○
説明員(
吉國隆君) 農林水産省の総務審
議官でございます。
内需拡大の問題につきまして農林水産省といたしましても、特に今後の農政の方向との
関係ということも含めまして非常に深い関心を持っているわけでございます。一般経済の動向、あるいは日本経済の世界の中での置かれた立場、そういったものとの
関係での御論議があることは言うまでもないわけでございますが、農政とのかかわりにおきましても私
ども非常に深い関心を持ち、また当面の
補正予算の問題等におきましても、そういった観点から主張を行い、要求をいたしておるところでございます。そういった農林水産行政とのかかわりという面を特に本日はお聞き取りをいただければありがたいと思いまして、このような
資料を用意させていただいたわけでございます。
まず、横長の
資料で御
説明申し上げたいと思いますが、一ページをお開きいただきますと、農林水産行政とのかかわりという点で、ここにございます三点を私
どもは基本の考え方として持っているわけでございます。
一つは、農林水
産業の生産性の向上、体質の強化ということの前提条件として、農林水産
関係の
公共事業を初めといたします公共的投資が非常に重要な役割を果たしているということは言うまでもないわけでございまして、昨年の十一月に農政審議会の報告をちょうだいをいたしまして、現在それの実行ということで努力を重ねているところでございますが、この報告の要点は、二十一世紀に向けまして農業の生産性向上を図り、またその成果を的確に価格に反映をさせて
内外価格差縮小の努力を行っていく、こういうところが
一つの重要な
ポイントになっている次第でございまして、先生方御承知のように、価格政策の運営面あるいは
制度面におきまして
見直しの努力も行っているところでございますが、そういったことを進めていきます基本的な条件としての体質強化のための公共的投資という性格を持っているという認識を基本に据えているわけでございまして、このことはまた、先ほ
ども申し上げましたような価格政策との
関係を通じまして、究極的には
国民生活の質の向上という観点からの
内需拡大ということにも結びついていくという考え方をしておるところでございます。
第二点は、そういった農業構造の改善を進めていくという点からも、また林業、水
産業の体質強化という点からも、農山漁村
地域の
活性化ということが非常に大切であるというふうに考えておりまして、農山漁村におきまして各種の多面的な投資を進めていくことによりまして就業機会をつくり出していく、こういう条件が整いませんと、農業の構造改善といいましても、地方に住んでいる人たちの生活という面から壁に突き当たるという
関係があることは申し上げるまでもないわけでございまして、そういった
意味で農山漁村の
活性化という観点、また、後ほど
数字で御
説明いたしますが、農山漁村の生活環境の立ちおくれということも非常に問題として提起をされているわけでございまして、そういう面についても手当てをしていく必要があるというふうに考えております。
また、第三点は、もう少し広く、
地域の、地方の経済の
活性化ということが国土の均衡ある運営という点からも重要であるというふうに考えておりまして、農林水産
関係の公共的な投資は、これも後ほど
数字で御
説明申し上げますが、景気浮揚効果が非常に強いという認識を私
どもしているところでございます。
この三点が基本的な考え方でございまして、二ページ以降、まず農林水産
関係の
公共事業につきまして、現状、
進捗状況あるいはその役割論を
整理をいたしております。
まず、農林水産
関係の
公共事業としては、この表にございますように、農業
関係では農業
基盤整備、これは
土地改良長期
計画、現
計画は昭和六十七年までの十年間の第三次
計画でございますけれ
ども、内容は先生方も
御存じのとおりでございますので、ここに書いてあるとおりですが、省略をいたします。林野
関係では、治山
事業と造林
事業、林道
事業というものになります。水産
関係では、漁港
事業と沿岸漁場
整備開発事業でございまして、治山につきましては治山
事業五カ年
計画で、現
計画は七次の
計画が本年度からスタートをいたしております。漁港
整備は第七次の
計画が本年度で終了するということになっております。沿岸漁場
整備開発計画も本年度までの第二次
計画によって進めているという
状況でございます。
三ページにその進捗率、
進捗状況でございますが、
御存じのような過去数年にわたります厳しい概算要求基準あるいは
