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1987-06-16 第108回国会 参議院 産業・資源エネルギーに関する調査会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十六日(火曜日)    午後一時開会     —————————————   出席者は左のとおり。     会 長         浜本 万三君     理 事                 川原新次郎君                 沢田 一精君                 宮島  滉君                 飯田 忠雄君                 神谷信之助君                 橋本孝一郎君     委 員                 亀長 友義君                 工藤万砂美君                 沓掛 哲男君                 熊谷太三郎君                 鈴木 省吾君                 田沢 智治君                 福田 幸弘君                 森山 眞弓君                 大森  昭君                 対馬 孝且君                 小笠原貞子君    国務大臣        通商産業大臣   田村  元君    事務局側        第三特別調査室        長        高橋 利彰君    説明員        北海道開発庁経        済課長      三浦 琢右君        文部省初等中等        教育局高等学校        課長       小西  亘君        資源エネルギー        庁長官      野々内 隆君        資源エネルギー        庁石炭部長    高橋 達直君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岡松壯三郎君        運輸省国際運        輸・観光局外航        課長       野崎 敦夫君        労務大臣官房審        議官       黒河内久美君        労働省職業安定        局高齢者対策部        長        甘粕 啓介君    参考人        動力炉核燃料        開発事業団理事  植松 邦彦君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○産業資源エネルギーに関する調査  (石炭問題に関する件)  (ペルシャ湾における我が国タンカーの航行の  安全対策に関する件)     —————————————
  2. 浜本万三

    会長浜本万三君) ただいまから産業資源エネルギーに関する調査会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  産業資源エネルギーに関する調査のため、本日の調査会動力炉・核燃料開発事業団理事植松邦彦君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浜本万三

    会長浜本万三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 浜本万三

    会長浜本万三君) 産業資源エネルギーに関する調査を議題といたします。これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 対馬孝且

    対馬孝且君 きょうは産業資源エネルギー調査会といたしまして、緊急かつ重要な対策としまして、特に三井砂川炭鉱閉山、大夕張あるいは芦別三池赤平炭鉱首切り合理化というのが相次いております。事態は極めて深刻であるというふうに受けとめまして、実は十日に委員会開催を要求いたしたわけでありますが、大臣が御案内のベネチア・サミットの主役でございまして、帰ってきてからということになりました。サミット大役大変御苦労さんでございました。そういうわけで大臣の帰ってくるのを心待ちにいたしておりまして、北海道段階でも重大なきょうの委員会を見守っておるというのが状況でございます。そういう前提でぜひ政府側答えをひとつ出していただきたい、こう思います。  第一点の問題は、第八次政策段階でもしばしば当委員会で申し上げました。問題は、雪崩閉山になることは絶対避けたい。我々主張いたしましたのは、第一には何といってもセキュリティー、安全保障という見地を特に八次政策基本に据えるべきだ、国内資源有効的活用を図るべきだ、第三は地域社会雇用対策をしっかり守らなければならない、こういう三本柱で第八次政策をぜひ充実を願いたいということで政府側に求めてまいりました。大臣を初めいろいろ努力をされましたが、結果は、今日の状態は憂うべき状態になっているということを言わざるを得ません。  その第一の問題は、一つ日米首脳会談、五月の総理とレーガンとの会談において原料炭一千万トン体制を再約束されている。これに伴って鉄鋼が再び原料炭国内炭を締め上げる状況になってこないか。これを非常に石炭業界としては懸念いたしております。  なぜかといいますと、一、二新聞報道も実はされております。これは参考までに申し上げますと、五月一日の朝日新聞によりますと、五十八年十一月、貿易摩擦解消の任務として日米合意をされました原料炭一千万トン、これを日米会談で再約束されるであろう、そのことによる影響度というのがどういうふうに変化をしていくかが見守られている。ただ、たまたま豪州炭アメリカ炭では今日の段階でも十五ドルの格差がある、容易に鉄鋼もこれを受け入れられるような状態ではないのではないか、こういうことが伝えられています。  そこで第一点、大臣にお伺いしたいことは、八次政策基本であります雪崩閉山を解消して山なり地域社会を守る、雇用を守る、この方針に今なお変わりはないかどうか、この点をひとつまず確認したいと思います。
  6. 田村元

    国務大臣田村元君) 八次策の問題で御討議がありましたときに私がお答えした政府考え方はいささかも変わっておりません。
  7. 対馬孝且

    対馬孝且君 変わってないということであれば、今第一点申し上げましたこのアメリカ炭の一千万トン輸入体制に伴う鉄鋼業界その他の原料炭を使う需要業界の動向によって再び国内炭原料炭を見直すということはないか、この点どういうふうに考えているか、お伺いいたします。
  8. 高橋達直

    説明員高橋達直君) アメリカ輸入炭国内炭との関係で国内炭を犠牲にすることはないかというお尋ねでございますが、まさに私どもそのように考えておりまして、ただいま大臣から申し上げましたように、八次政策策定時におきます石炭政策についての考え方はいささかも変わっておりませんで、短期集中的な閉山はぜひ回避するという観点でやっております。その線で鉄鋼業界と話をただいま業界同士でしておるところでございますが、ただ国内の問題といたしまして、鉄鋼業界案内のとおり非常に厳しい経営環境にあるわけでございますので、この引き取り問題がどうなるかは予断を許さないところでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましても短期集中的な閉山が、縮小が行われることがないように注目をしながらこの鉄鋼業界及び石炭業界の話し合いを見守り、必要があれば石炭鉱業審議会等も活用いたしまして所要措置を講じたいというように考えております。
  9. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣お聞きのとおり、当初これ百七十万トン、去年ですね。大臣努力されて一応歯どめをかけた。しかし、これがどうもまた再びこれ二分の一ということになると八十万トン削減、こういうことが伝えられているものですからね。今石炭部長はそういうことにならないように審議会対応していきたい、こういうことですから、時間もありませんから、これひとつしかと、再び今日の鉄鋼業界国内炭を圧迫する、あるいは需要を減らしていくということにならないように最大の対応をしてもらいたい。この点、大臣にお伺いしたいと思います。いかがですか。
  10. 田村元

    国務大臣田村元君) もちろん最大限の努力をいたすことは当然でございます。
  11. 対馬孝且

    対馬孝且君 それでは、時間も限られておりますから、そこで、第八次政策基本である、つまり雪崩閉山に歯どめをかけて緩やかに、そういう方向でぜひ行きたい、その基本を貫く、今大臣からも変わりはないというお答えです。ところが、最近の三井砂川炭鉱閉山あるいは南大夕張炭鉱、これ南大夕張だってもう現実に私の手元にあります数字からいきますと、南人夕張炭鉱が百十八万トン、八十万トン、計画は七十万トンに減らしている。ここにありますように五百六十人から八十人程度人員削減ということが出てきている。それから赤平炭鉱が四百八十人。それから三池炭鉱もここにございますが、この数字でいきますと、人員計画としてはこれも三百八十人から四百人という数字が出ています。まだふえるだろうという状況です。それから芦別も二百人というのが三百二、三十にふえるんではないか、こう伝えられています。  こうやってずっと追っていきますと、私は確認したいんですが、最近政府が出した資料もありますけれども、おおむね当初三池の四百五十万トンが三百五十万トン、真谷地の六十三万トンが五十四万トン、幌内の百七万トンが百十万トン、砂川の七十四万トンがもし閉山になればゼロ、芦別の九十五万トンが八十万トン、南夕の百十八万トンが七十万トン、赤平の九十万トンが六十万トン、太平洋炭礦の二百三十万トンが二百二十万トン、空知の九十万トンが八十万トン、大体こういう推移をたどっているわけです。  これでいきますと大臣、結果は私の数字で言いますと二百九十万トン近くになりますね、これ。閉山縮小計画で見ました予算というのは二百万トンですよ。六十二年度二百万トン。私も当委員会でも質問しておりますし、それから商工委員会でも質問した。ところが、現実にこれまだ砂川は入っていませんよ。砂川閉山を入れれば三百万トン超えるんだ。これが雪崩閉山でなくて何で緩やかなのかということが、今率直なこれ北海道道民の声ですよ。緩やか緩やかと言ったのは、二百万トン程度までは緩やかだ。ところが、現実にはもう三百万トン超えていっているじゃないか。この数字からいけばそうなります。もうどうやって生きるか、生き残り競争だ。生き残るための競争になってしまっているんですよ、残念ながら。  これに歯どめをかける対策は何やったか。我々第一点に申し上げたいのは、あくまでも六十六年一千万トンから八百五十万トン程度一般炭需要を伸ばす以外にない。これには九電力あるわけですから、九つの火力発電所国内炭専焼火力発電所をふやしながら需要を伸ばしてもらいたい、これはこの前も申し上げました。  第二は何かといえば、やはりこれは買い上げ炭機構が、三百六十万トン機構があるといいますから、現在炭で、現在貯炭在庫でどれだけの買い上げが、私は二百六十万トンと聞いていますが、キャパシティーとしては三百六十万トンある、こう聞いております。その点、今の状況はどうなっているか。  第三ですよ、縮小交付金が二百万トンくらいでしょう、予算措置からいくと。これでいくと三百二、三十万トンになってしまうんだ。これが雪崩閉山でなくて何が緩やかな閉山だというんです、こう言わざるを得ないんですよ、率直に言って。この点はどういう歯どめをかけようとしているのか、ひとつ答えてください。当初の八次政策基本から、今も大臣はこの方針に変わりないと言っているのに、現実雪崩閉山方向に行っている。これはどうしても歯どめをかけなければ大変な事態に来ている、こう思いますので、この点いかがですか。
  12. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 六十二年度の各社生産計画ただいま出そろいつつあるところでございますが、大体八次策を策定いたしましたときに想定いたしました数字予算上もあるわけでございますが、千七百万トンを一千万トンにしていくということでございますので、年間二百万トン程度生産縮小になるわけでございますが、現在の生産縮小を見てまいりますと、各社ただいまのところでございますが、おおむねその数字になっておるように思います。ただいま先生の御指摘で、それを大幅に上回るというお話でございましたが、各社生産計画をベースに考えてまいりますと、大体二百万トンちょっとというところでございまして、そんなに八次策を策定したときの数字と異なっているとは考えておらないわけでございます。  ただ、今後一部の会社におきましてはさらに生産計画を詰めるところもあるわけでございまして、ただいま先生の御指摘ございました国内火力発電によって需要を拡大すべきではないかという点につきましては、これは八次策のときに需給両業界で話をいたしまして、大体六十六年までどのような格好で持っていくかということについての合意ができたわけでございまして、その線に沿って電力業界としても協力をしていただくことになるわけでございます。  また、貯炭買い上げにつきましては、御指摘のとおり、ただいまのところ六十一年度の過剰在庫二百六十万トンを買い上げたところでございますが、今後生産計画需要との差異、ギャップにつきまして、これを適正に購入していくということで雪崩的な閉山をぜひ避けていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、規模縮小交付金積算でございますが、予算想定時には六十万トンを規模縮小交付金前提としての規模縮小規模というふうに考えたわけでございますが、それを上回る規模縮小各社計画の中であるわけでございますが、一方におきまして、機械上の計算の基礎といたしまして、閉山規模も百四十万トンというふうに想定してございますので、そのあたりを足してまいりますと、予算的にはこの辺の数字で十分に現在の合理化計画対応できるというふうに考えております。
  13. 対馬孝且

    対馬孝且君 石炭部長ね、その認識がちょっと私は違うんじゃないかと思うのですね。二百万トンというけれども、二百万トンをオーバーするんですよ、今の時点でも。どういう現象が出ているかといったら、卑近な例が、三井芦別だってこれ希望退職が二百というのが、現在ただいま私が知っているのは土曜日現在で三百二十三人出ているんですよ。どこだってそれは全部オーバーして出ているんだ。大夕張もそうでしょう。赤平もそういう傾向になってきているんです。これは一番卑近な例が、南夕がそうでしょう。当初八十万トン計画だったんです。ところが、結果は人が多く出たから八十万トンを十万トン減らして七十万トンにしたということでしょう、間違いありませんね、これ。それから芦別だってそうでしょう。現実に九十五万トンの当初の数字より減らさざるを得ない。手直ししなきゃならぬ。私はそれ言っているわけだ。  だから、トータル二百万トンというけれども、二百万トンはオーバーしてきている。さっき言ったように、これからまたみんな拍車がかかる。現実をそういうふうに受けとめてもらわないと、何か二百万トンでおさまると。二百万トンもう超えてしまっているんだ、これ、現実に。これからまたさらに予想人員以上に希望退職が出てくればそれだけ手直ししなきゃいかぬわけだ。そうすると結果的には緩やかと言ったって雪崩閉山になっていくではないか。そこへもってきて私が言っているように予算措置縮小交付金は二百万トン、当面六十万トンと言うんだけれども、最大限組んで二百万トンよりないんだ。そうした場合これに歯どめをかけなきゃしようがないでしょう。どういう歯どめをかけるんですか。私はそれを聞いているんですよ、それに対してどういう歯どめをかけるんですかと。それがあって大臣お答えになったように、皆さんがお答えになったように緩やかな閉山計画というそこに落ち着くのではないか。  その歯どめ策は何だ。それはやっぱり縮小交付金予算規模二百万トンをプラスアルファしていくか、縮小交付金をプラスアルファふやすか、さもなかったら貯炭買い上げ枠をもう少し広げるか、これよりないじゃないですか、今の現行制度の中では。基本はあるよ、基本はある。一千万トンが千二百万トンと、千何ぼと、それは解消すればそうはならないというんでしょう、当面。ならなけりゃこの二つ方向にどういう歯どめをかけるか、これ以外にないじゃないですか、その点についてひとつお答えください。
  14. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 確かに、三菱南大夕張の場合につきましては、希望退職が予定を上回りまして、その結果として生産計画的に当初計画よりも縮小したことは事実でございます。  そのようなことを見てまいりまして、仮に二百万トンを上回る実績の縮小が行われた場合に予算的にどのような手当てをするかということでございますが、二百万トンの積算所要の経費をしておりますけれども、それに加えまして、具体的には技術的な問題になりますけれども予算の移用及び流用、これによりまして各項目の間の流用ができるような手続になっておりますし、また歳入歳出予算につきまして弾力条項発動等も手当てしてございますので、仮に上回った場合にも予算的には十分対応できるものと考えております。
  15. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣聞いておって、石炭部長答えましたけれども、それなりに一つの歯どめになるだろうけれども、私はこの段階で申し上げたいことは、やっぱり今どうやって山が生き残ったらいいかという競争になってしまっているんですよ、これ。結果論だけれども、またそういう方向政府がしむけたと思っているんだ、率直に言って。会社側にしたって組合にしたって、そういうようなこと当たり前なんだ。私が言いたいのは、現段階石炭部長が言ったように弾力的に予算運用をするということでいいのかという問題を心配しているわけです。  問題は、この縮小交付金だって、これがあって初めて三年は四年、四年は五年と延びていくんだから、そうでしょう。だから、こういうことになってきた場合の歯どめ策というのは、もちろん全体量をふやすことが一番いいんだけれども、それがなかなかできないとすれば、やはり閉山交付金なり貯炭買い上げ機構の枠をこの際弾力的にかつ柔軟に対応してもらいたい。これで歯どめをかける、これ以外にないと私は思うわけですよ。だから、今の答えもわかりますけれども、そういう対応をぜひひとつ政府はとるべきではないか、この点、大臣にひとつお願いします。
  16. 田村元

    国務大臣田村元君) 我々はもちろん雪崩閉山を防止するために最善の努力をしなきゃならぬことは当然であります。  ただ、鉱山といえども炭鉱といえども民間企業でありますから、その認識というものは持っていかなきゃなりませんが、それはそれとして、縮小交付金は、確かにおっしゃるとおり、もし足りなかったらどうなるかという心配があるわけです。これは責任を持ちます。私から特に答弁をいたして、縮小交付金については、至らざるところありといえどもそれは責任は持つということを申し上げておきたいと思います。
  17. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣から責任を持つという明快なお答えですから、政策的な裏づけをもってぜひひとつ責任を持った対応をしてもらいたいというふうに強く申し上げておきます。石炭部長が言うとおり、弾力的運用ということはそれ以外にないと思うのだけれども、今から対応しなければ、その時点では間に合わない。私は最高責任者である大臣責任あるお答えをいただきましたから、ぜひその対応をしてもらいたい。それ以外に当面の道としては雪崩閉山に歯どめをかける道はなし、こう考えます。  そこでひとつ各論に入っていきますが、実は三井砂川炭鉱の問題で、この間は大臣不在でありましたが、山から代表が上がってきまして、野々内長官石炭部長にも対応していただきました。そこで問題は、今日まで三井鉱山経営者責任ある態度をとっていない、私も極めてけしからぬと思う。それはどういうことかというと、この間も調査団で行ってきました。現地調査に衆参合わせて八人で行ってきましたが、わかったことはこういうことです。  第一は、昭和五十九年、六十一年二回にわたって配置転換をやっている。合理化をやっているんですよ。その合理化をやって組合員を泣かしたときに会社はどう言ったかというと、将来細々と山を延命するためにはこの道以外にない、こう言って組合家族に対して協力を求めた。これはいいと思うのです。ところが、現実に五十九年、六十一年に大配置転換合理化をやって今になったら閉山だ、こう言うから、それは約束が違うではないか、こうなっておるんですよ。会社との約束では、閉山はしない、五十九年、六十一年、この大配置転換協力してくれれば細々と山を生き延ばしていきましょう、こう言ったんです。その責任ある態度がいまだにはっきりしていないというのは、もう三井石炭が無責任だ、これが第一点です。  第二の問題は何かといえば、十五日、ゆうべ代議員大会やっています。山の組合員から出たことは、これは組合員の声ですが、万が一閉山になったとしても、会社の今までの交渉はどうあったんだ、こういう組合員の声に対して執行部側交渉をやってきて答えていますが、いまだにキノコだとか梅だとか、中小企業でも零細企業でも使わないような企業二つか三つ持ってきてこれで企業立地だ、雇用安定だ、こう言ったって、そんなもの安住の地を求めて生きていかれるか。これは大臣もしばしば見ていると思うけれども、ここにも、これだけの新聞もお先真っ暗というこういう情勢ですよ。まさにお先真っ暗で自殺したい心境である。ここに私持っているから見てください。こういう声が出るということは、いかに三井石炭がきわまりない無責任体制であり、企業としても会社みずからが社会的な責任を負う、今日の企業責任はそこにあると私は思う、これは大臣も言うことですけれども。  私は、この際時間もありませんから申し上げますが、この点政府三井鉱山社長以下三役を呼んで、当時の約束どおり当面この閉山は撤回をすべきである。本当に地域社会の問題と雇用問題ができ上がった時点閉山をするというのはやむない。当面、閉山した場合のそれにかわる雇用もなければ代替の企業もない、これじゃ不安でしょう。だから、きのう大会でも出たというけれども万が一閉山になったとしてもその場合の地域社会をどうやって守ってくれるか、企業立地をどうしてくれるか、雇用をどうしてくれるかということは組合員の生の声として家族に訴えられている。そういう意味で私は申し上げますが、大臣三井鉱山社長以下三役を全部呼んで、会社企業としての責任ある立場を明確にひとつ政府側として行政指導してもらいたい、これはいかがですか。
  18. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 閉山問題につきましては、基本的には企業経営判断に属するものでございますし、労使間の十分なる協議により結論を見出すべきものと考えておりまして、御指摘のような政府の方からこれを白紙撤回することを指導するということはなかなか難しい状況にあると考えざるを得ないわけでございますが、いずれにいたしましても企業社会的責任というものは存在するわけでございまして、その社会的責任は十分に全うされなければいけないというふうに考える次第でございます。  かねてから三井石炭鉱業及びその親会社でございます三井鉱山につきましては、私どもからもそういう点につきまして、雇用の点あるいは地域対策の点につきまして指導を重ねてきたところでございますが、ただいま先生お話にもございましたように、三井石炭並びに三井鉱山のそういった面での社会的責任を全うする必要があるわけでございますので、閉山提案から既に一カ月もたとうとしているところ、なかなか私どもが聞いているところでもその進捗がはかばかしくないという状況にもあるように聞いておりますので、資源エネルギー庁といたしまして近く石炭会社及びその親会社首脳を招きまして、会社がやっております雇用対策あるいは地域対策がどういうものであるかというような状況について事情を聴取いたしまして、私どもとして企業としての社会的責任を全うするように要請し、必要な指導をしていきたい、かように考えております。
  19. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、石炭部長からもございましたが、今日の段階で労使関係の問題であることは間違いありませんが、やはりどういったって政府として、政策で今日の事態を招いていることもこれ政府としても痛感をしてもらわなきゃならぬのであって、そういう意味で今申し上げているので、事態の進展がないという今日の段階を踏まえてそういう会社責任ある立場をとるということが大事だと思いますので、今部長から、呼んで対応するということですから、ぜひそれの実現を早期にひとつやってもらいたい。これ大臣にひとつぜひ取り計らってもらいたい。いかがですか。
  20. 田村元

