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1987-03-25 第108回国会 参議院 国民生活に関する調査会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年三月二十五日(水曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 水谷  力君                 吉川  博君                 山本 正和君                 高木健太郎君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 井上 吉夫君                 小野 清子君                 大塚清次郎君                 倉田 寛之君                 斎藤 文夫君                 添田増太郎君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 向山 一人君                 吉川 芳男君                 糸久八重子君                 及川 一夫君                 千葉 景子君                 刈田 貞子君                 広中和歌子君                 近藤 忠孝君                 平野  清君    政府委員        公正取引委員会        事務局取引部長  柴田 章平君        農林水産大臣官        房総務審議官   吉國  隆君        通商産業大臣官        房審議官     末木凰太郎君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        経済企画庁国民        生活局消費者行        政第一課長    植苗 竹司君        農林水産大臣官        房審議官     伊藤 礼史君        農林水産省経済        局国際部長    塩飽 二郎君        農林水産省農蚕        園芸局植物防疫        課長       岩本  毅君        食糧庁管理部企        画課長      日出 英輔君    参考人        評  論  家  本吉 庸浩君        南ドイツ新聞極  ゲプハルト・        東特派員    ヒールシャー君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (国際化に伴う住宅生活環境上の諸問題に関  する件)  (国際化に伴う食料品価格流通機構上の諸問  題に関する件)     ―――――――――――――
  2. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  国民生活に関する調査を議題とし、国際化に伴う住宅生活環境上の諸問題について参考人から意見を聴取いたします。  本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、評論家吉庸浩君及び南ドイツ新聞極東特派員ゲプハルト・ヒールシャー君に参考人として御出席をいただいております。  この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本調査会に御出席をいただきましてありがとうございました。本日は、国際化に伴う住宅生活環境上の諸問題について忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  議事の進め方といたしましては、まず最初にお一人三十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただく方法で進めてまいりたいと存じます。よろしくお願いいたします。  それでは、まず本吉参考人にお願いいたします。
  3. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 御紹介にあずかりました本吉でございます。私は、ついこの間まで読売新聞におりましてジャーナリストでございましたけれども、きょうは都市問題に若干興味のございます一市民立場から、国際化情報化時代住宅都市のあり方について日ごろ考えていることをお話しして参考に供したいと思っております。  今東京は、国際化情報化の進展に伴って、ニューヨークロンドンと並んで世界の三大国際ビジネスセンターになろうとしております。このため外資系や地方の企業などが東京都心に立地しておりまして、このためオフィス床需要が増大し、これに絡む土地投機などが横行、地価が高騰していることは御承知のことと思います。こうした企業東京都心への進出は今後当分続くのではないかと思われます。  昨年十二月に建設省が全国の上場企業千八百四十六社を対象に行った日本都市未来像というイメージ調査を見ましても、八〇・九%の企業がこれから一段と東京集中が進むと見ておりまして、今後の都市政策への要望としては東京をより効率的な都市に改造することを求めております。このため、東京都などもつい先ごろまとめましたマイタウム東京第二次長期計画では、国際化時代都市づくり受け皿として東京湾臨海部の再開発に力を入れていくとしておりまして、このために十三号埋立地霞が関ビルの約二十棟分のインテリジェントビル群を建設するなど、ここに約十万人が働く新副都心国際情報都市をつくっていこうとしております。  このようになぜ東京業務機能集中しているのかということを考えますと、経済評論家長谷川慶太郎さんなどが、現在、先進国中心に進んでいる情報化の歩みが必然的に世界情報のネットワークの結節点あるいは中心を設定する力として働き、それが東京都心ニューヨーク集中をしているのではないかという御指摘がございます。こう考えますと、いやが応でも、これからは東京中心とした大都市では国際化に対応した基盤整備ということが急がれると思います。つまり国際化情報化社会に対応していくためのビジネス拠点、魅力ある環境整備を行っていくことは当然でございますが、現在の都市づくり方向を見ておりますと、それが業務地域整備だけに傾斜しておりまして、そこに住む人の立場人間についてどういう環境、いい生活環境を提供していくかという視点がどうも欠落しているんじゃないかという気がいたします。つまり業務機能一点張り都市都市として失格、欠陥商品と言っていいのではないかと私は考えております。  国際ビジネス都市と言っても、それは何も業務だけではなくて、世界の第一線のビジネスマンを初め多彩な人々が交流、働き、家族とともに住み、多数のハイレベルな文化や快適な生活が営める環境がなければこれは真の国際情報都市とは言えないんじゃないかという気がいたします。  もう一つ一番私が懸念しているのは、このまま東京業務基盤だけの整備に傾斜しますと、一体東京一千二百万の都民などがどこに住むのかということが一つの大きな問題になるんじゃないかという気がいたします。例えば作家の深田祐介さんは最近の現象について、現在首都圏居住者を急激に脅かしているのは、都心ビジネス街、要するに丸の内圏の拡大で、恐らく環状六号線の市街地は瞬く間にオフィスビルに侵食されて神社のように聖域化し、自分たち居住区域はますます遠くなるのが日本のあしたの姿じゃないかという御指摘をなさっていますが、ここでぜひお願いしたいのは、こういういびつな都市づくりを何とか改善していっていただきたいということであります。  例えば港区でございますけれども、ここでは約九割の人が定住を希望しているのでございますが、最近の急速な区内のビル化土地投機が横行して、人口が半減しつつあります。つい最近港区が「住めばみなと」という本を区役所自体が発行なさいましたけれども、その中で言っていることは非常に興味があると思います。どういうことを申しているかといいますと、港区に住むことが住んでいくことになるためには自然に任せておいては手おくれな状況になる、今や住み続けるための装置が必要になってきている、こういう表現を使っているんですけれども、このままでいくと赤坂、港区などは大体人間が全部いなくなっていくような町ができてくるんじゃないかという気がします。  私は、都市というのは業務機能一点張りじゃなくて、文化というようなものを持っていなければいけないんじゃないかと思います。ここで逆に先生方に御質問したいのは、例えば神田神保町みたいなああいう本屋街東京の真ん中にあることが望ましいのか。あれが例えば大手町に近いから便利だというので全部ビル化しちゃってオフィス機能一色になって、夜人が全然いなくなるような町をつくっていくことが国際化都市なのか。これは非常に大事な点なんですけれども、どうも最近の都市づくりを見ますと、先ほども申しましたみたいにいかにして業務機能基盤を強化するかということがほとんどの論議になっておりまして、そこに住む人間をどうするかという視点が何か全くと言っていいほど欠落しているというような気がいたします。そうは申しましても、先ほど申しましたように日本世界の三大ビジネス拠点一つになる、そのために、オフィス床需要を何とか供給していかなくちゃいけないんだと思います。そのためには先ほど申しましたように、都心全部をビル化するんじゃなくて、でき得れば東京湾臨海部業務拠点受け皿をつくって、なるたけそこにそういう機能集中させて、既成市街地環状六号線の中はなるたけそこに住む市民がもう少し自分たちの考えからこういう住みいいところにしていこうという、再開発を誘導していくような手法が大変大切にこれからなってくるんじゃないかという気がいたします。  つい最近、建築家丹下健三先生がエコノミストに同じようなことを指摘なさっているので参考までに申しますと、   都心から東南に延びる埋立地国際情報金融業務新都心、またはオフショア・業務地区に位置づけて開発、新市街地を形成していけば、オフィス床供給不足による地価の高騰は解消するのではないでしょうか。こうした開発が順調に進んでいくならば東京はますますおもしろくなる。情報化時代ビジネス都市としての性格、それから混沌とした江戸時代の名残のある都市。私たち建築家行政は、これらの混沌とした部分には、あまり手を着けない方がいいんじゃないか。そういう部分は、そこに住みついた人々が、自ら作り出していくべきである。 私は、基本的にこの方向に賛成の立場をとっております。本来、先ほど申しましたように都市というのは文化中心であるべきだと思うわけでございます。  一昨年、日本都市診断をOECDが実施いたしましたけれども、そのとき来日しましたジョン・セッターという都市部長は、都市は単なる経済の場ではなく、それ以上のもの、人々がそこに住み、楽しむところという認識から出発しなければならないと、こう述べておりますし、かつてアメリカジョンソン大統領が在任中、議会に都市の危機、クライシスというメッセージを送っておりますけれども、その中でも都市の建設、都市計画にはそこに住む人の人間関係を大事にするという目標が必要である、その目標のない都市は幾ら立派でも人間を不幸にする、こう述べておりますけれども、現在の都市づくり経済論理だけが横行して、生活環境、そこへ住む人たちのことをどうしていくかという視点が何か欠落し過ぎているような気がすることに一市民として非常に危惧を感ずるわけでございます。  そういう面で、それなら私たちの住んでいる都市環境が一体どうなっているかと見ますと、そのための社会資本、例えば道路舗装率を見てもアメリカでは八一%、イギリス、西独では九〇%以上でございますのに対して、まだ日本では四一%にすぎませんし、先進諸国では下水道のないところは都市ではないとよく言われますけれども、まだ日本は三十数%にすぎません。こういう状態で果たして世界に冠たる国際都市と言えるのかどうかということは非常に疑問に思います。  それから、ここにヒールシャーさんがお見えになっていますけれども、建設業や方々が最近いろんな形で日本に住んでいる外国人対象調査をしておりますけれども、そのデータを見ますと、ほとんどの外国の方が日本の印象として申しているのは、都市景観に統一がない、都市に個性がない、緑が少ない、それから騒音がひどい、これが大体共通した現象でございます。例えば東京の悪い点は騒音公害のひどいことで、特に駅前の街頭騒音はすさまじいとか、東京の大きな欠点は緑の少ないこととか、それからレジャーを楽しむのに非常に不便である。アメリカでは朝起きてその日にやることを決めればいいが、東京では前もって計画を立てないととても間に合わない。ですから運動不足にならないための努力が必要だと。こういう身の回りの都市基盤整備が非常におくれているんじゃないかという気がいたします。  ただ、ここで強調しておきたいのは、国際化時代都市が何も金ぴかにごてごてした装飾過剰な都市をつくるんじゃなくて、当たり前のことでございますけれども、今ここに申しました、もう少し緑をふやしていくとか、それから下水道整備していくとか、公園をつくっていく、極めて普遍的な当たり前なことをやっていくことが極めて大事だと思うんです。それは何も外国人のためじゃなくて、日本に住んでいる都市居住者のニーズと全く同じことで、こういうことを国際化時代都市生活環境は充足していかなければならないんじゃないかという気がいたします。  WHO、世界保健機構が、生活環境が備えていなければならない条件として利便、快適、安全、保健、衛生ですね、最近いろいろな日本の学者なんかもそれに美、美しさを加えていくべきだと申しておりますけれども、これからの国際都市、それからそこに住む都市居住者のためにも、さっき言った安全で快適で利便、それから美しさ、こうしたものをこれからの日本都市国際化時代に対応する都市生活中心に考える場合やっていかなきゃいけないんじゃないか。ですから、これは極めて当たり前な、普遍的な都市づくりの原則でございまして、これが残念なことに、今までの日本都市づくりは、何といっても経済論理、これを否定するわけじゃございませんが、だけが優先して、こういうことが欠落していったということが一つの問題で、この当たり前のことを当たり前にぜひともこの際整備していっていただきたいということ。  それからもう一つ、これは時間との競争であるということでございます。これから二十一世紀まであと十数年しかございませんけれども、二十一世紀になりますと高齢化社会になりまして、どうしても福祉に回って、なかなか社会資本整備にそういう財源が回っていかない。そうしますと、現在のまだ資金力、それから経済力技術力がある残されたこの十数年にぜひそういう社会資本整備をしていくことを希望したいわけでございます。  大体世界都市を見ましても、そういう基盤整備というのが継続的に長いこと行われたんですけれども、やっぱりそれはその国が繁栄している約三十年の間にこれを整備して、その機会を逃すとなかなか基盤整備ができていかないんじゃないか。例えばアメリカも、例の摩天楼なんかは、一九三〇年代の世界金融市場を制覇した時代に大体ニューヨークの骨格ができていますし、それからロンドンにしても、一八〇〇年代に七つの海を制覇した三十年に大体ロンドン基盤整備をしている。ですから、今日本は繁栄しておりますが、この繁栄の時代にぜひとも日本都市基盤整備生活環境整備をしていっていただきたいということでございます。  それからもう一つ関連しますのは住宅でございますけれども、今さら日本住宅の貧しさをとやかく言っても時間がもったいないだけで、それは皆さんも御承知のことと思うんですけれども、私は、日本の、殊に大都市住宅政策を見ますと、どうも今までの住宅政策が間違っていたんじゃないかという気がいたします。本来はやっぱり大都市とその他の地域の住宅対策は識別すべきじゃないか。それはどことかと申しますと、東京とか大阪みたいな狭い土地人口が集積しているところに、どうも今までそういうところでも底つき一戸建ての住宅が供給可能のような錯覚を与えてきたんじゃないかという気がいたします。ですから、これを何も二十階、三十階の住宅にしろとは申しませんけれども、まだ東京なんかでもこれだけ住宅問題があるのに平均階数が三階以下、これをもう少し例えば五階、六階の倍ぐらいにする立体集合化住宅政策を展開して、オープンスペースをその中から生み出していくことが必要なんじゃないかという気がいたします。  たしか昭和三十年代、まだ土地問題がこれほど深刻じゃなかった時代に、建設省では宅地分譲について一区画はなるたけ二百平米にしてくださいと、こう言っているんですけれども、これはどういうことかと申しますと、日照とか通風とか防災上かなり好ましい基準であると。二百平米をもし例えばシビルミニマムとしますと、これに東京区部の約八百万世帯を掛けますと、二百平米に八百万掛けますと、二十三区を全部住宅で埋めても足りないわけでございます。そうすると、当然のことながら働く場所道路、学校、いろんな施設もできなくなる。ですから、東京底つき戸建てというようなことを言うことは不可能なんで、それより都市のよしあしは、その都市がどのくらいのオープンスペース、要するに公共空間を持っているかと言われておりますので、ぜひともそういう方向住宅政策なんかを転換していくべきじゃないか。つまり、ある程度立体化することによってオープンスペースを生んで、そこに公園とか緑をふやすとか、それによって都市にさまざまな潤いが出てくるんじゃないかという気がいたします。  住宅の発展の流れを見ますと、大体五つの段階を経ていくんじゃないかという気がいたします。第一の段階は、当然のことながら雨露をしのぐ場所を確保する時代。それから第二の段階は、住宅シビルミニマムを確保する時代。それから第三の段階は、住宅の規模に余裕を求める時代。今日本は第二から第三の段階にテークオフしようとしているところだと思います。  それが第四の段階になりますと、今度は戸外余裕をという時代になってくるんじゃないか。外国なんかではそうだと思います。それはどういうことかといいますと、自分の近所にプールが欲しい、公園が欲しい、テニスコートが欲しいというような、そういう戸外余裕をという時代が第四の段階になってくるんで、これがやっぱり国際化時代都市であり、それから日本人住宅がそういう方にシフトしていくんじゃないかという気がいたします。最近地下鉄なんかのああいう分譲住宅の、マンションなんかの広告を見ておりましても、今までは三DKで幾らとか四DKで幾らという、こう値段の誇示が大体ポスターみたいに出ておりましたけれども、このごろは大体周りに緑が植えてあるとか、テニスコートがありますというような広告が非常に多くなったところを見ましても、そういう流れ日本人住宅観というのも向かっていくんじゃないか。そのためには、先ほど申しましたみたいに、ある程度都市立体集合化して、そういうオープンスペースを生み出していくことがぜひとも必要なんじゃないかという気がいたします。  それから第五の段階は、都市全体が人間が住む環境に値する都市になることだと思うんですけれども、一種住宅都市でございますけれども、それは世界的にどこもまだ実現していないので、これからの一種の人類の目標じゃないか、住宅についてはそういう点をひとつお願いしていきたいと思うのです。  それからもう一つ、やっぱり都市の、先ほど申しました大きな目的は、もう少し人間環境人間が楽しく住めるための場を都市が提供していくということじゃないかと思います。きのうも、歴史学者林尚三郎先生とある座談会でお話ししたんですけれども、どうも今世界的に都市に求められているのは経済の効率とか何かじゃなくて、美しさとか楽しさじゃないかというお話だったんです。例えば、パリのポンピドー広場を見ても、建物は超モダンな建物でございますけれども、そこで大道芸人がいろんな芸をやって、人間が非常に喜んでいる。それに対して、これ言っていいのかどうかわかりませんけれども、例えば新宿副都心というのは、業務機能一点張りで何かおもしろみがないんじゃないか。何か今生活を大事にする考え方が世界的に浸透してきておりまして、例えば今NHKで「一分メモ」というのをテレビで流しておりますけれども、これを見ておりましても、これは何も新しいモダンなことじゃなくて、どうも昔のおじいさん、おばあさんの知恵を今の若い人たちに紹介する、やっぱり一種人間的なぬくもりを与えるような番組が非常に受けている。これも逆に言えば、都市にそういうことを求められてきているんじゃないか、こういう点をこれからの都市を考えていく場合に考えなくちゃいけないんじゃないか。ですから、高度成長時代都市づくりは、どっちかといいますと所得の向上とか経済の効率ということが中心だったんですけれども、これから二十一世紀社会はどうも人間価値観が、心の豊富さというんですか、静けさとか潤いとかきれいな水辺だとか、うんと緑がある、こういう精神的なものを非常に充足してくるようになっている、これに都市がどう対応していくか。既に日本にいらっしゃる外国の方は、後でヒールシャーさんからもお話があると思いますけれども、そういうものを極めて普遍的な当たり前なことを強く求めてきて、逆に言えば、日本がそれを後追いして日本人がそういうものを今求めているんじゃないかという気がいたします。  それからもう一つだけ、時間がございませんので言っておきますと、これからやっぱり国際化情報化時代に対応するために、ある程度そういう業務基盤受け皿もこの東京なんかでつくっていかなくちゃいけない。それで、先ほど私は東京湾臨海部にその受け皿をつくっていくべきだということを申し上げましたけれども、現在たしか国土庁の調べによりますと、大体一ヘクタール以上の大規模開発が五十以上顔を並べているわけです。ただ、それがてんでばらばらに名のりを上げていまして、全体のグランドデザインというものが全くないままに進んでいるところに非常に心配があるわけでございます。これがこのままでいけば、企業論理だけで言えば、どうももう一回乱開発東京湾臨海部で展開されるんじゃないか。これをどうしても一種行政、例えば今臨海部は幕張メッセから東京湾の十二号埋立地、それから神奈川のみなとみらいというふうにいろんな計画が出ておりますけれども、そういう行政の枠を越えて、もう少し二十一世紀首都圏をどうするんだという大きなグランドデザインを皆様が英知を集めて、そのグランドデザインのもとに個々の役割分担を図っていくような町づくりをしていくべきじゃないかという気がいたします。  どうも今の国際化情報化への役所の言い方を見ても、やれ規制緩和とか何とかという、そういう面だけが先行しておりまして、そういう都市をどうしていくんだという哲学が非常に欠落しているんじゃないかという気がいたします。例えば、土地の研究の第一人者で東大の名誉教授である渡辺洋三さんもつい最近ある新聞に、日本都市計画の理念が果たしてあるのだろうか、理念のない東京の現状の乱開発は二十一世紀日本の未来にかけがえのない損失を与えるおそれがあると、こう申していますけれども、ここでぜひお願いしておきたいのは、ここにいる先生方がやっぱり首都圏をどうする、日本列島をどうするという長期的なデザインのもとに臨海部をどうするかということをお考えいただいて、長期的な視点に立って国際化情報化に対応した例えば首都圏というのをつくっていくべきじゃないかという気がいたします。そうしないと非常に将来に大きな禍根を残すことになるんじゃないか。  あとは御質問にこたえてお答えしたいと思います。
  4. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) まことに有意義なお話をありがとうございました。  次に、ヒールシャー参考人にお願いいたします。
  5. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) 御紹介いただきましたヒールシャーです。東京に住んできたのはもう二十年間ぐらいですが、今の日本の若い人と大体同じような期間にもなったわけです。日本にかなり経験もあるような立場で、アメリカでも合わせて二年間ぐらい、イギリスでも一年間ぐらい滞在、仕事をした経験を持ちます。でも、主に自国の西ドイツの状態と比べて東京あたりのことのお話をしたいと思います。  この二十年間の非常に速いペースの発達を見てみますと、収入の水準は平均して、あるいはサラリーマンの収入の水準を見てみると、今の西ドイツ並みになったということは間違いないと思います。そこはもう全然問題ないです。問題なのはやはり住宅です。住宅とその環境は西ドイツと比べて大きなギャップは相変わらず残っていることが私の印象です。  それで、こういうような住宅の状態について、いろいろなきっかけがあってこちらから例えば悪いところを指摘をする場合は、大体返事は日本の国が狭いとか土地が高いとかそういうようなことばかりで、いわゆる仕方がないという返事が多いわけです。私にとっては今のような状態は別に自然のことじゃなくて、これは政策の結果です。間違った政策、政策のなさの結果、あるいは政策の実行のなさの結果、とにかく人間がつくったようなことです。だから人間もこれを直す可能性があると私は信じています。例えば人口の密度にしますと、ヨーロッパのオランダは密度は日本と変わりがない、むしろ多い方ですが、あそこはそういうような住宅問題はほとんどないんです。完全にもちろんどこでも解決していないのですが、主に見ますとそういう問題は日本ほどにはない。あるいはスイスも山ばかりで、人口に対してやはり宅地が少ない、それでもこういうような問題がない。あるいは日本の国内の例を見てみると、私、特に取材に何回も行ってきたところの一つの例ですが、これは神戸市ですが、神戸市は非常に土地が狭い。六甲山と海の間、一つのタウンみたいなところですが、そこは人工的につくった島、みんな御承知のとおりですが、私はむしろその山の裏にあるニュータウンの方がおもしろいのですね。やはり日本は山の多い国ですから、山のてっぺんを切って、この土はまず海に入れて、そこで一つ土地をつくると同時に、やはりてっぺんを切った山を開発地域として、住宅地域として大きく使えるようになったんです。そのコストも今の東京住宅地と比べて非常にリーズナブルなところが多いわけです。だから、そこは普通のサラリーマンの収入で土地が手に入る、あるいはマイホーム、アパートでも手に入る。それで環境もかなりいいように残してある。交通施設も例えばあそこまでの地下鉄みたいなものはもうできて、三十分以内に都心部に行けるという非常に整備のいいようなところが日本の中にもできているじゃないか。私は別に富士山のてっぺんを切るということは全然考えていないわけですが、しかし、山は非常に多いですから、例えばその一部を、技術と金がもう今十分にあるから、もう少しその可能性も利用したら日本は本当に広い国じゃないか。宅地問題を解決する道は幾らでもあると思います。だから結局、政策が大事だと私は思います。  それで、特に都市政策は今より必要じゃないか。というのは、印象としては、これは特に政治家のいろいろな話を聞きますと、建設大臣の例もたくさんあると思いますが、大体その裏に考えるのは、大都会に戦後に出た人が定年になりますと国へ帰って、自分の対あるいは地方に帰って、そこでたまった金で立派な家を建てるじゃないかと。というのは、都市そのもののための政策は要らないじゃないかと。私はその逆に、三十年でもこのところに住んでしまいますと、やはりその人のために適当な政策が必要じゃないかと信じています。ですから、非常に都市政策の重要性、適当な都市改革の必要性を訴えたい。それで、紙の上に書いたばかりのビジョンとかそういうことじゃなくて、やはり実行するような政策と計画が必要じゃないか。  それで、実態を見てみましていろんな気がついたところを問題提起したいと思いますが、主に先生方が御存じのところばかりですが、しかし、外国人の目の一人の例として見たような形で、まず一番気がつくのは、土地の利用度を、東京の特に土地の価格から考えてみると、やはり二、三階建ての利用度は余りにも非経済的で、例えば都心部あたりの一戸建ての家屋などの数を見てみると、都心部でそういうような生活をするのは非常にぜいたくなことじゃないか。というのは、都心部の役割から考えてみるとやはり村の役割と違うはずです。都心部には、例えば、これはちょうど私日本へ来たときは美濃部さんが東京都知事になって、その後田中内閣とのけんかの一つの非常に象徴的なことがあったんですが、これは東京での建設の規則を緩和するかしないか。田中内閣は建設と関係が多いですからできるだけ規則を緩和して利用度をもっと経済的にしようと。美濃部さんは個人個人の東京にいるマイホームを守ろうと。これは個人個人にとっては大変結構ですが、しかし遠いところに住んで毎日通う人のことを考えてみると、彼らが犠牲を払うかわりに非常にぜいたくな東京都心部の一戸住宅を守ろうじゃないかと。大衆を代表するつもりの社会党出身者の都知事と、経済界の代表のような田中さんの対立は逆であるべきじゃないかと私は思ったんですが、そうでなくて非常に印象的だったんです。だから土地利用度のことが一つ。  もう一つ住宅のパターン全体ですが、ドーナツパターンのような、都心部には人口が少ないだけじゃなくて、一戸建ての住宅が多い、団地は皆外にある。団地が外にあるから大勢の人が毎日都心部に通勤してくることになって、交通混雑もそれで生まれてきたんです。別に交通混雑は自然のことじゃなくて、私にとっては間違った住宅政策の結果だと思います。この優先を逆にした場合は交通混雑もある程度まで、特に道路の場合あるいは電車の場合も解決できるはずだ。だから住宅問題と交通政策も大きなかかわりがあると私は思います。  もう一つのポイントは住宅の質です。私の目で見ますと、ほとんどの、もちろん例外でとても立派な家屋もありますが、ほとんどの住宅は今のような日本経済水準から見ると質が物すごく悪いわけです。これはアパートではもうだれでもおわかりになると思いますが、そこだけじゃないんです。個人住宅、一戸建て住宅でも非常に質の悪い、あるいは設備が足りないとか、そういうようなところが多い。これは東京などに限らない。しかし東京のようなところが特に目立つわけです。  例えば、私は冬の取材のために東北の方に行きました。雪の対策はどうするかと。いろいろなおもしろい技術がそこに発達したことは事実ですが、住宅そのものは、あれほど寒い冬があっても九州あるいは関西等の住宅とほとんど変わりがない。というのは、厳しい冬に適当でないような住宅が多い。その結果の一つは、冬のときは住宅の三分の二ぐらいは使えなくなるわけです。冬は寒いんだからとその部屋は暖めないとか、いろいろなこと。それで、外にもいろいろ棚をつけて、結局暗くなると寒くなる。冬は冬眠するような形になるんじゃないか。非常に現代の技術から考えて、収入水準から考えて信じられないような生活環境。別に土地問題だけじゃなくて、全体の住宅の質、住宅政策の問題、そこでも気がついてきたわけです。  もう一つの大きな違いは、これはやはり首都圏あるいは大阪中心の宅地の価格の関連であります。これは住宅の予算の内訳です。今、東京のマイホームを手に入れるために、これは建設であるか取得であるか、これは平均の数字ですが、いろいろ含まれていますが、その値段で一人が家を買おうと思えばなかなかできないんですけれども、平均としては大体二、三千万円の数字は今でも残っているわけです。これはドイツの都会とほとんど変わりがないです。しかし、内訳は全然違うんです。内訳としては、日本の場合は土地のための分はその予算の四分の三ないし三分の二ぐらいです。土地のためにそれほど金を使いますと、逆に家屋そのもののために三分の一あるいは四分の一しか残ってないんです。当たり前のこととしてこれは質に反映されるわけです。やはり住宅の質はそのためにもかなり低いことがわかるようになったんです。同じような予算の中の内訳はドイツは全くその逆です。多いところで土地のために三分の一払うんですが、四分の一が普通、あるいはそれ以下でもあるわけです。ですから、三分の二、四分の三まで土地のためじゃなくて家のために使うわけです。そうすると、割に丈夫なもの、設備のいいもの、十五年間、二十年間だけじゃなくて、百年の目標を立てるようなことになるわけです。ですから、そこもやはり都市住宅政策を解決するには、土地の価格の問題が大きく絡んでいることはそこでもおわかりになると思います。  環境の施設の話を少しやりますと、例えば国鉄とか私鉄でもそうですが非常に便利で、現在大体の例ですが経済的でもあると思います。しかし問題は、一つの制度からほかの制度に乗りかえをしますと非常に高くなるわけです。というのは、地下鉄は一つの制度として、国電は一つの制度として、バスは一つの制度として、しかしどれかその三つの制度の中からほかの制度に乗りかえますと、また改めて全部の料金を払うわけです。これはドイツのことを後でもう一度触れたいと思いますが、そこで、例えばこれをみんな総合にして一つ地域交通制度をつくれば、どういう交通機関を使っても同じ切符で距離だけで料金がかかるような制度を導入しますと、大体ドイツは都会あたりの地域はみんなそういうふうになっているわけですが、そうすると結果的にやはり個人にとって経済的になるわけですが、しかし制度の乗りかえの必要のない場合は日本の方が今でも安いと思います。  もう一つの非常に便利なところは、やはり買い物です。日本の場合は大体ヨーロッパの教会のかわりに駅があって、駅と商店街、その周辺で買い物のほとんどができるわけです。営業時間も大体消費者に便利なように長くするわけです。非常にそれは生活のプラスだと思います。特に、ドイツは営業時間の厳しい規則があって、非常に不便な面が多いです。それは政治の背景で、大手チェーンストアと労働組合の連立て、なかなかその壁を破ることは今までできなかったわけです。しかし、その注文も毎年強くなるわけです。少し日本型の方に直す可能性があちこちに出てくるかもしれない。とにかく買い物の方は非常に便利ということは、私は別に批判のところばかりじゃなくていいところもやはり指摘すべきだと思います。  道路状態はやはり一番問題が多いわけです。混雑はもう一般的に御承知のことですが、道路の役割は、特に幹線道路の場合は普通のように役割を果たさないじゃないかと。渋滞ばかり、朝から夜もそのことが多いですが、幅が狭いというところだけじゃなくて、全体の量が足りない。住宅地だけは幅の狭い道路にプラスがあるのです。それは余り車が入ってこない、逆にそこは自転車で行く、私もよくそれをするわけです。だから、住宅地では狭い道路があって、自転車だけ、あるいは小さな車だけがそこに入ってくるような条件があれば、それはプラスの面も多いですから、それを変える必要はないのです。しかし、幹線道路はやはり問題です。  それで、幹線道路のもう一つの問題は、大体その周辺には住宅が今でも残っているわけです。これは大きな問題です。騒音とか振動から考えてみると、そこにやはり住宅は残すべきではないのです。それは将来必ず、今でもそうですが、将来でもそういう政策を続けますと、だんだんストレスなどの訴訟とか、そういう賠償金を求めるようなことが庶民の意識が上がり次第ふえることは間違いないわけです。  東京の例を挙げますと環七通りの周辺で、本当にそこは住むべきところではないんです。これは商売上のところはいいんですが、しかし道路そのもの、夜も昼も毎日、毎時間それほどの大きな騒音で大量の車が動いて振動もひどいし、そういうようなところは、やはり切り離すような最低の距離は住宅までには必要だと思います。そういうようなところは今でも東京にたくさんありますから、それは大きな問題の一つです。  緑の少ないところも皆さんが同じように御指摘になったことが多いですが、緑の少ないところだけじゃなくて、学校以外には特に大人あるいは青年のような人がスポーツできるような公の施設が少ないです。クラブの形でいろいろありますが、非常に金がかかる。非常にそれぞれのクラブの条件に従わないとできないわけです。だからコストが高くて自分に便利でないようなものが多い。決まった時間しかない。制限が多い。普通の消費者あるいは普通のその辺に住んでいる人にとっては非常に不便なところです。緑の一つのプラスなところは、小さい子供向きの遊園地は割に多いわけです。これは非常にいいことだと。しかし小さい子供以外のための施設は全然足りないわけです。今でもそう。少しずつは改善していくことは間違いないですけれども、まだ全然足りないわけです。  それで騒音本吉さんも指摘したような問題ですが、これは駅周辺と商店街周辺と宣伝カー、まあそれは別に選挙の決まった期間内というような宣伝カーじゃなくて、毎日のような、これは一部は右翼の関係、政治関係ですが、一部は例えば何かの特殊な売り物とかですね、やはりその一部はさお竹とか、これは一つの例ですが。やはりそこでもある程度までの騒音のコントロールをしないと、何か変な組織が裏にあるだけで騒音コントロールを実行しないのはおかしいじゃないか、法治国家の日本としては。やはりだれかこれを公にも言うべきだと思いますが、やはりかなりの騒音。あるいは学校の近くでは、学校のスピーカーもある程度まで、学校の祭のあるときはみんな了承できると思いますが、毎日のようにいろんな時間にスピーカーの一番大きな力でその学校の行事を発表することが本当に必要かと。やはり騒音に対しての意識は今の段階でまだ不十分じゃないかというようなことが言えると思います。  さて今度は安全問題、最後のそういうようなところですが、密集と木材の住宅という、二つの大きな火事の原因、恐ろしい火事に対しての安全問題は未解決のままです。だから私は二十年前ここに来て、その後で住宅を建てたときは、私の妻は日本人ですからその辺で恵まれて、当時は土地を買ってもらって、住宅をヨーロッパ風に建てたわけですが、暖房もついた。お手洗いまで暖房のついたところ、あるいはおふろ場に暖房のついたところで、建築家からもどうしてそこに暖房が必要だと。私は裸になるところが一番必要じゃないかということを言ったことに対して、建築家は驚いたわけです。次の家まで多いところは一メーター、少ないところは三十センチしかないとやはりコンクリートでないと安全に生活できないじゃないか。私の住んでいる高円寺のところに、住宅の家屋としてはその辺で多分初めてコンクリートの家を建てたわけです。  コンクリートの家のもう一つのプラスは、日本住宅建設のやり方では、最初できたときは非常にぴかぴかですが二、三年たって非常に汚くなるわけです。コンクリートの場合、特に表をコンクリートにしますと、最初はそれほどぴかぴかでない、二十年後でも変わりがない。質のいいものであれば、やはり見た目はそれほど悪くならないということも一つの対策。とにかく日本の、例えばウサギ小屋のような言葉が外国で、特にヨーロッパでできたということは、見た目もひどいということは、東京のように、例えば蒲田あたりとかあるいは電車から見えるような個人住宅を見てみますと、物すごく小さくて、その上に汚く見えるわけですね。これは空気だけじゃなくて、壁に使う材料という問題もあります。それで、空気は割に汚いというところで白くペンキを塗っている、これは後で汚くなるのを招くことじゃないか。政策をもう少し、白より普通の、空気の内容を考えて、別の色、例えばれんがの家を建てるようになって随分きれいになったわけです。これはそのままで残るわけですね。これも割に簡単に洗うだけできれいにすることも幾らでもできるわけです。  対策の方向として、やはり基本的には都市政策の必要性を訴えたいと思います。都市目標は村と違うわけです、あるいは小さな田舎町、地方町と違うわけです。やはり都市目標は、できるだけ多くの人が人間らしく住んで、働いて、勉強して、遊べるような目標が必要だ、その目標を意識して政策を決めるべきだと思います。  それで、その一番基本的なことは、都心部の場合、例えば東京の場合は山手線内あるいは環状七号線内には、原則としてはやはり集合住宅、共同住宅を優先させるべきじゃないか。これは十階建てとか五階建てとか、十二階建て、二十階建てにするかどうか、それはひとつ計算の上に決めるべきです、どれほどの住宅が必要だと。しかし、今のような状態、平均二階建ては余りにも、二十三区の平均は二・三階建ての程度だと私数字を見たんですが、とにかく二・三階では足りないことは間違いないです。昔は地震の問題があったんですが、その技術は十分に事務所のために発達して、解決したから、住宅にも利用できるじゃないか。それで、普通の人はみんな一戸建てのような夢を持っているけれども、都心部に割に条件のいい、質のいいアパートをつくれば、今、外の団地に住んでいる人は喜んでそういうようなアパートに引っ越していくのじゃないかと私は思うわけです。  それで、質のいいこととは何だということは、例えば自分の部屋から隣の部屋の夫婦げんかがあっても余り聞こえないようなこととか、部屋の大きさと設備、例えば三階からの場合はやはりエレベーターをつけるべきだ。あるいは庭が都心部にはできない、しかしかわりにバルコニーを少し広くして、そこに木をある程度まで植木のような形にできるじゃないか。ヨーロッパではそういうことをみんなするわけです。だから都市向きの庭がわりのバルコニーにすればいろいろなことができると思います。今のような粗大ごみの置き場とか洗濯機置き場とかじゃなくて、バルコニーを使えるようなことにすれば、夕方少し涼しくなった夏でも、一杯飲んで家族そろってそこで一休みするようなこともできるんじゃないか、あるいは朝、ちょっと花に水をかけてとか、少しぐらい雑草取って仕事に出かける、いろいろできることはあると思います。しかしそれは共同住宅以外にはできるだけ多くの人のためにつくれないんです。これはやはり集合住宅の道を大胆にとるべきだと思います。  例えば、今の国鉄の土地を売るよりはこれを共同住宅のために利用する、あるいは今の電車の上に、例えば山手線でもですが、最初の一階、二階は、商売関係は振動のあるところで、しかし五階以上は住宅のためのアパートをつくれば、例えば十階、二十階建てのそういうような土地幾らでもあるわけです。だから利用の問題です。どういうふうにどれほど利用すればという、いろいろ可能性があります。これは適当な政策をやはりつくるべきです。  それで、交通制度としてはさきにも触れたところがありますが、やはり住宅地と幹線道路を切り離すべきです。最低の距離が必要だ。これは五十メーターであるか百メーターであるかは振動をはかって科学的に決める。それで最低その中に例えば公園をつくれば、木によって振動も騒音もある程度まで減らすような対策もできるわけです。  交通関係のあと二つのことですが、一つ地域の総合交通制度を検討すべきじゃないか。というのは、もっと自由に乗りかえのできるように、それでコストは国鉄、私鉄、バスなどいろんな制度を一つにする。一つの大都会地域の中で利用者は一つの切符を買って、距離によって料金を決めるわけです。国鉄の近くだから高い料金を払って、ちょうどいいところばかりを利用して、私鉄の近くにいて安い料金を払って不公平じゃないか。これは総合的にその都市全体の人口を考えて対策をするべきじゃないか。そうすると距離によって料金を決める、その制度に参加する会社の内訳では計算できるような形で。  もう一つは、これは都心部には公害問題の対策としては完全な自動車駐車禁止を導入したことは大体二十年前であったんですが、都心部には車は余り入ってほしくないということの目標があって、しかしそれでも入ってくるわけです。だから結果的に駐車場が足りないという一つのことになったんですが、建物を建てて地下駐車場を制限することは日本だけだと思います。例えばドイツの場合、逆に最低の数、地下の駐車場をつけないとその建物の許可を出さないと、逆の政策ですね。あるいは住宅地の場合は、やはりある程度の幅があれば、そこでは駐車を許す。駐車の建物は建てないから、やはり個人が何か、例えば子供を連れて友達のところへ遊びに行こうと思っても自分の車を駐車する可能性は全然ないわけです、今どこでも禁止だから。やはり幅があるところは少なくとも駐車を許すようなことをするとか、前の政策を改めるべきじゃないか。  それで、通勤時間の目標としては、東京の今片道の平均は一時間五分程度だそうですが、これはやはり目標としては三十分ないし一時間以内に抑えるべきではないか。だから、外の団地のかわりに中の方に入れるわけです。  時間になったことですから、今の対策、具体的にどういう道をとれるかどうか、質疑のときに少しチャンスがまだあるかどうか。御清聴ありがとうございました。
  6. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 有意義な御意見をありがとうございました。  以上で両参考人からの意見聴取は終わりました。  これより両参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は、会長の許可を得て順次御発言を願います。
  7. 山本正和