予算編成の中で、農林水産
関係の
公共事業予算もかなりの縮減の姿になっておりまして、右のグラフでごらんいただけますように、五十九年度以降は毎年度三百億を超える減額という
状況になっておりまして、五十八年度の一兆四千七百五十五億から六十二年度の当初
予算におきましては一兆三千四百二十五億ということで、かなり縮減になっているという
状況でございます。
この下の方に進捗率が示してございますが、こういった
予算事情のもとで、一部補助率を引き下げて
事業量の増に回すといったようなこともいろいろ試み、また
土地改良の
特別会計制度の改善等もやりながら
事業量を少しでも伸ばしていくという工夫を加えてやってまいっておるわけでございますが、進捗率といたしましては、これの右下に書いてございますように、
土地改良でごらんをいただきますと、六十二年度までで、十カ年
計画の五年目になるわけでございますが、その分を入れて二七・五%という
状況でございますし、漁港、沿整はそれぞれ本年度が最終年でございますが、七四・九、六五・一。また、治山
事業の五カ年
計画では、これは先ほど申し上げましたように本年度新規の
計画がスタートしたわけでございますが、昨年度までの第六次の
計画終了時点で七四・六%というような
進捗状況になっているということで、遅延が目立っているという
状況でございます。
四ページは、
内需拡大への寄与という面から、農林水産公共の特徴といたしまして先ほど景気浮揚効果が大きいということを申し上げたわけでございますが、
三つの要素でここに
説明をいたしております。
まず、用地費の割合が非常に小さいということでございまして、農業
基盤整備につきましては三
%、それから治山、造林、林道はゼロ、漁港で一%ということでございまして、他のいろんな
公共事業と比べましても用地費の割合が小さい。農業
基盤等は、御承知のように、換地の手法によりまして
公共施設の道路
部分とか水路
部分とかあるいはその他の
公共施設用地といったようなものを生み出すという仕組みで進めておるわけでございまして、
土地代に消えるというような
事業の性格が極めて小さいということが言えるわけでございます。また、地元業者、特に中小企業への発注率が高いということでございまして、農林水産で八六%という
状況でございまして、そういう
意味でも地方の経済への貢献度というものが高いというふうに考えているわけでございます。
それから、
事業費の中で労務費の割合が高くなっておりまして、こういった面から雇用効果がほかの
事業に比べまして大きいというふうに考えているところでございます。かなり機械施行にはなっておりますけれ
ども、やはり
事業の性格から、特に治山、造林、林道ではごらんのように四〇%ということでございまして、雇用効果が大きいということでございます。
こういった点を総合いたしまして、農林水産公共は生産誘発効果が高いということが言えると思いますし、地方の景気浮揚にダイレクトに結びつくというふうに考えているところでございます。
それから五ページでございますが、農林水
産業の体質強化との関連、冒頭にも申し上げたところでございますが、幾つかの要素について眺めていただきますと、まず右上のグラフがございますが、
水田の
整備率が年を追って高まってまいっております。昭和五十八年時点で三〇%をちょっと超える水準までいっております。これは実は六十一年時点での推計、その後の
事業量から推計をいたしましたものでは
水田で四一%という
数字になっておりますが、五十八年まで逐年
水田整備率が上がってきましたのと並行いたしまして各種の農業機械が普及を見てきているという
状況でございます。と同時に、右下がりの線にございますように労働時間が減少しているということで、今後の日本の農業構造の問題としてとらえました場合に、先生方御案内のように、
土地利用型農業の
内外価格差が目立っているという
状況でございますので、この
土地利用型農業については
規模拡大をし、機械の効率的な利用、そういうものにマッチした
規模というものを生み出し、効率的な農法を展開していくということが
一つの重要な前提であるわけでございますが、そういう基礎的な条件として機械作動に耐え得る、また水のコントロールがちゃんとできるというそういった区画、性状を持った
水田である必要があるわけでございますが、この基礎としての役割というものを持っておるわけでございます。
右の
