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1987-06-17 第108回国会 参議院 国民生活に関する調査会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十七日(水曜日)    午前十時四分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月十六日     辞任         補欠選任      刈田 貞子君     飯田 忠雄君      高木健太郎君     太田 淳夫君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 水谷  力君                 吉川  博君                 山本 正和君                 吉川 春子君                 三治 重信君     委 員                 斎藤 文夫君                 添田増太郎君                 高橋 清孝君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 向山 一人君                 吉川 芳男君                 千葉 景子君                 飯田 忠雄君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 抜山 映子君                 平野  清君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        内閣審議官    遠山 仁人君        農林水産大臣官        房総務審議官   吉國  隆君        農林水産省構造        改善局農政部長  近長 武治君        農林水産省構造        改善局建設部長  谷山 重孝君        林野庁指導部計        画課長      杉原 昌樹君        水産庁漁港部計        画課長      福屋 正嗣君        通商産業省産業        政策局長     杉山  弘君        通商産業省生活        産業局住宅産業        課長       松宮  勲君        資源エネルギー        庁石油部備蓄課        長        細谷 孝利君        中小企業庁次長  広海 正光君        運輸大臣官房審        議官       水田 嘉憲君        運輸省運郵政策        局政策課長    土坂 泰敏君        運輸省国際運輸        ・観光局観光部        振興課長     高橋 義典君        運輸省地域交通        局鉄道業務課長  岩田 貞男君        運輸省海上技術        安全局技術課長  佐々木博通君        運輸省港湾局計        画課長      坂井 順行君        運輸省港湾局開        発課長      染谷 昭夫君        運輸省航空局飛        行場部管理課長  鈴木 光男君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (内需拡大のための諸施策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、刈田貞子君及び高木健太郎君が委員を辞任され、その補欠として飯田忠雄君及び太田淳夫君が選任されました。
  3. 長田裕二

    会長長田裕二君) 国民生活に関する調査を議題とし、内需拡大のための諸施策について運輸省及び内閣官房から説明を聴取いたします。運輸省水田審議官
  4. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 内需拡大策運輸省関係について御説明を申し上げます。  御指示いただきました項目は、検討項目のうちの三の「内需拡大規模如何にあるべきか」の中の(4)の「事業執行能力」の部分でございます。それから四の「公共事業をどう進めるか」の中の「当面の対策長期的視点との調整如何」という問題、三つ目が六の「民活事業をどう進めるか」、この三つでございます。資料に沿いまして順次御説明いたしたいと存じます。  一ページ目をお開きいただきたいと思います。運輸省関係公共事業は一ページ目の資料に書いておりますとおり、港湾事業海岸事業空港整備事業に分かれるわけでございます。それぞれ五カ年計画を策定して実施を進めておるところでございますが、その整備状況について若干まず御説明してみたいと思います。港湾海岸空港の順に申し上げさせていただきたいと思います。  港湾の場合には、この一ページの真ん中の表に書いております士おり、三十六年から計画を策定しておるわけでございますが、最近のものは第七次の計画ということになっております。計画投資額も五カ年間で、第一次の場合には二千三百三十億程度でございましたが、順次額をふやしておりまして、第四次から一兆円を超しておるわけでございます。第七次に至りまして二兆五千五百億という数字になっております。  計画実施状況達成率でございますが、表の下の欄に書いております。第一次から第三次までは計画計画期間半ばで改定しておるということでございまして、二カ年ないし三カ年程度数字になっております。したがいまして達成率は低くなっておりますが、四次から五次は八〇%を超えておるわけでございます。六次に至りまして若干数字が下がっておりますが、これはシーリング関係があったためでございます。第七次は六十一年と六十二年で三六・七%、もちろん六十二年度の数字予算数字でございますが、この程度に現在なっておるわけでございます。  次に、海岸事業についてでございます。海岸の場合には四十五年から計画を策定してきておりまして、最近のものは第四次になっております。計画投資額は第一次の段階では千三百億程度でございましたが、最近の六十一年度から始まる五カ年計画では二千八百四十二億という数字になっております。達成率は八〇%を超えております。第二次に至りましては一〇〇%を超えるという数字になっております。第四次の六十一年度から始まる部分につきましては、六十一、六十二年両年度で三九・二%という数字でございます。  二ページ目をお開きいただきたいと存じます。空港整備の場合でございますが、第一次、四十二年から計画実施してきておりまして、最近のものは第五次ということでございます。計画投資額も第一次では千百五十億程度でございましたが、飛躍的に数字をふやしてきております。第四次から一兆円を超しておりまして、最近の六十一年度から始まる五カ年計画では一兆八千億という数字でございます。達成率につきましては、第一次で五五%程度でございましたが、順次達成率も上げてきております。三次に至りましては九六%程度になっておるわけでございますが、四次ではやはりシーリング関係数字が減ってきております。最近の第五次の部分につきましては、六十一、六十二年度で四〇・七%という数字でございます。  以上が五カ年計画実施状況でございます。  次に、港湾海岸空港現況について若干触れてみたいと思います。  港湾の場合でございますが、二ページ目の真ん中あたりの表に数字を出しておりますが、特定重要港湾重要港湾地方港湾と分かれるわけでございますが、全体で千九十五カ所ございます。具体的な各地域の中身につきましては、別紙一の地図にプロットいたしております。後でこれを見ていただきたいと思います。特定重要港湾重要港湾のみ合計百三十三カ所を別紙一にプロットしております。それから、管理者といたしましては、全体の六割弱が都道府県、四割弱が市町村という形になっております。  次に、海岸でございますが、運輸省所管の分は全体で八千六十一キロメートルというのが海岸線延長でございまして、このうち海岸保全区域に限ってみますと三千八百七十四キロメートルでございます。  次に、空港でございますが、これも別紙二の地図空港の場所をプロットしておりますが、全体で供用空港の数は、一種、二種、三種その他を含めまして七十八ございます。このうちジェット化されておる空港は三十九でございます。これ以外に告示をいたしまして現在建設しておる空港、いわゆる未供用空港が十カ所ございます。以上が空港現況でございます。  次に、六十二年度の予算額について眺めてみたいと思います。三ページの上の欄に表を用意しておきました。国全体といたしましては、六十二年度で六兆円を超すわけでございます。これに対しまして運輸省関係一般会計支出分が六十二年度で、右の欄でございますが、ここに書いておりますとおり、港湾の場合は二千五百十二億、海岸の場合には二百七十九億、空港の場合は八百八十三億でございます。六十一年度と比較しまして二%内外マイナスになっております。これは御存じのとおり、シーリング関係でございます。それから、港湾空港につきましては、一般会計数字がそのまま特会に繰り入れられる額になるわけでございます。この繰り入れられた額を含めまして、この表の下の段に書いておりますとおり、特別会計規模は、港湾整備で六十二年度の場合には三千三百八十億、空港整備で二千八百九十四億ということになるわけでございます。  次に、事業執行能力について御説明いたしたいと思います。  運輸省公共事業実施機関といたしましては、港湾の場合には港湾建設局地方公共団体となるわけでございます。また、空港の場合には、港湾建設局地方公共団体以外に地方航空局とか空港公団あるいは関西国際空港株式会社というようなものがそういうふうになるわけでございます。こういう事業実施機関におきます執行体制の違いによって公共事業事業執行能力は異なってくるわけでございます。また、事業実施する場合に用地買収が必要かどうか、あるいはその用地買収進捗状況がどうなっているかによっても、やはり事業執行能力は異なってくるわけでございます。そういう意味で、定量的にこういうものを示すことはできないわけでございますが、少なくとも、現在のところを見ますと、事業執行上で問題を生じたことはございません。  また、契約額予算数字で除しました契約率で見ましても、この三ページの下の欄に、五十二年度から順次港湾海岸空港に区分して数字を挙げておりますが、ごらんになっていただけばおわかりになりますとおり、港湾及び海岸の場合にはほぼ一〇〇%を達成いたしておるわけでございます。空港の場合でも八〇%という数字になっておるわけでございます。括弧の中に書いておりますが、空港の場合には空港周辺整備事業が含まれておるわけでございます。この事業は、個人からの申請に基づいて実施いたします民家の防音工事とか移転補償等が含まれておりますいわゆる住民対策的なものでございまして、可能性があれば予算に載せておくという建前をとっております。そういう意味で、実際申請がない、未契約が発生するというふうなことは起こり得ることでございまして、そういう意味で、事業執行能力に問題があるというふうには思っておりません。そういう意味で、空港の八〇%もまあまあの数字ではないかと思います。今後、補正予算によりまして事業費の追加がありましたら、私どもとしましてはその円滑な実施が図られますよう各実施機関指導してまいりたいというふうに考えております。  次に、今後の公共事業進め方についてでございます。  運輸省関係公共事業は、活力ある産業活動国民生活基盤を形成するというものでございますので、内需拡大効果は非常に大きいというふうに私どもは思っております。先ほど申し上げました五カ年計画港湾海岸空港と分かれるわけでございますが、五カ年計画に従って今後着実に実施を図ることといたしておるわけでございます。このような運輸省関係公共事業推進は、第四次全国総合開発計画において検討されております多極分散型国土づくりあるいは交流ネットワーク構想推進にも資するというふうに理解をいたしております。  次に、五カ年計画の内容について若干眺めてみたいと思います。  最初が港湾整備五カ年計画でございますが、四ページに用意しておりますが、全体で四兆四千億程度事業をやるわけでございますが、このうち、国が費用の全部または一部を負担したり補助したり無利子貸し付けをしたりする事業は二兆五千五百億ということになっております。それから、事業実施目標について四ページの下から五ページ目にわたって整理をいたしておりますが、細かい説明は省略させていただきましてポイントだけ申し上げさせていただきますと、まず(1)の部分でございますが、内外一貫輸送進展に対応したいわゆる物流港湾整備推進しようということが一つでございます。二番目に整理しておりますが、船舶の安全性とか輸送安定性というようなものを考慮した港湾整備をやっていこうというものでございます。それから、(4)のところを見ていただきたいと思いますが、地域地場産業振興とか高次加工型産業などの新たな産業導入基盤となるような港湾整備推進していこうというふうに考えているわけでございます。それから、(5)を見ていただきたいと思いますが、海洋性レクリエーションの要請の進展に対応するマリーナ等整備を進めていこうというふうに考えております。それから、(6)でございますが、民間活力活用を図りつつ港湾利用高度化を図るということで、港湾の再開発推進していこうということでございます。  以上がポイント部分でございます。こういう各項目にわたって事業推進するわけでございますが、その項目別の内訳は五ページの真ん中あたり整理をいたしております。六次と七次の比較につきましては、五ページの下の欄に整理しておりますが、説明は省略させていただきたいと思います。  次に、海岸事業の五カ年計画でございますが、これは運輸省だけではなくて、農水省あるいは建設省を含めました三省全体での計画でございます。全体で総額一兆円の規模でございます。このうら国費用の全部または一部を負担し、あるいは補助する事業につきましては七千六百億でございます。事業実施目標といたしましては、高潮対策あるいは侵食対策等事業について行うわけでございます。  次に、運輸省関係部分についてでございますが、六ページの下の表に整理しておりますが、運輸省関係は全体で二千八百四十二億という数字になっております。三次の計画が三千八十三億でございますので、若干のマイナスになっておるわけでございます。  次に、空港整備五カ年計画について御説明します。七ページをお開きいただきたいと思います。  空港の場合には五カ年間で一兆九千二百億を投資することになっております。事業別実施目標についてでございますが、新東京国際空港あるいは東京国際空港、そして関西国際空港の三大プロジェクト推進を図るとともに、一般空港についてジェット化あるいは大型化に対処するための整備を図ることにいたしております。このほかに環境対策事業とか航空保安施設整備等を行うことでございます。各事業別の金額は下の部分整理しておりますとおりでございます。それから空港の場合の四次と五次の五カ年計画比較は八ページに用意しておりますとおりでございます。  次に、当面の進め方について御説明いたします。  運輸省におきましては、公共事業を進めるに当たりましては不況地域への配分について従来から配慮してきておるわけでございます。具体的にはこの八ページの下の欄から九ページの上の部分の表のとおりでございまして、港湾の場合には例えば六十二年度で全体の二〇・五%が不況地域配分されております。それから海岸の場合でも九ページの上の部分でございますが、六十二年度で全体の二二・九%が不況地域配分されておる。空港の場合には全体の八・四%という数字になっておるわけでございます。このように、比較不況地域への配分について私どもは配慮してきているというふうに思っております。  また、公共事業実施につきましては、鉄鋼とかセメント等不況業種活性化に寄与するということが言えるわけでございまして、さらには、運輸省関係事業でございます造船業仕事量の確保、例えば防潮水門整備するとか、橋梁を整備するとかという方法によりましてそういうことが可能になっておるわけでございます。運輸省といたしましては、今後ともできる限り先ほど申し上げました五カ年計画推進していく中で不況地域への配分にも配慮しつつ事業実施してまいりたいと考えておるわけでございます。特に、六十二年度の補正予算、あるいは六十三年度予算につきまして、こういう問題について十分考慮をしたいというふうに思っております。  以上が公共事業関係でございます。  次に、民活事業についてでございます。運輸省において現在推進中の民活事業について御説明したいと思います。  まず第一が総合保養地域整備についてでございます。総合保養地域整備法に基づきまして、総合保養地域整備推進するわけでございます。この法律は、御存じのとおり、このたび成立して、ゆとりのある国民生活の実現あるいは新たな地域振興の展開、そして民活導入による内需拡大ということで、六省庁共同リゾート地域整備を図っていく制度でございます。この対象地域につきましては、法人税特別償却とか地方税減免措置等課税特例がございますし、開銀あるいは北東公庫融資等もございます。こういう支援措置が可能になっておるわけでございますが、この制度を利用しまして、国民がすぐれた自然条件の中で滞在しつつ、スポーツ、教養活動などの多様な活動を行うことができる地域整備民活導入によって推進してまいろうということでございます。  次に、港湾利用高度化についてでございます。  一つは、いわゆる民活法と称しておりますが、民間事業者能力活用による特定施設整備に関する臨時措置法を適切に運用していきたいということでございます。この法律に基づきまして、法人税特別償却あるいは地方税減免等課税特例開銀北東公庫出資あるいは融資等支援措置が講じられることになっておりますが、その対象施設として旅客ターミナル港湾業務ビルテレポート等経済社会基盤の充実に資する特定施設整備が挙げられるわけでございます。こういうものについて第三セクターによって整備推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、港湾利用高度化の問題の二番目といたしまして、民間都市開発推進に関する特別措置法、この法律がこのたび成立しまして、民間都市開発推進機構から民間事業者への低利融資あるいはこの機構事業参加等措置が可能になったわけでございます。この制度活用いたしまして、民間事業者による港湾開発等推進を図ってまいりたいと考えております。この機構に対しましては、国から無利子貸し付け、あるいは割引債の発行に対する政府保証等支援措置が講じられることになっております。  港湾利用高度化につきまして、このほか予算補助制度といたしまして、港湾利用高度化拠点施設緊急整備事業あるいは港湾利用高度化促進事業があるわけでございます。さらには財投の対象といたしまして港湾機能総合整備事業があるわけでございます。こういうような制度活用いたしまして、民間事業者能力活用した港湾開発等推進してまいりたいと考えております。  次に、鉄道についてでございます。鉄道につきましては、特定都市鉄道整備促進特別措置法があるわけでございますが、この法律は、鉄道整備のために工事費の四分の一を限度とする積立金を損金算入できるというような課税上の支援措置が講ぜられております。この制度を利用いたしまして、大都市圏鉄道複々線化あるいは大規模工事促進を図ってまいりたいと考えております。  最後に、関西空港整備についてでございます。関西国際空港株式会社に対しましては、国からの出資とか債券に対する政府保証あるいは開銀融資等支援措置が講じられることになっておりまして、これらをすべて入れまして六十二年度予算事業費は全体で二千億程度になっております。この予算を利用しまして関西国際空港整備促進を図ってまいりたい。と考えております。  以上、簡単でございますが、運輸省関係内需拡大策について御説明申し上げた次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
  5. 長田裕二

  6. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 私からは検討項目の六番目、民活関係につきまして御説明を申し上げます。  民活関係は、ただいまも運輸省からお話がございましたように各省庁で進められておりますけれども内閣官房といたしましては、各省庁が進めております民活関係施策事務調整をするということでございまして、そういうことから民活関係施策の全体的なことにつきまして御説明を申し上げたい、こういうふうに思っております。  お手元に資料がございますが、まず一枚紙の「民間活力活用主要施策一覧」というものをごらんいただきたいと思います。これまで進めてまいりました民活関係施策を私どもなりに整理をしたものでございます。主な施策を一応こういうふうに整理できるんではないかというふうにまとめてみました。一つ規制緩和分野でございます。二番目は公共的事業分野への民間活力導入、それから三番目は国公有地等有効活用、こういうふうに大きく三つに分けられるわけでございます。  規制緩和の中では、中がさらに大きく二つに分かれますけれども、その一つ都市計画建築関係規制緩和等でございます。都市計画の線引きの見直し、市街化区域あるいは市街化調整区域の問題でございます。開発許可基準緩和市街化調整区域開発許可基準あるいはそのほかの開発許可基準緩和分野でございます。それから、用途地域容積率等見直しでございまして、土地利用の動向だとかあるいは公共施設整備状況によりまして用途地域容積率等を随時見直していくというものでございます。特定街区・総合設計制度活用、これは優良なプロジェクトにつきまして、特定街制度あるいは総合設計制度活用しまして土地高度利用有効利用が図られるというものでございます。  それから、建築形態制限等合理化でございますが、建築形態、例えば容積だとかあるいは高さとかいったような制限建築基準法関係でございますが、そういったものの合理化を図っていくということで、さきの国会で建築基準法改正等が行われたわけでございます。地下街の取り扱いの明確化でございますが、安全上の見地から地下街建設については厳に抑制するという方針でまいっておるわけでございますけれども、必要やむを得ないという場合には認められるということでへそういった認められる場合を明確化するというような施策でございます。  それから、宅地開発等指導要綱行き過ぎ是正でございますが、宅地開発等指導要綱市町村指導として行われているわけでございますが、しばしば行き過ぎている例がございまして開発を抑えている関係がございますが、その行き過ぎを是正しようというものでございます。農地転用許可手続保安林解除手続簡易迅速化、これは手続簡易迅速化でございます。ガソリンスタンド併営業務規制緩和、これはガソリンスタンド安全上の見地から、やはり大勢の人が集まるというような業務をあわせて行うことにつきまして規制がございますけれども、それも緩めるというものでございます。  その次に、産業活動に関する規制緩和でございますが、金融、運輸、石油等エネルギー、そういった分野におきましてさまざまな規制がございますけれども、そういったものを緩和をするということで、かなり細かい項目がいろいろ行われてきているところでございます。  公共的事業分野への民間活力導入につきましては、まず大規模プロジェクト関係がございます。関西国際空港、東京湾横断道路、明石海峡大橋、伊勢湾岸道路、そういった大きなプロジェクト整備が民間の資金の導入等によりまして進められるというものでございます。それから関西文化学術研究都市の建設、これも大きなプロジェクト一つでございます。東京臨海部の再開発につきましても進められているということでございます。  都市再開発、拠点施設整備、そういった面につきましては、新都市拠点整備事業、これは六十年度から建設省で行われています事業、あるいは定住拠点緊急整備事業、これは六十二年度からでございますが、そういった事業。都市再開発に関する緊急促進事業港湾利用高度化促進事業、そういったものもございます。それから民間都市再開発推進機構活用による都市再開発等、先ほどもお話が出ておりましたけれども、こういった機構を設けまして都市再開発港湾開発等を進めていくというものでございます。民活法による特定施設整備民活法でございますが、その特定施設が八種類ございますけれども、その整備を進めていく。それから集落地域整備でございますが、集落地域整備法というのがこの前の国会で成立いたしまして、それに基づきます基本方針あるいは計画をつくっていく、こういうことで整備を進めるという問題でございます。  技術高度化・情報化関連プロジェクトにつきましては、テクノポリスそれから情報化の関係で各省庁がそれぞれ進めておりますここに書いてございますような構想がございます。  リゾート開発につきましては、総合保養地域整備として、先ほどのお話にございました法律に基づきます施策、それからヒューマン・グリーン一プラン、農水省の関係でございますが、そういうものもございます。  国公有地等有効活用につきましては、民間活力活用可能土地の選定、六十年ごろにかけましてそういう選定が行われまして、国有地につきまして、また国鉄用地につきまして選定され、順次その処分等が行われてきているわけでございます。土地信託制度活用につきましては、国有財産法、地方自治法の改正が昨年行われまして、それに基づきましてそういう制度がつくられるように進められたということでございます。新都市拠点整備事業等における活用につきましても具体的なプロジェクト国公有地等活用していくということでございます。  このほか、ここには書いてございませんけれども、例えば国鉄だとか電電公社といったものの民営化、そういったものが民間活力活用する一分野ではないかという議論もございます。それから、住宅対策のような主として民間が行う活動をもっと活発にするというような、そういった面も民活の一部であるという議論もございますけれども、それはそれぞれの分野で進められているものというふうに考えまして、この表では省かせていただいております。  それから、二枚として、別の資料で「民活関連施策等の経緯」というのがございます。ただいまのような施策をどういう経緯で進めてきたかということをまとめたものでございますが、五十八年の四月あるいは十月、経済対策、総合経済対策等におきまして民活関係が取り上げられておりますし、それから五十九年に入りまして、国有地の有効活用の面でそういうふうな検討が行われたとか関西国際空港株式会社法が施行されたとかいうものがございます。  六十年に入りまして行革関係民活の検討がなされまして、特に規制緩和のことにつきましては具体的な推進方策が進められてきたわけでございます。それから、十月と十二月に内需拡大に関する対策というのがつくられまして、その中でも民活が取り上げられております。  六十一年になりまして、構造調整研究会、いわゆる前川研究会でございますが、前川レポートがつくられまして、そこでも民活関係が取り上げられているということでございます。それから、総合経済対策がつくられておりますし、五月に経済構造調整推進要綱、前川レポートに基づきます推進要綱でございますが、そういうもの、東京湾横断道路の法律、それから民活法の制定等が行われまして、次のページでございますが、九月に総合経済対策ということで、規制緩和、インセンティブの付与等が掲げられたわけでございます。それから、後で御説明いたします民活懇談会というのが九月に発足をいたしております。十月に横断道路株式会社が発足いたしまして、それから懇談会での報告書が出ております。それから十二月に入りまして、民活法の特定施設といたしましてかながわサイエンスパークが認定され、その後柏崎ソフトパーク、幕張メッセ等の認定が行われてきております。ことしの五月でございますが、緊急経済対策でも民活が取り上げられているわけでございます。六月になりまして、民活関係の各種の法律が制定をされて施策が進められているところでございます。民活の懇談会が報告書をつくっております。  それで、懇談会の方の御説明でございますが、もう一つのとじた冊子でございます。  先ほど申しましたように、九月に発足をいたしまして、メンバー等は後ろに書いてございますが、一枚表紙をめくっていただきますと目次がございます。四つの報告書がこれまでにつくられております。  最初につくられましたのが「民間活力活用施策推進に際しての基本的視点」というものでございまして、民活を進めるための考え方のようなものを各委員の御意見を、表紙の裏に書いてございますように整理してまとめたものでございます。  それから二番目にまとめたものは、「大都市圏中心部の臨海部等の再開発のための民間活力活用方策について」ということでございまして、東京臨海部のような大都市圏の臨海部につきまして民活活用しながら開発を進めていく、その方策についての意見を整理したものでございます。  三番目は「地方における民間活力活用推進方策について」でございまして、大都市ばかりでなくて地方でも民活がどういうふうに推進し得るのかということを整理をいたしまして、大まかに申しますと六つの方向があるんではないかということで、リゾート開発等につきましてもこの中でうたわれておりますし、地方都市の開発等につきましても示されているわけでございまして、そういう方向に基づきまして関係省庁と相談しながら先ほど申しましたような施策の検討を進めてまいったわけでございます。  それからことしの六月でございますが、「民活プロジェクトの具体化推進方策について」ということで、特に地方の民活プロジェクトを進めます際のうまく進む体制づくりといたしまして国側の窓口を明確化するとか、あるいは地方との連絡を緊密化するとか、そういう体制整備を中心に具体化の推進方策についてまとめたものでございます。  民活施策関係省庁いろいろなところにまたがりますので、こういう方向に沿いまして十分連絡をとりながら具体的なプロジェクトが円滑に進むような方策をこれからも進めていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。  以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
  7. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で運輸省及び内閣官房からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 千葉景子

    ○千葉景子君 時間も余りありませんので、基本的なことを幾つかお尋ねしたいと思います。  まず内閣官房特命事項担当室の関係で何点がお聞きしたいんですけれども、この特命事項担当室というのは何をおやりになるところなんでしょうか。
  9. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 特命事項担当室は二年半ほど前に設けられましたが、総理大臣からの特命事項に基づきまして、その特命事項を処理するために設けられたものでございます。現在の特命事項は民間活力導入に関しまして関係省庁事務調整をやる、こういうことでございまして、かってはそのほかの特命事項もございましたけれども、現在はそういうことをいたしております。
  10. 千葉景子

