○国務大臣(田村元君) 私は四月から五月にかけまして、四極貿易大臣会合、これは
アメリカとカナダとEC、それに
日本、これは
日本であったわけですが、それからパリでIEAのエネルギー会議、それからOECDの閣僚理事会、そういうのに出席をいたしました。
非常にいい機会でございますので、
先生の御
質問のみならず、ちょっとあるいはつけ加えさせていただくことをお許し願いたいのですが、四極貿易大臣会議でもまたOECDでも、
日本に対する各国の対応というものは非常に厳しいものがありますと同時に、また
日本の果たす役割の重要性というものに対する認識というものは非常に大きいものがあったと思います。特にOECDにおきましては、いわゆる特掲といいますか、項目を立てて特に掲げる。
アメリカと
日本とドイツの果たす役割は特掲されました。
アメリカは財政赤字の削減、
日本と
西ドイツは強力な内需拡大策の展開ということで特掲されたわけであります。多くの国々というか、ほとんどの国々が、自由社会においては
アメリカ、
日本、ドイツの三大国がみずからの果たす役割を立派に果たしてくれなければ我々はどうなるんだ、自由社会はどうなるんだ、こういう厳しい
指摘と同時に、また三つの
経済大国に対する期待と、あるいは逆に言えば心配というものも吐露されたわけであります。
フリートーキングでは、
日本に対しましては、
アメリカに対してはもちろん財政赤字削減、
西ドイツには、おまえは
日本の陰に隠れていい格好しておったけれ
どもおまえも同罪だぞというので、今度は
西ドイツは大分やられたわけですけれ
ども、
外国のことはさておきまして、
我が国について
世界各国からもう異口同音に厳しく責められましたのが
日本の市場のさらなる開放ということでございました。
私はこれに対して私なりの反論を加えました。と申しますのは、ちょっと簡単に申し上げますと、
我が国の最近の輸入実績というものは上がっております。
我が国の一九八六年のドルベースの製品輸入は前年比で三一・四%増でございます。ちなみに本年の第一・四半期は二三・一%増になっております。また
制度的にも
我が国はアクションプログラムの
実施等によりまして積極的に市場開放に努めておりまして、特に工業品市場におきましては既に諸
外国以上に十分に開放された、
制度的にはもう十分に開放されておるということが言えると思うのでございます。
我が国の鉱工業品の
平均関税率は二・一%でございます。
世界で一番安いのであります。
平均関税率がECは四・六%でございます。
アメリカは四・三%でございます。そのように低いし、また残存輸入制限品目も工業品についてはゼロでございます。それからもう
一つは、その他の非関税措置につきましても、例えば今いろんな問題になっておる基準・認証の問題でございますが、これも諸
外国からの要望を踏まえまして、これまで
制度を再点検しまして、既に二年弱の間に七十四項目の
改善を行っております。
例えば残存輸入制限品目でございますけれ
ども、これでも
日本は御
承知のように二十三品目、石灰を除けばあとは全部農産物でございます。ところが、加盟国の中には、特にECでございますが、対日輸入制限措置というのがございます。対日輸入制限措置というのは、
日本から見ればその相手国が残存輸入制限品目で残しておるということになるわけですね。ですから、これを合わせますと、
日本の二十三品目に対してフランスは六十三品目、それからイタリーは四十四品目、さすがにドイツは、おれたちは完全開放しておると威張るだけあって、合わせましても六品目です。それから
アメリカは七品目でございます。
ですから、このように考えますと、
日本はうんと開放されたと。そこで、それじゃ何を彼らは言わんとしておるか。彼らは市場の開放ということを迫っておりますけれ
ども、既に
制度的には開放してある。問題は
日本市場への参入の問題だと思うんですね。要するに
日本は売るものはどんどん売るが、買わないということなんです。例えば
西ドイツのバンゲマンという
経済大臣が私にアドバイスしてくれた。売るのはいい、どんどん売れと。おまえのところの自動車なんというものは、去年から比べると、ことしこの第一・四半期七〇%近い
増加になっているぞと、一七〇ぐらいになっている、一六〇
幾つになっているぞと。しかし、それはいいものは売れるのは当たり前なんだから売ってこい、しかし買えよと、こう言うわけですよ。それに見合うものを買えよと、こういうことなんです。
ところが、イギリスが先頭に立って、だからといって
日本の市場へは入りづらいと言うんですね、入りづらい。それは確かに入りづらいと思うんです、営業の仕方が違いますから。それともう
一つは、
日本の
企業が
外国へ進出していく、そうすると連れ子を連れていくわけですね、関連会社という。ですから、裸で来いやと言うわけですよ。そして、おれたちの部品をどんどん買ってくれやと。そして共存共栄を図ろうじゃないかと、こういうことなんです。今
先生からお尋ねがありましたので、ちょっと長々したお話になりましたけれ
ども、ちょうどいい機会でございましたので、予算委員会ではここまで具体的な答弁ができませんでしたので、御参考までに御披露申し上げた次第でございます。
要するに結論から申し上げますならば、
世界各国、
アメリカももちろんですけれ
ども、
ヨーロッパも決して
日本に対して輸出制限というような措置で
日本の貿易インバランスを
改正、訂正しようとするようなことはしちゃいかぬよと、それより拡大均衡という形でこの
改善をしよう、それでなければ
日本のような
経済大国が輸出制限をして
世界を不況に追い込んだらえらいことになる、こういうことで拡大均衡をやろう、そのときに
日本の輸入増進ということに対してうんと意を用いてもらいたい、これが大体向こうの言い分、こういうことでございます。