真ん中の表は稲作の労働時間の減少度合いというものを四十四年と五十四年の十年間の変化で見ているわけでございます。全国平均四六%の労働時間の減少度合いになっているわけでございますが、
実施地区の平均値では六割の減少率になっているという姿が出ているわけでございます。
また、一番下のグラフはこれは愛知県の安城市の事例でございますけれ
ども、圃場
整備の進捗率の増加に応じまして利用権設定がふえてきている。利用権設定と申しますのは、
規模拡大のための
一つの重要な手法といたしまして昭和五十五年に農用地利用増進法を制定していただきまして、実質賃借権でございますけれ
ども、その
法律に基づく利用権設定ということで貸し手の方も安心して貸せる仕組みというものをつくっていただいたわけでございますが、この利用権の設定というものが圃場
整備に呼応してふえてきているということでございまして、やはり農村で機械が入らないような田んぼでは借り手もつかないという悩みが最近聞かれるようになったことは先生方御承知のとおりでございますけれ
ども、こういった
基盤整備がその
意味でも重要であるわけでございます。
左のグラフは御参考までに耕地面積の推移を書いております。耕地面積は、田畑計でございますが、昭和三十五年の六百七万ヘクタールから最近五百四十万ヘクタールをちょっと切る水準まで減ってまいっております。この下にございますように、拡張面積が最近では年々二万ヘクタール弱という水準でございまして、一方壊廃、農地転用等でございますが、三万六千ヘクタール。高度成長のときの壊廃、
土地ブームのときの壊廃の著しいふえ方に比べれば最近落ちついてはまいっておるわけでございますが、農地の壊廃は
御存じのようにいろいろな都市的な需要という面からこれは進まざるを得ない面を持っているわけでございまして、農用地造成等でカバーされるものが十分にその壊廃を補うところまでいっていないわけでございまして、さなきだに乏しい耕地が全体としては減ってきているという
状況でありますだけに、一方で農用地造成も難しい条件の中で努力をいたしておるところでございますが、限られた農地をいかに
整備し、有効にかつ能率的に
活用していくかということがやはり日本農業の
一つの基本の条件であろうというふうに考えているところでございます。
六ページは林業
関係の
事業につきましてでございますが、造林
事業は、くどくど申し上げるまでもないと思いますが、森林の公益的機能の発揮という面からも、また森林資源の充実、あるいは山村経済の
振興という面からも重要な役割を持っているわけでございますが、造林の進捗率は、右上にございますように、森林
計画に基づきます造林の
計画量に対しまして最近の各年度の
状況は半分
程度の進捗率にしかなっていないという
状況でございますし、また林道でございますが、林道も「効果」というところに書いてございますように非常に重要な役割を果たしているわけでございます。森林の荒廃ということが、間伐等の問題も含めてやかましく論じられているわけでございますが、適正な施業ということからいたしますと、やはり林道
整備というものが基本になるわけでございますし、生産性の向上という点からも、また就労条件という面からも非常に大切である。そのほかに
地域振興という面からもここにございますような各種の効果を持っているわけでございまして、非常に山村部における基礎的な重要な
事業であるわけでございますが、林道
整備率は、森林資源基本
計画に基づいて必要とされている林道
整備量に対しまして、六十年度で四二%という
整備水準にとどまっているというのが実情でございます。
それから、七ページは水産
関係でございます。
水産につきましては、御承知のように二百海里体制が進んでまいりまして、「漁業生産の推移」という表が出ておりますが、総生産量では現時点でも千二百万トン
程度を維持しているわけでございますが、内訳をごらんいただきますと、遠洋のところが最近は二百万トン強という水準で、かつての遠洋漁業に比べればかなりの生産の減になっているわけでございまして、沖合漁業と沿岸漁業との増でそれをカバーしているという
状況でございます。
こういった漁業生産構造の変化に応じた漁港の
整備ということが必要になってまいりますし、また、つくり育てる漁業という観点からの沿岸漁場
整備というものの役割が増大をしているわけでございます。漁港につきましては、
御存じのように非常に地形に恵まれない
地域でのいろいろな社会的な需要というものともマッチをし、また最近では遊漁との