    国務大臣田村元君) 今、部長が申し上げた答弁に尽きるわけでありますけれども、当然民間の経営判断であり、十分にそれは労使が協議をした上でのことでなければなりませんが、同時に反面、統制経済でありませんから、政府が極端な介入をすることは避けなければならない。国家権力が逆の方向に向いたら大変なことになりますから、それは我々としても考えなきゃなりませんけれども、しかし炭鉱で働く人々のことを考えたりする場合に、当然危険というもの、危険といいますかリスクといいますか、要するに危険に対応するための指導というものはしかるべくあって当然のことだと私は思うのです。でありますから、今エネ庁が申しましたように、十分の指導をやっていきたいと申しておりますから、まずそれをやらしてみて私に報告をさせて、その上で判断をしていきたいというふうに思います。
  21. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひひとつ積極的な、これ遅くなってはどうにもならぬので、ひとつ早急に行動をとってもらいたいということを強く申し上げておきます。  そこで次の問題ですが、現実に今日の段階は、八次政策以来しばしば地域社会とか雇用対策というのは随分政府も言ってきているわけであります。現実に、先ほど言ったように夕張地区だって五百五十名も南大夕張希望退職合理化が出たということは一つ炭鉱がつぶれたと同じですよ。これ中小炭鉱よりまだ大きいんだ、五百五十名というと。今三井砂川が五百八十人だから、山一つつぶれただけの首切り、合理化が出ているんですよ、これどういったって。こういう実態、これ赤平も同じでしょう、四百八十名でしょう。こうやって考えていくと、八次政策以来政府は鋭意地域社会を守るために雇用対策に全力を尽くしてまいりたい、しばしば当調査会でも商工委員会でも私は聞いているわけです。  そこでお伺いしたいのは、土砂川というところは、仮に万が一そういうことになった場合に、あるいは夕張地区も同じですけれども、七五%土砂川の場合はこれ依存率です。石炭産業で飯を食っているわけです。農業もなければほかの産業もほとんどない、こういう状態でしょう。夕張だって同じです。あるのは南大夕張が上に残っているというだけです。仮に万が一、後で申し上げますけれども、真谷地炭鉱新聞では九月閉山なんということが伝えられている、こういうことも出てきています。だから私は、今日の段階ではもう抽象的な話をしてもしようがありませんから、政府としてこういう産炭地域の崩壊あるいは閉山を余儀なくされた地域、これに対してどういう対応をすることが一番いいのかという点をどの程度まで検討しているかということをお伺いしたいんです。  時間もありませんから私は申し上げますけれども、率直に言って、例えば岩見沢に保安センターがある。この分室を例えば土砂川に持っていくとか分局をつくるとか、これは道庁にも言っていますよ、長沼にある道の農業試験場、その分室を例えばそういう産炭地域に誘致する、こうなれば雇用対策になるわけですよ。雇用対策が同時に町の活性化にもつながるわけだ。私はせめて国の研究機関の分室、分局というようなものをこういう産炭地域に優先誘致をすべきではないか、これが第一点です。具体的に言います、もう抽象的なこと言っておれない。  第二は、私もしばしばこの間から申し上げてきておりますけれども、これは地域振興整備公団が発足して以来、当時昭和三十七年、産炭地整備公団という性格だったんです。今日はこれ変わりましたね、地域整備公団に。それ以来は工業再配置、誘致などの問題で整備公団が当たってきていますが、それほど成果は出ていない。私も実際これ調べてみた、今ここに持っていますけれどもね。これ地域振興整備公団の実態内容、全部私持っている。三十七年七月二十日産炭地域振興事業団設立、四十九年地域振興整備公団への改組。目的は言うまでもなく工業団地の造成、ボタ山、工業用水など云々、こう出ています。それほど大した何の成果も上がってないんだ、これ大臣、はっきり言うけれども。  そこで、私は申し上げたいのです。この整備公団ができた任務からいくならば、せめて産炭地の疲弊したこういう地域に対して大事な問題は、私は工業団地あるいは宅地、三井石炭であれば三井石炭の社有地、三菱であれば三菱の社有地を工業団地なり宅地造成をするべきだ。これは目的はもちろん雇用ですよ、基本は。雇用と同時にその町の活性化ですよ。これはぜひやらせてもらいたい。  恐らく今出てきているのは第三セクターで町が、市が公社をつくってやりたい、こう言っているんです。もう準備していますよ、どこの産炭地でも。私の言うのは、この段階で整備公団が一定の任務を持ってこの工業団地あるいは宅地造成のそういうものを整備公団が受けて立つ、こういうことをやらないと、ただ閉山だけはやむを得ないとかと言うんだけれども閉山した跡地対策というのが全く今なお明確じゃないんじゃないか、この点とういうふうに考えているかが第二点です。  第三点は、リクルートセンターあたりをこの際見直して考えてみたらどうだ、私はあえて申し上げます。今北海道では鉄鋼、造船、石炭、北洋漁業、特定不況指定地域ですよ、大臣も知っているとおり。現実に求人倍率は今あなたようやく〇・二九か〇・三なんだ。全国は〇・六二です。半分以下ですよ。しかし私はここで申し上げたいことは、これからもどんどんこれ出てくるわけですから、現実に既に今回の炭鉱合理化政府数字だけでいって、石炭協会の数字見たって、これも私の試算でいくと約三千人ですよ。先ほど言った三井大夕張で始まった合理化、それに砂川閉山を入れればこれは三千を超える。後から申し上げますけれども、そこへ下請とか組夫を全部入れたら優に四千三百人です。私、数字ここに持っていますけれども、四千三百人の失業者に合理化をかけているんです。  そういうものを考えた場合に、私はあえてリクルートセンターと申し上げたのは、大臣もしばしば地域自治体の活力も必要だ、知恵も必要だと言われるから言うんですよ。あえて北海道版の、これははっきり申し上げますけれども、北海道版のリクルートセンター株式会社などでも興して、そして人材開発、技術開発をして、また雇用の再配置をさせていく、こういう段階に来ていると思うのですよ、私はこれ。これはむしろ政府が音頭を取って、実力田村大臣に申し上げたいことは、むしろ通産省がこれ音頭を取って、労働省が音頭を取っていただいて、こういう全道規模あるいは全国規模ネットのものをこの際つくることがむしろ雇用安定なり地域経済の活性化につながる、私はこういう考え方を持っている。これに対してどういうふうな考え方を持っているかということ、以上、挙げればたくさんあるんですけれども、例えばこういうことをやって初めて地域社会なり雇用安定が実現する、こういうことになるんではないかと思うのですが、いかがですか。
  22. 高橋達直

    説明員高橋達直君) お話のように、土砂川町にとりまして砂川炭鉱、極めて重大な地位を占めているわけでございまして、お話ございましたように、人口八千五百人ぐらいのところ直接炭鉱に関係している方々及びその家族が大体七割でございます。それ以外に、商店であるとかあるいは公務員であるとかそういう方々も究極的にはやはりこの砂川炭鉱に依存しているわけでございますので、町全体が炭鉱に依存していると言っても過言ではないわけでございまして、これが閉山問題という危機に直面しているわけでございますから、その町の状態の深刻さは想像するに余りあるものがあるわけでございます。  ただ、対馬先生から具体的に三つの御指摘があったわけでございますが、まず政府系の施設を誘致しろというお話でございまして、例えば岩見沢にあります保安センターの分室などはどうかということでございますが、保安センターの分室の件につきましては、現在の岩見沢での保安の教育、研修という点につきまして、各炭鉱の従業員を教育するのに十分な施設を持っているようでございまして、能率、費用の点で果たしてこれを分けることがどうかということを慎重に検討しなければいけないのではないかという感じがするわけでございますが、いずれにいたしましても、関係省庁連絡会議もございますので、ひとつ広く政府系施設の誘致についてもう一度各省にいろいろお願いをしてみたいと思っておるところでございます。  また、地域振興整備公団の関与の問題でございますが、これまで大した成果も上げてないという御指摘でございましたが、地域振興整備公団、昭和三十七年以来北海道で約二十の団地をつくっておりまして、その間に約五百ぐらいの企業の誘致は一応あったわけでございます。また、これによって雇用も数万人、はかり方にもよりますけれども数万人の雇用効果があったということで、私どもとしてはそれなりの成果というふうに見ておるわけでございますが、例えば空知の中核団地は百万坪の工業団地がまだほとんど売れてないというような状態で、かなり難しい面もあるわけでございます。  この砂川炭鉱閉山問題に関連いたしまして、その地域の振興のために町が工業団地を仮におつくりになるような場合に地域振興整備公団がお手伝いできないかという点でございますが、これは十分考えられるわけでございまして、空知の団地が近くにあるわけでございますので、地域公団が丸抱えでつくるのはなかなか財政的にも難しい面があるわけでございますが、町でおつくりいただいたものを、なかなかこれが販売するのが大変なものでございまして、譲渡、販売につきまして地域公団が全面的に、これ地域公団の持っておりますノーハウを活用いたしましてお手伝いすることはできるのではないかということで、万一閉山になりました場合にはこれを前向きに公団を指導してまいりたいというふうに考えております。当然、地元と十分相談しながらやらなければいけない問題かと思っております。  それから、三番目のリクルートセンターというお話でございまして、余剰の労働人口を再教育いたしまして必要とする労働市場に送り出すというような機構につきましてはまさに御指摘のとおりでございまして、産業構造が極めて大幅に変革している今日でございまして、労働力のミスマッチが随所に生じているわけでございます。したがいまして、労働力の余剰部門とそれから不足部門の間にそれぞれのそういう再訓練のインタレストというものはあるわけでございまして、再訓練のニーズは高いわけでございます。これまでも当然のことながら雇用政策の問題として労働省におかれていろいろと御努力をなさっておるわけでございますが、そういった制度も活用しつつ官民で力を合わせて、例えば北海道の余剰労働力を再訓練いたしまして全国に送り出すというような機関を北海道につくることにつきましては、大変アイデアとして結構なことだと思っておりますので、労働省とも相談し、また北海道とも相談をしながらその方策を検討していったらいかがかというふうに思っております。いずれにいたしましても財政だけでできる問題ではないかと思いますので、どうしてもそういった労働力の余剰部門と不足部門でそれぞれ再訓練が必要だというふうに考えておるインタレストがあるわけでございますので、そういった民間の活力を活用しながらこういうものができるかどうか真剣に検討してみたいと思います。
  23. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、部長から、三点出しました問題提起に対して前向きに検討していくという姿勢ですから、一応了といたします。  大臣、この点について、大臣は長い間これらの経験者でもございますから、労働大臣あるいは運輸大臣も経験をした時点で、やはり今こそもう少し絵にかいたものではなくて実際に、今三つ挙げましたけれども、何とか、山は結果的には破れ去ったけれども明るい灯がともった、ここがないと僕は活性化にならないと思うのだ。無責任だと思うのですよ、産業空洞化はできたけれども。これは失礼だけれども、経済評論家の宮崎勇先生、竹中一雄先生と実は産業空洞化、経済問題で懇談しました。はっきりこの機会に申し上げねばならぬのは、前川リポートというのはマクロ的には志向としては正しかったけれども産業空洞化の穴埋めは全くやらなかった、これは二人の先と言っていますよ、私も対馬さんと同じ意見ですと、認識は。むしろこの産業空洞化をする前に、産業を切り捨てる場合にはその受け皿ができて初めてこれを空洞化するというやり方をとらないとやはり失業が発生し地域が劣勢になっていく、これは同じ認識だということを竹中一雄先生も宮崎勇先生も私に言っておるんだ、対馬さんの判断は間違ってないと。こういう認識が学者先生にもあるんですから、ひとつ言葉じゃなくて何とか今言ったことが地域に一つでも二つでもでき上がるということを大臣にぜひやってもらいたい、いかがですか。
  24. 田村元

    国務大臣田村元君) 全く同感でございます。非常にいい問題提起だと思います。ただ、これは私は三位一体でなければいけないと思うのですね。政府並びに政府関係機関、それが一つ、それから都道府県、それから地元、この三位一体で、しかもそれにやはり自分の土地カンというものがありますから、土地の特性もありますから、一番やはりよく知っておるのは地元ですから、地元がいろんな知恵を出していくという必要はあるんじゃないだろうか。それに対して道なり国なりが、あるいはまた国の関係機関が温かくこれに対して援助の手を差し伸べる。  私は、いつも持論でありまして、対馬君とはよく二人で話をすることですけれども、北海道の場合はまず炭鉱問題でこういう問題をとらまえる、これは当然です。当然ですが、北海道全体として私はとらまえる必要があるんじゃないだろうか、そう思うのです。北海道、私はいつも申しますように開発委員長というのをやったりして北海道問題と取り組んでまいりましたが、やはり北海道を論ずるときには地域全体を論じなきゃいけないし、そのためにはまず輸送コストその他いろんな面で、アクセス問題からいろんなことを論じなきゃいけない。まだまだ北海道は、他省庁に申しわけありませんけれども社会資本だって内地に比べて投下が薄いように思います。でありますから、そういうことも考えましてこれからいろいろと御相談も申し上げたい。どうぞいろんなこと、アイデア等ありましたら遠慮なくお持ち込みを願いたいと思います。
  25. 対馬孝且

    対馬孝且君 今、大臣からそういう意味で積極的に三位一体という方向でというお話がありました。それはごもっともです。ただ問題は、私はどこかで国のレベルで発議をしてもらわぬと、道もそれは当然話していますよ。それから町ももう既に地元は今振興構想をつくっていますよ、どこも産炭地は。これは夕張も空知管内も全部やっていますよ。ただ問題は、この音頭を取ってもらわぬと、なかなかこれ道なり地元といっても限界があるわけで、三位一体は私ども賛成ですけれども、まず国がひとつその指導的立場に立ってもらいたい、こう思いますので、ぜひこれは積極的にひとつ取り組んでもらいたい。よろしゅうございますね。大臣もそういうことでぜひひとつやってもらいたい。  そこで、時間も迫っておりますが、実は今私が出した数字というのは、直轄従業員で三千人、やはり組夫とか下請を入れれば四千三、四百人になるといった数字組合員がそれだけほうり出されるわけです。  そこで、これはマスコミでも大きく取り上げています。これは北海道新聞ですけれども、まさにこれ見ればわかるとおり、直轄は五百八十人なんですよ。しかし三井砂川の全下請が二十四社あるんです。二十三社になっていますが、二十四社ですよ。逆に六百七十六人はもう通告されているんです。もう契約解除、もうちまたにほうり出されてしまっているんです。  そこで私は、少なくともこういう方々に対しては、石炭でやっぱり十四社が飯食っている、十社が間接である、こう言っています。しかし、こういう方々に対してやはり現在ある制度、それから中小企業現行制度もちろんあります、金融制度いろいろありますが、この制度と今度できました産業構造円滑化臨時措置法、こういうものを最大限に中小企業にぜひ適用してもらいたい、こういう下請関係に。これは通産省レベルではぜひやってもらいたい。これに対する考え方をお聞きしたい。  それから、労働省来ていますかな。——労働省甘粕部長ね、これが率直に訴えていることは、こういう方々はもうあすから路頭に迷う、こう言っているんですよ。そのとおりですよ。どこへ行けばいいんだ、もう何の補償もない、生活根こそぎいっちゃうわけですから、これ。こういう訴えが率直な今下請、組夫関係の町の声ですよ。この方々を私は救うことが今政治の責任である、私そう思います。  そこで、この前私これは三月二十七日の社会労働委員会でも申し上げましたし、この間五月二十七日に大臣にもお会いして申し上げました。  そこでお伺いしたいのは、これは確認事項で確認したいんだが、就職促進手当、この範囲は、組夫の下請関係は坑内では掘進関係、それから坑外関係では機械その他修理の関係、これは適用になりますね、この方々に。これひとつ確認しておきます。  それから今度新しく、この間の大臣答弁で私にあったのは、六十二年五月から石炭鉱業関連下請離職者に対して今度のいわゆる地域雇用促進法との兼ね合いもありまして、言うならば緑の手帳ですね、特定不況地域の方々は緑の手帳、炭鉱離職者は黒い手帳、この緑の手帳の方々については現在までなかった。これが炭鉱就職促進手当、六十一年度が四千六百三十円、それから六十二年度が四千七百四十円。私、これ社会労働委員会で申し上げました。これが一年間今度新たにこういう方々に、今こういうまさにあすの生活がお先真っ暗だという方々にこの制度が適用になる、一年間就職促進手当、緑の手帳の方々にもこれは適用される、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。この点ひとつ考え方をお聞かせ願いたい。  以上です。
  26. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 地元の中小企業あるいは下請企業の皆様方が非常にこういう閉山問題などで深刻なお悩みに直面しているということは私どもも承知をしているわけでございまして、御指摘のように、何とかその地元全体を救っていく中でそういった方々の問題も考えていかなければいけないわけでございます。現行制度の枠内で最大限そういった問題を政府としても考えてまいりたいということで、さきの緊急経済対策でございますが、空知地域五市一町につきましてこれを特定地域中小企業対策臨時措置法の対象として指定を行い、地元の中小企業の方々に対する各種の支援措置を強化したところでございまして、そのほか仮に閉山というような事態になりまするといろいろな金融上の制度もございますので、そういったものも十分に活用しながら何とかそういった方々の問題にできるだけ政府としてもこたえてまいりたいと考えております。
  27. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 先生御承知のように、石炭企業からの離職者につきましてはいわゆる黒手帳、これが支給されまして、就職促進手当の支給あるいはその他特別な就職援護措置が図られているところでございます。この黒手帳の発給対象者につきまして石炭企業は全員が対象になる。そこからの離職者の人たちにつきましては、掘進、採炭等のいわゆる坑内業務に従事している方、これは支給対象になっております。それから坑外の作業に従事する人でも、選炭ですとかボタ処理等いわゆる炭鉱における一連の基本的工程に属するこういう業務に従事していた方は黒手帳の対象になる、そういうことで対象にしてございます。それ以外の業務に従事していた方につきましては黒手帳の対象にならないわけですが、先生お話にございましたように、昨年十一月、石炭産業を特定不況業種ということで指定いたしました結果、こういう人たちにつきまして緑の手帳が支給される、それとあわせまして本年五月にそういう方々に対しまして雇用保険の給付期間が終了した後一年間にわたりましての就職促進手当の支給をする、こういう措置を昨年十一月にさかのぼりましてとったところで。ございます。
  28. 対馬孝且

    対馬孝且君 そのとおり。私もこれを持っています。ぜひこれを一日も早く現地の職業安定所を通して指導してもらいたい。まだわかってないです、これは初めてここで私も申し上げるんだから。きょうが初めてですからね。これは平井労働大臣からもあなたからもお話がございましたけれども、これは一年間、もちろん十分ではないけれどもこういう措置でこういう下請レベルの方々の生活保障、ただしその前にあるのは四十歳以上の雇用保険の関係は九十日、未満は六十日、これありますね。その以降一年間というこういう確認はよろしゅうございますか。そこだけひとつはっきりしてください。
  29. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 緑の手帳につきましては、いずれにせよ、手帳所持であろうとなかろうとまず雇用保険の支給がございます。これにつきましては、今先生指摘のように年齢によって違いますが、雇用保険の給付延長がございます。ただ、黒手帳と違いまして就職促進手当につきましては、緑の手帳の場合には一定の年齢以上の者、三十五歳以上の者を対象にしてございます。
  30. 対馬孝且