    ○山本正和君 大変示唆に富んだお話をお聞きしておりまして、私どももかねがね考えておる問題点、鋭い御指摘等いただきまして大変勉強になったわけでございますが、今のお話をずっと聞いておりまして、お二人の共通している御意見として我が国の都市政策が根本的に何か誤っておったのではないか、要するに、都市政策の貧困にその原因がありはしないか。特に、これはもう土地が狭いとかなんとかじゃなしにむしろ人災なんだと、人間がこういうふうふうにしてしまったんだというふうな御指摘もあったわけですが、都市政策の貧困がなぜ今日こういうふうに起こってきたか。これは国民の中にもさまざまな声がございますし、私どもとしてもそれをいろんな方からお聞きしているわけですが、特に今日、こういうふうに都市化問題が難しくなってきた最大の理由として最近私よく聞くんでございますけれども、土地を利潤の対象とする、土地が投機の対象となるということが放置されてきた、これが一番大きな原因じゃないかというふうな話等もございます。そういうことも含めて、大体諸外国、例えばドイツでは土地というものの売買が果たしてどういうふうになっているのか、あるいは外国一般的に、我が国のような格好で土地が利潤の対象として割合に規制が緩やかであるというふうな状況があるのかどうか、またそれに対して今からとり得る改善の方法等もしお考えがございましたらひとつ御指導いただきましたら大変ありがたい、こう思うわけでございます。  それから第二番目に、私もドイツに二回ほど行ったのですが、随分昔でございまして、そのときの状況、最近行った人にまた聞いてみましても変わらないのは子供の住環境、子供が家族として今住んでいる住宅、そしてその住宅地域として保障されている、子供がもっと生き生きと戸外で遊べるようになっている、都市の中においても子供の住環境の問題については、いろんな意味でそれぞれの町がこれを保障しているというふうなことも聞いたりもいたします。ただ、我が国も、私どもなりに教わった中身でございますが、江戸時代から明治時代、あるいは大日本帝国当時には学校を中心とした地域社会というものがあって、そして子供に対するさまざまな保障がされておったと。戦後日本国になってからだんだん学校がそういうものと関係なしに、いろんな法律的な規制はございますけれども、昔と比べると比較にならないぐらい子供たちの住んでいる生活環境が悪くなってきている。住宅が悪くなっているということとつながるわけですけれども、そういうことを外国ではどういうふうな格好でこれをカバーしてきているのか。アメリカでもあるいは西ドイツでも、特に子供の住環境が非常にいいのがスイスだと、こういうふうに言われておりますけれども、そういうふうなところは都市政策としてどういうふうにやってきておるのか、もしその辺、実際にごらんになったこと等も含めましてございましたらお二人の参考人からお伺いしたいと、こう思います。どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  8. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) 都市政策はどうしてそういうふうになったか、対策はどうだということを考えてみますと、一つは政治関係との背景もありますが、例えば国会議員の方々の割合を見てみるとやはり地方からの出身の方が多いわけです。参議院は別ですが、衆議院の場合はみんな選挙区直接の議員が多いわけです。そうすると、自分の選挙区以外には考える必要はそれほどないという根拠があるじゃないか。一般全体の政策、ほかの人のためにもなるような政策を考えなくていいというような構造的な問題がそこには一つあるじゃないか。それで、地方へ将来戻るような、というのは、その土地に住んでいる人は大体東京あたりの下町ぐらいじゃないか、あとは一時的にしかいない。東京だけの話じゃなくて、大阪の住宅状態もひどいと私は言いたいと思います。  さて、対策の方はどういう道具があるか。私ならばやはり一番大事なことは、土地の利用度を税の道具を使って、固定資産税の道具を使って直すべきじゃないか、それが一番の道だと思います。というのは、例えば都心部には個人住宅を一戸建ての形で残しますと、これは普通の収入で、一戸建てで税金が余りにも高いとなりますと、その個人が金持ちでないとやはり郊外に移るわけです。逆に言うと、そこで集合住宅の何かのアパートを建てますと、一戸一戸に対しての税の割合は低くなるわけですね。例えば私はミュンヘンにはアパートを持っていますが、そのアパート、これは持ち主のことですが、そのアパートに対しての固定資産税は今、東京の私の妻の家族が持つ一戸建ての土地に対しての固定資産税と大体同じです。だから都心部の固定資産税をうんと上げるとしますと、自然に個人の一戸建て住宅は外に行く。そうすると、共同集合住宅のチャンスが初めて生まれてくるじゃないか。これは一番大きな道だと思います。  それで、もう一つのことは地域改善、地区改善のやり方ですね。日本はやはり持ち主の全部の賛成がないとなかなかできないんです。だから非常に時間がかかるわけです。ドイツの場合は、詳しいことは自分の資料、今足りないんですが、とにかくある程度の過半数で、例えば八割か九割で決める可能性があります。何か割に多数決のような、例えば八割、九割のような制度を導入したらある程度まで地区別にその改善の道も開くじゃないか、あるいはもっと早く開くじゃないか。  それで、二番目のところの学校のところですが、日本のような問題は、ドイツの学校は全部公ですから、これは州ですか、市ですか、学閥の問題がないから、やはり別に特定な条件がないと近くにある学校へ行くことは普通ですが、非常に勉強の問題の子だけは特殊な学校まで遠いところまで行く。普通は三十分以内、十五分以内ということ。そうすると、学校と生活環境は割に近い。  もう一つの違いのところ、最後の一つだけですが、日本の今の都会に住んでいる生活パターンでは、やはり外で稼ぐ。これはお父さん、お母さんですが、特にお父さんの場合は自宅で過ごす時間が少ないんですね。大体お母さんかおばあさんと子供だけです。そうすると、自分で悩みを十分にわかっていないような、大体改善したきれいな職場に逃げるようなこと。そうすると、自分の家族の毎日の悩みについての意識が薄いじゃないかというところもあると思います。
  9. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 今先生が御指摘になったように、地価の高騰が諸悪の根源と言われておりまして、国民の悲願である住宅水準の向上や都市環境改善の最大の障害になっていることはおっしゃるとおりだと思うんです。  ただ問題なのは、一つはこの背景が、外国との違いは日本都市が一点集中型、東京に集まっているところにある。似ているのはパリだけで、例えば西ドイツなんか大体百万とか。それで、昭和三十年代に民族の大移動みたいな形で東京なり大阪に集中しまして、ここから地価の高騰が始まったと思うんです。  それからもう一つ日本土地問題の難しさは、土地所有者が物すごく多くて、たしか固定資産税の台帳を見ますと三千万ぐらい、これは固定資産税ですから、自治体ごとに一筆一筆違いますからダブっているんですけれども、数千万人の人間が小さな土地を持っているということが、あらゆる対策を講じる場合に非常に難しくしているんじゃないかという気がいたします。ですから、固定資産税を、今ヒールシャーさんがおっしゃった時価評価をやってコントロールしようとしても、大抵上がると皆さんけしからないとおっしゃるように、人数がめちゃくちゃに多いので、これ非常にそこに問題があるんじゃないか、そういうことが土地問題の解決を難しくしているんじゃないか。  それからもう一つの背景は、三十年代に年率三〇%を超すように地価が上がりまして、銀行金利とかなんかよりはるかにもうかる。そうしますと、土地を持っていれば永久にもうかるんだという何か迷信が日本人の間に残念ながらすっかり定着しちゃって、土地は国民の共有の財産だ、もっとそれを合理的に利用していくという精神がどうも崩壊しちゃったところに何か非常に悲劇があるような気がするわけです。ですから、それはやっぱり土地は国民の共有のものだという発想に皆さんがなっていかない限り、さっき言いましたような三千万近い方が地主さんで、大部分がもうけようとしているときに幾ら言ってもなかなか実効が上がらないのが現状で、そのツケは自分にはね返ってくることは間違いないんですけれども、何かそういうことが大きく日本土地問題を難しくしちゃっているんじゃないか。  ついでにここで一つ申したいのは、そのお先棒を担ぐわけじゃございませんけれども、今、国公有地を一生懸命に高値でお売りになっていることも、国の財政が赤字で、それから国鉄が赤字で、わからないわけじゃございませんけれども、一つ参考に申しますと、今ウィーンの森というと世界の最大の森の都と言われておりますけれども、一八六六年にたしかあれはプロシアの戦争に負けてオーストリアがあのウィーンの森を一材木商に売却しようとしたわけですね、財政赤字を解消して国家財政を健全にするために。そうしたところ市民が立ち上がって、要するに自然というのは一回破壊しちゃったらもうもとに戻らないんだと。ですから、一投機家の手に土地が渡れば必ず宅地に細分化しちゃって困るということを新聞や雑誌に投稿して、それが市民の間に大きく広がっていってウィーンの森の売却を阻止したという故事がございますけれども、本来ならば私なんかも国公有地の売却というのもそういう視点からぜひお考えいただいたらと思うんです。  もう一つ、ちょっとお答えにならないんですけれども、例えば現在、国公有地がわからないのは、今国鉄が困っている、国の財政が困っている、高値で売却するのもわかるんですけれども、ある意味ではね。当然そうすれば周辺の地価をつり上げることになると思うんですね、現実にそういう形が起きております。そうしますと、どんなことが起きてきますかといいますと、日本社会資本が非常に立ちおくれている、これを何とか整備していくためにはどうしたって用地が要るわけでございます。その用地を今度は高値で購入するとなると、国の財政にどっちが本当はプラスするのか、その辺がよくわからないままどうも今、国公有地の処分が行われているんじゃないかという気がするわけでございます。  ですから、確かにもっとこれからの土地利用というのは、所有から利用へというように、公共優先の立場から土地利用の強化を図っていくべきだと思うんですけれども、どうも根っこにまだ日本人の、さっき言いましたみたいに、土地はもうかるものという迷信が出てきて、やっとそれがこの間本当は崩壊しかかったわけですね、ついこの間までですね。だから、それで土地信託とかああいうものを、土地所有者が持っていても税金が高くなるんで利用しようというときに、最近また、五十九年ぐらいから地価の高騰が起きてきちゃいますと、せっかく土地を所有から利用しようという概念がやっとできかかったときにまたそれが崩壊しようとしている。どうも日本人が今余りにも、僕たちを含めて、何か長期的な物の考え方じゃなくて、短期的に物事を考えて、本当に二十一世紀の国土がどうなるかというようなことがどうもなくなっているところに非常に問題がある。ですから、土地問題が都市環境整備とか何かに非常に障害になっている。  それから、もう少し土地の値段というのを合理的にしていくべきことはもちろん大賛成でございますけれども、現実は三千万の人間を、まして非常にエコノミックアニマルになっちゃった日本人をどうやって、私たちの友人なんかでも、昔こんなに地価は高い、けしからないと言っていたのに、自分土地を買いますと、幾ら上がるんですかと聞きに来る。同じ人間の中にそういう意識変革が起きてきたというところが何か外国と違う。有名な話ですけれども、例えばパリのオルリー空港ですか、あれなんかたしか地主さんが四人というようなこと。それからもう一つわからないんですけれども、これは的確でございませんけれども、日本人というのは都市問題なんかで外国へ行きますと、日本のかなり専門の方もこの辺は坪幾らですかと必ず聞くんですけれども、向こうじゃお答えがあったことないですね。大体土地所有者が少ない。それから住宅をもろに売るのです。土地の値段が一坪幾らですかというような、その辺に何か日本の特殊性がある。その原因というのは、三十年代の人口の大移動、民族の大移動みたいなものが狭い土地に起きたことに、何かそこに日本人土地に対する意識というものがかなり変わったんじゃないかという気がいたしますけれども。どうもお答えになったかどうか……。
  10. 山本正和

