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1987-07-02 第108回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
六十二年七月二日(木曜日) 午前十時四分開会 ――
―――――――――――
委員
の
異動
五月二十八日
辞任
補欠選任
永野
茂門
君
浦田
勝君 七月二日
辞任
補欠選任
三治 重信君
柳澤
錬造君 ――
―――――――――――
出席者
は左のとおり。
委員長
高木
正明
君 理 事 北 修二君 水谷 力君 宮島 滉君 稲村 稔夫君 刈田 貞子君 委 員 上杉 光弘君
浦田
勝君
大塚清次郎
君
川原新次郎
君
熊谷太三郎
君 鈴木 貞敏君 初
村滝一郎
君 本村 和喜君 上野 雄文君
村沢
牧君 及川 順郎君 諫山 博君 下田 京子君
柳澤
錬造君
山田耕三郎
君
国務大臣
農林水産大臣
加藤
六月君
事務局側
常任委員会専門
員 安達 正君
説明員
農林水産政務次
官 星 長治君
農林水産大臣官
房長
甕 滋君
農林水産省経済
局統計情報部長
松山
光治
君
農林水産省農蚕
園芸局長
浜口
義曠君
農林水産技術会
議事務局長
畑中
孝晴
君
食糧庁次長
山田
岸雄
君 ――
―――――――――――
本日の会議に付した案件 ○
農林水産政策
に関する
調査
(
昭和
六十二
年産米
の
生産者米価
に関する件) (
食糧管理制度
の
根幹堅持
、米の
市場開放阻止
等に関する件) ――
―――――――――――
高木正明
1
○
委員長
(
高木正明
君) ただいまから
農林水産委員会
を開会いたします。 まず、
委員
の
異動
について御報告いたします。 去る五月二十八日、
永野茂門
君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
浦田勝
君が選任されました。 ――
―――――――――――
高木正明
2
○
委員長
(
高木正明
君) 次に、
農林水産政策
に関する
調査
のうち、
昭和
六十二
年産米
の
生産者米価
に関する件を議題といたします。 まず、
昭和
六十二
年産米
の
生産者米価
について
政府
から
説明
を聴取いたします。
山田食糧庁次長
。
山田岸雄
3
○
説明員
(
山田岸雄
君) それでは、本日
昭和
六十二
年産米穀
の
政府買い入れ価格
につきまして
米価審議会
の方に
諮問
さしていただきましたので、
諮問
の
概要
につきまして御
説明
さしていただきます。 今お
手元
に配付さしていただいておりますところの
資料
の「
諮問
」というのと「
諮問
についての
説明
」というのがございますので、まずそれを朗読さしていただきます。
諮問
昭和
六十二
年産米穀
の
政府買
入
価格
について、将来にわたり
我が国稲作
の健全な
発展
を図るとの
観点
に立ち、
需給事情
に即応しつつ
生産費
及び
所得
を考慮して
決定
することにつき、
米価審議会
の
意見
を求める。
昭和
六十二年七月二日
農林水産大臣
加藤六月
諮問
についての
説明
米穀
の
政府買
入
価格
は、
食糧管理法
第三条第二項の
規定
により、
生産費
及び
物価
その他の
経済事情
を参酌し、
米穀
の再
生産
の確保を図ることを旨として定めることになっており、その
算定
については、
昭和
三十五年以降
生産費
及び
所得補償方式
によりその時々の
需給事情等
に応じて行ってきたところであります。 このような中で、昨今の米をめぐる内外の諸
情勢
から、
稲作
の中核的な担い手となる
農家
やこれら
農家
を
中心
とする集団を育成し、将来にわたって
我が国稲作
の健全な
発展
を図り、
国民
の主食である米を安定的に供給していくことが
現下
の最大の
課題
となっており、このための
各種施策
を鋭意
推進
しているところであります。 また、米の
需給事情
については、消費が依然として
減少傾向
にある一方
潜在生産力
は高
水準
で推移し、潜在的な
需給ギャップ
が
拡大傾向
にあり、過剰を懸念しなければならない
状況
の下にあります。このため、三度の過剰を招かぬよう
水田農業確立対策
の
推進
と併せて
政府
の的確な
米管理
の徹底を期すことが重要となっております。 なお、米の
管理
に係る
財政運営
も、
国家財政
が厳しい
状況
にある中で、一層困難な局面に直面しております。 他方、
稲作
については単
取水準
の
上昇
や
投下労働
時間の
減少
、更に
一般経済情勢面
では
物価
や
金利水準
の
低下
、
労賃上昇率
の
鈍化等
をみております。 本
年産米穀
の
政府買
入
価格
につきましては、以上の
事情
を
総合勘案
の上、
生産費
及び
所得補償方式
により
算定
することとしてはどうかということであります。 次に、お
手元
にお配りしておりますところの「
昭和
六十二
年産米穀
の
政府買
入
価格
の
試算
」の
資料
について
説明
さしていただきます。まず、
資料
に入らしていただく前に
算定
の基礎的な
考え方
について申し上げておきたいと思います。 本
年産
におきましては、先般の
米価審議会委員懇談会
、前広
米審
での御論議も踏まえまして、五十九年五月二十五日の
米価審議会
において採択されました
米価
の
算定
に関する
米価審議会
小
委員会報告
の趣旨に沿って
算定
しております。 すなわち、
算定方式
としましては
生産費
・
所得補償方式
によることとし、
対象農家
の
平均生産費
について、
物財
、
雇用労賃
など実際に支払う
費用
につきましては
生産費調査
結果を
物価
修正するとともに、
家族労働費
については
都市均衡労賃
で
評価
がえをし、実際の支払いを要しない
自己資本利子
と
自作地地代
についても
一定
の
評価方法
により算入しまして、これらを合計した
評価済み
の
生産費
を
平均
単収で除したものに
収量変動平準化係数
を掛けまして、求める
価格
、米全体の
農家
の
稲作価格
でございますが、を
算定
しております。 具体的な
算定
につきましては後ほど
説明
さしていただきますが、主要な点について申し上げますと、まず、
生産費対象農家
につきましては、巨額の
財政負担
を伴って、
生産調整
を行わなければ
需給
の
均衡
が図れないという
現下
の米の
需給事情
を
米価算定
に反映させることとしております。すなわち、
生産費対象農家
として、
農家
を
生産費
の低い順に並べて、その
累積生産数量比率
が
一定比率
、今年は七九%を使っておりますが、になるまでの
農家
をとっております。 その場合、この
一定比率
を求める際の
分子
に
当たり
ますものにつきましては、これまで
生産予定量
をとっておりましたが、本年においては、
生産者側
で
自主調整
が実施され、そのうちの二十万トンは本年度の
転作強化
によって
在庫減
を予定しているものであることから、本年の需要に含め得るものとして、
生産予定量
千十万トンにその二十万トンを加えたものをとっております。 また、
分母
に
当たり
ます
潜在生産量
につきましては、六十二年度における
潜在生産量
千三百七十万トンから、昨年の
試算値
と同様に、他
用途利用米生産予定量
三十五万トンのほか、
転作畑相当分
を含む永年
性作物分
の
定着分
三十二万トンを控除しております。 次に、主な
算定要素
について御
説明
いたしますと、まず、
家族労働
の
評価
に用います
都市均衡労賃
の
とり方
につきましては、
基本
的には五十六年度以降の
とり方
と同様、
常用労働者
数五人以上千人
未満
の
事業所規模
の
製造業
の
賃金
について、
都道府県別
の
米販売量ウエート
により加重
平均
した
賃金
という
考え方
で
算定
しております。 また、
自己資本利子
及び
自作地地代
につきましては
金利
の
動向
が大きく
影響
いたしますが、本年の場合、
金利
が短期的に大幅に
低下
し、戦後最低の
水準
になっていることにも配慮し、
家族労働費
とともに重要な
所得付与部分
を占めるこれらの
要素
が、
金利水準
の急激な
変動
により大きく揺れることは必ずしも適切でないとの
考え方
に立ち、その
影響
を緩和するような
とり方
をしております。すなわち
自己資本利子
の
金利
の
とり方
につきましては、
自作地地代
の
算定
における
金利
の
とり方
とも関連づけて、
米価算定
時における
農協
六カ月
定期
と一年
定期
の
平均
の五十八年以降五年
平均
をとっております。なお、昨年の
政府試算
では、より短期の
農協
三カ月
定期
の
金利
も織り込んでいましたが、本年においては
金利水準
の安定を図るために織り込まないことといたしました。 また、
自作地地代
の
評価
につきましては、五十九
年産
型のやり方と同じく、
固定資産税評価額
を元本とする
土地資本利子
という
考え方
に立ちまして
算定
しておりますが、その際の
適用利率
につきましても、
金利低下
の
影響
を緩和する
観点
から十年
利付国債
の過去五カ年間の
平均
の
応募者利回り
を用いております。
企画管理労働
につきましては、
現行米価算定方式
の
対象
となっております圃場における直接的な
生産労働
とは異なること、その範囲や把握の
仕方等調査
上にもいろいろ問題があること、零細な
農家
まで含めた
米販売農家
を
算定基礎
としていること、
現下
の米の
需給事情等
から見て、
米価算定
に算入する際には無理があると考えられます。 一方、
作付規模
の
拡大
や
生産組織化
、
複合化等推進
により、
水田農業
を確立していくことが重要な
課題
となっている中で、今後、企画
管理
的な
労働
もより重要になってきている点に配慮いたしまして、本年においては暫定的な
取り扱い方
として、いわば担い手予備軍的な
農家
と考えられる
規模層
、一・五ヘクタールでございますか、それ以上のものにつきまして
企画管理労働
を付与するとの
観点
から、過去のデータに基づいて、その
生産性
や
相当分
を算入しております。 以上に加えて、近年の新しい
収量変動
が
算定値
に実際上大きく
影響
していることにかんがみ、昨年の
政府試算
と同様、
米価算定適用年
の
直近
三年
平均
の十アール
当たり生産費
と単収を
基本
としつつ
収量変動平準化
のための
一定
の
係数
を用いることにより、
収量変動
の
影書
を緩和するようにしております。 その際、昨年の
政府試算
においては、
直近
三年
平均
単収と
直近
三年の
平均
単収の
技術水準
に修正した
直近
五年
平均
単収との
比率
を
収量変動平準化係数
として用いましたが、本年においては、昨年の
方式
のような過去の
技術水準
を
平準
単収で修正するといった違和感や、期間を何年にするとかといった問題が解消され、かつ、より安定的であると見られる
生産費
単収と
推計
により求めた平年
ベース
の
生産費
単収との
比率
を用いております。 以上のような
方式
により
試算
されました結果は、一-五類一-二等
平均包装込み
で、いわゆる
基本米価
で
現行米価
よりも五・九五%低い一万七千五百五十七円となります。 それでは、次に、
資料
に入らしていただきます。 お
手元
の
資料
の第一ページにございます算式でございますが、
Pイコール云々
とある中の
分子
の
部分
は、十アール
当たり評価
がえをしました
生産費
、それの三年
平均
を示しておるわけでございまして、
分母
にありますところの十アール
当たり収量
、これも三年
平均
でございますが、それで割りますと、一応
キログラム当たり
の
生産費
、これは
生産費
・
所得補償方式
で
評価
がえを行った
生産費
でございますが、それが求められることになるわけでございます。その
生産費
にαというのを掛けまして六十
キログラム当たり
に換算しておるわけでございますが、このαが
先ほど
申し上げましたような
収量変動平準化係数
でございます。 その
収量変動平準化係数
につきましては九ページをお開きいただきたいと思います。九ページの
真ん中
辺に「3
収量変動平準化係数
の
算定
」というのを書いております。式はごらんいただきますと若干いかめしいような式になっておるわけでございますが、
分子
は
直近
三年間において実現されました
生産費
単収を
平均
したものでございますし、
分母
につきましては、
分子
と同じ
直近
三年間におきますところの平年
ベース
の
生産費
単収を
推計
しまして、それを
平均
したものであります。この平年
ベース
の
生産費
単収の
推計
は、少し下の方のZr分のというところの
説明
に書いてありますように、
米生産費調査
による
米販売農家
の十アール
当たり平均収量
と
農林水産省統計情報部
の
作物統計調査
に基づく十アール
当たり収量
との
関係
から計測した
次式
、次のページに一応挙がっておりますが、
yイコール云々
と、この式によりまして一応計算したものでございます。 以上のような一ページの式に基づきまして計算した結果が二ページの上に書いておりますところの「求める
価格
」でございます。三年
平均
のものの
評価
がえをしました
生産費
、下は単収でございますが、それに今
説明
いたしました
収量変動平準化係数
を掛けまして六十キロ
当たり
の求める
価格
、いわば
農家
の
庭先価格
でございますが、それが求められるわけでございます。この
価格
に
運搬費
を計上いたしまして、足しまして
政府
の
買い入れ場所
における
価格
に換算するわけでございます。私どもこれを
基準価格
と呼んでおります。この
基準価格
をもちまして「3」に書いておりますような「うるち
軟質
3類1等
裸価格
」を算出するわけでございます。この算出は、
所要
の
方式
につきましては従来と同じような
方式
で算出しておるわけでございまして、結果は一万七千四百四円と、こういうことに相なっておるわけでございます。この
価格
から
ウルチ
一-五類、一-二等
平均
、
包装込み
、
生産者手取り予定価格
、いわゆる
基本価格
でございます。私
ども米価云々
といって代表させる場合におきましてはこの
基本価格
を使わさしていただいておるわけでございますが、これも
所要
の
計算方式
によりまして計算いたしますと、一万七千五百五十七円になるわけでございます。 この
価格
が昨年の一万八千六百六十八円に比べますと、額にいたしまして千百十一円
マイナス
になるわけでございますし、率にいたしまして五・九五%の
マイナス
、こういうふうなことに相なるわけでございます。三ページには御参考までに「
類別
・
等級別政府買
入
価格
」を掲げております。これは
先ほど
の
ウルチ軟質
三
類一等裸価格
を
類別格差
と
等級
同
格差
でもって開いたものでございます。この
等級間格差
なりまた
類別格差
につきましては前年どおりの
格差
を適用さしていただいております。 大体以上が今回の
試算
の
概要
でございますが、
先ほど
もちょっと
説明
さしていただきました中に、
企画管理労働費
について
規定
を織り込んでおるということを申し上げましたが、それにつきましては八ページをお開きいただきたいと思います。八ページの
真ん中
辺に「(7)
企画管理労働費
」というのを置いております。それをちょっと読ましていただきますと、「
米生産費補完調査
の結果に基づく
稲作
に付帯して必要な
集会出席
、
技術習得
、
資金調達
及び
簿記記帳
に係る時間」、これが二時間に相なります。「時間に、
対象農家
の
生産数量
に占める
水稲作付規模
一・五ヘクタール以上層の割合を乗じて求めた時間に見合う
評価額
」を
都市均衡労賃
で
評価
して
算定
しております。十アール
当たり
にいたしまして、
先ほど
申し上げました
企画管理労働費
の時間が二時間でございますし、一・五ヘクタール以上層の
生産量
のシェアが五〇・八%でございますので、それを乗じました結果一時間というのが得られるわけでございます。以上をも今回の
試算
では織り込みまして、
先ほど
申し上げましたような結果に相なっておるわけでございます。 そのほか細かい
算定
の内容につきましては時間もございませんので省略さしていただきたいと思います。 以上でございます。
高木正明
4
○
委員長
(
高木正明
君) 次に、
昭和
六十二
年産米生産費
の
調査
結果を聴取いたします。
松山統計情報部長
。
松山光治
5
○
説明員
(
松山光治
君) お
手元
にお配りしております
資料
によりまして
昭和
六十一
年産米
の
生産費
について簡単に御
説明
さしていただきます。 一ページ目に
総括表
が出ておるわけでございますが、本年の場合は最近の
稲作
をめぐる
事情
、その中での
調査環境
の変化といったようなことも勘案いたしまして、玄米十俵以上
販売農家
の
平均値
としてお示しし、六十
年産
の結果についても必要な組みかえ集計を行った結果をお示ししてございます。ごらんいただきますように、十アール
当たり
の
数字
で申しますと、
物財費
が二%強の増、
労働費
が二%強の減という
状況
の中で、
費用合計
から
副産物価額
を差し引きました第一次
生産費
で十三万七千八百七十五円、それに
資本利子
と
地代
を算入いたしました第二次
生産費
が十七万七千七百二円という結果に相なっておりまして、前年との増減では一%
程度
の増、こういう
数字
に相なっておるわけでございます。右側に六十
キログラム当たり
の
数値
が出でございますが、六十
キログラム当たり
の
数値
につきましては、第一次
生産費
が一万五千三百十二円、第二次
生産費
が一万九千七百三十五円ということでそれぞれ一%
程度
の
マイナス
に相なっておるわけでございますが、十アール
当たり
が増になり六十
キログラム当たり
が減になっておるというのは、昨年御案内のように豊作でございまして、十アール
当たり収量
が五百二十九キログラムから五百四十キログラム、二・一%
上昇
しておる、こういうことの反映でございます。 こういう
状況
の中で
収益性
については、そこにございますけれども、粗
収益
で十アール
当たり
十七万三千八百七十七円、
所得
で八万二千五百十一円といずれも一%台の増ということに相なっておりまして、これはいずれも
収量増
が反映したもの、こういうふうに御理解いただいたらいいのじゃないかと思います。 中身について若干の御
説明
をさしていただきますが、二ページをお開きいただきますと、まず
費目別
の
構成
でございますけれども、「(1)
費目
の
構成
」というところをごらんいただきますと、一番大きな
ウエート
を占めておりますのが
労働費
でございまして三六・七%でございます。続きまして
農機具費
が三〇・七、以下
肥料費
、
賃借料
、
料金
、
農業薬剤費
と続いてございまして、この五つの
費目
で
費用合計
の八六・八%を占めておるわけでございます。 これら
主要費目
の十アール
当たり
の
数値
の
動向
でございますけれども、まず
労働費
につきましては、
先ほど
も申しましたように五万二千四百五十五円ということで、前年を二・四%下回ってございます。これは
労賃単価
が
上昇
はいたしましたものの、十アール
当たり投下労働
時間が五十二・二時間という結果に相なりまして、
マイナス
四・二%ということが
影響
しておるわけでございます。
農機具費
につきましては前年を三・七%上回っておりますが、自
脱型コンバイン等
の
高性能機械
への更新が進んでおるといったような
事情
があるわけでございます。
肥料費
につきましては、ほぼ前年
並み
となってございます。昨年、
肥料
の
単価
が六十一年七月に改定になりまして、主要十品目で一〇%強の値下がりになったわけでございますけれども、既にその段階では六十一年についての
肥料
の手当ではほとんど終わっておるということで、この六十一年の結果には昨年の
肥料価格
の
低下
は反映されておらないというふうにごらんいただいていいのではないかというふうに思います。
賃借料
と
料金
につきましては、
ライスセンター
でございますとか
カントリーエレベーター等
の
利用
がふえておるという、そういう意味での
稲作
の
作業委託
の増加を
中心
といたしまして前年を七・八%上回ってございます。
農業薬剤費
は前年
並み
、
地代
につきましても若干前年を上回る、こういう
数字
でございます、このほかに、
ウエート
としてはそれほど多くないんですけれども、
光熱動力費
、これは
油代等
の
減少
によりまして一二%近いダウンに相なっております。 以上が
主要費目
の
動向
でございますけれども、
作付規模別
の
生産費
の
状況
をその次に記載いたしてございます。十アール
当たり費
で見ましても、それから六十
キログラム当たり
で見ましても、
規模
が大きくなるにつれまして
費用
が逓減するという形が明瞭にあらわれており、特に六十
キログラム当たり
ではその
程度
が大きくなるというのが全体の姿でございます。 これは
作付規模
の大きな階層ほど
農機具
の効率的な
利用
が行われる、
稲作労働
の
省力化
も進む、それに伴いまして
労働費
なり
農機具費
なり
賃借料
、
料金
の
費用
が
低下
するといったようなことになるわけでございますが、例えば
数字
で申しますと、三ページの一番上の方にございますように、十アール
当たり
の
生産費
で申しまして、
生産費
の一番高い〇・三ヘクタール
未満層
を一〇〇として見てみますと、一・五ヘクタールから二ヘクタール層で七三、二ヘクタールから三ヘクタールで七一、三ヘクタールから五ヘクタールで六九、五ヘクタール以上層で六四というようにかなりはっきりした逓減の様子が見られるわけでございます。
収益性
については、
先ほど
申し上げたところでございますが、十アール
当たり
の
所得
を一日
当たり
の
所得
に引き直してみますと、
省力化
の進展を反映いたしまして前年を五・八%上回って一万二千九百十八円になっております。これが六十一
年産
の
米生産費
の結果でございます。 四ページ以下に細かな
統計表
が出ておりますけれども、ひとつこれは後ほど御参照いただければありがたいと思います。 以上でございます。
高木正明
6
○
委員長
(
高木正明
君) 以上で
説明
の聴取は終わりました。 これより本件に対する
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
村沢牧
7
○
村沢牧
君 六十二年
生産者米価
について
農林水産省
は、
事前調整方式
などといって、
米価審議会
前に
政府
と自民党が
調整
をし、
諮問案
ができ上がった時点で事実上の
決定
にしてしまうというような方針をとった。そのために
諮問米価
の
決定
が随分手間取ったわけであります。
米価
は
米審
に諮って
決定
するのが
食管法
の
規定
であり、
米審
前に事実上の
決定
をするというようなことは本末転倒であるのみならず、
米審
の
審議
を無意味にし、またその機能を形骸化するものであります。
大臣
は
米価決定
について
米審等
の
関係
をどういうふうに考えていらっしゃるのか。
加藤六月
8
○
国務大臣
(
加藤六月
君) ただいま十時から
米審
を開いていただきまして、
政府諮問案
を
諮問
いたしたところでございます。そして、冒頭、
米価審議会
全体の
意見
として、
村沢先生
が御質問になったような全体の御
意見
が出ました。 そこで、私は
お答え
をしてきたわけでありますが、
昭和
五十九年の
米審
の小
委員会
においての
算定方式
、
算定基準
その他があり、また五月には
米審懇談会
を開いていろいろ
算定
についての御議論を承り、また先般行いました前広におきましても
米審
の
委員
の
先生方
のいろいろな御
意見
を承った。その
米審
を尊重し、
米審
の
皆さん方
の
算定方式
、
基準
、いろいろな線を貫いていき、
米審
を尊重する立場からきのう一日時間が長引いたことは申しわけない、こういう
お答え
をしておきました。
米審
を
政府
としてはあくまでも尊重しておるということを申し上げたわけでございます。 そしてまた、一般的に申し上げますと、本
年産米価
の
決定
に当たっては、昨年の経緯にかんがみまして、その
水準
とともに
決定
の
プロセス
についても
国民
の理解と納得を得られるものが重要である、こう考えております。そして、今回の
諮問
は昨年の
諮問
を上回る
引き下げ幅
になることが確実と見られておりましたことから、
生産者団体等
ともあらゆる機会を通じて
意見
の
交換
を行いますとともに、
与党
との間でも、
生産者米価
のあり方はもとより、今後の
稲作
の振興の
方策等
についても
意見
の
交換
、
調整
を行ったところでございます。 そういう今回の
諮問
に至る過程におきまして、
与党
初め
関係
各方面と種々
意見
の
交換
、
調整
を行ったことは事実でありますけれども、これは
米価審議会
から答申をいただいた後、
決定
に至る間の、
国民
の目から見ればいわば不透明とも映る
プロセス
をなくしたいという意図によるものでございまして、したがいまして、冒頭申し上げましたように、
生産者米価
の
決定
までを行ったものではございません。
決定
は、
米価審議会
の
意見
を伺った上でこれを尊重し、適正に行いたいと考えておるところでございます。 ―――――・―――――
高木正明
9
○
委員長
(
高木正明
君) この際、
委員
の
異動
について御報告いたします。 ただいま、三治重信君が
委員
を
辞任
され、その
補欠
として
柳澤
錬造君が選任されました。 ―――――・―――――
村沢牧
10
○
村沢牧
君
米審
を尊重して
米価
を最終的に
決定
するということは、本日
諮問
したこの
諮問米価
がそのまま即
決定
米価
には必ずしもならない場合もあるというふうに理解していいんですか。
加藤六月
11
○
国務大臣
(
加藤六月
君) ただいま
米審
に
諮問
をいたしたわけでございます。これから
米審
の方におきましていろいろ御
審議
をいただくわけでございます。そして、今
お答え
いたしましたように、
米審
の
意見
を尊重しまして適正に
決定
していきたいと考えておるところでございます。
村沢牧
12
○
村沢牧
君
政府
と自民党の折衝によって
諮問米価
は五・九五%、金額にして六十キロ
当たり
千百十一円という大幅な値下げになった。実に三十一年ぶりの値下げであって、我々の容認できないところであります。日本社会党はかねてから
政府
に対して六十二
年産
の
生産者米価
等に関する申し入れを行って、
大臣
にも折衝してまいりました。我が党は、六十二
年産
生者
米価
は、
生産費
及び
所得補償方式
によって
算定
をし、農民の
所得
を補償し、再
生産
が確保されるよう
決定
すべきである、つまり農民団体の要求する
米価
を最低限度として、これを補償せよという申し入れは、これは
大臣
御承知のとおりであります。 そこで、当
委員会
はこれから
審議
を行うところでありますが、したがって、
米審
の
意見
を尊重することも当然のことであるけれども、国会における
審議
、提言、
意見
等も
米価
の最終
決定
の際には十分しんしゃくして、参考にして
決定
をするのか。
加藤六月
13
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 「
昭和
六二
年産
生産者米価
等に関する申し入れ」、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党、社会民主連合、各党それぞれの申し入れ、
先ほど
各界、各方面の御
意見
を十分承りという中に参照いたしております。
村沢牧
14
○
村沢牧
君 各党の申し入れも参考にするということでありますが、これから
審議
する、要求する問題についても最終
決定
の際には十分しんしゃくしていただけますね。
加藤六月
15
○
国務大臣
(
加藤六月
君) これから十分いろいろな御
意見
を承りたいと思います。
村沢牧
16
○
村沢牧
君 承っておっただけじゃだめですからね。我々の
意見
、国会の
意見
も十分くみ上げて
決定
しなきゃだめです。強く要請しておきましょう。
政府
は、六十一
年産米
の
生産費調査
も判明しない以前から六十二
年産
生産者米価
を大幅に引き下げることを宣伝し、
大臣
、あなたもそのことを言明して引き下げを既定事実のようにしてきたわけなんです。そして前広
米審
では九・八%下がるという
試算
を示した。この九・八%という
数字
は、食糧庁がいかに弁明しようとしても、昨年引き下げようと思ったができなかったその不足分も含めていることは、これは明らかであります。全く不当なものである。
大臣
、従来は
米価
の引き下げについて大蔵省がPRした。ことしは大蔵省とともに農水省が表面に立って
国民
世論をかき立ててきたんです。これが農業の
発展
を願い、農民の生活向上を求めるべき農水省の態度といえるんですか。
加藤六月
17
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 私は、
米価決定
については三大
基本
方針があるということをかねがね申し上げております。 そのうちの一つの中に、昨年の
米価決定
の経過並びにその後における米あるいは食管制度に対する内外のいろいろな要請等というのを三大
基本
