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1987-05-14 第108回国会 参議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年五月十四日(木曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      千葉 景子君     野田  哲君      柳澤 錬造君     藤井 恒男君  三月二十七日     辞任         補欠選任      藤井 恒男君     柳澤 錬造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 板垣  正君                 大城 眞順君                 亀長 友義君                 久保田真苗君     委 員                 大島 友治君                 小島 静馬君                 古賀雷四郎君                 永野 茂門君                 堀江 正夫君                 小野  明君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 吉川 春子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  山下 徳夫君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   河原崎守彦君        内閣官房内閣安        全保障室長        兼内閣総理大臣        官房安全保障室        長        佐々 淳行君        内閣総理大臣官        房審議官     本多 秀司君        宮内庁次長    山本  悟君        総務庁長官官房        長        古橋源六郎君        総務庁長官官房        会計課長     塩路 耕次君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   古川 武温君        防衛庁参事官   児玉 良雄君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁施設        部長       岩見 秀男君        防衛施設庁建設        部長       田部井博文君        外務大臣官房審        議官       渡辺  允君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        文部大臣官房総        務審議官     川村 恒明君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     川橋 幸子君        法務省民事局参        事官       細川  清君        外務省国際連合        局審議官     林  貞行君        労働省婦人局婦        人福祉課長    藤井紀代子君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査並びに国防衛に関する調査  (総理府関係施策に関する件)  (昭和六十二年度内閣総理府関係予算に関す  る件)  (総務庁基本方針に関する件)  (昭和六十二年度総務庁関係予算に関する件)  (防衛庁基本方針に関する件)  (昭和六十二年度防衛庁関係予算に関する件)  (昭和六十二年度皇室費に関する件)  (防衛費に関する件)  (シーレーン防衛研究に関する件)  (安全保障会議に関する件)     —————————————
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。去る三月二十六日、千葉景子君が委員辞任され、その補欠として野田哲君が選任されました。     —————————————
  3. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題といたします。  まず、内閣官房長官から所信及び昭和六十二年度内閣総理府関係予算説明を聴取いたします。後藤田内閣官房長官
  4. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まず、私から総理府本府の所管行政につきまして所信一端を申し述べたいと思います。  総理府本府は、大臣官房及び賞勲局、迎賓館、国立公文書館日本学術会議等から成り、外局を含む総理府全体の統轄事務政府公報栄典関係省庁相互間の連絡調整等内閣と密接な関連を持つ事務など各種事務を担当いたしております。  この所管行政の主なものにつきまして私の所信一端を申し述べ、委員各位の深い御理解格段の御協力をお願いするものでございます。  まず、緑化推進でございますが、昭和五十八年に緑化推進連絡会議を設置しまして、全国的な緑化運動展開を図ってきました結果、地域に密着した市町村等緑化運動の着実な実施、国及び都道府県の各種緑化推進事業の積極的な展開により、地域住民緑化意識向上が図られ、全国的に大きな盛り上がりを見せております。今後、さらに緑化推進運動定着化を図るため、地域の実情に即応した緑化対策推進し、花と緑に囲まれた潤いのある地域社会建設を目指してまいる所存であります。また、昭和六十五年に開催される国際花と緑の博覧会の成功を期して、総理府立場から格段努力をしてまいる所存でございます。  次に、婦人に関する施策推進につきましては、国連婦人の十年の間において国内行動計画により挙げた成果を踏まえ、一昨年にナイロビで開催された世界会議決定事項国内施策への取り入れ等婦人に関する施策総合的推進を図るため、去る五月七日、「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」を策定いたしました。この新国内行動計画に沿って男女共同参加型社会の形成を目指し、種々の施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。  また、障害者対策につきましては、本年は国連障害者の十年の中間年に当たり、これまでの成果を踏まえて障害者対策に関する長期計画後期重点施策を策定することとしており、広く国民理解協力を得ながら障害者が他の一般市民同様社会の各分野で積極的に活動できるよう、各般施策の着実な推進努力してまいる所存であります。  さらに、政府広報につきましては、政府に対する国民信頼を確立するため、我が国が当面している課題やそれに関する主要な施策制度重点を置き、広報活動を積極的に実施してまいる所存であります。  その他の所管事項につきましても、公益法人指導監督行政の一層の適正化社会連帯意識の醸成と高揚を図るための国民の自主的な運動推進など、各般施策推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。  委員各位の深い御理解格段の御協力をお願いする次第でございます。  引き続きまして、昭和六十二年度歳出予算要求額説明を申し上げたいと思います。  昭和六十二年度における内閣及び総理府所管歳出予算要求額について、その概要を御説明いたします。  内閣所管昭和六十二年度における歳出予算要求額は百十八億九千六百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百十五億一千七百万円に比較いたしますと、三億七千九百万円の増額となっております。以下、順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費五十二億九百万円、内閣法制局に必要な経費六億二千五百万円、人事院に必要な経費六十億六千二百万円であります。  次に、総理府所管昭和六十二年度における歳出予算要求額は七兆五百五十五億一千九百万円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆八千四百四十四億四百万円と比較いたしますと、二千百十一億一千五百万円の増額となっております。  このうち、当委員会において御審議を願っております総理府本府、日本学術会議及び宮内庁歳出予算要求額は二百八十五億四千三百万円でありまして、これを前年度歳出予算額二百八十二億五千万円に比較いたしますと、二億九千三百万円の増額となっております。以下、順を追って申し上げますと、総理府本府に必要な経費百九十四億七千七百万円、日本学術会議に必要な経費八億五千六百万円、宮内庁に必要な経費八十二億一千万円であります。  次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。  総理府本府に必要な経費は、政府広報栄典関係及び婦人問題の総合推進等のための経費でありまして、前年度に比較して八千五百万円の増額となっております。  日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項審議、内外の研究連絡調査国際共同事業協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して、九百万円の増額となっております。  宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動皇室用財産維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して三億六千九百万円の増額となっております。  以上をもちまして、昭和六十二年度内閣及び総理府所管歳出予算要求額概要説明を終わらせていただきます。  以上でございます。
  5. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次に、総務庁長官から所信及び昭和六十二年度総務庁関係予算説明を聴取いたします。山下総務庁長官
  6. 山下徳夫

    国務大臣山下徳夫君) 第百八回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、所信一端を申し上げます。  初めに、今国会において御審議をお願いすることといたしております恩給法等の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案は、現下の諸事情を総合勘案して恩給年額増額するとともに、普通扶助料最低保障額及び傷病者遺族特別年金について特別の改善を行うこと等の措置を講じ、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。  次に、総務庁が所管する業務一般についてであります。  第一に、行政改革推進及び機構定員等審査について申し上げます。  行政改革につきましては、臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会答申等を踏まえつつ、累次にわたる行革大綱に沿って、逐次具体的方策推進に努めてきたところであります。また、今回の昭和六十二年度予算編成に際しましては、一般行政組織及び現業部門等簡素化及び合理化特殊法人等改革合理化行政事務整理合理化、国と地方を通ずる行政簡素化効率化等広範な改革課題に関し、政府としての当面の方針を取りまとめたところであります。  さらに、今般発足した新たな臨時行政改革推進審議会に、これまでの政府における行政改革進展状況について全般的に審議願うとともに、今後さらに具体化を図るべき課題についても調査審議を求めたところであります。政府といたしましては、新行革審における調査審議動向等をも踏まえつつ、今後とも行政改革の全般的な推進を図ってまいる所存であります。  次に、昭和六十二年度の機構定員等審査について申し上げます。  機構につきましては、その膨張を厳に抑制し、簡素合理化推進することとし、定員については、第七次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施するとともに、増員を厳しく抑制し、三千四百三十二人の純減を行うこととしております。また、特殊法人については、既定の方針に基づき、二法人を廃止することとしております。また、行政情報システムにつきましては、時代の変化情報関連技術進展等に即応できるよう、総合調整の一層の推進に努めることとし、行政機関の保有する電子計算機に係る個人情報保護等の諸問題についても積極的に取り組んでまいる所存であります。  第二に、国家公務員人事管理につきましては、行政に対する国民信頼確保するため、厳正な綱紀の保持及び公務能率の増進に一層努力する一方、国家公務員に対する適切な処遇確保にも努めてまいる所存であります。  第三に、行政監察につきましては、政府重要政策課題の解決の促進及び既往の諸改革定着実効確保の観点から、公的規制の緩和、民活事業稲作対策経済協力国民年金事業下水道事業等について、監察調査計画的に実施してまいる所存であります。また、苦情救済業務につきましても、監察機能との有機的な連携を図りつつ、鋭意取り組んでまいる所存であります。  第四に、統計に関する業務につきましては、その総合調整に当たり、社会経済情勢変化に対応したより精度の高い統計整備充実に努めるとともに、本年行われる就業構造基本調査等の円滑な実施に万全を期してまいる所存であります。また、本年九月、我が国で開催される国際統計協会第四十六回大会につきましても、その円滑な運営に努めてまいる所存であります。  第五に、青少年対策等特定行政分野総合調整業務について申し上げます、  まず、青少年対策につきましては、二十一世紀を担う青少年健全育成を図るため、ボランティア活動等青少年社会参加活動促進を初めとする各種施策推進を図ってまいる所存であります。また、青少年非行防止については、青少年行政総合調整を図る立場から、家庭、学校、地域社会及び関係機関協力連携を呼びかけ、その施策の一層の推進に努めてまいる所存であります。  交通安全対策につきましては、昨年作成しました第四次交通安全基本計画に基づき、安全・円滑かつ快適な交通社会の実現を目指して、関係省庁との緊密な連携もとに総合的な対策推進するとともに、交通安全思想の普及、交通事故被害者援護等に努めてまいる所存であります。  老人対策につきましては、二十一世紀初頭の本格的な高齢社会の到来に備えるため、昨年六月に策定した長寿社会対策大綱に基づき、雇用・所得保障、健康・福祉、学習・社会参加、住宅・生活環境等に関する施策を総合的に推進しているところであり、関係省庁との緊密な連携もとに引き続き各種施策推進を図るとともに、高齢者問題について国民理解関心を深めるため、啓発活動充実強化に努めてまいる所存であります。  同和対策につきましては、去る三月、委員各位の御協力を賜りまして地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律が制定され、四月一日から施行されました。今後は、同法の五年間の有効期間内に、地域改善対策行政適正化を講じつつ地域改善対策特定事業を円滑かつ迅速に実施し、一般対策へ移行するという所期の目的を達成するため、最大限の努力を傾注してまいる所存であります。  その他の所管事項につきましては、諸施策推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。  以上、所信一端を申し上げましたが、委員各位の深い御理解格段の御協力をお願いする次第であります。  引き続きまして、昭和六十二年度における総務庁歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。  昭和六十二年度の総務庁歳出予算要求額は一兆七千八百八十二億四千二百万円で、前年度歳出予算額に比較しますと四百二十七億六千九百万円の増額となっております。  以下、主なものを御説明申し上げますと、恩給法等に基づく文官・旧軍人等に対する恩給の支給に必要な経費として一兆七千二百八十六億四千七百万円、臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会答申、意見並びに行政改革大綱等に基づき、行政運営効率化合理化等推進するための経費として二十三億三千万円、交通安全対策に必要な経費として五億三千百万円、長寿社会対策を総合的に推進するための経費として六千九百万円、地域改善対策啓発活動等に必要な経費として五億百万円、就業構造基本調査等統計調査実施等経費として二百一億三千八百万円、青少年の健全な育成及び国民の健康と体力を増強するための経費として二十二億二千八百万円、北方領土返還運動充実強化及び援護事業実施等北方領土問題対策に必要な経費として十四億六千八百万円を計上いたしております。  以上をもって昭和六十二年度総務庁歳出予算要求額概要説明を終わります。
  7. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次いで、防衛庁長官から所信及び昭和六十二年度防衛庁関係予算説明を聴取いたします。栗原防衛庁長官
  8. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 平素から、我が国安全保障に深い関心を持って御指導いただいている内閣委員会の皆様に、私の所信一端を申し述べさせていただきたいと存じます。  御案内のとおり、我が国は、自由主義諸国の有力な一員として、日本国憲法に従い、自衛のための必要最小限防衛力確保し、もって、自国の安全と世界の平和に寄与しなければならないと考えております。このためには、日米安全保障体制を堅持し、自衛のため必要な限度において、質の高い防衛力整備を、継続的かつ計画的に行っていくことが肝要であります。すなわち、従来から、防衛計画大綱に定める防衛力水準早期達成を図ることを基本方針とし、その具体的実施に当たっては、昭和五十一年十一月の閣議決定を尊重し、これを守るよう努めてきたところであります。        保  昭和六十二年度予算における防衛関係費については、厳しい財政事情を勘案して引き続き経費の抑制を図りつつ、円高油価格低下等も踏まえ、全体規模の圧縮に努める一方、大綱水準達成目標とする中期防衛力整備計画の第二年度目として、主要な正面装備について同計画を平準的に実施するために必要な数量を確保するとともに、正面後方の均衡のとれた質の高い防衛力整備するため、指揮通信機能充実練度向上及び隊員生活環境改善を特に重視することとし、ぎりぎりの努力を行った結果、名目GNP動向もあって、対GNP比が一%をやや上回ることとなったものであります。  かかる状況を踏まえ、総合的に慎重な検討が行われた結果、本年一月、今後の防衛力整備に係る新たな指針についての閣議決定がなされたのであります。これは、専守防衛等我が国基本方針を引き続き堅持すること、中期防衛力整備計画所要経費の枠内で各年度の防衛費を決定すること、さらに、昭和五十一年十一月の閣議決定の節度ある防衛力整備を行うという精神は引き続き尊重すること等を定めたものであり、今後の防衛力整備指針として適切なものであると考えております。  我が国は、防衛力整備と同時に、我が国防衛の要である日米安全保障体制信頼性向上のため、日米共同訓練積極的実施防衛施設機能維持安定的使用確保等、両国間の信頼関係を揺るぎないものとするよう努めているところであります。もとより、国の防衛は、国民の深い理解と力強い支持があって初めて成り立つものであります。我々は、決して戦争というものを好むものではありませんが、しかしながら、平和というものは、ただ単に平和でありたいというだけでは保てません。我が国にとって防衛力整備が必要であること、国の防衛力日本の平和と世界の平和を守るゆえんであるということを懸命に国民に訴えていきたいと考えております。  また、自衛隊国民理解支持を得るためには、みずからの手でみずからを厳しく律するとともに、隊員一人一人が国防の礎となる気概を持ち、その使命を自覚し、与えられた任務に最善を尽くすことが必要であります。私は、自衛隊を統括する防衛庁長官として、文民統制十分意を用い、隊の規律を厳にして、今後とも国民の期待にこたえ得る真に精強な自衛隊建設に邁進してまいる所存であります。  終わりに、我が国防衛に関する事項を所管されている当委員会での御審議を通じ、一層の御鞭撻を賜ることをお願いして、私の所信表明とさせていただきます。  なお、昭和六十二年度防衛庁予算概要につきましては経理局長より説明をいたさせます。
  9. 池田久克

    政府委員池田久克君) 昭和六十二年度防衛庁予算について、その概要を御説明いたします。  まず防衛本庁について申し上げます。  昭和六十二年度の防衛本庁歳出予算額は三兆一千五百八十三億九千八百万円で、前年度の当初予算額に比べますと一千四百三十二億八千八百万円の増加となっております。  次に、新規継続費は、昭和六十二年度乙型警備艦建造費等で九百二億八千五百万円、国庫債務負担行為は、武器購入航空機購入艦船建造装備品等整備等で一兆三千六百九十八億五千三百万円となっております。  次に、防衛本庁予算内容について申し上げます。  昭和六十二年度予算は、厳しい財政事情もと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画大綱に定める防衛力水準達成を図ることを目標として閣議決定された中期防衛力整備計画の第二年度として、質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、正面装備質的充実に加え、指揮通信情報機能充実練度維持向上隊員処遇改善等後方部門を重視し、所要経費を計上したものであります。  特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。第一に、陸上装備航空機艦船等主要装備については、更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15及び地対空誘導弾ペトリオット等調達を行うこととしております。  第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢改善を始めとする継戦能力即応態勢の着実な充実に努め、航空機用掩体建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めるとともに、防衛力維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。  第三に、指揮通信情報機能充実を図るため、防衛統合ディジタル通信網整備する等通信網の抗堪性等向上を図るとともに、艦艇用衛星通信機能及び超長波送信所整備により洋上通信信頼性向上を図るほか、老朽通信器材更新推進等に努めることとしております。  第四に、訓練時間の増加及び教育訓練用装備等充実等練度向上等を図るため、油購入費修理費教育訓練経費等について、所要経費を計上し、教育訓練推進に努めることとしております。  第五に、隊員施策については、隊舎、宿舎、食厨浴場等生活関連施設充実を図るとともに、隊員処遇改善に努めることとしております。  第六に、将来装備動向等を勘案し、装備品研究開発推進するため、引き続き新戦車等研究開発実施するとともに、新たに新個人携帯SAM後方警戒装置等研究開発に着手することとしております。  以下、機関別の主な内容について申し上げます。  陸上自衛隊歳出予算額は一兆二千八百六十二億円、国庫債務負担行為は三千三十九億八千三百万円となっております。  陸上装備については、七四式戦車五十二両、七三式装中央二十三両、二百二ミリ自走りゅう弾砲六門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十三門、新高射機関砲四両等の調達を予定しております用地対空誘導弾については、一個高射特科群改良ホーク改善を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾八セット等の調達を予定しております。航空機については、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター十二機、多用途ヘリコプター八機、輸送ヘリコプター四機、合わせて三十二機の調達を予定しております。  また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。  海上自衛隊歳出予算額は八千六百十五億四千八百万円、新規継続費は九百二億八千五百万円、国庫債務負担行為は四千十一億四百万円となっております。  艦艇については、護衛艦一千九百トン型二隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艇四百九十トン型二隻、補給艦八千三百トン型二隻、合わせて七隻の建造に着手することとしております。航空機については、対潜哨戒機九機、電子戦データ収集機一機、訓練支援機一機、初級操縦練習機二機、連絡機一機、対潜ヘリコプター十七機、掃海ヘリコプター二機、初級操縦練習ヘリコプター二機、合わせて三十五機の調達を予定しております。  また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い二百三十九人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を二百人増加することとしております。  航空自衛隊歳出予算額は八千九百八十二億八千五百万円、国庫債務負担行為は六千七十五億七千七百万円となっております。  航空機については、要撃戦闘機十二機、輸送機三機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター四機、合わせて四十一機の調達を予定しております。なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を改善するため改修を行うこととしております用地対空誘導弾については、ペトリオット一個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾四セット等の調達を予定しております。  また、自衛官の定数については、航空機の就役等に伴い二百六十七人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を三百人増加することとしております。  内部部局、統合幕僚会議及び施設等機関等の歳出予算額は一千百二十三億六千五百万円、国庫債務負担行為は五百七十一億八千九百万円となっております。これは各種装備品等の研究開発費、その他各機関の維持運営に必要な経費であります。  また、統合幕僚会議に所属する自衛官の定数については、日米防衛協力推進等のため四人の増加を図ることとしております。  以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき、安全保障会議に諮り決定されたものは、七四式戦車等主要陸上装備調達、地対空誘導弾ホークの改善、ペトリオット及び八一式短距離地対空誘導弾調達、対戦車ヘリコプター輸送ヘリコプター、掃海ヘリコプター、対潜哨戒機、要撃戦闘機等航空機百五機の調達等及び護衛艦一千九百トン型等艦艇七隻の建造のほか、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更であります。  続いて、防衛施設庁について申し上げます。  昭和六十二年度の防衛施設庁の歳出予算額は三千五百八十八億六千六百万円で、前年度の当初予算額に比べますと三百五億八千百万円の増加となっております。また、国庫債務負担行為は提供施設整備で七百二十二億六千三百万円となっております。  次に、防衛施設庁の予算内容について申し上げます。昭和六十二年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。  第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域生活環境整備等を図ることとしております。  第二に、在日米軍駐留経費の負担については、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備推進及び労務費の負担増を行うこととしております。  以下、各項別の主な内容について申し上げます。  施設運営関連諸費は二千九百一二十六億六千二百万円となっております。このうち、基地周辺整備事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費五百八十九億六千三百万円を含め一千五百三億六千百万円を計上しております。  このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に七百三十五億二千九百万円、国庫債務負担行為で七百二十二億六千三百万円をそれぞれ計上しております。  調達労務管理費については、最近の経済情勢の変化により、在日米軍維持経費が急激に逼迫してきている事態にかんがみ、在日米軍従業員の安定的雇用の維持を図り、さらに、在日米軍の効果的な活動確保するため、必要な特別措置に要する経費百六十五億四百万円を含め基地従業員対策等に要する経費として三百八十五億六千万円を計上しております。  その他、提供施設移設整備費十億八千五百万円、相互防衛援助協定交付金一億六千万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百五十三億九千九百万円を計上しております。  以上申し上げました防衛本庁及び防衛施設庁予算安全保障会議予算を加えた昭和六十二年度防衛関係費は、三兆五千百七十四億三千四百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと一千七百三十八億八千五百万円、五・二%の増加となっております。  以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算概要説明を終わります。
  10. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次に、昭和六十二年度皇室費について政府委員から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長
  11. 山本悟

    政府委員(山本悟君) 昭和六十二年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。  皇室費昭和六十二年度における歳出予算要求額は、二十九億三千七百六十二万八千円でありまして、これを前年度予算額二十九億八千五百五十一万八千円に比較いたしますと、四千七百八十九万円の減少となっております。皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。  以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十四億六千七百九十九万二千円、皇族に必要な経費二億一千二百六十三万六千円であります。  次に、その概要を御説明いたします。  内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費四億八百八十三万九千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十億五千九百十五万三千円でありまして、前年度に比較して、四千七百八十九万円の減少となっております。  皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。  以上をもちまして、昭和六十二年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
  12. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 以上で所信及び予算説明聴取は終わりました。  引き続き調査を行うこととし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官、今六十二年度防衛予算のことをお伺いしました。それで、もうこれは今までにいろいろ議論されてきている面もありますけれども、ひとつ一度伺っておきたいんです。  これにもございますように、「六十二年度予算は、厳しい財政事情の下、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画大綱に定める防衛力水準達成を図ることを目標として」中期防衛力整備計画第二年度の所要経費を計上したとあるわけです。今問題になっておりますのは、「厳しい財政事情の下、国の他の諸施策との調和」が図られているのかどうかということも一つのポイントだと思いますが、長官はここのところをどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  14. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私ども、防衛力というのはできるだけ抑制をしていく、しかし必要なものだけはいただかなきゃならぬ、そういうことで昭和六十二年度の予算編成に臨んだわけであります。  GNP一%を超えざるを得なかった一番大きな要因と申しますのは、六十一年、六十二年の経済成長見通しあるいは実績というものが非常に鈍化した。いつもでございますと、いわゆるGNP一%との天井のすき間が防衛費については七%とか八%前年の防衛費に比べてみてあるわけでございますけれども、昭和六十二年度につきましてはそのGNP一%の天井が四・八%だった。そこへもってきまして、正面装備に対応する後方のおくれがずっと出ておりまするから、その後方のおくれをある程度どうしても取り戻さなきゃならない。そこで、指揮通信機能充実とかあるいは練度向上とか隊員の宿舎、隊舎の改善とか、そういうものを積み上げていくとどうしても一%を超えざるを得ないということで、できるだけ絞ったわけでございますが、これを超えざるを得なかった。  しかし、これは私どもの一方的都合ではできるわけじゃございませんで、大蔵当局におきましてもその点については御理解をいただきまして、最終的に一%を超えるという予算になったわけでございまして、趣旨におきましては他の諸施策との関連をとりながら防衛力整備に当たったというふうに考えております。
  15. 久保田真苗