    ○千葉景子君 そうすると、今おっしゃったことからいいますと事務調整ということになりますので、余りこの担当室で全体を統括した施策を出されるとか内容的な調整をなさるとか、そういうことはほとんど任務としては存在していないということになりましょうか。
  11. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 御指摘のようなことだと私ども思っておりますので、私ども独自に何か民活関係施策を打ち出すということはございませんで、それぞれの所管しております省庁施策を進めるときに調整の必要が出たときに調整をする、こういうことが基本的な考え方でございます。関係する省庁から例えばリゾート開発等につきましていろんな案が出てきたときに、そういったものを調整をいたします際に、例えばこういう方向で考えてはどうかという意味での考え方を示し御相談をすると、こういうことはあろうかと思っております。
  12. 千葉景子

    ○千葉景子君 そうしますとお尋ねする問題もちょっと限られてくるんですが、きょう資料として出していただきましたこの民間活力活用推進懇談会、これについては特命事項担当室の方で取りまとめられていらっしゃるのだと思いますけれども、この懇談会での意見、そしてここで出されているさまざまな方向性、こういうものはどういう形で全体に利用されたり、あるいはこの内容が指示されていくのでしょうか。
  13. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) この懇談会でございますが、最後の方のページに、五十一ページでございますが、メンバーが書いてございますけれども、このメンバーのほかに関係省庁がオブザーバーの形で御出席をいただいておりまして、直接議論を聞いていただいて施策に参考にしていただく、こういうやり方をとっております。  それから、この意見をまとめたものにつきましても、関係省庁にお送りをしましてそこで御参考にしていただくと、こういうことでございますし、地方自治体、地方公共団体等におきましても参考になる点があろうかと思いますので、そういう点については利用していただいているということでございます。
  14. 千葉景子

    ○千葉景子君 そうなりますと、これを各省庁あるいは地方公共団体で参考にされているということかと思います。そういう意味では本来ならば担当の各省庁あるいは地方公共団体の方に対する質問ということにもなろうかと思いますけれども、一応ちょっと基本的な問題なのでお尋ねをしておきたいというふうに思っております。  この懇談会の基本的な視点というものが六十一年十月二十二日という時期に出されております。そして、この中に幾つかの問題点が書かれているわけですけれども国民生活という観点から考えますと、やはり公共的な事業への民間活力導入ということになりますとある程度採算性の問題もあろうかと思います。そうなりますと、大都市地域あるいは地方都市周辺地域、こういうところに集中しがちだと、こういう点についても問題点が指摘されているかと思います。それから大都市中心部の地価の問題、民間活力推進に際して地価の高騰などについても配慮する必要があるだろう、こういうことも指摘をされています。また、民間活力活用をこれまで余り考えられなかった福祉、教育などの面、こういうところについては非常に基礎的なサービスということにもなりますので、やはり民間活力導入するというのみならず、国のきちんとした基本的な施策として推進していかなければいけない面というのも大きいかと思うんです。こういう面では、民間活力活用と基礎的サービスとの関係、こういうところにも慎重な検討が必要だと、こういう指摘もこの基本的な視点の中にも書かれております。  私もこういう面では、とりわけ福祉問題などについては人間としての基本的な生活のニードでございますので、これについてはまずは国の十分な対策が必要なんではないだろうか、民活という名のもとに切り捨てられていくようなことがあっては困るという感じがするわけなんですけれども、こういう問題点については十分に各省庁間あるいは特命事項担当室でも結構なんですけれども、浸透がなされ、検討がなされているんでしょうか。
  15. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 今御指摘になられました地方で民活をどういうふうにやったらいいか、あるいは地価との関係をどういうふうに考えたらいいか、福祉の分野について民活がどういうふうに考えられるかということにつきまして、そういった問題については非常に難しい分野であると私ども考えております。関係省庁とも十分相談しなければいけない問題が多いと思います。ただ、地方の民活につきましては、大都市だけではなくて地方においても進める分野がいろいろあるんではないかということを、三番目のまとめたものにつきましてそういうふうな方向で出しておりまして、関係省庁ともそういう方向で進めていただいているというふうに私ども考えております。  地価の問題につきましては、民活プロジェクトを進めることによって地価の上昇がもたらされないように、また地価の安定に役立つような形で民活プロジェクトが進められるようにという趣旨でございます。それを具体的にどのような形で進めたらいいのか、もちろん私どもだけで検討できるものではございませんので、そういう観点を十分考えながら進めていただきたいというような指摘にここではとどまっているわけでございますけれども、そういう点につきまして関係省庁も十分検討を考えながら進めていただいているところでございます。これからもできる限りそういう方向で検討されていくんではないか、こういうふうに考えております。福祉の分野につきまして、基礎的なサービスそれから選択可能なサービスをどういう範囲でどういうふうに分けるかということにつきましても、非常に難しい問題でございますが、私どもそういう点の専門ではございませんが、そういうこともこれからの高齢化社会に向けて、あるいは生活水準の向上に従いまして非常に高度化、多様化するニーズに合わせた供給体制をどうとっていくかということにつきましては、そういう考え方も必要ではないかということについて指摘をされている問題だと思いますので、関係省庁にも十分考えていただき、御検討をお願いしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  16. 千葉景子

    ○千葉景子君 せっかく特命事項担当室というごとで全体を統括といいますか、全体を見得る立場にあるわけですので、問題点の処理に当たっては十分な機能を発揮していただきたいというふうに思います。  それでは、運輸省関係で何点か質問をさせていただきたいと思うんですけれども、今回出していただいた資料とは若干問題点としては外れるところがあるかと思うんですけれども、私ども国民の立場から考えますと、内需の拡大あるいは民活という問題の前提として、やはり陸海空あるいは道路なども含めまして各交通機関の整備というのは、その役割あるいは分担、調和、それぞれのつなぎ合わせ、こういうものを含めてまず総合的な体系が柱になければいけない、こういうような気がするわけです。とりわけ、さまざま時代とともに国民のニードというのは変わってくるわけですけれども、野放しの交通混雑、渋滞状況とか、あるいは地方のさまざまな交通の不便、こういう問題もございます。国鉄の分割民営化という問題も新しく生じまして、これから一元的な総合的な交通体系、こういうものが柱に置かれた上でさまざまな民活導入というものが必要なんじゃないだろうかというふうに思うわけです。と力わけ鉄道などはなかなか採算がいにくいという面もございます。それから、最近耳にするところによりますと、地方の足の問題としてはコミューター航空というんでしょうか、こういうものの具体化もなされている、こういう状況になってきておりますけれども、こういうものなども含めて、現在総合的な交通施策、こういうものについてはどのような状況にあり、今後どう考えられているのか、この辺をまずお聞きしたいと思います。
  17. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 御指摘いただきました総合的な交通政策の問題でございますが、実は五十六年の運政審の答申におきましてこの問題について記述をいたしておるわけでございます。  御紹介いたしますと、総合的な交通政策の展開に当たりまして、幹線交通あるいは地域交通の両分野におきまして各交通機関の特性に応じて相互補完的に組み合わせた形で利用者のニーズに即応した効率的な交通体系を形成していく必要があるというふうなことを言っておるわけでございます。いわゆる各交通機関の特性というものを十分考えなさいというようなことでございます。  私どもといたしましては、このような各交通機関の特性というものを十分配慮した望ましい交通体系というものを形成していく上で必要な条件整備というものをやってきておるつもりでございます。条件整備をやりながら各般の施策を総合的に講じてきておるという状況でございます。  具体的に申しますと、例えば港湾とか空港とか鉄道とかいう基本的な、基盤的な施設の整備をやってきておる。それから二つ目が、輸送力の確保とか地域住民の足の確保とかいうふうな観点からの助成制度を設けておるわけでございます。それから三つ目が、安全かつ良質な輸送サービスを確保していくという観点から公的な規制をやっておるわけでございます。こういうものをひっくるめた形で先ほど申し上げました各交通機関の特性に応じた交通体系というものを形成していっておるつもりでございます。今後ともこの答申に述べられている基本的な考え方に従って政策を展開してまいりたいというふうに考えております。
  18. 千葉景子

    ○千葉景子君 何となく漠然と抽象的で余りはっきりしないんですけれども、ここで議論していましてもちょっと時間が足りませんけれども国民の側から見ますと交通問題というのは非常に不備な点がたくさんあるんではないだろうかというふうに思うんです。今、柱を基盤整備輸送の確保、安全性の問題などを取り上げられたわけですけれども、より具体化した内容を推進をしていただきたいというふうに思っているんです。今回の資料に基づいても、鉄道整備などにつきましては特定都市鉄道整備積立金制度複々線化事業などが記されているわけです。一応これのみが記されておりますけれども鉄道整備などについては、複々線化事業、どれ具体的に本年度といいますか、どんな状況で進んでいくんでしょうか。
  19. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) この法律が成立いたしまして施行はされておるわけでございますが、現在までのところ具体的に適用を受けて工事をしているというものはないわけでございます。ただ、関東の大手の民鉄五社が現在この制度を使う準備をしておりまして、準備が整って申請が出てまいりましたならば、これを受けてその推進を進めたいと、こういうふうに思っておるところでございます。
  20. 千葉景子

    ○千葉景子君 そうすると、今考えられているのは関東の私鉄五社ということで、ただこれは今後関西の私鉄とか地方の私鉄等も活用できるということになっていくわけですね。
  21. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) ただいまの話でございますが、大都市だけの話でございまして、地方都市は対象外でございます。
  22. 千葉景子

    ○千葉景子君 さらに、先ほどちょっと触れたんですけれども空港整備五カ年計画の中で、コミューター航空のような小型機利用の空港整備、こういうものについてはとりわけ触れられていないといいますか、御説明はないんですけれども、このあたりについては何かお考えはございますのでしょうか。
  23. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 小型機の空港整備でございますが、特にヘリポートの整備につきまして現在検討を進めておるところでございます。特に政府の緊急経済対策におきまして地域活性化のための方策の一環として取り上げられておるわけでございまして、私どもといたしましては、現在航空審議会の地域航空輸送問題小委員会で精力的に御審議をしていただいております。そういうような結論を踏まえた形もある程度考えつつ、できるだけ早急に公共用のヘリポートの整備推進してまいりたいと思っておるところでございます。
  24. 千葉景子

    ○千葉景子君 ぜひ、このような鉄道の問題あるいは小型航空機などの問題、新しく出てきている問題でもございますので、こういうものを含めて基本的な、総合的な体系、柱、こういうものをより充実をさせていただきたいというふうに思っております。  ところで、少し港湾関係について、私もちょっと神奈川なものですからお聞きをさせていただきたいと思うんですが、この港湾関係資料を、それからこの別紙の方を見させていただきますと、日本は海の国でございますから全国的に港湾施設というのがたくさんあるわけですけれども、とりわけ特定重要港湾ということで指定される港湾が四つ重なる東京湾がございます。この東京湾というのはこういう重要港が大変重なっているということも含めて、それにプラスして大変船舶の往来も多い。それからその中で航路も非常に錯綜している。周辺には大都市を控えている。また、LNGの基地とかそれから製油基地、こういうものも非常に大量に備えていて、安全性の面でも素人目から見ますと大丈夫なんだろうかと、こういう問題もございます。  そして浦賀水道などは大変狭いところを船舶が航行してくるというようなことなどもありまして、東京湾というのはある意味では港湾の問題のさまざまな矛盾や問題点が全部ここに集中していると言っても過言ではないような地域かと思うんです。このような東京湾について港湾整備、とりわけ最近は民間活力利用という形での大型プロジェクト、こういうものも大変この東京湾に集中している。横断道路などもございます。こういう中で、この東京湾というのはやっぱり一貫した、一体として見た施策といいますか、こういうものがほかの港湾以上に必要なんではないだろうかというふうに思うんですけれども、このあたりについて、これは運輸省だけで解決できる問題ではないと思いますが、ほかの省庁とも十分検討していただかなければいけませんが、この東京湾について運輸省としてどんなお考え、あるいは各省庁間での調整、こういうことをなさっているのかお尋ねしたいと思います。
  25. 坂井順行

    説明員(坂井順行君) 先生御指摘のとおりでございまして、東京湾は、言ってみれば水面も埋め立て地も含めまして、かなり重層的な利用がなされておるわけでございます。例えば貨物量一つをとってみましても全国の約二割、あるいはいろんな生産活動等をとってみましても三割強を占めるようなウエートになっておるわけでございまして、船舶の航行の量というのはほかの水域に比べて一段と過密状態といいますか、利用密度が非常に高いというところが見受けられます。したがいまして、運輸省港湾局といたしましては、従来より、もう過去数回にわたりまして東京湾の港湾計画をつくる際、この港湾計画はそれぞれの港湾管理者特定重要港湾管理者なり地方の重要港湾管理者がつくるわけでございますが、それに先立ちまして基本構想というようなものを既に数次にわたってつくっておりまして、それに基づいてそれぞれの港湾管理者が東京湾を共通認識をした上でそれぞれの臨海部の開発のあるべき姿、計画をつくっておるわけでございます。たまたま現在いろいろな形でプロジェクトが出ておりますけれども、六十五年で港湾計画目標年次が切れるということもありまして、現在基本構想のつくり直しといいますか、見直しをやっておりまして、基本的な物の考え方といたしましては、やはり東京湾というのがある程度有限である、貴重な空間であるということでありまして、それを効率的かつ機能的、有機的にその空間を発揮させなきゃいかぬというような観点から先般中間報告をいたしたところであります。三月でございますけれども、中間報告をいたしまして、関係港湾管理者、あるいは地方公共団体、あるいは関係省庁等々意見を聞いて、最終的にはそれぞれの港湾管理者、例えば東京であるとか横浜であるとかいろんな管理者が新しい港湾計画をつくり直す前に基本構想をつくって、それに基づきまして東京湾全体としてある程度整合のとれた港湾計画をつくっていきたいというふうに考えておるわけであります。
  26. 千葉景子

    ○千葉景子君 この基本構想見直しの最終的な結論が出ましたら、ぜひ私も見せていただきまして、また検討させていただきたいと思いますが、この東京湾問題について先日もつい近くで爆発事故などもありまして、大変周辺住民にとっては不安の尽きない地域でございますので、十分な管理体制、統一した基本構想づくり、頑張っていただきたいというふうに思います。時間ですので終わりにいたします。
  27. 吉川芳男

    吉川芳男君 限られた時間でございますので、運輸省並びに特命事項担当室それぞれにまとめて御質問を申し上げさせていただきます。  まず、運輸省にでございますが、内需拡大は、私聞いているところによれば、公共事業、特に港湾海岸空港等の五カ年計画を着実に実施していけばいいというふうに見てとったわけでございます。しかし、それでよしとすればこれは質問も何も要らぬわけですが、強いてすれば、今私はヘリポートの整備というものをまず質問の第一に挙げたんですけれども、千葉委員からのお話がありましたのでこれは割愛させていただきまして、第二に民活のことについてひとつ聞きたいんですけれども民活民活と唱えられてからは久しいものがあると思うんですけれども港湾民活事業というものは一体どういうものなのかということがいま一つどうもよくわからないわけです。そこでひとつこれがモデルだというものがあったら聞かせてもらいたいんでございます。  私は新潟県の港湾課に新潟県の民活あるかと、こう聞きましたら、新潟では直江津の上屋を民活導入したいということで今鋭意検討しているんだが、そうなった場合に何ほどの補助がもらえるのかと、こう聞きましたら五%だという話なんです。まことにどうもインセンティブとしては少な過ぎはしまいかということです。それから北海道行きの新日本海フェリーの寄港地にもなっているので、これらもひとつその中へ入れて事業を起こしたらどうかと言ったら、これはもう既に済んでおりますと、それではマリーナ計画、これは青少年が非常に望んでいることだがひとつできないのかと言ったら、これは新潟の西海岸計画構想はあるけれども、まず埋め立て計画が全部できなければ手をつけてみようがないと、こういうわけで、これは最近雇用でよく使われているミスマッチというものがここにもあるんではないかなというわけでございます。もっともこの制度というものは将来ともに担保されているのだということであればこれまたいいんですけれども、例えば年限が切られているのだということであればなかなかその制度に乗ろうと思っても乗れないと思うんでございますが、これらについてひとつ聞かしてもらいたいことが一つ。  それからもう一つはリゾート整備の問題なんですけれども、この間も私自民党の政調会でリゾートの法律の内容について聞かせてもらったら、さっきのお話にもちょっとありましたけれども、六大臣が共管というか主管なんですね、国土庁長官、農水大臣、通産大臣、運輸大臣、建設大臣及び自治大臣ということなんですが、そして実例はと聞きますと、これは法律ができたばかりですからそうたくさんあるわけではないんですけれども、岩手県の安比高原、それから北海道の占冠等でもう既にあるようでございますが、これらを見ますと大抵スキー場、夏の観光、冬の観光というものが主力になっているわけです。そういうことであれば、これは当然に運輸省が所管省でないかなと、こう思うわけでして、これは俗に「船頭多くして船山に上る」ようなたぐいになっても困りますが、運輸省はひとつどんと来いと、我が方はみんなひとつ所管省として受けとって、あとの省にはたらい回しにならぬように協議機関をちゃんとつくっておくという体制がとれないものですか、これはひとつ運輸省からお聞かせ願いたいと思います。
  28. 染谷昭夫

    説明員(染谷昭夫君) 港湾にかかわります民活事業についてのお尋ねでございます。従来より国とかあるいは港湾管理者におきまして計画的な港湾整備を図ってまいったわけでございますが、近年港湾に対します要請の高度化、多様化に対応いたしまして、これからは民間活力活用しつつ港湾の再開発を行う、このことによりまして時代の変化に即応いたしました多様な機能を有する総合的な港湾の空間の形成を図っていく必要があるということを考えているわけでございます。このため港湾分野におきましては、昭和六十一年度以降いわゆる民活法、それから民間都市開発推進に関する特別措置法など制度の充実に努めてきてまいったところでございます。  先生御指摘の運輸省からの補助につきましてもこの間の制度的な改善として行われてきたものでございます。現在までのところ第三セクターの設立とかあるいは地元関係者との調整というところで若干の時間を要しておりますためにまだ具体的な地点で民活事業というものについて着手したところはございませんけれども、昭和六十二年度におきましては幾つかのプロジェクトについて事業着手するという見通してございます。  ごく早いもので申し上げますと、横浜のみなとみらい21地区におきまして、これは港の中でございましてすぐ海のそばでございますが、六月の初めに事業主体となります第三セクターが設立されておりまして、今後国際会議場、国際見本市場等の整備に着手することになっております。また、先ほどの先生の御指摘の中にありました直江津港でございますが、これにつきましては既に第三セクターがございまして、これによりまして魅力ある旅客ターミナル整備に着手するということが予定をされております。このほか東京港におきましては竹芝地区の再開発、釧路港の旧釧路川地区、八幡浜といいまして四国でございますが、沖新田地区というところにおいて事業に着手するという見込みでございます。  なお、こういう民活事業、単独ではなかなか事業がうまくいかない、あるいは利用にも不便であるということでございまして、必要となります公共事業とか、あるいは土地造成事業につきましては、既に着々と進んでいるところでございます。また、適切な民間事業推進を図るために計画づくりをする必要があるということでございまして、そういう調査を昭和六十一年度から着手しております。全国におきまして、国と地方公共団体で共同いたしまして、そういう調査実施して、計画づくりに当たっているというのが現在の実情でございます。
  29. 高橋義典

    説明員高橋義典君) リゾート法の関連で私の方から御説明申し上げたいと思います。  先生から、今非常に大変なお励ましをいただいたと、こういうふうに理解いたしておるんでございますが、リゾート法、先生御承知のとおり、かなり広大な地域、四十キロ四方というふうな標準的な地域で、いろんな観光関連施設も含めまして整備を進めていこう、それによって国民のニーズに適応する形で、かつ、地域振興につながる形で総合保養地域という形のものを整備していこうということでございますが、その際に、当然運輸省としてもその主要なメンバーの一人として参画していくわけでございますけれども、例えば公共施設整備でございますね、道路の問題、そういった問題につきましては、建設省あるいは国有林野の活用ということをどうしても中の地域で図っていかなきゃいかぬということで、こういった分野につきましては農水省さんが非常に得意な分野である、こういった形で各省庁が得意な分野を持ち寄って協力しながら一つリゾート地域整備を進めていこうということで考えておりまして、運輸省が音頭を取ってということでもいいんでしょうけれども、各省庁が今のところ局長クラスで構成されます連絡会議というものをつくりまして、ここで相一致協力いたしまして、国土庁を窓口としながらリゾート地域整備を進めていこうと、こんな考え方になっておりますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  30. 吉川芳男

    吉川芳男君 それでは次に、特命担当室の方にお願いいたしますが、私は、民間活力というものはやっぱり大都市では非常にあると思うんです。例えば東京湾の埋め立てによって事務所用地を設ける、そういうものと、地方がなかなかプロジェクトもいいのがない、採算に合うものがないということで悩んでいるわけなんでして、同じ法律だから同じ恩典だ、補助率だということになってはどうもおもしろくないわけなんでして、例えば大都市に対しては別に補助も何も必要ないと思うんです。まして、これだけ過密な東京をさらに過密にさせるようなことに拍車をかける補助をするようなことはなさらぬ方がいいんじゃないか。その分地方にいい事業があったらどんどんと慫慂する、補助率を上げてやるという傾斜配分の思想を取り入れるべきでないかということが第一点。  それから第二点は、民間活力の主要施策の一覧表の中で、規制緩和の第一に農地の線引きの見直しというものがありますが、これは古くて新しい問題で、線引きなんというのは農地に関連する法律の中で一番悪い法律だったと言ってはばからない人もたくさんいるんですけれども、まあこれは都市のスプロール化現象を防ぐという意味もありましょう。法律そのものまで否定するものではございませんけれども、さきの参議院の予算委員会においても、柿の木ぐらいしか植えておかないで税金逃れをする、制度を、悪用とは言いませんけれども、流用しているじゃないかという議論が相当あったわけですが、本来の趣旨が生かされていないということに対して、いわゆるこの法律は本来あめとむちの両方があったはずなんですけれども、あめの方もむちの方もさっぱり効かない、宅地並み課税の方も進んでいない。これはただ単に役所が悪いんでなくて、これを応援している政党、これは何も自民党だけでなくてすべての政党がこれに対しては大抵反対しているというところを見ると、政治家もこれは一半の責任があるわけですけれども、そういう初めの法律の趣旨が生かされてないということに対してあなた方はもう少し強く指摘をして、初めの法律の趣旨どおり運用してもらわにゃ困るんだと。こういうふうなコメントがないことを非常に私は残念とするんですが、その辺はいかがかということが一つ。  それから第二は、石油等エネルギーの分野における各種規制緩和という話の中に、かつてライオンズ石油の社長で佐藤何がしという人が、おれは通産省にやられたと、殺されたと書いてやられたと読ませているんですけれども、そして本当にもう自分の全財産、事業家としての全精力を使って何とかガソリンの直輸入を図ろうとしたけれども、とうとう三回も失敗して倒産の憂き目に遭ったという実録、相当誇張もあるようですけれども、これが一つのあれになりまして製品輸入という道が開けたと思うんですけれども、今日それは元売精製業者のみに与えられているということを聞くときに、どうもここらも政策が不徹底だなと。だれでもかれでもが製品輸入ができたら、精製蔵をやっている元売業者に対して非常に圧迫になることは十分知っていますけれども、その辺についての説明がないようなんでして、この辺はどういうふうにお考えいただいているのか、この二点をひとつ聞かしてください。
  31. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 最初のお話の、地方に対しまして民活事業が集中的に進むような施策、傾斜配分的にすべきではないかということでございますが、民活事業につきましては、内需振興の観点から、あるいはそのほかの例えば国土整備等の観点も含めまして、進むものでしたら、大都市地域においても、それから地方においても進めた方がよろしいんじゃないかと、こういうふうに私どもは考えております。そのときに大都市地域を進めることによって地方がかえって進まないという状況が出てくるんでは困ることでございますので、やはり地方は地方なりに、地方においても進むようにするにはどうしたらよいか。委員の御意見を整理したものの中でも、例えば二十一ページに、地方の民活を進めますときに大都市とは違ってこういうことで進むんじゃないかとか、大都市とは違うやり方で、違う方向で考えるという考え方も必要なんじゃないかということが書いてございますけれども、そういう面で進めて、それが地域活性化にも結びついていくようにすべきではないか、こういう指摘が多かったわけでございます。特にインセンティブといたしましては、そのために地方に例えば資金調達等の面で有利になるような施策を講じられつつあるわけでございますので、そういった施策が十分地方の民活プロジェクト推進に役立つように今後とも具体的に、例えば都市再開発の面で地方を中心に行うような制度、民間都市再開発推進機構なんかそういうふうになっておりますけれども、そういう格好で進むようにこれからもしていく必要があるんではないか、こういうふうに思っております。それから民活プロジェクトとあわせまして、基盤整備という面で、公共事業もそういうものにあわせて十分効果があるような形で進める必要があるんではないか、こういうふうに考えております。  規制緩和につきまして、線引きの見直しのお話でございますけれども、線引きの見直しにつきましては、御案内のとおり、都市計画に基づきます都市計画区域内の線引き地区、市街化区域、市街化調整区域の指定の問題でございます。農地の宅地並み課税の問題も、宅地供給という点では同じような目的をもたらすものでございますし、非常に重要な問題でございますけれども、ここで申しております線引きの問題につきましては市街化区域、市街化調整区域の線引きということでそれを随時見直すということでございまして、そのほか御指摘のございました課税の面からの宅地供給を図っていく必要があるという御議論については、そういう御議論があるわけでございますが、そういう形での御議論は懇談会の場では出ておりませんでしたので十分整理をしていない、こういうことでございます。  それから石油等エネルギーの問題のガソリンの問題でございますけれども、前に整理をいたしました項目の中ではそういった石油業のあり方の問題等についてもいろいろ御議論があったように伺っております。そういう問題について、石油精製業の、エネルギー政策からいってどういうふうにやったらいいか、あるいは石油業のあり方をどういうふうにやったらいいかということにつきましてはそれぞれの所管省において検討されているところでございますが、私ども聞いているところによりますと、そういう分野につきましても規制緩和で進められる範囲におきましてさらに検討が進められている、こういうふうに伺っております。現段階ですぐに御指摘のような格好にいくことはなかなか難しい面もあるようでございますけれども、そういう分野につきましても順次検討がされている、こういうふうに伺っております。
  32. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 内閣官房特命事項担当室にまず御質問したいと思います。  民間活力活用の主要施策ということで「公共的事業分野への民間活力導入」、こういう項目で、技術高度化・情報化関連プロジェクト、こういうあれでテクノポリス構想の推進、ニューメディアコミュニティー構想、テレトピア構想等々がございますけれども、テクノポリス構想の推進について二、三点伺いたいんでございますが、今これは全国的にどういうふうに地域指定をして進めていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  33. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) テクノポリス構想につきましては、地域企業の技術高度化あるいは高度技術産業導入促進等によって地域経済の活性化、乱立化を図るという趣旨で五十八年の七月に法律が施行されまして、その後計画承認地域が五十九年から六十年三月にかけまして十五地域、その後六十年の八月から十二月にかけまして三。地域、さらにその後も追加されてまいうまして、詳しいところは、私ども所管をしておりませんので、正確な数字はここで申し上げるのはちょっと控えさしていただきますけれども、二十地域あるいはそれを若干超える地域が指定されているのじゃないか、こういうふうに考えております。
  34. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 兵庫県では西播磨テクノポリス建設推進をしているわけですが、高度技術の工業集積地域開発、これで非常に努力をしているんですが、ここはやはり国としては県とどういう程度のタイアップをされているのか、そういう点はいかがでございますか。
  35. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 私ども、先ほど申しましたように関係省庁事務調整ということでございまして、個別の地区の状況につきましてはちょっと承知しておらないので、恐縮でございますが、お答え申し上げかねます。
  36. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 よく担当とまた連携をとっていただきまして、前向きで手を打っていただきたいと思います。  ちょっと運輸省にお伺いしますけれども、黒字の減少対策として、運輸省が航空運賃の平日割引の拡大それから地方からのチャーター便の運航など対策を講じて、年間海外渡航者、現行で五百万人ですけれども一千万人程度に倍増していく計画も構想されているようでございます。この点について伺ってみたいと思うんですが、六十三年から五年間の日本人旅行者倍増構想、二倍増の一千万人が目標になっているようでございますけれども、その中で一つは航空運賃の割引制度の拡大、二番目には海外の観光地の開発協力や観光関係者交流の促進、三番画には地方空港からの国際チャーター便の運航、四番目は外航客船の利用促進等が推進の課題になっているようでございます。こういうものが実現すると、九二年には経常黒字が約百億ドル縮小して経済摩擦を緩和する効果がある、こういうふうに言われているわけでございます。ちなみに先進各国の人口に占める年間海外旅行者の割合を実績で見ておりますと、イギリスが三八%、西独が二七%、フランスが一五%、米国が一一%。日本は四%と非常に少ないわけでございます。こういう点から見ると、非常に理にかなった政策だなと感じているわけでございますが、現実にはこういう問題についてどこまで進んでいるのか伺ってみたいと思います。
  37. 高橋義典

