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1987-06-11 第108回国会 参議院 国民生活に関する調査会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十二年六月十一日(木曜日)    午前十時六分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     会 長         長田 裕二君     理 事                 坂野 重信君                 吉川  博君                 山本 正和君                 三治 重信君     委 員                 井上 吉夫君                 大島 友治君                 大塚清次郎君                 斎藤 文夫君                 添田増太郎君                 高橋 清孝君                 寺内 弘子君                 中曽根弘文君                 福田 宏一君                 向山 一人君                 吉川 芳男君                 糸久八重子君                 及川 一夫君                 刈田 貞子君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 平野  清君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        国土庁長官官房        審議官      松井  司君        国土庁計画・調        整局長      星野 進保君        国土庁土地局長  田村 嘉朗君        国土庁地方振興        局長       澤田 秀男君        文部大臣官房長  古村 澄一君        文部大臣官房会        計課長      野崎  弘君        文部省教育助成        局施設助成課長  遠山 耕平君        郵政省通信政策        局長       塩谷  稔君        郵政省電気通信        局総務課長    山口 憲美君        郵政省放送行政        局総務課長    村瀬 龍児君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設大臣官房審        議官       福本 英三君        建設大臣官房審        議官       伊藤 茂史君        建設省都市局区        画整理課長    小川 裕章君        建設省道路局国        道第一課長    赤松 惟央君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○国民生活に関する調査  (内需拡大のための諸施策に関する件)     ―――――――――――――
  2. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を開会いたします。  国民生活に関する調査議題とし、内需拡大のための諸施策について、文部省及び郵政省から説明を聴取いたします。  まず、文部省からお願いします。文部省古村官房長
  3. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 文部省におきます内需拡大のための施策について御説明いたします。  二つ側面があろうかと思いますが、一つは、公共事業等施行促進というのが一つ側面でございます。二番目といたしましては、公共投資等拡大というのがあるわけでございます。  まず第一の公共事業等施行促進につきましては、六月二日の閣議決定におきまして、上半期の契約目標政府全体としては過去最高の八〇%を上回るものを目指して可能な限り施行促進を図るということでございますので、文部省としても可能な限りその施行促進を図ってまいりたいということでございます。施行促進対象経費といたしましては、公立学校施設整備費公立社会教育施設整備費社会体育施設整備費公立文教施設整備費文化財保存施設整備費などでございます。  二番目に、公共投資等拡大の点につきましては、緊急経済対策として五月二十九日に、経済対策閣僚会議におきまして「教育研究開発等に係る施設等の拡充を図ることとし、事業費三千五百億円を追加する。」という御決定がなされております。  そこで、文部省関係事業検討いたしております事項を申し上げますと、ます第一に公立学校施設増改築の点でございます。これは、六十二年度の当初予算が二千九百六十三億円ということでございますが、公立小中学校校舎増改築あるいは大規模改修公立高等学校産業教育施設整備学校体育施設、いわゆる水泳プール等でございますが、そういったものの整備等を図るということで、これについて事業量拡大追加をやってまいりたいということでございます。  二番目につきましては国立学校施設増改築ということで、六十二年度の当初予算では八百七十五億ということでございますが、この中身といたしましては、国立学校危険建物改築大学附属病院改修既設学部学課等増設関連に伴う整備などでございます。  三番目に社会教育社会体育施設整備でございますが、これは六十二年度の当初予算が百四十二億六千七百万円でございますが、内容といたしましては、公民館、図書館、博物館などの増改築、それから体育館、水泳プール運動場などの増改築ということが内容でございます。  四番目は教育研究用機器等設備整備ということで、当初予算が四百七十四億七千二百万円でございますが、この内容は、国立大学大型特別機械整備、それから私立大学教育研究装置整備などでございます。  五番目が病院診療用機器等設備整備でございます。当初予算が百十四億七千三百万でございますが、内容といたしましては、国立大学附置病院診療用機器等設備整備、例えばエックス線テレビ装置とか、あるいは高気圧酸素治療装置人工心肺装置細胞自動解析装置など、大型設備整備を行いたい。  それから六番目、その他といたしておりますのは、当初予算で五十九億七千百万円でございますけれども、いわゆる国立青少年教育施設、青年の家とか少年自然の家がございますが、そういったものの整備、それから国立文化施設国立試験研究機関等施設設備整備でございます。  以上、六つばかりの内容をもちまして、現在その規模をどうするかについては関係当局検討中でございます。ぜひ、そういった形で内需拡大ということを図ってまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。
  4. 長田裕二

    会長長田裕二君) 「輸入拡大」という欄もありますが、そちらについては特に何か……。
  5. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 「輸入拡大」の欄は、実は「緊急経済対策として検討している事項」としてお出しいたしましたが、議題内需拡大ということでございますので、内需拡大について申し上げましたが、資料として「輸入拡大」のことは入れてありますので、簡単に御説明いたしますと、いわゆる輸入拡大ということが言われておりますので、それについて、内容としてどういうものが輸入対象になり得るかということで、教育研究用機器あるいは病院診療用機器機材等、あるいは学術図書、いわゆる外国におきます研究図書の部類、それから外国におきます美術作品、こういったものが輸入として「輸入拡大」の対象になり得るのではないかということで検討いたしておるのでございます。  以上でございます。
  6. 長田裕二

  7. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 塩谷でございます。よろしくお願いします。  私ども郵政省におきまして、内需拡大に関しましてどういった施策推進しているかということにつきまして、その推進状況についてお話し申し上げたいと思います。  お手元に「国民生活に関する調査会提出資料」として縦長のとじた資料がございます。これを参照してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。  私ども郵政省でございますが、電気通信普及あるいは発達のためのいろいろな施策を目下実施しているところでございます。  今さらこんなことは申し上げるまでもないわけでございますが、電気通信特徴と申しますのは、世界じゅうの人々と同時に会話ができる電話イメージしていただけるとおわかりやすいと思うのですけれども、要するに情報伝達における距離と時間の克服といいますか、遠く離れていて時間をかけないで意思の伝達ができるということにあるわけでございます。こういった特徴を持つ電気通信の中で特に在来の電話だとかあるいは電信、テレックス、そういうものからさらに進んでおりますいわゆるニューメディアと呼ばれております、そのメディアを活用しました地域情報化施策でございますテレトピア構想、これは後ほど説明申し上げますが、テレトピア構想。  それから民活法、これは長い題名でございますけれども、今国会でも御審議いただいて承認いただきました民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法民活法対象施設整備に力を入れ保ております。  この二つがポイントになっているわけでございます。特に、私ども全国各地において情報活用することができるようにしたいと。特に最近大都市とそれから地方との情報格差、これは蓄積されているデータベース、情報利用もそうですし、それから情報を得たり送ったりする機会、チャンスですね。そういうものも差がありますので、それを解消したいということによりまして、地域経済活性化あるいは個人生活利便性を高めたいというふうに考えているわけでございます。  要するに地域情報化施策というのを推進しますことは、均衡のとれた国土発展、あるいは快適な生活を確保できる、そういった意味で活力おる地域社会が形成され、あわせて今調査会のテーマでございます内需拡大にも貢献するところが大きいというふうに考えているわけでございます。  資料でございますが、一枚めくっていただきまして、まず「テレトピア構想」ということで、資料1でございますが、申し上げますが、テレトピアと申しますのは、これは電気通信テレコミュニケーションとそれから理想郷のユートピアの二つの言葉を合わせた名称でございます。このテレトピア構想ニューメディアによる地域社会高度情報社会への円滑な移り変わりといいますか、移行を図るための総合的な施策でございます。  具体的に申し上げますと、実際に使われるようにすることを前提といたしましてCATV、これはケーブルテレビ受像をできるようにする。電波が空中を飛んでくるのではなくて、有線、ケーブルによるテレビ受像でございます。それからビデオテックス。これはキャプテンとも言っておりますが、電話器テレビ受像器あるいは独立した端末器を使いまして文字で情報を得る、そういうビデオテックス。それからデータ通信。これはVANなどと言っておりますけれども、製造、卸、小売、いろいろな業種が一つ情報提供でさっとコンピューターが異なったタイプでもつながって情報処理ができる、そういうVANなどを含めましたデータ通信。こういったニューメディアを、指定したモデル都市に集中的に導入することによりまして地域情報化を全国的、計画的に推進しようというものでございまして、五十八年に提唱したわけでございます。  このイメージといたしましては、そこの二枚目の図にありますように、これはいろいろちょっと絵といいますか、イメージとしてテレトピアというものをいろいろな漫画がかった絵がかいてございますけれども、地域社会あるいは家庭生活、あるいはビジネス、そういった面でいろいろニューメディア活用の例が考えられるわけでございます。さまざまな活用の例がそこに出ているわけでございます。  モデル都市でございますが、そのモデル都市指定につきましては、三ページの図にありますとおり、これは日本国土に「テレトピア指定地域マップ」として、各地域でそれぞれの都市指定されて地図の上に表示されているわけでございますが、現在までに六十三地域指定しております。それぞれの指定地域におきましては、計画段階から具体的にシステムをつくり上げて、そしてそれを運用する、サービスを開始する、そういうそれぞれの段階、新たなステップに入ってきておりまして、この三月現在で六十六のシステムが運用されておりますが、六十五年度までに二百六十という数多くのシステムが運用を開始する予定でございます。  また、このテレトピアのこういう事業推進するための第三セクターにつきましても、五月末現在二十九の法人が設立されております。そして、こういったテレトピア構想推進支援するための措置につきましては、戻りまして恐縮でございますが、一ページの3「支援措置」というところに掲げております。「基盤技術研究促進センターからの出資」、あるいはシステム構築に対して日本開発銀行等からの融資、あるいはこういう債務保証利子補給等を行う公益法人、これはテレトピア基金と言っていますが、それに対して民間企業が出捐した場合に、そのお金を損金算入の扱いをして税制上の優遇措置を講ずる、こういったところでございます。  以上がテレトピアでございます。  次に民活法推進状況について申し上げます。  まず民活法の仕組みをちょっとお話し申し上げたいと思いますが、先生方にはほとんど御存じの方が多いと思いますけれども、先ほど申し上げました民間事業者能力活用による特定施設整備促進に関する臨時措置法ということで、昨年、このもとになる法律施行されて、今国会でも一部改正されたわけでございますけれども、まあ、手っ取り早く申し上げまして、情報化あるいは技術革新ハイテク化、あるいは国際化、そういったいろいろ日本の今経済社会情勢をおおっております大きな流れの中で、私どもこれから経済社会が内外との調和のとれた発展を遂げることを目指しまして、経済社会基盤となるようないろいろな施設整備促進したいということでこの法律ができたわけでございます。で、こういう施設整備するということは、そういう目的を達成することとあわせまして目下の最大の要請事項でございます内需拡大といったことにもこたえますし、あるいは不況地域などを含めまして地域経済活性化を図る上でも大変重要でございます。  そういったことで、民間事業者の資金的あるいは経営的な能力を最大限有効に活用する形でこれを推進するということが望ましいわけでございます。ただ、これまで整備の実例に乏しいということに加えまして収益性が低い、そうすぐにもうかるというあれでもありませんし、投資がそういう収益を開始するまでの投資懐妊期間が長期にわたるということで、民間事業者がひとりその整備を行うだけではこれはなかなか力が及ばないんでございまして、税制などを核といたしまして呼び水的な政策支援措置が不可欠であるというふうに考えるわけでございます。そのために民活法は、主務大臣がこれは通産省、運輸省、建設省郵政省、こういった関係各省でございますが、主務大臣が各特定施設ごとにその設備基本となります基本指針を策定して公表しまして、その基本指針に基づきまして認定を受けた事業者整備する特定施設につきまして、税制上の特別措置を講ずるわけでございまして、四ページの3に「税制上の特別措置」ということで幾つかの措置とその対象事項が列挙してございます。私ども郵政省関係ではテレコムプラザテレコム・リサーチパークテレポート、これらがその対象特定施設となっております。  いずれもニューメディアの場合片仮名が出てきて恐縮でございますけれども、及川先生からもかねてから御指摘を受けていまして、私どもテレコムプラザテレコム・リサーチパークテレポートといったことについて、じゃどういう内容なのかということについて御説明申し上げたいと思いますけれども、そのイメージということで、まずテレコムプラザにつきましては、五ページの絵をごらんいただきたいと思うわけでございます。  テレコムプラザは、これは要するに電気通信の中で特にニューメディアを各地域普及、発達させるために、電気通信事業CATV事業等電気通信業務施設と、それからニューメディアになれ親しんでいただくための場、これがプラザということに当たるわけでございますけれども、場となります共同利用施設としての働きをする施設、この二つを合わせたものでございます。  この「テレコムプラザイメージ」ということで、各階に一堂に会しているわけでございますけれども、例えばここで言っておりますのは通信処理中継センター、下から上がりまして三階にあります通信処理中継センターですとか、二階飛ばしまして上にあります「地域ビデオテックスセンター」、それからその上にあります「CATV放送センター」、こういうようなのが業務施設に当たろうかと思います。それから、なれ親しんでいただくためのプラザとなる共同利用施設でございますが、それがあと残りの、一階にございます「テレビ会議施設」とか、その上の「電気通信設備公開展示センター」、あるいは一階飛びまして「人材養成研修センター」、こういうようなものが共同利用施設でございます。こういうことをいろいろ直接集まって親しんでいただいて、そしてまたそこで電気通信のいろいろな高度の働きができる、これをイメージしたものでございます。特に、地域青少年、婦人、老人の方々、特に最近の青少年方々はパソコンを初めファミコン、いろいろこういった端末になれる、習熟度が高いというふうに言われておりますけれども、そういった人たちを中心に気軽にニューメディアになれ親しんでいただこうということでございます。  それから、電気通信技術者あるいはノーハウ、こういったことが先ほど申し上げましたように大都会や大企業に集中している嫌いがございますので、地域電気通信に関します人的資源あるいは資金を有効に利用するためには、電気通信に携わる企業技術者、こういった方々が同じビルに集合することが一つの有力な手段になるということでございまして、その意味もありまして先ほどの業務センター業務施設がいろいろここに集まって一緒になるということが大事だろうというふうに考えてございます。  このテレコムプラザ整備計画でございますけれども、現在川崎、松江、山口、富山、こういった地域構想検討中であります。ことしは各地域におきまして整備計画の作成、それから建設工事の着工など整備計画が具体化されるものと考えております。  次に、六ページの絵でございますが、これは「テレコム・リサーチパーク」と言っております、電気通信研究開発促進施設ということでございます、これは電気通信技術研究開発を人的、面的に拡大促進するための施設でありまして、この施設といたしましては現在関西文化学術研究都市内、京都府の精華町に建設予定の国際電気通信基礎技術研究所、私どもATRと俗に言っておりますが、これが候補に挙がっております。複数の企業研究開発を行うための研究開発施設でございます。左の方が研究開発施設、いろいろ企業が集まって研究開発共同に行う。それから、会議場研修室、それから試験設備などの共同利用施設一緒になった複合的な施設でありまして、まあ今京都の例を申し上げましたが、その他の地域におきましても積極的に支援してまいりたいと考えております。  それから最後の紙でございます、これは「テレポート」と言っております。これが実は今度の国会民活法の改正で特定施設として追加御承認いただいたものでございまして、これの特徴は、ここにもありますように、絵にもありますように都市などにおきまして衛星通信地球局、上空に衛星がありまして、それを受ける地上の設備地球局と言っておりますが、衛星通信の受け皿の地球局などの高度な情報通信基盤となる施設を一定の地域に集めまして集中整備する地域開発プロジェクトでございます。情報格差があるから、都市地方のその格差を埋めるためにテレトピアをやり、あるいは一部テレコムプラザもその構想にものっているわけでございますが、それでいてなおその格差拡大するような都市に限ってこういう施設をつくるのはどうなのかという御意見もあるわけでございますが、現在国際都市となる東京あるいはロンドン、ニューヨーク、そういったところはいわば二十四時間都市として機能しておりまして、そのための情報の流通、それから発出、これは年がら年じゅうといいますか、そういった体制あるいはそういう設備を要請しているわけなんで、国際的なそういった面での国としての窓口といいますか、それはやはり国内での格差の是正と並んで対外的にそういった面での、何といいますか、技術車新といいますか、それについていくということも大事ではないかと考えるわけでございます。そういった考え方でこういうテレポート支援といいますか、推進ということもやはり大切だというふうに考えたわけでございます。これは、実はテレポート整備につきまして、そういったわけで昭和五十七年にニューヨークの、ニュージャージー港湾局がこのプロジェクトを公表しまして一躍世界の注目を浴びました。その後、これは六十年の四月に東京世界テレポート連合設立総会が開催されました。六十一年の五月にアムステルダムで、それからことしの十月にはサンフランシスコで世界テレポート連合総会が開催されるという運びがございます。そういった世界的な動きの中にも、日本は伍していく必要があるだろうということでございます。東京、横浜、大阪などで目下テレポート計画検討が進んでおりまして、その整備に対して積極的に支援してまいりたいということでございます。  あわせて、そういった地域における、やはり地域内需拡大という面にもつながるだろうというふうに考える次第でございます。  以上で説明を終わらしていただきます。どうもありがとうございました、
  8. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で文部省及び郵政省からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 糸久八重子

    糸久八重子君 まず、文部省にお伺いをさせていただきます。  緊急経済対策文教関係事業費規模というのが三千五百億円だとお伺いをいたしました。これは公共投資の三兆二千五百億円の大体一割、一〇%ということでございますけれども、少し額が少ないのではないか、そう思います。もっと文部省はこういう緊急対策活用いたしまして、そして学校施設等の充実、改善を図るべきなのではないか、いつものとおり道路土木事業費に偏重している嫌いがあるように思われるんですけれども、その辺の御見解はいかがでございましょうか。
  10. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 三千五百億円が文教関係そのものというわけでもないように思っております。研究開発等ということになっておりますので、その規模というのはこれから政府部内で検討されて規模が決まっていくと思いますが、文部省関係のおっしゃる文教施設整備についてもうちょっと積極的に取り組めというお話、私たち文教施設整備につきましては積極的に予算の許す限り取り組みたいというふうに思っておりますが、一つは、この規模が大きいか小さいかということについてはなかなか申し上げにくいわけですけれども、ただ今年度中に施行する、実施するということが一つの原則になろうかと思いますと、やっぱりある程度の事業量というのは学校施設にしましても用意されてなければならない、学校改築の用意ですね、そういったものを見越しますと、すぐ例えば来年なり再来年に予定されているものを全部こっちへ前倒ししてしまうということはなかなか困難な状況にあるというのが現状でございまして、各県あるいは各国立大学等からいろんな情報をとりまして全体ある程度いけるような形でこの三千五百億円の中でどの程度のことが文教に入れ得るかというのが今後の政府部内の検討事項だというふうに認識いたしております。
  11. 糸久八重子

    糸久八重子君 先ほどの説明の中に、施設拡充の一から五まで項目別割り当てができてないとおっしゃいましたけれども、緊急経済対策ということでとにかく年内にやらなければならないということですから、やはり恐らく何カ月も前から検討を加えていらっしゃったのではないかと思いますけれども、そういうことからいうと、少々ずさんなのではないかな、そうすると、この成果も上がりにくいのではないのかなというような気がいたしますけれども、その辺のところはいかがでございましょう。
  12. 古村澄一

    説明員古村澄一君) おっしゃるとおり、私たちもこういった補正という話が出てきた途端に十分地方なりあるいは各国立大学等から事情を再度聴取いたしまして、こういった内需拡大に向け緊急に整備するものはこの際いたしたいということで積み上げておりますが、それが結局政府部内全体を統轄するのは大蔵省でございまして、結局大蔵省が一応最後の締めくくりをやる、その締めくくりがまだできてないということでございまして、そういった内容の大蔵当局とのやりとりというのはずっと続けているのが現状でございます回
  13. 糸久八重子

    糸久八重子君 新聞で拝見したんですけれども、この文教施設施設拡充の国費分、国の負担分が二千百五十億円で地方負担分が千三百五十億円というふうに拝見しているわけですけれども、そういう国の負担分、地方負担分という、そういう割合等もまだはっきりしていないんですか。
  14. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 新聞で私どもそういう情報が出たことは承知しておりますが、先ほど官房長から答弁いたしましたように、まだ政府全体としてそういうものを調整している最中でございますから、そういう政府としての話は私はまだ聞いておりません。
  15. 糸久八重子

    糸久八重子君 そうしますと、やはりここの一から五項目の中でのそれぞれの項目でもどういう割合になるかということもまだはっきりわかっておらないんですか。でも、幾ら、大体文部省でもこういう割合くらいにはということはもう考えていらっしゃいますんでしょう。
  16. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 私どもは今具体的にそれぞれ財政当局である大蔵省とは折衝しておりますけれども、これがどういう形でつくかというのは、ほかの省庁のいろいろな動きとかいろいろございますので、そこのところはまだ、先ほど答弁いたしましたように、調整中ということでございます。
  17. 糸久八重子

    糸久八重子君 大体いつごろまでにその辺ははっきり計画は立てられますか。
  18. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 恐らく臨時国会の召集とかいろいろな関係があって私どももあれでございますけれども、日にちがいつということはまだ私ども聞いておりませんが、臨時国会をもし七月早々ということになりますと、逆算して少なくともこの六月のまあ中旬、下旬ぐらいにははっきりしてくるんじゃないかというぐあいに私ども思っておるのでございますが、そこはまだ正式に私どもは何も聞いておりません。
  19. 糸久八重子

    糸久八重子君 各年度の公立文教施設費の推移を見てみますととにかく年々大幅に削られているわけですね。それで、中曽根内閣の最初のころは四千七百五十五億円、そして六十二年度は三千四十九億円と、とにかくこの間にも千七百五億円も削減されているわけです。マイナスシーリングの予算編成に合わせるためにやむを得なかったとは思うのですけれども、これでは余り削り過ぎなのではないかなという感じがいたします。政府はしばしば児童や生徒の数が減ってきているからということでこの施設費の削減を合法化してきた嫌いがありますけれども、やはり今回この緊急対策追加をするということを見ますと、従来の説明に大変無理があったのではないかなという気もいたしますけれども、この辺の御見解はいかがでございますか。
  20. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 公立文教施設整備予算は御指摘のように年々減少しているわけでございますが、それは先生お話がございましたように児童生徒数が昭和五十七年をピークにその後、年平均三%ぐらいずつ減ってきているわけでございまして、したがいまして児童生徒の増減に直結する校舎の新増築、これが非常に減ってきているわけです。したがいまして、公立文教施設整備費はかなり予算としては減ってきているわけですが、市町村なり都道府県の御要望には十分こたえていると、こういうぐあいに考えております。と申しますのは、私ども予算を編成する標に、あらかじめ前年の六月ないし七月ぐらいに、市町村なり都道府県でどれぐらい翌年度の事業計画しているかというものをとりまして、それをさらに十一月の末にもう一度確認をして、それで予算を大体編成していると、こういうことでございまして、大体都道府県なり市町村の方で要望があったけれども、それが予算の制約上採択されなかった、こういうのはほとんどないと、こういうぐあいに考えております。
  21. 糸久八重子

    糸久八重子君 教育環境の整備が大事なことは、とにかく今の過大枚、マンモス校とか、それからいじめの問題の関係一つとってみてもはっきりしておると思います。さらに、危険校舎の改築とかマンモス校を分離して適正規模学校にする必要など大変急がれる問題がたくさんあると思いますね。そうした問題に目をつぶって、とにかく緊急対策だからと、何かやや便乗する気配すら感じられるわけですけれども、公立とか国立施設増改築措置にやはり強く文部省側も反省をしていただきまして、とにかく着実な教育環境の整備をしていただきたいと、そう要望をさせていただきたいと思いますが、その辺のところで一言どうぞ。
  22. 遠山耕平

    説明員(遠山耕平君) 学校施設整備する場合には、すぐ新増改築をやるというわけではなくて、その整備をする前、一年ないし二年前からいろんな計画を立てて基本設計をやって、それから実施設計をやって、それから予算をとって国の予算をもらって整備すると、こういう段取りでございますので、市町村の方でも、数年間をかけてそういう学校の新増改築をやる場合には、あらかじめ年次計画計画をしていくと、こういうことでございます。  それで、今回の場合には六十三年度の前倒しの部分があるわけですけれども、その部分については、もう既に六十二年度においてある程度設計なりそういうものが進んでいるものに対して私どもとしては補助をしていきたいと、こういうことでございます。
  23. 糸久八重子

    糸久八重子君 文部省ありがとうございました。  次に、郵政省にお伺いをさせていただきますけれども、郵政省緊急経済対策の目玉というのが今御説明いただきましたテレトピア構想ということでございますか。
  24. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 私ども今度の緊急経済対策の一環としていろいろ一つの柱といいますか、民活といいますか、民活によって内需拡大という枠組みも入っているというふうに理解いたしまして、地域情報化推進事業、これに対していろいろ促進策を考えたいというふうに思っております。その意味で、先ほど申し上げましたテレトピアあるいはテレコンプラザなどもそういうものの対象となるというふうに理解しております。
  25. 糸久八重子

    糸久八重子君 テレトピア構想とかそれから民間活力の活用というのは郵政省行政の一環でありまして、特に緊急対策で取り上げたという性格のものではないのではないかなという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
  26. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 私ども、これは従来からのそういった、きょう説明申し上げましたように、地域情報格差都市地方との情報格差の是正とかあるいは地域情報高度化促進ということで在来からやっていることではあるわけですけれども、そういったことの在来からのいろいろな施策に加えて、これからこういった地域の不況対策というものも大事なんではないかというふうに考えておりまして、その意味ではこの一環になるのではないかというふうに考えております。
  27. 糸久八重子

    糸久八重子君 今回の緊急経済対策をお金の面から考えますと、どんな事業にどれほどふえるのか御説明願えますか。
  28. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) これはお金の問題になりますと、実は目下政府内部で検討しております六十二年の補正予算、六十二年度予算が成立して早々のことになるわけでございますが、六十二年度予算の補正作業を今検討されているわけでございます。その中で一つの枠組みとして、財源の一つとしてNTT株の売却益を産投会計を通じて無利子融資をするというようなことも検討されておりますので、そういったことを枠を通じて地域情報化促進にもっていきたい。金額の点についてはいろいろ事務的に検討しておりますので、まだ申し上げられる段階ではないんですが、お金の仕組みとしてはそういうことを検討しております。
  29. 糸久八重子

    糸久八重子君 テレトピア計画の現状ということでこのモデル都市指定が行われましたね。指定地域マップも拝見をいたしましたけれども、そこで今回の緊急経済対策の実行でテレトピア指定地域の経済活性化がどの程度図られるのか。例えば千葉市も挙げられておるわけですけれども、緊急経済対策が行われた場合と行われなかった場合でどの程度の差が生まれるのでしょうね。
  30. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 先生お尋ねのとおり、確かにこれが具体的に数量的に幾らのお金がそこへ融資されて、そしてそれについて波及効果がどうかということが今ここで明快に申し上げられればそれにこしたことはないんで、私もそうしたいわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情でまだどういう事業をどの辺を対象にしてというそれも含めましていろいろ検討しているときでございますので、ちょっとその辺がまだ申し上げられないのが残念でございます。  ただ、これはもし無利子融資ということがこのテレトピア指定地域の中で不況地域に当たるようなところに振り向けられるということになれば、返還利子が要らないという限りで一種の補助的な役割も果たすわけですから、その地域に対しての経済活性化は応分の役割を果たすんではないかというふうに考えております。
  31. 糸久八重子

    糸久八重子君 地域経済活性化に寄与させるというのであればきめ細かい計算をしておく必要があるのではないかと思います。さらに当初予算ではテレトピア構想の効果というのはどの程度でこれに緊急経済対策分が上乗せされることで、例えば事業が半年とか一年短縮されるといったように明確に国民経済への影響を国民に知らせることがやはり大事ではないか、そう思います。地域経済活性化にはそうしたアナウンスメント効果も大事ではないか、そのように考えるのですけれども、いかがでしょう。
  32. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 私どもこのテレトピア地域内需拡大効果がどうなのかということで一応算定しておりますのが指定地域六十三地域、これにつきましての六十年度から六十五年度までの直接投資額が約四千五百億円というふうに見込んでおります。それだけの投資効果、普通波及効果はこれ倍というふうにしますと九千億ということになろうかと思いますけれども、いろいろの波及効果の算定の仕方がありますので、仮に倍とすれば九千億ということで、それなりの効果を見込んでおりますが、これに加えて今申し上げました無利子融資制度ということが追加措置として実現されれば、さらにその面でのお役に立てるんではないかというふうに考えております。
  33. 糸久八重子