    久保田真苗君 大蔵当局の見通しも一%枠内の三兆千七百九十五億円、それでも円高差益などから中期防衛力整備計画達成できるんだと、そういうことで随分やりとりがあったと伺っているんですね。それにもかかわらず、十二月二十九日深夜につかみでもって一%をわざわざ超えるよう広政治加算が行われた、こういうことなんですね。実際問題として、防衛庁長官も大蔵省の当初の見通しと同じようにお考えになったんじゃありませんか。前の三兆千七百九十五億円でもって中期防衛力計画達成できる、そういうことはお考えになったと私思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  16. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私はできるだけ一%の枠内でおさまるものならおさめたいという気持ちでいたんです。ところが、先ほど申しましたとおり、六十一年度の経済成長のどうも伸び率がよくない。六十二年度も余り多く望めない、そういう段階になりまして、これは一%を超えざるを得ないなというのは、十二月の初旬の段階では私自身がそういうふうに考えておった。それから、予算委員会で大蔵大臣も述べておられるように、大蔵大臣もそこら辺につきましては心の中である程度いろいろとお考えになっておった、これで十分だというふうにあらかじめ本当の心の中は決めつけていなかったというようなニュアンスの御答弁がございますから、大蔵省におきましてもその点については十分理解があったものと私は承知をしております。
  17. 久保田真苗

    久保田真苗君 当初はそういうふうに一%枠内におさめたかったと言われるんですが、ことしのGNPの伸び率から見て超えてしまうんじゃないかというような推移ではないんですよね。当初の予算編成からして、一%を無理やりに超えたということだと思いますよ。そうじゃなかったらば、当然円高差益の問題等があるのでそのまま様子を見て、また補正ということも考えられたと思うんですね。どうしてそういう方法をおとりにならなかったんでしょうね。無理やりに深夜の折衝でわざと一%を超える、なぜそんなことをなすったんでしょうか。それは一体どうしてそういうふうにしなければならない理由があったんでしょうか。
  18. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これは、今までの論議の中で、一%を超える場合には、ちょっとでも超えるならばそのときにはいわゆる一%枠の見直しをしなきゃならぬですね、しますねという念押しがずっとあったですね、国会で。それで、それはそのとおりです、こういうことでございますから、十二月の予算編成のときこれを超えざるを得ないという場合には枠の見直しをせざるを得ない、そういうことなんですね。
  19. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、実際問題として為替レートの面ではある程度の余裕を見ておやりになったんですよ。ですから、そこから出てくるはずのものを当然お考えになってよかったんですね。それなのに、そして私どもにも一%枠を超えないようなそういう努力はするというのを、努力はしますという形ではあるけれども、ずっと言ってらして、同日選挙のときにもそれをおっしゃって、そして当然円高差益の分を考えればそれだけ引っ込むはずのその計算をその時点でお考えになって、当初予算では少なくとも超えることをなぜ遠慮なさらなかったのか、私にはどうしてもわからないんです。そうであれば、何もこんな問題は起こってないんですね。それなのに、なぜそんな一夜の折衝でわざわざ〇・〇四%を超すような、そんなことになさらなきゃならなかったんですか。
  20. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 繰り返して言いますけれども、予算編成するときに一%の枠というのは非常に重いんですよ。それが、今申しましたとおり、どうしても超えざるを得ないということでございますから、その時点で枠の見直しをせざるを得ないと、そういうことなんですよ。後どうなるかということはまた別の問題でございます、これ。  それから、円高とは何かというのはいろいろありますけれども、そのときの状況につきましては政府委員の方からいろいろと説明をさせます。
  21. 池田久克

    政府委員池田久克君) 為替の問題につきましては、六十一年度はドルの場合で二百九円で計上しておりましたものを、六十二年度の予算編成ではその時点の適切なレートとしてドルの場合百六十三円を計上いたしまして、全部新しいレートで精査をして、不必要となるそれに見合う円の予算につきましては、それらを全部整理した上で六十二年度の予算を組んでございます。
  22. 久保田真苗

    久保田真苗君 私、なぜこんなことを押し問答しているかといいますと、結局中曽根内閣に対する国民の評価というものは、今のこの売上税以前の同日選挙ごろの話ではあるけれども、そのときは確かに中曽根さんの外交に対する評価は高かったけれども、防衛に対する評価というのは一向に高くなかった。むしろ低かったんです。国民は軍拡を望んでいなかったという世論調査というものが幾つもあるわけですね。それにもかかわらず、こういうふうなことをあえてなすったということ。それから、こういうことをするについては、やっぱりこれは三木内閣以来の一つの国民的な合意なんですよね。国民的合意であるから、そんなに簡単に手の裏を返すように、努力しますと言いながら、努力しますということは結局は突破することなんだ、一分でも二分でも約束はしていないんだからそれは突破することなんだと、そういう裏返しにしたような受けとめ方をしなきゃならない、そういう政治家の言葉というものが非常に国民の不信感を高めていると思うんですけれども、この点については、長官、どうお思いになりますか。努力をするんだから努力をして、そして今や円高の関係、油安の関係、いろいろあって引っ込められるという、そういう状況だと思うんですね。ですから、努力をするということは何も変わらないわけでございましょう。どうなんですか。
  23. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 最初の方の何か無理やりにというお話ですけれども、私はずっと政治姿勢というのは非常にリベラルに平たんにやっているんですよ、これ。平たんに。ですから、もしこのことが私が無理やりという状況だったら、自民党の十二月の総務会で大問題になりますよ、これ。何だと、無理やりやるのは何事だということになりますよ。そうじゃないんですから。そこら辺もよくお考えをいただきたいと思います。  それから、後、予算を組みまして、いろいろの要件でこの予算が不要なものが出てくるという場合に、その不要なものも切り捨てちゃならぬなどと言っているんじゃないのでございまして、予算の執行上の問題と枠の設定の問題とは別である、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  24. 久保田真苗

    久保田真苗君 執行上の題と枠の設定の問題ですがね、枠の設定のときに、ともかく一%を超えないように努力する、三木内閣の精神を尊重するんだというようなことは、原則論としてはずっと言ってきていらっしゃるわけですよ。ですから、その執行上のことも勘案しながら枠の設定をするということは当たり前なんじゃないですか。努力をすると言う以上は、そのくらいのことを考えるのは当たり前だったんじゃないんでしょうか。
  25. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 三木内閣防衛費に関する閣議決定は「当面」「めど」と書いているんです、これ。絶対的なものじゃないんです、これ。しかも、防衛力整備というやつは継続的計画的に必要最小限度までやると。どちらを優先するかということになると、防衛計画大綱を優先せざるを得ない。これはもう我々が従来から、特に昨年は強くその点を言ってきたことです。そういう意味合いで、何かしらんしゃにむにやろうというように、何といいますか、お考えのようでございますが、そういうことはございません。非常にたんたんとしてやっておるということを御理解いただきたいと思います。
  26. 久保田真苗

    久保田真苗君 たんなんということにもちょっとこだわりますね。というのは、やっぱりこれは三木内閣が始めたことなんですけれども、長い間これは国民的な合意として尊重されてきたものなんですね。それが決定されるときの経緯なんですが、これが昨年の暮れに安全保障会議ですか、新たに設置された、私どもは反対したんですよ。だけれども、その安全保障会議で非常に小人数の閣僚だけで寡頭政治でごそごそっと秘密の中でやられた、そういう経緯があるんですね。長官、これは防衛庁の長官としては非常にやっぱりこの防衛の問題については自負がおありになると思うんですよ。なぜそれをちゃんともっと民主的な閣議の場で堂々と討議するということがおできにならなかったのか。閣議の方はもう形式だけで、寡頭政治の密室の中でごそごそっとやる、そういうことをあえておやりになったのか、私はその決め方についても大いに疑問があります。  なぜならば、自民党の中にもいろんな方がいらして、必ずしも——長官はこの一%枠を突破したときに凱旋将軍のように迎えられたということです。防衛族の方たちとかそれから防衛庁の方には凱旋将軍のように迎えられたそうですけれども、ただ、そういう方ばかりじゃないわけですね。やっぱり私はその手続問題をもっと問題にすベきじゃないかと思うわけです。特にこんな十年以上も国民的な合意として支配してきたそのことをどうするかというときに、非常に簡単な、簡単なというよりはやっぱり本当に一部の人だけで決めてしまうそのやり方、長官はどういうふうにお思いになりますか。こういう閣議というものが、国会に連帯して責任を持つ内閣というものの決める、そういう本当に議会政治のあり方なんだろうかと私は非常に疑問に思いますけれども、その点はどうだったんでしょうか。
  27. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 最初の言葉じりをつかまえるわけじゃございませんけれども、私が折衝を終えて帰ってきたときに、防衛庁で凱旋将軍みたいに迎えられたと、そんな事実はございません。また事実私もそんな浮わついたものじゃないんです。大変な決定だったということで、重みをずしりと身に感じたんですよ。ですから、これはマスコミの中でそういうことを書いたところもあるかもしれませんけれども、私の本当の気持ちをそれはわきまえてないと思います。私は繰り返して言いますけれども、身を持すること厳に、責任の重大さを感じておりますよ。  それからもう一つは、安全保障会議だけで決めて閣議はおざなりだったんじゃないかと。そんなことはございませんよ、少なくとも。しかも、寡頭政治というのは遺憾ですね、これは。やはり安全保障には安全保障に関係する重要閣僚がある。その閣僚の中で十分に論議をする。十分の論議をした上で、しかもその手だてを経ているんですよ、何回も。私は非常に丁寧な手続だと思います。そういう手続を経て、その経過を踏まえて閣議にかけている。閣議で了承されたんです。ですから、閣議で了承するのがまるでおかしいみたいな話ですけれども、私は閣議の了承というのがすんなりいったのは安全保障会議で十分に論議をして、その経過を踏んだということだろうと思います。
  28. 久保田真苗

    久保田真苗君 そのすんなりが問題なんですよね。安全保障会議で、総理がいらっしゃる、官房長官がいらっしゃる、防衛庁長官がいらっしゃる、そういういわばボス的な方ばかりのいるところでちょこっと決めて、そして閣議に持っていらっしゃる。内閣法の趣旨からいいましたら、やっぱり閣僚は連帯して責任を負っているわけですよ、もちろん。そういうことで私どもに責任を、この国会に責任を負っていらっしゃるというなら、その連帯した閣僚の構成する内閣なんでして、安全保障会議でこう決まったから、だからひとつこれでしゃんしゃんだというようなことについては、こういう重要事項については本当に問題だと思うんですね。しかも、安全保障会議でその手続のあり方について、私、今言ってる暇ありませんけれども、非常に少数の方が総理の主導のもとにそれをやられる、その総理が閣議の主宰者でもあるというような状態になっておりますというところから、私はやっぱり閣議というものが非常に重みが軽くなっていると思うんですね。  決め方について問題が非常にあったということを申し上げたわけですけれども、それでは……
  29. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) いいですか、ちょっと。閣議の決め方に問題があったと言われると、ちょっと一言言わなきゃならない。何でもかんでも反対を言わなきゃならぬということはないですよね。ですから、理解すれば理解したでいいわけでして、何も言わなかったから非常におざなりだったというのは私は当たらないと思います。  それから、もっと言うと、五十一年の三木内閣閣議決定、そのときには閣議で大いにもめて論議してと、そういうようなことはないんじゃないですか、これは。そのときもやっぱり防衛に関する有力閣僚といいますか、それが話をして、こういう経過でございますと言って了承されたんじゃないですか。そういう意味合いで、何か意見がなければそれは閣議はおざなりだというのは、私はいただけないと思います。今度のやつはきちっとした手続と審議を経てやったということを申し添えておきます。
  30. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が申し上げているのは、こういう非常に国民関心の深いことであるから閣議でもっと論議をすべきだったということなんでして、安全保障会議にかかっている事項というのは非常に閣議で論議されることが少ないということを申し上げているわけですけれどもね。  防衛費のその歯どめの問題なんですがね、三木内閣でやったときの趣旨というのは、やっぱり過去の年次防の倍々ゲーム、非常に急速に軍事費がふえたという、そのことに歯どめをかけますために、一つは定性的な歯どめがございました。もう一つは定量的な歯どめがあったわけです。私どもはやはり軍事費というものは、長官もさっき言われました文民統制という趣旨から言いましても、有効な歯どめがなきゃいけないと思いますね。その意味で、今回の今ある有効な歯どめとしては何をお考えなわけですか。どういう歯どめをおつくりになったわけでしょうか。
  31. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今先生も言われましたように、この大綱あるいは一%のシーリングの閣議決定があった当時、その以前は防衛力整備五カ年計画、五年ごとの年次計画というものが一つの歯どめというように考えられておったわけであります。しかしながら、五カ年間ぽっきりの計画を積み重ねていくということであると、防衛力整備防衛体側、そういったものについての全体的な構想なり、あるいは一つの目標というものが明確化されないということが当時論議をされまして、そういうことで防衛計画大綱という防衛力を整術していく上での物の考え方、基本的な枠組みというものが定められたわけであります。  一方、引き続き年度年度の予算もとになるものとしてどういうものをつくるかということで、当然防衛庁としては、従来と同じように、五カ年等の中期計画をつくりたいということで考えておったわけでありますが、当時の財政事情、高度成長から安定成長へ移行するというような大きな経済変動時期であったのでそういう五カ年計画はできない、当面つくるような状況にないということで、当面の間は一%のシーリングで年度年度の予算でいこうということに決められたわけであります。  しかしながら、今回新たに一昨年五カ年計画をつくり得るようになったということで、かつてとっておった五カ年計画制度、それに加えるに五十一年に定められました大綱という全体的な枠組み、その両者がかみ合うことによって、我々がかねがね考えておった防衛力整備についての基本的な枠組みと年度予算の前提となる中期の計画というものが両々相まって、十分な歯どめとなり得るという状態がやっと実現をしたわけであります。
  32. 久保田真苗

    久保田真苗君 長官は、そうしますと、この定量的な歯どめというものについて私どもは特に非常に不安を覚えるわけですね。そして、国民が不安を持っている。そういう人がたくさんいる。それだけじゃなくて、やっぱり特に近隣諸国の不安もございますよね。その辺は、近隣諸国についてはどういうふうにお考えですか。
  33. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 我が国防衛でございますので、我が国が自主的に判断をして決めなければならぬ。その場合に、必要最小限度の防衛力整備ということで来ておるわけでございますが、国内にも御疑問を持たれる方があると同様に、近隣諸国でもこの点について懸念をしておるという向きも承知をしております。そういうところに対しましては、誠意を持って機会あるごとに、我々の防衛力というものはそういうものじゃないんですと、自衛のための必要最小限度のものでございますということをよく説明をし御理解いただく、そういう努力をしなければならないと思うわけです。  それと同時に、よく国際国家日本ということが言われますけれども、この防衛力に関しましては見方が二つあるんですね。それは、日本はこんなに大きくなったじゃないか、それなのに防衛に対して何とまあ少ない経費しか使っていないんだというようなこと、それから日本は今後どうなっちゃうんだと、軍事大国になるんじゃないかという懸念、二つあるわけですね。ですから、我が国我が国としての定点を持っておって、これ以上のことはあなた方がいかに日本に対して要求しても、それはできませんよということを一方で言うと同時に、これだけは最小限やらねばなりません、そういう防衛力整備が必要なわけなんです。ですから、多くを求める者に対してはそれ以上のことはできません、それからそれは軍事大国になるんだと言う方については、そういう御疑念はございませんということをやらなければ、いかぬ。近く私は中国の方へ招かれておりますので、その機会には当然我が国防衛政策についての説明が話になろうと思いますが、その点については十分理解を求めたい、こう考えております。
  34. 久保田真苗

    久保田真苗君 中国が特に非常に遺憾の意を表明していることは事実ですから、それはそういう不安を解消していただかなければならないんですが、一方もっともっとやれと言うところがございますね、もっとやりなさい、もっとやりなさいと。それに対する、そしてこれ以上はできないんだという、その歯どめが必要だと今長官言われました。それは大変必要だと思うんです。それで、その歯どめというのは、それは何なのかということなんですよ。その歯どめは何なんですか、長官。
  35. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) それは、よく言う防衛計画大綱です。これが歯どめですよ。この大綱水準達成するために、中期防というのができたわけなんです。そういう意味において、この大綱水準達成、これがもう歯どめです。
  36. 久保田真苗

    久保田真苗君 大綱の域を超えて中期防が行われているという、そのことは大いに議論すべきことなんですね。ですけれども、私が今お伺いしたいのは、中期防についていろいろな御計画をお出しになった。五年間で十八兆四千億円だと。しかし、これ、私この数字というのは非常にやれやれと言う人に好都合な数字に今やなってきてしまっているんですね。それは、結局これを六十年度ベースで計算していらっしゃるからですよ。たしかこのときの為替レートが二百三十円じゃありませんか。その後、今年度のものについては百六十三円で計算なすった。ところが、この計算なすった時点から今はもう百四十円、ここまでドルは下がってきているんです。そうしますと、この中にはたくさんたくさん余るお金が出てくるわけでして、それでもこの整備計画というものは軍人が何人でエイジス艦が何隻でと、こういうふうに積算なすったものだから、そこにお金が余ってきた。それで、この前去年の夏も私長官に御質問いたしましたときに、長官は、思いやり予算なんというのは訪米したときにお荷物をしょわされたという、そんなことじゃないんだとおっしゃったんですけれども、結果的に見ますと大変な思いやり予算を取られた、こういう結果なんですね。  そういうことを考えますと、私はこの十八兆四千億円で今の整備計画がある、このこと自体に、もう既にこの中には歯どめのない要素というものがいっぱいあると思うんですよ。それで、長官もそういう意味のやれやれと言う人に対する歯どめも必要なんだとおっしゃる。そしてまた、もう努力はしたんだとおっしゃる。それなら、もう一つ努力をしていただいて、少なくともこの円高、油安を中心として出てくるそういうものに対して、今この時点でもう一回見直すということは極めて合理的なことだと思うんですね。ぜひそれをやっていただきたいと私は思うんです。そして、近隣諸国も国民も安心のできる一%枠内になる。  それは今のところはまだわずかなすき間なんです。わずかな金額なんです。わずかな金額だけれども、歯どめが失われた。という、その重みと引きかえにしていただきたくないんです。今ちょうど経済情勢がこのことにとっては非常に守りやすい状況になりましたから、それをぜひ社会党は提案したいと思いますし、これをぜひ前向きに受けとめていただきたいんです。いかがなものでしょうか。
  37. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 最初に、思いやりというのはえらい重荷をしょったということだけれども、私はそう思っていないんです。これはアメリカとの関係だけではなくて、日本の労働政策、雇用政策というものに非常に影響がございますから、私はいわゆる重荷と、そういうふうには感じておりません。ある意味ではこれは適切な処理だったと思います。  それから、十八兆四千億につきまして、名目価格と実質価格との間のいろいろ混同があるようでございますから、ここら辺につきましては政府委員の方から説明をさせます。
  38. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御承知のように、中期防衛力整備計画というのは六十年度価格、実質価格で組まれておるわけです。今、先生の御質問に、例えば当時円が二百何円であったと、現在百四十円に下がっていると、そういうことで、そこでは金が浮いてくるではないか、それがまた何かに使われるのではないかというような御質問であろうかと思いますが、まさに中期計画はそういう実質価格で書いてあるからこそしっかりと歯どめにもなっておるし、基準になっておるわけであります。これが名目価格でありますと、名目というのは非常にいろんな要素で浮動いたしますから、そういう点で確実性が少ないわけでありますけれども、実質価格である限りは、仮にあるものが、当時のドル価格で可なら百したものが円高によって八十になれば、その二十というものはそれだけ不用になる、それだけ十八兆四千億から削除して考えることになるということで、はっきりと基準線というものができておるという点で、十八兆四千億というものが名目でつくられておらないために非常に歯どめといいますか、防衛力整備の指標とするのに適切であるというように私どもは考えております。  なお、先ほど来一%問題、中期計画制度等についていろいろ御批判がございましたが、五十一年当時、先ほど私が申しましたように、五カ年計画ができないような経済、財政事情にあったということで一%単年度主義に変わったわけですが、当時の議事録等をお調べいただければわかりますように、GNP準拠のようなものは、GNPというのはわからないじゃないかと、そういったものを基準とするのは極めて不確定要素が多過ぎる、なぜ五カ年計画をつくらないんだと、五カ年計画をつくり、かつある程度主要なものの具外的な事業の内容を入れた五カ年計画制度を引き続き維持すべきであるということを社会党さんも御主張になっているということは、御承知のとおりであります。たまたま一昨年の、六十年度の中期防衛力整備計画ができ、今回大綱と相まって両者が歯どめになるということで、期せずして社会党の方から当時御批判のあったようなことにもこたえられるようになったというふうに私どもは考えております。
  39. 久保田真苗