方針のうちの一つに入れておりまして、また農政審の報告を尊重し、誠実に着実にこれを実施していく、それからもう一つは、内外の厳しい
情勢
の中に内外
価格
差というものを念頭に置いて考えていく、こういったことを申し上げておったわけでございます。 そういう中で、
先ほど
お答え
しましたが、
米審
答申をいただいた後の最終的
米価決定
に至る経緯というもの、それを事前に十分
意見
を承りながらやっていくという立場をとったわけでございまして、ある面で申し上げますと、昨年の
生産者米価
の
決定
がそのまま尾を引きまして今日の
諮問
につながる経緯もあるわけでございます。したがいまして、今回の
生産者米価
の
諮問案
というものは、この一年間の
国民
各界各層の御
意見
、方法、献策を承って決めたものでございまして、その間いろいろなことがありました。今御指摘になりました九・八%といったものは、前広
米審
を開くに際しまして複数の
委員
から、
昭和
六十一年どおりの計算をしたら幾らになるか出せという御意向がございまして、その線に従って出したものでございます。あれが即
政府
の
諮問
値でないことは御存じのとおりでございます。
村沢牧
18
○
村沢牧
君 いずれにしても、ことしの
米価
は下がります下がりますと、
生産費
もわからないうちから農水省があちこちに宣伝した。こういう態度は許すことはできないと思うんですよ。 それじゃ、今
大臣
は、ことしの
米価決定
については昨年の経緯を踏まえてそこから尾を引いていると言っているんですが、ことし
試算
をしたら九・八%下がる、しかし
諮問
は五・九五%の引き下げにとめたと。そうすると、その差の三・八五%はまた来年尾を引くんじゃないですか。そういう
考え方
だったら、また来年
試算
をするときに、ことし実は六十二年度九・八%下げようと思ったけれども下げなかった、したがって六十三年度のこの
米価算定
の
方式
を今のままとするならば、また来年も尾を引くということになりますが、そういうことをしませんか。
加藤六月
19
○
国務大臣
(
加藤六月
君) ことしの
諮問案
を決める前、各界各方面の
意見
をいろいろ承った際にも、昨年の
政府
諮問米価
は三・八%引き下げ
諮問
でありました。それが
試算値
の一部として、
試算値
として昨年の
要素
、
基準
をそのままにした場合の九・八という
数字
が出た際にも、昨年の三・八は引いて計算しろという御
意見
がありましたが、昨年どおりの
数字
を入れれば九・八というのが
諮問
値ではありませんが出るということは間違いありません。したがいまして、私は各界各方面と
調整
をいたします場合に、もしことしまたいろいろなことをやると、来年に、もちろん来年のことを言ってもこれからの
物価
とか
金利
とかあるいはいろいろな
情勢
の変化大いにありますが、来年に持ち越すことになる可能性もなきにしもあらずでございますということは各界各方面にはっきり申し上げました。それは
算定
方法、
算定基準
、
要素
の取り入れをこのまま変更しないでいったならばという前提はつきます。
村沢牧
20
○
村沢牧
君 昨年はいろいろあったけれども据え置くということに
決定
した。決着はついたんですよ。それをまた三・八なんて持ち出したのはおかしい。そういう論法でいくと、ことしも五・九五%下げると決着をする、また来年そのことを、九・八下げようと思ったけれども五・九五だからその差額をまた来年に持っていくということになるでしょう。絶対そんなことをやっちゃいけない。はっきりした答弁をしてください。
加藤六月
21
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 今
米審
において
米価
の
諮問
をいたしておりますが、また片一方、
米審
において
生産費
・
所得補償方式
その他によって
算定要素
、
算定基準
は
米審
が議論していただくところでございます。ここで承認され、おつくり上げていただいたものに従ってやるわけでございます。
村沢牧
22
○
村沢牧
君
米審
が
審議
することはわかっているけれども、ことし
算定
した不足をまた来年持ち越す、
大臣
の答弁聞いているとそういうことになっちゃうんですよ。そんなばかなはずがない。ただ、ことしの
算定
は少なくしたわけです。来年またそれがはね返っていくわけですね。ことしはことしで決着するんですよ。決着したところから出発しなきゃいけないんです。もう一回答弁してくださいよ。
加藤六月
23
○
国務大臣
(
加藤六月
君) そこら辺の議論も随分ありました。それらの議論を踏まえ、五月の
米審懇談会
においてそこら辺をお諮りしておるところでございまして、来年以降のそういう問題については今後
米審
において御
審議
願うようになっておるわけでございます。
村沢牧
24
○
村沢牧
君
米審
において
審議
することは当然のことですが、冒頭申し上げたように、国会の
意見
だって聞かなきゃだめですよ、
大臣
。きょうは
米価
だけで終わりますが、そういうことはずっと
農林水産委員会
でやりますよ。そんなふざけたような
決定
の仕方はだめだ。 そこで、
大臣
はことしの
米価決定
を考えるに当たって三大方針を言った。私は一つ欠けている問題がある。それは何か。
米価
を
食管法
に基づいて
決定
しなきゃならない。
食管法
には
生産者米価
及び消費者
米価決定
の
基本
原則が明記されており、この
規定
が
食管法
の根幹である。ところが、今日まで
大臣
のいろいろな話を聞いても、
大臣
の口から
食管法
に基づいて
決定
するという言葉は一言も出てこない。幾ら
大臣
が
食管法
の
基本
を守ると言ったって、こういう姿勢じゃだめなんですよ、
食管法
の立場がない。
加藤六月
25
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 私はいかなる場合にも三大
基本
方針を申し上げた後、
食管法
の
規定
に従い
米審
にお諮りいたしますということを言っております。
村沢牧
26
○
村沢牧
君 私が今指摘したから言ったんじゃないですか。さっき言わなかったじゃないですか。 そこで、
大臣
は
生産者米価
の引き下げをPRするとともに、消費者
米価
の引き下げも宣伝した。消費者
米価
を下げるということは結構なことだけれども、実際に行うのか。またそれはいつ、どのくらいの幅で行うのですか。
加藤六月
27
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 私は
生産者米価
のことにはよく言いましたが、消費者
米価
問題に直接言及はほとんどいたしておりません。ただ、あるところの質問で出ましたから、私の後の
農林水産大臣
が年末に考えることでございます。その私の後の
農林水産大臣
に選択の余地を残してあげたいというのが一点でございます。 それからもう
村沢
委員
御存じのとおり、今この十月末には恐らく百九十万トンの持ち越し分が出できます。これらに対して、もし
生産者米価
が下がるようになった場合にどういう措置をしなければならぬかということは政治家として念頭に置かなくてはならない問題であります。このように言っておるわけでございます。
村沢牧
28
○
村沢牧
君
大臣
、あなたの寿命は短いかもしらぬが、私の後の
大臣
が決めることだって、全く失礼な言い方ですよ。自由民主党が政権をとってやっていくとするならば、
大臣
がだれにかわろうとあなたの言ったことはやらなきゃいけないじゃないですか。あなたはしかし
生産者米価
を下げれば消費者
米価
も下げますと盛んに宣伝している。もしあなたの言うような今の答弁だとするならば
生産者米価
を下げるための一つのPR、手段、それに使ったにすぎない、全く邪道だ。本当は消費者
米価
下げる気持ちがあるんですか。はっきり答弁してください。
加藤六月
29
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 消費者
米価
も同じように
米審
にお諮りいたすわけであります。そうして今までの慣例で消費者
米価
といいますか、
政府
売り渡し
価格
を
決定
するのは年末にやっております。そういう意味で私は申し上げたわけであります。 ただ、私の念頭には我が国の米の
需給
を貫いていき食管制度の根幹を守っていくためには、消費者、
国民
、納税者、こういう方々の理解と納得と支援がなければならないということを申しておるわけでございます。
村沢牧
30
○
村沢牧
君
大臣
、あなたがここでどういう弁解しようとしても、あなたの言ったことが新聞に報道されている。消費者
米価
も下げますよ、しかも
大臣
は二段階に分けて下げると言っている。農水省の事務次官はそんなことはできないと言って、そんなことまで新聞に出ているんですね。一体消費者
米価
下げるのか下げないのか。
米審
において決めることは当然のことですが、
諮問
するのはあなたなんですよ。どうなんですか。
加藤六月
31
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 今も申し上げましたように、米の自給を貫いていく、そうしてまた食管制度の根幹を守るということ、これは単に
生産
者だけのためではない、
国民
全体のためであるという理解と納得と支援をいただくためには、もうここから先は申し上げなくても賢明な
村沢
委員
はおわかりいただいているだろうと思うのであって、私は食管制度というものが
生産
者のためだけにあるのではいけない。そうしてまた米の内外
価格
差がこれほど激しく議論されておるときに、
生産
者だけが云々と言うのではなくて、
国民
の、消費者の理解と納得が得られなければいけない。そうしたらさらに詳しくこういう、きょうは時間が余りないから申しわけないと思うんですが、私のところへも主婦連や消費者団体や生協の
皆さん方
が、ぜひ
加藤
さん食管制度を守ってくれ、自給を貫いてくれと言ってこられる。これらに対してありがとうございますというだけの言葉ではいけないので、これを形で示すためにはどういうようにしたらいいかということは、もう国会であろうと、その場に当たる者は皆さんお考えになっておられる問題であると考えております。
村沢牧
32
○
村沢牧
君
大臣
の言葉から推察するならば、消費者
米価
も下げるというふうに私は理解しておりますが、
大臣
消費者
米価
というのは、これ
食管法
によって決めるんですね。家計の安定を旨として決めるんだ。
生産者米価
が下がったから消費者
米価
を下げるとか、
生産者米価
が上がったから消費者
米価
を上げるとかそんなものじゃないんだ。ですから、あなたが言うように、
国民
が納得するためには消費者
米価
も下げる。いいですね、そう理解して。そう理解しますよ。
加藤六月
33
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
村沢
委員
がおっしゃったとおりに
生産者米価
イコール
政府
売り渡し
価格
の引き下げというような
規定
にはなっておりません。そのとおりでございますが、
先ほど
来申し上げておるような立場で今後
政府
売り渡し
価格
は考えていかなくてはならないと思っております。
村沢牧
34
○
村沢牧
君 そこで、時間がありませんから個々のこと質問できませんが、ことしの
生産者米価
を下げる理由は、
生産費
も下がったというふうに言っているんですけれども、
先ほど
統計情報部長から
説明
があったように、六十一
年産米
のこれを
生産費調査
で見るならば
生産費
は下がっておらない。つまり前年対比十アール
当たり
では一・一%の増、六十キロ
当たり
では
マイナス
一%、わずかな
減少
ですね。だから現行の
平均生産費
は一万九千七百三十五円、
現行米価
と比べてみても随分この
生産費
が高いわけです。ましてやこの
諮問
価格
と比べて、この
生産費
と比べてみると
諮問
価格
の方が二千百七十八円も低いんですよ。こういう
数字
を皆さんが発表したって
生産費
が下がった下がったと言えないじゃありませんか。 そこで具体的に聞きますけれども、
諮問米価
で
生産費
をカバーできる
農家
数あるいは一戸
平均
の販売数量、これを示してください。
数字
だけで結構です。
山田岸雄
35
○
説明員
(
山田岸雄
君) 六十二
年産
の
諮問米価
と六十一
年産
の
生産費
を比べて、そこでカバーしているものがどれぐらいか、こういうことにつきましては若干問題なしとしないと思うのでございますが、御指摘の点について申し上げますと、第二次
生産費
をカバーできる
農家
の戸数のシェアは一九%ではないかと、このように
算定
しておりますし、また販売数量シェアでは三七%
程度
ではないかと、こう計算しておる次第でございます。
村沢牧
36
○
村沢牧
君 まだ答弁になっていませんよ。どのぐらいな面積、あるいは一戸
当たり
どのぐらい販売したら採算がとれるのか、それも質問しているんです。
山田岸雄
37
○
説明員
(
山田岸雄
君) 面積にいたしますと、二ヘクタールから二・五ヘクタール
規模層
ぐらいではないだろうか、このように見ておりますし、またその場合におきますところの販売数量につきましては、この販売数量について二ヘクタールと二・五ヘクタール、こうしたものにつきましては一応
生産費
のカバーというふうなカバー率を出す場合にはこれが言えるわけでございますが、
規模
の中にも二ヘクタールから二・五ヘクタール以上のものにありましても
生産費
は非常に高いものもございますし逆に低いものもある、こういったことで厳密な計算はなし得ないわけでございます。したがいまして、ここの
数字
を正確に出せ、こういうふうなことになりますと問題があるわけでございます。
村沢牧
38
○
村沢牧
君
大臣
、お聞きのように、この
諮問米価
で第二次
生産費
がカバーできる
農家
というのは二ヘクタール以上、昨年は一・五ヘクタール以上でカバーできたんですよ。ことしは二町歩以上つくらなければカバーできない。しかも、その
農家
は米づくり全
農家
の一九%、しかも販売数量の三七%。今、
食糧庁次長
は答弁ができなかったけれども、二年ぐらい前の農水省の
資料
によれば米百俵以上、ことしは恐らくもっと要るでしょう。百五十俵ぐらい売る人でなくちゃ
生産費
がカバーできないんですよ。こんな
米価
でもって一体
生産費
を補償した、これでもって
稲作
農業ができると言えるんですか。
加藤六月
39
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
食管法
を尊重するということは
先ほど
来申し上げておるわけでございますが、今回さらにいろいろ具体的な
数値
を検討しましたが、私が念頭に置き、また各党の
先生方
のいろいろ御要請があった点を踏まえたわけでございますけれども、一つは潜在
需給ギャップ
の
拡大傾向
に示される米
需給
の趨勢、あるいは単
取水準
の
上昇
や
投下労働
時間の
減少
等の現に進みつつある
生産性
の向上や
生産
コストの
状況
、あるいは
物価
や
金利水準
の
低下
、
労賃上昇率
の
鈍化等
の最近の趨勢、こういうもろもろのものを的確に反映させたいという
基本
的視点に立っておるわけでございます。
村沢牧
40
○
村沢牧
君
大臣
の答弁のようにはなってないじゃないですか、
諮問米価
は。米
生産
戸数の八一%は
生産費
が償えない。販売数量の六三%は償えないんですよ。 じゃ
大臣
、そんな
生産費
を償えないような二ヘクタール以下の米づくりなんというものは要らないというんですか。それじゃ、一体これだけの現時点において
生産費
を償えるような
農家
だけに米をつくってもらうんだと、その他の
農家
はもう米づくりは要らないというんですか。それとも
稲作
農業生き残るためにどういう展望と
農家
のビジョンを持っているんですか、はっきり答えてください。
加藤六月
41
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 毎年
米価
を
決定
するときに零細米づくり
農家
の問題は議論になっておるわけでございます。しからば、そういう方々が米をおつくりになるのをおやめになっておるかというとおやめになっておりません。この事実は厳としてあるわけでございます。私たちは、したがってそういう零細米作
農家
の
皆さん方
がさらに
生産性
を向上していただくためのいろいろな施策、方法を講じておるわけでございます。具体的には農蚕
園芸局長
あるいは
食糧庁次長
から
お答え
させますけれども、土地を貸したり、あるいはまたそういうものの
皆さん方
から新しい企業体をつくっていただいたり、いろいろな方法を講じておるわけでございます。
村沢牧
42
○
村沢牧
君 いろいろ方法を講じて
規模
拡大
を図っていかなければならない必要性は十分承知をしております。承知をしているけれども、
諮問米価
ではこれだけしかカバーできないんですよ。カバーできなくても零細
農家
は米づくりをやめない、そうでしょう。しかし、専業
農家
で米をつくっている人たちが採算が合わないとなったらやめちゃうんですよ。それで日本の米は安定的に供給できるようになりますか。ですから、いろいろのことを言っているけれども、こんなに
諮問米価
を下げて、それをそのまま
決定
しようとすることはいかにしてもこれは無理だ。本当に農民の立場、
農家
の経済を考えているやり方ではない、そのことを強く私は指摘をしておきたいと思うんですよ。これ以上言っても
大臣
からそんないい答弁返ってきませんからね。
大臣
、よく考えてください、私の言うことが間違っているかどうか。 そこで、昨年どおりの
算定方式
に
算定
したらこういうことになりますと、さもこの
算定方式
が正しいものである、絶対的なものであるような印象を
国民
に与えているわけです。私はそうじゃないと思う。この
要素
の取り方によって
米価
を上げることも下げることもできるし、
政府
の最近の農産物
価格
の
決定
方法は、最初に下げるとか上げるとか据え置きを決めておいて、それによって
要素
を合わせているにすぎないじゃないですか。この
要素
だってそうですよ。九・八%下がったけれども、これを五・九五%に下げたのも
要素
を勝手に変えちゃったわけですね。どうにでもできるじゃないですか。しかし、例えばことしは大幅に下げたけれども五十六
年産米
の
決定
の際には従来の
算定方式
でいくならば一一・七%上がったんだよ。それを皆さん
要素
を変えて据え置きにしちゃった。こんなことをやって
算定方式
が正しいなんて言えたあれじゃないと思うんです。そこで、その
算定方式
についても今度だって変えるべきだと思う。どうしてこのことを考えなかったんですか、
大臣
。
加藤六月
43
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
先ほど
来御
説明
申し上げましたように、五月の
米審懇談会
においで
算定方式
のいろいろな
考え方
について
米審
の
先生方
の
意見
を承っております。そうしてまた、先般の前広
米審
においてもこれらに対する
意見
はいろいろ出たわけでありますけれども、ことしは間に合わない、時間的に余裕がない等の御
意見
があり、そしてまた先般の前広
米審
におきましては、
昭和
五十九年に
決定
した
算定方式
の大筋を尊重して
諮問案
を考えるという御
意見
等があったところでございます。
村沢牧
44
○
村沢牧
君 時間的に間に合わないと言ったって、食糧庁なんか去年のうちからもう来年の
米価
を下げるって頭に描いておったじゃないですか。ですから
算定方式
を考えることだったら十分できることなんです。しかしもう一つ、ことし変えることができなかったことは、去年の
米価決定
の際、六十二年度
米価
は現行の
算定方式
どおりに
決定
をする、こういう
政府
と自民党との確認事項があった。ですから、こういう確認事項をつくっておいて、ことし
算定方式
を変えるからと言ったって、それはなかなか理屈に合わないことなんです。ことしはそんな確認事項はありませんね。何もありませんね。
加藤六月
45
○
国務大臣
(
加藤六月
君) ことしも確認事項はあります。ただ申し上げておきたいのは、昨年もそういう確認事項は行いましたわけでございますけれども、伊東政調会長メモというのがございまして、現行の
算定方式
には、今後
米価審議会
において検討の結果採用すべきものとされた
方式
も含むというのがあります。
村沢牧
46
○
村沢牧
君 それは、今
大臣
が答弁あったことはことしの確認事項ですか。確認事項があったのなら何と何を確認したのかはっきり答弁してください。
加藤六月
47
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
昭和
六十三
年産米価
は現行の
算定方式
どおりに
決定
する、そうして同じように
昭和
六十三年
生産者米価
は、今申し上げましたような今後
米価審議会
において検討の結果採用すべきものとされた
方式
を含んでやるというようなのが、まだ私は今日まで署名しておりませんが、回ってくるようになっておると思います。
村沢牧
48
○
村沢牧
君
大臣
が署名をしたらその署名を当
委員会
に提出していただけますか。
加藤六月
49
○
国務大臣
(
加藤六月
君) させていただきたいと思います。
村沢牧
50
○
村沢牧
君 ですから、ことしの
諮問米価
を決めるのに既に六十三年のものも確認しておるんですね。来年どうなるかわからない、そんなやり方があるんですか。ことしはことしで決着をつけなきゃだめなんですよ。ですからそんなやり方は私は納得することはできませんね。後からその確認事項をいただきましょう。 そこで、今の潜在
生産
需給ギャップ
方式
ですか、なかなか難しい名前を使っていますが、
需給ギャップ
といっても、
大臣
、
需給ギャップ
があるから減反をしているんですよ。しかもことしは七十七万ヘクタールという大幅減反をしている。しかし
基本
的には
需給ギャップ
なんかあるはずがないんじゃないですか。
需給ギャップ
があるから減反しているんじゃありませんか。
山田岸雄
51
○
説明員
(
山田岸雄
君)
需給ギャップ
の問題、例年先生からいろいろと御指摘いただくのでございますが、私ども転作をやる際におきまして、今回も千三百七十万トンというのが
潜在生産量
と、このように見ておりまして、それからこれは転作関連で一応
算定
される
数字
でございますが、私どもでこの
比率
を
算定
するに
当たり
ましては
分母
の面に置いておるわけでございますけれども、その
潜在生産量
マイナス
することの
先ほど
説明
させていただきました他用途
利用
米
相当分
と、それから
定着分
というものを差し引かしていただいておるような次第でございまして、この
数字
と
分子
に計上されますところの需要量、これとの整合性を保ちながら適正な
需給ギャップ
の
比率
を
算定
する、こういうことでやらしていただいておる次第でございます。
村沢牧
52
○
村沢牧
君 私が言っていることは、
需給ギャップ
があるから、
生産
過剰になるから減反をしているんだよ。だからそういう建前からは
需給ギャップ
があってはおかしいわけなんだ。豊作になれば少しふえるかもしれませんよ。しかし今農水省が考えているような
需給ギャップ
はおかしい。しかも
需給ギャップ
の
潜在生産量
の
基本
になる千三百七十万トン、これは私は何回も指摘をしておるようにあくまでこれは
推計
の
数字
である。それは転作面積だとか転作補助金を出す前提としての
数字
であって、転作がなかったらば千三百七十万トン確保できますというこの
数字
はない。そのことは確認できますね。できるかできぬか。
加藤六月
53
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 農蚕園芸局の方から
お答え
いたしますが、現実には
需給ギャップ
は間違いなく存在しておるわけでございまして、これを無視するわけにいきません。二つの言葉があるわけでございます。顕在
需給ギャップ
という言葉と潜在
需給ギャップ
、もう
村沢
委員
の方がお詳しいわけでありますが、ここら辺のことはもう御存じのとおりでございます。
村沢牧
54
○
村沢牧
君 私の言ったことは歴代もう三年ぐらいずっと
皆さん方
がそのとおりでございますという答弁をしているんですよ。千三百七十万トンはこれは
推計
の
数字
である、絶対的なものではない、そういう答弁をしていますね。会議録を私は持ってきていますけれども、それはお認めになっていただいて、その
基本
になる千三百七十万トンが
推計
だと、はっきりしたものじゃない。それから引いたり足したり割ったりしたって出てくる答えが正しいものが出てきっこないじゃないですか。ですからこの
方式
だって絶対的なものじゃないんです。――答弁ありますか。
山田岸雄
55
○
説明員
(
山田岸雄
君)
村沢先生
御指摘の点につきまして
先ほど
も御
説明
させていただいたのでございますが、千三百七十万トンの
潜在生産量
、これから他用途
利用
米でございますが、その分の三十五万トンを引き、さらに
定着分
といたしましてその三十二万トン、これを引かしていただいておるわけでございましてその
分子
の需要量見合い、千三十万トンと見合いの
数字
ではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
村沢牧
56
○
村沢牧
君 そんな
説明
を聞いているんじゃないです。千三百七十万トンという
基本
の
数字
が違っておれば、架空のもの、推定のものであるとすれば、それから足したって、引いたって、割ったっていい答えができっこないと言うのだよ、私は。ですから、あなたはことしの最初の
生産者米価
、
諮問米価
を
決定
するについては七八%の
農家
をとったわけですな。きょう
諮問
に当たっては七九%、幾らでも動かせるじゃないですか。ですからそんなものをもって正しい
米価
でございますなんてPRしておるのは全くもってけしからぬと思うんです。きょうは時間がありませんからこの問題については後ほど論議しましょう。 そこで
大臣
、私の時間も参りましたから最後に申し上げますが、
大臣
の方はことしは
米価
は下がりますよ下がりますよと盛んに宣伝した。しかし私が指摘をしたように、この
諮問米価
によってカバーできる
農家
はどうか。
農家
は大幅な減反を受けて大変に苦しんでいる。
生産費
だってそんなに下がっているわけじゃないんです。この
農家
の苦しみというものを、私どもが
諮問
した
米価
ではこれだけしか今日本の
農家
のカバーはできませんよと、同時にあなたはPRする必要があるんですよ。
米価決定
のときには、
農家
の現状はこうです、
農家
の
皆さん方
にもこれだけ御苦労をかけています、犠牲をかけていますと、そのことを言わなかったら、ただ下げればいい下げればいいじゃ農林
大臣
のとるべき態度じゃない。したがって、要請しておきますが、
米価
を最終
決定
する場合においては
国民
に対して、ことし決まった
米価
においてはこれだけの
農家
の
生産費
がカバーできますけれども、あとの
農家
の
皆さん方
には負担もかけています、
農家
も苦しいんです、大幅減反もやられていますと、そのことをはっきりあなたが
国民
の前に明らかにしてもらいたい。
加藤六月
57
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 最後の御質問、私も全く同じ
意見
でございまして、農村の不況、地域の不況、そして
水田農業
確立によって三割つくるのをおやめいただいておる。さらに今回こういうことになるということでございまして、大変
生産
者、農民の皆さんにも御苦労をおかけし、現実には血を流していただいておるんだということを私は
国民
各界各層の皆さんに一生懸命
説明
し、PRしなければならないと深く期しておるところでございます。
熊谷太三郎
58
○
熊谷太三郎
君
大臣
に簡単にお伺いいたしますが、いよいよ
米価
の
諮問
価格
が
決定
しまして、本日、
委員会
にかけられるようでございますが、当初九・八%というふうに一応取りざたされておりました
価格
が五・九五%というところまでいわば下げられて
諮問米価
になったわけであります。いろいろの経緯があったことと思いますが、ここに至りますまでには
大臣
も随分御苦労もされ、努力もしていただいたことと存じまして、その努力に対しましてはこれを心から
評価
申し上げるのにやぶさかではありません。ただしかし、せめてこの下げ幅を五%以内にとどめてほしいという強い要望を持っておりました
農家
の方々また
関係
の皆様にとりましては、やむを得ないとは考えましても、一様の一抹の強い寂蓼感といいますか、寂しさが漂っておりますことも事実であると考えるわけであります。 もうベテランの
大臣
にこのようなことを申し上げるまでもありませんが、言うまでもなく農業は気候、風土など自然に依存する度合いの強い、多い産業でありまして、ほかの計画的な経営のできる産業とは違って非常にいわば弱い産業であります。また、非常に大切な
国民
の食糧を賄う産業ではありますが、個々の
農家
は、何といいますか、零細な収入に甘んじなければならない。しかも自然の不測な災いを常に憂慮しなければならぬ極めて不安定な状態にあるということも事実でありまして、私どもとしましては、この上とも一貫してひとつ思いやりのある
米価
対策というものを考えていただきたいということでございます。 殊に現在、