    説明員高橋義典君) 先生御指摘の海外族行倍増計画につきましてこの前新聞等で取り上げられましたけれども、現在省内で、この倍増計画目標に対してどういった形で具体的な政策を展開していくかということについて検討中でございます。そういった段階であるということでございます。
  38. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私も構想として非常にいいと思っておりますので、また関係部局で進めていただきたいと思います。  それから、ヘリコプター輸送システムの問題についてでございますけれども、二十一世紀は空の時代、また運輸省も四全総の中で、日本全国一日で行き来ができる、こういう計画があるようでございます。各府県としていつも懸案事項になるわけでございますけれども、公共用ヘリポートとして空港整備法の対象としていただきたい、そして、三種空港並みの国の助成措置はできないのかと、こういうことが今後非常に各府県でも大きな要望事項となると思いますけれども、こういう点についてはいかが考えていらっしゃるのか伺いたいと思います。
  39. 鈴木光男

    説明員(鈴木光男君) 先生御指摘のように、地方から公共用ヘリポートの整備についての要望が非常に強まっておるということは私ども認識しております。  ヘリポートにつきましては、基本的には地域内のヘリコプター輸送に対応するという性格が強いものでございまして、全国的な航空ネットワークを形成いたします第三種空港とはやはり性格が異なっておるというふうなことを考えておりまして、仮に公共用ヘリポートに対しまして国として助成措置を講ずるといたしましても、第三種空港並みということは非常に困難ではないかと思っております。  ただ、現在、ヘリポートの整備のあり方につきましては、運輸大臣の諮問機関でございます航空審議会の中に地域航空輸送問題小委員会というのを設けまして、精力的に御審議いただいておるところでございまして、その審議の成果も踏まえまして、私どもとしてヘリポートの整備のために取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  40. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間がございませんので次に移りたいと思います。  今、造船、鉄鋼、こういう産業が非常に不況となっております。これは既に御承知のとおりで、政府もいろいろな対策を打っていらっしゃるわけでございます。逆に需要の創出のために私どもは提言をしたいと思うんですが、これについて将来どう取り組んでいかれるか答えていただきたいと思います。  一つは、浮体構造の沖合人工都市の建設は政策として考えられないのか。これは造船、鉄鋼の不況に対する活性化のためにです。  二番目には、海上下水処理場の建設、これは陸上よりも非常に経費が安い。半分ぐらいで済むと思いますけれども、これは政策として検討課題とならないのか。  それから三番目は、伊豆大島でも非常に、これはテレビで国民が見ていらっしゃいまして、災害に対する救助船の対応、これは国としても、中曽根さんも、運輸省としても、非常によく手を打たれたと思うんですけれども、災害救助船の建造、こういうふうなことも該当の省庁としてはどういうふうに将来考えていくのか。  それからまた、これは文部省関係になりますのでいかがかと思うんですけれども、教育のために洋上学校の構想の実現というものも必要ではないかなと思うんです。四面を海で囲まれている日本の国が船を活用しながら小学校や中学校や高校の生徒たちに自然というものを、今は山の方面にはいろんなことがございますけれども、やはり教育に海洋を活用しながらこういう造船関係活性化を図るべきではないかと考えるわけでございますけれども、将来構想として考える用意があるのかどうか、いきなりでございますので申しわけないと思いますけれども、答えていただきたいと思います。    〔会長退席、理事坂野重信君着席〕
  41. 佐々木博通

    説明員佐々木博通君) 御質問のうち海上浮体ビルについてお答えしたいと思います。  造船不況ということで、海上浮体ビル等、造船所は従来船をつくっておりましたけれども、そういう技術を生かして、海上に、ポンツーンとかあるいはセミサブマージブルリグですとか、そういうような船に似通った技術を持ち寄って沖合でもって海上の空間を有効利用するという構想が幾つかございます。例えば長崎においては海上浮体ビル、これは、長崎県がかなり力を入れておりまして、昭和六十五年ぐらいには第三セクター方式で建設したいと言っておりますけれども、そういうような需要があるところについては、私ども造船不況に対処するということで援助していきたいと思います。  法制度の問題としての取り上げ方としましては、私ども船舶安全法の中でそういう構造物の安全等についてチェックしております。この海上浮体ビルの問題としましては、技術的には船舶の延長上で議論できるわけでございますが、地域によっては気象海象状態が日本の沿岸でもかなり違うところがございます。そういうところでもって、あるところでできたといってもほかのところでは全然違う形態でなければいけないということが起こりますので、そういうところを技術的に十分詰めていきたいと思います。  それから、海上浮体ビルについては、運輸省だけではなくてほかの省庁とも関係がございますので、今後、各省庁と御相談してできるだけ前向きに進めていきたいと思っております。
  42. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 残りの部分について御説明したいと思います。  まず、海上下水処理場の問題でございますが、基本的にはこれは地方公共団体の行政の問題でございまして、具体的に私どもの方に要請がありましたら御相談しつつ対応させていただきたいと思っておるわけでございます。  それから災害救助船でございますが、災害救助船という形で別のものをつくるというのは、用途が限定されるというようなことでいろいろ大変かと思いますが、私どもといたしましては、海上保安庁の船をさらに充実強化するという方向で先生のおっしゃる意を体していきたいというふうに思っております。  それから、三番目の洋上学校の話でございますが、これも先生御存じだと思いますが、今新さくら丸とか日本丸とかいうような船がございまして、これである程度修学旅行等の需要には対応しておるようでございます。今後、そういう学校教育の問題として船をどんどん使いたいということになれば、やはりそれなりの対応が必要かと思います。そういうことは、今後学校教育を担当なさる文部省さんなんかと御相談しながら対応していきたいと思います。私どもといたしましては、できるだけ船が利用されて、船が身近な存在になるということはぜひ必要な、皆さん方に理解してほしい問題だというふうに思っているところでございます。よろしくお願いいたします。    〔理事坂野重信君退席、会長着席〕
  43. 吉川春子

    吉川春子君 内閣官房特命事項担当室に最初に質問します。  民活プロジェクトへの無利子融資についてなんですけれども、報道によりますと、産業投資特別会計に繰り入れられるNTT株の売却益四千五百億円の一部を日本開発銀行が政府から無利子で借り入れ、これを大企業の民活事業に無利子で融資するという超優遇措置がとられようとしています。一方で、円高不況で困っている中小零細企業に緊急融資の制度があるんですが、これは私ども激甚災害並みに三%以下にせよと繰り返し要求しているにもかかわらず、今五%ぐらいの利率だと思うんです。大企業になら無利子で融資して、中小零細企業はだめだという理屈が成り立つんでしょうか。百歩譲って、大企業の民活プロジェクトへ無利子融資をするなら、中小零細企業に対しても円高不況に関するこの緊急融資を利息をゼロにしたらどうでしょうというのが第一の質問です。  それから第二は、民間活力活用推進懇談会におきまして、公共事業分野への民間活力導入に関して、一、大都市周辺の既成市街地における空洞化現象への対策。二、低未利用の国公有地、公共施設用地等の有効活用を図る。三、地価上昇に対処し、土地供給の増大を図る必要のため民間活力活用への期待が大きくなっているとしていますけれども、これは大変大都市に偏っているのではないかと思います。また、地方民活においては、公共事業への民間活力導入は、施設の利用効率、他地域との競合性から、大都市に比較して採算に乗りにくい場合が多いというふうにも指摘されています。これはますます東京などへの集中性を促すものではないのでしょうか。また、現在全国各地に売れ残っている新産都市あるいはテクノポリス構想による工業用地について、このままでは地方民活も進まないと考えられますが、その点どうするおつもりでしょうか。これらの売れ残っている工業用地は地方財政の圧迫の大きな原因の一つにもなっているわけです。企業が海外にどんどん進出しておりまして、地方立地よりも海外立地が優先される傾向が各地にあらわれていますけれども、地方民活のウエートをどこに置いてやろうとしておられるのか。その二点についてまずお伺いいたします。
  44. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) まず、NTTの株式売却益を民活プロジェクトに使用する件でございますが、私ども民活分野だけを担当しておりますものですから、ほかの分野との関係についてどう考えるかということについてのお尋ねのように承ったんでございますが、民活の面からだけ申し上げざるを得ないんですけれども、この前の緊急経済対策におきましては、民活事業の円滑かつ効果的な推進を図るため日本電信電話株式会社の株式売却収入を活用し、民活対象事業等に対する助成の拡充を行うと、こういうふうに決められているわけでございます。それを具体的にどういうやり方でやるかにつきましては、現在財政当局と関係省庁との間で詰めが行われているというふうに私ども聞いております。一般的なことでございますけれども民活プロジェクトというのは、公共的な事業分野に民間の活力を導入するということで、それによりまして地域全体の活性化を図っていこう、こういうものでございまして、公共的事業分野にどういうふうに民間の活力を導入していくかという趣旨でございますので、民活プロジェクトを進めるからといって特定の企業を何か優遇をすると、こういうことであるというふうには私ども考えていないわけでございます。  NTTの株の売却益を活用するに際しましても、そういう公共性については十分な配慮がなされるのではないかと思いますし、そういうふうにすべきではないかと、こういうふうに考えております。したがいまして、緊急経済対策で決められていることも民活対象事業等にということで、やはり法律のちゃんとした定めのある場合についての助成という面を強調して定めていると、こういうふうに考えておりますし、そういう方向で検討がなされているんではないかと思っております。  それからもう一つ、お尋ねの大都市地域に非常に偏って施策がなされているんではないかというお話でございますが、この民活懇談会の御意見は、施策を大都市に偏ってやるということではなくて、現在の民活プロジェクトがやはり大都市の面で進みやすい状況にある。こういうことからできる限り地方にもそういうプロジェクトが進み、しかも国土利用の観点、国土整備の観点からあるいは地域経済の活性化の観点から、そういうプロジェクトが役に立つようにという趣旨で議論が行われたわけでございまして、そういう点について、特にこの冊子で申しますと二十一ページでございますけれども、地方民活については大都市とは違ったやり方で、例えばここに書いてありますのは、二十一ページの真ん中ごろからでございますが、地方民活について考えますと、公共的事業への民間活力導入というのは、大都市地域に比べると地方は採算に乗りにくい場合があるけれども、ほかの面で、例えば計画的な地域整備にあわせた民間投資の促進という面で、あるいは少し下の方でございますけれども、さらに未利用資源の活用や先端技術の導入による新しい産業の起業化の面、あるいは地域特産品の生産やイベント事業、そういった面で進める面が非常に多いんじゃないかということでございますし、先ほどもちょっと御説明いたしました例えばリゾート開発等の面では地域のそういう特性を十分生かしながら進めていく必要がある、こういうことでございます。  企業が日本の経済で活動分野が少なくなって海外立地が行われるというようなことでございますが、そういった面に対応するためにも、できる限りそういうものが全国の各地域で起こるように進め得るような状況をつくっていくというのが民活のやり方だと私どもは思っております。
  45. 吉川春子

    吉川春子君 公共という名のもとに大企業に対する物すごい利益を保証するものが民活だと私は思います。  ちょっと運輸省にも通告してありますので、残りわずかな時間で質問いたします。  先ほどの御説明にもあったわけですけれども、「大都市圏鉄道複々線化及び大規模工事促進を図る。このため、特定都市鉄道整備積立金に係る課税支援措置を講じる。」というようなことがありました。大都市圏、とりわけ首都圏の土地の高騰によりマイホームは遠のき、通勤時間が増大しております。私も通勤している一人ですけれども、通勤地獄というのは、本当にもうまさに地獄なんです。こういう満員電車の通勤の軽減、解消といいましょうか、そのためにはいろいろ時差出勤とか職住接近、東京集中の緩和、各種の要因に対する対応が求められていると思いますが、公共交通の投資のあり方としてこれに重点的に取り組むべきだというふうに思うわけです。  さっき説明されましたような方法は、例えば運賃値上げの先取りを認めるようなことではなくて、東京近郊の私鉄なども大変関連産業で大もうけをしているわけですから、私鉄自身の努力によってもっとこういう通勤問題に対して積極的に取り組むようにぜひ行政指導するべきじゃないか、それが国民の生活向上に資する真の内需拡大じゃないかと思うんですけれども、その点についていかがでしょうか。
  46. 岩田貞男

    説明員(岩田貞男君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、大都市圏においては大変な通勤ラッシュ、混雑が高いということで、いろいろな施策あるいは金融、財政上の施策も講じてきたわけでございますけれども、これをさらに抜本的に解決するためには何らかの手段がなければならない。結局複々線化をするとかあるいはその他の大改良をするにしてもやはり資金コストというものがかかる。複々線化したことによって爆発的にお客様がふえるわけじゃなくて、従来のお客様がそれだけ楽になるということでございますので、そういう意味では収入への見返りがややもすれば少ないということでございまして、従来より今申し上げたような助成措置等によりまして鋭意改善はしてきたんですけれども、ここにきて抜本的な大改良あるいは混雑緩和のための施策を展開しなきゃならないということで、今先生が御指摘になりました特定都市鉄道整備に関する法律が去年できまして、今どうしてそれを活用していくかという状況にあるわけでございます。  したがいまして、これの従来の措置にあわせまして昨年の七月にできましたこの整備促進特別措置法をもあわせて十分活用して、通勤地獄あるいは大変な混雑というものを解消していきたいと私どもは思っております。
  47. 三治重信

    ○三治重信君 運輸省の方へまずお尋ねするんですが、御説明資料の五ページの五番目の「豊かな生活空間の形成をめざした港湾整備」のところに「海洋性レクリェーション等の要請の増大に対応するためマリーナ等整備」、これはやはりリゾート法によるリゾートのものと一緒にぜひ考えられるべきじゃないかと思うんだが、これは港湾整備と別個にやると全体としてのリゾートの開発と矛盾するようなことになりはせぬかと思うんですが、マリーナの整備、これはぜひリゾートの整備のところで、殊に海岸の中には必ず含めてもらえるようにしてもらいたい。これは農水省も入ってくるから農水省の説明のときにもまた言っておきますけれども、日本でマリーナなりが発達しないのは、漁業組合の海面の占用でなかなかマリーナができない。非常に大きな発展が阻止されている。  現にこれ、マリーナができると、随分海への遊びにゴルフ人口が移るんじゃないかというように思うんですね。しかも、それはもうアメリカなんか非常に発達しているわけなんで、またそれがいわゆる船をつくるのに非常に刺激になるということで、これは地域開発のためにぜひ水面の、殊に漁業組合とのひとつ調整のためにも各リゾートの関係でぜひつくってもらいたいと思う。これはリゾート開発にぜひ必要な施設だと思うんですが、その見解。  それからその次にある「快適な港湾及び海洋の環境の形成を図るため緑地の整備、汚泥の除去等の事業を行うほか」というのは、この「汚泥の除去」というのは、これは愛知県の三河湾で汚泥の沈滞によって、三河湾へ各河川や工場排水や家庭排水があって汚泥がたまって、水産のカニやシャコが非常にとれなくなって、まあそういうことから考えていたんだけれども、この汚泥の除去というのがこの間の新聞に出ていて、運輸省の所管ということは僕は考えていなかったが、運輸省の方でこの汚泥の対策をやっていて、港湾沖の砂をその汚泥のところへまくと、そういう汚泥から発生するガスや海底の生物に非常にいい影響を与えるんじゃないかということで実験をするというようなことが出ているんだが、これはどの辺までの汚泥の除去を考えているのか。ただ港湾の付近だけのことなのか。僕はそうだろうと思うんだけれども、例えば三河湾なり、まあ伊勢湾でも将来そういうぐあいになるんだろうと思うんだが、そういう一つの湾の中の非常に汚泥のたまった、全体の汚泥の処理の問題。これは先日もイスタンブールに行ったときも、イスタンブールの都市の中で、こういうような非常に袋小路の湾の中の汚泥の処理なんかを、これは国際的な機関で補助金もらって再開発計画をやるんだというようなことを言っておったんだけれども、イスタンブールの市長なんかがね。そして歩いてみると、やはり昔の東京湾と同じように臭いわけだ、観光地という港のその中の奥の海水がみんな臭いわけ。こういうようなのを港湾の再開発のために本当にどの程度考えられておるのか。  それからもう一つは、ここに同じように「広域処理場をはじめとする廃棄物埋立護岸の整備」、これは大都市では廃棄物の処理にもうみんなどこも困っていると思うんですが、こういうような廃棄物の埋立敷地を海洋にできるだけ広域的に各大都市につくってもらうと非常に役立つ。殊に名古屋港なんかは、何か海洋でありながら地権業者が入り乱れていてどうしようもないとかいうような話なんだが、こういうようなのは運輸省で何とかなるのか、その埋立地に指定していけば。何かそういう積極的な埋め立てのための海岸、ここだけは廃棄物を使って埋め立てするんだと、港湾計画でやるというようなことが決定すれば、非常な地権業者が入り乱れているものも逐次交渉の対象としてうまくいくんじゃないかと思うんだが、こういうようないわゆる港の関係整備とリゾートの開発の中に海の利用をやっていく総合的なマリーナのものと、この後のものと僕は違うだろうと思うんだが、そういう地域整備計画をこの港湾整備五カ年計画の中でどの程度重要視していくか。殊に、名古屋港と三河湾のことはちょっと新聞にも出ていたし、そういうことで廃棄物の埋立護岸なんかも港湾計画の中に入ってやっていけるのかどうか。
  48. 坂井順行

    説明員(坂井順行君) 三点ばかり御質問がありましたので分けてお答えいたします。  まず、マリーナのことでございますが、ここに書いてありますマリーナの整備は現在港湾管理者であります地方公共団体が行うものが主体に書いてございます。大体今回五カ年計画で五百億円ぐらいの事業量を想定しておるわけでございますが、多分これを大幅に上回る可能性が出ておるというぐらい現在非常にニーズが強いものであります。したがいまして、今先生御指摘のようにリゾート法との関係ということになってくるわけでございますが、リゾート法との関係の中で民間のマリーナというのも当然整備をされることももちろん想定をいたしておりますが、やはり何といいましても外郭施設、すなわち防波堤、波をまず殺すためには相当なコストがかかりますものですからなかなか民間が出にくいような状況にありますものですから、できれば外郭施設、波を殺すようなものについては、主要な海域はできるだけ官が整備をいたしまして、その背後につきましてはできるだけ民間の方が出やすいような、あるいは質の高いサービスができるような形でそれぞれのリゾート開発地域の中でマリーナが位置づけられるように整備をしていきたいというふうに考えております。この五カ年計画をつくったときとそれからリゾート法との間には若干のギャップがございますものですから地域的な調整がまだ当然必要になってこようとは思っておりますが、ここで想定しておりますのは主として公共マリーナで、なおかつ港湾管理者がやるものが主体に書かれておるわけでございますが、当然リゾート地域との調整は出てこようかと思います。  それから、二点目の汚泥の除去でございますが、これは港湾区域の中での除去が原則でございます。ただ、今先生おっしゃいましたように三河湾の中では港湾区域の外で相当汚泥がたまって何とか除去してほしいという漁民からの強い要望があることも承知いたしております。こういうところには直接私どもが手を出すすべはございませんが、ただ一方で私ども港湾区域の外、具体的に申し上げますと、伊勢湾で申し上げますと、伊勢湾の湾口の航路しゅんせつ、これは港湾区域の外でございますが、そこでしゅんせつをいたします。そうしますとかなり良質な砂が出てくるわけでございまして、それのまた捨て場というような観点から考えていきますと、これはどこへ捨てさしていただいても構わないわけでございまして、今具体的には、伊勢湾、三河湾のいろんな漁協から、ぜひそれを汚泥の上にまいてほしい、捨てるというのじゃなくてまくという、覆砂という言葉を使っておりますけれども、それをまいていただければ、厚さをどのくらいにするかは汚泥の堆積の状況にもよりますけれども、そういうことを工夫してくれることによって新しい漁場が創造できるというような要望が非常に強うございますものですから、私どもとしては土砂を捨てさしていただく捨て方の一つとしましてそんなことも工夫をしてみたいというふうに考えておる次第でございまして、ここに書いてあるものは原則として港湾区域の中で現在実施しておるものでございます。  それから三点目でございますが、いわゆる廃棄物埋立護岸、これは当然都市生活をする際には必然的に出てくるものでございまして、通常港湾管理者に対しまして補助をいたしまして、護岸をつくり、その中に土を入れ埋め立てをして、それをまた有効利用するというようなことをやっております。これは通常の場合はそれぞれの地先水面を有する港湾管理者がそれぞれ計画をしてその中に主として一般廃棄物あるいは都市残土あるいは私ども港湾工事より出てきます土砂でございますが、そういうものを捨てて、その上を緑地だとか都市再開発用地だとかできるだけその地域のニーズの高いものに活用をしていくということを考えております。特に東京湾とか大阪湾というふうになりますと地先水面を持たない地方公共団体がたくさんございます。東京湾ではまだできておりませんけれども、環境整備センターというものを大阪湾では既につくっておりまして、かなり内陸部、京都とか滋賀とか和歌山を含めまして内陸部の市町村から出てきます一般廃棄物の焼却灰を捨てて共同の土捨て場、ごみ捨て場にしよう、フェニックス計画と言っておりますが、大阪ではいよいよ動き出しました。東京ではまだこの前のサミットで、知事会議でいろいろ議論にはなっておりますけれども、まだ調整がついておりませんけれども、いずれ当然必要になってくる問題だろうと思っているわけでございます。
  49. 三治重信