    久保田真苗君 私どもが心配しますのは、特に今の問題があるんです。私はやっぱり今、その後の経済情勢というものが非常に変わってきているんですから、私はこれほどの国民の念願であり、私たちもお願いしてきたし、近隣の方たちもそれを願っているんですから、余り技術的な問題だけにこだわらないで、ぜひ今回は、今まだ予算が通っているわけじゃないんですから、それを修正するという努力に御協力いただきたいと思うんです。  それから、GNPが合理的でないとおっしゃるんですが、私はやっぱりそれが合理的でないという考えのもとにやってきたからこそ、今私どもが結局国民生活の面で非常にアンバランスな状態が生じていあと思うんですね。ともかく一般歳出はもう五年連続でもって前年度以下。そして、ことしは〇・〇二%プラス程度の超緊縮型で当初編成されているんですよ。それで、そういうものもこれから修正なさるわけでございましょう。訂正していらっしゃる、いろんな意味で、補正とかそういうことで訂正していらっしゃる、しなきゃならない、そういう状態になっているんです。それならば、同じように経済情勢を反映して、見直すところはこの際全部見直していただきたい、私はそう思います。  それから、これとの関連なんですけれども、一つぜひ伺っておきたいのは、日本に大変関係があることなんですが、去年の十二月に、シーレーン防衛共同研究というものが日米の制服の方たちによって調印されているんですね。それはどういう内容のものなのか。そして、その中にあるシーレーンという言葉と、それからシーラインズ・オブ・コミュニケーションズですね、そういう言葉が使われているんですが、これはアメリカの国防報告の中で使われて、そういうことが今ちょっと報道にも出ておるんで、まず、共同研究の調印されたその内容と、それから、この二つの言葉の意味がどこが違うのか、それをお聞かせいただきたいんです。
  40. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 最初に、先ほどの件について若干申し上げておきますが、私、一%が合理性がないと申したのは、私どもが合理性がないということではなくて、一%シーリングというのは自民党政権の方針でございまして、自民党政権がこれがその当時としてよろしいと思って決めたものでありますから、合理性がないというふうに考えたわけではなくて、その合理性がないという御批判があったということを申し上げたわけであります。  なお、シーレーン防衛の共同研究でございますが、これは、御承知のように、ガイドラインの枠組みの中でやるということがまず大前提であります。ガイドラインとは何かというと、日本に対して武力攻撃がなされた際の日米の共同対処行動を行うというものであります。したがって、このシーレーン防衛の共同研究も、日本に対して武力攻撃がなされておる、そして、その中で主として海上における船舶の交通、海上交通に対する相手方の侵害、そういったものにどう対応するかということ、その際にいかにして効果的な対処をするかということを研究するのが目的であります。  なお、この研究の主要項目というものは、何せ海上交通の保護でございますから、相手方の出方もいろいろ千差万別ありましょうし、こちらの対応方法もいろいろあるわけでありますけれども、そういろいろなことはできませんので、一つのこの研究の必要な範囲で、我が国に対するさような侵害に対するいわゆる脅威、そういったものを特定をいたしまして、そうして、シナリオをつくり、それに対応し得る我が方の力というものについても、現に持っておる力、あるいはアメリカから支援が期待できる力というものを設定をいたしまして、そうして日米が共同して対応するというものであります。  相手方の日本に対する侵害のやり方としては、船舶に対して潜水艦あるいは航空機による攻撃が行われる。あるいはまた、主要港湾等への機雷敷設による攻撃も行われるだろうと。それから、シーレーンを守るために我が方の艦艇なり航空機活動するわけですが、そういった我が方の防衛手段の根拠地であります防衛施設等に対する航空攻撃も行われるであろうと。そのほか、海峡等どうしてもここを通らなくちゃいけないというような地域に対する着上陸侵攻も行われる場合もあり得ると。そういったような作戦を相手側はするであろう。それに対して、日米は共同で哨戒作戦あるいは護衛作戦、防空作戦、洋上阻止作戦あるいは港湾なり海峡の防備、そういった各種の作戦をして、それらの作戦の累積効果によってどの程度海上交通の安全が図れるか、つまり、我が方の船舶の被害というものがどの程度でとどめ得るかといったようなことをシミュレーションするといったのが、シーレーン防衛の共同研究の内容であるわけであります。  なお、シーレーン防衛ということとSLOC、シーラインズ・オブ・コミュニケーションズの防衛との違いあるいは相違等についての御質問がございましたが、私、横文字が得意でございませんので、担当の方からお答えをいたします。
  41. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) ただいま先生からシーレーンという言葉もある一方、シーライン、シーラインの場合はシーラインズ・オブ・コミュニケーションズという言葉で使っておりますが、その差はあるんだろうかという御質疑がございました。  私もどういうことかと思いまして、東京のアメリカ大使館並びに在日米海軍に尋ねてみましたところ、アメリカとしては内容的には全く差を持って使っておらないということでございました。米国の国防報告というものにも、昨年度の版にはシーライン、シーラインズ・オブ・コミュニケーションズという言葉とシーレーン、シーレーンディフェンスと言っておりますが、この言葉が一回ずつそれぞれ使われております。ことしの版には、この海上交通につきましては一カ所しかございませんで、これではシーラインズ・オブ・コミユニケージョンズということでございますが、これは別に統一したというよりは、たまたま一つになっているということであります。  ちなみに、他の公文書におきましても、国家安全保障戦略に対する大統領の報告というものにおきまして、またアミテージ国防次官補の証言におきましても、シーレーンディフェンスという言葉を使っておりまして、これがシーラインという言葉に統一されたということはアメリカの中でもないようでございます。
  42. 久保田真苗

    久保田真苗君 シーレーンの問題で、これまで国会でいろいろな質問がありましたときに、政府の方のお答えは、シーレーンというのは、日本へいろいろな油とかそれから食糧とかその他の資源、そういうものが途絶えることがないように、そういうものを守っていく、いわば日本の生命線のようなものを守っていくという、そこのところを非常に強調して答えていらしたように思うんです。そういう目でシーレーンとシーラインズ・オブ・コミュニケーションズが同じものだと見たときに、シーラインズ・オプ・コミュニケーションズを、その言葉を今言ったような政府の御解釈に当てはめて考えるのは、どうも無理なような気がしてならないんです。その辺、前のシーレーンはそういう我が国へのいろいろな物資の流入を確保するためだとおっしゃった、そこの重点はどうなんでしょう。今変わったのか変わらないのか、共同研究の中でそういうところに重点があるのかないのか、そこのところをお教えいただきたいんですが。
  43. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) シーレーン防衛につきましては、かねがねシーレーン防衛とは海上交通の安全を確保することであると申しまして、その目的とは何かということについて、私どもは常に二つのものを挙げております。それは、四万を海に囲まれ、資源の大部分を海外に依存する我が国が、有事の際国民の生活を維持するための海上交通の保護、もう一つは継戦能力を保持するためのもの。継戦能力の保持というのは、日本に対して現実に侵略が行われているような事態でありますから、その際に、国民生活の生存を確保するための食糧その他を運んでくると同時に、防衛作戦を継続していかなくちゃならない。そのためには、例えば相手が北海道なら北海道に上陸しておればその地域に対する増援部隊を送るとか、あるいは補給物資を送るといったような海上交通の保護もございますし、あるいは日本における戦闘のための、防衛作戦のための物資が足りなくなる、例えば弾薬が不足してくるというような際に、与国からそういった支援を受ける、それを必要なものを運ぶといったものも含めて、二つの目的が常にあるということを申し上げております。
  44. 久保田真苗

    久保田真苗君 国民の生存を維持していくためにも、それから継戦能力維持するためにも、それは要するに日本立場が危なくなる、そこのところにあるということは何も変わらないわけですか、そうしますと。長官、どうなんですか。そのシーレーンの解釈は前にはそういうふうに言っておられたけれども、そこの日本が問題であって、そういうレーンを確保するんだという御説明、それは変わらないわけですか。
  45. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは当然のことでございますが、自衛隊が行動するというのは日本有事の際に限られるわけでございまして、当然のことながら、自衛隊の行動の対象となるシーレーンの防衛というものは、常に日本有事の際に日本国民の生存あるいは防衛を全うするための必要な海上交通の保護を行うということに限定されていることは、終始一貫変わっておりません。
  46. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういう意味においてこのシーレーンことSLOCは変わらない、同じものなんだと、そういうふうに長官は御理解でございますね、そうしますと。それでよろしいですか。
  47. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 我が国の方はシーレーン防衛というのは、今局長が言ったとおり、我が国有事の場合に国民の生存を維持する、継戦能力確保する、そのために護衛とか哨戒とか、あるいは港湾とか海峡の防備をする、そういう作戦計画の累積効果として海上交通の安全を確保する、これが我が国のシーレーン防衛の意味ですから、アメリカさんが何と言おうとそれはもう向こうさんの言葉のつけ方でありまして、うちの方はそこだけはきちっとしておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  48. 久保田真苗

    久保田真苗君 じゃ、まあそれは一応確認しまして、今度もう一回これやらせていただくけれども、SDIの方にちょっと移りたいんですね。  SDIなんですけれども、この間総理が日米会談の中でSDI協議の進展を確認していらっしゃるんですが、これはどういう意味なんでしょうか。
  49. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) SDIに対します我が国の参加の問題につきまして、御承知のように、昨年の秋からアメリカとの間で協議をしておるわけでございます。現在のところまだその結論を得ておらないわけでございますが、そういう状況もとで、先般総理が訪米をなさいましたときにレーガン大統領との間でこの問題が取り上げられまして、そのときのお話の中身と申しますのは、今申し上げたように、現在協議が行われておりますので、これが日米双方にとって満足のいくような形でできるだけ早く妥結することを両方が期待するということで、何と申しますか、両方の見解の一致があったということでございます。
  50. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、進展というのは、つまりそういう意味でできるだけ早く妥結を期待するという合意だということなんですが、何かきのうですか、アメリカの下院でいろいろございましたね。SDIの予算が下院で削減になったというのはもちろんなんですけれども、そのときに二つばかりいろいろなことが決まったらしいので御説明いただきたいんですね、どういう意味なのか。  一つは、ABM条約の解釈の変更を制限しているというものなんです。そして、SALTの遵守をレーガンさんに義務づけていると。それからもう一つは、SDIの予算の国外使用を禁止すると、そういう修正案が可決されたというんですね。これはSDIの研究について外国政府ないし外国企業と契約を結ぶときには、それがもうアメリカの国内で不可能だということを国防総省が証明したときに限るというような解説なんですけれども、非常に短い記事なので私もよく理解できません。ここのところを、どういうふうに決まったのか、それが日本とどういうかかわり合いがあるのか、ちょっと御説明をお願いします。
  51. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 最初に、先生二番目に申されました外国との契約の関係をちょっと申し上げますが、この問題は、実は昨年の米国議会においても、上院の方でグレン上院議員が提案をいたしまして、これは昨年は成立をしなかったものでございます。ことしの場合、昨日でございましたか、下院の方で成立をいたしまして、上院の方はまだどうなるかわからないという状況でございます。  いずれにいたしましても、下院でその成立いたしておりますものの中身と申しますのは、外国において米国においてよりもより例えば安い価格でありますとかよりよい条件で契約ができる場合には、それをしてもよろしいと。そのためにはそうであるということを国防長官が証明をする必要がある。そうでない場合には米国の企業と契約をすべきであると、そういう趣旨でございますので、外国の企業との契約を禁止しているということでは必ずしもないわけでございます。  それから、もう一つABM条約の方の問題は、御承知のように、米国内でそのABM条約の狭い解釈、広い解釈という議論が行われておりますが、議会としては、その中で狭い解釈をとるべきであるという立場を表明したものというふうに理解をいたしております。
  52. 久保田真苗

    久保田真苗君 日本の場合も政府としては、今までの国会の御答弁を大体集約してみますと、やはりこの解釈について狭い解釈にのっとって物を言ってらしたと思うんですが、その辺どうですか。
  53. 林貞行

    説明員(林貞行君) お答え申し上げます。  ABM条約の解釈問題については、これは条約当事国の米ソが解釈する問題でございまして、日本として有権的に解釈する立場にないことは、累次御説明させていただいておるとおりでございます。
  54. 岩本政光

    委員長岩本政光君) もう少し大きい声でお願いします。
  55. 林貞行

    説明員(林貞行君) 私どもは、アメリカ側……
  56. 久保田真苗

    久保田真苗君 いいです、わかりました。いいです、もう。聞こえました。  それで、わかったんですが、解釈する立場におありにならないということなんですけれども、ボン・サミットへ中曽根総理がいらっしゃいましたときに、もう二年ばかり前になりますのですけれども、そのときにSDIへの参加の一つの条件、五原則みたいなものをお出しになって、その一つにABM条約に違反しないことというのが入っていたと思うんですよ。そうしますと、解釈する立場にないと言ったって、一定の解釈あるいはこれはこういうものなんだという理解がなかったら、そういうことを条件として持ち出すことにならないと思うんですね。その辺はどうなんでございますか。その時点でどういう理解をしていたのかということを伺わせてください。
  57. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) ボンのサミットのときに、中曽根総理とレーガン大統領との間で、SDIそのものにつきまして幾つかの確認をしております。その中の一つが、今先生おっしゃいましたとおり、ABM条約に違反しないという点でございます。それで、先ほど国連局審議官から御答弁申し上げましたように、最終的な有権的な条約の解釈ということになりますと、これは当然条約当事国たる米国あるいはソ連がいたしますことでございまして、私どもとしてそれをする立場にはないということでございますが、私どもの承知しております限り、米国内でいろいろ議論はございますけれども、現時点に至りますまで米国政府としてはSDIの研究計画は、いわゆる米国の申しますABM条約の狭い解釈に基づいて進めておるということでございますので、この点においては今のところ変わりはないわけでございます。
  58. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、まださっき結論に至っていないとおっしゃいましたね。そうすると、結論をいつごろ出すおつもりなんでしょうか。
  59. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私ども現在やっておりますアメリカとの話し合いは、御承知のように、昨年の九月のSDI参加問題に関します官房長官談話の中にございますように、日本の企業等でこのSDIの特定のプロジェクトに参加することを希望されるものがあります場合には、その参加をなるべく円滑に進めるように一定の了解を日米間で遂げようと、こういう趣旨のものでございますので、私どもとしてはできるだけ早く取りまとめたいと思っております。ただ、まだ交渉継続中でございますし、今いつまでにというふうなことを申し上げられる段階ではございません。
  60. 久保田真苗

    久保田真苗君 ベネチア・サミットの前にやりたいんだというような報道もあるんですけれども、それは否定なさいますか、保どうですか。なさるつもりですか。
  61. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 今申し上げましたような内容の話し合いでございますので、これは何と申しましても双方にとって受け入れられる結果が出るということが一番大事なことと思います。私どもといたしましては、別にベネチア・サミットの前にやるとか、その後にするとかいうことを意識してやっているわけでは全くございません。
  62. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、これについての日米合意はどういう形で取りまとめるということになっていますか。つまり、何か公表する部分と非公表の部分と二つに分けてやるとかという、そういうお話を伺うこともあるんですけれども、その辺はどういう形の詰めを考えておいでになるんですか。
  63. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 今お尋ねの点につきましても、まだ最終的にその結論を得ているわけではございませんので明確なことは申し上げられませんけれども、非常に広範な技術的な問題について了解を遂げるということでございますので、いずれにいたしましても、恐らく結論は何らかの文書に取りまとめるということになるであろうというふうに考えております。その場合に、私どもといたしましては、公表できるものはできる限り公表するという立場でございますので、そういう立場から現在交渉に当たっておるわけでございます。
  64. 久保田真苗

    久保田真苗君 これについて、やっぱりこれは大変重要なことだと思うんですね。それで国会の承認を得る必要があると思いますけれども、その点はどういうふうに……。
  65. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 昨年の九月の官房長官談話、先ほど申し上げましたものの中で、私どもはこの取り決めを結びます。その基本的な考え方といたしまして、この問題は現行の我が国の国内法とそれから日米間の取り決めの枠組みの中で処理するという基本的な方針を決めております。つまり、現在ございます国内法それから日米間の取り決めの枠内でやるということでございまして、そういう意味で私どもはこの取り決めそのものについて国会の御承認をお願いする必要はないのではないかというふうに考えております。
  66. 久保田真苗

    久保田真苗君 ただ、これは総額にしますと非常に多額の、巨額のお金がかかる問題になりそうなんですね。そして、今日本だけでなく、方々で問題になっていますのが、それの特許権というんですか、それを使う権利、そういうものが参加した国あるいは国の企業の自由になるのかどうかということで大変物議を醸しておりますですね。特にそれが非常にばらばらで、国によって、例えば西独なんかではそういうことが秘密で決められた中で、それがほかの国と比べて非常に差別的な扱いだったということが結果的にリークでわかって、その事実もどうなのかわかりませんけれども、ともかくそういうことがリークでわかって、物議を醸しているというような状況なんです。  ですから、私どもはね、こういういろいろなことがみんな秘密の中で進められるということは、国会立場としてはこれはとっても責任が持てないことになってしまうんです。それで後で、結んだものは国際協定だ、二国間条約だというようなことで、それはもう抜き差しならない状態になってしまうんですね、協定というのは。それをやり直すということも、これは尋常一様のことじゃないわけです。そんなことにならないように、私はできるだけもうこういうことは公表にして、何もそんなに後ろ暗いことがないのだったら、どういう進みぐあいをしているのか、交渉の条件としてどういうものがあるのかということは、少なくとも基本的なところは明らかにして、それからやっていただきたいと思うんです。どうしてもこれは、アメリカと交渉をしていくという立場に今おありになるわけだから、そういうことを十分やってからのことにしていただきたいと思うんですね。その点はどうですか。
  67. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 私、御質問の趣旨を十分に理解いたしましたかどうかちょっと自信がございませんけれども、一つには、現在の時点では何分まだ交渉中ということでございますので、十分その中身について申し上げられないのは私としても大変残念に存じますけれども、合意ができました段階では、先ほども申し上げましたように、公表できるものはできる限り公表し、国会の場等でも十分御説明申し上げるという立場でやっておるということを申し上げたいと思います。  それから、先ほどいわゆる研究の成果の利用の問題と申しますか、それについてどういう権利をだれが持つかという問題についての御指摘がございましたが、これも結局のところは、原則論と申しますか、一般論を申し上げますと、SDIの研究というのは、これはたびたび申し上げておりますように、米国政府自体の資金で行うものでございます。したがいまして、日本側として例えばその資金を出すというようなことは考えてないわけでございますが、そういうものであるということが一方にございまして、それから他方、ただ参加をして新しい技術が生まれるということになります場合には、その技術を生み出すものは当然今度は日本の企業なら企業ということになりますので、その両方の立場を踏まえて、どこにどういう権利をいわば分配するかという問題なわけでございます。これにつきましては、ある程度米国の国内法に一種の原則のようなものもございますし、それからむしろ一つ一つの技術につきまして、それの特性そのほかによってもまた決まってくるところなわけでございますので、その中でできるだけ私どもといたしましては、ほかの国の比較というようなことよりは、日本から参加を希望される方があった場合に、その方々になるべくこれならばというふうに思っていただくようなものをつくりたいということで、今交渉をしているということでございます。
  68. 久保田真苗

    久保田真苗君 ところで、米国の中でSDIの早期配備論というのがございますね。それはどういうふうにお受けとめになっているか。そしてまた、要するにもう研究だけを前提にして日本政府もやっているわけですよ。そういうところで、仮にもしこういう早期配備論というようなものが実際にどこかで力を得ていくというようなことになって、開発配備というふうなことにでもなるというふうなこと、そういう見通しというものはあるのかどうか。そこのところをそれじゃちょっと伺わせてください。
  69. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 確かに、先生御指摘のとおり、しばらく前でございますが、米国の中でそのいわゆる早期配備あるいは段階的配備というような議論がいろいろ行われているということが報ぜられたわけでございます。で、私どもはその後いろいろな形で米国政府にその点は確認もいたしておりますけれども、一つはっきりいたしておりますことは、いわゆる配備の問題というのは、実は現実に、例えばいつごろ配備の決定をするというような意味で現実の問題にはなっていないということについては、はっきり説明を受けております。
  70. 久保田真苗

    久保田真苗君 現実にはそういうことになってないということは一応承りました。  そうしますと、もしこういう開発配備というような段階が出てくるというようなことが万が一あった場合、そういう場合には当然参加する日本企業というようなものをやめさせる、そういうことになりますね。それは当然そうでございますよね。どうなんでしょう。
  71. 渡辺允

    政府委員(渡辺允君) 日本政府といたしましては、いずれにいたしましても、日本が参加をいたしますのは研究でございます。でございますから、その研究に対する参加をなるべく円滑にするということで今やっておるわけでございます。そこから先の問題というのは、これはアメリカ政府といたしましても、仮にその段階に至るようなことがあれば、その段階で同盟国ともいろいろ協議をするということを言っておりますし、それから特に配備というようなことになりますれば、これは当然ソ連と話をしなければならないものなわけでございます。したがいまして、その段階は今度はその段階になったときの問題でございまして、現在政府がやっておりますのは研究に対する参加を円滑にするということであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  72. 久保田真苗

    久保田真苗君 どうもありがとうございました。  それじゃ、女性の方のことをお願いいたします。ちょっと急いでやりますので、要点をお答えいただきたいと思います。  「西暦二〇〇〇年に向けての薪国内行動計画」というのが七日に本部決定になって、おとといですか、閣議に報告されましたね。それで、今この機会にちょっと二、三点主なことだけ伺っておきたいんです。  一つは、これ見てますと、なかなかポイントがよくわからないんですね。それで、婦人問題企画推進本部としての目玉、それはどこにお置きになったのかしら、重点政策として。
  73. 川橋幸子

    説明員川橋幸子君) このほど決定いたしました「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」の目玉は何かという先生のお尋ねでございますが、確かに先生おっしゃるように、ある種の目玉はおわかりにくいという、こういう一般の印象があるのは否めないのではないかと思っております。ある種の目玉といいますと、やはり行政施策の中でございますと例えば条約ですとか法律ですとか、大きな制度というものが一つの目玉として意識されるわけでございます。ですが、今回の新国内行動計画におきましては、これまでの国連婦人の十年の間の国内行動計画の進捗、政府としましては一応かなりの成果を見たのではないかと思っております。ということでございますので、これから西暦二〇〇〇年に向けましてはこの成果日本の社会の中に浸透させていくことが一番大切ではないか。有識者会議の方からの御指摘もそうでございまして、その御指摘を踏まえまして、日本の社会の中にこうした成果を着実に浸透させるためには一つ大きな目的を打ち出して、その目的に沿いまして施策の体系づけをするということが、私どもの本部としましては目玉となっておるわけでございます。  大変抽象的な言い方になりますが、新計画の目的は、「男女共同参加型社会の形成を目指す」、こういう表現になっておりまして、その目的に従いまして五つの基本的な目標、ちょっと読み上げさせていただきますと、一点目が「男女平等をめぐる意識変革」、二点目が「平等を基礎とした男女の共同参加」、三点目が「多様な選択を可能にする条件整備」、四点目が「老後生活等をめぐる婦人福祉確保」、五点目といたしまして「国際協力及び平和への貢献」、先生はもう御存じのことばかりかもわかりませんが、このように体系づけたというのが新計画の特徴となっておりますことを説明させていただきました。
  74. 久保田真苗

    久保田真苗君 たくさん施策が出ているんですね。それで、これみんなやっていらっしゃる。それは継続的なものもあるんだけれども、私なんか見ますと、例えばここで、審議会の女性比率一五%を目標にするとあるんです。私も実は国際婦人年のころ川橋さんのお立場でやっていましたものですから、なかなかこれが難しいということはよくわかるんですが、この一五%を徹底さす、そのためにどういう方策をお考えになっていますか。というのは、つまり今までのペースでいきますと、これは一五%にならないんです、二〇〇〇年になっても。あと十四年たっても。そうしますと、ぜひここのところで違うやり方を考えていただかないと、これは進まないなと思うんです。その辺、どうでしょう。
  75. 川橋幸子