調整とか、そういった面も含めていろいろなニーズがここに集中をするというような
状況になっているわけでございますが、漁港の
整備の
状況としましては、漁港係船岸充足率という、漁船に対しての係船岸壁の
整備の度合いであらわしましたものでは三七・八%という
状況になっております。沿岸漁場の
整備率は必要量に対しまして九・二%という
数字でございます。
次の八ページに沿岸漁場
整備の
事業の概要が絵で示されておりますが、
真ん中や右下にございますような魚礁を設置する、魚の生育場所をつくっていくということと、それから右の上の方にございます増殖場の造成
事業、産卵とかあるいは稚魚の生育場所をつくっていく、あるいは左の方に上下にございますような養殖場造成
事業ということで消波堤等をつくりまして養殖の環境を
整備をしていくといった、こういった沿岸漁場
整備開発事業が、沿岸域を
高度利用したつくり育てる漁業ということから非常に重要視をされてきております。種苗の放流
関係もかなり技術も進んでまいっておりますし、また放流
関係の施設も別途の
事業でございますけれ
ども整備が進んできているわけでございまして、こういった資源を管理しながら総合的に利用をしていくといったことが今後の漁業の
一つの重要な課題でございます。
九ページは、農林水産公共の
一つの重要な役割として安全な国土
基盤という点から特にここでは治山
事業の
関係に触れておりますが、林地荒廃が進んでまいっておりまして、昭和五十六年度末で八十四万ヘクタールの荒廃地であったわけでございます。六次の治山五カ年
計画で十五万ヘクタール
整備をやったわけでございますが、なおその間に荒廃地が増加したものが三十八万ございまして、差し引きではむしろ六十一年度末の残量は百七万ヘクタールに膨らんでいるという現状でございます。山地災害危険地区の
調査につきましても、六十、六十一年度の
調査で全国で十七万六千カ所という
状況でございまして、治山施設の
整備率は、そういった危険地に対します比率で三〇・四%という
状況になっております。
以上が農林水産公共の主な役割でございますが、さらに十ページに「活力ある農山漁村の
建設」ということで、先ほど申しましたように、投資を多面的に進めていくということが今後いろいろな
意味で重要であるわけでございまして、その主な
分野としまして、(ア)から(エ)まで書いておりますけれ
ども、
一つは従来から通産省等の御協力も得ながら進めてきている農村
地域工業
導入でございます。これにつきまして、さらに新しい視点でいかにこれの拡大
促進を図っていくかということがやはり就業機会という点から重視をされているわけでございますが、過去の実績といたしまして、右の表にございますように、六十一年三月末で総雇用者二十五万三千五百人
程度でございまして、地元雇用者が二十万四千名余りということでございまして、農家世帯から九万三千六百九十ということで、非常にその面ではこの農村工業
導入は重要な役割を果たしてきているというふうに考えている次第でございます。最近の工業の動向からいたしますと、必ずしも労働力立地型ということでなくなってまいっている面もございますが、こういった観点の
施策を今後も
促進をしていくという必要があるというふうに思っております。
また、地場の
産業、特に農産加工等の
地域資源を生かした
地場産業というものを考えていく必要があるわけでございまして、この面でもいろいろな進んだ事例というものが出てまいっておりまして、右下の表に幾つかの例を書いておりますが、一番上の大分県のK町の事例で申し上げますと、食品メーカーと町や農協が連携をいたしまして共同
出資会社をつくりまして、ホウレンソウ、ニンジン、タマネギ等の野菜のスライスあるいはカット、砂糖漬け等を製造する。これを三百戸の農家との
契約栽培という形で進めてやっているというような事例が生まれてまいっておりますし、また、その下の秋田県の手づくりハムの事例では、農協と地元の養豚農家とが連携して手づくりハムを生産して特約店を通じて販売している。これらはいずれも地元の農家世帯員等の雇用ということで回転をしているわけでございまして、こういった形での雇用機会をふやして農村に付加価値を落としていくということが非常に重要であるというふうに考えております。
また、(ウ)に書いております
リゾート地域整備等のレクリエーションということを生かしたもの、あるいは都市、農村交流ということで、これも先回の当
調査会でも御論議がございましたが、いろいろな事例が生まれてきておりまして、私
