○
及川一夫君 そのことはそれとして確認をしておきますが、ぜひ
大臣初め
郵政省にも考えていただきたいし、本来
総理大臣である
中曽根総理にもお聞きしたい点も率直に言ってあるんですけれ
ども、どうもこの
電気通信にかかわる問題、他の問題でもそうだと言われているんですが、何か
アメリカに言われると、どんどんどんどんと後ずさりをするという
感じがしてならないんですね。しかも、今回のこの第二
KDD問題でも、四月二十二日後の
時点だろうと思うんですけれ
ども、三社ほどの
新聞記事の中に、この問題は
総理大臣訪米を意識して、
政治的判断で対処することになるのではないかと。その中に一社、二社という
議論が前面に出て、もう二社を認めると、認めますということを
中曽根総理は約束をするのではないかという
推測記事も実はあるのであります。
しかも、これだけではなしに、私の体験からいっても、
アメリカの
技術陣というか、あるいは
政府首脳にとってはおもしろくないことかもしれませんけれ
ども、恐らく
通信技術ということになりますと、もう既に
アメリカを超している、こういう実態に私はあるというふうに思っているのであります。それだけにこの
通信機器そのものが、
国内で生産されるものが
技術水準は極めて上で、しかも安いと、こうきているものですから、
アメリカに売るだけでなしに、
国内の
通信機器を
日本の
通信機器メーカーが独占をしている、こう見えるわけですね。
この点
唐沢郵政大臣はお聞きになったかどうか知りませんが、今の
真藤社長が
電電公社総裁として一月六日に、あれは四年前でしたか、一月に就任されて、たしかその翌年の一月の
新春放談の中で、
通信摩擦の問題もあるし、
アメリカから意図的に買わなきゃいかぬかなという
気持ちでおったんだけれ
ども、何せ
通信機器は、レベル的に見て下であって、値段的に言うと三倍だというんですね。これは彼自身が
発言しておったんですからね。これではどうにもなりませんと。つまり
国際関係ですから、
経済摩擦とか
貿易摩擦とかいろんなことがあると。そういう中で国の
事業だけに、時と場合によれば
国際的配慮、
政治的配慮というものを加えて、買わぬでもいいものを買うときがある、あるいは
レベルダウンであっても、値段が折り合えばという
気持ちですね。具体的に言えば、二割ないし三割ぐらいの
高目ならば購入することも決断できると。ところが、三倍も違うということになると、どうしても買うことができないんだと、こういうことを
新春放談の中で、五、六人ぐらいの対談の中で話をされたことを今もって私は覚えているんです。
そして最近では、電報を送信するのに、もう昔のようなモールスであるとか、
印刷鍵盤であるとか、そういうものはありません。使えることは使えるけれ
ども、もうそんな時代ではない。
電話というものを主体にしたTXASという名前なんですけれ
ども、そういう
機械が、あれも私は無理やり購入したんだろうと思う。使ってみて、
日本の国情に合わない。合わないから今度それを運用でもって、それを操作する方法によって何とかしようということになると、そのたびに金がかかる。こういうような
機械を今全国的に入れて、もう既に終わろうとしている。職場では非常に評判が悪い。
事ほどさように、
アメリカを非難するわけではないんですけれ
ども、どうも技術の面と値段の面が、高かろうが技術が悪かろうがという、全くそういうことがあってはならないとは申し上げませんけれ
ども、どうもこの
通信技術あるいは
通信機器購入問題をめぐっては、
アメリカに言われると二歩から三歩、三歩から五歩というふうに
妥協していくという、これは一体よろしいものかどうかですね、私は篤とお考え願いたいという
気持ちなんです。
今、
日本の国は
国際問題を軽視しておるわけにはいかない。
経済摩擦にせよ
貿易摩擦にせよ、すべて解決をしていかなきゃいけない。そのためにはある程度我々は犠牲を払わなければならぬということがあったとしても、やらなきゃならぬことがあると私は思っています。しかし問題は、これまで
論議をされてきたように
通信主権、これだけ言うと何のことかようわからぬのですけれ
ども、またわかるような気もするが、私が具体的に言えば、
日本国内にある
情報の問題である。要するに通信の秘密というものが保たれるかどうかという、通信の秘密が保たれないために、我が国の運命というものが他国によって左右されるというようなことがあっては私はならないというふうに思うんですね。そういう私は
議論だと思うんです。そのことをお互いに理解し認識をするならば、やはり
通信主権確立のためにも、この問題については軽々に
妥協すべきものであるのかどうかということが一つ問題になります。
それから、私は、大きな話に持っていくつもりはないんですけれ
ども、やっぱり
自由貿易の問題と、それから保護主義という問題、どうも今、
日本国内には
自由貿易がよくて保護主義がいけないと、
アメリカは善で
日本は悪だと、こういう雰囲気があるように思うんですね。それは何も我々政治家と言われる人たちだけではない。エコノミスト
自体にもそういうような論陣を張られる方がいるんですけれ
ども、どの国にあっても、自国の
国民の生活を守らない、みんな犠牲にしてしまって、他国の言うことを聞くなんということは、僕はあり得ないと思うんですな。守るためには、時と場合によれば、保護主義と言われるようなことが国策としてとられることが私はあると思いますよ。
日本だけがそれを主張するんじゃなしに、今現実、
アメリカが主張されているわけでしょう。あれだって私は非難だけできないと思う。率直に認めるところは認めた方がいいと思う。その上に立って世界経済や
国内経済をどう考えていくか、あるいはそれぞれの国の産業構造、経済構造の
問題点は何かということを問い合いながらお互いに協力し合って、その経済が立ち直るようにするのが道筋だと私は思うんですね。
そういう
立場からいってもこの
KDD問題というのは、先ほど言った
通信主権の問題とやはり
国民生活というか、我が国の課題ということから言えば、私はそんなに何社もあってしかるべきなどというふうになるはずがないような気がするのであります。特に
外国からの
参入というのは、そういう
意味では
日本の国に限らず、他国でもあるわけですから、しっかり踏まえていただきたいということと同時に、そういった国々と話しをするときには、我が国からも
アメリカに、
イギリスに、それこそ
KDDの営業所というか、第二
KDDでも
アメリカにつくってみようじゃないか、多少乱暴な話ですけれ
ども、そのくらいの迫力を持ってこの種の問題に対応しませんと、第二、第三、第四と、どんどんどんどんと譲歩を迫られるだけじゃないか、こんな気がしてならないんですが、
郵政大臣、いかがですか。
この点、多少抽象的な
議論かもしれませんけれ
ども、お互いへその置きどころをどこにするかという問題だと思いますので、
大臣から御
答弁願いたいと思います。