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1987-06-18 第108回国会 参議院 国民生活に関する調査会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十八日(木曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員の異動  六月十八日     辞任         補欠選任      飯田 忠雄君     高木健太郎君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 水谷  力君                 吉川  博君                 山本 正和君                 高木健太郎君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 小野 清子君                 斎藤 文夫君                 添田増太郎君                 高橋 清孝君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 向山 一人君                 吉川 芳男君                 千葉 景子君                 太田 淳夫君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 抜山 映子君                 平野  清君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        厚生大臣官房長  北郷 勲夫君        厚生大臣官房総        務審議官     長尾 立子君        厚生省生活衛生        局水道環境部計        画課長      浅野 楢悦君        厚生省薬務局生        物製剤課長    高橋  透君        厚生省社会局施        設課長      福田 孝雄君        厚生省社会局老        人福祉課長    真野  章君        労働省労働基準        局賃金福祉部長  若林 之矩君        労働省婦人局長  佐藤ギン子君        労働省職業安定        局長       白井晋太郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (内需拡大のための諸施策に関する件)  (内需拡大に関する件) ○理事補欠選任の件     ―――――――――――――
  2. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  国民生活に関する調査を議題とし、内需拡大のための諸施策について厚生省及び労働省から説明を聴取いたします。厚生省北郷官房長。  お座りになったままで結構です。それと、全部の委員によく聞こえるような声でお願いします。
  3. 北郷勲夫

    説明員北郷勲夫君) 厚生省官房長でございます。  お手元資料を二種類お配りしてあるかと存じますが、一番上のペーパーでお話ししまして、資料を追加してお配りしましたちょっと少し厚めの方は関係資料でございます。  薄い方の資料でございますが、「国民生活に関する調査会説明資料 62・6・18」と書いてあるものでございますが、内需拡大という観点からの話で申しますと、厚生省予算は、全体で約十兆でございますが、そのうち医療及び年金でほぼ八兆円でございます。厚生省仕事医療保険とか年金とかいうことが主体でございますので、いわゆる景気対策というようなこととは若干離れまして、いつも安定的にと申しますか、例えば年金の問題にいたしましても、ある給付の要件が決まっておるわけでございまして、景気のいかんにかかわらず、ひとつ定期的にと申しますか、支出をしなければならぬ性格予算でございますので、ちょっと景気が悪くなったからふやそうとかあるいは減らそうとか、こういったようなことがなじまない性格仕事がどちらかというと多いわけでございます。  したがいまして、急に内需拡大をしようということで、年金の額を上げようとか医療費を上げようとか、こういうわけにはなかなかいかぬわけでございますが、それでもなお若干内需拡大に役立つものもあるのではなかろうかと考えまして、ここに四点ほど、政策的にまだ不明確な分野もございますが、掲げてございます。  第一が公共事業関係でございます。それから第二番目が社会福祉施設の問題でございます。大きな柱で申しまして、第三番目が、これは今後の問題でございますが、高齢者消費拡大多様化に対応するシルバーサービス振興といった問題でございます。それから第四点目が健康増進施設整備の促進、健康産業の育成と、こういった分野でございます。  第一点目の公共事業関係でございますが、厚生省が所管しております中で、いわゆる環境衛生施設でございます。水道あるいは廃棄物処理施設、まあ、ごみ処理場とかあるいは浄化槽とか、こういったものは厚生省で所管いたしております。この分野はいわゆる建設省関係公共事業と似たような性格でございまして、この分野につきましては、景気対策の一環として公共事業拡大ということが必要な分野でございます。この関係について若干資料で御説明申し上げたいと存じます。  「追加説明資料」と書いたもう一つの方でございますが、これの一ページ目、二ページ目のあたりがその関係でございますが、水道施設が現在どういう状況にあるかということでございます。  水道施設、(1)が「水道普及率国際比較」と書いてございますが、現状では日本が有から四番目ぐらいにございますが、これ水道利用人口の率でございますが、日本が九三・一でございます。左側に大体西欧の先進諸国水道普及率が書いてございますが、日本は、かなりの線をいっておるわけでございますが、なお若干普及率の面で伸ばす必要があるということでございまして、いろいろな各地でまだ要望もあるわけでございます。  (2)のところに「水道施設整備費推移」というのがございますが、最近公共事業の抑制というふうな、まあ財政関係からかなり抑えられておりまして、ごらんになりましたように上の線が上水道簡易水道の起債の関係でございます。下の線が補助金の額の動きでございますが、大分、財政関係もありまして、金目が落ちてきておるわけでございます。  一方で、希望はかなりございまして、いわゆる補助金要望に対します採択率は、六十一年度あたりで七二・四%、要望に対して採択率が七二・ 四%でございます。六十二年度におきましても、当初では七九・〇というようなことでございまして、補正後でも九三・〇でございました。  したがいまして、こういった採択率状況を見ましても、なお、水道関係事業拡大の余地はありますし、こういった国民生活に密着しました事業でございますので、長期的には必ず必要な事業でございます。こういった内需拡大の必要な時期に、こういった事業実施に移すということは必要かつ適切な内容のものであるというふうに私どもは考えておるのでございます。  それから、今の資料の二枚目でございますが、廃棄物処理関係でございます。  (1)の表は、これは一人一日当たりごみ排出量、あるいは総排出量の表でございます。ずっと、経済成長に伴いましてごみの一人当たり排出量、上の実線がごみの一人一日当たり排出量でございます。現在の、一番右の方を見ていただきますと、これ左の単位で見るんでございますが、左の七百グラム、ごみ一人一日当たり排出量が、これは人日のグラムでございますが、一人大体七百グラムからずっと伸びてきまして、ここのところずっと安定していまして大体八百グラムちょっと、八百三十三グラムが一人一日の排出量でございます。それから、点線のところが総排出量でございます。五十九年の、一番右のところを見ていただきますと、これは単位が千トンでございますが、一日当たりの総排出量、五十九年度で十万トンというようなことで、だんだん上がってきてございます。  これはいわゆる産業廃棄物を除いた排出量でございますが、こういった状況に対しまして、下に、これは処分場残り埋立可能量動きでございますが、ごみを焼却いたしまして、燃しまして、最終的には山の中とかあるいは海とか、そういうところに持っていきまして、捨てると申しますか、何かに利用したり捨てたりということをいたすわけでございますが、そういった場合に、最終処分場埋め立て等の可能な土地と申しますか、あるいは、これは量であらわしてございますが、そういった可能量がずっと減ってきております。これ一番右の方で見て五十八年度で、これちょっと見にくうございますが、一億七千四百万立方メーターぐらいしか残っていないというようなことで、どんどんごみを捨ててまいりまして、適切な埋立地あるいは適切な捨て場というものがなくなってまいりまして、そんなことから大都市圏では非常に最終処分場に困ってきております。そんなことでございまして、いわゆるフェニックス計画と申しまして大阪湾の一部に土地造成とあわせて、ごみ処理土地造成とをいわば一石二鳥というような、大規模な計画を立てて実施をいたしておるわけでございますが、同じようなことを東京湾についてもやろうかというような話が現在検討されておるわけでございます。この点につきましては後ほど詳しくまたお話を申し上げたいと思っております。  それから、その三ページ目でございますが、ごみ処理施設建設状況でございます。これも一日当たりのトン数でございまして、この動きでございます。最近、一時非常に大きく、これ新規の建設、ふえている量でございます。処理能力で表現したものでございますが、だんだん新たな建設が最近では減ってまいっておりまして、それからもう一つ問題は、ピークの、昭和四十年代に非常にふえておるわけでございますが、これの更新需要が出てまいっておるわけでございます。ごみを燃やす施設でございますんで、ある程度の期間がたちますとかなり傷みますんで、更新の時期がまいってきております。こういった需要もあるわけでございまして、絶対国民生活上必要不可欠な事業でございますんで、こういったところにがっちりとお金をつぎ込む、それが同時に内需拡大に役に立つと、こういうことでございますんで、こういったいわゆる社会資本につきましては、社会資本充実という面と、それから内需拡大ということを結びつけた政策として今後この充実を図っていくのが国の政策としてもいいんではないかというふうに私どもは考えておるのでございます。  それから、その下の「水洗化人口等推移」と書いた表がございます。これも非常に見つらくて申しわけございませんが、一番上の線が総人口でございます。それからその次が非水洗化人口でございます。それからその下の線が水洗化人口水洗便所人口でございます。それからその下のラインが下水道人口と、し尿浄化槽人口で、動きでございます。これ右の方で見ていただきますと、水洗化人口はどんどんふえておるわけでございますが、その中身が二種類あるわけであります。一つ下水道による水洗化、それから一つの線が浄化槽、これを合わせたものが水洗化人口下水道による水洗化人口浄化槽人口とがほぼ同じぐらいなわけでございまして、下水道計画につきましては六十年に三六%というふうな人口と聞いておりますが、六十五年にはこれを四四%にするというような計画が立てられているようでございます。しかしながら、私どもの方では、厚生省では浄化槽関係も所管いたしておるんでございますが、下水道と並行しまして、浄化槽についても、これをいいものにし普及していくということが片方で一つとり得る政策、選択の一つとしてあり得るんではないか。これは完全にいわば民間的な事業でございますんで、民活にもつながるというように考えますので、一つ政策方向として浄化槽普及あるいは浄化槽の機能の向上というようなことに少し力を入れていくのも一つ大事なことではないかというふうに考えておるのでございます。  それから、今度、本文の方に戻りまして、以上が公共事業の一の点でございます。厚生省予算的にはこの一と、それから次の二番目の「社会福祉施設等改築推進」と、この二つ予算的には内需拡大関連するんでございますが、これは社会福祉施設等改築推進ということで、入所者の処遇の充実社会福祉施設について「老朽施設改築等推進」と書いてございますが、これをもうちょっと広げて御説明を申し上げたいと思います。  資料の方を見ていただきますと、追加資料の四ページでございます。  先ほどの続きでございますが、「社会福祉施設整備について」というところでございますが、今後の施設需要見込みでございます。見込みを若干あらわしてございますが、いわゆる要介護老人増加、非常に高齢化が進みまして、そういたしますと、どうしても寝たきり老人等を中心といたします介護を要する、施設収容を要する、あるいは何らかのサービスを要する御老人の方が相当ふえてまいるわけでございます。  その状況でございますが、この下の表でございます。一番左に年度が書いてございますが、六十一、六十五、七十、七十五と若干先のことも書いてあるんでございますが、六十五歳以上の人口が六十一年度約千三百万人、六十五年度が千四百万人、七十年度千七百万人、七十五年度二千万人、こういうような見通してございます。それに対しまして、ちょっと二重括弧で、四角で、二重線で書いてございますが、要介護老人数が六十一年度で約六十万人と、これ横にずっと参りますと、六十万人おるということでございますが、それが現在どういう状態にいるかと申しますと、「福祉サービス等」、ここで三十五万人。これはいわゆる特別養護老人ホーム施設に入っている人と、それからいわゆるホームヘルパーだとかあるいは在宅の方、要するに福祉サービス等対象となる方が約三十五万人。それから入院患者数、一番右の欄を見ていただきますと二十五万人が長期入院という格好で病院に入っております。(5)の入院患者数は短期の人も含まれておりますんで、病院に入っている人が約二十五万人、それから三十五万人が病院外。三十五万人の内訳を申しますと特別養護老人ホームに入っておられる方が約十二万人でございます。いわゆる完全に在宅の方が二十三万人。三十五万人の内訳は十二万人対二十三万人と。こんなことで特別養護老人ホームに入っておられる方が十二万人でございます。こういった状況にある わけでございますが、これが、要介護老人の数が老人の数がふえるにつれましてもっとふえてまいりまして、この二番目の欄を縦に見ていただきますと、六十万人が六十五年度が七十万人、七十年度が八十五万人、七十五年度が百万人というようなことで、高齢者人口増加に伴いまして、ほぼ比例して介護を要する御老人の方がふえてくるというような見込みでございます。  これに対しまして、私どもが現在考えておりますのはこの括弧三に書いてございますが、病院だけで受けるのはいかがなものかと。いわゆる先般国会で御審議を賜りまして、老人保健法の改正をいたしまして、そのときにいわゆる中間施設病院施設中間のような老人保健施設というものをつくりましたので、こういった、より適切なサービス体系のもとに施設を設けましてここでも受ける。それから福祉サービス特別養護老人ホームをふやす。それから在宅サービスもやっていくというようなことで、高齢者のいわゆる介護を要する老人の方々のサービスに万全を期していきたいと考えておるわけでございます。これはまた当然福祉の見地から必要だと私ども考えておるのでございますが、同時にこれは一つ事業でございます。需要喚起にもつながる、内需拡大にもつながる事業である。何も内需拡大だけを目指しているわけではございませんが、結果的に内需拡大にもつながっていくものであるというように考えるのでございます。  それから、二番目の「老朽施設改築等推進」と書いてございますが、現在の施設の全体の中でまだ、これちょっとその次の表をじかに見ていただきたいのでございますが、横に「総面積」「鉄筋造」「ブロック造」「木造」というふうに書いてございます。最近ではもう非常に建築がよくなりまして立派なものが建っておるのでございますが、それでもなおブロックとか木造のものが残っております。かなり以前につくったものもあるわけでございまして、こういったものをきちんとした建物にかえていく。先般も火事があったわけでございますが、仮に鉄筋であっても火事は起こりますが、木造なんかについてはなお危険が多いわけでございますので、木造とか、場合によってはフロックの割と余りよくない建物なんかについては改善していく、最近の国民生活改善状況に比例して建物もよくしていくというような考え方をとりますれば、これでの事業量もかなりある。しかも、こういった事業は、福祉的といいますか、国民の公平というような観点からも必要な事業と考え得るんではないかというふうに思うのでございます。  それから三番目の「施設居住条件改善」という問題でございます。これも非常にわかりにくくて申しわけございません。これ一つの例でございますが、「施設種別」のところを見ていただきますと、「養護老人ホーム」、「特別養護老人ホーム」というのが二つ例としてございます。「一室当たり収容人員(現行)」二人以下、四人以下と書いてございますが、例えば「養護老人ホーム」につきましては、その右をちょっと見ていただきますと、一番最初の三十八年のところ六人室、この辺のところからスタートいたしたわけでございます。六人部屋からスタートいたしました。それがだんだんと、いわゆる個人生活プライバシーの重視というような観点もございまして四人部屋にし、二人部屋にし、場合によっては個室も認める、こういう状況で動いてまいっておるわけでございます。三十八年度六人室でございました。その面積が、一人頭面積が十四・九平米というようなところから書いてございますが、四十六年には同じ六人部屋であっても十五・八平米ということで施設全体の一人頭面積を広げておるわけでございます。四十八年にはそれを十九・八平米にする。五十一年には今度は四人部屋を認め、平米を広げるというようなことをいたしております。こんなことで逐次施設基準もいわば改善いたしておるわけでございますが、特別養護老人ホームにつきましても同じような経過で、ちょっと見つろうございますが、意味はそういうような読み方でございます。  こういうことをやりまして、まだ残っているものを何らかの形で改善をするというようなことも、これは福祉向上とこれも内需拡大ということに二兎を追う、二兎を追うというのはちょっと表現おかしいですが、一石二鳥というようなことになり得るんではないかというふうに思うわけでございます。  以上が二番目の社会福祉施設等の問題でございます。  それから本文に戻りまして三番目の「高齢者消費ニーズ拡大多様化に対応したシルバーサービス振興」の問題でございます。  この三と四については具体的にも予算的にもまだ明確ではないんでございますが、今後の方向考え方としてお話を申し上げたいと思っている事項でございます。  追加資料のさっきの続きでございますが、五番目でございます。「シルバーサービスについて」という資料がございます。「我が国における高齢者人口推移」という表がございます。左の欄を縦に見ていただきまして、六十、七十五、百とちょっと長くとってございますが、これの人口総数が六十年一億二千百五万人、それから七十五年が一億三千百十九万人、百年が一億三千四百六十四万人。これは人口問題研究所の将来推計でございますが、それで六十歳以上の人口及びその割合がどうなるかという見通してございます。六十年に千七百八十七万人でございます、六十歳以上が。横に見ていただきますと六十五歳以上が千二百四十七万人、あるいは七十歳以上が八百二十八万人、それぞれ一四・八%、一〇・三%、六・八%、こういうことでございますが、六十歳以上の人口を縦に見ていただきますと、七十五年に二千八百九十八万人、ほぼ三千万人、それから百年には三千八百九十六万人、四千万人に近づくわけでございます。比率も二二・一%、二八・九%というようなことで非常に数がふえてまいるわけでございます。高齢者というのは何歳以上かというような問題もございますが、一応六十歳以上というような人口だけをとってみましても、これだけの人数がふえてまいるわけでございますので、これだけの人口の者が年金受給対象でございます、一つのマーケットとして、あるいは特別の需要を持っているグループとして非常に大きな購買力を持つ階層でございます。しかも、それなりの需要を、特別な需要が生じてくる可能性のあるグループでございますので、こういった人たち需要関連したサービスを、産業をきちっと具していく必要があるんではないかというように考えております。シルバーサービスという言葉がいいのかどうかわかりませんが、考え方といたしましては、そういった高齢者階層に対するいろんな需要に的確に対応していくような産業を興していく。ところが、世間を騒がせました豊田商事の事件がございました。場合によってはそういった年寄りを食い物にするというような危険もあるわけでございますので、そういったことを抑えながら、きちんと適正にいいシルバー産業を伸ばしていくというようなことが肝心なんではないかというふうに考えておるのでございます。  「シルバーサービスの主な分野」といたしましては、いわゆる住宅関連サービス有料老人ホームでございますとか、ケアつきのマンションでございます、それから介護関連ではホームヘルパー派遣事業でございますとか、給食、入浴、こういったもののサービス。それから福祉機器関連、これはいろんなことが将来考えられると思いますが、ギャジベッド、紙おむつ、こんな例が現在ではございます。そのほか所得の面では、個人年金介護保険、こういうようなものでございます。  それからもう一つ、五ページをめくっていただきまして六ページでございますが、健康産業関係でございますが、これからの健康に関する関心が非常に高まってきております。それから慢性病がふえてきております。そういう状況を考えますと、自分でいろんな健康についての注意をし、いわゆる最近ジョギングをやる人とかいうことがは やっておるわけでございますが、そういったものについての手助けをする産業が興る可能性がある。こういったものを伸ばしていく必要があるんじゃないかという分野でございます。いわゆる運動クラブ、あるいは健康機器産業ホームサウナ血圧計自分で簡単にはかれるようなものとか、温泉、食品。それから健康スポーツ施設の現況を最後に参考に書いてございますが、こういった面での例えば融資、税制上の措置、こういったようなことを講じながら伸ばしていくというのが一つ考え方として成り立ち得るんではないかと思っておるわけでございます。  ちょっと会長、時間があれでございますので、あとフェニックス関係だけちょっと説明をさせていただいてよろしゅうございますか。
  4. 長田裕二

  5. 浅野楢悦

    説明員浅野楢悦君) それではごく短時間、お手元資料の八ページでございますが、「フェニックス計画」の資料を御提出させていただいております。  先ほど官房長から申し上げましたとおり、廃棄物生活に必然的に伴うものとしてとぎれなく排出されてまいるわけでございますが、最終処分場埋立地が、日本の場合には国土の狭隘ということもございまして、年々適地を内陸部に見出すことが困難となってまいっております。特に首都圏あるいは大阪湾地域等、大規模な人口を抱える地域においてはその傾向が特に著しいわけでございます。そこで、臨海部におきまして廃棄物最終処分場整備いたしますとともに、港湾施設整備の一環といたしまして、都市用地の整備も含めました新たな開発に結びつきます。地整備をいたしたいというのがフェニックス計画の基本的な考え方でございます。  既に大阪湾地域におきましては、計画昭和六十年末に確定いたしまして、昨年、ことしと引き続いて用地買収等に入っておるわけでございますが、恐らく来年度あたりから本格的な工事に着工いたしまして、六十四年度末あたりから廃棄物の受け入れができますような態勢整備をいたしたいという計画事業を進めておるところでございます。  東京湾におきましても、背景事情は大阪湾と同様でございますが、ややスタートがおくれております。この四月末に運輸省と厚生省が共同構想というものを出したわけでございますが、あくまでこのフェニックス計画実施主体は地方公共団体の共同事業という性格のものでございますので、首都圏の各地方公共団体の意思の集約ということが前提になってまいります。ただいまそのような方向で、具体的には首都圏サミットという場がございますけれども、その場で一応今秋をめどに、私ども厚生省、運輸省が提示いたしました計画の検討を行うというスケジュールで逐次受け入れ態勢を整えていただけるものというふうに考えておるところでございます。  ありがとうございました。
  6. 長田裕二