どもは、都市住民のニーズにもこたえながら地方の
活性化なり就業機会確保に役立つものという位置づけにおきましてこういうものの成長ということを期待し、また行政的に及ぶ範囲内での努力をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。
十一ページには都市、農村交流の事例を幾つか示しております。いろいろなパターンがございますが、一番左の欄で見ていただきますと、農産物の産地直送型と言えるような産地直送を中心にした結びつき、農村の体験、あるいは子供の教育というようなことを通じての交流、都市住民の側からの自然との触れ合いということを中心にしたもの、あるいは姉妹都市といったような形でいろいろな要素を組み合わせて交流が行われているというのが実態でございます。
十二ページに参りまして、農村の生活環境の問題でございます。農村の生活環境はかなり改善されてきている面もあるわけでございますが、右の上の表でごらんをいただきますと、例えば一番下のごみ収集率、これは町村と十万人以上の都市の
比較で見ていただいておりますが、ごみ収集率等はかなり町村部でも伸びてまいりまして、まだ都市との格差はございますが六九%、あるいはその上のし尿処理率では七七%というようなことになっておりますが、下から
三つ目の下水道普及率、これが一番格差が大きいわけでございまして、町村部ではまだ三%という非常に低い水準にとどまっております。一番上の道路改良率も町村で三〇%ということで水準が低いということが言えるわけでございます。
そういった中で、先国会で集落
地域整備法を成立させていただきまして、
建設省とも協力をいたしまして農村の集落
地域の総合的な
土地利用を行って
整備を進めるという観点からの仕組みをつくっていただいたわけでございます。従来からも
予算上の
事業として集落排水
事業というようなものを進めてきておるわけでございますが、今後この面で非常に強いニーズもございますので、努力をしていく必要があるというふうに考えております。
農村
整備のイメージの例がそこに図示してございますが、非常に入り組んだ圃場なり道路、水路というものをきちんと
整備をしながら住居の密集しております集落地区について幾つかの、例えばここに書いてございます子供の遊び場とか共同営農施設とか村民広場とか、あるいは上の方にLPG貯蔵所なんというのも書いてございますが、それから下の方に集落排水施設というのもございますが、そういった総合的な
整備というものを進めていくということが非常に重要になってまいっているというふうに考えているわけでございます。
十三ページは、森林の
関係で、③というところに書いておりますが、森林に対しましても、もともとこれが生活環境の保全にいろんな役割を持っていることに加えまして、森林空間というふうに私
ども呼んでおりますが、これに対する
国民のニーズが広まっているというふうに考えております。右の方に、民間
調査機関の調べでございますが、教育
活動に森林を利用することを非常によいと考えている意見とか森林浴への関心が非常に広がっているとか、そういったデータが出ております。そういった方向に即して森林の多面的な利用ということを考えていくということが重要な段階に来ているというふうに考えております。これは後ほどまた若干具体的な手法の御
説明を申し上げたいと思います。
④に書いてございますように、こういった地方の農山漁村社会の
活性化ということは人口の地方定住あるいは
産業の地方分散、均衡ある国土経営といったようないわば国土管理的な側面からの役割というものも非常に大きいのではないかというふうに考えております。農村
地域の持つ役割を右下の表で
整理をいたしておりますが、これはごらんおきをいただければというふうに思います。
十四ページに「今後の
進め方」ということで若干触れさせていただいております。農林水産
関係の
公共事業につきましては、まず昭和六十二年度におきましては過去最高の前倒し施行ということを目指して努力をいたしておるところでございますが、
補正予算での追加ということを現在求めて折衝をしているところでございます。また、今後の農業との
関係で高生産性農業に役立つような大
区画の圃場
整備ということも進めていく必要があるというふうに考えておりますし、農山漁村の生活環境の
整備ということも焦眉の急であるという認識に立って進めていく必要があるというふうに思っております。
さらに長期的には、御