    糸久八重子君 どうもありがとうございました。
  34. 及川一夫

    及川一夫君 ちょっと関連。  時間少しありますので、今のことについてお伺いしておきますが、どうなんでしょうかね、今糸久先生が言われた観点というのは、緊急経済対策ということでテレトピア構想から始まったもろもろの情報化というものを考えていくべきなのかどうかということを基本的に私は提起している問題だと思うんですよ。もし塩谷さんがそうおっしゃられるんだったら、少なくとも緊急ですから、ことし一年とか、六十二年度一年とか、そういう中でどういう一体経済的な効果、それから国際的にある問題にこたえていくかということが課題なんでありまして、あなたがもしそうおっしゃられるんなら、この通信機器から始まって家屋を建てる問題から全部含めて、どの程度一体六十二年度でお金を使おうとしているのか、こういったことをはっきりさせなければ説明にならないと思うんですよ。だから私は無理無理出してきたように思えてしようがない。文部省にまで八つ当たりする気はありませんけれども、ほかの各省庁から出してきた資料に比べますと、全く数字がないんですよ、これ。ほかのところは、何々にどのくらい投資をすると書いてある、みんな。文部省なんか、紙切れ一枚じゃないですか、これ。それで、郵政省の方も、漫画をかいてよこしたのは多としても、それはそういう時代ですよ。絵にかかなきゃなかなかわからぬのですから、今こういうものは、技術用語ばっかりですからね。テレポートなんて言ったって、別に英語の辞書にあるんじゃないんだからね、これは。つくった言葉なんだから、  そういう点で、こういう説明書をつけたのはいいけれども、実際には緊急対策という観点からこの問題を考えていくべきなのかどうかということに私は基本的に疑問がある。むしろ国民生活そのものの態様が変わっていくわけですよ。変えていかなきゃならぬのかあるいは変えなければならないのか、それとも必要があってこう変わろうとするのか、そういう問題もこれからの社会づくりにはやっぱり出てくると思うんです。しかも、個別の収支の問題からいって、家計からいって、あるいは企業ベースからいって、地域社会のベースからいって、本当にこれが採算として成り立つということを前提にしておられるかどうかということも、これは本当に検討せないかぬですね。プラスの面もあるけれどもマイナスの面もあるわけでしょう。そのマイナスに対してどういう手だてをしなきゃいかぬか、そういう結論なしにこういう社会に移行していくことの是非の問題も正直言ってあるわけでしょう。逓信委員会でも議論されましたように、国際VANの問題だって、国際条約というものを無理無理日米英で解釈をして、そしてこの国際VAN事業ができるようにしていますね。これは、それだけ技術レベルとかあるいはこれに対する知識の差が余りにも大き過ぎるものだから、世界的に今そんなことを議論したって成り立たないということと同時に、やはりこの産業経済を活性化していくという問題から見て、どうしてもこれに日米英は取り組んでいかざるを得ない。こういう事情の反映があって、無理無理に私はやっていることだと思うんですよ。私も了解した一人だから文句を言うつもりはないんだけれども、余り緊急対策的にこれを取り上げていくということになると、必ず拙速という問題が私は出てくるというふうに思うんですよ。むしろ、郵政省郵政省の立場で、従来検討されてきた立場に立って、正々堂々と五年計画とか六年計画とか、その王道を歩んでいくという前提、そしてそういう問題から来るマイナス面に対する解決策も国民に示しながら、そういう方向にたどっていくというふうに私はしていかなければいけないんじゃないかという基本的に実は感じを持っておるわけですよ。ですから、余り僕は緊急対策としてこれを考える気持ちはない。もしどうしてもそういうことをされるならば、できればこの問題を論じている中で、そういう期間のうちに、具体的に数字を示してもらいたいというふうに思うんです。  それは、例えば内需拡大に対してどのくらいの寄与率がこれをもってあるのか。それから、貿易収支の不均衡是正にどんな数字でもって役割を果たすのか。あるいはまた、五十億とか六十億というふうに経済企画庁からは説明を受けたわけです。貿易収支の不均衡というものに対して少なくとも一千億ドルあるけれども、五十億ないし六十億ぐらいは寄与する、こう言われているのだから、じゃあ五十億、六十億の中に郵政省はこの作業をやることによって、一体何十億ドル寄与するという目的意識を持って作業をされるのか、そういった点を示してもらいたい。そういったものを示してもらわないと、緊急などという意味は全く私は出てこないのじゃないか、こういうふうに思うものですから、その点はむしろ後でああ言ったじゃないか、こう言ったじゃないかと言われないようにするためにも、余り世の中の動きにすんなり乗るのじゃなしに、王道を歩むという立場から私はテレトピア構想とか、こういうものは情報産業化という問題についてはやっていくべきだ、こういうふうに思っているんですが、いかがですか。
  35. 長田裕二

    会長長田裕二君) この際、ちょっと会長としての見解を少し申し述べさせていただきます。  先ほどからの政府側の答弁あるいは委員の御質問等を通じまして、若干、例えば文部省の方で、この問題はまだ大蔵省との話が済んでないからとか、あるいはまたどうかというようなこともございました。  ただいまは両先生の御意見もありましたが、私どもは、この内需喚起の問題というものは、一つの今の日本の輸出超過の金額が大きいことからスタートしたということは認めますけれども、日本国民生活を新しい情勢に即応して、内外の情勢に即応してだんだん変えていくという意味もあるような感じがいたしますので、まず当面の問題は補正予算あるいは六十三年度の予算、そういうものにどういうものを織り込んでいくかということも非常に重要ですが、当調査会としては、どういう発想があるか、新しい社会というものをつくっていくのにどういう発想があるかということについて、別途参考人などの意見も聴取いたしますが、各省におかれて余り目の前に、もう既に予算措置もついているからとか、まだついてないからここで公の場で申すことは控えたいとか、そういうことについては、余り当調査会としてはこだわらないで、いろいろな着想というようなものを展開してもらってもよろしいのじゃないかという感じがしておりますので、どうぞひとつそういう観点から我々調査会あるいは各委員の参考にもなるというようなもの、当面固まっている問題、やることに決めている問題、決めようとしている問題、あるいはこういう考え方も将来あり得るという問題等々を、ひとつ私の希望としては、縦横に展開してもらって結構ではないかというふうに思いますが、よろしゅうございましょうか。――そういう心組みで御答弁を願い、あるいは御質問を願いたいと存じておりますので、その区分けはある程度はっきりとさせてもらう方が十分参考になりますから、その点は御留意を願いたいと思います。
  36. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) ただいまの及川先生のお尋ねでございまして、基本的に王道を歩むといいますか、電気通信の高度化の施策を講ずるということは、これはおっしゃるとおり緊急対策とかあるいはそのときどきの時間的な緊迫感というか、切迫した状況の中で応急的にやるというものではございませんで、まさしく基本的にある程度の時間的な幅を見越して、そして内外の要請、それぞれの地域のニーズの分析とか、それからおっしゃいますように、確かにいいことばかりではないので、実際にこういうニューメディアを取り入れた商売が商売として成り立っていくのかどうかということは大変大事なことでありまして、そういう市場調査というか経営診断も含めて、導入なり営業というものを着実に展開していかなきゃならない。これは大変重要なことだと思っております。  そういう意味基本的に着実な政策展開が要請されるということは私も同感でございます。  ただ、これは申し上げるのも恥ずかしいのでございまして、私は文部省説明を聞いていてうらやましかったのでございますが、私ども郵政省の一般会計予算というのは二百数十億でございまして、こういうときに手を挙げて何とか無利子融資にせよそういう金の流れを受けて、そして一般会計予算の不足を補ういろいろな金の措置をとりたいという希望もございまして、そのときに従来からやってきております施策の特にこの時期に合わせた施策としてどういうものがあるかということを盛り込みまして、そしてそこに金をつけて一層政策展開を豊かなものにしていきたいという気持ちもございます。そういった点で、この緊急経済対策あるいは補正予算の絡みでいろいろあれをしておりますので、それからそういったことで非常に億という単位でいろいろ国民経済に及ぼす効果なども計算したいんではございますけれども、その辺になりますと大変、これは計算してないから弁解するわけではないんですけれども、非常に微微たるものでありますので、こういうものが大きく胸を張ってこれだけの効果があると言うことができるように私どもも努力したいというふうに思っております。よろしく御支援をお願い申し上げます。
  37. 添田増太郎

    添田増太郎君 ただいま会長から大変ありがたいアドバイスがあったわけでありますが、御承知のとおり、我が国は資源のない国土の狭い国でございます。したがいまして、年間約六億トンくらいの資源を外国から輸入して、それを加工し付加価値の高い製品をつくって約一億トンくらいの製品を外国に輸出して今日の経済が成り立っていると、こう言われておるわけでありますが、御承知のとおり、その反面、急速な円高によりまして輸出型産業というのはこれ大変な今打撃を受けているわけであります。したがって、この打撃を受けております産業がいわゆる早急に業種の転換あるいは再活性化を図ると、こういうことになれば、したがって広く的確な情報というのがこれはもう一日も早く必要とされてきているわけであります。  先ほどテレトピア構想等についていろいろと経過等について説明があったわけでありますが、こういう中で、果たしてテレトピア構想というものがこの不況業種にどのようなアドバイスをしてくれるのか、どのように役立っていくのかということについてひとつお聞きをいたしたいと思うわけであります。  それから、情報通信産業というのはこれはもう大変、今日の社会の中でますます重要になってきていることは先刻承知のとおりであります。これからますます必要になってくる情報産業の、つまりその市場規模というのは一体現在の段階でどのくらいになっておるのか。また、将来ともどのくらい予想されるのか、こういう点につきましてひとつお伺いをいたしてみたいと思うわけであります。
  38. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) お尋ねの第一点でございますが、私どもそのテレトピア地域、これは六十三地域指定して計画推進してもらっているわけでございますけれども、この中でいわゆる城下町法とかあるいは地域雇用開発等促進法などで不況地域ということで指定されておりますものが地域数で二十五、それからその地域予定されておりますものも含めましてシステム数が九十六を数えております。この二十五地域九十六のうち、現在動いておりますのが十四地域二十五システムでございます。  例えば、四日市市あるいは北九州市はこのテレトピア計画地域不況地域に当たるわけでございますけれども、こういう地域システム化を推進するということになりますと、その投資そのものがもたらす効果もありますと同時に、地場産業の活性化に寄与することも考えられるというふうに思っております。ちなみに四日市市におきましては、地域経済活性化を目的に産業情報、物流情報等のシステムを構築しておりまして、十六億程度の事業費を投入するというふうに承っております。北九州市におきましては、やはり活性化を目的に産業高度化情報、総合港湾情報システムを構築するということで事業費二十四億ほど予定しているように承っております。そのほか、例えば呉市の場合には、市民生活の向上を目的に、診療予約、コミュニティー情報等のシステム構築で三十六億程度、伊万里市では、これはちょっと数字はあれですけれども、地場産業、窯業、かまどですね、の活性化のために地場産業活性化システムを構築というようないろいろそれぞれの地域のあれを承っております。  それから第二の問題でございますが、これは私どもいろいろ電気通信産業の市場規模を見まして、これがどういうふうにこれから発展していくのかどうかということをあれこれ考えてみてはおります。現在この問題につきまして、せんだって私どもの電気通信審議会の通信政策部会で電気通信高度化ビジョン中間取りまとめというのをいただいたんでございますけれども、そこで見立てました数字を紹介させていただきますと、電気通信情報通信産業の昭和六十年度の生産額、これ生産額ですから売上高全体ですが、四十二兆五千三百十七億円でございますが、六十六年度には、五年後ぐらいの六十六年度には七十五兆八千七百四十一億円、約年率一〇%程度の伸びになろうというふうに承っております。この売上高からいわゆる重複して中間段階で投入した部分を除いた純然たる付加価値額で計算いたしますと、先ほどの六十年度の生産額の四十二兆五千三百十七億円が、約十六兆、十五兆九千九百十二億円でございます。約十六兆でございまして、これが六十六年度になりますと二十八兆五千六百五十七億円に達するというふうな見通しを得ております。これはいろいろな仮説、仮定を置いておりますので、必ずしもこういった数字について絶対的な根拠といいますか、いろいろなまた違う立場からの意見なり見通しはあろうかと思いますが、一つの参考までとして御紹介させていただきます。
  39. 添田増太郎

    添田増太郎君 これ大変期待するところ大きいわけですから、大いに頑張っていただかなければならぬと思います。  次に、情報通信分野の規制緩和措置によるところの内需効果ですね、それから法律制度の見直し等が必要ではなかろうかということでありますが、御承知のとおり、我が国の現状から考えますると、許可、認可、承認、届け出、報告、あるいは検査、承認、認定と、大体こういう種類のものが一万件くらいあると言われておるわけであります。しかし、御存じのとおり、一昨年も電電改革関連三法が施行されまして、一般企業の参入が可能になりまして活発に内需拡大の効果等をあらわしているんじゃないかと思うわけでありますが、そういうふうに特に情報産業等というのは変化が激しいわけでありますから、したがって、この規制緩和ということに対しては重大な関心を持って敏捷にこたえていただかなければならないというふうに考えるわけであります。したがって、関連三法施行によりまして将来内需拡大にどのような一体こういうことで効果が生じてくるのかということと、もう一つは、キャプテンシステム等のニューメディア利用した無店舗販売取引業というのが行われようといたしておるわけでありますが、我が国の法規制からいくと、その店舗があるということが、これ前提になっていろいろと法がつくられておるので、なかなかそういう問題が難しくなってきているわけであります。したがいまして、この中長期的展望に立って通信情報関連の法律制度の抜本的な見直しというものがいろいろな分野において生じてくるんじゃないかと思うんですが、こういうことについてはどうお考えになっておりますか。
  40. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 御説明さしていただきますが、今先生御指摘のように規制緩和というのをずっとここのところ臨調等の御指摘もありまして続けてまいりました。その結果今先生のお話しのように、一番大きなものは何といっても従来から電気通信分野への参入規制というふうなものが行われておりまして、これを六十年四月からNTT、KDD以外に新規の事業者が参入できるようにする、あるいはデータ通信等についていわゆるVAN事業者も活動ができるように参入を認めるというふうなことの措置をとったわけでございます。そういったことで、まずこれは若干手前みそになるかもしれませんけれども、そういった形で特にNTTを株式会社にしたということに伴いまして、現在ではそのNTTの株の売却益を使って内需拡大というふうな施策の原資にしようというふうなことも検討されているわけでございまして、これは非常に大きな効果が上がっているということは言えるんじゃないかと思います。  それからまた新規参入事業者でございますが、これもおかげさまで順調に参入をされておりまして、これもなかなか計算を推計するのは難しゅうございますけれども、ひとまず私どもといたしましては、いわゆる第一種電気通信事業者、いわゆる施設を自分で持って自分で設置をいたしまして、そしてその施設を使ってお客様にサービスをするというこういう事業者でございますが、これにつきまして恐らく六十一年から六十五年ぐらいの間で四千億程度のそういった設備投資等をするのではないかというふうに思われますし、それからいわゆるVAN事業者、第二種電気通信事業者というものでございますが、これにつきましても今三百五十社を超えるような会社が登場してきているというふうなことでございまして、これらのものも今申しましたような期間に大体これも推計でございますが、二千五百億程度の投資をしていくというふうなことになるのではないかということでございまして、私どもといたしましてはこういった制度の大幅な改変を行いましたので、今申し上げましたようなこの動きをさらに支援と申しますか、助長していくというふうな形で多くの今期待されているような要望にこたえていきたいというふうに考えております。  なお、そのほか今御指摘ありましたような規制といいますか許認可、そういった問題につきましても電波法の改正あるいは事業法の改正等を行ってきておりまして、先般のごく最近のことで申しますと、先般の国会におきましても、電波法につきまして、例えば一定の無線局につきましては免許を要らないというふうなことにするとか、あるいは免許の有効期間を延長するとか、そういった形で対応してまいりましたし、それからまた先ほど及川先生にちょっとお話ございましたけれども、国際VANにつきましても従来国際VANが実現できなかったと、そういったサービスができなかったというふうな状況を何とかいろいろ研究をして国際的なVANが実現できるようにしたいということで事業法の改正をお願いいたしましてお認めいただきまして、これから国際VAN事業というものが新たに登場してくるというふうな状況になってまいりました。今後ともいろいろそういった事業法の問題等につきましても法律上のいろいろ規定されている部分もございますので、今後とも御趣旨に沿って検討をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
  41. 添田増太郎

    添田増太郎君 時間がございませんので簡略に質問いたしたいと思いますが、データベースの整備情報公開についてでございますが、我が国のデータベース産業は米国のそれと比べると大変これ規模が小さいわけであります。したがいまして、今後大いに期待されるわけでありますが、そういう点から政府保有データを民間に提供するということ、これは大変重要なことだろうと思うわけでありまして、その辺の考え方についてお聞かせを願いたいと思うわけであります。  それからきのうの説明であったわけですが、NTTの売却益の一部約五百億ぐらいをその基金として創設をして、今後電電関係や通信関係のいろんな一助に供したいと、こういうことでありますが、これは将来を考えてどういうことに今後活用していくのかということについて所見をお伺いいたしたいと思うわけであります。
  42. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) データベースの問題でございますが、いろいろこれからデータベースの整備ということについて関係方面考えなきゃいかぬと思います。先生おっしゃったような趣旨も一つのデータベースの活用ということの一環として検討していかなきゃいかぬというふうに思っております、  それから第二の問題でございますけれども、これは今度の私ども補正絡みでいろいろ考えておりますことは、地域情報化推進ということで、先ほど来テレトピアの中の事業としてありました地域ビデオテックス事業あるいは地域CATV事業、あるいは地域データ通信事業ですとかいうようなものを考えているわけでございますけれども、情報化推進ということは、先ほど及川先生のお話のときにも申し上げましたように、基本的な政策展開ということに加えまして、やはりそのときに最も必要とされる要請にもこたえる面もありまして、今度の場合はNTT株の売却益というものが補正の財源としても考えておりますので、私どもこれをきっかけにいたしまして、電気通信関係基盤整備ということを各方面から多角的に検討して、いろいろこういった地域情報化促進を含めて大いに推進に努めてまいりたいというふうに考えております。
  43. 添田増太郎

    添田増太郎君 文部省古村官房長にお伺いいたしたいと思うわけでありますが、先ほども質問に出たわけですが、この公立学校施設整備ですが、予算見るとこれ本当にもう少ないわけであります。ということは、五十五年のペースに比べると実に五一・九%少なくなっていると、これは異常だと思うわけであります、いろいろ行政改革や緊縮財政の関係もあったんだろうと思うわけでありますが、いずれにしても、小学校の生徒の数は若干減っているようでありますが、中学校はむしろふえておると、こういう状態にもあるわけでありますから、今後ひとつ真剣にこういう問題については積極的に取り組んでいただかなければならないということ。  それから、ちょっとさっきも危険校舎の問題等がございました。現在調べると三百三十六万八千平米くらい危険校舎があるということであります。それから不足教室ですね、いろいろこれも大変努力をされておるようでありますが、依然としてこの不足教室の解消がされておらない。一体この理由は何だろうかと、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、今回の緊急経済対策で、これは一体どの程度促進されるのか、先ほど委員長も話があったわけでありますが、もう大体文部省でお考えになっておることをひとつ率直にお聞かせを願いたいと思います。
  44. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 確かに、おっしゃいますように五十五年のピーク五千五百億余りあったわけでございますが、それが三千億を切る現状ということは、予算的に、予算規模から見れば非常に大きく下がっているのが現状でございます。それはおっしゃいますように、一つは国家財政の緊縮問題というのがありますし、片方生徒数が減っていったというところが両々相まっていったわけでございますが、私たちとしては、学校環境の整備ということは大変重要なことであるということで、これについては一生懸命に対応してまいりたいと思っております。  これについてはそういった決意を述べさせていただきますが、具体的に先ほどの糸久先生からの御質問に施設助成課長が答えましたように、都道府県、市町村からの要望というものを大事にして予算を、来年度の予算規模を組むということになりますと、全体、国家財政そのものも緊迫していますと同時に地方財政もかなり緊迫しているということが両々相まって、市町村からのいわゆる学校改築問題あるいは増築問題についての要望が一時に比べて減ってきているという現状があるわけでございます。  そういったことから、今までの予算でそれじゃ大幅に足りなかったかと言えば、何とかしのいできたというのが現状ですが、こういった緊急経済対策という時点でございますし、何とか学校の環境整備というものをこのときに一歩でも前へ進めたいということで、現在大蔵省とその中身をどうするか、規模をどうするかということについて折衝中でございますので、幾らぐらいにするんだというお話でございますが、これがまだ、いわゆる大蔵省が査定権を持っているもんですから、なかなか言い切れない、私の方としては。いずれ補正予算のときまでにはと思っておりますが、私たちとしてはそれが、学校整備が少しでも前へ進んでいくということで努力をいたしているのが現状でございます。
  45. 添田増太郎

    添田増太郎君 これは市町村や都道府県から上がってきて、ヒアリングをしながら積み重ねていろいろと予算要求をされてくるわけだろうと思うわけでありますが、大蔵から枠をはめられてその中でこれはやらざるを得ないということなんでしょうが、その中でだんだん詰めてこういう数字になってきたということが実態だろうと思うんで、やはり教育、これは何物にも優先しなければならぬ、したがって環境の整備を何物にも優先してやらなきゃならぬということを考えたら、もう少しそういう積極的な取り組み姿勢というものが当然これは必要になってくるだろうと思うわけであります。  私も外国なんか歩いてまいりましてつくづく感ずることは、日本のよって来る経緯というものがあるわけですから、急速に最近日本教育大国になってきたということから考えましてもやむを得ない、こう思うわけでありますが、校舎とか環境、これは実に狭い、それから画一的であり殺風景だ、こういう評判は確かに私ども至るところでこれは耳にするわけであります。やはり教育というものは、地方文化、個性、特色、そういうものをある程度ふんだんに生かして、環境や地方のニーズに合ったそういう施設等というものは、これは非常に考えてもいいんじゃないかというふうに考えるわけであります。まして、これ国際化時代等迎えておりまして、そういう中で文化的感覚とか創造的感覚を養成していくということになれば、これはやっぱり、何といいますか、もう少しゆとりのある環境の中で教育というものは将来なされるべきであろうと思うわけであります。どこを歩いてもかなり学校施設設備というものは充実してまいったわけでありますから、この辺で教育施設のあり方というものを大きく見直してもいいんじゃないかというふうに思うんですが、ひとつ簡単にその辺の考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  46. 古村澄一

    説明員古村澄一君) おっしゃいますとおり、戦後、新学制ができていろんな学校づくりが始まったときに、すべてが同じような学校、いわゆるマッチ箱型といいますか、四角い建物ということでずっとやってきたのが、応急的にやってきたこともあろうかと思いますが、今の時代になってみれば、やはり学校がその地域におきます文化の中心であるということから考えれば、先生がおっしゃるような面での配慮というのは十分必要だろう。  例えば、今も、別の側面からでございますけれども、潤いのある学校をつくるためには、今までの鉄筋コンクリートよりも木造の建物の方がいいではないかといった点での御指摘もございます。そういった点で、そういうものをふんだんに使って、そして、ある程度学校の意匠についてもいろんな工夫をして、画一的な学校ではなくて、いろんな、外から見ても格好のいいもの、そして潤いのある学校学校の中の教室の割り振りにしたってそういったものができればということで、そういった点での研究、検討は進めておりますが、今後とも市町村との、設置者との間においてもこういった点での機運の醸成に努めてまいりたいというふうに考えております。
  47. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、文部省に質問したいと思います。  その前に、注目しておるんですけれども、この緊急経済対策の根底にありました六月八日から三日間のベネチアでの第十二回先進国首脳会議、この内容を見ておりまして、通貨安定のための政策協調の強化、二番目には貿易不均衡の縮小と自由貿易体制の維持、三番、農業保護政策の段階的縮小、四番、累積債務国に対する先進国の支援、こういうことを盛り込んだ経済宣言が発表されて閉幕をしたわけでございますが、確かに、今、文部省のこれを見ておりましても、輸入拡大の四点の項目、これも貿易不均衡の中から輸入拡大、そして内需拡大、こういうふうにされようとしておられます。努力の目標がなと思っております。こういう中で日本が、国際化情報化、高齢化という大きなそういう三つの柱の中で、責任を持っている非常に厳しい状況にあるなど考えておりますが、まず、この国際的な問題として、九月の入学の問題について、これはもちろん国際化の問題も含めて臨教審で検討をされているところでございますが、こういう問題、文部省として、これの分析の関係について、ひとつ伺っておきたいと思います。  それは、今の四月入学からこういう九月入学、そういうようなことになりますといろいろと、もちろん日本の国際的な地位の問題、国際的に開かれた教育システム、こういうものも確立をしていかなくちゃいけないと思います。また、学校教育への過度の依存から。これに関連しますけれども、生涯学習体系への移行というものも考えられると思います。こういうもろもろのものがあるわけでございますけれども、こういう点を現在文部省としてはどういうふうにさらに考えを深めていっているのか。これが一点でございます。  それから第二点目には、やはり生涯教育の社会づくりをこの際予算化をしながら基礎的なものを打ち出していく必要があろうかと思うわけでございます。それはやはり日本がどうしても人口の高齢化、そして国際化、それから今郵政省からもお話ございました技術車新情報化、こういう社会変化に伴って、現在の六歳から二十二歳までの学校教育だけでは日本の英知――今もお話が先生からございましたが、資源の少ない日本としては人間の英知を頼って開発をして国際化に寄与していく立場からも、もう既に現在までの学校教育だけでという、そういう安心的なものはもうだめではないのか。アンケートによりますと、そういう現在の学校教育を支持している者は一五%にしかすぎない。六割の人はリカレント教育、社会人再教育働きつつ学ぶことのできるそういう制度が現状の学校教育施設、いろんなものを応用しながらできないのか、こういう非常に警鐘を鳴らしているわけでございますけれども、そういう問題はどうなのかということが二点でございます。  最後の一点は、各大都市、私は兵庫ですから国際都市でございます神戸の行政官、それから大学の先生、いろいろ話が出ますと、経済界を含めても、これは国会でもいろいろ、予算委員会でもいつも問題になるわけですけれども、留学生に対して、なぜもっと援助が、そうして奨学生の拡充が、これは国立の問題、また自費で留学をしている八三%のそういう私費留学生に対して、特にアジア系が多いんですけれども、非常に冷たいというのが、だから日本に留学しても、帰ってその国々で重要な位置に将来ついた場合に、日本教育を受けたから日本がありがたいというのでなしに、日本に対して不満の声が非常に大きいというのが留学生からその国の指導者になった大半の人々の残念な声を聞く、こういうことが出ているわけです。だから私は緊急経済対策というのは、物に対してでもあるけれども、国際的な人的に対して援助することが非常に日本にとって大きなプラスの影響力になっていく。これはもう文部省おわかりのことと思うんですけれども、特に絞りますけれども、こういうアジア系留学生に対する、円高で苦しんでいる人たちに対して援助の制度、奨学制度の拡充、こういうことがこれを機にして考えられないのかという三点でございますけれども、お願いしたいと思います。
  48. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 第一点、いわゆる国際化から関連いたしまして九月入学の問題でございますが、御承知のとおり臨教審で九月入学に関する小委員会をつくって鋭意検討されているということで、この次の八月に行われます最終答申の中で、どういう形で臨教審が結論を出すかというのは今まだ流動的でございます。  九月入学についてのメリットもございます。ただやはりいろんな点でのデメリットもある。現在の四月入学についてのメリットもありデメリットもある。そして、これを今の四月から九月へ持っていくときにかなりの財政的な支出を必要としてくるということを総合的に勘案しなきゃいかぬというのは、いわゆる答申が出されました後の政府として、もしも九月入学がいいという答申をいただきましたときには、そこは十分詰めて、どういう手法でどうやっていくかということについては政府として検討していかなければならぬ問題だというふうに思っております。したがって、まだ臨教審ではどっち側にも触れていないというのが現状であるということでございます。  それから国際的に開かれた学校という国際化の問題、おっしゃるとおりでございます。  臨教審の答申の中にも新しい国際学校というものを考えてやってみたらどうだ。いわゆる日本人も入り外国人も入った、そういった小学校なり中学校なりというものが考えられないのかというふうな御提案も既に第三次答申でいただいておりますので、これについては都道府県なり市町村と十分相談をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二番目の生涯学習の問題でございますが、まさにおっしゃいますとおり、学校教育が終わって人生は長うございます。と同時に余暇時間がたくさん出ておる現状でございます、今後もなお拡大されるということ。それと生活なり社会構造というものはどんどん変わっていく、それに合わせてやはり新しい知識を吸収しなきゃならぬということで、生涯学習体系というものは大変重要なことだというふうに思います。  そこで、私たちとしましては来年度以降の概算要求の中に生涯学習体系というものをどういうふうに政府として取り組み、それは今も例えば放送大学というものが既に発足して二年目になっておりますが、放送大学というのは多くのそこに学んでおります学生さんと言っていいか、リカレント教育的な方が多いわけでございます。ですから放送大学という一つの手法も一応発足している。それから専修学校、各種学校というのがかなりこういった意味での生涯教育の中での大きな役割を果たしている。片や民間におきますカルチャーセンターといったもの、あるいはスポーツをとりましてもいろんなスポーツ施設での講習会というふうなものもございます。そういったものが躍動的に発展するような、そういった政策というものを考えてしかるべきではないかということから、今後早急に私たちもそういった点についての検討をしていかにゃならぬというふうに思っておるわけでございます。  それから、留学生の問題でございますが、おっしゃいますとおり、いわゆる円高に苦しむ留学生が大変多いということはもう御承知のとおりでございますが、今までも国費の留学生の数の増員等については努めてまいりました。それが私費負担で来る留学生の方が大変多いわけですが、そこまでなかなか面倒は見れない。いろんな民間での奨学金というものの数もなかなかふえていっていないというのが現状かと思いますが、同時に生活をする場合に東京ですと家賃がかなり高い、あるいは地方都市でもかなりの家賃が要るというふうなことから、留学生会館というものを早期につくってというふうなお話もございます。それにつきましても、留学生会館の建設というものもやってきておりますが、なかなか需要に届かない、マッチしないというのは問題点として十分私たちも認識いたしております。これも今後早急に力点を入れていく仕事だろうというふうに思っておる次第でございます。
  49. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 時間ございませんので、ひとつ文部省の方はよろしくお願いしたいと思います。  郵政省関係、一点だけ質問したいと思います。  テレトピア構想推進状況、民活も含めてお伺いをしたわけでございます。その中でまず、指定地域が全国で非常に数多くあるのですけれども、行政自治体として確かに非常に将来の期待性を持っていることは事実でございます。  具体的に伺ってみたいんですが、私の場合は伊丹市、神戸市、姫路市がお世話になっているんですけれども、これに対してやはり行政自治体として今後どういうふうな対応を郵政省としていかなくてはならないのかという問題ですね。そういうことが一つと、それにまたテレトピア等々に関連しますけれども、高品位のテレビの、これは経済問題がありますけれども、需要の見込みの問題について、いずれにしても最終的には国民の家庭の大半がそのすばらしい影響を受けなくてはいけないと思うんですけれども、最終的に家庭でいろいろの郵政省計画されているテレトピア関係のこういうことを受けようとすれば、どうしても高品位テレビというものの需要の問題がどうなのか、二番目には金額がどういうふうな状況までいつごろにはおりてくるのか、適正価格ですね。そして、三番目にはこういう受像のために放送衛星というものが現在のものよりまたかえなくちゃいけないというふうなことになろうかと思うんですが、そういう時点はいつごろなのかということですね。そういうことを伺ってみたいと思います。
  50. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) テレトピア関係につきましては私の方からお答え申し上げ、ハイビジョン関係については実は放送行政局の課長から失礼させてお答えさせていただきます。  お尋ねのとおり、私ども何と申しましても、地域情報化推進ということでございますので、兵庫県伊丹市も含めまして、地方自治体、地方公共団体のお力添えというのが大変欲しいわけでございますし、ありがたいわけでございます。実はテレトピアのいろいろな事業推進されます事業主体でございますが、これにつきまして、地方公共団体がお金を出されて、そして民間と一緒になって会社をつくって第三セクターとしてやられる場合もありますし、直接地方公共団体自体が事業主体になっていただいている例もございます。先ほど二百六十システムがあると申し上げましたけれども、事業主体としては、一主体で幾つもやっているのがありますので今のところ二百七事業主体カウントされるんですが、そのうち五十六事業主体は、これは地方公共団体であるという報告も受けておりまして、地域によっては大変地方公共団体が乗り気になってやっていただいているところもありまして、私どもも、そういったところはもちろんでございますけれども、そうでないところもいろいろ直接、間接地方公共団体と連絡をとって、何とかしてその地域での事業なりシステムが育つように持っていきたいというふうに考えております、
  51. 村瀬龍児