    会長長田裕二君) 労働省若林賃金福祉部長。
  7. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) 労働省の賃金福祉部長でございます。  お手元に「勤労者財産形成促進制度による持家取得の促進について」という資料をお配りしてございます。これに従いまして、いわゆる財形制度による持ち家取得の促進につきまして御説明をさせていただきます。  財形制度は昭和四十六年に制定をされたものでございまして、国と事業主の援助によりまして勤労者の財産形成を促進する制度でございます。大きく分けて二つに分けられるのでございますが、一つは、事業主を通じて勤労者がみずから行う貯蓄制度でございまして、お手元資料の表にございますように、表の左の方の下にございますが、財形貯蓄、財形年金貯蓄という貯蓄でございます。第二は、この財形貯蓄、財形年金貯蓄を原資といたします融資制度でございますところの財形持ち家融資制度でございます。  財形貯蓄と財形年金貯蓄につきましては着実にその実績を伸ばしておりまして、お手元資料の一番下にございますが、六十一年十二月末現在で十一兆を超える実績でございます。また持ち家融資制度の方は、これは従来の住宅金融公庫等の公的住宅融資制度が国の財政投融資に係る資金を貸し付けの原資としておりますのに対しまして、この財形制度につきましては、勤労者の財形貯蓄及び財形年金貯蓄によりまして金融機関等に集積されました民間の資金を、その残高の三分の一つまりこの十一兆余の三分の一を限度といたしまして調達をいたしまして、これを貸付原資として勤労者の方にお貸しすると、こういう特色を持っているわけでございます。  この財形持ち家融資制度は、勤労者がみずから住宅を建設いたします場合、購入いたします場合、及びリホームでございますとか改築でございますとか、そういう改良をいたします場合に必要な資金を融資をいたしております。これは財形貯蓄、財形年金貯蓄をしている勤労者に限ってもちろん利用できる制度でございますが、年収とかあるいは企業の規模、住宅の広さ、こういったものについての制約条件がございません。また、融資額は最高二千万円、返済期間が最長三十五年という大型融資でございます。  財形貯蓄、財形年金貯蓄のお金をためる方は大変普及しておりまして、先ほど申しましたように順調に伸びているんでございますけれども、財形持ち家融資制度の活用につきましては低調でございまして、六十一年度末現在で累計五万七千戸、約三千七百億円の貸し付け決定でございます。先ほど申しましたように、残高の三分の一まで融資ができるんでございますが、そういった融資枠から見ますと進んでいないというのが現状でございます。  理由といたしましては、これまで金利が相対的に高い、あるいは手続が複雑であるといったような御指摘がなされてまいりました。これだけ民間資金がたくさんあるわけでございますので、これを有効に利用いたしまして勤労者の持ち家取得を促進する、さらには内需拡大の要請にこたえていくという観点から、ことしは第一に、この貸付利率を引き下げるということを基本といたしまして、第二に、融資条件を緩和するということを目的といたしまして、財形法の一部の改正法案を成立させていただきました。この改正法を含みます大幅な制度改善を行ったところでございます。  その内容につきましては、お手元資料の二枚目に二として「本制度の改善概要」と書いてございます。これに従いまして簡単に御説明を申し上げたいと存じます。  第一は「貸付金利の引下げ」でございます。これまでは調達方法といたしまして債券によって調達をいたしておりましたが、さらに短期の借入金を導入いたしまして調達金利を引き下げることといたしました。これによりまして貸付金利は、従来は固定金利でございましたが、短期の借入金を導入いたしました関係で変動金利制といたしまして、金利は四・七五というふうになっております。さらに近く四・二五と〇・五%引き下げる予定でございます。  第二は、融資対象勤労者の要件といたしまして、従来は三年以上財形貯蓄等を行っているということが要件になっておったわけでございますが、改正によりまして一年以上貯蓄をしていれば融資の対象にするというふうに緩和をいたしました。  第三点といたしましては、これまでは貯蓄残高の五倍までを限度とする、最高二千万円というふうになっておりました。百万円貯蓄をお持ちの方は五百万円が限度、こういうことになっておったわけでございますが、今回これを十倍以内というふうに法律を改正していただきまして、この表の右の方にございます改正後でございますが、貯蓄残高に応じまして貸付限度額を三つに分けてございます。五十万円以上百万円未満が五百万円、百万円以上二百万円未満が一千万円、二百万円以上が二千万円ということになったわけでございまして、貯蓄を二百万円していただければ、従来は一千万円しか借りられなかったわけでございますが、二千万円まで借りることができるというふう に貸付限度額を引き上げたわけでございます。  それから第四点の中小企業の勤労者につきましては、中小企業の勤労者の持ち家取得の促進と内需拡大という観点から、六十二年度から六十六年度までの時限措置といたしまして、年収一千万円未満の中小企業の勤労者が床面積百二十平米以下の新築住宅を取得いたします場合には、財形持ち家融資の利率を一件当たり六百万円を限度といたしまして、当初、五年間四・七%に引き下げることといたしました。さらにこれは近く四・二%に〇・五%引き下げる予定でございます。  第五点といたしましては、勤労者の持ち家需要多様化に対応いたしますために、いわゆるセカンドハウス等に対します融資制度を設けまして三大都市圏実施することといたしております。これは住宅金融公庫等と同様の利率で行うことにいたしております。  以上のような財形持ち家融資制度の改善によりまして、この制度は一層利用しやすくなったというふうに考えておりまして、特に中小企業の勤労者につきましては有利な制度が利用できるというふうになったわけでございまして、私ども今後この制度を大いにPRをいたしまして、広く勤労者の方に従来以上に活用していただき、あわせて内需拡大に貢献してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  8. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 労働省の方からもう一つ産業構造の転換等に対応した雇用対策」という資料がお手元にお配りしてございますが、今財形で御説明申し上げましたけれども、そのほか金や物の関係内需拡大という面では労働省ではほとんどないわけでございまして、内需拡大に伴いまして産業構造の転換やそれから雇用就業構造が変化してまいりますが、これに対応したいわゆる雇用面での対策ということで、やや間接的ではございますが、どういう施策を行っているかということの御説明をさせていただきたいと思います。  資料は一枚目と二枚目が本文になっておりまして、三枚目以下が参考資料でございますが、一番最後に「緊急経済対策」で昭和六十二年五月二十九日の閣僚会議の決定がございますが、これを見ていただいてもわかりますように、「雇用対策の充実等」ということで労働省関係では、いわゆる三十万人雇用開発プログラムを中心としました産業転換に伴いますいろいろな雇用施策を進めていくということでございまして、その間職業訓練の活用やそれから広域の労働移動等に伴いまして、訓練施設や雇用促進住宅等につきまして若干の予算措置を行うということで、これについては現在折衝中でございますけれども、物の面ではそういう施策が加わるということでございまして、あとはそこにございますような施策を進めていくということでございます。  それで、本文の一枚目に返りますが、考え方としましては、三十万人雇用開発プログラムの実施でございますけれども、これは緊急のいわゆる円高に伴います雇用失業情勢の非常に厳しいものに対応するということで立てたプログラムでございますが、しかし一方では中長期的に見ましても産業構造の転換のためにこれを役立てていくという考え方があるわけでございます。  緊急の問題としましては、本年一月また四月に完全失業率が三%に達するという状況になっておりますが、これに対応してその中身の充実を図っていくということでございます。  一の括弧で閉じてございますが、三十万人雇用開発プログラムの具体的内容ということで、この考え方は三つの考え方を含んでおりまして、一つは特定不況業種からの労働者の離職者に対応するということはもちろんでございますけれども、離職に至らないで企業が抱えた形で産業間、企業間の円滑な移動を図っていただく。そのために職業訓練等を行って、それから出向措置等について援助を行っていくという考え方が第一でございます、  ①にございますように、現在訓練校その他でもやっておりますが、施設の訓練というのはちょっと小回りのきかない面もあるわけでございまして、委託訓練を中心といたしまして専修学校や他の雇用受け入れの可能な企業への訓練を行っていく。その場合に、訓練に派遣する企業につきましては、中小企業では五分の四、大企業では四分の三の賃金助成を行いながら委託訓練先には月三万円から二万円の一人当たりの助成を行うという大幅な助成を行うことといたしているわけでございます。  それから②にございます産業雇用安定センターの助成でございますが、これは企業間の移動その他では出向や再就職のあっせんになるわけでございますけれども、企業間移動の場合の情報の収集は、離職者としてあらわれてくれば失業給付を行いながら安定所が求職者それから求人開拓等を行うわけでございますけれども、企業間の情報の収集はやはり企業、産業間の情報を集約することが必要であるということで財界が集まりまして、産業雇用安定センターというのを創設したわけでございますけれども、その情報収集その他に対する援助をここで行っていくということでございます。  それから第二の柱は、これは従来から雇用調整助成金ということで、いわゆる企業が景気の波に沿いまして、景気が落ちてきた場合に、そこで余剰労働力を抱えるわけでございますが、その余剰労働力に対しまして休業や教育訓練を行いながら、次の景気の循環に対応していくという制度でございます。これによって失業の予防と雇用の維持を図っていただくということで、これに対する高率補助の制度を強化いたしております。  これにつきましては、ちょっと三枚目の資料を見ていただきますと、ここに予算措置が書いてございますけれども、Ⅰの「三十万人雇用開発プログラム」の2のところを見ていただきまして、「雇用調整助成金の活用による失業の予防、雇用の維持」、「休業、教育訓練制度の活用」ということで、企業が従業員に対しまして休業または教育訓練を行う場合に、三分の二、四分の三と書いてございますが、大企業については三分の二の休業補償または賃金に対する助成、それから中小企業におきましては四分の三の大幅な助成を行うことといたしているわけでございます。  それから、本文に返っていただきますが、一枚目でございますけれども、第三の問題としましては産業の転換その他で特定不況業種が、例えば造船とか鉄鋼その他石炭いろいろございますが、そういう業種がやられていくということがございますが、一方、これらの業種を抱えて、いわゆる企業城下町と言われておりますが、そういう造船等が工場閉鎖その他を行うことによりまして地域がやられていく。それから、それだけでなくて、最近のいろんな情勢では東京一点集中とかいろいろ言われておりますけれども、大都市と地方との格差、特に労働力需給についての格差が非常に生じてきているという問題がございます。そのために地域における雇用の開発を図っていかなければならないということで、第三の問題はそれらの地域、それから高年齢者その他に対する助成ということを二つの内容といたしまして雇用開発を図っていくということを考えております。地域雇用開発につきましては次の②のところにございますので、そこに書いてあるとおりでございますが、高齢者や特定不況業種の離職者に対しましては新たに雇い入れた場合に一年間の賃金助成を行っていくという制度でございます。  それで、今の地域問題でございますが、2にございますように地域雇用開発等促進法というのを通常国会で成立さしていただきました。同法に基づきまして①、②、③にございますように雇用開発促進地域を指定していくということをいたしております。そして、これに対する助成を行うということで、指定の状況はその下から四行目のところからございますが、四月一日の法施行にあわせまして百十二地域、雇用開発促進地域として一般的な地域として指定いたしております。二百十二安定所の地域に当たりますが、安定所の数が約五百でございますので四割強の安定所を地域にしますと指定を行っていくということでございます。それから、特定雇用開発促進地域というのは、その地域の中で今申しましたように、炭鉱で申しますと高島とか北海道の炭鉱等ございますが、それから造船では相生とか四つほどやられている地域ございますけれども、そういう企業城下町で特に緊急にやられている地域を四十三安定所指定いたしております。それから、緊急雇用安定地域の指定という百三十一市町村の指定は、これは通産省中小企業庁で、前の通常国会で通ったわけでございますが、それに伴いまして事業転換に伴いますいろんな制度を設けております。それに伴いました市町村につきまして雇用面で労働省はタイアップいたしまして、緊急雇用安定地域として指定している市町村が百三十一市町村あるということでございます。  それから次のページに入りまして、職業能力の開発対策でございますが、職業能力の開発対策につきましては、緊急の対策としましては冒頭の三十万人雇用開発プログラムで申し上げましたような施策を講じております。  さらに、②の「ME関連職種技能者の育成」でございますが、雇用失業情勢非常に厳しい中で、しかし、ME関連職種については技術技能労働者の育成が叫ばれております。したがって、従来から労働省としましても、それに伴います訓練校その他の職種の拡充その他を行ってきたわけでございますが、それをさらにスピードを速めるということで、次のページの資料にございますが、ME関連技術者の育成ということで大幅な予算措置をとらしていただいているわけでございます。  それから、一般的な雇用情報の拡大を図っていくということで4の「労働力需給調整機能の強化」でございますが、現在いろんな形で、労働市場は供給側から申しますと高齢化または女子労働力の増加ということがございますし、需要側から申しますと、派遣やパート等に対する需要、そのほか技術専門職に対する需要等がふえております。これらに対応いたしまして派遣とか出向とかパートとかいろんな形態が労働市場にあらわれているわけでございますが、それらについての施策もそれぞれ派遣法の施行その他で講じているわけでございますけれども、さらに一般的に現在の安定所の管轄内だけの求人求職情報では対応できない、広く情報が、例えば埼玉県の安定所で東京での安定所の情報も確保できるというような組織にしていくということで、非常にコンピューターも進んでまいりまして、漢字や地図での求人求職情報を機械が出してくれるということにも進んでまいりました。そういう技術を活用いたしまして、昨年の十月から一都四県、関東地区での、首都圏での総合的雇用情報システムということで需給調整の情報の収集それから提供を強化いたしております。これを全国的に六十二年度においては実施して、職業紹介業務の広域化と迅速化を図る、また地域社会での雇用情報の積極的な提供に努めるということを現在進めているところでございます。以上が内需拡大その他に伴います産業転換、就業構造転換に伴います対策、または緊急な、円高等で加速されている失業者等に対する対策を講じようとするものでございます。  以上でございます。
  9. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で厚生省及び労働省からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、厚生省それから労働省の方から資料に基づいて話を伺ったわけですけれども、この国民生活調査会におきまして、今、当面課題となっている内需拡大という問題に関連して少し基本的な観点で質問させていただきたいというふうに思います。  内需拡大というのは、やはり我々国民にとりましては、少しでも勤労者国民の豊かな生活、こういうものに寄与するものでなければいけないのではないだろうか、私などはそう考えるわけです。そうなりますと、今、厚生省労働省で一番考えていただかなければいけないのは、個人の豊かな生活といいますか、こういう問題をどうやって実現していくか、こういう観点がぜひ必要になってくるんじゃないかと思うんです。とりわけ高齢社会を迎えるという中で個人生活を豊かにしていく、それがひいては内需拡大につながっていくと思われるんですが、そういう観点でぜひこれかもの抜本的な施策のようなものを考えていただきたい、そんなふうに思っております。  そうなりますと、厚生省などには、個人の可処分所得というのでしょうか、消費に回せるような所得を増加させることのできるような方策、また労働省にも、豊かな生活を実現できるような労働者に対する施策、こういうものが望まれるわけですけれども、こういう観点で幾つかお尋ねしていきたいというふうに思っております。  まず最初に厚生省の方にお尋ねしたいんですが、今話をさせていただいたような、個人生活を豊かにしていく、こういう観点からいきますと、同じ財源をどのように使っていくかという場合に、それを福祉とか、あるいは社会保障といいますか、こういうものの充実に振り向けていくか、あるいは公共投資とかその他のものに回していくか、どういうものを基本的な観点として政策を進めていくかというのは大きな課題かというふうに思うんですけれども内需拡大の問題に絡んで、こういう基本的な厚生省としてのとらえ方、考え方、これをお聞かせいただきたいと思います。
  11. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 今の先生のお話、大変ごもっともだと思います。私どもの行政は、国民の皆様の福祉を守るということをねらいとして実施をいたしておりますので、国民の皆様が豊かな充実した生活が送れるようなというのが行政の目的であるということは御指摘のとおりだと思います。しかし、私どもが社会保障の仕事をいたします上で、経済との観点では二つの問題を考えていかなくてはいけないと思っております。  一つは、先ほど官房長も御説明申し上げましたように、私どもの行政の中で大きな分野を占めておりますのが医療保障、年金保障の分野でございますが、この分野につきましては、一次的な経済に与えます例えば内需拡大への効果というような観点のみで実施をするということになりますと、例えば年金の水準をことしだけは上げて、来年はそれではそれを下げるというようなことはできないわけでございますし、制度の長期的な流れの中で給付のレベルなり給付の仕組みなりというのを考えていかなくてはいけないというような性格のものがあると思っております。  もう一つの点は、社会保障の経費、先ほど私ども予算が十兆円ということを申し上げましたわけでございますが、ほかの特別会計でやっております医療年金の経費を含めますと、これは相当なお金になっております。現在三十五兆円ぐらいになっておるのではなかろうかと思いますが、こういうような非常に国民経済上大きな経費を今後どういう形で運営していったらいいのかということも、国民経済の長期的な見通しの中では非常に重要な問題ではないかと思っております。例えば、国民所得に対します社会保険料の負担、こういうものが諸外国と比べますと日本はまだ老齢化の状況がおくれておりますので、それほど大きな負担にはなっておりませんけれども、既に税金と社会保険料を合わせまして国民所得に対しまして先進諸国は五〇%を超えておりますが、こういった高い負担率自体が国民経済の停滞をもたらすのではないかというような議論もなされておることは先生も御承知のことと思います。こういう観点から考えますと、やはり国民経済と調和のとれた社会保障の規模というものは頭の中に置きながら私どもはやっていかなくてはいけないという点もあるのではないかと思っております。  短期的には先生おっしゃいました内需拡大という効果も私どもが持っております行政の中に幾つもございますし、ただいまそれも御説明申し上げたわけでございますが、それから医療年金以外のほかの分野におきましては、先生が今おっしゃいましたようなことを十分考えて私ども仕事をやらせていただきたいと怠っておるわけでご ざいます。
  12. 千葉景子

    ○千葉景子君 今の御説明、私もよく理解のできるところなんですけれども、最近の傾向を見ておりますと、GNPの伸び率などに比較いたしまして勤労者の家計というのは実収入。また可処分所得の伸び率の面でも到底GNPに追いつかないという状況があるかと思います。こういう中では、なかなかやはり個人消費あるいは個人生活の豊かさ、こういうものが前進しないのではないだろうか、そんな気がするわけです。とりわけ可処分所得、この伸びを低くしている内容として、社会保障費、これの負担増加というのがあるわけですね。こうなりますと、これからとりわけ高齢化社会を迎えるという中で、抜本的な社会保障への取り組みというのが必要になってくるのではないだろうか、そういう気がするんですが、そのあたりはいかがなものでしょうか。
  13. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 先ほど申し上げましたように、私どもは長期的に見ますと、現在の負担率、西欧先進諸国におきます負担率を上回らないようなということを一つの念頭に置きながら私ども医療保障なり年金保障を考えていかなくてはいけないというふうに考えておるわけでございます。  先国会または年金の大改正ということを私どもがやってきたわけでございますが、その中で、なるべく皆様方の負担、これは高齢化が進みますので、どうしてもある程度の負担はお願いしていかざるを得ないと思うのでございますが、できる限り給付の適正化を図ることによりまして負担を国民経済と調和のとれたものにしていきたいということで、負担の観点からも十分検討させていただいたわけでございます。  私どもの目標といたしましては、例えば年金におきましては、先回の改正におきまして、従来でございますと勤労者の所得に対しまして四割近い御負担を将来はお願いするということを考えておりましたのを、せいぜい一割は落としたい、三割にとどめたいという形の改正をさせていただきました。それから医療につきましては、医療費が今老人増加に伴いまして非常に伸びておるわけでございますが、医療費の伸びを国民所得の伸びの範囲内に抑えたいということで、いろいろな観点から努力をさせていただいておるわけでございます。
  14. 千葉景子

    ○千葉景子君 厚生省としてのさまざまな努力というのは私も否定するところではないわけですけれども年金などを見ましても、現在国民年金でも一人当たり三万円ぐらいの給付ということになっているわけですね。それから厚生年金などでも、まだまだ額としては高いとは到底言えない。その額で十分な老後の生活を行えるという状況にはないわけですね。  こういうことになってまいりますと、これから将来に向けて長期的な観点で来年度も予算が編成をされるということになるかと思いますけれども、そういう面で、従来の削減化傾向といいますかね、そういう路線をぜひ大幅に転換していくようなことが必要なのではないだろうか、そういうふうに思うんですが、ぜひその辺は、厚生省だけではやり得ない部分がたくさんあるかと思いますが、やはり国民生活を守る、福祉向上させていくという立場で、もう一歩推し進めた、あるいは抜本的に路線を変換したような予算編成などを考えるおつもりといいますか、そういうことはありませんでしょうか。
  15. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 先ほど申し上げました十兆円の予算規模を持っておりますので、この中で医療費につきましても年金につきましても、お年寄りがふえることに伴います当然増経費というのが私ども相当にございます。現在の財政事情の厳しい中でございますので、極めて苦しい予算編成を強いられておりまして、先生の今のお言葉大変ありがたいわけでございますが、私どもといたしましては、できる限り内容の適正化、効率化を考えまして、福祉の水準を守っていくということを考えさせていただきたいと思っております。
  16. 千葉景子

    ○千葉景子君 非常に今内需拡大、あるいは貿易も黒字傾向にあるという中で、そしてもうちょっと先には高齢社会を迎えるという今が本当に新しい路線をつくり出す最大の、そして最後の時期ではないかとも思うわけです。そういう意味では、ぜひ厚生省には大蔵省などともけんかをするぐらいのつもりで頑張っていただきたいというふうに思っております。  時間がありませんので、厚生省の方には質問はこの程度にさせていただきまして、労働省の方に質問させていただきたいというふうに思います。  今、厚生省の方にも質問をいたしましたけれども、これから個人の豊かな生活を伸ばしていくという意味では、労働省においても、これからの高齢社会を迎える中での対策というのも急がれるところではないだろうかというふうに思うんです。今回のこの資料におきましても、緊急の円高対策、あるいは中長期的に見た対策ということで御説明をいただいたわけですけれども、こういう中でこれから高齢者の雇用対策、これも大きな、とりわけ中長期的に見ると大きな課題になってこようかと思います。そういう意味では定年制の問題であるとか、あるいは高齢者の賃金の安定の問題であるとか、こういう点で改善あるいは助成なりを図っていく、強化していく、こういう必要があろうかと思いますが、ここの中にも高齢者のための雇用促進、こういうところにも目を向けていただいているわけですけれども、この辺のお考えはいかがでしょうか。
  17. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 座ったままで失礼させていただきます。  先生おっしゃるとおりでございまして、先ほど厚生省の方から高齢者社会への数字の御説明がございましたが、その働く意思と能力を持ついわゆる労働力人口の面から見ましても、二十一世紀初頭には働く人の四人に一人が五十五歳以上の高齢者になってくるという推計がなされておりまして、経済社会の活力を維持していくというためには高齢者の雇用就業の問題が極めて重要だと我々としましても認識いたしております。  それで、昨年の通常国会で高年齢者等の雇用の安定等に関する法律というのを提案させていただきまして、国会、全会一致、賛成を得まして通さしていただいたわけでございますが、この法律に基づきましてその施策を着実に実施していこうと進めているわけでございます。ただ、先ほども説明申し上げましたように、円高その他で特に昨年の暮れ以降非常に厳しい雇用失業情勢になっておりますので、その中での高齢者対策ということが、先生おっしゃるとおり、非常に努力が必要だというふうに思っております。  御指摘のまず六十歳定年につきましても、この法律で、法律上努力義務ではございますが、定年六十歳、定年を設ける場合は六十歳以上とするということを設けさしていただきまして、その実効を確保するために、現在定年を下回っている企業につきまして引き上げの要請等を全国的に行政指導で実施いたしておる次第でございます。  それから、六十歳以上の、まあ、大体六十五歳程度までの労働力率が高いわけでございますけれども、それらの層につきましても企業グループ内での雇用の維持その他、いろいろな就職についての確保を図っております。また、六十五歳前後から定年退職後等、いわゆる長い職業生活を終わりましても、さらに一定のいろいろな社会奉仕その他で働くことを、またはサービスすることを続けたいという高齢者に対しましては、シルバー人材センターを中心といたしまして現在全国二百九十近くございますが、市町村単位でそういう場を設けているところでございます。  それから助成金の問題につきましても、先生おっしゃいましたとおり、先ほどちょっと御説明申し上げましたが、特に最近の雇用失業情勢を考えまして、助成率等を、従来中小企業につきましては三分の一であったものを三分の二、それから大企業では四分の一であったものを二分の一という賃金の助成率を上げまして、特定求職者雇用開発助成金ということで、常用労働者を雇い入れた事業主の助成を強化いたしております。そのほか、六十歳代前半層を六%以上雇い入れている雇用主 に対しましては、一人につきまして、超えた労働者一人につきまして月額二万円の支給を、これを期間なくずっと支給するという形で、高年齢者多数雇用奨励金という制度も新たに設けさしていただいております。そのほかいろんな助成制度がございますが、助成制度等も援助等を強化しながら、高齢者が雇用の場をそれぞれの能力とそれぞれの立場におきまして確保できるように今後とも進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  18. 千葉景子