    ○三治重信君 三河湾の土砂のやつだったら県も非常にやりたがっているから、県の方にも金を出させて大々的に、ちょうど水路開発で土砂が出るならその土砂を全面的に利用できる計画を県ともよくやって、県の方にも金を出させて、全面的にやるということをやってもらいたいと思います。  それから特別法の方の、国有地の有効活用の中で信託とかいろんな計画土地の売却をしないで有効活用する計画、これは具体的に進んでいるのか。本当に国有地を売却しないで有効活用するというのは具体的に何カ所ぐらい考えているのか。
  50. 遠山仁人

    説明員遠山仁人君) 土地信託制度につきましては売却によらないで処分する一つの新しいやり方として導入されたわけでございまして、昨年の法律改正によりましてそういう制度ができたわけでございます。そのうち、公有地につきましては既に幾つかのそういう具体的な計画ができておりますけれども、国有地につきましてはまだ具体的に土地信託の制度が実際に使われたものはありません。伝え聞いているところによりますと、検討はなされているというふうに聞いておりますが、これからそういうのが実際に出てくるんではないか、こういうふうに思っております。
  51. 平野清

    ○平野清君 まず運輸省の方にお尋ねしたいんですが、港湾海岸空港整備ということで大変広範囲な守備範囲をお持ちなんですが、私たち庶民の素朴な感情からいいますと、一生懸命地方空港をつくられても、空港からの都心部に出るときの交通渋滞というもので、せっかく短い時間で運んでもらってもほとんど役に立たないわけですね。例えば福岡なんかを見ましても、福岡空港に着いたらもう道路が込んで、福岡に出るのに三十分も一時間もかかる、小松も同じようなものです。例えば新幹線につきましても同じようなことが言えると思います。新横浜から横浜の中心部へ出て在来線に乗りかえようと思えば、東神奈川で乗りかえて、それでまた今度京浜東北かなんかに乗りかえて関内へ入る。  この間もちょっと建設省の人に申し上げたんですが、各省ばらばらにそういうことをやられたんでは、ちっとも社会資本の充実という今度の緊急対策に合わないと思うんです。そういう意味で、せっかく空港整備されるなら、空港というものはどうしたって遠くにできますから、町の中心部に結ぶ交通網というものが重大な空港を生かすか殺すかのものになってくるわけで、それは建設省の方だからおれの方は知らぬというのでは何にもならないような気がするんです。そういう意味で、例えば港湾でも、東京湾からフェリーで関西へ行こうと思うと、何時間であそこの海岸まで着けるかわからないから、早く行って、船の前で真夏なんか一時間も二時間もカーフェリーに乗るのに並んでいるというような状態をしょっちゅう見るわけです。だから、運輸省という省はよほど建設省と一体となってやってくれないと、利用する方はちっともありがたみがない、そういうような気がするんですが、理念的な、根本的なものについてどうお考えになるか。
  52. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 空港のアクセス問題につきましては、空港整備の際にあわせていろいろ検討をいたしておるわけでございます。運輸省以外の分野もございます。そういうところとの調整もやっておるつもりでございます。ただ、従来ややもすると、運輸省というのは陸運局と海運局とがあって、自分の守備範囲しか見ないというようなそしりを受けておったわけでございますが、二、三年前に地方運輸局というものができまして、地域交通計画というものを各省集まってもらいまして地方交通審議会という場で議論すると。もちろんその場では空港の問題も含めましてやっていただいておるわけでございます。  そういうふうなやり方で、今後できるだけ住民の方々にいろんな施設が利用できるようなアクセスも十分考えた計画をつくってまいりたいと思っているところでございます。
  53. 平野清

    ○平野清君 それから、よく市街地の、旧国鉄でも民鉄でもそうなんですが、まだまだ踏切が物すごく残っているわけですね。あかずの踏切というのが非常に数多くあって、交通渋滞はもちろん、危険の上からも大変住民が迷惑しているわけですが、なるべく地下に導入するとか高架にするとか、何かそういうものに対してこういうときに思い切った助成措置をとるとか、そういうお考えはないんでしょうか。
  54. 水田嘉憲

    説明員水田嘉憲君) 踏切の立体交差化の問題だと思います。この関係につきましては、実は道路関係の側、いわゆる区画整理事業の問題として建設省等から補助が出ておるわけでございます。そういうふうなお金を使いまして道路側と鉄道側とよく御相談して従来対応してきておるというふうに聞いております。今後ともできるだけ、特に用地買収の問題で現実にはうまくいっていない例があるようでございまして、その制度を利用して計画が進むように関係者を指導してまいりたいというふうに思っております。
  55. 長田裕二

    会長長田裕二君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十二分開会
  56. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を再開いたします。  国民生活に関する調査を議題とし、内需拡大のための諸施策について農林水産省及び通商産業省から説明を聴取いたします。農林水産省吉國総務審議官
  57. 吉國隆

    説明員(吉國隆君) 農林水産省の総務審議官でございます。  内需拡大の問題につきまして農林水産省といたしましても、特に今後の農政の方向との関係ということも含めまして非常に深い関心を持っているわけでございます。一般経済の動向、あるいは日本経済の世界の中での置かれた立場、そういったものとの関係での御論議があることは言うまでもないわけでございますが、農政とのかかわりにおきましても私ども非常に深い関心を持ち、また当面の補正予算の問題等におきましても、そういった観点から主張を行い、要求をいたしておるところでございます。そういった農林水産行政とのかかわりという面を特に本日はお聞き取りをいただければありがたいと思いまして、このような資料を用意させていただいたわけでございます。  まず、横長の資料で御説明申し上げたいと思いますが、一ページをお開きいただきますと、農林水産行政とのかかわりという点で、ここにございます三点を私どもは基本の考え方として持っているわけでございます。  一つは、農林水産業の生産性の向上、体質の強化ということの前提条件として、農林水産関係公共事業を初めといたします公共的投資が非常に重要な役割を果たしているということは言うまでもないわけでございまして、昨年の十一月に農政審議会の報告をちょうだいをいたしまして、現在それの実行ということで努力を重ねているところでございますが、この報告の要点は、二十一世紀に向けまして農業の生産性向上を図り、またその成果を的確に価格に反映をさせて内外価格差縮小の努力を行っていく、こういうところが一つの重要なポイントになっている次第でございまして、先生方御承知のように、価格政策の運営面あるいは制度面におきまして見直しの努力も行っているところでございますが、そういったことを進めていきます基本的な条件としての体質強化のための公共的投資という性格を持っているという認識を基本に据えているわけでございまして、このことはまた、先ほども申し上げましたような価格政策との関係を通じまして、究極的には国民生活の質の向上という観点からの内需拡大ということにも結びついていくという考え方をしておるところでございます。  第二点は、そういった農業構造の改善を進めていくという点からも、また林業、水産業の体質強化という点からも、農山漁村地域活性化ということが非常に大切であるというふうに考えておりまして、農山漁村におきまして各種の多面的な投資を進めていくことによりまして就業機会をつくり出していく、こういう条件が整いませんと、農業の構造改善といいましても、地方に住んでいる人たちの生活という面から壁に突き当たるという関係があることは申し上げるまでもないわけでございまして、そういった意味で農山漁村の活性化という観点、また、後ほど数字で御説明いたしますが、農山漁村の生活環境の立ちおくれということも非常に問題として提起をされているわけでございまして、そういう面についても手当てをしていく必要があるというふうに考えております。  また、第三点は、もう少し広く、地域の、地方の経済の活性化ということが国土の均衡ある運営という点からも重要であるというふうに考えておりまして、農林水産関係の公共的な投資は、これも後ほど数字で御説明申し上げますが、景気浮揚効果が非常に強いという認識を私どもしているところでございます。  この三点が基本的な考え方でございまして、二ページ以降、まず農林水産関係公共事業につきまして、現状、進捗状況あるいはその役割論を整理をいたしております。  まず、農林水産関係公共事業としては、この表にございますように、農業関係では農業基盤整備、これは土地改良長期計画、現計画は昭和六十七年までの十年間の第三次計画でございますけれども、内容は先生方も御存じのとおりでございますので、ここに書いてあるとおりですが、省略をいたします。林野関係では、治山事業と造林事業、林道事業というものになります。水産関係では、漁港事業と沿岸漁場整備開発事業でございまして、治山につきましては治山事業五カ年計画で、現計画は七次の計画が本年度からスタートをいたしております。漁港整備は第七次の計画が本年度で終了するということになっております。沿岸漁場整備開発計画も本年度までの第二次計画によって進めているという状況でございます。  三ページにその進捗率、進捗状況でございますが、御存じのような過去数年にわたります厳しい概算要求基準あるいは予算編成の中で、農林水産関係公共事業予算もかなりの縮減の姿になっておりまして、右のグラフでごらんいただけますように、五十九年度以降は毎年度三百億を超える減額という状況になっておりまして、五十八年度の一兆四千七百五十五億から六十二年度の当初予算におきましては一兆三千四百二十五億ということで、かなり縮減になっているという状況でございます。  この下の方に進捗率が示してございますが、こういった予算事情のもとで、一部補助率を引き下げて事業量の増に回すといったようなこともいろいろ試み、また土地改良の特別会計制度の改善等もやりながら事業量を少しでも伸ばしていくという工夫を加えてやってまいっておるわけでございますが、進捗率といたしましては、これの右下に書いてございますように、土地改良でごらんをいただきますと、六十二年度までで、十カ年計画の五年目になるわけでございますが、その分を入れて二七・五%という状況でございますし、漁港、沿整はそれぞれ本年度が最終年でございますが、七四・九、六五・一。また、治山事業の五カ年計画では、これは先ほど申し上げましたように本年度新規の計画がスタートしたわけでございますが、昨年度までの第六次の計画終了時点で七四・六%というような進捗状況になっているということで、遅延が目立っているという状況でございます。  四ページは、内需拡大への寄与という面から、農林水産公共の特徴といたしまして先ほど景気浮揚効果が大きいということを申し上げたわけでございますが、三つの要素でここに説明をいたしております。  まず、用地費の割合が非常に小さいということでございまして、農業基盤整備につきましては三 %、それから治山、造林、林道はゼロ、漁港で一%ということでございまして、他のいろんな公共事業と比べましても用地費の割合が小さい。農業基盤等は、御承知のように、換地の手法によりまして公共施設の道路部分とか水路部分とかあるいはその他の公共施設用地といったようなものを生み出すという仕組みで進めておるわけでございまして、土地代に消えるというような事業の性格が極めて小さいということが言えるわけでございます。また、地元業者、特に中小企業への発注率が高いということでございまして、農林水産で八六%という状況でございまして、そういう意味でも地方の経済への貢献度というものが高いというふうに考えているわけでございます。  それから、事業費の中で労務費の割合が高くなっておりまして、こういった面から雇用効果がほかの事業に比べまして大きいというふうに考えているところでございます。かなり機械施行にはなっておりますけれども、やはり事業の性格から、特に治山、造林、林道ではごらんのように四〇%ということでございまして、雇用効果が大きいということでございます。  こういった点を総合いたしまして、農林水産公共は生産誘発効果が高いということが言えると思いますし、地方の景気浮揚にダイレクトに結びつくというふうに考えているところでございます。  それから五ページでございますが、農林水産業の体質強化との関連、冒頭にも申し上げたところでございますが、幾つかの要素について眺めていただきますと、まず右上のグラフがございますが、水田の整備率が年を追って高まってまいっております。昭和五十八年時点で三〇%をちょっと超える水準までいっております。これは実は六十一年時点での推計、その後の事業量から推計をいたしましたものでは水田で四一%という数字になっておりますが、五十八年まで逐年水田整備率が上がってきましたのと並行いたしまして各種の農業機械が普及を見てきているという状況でございます。と同時に、右下がりの線にございますように労働時間が減少しているということで、今後の日本の農業構造の問題としてとらえました場合に、先生方御案内のように、土地利用型農業の内外価格差が目立っているという状況でございますので、この土地利用型農業については規模拡大をし、機械の効率的な利用、そういうものにマッチした規模というものを生み出し、効率的な農法を展開していくということが一つの重要な前提であるわけでございますが、そういう基礎的な条件として機械作動に耐え得る、また水のコントロールがちゃんとできるというそういった区画、性状を持った水田である必要があるわけでございますが、この基礎としての役割というものを持っておるわけでございます。  右の真ん中の表は稲作の労働時間の減少度合いというものを四十四年と五十四年の十年間の変化で見ているわけでございます。全国平均四六%の労働時間の減少度合いになっているわけでございますが、実施地区の平均値では六割の減少率になっているという姿が出ているわけでございます。  また、一番下のグラフはこれは愛知県の安城市の事例でございますけれども、圃場整備の進捗率の増加に応じまして利用権設定がふえてきている。利用権設定と申しますのは、規模拡大のための一つの重要な手法といたしまして昭和五十五年に農用地利用増進法を制定していただきまして、実質賃借権でございますけれども、その法律に基づく利用権設定ということで貸し手の方も安心して貸せる仕組みというものをつくっていただいたわけでございますが、この利用権の設定というものが圃場整備に呼応してふえてきているということでございまして、やはり農村で機械が入らないような田んぼでは借り手もつかないという悩みが最近聞かれるようになったことは先生方御承知のとおりでございますけれども、こういった基盤整備がその意味でも重要であるわけでございます。  左のグラフは御参考までに耕地面積の推移を書いております。耕地面積は、田畑計でございますが、昭和三十五年の六百七万ヘクタールから最近五百四十万ヘクタールをちょっと切る水準まで減ってまいっております。この下にございますように、拡張面積が最近では年々二万ヘクタール弱という水準でございまして、一方壊廃、農地転用等でございますが、三万六千ヘクタール。高度成長のときの壊廃、土地ブームのときの壊廃の著しいふえ方に比べれば最近落ちついてはまいっておるわけでございますが、農地の壊廃は御存じのようにいろいろな都市的な需要という面からこれは進まざるを得ない面を持っているわけでございまして、農用地造成等でカバーされるものが十分にその壊廃を補うところまでいっていないわけでございまして、さなきだに乏しい耕地が全体としては減ってきているという状況でありますだけに、一方で農用地造成も難しい条件の中で努力をいたしておるところでございますが、限られた農地をいかに整備し、有効にかつ能率的に活用していくかということがやはり日本農業の一つの基本の条件であろうというふうに考えているところでございます。  六ページは林業関係事業につきましてでございますが、造林事業は、くどくど申し上げるまでもないと思いますが、森林の公益的機能の発揮という面からも、また森林資源の充実、あるいは山村経済の振興という面からも重要な役割を持っているわけでございますが、造林の進捗率は、右上にございますように、森林計画に基づきます造林の計画量に対しまして最近の各年度の状況は半分程度の進捗率にしかなっていないという状況でございますし、また林道でございますが、林道も「効果」というところに書いてございますように非常に重要な役割を果たしているわけでございます。森林の荒廃ということが、間伐等の問題も含めてやかましく論じられているわけでございますが、適正な施業ということからいたしますと、やはり林道整備というものが基本になるわけでございますし、生産性の向上という点からも、また就労条件という面からも非常に大切である。そのほかに地域振興という面からもここにございますような各種の効果を持っているわけでございまして、非常に山村部における基礎的な重要な事業であるわけでございますが、林道整備率は、森林資源基本計画に基づいて必要とされている林道整備量に対しまして、六十年度で四二%という整備水準にとどまっているというのが実情でございます。  それから、七ページは水産関係でございます。  水産につきましては、御承知のように二百海里体制が進んでまいりまして、「漁業生産の推移」という表が出ておりますが、総生産量では現時点でも千二百万トン程度を維持しているわけでございますが、内訳をごらんいただきますと、遠洋のところが最近は二百万トン強という水準で、かつての遠洋漁業に比べればかなりの生産の減になっているわけでございまして、沖合漁業と沿岸漁業との増でそれをカバーしているという状況でございます。  こういった漁業生産構造の変化に応じた漁港の整備ということが必要になってまいりますし、また、つくり育てる漁業という観点からの沿岸漁場整備というものの役割が増大をしているわけでございます。漁港につきましては、御存じのように非常に地形に恵まれない地域でのいろいろな社会的な需要というものともマッチをし、また最近では遊漁との調整とか、そういった面も含めていろいろなニーズがここに集中をするというような状況になっているわけでございますが、漁港の整備の状況としましては、漁港係船岸充足率という、漁船に対しての係船岸壁の整備の度合いであらわしましたものでは三七・八%という状況になっております。沿岸漁場の整備率は必要量に対しまして九・二%という数字でございます。  次の八ページに沿岸漁場整備事業の概要が絵で示されておりますが、真ん中や右下にございますような魚礁を設置する、魚の生育場所をつくっていくということと、それから右の上の方にございます増殖場の造成事業、産卵とかあるいは稚魚の生育場所をつくっていく、あるいは左の方に上下にございますような養殖場造成事業ということで消波堤等をつくりまして養殖の環境を整備をしていくといった、こういった沿岸漁場整備開発事業が、沿岸域を高度利用したつくり育てる漁業ということから非常に重要視をされてきております。種苗の放流関係もかなり技術も進んでまいっておりますし、また放流関係の施設も別途の事業でございますけれども整備が進んできているわけでございまして、こういった資源を管理しながら総合的に利用をしていくといったことが今後の漁業の一つの重要な課題でございます。  九ページは、農林水産公共の一つの重要な役割として安全な国土基盤という点から特にここでは治山事業関係に触れておりますが、林地荒廃が進んでまいっておりまして、昭和五十六年度末で八十四万ヘクタールの荒廃地であったわけでございます。六次の治山五カ年計画で十五万ヘクタール整備をやったわけでございますが、なおその間に荒廃地が増加したものが三十八万ございまして、差し引きではむしろ六十一年度末の残量は百七万ヘクタールに膨らんでいるという現状でございます。山地災害危険地区の調査につきましても、六十、六十一年度の調査で全国で十七万六千カ所という状況でございまして、治山施設の整備率は、そういった危険地に対します比率で三〇・四%という状況になっております。  以上が農林水産公共の主な役割でございますが、さらに十ページに「活力ある農山漁村の建設」ということで、先ほど申しましたように、投資を多面的に進めていくということが今後いろいろな意味で重要であるわけでございまして、その主な分野としまして、(ア)から(エ)まで書いておりますけれども、一つは従来から通産省等の御協力も得ながら進めてきている農村地域工業導入でございます。これにつきまして、さらに新しい視点でいかにこれの拡大促進を図っていくかということがやはり就業機会という点から重視をされているわけでございますが、過去の実績といたしまして、右の表にございますように、六十一年三月末で総雇用者二十五万三千五百人程度でございまして、地元雇用者が二十万四千名余りということでございまして、農家世帯から九万三千六百九十ということで、非常にその面ではこの農村工業導入は重要な役割を果たしてきているというふうに考えている次第でございます。最近の工業の動向からいたしますと、必ずしも労働力立地型ということでなくなってまいっている面もございますが、こういった観点の施策を今後も促進をしていくという必要があるというふうに思っております。  また、地場の産業、特に農産加工等の地域資源を生かした地場産業というものを考えていく必要があるわけでございまして、この面でもいろいろな進んだ事例というものが出てまいっておりまして、右下の表に幾つかの例を書いておりますが、一番上の大分県のK町の事例で申し上げますと、食品メーカーと町や農協が連携をいたしまして共同出資会社をつくりまして、ホウレンソウ、ニンジン、タマネギ等の野菜のスライスあるいはカット、砂糖漬け等を製造する。これを三百戸の農家との契約栽培という形で進めてやっているというような事例が生まれてまいっておりますし、また、その下の秋田県の手づくりハムの事例では、農協と地元の養豚農家とが連携して手づくりハムを生産して特約店を通じて販売している。これらはいずれも地元の農家世帯員等の雇用ということで回転をしているわけでございまして、こういった形での雇用機会をふやして農村に付加価値を落としていくということが非常に重要であるというふうに考えております。  また、(ウ)に書いておりますリゾート地域整備等のレクリエーションということを生かしたもの、あるいは都市、農村交流ということで、これも先回の当調査会でも御論議がございましたが、いろいろな事例が生まれてきておりまして、私どもは、都市住民のニーズにもこたえながら地方の活性化なり就業機会確保に役立つものという位置づけにおきましてこういうものの成長ということを期待し、また行政的に及ぶ範囲内での努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。  十一ページには都市、農村交流の事例を幾つか示しております。いろいろなパターンがございますが、一番左の欄で見ていただきますと、農産物の産地直送型と言えるような産地直送を中心にした結びつき、農村の体験、あるいは子供の教育というようなことを通じての交流、都市住民の側からの自然との触れ合いということを中心にしたもの、あるいは姉妹都市といったような形でいろいろな要素を組み合わせて交流が行われているというのが実態でございます。  十二ページに参りまして、農村の生活環境の問題でございます。農村の生活環境はかなり改善されてきている面もあるわけでございますが、右の上の表でごらんをいただきますと、例えば一番下のごみ収集率、これは町村と十万人以上の都市の比較で見ていただいておりますが、ごみ収集率等はかなり町村部でも伸びてまいりまして、まだ都市との格差はございますが六九%、あるいはその上のし尿処理率では七七%というようなことになっておりますが、下から三つ目の下水道普及率、これが一番格差が大きいわけでございまして、町村部ではまだ三%という非常に低い水準にとどまっております。一番上の道路改良率も町村で三〇%ということで水準が低いということが言えるわけでございます。  そういった中で、先国会で集落地域整備法を成立させていただきまして、建設省とも協力をいたしまして農村の集落地域の総合的な土地利用を行って整備を進めるという観点からの仕組みをつくっていただいたわけでございます。従来からも予算上の事業として集落排水事業というようなものを進めてきておるわけでございますが、今後この面で非常に強いニーズもございますので、努力をしていく必要があるというふうに考えております。  農村整備のイメージの例がそこに図示してございますが、非常に入り組んだ圃場なり道路、水路というものをきちんと整備をしながら住居の密集しております集落地区について幾つかの、例えばここに書いてございます子供の遊び場とか共同営農施設とか村民広場とか、あるいは上の方にLPG貯蔵所なんというのも書いてございますが、それから下の方に集落排水施設というのもございますが、そういった総合的な整備というものを進めていくということが非常に重要になってまいっているというふうに考えているわけでございます。  十三ページは、森林の関係で、③というところに書いておりますが、森林に対しましても、もともとこれが生活環境の保全にいろんな役割を持っていることに加えまして、森林空間というふうに私ども呼んでおりますが、これに対する国民のニーズが広まっているというふうに考えております。右の方に、民間調査機関の調べでございますが、教育活動に森林を利用することを非常によいと考えている意見とか森林浴への関心が非常に広がっているとか、そういったデータが出ております。そういった方向に即して森林の多面的な利用ということを考えていくということが重要な段階に来ているというふうに考えております。これは後ほどまた若干具体的な手法の御説明を申し上げたいと思います。  ④に書いてございますように、こういった地方の農山漁村社会の活性化ということは人口の地方定住あるいは産業の地方分散、均衡ある国土経営といったようないわば国土管理的な側面からの役割というものも非常に大きいのではないかというふうに考えております。農村地域の持つ役割を右下の表で整理をいたしておりますが、これはごらんおきをいただければというふうに思います。  十四ページに「今後の進め方」ということで若干触れさせていただいております。農林水産関係公共事業につきましては、まず昭和六十二年度におきましては過去最高の前倒し施行ということを目指して努力をいたしておるところでございますが、補正予算での追加ということを現在求めて折衝をしているところでございます。また、今後の農業との関係で高生産性農業に役立つような大 区画の圃場整備ということも進めていく必要があるというふうに考えておりますし、農山漁村の生活環境の整備ということも焦眉の急であるという認識に立って進めていく必要があるというふうに思っております。  さらに長期的には、御説明申し上げたように、非常に進度がおくれておりますので、長期計画の進捗を図っていくということが必要でございますし、農家の側からは価格政策も見直される中で工期がおくれて負担金にもはね返っているというようなことへの御不満もございます。私どもとしては、可能な限りこれが促進できるような予算確保に努力をしていかなければならないと思っているところでございます。四全総におきましても、一極集中の是正ということが言われておりますし、そういった意味でも地域活性化ということの課題に取り組んでいく必要があると考えております。  十五ページでございますが、「その他の内需拡大策」ということで整理をさせていただいておりますが、農林水産省の事業としましては、公共事業関係のほかに、右の方に非公共の事業の例示をいたしておりますが、こういった事業におきましてもここに例示をいたしておりますような施設を通じまして農林水産業の生産性の向上なりあるいは地域の流通加工施設の整備あるいは山村・過疎地域等の就業機会創設のための施設の整備、こういったものを進めていくような事業を持っております。こういった事業につきましても、非常に予算の縮減というものが厳しく作用をいたしておるところでございまして、そういった予算の確保に向けても今後努力をしていかなければならないと思っております。また(4)に書いておりますが、木材特に国産材の需要拡大を図っていくという見地から、木造建築物の建設とかあるいは住宅の内装の本質化、間伐材の利用、こういったものにつきましても今後努力をしていかなくてはならないと思っておりますし、また、建設省等関係の役所との相談もいたしておりまして、建築基準法の改正も行っていただいたというような経過になっているところでございます。  若干時間が超過しつつあるかもしれませんが、縦長の「民活関係」の資料につきまして引き続き御説明申し上げたいと思います。  民活という視点から幾つかの事業につきまして現在取り組んでいるところでございますが、まず総合保養地域整備法の問題でございます。これは、御承知のように、六省庁で協同いたしまして、先国会で法律を成立させていただいたわけでございまして、現在、基本方針の策定に向けて準備を進めているところでございます。私どもとしては、この「趣旨」の(2)というところに書いてございますように、先ほど申し上げましたような、農山漁村の活性化あるいは農林漁業の健全な発展ということとの関係が非常に深いという認識をいたしておりまして、農山漁村地域でのリゾート施設の整備推進に向けて農林水産省としても積極的に取り組み、協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。  二ページ目に、これはもう法律のフレームは先生方御承知であろうと思いますので省略をいたしますが、右下の「推進方策」というところに書いてございますように、農地法等につきましても配慮を加えていく、また国有林野の活用といった点でも積極的に御協力をしていくという考え方をしているところでございますし、また農林水産関係の、先ほど来申し上げております各種の事業につきましても有効に役立つように、こういったリゾート地域整備ということに役立つように、できる範囲で運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。  次に四ページに、ヒューマン・グリーン・プランというものについて触れております。これは国有林野を活用いたしまして、国有林野の中には、この趣旨のところに書いてございますが、自然景観にすぐれている、野外スポーツに適しているあるいは温泉等もございますし、そういった場所を活用いたしまして、野外レクリエーションの場とか青少年教育の場、保養の場等を整備していくということで、民間活力を基本にいたしまして進めていくという構想でございます。実施主体として予想いたしておりますのは、国とか地方公共団体、第三セクター等でございます。  五に書いてあるのは施設の例でございますけれども、こういった施設を民間の手で整備をしていっていただくという形で国有林の有効な活用ということにも結びつけていきたいというふうに考えているわけでございます。まだ具体的な地区等については選定中でございますけれども、先ほど御説明しましたリゾート法との結びつきということもできれば考えていきながら進めてまいりたいということでやっておるわけでございます。  次に、グリーントピア構想について五ページに書いております。  グリーントピア構想は、農村地域におきます情報化のシステムをつくり上げていくという考え方のもとに、現在各地方の段階でのモデル地域の指定をいたしておりまして、計画を策定しているわけでございまして、五ページの一番下の(3)というところに書いておりますが、農山漁村地域で予想されます情報サービスといたしましては非常に範囲が広うございますが、生産面あるいは経営管理面あるいは農林水産物の流通面あるいは環境面、気象等の問題でございますが、さらには住民の生活やコミュニティー活動というものにつきましてもニーズが考えられるわけでございますが、こういったニーズにつきまして、総合的な情報システムづくりというものをどのように構築していったらいいのかということを地元の各機関で相談をしてもらいながら整備をしていただこうという趣旨で昨年度から実施をいたしておりまして、六ページの下の方に書いてございますが、昨年二十の地区で九千万円の補助金で、一地区当たり四百五十万ということになりますが、計画構想策定に入っているという状況でございます。  これの実行段階ということでは、やはり民活、民間による情報システムの整備というものがニーズの度合いに応じて生まれてくるというふうに考えているわけでございますが、同時に、この資料に書いてございませんけれども、農林水産省といたしましては、農林漁業あるいは農山漁村のいろいろな面におきます情報化の問題に備えまして、各種のソフト、プログラムの開発あるいはデータベースの整備というものを並行して進めているところでございまして、そういったいわば部品の整備とあわせまして総合的なシステムづくりというものが必要になってきているという認識のもとにこのような事業に取り組んでいるところでございます。  何ページか飛びまして、集落地域整備法は先ほども図面等で御紹介を申し上げましたが、九ページに集落整備法のフローチャートが出ております。  都道府県知事が集落地域整備基本方針というものを決めまして、左側の方は都市計画サイドでの集落地区計画でございますし、右の方は農林水産省サイドの農振計画の中におきます集落農業振興地域整備計画、こういったものを先ほどの基本方針に即しまして市町村レベルで定めていくということを通じまして、先ほど申し上げましたような総合的な地区の整備が進められる体制づくりをしていこうという趣旨の法律制度でございます。  それから分収育林制度、十ページでございますが、これは森林の管理等に都市の住民にも参加をしていただきまして森林の整備にも役立てていく、また都市の人たちの森林レクリエーションというものとの結びつきも深めていくというような趣旨でスタートいたしたわけでございまして、国有林につきましては一番下に書いておりますが、五十九年に法律を改正をしていただきまして、この分収育林という制度を国有林の管理の中に導入をしたわけでございます。やり方としましては、国有林の場合、一口五十万ということで参加をしていただきまして、これは二十年から三十年程度の契約期間になるわけでございますが、国が五割、それからそういう形で参加をした民間の人が五割という分収割合で森林の育林、森林の管理をやり、収益を分配するというものでございます。民有林は、分収割合五対五とかあるいは四対六とかいろいろございますが、民有林につきましては、これも一番下にございますように、五十八年度に分収林特別措置法という法制整備をして進めているところでございます。  分収造林という形では従来からあったわけでございますが、戦後の人工造林が進んでまいりまして、生育途上のものについての管理を適正にやっていくという見地から、途中から参加をしていただくという分収育林の制度をスタートをさせているところでございます。いろいろなレクリエーション施設の利用との関連づけ等もしながら進めてまいっているという状況でございます。  それから、最後に漁港利用調整事業でございますが、漁港の整備とも関連をして若干申し上げましたけれども、遊漁船の増加に伴いましていろいろのトラブルが生じているということもございまして、遊漁船の専用船だまりをつくっていくということによってこのトラブルを解消していくという漁港整備の面からの手法でございますが、そういったものにも取り組んでいるところでございます。  以上が民活関係の農林水産省の関連をいたします主要な事業でございます。若干時間を超過したかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。
  58. 長田裕二

