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政府委員(星野
進保君) 四全総関連でございまして、
国際化に伴う大都市への人口、中枢機能集中の動向、それの対策、四全総の策定
状況、それからその中で
生活環境でありますとか
社会資本整備についてどういう
考え方、位置づけていくかということが私に課せられましたきょうの話題でございますので、それにつきまして御
説明申し上げさしていただきたいと思います。
それで、「第四次全国総合開発
計画の策定作業
状況について」というのが一番上についている資料がたしか御提出申し上げてあると思いますが、それの資料の終わりの方に図表が出ております。図表1というので下から多分四枚目ぐらいだと思いますが、図表1で「三大都市圏への人口移動」というのがグラフで出ております。まず、実態の方から少し
お話し申し上げまして、作業
状況及び
考え方ということに触れさしていただきたいと思います。
それで、図表1をごらんいただきますと、このグラフの下に三十年から六十年に至ります各年次のスケールが出ております。それから縦軸は千人という単位でございますが、これは何を示しているかといいますと、三本線がありまして、一番下に「三大都市圏への転入超過」という線がございます。要するに地方圏から三大都市圏、つまり東京圏、大阪圏、名古屋圏、その三大都市圏へ人口が転入してまいりまして、その超過の傾向をグラフにしたものでございます。
ごらんのとおり、高度成長期の
昭和三十年代からずっと膨らんでおりまして、一番下の実線だけをごらんいただきたいと思いますが、四十五年ぐらいから五十年にかけまして急速に転入超過がゼロになってまいりました。五十年から五十五年はほほ横ばい、または若干マイナスぎみと。しかし、五十五年から六十年にかけまして反転いたしまして、三大都市圏への転入超過が再燃しております。これが最近よく言われます東京一極集中の人口の集中の傾向と言われるものでございまして、下に細かい表で恐縮でございますが「三大都市圏の転入内訳」というのがございます。これをごらんいただきますと、東京圏、名古屋圏、大阪圏、それぞれ転入超過分。三角がついているのはマイナスでございますから、これは減っている方でございます。それを見ていただきますと、一番上の東京圏というところの数字が全部プラスでございまして、特に目立ちますのが五十六年から数字がふえて大きくなってきておるということでございます。これがほかの圏域では、名古屋が六十年についでプラスでございますが、ほほ名古屋圏、大阪圏は減少でございまして、東京圏だけがひとり増加しておるというのが実態でございます。
それから、次の表はちょっと飛ばさしていただきまして、次に3ということで「都市機能の地域的配置の
状況」という表がございます。ごらんいただきたいと思います。
これはちょっと複雑でございますので、読み方を少し解説させていただきますと、横に「指標」と書いてありまして、そこに一番最初が人口、一番左側でございますが、それから金融、国際、情報、対事業所サービスということで、それをあらわす代表する指標といたしまして、例えば人口の場合は当然でございますが人口、それから金融の場合でございますと、ここでは手形交換高、全国銀行貸出残高、それから情報ですと情報サービス・
調査・広告業従業者数、次のページをちょっとおめくりいただきますと、さらに商業、業務管理、
研究開発、
教育、生産、
文化ということで、小売販売額とか、あるいは
教育でございますと
大学学生数といったような形でそれぞれの指標をとってございます。
また前のページヘお戻りいただきまして、今度は上の方をごらんいただきますと、対全国シェアということで、東京圏、大阪圏、名古屋圏、中枢四道県、その他という分け方をしてございまして、それから年次が四十五年、五十年、五十五年、六十年という刻み方をしております。それぞれのシェアを見ていくということでございまして、例えば人口をごらんください。人口で見ていただきますと、東京圏が
昭和四十五年には二三%のシェアでございました。