    対馬孝且君 ぜひそれは積極的に現地指導をしてもらいたいと思います。  それから、石炭部長からございましたけれども、私は制度の延長対策はもちろんだと思うのです。私があえて言うのは、大型補正予算をこれから組んで臨時国会でこれは対応するわけですから、せめてこういう零細の方々に、やはり公共事業の一環はむしろ仕事をやらせる、発注させてそういうものを拡大していく、適用させていく、こういうことも含めて、制度をやることは当然のことなんだけれども、そういう形の大型六兆円と政府は言っているんだから、せめてこういう方々に思い切った公共の代替作業を設置してやる、そういう行政指導もぜひあわせてやってもらいたい、そのことを申し上げておきます。よろしゅうございますね。  そこで問題は、政府にお伺いしなければならないのは、北炭真谷地炭鉱の経営危機ということが深刻になってまいりました。現に私もこの間三井砂川芦別問題の関連で政府に申し上げましたときにも、大変深刻な危機になってきているというお話がございました。この間新聞にもこの真谷地炭鉱の問題が出ました。この間は経理審査小委員会でこういうふうに意見書が出されています。「債務処理の円滑な対応が出来なければ、社会的混乱を回避するため政府としても支援し、適切な対応策を検討すべきだ」これは新聞の、マスコミですからそのとおりかどうかわかりませんが、審査小委員会でもそういう議論が交わされている。  そこで私のこの質問の第一点は、北炭の真谷地は現在このままでいくと上期だけで十七億の資金不足が出るという。これは会社からも報告を受けました。組合からも報告を受けています。石炭部長も把握されていると思いますが、一点は、十七億相当の上期のいわゆる資金ショートに対してどういう対応を、どういう手だてをするか。これはいつも私は最善の措置をやってもらいたいと申し上げているんですが、これが一点です。  第二は、どうも閉山の、果たしてこれがマスコミの誤りの報道であればよいけれども、どうもこのままではその危機に追い込まれるということでございます。私が把握しているのは真谷地炭鉱では三十六億ございます。昭和五十七年以来の労務債、これまでも申し上げたことがございますけれども商工委員会でも申し上げたことがございますけれども、三十六億の実は旧労務債が残っている。それから幌内炭鉱を入れますと、私の資料で言いますと百十五億になります。全部持っています。五十七年以来のどこの山は何ぼ、五十歳以上が大体何ぼ、退職金が幾らと全部持っていますが、時間がありませんから申し上げません。トータルを申し上げます。そこで、このままで閉山をしたとしたら大変なことです。暴動起きますよ。これは、本人にとっては退職金の未払いというのは致命的な生活権の侵害ですからね。それがもらえないとなったらこれは黙っているわけにはいかぬ。社会的にこれは訴えなきゃならぬです。憲法に保障された生活権を守るためにもこれはやってもらわなきゃいかぬ。  そこで、今いろんな議論をしてもしようがないんで私は提言を申し上げたいと思う。経理審査小委員会でも指摘しておりますように、もちろん経営の責任経営者にありますが、このまま放置をして閉山はできない。暴動で済んだらいいけれども、人的問題が起きたら、殺傷事件でも起きたら大変なことになるというふうに懸念をいたしております。  そこで申し上げたいことは、私も炭鉱にかかわって三十年になりますから申し上げますが、昭和四十四年企業ぐるみ閉山をやったことがございます。雄別炭鉱あるいは明治炭鉱。雄別は尺別、雄別本社、明治は昭和と上芦別、やったことがございます。私自身も携わっている。現行法でも今石炭鉱合理化臨時措置法三十五条の六、特別閉山交付金、特閉です、略称、これを適用する以外に道はない。私もいろいろ研究しました、例えば第三次までやった肩がわり。幌内炭鉱の八十七億の災害の復旧費、これを政府は肩がわりしてその代替で労務費の一部を見る、旧労務債、これもあるでしょう。私の長い経験でいけば、幸い特閉でもって救われたのは雄別炭鉱です。明治平山それから明治佐賀、明治のやった例がございます。北海道はさっき言ったとおり。  そこで、これをやればどういうふうになるかというと、普通交付金は一〇〇%、特別閉山交付金の場合は七五%加算になるわけです。それによって、参考までに例を、そうならないことを願っておりますが、真谷地が仮に現行の四百五十万が六百万に引き上げられたとします、それでいった場合約二十二、三億です、私の試算によれば。特別閉山交付金制度、これを適用することになると、これでいきますと約七十億強になる。これ以外には対策はないんではないか。  もう一つ考えました。肩がわり。災害復旧費を肩がわりしてその分を旧労務債に準用的に当てはめる道はないか。これも考えてみた。一番いいのはやはりこの企業ぐるみ閉山、幸い真谷地炭鉱というのは今、登川と本坑と二つの坑口がありまして、これを一本にして真谷地炭鉱株式会社というものをつくったわけでありますから、これはある意味では企業ぐるみ閉山に該当する。拡大運用する以外にない、こういうふうに考えております。これは人道上の問題でありますので、ぜひ政府として対応すべきである、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。これが一点。  それからもう一つは、何回もここで申し上げておりますが、北炭真谷地、幌内、空知炭鉱というのはたすきがけです、これは全部。政府が言っておりますようにたすきがけ。もしこれが、真谷地が閉山になったら幌内、空知も同時にいっちゃうということになったら大変なことになります。雪崩閉山ところじゃない、これはそれこそ全面閉山に追い込まれちゃう。この道だけはどんなことがあってもとるべき道ではない、こう私は考えます。最悪の場合でも真谷地なら真谷地炭鉱に抑えて、空知炭鉱というのは比較的露頭から七〇%までやっていますから、場合によっては第三セクター方式で空知の再建は可能であると私なりに思っています。幌内は幸い今貯炭がなくて、十片の採掘が展開をしていけばある程度のペイラインにもなる出炭ができる、私の計算ですけれども。そういうふうに考えていきますと、私はやはり同時閉山はいかなることがあっても避けるべきである。この二点についてひとつ政府考え方をお伺いしたい。あわせていかがでしょうか。
  31. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 北炭の真谷地炭鉱の問題についてお話があったわけでありますが、同炭鉱につきましては、御指摘のように昨今の原料炭の引き取り量が減少する等販売収益が非常に落ち込んでおりまして、昨年夏以来資金需要が相当に逼迫している状況にあるわけでございます。また、親会社の北海道炭礦汽船でございますが、経営基盤が必ずしも十分でないというようなことで、支媛の限度もあるということで、全体として率直に申し上げまして非常に厳しい経営状況にあるわけでございます。現在真谷地炭鉱及び親会社におきまして、そういう需要の厳しい状況などを踏まえながら、今後の会社の経営のあり方を検討しているところでございまして、当省といたしましてもその動向に注目をしているところであるわけでございます。  第一点の御指摘の上期の資金手当ての問題でございますが、これまでも、そういうことで需要が非常に不振というようなこともございまして資金繰りに毎月毎月困難を来す状況でございましたが、私どもからも一定の支援を申し上げまして、何とかこれまで乗り切っておるわけでございますが、当面この六月、七月については、四月の貯炭買い上げ会社たる新共同石炭での買い上げ等もございまして、何とか資金繰りをつけていけるというふうに私どもとして見ておるところでございます。  次に、経営危機にあるということでございまして、それとの関連で旧労務債をどうするかという御指摘でございますが、この問題につきましては御指摘のようなことでございまして、私どもの把握したところによりますと、六十二年の三月末で四百六十名分、二十五億の未払い労務債があるというふうに承知をしておるわけでございますが、この退職金につきましては、本来当然の報酬として企業が労働者に雇用契約に基づいて支払わなければいけないものでございまして、それが多額に未払いで残っているという状態は極めて遺憾であるわけでございまして、会社を今後とも一歩でも経営問題について改善がなされるように指導していくわけでございますけれども、これまでのところ残念ながらそういった改善の兆候が見えないわけでございます。したがいまして、今後とも労働省とも御連絡をとりながら会社指導してまいりますけれども、これにつきまして、ただいま先生お話で四十四年当時の企業ぐるみ閉山の特別交付金を適用すればかなり対応できるのではないかというお話でございます。  確かに、特別交付金につきましては、これまで実績もございますし、現在制度としても残っておるわけでございますが、いずれにいたしましても、これは基本的に財政再建という路線の中で補助金を整理するという一般的な状況の中でどのようにこの問題を考えていくかということでございまして、御指摘のございました石炭鉱審議会の経理審査小委員会の御意見も踏まえまして、今後、ただいま先生から具体的な案もお話があったわけでございますが、それらも念頭に置いて打開策を必要になった場合には我々としても検討していかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
  32. 対馬孝且

    対馬孝且君 それから同時閉山の問題。
  33. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 失礼しました。  それからもう一つのお尋ねの北炭系につきましては、三山の山があるわけでございまして、それらがそれぞれ相互に債務保証をしているということで、それらが仮に一山が閉山すると債務保証の関係で同時に閉山に追い込まれるのではないかというようなことでございますけれども、確かにそういう関係に置かれているわけでございます。しかしながら、大臣も先ほどお話がございましたように、雪崩閉山というものはぜひ八次策で避けていかなければいけないという観点からいたしますと、北炭系の三社の集中的な閉山は回避されなければいけないということでございまして、私どもとしてこの三山の関係が今後どうなるかを十分関心を持って注目し、必要な手当てが必要な場合にはできるだけの努力をして何とかこの三山同時に問題を生ずるようなことがないようにしていかなければいけないというふうに思っているところでございます。
  34. 対馬孝且

    対馬孝且君 時間が来ておりますので、最後に大臣一つ。  北炭真谷地鉱を初め北炭幌内、空知のいわゆる同時閉山、また旧労務債の問題ですが、これは私の提案を含めて検討してまいりたいという今高橋部長の答弁ですから結構でございます。よろしく検討してもらいたい。これはいかなることがあっても同時閉山だけは回避をしてもらいたい。  最後にちょっと申し上げておきますが、これは私はただ感じで言っているんじゃないんですよ。昭和四十四年、これは会議録がありますが、時の大平通商産業大臣、こういうことです。四十四年四月十八日、当時の石炭特別委員会企業ぐるみ閉山の論議をしています。ここのところでやりとりがあるんです。これは時間がありませんからもう申し上げません。このやりとりの中でこうなっているんですよ。当時二年間ということで企業ぐるみ閉山を試みに検討している。これでおさまると思うかという政府側に対して田畑という委員から質問がございまして、いや、確かに二年先のことはわからない。だが今から企業ぐるみ閉山はこれで終わりですということでなくて、石炭の使命というものを勘案しながらやはり将来とも検討してみることであると。だから現行法に残っているんですよ。四十四年から四十六年までというあの期間の二年間だったらこの法律は消滅しているんじゃないですか、そうでしょう。現行法にあるんだから、三十五条の六にちゃんとある、現在も石炭鉱合理化臨時措置法はある。なぜ消滅していないか。今日のような石炭のやはりこういう危機が来るだろうということもここで言われている。私は会議録で調べた、図書館まで行って。調べたらこういう結果が出ている。こういう経緯を踏まえた場合にやはり私は歴史的な経過は大事にしてもらいたい、こう思いますので、大臣一つこの点を含めて最後に答弁をお願いしたいと思います。
  35. 田村元

    国務大臣田村元君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、通産省としましても雪崩閉山を可能な限り避けるように努力をして、そしてまた民間企業の問題はありますけれども、これまた十分の配慮をしていくようにエネ庁長官以下に督励して、その報告を受けるようにいたしていきたいと思っております。
  36. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 対馬委員からかなりきめ細かい御質疑がございましたので、できるだけ重複を避けながら、基本的な問題についてまず最初にお伺いをしておきたいと思います。  第八次石炭政策については、大臣初めエネ庁長官あるいは石炭部長、関係者の方々や各省庁の関係者の方々が大変御苦労なさって仕上げたわけでありますけれども、この八次政策が、昨年六月に決定をするというのがかなり大幅にずれ込んで年末近くなった、十一月になったという経緯を考えてまいりますと、一番基本的な問題がなかなか理解をしがたいような論議の中にあったということでありますが、それが結局は八次政策とそれから八次政策が終わった六十七年度以降というものの石炭政策というものがこれは連動してないというようなことになってしまいました。したがって、八次政策の中でだけ考えてまいりますると、炭鉱経営者や従業員の方々や産炭地域の方々というのは、これは八次で、五年間で全部終わりかな、そんなような認識さえ、あるいは不安さえ抱くような当時の状況であったわけであります。したがいまして、六十七年以降の政策というものがある程度見通しがつかなければ八次政策というのは私はできなかったはずだと思うのです。  そこで、六十七年度以降の石炭政策と八次政策とが連動を続けていきますための論議というものが我々責任政党である自民党の石炭対策特別委員会の中でしばしばされました。その中で、五年間だけということになってしまいますと、炭鉱の労働者の方々の労働力のいわゆる若返りもできない。それから地域の方々が非常に将来について不安をかこつということから、政権政党である自民党のいわゆる石炭対策特別委員会では、八次政策終了後六十七年度以降もおおむね一千万トンを確保する、こういうふうに決定づけられました。この会議にはエネ庁長官やあるいはまた石炭部長もお出ましだったはずですが、引き続きそういう物の考え方政策というものが行われていくのか、また組んでいくのか、あるいはまた自民党がそういう決定をしたことについてどうお考えなのか、まずこれをお伺いしておきたいと思います。
  37. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 昨年までの石炭鉱審議会におきます第八次石炭政策の論議の中で、ただいまお話のございました六十七年度以降の問題をどうするかということについてもかなりの論議があったわけでございまして、一部ユーザーの委員の代表からは、これは内外炭価格差が非常に大きい、あるいは需要家の経営環境が厳しくなっているということから、その以降については漸減して最終的にはゼロに持っていくべきではないかという御議論もあったわけでございます。また、他方におきまして石炭業界代表の方々等から、一定のエネルギー政策上の量は確保すべきである、こういう御議論もあったわけでございまして、そのような状況の中で、ただいまお話のございました自民党の石炭対策特別委員会におかれましても、今後の、六十七年度以降の歯どめの問題についてもその方向で考えるべきであるという御議論があったことは承知をしておるわけでございます。  最終的に、審議会におきましては六十六年度のおおむね一千万トンというものを目標にいたしまして、その後の事情につきましては実施状況を踏まえて総合的に検討すべきであるという結論になったわけでございまして、答申の最後のところに、「いずれにせよ、政府は」「その時点での経済的諸環境を勘案しつつ、適正な生産体制の確保に努めることが必要である。」というくだりがあるわけでございまして、私どもとしても、今後の状況にもよりますけれども、いずれにしても適正な生産体制の確保に努める努力がなされるべきものと了解をしておりまして、その際に自民党での御論議や、あるいはその他各方面でいろいろ御意見があったことは十分に念頭に置きながら検討していきたい、かように考えております。
  38. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 適正な生産規模ということになりますと、これはその政策がついていかないような格好になってしまう心配があるわけです。あくまでもやはり石炭政策ですから、第八次が終わった後第九次になるか何になるかわかりませんけれども、適正な生産規模を確保するということは、市場のいわゆる経済の自然状態に任せていくより仕方がないというようなニュアンスを含めたいわゆる適正な生産規模というふうになりはせぬかという心配があるわけです。  私が申し上げたいことは、五年後、六年後、果たして自由民主党が政権を担当しているかどうか、それは先の話ですからわかりませんよ。しかし少なくとも我々が党の中で決議したことについては尊重してもらわなければならぬと思うのです。ですから、適正な生産規模ではなくて、あくまでも政策自体を延伸するなり延長するなりして政府石炭政策の中でこの決議についてあるいは決定について尊重していただくということになりませんか。どうですか、尊重していただけますか。
  39. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 政府といたしましては、最終的には八次政策の実施状況を踏まえつつ、今後のエネルギー情勢とかあるいは内外炭の動向、その中における国内炭の役割など、諸般の情勢を総合的に勘案して決めて検討していくべきものでございますが、御指摘のございました八次策策定時における自民党の石炭対策特別委員会での御意見は十分に念頭に置きながら検討をしなければいけないものと思っております。
  40. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 今、何と言いました。最後のところ、尊重すると言いましたか。——ありがとうございました。もう皆さんすぐ偉くなっていく方ばかりですから、それはやはり後任者に引き継いでいただきませんと、何だ人が変わったら施策が変わったなんということが絶対にないように、これだけはきちんと申し上げておきますから、よろしくお願いします。  そこで、八次政策の中の出炭規模の問題ですが、電力が大体八百五十万トンということで、大変御無理な折衝に当たられたわけでございまして、その労を多とするものでありますけれども、あとのいわゆる百五十万トンの問題は一体どうなるんだということを考えてまいりますと、衆議院の石炭対策特別委員会などでも薪料炭とかあるいはまた雑炭ということで百五十万トンは大体確保できるんだというふうな御意見が、あるいは御答弁があったように聞いております。  その中で、少し細かいようですが、各炭鉱で使っております選炭機のいわゆる機能にもよるわけですね。バーム式選炭機でやっている、あるいはまた浮選機を使って選炭をしているというようなことで、必ず水洗をしなければ精炭としては扱われないわけです。その場合に、その洗炭汚水のいわゆるテール、それを川に流しますと下手の農業者や漁業者から鉱害だ、鉱害だということで騒がれる。ですから、できるだけ沈殿曝気なるものをたくさんこしらえて、そこで真水に近い状態で汚水処理ということでやって、それから派生して出てくる低品位の雑炭がございますね、各炭鉱はこれを投げるにしてももったいないということで、三千カロリーから三千五百カロリーぐらいのものをそれぞれ家庭に配炭をして、ひところは一トン当たり一円だなんというふうな値段で炭鉱従業員に分けていたものなんですよ。  だから、そういうようなものは雑炭として扱うべきであって、精炭のいわゆる百五十万トンの中には入らないということで理解をさせていただいていいですか。その辺の雑炭の定義づけをはっきりお聞かせ願いたいと思うのです。
  41. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 今回の八次策におきましておおむね一千万トンという目標を掲げた数字は、これは供給規模対応するものでございますので、その中にいわゆる生産と雑炭というような仕分けがなされるわけでございまして、生産につきましては大手並びに中小の炭鉱から実際に石炭が産出される状態をとらえて生産と称しているわけでございますから、選炭の過程において派生的に出てくる炭については、これは雑炭ということになろうかと思っております。
  42. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 ですから私が申し上げているのは、その雑炭というのは百五十万トンの中に入らないのですねということを念を押しているわけです。  それから、露天掘りの石炭は別にしまして、安定補給金の対象になっていないものは大体雑炭ですね。だからこれは百五十万トンの枠の中に入れないで考えていっていいんですねということで念を押しているわけですが、どうですか。
  43. 高橋達直

    説明員高橋達直君) したがいまして、供給規模はおおむね一千万トンでございますので、電力の八百五十万トン以外のところにおおむね百五十万トンという数字が出てくるわけでございますが、それは一切合財でございますから、御指摘のような炭についてもこれは百五十万トンの内数ということになろうかと思います。
  44. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 百五十万トンに入るんですか。
  45. 高橋達直