    説明員(村瀬龍児君) 先生お尋ねのハイビジョンでございますが、今開発段階でございまして、この時点でどの程度普及するかという予測というのは非常に難しいわけでございますが、一つの目安として考えられますのは、現在有識者にお集まりをいただきましてハイビジョンの推進に関する懇談会というものをやっておりますが、そこで最近調査をいたしまして、その調査結果によりますと、実用放送が開始をされますと、十年間でおよそ三〇%程度の世帯に普及するんではないかということでございます。  それから、先生御指摘のとおり、現在まだ試作品しかございませんので値段が非常に高いということがございまして、普及促進をするためには価格を安くすることが当然必要でございます。また、先ほどちょっと御紹介いたしました調査によりますと、大体五十万円ぐらいの価格になれば買うという数字が急激にふえるということもございまして、一つの目安として五十万円程度には価格を下げる必要があるんではないかというふうに考えております。  それから実用化の時期でございますが、これは地上では現在周波数が非常に逼迫をしておりまして、実際の放送は放送衛星を使ってやるということになろうかと思いますが、私どもとしましては六十五年度にBS3という、現在BS2という衛星が上がっておりますが、その後継機でありますBS3の時代には実用放送を開始したいということでいろんな準備を進めておるということでございます。
  52. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず文部省ですが、輸入拡大ということで政府調達による外国製品購入の問題があります。既に名前が出ておりますのは、文部省関係ではクレイ・リサーチですね、スーパーコンピューターを購入するという話ですが、これをどこにどれだけ買って配置するのか、大学から具体的な要求があるのかどうか、あるいはまた大学関係者の了解があるのかどうか、というのは、これは大学の自治の問題でひとつお聞きをしたいと思います。  それからもう一点は、このスーパーコンピューターは日本製の方が性能よくて安いんじゃないかという問題がありますね。現に大学予算が相当少ない。そこへこういうものを購入した場合に、例えば運転ですとソフトウエア違いますね。売っているメーカーが違うとソフトが違ってきて、そういう面で新しい新たな経費が必要になって大学予算を圧迫しやしないかという、こういう問題お答えいただきたいと思います。
  53. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 先ほどからお答えしていますように、補正予算の具体的内容については現在まだ調整中でございますので、スーパーコンピューターにつきましても今の段階でお答えする段階になっていないわけでございますが、考え方としまして、国立大学におきましていろいろな最先端的な科学技術研究というのはされているわけですが、その中で科学技術計算なりあるいはいろいろなシミュレーションが行われる。そういたしますと、やはり高速演算とか大規模計算、そういうものが必要になってまいりますので、仮にスーパーコンピューターを購入するということになりますと、そういう必要性に基づいてこれを購入するということになろうかと思います。  なお、一般的には、大学の予算というものにつきましては、教育・研究に要する経費というものにつきましては、その必要性なり緊急性というものを判断いたしまして、それに応じて予算措置をする、こういう考え方で従来から措置をしてきておるところでございます。
  54. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ただ、予算は別として、現にクレイ・リサーチという名前も出ていますし、それから私が指摘したような大学の自治の関係。ということは、やっぱり具体的な要請に基づいてやるのか、それとも文部省の方がここへ設置しなさいということでやるのか、こういう問題がありましょう。それから新しい費用の問題。その辺どうですか。
  55. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 先ほどからお答えしてますが、必要性に基づいてこれを購入するということでございますから、大学におきます。その必要性というものを十分見てこれを判断する、こういうことになろうかと思います。
  56. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 必要性がなくあるいはそういう要請がない場合には、例えば大学関係者が、いや今までどおり国内産で結構なんだという場合には買わないということも出てくることになりますわね。
  57. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 逆に言いますとそういうことかもしれませんが、私どもとしてはそういう必要性というものを判断してこれをどうするかを考えると、こういうことでございます。
  58. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まあ、大学自治を侵害しないようにひとつお願いしたいと思います。  それからもう一つの問題は、大学に対する国の予算がだんだん抑えられて、例えばこの数年間教育・研究の基礎となる積算校費、これは伸び率ゼロ。物価上昇を考えれば実質減額ですよね。結局大学自身が外部に資金を依存せざるを得ないような状況が出ている。そこで、大学の民活という言葉に象徴されますけれども、民間からの一〇〇%寄附による寄附講座というやつがありますね。現に東大でNTT五年期限で一億五千万、それから新日鉄あるいはNEC三年期限で三千万、結局、そういう企業の名前を冠した講座ができる。となりますと、これは大企業による国立大学の講座を変質するひもつき研究導入につながらないのか。結局大学に対する企業の、ある言葉で言えば支配力が強まる危険がありはしないか。こういう面についてはどうですか。
  59. 古村澄一

    説明員古村澄一君) 従来からも国立学校特別会計法のもとでは、国立学校におきまして寄附金を受けて研究をするという制度はできているわけでございます。したがって、年間二百億円強に上ります寄附金を受けて各大学がそれぞれ研究をし、あるいはやっているというのが現状でございますが、そういった金の受け入れの仕方はございますが、今度それを、いわゆる教育研究の仕組みを整備をしたというのが寄附講座という形で打ち出したわけですが、あくまでそれは企業が大学の研究を支配するということでなくて、臨教審の答申にも言われておりますが、やはり民間の資金の導入といいますか、活用といいますか、そういったことによって研究能力を高めるということが基本でございますので、そういった点で大学のいわゆる教育が大学自身の力というか、大学の自治においてやっているということの基本を揺るがしているつもりはございません。
  60. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 ただ、金額においてもまた内容においても従来より質的にまた量的にも一歩踏み込んだものと見ざるを得ない面がありますので、決して大学の自治を侵害しないような方向で進んでほしいと思います。  次に郵政省ですが、テレトピア構想について、これは国民の立場に立って進めるという観点から幾つか指摘をしたいと思いますのでお答えいただきたいと思うんです。  まず、監査・管理体制を民主的に行っていくべきだと思うが、その点についての方策。  それから、プライバシーの保護あるいは情報公開制度を整備すべきだと思いますが、その点どうか。  三番目はコンピューター犯罪対策、また災害対策ですね。  それから四番目に、地方自治体がかなりこれに組み込んでまいりますが、人材育成などを含めたそれに対する援助体制はどうか。この点ちょっと具体的にもう進んでおります金沢で聞いてみましたら、実際これはもう既に部分的に配置が進んでいますね。その関係でNTT職員が市に配置されているというのです。ところが、その人件費は市が持つというのですね。この辺やっぱり自治体に対する援助という面から見てむしろ逆行するし、このNTT職員の人件費を市が持つのはちょっとおかしいんじゃないかと思いますが、その点どうか。  五番目が、これを国民が利用しやすいシステムに開発すべきだと思います。ところが、実際かなり料金の問題でそう簡単に利用できないのじゃないかという問題が出ていますが、この料金問題を含めた、国民が利用しやすいシステムの開発ですね。  それから六番目に、これは国民自身が単なる情報の受け手ではなくて、むしろ主体となって情報を供給する面、こういった面も必要だと思うんですが、この辺の対応策いかん。  以上、お答えいただきたいと思います。
  61. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) お尋ね六点ございましたが、まず第一点、これはいろいろ推進に当たっての協力体制ということではないかと思います。おっしゃいますとおり確かにプロジェクト計画しておりまして、その計画段階が終わりましてこれを推進するということになりますと、何といってもその辺の、民間任せではなくて公的機関による管理体制ということも大事でございますので、その辺につきましては私ども国それから地方自治体それから地方経済団体それから整備事業者、こういった人たちから構成される整備推進協議機関というようなものを考えまして、その機関によってこれはいろいろ基本指針というものができておりますので、その基本指針によって適切な施設の建設あるいは運営が図られているかどうか、そういうようなものが協議機関でよくチェックできるように、そういうふうに指導してまいりたいというふうに考えております。  それからプライバシー保護の問題でございますが、プライバシー保護、これは近藤先生おっしゃいましたように大変重要な問題でございまして、特に情報化が進みますと、情報の公開、情報がいろいろ流通するということと、半面、個人のいろいろ秘密といいますか、人に知られたくないプライバシーというものがあるわけでございます。これにつきましての、今これはいわば大きく言えば世界的な問題でございまして、OECDの理事会の勧告もございましたし、私ども政府としては総務庁に設けられましておりますが、プライバシー保護研究会でその報告も出て、いろいろそれに基づいての検討をしているわけです。政府としては、そういったわけで今総務庁を中心として政府全体として取り組んでおりますので、その辺での検討を早く急がにゃいかぬというふうに思っております。  私ども郵政省としまして、じゃどういうことをやっているかということでございますが、今申し上げましたように電気通信が非常に中枢的な役割を果たしているということで、電気通信事業法におきましてまず通信の秘密というものを確保しなきゃいかぬということをぴしゃり決めまして、それを担保するためにいろいろなこういう秘密が確保できるような業務改善命令の規定なども設けまして所要の措置を講じているわけでございます。  なお、これから私どもいわゆる高度情報化に伴いますマイナス面の影響も考えまして、いろいろこれからプライバシー保護を含めたネットワークの発展のあり方というのを検討してまいりたいというふうに思っておn・ます。  それからちょっと三番につきまして、コンピューター犯罪の問題とそれから火災事故の災害対策でございますが、これは担当の課長から答えさしていただきます。
  62. 山口憲美

    説明員山口憲美君) 先ほどコンピューター犯罪、特にハッカーの事件が起こりましたり、それからまた火災の関係、世田谷でNTTの回線に支障が起こったというふうな事例が最近ございますが、私どもといたしましては非常にこういった情報通信ネットワークというものに対する社会的な依存度が高くなっているというふうなことでございますので、こういった安全性、信頼性というものを確保していくということが非常に大事な課題であるというふうに考えて私ども対応しているつもりでございます。  郵政省といたしましてどういうことをやっているかということを簡単に御説明さしていただきますと、先ほどお話ししました第一種電気通信事業者であるとかあるいは特別事業者、特別VAN事業者といいますか、特別二種事業者というふうな方に対しましては、技術基準というものを設けましてこれを遵守していただくということを法律的に義務づけをしております。これはぜひ守っていただくということでお願いしておりますし、それからまた、そのほかの一般の事業者あるいはVAN事業者あるいは自営でなさっておられる方というふうをこともございますが、そういった方が参考になるようなものといたしましていわゆるガイドラインというものをつくりまして、情報通信ネットワーク安全信頼性基準というふうに申しておりますが、こういうガイドラインをつくりましてこれを広く告示をいたしまして、これに即してやっていただくようにというふうなことをいろいろお願いしているということでございます。特にこういった基準に即してやっておられるということで、その基準に合致しているというふうなことが認められますとそれを広く周知をする、そういうふうなことによりましてそのシステム利用される利用者の方が安心をして、あるいは信頼を持って利用ができるようにというふうなことで、そういった一定の基準に達しているものにつきましてはそれをまた広く周知をする登録規定というふうな規定でやっておりますが、そういった仕組みを設けたりもしております。  ただ、いずれにいたしましてもこういった安全性でありますとか信頼性というふうなものの施策というのはなかなかお金がかかるものでございまして、そういったことの事業者に対してお願いするということだけではなくて、やはり政府としてもある程度支援措置というふうなものも必要ではないかというふうなことから、一部財政投融資につきましての金利での配慮でありますとか、あるいは税制上一定の機器につきましては配慮をするとか、そういった安全性・信頼性対策に対して国としても手をかしているというふうなことでございます。  なお、そのほか同時に一つ大事なことは、技術的な面でそういったものが起こらないようにするという手だて、特にハッカーというふうなコンピューター犯罪につきましてはそういった技術面での防御というのは非常に大事でございます。これらにつきましても詳しく内容を御説明するのはあれなんですが、暗号化技術とかそういったものを中心にいたしまして、そのハッカーよりもさらに上をいく技術的な防御措置を講ずるようにというふうなことでいろいろ工夫を重ねているというふうなことでございます。  それからまた、火災の関係につきましては、私どもいろいろこれからやっていかなきゃいけないと思っておりますのは、従来はNTTが全国を独占的にやっておりましたけれども、現在はそのほかの新規の事業者が登場してきております。そこで、万一火災等である事業者の回線に支障が起こったというふうな場合に、よその会社の回線を通して通信が疎通できるというふうなそういう迂回ルートを設定する、そういう制度的あるいは技術的なそういった仕組みというものも考えていかなきゃいけないんじゃないかというふうに考えて、種々いろいろな方の御意見等をお聞きしながら工夫を重ねているところでございます。ひとつよろしくお願いいたしたいと存じます。
  63. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) それから次の問題でございますが、人材の育成でございます。これは先生おっしゃるとおり、私ども特にこういう専門的な技術的な先端技術の問題でありますから、それになれた人、よくわかった人というのが大事なことは十分考えておるわけでございます。じゃ郵政省地方自治体との絡みでどういうことかということでございますが、今申し上げました地域情報化施策地方自治体と協力する中で、いろいろこの人材育成という問題も考えているわけでございます。具体的に私どものテレコムプラザの中に共同利用施設をつくったりしていろいろ広く御利用いただいて、あるいは研修施設でいろいろ勉強してもらう、その機会は提供したいということでございますが、お尋ねのNTTと県とのいろいろな話で人件費の持ち分がどうなっておるかということ、これは私も初めて伺いましたので事情を聞いてみたいと思いますが、その辺までどこが事業体が持てるのかどうなのか、事業体の方の事情もあろうかと思いますが、いろいろとにかく人材の育成ということで自治体と協力できるものは大いに協力し合ってまいりたいというふうに考えております。  それから、電気通信サービスの料金の低廉化でいろいろ利用しやすいようにというお尋ねでございます。お尋ねの趣旨は、全国ネットワークの基本的な電気通信サービス、例えば電話ですとか、そういうようなサービスについての料金と、それからテレトピアあるいは地域情報化の関連でのいろいろなキャプテンですとかあるいはCATVの料金、両方おっしゃったように受けとめましたので両方について申し上げますと、電気通信料金、特に電話サービスについてはこれは国民の基本的な通信手段でございますので、私どもできるだけその値上げを抑制して今の料金でそのまま御利用いただけるような、なるべくそれが続くようにしたいというふうに指導しているわけでございます。あるいはまた新規参入といいますか、新しい第一種、第二種事業体が出てそのサービスを提供して、料金面でいい意味での競争が起きて国民に利用者としては安い料金でいろいろなサービスが利用できるということが望ましいわけでございますので、そういう方向を目指していきたいというふうに思っております。  あと地域の問題、これはいろいろその地方の実情もあろうと思いますけれども、なるべく大勢参画してその地域でのネットワークが広がりますと、同じサービスを提供するにしても料金がいっぱい集まってコストが安く上がるということもありますし、そういう地域情報化でいろいろ機械設備の面で私どもも税制などの面で支援措置を通じてなるべくそういう営業のコスト面でお役に立てるようにしたいというふうに考えております。以上でございます。
  64. 三治重信

    ○三治重信君 文部省にひとつお尋ねしますが、先ほど話があった大学での寄附講座、これは単に既存の建物に講座を増設するということばかりでなくて、新しく今の既存の大学の中に施設も特別教室や研究施設も全部つくって受け入れることもできるのか、単に講座として教授や助教授や助手のいわゆる経常費にとどめるのか。私は施設やなんかも全部、研究施設なんかも全部含めて土地も提供できるような格好に大学とか研究機関というものは、国立といえども全部そういう民活を利用できるような方向を早く確立した方がいいと思うんですが、今現在何枚ぐらいの学校にどれくらいの申し出があるのか。それからまた、文部省としてこういうような寄附講座をどれぐらい拡張していこうという計画があるのか。ただそれは各国立大学の自主性によって、申請があれば認可するという程度にしておくのか。そういう寄附講座に対する態度ですね、それをひとつ。  それから、我々が国際化の研究をして、殊にいわゆる留学生対策で先ほども話があったんですけれども、留学生会館なり生活援護の関係をやるべきだというのでちょうどこの緊急対策でぜひこれは入れてもらいたいんだが、これは文部省か外務省が。国内の大学への留学生やなんかというのは文部省なんだろうと思うんだけれども、この中には全然ないですよね公共投資拡大の中には。ぜひこれひとつ新しい項目としてこのPRができるようなやつを、殊に国際貿易摩擦を解除するための緊急対策なんだから、その中で国際経済摩擦を、貿易摩擦を解除するのに外国の留学生に対して生活援護なり宿舎をつくるというのを緊急対策として非常に項目的にぜひ入れていい、大きな項目にして、むしろ東京ばかりじゃなくて各地方都市へのそういう留学なんかが自由にできるようなことをこれは本当にこの中に一大項目として僕はやるべきだと思うんだが、文部省としてなのかあるいは外務省なのか、その点ひとつ。
  65. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 寄附講座の関係で御説明させていただきますが、寄附講座につきましては、存続期間を原則として二年以上五年以下ということで考えております。つまり、寄附の関係でございますので、永続的な寄附もありますけれども期限を切っての寄附ということも考えられますので、一応五年ぐらいを上限にしまして、見直しをしていくということも必要ではないかという、そういう考え方でございます。  そうなりますと、そのための施設というものをつくるとなりますと、これは片方が期限がついているものですから、したがって施設につきましては既存の施設設備を利活用するというような考え方で、講座の例えば教員の給与費とか研究費、旅費、運営費に必要な経費というものをその寄附で賄う、こういう考え方で今整理をしております。  それから、現在どのくらい出ているかということでございますが、これは実は臨教審の第二次答申を受けて文部省検討して省令を最近改正をしたということでございまして、これから各大学の具体の話を聞きながら案件ごとに協議をしていくということでございまして、まだいろいろ話はあるようでございますけれども、具体的な協議はこれからという段階でございます。  それから、留学生会館につきましては、国立学校関係につきましては、この国立学校施設増改築の中で、私どもはそういうものも取り込めるように現在折衝をしておるところでございます。なお、ことしの予算で、日本国際教育協会に対する補助ということで、新留学生会館の建設、これを三年計画で進めようということで、ことし一年次の予算をつけておるところでございます。この新留学生会館につきましては、もちろん私費の留学生もこれに入れるような会館を考えておるところでございます。
  66. 三治重信

    ○三治重信君 だから、それは国立学校増改築という項目で新聞発表すれば、そういうふうなのは留学生関係とかなんか全然出ないわけでしょう。今度のやつだよ。国立学校施設増改築で質問すれば寄宿舎なんかもやるということよりか、新しく項目を設けて、そういう、何というか、留学生に対して新しく何人分も寄宿舎をつくる、緊急につくって、そして国際留学生に対してのやつをやるという政治的な配慮というものが特に僕は必要じゃないかと思うんだよな。これは緊急対策をなぜやるかといったら、国内の内需拡大というのは、購買力を上げるばかりじゃなくて、やはり国際摩擦を解消するためにこれは特別やるんだ。だから、そこを配慮して、頭を使って、国際摩擦の緩和対策として、もっと教育とか海外の留学生対策というものを一枚加えてやってもらいたい。単に施設ばかりじゃなくて、その項目も全部、今言った日本国際教育協会の補助とかなんかを追加していても、そういう一つの対外関係も加えた大きな項目として掲げることをぜひひとつやってほしいと思う。  それから、もう一つは、寄附講座については、確かにおたくの方の考えは、二年、五年の期限とか、新しい施設をつくらぬでやるという寄附講座の考え方は、もう非常にそれが適当かと思う、いいことだと思うんです。  もう一つは、特別会計でそういう講座とは別にいろいろ研究施設学校施設を寄附はできるようになっているわけでしょう、特別のやつは。それはまた別に、今までも受けてやっているわけでしょう。新しく今度寄附講座という制度をつくる、それは二年から五年だと、こういうことですな。
  67. 野崎弘

    説明員(野崎弘君) 先ほどの留学生会館の、新留学生会舘の方は、これは当初予算でついていることでございまして、これはもう新聞に出ておりますが、今回の補正の中に入れるものにつきましては、これはこういう中で現在折衝中でございますので、決まりました時点で先生の御意向も受けながらよく考えさせていただきたいと思います。  それから、奨学寄附金は、これは今までもずっと受けていまして、年々これは増加しておりますが、やはり新しい寄附講座というような形でもこれを受け入れようということでございます。  それから、いわゆる現物で建物なんかをつくっていただいて寄附をするということもございますし、また現金で寄附をいただいて、それで建物をつくるというようなこともこの奨学寄附金の枠の中で実施をする、こういう考え方でございます。
  68. 三治重信

    ○三治重信君 郵政省一つ。このテレトピア構想ね、これはどういう目的なのか。ニューメディア発展させるためにこういういろいろの財政措置や技術援助やなんかをとってくるんだけれども、終局的には何年ぐらいたったら――第三セクターとして使っていくというのだが、いろいろな第三セクター的な施設が必要なんだろうが、これ全部地方公共団体の負担にばかりなっていくのでは意味がないと思うんだな。そうすると、こういうことをして、テレトピア構想でその地域情報通信の非常な発達によって住民の利益がある。したがって、それだけのものが独立採算でやっていけるというめどというものを持っていなければ、テレトピア構想をやって六十三都市からあと全国へ広げていくのでも、いつまでも公共負担にしょっていくんではいかぬけれども、独立採算のめどというのは何年ぐらいを立ててやっていくの。
  69. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) お尋ねの点でございますが、私どもこれは一応こういう地域情報化のモデルとして六十三地域を選びまして、大体これでひとまずテレトピア構想というものを締めくくりまして、そしてそれぞれの地域でのこれからの進みぐあいというのを見てまいりたいと思っております。おっしゃるとおり、それぞれの地域計画を開始いたしまして実行して、それで最終的には事業が軌道に乗りまして収支採算がとれるということを、それぞれテレトピアのモデル地域から計画とその実施の見込みを出してもらいまして、大体これは五年から十年という年数が多いと思いますけれども、それで一つの収支の見通しも立てて、採算に乗る形でやれるように見届けたいというふうには思っております。  ただ、余り地方だけの負担にならないように、これは地方自治体ももちろん先ほど申し上げましたように積極的に参加してもらうわけでございますけれども、やはりそれぞれの地域の必要に合ったシステムといいますかタイプを選んでもらうことが大事だと思うわけでございまして、例えば松江でのお菓子情報システムですとか、先ほども出ました伊万里でのかまどの問題ですとか、いろいろその地域の、なるべくそういうお客様が利用できるようなニーズに合った形で、なるべくそういう短い期間に運営がとれるように指導してまいりたいというふうに思っております。
  70. 平野清

    ○平野清君 まず、ちょっとお伺いしておきたいんですけれども、内需拡大ということでもって私たち調査会は閉会中にもかかわらず皆さんに御足労願っているわけです。各省からも膨大な資料をいただいて、これからもまだあと二日間お聞きするわけですけれども、結局、お聞きしていますと、大蔵省が最後には配分を決めるんだと。そういうことになりますと、大変失礼な言い方ですけれども、予算要求の弱い省は配分がそれだけ弱くなってしまうということになるわけですね。そうしますと、例えば文部省さんの今回の緊急対策の項目を合いただいてずらっと見ますと、失礼な言い方かもしれませんけれども、例年予算の中に要求していってもいいようなものが大多数だと思うんですね。毎年毎年これだけはやってほしいという項目が並んでいると思うんです。だから、どうしても文部省としてこれだけは緊急対策の中で何としてもこの一つ二つはやってほしいというものに絞って大蔵省に取っ組まれた方が得じゃないかというような気がするんですね。  きのうの経企庁や大蔵省聞いていましても、内需拡大の柱は住宅建設であるとか、はっきり世論的にも決まってきちゃっている。そこへもってきて総花式に、国立学校もやりたい、外国からのいい本も買いたい、美術も買いたいと言っても、なかなか予算が来ないと思うんです。例えば、しばしば各先生から出ております学校施設の充実ということがありますけれども、御存じのとおり小中学校は義務教育なわけですね。にもかかわらず、その管理は市町村に任されて、義務教育にもかかわらず市立学校になっているわけです。そうしますと、全国どこの子供でも同じ条件で、格差のない設備教育を受けられるのが義務教育の根幹だと思うんです。それが、現在の市立学校見ていますと、地方自治体の力の強いところによっては放送設備から大きな体育館からいろいろなものを持っているわけです。田舎の方へ行って非常に財政力のない学校へ行きますと、小さな体育館で雨が降ったらもう生徒がごちゃごちゃしてしまってろくな運動もできない。その小中学校の都道府県における格差というものが物すごく大きくあるような気がするんです。そういうときに、緊急対策のときに、思い切ってふだんやれないことを要求していったらどんなものかというような気もするんです。それから、例えば房総だとか埼玉だとか国東とか、ふるさとなんですが、風土記の丘とか、ああいう莫大な金がかかって、しかもその地域に観光それから社会教育にも役に立つようなものを、なかなか例年度予算ではやれないもの、そういうものだけでも絞って、これひとつやってくれというような目的を持たれたらいかがかなと思うんですが、その点いかがでしょう。
  71. 古村澄一