    説明員川橋幸子君) 久保田先生が初代の室長になられまして、大変御苦心いただきました計画、私ども引き継ぎまして、先輩の御苦労を伸ばしていきたいと思っておりますが、当初の目標の一〇%の目標値もただいまはまだ実現ができてないわけでございます。ということで、新しい行動計画におきましては、当初の目標値一〇%の実現をできるだけ早く達成したい、こういう努力をしていきたいと思いますのと、あとは西暦二〇〇〇年に向けまして先生御指摘の一五%という新しい目標値を出したところでございます。当面は、やはり今までの一〇%の目標値の達成は急がなければならないと思っておりますが、そのための新しい方策といいましても、過去十年、国連婦人の十年の間、初代室長を初め関係者一同いろいろと頭をひねっておりますが、そう新しい知恵が出るわけでもないことは先生もよく御理解いただけるのではないかと思います。  私どもの新国内行動計画に書いてございます具体的な方策をちょっと御紹介させていただきまして、先生方の御理解、御協力を賜りたいと思います。  まず一点目といたしましては、委員の任命に当たりましてはできるだけ清新な人材を起用する、こういうことを基本にいたしまして、若い世代の意見の反映を図るとか、あるいは消費者、生活者としての意見の反映を図るとか、こういう点にポイントを置いて婦人の登用を図ってまいりたいというのが一点目でございます。  二点目といたしましては、今の審議会等の婦人比率を見ますと、やはり団体推薦の方の中で女性の割合が低くなっておりますので、団体推薦を行う委員につきましては、関係団体の方々に対しまして、団体の長という肩書などにとらわれずに適任の方を推薦していただきたいと、極力協力要請してまいりたいと思っております。  それから、三点目といたしましては、やはり婦人の人材層がまだ薄い分野といたしまして、科学、技術の関係の審議会がございます。こういう審議会につきましては、当面女性の学識経験者の適任者の発掘、把握に努めてまいりたいと思っております。  最後に四点目といたしましてですが、審議会等の委員に登用する前に、例えば専門委員とかそういう方々の活躍していただく分野があるわけでございますので、そうした専門委員等への登用を通じまして、広く人材の把握を図ってまいりたい。  以上でございます。
  76. 久保田真苗

    久保田真苗君 時間がないので私勝手に申し上げますけれども、担当者つまり内閣官房のお立場ですと、各省が持っている審議会のそういう推薦に関して直接通達をお出しになったりするわけですか。そこのところが私非常に間接的でやりにくいので、何か少しちょっとうまいことを考えていただけないかなと思うんです。
  77. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 国の審議会等における婦人委員目標値一五%を達成するために、今川橋室長から説明があったほかに、先生御指摘のように、各省庁に対しまして、例えばその一つの場として各省庁の人事担当者会議というのがございます。これは人事課長あるいは秘書課長、名称は違うかもしれませんが。そうした人事課長等会議の席で協力要請をするということが、一つ具体的な方策として挙げられるかと思います。  それから、現に内閣審議室長の名前で各省庁に対して、今の婦人委員の登用といいますか、についての協力要請を行う、具体的にはそういったことで実務的には対処してまいりたいというふうに思っております。
  78. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、例えば企画推進本部の中に何かこういうものの監視をする、モニターする委員会みたいなもの、参与制度でもよろしいんですけれども、そういうところで具体的に見ていただいて、いろいろな各省のまだ決まらない委員の名簿なんかで、これはやっぱり女がいないけれどもそれはおかしいんじゃないかと思われるようなものは、突き返すと言ったらなんですけれども、もう一度再考を促すというくらいのことをやっていただきたいんですけれども、どうでしょう。
  79. 本多秀司

    政府委員(本多秀司君) 先生の今の御指摘、まさに私どもも同感いたします。したがいまして、その新行動計画の中には、参与制度の拡充と申しますか、機構の拡充ということをうたっておりまして、具体的には参与制度、これ実は婦人問題企画推進部長決定で設けられた制度でございますが、この参与制度の例えば人数をふやすとか、あるいは頻繁に私どもと会議を開くことによりまして、この新国内行動計画のフォローアップなりあるいは婦人の現状の問題点の摘出等につきまして、参与制度の参与の先生方のお力をかりながらフォローアップあるいはモニタリングをしてまいりたい、こういうことで、つい先般新行動計画が決まったばかりでございますから、今後はそういう方向で対処してまいりたいと思っております。
  80. 久保田真苗

    久保田真苗君 それでは、労働省来ていらっしゃるので、育児休業制度の将来のあり方について。ポイントは、結局、今均等法の中の一項目として入っていますね。だから、これは一応法制なんですよ、努力義務だけれども。そして、今度の新計画の中では、家庭育児の責任を男女双方の責任であるという観点も踏まえて育児休業制度のあり方を検討すると、こういうふうになっていますね。そういたしますと、当然理行法ではこれは女子だけにかかわりのある問題なんです。そして、今度の観点が新しくなると、そうしますと今法制上のものをこういう観点でレビューするということは、結局新しい法制をつくる方向へいくということだと私は理解しますが、それでよろしいか、お願いします。
  81. 藤井紀代子

    説明員藤井紀代子君) 先生が御指摘なさいました育児休業制度を男女両方に広げるということでございますけれども、私どもも目標といたしまして二〇〇〇年の行動計画の中に入れさせていただきました。私どもといたしましても、やはり育児というのは男女両方で責任を持っていくということが望ましいあり方だと思っておるわけでございます。ただ、社会的なコンセンサスというのがまだ十分に得られていない段階でございますので、そういうコンセンサスづくりにまずもって当たっていかなきゃならないということでございまして、私ども今育児休業旬間なんてやっておりますけれども、そのときに、四月の二十二日でございますけれども、職業生活と育児について考える国際シンポジウムというのをやりまして、この育児と職業生活の両立をよく図っておられますスウェーデン、フランス、ドイツの方々をお招きいたしまして、そういう先輩国の方々の御意見を伺ったということで、まずもってコンセンサスづくりに取り組んでいかなきゃならないと思っております。  先生が御指摘なさいました、均等法に盛り込むかどうかということでございますけれども、私どもいろいろな考え方があると思いますけれども、まずそういうコンセンサスづくりということを目標としてやっていくということで、今のところその点についてはまだ深く検討しておらない段階でございます。
  82. 久保田真苗

    久保田真苗君 均等法に盛り込むかと言ったんじゃなくて、今のが均等法だと、法制なんですよ。だから、こういう違う観点から物をやっていく場合には、当然それは法制化という、新しい立法あるいは法制化、そういうことが当然論理的に考えられる、そういうことを申し上げたわけです。そっちの方向へ当然進んでいただけるものと期待しておりますね。  あと時間がないので、法務省にお願いします。  これは、法制の整備ということを言っていらっしゃいます、特に親族法に関連して。具体策としては法例しか出ていない。だけれども、法例はこれはもう今やっていらっしゃるものでして、もう国会でもお約束いただいたし、これだけだとつまらないんですね、私たち。国会でいろんな問題が出ているんです。例えば待婚期間、それから夫婦別氏問題、そういうのが今まで国会で出ていて、問題意識としては、いずれも法務省の方はそこのところについての問題意識はお持ちになっているというところまでいっているんですよ。だけれども、この新計画には残念ながら具体的に何も書いていないんですね。しかし、これは法例だけに、二〇〇〇年まであと十四年もあるんですから、二〇〇〇年までの間にいろんな今まで問題意識の出てきた、そして法務省自身もある意味で問題意識を持っていらっしゃる、それから法制審議会でも問題意識が出た、そういうふうな事項に対しては、当然個々の法制の整備、その項目の中で、これから情勢の変化あるいはいろんな順番とか、そういうものに応じて出てくるということを含みとしていると私は思っているんですけれども、その辺どうなんでしょうか。
  83. 細川清

    説明員(細川清君) お答え申し上げます。  ただいま御指摘がありましたような問題は、この「基本的施策」、六十二年から七十五年の「基本的施策」の中で言っております「社会情勢の変化に対応して、婚姻、離婚及び親子に関する法制の見直しについて検討をする。」というところにいわば当然含まれるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、夫婦別姓の点につきましても、昨年御質問ございまして政府委員から御答弁申し上げましたが、いろいろ難しい問題がございますが、当面は、従来から非常に問題提起されております法例の改正について全力を挙げたいと思っておりまして、それから先、法制審議会でどういう問題を取り上げていただくかということを、また後で御検討いただくようになります。御質問のようなこともその審議会が新たな項目を取り上げる際の検討すべき一つの項目の候補であるというふうに考えておる次第でございます。
  84. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひ候補として積極的に取り上げていただきたいんです。そうじゃないと、皆さんが、女性議員の方が、この前の条約批准やその他いろいろな行動計画等に関連してたくさん言っていらしたのが積み重なっているんですけれども、何にも取り上げられないんじゃ私たちつまらない。まして、二年までの長期的な中で取り上げられないんじゃ本当にがっかりですから、ひとつぜひ一遍そういう可能性のようなものを法務省の方でも検討していただいて、私たちにもレクをしていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
  85. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  86. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 永野茂門

    ○永野茂門君 最初に安全保障室長にお願いいたします。  内閣安全保障室はごく最近発足したばかりで、国の安全保障会議のためのいろんな準備をし、また安全に重大な影響を及ぼすおそれのある重大緊急事態に対していろいろと資料を提供し、そして準備をしなければならないということになっておりまして、既に室長のもとでハイジャックに関するプロシージャーの問題でありますとか、あるいはミグ25事件のようなものに対応するためのプロシージャーの問題でありますとか、あるいはごく最近は六十二年度の予算決定について安全保障会議を開くとか、大変な仕事を準備不十分な中でいろいろとおやりになっておることについて敬意を表します。  いろいろと安全保障室が機能するために準備すべきことがたくさんあると思いますが、最初に、全般に大体どういう時期までにどういう構想で一応の室としての準備を概成しようとしているか、概略の構想がありましたらそれを聞かせていただきたいんです。
  88. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御指摘のように、安全保障室が発足してまだ十カ月でございまして、その与えられた任務に対しましてその設備、資器材、特に通信機能という問題につきましては、まだ理想とはほど遠い状況にございます。昨年発足をいたしました時点では、実は電話回線も極めて限られた、総理府の内線であるとか、防衛庁設置法に基づいて国防会議が設置されておりました関係で防衛庁の内線は来ておりましたが、警察電話であるとかあるいは外務省、内調あるいはその他の、ハイジックがあったとしても運輸省との通信手段を持たない、こういう状況でございました。この新しい任務にこたえるためには、危機発生と同時に迅速かつ適切に対処するための情報伝達、的確な指揮統制、こういう各種のいわゆるC3I、コマンド・コントロール・コミュニケーション・アンド・インテリジェンスという機能を備えなければならないと痛感をいたしました。限られた予算ではございますけれども、とりあえず回線の増設であるとか、あるいはファクシミリが入っておりませんでしたのでファクシミリを入れるとか、ポケットベル体制あるいはチェスコムという転送電話、リコピーであるとか、こういう必要最小限のものをとりあえず整備をいたしました。  六十二年度予算につきましては、非常に財政窮迫の限られた範囲内ではございましたが、その中でも特に御配慮をいただきまして、この種の器材の調達経費をお認めいただいて、現在御審議をいただいておるわけでございます。これが実現をいたしますると、さらに若干そういう通信機能の強化等ができ上がるのではなかろうかと期待をいたしております。  いつまでにどの程度のものをと、こういうお尋ねでございますが、残念ながら発足後まだ一年に満たないということで、着実に毎年少しでも前へ出るという努力を続ける以外なかろうと。この点についての関係省庁の御理解も次第に高まってまいりましたので、なるべく早い時期に少なくともこういう必要最小限の機能は整備をさせていただきたいと考えております。
  89. 永野茂門

    ○永野茂門君 概略のことはわかりましたけれども、安全保障室の通信施設としては、今室長が挙げられましたような各種機関との間にリアルタイムで、データでありますとかビデオでありますとかその本当の姿が常に掌握できる、お互いに交信できるということが必要であります。それからまた、それらの通信ネットワークというものは、当然テロに対しても、あるいは傍受、妨害その他に対しても、十分な防護がなされていなきゃいけない、セキュアでなきゃいけないと思います。しかも、緊急事態というのはいつ起こるかわかりませんので、何年がかりもというようなのんきなことは言っておれないと思いますので、各省庁の御協力を得ながら、なるべく早い時期にできるだけ目標を明確にして、防衛庁中期防衛力整備計画と同じような計画をおつくりになって、そしてそれに基づいて早く整備されることを希望いたします。  これに関連してでございますが、通信網だけではなくて、安全保障室には各種の情報データのバンクが必要だと思うんですね。外国の現実のいろんな軍事だけではなくてその他もろもろのデータを入れ、あるいは国内のもろもろのデータを入れる。そして、それが常にいつでも最新の状態に置かれ、必要な処理ができるようなデータバンクが置かれ、そしてコンピューター処理が行われるような状態、これも早急につくり上げなければいけないと思っておりますが、これについて室の方では何かお考えでございましょうか。
  90. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  御指摘のとおりでございまして、私ども、独自の情報収集能力を持っておりませんので、海外に関する軍事情勢並びにテロ、ハイジャック等の治安情報、もちろん外務省、警察、防衛庁あるいは運輸省とか海上保安庁とか、関係省庁からの情報をいただかなければ私どもの仕事は務まらない、こういう関係にございます。  それでは、現在私どもそのデータバンクを持っておるかということでございますが、これはもちろんございません。コンピューターもございません。しかしながら、とりあえずの措置といたしましては、二十四時間勤務体制をとっております警察、防衛庁、外務省、運輸省航空局、こういうようなところと話し合いをいたしまして、重大な事件、事故発生の場合の第一報の速報、この速報先のリストの中に私どもをお入れいただきまして、またポケットベルその他も全部登録してございまして、そういう情報を即時に入手できるような体制はとりあえずとってございます。将来、データバンク、コンピューターを安保室が持つべきかどうか。これは将来課題でございまして、とりあえずはこれらの情報をちょうだいできるような情報ネットワークをつくる必要があるであろうと思っております。これは私ども直接の所管ではございませんが、今回の内閣制度改革に当たりまして合同情報会議というものが設置をされました。安保室長もこのメンバーとして入れていただいておりまして、今申し上げましたような外務省、警察、防衛庁、その他の情報を適時適切にちょうだいできるシステムができ上がった、こういう点は一歩前進であるかと存じます。そういう御指摘の情報収集体制、これにつきましては、通信手段の改善と並行いたしまして、今後鋭意努力いたしたいと考えております。
  91. 永野茂門

    ○永野茂門君 現状並びに将来の若干の構想についてはわかりました。いずれにしろ安全保障室としていろいろと準備すべき内容はたくさん残っておると思います。いろんなプロシージャーをつくるということも必要でありますし、また有事法制についての研究も進めなきゃいけない、こう思いますけれども、何よりも情報を収集しそれを処理して、安全保障会議に対して十分なものを適時適切に提示できるということが一番大事でありますし、これは有事法制のような難しい論議を必要とするものでないと思いますので、どうか計画を十分練られて推進されることを要望いたしまして、安全保障室長に対する御質問は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。  次に、防衛庁の方にお願いいたします。  第一は、長官の訪中についてでございますが、新聞報道等によりますと、防衛庁長官は五月の終わりごろから中国を訪問するように承っておりますが、まずその目的はどういう目的であるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  92. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 中国の方と防衛庁の方といろいろかかわり合いがあったわけでございますが、特に私に関して言いますと、私が第一回目の防衛庁長官に就任いたしましたときに、中国の張愛萍という国防部長がアメリカの帰途日本へ来られまして、表敬をされました。そのときに、機会があったらば中国へおいでいただきたいというお話がございましたので、承っておきますというふうに申し上げたんです。その後、中国の方からいろいろと軍の要人が見える。防衛庁の方でも、当時の夏目次官を初めといたしまして、中国との往来が行われた。私の前の加藤防衛庁長官に対しましても、中国側が正式に招待を出していただいた。加藤長官も行くつもりでおったようでございますけれども、ちょうど選挙にぶつかりまして、それで行けなかった。私になりまして、今度はまた改めてぜひ中国においでいただきたい、こういう御招請でございますので、いろいろと重なってきておりますので、これは中国側の御要請を快くお受けをして、中国へ参るべきじゃないか。  特別目的を持って向こう側に呼びかけたんじゃなくて、向こう側のお誘いでこちらが参るということでございます。したがいまして、別に格段の目的はございませんけれども、しかし、向こうへ行って何もしないというわけにはいかないだろう。当然、世界の軍事情勢特にアジアの軍事情勢はどうだとか、あるいは中国の防衛政策はどうだとか、国防政策はどうだとか、我が国の方の防衛政策はどうであると、そういった問題に触れるということだろうと思いますが、これは要するにそういう意味の情報交換、意見交換ということだろうと思います。
  93. 永野茂門

    ○永野茂門君 長官が中国においでになるにつきましては、当然世界における中国の地位等について十分御評価なさった上でおいでになると思いますし、また、御承知のように、最近の中国の首脳の発言の中には、日本側では予想できないような、例えば一%問題に発する日本の軍国主義化あるいは軍事大国化に対する懸念、あるいはさらに光華寮問題についてでさえも、それを軍事大国化あるいはミリタリズム化に結びつけていろいろ論評するような風潮がありますけれども、これらについて一体どういうような御見解をお持ちでございましょうか、お聞かせいただけたら幸いでございます。
  94. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 防衛費の問題、特に一%を超えたことについて軍事大国になるのではないかという懸念、これがあるやに聞いておりますが、それは、今申しましたとおり、私の方の防衛計画についてよく説明をして御理解を求めたい、こう思います。  残余の問題につきましては、防衛庁長官として応答することが適当であるかどうか、あるいは政治家として応答することが適当であるかどうか、それはその時点でどういう問題が出てくるかということに対応いたしまして適切なる対応をいたしたい、こう考えております。
  95. 永野茂門

    ○永野茂門君 私は、長官が今の時期に中国を御訪問なさることについては大変に賛成でございまして、ぜひ実りある成果をお持ち帰りいただくことを期待するものでございます。特に中国は、御承知のように、現在も世界に対していろんな影響力を持っておる国でありますし、特にASEAN諸国あるいはその他のアジアの国々に対してはかなりの影響力を持っておりますので、中国との間に理解を深め、日本の主張を主張していただくことは、そういう意味においても大変に有意義なことだと思いますので、御成功をお祈りいたしたいと思います。  訪中につきましては以上をもって質問を終わらせていただきまして、次の問題に移らせていただきます。次は、単に制服だけではなくて背広の方々も含めまして、防衛庁職員の海外留学でありますとか、あるいは海外渡航、海外駐在、海外出張、そういう問題について承りたいと思います。  防衛政策の研究でありますとか、あるいは計画、政策の作成あるいは遂行管理、こういうものはすぐれて国際感覚を必要とするものであり、それは、直接的な共同研究でありますとか、共同演習でありますとか、共同訓練とかいうものを別にいたしましても、国際感覚を持ってやるということが非常に大切なことであると思います。また、国際情勢について深い理解と洞察力を持ってもらわなければならないと思うわけでありますが、そういう観点から、最近の防衛庁職員の方々の海外出張あるいはいろんな意味における海外渡航、それから海外留学、さらに海外駐在につきましても、必ずしも十分に行われていないんじゃないかという感じを私自身は持つわけであります。その感じというのは、例えば在職中に私どもがあるいは私と同年輩の者が一体どの程度留学したかというようなこと、あるいはどの程度海外出張をやったかというようなことを考えますと、今よりもとにかく留学も出張も多かったという感じを持っております。  そういうことから見まして、第一にそういう防衛庁職員の海外留学、海外出張あるいは海外渡航、海外駐在の現況はどうなっており、そして過去から線を延ばしてきた場合に、それは一体どういう傾向になっておるかということをお聞かせいただきたいと思います。以上です。
  96. 松本宗和

    政府委員(松本宗和君) お答えいたします。  まず、この問題は非常に所掌が多岐にわたっておりますが、人事発令を私整理しておりますので、その観点から一応整理いたしまして現状についてお答えいたします。  まず自衛官でございますけれども、昭和六十一年度におきまして、外務省の職員としてではございますが、防衛駐在官といたしまして三十の在外公館に約四十名の自衛官が勤務しております。また、留学でございますけれども、これは約百二十名を派遣しておりますほか、海外視察等といたしまして約百七十名が海外渡航をいたしております。それから事務官等でございますが、これも在外公館に外務省の職員といたしまして三名が勤務しております。そのほか留学六名、海外視察等百八十名が海外渡航をいたしております。  それから二番目の御質問の傾向でございますけれども、まず留学につきましては、これは年によってまちまちでございます。過去十年ぐらいを見ましても、大体五十名ぐらいの年もござますし、多い年では二百名ぐらいという年もございます。したがいまして、一定の傾向というものはございません。それから研修にいたしましても、大体百名程度が毎年参っております・視察につきましても大体同じような傾向で、特に目立って一つの傾向を示しておるということはございません。
  97. 永野茂門

    ○永野茂門君 海外留学でありますとか海外出張、研修その他そういうことは、今も申し上げましたように、自衛官のみならず防衛庁職員にとっては非常に大事なことだと思いますが、今後今のような数字をさらに拡大するような構想はお持ちでしょうか。もし持っておられましたならば、それを御説明願いたいと思います。
  98. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 教育訓練という立場から私の方でお答えさせていただきます。  留学というのが一番国際感覚を養う上で効果のあるものであるというふうに考えておりますが、先ほど人事局長がお答えしましたとおり、大体年によってでこぼこがございまして、六十一年は百二十数名ということでございました。この数字は、私の方の希望としては、できるだけ年々努力してふやしていきたいというように考えております。  なお、この留学と並行しまして国際感覚を養うものといたしましては、一つは遠洋航海等、幹部自衛官を各国に派遣して各国で交流を深め、国際の現実を見させるというようなことで毎年これを実施しておりまして、六十一年度で言いますと六百三十四名を派遣しておるという状況でございます。  その他、兵器等の新しいものが入ってきたような場合に、幹部それから自衛官等を含めまして米国等で訓練させる。また、リムパック等の機会にアメリカで長距離射程の訓練をさせるとか、そういうような形で相当数の自衛官等を派遣しておるわけでございます。例えば陸上自衛隊でございますと、ホーク年次射撃訓練というようなことで六十一年度は十九個中隊六百五十名、海上自衛隊ですと、自衛艦八隻、潜水艦二隻、航空機八機、敷設艦一艘とか、それから、航空自衛隊ではナイキという関係で十九個隊八百五十名というようなことでございまして、こういうものを総合して、できるだけ国際感覚を養う。  また、これは外国に行くだけでなくて、国内におけるあらゆる教育訓練の場というもので国際感覚を養う。また、最近密接に行われております日米共同訓練というような場も通じまして意思疎通を図り、そういう面での国際感覚を養うということも大変重要であると。あらゆる機会をとらえて、そういう面の対応に努めてまいりたいというように考えておる次第でございます。
  99. 永野茂門