    説明員高橋達直君) はい、入ると……
  46. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 それはきちんと論議をしておかなければならぬ問題だと思います。これは公害防止上必要で採取しているもので、しかも、その使用の限度というのはかなり限られていて、商品の価値というものがほとんどないものを無理して使っているというようなものですね。そういうものまでいわゆる雑炭として百五十万トンの中に入れるんですか。これはちょっと問題だと思うのですよ。
  47. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 若干御説明が舌足らずであったかと思うわけでございますが、あくまでもおおむね一千万トンという数字の対象は、統計的に把握ができ、かつ、それが石炭の供給という概念でとらえられるものでございますが、ただいま先生からお話のございました洗炭の過程でやむを得ず出てくる、かつ、これを特定のところにいわば地場消費をするようなものについては統計上石炭供給として出てこないのでございますので一千万トンの対象にはならない、一千万トンといいますか六十六年度の目標の対象にはならないという理解でございます。
  48. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 わかりました。私が今申し上げたことについては、それは百五十万トンの枠には入らないという理解でいいんですね。ありがとうございます。  そこで、対馬委員からもお話がございましたけれども、第八次政策のことしは初年度でございますけれども、六十二年度中の各炭鉱合理化計画については先ほど来御答弁がございましたが、これは人員の問題について後ほどの質問と関係がございますので、労働省来ていましたね。——済みませんが、各炭鉱合理化計画による人員の削減と、それからそれに関係する中小下請関連の失職をする数、概略で結構ですから教えていただけませんか。
  49. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) まだ三井砂川につきましては交渉中ということでございますが、これを一応会社提案ということで含めまして、現在のところ妥結したもの、あるいは既に希望退職者の応募が終わったもの、それから会社提案中のもの、これを全部足し合わせたところによりますと、対象人員は直轄で約二千五百人、それから下請等につきましては約一千四百人、合わせまして三千九百人程度が対象になるのではないかというふうに見ております。
  50. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 ちょっと私どもの調べたのと、それから先ほどの対馬委員とのお話の中で差がございますね。これは対馬委員の調べている数字が、私も大体そういうことだということで認識していますので、こちらの方が私正しいような気がいたします。恐らくまだ上へ上がってこない数字があろうと思うのですよね、ちょっと。ですから恐らく四千二、三百ぐらいになるんじゃないかという気がします。  そこで、できるだけ各炭鉱の経営を安定させるためにということで御存じのような新井炭ができまして、いろいろこれについても理事者側の方々が御努力なさったわけですが、ことしの買い付けの枠について、上期四十万トン買い込んだんですね。二百六十万トンは三月末でした。上期に入ってから四十万トンですから、合計でもう既に三百万トン買い込んでいるわけですね、七月までに。そうすると下期の枠というのは大体どのぐらいなんですか。
  51. 高橋達直

    説明員高橋達直君) これは需要供給のギャップということでとらえているわけでございまして、需要の方がまだ最終的に決定をしておりませんし、また供給の方も一部企業において生産計画ができていない部分があるわけでございまして、全体としてまだ不確定でございますので何とも申し上げられないわけでございますが、予算上は年度を通して百万トン買い入れるということでございますので、上期四十万トンということに相なりますれば残り六十万トンの枠があるというふうになろうかと思います。
  52. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そうしますと、上期既に四十万トンを買い込んで下期六十万トンの枠というような理解でいいんですね。  ただ、いろいろ現地の情勢からいいますと、鉄鋼関係の引き取りが非常に鈍いということで、かたがた生産の様子を見ながら引き取るというようなやり方をしていますね。本来であればもう少し鉄鋼で買い入れしていただきたいものがせいぜい四、五万トンでおさまるという状態が続いておるような話を聞くわけですよ。ですから、当然これはその六十万トン下期で足りるかという問題になりますと、私はかなり足りないような気がするんですが、その点、先ほど御答弁になったように弾力的に運営できるというようなことになりますか。
  53. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 仮に百万トンの枠を全部消化してしまった場合でございますが、予算上の措置といたしましてもおおむね一定の規模の二割程度のアローアンスを見ておりまして、これ一定の規模というのはなかなか計算が難しいわけでございますが、最終の仕上がり、年度末、六十二年度の仕上がりの状況と、それから六十二年度の始まりの四月の初めの状況の差が平均的に百万トンふえているわけでございます。これは月によって違ってくるわけでございまして、その月々の変化を平均残高という格好で一定の前提を置いてやってまいりまして、その二割程度をアローアンスとして見ておりますので、仮に百万トンを使い切ったとしても貯炭買い入れの予算的にも枠がございますし、また状況によりまして先ほど対馬先生のときに御答弁申し上げましたようないろいろな措置を発動することもできるかと思っております。
  54. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 新井炭の方ではできるだけ貯炭を抱えないで、買い付け炭を抱えない方がいいというような考え方も持っているようですし、その処置をどうするかということについても非常に心配をしているという面もございますけれども、しかし本当に各炭鉱がわらをもつかむような気持ちでこの新井炭に期待をかけておりますので、これは今後の鉄鋼の引き取り状態によっては仮に枠がオーバーしても対処できる、弾力的に運営をしていただけるんだというふうに理解をさせていただきますね。ありがとうございます。  そこで、一つ御質問申し上げたいのは電源開発株式会社の問題でありますけれども、これは電源開発促進法という法律が御案内のようにございますが、その中で一番最初の「目的」でございますけれども、「この法律は、すみやかに電源の開発及び送電変電施設の整備を行うことにより、電気の供給を増加し、もってわが国産業の振興及び発展に寄与することを目的とする。」こういう目的になっておりますけれども、我が国の産業に寄与するということは、当然国内の石炭産業に寄与することも目的の一部だということで理解をさせていただいてよろしゅうございますか。
  55. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 先生指摘の、電源開発促進法の中の電発の目的のところかと存じますが、特定の産業云々というのではなしに、広く我が国産業の発展に寄与するというのが法律に定められている趣旨かと存じますが。
  56. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 いや、わかりました。ですから、産炭地域あるいはまた石炭企業からすれば、これは電力の補完をするためにできた会社ではあるけれども、しかし少なくとも設立当時の趣旨からいえば国内の石炭産業にも寄与するのだというふうな目的もあってつくられたいわゆる電発であり電源開発促進法である、こういうような理解をしているのですけれども、私の理解は間違いでしょうか。
  57. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 電源開発株式会社が設立されましたのは昭和二十七年かと存じますが、電源開発株式会社は、御存じのようにスタートにおきましてはむしろ水力の開発を中心にやっておったわけでございまして、その辺を手がけながら、また国内の送電線網の整備を行うということと同時に、その後大型の石炭火力についても事業の中に取り込んできた。さらに最近は原子力部門についても事業を進めているというようなことでございまして、広く電源開発の促進のために機能している会社でございます。
  58. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 それはわかっていますよ。わかっているのですが、国内産業に寄与するためということで、当時、昭和二十七年以降いろんな石炭産業ががたがたやりまして、その後に石炭専焼火力ができたわけですね。そのときの石炭専焼火力ができる過程の中でスクラップ・アンド・ビルドの方針が出る前に電発のこの石炭火力というものが設置をされた。ですから、それはあり余ったいわゆる日本の石炭産業を補助し、あるいはまた安定をさせることも一つの目的として石炭火力ができたというふうに理解しているのですけれども。あなたのようにややこしい答弁をされないで、あくまでもこれは国内産業を振興させるための目的でもあるし、あるいはまた石炭産業をある程度安定をさせる目的も持っています、そういう答弁が出てこなきゃ私はおかしいと思うのですが、どうですか。
  59. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 先生指摘のように、電源開発株式会社は石炭専焼火力、特に国内炭専焼の火力を設置いたしておるわけでございまして、その部門におきまして石炭の需要確保の一端として機能をしたというのは御指摘のとおりでございます。
  60. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 わかりました。私はいやしくも与党の議員ですから、それ以上は詰めませんよ。これ、野党だったら大変だと思うのですよ。  そこで、一つお伺いしますけれども、しからば電源開発株式会社の石炭専焼火力の石炭需要について、大体総使用量はどのくらいで、それからその内訳は国内炭が幾らで海外炭が幾らか、ちょっとお知らせいただけませんか。
  61. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 六十一年度の電源開発株式会社の石炭専焼火力の使用量でございますが、現在六十一年の集計中でございますけれども、暫定値で七百三十四万トンでございます。ただいまのは使用実績でございますが、国内炭と海外炭につきましては、受け入れベースで申し上げますと、国内炭が三百二十三万トン、海外炭が四百二十七万トン、計七百五十万トンというのが六十一年度の実績でございます。
  62. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこでお伺いしたいのですけれども、この電発の発電コスト、各火力ごとじゃなかなか難しいと思いますけれども、大体トータルしてどのぐらいなのか。それから、発電コストそのものが売電コストになっておるのか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  63. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 電発の石炭火力の売電コスト、売る電力の価格でございますが、これは六十一年度の単価で一キロワットアワー当たり大体十円八十七銭から十三円八十銭ぐらいの間に散らばっておるという現況でございます。
  64. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 ちょっとそれ、もう一回。
  65. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 失礼いたしました。  一番安い火力が十円八十七銭、一番高い火力が十三円八十一銭でございまして、大体その間にばらまかれているということでございます。
  66. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 すると、これは他の火力発電所のコストに比べるとかなり安いですね、コストとしては。これを他の電力に売るときにはこの値段で売っているんですか、それともある程度そこで諸経費を見て売っているんですか。その辺はどうですか。
  67. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) ただいま申し上げました値段は他の電力会社に電発が売り渡すときの値段でございまして、大体発電所の近くに引き渡し地点がございまして、そこで引き渡しております。発電所によりましては、そこから若干送電線がありまして、その先で売り渡すということがございますが、ただいま申し上げました数字はいずれもそれらを含めまして売り渡しの単価でございます。
  68. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そうしますと、家庭電力とか民生用の電力とか工場電力ということで考えていきますと、かなりこれは各電力が自分の持っている電力会社のコストよりも安く買い入れているというような理解をしていいですか。
  69. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 九電力が最終的に売り渡しておりますものを総合単価という形で計算をいたしますと、これは料金の総収入を総販売キロワットアワーで割ったものでございますが、先ほどの数字と並べまして六十一年度で申し上げますと、九電力平均で約二十一円九十銭でございます。  したがいまして、先ほどの数字との間に約八円ないし十一円の開きがあるわけでございますが、一方、ただいま申し上げました二十一円九十銭というのは総収入でございますけれども、発電段階のコストは、これは火力も原子力も水力も全部含めてでございますけれども、この数字では六十一年度は七円八十八銭という数字でございまして、電力会社総平均に比べますと、単にその数字だけの比較でいたしますと若干高くなっているということになります。
  70. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 そこで、かつてエネルギー調査会で北海道に実情調査に参りましたときに、北海道の経済界の方々や炭労の代表の方々が御発言をなさって、我々の出している石炭というものは国の唯一の資源であるという観点からすれば、エネルギーの安全保障という問題もあるけれども、しかし、せっかく国が一〇〇%資本を持ってやっているそういう電源開発の石炭専焼火力で何で我々の石炭をもっとたいてくれないんだろう、こういう切実な要請、陳情がございました。今たまたま民間の資本も入りました。入ってはいるけれども、いまだに政府が持っている持ち株というのが七一・二%あるわけです。そうですね。
  71. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) そのとおりでございます。
  72. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 伺いますと、何かことしじゅうに大体三分の二ぐらいに落としたいという話もあるようですけれども、そういう話はございませんか。  いずれにしても、そういう政府主導型の石炭火力であるわけですよ。したがって、先ほどあなたから御説明のございました四百二十七万トンの海外炭ですか、いろいろな相手国との取引の問題やら長期契約の問題もございましょうけれども、今これほど日本の石炭産業が、土砂川の問題を筆頭に今かんかんがくがくやって我々の生活がおぼつかないというような国民の悲願にこたえるためには、仮に閉山をする地域、例にとって悪いんですけれども、土砂川は今七十万トン、八十万トンぐらいでしょうか、そのぐらいのものは電発で私は引き取っていただいていいんじゃないか。それこそが本当の日本の石炭政策であって、経済性だけを考えると確かに四百二十七万トンの外国炭も結構ですけれども、日本の石炭産業、そして産炭地域を守っていくという観点からすれば、そこにやはり政策が生まれてきて、できるだけ困っているところの石炭を引き取ってあげよう、こういうような哲学が出てこなきゃ私は変だと思うのですけれども、あなたはどう考えますか。
  73. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 電力で国内炭のどれだけの引き取りを行うかということになるわけでございますが、先生指摘の電源開発株式会社も石炭火力を持ち、そこで石炭をたくわけでございますけれども、そこで発電されました電気は結局御存じのように九電力を通じて送配電され、使用されるという形をとるわけでございます。  そこで、この第八次石炭対策を議論いたす過程で電力用炭として一般炭がどれだけとれるかということが議論されたわけでございますが、電力業界といたしまして、大臣からの直接の電事連那須会長への要請を受けて、ぎりぎりの努力として当面一千万トン、最終年度には八百五十万トンという数字を決めたわけでございまして、これが電発をも含めた電力業界としてのぎりぎりの努力であるということを御理解いただきたいと存ずる次第でございます。
  74. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 その辺はよくわかっているんですけれども、ただ私、先ほど来の対馬委員の御意見を聞いておって、これは労働省が先ほど御答弁なさいました、直轄あるいはまた組夫、下請を含めて約三千九百名ですか、我々の考えているのは大体四千から四千二百ぐらいと考えていますが。仮に四千といたしますと、一人当たりのいわゆる国が支出する値段、価格、その退職者に対してかかるお金というのは膨大なものですね。一人大体五百万というような御答弁があったようでございました、衆議院の方では。一人五百万の金を国の財政の中で支出するとすれば、四千人ですから二百億ですね。ただそれだけにとどまらないで、産炭地域のいろんな対策もやらなきゃならぬ。それから市町村に対する手当てもしなきゃならぬ、臨時交付金その他。そういうことから言うと、私どもの雑駁な計算で一人五百万ではおっつかない、少なくとも一千万ぐらいかかるんじゃないか。  一千万はさておいて、五百万という数字が出たわけですから、これはよかれあしかれいろんなデータの出し方あると思うのですよ。しかし少なくとも権威ある国会でもって一人当たり五百万ぐらいかかるというのが出た以上は間違いなく二百億はかかる、こう理解してもいいですね。  そうしますと、それだけの金をかけるんであれば、少なくともその半分ぐらいは、何とかして現状の石炭産業を助けていきたいということであるならば電発の方へ一トン当たり一万円助成してあげる。百万トンで百億ですね。そのような政策をとらないでどこに私は石炭政策があるのかというふうに考えるわけですよ。確かにあなたのおっしゃるように、これ以上たき増しすれば、九電力の方々がコストも高くなるからその電気要らないよ、こういうふうになると思うのですよ。しかし、西ドイツあたりのコールペニヒ制度なんていうのを考えてまいりますと、これは国民全体でもって電力というものは確保しなきゃならぬ、そういう公共的な立場からすれば電力会社としてもできる限りそれは負担に応じてもらわなきゃならぬし、負担に応じられない面については石炭政策の中でこれは百億や百五十億の負担をしてあげて、そして現状いろいろ混乱を起こしておる石炭産業の安定に向かって協力をしてくれるということがあってしかるべきだと思うのですけれども。仮に、いや、そんなことできません、外国、特に国際信義でもって長期契約をしているからできないというようなこと等があるんでしょうか。その辺の理由をちょっと聞かせてください。
  75. 野々内隆

    説明員野々内隆君) 確かに、石炭産業を維持するためのコストというものは相当な金額でございますから、これをだれが負担するかということが究極的な問題になるんだろうと思うわけです。例えば、一千万トンの石炭につきまして内外炭格差を一万円とすれば一千億の超過コストがかかるわけでございまして、私どももできるだけ山の経済を維持したいという観点から需要家に協力を依頼してまいりましたが、八次策検討過程におきまして、残念ながら需要業界も大変苦しい状態であるということで、結局電力業界を中心とする需要の確保という点に最後焦点がしぼられたわけでございますが、その場合、電力といたしましても例えば一千万トンで一千億という負担をいたしますとそれが当然電力の需要家にかかっていくわけでございますので、ここのところ、私どもとしましては、電力の需要家に電力を通ずる負担をお願いをし、あるいは石油の需要家に原重油関税というルートを使ってお願いをし、あるいは一部一般会計、それからその他の需要家並びに地元、いろんなところに負担を分担しながら国内の石炭産業の秩序ある生産の集約化を行い、また最終需要の一千万トンの確保という結論を出したわけでございます。  したがいまして、電発も国策会社でございますから一千万トンのうちの三分の一を今負担をしておる。しかしそれは電発の負担というよりも電力の需要家の負担というふうに考えざるを得ないかと思います。ただ、私どもとしましては、電発が国策会社でございますので、できるだけそれについて協力するように指導をしながら、他方、国全体としてどういう配分でこの石炭産業にかかわるコストを負担するかというその辺を考えながら八次策を最終的に決断をしたわけでございます。もちろん長期契約もございますからそう簡単に輸入量をふやしたり減らしたりするというわけにいきませんけれども、そこはペナルティーを払えばあるいは切れるかもしれません。それから国際問題若干あっても切れるかもしれません。しかしながら、日本経済全体としてこの負担をどういうふうに配分していったらいいのかという観点もやはり必要なのではないか。  したがって、私どもとしましては、電源開発株式会社に対してできるだけ国のエネルギー政策協力をしてもらうと同時に、それにもやはりある程度の限界というものはあると言わざるを得ないというふうに考えております。
  76. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 大変親切丁寧な御答弁であったと思うのですけれども、要するに、長官のおっしゃられるようなことは、産炭地に住んでいる者として、炭鉱で働く者にとって、到底我慢がならない言葉だと思うのですよ。なぜ我々がこういう犠牲を強いられなきゃならぬのか、我々の掘り出した石炭が順調に売れるようなことぐらいもっと石炭政策の中で考えてもらいたいというのがこれは切なる要望だと思うのですよ。土砂川に行ってごらんなさいよ。炭鉱の奥さん方がみんな今座り込みやったりなんかして全く気の毒な状態です。そういうことからいうと、私は三井砂川閉山をするということについては、決まったわけではございませんけれども、先ほど来の答弁の中で、これは私企業のやることですからというような意味も含めた御答弁もありましたけれども、やはりこれは国がここで強く諌言してあげませんと、なかなか地域住民としては御理解をいただけないようなことになりわせぬかなというようなことを考えるものですから、今後できるだけそういう電発等の需要についても参入をし、あるいはまたふやしていただくということについてのお考え方をぜひお持ちいただきたいと思うのです。  そこで、電発でさらに松浦火力をやりますね、百万キロワットですか。九州電力もやりますね、これは七十万キロワット。両方とも二基です。それで、出てまいりますと、六十四年と六十五年に運転開始ということでございますけれども、これに使われる石炭が三百六十万トンです。二期工事を合わせますと七百二十万トンも使うことになるわけですよ。この話をいろいろ聞いてみますると、海外炭中心だ、こういうことでありますけれども、しかし九州方面の石炭も私は大変だと思うのですよ。従来のいわゆるIQ制度というのは全くこれは考えられないことなのか。あるいはまた、この松浦の電発と九電に対して、国内炭をある程度使用するというお考え方を持っているのかどうか。その辺についてちょっとお伺いをしておきたいと思うのです。
  77. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) 松浦火力でございますが、百万キロワット二本の工事が進んでおりまして、一号機は六十五年の七月、二号機は七十一年の七月というタイミングで入ってくることになっております。ここでたかれます石炭は約四百万トンというふうに考えておりますが、これらの炭は海外炭を使用するということを計画いたしております。
  78. 高橋達直

    説明員高橋達直君) ただいまの御質問の中で、輸入炭についての輸入割り当て、IQ制度を強化、運用して国内炭を優先的に使用するようにしたらどうかというお尋ねでございますが、このIQ制度につきましては、先生もう十分御案内のとおり、基本的に自由貿易主義の中で必ずしも適当な制度ではないわけでございまして、いわば緊急避難あるいは必要悪として運用しているものでございます。私どもといたしましては、八次策策定時の合意に従いまして、基本的にまず需給両業界の話し合いがありまして、それをいわば制度的に担保するものとしてこの制度を運用したいというふうに考えておりますので、IQ制度につきましては需給両業界の話し合いの合意が先行するというふうに御理解をいただきたいと思います。
  79. 野々内隆

