○
国務大臣
(
中曽根康弘
君) 第百八回
通常国会
の再開に当たり、
内外
の
情勢
を展望して施政の
方針
を明らかにし、
国民
の
皆様
の御理解と御
協力
を得たいと思います。 まず、昨年十一月末の三原山の噴火により、一時離島を余儀なくされた
伊豆大島
の方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。幸い、
噴火活動
も小康を得、島民の
皆様
は
お正月
を大島で迎えることができました。私たちにとって、我が家で家族と団らんすることぐらい大きな喜びはありません。いわんや
お正月
においてをやであります。 今後とも
大島島民
の
皆様
の幸せの日々を全
国民
とともにお祈りし、そのために
全力
を尽くす決意であります。 本年は、
日本国憲法
が施行されてから四十年目に当たっており、
憲法
の
基本理念
である
民主主義
は、今や、
国民
の最
もと
うとい共有の財産となっております。私は、
民主主義
のすぐれた点は、
人道主義
の理想の
もと
に、独善を排し、衆議を求め、常にみずからを反省し
改革
を行って時代の要請にこたえていく
柔軟性
と力強い
対応力
にあると考えます。 このような考えに基づき、私は、
内閣総理大臣就任
以来、
政治
の
見直し
と新しい
政治
の
建設
のために「戦後
政治
の総決算」を唱え、また、
世界
の潮流に沿った「
国際国家日本
」の
建設
を訴えてまいりました。 幸い、
国民
の
皆様
の御
協力
により、
行財政改革
、国鉄、
社会保障
、
教育等
の
分野
における諸
改革
や、
国際協調型経済構造
への
転換
、
国際国家
への
前進等
は速度は遅くとも一歩一歩
実現
を見てきていると存じます。 しかしながら、
昭和
六十二年の年頭に当たって痛感いたしますことは、
我が国
の
立憲政治
、すなわち
民主政治
、
政党政治確立
のこれまでの歩みの中で、戦後の約四十年間が、
行政
の
簡素化
や
民主化
、
地方自治
の
充実
、立法府と
行政府相互
間の適正な牽制と
協力
、政党の
民意吸収
と機能の
充実
などの
民主政治
の大本、
議会政治
の大道に実態的にいかほどの進歩をもたらしたかという反省であります。 特に近年、
我が国民主政治充実
への
努力
という面において、戦争直後の燃えるような情熱が減衰し、
形式主義
やマンネリズム、漫然たる前例の踏襲が繰り返され、日に日に新たに熱情を込めて
民主政治
の
改革
と
議会政治
の新たな前進に挑戦する意欲が欠けてはいないかという憂慮を持つものであります。 ローマは一日にして成らずといいますが、
我が国
の
民主政治
の
発展
のため、さらに忍耐と寛容、識見と勇気を旨として、その大本と大道を
国民
の
皆様
とともに切り開く
努力
を続けることを決意するものであります。 今
国会
においては、
税制
の
抜本的改革案等
諸法案について御
審議
を願うことになっておりますが、
日本国憲法施行
四十年の記念すべき年に当たり、戦後
民主政治全般
について
検討
と
建設的討議
を行い、
行政
の責任を負うべき
政府
の
分野
についても貴重な御示唆を賜れば幸いとするものであります。 これと密接に関連する
衆議院
の
議員定数
の
抜本的是正
の問題については、
国会決議
によって示された
方針
に基づく各党間の御論議を踏まえながら、
政府
としても
最大限
の
努力
をしてまいります。 さらに、
政治倫理
の
向上
につきましては、
国民
からいやしくも疑念を持たれることのないよう、清潔な
政治
と規律ある
行政
の確立に引き続き
努力
してまいります。 以上の
考え方
を踏まえ、国政の各
分野
について私の
基本的考え方
を申し述べます。 今日の
国際情勢
は、
東西関係
、特に米ソを
中心
とする
軍備管理
・
軍縮交渉
の
見通し等
に必ずしも楽観を許さないものがあること、
地域
的な紛争や
対立状態
が依然として存在していることなど、基本的には厳しいものがあります。他方、このような
状況
の
もと
で、
我が国
の
国際社会
における地位の
向上
と
影響力
の増大に伴い、
我が国
が果たすべき責任も著しく高まっており、また、
我が国
に対する期待も急速に強まっております。 このような
観点
に立って、私は、
内閣総理大臣
に就任以来、
世界各国
の首脳と
世界
の平和と
繁栄
を
確保
するため積極的に
話し合い
を進め、
東西関係
の打開や南北問題の解決などに微力を尽くしてまいりました。 先般も、
東西関係
の接点にあるフィンランド、
ドイツ民主共和国
、ユーゴスラビア及びポーランドを訪問し、これら
諸国
との
相互理解
及び
友好関係
の増進を図るとともに、緊張の緩和と東西の
政治対話
の進展に向け、お互いに
努力
することにつき
各国首脳
と意見の一致を見てまいりました。
もと
より、
我が国外交
の基本は、
世界
の平和と
繁栄
のため、
国連憲章
を守り、
価値観
を共有する
自由世界
の連帯と団結を進め、また、
アジア
・太平洋の一員として
地域
の
発展
に貢献し、
自由貿易主義
を
推進
しつつ、
開発途上国
の
経済
と福祉の増進に積極的に
協力
することにあります。
開発途上国
に対しては、
政府
は、引き続き第三次
中期目標
の
もと
で、
政府開発援助
の着実な拡充と公正で効果的な
推進
を図るとともに、
貿易
、
投資等
を通ずる
協力
を
促進
し、
累積債務国
の
努力
に対応して、これらの国への資金の還流を進めてまいります。また、特に、
国際機関
を通じた
資金協力
にも
最大限
の
努力
を払っているところであります。 一方、厳しい
国際情勢
の中で
我が国
の平和と安全を
確保
するため、
日米安全保障体制
を堅持するとともに、自衛のため必要な限度において、節度ある質の高い
防衛力
の
整備
を図っていかなければなりません。このため、
政府
としては、そのときどきの
経済財政事情等
を勘案し、他の諸
施策
との調和を図りつつ
中期防衛力整備計画
の着実な実施に努めているところであります。
もと
より、
平和憲法
の
もと
、他国に脅威を与えるような
軍事大国
とはならず、
文民統制
を堅持しつつ、専守防衛と非核三原則とを遵守するとの
方針
にいささかの揺るぎもありません。
防衛費
については、
昭和
五十一年の
閣議決定
「当面の
防衛力整備
について」にかえて、新たな
閣議決定
を行い、
中期防衛力整備計画
の期間中は、その
所要経費
を固定し、その枠内で各年度の
防衛費
を定め、その後におけるあり方については、改めて
国際情勢
及び
経済財政事情等
を勘案し、前述の
方針
の
もと
で定めることとし、同時に
昭和
五十一年の
閣議決定
の節度ある
防衛力
の
整備
を行うという精神は、これを引き続き尊重することといたしました。
政府
は、この
閣議決定
に基づき、
防衛費
の取り扱いに関しては、従来どおり慎重を期する
所存
であります。
米国
との
関係
は
我が国外交
の基軸であり、
両国関係
の一層の
発展
は
世界
の平和と安定の重要な礎石となるものであります。
政府
は、日米間の諸懸案の解決に
最大限
の
努力
を傾注し、
友好信頼関係
の一層の
発展
に
努力
してまいります。
自由民主主義諸国
の結束が求められている今日、
米国
と並ぶ重要な柱である
西欧諸国
とは、
経済関係
のみならず、
政治
、
文化
等広範な
分野
における
協力関係
を一層
強化
していきたいと考えます。 ソ連との間では、北方領土問題を解決して
平和条約
を締結することにより、真の
相互理解
に基づく安定的な
関係
を確立することが、従来からの一貫した
基本方針
であり、
政府
は、引き続き、この
方針
にのっとり、
日ソ関係
を打開し、
善隣友好関係
を確立するために
努力
する
所存
であります。
アジア諸国
との
関係
につきましては、今後とも過去の歴史に謙虚に学び、一層の
友好協力関係
の
強化
に努め、その安定と
発展
のために積極的に
協力
してまいります。 韓国とは、現在の良好かつ安定した
関係
をさらに
発展
させるとともに、朝鮮半島における緊張が緩和するよう、
南北対話
を支持し、さらには、来年のオリンピックの成功などに向けできる限り
協力
を行ってまいります。 中国との間で、良好かつ安定した
関係
を維持
発展
させることは、
我が国外交
の主要な柱の一つであり、
政府
は、引き続き、
日中共同声明
、
日中平和友好条約
及び「
平和友好
、
平等互恵
、
相互信頼
、長期安定」の四原則を踏まえ、
友好関係
の一層の
強化
を図ります。
ASEAN諸国
に対しては、その有する豊かな
可能性
をそれぞれの国の
発展
に結びつけていくことができるよう可能な限り
協力
していきます。 近年
重要性
が増してきている大洋州
諸国
及びカナダとの
友好関係
もさらに
発展
させてまいります。 また、
国際連合
を通ずる
国際協力
を一層
推進
していくとともに、本年から二年間、
国連安全保障理事会
の非
常任理事国
として、
世界
の平和と安全の維持のため重要な責務を果たしてまいります。 私は、
行財政改革
を初めとする諸
改革
の遂行を、国政上の最
重要課題
の一つとして位置づけ、
全力
を挙げてこれに取り組み、着実にその
実現
を図ってまいりました。 戦後四十年を経て、
税制
を取り巻く
我が国
の
経済社会情勢
は、大きく変化してきております。このような変化に伴い、三十七年前に
シャウプ勧告
に基づきつくられた直接税を
中心
とする
我が国
の
現行税制
には、ゆがみ、ひずみ、税に対する重圧感等さまざまな問題が生じており、
国民
の
皆様
の不満や
改善
に対する強い要望は、もはや放置することを許されない
状況
にあると痛感しております。 このため、
政府
は、
重税感
が指摘されていた