    ○永野茂門君 今や国を挙げて国際化の時代でありまして、防衛庁は、自衛官であるとそうでないとを問わず、まさに国際化の先端を外務省の方々とともに行かなきゃいけない時代であると思いますので、ますますその点を考慮して、海外留学あるいは海外派遣その他が拡大されるように望みます。また、それが米国一国に偏重しないように御考慮をいただきたいということをつけ加えまして、第二項の質問は終わらせていただきます。  次に、遠距離脅威に対する早期警戒についてでございます。  御承知のように、米国防総省が毎年発行いたします「ソビエトの軍事力」——「ソビエト・ミリタリー・パワー」の八七年版、これは例年内容が少しずつ更新されておるわけでありますが、その八七年版においても、また本年の年頭に行われましたワインバーガーの国防報告などにおきましても、極東ソ連軍の状況につきましては、近時いわゆる縦深の攻撃能力の向上に大変に努力しておりまして、御承知のSS20という核兵器LINFのほかに、核、非核両用のSINF、あるいはさらに近距離の戦術ミサイルでありますとか、そういうものを増強配備しつつある。さらにまた長距離偵察爆撃機等の配備も増強しており、その活動も組めて活発化しておることは御承知のとおりでありますが、これらは我が国の本土防衛あるいはシーレーン防衛において極めて重要な脅威となる可能性を持ち、これに対する遠距離からの早期警戒組織の確立ということは極めて重要なことだと思います。  そこで、今例に挙げましたようなソ連側の軍事力の増強の状況につきまして、まず公刊された資料の範囲内で結構でございますのでお示しを願いたいと思います。
  100. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) ただいま永野委員から御指摘がございました極東ソ連軍の戦力の増強、近代化というものは、遺憾ながらまことに事実であると思います。極東ソ連軍の配備いたしております兵器には各種のものがございますが、特に最近目立つものの一つとして、今御指摘の爆撃機並びに各種のミサイル等の近代兵器があるわけでございます。  爆撃機について見てみますと、最新鋭の爆撃機、また高速であり高性能の爆撃機でありますところのバックファイアが極東方面に増強されてございます。また、超音速の空対地のミサイルを搭載できますところの新型の爆撃機、ベアG型と言われております爆撃機も配備されており、また極めて足の長い偵察機も配備されているようでございます。  ミサイルにつきましては、最近もつとに議論になっておりますところのSS20、これのアジア配備というものが今日、米ソ間の軍縮交渉の一つの目玉と申しますか、焦点になっているわけでございますが、このSS20が極東方面に百六十二基以上配備されており、これはいずれも日本をカバーする、射程内におさめているということでございます。このほか、短距離のミサイルというものでいわゆるフロッグ、スカッド、SS12というような核、非核両用の戦術ミサイルも配備されており、さらに一層新型のSS22もこれに取りかわって配備されつつあるというような現状であると把握しております。
  101. 永野茂門

    ○永野茂門君 これらの脅威に。対しては、対処力というものが必要であることはもちろんでありますが、その対処力の前提といたしまして、対処力そのものについてはいろいろとさらに検討を要する内容を含んでおりますので、論議はまた別の機会に譲りたいと思いますが、少なくも早期警戒についてはしっかりしたシステムをまず打ち立てなければならない、こういうふうに考えられるわけであります。早期警戒について、例えばOTHレーダーでありますとか、あるいはさらに別な手段が考えられるなら別な手段、そういうものについてどういうふうな検討が進められており、そしてもし検討の成果が既に出ておるならば、できる範囲内において御発表をお願いしたいと思います。
  102. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先生御指摘のように、長距離爆撃機等がふえてきたということで、洋上かなり離れたところにおける船舶も、そういった空からの攻撃にさらされる可能性というものが非常にふえてきておる。それに対応する手段というものが必要になってきているということも事実でございますし、また、それらの航空機が従来以上に射程の長い対地あるいは対艦ミサイルを持っているということで、ただ艦艇、船舶だけでなくて、例えば本土の防空につきましても、最近我が国周辺のある国がここ数年間定期的に、例えばレーダーサイト、例えば航空基地、そういったところに向かって直進をしてきて、本土からかなり離れたところで反転をしてまた次の攻撃目標を攻撃するような訓練をやっているというようなことで、従来であるとこちらの本土の直上まで来たところで要撃すれば間に合ったものが、洋上かなり離れたところから攻撃をしてくるということで、できるだけ早い時期に日本を攻撃してくる敵を発見して対応するということが、非常に重要になっておるわけであります。その意味で、かねがね自衛隊としましては早期警戒機というものの整備を進めております。  現在、E2Cという早期警戒機を八機整備をし、昨年から一応運用態勢に入っておるということで、さらに中期防衛力整備計画におきましては、これを若干増強するという計画になっております。しかしながら、早期警戒機そのものが、無防備の警戒機をかなり前線まで出さなくちゃいけないために、それなりに防御にも限界があるということで、より遠距離から早期警戒等の役割を果たすものがないかということでいろいろ研究しておるわけでありますが、その対象として、今御指摘のあったOTHレーダーというものもかなり有用なものではないかと。もちろん早期警戒機等のような精密な捕捉ということは困難でございますけれども、相手の該位を知り、相手の大まかな行動を知るという点ではかなり有効な手段ではなかろうかということで、現在研究をいたしております。  ただ、仰せこれは航空機を発見するだけの目的のOTH・B型、つまり米空軍が用いているものは一応実用化されておりますけれども、さらに艦艇まで見れるもの、海軍用のOTHRというものは、アメリカにおいてもまだ開発中といいますか、今実用実験の最中でありまして、それらが果たして我々が望んでおるような性能を持っておるものかどうか、日本整備をして使うのに適しておるものかどうか、もろもろの研究をしなくちゃいけない事項が多うございますので、今後引き続きそういった点について十分調査の上、もしこれが日本防衛にとって有用でありかつ適切なものであるということが確信が得られれば、装備をいたしたいということで研究をしておるところであります。
  103. 永野茂門

    ○永野茂門君 遠距離からの早期警戒については、日本防衛にとって極めて重要な案件であり、これの成否は日本防衛が成り立つか成り立たないかということにまでかかってくると、こういうふうに考えられます。したがいまして、本件につきましては、広範にかつ慎重に十分に御検討の上、いいシステムを採用して、必要なときには断固としてそれを予算化していくというふうにお願いをしたいと思います。第三項につきましては以上をもって終わりまして、次の項に進みたいと思います。  次は、いわゆるポスト中期防の防衛力整備の研究についてでありますが、六十二年度予算におきましては、防衛関係費は、先ほど長官のお話がありましたように、経費の抑制を図りながら大綱水準達成目標とする中期防の第二年度として、正面後方の均衡のとれた質の高い防衛力整備に必要な経費を、長官の言葉をおかりするならば節度ある防衛力整備ができるように、対GNP比一・○○四%として政府案を決定いたしましたが、これはまことに結構であり、その工夫と努力に対して敬意を表するものであります。  これは先ほど長官の午前中の説明の中にありましたけれども、憲法でありますとか、あるいは日米安保体制でありますとか、あるいは専守防衛戦略でありますとか、あるいは非核三原則などを基礎といたしました文民統制が確立されておる以上、いわゆる中期防所要経費の総枠の中で各年度の予算を決定していくということで、十分節度ある防衛力整備ができるということが言えると思います。  そこで、この中期防が完成した暁において、とりあえず現在目標としている、現段階で見積もられる大綱水準というのは達成するわけでありますけれども、大綱水準そのものも極めて定性的なものが多いのでありまして、相手の脅威が変わることによって実質的な装備体系でありますとか、あるいは所要兵力でありますとか、そういうものは変わってこなければならないし、先ほど瀬木参事官の方から一例としてソ連の長距離攻撃能力について、ソ連が現在努力しつつある方向について説明がありましたけれども、これらのことがさらに強化されてきます場合においては、いろいろと防衛計画について考え直さなきゃいけないということになると思います。もちろん防衛計画につきましては、本期間中三年後の見直しはやらないということを政府はこの一月に決定したわけでありまして、計画としての見直しはこれはまあそのとおりに、やらないことにならざるを得ないと思いますけれども、しかし、防衛に責任を持つ防衛庁の研究としては、まず国際情勢、特に対日脅威でありますとか、あるいは米戦略でありますとか、あるいは自由陣営全体の戦略能力でありますとか、こういうものの変化あるいはその変化していく方向についていろいろと研究を進めるということは、当然の仕事としてやらなきゃいけないと思いますが、これについてどういうふうにお考えでございましょうか。
  104. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 総額明示方式にいたしまして、三年のローリングというものは廃止いたしました。というのは、計画を立ててもローリングをやるとしょっちゅう変わっているんじゃないかと、それじゃ歯どめがないんじゃないかと、そういう誤解もございましたので、それはもうこの辺でぴっちりしましょうと、こういうことなんでございます。ただ、そのことは、一切手をつけないとか、一切関心を持たないとかというんじゃない。絶えずそれは注意をする、細密の注意をもって、これでいいかどういうふうになっているかという検討は必要でございます。
  105. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ただいま大臣からお答え申し上げたとおり、我々としては重要な関心を持っていろいろな研究をしておるわけでございますが、大臣が申されたように、三年ローリングする、あるいは五年フィックスする、いずれにしましてもこれらは将来に対する見通しというものは重要でございまして、要は三年であれば逐次手直しができるという利点があると同時に、三年間ということでございますから、作業そのものが十分腰を据えてできないという弱点もあるわけでございまして、五年にフィックスされれば、それはそれなりにより一層精緻な研究もできるということになろうと思います。  現在防衛庁でやっております。その種長期あるいは中期的な見積もりとしましては、統長、統中と言われておりますが、統合的な長期防衛見積もりと統合中期防衛見積もりと二つがございます。長期の方は、どちらかと申しますと科学的なもの、今後の防衛戦略というものに質的な方向等に影響を与えるかもしれない問題、例えば一般的な科学技術の動向であるとか、それが軍事科学技術にどういうふうに影響を与えていくかといったこと、さらにはそういったものに起因して主要兵器体系がどういうふうな趨勢をたどるであろうかといったような見通しを立てる。その中で予想される戦闘予想はどうなるであろうかといったような考察をいたして、それらが我が防衛戦略なり防衛力の質的方向にどういう影響を与えるだろうかというものを考察するものであります。  一方、中期の方は、中期でございますのでより具体的になろうかと思いますが、周辺諸国の軍非力の動向というものを前提といたしまして、周辺諸国のそれら軍事的な能力あるいは可能行動といいますか、どういう行動をとり得るかといったようなこと、それに対して我が方の対処構想と申しますか、例えば本土防空構想はいかにあるべきか、あるいは海上交通の安全確保の構想はいかにあるべきか、あるいはまた本土に対する着上陸侵攻対処構想はいかにあるべきかと、そういったような観点から防衛力整備の構想なりあるいは重点というものを考察していこうというものでありまして、これらは常に継続して怠りなく研究しておるというのが実情でございます。
  106. 永野茂門

    ○永野茂門君 世界情勢は常に変化し、科学技術は日々あるいは時々分々進歩しておるわけでありまして、今お答えがありましたように、長中期の研究というのは極めて重大であると思います。仮に日本計画を停止したといたしましても世界の動きはとまりませんので、したがいまして、日本もこれに応じて、あるいはこれに先んじて動いていくということが必要であると思います。統合あるいは中期の見積もり、計画等について十分な検討、推進をされるように望みます。  最後に、防大山岳会が近くチョモランマ峰登頂に挑戦することになっておるようでありますが、第一に、防衛庁はこれらの訓練でありますとかあるいは装備でありますとか、所要経費などについて何か支援ができるのでありましょうか。あるとすればどういう範囲であるのでございますか。このチョモランマ登山というのは世界に先駆けてやる登山でありまして、また日本山岳会がやる前にやる快挙でありまして、ぜひ成功させてあげたい、こういうふうに個人的に思うものであります。防衛庁として何らかの支援ができるのかどうか、承りたい。
  107. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 訓練支援というような御質問でございますので私の方から答えさせていただきますが、まず最初にお断りしておかなければいけませんのは、防大山岳会といいますのは、先生御承知のように、防大の卒業生を中心とする現職自衛官を主として編成した山登りの同好会というか、そういう性格のものでございまして、私どもとしては、自衛隊の中に各種のサークル活動があるわけでございますが、そういう中の一環として、その範囲でいろんな面で、例えば物質的なものを余裕がある限り提供するというようなことをやっておるわけでございますが、そういう支援は実施しておるわけでございます。  ただ、この防大山岳会の場合には過去に、例えば五十六年ですとコングル・チュビエ登頂に成功しておりますし、また、日パ・パスー峰合同登山隊というようなことで五十三年にも登頂しておるというようなことで、過去、世界の最高峰等に四回挑戦していずれも成功し、大きな成果を上げておるというような面もあるわけでございます。  また、これは一たん事故等がありますと国際的にも大変な問題であるというようなことで、私ども、単なる同好会活動ではありますが、やはり可能な限り安全面でくれぐれも注意するようにということで絶えず指導いたしますとともに、一面では、私的な活動ではございますが、国際交流の面でも非常に成果を上げるものでございますし、また自衛隊員個人のぎりぎりの条件に挑んで心身を錬磨するというような目的からも、自衛隊自体の目的にも沿うものでございますから、そんな点も踏まえまして、可能な限りの支援をするということでやらせていただいているわけでございます。
  108. 永野茂門

    ○永野茂門君 私がこの問題を取り上げて御質問申し上げておりますのは、この防大山岳会は確かに私的な活動であることは間違いありません、現段階において。ただ、これは例えばオリンピック強化選手の訓練について体育学校がある種の支援をやっている、これと同じような観点で取り扱い得るような面があるんじゃないか。特に陸上自衛隊の方の観点から山岳会の訓練について観察いたしますと、いわゆる山岳部隊、例えば長野県の松本部隊は山岳訓練を重視してやるような部隊に指定——今も指定されているかどうか知りませんが、少なくともかつては指定されていたわけでありますけれども、そういうものの訓練に直接関連のあるような内容もこの訓練の中には含んでおるわけでありまして、そういう観点から、繰り返しますけれども、オリンピック強化種目の選手に対する支援活動ができるというような範囲内における何らかの取り扱いは将来検討していただけないだろうか。それで、できなければもちろんそれはやむを得ないわけですけれども、そういうことを将来検討していただけないだろうか。こういう観点から取り上げたわけでございまして、もし検討について何か御見解がありましたら。
  109. 依田智治

    政府委員(依田智治君) 先生の今御質問ありましたような形での意見は私どものところにも大分届いてございます。  そこで、現在の自衛隊内における体育の支援というものの現状をちょっと御説明させていただきますと、この山岳登山というような面につきましては、現在、国民体育大会並びに全国高校総体というもので山登りに類するような競技が行われております。これは縦走、登攀、踏査というようなことで、ちょっとした山に登るのを採点してそれで競う。また、国際大会としましては、国際岩登大会というようなことで、観客が見ている前で数十メートルの山に登って時間を競うというような競技があるわけでございますが、まだ国際的に山登り競技というのは実際にその程度の状況であるわけでございまして、外国の非常に危険と思われるような最高峰を目指して登る訓練というような競技会は今のところないわけでございます。  現在、自衛隊におきましては、体育訓練種目に関する訓令というのがございまして、陸上競技とか水泳とかウエートリフティングとか三十三種目を指定しております。いずれもオリンピック種目等で、それによっていろいろ活躍することが、自衛隊自体の士気高揚につながるばかりでなく、日本国のいろんな面で寄与するというような観点からやっておるわけでございますが、山岳につきましては、現在は、戦技色が非常に強いものであり、しかも、長野の例がございましたが、やはり国内における自衛隊の行動という面から考えますと、せいぜいレンジャー部隊等において山登り訓練をするというようなことで現在考えて、それはもちろん正規の訓練の中でレンジャー部隊等がやっておるわけでございます。将来の問題としてそういう外国の山に登ることを正規の訓練として支援できるかどうか、これはまた研究課題であろうと思いますので今後とも研究させていただきたいと思っておりますが、そんなところでよろしくお願いしたいと思います。
  110. 永野茂門

    ○永野茂門君 ありがとうございました。長官ありがとうございました。  以上をもって質問を終わります。
  111. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 二、三質問さしていただきたいと思います。  私は、長官が就任されましてからずっとその発言をいろいろ聞いてまいりました。また、予算委員会でも随分話を聞いてまいりましたけれども、まあ、私たちが長官に対するイメージと実際とは全然違うということです。今回のこの国会では、売上税の問題等相当野党のいろんなあれがありまして、まあ大体廃案がはっきりいたしました。そういうふうな問題に対する総理の答弁、随分聞いてまいりました。そういう点ではまあどうしようもない点がありますけれども、事防衛に関してはこれはもう本当にタカ派的といいましょうか、強権といいましょうか、少しも謙虚さというのがない。きょうのこの所信表明というのを私は見さしていただきました。けれども、ここに書いているようなことを本当に大臣が考えていらっしゃるのかどうか、私は大変疑問に思います。したがいまして、私は予算委員会から急にこっちに来ましたので、今までどういう質問があったかということを聞いてないのはまことに残念ですけれども、私の感じていることをきょうは質問さしていただきたいと思っております。  そこで、まず初めに、私ども公明党は少なくとも自衛隊のことについては、自衛隊が要らないなんて全然思ってないわけです。やはり必要だ、それなりにやっぱり整備もやっていかなくちゃいけないというふうに少なくとも理解をしようと思って、一生懸命やっている党であるということはわかっていただきたいと思いますね。だから、やっぱりその点では、現在の国民理解の範囲からはみ出してはいかぬ、何とかその範囲内におさめていかないといけないということもあるわけですよ。そういう点で一生懸命やっているわけです。だから、私たちは、この文民統制がちゃんとできるように、皆さん方から出していただいているこの国防白書、「日本防衛」というこの白書とか、いろんな資料をもとに、はみ出しそうなところに線を引いて、その範囲内でちゃんと国民理解が得られるようにやってもらいたいということを一生懸命言おうとしているわけですが、予算委員会等でも時間がないからなかなか思うように全部言えないわけです。ですから、そこら辺のところを誤解してかなんかしれませんけれども、すぐ大臣は反論をしてくる。反論、いいんです。時間さえあれば我々もやり合いたいんですけれども、そこら辺のところが大臣の言っていることとちょっと違うんじゃないかなというところがあるわけです。  例えば、具体的に申し上げますと、きょうの大臣の所信表明の中にもあります。これは最後の方ですね。「もとより、国の防衛は、国民の深い理解と力強い支持があって初めて成り立つ」、こうあるわけです。そのとおりだと私は思うんです。国民理解のない防衛なんというものは、今正面装備が幾ら立派になっても成り立たない。それを使うのはやっぱり人間であり、自衛隊員なんですから。そういう点からいけば、私は、正面装備も大事だけれども、中身の隊員の皆さん方の訓練やそこら辺のところも非常に大事になってくる、そう思うんです。そういう点では、私は、正面装備が絶対じゃない、必要であるけれども絶対じゃないんだ、本当にそういう考えでいるわけです、  そこで、私は大臣にまずお伺いしたいのは、当然私はこういう問題を質問するときいつも言うんですけれども、やはり国民理解協力が一番大事だ、いつもこう言うんです。私、総理に言いましても防衛庁長官に言いましても、そのとおりだといつもおっしゃるんですけれども、そうじゃありませんか。一遍そこのところ。
  112. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 峯山さんとも参議院時代から十分に私もおつき合いいただいております。おまえの最近の言動にはいささか感心しないところがあるという御注意をいただきまして、それはそれとして謹んで承っておきます。ただ、私は、正直言いまして、性格上の問題もあるんでしょうけれども、やっぱり本音の議論をしなきゃならない、そういう意味合いでは自分の所信を申し述べる、それが一番重要でないかということでやっておりますので、それらの点につきましてはどうぞ御理解をいただき、御指導を賜りたい、こういうふうに思います。  今の、国民支持を得なければならぬということは全くそのとおりでございまして、いかに国民の皆さんに対して現在の我々のやっている防衛計画大綱水準達成ということが必要かということ、これについては繰り返し繰り返し国民の皆さんに御理解をいただこう、こういうことでございます。
  113. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大綱の問題についてもいろいろ問題はあるんです。それは後で何かの機会にやるとしまして、きょうはそこまでいきませんので、話が。  まず大臣、この間予算委員会で世論調査の話をいたしました。そして実は一%枠の突破の問題、撤廃の問題につきまして、これは去年やったわけですから、それで閣議決定も去年やっているわけです。それから二カ月、三カ月たったことしになりまして朝日新聞、毎日新聞、読売新聞が世論調査をした。そして、その中でいわゆる撤廃に対しやっぱり国民というのはそれなりにいろんな反応を示しているわけです、だから、私たちは、朝日新聞では六一%の人たちが反対をしておる、毎日新聞では七七%の人が反対しておる、この点についてどう考えておるか、こういう質問をしたわけですよ。そうしたら、大臣は、それは世論調査のやり方がいろいろあるからやり方によっていろいろ出てくる、読売新聞はこうやぞと、こう言われました。あえて私は読売新聞はそのとき出しませんでしたけれども、読売新聞はどうなっておるんですか。
  114. 友藤一隆