    説明員古村澄一君) いろんな考え方があると思いますが、公立の小中学校、義務教育については、国は全国的に見て最低限のところは保障したいということでその施設整備の補助の基準を決める。そしてそれから上のところは、まさに地方自治である程度ゆったりしたことをやったりデラックスなことをやったりということは現実に行われているわけでございます。そうしますと、国の立場というのは、最低基準のところまではその補助対象にしましょう、あとは地方自治体にゆだねますという現実の姿でありますので、それを思い切って富裕団体のところまで手を出していくというのはなかなか難しい。そこまで国の補助として上げていくのは難しいというふうに思うわけでございます。今の補正予算の考え方そのものが、やはり新規政策というものではなくて、継続政策の中で、前倒しなり、今、来年なり再来年に予定されているものを緊急にここへ盛り込んで、そして内需拡大の策を上げたいというのが基本的であるというふうに聞いておりますので、そういった方法で交渉しているのが現実でございます。  それから、おっしゃいますように、風土記の五等をつくって文化遺産を確保しつつ、観光という面での活用に資するということも政策として文化庁はやっておりますが、これは、風土記の丘の設置に主としてかかりますのは土地の買収費でございます。したがって、土地の買収費は今度はその対象にはしないという基本原則がございますので、これも今後の一般的な予算要求の中で処理していく問題というふうに考えております。
  72. 平野清

    ○平野清君 小中学校格差の問題、余り都道府県の力で差が出ますと僕は憲法違反だと思うんです。ある県に学べば、物すごい放送施設やいろんな施設をもって視聴覚教育を受けられる。ある小さな町に住んだら、ろくな設備もなくて、視聴覚教育も受けられない。そういう意味では、やはり義務教育というものはある程度の水準というものは確保してほしいなと思います。  時間が僕ほとんどありませんので、あと郵政省の方にお尋ねしますけれども、全く今と同じ考え方なんですけれども、このテレトピアの六十三地区はどんどん推進していきますけれども、やはり何かお話聞いていますと、地方自治体の熱心なところ、いわゆる金のあるところということがどんどん進んでいってしまって、金のない自治体で、どうしてもやりたいんだけれどもどうにもならぬというようなところが置いていかれてしまうというような気がするんです。そうすると、結果的には大都市、それから地方でも中心的な都市だけがどんどん進んでいってしまって、地方文化を上げようと思う小さな市が置いていかれてしまうような危険があるような気がするんですが、その点はどうなんでしょう。
  73. 塩谷稔

    説明員塩谷稔君) 先ほどほかの委員の方から出ましたところで触れたのでございますが、今度の補正での無利子融資、これがもし実現しました場合には、私どもそれが地域活性化ということあるいはこの不況対策ということもありますので、できるだけそういった地域に融資が振り向けられるように考えたいと思っております。  それから、いろいろテレトピア推進法人に対しまして、これは産投会計から基盤技術研究促進センターというところに金が出ておりますけれども、そこからテレトピア推進法人に出資しているわけでございます。この出資が六十年度七法人、六十一年度十一法人、計十八法人に対してこれまでのところ予定総額として二十三億円の出資があるわけでございますが、こういう一般会計とは別な、こういう機関からの出資のお金もできましたら、このテレトピアのねらいというのが地域情報格差を是正するということでございますので、そういう方向に使われるように今先生の御指摘の点なども考えて努力したいと思っております。
  74. 長田裕二

    会長長田裕二君) 午前の調査はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ―――――・―――――    午後一時三十三分開会
  75. 長田裕二

    会長長田裕二君) ただいまから国民生活に関する調査会を再開いたします。  国民生活に関する調査議題とし、内需拡大のための諸施策について建設省及び国土庁から説明を聴取いたします。建設省高橋官房長。
  76. 高橋進

    説明員高橋進君) 建設省関係につきまして、お手元に「内需拡大策と公共事業」、それから「住宅対策の推進について」、「民活事業推進について」、そういった三つの資料に取りまとめさせていただきまして、それからもう一つ規制緩和につきまして取りまとめさせていただきまして逐次御説明させていただきます。  最初に私から「内需拡大策と公共事業」につきまして御説明申し上げます。  あらかじめお示しいただきました検討項目を建設省なりにまとめさせていただいたものでございます。ここにございますように、項目といたしましては、六十二年度公共事業の執行方針と緊急経済対策、それから二番目に社会資本整備の必要性、三番目に公共投資の経済効果、四番目に公共事業の財源問題ということについて申し上げます。  まず最初に、今回の緊急経済対策でございますが、これは一ページにございますように、真ん中辺にございますように、総額五兆円の事業規模公共投資等について確保することといたしまして所要の補正予算措置が講ぜられることとなっております。建設省関係で申し上げますと、一般公共事業につきましては、事業費二兆四千五百億円、これの相当部分を建設省が所管することになると思われます。それから、災害復旧事業につきましては、事業費四千五百億円、これも相当部分建設省関係が所管することとなります。それから、四番目の項目といたしまして、日本道路公団等の事業費を二千五百億円追加することとなっておりますが、これも建設省道路公団関係を中心といたしまして相当部分を所掌することになるわけでございます。それから、六番目の住宅金融公庫につきまして、事業規模七千億円、貸付戸数増二万五千戸の追加を行う。以上のような緊急経済対策として建設省関係が定められたわけでございます。  で、建設省といたしましては、ここにございますように、まず執行方針といたしまして、上半期末におきます契約済み額の割合が八二・五%以上となることを目指して施行促進を図ることといたしますとともに、今後所要の補正予算措置を講じて追加される公共投資等につきましても、その円滑な実施を図ることといたしている次第でございます。  次に、一枚めくっていただきまして三ページに移らせていただきます。  基本的に社会資本整備の必要性について申し上げます場合、我が国の住宅・社会資本整備水準と欧米との比較が論ぜられるわけでございますが、そういった観点で見ますと、三ページの下の表に示したような形になるわけでございます、簡単に申し上げますと、ここにございますように下水道の普及率は二分の一ないし三分の一程度、一人当たりの都市公園面積は、主要都市の比較で十分の一程度、自動車一万台当たり高速道路延長は二分の一ないし五分の一程度、河川のはんらん区域に居住する人口割合は、日本の場合五ないし十五倍程度、住宅の一人当たりの室数は八割程度という著しく立ちおくれた状況にあるわけでございまして、そういった観点から着実な整備推進することが必要となっておるわけでございます。  次のページに参りますが、そういったことが基本的にあるわけでございますが、今後二十一世紀を目指しまして良質な住宅・社会資本ストックを我が国の国際的にふさわしい水準に向けて計画的かつ着実に充実する、それが同時に国民生活の質を、豊かさを高めるということになるわけでございますが、そういったことと同時に、また内需主導型の経済成長の重要な柱として公共事業の果たすべき役割は極めて大きいものがあると考えておるわけでございます。ここの下の表にございますように、昨年の夏に建設省におきまして二〇〇〇年を目途とした国土建設の目標とその実現のためのプログラムを国土建設の長期構想ということでまとめました。それのまず整備目標は、ここにございますように、昭和七十五年度におきます長期目標というものをそれぞれの施設について設定いたしておるわけでございます。ここにございますように、下水道につきましては、総人口普及率を三六%からおおむね七〇%まで上げる、あるいは都市公園は一人当たりの面積四・九平方メートルを一〇・〇平方メートルを目指す等々の整備目標を定めてございます。それに対します所要投資規模はどれだけかかるということにつきましては、五ページにございますように、建設省所管事業におきましては総計いたしますと三百四十一兆円、一定の条件のもとに計算したものでございますが、所要となるというものでございます。  極めて長期の目標はそういったことでございますが、次に中期計画といたしましては各種五カ年計画を定めておるわけでございます。それが六ページにございますような左側の大きな表が現行の各五カ年計画の総投資額と現在までのと六十二年度の投資額をあらわしたものでございます。右側は「参考」といたしましてございますように、その一段階前の計画を掲げてございます。  文章にございますように、昭和五十年代前半まではおおむね目標を達成してきたのでございますけれども、公共事業予算が抑制された五十年代後半からはその進捗はおくれがちになっております。それは旧計画の「参考」のところをごらんいただきましてもおわかりのように、調整費除きで進捗率が七割ないし八割台にとどまっているものが多いわけでございます。今後におきましてはこの達成のために努力をしてまいたなきゃならぬ、公共事業予算の重点的確保が必要であると考えておるところでございます。  次に七ページにまいりますが、次の項目でございます公共投資の経済効果というものがどういうものであるかということでございます。  まず、最初にございます図は公共投資の乗数効果でございます。乗数効果といいますのは、御存じのようにいろいろな経済効果によりまして最終的にGNPがどの程度増加するかを示すものでございますが、ここにございますように、公共投資推進内需拡大を図るためにも極めて有効な施策でございます。初年度、次年度、三年目にわたっての乗数効果は、この表にございますように三年目までに累計二・七二倍の乗数効果を持つというものでございます。  また、二番目の項目といたしまして生産誘発効果について記述してございますけれども、生産誘発効果というのは、御存じのように他の産業部門に直接、間接に生産を誘発する効果でございますが、公共投資は各産業に大きな生産誘発効果を有しておるものでございます。この図でごらんをいただきますように、左側の白い部分は公共投資の生産誘発効果でございます。右側は全部の最終需要項目の平均でございまして、これが平均に比べまして公共投資の、特に円高不況の状況にあります素材産業等への効果が大きいということが言えるかと思います。製材・木製品、窯業・土石製品、鉄鋼、非鉄金属、それから金属製品に与える公共投資の生産誘発効果は大きいという意味で、円高不況を克服し、内需拡大を図るために非常に有効な手段というふうに考えておるところでございます。  次に、若干観点が違いますが、八ページでございますが、公共投資地域経済に与える影響をグラフにしたものでございます。この図表でおわかりのように、所得水準の低い地方圏ほどその地域経済に占める公共投資の比重が高いわけでございまして、地方経済を下支えし、地域格差の是正に大きく寄与する役割を持っているというふうに考えるわけでございます。  次に、そういった以上のような経済効果とも関連いたしまして、公共投資の配分に関する当面の課題といたしまして、不況地域への配慮、それから地方都市の戦略的育成による地方経済の活性化等に対応する必要があるわけでございまして、そういう意味で円高による影響の著しい地域への重点的な配慮を行ってきておるところでございます。  昭和六十二年度予算についての表がございますが、特定地域中小企業対策臨時措置法に基づく特定地域でございますが、これの伸び率、前年度に比べます伸び率は平均が四・一というものに対して一〇・七というふうに高く伸ばしておりまして、重点的に考慮しておるところでございます。六十一年度におきます補正予算についてもそういった配慮をいたしましたし、また昭和六十二年度の補正予算が成立いたしますならば、それの事業費追加に当たりましてもこういった点を考慮してまいりたいというふうに考えております。  次に、公共事業の財源問題に関してでございます。  経年的に見ました場合に、この十ページの上の図表にございますように公共事業関係費、国費でございますが、五十五年から五十八年ごろまではほぼ横ばい、それ以降は非常に下がってきておる、ゼロシーリングまたはマイナスシーリングのもとで下がってきております。折れ線グラフは一般会計予算に占める公共事業関係費の割合でございまして、これも下がっておるわけでございます。  一方、一般歳出に占める主要経費別内訳の推移が下の表にございますが、一般的には投資的経費のシーリングのマイナスの程度は一般経常経費に比べまして低くなっておるのでございますけれども、結果といたしましてはここにございますように公共事業関係費、投資的経費の割合、シェアそのものも一般歳出に占める割合として五十五年以降順次低くなってきておるということでございます。  経年的に見ました場合そういった状況にございますけれども、一方で最近当面の課題でございます内需拡大の要請にこたえる必要もございますし、また住宅・社会資本の計画的、着実な整備推進する必要があるわけでございまして、そういった意味で国費は抑制の中で事業費の確保にはいろいろな工夫をいたしまして努めたところでございます。財政投融資資金の活用、補助率・負担率の引き下げ等によってその事業費の確保に努めてまいったところでございます。それが十一ページの下の図にございますように、事業費は特に六十年度、六十一年度、六十二年度においては伸びておることかおわかりかと思います。  ただ、そういうことのためにいろんな工夫はしたわけでございますが、逆に限られた国費でございますので、公共事業予算につきましてさまざまなひずみが生じてきておるということも事実でございます。具体的には、国費部分を先送りするというようなことで義務的経費がふえてきて硬直化しているということでございますが、今後公共事業の円滑な施行を確保するためには、やはり国費の拡大といいますか確保がぜひとも必要であるというふうに考えておるわけでございます。  財源問題について申し上げますと、十二ページ以下でございますが、まず一般財源の充当ということでございます。  一般会計予算におきます投資部門別財源内訳の推移を図に示してございますが、四十五年、五十年当時におきましては、特定財源、建設国債以外の一般財源の占める割合も多かったわけでございます。それが五十五年以降、特定財源以外はほとんど建設国債の発行ということになっております。今後の問題として財政の対応力の回復も待たれる、そうした中で一般財源の充当ということも考えられてしかるべきではなかろうかと思っておるわけでございます。  次に、一方建設国債の増発の問題につきましてはいろいろな議論がございますけれども、公共投資により整備される住宅・社会資本の将来にわたる便益を考慮した場合に、それに要する費用の負担を後世に求めることは、世代間の公平に資する合理的な面があるのではなかろうか、そういう意味で適度な建設国債の発行というものを必要に応じてやっていいのではないかというふうに私どもは考えております。  次に、受益者負担方式の活用ということでござ いますが、一方、ここにございますように施設サービスの高度化、国民経済力の向上等のような情勢の変化を考えますと、受益者負担の考え方が受け入れられる領域も増加するものと考えられるわけでございます。今後とも受益者負担方式の活用によります社会資本整備の積極的な推進を図っていく必要もあろうと考えております。  それから民間資金の活用ということも、住宅、社会資本の整備推進する上で、今後ともそういったことも同時に考えていく必要があろうかというふうに考えております。  以上、簡単でございますけれども、最初の内需拡大策と公共事業の項目についての御説明を終わらせていただきます。
  77. 長田裕二

    会長長田裕二君) 建設省伊藤審議官
  78. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) 私からは二番目の大きな項目でございます住宅対策の推進について御説明申し上げます。  別のパンフレットになっておりますが、住宅対策につきましては、一つは五カ年計画にもございますような国民の居住水準の向上ということを目的にしていろんな施策を立てておるわけでございます。最近はそればかりだけではございませんで、経済の波及効果が非常に大きいということから、内需拡大の大きな柱としても期待されておりまして、両面相まちまして推進をいたしたいと考えておるところでございます。  このため、まず六十二年度の予算措置では、金融公庫による良質な持ち家取得の促進でありますとか、良質な賃貸住宅、これは公的な賃貸住宅でございますけれども、そういうものも含めた良質な賃貸住宅の供給の促進等につきまして、別紙一で重立ったものはまとめておりますが、そういうものを中心とした施策を総合的に講じていくことにしております。  それから六十二年度の税制改正では、六十一年度に創設されました住宅取得促進税制が拡充をされました。これは別紙一でその他の税制も含めまして資料をそろえております。  それからこれらに加えまして、五月二十九日に策定されました緊急経済対策では、別紙三の中身の住宅投資促進策というものが打ち出されております。これも後で御説明申し上げます。  今後ともこれらの施策によりまして住宅建設の促進に努めてまいりたいと考えているところでございます。  それでまず別紙一でございます。  六十二年度の予算で中身に盛り込まれております重立ったものでございます。これ、全部やっていますと時間がかかりますので、拾いながらまいりますので、よろしくお願いしたいと思います。  まず1は、公庫融資による良好な持ち家取得の促進関係でございます。  (2)で貸付限度額の引き上げということで、上物に五十万円プラスしております。  それから(3)で、特別割り増し貸し付け、これは財投金利でプラスアルファのお金を貸すという制度でございますが、この制度を景気対策の一環として時限措置を延長してございます。  それから(4)が都市・田園複合居住用住宅に対する融資制度の創設となっておりますけれども、特に大都市圏の都市居住者の居住水準改善、向上のために、家族が週末等に都市近郊で生活をする住宅あるいは郊外に持ち家を持っておりますけれども、もう一軒世帯主のために、世帯収入を得る人のために都心部に活動拠点を欲しいということで、言うなれば二戸目の住宅ということでございますが、そういうものに対して公庫融資の道を開きました。これは予算編成時は五・二%の金利でございますが、今回の財投金利の引き下げで四・八五にいたしたいというふうに考えております。  それから(5)が財移住宅でございまして、財形融資につきましては、原資はあるわけでございますけれども、なかなか国民に利用されないということがございましたので、今回、抜本的に変えまして、公庫の金利水準に近づけております。  ここにございますように、①でございますが、一般の勤労者に対しては変動金利制で四・七五%を限度にするということでございます。今回の財投金利の引き下げで、これはさらに四・二五に下がる予定でございます。  それから中小企業の勤労者につきましては、同じく変動金利制で四・七%、今回の財投金利の引き下げで四・二%になると。  それから限度額を上げまして、より利用しやすいようにしようということでございます。  それから三ページでございますが、ここにございますように、予算の編成後、成立前だったと思いますけれども、財投金利が下がりましたことによりまして、今現在の基準金利が公庫につきましては四・七になっております。これが三月末に財投金利がまた下がりましたものですから、近々、これをさらに四・二に下げたい、こういうふうに考えております。  以下、規模別に金利が決まっておりますが、五・〇が四・四五、大規模住宅のところが五・二が四・七というふうになる予定でございます。  それから大きな柱の二番目、良質な賃貸住宅の供給の促進でございますが、(1)が公営住宅。建てかえが非常にふえておりまして、半分強が建てかえになっております。  それから(2)が公団賃貸。(3)が民間賃貸。この(3)の中には公庫融資、公団が地主さんに建てて差し上げる賃貸住宅、あるいは特賞とか農住とか、ちょっと短い言葉で言っておりますが、そういうものを含めまして四万七千戸ぐらい、地主さんが賃貸住宅を建てるときの援助策を講じてございます。  それから四ページ、既存住宅ストックの改善と有効活用ということで既設公営・改良住宅の改善でありますとか増改築でございます。  それから(3)の公団賃貸住宅の建てかえ、これ六十一年度から始まってございます。  (4)の公社賃貸住宅の建てかえ、これは六十二年度から本格的にやろうということでございます。そういうことで賃貸住宅も建てかえの時期に入ってきております。  それから大きな4でございますが、民間による再開発、市街地住宅供給の促進ということで、再開発関係予算の重点配分を行うとともに、これに伴いまして市街地の住宅を供給していくということでいろいろ工夫をいたしてございます。  新しい制度としては、(2)の市街地再開発緊急促進事業、採算性の悪いところに補助金を与えまして支援をしようというものでございます。  それから五ページに参りまして、(4)の都市再開発関連公共施設整備促進事業、いわゆる関公でございますが、再開発事業につきましても関公を別枠でやっていこうということでございます。  それから(6)、特定住宅市街地総合整備促進事業推進ということで、現在継続土地区ございますが、新規に札幌ビールの跡地、それから名古屋の白鳥地区、これは国鉄のヤード跡地でございますが、この二地区を新規事業実施地区に加えてございます。  それから(7)の都市居住更新事業の創設ということで、これは公営とか公団とか公社とか、いろんな賃貸住宅が建って相当古くなっておりますし、それからその周辺で密集市街地があるというときに、全体の更新計画を立てながら新しい市街地住宅をつくっていこうという新しい制度でございます。  (8)の木造賃貸住宅地区総合整備事業の拡充、これは現在二十二地区でやってございますが、これを六十二年度も引き続き推進をしたいということでございます。  それから六ページでございますが、地域に根差した住まいづくりの推進ということで、新規の施策としまして多雪地域住宅計画、雪おろしの負担を軽減するということで、住宅の共同事業という形で克雪、本当に雪を克服するわけでございますが、そういうモデル事業をやっていこうということでございます。十市町村で考えてございます。  それから、飛ばしますが、六ページの下の方、6、高齢者対策としましてシルバーハウジングプロジェクトの創設ということで五つの市町村ぐらいで考えておりますが、公営、公団、公社の賃貸住宅の中心部にライフサポートアドバイザーという者を置きまして、介護等あるいは相談に応ずる、同時に住宅につきましても高齢者に合った使用設備をするというものでございます。  それから、飛ばしまして七ページ、木造住宅の振興ではウッドタウンプロジェクトの創設ということで、地域特性を踏まえた良好な木造住宅モデル団地の建設につきまして計画基本構想から地方公共団体がいろいろ指定をするという仕事につきまして補助金を与えると同時に、公庫融資につきまして割り増し融資をしていこうということで、地域に密着した木造住宅のモデル団地をつくっていこうというものでございます。二十団地ほどを予定してございます。  それから(2)で、これは公庫法の改正でお願いした件でございますが、耐久性のすぐれた木造住宅につきまして償還期間の延長をいたしてございます。  それから八ページでございますが、八番目、住環境・関連公共施設整備推進という柱の中にございますように、(3)でございますが、いわゆる関公事業でございますけれども、国費を前年度同額計上すると同時に、先ほど申しましたように、住宅系再開発諸事業の場合に一部例外として採択基準を変えるということにいたしました。  それから九ページ、別紙二でございますが、先ほど申しました六十二年度の税制改正で、六十一年度に創設されました住宅取得促進税制の改善を行いました。ここにございますように、(1)の①でございますが、控除期間、現行三年であるものを五年ということでございます。したがって、例えば民間資金を二千万円借りますと、今一%税額控除でございますので二十万円でございますが、まあ、あらかたの計算、本当は二十万円から毎年減ってくるわけですけれども、二十万掛ける五年と、こうしますと百万円近い減税額になるという相当な規模の減税措置を施しました。  それから十ページでございますが、住宅関係税制の適用の規模が、所得税に係ります先ほどの住宅取得促進税制の方で二百平米に引き上げられたことに伴いまして、割り増し償却でありますとか不動産取得税でありますとか固定資産税でありますとか、そういう住宅関係税制が適用されます規模上限が二百平米まで引き上げられました。これも相当大きいかと存じます。  それから次のページでございますが、別紙三、これが今何五月二十九日に、以上の六十二年度予算にさらに加えられることになりました緊急経済対策でございますが、その大きなⅢの項目で住宅投資促進というのがございまして、住宅投資につきましては、宅地の円滑な供給を図りつつ、建てかえ、リフォーム等を含めさらにその促進を図るということで、住宅金融公庫については貸付金利を引き下げるということになっております。これは先ほど御説明しましたように、現行基準金利四・七を四・二%に下げる予定にいたしておりまして、六十二年度の第一回募集、四月二十四日から今月の二十六日まで行っておりますが、これにもさかのぼって適用する、四月二十四日までさかのぼって適用するという予定にいたしております。  具体の追加の中身でございますが、(1)に住宅金融公庫融資の拡充ということがございますが、(イ)で貸付限度額の引き上げということで、規模の大きいもの、これは基準金利が高いところでございますが、それをこのように限度額を上げる。  それから(ロ)の個人住宅の建てかえ、建てかえは土地の手当てが要りませんので、例えば三年先の需要、五年先の需要がこういうことが行われますと前倒しになるだろうと、こういうことでそういう経済効果をねらいながら限度額を百万円加算しました。したがって、ここのところは今回四・二%まで下がります基準金利のものも含めまして全体百万円加算と、こういうことになります。  それから、特別割り増し貸付額の増額でありますとか、それから大きいのは(ホ)でございまして、立体増築についての貸付限度額の引き上げ、現在、改良融資につきましては四百十万円でございますが、これを五百十万円にするというふうに引き上げました。これで部分二階建てを総二階建てにするというような立体の増築の場合に活用できるようになるだろうということと同時に、住宅リフォーム促進基金というものもつくりまして、公庫の無担保貸し付けを促進をしまして、いろんな住宅設備機器の取っかえ引っかえに役立ててもらうということにいたしました。  以上、主だったものでございますが、御説明申し上げました。
  79. 長田裕二