    ○千葉景子君 今、高齢者の雇用の問題をお聞きしたわけですけれども、もう一つ私は、非常に残念というか、私が女性であるものですから、これからの内需拡大あるいは消費を伸ばすという意味でも、女性の雇用機会の拡大、こういうものも必要な条件ではないだろうかというふうに思います。雇用機会均等法なども制定をされまして女性の雇用に対する保障というものが、今、一歩ずつではありますけれども伸びてきたところでもあるところです。ただ、まだまだ育児期以降の雇用とか育児後の雇用対策、あるいは採用されましても、その昇進や賃金、そういう面でのまだ差別が解消されていない。こういう中で、女性の雇用機会というのがまだ十分に促進されていない面があるんではないかというふうに思いますけれども、このあたりについての労働省の取り組み方、この辺についてお尋ねしたいんですが。
  19. 佐藤ギン子

    説明員佐藤ギン子君) 雇用機会均等法、施行されましてまだ一年ちょっとでございますので、この評価というのはなかなか難しいところだと思いますけれども、法律できます前に企業でさまざまな議論があったことを考えますと、この一年間に多くの企業で雇用管理の改善が進んでいるというふうに私ども感じておるわけでございます。もちろん、先生御指摘のように、すべての問題が解決しているわけではございませんで、国の法律あるいは企業の制度が改善されていきましても、実際にその制度によりまして動いていく人間の気持ちが変わっていかないと動かないという面もございますので、そういう面で私ども法の趣旨や内容が徹底するように十分努力いたしますとともに、そうした労使、男性も女性も含めて意識が変わっていくような機運の醸成というものに十分努めてまいりたいと考えております。
  20. 千葉景子

    ○千葉景子君 なかなかこれは難しい問題がたくさん含まれていようかというふうに思います。また、機会均等法後新しいまた差別というんでしょうか、男女の職務の区別、こういうものが新たに出てきたところもありまして、難しい面がたくさんありますけれども、ぜひこの女性の雇用の拡大、雇用機会の拡大の面でも労働省が積極的に働きかけていただくようにお願いをしたいと思います。  そして、最後の質問になりますが、今世界から日本が円高の中で非常に指摘をされているところに我が国の長時間労働というものがあるんではないだろうかというふうに思います。これによって非常に輸出が拡大をし、その中で貿易摩擦なども起こっているという一つの要因にもなっているところなわけです。そういう意味では、今回労働基準法の改正案などが出されておりまして、時短対策などにもようやっと一歩が踏み出されたところかと思うんですが、それにしても、この労基法の内容もむしろ時代錯誤的な非常におくれた側面が強い、この程度では到底ゆとりのある生活あるいは内需拡大にも寄与するところが少ないんじゃないだろうか、こんな気がするわけです。思い切った時短対策あるいは労働基準法の内容の思い切った改正、こういうことも必要かというふうに思われます。また週休二日制導入などにも十分な促進方が必要かと思いますけれども、このあたり、世界の流れ、あるいは貿易摩擦などの中で、内需拡大しなければいけないという、そういう観点からいかがでしょうか。
  21. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) 週休二日制の推進を中心といたします労働時間短縮の問題は、何よりもまず勤労者の生活充実という観点から重要でございますし、そういった観点からこれまでも対策を進めてまいりましたが、これはまた消費機会の拡大でございますとか、あるいは働いている人のライフスタイルが変わってまいりますので、そういった面からの新しい需要をつくっていく、こういった観点から内需拡大の面でも中長期的に意味を持ってくるわけでございまして、その観点からも積極的に週休二日制等の推進を図ってまいらなければならないというふうに思っておるわけでございます。  ただいま御指摘のように、労働基準法の改正案につきましては現在継続審議となっておるわけでございますが、この改正案は中央労働基準審議会で大変精力的に御審議をいただきまして公労使の一致した建議をいただいて、これに沿って法案をつくったものでございます。御承知のように内容は、本則に週四十時間制という原則を規定しました上で、中小企業の労働時間の実態等を勘案いたしまして、法定労働時間をこの目標に向けて段階的に短縮をしていくということになっております。また、年次有給休暇の最低付与日数につきましても、中小企業に一定の猶予期間を置きながら、六日から十日に引き上げることを内容といたしております。この今回の改正によりまして、我が国の労働時間というものは着実に短縮されるというふうに私ども考えている次第でございます。  この労働時間の短縮を進めます場合には、一つには、こういうような最低労働条件という形での法律的な形で進めていきますのが一つでございますが、あわせて非常に難しいのは中小企業の労働時間短縮が難しいわけでございまして、こういった中小企業に対する指導、援助といったような対策を充実させていくことによって進めていくということも必要でございます。これは車の両輪であるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、現在も中小企業の集団等に対する援助事業を行っておるわけでございますが、今後とも労働時間対策を一層充実する必要があるわけでございまして、そういった観点から中小企業に対する援助といったものを含めましていろいろと幅広く検討していきたいというふうに考えている次第でございます。
  22. 吉川博

    吉川博君 我が国は貿易黒字を抱え、経済摩擦解消のために六兆円規模の補正予算を組み、内需拡大をし、国民生活の安定、雇用の拡大等いろいろなメリットを引き出そうとするわけでありますが、まず最初に労働省にお伺いしたいと思いますが、前国会で改正された勤労者の財形持ち家融資制度は大いに期待されていると思います。この制度改善により住宅需要が大幅にふえていくと考えられますが、ただいまの説明ではいま一歩の感があるわけでございます。今後のこの需要見通しについてお伺いしたいと思いますが。
  23. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) 先ほど御説明申し上げました資料の二枚目の一番上にございますが、六十一年度の持ち家個人融資の実施状況を見ますと、貸し付けの件数が年間で一万五千戸、金額でいきまして一千百四十六億というふうになっておるわけでございます。これは六十一年度の実績でございます。今回、先ほど申しましたような法改正を含む大幅な改善をさせていただきましたので、私どもとしては貸付件数でこれの四倍ぐらい、六万戸ぐらい、限度額がいわば倍に引き上げられたわけでございますので、限度額につきましてもその関係で一件当たりの貸付額が上がるだろうというふうに考えておりまして、六万戸、六千億ぐらいを見込んでおるわけでございます。法律の施行が当初予定しておりましたより二カ月半ぐらいおくれておりますので、その点、ただいま申し上げましたのは十二カ月の見込みでございますが、いずれにいたしましても大いにPRをいたしまして多くの方に利用していただきたいというふうに考えている次第でございます。
  24. 吉川博

    吉川博君 公共投資についてでありますが、ウサギ小屋の解消あるいは大都会のビル不足によって建築等がなされておるわけでありますが、六兆円の投資が始まりますと、しかもそれが半年間で消化をしていくということであるわけでありますが、そうしますと、とび職とか左官職等の専門職人が間に合わなくなるだろうと。そこで民間会社 等でも失業者の雇用対策等で職業訓練を始めておると聞いておりますが、実際には泥縄式に思うわけでありますが、これから急を要することに実際間に合うかどうか心配するわけであります。下手をするとそのあたりの職人の獲得戦争になって賃金を高騰させていく、勢いそこらがインフレにつながらないとは言えないわけでございます。既に地価高騰等の原因で特殊な品物等ではかなりの影響を受けて高騰しておるものも出てきておるわけでございます。六兆円の短期間消化はいろんな面で影響あるいは心配、配慮を考えていきませんと逆に大変なことになるような気がいたすわけでありますが、そうした人間的な供給ですね、そうした面についての御配慮をお伺いしたいと思うんですが。
  25. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  先生おっしゃるとおりでございまして、特に建設業について求人が増加してくるということで、これは緊急に倍加してくる面とそれが継続するかどうかという面で雇用政策上非常に難しい面を持っているわけでございますが、先ほども申し上げましたように一定の能力その他は必要でございますけれども、委託訓練、企業に直接委託して訓練するとか、いろんな形でいわゆる技能労働者のそういう面での不足を解決していかなければならないというふうに思っておりますし、一方では各不況地域等での傾斜配分等を建設省その他にお願いしているわけでございまして、そういう地域での、例えば都会、東京等へ集中するだけじゃなくて、事業量そのものも各地域へ配分していただきたい。それから地域間での技能労働者のアンバランスがないように、それらの情報の連絡その他を十分図ってまいりたいというふうに思っております。  せっかくの緊急対策でございますので、それに対応できるよう十分努力してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  26. 吉川博

    吉川博君 既に大工さん等でも引っ張りだこで大変な事態を招きかけておる。十分そうした点を配慮して、これからの進め方に十分ひとつ力を尽くしていただきたいと思います。  それから、今回の内需拡大政策の中で、ただいま説明を受けました産業構造の転換を進めていかなければならないことでございます。もちろん、今回の補正のみの問題ではなくて今後数年を要する事業でありますが、しかし貿易摩擦の解消のためにはやらなければならない大変な事業であります。極めて困難なことでございますが、もちろん労働省のみの問題ではなくて通産、大蔵初め各省庁の大きな課題でございます。  そうした中で、結論は第三次産業振興させていくということでございますが、その第三次産業といっても一体どんな事業の種類が考えられておるのか、具体的にひとつお教えをいただきたいと思いますが。
  27. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) お答えいたします。  第三次産業の雇用の増ということでございますが、先生御指摘のとおり非常に雇用失業情勢厳しい中で、完全失業者はふえているけれども、一方雇用者は全体ではふえているというのが調査で出ているとおりでございます。  どこでふえているかと申しますと、製造業では減っているけれども、第三次産業でふえておる。卸、小売、サービス業等でふえておるということでございますが、どういう職種でふえているかと申しますと、なかなかその実態は非常に近々の状況を調べるのは難しいわけでございますけれども、国勢調査その他によりますと、事業サービス、そういう関連で増が見られるということでございます。  今後の問題としましては、現在、労働省の中でも七月早々に労働白書を提出するわけでございますが、そこで、どういうところで伸びていくかというのを、過去の状況、それから今度の前川レポート等によります調整の計画によっては、どういうところが伸びるかというような分析を行っておりまして、近々その結果が出てくるというふうに思っておりますが、やはりサービス業その他でふえていく。それから先ほど厚生省官房長の方からお話がございましたが、医療関係とか、それからシルバー関係とか、そういう面での福祉サービスもふえていくだろうというふうに考えておりますし、それから職種で見ますと、いわゆるブルーカラーと言われた技能工、そういうところが減ってまいりまして、先ほど申しましたようにME関連その他先端産業に基づきます技術者、その面での不足が出てきて、その面での雇用増が図られていくのではないかというような、大ざっぱに申しますと、そういう傾向になっていくのではないかというふうに思っております。
  28. 吉川博

    吉川博君 実は私の近所で温泉を、まあ、これ温泉というよりも沸かす温泉ですが、そしてそこでお湯に入れてショーを見せて、そして食事もでき、あるいはいろんな遊戯するものもあり、あるいは一週間とか一月とか安く泊まって、老人が大変喜んで大繁盛しておる。地元の新聞、中日新聞が、これこそ産業の転換だというので大々的に書いたわけでありますが、その程度のことが産業の転換の大きな目玉になるのかなと思うと非常に寂しい気がいたすわけでありますが、一体そこらあたり、今お聞かせをいただいたいろんな方面があると思いますが、まだ画期的なそういう事業が始まったということを聞きませんので本当にうまくいくのかなということを心配するわけでありますが、今おっしゃったようなことが軌道に乗りつつある、どんなところで乗りつつあるんだということを、あったらひとつお教えいただきたいと思うんですが。
  29. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 全体的な数字の状況で申し上げたわけでございまして、その産業転換というのがこういう方向に、こういう産業に移りなさいというやり方はなかなか、これは通産省やその他との問題でございますけれども、彼らと話しておりましても難しい問題でございまして、方向としては先ほど申し上げましたような方向、それからハイテクその他に関連してのそういう工場団地の誘致その他があるわけで、MEその他先端産業での企業誘致のような問題、それからもう一つは、鉄鋼その他がつぶれましてそこでの新たな雇用の創出の問題、それからさらに過疎地域その他で従来から労働力需給の悪いところでの地域開発の問題と、そういうふうに分かれていくんじゃないかというふうに思います。そしてそれがハイテクその他でうまくいっているところがだんだん出てくるとか、そういうような状況になってくればいいわけでございますが、しかし、やはり産業転換は経済の状況が上向きになってきている状態での転換を図らなければならないという要素を一方に控えておりまして、内需拡大その他の成果が我々としては一方では待たれる、こういうことでございます。  それから先と言われましたそういう具体例につきましては、もっとそれ以外でも一村一品運動を行っている地域とかいろいろございます。それから緊急の地域につきましては、例えばヒラメの養殖とか、シイタケを栽培するとか、漬物をつくるとか、いろんな緊急対策、また一村一品運動をやっておられるわけでございます。ただ、これらにつきましてもそれぞれの地域の特色を生かしてやっておられると思いますが、ここでこれをやっているからまたまねをしてということでは、また市場がヒラメでいっぱいになってしまうというような状況もあるわけでございまして、それぞれの市町村でそれぞれの知恵を出しながら、そういう先ほど分類しました第三番目の地域問題というものは考えていっていただかなければならない。それに対して我々としてもいろいろな援助をしていかなければならない、こういうふうに考えております。
  30. 吉川博

    吉川博君 ありがとうございました。大変難しい問題でありますので、大いに頑張っていただきまするようにお願いを申し上げます。  それから厚生省にお伺いするんですが、今回の補正で一体どれくらいの事業を考えておられるか、また一体どういうものを重点的に考えておられるか、その辺のところをお伺いいたしたいと思 いますが。
  31. 北郷勲夫

    説明員北郷勲夫君) 補正の内容はまだ全部決まったわけではございませんが、厚生省関係では、先ほどちょっとお話しいたしました水道廃棄物のいわゆる公共事業分野に入るものがあるわけでございます。これがやはり一番金目としては大きいのでございますが、そのほかに先ほどもちょっと触れました社会福祉施設整備、これは公共事業の枠内に入ってはおりませんが、やはりハードのものでございます。特に、先般火事で死亡者も出しましたりいたしました施設における災害防止の問題なんかも、いわゆるスプリンクラーの設置とか、こういうものも、いわば、これは内需拡大といってはまたちょっと分野が違うのでございますが、そういうところも含めて施設整備とかあるいは水道廃棄物整備、こんなところを重点に補正に入れたい、そういうことで大体進んでおるところでございます。
  32. 吉川博

    吉川博君 そこでまず、先日、松寿園の痛ましい事故が発生をしたわけでありますが、全くお気の毒の限りでございまして、犠牲者に深く哀悼の意を表するわけでございます。  この際、全国のこうした施設に再び事故を起こさないためにも、今お話のあったスプリンクラーを至急つけるべきだと思いますが、一体幾つ施設があって、どの程度の予算をそれだけのことに必要か、お伺いいたしたいと思います。
  33. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 先日の特別養護老人ホームの火災によりまして貴重な人命が多数失われたことに対しまして、大変私どもも残念に思っておるところでございます。私どもといたしましては、二度とこのような惨事が起こらないよう、今回の原因調査の結果等も分析いたしまして、今後このような要介護者が入所していらっしゃいます社会福祉施設におきます防火安全対策につきまして見直しを行っていきたいというふうに考えておるところでございます。  また、今回の補正予算という中で、当面の緊急措置といたしまして、このような要介護者が入所しておられるような施設に対しましてはスプリンクラーの設備の整備を進めるという観点から現在検討を行っておるところでございます。  その対象施設につきましては、対象施設、またその事業量等につきましては、現在、財政当局等とも含めまして検討を進めておるところでございますが、ともかく、このような災害弱者と言われるような御老人とか、また身体障害者、精神薄弱者、そういう方が入所されておられるような施設を中心に整備を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  34. 吉川博

    吉川博君 できる限り早くひとつ実施をしていただきますようにお願いを申し上げます。  厚生省の行政対象には病院環境衛生施設社会福祉施設等国民の健康やハンディキャップを負った人の生活に直接かかわる施設が多いわけでありますが、そのうち環境衛生水道とか下水、ごみ等をのけまして、緊急に整備改善を必要としながら、予算の制約など各種の阻害要因によりましてやむを得ずおくれているものはどんなものがあるのでございましょうか。具体的にひとつ教えていただきたいと思います、
  35. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 福祉施設の問題でございますけれども福祉施設につきましては、ただいまの御質問のように逐次増設を進めていかなければならないわけですけれども、それとともに現在の施設の中にも建築後相当の年数を経過し、老朽化しているようなものがあるわけでございます。先ほどの提出しました資料の中を見ていただきましても、まだ木造施設面積にいたしまして五・六%程度残されておるわけでございまして、このような施設につきましては、入所者の安全、また入所条件の改善というような見地から改築整備を進めていかなければならないというふうに考えております。  現在のところ、これらすべてを改築した場合の事業費というものについては試算は持っていないわけでございますけれども、例えば、昨年、六十一年度におきましては約三百件百十一億円程度の国庫補助を行っております。今後ともこれらの老朽施設改築整備につきましては一層努力してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  36. 吉川博

    吉川博君 それで進捗率は何%ぐらいになって、今後何年ぐらいかかったらそれ全部終わるかということを教えてください。ついでに国と地方との負担割合もちょっと……。
  37. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 施設整備につきましては現在の補助制度の中では国が二分の一、それから都道府県または指定都市が四分の一、設置者が四分の一というような負担割合で整備を進めておるわけでございます。  それで、この場合、最終負担者の民間の部分につきましては、民間の社会福祉法人等が社会福祉医療事業団から融資を受けることができるわけでございますけれども、その際はこういう老朽民間施設改築につきましては無利子の措置をとっておるということでございます。
  38. 吉川博

    吉川博君 これらの施設は公立と私立とあるわけでございますね。その比率割合はどの程度であるか、またこれは民活で大変効果あることでありますが、厚生省としてはなるべく民間事業にゆだねた方がいいと考えておられるのか、あるいは公立と半々がいいと考えておられるのか、その辺の一つ考え方についてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
  39. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 現在ある老朽施設の割合でございますけれども、これは大体公立と民間がほぼ半々、多少民間立のものが多いという状況でございます。  私どもといたしましては、この老朽施設改築につきましては、特に公立、どちらも身障者とか御老人が入所されておるわけでございますから、どちらも並行して進めなければならないというふうに考えておるところでございます。
  40. 吉川博

    吉川博君 ありがとうございました。  引き続いて、ただいま説明を受けたわけでございますが、廃棄物処理に関してお尋ねしたいと思います。  廃棄物処理施設の設置は、事業性格上用地の確保あるいは地域住民の反対によって、必要にもかかわらず建設着手に及ばないものが多いと思われますが、例えば東京、大阪のような大きなところは理解できるわけでありますが、市町村等においては大変困っておるところも多いと思います。したがって、その箇所数はどのぐらいあるのか、また事業費はどのくらいかかるものか伺いたいと思います。
  41. 浅野楢悦

    説明員浅野楢悦君) 座ったままで失礼します。  ごみ処理施設の数でございますけれども、現在全国で千九百カ所ございます。先生御指摘のように、ごみ処理施設建設当たりましては、地域住民の反対等が間々起こりがちでございますけれども、市町村におきましては、いわゆる公害防止協定等の住民との合意を文書の形で取り交わす等の努力をやりまして、できるだけ事業の進捗を図っておるところでございます。  それから、施設整備の経費でございますが、近年の傾向といたしましては、一般廃棄物処理施設――ごみ処理施設とし尿処理施設整備を含めまして、年間建設改良費で約三千億程度のレベルで施設整備を進めております。うち、国庫補助が六百五十億程度という状況でございます。
  42. 吉川博

    吉川博君 ありがとうございました。
  43. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほど官房長からも御説明がございましたし、今も同僚の吉川委員の方からもお話がございましたが、私、社会福祉施設整備について若干お尋ねしておきたいと思うんです。  追加資料の四ページを見ましても、一番目は「要介護老人等の増加社会福祉施設等整備の必要性」ということでおっしゃっておみえになります。この内容を読みますと、七十五年、二千年には要介護老人の皆さん方は約百万人程度になろうかという予測をされておりまして、それに対しての整備目標としまして、「二十四万人を整備目標としている。」、「ここ数年は、年間百二十か所、定 員約八千人のペースで着実に整備を進めており」、こうおっしゃっておるわけでございますが、六十二年度の予算ではどの程度の予算を計上されておりましたでしょうか。
  44. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 六十二年度の予算でございますが、四百三十五億ということでございまして、前年に対しまして五億円の増加ということで予算化しておるところでございます。
  45. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 そうしますと、ここに書いておみえになりますところの整備目標、これはおおむね達成ができるというお考えになっていらっしゃいますね。
  46. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 老人福祉施設、特に特別養護老人ホームにつきましては。毎年これらの予算のうちかなりの割合を割いておるところでございます。  例えば六十一年度におきましては、百三十七億円を特別養護老人ホームの創設に充てておるところでございまして、最近だんだんと全体に占める割合も増加しておるところでございます。今後ともこういうような状況が続くんではないかというふうに予想しておるところでございます。
  47. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども吉川委員の方からもお話がございましたが、いわゆる内需拡大という面に触れますと、やはりこの施設改築ですか、増改築ということも非常に必要になってくると思うわけでございます。  せんだっても、先ほど特殊老人ホームの松寿園の火災につきましても吉川委員の方からもお話がございましたし、政府委員の皆さんもそれについて触れておみえになりました。私もそれに対しては哀悼の意を表さしてもらうものでございますけれども、この事件を見まして、厚生省としてはどういうような御見解をお持ちになっていらっしゃるのか、それを最初にちょっとお聞きしておきたいと思うんですが。
  48. 福田孝雄

    説明員福田孝雄君) 今回の事故、私どももふだんから施設入所者につきましては災害に対する弱者であるというような考え方から、避難設備の設置でございますとか、また不燃化でございますとか、いろいろの指導を行ってまいったわけでございますけれども、このような事故が生じまして大変残念に思っておるところでございます。今後このような重大な事故が二度と発生しないようその原因を調査いたしまして、さらに指導の周知徹底を図ってまいりますとともに、これまでの消防設備等に対する規制等のあり方につきましても見直してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  49. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いただきました資料によりますと、これはまた別にいただいたわけでございますが、この「養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準」というのがございますが、その第十九条第二項によりますと、「寮母は、被収容者おおむね四・五人につき一人以上を置かなければならない。」こう規定がございますが、この実績はどのようになっているんでしょうか。また夜間についての規定というものがございませんけれども、しかし介護については、常時これはだれかを置かなければならないということになっておると思うんでございますが、今回の場合におきましても、宿直の職員の存在があれば、あるいはもっとスピーディーな対応がとれたんではないかと、こういう指摘もあるわけでございますが、そういった特養老人ホームについての配慮はどうなっておるのか、あるいはその基準についてどのように厚生省としては考えてみえるのか、実態とあわせてお答え願いたいと思います。
  50. 真野章