    政府委員友藤一隆君) お答えをいたします。  六十二年三月八日の朝刊に出ました読売新聞の世論調査の結果でございますが、−総額明示方式やむを得ないというような御意見、これが一六・二%、一%枠を変えることはいいけれども総額明示方式以外の方がよいではないか、こういうのが一〇・七%、歯どめ不要論というのが四・二%、それに対しまして、一%枠を復活すべしという御意見が三九・五%、回答がございませんのが二九・四%、こういう結果になっております。
  115. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 だから、大臣はそこのところを取り上げておっしゃったわけです。だけれども、これは読売新聞という新聞が最近おかしいというのは私はもうしみじみと思うんです。これは何でおかしいと言うかというと、読売新聞社の方いらっしゃったら申しわけないけれども、これは現実の問題ですから申し上げますけれども、大臣がおっしゃったように、世論調査のやり方によって全部変わってくる、こうおっしゃいました、大臣ね。それは世論調査のやり方によって変わってくるんです。そうだと思います、私は。読売新聞の少なくともこの設問の仕方は、要するに防衛庁側あるいは中曽根内閣側に立った質問です。なぜかというと、例えば軍事的合理性という言葉がありますよね。これは中曽根総理がしょっちゅう言っている言葉です。一%枠というのは軍事的合理性がないと一生懸命言っている。こういう言葉が設問の中に入ってきておるわけですよ。そういうこともあるし、今の質問の例えばそういう側に立った——立ったと私は見ておるわけです、ほかの人は見てないかもしれませんが、私は少なくとも見ている。そういう立った質問であっても、反対というのは大臣は三九%で容認が三一%だからほとんど接近しておる、こうおっしゃったけれども、それでも反対が三九%・容認というのは全部合わせて三一%。それでも反対のが多いわけです。  何で私こんなことを言うかというと、「日本防衛」といういわゆる白書の中にも、これじゃないけれども、それに類することがやっぱり載っているわけですよ。載せているわけです、皆さん方。例えば今の問題につきまして言いますと、この世論調査の中身の設問の仕方、これは総理府の世論調査が載っているわけでありますが、この総理府の世論調査の「防衛努力のあり方」というところで、その設問の仕方も決して少なくとも防衛力を減らせというふうな意味じゃないんですよね。一%突破してもいいという感じなんですよ、これ。そうじゃないとおっしゃるかもしれません。そうじゃなくても結構なんですけれども、少なくともこれはいろんな資料も全部つけているわけです。よその国の防衛費は幾らです、一人当たりの負担はどうですという例えばGNP比のあれを全部つけて、妻も、国民にわかりやすく世論調査を求めているわけです。  そして、しかも、日本の国の全体の予算の中で占める防衛費の割合も表をつけて、これは白書の中に載っているわけですから、つけて世論調査をしているわけです。これによっても、この調査の結果、この問題についてやっぱり防衛費は「増額した方がよい」一四・二%、「今の程度でよい」というのが五四・一%、「今より少なくてよい」というのが一七・七%。少なくとも今の程度あるいは今の程度より少なくしたいというのがやっぱり七一・八%ですよね。これ見てもわかりますように、ですから、大臣、私が言いたいのは、読売新聞がこういうふうに書いてあるからどうのこうのということを私はあえて出さなかったわけですけれども、少なくともやっぱり、これは毎日新聞なり朝日新聞なりそういう人たちの設問の仕方があなた方から言えば悪いということになるかもしれませんが、たとえ悪かったにしても、一%に対する国民の不安というのは非常にあるわけです。  だから、そういうような意味では、やはり世論を無視するというんじゃなしに、こういう世論調査の結果というのは謙虚に受けとめて、そしてその上で国民にどう理解を求めるかという努力をするのが当たり前であって、予算委員会の質問のときに我々がこう言ったからといって読売こうですよなんていういわゆる答弁のやり方、この姿勢というのは、僕はあの場では時間がないから言えなかったけれども、ちょっといただけませんなと、ちょっといつもの大臣と違うな、何か違う飯食うとるのと違うかという感じもしましてね。僕はそんなんじゃないと、我々はそれは短い時間の中で質問しているわけですから、言い足りないところもありますよ。しかしながら、そうじゃなしに、こういうふうな少なくとも世論調査が出ているわけですから、その世論調査についてはそれなりに謙虚に受けとめる、そして、そういう理解をいただいてない人にはいただく努力をする、それがやっぱり防衛庁としての本当の姿勢ではないのかなと、僕は本当にそう思いまして、大臣にこのことは一遍お伺いしておかないかんと思っていたんです。どうですか。
  116. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今の峯山さんの言うことは全くそのとおりであります。私がいろいろ言うたのは、世論調査というのは一応の前提があるから、その前提を無視してそれだけで決定的なことを言うわけにはまいらないと、しかし参考には十分しなきゃならぬと、現実に一%に対する批判が多いということに対しては、これはよくわかっていただくような最大の努力をしなきゃならないと、そういうつもりでございます。ただ、今もおっしゃったとおり、短い時間の中のやりとりでございまするし、そういうことで私の方も十分意をあらわせなかったという点につきましては、大変遺憾に存じております。
  117. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それからもう一点、これも非常に私はいかんなあと思っていることがあるんです。それは例のガイドラインの問題です。これは社会党さんも質問されましたし、私もさしていただきましたけれども、これはもうあのときのやりとりをずっと見ておりますと、少なくとも官房長官なり外務大臣の答弁というのは、これはやっぱりきちっと閣議決定をし、あるいは閣議の了承等をきちっとしてやっぱり署名もすべきだったと、本当は。言ってませんよ。言ってませんけど、すべきだったと。ちゃんとしておくべきだったと、将来のためにも。国防会議でもやっぱり国防会議決定あるいはそれに準ずるきちっと手続をして、それで閣議でも決定をしてちゃんとすべきだった。しかしながら、あのときにはいろんな都合でできなかったと。できなかったが、これからどうするかというふうに言われれば、これからはやっぱりきちっとそういうふうに手続きをすべきだと。そうは、私が今言ったとおり全部は官房長官はおっしゃっていませんよ。おっしゃってませんが、そういうふうな雰囲気の話を、答弁をしておられたんですね。  ところが、長官の答弁違いまんね、これね。それはあの防衛白書の中の前段は抜きにして、後段の話をしてはるわけですよ。後段は、要するに防衛庁長官日米共同訓練等そういういろんな問題については指揮官になるわけだから、私が責任をとって全部やるんですと。わかってなくておっしゃっていたのか、後段の方だけ。わかっていておっしゃっていたのか。そこら辺のところは、これはどういうことなんですか。
  118. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私は、あのときの国防会議なり、それから内閣の閣議の決め方については承知しておりませんから、だから、それについてはちょっと自分としてなかなか見解は言いにくいというふうな話をしたわけです。そうしたら、そのガイドラインというのは、御案内のとおり、行政措置を伴うものじゃないわけなんですね、これ。行政措置を伴わないものについて、閣議決定とか閣議了解とか、あるいは文書にするとかしないとかというところまでいかなきゃならぬものかどうかという点について、私は今でも疑問がある。ただ、問題は、一番重要なことは、防衛庁長官である限りはガイドラインがシビリアンコントロールの中で厳重に行われるべきだ、形式じゃなくてそこだけはもう何としても譲れませんと、それを私は強調したかったわけであります。
  119. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 例えばそういうふうな義務が伴わないにしても、しかしながら、このガイドラインに基づいていろんな計画が立てられ、共同訓練のプランが練られ、そしてそのプランそのものについてはもちろん後で閣議なり予算措置なり、それなりにそれぞれあるわけですけれども、そのブランそのものに、もうプランが決定する段階ではそれは当然そういうふうな措置があるのか知りませんが、その大もとなんですから、やっぱりね。指針というのは、ガイドラインという指針も、これからの日米共同訓練についての指針という意味で言えば大綱指針なんですよね、大臣。大綱もこれからの日本防衛をどういうふうにするかという指針と書いてありますよ、やっぱりこの中に。両方とも同じ指針なんですよ、要するに。  もちろん、それは予算的な裏づけとかという問題があるなしはありますけれども、しかしながら この白書の中でもガイドラインをどう扱っているかというのは、非常に大事に扱っているというのはわかりますよ、これ。これだけたくさん書いてあるんですから。一カ所じゃなしに何カ所も書いてある。それだけガイドラインというのが重要な役割を果たしてきているというのはわかると思うんです、私はね。ですから、そういうような意味では私は官房長官が考えておられた、あるいは外務大臣代理としておっしゃったわけですから、そういうような考え方をおっしゃるのは当然だろうと思います。  そこでね、きょうは外務省とそれから安全保障会議の室長さんお見えになっていただきましたので、これは実際はどういうことだったのか、ガイドラインのいわゆる国防会議における取り扱い、これは一体どういうことだったのか、現実ありのままにちょっと教えてもらいたいわけです。私の手元にある資料によりますと、国防会議というのはこれはどういうふうな決定の仕方をするのか。国防会議決定とかあるいは国防会議審議とかいろいろありますけれども、この資料をずっと見てまいりますと、例えば「防衛計画大綱について」というのが、これ何回も何回も審議をしますよね。審議のたびに第何回目は審議、第三回目は審議、ずっと審議を重ねていって、最後に決定というのが出てきますよね。ですから、私は、こういうふうな審議を何回も重ねて、あるいは二回とか三回ということもありますけれども、何回か重ねて決定に至る、当然そういう手続なんだろうと思いますが、少なくともガイドラインについては審議というのは一回だけですよ、これ。この中に出てくるのはですよ。だから、そういうような意味では実際的な手続はどういうふうになっているのか、そこら辺のところを一遍お聞きしておきたいと思います。
  120. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  先般予算委員会でお答えいたしましたときには、時間の関係で説明を省略をいたしましたので、若干舌足らずになっておりました。きょうはそれではその関係を御説明させていただきます。  国防会議、これは、御承知のように、昨年の七月一日で安全保障会議設置法に引き継がれたわけでございますが、防衛庁設置法の「第三章 国防会議」、この第六十二条に「国防に関する重要事項審議する機関として、内閣に、国防会議を置く。」と。そして、「内閣総理大臣は、」その法定の決定事項として「次の事項については、国防会議にはからなければならない。」と、諮問が義務づけられているものでございます。これは、もう御承知と思いますけれども、正確に申し上げますと、第一が「国防の基本方針」、第二が「防衛計画大綱」、第三が「前号の計画関連する産業等の調整計画大綱」、四番目が「防衛出動の可否」、五番目が「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」となっております。  この「重要事項」とは一体何だというのがまたこれ国防会議決定と閣議決定がございまして、第一が「自衛隊法の改正を要する部隊の組織、編成又は配置の変更」、二番目が「自衛官の定数及び予価自衛官の員数の変更」、三番目が「左に掲げる装備についての種類及び数量」、これは例えば戦車、主要ミサイル、護衛艦とか潜水艦とか航空自衛隊の作戦用航空機、ミサイル兵器、そのほかの「装備で、その整備に数か年の長期を要し、かつ、多額の経費を要するもの」、こういうものについて諮問をすると、こういうことになっておるわけですね。あと四番目は「開発項目のうち、長期にわたり多額の経費を要するもの」、これが実は法定または閣議決定、国防会議決定による決定対象事項、諮問をすべき事項とされておるわけでございます。それ以外の問題も、将来国防上非常に重要になるであろう問題については、説山、報告その他を求めるというのでございます。  そして、先般御説明申し上げましたように、国防会議の時代は大体この審議の態様を二つにくくっておるわけですね。一つが国防会議決定、もう一つが審議となっております。この御指摘の五十三年十一月二十八日の国防会議、すなわちガイドラインについて、これは審議と書いてございます。  それで、この間私ちょっと御説明が十分でなかったので補足させていただきますと、この審議という概念の中に、先生今御指摘の例えば中期防衛力整備計画であるとかなんとか、何回か審議をして決定に至るまでの過程としての審議というグループがあるわけでございます。もう一つは、報告を聞き置くというのも審議とくくっております。実は、例えば国際軍事情勢についてというようなものは、了承とかなんとかそういう性格、決定とかそういうものでない。三番目に、報告を受けて了承をするというグループ、これも実はその審議の中に含まれておりまして、先般御答弁をいたしましたように、このガイドラインについては報告があって若干の質疑があって了承、こういう第三のカテゴリーに属する審議でございまして、決定に至る間の審議、すなわち審議が一回しかないではないか、あるいは審議未了のまま決定に至らずに閣議に上がってしまったという性格のものではございません。  それで、現実にどうであったかと申しますと、先般も関係政府委員あるいは大臣から御答弁がございましたように、五十三年の十一月二十八日、国防会議に資料を配付の上、所管大臣である外務大臣、防衛庁長官から報告がございまして、この指針は了承されました。それでは、指針に基づく細かい共同作戦計画の研究とかその他の問題、これはどうだったかと申しますと、この点につきましては、席上、防衛庁長官から、これは行政措置を伴うものでないし、共同作戦計画の研究については所管大臣である防衛庁長官が責任を持って行う、了承してもらいたい、こういう御発言があり、これを皆様が御了承になったと、こういう経緯と承知いたしております。  なお、本件については、五十六年四月七日の衆議院決算委員会あるいは五十六年三月十九日の参議院予算委員会、五十七年二月二十三日の衆議院予算委員会で、この内容についてそれではどの程度詳しく報告があったかという御質問がございまして、これについては同様の御答弁を申し上げております。すなわち、指針そのものは報告、了承があったけれども、その詳しい中身については防衛庁長官が責任を持っておやりになる、こういうことで国防会議の了承がございますので、詳しい中身についての報告はございません。こういう状況でございます。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、その審議の中身に三つあるってね。報告を聞きおく、今急につくったのと違うの、これ。
  122. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) いやいや、違います。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 報告を受けて了承する、どうも急につくった感じだね。  非常によくないのは、もう一つは、これは閣議のこういう報告、昭和五十三年の「閣議及び事務次官等会議付議事項の件名等目録」、これに何で載ってない。
  124. 藤井宏昭

    政府委員藤井宏昭君) この点については、既に予算委員会等で詳しく外務大臣あるいは官房長官・外務大臣代理等から御説明しているとおりでございます。  先ほどの御質問とちょっとあわせましてお答えさせていただきますと、このガイドラインなるものは、御存じのとおり、昭和五十一年の七月の第十六回日米安全保障協議委員会において、その下部機構として防衛協力委員会というものを設置しまして、その防衛協力委員会が二年有余にわたって検討してきたわけでございます。防衛協力委員会は、北米局長防衛局長等で日本側は構成されておりますけれども。その二年有余の研究の結果が、昭和五十三年の十一月に第十七回の日米安全保障協議委員会に報告されまして、それがいわゆる「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインというものでございます。  その性格は、累次御答弁申し上げておりますように、所管大臣の所管事項の中で行い得るものであり、特定の行政措置を要するということではない、あくまで一般的なガイドラインであるということでございますが、他方その内容上、日米防衛協力のあり方にわたるものでもございますし、それからシビリアンコントロールの確保という面も考慮いたしまして、五十三年十一月二十八日の会議において資料を席上配付の上、外務大臣及び防衛庁長官から口頭で経緯、内容等について説明を行い、その結果特に異論はないということで了承されたということでございます。  そこで、なぜ閣議書がないのかという御質問につきましては、これも累次御答弁申し上げておりますように、正式な閣議の意思決定という意味におきましては、閣議決定、閣議了解、それからもう一つ別なカテゴリー、閣議報告というものがあるわけでございます。この三つにつきましては閣議書があるわけでございますが、このほかにも、閣議の席上国務大臣が所管の事項等につきまして関連して説明をするという行為があるわけでございまして、このガイドラインにつきましては、その第四のカテゴリーと申しますか、ということに属するわけでございます。したがいまして、閣議書がないということはそのとおりでございます。
  125. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ですからね、その日米安全保障協議委員会とかそういうところで随分長い間かけて検討した。しかも、このガイドラインというのはそれなりに重要なものである。あるいは、その後の扱いにしましても、金科玉条のようにこの防衛白書の中でもうひとり歩きしておるわけです。そういうふうな意味では、そのときにそれだけ重要でないと思っていたのか。今北米局長の話にございましたが、一般的なガイドラインとかいろいろおっしゃっていましたがね。ということは、余り重要でないと思っておられて、資料をぱっぱっぱっと配って、それで外務大臣や防衛庁長官からちょっちょっと話があったのか。佐々さんにもちょっとお伺いしますが、国防会議で資料配って説明したその時間というのはどのくらいなんですか。大体五分とか十分、そんなかかってないんじゃないの。
  126. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) この五十三年の十一月二十八日、これが現実に何分かかったかちょっと私今承知しておりませんが、国防会議あるいはその後昨年の七月一日からやっております安全保障会議の実態を申し上げますと、約三十分でございます。閣議の前後おおむね三十分というのが通常の時間でございますので。それから、このガイドラインの中身というのはこれから勉強するという、研究をするということだったと私理解をしておりますので、三十分説明したかどうかはちょっとこの十一月二十八日の分は確かでございません。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 まあ、いずれにしても余り長くなかったわけだ。閣議にしたってそんな何もやってないわけだ、本当言ったら。  それでね、私はだからこの問題について、このシーレーン防衛の問題をさんざん予算委員会内閣委員会で去年質問したわけでありますけれども、そのときにこれは一体どうなっているんだということでやったわけですよ。西廣さんが一生懸命答弁して、白書に書いてあることと同じことをおっしゃったわけですが、白書というのは、これは西廣さんね、だれに見せるためにつくっておるんですか、この白書。
  128. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 私の所掌じゃございませんが、白書と申しますのは、防衛庁行政内容等につきまして国民一般によく御理解いただくために出しておるものと承知しております。
  129. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 国民一般にわかりやすくするためにあるわけですよ、これね。私も、実は、今のガイドラインというものは、防衛白書に載っているように素直に読んでいましたよ、素直に。全然そういうようなことは考えていませんでした。だから、西廣さんが私に答弁していただいた、本指針は国防会議に報告し、かつ閣議に御報告して了承を得ておりますと。だから、私は、国防会議でも手続としてはただ審議なんというものじゃなしに、決定なり了承なりきちっとした手続がされているんだろうと。白書にこんな書いてあるんだからな。閣議でもやっぱりそれなりに閣議決定なり了承なり報告なりして、閣議書もちゃんとできておるものだろうと。私は当委員会における質疑でも、白書にもこれだけ書いておりますから、ああそうですかということで質問を進めたわけですよ。  いやらしいな、これは本当に。国防会議でも僕らがやんややんや言い始めて、何か佐々さん、急に審議というのも二つも三つもあると書いてつくって、後からつくったらいかんで、こんなね。ただ本当にこんなのを見ていると、国防会議七十二回もやった中で、これまでは「国防会議決定」とか「国防会議審議」とかいろいろ書いてある。我々は「国防会議審議」と書いてあるのは審議の中身が二つも三つもあるなんて思いませんわな、大体普通は。三つもあるなんてようつくったな、そやけど、ほんまに——二つか。だからそういうようなのはもう少しわかりやすく、やっぱり誤解を受けないようにすべきだと私は思うんですよ。白書だって国民が見るわけですから。  こういうふうに書いてあると、正式のルールに従って閣議決定しておると、閣議書というものがきちっとあるものだと、だからそれに基づいてこういうふうになっているんだなと、それでこそシビリアンコントロールというのはびしっと効いておる、こういうふうになるわけですよ。そういう点では、やっぱり国民に御理解をいただくあるいは求めるという点で、まだまだ防衛庁も自分だけわかればいいという感じがあるんじゃないか。我々だってひねくれて考えようなんて思っていませんよ。やっぱり防衛庁が書いておることは純粋に受け取りますよ。そういうふうな意味では、まだまだこういう点は至らぬ点が多過ぎるのじゃないか。本当に僕はそう思うんですけれども、大臣どうですか。
  130. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ガイドラインを閣議に御報告した当時、あるいはガイドラインを審議した当時、私は防衛課長で若干それに関与しておりましたので、当時の模様なりを若干補足して説明させていただきますと、御承知のように、防衛庁の仕事というものは自衛隊という実力集団を平時管理をし、有事これを運用するということでございますので、一般行政官庁と違いまして、いわゆる行政措置を伴う仕事というのは非常に少ないわけであります。したがって、そもそも閣議等はそういう一般行政をやっております各官庁のやり方というものを大体中心に運営されておりますので、先ほど来北米局長から申し上げているように、行政措置を伴わないようなもの、そういったものについては閣議決定なりあるいは閣議了解といったものになじまないということで、各省庁についてはそういったものについては閣議に文書でかけられていないという従来のしきたりがあるわけです。  我が方の防衛庁について言いますと、その種の行政措置を伴うものは少のうございますけれども、それ以外にシビリアンコントロールというような面で非常に重要な面があると我々は考えておりますので、その種重要な事項についてはできる限り閣議に御報告し御承認いただくとか、あるいは閣議決定していただくということが必要になると思いますが、閣議決定につきましては、先ほど安全保障室長から話がありましたように、法定のもの、あるいは閣議決定すべきものというものを閣議決定によって決めております。したがって、それ以外のものは閣議決定はできないということでありますから、閣議に報告するというような手続がとられるわけで、我々としてもそういう希望をするわけでございますけれども、一般省庁と並びで考えますと、その種行政措置を伴わないものは、従来は文書による閣議報告なり閣議了解になじまないということで、当時とられておりました通常の手段として、資料を提出し所掌の外務大臣なり防衛庁長官から御説明をして口頭で御了承いただいたということで、閣議に御報告し御了承をいただいたという白書の決定というものは、私はそれなりに正しいものだというふうに理解をいたしております。その点御了解いただきたいと思います。
  131. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  国防会議の関係でございますが、実はこの矢山有作先生に出しました答弁主意書、六十一年四月二十二日、国防会議の時代に出されておりまして、第一回目が昭和三十一年の十二月八日でございますか、これからずっと見ますと、決定、審議、決定、審議なんでございますね。そういう二つの概念でずっとくくってきたということは、これはごまかしでも何でもなくて事実でございまして、その中身を見ますと、国際軍事情勢について、これは決定も了解も要さない問題だろうと思われるのも入っておりますし、明らかに報告、了承であるものも入っておりまして、ただ審議というくくり方をしてきたという事実を申し上げたものでございます。  それでは、そのままではおかしいではないかという御指摘については、実は同じ御指摘が——まあ五三中業というのは全然これは国防会議にもかけられずに防衛庁限りの内部資料ということで行われまして、もう少しシビリアンコントロール上きちっとやるべきだというところから、五六中業、五九中業の問題のときには、これは審議なんだけれどもちゃんと皆さん了承いただいたんだということをはっきりしようではないかということで、大変例外的に了承という言葉が書いてあるんですね。その意味で、それじゃ過去にさかのぼってそれまでは全部報告だけ聞いておけばいいのかというと、そうでもない。明らかに報告、了承のものがございますので、先ほどのような御説明を申し上げました。  なお、昨年の七月一日安全保障会議になりましてから、やはりそういう後日のためにはっきりしておいた方がいい場合には、審議の上、括弧でも何でもいいから了承と書こうではないかということから、F4ファントムの量産改修、この問題については実は了承という言葉でくくっておりまして、今後先生御指摘の点はよく、私もごもっともと思う点がございますので、そういう点を考慮しながらこのくくり方を考えてみたい、かように考えております。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 佐々さんね、私ちょっと資料をしっかり見るのを忘れてまして、今ちょっとじっくり見ていると、国防会議は決定と審議という二つで、了承というのはいつからですか。
  133. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 前回はこの五十三年十一月二十八日の点を中心にお尋ねがございましたので、この辺はそういうふうにくくっておりましたと申しましたが、今申し上げましたように、五十六年、何日ですかね、これは了承という言葉が使われているのがございます。いわゆる五六中業についてでございます。五三の予算とかなんとか、こういう点が審議審議でおかしいではないかという御指摘が当時あったと聞いております。五十六年、五十九年のいわゆる防衛庁限りの内部資料である中業ではございますけれども、シビリアンコントロール上はっきりしようではないかと、こういうことになったと承知しております。二種類のくくりをずっとやってまいりましたのは、先生がお尋ねの五十三年十一月二十八日のころはずっとそういうことで、その中には報告、了承も明らかに入っておると思われるものがございます。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これね、今まで七十二回の中の審議というのはいっぱいありますが、どれが聞きおくでどれが了承かわかる、これ。——いや、まあいいです。あのね、いや答弁いいんですが、私もうちょっといろいろ言いたいと思っているんですけれども。要するに、了承というのが二つも三つも出てきていますよね、この後、五十六年ごろ。だから、僕はこういうようなのはもうちょっとはっきりさせるべきだと思うし、あなたがさっき言った報告を聞きおく、あるいは審議をした——やっぱり審議というのはそういうあれじゃないの、これ。聞きおくというのと報告を受けてそれを了承したというのと二つあると言ったけれども、本当に二つあるの、これ。それから、七十二回の六十一年一月三十一日の「安全保障会議設置法案について」というのがありますね。これはどっちなの。「国防会議審議」と書いてあるけれど、これは聞きおくなの、了承なの、これ。
  135. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) 報告を聞きおくというのは、明らかに国際軍事情勢というようなのは聞きおくだろうなと思います。それから、次期戦闘機の整備についてというようなのも、これは例えば決定に至るまでの間の中間報告の審議であろうかなと。報告、了解と思われるものとしては、その五十三年十一月二十八日のはどうもやっぱり報告、了承だろうなというふうに考えております。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 一つだけか、これ。要するに、審議と書いてある中で報告を受け了承するというのはこれ一つ。審議というのは物すごい余計あるんやで、これ。
  137. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) これは確かに今までのまとめ方がこの二種類になっておる、そのどれがどれであるか、こういうお尋ねで、私どもやはりきちんとこういう点は了承というのは後日のためにはっきりしておかにゃまずいなということで、先ほど申し上げましたように、昨年の七月一日、安全保障会議設置法に基づく安全保障会議を行うようになりましてからは、この点を審議と了承というふうな使い分けを始めたところでございます。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、長官、やっぱり我々が後で見てもわかるように、例えば審議の中に、ただ報告を聞きおくというのと報告を聞いて実際は了承というのと二つあるというんじゃなしに、やっぱり審議してまだ決定していないものは審議、了承するものは了承、決定したものは決定というふうに、僕はわかりやすくすべきだと思うんです。この中に二つあるんですなんて言ったって、二つあるなんて書いてないわけですから。そういう点はやっぱりすべて私はわかりやすくしてもらいたい。そうでないと、日にちが過ぎてからあれはこうじゃった、ああじゃったと言ったってまずいわけですよ。  防衛というのは非常に国民に御理解いただかにゃいかぬわけですから、そういうような意味では、やっぱりそういうはみ出しかないように閣議で——閣議の場合でもこれから重要だなというような場合には、僕は閣議決定はどういうものをするかという資料もこの間法制局からいただきまして見ましたら、政府がやる気ならいっぱい項目あるわけです。どこでもあります。結局入れることはできますね。あれ見てますと、やっぱりそういうふうに大事に考えて、いわゆる一般の行政機関のものと違うわけです。ですから、そういうような面で大事に扱うべきだ、それがシビリアンコントロールという面から言えばきちっとけじめをつけていくということになりますし、私は本当にそうすべきだと思うんですけれども、どうですか。
  139. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私が閣議のやり方をどうするとか、あるいは安全保障会議はどうするということは言えませんが、今の御意見は大変貴重な意見でございますので、官房長官によく伝えます。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、余り時間がなくなってきましたので、防衛局長、シーレーンというのがありますね。これは私も当委員会でも随分長い間議論をしてまいりましたが、このシーレーン防衛と言う場合に、これは大体どういうことを想定をして考えていらっしゃいますか。
  141. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) シーレーン防衛と申しますのは、我が国に対して攻撃が行われるいわゆる日本有事に際して、日本というのは資源等の多くを海外に求めておりますので、国民生活というものを維持する、そういった目的のもの、それと継戦能力確保する、いわゆる有事の状況でございますから、防衛行動というものを継続して防衛作戦というものを遂行するための継戦能力、これを確保するための措置、いわゆる海上交通の保護を、シーレーン防衛というように私どもは考えております。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 今お話しのその前段と後段があるわけですよね。やはり従来から白書の中を見ると両方書いている点もありますけれども、大体大臣や皆さん方の答弁を聞いておりますと、その前段に相当大きな力点を置かれているわけです。いわゆる海上交通路、日本は貿易立国でもあるし資源や食糧なんというようなものを海外から求めていると、そのためにどうしても海上交通路を確保するということが非常に重要な問題である。特に今おっしゃったその民生、産業的側面、それを担保するためにシーレーンというのは非常に大事になってくるんだと、私はそういうふうに今まで受けとっていたわけであります。ところが今、後でおっしゃったその後段の問題、日本の少なくとも自衛隊としてはどういうふうにお考えなんですかね。その後段の方にはどの程度の力を入れていらっしゃるのか、そこら辺の意味を含めて。
  143. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これはあくまでシーレーン防衛の目的としては二つは二本立てでございますが、しからばそのどちらに多くの力が割かれるであろうかということになりますと、海上交通あるいは海上輸送、そういったものの量的な面から見れば、明らかに国民の生存を維持するといいますか、そういったものに多くを割かれざるを得ないだろう。ただ、なぜこの二本立てが必要かと申しますと、例えば北海道なら北海道、ある地域に相手がもう上陸をしてきていると、そういうところに対する補給なりあるいは増援、そういったいわゆる継戦能力なり作戦のための輸送というのがございますが、後段の方の、そういった状況下の輸送、シーレーン防衛というものは、洋上における一般的なシーレーン防衛とはまた様相が違ってくる。例えば相手方の航空優勢下で行わなくちゃならない輸送もあるだろうしということで、機能的にやや別種のものも持たなくちゃいけないということもありますので、これらは常に二本立てで考えざるを得ない。ただ、海上防衛力なり我が防衛力が果たすべき海上交通保護の中の量的な面で押さえれば、国民の生存を維持するための方がはるかに大きいだろうということは言えると思います。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 アメリカの国防白書によりますと、一九八七年の国防白書の中では、シーレーンズディフェンスという言葉を使っていますね。ところが、一九八八年の同じ白書によりますとシーレーンズ・オブ・コミュニケーションという言葉に変わっているというふうに言われているわけですけれども、これはどういうふうに解釈していらっしゃるんですか。これ要するに、一つは従来我々が考えている、今防衛局長説明をされたシーレーン防衛という問題と、それからこのシーレーンズ・オブ・コミュニケーションという問題は全く同じことなのか、全然違うことなのか、そういう点も含めてお願いします。
  145. 瀬木博基