中堅サラリーマン
の負担の軽減を
中心
とする
個人所得課税
及び
法人課税
の
軽減合理化
と
見直し
、
間接税制度
の
改革
及び
非課税貯蓄制度
の再
検討
を大きな柱とする抜本的な
税制改正案
を今
国会
に提出することとしております。 今回の
税制改革
は、
国際的潮流
とも調和したものであり、この
改革
によって、
我が国
の
経済活動
や
国民生活
が従来の制約を破り、新たな活力を獲得し、二十一
世紀
に向け、広大な新天地において自由に
発展
の道を歩むことを念願するものであります。
政府
は、
全力
を挙げて
関連法案
の速やかな成立を期するものであります。 また、
我が国
の
経済
の
発展
と
国民生活
の
安定向上
を図っていくためには、引き続き
財政
を
改革
し、その
対応力
を回復しなければなりません。 このため、
昭和
六十二年度
予算
においても、経費の徹底した
節減合理化
に努めたほか、可能な限り
税外収入
の
確保
を図ったところであります。
公債依存度
は、実績において
昭和
五十七年度の二九・七%から、
昭和
六十年度には二三・二%に低下し、また、
昭和
六十二年度
予算
においては、
特例公債発行下
初めて二〇%を下回ることができ、
財政改革
は一歩一歩その歩を進めてきております。 また、
地方財政
については、所要の措置を講じ、その円滑な運営を期することとしております。
教育改革
は、二十一
世紀
に向けて
我が国
が創造的で活力ある
社会
を築いていくために、ぜひとも
推進
していかなければならない重要な課題であります。
政府
は、
臨時教育審議会
の二度にわたる答申を受けて、
大学入試
の
改革
、
教育内容
の
改善
、教員の
資質向上
、
高等教育
の
個性化
、
多様化
、
国際化
、
学術研究
の振興などに向けて、鋭意
努力
しているところであります。 また、昨年、
東京サミット
で私が提唱した
ハイレベル教育専門家会議
が、今月十九日から京都で開催され、
各国
が当面する
教育
の諸問題とその
改革
、
教育分野
における
国際協力等
について熱心な討議が行われ、その結果は、ベネチア・
サミット
に報告されることになりました。 いじめの問題については、まず学校において適切に対応していくことが何より重要であり、家庭、
地域社会
がこれと一体となって取り組むよう
施策
を
推進
しているところであります。また、
青少年
の健全な育成のため、
野外活動
や
ボランティア活動等社会参加活動
も
促進
してまいります。
行政改革
における最大の懸案であった
国鉄改革
は、
さき
の
国会
で
関連法案
が成立し、これによって
国鉄事業
を二十一
世紀
に向けて未来ある
鉄道事業
として再生させるための軌道をしくことができました。
政府
としては、現在、本年四月一日からの新
経営形態
への移行を円滑に実施するため、諸準備を進めてきているところであり、また、
国鉄職員
の
雇用対策
を、
国鉄改革実施
に当たっての最
重要課題
の一つと認識し、
全力
で対応しているところであります。
行政組織
の
簡素化
、
国家公務員
の
定員縮減
、
特殊法人等
の
整理合理化
、
地方行革
の
推進
などについては、昨年末に、
昭和
六十二年度に実施する予定の
行政改革方針
を取りまとめたところであり、この
方針
の着実な
具体化
を
推進
いたします。 また、
政府
は、
さき
の
国会
において設置が決定された新たな
臨時行政改革推進審議会
が
十分成果
を上げ得るよう、その発足に向けて諸般の準備を進めてまいります。 さらに、
地方公共団体
の
自主性
、
自律性
の
強化
を図るとともに、
地方行革大綱
に沿って、
地方公共団体
の
行政改革
が自主的、総合的に
推進
されるよう、その積極的な
促進
を図ってまいります。
世界経済
は、緩やかながらも息の長い
景気拡大
を続けておりますが、
米国
の
財政赤字
、
主要国
における対外不均衡、これらを背景とする保護主義的な動き、さらには、
開発途上国
における累積債務問題など多くの問題を抱えております。一方、
我が国経済
は、全体として景気に底がたさはあるものの、産業により格差が生じており、
雇用
問題を重視しなければならない
状況
に立ち至りつつあります。 他方、我々は、
臨時行政調査会
の答申を
最大限
に尊重して、むだのない
効率的政府
を目指す厳しい
財政改革
の
途上
にあります。
昭和
六十二年度末の
国債残高
が百五十二兆円に達しようとしている
状況
において、最も心しなければならないことは、
子孫たち
に過大な負担を残さないように現在の我々が汗を流すことであります。しかしながら、このような中にあっても、
我が国
としては、円高の進展に対し、各般の
施策
の連携の
もと
、引き続き適切に対応していくとともに、
雇用
の安定や
地域経済
の
活性化
を図り、調和ある
対外関係
の
実現
、さらには、
世界経済活性化
へ
積極的貢献
を行っていくため、内需を拡大し景気を活気づけるべく、
予算
の
肥大化
を避けつつ
最大限
の
努力
を傾注しなければなりません。 このため、
昭和
六十二年度
予算
においては、
財政投融資等
の活用により、
一般公共事業
につき昨年よりさらに
事業規模
の拡大に努めたところであり、また、
都市開発
、
リゾートゾーン
の
整備等
の
施策
を
強化
するなど引き続き
民間活力
が
最大限
に発揮されるよう
環境
の
整備
を行います。 また、
為替レート
については、今後とも、
経済
の
基礎的条件
を適正に反映した
為替相場
の安定を
実現
するため
各国
と幅広い
話し合い
を続けるなど
努力
いたします。
円高差益
の還元については、電力、ガスに関し、総額約二兆円の家庭及び企業に対する
還元措置
が一月から新たに実施されました。また、今後とも、
輸入品等
について、
円高差益
の還元の
促進
と監視に努めてまいります。 特に、最近の厳しい
雇用情勢
に対応するため、格別の
対策
を講ずることとし、昨年十二月には、
政府
・
与党雇用対策推進本部
を設置し、
雇用機会
の増大と
雇用
の安定に
政府
・
与党一体
となって取り組んでいるところであり、
産業構造
の
転換等
に対応した
緊急対策
として、約一千億円の
予算
により三十万人
雇用開発プログラム
を実施いたします。 また、
地域雇用対策
の
充実
、
不況地域
の
経済
の
活性化等
による
雇用機会
の創出、
産業構造
の
転換
の
円滑化等
を図るための
特別立法
の
準備等
を進めるとともに、円高等の厳しい
環境
に直面している
中小企業
については、
下請企業
の
構造調整
への支援を初めとする
構造転換対策等
を強力に実施いたします。 さらに、
国際社会
へ積極的に貢献するとの
観点
からも
創造的技術開発
を総合的に
推進
するとともに、
高度情報化社会
に向けて
基盤整備
を進めます。
政府
は、昨年五月に策定した
経済構造調整推進要綱
に基づき、
市場アクセス
の
改善
と
製品輸入
の
促進等
を図るとともに、
国際
的に調和のとれた
産業構造
への
転換
のための諸
施策
を着実に
推進
いたします。 特に、
農業政策
については、
内外価格差
の是正、
生産性
の一層の
向上等
に
国民各層
から強い関心が寄せられているところであり、
政府
としては、二十一
世紀
へ向けての農政の
基本方向
に関する先般の
農政審議会
の報告を尊重し、
農業者
、
農業団体
と
協力
し、国内の
供給力
の
確保
を図りつつ、
構造改善
を進め、
国民
が納得し得る価格で農産物が供給されるよう逐次政策の適切な運営、
改革
に努めてまいります。 また、長期的な
雇用機会
の
確保
と
国際社会
における
先進国
の労働時間との
水準調整
のため、
法定労働
時間の
改正等
を進めます。 さらに、ガットのウルグアイ・ラウンドの
提唱国
として、
自由貿易体制
の維持、
強化
を図ります。
我が国
の戦後の目覚ましい
発展
は、今や、
長寿社会
の
実現
という大きな
成果
として実を結んでまいりました。
国民
すべてが長い一生を安心して
生きがい
を持って暮らすことができるよう、豊かで、活力ある
経済社会システム
への
転換
を進め、急速に迫り来る本格的な
長寿社会
に的確に軟着陸していかなければなりません。
政府
は、この
観点
から、昨年六月策定した
長寿社会対策大綱
に基づき、総合的な政策の実施を進め、
国民
の
皆様
の
協力
を得て、
世界
の模範となる質の高い
長寿社会
の
実現
を期してまいります。 人生の幸せの
もと
は健康と
生きがい
にあります。すべての
国民
が、生涯を通じて健康な
生活
を送ることができるよう、きめの細やかな
保健医療対策
を
推進
いたします。特に死因の第一位であるがんの制圧について「対がん十カ年
総合戦略
」に沿って、
政府
は懸命の
努力
を払い、その
成果
も上がってきておりますが、引き続き、その
推進
に取り組んでまいります。
エイズ対策
、難病の克服に努め、また、
覚せい剤等
の
乱用防止
にも
努力
してまいります。
生きがい
を
確保
する重要な基礎である
社会保障
については、長期的に公平で安定した
制度
を目指し、医療・
年金制度等
の諸
制度
について累次の
改革
を行い、また
さき
の
国会
で
老人保健制度
の
改革
を見たところであります。今後とも、
医療保険
、年金について、一元化の
検討
を進めるなど
長寿社会
にふさわしい
制度
の確立に努めてまいります。 また、
高齢者
の
社会参加
の
促進
、
痴呆性老人対策
、
寝たきり老人対策
の
充実
を図るとともに、本年は、「
国連障害者
の十年」
中間年
に当たっており、
障害者対策
の一層の
強化
に努めてまいります。 婦人の
地位向上
のため、
さき
