○板垣正君 この三枚の用紙に集約されておりまするけれども、これはまさに、二十八年から今年度まで入れますと三十四年間に及ぶ
恩給問題、
公務扶助料等を中心とする、関係者の本当にまさに汗と涙の結晶であります。また、
政府、国会、関係方面もこれとのかかわりの中で一年度一年度安易に過ごした年は一年もない。非常な苦難の中から新しい装いで生まれた
恩給、国家補償のあり方、それを模索しつつまた
一つの方向が生み出されてきた、これが物語られているわけであります。時間が限られておりますから詳細な説明は省略いたしますけれども、一通りごらんいただきましても、この三十四年間、今回の
改正まで入れますと二十四回目の
改正であります、
増額措置は。しかも、この二十四回の
改定について
公務員給与の
改善とかかわりのなかった回は一回もないということが、明確に申し上げられるわけであります。
この二十八年以来は、当初の発足が当時ございましたいわゆる
公務員給与ベース一万円、これも
恩給審議会の建議よりも引き下げられてスタートしたわけでありますが、このいわゆる
公務員の一万円ベース、そして
公務扶助料、いわゆる最大多数を占める兵の階級における
年額が二万六千七百六十五円、これでスタートしたわけでございますが、その後の歩みはほぼ
公務員給与ベースを後追いするという形で
改定が積み重ねられ、その間いろいろな
政府の機関、
審議会等も設けられた経緯もあるわけであります。
そして、
一つの画期的な出来事は、四十一年の調整規定、いわゆる
恩給法二条ノ二の新設でございます。これによって初めて
恩給を上げる根拠というもの、
政府の責任というもの、また、
受給者がこれを権利として主張すべきもの、いわゆる政策的配慮で今までは扱われてきたが、そうではない、
恩給はやはり
受給者にとっては権利であり
政府にとっては
改定を行うべき責任がある、しかもそれには三要素を総合していくべきであるというこの規定が盛られたということは、
一つの画期的なことであります。
さらに、四十四年度について。この年は
物価を基準として上がっております。ただし、初めて
恩給局が概算要求を出したのがこの年度であります。それまでは
恩給局は、こうしたもので普通の
予算のような概算要求は出さない。
予算編成
最終段階においてひとつの政治的なつかみ金で、最終政治折衝で処理されてきたのが、四十四年までの経緯であります。この年初めてこの概算要求がほかの省並みに出された。そのときには、公務
給与の上がり分と
物価について要求がなされましたけれども、そこは大蔵省に値切られて積み残しになって、
物価だけの上がり率がとられたという、こういう
事情でございます。
さらに四十五年、このときにはこの概算要求に出されたものが初めてほぼ実現を見る。これが山中
総務長官の時代であります。この山中
総務長官が前後三回にわたっての折衝に当たって、
恩給局で
検討して概算要求として出されたものは全額認めらるべきであると、これが国家補償のあるべき姿であるという形で、これからこの
恩給のコースが敷かれたということが言えるわけでございます。
そして、その後の四十七年に至りまして、四十八年の一月から最底保障額の設定、そして四十八年の概算要求からは純然たる
公務員給与改善のパーセントを持ってきて、二三・四%というこの四十六年、四十七年の
公務員給与の
改善分がそのまま計上されておる、こういうわけでございますね。そして、この四十八年以降、
公務員給与の上がり分をスライドさせる、そうしたあり方が定着をしてくる。さらに、
最低保障額制度が設けられて、
改善についても
公務員給与の
改善に、特に五十一年度以降いわゆる上落下厚の
措置がとられて、圧倒的多数を占める
最低保障額適用の面の
改定措置が進められてきたわけでございます。
なお、五十二年以降はそうした形で
公務員給与の上がり分をスライドさせる、さらに
公務扶助料等については
最低保障額の引き上げをさらに加算をして行う、実施時期に若干のずれがございますけれどもそういう形が定着を見たということが、この後五十二年以降のこの表を見ると明確に物語られるわけであります。したがいまして、
公務扶助料、これは
恩給全体についてももちろん言えるわけでございますけれども、この
増額措置というものが
恩給法二条ノ二を根拠としつつ、しかし国家補償のあり方においては、やはり
公務員給与の
改善に準拠をして、そして安定した姿、定着した姿で行われてきた。ここに、高齢化しつつある
受給者の
一つの安定感といいますか、そうしたものが得られてきたわけであります。
やはり、こうした実績、また国家補償のあり方の具体的な姿というものは、政策の場においても尊重されるべきではないのか。これを、ただ
年金一元化だからもう
物価に持っていけばいいんだという姿において、
受給者にとっては極めて残酷な
措置と受け取られ、非常な不安と動揺をもたらす、これは政策として決してとるべきことではないのではないか。だからこそ、昨年暮れにおきましても、我が党においても久々に
恩給をめぐっての大論議が巻き起こり、
受給者にも大変な不安、動揺をもたらしたという経緯があるわけであります。
行革もとより大事なことでございましょうが、そうしたものがそういう戦後一番大きな犠牲を受け、その中からやはり
遺族として、人間としての誇りを失うことなく苦難に耐え抜いてきたこういう層の人々に、言うなれば弱い層の人々に不安を与える、しわ寄せをもたらす、こういう行き方は私どもは断じてとるべきではないと、こう信ずる次第であります。
さて、そこで
恩給局長に伺いますけれども、
恩給受給者のこの数ですね、もうピークは過ぎているのではないか。何といっても高齢化が進んでおりますが、そうした数がピーク時はいつごろであったのか、現在どういう
状況にあるのか、これからの見通しはどうであろうか。また、この
受給者の年齢ですね、
つまり受給者の数あるいは
受給者の平均年齢、年齢についてはできれば
恩給受給者全体、それと
公務扶助料等を受給しておる戦没者の
遺族の立場の者の平均年齢、そして
受給者の数のこれからの見通し、さらに
恩給予算総額のこれからの見通し等があれば、お聞かせいただきたいと思います。