    ○山本正和君 今の大変土地所有者が多いと、これは戦後の土地改革、農地解放が絡んでいますから、我が国の実態だろうと思うんですけれども、ただ法人が土地の投機売買によって利益を上げている。これは外国ではもう少し厳しい規制があるように思っていますが、その辺はいかがでございましょうか。結局、例えば東京都心土地の値上がりも、個人の所有が値上がりしているという部分もありますけれども、しかし、法人が大変もうけて、しかもそのもうけたお金が税金に回らないというふうなことも聞いたりするんですけれども、その辺の外国での法人が土地の売買によって得る利益というふうなことについては余りお聞きではございませんでしょうか。
  11. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 私、その専門家じゃございませんのでよくわかりませんけれども、確かにおっしゃったような問題というのはあると思うんです。昭和三十年代ですか、東京の不動産業がたしか一万軒超していて、そのとき都内の八百屋さん、魚屋さんより多かった。昔の何というんですか、玄関に張ったようなのが大体不動産業だったのが、さっき言いました三十年代から、もうかるものですから法人がわっと進出して、たしか今個人より法人の方が圧倒的に多い。でも、それももうちょっと難しいのは、あの業界というのは三井とか三菱とかという大手から、さっき言った昔の仲介業みたいなもの、それが皆さん同じことをおやりになっている。これをどうやってコントロールしていくかというのが一つの非常に難しい問題だと思うんです。  それから最近、余り聞いたことのないような不動産業者が例えばニューヨークのティファニーを買ったとか、ああいうことをおやりになっている。本当に僕たちもあの辺の実態がよくわからないんです。ニューヨーク・タイムズなんて読んでいますと、初めのうちは割に歓迎したんですけれども、去年ですか、在日の向こうの新聞社の大会が日本であったときに、だんだん外国でそういう土地の買い占めみたいなのが国民感情を阻害してくるんじゃないかというようなこと。  だから何か日本で起きることというのは、余りにも急激に何かが一遍に開花しちゃって、あっという間に起きるんで対応がいつも後手後手になるんじゃないかなと。やっぱり企業である限り普通の一定行為をして、例えば宅地造成をして、そこに普通の利益を得ることはちっともおかしくないんですけれども、確かに投機の対象みたいに、今みたいに地上げ屋が入って半年や一年で上がるような問題というのはだれが考えても好ましくないんじゃないかと。  それからもう一つ言えるのは、土地の値段というのは一体本当はどうやって決まるのか私ようわからないんです、率直なこと言って。これもある例でございますけれども、有名な話でございますけれども、ある国有地を売却しようとした。坪四千万といううわさが飛んでいたそうです。そこにある企業の本社が近いんで、ある違う企業の社長さんが、おたくはあれは四千万でお買いになるんですかと聞いたそうです。そしたら、とてもあんなものは四千万じゃ商売にならないから三千万以下でございますと答えたそうです。その聞いた企業の社長さんは、ある人の顔を立てるために二番手で入札したかった。だから二千八百万という価格を入札したわけです。そしたら、その相談した社長さんは三千万じゃなくて二千万以下で入札した。それから大手の企業も組んで二千万以下で入札しました。だから、その方は二番手で、本当は欲しくないけど、こんなに努力しましたというんで二千八百万円、だから二千八百万円で落ちちゃったわけです。そうすると今度はそれが呼び値になるわけですね。それで地価が上がっていく。御商売やっている方が地価が一体幾らが正当なのかというのは、そのくらい迷うぐらいで、素人じゃもう一つ全くわからないということが一点。  それから、もう一つの最近の大きな問題は、これは先生方にぜひ考えていただきたいんですけれども、最近都心の事務所化で、例えば八百屋さん、魚屋さんがビルになる。一遍に何億というお金が入りますね。そうすると、例の買いかえの特例でそれを一遍に消化しないと税金を取られるというので、それが田園調布なり何かを余り金に糸目をつけないで買っていっちゃう。そうすると、本来住んでいる人の宅地の値段と東京の今まで、そう言っちゃ失礼かもしれないですけれども、余り大したところに住んでいなかった方が突然降ってわいたような形で問題が起きてくる。そういうところに何か問題が起きているのじゃないか。ですから、さっきの買いかえの特例でございますと、神田の土地を売って田園調布と。そうすると、本来なら一軒しか買えないわけです、税金は。その後どういうことが起きたかというと、これは聞いた話でございますけれども、三軒を買って二軒壊すのだそうですよ。今度は建物土地一つにして買いかえの特例の効果を発揮しようという話を聞いたことがございますけれども、どうもノーマルな形で土地取引が行われていないのじゃないかという気がするわけでございます。  たしかこれからそういう土地投機を封じるために、保有二年以内の短期売買に重課をかけるとか、そういう方向に税制が強化されてきましたけれども、もう少し、国土法で余り非常識な売買は規制できるんですけれども、ただそれが変な話ですけれども、くどいようですけれども、国有地は対象じゃないといって、国がみずからそういうことをおやりになっていて果たして、気持ちはわからないわけじゃないんですが、片っ方でそういうことをやっていて、片っ方にもうけるのはけしからぬという論理が成立するのかどうかということは非常に疑問に思うわけです。ただ、本当に難しいのは、くどいようですけれども、土地所有者が非常に多いということです。
  12. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) お答えになるかどうかわかりませんが、私も別に土地の専門家でもないわけですが、原則としては地域計画あるいはその地区の計画は非常に利用に対してのきめ細かい条件があるから、それプラス税制、固定資産税だけじゃなくて投機の収入に対しての税制。それほどもうからないように条件を厳しくするということ。結局計画どおりに目標に従うような税と規則をつくるということが唯一の道だと思います。  日本はいろいろな規則があるんですが、しかしいろいろな面を見てみますと、やはりなかなか実行しないわけです。逃げ道があると意識しますと、やはり投機のチャンスも普通より多くなる。割に厳しく決めた政策を実行しますと投機のようなことも少なくなるわけです。  結論からいいますと、需給のバランスは大体ドイツにはあるんですが、日本にはないわけです。やはり求める土地と提供する土地の状態を見ると、非常に不健全なところまで、土地売買のプロセスも非常に裏の動きも多いようですが、私が初めて土地売買の関係のあったときも、どうしてそういうような大きな金額を皆現金でするかと、いろいろ不思議な現象があると思います。  だから結局、行政のどこまでの規則があると実行するかというような問題、あるいは税制が十分にあるかというようなところが一番のポイントじゃないかなと私は思います。
  13. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 まず本吉参考人に先にお尋ねをいたします。  先ほど来御意見を拝聴しておりましても、まことにごもっともな御指摘がたくさんございました。特に、今も御質問がございましたが、都市問題というのはもう土地だなということをつくづくと痛感しておるところでございます。  そこで、先ほどお話しがございました、このままいくといびつな都市づくりになるぞという御警告があるわけですが、日本の場合にはコミュニティーを一つの単位として、それを中心として都市が発展したのじゃなくて、言うなら、大東京の発展の歴史を見ましても、都心といいましょうか、明確な都心でなかったのですが、宮城を中心として、人口増加に従って、ただ郊外へ郊外へと。ですから、かつての森や畑や丘陵がただただ広がっていったにすぎない都市である。そこでいろいろな混乱が今起きている。こういう歴史的な発生過程の中で、やっぱり何とかひとつここで立ち直らせるには、先ほど御指摘のございましたように、どうしても東京湾臨海部開発に全力を挙げて、そしてそれにひとつこれからの国際化あるいは高度情報化時代に対応するものをつくりながら、そしてまた居住環境を高める。そして同時に都心部の再開発も、先ほど来これはもうお二人から御指摘がございましたように、低層化でない、高層化住宅によっていわゆる居住人口をふやそう。言うならば都心のドーナツ化現象を何とか防がなきゃいかぬ、それが都市の本能だと私は思っているんですけれども、ただ日本行政、これは我々も責任を十分感ずるんですが、東京湾開発構想というのは、例えば建設省にしても国土庁にしても、あるいは運輸省にしても、そしてまた東京中心に各自治体、恐らく十本以上、何とか構想何とか構想、メジロ押しなんですね。その一つ一ついろいろ勉強をしてみますと、それぞれには開発構想の理念をちゃんと持ってやっていらっしゃる。ところが、マクロ的にグランドプランで見ると、非常にお互いが行ったり来たりといいますか、もっと一つで十分機能を果たせるものがそれぞれで張り合っている。いわゆる行政の縄張りと旧態依然な行政のあり方を感ずるんですが御意見を聞かしていただきたい。  それから、余り時間がございませんのでもう一つ本吉先生にお尋ねいたします。  結局、雨露をしのぐ住宅からだんだん質的に向上されてきた。現段階では先進国はいわゆる戸外にゆとりというかオーブンスペースの時代に入った。日本はやっとまあ幾ら住宅の中にゆとりを持つような時代に来ている、こういうギャップがあるわけでしょうけれども、もう一つ住宅都市目標まで五段階ございましたが、私はこういう話を聞いておりまして、特に日本人の意識改革というものをどうしてもやらなかったらこれはもう究極の理想都市住宅都市なんというのはできないんじゃないか。  そのまず第一点が土地の私有率、所有が多い、まさに世界一だろうと思います。こういう中で持ち家比率が六〇%、あるいはいろいろ国民生活白書等でも調査が出ておりますけれども、一戸住宅の国民的な希望は驚くなかれ八七%に及んでおる。もうこういうことになりますと、狭い国土をいかに高度利用をしようとしても、庭つき、それはウサギ小屋だなんだと言われても、大地に足のついている住宅を国民が渇望している。こういう感覚を持たれると、いろいろな理想的な都市づくりをしたといっても、あるいは都心の今、先ほど二十三区で平均二・三階だという御指摘もあるんですけれども、そういう人たちによほどの意識改革をしていただかなければ、だれがやったって紙上の空論になるだろう。ましてやこんな狭い国土で土地に対する私権意識というのは、もうこれは土地を買えばマグマを通り越して地球のしんまで、あるいは成層圏まで、月の世界まで我が空よと、こういう感覚では、本当に残念だけれども、土地の投機だ、スペキュレーションでどうのこうの言われますけれども、日本人的な土地に対する、外国人とは比較にならない意識というもの、これをまずどう変えたらいいんだろうと悩みに当たるわけです。  それから、よく言われますように、住めば都、さっきは「住めばみなと」の話が出ましたが、狭いながらも楽しい我が家的な、こういう発想というのがやはりずっと今なお我々の心の中に抜け切れない。こういうことと両々相まちまして、どうしても都市環境整備に大きな隘路になっているんじゃないでしょうか。  それと、オープンスペースが本当にないな、残念だなといろんなことを思いますが、外国人の方はオープンスペースの利用が非常にうまいですね。ところが、日本人自分の家の日照権については、これはもう非常に敏感なんです。家の中の座敷の日の当たらなくなることには大変なアレルギーを起こす。ところが、オープンスペースの中で日に当たるとか、あるいは戸外でもってみんなが活動していく、こういうような感覚も残念ながら外国の人に及ばない。この辺の日本人の意識改革というのは都市問題を解決する上において大変重要なことじゃないかなと、こんなようなことを思っておりますので、ひとつ先生の御意見をお聞きしたいと思います。  それからヒールシャー先生にお尋ねをいたします。  私もドイツをいろいろ勉強させていただきましたが、ドイツの都市計画というのはこれはなかなか、日本との発想が違うのかもしれませんが、冒頭、都市の発生でちょっと、のべつ幕なしに広がった日本という言い方をいたしましたが、ドイツの都市は、私の判断ですが、一つ都市がある、そしてその次の都市へ行く間に森がある、そしてアウトバーンなり何なりで結ばれている。いわゆる一つの城下都市といいましょうか、そういうコミュニティー中心できちっとした目的意識を持った都市づくりというものができていて、都市がのべつ幕なしにずっと広がっていって、両サイドから広がってきていつの間にかその接点がなくなっちゃったという日本式な発展ではなくて、今なおそういう特徴をきちんとお持ちになっていらっしゃる。これは日本とまさにひっくり返しで、平らな土地が七五%、八〇%あるドイツよと言ってしまえばそれまでですけれども、そういうような基本的な都市づくりをしたのは、やはり都市計画に対するドイツの考え方がおありになったんじゃないだろうか。  例えば今どき、日本都市計画というのはいろいろ論議されていますが、一口に言ってしまえば、今線引きという言葉で表現されているんです。例えば市街化区域、調整区域と。それで調整区域はなるべく自然を残そうと、こういう発想ですけれども、その根底にあるのは、特に大都市周辺地域では人口抑制策のための線引きのような区割りなんですね。ですから、都市機能とかあるいは都市そのもののあるべき姿をつくり上げていく、そういうような状況の中の線引きではないんですね。制約の線引きが日本都市計画の大宗をなしている、こう考えているんです。そこで、ドイツ、お国における都市計画というのは一体どういうような基本的なイズムを持っていらっしゃるのか、できたらお聞かせをいただきたい。  とりあえず両先生にお尋ねをいたします。
  14. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) まずお答えしますけれども、東京湾臨海部で行われている構想、計画は約四十から五十。これがまさにおっしゃるように個々ばらばらに名のりを上げる。例えば東京都が十三号と言いますとぱっと注目を浴びますけれども、民間を含めて、豊洲とかなんとか含めまして約四十、五十と言われております。それで確かにおっしゃったような競合関係が生じていることも事実だと思うんです。これはこういう席で言っていいのかどうかわかりませんけれども、例えば東京都庁が新宿に移転するときに、あすこの跡を国際会議場にと言ったら、某市のやっぱり同じことをやっているところの市長さんから電話がかかって、あれはおかしいじゃないかと。これは幕張メッセでもおやりになるというように、同じようなものが同じように、おっしゃったように個々の地域から見れば必要なんですけれども、全体の位置づけがなされないまんまに個々の企業立場なり行政立場からどうも何か進展している。先ほども申したみたいに、どうしても必要なことは、国土庁かどこがおやりになるのか、国会がおやりになるのか知りませんけれども、その大きなグランドデザインをおつくりになって、その計画のもとにやっぱりおのおのの地域がプラスになるような役割分担をしていかないとかなりマイナスになるんじゃないか。ですから、どこにまずプライオリティーを置いて優先順位をつけておやりになっていくかということが少なくとも必要なんじゃないか。私がもうたびたび強調するのは、あそこにその業務基盤受け皿をつくっていただけば、都心の中はなるたけ地域の人に密着した形の再開発をステップ・バイ・ステップで進めていく。じゃないと全部がやっぱり経済論理ビル化しちゃう。ですから逆に言えば、そのためにもぜひともそういうどっかが中心になりまして、グランドデザインをまず臨海部で描いて、やっぱりいい土地をつくっていただきたい。  それからさっき言いました国際化というのは、非常に時間の問題がございまして、なぜ私がやっぱり臨海部がといいますと、企業土地を持っている。零細所有じゃなくて大手が大きな土地をお持ちになっている。あと国公有地、そういうような大きな地主さんで意思の疎通をやれば割合図れるんじゃないか。そういう意味で割合に早期に国際化情報化に対応できるんじゃないかという気がするんです。  なぜそれなら都心でもということですが、例えばアークヒルズでございますけれども、あれは四百五十人の地権者がおりまして、そのために約二十年完成までにかかっておるわけですね。四百五十人でございますから、あれで。東京湾臨海部というと、考えますと、定義はぐるっとしてもよろしいですけれども、常識的に幕張メッセからみなとみらいへと大変な距離でございまして、もしそこにばらばらな人がいたらとてもできないんですけれども、地主さんが割合に少ないんで短期的にできる。ですから、行政とか大企業案でございますから、もう少し国家的な利益に立ってグランドデザインをともにぜひ展開していただきたい。  それから次の御質問でございますけれども、集合住宅大都市の住み方ではいいんじゃないか、だけど、若干それは観念に過ぎるんじゃないかという御指摘がございました。私は自分の哲学でございますけれども、自分のことを一例を言った方がよくわかると思うんです。平塚に土地を持っているんですれども、平塚から通うわけにいかないんで、私はずっとマンション、今光が丘というところに住んでおりますけれども、私はどっちかというと都会派で、自分がそういう実践をしておりまして、兄弟なんかに言わせると、なぜ兄貴はあんなつまらないマンションにいるんだと言うけれども、私はその方が便利だということ、交通の便とかそれから買い物とか。それからもう一つ大事なのは、なぜ今、光が丘を選んだかといいますと、真ん前に日比谷公園の四倍の公園があって、防災上も、それから緑が比較的多い。だからそういう環境が、モデルを提供していただければ、かなり変わってくるんじゃないか、意識が。  それから先生がおっしゃった、僕たちよりもう少し若い方は、それほど持ち家か賃貸かという型に抵抗がないんじゃなくて、やっぱりその居住環境という面からもう少し素直に計算なさってくる、意識変革が起きているんじゃないかなという点は、ここに余り若い方いらっしゃらないけれども、若い方の意識はかなり利便性というのをお買いになっている。  それから一つの例で言いますと、これは地名の問題ございますけれども、例えば今ワンルームマンションというのがございますけれども、あれは田園調布とか、本当の田園調布じゃなくても、地名が田園調布とついていれば若手がよく住む。田舎の広いところの持ち家に住むよりそういう形で何かイメージというのが起きてくるんじゃないかなということ。  それからもう一つ都市をどうするかというのは、私はそこに住んでいる市民の意識というのが物すごく大事だと思うんです。ですから、たしかトーマス・モアが、政治を軽べつする人間は軽べつに値した政治しか持てないと言いましたけれども、私は、都市を軽べつする人間は軽べつに値した都市しか持てないんじゃないかと。ただ、日本人は、何も現在じゃなくて、明治以来どうも都市とか住宅に対する考え方がヨーロッパの方と違っているんじゃないか。例えば有名な都市計画の法の前身である市区改正条例というのが明治の初めにできたときに、当時の東京府の知事さんが政府への上申書に、道路、橋梁、河川はもとなり、下水、住宅は末なりというような、要するに住環境生活環境というようなことはどうも後回しにして、何か日本人の欧米に追いつけ追い越せという考え方が都市づくりに反映したんじゃないか。それがやっぱり衣食足りて礼節を知るじゃございませんけれども、やっと日本人がかなり経済的に豊かになって身の回りを見回したときに、これで果たしていいのかなということになったんじゃないかな。  それから住宅にしても、何か日本人が昔から雨露しのぐ場所だ、兼好法師じゃございませんけれども。それで何も住宅問題が意識がなかったというのは戦後じゃなくて、明治の中期のたしか時事新報にある評論家が、日本は文明開花以降非常に進歩した、だけどこれは学芸、文化の問題だけで、事住宅に関するとこれほど日本人の関心がないものはないんじゃないかということを明治の中ごろにもうそういうことをお書きになっているほど日本人住宅とか都市に対しての……
  15. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 本吉参考人にお願いいたしますが、実は自民党からもう一人質問がございますので、後ほどあわせて御答弁願います。
  16. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) はい。意識がなかったんじゃないかと、そういうことが都市づくりとか住宅づくりに物すごく影響をしている。  それから一つだけ最後に言いますと、持ち家か賃貸かというんじゃなくて、私はそれはどちらでもよろしいんであって、適正な居住空間を適正な負担で、また購入価格で利用させることが住宅政策の本来の目的じゃないかという気がするんでございます。
  17. 小野清子

    ○小野清子君 時間がないようですので、即質問に入らしていただきますが、ビールシャーさんの方にお願いをしたいと思います。  国際化に伴いましてやはり高層住宅日本でももう出てきておりますし、今後一層進めなければならないというお話でございましたけれども、日本で進みかけている中に問題もございます。と申しますのは、例えば六階以上の高層住宅に住まいをする場合に、子供たち運動不足の健康阻害と、人との接触が非常に少なくなっての精神的なノイローゼとか高所恐怖症など、そういったまずい面のなにができている。これがいわゆる住環境という言葉の不備だろうと思うんですけれども、諸外国の、先にこういう施策をお進めになられたところと日本との大きな違いはどこにあるのかということを一点お願いをしたいと思います。  それから広場の確保について、またこれも同じくお願いをしたいと思いますが、先ほど日本の場合幼児の広場に関してはまあまあ確保されているが、青年や大人にはないというお話、まことにそのとおりで、まあオリンピックが弱いのもそのせいじゃないかと思うんですけれども、そんな意味で西ドイツへ行きますと、何も用具を置いていない広場というものが実によく確保されておりまして、時折古木が横たわっている程度のあの広場の確保を日本で何とか進めたいと、私、スポーツあるいは健康に関する立場として非常に思っているところですが、先ほどからのお話をお伺いしますと、それはやはり税制の関与によってできるものなのか、その辺二点目お願いをしたいと思います。  それから三点目に関しましては、国際化に伴いまして文化の違いというものがこれから生まれるんではないか。例えば我々日本人ははだしで家の中で生活をする。しかし諸外国の方々はどちらかというと靴の家の中での生活。このはだしと靴というものの文化の違いというものがこれからの国際化の中で協調していく上でどういうかかわり方を持っていくものなのか、大変ちょっと急ぎまして言葉少ないんですけれども、この三点についてお話をお願いしたいと思います。
  18. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) 最後の斎藤先生にちょっと、これは関連ですが、答えたいと思ったんですが、都市計画の基本姿勢の問題ですが、やはり都市計画だけじゃなくて土地計画ということは伝統が長いです。それで、バイマール共和国以来やはり国の全体の土地計画対象になるわけです。それは全国の計画、職務権限によって、その下のもっと詳しい、大きな全国の枠内の州の計画とその州の下の自治団体の、だから結局それぞれの計画によった目標を変えようと思えばいろんな規則があるわけです。例えば農家の農地を住宅地にするか工業地にするか非常に条件が厳しいんですから、だから割に戦後の開発時代でもこれは十分にコントロールができたということ。飛行機に乗って日本を上から見ると、ドイツから見ると、例えば山のないところでもやはり政策の違いがそこに出てくると思います。だから、あくまでも政策優先型と市場に任せる型というようなことのあらわれじゃないかと私は思います。  それでもう一つは、都市の伝統では、日本の場合は城下町、というのは、ある大名あるいは政府が決めるようなところ、ドイツは中世から市民の決めるようなところ、フライエまたはハンゼ都市だとか、割に中世から大名のないような町は市民が認めた、一部の市民ですけれども、やはり政策を決めたわけです。だから割に自治に対しての伝統も長いわけです。これもその二つは基本姿勢です。  それで、今度は小野先生のことですが、この六階以上の問題は、別にこれは六階であるか五階であるか十階であるかわかりませんが、多分外国人ならば十階のところに住めば同じような問題も出てくると思います。だから、私はこれは別に日本人に独特な問題ではないと。特に子供のあるところの問題だと思います。それで実際に大きな団地を、戦後土地のないために何か外につくったドイツの例もありますが、なかなかうまくいかなかった。うまくいかなかった一番大きな原因は、やはりその人たちが求めることにこたえる条件がそろっていないということ、あるいは余り夢のないような生活環境ですが、だからその経験が参考になって、一つ開発地域の中にいろんな大きさ、高さの住宅をまぜて開発するわけです。一つの例えば日本の今の団地を見ていますと、もう本当にみんな十三あるいは十五とか、あるいは二十階建て、みんなそろって、軍隊のようなバラックの感じですが、そこにだれでも住みたくないわけです。仕方がなくてそこに住む人が入っていると思います。だからこれを、私さっきの経験から挙げた例ですが、例えば神戸ニュータウンのように、非常に自然の中にその条件もうまく利用して、個人住宅とアパートのようなのと学校と買い物とか、やはりそれはある程度まで設計の上にニーズにこたえて決めるわけです。そういう形の開発が一番いいんじゃないか。しかし、例えば、今でも東京で仕事をする、東京の学校に通うなどの、それでも五十キロとか、あるいはそれより遠いところに団地生活する人ならば、やはり同じような団地、あるいはそれよりいい条件の団地は都心部にあった方がましです。どちらも余りよくないんですけれども、都市生活ではやはり自分の夢を一般の環境が許す限りしか実現できないわけです。だから、東京の場合は何が実現できるかということはある程度まで政治の指導で、計画の指導で決めて、その中に具体的な政策をとると。  年上の方あるいは中年の方は、子供もほとんど育って外に動くんですが、十階に住んでも二十階に住んでも同じエレベーターで上がり下がりで、それほどストレスとか運動とか、そういうことは関係ないと思います。ところが、小さな子供があるとどうしても下に行きたいとか、それで子供たちはいつもエレベーターを使うだけじゃなくて、歩きたいとかいろいろあるわけですね。ですから、結局、どういう人のために何のようなアパートあるいはマンションを建てるか。それで、その中も、日本の今までのぜいたくなマンション以外のアパートを見ますと物すごく狭いわけですね。だから、そこから出ようと思う気持ちは当たり前です。ところが、スペースを広げてバルコニーを十分に広くしますと、全然部屋に対しての態度が違うんです。やはり落ちつけるわけです。日本の今のようなアパート、マンションは別ですが、アパートにはどうしても落ちつかないわけです。だから質の改善との関連があると思います。  私は、例えばシカゴで三十階のところに住んでいるアパートを見てきたんです。そこで六十歳前後の夫婦ですが、とても満足です。景色がいいし、広いし、部屋の中も町のように別に窮屈と一度も思ったことない。それで、エレベーターでどこまで下がるか上がるかほとんど意識しないわけですね、このごろのエレベーターの機能を見て。  広場の話ですが、やはりそこは目標の決めてないような土地はドイツは原則的にはないわけですね。そうすると、これを例えばミュンヘンで非常に、うちの本社はミュンヘンですから私特にミュンヘンを見るわけですが、ミュンヘンで今非常に問題になっているのは、一つの州の、バイエルン州の政府は自分の内閣の形ですが、官庁を新しく建てたいんですが、一つの大きな広場をそのために使いたいんですが、その広場をどういうふうに再開発するか、もう何年も前からこれは大きな論議ですが、最終的に決めるのはまだ二、三年先だと思いますが、政府の立場市民立場、市の立場、非常にこれを解決するまで時間がかかります。しかし、できるだけ大勢の人が納得できることを決める道になって、最終的には職務権限内で決めるんです。けれども、広場の大事なところ、公のところもやはり市民のためには非常に役割が大きくってみんな意識しているわけです。別にそこに住んでない人のためにもこれは大事な、大問題だと。これは……
  19. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) この際、参考人の方々に申し上げます。  時間が各党別に限られておりますので、恐縮ですが簡潔にお願いいたします。
  20. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) 失礼しました。
  21. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 本吉参考人、何か御答弁ございましたら簡潔にお願いいたします。
  22. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 小野先生の御質問ですけれども、一つは、住宅が立体化した場合、例えばこれはコペンハーゲンで経験したんですけれども、高齢者とか幼児はなるたけ一階とか二階、低層部分に住まわせるというような、向こうのこれは公共住宅でございますけれども、そういうことも考えていけばよろしいんじゃないかなという感じがします。  それから、公園なんかは、やたらに施設を置くんじゃなくで、例えばデンマークなんかでは冒険遊び場というのがございまして、これ若干日本じゃ問題だと思うんですけれども、来た子供さんがけがしても大丈夫なボランティアと、それからいざという場合は保険で、子供さんが自由に、あんなブランコとか何か決まり切ったものじゃなくて、そういうような公園計画なんというのも北欧じゃかなり盛んなような気がしますけれども、そういうものもだんだん検討していけばよろしいんじゃないかなという気がいたします。
  23. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうも大変に興味深いお話ありがとうございました。質問させていただきます。  都市にいながら田舎に住んでいるような感覚で一戸建てを要求するということ、一戸建ての家に住みたいといったような人が非常に多いというようなこと、その意識改革が必要だという御指摘は大変いいことだと思いますし、それから同時に、一生同じところに住まなくちゃならないという感覚もこれから変わっていかなければならないんじゃないか。確かに都市にスポーツの施設、そういうものをふやしていく、大いに結構だと思いますけれども、同時に、子供の小さい間は田園に住み、そして子供が大きくなったらば都市に住むといった、そういった住宅の供給、それが可能になるためにもやはり建てる以上は立派なもの、つまり、リセールバリューというんでしょうか、再び売れるような立派な住宅をこれから建てていくことが必要なんではないか。特に最近都市を見ておりますと、戦後建てた非常に質の悪い住宅が建てかえ時期に来ているわけですけれども、コンクリートの建物を建てかえるということがいかに難しいかということを考えますときに、ドイツに私一九六〇年代に参って、戦後日本と同様に住宅不足に悩んでいたドイツで、立派な家を建てるまでは我慢するといったような気質、非常に立派だなと思って感心したわけでございます。  コメントはそのぐらいにいたしまして、私はボストンに住んでおりまして、一時ドーナツ化現象が起こりまして家族は郊外に住んだんですけれども、再開発ができ、そして住宅オフィスが混在するということが実際に可能で、非常に住みよい都市アメリカの中で一番望ましい都市として今非常に知られていることなので、こういうすばらしい都市をモデルにして日本、特に東京の再開発がなされればいいと思っているわけでございます。例えば東京を例にとりまして、高層化をしていく際に日照権とか高さ制限を緩和しようという方向、それも大変結構でございますけれども、私は、場合によっては私権の制限ということを大幅にやっていかなければならないんではないか、そのように思います。  高層化をする目的というのはパブリックスペースをふやしていくことだと思いますけれども、今の現状で底地買いというのを非常に悪いように言われておりますけれども、ある意味ではパブリックが、政府なり地方自治体なり市町村の単位で底地買いをすることによって、つまり道路の面積をふやし、一個のビルディングの敷地を大きくしないと、例えばガレージ一つつくるにいたしましても、ある程度のスペースがなければ地下利用ということができないわけでございます。    〔会長退席、理事坂野重信君着席〕 そういう点で私権の制限につきまして両参考人の御意見を伺わせていただきたい、そういうふうに思っているわけでございます。
  24. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) やはり道としては地区改善、地区再開発ではないでしょうか。結局、個人個人の私権を制限する可能性は憲法上の問題でもあるから。しかし、地区再開発の形でしますと、やはり平等性を守る共同の目標を立て、その目標のある程度までの条件を法的にも決める可能性があると思いますが、多分日本でこのやり方、基本的にはそういう法律もありますが、しかし、余り十分に利用していない一つの原因は、持ち主全部の一人一人の賛成が必要だ。だから、ある程度までの多数決定の可能性も導入しないとなかなかならないわけです。  それで、特に、公のスペースをつくるためにはやはりプラスになるんじゃないか。結局プロセス、どういうふうに日本の条件を調整するか、決定プロセスが一番大事なポイントじゃないか。やはりそういうような再開発地域に参加する人がどちらも経済的な利益がマイナスにならないようにする、これは最低条件。  もう一つは、例えば公のために一部の権利を制限しますと、それを平等に何かの形でやはり分担しなきゃだめとか、結局そのプロセスはかなり、それは専門的な話ですが、日本の場合は非常に複雑らしいんです、私の今までの経験で。そこは何か法律の枠を変える可能性があれば、とにかく公の政策に従うための目標を実現するために、少なくとも多数決のようなことを導入すべきじゃないか。そこが私にとって一つのポイントだと思います。今の段階でその程度です。
  25. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 今先生のおっしゃった住宅でございますけれども、まさにライフサイクルに応じて住みかえていくということは大賛成であります。例えば若いときは都心、家族がふえたときは郊外に。それからまた年とってきたら都心に。そのために一つ大事なことは、やっぱり住宅の質そのもの、広さも必要ですけれども、やはり流通市場を整備していくということがかなり大事だと思うんです。アメリカなんかは非常にそういう流通市場が整備されていますけれども、日本はまだちょっとその一割ぐらいしか満ちていないということが一つでございます。  それから、私権の制限でございますけれども、私もそれは基本的には賛成なんですけれども、例えばこれも非常に難しいのは、今都市開発なんかでも、たしか五分の町の同意があれば本来はできることになっているのに、全員同意じゃないとまず進まないのが現状だと思うんです。それで、一つだけこれから新しい面が出てくるというのは、マンションを直すときに、例の区分所有法というのが改正になりまして、例えば今までは一人の人がペンキを塗るのを嫌だと言ったときにそのためにできなかったのが、五分の四の同意になれば、そういうものが反対があってもできるというようなことでやっと道が開かれましたけれども、そういう考え方が次第に定着していけば、さっき言った私権の制限なんというのもだんだんうまくいくんじゃないか。    〔理事坂野重信君退席、会長着席〕 ただ、観念として私権は制限すべきだと言っても、おっしゃるとおりなんだけれども、さっき言いましたみたいに非常に今の日本人、まして公のためとか、そういう観念がどっちかというと希薄になってきた日本社会の中で、かなりそういう私権の制限を加えるということを言いながら、ステップ、ステップで合意を得ていくような仕組みを何かつくっていくべきじゃないのか。それが例の区分所有法の改正によってマンションなんかにそういう道が開かれたということは、これからそういうものもだんだんなれるようになっていくんじゃないかという気がいたしますけれども。
  26. 広中和歌子