に制定した法律に基づき
雇用
の
分野
における男女の
機会均等
の
確保
を図るほか、
社会
の各
分野
にわたるきめの細かい
施策
をさらに積極的に
推進
してまいります。 本年は、「
国際居住年
」に当たっており、この
分野
での
国際協力
を進めるとともに、
住宅建設
の
促進
、良質な宅地の
計画的供給等
、
我が国
の住宅問題の
改善
にも積極的に取り組んでまいります。
東京等
一部
地域
における
地価高騰
の問題に対しては、
投機的土地取引
の抑制、土地の
需給バランス
の
改善
のための
施策
を講ずるほか、昨年十二月に設置した
地価対策関係閣僚会議
を機動的に運営する等
地価対策
を総合的かつ強力に実施いたします。 さらに、
国民生活
の安全を
確保
するため、
災害対策
のほか、治安の
確保
、
交通安全対策
の
充実
にも努めてまいります。特に、広く
国民
に不安を与えるテロ・
ゲリラ事件等
については、
国民
の
皆様
の御
協力
を得てその防圧に努めてまいります。 豊かな
社会
を
建設
していくためには、
国民
一人一人が愛着を持って暮らすことのできる
国土づくり
、水と緑に恵まれた豊かな自然や歴史と
文化
の薫りあふれる
生活環境づくり
を進める必要があります。このため、
大都市圏
、
地方圏
を通じ、各
地域
がそれぞれの特性を生かし、
国土
の均衡ある
発展
を図るとの
観点
から、多
極分散
型の
国土
の形成を目指す第四次
全国総合開発計画
を策定し、二十一
世紀
に向けた
国土づくり
の指針を明らかにする
所存
であります。 さらに、
日本
の
伝統的芸術
の振興、新しい
芸術文化
の創造、スポーツの
奨励等
、
青少年
を初め広く
国民
が健康で心豊かな
生活
を享受することができるよう
施策
を
充実
させてまいります。 第二次
世界大戦
後、平和と自由な
経済体制
を背景に、
国際
間の
相互交流
は飛躍的に拡大し、また、
各国
の内部にもさまざまな変化が起きつつあります。 私は、二十一
世紀
に向けて、真の「
国際国家日本
」を
建設
して、
世界
の平和と
繁栄
に積極的に貢献していくために、我々が基本的に銘記しておかなければならない重要な二つのことがあると思います。 第一は、
世界
において多様な
生活信条
や異なる
文化
が存在することを認識し、それらを理解し受け入れる寛容さと、さらに積極的に
相互協力
を進める熱意がなければならないということであります。 その
基本的立場
に立って、我々
日本
人が新しい
世界文明
の創造に意欲的に参加し、貢献していかなければなりません。そのためには、まず、我々が、
我が国
の長い歴史の中ではぐくんできた
文化的特質
や
伝統
をもう一度掘り下げて分析し、
学問的批判
に十分耐え得る
科学的研究成果
を体系化し、積極的にそれを
世界
に向けて正しく説明していくことが必要であります。このような
観点
から、
国際日本文化研究センター
を設立することとしております。
世界
の人々が、現代の
日本
について特に注目している点は、その古い
文化的伝統
と
近代科学
の両立であります。例えば、
関西地方
を訪れる
外国人
は、奈良や京都にある法隆寺や
桂離宮
のような古い
文化的遺産
の近くに、
世界
の最先端をいくエレクトロニクスの研究所やファインセラミックの
製造工場
を発見し、目をみはるのであります。
我が国
においては、
近代科学
が
伝統
を押しつぶしてしまうことなく、
我が国固有
のきめの細かい繊細な感性が
IC製造技術
や
通信ソフトウエア開発技術
の有力な基礎となり、その特性を発揮しているのであります。また、
生産組織
や
社会
の運用についても、思いやりと合意を
中心
にする
日本
人の生き方は、そこに
近代科学
を取り入れて、均衡と調和力と
発展
性に満ちた平和な
社会
や生産効率の高い産業をつくり出しているのであります。 私がかねて主張しておりますように、科学技術は
文化
のすべてを覆い尽くすものでなく、
文化
の一部としてこれを人間が適正に位置づけることが重要であります。 我々は、このように固有の民族的特徴及び古い
文化的伝統
と
近代科学
を巧みに、そして相互に補完結合させ、それぞれの特色を発揮させ合う
日本
人の生き方の独自性を、誇るべき特色として子々孫々にわたって維持し、
発展
させるべきであります。 もちろん、独善偏狭な民族主義、国家主義は避けなければなりません。高度情報化時代になって地球はさらに狭くなり一つの
世界
が着実に
実現
しつつあるのであります。 今や、
世界
の
発展
なくして
日本
の
発展
はないこと、我々は
日本
人であると同時に「地球村」の住民であること、そして、我々の終局的目標は、
世界
の新しい文明の創造に参画することであることを常に肝に銘じなければならない時代なのであります。 第二は、「
国際国家日本
」として、
世界
の平和と軍縮、東西・南北間の融和と
協力
に
努力
しなければならないということであります。特に、核兵器の存在の
もと
に苦悩している現代
世界
において、人類共通の最高にして最重要の現実的課題の一つは、
世界
平和の
確保
と核兵器の終局的廃絶であります。
我が国
は、
貿易
によって初めて生存していける国家であり、また、
貿易
にとって必要不可欠の条件は平和であります。平和の
確保
は、人道的にも
経済
的にも
我が国
にとって決定的に重要なことであります。 私は、今や、戦争の最大抑止力は、長い目で見て、人権尊重と国の
内外
における自由な情報交流であると信じます。 もし、今日のように、衛星通信によってテレビの即時中継があったなら、第二次
世界大戦
は起きなかったでありましよう。 私は、先般、ヨーロッパ四カ国を歴訪してまいりましたが、人と人との心の間には、いわゆる「鉄のカーテン」を感ずることはほとんどありませんでした。国境を越えて交流しているテレビやラジオ放送は、人間の意識の中においてカーテンや壁を消滅させているのであります。 このような見地から、我々は、平和
確保
のために、人権尊重の保障と情報の自由交流を
国際
的に
強化
し拡充することを強く
推進
してまいりたいと存じます。 また、当面の
国際
問題打開のために最も重要なことは、
国際
間における対話と協調の継続であり、東西・南北問題もこの
考え方
により可及的速やかに解決を
促進
すべきであります。 米ソ両国の首脳は、レイキャビク会談のいわゆる潜在的合意を、今度こそ真に
成果
あるものとすべく早期に再び取り上げ、米ソ首脳会談を再開されんことを強く要望するものであり、
我が国
もこのために側面的に
協力
する決意であります。 また、南北問題解決のための
努力
の一環として、国連
貿易
開発
会議
、ガットのウルグアイ・ラウンド等においても
開発途上国
の主張に耳を傾け、相互協調によって問題解決に
努力
していく
所存
であります。 今、
我が国
は、コンピューター、マイクロエレクトロニクス等の新しい技術を基礎とするいまだ全貌のわからない
高度情報化社会
の入り口に立っております。
我が国
は、これまで欧米
諸国
の後を追う形で
発展
を遂げ、この面で
世界
の最先端に位置する国の一つにまでなりました。今や、みずから風を正面に受け、波濤を越えて、新しい地平線を開拓していかなければならないのであります。 また、
日本
の歴史上、いや
世界
の歴史でも初めての本格的
長寿社会
が目前に迫っており、我々は、旧来の人生五十年から人生八十年や
社会
の仕組みの設計変更を行いつつ、対応しているところであります。 我々は二十一
世紀
を目前にし、
国際社会
において
日本
が名誉ある地位を占めるために、そして、子供たちに、国の負債をできるだけ残さず、世代間の公平を
確保
し、長期的に、安定し
充実
した
生活
や
社会
の仕組みを確立して、引き渡していくために、今、苦難に満ちた
改革
を行っております。国鉄の大
改革
も、緊縮と節約の
財政
も、医療や年金
制度
の
改革
も、
税制
の大
改革
も、結局は、すべてこのための
改革
なのであります。 かつて駐日大使として在任した著名な
米国
の
日本
学者エドウィン・ライシャワー博士は、昨年の八月、その著「ライシャワーの
日本
史」の序文で次のように述べております。「
日本
人はいまや自らの将来の方向を決めるべき重大な局面にある。あと数十年間にわたる彼ら自身の運命を決するような大決断に直面している。賢明な決断を下すにあたっては、過去のすぎゆきと現在の
可能性
とをできるだけ明確に把握することが欠かせない。」と言っております。 二十一
世紀
まで残す時間はわずかでありますが、なお克服すべき問題は山積しております。それは、あたかも乗り越えていくべき連山を望むがごときであります。 しかし、この議場でかつて私は申し述べたことがございますが、このような重大な困難と危機のときにこそ、
日本
人は常に大局を失わず、団結を強固にして苦難を乗り切ってきたのであります。 過般の第二次大戦及び戦後の
日本
が経験した苦悩を全く知らず、パソコンを巧みに使いこなし、素直に、純真に、すくすく育っている子供たちや孫たちに
充実
したよりよき二十一
世紀
の
日本
を引き渡すために、我々は、休むことなく、手に手をとって、この山々を踏破し、前進しようではありませんか。 重ねて
国民
の
皆様
の一層の御理解と御
協力
をお願いする次第であります。(拍手) ———
—————
—————
藤田正明
3
○
議長
(
藤田正明
君) 倉成
外務大臣
。 〔
国務大臣
倉成正君登壇、拍手〕
倉成正
4
○
国務大臣
(倉成正君) 第百八回
国会
が再開されるに当たり、
我が国外交
の
基本方針
につき所信を申し述べます。 今日、
我が国
を取り巻く
国際情勢
は、引き続き楽観を許さない
状況
にあります。
国際
政治
面では、
東西関係
が依然として厳しい
状況
にある中、昨年十月、レイキャビクにおいて