    会長長田裕二君) 通産省杉山産業政策局長
  59. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 御説明をいたします。  通産省は二つの項目について御説明を申し上げることになっております。一つは、民活事業に対する通産省の取り組みでございます。それからもう一項目は、内需型産業振興、特に中小企業振興についてと、こういうことでございまして、最初の民活事業に関する取り組み、それから中小企業振興策以外の内需型産業振興につきましては私から御説明し、中小企業問題につきましては中小企業庁の広海次長から御説明を申し上げます。  お手元にお配りしてございます資料のうち、まず「民活事業に対する通産省の取り組み」という資料につきまして、民活関係を御説明申し上げます。  民活事業の拡充の必要性については今さら申し上げるまでもございませんが、私ども通産省がこの民活事業のうちどの部分にこれまで取り組んできているかということでございますが、民活事業は、大きく分けますと私どもの分類では三つに分かれるように思われます。一の(1)にございますように、これまでは国なり府県なりがやっておりましたいわゆる公共事業分野への民間活力導入問題でございますが、これにつきましては、東京湾横断道路整備事業なり関西の新国際空港整備事業等に例が見られますが、これは建設省なり運輸省なり他省庁がやっておられまして、この分野では現在までのところ通産省が関与している分野はございません。  二番目の分類が公共事業に準ずるような公共性の高い事業分野でございますが、若干収益性に問題がありますために、その分野について国の施策を補充することによって民間がある程度カバーできる分野ということでございまして、例えば国際的な見本市場の整備でございますとか、情報関連の基盤施設の整備といった、これからの新しい経済社会基盤になるような施設の整備事業がこれに当たりまして、この分野は実は私ども民活法による特定施設整備事業ということで大いに関係をさしていただいてきております。これにつきましては後ほど詳細な御説明を申し上げます。  それから三番目は、国の積極的な関与ということではなくて、むしろ規制緩和によって民間の活動分野を広げていくという範囲でございまして、事例といたしましては建築規制見直し等ということでそこに例示がございますが、例えばほかには、電気通信事業法の改正によりまして、これまで電電公社以外やれなかった電気通信事業に第二電電その他の事業者が進出できるようになったというようなことがその具体的な例でございますが、こういう分野の中では通産省も他省庁と同じように若干の関係を持たせていただいております。  以下の御説明は、主として私どもが関与させていただいております公共事業に準ずる分野の民間による活力の導入に関する取り組みということで、民活法を例にとって御説明をいたしたいと思います。  御案内のように、昨年の五月に民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法、非常に長い名前でございますが、民活法と俗称しておりますが、これを制定をしていただきまして、民間の経営的な管理能力、さらには民間の資金力を活用いたしまして、これからの新しい産業経済の基盤になるような施設の整備を進めてきているところでございます。それと同時に、先ほどもちょっと農水省から御説明がございましたが、ことしは六省庁共同総合保養地域整備法というものを制定いたしまして、民間の力で長期滞在型の保養施設の整備も図るということになっております。  それ以外に、あと通産省といたしましては、民間活力活用に準ずるような形で、主として民間の力によって地域経済の振興を図るためにということで、二ページの「例」のところに書いてございますようなテクノポリス構想、それからニューメディアコミュニティー構想、さらには中小商業者の振興を図るためのコミュニティーマート構想といったものも推進をいたしてきておりますが、これにつきましての説明は省略をさせていただきます。  さて、民活法でございますが、これも仕組みその他については既に御案内と思いますが、三ページのところに民活法の仕組みが図示してございます。民活法では、その上に書いてございますような八つの施設につきまして民間の管理能力、資金迫ヘを活用して整備をしていこうということを考えているわけでございますが、法律上の仕組みといたしましてはこの八つの施設の整備につきまして主務大臣が基本方針を定めるということになっております。  そして、実際にこの施設の整備に当たります貝間事業者が整備計画というものを作成してまいりまして、この整備計画が主務大臣が定めました基本方針に基づいているかどうかということにつきまして主務大臣の認定というものが行われますと、そこから実際の施設の整備事業がスタートをいたします。この整備事業の中核になります事業実施主体、これはこれまでのところ第三セクターが中心でございますが、こういったものにつきまして各種の助成措置が行われます。  まず、事業実施のために必要な民間市中銀行からの借り入れにつきましては、産業基盤整備基金というところが債務の保証をいたします。また、事業主体に対しましては開銀北東公庫出資をすることができるようになっておりますし、また開銀北東公庫は、それ以外の事業資金につきましても融資ができるということになっております。でき上がりました施設につきましては、税制上特別償却なり地方税の減免措置が講じられております。  それから、昨年秋の経済対策の中で、特定の時期に実施される施設整備事業につきましては、民間能力活用特定施設緊急整備費補助金という形で国から一定額の補助金が出るということにもなっておるわけでございます。対象施設につきましては、一から八までございますが、この中身につきましても、とりわけ御説明もする要はないかと存じます。  四ページをごらんいただきますと、主務大臣の説明がございまして、この主務大臣につきましては先ほど御説明は省略をいたしましたが、前ページの対象施設のそれぞれのところに括弧して書いてございます。通産大臣、郵政大臣、運輸大臣、建設大臣等々の主務大臣が施設ごとに決まっておりますが、その施設ごとの所管大臣のほかに、特定都市開発地区内での施設整備事業、この特定都市開発地区と申しますのは、先ほど御説明しました法律の仕組みの中で、都道府県知事が特定の都市施設とともにその施設の整備を図ることが必要だと認めた地域につきましては建設大臣が主務大臣として加わりますし、また、港湾区域内で整備される施設の整備に関し他の港湾施設とあわせて整備する必要があると港湾管理者が定めました地区内で整備される施設につきましては運輸大臣が主務大臣として加わる、こういう仕組みになっております。幾つかの大臣が一つの施設について主務大臣として参画するということになっておりますが、この点につきましては整備に当たる民間事業者に御不便をかけることのないよう主務大臣の間で十分連絡調整をとっているところでございます。  先ほど申し上げましたように、こういった施設の整備につきましては採算性の点で問題がございますので、先ほど法律の仕組みの中でも若干申し上げましたが、幾つかの助成措置をとっておりますが、法律ができました以降に助成措置を拡充をした部分がございますので、次にその点について御説明をいたします。  昨年秋の総合経済対策の中では、民活事業の前倒しをして内需拡大に貢献をしてもらいたいということで、昭和六十一年度、二年度内に着工される施設整備事業につきましては、着工後三年間の事業に要する経費の中から土地造成費等を除きました部分の五%を国が補助するという制度をつくりました。正確に申しますと、国と都道府県と共同で補助をするわけでございますが、五%の補助金制度を創設をいたしますと同時に、でき上がりました施設の特別償却率につきましてもそれまでの一三%から二〇%に引き上げておりますし、開銀等がお貸しします事業資金の融資についての金利も最低の金利、現在では四・六%という金利でございますが、これでお貸しをするようなことにいたしております。それと同時に、先般の緊急経済対策の中では日本電信電話株式会社の売却収入を活用いたしまして、民活法の対象事業につきましても無利子の融資制度をつくるということで、財政当局との間で話し合いがまとまっておりまして、今具体的なやり方について財政当局が検討をいたしておりまして、恐らく臨時国会が開かれましたらその関係法案の御審議を国会にお願いすることになるのではないかというふうに考えております。  ところで、以上のような仕組みによります民活事業のこれまでの進捗状況でございますが、(3)にございますように、昨年五月の法律施行以後これまでに三件につきまして整備計画の認定申請がございまして、いずれも認定を終わっております。研究開発型の企業のいわゆる共同研究施設に相当いたしますかながわサイエンスパーク、それから柏崎では共同情報処理センターの柏崎ソフトパーク、さらには千葉県幕張におきまして国際的な規模での見本市場を整備をするということで、幕張メッセの計画が進められておりますが、いずれも民活法の対象事業として認定を終わっております。  ところで、この三件以降あとどんなものが考えられるかということでございますが、次のページをごらんいただきますと、通産省関連だけで全体で十四程度プロジェクトが昭和六十二年度内に整備計画の認定申請に及ぶのではないかというふうに考えております。五つほどの施設をそこに例示をしてございますが、この十四の認定申請に及ぶプロジェクトを合計いたしますと、総事業規模で約五千億円程度というふうに想定をされております。実は民活法制定当時はもう少し大きな規模のものが出てくるんではないかというふうな国会での御説明も申し上げておりましたが、その後の急速な円高等によりまして、特に地方におきます民活事業の採算の問題等から事業が若干おくれぎみでございますが、先ほどの新しい無利子融資制度の創設等の助成措置の強化によりまして、我々としてはおくれをぜひ取り戻したいというふうに考えております。  それから、そのページの一番下の方に書いてございますが、実は昨年法律制定当時には対象施設は六でございましたが、さきの通常国会におきまして二つの施設を追加をいたしまして、現在八施設が民活法の対象施設になっております。新しくつけ加えましたのは、国際情報型地域開発基盤施設ということで、最近の都市再開発に伴って郵政省関係テレポート等の高度の国際的な情報通信施設を備えた施設、さらにはそれに関連してインテリジェントビル等の整備が行われることになりますが、そういったものを対象に考えておりますし、また、外国企業の我が国進出のお手伝いをするという意味で、海外から我が国に進出してくる企業が利用できますような国際ビジネス交流基盤施設といったようなものを対象として追加をさせていただきました。東京、大阪、横浜等々で現在構想が練られておりまして、いずれ具体化の運びになるものと考えられます。  以上が民活法関連でございます。あとの資料、若干細かいことが書いてございますが、説明は省略さしていただきます。  次に、内需型産業振興ということで、ここでは中小企業以外通産省でやっております住宅産業、情報産業、さらには最近出てまいりましたニュービジネスといった新しい産業振興のための対策につきまして、ごく簡単に御説明をさせていただきます。それぞれにつきましても説明用の資料をお配りをしてございますが、時間の関係でそれぞれにつきましての説明は省略させていただきますので、後ほど御参照いただきたいと思います。  まず、住宅産業の育成でございますが、既に住宅につきましては、量的な充実は整備は終わっておりますが、質的な面での充実がおくれております。こういった観点から住宅建設についての建設省その他におきます助成策の拡充のほか、通産省におきましては住宅の工業生産、さらには住宅用設備の工業生産の観点から、住宅関連産業の育成につきましてこれまでもいろいろ手を打ってきております。代表的なものといたしましては、一ページのところにございますが、二十一世紀マンション計画ということで、昭和五十九年度から六十五年度までの計画として実施をいたしているものがございます。これは都市の集合用住宅の新しい材料につきまして、居住性にすぐれ、耐久性に富んだ材質のものを開発をしたいということで、これに対する助成をやっておりますし、また住宅関連機器にいたしましても、住棟住区内の自然エネルギーなり排熱を利用いたします機器システム、さらには排水の再利用といったような観点からの住宅用機器のシステムの開発プロジェクトに対する助成措置を講じておりまして、最近では年間十億円ほどの費用をこのために投じております。また、住宅リフォーム等の促進につきましても対策を講じているところでございます。それから情報産業の関連では、これまでの情報化の進展によりまして情報産業は相当大きな規模で伸びてきておりまして、電子計算機、通信機、同部品、さらには情報処理サービス業、ソフトウエア産業といった情報関連産業、最近時点での売上高は十五兆円を超えておりますが、今後の情報化の進展によりまして一九九〇年度には二十九兆円、現在の倍ぐらいになるんじゃないかというような相当急速な伸びの期待される分野でございまして、この分野につきましても幾つかの面でその振興のためのお手伝いをさせていただいております。主たる部分といたしましては、情報関連技術開発推進ということでございまして、これにつきましては第五世代コンピューターの開発でございますとか、科学技術計算用の高速電子計算機の開発といったものにつきまして国としても費用の一部を助成をいたしております。また、ソフトウエアの開発につきましては、ソフトウエアをできるだけ人手によらずに電子計算機を使って生産できるようにするために、ソフトウエア工業生産化システムの開発というようなことも最近手がけております。また、先ほど御説明いたしました民活事業の中で出てまいりましたように、地域の情報化推進をいたしますためにニューメディアコミュニティー構想等を既に実施をいたしておりまして、全国で二十七地域をこのために指定をさせていただいており ます。  それから三番目の「ニュービジネス等内需型新規産業の育成・振興」でございますが、消費者のニーズの多様化によりまして、そのニーズにこたえるための各種の新しいサービス産業というのが最近出てきております。こういったものをできるだけ振興することによって消費者ニーズにこたえると同時に、これからの産業構造調整の過程で出てまいります雇用調整の受け皿として新しい雇用機会をこの分野で切り開いていくということが必要になってきておりますが、そのためにニュービジネスの振興について特に昨年度以降いろいろな手を講じてきてございます。特にニュービジネスと申しますのはアイデアで勝負するという事業でございまして、信用力に乏しゅうございますので、その企業化に必要な資金の借り入れ等につきましては、国がその資金の一部に補助する形で債務保証等を実施をいたしております。  また、最近は各地で博覧会とかフェアとか、各種のイベントが盛んでございますが、地域経済の振興の観点からもこういったイベントの振興ということも新しいビジネスチャンスを生み出すことになるということで、イベントに対する各種の支援措置等も実施をいたしているところでございます。  特にこれまでサービス業、流通業といったものにつきましては、国の施策比較的乏しい範囲でございましたが、昭和六十二年度の税制改正の過程におきまして、サービス業全般につきまして中小企業等基盤強化税制というものを創設していただきまして、投資減税をこの分野につきましても新しく実施等もいたしております。  こういったことの詳細につきましては、御説明をいたしました資料の後にそれぞれ若干の説明を加えました資料をつけ加えさせていただいておりますので、御参照いただきたいと思います。  以上で私からの御説明を終わらせていただきまして、中小企業問題に移らせていただきます。
  60. 長田裕二

  61. 広海正光

    説明員(広海正光君) お配りしております「中小企業構造転換対策の方向」という資料に基づきまして、中小企業部分につきましての御説明を申し上げます。  御案内のとおり、中小企業対策と申しますのは非常に広範多岐にわたるわけでございますけれども、本日は内需拡大ということに特に関連いたします中小企業の構造転換対策を中心に御説明申し上げたいと思います。  その資料の冒頭にございますとおり、一昨年の秋以来の急激な円高というものに対応いたしまして環境が非常に変わったということで、それに適応して事業の転換あるいは対応を図っていく必要がある、それの支援を申し上げようということでいろんな対策を実は講じてきたわけでございますが、大きく分けまして三つございます。  冒頭の二行目に書いてございますが、一つ事業転換対策、これは業種対策と我を言っております。それから地域中小企業対策地域を絞りまして対策を講ずる。それからもう一つは下請中小企業対策、いわば業種、縦、横、地域でございますが、それからいわば斜め、縦、横、斜めといったような対策を用意して臨んでいるということでございます。  まず、事業転換対策でございますが、これは昨年の二月の二十五日に施行された法律でございますが、特定中小企業者事業転換対策臨時措置法、新転換法と申しておりますけれども、それに基づきまして業種を決めまして、原則として決められたその業種に属する中小企業者を対象にいたしまして、一つは緊急経営安定対策を講ずる、急場をしのぐための対策を講ずる。同時にまた事業転換を行おうとする中小企業者に対して助成措置を講ずる、こういう内容の法律でございます。現在指定されております業種は二百一業種でございます。そのうち急場の対策対象とするのは百五十一、こういうことで考えております。  二ページ目でございますけれども、それではどういう助成措置が講じられるかということでございますが、一つは中小企業国際経済調整対策等特別貸し付け、俗称円高時貸しと称しておりますが、特別の安い金利を貸すということでございます。そこに金利四・四五%と書いてございますが、実はこれ五月二十九日の緊急経済対策の決定を受けまして、昨日でございますけれども、四・四五を四・〇五という金利に下げた次第でございます。貸付規模は六千五百億。これはそれまでは五千五百億でございましたが、五月二十九日の今申し上げました緊急経済対策によりまして一千億追加いたしまして六千五百億。金利も下げ、規模もふやしたということでございます。  次が国際経済関連保証でございますが、これがまた特例保証でございまして、例えば無担保保証でございますと従来一千万が限度でございますけれども、この国際経済関連保証によりますと一千万にプラス二千万オンされて、三千万まで無担保保証ができるという特例保証制度でございますけれども、それが保証規模三千億ということで実施しております。  それから③と④でございますが、これは個別の中小企業というよりはむしろ組合等の形でまとまって中小企業が事業転換なら事業転換をするという場合の助成制度でございますけれども、③が組合等に対しまして補助金を出す、④が無利子あるいは二・七%の特別融資を行う、こういう助成措置でございます。  次が地域中小企業対策でございますが、今申し上げました事業転換対策は業種を一応特定いたしまして、全国どこにいる中小企業者でもその業種に属する中小企業者であれば、今申し上げました助成措置を講ずるわけでございますけれども、とりわけ今回の円高の影響を見てみますと、地域、特に一定の地域により深刻な影響が集中してあらわれているという現象が見られますものですから、今申し上げました全国ベースの対策の上乗世措置といたしまして、特に深刻な影響を受けている地域に対します対策を講じているということでございます。  根拠としております法律は、昨年の十二月に施行されました特定地域中小企業対策臨時措置法という法律に基づきまして対策を講じている次第でございます。対象地域は、従来四十三地域、百七十五市町村ということでやらせていただいていたわけでございますけれども、これもまた五月二十九日の緊急経済対策によりまして八地域、四十一市町村追加されまして、現在、そこに書いてございますように五十一地域、二百十六市町村に対しまして講じております。  助成措置の内容でございますが、大きく二つございまして、一つは特定地域の個々の中小企業に対します対策でございます。  一つは融資制度でございまして、金利が三・五と四・五というふうに書いてございますが、これは影響の程度によりまして分けているわけでございますけれども、この四・五というのは、これまたきのう金利を下げまして、四・二%ということで下げております。貸付規模は従来一千億でございましたが、これも千億追加いたしまして、そこに書いてございますように二千億の貸付規模実施しております。  次のページでございますが、特定地域関連保証、保証規模千五百億、これは上乗せ措置でございますので、全国ベースの一に申し上げました対策対象になる中小企業に即して申し上げますと、例えば無担保保証でございますと、一の措置で三千億ということを申し上げましたが、この特定地域関連保証がプラスされまして、それで合計四千億というところまで保証ができるということになるわけでございます。  それから。③が特定地域中小企業振興対策費補助、これはやはり組合に対する助成でございます。それから、四番目が加速的技術開発支援ということで、指定されました地域にある中小企業が転換のための技術開発をするという場合に技術開発支援をするということで、かなりの金額の補助金といいますか、委託という形をとっておりますけれども、助成措置を用意しておるわけでございます。  それから大きな(2)でございますが、特定地域活性化対策ということで、これは個々のその地域にある中小企業の支援対策というよりは地域活性化対策ということで、その地域に設備を新増設する企業に対しまして、融資あるいは特別の税制措置を講ずるということでございます。詳細は省略いたします。  次に三番目の下請中小企業対策でございますが、これも今申し上げました一と二の業種と地域対策の上乗せ措置でございます。すなわち下請中小企業というのは、御案内のとおり親企業に依存して商売をしているという特殊な地位にございますので、より一層手厚い助成措置が必要だということで、この下請中小企業対策を設けているわけでございます。したがいまして、下請中小企業につきましては一の措置、二の措置、それぞれ利用できる、その上にまた三の措置も利用できると、こういう関係になるわけでございます。  助成措置ポイントでございますが、①が技術開発助成制度でございます。事業転換をしていくためには技術基盤というのが非常に大切だということで、特に技術開発助成制度を下請につきましてまた別に設けておるわけでございます。それから二番目が、低利融資制度でございます。金利が四・五%と書いてございますが、これもきのうか係ら四・二%に下げられております。  それから、下請取引あっせんの促進ということで、一つはテクノフェア、いわば見本市みたいなものでございますけれども、これを各ブロックごとに年二回行う、そういう形で従来依存していた親企業以外の販路を拡張していこうという趣旨でございます。それから二番目に、アドバイザー事業の抜本的拡充。下請中小企業がこれからどうしたらいいか、それのアドバイザー制度というのが従来からございましたけれども、そのアドバイザー事業を抜本的に拡充しよう、具体的には従来十九名のアドバイザーが全国にいたわけでございますけれども、各県二人ずつということで九十五名に一挙に拡大したということでございます。それから三番目が、十万事業所発注情報開拓プロジェクト事業と書いてございますが、これは各県にございます下請振興協会、これが下請企業のあっせんを行っているわけでございますけれども、その各県にあります振興協会に登録されてある親企業というのが現在一万三千でございます。しかし、これは五十人以上の比較的大きな企業を、製造業に限らず流通業、サービス業全部洗いますと、これは約十万ございます。この十万の事業所を全部登録してあっせんを円滑に行おう、こういう趣旨の事業でございます。  大体以上でございます。
  62. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で農林水産省及び通商産業省からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  63. 山本正和