    説明員野々内隆君) 今、両部長からお答え申し上げたような事実関係でございますが、確かに、今後新しくできる石炭火力につきまして国内炭をたくということによって需要を確保するというのは物理的には不可能ではないと思います。ただ、私どもは今エネルギーコストをできるだけ安くということを国民一般から要望されておりますし、そういう観点からも考え、いろいろ関係者との協議、話し合いの結論が、電力業界で当面一千万トンをたくというのがぎりぎりの線ではなかろうかということで、関係者の合意の上で審議会の答申を得、私どももそう結論を出したわけでございますので、したがいまして、当面私ども電力業界に一千万トン国内炭をたくということについての協力を要請するというのが限界で、残りは何とか日本全体の電気料金なり電力コストをできるだけ安くしていく、そして日本経済に力を与えるという方向にその余力を使わせていただきたいというふうに考えているわけでございます。
  80. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 なかなか難しい問題でございまして、いわゆる産業経済用の電力を安く国民に供給するという問題と、産炭地域あるいはまた炭鉱従業員を助けていくという問題と、これはまた両立しない面が出てくるでしょうけれども、私どもは、いわゆる八次政策が策定された時点で、前渡辺美智雄通産大臣にいたしましても今お出ましの田村通産大臣にいたしましても、八次政策は八次政策だ、これはこれで尊重しますと。しかし、国の最高決議機関である議会がいろんなことを言うことについては尊重しますというような御答弁もかつていただいたと私は思っておりますから、今の問題等については、今後石炭産業を安定させるために、産炭地域の振興のために、やはりこれはここではっとこういうふうにやらないで今後ともこれは検討していくべき課題だ、私はこう思っていますので、これ以上のことは申し上げません。  そこで、先ほども対馬委員から出ておりましたけれども炭鉱合理化閉山地域に対する国と企業の社会的な責任という問題について触れられました。ここで私は若干お話しておかなければならぬことは、今会社側が提案をした三井砂川閉山提案に対しまして、これはもうただ単に炭鉱の従業員ばかりではなくて、地域の商店の豆腐屋さんから納豆屋さん挙げて実は閉山反対を打ち出してきたわけですよ。それはどういうことかといいますと、人口が減るということと、完全雇用ができないということに対する生活不安なんですね。  一番いい例を挙げますと、昭和四十六年でございましたが、隣の町の歌志内の住友歌志内砿が閉山いたしました。あのときに、はっきり申し上げて、会社側と炭労の責任者と地元の組合責任者と市と四者集まりまして、必ずこれ全員雇用するということにはならないかもしれぬけれども、住友石炭が責任を持って代替の企業を誘致するということを決定して、そういう条件をつけながら閉山をした経緯があるんですね。十五、六年たっていまだに一つ企業も来ておりません。そういう姿を見ますと、いやいや会社側はそういうことを言うけれども、実態として隣の町の歌志内の状態を見てみると、現実として我々が働き得るような、あるいは商店の方々が採算がとれて、最低限生きていけるような企業が果たして来るんだろうかどうかということについての大きな不安があるわけですよ。  だから私は、これは労働省にお伺いしたいんですけれども企業が進出しやすいようないろんな施策を、今特定地域中小企業対策臨時措置法とか産業構造転換円滑化臨時措置法とか地域雇用開発等促進法、こんなようなものをせっかくおつくりをいただいて、何としても地元に企業が米やすいようにしていただくということを政府側としては大変お心遣いいただいてきめ細かい政策を出していただいているわけですが、そういうことがまだ企業側に全然私は伝わってないような気がしてならないんですよ。だから、地元の方もみずから事業を興し、そして土砂川なら土砂川に、土砂川に限らず産炭地域にどんどんどんどん企業が行きやすいようにするといういろんな条件を構えて、労働省としては御心配いただいたと思うのですけれども、もう少し具体的に、企業が進出する場合にはこうするああするということについてこの際お話しいただけませんか。
  81. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 現在、閉山あるいは合理化ということでかなりの離職者が見込まれるということでございまして、私どもの再就職対策というのも基本的に地元雇用機会ということが一番いいんではないかということで考えているところでございます。そういうことの中で、できるだけ私ども労働行政だけでなくて、通産省あるいは関係各省の中でそういうことにつきましてそれぞれ協力し合いながら、あるいは話し合いながらそういう対策を進めていかなければいけないというふうに考えているところでございます。  私ども労働省といたしましても、さきの国会で成立をさせていただきました地域雇用開発等促進法、これに基づきまして現在そういう新しい事業所の新設等を検討している企業につきましては、これは何しろ始まったばかりの制度でございますので、十分個別に打ち合わせをしながら助成の対象となり得るかの検討をできるだけ円滑に進める。そういう中で一人でも多く地元雇用機会が進められるように現在そういうことを進めているところでございます。
  82. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 時間がなくなりましたので端的にお伺いいたしますけれども、先ほど来論議をなされておりますように、黒手帳とか緑手帳とかいうことで何とか炭鉱に直接関連している方々の救済の方途はついたと思うのですね。しかし全く関係のない商店の方々が一番やるせない思いで不安をかこっているわけですが、そういう方々に対してもいろんなことをやっていただきたいと思うのです。  まず、豆腐屋さんや納豆屋さんが都会へ行って営業するといったって、なかなか移転もできないし金もかかる。だからやはり特別な自分の技術というものを身につけたいという要望が非常に強いわけですが、そういう方々を率先して職訓あたりに入れていただくということは可能なんですね。
  83. 黒河内久美

    説明員黒河内久美君) ただいま先生指摘のような場合におきまして、例えば小さな店舗の経営者あるいは従業員が転職を、転業を余儀なくされるということも十分考えられるわけでございますけれども、廃業ないし離職をした場合でありまして、早急に新しい技術を身につけたいという場合には公共職業訓練校に入学することは可能でございます。なお、その場合に御本人が就職に当たり受講しようとする訓練科が公共訓練校に設定されてない場合には、公共訓練の一環として専修学校あるいは各種学校等において委託訓練という形で受けることは可能でございます。
  84. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 開発庁来ていますね。——恐れ入りますが、そういう万が一閉山といったことになりますと、今申し上げたような中小企業対策が非常に心配なわけですが、とりわけ地域の地元業者の方々に対してやはり公共事業その他でもって、開発事業でもって特別な参入をさせていただいて、救済事業絡みでお仕事を発注し、また受注をしていただくような施策をやっていただきたいと思うのです。かつて幌内の炭鉱で水没したときに一年間で随分と救済土木事業をやったり、それから水害で農業が、水田がめちゃめちゃになったときにも救農土木をやりましたね。そういうような方式で特別その地域の、いわゆる閉山地域の建設事業者に対してはそういう配慮はしていただけますか。
  85. 三浦琢右

    説明員(三浦琢右君) 当庁はこれまでも基盤整備を通しまして産炭地域の振興に努めてきておりますが、今後とも公共事業の実施が当面の地域経済活性化策として有用であるというように考えております。そういう意味から、できるだけ公共事業の産炭地域への重点的な配分、それから地元企業への優先的な発注ということについて配慮してまいりたいというふうに考えております。
  86. 工藤万砂美

    ○工藤万砂美君 最後に、時間がなくなりましたので大臣にちょっとお伺いさせていただきますけれども、昨年の原料炭の引き取り問題では大変御苦労をいただきましてありがとうございました。と同時に、サミットにお出ましいただいて大変御活躍いただいた、私どもとしてはこのサミットについては高い評価をさせていただいております。  問題はペルシャ湾の問題です。これはやはり日本のエネルギーの問題に強く関係することでございますので、大半はペルシャ湾を通して日本へ重油が来ておる。そういうことからすれば、米国にしますと、何だ、我々は一生懸命ここを守ってやっているのに日本は何もしてくれないじゃないかというような声があったように私は伺っておるわけです。たまにペルシャ湾から船が入ってきて横須賀なんかへ給油に寄りますと、ヤンキーゴーホームでやられる。我々は何のためにここで守備をしているんだというような不満を漏らすアメリカの関係者が随分おるわけです。だからやはり何らかの形で、日本もスムーズに出てくる、日本のエネルギーを取得するために方策を考えなければならぬというふうに思うわけですが、これは何らかそういう沿岸の諸国に対して手を打たれるのか。それからまた、大半通して来ております原油に対してこれはある程度安全確保という意味で分散するというお考え方なのか、その辺の御存念を一点お伺いしたい。  それからもう一つは、今まで論議をされておりまする石炭産業の第八次政策に対してどうお臨みになるのか、御決意のほどをお伺いして、私は終わります。
  87. 田村元

    国務大臣田村元君) まず、その前に先ほど北海道開発庁にお尋ねのあった件で御報告申し上げておきますが、既に公共事業等を担当しております各省庁に対して通産省から正式に傾斜配分、具体的に地域名も出しましてお願いをいたしております。これだけまず先に申し上げておきます。  それから、ペルシャ湾でございますけれども、これはサミットで実は我々若干心配しておったんですけれども、日本に対してペルシャ湾のいわゆる防衛的なといいますか軍事的なといいますか、そういう面でのしょわせといいますか、それは全然ありませんでした。それは日本、ドイツも聞いてみたらそうらしいんですが、そういうことにお金を出したり協力はできないということはアメリカも先刻御承知ですから、特にアメリカは憲法制定のときから日本の憲法を知り尽くしておるわけでございます。ですからそれはございませんでした。  そこで問題は、日本がどう対応するか。ただ、諸外国で日本は一番のこれ利害関係の大きい国じゃないか。例えば昭和六十年度を一つの年次としてとらまえて、一次エネルギー総供給の五六・七%、これを油に依存しておる。しかもその石油の九九・八%、これを輸入に依存しておるというまことに脆弱なエネルギーに対する日本の体質でございますから、当然ペルシャ湾という問題について日本も何らかのそれ相応の努力をすべきでないかという期待は相当あったと思います。日本としては、やはり何といいましても御協力できますことは、まず外交面でペルシャ湾の平和を確立していくための、あるいは保持していくための努力をさらに重ねていくということが基本になりますから、そこで倉成君がサミットの帰りに我々一行と別れましてイランへ行ったというわけでございます。今後も特に外交面で日本の平和外交を展開して国際的に御協力を申し上げたい、これが日本の姿勢。これは外務大臣答えることなんですけれども、私もたまたまサミットに行っておりましたから、そういうお答えを申し上げておきたいと思います。  それから八次策の問題でございますけれども、これは先ほど来のことで御承知のように、集中的な閉山が起こっては大変だということでございまして、我々もこの答申を踏まえましていろんな措置を講じております。この委員会の席で生まれたといってもいいかと思いますが、いわゆる貯炭管理会社、新共同石炭株式会社を既に設立いたしました。  その前に申し上げなきゃならぬことは、八次策というものをお進めになる、これは民間がお進めになるわけでございます。そして民間企業が自分の力ででき得ない問題を政府がカバーしていく、あるいは地方公共団体がカバーしていくということになりますから、それだけに政府や地方公共団体の責任は大変重くなるわけでありますけれども、この貯炭管理会社ももう既に二百六十万トン、ことしの第一・四半期で六十一年度分二百六十万トン、ほぼ全量に近いと思いますが、これを引き取るというか買い入れました。それから特に炭鉱規模縮小を円滑に進めるために規模縮小交付金、安定補給金の減産加算などの諸制度を創設したことは御承知のとおりでありますし、先ほどお答えしましたように、この規模縮小交付金等もし足りなければ責任を持ってこれはカバーいたしますと私は申し上げたわけでありますが、そのようにいたしていきたい。それから閉山に伴う閉山対策地域対策雇用対策、これについても我々全面的に取り組んでまいってきておりますし、今後も取り組みます。  もう何回も申し上げましたが、私かつて労働省を担当しておりました。私は労働省で珍しく政務次官と大臣と両方やったものですから、そのときに労働官僚たちの嘆きというものも私よく知っております。いつも通産省のしりぬぐいばかりさせられる、これが労働官僚の嘆きなんです。でございますから、私は就任をすると同時に労働省に参りました、労働大臣を訪ねてまいりました、事務次官以下を連れまして。そして緊密な御協力を願いたいとお願いをして労働大臣との間で事務次官を長とするハイレベルの常置機関をつくることにいたしました。これが今作動しております。と同時に、大変気心が合ったといいますか人事交流まで進んでまいりまして、そのように非常にうまくいっております。今後も労働省と緊密一体の連携で石炭対策をしていきたい、このように考えておる次第でございます。  その他いろいろとございますけれども、大まかに申し上げてそういうことでございます。
  88. 川原新次郎

    川原新次郎君 時間がありませんので、また、詳しくお聞きしなくてももう内容はわかっていると思いますから、省略して要点だけをお尋ねし、御要望申し上げたいと思います。  実は、今もペルシャ湾の話が出ましたけれども、あすこでこの前船が襲撃を受けて、そして大変な被害を受けて日本に帰ってきたことは報道されているとおりであります。これは私としては他人事ではなくて、喜入の石油基里をつくらせた本人ですから、即刻郷里に帰りまして、船が入る日に帰ってその入った船に乗り込んでいきました。約二十万トン近い船ですけれども、タンク部分はほとんど襲撃を受けておりません。人が住まっているデッキというか、それがほとんどロケット砲の襲撃でむちゃくちゃにやられておる。船室が最もやられているんだけれども、幸いにして船室にその時間に人がいなかったということで人的な損害は受けておりません。船は大変な被害を受けております。  その被害を受けたことを云々するわけではございませんが、船長と私との応答の中で、どこの船がこれをやったのか、これをどういうふうに考えているか、どういうふうに対策をしてもらおうと思っているか、おれわからないんだ。それで適切な方法があればこれは申し上げてみたいと思っている、各関係省庁に、ということで話を交わしたわけなんです。ところが、イランの船だと想定をするというわけですね。それも向こうの軍隊だとか何とか海軍だとか、そういうような船じゃないのじゃないかと思う。程度は非常に落ちていると思うと。しかし装備されている機銃とかロケット砲というのはばりっとしたものだ、船は小さいけれども威力は十分だと。それで全く四、五十メートルの至近距離に寄っておって二十万トンの船にぶっ込むわけですから、これはもう簡単にねらいはつけられるわけなんです。  それで、運輸省の方おいでになっていますか。——運輸省にお聞きして申し上げたいのだが、私が聞いたとき、この襲撃した人々は、これは日本船だということをわかっておってやったと思うかどうかということを質問した。ところが、日本船だということを知らないでやっているように思われる、これが日本船だということをはっきりわかっておればやらないはずだ、私はそのように思うということを船長が言うんです。  ところが今度、日本船だということはわかっているじゃないか、あの大きな船に日の丸の大きなのがかいてあるわけですから、横に。それであなた日本船だとわかるじゃないかと言ったら、いや、それがあの攻撃船に乗ってくる人たちの程度というのは失礼だけれども非常に低いのじゃないか。それで、日本の日の丸は確かにかいてあるけれども、これがジャパンだということはわからないでおってやっているというような気がしてならない、そういうふうなところが出てきたわけです。  それで、そんなに程度の低い人たちで、日の丸がわからないのがいるのか、こう言ったら私は逆襲されて、冗談みたいに、世界の国旗を並べて、先生、あなたこれはどこの国旗かと言われたらどこだと言えるか。言えないね、これは。皆さんもなかなか言えないと思うのです。日本の国旗はだれでも知っている。ところが世界の国旗を、これはどこだ、これはどこだ、イランの国旗はどのようなものだと今言われてもわからないのが大部分だと思う。それで、そういうようなわからないのがやっている。日本船だとねらってはいないというような気がしてならない。  そんな話が出たので僕は、運輸省あたりではどういうふうに考えるのか。日の丸をつけさせるのは、あれは国が命じてつけさせているのか。あるいはまたそうでなくて、私は字を書かせたらいいな、ジャパンと書かせたらどうなんだろうか。あるいはジャパンも英語もわからないようならこのペルシャ湾海域の方々がわかる文字というものを、そこを航海する船というのは決まっているのだから、喜入と向こうを航海する船というのはほとんど定期的にそこを通っているわけだから、それにつけさせたらどうなんだという話を船長といろいろ交わしたわけなんです。そういうようなことができるものならば、そしてやれるものであるならば早急にやって、日の丸はもうついているのだから、読めるような字を、向こうの程度の少々低い人でも読めるような印を、文字を入れさせるという方法を検討していただいたらどうだろうかというのが船長の要望であったということを申し上げて、それに対する考え方をお聞きしたいと思います。
  89. 野崎敦夫

    説明員(野崎敦夫君) お答えいたします。  先生御承知のとおり、ペルシャ湾ではもう既に二百四、五十隻の船が攻撃を受けておるわけでございます。ことしに至るまで幸い日本船あるいは日本籍船は攻撃を受けでなかったことも事実でございます。  ところが、ことしの一月に日本船の大きなタンカーが攻撃を受けました。これは日本の国旗こそ胴体に大きくかいておりましたけれども、名前がアメリカ風といいますか洋式でございまして、何々丸ということでなかったものですから攻撃を受けたというような話もございました。普通は攻撃を受ける前に、相手の艦艇、国籍不明ではございますけれども英語で誰何をされまして、船名とか積荷あるいはどこへ行くかというようなことを聞かれるわけでございますが、一月に攻撃を受けた船につきましてもそれに答えましたが、たまたまその船が処女航海でペルシャ湾へ行っていたものですから、先方の情報が不十分ではなかったかというふうなこともございまして、若干私どももう少し自信が持てなかったわけでございます。    〔会長退席、理事沢田一精君着席〕  しかるに五月に攻撃を受けました先生御承知の秀邦丸につきましては、これは白昼でもございましたし、日本船の丸という船名もつけてございます。それから日の丸も大きく胴体にかいてございまして、そういう意味で私ども、非常に海運関係者一同大きな衝撃を受けたわけでございます。早速外務省にもお願いしまして、今週も外務大臣にイランヘ行っていただいておりますけれども、運輸省といたしましては、ペルシャ湾の奥の方へ船を入れない、あるいは連絡体制、船同士あるいは船と本社の連絡体制をよくするというようなことをるるやってございますけれども、やはり現場の模様等を、先生お話等を伺いますと、これまた何といいますか、攻撃をしてくるような軍隊あるいは軍隊に準ずるような組織の方の実情というのもまた私ども分析して、あるいは研究してみる余地があるかと思います。  ただ、これも非常に難しいのですが、ペルシャ語とアラビア語というのはどうも違うようでございまして、私ども勉強してみたんですが、(資料を示す)日本、ジャパンというのをペルシャ語で書く、イランで日本と書く字が小さいです、この上でございますが。アラビア語、つまりペルシャ湾の西側の国ではこういう字になりまして、全く私どもから見てもなかなか判読つかないんですが、少なくとも日本という字はペルシャ語とアラビア語で相当違いますものですから、ペルシャ語で書いたらアラビア語の国にわかるのか、あるいは両方書くとどちらに影響があるのかというふうな問題もあろうかと思いますが、せっかくの先生の御提言でもございますし、私どもまた持ち帰りまして検討させていただきたいと思います。
  90. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私は、本日は次のことで御質問申し上げたいと思います。  まず第一が円高と石炭問題でございます。それから第二が国内炭の長期的なあり方の問題。三番目が国内炭政策というものはどのように考えるべきかという問題。それに関連しまして離職者救援の問題でございます。第四番目が炭鉱閉山対策予算規模はどのようになるのかという問題。それから第五番目が高島炭鉱閉山後の状況について、特に教育施設の問題についてお尋ねをいたします。それから第六番目が三井砂川炭鉱閉山問題で、これは目の先の問題としてどう処理をされるのかということでございますが、これらの問題につきまして、本日私に許されました時間の範囲内で御質問を申し上げます。  まず最初の問題ですが、現在海外炭と国内炭の価格差の拡大が相当進んでおりまして、これは円高の急激な進行が原因だ、このように言われております。こうした円高の急激な進行に対して、ある程度の水準を決めて為替相場を安定させるということが必要だということが言われております。この問題につきまして実はお尋ねいたしたいんですが、自由経済原則に立ちまする限り為替相場というものの変動は当然起こる問題であり、特に今日、目の先のドル安・円高という問題は、ここ十年来アメリカ産業基盤が大変おくれてきた、そして競争力が低下したということが原因をいたしまして、それに対して相対的に日本の経済基盤が強固になったということがもとだというふうに言われております。    〔理事沢田一精君退席、会長着席〕  そうしますと、こういうことで起こった円高であるということになりますと、これは急激に円高になりましたが、今後場合によっては急激に円安になるおそれがあるのではないかと思われるわけであります。といいますのは、現在の経済の状態で、アメリカが相当国内産業の振興に力を入れてまいります。我が国はいろいろの問題で制約を受けることになるということになりますと、これは早晩また急速に為替相場の変動が起こるのではないかと思われますが、こういうような問題についてどのように政府ではお考えなのかという点についてお尋ねをいたしたいのであります。といいますのは、こういう問題の見通しをはっきりつけておきませんと、海外炭と国内炭との価格の問題といったようなものをはっきり政策の上にのせることができない、こう思うからでありますが、いかがでございましょうか。大臣にお願いします。
  91. 田村元