    会長長田裕二君) 福本審議官
  80. 福本英三

    説明員(福本英三君) 私から民活事業推進についてということと規制緩和についてという二点について御説明申し上げます。  まず、民活事業、いわゆる民間活力の活用に関する事業推進についてということで、その資料に沿って御説明申し上げます。  二つあるわけでございますが、まず一番目は、民活事業の助成策ということで、これは従来から行っている民活関係事業でございます。都市開発関係事業などが中心でございまして、官民が役割分担を行いながらいろいろとやっていく事業でございます。  まず(1)、(2)は、市街地再開発事業、土地区画整理事業でございますが、これはそれぞれの法律に基づく事業に対する国庫補助ということで、事業費には公共団体に対するものなども含んでおるわけでございます。  それから、三番目の新都市拠点整備事業でございますが、これは全国各地の都市の中心部にございます旧国鉄の鉄道操車場跡地等を活用いたしまして、土地区画整理事業等の基盤整備事業を行うというようなことで、そうすることによって新たな都市拠点の形成を図っていこうというものでございます。  それから四番目は、いわゆる民活法による特定都市開発地区の整備でございまして、この法律は通産省など四省で共管しておるわけでございますが、建設省はその中で、特定都市開発地区に係る都市基盤整備を行うということになっておりまして、具体的には幕張メッセで事業を行っております。  それから五番目は、先ほど住宅局から説明があったわけでございますが、特定住宅市街地総合整備促進事業ということで、鉄道施設跡地でありますとか工場跡地等を活用いたしまして住宅市街地を整備しようというものでございます。  それから六番目は、住宅宅地開発関連公共施設整備促進事業ということでございまして、住宅団地等の開発に伴って必要となる公共施設整備等に対しまして、通常とは別枠で補助を行うというものでございまして、全体で二千億ばかりの事業費がございます。  次のページに参りまして、特定地域高規格堤防整備事業、いわゆるスーパー堤防整備事業というものでございますが、これはゼロメートル地帯等の河川におきまして、川沿いの市街地の再開発と一体的にスーパー堤防をつくろうというものでございまして、昭和六十年から実施しているものでございます。  それから八番目が道路開発資金でございますが、これは道路に関連した民間の事業、例えばそこにございますが、一定の沿道建築物等を利用した高度情報通信システム等の建設などに対しまして、長期かつ低利の資金の貸し付けを行おうというものでございます。  それから、大きな二番が、昭和六十二年度から始めます新しい事業でございまして、これは今年度、特に民活関係のいろんな制度をたくさん創設したものでございます。  まず一番目が、民間都市開発推進機構でございますが、これはさきの国会で成立いたしました民間都市開発の推進に関する特別措置法に基づきまして指定される法人でございます。秋ごろそういうのができることを予定しておりますが、その仕事といたしましては三つあるわけでございます。一つ事業参加業務ということで、地方都市における特定民間都市開発事業、いわゆる民間が行います都市の開発事業の一定のものでございますが、そういうものの施行に要する費用の一部を負担して当該事業に参加するという業務、それからそういう事業施行者に対しまして長期かつ低利の資金の融通を行う資金融通業務、それからそういう事業の基礎的調査の実施に関する助成を行う支援推進業務という三つの業務を行うことを予定しております。初年度の事業費といたしましては、約二百億円余りを考えております。  それから(2)でございますが、都市再開発に関する緊急促進事業ということで、三年間の時限措置として二つの補助制度ができたわけでございます。一つが市街地再開発緊急促進事業ということでございまして、低採算性等の理由で特段の支援を必要とするようなものに対しまして別個に補助を行うというものが一つ、それから二つ目が都市拠点開発緊急促進事業ということでございまして、工場跡地等の未利用地を活用した都市開発プロジェクトで、おおむね一ヘクタール以上の規模を有する一団の土地におきまして公共施設等を一体的に整備するというものに対しまして補助を行おうというものでございます。  それから制は、都市再開発関連公共施設整備促進事業ということで、先ほど住宅宅地の関連公共の促進事業があったわけでございますが、それを都市再開発まで広げましていろんなそういう都市再開発関係事業に関連いたしました公共施設を先行的かつ集中的に整備するということで、普通の予算と別枠の補助を行おうというものでございます、  それから(4)がレインボープロジェクトというものでございますが、地方都市における国鉄跡地等を活用した新拠点市街地の整備などを行おうというものでございます。  それから、いわゆるインテリジェントビルに対しましてその融資制度あるいは出資制度の改善も行っておるわけでございます。  それから六番目が都市居住更新事業でございますが、これは老朽住宅団地あるいは工場跡地等を活用した住宅等を行おうというものでございます。  それから七番目が地方民活関連道路推進事業でございますが、これは地方の民活に関連いたしました道路に対しまして別枠の追加配分の補助を行おうというものでございます。  それから八番目が、複合リゾートカントリー整備事業でございます。これは後ほど国土庁から詳しい説明があろうかと思いますが、さきの国会で総合保養地域整備法というものが六省庁の共管でできたわけでございます。建設省としては、主としてその基盤整備を担当するものでございますが、それに関連いたしまして、調査費あるいは日本開発銀行等による低利融資制度などが創設されております。  それから最後が、スーパー堤防の直轄の河川についてもそういうスーパー堤防を行おうというものでございまして、直轄特定高規格堤防整備事業というものでございます。  それから次は、規制緩和についてでございます。  まず、規制緩和につきましては、建設省基本的な考え方というのをそこに書いてございます。  まず一点は、規制緩和、いわゆる都市計画とか建築基準法等による建築規制ございますが、そういう規制は都市において重複、競合する土地利用を調整し、秩序立てるルールというようなことでございまして、そういう事業活動や経済活動に対する産業、経済的統制と異なりまして、単に自由な民間活動の確保、いわゆる民活というような観点からのみそのあり方を論ずるべきではないと考えるわけでございます。  しかし、そういった規制の見直しというものはできる限り行うべきだということで行っておるわけでございますが、見直しに当たりましては、良好な都市環境の保全、形成や都市の安全性、防災性の確保といった公共的目的を損なわないように配慮することが必要でありまして、規制を緩和することが都市環境や居住水準の改善、向上に資するものでなければならないと考えるわけでございます。  それからもう一つ、そういった見直しは、基本的には社会経済情勢の変化に対応して規制の必要性を的確に見直すということでございますが、一律の規制緩和、規制撤廃措置を行うよりは、個々の優良なプロジェクトに対しまして規制を緩和するという個別優遇措置を講ずることを原則としておるわけでございます。そういうことで、公共目的と経済活動の調和を図りながら民間の事業活動の活性化を図ることとしているということでございます。  こういう考え方に立ちまして規制緩和を行っておるわけでございます。具体的な規制緩和の中身はそこに二枚、三枚非常に細かい資料がついております。  まず一つは、都市計画関係の規制緩和でございまして、いわゆる線引き、それから線引きに伴います開発許可制度の関係でございます。  細かいのがたくさんございますんで主なのだけ御説明いたしますが、まず線引き、いわゆる市街化区域・市街化調整区域の区分の見直しでございますが、その見直しもかなり進んでまいりまして、二つ目の段落のところにございますが、見直し対象都市計画区域、二百八十二ございますが、その二百五十二、約九割で見直しが完了しております。その結果、市街化区域の拡大面積が六万ヘクタール余りに上るわけでございます。  それから、地方都市における線引きの見直しなども行っておりますし、そのほか市街化区域の設定等の要件の改善なども行っております。  それからその次に、いわゆる調整区域内における開発許可の問題でございますが、その問題につきましてもいろいろ見直しを行いまして、規模要件の引き下げというようなことで、二十ヘクタール以上を五ヘクタール以上というようなことで、これは規則をつくってやるわけでございますが、その規則も現在五十の県あるいは政令市で定められております。  それから開発許可の対象拡大いたしまして、昨年の八月、そこに四つばかりございますが、そういうようなことで通達をもちまして開発許可を行う対象を広げております。  それから、宅地開発指導要綱の行き過ぎ是正などもいろいろとやっておるわけでございます。  一番下は、さきの国会で成立したわけでございますが、集落地域整備法でございます。これはいわゆる市街化調整区域内の集落地域におきまして集落地区計画というものを定めますと、その計画に従ったいろいろな開発行為ができるようになるということで、これもある意味で非常に大きな規制緩和じゃないかと思っております。  それから次のページは建築規制関係の規制緩和でございます。  まず用途地域の見直しでございますが、これも十二余りの大都市がございますが、そのうち七都市において見直しが完了しております。一番問題になります東京都区部におきましても現在作業中でございまして、一斉見直しは六十三年度中に完了予定というようなことになっております。横浜市における見直し状況などはそこに書いてございます。  それから、その次の特定街区制度の運用改善、以下三つばかり、いわゆる先ほども基本的な考え方で御説明したわけでございますが、個々の優良プロジェクトに対する規制を緩和する制度でございます。そういう制度の改善を図っておるわけでございます。  特定街区制度というのはいわゆる市街地の整備改善を図る地区を都市計画で決めるわけでございまして、容積率の割り増しというようなものなどが認められるわけでございます。そのいろいろな対象拡大でございますとか、その場合のいろんな運用などもいろいろ改善してございます。非常に細かくなるんで省略いたします。  そこにございますが、具体的な例といたしましては、霞ケ関ビルでございますとか日比谷シティーでございますとか、そういうところで容積率がかなり上がっておるというようなことになっております。  それから最後のページでございますが、高度利用地区制度というのも同じような考え方でございまして、これも容積率の割り増しなどを設けることができるというようなことになっておるわけでございます。  それから総合設計制度、これも同じような考え方でございますが、これは前の二つ都市計画で決める地域地区ということでございましたが、これの方は建築物とその敷地を一体的に個別に審査して容積などの割り増しをしようというような制度でございまして、五十八年にできたわけでございます。この運用につきましてもいろいろとその改善に努めておるわけでございます。  最後に、建築基準法の一部を改正する法律案がさきの国会で成立したわけでございますが、これの中身といたしましても、道路幅員による容積率制限の合理化でございますとか、第一種住居専用地区における高さ制限の合理化などを内容としておるものでございます。以上でございます。
  81. 長田裕二

    会長長田裕二君) 建設省は終わりました。  国土庁星野計画・調整局長
  82. 星野進保

    説明員(星野進保君) 私の方から現在国土審議会で策定をお願いしております第四次全国総合開発計画不況地域と申しますか、地域との関連についてどういう検討をしているかということを説明せよという御命令でございますのでこれから御説明申し上げたいと思います。  資料といたしましては、二枚紙の資料で「不況地域と四全総計画」ということでポイントだけ引用してあるところがございます。ほぼこれに沿いまして御説明させていただきたいと思います。  まず二番目のところ、2という番号がついておりますが、2のところをちょっとごらんいただきますと、「国土庁試案では、国土構造上の問題として東京一極集中と地方圏の停滞について次のように記述している。」という箇所がございます。今度の第四次全国総合開発計画の中で基本的な問題意識としておりますのが東京一極集中ということと、それと裏腹の関係でございます地方圏の停滞ということの問題意識でございます。  ここにポイントだけ抽象的に書いてございますが、「五十年代後半に至り、東京圏への高次都市機能の一極集中と人口の再集中が生じている。」これは先生方御案内のとおり、人口統計で見ますと、昭和五十年から五十五年ぐらいまで大都市圏においても人口の流入というのはほぼ横ばいであったわけでございますが、五十五年以降東京圏だけが人口の流入がまた見られるようになった。それが今日まで依然として続いておるということでございまして、俗に申しますれば、人口につきまして東京圏だけがひとり勝ちしているという状況でございます。それが東京圏への人口の再集中が生じているということでございます。  それからさらにこれも御案内のとおり、東京圏では特に昭和五十年代の後半から国際金融でありますとかあるいは情報機能でありますとか、そういったようないわゆる都市機能が東京圏に急速に集中しております。これは指標的に見ますと、外国企業の事務所でありますとか、あるいは外国人の居住者の数でありますとか、いろんな指標、あるいは金融指標でございますと預貯金の比率でございますとか、そういったようなものを調べてみますと、東京への機能の集中というのがかなり著しく、しかもそれが増加傾向にあるということがうかがえるわけでございます。  したがいまして、この文書にございますように、「この傾向が更に進展すれば、東京圏の居住環境の改善を難しくするばかりでなく、限りある国土資源と人間活動のバランスが崩れ、貴重な国土を良好な状態で将来に引き継ぐことも困難となる。」と。国土政策自体が基本的な目標というのは国土の均衡ある発展ということでございますので、現在の東京一極集中、それで地方が衰退しておるという状況国土政策の点から見ても望ましくない状況でございます。  今度は、他方、地方圏についてはと書いてございますが、「他方、地方圏では急速な産業構造の転換による素材型産業や輸出依存型産業の不振等により雇用問題が深刻化している地域が多く見られる。また、過疎地域での引き続く人口減少ばかりでなく道県単位でも再び人口減少が生じるなど、地域振興の上で大きな課題が現出している。」と。繰り返してございますが、都道府県単位で人口を見てみますと、たしか五十年は東京だけが減少で、ほかの県は増加しておったわけでありますが、最近に至りましてまた県で人口減少が見られる県が出てきたということでございます。特に、ここで地方圏について申しておりますのは、「産業構造の転換による素材型産業や輸出依存型産業の不振等により」ということでございます。  これも先生方御案内のとおりだと思いますが、今度の第四次全国総合開発計画の一等最初につくりました第一全総、第一次全国総合開発計画昭和三十七年につくったわけでございますが、昭和三十七年につくった全国総合開発計画一つの目玉の政策というのが新産都市の形成といったようなことを考えたわけでございます。これは、要するに、開発のおくれた地域に工業基地をつくりまして、その地域の開発の起爆剤にしようということで、大分鶴崎でございますとか、八戸でございますとか、富山高岡でございますとか、大消費地からかなり離れた地域で工業基地をつくりまして、そこの工業基地の集積を活用して地域開発の起爆剤にしようということで開発を進めたわけでございます。  それで、当時の新産都市が期待しました産業構造というのは、鉄鋼のコンビナートでありますとか、石油のコンビナートでありますとか、いわゆる重化学工業型の産業構造であったわけでありますが、最近、特に昭和四十八年のオイルショック後の状況で言いますと、非常に省エネ、省資源型の産業構造に急速に転換いたしまして、こういうエネルギーあるいは資源を多く使う産業というのが総体的に不振になってまいりました。したがいまして、そういう意味では、いわゆる高度成長期に大都市に集中するいわゆる重化学工業を地方へ分散させた。そのことが逆に言いますと、今日そういう重化学工業地帯での雇用問題、そういうものが出てきておるということで、産業構造の転換ということが非常に今日的な問題を投げかけておるということになるかと思います。  この全体のテーマでございます内需拡大と、それからそれの地域的な受けとめ方といいますか、そういう観点から申しますと、恐らく、後ほどまた繰り返し御説明さしていただきますが、日本が黒字で、いわゆる世界経済の中で黒字化して一人勝ちしていることと、それから東京がいろいろな機能が集まって、現在集中で一人勝ちしているといいますか、そういう状況になっているということが、どうも平仄が一致していることだろうということであります、  これは我が国の経済構造あるいは産業構造そのものの状況でありますので、まあ一言で言いますと、従来より製造工業といいますか、あるいは生産をする分野という分野から、いわゆる通常言われておりますソフト化、サービス化といいますか、あるいはさらにもっとはっきり言ってしまえば金融依存型の経済構造にだんだん変わりつつあるということが非常に大きいのではないだろうか。そういう金融依存型の経済構造に変わっているところに、これからの国土政策として、一つの現象的には東京一極集中ということが非常に今起こっておる。それをどうやってまた、まあ一言で言えば科学技術立国型といいますか、そういう科学だとか技術だとか、そういったようなものを基礎にした、将来二十一世紀を見据えたような国土構造にしていくかということが、実は、次の3にあります地域活性化を図る場合の基本的な態度ではないだろうかというふうに考えるわけであります。  それは一言で言いますと、ここもかなりはしょった表現になっておりますが、最初に読まさせていただきますと、  地域における就業の場の確保を図り、その活性化を進めるためには、定住圏の範囲を超えたより広域的な観点からの対応が重要となっている。そのため、高速交通体系等地域づくりのための基礎的条件を整備し、地域の競争力を高めつつ地域相互の分担と連携関係の深化を図る必要がある。これにより、地域が相互に競争し、連捜しあって、活性化を図り、各地域が産業、科学技術、文化、学術、観光等それぞれの特性を発揮して個性豊かな地域へと発展していくことが課題である、ということでありまして、一言で申し上げますれば、各地域で今非常に自発的にいろんな工夫が出てきておりまして、例えば、事例で申し上げますと、東北地方でインテリジェント・コスモス構想というような格好で、大学のネットワークを中心にしながら新しい光ファイバーでありますとか、あるいは半導体でありますとか、あるいは新素材とかいったような新しい科学技術の基礎になるようなことを東北地方の大学がネットワークを組みまして研究開発していくということをまず基礎に置きまして、それをさらに応用をしていくといういろいろな財団が恐らくこれから検討されることになるのだろうと思いますが、財団が検討され、さらにその周辺地域には恐らく、いわゆる企業、そういったようなものが具体的に実用化していくといったような組み合わせになって、各地域で新しい科学技術あるいは産業の芽が生えていくというようなことが現に進みつつあるわけでありまして、そういうある意味でRアンドDといいますか、科学技術的なものをしんにして、これは東北大学の西沢先生の言葉でありますが、我が国が対外摩擦で非難されるのは、かりてきた技術で大量に生産をして、それを輸出するから非難されるのであって、むしろ自主開発でといいますか、創造的技術を開発することによって、それによって海外に貢献するということになれば、海外から貿易摩擦等で非難されるということもそれほど極端にはならないんじゃないかというお言葉もありますが、まさにそうでありまして、各地域でその地域に合ったような新しい科学技術あるいは文化、そういったようなものを開発することによりまして地域活性化すると同時に、国際的にも貢献していくといったような展望を踏まえた地域開発ということをやっていっていただくということがこれからの仕組みではないだろうかということであります。  そのためには、ここにくたくた書いてございますが、地域内――今まで、これは昭和四十四年に第二次全国総合開発計画をつくらさしていただきまして、そのときに交通ネットワークということを一回言ったわけでありますが、確かに交通ネットワークを全国に張りめぐらしまして全国土の開発可能性を高めるということを当時は言ったわけでございますが、その当時のネットワークの進み方が、特に当時主軸ということで、北から南にかけまして特に軸になるところを中心にして整備を進めてきて、諸先輩のお力でそういう整備は進んだわけでございますが、今日になってみますと、北から南に一本すうっと、例えば新幹線でも盛岡から福岡、それから高速自動車道でもむしろ北から南への縦の線の高速自動車道が整備されておるということで、そのことが、放置しておきますと、むしろ東京でありますとかその他の大都市圏への集中の道具になってしまうという危険があるものですから、そういうのをさらにネットワーク化していく、つまり地域内あるいは地域間、そういったところでの高速交通体系の整備というのを早める必要があるだろうということを申し上げております。そういう高速交通体系の整備の上に乗って各地域がそれぞれの風土に根差した形で、最初に申し上げましたような、これからの新しいいろいろな意味での産業の芽、そういうものを培っていただくということによって国土全体が均衡ある発展をしていくのではないだろうかということを考えておるわけであります。  四番目でございますが、ここでは不況地域という御指定がございましたので不況地域のところを特に取り上げでございますが、ここは非常に抽象的でございます、率直に申し上げまして。と申しますのは、私ども、当面の対策というよりは、国土構造全体を変えていくことによってバランスのある地域構造あるいはバランスのある産業構造に対応していこうということが大筋のねらいでございますので、そういう意味では、当面どうするかということについては総体的に記述が非常に希薄であります。ただ、ここで言っておりますのは、読まさせていただきますと、  産業調整の進展、海外直接投資拡大等に伴う一部地域の深刻な活力低下に対処するため、構造的不況に陥っている造船、鉄鋼、非鉄金属をはじめ特定産業への過度の依存により地域経済の停滞が認められる地域及び今後停滞の生じるおそれのある地域については、人材、技術力等の駆集積を有効に活用し、先端技術産業等の誘致・育成を図る。また、地域における技術力の向上、人的能力の開発を図りつつ、新たな雇用機会の創出につながる新産業分野の開拓を進める。更に、状況に応じ、観光レクレーション開発、海洋開発等新しい視点からの地域づくりを積極的に推進する、ということでございまして、基本的には第三次全国総合開発計画、これは昭和五十二年でございますが、五十二年に定住圏構想という構想を出させていただきました。  定住圏構想というのは、恐らく六、七町村ぐらい――市町村でございましょうか、ぐらいが一つの固まりで、その地域内でいわゆる当時資源制約、環境制約等がありましたので、資源制約あるいは環境制約、もっと具体的に言いますと、その中で活動することと、それを受け入れてくれる環境容量といいますか、そういうものがうまくバランスするような地域づくりをしていくということで、自給自足経済ではないんですが、極力定住圏という一つの、人口の数で言いますと三、四十万人ぐらいでございましょうか、そういう地域で就業の機会もあれば生活の一応の施設もあるといったような地域づくりをしていこうじゃないかということを申し上げたわけでありますが、今日、産業構造の転換が大変大きいために、定住圏の中でそれを直ちに受けとめていくということは、不況地域を受けとめていくということはなかなか困難な分野が出てきております。したがいまして、もう少し広域的な観点から、不況地域について対応を重ねていこうということがこの中にも幾つか見られるというふうに考えておるわけであります。したがいまして、それだけに定住と交流ということを今度申し上げておるわけでありますが、定住圏をベースにしながら、基礎にしながら、さらにそういう就業問題等についてもう少し広域的に対応していくといったようなことが必要ではないだろうか、そのことがまた新しい地域づくりになっていくんじゃないかというようなことを述べておるわけであります。  最初の御説明として以上で終わらさしていただきます。
  83. 田村嘉朗

    説明員(田村嘉朗君) お手元に「大都市の地価動向と対策」という資料がお配りしてあると思いますが、これによって御説明を申し上げます、  まず最初のページには「昭和六十二年地価公示、地域別・用途別対前年変動率」という表がございます。この一番右の欄をごらんいただきますと、全用途平均が出ておりますが、東京圏の六十二年の対前年変動率は二三・八%ということで、非常に高い数字を示しております。大阪は四・六、名古屋が二・四、三大圏平均で一五・〇ということでございます。ところが地方の方は、下から二番目でございますが、一・五%ということで、しかも六十一年が一・八%であったわけですが、それよりも変動率が下がっていると、こういう状況でございます。全国的には七・七%ということでございますけれども、いかに東京圏が突出しているかということがおわかりいただけると思います。  これをもうちょっと長い時系列で見てみますと、二枚目に参りますが、四十六年以降の住宅地と商業地で変動率の推移を示しておりますけれども、四十八、九年には相当高い変動率を示したわけでございます。その後、五十五、五十六年にやや高い変動率、そして今度の六十二年ということでございますが、この四十八、九年、あるいは五十五、六年ごろは全国的にこの地価が上昇したわけでございますし、また住宅地が中心であったわけであります。しかし、この六十二年の状況を見てみますと、東京中心ということでございますし、また商業地が先頭を切っていると、こういうことで、一ページ目の表でも用途別で示しておりますけれども、商業地が非常に高くなっておると、こういう状況でございます。  それから三ページ目は、「東京都の各区部における商業地・住宅地の対前年変動率」を示しておりますが、細かい数字でございますので説明は省略さしていただきますけれども、この商業地について見ましても、都心部、それから割合区部の南西部の方が高い変動率を示しておりまして、北東部の方はやや低いわけですが、六十一年は非常に低かったのが六十二年には相当高い変動率になってきたと、かなり区部全域に広がってきているという状況でございます。住宅地についても同様の傾向でございまして、特に住宅地、一番右の六十二年の数字をごらんいただきますと、七つの区で一〇〇%を超える数字を示しているわけでございます、  四枚目に、地方の方はどうなっているかということで数字を示しておりますが、「主要都市の商業地の対前年変動率」の推移をごらんいただきますと、一番右に六十二年の数字がございますが、地方の大都市でもう相当高い変動率を示しております。特に一番右の最高変動率、これは一番高い変動率を示した地点の数字でございますが、例えば札幌でも六八・九%上がったところがあるというふうなことでございまして、それぞれ相当の変動率を示しておりますが、これらは都心部のかなり限定的な地域においてこういった最高変動率、あるいはそれに準ずる変動率が示されているわけでございまして、その周辺になりますと、かなり安定しているところが多いというふうに思います。  以上が地価の動向でございますが、次に対策としてどういうものを実施しているかという御説明に入らせていただきますが、五枚目が、地価対策関係閣僚会議が、この三月に第三回目が開かれたわけでございますが、ここでまとめられたものをここに掲げております。  地価対策といたしましては、中長期的な課題を含めまして総合的に検討しているわけでございますけれども、特に緊急に実施しようとする対策、それをここにまとめております。  まず「土地取引の適正化」でございます。  「土地取引動向、地価動向の監視の強化」ということで、実は昨年の一月から土地取引の実態を詳細に東京都心部等において調査しておりますが、こういった調査地域拡大するということがまず第一点でございます。  それから一部業者の投機的取引というふうなものも目立っておりますので、業者に対する「土地取得の状況、目的等についての調査を実施する」ということも含めております。  それから(2)にございます「地価動向の監視の強化等」でございますが、「地価公示、地価調査調査地点」を拡充するということにしております、  それから二の「土地取引規制の強化等」でございます。これは「国土利用計画法を改正」して「土地取引規制の強化等を行う。」ということでございまして、この内容は、知事は、地価が急激に上昇し、あるいは上昇するおそれがあるというような地域につきまして、五年以内の期間を定めて、監視区域として指定することができるようにするということがそのまず第一の内容でござい‘ます。  二番目に、知事は、監視区域を指定する場合には、その区域で土地に関する権利の移転等の届け出を要する面積の限度を引き下げるようにすると。現在、市街化区域におきましては二千平米以上の土地取引について届け出が義務づけられているわけでございますけれども、この監視区域が指定された場合には、それより小規模の取引につきましても届け出を要することができるようになるということでございます。  それから三番目が、監視区域を指定した場合には、地価動向等に関する調査を行うということと、また今申し上げました届け出をした者以外についても土地売買等の契約についての報告をさせることができるというふうになっております。  それから、国等は、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、適正な地価の形成が図られるように配慮するという規定を設ける。こういう国土利用計画法を改正する案について了解が得られたわけでございますが、これはその後法案を国会に提出いたしまして、さきの国会で成立、公布をされておるところでございます。  その次が「投機的土地取引抑制に関する土地税制の改善」でございます。これは六十二年の四月一日から三年間の措置として、その年一月一日におきまして所有期間が二年以下である土地等の譲渡を行った場合には、譲渡益について重課する措置を講ずるということで、これも税法改正案として国会に提出されたわけでございますけれども、まだ成立を見ておりません、  それから、四番目が「土地関連融資の適正化」でございます。著しく適正を欠く価格による取引、それから投機的取引、こういったものに対する金融機関の融資の抑制をする必要があるということで、従来三回ほど大蔵省銀行局から関係機関に対して通達を出しているわけでございますけれども、この内容の浸透を図っていくということ、さらにまた、関係省庁間で一層の情報交換を図っていくということでございます。  それから、最後に「第二」と書いてございますが、国有地、国鉄清算事業団所有地等の処分に当たって連絡、情報交換を密にする、こういうことが取り決められたわけでございますが、ここに書いてございませんが、そのほかに地価対策閣僚会議で申し合わせあるいは確認されたことをちょっと補足して説明申し上げますと、まず国有地につきましては、地価高騰地域では一般競争入札による払い下げは厳に抑制するということでございます。それから、国鉄清算事業団用地、これにつきましては、払い下げる場合には地域の土地利用計画を十分配慮するということ、そして地方公共団体との連絡体制を密にして、その意向を聴取していくということが第一点でございます、それから二番目に、入札をする場合には転売規制等の厳しい条件をつけていくということ。それから三番目には、一般競争入札以外に、信託、借地等の地価が顕在化しないような処分方法の導入も検討する。こういったことを方針としていくということが閣僚会議で申し合わせあるいは確認がされたところでございます。  次の七ページでございますが、これは今申し上げました国土利用計画法改正の概要を絵にしたものでございまして、点線で囲まれた部分がこの改正法によって新たにつけ加えられた部分でございます。  なお、この国土利用計画法は先ごろ公布されたわけでございますけれども、八月の初めに施行になる、施行されるという予定で準備を進めております。  東京都におきましては、現在条例でその小口取引の規制をしているわけでございますけれども、現在二十三区それから武蔵野、三鷹の両市におきましてこの条例を施行しておりますけれども、七月にはさらに東京都か十一市を追加するということ、それから二十三区と武蔵野、三鷹におきましては、現在五百平米以上の土地取引の届け出を義務づけることになっておりますが、三百平米以上にするということを検討しておりまして、そういうことになると思いますが、さらにこの国土利用計画法が施行になりますと、条例から監視区域の制度に移行するということになると思います。そのほか神奈川県あるいは横浜市、川崎市等におきましても、この国土利用計画法改正後の監視区域の適用について検討をしているところでございます。  それから、国等が、契約を締結しようとする場合に、適正な地価の形成が図られるように配慮するという規定が入ったわけでございますけれども、実際どういうことをやるのかということにつきましては、先ほども申し上げました地価対策閣僚会議での申し合わせあるいは確認された方針に基づきまして具体的な措置を現在講じつつあるところでございます。  それから最後が税制内容でございます。  ごくポイントだけ申し上げますと、土地譲渡益課税につきまして、個人の場合は事業所得・雑所得につきまして左の方に区切ったところがございますが、二年以内の超短期の土地譲渡による事業所得・雑所得につきまして「次のいずれか多い額」と真ん中辺に書いてございますが、改正案のところでございます、五〇%の比例課税あるいは総合課税の一二〇%のいずれか多い額にするということ。それから法人につきましては、一番下の左でございますが、通常の法人税とは別に税率三〇%で課税する、こういう内容でございます。  なお、これとあわせまして、超短期の区分が今十年ということになっておりますが、これを五年にするということもあわせて土地譲渡益課税の税制改正の中に含まれているわけでございます。  簡単でございますが、以上、地価対策の内容を御説明いたしました。
  84. 松井司