    説明員(真野章君) お答え申し上げます。  御指摘のとおり、特別養護老人ホームにつきましては大体入所者四・五人に一人寮母を置いていただきたいということになっております。先生御指摘のやつは、実は昨年最低基準を改正いたしました前の条文でございまして、現在は生活指導員、寮母及び看護婦または准看護婦を通じて四・五人に一人ということになっております。いわゆる直接処遇職員が四・五人に一人ということでございます。  それからまた先生御指摘のとおり、常時介護を行える体制をというふうに決めております。これは昼、夜を通じましての基準でございまして、夜につきましては、私どもでは少なくとも複数いわゆる二人以上の職員を配置をしてほしいという指導をいたしておりまして、それにつきましては、先ほど申し上げました最低基準、省令その他で規定をしておるものではなくて行政指導として指導をいたしておるものでございます。
  51. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども福祉施設にスプリンクラー設備補助費二十五億円を補正予算案に盛り込むということでお話がございましたが、そういった人命を預かってみえる施設の対応としては遅きに失したような感じがするわけでございますが、これで十分対応できるものかどうか、せっかく予算案に組み込まれるわけでございますので、これを大いに活用できるようにしていただきたいと思います。  特に、特養老人ホームにつきましては、これを運営されるいろんな団体がございますけれども、いろいろと私たちも聞いておりますと、このホーム建設に伴いますところの莫大な借入金がございまして、それに対して、その返済に対する対応ということがございますので、経営が非常に苦しいというところが多いというふうに聞いておりますが、厚生省調査、実態等をつかまえておられましたらお話伺いたいと思うんですが。
  52. 真野章

    説明員(真野章君) 私ども実態調査をしたことはございませんが、先ほど施設課長からもお答え申し上げましたように、施設につきましては国が二分の一、県、指定都市が四分の一補助をいたしまして、設置者の負担は四分の一でございますし、それからその四分の一の借り入れにつきましても社会福祉医療事業団からの低利の融資があるということで、施設整備を行う際にはそういう資金面の手当てその他も十分さかせていただきまして、施設運営にいわゆる財源的な運用上の支障がないというところに施設整備をお願いをしていると、今後ともそういうことで経営面につきましてもチェックを厳しくして整備をしていっていただきたいと、指導していきたいというふうに考えております。
  53. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 その点を私どもも非常に必要ではないかと考えます。特に防災の面、管理の面、運営の面などで、やはり特養老人ホームにお入りになってみえる皆様方は非常に御不自由な方々も多いと聞いておりますので、その点でも万全の体制というものをきちっとしていただきたいと思うんです。  先ほどおっしゃってみえたその基準につきましても、二人以上の方が常時とおっしゃっておりましたけれども、その点についてもきちんと、そこに見える方が責任のある対応ができるような人を、できる能力のある方じゃなければ非常に難しいと思うんですね。その点のまたいろんな御配慮もお願いをしておきたい、このように思うわけですが、その点どうでしょうか。
  54. 真野章

    説明員(真野章君) 夜間の勤務体制につきましては、複数以上の職員の配置をということで指導しておるわけですが、それは、それぞれ施設の置かれている立場がいろいろございます。隣に病院のある施設もあれば、非常に防災機関から遠い地域にある施設もございまして、画一的に、基準上これ以上の人間をという指導はなかなか難しいということから、いわゆる行政指導で複数配置をということを指導してまいったわけですが、今御指摘の点も含めまして、夜間の勤務体制につきましても十分検討してまいりたいというふうに思っております。
  55. 北郷勲夫

    説明員北郷勲夫君) 先ほどの太田先生の、厚生省どう受けとめているかということで、私答えが不十分だったと思います。ちょっと補足いたしたいと思いますが、私どもが一番深刻に考えます点は、今回の松寿園で一応基準あるいは運営の仕方あるいは設備、こういったもので決められたものに反しているものはないわけでございまして、それでもなおかつああいう事故が起きたという点が非常に問題だと。これはもう、ああいった寝た きりの御老人の方、あるいは身体障害者の方なんかでも身動きの非常に困難な不自由な方の扱い、どういう危険があるかわからぬわけでございまして、その危険にもう全く一〇〇%対応するというと、今、夜間の人間の配置の問題がございましたが、それだけに着目してやると大変な人数が要る。運営費に物すごいお金がかかる。こういうことになりますし、それが果たして本当にいいのかという、経費の面で大変な苦労をいたします。  そこでスプリンクラー、これはいわば水に頼る、いざというときにぱっと出る。これは水浸しみたいな感じになるわけでございます。あるいはもっと早く消防が来るとか、本当にすぐに来ていただく、初期の消火というようなことが早くできればいいと。もうちょっと技術的にとり得る方法はないかというようなことをよっぽど考えていきませんといけないと。今の、基準そのものあるいは考え方をよっぽど工夫していかないと、こういった事故は防げないんじゃないかということを真剣に受けとめているというようなことでございまして、何よりも、今の基準あるいは運営の指導要領を遵守しながらも、こういう事故が起こるというところを真剣に反省していかなきゃいかぬということが私どもの率直な気持ちでございます。
  56. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 おっしゃるとおりいろんな状況等があろうかと思います。したがいまして、私も、先ほどおっしゃいましたようにそれぞれの実態それぞれ個々に違うと思いますので、そういうことを調査して、改善すべきことは改善を図っていただきたい。まあ、とにかく国だけでできない部分もあろうと思います。地方公共団体と協力し合いながらやっていかなきゃならない部分もあろうと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思いますし、先ほど吉川委員の方からも福祉と民活ということでお話がございましたが、日本も最近だんだんと民活ということが取り上げられてきているわけでございますが、また欧米諸国と違ってボランティア精神というものがまだまだ非常に認識が薄い面があろうかと思うんです。また、企業の面でも、そういう、こういった福祉事業に対するボランティア的な部分ですね、まあ、企業が寄附金を出すとかそういったことにつきましては、これは大きな減税の対象になるとか、そういうようなことが考えられてしかるべきじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。官房長何かお考えありませんか。
  57. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 現在、共同募金を通じまして御寄附をいただきます場合は、今、先生おっしゃっていただいた、企業が寄附をしていただいた場合、また個人の場合も、ある一定の要件はございますが、税制上、例えば損金に算入できる、または軽減の措置があるというようなことをいたしておるわけでございます。先生の御趣旨は、そのいわばお金の面だけではなくて、精神的な意味でも、また本当に現実にボランティア活動を多くの方がしていただくような、そういう機会を我々考えていかなくちゃいけないんじゃないかという御指摘かとも思います。  この点につきましては、社会福祉協議会、これは全国に支部を市町村段階まで持っておりますけれども、ここを中心にいたしましてボランティア活動の振興ということに力を入れさしていただいております。また、今回、文部省の方でも教育課程の中に福祉科というようなものを御検討いただいておるようでございますが、一般の教育の部分でも、こういった部分に皆様が御理解を深めていただくような、そういうような措置をしていただくようなことも私ども文部省に働きかけてきたところでございます。広く多くの方々に支えられた形で福祉が発展していくということが望ましいのは先生の御指摘のとおりだと私ども考えております。
  58. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 終わります。
  59. 吉川春子

    吉川春子君 最初に、厚生省にお伺いいたします。  内需拡大国民生活向上購買力を高めるために行われるべきであると思いますが、公共事業さえやれば内需拡大になるということではもちろんないはずです。  で、私、円高不況地域に行って社長さんなどと話をしてみましても、もっと国民の財布のひもを緩める政策が欲しいという話が出ますね。老後の不安があるので多少減税してもみんな貯蓄に回ってしまう。もっと福祉充実させてほしいという意見が強いわけです。  総理府の世論調査によっても、これは六十一年九月実施調査ですが、政府への要望として「公的年金制度の改革」が四二・五%、「医療福祉施設充実」が三五・七%、こういう方面での要望が強いわけです。高齢化社会を迎えて老後の暮らしを安定させることを初め、福祉充実こそ厚生省のやるべき内需拡大策の最大のものではないのかと思いますが、この点の基本的な考え方について伺います。  それから第二点目は、政府は一九八五年の七月、市場アクセス改善のためのアクション・プログラムを作成いたしまして、その中で基準・認証制度の見直しを行い、その中でこれまで国家検定の対象となっていた医薬品のうち、一部の血液製剤について検定を廃止し、製造業者みずからの責任において基準にしていることをチェックする品目の拡大を行いました。  で、昨日の報道によれば、厚生省のエイズサーベイランス委員会は、国内のエイズウイルス感染者を新たに六十八人確認、五人を新たにエイズ患者と認定しました。このうち二人は輸入血液剤による発病であり、また六十八人の感染者のうち五十八人が米国からの輸入血液製剤によるというふうに報道されています。  アクション・プログラムは、非関税障壁をなくすなどとして、このほかにも国民の健康を守る上で必要とされていた規制まで緩和いたしましたけれども、私は国民生活特別委員会でこの問題について指摘したことがあります。こういう心配が現実のものとなったのではないかと思うわけです。国民の健康を守り、エイズ患者をふやさないためにも、厚生省は安易な規制緩和をやるべきではないと、内需拡大ということで安易な規制緩和をやるべきではないと思いますけれども、どうでしょうか。  以上二点、厚生省にお伺いします。
  60. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 最初の先生の御質問でございますが、内需拡大という観点では厚生省こそ出ていくべきではないかという御趣旨かと思います。  これは先ほどもお答えをさせていただいたのでございますが、私どもの行政の中で大きな部分を占めております医療保障、年金の両制度を中心に考えてみますと、社会保障が国民生活の中に占めます位置は大変大きいものがございます。こういう観点から見ますと、私どもは長期的な観点に立って、この水準はどういうふうにあるべきかということを踏まえながら、この社会保障の充実ということを考えていかなくてはいけないと思っておりますので、長期的に見まして年金の水準がいかにあるべきか、医療の保障はいかにあるべきかという観点を第一に考えるべきではなかろうかということを申し上げさせていただいたわけでございます。  確かに消費自体が、例えば医療保障の費用がふえますと、医療サービスというものがそこに登場するわけでございますので、大きな内需喚起ということもあると思いますし、先生がおっしゃいましたように、年金受給者はそれがすぐに消費に回るウエートが高いということは事実だと思いますが、そういう観点のみで社会保障は考えることができない面があるということは御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  61. 高橋透

    説明員高橋透君) 血液製剤及びその他の生物学的製剤についてでございますが、MOSS協議におきまして、GMPに適合している厚生省のデータを受け入れて、輸入業者が検定申請に際して行う試験を免除するということで合意をしたわけでございますが、エイズの場合には何によって起こるかわからない、ウイルスが発見されるということがかなり遅くなったわけです。最初は同性 愛あるいは薬物中毒者に多いということだけがわかっていたけれども、なかなかこれだけではできないようなところがございました。  輸入医薬品等の規制緩和につきましては、いずれも医薬品等の有効性、安全性の確保という観点から十分な検討を経た上でのものでございまして、国民の保健衛生の確保の上で支障を来すものではないと考えております。  エイズの関連でございますが、血漿分画製剤につきましては、その大部分を輸入に依存せざるを得ない状況でございますので、血漿分画製剤につきましては、昭和五十八年七月からその原料血漿を採取する際、問診あるいは検診によりまして、先ほど申しました個性愛あるいは薬物中毒、そういったようなエイズのハイリスクグループの方々の排除を行いまして、その旨の証明書を添付させるようにしたところであります。また、昭和六十年七月よりエイズの抗体検査の方法が確立したということもございまして、エイズ抗体検査の陰性が確認された旨の証明書のあるものを輸入するよう指導を行った、こういったことで安全対策を講じ、厳しい規制を図ってきたところでございます。  なお、現在、血液凝固因子製剤につきましては加熱処理製剤を義務づける等の規制を図っておりまして、安全な血液製剤が輸入、供給されているところでございます。
  62. 吉川春子

    吉川春子君 時間がありませんので、もうちょっとお伺いしたいことがありますが、とにかく、規制緩和も安易にやるべきじゃないということを私は繰り返し強調しておきたいと思います。  労働省にお伺いいたします。  内需拡大についての御説明の中で雇用対策がありましたけれども、労働時間の短縮、賃上げについてはほとんど触れられなかったわけですが、この点について伺います。  経企庁の「内需拡大と成果配分」という文書によりますと「勤労者生活充実個人消費を中心とする内需拡大という観点からみれば、賃上げと労働時間短縮への配分が、主要な関心事である。」と述べていますが、労働省としてはこういう認識には立っておらないんでしょうか。  これも経企庁の調査によれば、国民所得に対する雇用者所得の割合、すなわち労働分配率は、先進五カ国の中で日本が最低で六八・九%、最高はイギリスの七五・三%になっているわけです。また、これも繰り返し言われることですが、一人当たりの総労働時間は、これは労働省資料ですが、日本は二千百六十八時間、これも五カ国中最高で、最低はフランスの千六百四十三時間となっています。  このように、日本の労働者の賃金、労働時間は先進国の中でも最も低いことが改めて示されているわけですけれども、労基法の改正については、もうとんでもない改悪だと私たちは思っていますが、ちょっときょうは触れる時間がありませんが、賃上げの問題について、労使間にだけ任せておける問題なのかどうかということが質問の第一点です。  それから第二は、日米貿易不均衡の要因の一つに、今申しましたような労働者の低賃金長時間労働による国際競争力の強さがあることは周知の事実ですが、内需拡大、それから貿易不均衡是正のためには、国民経済的には積極的に政府としても、賃上げ、時短を進める必要があると思うんですけれども、こういう是正のための具体的な方法、そういうものについて労働省はどう考えていらっしゃるかということを伺いたいと思います。
  63. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) 労働分配率の問題というのは、いろいろな議論がありまして単純な比較は難しいとは思いますけれども、一般的に言いまして、資本の充実というものと勤労者個人生活充実という観点からしますと、どちらかといえば、これまで資本の充実の方にウエートが置かれてきた、そして、生産性の成果配分という観点からいたしますと、どちらかといえば相当部分が賃金の引き上げに割かれてきて、労働時間の引き上げというものはウエートが小さかったということが指摘されておるわけでございますけれども、私どもも同様の認識を持っておるわけでございます。  賃金の問題につきましては、今先生のお話ございましたけれども、やはり、私どもとしては、これは労使の自主的な交渉、話し合いの中で適正なものが決まっていくべきであるというふうに考えておりまして、そのいろいろな条件の整備というものには努めているわけでございます。  労働時間の問題につきましては、今申しましたように、これまでの成果配分が相当部分賃金に回されてきたということ、そしてまた、国民生活充実という観点からいきますと、そして、特に最近では消費の構造の変革、内需拡大、こういった観点から労働時間の短縮が大きな課題であるという観点から労働時間短縮対策に取り組んでおるわけでございます。  この点につきましては、ただいま先生からお話ございました継続審議になっております労働基準法の改正ということと、それから労働時間短縮は、中小企業の時間短縮というのはなかなか難しい状況でございますので、中小企業の労働時間短縮のためのいろいろな援助、こういったものを車の両輪としまして積極的に進めていきたいというふうに考えている次第でございます。
  64. 吉川春子

    吉川春子君 時間が来ましたので終わります。
  65. 三治重信

    ○三治重信君 まず、厚生省二つお願いします。  一つ環境衛生施設廃棄物処理ですね。これは産業廃棄物も含めて厚生省の方でいろいろ対処されておるのか。ぜひひとつ、この海岸の埋め立てとか、一般のごみの焼却はいいんだけれども、埋め立てなんか、山の中とか、湖水とか、海面とかいう、そういうやつで、しかも大きく多町村にわたっての集合的なやつをやらぬと、各市町村だけにこういうことをやっても、土地問題からして大体デッドロックになって引っかかってきちゃうと思うんです。おたくの方の資料にあるとおり、余分の埋め立てできる土地がだんだんなくなっちゃうわけなんで、こういうような大きな計画が東京と大阪にやられているわけなんだが、名古屋はどうなっているのか。  それから二つ目に、社会福祉施設で、死ぬまで収容している人が随分おって、その死んだ後案外金を持っているんだというんだな、貯金や通帳や債券なんか。ところが、一遍も見舞いに来ないのが、その施設が死亡広告というのか、一生懸命になって探して、貯金だけ取りに来て、そして遺骨まで途中でほうったらかしていくような、全然施設におって死んだ人と関係のない人が遺産相続して持っていっちゃうというんだな。そういうなのに対する法的な対策いわゆる施設で収容して死んだ人の相続権は施設にあるような特別な遺産相続体制をつくったらいいんだと思うんだが、どうなのかね。全然施設関係ない、来ない人に何でそんな一生懸命ためている財産を渡さんならんかということ、それ一つ
  66. 浅野楢悦

    説明員浅野楢悦君) まず、産業廃棄物関係でございますが、実は先生御案内のように、産業廃棄物につきましてはいわゆるPPP原則と申しますか、排出者責任というものがございまして、原則として地方公共団体はその処理を引き受けないという形になっております。  具体的には排出企業者がみずから最終処分地を確保する、あるいは産業廃棄物処理業者がその処理を引き受けて処理をするというスタイルになってございます。  それから、市町村レベルで扱いますのは、したがいまして一般廃棄物処理施設、これは最終処分場も含めて対応をしておるわけでございますが、先生御指摘のように単独の市町村ではなかなか最終処分地を見出すことが難しい状況がございます。多くの場合は幾つかの市町村が処理組合をつくりまして、共同事業として最終処分地を確保するという手法がとられております。  ただ、大都市圏域では、いわゆる内陸処分地を、例えば市町村が組合をつくりまして共同部に見出そうといたしましても、これはもう非常に困難の度を加えておりますので、したがいまして、冒頭御説明いたしましたように、まず大阪湾圏域、次いで首都圏という形で広域海面型処分場整備に 着手しておるところでございます。  最後に、名古屋の中部圏の問題でございますが、首都圏、大阪湾圏域に、次いで今後の課題としては中部圏がクローズアップされてこようと思っております。したがいまして、私ども厚生省におきましても、中部圏域の広域処理体制の整備に向けまして、現在、排出実態の調査あるいは将来における最終処分の可能性と限界というものについて調査を進めておるところでございます。この調査結果を踏まえまして、運輸省と図りながら、広域最終処分計画というものをつくってまいりたいというふうに考えております。
  67. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) もう一つの先生のお話しの件でございますが、施設に入所されておられる方が年金等を貯金をされているというケースについて、今まで御本人の扶養に何ら携われなかった親族の方がそういうものを相続されるというのはいかがなものかという先生のお話しかと思います。  実は、私どもとしても、いわゆる心情的には確かに割り切れない面がございますし、私どもの方で、これももう一つ深刻な問題としてございますのは、生活保護を受けておられる方につきましても、もちろん、今申し上げたような動産を持っておられるというケースはまずないわけでございますが、御自分の住宅を持っておられるというケースは生活保護者にもございます。そうすると、最近の土地の値上がりというようなことで、亡くなりますと資産が結果としまして残ったというケースもございまして、こういった福祉の措置を受給された方と、その方の財産の問題というのは実は私どもとしてもいろんな観点から検討はしてきたわけでございますが、民法の基本原則みたいなものを私ども特別法の体系で何か修正をするということには限界があるんではないかという気がいたしております。今の段階で扶養というものが、従来と違いまして、こういった形で社会保障の、社会的な扶養という部分が非常に大きくなった時期でございますので、そういう意味では扶養とか相続とかというのが従来の考え方とはちょっと違ってきてもいいのじゃないかという、これはやや私見にわたるのでございますが、そういう気がいたしておりますが、私どもとしてはこういう方向でというのはちょっと今出しかねておるというような状況でございます。
  68. 三治重信

    ○三治重信君 その点、それはすぐ、何というのだか、これは確かに検討しておかんと、費用ばっかり国民から取っちゃって、それでもう個人のあれはどんどん取るなんてやったら、やはり社会の公平からいって、これは本当に民法の例外つくらにゃいかぬから、立法措置をやらにゃいかぬ、これは本気になって検討して、ひとつ合理的な資源の、資源というのか、国民の負担の解決を図ってもらいたいと思います。  それから財形貯蓄の方で、これ貯金しているのが千七百万人とか、その年金で百九十八万といって、住宅つくるのが非常に少ないというのは、住宅をつくるための貯金になってないという、貯金する者その者が住宅をつくるための貯金でないという観念でやっているのが非常に多いんじゃないか、そういう者について調査しているのか。  それから、財形貯蓄を使っての住宅取得の融資と一般のその住宅金融公庫の融資とダブっていいのか、ダブっちゃいけないのか。こんなことで一般の住宅金融公庫の方を優先してみんな住宅をつくってやっているんじゃないのか、こういうことについての調査をお願いしておきます。
  69. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) この財形貯蓄は、財形貯蓄と財形年金貯蓄と二つございまして、財形年金貯蓄というのはもう年金ではっきりしているわけでございますが、財形貯蓄というのは今先生おっしゃいましたように、住宅のためにためている者、その他の者、みんな一緒に入っているところでございます。どういう目的でやっているのかという中身は、実は調査ないんでございますけれども、少なくとも半分については老後のためにということで貯蓄をしているということでございます。  ほかの公的な融資、住宅金融公庫等々、財形の関係でございますけれども、これは両方あわせて借りることは可能でございます。したがいまして、住宅金融公庫の資格要件のある方は大体住宅金融公庫と財形とをあわせて借りておられる、所得なんかが一千万以上、高くて住宅金融公庫から借りられない人は財形を借りれる、こういう格好になっております。
  70. 平野清

