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政府委員(畠山襄君) まず第一点の
前払い輸入、それから
仲介貿易制度に関するLDC、
発展途上国からの要請があったのかということでございますが、例えば
大臣がこの前ASEAN諸国を訪問されました際に、スハルト大統領がこれを評価したというようなことがございまして、事務的にもいろいろそういう声がございまして、
発展途上国はこれを評価しているわけでございます。
その仲で、輸出増大をさせる上で効果があるのかという点でございますが、
前払い輸入を
保険制度にのせますと、やはり前払いをしてお金が返ってこないという
リスクが軽減されますので、そうしますと、その前払いをして
発展途上国の
生産金融をつける、前貸し金融をつけるというようなことになってまいりまして、そして彼らの輸出商品ができてまいりますので、したがって輸出増大に寄与するわけでございます。
それから、
仲介貿易保険の場合に彼らの輸出振興になるかという点でございますけれども、これは無論日本がA国から買ってB国に出すわけでございますので、そのA国の方の輸出振興にはなるわけでございます。B国の方は輸入になっているじゃないか、こういうことでございますが、しかし水平分業と申しますか、B国も要らないものを買うわけではございませんで、輸入をして必要なところに使う。また、B国のものをまたC国に売るということもございますので、全体として拡大均衡に向かうというふうに考えているわけでございます。
それから第二点の御
指摘は、
海外投資保険の中の約款とかあるいは損失算定基準というようなものが厳し過ぎるのではないかという御
指摘でございました。
損失算定基準につきましては、現在主に損失算定は二つの方式で考えております。
一つは、総投資額から回収したお金を差し引くという方式でございます。それからもう
一つは、事故が起こる直前と直後の簿価を比べて、その直後の簿価が減っておればそれを損失と見ようという方式でございます。
御
指摘のように、特に後者の方でございますけれども、事故が起きたときに、例えば
戦争のような事故でございますと一遍に資産が破壊されるわけでございますから、直前は簿価が百であったものが直後は例えば五になってしまって、そして損害は九十五であるというふうに明確に出てまいるわけでございますけれども、信用危険のような場合には、例えば破産の直前と直後というのは、破産しますときにはそれまでに相当資産が減ってしまっているわけでございますので、だから破産の直前はもう相当低い数字、例えば先ほどの例で申し上げると、例えば二十とかそういう数字になっておりまして、それで直後というのも余り変わらないということで、したがって差し引きで見てもゼロになってしまうというようなことがありますものですから、今回、
海外投資保険のうちの信用危険の部分、ここのところはこの
法律改正の中で手当てをさしていただいております。しかしながら、その部分は手当てをいたしておりますが、それ以外の部分について手当てがし切れていない、むしろ
法律事項じゃない点もございますので、御
指摘を踏まえて合理的なものにしてまいりたいと考えております。これは約款のマターになると思いますので、合理的なものにしてまいりたいと思っております。
それから第三点の御
指摘は、再
保険制度を今回導入することによりまして輸出
保険特会に財政上の大幅な負担が出るのではないかということでございますが、そのようなことのないように再
保険料率その他で十分配慮をしてまいりたいと思っております。
それから第四点の御
指摘は、
輸出金融保険がこの
提案によりますと一年後に廃止ということになるわけでございますけれども、それが中小企業に悪
影響を及ぼさないようにということでございまして、
輸出金融保険、現在そう利用率の多い
保険ではございませんが、中小企業が利用もしておられますので、この廃止によりましてそういう悪
影響がないよう経過
措置その他について、一年経過
措置を置きましたけれども、今後十分はかの国内金融等で面倒が見ていけますように配慮をしてまいりたいと思っております。
それから最後の御
指摘は、輸出
保険特別会計の収支が非常に悪いという御
指摘でございます。
現在の
状況では、借入金が大ざっぱに申し上げて二千億円ぐらいあって、そして回収金、
保険料収入、その収入の方が九百億円くらいしかないという
状況でございますので、確かに資金収支は悪化しているわけでございます。しかしながら、この収支が悪化しましたのは、
発展途上国等におきます原油を初めとする一次産品価格の下落等によりまして外貨収入が激減をした、その結果支払いの繰り延べ、いわゆるリスケジューリングが要請される国がふえてきまして、そしてリスケジューリングになりますとこれは事故事由でございますので
保険金を払わざるを得ないわけでございますが、その
保険金の支払いがふえているわけであります。実績の完全に出ております六十
年度で申し上げまして
保険金支払いが千六百六十五億円ございますが、そのうち千四百六十億円、すなわち約八八%がリスケジューリングに伴う
保険金の支払いということになっているわけでございます。
ただ、これは今申し上げましたような債務繰り延べ
措置でございまして、これはあくまでも繰り延べでございますから支払い打ち切りというわけではございませんで、今後はしたがいまして回収金が増大をしてくるということが一応期待できるわけでございます。したがいまして、同時に途上国の輸出
努力というものもあるでしょうし、そういったことでこれら諸国からの回収金の増大ということは期待できるわけでございます。そういうことで、一時的には借入金に依存をしながら特別会計の運用をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。