    説明員(松井司君) お手元に四枚ほどのつづりの資料がございますが、「関西文化学術研究都市建設の推進」と書いてある資料でございます。民間活力事業関係推進について大都市関係の御説明を申し上げます。  この関西文化学術研究都市、本件は先般の国会で議員立法で建設促進法案が提案されまして、五月二十二日に衆議院、二十七日に参議院で可決されたものでございます。  本件の都市を建設する意義は、ここに書いてありますように、近畿圏におきますこれまでの長い間培われてきました文化学術研究機能、こういう蓄積されたものを生かしまして、歴史や文化や自然環境に非常に恵まれています京阪奈丘陵地域に基礎的あるいは創造的あるいは国際的あるいは業際的というような研究機能の拠点を建設しようというものでございまして、これは我が国の科学技術の振興と申しますか、あるいは人類の発展というものに大きく貢献するというふうに意義を考えておりまして、場所でございますが、大阪と京都の中心から大体三十キロのところにあります木津川左岸の京阪奈丘陵地域でございます。地図がなくてまことに申しわけございませんが、そういう地域でございまして、規模としましては大体一万六千ヘクタールほどでございます。その中で文化学術研究地区というのを十一カ所ぐらいに分散してつくり出す、クラスターと言っておりまして、ブドウの房という言い方をしておりますが、集中するんじゃなくて分散した形でこういう学術研究都市を建設していこうということでございます。  建設の目標はここに四つほど書いておりますように、いわゆる研究施設整備、それからそういう研究成果を生かしました産業を育成するというのが二点目でございます。また、都市機能とか居住環境の整備あるいは広域交通施設情報通信基盤整備、こういうものをやって建設していこうというのが目標でございます。  それから、この建設の基本的な考え方でございますが、産官学の協力を基本としておりますが、主として民間活力を最大限に活用しようという趣旨でございます。それから、土地の造成は住・都公団と民間開発事業者が行うことになっております。それから、上に建ちますいろいろな施設、これは主として民間企業が行うということになっております。それから、関連公共施設等については国が所要の協力を行う、こういう方針で進めておるわけでございます。  進捗状況でございますが、そもそもこの関西学研都市構想というのはほぼ十年ぐらい前からいろいろ構想がございまして、いろいろな調査、研究が進み、地元からもいろいろな構想が出まして、国レベルでは六十年の九月に関係省庁連絡調整会議というものが発足しまして、基本方針を定めております。以下、地元でも推進協議会あるいは推進機構というものが相次いででき上がりまして、体制が整っているという現状でございます。  二枚目の方に行っていただきたいと思います。  それから、基盤整備関係の進捗状況でございますが、京都府域では最近線引き等の見直しが行われておりますし、それから田辺地区、田原地区というところでございますが、現在これは整備中でございます。それから、精華・西木津地区というところでございますが、ここでは住・都公団が土地区画整理事業に着手しておりますし、昨年の十月には民間開発事業者も宅地造成事業を進めていると。それから、京奈バイパスとか木津川流域下水道等いろんな基盤整備も次第に着手して進んでいる状態でございます。  それから、どういうものが現時点で立地しているかと申し上げますと、国際高等研究所というのが地元の経済界によって設立されておりますが、これも現在立地準備中でございますし、国際電気通信基礎技術研究所がございますが、これは昨年の三月に設立されまして、一部土地も取得いたしまして、ことしの夏から建設が始まろうとしております。あと大学等も整備されているものもございます。それから、ことしの四月に研究用地の募集を行いました。民間企業が、松下電器とかいうのがございますが、応募しております。こういうふうに、着々設備もでき上がり、動き出しているという状態でございます。  これに対する推進施策といたしましては、先ほど申し上げましたように、建設促進法が先般可決、成立いたしまして、国家プロジェクトとして位置づけられていよいよ準備に入っているという状態でございます。それから、そういう研究都市におきます研究交流、共同研究等を行います施設あるいは民間研究機関の施設に対しまして課税の特例措置を実施することにしております。また、こういう研究施設に対します日本開発銀行の出融資というのも新たに設けておりまして、助成措置も整っている次第でございます。今後、こういう体制、法律ができ上がりまして民間活力の利用が一層推進されると期待しておるものでございます。これが関西学研でございます。  次に、三ページに「東京臨海部の再開発等について」というのがございます。御案内のように、首都圏というのは、国際化あるいは情報化が進むに従いましていろんな要請が出てきております。東京臨海部の再開発という意味では、非常に総合的に開発していかなければならないわけでございますが、総合的に開発するための基本的な方針と申しますか、こういうものを定める必要がございますので、現在関係省庁、ここに書いてあるような省庁と東京都から成ります推進協議会というものを設けまして、地域開発基本方針だとか、あるいは基幹施設整備あるいはその負担をどうするかというふうなことについて現在検討をしているところでございます。  それから、東京駅周辺地区の再開発につきましては、これもやはり都心地区の再開発の基本的な方向づけをするために、関係いたします関係省庁、国土庁、運輸省、建設省、それから東京都あるいは清算事業団あるいは東日本、東海旅客鉄道、こういう関係者の集まりで連絡会議をことし四月に設けまして、その再開発の方向を今検討中でございますが、今後は学識経験者等を入れました調査委員会というものを早く設置いたしまして、調査を開始したいと。で、調査結果を踏まえまして、今後の再開発の基本的な方向を考えたいということになっております。  それから、最後の四ページでございますが、「民間活力を活用した核都市拠点整備推進」というのがございます。  御案内のように、東京都市圏、特に東京都心部に一極集中しておるわけでございますが、一極構造をできるだけ是正して均衡ある発展を図らないといかぬというようなことで、首都圏整備計画等には業務核都市というものを位置づけまして、そういう業務核都市にいろいろな機能を持っていって、分散させて、均衡ある首都圏の整備を図ろうということがうたわれておりますが、その業務核都市推進していくために、業務核都市の中にございます中核的施設、これに対しまして日本開発銀行の出融資制度を設けているところでございます。対象地域は先ほど申し上げました業務核都市でございます。  ちなみにちょっと申し上げますと、業務核都市と位置づけられているところは八王子、立川、それから浦和、大宮、それから千葉、それから横浜、川崎、それから土浦、筑波研究学園都市、この辺を業務核都市としておりますが、そういうところを対象にしております。そういうところに対して先ほど申し上げましたような日本開発銀行融資あるいは出資の制度を設けているところでございます。  最近におきましての事例といたしまして、最後のところに書いてございますが、例の幕張メッセ、これは、株式会社日本コンベンションセンターに対しまして六十一年四月に日本開発銀行が出資を行っております。それから、ことしの五月に株式会社横浜国際平和会議場に対しまして出資を行っておるところでございます。  以上が大都市関係の民間活力推進事業関係のものでございます。
  85. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 民間活力の活用を通じての地方開発を促進するためのリゾート地域整備について御説明申し上げます。  まず、一ページでございますが、リゾート開発の必要性の背景といいますか、総合保養地域整備法、これは一昨日公布、施行になったものでございますが、その法律のねらいとも言うべきものを最初に書いてございます。大きく言って三つございます。第一は、国民の余暇増大への対応という課題といいますか、背景でございます。二つ目は、第三次産業を中心とした新たな地域振興の必要性ということでございます。三つ目は、内需主導型経済構造への転換。こういうことでございまして、それらの社会的、経済的環境の変化に対応してリゾート地域整備するということでございます。  二番目は、総合保養地域の性格なり機能でございますが、その主な点だけを申し上げますと、第一に、良好な自然条件等を備えた相当規模地域、おおむね十五万ヘクタールつまり千五百平方キロ程度以下を想定しております。千五百平方キロと申しますと、東京二十三区の二倍半ぐらいのかなり広い面積でございまして、車でおおむね一時間で行動できる圏域というような考え方をしております。  (2)でありますが、スポーツ、レクリエーション、教養文化活動等の多様な活動を行うことができる重点整備地区、おおむね三千ヘクタール程度以下を想定しておりますが、そういう重点整備地区が一つのリゾート地域の中に数カ所程度存在するということを考えております。重点整備地区三千ヘクタールといいますと三十平方キロですから、五キロ掛ける六キロというような広がりになると思います。  それから(4)でございますが、ここが一番重要な点でございますが、民間事業者によりスポーツまたはレクリエーション施設、教養文化施設、休養施設、集会施設、宿泊施設、交通施設、販売施設等施設が相当程度整備されることが確実と見込まれる地域であるということを要件として考えております。  (5)として、そういうリゾート地域整備とあわせて、既存の地域資源を活用した新しい産業を育成する、振興するというようなことを通じて地域全体の振興を図っていくという、そのための拠点となり得ることというようなことを考えております。  二ページでございますが、「総合保養地域整備の進め方」なりその考え方でございますが、これは、三ページの図の方をごらんいただければと存じます。  ここにフローが書いてございますが、最初に右の方に括弧で「主務大臣」と書いてあります。関係六省庁でありますが、政府としての基本方針を策定いたします。その際には関係行政機関、主務省庁以外の関係行政機関の長と協議して定めるということになっております。それを都道府県に示しまして、都道府県がそれに従って基本構想を作成する、その中でリゾート地域の設定も行うということになっております。その際には、当然のことながら関係地元市町村と協議するということでございます。それができますと、主務大臣に対して基本構想の承認申請が出てまいります。主務大臣関係行政機関の長と協議して、内容のいいものについては承認を与えるということになります。  事業の実施でございますが、民間事業者の活力と創意工夫を最大限に活用しながら国、自治体等の行政がそれを支援するというようなやり方を考えております。  具体的に行政がどういうような施策を講ずるかということについては、四ページをごらんいただきたいと存じます。  まず(1)、課税の特例でございますが、一定の民間のリゾート施設に対して特例措置が幾つか講じられます。国税においては、法人税の特別償却が通常の償却に加えて上乗せで初年度百分の十三認められます。そのほか、地方税では特別土地保有税の非課税とか事業所税の減税が行われます。  それから(2)でございますが、地方税の不均一課税に伴う措置であります。  地方団体が一定の民間のリゾート施設に対して不動産取得税や固定資産税を軽減、不均一課税、つまり軽減を行った場合には当然減収を生じますから、その減収額の一定部分については地方交付税で補てんするという措置を講じます。  三番目は資金の確保でございまして、そこに書いてございます開銀、北東公庫等の低利融資が行われます。  四番目は地方債の特例措置でございまして、地方団体が民間事業者に対して出資をしていわゆる第三セクターをつくる場合、あるいは民間事業者の行うリゾート関連施設の建設に対して補肋を行うというような場合に、その出資なり補助に要する経費を地方債の対象経費として新しく認めることになっております。  それから(5)は、公共施設整備、いわゆるインフラの整備でございますが、それを促進すると。  (6)は国等の援助でございまして、助言、指導その他の援助を行うということでございます。  (7)から(9)までは、いわゆる行政手続についての配慮でございまして、農地法等による処分についての配慮、あるいは国有林野の活用についての配慮、さらに港湾に係る水域の利用についての配慮でございます。  五ページは、リゾート地域イメージをポンチ絵風に描いたものでございまして、省略いたします。  以上申し上げましたようなリゾート開発が、地域によっては小規模ながら既に行われておりまして、そのケーススタディーと申しますか、具体例を二つばかりここでは掲げております。一つは岩手県の安比高原スキー場でございまして、これは第三セクターである安比総合開発株式会社によって行われております。もう一つは北海道の占冠村のアルファリゾート・トマムでございます。  まず、安比高原スキー場の営業成績でございますが、左上の方に折れ線グラフと棒グラフがございます。折れ線の方は五十六年度から六十年度にかけての売上高の推移でございまして、二億四千四百万円であったものが六十年度は十四億を超えるぐらいになっております。その間五・八倍にふえております。また、入り込み客の数は、十二万二千人であったものが六十年度には五十二万七千人と四・三倍にふえていると、こういうような資料でございます。  それから右の方にはその経済波及効果として町村税とか従業員給与とか宿泊代とか、その他の設備投資等も含めて地元に落ちたお金がどのくらいであるかということを五十五年度から六十年度にかけて時系列的に調べたものでございます。  それから下は事業進捗状況でございまして、ごらんのようにスキー場、その他宿泊施設等が物によっては当初計画をかなり上回って投資が行われているわけでございます。一番下の入場者の見通しでも、当初の計画では五年後三十万八千人と見込んでおりましたところが、実際には五十二万七千人とそれを七一%ばかり上回っているという状況になっております。  めくっていただきまして、安比総合開発株式会社の地元雇用状況等でございますが、五十六年度から六十年度にかけて地元の二つの町村においてどのように雇用が進んでいるかという状況でございまして、六十年度には地元で百六十人雇用されております。またその半面出稼ぎ者の数が五年前、五年後と比べて、ごらんのように減少しているという資料でございます。  次は、アルファリゾート・トマム、北海道占冠村の状況でございますが、事業主体はホテルアルファ・サッポロという株式会社でございまして、事業内容については五十七年から六十三年までごらんのようにホテルコンドミニアム、スキー場、テニスコート、ゴルフ場その他文化施設等も含めてごらんのようなものが実施され、また、計画されております。今日までの事業費は、六十二年度予定まで含めておりますが、二百五十億円地元に投資するということでございますが、将来は一千億円に持っていきたいと。収容人員も約三千八百人というのを将来は一万人を目指してリゾート都市の形成を目指すということを地元では構想を立てております。面積は千ヘクタールということでございますので、先ほどの安比高原と同じようにこれはリゾート地域の中の一つの重点整備地区程度の広がりになろうかというふうに思います。効果でございますが、占冠村の人口の推移を見ますと、五十五年は千六百一人でありました典型的な過疎地域であったんですが、六十年には二千九十七人ということで、増加率は三一%で、全国の過疎市町村で最も高い人口増加率を示しております。雇用人員の増、村税収入の増等についてはそこに掲げられているとおりでございまして、その他、地場産業の振興、住民意識の高揚等経済的の効果のほかに非経済的な効果等も期待されております。  最後の二枚の紙は、それぞれの地域の地図でございまして、ごらんのとおりでございます。  以上で説明を終わらしていただきます。
  86. 長田裕二

    会長長田裕二君) 以上で建設省及び国土庁からの説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります、  質疑のある方は順次御発言を願います。
  87. 山本正和

    ○山本正和君 大変膨大な内容につきましての御説明をいただきまして、私どもなりにもこれは大変な事業だと、また国民に多くの夢を与えるということは感じているんですけれども、きょうは質問時間二十五分ということでございますから、詳しい内容基本的な問題についてはちょっとお伺いする時間がないんじゃないかと思っています。ただ、恐らく建設省あるいは国土庁を含めて、これからの日本内需喚起問題といいますか、緊急対策等の問題も含めて、これが我が国の政治のあり方と根本にかかわっていく、そういう中での重要なメンバーとしてそれぞれ建設省国土庁、特に両省庁はこれは大変重要な役割を果たされると、こういうふうなことを思いますので、ちょっと私初めに感想を述べておきたいんですけれども、要するに日本の国民の生活の質を変える、こういうことを国策として取り組んでいかなきゃいけない、その観点からもっと見直しをする――随分その内容が出ていますけれども、特に実は四全総、初め中間報告を私斜め読みですけれども読んだときに何かちょっとこれはと思ったんですが、大分変更されて出されています。だけれども、やっぱりまだ国民の中にある気持ちは、結局戦争に負けて本当に貧しい国になった、それから一生懸命に働いてお金もうけをしてきた、そして企業に活力を与えるために大変な競争をさせていった。これはもう昭和三十年代から四十年代にかけての産業構造の転換、繊維産業を中心に大変な構造転換。ですからその中で日本の勤労者たちもいろんな犠牲を強いられながら今日まで日本を繁栄させるために頑張ってきていると、こういう経過がありますけれども、依然として我々日本人の中にあるのは、働くことが美徳である、働いてお金をもうけるのが何が悪いんだと、これがもう根底にあるわけですね。ですから、働くことは悪いことではないけれども、この狭い地球社会の中でどうやって人間として地球の上に住んでいるすべての人たちあるいは生物も含めて生きていくのかということを日本人が今から見直さなきゃいけない。そこに実は今、日本の国民が迫られているというふうに私は思うんです。  そういう意味からいいますと、建設省がここで指摘されてあります我が国の社会資本の貧困さ、これはやっぱり国民全体が政治の中で直していかなきゃいけない、その役割を持っておられるお二つの省庁だというふうに思うんですけれども、とにかくそんなことでひとつ国民の生活の質を変えていく、国民の物の考え方をこれからもっと変えていくというふうなことまで絡んだ政策なんだという観点から、随分そういう内容がございますけれども、ひとつその辺につきましても十分な御検討を今後ともお願いしたい。まずこれは最初に感想として申し上げておきます。  そこで、建設省の方からまずお伺いするんですが、実はちょっとこれ、さっきの数字を見せていただきまして、この建設省の、いただきました「内需拡大策と公共事業」の問題、五ページに、昭和六十年から七十五年度までに要する累計施設投資規模というのがございます。これ三百四十一兆ということですね。この三百四十一兆という、これは住宅は含まれておりませんから、道路から下水道、公園、治水海岸となっていますね。この三百四十一兆というお金は、これは地方自治体と国との割合はどういうふうな状況なのか。また、この計画された七十五年度までの計画の中で、要するに、これはこんなこと言ったらおかしいのですけれども、国民の懐に入っていかない、一部の人の懐にしか入っていかないお金と言われているのが用地費ですね、地主さんのところに行くだけですから。ところが、建設費とかなんとかいろんなものはどんどんお金が流れますから、いろいろ景気に対策はいきますけれども、地主さんに払う土地代というのは、これはまだその方が商売されたら別ですけれども、ありますから、そういう意味でいったら、これ要するに三百四十一兆のうちそういう地主さんに払われる金、用地費は一体どれくらいの金になるのか、実際にどんどん産業活動として展開する部分どお金が動かない部分と私はあると思うんですけれども、それはどんなことになるのですか。  ちょっと初めに、まず地方自治体が三百四十一兆の中で大ざっぱにどれぐらいを占めるのか、それからこの三百四十一兆の中でそういう動かない資本といますか――と言一たらしかられますけれども、これは語弊ありますが、その部分はどの程度なのか、ちょっとそれを教えてもらえませんか、まず。大ざっぱで結構ですから。
  88. 高橋進

    説明員高橋進君) 厳密に積算しておりませんが、大ざっぱに言いまして、国の部分が半分、平均的に見まして五五%ということでございます。  それから用地費につきましては、ここの積算では一応・一五%程度というふうに見込んでおります。
  89. 山本正和

    ○山本正和君 それから、その次に、これもちょっと細かいことですが、「社会資本整備の必要性」ということで三ページに説明がございますね。ここに下水道、都市公園以下ずっと住宅に至るまでの国際比較が出ています。これで、大変貧しいなという感じがするんですが、ところが、これでも実は我が国の中での格差が、都道府県の違いによる格差が、あるいは都市部と非都市部の間の格差が随分あると思うんですが、ちょっとそれでよく議論するのに、いわゆる都市的現象といいましょうか、大体都会だと言えるのは、最低、人口二十万のところである、二十万人おれは夜の町へ飲みに行っても余り顔を合わせない、それ以下だったら夜の町へうっかり飲みに行くとみんな顔を合わせるというくらいの話がありますが、そういう意味で二十万以下の都市、市町村も含めてですけれども、その場合、この水準は一体どれくらいか。これも大ざっぱな数字でいいんですけれども、我が国の、これ例えば下水道三六%といいますが、これは大都市あたりはほとんど一〇〇%だと思いますが、そういう意味で、一体小都市以下はどの程度なのかというのはちょっと大ざっぱな数字ありませんですか。
  90. 高橋進

    説明員高橋進君) 実は全施設について今手元にございませんが、下水道の状況について申し上げますと、やはり人口規模の多い方が多うございます。指定市が八〇%、五十万から百万大規模では五二%というように比較的普及率は高こうございます。五万から十万大規模になりますと二四%、五万人未満の都市では、これは全国では三六%占めるわけでございますが、普及率では五%というように低くなっております。  なお、ちょっと今手元に公園等の他のものにつきましてはございません。それぞれの施設、ほかの施設につきましては必ずしも小都市の方が水準が低いとは言えないと思います、
  91. 山本正和

    ○山本正和君 どうもありがとうございました。  そこで、今度はまたちょっと大きな話になるんですが、先ほど示された三百四十一兆ですね、これを仮に七十五年度まで。に完全に投資し終わって、事業を終えたとした場合、ヨーロッパやアメリカの水準でいくとどの辺までいくのか、ちょっと教えていただけませんか。
  92. 高橋進

    説明員高橋進君) それぞれの施設によって違うわけでございますが、おおむね、物によっていろいろでございますが、例えば下水道の七〇%というのは欧米の都市の八、九割程度というところになろうかと思います。都市公園の十平方メートルというのは、まだやはり欧米並みとはいきませんで、七、八割というところかと思います。これは公園の数え方にもよるものですからなかなか厳密に申し上げられませんが、しかし、全般的にいいますと欧米の水準に相当近くなるという様相もあろうかと思います。
  93. 山本正和

    ○山本正和君 それで、ちょっと今、こういう大ざっぱな数字をお聞きしたのはなぜかといいますと、国民の間にこういうことについての関心をもっと広めていただくと。それぞれ白書等も、あるいはいろんな資料等も建設省からお出しになっておりますけれども、割合に一般のところまでは読まれない、関心を持っておる者は一生懸命になって読みますけれども。ですから、もっと国民に、我が国の国土をもっと立派にしましょうというふうな、宣伝といったらしかられますけれども、そういうものを建設省としてはお考えかどうか、その辺はいかがでございますか。
  94. 高橋進

    説明員高橋進君) 私ども、それなりに努めておるつもりでございますが、一つには地方公共団体を通じての広報ということもございますし、それから一般のマスコミに対するPRということにも努めておるところでございますが、まだ必ずしも十分でない面があろうかと思います。今後とも努力したいと思います。
  95. 山本正和

    ○山本正和君 それから、緊急対策として、今から恐らく事業等の決定をおやりになるのかと思うんですが、特に、この前の閣僚会議でお決めになった線でも、用地費等を必要としないところに重点的に配分する、取り組む、こういうふうなお話でございましたけれども、そういう意味で、今お考えになっているのは、例えば、恐らく下水道あたりは要らないだろうと思うんですが、あるいはもう買収済みの用地、道路でも買収済みのところがありますわね、そういうところから重点的におやりになるのかどうか。その辺の構想といいましょうか、これはもちろん今からお決めになることでしょうから、こうですということはおっしゃりにくいかもしれませんけれども、こういう格好で取り組んでいきたいというふうなことをちょっとお伺いしておきたいんです。
  96. 高橋進

    説明員高橋進君) 基本的に、買収済みの用地でまだ工事に着手していないもの、こういったものはできるだけ活用してまいりたいと思っております。ただ、用地のストックそのものは最近、以前に比べて大分少なくなっておる面もございます、  一方、建設省所管の公共施設というのは、基本的にやはり用地が必要な面がございまして、計画的に、ある程度中期的に着実に行っていくためには、やっぱり必要な用地というものは確保しつつ事業を行わなきゃならぬというふうに一方で考えておるところでございます。
  97. 山本正和

    ○山本正和君 ひとつ、それとあわせて下水道、これもぜひ重点的にお取り組み願いたいと思うんです。  これはちょっと余談ですけれども、私の県で、随分長い間、用地は取得していたんだけれども全然手のつけていない国道がありますので、これはひとつお調べの上善処をお願いしたい、こう申しておきます。  建設省、どうもありがどうございました。  国土庁の方にちょっとお伺いしたいのです。  実は、最初に不況地域と四全総計画ということで大変丁寧な御説明をいただきまして、その背景のもとにさまざまな問題が出されておるわけでありますが、ちょっと私、きょうは時間が余りありませんので、総合保養地域整備法の関係で少しお尋ねしておきたいのです。  まず、総合保養地域整備法を進められるに当たりましてちょっと日程をお伺いしたいのですが、最初に地域指定されて、そしてそれの開発が始まる時期は大体いつごろというふうにお考えなのか。どうでしょうか。
  98. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 一昨日、法律が公布、施行されたばかりでございます。  当面の日程としては、まず基本方針を政府として定めなければなりません。関係省庁で協議して、できるだけ早くそれをつくって都道府県に示したいと考えております。都道府県では、それを見た上で関係市町村、それから関係地元住民、さらにはそこへ進出している企業もしくは進出予定民間事業者等とも十分協議して、実現可能性の高い、熟度の高い基本構想をつくっていただくということになります。  それについては、文章にした単なる計画でなくて、具体性を持った実現可能性の高い構想にしていただく必要がありますものですから、十分な時間をかけてつくっていただくということを考えておりまして、したがって、具体的に国の方で地域指定をするわけではございませんので、自治体から熟度の高いものがいつ出てくるかということを、私どもは、これから基本方針を示した後でそれを待ちたいということでございます。
  99. 山本正和

    ○山本正和君 実は、この構想が出ましたのは昨年の段階でございますから、特に今の産業がどんどん外国に関連産業が出ていくというふうな状況の中で非常に関心が高いわけですね、各地方とも。ですから、相当数の県が、あるいは地方がこれについては国土庁の方へいろんな御指導を受けに行っているのじゃないかと、こう思うのです。  私も、実はこれ、決算委員会でも御質問をさせていただいて、いろいろなこともお尋ねしたのですけれども、この三ページで言う「基本方針の策定」、これが大体いつごろになったらできるのか、そして地方が、都道府県が関係市町村と協議をして基本構想の作成するのを大体いつごろまでにするのか、そういうことまでの議論はまだ全然進んでいないということですか、今のお話では。
  100. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 当面、基本構想をまずつくらなければなりませんので、それについては関係省庁と協議してできるだけ早くつくりたいと思っておりますが、それにはやはり三カ月ないし四カ月ぐらいかかるんではないかというふうに思います。その後、それを見て各関係都道府県が基本構想をつくるわけでございますけれども、やはり進出する企業がそこでどういう施設をどの程度の規模でつくったら採算がとれるかという、いわゆる企業採算制調査みたいなものも必要でございますので、それにも若干の時間がかかるであろう。  一方において、企業側でそういうフィージビリティースタディーみたいなものをやりながら、同時に県の方でも、一つの新しい地域づくりでございますから、地域づくりのグラウンドデザインを関係地元市町村とも相談してやるということになりますので、それにもやはり数カ月かかるのではないかというふうに思います。
  101. 山本正和

    ○山本正和君 これは内需喚起の一環だと思うので、やっぱり急いで作業を進める必要があるんじゃないか、もちろん慎重にやらなければいけませんけれども。この補正予算には到底間に合わないですね、この話全然。そうすると、来年度の六十三年度の予算段階ではこの問題は議論の対象になるのかならぬのか、その辺はどうでしょうか。
  102. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 基本構想の承認の地区が出てきた場合に、来年度、公共セクターでは、インフラの整備について支援するとか、あるいは税制上の支援措置とか、融資上の措置とか、そういうようなもので支援する、こういうことになりますが、それは全体の予算の中での運用によって行う、こういうことになります、
  103. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、都道府県が基本構想の作成をどんどん進めていって、そして各市町村との協議にはどんどん入っていってもいいということですか、現在これはもう。
  104. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 自治体レベルでは、既に関係地元市町村と協議会のような組織をつくって体制づくりが進んでいる県もございます。したがって、そういうところでは既にリゾートエリアの範囲とか、どういう特色を持ったリゾートにするか、そのいわばコンセプト、理想とするようなものを現在検討を進めつつあるところもございます。
  105. 山本正和

    ○山本正和君 そうすると、都道府県と関係市町村との協議がある程度進んでいけば、これは仮に来年度の事業で第三セクターなら第三セクターをつくってやるというふうなことも可能なわけですね。
  106. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 都道府県レベルで現在検討しておりますのは、法律上の協議ではなくて、事実上どういうリゾートづくりをやるかということについての案を相談といいますか協議を県と市町村あるいは民間も一部入ってやっている状況でございまして、そういう過程を経て基本構想をまとめて政府に提出する、その内容関係省庁で審査した上で承認が与えられればリゾート法に基づくリゾート地域ということで行政上の支援措置がそれに対して行われる、こういうことになります。
  107. 山本正和

    ○山本正和君 実は、民間業者がこの構想の中で、例えば県なら県の指導を受けて恐らくこうなる計画があると、これはもちろん国の認可がなければできませんけれども。そういうことで、仮に先行投資と言ったらおかしいですけれども始めていく。そういうふうなことをどんどんしていって、それがリゾートの地域の中に入って全体としてその中に組み込まれるということは、これは可能なわけですね、そうすると。
  108. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) それは可能でございます。
  109. 山本正和

    ○山本正和君 ひとついろいろと御指導を受けに行くことが多いかと思いますが、よろしく御配慮のほどをお願いしておきたいと思います。  それで、あわせてこれは建設省の方にまたお聞きするのがいいのか、国土庁だろうと思うんですけれども、広域リゾート構想をするのはいいんですが、大体こういうところは自然景観がよくて、そして昔から国立公園とかあるいは自然公園とかいろんな形で指定を受けているところが大変多いんです。実際は、それがもう何十年も前に指定を受けている。ですから、その中での交通もあるいは集落も随分変わっていっているという中で、現実的に運用していこうとする場合には、自然公園法の弾力的運用といいましょうか、そういうことをしなければなかなかやれないんですけれども、そんなようなことは、これはやっぱり国土庁でしょうか、取りまとめをしていただくのは。これは関係七省庁、五省庁だったですか、リゾート法つくったときに、その辺のことはどういうふうな状況でございましょう。
  110. 澤田秀男

    説明員(澤田秀男君) 環境庁がこの法律上は関係行政機関の長ということで、主務大臣、六省庁ございますが、協議する相手方官庁ということになります。  したがって、基本方針を政府がつくる段階において、主務六省庁がつくった案を持って環境庁と協議するということが第一段階としてございます。それから県がつくった基本構想が、国に対して承認申請が出てまいりますと、その内容についても環境庁と協議する、こういうことになります。
  111. 山本正和