    ○平野清君 時間が余りにもありませんので、厚生省労働省の両省さんに続けて質問だけ先に申し上げておきますので、適当に配分してお答え願いたいと思うんですが、まず厚生省にお願いしたいのは、公的年金ぐらい私たちサラリーマン新党としては無税にすべきだと思うんですよ、無税に。一生懸命長寿社会に備えて働いてきて年金もらったら、その年金にまで税金がかかるなんてばかな話はないと思うんで、大蔵省と大げんかしてもいいからぜひやってほしいということ。  それから、二番目に、水がめがなくなって上水道が取水制限までやっているといいますけれども、飲める水をみんなトイレやいろんなところで使っているわけですね。建設省は今度の緊急対策で、多分学校の増改築なんかやると思うんです、官公庁も含めて。そういうときに雨水を利用するような特別施設ですね、汚水をもう一回浄化して使うようなことに予算要求をぜひやってもらったらどうかという点。  それから、三番目に、これはちょっと細かくて言い切れませんので後で質問書を出しますけれども、今、国民年金や厚生年金が、受給者がもう何十万とふえて、恐らく厚生省としては大変な事務量だと思うんです。こういうところに大きなコンピューターを入れるとか、地方の保険事務所と本省との連絡の事務効率化とか、そういうものにこそ金をかけてほしいという三点です。  それから、労働省には、今の御説明聞いていますと、六十歳定年を一生懸命奨励されているというふうにおっしゃっていました。ただし、現実の会社なんかを見てみますと、例えば五十七歳になるとほとんど臨時昇給はカット、それから賃金は大幅にカット、役職は降職、そういうのが実情だと思うんですね。そうしますと、ただ六十歳定年が実現したところで勤労意欲がわくわけがないと思うんですね。後進に道を譲るから役職のホストは外れても仕方がないと思いますけれども、賃金が大幅にカットされたり臨時昇給がなくなってしまったり、そういうんでは何のための定年延長がわからないというのが私たちの考え方です。これは自由経済下ですから、会社とサラリーマン、勤労者が結ぶ契約ですから、それを労働省が法制化しろと言ってもちょっと無理だとは思いますけれども、そういう定年延長の場合、賃金カットの上限ですわ、そこいらの行政指導をぜひやってほしいということが一つ。  それから、二つ目は、さっきの財形貯蓄の件ですけれども、今内需拡大が叫ばれているのは、日本人の貯金が多過ぎるということなんですね。そこで、一生懸命財形貯蓄だとかいろんなことで貯蓄をふやす施策もやらなきゃいけない、非常に矛盾していると思うんですよ。だから、今度は貯金統計のときにきちっと目的がわかっている、例えば郵政省が考えているシルバー貯金とか、それから持ち家制度の貯金というものの統計をはっきり外していただいて、両建てにして発表していただく。じゃないと、外国から、いつも日本人は貯金ばかりしている、貯金ばかりしている。家が欲しい、老後が心配だから貯金しているんで、それに内需拡大に結びつけられて文句言われたんではとてもじゃないが――そういう意味で数字をはっきりしてほしい。  それから、もう一つ、その財形貯蓄ですけれども、一年間の期限がありまして、今度三年に延長になったようですけれども、会社がつぶれてしまったり、自分個人の理由で一日欠けても財形貯蓄の資格がなくなっちゃうんですよね。それで、今度三年に延びて法が改正になって、同じ例えば○○信託とやっていた場合には継続になりますけれども、必ずしも再就職したところが同じ信託をやっているとは限らないわけです。だから、違っ た信託と契約している会社に勤めても、厚生年金と同じように財形貯蓄が継続しなければ何にもならないと私は思いますが、それを順次お答えいただきたい。
  71. 長尾立子

    説明員(長尾立子君) 厚生省の方の御質問の第一点は、年金に税金をかけるのはおかしいではないかという御質問かと思います。  現在、年金につきましては私どもとしてはこういう考え方をとっております。年金には例外的に、非常に例外的ではもちろんございますが、高額の年金受給者も一応おられますことと、年金以外に高額の所得を持っておられる方も現実にはございます。私どもとしては、先生がお考えになっておられますように、普通の方が受け取られるサラリーマンの年金で、ほかに所得のないという方を非課税にしていただくということではないかと思いまして、今回、税制改正の中でもそういう方向年金課税の改善をお願いいたしまして、事実上、今、御指摘になりました普通の厚生年金を受けておられる方でございますと、ほかに所得がなければ、まず年金部分は非課税になるというような水準で改正させていただいたところでございます。  それから、もう一つ年金等についての事務処理でございますが、実は年金の裁定自体、千数百万人の方がおられますので、裁定自体は既にコンピューターシステムによって裁定作業をやっております。  それから全国の末端にございます社会保険事務所と私どものセンターをつなぎますオンライン計画は、実は今、後期の段階に入っておりまして、既にオンラインで結ばれておりまして、例えば年金相談とか受給者の方が来られますと、幾らぐらいの年金額になるかというようなことがすぐに私どものセンターのデータを呼び出して御相談に応じるということができるようになっておりますが、今後の次の段階といたしましては、末端でその裁定業務が現実にできていくようなそういう段階に今進みつつあるわけでございます。
  72. 浅野楢悦

    説明員浅野楢悦君) 雑用水道の件でございますが、確かに先生御指摘のように水資源の有効利用という観点から、可能な場合には雑用水道整備があった方がいいだろうというふうに考えております。  ややデータが古うございますけれども、五十八年三月末現在で全国で四百三十七カ所の事業所、ビルにつきまして雑用水道整備が進んでおります。これは主として国土庁が指導を行っておるわけですが、私どもといたしましても、水道整備するかたわら、雑用水道が必要な場合には普及が図れますように、また衛生上の問題が生じるという懸念がございますので、その辺の押さえも行政的にきちっとしながら普及を進めてまいりたいというふうに考えております。
  73. 白井晋太郎

    説明員白井晋太郎君) 定年延長に関する問題でございますが、先生おっしゃるとおり、労使の雇用管理調査でも定年延長のために賃金それから役職の変更を行ったというのが三分の一ぐらいございます。これは非常に難しい問題でございまして、企業が定年延長して、その賃金の総枠の問題といろいろ絡む問題でございまして、先生おっしゃるとおり、国がその最低限を設けるというのは非常に難しいし、労使で決めるべき範囲の問題だというふうに思っておりますが、定年延長するための制度をつくっていくとかいろんな場合に、従来は国家が助成を行ったりして賃金行政その他のインセンティブを持っているんですけれども、具体的にはいろんな事例その他で昨年の法改正後指導体制を強化しまして、そういう相談、指導について企業に十分世間並みの指導をしていくということを現在努めているところでございます。
  74. 若林之矩

    説明員(若林之矩君) いわゆる高貯蓄の問題が指摘されておりますけれども、そういう中で、やはり高齢化社会に向かう中で、年金とか住宅とか、こういった目的の明確な貯蓄というものは今後とも重視されていくべきではないかというふうに認識しております。  それから承継措置の問題でございまして、中小企業などでは移転職が多いわけでございますし、そういう中で財形年金というものが有効に機能いたしますためには、先生御指摘のような承継措置がぜひ必要であると考えておりまして、今後ともその実現に努めてまいりたいというように考えております。
  75. 長田裕二

    会長長田裕二君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十四分開会
  76. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を再開いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします、  本日、飯田忠雄君が委員を辞任され、その補欠として高木健太郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  77. 長田裕二

    会長長田裕二君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 長田裕二

    会長長田裕二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に高木健太郎君を指名いたします。     ―――――――――――――
  79. 長田裕二

    会長長田裕二君) 国民生活に関する調査を議題といたします。  本日は、内需拡大について御意見をお述べ願いたいと存じます。  御意見のある方は順次御発言を願います。
  80. 坂野重信

    ○坂野重信君 去る五月二十五日の理事懇談会において合意を見た内需拡大策の検討項目に関連して若干の意見を申し述べます。  内需拡大に関しては、六十二年四月二十四日決定の総合経済対策要綱の「Ⅰ内需拡大のための経済対策」が自民党の基本的な考え方となっております。そして、この考え方に沿い、かつ先般政府側から説明のありました経済審議会建議「構造調整の指針」(いわゆる新前川レポート)を配慮した緊急経済対策が五月二十九日の経済対策閣僚会議で決定されたと私どもは理解いたしております。そして、それによって目下六十二年度補正予算の原案を作成中であります、  まず、内需拡大の意義なり役割についてでありますが、これは本来外からの要請によるものではなく、二十一世紀に向けて我が国の国民生活の質的な向上により国民が豊かさを実感できるような社会の実現を目指し、国民生活環境の整備社会資本充実を進め、これによって量的に需要を喚起、拡大するための政策であるべきだと思います。  そのためには、特に先進主要国に比して立ちおくれた社会資本整備水準を取り戻すための公共事業等の推進が肝要であることは御案内のとおりであります。そして今や、たまたま国内的には円高不況、雇用の悪化等が厳しくなり、対外的には貿易不均衡が著しい中で、我が国に対して諸外国からの内需拡大の要請が一段と強くなり、内需拡大を対外公約とせざるを得ない事態に立ち至ったのであります。  そこで、貿易依存型経済から内需主導型経済への転換を図りつつ、国民生活に密着した内需拡大のための諸施策を実行し、当面景気浮揚や雇用対策にも資することが緊急の課題となったのであります。しかし、ここで留意しなければならないことは、内需拡大策の実行は内需主導型経済成長を促し、構造調整の進展に寄与することは確かであるが、それによって貿易収支の黒字が直ちに大幅に減少することを期待するのは早計であるということであります。特に対米黒字の減少には、米国自体の財政赤字削減や産業の競争力を強める等の努力も必要であります。いずれにしても内需拡大策の実行は一年や二年の短期間ではなく、数年間 継続して行うことが必要であると思います。  次に、内需拡大政策手段なり事業内容に関してでありますが、これは政府の緊急経済対策にその概要が示されており、以下順次論及してまいりますが、まず内需拡大の総体の規模決定についての考え方を述べることといたします。  すなわち、内需拡大の規模決定には事業執行能力を考慮すべきは当然であるが、貿易収支に及ぼす影響度も配慮しつつ、経済成長率と財政負担能力と総合的に考慮して策定すべきものだと思います。経済審議会の「構造調整の指針」でも指摘していますが、GNP成長率に対する外需の寄与度がマイナスになることを想定すれば、一定のGNP成長を達成するには内需成長率をGNP成長率を上回るようにさせなければなりません。したがって、内需成長を思い切って高めるような内需拡大の規模を確保しなければならないし、しかも本年度の内需拡大のテンポが当分スローダウンしないようにしなければなりません。六十二年度一年きりで内需拡大をダウンさせれば、内需拡大効果が出るどころか逆にデフレ現象を起こすおそれも出てきます。したがって、六十二年度以降は六十二年度の補正後の事業費を基礎として内需成長率を確保しなければなりません。  ところで、公共事業の配分等についてでありますが、これらの決定に当たっては当面、需要創出効果や貿易収支に及ぼす経済効果を重視すべきであることはもちろんであるが、それだけでなく四全総計画や各種長期計画の進捗度等、中長期的視点に立った配慮のもとで当面の不況地域や不況業種に対する緊急対策を講ずるべきであります。なお、内需拡大の有力手段である公共事業は所得水準の低い地方圏ほどその依存度が大であることを忘れてはなりません。そして、これら事業の経済効果は当面のフロー効果のみではなく、ストック効果をも考えなければなりません。フロー効果のみでの議論は片手落ちです。例えば治山治水、道路、埋立事業等で構造物の少ない部分を実施する場合はフロー効果は比較的小さくても、一体としてでき上がった後の波及効果が大きいことを見落としてはなりません。  次に四、公共事業等の財源対策についてでありますが、先進主要国に比して歳出総額に占める国税割合が低く、また最近の厳しい財政事情の中で一般財源に多くを期待することは困難であり、財政が健全化するまでの間は揮発油税等の特定財源や建設国債に依存せざるを得ないのが実情であります。建設国債は特例国債(赤字国債)とは性格上区別して考えるべきものであり将来にわたる便益を考慮するとそれに要する費用の負担を後世に求めるのもやむを得ない。したがってここ数年間建設国債の適度な増発はやむを得ないと思います。また、財投資金等のほかNTT株売却益、国公有地の積極的な払い下げ代金や受益者負担金の活用等さらにきめ細かい工夫のもとで財源確保に努めることが肝要と思います。  一方、財政力指数の低い県、市町村に対する助成措置も大切であります。地方債の充当率を高める等の弾力的な運用を図るとともに、交付税等による自後の助成を十分に考えなければ地方の事業分担に支障を来すおそれが出ると思います。このような観点からも衆議院における税制改革協議会の成果に期待いたしたいところであります。  次に五、住宅対策についてでありますが、まず住宅対策の前提となる地価対策について申し上げます。特に著しい東京の地価高騰を解決するには需給調整を図るのが根本であります。それには四全総計画で唱える東京一極集中を改め地方分散を着実に強力に進めることにあると思うが、当面の対策としては、まず土地取引の適正化策の一環として、譲渡益に対する長短区分の見直しと超短期重課については、衆議院の税制改革協議会における所得税関係の一連の協議にゆだねられているので、これを早く結論づけていただきたい。それともう一つの対策として需要の多い事務所を東京駅付近あるいは臨海部に再開発等により大幅に供給する計画が具体化しさえすれば事務所用地の買いあさりや地上げがとまり、商業地等の高騰抑制が期待できると思うので、政府の土地対策関係閣僚会議において、この計画を固めて発表することが適切だと思います。  次に、住宅対策は学校や事務所ビル建築とともに内需拡大の有効な目玉商品とも言うべき民活の一種です。以下当面の改善措置について申し上げます。  新たな宅地に住宅新築を行うよりも、さしあたり実行しやすい建てかえや増改築に対する公庫融資等の拡充や貸付金利の一層の引き下げ等を進めるほか、今まで行ってきた住宅減税はなお欧米に比して不十分ですから、住宅減税の一層の充実を図ること等を住宅対策の重点とすべきであると思います。なお高齢者同居のための部屋数や面積増加のほかに、新たに小型ホームエレベーターの設置等に対する助成措置も老後における住まいの不安を極力少なくするため大切であると思います。  次に六、民活事業についてでありますが、財政をカバーするためにも民間資金の活用、すなわち民活事業推進が大切であります。これには公的事業を国なり公共団体にかわって民間に執行してもらうわけですから、事業の採算性が問題となるのは当然であります。そのためには国なり地方公共団体によるインセンチブの付与が要望されることも当然でありましょう。特に収益性の低い事業に対する助成策が求められています。このため道路や下水道や防災等関連公共事業要望によって実施され、また各種の規制緩和や事業本体に対する民活法を中心とする補助、融資、税制特例等の助成策によって、各種の民活事業が次第に実行段階に入りつつあります。都市再開発や関西空港等の大型プロジェクトは採算性からも大都市圏が主力となっています。一方地方においても観光、文化、ハイテク関係、特に総合保養地域整備法の制定を契機としてリゾート関係事業への関心が一段と高まりつつあります。今後はこのリゾート関係事業を目玉として推進することが望ましいと思います。  ただここで留意すべきはNTT株の売却益金を活用して無利子融資する方法等は結構であるが、このための財政支出は度を越しては本来の民活の意義を失うことになるので、極力民間自力に期待したいものであります。  そのかわり国なり公共団体は、便宜供与の一環として国公有地の有効活用のため、国公有地処分の弾力化と、民間土地とともに国公有地に対する土地信託制度の積極的な活用を進めることも有効だと思います。そして民間の余裕金を住宅の改築や余暇時間の活用に消費するような機運を醸成するため、民活事業国民生活とかかわりの深い内需拡大策について民間のアイデアの公募やコンペ等を進めたらどうでしょうか。勤倹貯蓄を美風として培われた日本人の考え方の転換は簡単なことではないと思いますので一工夫が必要と思います。  次に七、政策金融についてでありますが、住宅金融公庫の一層の金利引き下げのためには財投金利の一層の引き下げが必要であり、その他政策金融の弾力的運用が内需拡大のため必要であることは申すまでもありません。  次に八、産業空洞化と内需産業振興と雇用対策についてでありますが、海外直接投資は次第に高まりを見せ、これによって我が国の製品輸入比率を高め、相手国の生産、雇用を拡大し、我が国の経常収支の黒字縮小に役立つと見られるが、一方において我が国における産業の空洞化現象を生じ、国内製造業や雇用問題に深刻な影響を与え、また、地方への企業進出鈍化の傾向を生じています。これに対応するため内需型新産業への転換、特に特定地域の中小企業の振興対策は緊要な課題であると思います。そのため前述の政策金融の機動的運用や投資減税の充実等の助成策を急ぐ必要があります。また公共事業内需拡大も重点的にこれらの地方へ配分が行われなければなりません。これらの措置によって地域活性化が期待できます。  また雇用対策については週休二日制の実行等年 間千八百時間を目指す労働時間短縮によって余暇時間活用、生活の質的変化、消費拡大等とワークシェアリングによる雇用確保に努めましょう。そして高齢者雇用の場も極力広げたいものであります。  最後に九、円高差益還元についてでありますが、円高差益還元は可処分所得の増大につながり、国民生活にゆとりを与えることになり、内需拡大にも資するものでありますから、これをさらに強化する必要があります。そのためには政府当局初め関係者による一層のPRなり誘導策をもっと進めるべきであると思います。内需拡大一つの柱である所得減税や財源については、衆議院の税制協議会の検討にゆだねることとし、以上、私の内需拡大についての意見といたします。  以上でございます。
  81. 山本正和