    広中和歌子君 都市景観ということでちょっとお伺いいたしますけれども、確かに高層化といいますと一様に高い建物ということになりがち、今までは少なくともそうであったわけですけれども、かなりボストンの場合なんか見ますと五階建てであるとか、それからそのすぐそばに二十五階建てというようなことで、少なくとも町全体という一つのブロックごとに、彫刻のような立体的なデザインというものができているような気がするんですね。それはたまたま偶然であるのか何かよくわからないのでございますけれども、最近のコンピューター、CAD利用などによって、つまり平面のデザインだけじゃなくてかなり立体的なデザインですね。特に水際の再開発に関しましては、例えば東京湾から船で近づいてまいりますときに、ニューヨークのウォールストリートのような全体がお城に見えるようなそうしたデザインなんかも可能なんじゃないかと思うんでございますけれども、ちょっとコメントをお願いいたします。
  27. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 私も全くそれも同感でございまして、ただ日本都市景観とか何かに余り配慮がなさ過ぎたとヒールシャーさんが言われますけれども、たしかフランス政府が今から二十年前に「一九八四年(変わる社会 変わる人間)」という本を書きまして、都市の景観なんかにもっと行政側は金を出すべきであると、これは二十年前。西ドイツでは公共事業に、建築の美化なんかに五%建築費を割いている、フランスもやるべきだと。それでフランスが既に二十年前におやりになっている。それがやっと数年前から一%美化運動なんというので公共建築物に日本でもやるようになったという感じがするわけですね。ですから、非常におくれているんですけれども、ステップ・バイ・ステップに改善の方向に動きつつあるんじゃないか。確かに、前に元上智大学のロゲンドルフ先生がおっしゃったのは、今先生がおっしゃったように、まさにここに二十五階建てがあると隣にバラックがあって、都市のスカイラインが全然きれいじゃないんじゃないかという御指摘があって、私も全くその点同感で、ウオーターフロントとおっしゃったけれども、実はこの間、琵琶湖へ行って三井寺から湖岸を見たんです。そうすると確かに湖岸の途中までは昔の古い川原で、非常に何か昔を思い出すような湖岸にばらばらにコンクリートの建物がある。そうすると、何か物すごく情けない感じがしたわけですね。ですから、あのスカイラインを統一するとか、あの辺を配慮しないと、何かかえって日本のウオーターフロントの都市景観をだめにしちゃうんじゃないかな。この辺も規制をうまく、都市計画の中でシミュレーションなんかやって、景観というのは国民全員の財産でございますから、一企業が勝手に経済論理だけで景観を破壊するということは私はやっぱりまさに反対です。この間、つい一週間前ですけれども、三井寺から琵琶湖を見てその危険性をつくづく感じてきたばかりなんです。
  28. 吉川春子

    吉川春子君 それでは、時間の関係で三点まとめて質問させていただきます。  まず最初にヒールシャー参考人にお伺いしますが、国鉄の用地を住宅地にというふうにおっしゃられまして、私も賛成です。私は日本共産党なんですが、共産党も地下暴騰対策の面からも、国有地、国鉄用地を公共的に使うことを優先させ、公共住宅公園など、国民のための生活用地として利用することを提案しております。日本人は一戸建て志向という面が指摘されましたが、一戸建てという場合には自分で家を買う場合のことですが、私は、公営住宅が質のよいもので、しかも家賃も適当なものがたくさん建てられればそんなに一戸建てに固執するはずはないというふうに考えているんです。東京でも現在五〇%前後が持ち家と言われていますけれども、お国、ドイツなどの場合は一戸建て、自分の所有の家に住むことが多いのか、それとも賃貸、公営も含めてですけれども、そういうものに住む割合が多いでしょうか。また、日本の公営住宅というと、割と二DKとかいいまして、寝室が二つしかないとか、今は寝室三つのものがふえていますが、そういう、劣悪というのはちょっと表現が適当でないかもしれませんが、そんなに水準の高いものは少ないんですが、外国のいろんな事情を伺いますと、六LDKとか、公営住宅でそういうものが結構あるようですが、日本と例えばヨーロッパなどの公営住宅規模、質の違いはどこから来ているというふうにお考えでしょうか。  それから二点目は、私、おととい新幹線の中で週刊誌を読んでいましたら、フランスと日本を往復して活躍していらっしゃる岸恵子さんが、一生懸命働いて三千坪ほどの敷地の別荘を買ったというふうにおっしゃっておられる記事を見ました。しかしよく読んでみますと、同じ値段で東京都心土地を買えば恐らく私の家族は立って寝なければ、ヘッドが入らないぐらいの広さの土地しか買えないというふうに言っておられまして、岸さんは、日本では気持ちの悪いことが次々起こっているのに、日本人はちっとも怒らないということも苦言として呈されています。確かに住宅問題、通勤地獄、土地の値上がり、こういうようなものに直面しても割と忍耐強く耐えているように見えるんですけれども、例えば、諸外国土地の価格というものがどの程度変化するものかどうか。大体日本みたいなこういう土地の暴騰などということに直面した場合、ドイツ人でしたらどんな反応をされるんでしょうか。  それから三番目は、本吉参考人にお伺いいたします。  私、欧米を旅行してみて、確かに町とか住宅環境が美しいという点を痛感するわけです。日本経済力に比較して住宅とか住環境が非常に貧しいということ、そしてそれは政策の貧困が原因だということが指摘されたわけですけれども、土地政策、地価対策もその一つであると思いますし、今の政府は持ち家政策ということを重点に進めていると思うんですが、内需拡大という海外からの要請、同時にまさに日本にとっても内需拡大が必要ですが、住宅建設、公営住宅建設とか公共下水、公園、こういうものにもっともっと資本を投下するといいますか、力を入れて積極的に行うべきではないかと思うんですが、その点について参考人のお考えを伺わせてください。  以上です。
  29. ゲプハルト・ヒールシャー

    参考人(ゲプハルト・ヒールシャー君) 国鉄用地を集合住宅に使うというのは、一つの大きな原因としては、やはり住宅問題の一番壁になるのは土地の価格です。だから、国は新しい住宅のために土地を買うための予算がないから、やはり自分の持っている、あるいは公の施設が持っている土地をその目標のために使うしかない。だから、今要らない土地だけに限ることなく、例えば電車の上のスペース、路線の上のスペースもある程度まで土地の中に可能性としてはあると思います。例えば買い物のために、あるいはホテルのために、例えば大森駅とか荻窪駅、いろいろそういうような形で使うわけですが、それは住宅のためにも使う可能性があると思います。だから、やはり公の何かの組織が持っている土地を公営住宅あるいは集合住宅の改善のために使う可能性は今のままの状態でもあるのじゃないか。一つのポイントだと思います。  持ち家率は、日本は六割程度ですが、西ドイツは四割程度です。その格差の一つの原因は、やはり西ドイツの人口の中の五分の一と四分の一の間が終戦で東から逃げてきたんです、何も持たずに。もちろん土地も何もないような形で来たんです。ですから、その出発点は非常に条件が悪かったんです。それに対して四割は高い方です。マイホーム主義という意味で、自分の家をできるだけ一戸建て底つきのものが欲しいということは、それは日本と諸外国と変わりがないと思います。日本自分が特別といつも主張するんですが、あちらの人も生活環境生活経験から考えてみると、そこは皆一緒です。ところが、どこまで、どういう条件で住宅を選ぶかということで、一時間余りの通勤時間ならばやはり持ち家よりアパートの方がいい。そうするとどういうアパート、どの大きさのアパートということですね。  それで、土地の値段を問題にしますと、今のような東京の値段では普通の人は、とにかく小さな住宅地までこれは一億円かかると、だれもその小さい土地のために一億円のような借金をする気がないわけですね。そうするとどういうようなアパートを、あるいは家を借りるかというような問題になるわけです。とにかくそんな狭いところのためにこんな膨大な値段を払うことはもう気違いじゃないかとみんな思うわけです。だから都心部に住むであろうとすれば、そこではアパートのような生活は当たり前です。これはマンションの持ち家のような形ができれば結構ですが、そうでなければ借りることも一つの可能性、それぞれの条件。とにかく今のような東京住宅地の値段を払う人はほとんどいないと思います。実際にドイツの場合は、全国平均としては一平米は多分日本の円に直したら二万ぐらいで通るわけです。それで、都市の場合は平均で四、五、六万円になると思うし、一番上等なところ、例えば一平米十万円であればもう物すごく高いわけですね。普通の人はそれは払わない。だから、やはり今の日本の、特に東京の数字はもう普通の理屈から離れているというようなことしか言えないと思います。
  30. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 今先生が御指摘になったように、今内需拡大のためにも都市環境整備していくことは非常に大切なことだと思うんです。先ほど申しましたみたいに、二十一世紀になって高齢化社会になったら社会資本整備というのは非常に難しくなってくる。ですから、この残された十五年が、今がチャンスだということが第一点。  それからもう一つ、これは前のロンドン大学の森嶋守人さんがおっしゃったんですけれども、ヨーロッパと違って、日本都市環境都市施設とか、貧しい住宅が非常にあるんで、これを機会にいろんな資材を輸入して都市改造、住宅改造をやっていけばこれは貿易摩擦の解消にもなるんじゃないかと皮肉っぽいことをおっしゃったんですけれども、まさにそういう絶好なチャンスだと思うんです。  ただ、問題は、さっき言った国鉄用地を、直ちにそこに住宅を建てるという余り短絡な図式じゃなくて、それはそれなりのやっぱりちゃんとした計画を国、自治体が立てて、そこの有効利用を図ることをやって、そこで受けた財源を公営住宅なり何かに回すというようなこと。ただ都心住宅をと言って、例えば六本木の農林省の跡地を売ったときに何戸公営住宅が建つか。そうすると、やっぱり住宅政策というのは、宝くじに当たったような政策は住宅政策じゃないんじゃないか。多くの困った人が平等によくなっていくような方法が公共住宅政策でも正しいのじゃないか。ですから、当たった人だけが六本木の便利なところに入るような公営住宅の推進というのは若干問題があるんじゃないかな。そういうものを都市施設、住宅に活用することは異論ございませんけれども、ただいきなり土地があるからそこに公営住宅をという発想じゃなくて、それはやっぱり有効利用をして、そこから出た財源でそちらの方に適当なところに建てていくということにすべきじゃないかという気がいたします。
  31. 三治重信

    ○三治重信君 民社党ですが、大都市開発で今一番問題は、やはり土地の細分化によって、もう細分化すれば細分化するほど土地の値段は上がる。だから、細分化をとめなくちゃいけないということ。  それからもう一つは、土地というものは何も価値が上がるわけじゃないんだから、それを売買して余り値をつり上げるよりか賃貸制度をもっと奨励するような改革をすべきだ。殊に日本なんて、東京地区はサラリーマンが住宅建てるときにはほとんど土地を借りてつくっていた。だから家を建てるだけの資金で家が確保できた。それをなくしちゃったのは何かというと、貸し家や土地の賃貸のいわゆる借り主に対する今の保護制度が余りにも行き過ぎたからだと思うんです。僕は前から改正せい改正せいと言っているんだが、やっと法務省も審議会にかける、こう言っているんですが、そういうことに対する御意見はどうですか。
  32. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) 私はその説に賛成でございますけれども、例えば土地信託が、一昨年ですか、たしか一件しかなかったのが六百件に現在なってくると、やっぱり土地が所有から利用へと方向転換が起きてくることは否定できないと思う。ただ問題は、零細とおっしゃったですけれども、三千万で小さなものしか買えない場合に、これ以上の最小宅地を規制できるかどうかというのは、お考えはよくわかるんですけれども、現実の問題として国民がそれを認知するかどうかというところ一点にかかっているんじゃないかと思うんですね。だから、いい環境を守るために、例えば田園調布をつくるときに一区画のロットをある面積を決めてこれ以上細分化しちゃ困るということをやった。  それからもう一つ大事な点は、例えばアメリカなんかを見て、あるロットを、例えば二百なり三百、千平米として、いい住環境をということは、確かにそれも一つの名目なんですけれども、もう一つの裏側は、そうすると買えない、だから要するに貧乏人がその地域に入ってこないということがその区画を大きくするというもう一つの背景にあるわけですね。ですから、最小宅地を規制することは確かに望ましいんだけれども、今の地価水準の中でどなたが設定した水準以上のものを買えるかどうかというところが、現実の問題として物すごく大変な議論の分かれ目になるんじゃないかなという気がいたします。だから、方向としてはまさに賛成でございますけれども……。
  33. 平野清

    ○平野清君 本吉参考人にお尋ねしたいんですが、日本土地政策がいかに貧困かということを盛んに御指摘をいただいたんですが、そうしますと、埼玉県と千葉県の例を見ますと、御指摘の点がよくわかると思うんです。例えば埼玉県は長いこと人口抑制政策をとってまいりました。それは東京のしりぬぐいをさせられるんではたまらぬ、単なるサラリーマンだけが住んでしまって小さな固定資産税しか上がってこない。それで住宅から何から全部面倒見るんでは御免だということで、長いこと人口抑制策をとってきた。それでも土地を求めて入ってまいりますので、三十分どころかもう一時間半以上の通勤圏にかけて住民がふえてしまう。そうしますと鉄道が欲しくなる。それで住民の突き上げを食らってとうとう知事さんの方も人口抑制策を放棄してしまって、埼京線を敷く、地下鉄七号線導入を叫ばないと選挙にも危なくなる。一方、千葉県の方は今まで長いこと交通政策に恵まれていませんでしたので、東京からの住民をどんどん受け入れて鉄道をどんどん敷く。非常に、東京とそれから千葉県と埼玉県が三つとも日本のまさに土地政策が破綻していくことをよく見ているわけですね。一方横浜はどうかといいますと、私鉄が不動産業者を兼業していて、どんどん自分の線を延ばしていって、遠いところから住宅を建てて、それでだんだん駅に近いほど高く売っていく。これ東京中心として神奈川、埼玉、千葉ともう三つの県が入り乱れて土地政策がめちゃくちゃなわけですね。それを一括して、東京中心とした近郊県が一つの政策をとるべきだと思うんですが、その点はいかがでしょう。
  34. 本吉庸浩