    政府委員(瀬木博基君) この点につきましては、けさの御論議でも問題提起がございましてお答えしたところでございますが、結論的に申しますと、アメリカの当局に照会いたしましたところ、アメリカとしてもシーラインズと、この場合シーラインズ・オブ・コミュニケーションと言っておりますけれども、それとシーレーンというものについての観念は内容的には同じであると言っております。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕  ちなみに、国防報告、ただいま先生の御指摘になりましたものにおきまして昨年のものを見てみますと、シーラインズ・オブ・コミュニケーションズというものが一カ所、またシーレーンディフェンスという言葉が一カ所、それぞれ一カ所ずつ出ております。他方、今年度の国防報告を見てみますと、ディフェンス・オブ・シーラインズ・オブ・コミュニケーションズということで、海上交通防衛については一カ所しかないということで、統一されたというよりは二カ所が一カ所になって、それがシーラインズという言葉になっているということではないかと思います。
  146. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今、瀬木参事官からお答え申したように、言葉としてはSLOCの防衛もシーレーンの防衛も同じことであるということだろうと思います。したがって、シーレーン防衛といい、あるいはSLOCの防護といい、これは各国とも同じ概念で使っていると思います。  ただ、例えば日本のシーレーン防衛、あるいはアメリカのシーレーン防衛、ソ連のシーレーン防衛、イギリスのシーレーン防衛ということで、それぞれの国柄によってその重点といいますか、状況は変わってくると思います。例えばソ連なりアメリカのように資源の非常に豊富な国で、余り海外から多くのものを入れなくともやっていけるような国は、シーレーン防衛ということになるといわゆる作戦輸送面というものが非常にクローズアップされるであろうし、イギリスなり日本のように海外資源に非常に多くのものを依存している、そして防衛手段としては特に前方展開部隊を有しているわけではない、自分の国の防衛なりあるいはNATOとの間のわずかにドーバー海峡ぐらいの海上交通保護しかないというイギリスなどにすれば、そういういわゆる作戦輸送面の分野というものは、非常に割合からいえば少ないというようなことになろうかと思います。
  147. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 時間が来ましたからこれで終わりますが、この続きはまた締めくくり総括でやります。私は、このSLOCというのは、やっぱりアメリカの考え方というのは前線基地と後方の根拠地とを結ぶいわゆる兵たん連絡海上連絡網といいましょうか、帯といいましょうか、連絡路といいましょうか、そういうようなものじゃないかなと思うんですよ。そうすると、我々が考えている問題とは大分違うなという感じがするわけです。そういう点ではやっぱりいろいろ心配なこともあるわけですよね。ですから、シーレーンの問題については、私はまあこれは何回もやってきましたけれども、これからも締めくくり総括でもやりたいと思っています。  一遍私は統一見解を防衛庁から出していただきましたけれども、やはり私が初め指摘しましたように、大綱の中にはシーレーンという概念はなかったと私は初めから言っているわけです。いや、そんなことはない、初めからあったんだと、防衛庁とこれは対立をしているわけですけれども、やはり僕はこれはなかったと今でも思っているわけです。そういうような点につきましては、これから総括の中でやらせていただきたいと思っておりますので、きょうはこれで終わりたいと思います。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 それでは質問いたします。  次期支援戦闘機FSXについてお伺いいたしますが、まず、この選定作業の状況について伺います。
  149. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御承知のように、FSXと申しますのは、現在用いておりますF1という対地支援任務も有しておる航空機、戦闘機の後継機をどうするかという問題でありまして、このF1という戦闘機は、現在の見積もりによりますと、約七、八年後から減耗を始めまして十年後、昭和でいえば昭和七十二年ごろには新しい飛行隊を新たにつくらないと数が足りなくなってくるというものであります。これらの現在のF1の減耗状況というものをにらんで、次の戦闘機の機種をどうするか、どのように整備していくかというのがこの検討対象になっておるわけであります。  これにつきましては、その種航空機が必要な能力はどういうものかというようないわゆる要求性能というようなものを詰めると同時に、これを満たす手段として、国産で純粋に開発をしていくという案、一つは外国機を導入するという案——国産で開発と申しましたが、開発する案、これは国産であれあるいは共同開発であれ開発する案、それから外国機を導入する案、もう一つは現在用いておる航空機のいずれかを転用していく案という三つの選択肢の中で現在研究を重ねておるということでございまして、最近の状況を申し上げますと、まず開発案あるいは外国機導入案というようなことで、国内からは国産でこういうものを開発するとこのようなものができるという一つの国産開発案というものが提示されております。それからアメリカの方から、アメリカが現在使っておりますF16ないし18をそのままあるいは改善して使う場合にはこういうことになるということについて、性能あるいは価格等について説明を受けております。  一方、我々の検討と並行しまして、先般国防総省の技術的なチームが来日いたしまして、日本がFSXというものをこれから選定していく際に役立つであろうということで、彼ら自身が検討した。ところのFSXの果たすべき機能、能力というものはこういうものがいいのではなかろうかといったようなことについての意見を携えて先般来日しまして、我が方といろいろディスカスをいたしました。そういったことを通じて、米側からも十分彼らの意見も聞いて我々としては最善の選択をしたいということで、目下基礎的な研究から始め、逐次選定に及んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 最近の新聞の報道によりますと、F15戦闘機あるいはその改良型の米国機を買うようにアメリカは要求してきているというふうに報じていますけれども、そういう事実があるんですか。
  151. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど申しましたように、F16というのはゼネラル・ダイナミックスでございますが、それとF18はマクダネル・ダグラス、これらの社が、こういうものが日本のFSXに向くのではないかということで提示があったわけですが、これは会社としてはできればそれを買ってほしいという意味であろうと思います。今お尋ねのは、アメリカがとおっしゃいましたが、これがアメリカ政府がという意味であれば、アメリカ政府は飛行機会社ではございませんで、日本に何か売りつけるという立場にございませんし、現在日本側がアメリカといろいろ話し合っておるのは、先ほど申したように、どのような戦闘機が、これから十年後から配備をして二十年後ごろが働き盛りになるわけでありますから、最も最適のものであるか、どういうものであるべきか、技術的にはどうかというような問題を論じておることで、そのような事実はございません。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 アメリカ側の最近の要求は貿易摩擦と絡めてきているようですけれども、防衛庁としてはFSXの選定に当たっては貿易摩擦についても考慮して選定しようとしているのか、あるいはそういうことは一切考慮せずに、貿易摩擦のことについては考慮せずに選定しようとしておられるのか、その辺はいかがですか。
  153. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 貿易の問題と関連してFSXをアメリカのものを使うべきだというような意見がアメリカの議会を中心にしてあるということは、私ども十分承知をいたしております。ただ国防総省、いわゆる行政府と我が方との累次いろんな機会に会う機会があるわけですが、彼らが一致してワインバーガー長官以下言っておられるのは、貿易と防衛はリンクさせないということがまず大原則でありまして、我が方のFSX選定の基本的な考え方、これは防衛庁長官の三つの原則がございまして、第一は我が国防衛のために最適なもの、最もコストエフェクティブネスで有用なものを選ぶということ、第二番目は、当然のことながら日本防衛というものは日米安保体制というものを基調にしながら行うわけでございますので、その点の日米共同対処ということを配慮したものであること、いわゆるインターオペラビリティー等についても配慮したものであるということ、それが第二点であります。第三点は、いわゆる企業、日本の企業であれアメリカの企業であれ、企業としてはそれは自分の飛行機を買ってもらいたいという希望はあると思いますけれども、そういったものには左右されない。この三つの原則をもってこの選定に当たりたいというふうに考えております。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 防衛庁長官にお伺いいたしますが、貿易摩擦の件は判断に入れずに選定するということでよろしいわけですか。
  155. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) よろしゅうございます。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 さきに行われました日米首脳会談において、日本防衛上の努力を会談で約束したとか何らかの密約が存在したのではないか、そんな密約でもなければ日米の対立が氷解するはずはないというようなマスコミの報道がありますし、これはニューヨーク・タイムズですけれども、そういうようなマスコミの報道に関して長官はいかが受けとめておられますか。
  157. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) さようなことはございません。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 そもそも支援戦闘機というのはどういうものであるのか、それについてお伺いいたします。
  159. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 支援戦闘機は、その任務として、例えば我が国に対して上陸、侵攻しようとしてくる敵があるとしますと、その乗ってくる上陸用舟艇とかあるいはそれを護衛している護衛艦といったもの、その上陸阻止をするいわゆるインターディクションのための任務を果たす、あるいは相手が上陸してしまった際に、陸上部隊同士の戦闘になるわけですが、そういった相手方の陸上部隊を攻撃し得る戦闘機、そういったようにお考えいただければいいと思うんです。  ただ、お断り申し上げておきますが、防衛計画大綱では戦闘機を三百五十機持つことになっておりまして、その基本的な前提として十三個飛行隊を持つことになっておって、そのうちの三個飛行隊がFS、支援戦闘機の部隊でございますけれども、これは七カ所で十三個飛行隊ということで、平時から防空任務にFS部隊もつくという前提で機数等がはじかれておりますので、FS任務だけを果たすというものではない、防空任務も当然果たすというように御理解いただきたいと思います。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 例えばF15とかあるいはF15の改良型というんですか発展型、こういうものが導入されるとすれば、シーレーン防衛などにも使えるんじゃないでしょうか。もしそうであるならば、支援戦闘機といっても実際には戦闘機の増強になるんじゃないか、こういう疑問があるんですけれども、この点についてはどうお答えになりますか。
  161. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ただいま申し上げたように、支援戦闘機といい防空戦闘機といい、防空という任務はあわせ持っておるわけでございますから、その点そう違ったわけではございません。現実に我が国自衛隊の支援戦闘部隊というものは、かなりの時期防空戦闘機と支援戦闘機というのは同じ機種を使っておったわけです。たまたま現在のF1は防空戦闘機と同じ機種ではなくて超音速高等練習機と同じ機種を使っておりますけれども、それはそのときどきの必要とする性能なりあるいは生産のロットの大きさその他等も勘案しながら機種決定していくことになると思います。  なお、洋上防空の件については現在検討中でございますけれども、いずれにしろ相手の航空機との問題でございますので、いわゆる制空戦闘機的な任務というものが果たし得るものである必要があるということであろうかと思います。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一度ちょっとはっきりお伺いしたいんですけれども、そうするとF15とかそういうものを買う可能性があるのかどうかという点と、シーレーン防衛にも使えるようにするためにそういうものを導入する可能性があるというふうにもとれたんですけれども、そういうことなんですか。
  163. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど三つの選択肢を申し上げましたので、その中に当然のことながら現用機の転用ということもございますし、あるいは外国機の導入ということもございますから、私どもとしては現在、この飛行機は全く排除しているとかこの飛行機が有力な候補だとかいうふうに申し上げられる段階にはないということであります。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 支援戦闘機三個飛行隊で予備機を加えて百機程度購入するということは、一兆円商品と言われているわけですけれども、こういうことについて、最後に防衛庁、この点についてお伺いしたいんですけれども、私はいかなる機種であろうともこういうものを購入すべきではないというふうに思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
  165. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) そういう考え方には同調できません。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 一千海里シーレーン防衛ということに対してアメリカから強い要請があるわけだし、そういうものについて日本が応じていくということは、日本が極めて危険な道を歩むということが確かであり、私たちはこういうものについて絶対に同意することはできないと思います。  世界の大勢が軍縮であるのに、日本のこういう軍備拡大の路線というのはそういう流れにも逆行すると思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
  167. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 航路帯を置く場合、千海里までの海上交通保護について考えるという我が防衛力整備の考え方というものは、日本が自主的に決めた方向でありまして、アメリカから強い要求があってどうこうしたというものではないことは、十分御理解いただけると思います。  なお、軍縮の時代に軍備の増強とおっしゃいますが、我が防衛力整備というのは平時から維持していなくちゃいけない最小限度の防衛力整備するという大綱目標がおくれおくれになっているものを、できるだけ早く達成しようという問題です。また、軍備管理は我々としても大いに望むところでありますし、その進捗を願っておりますけれども、現在のところまだ具体的な成果というものはそれほど上がっていない。しかも、それは戦略核とかそういったものの軍備管理が今先行しておりまして、通常兵器の分野におきましては、引き続き我が国周辺の諸国の通常兵力というものは増強の一途をたどっておるという状況も、十分御勘案いただきたいと思います。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 今防衛庁がおやりになろうとしていることは、大綱の精神にも沿うものでないということを指摘しておきたいと思います。  次に、化学防護隊の性格についてお伺いいたしますが、防衛庁は化学防護車を六十五年までに中期防で十二両そろえ、それぞれに化学防護小隊を新たに編成していく方針であるということですけれども、その防護車と防護隊の計画そして目的、これについてお伺いいたします。
  169. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 化学防護の問題は、各国列国とも師団編成等の中にその種部隊あるいは装備等をかなりの程度備えております。我が陸上自衛隊につきましては、その種の機能というものが極めて劣悪であった。まあ一部個人装具としての防護マスク等を持っておる程度であり、現在いろいろな面でなおかつ我が国周辺諸国ではいわゆる化学戦を遂行する能力というものをますます弧めつつある状況から考えまして、最小限の汚染除去、そういったことができる部隊をつくっていこうということで、今回の化学防護小隊等の新編等の措置をとっておるわけでございます。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 この計画の全体というのはどういうことなんですか。
  171. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっと資料を今探しますので、お待ちいただきたいと思います。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 それではその間に、化学防護車というのはどういう機能を持っているものでしょうか。
  173. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 化学防護車について申し上げますが、昭和六十四年、完成時でございますが、までに三両の化学防護車を整備するという予定でございますが、最終的に中期計画では十二両の化学防護車を整備したいというふうに考えております。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう一度伺いますけれども、化学防護車の機能について伺っているんですけれども、それはいかがですか。
  175. 筒井良三

    政府委員(筒井良三君) 化学防護車といいますものは、通常の車両にこういう化学防護関係の機能を付加したようなものでございまして、乗員は四名、最高速度約百キロ程度のものでございまして、長さ六メートル程度のものでございます。化学兵器、特に各種化学剤等に対する防護性能を有しまして、汚染地域においても安全にかつ長時間行動できる機能を持っております。また、各種化学剤、放射能等の検知・測定性能、各種化学剤の種類でありますとか濃度の検知、放射能強度の測定、記録、そういった計測関係をできる機能を持っております。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうすると、化学防護隊というのは核兵器の放射能の有無の検出というものも行うということで、いわば核戦争を想定してこういう準備をしているというふうに思うんですけれども、そういうことなんでしょうか。
  177. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほどのお尋ねとあわせてお答えしますが、まず今お尋ねの核戦争を想定して云々と申されましたが、従来から我が自衛隊におきましては最小限の防護措置、例えば艦艇が放射能で汚染した場合それを洗い流す水洗のための装置とか、そういうものを持っておるということも申し上げておりますし、かつ教育訓練等についても、万々一相手方が核を使用した場合の最小限の防護措置を行うための教育をするということがございます。したがって、本格的な核戦争を想定した装備ではないということをお答え申し上げておきたいと思います。  それから化学防護隊の問題でございますが、六十二年度に第七師団と第二師団、この二つに、人員約二十名でございますが、化学防護小隊を置くという計画でございます。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 本格的な核戦争を想定したものではないとおっしゃいましたけれども、今まで大宮だけにあったこういうものをかなりたくさんのところへ配備するということであれば、やはりこれは核戦争に向けての、もし核戦争になったときの準備でこういう訓練もあるいはこういう装備充実していくんだというふうに思うわけですけれども、核戦争を想定しているのでないとすれば、そうすると放射能とかこういう問題について何を想定しているんですか。原発の事故か何かを想定しているんですか。
  179. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先ほど来申し上げておるように、核というのは私どもが使うわけじゃなくて、相手方が使うことは全くこれを絶無だということは言いがたいわけでありまして、万々一使われた場合に放射能検知をするとか、その程度の防護のための機能というものを持つことは必要であろうというふうに前々から申し上げておるわけであります。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 相手が核を使うから、だからこちらもということでだんだん装備充実していくということになれば、やはりこれは悪循環だというふうに思うんです。核戦争に備えてその準備をアメリカとともに日本がやっていく、そうするとソ連はまたそれに備えてさらに軍備を強化するという心配もあって、どこまでもその悪循環が断ち切れないことになるわけです。核戦争は、もう言うまでもないことですけれども、すべてを滅ぼすわけで、私は核戦争準備のためにそういう装備充実していくのではなくて、むしろ核兵器を廃絶する、そういうことに全力を尽くすことが日本が生き残るために必要ではないかと思うんですけれども、この点について長官の御意見を伺いたいと思います。
  181. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 化学防護車は、先ほどほかの政府委員から御答弁申し上げたように、もろもろの任務を持っているわけでございますが、その種車両が十二両ぐらいある、その程度の最小限といいますか、まあないに等しいかもしれませんが、そういった防護能力を持つことによって相手方を触発し、さらに核装備が進むというふうなことは、私は余り常識的な御意見ではないのではないかというふうに考えております。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 時間の制約もありますが、私は繰り返して申し上げますけれども、日本が核戦争の戦場になることを想定した、そういう準備をすること自体がおかしい。そういうことになれば、守られるものは何もないし、アメリカだけが守られる、そういう結果になるのではないか、そういうことを指摘しておきたいと思います。  官房長官がお見えになりましたので、官房長官にお伺いいたします。  臨教審が四月一日に第三次答申を発表いたしまして、八月には最終答申を出して解散するというスケジュールだと思うんですけれども、臨教審がたびたび答申をしてまいりました教育改革の具体的な方法について、これをどういうふうに受けとめて、内閣としては今後どういう態勢でやっていくのか、その点についてお伺いします。
  183. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今日まで臨教審は過去三回、熱心な御討議の結果、答申政府としてはちょうだいをしまして、その御答申の都度、政府として早急にやるべきことは手を打ってきておることは、御案内のとおりだと思います。打っているというそれ自身に、この間の大学の入学試験制度のようにまたいろいろ問題も出ておりますけれども、いずれにせよ、やるだけのことはやっていこう、こういうことで今日に至っておるんです。  さて第三次答申以後、臨教審が終了するとその後の問題をどうするかということでございますが、これも今臨教審御自身が、この答申実施状況についてどのようにトレースをしていくべきかといったようなことをも含めながら、御審議をしているように私は承っております。  したがって、その結果を政府としては見守ってまいりたいと思いますが、いずれにせよこの内閣は、当初から申し上げておりますように、やはり戦後四十年たって幾つかの大きな解決しなきゃならない国民的な課題の中の大きな柱に教育改革の問題があるんだということを国民に訴えもし、それに対応した措置を講じてきておる四年数カ月でございますから、政府としては、この教育改革の問題だけは臨教審の答申を尊重しながら国民理解を求めつつやり遂げさせていただきたい、かような考え方でおるわけでございます。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 中曽根総理が教育改革を大々的に打ち出して臨教審を発足させたわけですけれども、現在と比べてみて、そのときとは明らかに情勢が変化しておりまして、総理の教育改革に対する熱は冷めたという、そういう受けとめ方が強いと思います。中曽根内閣としては、教育改革の区切りは大綱を決定するということで、あとの問題は次の内閣にゆだねるということなんでしょうか。それとも臨調方式のような形で引き続きやっていくということなのか、中曽根内閣としての対応についてお伺いしたいと思います。
  185. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) こういう重大な仕事でございますから、しかもまだ教育の問題は文字どおり十人十色、百人百様の考え方がございますから、いろいろ政府のやっていることについての御批判があることは十分承知をしておりますし、またそれらの意見が政府と違うからといって、必ずしもそれをネグっていいという問題ではなかろうと。やはり謙虚な気持ちで意見というものは聞かなきゃなりません。しかし、基本は、この内閣としては法律に基づいて臨教審というものを設けさしていただいて、そして御審議を願って答申を得ている以上は、この答申を基本にしながら、しかもこの内閣としてその答申の中でできるだけのことをやっていきたいというのが今日までの姿勢でございます。  それじゃ、御質問の中にある、この内閣でやり遂げるつもりなのか、後はどうなるんだと、こういうことでございますが、もちろんこういう仕事は私は一内閣だけでできる仕事とは思いません。しかし、やはり自由民主党は続くんじゃないかと、こう思っておりますから、そこで自由民主党として当然のことながら政府・与党一体になって取り組んでおりますから、時の総理がかわろうとどうしようと、やはり基本は私は臨教審の答申を受けて、次なる内閣も野党の意見も聞きながら、さらに広く、また国民の意見をも徴しながらやり遂げていくべき仕事であると、かような理解をいたしております。
  186. 吉川春子