    ○山本正和君 私は、五月の二十五日の理事会で議論をいたしました内需拡大の問題を国民生活観点からどうとらまえていくかということにつきましての、今までの委員審議を通じまして私なりに思いましたことを以下申し上げていきたいと思います、  まず前提といたしまして、内需拡大ということは国民生活の質の画期的な向上を目指すと、こういうことで、この本調査会が意見の一致を見て現在まで論議がされてきている。いわゆる外圧とかあるいは単なる為替問題ではなしに、我が国が二十一世紀においてどういうふうな状況にあるか、その中で国民生活がどうあるかという立場から国民生活の質の画期的な向上を目指す、こういう観点から内需拡大策を検討すべきであると、こういう立場に立っているということをまず前提としたいと思います。そしてなお、この問題につきましては今日多くの国民各層間もこれについての合意が得られていると、こういう立場に立ってこの問題についての意見を以下七点にわたって申し上げたいわけであります。  第一点は、国民生活の中での一番現在の我が国民が関心を持っている土地問題であります。土地がなぜ投機の対象となっているのかと、そしてその土地が投機の対象となっていることについて、ほとんどこれが政治の力をもって制御されていない、このことに対する国民的不満が今日まさに満ち満ちているということを思うのでございます。すなわち土地を投機の対象とさせないための施策の確立がまさに急務ではないかということを思います。  そして、これは映画「マルサの女」ではありませんけれども、税務調査の強化をまず当面すべきである。いわゆる不動産売買による不当利益についてはこれを許さない、国民的決意を持ってこれに対応すべきである。これによってもかなりの抑制ができるのではないかと思います。要するに土地問題に対する政府の毅然とした対策を多くの国民が求めている、このことをまず申し上げておきたいのであります。  次に、いわゆる市民、それもまさに小さな住宅、小さな土地、それを持っている市民が、この土地問題とかかわって子供への相続も不可能になっているという土地税制の問題であります。これに対する改善を何とかしなきゃいけない、そういう国民の強い声が、なぜこの狭い土地、狭い住宅がこのような高い課税の対象となるのか、税金が払い得ないという、特に東京に見られるような大都市における市民生活の問題に対する改善をなすべきである。  そしてその次に、住宅というものは、利益を生むものではありません。しかし店舗、事務所についてはこれは当然異なってまいりますけれども、この住宅、店舗、事務所等について、これをどういうふうに税制上位置づけるか、また市民の権利としての位置づけをするか、これについての対策が速やかに立てられるべきではないかと、こういうことを申し上げておきたいのであります。  さらには個人土地を不要とする場合に、これを公共用地として寄附その他を行う場合におけるその個人に対する減税、免税、さらにはその本人に対するさまざまな税制上の優遇措置を講ずるべきではないか。これはお年寄りの単身家族の方が土地をもう要らない、これを寄附をしていくという場合においても、なかなか現行の中ではそれがなし得ないというふうなことから、国民の間から出ている一つの声であるということを申し上げておきたいのであります。  さらに、大都市に集中しているさまざまな機構の中でこれを他に移すべき問題がありはしないかについての検討であります。  これは、例えば学校あるいは研究所、さらには情報産業のセンター、さらには商品取引所あるいは場合によっては株式市場、こういったようなものが今日の我が国の状況からいった場合に果たして都心にあることが必要なのだろうか、こういうことも含めて分散するための施策についての検討並びにこれについての奨励策さらには助成等を講ずべきではないかと思うのであります。  その次の問題として、市街化区域内の農地の問題があるわけでありますが、これについては今まで既に議論されておりますところでありますので触れません。早急なる対策が講ぜられるべきであるということを申し上げておきたいと思います。  さらに、最後に土地問題についてのもう一つのガンは、我が国の都市計画が道路計画とどのように結合されて今まで進められてきたのかという問題であります。  これはアメリカ、ヨーロッパを見るまでもなく、いわゆる都市を建設する場合には必ず道路問題と結びついて行われてきている、これは世界の都市建設状況の原則と言ってもいいと思うのであります。しかしながら、我が国の都市問題は道路問題と本当につなげてやってきたのだろうかということについての疑問があります。今後の都市再開発について道路問題と結合した検討がなされるべきだというふうに思うのであります。  次に、第二点として、我が国民が、なぜ、日本の国は豊かなのに国民生活が寂しいかと言われている問題であります社会資本の問題について触れたいのであります。  すなわち、第一点が土地問題、第二点が社会資本充実の問題について意見を申し上げたいのであります。  私は、まず今度の調査会の中で各省庁のいろんな計画をお聞きいたしました。そして、その中で特に建設省の国土建設の長期構想につきましての計画をお聞きいたしました。昭和七十五年を目途とした計画でありまして、これによってやっと欧米に近い水準になると、こういうことが国土建設計画として示されておるわけであります。これは、しかし、もっと早急にこの計画については、特に今日の内需拡大という観点から繰り上げ実施をさるべきであると。建設省の問題ということよりも、国策として、この問題についての緊急対策が迫られているということを思ったのであります。  そして、第二番目にこのことについて申し上げておきたいのは、教育施設、これに対する重点投資の緊急性であります。そして、これは単に大学、高等学校、中学校、小学校に限らず、保育所、幼稚園等に至るまでの教育施設全般の見直し、そしてそれが人間として成長していくために必要なための施設は何かという観点からの再検討、これによる教育施設に対する重点投資、これが今なされなきゃいけない緊急の問題ではないかということを指摘しておきたいのであります。  そしてさらに、国土庁その他から提起されました総合保養地域整備法の問題であります。この早急な活用、そして特にこの法案に基づく関係公共施設の早期整備が今や必要とされると思うのであります。ただ、残念なことにこの総合保養地域整備法に基づく国費の投入を調べますと、調査費が九百万円、事業費が四千五百万円がついているにすぎません。これをさらにもっと強力に国の施策としての重点投資を行うべきであると。この総合保養地域整備法の中に示されているさまざまな理想はまさに国民生活の質を高めるために必要な幾つかの問題点が指摘されているがゆえにこのことを指摘しておきたいのであります。  そして、その次に、企業の保養施設が既に今あ るわけでありますから、大きな企業、あるいはそれぞれの団体等が持っている施設が、保養施設があります。これもあわせて、この総合保養地域整備法の活用の中に組み入れて検討さるべきじゃないかということを申し上げておきたいのであります。  そしてさらに、地方自治体がこの総合保養地域整備法にかかわってさまざまな取り組みをしていくべきではないかと。例えば、大都市といわゆる農林水産県との提携による交流、さらには北の国と南の国、例えば北海道や東北から九州や四国へ温暖地域への交流、こういうふうなものについても自治体相互で、この総合保養地域整備法に基づくさまざまな活用をすべきじゃないかということを指摘をしておきたいのであります。  その次に、社会資本充実の問題でもう一点指摘をしておきたいのは、社会資本への個人資金の導入の問題であります。社会資本をつくるに当たって、個人が資金を安心して出し得る条件づくりをすべきじゃないかということであります。すなわち、社会資本に対する個人資金保め導入に当たって、まず第一点として減免税の見直し、そして現行でもさまざまな措置がされているわけでありますけれども、もっと抜本的に個人社会資本へその資金を投入することに対するさまざまな社会的保障がなされるべきであると、こういうことを指摘したいのであります。例えば、個人財産としてこれを保障する、ある施設個人として一定額の資金を投入いたします。その資金は社会資本として投入をされたものでありますけれども個人財産としての保全を保障する等の措置によって個人資産の社会資本への投入の道が開けるのではないかということを指摘しておきたいのであります。そしてさらに目的債としての国債の発行、要するに社会資本債としての別枠国債を発行していってはどうかということも指摘をしておきたいのであります。  あと社会資本の問題について考えなくちゃいけない問題として老人ホーム、社会福祉施設、さらには最も全国的におくれていると言われております上下水道あるいはし尿処理等への投資の問題があります。こういう問題全般を含めてぜひとも早急な社会資本充実のための施策が講ぜられるべきであると思うのであります。  第三番目に、労働時間の短縮問題について指摘をしたいのであります。  それは、今日、我が国がヨーロッパやアメリカと比べて労働時間数が多過ぎるということは、これはもうみんなが知っている事実であります。そしてまた、これが貿易摩擦等を引き起こしている一つの原因にもなっているわけであります。そういう意味から企業を営まれる経営者の方々の理解を得なければなりませんけれども、今や日本人の労働時間を短縮しなきゃいけないということについての合意を得るためのさまざまな取り組みがなければならない、そのことを前提といたしまして早急に週四十時間制あるいは週休二日制、さらには年休二十日の完全消化等がなされるべきであると思います。そしてさらには、年休を完全に消化しない場合にはその年休期間に見合う分については賃金を高く支払わなければならない等の施策を講じて経営者からも年休の完全消化に対して対応を迫る等のことをすべきじゃないかということを指摘しておきたいのであります。もともと我が国で週四十八時間労働制ができたときには企業等の大変な抵抗があったということもこの際申し上げておきたいのであります。しかし、これをしなければ我が国の近代化はなされ得なかった、また優秀な労働力の確保もあり得なかったということを指摘しておきたいのであります。  労働時間の短縮の部分でもう一つ指摘しておきたいのでありますが、パートタイマーあるいは家内作業等に対して、これはまさに野放しの状況でございます。これらの労働者に対する保護、さらにはさまざまないい意味での規制を講ずべきであるということを指摘しておきたいのであります。  第四点目に、流通問題について触れておきたいと思います。  流通問題で国民が最も不思議としておるのは、なぜ円がこんなに高くなったのに品物の値段が下がらないのかということであります。したがいまして、これは流通全般にかかる問題でありますけれども、当両国民の目に見えるようにする施策を講ずべきである。そのためには輸入についての独占の排除をすべきである。総代理店制度が一体このままでいいのかということについての検討を早急に行うべきである。並行輸入等の制度を設けましたけれども、実効が上がらない原因を明らかにすべきであるということを指摘しておきたいのであります。  そしてその次に、これはアメリカやヨーロッパ等では既に行われているわけでありますけれども、メーカーが直販するという制度について一定の保障をすべきではないか。メーカーからの直販制度を無制限に認めますと、これは流通機構に混乱が生じます。しかし、例えば日を限って日曜日なら日曜日にトヨタの自動車の工場へ消費者が自分たちの何人かのグループで行く。そこで直販する。その場合には流通機構における付加価値を少しでもいいからこれをなくしていくというふうなことができる。あるいは電気製品等が工場で製造されていく状況を見学しに行って、その場でそれが買えるというふうな、そういうこともすべきではないか。まさにそこから流通機構についての国民の関心も高まり、また流通機構に携わる業界も合理化のための努力が行われるということを私は期待するのであります。  次に、コミュニティーマート、これは通産省等でも指摘されておりますけれども、これの奨励をなすべきである。かつて商店街はその町の文化も含めて楽しい市民の憩いの場でありました。商店街が、みんなが共同してそしてその中に広場が設けられる、あるいはまさに憩いの場所として利用される、そういう形での再度の町づくり、この問題についての検討を加えるべきであると思いますし、そういう意味での町づくりに対する政府としての助成、奨励等が行われるべきではないかと思うのであります。これによって商店街に対する活性化を見直すべきではないかと思います。  そして、その次の問題として、今日、小売業に対する公的規制が随分あることにつきましては、先ほど報告されました経済審議会の建議の中にも指摘をされております。我が国の小売業ぐらい公的規制の多いところはないんじゃないか、こういう指摘もあるわけであります。これに対する撤廃、さらには自由化等の問題を議論すべきであると思います。そしてヨーロッパやイギリスで特に発達しております生活協同組合運動、これに対する見直しをすべきである。生活協同組合運動というのはもともと政治的イデオロギーとはなじまないものであります。その観点を明確にしつつ、しかし消費者保護という観点からの生活協同組合運動に対する保護、育成をなすべきであるということを指摘しておきたいのであります。次に第五点として、農林漁業の問題について触れておきたいのであります。  それは私は、今日第一次産業に対する国の施策なり国民の見方を逆の目で申し上げてみたいのであります。それは、農林漁業こそ、その就業さらには従事等に対する奨励がもっとなされるべきである。本来、農林漁業というのは人間の営みとして最も人間的なものである。そういう意味から農林漁業に携わることの喜びが感じられるような制度あるいは施策こそ求められるべきではないかと思うのであります。しかし、今日兼業農家が本当に多数を占めてしまったような今の農家の状況、さらには後継ぎがないというふうな漁業の状況、山林が荒れほうだいになっているという状況等から見た場合に多くの問題があります。例えば農業機械のローンに追われて、一年たってわずかの機会しか使わないのに、隣の家が買っているので自分のところも買ってあるというふうな問題、あるいは漁網、漁具等が独占的な価格をもって割り当てられ、これを買わなければなかなか漁師としての生活が成り立たないというような問題、こういうまさに農漁民の生活実態に迫った農漁業政策の抜 本的検討がなされるべきでないかと思うのであります。  そしてさらには農漁業に対する融資が今農協あるいは漁協等によってさまざまな制度が設けられておりますけれども、しかしながら、この組合員が借りた場合の利子、利息等は他の産業に従事する者と比べて決して安いとは言えないのであります。農漁民に対して農漁業に従事するためのさまざまな融資制度あるいは合理化のための資金等に対する補助、助成をこそ今なされるべきであるというふうに思うのであります。そして農漁業に対する就労保障、さらには奨励、これが政府の施策としてなされることか何よりも大事ではないかと思うのであります。もちろん、農漁業の真の意味での合理化の必要性につきましては多く触れているところでありますから、私からはこれ以上申し上げません。  第六点として、対外投資に対する秩序ある規制ということを指摘しておきたいのであります。産業の空洞化等の議論がなされておりますけれども、私はまず国民の中にある不安をなくすために以下の点を指摘をしておきたいのであります。  企業なり個人なりが持っている在外資産、これについては把握は困難であろうかと思います。しかし、在外資産に対して一定の把握、さらには一定の課税等が行われるということをしなければ、国民の中にある不満というのはなかなか解消しないと思うのであります。日本人である限り、どこの国に住んでおっても日本の国のために納税をするんだという意識をここで持たなければ、私は、我が国民の間にある日本国民として生まれてよかったという気持ちにはならないということを心配するからであります。そして、その次に為替差益の把握とこれに対する課税の強化を、今の現行制度の中でも当然なすべきものがなされていないという指摘が多くあるわけであります。現行税制の中で、まず為替差益のこれに伴うさまざまな利益の把握につきまして、これは当然に行われるべきであると思います。そしてさらに、海外で企業活動を行うという場合に、これは、一体、通産省なりその他の関係省庁では行政指導がどのように行われているのか。というのは、海外における我が国の企業の中には歓迎されている向きもあるわけでありますけれども、多くの非難を浴びている企業があることも御承知のとおりであります。要するに、そのことが我が国に対する対外感情を悪化ざしている要因ともなっているからであります。要するに、海外での企業活動に対する行政指導が適切に行われるべきであることを指摘をしておきたいのであります。  第七点といたしまして、その他という形で幾つか申し上げておきたいのであります。これは、もうばらばらな形になりますけれども、思いついたままに申し上げていきたいと思います。  まず一つは、公共事業等の投資を今から行おうということになってまいります。その場合に、最も重要な問題は建設業界の合理化の問題であります。今、我が国の企業、業界の中に合理化がおくれている部分があるとするならば、その一つ建設業界があるということも国民の多くはよく知っているところであります。入札の方法、あるいは談合等の話、さらには人件費のピンはね問題等多くの問題が指摘されているわけであります。要するに、建設業界の近代化のために早急な施策が迫られることをまず指摘を促しておきたいのであります。  そして次に、年金問題でありますけれども、我が国の年金の長期計画を立てるべきであるということを指摘をしておきたいのであります。我が国の年金が、せめて夫婦で、一年に一遍ぐらいは老夫婦が旅行できるような条件にまでしていくのをいつの日と定めるか。年金の長期計画国民の前に提示することが、私はむだな貯金、むだな貯蓄を省き、自分たちの老後に対する安心と、我が国に対する信頼の何よりも重要なものと思うからであります。年金に関する長期計画を示すべきであるということを申し上げておきます。  次に、雇用問題でありますが、産業構造を転換するということで、この経済審議会の建議でも大変大幅な異動がここでもう既に指摘されているわけでありますけれども、この問題に対して国民的理解を得るための啓蒙宣伝を直ちに行うべきである。将来の産業構造の中では、雇用はこうなりますよという一つのイメージを国民の前に提起をしておくべきであることを指摘をしておきたいのであります。  そして、その次に、我が国民の間にあるもう一つの不安は、我が国には資源がないと、エネルギーもないと、一体日本の国の産業というのは将来どうなるという不安があるわけであります。しかし、私は長期的に見ても我が国の資源問題、エネルギー問題についての解決の方途は幾つか示されていると思うのであります。ただ、その展望について国民の前にわかりやすい形で示されていないところに問題があると思うのであります。資源、エネルギー問題に関する展望を国民の前に明らかにしておいていただきたいと思うのであります。  その次に、国際社会における日本の役割の問題を国民の間にさらに示す必要がある。このことを指摘をしておきたいのであります。我が国がエコノミックアニマルと言われてみたり、働き好きのウサギ小屋の住人と言われてみたりする、そういう日本人の姿ではないんであります。日本の国が今から世界へ示す一番大切なことは、まさに人間の知恵、人間の信頼において繁栄し得る国家、平和を何よりも大切にする中で国際社会に貢献できる国家としての、その役割を国民の前に明示する必要があると思うのであります。  以上、私は国民生活に関する問題についての私の見解を申し上げましたけれども、最後にもう一つ強調しておきたいのは、今日、国民の間にある最も大きな関心は、投機に基づく利益が放置される、投機に基づく利益については何ら政府の手が差し伸べられていないのではないかという疑問であります。さらには生産、あるいは今の大変苦しい中で、産業構造転換と言われている中で、何としても企業は生き残るために努力をする、そういう立場に対してはほとんど温かい政府の手が差し伸べられていないのではないかという不満であります。まさに生産のために従事する人たち、さらには産業構造転換の中で苦労している企業に対して、税の減免措置を含めて、これに対する早急なる温かい手を加えるべきであると、投機に基づく利益がまるで大手を振ってまかり通るようなことは許さないと、こういう立場に立った税制の抜本的改革が目の前にきているということによって、国民に対する安心感を与えることが、この内需拡大による国民生活の質の向上の前提として指摘をされるべきであることを申し上げまして、私の意見を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  82. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 一つ内需拡大の意義と役割について申し述べます、  現在の貿易黒字拡大は、マクロ的に見るならば、国内の投資不足が海外への投資超過となってあらわれたものであり、六十一年度の貿易収支黒字額が約千億ドルを超え、経常収支黒字が約九百四十億ドルに達している。速報値でございます。この経常黒字額の対GNP比は八六年度で約四・五%であります、黒字削減は避けられない、こういう中で、対GNP比経常黒字率を四・五%から二%に低下させるということは、内需、家計消費、設備投資、公共投資、住宅投資等々、差額二・五%分、約八兆円を吸収しなければならず、ここに内需拡大の意義も役割も集約されていると思うのであります。  そういう中で、二番目には、内需拡大のための政策手段は何かということでございます。円高不況の長期化、深刻化という経済環境のもとで、相当規模の内需拡大を期待するためには、思い切った財政出動を伴う大胆な政策手段が重厚的に用意されなければならないわけであります。その政策の何よりの基本は、景気刺激効果の大なることと内需主導型への構造転換を強く促すものでなければなりません。  そのために考えられる政策的手段は、一つ、家 計消費支出への刺激策であります。一つ、可処分所得増大を図る大胆な所得税減税、約二兆円規模。二番目、家計消費の重点を物の消費からサービス消費への政策誘導、例えば週休二日制の徹底化、有林利用の徹底、余暇の有効利用、そうしてまた年金生活化の問題等々。  それから、二番目には、産業構造転換に連動する公共投資の拡大であります。一つは、二十一世紀を展望した日本社会のグランドデザインを描くこと。二番目に、重厚長大型産業基盤整備中心から生活関連社会資本整備へと予算の重点配分を移行する方針の確立。三番目には、さしあたり重点配分すべきは、住宅建設生活関連公共事業等でございます。  三番目には、業種転換と雇用対策であります。その一は、産業構造転換に基づく職種転換を伴う労働移転の円滑化を図ることでございます。  こういう問題の中で、特に事業執行能力について申し述べてみたいと思いますけれども、外需が減少傾向を強めるということは、マクロ的には需給ギャップが生ずることになっております。そういう中で、内需拡大実施にあって、特定地域、分野へ集中的配分や不要不急の押しつけ予算は、消化不良と建材不足、特定職種の人件費高騰を招きます。したがって、公共事業の追加増額分については、東京、大阪などの大都市に集中させるのではなく、不況対策に即効性のある地方へ分散、中小企業向けに重点配分すべきでございます。  また個人消費にあっても、物の消費からサービスに対する需要増大が見込まれております。心や文化の時代への移行であります。公共事業対象も道路や橋中心ではなく、時代と人々の多岐にわたる要求にこたえ得るような重層的な視点が必要であります。  それから、公共事業をどう進めるかについてでございますが、一つは、公共事業で重要な問題は、当初予算と補正予算関係性などではなく、予算配分が硬直化している現状に風通しをよくしなければならないことでございます。過去十年、それ以上の長期にわたり一般公共事業費の配分、構成比が固定されたままであります。  これには各省庁の特権主義が一役買っていると言わざるを得ない。このあしき慣行を是正しない限り、予算の重点配分は不可能であります。とにかく、産業構造の転換に連動する公共事業に対しては、青写真を示しつつ大胆かつ計画的、継続的に配分すべきであります。  当面の対策と長期的視点との調整についても、確たる長期ビジョンの欠落していることが第一義的な問題であり、二十一世紀の社会を展望した計画に基づいた直面の対策と長期対応の問題点を明らかにしなければなりません。  六十二年度以降の予算は、自然増収分は歳出に振り充てることを原則とすべきであると思います。  今総論的なものを申し上げましたが、各論に移ってみたいと思います。  内需拡大策のまず第一に、先ほどもお話がございましたけれども、住宅政策推進を挙げたいと思います。  今、住宅及び住環境に不満を持つ世帯は四六・一%でございます。しかし、潜在的に不満を持っていらっしゃる方は七〇%以上あるのではないかと私は推定をするわけでございます。欧米主要国の満足率というのは七〇%から八〇%と聞いております。  こういうふうな中で、住宅優遇税制というものも検討されなければならないと思います。  一つは、計画的住宅貯蓄に対する利子非課税の問題、二番目には持ち家居住者の帰属家賃の非課税の問題、三番目には持ち家に対する減価償却の問題、四番目には貸し家に対する割り増し償却の問題、五番目には不動産保有税の軽減などの諸問題でございます。  また、我が国の住宅事情というものは、一つは、居住水準等質的な改善がおくれております。二番目には、持ち家の建設が低水準でございます。これは、住宅価格の上昇、所得の伸び悩み。三番目に、貸し家は建設戸数がふえておりますけれども、居住の水準が非常に低い、こういうふうな問題等もあるわけでございます。  私たちは、住宅建設の経済波及効果は、住宅関連産業が多岐にわたるため、すそ野の広さ、産業を押し上げる効果など非常にすぐれていると考えております。  ちなみに住宅を十万戸分ふやす経済効果を試算いたしますと、GNP換算で四兆四千億円、波及効果も含めてGNPを一・五%も押し上げる効果があると考えられるのでございます。  したがって、公共事業のうち重点配分すべき分野は、住宅建設並びに生活関連公共事業であると考えております。しかも、内需拡大の重要な柱として住宅の質、量両面の大幅な拡充を図るべきと考えるのでございます。  また、住宅政策についての条件整備も、重複するかと思いますけれども一つ、住宅基本法の早期制定。二番目に、住宅の質的充実を図るため各種の規制緩和の推進、例えば低層制限地区指定制度の拡充、容積率の上積み。三、支払いローンの全額を所得控除する住宅減税、持ち家減価償却制度など。そして住宅供給への大胆な方策等々をやはり考えなければならないと思います。  具体的な第二の考え方でございますが、地価対策でございます。内需拡大に地価が障害をしていることは明らかでございます。大槻文平氏も、地価対策を考慮しない公共事業は将来に禍根を残すと注文をつけておられるようでございます。土地私有制に土地投機が介在して起こる地価高騰が経済、社会、国民生活に悪影響を及ぼしているのは明らかでございます。この鎮静化を抜きにして国民の血税で巨額の公共投資を行うのはざるに水を入れるに等しい、そういうことでございます。早急に実効を期待できる対策が必要でございます。例えば、東京環状二号線は一・四キロメートル延ばす工事費用について建設工事費は約十五億円でございます。それにかかわる用地の取得費は四千二百億円に上るようでございます。二百八十倍、東京都の四年分の道路整備費になるのでございます。これでは大規模な公共投資は全く不可能に近いのでございます。また、ウサギ小屋の解消が進まない最大の障害は地価の高騰にございます。もし地価が下がれば同じ費用で敷地が広くとれます。建設のスペース、質ともよくなります。家具、大型電気製品など耐久消費材を中心に個人消費拡大誘発がさらに進むと考えられるわけでございます。そういうことでございますので、我が党の地価対策はこのように考えておるのでございます。  一つ、国会に土地問題特別委員会の設置を提唱したいと思います。  二番目には、地価抑制対策として、一つ国土利用計画法の抜本的改正、二番目には固定資産税の法人、個人の分離、三番目に土地信託方式の活用。  大きな三番として土地の有効利用、供給促進対策としては、一つ都市開発による土地の有効利用、二番目、土地、オフィス需要の地方分散、東京への過度の一点集中の是正、三番目には市街化区域内農地の宅地並み課税と線引きの見直し、四番目には大都市地域における埋め立て事業の促進。こういう等々を考えているわけでございます。  具体策の第三といたしましては、地域経済の活性化についてでございます。  地域経済の活性化のために衆知を集めて地域振興プログラムを作成し、地場産業と他業種、他産業、例えば流通、観光との有機的結合や地場産業が持っている伝統的技術と先端技術との融合を積極的に進めていくことでございます。そしてまた、地域経済の活性化のためには人材開発が重要であります。各種研究機関との連携を図り、体制整備を行っていかなければなりません。  そういう中で、一つは都市基盤整備推進でございます。下水道、港湾、道路、空港などの整備を強力に推進することでございます。必要な地方債の起債については許可制を段階的に廃止をしなければなりません。  二番目には、都市の再開発、都心地区の高層化 でございます。  三番目には、政府機関の地方の分散でございます。土地、オフィス需要の地方分散を進めるため行政権限を地方に大幅に移譲すること、交通情報網の発達によって必ずしも東京に立地する必要のない政府諸機関を地方へ分散することでございます。  それから、コミューター航空の導入でございます。全国的交通網の確立を速やかに図り、沿岸地裁や山村地域にコミューターの積極的なネットワーク化を図ることでございます。  それから、大都市の埋め立てでございます。東京や大阪など土地需要が強く、周辺地価が異常に高い地域においては、埋め立て事業を促進しながら、特に環境整備には十分注意をすることでございますけれども関係住民の意向をよく尊重し、環境アセスメントを完全実施の中で進めていかなければならないと思います。  第四に雇用の確保、創出でございます。雇用情勢は全国的に悪化の一途をたどっております。本年一月には完全失業率が三%を突破しました。また、全国求人倍率は〇・六%まで低下し、神戸は特に〇・二九であり、事態は深刻であります。さきに全会一致で成立をいたしました地域雇用開発等促進法の積極的を運用を図ることであり、特に新設された地域雇用開発助成金制度、職業転換訓練助成制度の周知徹底を図って進めることでございます。そして、その他に、特に高齢、高年齢者層の雇用の確保を図るためには高年齢者雇用確保助成金の拡充を図ること、また定年延長を推進し、先進国で実施されている部分年金、部分就労等の段階的、いろいろの制度も導入することでございます。そうして、特に定年延長の中で年金とのつなぎをきちっとしていくこと、また高年齢者の職業能力を開発し、高年齢者が技術革新に適応できるようにするため、訓練科目というものも増設をすることでございます。そして、労働時間の短縮を推進すると同時に、必ず給与体系が下がらないようにしなければなりません。  最後になりましたけれども、財源問題でございますが、財源対策として、一つは、六十二年度所得税減税の財源は六十一年度剰余金とNTT株売却益を充てること。二番目には公共事業追加措置分は建設国債を発行すること。三番目、恒久的財源対策は不公平税制是正を中心の抜本的税制改革で、一つ、グリーンカードによる総合課税化、キャピタルゲイン課税強化等、二番目には企業、法人所有の土地、株式の再評価税の創設等、三番目には自然増収、行政改革の徹底、補助金の見直し等々進めること。  以上、時間の関係で簡単に説明申し上げましたけれども、不十分の説明で申しわけないと思います。  公明党の内需拡大策について述べたわけでございますけれども、緊急経済対策を中心とした政府の内需拡大策に対する論議の中で最も気になるのは、いわゆる政府のグランドデザインが欠落していることではないかと思うのでございます。二十一世紀を展望した中長期の、あるいは超長期の総合計画の策定は、予測がつかないという困難さもあろうと思われますけれども、百年の大計なくして国民をどう導いていくのかという問題点は政治の責任であると思うのであります。そういう意味では責任を持った長期計画を明確にしなければなりません。  緊急経済対策といいましても、そのときどきの緊急避難措置であり、その場限りの対策にすぎないのであります。大河に橋をかけないで、一つ一つ仮の足場をこしらえて渡るようなものであっては危険この上ないと心配をするものでございます。  私たちは、二十一世紀トータルプランというものを作成しておりますけれども、どうか政府におきましてもグランドデザインを策定し、国民の皆さんの前に明確に責任を持って公表し、国民の審判を受けるべきであろうと考えるのでございます。  こういうことを申し上げながら提言の一部として、発言の締めくくりにしたいと思います。  ありがとうございました。
  83. 吉川春子