    参考人(本吉庸浩君) ちょっとダイレクトに、私もその辺なるたけ同じ歩調をとった方がよろしいと思うんですけれども、やっぱり地方自治という立場がございまして、知事さんを県民が選ぶときに同じ歩調をとれと言うのもなかなか難しいんじゃないか。  ただ、今おっしゃった点で非常に感じるのは、やっぱり宅地と交通手段というのが非常に密接不可分な関係があったんで、前の長銀にいらっしゃった日下公人さんが、住宅問題が文句あるんなら運輸省へ行けと言ったことがあるんですね。それはどういうことかといいますと、宅地というのは駅から十五分なり三十分のその寄り合いが宅地である、それなのに戦後の日本都市づくりを見るとちっとも新駅ができていないじゃないか。それが最近、まあ今言った横浜で田園都市線、それから千葉が変わってきたのは東西線が延びていくと浦安が住宅地になるというふうに、だから鉄道と宅地供給というのは密接不可分の関係がおると思うんですね。  それからもう一つの同じ歩調をとるべきだと言うんですけれども、何か人口が行くときが、初め西からずっと上へ上がっていって埼玉へ行って、最後に東の千葉へ行くというように、人口集中の度合いが、一斉に起きるんじゃなくて、まず西から起きて上の埼玉へ行って千葉へ行くというようなところに、なかなか歩調が合わせにくいというのが一つ。  それから、例えば首都圏庁みたいなものをつくってそこで総合政策をおやりになるべきじゃないかという意見もございますけれども、そういうのはつくるべきかどうかというのはかなり議論になりますし、それからそういう調整というのはもう少し国土庁あたりが国土政策の一環としてそのあり方をやるべきじゃないかなという。お考えわかるんですけれども、地方自治とかいろいろな問題を考えますと、人口の移動の経緯なんか考えますと、割合に難しい問題をはらんでいるんじゃないかと素人ながら考えるわけでございます。
  35. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 以上で両参考人に対する質疑は終わりました。  本吉参考人ヒールシャー参考人には、お忙しい中を御出席いただきましてまことにありがとうございました。非常に有意義なお話を承りました。ただいまお述べいただきました御意見等は今後の調査参考にさせていただきます。両参考人に対しまして調査会を代表して厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)  午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十五分開会
  36. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を再開いたします。  国民生活に関する調査を議題とし、国際化に伴う食料品価格流通機構上の諸問題について農林水産省、通商産業省及び公正取引委員会から説明を聴取いたします。  まず、農林水産省吉國総務審議官。
  37. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) それでは、農林水産省からの説明資料で、三点の内容を盛り込んだ資料をお配りをいたしております。最初のⅠの部分につきまして私の方から御説明申し上げ、Ⅱ、Ⅲにつきましては後ほど食品流通局から御説明申し上げたいと思います。  まず一ページでございますが、「食料品価格の国際比較」でございます。実は、食料品価格につきましては、先生方承知のように、直接の比較は非常に難しい要素がございます。生活水準、食生活も違っておりますし、物の品質、用途等も違いますし、また価格体系も国によって区々でございます。その上に為替レートの変動の影響というようなことがございまして、刻々変わるというようなことがございまして、客観的な比較は非常に困難でございますが、ここに掲げておりますのは、ジェトロの方で主要都市におきまして調査を行われました小売価格の比較でございまして、物によって差がこのようにございますが、総じて申しまして、東京を一〇〇といたしまして、ニューヨーク、パリ、ロンドンでは概してかなりの程度安いものがある。中には若干日本の方がむしろ安いというものも出ているというような現況になっているわけでございます。  二ページに参りますが、お米につきまして消費者米価の比較を行ったものでございます。上はILOの調査でございますが、アメリカに比べまして一・九倍という数字が出ております。また、最近時点においてジェトロの方で行われました調査では、ここにございますように物によって違いますけれども、一・五倍とか三・九倍というような数字が出てまいります。アメリカの場合は流通形態が日本と非常に異なっておりまして、場所により、品目により、かなり値段の格差があるようでございます。  次に、三ページでございますが、個別の価格としては、今申しましたように、お米のような土地資源を多く必要とするような作物では概して格差が大きいという状況があるわけでございますが、三ページの、エンゲル係数で総体としての飲食料費というものがどうなっているかというものでごらんをいただきますと、一番右の「一九八四年」というところを見ていただきますと、日本が三〇・三%、それからアメリカは、一年前のものしかございませんが、二一%、西ドイツが二三・七%、イギリス三二・〇%、フランス二八・六、イタリア三八・三ということで、国によって差がございますが、ほぼヨーロッパ並みの水準というふうに言ってよろしかろうかと思います。アメリカは若干低いという状況でございます。  右下に「家計最終消費支出に占める各費目の国際比較」ということで、この飲食料費支出のうち、一番上の「食品・飲料・煙草」というのと「外食」と、上の表の数字を区分けをして示したものでございますが、これで見ていただきますと、外食のウエートというものが国によってある程度差がある。日本は七%で、ほぼヨーロッパ並みというような状況になっているわけでございます。  このように、総体として見ますと、食料費支出のウエートという点ではさして日本が高いという状況ではないというふうに言えるのではないかというふうに思っておりますが、冒頭申し上げましたように、食生活の内容がいろいろ違っておりますので、一概な比較ということはなかなか困難であるという状況があることに留意する必要があろうと思います。  四ページに御参考までに、食生活構成の中でPFCバランスということが言われております。これは総体の消費カロリーのうちで、Pがたんぱく質、Fが脂肪、Cが炭水化物でございますが、それぞれに由来するカロリーのシェアをパーセンテージであらわしたものでございまして、日本の場合は、日本型食生活ということでかなり消費者の関心も高まっているというふうに考えていますが、このPFCが、日本人の栄養所要量として厚生省の方で試算をされました理想形を円にあらわしますと、ちょうどそれにはまるような構成割合になっているということが言えるわけでございます。アメリカは右の円でございますが、F、脂肪のところが飛び出しているという状況でございまして、こういった食生活の相違があるということに留意をしていく必要があろうというふうに考えております。  五ページが価格の問題でございます。農産物の価格につきましては、御案内のように、農産物が非常に天候条件等にも左右されやすいということから、生産、消費の安定あるいは農業所得なり消費者家計の安定ということで、主要な農産物につきまして各種の価格安定制度がとられているところでございます。ここに挙がっておりますのは、行政価格の対前年上昇率でございますが、ごらんをいただきますように、ここ数年ゼロまたはそれに近い数字が並んでおりまして、総じて農産物の需給が緩和基調にある中で、生産性向上等も反映しながら抑制的に決定をされてきている。また、昨年、六十一年におきましてはほとんどの農産物について三角がついているという状況となっているところでございます。  ちなみに、下の表でございますが、諸外国におきましても主要な農産物につきましてはいろいろな価格安定制度ないし支持制度がとられているところでございまして、その財政負担がアメリカ、ECとも最近ウナギ登りになりまして、両方とも苦しんでいるというような状況にあるわけでございます。こういったたぐいの財政負担がアメリカで四兆四千億円、ECで三兆七千億円というような姿になっておりまして、日本の五千億円と比べていただきますとかなり高額な財政負担を行っているということが言えるわけでございます。日本の場合は、食管の逆ざや是正というようなことも進んでまいりまして、かなりの程度この価格支持に向かう財政負担が縮小してきているというような状況となっている次第でございます。  続いて六ページでございますが、今後の価格政策につきまして、先般、昨年の十一月二十八日に農政審議会の報告が出された中からの抜粋でございますが、このような考え方が示されているところでございます。我が国の農産物の内外価格差は、土地依存度の高いもので相当大きなものになっている、こういう認識から、土地資源の制約というようなことからしますと、ある程度割高になるのはやむを得ないということを言っております。同時に、内外価格差の縮小に努めていくために、可能な限り農業生産構造及び流通の合理化をやっていく必要がある、これによってコスト低減を図っていくと同時に、価格政策の運用に当たりましても、今後育成すべき担い手の農業経営の発展が可能となるよう生産性の向上に資するという観点から、改善措置が講じられる必要がある、また、需給実勢を十分反映した価格政策の運用にも配慮をせよ、こういった指摘をちょうだいをいたしておるところでございます。  これを受けまして、農林水産省の考え方としましては、この報告に沿うような形で今後各般の価格政策の適切な運営に努めていく必要があると考えているところでございますが、先般、先生方御記憶のように、麦の政府売り渡し価格の五%引き下げという措置も行ったわけでございます。また、麦、大豆等現在パリティ価格が基準になっているものでございますが、この価格支持制度の改善を図るための所要の法律改正を行いたいということで、今国会での御審議をお願いすることとしているところでございます。  今後、さらに構造政策の積極的な推進と相まちまして、価格政策の適切な運営に努め、我が国農業の生産性向上と体質強化に努めてまいりたい。また、これによりまして国民の皆様に納得していただける価格での食糧の安定供給ということに努力していくことが必要であるという考えでおりますので、よろしく御理解をちょうだいできればありがたいと思っているところでございます。  引き続きまして、食品流通局の方からの御説明に移らせていただきたいと思います。
  38. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 農林水産省伊藤審議官。
  39. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 食料品の中でも国民生活に密接な関連を持ちます生鮮品の流通の状況につきまして、ざっと御説明させていただきたいと思います。  お手元にお配りしております「食料品の流通経路」という図がございます。青果物と水産物について取り上げておりますが、野菜、果実合わせまして約二千二百万トンの流通量がございますが、この野菜、果物等の生産者から消費者までの流れを図示してみているわけでございます。  野菜で申しますと、約八十万戸の野菜の販売農家がおるわけでございますが、これから生産されましたものが、そこにございますように、一番大きな流れは左から二番目に「農協等」というのがございます。農協や任意組合という農家の集まりでございますが、これを通じまして卸売市場へ流れていく。卸売市場から小売業者、野菜、果実の小売業の八百屋さん、果物屋さん等でございますが、そういうものあるいはスーパー、外食というようなところへ流れていくという流れが一番の大きな流れでございます。それから、その真ん中に細い線で「卸売市場」に直接書いてあるのがございます。これは個人出荷で生産者が出すという意味でございまして、これは大変少ないものでございます。  もう一つ流れが、産地の集出荷業者を通じて卸売市場に流れ、これがまた消費者の方へいくというものでございますが、これらの卸売市場を通じまして消費者に届くというものの流通量の割合は、全体の約九割が卸売市場経由で消費者に届けられるということでございます。ただ、残りの一割程度につきましては、産地の直販、産直でございますとか、あるいは最近非常にふえてまいりました宅配、宅急便等を使って消費者に届けるというような新しいものもございますが、そういうようなものになってくるわけでございます。また、左側の方に「スーパー等」という流れがございます。農協等に回りましたものが農協が持っております流通センター等の市場外の流通機構を通じまして、スーパー、外食産業等を経て消費者に届くという流れが、そんなに大きな割合ではございませんが、ございます。  こういうようなことで、生産者からの野菜、果物が消費者に届くわけでございまして、約五万店の野菜、果実の小売業者の方、あるいはセルフサービス、農協、生協等の販売店等を通じまして消費者に届くというのが基本的な流れでございます。  また、水産物につきましては、水産物の流通量というのは約八百万トン程度あるわけでございますが、漁業の経営体数というのは約二十万あるわけでございますが、これらから、鮮魚でございますと、そこにございますように、まず産地市場に入るのが一番大きな流れでございます。釧路とか石巻とかいうような産地市場の卸売業者の手を通じまして築地等の消費地市場に流れて、それから鮮魚の小売業者、これも約五万店ございますが、これを通じて消費者のところへ流れていくというのが一番の大きな流れの筋でございます。また、塩サケ、塩干品、マグロ等の冷凍品等につきましては、その左側にございますように加工・冷凍業者を通じての流れが出てくるわけでございます。水産物の場合は市場を経由して流れる量が全体の約八割、市場外が約二割というような流れになっているわけでございます。  そのような経由率を考えてみますと、生鮮食料品の流通を考えますときに、卸売市場の果たしている役割は極めて大きいということになるわけでございますが、その次の八ページにございますように卸売市場は非常に数多くございます。都道府県がやりましたり、大きな都市で大臣が認可して打っております中央卸売市場、これが九十一ございます。そのほかに地方卸売市場、先ほど水産で申し上げました産地のものと消費地のもの、そこにございますような数であるわけでございます。さらに中央卸売市場の面積基準にも達しないというその他市場というのも千ほどあるということで、市場が流通の上で果たしている役割は大きいということでございます。先ほど申しました経由率は右の方の卸売市場経由率というところで数字を出してございます。  このようなことで日本の生鮮物の流通は流れていくわけでございますが、そこでのマージンはどのようなことになっているのであろうかというのを九ページの表に出しております。これは野菜の代表的なものであるキュウリ、キャベツ、大根というようなものと大衆魚の代表であるアジというようなものにつきまして、五十八年から六十年の三カ年について十一月の数字を調べたものでございます。  例えばキュウリでございますと生産者価格が十キログラム当たり二千三百二十五円、出荷経費五百六十三円、計二千八百八十八円ということになるわけでございます。これに流通マージンが卸売が二百六十八円、小売が千二百二十円ということで千四百八十八円かかって、小売価格としては十キログラム当たり四千三百七十六円で売られているというふうに見ていただくわけでございますが、出荷価格を小売価格との割合で見ますと六六%でございます。以下、キャベツ、大根、アジというふうに見ていただきますと大体四割から六割のラインで出荷、生産者の方の手取りがあり、その残りが流通マージンという状況になっているということでございます。もちろんこういう生鮮食料品は品目ごとに大変いろいろな、特別の出荷の時期でございますとか、特性とかがございます。豊凶の変動もございます。鮮度の問題もございます。あるいは消費者の買い方が非常に購買回数が多いとか、当用買いだとかいろいろな特性もございます。そういう意味から申しますと、マージンというのもいろいろそういう変化を念頭に置いて見るべきものと心得ます。  そういうようなものを念頭に置きまして、さらに外国との比較ではこのような流通マージンはどうなっているであろうかということでございますが、手元にございますアメリカの例というのを見てみますと、バレイショの例では出荷農民の手取り額の比率が五一でございます。オレンジにつきましては四七、レタスは五一というようなことで、ほぼ農家の手取り額が半分程度、日本と大きな差はないというふうに読み取れるわけでございます。  それから三番目に資料として準備いたしましたのは、生鮮以外の加工食料品でございますとか輸入品でございますとか、そういうものの価格の動向が最近どうなっているであろうかということでございまして、農林水産省といたしましては昨年の四月以降三回にわたりまして価格の調査を実施してきた経緯がございます。ここに出しておりますのは六十年の九月と六十一年の九月に輸入価格が変化いたしましたものが小売価格にはどのように反映しているかということでございます。先ほど国内産のもので申し上げましたように、農産物の価格の変化を見ますときは、為替レートの問題だけではなくて、気象条件でございますとか、魚でございますと漁の状況でございますとか需給の全体の影響が大きく出てくるわけでございます。  例えばタコというのがございますが、タコはアフリカ沖でとるわけでございますが、輸入価格が若干下がっておりますけれども、大変タコは昨年はアフリカ沖で不漁でございましたものですから、国内在庫が非常に低くなりまして、その影響が出まして小売価格は下がっていないというようなこともあるわけでございます。またエビ等では逆に輸入価格の変化がキログラム当たり六百八十五円あったわけでございますが、小売価格にもそれが反映いたしまして六百二十円の下げというようなことにもなっているわけでございます。非常に大きな下げが出ておりますのは、例えばレモンでございますが、レモンはキログラム当たり二百七十二円のものが小売価格ではキログラム当たり八百八十三円、一個で申しますと百五十円だったものが四十五円まで下がるという大変なレモンの暴落というようなことがあったわけでございます。輸入しております大豆を原料にしております食用油というようなものにつきましても、原料大豆の下げがキロ当たり二十三円でございますが、製品であります食用油につきましては五百四十五円だったものが五百四円に下がるというようなことでございます。  これらの動向が大体続いてきているわけでございますが、特にチョコレートにつきましては九月以降にも主要メーカーが値下げをやっております。インスタントコーヒーにつきましても二月中旬以降主要メーカーの出荷価格の値下げというような事情があるわけでございます。昨年来の輸入食料品を中心といたしました食料品の価格動向は、輸入の動向を反映いたしまして小売価格も漸次下がってきておるという状況を読み取っていただけるかと思いますが、今後とも動向に注意をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  以上で説明を終わらせていただきます。
  40. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 次に、通商産業省末木審議官。
  41. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 私どもちょうだいしましたテーマは、我が国の流通機構の特殊性、問題点及び改革の方向ということでございます。お手元にお配りいたしました「我が国の流通産業」というタイトルの資料に沿って御説明を申し上げます。  まず、流通産業の現状でございます。ここで流通産業という言葉、広くも狭くも使い方ございますが、卸売業、小売業としてとらえております。国民経済においてどのくらいの地位を占めているかと申しますと、大体国内総生産のベースで見まして卸、小売が合わせて一五%程度のウエート、それから従業者数のウエートで言いますと一八%ないし一九%くらいのウエートを占めておりまして、大変大きな産業、重要な産業でございます。  2のところで販売額、商店数、従業員数等の最近の変化を見てみますと、下の表でございますが、まず卸は五十一年の二百二十二兆円が六十年には四百二十七兆円、小売の方の年間販売額は、その下にございますように五十一年五十六兆円が六十年百一兆円というように売り上げが伸びておりますけれども、ごく最近の傾向としまして商店数、従業員の減少が見られます。卸につきましては、五十七年まで商店数は伸びてまいりましたけれども、五十七年から六十年にかけて四十三万店から四十一万店に、従業員数は四百九万人が四百万人にそれぞれ減少いたしました。小売につきましても同じく百七十二万店から百六十三万店、六百三十七万人から六百三十三万人へと減少しておりまして、これは戦後来、非常に古い時期にまだ経済がきちっとした軌道に乗らない時期に一度減少したことがありますが、最近では初めてのことでございます。  二枚目に参りまして、このような我が国の流通産業の特質といいますか、問題点といいますかについては内外から幾つかの指摘がなされております。私ども必ずしもすべての指摘が当たっていると思うわけでない点もございますけれども、一応その内外の指摘を五つほどに集約をして以下御説明をいたします。  第一は、日本の流通産業は中小小売店が多数存在する、一言で言えば零細性についての指摘でございまして、また、零細性に伴う問題点の指摘でもございます。確かに、その表にございますように従業員数の規模で見て、一人から四人あるいは一人から四十九人で区分いたしまして、年間販売額、商店数、従業員数を見ますと、これは、全小売店に対しまして従業員規模四十九人以下の中小商店は、商店数で言うと九九・六%、圧倒的に中小企業のウエートが高い産業でございます。従業員数で見ても八八%を占めております。いわゆる小規模企業と言われております四人以下で見ましても商店数で八三%、従業員数で四六%程度を占めております。  それでは、次に零細性を別の指標で見まして、商店一店当たりの年間販売額で見るとどうかということでございますが、次の表にございますように必ずしも非常に零細ということでは実はないわけであります。これは調査時点の差、それからそのときどきのレートで換算してございますので厳密な比較はなかなか難しいんですけれども、一店当たりの売り上げは、日本が六千二百万円、アメリカは一億三千八百万円、非常に大きく出ておりますけれども、イギリス、フランス等と比べて非常に大きな差があるわけではありません。一店当たりの従業員数で見ましても、アメリカに比べますとかなり小規模ではございますけれども、フランスとはたまたま同じになっているというような状況でございます。  その次に、たまたま日本は国土が狭いために地域的な密集度というのは、これは日本は群を抜いております。これらをどう評価するかということでございますけれども、確かに中小企業のウエートが高い、零細企業の数も多いんですけれども、それがゆえにすべて非効率であるとか、何か非常におかしな問題があるのかというのは、直結するのはいかがかと思いまして、(3)に書いてございますように、こういった業態になった背景としては、多頻度小口購買という日本人の消費パターンがその背景にあり、また兼業とか副業の小売店の存在という事情もあろうかと思います。そういう意味で、長年の文化的、社会的背景のもとにこういう流通産業が形成されてきているものだと思っております。  次のページに移っていただきまして、次に、日本の卸売業についての指摘でございますが、卸が何段階も非常に多いのが特色で、流通経路が長くなる、そのために例えば流通マージンが国際的に見ても非常に大きくなるとか、あるいはコストアップになるとかいうような指摘があるわけでございます。これを数字で見てみます。  まず(1)の卸売の店舗の状況はどうかといいますと、国土面積と比べるのは、これはもう狭い国ですから余り意味がないと思いますが、人口一万人当たり卸売の店舗がどれだけあるかといいますと、日本は三十四、アメリカ十八、以下右の方にあるとおりでございまして、確かに多うございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、人口当たりの小売店が多頻度小口購売というような背景のもとに、多いことを反映して卸売店も多くなっているわけでして、卸売一店当たり小売店が何店あるかというふうに見直してみますと、次の表にありますように日本は卸売一店に対して小売店は三・九ございます。アメリカが三・三、イギリスが三・三等々でございまして、そう大きな差はないということになります。  また、別の観点から(2)のところでございますけれども、Wというのは卸の売上高でございます。Rは小売の売上高でございまして、R分のWの比率というのがよく用いられます。小売の売上高に対して、Wの卸の売上高が非常にもし多ければ、卸の段階がたくさんあるんじゃないかということになるわけです。これを見ますと、日本は小売販売額の四・一九倍が卸売販売額ということで、諸外国の二前後あるいは二以下と比べると確かに高いわけです。ここは若干そういう意味ではよそと違った数字が出ておりますけれども、しかしこの数字があらわすほどそのままストレートに流通の卸段階が多いというのはやや乱暴でございまして、実は我が国の卸売業というのは加工貿易型の産業構造でございますので、総合商社等輸出を扱う卸売業、それから製造業と製造業の間に介在して原料や燃料の取り扱いをしている卸売業等のウエートが結構ありまして、こういったものもこのR分のWの比率を押し上げる力になりますので、この数字そのままがいわゆる一般に言われる消費財の流通段階の長さをぴったりあらわすものではございません。いずれにしても若干長目の数字ではございます。  次のページに参りまして、こういったのを踏まえまして三つ目の指摘としましては、日本流通機構は非効率ではないかということが言われます。これについて検証をしてみますと、卸売業、小売業のいずれにつきましても他国並みか、むしろ他国より販売効率は高いということもできるわけでございます。下の表にあります従業者一人当たりの年間販売額で見ますと、卸の場合には卸売業に従事している従業者一人が年間に一億七百万の売り上げを上げています。アメリカがちょうど一億でございます。ヨーロッパの国に比べますと、日本アメリカの数字がむしろ大きく出ております。この辺にも先ほど申し上げた輸出のような大口取引のものが反映されている分があるかもしれません。小売の方は一人当たり年間販売額一千六百万円でございまして、アメリカの一千八百万、イギリス一千三百万、フランス一千七百万等々と大きな差はございません。  いずれにしましても、日本の流通が非常に非効率だということが長と言われておるんですけれども、本当にもうどうしようもなく非効率なものであれば、何十年もの間存続することは経済原則からいってできないはずでございまして、結局これらの企業は物流機能とかリスクの負担機能とか、あるいは小売店で申しますと営業時間の長さとか、品ぞろえが非常に豊富であるとか、お客に対するサービスがきめ細かいとか、いろいろな機能を果たして、そういった機能を担っておるわけでございまして、そういったものは評価される限りにおいて存続してきているのではないかと思います。  第四の指摘といたしまして、メーカーによる流通系列化とか、あるいは返品制とか日本独特の商慣行があって、これらのものが流通機構を閉鎖的なものにしている。主として海外から日本への製品の売り込みが困難な理由として挙げられる点でございます。確かに流通系列化ということはございますけれでも、しかし系列店の中にも系列外のメーカーの商品を扱うものがかなりございます。またそういった傾向は、最近独立専門店とか無店舗販売等のような形で伸展してきていると思います。  それから返品制につきましては、あるところで売れなかった商品を卸あるいはメーカーに返品し、それがまた別の地域の小売店に改めて卸されて、そこで売られるという面を見ますと、売れ残った品物をとこか一つの特定の地域で抱え込んでしまわないで、日本全体としての全マーケットでさばけるところでさばくという意味で、トータルの効率を上げるという面もございます。これは評価できる点でございます。しかし、この返品制が力の強いものと弱いものとの間において不当な取引として行われる場合には、これはもちろん問題でございます。恐らく公正取引委員会の方からもお話があろうかと思いますが、私どもとしては業界の自主的な努力によってそのようなことがないように日ごろ指導しておりますし、また、もちろん法的な規制、独禁法による公正取引の規制もございます。なお、今後につきましては、これはPOSと言っておりますけれども、情報化の進展によりまして商品管理、受注発注の管理がより合理的に行われるようになるに従い、返品も趨勢的には減少していくのではないかと見ております。  第五の指摘は、大店法の規制が輸入の拡大を阻害しているのではないかということでございまして、これは国内からも指摘がありましたが、海外、アメリカ、ECからも折に触れて言われていることでございます。しかし、このような大型の小売商店の規制はヨーロッパにもございまして、フランスとかイタリアは許認可制でございます。日本の場合には届け出制ということで、原則自由の考え方のもとに届け出制の法律構成になっておりまして、地元の意見を聞いて必要最小限の調整を行っております。また、その運用は内外無差別でございます。  それから、この法律のもとにおきましても大型店の出店は安定的に推移しておりまして、この法律によって新しい開店を全く抑え込んでしまっているというわけではございません。それから大型店、これは百貨店とか大規模スーパーでございますが、これが小売トータルに占めますシェアも諸外国に比べまして決して低いものではございません。結局、大店法が輸入拡大を阻害しているということは言えないというのが私どもの考えでございまして、ニーズに合致したものであれば日本の商店も喜んで扱うわけでございます。  次に、流通産業を取り巻く環境変化でございます。一般に言われておりますのは、先ほど申し上げました商店数の減少のほか、そこにありますようなことが言われております。この商店数の減少につきましては、商業センサス、非常に膨大な統計でございます。三年に一回の膨大な調査でございますが、これを子細に検討していかないと、これをどう解釈すべきか即断してはいけないかと思いますけれども、特に小売に関して申しますと、新しい店の開店のテンポが落ちているということと既存の店の廃業のテンポが上がっていることと両方の要因でこのような結果が出てきておると思います。こういう環境をどう見るかというのが一つの問題点でございます。  二つ目の問題点としましては、小売の業態が多様化してきているということでございます。これは商品そのものが多様化してきておりますし、ライフスタイルも多様化してきております。ですから、物を買う消費者の生活態度、生活慣習が多様化し、メーカーのつくる品物が多様化しておりますので、売り方も多様化するのはある意味では必然かと思いますけれども、コンビニエンスストアとかディスカウントストアとか、あるいは無店舗販売とか、いろいろな業態が発展してきております。  三番目の環境の変化としまして、日本の産業全体を覆っております情報化流れがございます。流通業もこの情報化の波に洗われておりまして、このPOSという高度な電算システムを導入する店舗が相当のスピードでふえてきております。  四つ目の大きな流れ国際化でございまして、もう卸・小売店はいずれもこの国際化を念頭に置かないではビジネスの発展がない。また、国民生活立場からすれば、円高差益の還元とか安くてよい輸入品の輸入、紹介、そういった品ぞろえが消費者から求められているということでございます。  最後の紙に移りまして、このような環境変化に対処しました課題でございます。今申し上げた流れに大体沿いまして、まず一つ情報化の大きな流れにどうやってこの数の多い流通産業を適応させていくかということでございます。具体的に通産省で行っておりますのは、一番その情報化の基礎になりますコードの統一等の基盤整備、そしてまたPOSのシステムの普及促進等に努めております。  二番目の国際化という流れに対応する課題といたしまして、先ほどちょっと触れましたけれども、まず当面の問題としまして、日本の貿易インバランスの改善に資するとともに国民生活を豊かにするという観点から、製品輸入の促進が求められております。卸売業、小売業が積極的に製品輸入の促進に取り組むように通産省でも大臣が率先して業界に要請する等努めてきております。円高メリットの還元の要請についても全く同趣旨でございます。また、地方の中小商店の場合にはなかなか国際化といってもすぐに取りつきにくい面もございますので、地方の商店街が町ぐるみで国際交流を行うことを助成する事業も行っております。  三つ目としまして物流の合理化でございまして、流通業においていろいろな機能が求められて、そのために流通業が例えばマージンが減らないとかいうのは、これは必ずしもむだというふうに決めつけることは適当でない話でございますけれども、例えば物の輸送のような効率という物差しで主としてはかれる活動につきましては、できるだけこれは合理化し、効率化していくことが必要なわけでございまして、従来からやっております諸施策、引き続き流通活動システム化のためのハード面、ソフト面の推進に努めてきております。  それから、以上の全部を通じての問題でございますが、先ほど申しましたように、卸・小売業の圧倒的大多数を占める中小商業の振興がなければ流通産業の振興はございませんので、いろいろな角度から中小商業の振興施策を講じてきております。特にこれからの小売店は、単に物を売るだけではなくて一つ生活提案をするような機能になることになりつつありますので、そういった観点からコミュニティーマート構想等をかねて推進しておりますし、また特に中小商業者の情報化の推進、その担い手になる人材の育成等については、中小企業大学校の活用等を進めてきております。また、一々の中小商店では取り組めないような課題に取り組めるようにするための共同組織、ボランタリーチェーンの振興等も長年通産省が努力してきたところでございます。  なお、六十二年度におきましては、国会に御審議をお願いしております税制の中に中小企業基盤強化税制というものがありまして、卸・小売業の体質強化のための措置も盛り込ませていただいております。  以上でございます。
  42. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 次に、公正取引委員会柴田取引部長。
  43. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) それでは私は、「国際化に伴う流通機構上の諸問題に関する競争政策上の対応について」という資料をお手元に配付してあろうかと思いますので、これに沿いまして御説明させていただこうと思います。  まず第一に、国際化に伴う流通機構上の諸問題、私ども二つの側面からとらえることができるだろうと。第一の点は貿易摩擦問題への対応の観点であり、第二点は円高問題への対応の観点というふうに申し上げられようかと思います。  まず第一に、貿易摩擦問題でございますけれども、大幅な黒字問題を背景といたしました貿易摩擦問題の解決のために、我が国経済にとって国内市場を一層開放し、輸入の拡大を図るということが今日重要な課題となっているわけでありまして、この問題を解決していく過程で、我が国の市場構造、企業行動の中に、我が国市場での輸入品の流通あるいは外国事業者の販売活動を妨げ、外国事業者の公正な自由な競争の機会を阻害するというような指摘がございますので、やはりこれへの対応をしなければならないということでございます。  そういった指摘を具体的な観点から整理をいたしますと、次の三点ぐらいになろうかと思います。  その第一点は、国内事業者の競争制限的行為によって輸入制限的効果が生じているというような指摘でございます。例えて申し上げれば、輸入業者等による輸入制限カルテルあるいは輸入総代理店による並行輸入阻害行為といったようなものが挙げられようかと思います。  第二点は、我が国市場の流通実態から輸入制限的効果が生じているというものでございます。例えて申し上げれば、有力な製造業者による流通系列化、あるいは景品及び表示に関する過度の自主規制といったようなものでございます。  第三点は、我が国の商慣行から輸入制限的な効果が生じているというものでございます。先ほど通産省の方からもお話がございましたけれども、返品の慣行であるとか、あるいは契約書のない取引が多く見られるというような例が挙げられようかと思いますけれども、このような問題の摘示が行われているわけでございまして、こういったことにどう対応していくかということが第一でございます。  それから第二は、円高問題に関連したものでございますけれども、特に最近の円高の進展にかかわらず、輸入品の輸入価格が国内販売価格に適正に反映されていない、どうも円高のメリットが必ずしも消費者に十分還元されていないのではないかといったような、どちらかといえば国内からの指摘があろうかと思います。  このような大きな二つの問題に競争政策上どういうふうに対応していくかということでございますが、基本的や考え方は、一昨年の七月、政府としてまとめました市場アクセス改善のためのアクションプログラムに基づいて、私どももその対応をしていこうということでございます。公正取引委員会といたしましては、公正かつ自由な競争を維持、促進するという観点から、外国事業者の参入あるいは外国産品の輸入が我が国市場における競争を刺激し、活発にする上で効果の大きいものであるという基本的な考え方に基づきまして、貿易摩擦問題について新規参入阻害要因の除去に積極的に取り組んでいるということでございます。  第二の円高問題に関連いたしましては、特に国民生活に密着した消費財等につきまして、円高の効果が市場メカニズムを通じて価格に十分反映されることが肝要である。そのためにはやはり公正かつ自由な競争が行われる必要があるという基本的な考え方に基づきまして、公正取引委員会としても、カルテルあるいは再販売価格維持行為等の競争制限的な行為によって市場メカニズムが阻害あるいは差益還元が妨げられるというようなことのないように監視に努めるということをいたしているわけでございます。  このような基本的な考え方のもとで、具体的に主な四点の課題にどのような方向づけで今対応しているかということを次に御説明をいたしたいと思います。  まず第一が、製造業者による流通系列化の問題でございます。製造業者による流通系列化につきましては、先ほどの通商産業省の方からの御説明にもございましたように、やはり流通の合理化を促進する側面ということは確かにあるわけでございまして、したがってそれ自体を不当とすることは適当ではありません。むしろ公正な競争秩序に及ぼす影響の程度を検討することが必要だろうということで、例えば製造業者が販売業者に対して、不当に競争事業者の商品を取り扱わないというようなことを取引条件にするというようなこと、あるいはそういったことによりまして競争事業者の販売業者との取引の機会を減少させるというようなことが出てまいりました場合には、不公正な取引方法としてこれを排除いたしてきておりますし、そしてまたこれからもそのような対応をしていかなければいけないだろうというふうに考えているわけでございます。  第二に返品の問題でございますけれども、百貨店あるいはチェーンストア業界におきましては多様な仕入れ形態が存在をいたしておりまして、その中には返品の可能な仕入れ形態もあるわけでございます。返品につきましては、新規に新しい商品を取り扱うことを容易にするという市場にプラスの評価すべき面もあるわけでありまして、仕入れ形態による返品の慣行それ自体をやはり私どもとして不当とすることは適当ではないというふうに基本的には考えますが、やはり百貨店あるいはチェーンストアといったような取引を優越した地位にある大規模小売業者によりまして、当初、取引当事者間で取り決めた取引条件に反しまして返品が行われ、その負担を納入業者に負わせるというような場合には、不当な返品として独占禁止法で禁止する不公正な取引方法に該当するのではないかというように考えられるわけでございます。  また、大規模小売業者と納入業者との取引条件が事前に取引当事者にとって明確にされておりませんと、どうしても取引上の地位が劣っている納入業者の方に不利に働きがちでありまして、不当な返品が生じやすくなるというふうに考えられます。したがいまして、今後取引条件の明確化を含めまして不当な返品防止のためのガイドラインというようなものを考えて公表していきたいというふうに考えているわけでございます。  第三点、比較広告でございます。我が国では、比較広告が規制されていて、どうも一般の消費者に対して輸入品の内容や特徴を知らせる機会が少なく、そして輸入品の販売において効果的な広告宣伝活動ができないという非難が実はあるわけでございます。特に新しい商品、新しい事業者が参入をしてきますときに、この比較広告というのはある意味で有力な宣伝の一つの手段になるわけでございまして、特にこのような批判が最近聞かれるわけでございますけれども、しかし私どもの所管しております景品表示法自体は実は一般消費者の適正な商品選択を誤らせる不当表示を規制するということでございまして、不当表示でない限り競争事業者の商品との比較そのものについて制限をしてきているわけではないわけであります。したがいまして、比較広告が適切に行われれば、特に外国製品については、その品質、特徴を我が国の消費者に知らせ、そしてまた、その販売促進にも役立つというように考えられますので、むしろ積極的に私どもとして比較広告についての景品表示法の考え方を明らかにしようということで、昨年、大まかな三点ばかりに絞った考え方は提示いたしましたが、さらにそれを受けまして、現在、やはり比較広告に関するガイドラインの策定作業を進めているわけでございます。  それから第四点、輸入総代理店制度でございます。輸入総代理店制度は、継続的輸入取引における取引慣行の一つで、外国の事業者が我が国の事業者に特定商品の輸入販売権を排他的に付与するというたぐいのものでございます。この輸入総代理店、とかく人の口から批判を受けることが多いのが今日の状況でございますけれども、よくその役割を考えてみますと、輸入手続などのほか、商品の手直し、あるいは流通チャネルの構築、広告宣伝、アフターサービスといったような機能を有しておりまして、外国からの輸入品を国内へ持ってくる、国内で販売するための実は重要な役割を担っておりますし、そしてまた輸入品が入ってくるということは国内市場での競争の促進に大いに寄与するわけでありまして、そういう意味では輸入総代理店の役割というのはそれなりの評価が与えられなければいけないだろう、こう考えているわけでございます。  ただ反面、実はこの輸入総代理店制度というのは独占的販売権が与えられておりますので、どうしても当該商品の輸入取引における新規参入が制限される結果、当該商品や当事者の市場における地位いかんによりましては、輸入総代理店制が国内流通に対して競争制限的に働くという場合も大いにあり得るわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、やはり輸入総代理店契約の当事者以外の第三者が当該契約対象商品を契約当事者間のルートとは別のルートで輸入する並行輸入というものが一方にあり、そしてまた輸入総代理店の価格形成に競争圧力として働く、あるいはそういったものが品ぞろえをカバーするといったような機能もありますので、やはり輸入総代理店制に対する並行輸入については、競争政策の観点からそれなりの評価をしていかなければいけないだろうというふうに考えているわけでございます。  したがって、公正取引委員会といたしましては、輸入総代理店契約を含む継続的輸入販売契約につきましては、すべて「輸入総代理店契約等における不公正な取引方法に関する認定基準」というものを公表いたしておりまして、この認定基準に基づきまして適正に輸入総代理店制がワークをするように、その活動については、入ってくるとき契約条項をチェックし、そしてまた、その後その活動については是正指導を行ってきているということでございます。したがって、繰り返しになりますけれども、プラスの面を評価しながらなるべくその弊害を除去していこうというように公正取引委員会としてはこの制度について考えているということでございまして、折に触れ輸入総代理店の行為等については調査をしているということでございます。  今申し上げましたような基本的な考え方にのっとりまして、現在やっておりますことを四ページのところに最後につけ加えておりますが、今申し上げましたところをさらに少し付加しただけでございまして、返品につきましては、現在、先ほど申し上げたように返品防止のガイドラインというものの作成作業を進めておりますし、比較広告についても同様でございます。さらに比較広告に関しましては、公正競争規約で一部やはり過度に制限をしていると見られるものもございますので、その緩和については指導を現在やっているところでございます。  それから、輸入総代理店制度に関しましては、別に参考資料としてお配りをしてあろうかと思いますけれども、昨年の十二月に、消費財の並行輸入に関する調査を実施しておりまして、その中間報告の結果を今、皆さんのお手元にお配りをしてあるということでございます。  以上、公正取引委員会といましましては、我が国の流通分野についてこれまでも公正かつ自由な競争を阻害する企業行動を除去すること等によりまして、新規参入が行われやすい競争条件の整備に努めてまいりましたけれども、今後とも新規参入業者が既存の流通経路を利用したり、あるいは新たな代替的流通経路を構築するに当たって、競争事業者によりこれが不当に阻害されるというふうなことがないよう、また、並行輸入が不当に阻害されることのないように監視をしていくとともに、違法な行為があれば、当然のことでありますけれども、独占禁止法の厳正な運用を図ってその排除に努めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、参考資料の方は時間の関係もございますので、説明は省略をさせていただきたいと思います。図表が主でございますのでごらんいただくと大体おわかりいただけると思いますので、私の説明は以上にさしていただきます。
  44. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 以上で農林水産省、通商産業省及び公正取引委員会からの説明聴取を終わります。  これより本件に対する質疑に入ります。  質疑のある方は会長の許可を得て順次御発言を願います。
  45. 糸久八重子