    ○山本正和君 最後に、もうお願いだけして終わりますが、これは特にいろんなことを地方がやろうとする場合、どうしても、一番責任者と言ったらしかられますけれども、あそこのお役所へ行ったら間違いないというところを決めてないと、こっちへ行ったら、いや君それはこっちへ行け、こっちへ行ったら、こっちへ行けとやられて、これはもうきりきり舞いしますので、ひとつ国土庁が主官庁ということで、そういう関係省庁に対する、ひとつぜひともこれがもうなるべく速やかに進められるように、そして私は思うんですけれども、このリゾートの中に教育施設等も随分つくれますし、それから高齢者対策の問題も随分できますし、いろんな意味利用しようによっては日本文化に対する大変な貢献もできる、こんなことを思うので、ひとつ速やかにこれが実現できるように特に国土庁の御努力をお願いしておきまして私の質問これで終わります。
  112. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 今回、六兆円を上回る緊急経済対策決定していただきましたことは、円高不況とかあるいは景気低迷そしてまた業種によっては雇用不安、こういうような問題を抱えて悩む国内、そしてまた同時に、この間のベネチア・サミットにおきまして外国から日本内需拡大について非常に高い評価を得たわけでありますけれども、私どもはこういう事態を踏まえて、一日も早く予算決定して、そして内需拡大、積極的に内外の要請に、期待にこたえていきたい、このように思っておるところでございます。  そこで、今回の緊急対策のウエートは、何といったって公共事業というものにあるわけでありまして、建設省がほとんどを握っておる。したがいまして、建設省の皆さんの予算執行方針によって内需拡大の成果が大きく左右される。そういう意味から考えますと、大変責任が重いと十分御認識をいただいて、ひとつ、もう予算は決まったものと思って活発な、私に対する率直な御答弁をお願いするものであります。  まず、当初六兆円、そしてしかも上半期で前倒し八二・五%以上と大変大臣初め皆様思い切った対応をしていただいておるところでございます。今回の緊急対策で二兆四千五百億上乗せになるとトータル八兆五千億ですか、こういうようになってくる。これはもう恐らく建設省始まって以来の未曾有の公共事業費を持たれたことでございましょうし、それが執行していく上において内需拡大に及ぼす経済的な効果、これはもう大変大きいものを私たち期待しております。先ほど乗数効果とか生産誘発効果あるいは地域経済への波及的効果等々について数字の説明がございましたが、現実に八兆五千億の内需拡大対策を持つ建設省として、今後の内需拡大に対する効果をどう考えておられますか。  それとあわせまして、昨年来事業量相当ふえました。しかし、それもまた残っている分もあると思いますし、あるいはまた一部で取りざたされていますのは、極めて局地的ですけれども、資材あるいは作業員が不足しているというようなことから、ざらにこれだけ大型の補正が全国的に降ってくると、本当に当初予定している計画どおり実施ができるんだろうか、こういうような懸念も一部でささやかれる。それについてどうお考えになっておりますかお聞かせいただきたい。
  113. 高橋進

    説明員高橋進君) おっしゃいますように、五十五年以来ずっと抑えられてきたものが非常に大きな伸びを示すことになりますものですから、地域経済に与える影響というものは非常に大きいものがあると基本的に考えております。  今、先生の御疑念、御危惧されました資材あるいは労働力がどうかということでございますが、まず資材につきましては、建設関係の資材は実は生産能力に対しまして今まで非常に需要が少なかったものですから余力が相当ございます、稼働率というものは相当低うございます。鉄鋼にいたしましても、セメントにいたしましても低うございますので、この程度の補正に応ずる能力は十分あると考えております。  労働力、これが若干時期的あるいは地域的にちょっとタイトになる可能性のある業種もございます。特に鉄筋工、型枠工等、技能工の一部におきまして地域的時期的にあるいは需給が逼迫する面がある要素もございますけれども、マクロ的には全体を考えまして十分対応できますし、また関係業界に対しましてもいろいろ地域的な調整等できるだけ行ってもらいまして、それに対応してもらうように十分な措置をお願いするようにいたしておりまして、十分対応できるというふうに考えております。
  114. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 都市基盤整備、先ほども御指摘がございましたけれども、諸外国と比較をして、特にあらゆる分野で社会資本のストック不足が歴然としているわけです。このときにそれこそ本当の意味の二十一世紀、子や孫に誇る国土を建設するためにはまさに絶好のチャンスであろうと、このように思っているわけです。  そこで、これから予算配分等をされるわけでありますけれども、従来も事業別、地域別、いろいろやってこられたと思いますね。特に地域別等は特定不況地区だとか、あるいは北海道、九州、沖縄、いろいろと御配慮をされてこられている。これはもう大いに進めていただくということとあわせまして、事業別に総花的に予算をおつけになるのか、先ほど御指摘ございましたが、内需拡大を最も効果あらしめるためには用地費に取られない下水道等々を中心の工事の方がいい、これはだれしもわかるわけです。しかしながらそれらを踏まえて一体事業別にどういうところに特別なアクセントをつけるとか、そういう御判断を持っていらっしゃるのかどうか。予算配分の、言うなら優先順位とでも言うんでしょうか、そんなことをお考えになっていらっしゃるかどうか、お聞かせください。
  115. 高橋進

    説明員高橋進君) まず、今回の緊急経済対策に基づく補正予算が成立いたしました場合、その配分に当たりましては、その性格上から言いましてやはり内需拡大に資するような、と同時に円高不況に対応するようなことを考えまして、そういう地域的に及ぼす経済効果というものを十分まず基本的に配慮したいと思っております。  事業別に特に重点を置くものがあるかということでございますが、経済効果、いわゆるフローの経済効果といたしましては、事業別に特にどの事業が大きくて、ある事業は比較的少ないという関係はございません。公共投資の生産誘発効果につきましても、道路、下水道、それぞれ一応データございますけれども、基本的にそれらは一般の、例えば民間消費支出が及ぼす生産誘発効果に比べまして相当高いということもございまして、特にどの事業が経済的に及ぼす影響が強いということは一概に言えないと思っております。  ただ、私どもがこれから考えていかなければならないのは、施設そのものができるだけ早く効果を実現して総合的な意味での経済性が早く発揮できるということは常に頭に置いてやってまいりたいと、かように考えております。
  116. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 そうすると、同じようなことにまた重なっていくんですけれども、今日まで建設省がお進めになってこられた五カ年計画ですね、それから先ほども御指摘があった七十五年までの今世紀いっぱいかけての長期計画、中期展望と言うか長期展望というか、そういうものとの今回の、今回だけ特に強調するわけじゃありませんけれども、いずれにしてもその延長線上をずっとたどっていくということはわかるわけですけれども、何かそういう中で私は業種別の、事業別のアクセントというか、必要じゃないだろうか。例えば一番おくれている下水道、しかも一番効果的な影響が、波及的効果がありますよと言われていればその下水道を少しウエートを高めていくとか、現実の手法の中でそういう御配慮が当然なされるであろうと期待しているわけです。  それとあわせて、先ほど四全総の御説明がございましたが、これも近々閣僚会議で御決定を見られるだろうというふうに聞いておるところでありますが、四全総との絡みの中で、建設省のお考えになっている将来の日本国土のあり方、四全総で考える日本の将来像、こういうものがオーバーラップして、そして整合性を持ったものでなきゃならない、こういうふうに思っているわけです。これはどっちとは申し上げませんけれども、もしもお考えがあれはお聞かせをいただきたい。
  117. 高橋進

    説明員高橋進君) 基本的には今先生のおっしゃった方向で考えたいと思っております。  四全総、それに結局は各種公共施設の五カ年計画もそういった枠組みの中でございますが、そういった長期計画の中で、これからの対策を緊急的に講ずるのもその枠組みの中ではございます。ただ、その場合にはやはりウエート、めり張りをつけるべきではないかということについては、私どももそういう考え方のもとにできるだけやってまいりたいと思います。正直のところ申しまして、この数年間は全体が抑えられていたものですから、そこの中の非常にマイナス、全体がマイナスの中でめり張りをつける、重点を置くというのはなかなか難しゅうございます。ですが、もし今後ある程度の伸びが全体としてできるということであるならば、例えば今おっしゃった国民の生活の質を豊かにするようなということを重点に置くということは基本的に考えてまいりたいと思っております。
  118. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それから、先ほど言ったことと矛盾するような何か話にとられるかもしれませんが、長期的ないろいろな計画の視点から立ちますと、今回これだけ大きな内需拡大の対策は余り用地費に取られないような、そして即効のあるものにつき込めよと、こういう反面、公共用地というのはあしたすぐ取得ができない、ストックを常に持ってなければならないわけです。中央でもそうかもしれませんが、私ども地方で今まで一番苦労してきたのは、公共事業というのは舗装や橋をかけることじゃなくて、用地をいかに獲得するかと、用地獲得に十年、工事に一年、こういうのが実は実態なわけです。そこで、余り用地取得絡みの工事を敬遠するようなことになるとこれまた難しい。そうすると、もしも余り用地関係のものは外していっちゃうということになりますと、次年度以降の、今度は公共事業に非常に大きな影響をもたらして、これはあるときにはもう全く用地取得に追われてしまう年も出てくるだろう。地方などは特に用地ストックが少ないだけに建設省としてこの辺はどうお考えになりますか。
  119. 高橋進

    説明員高橋進君) 先生のおっしゃったとおりと考えております。  計画的、着実にやるためにはやはり用地も計画的に確保しなければならないというふうに考えております。
  120. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 それから、建設省、最後ですが、例年の予算編成は投資部門で〇・五%マイナスシーリングということでずっとここ抑えられてきた、我々も全国的なレベルで見て非常に不満に思ってきていたわけですわ。今回、内需拡大だ、それ公共事業だと、鬼の首をとるわけじゃございませんけれども、ひとつこんなに大きくことし突出したんですから、来年またゼロシーリングやマイナスシーリングであっては、これはもう内需効果というのは全くいっときの夜空に咲いた花火になっちゃう、何にも残らない。こういうことであっては長期計画から見たって大変不合理、不効率だと、こう思いますので、ぜひひとつこれから来年度の予算の概算要求をなさるわけで、もう腹をくくって、今度は建設省突出するくらいの要求を大蔵省になさる決意があるかどうか、そのお見通しを聞かしてください。
  121. 高橋進

    説明員高橋進君) 今、行政改革審議会におきましても、そういった点について御議論いただいておるところでございます。そういった御議論も踏まえながら、政府全体として来年度の概算要求基準がどうあるべきかというのは当然見直されるべきことであると考えておりまして、今先生のおっしゃったような方向で私ども建設省としては頑張りたいと思います。
  122. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 頑張ってください。  あと住宅問題実は触れようと思ったんですが、どうしても時間がございません。もう先ほど来の御説明のとおり、これからの住宅というのは国民にとっては最大の問題点でもございますし、良質住宅をつくるにはやはり良質な土地の供給がなければできない。地価対策のみならず、いかに都心の開発あるいは再開発、そしてまた勤住近接というかね、そういうような意味の良質住宅の創出に御努力をいただくことをお願いいたします。  そこで、次は国土庁の関係に移らしていただきます。  先ほど来の四全総試案でいろいろポイントがあらわれたわけでありますが、まず第一に東京一極集中問題。これはもう長年言われておることでございますけれども、しかし、さりとて今東京の持っている世界的、国際的コスモポリタンキャピタルの性格というのは、これはだれしも否定ができないところでございます。それだけ機能、知識、情報が集積されている。そしてさらに、国際化情報化時代を迎えた今日、世界東京に通ずると、こういうことでどんどんと東京へ集中してきている。役割はいよいよ大きくなると、このように思っておりますが、このままいきますと余りにも過度集中で、いわばおもちゃ箱にいろんな物をやたらめったら突っ込んだと、こんなようなことになってしまって、本当の意味の環境の整備されたクオリティーの高い都市というものはできなくなる、そこに今東京そのものの悩みがあると、こういうことになると思います。  そこで、都心あるいは副都心、臨海部の埋め立て、それから先ほど御説明のあったような周辺業務核都市、いろいろと二十一世紀に対しての位置づけがされてきている。本当に東京圏の二十一世紀像というのはどんな像であったらいいんだろう、国民のそれぞれの立場からささやかな夢を描いているんですけれども、四全総は東京一極集中をできる限り排そうという反面、東京の存在というものをどうお考えになっていらっしゃるかお聞かせをいただきたいと思います。
  123. 星野進保

    説明員(星野進保君) 先生御指摘のとおり、ちょっと数字なんかで申し上げますと、最近の特に昭和五十五年から六十年までの国勢調査が二回ありますが、この間の人口の増加率をそのまま単純に直線で伸ばしますと、今東京圏と私ども言っておりますのが東京、千葉、埼玉、神奈川、一都三県でございますが、これの人口が今三千万でございます。それをそのまま直線で伸ばしますと、恐らく三千五百万か六百万になる。しかも、これ十五年間でございますが、これからの十五年間、日本全土で増加する人口というのは大体一千万でございますから、その半分はあるいは半分強というのが東京圏に集まってしまう。これは高度成長期、ちょうど昭和三十年から四十五年まで見ますと大体千五百万人人口が増加したんですが、その間東京圏に参りましたのが大体九百万。ですから、それは自然増も含んでおりますが、したがいまして、そこまではいきませんが、ほぼそれに近いようなスピードに今現在なっているということでございますので、よく議論いただきますが、先生もそういう御議論だと思いますが、東京、三千万人住んでいる方々生活環境はよくしたい。同時に、これも御指摘がありましたように、東京が、日本自体が世界の一割国家になっておりますので、東京というのがある意味では世界のインフラになっている面がある。したがってそれも生かしていきたい。  さはさりながら、東京だけが世界機能を分担するのもこれもちょっと無理だと、しかも緊急時何かあったときにまたこれも危険だろうということを考えますと、先生が御指摘いただいたように、東京都心を、今非常にある意味で混雑しておりますから、東京臨海部なり何なりで少し供給いたしまして、事務所や何かを。そういうことで東京都心部を少し緩和させるという策がひとつ必要でございましょうし、それから先ほど御議論がありました業務核都市等で私ども展都と言っておりますが、そういうところへ持っていくのも必要でございましょうし、あるいはもっと日本国全体で見ると、大阪だとか名古屋だとかあるいは仙台だとか、そういうところでかなり世界的な機能をお互い分担し合うということが非常に重要なんじゃないだろうか。そういうことで日本国土全体でそういう分担関係をつくっていくことによって、実は東京も、これは抽象的でございますが、三千万人の人口にとっても、まあまあ住みよい地域になる可能性も出てくるだろう。それから、東京というか日本全体の国際的な役割も維持できるんじゃないだろうかというようなことを考えて、今度の四全総で多極分散型というような言い方をいたしまして、東京を全く無視したわけじゃございませんが、全国土で受けとめるようなことを考えていったらどうだろうかというようなことを言っておるわけでございます。
  124. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 ありがとうございました。  そこで、今大都圏の中の一つの問題としてぜひひとつお聞きをいただきたいと思うのは、日本経済を今日までリードしてきた例えば京浜工業地帯、阪神工業地帯、こういうようなところが現在工業等制限三法の網がかぶっている。私どもその地域にいるからということではございませんけれども、もう既に設備が老朽化してきている。生産性が低下、活力の喪失、そして徐々に空洞化が進んでいる。ましてや円高不況で重厚長大産業からの、例えば鉄鋼とか造船とか肥料とか非鉄金属とか、こういうような関係企業は構造改革もままならない。非常に厳しい状況になって、地域の経済に及ぼす影響は大きくなってきています。こんなようなときに産業公害はもう従前とは全く様相を異にしてきた今日でございますので、緩和をしてくれる、それが地域経済に活力を、活性化を与えて、内需拡大にはもう物すごく私はメリットがある。これはそれぞれの地域の自治体や商工会議所が既にいろいろと国土庁、御関係方面に陳情しているところですけれども、内需拡大あるいは将来展望の上に立っても、新しい産業を興していく上においても工業等制限法、特に国土庁の御関係でございますが、お見直しになるお気持ちはございませんか。
  125. 松井司

    説明員(松井司君) 先生がおっしゃいましたように、工業等制限法というのは、首都圏の既成市街地とかそういうところの非常に人口が過密に集中する、あるいは工業が非常に集中するということを抑制するために制定されたわけでございます。  この制度の成果と申しますか効果というのは、今先生が言われましたように幾つか出てまいっておるわけでございますが、現時点見ましても、首都圏の既成市街地等の工業集積度というのは依然として高いものがございますし、それとまた大都市圏と地方とどういうふうにしていくかということもございます。私ども国土庁としては、やはり均衡ある発展と資本分散、こういうことが国土政策の基本的な枠組みじゃないかというふうに認識しているわけでございます。今先生がおっしゃられましたように、地方自治体からそういう緩和要望というのが出ておるのも承知しております、  そこで、私ども国土庁としまして今ちょうど実態調査をやっているところでございますが、この調査結果を踏まえまして、全国的に国土政策をどうしたらいいのか、あるいは立地政策をどうしたらいいのか、そういうことを総合虫に勘案してこれから検討してまいりたいというふうに現在のところ考えております、
  126. 斎藤文夫

    ○斎藤文夫君 京浜工業地帯は、アンケートをとりましたら、移転する、移転したい、十分考える、何と三分の二あるんですよ。そして、そういうのがどんどん出ていったら、もう本当に京浜工業地帯は空洞化して、そして新しい産業ったってそうそう売り買い簡単にできぬ、こういう実態をぜひ御理解をいただきたい。  もう時間がないので、最後に、とにかく内需喚起は中央のみならず地方へも、しかも地方を厚くというのは私どもも当然考えていかなきゃいけない問題だと、このように思っておるんですが、四全総でも首都圏と地方圏とのあり方というもの、特に地方分散主義を強くお打ち出しになっておられるわけですが、ただそこで単なる都市機能や社会資本の優劣だけで地域を論ずべきではない、お互いが機能を分担し補完し合って共栄できる大都市圏対地方圏、東京地方都市、やっぱりこういう関係つくらなきゃいかぬ。  卑近な例で、例えば地方空港をどんどんつくろうという計画がある。今リゾート法もいろいろ出てきている。そこへ行くにはもっと飛行機なり何なり交通アクセスの確立を図らなきゃいかぬ。ところが、じゃあ地方には空港をたくさんつくりました、羽田空港はどうだと、今埋め立てで拡張しておりますけれども、もうキャパシティーいっぱいだと。となると、地方にせっかく立派な空港をつくっても、中心とのつながりというものが全く切れて、地域振興、地域発展につながらない、したがって、これなんか端的な例ですけれども、大都市圏と地方圏との車の両輪、こういうようなことをよく私たちも思っております。それだけに多極分散型の御方針というのも私どももよくわかりますし、それなりに十分手当てをなさらないと、大都市圏でも空洞化が起きてますが、昨日も御指摘のように、地方圏でもいろいろ産業の招致もできない、またそのつもりでつくった企業が逆に出ていく、いろんな地方の空洞化という問題も出てきてますから、両々お互いの特性を持って生き合っていける、そういう関係を特につくっていただくようにお願いをして、時間でございますので終わらしていただきます。
  127. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 まず、国土庁に質問をいたします。  大都市の地価高騰に対する対策でございますけれども、先ほど「大都市の地価動向と対策」というものをデータで見さしていただいておりますと、東京圏の住宅地で半年で一五・七%近くも上昇している、それが現在は都心から周辺部に波及をしている現況の数字が出ております。その原因はやはり東京都心部における事務所床供給促進策、こういう問題が非常に多く絡んでいるようでございます。  地価高騰の原因の一つは、御承知のように旺盛なオフィスビル用地需要、需要と供給のアンバランスが地価上昇の原因になっているとも言われております。また、国際化情報化、サービス化等の経済構造の諸変化に伴いまして、本社機能の東京集中や外資系企業の進出、情報サービス等々、そういう新しい企業群等の誕生の東京集中、そういうふうなことが地価値上がりの大きな部分にもなっているようでございますけれども、いずれにいたしましても国民が、いろいろお話はございますけれども、住宅を持ちたい、土地が高いためにどうしようもない、こういうふうなことでございますけれども、この土地の価格の抑制というものについて、いろいろの先ほども御説明を聞きましたけれども、なかなか実効が上がっておらないのではないかという実感を私は持つわけでございますけれども、その点についてはいかがであるかということが一点。  それからもう一つは、神戸市においては神戸港の周辺に既にポートアイランドを初め六甲アイランドという巨大な二大地域の埋め立て用地をして、そこに新しい産業やそうして住居という文化、理想的な構想が既に国の指導等によって進められているわけです。私は東京湾も、これだけ地価が、いろいろ国が全力を挙げてなおかつなかなか鎮静しないのであれば、やはり船舶の流通、海流の問題、内部治水との問題、漁業との問題等々思い切って計画を立てて、私は海部に、海にやはり地域の開発を進めていくべきではないかということが一つ。  それからもう一つは土地信託導入でございますけれども、地域開発推進するために非常にいい傾向も出ているわけでございますが、国有地の土地信託制度というものが国対国、まあ、これは割に研究、そして今までの例から見ても行きやすいと思いますけれども、民間から国有地の土地信託制度、そういうものがやはり行政指導の中で積極的に進められていかなければいけないのではないか、こういうふうなことを考えているわけですけれども、これらについて国土庁の御説明伺いたいと思います。
  128. 田村嘉朗

    説明員(田村嘉朗君) まず地価の問題でございますけれども、確かに東京都心部あるいはその周辺地域におきまして地価上昇というのはなかなかおさまらない、こういう状況であることは残念ながら事実でございます。まあ、しかし、私どもの最近の調査によりますと、東京都の都心部それから区部でも南西部、この辺は非常に高値になったわけですけれども、最近では頭打ち傾向であるというふうに私どもは聞いておるわけでございます。しかし、その周辺部で相当地価上昇が続いていると、その地域も広がっていると、こういうことがありますので、これについてどうすべきかということになりますが、やはり基本的には金融緩和を背景としてかなり投機的取引も盛んに行われているということがこの地価上昇に拍車をかけている面がございます。  で、これに対して私ども今まで行った施策一つは、東京都にお願いをいたしまして条例を制定していただきまして、先ほど御説明いたしましたように、二十三区、それから武蔵野、三鷹で現在小口取引を規制しているわけですけれども、これが実施されたのは昨年の十二月一日に都心五区で、それが十四区に広がったのがことしの一月一日でございます。それで、実質的にはほとんどことしになってからその条例が施行されたというふうに言っていいと思いますが、この運用状況を見てみますと、大体届け出があったものの二八%ぐらいが指導によって価額を変更しております。つまり価額を引き下げたり、届け出を取り下げたりしているわけでございます。そういうことで、この条例施行による地価抑制効果というのはかなり出てきておるのではないかということを我々は感じておりまして、これを今後もっと周辺地域にも広げていってもらう。また八月になりますと、恐らく国土利用計画法の改正されたものが施行になるわけでございますので、この国土利用計画法に基づきまして小口取引を規制をしていく、こういう地域拡大していくことによってかなり投機的取引が抑制されるというふうに思っております。  それからもう一つ税制でございますが、実は先ほど御説明申し上げました超短期、つまり二年以内の土地の譲渡に対する高率課税、いわゆる転がしを抑制するための税制、これにつきましては昨年私どもは税制改正をするということを発表した時点でかなりアナウンスメント効果があって、業者の動きがかなり鎮静化した、かなり売り物件が多くなったということを聞いておりまして、これが都心部とかあるいは区部南西部における地価の上昇速度を弱めることに寄与したというふうに我々は見ております。  ところが、どうも最近この税制がちょっと先行き不透明になっているのではないかというふうな一部業者間でのうわさもありまして、私どものヒヤリングによりますと、ことしの二、三月ごろからどうも周辺部あるいは地方都市におきまして業者の土地買いが再び活発化し始めている。これによって非常に極端に売り物が少なくなってきているということも聞いておるわけでございますが、これが全部税制関係あるかどうかはわかりませんけれども、こういった動きを抑制するためにも一日も早くこの土地税制、超短期重課の制度が実施されることが非常に効果があるだろうというふうに思っているわけでございます。二つ施策によって当面の地価上昇はかなり抑止できるというふうに私どもは見ておるわけでございます。  それから、土地信託でございますけれども、これは確かに地価を顕在化させないで土地利用促進するという意味で非常にいい制度だと思っております。これは積極的に活用してもらおうと思っておりますが、実績もどんどん伸びております。それで、国有地あるいは公有地につきましても土地信託ができるように、先般法改正がなされたところでございますので、この点を、なるべく国公有地について活用してもらうように我々もお願いをしようと思っております。土地信託を引き受けられるものが今信託業法によって信託銀行だけとなっておりますけれども、これがそのほかの主体によって土地信託が引き受けられるようにできるかどうか、あるいはそれが適当かどうか、この点については私ども今後研究をしていきたいと思っております。
  129. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 もう一つ、埋め立て。
  130. 松井司

    説明員(松井司君) 御説明申し上げます。  埋め立て問題でございますが、私どもとしましては現在東京湾の臨海部には再開発する可能性のある土地が相当ございます。臨海部だけで大体七百ヘクタールぐらいございますので、当面はいろいろを言われますオフィスの需要、こういうものには十分耐え得る広さがあると考えています。  先ほど申し上げましたように、臨海部だけじゃなくて、いろいろな機能を業務核都市等に展開するということもあわせ持ちまして、そういう土地需要に対してある程度こたえられるのではないかというふうに考えております。
  131. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、建設省の方に参りますが、一点だけお願いしたいと思います。  住宅対策の推進についてでございますが、国際的な居住年の問題、こういうふうなことで国民の居住水準の向上というものも非常に大きな問題になっております。そういう中で、きのうもちょっと質疑をさしていただいたんですが、やはり既存の土地ということになれば公営住宅の的確な供給、ここにも御説明いただきましたが、建てかえに重点を置いた建設、そういう中で質の改善を図らなくちゃいけないと思います。これは具体的に、例えば東京都で、東京都の場合は都営と言うんだろうと思いますが、公団、国の方は別として、都営住宅の老朽の問題、そして全国で市営と県営住宅ですわ、私の住んでいるところで見ておりましても、戦後、昭和三十年代に市営住宅が建てられる、県営住宅もですね。もう外から見ても黒ずんで、ひびも入って、そして御家族の方が親戚を呼ぶといっても恥ずかしい、こういうふうな状況が実際に出ております。ですから、老朽な公営住宅は大体定義としてどういうものであって、全国でどのぐらいあるのか。そして、先ほど申し上げました都営住宅の場合、お風呂のない都営住宅というものはどのぐらいあるのか、そういうことをもしつかんでいらっしゃいましたら教えていただきたいと思います。
  132. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) お答えします。  先生、今老朽住宅とおっしゃいましたのは、多分その建てかえを要するようなものという意味だろうと思います。今の公営住宅法でまいりますと、建てかえるかどうかの判断は、最終的には管理主体でございます都道府県であるとか市町村に任されておるわけでございますが、その際に建てかえてよろしいものという大まかな基準としまして、耐用年数の二分の一を超えれば、あとは判断で建てかえてよろしいと、こういう制度になっております。さらに、そのほかに団地の大部分につきまして、「公営住宅としての機能が災害その他の理由により相当程度低下をしている」というような判断がつくものについても、その場合は二分の一の耐用年数が経過しなくても建てかえることができる、こういう規定がございますんで、最終的には公共団体の方で判断をされまして、今の基準を見ながら建てかえていくということに相なるかと思います。  それからもう一つは、耐用年数を中層の耐火で七十年ということでございますから、三十五年以上経過すれば今の定義にはまる、木造の場合は二十年でございますんで、十年たてば今の定義にはまる、こういうことに相なろうかと思います。  ストックでございますが、全国で今百九十五万戸ございます。今言いました耐用年数が二分の一を超えておりますものが四十六万六千戸余ございまして、比率としましては二三・九%でございます。東京都は管理戸数は二十二万戸でございます。そのうち耐用年数二分の一を超えていますものは三万九千戸余でございまして、比率にしますと一七・七%ということに相なります。これを、先ほどちょっとおっしゃいましたのは都道府県営、市町村営に分けてわからないかということでございますが、ちょっと今手元にございませんで、先ほど言いました百九十五万戸、全ストックの都道府県営、市町村営、ストックとしての戸数はわかりますので、参考までに申し上げますと、都道府県営の公営住宅はうち八十一万戸、市町村営が百十四万戸ということで、数量的には市町村営が非常に高こうございます。
  133. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 それから小さくて申しわけないんですけれども、お風呂のないような――大体で。
  134. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) 失礼しました。  それは当初公営住宅法をつくりました段階では、何というんでしょうか、公衆浴場というものが相当普及をしておったこともあろうかと思いますが、風呂をつくる建前になっておりませんでした。それで途中の段階から、ちょっとこれは私も今記憶でよくわからないんですけれども、風呂をつくるスペースを用意をするという時代がございました。そういうこともありまして、先生のおっしゃいますように、おふろのない公営住宅というものが古いストックに多うございますから、当然に多いというふうになろうかと思います。ちょっと手元に今数字ございませんのでまた御説明に上がりたいと思います。
  135. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 いずれにしましても、公営住宅の大部分が、文化水準の現在から見て非常に低い感じでございますので、建てかえ等にも早急な計画を立てていただいて、各府県と御相談の上で、早く改善のそういう進め方をしていただきたいと思います。  ちょっと時間超過しましたが、ただ一点だけあと伺いたいんですが、御説明いただきました高齢者等の住宅対策の推進でシルバーハウジング・プロジェクトの創設、これは二十一世紀の高齢化時代に非常にきめの細かい対応をされていらっしゃいますので、非常にまだ薄いなどは思いますけれども、これは非常にいいことだと思っておりますけれども、ちょっと深く御説明だけをいただいて終わりたいと思いますけれども。
  136. 伊藤茂史