米ソ
首脳
会合が開かれました。同会合では、
軍備管理
・軍縮を初めとする諸問題について、突っ込んだ
話し合い
が行われ、
進展
の兆しが見られましたが、結局、具体的合意を得るには至りませんでした。
他方
、インドシナ、中東、アフリカ、中米などの
地域
では、紛争や混乱が続いており、さらに、
国際
的テロ事件の頻発も、
国際情勢
の不安定要因になっております。
世界経済
については、昨年九月のガット・ウルグアイ・ラウンドの開始、インフレ率の大幅低下、金利の低下、
国際
的
政策
協調の
進展
など、明るい側面がある一方、経常収支不均衡や高い失業率を
背景
とした保護主義的圧力の
増大
、累積債務問題など、依然多くの問題が見られます。 このように厳しい
国際情勢
の
もと
において、
自由世界
第二の
経済
力を持つ
我が国
が果たすべき役割に対し、
世界
の関心はますます高まりつつあります。
我が国
が、
国際社会
の中で孤立することなく、引き続き
繁栄
していくためには、異なる
文化
に対して寛容かつ謙虚な姿勢を保つとともに、
世界
に開かれ、
世界
に貢献する
日本
を目指して、より積極的な役割を果たしていくことが肝要であると考えます。 そのため、
我が国
としては、単に自国の短期的利益のみを追求するのではなく、
各国
と互いに痛みを分かち合い、ともに長期的な
繁栄
を
確保
していくとの、より高次の視点を持つことが不可欠であります。私は、かかる
観点
から、
国際社会
の直面するさまざまな
課題
を
我が国
がみずからの問題としてとらえ、これに積極的に取り組んでいくことを提唱いたしたいと思います。 十四年後に迫った新しい
世紀
の始まりに向けて、
各国
とともに明るい未来を切り開いていくために、
我が国外交
に課せられた
使命
はまことに重大であります。私は、このような認識に立ち、
日本
外交
の
課題
に
一つ
一つ
誠実に対処していく
所存
であります。
我が国
が、平和と
繁栄
を
維持
していく上で、自由と
民主主義
という
基本
的
価値観
を共有する西側先進
諸国
との連帯と協調は不可欠であります。重要なことは、
我が国
を含む西側
諸国
が、緊密な協議と連絡を保ちつつ、おのおのの国力、国情にふさわしい役割と
責任
を分担することにより、全体として
最大限
の力を発揮していくことであります。
我が国
としては、
軍備管理
・軍縮の
促進
のため、みずからなし得る限りの
努力
を傾注するとともに、より安定した
東西関係
の樹立を目指す
米国
の
努力
を支援し、また、ソ連に対しては、
建設
的姿勢で臨むよう呼びかけていく
所存
でございます。
日米
安保体制を基盤とする
日米
友好協力関係
は、
我が国外交
の基軸であります。
我が国
としては、
防衛力
の
整備
と並んで、
日米
安保体制の一層円滑な運用のため引き続き
努力
していく考えであります。
日米
両国は、それぞれの
貿易
不均衡
是正
のためさまざまな
努力
を傾注しておりますが、
米国
においては、議会を
中心
として保護主義的機運が一層高まっております。先般のブラッセルにおけるシュルツ国務長官との会談でも、
日米
経済
をめぐる
状況
は依然として厳しいとの認識の
もと
に、今後とも両国
経済関係
の健全な
発展
を図り、
日米
関係
を円滑に保つべく、一層の
努力
を重ねていくことを確認し合いました。
日米
関係
は、今や
世界
的視野に立った
協力関係
にまで
発展
しており、
我が国
は、
米国
との
協力
の
維持
強化
を通じ、広く
世界
の平和と安定に寄与していく
所存
であります。 カナダとの間では、昨年の両国
首脳
の相互訪問を通じ樹立された新たな
協力関係
の一層の
増進
を図っていく考えであります。
西欧諸国
との間で緊密な連帯と協調を図っていくことは、
我が国外交
の主要な柱の
一つ
であります。西欧が、統合と域内
協力
により、
国際社会
において
政治
的、
経済
的に重要な
地位
を占めていく中で、幅広い日欧
関係
の
強化
が一層重要となっておりますが、
貿易
不均衡問題をめぐる西欧側の対日姿勢には極めて厳しいものがあります。私は、先月訪欧し、日・EC委閣僚
会議
に出席するとともに、ベルギー、イタリア、バチカン及びフランスを訪問し、またブラッセルにおいてハウ英国外相などと会談しましたが、今後ともこのような日欧間の対話を積み重ね、
経済
摩擦の
解決
を図るとともに、日欧
関係
の一層の
強化
のために
努力
をしていく
所存
です。
軍備管理
・軍縮を進めるには、力の均衡による抑止を
維持
しつつ、軍備のレベルを一歩一歩下げていく地道な
努力
が必要であります。
我が国
が、昨年十二月より開始した核実験検証能力
向上
のための地震波データ交換実験は、かかる
努力
の一環であります。
我が国
は、今後とも、現実的な軍縮
審議
の活発化に貢献してまいる
所存
であります。
我が国
は、
アジア
・太平洋国家として、域内
諸国
との
友好協力関係
の一層の
強化
を図りつつ、この
地域
の
発展
のために積極的役割を果たしてまいる
所存
であります。 そのため、
我が国
は、
歴史
とその教訓に学び、
アジア
・太平洋
諸国
の
自主性
を尊重するとの
基本的立場
に立ち、平和国家として同
地域
の安定に貢献すること、広範な
分野
における交流と対話を進め、
相互理解
と
相互信頼
を
確立
すること、及び、真に
各国
の必要とする
協力
を
推進
していくことを目指していく考えです。 韓国との
関係
は、一段と緊密の度を増しており、
政治
、
経済
、
文化
等のあらゆるレベルで両国のきずなを
強化
させていく必要性につき両国の認識は一致しております。朝鮮半島における
南北対話
は、昨年一月以来中断されたままとなっておりますが、同半島における
緊張
緩和の
実現
のために、南北両当事者間の対話が早期に再開されることを期待するとともに、一九八八年のオリンピックの成功のためできる限りの
協力
を行っていく考えであります。また、北朝鮮との間では、
経済
、
文化
等の
分野
における民間レベルの交流を今後とも積み重ねていく
方針
であります。 中国との
友好協力関係
の
維持
発展
は、両国にとってのみならず、
アジア
ひいては
世界
の平和と安定にとり緊要であります。最近の中国の
政治
情勢
については、
政府
としても、深い関心を持って見守っておりますが、今般来日した田紀雲副総理よりは、日中
関係
を含む中国の
対外
基本方針
に変更はないとの説明を受けた次第です。私は、今後とも、
日中共同声明
、
日中平和友好条約
及び日中
関係
を律する四
原則
に従って、
各般
の交流を
推進
するとともに、中国が種々の困難の中で進めている
経済
建設
に対し、引き続き
協力
してまいりたいと思います。 東南
アジア
の安定勢力である
ASEAN諸国
との間では、引き続き
友好協力関係
の着実な
進展
を図るとともに、現在、これら
諸国
の多くが
経済
的な試練に直面していることを踏まえ、同
諸国
に対しできる限りの
協力
を続ける
所存
であります。特に、フィリピンにつきましては、昨年十一月にアキノ大統領を国賓として迎えましたが、
我が国
としても、フィリピン
政府
が進めている新たな国づくりに支援を惜しまぬ
所存
であります。 東南
アジア
の平和と安定のためには、カンボジア問題の
政治
解決
が不可欠であり、
我が国
は、
ASEAN諸国
の和平への
努力
を支援し、ベトナム等
関係
諸国
との対話を重ね、平和への
環境
づくりに
努力
してまいります。
我が国
と南西
アジア
地域
諸国
との
関係
については緊密化が進み、ブータンとの
外交
関係
も樹立いたしました。この
地域
においては、南
アジア
地域
協力
連合の活動も活発化しております。
我が国
としては、今後とも、この
地域
の安定的
発展
に対し
協力
していく
所存
であります。 私は、今般、豪州、ニュージーランドを訪問し、豪州では第九回日豪閣僚委員会に出席し、
世界経済
の
環境
の
変化
に伴う日豪両国の新たな
協力関係
拡大
の方途につき、忌憚のない意見交換を行いました。また、この機会に、近年、
重要性
を増しているフィジー、バヌアツ、パプアニューギニアといった太平洋の島嶼国を訪問し、これら
諸国
との
関係
強化
に努めてきました。特に、フィジーでは、
我が国
と太平洋島嶼国との
関係
強化
のための具体的方策に関する所信を明らかにし、
我が国
の積極的姿勢を強く打ち出したところであります。 また、
アジア
・太平洋
地域
の
調和
のとれた
発展
を目指して、民間レベルを
中心
とした太平洋
協力
が
進展
しつつあることは歓迎すべきことであり、
政府
としても、引き続き
ASEAN諸国
、太平洋島嶼国などの意向を尊重しつつ、これに
協力
してまいる
所存
であります。
我が国
とソ連との間では、昨年八年ぶりに、しかも二度にわたり外相間定期協議が行われてこれが定着化し、さらに、領土問題を含む
平和条約
交渉が再開され、その継続が合意されました。その際、最高
首脳
レベルを含めて、日ソ間の
政治対話
の一層の
強化
につき合意を見ましたが、これらは、今後の対ソ
政策
をを進めるに当たって重要な第一歩であったと考えます。
我が国
としては、ゴルバチョフ書記長が訪日の意欲を示していることを歓迎するものであり、この訪問が早期に
実現
することを期待しております。 領土問題について、ソ連は依然かたくなな立場をとっておりますが、昨年十月、衆参両院において改めて全会一致で採択された北方領土問題の
解決
促進
に関する決議の御趣旨をも体し、北方領土問題を
解決
して
平和条約
を締結することにより、真の
相互理解
に基づく安定した
関係
をソ連との間に
確立
するという不動の
基本方針