    糸久八重子君 最初に通産省の方にお伺いをさせていただきますけれども、流通産業の変革期にあるということで、卸、小売の数だとかそれから従業員が減少しているということがこの表に出ているわけですけれども、私なりに判断すると、結局、今大型店がたくさん進出していてその中に吸収をされていたり、それから店舗の集団化があったりということで減少しているのかなというふうに感じたわけですけれども、その辺、どうしてそういう減少が見られるのかという理由と、今後どのように推移していくのかということを通産省は把握されていらっしゃるのか、その両方についてお伺いいたします。
  46. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 三年ごとの調査でございまして、五十七年から六十年までの間の変化が減少ということでございます。  そこで、これをどう解釈するか、その分析は実は膨大な資料を詳細に見てみませんと正確にはなかなか申し上げにくいところがあります。正確に詳細にといいますのは、卸一本、小売一本ということではなくて、例えば法人形態の店、個人形態の店、それから従業員の数による分類、あるいはまた一店しかない店、支店を持っている店、そういうようないろいろな指標を組み合わせて、かつ業種別業態別に検討を要するわけで、現在勉強しているところでございますけれども、今の段階で一応の私どもの見方を申しますと、まず先ほども申し上げましたように、今まであった商店が店を閉めていくという方はどういう背景があるのかといいますと、一つには、おっしゃるように競争の激化に伴って撤退していくものももちろんあると思います。その競争の激化の中に、大型店との競争に敗れる中小の商店という形ももちろんあると思いますけれども、そういう大小という競争だけではなくて、もっと品ぞろえとかあるいは立地条件とか、別の理由で競争に敗れていくものもあると思います。それが一つ、競争の激化でございます。  もう一つは、商品そのものの変化ということがありまして、例えば乾物とかげたとか草履とか建具とか呉服とか、これらは消費者の生活そのものが変化した結果、商品そのもの自体の生産量、流通量が趨勢的に減ってきているわけです。したがいまして、こういったいわば伝統的な品物を扱っている商店が減少しているということも言われておりますし、また品物そのものとしてはあるんですけれども、例えば時計なんかについてもぜんまいから電子化した、したがってもう修理の必要がなくなってしまった。修理をすることを大きな仕事のウエートとしていた町の時計屋さんがだんだん仕事が減るとか、あるいはまた牛乳なんかについて見ますと、ガラス瓶から紙パックになったことによって、これが専門の牛乳店からスーパーアイテムということで総合的なお店で扱われるウエートがふえてきたために専業牛乳店が減っていくとか、そういった品物そのものの変質、商品の変質に伴って小売店の数が減っていくというものもございますし、それから比較的古い店で世代交代の時期に来ている場合に、たまたま都市化といいますかビル化といいますか、この辺のところでは、もう小売店をそう長くやっていても先の見通しがないから土地を売って郊外へ隠退しようかというようなことで、息子さんが後を継がないという後継者難と申しますか、難もあるでしょうしあるいは後継を希望しないという場合もあると思うんですが、そういうものもあると思います。いろいろな要因で廃業、転業が従来よりスピードが上がってきているということがございます。  もう一方において、これは商店数というのはやめる店と新しい店が相まってその差が増減になるわけでございますけれども、開業の方のテンポが落ちているということもございます。新しい店がどうして余りふえなくなったのかといいますと、基本的にはやはり最近の景気低迷と競争の激化でございましょう。それに伴って、店を開いた場合に期待される利益率がどうも余り芳しくない。そこで、従来であれば、例えばサラリーマンが退職金で何か店でもやってみようかというような人がいたのがだんだん減ってきている、あるいはもう一つ地価の上昇によりまして小売店を開くことに伴う負担が非常に大きくなってきました。したがって、新しくビルができても小売店よりももっと付加価値率の高いサービス業の方が有利に入居しているというようなこともございます。  それから第三番目に言われておりますのが人口移動に伴う新規開店の減でございまして、大規模人口移動があって、ニュータウンがつくられていた時代にはそのニュータウンに伴って小売店ができ、場合によっては卸売店もついていったわけですけれども、そういった大きな流れが少し今落ちてきており、そういう意味でも新規開店が減っている。こういったものが合わさりまして現状のような数字になっているのではないか。  一つ一つの要因を数字的に分解して示すことはちょっとできないんでございますけれども、結果についてはこれらの要因の複合だと思います。したがいまして、今後の見通しもこういった多数の複雑な要因をどう見るかということにかかってまいりますので、一言で私ども申し上げる今自信がございません。もうちょっと勉強させていただきたいと思いますけれども、いずれもこれ非常に極端に一つ方向にどっと走ってしまうというものではございません。じわじわと出てくるものでございますから、急変はないだろうと思っております。基本的にこれを左右しますのは、日本経済全体が適度な成長を保っていけるかどうかということがこの全部の要因に共通していく問題だろうと思いますので、それによって今後の数字が出てくるのではないかと思っております。
  47. 糸久八重子

    糸久八重子君 今の理由の中に、例えば消費者の要求の変化があって伝統的な商品云々というお話がございましたけれども、最近また日本の古来の伝統的なものを見直そうという動きが非常に活発になってきているわけですけれども、そういうところを通産省としてはどのように指導をしていって、とにかく日本古来の伝統的なものをやっぱりこれからも発展させていきたいし、維持させていかなければならないと思うのですけれども、そのあたりの御見解はいかがでしょうか。
  48. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 先生御指摘のとおりだと思います。大きな流れとして日本の古いもののよさを見直そうという動きは確かにございます。例えば商店のショーケースだけとってみましても、プラスチックとか金属万能から、木製のショーケースを使うとか棚を使うとか、商店自身も変わってくるくらいでございまして、消費者の中にそういったものを見直すという動きがあろうかと思います。  ですから、私は大きな数として、例えばげたや草履が今減っていると思いますけれども、それは実用価値だけではなくて、もうちょっと豊かな生活、いろいろな履物を持っていたい、あるいは使ってみたいという観点から、確かに従来の流れとちょっと違った言わばUターンのような現象が出てきているかとも思います。通産省としては実は早くからそういった点を重視しておりまして、生活産業局の方で伝統的工芸品産業の振興の施策をもう何年もやってきております。これは主として産地振興でございますが、そういう意味においてこれがうまくワークしてまいりますと、そういったものに関係する卸売業、小売業にもまた新しい今までと違った意味の活躍の場が出てくるんだろうと思っております。
  49. 糸久八重子

    糸久八重子君 農水省にお伺いをいたしますけれども、この農水省の説明資料で明らかなように、一ページの部分ですけれども、日本は食料品の価格が極めて高いわけですけれども、近年都市住民は生活防衛のための一環として、複雑な流通経路を避けた、いわゆる産地直送運動に参加する傾向が見られるわけですけれども、この説明資料の一ページの東京における小売価格というのは、市場を経由した食料品についてのデータと理解してよろしゅうございますか。
  50. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) そのとおりでございます。
  51. 糸久八重子

    糸久八重子君 産直グループにおいての購入価格とか、それから生活協同組合における販売価格の実態調査等はしてございますでしょうか。
  52. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 産地直送、生協等々の価格調査をずばりそのまましたものは今手元にございません。
  53. 糸久八重子

    糸久八重子君 今後調べるというようなそういう方向はございますか。
  54. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 先生おっしゃいますように、産地直送等につきましては、先ほど私、市場の流通が我が国の生鮮物の流通の主流だということを申し上げましたが、ちょっとそれにつきましてはいろいろ問題もございます。品ぞろえでございますとか配送コストでございますとか、いろいろな問題がございますが、先生御指摘のように、流通段階の短縮でございますとか輸送の迅速化でございますとか、そういうメリットもございます。また、最近出てまいりました新しい動きでございますが、消費者の方々が健康とか自然志向とか、ふるさと産品を求めるとかというような動きに対応いたしまして、生産サイドの方でも一村一品運動というようなものも出てきておるわけでございます。こういうようなことで市場外流通、産直というようなものの意義というのがそれなりに高まってきているというふうに思うわけでございますが、生鮮食料品を中心にいたしますと、何分にも種類が多うございます。先ほども申し上げましたように時期の問題、地域の問題、産地の問題、価格差も振れがございます。そういうようなことでございますので、これを一つにまとめるというのはなかなか難しい点が多いのではないかというふうに考えております。
  55. 糸久八重子

    糸久八重子君 八ページに卸売市場経由率の推計がございます。青果で八七・八%、それから水産物で七九・一%という昭和五十九年の推計なわけですけれども、例えば五年前とか十年前と比べてこの数値は変わっておりますのでしょうか。
  56. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 大ざっぱに申しますと余り動いていない、この十年間さほど動いていないということでございます。数字で申し上げますと、昭和五十年の青果の市場経由率は八八・〇でございまして、五十五年が八六・九、五十九年は八七・八ということでございます。また水産で申しますと、五十年は七九・一、五十五年は上がりまして八四・九、五十九年は七九・一という数値でございまして、大きく動いていないというのが実態でございます。
  57. 糸久八重子

    糸久八重子君 通産省と農水省に御意見をお伺いしたいんですけれども、これから日本の国は高齢社会になりますが、都市生活者の余暇活動の一環として生産者と直接的な結びつきを深めて、都市と農漁村との新たな交流を広げようという動きが非常に活発になってくるのではないかと思います。これは生活の質的な豊かさを求める市民にとりましては極めて自然な要求だろうと思います。消費者とそれから生産者の信頼と提携の関係を強めることは産業政策としても大変有効だと考えるわけですけれども、これらのことにつきまして見解をお伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  58. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) ただいまお話しのございました都市と農村の交流ということは、私ども都市住民の立場、また農村の活性化、そういう面から非常に大切なことであるというふうに私ども考えておるところでございます。  産業との関係というお話がございましたが、先ほど食品流通局の方からお話し申し上げましたような一村一品運動というようなこととも関連をいたしますし、農業生産としてもそういったきめ細かな都市の消費者の方々のニーズに応じた多品目少量生産というようなことも言われておるわけでございますが、そういった生産面での対応にも結びついていくというふうに考えますし、また、一・五次産業というようなことも言われておるわけでございますが、地場での農産加工、こういった形を通じまして地域の就業機会の確保なり雇用の増大、こういうことにも連なってくるというふうに考えております。  今まで、施策としては直接こういったようなものに助成をするというようなことではございませんけれども、できる限り都市、農村両側にあるニーズを情報として集めまして、情報を媒介するというような情報センターというようなものを整備をいたしまして両方の結びつきを図っていく。さらには、新年度、六十二年度の予算におきましてもコスモスプランというようなことで、そういった情報活動の上に、地域特産品の消費地での展示なり、あるいは食品加工との結びつき、こういったことにも広げていきたいというような事業も新年度の予算案の中に入っているというような状況になっておりまして、私ども地場産業という意味からも、また農村の活性化という意味からも、こういった分野についてさらに今後とも努力をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。
  59. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 農産物、水産物については農水省の方から今お話がありましたので、それ以外を申し上げさしていただきますが、通産省の所管で申しますと、いわゆる産地と大消費地、大都会の消費地との結びつきの問題だと思うんです。産地もいろいろございますけれども、先ほど申し上げました例えば伝統的工芸品のようなものについて典型的にそういうニーズが両サイドにあろうかと思います。大都市の消費者から見れば、ただ塗り物でも焼き物でも買うだけということの欲求から、どういうふうなプロセスを経て、どういうふうにして買うか。買うこと自体をエンジョイするというようなニーズがだんだん出てきております。例えば、北陸へ旅行をして、一週間の旅行の間で産地を見学していい物をよく見て買ってくる、そういう動きも出できております。  一方、産地の方からすれば生産地問屋さんの機能がなかなか時代流れについていかないものですから、新しいマーケティング手法がなかなか身につかない。隔靴掻痒な感があるわけです。そこで、そういったいいお客様に直接接触をすることによって、もちろん売り上げもふえることが期待できますし、同時にどういった商品が受けるのかというマーケティングにもなるということで、産地サイドにも恐らくそういうニーズが潜在的に出てきつつあるような感じがいたします。現に幾つかの産地では何々の里というような形でそういう試みを始めているところもございます。量的にこれが非常に大きなものになるかどうかはなかなか難しいところでございますけれども、今のような、一方において消費者に楽しみを与え、一方において産地サイドに新しい活性化の機運をもたらすということで大変有益な御指摘だと思います。  私どもこれから別途国会に御提案いたしております俗に言うリゾート法でございますが、これは農水省も御一緒に提案させていただいておりますが、例えばリゾート開発にしましても、これは押しつけであってはならないと思いますけれども、そういった伝統的な産業との関係も配慮していくべきではないかと実は考えております。  御示唆の点については今後ともよく勉強してまいりたいと思います。
  60. 糸久八重子

    糸久八重子君 食品とその添加物の表示の問題につきましてお伺いしたいと思うんですけれども、輸入食品も国内法の規制を受けると思うのですけれども、ところが、その国内法で表示に関する規制をしているのは、私、調べてみましたけれども、厚生省関係で食品衛生法、栄養改善法、それから農水省関係でJAS法、それから公取関係で景品表示法、先ほど説明がございましたけれども。通産省関係で計量法というこれらに関係しているのではないかと思いますけれども、この辺は間違いございませんでしょうか。農水、公取、それから通産省、いかがでしょうか。
  61. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 先生のお話のとおりと存じます。
  62. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 私どもが関係しており法律では計量法がございます。
  63. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 景品表示法ですべて商品の表示の問題は対象にいたしておりますが、今先生の御関心でございます添加物について私どもの方で所管をしております景品表示法自体はなかなか、多分御関心のあるところは表示法による義務づけの問題だと思いますけれども、一般的に義務づけることは、実は私の方では非常に難しいことだけはあらかじめお断りをさしておいていただきます。  景品表示法が建前としておりますのは、消費者の誤認を生じるようなそういう表示をしてはいけないということになっておりますので、例えば無添加であるという表示をして添加物がある場合には規制はできますけれども、逆に何も表示をしないでおくものを対象にすることは非常に難しいということでございますので、その点だけあらかじめお断りをさせていただきます。
  64. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) ただいま関係する法律ということで計量法確かに所管しているとお答えしたんですけれども、内容的に申しますと、添加物につきまして計量法に特定の規定は実はございませんで、計量法で直接義務づけておりますのは正味量等の表示の義務等でございます。ただ、計量法の施行の関係でいろいろな指導なりPRを行う機会に、関係省庁等からの要請があれば、同趣旨のことでございますからPRに御協力することはできると思います。
  65. 糸久八重子

    糸久八重子君 これらの立法の趣旨というのはそれぞれ今皆様方おっしゃいましたとおり異なっておりますけれども、私は共通点が一つだけあると思うのですね。どういうことかといいますと、消費者の適正な選択に役立つようにするということですね。この点はやはり共通をしているのではないかと思います。その理由というのは、まず二つあると思うんですけれども、食品の表示が消費者に読まれることをまず前提としているということですね。それから、消費者の選択はその表示内容に依存せざるを得ないということ。そういうことが理由になるわけですが、やはり消費者が一見してすぐわかるように表示をすべきだと思うのですが、この辺の見解については出席をしていらっしゃる各省庁いかがでございましょうか。
  66. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 食品の表示問題につきまして、農林水産省といたしましては、先生御指摘のJAS制度を通じてやっているわけでございますが、消費者にとってわかりやすい表示が行われることが第一だということで、それに努めているつもりでございます。  JAS規格を定めております三百十一のものにつきましては、品目とか原材料とか年月日、製造業者というようなものの一括表示でございますとか、食品添加物を原則として使用したすべての添加物について使用目的をあらわす用途名で表示するというようなふうに定めて、それを実行しておるわけでございますが、任意規格でJAS規格を補完するために、特に必要と認められるようなものにつきましては品質表示基準というものを別に定めまして、同様の内容の表示を義務づけるというようなことで、いろいろな方面にわたりまして消費者にとってわかりやすい表示を行うように努めているつもりでございます。
  67. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 私どもといたしましても、この表示について本当に見やすくわかりやすく効果のある表示でなければならないという点につきましては御指摘のとおりだと思います。毎年六月七日が実は計量記念日ということになっておりまして、計量に関するいろいろな知識の啓蒙、普及等をやっておりますし、またモニターを通じた調査を行っております。こういった仕組みを通じまして、一層わかりやすい正確な表示の普及に努めたいと思います。
  68. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 景品表示法の目的規定の中に確かに「一般消費者の利益を保護することを目的とする。」というふうに書いてございます。したがって、私どもの方も消費者の選択に役に立つような適正な表示が望ましい。この法律ができました経緯は先生も御承知だろうと思いますけれども、例のにせ牛缶事件がその発端になっていることは御承知のとおりであるかと思います。したがいまして、添加物につきましてもこの法律で直接強制をすることは非常に難しいので、むしろ各業界あるいは商品によって公正競争規約制度というのを設けてもらっておりまして、その中で添加物の表示方法についてそれぞれの業界ごとにルールをつくっていただいているということでございます。  食品の中では、飲用牛乳であるとか、あるいは果実飲料であるとかチョコレートとか十九の商品については公正競争規約の中で添加物の表示については義務づけが行われております。
  69. 糸久八重子

    糸久八重子君 食品表示にかかわる国内法に共通する基本的な趣旨が消費者の適正な選択に役立つためという点にあるとするならば、これは消費者問題のサイドから一元的に見直して、各法の間で重複があれば交通整理をして、そして矛盾があればそれを解消する努力が必要なのでないかと思いますけれども、その業務経済企画庁が担うほかないのではないかなと思いますけれども。この辺はいかがでございましょうか。
  70. 植苗竹司

    説明員(植苗竹司君) 先生御指摘のとおり、食品の表示につきましては、いろんな法律がその目的に従いまして、今各省がお答えいたしましたように、いろんな衛生上とか、あるいは生産、消費の合理化とか公正な競争の確保というような観点からそれぞれの目的に沿った表示を行っております。したがって項目とか、あるいは表示の範囲等につきましては、目的に従った内容になってこようかと思いますが、先生御指摘のございました消費者の適正な選択に資するわかりやすい見やすい表示というような、そういう消費者の利益の擁護、増進というような観点につきましては、我々も十分検討をしているところでございます。実は現在、消費者問題に関しまして各省の連絡担当課長を集めました連絡会がございますが、そのほかに食品に関しましては、特に関係の深い省庁を集めましめて食品連絡協議会を毎月一回開催しております。その場をかりましていろんなこういう問題についての連絡調整を行っております。先生御指摘の、消費者にとってそごないようにという御趣旨につきましては、今後ともそういう場をフルに活用いたしたして調整を図ってまいりたいと思います。  以上です。
  71. 糸久八重子

    糸久八重子君 農水省にお伺いをいたしますが、昨年の十一月の農政審議会から出されました「二十一世紀へ向けての農政の基本方向」に沿って農政が展開された場合に、二十一世紀日本国民は安くてよい食料品がどれほど恵まれるのかということですね、その辺の御見解を簡単にお伺いしたいのですが。
  72. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 今お話のございました農政審報告の中で非常に大きな力点の置かれたところが、農業の生産性を向上し、それを的確に価格に反映をさせていくということでございますので、そういうことを通じまして生産者価格、さらには消費者価格に効果が出てくるということを目指して当然努力をすべきであるというふうに考えておるところでございます。
  73. 添田増太郎