    国務大臣田村元君) この為替レートの問題は、率直に言いまして非常に複雑微妙なものでございます。例のプラザ合意、あのときのG5以降の姿から余りにも急激な円高というものが生じて、これはドイツのマルクにも言えるわけでございますけれども、そこで協調介入というような方法をとろうということになった。それが先般のルーブル合意におきまして、G7において、もう協調介入だけで為替操作をすることは、その効力も疑わしいしまた危険な面もある、そこで、この際思い切って政策協調というもので、マクロ政策の大展開ということでお互いの体質を改善してやっていこう。つまり、協調介入で為替相場を操作すると同時に、従来内政干渉的な感覚を持たれておったかもしれない政策協調ということで、その両面からやっていこう。つまり、ばんそうこうを張るのと体質改善をやるのと両方でやっていこう、こういうことになったことは御承知のとおりでございます。  それが、四極貿易大臣会合でもこれが貿易面からとらえられ、OECDでは特にアメリカと日本と西ドイツの果たすべき役割、世界の三大経済大国の果たすべき役割というものが特掲されたわけでございます。アメリカは可及的速やかに、これはもちろんルーブル合意でもこれが合意されたわけでありますけれども、特にOECDで特掲されましたのは、アメリカは速やかに財政赤字の削減に努め競争力の回復を図る。日本は内需拡大、西ドイツも内需拡大というふうに特掲された。そしてお互いに努力をしたわけであります。今度のサミットでもそのOECDの共同コミュニケというものの正しさというものを改めて再確認したということでございます。  そこで、我が国は御承知のように六兆円という内需拡大策を打ち出し、緊急経済対策を打ち出した。これは非常に世界じゅうから評価を受けました。先般サミットでも、アメリカが手放しで褒めてくれましたが、イタリーも褒めてくれました。フランスも、皆評価してくれた。サッチャーさんが、評価はするが答えが出るまでは褒めないよということでございましたが。それはそれとして、政策協調というマクロ政策の面で非常に重視されてきたということでございます。  そういうことでございますが、日本と西ドイツの内需拡大策は若干違いまして、西ドイツは既に社会資本のストックというものが十二分にございますから、減税という方向へ進みました。日本は社会資本のストックがまだ少のうございますから公共投資ということに中心を置き、それに減税を加味したということでございますけれども。いずれにいたしましても現在の百四十円前後という水準では到底日本の企業はやっていけません。もちろん、業種、業態によって一概には言えませんけれども、また経済の二面性があって円高によって稼いでおる業界もあります。ありますから一概には言えませんが、私どもどう考えても百四十円前後というものは、これはこの周辺で安定されてはたまらぬという気持ちがございますだけに、今後の我が国の国際的に果たす義務というものも大きいと思いますが、ちょうど手をたたくと音が出る、じゃどちらの手から出るかという俗に言うなぞなぞというやつがございます。私は日本とドイツの内需拡大策と同時にアメリカの財政赤字削減、これが三位一体となって初めて効力を発するもの、でございますから先般もベーカー財務長官に対して私は、大変ぶしつけではありましたけれども、我々はここまでやりました、さてあなた方はどのような財政赤字削減のスケジュールをお持ちですか、いつそれをおやりになりますか、どのような経済効果を出されますか、それを明確にされたいと言って私は詰め寄ったんです。  いずれにいたしましても、政策協調というところからサーベイランスという言葉まで生まれてきたというわけでございまして、今後の為替というもの、要するに円が高過ぎても困るが同時に安くなる場合でも急速になられては大変なことなので、やはりある適当なところで安定してくれることが一番必要でございます。おっしゃるとおりでございますから、その点の努力を大いにしていかなきゃならぬと思っております。
  92. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 さらに、大臣のおっしゃいました政策協調の問題ですが、政策協調、世界規模で為替相場の上に影響しているということになりますと、これはある程度の強力な協力が必要で、しかも政策である程度の円の相場を決めるということが必要になってまいります。一種のこれは世界的な為替管理だと思います。そういうことまで今後世界的に話し合われてやっておいきになるお考えでしょうか、お尋ねいたします。
  93. 田村元

    国務大臣田村元君) 為替相場管理と決めつけてしまうと、ちょっと自由経済の建前からいって我々として抵抗を感じるわけです。それよりもむしろ協調介入というのはやはり臨時異例の措置ということで考えなければならぬのじゃないか。つまり、それは時に応じて臨機応変でやるということで考えなきゃならぬのじゃないか。それよりもやはり政策協調で、今申し上げましたように日本とドイツは供給に対して需要が少ないんですからどうしても外需というものに進んでいく、外需を求めにいく、だから内需を拡大する。アメリカの場合は内需が多過ぎて、いわゆる需要が多過ぎて供給が追いつかないということでございますから供給力を強めていくということになりましょう。同時に財政赤字の削減ということで三位一体論が展開されるわけでございますから、まず当面とりあえずは協調介入というものが強く働いてもらわなければ困りますけれども、長い目で見ればごく自然なお互いの体質のすり合わせができていくような為替相場展開というものが好ましい、このように思っております。
  94. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 わかりました。  それでは次の問題に入りますが、国内炭の長期的なあり方の問題ですが、第八次政策国内炭昭和六十六年度に一千万トン体制まで縮小する、こういうことが決められたということを伺いました。そこで、昭和六十六年度に一千万トンでもとにかく採炭するわけですから、売れない石炭をとってそれを買い上げ貯炭をするわけですが、その石炭はどういうふうに将来さばいていかれる御計画であるのか、お伺いいたします。
  95. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 第八次石炭政策の期間内に最終的には国内炭の供給規模を一千万トンにするというような方針が昨年の十一月の石炭鉱審議会の答申で出され、またその線に沿って私どもとして努力をしているところでございますが、一方におきまして、そのプロセスにおきます需給ギャップ、供給が需要を上回る場合にこれを貯炭会社買い上げていくという制度もおつくりをいただいたわけでございます。いずれにいたしましても、この五年間に供給と需要を合わせるという考え方でございまして、六十六年度には過剰貯炭がなくなるという考え方のもとに貯炭買い上げを行っております。  したがいまして、五年間のうちのいわば前半におきまして供給が需要を上回るというようなことを想定しておるわけでございますが、後半においではこの買い上げ貯炭需要家に渡していく、引き渡していくというようなことが行われるものと考えておるわけでございます。
  96. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、現在国内炭の価格は輸入炭の三倍以上になっておるわけですが、この値段というものは将来下がる、輸入炭が高くなって国内炭が相対的に安くなるときが来る、そのときにさばく、こういうお考えなのか。それとも、現在高いけれどもどこかの企業に泣いてもらって買い上げてもらう、それを実行しよう、こういうお考えなのか。あるいは買い取った石炭を原料にして何らかの別の産業を興そう、こういうお考えなのか。その点はいかがでございましょうか。
  97. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 今後の国内炭の売り渡し価格の点についてのお尋ねでございますが、国内炭につきましては石炭鉱合理化臨時措置法に基づきまして毎年通産大臣が基準炭価というものを定めることとなっておりまして、その基準炭価によりまして国内炭の引き取りが行われるという仕組みに相なっているわけでございますが、先般の八次答申の中におきまして、この将来の基準炭価につきましては当面据え置くということでございますので、今後、毎年大臣が定める基準炭価は六十一年度の基準炭価をベースにいたしまして設定をされていくものと考えておりまして、現在一般炭でまいりますと平均的に申し上げまして最近の値段で一万九千五百二十円というのがトン当たりの価格でございます。輸入炭については通関統計のCIFベースで平均六千三百十円というのがこの四月の数字でございますので、その間に一万三千円程度の値差があるわけでございますが、海外炭は今後為替レートの動向あるいは海外の価格設定の動向によるわけでございます。国内炭については相対的には割高のものではございますが、エネルギー政策の観点あるいは地域対策雇用対策の観点から今後とも需要家にぎりぎりの協力をしていただきましてこの価格を基本として引き取っていただく、こういうことになろうかと思います。
  98. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 そうしますと、要はこういうことでしょうか。現在石炭をとにかく掘らなければ石炭に従事しておる人の生活の保障ができないのでしばらくはその方向で掘らせていくんだ、そのために政府がこれを買い上げて掘ることができるようにしていこう、売る方は二の次、こう考えているのか。とにかく現在の炭鉱の人たちを助けていくための特殊対策をとっているんだ、こういう意味でございますか。
  99. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 先般の八次政策の答申の御論議におきましても、また結論におきましても、国内炭生産規模あるいは需要家の協力規模につきましては、一方ではエネルギー政策上の観点、こういう観点を十分に踏まえ、他方におきまして現在日本で進行中の産業構造調整の一環としての観点も踏まえ、またさらに需要家の経営環境の動向、あるいは地元への影響、あるいは雇用への影響、そういったものを総合的に勘案した結果出てきた姿でございまして、これによりまして国内炭をエネルギー政策上もこのような格好で確保してまいりたいと考えております。他方において、需要家に対しましてもコストを考えながらぎりぎりの協力をしていただくという姿でございまして、国内炭の海外炭に対する値差というものにつきまして、これを需要家にぎりぎりの協力という形でエネルギー政策なりあるいは地域雇用対策を進めていくというふうに御理解いただけたらと思うのでございます。
  100. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 質問をちょっと変えたいと思いますが、現在炭鉱で働いておられる人たちが閉山に伴いまして離職されますが、離職をされる人の再雇用問題がございます。こういう再雇用問題を世界的な規模で考えることはできないか。つまり、日本の企業が外国へ進出するのですが、その場合に、外国の労働者だけを使うということをしないで日本の労働者も使ってもらう、あるいは交換で外国の炭鉱の労働者として日本の労働者も使ってもらえるという交換条件をつけた政策はとれないかという問題です。これは外交問題に関連しまするから通産大臣だけのお考えではいけないかとも思いますけれども大臣のそうした考え方についての御見解はいかがでございましょうか、お伺いいたします。
  101. 田村元

    国務大臣田村元君) 外国へ企業が進出いたしますのに働く人々が一緒についていく、それは相当あると思います。その技術、技能等々いろいろな問題があると思います。特に外国へ進出していく場合、技術にしろ技能にしろやはり卓越した人たちが行って、そうして外国で雇用するであろう人々に対して教育をしていくという、言うなれば教育者的な立場にも立つそういう色合いもある労働者各位ということが言えるかもしれません。  でございますから、今突然の御質問でございましたので、ちょっと私も答えに窮しておりますけれども、私からここで一概に決めつけたお答えはできませんけれども、ただ、お話を承って非常にユニークな発想であるというふうに僕は思いまして、これは検討に値するな、実は今そう思いながら承っておりました。専門の役人たちの意見も聞きまして、また企業なんかの意見も折に触れて聞きまして、参考になし得るものならばしたいというふうに思います。
  102. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは次に、炭鉱閉山対策予算規模についてお尋ねをいたしますが、炭鉱閉山をいたしますと閉山交付金などでかなり予算支出を要する、こういうふうに聞いております。本年度は閉山交付金が六十六億円、縮小交付金が九億円の計七十五億円が計上されておるというふうに聞いております、約二百万トン分だということですが。ところで、仮に全炭鉱閉山いたしました場合に閉山交付金はどの程度規模になるのか、お尋ねいたします。
  103. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 六十二年度の予算におきます閉山関係の予算につきましては、ただいま先生からお話のあったとおりでございます。  今のお話で、全山閉山という場合に一体どれくらいの費用がかかるかということでございますが、実際に閉山交付金が、それぞれの山の退職金の補助というものが中心でございますので、それぞれの山の職員構成、年齢構成等々実態がいろいろあろうかと思うわけでございまして、なかなか一概に計算はできないわけでございますけれども、試算をいたしてみますると、いわゆる閉山交付金だけで七百億円程度というふうに試算をしております。
  104. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 七百億円程度という金はこれは相対的な問題だと思いますが、この金をかけて閉山をした場合に後の救済に大体どのぐらいのお金がかかるというふうな御計算でしょうか。ただ、閉山した場合の縮小交付金とか閉山交付金というものをどういうふうにお使いになるのか、私ははっきりわかりませんが、退職する人のこれは退職金とか何かでしょうか。
  105. 高橋達直

    説明員高橋達直君) ただいまお答え申し上げましたいわゆる閉山交付金でございますが、これの内容は主に退職をいたします退職者の退職金の補助金というふうに御理解いただいて差し支えないのではないかと思いますが、そのほかに一部一般債務見合いということである程度の補助金も出るわけでございます。
  106. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでいきますと一人当たり大体どのくらいの金額になるでしょうか。大体これは一年間暮らせる量なのか、あるいは数年暮らせる量なのか、どうなんでしょうか。
  107. 高橋達直

    説明員高橋達直君) いろいろ計算の仕方はあろうかと思いますが、大まかに申し上げて、退職者について一人当たり三百万円程度かと思っております。平均的には三百万円程度かと思っております。予算的には今年度から限度額を引き上げていただきまして、一人当たり六百万円まで支給することが可能となっております。
  108. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 その点はわかりました。  それで、その後それを使ってしまったときにおいては生活困窮者としての金を支給される、こういうことでしょうか。
  109. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 合理化あるいは閉山、こういうことによりまして不幸にも離職された方々につきましては、私ども労働省の方で生活の安定あるいは再就職の促進ということの措置をとるわけでございますが、今の御質問に関しましての生活の安定という面から申し上げますと、まず離職しました場合にはほとんどの方が雇用保険に入っておられる、全員入っておられますので、まず雇用保険が支給されるという仕組みになってございます。これは年齢と勤続年数によっていろいろ差はございますが、一番年齢が高くて勤続年数が長い方ということになりますと約三百日の雇用保険が支給されるということになってございます。  なお、今回個別延長という措置もとられることになりましたので、一番長い方はそれに九十日分雇用保険が上積みされるということで三百九十日、約一年ちょっと雇用保険が支給される。その後石炭企業に勤めていた方、あるいは関連下請でも坑内作業等に従事した方は黒手帳というものが支給されまして、三年間にわたりましてこれが有効でございますので、雇用保険が切れた後は、その後二年程度だと思いますが、就職促進手当が支給される。そういう中で生活の安定を図るという措置を講じているところでございます。
  110. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、今度は個別の問題で少しく御質問申し上げたいんですが、高島炭鉱閉山をいたしました後のいろいろ学校に行っておられた子供さんたちの問題ですが、こういう方々の学校施設、あるいは学校にどういうように編入されて教育を受けておるかという問題につきまして、もしおわかりになっておれば御説明願いたいと思います。
  111. 小西亘

    説明員(小西亘君) 御質問の高島小学校及び高島中学校からの転出状況についてでございますが、まず高島小学校からの転出状況につきましては、閉山いたしました日から数えまして六十一年度ちょうど二百五十五名の児童が転出いたしております。さらに六十二年度に入りまして同じく五十六名の児童が転出いたしておりまして、その結果、高島小学校の児童の数は閉山当時四百四十九名でございましたが、六月一日現在で百二十四名になっているそうでございます。  それから次に中学校についてでございますが、高島中学校からの転出状況は、六十一年度におきまして合計百一名、六十二年度におきまして二十一名の生徒が転出いたしておりまして、現在生徒の数は百八名になっているようでございます。  以上が小学校及び中学校についての転出の状況でございます。
  112. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは最後に三井砂川炭鉱閉山問題ですが、これにつきまして閉山を回避する手段は全くなかったのかどうかという問題です。この点につきまして御調査になっておるかどうか。もし調査されておればどういう状況であったかという点を御説明願えればありがたいと思います。  それから、閉山に伴いまして七百二十五人の従業員全員が解雇されたということで、この人たちの再雇用という問題は地元ではほとんど困難ではないかというふうに言われておると聞きましたが、地元に新しい企業を誘致すると言ってその可能性が一体あるのかどうか、立地条件から。ただ口で誘致すると言うことは至って簡単ですが、可能性はあるか。つまりそういうことが無理ではないかという問題ですが、この点についてはどのように政府ではお考えでしょうか、お尋ねします。
  113. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 三井砂川閉山問題でございますが、五月十八日に会社側から労働組合に提案されたわけでございまして、現在労使の間でこの問題を協議しているという段階でございます。  私ども五月十八日に前後いたしまして会社側からいろいろとこの閉山提案に至る事情聴取をしたわけでございますが、全体といたしまして、石炭鉱業をめぐる厳しい環境の中で八次策という新しい五年間に全体の縮小問題、段階的な縮小問題のある中で、三井石炭あるいは親会社たる三井鉱山として、御案内のように三山の炭鉱を持っておるわけでございますが、その炭鉱三山についてのそれぞれの合理化の検討をした中で、どうしてもこの砂川については閉山に至らざるを得ない、そうでなければ会社の全体の存立がなくなるという結論に達したということでございまして、一つには収益状況が非常に悪化をしておりまして、経常で月に二億から三億の赤字が出るという状況があるわけでございます。また、昨年の一月にはガス突出事故も起こし、今後の採炭現場を損傷するというような事態もあったわけでございます。  同時に、友山でございます三池あるいは芦別という炭鉱についてもそれぞれ合理化を進めていかなければいけない状況になっておるということで、従来三池なり芦別砂川の分をカバーしてきた分につきましてそれがカバーできなくなるというようなことでございまして、そういう説明に対しまして私どもとして、基本的にこの閉山問題というのは企業経営判断に属する問題でございますが、三井鉱山あるいは三井石炭方針について、これをやむを得ないというふうに判断をしているわけでございまして、今後労使の間で十分な協議で結論が見出せるように私どもとしては労使の協議を見守っていくというふうにしたいと思っているところでございます。  再雇用の問題については、当然企業社会的責任として解雇した人たちについての再雇用のあっせんをしていかなければいけないということでございまして、私どもが承っているところによりましても、労働組合あるいは地元の方としては地場雇用、地元の雇用というものを非常に希望しておるということで、その点についても現在労使の間で協議をしているということでございます。私どもも地元あるいは労働組合の意向が少しでも達成できるように会社側を見守って、必要とあればまた指導をしてまいりたいと思っているわけでございます。  なお、企業誘致の問題は御指摘のようになかなか立地条件も悪いところでございますので難しいわけでございますけれども、やはり社会資本と申しますか道路その他の公共投資を、先ほど大臣からも申し上げましたように優先的にこれらの地域について導入し、そういった社会的な資本の充実によりまして産業基盤あるいは生活基盤を高めることと相まって企業努力をしていくということでございまして、砂川につきましては今後、先ほど対馬先生のときに申し上げましたように、地域振興整備公団も一役買うということで、企業誘致については努力をする方向で公団を指導したいと思っております。できるだけのことをいたしたいと思っておるところでございます。
  114. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 最後にひとつお尋ねしますが、炭鉱は廃鉱するともう再び再開できないということをよく聞きますが、本当にそうなのか、そういう御研究をなさったことがあるかという問題を含めましてお尋ねをいたしたいと思います。  それから、廃鉱をした場合に、その廃鉱をした従業員を一括して別の炭鉱に雇ってもらって、生きている炭鉱で、そして当然経費が高くなろうから、それは貧乏されたら生活保護費が要るでしょう。生活保護費の予算を回していくということはお考えになっていないかどうか、お尋ねいたします。
  115. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 御指摘のように、炭鉱を一度廃鉱にいたしますとなかなかこれを再開発して使うということについては相当の費用が要るというふうに私どもも聞いております。  御案内のように、現在日本の炭鉱におきましては、基幹となります縦坑道が数百メートルにわたりまして掘削をされており、それから水平に坑道が展開されるわけでございますが、それらが全部崩壊し埋まってしまうわけでございますから、いわば一から再開する場合には炭鉱を掘り直さなきゃいけないという状況でございまして、数十億から数百億の費用が必要であるというふうに闘いでおるわけでございまして、膨大な費用がかかるわけでございます。一つ炭鉱の従業員を全部ほかの炭鉱に移すということでございますが、これにつきましては、基本的に炭鉱経営というのは私企業の経営体制の中でやっておりますので、どのような配置転換にするかは企業の問題でございますが、いずれにしても現在十炭鉱しか残ってないわけでございまして、その一つについて現在閉山交渉が行われているわけでございますので、なかなかこれを吸収するべきほかの山というものがないというようなことでございまして、現実にはなかなかそういった問題は困難ではないかというふうに考えております。
  116. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 今のに関連しまして最後に一つお聞きしたいのは、それでは一体究極的に閉山した炭鉱の従業員をどういうふうに救っていくのかという問題ですが、これについて政府のお考えは究極的にはどう考えておられるのですか。
  117. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) 先ほど生活の安定という面での雇用保険あるいは就職促進手当の御説明をさせていただいたところでございますが、私どもといたしましては、もう一つ再就職の促進というのが私どもの行政の使命となってございます。今お話しございましたように、一つは地元で雇用機会をつくるということが基本でございまして、さきの国会で地域雇用開発等促進法を成立させていただきましたので、これを積極的に活用いたしまして、今現実に三井砂川会社側から幾つかの提案がございますが、これをできるだけ積極的に活用してもらいまして、一人でも多く地元雇用機会をつくるということを基本に考えたいと思っておるわけでございます。  それから二番目は、そういたしましても下請関連等を含めますと相当数の離職者が出てくるということで、地元の雇用機会は、なかなかそこの中で全体を吸収するということは非常に難しいという問題がございますので、私どもといたしましては、再就職の援助措置といたしまして他産業への転換のためのいわゆる訓練、あるいは全国的に配置されております安定所を通じましてできるだけ多くの求人を確保していく。そういう中で、移転のために必要な住宅の確保あるいは移転費の支給、そういうことを通じまして全国的な形で再就職の促進に全力を挙げるということで考えでございます。
  118. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まず最初に、八次政策によって山は急激につぶれていってしまうということになるおそれがあるので、その問題について伺っていきたいと思います。  最初に、八次政策によって各山元では閉山縮小計画を出していると思います。六十二年度の生産計画と六十一年度の生産実績、各山ことにどうなっているか、お知らせいただきたい。
  119. 高橋達直