説明申し上げたように、非常に進度がおくれておりますので、長期
計画の進捗を図っていくということが必要でございますし、農家の側からは価格政策も見直される中で工期がおくれて負担金にもはね返っているというようなことへの御不満もございます。私
どもとしては、可能な限りこれが
促進できるような
予算確保に努力をしていかなければならないと思っているところでございます。四全総におきましても、一極集中の是正ということが言われておりますし、そういった
意味でも
地域の
活性化ということの課題に取り組んでいく必要があると考えております。
十五ページでございますが、「その他の
内需拡大策」ということで
整理をさせていただいておりますが、農林水産省の
事業としましては、
公共事業の
関係のほかに、右の方に非公共の
事業の例示をいたしておりますが、こういった
事業におきましてもここに例示をいたしておりますような施設を通じまして農林水
産業の生産性の向上なりあるいは
地域の流通加工施設の
整備あるいは山村・過疎
地域等の就業機会創設のための施設の
整備、こういったものを進めていくような
事業を持っております。こういった
事業につきましても、非常に
予算の縮減というものが厳しく作用をいたしておるところでございまして、そういった
予算の確保に向けても今後努力をしていかなければならないと思っております。また(4)に書いておりますが、木材特に国産材の需要拡大を図っていくという
見地から、木造建築物の
建設とかあるいは住宅の内装の本質化、間伐材の利用、こういったものにつきましても今後努力をしていかなくてはならないと思っておりますし、また、
建設省等
関係の役所との相談もいたしておりまして、
建築基準法の改正も行っていただいたというような経過になっているところでございます。
若干時間が超過しつつあるかもしれませんが、縦長の「
民活関係」の
資料につきまして引き続き御
説明申し上げたいと思います。
民活という視点から幾つかの
事業につきまして現在取り組んでいるところでございますが、まず
総合保養地域整備法の問題でございます。これは、御承知のように、六
省庁で協同いたしまして、先国会で
法律を成立させていただいたわけでございまして、現在、基本方針の策定に向けて準備を進めているところでございます。私
どもとしては、この「趣旨」の(2)というところに書いてございますように、先ほど申し上げましたような、農山漁村の
活性化あるいは農林漁業の健全な発展ということとの
関係が非常に深いという認識をいたしておりまして、農山漁村
地域でのリゾート施設の
整備推進に向けて農林水産省としても積極的に取り組み、協力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
二ページ目に、これはもう
法律のフレームは先生方御承知であろうと思いますので省略をいたしますが、右下の「
推進方策」というところに書いてございますように、農地法等につきましても配慮を加えていく、また国有林野の
活用といった点でも積極的に御協力をしていくという考え方をしているところでございますし、また農林水産
関係の、先ほど来申し上げております各種の
事業につきましても有効に役立つように、こういった
リゾート地域の
整備ということに役立つように、できる範囲で運用してまいりたいというふうに考えているところでございます。
次に四ページに、ヒューマン・グリーン・プランというものについて触れております。これは国有林野を
活用いたしまして、国有林野の中には、この趣旨のところに書いてございますが、自然景観にすぐれている、野外スポーツに適しているあるいは温泉等もございますし、そういった場所を
活用いたしまして、野外レクリエーションの場とか青少年教育の場、保養の場等を
整備していくということで、
民間活力を基本にいたしまして進めていくという構想でございます。
実施主体として予想いたしておりますのは、国とか
地方公共団体、第三セクター等でございます。
五に書いてあるのは施設の例でございますけれ
ども、こういった施設を民間の手で
整備をしていっていただくという形で国有林の有効な
活用ということにも結びつけていきたいというふうに考えているわけでございます。まだ具体的な地区等については選定中でございますけれ
ども、先ほど御
説明しましたリゾート法との結びつきということもできれば考えていきながら進めてまいりたいということでやっておるわけでございます。
次に、グリーントピア構想について五ページに書いております。