    添田増太郎君 時間が余りないようでございますので、私の場合、一括して御質問を申し上げます。したがいまして、時間の範囲内でひとつお答えをいただきたいと思います。  御承知のとおり、今や国際化時代を迎えまして日本の農政は大変な過渡期に来ていると思います。一方においては新鮮で安い食品を国民に供給しなければならない。また一方においては外国から安い食品がどんどん入ってくる。しかし、日本の農業というその基礎条件と申しますか、これは外国と比較をいたしますると大変零細であるわけであります。  したがって、今日まで農村の近代化のために農水省は大変努力をし、農民もまた一生懸命頑張ってきているわけでありますが、なかなかそれが外国の価格と肩を並べるほどのいわゆる近代化ができておらない。したがって、現在の農水省はびほう策を講ぜざるを得ないと、こういうことで大変苦慮いたしておるところだろうと思いますが、日本は御存じのとおり、穀物の自給率三三%というのは、これはまさに先進国の中で一番低いわけであります。また、食品の輸入額、輸入量、いずれも額にして約百六十八億ドルということを言われておるようでありますが、これまた世界一、先進国の中では実は多いわけであります。こういうことを考えてくると、つまり国民に不安を与えないで安定的供給をしていくということは政治上の最重要課題にもなってきているわけであります。  したがいまして、これから我が国が工業国として立っていく、そういうことを考えた場合に、これから国民のコンセンサスを得た、つまり我が国の自給率というのをどういうふうな位置に置くべきかということは極めて大事な問題であろうと思うわけであります。そういうところからいろいろと価格の問題等も論議されてくるだろうと思うわけでございます。したがいまして、その適正食糧自給率、我が国の指標は大体どの辺に置くことが一番適正かということについてまず第一点お聞かせをいただきたいと思うわけであります。  第二点は、御存じのとおり輸入農産物価格と国内生産価格とのつまり整合性の問題であります。これは大変重要であるわけであります。価格の設定、流通過程等について、つまり市場に外国から入ってくる農産物、食品が大変複雑だ、あるいはまた価格の表示と申しますか、価格の設定というのが不明朗だと、こういうふうな声が実は聞かれるわけであります。したがって、これから簡略化して、しかも明朗化していくということは特に重要になってくるわけであります。しかし、そういっても我が国のいわゆるそれぞれの農業形態を考えていくと、一概にそれもなかなかいかない、こういう難しさがあるわけでありまして、そういう点から事業団等々をつくりながら調整機能の役割を果たさせておるわけでありますが、しかし、これから明るくて安くて、つまりもって国民のニーズにこたえていくということを考えたら、今後の事業団の価格設定の明朗化あるいは指導強化というのは、これは重要ないわゆる食品価格の設定になってくるわけであります。したがいまして、その点についてどう考えておられるかということであります。  それから、我が国の農産物の価格形態は、保証価格制度あるいは管理価格制度、あるいは安定帯価格制度、いろいろそういう制度によって、つまり生産者と消費者の間に立っていろいろと政府は苦慮をされて価格設定をやられておるわけでありますが、この際に、私どもいつも考えるわけでありますが、非常に価格設定の基準というのがばらばらであるわけであります。片方はいわゆる生産費所得補償方式で計算をするとか、あるいは片方は流通の実勢市価等を勘案しながら計算するとか、いろいろその都度その都度変化があり、またそれぞれのそういう管理価格制度等に対しての算定の基準というのがばらばらであるわけでありまして、したがって、これは将来を考えたときに、つまりこういう状態でいくとますます国民から農水省は価格設定が不明朗であり、消費者の味方でもない、こういうことになってくると消費者から背を向けられていく。したがって、こういう価格設定に当たっては統一的なものをちゃんとつくって、まあ今までも過去の歴史を踏まえながらありますが、さらに共通点はきちっと整理をして、ここは皆大体同じだよと、こういう指導をやっていかないと国民も安心してその価格等を信じない、私はこういう現象が今出ているんじゃないかと思うので、この辺についての見解をお聞かせをいただきたいと思います。  それから、先ほどいろいろ米の問題についての説明があったわけでございますが、我が国に輸入をして即我が国民の食品にたえられるという、つまり外米でございますが、これは考えてみると、タイのインディカ系なんというのは、これはちょっと日本の好みに合わない。したがって、ジャポニカ系のカリフォルニア米、こういうことにならざるを得ないと思うわけであります。そうなってくると、国民は外国からもう安い米は買ったらいいんじゃないかという考えを持つ方もあるわけでありますが、しかし我が国の国民のいわゆる嗜好に合う米というのは考えてみると限られた数量しか生産されていない、こういうことを考えてくると、果たしてこの米の自由化等によって貿易摩擦が解消されるという、その部分というのはどのくらいなのかという懸念を持つわけであります。もうそれはほんのわずかじゃなかろうかというふうに考えるわけでありますが、カリフォルニア米の実態、そして我が国がもしも輸入可能だとするならば、その数量、そして金額、果たして貿易黒字解消にどのくらいの貢献度があるのか、こういうことについてひとつお聞かせをいただきたいと思います。  それから、これは通産省に質問するわけでありますが、先ほどエンゲル係数の説明がございまして、まあ欧州並みだということであります。しかし、我が国の家計の中で消費支出に占める食料支出でございますが、これは先進国の中で最も高い、こう一方で言われておるわけであります。しかし、これは考えてみると、食生活の変化、婦人の職場への進出、あるいは余暇の増加、そういう国民生活環境の変化によりまして、つまり加工食品や外食への依存度というのが非常に高くなってきて、家計費に占める割合というのが大きくなってきているわけであります。ちなみに私どもの調べによりますると、昭和三十年には四三%であったものが五十九年には実に六二%を占めるようになったわけでありまして、一方、生鮮食料品等の占める支出の割合というのは大体三八%であるようでありますが、これが年々低下をいたしておる。こういう状態を見ると、農産物も若干高いが、しかし飲食費が大きなウエートを占めているという中身においては、つまり加工食品や外食依存度というものが非常に高いわけでありますから、このコストの低減を図らなければ、我が国の国民の食料費の減少という方向にはならない、こういうふうに考えるわけであります。  したがいまして、通産省におきましては加工食品や外食産業、こういうものに対していかに低コストで国民に供給できるかという指導体制の強化というのはこれは非常に大事になってきているわけであります。先ほどもいろいろと工夫をされてやっておられるようでありますが、さらにひとつそういう分野においての今後の指導強化についてどうお考えになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思うわけであります。  それから、公正取引委員会の事務局の方にお尋ねをするわけでありますが、円高になって安くなってきております輸入品目がありますが、しかしブランド製品が少しも下がっていない。これは一体どういうことなのか、もう少し具体的に説明をしていただきたいと思います。  それから、先ほども説明がございましたが、並行輸入それから総代理店輸入の調整指導というのは確かにこれからもさらに強化するということは当然であります。しかし、どうもおかしいもので、デメリットというのは急速に下部に浸透するんでありますが、メリットというのはなかなか下部に浸透が遅くて浅いわけであります。したがって、今国民からいろいろと不満や不平が出ておるわけでありますが、行政指導あるいはまた業者の良識的な判断、こういうことにまつしかないわけでありますが、いろいろ実態調査をされて先ほど中間発表されておるわけでありますが、この実態調査、これがやはりまとまり次第早急に国民にわかるように公表していただきたい。いろいろそれは問題があろうと思いますが、やはり国民は知らないわけであります。したがって、これは国民にわかるように教えてやる、親切に教えてやるということがつまり国民の納得を得る最も大事なことなのでございまして、今後まとまり次第、この報告はどういう形で報告されるのか、これからの考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。  以上です。
  74. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 最初の三点につきまして、まず私の方からお答えをさせていただきたいと思います。  第一点は自給率をめぐる問題であると思います。先生御指摘のございましたように、穀物自給率では確かに先進国中で最低の水準と申し上げてよろしかろうと思います。また、輸入量が世界で最大であるということも御指摘のとおりでございます。そういった中で国民への食糧供給というものを今後どのように考えていくかという点でございますが、やはり何と申しましても食糧は国民生活の最も基礎的な物資でございますので、これの安定供給を図っていくということは農政の基本的な課題であるというふうに考えているところでございまして、そのためにも国民の納得し得る価格での食糧の安定供給に努めるということが基本的に大切であるというふうに考えているわけでございます。  お話しございましたように、国土条件の制約がございます。零細な土地保有規模という問題がございますし、地形的な制約あるいは気象上の制約等もございます。そういった中でございますが、最大限の生産性の向上を図りながら、これによって国内での基本的な食糧供給力の確保ということに努めていく必要があるというふうに考えているわけでございまして、農政審議会の報告におきましても、このことがやはり基本的な課題ということで位置づけられている状況でございます。  そういった観点から各種の施策を展開していく必要があると思うわけでございますが、自給率の問題につきましては、食生活の変化等を反映いたしまして、御承知のように、飼料穀物の輸入依存がふえてきているというような状況の変化がございまして、そういった点から穀物の自給率が経年的にも下がってきているという状況にあるわけでございますが、飼料穀物につきましては、畜産物の需要の増大に伴いまして輸入がふえていくということはやむを得ないのではないかというふうに考えているところでございます。  一方、国民の主食でございます米につきましては、水田が我が国の食糧生産力の基幹であるということもございますし、また国土保全上も非常に重要な役割を果たしているという位置づけからいたしまして、また消費者にとっても依然として非常に重要な食糧であるという点からいたしまして、やはりこれについては需給の均衡を図りながら自給を図っていくという考え方で貫いているところでございます。  また、野菜、果実、畜産物、こういったものにつきましては、それぞれ供給条件の制約というものは一部にございますけれども、相当程度高い自給率を維持していくということが必要であるというふうに考えているところでございまして、先生のお話にもございましたように、価格面での合理化というものを進めながら、そういった供給体制を維持し、基本的な生産力というものを維持していくことが国として極めて大切であるという認識に基づいて努力をしてまいる必要があるというふうに考えているところでございます。  第二点は、輸入価格と国内価格との関連、また、それに関連をいたしまして、事業団等の役割、機能といったような御指摘であったというふうに思います。輸入の差益還元との関連等でよく御論議があったわけでございますけれども、農産物は、生産側では気象条件等の影響を受けて供給が非常に変動をいたしますし、一方で需要の方はかなり硬直的なものが多うございます。そういった意味から、各種の主要な農産物について価格安定制度が設けられているということは御承知のとおりでございまして、物によりましてその価格安定のメカニズムが違っております。事業団等によりまして需給調整をしながら安定をさせるもの、あるいは政府の支持買い入れというような形で調整をするもの、あるいは、お話にもございましたように、米等は管理価格ということで調整をしておるわけでございます。  そういった価格安定制度との関連がございますので、国際価格と申しますか、輸入価格をそのまま国内のマーケットの価格にはね返すということは、そういった価格安定制度の目的からいたしまして困難なものがあるわけでございまして、そういったものにつきましては、価格が高騰するときには、例えば麦が昭和四十年代の終わりに高騰いたしましたときには、かなりの財政負担の持ち出しでこの価格安定を図ったというような経過もあるわけでございますし、そういった価格安定制度の機能を損なわない範囲での取り扱いということが必要であるわけでございます。牛肉等につきましては、昨年、安定帯価格も引き下げをしたわけでございますが、畜産事業団の売り渡し価格をその安定帯価格との関係をにらみながら引き下げをいたしまして、市場価格へのはね返しに努めたといったような経過があるわけでございます。  また、各農産物によって事業団の役割も多少違っておりますが、事業団の運営に当たって、御指摘のような明朗でないというような点、具体的にどういうことか、私、ちょっとよくわかりませんけれども、そういうことが言われないような運営に日ごろから努めているつもりでございますけれども、そういった面で改善を要すべき点については今後とも努力をしていく必要があろうというふうに思っておりますが、価格安定制度の趣旨ということが一方でございますので、何といいましても、先ほど来御論議がございましたように、生産性の向上をしながら価格水準そのものを適正にしていくという努力を基本的にやりながら消費者の御理解を得ていくように努力するということが一番の基本ではないかというふうに考える次第でございます。  第三点は、価格安定制度あるいは価格設定基準がいろいろ物によってばらばらではないか、これを統一できないかという趣旨のお尋ねであったというふうに思います。この点につきましては、先生も御承知のように、物、商品としての特性も実は農産物でばらばらでございまして、食生活に占める地位の違いというものもございますし、また、物として貯蔵できるかどうかというような安定手法の違いというようなこともございます。また、例えば畜産物のように供給構造からある程度の価格変動というものが免れ得ない、こういったようなものは、市場価格をある幅の中に安定させるということを目的として需給実勢で価格安定帯を設定いたしまして、需給操作でその幅の中におさまるように努力をしていくという仕組みになっておりますし、米のようなものにつきましては、お話にございましたように管理価格というようなことでやっておるわけでございます。  また、野菜とか鶏卵というようなものは相当程度価格変動がございますが、これを直接的に市場価格を安定させる手法というものはなかなか困難でございますので、むしろ暴落をしたときに日ごろ積み立てておいたもので生産者に対して補てんを行う、そういう形で生産の安定に努めて、次の暴騰というようなことにならないような努力をする、そういったふうに商品の特性なり位置づけに応じまして各種の制度ができているわけでございまして、そういった目的に応じまして価格設定の方法というものが異なってくるという面があるというふうに考えているわけでございますが、基本的には、これまた、農政審議会の報告の趣旨にも沿いまして生産性向上の成果を的確に反映させていく、また、消費者にできるだけいいものを提供するという観点からの品質格差の取り扱い、そういった点を含めまして、価格の設定基準につきましてはなおよく今後改善すべき点は改善に努めながら努力をしていく必要があるというふうに考えておるところでございますが、統一をするということについてはなかなかそういった意味で難しい問題があるということにつきましても御理解をちょうだいをいたしたいというふうに思うところでございます。  外米の問題は食糧庁から。
  75. 長田裕二

    ○会長(長田裕二君) 簡潔に願います。
  76. 日出英輔

    説明員(日出英輔君) 先生のお尋ねは、日本人の嗜好に合った米としてジャポニカ種の加州米があるんだけれどもその実態はどうだろうかということと、これを仮に輸入をいたしましたときに貿易摩擦にいわゆる貢献するのかどうかといったような点だったと思います。  先生おっしゃいましたように、世界の米生産約五億トンということで、小麦なりトウモロコシも、くしくも五億トン程度の世界で生産がございますが、こういった小麦、トウモロコシと違いまして、米はある意味では自給を中心としました生産ということで、商業輸出を前提とした小麦なり大豆、トウモロコシといったものとそういう意味では生産の実態が違っておるわけでございます。約五億トンの中で、最大の中国が一億七千万トン、インドが一億トンといったふうにアジアのモンスーン地帯に生産されておりまして、ある意味で商業輸出を前提といたしておりますのはアメリカ、タイの二カ国ぐらいだというふうにお考えいただいて結構だと思います。  この中でいわゆる先生お話しのアメリカでございますが、アメリカも、前提としますと、カリフォルニアとミシシッピの付近の五州、都合六州で米生産が行われておりますが、日本人の嗜好に合いますジャポニカ種はいわゆるカリフォルニアで生産されるだけでございます。世界的に商業輸出の対象となりますのは、いわゆる日本人の嗜好に合いますジャポニカ種ではございませんで、いわゆるインディカ種と言われる長粒種でございます。大変ジャポニカ種というのはある意味で非常に小さな、そういう意味では国際貿易の中でも非常にウエートとしてはまずます小さなものになっております。カリフォルニアのこの円粒種といいますか、ジャポニカ種の生産でございますが、直接の短粒種と言われますのが約三十万トン、それから大体ジャポニカ系だと言われております中粒種が九十万トン、合計いたしますとざっと百二十万トンぐらいがジャポニカ種系列だろうというふうに言われております。その他アメリカでは約六百万トン強の生産がございますが、ほかはすべて長粒種ということでございます。  カリフォルニアの米につきましても、東洋系の方を中心にしまして消費されておりまして、そうたくさん貿易力があるというふうには伺っておりません。これにつきまして、我が国には昨年、全米精米業者協会からのアメリカの通商法三百一条提訴という関係で米の輸入の話が出てきたわけでございますが、アメリカ側の方も直接政府に言ってきたわけではございませんが、二十万トンとか三十万トンとかいうオーダーで、加工用でありますとか援助米という形で我が国が輸入できないかといったようなことが、直接的ではありませんが、何かそういった話が出たというふうなことを承知しておりますが、そういう意味で、数量的にそう大きなものが我が国に今必らず入ってくるような、そういう米の生産状況なり貿易状況ではございません。  そういう意味で、後段のお尋ねで、輸入すれば貿易摩擦にどの程度貢献するかということについては、まあこういったオーダーの話でございますので、これは米の輸入自体につきまして五十九年に自給の決議が、衆参両院の決議が行われておりますので、私どもそもそもとれませんけれども、そういう前提でなくても、計算をするだけの話としましても、この貿易摩擦にどれだけ貢献するかということについては非常に小さなものだろうというふうに考えておる次第でございます。
  77. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 家計支出の変化に伴う問題について御指摘でございます。加工食品につきましては後ほど農水省の方からお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、その流通につきましては、先ほど御説明しましたように流適合理化策の一環として今後とも力を入れてまいります。  外食につきましては、確かにそのウエートが非常にふえてきております。私どもは、昨年来サービス産業の振興策というのを少し体系的に整理をいたしてきておりますが、外食産業も広い意味のサービス産業の一つとして考えております。今サービス業のウエートが非常に全体として高まっておりますが、大変競争が激しい業界でございます。いろいろのところからニューエントリーがございますので、競争を通じて適正な価格になっていくものと基本的には期待されますが、一方におきまして経済全体がソフト化、サービス化する中でサービス産業のハード化ということが言われておりまして、製造業等の古い産業で開発され、体系化された新しい技術、これは情報技術を含めて、これを外食産業も含めたサービス業が取り入れていくという動きがございます。こういった点に着眼しまして、広義のサービス産業振興策の中で御指摘の点も十分配慮してやってまいりたいと思います。
  78. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 生活形態の変化の中で先生おっしゃいます加工食品でございますとか外食のウエートが高まってくるということはどこの国も共通でございます。我が国の外食のウエートが西欧と同じぐらいの家計支出に占める割合であるということは先ほど御説明したとおりでございますが、この外食も含めまして食料品の製造業、流通業、大変に競争の激しい分野でございます。お互いにしのぎを削ってコストの節減に努めているというところかと思うわけでございます。  その中で生産性の向上も見られるわけでございますが、ただ一つ食品製造業の中で私ども注目しておりますのは、今後さらに生産性の向上発展ということを考えてまいりますと、研究開発投資がほかの産業に比べまして若干投下の度合いが低いのではないかというふうに考えております。全製造業の製造出荷額に対します開発研究費の割合というのを五十九年でとりますと一・九%でございますが、食品製造業におきましては〇・四%である。ほかの業種に比べましてちょっと水準が低いわけでございます。このようなところに少し今後視点を合わせまして私どもの役所もさらに生産性の向上が見られるように応援をしてまいりたいと考えているわけでございます。  また、流通の面につきしては、先ほども御説明いたしましたとおり、食料品、生鮮物につきましては市場の流通が一番基本でございます。この市場整備に従来ともに今後も努めてまいるということのほかに、鮮魚の小売業でございますとか青果物の小売業でございますとか、そういう一般小売業の方々の組織化あるいはシステム化というような点にも融資その他を通じまして対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  79. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 先ほど私説明を省略いたしました参考資料、時間もございますので、ちょっと恐縮でございますが、ごらんをいただきたいと思います。  二ページにスコッチウイスキーについてどのような値づけが行われているかということを表示をしたグラフがございます。この図の1というのをごらんをいただきたいと思います。これをごらんをいただきますと、実は、この商品、標準小売価格八千円という値段でデパートなどで売られているものというふうに御理解をいただきたいと思います。この商品がその後円高に伴ってどういう価格形成になっているかということを棒グラフで示したものでございます。点線で囲っております代理店の方でございますが、八千円のところで七四・一%、つまり七四・一%のお店はまだ八千円で売っていたということであります。これに対して斜線で囲ってある部分、これが並行輸入業者でございますが、四千円のところをごらんをいただきますと、三九・四%のお店が実は四千円にしていたということでございます。  確かに、今先生から御指摘ございましたように、円高のメリットが浸透が遅くて浅いというのはここいらあたりからも読み取っていただけるかと思いますけれども、実は総代理店側の言い分もございまして、円高の差益をなるべく享受したい、あるいはある程度安定的な価格で販売したい、あるいは安くするとかえってブランドイメージを損なってしまうんだというような言い分も一方であるわけであります。ただ、これでごらんをいただいたように、価格面から見てみますと、並行輸入が価格に及ぼしている影響というのは非常に大きいことが一目瞭然ではないかというふうに思われるわけでございまして、これが結局、輸入総代理店の価格形成にもまた影響を及ぼしていくだろうということで、私どもはやはり並行輸入の意義というのはこの面にも十分に出ているというふうに評価をいたしております。  こういったことを含めまして、私ども先日十二月に中間ということで発表いたしたわけでございますけれども、今度は最終報告ということで、なるべく先生御指摘のように、わかりやすく、皆さんにわかっていただけるようにこういった資料を公表いたしたい、こういうふうに考えております。
  80. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 私、持ち時間が少ないものですから、先に質問だけを列挙させていただきます。  一番最初は、きょうは私、厚生省を本来お呼びしておけばよかったんじゃないかと思うんですが、食糧、食品の輸入に当たって、やはり主婦たちはその安全性に関するチェックというものをどうしても考えますものですから、きょう厚生省も最初から一緒に入っていただくべきじゃなかったかなというふうに思うんです、食品衛生法等がかわってまいりますので。これは私の希望です。  したがいまして、大変恐縮なんですが、農林水産省、植防法の関係のことだけについて伺いますが、先般ここの調査会で、市川の税関に勉強に行きました。ところが、そこは私の大変興味がありますところの生ものがないんでございまして、生ものは成田にあるわけですね。あそこで一日に入ってくる量の植防法の調査をやるでしょう。それに引っかかって薫蒸庫に入るのはどんな種類のものがあるんですかという、全く単純な関心なんでございますけれども、もしもそれがわかれば教えていただきたい。  それからもう一つは、アクションプログラムを何次かにわたってやりました。そのときに、基準・認証制度を自己認証制度に切りかえまして、例えば事前届け出制とか、届け不要になったものもあります。それから、一度届け出したらば三年は有効というような自己認証的制度に対象物が変わったものが幾つかありますね、農産物でも。その手の制度を切りかえることによって、どんなメリットが出てきたのですかというのが大変関心があるんです。それは実は、消費者団体からは、逆に食品、食糧のチェックが甘くなったのではないかというデメリットの声の方しか私どもには入ってこないものですから、自己認証制度に変えることによってどんなメリットが出てきたのかということ。恐らく、輸出をする側の方からいけば、上陸手続が簡単になったということになるわけですけれども、我が国の側からいった場合に、それはどういうことを意味するのか。このことについて、これは通産省も一緒なんですが、ちょっとお伺いしたいんです。  それから二番目は、これも通産にお伺いする中身かどうかわかりませんが、先ほど来輸入総代理店の話が出ました。そして並行輸入の話が出ました。私は、これは並行輸入の一環に入ってくるんだろうと思うんだけれども、個人代理店という制度がありますね。この個人代理店の制度について、これはどういうふうに位置づければよろしいのか。それともこれは異端児なのかということなんです。ただ、西武百貨店等が日通と提携して海外情報センターをつくって個人輸入の促進の一役を買うということで大変取り組みを始めているというような例も出ておりますね。こういう個人輸入代理店のようなもの、こういうのはどういうふうに認知をし、あるいは今後どういう傾向を持っていくのかということを一つ伺いたいわけでございます。  並行輸入、私どもは賛成でございまして、だんだんこれを改善しながら、いい形に定着させるべきである、むしろ正しい競争が行われるべきであるということで賛成でございます。  それから、返品の制度について通産省も公取さんの方もさわられたんですけれども、この返品制度は日本の商取引の中に古来からあるもので、別に何ら問題のないことになるんですが、先ほど公正取引委員会でもこの返品制度についてのガイドライン等をつくっていくというお話をなさっておられましたが、その返品のリスクはどこがしようのか、だれがしょうのか、物と次第とその事例によっても恐らく違うわけですけれども、そういうふうなことも大変関心のあるところなので、一体どんなガイドラインを頭に置いておられるのかを伺いたいわけです。  それから、あわせて公取さんにお伺いしたいのは、私が大変昔から興味があります先ほど来出ている比較広告の問題でございます。この比較広告の問題というのは、消費者団体の中でもずっといろいろ問題にしてきたわけです。先ほどの御説明の中では、輸入品も消費者に誤認を与えない形の比較広告であればむしろどんどんやっていいんだということでございます。    〔会長退席、理事坂野重信君着席〕  私は、個人の意見ですけれども、この比較広告は大変難しいのではないかというふうに思っています。したがいまして、いかなるガイドラインができるのかというので、これも大変関心のあるところでございまして御説明をいただきたい。  それから、通産省さん最後にお伺いしたいんですが、先ほどからお話が出ておりますように、円高差益の問題です。円高差益が大分実現してきているというふうには言われているんだけれども、これは二月七日の日経新聞で値下がりしない輸入品もあると、流通経路にメスを入れる必要ありということの記事を私読みましたんですが、確かにそのとおりで、私手元に持っておりますこの資料、経済企画庁さんから二月ごろもらっておいたんですが、その中で、「小売価格に占める輸入原材料のコストの事例調査」というのが出ているわけです。大変勉強になりますので、とってお読みになっていただきたい。農水省も関係あります。  その中で、例えば通産省なんかにかかわるアルミのなべ、このアルミのなべが小売価格で二千円で売られているとするでしょう。これの輸入原材料割合は九%でしかないわけ、百八十円となっています。そうすると、例えば原料輸入のようなものについて、価格が下がるか下がるかと言っても下がならないものもあるわけね。これは農水省でいくと豆腐の例なんです。大豆が安くなった安くなったと言うけれども、小売価格に占める割合は七%で、たった四円なんですね。これを下げろ下げろと言うのは、確かに消費者も無理だというのは、この一覧表見て私もわかった。  これは農水省さん答弁結構。しかし通産省さん、それなら値下がりしない輸入品について、その流通経路にメスを入れると言うけれども、一体どういうところが一番問題だと思っているのか。先ほど来からいろいろ御説明もあるし、これも読みました。読みましたけれども、さらにお伺いをしたい。  まあこの手の問題、お聞きしたいことたくさんあるんでございますけれども、何せ時間がありませんので、当面この辺でやめます。
  81. 岩本毅

    説明員(岩本毅君) 最初の輸入農産物の薫蒸処理の問題について御説明したいと思いますが、御案内のように植物検疫は、我が国への病害虫の海外からの侵入を防止するために実施しておるものでございます。したがいまして、海外から輸入された農産物が我が国の港で検査を受け、その結果、病害虫が発見された場合にのみ薫蒸処理をするということでございまして、すべての農産物について処理をしているということではないということでございます。  それから、品目でございますが、いろんな品目がありますが、例えば切り花だとか、種苗だとか、果物といったようなものがこの薫蒸の対象になるわけでございます。用いられる薬剤につきましては、当然農薬取締法の規定に基づきまして安全性が確認された薬剤が使われているというのが現状でございます。
  82. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 大変たくさん御指摘がありまして、時間がないので、詳しく申し上げたいんですが、簡単にだけお答えさしていただきます。  まず第一に、自己認証の問題でございますが、もちろんこれは規制は必要最小限であるべきですから、私ども常に見直しをして、消費者に必要なぎりぎり最小限の規制であるべきだと思っております。今日までこのアクションプログラムの結果によりましてマイナスの問題が出てきたものはございません。プラスの面については、これは何と申しましても諸外国からどんな小さな問題でもシンボリックに取り上げられまして、日本は残念ながら袋たたきに遭っております。同じことをやっても、ドイツがやれば言われないのに日本がやると言われる。私どもはそれをおかしいではないかと言いますけれども、日本は黒字大国だから言うぞと、こう言われるものですから、国際経済の中で生きていく上でこういったアクションプログラムをやってきたことは効果を上げてきたことと思います。  第二点の個人輸入につきましては、消費者にとっては安く買い物ができるということ、それから国際化時代における消費者意識の向上ということにもつながりまして、発言する消費者ということにつながっていく結構なことだと思いますが、一方において、これをやるための代理店というのは新しいビジネスでございますから、まだ定着しているとは言えません。したがいまして、消費者にとってもある程度のリスクがあり得る話でございます。そこで、安心できる企業がしっかりした代理業務をやってくれるのが望ましいことだと思います。そういう芽が出てきております。これはあくまで一つの輸入の代理業務でございますから、特定のものについてここで今政策的に何か補助金を出すとか、そういった形で応援をするというものではないと思いますけれども、立派なそういう代理業務が育つようにモラルサポートといいますか、精神的な支援をし、温かい目で見ていきたいと思っております。  三つ目の返品の問題ですが、これは法規制については公正取引委員会からお答えがあると思いますが、ひとつ御理解いただきたいのは、日本の例えば百貨店をとりますと、扱っている品物は単品で数えますと四百万種、五百万種という数になります。こういう非常にたくさんな物を集積している小売業態というのは、これは日本独特のものでございます。例えばヨーロッパの百貨店ですとこんなに品ぞろえはないわけです。したがってこういった非常にたくさんの物を集積して便利な買い物の機会を提供しているということの裏側に、必ずしも全部ぴたり売れる物だけ仕入れるというふうに見通しが立てがたいというような状況があるわけですし、逆に納入する側からすれば、とにかく店に置かしてもらいたいという要請もあるわけです。したがいましてそのときのリスクが合理的に処理されていることが必要だと思いまして、どういうふうに合理的であるべきか、公取委員会からお答えあると思いますけれども、不公正な取引にならないようなものであるべきだということでございます。  それから、円高差益につきまして、アルミなべの例はおっしゃるとおりでございまして、原材料が何割下がっても、そもそも全体の九%ぐらいしか占めていなければ全体の影響は非常に小さいわけでございます。これは仕方がないことでございますけれども、だからといってネダって無視していいんだということではなく、少しのものでも下げる努力をすべきであるという姿勢で当たっております。具体的にメスをどこに入れるかというのは、これは私どもの調査では、四回調査を既に行っておりますけれども、ことしの調査は一月に行いました。昨年の三月、六月、九月、そしてことしの一月と、回を追うごとに差益還元の範囲が広がってきております。これは確実に広がってきておりまして、最後にハードコアで残っておりますのが、典型的には香水、オーデコロンでございまして、これが最後に全然下がらないカテゴリーがたった一つ、三十分の一、一つ残りました。しかし、そのほかのところでは着実にふえてきております。どういう物が残るかというと、結局ブランド信仰の物が最後に残りそうなわけでございますけれども、これは消費の特性に根差しているものでございますから、一朝一夕にこの購買習慣を変えるということはできないかと思います。  しかし、それにもかかわらず、例えば百貨店、大型チェーンストアの場合には、これ大方のものは専門の商社が入れておるわけでございますが、専門商社にぜひとも下げてもらいたい、我が店も通産大臣から直接協力を言われておるのでぜひ下げてくれ、協力ができないならば当店への納入はしばらく遠慮してもらおうかというくらいのせりふを使っておりますというくらい、私は担当重役さんから聞いておりますが、そういう姿勢でやっているということを御報告させていただきます。
  83. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 返品の問題と比較広告の問題、二点に限って私から申し上げたいと思います。  返品の問題は、先生御指摘のように非常に長年根づいております正常な商慣習の一つであろうというふうに基本的には私ども思っておりますが、一番問題になりますのは、やはり優越的な地位を利用した返品であろうと、したがって対等な取引の間で起こる返品というのは私ども今対象にするつもりは全くございませんということが一つ。  それから第二番目は、リスクの負担でございますが、ということであれば、事前に納得づくで、それぞれいろんな取引条件の中で返品の問題も織り込んであらかじめ決まっていれば問題はないだろうということでございまして、ともすると日本の取引というのはなあなあといいますか、長年の取引の中で口頭で行われる話が多いわけでございますので、そこのところをなるべく書面化をして、あらかじめこれは返品ができるものであるというふうにきちっと整理できるかどうか、そこのところを筋道をつけて、リスク負担の問題と裏腹の問題として我々は対処していきたいということでございます。したがって、どの程度今日本の商慣行の中で契約の文書化ということが進められるかどうかという点については私もそう楽観はいたしておりませんけれども、やはりそういった一つのルール化ができないのかなということを考えていることが第二番目でございます。  それから第三番目は、やはり今通産省の方からも御説明ございましたように、一つの返品のメリットとして、新規の商品を消費者の目に触れさせていくのにやはり返品が条件づきになっています方が当該小売店が扱ってくれるケースというのがかなり多いわけでございます。したがって、そういう立場でいろいろ評価をしていきますと、やはりある程度返品というのはそういう意味で積極的に評価はしなきゃいけないんで、各商品特性あるいは売り方の特性の中にそういった合理性を持っている場合というのがあるはずでございます。例えば季節商品などを頭に思い浮かべていただくと一番わかりやすいんだろうと思いますけれども、秋口になって蚊取り線香、これは売れないわけでございまして、もうそういうものは当然最初から返品があるというふうに考えられるような商品もたくさんございます。  また一方では、問屋さんの方がむしろ自分のところの拡販、販売促進をしようということでいろいろ催し物をする場合があるわけでございます。これはメーカーなり卸屋さんの方が小売屋さんの店頭を借りて積極的に売ろうという場合でございまして、これもむしろ主導権がメーカーなり卸屋さんにある場合、やはりある程度残っても、これはメーカーなり、あるいは卸屋さんの方が自己で最初からそのリスクは承知をしているわけでございますから、そういったような具体的な例をなるべく私ども整理をして、そういう場合には不当な返品が生じにくいというふうに考えていく。そういうふうに商慣行上比較的双方に対して客観的に我々として合理性が認められるようなものは、これは不当な返品にならないというような整理をひとつしていきたいと、こういうふうな三本柱で今考えているわけでございます。  それから、第二番目の比較広告の問題でございますが、これは昨年基本的に三つの考え方というのを私ども明らかにしておりまして、一応次のような比較広告、これはやはり不当表示に該当するおそれがありますということで三つの例を出しております。  一つは、実証されていない、または実証され得ない事実を挙げて比較をするもの。第二番目は、一般消費者の商品選択にとって重要でない事項を重要であるかのように強調して比較をするもの及び比較する商品を恣意的に選び出すなど不公正な基準によって比較するもの。三番目は、一般消費者に対する具体的な情報提供ではなく、単に競争事業者またはその商品等を中傷し、または誹謗するものというようなものはやはり不当表示に該当しますよということで、大ざっぱな柱は出したわけでございます。これを今敷衍をいたしましてガイドラインを作成いたしておりますが、私ども決してそういう意味ではこれを積極的にやりなさいと言うつもりはございませんで、むしろこれまでそういった外国等からの批判にこたえて、景品表示法は決して禁止をしているものではありません、むしろ適正な表示をこういう形でおやりいただくことは私どもとしてある意味で当然のことですので、そういう意味で考え方を明らかにして、皆さんがおやりになりたい、あるいはやることに効果があると思われたときにはどうぞおやりくださいという考え方を私ども表明しようと、こういうふうに考えているわけでございます。
  84. 刈田貞子