    ○山本正和君 大変膨大な資料につきまして御説明を受けたので、まだよくわからない部分がありますから、ちょっと若干ちぐはぐするかもしれませんけれども、ひとつその辺御了解いただきまして御説明をいただきたいと思います。  まず、農林水産省の方ですが、この中にいろんなことがずっと記載されてありますが、実は民活という中で重要な役割を果たすのが農協だろうというふうに思うんです。農協が膨大な資金を持っておって、その資金の運用についても実はかなり困っておいでになるところもある。ですから、農協との関連を特に農水省、本当に斬新なアイデアをずっと出してもらっているんですけれども、これは今までに触れているところがどこか一カ所だけあったと思ったんですけれども、全般的には余り農協といいますか、農林漁業団体という言葉がちょこっと一、二カ所ありましたけれども、それが余りないようなんですが、その辺はどういうふうな考えなんでしょうか。
  64. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 民活との関連での農協の役割という点でのお尋ねというふうに伺ったわけでございますが、いわゆる民活という行政手法に直結するかどうかという点はちょっと別といたしまして、農協の役割といたしまして、先ほど来申し上げておりますような地域活性化という点から、例えば地場産品の地場加工といった面での役割、こういうものが重要になっているというふうに思っておりますし、先ほど御紹介いたしました幾つかの事例の中にも、農協も中心となりあるいは共同出資者となってそのような施設を整備しているという事例も見られるわけでございます。  また、もっと広く一般的に申し上げまして、農産物の流通面におきます農協の役割というのも非常に大切でございまして、農産物の共同販売活動という形を通じまして農協が一定の役割を果たしているわけでございますが、この流通施設の整備という点におきましても農協が非常に大きな役割を占めておりますし、こういった施設の整備運営という点を通じて地域社会の活性化ということとも関連をしてまいるんじゃないかというふうに考えております。  その他、営農指導の面での農協の役割ということも、昨今の農業構造政策の方向づけからいたしまして、そういった必要性が高まっているというふうに考えておりますし、そういった多面的な面で農協の役割というものを見直し、かつ強化していく必要があろうというふうに考えているところでございます。
  65. 山本正和

    ○山本正和君 ちょっと私の言い方がおかしかったんですが、例えばここにいろんな事業が書かれてありまして、その中でもう既に着手してかなり効果があると言ったらおかしいんですが、大変好評でというふうな言い方はされなかったんですけれども、児童生徒が農業の体験学習、そういうものを施設としてつくって受け入れ体制ができている地域も幾つかある。ところがそういうことをする場合に、やっぱり市町村の財政が苦しいわけですからなかなかうまくいかない。そこへ、今の形で低利資金の融資等もあるわけですけれども、例えば農協も、それを土地の財産としていろいろと農協自身も出資するという形でやっていけば、もう少し活発にそういう事業も進められるんじゃないか、そういう部分も含めまして、農協資金を他に貸すんじゃなしに、農協そのものが投資して、そして収益は若干難しいかもしれないけれども、長い目で見て国民の財産あるいは農村なら農村の財産になる、こういう意味での取り組み等がされてもいいんじゃないかというようなことを思ったものですから、そういう趣旨で質問したんですけれども、その辺どうでしょうか。
  66. 近長武治

    説明員(近長武治君) 現実には、最近農村で生まれてくる人の数とそれから都会で生まれている人の数を比べてみますと、国民の半分以上が実際は農業と直接に関係しないところで幼児体験あるいは学童体験をしてきているわけです。先ほど吉國議官からも説明申し上げました資料にも若干触れでございますが、やはり都会を中心にいたしまして児童生徒の段階から農作業体験をしたいというような希望もございますし、それから逆に農業の側からいたしましても、やはり幅広く国民の理解を得るような農業という点からすれば実際に農村で汗を流してそういう勤労体験をしてもらいたい。それからもう一つは、やはり単にそれだけでなくて、結果としてはそういう都市と農村の交流が行われることによって経済的な面でも農山村に利益があるというようなところがあるわけです。  したがいまして、今、全国各地で農業交流体験というのが非常に活発になっておりまして、具体的にはいろんな施設をつくっているところもございますし、それから今先生のおっしゃいましたように、いろんなプロジェクトがございます。例えて申し上げますと、先般新潟県で行われましたのは、稲刈りに児童生徒に参加してもらいたい。これはまさに民間活力だけでございまして、国の補助は一切なしてございます。そういうときのプロモーターの中心が地元の農協になっております。  それはささやかな体験ではございますけれども、受け入れ側としては、実際は全くの素人がやるわけでございますし、それから実際の今の農村の実情といたしますと、手作業の部分というのはほとんど現実にはないわけです。稲刈りについても、機械による、自説型コンバインと言っておりますが、そういうもので現実にやっておるものでございますから、都会の児童生徒を受け入れる場合には、ある部分について稲の刈り残しをしておきまして、そういうところに児童生徒を受け入れていく。それが非常に好評だったものですから、では田植えからやってもらうとかいうようなことをやっております。したがいまして、そういう体験のときに、自治体としての市町村がやるよりもむしろやはり民間機関としての農協がやるということが非常に大事だと思いますので、そういう活動は私たちもいろんな形で支援してまいりたい。  それから、今の資金の活用の面につきましても、現実には私たち各種事業は、農村においては農協が事業主体になるというのはもう当然のようなつもりでおるものでございますので、民間活力というような意識はございませんが、例えば農業関係の資金について、やはり農協というのは全体として規模の大きいところもございますが、小さいところもあるものですから、資金コストが比較的高い。したがって、農協の資金が農業に対する投資に回るためにはある程度利子補給その他の措置が必要である。したがって、現在の農業近代化資金助成法その他の制度資金をつくっておりまして、そういう形で農協の資金が広い意味での窯業を中心にした農山村の発展のために役に立つようにと、こういうことに努めてきておりますので、今御指摘のような単に農業だけでなくてもっと幅広い面で農協の事業体としての活動、あるいは農協の資金がもっと生かされるようにというふうに心がけてまいりたいというふうに考えております。
  67. 山本正和

    ○山本正和君 ひとつぜひいろんな形での取り組みを願いたいんです。  それからもう一つ、実は農道あるいは林道等をつくっていくということが、雇用問題ばかりではありませんけれども、いろんな意味での効果を上げていくと、こういう御説明で、私も全くそのとおりだと思うんです。ただ問題は、いわゆる一般道路、市町村も含めた一般道路との関連といいましょうか、その工事をするに当たって一般の道路工事の計画等の中でどうも連絡がうまくいかなくて、それで工事がおくれたり、また一般道路の方にもそれがマイナスになったりするというふうなことも聞いたりもするんですけれども、ここでかなりな計画が書かれてありますけれども、その辺の問題はどんなものでございましょうか。
  68. 谷山重孝

    説明員(谷山重孝君) 農道の場合には、私どもの農業基盤整備事業一つ事業としてやっているわけでございまして、この根拠法といたしましては土地改良法に基づいているわけでございます。その中におきまして農道を実施しているわけでございますが、当然のことながら主として農業に利用される道路を農道ということで事業実施しているわけでございます。この農道は生産物を搬出する、市場に出すということも効果といたしましてはございますし、さらに農家が圃場に行くためにそのための機械を運ぶ運搬路という効果もあるわけでございます。  したがいまして、一般道路に面しているところの農家の方々が圃場に行くためには当然一般道路も通りながらその農道も使わなければいけないということ、農地でもってできましたものを運び出す面におきましても農道だけで運び出しているわけではございませんので、当然ながら一般道路も通過して市場へ出すということでございますので、そこらあたりは計画上は一般道路の路線の配置ぐあい、そういうものを見ながら農道の計画を立てているところでございます。
  69. 山本正和

    ○山本正和君 それから農道の場合、一般車両の通行お断りと、こういう標識が出ているんですけれども、実際問題はどんどん入っているわけですね、一般車両が。それで今度はまた、いわゆる農業機械等が一般道路を通る場合にいろんな意味での渋滞等も起こる、こういう問題もあるわけですね。ですから、もう少し何か道路相互の関連という形で調整ができないんだろうかというふうなこともいろいろ出てくるわけです。特に農地の多い地域に住んでいる一般の住民ですね、それからまた道路工事をするときに一緒にやってくれたら一遍にうまくいくのに、一般道路は一般道路で立てておいて、そしてまた農道をつくる。どうも何とかうまいこと連絡できないのかと、こういうふうな話があるものですから、その辺の調整をどこでおやりになるのか、農水省だけではちょっとやりにくいんじゃないかというふうな気もするんですけれども、どうなんでしょうか、その辺は。
  70. 谷山重孝

    説明員(谷山重孝君) 当然ながらこの道路でも、特に我々の方の農業基盤整備でやっております大規模なもの、広域営農団地農道というふうに我々言っております、これらにつきましては、土木部門と協議いたしまして、一つの路線をそれぞれの部分で分担しながら事業実施しているところでございます。  それから、あと農道として完工したものにつきまして一般の車両が入ってくる問題ですが、これはできました農道を管理する段階におきまして、市町村が農道として管理する場合、さらに市町村が農道として管理しない、これは一般の市町村道に路線認定している場合と、いろんなケースがあるわけでございますが、でき上がった道路につきまして一般の車両が入ってくるのを制限するということは、実際の利用の面でなかなか困難な点があるわけでございます。しかしながら、これは農道だという標示を設けることによりまして、農家の方々が利用するのになるべく支障のないように、そういう点の指導をしているところでございます。
  71. 山本正和

    ○山本正和君 それから、ちょっとまた先ほどの話に関連するんですが、農業経験を児童生徒にさせていくという中で、実際はいろんな施設が要るわけです。児童生徒を連れていった場合に宿泊施設が要る、あるいは休養をするための場所も要る。仮に長期間滞在するのなら、十日間なら十日泊めるだけの施設が要るわけです。またそれが大変いろんな意味でのプラス効果を生むんですけれども、それと同じような意味で、森林体験を子供たちにさせる。山の中に入って、そして森林に触れて、その中で、こんなことを言ったらおかしいんですけれども、例えば天然の恵みを、木の実だとか、あるいは竹とか、そういうようなものを実際に自分で見て経験する、あるいは、もうちょっと言えば、造林の手伝いも多少できる、植林もする、こういうふうな体験をしていくということをやると非常にいいと思うんです。また、十三ページに教育活動に森林を利用することについての調査等も載っておりますけれども、こういう問題について今後の計画としては何かお考えなのか。文部省との関連もありましょうけれども、その辺は何か構想がございますか。
  72. 近長武治

    説明員(近長武治君) 今、農林水産省の中で山村対策というのがございまして、これは山村振興法という法律があるわけでございますが、その法律に基づきまして山村地域の総合的な計画があるところについては一定の事業計画に基づいて国の方も援助しているわけです。この中に最近は、児童生徒が外から来た場合の農林漁業体験を積極的にそこでやるような、ある意味での受け入れ施設の希望なんかもございまして、私たちは、具体的な計画を審査した上で、この地域としてはぜひこういうものが必要であると認められるものについては、今、先生の御指摘のような施設にかなり近いものを援助しております。  そのほかに、国の施策にはまだのっておりませんけれども、私たちは文部省とも時々情報交換などをしておるわけでございますが、最近は山村留学ということに対する希望があるわけでございます。やはり山村の中で、非常に自然環境に恵まれているところで教育をさせたい、他方、地元の方では小学校の生徒がだんだん減ってまいりまして、中にはもう一けたになってきているところもあるというようなことがございまして、お互いに有無相通ずればよろしいのではないかということでございます。これはなかなかそういうことについて直接的な補助の手段はございませんが、情報を山村と都市の方に流す意味ではお手伝いができるのではないかなというふうに私たちは思っております。  そういうようなことで、これはまだ数は少ないんですが、長野県でございますとか、それから和歌山県でございますとかいうところでかなり山村留学というのが進んでおりまして、ある小学校では、児童生徒が三十数人の中で地元の生徒が一けたて、ほとんど三十人近い生徒が実は山村留学と。山村留学という形は、地元のどこかの農家の方に、昔で言うと寄留のような形になっているわけでございますが、いわゆる輪切り教育でなかなかついていけない、そういう生徒が、自然の中で伸び伸びと教育を受けるというようなことで、そういう意味では大変効果があると思いますので、御指摘のように、これは文部省なり、我々農林水産省なり、あるいは国土庁なりとお互いに相談しながら進めていかなければいけない一つ分野ではないかな、かように考えております。
  73. 山本正和

    ○山本正和君 昔、大日本帝国当時に勤労奉仕をさせられても若干の報酬は出たんです。仮に山なら山へ行っていろんなことをした、生産物を少しでも取った、そういうふうなことも含めて、たとえわずかでも働いて報酬が得られるというふうな経験というのは、これは子供にとっても非常に大きな経験になると思うんです。ですから、今の話で、山林、農業あるいは漁業、こんなものももちろん児童生徒の発達に即応して無理のないような形にしなければいけませんけれども、そういうことをぜひこれからの日本の子供たちにはさせていきたい。となると、それに対する投資というのはかなりの金が要ると思うんです、実際は。  例えば、私の県は三重県ですから、名古屋市の都市の真ん中に住んでいる子供たちに、仮に一週間でも十日でも山の中で、あるいは海で生活経験をしてもらう。これも事業計画の中に組み込ましてやろうとするのなら、過疎地で今あいている校舎がたくさんありますから、それを使えばいい。そんなことも含めて、これは内需振興のところには必ずしもそぐわないかもしれませんけれども計画の中に今後ひとつぜひ検討をしておいていただきたい、これだけお願いしておきたいんです。それから、その次にちょっと通産省の方にお尋ねしますが、大変横文字の多い言葉がずっと並んでおりまして、私もちょっと舌をかみそうな感じがしたんですが、それはいいんですけれども、この中に何か大変新しい問題提起といいましょうか、情報産業基盤部分といいましょうか、そういう部分がずっと重点になっておって、実は今二十一世紀を控えての問題として言われているのが生物資源の問題なんです。ですから、特に我が国のように大変な高地から海にまで面している、しかも北から南まで緯度も経度も随分幅がある。そういう中で、日本の国が世界の生物資源の問題についてある程度の責任を持って研究していくという部分が必要だろうと私はかねがね思っているんです。そういう将来展望について、こういうふうにいろんな何とかトピアというのがたくさんあるんですけれども、その辺のことについての構想は何かなかったんでしょうか。
  74. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 今お尋ねの生物資源ということでございますと私ども通産省も全く無縁ではございませんで、例えばバイオテクノロジー絡みの話でございますと、工業技術院の所管の研究所の一部では検討はいたしておりますけれども、先生のおっしゃったような意味での生物資源の保護、調査というような観点から何か具体的にやっているかということにつきましては、今までのところそういう問題意識で検討をしたことはないように承知をいたしております。
  75. 山本正和

    ○山本正和君 ここに各地のプロジェクトがずっと書かれておって、例えば「民活事業に対する通産省の取り組み」の四枚目に、かながわサイエンスパークとか柏崎ソフトパークとか、またこれから後も五つ、六つの計画があると、こういうふうに載っているんですけれども、生物資源の問題を一つプロジェクトとしてきちっと扱うべきじゃないかと、こう思うんですけれども、その部分がないもので、また何か理由があるのか、ちょっと言ってください。
  76. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 確かに先生おっしゃるような横文字で書いてございますサイエンスパークなんといいますと、生物資源に何か関係のありそうな印象をお持ちになるのも無理からぬことと思いますが、実はここで書いてございますのは、資料でごらんをいただきますと、三ページ目に挙がっております民活法の「対象施設」の中の最初のところに書いてございます「研究開発・企業化基盤施設」ということでございまして、これは実は平たく申しますと、いわゆるベンチャービジネスとか中小企業用の共同開放型研究施設というようなたぐいのものでございまして、したがいましてそこの中では直接生物資源絡みの話というのは考えておりませんで、ベンチャービジネスなり中小企業なりが事業化を図る上で共同の研究施設を利用して事業化を容易にする、そういう目的のためにつくられたものでございまして、その土地柄でいろいろそのために名称を工夫をしてつけているというところが現状でございます。
  77. 山本正和

    ○山本正和君 これでもう私時間がありませんので最後はもう要望だけしておきますが、例えば今度三重大学に生物資源学部というのが設置されたと。それから従来とも東京大学あるいは京都大学等で生物資源の問題については研究が随分進んでいるというようなこともありますので、何とかこの中へぜひひとつ入れてもらうような御検討をお願いしておきたいと思います。これはもうお願いでございますから。
  78. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 先ほど農水省から内需拡大について基本的考え方の御説明を承ったんですが、これはもうとりもなおさず日本の農水産業が置かれている基本的な、根本的な問題でございます。ですから、これはもうひとつ内需拡大とあわせて国民生活のいわゆる安定に資するための農水産業ということですから、ぜひ国際化、自由化時代に早急な対策を強力に推進をしてもらいたい、このように思います。  そこで、農業についてちょっとお尋ねをいたしますが、二十一世紀の農業のあり方という、まあ皆さん提唱しておられるところでございますけれども、その中で産業として自立できる農業、こういうことを掲げておられる。農業を産業にするというのはもう非常にいろいろな意味の制約があるわけですけれども、その中で自立への方途をどう求めていかれるのか、ひとつまずお尋ねをいたします。
  79. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 産業として自立する農業を目指すということは昨年の農政審議会の報告の中にもうたわれている言葉でございます。基本的には生産性の向上、そういうことを通じてまた内外価格差の縮小を目指していくということでございますが、特に土地利用型の農産物と言われます穀物等におきましては、国土資源の制約ということもございますので、完全に外国並みの価格で供給できるようなことを目指すということは無理であるという認識が農政審報告の中にも示されているわけでございます。よほどな技術革新等が生まれてくれば別かもしれませんけれども、現時点ではそのような認識に立って、しかしそういった制約のもとで最大限の生産性向上を図っていくということでございまして、そういう角度から土地利用型農業の経営規模の拡大あるいは高度な進んだ技術の開発普及、それから担い手の育成、そういった問題を総合的に進めながら、早急にというお話がございましたけれども、これはやはりある程度の時間がかかる話であるというふうに思いますけれども、着実な努力を積み重ねていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  80. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 その次は、農産物の内外の価格差の是正と輸入問題ということでお尋ねをしたいと思います。  先般当調査会でも報告書を書かれましたけれども、食料品の内外の格差というもの、これはもうだれしも相当なものだということを認識しているわけです。例えば東京とニューヨークで米が三・ 二倍とか牛肉が三・三倍とか、これは報告書に書かれたとおりです。これを標準世帯一カ月の食料費に直しますと、日本は七万四千四百円、アメリカは五二%安く三万五千七百円、西独は三五%安くて四万八千三百円。我々日本人が今世界で一番所得が多くなった、円高である、こういうようなことから考えて、生活実感としてそうだという認識になれない一番大きな理由はこの食料品のこういう格差にあるんじゃなかろうか、こんなような考えがするわけです。  これに対しては農水省は、生産性の向上と適切な輸入政策で格差を縮小していきたい、こういうことを言っていられるわけで、生産性の向上は当然でありますが、適切な輸入政策、これは言い得て妙でございまして、先般も、先月でしたか、加藤農水大臣とアメリカのリン農務長官がいろいろやり合いまして、いろいろ御努力をされている。そんなようなことから、本当に適切な輸入政策というのはそのさじかげんが非常に難しいんじゃないか。ここに今後の農水省の政策の一つポイントが出てくると思っているところでございます。  例えば都会生活者、消費者サイドから言わせれば、農業も国際分業時代だよ、安いものがあったら輸入すればいいじゃないか、こういうことを言う人もおられる。ところが一方、私どもはやはり食糧というのは自給自足を原則とする、しかも農業のいろいろ制約された中で農家の勤労意欲をそがないように、しかも先ほど御説明のあったような自立産業としての努力をさせていく、こういうような非常に難しい諸般のファクターの中でさじかげんというのは一体どうなるんだろう。言うならば適切な輸入政策の御説明をお聞かせいただきたい。
  81. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 前段でお話のございました食料品価格の比較の問題でございますが、この点については実は非常に難しい問題を含んでいるというのが私どもの認識でございます。先生お話しになりましたような数字が出回ったことがあるわけでございますけれども、国際比較という場合に共通に比較できるものというものは限られております。お話のございました試算も、国際的に共通な非常にわずかの品目で全体にそれを引き伸ばして推定をするというような、極めて私どもからすれば乱暴なやり方をした数字であるというふうに考えておりまして、そのほかに品質格差の問題がございます。非常に日本の消費者は品質ということについて要求の厳しい消費者であるというふうに私ども考えておりますし、また食習慣の違いといったようなこともあり、日本のお得意とする安く供給できるそういうものが必ずしも国際比較にあらわれてこないという問題があるわけでございます。現に日本は相当なものを海外から輸入して、今、カロリーベースで申しますと半分のものを海外から輸入して食糧の供給を賄っているという状況でございますので、総じてエンゲル係数で見ますと、これは為替の問題が入ってきませんのでエンゲル係数で、要するに国民所得に対してどれだけの食料費支出をしているかということで比較をいたしますと、アメリカに比べれば若干割高でございますけれども、ヨーロッパの先進国に比べるとほとんど同じレベルということをまず御認識をいただきたいというふうに思うわけでございます。したがいまして、全体として割高なものがあることは確かでございますので、特に土地面積を食う型の農作物についてその格差が著しいということでございますから、これは農村社会の問題あるいは土地の問題、いろんなものが絡み合っておりますだけに簡単にはなかなかいきませんけれども、私どもは先ほど申しましたように着実な努力を重ねてその格差は縮めていかなければいけない。しかし、単に格差があるから輸入に切りかえてしまうというふうに一方的に考えることは難しい。お話ございましたような、既にかなりの海外輸入依存というものが進んでおりますし、さなきだに乏しい日本の農耕地をいかに有効に活用していくか、また農村の健全な発展というものをどう確保していくかということとの関連を常に頭に置きながら考えていかなければならないという意味で、単純に内外価格差があるから輸入の拡大というふうには考えないという意味で、もちろん時時の物資ごとの需給事情に応じまして、たとえ輸入数量制限の物資でございましても国内の需給情勢にマッチした輸入数量を確保していくという必要がございますので、そういった点を含めまして適切に輸入政策を運営していくということを目指していくべきであるというふうに考えております。
  82. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それから、今回の内需拡大に伴いまして農業の土地基盤整備事業、これは積極的にお進めいただく。これは構造改善と相まって極めて有効適切な手段だと期待をしておるところでございます。しかしながら一方、山村部あるいは過疎地域というんでしょうか、年々耕作放棄が進んでいる地域もある。そのような実態をどのように把握しておられるかお聞かせをいただきたい。
  83. 近長武治