にのっとり、今後とも、北方四島一括返還の
実現
に向けて、粘り強く
努力
を重ねてまいる
所存
であります。 今般、中曽根総理が、
我が国
総理として初めて、フィンランド、
ドイツ民主共和国
、ユーゴースラビア、並びにポーランドを公式訪問し、
各国
最高
首脳
との間で忌憚のない意見交換を行ったことは、これら
諸国
と
我が国
との
関係
発展
に新たな弾みを与えるとともに、
東西
間の
政治対話
と
相互理解
の
増進
にも寄与するものとして極めて有意義でありました。 中近東では、国家間、民族間の対立と紛争が依然続いており、
情勢
は流動的であります。中東和平問題、なかんずくその中核であるパレスチナ問題に関しては、昨年来停滞している和平のための動きが
進展
するよう強く希望するとともに、中東和平の早期
実現
のため
関係
当事者が一層
努力
するよう、今後とも働きかけていく考えであります。 イラン・イラク紛争については、国連や
関係
諸匡とも協議しつつ、早期平和的
解決
へ向けての
環境
づくりのための
努力
を粘り強く継続していく考えであります。 アフガニスタンでは、ソ連の軍事介入が七年余にわたり続いていることは極めて遺憾であり、ソ連軍の全面撤退を含む
政治
解決
のため、
我が国
としても
努力
してまいる
所存
であります。 中南米
諸国
においては、近年、
民主化
の
進展
、定着が見られる一方で、累積債務問題を初めとする
経済
困難が続いております。
我が国
は、メキシコの
経済
再建に向け積極的に
協力
するなど、これら
諸国
の債務問題
解決
のため貢献してまいりましたが、今後とも、
各国
の
努力
に対し可能な限りの支援を行う
所存
であります。昨年、アルゼンチンのアルフォンシン大統領とメキシコのデラマドリ大統領が訪日しましたが、これらの訪問は、
我が国
と中南米
地域
との
関係
強化
を図る上で大きな
成果
を生んだものと考えます。中米紛争につきましては、コンタドーラ・グループ等、域内の和平
努力
を強く支援するとともに、中米・カリブ
地域
の
経済
的・
社会
的
発展
のため
協力
していく考えであります。 アフリカにおいては、依然、構造的食糧不足や、累積債務を初めとする深刻な
経済
困難が続いております。
我が国
としても、アフリカ
諸国
の自助
努力
を支援する一方、これら
諸国
の食糧・農業問題の
解決
のため、
我が国
が提唱している「アフリカ緑の革命」構想の
実現
に努めていく考えであります。 南アフリカにおける
情勢
は、ますます悪化しており、まことに憂慮すべき
状況
にあります。
我が国
は、一貫してアパルトヘイトに断固反対するとの立場を堅持しており、今後とも、
国際社会
と
協力
して、すべての当事者に対しその撤廃と問題の平和的
解決
のための
努力
を訴えるとともに、特にアパルトヘイトの犠牲者に対する支援を
強化
してまいります。
我が国
の経常収支黒字は、依然、高い水準で推移しております。かかる
対外
不均衡の継続は、
国際
経済
社会
の
調和
ある
発展
にとっても、
我が国
の長期的
経済
運営
にとっても、決して望ましい事態ではなく、今後とも黒字の着実な縮小に向けてあらゆる
努力
を傾注していかなければなりません。 具体的には、アクションプログラム等による一層の市場開放に努めつつ、
経済
構造の調整を
推進
することが求められております。その過程では種々の国内的困難が生じましょうが、我々は、これを
我が国
が引き続き
繁栄
していくための試練と受けとめ、
一つ
一つ
克服していかなければなりません。また、
構造調整
をできる限り円滑に進めるためにも、内需の
拡大
と、これに伴う新たな
雇用機会
の創出が不可欠であります。
国際
貿易
面では、
我が国
を初めとする
関係
国の一致した
努力
により、昨年九月のガット閣僚
会議
でウルグアイ・ラウンドが発足したことは、保護主義を
防圧
し、
自由貿易体制
の将来に確固たる展望を切り開いていく上で大きな
前進
でありました。現在、重要なことは、一刻も早く実質交渉に取りかかることであり、
我が国
としては、現在、
各国
間で協議が進められている交渉の組織・計画づくりを早急に完了すべく貢献するとともに、交渉の成功に向けてみずからなすべきことを果断に実行していく決意であります。
開発途上国
の安定と
発展
は、
世界
の平和と
繁栄
にとって不可欠であり、
我が国
としては、これら
諸国
への
協力
を重要な
国際
的責務と考え、心と心の触れ合いを大切にして進めていきたいと考えております。 かかる認識に立って、
我が国
は、第三次
中期目標
を掲げ、
政府開発援助
(ODA)の拡充に努めております。
政府
は、六十二年度のODA
予算
として対前年度比五・八%増を計上するとともに、適正かつ効果的な援助を
実施
していくため、
国際協力
事業団の業務
改善
、
国際
緊急援助体制の
整備等
を行うほか、円借款の金利引き下げを初めとする援助の質の
改善
を行い、今後とも、
開発途上国
のニーズの
多様化
に弾力的に対応できるよう
努力
していく
所存
であります。 私は、累積債務問題が多くの
開発途上国
の直面する最大の問題の
一つ
であるとの認識の
もと
に、今後ともその
解決
のため積極的に
協力
してまいる
所存
であります。さらに、
貿易
、投資、金融、技術移転等の各
分野
における
協力
を通じ、
途上
国の国づくりの
努力
を支援していくことも重要であります。特に、本年は、七月の第七回国連
貿易
開発
会議
に向けて、
建設
的な
南北対話
促進
のため積極的に貢献していく
所存
です。
我が国
は、
世界
的に依然深刻な
状況
にある難民問題に対しても、
資金
・食糧援助やインドシナ難民の受け入れなどを通じて、引き続き鋭意取り組んでまいる考えであります。
我が国
は、本年より二年間、
国連安全保障理事会
の非
常任理事国
として、
国際
の平和と安全の
維持
のため重責を果たしていく
所存
であります。 国連を真に実効性ある
国際協力
の場とするためには、その機能の
活性化
を図ることが急務であり、かかる
観点
から、昨年十二月、国連総会において
行財政改革
を図る旨の決議が採択されたことは、高く評価されるべきであります。
我が国
は、「国連効率化のための賢人
会議
」の
提唱国
として、今後とも
改革
への
協力
を惜しまない
所存
であります。 近年、凶悪な
国際
テロ事件が頻発しておりますが、かかるテロは
国際社会
に対する挑戦であり、海外にある
我が国
民の安全を
確保
する上でも看過し得ない問題であります。
我が国
は、
東京サミット
においても明らかにしたとおり、いかなる
国際
テロにも断固反対するとの立場から、テロ防止のための
国際協力
を一層
強化
推進
していく
所存
であります。
我が国
と諸
外国
との摩擦の
背景
に、彼我の相互認識の不足やずれが指摘される現在、互いの国情、
政策
についての正しい認識と異なる
文化
への
理解
を深めていくことは重要な
課題
であり、
政府
としては、
地方自治
体や民間各方面の御
理解
と御
協力
を得つつ、
国際
問題研究の
強化
拡充、広範な広報活動の
充実
、並びに
青少年
交流、留学生交流を初めとする
文化
、
教育
、スポーツなど、種々の
分野
での交流に努めてまいります。 以上述べましたとおり、
我が国外交
は多くの重要かつ厳しい
課題
を抱えております。このような
外交
を強力かつ機動的に
推進
していくためには、
外交
実施
体制の
強化
、なかんずく、高度の情報・通信システムの拡充等により、
我が国
を取り巻く
国際情勢
の動きを迅速かつ的確に把握し、これに先手をとって対応する体制を
充実
していくことが急務であると考えます。さらに、近年急増している海外渡航者及び在留邦人の保護、特に、各種の緊急事態における邦人保護体制の
整備
や、海外子女
教育
の拡充などにつき一層の配慮を払っていく
所存
であります。 二十一
世紀
に向けて、
我が国
が引き続き平和と
繁栄
を享受し、
世界
のために積極的に貢献していけるよう、私は、決意を新たにして、誠心誠意、地道な
努力
を傾ける考えであります。
外交
は
もと
より
国民
の御
理解
なくしては成り立たないものであります。
国民
各位及び同僚
議員
の一層の力強い御支援をお願いいたします。(拍手) ———
—————
—————
藤田正明
5
○
議長
(
藤田正明
君) 宮澤
大蔵大臣
。 〔
国務大臣
宮澤喜一君登壇、拍手〕
宮澤喜一
6
○
国務大臣
(宮澤喜一君)
昭和
六十二年度
予算
の御
審議
をお願いするに当たりまして、今後の
財政
金融
政策
の
基本
的な
考え方
につき所信を申し述べますとともに、
予算
の大綱を御説明申し上げます。
我が国経済
は、戦後、
国際
環境
に恵まれる中で、
国民
の勤勉と創意とに支えられ、目覚ましい
発展
を遂げました。石油危機など幾多の試練を克服しつつ、その都度、
変化
する
環境
に即応して
国民
経済
の体質を
改善
してまいりました。 今日、
世界経済
の約一割を占めるに至りました
我が国
が、これまで成し遂げた成長と
発展
を
もと
に今後進むべき道は、対内的には、豊かで
活力
のある
経済
社会
を構築し、
対外
的には、
国際社会
の期待にこたえて、
我が国
の占める
地位
にふさわしい貢献をしていくことでございます。
現下
の
経済
情勢
を見ますと、先進
各国
の
経済
は、物価及び金利の低下を
背景
に、全体として見れば、緩やかな
拡大
を続けております。しかしながら、大幅な
対外
不均衡がなお続いており、
雇用情勢
が厳しい国々もあることなどから、保護主義の高まりが懸念される
情勢
にございます。また、
開発途上国
における累積債務問題への対応も重要であります。
我が国
は、こうした中で、
国際社会
から、