    ○刈田貞子君 公正取引委員会にちょっとお伺いしますけれども、この返品という制度は国際取引の中でなじむ行為なんでしょうか、どうなんでしょうか。この間チェルノブイリの原発の事故の影響が食品に対していろいろ出てきているというふうなことから、トルコナッツの返品をやったというのを何か私新聞で読んだんですけれども、こういうことができるようになるのならばいいなというふうに思ったんですが、返品という行為は国際取引の中でもこれまでもあり、そしてこれは今後もなじんでいくことなのか、どうなんでしょうか。
  85. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 事実上、非常に国境をまたがって、特に日本の場合遠距離のものが多いわけでございまして、外国に現実に戻っていくものは少ないというふうに私は承知をいたしております。
  86. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 最初に農水省に四点御質問しますが、農産物の市場開放攻勢が大変強いのですが、その背景にあるのはもとより、日米間の貿易摩擦。もう一つアメリカの農産物輸出全体の落ち込みや、あるいは深刻な農業不況があるんじゃないか。この辺の農水省の認識をお聞きしたいと思います。  第二点は農水産物の輸入規制。これは最近非常に緩和されてまいりましたが、まだまだ外国に比べれば多いと思うんですが、しかし我が国の実情から比べれば大分緩和されてきたんですが、先進諸外国に比較して立ちおくれていると考えられますか。  第三点は関税。関税率も大変引き下げが進んでいまして、諸外国の中で一番関税率は低いんですね、二・五。ECが二・七、アメリカが三・五ですから大変低くなっておると思います。となりますと、関税の本来の趣旨である弱体産業の保護手段としての機能が失われてきているんじゃないか、この点の認識。  第四点は卸売市場の問題ですが、大市場への過度の集中が起きているんじゃないか。要するに大産地偏重、大量輸送中心という、いわば青果物流通政策のトラブルですね。小さな市場あるいは小生産地がつぶれてきているわけですね。しかし、やはり生鮮食料品については地域との結びつきが大変大事だと思うんですね。大きいところだけが大事じゃない。大と小両方育てる必要があるんじゃないか。  以上の四点について簡潔にお答えいただきたいと思います。
  87. 塩飽二郎

    説明員(塩飽二郎君) 最初の三点について私の方から簡単に御説明を申し上げたいと思います。  日米の貿易摩擦の背景にはいろんな原因が絡んでいるわけでございますが、確かに今近藤先生から御指摘がありましたように、農産物の分野でも、アメリカ世界一と言われている農業貿易でございますが、大変厳しい状況になっているということが背景にあることは間違いないわけでございます。ちょっと数字を申し上げますと、アメリカの農業はかつて、一九八一年には四百三十八億ドルも世界に向かって輸出をしていたわけでございますが、急速に落ち込んでおりまして、昨年は二百六十三億ドルという大変な落ち込みでございます。依然としてアメリカの輸出力は相当強いわけでございますが、こういう数字で見ますと非常に落ち込んでいる。かつては農産物だけで二百数十億ドルの黒字をアメリカは稼いでいたわけでございますが、それもわずか六年前に稼いでいたわけでございますが、昨年あたりはついに百億ドルを切って五十四億ドルしか黒字を稼いでいないというような状況で、したがって、小麦ですとか大豆ですとかあるいはトウモロコシといったようなアメリカが比較的得意としている分野でも世界の全体の貿易に占めるアメリカのシェアが非常に低下してきているということがございます。  また、同様にお話しのございましたアメリカの農業者はやはり大変輸出に依存する度合いが高いものですから、輸出の状況が悪いということが即農業経営をヒットしているということで、もちろん経営規模による格差はございますが、特に中核的な家族経営と言われるようなタイプの農家の経営状況が非常によくない。かてて加えて、農産物の価格がよくないものですから資産価値も落ちてきているというようなことで、資産と負債の割合が非常によくない状況になっているというようなことが言われるわけでございます。そういうことがやはり日米の農産物の摩擦現象の一番基本的なところにあるんじゃないかというふうに私どもも認識しているわけでございます。  それからもう一つ、諸外国に比べまして輸入面での規制がどうなんだというお尋ねでございましたが、これは関税とそれからその他の特に輸入制限との問題が絡むわけでございますが、関税につきましては、先ほど先生かるお話しがございましたように、日本の平均的な関税率は、鉱産品、工業品も含めまして非常に低いわけですが、農産物につきましても累次の引き下げによりましてかなり低くなってきておりまして、アメリカは確かに関税の面でも平均的に三%ぐらいでございまして、最も低い部類でございますが、日本は七%から八%の間ぐらいに実行税率がなっているというふうに見ております。それに対しましてECは御承知のように、関税のほかに輸入課徴金制度という独自の制度を設けておりますので、そういった輸入課徴金の効果も勘案して比較をいたしますとECは一二、三%の平均的な関税率相当額になるわけでございまして、関税の面でも、中には一部比較的高い関税率のものもございますが、平均的に見ますとやはり日本の農産物の全般的な関税はそんなに高い部類じゃないということが言えようかと思います。  それから第二の輸入制限につきましても、御承知のように、二十二品目につきまして輸入制限制度が残されているわけでございますが、例えばアメリカでもウェーバーによる輸入制限ですとかあるいは食肉法による同様の効果を持った輸入制限でございますとか、そういったものがやはり二十品目近く残っているわけでございます。それからECの場合は、基本的な農産物につきましては輸入課徴金によりまして基本的には輸入調整をやっておるわけでございますが、それが基本物資と言われる約六十数品目の品目をカバーしております。確かに価格的な調整をやるものでございますが、物によりましては一〇〇%以上の関税に相当するような高い課徴金率になっているという意味では国際的には輸入課徴金も数量制限の効果と同様の効果を持つものではないかというような見方もなされているわけでございます。  それからまた、共通関税以外に、EC加盟国個々の国が幾つかの地域性のある産品につきまして輸入制限をやっている例がございまして、そういうことを総合的に勘案いたしますと、日本の場合、関税面につきましてもあるいは輸入制限につきましても、特に我が国の輸入措置が規制力が強いということは言えないんではないかというふうに認識をいたしております。  それからもう一つのお尋ねでございました、関税の機能が弱ってきているんではないかと、国内弱体産業に対する保護機能が失われてきているんじゃないかというお尋ねでございましたが、確かに関税は今申し上げたように累次の措置によりまして平均的には下がってまいってきていることは事実でございますが、例えば一昨年とりましたアクションプログラムでも、農産物が約二百品目、二割ないし三割の関税引き下げの対象になっておりますが、品目の選定に当たりまして、国内における当該産品の重要性等を十分見きわめた品目の選定をやっておりまして、輸入の急増による国内産業に対する悪影響を対象産品の選定の段階におきましてかなり重視をして、十分配慮をしながら選定をしてきているという事実がございます。  確かに、最近一部の品目の輸入が比較的高い増加率を見せているものもございますが、関税による効果というよりもむしろ最近の世界的な過剰による国際市況の低迷でございますとか、あるいは円高による影響といった面がやはり背景にあるんではないかというふうに見ているわけでございます。
  88. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 通産と公取、端的にお願いします、まだ質問があるものだから。
  89. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 市場の配置問題についてのお尋ねでございます。  地方都市で中央卸売市場の配置が進みましたことから生鮮食料品流通が大分広域化してまいりました。その中で大都市への集中も続いておりまして、大都市供給が増加しているのはもうお話しのとおりでございます。どうしてそうなるかということでございますが、大型市場での価格形成に対しまして生産者の方も期待を持っているという面もございます。一面で合理性があるわけでございますが、逆に大都市から地方都市へ転送する量がふえてくるというような点から、経路を短くするという見地からすると必ずしも大都市への集中は望ましいとは言えないわけでございます。  そのような点から、地方都市市場におきまして地場物の競りの開始時間を繰り上げるというようなことでございますとか、農林水産省といたしましても、地方都市の中央卸売市場の施設整備に意を用いるとか、基本的には地方都市の卸売市場の集荷能力を拡充するという方針で対応しているところでございますが、特に中央卸売市場の整備につきましては、このたび定めました第四次の卸売市場整備基本方針で明らかにしておりますとおり、中央卸売市場の統合大型化、市場信用力の強化や卸売市場の経営合理化、これがございませんと市場がうまく回らないという点もあるわけでございまして、これをベースにしているわけでございますが、先生御指摘のような地域の実情を十分踏まえまして、市場運営の推進に関して開設者の指導をしてまいるつもりでございます。
  90. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 通産について、流通業界の雇用者数が減っていると、これが今後もふえる見込みがあるんだろうかどうか。ということは、これ構造調整によってつぶされた産業の労働力を吸収することが期待されておったし、そしてそれができるのかどうか。特に、今度もし売上税が通るとさらにこの流通業界の合理化が進むんじゃないか。となるとその吸収能力がますます失われるんじゃないか、むしろ逆に流通業界に失業者が出てくるんじゃないかという点が一つです。  それから公取につきましては、先ほどの例えばスコッチウイスキーですね。例えばプレミアム物で、これ原価は七百三十四円、円高で下がってもね。それにあと関税プラス酒税千七百五十九円、その他がついて、一番大きいのは輸入業者マージンなんです。先ほどの説明でもやはり輸入総代理店の方の下がり方が少ないというのは、そこのマージンがかつては四千円、今でも二千円から四千円、だからやっぱり下がらないというんです。ですから、原価は七百三十四円なのにかつては一万、今は八千円なんという、この辺のところ、下がってきているということは並行輸入の結果だと思うんですね。しかし問題は、なぜ今まで下がってこなかったのか。このことはもう随分前から指摘されてきたことですね。ですから、並行輸入によって努力する、そういう方向へ進むとしましても、そのことだけで大丈夫かどうか、それぞれお答えいただきたいと思うんです。
  91. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 流通業の雇用者の減少については、先ほど御説明したとおり、新規開業のテンポが落ちて、それから廃業の方のテンポが上がっているという結果でございます。したがいまして、今後の見通しは非常に難しいということを先ほど申し上げたわけでございますが、消費者が求める新しい販売態様をうまくつかまえていけるかどうか、それからまた消費者が今、夜型に移りまして、営業時間の延長の動きがございますが、こういったものでどのくらい雇用の増が見込まれるか、さらに一番大きな決め手は、商店が物を売るだけではなくて、サービス機能を担うようになっておりますから、そこをどう取り組んでいけるか、こういったことにかかっておると思います。私どもはできるだけそういう意味で頑張っていただきたいと思っておりますが、全体厳しい中から決して楽観はできないだろうと思います。  そうした中にありまして、売上税でございますが、これは先刻御承知のとおりでございますけれども、この種の間接税の仕組みの中で、流通の各段階に累積をしていくタイプの税もございます。この累積型の税でございますと、どうしてもその段階を少なくした方が負担が軽くなりますから、中間を省いていくというような副産物が生まれるわけでございまして、仮にそういうものをねらった税というのも考えることは観念的には可能なわけでございます。しかし、今回のこの売上税はそういう累積になっておりませんものですから、各段階それぞれの付加価値にのみ課税するということでございますから、この税の性格として流通をカットしていくというような効果をもたらすものではないというふうに思っております。ただし実際問題として、税務の過程で企業が非常に大きな納税事務の負担をこうむるというようなことのないように、具体的な運用の細部のこれから詰め、決定に当たりましては、流通の実態に即したものになるようにやってまいりたいと思っております。
  92. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 先ほども御説明いたしましたけれども、ウイスキー等の輸入品が高価格であるというふうに私どもの調査でも出ているわけでございますけれども、その一つの理由として、輸入代理店等流通過程におけるマージンの高さが、先生も今御指摘いただいたように、指摘をされているわけでありまして、まあ私ども、そういう事実があろうことは十分承知をいたしているわけでございます。ただ、私どもはやはり公正かつ自由な競争を通じて効率的な流通過程が形成されていくことが国民経済的に見て望ましいということでありまして、公正取引委員会としてはやはり輸入品についても競争制限的な手段によって高マージンが維持されることがないように私ども最大限の努力をしていかなければいけないし、それが私どもの役目だろうと、こういうふうに考えているわけでございます。  したがって、今後とも輸入総代理店契約の届け出に際しましては、並行輸入の阻止あるいは再販売価格の維持等の競争制限的事項が含まれていることのないように厳正に審査をいたしますとともに、輸入品の流通実態の把握に努めまして、並行輸入の阻止、再販売価格の維持等、独占禁止法上問題となるような行為があればこれを排除するということで厳正に対処していきたいと、こういうふうに考えております。
  93. 三治重信

    ○三治重信君 まず農水省にお尋ねしますが、資料の五ページで「価格・所得支持関係予算」、これは予算だけだとこういうことになると思うんですけれども、この価格支持関係で、日本みたいに麦だとかそれから砂糖とか牛肉みたいに、外国の輸入品をピンはねして国内産品の価格保証をやるというふうな、これも実際、事実上予算と同じような支持制度。予算を使わない、補助金を消費者に負担さすというような格好じゃないかと思うんだが、そういうような価格政策を米国やECはやっている産品があるかどうか、それが一つ。  それから、七ページの「流通経路」のところで、国内の食料品は、青果物もそれから水産物も全部生産者から流通へ入ってくるみたいになって出ている、表が。きょうは国際化のものなんだから輸入の部面で供給されるというものが、生産者プラス輸入が入ってこなければ、僕はこの図としてはおかしいじゃないか、こう思うわけです。  それで、青果物なんかでも、国内供給総量の中でどれぐらい輸入のものがあるのか、それから水産物なんかどれぐらいか。具体的な細かい金額はいいから、おおよそ何割ぐらい輸入のものが入っているのか、供給されているのかということです。  それから市場の関係で、これは「食品流通」となっているから、あるいは我が調査会の方で食品というだけの要求をしているのかもしれぬけれども、農水省の関係の流通経路だというと、やはり花の流通関係が入ってこなければうそだと思うし、日本生活程度も上がってくると、これから農業生産でもとにかく価格の高い花の関係が相当出てきているんだが、この花についての卸売市場というのを農水省は一つでも二つでもつくっているのかね。少なくとも大都会にでもつくってもらうと花の公正の価格が出る。この間税関へ行ってみても、花の輸入で随分検査を受けているのがあるわけです、それが市場に出るかどうかは別として。そういう農産物の中でも、まだ市場そのものは小さいかもしれぬけれども、これは農水省としても随分大きくしなくちゃならぬ流通部面だろうと思うんですよ、花の生産流通というのは。これはぜひ大都会には卸売市場をつくってもらいたいと思うんだけれども、ひとつそれについてどういう感じを持っておられますか。
  94. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) 第一点でございますが、ECなりアメリカなりで輸入品から何らかの形で課徴金的なものを取って、それを国内産物の価格支持に回している例があるかというお尋ねでございますが、ECは、御存じのように全体が輸入品に対して域内の流通価格を一定の水準に守るという見地からの可変課徴金を取っておりますので、これを財源にして国内価格がその指標価格よりも下がるというような場合には一定の介入価格水準で介入基金が買い付けをするというような形をとっておりますので、物によって、時々の需給構造により、常時そういう抱き合わせ式になっているかどうかということは私よくわかりませんけれども、原理的にはそういった課徴金を一方で取りながら、一方で域内産品を支持するというメカニズムはできている。同時に、これまた御存じのところでございますけれども、輸出補助金も需給事情によってはそれを財源にしてやるという建前で動いているという状況になっているわけでございます。現実には域内の生産が伸びてまいりまして輸出補助金等の持ち出しによる部分がふえているように認識をいたしておりますけれども、原理的に申し上げると先ほどのとおりでございます。  アメリカにつきましては、そういった国内の農業生産者価格をCCCのローンレートを通じてなり、あるいは不足払いを通じて守るという仕組みが中心でございまして、海外から輸入されたものを財源にして、それで価格支持をやるというような仕組みは余り一般的にはとられていないというふうに認識をいたしております。物によってはあるかもしれませんけれども、多分そのようなものはあってもごくわずかではないかというふうに認識をいたしております。
  95. 伊藤礼史

    説明員(伊藤礼史君) 先生御指摘の食料品の流通経路に外国からの輸入物はどうなっているのかという点でございますが、野菜につきましては輸入量はさほど多くはございません、五%以下であったかと記憶しております。水産物につきまして全体の流通量のやはり十数%、果物がやや多うございまして三割近い量が入っているかと思います。それらの中で、青果物につきましては、やはり輸入しました後、荷さばき等の関係から卸売市場へ来るものが多いというふうに考えております。水産物につきましても、それぞれ消費地市場へ来るもの、あるいは直接小売業者へ回るものもございますが、この表では一番大きなところを御理解いただくというつもりでつくったわけでございます。  それから、花卉市場の整備についての御意見がございました。花の市場は現在、中央卸売市場が十一、地方卸売市場が二百三十九、その他の市場というのが八十六ございまして、全体の取扱金額が約三千億円、五十九年の数字でございます。また、この市場を通ります流通シェアが七七%というようなことでございます。私どもといたしましても、従来から食料品である青果、水産、食肉の卸売市場の配置に加えまして、花卉が現在需要が増大している、また、生産面でも稲作転換の有力な転換先作物であるというような点から、流適合理化が重要であるという基本認識を持っております。昨年策定いたしました第四次の卸売市場整備基本方針、あるいはそれを受けまして県がつくります整備計画等におきましても明らかにしておりますとおり、花卉市場の中央卸売市場化でございますとか、業者の統合、大型化等を進めることにしておる次第でございます。
  96. 三治重信

    ○三治重信君 それでは通産省に。  きょうの御説明だと、どうも非関税障壁と言われるようなものについて、今まで新聞なんかでぎゃあぎゃあ言われるような日本のこの流通関係については、非関税障壁的なものはほとんど、総代理店にしたってこれは向こうが勝手にやっているやつだから、向こう側がそう非関税障壁と言うわけないようなことだし、何かきょうの御説明だと全然非関税障壁はないような感じを受けるのだけれども、その点はどうなのか。公正取引委員会なんかも、何か日本はいろいろ非関税障壁がえらいあるみたいなことだったけれども、きょうの御説明を聞いていて非関税障壁というのは全然ないみたいな感じなんだけれども、その点の説明はどうなのか。
  97. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 欧米の国が言っておりますのは、一つ流通機構が複雑怪奇だというようなことを言うわけでございますけれども、詰めていきますと、冒頭に御説明しましたように、そう大きな差はないわけでございます。  それから第二点としては、例えば大店法が弊害になっていると言うわけですけれども、これもアメリカがみずから売り込みをするために例えば小売資本が日本に入ってくる、しかし大店法で入れないじゃないか、仮にこういうふうに問題を置きかえてみますと、これは大店法以前に土地の問題、土地の価格が高いためにそもそも日本に資本進出する気にすらなっていないのが実態でございます。  それからまた、大型店では十分輸入品を扱っているわけですが、もっと扱えないかということになるわけですが、これについて実は私どもはアメリカ人の目で見てもらおうということで、アメリカの大学の流通問題をやっている先生に日本の流通問題を勉強していただきましてアドバイスをしていただいたわけです。しかし、その先生の中に今のような点をやはり一般の欧米の指摘と同じように指摘された箇所もございますけれども、それ以外にいろいろあって、例えば日本ではメーカーあるいは大きな中間の商社等が販売促進のためにいろいろなことをやる、つまりキャンペーンを張るわけです。テレビで広告宣伝をする。そうすると、末端の小売店は余りいろんなことやらなくてもその品物は売れる。ところがアメリカのメーカーなり輸出業者は日本の市場でそういうことを十分やっていないではないか、そういう差がある、それをやっている数少ないケースを見れば外国品も日本市場で成功している、こういった点は自分の国の関係者に意見を言いましょうと、例えばこういうことも言っているわけです。  そういった機能を今だれが果たしているかといいますと、ある程度は輸入総代理店が果たしておりますけれども、限られているわけです。したがって、その部分が限られているということをもって、例えばノンタリブバリアーだ、輸入障壁だと言われてはおかしいと思いますけれども、こういうふうに批判にさらされている中でそうばかりも言っていられないものですから、私どもは日本であれば大メーカーがやるような機能に近いこと、あるいは近いといってはちょっと注文がきつ過ぎるかもしれませんが、その方向で努力をしてみてくれないかということを大規模な小売業者には折に触れてお願いをしているわけでございます。そういうところがマーケティングをやりキャンペーンをやればもう少しふえるのではないかと思います。  そのほかに全くこの数字とか統計にあらわれないような人間人間のつながりがあって、その流通経路、取引の中に入り込めないんだという批判もございます。これはいやそんなことはないと言ってみても数字では水かけ論になってしまうわけでございますが、ここはやはり輸出しようと、日本市場で物を売ろうという方々の努力に期待する以外にないのではないかと思います。
  98. 平野清

    ○平野清君 余り時間ありませんので二つ三つだけにとどめたいと思いますけれども、農水省の方にお尋ねをいたします。  まずお米の問題なんですが、先ほどのお話を聞いていますと、日本人に向くアメリカ産米の中でジャポニカ種はせいぜい九十万トンぐらいだというようなお話が出ました。貿易摩擦の点では大した金額になっていないと言いますけれども、国内のサラリーマンにとっては世界で一番高い米を食べさせられているわけで、外国の貿易摩擦よりも消費者の不満の方が大きいと思うんですね。そういう意味で、ただ自国自給だから外国米は入れないんだということだけでは消費者が納得しないと思うんです。たった百二十万トンなら、一気に自由化してみて、国民が果たしてそれを選択するのかしないのかはっきり見きわめてからでも遅くないような気がするんですが、単なるサラリーマン的な立場だけの暴論なのか、そこらをちょっとお伺いしたいと思うんです。  それからもう一つは、きょうだけじゃないんですが、国際化ということで各省からいろんな調査資料をいただきました。きょうもこの一ページに「参考までにジェトロによる主要都市対象とした事例調査結果を示せば下表の通りであるが、公式の調査は行われていない。」と書いてあるんですね。いろんな価格の点を比べて日本の農林物資やその他は高い高いと言われていても、各国の水準がはっきりしなければ比べようがないわけですし、それから前回のいろいろな調査でいただく表もなかなか古い表、古い数字が多いんです。この際情報化国際化と言われる時代、特に黒字大国だと言われる日本が国連とかジェトロを使って各国の主要生産物価格、そういうものを積極的に責任を持ってやることを提唱するお考えがないのかどうか。  それから公取の方に、素人でちょっとわかりませんけれども、例えば世界の主要品目についての定期的な金額の発表をする権限がおありなのか、既にやっていらっしゃるのかというようなこともちょっとお尋ねしてみたいのですが、いかがでしようか。
  99. 吉國隆

    政府委員吉國隆君) お米の価格差の問題でお話があったわけでございますが、私どもはやはり米というのは水田が日本の農業生産力の基幹であると、また農業生産に占めます地位というものも、約三分の一が米ということでございますし、また国民食生活の面でもカロリーの約三割というようなことで非常に重要な地位を占めているというふうに考えておりますし、やはり米については自給ということを基本としながら、その生産性向上とそれをさらに価格に反映していくという形で消費者の方々の御理解を得ながらやっていく必要があるというふうに考えておるわけでございまして、試しに輸入してみたらというお話もございますけれども、やはり農業の問題につきましては、この国境措置について軽々な措置をとるということは非常に問題があろうかというふうに考えておるところでございます。  価格調査につきまして、私どもも折に触れてのデータはいろいろ入手には努力をしておりますし、今後も努めてまいりたいと思いますが、説明の冒頭で申し上げましたように、この価格の比較には非常に実は難しい問題がございます。各国とも価格支持制度がございます。それによって価格が歪曲されていると申しますか、それから国際相場の需給変動もございます。さらに輸出補助金によって歪曲されるということもございます。それにまた、食生活の問題がございますし、品質の問題もあるということでございまして、それからさらに為替によって刻々振れるという状況がございますので、非常に誤解を招きやすいという点がございますので、数字の扱いについては私どもとしては非常に慎重に取り扱う必要があるという考えを持っているところでございます。
  100. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 消費者物価の国際比較の問題でございますが、御指摘のようにこの種の調査経済企画庁が毎年ジェトロに委託して調べていただいているものがございまして私どものところではやっておりません。といいますのは、非常に御指摘のとおり難しいわけでございまして、例えばそのジェトロの調査のもので、手元のもので申しますとワイシャツが六十一年一月現在で東京では三千七百七十一円となっております。そのときニューヨークでは六千百四十二円で、ニューヨークよりも東京は大分安いという数字ですが、たまたまハンブルクは三千七百一円でほぼ同じ、ロンドンは二千七百五十二円で日本より安い、パリは七千百六十六円でニューヨークよりももっと高い。こういうふうな数字が駐在員からの報告で出ておるわけでございますが、ヨーロッパのような狭い地域でECという共同体がありながら、どうしてロンドンで二千七百五十二円でハンブルクで三千七百一円でパリで七千百六十六円なんだろうかと言いますと、これなかなかちょっと説明に窮するわけでございます。結局それはできるだけ条件をそろえて調べるようになさっているに違いないんですけれども、それでもどういうワイシャツであるか、どういう店であるのか、銀座のような場所であるのか、もっと郊外の方であるのか、同じパリといってもいろいろあるのじゃないかと思いまして、非常に客観的な評価が難しいものですからなかなか政府で公式にできないわけでございます。しかし、そうかといって国際的な比較はもう一切あきらめるのかと言われますと、あきらめますということは申し上げるわけにいかないと思いますので、難しい問題ではございますけれども、物価問題の元締めである経済企画庁なんかともよく勉強を続けてまいりたいと思います。
  101. 柴田章平

    政府委員(柴田章平君) 先生からの御質問でございますが、私ども一般的に世界各国の商品の価格を調べたようなことはございません。先ほどちょっと御披露申し上げました並行輸入に関連して、現地でどのくらいの同じブランドの品物が売られているかということ等についてはその調査の都度調べておりますけれども、およそオーバーオールに今調査をしたことはございませんし、今のところそういう予定もございません。
  102. 坂野重信

    ○理事(坂野重信君) 本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会