農家
地域の周辺には農業じゃない多くの中小企業も存しておりまして、
農家
の減収ということがそういう地域全体の経済状態にも非常に大きな
関係
を持つことは言うまでもないわけであります。そういうあるいは減反でありますとか減収等によります金額がどの
程度
になりますか、八百億になりますか千億になりますか、よくわかりませんが、そういうこともこの際は十分考慮しなければならぬと考えるわけであります。したがいまして、今回の
米価
の
諮問
は
諮問
といたしまして、今後とも
米価
の
算定
あるいは
方式
の
とり方
等につきましては、いろいろなこういう点を根底に置かれた思いやりのある対策をこの上とも当局は一層強化していただきたいということを心から要望する次第でございます。簡単でございますが、一言
お答え
いただければありがたいと思います。
加藤六月
59
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 今回の
諮問案
を
決定
するに
当たり
まして、
農家
、農民に対する思いやりの気持ちを持てという御
意見
、お話は随分承りました。
政府
といたしましても、
先ほど
来申し上げておりますように、
我が国稲作
の健全な
発展
を図り
国民
の主食である米の安定供給を図っていくためには、
農家
、農民の
皆さん方
の意欲というもの、そしてまた、それにつながる
生産性
向上、
規模
拡大
ということを大いに考えたわけでございます。私は思いやりあるいはそれ以上の意欲を持っていただくということに大いに配慮しまして、そしてまた、そういう方々が意欲を持ち生きがいを感じていただくということを夢寐にも忘れてはならない。ある面で申し上げますと、日本の農業を守り日本の米作を押し上げていく気持ちというものが今熊谷
委員
のおっしゃいました思いやりという言葉であると思います。政治にとって大切なものは思いやりでございまして、これは決して忘却することなく、さらに今後の農政の上にも大いに思いやりという気持ちを配していかなければならぬと考えます。
熊谷太三郎
60
○
熊谷太三郎
君 もう一つでございますが、最近、
政府
部内におきまして
稲作
農業と農村の活性化という問題が取り上げられているわけでありますが、これに関しまして今後のできるだけひとつ具体的な対策、金額あるいは補正予算としてお出しになることとか、そういう具体策につきまして、簡単で結構でございますから一言御答弁いただければありがたいと思います。
加藤六月
61
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
稲作
に関連する関連対策、これらにつきましても随分議論をいたしました。農業、農村をめぐる内外の厳しい諸
情勢
にかんがみまして、
稲作
を
中心
とする我が国農業の
生産性
向上を図るとともに、農村地域の活性化を図っていくことが緊急の
課題
であると考えております。したがいまして、こういった
観点
から、
生産者団体等
の要請も十分考慮しながら、来るべき臨時国会に提出いたします本年度の補正予算等における対応も含め、
所要
の政策というものを鋭意進めてまいる所存でございます。
及川順郎
62
○及川順郎君
大臣
、三十一年ぶりで今の空気では事実上
米価
値下げという、こういう事態濃厚でございますけれども、これはやはり戦後の一つの農政の節目になる。こういう事態に対して、
大臣
、率直な今の御感想をまず承りたいと思います。
加藤六月
63
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 内外とも農業をめぐる厳しさというのは、一段とその風の強さは増してきておるわけでございます。そういう中において、
先ほど
来申し上げております米の自給を貫いていくということと食管制度の
基本
を守っていく、そしてまた、
食管法
に従いまして適正に処置していく、あるいはまた、今我が国農業に求められているものは
生産性
の向上、
規模
拡大
、いろいろありますけれども、さらにこの輪を広げますと、我が国農業というものに対して
国民
全体の理解と納得とそして支援が必要である。そういう中でこういう
数字
が、
食管法
の
規定
あるいは
食管法
の中、あるいは
米価審議会
において御
決定
いただいております計算方法、
要素
の取り入れ等でこういう
数字
が出てきたということで、冷静に受けとめながら今後の農政の展開を図っていきたい、こう考えておるところでございます。
及川順郎
64
○及川順郎君
村沢
委員
からお話のありました今回のような一発
方式
の
米価決定
に対する
米審
を形骸化させるという問題に対して
先ほど
御答弁がありましたけれども、答弁の趣旨は趣旨としまして、結果的に
米審
の存在というものを、この位置というものを形骸化させることには変わりないんじゃないかという感じがするわけですね。もしそれを否定するとしたならば、本日
諮問
しましたこの
米価
が、そのとおりにならないで、別な
価格
で決まるということがあり得るのかどうなのかという点について、私は再度確認をさしていただきたいと思います。
加藤六月
65
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
先ほど
十時に
諮問
いたしたわけでございまして、
米審
におきましてこれからどういう
審議
日程をお立ていただき、どういう御報告をいただくかわからない段階において私がいろいろなことを申し上げるわけにはいかないのは及川
委員
御承知のとおりでございまして、裏を申しますと、私は、きのう一日かかったというのは、
米審
をいかに尊重していくかということに対しての折衝が相当たくさんあったということを申さしていただきます。
及川順郎
66
○及川順郎君
大臣
は、かねてからこの
米価決定
につきまして、これは
国民
の各界各層からの理解と協力が必要である、このことを強調しておるわけでございますが、今回決まりました五・九五%という
政府
案、この額につきまして
国民
各界各層、とりわけ私は
農家
の方々が果たして納得しているだろうか。
大臣
は
農家
の方々にも御納得いただけるという認識をお持ちですか。
加藤六月
67
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
先ほど
来御
意見
がございましたが、
農家
と一口に申し上げましても零細
農家
から相当幅広い
農家
まであるわけでございますけれども、私としましてはそういう
皆さん方
も納得していただける適正な
諮問案
であると考えております。
及川順郎
68
○及川順郎君 私の認識では、少なくとも今まで農業団体、各界から寄せられた
意見
、こういうものを総合いたしますと、理解を得られるというのは極めて難しいのではないか、むしろあきらめの方が先行しているというのが実情じゃないだろうかという憂いを深くするわけです。 話は変わりますけれども、マスコミの伝えるところによりますと、三十日の閣議で特に
大臣
は発言を求めまして、米の国内自給方針と食管制度の堅持をこの際再度明確に宣言をする必要がある、こういう趣旨の御発言をされたと伝えられておりますけれども、この真意について伺いたいと思います。
加藤六月
69
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 国内だけではなくして諸外国においてもまた我が国の米の政策、あり方についていろいろな動きが出てきております。したがいまして、こういうときに農民の
皆さん方
の不安を解消し、
農林水産大臣
としての
考え方
を閣議においてはっきり申し上げ、閣僚の
皆さん方
の認識を同じものにしておきたい、こういう気持ちから言ったわけでございます。
及川順郎
70
○及川順郎君
大臣
のこの発言は、気を悪くなさらずにお聞きいただきたいと思いますが、農業団体が警戒する米政策の大幅軌道修正の不安を打ち消すとともに、その見返りとしてことしの
生産者米価
引き下げを納得させることをねらった政治的発言と、こういう指摘があるんですけれども、この点についてはいかがですか。
加藤六月
71
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 今申し上げましたように、内外の動きということを申し上げましたが、一部の国からはまた日本の米に対する非難、あるいは一部の国においては御存じの一九七四年通商法三百一条に従っての提訴を行うといった一連の動きが伝わってきておるわけであります。そしてまた、国内においては
米価
を
決定
する云々ではなくして、それよりかもっと大切な、日本の農業は一体どうなるんだろうか、日本の米作は今後どうなっていくのだろうかという不安があることは間違いありません。 〔
委員長
退席、理事水谷力君着席〕 したがいまして、私はそういう趣旨で、現在の農村では
稲作
や農業の将来に対し不安感が持たれておるという、それからまた米の市場開放要請という問題があるという立場から、米の市場開放要請に対しては断固として国内自給方針を堅持していくこと、食管制度についても
事情
の変化に即応して適切な運営面での改善を図りつつ、制度の
基本
は今後とも堅持していくということを、この際再度明らかにすることが必要でありますと、そういう意味で言ったわけでございまして、私は、したがってまた、ある面では
生産者米価
の
数字
が少々こうなるということよりか、今申し上げました二つの線を守り、そして
農家
の
皆さん方
の不安を解消していき、そして意欲ある人が真剣に農業に取り組んでいただくようなことを
政府
としてはっきりしておきたい、ここら辺の真意でございます。
及川順郎
72
○及川順郎君
算定方式
につきまして、
先ほど
の御答弁で、やはり覚書がある、六十三
年産米価
、来年までは現行
算定方式
で行うというようなことが
先ほど
御答弁にございましたですね。これは事実ですか。
加藤六月
73
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 事実でございますが、まだ私が署名しておりませんので、そのうち私のところへも回ってくると思いますが、まず
関係
者の党の方から署名をとりまして、後は一番最後が去年も私でありましたから私のところへ来る、このように判断しております。
及川順郎
74
○及川順郎君 私はこのような姿勢というのは非常に問題があるんではないか、こう思います。手続論はともあれです。 ことしの農業団体、ずっと統一してどこの団体、どの層の人たちの御要請を私たち聞きましても、そこに一貫してあったのは
算定要素
の改善というものが強く求められていたというのが特徴だったと思うんですね。少なくとも
対象農家
の
とり方
、
家族労働
、自作地の
地代
の
評価
、
企画管理労働
付与の
評価
、
生産性
向上分の還元、こういう一つ一つを比較してみますと、
政府
の
考え方
にかなりの食い違いがある、この点が指摘されておるわけです。やはり私は
農家
の方々の
意見
にしっかりと耳を傾ける姿勢というものが主管庁としての農林省、言うなれば国と農業
生産
者の方々の信頼
関係
の一番のもとになると私は思うんですね。 そういう
観点
から考えますと、
農家
の方々の意向というものをしっかりと受けとめて、これに対応するということから考えるならば、来年もことしの
算定方式
でやるということは時間的に間に合わないなんていう理由にはならないと思うんです。やはり私は
農家
の方々の意向というものに真摯に耳を傾ける姿勢に欠けているんじゃないかという、こういう感じを強くするんですが、
大臣
、この点についてはいかがですか。
加藤六月
75
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 真摯に耳は傾けておるわけでございます。そしてまた、
先ほど
御
説明
申し上げましたが、
米審
において今後
算定方式
が変わればその問題は取り入れていくというやつもあるわけでございますから、ただ、ことしの
昭和
六十二年度の
諮問米価
を
決定
するに当たっての時間的余裕がなかったというのが
米審
の
委員
の
先生方
の御
意見
であったわけでございます。その点を誤解のないように申し上げておきたいと思います。またある面では、
米審
におきましては
算定要素
の取り入れ方についての問題についてもそこまで入れなくてもいいんじゃないか、これを入れるのはおかしいのじゃないかという議論があるのもこれ事実でございます。 したがいまして、私もある面で申し上げますと、ただいま
先ほど
十時に
諮問
したばかりでございますけれども、今回の例えば
需給ギャップ
反映必要量
比率
の問題とか、今回新しく
昭和
四十四年以来取り入れました
企画管理労働費
の算入の問題等が果たして
米審
で御理解いただけるのかいただけないのか。私はそちらの方を逆に心配いたしておる。今回の
諮問案
決定
に当たっては団体並びに各党からこの
算定要素
の改善ということについては大変よく承り、団体からも承っております。
及川順郎
76
○及川順郎君 今年度のことについては私はもう理解しております。六十三年については再度この
算定方式
を見直すということをこれを私はぜひ努力していただきたいと思います。 ここ数日、農業各団体からいろいろな方々の御
意見
を寄せていただいておりますけれども、それを整理しますと幾つかの項目になるわけですが、冒頭私が今回の
米価
の値下げ、この問題について
大臣
の御感想を求めました。これと関連いたしまして水田
農家
の
生産
意欲を減退させるというのは、米の値下げの幅も大事だけれども、むしろそれよりもそのような傾向に転換になっていくということに対する心理的な
影響
というのが非常に大きい。あわせてこの担い手の
農家
離れに非常に拍車がかかるんじゃないか。そういう意味では日本の農業にとって非常に大きな禍根になるという
意見
が強く出されている。この点についての御所見は
大臣
いかがでございますか。
加藤六月
77
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 意欲ある
農家
の
皆さん方
の御
意見
というものもいろいろな方法で承っております。そういう中で放が国の農業の実態というものは第二種兼業
農家
、第一種兼業
農家
、専業
農家
という分類の仕方もあるわけでございますが、 〔理事水谷力君退席、
委員長
着席〕 要は経営
規模
拡大
が意のままにならないということと、それからもう一つは
生産性
向上あるいは品質のいい米をつくる問題との関連、こういった問題がいろいろあるのではないか。したがいまして、農政審の報告にもそういう点をはっきりうたってございますし、私たちとしましても
生産性
向上の問題と経営
規模
拡大
、そして意欲ある
農家
が今後意欲を持って農業に取り組んでいただけるようなあらゆる施策を講じていかなくてはならない、こう思っておりますし、また
先ほど
お答え
しましたが、先般の閣議における私の発言もそういう
皆さん方
の不安を解消してあげる一助にもなればと思って申し上げたわけでございます。
及川順郎
78
○及川順郎君 時間がなくなってまいりましたので
大臣
、確認をしておきたいんですが、一つは食管制度の存廃に対する議論、それからもう一つは米の輸入自由化に対する議論、もう一つは日本の農業保護政策が強過ぎるという問題に対する議論、この三つに対する
大臣
の所見をまとめて確認をさせていただきたいと思います。
加藤六月
79
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 前の二点につきましては
先ほど
来申し上げ、また閣議で発言いたしたとおりでございまして、米の自給方針は断固貫いていくということ、それから食管制度にありましては時の流れ、いろいろな問題がありますが、そういうものに十分配意しながら、その
基本
は堅持していくということ。 それから、三番目の我が国の農業の保護問題につきましては国際的にも大変議論をされておるところでございまして、私はそういう問題につきましてはいろいろ国際的には反論し、言うべきことは言っておるわけでございますが、今後世界の流れというものは農業保護に対する、農業助成に対する削減をしていかなくてはならないということは世界の流れになってきております。ただ、その中におきまして私が主張しておるのは弾力的にやっていかなくてはならないということと、それぞれの国にその政策の選択の幅は持たすべきであるということを主張しまして、その点はOECDなどの宣言にも採択されたことは事実でございます。 そういう中におきまして今後ガット、ニューラウンドがいろいろ進展をしてきます。そういう中においての議論というのはまたこれからいろいろ頑張っていかなくちゃなりませんが、前に申し上げました米の自給方針であるとか食管制度というのは、その場においてもその重要性を主張していく。それからその中にあって一番頭が痛いのは内外
価格
差というものがあるわけでございまして、ここら辺に対する問題は、我が国の自然条件というものがおのずからあるわけでございます。そこら辺を
国民
の皆さんには大いに理解していただきながらやっていかなくてはならないと考えておるところでございます。
下田京子
80
○下田京子君
大臣
、
政府
と自民党によって
米審
が一日空転しました。これはやっぱり
米審
軽視という点で問題であります。指摘をしておきます。その結果がどうであったか。昨年に比べて五・九五%、金額にして千百十一円
マイナス
。果たしてこれが農民に納得できる
米価
だと言えるんでしょうか。私は、決してそうではないし、これは断じて容認できません。 そもそも
生産者米価
というのは何かといえば、
米販売農家
約二百六十万戸、家族含めて一千万人、その家族の生活がかかっているんです。どの
程度
の
影響
になるかといえば、
政府
米、昨年買い入れ
価格
トン
当たり
三十一万円、自主流通米は推定でトン
当たり
三十五万円として、
平均
でトン
当たり
三十三万円で、ことしの予約限度数量六百九十三万トンを掛けてみますと、約二兆三千億円になるわけです。その二兆三千億円の五・九五%
マイナス
ということになりますと、約一千四百億円、米販売額に対して収入が減ると、こういう
状況
です。これだけ収入が減るのに、一方で年金の掛金は上がる。
国民
健康保険税の掛金は上がる。しかも
生産
基盤の
農家
負担もふえる。これでもって本当に
稲作
の健全な
発展
だとか、意欲を持ってもらいたいだとか言えるんでしょうか。希望を持って営農をやっていただきたいと確信を持って言えますか。
加藤六月
81
○
国務大臣
(
加藤六月
君) まず一つお断りしておきますが、
米審
軽視ということでは絶対ないということをはっきり申し上げます。
米審
を尊重するがゆえにきのう一日かかったということを申し上げておきます。 それから、私も今回の
諮問案
を決めるに
当たり
まして、農産物総
生産
額の
構成
比であるとか、各県別の順位であるとか、あるいは
都道府県別
に見た
農家
総
所得
における
稲作
所得
一戸
当たり
の問題であるとか、もうこれを常に見ながら苦慮、苦悩したということを申し上げておるわけでございます。そして、意欲ある
農家
の
皆さん方
が本当に希望を持ってやっていただけるためにはどうしたらいいかということも十分考えながらやったのが今回の
諮問案
でございまして、私は理解をいただけるものであると考えております。
下田京子
82
○下田京子君 到底理解できないと思いますよ。
大臣
は
国民
の納得と支持の得られる適正な
米価
ということを常日ごろずっと言われておりました。その
国民
の中には果たして農民が入っているのか、私はこう言いたいほどでした。当然農民を含むと思うんです。そうすると、現実に今米作
農家
の人たちがどんな暮らしをしているか。
大臣
よく御承知だと思います。 今年度からスタートした新減反政策で一体どういう
影響
が出ているか。これは福島県の場合ですけれども、県
農協
中央会の
試算
で八十二億八千八百万円の
農家
所得
減になっている。一
農家
当たり
六万五千円の
所得
減です。宮城県の場合にはどうなのか。一戸
平均
十五万円の
所得
減だと言われております。しかも一千万円以上の固定負債を抱えている
農家
が宮城県で千六百戸もある、こういう
状況
ですよ。しかも夜逃げ、自殺者まで出ているわけです。
大臣
がことしの
水田農業確立対策
で農民に血を流していただくような厳しいものだと、こうおっしゃいましたけれども、それに追い打ちをかけるようなのが今出された
諮問
の中身じゃないかと思うんです。
大臣
の言う
国民
の理解というのは、
生産
農民に血を流してもらうことですか、自殺者を出すことですか。そうじゃないでしょう。
加藤六月
83
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
国民
の中には農民がおるのは当然でございますし、私も今おっしゃいましたような事態はよく存じております。ただ、意欲ある
農家
、あるいは希望を持って農業をやろうとする人が私のところへ来られておっしゃるのは、米づくり、農業は保護の固まりであり罪悪であるかのごとく言われるのが一番つらい、何とかして
政府
はこういう問題をはっきりしてくれと、こうおっしゃるわけでございまして、そこら辺の問題に対しても、私は大いに配慮してやっておるわけでございます。そして、意欲ある人が希望を持って農業に、米づくりに励んでいただくようにあらゆる方法を講じなくてはならないというのが私の気持ちでございます。
下田京子
84
○下田京子君
大臣
今言われた中で、農民が
国民
の中に入る、これは改めて言うまでもないんです。当然なんです。その際に、今言われましたけれども、内外
価格
差だとかいろんな攻撃がある。確かにことしはアメリカからの米市場開放が公式に繰り返し出されております。財界からも、一部マスコミ等を抱え込んだ形でもって大変な農業攻撃が強まっております。そういう中での
米価決定
であるという厳しさはわかります。しかし、だったら逆に、
基本
的に
生産費
を償い、その
国民
の主食であるお米の
生産
にきっちりと
政府
が責任持った
米価決定
をすべきじゃないでしょうか。私はそう申し上げたいんです。 問題をここではっきりさせたいのは、
米価
の引き下げをやればそういう攻撃をはね返せるというふうに
大臣
理解しているんですか。つまり
米価
を引き下げればアメリカや財界からの米輸入自由化攻勢、これはなくなるというふうにお感じなんですか。
加藤六月
85
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 私は、直接今回の
諮問案
がそういった批判あるいは要求に対してどういう因果
関係
が生じてくるかというのは、まだ十分検討しておりません。また、今御指摘にあったような問題につきましては、いろいろな国内からも提言、
意見
が開陳せられておるのは事実でございます。しかし、これらの問題については、昨年来私もいろいろ反論し、申し上げておるところでございますが、要は農政審報告を踏まえて
農林水産省
が今後の農政のあるべき方向として検討しているものと共通の指摘をされておるもの、あるいはまた
基本
的に見解を異にする点等も含まれておるわけでございますが、私は米について国際
価格
水準
並み
の
価格
の実現を目指すべきであるといったような指摘は実現困難であると思っておりますし、また米を輸入することはできないと、こういったことを
中心
に内外に申し上げておるところでございます。
下田京子
86
○下田京子君
大臣
、
米価
を引き下げればアメリカや財界の米輸入自由化攻勢を阻止できるというふうにもしお考えなら、これはもう重大な間違いですよ。 私は、去る五月十二日、予算
委員会
で、
大臣
がOECDに出かけられているときに総理に質問したんですけれども、アメリカの米
生産
額に対する補助金は六十年度でどの
程度
かといいますと、七六・五%補助しているんですね。日本の場合には一八%なんです。アメリカの方がはるかに手厚く保護されているんです。そのアメリカがこの農業補助金を削減したい、そしてさらに市場開放、新たな市場を求めて日本に米の輸入自由化攻勢をかけてきているということなんです。うなずいておりますからそうだと思うんですけれども。ですから、こういうアメリカの米市場開放要求は日本で
米価
を引き下げたからといって解決できるものじゃないんです。 その点で農水省の佐野宏哉国際顧問が「農業協同組合」という雑誌にずばりこう書いているんです。日米貿易摩擦の問題というのは、「日本の問題である以上に米国の問題である。なぜ米国は、
生産
する以上に支出しているのか? 一つには、財政赤字、その核心は軍事費、二つには、需要に対して国内
生産
が有効に反応しなくなるほどの産業空洞化、の故であると考えられる。米国がこのような事態から脱却する展望は、現在のところ見いたしえない。解決不能な問題と相当長期間共存する覚悟が必要であろう。」、こう言っているんです。つまり、根本的にはアメリカが政策転換しないと今日の事態は解決できないというような見方をしているわけですね。
大臣
はどう思いますか。
加藤六月
87
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 諸外国によっていろいろ
事情
は違いますが、農産物を輸出することによって一つの国是――国是ではございませんが、
方式
として農業を行い農産物をつくっておられる国々もあります。我が国の場合は必ずしもそうではないわけでございますが、この席でもう余り時間がありませんから申し上げませんが、私は、米国あるいはその他の国々に対しても言うべきことは言うという中に、我が国は世界最大の農産物の輸入国であり、そしてまた我が国農地の二・六倍に匹敵する農産物を輸入しておるということをいつも冒頭に言って各論に入っておるわけでございます。
下田京子
88
○下田京子君 アメリカの方も、これは理不尽な要求を改めさせるのは毅然とした
政府
の態度と日本の世論なんです。それで、財界にしてもどうかといえば、財界の要求というのはどうなのかと改めて私申し上げなくても
大臣
よくわかると思うんですよ。昨年十二月に何て言っていますか。日経連が内需
拡大
の問題の関連ということで
意見
述べておりますね。それで、やってはならないこと賃上げ、やるべきこと米の完全自由化、こういうことを言っているわけですよ。ですから、アメリカにしても、日本財界にしても、
米価
の引き下げをやったからといって、そういう攻撃を改めるなんということはとてもでないけれども考えられないんです。そうでしょう。
加藤六月
89
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 財界あるいはマスコミからのいろいろな
意見
というのは十分に私も勉強しております。その中で、まじめないい提言としてこれは率直にいただきましょうというものと、これは感情的に言っておるな、これは誤解に基づいて言っておるなと、いろいろな問題はあります。そういう中で、私が
先ほど
申し上げましたが、国によっては輸出するための農産物をつくっておるということ。我が国としては今農業は、農政審報告にもありますが、産業として自立するように一生懸命血みどろの努力をやっておるところでございます。そこら辺に
基本
的な違いがあるわけでございますが、そこら辺の違いについては、私はっきり毅然とした以上の毅然として外国に言うべきことは言っております。
下田京子
90
○下田京子君 今言われたそのマスコミの問題なんですけれども、「世相を斬る」というテレビで農業攻撃を盛んにおやりになっている竹村健一さん、「日本農業大改造論」を出しておりますね。その中で何て書いてあるか。こう書いてある。「農業問題の火つけ役で中曾根首相に感謝された」、どういうふうに感謝されたかというと中曽根さんは手紙をくれた。その手紙の中にこう書いてある。「「竹村さんが露払いをしてくれたおかげで、(農政改革が)やりやすくなった。ありがとうございました」政治家も、充分わかっていたということである。ただ、政治家は世論が喚起されないと、自分からはなかなか言い出しにくい側面がある。そのことを中曾根さんは手紙でさり気なく伝えてきたのだ。同時に、手紙の終わりには、「ご主旨は充分参考にさせていただくよう、
加藤
農水
大臣
や玉置総務庁長官にいろいろ指示いたしました」とも付け加えてあった。」と、こう言っています。
大臣
、何指示されたんですか。
加藤六月
91
○
国務大臣
(
加藤六月
君) 農政の面において
国民
に理解と納得をしていただくように頑張ってほしいというお話はございました。 今先生がお読みになった本以外にもたくさんの人がいろいろなことを言っております。
先ほど
来申し上げておるように、事実に基づく温かい勧告のものもあれば、あるいは
基本
的認識を異にして言っておられることもあれば、あるいは錯誤に基づいて主張されておる方々もあるということを申し上げたわけでございます。また、その今の文章は今回の統一地方選挙に盛んに使われたということも私よく存じております。
下田京子
92
○下田京子君 それで、正しい要求という中に、実は消費者の要求、一般的にこういう宣伝がなされていきますと、正しい報道がなされないために何か正当な
米価
を要求することが悪のように言われていますけれども、消費者の立場というのは何かといえば、これは十八団体が繰り返し総理並びに
大臣
に申し入れていると思うんです。二つなんです。一つは、
国民
の食生活を守るために
生産
コストの引き下げ、これはあらゆる努力を行ってほしい。同時に大事なのが、