昭和六十年は二五%とシェアが少し上がっております。したがいまして、東京圏、ここで言う東京圏というのは一都三県でございまして、東京、千葉、埼玉、神奈川でございますが、それが大体全国の人間の四分の一だ、こういうことでございます。それに対しまして大阪圏でございますが、ちなみにごらんいただきますと、一三・九から六十年には一三・七と少し落ちておる、こういう形でございます。
この人口を頭の中におきまして、人口の比率に比べてどういうものが高い水準にあり、どういうものが低い水準にあるというふうに見てまいりますと、次の金融でございますが、手形交換高、全国銀行貸出残高、すべてこれは人口のシェア四分の一に比べて、東京圏は手形交換高に至っては四分の三、七五%、それから全国銀行貸出残高では半分以上、これは五十九年の数字でございますから現在もうちょっと上がっているかもしれません、ということでございます。以下、国際のところで、在日
外国銀行従業者数八五%、
外国企業事業所数六六%、情報サービス・
調査・広告業従業者数五六%という格好で、軒並み人口のシェアよりは高いわけであります。したがいまして、一番右欄の方に丸がついておりますが、東京圏のシェアが上昇傾向、東京圏のシェアが高水準、地方圏のシェアが上昇傾向というこれは大ざっぱな判定でございますが、丸をつけでみますと、先ほど建設省からの
お話にもありましたように、国際、金融、情報といったようなものの東京圏のシェアが上昇傾向が丸が多くついておるわけでございます。しかも、それはシェアの高水準のものが多いということでございます。
次をおめくりいただきまして、今のでんで見ていただきますと、今度は地方圏のシェアが上昇しているものが幾つかございまして、特に小売販売額、その他というところをごらんいただきたいと思いますが、これは三七から三九でございますので、上がっているといっても微増というところかもしれません。それから
教育のところをごらんいただきますと、
大学学生数でございますが、これは一二・三から一八・九ということで、大変地方圏のシェアが上昇しております。それから工業出荷額、これは生産でございますが、これも三一%から三八%という形で
かなり地方圏のシェアが上昇しております。反対に東京圏のシェアは二九、まあ三〇ぐらいから二六へ落ちておるということでございます。したがいまして、ちょうど高度成長期を通じまして工業出荷額あるいは
大学学生数というのは地方分散が進んでおる。それに引きかえまして最近とみに、先ほどの御
説明にもありましたように、国際、金融あるいは情報等が東京を中心に大変集中しておる。それが翻って、先ほどお示し申し上げましたような、東京圏における人口の転入反転という形が出てきているのではないかということでございます。
実態はそのくらいで省略させていただきまして、次に現在の四全総の策定
状況でございますが、一ページにお戻りいただきまして、詳しくいろいろ書いてございますが、ポイントだけを拾い読みさせていただきますと、一ページの2のところでございますが、「策定作業の経緯」の中で、まず(1)で、五十九年の十一月に「
日本 二十一
世紀への展望」ということで、二十
世紀を越えましたところでの展望というものをまとめさせていただきました。これは四全総を御審議いただきます審議会でございます国土審議会に報告の上公表させていただきました。
以降、ずっといろいろな各方面の御意見の
調査、それから、(5)にありますように、国土審議会内の
計画部会における主要
計画課題についての審議、そういうものを経まして、次をおめくりください、二ページでございます。
二ページの(7)にございますが、昨年の十二月にかけまして
調査審議経過報告、これは、国土審議会の中に
計画部会というのがございまして、そこで
調査審議経過報告をお出しいただきました。(7)の3)に、国土審議会へ
計画部会が報告していただきましたものを報告した、こういう経緯で、これが新聞紙上等でいろいろ御
議論をいただいておるもとでございます。
この審議経過報告は、そもそも、当然地方公共団体及び
経済界、あるいは農業団体その他各界の
方々の御意見をいろいろ徴する、要するにたたき台といいますか、討論材料として
計画部会がおつくりいただいたものでございますので、それを受けまして(8)以降、地方公共団体あるいは
経済団体、商工