対外
不均衡の
是正
と
開発途上国
に対する一層の
協力
を求められております。 一昨年以来の
主要国
通貨の為替調整は、
対外
不均衡の
是正
を目的としたものでありますが、当面、
我が国経済
は、急速な
円高
の
進展
により、製造業を
中心
に
企業
の業況判断には停滞感が広がっており、
雇用
への影響が憂慮される
情勢
となっております。
他方
、
財政
は、巨額の国債累積を抱え、その利払いが
政策
経費
を圧迫している結果、
政策
選択の幅が極めて狭く、
経済
情勢
の
変化
にも十分対応しがたくなっているなど、極めて厳しい
状況
となっております。 私は、このような現在の諸
情勢
の中で、
我が国
が、国内にあっては、豊かで
活力
ある
経済
社会
の
建設
を進め、外に対しては、
国際社会
への
責任
を果たすため、今後の
財政
金融
政策
の
運営
に当たって、以下に申し述べる諸
課題
に
全力
を挙げて取り組んでまいる
所存
でございます。
課題
の第一は、内需を
中心
として、
経済
の持続的成長を
確保
していくことであります。 豊かで
活力
ある
社会
を構築し、また、
自由世界
第二の
経済
大国としての
国際
的な役割を担っていくためには、
我が国
が長期にわたって成長を持続していく必要があります。特に、今日の
経済
情勢
にかんがみ、
景気
の
拡大
が重要な
課題
でございます。
政府
は、こうした見地から、昨年秋、補正
予算
を編成して、総合
経済
対策
を講じてまいりましたが、
昭和
六十二年度
予算
におきましても、厳しい
財政
状況
の
もと
ではありますが、
一般公共事業
の事業費について、名目
経済
成長率見通しの伸びを上回ります五・二%の伸びを
確保
することとし、このため、
財政
投融資
資金
の積極的活用を図るとともに、
民間活力
の活用にも配意いたしました。また、住宅金融公庫融資を拡充する等の住宅
対策
など
景気
の
維持
拡大
に資する
施策
を講じております。さらに、
円高
の
進展
等の急激な
変化
に直面している
産業
の
構造調整
等を円滑に進めるため、
産業
基盤整備
基金(仮称)を設けるなどのほか、
雇用情勢
の先行きにかんがみ、三十万人
雇用開発プログラム
の
実施
等
雇用対策
の大幅な拡充を図るなどの
努力
を行っております。 後ほど申し述べます
税制
の抜本的
見直し
も、
我が国経済
社会
の豊かさと
活力
の中長期的
維持
増進
に資するものと期待いたしております。 金融面におきましては、昨年十一月より公定歩合が三・〇%に引き下げられ、史上最低の水準になっており、これを受けて、預貯金金利を含む金利水準全般の引き下げを図ったところであります。今後とも、金融
政策
の
運営
につきましては、
内外
経済
動向及び
国際
通貨
情勢
を注視しつつ、適切かつ機動的に対処してまいる
所存
であります。
資金
運用部の預託金利につきましても、その法定制を改めることとし、
所要
の法律案を今
国会
に提出し、御
審議
をお願いすることといたしております。 さらに、持続的成長を
確保
していくためには、
為替相場
の安定が重要であります。私は、機会あるごとに、
各国
との協調的な行動を通じて
為替相場
の安定を図るべく、諸
外国
と
話し合い
を行ってまいりました。昨年十月末には、ベーカー米財務長官との間で、為替市場の諸問題について
協力
を続けることについて合意したところであり、また、今月二十一日にも
為替相場
の安定につき、同長官と協議してまいったところでございますが、今後とも、
各国
との
政策
協調及び適時適切な介入を通じて、
為替相場
の安定を図っていく
所存
であります。 〔
議長
退席、副
議長
着席〕 第二は、
財政改革
を引き続き強力に
推進
することであります。
財政改革
の目的は、言うまでもなくできるだけ早期に
財政
がその
対応力
を回復することにより、高齢化の
進展
、
国際社会
への対応等今後の
社会
経済
の
変化
に弾力的に対応し、
我が国
社会
経済
の豊かさと
活力
を
維持
増進
していくことにあります。このため、
政府
は、
昭和
六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と
公債依存度
の引き下げに努めるという
努力
目標に向けて懸命の
努力
を重ねてきたところであります。
昭和
六十二年度
予算
におきましても、
昭和
五十八年度以降五年連続で一般歳出を前年度同額以下に圧縮する等、歳出歳入両面にわたっての厳しい
見直し
に
最大限
の
努力
を払い、公債発行額を前年度当初予定額に比し、四千四百五十億円減額することといたしております。この結果、
公債依存度
は、特例公債を発行して以来初めて二〇%を割ることができました。 しかしながら、このような
努力
を行いましてもなお、
昭和
六十二年度
予算
においては、国債の利払い費が歳出
予算
の二割を占め、また
昭和
六十二年度末の公債残高は総額で百五十二兆円に達する見込みとなるなど、
財政
事情は一段と厳しいものとなっております。 今後とも
財政改革
を強力に
推進
し、
財政
が二十一
世紀
に向かって
我が国
内外
に求められている
課題
に十分に対応できる弾力性を回復することは、喫緊の
国民
的
課題
でございます。行
財政
の
改革
を
推進
するに当たっては、種々の困難が伴うものと思われますが、これまでの
努力
が水泡に帰することのないよう、さらに一層
努力
を払い着実にその歩を
前進
させていく必要があると考えます。 第三の
課題
は、
税制
の抜本的
見直し
であります。
我が国
税制
は、戦後四十年間にわたる
産業
・就業構造の
変化
、所得水準の上昇と平準化、消費の
多様化
を初めとする
社会
経済
情勢
の著しい
変化
に十分対応し切れておらず、さまざまなゆがみ、ひずみを抱えております。 このような
状況
にかんがみ、また、今後の
我が国経済
社会
の展望を踏まえ、
税制
全般にわたり公平、公正等の
基本理念
の
もと
に抜本的な
見直し
を行うことにより、
国民
の
理解
と信頼に裏づけられた安定的な歳入構造を
確立
することが急務となっております。 既に
税制
調査会におきまして、「
税制
の抜本的
見直し
についての
答申
」及び「
昭和
六十二年度の
税制
改正に関する
答申
」の中で、抜本的
税制改革
案が提案されております。
政府
といたしましては、これらを踏まえ、
昭和
六十二年度
税制
改正において、
改革
案の全体を
一体
として
実現
してまいりたいと考えております。具体的には、中堅所得者層の
負担
軽減
を主眼に、最低税率の引き下げを含む税率構造の
見直し
、配偶者特別控除の創設等を内容とした所得課税の思い切った
軽減合理化
を行い、
法人課税
の税率水準を段階的に引き下げるとともに、間接税について物品税等の個別消費税
制度
を売上税に改め、また少額貯蓄非課税
制度
及び郵便貯金非課税
制度
を老人・母子
家庭
等に対する利子非課税
制度
に改組する等の
措置
を講ずることといたしました。このため、
所要
の法律案を今
国会
に提出し、御
審議
をお願いすることといたしております。 第四に、
我が国
が
国際
的な
地位
の高まりに応じた
調和
ある
対外
経済関係
を形成する必要がございます。 現在、大幅な
対外
不均衡等を
背景
に保護主義の圧力が高まっておりますが、こうした中で、
我が国
としては、率先して
自由貿易体制
の
維持
強化
に努めるとともに、市場の開放、
経済
構造の調整等、
我が国経済
自身の
国際化
を進め、
対外
不均衡の
是正
を図っていく必要がございます。 このような
観点
から、
昭和
六十二年度関税改正におきましては、特恵関税
制度
の
改善
、紙巻きたばこ、アルコール飲料等の関税率の引き下げなどを行うことといたしております。 また、昨年始まったウルグアイ・ラウンドにつきましては、
我が国
としてもこれを積極的に
推進
していく
所存
であります。 さらに、
昭和
六十二年度
予算
におきましても、
経済
構造調整
の円滑化を
推進
するための諸
施策
を講じているところであります。 金融の自由化及び円の
国際化
は、
我が国経済
の効率化、
国際化
に資すると同時に、
世界経済
の
発展
に貢献していく上で有意義なものと考えます。金利の自由化、短期金融市場の
整備
、資本市場の
国際化
、ユーロ円市場
発展
のための
措置
、オフショア市場の開設等を逐次とってきたところでございますが、今後とも、
環境
整備
を図りつつ、自由化、
国際化
を積極的に進めてまいります。
我が国
金融の自由化や円の
国際化
については、海外から強い関心が寄せられており、
米国
を初め、主要
先進国
等と金融協議の場を設け、意見交換に努めており、金融
制度
や金融
行政
をめぐる諸
情勢
について相互の協調と
理解
の
増進
に努めているところでございます。
開発途上国
の自助
努力
を支援するとともに、累積債務問題の
解決
を図り、もって
世界経済
の安定と
発展
に資することも、
我が国
の大きな
国際
的責務と考えております。 このため、
政府開発援助
につきましては、第三次
中期目標
に沿った着実な拡充を行うこととし、
昭和
六十二年度一般会計の
政府開発援助
予算
について五・八%の増加といたしますとともに、援助の質の
改善
等を図る
観点
から、本年一月より円借款金利の引き下げを行うことといたしました。 また、
国際
金融機関を通じた
開発途上国
等への
資金協力
として、
国際
開発協会第八次増資及び
アジア
開発基金第四次財源補充へそれぞれ二十六億ドル、十三億ドルの拠出を行い、さらに、IMFへの三十億SDRの貸し付け、世銀への二十億ドルの特別ファンドの創設を行うなど、
最大限
の
努力