    ○吉川春子君 強い決意で教育改革に臨まれるという御答弁でしたが、第三次答申の中で「教育費・教育財政の在り方」について、「行財政改革との関連に留意しつつ」「適切な財政措置を講じていく必要がある」としております。で、補正予算については内需拡大の要請から、公共投資についてはマイナスシーリングを撤廃する方針だと言われておりますけれども、教育施設などの教育投資といいますか、そういう面についてもシーリングから外すのかどうか。その点についてお伺いしたいのと、もう一つは、塩川文部大臣が学校建設などの公共事業を政策的な課題として取り上げるべきだというふうに言われたときに、学校建設を内需拡大の柱とすることで官房長官とも意見が一致したというふうに報道されておりますけれども、そういう点についてやはり、私たちは第三次答申を初め臨教審の答申については意見は違うんですけれども、この教育条件整備、そこに予算をたくさん使うという点についてはぜひやっていただきたいという立場に立つので、その問題についてはいかがでしょうか。
  187. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、やはり時代がどんどん変わっていきますから、子供たちに教える教育の内容も変わってこざるを得ません。そうしますと、世の中の変わりにおいて教材の中身とか教え方とがそれぞれ変わっていきますし、したがって学校の施設、それからまた学校の教員というのは、これは優秀な人を集めなきゃなりません。そういうようなことで、教育には金は必要なだけのものは出すべき筋合いのものである、これを惜しんではならぬというのが私の基本的な考え方であることは事実でございます。しかし、とかく私どものように長い間役人をやった者の経験から見てみますと、何か一つ大きな政策というものが打ち出されようとしたときには、役人というのはそれにむやみに寄ってくるわけですよ。そして、むやみにまたそれを予算獲得と結びつけるという弊害がございます。私も行政改革担当しておりましたが、一切これは認めるわけにはまいらぬです。これはやはり仕事の中身によってきちんとして、つけるべきものはつけるし、削るべきものは削るというのが基本である。これが根本の私の考え方です。  ところで、御質問の塩川君のこういった公共事業の予算云々のときに、五兆円の問題、これはこういう状況ですからやらなきゃなりませんし、やる方針です。ところが、今までこういうときになるとまた抽象論議で、景気がおかしくなると公共事業と、こう出てくるわけですね。これは昭和の初めからするとちょうど農村恐慌になると農村救済、供給事業といって農村土木を一生懸命やった。私はやはりこういう財政の厳しいときの景気対策というものは、波及効果というものがどうなんだろうかということについて、その時代時代に即しての経済全体の規模がどれだけだと、その中における国家予算の割合がどれだけなんだと、地方予算の割合がどれだけなんだと、また、その中におけるいわゆる公共事業がどれだけなんだと、そしてそれがどれだけの経済的波及効果を及ぼしたのかといったような詳細なる分析というものの上に立ってやるのが、本当の意味での国民に対する責任ではないのか、そう考えております。  そういう意味合いから、一口にすぐに公共事業さえふやせば景気がよくなるんだといったような雑な考え方はできるだけ排除する必要があるだろう。そのときに今たちまち言えることは、なるほど道路なら道路という公共事業にどの程度の土地代が入っているのかというと、これは私は詳細な専門家じゃありませんが、何か二〇%であるとか三〇%であるとかと言いますね。ところが、東京でいえば九〇%以上だと、こう言う。一体それならばそれが波及効果としていいのか悪いのか、ここらはやはり真剣に考えなきゃならない。やはり今言えることは、できるだけ土地成り金をつくるような公共事業は、この際は金がないんだから、やっぱり抑えるべき筋合いのものではないのかと。これは建設省の役人とか建設省の手合いがおったら怒るかもしらぬけれども、私はそう思っているんです、これは。だからそれだけに——ああ、そこに建設省の大先輩がいらっしゃるから怒られますが、本当にその波及効果という点を真剣に考えてください。  そのときに、今これまだ抽象論ですよ。抽象論だが、土地代にできるだけ金の食われない公共事業、これは建物、住居、住まいがありましょうね。しかし、同時に、公共的なものでいえば学校なんというのは文字どおり、これは終戦後既に四十数年たって、少なくとも昭和三十年代前半ぐらいまでの学校はこれもう建てかえていい時期になっているんですよ。私はそう思う。ならば、こういうものは本当の意味で私は効果が相当あるんじゃないかと思っているんですよ。それを私が実は塩川君に話をした。そうしたら、しゃべらなくていいのにあれが私の名前まで挙げてしゃべったので、こういうところで御質問を受けることになったわけですが、これは私の考え方でございます。しかし、財政当局として果たしてこれに応ずるのかどうか、これは私には何とも言えませんが、大蔵省に対して文部省が要求をきちんとした計画を立てて出すということになれば、私は私なりの国務大臣としての判断でこれは応援はいたしたいなと、こう思っておるのが現状でございます。
  188. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間来ました。
  189. 吉川春子

    ○吉川春子君 はい、わかりました。もう時間が来たので終わります。  労働省済みませんでした。ちょっと婦人問題まで触れられなくて恐縮です。申しわけありません。  終わります。
  190. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 最初にお聞きしてまいりたいことは、本年度の予算案というのは一ドルが百六十三円が前提で編成されているはずなんです。で、現実には今大体百四十円ぐらいに円高になっているわけですから、百四十円で編成をすれば防衛庁予算がどのくらい減額になってくるんですか。
  191. 池田久克

    政府委員池田久克君) 六十二年度の外貨につきましては二千二百億円程度ございまして、そのうちドルのものが約二千九十億現在お願いをしております。そのドルにつきまして、百六十三円で組んであることは事実でございます。  外貨建ての経費につきましては、予算編成の段階で、その段階の為替相場等を考えまして、適切と考えられる支出官レートを前提にして計算しておりまして、また執行する過程で、年間を通じまして為替相場がどういうふうに動くかということを断定するということはなかなか難しい問題でございまして、今お話しの百四十円でずっと推移をするという前提にいたしまして計算して出すというのは、どうも我々としても適切ではない、こう考えておりまして、そういう計算はいたしておらないわけでございます。
  192. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 あなたね、大蔵大臣になったようなつもりで、そんな答弁を私は聞いているんじゃないんです。本年度の予算は、一ドル百六十三円という、そういう単価でもって予算編成をしているんだから、現実に今百四十円になっているんだから、百四十円ということでもってそこのところを計算をしたら、幾らの予算が減額になるんですかということを聞いているんだから、見通しがどうだとか何だとか、そんなことはこの間の予算委員会で大蔵大臣に聞いているんだから、私の質問したことに答えればいいの。お答えなさい。
  193. 池田久克

    政府委員池田久克君) 外貨建ての経費につきましては、二千九十六億円ドル建てでお願いをしておりまして、そのうちFMSと申しますのは五百七十五億、全体の二七%がございます。それから、一般輸入が三百二十五億で一五%ございまして、残りが国産品中の輸入ということで千百九十七億円計上しております。それが合わせて二千九十六億円になっております。  この支出の形態についてちょっと説明をさせてほしいのでありますけれども、FMSにつきましては、支出官レートを前提にいたしまして日銀経由で支払っていくということでございますから、支出官レートを変えないということになりますと、これはこの金額で執行していくということになります。もちろん、日銀で余剰ができれば、日銀から雑収入として納入されることになりますが、防衛庁としては、これはもう支出官レートで執行せざるを得ない。  それから、一般輸入の三百二十五億、これにつきましては原則としてその段階の実勢レートで運用してまいりますから、これから推移してどういう実勢レートでいくか、その段階でそれぞれ執行することになってまいります。  それから、国産品中の輸入の千百九十七億でございますが、これはほとんどが歳出化でございます。歳出化と申しますのは、昭和五十八年度以来各年度契約したものが六十二年度で歳出化されるということでございますので、この生産に先立って外国から部品、材料等の手だてをしているわけでございますから、それを精査して精算してチェックしないと、幾ら余剰が出てくるか、出るのか出ないのか、これはあらかじめ計算できない、こういう前提でございます。  したがいまして、今この段階で支出官レートを百六十三円にいたしまして、仮に変動して動くとするとしますと、一般輸入が中心になってくるわけでありますが、非常に形式論でございますけれども、一円動けば二億円強が変動して、補正とか決算の段階で余剰が出てくる可能性がある、こういう内容でございます。
  194. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 局長、私の質問していることをあなたわからないの。そんなもの、百六十三円で予算を組んでおったって、時間がたっていったら、極端に言えば今はどんどんどんどん円高になっていっているわけだけれども、逆に今度は円安になっていけば、百八十円になったり百九十円になったりするかもわからない。ただ、今時点ではそれが百四十円というふうな状態、百三十円台という状態で来ているんだから、円高でどんどん。そうしたらそれでもってどのくらい浮くかと言ったら、二千九十六億ということでしょう。そうしたら、私が今ここで計算したって約三百億のお金が浮くということになるわけだ。それだから、さっきから言っているとおり、先行きの、来年の三月の年度末になってどうなるかなんて、そんなことを聞いたってあなたに答えられるわけないんだから、質問したことだけにあなたは答えておいたらいいんです。  それから次にお聞きしたいことは、売上税が廃案になって、もうつぶれたんですから、そういう点で売上税も、これは長官御存じのとおり、この予算案には入っている。そうすると、この売上税というものが必要がなくなったということになって幾ら減額になるんですか。
  195. 池田久克

    政府委員池田久克君) まず外貨の問題について、先生の御質問の趣旨は十分理解した上でこういうことを申し上げざるを得ないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、FMSについては支出官レートを変えない以上、あらかじめ予算が変わるということはございませんで……
  196. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 余計なことを言わなくたっていいんだよ、聞いたことだけ答えろよ。
  197. 池田久克

    政府委員池田久克君) したがいまして、そういう内容から考えますと、この一般輸入を中心にして、百四十円になりますと、一円につき二億円強でございますから、約五十億円が不用を生じる可能性がある、こう考えております。  それから、売上税につきましては、予算上売上税として計上しておりますのが九十三億円ございます。この売上税につきましては、御承知のように、衆議院で協議機関が今後運営されまして、そこでどういう審議になるか見守っている状況でございまして、さらに、この六十二年度計上しております売上税額についてどう扱うかということについては、防衛関係費だけではございませんので、我々としては引き続きこの問題についてはお願いをしていく立場にあるわけでございます。
  198. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これは長官の方に答えてもらいたい。  本年度の防衛庁予算は三兆五千百七十四億円ですというのが先ほどお話があったわけだ。それで、一応本年度のGNP三百五十兆四千億という、これはもう本当に一つの見通しですから、だからそういう点に立って若干一%をはみ出すんじゃないかということがかなり議論の種になっているんだけれども、そのはみ出す分はその予算案の計算のままでいっても一%のところへプラス百三十四億飛び出すだけのことなのか。今お話しのように、これだけますます円高になってきて、経理局長のそれからいったって、仮に円高でもって約百五十億、それから売上税がなくなったということで九十三億、二百四十三億少ない形で編成をして、今のところは何ら異常がないということになるわけだ。そうしてくると、一%の枠の中にはまり込んでしまう、結果的には、そういうふうに理解してよろしいんでしょう。
  199. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私は——計算上の問題ですね、計算上の問題でいろいろと計算するとこういうことじゃないか、したがってそれはこうだと、そういうのはわかりますけれども、私の防衛庁長官という立場からいたしますと、この一%の中に入る入らないの問題は、これは予算執行上の問題である。したがいまして、もっと言うと、防衛庁としてそれを計算するのは、例えば補正予算を組まなければならぬとか、そういうような場合は不用額は捨てていかなければならぬ、こういうことでございまして、今の段階でそういう計算をすることは必要がない。ただ、これを論ずる場合に、こういうことだからこれは一%以内じゃないかとかいう御議論をすることは自由だと思います。
  200. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 補正予算の段階になればまたいろいろ出てくるし、それから、仮に現在の状態からいけば、余り景気がよくないからGNPの方も三百五十兆さあどうだろうかということに今なっているわけ。これでがあっと景気でもよくなってなにしていけば、GNPも三百六十兆ぐらいにいくことも決して無理なことではないわけなんで、ですから、私が言いたいのは、一%というものはそれなりのよって立つ根拠があって今日まで来たわけでしょう。そうしたら、そういう点に立ては、今あえてその一%を突破するんだと言って目くじら立てて議論をする必要は私はないことだし、ましてや防衛庁の皆さん方はその辺に立って、今の状態ならば大体五十一年のときの閣議決定の枠の中でおさまりそうですと言っておけばいいことであって、それを余り目くじら立てて物を言わない方がいいでしょうということ。  それから、後でまたその点触れますけれども、佐々さんおいでになっているところで聞いておきたいのは、防衛白書の七十七ページのところで、「近年における社会全体の複雑高度化、わが国の国際的役割の拡大、わが国周辺地域の国際政治面での重要性の増大などにより、ミグ25事件、ダッカにおけるハイジャック事件、大韓航空機事件のような、わが国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのある重大緊急事態が発生する可能性が滞在的に高まっている。こうした重大緊急事態に迅速、適切に対処し、事態の拡大発展を防止するため、内閣の果たすべき役割は」重大になってきたんだということで、いわば安全保障会議というものを去年設置したわけですよ。  それで、先ほども永野先生の質問なども私じっと聞いておったんですけれども、あなたの方が、まだ一年にならないからとか、とりあえずこうですとかと言う、そういう言葉はほかの法案の場合には通用するかしらないけれども、事安全保障の問題についてそういう言葉は通用しないはずなんです。だから、そういう認識を持ってなにしておったんならば、あのときも国防会議安全保障会議に改組するについてかなり意見も申し上げたし、議論もしたわけなんだけれども、そういうふうなとりあえずなんということを言っておられたのでは困るのであって、昨年の七月から今日までにこの安全保障会議はそういうふうでこうこうしかじかの具体的なことに役立てて効果がありましたという事例があったら言っていただきたいと思う。
  201. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  幸いにして、ハイジャック事件、ミグ25事件、大韓航空機撃墜事件のような重大緊急事態が発生をいたしておりませんので、これに具体的に対処をして審議をしたという例はございませんが、法案審議の際に十分議論が行われました例のハイジャック対策、これにつきましてはもう発足と同時に直ちに着手をいたしました。数カ月にわたる関係省庁との連絡の結果、ハイジャックが発生したときの対策要綱、これを制定をいたしまして、これに次ぎまして、今度はミグ25事件、特殊な大きな亡命事件でございますが、これの対処要領、さらには大韓航空機撃墜事件のような特殊国際大事件、これに対するいわゆるマニュアルの作成を鋭意実施しておるところでございます。  それから、とりあえずという言い方をしたのは私申しわけございませんが、実は成立をいたしましたのが昨年の五月、七月一日発足でございますので、残念ながら予算的には六十二年度からでございます。その限られた条件の中で一生懸命やったという意味で、私、とりあえずと申しましたが、官邸の通信機能の強化、これは先ほど申し上げたので省略いたしますが、これを実施いたしました・それから、今度は国防事項でございますが、これは安全保障会議になりましても従来の防衛庁設置法六十二条、これを踏襲いたしてやっておりましたところ、いわゆる防衛費予算の六十二年度の取り扱いについてという問題が起こりまして、これに関連をいたしまして安全保障懇談会を含めましてこの問題の審議を八回、そのほか白書が一回ございまして、F4の量産改修等も含めまして合計十二回安全保障会議を、懇談会を含めまして実施をしたところでございます。ちなみに、これは通常の年間の倍程度ということで、御審議をいただきました際に問題になりました国防会議の活性化、これについてはかなりシビリアンコントロールという観点からの審議を十分尽くしておるということが御報告できるのではないかと思っております。  以上でございます。
  202. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  それで、この間予算委員会でも私言ったんだけれども、去る五月五日ペルシャ湾で、秀邦丸といってこれは二十五万八千トンだからかなり大きなので、横っ腹にはちゃんと日の丸を大きくかいて池を積みに行っているわけですけれども、真っ昼間の午前十一時何分でしたか、ロケット砲攻撃を受けたわけ。これは明らかに主権が侵害されたわけだ。この五月五日の秀邦丸事件について、安全保障会議としてどういう対応をなされたのか。
  203. 佐々淳行

    政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。  この安全保障会議設置に際しまして御議論が行われましたように、従来各省庁が持っておるところの重大緊急事態対処態勢、これがあれば十分ではないかという御議論がございまして、それはそれとしてそのまま機能をさせておき、先ほど例示をいたしましたようなハイジャック事件等、多数の省庁がこれに関与をする、あるいはどこの省庁もこれを任務づけられておらないそういう特殊な事件、こういう場合に内閣安全保障室がこれを担当をする、こういう趣旨で制定をされたわけでございます。  御指摘の五月五日の秀邦丸事件、航行の安全、例えばこれ船員が乗っておるわけでございますから、こういう方々の安全とか、こういうことからいって重大な事件だと思います。しかしながら、直ちに外務省運輸省においてそれぞれの省庁の緊急事態対処要領によってこれに対処をしたというふうに私ども承知をいたしておりますので、内閣安全保障室としては、これが計画的に組織的にあちらこちらで多発をする、例えばそれはもう重大緊急事態ではなくて、今度はそうなってまいりますと、従来から議論をされております海上警備行動の必要があるかどうかというふうな国防事項にもなってまいろうかとも存じます。そういう事態に相なれば安全保障室がこれの所要措置を考慮すべきであろうかと存じますが、この事件に関しましては外務省、運輸省のしかるべき措置が行われましたので、事態の推移を見守っておった、こういうことで具体的な措置はとっておりません。
  204. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 多発すればという言葉ね、これもやっぱり室長、注意していかなきゃいけないことで、三月、四月の五十日間に四回起きているんです。五番目に日本船がやられたんです、これは。多発しているんです。それで、その次もまた今度はこれはよその国の船。日本の船はもう過去十何回かあるけれども、最近はこの秀邦丸が久しぶりに、やられたわけだ。多発はしておって、わずか二カ月ぐらいの間に日本船のこれが五回目であり、六回目も起きているんです。それで、これはこの間の予算委員会で外務大臣にも厳重に抗議をしてと言って、向こうの大使館から返事が来たら至急知らせてくださいよと言ってあるけれども、私簡単に向こうの大使館だって返事よこさぬと思う。非常にこれは複雑な難問であって、ですからそういう意味に立ってこれは防衛庁長官もお聞きをしておっていただかなきゃいけないけれども。私が一番それを言いたいのは、日本の国家の主権が侵されたんですということです。それに対して何らの対処のあれもしないとか、多発もしないからとかというふうな、そういう多発したかしないかなんということが問題じゃない。十年に一回だろうが一年に一回だろうがそんなことは問題じゃなくて、国家の主権が侵されてそれに対して政府がきちんとした対処がとれないのでは困ると、その辺についてむしろ長官の方に私はお聞きをしておきたいと思うんです。そういう主権の侵害という意味で、
  205. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これは、防衛庁長官といいますよりも国務大臣という立場で、やはりこういう事件が起きたときには打ては響くみたいにそれなりの行動を起こす、それを知らせるということが必要だと思う。もちろん客観情勢いろいろございますから、こちらの思うとおりいくかどうかはこれは別でございます。打ては響くようなそういうぴしっとしたことだけはやらなければいかぬ、こう思っております。
  206. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それから、ミグ25のこれは質問通告しておきましたけれども、先ほどから私が言わんとしていることで御理解をいただいて、それはもう省略してしまいたいと思います。むしろ最後に、長官にも室長にもお聞きをしておいていただきたいということの要望だけ申し上げておきます。  私が言いたいのは、防衛庁というものは何のために存在をしているんですかということです。いろいろきょうもじっと、きょうに限りませんけれども、この内閣委員会へ出てきて防衛問題のそういう答弁を聞いているんですけれども、その辺が私にとっては非常に疑問に思うんです。戦争をしようなんて考えている者は今政府の中には一人も私はおらぬと思うんです。国民の中にもおらぬと思うんです。少なくてももう戦後四十年以上この平和が続き、そうして今これから戦争なんて考えている者なんというものは私は一人もいないというふうに信ずるんです。しかし、戦争は御免で戦争は反対だということのそういう気持ち、意思を持つことと、日本の国家が戦争に巻き込まれないで済むかどうかということは、これは全く別の次元の問題なんです。そこのところが、防衛庁長官防衛庁の答弁を聞いているとわからない。我々の側から質問することについて、ただああでもないこうでもないと、それについての言いわけ的な答弁をするだけなんです。先ほどの経理局長の答弁なんというものもそういう点においては典型的なものなんです。だから、そういう点でもって、もう二十七日になれば国会終わりますから、次の臨時国会までの間に一回防衛庁の存在価値は何か。必要がないならばそんなものはもう行政改革でやめたらいいことだし、そうしたらそれだけ国家予算も浮くんだから。必要だからあるんだ。あるんだったならばそれらしいことをきちんとして、それで国民の信託にこたえるということが防衛庁の任務であって、そのような点を国会が閉会にでもなったときに長官は関係の人たちをお集めいただいて十分に勉強というか、その辺の意思を統一をしておいていだたきたいという要望だけ申し上げて、終わります。
  207. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時五十五分散会      —————・—————