○栗林卓司君
国会で十分御議論をいただいて、それを国民の皆様にお伝えをして、その経過をごらんいただきながら最終的に御判断いただくというのはちょっとやっぱり無理なんです。なぜ無理かといいますと、全く新しい税金でしょう。それで、税制調査会とするとA案、B案、C案というやつを出して、どれでもいいから選んでくださいと。だけれ
ども、選ぶについてはというのでコメントがついているんです。それは何かというと、どのような形の新しいタイプの間接税を導入するかについては「世論の動向を見極めつつ幅広い
観点から検討する必要がある。」、当たり前のことですね。「世論の動向を見極めつつ幅広い
観点から検討する」これがないんです。
国会で御議論いただきたいといったって、そのときに
国会にはもう案は出ちゃっているわけです。案になる前に国民の「世論の動向を見極めつつ」というこれが欲しいんです。じゃそういった十分なリードタイムをとって検討してきたかというと、
政府税調でさえ一年、自民党税調は一カ月、公聴会はたった四回、それはとても無理ですよ。こうしたことが
一つ一つ有権者とするとひっかかりの種になって、中身がよくわからないからではなくて、わかればわかるほどやっぱりおれは嫌だと、こういった声は全国に充満している。今野党が先頭に立って反対の旗を振っているように見えますけれ
ども、違いますよ。反対する声があって、いわばそのお手伝いを野党各党はやっているだけであって、何もないところに火をつけてあおっているんではないんです。私が申し上げたいのは、予算を早く通さなきゃならない、そういう
観点からすると余計なことをなさったんではないんだろうか。これがお聞きしたいことでありまして、お
答えは結構です。わかりましたと言うわけにはいかぬでしょう。いかぬでしょうけれ
ども、紛糾することがわかり切っている火種をなぜ予算に入れたのか。
今、私は話の外に置きましたけれ
ども、防衛費の一%だってそうですよ。ほんのちょっと顔を出しただけだって総理は言ってますけれ
ども、ほんのちょっとだけだったら抑えりゃいいじゃないですか。問題は、予算を早く通すことが先決なんですよ。これがうじうじやっているのを一体諸外国は、主要
各国はどういった目で見ているのか。しかもこのままいきますと、失業者がふえることはもう間違いないと言われている。そのときに失業者はどこへ吸収されていくのか。それは第三次産業であります。その第三次産業が今回の新種の税で元気になるのか、だめになるのか。ここで必要なのはそういった各産業の実感でして、価格転嫁をすることになっていると仰せですけれ
ども、そんなのができるんだったらだれも苦労はしません。
日本の産業体質で涙が出るほど情けないのは過当競争体質です。これがある意味では
日本の産業の強さになっている。そのときにそんな転嫁ができるものじゃないですよ。できるとすれば、もうかってしょうがないようなそういった経済にしていかなきゃいけない。
話は戻りまして、じゃあ総合経済体策、それをまた戻って予算の早期成立。暫定予算出してくる、暫定予算ではだめなことは
大臣おっしゃるとおりですよ。何か好んで今の苦境に立たしているような気がしてならないものですから半ば意見を交えて申し上げました。
あと
質問をかえまして、国税職員と税関職員の定員と処遇改善問題でお尋ねしたいんですが、実は毎回三月の終わりになりますと日切れ
法案、税
関係の
法案が当
大蔵委員会でもかかってまいりまして、そのときに国税職員あるいは税関職員の定員問題について各
委員から
発言をされて、そのたびに竹下前
大蔵大臣は努力をしますとお
答えには一応なるんですけれ
ども、なかなか実が伴ってこない。そこで、
大蔵大臣としては初めてのこの件に関する
質問になるわけですけれ
ども、国税職員、税関職員の定員、処遇改善問題について
大臣に御所見を承りたいと思うんです。
その前に、お尋ねする意味を申し上げますと、賛否は別にして売上税はいずれ可決、成立するものとこの際
考えておきます。そのときに当然国税職員は相当な規模の手当てをしておかなければい
けない。これはヨーロッパの例を見ても明らかであります。そこで、今回の
昭和六十二年度予算では数百名の規模を配置をされたと伺っているんですが、問題はそれで十分なんだろうか。しかも国税職員の間でも高齢化は進んでおりますし、高齢な職員がやがて職場を去り、フレッシュマンが入ってくる。そこの中に全体としての国税業務の
水準を落とさない努力というのは並み大抵のものではないはずでありますし、それをひっくるめながら定員というのはどうあるべきか、しかもフレッシュマンを連れてきてすぐ第一線で仕事ができるか、それはとてもできません。やはり時間がかかる。国税職員というのは、事税に関して
日本を代表している顔でありまして、その顔を通して納税者は税とのかかわり合いを持ってくるのでありまして、その意味では十二分の配慮を、定員問題、さらには処遇改善問題について日々心を配っていただかなければいけないのではあるまいか。
また、税関職員について言いますと、だんだん
関税が
水準としては下がってまいりました。税関の職員が果たしている仕事は、もちろん
関税に絡んだものはありますけれ
ども、それ以上に物の動きについて
日本の国境でどう守っていくかという仕事の方がはるかに比重が高くなってきた。それは麻薬、覚せい剤であれ、あるいは銃砲であれ、水際でとめることがまず先決であることは申し上げるまでもありません。ところが、
国内で麻薬、覚せい剤あるいは銃砲に対してそれを取り締まり、社会の平和を守っている警察官はどうか。私は横並びで議論をここでするつもりはありませんが、あえて参考に申し上げれば、警察官は同様に定員削減という枠の中にありますけれ
ども、増員は抑制されておりますが、減員はされていないんです。では税関職員は一体どうであるのか。輸出入の扱い量を見ると、過去十年を振り返って倍増であります。それに見合って税関職員はふえてきたんだろうか。しかもここでも十分な手当てと配慮が必要だと思いますが、以上、前置きが長くなりましたけれ
ども、
大臣としてのこの問題に対する御所見を伺いたいと思います。