    説明員高橋達直君) まず六十一年度の国内炭生産実績を申し上げます。全体で千五百二十万トンでございまして、各炭鉱ごとでは、これは順不同でございますが、太平洋炭礦が二百二十九万トン、空知炭礦八十九万トン、三菱南大夕張炭砿百十八万トン、住友赤平炭砿八十九万トン、三井三池炭鉱四百十四万トン、三井芦別炭鉱九十六万トン、三井砂川炭鉱七十七万トン、池島炭鉱百四十三万トン、北炭真谷地炭鉱六十四万トン、北炭幌内炭鉱百六万トンでございまして、その他中小炭鉱が六十一万トンの生産となっております。  六十二年度の生産計画でございますが、既に労使間で合意済みのものといたしましては、太平洋炭礦が二百二十万トンの方針が決まっております。空知炭礦八十五万トン、三菱南大夕張炭鉱七十七万トン、住友赤平炭砿六十二万トン、三池炭鉱三百八十万トン、芦別炭鉱八十万トン、池島炭鉱百三十五万トンが労使で決まっております。砂川炭鉱につきましては御案内のように現在閉山前提にした労使の交渉が行われております。また北炭の真谷地、幌内につきましては現在会社側閉山計画が検討中ということでございます。
  120. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今お知らせいただきましたが、主要炭鉱十一のうち高島が六十一年の秋に閉山されています。六十一年度に比べて今の数字比較してみますと、約二百二十万トンの減少という数字が出てまいります。通産省はなだらかな閉山縮小するんだ、急激な閉山縮小はしないというふうにおっしゃってきたわけでございますが、六十一年度千七百万トンをベースにして、八次の場合にはこれを千万トン体制にするということでございますね。そうすると、千七百万トンを千万トンにするためには七百万トン減らさなきゃならない。それを六十六年度までするということになると、六十二、六十三、六十四、六十五と、ここで七百万トン減らしていかなければならないというわけです。  そうしますと、一年に直して大体平均して割っていきますと、百七十五万トン毎年減らしていってその目標になるということになるわけです。百七十五万トンやっていけばいいという数字なんだけれども、今の状態で見ますと実際には二百二十万トンという縮小になっていますね、実質的に。その予定よりも五十万トン減っちゃっている、その数字でいきましても。五十万トンというとちょっとした山一つ掘らなくても済むということになっていくわけですよ。そうすると山どんどんつぶれなければならない、こういうことになっています。  しかも、今の数字の中で大きな問題は、北炭の真谷地と幌内、まだ計画が上がってきてないということを含めての数字です。そうしますと、この真谷地というのは御承知のように、石鉱害でも指摘されているとおり夏に閉山というようなことが言われているわけでございます。鉄鋼が引き取らない。貯炭は急増する。退職金は真谷地の場合は二十六億ということになります。それから資金ショートで賃金ももらえない。結局国の資金を投入しなければならない。調べてみたら市税は払えない。約三億六千万市に対する滞納というのがございますね。それから厚生省に伺いましたら、社会保険料、健保が一億、厚生年金四億三千万円の滞納をしている。こういうような状態になっているわけです。  こうした真谷地、幌内を含めないで既に二百二十万トンの大幅な急激な縮小ということになっているわけですよ。現実に、今おっしゃったとおり。これではどんどんつぶされていってしまう、山つぶしになるんだということを言わざるを得ないんです。その点どうですか。
  121. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 御指摘のように、六十二年度の生産計画まだ一部決まってないところございますけれども、積み上げてまいりますと、中小まで入れますと約二百十万トンぐらいの数字になろうかと思うわけでございますが、大手の場合には二百万トン強というようなことに相なるわけでございます。  私ども八次答申の中でなだらかな段階縮小雪崩閉山防止という観点を強く認識しておるわけでございますが、その場合のなだらかな縮小というのは、やはり地元に対するインパクト、それから雇用に対するインパクトという観点かと思うわけでございまして、特に大手の十炭鉱の動向が非常に大きな影響を持つわけでございます。そういう意味では大体二百万トン程度の現在ペースでございます。さらに、そういう地元あるいは雇用という観点から考えてまいりますと、残念なことではございますが、高島炭鉱の場合には六十一年度の閉山ということに相なりましたが、十一月二十七日ということでございますので、六十一年度には三十万トンぐらい生産計上してございます。したがいまして、高島を除く十炭鉱の六十一年度と六十二年度の計画の比較となりますとその分だけ少ない数字になるわけでございまして、必ずしも生産縮小がそのまま集中的閉山あるいは雪崩閉山ということには相ならないと思いますけれども、一応のメルクマールとしてはそういうことでございまして、大体八次策検討時の想定とそれほど乖離しているとは思っていないところでございます。
  122. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それほどではないとおっしゃるけれども現実に調べていってみるとそんな簡単なものではない。そして、やはりどんどんつぶされていくということはこれは否めない事実です。私がきょうこの問題取り上げたというのは、もう閉山しなければしようがないんだ、後の対策はどうするんだというようなところに今いくんではなくて、こういうことがずるずると起きてしまったらもう山もめちゃくちゃになっちゃうよ、だからここのところでひとつ、一体なぜ閉山に追い込まれるかという基本的な原点をもう一度見詰め直したいと思って今質問を申し上げているわけなんです。  実績でいって大体千七百万トン体制というのが七次の終わりでしたね。そうすると、八次は千七百万トンをベースにして進んでいかなければならないということは当然だと思うのです。ところが、六十一年度の実績というのを見てみますと、千五百二十万トンだったということです。それに今度、六十二年度計画的に見ると千三百十万トンないし千三百二十万トンというふうに出てくるわけでしょう。  そうしますと、本当ならば千七百万トン体制をベースにして年々なだらかに減らしていくということにならなければならないのだけれども、結局千五百二十万トンというこれがベースになる。だから六十二年度には幾らになるかというと、これから二百万トン減らして千三百二十万トン体制だ、いや、体制というより実績になってしまう、六十三年は千百二十万トン、六十四年には九百二十万トン、六十五年になると七百五十万トンという数になっていってしまうわけです。何でそんなことになるかといったら、千七百万トンベースにしなければいけないのに千五百二十万トン六十一年の実績というところから始まっているからどんどん下がってきているというところに私はからくりがあると言わざるを得ないわけですよ。だから、やはりきちっと政策として出されたそれを計算する体制をどうするかというときには千七百万トンペースで八次というものは進めなければならない。実績の千五百二十万トンベースから進んでいくからこれはひどいことになるよと言わざるを得ないと思う。そういうことになりますでしょう、理論的に。うんうんと言っていらしたからそうだと……。
  123. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 七次策の最終年度六十一年度は千七百万トンとおっしゃっておられるわけでございますが、確かにそのとおりでございまして、得心がいっていたわけでございますが、供給合計で千六百九十九万トンが実績でございます。正確に申し上げますと千六百九十九万トンが実績見込みでございまして、これを称して千七百万トンということでございますが、この中にいわゆる雑炭が百七十九万トンございまして、したがいまして、大中でつくります生産の合計としては先生おっしゃるような千五百二十万トンということになるわけでございます。  今回の八次策におきましては供給合計の千七百万トンをおおむね一千万トンにするわけでございますので、その中には雑炭なども規模縮小の対象として含まれるわけでございますが、現在のところの動向を見ますると雑炭の方はそう減ってないようでございます。これはいろいろなルーツから出てくるわけでございまして、なかなか把握が難しい面もございますが、現在のところ雑炭の方の供給はそんなに減ってないということでございます。現在はいわば大手の生産の減少の方が先行しているという状況ではないか。したがいまして、これが、千五百万トンがずっと今のようなペースで減っていくということにはならない、と言い切ることはなかなか難しいかもわかりませんけれども、ならない可能性は十分にあるというふうに思っておるところでございます。
  124. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 雑炭が出てきたりなかなかややこしい計算で、幾らでも膨らましたりへこましたりできるから明確にはお答えになれなかった、そう思うわけなんですが、それじゃ具体的に六十年度と六十一年度の供給と需要の実績、数字でお知らせください。
  125. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 六十一年度の供給の実績は先ほど申し上げましたが、千六百九十九万トンでございます。これに対しまして需要の方でございますが、現在まだ集計をしていないところでございますが、一部実績見込みということでまいりますと千四百六十万トンを見込んでおるというところでございます。
  126. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 六十年……。
  127. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 六十年度の実績につきましては、需要が千七百八十万トンでございます。供給の方が千八百二十一万トンでございます。
  128. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういう数字で見ますと、六十年度の供給と需要の差というのは四十一万トンですね、今の数字で差し引きしますと。そして六十一年度の需要と供給の差というのが二百三十万トン、今の数字で差し引きいたしますとそういうふうに出てきます。この数字が事の本質を物語っていると言わざるを得ないと思うわけなんです。六十一年度千七百万トンベースと言いながら、既に需要は千七百万トンをもう大幅に割っているわけです。極端に下がっているということはこの数字で否めないと思う。ここが問題なんだと言わざるを得ない。さっき言ったように、六十年度の需要と供給の差は四十一万トンだったのに、次の年、六十一年度は供給と需要の差が二百三十万トンという大きなギャップをつくり出したわけなんです。  結局、六十一年度は七次政策の途上ですね、この前も言ったけれども途上なんだと。それにもかかわらず、これだけ二百三十万トンも広げたというベースに減らして入っているということは、七次政策の途上にあるにもかかわらず既に八次政策の先取りが二百三十万トン行われていると言わざるを得ないと思うのです。本当ならまだ七次ですから、それなのにもう二百三十万トンもギャップが出てきたということは、これだけ差が出てきたということは八次政策の先取りの数字になっているということが言えると思うわけですよ。需要サイド、とりわけ鉄鋼原料炭六十二年度は下回るベースで来ているわけ。となると、ますます生産規模というものは縮小しなければならなくなってしまう、需要に見合った生産ということになれば。こうなってくると、六十一年度は七次政策段階なのに、これがどんどんもう八次の先取りしちゃって少なくなっているということになっているところが問題だと思う。  七次はさっき言ったように二千万トン体制というふうに言って、六十一年度は千七百万トン体制になったわけだけれども、七次で言われていることは、「国内炭生産側の条件その他の諸事情を考慮し、当面これまでの慣例に沿った価格での引取の協力を求めることが適当である」、こう言われておりました。これはこの前も言ったわけです。だから、生産が千七百万トン体制というのであれば需要も七次の千七百万トン体制需要を確保していかなければならない。これに早急に努力をしなければ結局するずると需要が少ないよということで生産縮小されていくということになると言わざるを得ないわけなんです。当然、千七百万トン体制生産をするのである、供給をするのであるというならば、それと同じように需要も千七百万トン体制のベースで早急に努力して初めて合うわけです、七次政策ね。それは当然のことでしょう。できなかったといういろいろな事情はあってもすべきであったということは当たり前のことだと思うのだけれども、どうですか。
  129. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 御指摘のとおり六十一年度というのは七次政策の最後の年でございまして、七次政策においては需要家との関係においては国内炭を優先的に引き取るという原則があったわけでございまして、結果的にはおおむね千八百万トンぐらいの水準で引き取りが行われていたわけでございますが、そういう観点からいたしますと、昨年という時期は非常な円高の進行その他で非常に需要家の経営環境が悪くなったということもございまして、七次の政策需要家の協力という観点でいわば実行が不可能になり、その結果として需給両業界あるいは通産省も大臣以下が入りましていろいろな調整が昨年度についても行われた、七次政策の最後の年においても行われ、同時に八次政策の五年間の期間についてどうするかも行われたということでございまして、そういう観点からまいりますと供給の方が需要をどうしても上回るという状況が出てまいりまして、そこを貯炭管理会社買い上げ会社である新共同石炭でとめていこうという考え方で新しい政策をとり、その需給ギャップを埋めるという格好で八次政策を進めたいと思っております。
  130. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、主な原因というのは、鉄鋼というのが大きな需要の先だと思うのだけれども、六十年度の引き取りは三百二十万トンだった。六十一年度は今おっしゃったようないろいろな条件で半分の百七十万トンにした。こうすると一つ二つ炭鉱はこれでつぶれていってしまう。急激な減少になっていくわけです。今言ったように七次の途上なのにこうやってつぶされていっていくよということをまた重ねて言いたいんです。  それで、六十二年度は六十一年度をベースにして半減だと言う。そして最近は百四十円レートだと四割しか引き取らないというふうなことを言っています。これだと六十八万トンぐらいしか引き取らないということなんだけれども、これ事実ですか、こういうふうに言っていることは。
  131. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 事実ではございません。
  132. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 事実だったら大変なことになりますから事実でないと。でもどこかから煙が上がっているというのは、そういうのが火種が残っているんだということが私は否定できないと思うのです。  そこで、この問題、鉄鋼に対してもっと七次政策で決めたように早急に需要として引き取るように指導してほしいということを前の委員会でも申し上げました。それが基本的に行われないと、どんどん減らされていって山がつぶされていってしまうということになるんです。どこに売れるか、売り先をしっかりしないと山というのはつぶれていってしまうんだから。  そこで、先ほどからのことを伺っていても、やはり業者と鉄鋼との関係で、お話し合いをうまくいくようにするのを見守っていくみたいなお話がありましたけれども、ここで言いたいのは、両業界と話し合ってとおっしゃいますけれども、片一方は力が強い、片一方は弱い者そしてお願いする立場ということになると、もう話し合いといってもこれは私は無責任だと言わざるを得ないわけですよ。現実には、需要が全然固まっていない、当てもなく山の方は掘らなきゃならない、貯炭はふえるばかりだということですね。そして経営は危機的状態になっている。  本来、需要は三月から四月に固まり、年内に生産量も決めなきゃならないというわけでしょう。そうすると、業者間で話し合いなさいというふうに静かに見守っているなんという態度では私はだめだと思うのです。そこのところはやはり大臣大臣お出ましのときですよ。ここのところで大臣お出になって、七次政策に乗って、そしてあなたの方もしっかり買ってくださいよということを強力に私は指導していただかなければならないと思う。  なぜ、なぜそれをしなければならないかといったら、七次政策というのを決めたわけでしょう。決めたものを無視されているわけですよ、業界のいろんな理由だということになっている。つまり、みずからの決めた政策をゆがめられていっている。これ仕方がないわというのなら政策は要りません。通産省なんてのは要らなくなるわけです。みずから決めた七次政策を貫徹していってこそ政策の名に値すると思うのです。そういう立場から大臣にひとつ、大変だけれども鉄鋼に対して、いろいろな理由はあると思う、鉄鋼の方も大変かもしれないけれども、山で働く労働者はこれがつぶれちゃったらもう生きていけないんだから、そういう立場に立って強力な政治的な御指導をなさるべきだと思う。やっていただきたいと思う。そしてやれる力を持っていらっしゃると思う。いかがですか。
  133. 田村元

    国務大臣田村元君) 指導と言えますかどうですか、とにかく民間の契約問題ですから、我々としても率直に言ってお願いはしておるんです。  ただ、先生、お聞き願いたいんですよ。鉄鋼強いとおっしゃる。鉄鋼強いとおっしゃるけれども、設備休止が、稼働高炉が三十四基が二十八基になるんですよ。それで、人員削減鉄鋼部門で四万人の合理化なんですよ。これを強いという表現は僕はできないと思うのです。  ですからやはり、例えば先生が石炭を問題にしないで鉄鋼を問題にされて質問なさるときは、やはり鉄鋼は大変だ、どうするんだとおっしゃると思うのですよ。鉄鋼は強いからほっておきなさいとは恐らくおっしゃらないと僕は思うのです。どうでしょうか。うなずいておられるから大丈夫だと思うのですけれども
  134. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ゆっくりやりましょう。
  135. 田村元