    吉川春子君 内需拡大について、まず私が総論を、近藤忠孝委員が各論を述べます。  内需拡大を当調査会審議する上で重要なことは、我が国の国民生活の実態を踏まえて、生活向上のために何をなすべきかを明らかにすることであります。  これは、当調査会性格からいっても当然のことだと思います。  現在、日本の経済力は世界でも際立っています。  一九八六年度の貿易黒字は、千十四億ドルと世界最高の水準であり、日本が海外で持つ資産から日本にある外国の資産を差し引いた純資産の一九八六年末の金額は、千八百四億ドル、日本円にして約三十三兆円にも達しており、これらの数字は今後ともふえ続けると見られています。  これらの巨額の富は疑いなく国民の長年にわたる勤労の成果であります。ところが、この巨大な富は国民生活福祉向上に使われるところか、どんどん海外に流れており、大企業の海外資産を増大させ、そのことが国際的にも大きな波紋を呼んでいます。  一方、国民生活は、日本の豊かさとはほど遠いのが実態です。  最近の国民生活の実態を見れば、政府の調査によってさえ明らかなようにかつての中流意識全盛時代から、中の中が減り、中の下がふえ、いわゆる中流意識に陰りが見え始めています。  これは、長引く不況のもとでの長時間労働、低賃金のほか、地価高騰でマイホームはいよいよ職場より遠く、ローンは重くのしかかり、都会の通勤地獄も加わって労働者の健康はむしばまれていることと無関係ではありません。  異常円高の進行する中で、中小企業は元請から、単価の切り下げ、仕事の減少を強いられ、これに対して、命を削るような長時間労働で乗り切ろうとしています。  私ども日本共産党は現在、全国で円高不況地域の調査を行っておりますが、この際業者の方々から聞く言葉は、この先どうなるのか、いつ倒産するのかという悲痛なものであります。  このように、国民生活は、黒字大国日本、債権大国日本とは対照的に、円高不況による雇用不安、倒産、転廃業の増大を初め、貧しい住宅・生活環境、長時間の過密労働、実質可処分所得の減少による購買力の低下、低福祉政策のもとでの老後の不安など、我が国の豊かさとはほど遠いのが実情であります。諸外国の目からは、こうした現状を富める日本の貧しき民と映っています。最近、米国の週刊誌ニューズ・ウィークは、日本特集号で、豊かさの尺度が生活の質にあるとするなら、日本は金持ちというには程遠いのであると結論づけています。  今、内需拡大というとき、富める日本と貧しい国民との大きなギャップをどう埋めるかということが中心課題です。  しかし、今日政府が進めようとしている内需拡大とは、日米首脳会談において中曽根総理がレーガン大統領に対して宣言した対米公約をもとに先日策定した緊急経済対策であります。また、さきのベネチア・サミットにおいても、我が国の内需拡大先進諸国からの圧力で、国際公約としてその実行が迫られております。  これでは国民の願いにこたえるどころか、外圧による内需拡大であり、日米の大企業の求めるこれらの施策では国民生活や中小企業、地域経済に一層の困難をもたらすものであると言わざるを得ません。  これらの巨額の富は疑いなく国民の長年にわたる勤労の成果であります。ところが、この巨大な富は国民生活福祉向上に使われるところか、どんどん海外に流れており、大企業の海外資産を増大させ、そのことが国際的にも大きな波紋を呼んでいます。  私は、国民の勤労の成果を国民自身に返還すること、すなわち、生活の質の向上こそが現在求められている内需拡大の最大の目的でなければなら ないと考えます。  次に、その内需拡大の内容について述べます。  内需拡大策の基本はまず第一に、総需要の六割を占める個人消費拡大、そのための国民購買力向上が是非とも必要であるということであります。  そのためには、大幅な賃上げ、労働時間短縮、週休二日制の確立、増税なしの三兆円以上の大幅減税など、従来型ではなく思い切った総合的な政策が実現されなければなりません。これは国際的に見ても相対的に低い実質賃金の大幅な引き上げなど労働条件の抜本的な改善を図り、これらを経済力に見合う水準まで引き上げ、経済成長の成果を国民生活向上のために還元する極めて有効な手段であります。  第二に、公共投資を従来の大規模プロジェクト中心でなく、国民生活密着型へと転換することです。具体的には、公共住宅、生活道路、下水道、学校、福祉施設、公園の建設であります。これらの公共施設は何よりも、国民生活に直接役立つものであるとともに、その建設に伴う経済波及効果は極めて大きく、中小企業に仕事が回わされ、雇用拡大などの内需拡大にとって有効なものであり、国民の切実な要求にこたえる方向であります。  政府の従来の経済政策の破綻と今回の内需拡大策について。  今日政府が進めようとしている内需拡大策の発端は、去る四月の日米首脳会談でアメリカからの要求であり、国民生活向上という立場から提起されたものでないことはさきにも述べたとおりです。さらに、米国の要求する内需拡大に基づき日本政策を決定するという対米追随の姿は、主権国家としても屈辱的なものであります。  米国の要求する内需拡大とは、何よりも貿易不均衡の是正です。つまり米国の製品あるいは農産物の輸入拡大日本に押しつけるもので、米国の特定大企業の利益のために国民の税金を浪費するものであり、我が党は反対です。  日米の貿易不均衡の根本原因は米国の軍拡による財政赤字と米国の多国籍企業の海外進出による空洞化の結果もたらされた貿易赤字及び日本の輸出主導型の産業構造にあり、この根本原因の解決なくして貿易不均衡の是正はありません。  これまで政府は一九七〇年以降幾度となく市場開放と輸出規制を行い、黒字減らしに努めてきましたが、いずれの場合にも貿易黒字は減るどころか、ますます増大してきました。すなわち、輸出大企業は労働者や下請企業に犠牲を強いる合理化を一段と進めた結果、国際競争力はかつてなく強まり、集中豪雨型輸出と称されたように、製品輸出と貿易黒字は増大する一方となりました。このため、日米経済摩擦は解消に向かうどころか、ますます激しくなってきたわけです。このために、米国は円高ドル安の為替政策を強行し、昨年以来の異常円高がもたらされ現在の事態に至ったのであります。  この異常円高のもとで、現在、日本の電機、自動車、機械などの大企業は、一ドル百四十円から百円にも対応することを目指し、国内では、労働者にサービス残業や土日出勤さらには出向、配転、退職を強要し、下請企業に対しては単価切り下げ、部品の海外発注による仕事の減少など犠牲を転嫁しています。  私が調査に入った長野県のある経営者は、この二年間に単価を半分に切り下げられ、それまで二十人いた従業員を家族と若干のパートに縮小せざるを得なかったと語っていましたが、各地ですざまじい下請いじめが行われています。  さらに重要なことは、これら輸出大企業は今後生産拠点をアジアの新興工業国、いわゆるNICSや米国に大規模に切りかえようとしていることです。  また、鉄鋼、造船などは、円高を理由に、かつてなく大規模の人員削減計画を強引に実行しています。  このような大企業の動向は、国民経済に重大な影響をもたらすものです。すなわち、国内での大量の失業、雇用不安、中小零細企業のおびただしい倒産、転廃業、その結果としての地域経済の破綻など、日本経済にゆがみと空洞化を引き起こしつつあります。  これらの大企業の行動は、内需拡大どころか、内需を冷え込ませるものであります。  一方、大企業は、巨額の自己資金を国際的なマネーゲームや土地投機などに投資することで膨大な利益を上げています。  これら大企業の今日の繁栄は、みずからの力によってのみでなく、国、地方自治体による工業用地の造成、道路、港湾の整備やさまざまな税制上の優遇措置によって成し遂げられたものであり、その点からも国民、地域住民に対する社会的責任を免れることはできません、  我が党は、大企業に対し、その社会的責任を果たさせるためにも、国と自治体が適切な民主的規制を加えるべきだと考えます。  ところが、政府の政策は、これとは逆に、一ドル百四十円という異常円高を容認し、いわゆる前川リポートを対米公約とし、経済構造調整の名で、大企業の海外進出を積極的に進め、産業の空洞化を促進し、国民に多大な犠牲を強いて、日米の多国籍企業にとって都合のよいように経済構造を転換しようとしています。今回の緊急経済対策は、これらの根本原因にメスを入れることなく、異常円高の容認、海外進出と日本経済の空洞化、労働者や下請中小企業への一層の合理化の押しつけ、大企業の利潤確保のための大規模プロジェクト開発と民活など、日米経済摩擦のツケを国民や地域に押しつけるものにほかなりません。そのことを指摘し、私の発言を終わります。
  84. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 続いて各論について申し述べたいと思います。各論の第一は政府の緊急経済対策の内容と問題点、第二は真の内需拡大策についての政策課題であります。  まず緊急経済対策でありますが、背景とねらい、これは初めに内需拡大ありではなくて初めに外圧ありであります。今も一部指摘がありましたけれども、今回の経済対策は、今年二月の七カ国蔵相会議で円相場安定の交換条件として、内需拡大策の追加が国際公約とされたことから検討が開始されました。そして五月の日米会談ではアメリカの有力閣僚が居並ぶ全体会議の圧力のもとで、中曽根総理が五兆円に上る財政措置を伴う内需振興を講じつつあると釈明し、その具体的な内容について約束させられたのであります。さらにOECD閣僚理事会において、出席したベーカー財務長官は田村通産大臣に対し、日本内需拡大策はできる限り中央政府による予算の追加で実施し、減税分は五兆円の外枠にしてもらいたいなど要求したとの報道もされています。このような経過が示すように今回の内需拡大策は内容、金額に至るまでアメリカの指図どおりに決定されたと言っても過言ではありません。この内需拡大策がさきのサミットで対外公約とされ、その実行状況が相互監視の対象とされるというとんでもないことになったのであります。最大の問題は、本来我が国が自主的に決定しなければならない経済政策が、アメリカの圧力に屈した形で決定され、国会での審議の前に対外公約とされたことであります、  その内容と問題点。  これは今言ったことは内容にも具体的に反映されております。今回の対策の最大の目玉とされております五兆円という大規模な公共投資の追加でありますが、その内容は東京湾横断道路建設など巨大プロジェクトに代表される産業基盤優先、大企業本位の従来型の公共事業が中心になっています。このような公共事業によって、鉄やコンクリートの需要は相当ふえることはあっても、雇用の拡大や中小企業の振興、地域の発展に余り役立たないことは実証済みのことであります。  しかも問題なのはその財源として巨額の建設国債を発行するほか、NTT株式売却益の一部を充てることであります。建設国債の増発は約一兆三千億円が予定されていますが、この額は六十一、六十二年度の二年間にわたる国債発行縮減額を上回り、今年度補正後発行額は十一兆八千億円に上り、前年発行額を上回ってしまうのであります。 宮澤大蔵大臣は六十三年度予算も同様の構えてやりたいと述べておりますが、財政再建の方針は完全に放棄されてしまったのであります。  NTT株式の売却益にしても、まずこれを国債の償還に充て、財政再建を最優先することが法定されているにもかかわらず、臨時国会で法律改正を図り、これを公共事業の財源の一部に充てるなどのことも極めて問題と言わなければならないのであります。  次に減税の問題であります。  内需拡大といえば国民の最終需要の六割を占める消費拡大こそ必要であり、そのために今政府がやり得ることは大幅減税であることは明らかであります。ところが政府が今回の内需拡大策において打ち出したのはわずか一兆円程度のもの。しかも速やかに直間比率の見直しなど税制の抜本改革の実現を図り、その一環として減税先行を確保するというもので、廃案になった売上税を名前を変えて導入することやマル優廃止と抱き合わせとなっているのであります。そのような税制改革は内需拡大に何の役にも立たないばかりか、むしろ消費を冷え込ませ、日本経済の再建ををますます困難に陥れることは既に明らかであります。  今回の緊急対策では民間活力の活用を図るためとして、NTT株式売却益の一部を財源とした民間プロジェクトへの無利子融資制度を設けるほか、都市再開発、大規模レジャー地域の整備を図るとともに、東京臨港部再開発、関西文化学術研究都市の建設、関西空港の建設などビッグプロジェクトがメジロ押してあります。こうした民活事業はこれに関係する大企業に低利融資、補助金のほか税制上の特別措置を与えることによって、大企業には活力をつけるが、当面の内需拡大にはほとんど役に立たないことは明らかであります。  経済対策は住宅投資の促進をうたっていますが、その内容は住宅金融公庫融資の拡充によって貸付限度の拡大やリフォーム融資制度を設けるなどというものにとどまり、国民の住宅に対する真の要求にこたえるにはほど遠いものであります。今日のように地価が高騰し、住宅の価格が三千万、四千万円もするようなときに、幾ら融資を拡充してマイホーム取得をあおっても、一般の国民には手が届きません。たとえ無理して買ったとしてもローン支払いの重圧でそれこそ内需を圧迫します。今、最も求められていることは地価の抑制であることは言うまでもありませんが、政府はそのために有効な手を何ら打とうとしないばかりか、首都改造計画、四全総構想などによって、一層都心部の地価を高騰させています。  また、規制緩和が大変強調されておりますが、右の基本や大企業の自由気ままな土地利用をそのままにしていかに規制緩和をうたっても本末転倒であります。規制緩和は、大企業による都市の乱開発を放置し、公害や災害の危険性を増大させることは必至であります。また、食品などの安全性の確保という行政の責任を放棄して市民生活にさまざまな被害をもたらすものであり容認できません。  円高による効果を国民に還元させ、国民購買力をふやすには、円高差益が十分に還元されることが必要であることは言うまでもありません。ところが円高がこれほど急速に進んでいる割には、目に見える効果はあらわれておりません。今回の対策でも円高差益の還元について触れられてはいるものの、極めて不十分です。電力、ガス料金の引き下げなと思い切った対策が必要であります。  政府は今回の対策で緊急輸入策として、総額十億ドルに上る政府による輸入を計画しております。一機一億ドルもする政府専用機が二機、アメリカの特定電算機会社のスーパーコンピューターなどを補正予算で計上して購入しようというもので全く論外であります。  また緊急対策はODAの拡大や今後三年間総額二百億ドル以上の発展途上国への資金の還流を図ることをうたっております。これらの援助は発展途上国の経済発展に真に必要な資金という観点からではなく、アメリカの世界戦略を補完し、かつ我が国大企業の海外投資を誘導する観点からなされており、真の経済協力からほど遠いのであります。  影響と効果。  以上個別に検討したように、今回の政府の緊急経済対策は、①内需の中心をなす国民購買力を直接拡大するのために必要な施策が極めて不十分であること、②円高で最も深刻な影響を受けている輸出関連中小企業が展望を開く何の積極的施策もなく、③企業の海外進出に伴う産業の空洞化や、雇用不安に対処する有効な手だてではなく、④大企業による株式や土地への投機活動を規制し、その資金を国内における生産活動に向ける有効な手だてがなく、財テクを野放しにするものであること、⑤したがってこのような施策によっては、内需拡大の効果はほとんど期待できないばかりか、我が国の経常収支の黒字の縮小はほとんど期待できず、したがって円高も是正できないことは明らかであり、アメリカは我が国に対する市場開放圧力を一層強めてくることは目に見えているのであります。  第二に政策課題であります。真の内需拡大策についての政策課題を述べます、  一、増税抜きの三兆円減税。  内需拡大のために、私たちは少なくとも三兆円の大幅減税を要求いたします。これは標準家族で十万円の減税となりますが、消費購買力拡大の誘い水としては最小限のものであります。  財源としては、軍事費削減で一兆八千億円以上、外国税額控除制度、受取配当益金不算入制度の廃止など、大企業優遇税制の抜本是正、さらには大企業の財テク利益に対する追加課税によって少なくとも四兆円の財源が生み出されます。政府は減税財源としてマル優廃止を復活させ、直間比率の是正の名のもとに再び大型間接税の導入をもくろんでおりますが、これでは内需拡大に逆行いたします。  二、大企業の海外進出に歯どめをかけ、社会的責任をとらせること。  大企業は円高に対応するために、部品調達先を海外に振りかえたり、生産拠点を一方的に海外に移転することによって、労働者や下請中小企業にしわよせを押しつけ、ひいては地域経済に多大の悪影響をもたらしています。これまで国や自治体から、税、財政上の数々の優遇措置を受けて肥え太ったこれら大企業が、円高を理由に一方的に撤退するなどのことは許せません。これら大企業に民主的規制を加え、経理の公開、人員削減の中止などを求めるとともに、下請企業の保護、地域経済の存続の問題などについて当然の負担を求めるなど、社会的責任をとらせることが必要であります。  三、大幅賃上げと時間短縮を実現すること。  まず、第一に重要なことは、経済成長の成果を国民に還元し、個人消費拡大することであります。そのためには大幅な賃上げを実現しなければなりません。大幅賃上げは、個人消費を直接拡大するという内需拡大にとって最も有効なものであるばかりではありません。日本の大企業が労働者に対して欧米と比べて、購買力平価で五〇から六〇%という低い賃金を押しつけてきたことが、大企業の異常な輸出競争力をつくり出し、その結果として大幅な貿易黒字を生み出したことを見れば、大幅賃上げは、日米間の不均衡の是正につながるものであります。  同時に、大幅な時間短縮が必要であります。  時短は、労働者の健康の維持とともに、文化、スポーツ、レジャーなどの振興の前提条件であり、さらには雇用創出を進めるなど極めて大きな効果をもたらします。  この大幅賃上げと時短の実現のため、大企業と政府の役割と責任は重大であります。  賃金は労使交渉で決定されるものでありますが、今日の国民経済的な要請に、大企業がその社会的責任を果たすことは当然であります。  政府としては大幅賃上げ、時短などの環境整備に積極的に取り組むとともに、波及効果の大きい公務員などの大幅賃上げ、時短に大胆に取り組むべきであります。  また、勤務時間の弾力化など実質的には労働時間の延長を合法化する労基法の改悪には反対であります。  四、生活密着型の公共投資を進めること。  公共投資は、国民生活密着型に転換すべきであります。  それは、諸外国と比べて著しく立ちおくれた社会資本整備を促進するものであります。  また経済波及効果という点からいえば、関連業種、雇用人数の規模が大きく、円高不況に苦しむ中小企業に仕事が振り向けられることになります。  また、実施当たり、官公需の対中小企業発注率を早急に五〇%以上に引き上げること、公共事業の前倒し発注を中小企業優先にすべきであります。  地域経済振興のために、地方自治体の行う生活密着型の公共投資については、国の助成を強めなければなりません。  五、土地投機を抑え、地価を凍結すること。  公共投資を進める上で、なかんずく住宅問題の解決のために重要なのは地価対策であります。低家賃の公共住宅を大量に建設するためにも、庶民のマイホームの夢を実現するためにも、異常に高騰した地価を放置してはおけません。  地価対策のためにまず第一に必要なことは、地価高騰の原因となっている首都改造計画、四全総構想などによる東京など大都市への集中政策をやめることであります。  さらに土地投機を規制し、地価を凍結することが必要です。そのために、金融機関による土地関連融資を厳しく規制するとともに、地価を狂乱地価以前の価格で凍結する措置をとる必要があります。  六、投機を規制し、だぶついた資金を内需拡大に向けること。  円高不況をよそに大企業は巨額の資金を動かし、株式市場や証券市場、さらには外為市場に投じ、国際的なマネーゲームに狂奔しております。民間対外資産は昨年一年間で約二千六百億ドル、約四十三兆六千億円ふえ、純資産の残高は約千八百億ドルに達し、世界一の債権国になっております。  このような巨額の資金の流れを大きく変え、国民本位の内需拡大方向に向けることがどうしても必要であります。そのためには大企業の財テク活動による利益に追加的課税を行うなどの措置が必要だし、国際的な投機活動を規制するために、外為法の運用を強化し、実需に基づかない外為取引を必要に応じて規制することも必要であります。  以上、各論を述べました。
  85. 三治重信