生産
者に対しては再
生産
を保障することというふうに言っているんです。引き下げろなんてどこにも言ってないんですよ。これを受けてやったら今回のような引き下げ
諮問
なんてことはなかったと思います。 そもそも
生産費
を償わない
米価
であるというその何よりもの証拠は、昨年の
米価
そのものが全
農家
戸数の二七%しか
生産費
償ってないじゃないですか。そうでしょう。本来なら
国民
が必要とするお米に、その条件の最も悪いところも含めて、そして正しい労賃、つまり消費者である
労働
者の
賃金
にも相当する、そういうもので補償していくというのが本来の
米価
の
算定
のあり方であってしかるべきじゃないか。この点から考えていきますと、
昭和
五十二年度のその
米価算定
方式
というものを使ってしかるべきだと思うんです。それで計算いたしますと二万八百四十九円になるんですよ。ですから、昨年の一万八千六百六十八円に対して逆に一一・七%アップしなきゃならないんです。三千二百九十二円も値切ったということになるんです。計算上そうなりますでしょう。
山田岸雄
93
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今計算上どうなるかということでございますが、
昭和
五十二
年産
の
算定
いたしました
方式
で計算いたしますと、
基準価格
でもって二万六百四円、
基本価格
で二万八百四十九円になります。
下田京子
94
○下田京子君 そうでしょう。ですから、消費者それから
生産
者、つまり
国民
の納得いく
米価
ということはこういうことなんですよ。農民運動全国懇だとかその他の団体等も二万円以上の
米価
ということを要求していますけれども、こういうことでいけば根拠があるわけですよ。しかも、申し上げたいのは、そもそも三十五年から
米価審議会
の
米価算定
小
委員会
の中で現在の生所
方式
というものが採用された。その
考え方
というのは、適正な限界の
農家
もきっちりと含んだ形でやりなさいということなんです。その点からいったら、これは今回の引き下げ
諮問
というのがまさしく日本の
国民
の主食である米つぶし、さらには農業つぶしという大変な問題を含んでいるということを私は申し上げたいんです。 最後に
大臣
お答え
いただきたいんですけれども、そういう中で、詳しくは今の問題は後で
山田
次長と質問やりとりいたしますけれども、即刻やっていただきたいのは三つ。一つは、
米価
引き下げの前に
農機具
など資材の引き下げをやってください、これです。二つ目が負債対策です。これはもう大変です。三つ目にお願いしたいのは、
生産
基盤に伴う
農家
負担の軽減です。既事業についての
金利
引き下げ等は難しいと、こう言っておられますけれども、引き下げられた
米価
の中で、高い
金利
時代のやつの負担を払い続けることが可能ですか。以上三つ、対策、決意聞かしていただいて質問終わります。
加藤六月
95
○
国務大臣
(
加藤六月
君) まず答弁は求めないと言っておっしゃいました米づくりつぶし、
農家
つぶしということは、これははっきり申し上げたい。
農家
を守り、
農家
に意欲を持ってもらい、そして日本の農業を
発展
さすためにどうしたらいいかということを考えに考えに考えてやったのが今回の
諮問案
であります。そのことははっきり申し上げておきます。 それから、後の
お答え
を求められた三点につきましては担当局長からそれぞれ……
下田京子
96
○下田京子君
大臣
の決意。
加藤六月
97
○国機
大臣
(
加藤六月
君) 私の決意ということになりますと、実は
農機具
についての
農家
受け取りコストというものと輸出コストの問題がありまして、徹底的に議論しまして、いやしくも輸出
価格
というものと
農家
に売る
農機具
の
価格
が違うというようなことは絶対に許されないというので徹底的にやっております。それから、これは単に
農機具
だけでありません。
肥料
についても農薬についても徹底的に議論いたしておりまして、後から
説明
させますが、そういう点ははっきりいたしております。 それから、負債対策につきましては、きょう御
説明
申し上げたと思いますが、今回全体のものとしては
農家
負債というのは軽減いたしておるわけでございます。しかし、個々の
農家
あるいは地域により、あるいは業種によって負債問題が大きな経営負担になっておることもよく存じておりまして、これらについてもいろいろな方法を講じておるところでございます。 それから、農業基盤整備とこれからの新しい負担問題についてもいろいろ考えまして、新しい
方式
、メニュー等も考え、そうしてまた、
生産性
の向上と
規模
拡大
には農業基盤整備というのは欠くべからざるものであるということについて、思いを新たにしてこれらに対するいろいろな施策を講じておるところでございます。 以下、担当局長がおりますから必要なら
お答え
いたします。
山田耕三郎
98
○
山田耕三郎
君
米価
政策につきましてはここのところ強く抑制策がとられております。
昭和
五十二年の
政府買
い入れ
米価
、つまり
生産
者
価格
は十キログラムで一万七千二百三十二円であり、
昭和
六十一年の
生産者米価
は一万八千六百六十八円で、この十年間ほどでわずか千四百三十六円、率にして八・三%の
上昇
にとどまっております。しかも、この期間中には
昭和
五十五年から五十八年の四カ年間連続の不作が続いており、その結果五十九年にはついに
政府
の手持ちが底をつきまして、韓国からの緊急輸入をするという異常事態を招いておるのでありますが、もしこういった場合、
米価
が市場原理によって
決定
されるシステムがとられておったとすれば、
米価
はもっと高く決まっておらなければならないはずであります。このために
生産
農家
側は、
物価
が上がるばかりで、
米価
だけが抑制されているという強い感じを持たれるのも当然かと思います。 にもかかわりませず、ここのところ農業への批判が厳しく続いております。そしてきっかけとなったのは、言うまでもなく、昨年夏の
生産者米価
決定
をめぐる動きであると言われておりますのが大方の
意見
のようであります。私はそのようには思いません。それは
国家財政
の窮迫から食管会計の赤字削減を求められ、その対策として
政府
米価
の売買逆ざやの解消が強く求められておりますことの結果であると思います。そういったことから、
生産者米価
の値上げがわずかであるにかかわりませず、消費者
米価
は約それの四倍以上も値上げをされておるということで、消費者といたしましては
米価
が上げ続けられているという実感を持っておいでになりまして、こういったところから強い不満が出ておるのだと思います。巷間言われておりますように、政治的圧力に対して
国民
的不満が爆発をした結果だと仮にすれば、今年の場合もその心配はなしとしないように思います。 お米の問題はまことに重要であります上に、確かに解決の困難な問題でもありますし、さらには、何と否定されようとも私は、食糧、わけてもこの日本のお米は戦略物資だと思います。なればこそ、
生産
者と消費者とが一体になって対応する必要がありますけれども、今日の状態では、お互いが不信感を増幅してけんかをさせられているというのが現状なのではないだろうか。国家将来のためにまことに憂えるものでありますけれども、
大臣
は
米価決定
の
方式
について考える必要があると考えられないだろうか。その辺についてお尋ねをいたします。
加藤六月
99
○
国務大臣
(
加藤六月
君)
山田
委員
が申された国内の論争ということ、私も一番恐れておるのは、
生産者側
と消費者側の
意見
の分裂、あるいはまた輸出産業と日本農業との
意見
の分裂ということを一番恐れておりまして、それをどうやって
調整
していくかということがある面では今私にとって最も大切なことであると思っております。 それから、
諮問米価
の
決定
の仕方につきましては、
先ほど
来申し上げておりますように、
米審
においてその
算定要素
その他について先般もいろいろ御議論いただき、五月の懇談会においてもお諮りしておるところでございます。
先ほど
来の
お答え
の中にも申し上げでおいたように、これらについては
米審
の御
意見
を十分承っていきたいと考えておるところでございます。
山田耕三郎
100
○
山田耕三郎
君 昨六十一
年産米
から引き下げ
価格
で
諮問
をされるようになりました。昨年の場合は
加藤
農林水産大臣
も就任早々の
関係
の上、初めての買い入れ
価格
の引き下げ
諮問
ということもありまして極めて苦しい答弁を強いられておいでになりましたようであります。その答弁の基調は、
諮問米価
を決めるに当たって、
基本
的な
考え方
として次のように言っておられます。 第一点は、膨大な潜在
需給ギャップ
がさらに
拡大
しつつある中で、第三期過剰時代を招いてはならない。二つ目には、来年度から開始される水田
利用
再編対策、いわゆるポスト三期において転作面積の相当な
拡大
が必要になっている。第三点は、
賃金
及び
物価
の安定、
金利
の急激な
低下
と一般経済
情勢
、さらには
稲作労働
時間の着実な
減少
が見られる、以上の
事情
を十分配慮するとともに、
農家
の経営意欲に及ぼす
影響
をも配慮してぎりぎりの選択をしたところでありますということでございます。昨年は御就任早々のことでもあり、ある意味では理解できるといたしましても、満一年が経過をいたしました今日、やっぱり同じ問題を抱えたままの
諮問
であります。激動期に処する
加藤
農林水産大臣
らしい施策を欲しいと思います立場から次のことをお尋ねいたします。 お米の問題になりますと
米価
だけが突出し、それが運動のすべての観を呈してしまいます。もちろん
政府
が尊重される立場にあります
審議
会の報告等には
価格
政策に加えて構造政策及び関連の制度問題にも言及されてありますが、制度の改廃にいたしましても
需給
実態と密接な
関係
にあり、また
需給
そのものが自然を相手にしたいわゆる天候によって大きく左右される原始産業でありますこと、構造政策にいたしましても短期に解決できるものではありません等極めて困難でありますだけに、どうしても
価格
問題がひとり歩きすることになるのではないか、これが今日の実態のように思います。それでは問題の解決にはなりません。 例えば第三期過剰時代を迎えることを非常に心配しておいでになりますけれども、それではそれを迎えないためにどのような施策をおとりになっておりますのか。今年の場合を見ましても作付後の晴天と高温は西日本の
稲作
の豊作の前兆と思われています上に、最近の関東地方の水不足はむしろ一部を除いては豊作につながる可能性さえ示しております。本来、豊作は喜ぶべきことでありますのにかかわりませず、減反がつきまといます結果から、
生産
農家
はこのことをむしろ気に病まなければならない現状は何としても解消せなければならないと思います。そういったことから考えて消費
拡大
の施策が起こってこないのだろうかと私は不思議に思います。消費
拡大
により減反が
減少
すれば
農家
所得
の確保につながるものであり、このままでは座して第三期過剰時代を待つようなものではないかと思います。 先般、岩手県に参りましてのことを申し上げました。
食糧庁次長
さんはそのことについて早速食糧事務所長会議で言及をしてくださったそうでありますが、反応の早さに敬意を表します。ただ、こういったことについて農業協同組合がなぜもっと運動をしてくださらないのだろうか、そういった点を願っておるものでございます。 次に、もし引き下げ
価格
が
決定
されるようなことになりましたら、
農家
所得
の
減少
による
農家
生活への圧迫は軽視できません。確かに宿命的な小
規模
経営が日本産米の高コストの原因になっておりますけれども、
肥料
、農薬さらには農業機械等で、先日も京都大学の辻井助教授が発表をしておいでになります
調査
によりますと、非常に日本のそれは割高であるということであり、わけても日本の
肥料費
はタイの六百十五倍、すなわち
肥料
そのものの
価格
比較ではないようでありますけれども、
農家
の諸資材の割高はやっぱり問題だと思います。先日、朝日新聞は、
農協
や農民の皆様方からなぜもっと真剣に
農機具
や
肥料
の
価格
引き下げ運動をやらないのだろうか、やらなくてもやっていけるからという解釈は余りにも酷なのだろうか、こういうことが社説に出ておりました。
米価
引き下げだけでは、まじめに日本の食糧
生産
を支えていただく農民の皆様方には全く気の毒であり、むしろ中核
農家
をつぶすことになるとさえ思えるのでございますけれども、そういった各般の面を含めて、もっと広範囲に総合的に対応を進めていただく必要があるように思いますが、
大臣
の御所見をお尋ねいたします。
加藤六月
101
○
国務大臣
(
加藤六月
君) もう最後におっしゃいました広範囲に総合的に農政を展開していくべきではないかというのは全く同感でございまして、
価格
政策、構造政策その他万般のものを考えながらやっていかなくてはなりません。それから、
農家
の購入する諸資材についての
考え方
、これも例えば
生産者米価
に対する
ウエート
は非常に高うございます。ここら辺の問題を考えながら、しかも一生懸命やっておることを農蚕
園芸局長
からぜひお聞き取りいただきたいと思います。 それから、消費
拡大
に対するお考えでございますが、全く同感でございまして、私は
水田農業確立対策
の的確な
推進
ということと、もう一つは米の消費
拡大
の積極的
推進
がぜひ必要であるという
考え方
を持っておるわけでございまして、このためいろいろやっておるわけでございますが、これまでも長期的な視点に立って我が国の風土、資源に適した日本型食生活というものを広く維持定着させていく必要があると考えておりますし、さらに具体的には米についての正しい知識の普及啓発、それから地域における米消費の
拡大
対策、それから米飯学校給食の計画的
推進
あるいはさらに米新加工食品の開発普及というような施策を積極的に農水省としても講じてきておるところでございますし、さらにこれらを早く着実に進展させていきたいと思っておるところでございます。
高木正明
102
○
委員長
(
高木正明
君) 午前の
質疑
はこの
程度
にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ―――――・――――― 午後一時十五分開会
高木正明
103
○
委員長
(
高木正明
君) ただいまから
農林水産委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
農林水産政策
に関する
調査
のうち、
昭和
六十二
年産米
の
生産者米価
に関する件を議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御発言を願います。
稲村稔夫
104
○稲村稔夫君 午前中
大臣
のおいでになるときに、いろいろと高度な
観点
から、それぞれの
委員
からの御質問があったわけであります。
大臣
の御答弁を伺っておりましても、どうも私なりになかなかすとんと落ちないものがございます。特に
米価
の
決定
に至ります経緯の問題等について、非常にこの辺で考え直していただかなければならないんではないだろうか、そんなふうにも思う点もございます。星政務次官おいでになりますので、その辺ひとつ御見解をお伺いしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。 それは、やはり私は、どういうふうに言われましても、今回のような
生産者米価
の
諮問
の仕方というのは、事実として
米価審議会
の
審議
によって
諮問案
をどういうふうにするというようなことができない仕組みになっているのではないだろうか、そんなふうにも思うんです。もう申し上げるまでもありませんけれども、かなりぎりぎりのお話をそれぞれやってこられて、ぎりぎりの線で
諮問案
として提起をされるわけでありますから、そうすると、そこをほとんどいじる余地がないんじゃないだろうか、そんなふうに思うんです。こういう提起の仕方というのは、やはり私は
米価審議会
を事実上、主観的には
大臣
もいろいろと言われていたような
考え方
でおやりになっているかもしれませんけれども、しかし客観的に見れば、それでは
米価審議会
というのは何のために存在をするんだろう、そんな感じもするわけなんです。こういう提起の仕方というものに至りました理由をもう一度よくお聞かせをいただきたいと思います。
星長治
105
○
説明員
(星長治君)
お答え
いたします。 本
年産
の
生産者米価
の
決定
に当たっては、昨年の経緯にかんがみまして、その
水準
とともに、
決定
の
プロセス
についても
国民
の理解と納得の得られるものとすることが重要であると考えております。特に、今回の
諮問
は昨年の
諮問
を上回る
引き下げ幅
となることが確実と見られたところから、
与党
を初め
関係
者との間で種々
意見
の
交換
調整
を行ったところであります。この
調整
に時間を要したところから、昨日は
米価審議会
に
政府
案を
諮問
することができなかったところであります。これは
米価審議会
から答申をいただいた後、
決定
に至る間の批判の多い
プロセス
をなくしたいとの意図によるものであり、いわんや
生産者米価
の
決定
までを行ったものではなく、
決定
は
米価審議会
の
意見
を伺った上で、これを尊重し、適正に行いたいと考えております。
稲村稔夫
106
○稲村稔夫君 次官、建前はそうだと思うんですけれども、しかし現実に
政府
と
与党
との間でどうもぎりぎりの詰めをやられて、そしてもうぎりぎり決着の形で出てきた結論ということになりますと、これを今度はこういうふうに変えてくださいと言うことというのは非常に困難だということになるんじゃないですか。
星長治
107
○
説明員
(星長治君) ただいまの御
意見
でございますけれども、そういうことは実際ないと考えております。
稲村稔夫
108
○稲村稔夫君 そうすると、
米価審議会
の答申を受けて、あるいは
政府
と
与党
との間で御議論になりましたそれと多少違うことになることもあり得ると、こういう要するに詰めたものが
諮問案
として出されたわけですからね。そうすると、それと違うこともあり得る、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
星長治
109
○
説明員
(星長治君) 今
審議
会で
審議
してもらっておるものでございますので、その
決定
を見ましてから農水省として対処いたしたいと、こう思っております。
稲村稔夫
110
○稲村稔夫君 そういうことを聞いているのではなくて、要するに
審議
会と
価格
決定
とのかかわりを私は伺っているんですよ。ですから、
審議
会が同じ結論を出すかもしれません、違う結論を出すかもしれません。そういうことで、違う結論、多少違う結論が出るということがあったら、それにのっとって
価格
決定
を考える、こういうことがあり得るのですか、こう聞いているんです。
星長治
111
○
説明員
(星長治君) あくまでも
審議
会の
意見
を尊重しながら検討していきたいと、こう考えております。
稲村稔夫
112
○稲村稔夫君 わかりました。 それで、私は
生産者米価
の
決定
に当たってはいろいろと今までも議論をされてまいりましたけれども、本
委員会
でもいろいろと議論いたしましても、
米価審議会
の結論がないと何とも言えない、こういうのが従来から
政府
のとってこられた態度であります。そして
米価審議会
の答申が出ますと、それから
決定
ということになりますが、この
決定
の時期には
委員会
が開かれているというような形にはなっておりません。ということで、国会で具体的に
生産
者
価格
はどの
程度
が適当であるかということを本当に突っ込んで議論をするという機会がないわけですね。
米審
の最中は今お話しのように
審議
している最中ですからと、こういうことになります。それから、
米審
の開かれる前だったらまだ
米審
が開かれる前にはまだ何をかいわんやと、こういうふうに常に
政府
は言われる。そして、今のように終わって答申からあれの間というのは短い間のときもあるし、少し時間かかるときもあるが、その間は今度は
委員会
は開かれておりませんから、言ってみりゃ国会でそういう掘り下げた議論をする機会がないという形になっています。私は、国会で議論をされるということはいろいろな
要素
等についてもそれをガラス張りにしていくという意味では非常に大事だというふうに思うんです。私は、次官は今建前として
米価審議会
での
審議
があくまでも優先をいたしますというふうに言われましたけれども、現実は財政上の問題だとかいろいろなかかわりがあって、実際はなかなか違う結論が出るような格好にはなっていないというふうに私は受け取っております。 そういたしますと、
価格
決定
をされるのは
政府
・
与党
だけ、
政府
と
与党
との間の問題だけであって、ほかのところが余り具体的に関与する余地がないような形に現実、実際の問題としてはなるんではないか、これていいだろうか、ガラス張りと言われるときにこれでいいだろうか、こんなふうに思うんですが、その辺はどのように、これは御感想で結構であります。
星長治
113
○
説明員
(星長治君) できるだけ
皆さん方
の御
意見
を聞きながら
決定
いたしたいと、こう考えております。
稲村稔夫
114
○稲村稔夫君
意見
を聞きながらとおっしゃるけれども、そういう形で議論が結局現実の問題なかなかかみ合っていかないわけでしょう。ここから先さらに突っ込んでいきたくても、それは今度は今
米価審議会
で
審議
の最中でございますと、こういうふうになるから、
算定要素
のあり方がいいか悪いかくらいの議論しかなかなかできないわけですね。こういう形というのが少し今のようなこういう時期になったらおかしいのでは、考えなきゃならない問題――おかしいとは言いませんね。失礼しました。考えなきゃならない問題ではないかと私は思うんですけれども、その辺はいかがですか。
星長治
115
○
説明員
(星長治君)
大臣
のところにはいろいろな方々から陳情なり要請が来ておりますので、いろいろその面を考えながらひとつ
決定
いたしたいと、こう考えております。
稲村稔夫
116
○稲村稔夫君 ここのところはもうのれんに腕押しにしかならないと思いますのでこの
程度
にとどめざるを得ませんが、ただ要望といたしまして、私はなぜこういうことを伺ったかといえば、今回の
諮問案
の
決定
というものについて、本当に五・九五%の引き下げという形でなされたということに、日本農業に対しての、
稲作
農業に対しての危機感が私にはあります。そういうことで大変今回のこういう形で出されたことは残念でありまして、それで改めて
米価決定
についてはいろいろな
要素
を考えていただけるようにしなけりゃいかぬのじゃないか、こう思うわけです。その辺は今後の問題としてひとつ十分に御検討いただきたい、こんなふうに思います。 次に、少し
算定要素
とのかかわりで伺いたいというふうに思います。 午前中にも幾らか出ておりましたけれども、
生産費
の
とり方
について私はどうしても納得しかねるものがございます。それは
先ほど
統計情報部長から御
説明
のございました米の
生産費調査
の中で、例えば
肥料費
、それから農薬費、これは〇・四とか〇・一とかということで、ほぼ同
水準
で、わずか上がっていると、こういう形ですね。ほぼ同
水準
と言っていい。ところが、これに対して
労働費
は二・四%これは下がっておるということになります。そして
農機具費
が三・七%上がっている。こういう形になっているわけですね。そういたしますと、これは
労働
生産性
を上げてコストを引き下げていくというやり方を今までいろいろと追求をしてこられたと思うんですけれども、
労働
生産性
を下げていって、そして二・四%、今はとにかく統計上も出てくるように、差が低くなるように出てくるようになってきた、
労働費
は低くなるように出てきた。しかし
農機具費
が三・七%これで上がっていくというようなこんな形になっていたら、これは
労働
生産性
のメリットを追求しても何にもならない。帳消しになっていってしまう。こういうことになるんじゃないですか。その辺はことしの
米価決定
をしていく、
算定
をしていく
要素
の中ではどういうふうにお考えになりましたか。
山田岸雄
117
○
説明員
(
山田岸雄
君)
お答え
いたします。 今、先生御指摘の点につきましては、最初
物財
関係
の
費用
の御指摘ではなかったかと思うんでございますが、私ども
生産費
・
所得補償方式
によりまして、
物財
、
雇用労賃
につきましては、
生産費調査
で得られた諸元につきまして
物価
修正をいたしまして、それを
評価
がえ
生産費
ということで計上しておるわけでございます。もちろん今の機械等の償却費その他につきましても同じように経費の中に入っておりますので、それは
物価
修正されまして
評価
がえ
生産費
として計上されておるわけでございます。 もう一つの
生産性
の向上の問題につきましては、これは
生産性
の向上二つあるわけで、御案内のように、単収の増の問題と、それから
労働
時間の
減少
の問題と二つございます。 この単収増の問題は、
生産費
・
所得補償方式
でございますので、けさほど
説明
させていただきました数式の中の
分母
になっておりまして、その単収で割る。この点につきましてはやはり
生産費
・
所得補償方式
の
生産費
というようなものに着目してやりますので、ほかの
数字
を使うことはいかがなものであろうか、このようにも思うわけでございます。 もう一つの
労働
時間の問題につきましては、確かにだんだんと
生産性
は向上されて時間が少なくなっておることも事実でございます。その点、単位
当たり
の
労働
時間につきましては、私ども都市近郊労賃の
評価
がえというふうなことでその
単価
を掛けさしていただいておるわけでございまして、その
単価
につきましては、
製造業
におきますところの
生産性
が上がり、
製造業
におきまして給与が
上昇
しますれば、その給与が
上昇
したものが一応
単価
として織り込まれるわけでございますので、そうした面の
生産性
の向上はその面で織り込まれておる、このように
基本
的には理解しておるわけでございます。
稲村稔夫
118
○稲村稔夫君 ちょっと違うんだよね、聞いていることと。今いろいろと御
説明
になったその一つ一つの
要素
についての
とり方
の
説明
をされたんですよ。だけれども、私が今伺っているのは、
労働費
は下がっています、そうすると、つまりそれは
生産性
が上がっているということを意味するんでしょうが、
労働費
は下がっています、しかし一方で
農機具費
が上がっています、そうすれば、そこでもって
生産性
向上のメリットが帳消しになってしまうんじゃないですか。そうでしょう。例えば
物財費
の方で経費がかかるようになっていって、
労働費
の方が幾ら下がったって、そっちの方で経費がかかってくることになれば、全体として例えば
労働
生産性
は上がりましたといっても、その
生産性
のメリットというのはこれは
物財費
の値上がりの方で帳消しになる、こういうことになるんじゃないですか。その辺いかがですか。
山田岸雄
119
○
説明員
(
山田岸雄
君) 御指摘の点につきましては、最終的には
物財費
と、それから
労働費
につきましても雇用の
労働費
とそれから家族の
労働費
、この二つがあるわけでございますが、それも経費と最終的には見まして、その経費を足し上げて一応コストということになるわけでございますので、今先生の御指摘のように帳消しになるという見方も成り立とうかと思うんでございますが、いわば機械を導入することによりまして
生産性
が上がり、そのことによって
家族労働
報酬なり
所得
が上げられ得るような経営は利潤の追求ということがなされておるんではなかろうかと思うわけでございます。
稲村稔夫
120
○稲村稔夫君 これはそれぞれ
平均
をされてくるその
数字
ということですから、個々の一つ一つのものの生の
数字
ということではないですからね。だから、それはこういう
平均
的な姿というのは本来は
数字
の上ではあるけれども、現実の経営の中ではなかなか見つからないという、そういうものであろうと思いますけれどもね。しかし、この
平均
に近いところというのはいろいろとあるということになります。この
平均
に近いところは現実の問題として
労働
生産性
を上げるために
農機具
を入れた、そしてその
農機具
のために
労働
生産性
のメリット分が帳消しになってしまう、こういうことに、
平均
のこれに近いところはそういうふうになりませんか。
山田岸雄
121
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今先生御指摘のように、
生産性
が
上昇
すれば経費が少なくなるわけでございますので、機械償却その他の面は多少ふえましても、全体としては帳消しないしはそれ以上の効果を発揮するというのが一般的な形態ではなかろうかと思います。
稲村稔夫
122
○稲村稔夫君 午前中の同僚
委員
の質問の中で
農機具費
であるとか、それから
大臣
はさらにそれに農薬、
肥料
等も含めて、具体的には輸出
価格
との比較というのが念頭にあったんでありましょうが、輸出
価格
の方が安くて国内
価格
が高いようなそういうあり方というのは正していくというような意味のことを言っておられたと思うんですね。しかし、私はそれだけではなくてやはり
生産性