    国務大臣田村元君) ですから、やはり鉄鋼に、悪い表現で言えば買わせなきゃいけない、いい表現で言えば買ってもらわなきゃいけないわけです。  でございますから、本当に苦労しておるんです。苦労しておるんですけれども、やはりそれはこういう御時世でこういう内容ですから、決めつけられてしまえばそれはこういうことですから力至らざるを恥じるばかりでありますけれども、とにかく一方で、四万人も合理化をしよう、高炉はどんどん火を消そうという者に言うなれば押し売りをしておるわけでございますから、そこらの苦労というものはひとつぜひお察しをいただきたい。心優しくお願いをいたします。
  136. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いや、心優しいんだけれども、ごまかされませんよ、私は。  ということは、鉄鋼四万人減らすだとか高炉の火が消えると言うけれども、じゃ鉄鋼そのものはどういうことをやっているか。国内ではそうやってつぶしていわゆる問題の産業の空洞化ですよ。どんどん海外に、新日鉄にしたって資産を入れて開発しているでしょう。だから私は、日本の鉄鋼が大変だというのじゃなくて、鉄鋼全体として今何やっているというようなことから考えれば、もう炭鉱で生活しているその人たちの生きるか死ぬかの問題とは次元が違うと。これはおもしろい問題だから後でゆっくりやりましょう。  だけれども鉄鋼決してそんな簡単に、弱い、大変だなんていうのには私は同調しません。それだけはっきり申し上げて、しっかりやってもらいたい、山の人は生活できないんだから。鉄鋼はいろんなところへ進出して生き延びていっているんです、生き延びるためにやっているということね。もう時間がないからたくさん言えなくて残念ですけれども。  それでは次に、ちょっと急いで言いますけれども、三井砂川閉山問題なんですが、三井砂川の山というのは三井の三山の中で足引っ張りになっているというふうによく言われているわけです。ところが、この八次政策で新たに政策補助が加えられていますね。いろいろ手厚く、手厚くと言えるかな、政策補助が加えられていることを考えまして、そして砂川で分析してみたんですよ。そうしますと、第一の問題として、この間調査に行って会社の資料ももらって、そしてやってみたんですけれども、露頭炭がありますね。閉山はするけれども露頭炭六十二年度三十万トンの生産をするというふうに会社でも言っています。これ三十万トンやるというのは、会社の出しているとおりなんだけれども、そういう計画になっているのは御承知でしょうか。認めていただけますか。
  137. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 会社計画として三十万トンの露頭炭を六十二年度に行いたいという計画は承知しております。
  138. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それで、六十一年度の実績は十八万トンなんです。露頭炭でトン当たり四千四百円の利益を上げているんですね。これみんな会社から細かい数字もらってきて見ました。トン当たり四千四百円の利益を上げている。三十万トンを六十二年度やると言いますね、今まで十八万トンだったけれども三十万トンにふえます。そのふえた分にトン当たり四千四百円の利益を掛けますと、砂川会社で言いますと、これだけで五億三千万円という利益になるんです。これが第一です。  それから第二は、八次政策で新たな政策補助というものが出されて、これを当てはめますと、減産加算というのがございますね、この減産加算で安定補給金というものが上積みされました。トン当たり六百円上積みされているわけです。六十一年度は七十七万トンだったけれども、仮に七十万トン生産をして、そしてこの上積みされた分というものを掛けますと、今度の八次政策で上積みされるんですから、これで四億二千万円もらえます。プラスになって入るわけです。同時に、保安補助金というのも八次で手厚くしていただいたということで、保安補助金も補助率七五%から八〇%にアップされた。六十一年度の保安補助金の実績は四億一千万円だったんだけれども、これが五%この八次策でアップされますと、これで約三千万円増額になるんです。そうすると、露頭炭を来年たくさん掘るからこれで五億三千万円入りますよ。そして、安定補給金だとか保安補助金というもので八次で手厚くしてもらったからこれ増額になりますよ。増額分だけでこれで十億の利益になるわけです。十億楽になるわけです。  そのほかにNEDOの経営改善資金の金利負担が六・二五%から三・七五%、そうすると二・五%楽になるわけです。計算するとこれもこれに上積みされてくるわけです。  私が好きでやっているのではなくて、実績と、そしておたくの政策でこういうふうになりますというのを当てたんですよ。そうすると、砂川炭鉱十億だか十二億たかの赤字だからこれもうだめだ、こう言われるけれども、今言ったような八次政策政府の補助によってつぶさなくても済むわけですよ。十億はもう完全にもらえるんだし、NEDOのを加えれば十二億ぐらいになるだろう。赤字解消できるのですよ。何でそれなのにつぶさなきゃならないのかということです。これだけの手厚い補助をして、これを適用されれば生き残れます。何でそれができないのか。時間がなくなってしまったから簡単に答えてください。
  139. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 三井砂川炭鉱につきましては、六十一年度でトン当たり三千円ぐらいの赤字になる。これは対策補助金を入れた後でございまして、特に事故を昨年起こした関係で今後費用の増高がさらに見込まれるということが一つあるわけでございます。  他方におきまして、露頭炭の増産という問題でございますが、これは会社側の説明によれば、芦別炭鉱との連携において考えていきたいということでございまして、いわば会社の収益計画といたしましては、芦別の坑内掘り及び露頭炭、砂川の露頭炭をもって何とかそこのところの経営をやっていきたい、こういう説明でございます。
  140. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 今言ったのは砂川なのよ。砂川で聞いてきたんです。砂川計画であり、砂川の実績をもとにして言ったんです。そこのところちょっと見解違うけれども、はっきりさせましょう。だから、私が聞いてきたとおりでいったら、砂川はやめさせなくてもいいです、閉山しなくてもいいですということだけはっきり私は理論づけることができたと思います。  さて、閉山には労働組合も土砂川町も商工業者、みんな反対していますから、この反対がある限りといいましょうか、同意もないままに閉山強行ということがあってはならないと思うのですが、これ見切り発車みたいに、同意がなければやっちゃうよという考え方なんですか。その辺のところ、大臣どうですか、同意ないときはやらせないと。
  141. 田村元

    国務大臣田村元君) これはあくまでも会社経営判断の問題だろうと思います。ただ、だからといって当然労使間の協議というものは十分になされるべきだ、それは当然のことでございますけれども政府が国家公権力をもって介入する問題ではないというふうに思います。
  142. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、動燃お待たせしました。  この間ずっと山を歩きまして、今お話ししましたように三井砂川もずっと入ったんですよ。そこで、地方新聞一面トップに出ていましたし、どういう問題かというと、動燃が閉山跡に放射性廃棄物の処理処分関連施設として研究するのではないかということで地元で大きな問題になっているわけです。  昨年の六月、あなたが幌延の参考にしたいということで放射性廃棄物の処分の研究ということを目的として立て坑に入られたということなんですね。砂川炭鉱労働組合会社も知りません。そしてそれは下請の三井建設を通して、そしてあなたの身分は言わないで入られた。これに対して土砂川の町も労働組合会社も道も明確に、こんなことがあってはならない、放射性廃棄物の処理の問題との関係であってはならないことだ、そういうふうに明言していました。当然あなたもそういうことは考慮をされるだろうし、入られたのに何で身分を隠さなければならなかったのかなんという問題も出てくるし、廃棄物の処理処分の研究等にすることはないですねと私は確認したい。あるかないか、簡単なことなんだけれども
  143. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 先生指摘のように、昨年の六月でございましたが、炭鉱を見せていただきました。動燃では、かねがね国内外を含めて勉強のためにいろいろな立て坑を見せていただくということをやっておりまして、私のみならず、動燃の研究員の皆さんにも機会をとらえてそういうところを見ていただくように指示をしておったところでございます。たまたま三井建設さんの方から、砂川には深い立て坑があるのでこれを見られたらどうかというお申し出がございましたので、立て坑を勉強のために見学させていただいたわけでございます。  また、ことしの春ごろだったというふうに記憶しておりますが、会社の方から、三井石炭の方から、担当者レベルではございますが、動燃の方に対して、何か使う道はないかという御相談があったというふうに聞いております。動燃の方でもいろいろ検討しようかなと思っておったやさきでございますが、しかしながら、その後三井石炭さんの方から、動燃関係の業務は今は考えていないのでというお申し出がございましたので、現在は検討そのものも差し控えさせていただいております。
  144. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ちょっと後ろの方、私が聞いた廃棄物の処理処分に関係して、ここの土砂で研究するというようなことについては考えていませんか。
  145. 植松邦彦

    参考人植松邦彦君) 会社の方からは特に廃棄物ということのお申し出があったわけじゃございませんが、動燃として何か使うことはないかという御相談があったというふうに伺っております。  それに対しては、廃棄物だけではなくていろんな面で検討しようと思っておったんですが、その後会社側の方から、動燃関係業務は考えていないというふうにお申し出がございましたので、動燃としては検討そのものを現在は差し控えさせていただいております。
  146. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いよいよ時間がなくなってしまったんですが、大事な問題が残ってしまったんですよ。質問みんな続けてやりますから、頭を整理して聞いておいてください。私の時間三分だっていうから、三分で質問しますから。  一つは簡単なんです。北電の九十万トン分は心配ないよ、ほかの電力会社に使ってもらうから、こういうことですね、今言われているのは。国内炭心配ありません、九十万トンはほかに使ってもらいます、東電、中電、関電が受け入れ、引き取りということで影響ない、こう言っているわけです。私は、それはそれで結構だと思うのだけれども、これは六十二年度そうなんですね。六十三年度以降、そういう関係業界が受け取ってくれるのか。六十二年度だけなんということであれば、今年度だけ受け入れて九十万トン、海外炭に切りかえてしまって後は知らないよとなったら全く無責任だと思う。六十三年度以降はどうなんだということを、簡単ですからお答えください。  それから下請の問題なんだけれども、これは大臣に政治的な御答弁をいただきたいと思うのですよ。と申しますのは、閉山縮小計画というものがどんどん出ていますと、その前ぶれで、どうせ山はだめになるんだということで、下請関連の会社の切り捨て、労働者の解雇というのがもう現実に起きているわけです。北海道各社下請の契約解除がなされている。八次政策規模縮小交付金というのが考えられた、新たな施策がございます。また、労働省関係で先ほどから言われていた特定不況業種の指定に伴ういわゆる緑の手帳、そういうものが、ございます。  これで私が言いたいことは、これらの北海道で今切られている中で心配なのは、四月一日前に切られている。四月一日前にということになるわけです。そうすると、規模縮小交付金そして特定不況業種指定に伴う政策の対象にならないのではないかという心配があるわけなんです。二月末に三井砂川の下請は四十九人、三月末には三井芦別の下請が六十六人といるわけですね。そういう者を含めて出てくる。実際伺って、もう実行されている問題としては、高島が閉山になりましたね。それは去年の十一月のことです、高島は。十一月に閉山になったんだけれども、これは八次の今言ったような政策の対象として助けたわけです。高島でそういうふうに助けましょうというので八次の政策を、去年の十一月に閉山になったけれどもこれをかぶせて救ったんだということです。  そうすると、閉山縮小でどんどん下請が首切られていくという中で、その趣旨に従ったらこういう今言った下請なんかの解雇だとか契約解除というようなものも高島に倣って、去年十一月に高島やったのにそれ救われた、その後に起きたおれたちは何で救われないかというような問題になってくるわけですよ。だから、ことしになってとか去年の秋というようなときにやられた人たちのその問題については高島に倣う、高島は十一月だから、十一月以降の人たちはこれに該当させる、離職金の対象というようなことだとか、それから特定不況業種の緑の手帳の対象にするとかいうようなことはしっかりお願いをしたいと思うのです。特に離職、退職というような問題、一月以降になっているわけですね。一月以降は対象とすると離職金の問題おっしゃっているけれども、労働省の方の緑の手帳の場合には高島以降これをかぶせているわけです。労働省は高島以降かぶせてやってくれているのに通産省の方が離職、退職は一月以降です、こういうふうに冷たくやられてしまうと困る。  それから解雇は三カ月以内に申請しなければならぬというのもありますね。これ知らないでいるという山の人がこの間行ってみたら随分あったわけです。だからその辺のところ、一月以降というふうに規模縮小交付金決められているけれども大臣がその辺のところは高島と同じような問題として救うという立場で運用して、そしてこの人たちがこの政策の恩恵にあずかれるようなそういうことを私はやはり大臣の立場でしっかり検討して考えていただきたいというのが大臣へのお願いなんです。その辺のところよろしくお願いします。  それから労働省にちょっと伺いたいんだけれども、以前に前の炭鉱で黒手帳を交付されていた、そしてその途中で再び炭鉱に入ったというような場合、黒手帳の残余期間、黒手帳が残っていますね、使わない前に入ったんだから。残余期間があるとき、残余期間分黒手帳の再び交付対象になるというふうに考えられるんですが、そのとおりだと思うのですが、どうですか。そして同時に、その残全部分について緑の手帳との関係、これについてはどうなのかということをお伺いしたいわけでございます。どうも済みません。最後に詰め込んでしまって申しわけありません。よろしく御答弁お願いします。
  147. 浜本万三

    会長浜本万三君) 相当時間が超過していますから簡潔にひとつ……。
  148. 岡松壯三郎

    説明員岡松壯三郎君) まず御質問の第一点お答え申し上げます。  六十二年度につきまして、御指摘のように九十万トンの減少分を三電力で引き取るわけでございますが、これはあくまでも先ほどお話ししましたように六十二年度の措置として決められているものでございます。六十三年度以降どうなるかということでございますが、電力業界の全体の引き取り量の中で毎年度業界内で調整するということになっておりまして、各社の六十三年度以降の具体的な引き取り量というのは残念ながら現時点では決まっておりません。しかしながら、電力業界全体として八次対策の中で当面一千万トン、最終年度で八百五十万トンということで対応していくわけでございますので、業界内におきまして適切に調整が行われ、確実に履行されるというふうに承知いたしておる次第でございます。
  149. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 下請労働者の離職金問題につきましては、大臣へのお尋ねでございますが、若干事務的な問題もございますので、とりあえず私から答弁させていただきます。  この制度は御案内のとおり今年度からの制度でございまして、本来四月から実行すべきものであるわけでございますが、予算の、予算と申しますか、補助金の配付の問題とかあるいは技術的な問題も含めまして一応基準を三カ月さかのぼりまして、暦年ベースで一月から十二月までのものについて適用するということでございます。そうなりますと、二月末のものは対象になるわけでございますが、残念ながら高島の下請の場合には適用にならないわけでございますが、この高島の下請に適用するかどうかについては、これは非常に閉山交付金制度というもとになる制度の体系にかかわる問題でございまして、御説明申し上げますと非常に長い話になるわけでございます。  端的に申し上げますと、閉山等に伴って直接に債務負担ですか、発生すも債務を対象に物事を考えているということでございますので、下請は別の契約関係になっておりますのでなかなかそこまで適用できない。しかし、離職金という制度を特に下請についても適用をしているわけでございますが、それもやはり技術的にさかのぼるのがことしの一月というところが限界であろうというようなことで、できるだけ頑張ったつもりでございますけれども、そこまでさかのぼった次第でございます。
  150. 田村元

    国務大臣田村元君) これは実は責任があるといえば私にも責任があるわけなんです。善意でやったことでございますけれども、この問題は新年度からでございます、予算事項でございますから。そこで、当初は四月からということでございました。けれどもそれじゃ余りにもむごいじゃないかというので、大蔵が何と言おうと私は頑張っておる、暦年で突っ張ってこい、こう言って実は暦年で突っ張らせたんです。それで一月まで実はさかのぼったんです。ただ、十二月まで、十一月まで、そうなると今度は十月をどうするかという問題が起こりますのでね。ですから責任があるといえばあるんですけれども、逆に言えば一月からと、暦年ということで突っ張り抜いたということは、これはひとつおくみ取りをいただきたいんです。随分これ、財政当局は抵抗したんですよ。それを随分、もうそれをうんと言うまで帰ってくるなとまで言いまして、それで頑張らせたことでございますので、そこらはどうぞひとつ御評価願いたいと思います。
  151. 甘粕啓介

    説明員(甘粕啓介君) まず黒手帳の関係でございますが、有効期間を残した人たちにつきましては、原則的には残りの期間は有効である。ただし一年未満の人がございますので、一年未満の人は一年間有効であるという措置をとってございます。それから緑の手帳との関係でございますが、これは両方とも申請するようにという指導をしてございまして、黒手帳と緑の手帳と両方が支給されるという格好になります。したがいまして、黒手帳を一年間の人は一年間、黒手帳の方が有利でございますからこれでいきまして、残り二年間が緑の手帳に移る、そういう仕組みになってございます。
  152. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 はい、わかりました。
  153. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 石炭の八次政策国内炭問題についてはもうほとんど出尽くしておりますので、八次政策の中でその他の問題についてちょっと触れてみたいと思います。  エネルギー政策というのは長期安定、豊富低廉、これが一つ基本原則だと思うのであります。それに基づいて政策が立てられ、その時代の変化、経済性の規模の拡大、あるいは新技術の導入によってそれぞれのエネルギーのウエートも変わってくる、また、これからもさらに変わっていくだろう。そういう中で、やはり石炭というのは化石燃料の中でも最も資源量が豊富でありまするし、また地域的な偏在性も比較的少ない、したがって相当長期にわたり安定供給が期待される、こういう面で太平洋コールフロー構想というのが出ておりますけれども、それについての基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思います。
  154. 野々内隆

    説明員野々内隆君) 太平洋コールフロー構想でございますが、これは太平洋地域、ASEANが特に大きいかと思いますが、この太平洋地域で今後かなりの経済成長が見込まれる、それに伴って当然エネルギー需要もふえてくるに違いない。そうすると、これに安定的にエネルギーを供給するということが世界全体のエネルギーの安定に非常に重要である、こういう観点にまず立っておりまして、そこでこれを満たすのに最も望ましいのが石炭であろう。石炭は石油に比べて埋蔵量も非常に多いし、かつ供給も地域的に分散をし、供給国も政治的にも安定をしている。かつ、アジアに相当程度埋蔵量がある。こういうことでこの伸びるエネルギー需要と安定的な供給ソースというものを結びつけたわけでございます。具体的には、今後供給面の開発それから利用面における協力、こういうものを通じましてアジアの安定的なエネルギー供給を通じて安定的な経済発展を図っていきたい、そこで日本もいろいろな面でお役に立っていきたい、これが太平洋コールフロー構想の基本的なイメージでございます。
  155. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 基本的な構想はわかったわけなんですけれども、具体的なプロジェクトの進捗状況といいますか、各国への働きかけ、ASEANあるいは関係諸国ですね、その実績についてお尋ねします。
  156. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 太平洋コールフロー構想の具体化の問題につきましては、外務省も入っていただきまして、通産省と一緒になりまして太平洋エネルギー協力会議というのを私どもから予算的な補助も入れましてやっているわけでございますが、昨年四月、ことしの三月と、もう二回開いているわけでございますが、そこで私どもから関係国に説明をし意見交換をしているところでございまして、かなり関係者の理解を得ていると思っております。  ASEANを中心にいたしまして非常にこのコールフロー問題について発展途上国側でも熱意を示しておりますが、具体的なプロジェクトといたしましては、ことしの六月に特別円借款の供与が決定いたしましたフィリピンのカラカニ号石炭火力発電所の建設プロジェクト、それから現在民間ベースの総合的なフィージビリティースタディーが実施されておりますインドネシアのスマトラ中部のオンビリン石炭火力発電所、それからその地域の石炭資源開発プロジェクト、これらが進行中でございまして、こういったプロジェクトの要請が今後もいろいろ出てくることと思っておりまして、積極的に日本としても協力をしていくという考えでございます。
  157. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 現在米国とかあるいは豪州の対日石炭輸入に対する圧力というのがあるわけですけれども、これに対する関係とコールフローの構想について、圧力緩和にもなりますけれども、場合によってはまた違う状況が出てくるかと思いますが、問題は、米国及び豪州の対日石炭輸入圧力に対する回避及びその構想推進の関係といいますか、その問題についてお尋ねしたいと思います。
  158. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 御指摘のように、世界の石炭市場が現在供給過剰でございまして、お話のございましたように、アメリカ、豪州その他からかなり日本への買い付け要求が行われているところでございますが、他方におきましてこのコールフロー構想のもとになりますASEAN諸国の石炭需要というものを考えてまいりますと、一九九五年での私どもの試算でございますが、ASEANとアジアの近隣諸国などを対象にいたしますと、おおむね五千万トンの需要増が現在からあるというかなりな大きなものでございまして、この構想が進みまして、石炭の消費が潜在的なものから顕在的に具体的、現実のものとして消費されることになりますと、中長期的にはやはり環太平洋のアメリカ、豪州からも輸出がその地域に行われる可能性もあるということで、環太平洋地域の貿易の円滑化に寄与するということでございまして、現在の買い付け要求に、輸入増大の要請に見られるような石炭市場の供給過剰状態が一方においてASEAN諸国の需要開発によりまして円滑なことになる可能性が強いというふうに考えております。
  159. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 では最後に、そういう可能性を持っておるわけですけれども、今後のこのような構想に対する日本としての具体的な推進方法、役割というものをどういうふうに考えておられますか、お尋ねしたいと思います。
  160. 高橋達直

    説明員高橋達直君) 先ほど来御説明申し上げておりますように、太平洋コールフロー構想の推進に当たりましては、火力発電所の建設等のプロジェクトを育てていくことが大事でありまして、これに関連しまして石炭資源の開発あるいはインフラの整備あるいは石炭利用技術の普及というようなことが重要になるわけでございますが、これらはいずれも我が国の経済協力あるいは技術協力の対象になり得るものでございまして、我が国のそういった国際協力の諸制度を総合的に活用することによりまして大きな寄与ができるのではないかというふうに考えております。  また同時に、我が国の民間企業の技術あるいはノーハウがたくさん石炭関係であるわけでございますので、それらもこの太平洋コールフロー構想に活用するということで、官民挙げて太平洋コールフロー構想に協力をし得ると期待しているところでございます。
  161. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これは意見ですけれども石炭政策として暗い面ばかりじゃなくて、明るい面として具体的に日本として役割を十分果たしていかれるようにぜひお願いしたいと思います。  以上です。
  162. 浜本万三

    会長浜本万三君) 他に御発言もなければ、本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会