を図ることとしたところであります。 今後とも
開発途上国
の開発問題、債務問題の
解決
に向け引き続き
努力
をしていく
所存
でございます。 次に、
昭和
六十二年度
予算
の大要について御説明いたします。 歳出面におきましては、既存の
制度
、
施策
の
改革
を行い、また、補助金について引き続き
整理合理化
を行うなど、あらゆる
分野
にわたり
経費
の
節減合理化
に努めるとともに、
社会
経済
情勢
の推移に即応するため、公共事業の事業費
確保
、
雇用対策
の
充実
を行うほか、限られた財源を重点的、効率的に配分するよう努めることといたしました。 なお、
国家公務員
の定員につきましては、新たに策定された第七次定員削減計画を着実に
実施
するとともに、真に必要とされる新規
行政
需要についても極力振りかえによって対処し、増員は厳に抑制いたしました。この結果、
行政
機関職員について、三千四百三十二人に上る大幅な縮減を図ることといたしております。 以上の結果、一般歳出の規模は、三十二兆五千八百三十四億円と前年度に比べて八億円の減額といたしております。これは
昭和
五十八年度以降五年連続の対前年度減額であります。 これに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計
予算
規模は、前年度当初
予算
に比べ、百二十四億円増額の五十四兆一千十億円となっております。 次に、歳入面について申し上げます。 歳入の基幹たる
税制
につきましては、
さき
に申し述べました抜本的
税制改革
案の
実現
を図るため、
昭和
六十二年度
税制
改正において、以下の
措置
を講ずることといたしました。すなわち、中堅所得者層の
負担
軽減
を
中心
とした所得税の
軽減合理化
、法人税の税率の引き下げ、売上税の創設、
非課税貯蓄制度
の
見直し
を図るほか、賞与引当金の廃止、有価証券取引税の
見直し
、登録免許税の引き上げ等を行うことといたしております。 税の執行につきましては、今後とも、
国民
の信頼と
協力
を得て、一層適正、公平な税務
行政
を
実施
するよう、
努力
してまいる
所存
であります。 また、
税外収入
につきましては、一段と厳しい
財政
事情にかんがみ、可能な限りその
確保
を図ることといたしております。 公債につきましては、以上申し述べました歳出歳入両面にわたっての
最大限
の
努力
により、その発行予定額は前年度当初
予算
より四千四百五十億円減額し、十兆五千十億円となっております。その内訳は、
建設
公債五兆五千二百億円、特例公債四兆九千八百十億円となっております。この結果、
公債依存度
は、
特例公債発行下
で初めて二〇%を割る一九・四%に引き下げることができました。特例公債の発行等につきましては、別途
昭和
六十二年度の
財政
運営
に必要な財源の
確保
を図るための特別
措置
に関する法律案を提出し、御
審議
をお願いすることといたしております。 また、
昭和
六十二年度においては、十五兆七千二百七億円の借換債の発行を予定しており、これを合わせた公債の総発行額は二十六兆二千二百十七億円となります。
財政
投融資計画につきましては、内需の
拡大
、
地方財政
の円滑な
運営
など、
政策
的な必要性を踏まえ、積極的かつ重点的、効率的な
資金
配分に努めたところであります。 この結果、
昭和
六十二年度の
財政
投融資計画の規模は二十七兆八百十三億円となり、
昭和
六十一年度当初計画に対し、二二・二%の増加となっております。 次に、主要な
経費
につきまして申し上げます。 まず、公共事業
関係
費につきましては、一段と厳しい
財政
事情にかんがみ、総額として前年度を下回る水準としておりますが、
一般公共事業
の事業費につきましては、内需の
拡大
に資するためできるだけ
確保
することとし、このため、
財政
投融資の活用、
民間活力
の活用、補助・
負担
率の引き下げ等の工夫を行い、五・二%の伸びを
確保
することといたしております。なお、各
地域
への配分に当たりましては、
地域経済
の実情に十分な配慮がなされるよう対処してまいる
所存
であります。また、住宅金融公庫の融資戸数の増加、貸付限度額の
拡大
等住宅
対策
の拡充も図っております。
雇用対策
につきましては、
雇用情勢
の先行きに対応するため、新たに三十万人
雇用開発プログラム
を
実施
することとし、
地域雇用対策
の
充実
、
雇用
関係
給付金
制度
の活用等積極的な
推進
を図ることといたしております。
産業
の
構造調整
等を
推進
するため、
予算
におきましても種々の配意をいたしております。すなわち、
産業構造
の
転換
、
地域経済
の
活性化等
を図るため、
産業
基盤整備
基金(仮称)を設けるとともに、第八次石炭
対策
の円滑な
実施
を図っております。
中小企業
対策
費につきましては、下請
中小企業
構造調整
対策
、特定
地域
中小企業
対策
等、最近の
中小企業
を取り巻く
内外
の
環境
変化
に対応し、その近代化、
構造改善
を
促進
するための
施策
を講ずることといたしております。また、農林水産
関係
予算
におきましても、
生産性
が高く、
産業
として自立し得る農林水
産業
の
確立
に向けて
施策
の重点化、効率化を図ることとし、
昭和
六十二年度に発足する水田農業
確立
対策
については、構造
政策
の
推進
に重点を置いたものとする等の
措置
を講ずることとしております。このほか、
日本
国有鉄道清算事業団の
運営
に支障のないよう、
所要
の助成を行うとともに、
資金
繰りの円滑化にも配意いたしております。
社会保障
関係
費につきましては、今後の高齢化
社会
を展望し、引き続き
制度
、
施策
の合理化、適正化に努めるとともに、恵まれない人々に対する各種の福祉
施策
についてきめ細かく
推進
することとし、特に、老人や心身障害者に対する在宅福祉
施策
及び健康
増進
のための事業等を
充実
させております。文教及び科学
振興
費につきましては、引き続き既存の
施策
の
見直し
を図るとともに、初任者研修の試行、
基礎
的・
創造
的研究の
充実
など、
教育
・研究
環境
の
整備
のための
施策
の
推進
に努めております。
経済
協力
費につきましては、第三次
中期目標
に沿って、
政府開発援助
予算
の増額について特段の配慮を行いました。防衛
関係
費につきましては、厳しい
財政
事情の
もと
で、他の諸
施策
との
調和
を図りつつ、
中期防衛力整備計画
を踏まえ、その質的
充実
に配意いたしました。 エネルギー
対策
費につきましては、中長期的な需給見通しをも踏まえ、各種
施策
の着実な
推進
を図ることといたしております。
地方財政
につきましては、
税制
の抜本的
見直し
に伴い、売上譲与税の創設、地方交付金の対象税目の追加等の
措置
を講ずることとしております。また、
昭和
六十二年度におきましては、補助・
負担
率の引き下げによる影響等を織り込んで二兆三千七百五十八億円の財源不足が見込まれますが、地方交付税交付金の特例
措置
等の
地方財政
対策
を講ずることとし、
地方財政
の適正な
運営
に支障の生じないよう配慮いたしております。地方団体におかれましても、歳出の
節減合理化
をさらに
推進
し、より一層効率的な財源配分を行うよう要請するものであります。 以上、
昭和
六十二年度
予算
の大要について御説明申し上げました。御
審議
の上、何とぞ速やかに御賛同くださるようお願い申し上げます。
我が国経済
は、現在、
内外
情勢
とも、厳しい局面を迎えております。この
情勢
を乗り越え、豊かで
活力
に満ち、
国際社会
に貢献し得る
日本
を築いていくためには、これまで申し述べました諸
課題
を一歩一歩着実に実行していく必要があると考えます。
国民
各位の一層の御支援と御
協力
を切にお願いする次第でございます。(拍手) ———
—————
—————
瀬谷英行
7
○副
議長
(瀬谷英行君)
近藤国務大臣
。 〔
国務大臣
近藤鉄雄君登壇、拍手〕
近藤鉄雄
8
○
国務大臣
(近藤鉄雄君)
我が国経済
の当面する
課題
と
経済
運営
の
基本的考え方
について所信を申し述べたいと存じます。
我が国経済
は、今日、幾つかの意味で大きな
転換
期に直面しています。 まず初めに、一九八〇年代前半の
世界経済
を形づくってきた
基本
的な枠組みは、一昨年から昨年にかけて大きな
変化
を遂げました。すなわち、ドル高、原油高、高金利の
是正
という三つの条件の
変化
であります。こうした
変化
は、
我が国
の
経済
全般にプラス面でもマイナス面でも大きな影響を及ぼしております。 次に、
我が国
が
国際
経済
に果たす役割が急速にしかも飛躍的に
増大
しているという点であります。戦後の
国際
経済
のシステムは、
米国
の
政治
、
経済
両面における優越的な力を
背景
に
維持
されてまいりましたが、
経済
面で
米国
の圧倒的な優位性が崩れるとともに、長期的に見て、主要
先進国
の協調に支えられたシステムに移行しつつあります。このような
状況
の中で、
世界
のGNP一割国家、
世界
最大の債権国とも目されている
我が国
が果たすべき
国際
的責務は、飛躍的に
増大
していると言わねばなりません。 さらに、こうした
状況
は、
我が国経済
が目指すべき目標の
転換
を迫っていると言えましょう。今や、
我が国
の
経済
規模は大きく
拡大
しましたが、
経済
の外需依存構造が大幅な経常収支黒字の一因となっております。我々は、今、目標の
歴史
的
転換
を図る必要があると考えます。それは
経済
構造の変革を行い、
内外
均衡の達成を図るとともに
経済
大国にふさわしい画期的な
国民生活
の質の
改善
を目指すことであります。 私は、以上のような
我が国経済
社会
の
基本
的な流れとその
課題
を認識しつつ、今後の