を上げるという、要するに
米価
は国際競争力との
格差
を縮めなきゃなりません縮めなきゃなりませんと、こう食糧庁も農水省も常に言ってきているわけだね。そうすると、それを縮めるというためには
労働
生産性
が上がっていく分を今度は帳消しにするような
物財
関係
の経費増があってはならないということになるんだと思うんですね。そうしないと
労働
生産性
を幾ら上げていっても意味がないわけです。ですから、そういう意味でいったらむしろ積極的に
農機具費
引き下げあるいは農薬、
肥料
の引き下げというようなことを行政指導としてかなり強力にやっていかなければメリットになってはね返ってこない、そう思うんですけれども、その辺はいかがですか。
浜口義曠
123
○
説明員
(浜口
義曠君
) 稲村先生のお話の
生産費
の
考え方
でございますが、
先ほど
も
大臣
からお話を申し上げましたように、農業
生産
資材の
生産費
の低減のためには、その大宗を占めております
肥料
あるいは機械、さらに農薬等々の
生産
資材の資材費の節減が必要であることは言うまでもないというふうに考えております。極めて重要なことであるというふうに考えております。 先生お話しの点でございますので、ここ一、二年の経緯というものを簡単に御報告を申し上げたいと思います。 この農業の
生産
資材の
価格
というものにつきましては、これまた稲村先生御案内のとおりでございまして、第一義的には使用者の全農と
製造業
者との交渉をして決めた
価格
が目安となりまして、商系を含めた小売
価格
が形成されているわけでございます。最近におきます円高等を背景といたしましてこの農業
生産
資材の
価格
等についてはかなり大幅な削減が行われているところでございます。
肥料
につきましては、六十一年の
肥料
年度でございますが、これは六十一年の七月から六月にかかるものでございますが、第一回目で一〇・四%、一〇%を上回る引き下げが行われております。さらに六十二年の一月からこの上に引き下げが行われまして、六十一年の
肥料
年度におきましては合計で一一・四%の引き下げが行われているところでございます。さらに六十二年の
肥料
年度でございますが、これはことしの七月一日から、きのうから向こう一年間でございますが、五・六%の引き下げが行われたと、私どもはこれにおきましては、一つは
先ほど
申し上げましたように原料等の円高等の問題、さらに企業等の合理化努力といったものが加わっていると見ておりますが、いずれにいたしましても、
先ほど
の六十一年度の一一・四%の上に五・六%の引き下げが行われたということでございます。 一方、もう一つの大きな
生産
資材でございます農業機械につきましては、六十二年の一月から外国産トラクターにつきましては、これは円高等の問題がございますので
平均
して五%の引き下げが行われているところでございます。具体的に申し上げますと、低いところで一・八%というのがございますけれども、大きいところでは一五・七%の引き下げが行われております。さらに、安全性の問題から、千五百ccを超えるものの安全フレームの装てんということもございましたが、簡単に申し上げますが、ここのところにつきましては、トラクターにつきまして七月一月より一%から三・四%の引き下げが行われております。また、具体的な製造メーカーでございますので特に名前を申し上げませんが、合理化あるいはトラクターのシンプル化、装備のシンプル化ということでございまして、この七月一日から低コスト化を進めているところでございます。この低コストにつきましては一三%から一五%というようなことを言われておりますが、いずれにせよ機械のシンプル化というようなことからそういう対応がなされているところでございます。 農薬につきましても、この場合には円高の問題等で、電力、燃料費の値下げといったものの反映だと思いますけれども、二・二五%の引き下げが行われたところでございます。 以上のように、これらの資材の
価格
等につきましては、
農家
の方々の組織されております
農協
系統とメーカーとの話し合いが第一義的に行われますが、これに対しまして、私ども
先ほど
申し上げました観念に立ちまして、農業機械、
肥料
は農業
生産
にとって不可欠な資材であり、農業
生産性
の向上を図るためにはこれらの適切な
価格
で安定的に円滑に供給されることが肝要であるというように考えるものであります。したがいまして、今後とも
関係
省庁とも連携を図りながら、
関係
業界、団体の指導に努めてまいる所存でございます。 なお、補足的に申し上げますが、これも統計情報部長が申し上げましたとおり、
先ほど
御報告いたしました
生産費
の
調査
につきましては、
先ほど
私が個々具体的に申し上げました六十一年以降の引き下げというのがタイムラグによりまして反映されていないということでございまして、私の方から重ねて触れさせていただきたいと思います。 以上でございます。
稲村稔夫
124
○稲村稔夫君 そうすると、この
生産費調査
には、今、農蚕
園芸局長
のお話しになったような、それぞれの値下げになっているもの、引き下げになっているものは入っていないということになるんですね。そうすると、今のこれらの引き下げというものの中で、ちょっともう一つ確かめておかなければならなかったんですが、うっかりしました。
肥料
の場合には、これは化成
肥料
と硫安、尿素の
関係
がありますが、これは同じように皆合計して、それを全部引っくるめての引き下げですか、それとも、そのどれか代表的なものでの引き下げのことですか。
浜口義曠
125
○
説明員
(浜口
義曠君
) 先生御指摘の点につきまして私が例えばことし六十二年
肥料
年度から五・六%と申し上げましたことは、これは加重
平均
でございます。そのうち、例えば尿素といったものがあるわけでございますが、これにつきましては大体八%
程度
の引き下げ、それから、大体我が国の
農家
の方々がお使いになっております
肥料
の一番大きい分野、これは高度化成と言われているものでございますが、その
部分
につきましては少し高うなりまして六%を超える引き下げというものが行われることになっております。七月一日からでございますので、ことしの
肥料
年度からは引き下げられる。またさらに、
先ほど
申し上げました一一・四%は既に昨年の
肥料
年度から使われているわけでございます。 ただ、これは重ねて申し上げますが、六十一年度の
肥料
には、
先ほど
先生御指摘のように大体横ばいであるような表面になっておりまして、これも先生が言われましたようにタイムラグの意味をもちまして反映されていないということでございます。
稲村稔夫
126
○稲村稔夫君 そうすると、七月からのあれは、ちょっとまだ私はのみ込みが悪いんですが、さらに五・六%と言われたけれども、例えば今尿素は八%、それから高度化成は六%と言われましたね。
浜口義曠
127
○
説明員
(浜口
義曠君
) はい。
稲村稔夫
128
○稲村稔夫君 そうすると、五・六%というのは、これはちょっと考えただけでは、一番多いのは高度化成の
関係
だと、こういうことになれば、なおさらのこと、どうしてこんなに五・六になるのかなと思うんですが、それはどういうわけですか。
浜口義曠
129
○
説明員
(浜口
義曠君
) 内訳を簡単に申し上げますと、まず尿素でございますが、それは今申し上げましたように八・三%の引き下げを行う予定でございます。それから、主なもののうちと申し上げました高度化成につきましては六・五%の引き下げとなります。先生御指摘のように、じゃ、それならば五・六というのはおかしいじゃないかということでございますが、一方硫安でございますが、硫安は一・六%の引き下げということでございます。こういったものを
平均
いたしますと、
先ほど
私が申し上げましたようにトータルで五・六%の引き下げになります。今、先生の御疑問のところを率直に申し上げますと、硫安の
部分
については一・六%という形になっていること等によるものだというふうに考えております。
稲村稔夫
130
○稲村稔夫君 ちょっとまだ私はわからないんです。尿素はまたちょっと別にしても、一番多く使われているという高度化成が六%、高度化成というのはむしろメーカーも余り大きくないところが多いですし、
農協
さんが直接いろいろ関与をしておられる
部分
になるわけであります。 ところが、硫安の場合は、これはたしか私は
肥料
二法の継続問題をいろいろと議論しましたときも、原科については、今まで捨てていた溶鉱炉の排ガスを
利用
するとか、化学繊維の廃液を
利用
するとかいうようなことで、かなり成績を上げているということの話も当時はありました。これはコストを実際に知ることができないということにもいろいろと問題があるのでありますけれども、しかしそれで十分に外国とも太刀打ちができるというようなことがいろいろと当時言われておりましたけれども、言ってみれば、一番大きな企業が受け持っている
部分
の硫安というのがどうも下げ幅が少ないというのは、これはどういう理由になるのかなということが今度は私は気になるんですけれどもね。
浜口義曠
131
○
説明員
(浜口
義曠君
) 私は
先ほど
来六十一年と六十二年の
肥料
の
価格
につきまして引き続き
数字
を申し上げたわけでございます。先生の御疑問の点は、確かに六十二年度におきまして硫安の値段が低いということの御指摘のように思いますが、これは、ちなみに
先ほど
の二年間の経緯のところの点を申し上げますと、硫安につきましては、六十年の
肥料
年度に対応いたしまして実はもう六十一年
肥料
年度におきまして一番大きな引き下げが行われているわけでございます。 それは
数字
を申し上げますと、硫安につきましては、対六十年
肥料
年度につきましてトータルで二一・〇%、それから尿素につきましては二八・六%ですが、高度化成
肥料
年度につきましては一二・六%の引き下げ、そういう経緯がございます。なお、このうち尿素につきましては、今申し上げましたとおり少し高いのですが、これにつきましてはやはり国際的な原料の
価格
の反映というものが一番大きく反映されたというふうに我々は理解しております。 そういう意味におきまして、硫安につきましては、今回全体の五・六%という
数字
になっております六十二年度の
肥料
年度におきましては、やや――ややといいますか、わずかに一・六%という引き下げになっておりますが、その点に関して見れば、経年的に六十年から六十一年、そういったものと関連して考えていかなきゃいけないんではないかというふうに考えておるところであります。
稲村稔夫
132
○稲村稔夫君 いずれにいたしましても、
生産
資材の方のあれが
物財費
の中でかなりの大きなウェートを占めている間は
労働費
を下げていきましてもなかなかメリットが反映できないということが起こり得るわけであります。それだけに、今の資材
関係
の
価格
引き下げというものに
政府
の方が努力をしてこられたということは今わかりましたけれども、さらにこの辺のところの指導をしっかりとやっていただきませんと、これからの経営の中では特に
規模
が
拡大
をしていけばいくほどこの辺のところが
影響
が大きくなってまいりますので、それだけ十分な指導をしていただきたい、こんなふうに思います。 次に、また
米価
の
関係
に戻りますけれども、
米価決定
といいますのがこれまで私は本当の意味で理論的にきちんと整理された形で
価格
計算をされたことがめったになかったような気がいたします。といいますのは、そのときそのときで
算定要素
のどこかが変えられてきたと、こういう経緯があるわけですね。本来、理論的に考えていけばそんなに
算定要素
がいろいろと変わっていくはずがないのでありますけれども、それがそのときによって違ってまいりました。特に単収について計算方法がいろいろと違ってきたということについては私も随分疑義があるんですけれども、単収の計算の仕方、ちょっと推移について御報告いただけませんか。
山田岸雄
133
○
説明員
(
山田岸雄
君)
お答え
いたします。
昭和
三十五年以降、私ども
生産費
・
所得補償方式
をとらしていただいておりまして、御案内のように
生産費
の中には随分いろいろの項目があるわけでございます。今御議論いただいておりましたような
肥料
、農薬等のいわゆる
物財費
、そのほか
雇用労賃
、ほかにも自家
労働費
の問題とか
金利
だとかいろいろあるわけでございまして、こうしたものにつきましてのいわゆる
算定要素
、どのようなレベルの
数字
を採用するか、こういうことにつきましては……
稲村稔夫
134
○稲村稔夫君 いやいや、それぞれのことを聞いでいるんじゃない。単収について聞いているんです。
山田岸雄
135
○
説明員
(
山田岸雄
君) それで、
算定要素
の
とり方
といたしましては、やはり安定性というふうなことも考えなければなりませんし、またそれを余り極端にやりますと非弾力的、硬直的なものになる、こういうこともございまして、いろいろと諸
事情
、
需給事情
なりまた他の
生産
事情
なりを加味いたしまして、そのときどきの
算定要素
の
とり方
がなされておる。今先生御指摘のような単収につきまして、過去におきましてワンシグマその他がとられておったと、こういうようなことも聞くわけでございますが、こうした段階におきましては、いわば増産する方向に誘導しなければならないといった
需給事情等
が相当強く反映されておったのではなかろうかと思うわけでございます。
稲村稔夫
136
○稲村稔夫君 どうも私の伺っていることにぴたっと答えていただいてないんで、聞き方が悪いのかもしれませんが、ワンシグマ
方式
でいっていた、それが今いろいろ、
需給
を反映しなけりゃならないとかいろいろな理屈がついて、そしてそのときそのときで単収の出し方が変わってきました。これは事実なんですね、経過として。
分子
の方がわずかでも変化があるのよりも、
分母
がわずか変化すると非常に大きいです。だから私は、単収の変化というのは
米価算定
には極めて重要な意味を持っているというふうに思うんですよ。その単収がそのときそのときで変わってきたということは、これはおかしいのではないか、本来理論的に考えていったらそうではないですかと。 そうすると、言ってみれば限界
生産
地を、その時代に例えば需要のことを一つ考えだとすれば、それと同時に限界
生産
地をどの辺のところへねらいを置いてそれで算出するかというようなことが明確に出されてこなければ本当は理屈として合わないんじゃないだろうか。つまり限界
生産
地以下のところは農業やめてくださいと、こう言わなければ理屈が合わなくなるんではないだろうか、そう思うんです。過去の例えばワンシグマ
方式
のときには八〇%バルクラインにほぼ近いというようなことを言われましたね。そうすると、大体八〇%の
農家
の
生産費
はカバーされていると、こういうことになりますね。そういうために
平均生産費
からワンシグマということで
平均
単収が考えられました。そうすると、それから手直しをしていったたびに限界
生産
地というものが狭められてきた、こういうことに理解をしてもよろしいでしょうか。ちょっと聞き方の角度を変えまして同じことを聞いているつもりですけれども。
山田岸雄
137
○
説明員
(
山田岸雄
君) ちょっと
お答え
になるかどうかと思うのでございますが、過去に限界
生産費
的な概念が導入されて
算定
が行われました。四十二年から四十四年ごろではなかろうかと思うのでございますが、その後におきましては、四十五年以降におきましては、
基本
的には
平均
単収というふうなことで
生産費
のうち……
稲村稔夫
138
○稲村稔夫君 聞いていることと違う。
山田岸雄
139
○
説明員
(
山田岸雄
君) したがいまして、今は限界
生産費
的な
考え方
で
算定
をしていないわけでございます。
稲村稔夫
140
○稲村稔夫君 私は限界
生産費
で計算をしろと言って聞いたのじゃないんですよ。限界
生産
地――土地の「地」です。要するに
生産
をする限界。そういう表現を使ったからちょっと誤解を招いたのかもしれませんが、要するに今度は違う角度から言えば、必ずしも全部が経営
規模
だけで
一定
できないから僕はそういうふうな言葉を今使ったんですけれども、非常に粗っぽくあれしていけば、そうすれば経営
規模
について単純な
平均
単収をとったらかなり
生産費
がカバーできないそういう
水準
のものが小さい方の
規模
のところは出てきますね。ということになるわけですけれども、そういう小さいところがカバーできないように、そういう形で今までワンシグマを捨てたときからだんだんそういうふうにして、そうして小さなところが
生産費
をカバーできない。さらにもう少し大きいところにそれが
拡大
をし、さらにまた大きいところに
拡大
をし、こういうふうになってきたんではないかと思う。 そして、きょうの午前中の話でいきますと、大体
生産費
がカバーできるのは二・〇ヘクから二・五ですか、ということにまで
拡大
してきた、こういうことになるわけですね。そうすると、二ヘクタール以下の
農家
というものはもう
生産費
割れを起こす。議論をもっと進めるために伺いますが、そうすると、二ヘクタール以下のところは
生産費
割れを起こす、こういうふうに理解をしていいですか。
山田岸雄
141
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今御指摘の点でございますが、私ども今とっております
生産費対象農家
でございますが、それは必要
比率
を求めまして、コストの安いものから並べて累積
生産量
比率
が八〇のところでとめる、こういうことでやらしていただいておるわけでございますが、その八〇の中に入りますところの
農家
の
生産費
を見ますと、
規模
が小さい中にも相当安い
生産費
の
農家
もあるわけでございまして、そういった
農家
につきましては、今の潜在
需給ギャップ
反映必要量
方式
におきましても
対象農家
にはなっておるわけでございます。しかしながら、一般的に
生産
規模
の小さい
農家
の方が
生産費
が高い、こういうことは一般的な傾向であろうかと思います。
稲村稔夫
142
○稲村稔夫君 私は、大体
平均
をして二ヘクタール層以上がほぼ
生産費
をカバーできるということというのは非常に重大だという感じを持っているんです。 というのは、極めて零細
規模
の
農家
の場合は、既に安定就業をどこかで一方ではしていて、そして
稲作
の方は、非常に何といいますか、片手間と言うと言葉は悪いですけれども、生活の
中心
は安定就業している賃
労働
兼業なり何なりそういう方法でもらっています。ところが、
規模
が大きくなってきまして、一・五ヘクタールとか二ヘクタールとか三ヘクタールとか、こういうふうになってきますと、今でも
稲作
だけではやっておりませんけれども、賃
労働
兼業は不安定就労になっている
部分
が非常に多いと思うんですね。不安定就労になっているにもかかわらず、
米価
の方が例えば今の
生産費
ぎりぎりでカバー
程度
でもって、そうすると
生産費
カバーですから、さらに
所得
の方がどの
程度
になるのか、これを伺っていませんでしたから、なんですけれども、そうすると、その層というのは、私は就労の場を確保する方に向くことができない層じゃないだろうか、そんなことを心配をしているんです。そういうことが今度の
米価決定
の中では配慮されたんでしょうか。
山田岸雄
143
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今、先生御指摘のような
規模
別の
労働
なり就業条件まで私の方は
規模
別に配慮してやったということには相なっていないわけでございますが、やはり
規模
拡大
というふうなことは必要な当面重要
課題
でございますし、こうした面にも着目させていただきまして、
企画管理労働
につきましてそれを一・五ヘクタール以上の者の
生産量
シェアでもって織り込ませていただいておる、こういった点は一応関連する
部分
であろうかと思うのでございますが、そのほか就業条件等につきましては直接的には織り込んで
算定
しているということには相なっておりません。
稲村稔夫
144
○稲村稔夫君 就業条件をその中に入れて考えているかというんじゃなくて、ちょっと私の聞き方が本当に悪かったんだと思いますけれども、要するに二ヘクタールなら二ヘクタール層というのが農業を経営して農業だけで食っていけるというような方向に持っていくのか、それとももう就労を前提にして、それで経営を縮小していきなさいと、そういうふうに考えて計算をされているのか、そこのところをお聞かせくださいということです。
山田岸雄
145
○
説明員
(
山田岸雄
君)
価格
政策におきましては、今御指摘の点につきまして直接的に誘導するというふうな政策効果というのは非常に期待しがたい問題であろうかと思うんですが、
生産
なり構造政策なり、そういった面から今先生御指摘のような比較的中
規模
ないしは小
規模
の
農家
にありましてもできるだけ
規模
拡大
をしていただく、また中核、担い手の
中心
になっていただく方ないしはそこに土地その他を提供していただきまして高能率な
生産
組織でもって対応していただくとか、そういうふうなことを私ども期待しておるわけでございまして、決して切り捨てとかなんとか、そういう部面では考えてないわけでございます。
稲村稔夫
146
○稲村稔夫君 だけれども、小さな人が
拡大
を望んでいますと言うけれども、小さな人が
拡大
したときに、例えば一ヘクタールの人がそれが二ヘクタールになったってやっと
生産費
カバー
程度
、こういうことになるんでしょう。そうしたら、本当に
規模
拡大
一生懸命やれる条件でしょうかね。
山田岸雄
147
○
説明員
(
山田岸雄
君) 御指摘の点につきましては、
規模
の大きい層を見てみますと、土地の純
収益
なりが支払い小作料よりも上回っておる、また現在の実態を見ますと、
規模
の大きい層にだんだんと土地の
利用
権その他が集積されておる、こういう実態もあるわけでございまして、そうした方向に進められることを期待しておるわけでございます。
稲村稔夫
148
○稲村稔夫君 私は、次長が期待しておられるようですけれども、なかなかそう簡単に期待をしているようにはならない、そんなふうに思います。それは言ってみれば
農家
の皆さんの
所得
が上がっていかなければ、例えば土地だって売買をされるとか、あるいは借りるにしたって借り賃を払わなければならないわけですから、実際には金がかかるわけですから、
所得
がふえていかなければそれはできない、こういうことになるわけでしょう。そうしたら、その
所得
が実際にふえるのかといったら、今度は
米価
は引き下げられる。引き下げられて
所得
がふえたということが言えるんですか。こういうことになりますね。具体的に今まで減反をやってきましたね。じゃ、ちょっと違う形からの質問になりますが、減反が去年強化をされたことによって、それまでよりもどの
程度
農家
の
所得
が落ちる、こういうことになりましょうか。これはわかりますか。
浜口義曠
149
○
説明員
(浜口
義曠君
) 水田再編対策の後を受けましてことしから実施しております
水田農業確立対策
の
基本
的な
考え方
は、
委員会
等についても申し上げましたとおり、水田と水稲とあるいは転作作物を通ずる
生産性
の向上を図るということにあるわけでございまして、トータルで
農家
の皆様方の経営の態様というものを考えていかなければいけないのじゃないかということであります。 先生御指摘のように、まず転作をする場合に水稲の面積というのは減るわけでございまして、そこにおきます水稲から上がる
収益
というのは当然減るわけでございますが、私どもそういうようなものが
現下
の需要減というようなところの対応の仕方としてどうしても必要である、しかしそういう
状況
に対応する場合において、一方では転作といったようなものに
農家
の方々の知恵を働かしていただきたいということを申し上げているわけでございます。 もう一つは、これまで構造政策的な形というものではなくて、補てん的な形でございましたが、奨励金にかえまして
農家
に対する助成金というものを出すということをしているわけでございます。そういう意味で、例えば一番簡単なところを申し上げますと、
水田農業確立対策
で我々が一番典型的に考えておりますのは、例えば
稲作
を縮小いたしまして、
需給
等の
関係
から縮小されて、その後に
水田農業
の輪作体系ということで麦と大豆といったようなものをつくる。そういった場合両者を合わせる。さらに、今第二の問題として申し上げましたように、奨励金といったようなものを付加することによって
農家
の経営が新しい事態というものに対応していただきたいということでございます。 その場合におきます奨励金につきましては、
基準
といったようなものを二万円ということに圧縮をいたしておりますが、一方加算というのに第一加算、第二加算というものをそれぞれ二万円、一万円というのを付加しております。そういった意味で奨励金の意味の五万円というものを頭に置いていただいて、
水田農業確立対策
といったようなものを確立していただきたいというのが我々の
考え方
であります。
稲村稔夫
150
○稲村稔夫君 いろいろな理屈は、私も理屈で少し伺おうと思って、限界
生産
地のそれをどの辺に置いてどういうふうに考えておられるのかというのを少し聞きたいと思ったけれども、理屈での議論をしているとどうも
お答え
の方も長くなるし、こっちの方の聞き方も悪いみたいで、時間がちょっと経過をしてしまいましたので、理屈の方は別にしまして、それで今のお話で、それじゃ、その転作作物をつくったら米と同じだけの収入が、あるいはそれ以上の収入が得られるんですかということが一つ、具体的に。それからその
規模
。これの米の方も
規模
拡大
ということを考えるわけでしょう。米の方の
規模
拡大
をしていくということの中で、私はそれとの整合性がどうもよくわからぬ。こういうことにもなります。 それからもう一つは、せっかく転作をしなさいと、こう言ったって、その転作をしたもののマーケット等を確保していただくのでなければ、つまりそれに対しての輸入制限も、きちんとこれだけは自給するんですよと、こういうことをしてもらわなければ転作をしろと言ったって現実には転作は難しい、こういうことにもなるんじゃないですか。その辺はいかがでしょうか。
浜口義曠
151
○
説明員
(浜口
義曠君
) 第一の点、先生の御指摘の点でございますが、その点につきましては今申し上げましたように、一つの地域地域におきましてどういう作物をつくっていくかということは、これ地域に応じた一番のものを選択していただくという農業者の方々にお願いしなきゃいけない問題でございますが、今申し上げました一つの典型的な
考え方
といたしまして、
水田農業確立対策
が農政審の答申等の
試算
等で掲げさしていただいておりますのは、米から例えば麦、大豆といったようなものの輪作はできないだろうかということでございます。 そういった場合においては、私どもその反当収量といったようなものにおきます現在低い反当収量を上げるというようなこと等を付加していただければ、その
部分
の二作物において、二作物ができるところにおいては水稲に匹敵するような
生産
を上げ得るというふうに我々は考えております。ただ、そのほかに今申し上げました構造政策的
観点
に立ちます助成金というものを付加していただければ、一つの具体的な経営の実践といたしまして、そういう農業が実現できるのであろうというふうに我々は考えるところであります。 それからもう一点、
先ほど
来大
規模
のということの先生の御指摘のところでございます。時間もございますので簡単に申し上げますと、私どもといたしましては、例えば
昭和
七十年に対しましてかなり大
規模
な面積を想定いたしております一つの
試算
というものを掲げさしていただいているわけでございますが、その場合におきますそれは技術上の体系から出てくるものでございまして、一つの
生産性
の向上は
規模
を
拡大
するという道が一つあろうと思いますし、また地域地域におきます農業者の方々の
生産
組織、そういう集団的
生産
組織においてそういう作業
規模
を実現するという道も残されているというふうに考えるものであります。
稲村稔夫
152
○稲村稔夫君 私が今の転作というものを含めて、例えばそれを輪作ができるようにということのお話や何かも、それはそれなりにわからぬわけじゃありませんけれども、問題は転作をしたその作目が、理屈はどうであれ、
農家
の皆さんの方からすれば、転作をして、それが完全に売れて、そして今までと同じあるいはそれ以上の
所得
が得られるという、そういう条件がなければ転作の意味がないんですと、こういうことをまず申し上げていたわけですよ。そしてそのためにはまた輸入だとかなんとかという、もう大豆だってほとんどまだ輸入しているわけでしょう。麦だって輸入しているわけでしょう。そういうものについての
一定
の制限というのをきちんとしなきゃいかぬのじゃないですか。 そういうものも含めて対策を立てなければ、それでなければ、それとあわせて
米価
というものを考えてもらっているのでなければ、今回のような措置というのはとても私どもは承服しかねる、こういうことにもなるわけでありますし、
農家
の皆さんは
生産者米価
ということで、言ってみれば
米価
が一番大きな
所得
であって、それに生活のやっぱり
中心
を置いてきているわけですから、これは下げられるということは賃下げと同じことですよ。それくらいの厳しさを持っているんです。それに対応する政策というのがさっぱり今度はそっちの方では保障できないというんじゃ、片っ方で下げるんだけれどもこっちでもって何とかしてやれますよというのがあるのなら納得できるけれども、こっちの方はもうそうなっていないし、こっちは下げます、これでは納得ができません。こういうことをぜひ今度念頭に置いて今後の政策を進めていただきたいということを申し上げて、私は終わりたいと思います。
