○石井一二君 去る一月十六、十七の両日、
鈴木委員長、沓掛、堀内、山田の各
委員と私、石井は大阪府、兵庫県における
建設事業の状況を
調査してまいりました。以下、その概要を御報告いたします。
近畿圏は、近年、東京圏が国際化、情報化の進展を背景に、高次の中枢管理機能、
金融機能等の集積を強めているのに対し、その相対的地位の低下が指摘されており、
経済的地位の回復が求められております。特に、近年の首都圏への一極集中化現象は一層の過密化、災害等に対する安全性、地価高騰等種々の問題を惹起しており、均衡ある国
土
利用という観点からも近畿圏の担う
役割は大きく、現在、策定中の
四全総計画において、東京圏に代替し得る
経済圏としての位置づけを明確にすべきとの
意見が出されております。
このような中で、関西地区では、現在、新関西国際空港、関西文化学術研究都市、明石海峡大橋の
建設が、また、六十五年には、国際花と緑の博覧会の開催が決定しており、関西の復権に向けて、これらの大型プロジェクトの推進に
地域の熱い期待が集まっております。
他方、鉄鋼、造船等の構造不況業種及び円高不況下の輸出関連中小企業を
中心に深刻な雇用への影響が
心配されており、
内需拡大による
景気浮揚の観点からも、公共事業の
確保が地元白滝体の強い要望となっておりました。
次に、視察いたしました事業の概要について申し上げます。
まず、国際花と緑の博覧会会場となる鶴見緑地を視察いたしました。鶴見緑地は大阪市の都心から約八キロメートルの至近距離に位置し、百五ヘクタールという市街地の中では有数の広さを有する都市公園でありますが、一面の低湿地であったところを、地下鉄工事の残土や都市ごみ等を埋め立てて起伏に富んだ緑地公園として
整備されたもので、現在は市民の憩いの場として、また、災害の際には百万人の避難地としての機能も有する貴重な都市緑地となっております。
三年後の博覧会開催への準備は、博覧会協会、地元
自治体、国等の協力で順調に進んでいるとのことでありますが、開催期間六カ月で入場者二千万人を見込んでおり、会場の
整備のほか、アクセスとなる地下鉄や道路の
整備等総額千八百五十三億円と見込まれている関連事業を残された期間に完了することが不可欠であり、これらの事業の円滑な促進が強く望まれておりました。
次に、東大阪市における雨水貯留
施設について申し上げます。
東大阪市は、低湿地帯という地形に加えて急激な都市化の進展により、豪雨に伴う浸水がたび重なり、市民
生活を脅かしておりましたが、雨水貯留
施設は、その対策として雨水を一時的に地下の貯留池にため込み、河川の流下
能力に合わせて放流することによって浸水被害を防止しようとするものであります。全体
計画では貯留量六万二千トンとなっておりますが、当面、浸水被害の激しい八戸の里駅周辺区域を一期
計画として、約一万四千トンの貯留量を有する貯留管の
建設が六十年度より進められております。貯留管はシールド工法で施工され、直径三・五メートル、延長六百五十メートルという大
規模なものでありますが、ポンプ等の
施設整備とあわせ、六十四年度には供用開始が予定されております。これにより、現在は時間雨量二十から二十五ミリで浸水していたものが四十から四十五ミリまでの雨量に耐えることができることになり、今後、浸水被害の大幅な軽減が期待されます。
次に、阪神高速道路の
整備状況について申し上げます。
阪神高速道路は三十七年に公団が発足以来、路線延長を順次伸ばし、現在までに
建設二百二十六キロメートル、うち、供用済みは百三十キロメートルを超え、一日の平均交通量は七十万台を数えております。阪神高速道路は阪神
地域の
経済、
生活を支える重要な幹線道路となっておりますが、事業を進める上で当面する大きな課題は、都心部の渋滞対策と六十八年に開港が予定されている関西新空港へのアクセス道路の
整備促進であります。特に、大阪湾岸線は空港アクセスの