    ○三治重信君 緊急経済対策はいずれも内需拡大に役立つ、こういうふうに思うのでありまして、この内需拡大とともに、国民生活、特に大都市の市民の生活向上に役立つことを第一順位に置いていきたいと思うのです。政府、各省庁の計画を前提として補足的な意見を述べます。  第一に、住宅対策でありますが、これを最重点に置かれるべきであります。ただし、土地対策が非常になおざりであります。  土地対策は地価抑制に重点が置かれておりますけれども、一、土地の利用権に重点が置かれるべきであります。地主はそのままとして、土地信託あるいは賃貸制で地主の所有権は保証して、利用権を市民が利用できるように借地、借家法を至急改正するかあるいは新立法をしていくべきであります。農地においては賃貸借の奨励方法がとられております。宅地についても第三セクターなり新しいあっせん機関をつくるということにしたいと思います。  二番目に、土地の保有税、いわゆる固定資産税を上げて、家屋の固定資産税を軽減をしていく、こういうバランスを固定資産税についてとったらどうか。  三、土地区画整理において区画整理地内の道路や公園、学校等の公の施設の敷地となるものは地方公共団体が買い上げすべきでありまして、減歩を現在の三割から一・五ないし二割に減少して地価抑制に役立てることが必要であります。  第二に一建築費の上がらない対策。これは建築産業が住宅対策として非常に新しい分野を開拓をして、新素材、新技術、工場生産が軌道に乗るようなことが見通されるわけでありますけれども、このような新しいものをこなす技能者や現場作業員、監督等の養成、訓練を組織的に行わなければならない。しかし、これには新規学卒者が農業と同じようになかなか建設業へ就職しようとしない。したがって、そういうところで大企業なりその団体が転職者の訓練をやるように政府として奨励をしていくことが必要であります。さらに建設会社に対して合理化対策を進める、これが政治産業ということになってはならぬ。そういう意味において外国の建設企業にも自由に国内の入札に入れるように開放する、こういうふうな対策もとるべきだと思います。  第二に、レジャー産業の育成でございますが、大都市のサラリーマン、労働者が安く安心してまとまった日時でレジャーを楽しむような施設の増設が計画をされております。すなわち新しい総合保養地域整備法が成立をしてその緒につくことになったわけでございますが、これを民活にも大いに活用をして、民活に広い場を提供することにしたいと思うのです。  この中で特に注意すべき点は、一つは海岸のリゾート施設についての希望でございますが、海水浴場というものを大衆のために立派なものをつくってもらいたい。そのためには白砂青松の海岸をつくる、それから高波の防波堤をつくって安全な海水浴ができるようにする。それからマリーナ施設を多くつくる。ボートの海上の遊び、こういうものが先進国から見ると非常におくれております。さもには、非常に大衆的である釣り人のために釣り場や釣り船の船だまりや釣りに来る人の自動車の置き場等、こういうものを充実をしてもらいたいと思う。これも民活を利用しても結構で、非常に安全向上ということに役立てるようにしてもらいたいと思う、  それから次に二番目として、山間のリゾート施設にはこれは貸し別荘や貸しコテージをつくること。特に国有林野の中にこういうものをつくっていくと土地代が非常に安くつくし、間伐材の利用に役立つ、こういうふうに考えます。海岸においても山間においてもリゾート施設生活環境施設を完全に整備をする、こういうことを十分に配慮してやってもらいたいと思うんです。すなわち下水の整備廃棄物処理について十分に配慮をしていく。それから利用料等の決定については幾らの料金で開放ということでなくて、できるだけ安くするような指導体制をとって、料金は公定というよりか低料金を指導する、そして原価計算をわかるように配慮をして指導をしていく、こういうことが望まれるのであります。  第三に、生活環境の整備の問題でございますが、まずこの一つとして上下水道整備、殊にこの際下水道推進を特に進めて、海水や湖沼の汚濁、河川の汚濁から解放するようにしてもらいたい。このためには、殊に下水道の終末処理場の設置について特に配慮しなくちゃならぬ。こんなのは、やはり終末処理場はだれも、市民感情として排斥されるんですが、こういうのは終末処理場で公園をつくって公園つきにして、その地下に施設をするとか、河川とか海岸とかの地下を利用して一般市民に嫌われないような終末処理場をつくる。  それから、水の利用の長期計画をつくる。これは河川水系ごとのやつは割合にできているんですが、日本海側と太平洋側というふうな相互の融通をつけられるような長期計画をつくる。すなわち日本海水系の川と太平洋水系の川が相互に融通できるような工事をやる。しかもこれは飲料水と工業用水、こういうものをあわせてひとつ長期計画をつくって着手をしてもらいたいと思う。長期計画をつくってもらいたい。  それから三番目に道路の問題ですが、延長してつくることばかりやらぬで、やはり有効な道路になるように鉄道との立体交差や道路の立体交差、 立体化を特に大都市周辺から計画的に進める。  それから環境衛生施設廃棄物処理、これは一般の廃棄物厚生省でやっているんですが、産業廃棄物はこれは各事業者、いわゆる工場、企業の責任だと。こういうことでほっておるんですけれども、これは非常に片手落ちで、人間の排出したごみ産業企業が排出するやつも別扱いにする必要はないんで、これは新しい法体制をとって、そのかわり産業廃棄物の方はきちんと料金を取ればいいわけなんです。しかし、これを各事業、企業ごとに任すということはめちゃくちゃなところへ捨てるということの、無秩序になることなんで、これは一定の廃棄場をつくり、この大都会においてはフェニックス計画にあるように計画して長期計画処理をしていくというふうにしたいと思うんです。  それから、山の緑を保つための造林が非常におくれているということですが、この資金のために分収林の制度の普及のために都市の人たちの加入、いわゆる分収制度に加入することを大都会でPRをして加入を促進をする、こういうことが必要だと思う。  それから第四に、学校教育施設の問題ですが、学校教育や研究施設整備には国も力を入れることが必要ですけれども、さらに民間の寄附、いわゆる免税対象にして寄附を奨励をして、そしてそういうことを社会的な名誉として表彰をしていく。こういう善意者の寄附によって、こういう施設がプラスされて充実していくことを制度として拡充すべきだと思うんです。  それから二番目に、日本が国際社会から孤立しないために、外国の将来、指導者になる若い青年等を留学生として多数招致することが必要であります。その留学生対策として、円高や生活の問題が第一でありますから、学生会館を計画的につくる。それから、外国人留学生の世話活動をやるボランティア団体をつくって、そして下宿の世話や友好のことをやっていく。それからこれは、ひとつ海外援助事業として海外で日本が学校をつくっていく。大学、高校をつくって、そして現地の人の入学なり外地に行っている日本人がこの学校へ入っていけるようにして、海外で大学や高校をできるだけつくっていくということが必要だろう。  それから四番目に、サラリーマン世帯で海外勤務や転勤者が非常に今後、今でも多いわけですが、その子弟の教育に非常に苦労しております。単身赴任者が多くなって、家庭崩壊に通ずるわけですが、こういうような子弟に対して寄宿舎収容施設、先生の管理下に置くいわゆるデューダー制度の学校を設けて、こういう人たちの子弟の入校、転校をある程度自由にできるような特別な学校と言うのですか、そういう全員収容の、また転入校が自由なのを拠点的につくっていくべきだ、こういうふうに思います。  それから第五に、所得税の減税の問題。これはいわゆる政府の減増税同額の、しかも売上税問題で崩れたわけなんですが、所得税減税はそういう税制大改革と余り絡めないで、今年は内需拡大として所得税の減税を実施をすべきだというふうに思うわけなんです。で、これを税制改革と内需拡大と一緒にすると議論が混乱をしてつじつまが合わなくなるというふうに思うわけでありまして、この内需拡大のための所得税減税というものはあらゆる公共事業より内需拡大に通ずるし、波及効果も大きい、私はこういうふうに思うわけであります。この点は政府の英断を特に望んでおりまして、来年以降の増減税や間接税の議論の中に今年の所得税減税分が含まれるか含まれないかということは、来年以降の税制改革をやるときに改めて議論をすればいいんで、減税をやるについては増税も承知しなければできないというふうでは、何のために内需拡大のための減税対策として大きく掲げるか、意味をなさぬ、こういうふうに思う次第であります。  それから第六に、円高差益の還元と市場開放の問題でございますが、円の急激な為替レートの高騰によって円高デフレとなって、非常な不況時代を迎えております。したがって、この円高によって日本の国内物価は、国際比較から見ると大変な高いものになっております。特に農産物の価格、航空運賃、通信の料金、こういうものは円高メリットを使うべき段階になってきた。すなわち、農産物価格を国際価格に比較して非常に高いのを引き下げる。航空、通信を安くする。こういうことによって、農業なり運輸、通信の合理化をしていく、こういうことが必要ではないかと思うわけであります。  二番目に、市場開放のためには、政府はアクションプログラムをつくって実行に移っておるんですが、アクションプログラムをつくって規制緩和を中央官庁だけはやったけれども、外郭団体や実際の第一線の実務に当たっている業者は従来のやり方をそのままやっておって効果があらわれてない。したがって、このアクションプログラムを実行していくためにはやはり新しい監視機関が必要だ。これは従来の慣行を改めるんですから、大変な実際上抵抗がある。その実行を確保するために監視監督機構というものを見ながら、現実を評価をし、これを公表していくべきだ。そうしなければ現実の市場開放というものができない、こういうふうに思います。  その次に雇用・失業対策ですが、異常な円高デフレのもとに産業構造の大きな変化が予想されております。従来の重厚長大型の重工業が衰えて、いわゆる企業城下町、すなわち石炭鉱山や金属鉱山の廃山、造船、鉄鋼の工場の衰退、化学工場の衰退、こういうふうなところで製造業の従業員が縮小をしております。一方、情報産業とか第三次産業増加が予想されるわけですが、こういうふうな全体の産業構造の変化を展望しながら、政府は全体の雇用構造と雇用の規模、職業のあり方というものの展望をひとつ見取り回として国民に提示すべきである、こういうふうに思うんです。  それから非常に転職者がたくさん出る。これを失業者にしてしまっては大変であるわけですから、三十万人雇用プログラムの中にも載っているんですが、それの内容の充実強化、すなわち職業訓練や職業指導をいわゆる所得を得ながら受けられるようにして再就職の利益が得られるように措置をしていく、こういうことを補足的に説明をさせていただきたいと思います。  以上をもって終わります。
  86. 平野清

    ○平野清君 それでは、サラリーマン新党としての内需拡大緊急対策の提言をしてみたいと思います。  初めに、当調査会は、内需拡大のための緊急対策はどうあるべきかを求めて、数回にわたって各省庁からその方策を聴取してまいりました。省庁によっては明確に緊急対策項目を整理し、その投資金額をもある程度明らかにしていました。しかし、一、二の省庁にあっては、単に例年度の予算要求項目を列記したにすぎなかったものもありました。  当調査会に課せられた任務は、日米摩擦の激化に伴い、日本の大幅な黒字をどう減らすかの切り札を探すことにあったと思います。政府自身は既にこの内需拡大のための緊急経済対策を公表し、所得税減税一兆円、建設事業費等を含めた対策費として五兆円を予定していると言います。  そこでサラリーマン新党としましては、この際、一、あくまで緊急対策に盛り込むべきもの、二、中長期にわたって六十三年度予算以降に組み込んで、我が国の社会資本充実を初めとした施策二つに分けて考えたいのですが、今回は時間の関係で、緊急のものを中心として言及してみたいと思います。  言うまでもなく、我が党は四千三百万人に及ぶサラリーマンの不公平税制打破、改善を軸として闘い続けてきた党であります。今回の内需拡大の諸施策も、国民の過半数を占めるサラリーマンとその家族のためのものでなければならないと考えています。なぜならば、長い間のクロヨン税制下、長時間労働、通勤地獄、職場から遠のく一方のマイホーム、しかもウサギ小屋と諸外国から軽べつされる住宅の貧しさ、下水道普及率の低さなどに象徴される社会資本の劣悪さ、かてて加えて教育費の負担増、長寿社会への対応の悪さ、どれ一つとってみてもサラリーマン生活を満足させているものはないからであります。  さらに分析すれば、国民の国家への信頼のなさから、みずからの将来を守るのは貯金であり生命保険でしかないという悲しい大衆。この国民が食費その他を切り詰めて貯金した少額貯金非課税制度さえ廃止しようとする国家の冷酷さ。国家をみずからが創設しておいて、それを悪用する者が多いからという理由で、これを廃止しようという理念のなさ。これは今回の所得税減税一兆円が行われることとまさに引きかえに、再び廃止論が既定化しつつあります。  自分たちの老後は自分たちで守るしかないとする国民は、たとえ一兆円減税が実施されたとしましても、現在の税制の哲学では、国民はその大部分を再び貯金に回し、内需拡大の切り札とは決してならないと言えるだろうと思います。確固たる長寿社会に対応した年金福祉制度の充実、教育制度の改正、土地の急騰の鎮静化、不公平税制の改善、これらが明確に改善されない限り、内需拡大の大きな効果はとても望めないと言っても過言ではないと思います。  ここで具体論に入りますが、一般論については、各党の御提案に賛成する面も極めて多いので、サラリーマン新党としての幾つかの提言にとどめたいと存じます。  一、所得減税について。  政府は、今回の内需拡大のために、所得減税一兆円を用意しているといいます。サラリーマン新党としては、この点についてはっきり次の点を指摘しておきたいと思います。  イ、長い間クロヨンに象徴されてきた不公平税制に泣き、長い間大型減税の恩恵に浴することのなかったサラリーマン。わずか一兆円の減税では、とても財布のひもを緩めて内需拡大のために協力して物を買おうとはしないと思います。思い切って二倍ぐらい、二兆円ぐらいの大型減税を断行すべきであろうと思います。  ロ、次にその減税のやり方ですが、住宅費、教育費に悩む年収五百万から六百万円の中堅サラリーマンを重点とした減税をやるべきだろうと思います。  ハ、次にその所得減税を内需、すなわち国民が物を買うようにする施策実施であります。すなわち、車、冷蔵庫、カラーテレビ、ビデオ、クーラーなど、かつて三種の神器などと言われたようなものは、ほとんどの家庭が持っております。住宅以外これといって緊急に買い急ぐものは極めて少ないのが現状であります。  そこで、売上税などという国民の気持ちを逆なでするような新税を設けるなどの愚を避けて、高級品を思い切って無税にすることを提言します。例えば、ハイビジョンテレビ、自動車電話、ピアノなどなど、国民が普通ではとても買えないと思っているようなものを無税にして、少しでも安く供給することによってサラリーマンの財布は初めて開くものだろうと思います。  二、それならば、この減税財源をどうするかということになります。これは、我がサラリーマン新党が長い間要求し続けてきたことを実行すれば完全実施は可能であります。  すなわち、①、キャピタルゲイン課税の完全実施。  ②、クロヨンと言われる職業間の不公平税制の改善。  ③、税金のむだ遣いを徹底的にクリアする。特に、補助金の完全見直し。  ④、医師等の優遇税制の廃止。  ⑤、野放しの宗教法人への課税。農協経理へのメス。  ⑥、行政改革の徹底、いわゆる小さな政府の実現。  ⑦、農地の宅地並み課税の実現。土地ころがしの防止と重課税。  ⑧、米を先頭にした物価の安定。政府は、日本ぐらい物価が安定している国はないと言っていますが、これは完全な偽りで、単なる高値安定にすぎません。食肉なども思い切って安い外国製品を輸入して、国内生産物に大きな刺激を与えるべきだろうと思います。  二番目として、内需拡大の諸施策に移ります。  さて、本題の緊急内需拡大施策に入ります。  まず断っておきますが、この緊急対策費は五兆円だと言われています。今、内需拡大内需拡大と寄るとさわると騒がれています。中曽根総理が欧米でもサミットでも約束したものであって、日本国民がみずから進んで決めたものでないことは明らかであります。この外圧を受けて、各省庁も緊急対策の決定に余念がありません。五兆円施策が実行されれば、まるで日本じゅうが豊かになるかのような論議さえ起きています。  識者の計算によれば、これが完全に実施されたとしても、日本が持っているドルの減少はわずか五十億ドルから六十億ドルにすぎないと言われております。  加えて、数字的に見れば、今の日本下水道設備を先進国並みにするには、何と下水道整備だけで五十兆円が必要だと言われています。五兆円、五兆円と騒いだところで、たかがこの程度の数字なのであります。  そこで、大蔵省を初め各省庁にはっきり言っておきたいと思います。それは、今回は緊急対策であって文字どおり内需のための緊急のものであるということであります。したがって、どこかの省のように例年予算要求で並べるような施策をやっても意味がないということであります、  言いかえれば、大蔵省は総花的に各省庁に配分して何かやれというのでは何にもならないということであります。この際、内閣や各野党党首、超有識者が、これこそ日本社会資本充実施策だというものを決定して、それに全額ぶち込むぐらいの対応が欲しいと思います。  しかし、これは我々の願望であって、今の行政のあり方ではとてもそうはいくまいと思います。そこで各省庁が練りに練って、まさに緊急対策の名にふさわしい項目のみを厳選、実行してもらいたいと思います。  イ、まず土地対策であります。  内需拡大策の中心に住宅建設が重点とされようとしていますが、サラリーマンが住宅を求めようとしましても、土地が高過ぎてとても手が出ないのが現状であります。土地騰貴がここまできた以上、ある程度の私有権制限、すなわち私の権利制限をもやるぐらいの勇断が必要ではないかと思います。日本の国土は国民共通の財産と考える思想を養成する必要があろうかとさえ考えます。  また近い将来、国民的課題となってくる問題に土地急騰による固定資産税問題があります。仮にサラリーマンが一生かかって建てた百坪以下の住宅に対するような固定資産税は大幅に軽減し、法人と個人の固定資産税を明確に分離すべきだと思います。  さらには、同程度の土地家屋の相続税についても大幅な軽減措置をとっておかないと、永遠に住宅、土地問題の解決は困難でありましょう。  ロ、次はその住宅であります。  さきにも触れましたように、日本の住宅は余りにも貧弱過ぎます。特に、戦後すぐから、戦いが終わって、四十年代に建てられた公営住宅は余りにも狭過ぎます。数をこなさなければならなかった住宅事情は十分に理解できますけれども、もはや戦後四十年たって、住宅は質の改善に重点が置かれなければならないと思います。  例えば、日本住宅公団のテラス式の場合など、二軒ぶち抜きにして一世帯用にするとか、場所によっては高層化に思い切って変更すべき絶好の機会だろうと思います。  また、東京を初め大都市近郊では、土地、住宅政策の貧困さから、マッチ箱のような家がびっしりと建ち並んでおります。防災の上からもぜひ改善したいと思っている自治体が多いのは事実ですが、私有権や財政上ほとんど不可能であります。この際、一定の基準を設けて、何坪以下の家が引っ越した場合、購入の最優先権を隣家に与え、長期融資を与えるかなどして、長い時間かかっても都市改造が達成できるような理想を持つべきで あろうと思います。  なお、この際、一言触れておきたいのですが、今この緊急対策の中で市街地区域の線引きの変更が現実のものになりつつあります。市民のマイホーム要求熱や土地供給の必要性からは十分理解できるとしましても、緑地保全の意味からぜひ慎重にこれは対応してほしいと思います。空から見ても、電車の窓から見ても、びっちり家、家、家というような都会は絶対に反対であります。都市に緑と空間がなくては、都市機能を持っているということは言えないと思います。  その意味から言えば、今同じように問題になっております都会地の農地の宅地並み課税がありますが、これを単に重課税して宅地にすればいいというものではないと思います。各自治体が計画を立て、一定部分は土地に親しむことのない都会人に市民農園として貸し付けてはどうでしょうか。農地と称してクリの木一本、カキの木二本植えて近隣の人々から怨嗟の的になるよりも一税制上や賃貸条件を自治体が面倒を見てやれば、立派な都市空間として残していけるだろうと思います。  次に、住宅金融公庫融資の枠の拡大ですが、建設省によって検討されていると説明を聞きましたが、一定の年収の上限を設けてサラリーマンには無利子融資制度があっても決して罰は当たらないと思います。マル優制度が廃止されようとしております。サラリーマンが汗を流して稼いだ月給、しかも税金を払った残り、それを幾ばくかを貯金したらそれにまた利子に税金がつく。これはまさに税金の二重取りといって過言ではないと思います。  ハ、次はシルバー減税です。  定年六十歳時代、仮に六十五歳まで第二の勤めができたとしても、それ以後平均寿今まで生きるとして、夫婦が無収入の場合、一体幾ら預金があったら最低の生活が維持できるだろうか。さきの参議院逓信委員会で郵政省に質問しましたら、郵政当局は二千六百万円と答えました。この際、マル優制度を廃止するならば、よほどのこと、例えば重病、死亡のない限り絶対に解約のできないシルバー貯金制度を創設して、その利子には税を課さないといったぐらいの高齢化対策が必要ではありませんか。これには六千億円ぐらいの財源が必要ですが、この財源はさきに申し上げました財源対策で十分に浮上できると思います。加えて公的年金にも一定の収入限を設けて、税金がかからないような文化国家を私たちは望んでおります。  二、高齢者看護体制の整備について。  厚生省の推定によりますと、六十五歳以上は昭和七十五年で二千万人を超すといいます。そのうち要介護老人は同年度で百万人に達するといっています。その看護体制はこれからの重要な課題となりましょう。このためには福祉大学、看護婦養成機関のほか、看護者養成機関が必要となってくると思います。自治医大のような各都道府県が一致した制度を早急につくるべきではないかと思います。  ホ、次に公立校の校舎増改築です。  義務教育である小中学校の校舎は、一定の基準で危険校舎に認定されない限りほとんど増改築は不可能であります。この緊急対策の際、この基準を思い切って緩和して、小中学校をこの際数多く増改築すべきではないかと思います。また、この際、木材需要の促進、個性ある校舎実現のために木造校舎なども奨励すべきだと考えます。さきに建設省から施策を聞いた際、義務教育でありながら、自治体の財政力によって、場所によって小中学校の設備内容が余りにも違うのはおかしいし、考えようによっては憲法違反であると指摘しておきました。この補助率の問題も大いに改善してほしいものの一つであります。  この際、さらに付言しておきたいことがあります。今や上水道は使用量がウナギ登りに上り、現在、渇水によって取水制限が行われているのが現状であります。しかも実際生活としてはトイレなどにも飲用水が使用されていて、極めてもったいないのが現状であります。学校など増改築の際、雨水をためる施設とか、汚水を浄化して再利用できるような設備を思い切ってやるべきだろうと思います。このことはデパート、官公庁などにも奨励すべきであり、これについては大幅な国庫補助をやるべきだと思います。ダム一つつくることを考えたら経費的にもはるかに安いはずであります。  ヘ、次は電柱の地下埋設について。  日本の都市のほとんどは電信柱、電柱が道路もしくは歩道に立っており、電線が町じゅうに張りめぐらされております。社会資本充実の絶好の機会、この際数都市を選んでその電柱、電信柱を地中に埋設してはどうでしょうか。都市美観上はもちろん、災害時の危険防止の一石二鳥の効果があろうと思います。  次に、年金受給制度の大幅改善について。  高齢化社会が進むにつれて国民年金、厚生年金の受給者が激増し、社会保険庁などはその事務に翻弄されております。一生涯同一会社にいた人の場合などは、割と簡単にコンピューターによって支給開始がスムーズに進んでおりますが、何回も会社をかえたような人の場合コンピューター処理されておらず、一々カセットを取り出して処理しているのが現状であります。このような年金事務処理こそ一日も早く機械化を実現し、スムーズに国民年金を受給できるようにしてこそ緊急対策であろうかと思います。  次に流通問題、パート者の擁護の問題、失業、雇用問題も言及したいのですが、既に各党の先生が主張しておられますので割愛させていただきます。  最後に国民生活調査会の意味でありますが、各省庁の説明を数日にわたって聞いたわけです。さきに述べましたように、緊急内需拡大策を明確にした省庁も多いわけです。しかし、それぞれ同じことを言ったのは、実行する施策や金額は大蔵省が決めるといったことが気になります。しかし、考察するところ、どれをとるかは別として各省庁の希望が出そろっているように見えます。そこへ我々国民生活調査会が閉会中にもかかわらず真剣に調査して、要望をまとめて出したとこで何一つ取り上げるところがなかったとしたら、何のための調査会かということになってしまうと思います。各政党の提言の中には、過去の質疑から見て、なかなかお役人とは違う発想のユニークなものも幾つかあるはずであります。大蔵省がそれらの幾つかを実現できるように強く要望しておきたいと思います。  結びとして、時間の関係上サラリーマン新党として内需拡大に対する考え方はこの辺にとどめておきたいと思いますが、しかし、正直言って、この緊急対策について本当に黒字減らしに役立つのか、または土地政策を放棄しておいて、土地に無関係公共事業をふやしたところで能率が上がらないとか、かえって建設国債の発行などによって国の財政を大きく圧迫するなどの批判があることもまたこれ事実であります。さらには、アメリカはみずからの赤字減らしを努力しないで、さも日本だけに責任があるかのようなことを言うのはけしからぬ、それをまともに受けて一国の総理が国民の理解を得ないままアメリカやサミットで約束してくるのはおかしいなどとさまざまな雑音もあります。あるマスコミ人は、世界経済の活性化のためにあえて日本が犠牲を払うことに今回の内需拡大の緊急対策の意味があるということを国民に理解させることが先決だと言っております。五兆円ぐらいで余り大きな夢を描かず、これはと思う目玉商品、いわゆる重点施策だけはやったとなるようにしてもらいたいと思います。そしてその幾つかが立ちおくれている日本社会資本充実に直結するものであってほしいと切望してやみません。  終わります。
  87. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上をもちまして意見の開陳は終了いたしました。  各委員の御意見に対する質疑は後日、改めて行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会