鈴木貞敏
153
○鈴木貞敏君 午前中からの先輩諸議員及び
大臣
の御答弁の中から、本当に農業あるいは米をめぐり非常に厳しい中で温かい心でいろいろのことを考えられておられるということを感じまして、私も、ある哲人が申しております大きな転換期にあるときには冷静な分析あるいは判断力、これが非常に必要だ、しかしまた、その反面においては温かい心あるいは温かい配慮ということを忘れてはならないと、こういうふうな言葉を実は朝来から思い出しておったわけでございます。 いろいろ先輩議員の御
質疑
の中で出ておったわけでございますが、私はまず第一に、今、
米審
の真っただ中でございますけれども、もとよりこの
米価
問題、まさに農民の方を初め全
国民
の注視の的の問題であるわけでございますけれども、私が出身県に参りまして、
生産
者の方、農民の方といろいろ接触し、会合に出た際に一番感じますことは、
米価
そのものはもとより大切でございますけれども、それ以上にこれからの農業というのは一体どうなるんだという将来に対する一つの不安といいますか、そういったものであるわけでございます。 いろいろ私が今まで接してきまして、スローガンなりいろいろのものが会場には掲げられ、そしてまたバンフ等でもいろいろの呼びかけがあるわけでございますが、その中で一番やはり何といいましても大きいのは、
先ほど
来いろいろ御議論にもありましたけれども、
政府
はアメリカの米の市場開放要求というものを果たして拒否できるのかどうかというふうな一つの不安、あるいは米の
需給
不
均衡
がさらに
拡大
いたしまして、どこまでも水田転作というものが
拡大
されていくのじゃないかというふうな不安、そういった一つの不安というものが非常に強いということを私も感じてきたわけでございます。 したがって、朝来いろいろ
質疑
の中にもございましたけれども、私は第一に、三十日でございますか、閣議で
加藤
大臣
が発言を求めて、特にこの
米価決定
に当たっての自給方針あるいは食管制度の堅持という点につきまして発言されたということでございます。しかし、及川議員でしたか、もございましたが、私も新聞を見ましたが、極めて残念ながら非常に小さい記事である。しかも、どうも中央紙でも載ってない新聞もある。こういうふうな実態でございまして、消費者を含めて全
国民
が知らなくちゃならぬことが非常に徹底されておらないんじゃないかというふうなおそれを抱くわけでございます。そういう意味で政務次官に改めて私から、この
加藤
大臣
が閣議において発言されました趣旨を、午前中も
大臣
からございましたけれども、さらにひとつ再現いたしましてここでお述べ願いたいと思います。
星長治
154
○
説明員
(星長治君) 米は日本
国民
の主食であります。我が国の農業の基幹をなすものであること、また水田
稲作
は国土や自然環境の保全上不可欠の役割を果たしておるのみならず、我が国の伝統的文化の形成とも深く結びついていることであります。昨年十一月の農政審報告を尊重し、
生産性
の向上を図りつつ今後とも国会における米の
需給
安定に関する決議等の趣旨を体し、国内産で自給する方針を堅持していく考えであります。このような米についての国内自給方針のもとで、食管制度については米を
政府
が責任を持って
管理
すること、
管理
することにより
生産
者に対してはその再
生産
の確保をし、また消費者に対しては安定的にその供給責任を果たすという制度の
基本
を維持しつつ、広く
国民
各界各層の理解と協力を得られるよう適切な運営改善を図り、より一層
国民
の理解を求めていきたいと考えております。なお、米の自給方針並びに食管制度の
基本
の堅持につきましては、一昨日閣議におきまして
加藤
農林水産大臣
から発言し、再度その方針を明らかにしたところであります。 以上でございます。
鈴木貞敏
155
○鈴木貞敏君 ひとつ今の食管の
基本
の堅持あるいは自給方針の堅持という二つの
基本
的問題、これにつきましては折に触れ機に触れ、あるいはいろいろの組織を通じて、あらゆる手だてを尽くして農民の方はもとより全
国民
に徹底するように、これからもひとついろいろ御努力を願いたいということをお願い申し上げておきます。 それで、実は新聞の取り上げという問題にも関連するわけでございますけれども、私も県を歩いておりまして、五十九年度で衆議院及び参議院でそれぞれ米の自給方針等についての決議がなされておるわけでございますが、どうも農民の方はそういう事実を知っておるのか、知らないんじゃないか。中にはどうも知らないような方もおられるように私は印象を受けたわけでございまして、非常に重要なそういった方針というものは案外伝わっておらないというふうなことを実は危惧するわけでございます。したがって、非常に
生産
者を含め大変そういった
基本
的な方針について不安を持つことのないように、今後もそういった面についての御配意は特にお願いしたいと思いますが、改めてそういった
基本
方針の徹底方策について次官のお考えを確かめておきたいと思います。
星長治
156
○
説明員
(星長治君) ただいまの御説もっともでございますので、農水省今後挙げてひとつこの方針を、これらの問題をちょうちょうしていきたいと、かように考えております。
鈴木貞敏
157
○鈴木貞敏君 いろいろこの米の問題、農業問題大変いろいろの議論があるわけでございます。私は非常に素人ながらそういった中で情報社会の中におきましてマスメディアなり評論家、批評家、いろいろな方の
影響
力が非常に大きいということを感ずるわけでございます。午前いろいろある評論家の本のことも掲げられておったわけでございますけれども、あるいはある先輩議員が消費者と
生産
者との対立と、こういうふうな視点からも論じておられたわけでございますが、私は全体的に対立と摩擦というような面にいろいろな論議が大変集中されるような傾向にある、むしろ協調という面よりも非常に摩擦とか対立とかそういう面に焦点が当てられていろいろマスメディアが論じられるというふうな傾向があるのじゃないかと思うわけでございます。 例えば貿易摩擦につきましてもそうでございますし、この米、農業問題につきましても地方と都市、あるいは田園と都会、あるいは
生産
者と消費者、こういったものはそれぞれ利害が相反するようなそういう
観点
から非常に強い視点が当てられて論ぜられる。しかも一方においては市場原理一辺倒で論ぜられるというふうなことがあるわけでございます。私も自分の県を回りましていろいろ
生産
者の方の声を聞きますと、まあ農業というのは弱い立場である。これはまさに工業
生産
力、どんどん自動車を輸出してその犠牲に農業がなっておるのだと、こういう声を非常にたくさん聞くわけでございます。 私はそういう声をなるほど一面真理でしょうけれども、そういう被害者意識でいるということは非常に日本
国民
として悲しいことであるというふうな感じをまた一面に持つわけでございまして、やはり日本
国民
全体としてその辺調和のとれたひとつ考えていく必要があるという面もいろいろ声を聞きながら感ずることもあるわけでございますが、しかしいずれそういう非常に対立的な面からいろいろ取り上げていくということはやはりお互いに足を引っ張り合うということにもつながるわけでございまして、こういう点はひとつ我々自身それぞれの立場立場を考えながらひとつ考えていく非常に大切な時期だなと、こういうことも感ずるわけでございます。 また、米の問題から外れますけれども、そういう意味で国と国との立場におきましても貿易摩擦ということで、アメリカとの
関係
が大変プレッシャーが強いということで不安を持つわけでございますけれども、私も過日アメリカに国防会議議員連盟の一員として参りましたけれども、やはり日米安保体制という両国の間のつながりというものが底辺にあるということが
基本
的な信頼
関係
というものを培っておるというふうなことを実は実感として感じてきた者の一人でございます。こういった土台がなければ果たしてどうなっておるんだろうかというふうなことも感じてきたわけでございます。 それから、実はマスメディア
関係
で私個人的に感じておりますのは、中央紙と地方紙、これの差が非常に何か大きいのじゃないか。これは地方と都市のいわゆる住民としての農業問題に対する感覚がいよいよ
格差
が広がっていく一つの土台にもなっておるのじゃないか、こういう感じも受けるわけでございます。まあ地方紙ですと、やはり農業問題を非常に詳細に農民の実態、働いておるぐあい、共同作業の実態、いかに苦労しているか、そういうことを詳細に論じているわけでございます。しかし中央紙は大体そういう具体的なことよりもむしろ国際
価格
の差がこれほどあるというふうな、そういう視点から非常にどうしても焦点が当たるということでございまして、そこにどんどん認識なり
格差
が出てくるというふうな面もあるのじゃないかということでございまして、私は農業の大切さと、だれしもが日本農業を何とかひとつ育てていかなくちゃならぬ、もうこういう気持ちは変わらぬわけでございまして、そういう意味でのひとつマスメディアの重大性、そしてそういう面でのひとつ啓蒙というものを特にお願いしたいという気持ちを持っておるわけでございます。 そういう点と、それからこういう機会に私の個人的な体験に基づく農業という問題について実は申し上げたいわけでございますが、私も長い間治 安
関係
におったわけでございますけれども、日本の治安が何でこんなにいいのかということをよく外国人から聞かれたわけでございます。いろいろ私も私なりに考えましたが、日本が島国である、あるいは同一民族である、あるいはまた非常に法律、制度が全国斉一で非常に立派であるというようないろいろな
要素
を挙げられるでしょうが、私は何といいましてもやはり日本民族が農耕民族である、すなわち農耕民族というのは社会的な帰属意識が非常に強い。お互いにスクラムを組んで、土地、水というものに結ばれて共同作業をする。そういった民族の伝統、こういったものがやはり日本の治安というものを支えておる最大のものであるということを、外国人その他国際会議等でも強調してきたわけでございますけれども、やはり日本人の一つの伝統、気質といいますか、勤勉であって、自分に打ちかつ克己心であるとか、節約心であるとか、あるいは自然を恐れ敬う、こういったいい気質はやはり農耕民族に由来する。そういう気持ちがまた治安を支えておる非常にいいものであるということを確信しているわけでございますが、そういう意味で、何としてもこれからの農業をひとつ育てていかなくちゃならぬということも私も信念として持っているわけでございます。 そういう意味で、いろいろ申しましたが、マスメディア、そういった面についての政務次官の個人的見解をひとつお願いいたします。
星長治
158
○
説明員
(星長治君) お説もっともでございますから、今後とも検討していきたいと思います。
鈴木貞敏
159
○鈴木貞敏君 さらに個人的考えを申し上げますけれども、私も、前川リポートとかいろいろの最近のあれが出ておるわけでございますけれども、第一次、第二次、第三次産業ということに日本の経済構造がどんどん変わっていくということでございまして、第一次産業としての農林水産業というのが、いわゆる就業人口、就業面におきましても、あるいは
生産
額の割合におきましても、どんどん
低下
していく。
比率
が下がっていく。こういうことを全部そういうものに取り上げておるわけでございます。四全総の中でもそういうことをはっきりうたっておる。 二次産業は横ばい、あるいは一部ハイテク等はアップしていく。そして、第三次産業というものはどんどん伸びていくと、こういう傾向をそれぞれ
数字
的にも挙げておるわけでございますが、そういった第一次産業がやはりどんどん
低下
していくというふうな
状況
にあるわけでございまして、午前来、
大臣
もそういったあれで、農業のひとつやる気のある人が本当に希望を持ってやれるようにしなくちゃならぬということを強調しておったわけでございますが、私も、そういった経済の構造が変わる中で、どんどんやはり人口も減っていくんだと。
所得
、
生産
額割合も減っていくというふうな中で、日本の民族の将来を考えた場合に、たとえ人口は減っていっても、やはり国土のある限り、人間のいる限り、農業というものは本当に希望を持って、日本民族の命として生きていかなくてはならぬ、そしてまた、そういう意味でのサポートもしていかなくちゃならぬというふうに思っている者の一人でございますが、そういう意味で、そういう趨勢の中で、やはり非常に多角的にいろいろの手だてを打っていかなくちゃならぬと思うわけでございますが、
米価
以外のいわゆる周辺対策とか、あるいは近代化対策とか関連対策とか、いろいろの言葉で言われておるわけでございますけれども、朝来もいろいろ議論が出ておりましたけれども、低コスト
稲作
のための各種の条件整備、今回の
米価
がいずれ決まる際にまたそういう関連の施策というものを打ち出されるわけでございますが、こういった関連対策というものについての格段の努力がこれから必要ではないかと思うわけでございますが、そういう面につきましてひとつ御所見を伺いたいと思います。
星長治
160
○
説明員
(星長治君) 私も同感でございます。
先生方
の御協力を得ながら、ひとつこれを
推進
していきたいと思います。 具体的な問題は事務当局から
説明
いたさせます。
鈴木貞敏
161
○鈴木貞敏君 具体的なあれはもう結構でございます。いろいろの先輩議員から申されておりましたので結構でございますが、まあ一つだけ、私も先輩議員の質問が一応触れておらなかった点だけを触れたいと思うわけでございますが、一つは、そういった人口が減っていくわけでございますから、就業の場といいますか、減った人をどうするかということがやはり非常に重要な問題になってくるんじゃないかと思います。そういう意味で、就業の場をどうして確保していくか。そのためには一・五次産業とか言われるいわゆる加工業を含めたそういった一つの新しい形態の産業を興すというふうな発想も当然必要でしょうし、そういう意味での就業の場の確保は、農水省だけじゃない、全体的な国としての立場で考えなくちゃならぬわけでございますが、その点だけ一つ確認しておきたいと思います。
星長治
162
○
説明員
(星長治君) よくわかりましたので今後とも検討していきたいと思います。
鈴木貞敏
163
○鈴木貞敏君 話が、
質疑
が飛び飛びになりますが、もう一つ感じておることでございますけれども、
農林水産省
としましてはいろいろの統計をたくさん作成しているわけでございます。ああいった専門的な統計ほどどうも余り読まれないというのが通弊であろうと思うわけでございますが、私は、こういったいわば大転換期にありまして、いわゆる統計というよりも、何といいましょうか、むしろ農民の方の意向
調査
といいましょうか、あるいは何をやりたいか、あるいは将来こうしたいとかいうふうなそういうニーズとか、そういったものをもっと生のものをひとつ吸い上げて、それを農政というものに使っていくというふうな着意での一つの
調査
といいましょうか、そういったことをひとつ考えてはどうかという一つの提言でございます。 その私の意味するところは、農民の方といろいろお会いしますと、今まで我々は農林省の言うことをそのままに忠実にやってきた、しかしその結果が減反政策を迫られ、そしてこのざまである、猫の目農政というふうなことで、本当に忠実にやってきて果たして将来希望が持てるのかというふうなそういう一つの考えをいろいろ聞くわけでございます。そこに見られるのは、何といいましょうか、言われたことを忠実に行うという一つの受け身的な姿勢が非常に強いわけでございまして、むしろこれからの農政というのは、やる気があるとか、自助的な努力とか、そういうみずからわき出る意欲を持って新しい農政を開拓していくというものなくしてこれからの農政はやはり産業として自立てきない、いわゆるプロとしての意識がないともう成り立たないと、こうも私は思うわけでございます。 そういう意味で、そういった農民の方の自発的な経営的な意識を高揚させるといいますか、いわゆる官の言うことをそのまま聞くというのじゃなくて、農民の方の気持ちを具体的に結集させるためのいろいろの体制なり
構成
なり予算なり、こういったものを組み立てていく、いわゆる共同作業としてのものをつくり上げていくというふうな方向に進むべきじゃないかというふうなこと。そしてまた、
農林水産省
のこれからの施策の、またそれを支えにしていくというふうなことでやっていく。そのためには通り一遍の紙を渡してそれに記入するということじゃなくて、やはりやり方としましては、一人一人の農民の方に接触して、後継者の問題を含め、
規模
拡大
の問題を含め、いろいろひとつ本当に腹を割った農民一人一人の方の気持ちを酌んだ、生きた素材がそこから引き出されなくちゃならぬ、意味がないと、こう思うわけでございますが、そういうことを系統的にやるようなことはいかがであろうかいう一つの提案でございますが、それに関連して、今農水省としてやられているいろいろのセンサス、農業
調査
あるいは総理府等でやっている世論
調査
的なものの活用、そういった全体的な
状況
をひとつお知らせ願いたいと思います。
松山光治
164
○
説明員
(
松山光治
君)
お答え
申し上げます。 御指摘ございましたように、けさ御報告申し上げました米の
生産費
もそうでございますけれども、私たち統計情報部におきましては、農政を展開していきます上で必要な基礎的な
数値
であって、かつまた専門的なといいますか、立場でとらえていかなければなかなか難しいようなそういう
調査
を、農業構造でありますとか、あるいは
生産
でありますとか、
農家
経済でありますとか、流通でありますとか、各節の面にわたりましていろいろな統計
調査
をやっておるわけでございます。御指摘ございましたように、これからの農政の
推進
に
当たり
ましては、農業者を初めといたします
関係
の方々の意向というものを的確にとらまえまして、それを踏まえて
推進
していくことが必要であるということは御指摘のとおりでございます。 で、そういう方々の御意向なり御要望というのは、一般的に申し上げますれば、例えば陳情でございますとかあるいは要請でございますとか、そういう形でまずは把握できるわけでございますけれども、具体的な問題ということに相なりますれば、
課題
に即しましてボーリングしていく必要があるわけでございます。そういうことでございますので、私どもの統計情報部といたしましても、
先ほど
申しましたような基礎的な
数値
の
調査
の一環といたしまして必要に応じて
農家
の意向を把握するというようなこともやってございまして、例えば今当面
課題
になっておりますのが水田
利用
の問題もあるわけでございますけれども、その水田の
利用
、特に転作の
推進
に
当たり
まして一体どういう点に重点を置いて
農家
の方々は取り組んでおられるのだろうかといったような意向の把握を例えば昨年もやったわけでございます。しかし、その種の具体的なボーリングということになりますれば、
調査
技術の話にもなるわけでございますけれども、やはり具体的な政策
課題
との関連においてこれをとらえていく方がより的確にとらえられる場合が多いわけでございまして、私どもの統計情報部だけではなくて、各行政部局におきましても必要に応じて必要な
調査
なり情報の収集をやっておるというのが現状の姿でございます。 若干例を挙げて申し上げたいと思いますが、例えば昨年の場合には、一種の事例
調査
の形でございましたけれども、大
規模
な土地
利用
型の経営におきまする受委託なり、あるいは組織活動への参加の意向、さらに比較的大きな畜産経営におきます飼養
規模
なり飼料の作付についての意向といったようなことについての
調査
もいたしてございます。また、ことしにおきましては、農業者年金問題と関連いたしまして、経営の継承あるいはこれからの就業についての
農家
の意向の把握、さらには中核
農家
におきますこれからの経営転換に関する意向といったようなことについても実は情報収集を今
関係
の部局において進めておるというのが実情でございます。そのほかに、こういった
一定
の約束事に基づきます
調査
なり情報収集のほかに、御案内のとおり、農林省では、
大臣
以下幹部が現地に出向きまして一日
農林水産省
を開催するとか、あるいは
定期
的に中央なり地方におきまして市長村長さんとの懇談会を開くとか、また地方の出先機関が
関係
の方々と会合を持つとか、また私ども本省の職員が現地に出向きまして直接
農家
の方々にお会いしていろいろお話を伺うとか、いろいろな形で農業者の御意向の把握に努めておるわけでございます。 いろいろな農業者なり
関係
の方々の御意向なり御要望が多様化し、かつ複雑化してきておりますので、今私申し上げましたような多面的な形で意向の把握に努めていくのが適当ではないかというふうに考えておりますけれども、私ども統計情報部といたしましても、そういった努力の一環といたしまして必要な情報を的確に提供していく、こういう
考え方
のもとに引き続き努力してまいりたい、このように考えております。
鈴木貞敏
165
○鈴木貞敏君 どうも最後になりましたけれども、お願いしておきます。
農家
が希望と意欲を持って将来邁進していけるように、あらゆる総合的な手だてを意欲的にひとつ進められることを心からお願いいたしまして、質問を終わります。お願いいたします。
高木正明
166
○
委員長
(
高木正明
君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
高木正明
167
○
委員長
(
高木正明
君) 速記を起こしてください。
及川順郎
168
○及川順郎君 午前中の
大臣
への質問で残しました件につきまして、次官の御見解を初めに承りたいと思うんでございますが、
稲作
経営の取り巻く
状況
というものは、経済社会の国際化あるいは財政
事情
の悪化等で厳しくなる
状況
の中で、日本の農業の基幹産業であります
稲作
を今後どのように位置づけるかという明確なビジョン、これを実現するための手法、展望をやはり
政府
としては示していかなければならないんじゃないか、こういうことを強く感じておるわけでございまして、特に水田が持つ国土の自然環境保全に果たす役割を国土整備計画に組み込んで、この点につきましては将来に希望の持てる我が国水田
農家
の確立を図るべきだ、このように思っておるわけでございますが、次官、どのような御見解をお持ちでしょうか。
星長治
169
○
説明員
(星長治君)
稲作
の
生産性
は、優良品種や新技術の開発、普及、
生産
基盤の整備、高性能の機械の開発、普及により、この三十年間に単収で四五%増、平年単収は三十年の三百二キログラム、六十年には四百八十一キログラム、
労働
時間が七〇%
減少
する、
昭和
三十年の百九十時間が六十年には五十五時間、
労働
生産性
も約五倍と飛躍的に向上してまいりました。 今後の
稲作
を展望する場合、第一義的には
生産
のコストの低減による
生産性
の向上を図ることが重要であり、最近開発されつつある新技術で、その普及により
生産性
の向上が期待されるものとしておりますのは、現在の
労働
時間の二三%を占めるいわゆる苗代一切及び田植え作業の大幅な
省力化
を可能にする湛水土壌中直播技術、田植えとの同時作業による
省力化
及び施肥量の軽減と初期生育の確保による
生産
の安定化を図る側条施肥技術、気象情報に即した向こう数週間の生育予想による的確な栽培
管理
を可能にする生育診断予測技術、気象、稲の生育
状況
、耕種条件等の情報を
基本
としたシミュレーションによる病害虫の発生予察によるところの的確な予防、防除を可能にする技術等が開発、実用化されつつあり、さらに、高速田植え機、汎用コンバインが実用化されて普及されつつあるわけでございます。 今後の
稲作
生産
向上の可能性としては、昨年十一月に報告されました農政
審議
会の報告により、およそ十年後の七十年時点において普及が見込まれる高速大型田植え機あるいはコンバイン等の大型または中型の機械化体系と、三十アールの区画で用排水が分離され、団地化された圃場条件下で水稲と麦、大豆等を組み合わせたいわゆる輪作体系を採用することにより、
稲作労働
時間について二十時間-十二時間、現状の三七%-二一%、
生産費
用については六十キロ
当たり
八千三百-七千二百円、現状の五三-四六%に軽減可能であると
試算
しておるわけでございます。 なお、これを直ちに一般化するための条件が整備されていないが、各地域の条件に即した技術の適用、普及により将来の
稲作
の
生産
の向上に努めてまいりたいと思います。
及川順郎
170
○及川順郎君 具体的な問題で質問いたします。 午前中に農産物輸入自由化に対する、外圧に対する
基本
的な姿勢を承りましたけれども、農水省として今後のスケジュールの中で、どのような考えてその
基本
戦略を考えていらっしゃるか、この点について
お答え
いただきたいと思います。
星長治
171
○
説明員
(星長治君) 我が国は、国際化時代に対応して、一層
均衡
のとれた国際経済
関係
の形成に努めていくことが重要な
課題
となっております。他方、農業は食糧の安定供給を初め、国土、自然環境の保全、地域社会の振興等我が国経済社会の土台を支える重要な役割を担っております。 農産物の自由化問題については、昨年十一月の農政審報告を尊重してまいりたいと考えております。すなわちガットにおける新しい農産物貿易ルール策定の作業等に積極的に参加、貢献するとともに、その
状況
を踏まえて、我が国農業の健全な
発展
と調和を図ることを
基本
にして適切に対処してまいりたいと考えております。
及川順郎
172
○及川順郎君 次に減反についてですけれども、ここ数日農業団体の方々等の御要請を受ける中で、やはり将来見通しのない安易な減反は非常に不安である、この不安を取り除くことをやはり国の責任として考えていただきたいと、こういう要請が強くございました。今後二十一世紀を展望した計画の中で、やはり田畑輪換
方式
やブロックローテーションによる集団転作の導入、
拡大
を図るなどをいたしまして、他の作物を安心してつくれる体制の整備が必要であると、私たちもかねがねこれを主張してきたところでございますけれども、農水省として少なくとも十年、十五年を見通したこうした減反に対する将来見通し、この計画、これはどのような計画をお持ちでいるか、この点を
お答え
いただきたいと思います。
浜口義曠
173
○
説明員
(浜口
義曠君
)
水田農業
再編対策の後を受けましてことしから新たな対策を始めているわけでございますが、ただいま及川先生御指摘の点につきましては、将来のビジョンを掲げましてこの新たな対策を始めていかなきゃいけないというふうに考えていたところでございます。この点に関連いたしましては、既に先生御案内のとおりでございまして、農政
審議
会の報告を受けました中に、この問題につきましてかなりの
部分
を割いていただいたところでございます。 私どもといたしましては、現在、我が国の農業の基幹的作物であり
国民
の主食である米については、
生産
力が需要を大幅に上回っております。またその
需給ギャップ
がなお
拡大
する方向にあるということから、今後とも今先生のおっしゃったとおり、長期的視点に立って、需要の
動向
に即した米の
生産
を計画的に
調整
していかなければならないと考えるところでございます。そういう意味で、六十二年から新たに実施をいたします
水田農業確立対策
におきましては、一つは水田を活用いたしまして
生産
される作物の
生産性
の向上、それから地域輪作農法の確立、ただいま先生にはブロックローテーション等々おっしゃっていただきましたが、各地各地におきます
農家
の方々が英知と努力を傾けて実践されました各地域の経験あるいは教訓といったようなものを踏まえまして、地域輪作農法の確立というものを第二に掲げ、さらに需要の
動向
に応じた米の計画
生産
を一体的に
推進
することといたしまして、向こう六カ年を当面の期間と考え、その前期につきましてこの
水田農業確立対策
を実施することとしたわけでございます。 その点につきましては、これも先生御指摘のとおりでございますが、着実かつ円滑に
推進
していくためには、農林省が関与しております構造政策あるいは
価格
政策あるいは
生産
流通対策等々、あらゆる関連施策を活用いたしまして総合的に
水田農業
の確立を期する体制を整えなきゃいけないというふうに考えているところでございます。そういう意味で、この
水田農業確立対策
の実施に当たっては、
農林水産省
挙げまして
農林水産省
の関与する施策をこれに集中して実施しようというふうに考えるところでございます。 特に、具体的な問題につきましては先生既に御案内のとおりでございますが、本対策の一環といたしまして地域輪作農法の確立のためのモデル事業であるとか、あるいは排水対策特別事業であるとか、あるいはその他の事業、合計いたしまして三百億を上回る金額を計上いたします新規施策をこれの実施のためにまとめ上げまして、あわせて実施しようというふうに考えるところでございます。今後とも、これらの施策を有効に活用いたしまして、
農家
の方々あるいは
生産
者団体あるいは行政とが一体となってこの
水田農業
の確立を図ってまいる所存でございます。
及川順郎
174
○及川順郎君 他用途米についてでございますけれども、やはり実態に見合った
価格