    説明員(伊藤茂史君) とりあえず六十二年度からの新しい制度でございますんで、公的な賃貸住宅の団地でということで考えております。それで、まず住宅そのものも高齢者が住みやすいようにということで、設備とか仕様の工事費に対しまして特別の補助を用意しておりますし、それから全体の事業計画を立てる際にも補助をするということで、公共団体は仕事をしやすいようにしております、それと同時に、ライフサポートアドバイザーとこう文章に書いてございますが、これ厚生省所管の、要するに介護相談員、でございますが、その方がその団地の中に住めるようにアドバイザー用の住宅を用意をすると同時に厚生省の方から人間に対する支援措置は当然にあるということでございます。したがいまして、将来の方向としては、民間の団地であるとか市街地全体だとかというふうに広がるべきところでございましょうが、とりあえずは公的な賃貸住宅のところで試験的に始めたと、こういうことでございます。
  137. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 まず、不況地域と四全総の関係であります。  先ほどこれ御説明いただきましたが、構造的不況に陥っている造船等の地域の雇用問題が深刻化していると、そこで新産業分野への転換が言われておるんです。果たしてこれが現在の日本状況で可能なのかどうかということです。ここで言っておりますように、先端技術産業の誘致育成というんですが、四全総のほかの部分で、あちこちで新産業、特に先端産業、安売りみたいにあちこち言ってますよね。そんなに新産業、先端技術産業を各地へ持っていけるのかどうかという、こういう問題なんです。例えば、特に繊維などでは借金抱えちゃって転換しようにも転換しようがない。また、その地域が全く産業がない、こういう状況ですよね。まず、この事実をどう踏まえているか。それから、その先端産業そのものが空洞化している、これはきのうも吉川春子議員が大分指摘をし、私も伊那市へ調査に行って実際驚いたんですが、そこでまさしく海外移転が起きていますよね。そこで仕事がなくなっていると、となりますと、頼るべき先端産業が、やはり海外へ移住と、私はこの状況はスクラップ・アンド・スクラップ、昔はスクラップ・アンド・ビルドで弱いところはつぶれ強いところは伸びだと、ところが、今は弱いところはだめになり強いところも海外移住と、スクラップ・アンド・スクラップなんですよね。こういう事態を国土庁としてどう認識をし、そしてこの計画を今立てようとしているのか、これがまず第一点お答えいただきたいと思うです。
  138. 星野進保

    説明員(星野進保君) 今、近藤委員が言われました現象が現在がなり見られるのは事実だと思います。例えば釜石の例などは一番典型的だと思うんですが、釜石でいわゆる高炉の火を落とすという段階まで迫りつつあるわけです。私も事実釜石見てきたわけでございますが、一つ考えられますのは、先端技術産業で言いますと北上までやってくるのです。北上にはかなり立地してくれるのですが、あの先遠野を過ぎて釜石へ出てくる道路が一応あることはあるんですが、いわゆる高規格道路といいますか、早いアクセスがないものですから、それであそこに仙人峠という峠がありまして、非常に陸上からのアクセスが悪いものですからどうしても北上へとまってしまう、しかも片一方は、海側では御存じのようにかなり港湾施設といいますか、あれだけのものを発着させるわけでございますからインフラがあるわけでございます。それをどうやってうまく結合させるかということがどうも課題のようでございまして、したがいまして、私ども何かの産業に何かが変わると単純に考えるとどこか間違えてしまうのじゃないか、むしろ総合的にそのインフラの整備だとか、そういうものも考えながら新しい産業にうまく転換をさせていく、事実非常にある意味ではお気の毒だと思うのは、昔H形鋼か何か引いていた中でシイタケとあればマイタケか何かつくっているわけですね。これがいわゆる先端産業に変わるはずはないわけでありまして、恐らくバイオの練習をしていらっしゃるんだと思いますが、そういう格好で何か新しい次へ変わる産業の準備を新日鉄さんやられていると思いますが、ただ、そういう周りの環境がないものですから、釜石が不況地域であるのにかかわらずなかなかうまく企業が、新しい産業といった方がよろしいのでしょうか、転換されないという点があるかと思います。したがいまして何から何へ変わると単純にここに私ども書いてありますけれども、ということではなくて、その環境条件と一体になってやらなければだめなんじゃないかというのが一点でございます。  それから後者につきまして、先生がいわゆる先端産業自体が空洞化しているじゃないか、これもまた大問題だと思います。御指摘のとおりでありまして、それで先ほども生意気なことを言わさせていただいたわけでありますが、現在日本の国というのは三百五十兆ぐらいのGNPを生んでいるわけであります。恐らく今これだけ黒字を生んでいるわけでございますから、基本的には自動車だとか電機だとかという産業が中心になってGNPのかなりのものをつぐっているというのが事実だと思うんですが、だんだん出てきている現象というのは、そこで稼いだお金が東京に集まって東京からアメリカへ移っていって、そこで子供を生んで所得になって帰ってくるという現象にだんだん変わりつつある。したがって金融市場自体が昔は企業だとか消費者に直接金を貸すいわゆる小売だったわけですが、今はむしろいろいろな投資機会をつくるためのいわゆる卸売業に変わってしまった。こういう形にだんだん企業が変わってくるということが、逆に言いますと、いわゆる具体的な産業のいわゆる物をつくる方がだんだん空洞化していくことと一体になっているところだと思うんです。したがいまして、今度の私どもの四全総では、そこへ非常に問題を二十一世紀に残すんじゃないかということで科学技術センターでありますとか、むしろ今たくさん余っているものをうんとつくれというのじゃなくて、新しい自主技術開発みたいなものを中心に置きながらそういう産業構造といいますか、ものへ変わっていかないと金融膨れの経済構造になってしまうのじゃないかということで、各地域にいろいろなプロジェクトを持たさせていただいたというのが四全総の中身でございます。
  139. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 次の問題は、これは通産大臣があるいは経企庁長官と議論すべきことかもしれませんが、ついでですから申しますと、今産業の全体的な不況の中で内需拡大とは逆行する現象が起きておるんですね。で、一つは、親企業から一方的な単価切り下げ、生きる道は人件費を削る以外にないんですよ。これも私の実際の調査では親企業の求めに応じて新しく機械を入れて生産性を高めると、ところが、その直後に仕事がこなくなって、あるいは全体に減って、今そこが倒産しているんです、これは先端産業でもね。ということは要するに人件費を削り、人を減らし、賃金を減らし、逆に労働時間をふやすと、これは全部内需拡大策に逆行することがこれ起きておるんですよね。ですから、この辺ちょっと国土庁に言っても、これはあれかもしれないけれども、さっきの議論の続きですからね。ひとつ全体の産業構造の問題で地域ぐるみそうなっていますからね。この辺どう考えているのか、ひとつお答えいただければと思います。
  140. 星野進保

    説明員(星野進保君) 今の御質問、先生がおっしゃるとおり私十分答えられる能力ないんでございますが……
  141. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 端的でいいです、もう時間がないから。――じゃいいです。ちょっと時間の関係ですから。  そういう問題があるということで、そういう角度からひとつ四全総策定を本当に真剣に取り組んでいただきたい。
  142. 星野進保

    説明員(星野進保君) よく勉強しておきます。
  143. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 あとは地価対策。  先ほどから質問がありましたが、私は現在の特に東京の土地高騰の問題は、先ほども指摘があったように、東京一極集中。四全総では、多極分散と言いながらも、結局内外の大企業の本社機能など、要するに中枢管理機構をここへ集中するといういわば首都改造計画、これがある以上だれがどう言ったってどんな規制したってこれは土地の値段が上がるということが一つと、それから、外国の例では、例えばパリあるいはストックホルムなどではやはり国有地あるいは公有地を拡大していく、そして資本による勝手な土地利用をむしろさせない、そういう基本的に強い規制がまずあるんですね。また、そういう点を強めることが世界的常識だと思うんですが、今、日本でやろうとしていることは、そこはむしろそうでなくて、それで規制緩和、それは本末転倒じゃないかと思うんですね。そこをそのままにしておいて、大分具体的な対策出てきましたけれども、果たしてこれで効果があるのか。幾つかずっと土地取引の適正化等々、また規制の強化等を見ましたけれども、どうも私はこれは余り効果がないんじゃないか。特に、具体的に三の土地取引抑制にかかる土地税制の改善というんですがね、実際そう言いながら、土地税制、これによって税金がふえるのか。比較的低い段階では、二年以内の場合ふえますよね、税金は、同じ取引なら。一定以上になったら逆に税額が減っちゃうんですよね。というようなことまで含めて、果たして本当に効果があるのかどうか。そこをお答えいただいて質問を終わりたいと思います。
  144. 田村嘉朗

    説明員(田村嘉朗君) 東京にいろいろ人口、産業が集中するということ、これを何とか適正に分散していくということが土地政策の基本である、これはおっしゃるとおりだと思います。  次に、国公有地の問題でございますけれども、この点は御承知だと思いますけれども、国有地を処分する場合には、やはり公共団体に買い取りの意向がないかどうかというようなことを聞く手続を今踏んでおります。また、先ほど申し上げましたように、国鉄清算事業団用地につきましても、処分に当たっては地元の土地利用計画を十分尊重する、配慮する、こういう基本方針で現在いろいろな具体的な手続を今詰めつつあるわけでございまして、とにかく土地という国民共有の貴重な資源でございますから、適正に土地利用が実現されるようにいろいろ措置をとっていこう、こういう努力を今しているところでございます。  それから土地税制でございますけれども、おっしゃるように、もし所得税の、先生のおっしゃるのは所得税の税率が変わった場合のことだろうと思うんですけれども、仮に変わったとしましても、超短期の重課について見ますと、法人税の場合は地方税を含みますと九二%ぐらいの税率になるわけでございます。それから、個人についても八〇%近い、最高の場合ですが八〇%近い税率ですね、これは地方税を含めましてなるわけでございまして、相当超短期の場合には重課されると思いますし、また、短期につきましても相対的には非常に重い課税になるということでございますから、新しい税体系ができればその中でまたそういう政策的な意味は持ってくるだろうというふうに思っておるわけです、
  145. 三治重信

    ○三治重信君 まず最初に、今の近藤先生の質問と続きなんだろうけれども、僕も、今の政府のこの土地政策では、これは東京とか特殊なところでいろいろなことをやるけれども、基本的に地価を抑えるということばっかりやったって僕はだめだと思うんですよ、こういう対策は。むしろ土地の利用部面を、どういうふうにして利用していくかという利用権を確立した方がいい。地主には地代だけやっときゃあいいんで、地主には地代だけやっとけば、先祖代々の土地なりもうけたやつを財産として、国債と同じように、債券と同じように、持ってれば持っていることによって生活が保障されるというような土地制度をやる。そのためには、先ほどからあった、信託法を改正するなり、信託を今の信託会社だけでも、信託会社にそっちをやらすとか、アメリカへばっかり金を持ってってやらぬで。そういう税法とか土地の売買の規制ばっかし法体系をやらぬで、土地を利用する法体系、借地・借家法の改正なり、それから信託、土地信託法というのを新しくつくって国でもだれでも土地信託ができるようにして、地主をもっと――売れ売れと言ってやって、売ったやつからまた税金を取り上げる、そしてあるときには税金を安くしたり上げたり、こんなことをすると、結局、私は財産の取り上げだけになっちゃうと思うんですよね。地主は大事に地主としてとっときゃええわけなんで、その利用権をしっかり確立するという方向転換せにゃだめだと思うんですよね。そこを本当に基本的に変えてもらわぬと、土地が高くなろうが安くなろうが、そんなことはどっちかといえば、土地信託なり土地の賃貸借をしっかりすれば、利用者にとってみれば若干の地代が高くなったり安くなる程度で、長い目で見ればそんな一時的な大変な負担にならぬから、僕はそちらの方でやっていくべきだと思うし、事実戦前は、借地・借家法で随分借家人に非常に権利を付与したみたいだけれども、ほとんどこの関東地方では家をサラリーマンが建てるときには全部借地で家を建てたものなんですよね。だからそういうことになったんだけれども、もっと借地で幾らでもそういう利用できるような格好をやったらいいと思う。殊に国有地の関係でいうと、国鉄の土地の問題で、まあ国鉄の債権債務を保証するために売らなくちゃならぬということがあるけれども、だけれど、土地信託で、もっと特別法をつくって、土地を利用するやつに国鉄の債務を持たして、土地がほしいやつには国鉄の債務を持たして、それで債務の利子を国鉄にレンタルで払えばいいような、もっともう少し工夫せぬと僕はいかぬと思うんで、その点の土地対策というものが、いつも説明するときには土地の売買の規制ばっかしの説明だけれども、土地を利用する、しやすい、地主はそのままに置いておく土地の法律体系というものをしっかりつくってもらいたいと思うんです。  それはまあ、皆さん方に今答弁せいと言ったってだめなんだから――だけども、そこを本当に、一生懸命土地対策考えて説明されるけれどもみんなだめなの、全然だめなんだ。そこをもう少し基本的に、土地の利用という部面から考えた法体系というものを考えてもらいたいと思う。それはもう大体話が出たから要望だけに。これはもう強く僕はもう数年来いろいろあらゆる機会にやってるんだけれどもちっともいかぬけれども、これはひとつぜひ一もうそういう時代だと思うよ。もう土地が一坪が宝石の値段みたいになってきたときに、そんなものは売れの売買を規制するなんて言ったって、これは夢みたいな話で、こんなものは一生懸命で余りやらぬ方がいいと思うが。  それから、民活事業推進のところで土地区画整理事業というのがあるんですがね。それから一番は市街地再開発事業。市街地再開発事業をうまくやるんでも、これは土地の問題だから、土地の売買をやられるが、その市街地再開発する地域を全部土地信託で預けさせちゃえば、地主はもうそれでレントをもらえばいいと、こういうことになれば非常に早く土地開発が、その上へ何ぼどんなうちを建てようが、土地の信託できちんと地主の利益を保護する対策を、土地の提供について利益を保護する、地主は地主としてやっていく、そのかわり、利用は自由に利用できるということをぜひ考えて、市街地再開発事業をやるにも土地の問題をそういうふうにして開発してやってもらいたいと思う。  それから、土地区画整理、これを減歩が三割五分も出していて、だから土地の、今はどんどん高くしているわけよね。だから、この区画整理事業こそ土地の供給に非常にいいことなんで、もう少しこの土地区画整理組合がやる道路の中で、市道で買い上げるとか、それから、公園や公共、学校の敷地とかいうものもこの公共事業で買い上げて、そして、減歩を一割五分ぐらいにするようにしないと、土地区画整理やっても余り高くなると売れやせぬよ。もう名古屋から三十分以上たったところでも東海市でも大府市でも、もう区画整理をやった立派な土地は三十五万円と言っているわけだ。こんな一坪三十五万円のところでそんな個人住宅建てるというのは、本当に僕はだんだんいかぬし、それこそ本当に幾ら金もうけても土地代に取られてしまって、住宅政策に大体なってないと思うんだな。だから、土地区画整理事業がもっと減歩を少なくするような、そのためにどういう対策をとるかということを、いろいろ公共事業道路は買い上げるとか、こうやって、これはまあ少なくとも三割五分のものを、一度にはいかぬにしても、計画的に三割とか二割五分とか、何年たてばこういうぐあいにするということをぜひひとつやってもらいたいと思うんだが、それについてはどうでしょう。
  146. 小川裕章

    説明員(小川裕章君) 区画整理におきます減歩の問題でございますが、減歩には二通りございまして、一つは、区画整理区域内におきます道路、公園等の公共施設の用地を生み出すための公共減歩と言われるものがございます。それからもう一つは、区画整理事業を行いますこの事業の財源の一部に充当するための保留地減歩というものがございます。これは、施工後買却することによって事業費に充当するというものでございます。この二通りの減歩がございますが、おおむねのこの減歩卒を申しますと、これはまあこの区画整理地区の位置だとか条件だとか、それから、施工者の種類によっていろいろ違うわけでございますが、全部をならして申し上げますと、公共減歩が全国平均で約二〇%、それから保留地減歩が約一〇%、両方あわせまして約三〇%というのが現状でございます。  で、この減歩の問題につきましては、近年減歩卒が高くなっているというふうな問題は特にないわけでございまして、過去からずっと大体こういった減歩卒で推移しておるものでございます。  いずれにいたしましても、区画整理を行いますことによりまして、各地権者がお持ちの宅地の価値が上がるわけでございまして、その価値の上がり方の範囲内で、価値の増加の範囲内で、この減歩を行うということにいたしておるわけでございまして、減歩卒が高いというふうには私どもは考えていないところでございます。  また、この減歩卒が高いということが宅地供給の阻害要因となっているというふうにも私どもは必ずしも考えていないわけでございまして、現実に新市街地におきます組合施工の区画整理事業は年々新規着工量がふえてきておるという現況にございます。  区画整理事業は、その事業の性格上用地買収をいたしませんので、経済変動とか、それから地価高騰の影響を比較的受けにくい性格を持っております。そういったことから、経済変動にもかかわらずおおむね安定的に年間全国で四千ヘクタール程度の宅地供給を行っておるところでございます。  こういった区画整理事業に対しまして、私どもは、区画整理地区の中に都市計画決定をされております幹線街路を仮に用地買収方式で整備したときに幾らかかるかという事業費を限度額といたしまして補助を行っておるところでございます。この補助によりまして減歩卒の緩和に寄与しておるということでございます。また、国の補助だけではございませんで、公共団体によりましては、先生がおっしゃいましたような区画街路等につきまして別途独自の補助を行っておるというところもございます。  いずれにいたしましても、今後とも私ども適切な補助なりあるいは融資等の措置を講じながら、区画整理事業の一層の推進に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  147. 長田裕二

    会長長田裕二君) 簡潔にお願いします。
  148. 三治重信

    ○三治重信君 もう現状で満足しているようなことを言っているけれども、片方は一生懸命で地価を抑えるとか言ってながら、区画整理した土地が毎年どんどん上がってるんでしょうが。どんどんと値を上げてそれでカバーしている。価値が上がるからそれでいいんだと言っているんだけれども、土地をどんどん上げているんだよ。その上げた値段をみんなサラリーマンがしょっているんだ。土地だけどんどん上がるというのはそこなんだよ。そんな売れるからいいんだなんと言ってやっていたら、土地対策なんでやらぬ方がいいんだ。全部をやめたらいいんだ、そんなことでいいと言うんなら。そこを言っておきます。  これだけの住宅対策をやっていく上において一面、ちょっと先ほど質問出だけれども、労務者の不足も確かに出てくるし、それから、何といってもやはり建築単価もどんどん上げている。そのうちにいわゆる単純な労務費じゃなくて、建築技能工の賃金や工数のかけ方によって非常に単価が上がっている。製造業の方は単価をどんどん下げているのに、建築の単価だけどんどんこれも同じように上げているんだな。これは公共事業なり役所の関係のあるものというのは、みんな単価を上げて、そうして知らぬ顔をしているんだけれども、生産効率なり、工程を、もっと効率を上げていく対策ね、建築単価が上がらぬ対策をひとつぜひやってもらう。そのためには優秀な技能工をつくるとか、それから作業工程をもっと合理化する対策というものも、金をとって事業をやることばっかりじゃなくて、それを効率的にやる努力、これはもちろん民間の業者がやることなんだけれども、そちらの方の、民間業者のやることについて、役所だから、民間業者の方はもう役所が単価で金くれりゃ、もうそれだけでちょうど間に合うように、単価をどんどん上げていけば上げていくだけ役所が金くれるからということでやっていくと、だから今ではアメリカでも、木造建築なんかカナダから来た大工の方がよっぽど安くできる。こういう格好になってくると、恥ずかしいわな、日本の工賃が非常に高いというのは。それはひとつよく一遍考えて、そちらの方も、大蔵省から金ばかり取ることばかり考えぬで、安くてできる工夫を、建築界のもっと合理化についてひとつうまいとこやってもらいたいと思う。
  149. 長田裕二

    会長長田裕二君) 簡潔に願います。
  150. 福本英三

    説明員(福本英三君) 御指摘のとおり建設業界の労働生産性というのは、ほかの製造業などに比べて非常に低いわけでございます。そういうことで建設業界の生産性向上というのは非常に業界の発展のためにも、また予算の効率的な執行という点からも非常に重要な問題だと思っておるわけでございます。そういうことで施工の合理化、省力化とかいうことが必要でございまして私どもとして金融税制上の措置活用しながらそういうことを支援していきたいし今後も指導していきたいと思っております。なお、現在建設業につきましては中央建設業審議会で建設業の構造改善について検討中でございますので、そういう問題も含めてさらに検討し、指導してまいりたいと考えております。
  151. 平野清

    ○平野清君 私サラリーマン新党の者ですが、本来なら土地の問題、それから住宅の問題、ぜひお聞きしたいんですけれども、いかんせんいただいている時間が少ないので建設省そのものの理念といいますか哲学、そういうものについてちょっとお聞きしたいんです。ということは、これみんな、これから申し上げることは皆さんの先輩方がやったことなんで、あなた方の責任とは決して申しませんけれども、例えば首都高速葛飾川口線、十数年間もう橋脚だけできまして雨ざらしだ。今秋の九月ごろやっと開通になる。これでもって青森から九州まで高速道路二千キロがやっとつながる。もう十数年間あそこの下を通る人が何をやっているんだろうと、あのコンクリート今に腐って倒れちゃうんじゃないかというような不安を持っていたと思うのですよ。それから高速道路というのは低速道路でもって、朝から毎日渋滞がある。特に千代田トンネルのところが千葉県の方から来るのと池袋の方から同じ二車線同士で来て両方の満杯の車がぶつかるわけですよね。当然はけきれないでもって、あそこでもって何キロも渋滞するのがわかると思うんだ、素人がつくっても。なぜ合流地点だけもうちょっと拡大した高速道路をつくらなかったのか。  それから例えば普通の橋梁なんですけれども、何でも食べるはしみたいに長い橋をぽっとかけるだけで、橋のたもとが必ず交差点になっているわけで、あの橋を僕の素人考えだったらエックス線状の橋にして手元と向こうをエックスにしておいて必ず一車線は右折なり左折優先になれば橋の上でもって車が満杯になって橋からおっこっちゃうんじゃないかというような心配ないと思うんですよね。  それから、もう必ず予算がつきますと東京都の人が悩むのは、もう二月から三月まで必ず道路の掘り返しが、電話があり、水道があり、もう毎日のように何か掘っているわけですよね、五月か六月になるまであんなに掘るならせっかくいただいた今度の緊急予算東京の都心部の電信柱全部やめちゃって一気に全部地下に埋めちゃおうかとか、何かそんなような発想をもうそろそろ新しい建設省の人が、先輩がやってきた教訓を生かしてもらって、今度いただく莫大な金を単なる今までの発想と同じようじゃなくて将来の国民の財産として合理的に使えるような形で使ってほしいと思うのですがいかがですか。
  152. 赤松惟央

    説明員(赤松惟央君) まず最初の高速道路、特に首都高速の話でございますが、これにつきましては確かに私ども高速道路、放射状の道路、これはかなり整備されてきたということで、その中で特に首都高速の環状線これの混雑が甚だしいということでおしかりを受けておるわけでございます。  私どもといたしまして、やはり道路というのはネットワークという形で整備すべきであるということで、これ現在やっております首都高速の中央環状線、さらにはその外側の東京外郭環状線、さらにはまたもう一つ外側の首都圏中央連絡道路、こういうものの整備を今後重点的に進めたいということで非常に力を入れておるわけでございます。これまでの間、計画はしてもなかなか進まなかった面は、やはり地域の皆様方の御理解といったようなことが必ずしも十分進まなくて、ちょっとおくれている面がございますが、今後、一応放射状の路線がかなり整備進みましたので、これを重点的に整備を進めていきたいというぐあいに思っています。  それから橋のたもとに交差点ができる。確かに、従来、大きな川の橋といいますと、非常にお金もかかるといったようなことで橋が少ないためにいろんなところから集まってその川を渡るという形になっております。したがいまして、ここでの右折左折も当然に出てまいりますので、古い橋等で非常にそういうものが右折車が一台ありますと後ろが動けないといったようなものにつきましては部分的な拡幅といったようなことも、これは技術的に非常に難しい面もございますけれども、こういった面も含めながら交差点改良等を進めてまいっておるという状況でございます。  それから道路の掘り返しの件でございますが、これは道路は御承知のように中にガス、上下水道あるいは電話線、電力線、こういうものが非常にたくさん入っております。やはり地域の皆さん方の要望でありますとかサービスでありますとか、それからまた故障といいますか、事故等によります、それを掘り起こしまして、そして復旧するといったようなことがございまして、非常にたくさんの公益施設が入っておるために、それぞれ別個の緊急的な工事でありましても、非常に回数がふえるという面はございます。したがいまして、先生御指摘のように、現在、私どもはキャブシステムと申しましてケーブルボックスいわゆるコンクリートの箱の中に、こういった少なくとも電線類は収容して、それで後になっていろいろまた掘り返したりすることの少ないようにという形でキャブシステムというものを、これは昭和六十年に、いろいろと勉強いたしまして六十年から試験施工をやったりいたしながら進めてまいっておりますが、昨年の総合経済対策におきましてこの電線類の地中化を急いでやるべしといったようなお話もございまして、これにつきましてはかなり全国的な協議会等で計画を詰めまして、そして六十五年までには千キロメートルをこのキャプとそれから単独の地中化と両方で対応して、できるだけ地中化、これは都市景観の保護でありますとか、あるいは快適な通行空間の確保とか、あるいはまた都市防災の観点から非常に有効であるということで、かなり重点的にこれを進めたいというぐあいに思っています。
  153. 平野清

    ○平野清君 国土庁の方にちょっと一言申し上げたいんですが、東京臨海部の再開発等についてというので四行ばかり書いてございます。各省が昨年十一月に事務局を設置して基本方針を検討中であるとこう書いてあるわけですね。これ臨海部ももちろんですし、人工の島の方も含めてだろうと思いますけれども、これ順序が逆じゃないかと思うんですよね。こういうことをやろうと思って実際にどんどん各省がもう始めているわけですから、始める前にどこか一つ、総理府というのか建設省というんですか音頭をとって各省庁から臨海部再開発の何といいますかメニューをもらって、じゃお互いにこうしようああしようというのが順序であって、去年になって初めて連絡事務局を設けるということがちょっとお役所的過ぎるのじゃないか、順序が逆じゃないかというような感じがしますがどうでしょう。
  154. 松井司

    説明員(松井司君) 先生がおっしゃいましたように東京臨海部で重要な再開発の構想あるいは計画、こういうのがあるというのは私ども承知しております。  東京湾の利用の方向という意味で私ども国土庁としては昨年の六月でございましたか、第四次の首都圏基本計画というものをつくりまして、そこで一応位置づけておりまして、それによりますと、東京湾というものは物流だとかあるいは産業あるいは生活、こういう面で非常に貴重な空間であるとともに、また自然環境としてもかけがえのない非常に立派なところであるわけです。今後利用していく際にはそういうものをうまく、秩序ある開発が必要である、こういうふうに位置づけておりまして、こういう基本計画あるいは整備計画というものを策定しております。こういう策定する際に、あるいはまた、そういう調査をいろいろやっておりますが、その際に、各省庁あるいは地方自治体と調整を私どもやってまいってきております。今後そういうふうにやっていきたいわけでございますが、特に東京区部の臨海部の開発でございます。これは先ほど申し上げましたように非常に大きな開発でございます。あるいは特殊な開発手法というものを考えないといかぬというようなことで、若干遅くなりましたけれども、各省庁、関係省庁集まりまして全体的な開発の方向というものを今一生懸命煮詰めているところでございます。
  155. 平野清

    ○平野清君 終わります。
  156. 長田裕二

    会長長田裕二君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後五時一分散会