中心道路であり、また湾岸都市群を短距離で結び、都心部の渋帯対策にも大きな
効果が期待できる道路として
重点的に
整備が進められ、現在、安治川橋梁等の大
規模な工事が進められておりました。しかし、その早期完成のためには、
港湾地区に集中している既存工場の
用地取得、関連する埋立事業の進捗、一部海浜の景観問題等の問題が残されており、また、厳しい
財政事情のもとでの事業費
確保が最大の課題となっております。
次に、芦屋浜シーサイドタウンは、関西における代表的な住宅地である芦屋市の埋立地約百二十五ヘクタールに、住宅五千四百五十二戸と既成市街地では
用地難で
確保できなかった教育
施設、コミュニティー
施設、公園等の都市
施設をあわせて
整備する
計画人口一万八千人の海浜ニュータウン
建設事業であります。この都市づくりの最大の特色は、住宅の三分の二を占める高層住宅の
建設について、工業化工法による芦屋浜高層住宅プロジェクトコンペを実施し、その入選作を
中心にユニークな住宅団地が
形成されていることであります。高層住宅の五階ごとには空中公園が設けられており、また、真空ごみ収集システムや
地域暖房給湯システムの採用な
ども特徴となっております。住宅
建設は昭和五十年に始まりましたが、現在では入居戸数四千三百六十四戸、人口一万四千四百八十一人となっており、高層住宅を
中心に周辺に中低層住宅を配し、公園、散策用緑道など豊かな緑を
確保したシーサイドタウンとして評価されているとのことであります。
次に、神戸サーバーランド
計画は、神戸駅前に広がる国鉄湊川貨物駅の廃止に伴い、その跡地十・七ヘクタールと周辺地区を含めた約二十三ヘクタールにおいて神戸市の西の新しい都市拠点を
整備しようとするものであります。
計画ではインナーシティーの再活性化、高度情報化社会への対応を目指して文化、情報、商業、業務、住宅、教育、
福祉等の複合的な
施設を
土地の高度
利用を図りながら
整備するとともに、水際環境を生かした景観
形成を図り、特色ある町づくりを目指しております。この事業は、新都市拠点
整備事業、特定再
開発事業、特定住宅市街地総合
整備事業の各事業を組み合わせて実施されることとなっており、六十年度に事業着手、六十七年度に完了が予定されておりますが、
施設の
建設についてはコンペ方式による
民間活力の
活用も
計画されております。現在、貨物駅
施設の撤去も終わり、整地された跡地に神戸市の総合児童センターが完成しておりましたが、事業の円滑な進捗のためには関連する
公共施設整備の促進が必要で、国鉄神戸駅と連絡する地下街の
建設を急ぎたいとのことであり、事業費の
確保が望まれておりました。
最後に、明石海峡大橋の
建設について申し上げます。明石海峡大橋は四十八年の石油ショック以後、
建設が凍結されてまいりましたが、行
財政改革推進のもとで
民間資金を大幅に導入することとし、また、社会、
経済情勢の
変化を勘案して道路単独橋に変更することによって、六十一年度に工事着工が認められたことは御承知のとおりでございます。現在はまだボーリング
調査の段階で、完成までには十年以上を要するものの、これにより、地元の悲願であった神戸-鳴門ルートが全通する見通しとなり、四国、阪神間の交通は抜本的に改善され、関連
地域の
経済、文化の
交流促進に大きな期待がかけられております。
明石海峡大橋は、神戸市の舞子の浜と淡路町の松帆の浦の間にかかる橋の長さ三千九百十メートル、中央スパン千九百九十メートル、橋を支える塔の高さ三百三十三メートルに達する世界最大のつり橋であり、加えて明石海峡の水深、潮流、地盤等の条件も厳しく、その
建設には難工事が予想されますが、技術的には十分対応できるとされております。しかし、同時に
建設される陸上部は住宅地を貫き、騒音、大気汚染等沿道の環境への悪影響が
心配されており、トンネル部分の延長、緩衝緑地の造成等の十分な環境対策の実施が強く要望されておりました。
以上、簡単でありますが報告を終わります。