の設定と各用途向けの品種開発が必要ではないか、また、あわせまして米のアルコール化対策については、これは技術的、経済的可能性の追求が必要だということがかねがね指摘されておるわけでございますが、農水省で今取り組んでおりますこの品種開発等につきまして、具体的な取り組みがありましたらお述べいただきたいと思います。
畑中孝晴
175
○
説明員
(畑中
孝晴
君) 今のお尋ねでございますが、
昭和
五十六年から米の他用途用品種、従来の炊いて食べるだけではなくて、ほかの用途に使おうということで品種開発を進めてまいりまして、こういうものは一番大事なのは多収であるということでございますので、そういう点に重点を置いて品種をつくってきたわけでございますが、ごく最近になりまして、第一段階の成果として、西の方に適する品種としてはアケノホシというのとホシュタカという品種をつくりました。それから東北、北陸地域に適するものとしてはアキチカラという品種が登録になっておりまして、これ以外にもまだ有望な品種になるものとしていろいろな
調査
が行われておるわけでございますが、こういった多収性ということになりますと、従来の日本の稲の品種だけではなかなかそういったものが出てまいりませんので、インディカ系統の稲の血を入れるとか、あるいは将来的にはもっと画期的なものをつくるというためにはバイオテクノロジーの技術とか、そういうものを使ってやっていきませんと画期的なものが出てこないというようなことで、そういう基礎的な研究も現在進めているところでございます。
及川順郎
176
○及川順郎君
稲作
の
生産費
を下げる点についてもう一点共通しであったのが、
肥料
、農薬、農業機材等を
生産
する大企業の
価格
が独占的な
価格
で決められております。これのやはり強力な値下げ指導が行われないとなかなか
生産
コストを下げるということに結びついてこないという、こういう窮状を訴える声が非常に強かったわけでございますが、この点に対する
農林水産省
としての指導はどのように組まれておって、今日までどのような成果を上げてこられているか、この点を、主なもので結構でございますからお述べいただきたいと思います。
浜口義曠
177
○
説明員
(浜口
義曠君
) 先生御指摘のとおりでございますが、農産物の
生産
コストの中で、例えば農業機械あるいは
肥料
等の
生産
資材費の割合は極めて高い
状況
にございます。そういう意味で、
生産性
の向上を図るためには、構造政策の
推進
に加えましてこれら
生産
資材費の節減が喫緊の
課題
、重要な
課題
であるというふうに考えるところでございます。 まず、この
価格
等につきまして先生、独占的な
価格
というふうなお話の御指摘でございましたが、これを製造しておりますメーカーと、それに対応いたしまして農業者の系統組織というものを
構成
しております全農との間で第一義的に交渉して決めて、
価格
というものは形成されている形になっております。そういった
価格
を商系も含めまして小売
価格
が形成されているというのが現実でございます。 この点に関連いたしまして、一、二具体的な点を申し上げますと、最近におきましては、円高等の傾向を反映いたしまして
肥料
につきまして六十一
肥料
年度に一一・四%の引き下げが行われておりまして、さらに六十二年
肥料
年度におきまして五・六%の引き下げが行われたところでございます。 次に、農業機械について申し上げますと、六十一年の一月から、これも円高等の還元という点でございますが、外国産のトラクターにつきまして一・八%から一五・七%、
平均
いたしまして五%の引き下げも行われておるところでございます。さらに、農業機械の安全性の見地に起因をいたします安全フレームというものを指導的に付加させたところでございますが、その関連におきます安全フレームの付加されたトラクターにつきまして、この七月一日から一%ないし三・四%の引き下げも行われておるところでございます。 いずれにいたしましても、農業機械あるいは
肥料
等は農業
生産
にとりまして不可欠の資材であります。農業の
生産性
の向上を図るためには、これらが適切な
価格
で安定的かつ円滑に供給されることが肝要であると考えるものであります。今後とも
関係
省庁とも連携を図りながら、ただいま申し上げましたシステムにはなっておりますけれども、
関係
業界、団体の指導に努めてまいる所存でございます。
及川順郎
178
○及川順郎君
米価算定
方式
につきましては、午前中もいろいろな角度から指摘がございましたけれども、当初の
政府試算
九・八%から、いろいろ
算定要素
を修正をいたしまして、
与党
とのやりとりの中で六・二%という、こういう
数値
も出てきている。最終的には五・九五という
数値
に落ちついたわけですけれども、この
算定要素
を修正した項目を具体的にお述べいただきたいと思います。
山田岸雄
179
○
説明員
(
山田岸雄
君)
お答え
いたします。 今先生御指摘の九・八%、これは御案内のように昨年の
試算
の
方式
をとりまして計算したものでございますが、その後私どもいろいろの
算定要素
の
とり方
等について検討もしてまいりまして、修正した点につきましては、大きいところは次の四点であろうと思います。 第一点は、潜在
需給ギャップ
反映必要量
比率
の
とり方
でございます。けさほど申し上げましたように、
分子
の方に、二十万トンの
自主調整
保管分の六十三
米穀
年度に供給されるものを
分子
に計上したという点でございます。その点の計算によりまして、七八%の
比率
が七九%になったという点が一つでございます。 それから、自己資本
比率
と
自作地地代
を計算いたします際の
金利
の取り扱いにつきまして、より長期的な
金利
をとらせていただいたという点が違ったと思います。 第三点は、
企画管理労働費
の取り扱いでございます。九・八%の場合には、これは昨年の
試算値
方式
でございますので、私ども入れてなかったわけでございます。 もう一点は、
収量変動平準化係数
の
取り扱い方
でございます。昨年の
方式
よりはより平年
ベース
の
数字
が反映される
方式
を採用させていただいたわけでございまして、この
方式
につきましては、先般の
米価審議会
の懇談会等におきまして、昨年の
方式
もあるが、もう一つの今回採用させていただいている
方式
についても非常に平年
ベース
を代表するようなものじゃないか、そのいずれを使うかは国の、食糧庁の方で十分検討していったらどうか、こういうふうな御
意見
をいただいておったところでございますが、以上四点につきまして修正させていただいたような次第でございます。
及川順郎
180
○及川順郎君 この
算定要素
につきましては、午前中にも私強調しましたけれども、今後農業
生産
者、特にそうした人たちの具体的な現場の声をぜひ反映するようになお鋭意努力を望みたいと思いますが、あわせまして
生産費
が下がったから
米価
を下げるという、こういう短絡的な
考え方
に対してもいろいろ御批判がありまして、例えば
生産費
が下がっても農業
所得
の向上がこれは連動してない、こういう指摘もあるわけでございまして、ちなみに農業
所得
の絶対額につきまして十アール
当たり
で結構でございますけれども、ここ十年ぐらいの、もし年度別に必要でなければ五十年と六十年の比較を通してこの点に対する御回答をいただきたいと思います。 〔
委員長
退席、理事水谷力君着席〕
松山光治
181
○
説明員
(
松山光治
君) 十アール
当たり
の
所得
でございますが、全階層
平均
で申しまして
昭和
五十年の
数字
が九万一千五百三十四円ということになっております。六十一
年産米
につきましては、けさほど御報告しました八万二千五百十一円と、こういう
数字
に相なっておるわけでございます。
及川順郎
182
○及川順郎君 五十年-六十年、やはり
所得
の絶対額は減っているという、こういう
状況
でございますね。
松山光治
183
○
説明員
(
松山光治
君) 年によりかなりの振れがございまして、その年の作柄がどうか等々によって変わるわけでございますが、
生産費調査
の結果で見ます限りは今申し上げたような
数字
に相なっておるわけでございます。
及川順郎
184
○及川順郎君 この点も
米価決定
に対する重要な内容としてぜひ御検討をお願いしたい、このように思うわけでございます。 次に、
水田農業
の体質を強化するためには、いろいろな個々の段階では出ておりますが、
規模
拡大
とか、あるいはコスト低減とか、
地代
負担あるいはまた基盤整備、技術対策、担い手対策、
価格
保証、こういったそれぞれの個々の段階で見るというよりも、これが総合的に整合性を持つことがやはり大事ではないか。この整合性について
農林水産省
としての
試算値
があれば示していただきたいことと、あわせまして二十一世紀に向けての具体的な
プロセス
をお持ちであればお示しいただきたいと思います。 〔理事水谷力君退席、
委員長
着席〕
甕滋
185
○
説明員
(甕滋君) 大変大きな御質問で具体的な御答弁になるかわかりませんが、
水田農業
の確立につきましては、その
生産
対策、構造対策、それからその担い手を通じます
規模
拡大
等をもととした
生産性
の向上と、こういったものを具体的には国の目標として長期見通しの
基本
的な
試算
等において省内等でもいろいろ勉強をしております。そういったものを今後、昨年の農政審答申に基づきまして具体的な農政展開の過程におきまして、その長期見通しの改定等についても今後検討を進めてまいりますので、そういった中におきまして具体的な姿を種々勉強してまいりたいと考えております。
及川順郎
186
○及川順郎君 今回の食糧庁で出しました「
米価
に関する
資料
」の二十二ページのこの一覧表の中で、土地純
収益
、それから支払い小作科、これが今回の五・九五%、一応
諮問
された
米価
のこの
算定値
で、一・五ヘクタールから二ヘクタールまでのところと、それから五ヘクタール以上というところの六十一年度の
数値
が出ておりますが、このわきに今回のこの
試算
を、ちょっと
数値
を示していただきたいと思います。
山田岸雄
187
○
説明員
(
山田岸雄
君) 土地純
収益
につきましては、御案内のように粗
収益
から引くことの
費用合計
と
資本利子
でございまして、今先生御指摘のような粗
収益
の減というようなことは
政府買い入れ価格
が下がればその分が下がるというようなことになるわけでございますが、一方御案内のように、流通しておりますものの四四、五%のものにつきましては自主流通米というふうなものでございますし、自主流通米がどの
程度
下がるかということにつきましては、やはり銘柄の随分売れたといいましょうか、良品質のもので全然
影響
なく推移するのではなかろうかということが期待されるような銘柄もございますし、また
政府買い入れ価格
に近いような今
価格
の
動向
を示しておるものにつきましては同じような引き下げになるというふうなものもあろうかと思いまして、必ずしも粗
収益
につきましてもどの
程度
減収といいましょうか、この
価格
条件の変更に基づきまして
影響
があるかということもよくわからないわけでございますが、なお
費用合計
等につきましてはちょっと今の段階で
推計
することが非常に難しいのではなかろうかと思っておるわけでございます。
及川順郎
188
○及川順郎君 それでは
数値
的なものはまた後ほど示していただくとして、私が心配しているのは、今回の値下げでこれが今進めております構造政策に支障が出ないかどうかという点なんです。この点に対しての見解をお述べいただきたい。
山田岸雄
189
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今六十一年の
数字
でごらんいただきますと、先生御指摘の一ヘクタールから一・五ヘクタールにおきまして土地純
収益
が二万五千八百四十五円、それに対しまして支払い小作料三万四千百四十一円ぐらいでございますし、五ヘクタール層におきましてはまた相当これは差が出ているというふうなことでもございます。したがいまして、この土地純
収益
がどの
程度
になるかということにつきまして、支払い小作料との間で相当のギャップのあるところにつきましては、これは余り
関係
ないのじゃないかと思うわけでございますけれども、ちょうどボーダーラインのところぐらいになりますと
影響
が出てくるかどうか、それも
先ほど
申し上げましたような、入る方の問題と出る方の問題がどの
程度
の問題かということによりまして多少
影響
度合いが違ってこようかと思っておりますが、なおこの辺につきましては、さらにいろいろと検討を深めてみなければはっきりしたことがちょっと申し上げかねるような次第でございます。
及川順郎
190
○及川順郎君 今のそのボーダーラインのところが大事でして、やはり純
収益
が落ち込んできますと支払い小作科が払えなくなるという、こういう現実的な悩みが水田
農家
を襲うわけですね。ですから、この辺に対する
考え方
、これはやはり
米価決定
に対して重要な
要素
として勘案をしていただきたい、こういうぐあいに思うんです。 時間が参りましたので、最後に、食糧自給率が極端に低い我が国におきましても、
国民
の供給熱量の二八・二%はまだ米から供給されている、こういう事実がある一面で、二十一世紀までの米の消費は半減するといった、こういう
試算
も報道されておるわけでございますが、そういう意味では消費の見通し、また消費
拡大
への努力というものが極めて大事な要件になってくるだろう。これは米作
農家
の方々にとりましても重要な関連を持つわけでございまして、この点に対する
農林水産省
としての啓蒙スケジュールといいますか、そういう御努力されているこういう具体的なスケジュールがありましたら御披露いただき、また今後のこの種の努力に対する計画もお述べいただいて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
山田岸雄
191
○
説明員
(
山田岸雄
君) 米の消費
拡大
につきましては先生御指摘のとおり非常に重要な問題でございますし、現在の食生活が多様化する中におきましてある
程度
の緩急の差はあれ、なお
減少傾向
にあるということもございますし、なるべくこれを下げどまるような方向で、まあ私どもも消費者の啓発事業なり、また消費
拡大
のためのいろいろと事業を興すとか、それにつきましては地域における米消費の
拡大
対策というふうなことで都道府県にいろいろと助成をいたしまして、地域ぐるみの消費
拡大
運動をやっていただくとか、また、
先ほど
申し上げましたような新しい米の消費につきましての知識の普及啓発、こういう事業もやっておるわけでございますが、そのほか学校給食用の米飯納入、こういうことのより一層の
推進
、特にこの問題につきましては大都市周辺の学校に導入率がさらに落ちておりますので、こういったところに対しまして今後学校給食の週何回というのをふやしていただく。こういうことを
関係
者の
皆さん方
、また私どもの食糧事務所の職員等も
調査
等に行ったり、またそういった
関係
者にお会いいたしまして御
意見
を賜り、こちらから御協力をお願いするなり、こういうこともやっているような次第でございますし、さらに米の新加工食品の開発普及、こういう問題につきましても無償で新開発の研究をなさる場合にはお米を差し上げて研究に使っていただく、こういう事業もやってまいっておるような次第でございます。 なお、こうした問題につきましては私ども単に
農林水産省
だけではなくて、農業団体なり、また、お米の販売
関係
の方々なり教育の
関係
の方々、多方面の方々の御協力もいただきながら、ともに協力いたしましてさらに積極的な消費
拡大
を
推進
してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
下田京子
192
○下田京子君 午前中
大臣
にことしの五・九五%
マイナス
諮問
はとても
農家
はもちろん消費者も含めて納得できないということは申し上げましたが、最初に
米価算定
のあり方で質問いたします。 今回
米審
に
諮問
された五・九五%、この大幅引き下げですね。実は前年同様に
算定
すると九・八%引き下げのところを
引き下げ幅
を圧縮したんだということで、さも
農家
の皆さんに配慮したように言われている節もあるんですけれども、一方マスコミ等は、一部こういう
引き下げ幅
圧縮というのはもう政治加算でけしからぬというような論調もあるわけなんです。でも現実にこの
諮問米価
五。九五%引き下げというのは大変な農民に対する
影響
でありまして、前年同様というならばなぜ五十五年度作況八七という大不作の翌年、つまり五十六年ですが、前年同様の
方式
で計算しなかったのかということが出てくるんですね。あの際は一一・七%もアップするところをわずか〇・五%のアップでとどめたと思うんです。実質一〇%以上引き下げたわけです。ですから、このときは逆に言うと何らの激変緩和措置もとられなかったんですけれども、事実としてそうであったと思います。御確認ください。
山田岸雄
193
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今御指摘のような
算定
方法をとりましたことは正しいと思っております。 なお、今先生御指摘の年度におきましても一つございますのは、その当時も既に
潜在生産力
というものにつきましては当時の需要量を大幅に上回っておる、それで転作等の措置も講じられておりまして、そういった面にも配慮して
算定
しなければならなかったという実態があったものと考えます。
下田京子
194
○下田京子君
需給ギャップ
ということなんですけれども、これは何か
算定
方法を変えなければならなかった理由のように言っておるんですが、それ以前に私さらに指摘したいのは、五十七年の場合はどうだったかということなんです。
家族労働
評価
を大改悪した五十六年、その
算定
方法と同様にしますとやっぱり九・四%アップしたわけです。それをまたわずかに一・一%アップで抑えたんです。ですから五十六、五十七とこの二年間で何と二割以上もの引き下げをやられたわけなんです。その理由を今
需給ギャップ
だということをおっしゃられましたけれども、五十五年作況は幾らでしたか。八七でしょう、五十六年九六でしょう、不作が続いたんですよ。その潜在
需給ギャップ
の話なんですけれども、
生産調整
なかりせば
生産量
と需要量がこういう形になりますよというそのオーバーしている率ですけれども、五十五年は一二六%ですね、二六%オーバー。それから五十六年が二六・三%オーバー、五十七年はどうかといえば二五・四%です。つまり潜在
需給ギャップ
だと言われておりますけれども、五十五年も五十六年も五十七年も結局特別
拡大
されているということはないんです。同じなんです。事実でしょう、これは。
山田岸雄
195
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今先生御指摘の
需給
関係
の
数字
はおおむね合っているものではないか、このように思っております。
下田京子
196
○下田京子君 おおむね合っているって、事実これは計算した結果ですから。つまり私が言いたいのは、
需給ギャップ
云々だということを理由にして五十六、五十七年と実質二割も引き下げたというのはおかしいじゃないかということを今証明したと思うんですよ。なぜ五十六、五十七年こんなに引き下げたかといったら、はっきり言いましていわゆる行財政改革としては臨調行革がスタートして食管合理化という名による財政の削減だったんです。明確なんです。これは指摘しておきます。 次に問題なのは、五十六年の改悪のポイントが何かということなんです。これは毎回私たちはこのことを言っていますけれども、
家族労働
の
評価
賃金
の取り方なんです。ことしの
米価算定
の
評価
賃金
は幾らかというと一時間
当たり
千百三十三円四十三銭ですね。これを五十五年
方式
で見ますと千四百五十五円になりますね。実にその
格差
は二二%、金額にして三百二十円、そうですね。
山田岸雄
197
○
説明員
(
山田岸雄
君) そのとおりでございます。
下田京子
198
○下田京子君 そうしますと、五十五年以前の米づくりの労賃と五十六年以降の米づくりの労賃の
評価
が二割以上も下がるというような合理的な根拠というのは一体どこにあるんでしょうか。
説明
してください。
山田岸雄
199
○
説明員
(
山田岸雄
君) 今御指摘の点につきましては、私ども
都市均衡労賃
という
評価
をどのように求めていくかという問題でございますけれども、そのときどきの全体の
経済事情
にも配慮することが必要でございましょうし、
先ほど
申し上げましたような潜在
需給ギャップ
がどの
程度
開いており、
需給事情
がどうなっておるか、こういうようなことも考えなければならないような
事情
にあるわけでございまして、今先生御指摘のところが非常に改定をしたところでございまして、大きく開いておるわけでございますが、その後におきましては同じ
考え方
で
数字
を採用させていただいておるような次第でございます。
下田京子
200
○下田京子君 お米づくりの労賃の
評価
をそのときどきの
需給事情
だ財政
事情
だといって変えるべきじゃないんだ、これが生所
方式
の
考え方
の根本であったと思うんです。
昭和
三十五年にこの生所
方式
の根本的な
考え方
を打ち出されていると思うんです。特に米の消費者と
生産
者が同一の
水準
の
所得
が得られるよう「
農家
の
稲作
自家
労働
を都市
賃金
の代表としての
製造業
全
規模
平均
賃金
で
評価
する」、こういうふうに明確にうたっておりますでしょう。これは三十五年の
米価審議会
に提出された
算定方式
小
委員会
の
資料
であるわけです。そうですね。
山田岸雄
201
○
説明員
(
山田岸雄
君) そのとおりでございます。 なお、
米価審議会
の小
委員会
の報告の中に、五十九年におきましては現在採用しているような
考え方
も妥当だ、こういう
意見
もあるわけでございまして、今先生御指摘の三十五年という時代でございますか、まだお米が足りなくて
生産
を増産誘導するというふうな
基本
的な考えもございましたでしょうし、さらには高度成長期におきますところの農業と他産業との
所得
のアンバランスが
拡大
する、こういうふうな方向にもあった段階でございまして、当初の
考え方
としてはそういうことで出発し、その後において
米価審議会
におきましてもいろいろ御議論をいただき、現在のような結果になっておる、このように私理解しております。
下田京子
202
○下田京子君 生所
方式
の根本的な
考え方
というのは今いみじくも言われましたけれども、都市と農村の
所得
均衡
を図ることということだと思うんです。これは変わってないはずです。ということは、重大なポイントというのは何か。お米を食べる消費者とお米をつくる
生産
者が同一
水準
の
所得
が得られるようにということなんです。これはだれが考えたっておかしいということにはなりませんでしょう。こういう
考え方
をいわゆる労賃の
考え方
のポイントにしなきゃならないんだということを私は申し上げたいんですよ。そういう点からいけば、あれこれといじってきたというのはまさに
米価
引き下げの何物でもないということがはっきりするわけです。 ですから、今のような
状況
を本当に補償していきませんと、これは福島でもそうでしたが、米どころの宮城県でも、ついせんだって
調査
に行ったとき聞いてきたことなんです。Uターン青年が意欲を持って農業をやろうと思った。政務次官のところです。ところがようやくお嫁さんにきた奥さんから言われた。朝四時起きて夕方の七時、八時まで働いてそれでも暮らしが成り立たない。どうして農民は人間らしい暮らしができないんだというふうに言われている。その原因は都市と農村のこういう
格差
なんですよ。それを是正していこうというのが米づくりの労賃の
評価
のポイントじゃないですか。そのような
考え方
で全中等が要求されている五人以上の
製造業
賃金
で
評価
いたしますと、その
部分
だけ見ただけでもことしの
米価
というのは二万百三十四円、こういうことになって二万円
米価
ということになるじゃありませんか。そうでしょう。
山田岸雄
203
○
説明員
(
山田岸雄
君) 計算上はそのようになると思いますが、現在の
需給事情
、特に膨大な巨額の
財政負担
をしながら
需給
を
均衡
しなければならない、こういう
事情
にもございまして、そうした中におきまして今のような例えば
賃金
の
とり方
を変更するということにつきましては、
国民
の十分なる御理解が得られないのではなかろうかと私ども考える次第でございます。
下田京子
204
○下田京子君
需給事情
と言いますけれども、これはもう七十七万ヘクタールの減反やっているわけです。ですから、
生産
されたお米というのは
国民
にとって必要な米なんです。それを見込んで
生産調整
やっているわけですから。そうでしょう。そうしますと、その結果として出てきたお米についてのきちっとした
労働
評価
をするというのは当然じゃないですか。しかも、申し上げたいのは、その生所
方式
があたかも、今も次長おっしゃられましたけれども、何か農民が不当に高い
米価
を要求してきた元凶のように言われているんですけれども、また農政審の中でも「中核的な担い手となり得る
農家
層の
生産費
を反映した
価格
算定
を行うこと」というようなことをお述べになって、
価格
政策を通じて露骨な
農家
の切り捨てというものを出してきています。 しかし本当に
米価
というのが高いんでしょうかということで、この生所
方式
が採用された
昭和
三十五年とそれから六十一年と比較してみたいんです。
生産者米価
、
昭和
三十五年、六十
キログラム当たり
四千百六十二円です。昨年一万八千六百六十八円です。四・五倍です。ところで米の
管理
費です。この中には事務費あるいは
金利
、保管料等もあるでしょう。三十五年当時四百四十九円だった。それが三千六百三十九円、八・一倍になっています。特に
生産費
です。六十
キログラム当たり
で三十五年当時二千三百七十四円、それが一万九千七百三十五円、八・三倍になっています。
生産費
は八・三倍なのに
米価
は四・五倍ですよ。しかもこの間に製造労賃は幾らになっているか。十四倍です。どうですか、
米価
高いと言えますか。
山田岸雄
205
○
説明員
(
山田岸雄
君) その点につきましては、今先生御比較の諸
数字
の中では相対的に
上昇
率が低いということは言えるわけでございますが、なお
国民
の中には内外
価格
差の問題等非常に気になさる方もおられるわけでございまして、そういった点にも配慮し、
国民
全体の一応御理解を得ながら今後
稲作
の健全な
発展
と、こういうことも図っていかなければならない
事情
にあることも御理解いただきたいと思います。
下田京子
206
○下田京子君
国民
の中には内外
価格
差を気にされて云々だとおっしゃっていますが、それはだれですか、一体。もうずっと言ってきているとおりじゃありませんか。
生産費
の中身を見てもどうなのかといえば、
米価
は四・五倍でしょう。
生産費
はこの間、今申し上げましたように八・三倍なんですが、その
生産費
の中身を見ますと、六十
キログラム当たり
ですけれども、
労働費
は三十五年に一俵、六十キログラムで千百九十一円です。それが六十一年で五千八百二十六円で四・九倍。じゃ、
物財費
はどうかというと、千百九十二円が一万三十五円で八・四倍。つまり
生産費
の中身で
労働費
は四・九倍だけれども、
物財費
はその倍の八・四倍だ。その
物財費
の中の
農機具
です。
農機具費
がどうかというと、二百十八円が何と四千八百七十三円で二十二・四倍なんです。ですから、コスト低減とおっしゃっておりますが、
生産費
を押し上げているのが
物財費
だ、特に
農機具
だという
数字
がはっきりと出ているじゃないですか。そうでしょう。
山田岸雄
207
○
説明員
(
山田岸雄
君) 傾向はそのとおりだと思います。 なお、先生御指摘の問題につきましては、やはり
生産性
向上のための機械の導入というふうなことも
ウエート
としてありましてそういった経費がふえておるのではなかろうか。
農家
といたしましてはやはり
生産性
を向上させてみずからの
所得
を上げよう、こういうことで対応されている問題ではなかろうかと思うわけでございます。
下田京子
208
○下田京子君
農家
は大変コスト低減で努力しているんですよ。今言ったように、米づくりの
労働
時間というのは十アール
当たり
で見ますと三十五年当時が百七十二・九時間だったでしょう。今は五十二・二時間ですよ。三分の一以下に
減少
しているんです。だから農民の努力で
労働
生産性
というのは非常に向上しているんだということがきっちり出ているわけです。しかも、六十キロ
当たり
にいたしますと、収量も増加していますね。ですからその結果として、一俵
当たり
でいけば二十三・二時間だったものが何と五・八時間、実に四分の一に圧縮されているんですよ。ですから、農民に対してコスト引き下げと言うなら、まずその際、先にやらなければならないのが
農機具
などの
価格
の引き下げではないかということを午前中も
大臣
に申し上げたんですよ。そのことがよりはっきりしたでしょう。どうですか。
山田岸雄
209
○
説明員
(
山田岸雄
君)
農機具
の
価格
の引き下げなり、そういった協力も得ながら、私どもといたしましては
稲作
の
生産性
の向上なりを今後とも積極的に進めていただくようなことを期待してやまないものでございます。
下田京子
210
○下田京子君 だから、
農機具
の問題に今移りますけれども、何か