    説明員(近長武治君) 耕作放棄地がどのくらい現実にあるかというのは、調査の方法等もございまして本当は難しいんでございますけれども、我我一定の前提を置いて把握しておりますところでは、現在全国で約九万七千ヘクタールぐらいあるのではないかなというふうに思います。主としてこういうような耕作が放棄されているようなところというのは、農家の方が非常に高齢になってまいりまして、若いときと同じような形での農作業ができにくくなってくる、それから最近の機械化に対応できるような耕地条件になっていない、耕地整備などをするにはかなりコストがかかる、こういうようなところではないかなというふうに見ております。  したがいまして、こういうような地域というのはなかなか立地条件的には難しいわけでございますが、私たちの気持ちとしては、そういう地域の農地というのは長い間のいわば父祖伝来に慈しんで守ってきた農地でございますので、ぜひ農地として有効に利用できるようにする手だてはないものかというふうに思っております。
  84. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 本来そうあるべきなんですけれども、どうしてもそういう諸般の事情から耕作地が荒れ果てたということであれば、それこそ内需拡大リゾート地域開発とか、それから先ほど御説明があった、地域的にうまくまとまっていればいいんですけれども、ヒューマン・グリーン・プランとか、そういうものをそういうところへ張りつければそれなりのまた一つ新しい行き方が出てくるんじゃないか、こんな気がするんですが、いかがでしょうか。
  85. 近長武治

    説明員(近長武治君) 御指摘のとおりだと思います。  やはり従来とは違った角度からの土地有効利用という手法がございますれば、一定の計画なりあるいは土地の利用調整などを経た上でそういう形で有効に利用されれば土地としても生きてまいりますし、それから地域社会の活性化にもなっていくんではないかなというふうに思いますので、農林水産省だけでなくて、関係各省のお知恵も拝借しながらそういう方向に進んでいけば望ましいんじゃないかなと思います。
  86. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 通産省にお尋ねをいたします。  この間のベネチア・サミットでジャパン・バッシングは免れた。大変結構なことだった。それだけに、特に産業構造の改革、通産省としては内需拡大の公約を果たすためにも相当な責任をおしょいになられた、このような認識に立ちましていろいろ内需拡大対策に積極的にお取り組みをいただいておりまして、私も大変うれしく思っております。  そこでまず、大変大きな問題なものですから少しはしょって簡単にお尋ねをいたしますが、今までの輸出依存型から内需型の産業への転換、これは現実に、口では言い得るわけでありますけれども、五月の貿易統計あるいはきのうの国民所得統計、それを見ますと、なるほど貿易収支の黒字幅は減少した、しかし実態は、輸出は依然として高水準、ただ円高によるところの輸入が拡大して、いわば輸入増によるところの収支の訂正、こういうようなことで、ああいう数字を見る限りでは、いろいろ第三次産業へシフトがえがどんどん進んでいるとはいうものの、構造改革というものはなかなかできていないんじゃないか、こう思いますがいかがでしょうか。
  87. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 輸出についてでございますが、五月の統計ではかなり輸出数量も前年に比べれば落ちるようになってきておりますが、それに増して、何よりも構造調整関係で申しますと、最近の急速な円高によりまして、御指摘のような輸入がふえておりますと同時に、むしろ企業の海外直接投資という形での海外への進出というものもかなり進んできております。この海外直接投資は、直ちに日本からの輸出減につながるというものではございませんが、むしろそれが立ち上がり、本格的に稼働し、しかも原材料、部品の現地調達が盛んに行われるようなことになってまいりますと日本からの輸出減少につながると思いますし、またレートの状態が現地で生産したものを日本に入れた方が有利だということになりますと、今度はその製品の日本への還流という格好でまた輸入の増加につながるような面もあろうかと思います。  むしろ問題は、当初私どもが予想していました以上に急激な円高でございますので、そういった輸入の増加なり海外直接投資の増加というものが急テンポで進んでおりまして、それに伴う雇用調整といったものがいろいろ問題を起こしておりますし、また企業城下町等を中心といたします地方経済へ大きな影響を与えている。ここらあたりをうまく調整をしていくことがこれからの日本の産業構造転換を円滑にしていくゆえんではないか。そういうことで、実は先般国会で産業構造転換円滑化臨時措置法というものを成立させていただきました。  それから、もともと内需型産業への転換と申しましても、産業サイドだけではなかなか難しゅうございまして、実際に内需がそれだけふえてまいりませんと、産業サイドの転換というのも思うに任せません。そういう意味では、私どもなりに産業サイドでいろいろ転換のための工夫もいたしますが、むしろ内需を拡大するという面におきまして、例えば住宅投資の促進でございますとか消費の拡大とかといった面におきましても、やはり政府としての政策的な努力を他の各省庁にもお願いをしなければいかぬところではないかというふうに考えております。
  88. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それでは、時間がありませんので、中小企業問題に触れさせていただきます。  これは従来は金融政策が中心でございましたけれども、昨今の情勢の中でいろいろな対応をしていただいていることは私は非常に評価をしておるところでございます。ただ、もう急激な円高で、例えば私の知り合いの経営者は、これは相当優秀な企業の経営者なんですけれども土地の値上がりで何とか息をついている、こういうことを切実に訴えているんです。これはもう企業数の九九%が中小企業、そのうちの三分の二が下請企業、こういう日本の産業構造の中で、親企業からコストダウン、受注量の減少、あるいは一方的な仕事の打ち切り、こういうようなこと、これはもう業種的に、地域的に非常に明暗がくっきりとしてきて大変なしわ寄せが一部の中小企業に寄っているわけです。  ところが、中小企業自体の技術や資本、あるいはまた情報、市場開発、そのための人材、こういうようなものはなかなか自力で確保することができないのは御承知のところでございます。それだけに保事業転換が口では言えてもなかなかできない。清水の舞台から飛びおりるなんというんじゃなくて、命をかけなければならない、こういう逼迫した経営者の気持ちというのは手に取るように我々はわかるわけです。そこで、日本の産業構造の転換という大きな命題を抱えている昨今の情勢の中で、とりわけ中小企業が今後生き残っていける道というものはどうしたらいいんだろうか、この辺倒示唆をいただきたいと思います。
  89. 広海正光

    説明員(広海正光君) 御指摘のとおり、転換と一口に申し上げましても、実際実行ということになりますと大変難しいということはおっしゃるとおりだと思うわけでございます。そこで、私どもとしましては、先ほど申し上げましたようないろんな転換のための助成措置を特に下請中小企業には手厚く実施しているというのが一つございますが、同時に、親企業の方も情報の提供その他できるだけの支援措置をとってほしいということ。実は下請中小企業振興法というのがございまして、それに基づきまして振興基準というのがあるわけでございます。その振興基準を昨年改正いたしまして、今申し上げました親企業もできるだけ支援措置をとってくれという内容も盛り込んでいるわけでございます。  それからまた、同時に、転換ということになりますと、やはり全体のパイが大きくならないと転換もうまくいかないということで、先ほど来産政局長から申し上げておりますような内需振興策、マクロ的な対策、こういうのも大変重要だと、そういうようないろんな対策を加味しまして、やはり環境の激変があるわけでございますので、それで何とかその変化に対応できるように頑張ってほしいと、こういうふうに願っている次第でございます。
  90. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それから、最後ですが、円高差益の還元、これについては大変通産省御努力いただき、特に電気、ガス、昨年来いろいろそれぞれの企業を叱咤して大変還元をいただきました。年間一兆八千五百億、これはもう減税をしたのに等しい内需の拡大効果を上げていると喜んでいるわけです。企業は円高差益の還元をストレートでやっていただきましたが、一般の有名ブランド商品とかはなかなかやらない。それからごく最近は逆輸入のフィルムとかカメラ、オーディオが日本の国内価格より下回る、こういう矛盾があっちこっちで起きているし、笑い話のようですけれども、日本の国内の郵便はがき四十円でしょう、封書は六十円。外国から日本へエアメールで送ったらもっと安いんですよ。香港あたりから送れば五十円足らずで来ちゃう、アメリカだって同じぐらい、こういうようなばかな現象が実は起きている。これはまあおたくの管轄じゃありませんけれども、航空運賃だって日本で買えば二倍だと言われて大変物議を醸しているんですけれども国民生活向上に直接役立つ、しかもそれが即内需喚起につながっていく、こういう円高差益をお互いがぴしっと国民に還元できるような努力をしていただければ、国民も十分納得して内需喚起をやろうということにもなると思うんですけれども、そういう意味から一層の内需拡大のための還元の促進を図っていただきたい。  それにつけまして、実は政府が今度の緊急経済対策で十億ドル輸入調達を予定しておられるようですけれども、通産省は今までいろいろ緊急に備えての石油備蓄を御努力されてきて、ことしあたりは四十四日間ぐらい政府は石油備蓄をしておられる、あるいはまた民間で九十七日と、こういうことですけれども、この際内需拡大を考えて外国並みのストック百八十日に引き上げるとか、あるいはストック基地をしかるべく建設する、そういう御努力はお考えになっていないでしょうか。
  91. 細谷孝利

    説明員(細谷孝利君) 御承知のように我が国のエネルギー供給構造は非常に脆弱でございまして、私ども、経済的安全保障確保の観点から、その重要施策としまして石油備蓄の推進を図っておるわけでございます。  石油備蓄につきましては、去る五月のIEA閣僚理事会におきましてもその積み増しを図るということで合意が成立いたしております。現在、四月末現在でございますが、民間備蓄九十二日、国家備蓄四十三日の計百三十五日の備蓄を我が国が今保有しているわけでございます。特に国家備蓄につきましては六十三年度末三千万キロリットルという目標を立てまして計画的にその推進を図ってきておるところでございまして、現在二千四百三万キロリットルの原油を保有いたしております。今年度につきましても三百万キロリットルの積み上げを予定いたしておる次第でございまして、今後とも着実にその積み増しを図っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  92. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 ストック基地はつくりませんか。
  93. 細谷孝利

    説明員(細谷孝利君) 基地につきましては、現在十カ所国家備蓄基地を建設する計画を鋭意進めておる段階でございます。
  94. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 いろいろ内需拡大に御努力を関係省庁していただいて、私も大変力強く思っています。こういう内需拡大対策というのは、まず息長く、しかも中期、長期の展望、とりわけ公共事業とかその他基盤整備事業というのはやはり四全総の路線との整合性というものをきちんと持って全国普遍的にひとつ発展できるように御努力をいただく。いわば継続性と長期的展望を持ってほしい。  それから今までの政策をもう一回ひとつ再点検というのか、そして制度見直しや、この際、二十一世紀もすぐそばなんですから思い切った発想の転換、お役所としてはなかなか難しいことかもしれませんけれども、ぜひひとつ、ニューメディア構想というのがいっぱい並んでいるんですから、こういうときにはもう本当に思い切った発想の転換をもって日本経済のより円滑な発展をひとつ策していただきたいとお願いをして終わります。
  95. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 本日の資料及びお話を承りまして、政府の御努力に大変敬意を表します。  ただ、ここで一つ非常に私、奇異に感じますことは、どうもかゆいところに手が届かないということでございます。例えば内需の振興ということが言われますが、きょうお話を承りますとこれをほとんど土木事業で賄おうというふうに見えます、すべてのことが。ところがこの土木事業で賄う場合に、今内需、内需と言っているのは、自動車産業とかあるいは家電とか、そういう輸出向けのものを日本で売らんかと、こういうことでございます。そうでなければ話が合わぬわけです。ところがそういうことは実際上困難でございましょう。政府の方でいろいろ御検討なさると思います。しかし、そういう困難な問題を棚上げにして、まあ後は何とかなるだろうということでは困ると思いますが、こういう問題が一つあります。  それから今日の物価高、賃金高というものと、それから為替相場からくるところの円高という問題、これは今日の自由経済の建前からやむを得ないと思いますが、これを何とか処理できないかという問題があるわけです。といいますのは円の実質的な価値の保障という問題です。円の実質的な価値が今日保障されていない、これを保障するためにどういう政策をとるかという問題は今根本的に考えておかなければならぬことであろうと思います。その方法としては、国内だけで処理できることがあればそれにこしたことはありませんが、もしそれが困難ならば世界的規模で、少なくとも自由経済圏だけ考えてもいいですが、その範囲内で何らか制度を設けることができないかという問題がございますが、こういう問題について政府御当局ではどのようにお考えでしょうか。
  96. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) まず第一点の御質問は、内需拡大対策といっても土木事業だけではないかと、こういうお話でございますが、実はきょう私ども参っておりますのも、それぞれの省庁の立場でどういうことを考えているかということでございます。政府全体といたしますと、御案内のとおり、先ほどの緊急経済対策の中では、従来とは違って例えば一兆円を上回る所得税等の減税もやるということも書いてございますし、研究投資等の内需型の設備投資について減税をやるということも書いてございます。そのほか住宅対策等も書かれてございます。住宅対策はそれ自身はやはり住宅建築の促進ということでございますが、私ども資料の中にも書いてございますように、居住空間が広くなることによってそれに関連をした、またインテリア、家具その他等の消費財の需要にもつながってくるということでございますので、土木事業等についてだけ内需拡大対策をやっているという御指摘は、全体を見ていただきますと、必ずしもそういうことにはならないんじゃないか、きょうの御説明があるいはそういうこと中心になってしまったというのは、これはそれぞれの所管省庁の取り組みと、こういうことでお尋ねがあったのでやむを得ないことではないかということで御了解をいただきたいと思います。  二番目の、レートの変動に伴う保障というふうにおっしゃいましたんですけれども、この問題というのはなかなか私ども直接担当している立場でもございませんので難しゅうございますし、むしろ現在のところは御案内のような国際金融体制、変動相場制でございます。そういうところについて基本的にどうするかということに関してはいろいろ議論もございますが、これを直接レートの変動に伴う損失等を補償するということを今時に国際的なベースで話し合うというのはちょっと問題が大き過ぎまして申しかねますが、私どもの立場からは直接的確なお答えができませんので、これはお許しをいただきたいと思います。
  97. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 それでは、その問題は御研究願うということにいたしまして、現在内需という問題につきまして政府の方では抽象的な内需、つまり具体的な内需じゃなくて抽象的内需ということで、何でもいいからそれを振興すればいいと、こういうふうにお考えなんでしょうか。
  98. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 必ずしもどういう形でもということを考えているわけではございませんが、やはり政府のイニシアチブのもとで内需拡大につながる対策として何がやれるかということになりますと、先生先ほど御指摘のございましたような公共事業を中心としたものというのがこれは規模の上からいきましてもその波及効果の上からいきましても、やはりまず最初に考えられるべきことであろうかと思います。ただ、それだけでは全体としてバランスがとれないではないかという御指摘は当然ございまして、まあそういう意味では先ほどのお答えと重複いたしますが、今回の対策の中では減税、これは直接的には消費の拡大につながると思いますし、そういう新しい試みもやっておりますし、それから投資減税という形で設備投資、これも一般の設備投資をふやしますとまた輸出競争力をふやして輸出増につながる、こういう問題もございますので、むしろ内需型の設備投資についての助成策ということも考えたわけでございますので、これまでとは違って、内需の各方面にそれなりに目を向けているというふうに申し上げても過言ではないんじゃなかろうかと思っております。
  99. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 鉄鋼など相当落ちておりますが、元来、ここ二、三年前までは鉄鋼というものは大変盛んでいい会社だったんですが、それが今度の為替相場の変動で急にだめになって会社もつぶれてしまうと、これは余りにもひど過ぎると私は考えるんですが、急速に来た円高問題はアメリカの経済基盤の弱化から起こった問題で、これはもう相場は立ち直ると思うんです。立ち直ればここで逆に急速に円安になるかもしれぬ、そういうことは当然頭に置くべき問題なんでございます。ところが会社もつぶしてしまって、解散してしまって、鉄鋼はもう要らぬのだといったような体制がどうも気にかかるわけですが、石炭の場合もあるでしょうけれども、あれは外炭が安いから、また燃料というものは何も石炭によらなくてもいいですから。ところが、鉄というものは鉄にかわるべきものは余りないでしょう、鉄は鉄としての絶対価値があるわけです。そういうものを今後外国の品物に依存するということにしていいかという問題が一つあります。これは戦争やらぬのだから弾が要らぬから鉄鋼業は減らそうと、こういうことも一つの案でございましょう。案でございますが、しかし鉄砲や大砲だけの問題じゃない。すべての今日の国民生産の材料は鉄でございます、ほとんどが。こういう問題がありますが、そういう点につきまして通産当局はどうお考えでしょうか。
  100. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 御指摘のように鉄は基礎林産業の中の中心でございまして、やはり鉄鋼なしには我が国の産業経済というものを語るわけにはいかないと思います。ただ、昨今の円高のもとで、特に最近では韓国、台湾、ブラジルというようないわゆる新興工業国の鉄鋼産業というものが急速に設備をふやしております。そういう国との関係でいきますと、我が国の鉄鋼産業はコスト的にも相当割高になってきておりまして打撃を受けているのは御存じのとおりでございますが、鉄鋼産業といたしましてもそれなりに合理化の方策を考えておりまして、百五十円ぐらいのレートでいつでも世界最強の設備と十分競争できるような産業として自立していくということで、その規模としては粗鋼ベースで約九千万トンであろうかと思います。今六十五年度を目標合理化に努力をしておりまして、その過程で残念ながら過剰雇用ということで高炉六社で四万人強でございますが、雇用調整をやるということをやってきております。私どもはむしろ先ほど御説明いたしました産業構造転換円滑化法の中で鉄鋼業につきましても設備処理を必要とする分野として指定をいたしまして、こういった合理化努力を支援し、また合理化の過程で出てくる過剰雇用については鉄鋼業自身が新しい産業分野に進出する等によってできるだけつなぎとめができるように、そういう面での助成をいたしておりますので、この先のレートの水準というのがどうなるかわかりませんが、百五十円ぐらいでございましたら、先生御心配のように日本鉄鋼産業壊滅ということはございませんで、ある程度規模は縮小いたしますが、十分自立できるような方向で合理化のための努力をしておりますし、私どももそれについては支援をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  101. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 農水省の方へちょっとお尋ねいたしますが、現在、一番世間で問題にされておるのは米の値段の問題でございますが、農産物全体につきまして、現在、国内での生産高、これは価格を入れまして、こういうものと外国の生産高及び生産価格との調整をうまくとっていける道があるかどうかという問題が一つ。  あればいいんですが、ないようなことですと、何らかの方策を講じて農業形態を変えなきゃならぬでしょう。例えば畑は野菜のほかは果実をつくるとか米などは特別おいしい米をつくって外国の米に負けないものをつくるとか、実質的価値でもって値段に対抗するというような対策が必要になってくると思いますが、こういうような点についてどういうふうにお考えになっているのか。今のままの状態ならば外国から輸入した方が安いということになりましょう。戦争ももう今後やらないという覚悟を決めた以上は、戦争ということで食糧を確保しようという政策はもう考慮に置く必要はないです。そういう問題はなしにして、絶対的な問題、価値において日本の品物の方がいいんだと、そして、ここでつくったものの方が割安だという体制をどうしてつくるかとかいうことをお考えになっているかどうかという問題です。
  102. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 米の内外価格差ということがよく問題になりますけれども、先生、今まさにおっしゃいましたように、日本で開発され、消費者の嗜好にマッチした米というのは非常に世界の米の供給の中でユニークな存在になっているというふうに思っております。日本人の食味にマッチしたものを果たして輸入でどこまで供給できるかというところは大きなクエスチョンマークがあるというふうに思っております。  また、米というのは一部の輸出国で輸出関心が強い。中国とかインドネシアとか、そういった従来の穀物輸入国の自給体制がだんだん整ってきたということもございまして、特にアメリカが輸出関心を非常に強めている。狭まったマーケットをどこへ振りかえるかという関心が強まっているという状況があるわけでございますけれども、世界全体の貿易量としては極めて限られている。生産量の三%から四%ぐらいが国際市場に出回るということで、非常に自給型の農産物であるということがございます。  それからまた、日本の食糧供給構造という点からしまして、穀物の自給率はえさも含めますと全体で三割強という状況でございまして、食用穀物では、小麦は輸入にほとんど九割を依存しておりますが、米の場合は自給率は六八%程度。やはりヨーロッパの主要先進国を見ましても、穀物についてはほとんどの国が自給水準を達成しているという状況でございまして、日本の場合は、穀物全体の完全自給を目指そうといっても、限られた土地の上では非常にこれは無理でございます。しかし、やはり米の自給ということが国民の食生活というもの、食糧供給ということを支えていく基本ではないかというふうに考えられるわけでございまして、内外価格差縮小の努力はやっていく必要があると思いますが、私どもとしては、国会の決議もちょうだいしておるわけでございますし、米の自給方針ということを前提にした上で、食味の改良、またコストの低下ということに努めていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  103. 飯田忠雄

    飯田忠雄君 森林とか林業の活性化の問題、お話承りました。いろいろ御努力になっているということにつきましては敬意を表しますが、木材にかわる何らかの建築材料というものを研究していただくことによって、できるだけ木材は切らないという政策ですね、現在の日本にある自然林は残すと、それから造林をいたします場合も、種類を限定しまして自然の摂理を損なわないような造林、そういうこともお考えになってやっていただいておるかどうかということです。経済的な問題だけで考えないで、自然保護という立場からのいわゆる林業政策、こういうものについてのお考えを承りたいんです。
  104. 杉原昌樹

    説明員(杉原昌樹君) ただいまの木材にかわる新しい資材ということでございますが、これにつきましては、林野庁としましては、基本的には森林に手を入れることによって健全な森林をつくっていくということでございますので、そこから生産される木材を十分活用していくというのが必要だと考えております。  なお、天然林等の問題につきまして、実は昨年林政審議会等から答申をいただいておりまして、その中で従来の一斉拡大造林を見直して天然林を重視した施策に転換されたらという答申をいただいております。  したがいまして、私ども現在森林資源の基本計画というものの改定作業をやっておりまして、そういう中で今おっしゃいましたような御意見等も踏まえまして改定する考えでおります。
  105. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間の関係で通産だけになりますが、昨日発表になりました通商白書、この中で日米両国の産業貿易体質と企業行動の見直しを言っていますね。日本について幾つか言っていますが、その一つとして企業行動の見直し、輸出依存体質からの脱却を図れと言っております。この中でも指摘されていますが、日本の輸出のうち、大手三十社で輸出全体の六割強を占めていること、大体日本側の原因としてはここに問題があると思うんです。私たちはこれを黒字病と称していまして、日本側としては黒字病、アメリカとしては赤字病、これを治すことが一番抜本的問題だと、こう思います。  そういう角度から一つお聞きしますと、大体今言った大手三十社で全体の六割強。どうしてそうなったかといいますと、例えば一ドル百七十円になればそれをクリアする、百五十円になればそれもクリアする、百三十円も、やがて百円もと、それができるところなんです。要するに、それは労働者の低賃金、長時間、超過密労働、それから下請に対しては工賃切り下げ等々です。だから、黒字病を除去するためには、今言ったことに対してきちっとした対策をとることが一番大事じゃないのか。ですから、例えば私たちの調査の中ではっきりしたことですが、特に下請に対しては工賃などはもう一方的に通告で下がっちゃいますね、もう一年間で四割、五割と。それから、機械を買わせておいてすぐ仕事は打ち切られちゃう。こういったことを規制することが今回の通商白書で企業行動の見直しということになるんじゃないかと思うんですが、そういったことを言っているんですか。
  106. 広海正光