経済
運営
に当たっていく必要があると考えます。 ここで、
内外
経済
の現状について申し述べたいと存じます。
世界経済
は、低下した原油
価格
の
もと
で物価が極めて落ちついており、その中で緩やかながらも息の長い
景気拡大
が持続しております。アメリカの
財政赤字
、
主要国
の
対外
不均衡、
発展
途上
国の累積債務問題等
世界経済
が抱えている問題は数多くありますが、原油
価格
の低水準での安定、ドル高の修正及び金利の低下は、
世界経済
にとって全体としてプラスの効果を持つものと考えられます。
我が国経済
は、現在、個人消費、とりわけ堅調な住宅投資を
中心
に国内需要は緩やかに増加する一方、輸出が弱含みであること等から鉱工業生産は依然として停滞傾向で推移しており、
景気
は底がたさはあるものの、その足取りは緩やかなものとなっております。また、非製造業は交易条件の
改善
の効果等もあり堅調に推移しておりますが、これまでの急速な
円高
の
進展
等により、製造業を
中心
に
企業
の業況判断には停滞感が広がっており、特に最近においては
雇用
面にも影響が及びつつあるなど
景気
の二面性がより明瞭になっております。
他方
、経常収支は、原油
価格
の低下、
円高
による黒字の一時的
拡大
等により大幅な黒字が続いております。 こうした
状況
の
もと
、
政府
は、昨年九月の総合
経済
対策
の決定、十一月の公共事業の追加等を内容とする補正
予算
の成立等内需の
拡大
に努めてきたところであります。 このような
内外
経済
の動向を勘案しますと、
昭和
六十一年度については、内需は総合
経済
対策
の効果等もあり、当初見通しを若干上回る堅調な動きを見せているものの、急激な
円高
による輸出減と輸入の
拡大
によって、実質
経済
成長率は三・〇%程度にとどまるものと見込まれます。しかし、このことは、
我が国経済
の成長が従来とは明らかに異なる内需主導型に
転換
しつつあることを示すものであります。 以上のような
状況
を踏まえ、私は
昭和
六十二年度の
経済
運営
に当たっては、次の諸点を
基本
としてまいりたいと考えます。 第一は、内需を
中心
とした
景気
の持続的
拡大
を図るとともに、
雇用
の安定及び
地域経済
の
活性化
を
促進
することであります。そのためにも、最近における余りにも急激な円レートの変動に対しては、
各国
との
政策
協調に努めつつ適切な対応を行いその安定化を図る一方、急速な
円高
の
進展
等により影響を受けた
地域
等に十分配慮しつつ、以下の点に留意しながら、適切かつ機動的な
経済
運営
に努めてまいる
所存
であります。 まず、内需
拡大
を図るため、
昭和
六十二年度
予算
におきまして、
一般公共事業
の事業費につき五・二%の伸びを
確保
したほか、
地域
配分にも十分配意することとしております。
住宅建設
については、住宅取得を
促進
するための
税制
上の
措置
を拡充するほか、金融上の
措置
を
充実
して、増改築、リフォーム等の質的
改善
を含めその
促進
に努めてまいりたいと考えております。 次に、
民間活力
が
最大限
発揮されるよう
環境
の
整備
を行い、設備
投資等
積極的な民間投資の喚起を促すとともに、公共的事業
分野
への
民間活力
の導入を
促進
してまいります。また、
地価対策
の効果的かつ総合的な
推進
を図ることといたします。さらに、
中小企業
の近代化及び
構造改善
を
促進
していくための各種
中小企業
対策
の
実施
、
産業構造
調整を円滑化するための基金の創設、円滑な
労働
移動の
促進
、
地域雇用対策
の
整備等
の
雇用対策
の
推進
など
地域
に密着したきめの細かい
対策
を進めてまいります。 さらに、昨年来の累次にわたる公定歩合の引き下げや消費者信用金利の引き下げ等による低金利の
状況
に対応しつつ、今後とも財投金利の弾力化を図る等金融
政策
の適切かつ機動的な
運営
を図る必要があります。 以上のような
政府
の諸
施策
と民間
経済
の
活力
が相まって、
昭和
六十二年度の
我が国経済
は経常収支の不均衡の
是正
を進めつつ引き続き内需を
中心
として着実に
拡大
し、実質
経済
成長率は三・五%程度となるものと見込まれます。 第二は、中長期的な
観点
に立って、
調和
ある
対外
均衡と国内均衡の
実現
という
内外
均衡の同時達成に努めることであります。
我が国
は、経常収支不均衡を
国際
的に
調和
のとれるよう着実に縮小させることを
国民
的目標として設定しております。しかし、
為替レート
の調整のみによって
対外
均衡を達成することは、国内均衡との両立を図る上で問題が多いと考えられます。したがって、需給両面における
経済
構造の変革を進め、内需主導型
経済
構造を
実現
させ、
内外
均衡の同時達成を中長期的に中成長の
もと
で図ることが必要であります。
経済
構造の変革は、摩擦や
負担
を伴う面もありますが、今後
我が国
が積極的に取り組むべき
課題
であり、
国民
に与える影響にきめ細かく配慮しつつ、一歩一歩着実に歩を進めていかなければなりません。特に
雇用
問題については重点的に取り組んでいく
所存
であります。また、
政府
は、昨年末には、「一九八〇年代
経済
社会
の展望と指針」について第三回の
見直し
作業を行い、「
内外
均衡の同時達成」という
考え方
を
基本
とした「
経済
審議
会報告」を公表いたしました。さらに、昨年九月
経済
審議
会において
経済
構造調整
特別部会を設置し、今春を目途に
経済
構造調整
の具体的な
施策
及び
経済
構造調整
後の
経済
の姿について、できる限り明確にお示しいただけるよう精力的な
審議
をお願いしているところであります。
我が国
の
調和
ある
対外
均衡という目標は、あくまで
世界経済
の
拡大
均衡の中で達成されるべきものであります。私は、
自由貿易体制
の
維持
強化
に向けて率先して
努力
するとともに、
調和
ある
対外
経済関係
の形成に努めることが重要であると考えます。このため、
我が国
市場の積極的な開放等による
市場アクセス
の
改善
を図り、新たな多角的
貿易
交渉の着実な
進展
に貢献してまいりたいと考えております。また、
政府開発援助
の第三次
中期目標
の
もと
で
経済
協力
の着実な拡充を図るとともに、
世界
全体の
資金
の
発展
途上
国への還流に積極的に貢献するなど、
国際
経済
に占める
我が国
の
地位
にふさわしい役割を果たしていく必要があると考えます。 第三は、物価の安定と
国民生活
の
充実
向上
であります。 昨年、累次にわたる
円高差益
還元
策等が
実施
されたことに伴い、
円高
、原油
価格
低下のメリットは、
国民
経済
全体に相当程度浸透してまいりました。こうした
状況
を反映して、過去一年の消費者物価上昇率は一%を切るなど、最近の
我が国
の物価動向は
昭和
三十年代前半以来の極めて安定した動きを示しております。
政府
は、本年に入り電気・ガス料金の再引き下げを
実施
し、さらに麦の
政府
売り渡し
価格
等の公共料金の引き下げを図ることといたしておりますが、今後とも、
円高
等のメリットの
還元
はさらに努めてまいりたいと考えます。このような
施策
を推し進めることにより、物価は引き続き安定基調を
維持
することができるものと考えられ、売上税の導入等の影響を考慮しても、
昭和
六十二年度の卸売物価は一・〇%程度、消費者物価は一・六%程度の上昇にとどまるものと見込んでおります。
我が国
の
国民生活
は、
国民
のたゆまぬ
努力
により、多くの面で着実な
改善
を遂げております。しかしながら、今日の
国民生活
の
状況
を考えますと、良質な住宅や良好な
生活
環境
等のストック面の
充実
や豊かな余暇時間の
確保
等、必ずしも十分とは言えない面も見られます。こうした
観点
から、今後、住
生活
の質的
改善
等、
国民生活
の
充実
向上
のための
施策
について
検討
を行ってまいる
所存
であります。 また、最近の消費の
多様化
は
国民生活
に豊かさをもたらしておりますが、その反面、消費者問題は複雑化しております。私は、
国民
が安心して
充実
した消費
生活
を送ることができるように、消費者
教育
の
充実
、悪質な商法による被害の防止、消費者に対する情報提供、啓発等、消費者保護
施策
の
推進
に努めてまいりたいと考えます。 以上、
我が国経済
の主な
課題
と
経済
運営
の
基本
的方向について所信を申し述べました。 私は、冒頭において、
我が国経済
は大きな
転換
期にあると申しました。
我が国
が次の時代にさらに飛躍するためには、
我が国
の
経済
、
産業
、
企業
等をみずからの手で
転換
していくことがどうしても必要であります。私は、
我が国経済
の柔軟な適応力に加え、
経済
運営
のよろしきを得れば、
我が国経済
がこの
課題
を克服し、急速な
円高
の
進展
等による影響を乗り越え、
内外
均衡への道を着実に進むことができると確信いたしております。そして、ともすればこれまで輸出に傾注しがちであった
我が国
のすぐれた技術力、
経済
力を国内に向けることにより、国力にふさわしい
充実
した
国民生活
を
実現
することができるものと信じます。 私も
全力
を尽くしてまいる
所存
であります。
国民
の
皆様
の御支援と御
協力
を切にお願いする次第であります。(拍手)
瀬谷英行
9
○副
議長
(瀬谷英行君) ただいまの
演説
に対する質疑は次会に譲りたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
瀬谷英行
10
○副
議長
(瀬谷英行君) 御異議ないと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時四十五分散会