会議所でありますとか、農協でございますとか、その他の各団体等とこれをたたき台にして
議論を重ねてまいりました。それから同時に(9)の、全国三千市町村の市町村長さん方にアンケート
調査をいたしまして、この審議経過報告に対する御意見等を承っております。
現在これらの意見をほぼ集約し終わりまして、私ども
政府案のもとになります国土庁試案の作業を進め始めたところでございます。できれば私ども内部の話としましては、三月いっぱいぐらいにたたき台の第一番目ぐらいはつくりたいというふうに
考えておりますが、以後、
関係省庁あるいは各方面との折衝その他がございますので、その進捗
状況を見ながら国土審議会に正式にお諮りしたいというようなスケジュールを現在
考えているところでございます。
それからもう
一つの点でございますが、
生活環境、
社会資本整備等についてどう
考えているかということで、実はここに用意いたしました資料は、次の三ページ以下にただいま御紹介申し上げました
計画部会の
調査審議経過報告の抜粋をつけております。非常に細かいことまで書いてございますが、大筋は、先ほど建設省の方からもありましたように、
国際化に対応する話として、ほぼ同じような着想で進めさせていただいておるところであります。
この資料の中で、
国際化との
関係で言いますと、例えば五ページなどをあけていただきますと、真ん中辺に「
国際化に対応した
生活環境の整備」ということで、
外国人居住者との
関係でいろいろこれから工夫していくことが必要なんじゃないかということで、非常に細かいことでございますが、例えば道路標識、案内標示等の公共的サインにおける
外国語併記問題でありますとか、そういったようなことも
考えるべきだろうと。
それからもう
一つは、
国際化と裏腹でございますが、美しい都市景観の形成というようなことで、例えば水と緑のマスタープランとかいろいろもう既にアイデアがたくさん出ておりますが、そういうものを総合的に都市づくりの中に入れていくといったような配慮をしていくことが必要だろうというようなことでございます。
個々の話はこの中に、少し詳し過ぎると思いますが、全体としてこれから二十一
世紀に向けましてどういう流れがあるかということになりますと、四全総の中で私ども従来の全総と違って非常に大きな流れだと思いますのは、やはり
国際化、
世界化の問題だと思っております。この
世界化をどう受けとめていくか。現在のところは
外国の波を受けて東京が非常に肥大化する形で事態が進んでいるように見えるわけでありますが、実際には国土形成といたしましては、こういう東京一極集中という
国際化からするインパクトをいかに全国で、私どもこの審議経過報告の
言葉でございますと多極分散型という格好で受けとめていくか。つまり名古屋における産業技術首都の形成でありますとか、あるいは大阪における
文化・
経済首都といったようなものの形成でありますとか、あるいは東北地方で最近とみに出てまいりましたインテリジェント・コスモス構想でありますとか、いろいろ各地域地域で地域の
独自性を生かしまして
国際化時代に対応する非常にハイレベル、ハイテクニックといいますか、そういう観点での地域づくりの動向が出てきておりますし、東京だけが
国際化の波を受けるんではなくて、全国の中で
国際化の波あるいは
世界化をいかに受けとめていくかという観点が非常に重要ではないかというのが一点でございます。
それからもう
一つは、これからますます都市化が進みますので、どちらかというと人間の居住地域というのはますます都市に偏ってくるわけでありますので、片一方、森林でありますとか農地でありますとか、三十八万平方キロの中の国土全体をいかにうまく管理していくかということが大変問題になってくるわけでありまして、この審議経過報告の中でもマルチハビテーションというような新語が出てまいりまして、多居住地域といいますか、都市と農村両方に居住の二本足で住まっていくというようなそういう提案も出ておる等、従来の
生活のパターンに比べまして
かなり違った
生活パターンをいろいろと工夫していく時期ではないだろうかというようなことが
指摘されているところでございます。
以上、簡単でございますが、御
説明申し上げました。