    説明員(広海正光君) 親事業者が自己の優越し た地位を利用いたしまして一方的に機械を買わしたり、あるいは工賃を引き下げる、こういうことをいたしますと、これは下請代金支払遅延等防止法に違反しますよということを従来から指導通達をずっと出しておりまして、毎年悉皆的に全部調べ上げて、厳しくこれはチェックしてやっているところです。これは公正取引委員会と協力いたしましてずっとやっているんでございますけれども、私どもとしましては、法律の厳正な運用でもってそういう不当なしわ寄せということが起きないようにということでせっかく努力している最中でございます。
  107. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が聞いたことは、要するにここで言う企業行動の見直しということは、例えば百五十円になっても百四十円になっても、やがて百三十円になってもそこをクリアし、そして輸出量は減らさないで済ます。だからこういうことが可能なところが企業内労働者に対しては率先して賃上げに応じ、下請に対しては今言ったようなこと。これはあなたそう言うけれども実際行われているんですよ、目の届かぬところで。監視するといったってなかなか監視が今までできていない。むしろそういったことをきちっとやることが通商白書で触れている企業行動の見直しになるのではないかと私は理解したんだけれども、そう理解してよろしいものかどうか。そういうことだと大体我が党の考えにだんだん近づいてくるんです。
  108. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 今回の通商白書で言っております日本の企業行動の見直しと申しますのも、むしろ輸出依存の体質というものを直していくということであろうかと思うわけでございます。それが個々の企業の立場を超えて日本産業全体ということになってまいりますと、先ほど来の御質問の中でもお答え申し上げたような産業構造、経済構造の変革、調整ということになっていくものというふうに考えているわけでございます。
  109. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 せっかく指摘してもらったけれども、これは抽象的でどうも実際的な、本当に本質に迫ることになるかどうか私は疑問だと思います。  それからもう一つ、この通商白書の中で言っていることは、海外進出を推進するよう求めるということなんです。国内の企業が、大企業から順次中企業まで含めて生産拠点を海外に移す、これは企業が生き延びるためにはやむを得ないことだということは今までよく言われていました。だからなかなかチェックできないんだと。だけれども、今度の白書を見ますと、推進するというんだから、今までやむを得ないというんでこれを放置しておっただけでも相当な勢いで進んでいます。これを推進したら一体どんなことになるのか。空洞化の、もうそれこそ空っぽということになりはしないか、こういう心配があるんですが、どうか。これが一点です。  そして、実際そういうことが起きているところでは、これ何度もこの調査会でも指摘してきたんだけれども、実際下請企業は仕事が来なくなる、あるいは工賃が下がる。それを切り抜ける道は、機械を買って生産性を高めるんじゃなくて、要するにもう人件費を下げる以外にないんですよ。ボーナスは払わない、賃金は削る、人減らしする。となりますと、こういう海外移転が進む中で実際に、今まさにこの調査会の最大問題になっている内需拡大とは違った方向に進んでいく、海外移転を推進ということはまさしく通産そのものが推進するんじゃないかということになりはしないか、これが第二点。  それから、私はどうしてもこれ規制が必要だと思うんですが、ただ、抽象的に規制というと難しいと思うんですよ。そこで一つは、自治体などでいろいろ援助をした税制あるいは土地の問題などで、そういったものをほっぽらかして勝手に出ていってしまうということに対して待ったをかけるような規制、それから今度は、今までもかなりその地域で一定の程度確立している下請との関係、これを一方的に打ち切って海外に拠点を移したり、あるいは部品の発注を海外に一方的にしてしまって、地域の中小企業をそれこそ根こそぎだめにしてしまうというような、そういうことに対するチェック、経理公開をさせることも一つだと思うけれども、それが可能ではないかと思うんですが、お答えいただきたい。  それから、もう一つ中小企業対策で先ほど御説明いただきました事業転換それから下請中小企業対策一、三ですね。しかし、これ中身見てみますと全部事業転換です。事業転換を応援する。ただ事業転換そのものは個々の企業で自分のサイドでやりなさいと。ほかに仕事を見つけてくれば、それに対して応援してやろうと。しかし、今どき自分の力でそんな事業をほかに求めることができるんだろうか。特に今までやっておった親企業が海外へ行ってしまう、そんな場合可能なのかどうか。通産としては、もっと通産自身がかわるべき仕事を大いに求めていくということが必要じゃないか。そうでないとこれは効果がないと思うんですが、含めてお答えいただきたい。
  110. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) それでは私から最初の海外投資、内需拡大問題の関連で御説明いたします。  海外投資につきましては、先ほど御説明いたしました日本の産業構造転換の一環としてむしろ一つの大きな方向ではないかというふうに私どもは考えております。やはり輸出がふえやすく輸入がふえにくいというのが日本の産業構造であり経済構造であろうかと思いますが、これを直していかない限りは現在のような問題がずっと続いていく、ますます激しくなっていくということになるかと思います。したがいまして、それをどうやって直していくかということ、一つは、おっしゃった意味での、日本から物を持ち出して海外で売るということではなくて、日本で生産をすべきものの一部を海外で生産をする、こうすることによって輸出の伸びをある程度モデレートなものにしていく。それから一方では、やはり輸入をふやしていく、輸入をふやしていくことにつきましては、国内で同種産品を製造している企業がその影響を受けますから国内では産業調整を進めていかなければいかぬ、これが基本的に大きな柱でございます。  ただ、そういう方向でやってまいりますと雇用の問題が出てまいりますし、産業自身の活力が失われていくことになります。したがいまして、それをカバーするために、産業の新しい分野を開いていき、雇用機会をつくり出して活力を保っていくということが必要だと思います。これは産業サイドでのいろいろな対策ももちろんでございますが、そのためにはやはり内需というものがある程度規模でふえてまいりませんと、産業のそういう転換はなかなか難しゅうございますので、そういう観点から産業構造を転換するためにもやはり我々としては需要サイドで内需の拡大というのが一つの大きな柱になるべきではないかと考えておりますので、先生は矛盾するという御指摘でございましたが、私どもは、むしろその二つの方向が一致しないと日本の産業構造の転換はやりにくい。  それから、海外投資の結果、自治体、下請との関係が問題になるようなケースについての対応ということでお尋ねがございました。確かに最近の円高で海外投資というのは加速化されてきておりますが、まだ現実の話といたしまして日本にある工場を閉鎖して外に出ていくというケースはそんなに多くはないと思います。ただ、これから今のような事態が続きますとそういう可能性も出てまいりますが、そういうことについては、我々としてはまず海外投資の動向の把握、情報の早期収集ということを重点に置いて対応を考えていきたいと思いますし、もしそういうことで国内での空洞化というのが非常に大きな問題になってくるようでございましたら、先ほどは推進するとおっしゃいましたけれども、我々としては政策として推進するというよりはむしろその辺は市場機能に任せるということで考えておりますが、その場合の摩擦対策については、これは政府の対応すべきポイントだろうと思いますから、そこについては政府として政策的な対応をしていく必要がある、こういうふうに考えております。
  111. 広海正光

    説明員(広海正光君) 下請企業の転換につきましてもっと積極的な対策を講ずべきじゃないかという御指摘がございましたが、おっしゃるとおり転換というのは大変なことだということは、先ほども申し上げたとおりでございます。  そこで、先ほどの資料にございますように、下請企業が転換する場合の支援措置というのはいろいろございますけれども、その中には他に転換をする人がいれば金融その他の支援をするというだけじゃなくて、例えば仕事のあっせん、これは各県に下請企業振興協会というのがありましてそれであっせんをしていただいているわけでございますけれども、それのあっせん事業、先ほど申しましたように例えば十万企業を登録しまして、それでもっとあっせんがスムーズにいくようにやるとかというようなあっせん事業の拡大ということも一生懸命やっているわけでございます。  それからまた、じゃどこに転換したらいいんだという転換先を見つけるための情報提供機能といいますか、こういう面で申し上げますと、アドバイザー制度、これを拡充する。あるいは転換事例集、これを中小企業事業団から出しております。それからまた、今度の中小企業白書、ここには、転換を成功させるためにはどうしたらいいかということを詳しく分析してやっているというような形で、転換しようとする人が何かヒントを得られるような情報提供を一生懸命やっているというようなのもございます。それからまた、テクノフェア、これも資料にございましたが、下請企業だけの見本市を全国各地で開いて、それで仕事が見つかるように支援してあげる、こんな措置もございますし、それからまた、もっと大きくは内需拡大、こういう対策も必要だということで、いろんな対策を実は講じさせていただいているというのが現状でございます。
  112. 三治重信

    ○三治重信君 まず通産省にお尋ねします。  「内需型産業振興について」の二ページの「ニュービジネス等内需型新規産業の育成・振興」、そのうちの「ニュービジネスの企業化に必要な資金借入れに対する債務保証」、これについてなんですが、今までも通産省には中小企業に対しての新規事業についての融資制度があります。これなんかの経験からいくと、一つの例を言うと、魚群探知機の開発をやっている中小企業が県庁へ行って、初めの何もないときにやっていると、それはいいことだからぜひ申請を出しなさいと、こう言って出させておいて、それで資料を見て、自分のところの控えを見て、こうなってこれ対象にならぬからだめだと、こういうやり方をするわけです。通産省の融資の対象の企業なりについて余りきちょうめんに範囲をきちんとしちゃうと、ちょっと外れたやつはもう融資の対象にならぬということがある。だからニュービジネスだからいろいろ関連するから「等」とか、もう少し幅広くやっておかぬといけない。通産省だから魚群探知機の関係のやつはだめだとかいうことになると、それじゃどこへ行ったらいいんだということになってくる。また農林部へ行かにゃいかぬとか、その窓口をどこでもわかるようにしておいてもらわぬとまずいと思うんだが、そういうことについての実施上の配慮をひとつぜひ……。  債務の保証とかいいことは非常に書いてあるけれども、これ実際、ビジネスの債務の保証や融資を受ける中小企業がまず最初に、書類を出す前に相談に行きます。そのときには、対応方が非常にいいから、ぜひ出しなさいと、こう言って、うまいこと言って出させるわけです。出すと一々細かく切って、これもだめ、あれもだめ、こうだから絶対だめだと最後はなっちゃうんだな。こういう非常にしゃくし定規なやり方というものをやらぬような配慮、もう少し現地で、県で裁量ができるような対策をひとつぜひとってほしいということが一つ。  それから、時間がないから一緒にするが、住宅の対策で関連産業対策、これは非常にアイデアとしていいんだが、これだけのものをこれから新規にこなしていくとなると、実際これを現実化する業界、それから実際の技能者、こういうものはとてもじゃないが相当事前に普及宣伝、PRをやっていかぬと僕はだめだと思う。  それで、人材育成ということが書いてあるけれども、この人材育成のやつはインテリア・コーディネーターとかDIYアドバイザーとか、ちょっと見ると非常に高級な人材なんだな。それは、住宅産業の新規のものについてはこういう高級なものも必要かもしらぬけれども、もう少し現実に個個の建てる人に対応できる、例えば大工や左官の建設業組合とかそのまた末端の工務店とか、そういうものに対してのPR、教育訓練というものの計画をもう一つ人材の中へ入れていかぬと、新しいことをやっていかぬと対応が悪いと思う。新しい対応をやるのはいいけれども。  この間も建設省だ言ったんだけれども、日本の建設産業の生産性というものは先進国の中で一番悪い方だと思うんです、いろいろやるけれども、住宅対策でも。だから、住宅の坪当たりの建築単価が一番高い、比較してみると。これは出ていないけれども。そういうふうな、もっとこのままどんどん新しい発明、発見、これもやれ、あれもやれといってどんどん高くすると、今の農林省の米や豆と同じように、国内でつくるけれども、それはもう需要者から見ると世界二局いものをどんどん買わんならぬということ。それは、世界の中で国際化と言っても、できるだけ安く提供できるような生産性の高いことを見込んだ計画をやってもらいたいと思う。そのためには、第一線の者までも常に教育して、そうして生産性の上がる人材養成なり、これはどうしても指導者だね。そういうものをひとつぜひこの計画の中へ入れて生産性という問題をもう少しやらぬと、アイデアを進めていくのはいいけれども、現実化していったときに非常にコストの高いものになるということについての配慮がどういうぐあいにされているかお願いいたします。
  113. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) それでは、最初の債務保証問題の運用につきましては私から、住宅問題につきましては担当課長が参っておりますのでお答えさせていただきます。  ニュービジネスに対する債務保証でございますが、運用上の注意としては今の点を十分配慮してまいりたいと思います。ただ、私ども考えております今度の債務保証は、県とか通産省自身がやるわけではございませんで、むしろ公益法人の中にその債務保証のための基金をつくりまして、そこに国が助成するという格好でやらせるようにしたいと思います。したがって、その公益法人が運用いたします場合には、今先生から御注意のありましたような、余りしゃくし定規にならずに弾力的に運用しろという御注意は十分承って指導をしてまいりたいと思います。
  114. 三治重信

    ○三治重信君 公益法人の名前は何と言うの。
  115. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 財団法人研究開発型企業育成センターというのがございまして、今までベンチャービジネス等に対する債務保証をやっておりますが、そこでこれをやらせます。
  116. 三治重信

    ○三治重信君 えらい難しい名前だな。
  117. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 通常、ベンチャービジネスと言っておりますが、これまた横文字でございますので、日本語にいたしますと今のような名称になります。
  118. 三治重信

    ○三治重信君 これは各県ごとにあるの。
  119. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) いや、これは各県ごとにございませんで、公益法人でございまして、東京都に一カ所だけございます。
  120. 三治重信

    ○三治重信君 それじゃ全国の、九州や名古屋の企業はどうするの。一々そこに直通するの。
  121. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) ですから、これは銀行等に融資等の御相談をします場合に、銀行等から、こういうところがあるけれども債務保証の相談をしたらどうかというようなことで御紹介をいただくようにいたしております。
  122. 三治重信

    ○三治重信君 銀行が窓口になるの。
  123. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 民間銀行からの借り入れの際の債務保証をすることになっておるものでございますから、銀行等に周知、宣伝の一環をお手伝いいただいているということでございます。
  124. 三治重信

    ○三治重信君 これは県を通じてやるものじゃないの。
  125. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) はい。
  126. 松宮勲

    説明員(松宮勲君) 先生御指摘の問題、三つおありになったんじゃなかろうかと思いますが、第一点の、いろんな私どもが考えておりますアイデアを民間活力を十分に利用しながら、普及啓蒙事業を図っていくべきではないかという点でございますが、御指摘のとおりでございまして、私どもは国の予算活用もさることながら、民間のいろんな住宅関連団体の活力、これも中小企業も入りました団体の活用を図りまして、住宅建設なりあるいは住空間、住改善のための普及啓蒙事業実施しております。例えばインテリア関係でございますと、私どもが所管をしておりますインテリア産業協会というのがございまして、この団体を中心に、昨年度から全国で、これ初めてでございますが、一週間、トータル一インテリア・キャンペーン事業というのを展開させることにいたしまして、全国七カ所におきまして普及啓蒙のシンポジウムとかパネルディスカッションとかあるいは展示事業等を展開いたしているところでございます。  その他インテリア以外でも、住宅設備関係で、私どもが所管しております団体を中心にいたしまして、ことしの秋には、晴海でございますが、住宅関連の設備展を現在準備しているところでございますし、DIY、生活者みずからがみずからの住宅の改善を図るために、ドゥ・イット・ユアセルフでございますが、これを促進するための業界団体も育ってきておりまして、この団体もこれまたことし初めて、従来は東京で年に一回大規模なショーを実施しておりましたが、大阪で三月に開催させ足して、今後毎年東京、大阪で二カ所開催させるというようなことを試みているわけでございまして、今後とも御指摘のような方向で、関係団体の総力を活用しながら普及啓蒙事業に取り組んでまいりたいというふうに考えております。  それから、二点目の人材の活用、養成でございます。先生御指摘のように、確かに横文字で、例えばインテリア・コーディネーターというとハイカラな感じで、大企業中心のようなイメージをお持ちかとも存じますが、実際にはこれは中小企業のインテリアショップとか工務店さんでも勉強されて、二十五歳以上の方でございますと受験資格がございまして、積極果敢に取り組んでおられるところもございます。しかし、そうは申しましても、実際全国で住宅なりあるいはインテリアの改善なり建設に従事しておられる企業というのは、かなりの部分が中小企業でございます。中小企業につきまして、先ほど先生が御指摘の団体なんか私どもと申しますより建設省所管ではございますが、中小企業を所管するという立場から通産省としても何らかのお手伝いをしたいということで、実は昨年度初めて中小企業大学校にリフォーム関連の講座を設けまして、受講者は当然中小企業でございますが、中小企業の方に参画をしていただきました。六十二年度はちょっとスケジュールの関係で設営できませんが、今後六十三年度以降、中小企業大学校を活用しながらこういった人材養成面でも私どもバックアップをしてまいりたいというふうに考えておりますし、さらにリフォーム関係で、中小企業の方も随分たくさん入っております任意の団体が最近できて精力的に活動を展開しております。これに対して、増改築推進協議会という名前でございますが、その法人化の応援なりその活動のために私どもが例えば当協会が主催する講習会なんかには積極的に講師を派遣する等の側面からの支援をしてまいったところでございますが、今後とも一層強化してまいりたいというふうに考えております。  それから最後の生産性の上昇による総体的なコストの削減の問題でございますが、これは先生御指摘の点をしんしゃくいたしますと、一つは今申し上げましたような、人材養成によってできるだけ人的な生産性を上げていくということでございまして、これにつきましては、ただいま申しましたような方向で我々も側面からバックアップしてまいりたいと。二つ目は、やはり建築なりあるいはインテリア住空間の整備のための生産性の向上のために技術的な側面からのアプローチがあろうかと思います。  そういう面で私ども通産省、技術開発で中小企業を初めとする関係業界、関係者が御活用できるような技術開発テーマというものにかなり取り組んでいるつもりでございまして、例えば資料にもございますが、リフォーム用のCADシステムの開発、現在六十一年度、六十二年度の二カ年事業で取り組んでおりますが、これはインテリアショップとか、あるいは中小の工務店でも手軽に活用できるような小型のマイクロコンピューターを駆使した住空間インテリア改善のためのパース図とかレイアウトとか積算等ができるソフトウエアでございまして、これが開発の暁には私どもといたしましては中小企業の方々にも随分御活用いただける可能性が出てくるのではないかというふうに期待しているわけでございます。その他中小企業を初めとする建設業者あるいは建築業界の方々が利用できるような技術開発というのはこれまでもやってきておりますし、先ほど杉山局長が御説明いたしました二十一世紀マンション計画の中にも中小企業が参加してパネルの開発に当たっている等々推進しているところでございまして、今後とも御指摘のような方向で技術開発の側面からも生産性の上昇によるコスト削減のために私どもも意を注いでまいりたいというように考えております。
  127. 三治重信

    ○三治重信君 それから農水省の漁港利用調整事業の中で、これ一遍農水委員会でも言っておいたけれども、ここにはっきり遊漁船等とかそれから釣り舟とかというものを漁港に付設してつくると書いてあるんだが、これをもっと漁港と一緒に遊漁船や釣り舟とか、それからさらにいけばモーターボートのたまり場、モータープールも併設していくと。もう海面の利用は、ボートの遊びをやるのに漁業組合が妨害しててしようがないというわけだ、漁業組合が、それから釣り舟でも。漁業組合にやらせればそれは調整できるわけだから、それをこの中へぜひ入れて、海面を漁業組合が魚とるだけにみんな占領しちゃっているということが非常に今言われているわけだ。だから海に遊びに行くったって遊ぶところがない、船出そうと言ったってやるところがないと。こういうことなんだから、漁港にプラス、こういう計画があるなら、漁船以外のモーターボートのたまり場とか、それから釣り舟のたまり場とか、そこへ遊びに来る人の自動車の置き場とか、そういうものも総合的に発展すると非常にいいと思うんだね。
  128. 福屋正嗣

    説明員(福屋正嗣君) 私どもの漁港を利用しております船舶というのは約三十万隻以上ございますが、今先生の御指摘のように遊漁船等が一〇%以上も占めてきておりまして、これの利用という問題が非常な問題になっておる、漁場でも漁港でも問題になっているというのは事実でございます。それで、先生の御指摘のような方向で私どももやっていきたいということで、本年度から漁港利用調整事業というのを始めたわけでございますが、御趣旨に沿いますように今後とも十分検討してまいりたいと考えております。
  129. 平野清

    ○平野清君 余りにも時間が短いので農水省さんだけにさしていただきます。しかも、三点ほど一度にお尋ねいたしますので、まとめてお答えをいただければと思います。  農民が過保護だということは長いこと叫ばれまして、今度の六十二年度の国民生活白書でもはっきりクロヨンの存在を政府が認めているわけです。しかもその上に今まで皆さんがお話ししたように、世界一高い米をサラリーマンが食べさせられているということは、四千三百万いるサラリーマンにとっては大変な被害だと思うんですけれども。その上で農民が必ずしも裕福じゃない。非常に借金を抱えている農民も多い。小型農業でもって高い機械を買わなきゃいけない。農協の売り込みによって十年使える機械を今度新しいのができたからといって五年ぐらいで破棄してしまう。大変皮肉な言い方をすれば、農機具が売れて内需は拡大しているわけですけれども、それでは農民は いつまでたっても自立てきない、農産物は安くならないというような気がするわけです。  一番先に農協問題が出ましたけれども、私の方からも、やはり農協のシステムに根本的にメスを入れていただいて、サラリーマンが納得するような、いわゆる金融、販売だけに走る農協じゃなくて本来の農協に行政指導を強力にしていただきたいというのが一点でございます。  それから二番目に、外国の米に負けない、安いしかも一農家で大量に米をつくろうと思えば大型稲作農家が必要になってくるわけです。だけれども、どうしても農民というのは父祖伝来の土地を人に貸したがらないとか、やれ税法上の問題、遺産相続の問題、いろいろなことがあって大型稲作というものがなかなか実現しない。そういう点で、税制とかそれから賃貸方法とか今までの発想をがらりと変えて、小規模水田農家が大きな稲作農家に田を貸して、それによって分け前といいますか収入を得られるような方法をもっと積極的にとるべきじゃないかと思います。  それについて、これは内需拡大に何も関係ないし、ちょっと蛇足かもしれませんけれども、要するに農家の嫁さん対策というのが非常に困難なんです。幾ら農民を育てるといったって農家にお嫁に行く人がいないわけです。まあ昔と違って田んぼの中へしょっちゅう入っているわけじゃありませんけれども、現実の若い女性は農家になかなか嫁さんに行きたがらない。だから、農業が自立して、きちっと若い娘さんが農家を継ごう、そこに嫁に行こうというような形の農家を育成することが農業を自立させる早道じゃないかというような気がします。  最後に、過保護だと言いながらちょっと矛盾しているんですが、農政がくるくる変わるわけです。農民は非常に気の毒だと思うんです。ごく最近の例で言いますれば、十数年かけてあれだけの八郎潟を大干拓をやる。米をつくらした。そこで豊作になったら、やみ米は売っちゃいかぬといって村の出口でお巡りさんがトラックの搬出を捕まえて、やみ米行為だというんで取り締まっている。それは、もうあそこに干拓に入った人はたまったものじゃないと思うんだ。農政はある程度の中期展望を持ってやらないと農民はたまったものじゃない。中小企業の方と同じで、転換しなさい転換しなさいといって一生懸命誘われてリンゴをつくったらリンゴが暴落したというようなことと同じことになるわけです。  それで、水田見ましても、汽車に乗って窓から見ますと、あちこちに相当の休耕田があります。その休耕田、何年間か休耕田手当を払って、莫大な税金を払っている。それをただ遊ばすだけじゃなくて、何か違った、外国に援助をできる農産物を育成さしてやって、例えば米をつくったって米を食う国民がいなければ食べられないわけですから、外国援助に米を持っていったってしょうがないと思いますから、例えば莫大な量を輸入している小麦をつくって、それを開発途上国でもう食べられない国民、復すかしている途上国の子供がいっぱいいるわけです。そういうところへあの休耕田をうまく使って金にかえた外国援助、それで日本のいわゆる先進国としてのそういうところへの寄与といいますか、世界の人が認めてくれるような形の農業ができないものか、まあ三つお尋ねしたいんです。
  130. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 最初の、特に米の価格と機械費の問題でございますが、私どもそういった御不満にこたえて米のコストをできるだけ下げ、また、これをできるだけ的確に価格に反映させていくという努力をやらなきゃいかぬと思っておりますし、今水稲の生産費のうちの三割ぐらいが平均に言いまして機械費ということでございますので、機械の効率利用の問題を含めて機械費の節減ということについては今後ますます努力をしていかなくちゃならぬというふうに考えております。  農協の機械の購買事業との関係につきましてももちろん私ども注意をしていかなくちゃならぬと思いますが、機械の場合、非常に激しい商人系と農協との間の競争が展開されているのが実情でございまして、ほぼ末端の農家段階で半分程度が農協から、半分程度が一般の商店から買っているというような状況でございますので、競争原理は十分に作用しているのではないかなというふうに考えているところでございます。  それから、外国に負けない大型の稲作ということでございますが、私どもお話のありましたいろいろな手法を含めて規模拡大を進めるための努力をやっておりますし、特に最近は生産組織というような形でみんなが参加をしながら、事実上中心になる労働は少数の担い手に集中をしていくというふうな形も生まれてきておるわけでございまして、こういった方法も含めまして効率的な規模をつくっていきたいというふうに思っております。ただ、それによって外国に負けないものができるかという点については、先ほども申し上げましたように、稲作の国土条件の制約ということがございますので、完全に負けないというところまでの展望を今の時点で持つことは難しいと考えております。  そういった意味でできる限りの努力をして、若い人たちが誇りを持って農業に従事でき、お嫁さん問題も解決するというような方向を目指していくことが必要であるという点では先生と同じ意見でございます。  また、農政がくるくる変わるというお話がございましたが、農政の方向についてはできるだけ長期的な展望を持ちつつ私どもやっているつもりでございますし、そのために農政審議会の報告等もちょうだいをしながらやっておるわけでございますが、農産物の需給事情等は時々変わってまいりますので、やはりそういった需給事情に応じた農政の弾力的な運営ということは、これはまた一方で心がけていかなくちゃならないという面があるわけでございます。  お話の八郎潟につきましては、スタートのときから水稲と畑作の複合的なモデル農場という趣旨でつくられたわけでございまして、私どもとしては一貫してその趣旨を貫きつつ営農指導を行っているというふうに思っております。  休耕田等を活用して援助用の農産物をつくれないかという点につきましては、時々これ論議があるわけでございますが、今の食糧援助といいますのは、むしろ開発途上国の食糧を買い付けて援助するということが基本の考え方になっておりまして、休耕田の活用としては、もちろん輸出できるようなものがあればそれを活用して輸出するということは、これは全く可能性がないわけじゃないわけでございますが、援助という次元で考えますとそういった問題があるということを御認識いただきたいというふうに思います。
  131. 長田裕二

    会長長田裕二君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会