農家
の人たちが大変正当な労賃で
評価
した
米価
を
政府
に言うことが社会悪みたいに言われているけれども、そうじゃないということはずっと今の経過の中で明らかになったということなんです。 それで農業機械の
価格
問題で聞きます。農蚕
園芸局長
、五月十二日、私予算
委員会
で総理に質問いたしました。その際に
農機具
価格
、特に農水省の
調査
によりまして三十五馬力のトラクター、六十二年一月段階で国内
価格
が二百七十六万円で輸出
価格
が百八万円だ、その
格差
二・六倍になっているということを明らかにしたんですが、その際に局長は三つの理由を述べまして内外
価格
差はあたかもないような答弁をされているんです。私はその三つの局長がお述べになった理由の一つずつ確認していきます。 第一です。小売
価格
と卸
価格
の問題です。これはFOB
価格
というのは日本の港積み出し
価格
ですから、言ってみれば卸
価格
と同じだと思います。そういう点でこの卸と小売
価格
のその実態を
調査
されましたか。
浜口義曠
211
○
説明員
(浜口
義曠君
) 先生御指摘のとおり、私どもの
資料
と申しますか、当時先生がお配りになられました
資料
は、その
数字
は全国
平均
の
農家
購入
価格
、三十五馬力内外、二百七十六万円という
数字
でございます。さらに、当時輸出
価格
という名目の上で今先生もお話しになりました点は百二万六千円でございます。
下田京子
212
○下田京子君 いやいや、違う、違う。一月段階だから百八万二千円だ。
浜口義曠
213
○
説明員
(浜口
義曠君
) 百八万二千円でございます。その一月段階の点につきましてはおっしゃるとおりでございまして、その点に関連いたしまして私が答弁を申し上げたのは、まず前提といたしまして、国内
価格
というふうに掲げられている
価格
は、それは
農家
の
平均
購入
価格
である、さらに輸出
価格
という
数字
は、これは大蔵省の貿関統計を単純に
平均
した
数字
を掲げさしていただいているという点を申し上げました。 そういう点で申し上げて、私どもの点から、今、先生がこれから御指摘になろうという第一の具体的な卸売
価格
の点あるいは具体的な部品の問題あるいはその他の、これは
数字
的にはなかなか把握はできませんけれども、具体的な日本の
農家
が購入しておられる
価格
については水田用であり、輸出用については畑作用的なもの、言うなれば水田の部品がないというような点等を考慮していかなければいけない。そういう前提の上で、ほぼ大体輸出
価格
として私どもが提示しました
数字
等々は国内の
価格
と匹敵するのではないかということを申し上げたわけです。
下田京子
214
○下田京子君 それはもう済んでいるんですよ。
調査
したのかと聞いている。あなた、ちゃんと聞きなさいよね。今言ったことは、前回五月十二日に答弁したことを繰り返して言っているだけじゃないですか。そのうちの第一のFOB
価格
というのは卸
価格
と同じなんだ、だから小売
価格
と卸
価格
の実態について
調査
されたのかどうなんだ、
お答え
くださいと言っているんです。その答弁になっていませんでしょう。 そこで、私は
試算
をいたしましたが、
農協
の手数料というのがどういうものかということなんです。これは系統経済事業の全農総合企画部が出しているやつだから間違いありません。それで、単協だと手数料大体一〇・七%、経済連が四%、全農が一・五%、つまり一六・二%、バックマージンその他含めても大体小売
価格
の二〇%引き、これが卸だというふうに見ていいでしょう。とすれば、三十五馬力のトラクターというのは、これは小売
価格
二百七十六万円ですが、二百二十万八千円、これが卸
価格
に相当するというようなものが
推計
できます。間違いないですね。
浜口義曠
215
○
説明員
(浜口
義曠君
) 今おっしゃったように、小売の手数料の
関係
から考えますと、全農等の
数字
は先生がおっしゃるとおりだと思います。その他機械のシェア、流通等を見ますと、大体機械におきましては商系の分野がかなり広うございます。そういった点につきますと、例えば大体予想的な
数字
等々から考えますと、二五%というようには申し上げませんが、二〇%から二十数%を考えるべきではないかというふうに考えます。
下田京子
216
○下田京子君
調査
したかどうかということについて
お答え
にならないで、全農といえども商系と競争しているんですから、いみじくも二〇から二五%、とれは小売
価格
から引いていけば卸がわかるというふうに言われたじゃありませんか。 第二の問題なんですが、あなたはタイヤ、バッテリーなどのついているついてないで、だから差があるんだみたいなことをおっしゃいました。端的に答えてください。輸出品には一般にタイヤ、バッテリーは装備されてないとおっしゃっておりますけれども、現実にタイヤ、バッテリーの値段、幾らなのか、お調べになりましたか。
浜口義曠
217
○
説明員
(浜口
義曠君
) 具体的な私ども
試算
というものは持っております。計算いたしました。これにつきましては今、先生が御指摘のように、
基本
的には、一般的には輸出のものにつきましては私ども
調査
いたしましたところ、ロータリーあるいはバッテリー等々がないのが原則である。もちろん個別にいろいろなものがついている例もあろうと思いますけれども、貿易統計等々の御議論ですから、
基本
的にはそういうふうに予想するのが一般的だろうというふうに考えております。
下田京子
218
○下田京子君 タイヤとバッテリーの
価格
、今また申されたロータリーの
価格
、幾らなのかお調べになりましたかと聞いているんです。
浜口義曠
219
○
説明員
(浜口
義曠君
) トータルで、私ども一応
推計
のものとして考えられる
部分
については、具体的に約百万円を超えるものだというふうに考えております。
下田京子
220
○下田京子君 とんでもないです。私はその
数字
言ってくると思ったんです。 実は、聞いていたときにタイヤ等が約四十万だと言うんです。ロータリーが六十万だからと、こう言うわけなんです。タイヤなんというのは今値段あってないみたいなんですよ。私は
農機具
屋さんにちゃんと伺ったんです。これは正確にデータがとり得ないぐらいに値下がりしているんです、タイヤは。そうでしょう。どうやって調べましたか。これが一つ。それから水田ロータリーというのは六十万なんかしていません。五十万ぐらいです。責任持って
調査
すべきですよ。 大体、今おっしゃった――いいですよ、
調査
するかしないかだけでいいんです。今の
数字
は非常にあいまいだということを私は言いたいんで、なぜかといいますと、水田用のロータリーが輸出向けにはついているかついてないかということは、これは通関統計上からしか見てないでしょう。実際に統計の
資料
が具体的にないでしょう。ありますか。全部チェックしましたか。アメリカ向け、七九%シェアのうち、ついているかついてないか、タイにはどうか、ECはどうか、調べてみましたか。
浜口義曠
221
○
説明員
(浜口
義曠君
)
先ほど
来申し上げておりますように、この比較においては、何度も私ども申し上げておりますように、具体的な貿易関税統計におきます
平均値
ということで
推計
をするのだということを何度も申し上げておるわけでございます。そういう
状況
のもとで申し上げております。 それからもう一つ言わしていただきますと、ロータリー等々……
下田京子
222
○下田京子君 いいです、いいです。 ですから、貿易通関統計でやっているんですよ。私は
調査
したかということを言っているんです。独自に
調査
しなかったらだめですよということを言っているんですよ。いいですか。貿易通関統計なんというのは私が見たってわかりますよ。ここに持ってきていますよ。あるんですよ。 それで申し上げますけれども、余りにも誠意がないんです。いいですか。私は、五月十二日のときにも、代理
大臣
でしたけれども、
調査
して引き下げのためにやりますと約束しているんです。
加藤
農相もそう言っているんです。だから貿易通関統計云々じゃなくて現実に
調査
しなさい、具体的な事例でもってメーカーに聞き取りやったっていいじゃないですか、抜き取りでやったっていいじゃないですか。 そこで申し上げたいんですけれども、今の小売
価格
二百七十六万、卸が二百二十万八千円でしょう。部品が、私の
調査
によりますと、タイヤ、バッテリー等やってもせいぜい十五万なんです。ロータリーは五十万
程度
にしましても部品
関係
六十五万円、ですから二百二十万八千円から六十五万円を引きますと百五十五万八千円、約百六十万円です。そういうことで、この輸出
価格
は実は一月段階では百八万だったんですけれども、四月段階では百万円に下がっているんです。ですから国内
価格
は変わらぬ。逆に一・六倍というような差がはっきりしてくるわけなんですよ。通関統計についてもいろいろ不明なところがあるんですよ。だから調べなきゃならないと言っているんです。 私が今申し上げましたけれども、タイの
価格
なんです。三十から五十馬力のトラクターです。六十二年の一月から三月の
平均
です。私ここに持ってきております。タイヘの輸出
価格
、五十一万二千円です。アメリカへの輸出
価格
、百万三千円です。ECに対しては幾らか。百十四万四千円です。こんなに違っているんです。ですから、タイの
価格
の場合には日本の三分の一じゃないかというふうにも見えるんですね。だから、この差は一体何なのか。馬力の違いなのか。いずれにしても
価格
差が多過ぎるということなんです。
調査
されますか。
浜口義曠
223
○
説明員
(浜口
義曠君
) 何度もこの点については申し上げますが、具体的な日本における購入
価格
及び私どもが操作の問題として貿易関税統計と比較する場合の前提条件として、先生これは御指摘のとおりでございますが、それぞれ違うわけでございます。そういう意味におきまして、その具体的な点におきまして、日本の購入
価格
についても違いますが、一つの輸出、日本の企業が輸出する問題と日本の
農家
に売る問題というものを概念的に比較する場合に、我々が
資料
を出したわけでございます。そういう意味におきまして、それぞれの点について個別の具体的な点をおっしゃいましたけれども、私どもはそういう
数字
の具体的、蓋然的な取り扱いの上においては、抽象的な前提に置いた上での比較というのが妥当だというふうに考えております。
高木正明
224
○
委員長
(
高木正明
君) 下田君、時間が来ていますから、簡潔にしてください。
下田京子
225
○下田京子君 はい、わかりました。 個別に調べるべきなんですよ。私はこれを個別に
調査
したんです。それから農民運動全国懇という団体も調べました。日本のある代表メーカーの場合、昨年の八、九月、アメリカに輸出した三十四馬力のトラクターの
価格
です。八十四万七千円です。しかもこれにはタイヤがついています。アメリカまでの船賃込みの
価格
です。FOB
価格
じゃありません。アメリカ到着
価格
です。日本国内用トラクターの水田用ロータリーの五十万円除きますと、実にそれでも百七十万八千円でしょう。ですから、その差を見ますと八十六万一千円ということになるんですよ。本当にそういう点から見ましてこれはもう問題であって、個別に
調査
をしなさいということなんです。そして
価格
差は現実にある、そしてこの
価格
差はやっぱり是正していくために引き下げやるべきだということなんです。 時間だから申し上げたいんですけれども……
高木正明
226
○
委員長
(
高木正明
君) 簡潔にしてください。
下田京子
227
○下田京子君 一台で九十万や百万も違うんですからね。アメリカで日本産のトラクター買って逆輸入した方がいいんじゃないかという話まで出ているんですよ。ここずっと地元からも全国からも皆さんお見えになっておりますけれども、こう言っていますよ。東京からサンフランシスコの航空運賃幾らかといったらエコノミークラスで往復三十一万五千六百円だというのです。このお金でもってアメリカに
農機具
買いつけのツアーでも組もうか、こんな冗談まで出ているくらいなんです。そこをきっちりとわきまえて
調査
して引き下げるということを、再度
調査
をしなさい、そして引き下げのための具体的な指導をしなさいという点で
大臣
も約束されているんですから、当然そういう対応を事務方としてもやるべきだということを申し上げまして質問を終わります。
山田耕三郎
228
○
山田耕三郎
君 午前中
大臣
から答弁をいただきました件につきましてもう少し掘り下げてお尋ねをいたします。 まず第一点は、
加藤
大臣
は第三期過剰時代を招いたら
生産費
・
所得補償方式
そのものも、あるいは食管制度そのものも崩壊してしまうと心配をしておいでになりますが、そうならないためにどのように対処をされているのかということでございますが、私の見るところではようやくにして減反政策だけが行われておるのではないか。
先ほど
も農林省の担当の方の答弁の中にこういうことがございました。
需給
の
動向
に対応した
水田農業確立対策
として麦と大豆を組み込んだ転作体系を確立していきます旨の答弁がありましたそのときに、傍聴席においでになります多くの方の表情が緩みました。それは共感を示しておいでになる表情ではないと私は見ております。このような麦や大豆を組み込んだ輪作体系を本当に目標としてやっておられる方はまずないのではないか。 私の地元に帰りましても、
政府
は集団転作に対して手厚い保護を加えておいでになります。けれども、
一定
地域にその集落の全
農家
の方々の農地が
平均
して存在をすることはございません。だから多い方と少ない方ができます。集落の人たちはお金を出し合って、そしてそれぞれの面積に応じて損害補償をしておいでになります。その拠出金は年々増額をせなければならないということであり、このことが将来自分の営農のためにどうしても組み入れていこうという熱意や目標はございませんというのが事実でございます。こういったことでありますので、やっぱり私は消費者の恣意に任じておいたらお米はだんだんと余ってくると思います。 例えば今日お米の消費量は横ばいのようにおっしゃっておられますけれども、私の地元には琵琶湖がございます。その琵琶湖での水質は、汚濁指標は変わりませんけれども、回復基調ですと行政は言います。絶対回復しておる基調は見られません。だから、消費量の場合にも横ばいということは着実に減っていっておるのではないか、このように見なければならないと私は思います。 そして、簡単に申し上げましても、今の高齢化社会の中でお米を常食とすることになじんできたお年寄りがだんだんと年をいくに従って摂取量が減ってくるということは当然のことでありますし、
労働
時間の短縮が叫ばれながらも各企業の生き残り競争はやっぱり技術革新と合理化競争でしかありません。その上に女性の職場進出は依然として高率を見ておりますのですけれども、手づくり料理の時間がそのことのために奪い去られていく。こんなことを数え上げれば切りがございませんのですが、そういった場合に消費をふやしていかなかったら、これは大変なことになっていくのではないか。その消費をふやすためにどうしたらいいのか。やっぱり私は教育が大切だと思うのであります。 消費者の皆さん、アメリカのお米が安いからといってお値段だけに飛びついていただいたら、日本の米作は破壊をされていきます。日本の米作がなくなったときには外国のお米が独占商品になってしまいます。そして安保の問題を考えても軽易に看過することのできない問題であります。こんなことがやっぱり
農協
を通じて
国民
の
皆さん方
にPRされていくことが必要な時期に来ておるのではないか。
皆さん方
は、国では日本農業を守るとおっしゃっておられますけれども、本当に守るための施策をやっていただいておるのかどうか。今消費がだんだんと減っていくことはこれはやっぱり日本米作農業滅亡への一里塚を歩んでおる、このように言わざるを得ないのでございますけれども、本当にどう思っておいでになるのか、御所見を承りたいと思います。
山田岸雄
229
○
説明員
(
山田岸雄
君)
お答え
いたします。 先生御指摘の消費の
動向
でございますが、私どもも、若干の下がり方が緩くなったり強く下がったりということはございますが、今なお消費は減退傾向にあるということは認めておるわけでございます。したがいまして、そうした中におきましていかにして消費の
減少
を防止するか、こういうことが緊要の
課題
でございますし、我々といたしましてはできるだけ多くの範囲の消費の
拡大
対策、こういうふうなものをいろいろと考えてやっておるわけでございます。先生も今御指摘のように、年齢
構成
別のお米の消費の実態等を見ましても、やはり男女で多少の差はございますが、今の若い人の方の消費量が少ない、こういうふうな実態も見受けられるようなわけでございまして、こういった点を是正していくためには学校給食その他に今後とも力を入れていかなければならないでしょうし、また現実の問題といたしまして、最近の消費の
動向
は消費者世帯よりは
生産
者世帯の
減少
の量の方が多い、こういう実態等もあるわけでございまして、その辺につきましては農業団体の方々にも積極的に取り組んでいただきまして、ともども消費の
減少
度合いに歯どめをかけるようなことを創意を出しながら積極的に取り組んでいこうではないか、こう考えておる次第でございます。
山田耕三郎
230
○
山田耕三郎
君 その次の問題は、今の
基本
的農政といたしまして中核専業
農家
の経営
規模
の
拡大
による国際競争力の強化を
基本
的に考えておいでになると思います。けれども、やっぱり国際競争力を強化するために経営
規模
を、アメリカ
並み
にはとてもいきませんけれども、せめてその十分の一
程度
にまで
拡大
をするといたしましても大変な離農層を出していかなければならぬ、このように私は思っております。本当にそんなことができると思っていらっしゃるんだろうかどうか、この辺についてお尋ねをいたします。 かつて石油ショックのときに生活保護家庭が急増をいたしました。私はどういった方が生活保護をお受けになるのかということを調べてみました。そしたら安定職業層においでになる方は絶対生活保護家庭に転落はありませんでした。不安定職業層においでになる方が転落をしていかれます。景気のよいときには転落を免れられます。景気が少し悪くなれば転落をする。いわばその境界線を浮きつ沈みつして進んでおいでになると言っても過言ではございません。不安定職業層とは総体的にどういう層の方を申し上げるのか。それも就労の形態が日雇い形態というのもいけません。さらに時間的なものは、フルタイマーはよろしいけれども、パートタイマーはやっぱり問題です。 それでは、こういう人たちがどうして生まれてきたのか。皮肉にもそのときにたまたま多かったのは、かつて農業
基本
法が制定をされました。自立
農家
を育成するということであります。そうすると、当然のこととして景気のよいときでありましたから離農者が出てまいります。その離農した人たちは、今言ったように多くの人が日雇い形態で就労をされたり、さらにはパートタイマーで就労をなさった。こういう人でありますから条件が悪い。そういった方が石油ショックによる不況に対して保護家庭に転落をなさった。 それを考えてみますと、今自立
農家
育成だとかあるいは中核専業
農家
育成のために離農者をむやみに出していくということは本人のためには不幸なことであり、国家的に考えてみても大変不経済なことのように思われてなりませんけれども、そんなことを考えてみたり、さらには日本の地形等から見てアメリカ
並み
に簡単に
規模
の
拡大
が可能なのかどうか。それをしも押して経営
規模
拡大
ができると思っておいでになりますのか。確かに模範となる事例はあります。けれども、その事例はそれなりに過去の積み重ねがございます。そういったことから考えてみまして大変危惧いたしますから、以上のことをお尋ねをいたします。
山田岸雄
231
○
説明員
(
山田岸雄
君) 先生御指摘のように、
規模
拡大
ということが非常に難しいということは私どもも重々理解しておるわけでございますが、今後の土地
利用
型農業におきますところの
生産性
の向上を図るためには、ぜひともこれを実行していかなければならない問題であろうとも考えておりますし、そうした過程におきまして就労等の問題の起こることも考えられるわけでございまして、この点につきまして私どもの方では、農村工業導入法、こういうふうな法律も持ってやっておるわけでございますが、これのみで十二分に期待するということにもならないのではないか。さらにいろいろの各般の施策、また
関係
各省の御協力も得ながらこの問題は取り組んでいかなければならない問題である、非常に簡単な問題ではないというふうに我々も自覚しておる次第でございます。
山田耕三郎
232
○
山田耕三郎
君 以上の二つの点から考えていただきましても、農業自体とてもやっぱり経済行為でありますから、経済の原則を無視するわけにいきません。できるだけ経済社会の中で競争力をつけていただきますということは必要であります。けれども、これだけでやっていけるという日本の現実の
状況
ではございません。だから
政府
が農業者を守るとおっしゃるなれば、やっぱりその限度以上のことについては手厚い保護が必要なのではないか。だから保護と自立と、そのミックスした政策が確立されなければならない、このように私は思っておるのでございますけれども、最後にその辺の御見解をお尋ねをいたします。
山田岸雄
233
○
説明員
(
山田岸雄
君) 先生の御指摘のように、いろいろの施策を総合的に考えまして、有機的関連を持ちながら効果を発揮させなければ到底土地
利用
型農業、こういったものの健全な
発展
ということは図れないのではなかろうか。したがいまして、私どもも
生産
、構造、
価格
、各方面の施策をこれに向けて積極的に取り組んでいこうと、このように考えておる次第でございます。
山田耕三郎
234
○
山田耕三郎
君 米の問題は、
生産
農家
の方ももちろんですけれども、消費者の方々にその本質をもっと理解をしていただかなければならないと思います。やっぱり消費者と
生産
者とが本質的に問題を理解することによって米は守られていくと思うのでございますけれども、そのためには
政府
としては正確な情報をもっとやっぱり
国民
に知らしていただく努力が必要だと思えてなりませんけれども、アメリカの例えば次期支援戦闘機の売り込み一つを見てみましても、極めて強引なところが見受けられます。農業問題とても、私たち枢機に参画することのない者にはわかりませんが、交渉の窓口においでになります
政府
の
皆さん方
にすれば、その辺いろいろのことを感じておいでになるのではないかという心配を持っておるのでございますけれども、そういった面から
国民
に真実を知らすことのできない
事情
があるのかどうか。あるとすれば、それは解決はできないのかどうか。私は、
国民
に対する真実の情報の提供がいかにも少ない、そこには協力は得られない、こういった悪循環を来しておるように思えるのですけれども、お差し支えない
程度
で御答弁を願います。
山田岸雄
235
○
説明員
(
山田岸雄
君) お米の海外との関連の情報等につきまして、昨年ぐらいまでは特にアメリカあたりも対日輸出市場開放といったような問題も余りなかったわけでございますので、そういった関連の情報等につきましても、例えば先方の
生産
なり
需給
なり
価格
の
事情
等はわかっておりましたが、日本に向けてどうというふうなことはなかったわけでございます。しかし、昨年の九月以降、アメリカの精米業者協会あたりがUSTRに日本がお米の市場を完全に閉鎖しているというふうなことで提訴した以降におきましては、アメリカサイドでもいろいろと動きのあることは事実でございます。しかしながら、私どもも的確な情報の把握ということに努めていかなければならないわけでございますが、何分にもアメリカにおきますところの精米業者協会なりは輸出産業といたしましてもマイナークロップの部類に入るような次第でございまして、情報等も非常に少ないようなのが実態であろうかと思うんでございますが、今後ともそういった関連の情報の収集には極力努めまして、
国民
に対して参考になるようなことにつきましては積極的にお知らせするといったことがいいんではないかと、こう私は思っております。
高木正明
236
○
委員長
(
高木正明
君) 本件に対する本日の
質疑
はこの
程度
といたします。 ――
―――――――――――
高木正明
237
○
委員長
(
高木正明
君) 稲村君から発言を求められておりますので、この際これを許します。稲村君。
稲村稔夫
238
○稲村稔夫君 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・
国民
会議、日本共産党、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員
山田耕三郎
君の共同提案に係る
昭和
六十二
年産
生産者米価
決定
に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
昭和
六十二
年産
生産者米価
決定
に関する決議(案)
政府
は、本日、
米価審議会
に対し、
昭和
六十二
年産
生産者米価
について、五・九五%の大幅な引下げ
諮問
を行った。 この
諮問米価
は、減反政策の強化や
米価
抑制、累積債務等により農業経営がますます苦しくなり、将来への展望を持ち得ないまま
生産
意欲を失いつつある
生産
農家
の厳しい実情を全く無視したものである。また、わが国農業の特殊
事情
を踏まえず、性急に内外
価格
差の縮小をはかることは、中核
農家
の経営をも破綻に追い込むものであり、極めて遺憾である。 よって、
政府
は、
昭和
六十二年度
生産者米価
の
決定
に当たっては、
算定要素
の改善を行い、再
生産
と
所得
を確保する
価格
で
決定
すべきであり、引き下げを行うべきではない。 あわせて、
生産
基盤整備の促進と
農家
負担の軽減、流通施設の整備、
生産
資材
価格
の引下げ等
稲作
農業の体質強化と
生産性
の向上に資する
各種施策
を拡充強化すること。 また、
食糧管理制度
の根幹を堅持するとともに、米の市場開放要請に対しては、第百一国会の本院における米の完全自給等を確認した本会議決議により、断固としてこれを拒否すること。 右、決議する。 以上でございます。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
高木正明
239
○
委員長
(
高木正明
君) ただいまの稲村君提出の決議案につきましては、その取り扱いを改めて理事会で協議いたします。 ――
―――――――――――
高木正明
240
○
委員長
(
高木正明
君) 次に、
農林水産政策
に関する
調査
のうち、
食糧管理制度
の
根幹堅持
、米の
市場開放阻止
等に関する件を議題といたします。 宮島君から発言を求められておりますので、この際これを許します。宮島君。
宮島滉
241
○宮島滉君 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・
国民
会議、日本共産党、民社党・
国民
連合、二院クラブ・革新共闘の各派及び各派に属しない議員
山田耕三郎
君の共同提案に係る
食糧管理制度
の
根幹堅持
、米の
市場開放阻止
等に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。
食糧管理制度
の
根幹堅持
、米の
市場開放阻止
等に関する決議(案) 最近の我が国農業・農村をとりまく環境は、農産物
価格
の低迷に加え、雇用の不定と地方経済の停滞等誠に厳しいものがある。 特に
稲作
農家
は、七七万ヘクタールに及ぶ転作に鋭意取り組んでいるなかで、海外からの米市場開放要請等により、
稲作
の将来に対し大きな不安を抱いている。 よって
政府
は、次の事項の実現に万全を期し、
稲作
農家
の不安を解消し将来展望を拓くため、確固たる
米穀
政策を確立すべきである。 一
国民
の
基本
的食料である米の安定供給を図るため、
食糧管理制度
の根幹を堅持すること。 二 米の市場開放要請に対しては、第百一国会の本院における決議を体し、断固として国内
生産
による完全自給方針を堅持すること。 三
昭和
六十二
年産
生産者米価
については、再
生産
と
所得
が確保される適正な
価格
を実現すること。 右決議する。 以上であります。 何とぞ
委員
各位の御賛同をお願いいたします。
高木正明
242
○
委員長
(
高木正明
君) ただいまの宮島君提出の
食糧管理制度
の
根幹堅持
、米の
市場開放阻止
等に関する決議案の採決を行います。 本決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
高木正明
243
○
委員長
(
高木正明
君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本
委員会
の決議とすることに
決定
いたしました。 ただいまの決議に対し、星
農林水産政務次
官から発言を求められておりますので、この際これを許します。星
農林水産政務次
官。
星長治
244
○
説明員
(星長治君) ただいま御決議をいただきました事項につきましては、
米価審議会
におきまして
審議
中の事項もございますので、その御
意見
も承りました上で十分検討の上適切に対処してまいりたいと存じます。
高木正明
245
○
委員長
(
高木正明
君) 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十四分散会