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久保田真苗君
差別事件が後を絶たないという、そういう背景がありますね。それから、我が国は人種
差別撤廃条約もよう批准しないんですよね、どういうわけか。そういう背景がありますね。そういう中で、日本
政府は国際連合の人権
委員会にたびたび「ブラクプロブレム」という題のリポートを提出しているんですよ。今後こういう地対協の構成で、その
差別を受けている当事者の方がメンバーになって入らないところで同和団体の行為を決定するような、そういう政策決定が行われるということになっていきますと、私は非常に残念ですけれ
ども、これは国連の人権
委員会に提訴物だろうと思うんです。
判断は人権
委員会がしたらいいと思います。もうよくこの問題は知れわたっている問題なんです。でございますから、そんなことに、なりたくないわけですから、ぜひ重ねて地対協の中に同和
関係者をメンバーとして適切な方を入れていく、そのことを強く要望して次の問題に移ります。
次は、
公益法人の問題でございます。
公益法人は
小野委員がやられまして、私はここに「未定稿」を持っておりますけれ
ども、時間も少ないから強いては——ごらんになるんでしたらいつでもございますけれ
ども、この中で、この
公益法人のあり方について、いろいろ
考えている
一つの
アイデアであろう、こういうことはおっしゃっていらっしゃいますね。私はいろいろ問題があると思うんです。例えば、もちろん
大臣はまだ把握していらっしゃらないので、私は
一つのこういう案も出ていますよというその案に対して、これについては私はこう思うという形で申し上げます。ぜひお聞きいただきたいんですね。
これは、
一つは地対協の
意見の三十四ページにあるんですね。ここに
差別事件の問題が出ているんです。こういうふうになっています。「
差別事件は、司法機関や法務局等の人権擁護のための公的機関による中立公正な処理にゆだねることが法定手続きの保障等の
基本的人権の尊重を重視する
憲法の
精神に沿ったものである。」、こういうふうに言っているんです。そして、「国は、その旨
地方公共団体等を指導し、」こういうふうにおっしっているんですよね。そして、最後に、「
差別事件の公的機関による処理を更に
推進するため、人的資源の充実等現在の人権擁護
行政の体制が更に強化、拡充されるべきである。」、こういうふうになっておるわけです。
ところで、人権擁護
委員法を私も拝見しました。そういたしますと、人権思想に関する啓蒙、宣伝に関すること、その
委員の職務として。それから、民間における人権擁護運動の助長に努めること。三番目に、人権侵犯事件について、その救済のため、
調査及び情報の収集をなし、
関係機関への勧告等適切な処置を講ずること。勧告なんかもできるわけです。貧困者に対しては訴訟の援助もできるわけです。こういう人権擁護
委員会というものが我が国には市町村単位であるわけですね。二万を超えない
範囲でネットワークがあるわけなんです。
そういたしますと、
総務庁が監督官庁になられるというその
公益法人というのは一体何者なのか。
総務庁の任務というのは、設置法を見るまでもなく、この問題についての各省庁の総合調整、そしてその事務の連絡、他省庁のやっていない
調査等、その
範囲に限られるわけですよ。それから地対法とですね。そういたしますと、今整々と人権擁護
委員会がこれだけの規模で津々浦々でやっている仕事にそのままばっちりぶつかっていくような
内容のものを、
総務庁が監督する
公益法人、しかもそこへ
地方自治体の寄附や会費をもらってやる、そこに企業になおそれ以上の余分の寄附を期待するといったような、そういったものが適切なのかどうか。
私は次に、特に人権擁護
委員たる者はどういうことに気をつけなきゃならないかという、その服務
規定についてもお話ししたいんですね。識見とか人格、積極性、それはもちろんですが、十二条の二項にこういうふうにあるわけですね。「人権擁護
委員は、その職務を執行するに当っては、
関係者の身上に関する秘密を守り、」と、守秘義務がここへ出てくるわけですよ。「人種、信条、性別、社会的身分、門地又は政治的
意見若しくは政治的所属
関係によって、
差別的又は優先的な取り扱いをしてはならない。」。およそ人権の
差別事件あるいは人権擁護、その思想啓蒙の
内容というのはこういうものだと思うんですね。そういうことが確実に法務
大臣の指揮監督によって行われる、特に人権に関する問題、私はこれはそんなに民法上の
公益法人がこういうものにじゃじゃばるそのすきというのは極めて少ないんだろうと思うんです。
そして、もう
一つ聞いていただきたいんですね。「人権擁護
委員は、その職務上の地位又はその職務の執行を政党又は政治的目的のために利用してはならない。」とありますし、それから公正に行うのにふさわしくない
事業なんかに絡んじゃいけない、こういうこともあるわけですね。
およそ
差別事件の取り扱いというのは、私はこれだけの
前提がなければやるべきものじゃないと思うんです。ですから、この地対協の御
意見の方にも、「
差別事件は、司法機関や法務局等の人権擁護のための法的機関」と、これ御
答申になっているわけですよ。ですから、私は今さらこの
公益法人がやるのにどういうことがあるのかなと思うんです。要するにえせ同和行為、あるいは糾弾闘争、それから
差別事件、こういうものを取り扱うというものはすべてこれ人権擁護
委員会でよろしいし、そこで法務
大臣の指揮監督を受けるべきものであって、
総務庁長官のおやりになることは、その
法務省のお仕事がやりやすいように、あるいはそこがもし十分に活性化していないのであれば、それに対して総合調整をなさるという、そういうお
立場じゃないんでしょうか。いかがでしょうか。