グリーントピア構想は、農村
地域におきます情報化のシステムをつくり上げていくという考え方のもとに、現在各地方の段階でのモデル
地域の指定をいたしておりまして、
計画を策定しているわけでございまして、五ページの一番下の(3)というところに書いておりますが、農山漁村
地域で予想されます情報サービスといたしましては非常に範囲が広うございますが、生産面あるいは経営管理面あるいは農林水産物の流通面あるいは環境面、気象等の問題でございますが、さらには住民の生活やコミュニティー
活動というものにつきましてもニーズが考えられるわけでございますが、こういったニーズにつきまして、総合的な情報システムづくりというものをどのように構築していったらいいのかということを地元の各機関で相談をしてもらいながら
整備をしていただこうという趣旨で昨年度から
実施をいたしておりまして、六ページの下の方に書いてございますが、昨年二十の地区で九千万円の補助金で、一地区当たり四百五十万ということになりますが、
計画構想策定に入っているという
状況でございます。
これの実行段階ということでは、やはり
民活、民間による情報システムの
整備というものがニーズの度合いに応じて生まれてくるというふうに考えているわけでございますが、同時に、この
資料に書いてございませんけれ
ども、農林水産省といたしましては、農林漁業あるいは農山漁村のいろいろな面におきます情報化の問題に備えまして、各種のソフト、プログラムの
開発あるいはデータベースの
整備というものを並行して進めているところでございまして、そういったいわば部品の
整備とあわせまして総合的なシステムづくりというものが必要になってきているという認識のもとにこのような
事業に取り組んでいるところでございます。
何ページか飛びまして、集落
地域整備法は先ほ
ども図面等で御紹介を申し上げましたが、九ページに集落
整備法のフローチャートが出ております。
都道府県知事が集落
地域整備基本方針というものを決めまして、左側の方は
都市計画サイドでの集落地区
計画でございますし、右の方は農林水産省サイドの農振
計画の中におきます集落農業
振興地域整備計画、こういったものを先ほどの基本方針に即しまして
市町村レベルで定めていくということを通じまして、先ほど申し上げましたような総合的な地区の
整備が進められる体制づくりをしていこうという趣旨の
法律制度でございます。
それから分収育林
制度、十ページでございますが、これは森林の管理等に都市の住民にも参加をしていただきまして森林の
整備にも役立てていく、また都市の人たちの森林レクリエーションというものとの結びつきも深めていくというような趣旨でスタートいたしたわけでございまして、国有林につきましては一番下に書いておりますが、五十九年に
法律を改正をしていただきまして、この分収育林という
制度を国有林の管理の中に
導入をしたわけでございます。やり方としましては、国有林の場合、一口五十万ということで参加をしていただきまして、これは二十年から三十年
程度の
契約期間になるわけでございますが、国が五割、それからそういう形で参加をした民間の人が五割という分収割合で森林の育林、森林の管理をやり、収益を分配するというものでございます。民有林は、分収割合五対五とかあるいは四対六とかいろいろございますが、民有林につきましては、これも一番下にございますように、五十八年度に分収林
特別措置法という法制
整備をして進めているところでございます。
分収造林という形では従来からあったわけでございますが、戦後の人工造林が進んでまいりまして、生育途上のものについての管理を適正にやっていくという
見地から、途中から参加をしていただくという分収育林の
制度をスタートをさせているところでございます。いろいろなレクリエーション施設の利用との関連づけ等もしながら進めてまいっているという
状況でございます。
それから、最後に漁港利用
調整事業でございますが、漁港の
整備とも関連をして若干申し上げましたけれ
ども、遊漁船の増加に伴いましていろいろのトラブルが生じているということもございまして、遊漁船の専用船だまりをつくっていくということによってこのトラブルを解消していくという漁港
整備の面からの手法でございますが、そういったものにも取り組んでいるところでございます。
以上が
民活関係の農林水産省の関連をいたします主要な
事業でございます。若干時間を超過したかと思いますが、よろしくお願いを申し上げます。