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神谷信之助君 時間がありませんから、最後にちょっと
大臣に要望がたがた御
意見を求めておきたいと思うんです。
それで、この
法案そのものが、冒頭に申し上げましたように
海外に
派遣される
職員の職と、それから労働条件を保障するという点で評価はできます。現実に今日までそれが不安定なままで来ている実態というのは存在をしますから必要だというように思うんです。ただ、こういう
法案をつくるに至る表面じゃなしに政治的背景というものについて我々は非常に警戒をしている。例えば、「途上国の人造りに対する協力の推進」などを取り上げた七九年十二月の対外経済協力
審議会、これは総理の諮問
機関ですね。この答申によると、
派遣専門家の確保のために、「
地方公務員については、
国家公務員に任用した上で
派遣する方法について考慮するとともに、
地方公共団体において
職員を円滑に
海外に
派遣できるよう必要な
条例上の手当てを設けることが期待される。」と。言うなれば、これは
自治体の
条例で
身分を保障してやれよと、やったらどうかという問題の提起がある。さらに、そういう点ではそれにこたえて
法律で、この
法律ができれば各
自治体の
条例で保障するという、そういう結果が今度はつくられてきているわけです。
それで、中曽根総理もさらに八六年の二月には同
審議会に対して、「我が国国内において、援助に携わる優秀な人材を養成、確保し、総合的な援助、協力の実施体制を確立すること等が不可欠であり、これをどのように推進していくべきか、」など三項目について諮問をして、近く答申が出るということになっていますね。だから、そういう点からいいますと、今
自治省の方の答弁ではそういうことをおっしゃるけれ
ども、
政府の
海外協力の方向、しかも、それは我が党の見地からいえばアメリカの戦略構想に基づいて補完をしていく、そういう日本のODAの拡大といいますか、増大、その一環としてこの問題が大きい政治の流れ、中曽根内閣あるいは自民党
政府の政治の流れとしてこのようなことが出てきている。それに協力をさせられるという、そういうことになっては、まさにそれは
地方自治の原則を侵すことになるというように思うんです。
誤解されるといけませんから、我が党は経済協力それ自体を全面的に頭から否定をしているわけではないんで、いわゆる民主的公開とか自主性とか新植民地主義反対とか平和と民族自決、それから人類進歩を目指す
国際協力という経済、技術協力の五原則、この立場に立っての
海外協力の一層の強化ということを主張しているわけですけれ
ども、我が党はそういう懸念を持つ、あるいはそういう点について非常に疑問を持っているんですが、
先ほど公
務員部長がおっしゃったような立場であるとするならば、そういうことにならないように
自治体の主権あるいは主体性を侵さないように
自治大臣としても十分これは歯どめをかけるようにしてもらうということが必要ではないかと思うんですが、その辺の
地方自治を侵さない、侵害をしない、
政府の権力でもって侵さないという、この辺についての歯どめの
決意といいますか、そういった点を最後にお聞きをしておきたいと思います。