○
上田耕一郎君 この
建築基準法の一部
改正は、性質の異なる二つの
規制緩和、プラスとマイナスが抱き合わせになっていると思うんです。
一つ、三階建てが可能になることなどの
木造建築物の
規制緩和は、
国民がもっと広い
住宅を欲しいという要求にもこたえますし、木材
需要の
拡大にもつながるので、私たちもプラスの
規制緩和で賛成なんですが、もう
一つの
容積率の割り増し並びに
規制緩和、これはやっぱり中曽根
民活に直結するもので、非常に大きな問題をはらんでおると思うんです。
中曽根首相が都心の高度
規制見直しを指示したのは、調べてみますと五十八年三月二十九日で、
建設省の丸山次官が首相のところへ民間活力問題の
検討状況の報告に行った際に指示したんですね。これは五十八年の三月です。それで、
建設省がそれに応じて七月に「
規制の緩和等による
都市開発の
促進方策」というものをつくられた、これから始まっているんですね。この
建設省の
促進方策の中には、環七以内の一種住専を二種住専にすると首相指示が盛り込まれておる。それから、
容積率の緩和などにも触れてあり、調べてみますと、それ以来
建設省が
都市計画、
建築規制の緩和をずっと行っています。
五十九年は特定街区の
容積率割り増しの
都市局長通達など三本、今お話しの四月には計画
道路を
前面道路とみなす
容積率制限緩和、この
住宅局長通達も出ている。昭和六十年は六本、六十一年は七本、六十二年、ことしになってからも市街化区域の人口密度要件引き下げ
都市局長通達を初め、もう三つ出ているということで、ずっと取り組まれてきているわけです。
今度の
建築基準法改正で
容積率の割り増しという形の
規制緩和が盛り込まれてきているわけです。私は、ただ
建設省は首相指示でこういうことをずっとおやりになっているのだが、同時に非常におもしろく思いましたのは、
建設省がことしの二月「より良いまちづくりをめざして
都市計画・
建築規制における
規制の
見直しについて」というパンフレットをお出しになった。これは読んでみますとなかなかいいですね。どうも良心と命令の間でいろいろ苦しんでおられるような感じも実際にします。
例えば、これは「基本的
考え方」の冒頭です。こういう「
都市計画・
建築規制」というのは「
事業活動や経済活動に対する産業・経済的統制とは異なって、単に自由な民間活動の確保という
観点からのみそのあり方を論ずるべきではない。」というところから始められて、だから「良好な
都市環境の保全・形成や
都市の安全性・防災性の確保といった公共的目的を損なわないように配慮」しなきゃならぬ。だから「
都市環境や
居住水準の
改善、向上に資するものでなければならない」、先進資本主義諸国ではこういう無秩序な市場原理に任せないように「
土地利用に強力な公的介入を行っている」ということを挙げて、この次がおもしろいんですね。だから「一律の
規制緩和、
規制撤廃
措置を行うよりは、個々の優良な
プロジェクトに対して
規制を緩和する個別優遇
措置を講じることを原則」とする、こう書かれているんです。
私は、この限りでは
建設省の「基本的
考え方」というのは大変健全だと思うんです。ところが、今度のは個々の優良
プロジェクトに対する
規制緩和じゃなくて、例えば
道路前面に関する割り増し
措置等々、その部分に関しては一律の
規制緩和、
容積率緩和
措置をとっておられるのだが、非常に矛盾していると思うんだけれ
ども、いかがでしょうか。